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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-19
(54)【発明の名称】抽気システム用のジンバル継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 27/02 20060101AFI20220812BHJP
   F01D 25/00 20060101ALN20220812BHJP
【FI】
F16L27/02 A
F01D25/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574325
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2020065181
(87)【国際公開番号】W WO2020254100
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】16/442,541
(32)【優先日】2019-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515063334
【氏名又は名称】シニア アイピー ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】パーカー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ポサート,エリック
【テーマコード(参考)】
3H104
【Fターム(参考)】
3H104JA02
3H104JB02
3H104JC04
3H104JC06
3H104JD09
3H104KA01
3H104KB07
3H104KB10
3H104LB01
3H104LG02
(57)【要約】
接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリであって、ジンバルリング(200)と、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブ(110)を備える第1のクレビス(100)であって、各ローブが、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、ローブにわたって延在する相互接続されたトラスのシアウェブを生成するために1つまたは複数のギャップ(114)を含む、第1のクレビス(100)と、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブ(160)を備える第2のクレビス(150)であって、各ローブが、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、ローブにわたって延在する相互接続されたトラスのシアウェブを生成するために1つまたは複数のギャップ(164)を含む、第2のクレビス(150)と、第1の端部および第2の端部を有するベローズであって、第1の端部が第1のクレビス(100)に密封結合され、第2の端部が第2のクレビス(150)に密封結合される、ベローズとを備える、封止継手アセンブリ。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリであって、
ジンバルリングの一部分の周りに円周方向に延在する少なくとも一対の重なり合う支柱、および前記ジンバルリングの周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアを備える、前記ジンバルリングと、
前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを備える第1のクレビスであって、各ローブが、前記ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有し、前記第1のクレビスが、高温および高圧の流体を搬送するダクトと密封結合するように適合される、第1のクレビスと、
前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを備える第2のクレビスであって、各ローブが、前記ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有し、前記第2のクレビスが、高温および高圧の流体を搬送するダクトと密封結合するように適合される、第2のクレビスと、
第1の端部および第2の端部を有するベローズであって、前記第1の端部が前記第1のクレビスに密封結合され、前記第2の端部が前記第2のクレビスに密封結合される、ベローズと、
を備える、封止継手アセンブリ。
【請求項2】
前記第1のクレビスの少なくとも1つのローブが、シアウェブを形成する1つまたは複数の開口部を備える、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項3】
前記ベローズが、前記第1の端部と第2の端部との間に配置された複数の畳み込みをさらに含む、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項4】
前記ジンバルリングが、第1の端部と、前記第1の端部に軸方向に対向する第2の端部とを有し、前記ジンバルリングが第1の領域および第2の領域をさらに含み、それらの間を前記一対の重なり合う支柱が円周方向に延在し、前記一対の重なり合う支柱が第1の支柱および第2の支柱を含み、前記第1の支柱が、前記第1の領域の前記第2の側面から前記第2の領域の前記第1の側面まで延在し、前記第2の支柱が、前記第2の領域の前記第1の側面から前記第1の領域の前記第2の側面まで延在し、前記第1および第2の支柱が、前記第1および第2の支柱が重なり合う位置で接続されない、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項5】
前記第1の支柱が、前記第1の領域および前記第2の領域と一体的に形成され、前記第2の支柱が、前記第1の領域および前記第2の領域と一体的に形成される、請求項4に記載の継手アセンブリ。
