(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-19
(54)【発明の名称】生体信号センシングおよびインフルエンシングのための動き減衰についての方法および装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/277 20210101AFI20220812BHJP
A61B 5/265 20210101ALI20220812BHJP
A61B 5/256 20210101ALI20220812BHJP
A61B 5/291 20210101ALI20220812BHJP
A61B 5/28 20210101ALI20220812BHJP
A61B 5/296 20210101ALI20220812BHJP
A61N 5/06 20060101ALI20220812BHJP
A61N 2/04 20060101ALI20220812BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
A61B5/277
A61B5/265
A61B5/256 110
A61B5/291
A61B5/28
A61B5/296
A61N5/06 A
A61N2/04
A61N1/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573406
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 IB2020055469
(87)【国際公開番号】W WO2020250160
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520461026
【氏名又は名称】センズ.エーアイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SENS.AI INC.
【住所又は居所原語表記】2768 Coyote Place, Whistler, British Columbia, CANADA
(71)【出願人】
【識別番号】521540449
【氏名又は名称】テルファー, パオラ
【氏名又は名称原語表記】TELFER, Paola
【住所又は居所原語表記】2768 Coyote Place, Whistler, British Columbia V8E0A8, CANADA
(71)【出願人】
【識別番号】521540450
【氏名又は名称】ジュリーン, コーリー
【氏名又は名称原語表記】JULIHN, Corey
【住所又は居所原語表記】6785 193 Street, #30, Surrey, British Columbia V4N0Z4, CANADA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, パオラ
(72)【発明者】
【氏名】ジュリーン, コーリー
【テーマコード(参考)】
4C053
4C082
4C106
4C127
【Fターム(参考)】
4C053JJ01
4C053JJ21
4C082PA01
4C082PJ11
4C106AA06
4C106CC03
4C127AA02
4C127AA03
4C127AA04
4C127AA10
4C127BB05
4C127DD03
4C127LL13
(57)【要約】
電位をセンシングし、影響を与えるための装置と方法が提供される。本発明に係る装置は、身体からの生体活動信号を測定するための脳波計(EEG)、心電計(EKG)、光電容積脈波計(PPG)、筋電計(EMG)、温度計などを含む。開示される装置は、動きを減衰する、非接触型と接触型のハイブリッドセンシング面を含み、動いている間、毛髪や衣服のような障害物を通してなど、難しいセンシング条件での感度を最適化し、便利で小さなフォームファクタを持つよう設計されている。本発明に係る装置は、他の設計と比較した場合、改善された感度、適応性、およびノイズ低減を提供する。非接触型と接触型のハイブリッドセンシング面を有する装置によって生体信号に影響を与える方法も開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの身体からの電界をセンシングするためのバイオセンサ電極であって、
その最外面から延びる1つ以上の要素を必要に応じて含む、可撓性を有する電極コアと、
前記電気コアおよび要素に配置されたセンシング面と、
前記センシング面と増幅器との間の電気的接続を提供する接続素子と、を有し、
前記バイオセンサ表面が前記ユーザの身体の形状に適合する、バイオセンサ電極。
【請求項2】
前記ユーザの頭部で使用するように適合され、前記バイオセンサ表面が前記ユーザの頭部の形状に適合する、請求項1に記載のバイオセンサ電極。