【請求項6】
各ピンが前記ジンバルリングのボアおよび前記第1のクレビスのそれぞれのボアを通って延在する、少なくとも2つのピンの第1のペアと、各ピンが前記ジンバルリングのボアおよび前記第2のクレビスのそれぞれのボアを通って延在する、少なくとも2つのピンの第2のペアとをさらに備える、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項7】
前記ジンバルリングが積層造形を使用して構築される、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項8】
前記第1のクレビスが積層造形を使用して構築される、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項9】
前記第1のクレビスが、1つまたは複数の寸法制約に基づいて計算的に生成される最適化された幾何形状を有する、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項10】
前記ジンバルリングが、1つまたは複数の寸法制約に基づいて計算的に生成される最適化された幾何形状を有する、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項11】
前記第1のクレビスが、1つまたは複数の負荷仕様に基づいて計算的に生成される最適化されたトポロジーを有する、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項12】
前記ジンバルリングが、1つまたは複数の負荷仕様に基づいて計算的に生成される最適化されたトポロジーを有する、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項13】
前記第1のクレビスの前記環状シュラウドが、遠位区画と、前記遠位区画と一体的に形成された近位区画とを含み、前記遠位区画の一部分が、前記近位区画の一部分と同心円状に重なり合って、軸方向に延在するスロットを形成し、前記第1のクレビスの前記軸方向に延在するスロットが、前記ベローズの前記第1の端部を受け入れるように適合される、請求項1に記載の継手アセンブリ。
【請求項14】
前記第1のクレビスの前記環状シュラウドが、前記環状シュラウドの内面と前記軸方向に延在するスロットとの間を軸方向に延在する複数の開口部をさらに備え、前記開口部が、ろう付け後に前記ベローズに前記第1のクレビスとの流体密封シールを形成させる前記ベローズの前記第1の端部にろう付けフラックスを搬送するように適合される、請求項13に記載の継手アセンブリ。
【請求項15】
接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリであって、
各々がジンバルリングの内面から半径方向内側に延在し、前記ジンバルリングの軸方向中心に向かって軸方向に延在する一組の一体的に形成されたアンダーハング部分を備える前記ジンバルリングであって、各アンダーハング部分がポケット領域を画定し、前記ジンバルリングが、前記ジンバルリングの周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアを有し、各アンダーハング部分が、前記ジンバルリングの前記一組のボアのうちのボアと実質的に位置合わせされたボアを含む、ジンバルリングと、
前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを備える第1のクレビスであって、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのポケット領域の中に半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのボアと、かつ前記ローブが配置された前記ポケット領域を画定する前記アンダーハング部分のそれぞれのボアと実質的に位置合わせするボアを含む、第1のクレビスと、
前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを備える第2のクレビスであって、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのポケット領域の中に半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのボアと、かつ前記ローブが配置された前記ポケット領域を画定する前記アンダーハング部分のそれぞれのボアと実質的に位置合わせするボアを含む、第2のクレビスと、
一組のピンであって、各ピンが、前記ジンバルリング、前記第1のクレビス、および前記ジンバルリングのそれぞれのアンダーハング部分の位置合わせされたボアを通って延在する、一組のピンと、
を備える、封止継手アセンブリ。
【請求項16】
接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止ジンバルアセンブリを製造するための方法であって、
積層造形により、ジンバルリングの一部分の周りに円周方向に延在する少なくとも一対の重なり合う支柱を含む前記ジンバルリングを形成するステップであって、前記ジンバルリングが、前記ジンバルリングの周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアを有する、ステップと、
積層造形により、前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを含む第1のクレビスを形成するステップであって、各ローブが、前記ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有する、ステップと、
積層造形により、前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを含む第2のクレビスを形成するステップであって、各ローブが、前記ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有する、ステップと、
ベローズの第1の端部を前記第1のクレビスに、かつ前記ベローズの第2の端部を前記第2のクレビスに密封結合するステップと、
を含む、方法。
【請求項17】
前記第1のクレビスの前記少なくとも2つのローブの前記ボアを前記ジンバルリングの前記一組のボアのうちの第1の対のボアと位置合わせするステップと、
前記第2のクレビスの前記少なくとも2つのローブの前記ボアを前記ジンバルリングの前記一組のボアのうちの第2の対のボアと位置合わせするステップと、
前記第1および第2のクレビスを前記ジンバルリングにしっかりと結合するために、各それぞれの位置合わせされた一対のボアホールを通して一組のピンを挿入するステップと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のクレビスの前記環状シュラウド内で、前記環状シュラウドの内面と前記軸方向に延在するスロットとの間を各々が軸方向に延在する複数の円周方向に間隔を置いて配置された開口部を形成するステップと、
前記複数の円周方向に間隔を置いて配置された開口部のうちの1つまたは複数を通って前記ベローズの前記第1の端部に近接してろう付けフラックスを提供するステップと、
前記ベローズの前記第1の端部を前記第1のクレビスにろう付けするステップと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリであって、
ジンバルリングと、
前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを備える第1のクレビスであって、各ローブが、前記ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ローブにわたって延在する相互接続されたトラスのシアウェブを生成するために1つまたは複数のギャップを含む、第1のクレビスと、
前記ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、および前記シュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを備える第2のクレビスであって、各ローブが、前記ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブが、前記ローブにわたって延在する相互接続されたトラスのシアウェブを生成するために1つまたは複数のギャップを含む、第2のクレビスと、
第1の端部および第2の端部を有するベローズであって、前記第1の端部が前記第1のクレビスに密封結合され、前記第2の端部が前記第2のクレビスに密封結合される、ベローズと、
を備える、封止継手アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ダクト用のジンバル継手に関し、より具体的には、航空機または宇宙船内の抽気ダクトシステムなどの高温および高圧の流体を伝達するダクトを柔軟に接続するための封止ジンバル継手アセンブリに関し、より詳細には、十分な構造的完全性を維持し、高性能航空宇宙用途に適した可撓性を実現する軽量ジンバル継手設計に関する。
【背景技術】
【0002】
ダクトシステムは、通常、システムの区画全体にわたって高圧高温流体を搬送するために使用される。ダクトシステムは、通常、航空機または宇宙船内などの封止継手によって互いに流体結合された一連の導管から構築される。特定のシステムに応じて、封止継手は、継手が回転し、かつ/または振動、乱流、応力、ならびに温度および圧力の著しい変動に耐えることを可能にするために、ある程度の角度、軸方向、および/または横方向の可撓性を実現することができる。
【0003】
燃焼タービンエンジンは、その一部または全部がガスと混合され、燃焼器段で点火される、1つまたは複数の圧縮機段を介して空気を圧縮することによって動作する。とりわけ、ターボファンエンジン、ジェットエンジン、およびロケットエンジンなどの特定のタービンエンジンは、燃焼に必要な空気よりも多くの空気を圧縮することができる。この過剰な圧縮空気の一部は、他の可能な用途の中でも、キャビンの加圧および/または加熱、エンジンおよび機体の防氷、ならびに空気圧式アクチュエータの駆動などの非推力目的のために、航空機または宇宙船の抽気ダクトシステムを通って搬送されてもよい。
【0004】
通常、抽気ダクトシステム内の圧縮空気は、華氏1300°の高温および1,000PSIGの高圧でタービンエンジンの圧縮機段を出るが、温度および圧力は動作中に変化する。温度および圧力が変動すると、抽気ダクト内に応力が生じる可能性があり、緩和されないままにすると、ダクトが損傷する可能性がある。したがって、温度および圧力の変動、ならびに飛行自体の応力、力、振動、および乱流によって引き起こされる応力に適応するために、ある程度の膨張、回転、並進、および/または角度付けを可能にする封止ダクト継手を提供することが望ましい。加えて、抽気ダクトシステムは、通常、航空機または宇宙船の不規則な形状の領域に取り付けられる。したがって、特定の限定された空間内に適合するようにダクトを互いに対して角度付けることが可能な可撓性継手を提供することも望ましい。
【0005】
抽気システム用の1つの既知の可撓性継手アセンブリは、1つのダクトがその接合するダクトに対して角度付けられることを可能にする一対の相補的な球形シェルを含む玉継手である。玉継手の中心を通って延在する流体密封ガス通路を提供するために、ベローズは玉継手の両端に封止されてもよい。玉継手は、高レベルの角度偏向を可能にすることができるが、それらは、かなりの量の摩擦および抵抗と一緒に、十分な量の構造的完全性を実現するためにかなりの量の材料を必要とする。
【0006】
ジンバル継手は、接合するダクト間に適切な可撓性を実現するために、抽気システムにも使用されている。ジンバル継手は、通常、1つまたは2つの自由度の回転に限定され、回転軸は、中心ジンバルリングと一緒に回転継手を形成するクレビスラグを通って延在する。一般的なジンバル継手アセンブリは、ジンバルリングにしっかりと結合された一対のクレビスを含み、4つのピンまたはラグは、90°間隔でクレビスおよびジンバルリング内で位置合わせされた穴を通って延在する。
【0007】