【請求項3】
前記バイオセンサ表面が、容量性結合または直接結合からなる、前記ユーザの対象電界への結合を提供する、請求項1記載のバイオセンサ電極。
【請求項4】
前記電極コアの前記最外面から延びる前記要素の全高が、前記電極コアの[面積/幅/長さ]の少なくとも10%である、請求項1記載のバイオセンサ電極。
【請求項5】
前記最外面から延びる前記要素の高さは、前記バイオセンサ電極の高さの50%未満である、請求項1に記載のバイオセンサ電極。
【請求項6】
円周55cmの球体と平坦な表面との両方について、250gの力で押しつけられた際の前記最外面から延びる前記要素の表面積が、前記電極コアの前記最外面の表面積の少なくとも30%を占める、請求項1記載のバイオセンサ電極。
【請求項7】
前記センシング面が、銀、ニッケル、銅、金、グラフェン導電布からなるグループから選択された導電コーティング、グラフェンの可撓性コーティング、または、銀、ニッケル、銅、金、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブなどの導電材料が埋め込まれ、あるいはコーティングされた可撓性シリコーンもしくはポリマーである、請求項1記載のバイオセンサ電極。
【請求項8】
ユーザとの間で生体信号を送受信するためのウェアラブルデバイスであって、
少なくとも2つのアンカーと、
それぞれが第1の端部と第2の端部を有する少なくとも2つの半可撓性バンドであって、前記半可撓性バンドのそれぞれの前記第1の端部と前記第2の端部の少なくとも一方が少なくとも1つのアンカーに接続され、前記少なくとも2つの半可撓性バンドが、前記少なくとも2つの半可撓性バンド間に開口が形成されるように被検者の身体の輪郭に沿う、半可撓性バンドと、
少なくとも2つの半可撓性バンドに接続された少なくとも1つの可撓性膜と、
前記少なくとも1つの可撓性膜または前記少なくとも2つのアンカーの1つ以上に必要に応じて配置される少なくとも1つのバイオセンサと、
前記少なくとも1つの可撓性膜または前記少なくとも2つのアンカーの1つ以上に必要に応じて配置される少なくとも1つのバイオスティミュレータと、を有し、
前記アンカーを正しく配置し、前記アンカーおよび半可撓性バンドを正しく調整することにより、前記少なくとも1つのバイオセンサおよび前記少なくとも1つのバイオスティミュレータが前記ユーザの身体の目標領域に配置される、ウェアラブルデバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つのバイオセンサおよび前記少なくとも1つのバイオスティミュレータを前記ユーザの頭部の目標領域に配置するように構成される、請求項8に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項10】
前記デバイスが、PBM刺激、PEMF刺激、tMS刺激、tACS刺激、tRNS刺激、またはtDCS刺激のうちの1つを提供する、請求項8に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項11】
前記少なくとも1つのバイオセンサが、PPGセンサ、fNIRSセンサ、またはMEGセンサである、請求項8に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つのバイオセンサが、EEG信号、EKG信号、ECG信号、またはEMG信号を取り込むように構成される、請求項8に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項13】
仮想現実ヘッドセット、拡張現実ヘッドセット、またはブレインコンピュータインターフェースとして使用されるように構成される、請求項8に記載のウェアラブルデバイス。
【請求項14】
少なくとも1つのバイオセンサ、少なくとも1つのバイオスティミュレータ、および少なくとも1人のユーザの身体が、閉フィードバックループを生成し、前記ユーザの身体が生体信号を生成し、前記生体信号がバイオセンサによって取り込まれ、バイオスティミュレータが前記ユーザの生体信号に影響を与える、請求項8記載のウェアラブルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体信号センシングおよびインフルエンシングのための動き減衰についての装置および方法に関する。より具体的には、装置は、被検者によって生成される電場または生体場内に非接触および/または接触センシング面を配置し、被検者が動いているときや、毛髪のような障害物を介する場合のようにセンシングが困難な状況において感度を最適化し、ノイズを低減するように設計される。本発明はさらに、生体信号を取得し、影響を与える(インフルエンシング)するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脳波図(EEG)および心電図(ECGまたはEKG)センサなどの生体電気センサは、脳や心臓の電界を測定する。市販のEEGおよびECGセンサの大部分は、皮膚との直接的な電気的接触の提供を必要とする。皮膚上のセンシング位置が例えば毛髪で遮られている場合、直接的な電気的接触の不足を改善するためにしばしば導電性ゲルが用いられる。毛髪の間を貫通するドライブラシ電極を使用する手法もよく知られているが、接触点に圧力をかける必要があり、不快感や痛みを伴いうる。バイオセンシング装置が直面する主要な問題は、目標とする信号がしばしばノイズで汚染されることである。ノイズの発生源としては、EMG(筋肉/運動ニューロン)などの他の生体電気信号、電子機器に内在するノイズ、被検者(すなわちセンシング面)の動き、および電波を含む外部電磁界などがある。より具体的には、EEG信号は非常に小さく、通常10μVから100μVの範囲であるため、ノイズに対して非常に敏感である。
【0003】
最近、非接触型の電位センサが開発されている。これらの非接触型センサは、皮膚とセンシング電極との間の容量性結合に依存している。これらのセンサは、EEGやECG信号の非接触センシングには成功しているが、毛髪のような障害物を介してのセンシングにはまだ限界がある。これらのセンサは、前述のノイズ源からの干渉に悩まされ、また、障害物(例えば、毛髪)の量がセンシング位置、装着者、および時間の経過の複数にわたって変化する実環境の障害状況では、信号不良を経験するのが一般的である。
【0004】
非接触型センサの設計は、容量性結合のためのフラットリッジセンシング電極を必要とする。米国特許第8694084号明細書、Harland 2001、Oehler 2008、Portelli 2017、Chi 2009、およびChi 2010などがその例である。これらの非接触型センシング電極は、障害物や他の問題により、電極と人体との結合が弱いという課題がある。これを克服するために、センシング電極を大型化してSNR(信号対雑音比)を高めることが行われている。この手法ではしばしば検出円板のサイズが一般的な湿式電極の直径の約2倍まで拡大される(Portelli, 2017)。’084特許に示されるセンシング電極には絶縁体が組み込まれているため、非接触モードでのみ動作可能である。
【0005】
非接触EEGおよびEKGセンシングのより古い例が例えば米国特許第5473244号明細書に開示されているが、単に非接触的手法が開示されるに留まり、信号強度および低SNRに関する既知の欠点を有している。最近では、眠気などの生理的状態のセンシングに非接触センシング手法が用いられるようになっているが、前述した非接触デバイスおよび手法の欠点は当然ながら解決されていない。
【0006】
生体信号に身体から影響を与えること(インフルエンシングすること)は、投薬、治療、瞑想、呼吸法、バイオフィードバック、ニューロフィードバック、バイオスティミュレーションなど、多岐の分野および方法にわたる。ニューロスティミュレーションは、神経系の活動を意図的に調節するバイオスティミュレーションの一種である。フォトバイオモジュレーション(PBM)は、近赤外線を変調して使用し、神経系を刺激するために用いることができる。
【0007】
生体信号をセンシングし、影響を与えるためには、バイオセンサやバイオスティミュレータの正確な配置が重要である。一般に、装置は、センサやスティミュレータを皮膚にしっかりと密着させるか、非接触型センサの場合は目標とする電界にできるだけ近づけるように設計されている。センサの配置における重要な課題は、被検者のサイズや形状が様々で、呼吸、まばたき、嚥下、頭の動きなどの随意および不随意運動によるモーションアーチファクトが発生することである。EEG信号をセンシングする装置が用いる1つの手法は、米国特許第8706182号明細書、米国特許出願公開第20170332964号明細書、第20180092599号明細書、第20160316288号明細書に記載されているような、頭部を包み、センサを有する1つまたは複数の可撓性腕部を有する半リッジ調整可能バンドを使用することである。このよく知られた手法は、センサの配置という課題を概ね達成するが、本発明よりもきつく装着することが必要であるため、被検者の快適性に劣る。この手法のもう一つの欠点は、センサのそれぞれが配置のための腕部を追加で必要とし、さもなければ、センサ配置の質が、身体のサイズと形状の違いに応じて変化することである。さらに、可撓性腕部がハブや(1つ以上の)主バンドから離れれば離れるほど、被検者の動きによってセンサが移動する可能性が高くなる。
【0008】
EEGおよびEKG装置でよく使用される別の手法は、例えば米国特許第9668694号明細書に開示されるような、弾性体または布のストラップで固定された、多くは布製である可撓性ラップまたはキャップを用いてセンサを配置することである。この手法の欠点は、頭や身体の形状が異なると、身体の部位によってセンサの圧力が変化することである。さらに、複数の軸にセンサが必要な場合、この手法では、複数のサイズで装置を作る必要があるのが普通である。最後に、これらの可撓性キャップは、ストラップで固定されるのが一般的であるため、モーションアーチファクトが発生しうる。例えば、多くのEEGキャップは、顎に沿ったストラップで固定されるため、顎の動き(すなわち、嚥下または会話)がキャップおよびセンサに伝達し、信号にノイズを導入することになる。
【0009】
本発明者らは、センサおよびスティミュレータを正しい位置に配置し、被検者の様々な形状およびサイズに適合し、動きによる信号ノイズを低減し、複数の軸にわたって一貫したセンサ圧力を提供し、ユーザの快適性を高め、変位または移動したセンサから回復し、センシングおよびスティミュレーティング面と目標の生体フィールドとの電気的結合を増加する設計を提供することにより、バイオセンシングおよびインフルエンシング装置の欠点に取り組もうとするものである。
【発明の概要】
【0010】
したがって、本発明は、2つ以上の半可撓性バンドを含み、前記バンドが身体に対して1つ以上の可撓性膜を配置するウェアラブル装置に関し、前記装置は、バイオセンサシステムを含んでもよく、バイオスティミュレーションシステムを含んでもよい。本発明は、複数の軸にわたって一貫した圧力で目標の位置にセンサを正確に配置し、様々な身体の形状およびサイズに適合し、モーションアーチファクトの影響を制限し、変位または移動したセンサから回復し、センシング面と対象の電場もしくは他の目標生体場との間の電気的結合を増加することが可能である。
【0011】
さらに本発明は、柔らかく(soft)、可撓性(flexible)および弾性を有し、かつ平坦でない身体から電場をセンシングするためのバイオセンサ電極に関する。このセンシング面は、目標の電界に対して容量性接合または直接結合を提供することができる。センシング面を身体の形状に合わせることで、電界内に配置されるセンシング面の領域が増加し、容量性結合の効果が高まる。このセンシング面は、自身の弾性力を利用して動きを減衰させるとともに空隙を満たすことにより、動きを抑制するとともに変位からの回復を図る。さらに、これらのセンサは、より快適かつセンシング面を過度の圧力で身体に押し付ける必要がないであろう。さらに、皮膚を傷つけない。
【0012】
本発明は、さらに、1人以上の被検者からの生体信号に影響を与える(インフルエンシングする)ための方法に関する。ここで、身体からの生体信号は、処理され、解析され、被検者にフィードバックを提供するために使用される。ここで、生体信号を解析することは、被検者の精神的、生理的、心理的、体性および/または自律神経の健康および/または状態を評価することに関連し、フィードバックとは、被検者が前記解析された健康および/または状態を調整または変更することを支援することを意図している。被検者へのフィードバックは、音声、視覚、振動、触覚、他の物体または装置の動きまたは変化、または他の手段による感覚的フィードバックを含んでもよく、さらに、フォトバイオモジュレーション(PBM)などのバイオスティミュレーションフィードバックをも含んでもよい。フィードバックのさらなる形態は、テキスト、音声、または他の手段を用いた、情報、推奨、診断、または指示を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付図面に関するいくつかの実施形態の以下の詳細な説明を通じて本発明をより深く理解できるであろう。
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る、様々な形状およびサイズの頭部にバイオセンサおよびバイオスティミュレータを正確かつ快適に配置することが可能な例示的な装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る、様々な形状およびサイズの頭部にバイオセンサおよびバイオスティミュレータを正確かつ快適に配置することが可能な例示的な装置の側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る、様々な形状およびサイズの頭部にバイオセンサおよびバイオスティミュレータを正確かつ快適に配置することが可能な例示的な装置の上面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施形態に係る、複数の膜を有する例示的な装置と、ウェブ状の膜を有する別の装置との上面図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施形態に係る、コアから延びる凹凸状要素(bump feature)を含む、柔らかく、可撓性および弾性を有し、かつ平坦でないセンシング面を有する例示的なセンサシステムを示す図である。
【
図6】
図6は、外部の電気的干渉を防止するためのガードシールドを備えた、本発明の実施形態に係るセンサシステムを示す図である。
【
図7】
図7は、押圧されたときに身体の形状に適合するように、柔らかく、可撓性および弾性を有し、かつ平坦でないセンシング面を有するセンサシステムを示す図である。
【
図8】
図8は、柔らかく、可撓性および弾性を有し、かつ平坦でないセンシング面が、コアから延びる追加の要素を有しない、本発明の実施形態に係る代替のセンサシステムを示す図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係るセンシングプロトコル手法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、身体からの電界をセンシングするためのバイオセンサ電極に関し、当該バイオセンサ電極は、以下の構成を有する。
・最外面から延びる1つ以上の要素を含みうる、柔らかく、可撓性および弾性を有し、かつ平坦でない電極コア。
・電極コアと要素との全高は、コアの幅または長さのいずれか大きい方の少なくとも10%でなければならない。
・電極コアおよび要素のデュロメータ硬さは、50ショアA未満でなければならず、理想的には10ショアA未満である。
・電極コアの表面から伸びる要素は、電極の全高の50%未満でなければならない。
・円周55cmの球体と平面との両方について、250gの力で圧縮したときの要素の表面積が、電極コアの最外面の表面積の少なくとも30%を占めなければならない。
・前記電極コアおよび延長要素上のセンシング面または導電性コーティング。
・センシング面から増幅器への電気的接続部。
ここで、バイオセンサ面が被検者の身体形状に適合する。このセンシング面は目標の電界に対して容量性結合または直接結合を提供しうる。センシング面を身体形状に適合させることにより(
図7)、電界内に配置されるセンシング表面積を増加させ、容量性結合の効果を高める。さらに、前記センシング面は、動きを減衰させるとともに空隙を満たすために自信の弾性力を利用することにより、動きを制限するともに変位から回復する。
【0016】
一実施形態において、導電性コーティングは、導電性の織物(fabric)からなり、銀、ニッケル、銅、金、グラフェン、および/または他の導電性コーティングを含んでもよい。
別の実施形態では、導電性コーティングは、グラフェンの可撓性コーティングにより、または、銀、ニッケル、銅、金、銀ナノワイヤ、および/またはカーボンナノチューブなどの導電性材料が埋め込まれ、あるいはコーティングされた可撓性シリコーンまたはポリマーにより、構成されうる。
【0017】
本発明はその一態様において、接触型と非接触型のハイブリッドセンシング面を用いる静電容量式バイオセンサシステムを含む。本発明におけるセンシング面は平坦でないことにより、毛髪や衣服などの障害物を押しのける、または通り抜けることにより、表面積の増加による容量性結合の増加を維持しながら全体的なサイズを縮小すること、より少ない圧力で身体に配置できること、接触モードおよび非接触モードの両方で動作可能であることなどを含む、従来技術に対する多くの利点を提供する。
【0018】
一実施形態において、電極コアから延びる要素は、球状のこぶ(bump)、突起(prong)、リッジ、突出したリング、ファセット、または表面の基材(base)からの他の突出物を含みうる(
図5)。この形状は、用途に最適化されてもよく、理想的な表面は、以下の項目のバランスを取る。
・身体近傍の表面積を最大化し、容量効果を高めること、
・障害物を通り抜け、センシング面をできるだけ電界の発生源に近づけ、空隙や障害物を減らすことで容量効果を高めること、
・身体と接触することで、直接結合の機会を作ること、
・被検者の快適性。
【0019】
さらに、センシング面の全体的なサイズは、サイズを大きくすることで容量性結合能力が向上する用途に基づいて適合させることができる。
【0020】
柔らかく、可撓性および弾性を有し、かつ平坦でないセンシング面は、身体に対して押しつけられ、身体によって生成される電界内に置かれる。表面は、身体と接触していても、部分的に接触していても、接触していなくてもよい。配置は、障害物、毛髪や身体に用いる製品、ボディオイル、動き、変位、体表面との接触の程度の変化など、理想的でない条件の変化にさらされる可能性がある。身体から発生する電界の変化は、容量性結合および/または直接結合を介してセンシング面の電位を変化させることになる。身体の電場の変化に起因してセンシング面によって生成された信号は、増幅され、デジタル信号に変換され、有線または(Bluetooth(登録商標)、WiFi、携帯電話網、またはインターネットなどの)無線接続を通じてコンピュータ、電話機、ウェアラブルデバイス、サーバ、および/または他の装置に送られ、そこで処理、保存、表示、および/または解釈され得る(
図9)。
【0021】
さらに別の実施形態において、本発明は他の発生源からの電界を拾うことを制限するガードシールドを組み込みうる(
図6)。電極をシールドする方法には様々なものがある。1つの手法では、銅などの導電性材料で作られたシールドが、静電容量センサからの入力電圧に一致する信号で駆動される。
【0022】
好ましい実施形態では、1つ以上のバイオセンサは、ヘッドセットのようなウェアラブルデバイスに設けられ、身体に配置される。
【0023】
本発明は、被検者からの生体信号を取り込みおよび/または生体信号に影響を与えるための装置であって、以下の構成を有する装置に関する。
・2つ以上の半可撓性あるいは剛性のアンカー。
・2つ以上の半可撓性バンドであって、各バンドは2つの端部を有し、少なくとも1つの端部が少なくとも1つのアンカーに接続される、バンド。ここで、半可撓性バンドは、被検者の身体の湾曲に沿い、前記バンドの間に開口部を形成する。
・1つ以上の可撓性を有する膜。ここで、可撓性を有する膜はそれぞれ、少なくとも2つのバンドにそれぞれ少なくとも1つの位置で接続される。
・膜のそれぞれおよびアンカーは0個以上のバイオセンサを含む。
・膜のそれぞれおよびアンカーは0個以上のバイオスティミュレータを含む。
・少なくとも1つ以上のバイオセンサまたはバイオスティミュレータを含む。
ここで、被検者の身体の正しい位置にアンカーを配置し、アンカーおよび/またはバンドのサイズを調節してバイオセンサおよびバイオスティミュレータを身体の目標領域内に配置する。配置されたとき、可撓性膜は伸び、曲がり、そして被検者の身体の形状に適合する。そして、半可撓性バンドとアンカーによって張力が保持される。前記膜を複数の前記バンドに接続することにより、膜は、1つのバンドが伸びる軸だけでなく、複数の軸に沿って均等に圧力を分散することができる。少なくとも2つのアンカーが被検者の身体に接触し、身体に向かって力を加える。理想的な実施形態では、アンカーの力は、アンカーに接続する半可撓性バンドの弾性力によって生成される。
【0024】
一実施形態において装置は、可撓性膜および/またはアンカーに配置され、被検者に向かって外方に延びるセンシング面を有する埋込型バイオセンサを含む。好ましい実施形態では、埋込型バイオセンサは、前述の、被検者の身体の形状に適合する柔らかく、可撓性および弾性を有し、かつ平坦でないセンシング面であるため、身体が発生する電界内に置かれる表面積が増大する。得られた信号は増幅され、コンピュータ、電話機、またはウェアラブルデバイスに送信されうる。信号は、表示、保存、および/または処理されうる。
【0025】
一実施形態において装置は、可撓性膜、および/またはアンカーに配置されたバイオスティミュレータを含み、その刺激面は被検者に向かって外方に延びている。好ましい実施形態は、非侵襲的なフォトバイオモジュレーション(PBM)スティミュレーションを利用する。PBM療法は、細胞構造の内部(通常はミトコンドリア)に、光化学的変化を生じさせるための非イオン化光エネルギーの使用である。他の実施形態は、PEMF(パルス電磁場刺激法)、tMS(経頭蓋磁気刺激法)、tACS(経頭蓋交流電気刺激法)、tRNS(経頭蓋ランダムノイズ刺激法)、tDCS(経頭蓋直流電気刺激法)などを含みうる。
【0026】
一実施形態においてアンカーは、その長さを調節するための既知の機構を含み、前記アンカーの長さを増加または減少することができ、したがって、装置が様々なサイズの身体に適応することを可能にする。別の実施形態では、半可撓性バンドは、前記バンドの長さを増加させるか減少させるかのいずれかであって、バンドが個別に調整され得る、それらの長さを調整するための既知の機構を含んでもよく、したがって、デバイスが異なる体格に適応することを可能にする。
【0027】
一実施形態では、アンカーは、1つ以上のヒンジを含み、装置を保管のためによりコンパクトな形態に折り畳むことを可能にする。別の実施形態では、少なくとも1つのバンドは、1つ以上のヒンジを含み、装置をよりコンパクトな形態に折り畳んで保管することを可能にする。
【0028】
好ましい実施形態では、バンドは同じ方向に本体を横切って延びるが、他の実施形態では、バンドは互いに交差してもよいし、互いに接続してもよい。
【0029】
好ましい実施形態では、(1つ以上の)膜はバンドの間に延び、開口部を横切って接続している。(1つ以上の)膜は、本体の領域を覆うように埋め尽くされていても、本体を横切って延びる別々のバンドであっても、メッシュ状、網状、または他の形状であってもよい。別の実施形態では、膜は、柔らかく可撓性を有するゴム、シリコーン、可撓性のある織物、または別の柔らかな可撓性材料で作ることができる。理想的な実施形態では、膜は、40ショアA未満のデュロメータ硬さを有する。
【0030】
一実施形態において、前記バイオセンサは、少なくとも1つの接地電極、および少なくとも2つの信号取得電極からなり、少なくとも1つの信号取得電極は、少なくとも1つの他の信号電極のための基準電極として用いられる。
【0031】
一実施形態では、前記バイオセンサは、少なくとも1つの非接触電位センサを含む。別の実施形態では、前記バイオセンサは、少なくとも1つの接触型電位センサを含んでいる。他の実施形態では、前記バイオセンサは、光電脈波(PPG)センサ、機能的近赤外分光法(fNIRS)センサ、脳磁図(MEG)センサのうちの少なくとも1つを有する。別の実施形態では、前記バイオセンサは、少なくとも1つの皮膚伝導度センサを含む。さらに別の実施形態では、前記バイオセンサは、少なくとも1つの温度センサを含む。
【0032】
一実施形態では、前記バイオセンサは、EEG信号、EKGまたはECG信号、およびEMG(筋電)信号の1つ以上を取り込めるように構成される。ここで、前記バイオセンサは、増幅器、1つ以上の受動フィルタ、アナログデジタル変換器、および場合により無線送受信器に接続される。
【0033】
別の実施形態では、装置は、少なくとも1つのスピーカを有する。この実施形態の1バージョンは装置のアンカーに埋め込まれたスピーカーを有し、アンカーは、ヘッドホンスピーカーの実施形態である。さらに別の実施形態では、装置は帽子またはヘルメットに埋め込まれている。別の実施形態において装置は、仮想現実ヘッドセット、または拡張現実ヘッドセット、または別の感覚拡張装置に埋め込まれる。さらに別の実施形態において装置は、ブレインコンピュータインターフェース(BCI)として使用される。
【0034】
1つの任意の実施形態において、前記装置は、以下の構成からなる。
・2つ以上の半可撓性または剛性のアンカー。
・2つ以上の半可撓性バンド。各バンドは2つの端部を有し、少なくとも1つの端部が少なくとも1つのアンカーに接続される。半可撓性バンドは被検者の身体の湾曲に沿い、前記バンドの間に開口部を形成する。
・1つ以上の可撓性膜。可撓性膜のそれぞれは、少なくとも2つのバンドにそれぞれ少なくとも1点で接続される。
・膜のそれぞれとアンカーは0個以上のバイオセンサを含む。
・膜のそれぞれとアンカーは0個以上のバイオスティミュレータを含む。
・少なくとも1つ以上のバイオセンサまたはバイオスティミュレータを含む。
ここで、前記膜は、他の既知のセンサ配置デバイスからなる。1つのそのような実施形態において前記膜は、前記バンドに取り付けられたEEGキャップであり、その結果、EEGキャップは、顎または頭周りのストラップを必要としない。
【0035】
本発明は、1人以上の被検者からの生体信号に影響を与えるための方法に関し、方法は以下のステップを含む。
・被検者からの生体信号を取り込むため、および/または生体信号に影響を与えるための前述の(1つ以上の)装置を、各被検者の身体に配置することと、
・各被検者から生体信号を取得するために(1つ以上の)デバイスを用いることと、
・生体信号を処理および解析するために装置を用いること、あるいは、信号を処理および解析する別の装置に信号を送信することと、
・(1人以上の)被検者にフィードバックを提供するために、解析された信号を用いることと、
・生体信号の取得、処理、解析と、(1人以上の)被検者へのフィードバックの提供とを、フィードバックループで必要に応じて継続すること。
ここで、生体信号を解析することは、被検者の精神的、生理的、心理的、身体的および/または自律神経の健康および/または状態の評価に関連し、フィードバックは、被検者が前記解析された健康および/または状態を調整または変更することを助けることを意図している。
被検者へのフィードバックは、音声、視覚、振動、触覚、別の物体または装置の動きまたは変化、または他の感覚を刺激する手段を含む様々な形態で提供されてよく、さらに、フォトバイオモジュレーション(PBM)などのバイオスティミュレーションフィードバックも含まれる。フィードバックの更なる形態は、テキスト、音声、または他の手段によるメトリクス、情報、推奨、診断、または指示を含みうる。
【0036】
一実施形態において、生体信号に影響を与えるための方法は、前記装置を装着し、前記デバイスから前記フィードバックを受け取る1人の被検者に関し、いかなる外部フィードバック機構も配置されない。別の実施形態では、装置は、取得した生体信号をコンピュータまたはモバイル機器などの別の装置に送信し、そこで信号が処理され、フィードバックが提供される。さらに別の実施形態では、装置は、取得した生体信号をサーバに無線送信し、そこで、本発明に係る装置、コンピュータ、または装置、あるいは別の装置を通じて信号が処理され、フィードバックが返される。
【0037】
一実施形態では、複数の被検者のそれぞれが装置を装着しており、前記生体信号は、処理および解析のためにサーバにまとめて送信され、個人およびグループの生体信号に基いてフィードバックが提供される。
【0038】
さらに別の実施形態では、装置は、生体信号を処理して、サーバ、コンピュータ、またはモバイル機器などの別の処理装置に送信し、そこで信号が解析され、レポートが生成される。ここで、レポートは、診断指標および/または健康指標に関連する情報を含み、レポートは被検者またはレポートに関連する分野の専門家に提供される。
【0039】
バイオセンサ:生体信号の読み取りが可能な電子機器または電子回路。
例えば、EEG電極、パルスオキシメータ、ECG電極、グルコースセンサ、温度センサなどがある。
【0040】
バイオスティミュレータ:生体信号を変化させ、影響を与え、または変化させることができる電子装置または電子回路。
【0041】
生体信号:生体から連続的にモニターできる信号で、電気信号であっても非電気信号であってもよい。
【0042】
生体フィールド:バイオセンサで読み取ることができる生体信号の発生源の周辺領域。
電気的な生体信号の場合、これは電場である。
【0043】
ここで図を参照すると、
図1は、埋込型バイオセンサおよび/またはバイオスティミュレータ5を有する可撓性膜4を所定の位置に保持する2つの半可撓性バンド3を有する2つのアンカー2を含む、生体信号を取り込むとともに生体信号に影響を与えるための例示的装置1の斜視図である。
【0044】
図2は、埋込型バイオセンサおよび/またはバイオスティミュレータを有する可撓性膜4を所定位置に保持する2つの半可撓性バンド3を有する2つのアンカー2を含む、生体信号を取り込むとともに生体信号に影響を与えるための例示的装置1の側面図である。
【0045】
図3は、埋込型バイオセンサおよび/またはバイオスティミュレータを有する可撓性膜4を所定位置に保持する2つの半可撓性バンド3を有する2つのアンカー2を含む、生体信号を取り込むとともに生体信号に影響を与えるための例示的装置1の上面図である。
図4は、生体信号を取り込むとともに生体信号に影響を与えるための例示的な装置の追加の立面図を提供する。
【0046】
図5において、センサシステム100は、毛髪または他の障害物10を通じて身体5に接触および/または非接触で容量性結合するための、コアから延びる凹凸状要素101を有し、弾性を有し平坦でないセンシング面105を有する。センシング面105は増幅器115に接続されている。
【0047】
図6は、センサシステム200が、毛髪または他の障害物10を通じて身体5に接触および/または非接触で容量性結合するための、弾性を有し平坦でないセンシング面105の周りにガードシールド120を含む代替実施形態を示している。
センシング面105は増幅器115に接続されている。
【0048】
図7において、センサシステム100は、毛髪または他の障害物10を通じて身体5に接触および/または非接触で容量性結合するための、弾性を有し平坦でないセンシング面105を含む。センシング面105は増幅器115に接続されている。この図では、センシング面105が身体5に対して押しつけられ、身体5の形状に適合していることが示されている。
【0049】
図8において、センサシステム100は、毛髪または他の障害物10を通じて身体5に接触および/または非接触で容量性結合するための、コアから延びる追加の要素を有しない、弾性を有する平坦でないセンシング面105を含む。センシング面105は増幅器115に接続されている。
【0050】
図9は、本発明の実施形態によるセンシングプロトコル方法のフローチャートを提供する。プロトコルは、弾性を有し平坦でないセンシング面が身体の電界内に配置される300から始まる。305において、センシング面は、身体によって生成された電界に結合し、310において増幅されデジタル信号に変換される前に、変化する状況に適合する。
【0051】
理解できるように、ここで説明され、図に示された例は、例示的なものであることのみを意図している。その範囲は添付の特許請求の範囲によって示される。
【国際調査報告】