既存のジンバル継手設計は、特定の一組の要件を満たすかまたは超えるレベルの可撓性および強度を実現することができる。しかしながら、既存のジンバル継手は、通常、構成部品を構築するために使用される金属の重量および/または数量を最小化するように「最適化」されていない。
【0008】
したがって、抽気ダクトシステムで使用されるジンバル継手の幾何形状および/またはトポロジーを最適化することにより、航空機または宇宙船の重量を低減する機会がある。したがって、本発明の目的は、高温および高圧の用途に十分な構造的完全性を維持する軽量ジンバル継手アセンブリを提供することである。
【0009】
本発明のこれらおよび他の目的および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の目的を達成するために、本発明の実施形態は、1つまたは複数の構造要件との適合性を実質的に維持するように、ジンバル継手アセンブリから無関係な材料を除去または除外することによって既存のジンバル継手を改善するジンバル継手アセンブリを提供する。実質的に中実の環状部品から構築される従来のジンバル継手部品とは異なり、本開示に従って組み立てられるジンバル継手は、構造的に不要な材料を除外するより複雑なトポロジーを有する。いくつかの実施形態では、ジンバル継手の特定の寸法は、ジンバル継手アセンブリの重量を最小化または低減し、同時に回転または並進する接触点間の摩擦(および摩耗)を低減する構成部品を生成するために、一組の要件および制約を考慮して、幾何学的に最適化および/またはトポロジー的に最適化されてもよい。最適化アルゴリズムは、特定の範囲の負荷(たとえば、温度、圧力、曲げ角度など)に耐え、ジンバル継手の効率的な設計および強化された動作に影響を及ぼす可能性がある任意の境界条件および他の制約(たとえば、積層造形機の分解能などの特定の製造方法の制限)を要因として含めるために、所与の空間内のジンバル継手構成部品用の材料レイアウトを最適化することができる。これらのエンジニアリング要件および設計制約の態様は、パラメータ化され、1つまたは複数のジンバル継手構成部品の幾何形状および/またはトポロジーを生成、最適化、またはさもなければ改良するために使用されてもよい。
【0011】
例示的なジンバル継手アセンブリは、2つの対向する環状クレビスと、クレビスの間に配置された中心ジンバルリングと、クレビスの間を延在するベローズとを含む。各クレビスは、連続的に交互する90°の位置で中心ジンバルリングの一部分の上に延在する一対のローブとともに、クレビスをそれぞれのパイプまたはダクトに接合させるためのシュラウドを含む。ジンバルリングは、他の特徴の中でも、ジンバルリングの周りに円周方向に延在する「シアウェブ」を形成する支柱またはトラスを含んでもよい。シアウェブは、せん断力に対する十分な抵抗を維持するように、ジンバルリングに可撓性を付与するのに役立つことができる。ジンバルリングは、各々がクレビスローブのそれぞれのボアホールと位置合わせするリングの円周の周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアホールを含んでもよい。ピンは、クレビスをジンバルリングに結合するために、位置合わせされたボアホールを通って配置される。
【0012】
例示的な実装形態では、各クレビス上のローブは、互いに約180°離間して配置され、ジンバルリング上のボアホールは、互いに約90°間隔を置いて離れている。この配置では、各クレビスとジンバルリングとの間の接続は回転継手を形成し、一対のクレビスローブのボアホールを通って延在する軸の周りのある程度の角度偏向を可能にする。クレビスは、一方のクレビスの回転軸が他方のクレビスの回転軸と直交するように、互いに対して約90°回転してもよい。このようにして、ジンバル継手は、2つの自由度で2つの接合するダクト間の角度偏向を可能にすることができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、ジンバル継手アセンブリの構成部品は、直接金属レーザ焼結(DMLS)などの積層造形プロセスを使用して製造されてもよい。いくつかの積層造形技法は、他の製造技法を使用して生成することが困難または不可能である難解で精密な設計を生成することが可能である。本開示の実施形態は、積層造形によってもたらされる改善された精度を活用して、堅牢な設計を生成し、それは、複数の特徴を単一の要素に統合することによって従来のジンバル継手と比較して少ない構成部品を使用することができる。たとえば、本開示のいくつかの実装形態は、それらの近位端(組み立てられたときに互いに面するクレビスの軸方向の端部)に隣接する軸方向および円周方向に延在する狭いスロットを含むクレビスを含む。各スロットはベローズの端部を受け入れるように適合され、ベローズは、クレビスに溶接、ろう付け、またはさもなければ密封接合されてもよい。従来のジンバル継手設計は、2つ以上の別個の構成部品の間にベローズ端部を挟んでいるが、本開示のいくつかの実施形態は、ベローズスロットをクレビス自体と一体化し、それによってジンバル継手を組み立てるステップの数を減らす。
【0014】
ジンバル継手の構造および設計の他の態様は、他の考えられる要因の中でも、空間的制約、材料特性、ならびに予想される機械的および/または熱的応力を考慮するために変更されてもよい。たとえば、特定の積層造形プロセスは、特定のタイプの材料(たとえば、チタン)で作業するときに1つまたは複数の制限(たとえば、有限分解能、生成され得る形状または曲線のタイプなど)を有する場合がある。様々な要因が考慮され、かつ/または特定のジンバル継手設計の幾何形状および/もしくはトポロジーを制約し、通知し、もしくはさもなければ影響を与えるパラメータとして機能することができる。
【0015】
様々な例示的なジンバル継手設計が上述され、以下でより詳細に記載され、図面に示されているが、具体的な実装形態で使用される特定の寸法、形状、および特徴は、その具体的な実装形態の設計制約およびエンジニアリング要件に依存する場合があることを理解されたい。本明細書に図示され記載される具体例は、説明目的で提供される。本明細書に明示的に図示および記載されていない異なる幾何形状およびトポロジーは、それにもかかわらず、本明細書に記載された最適化技法に基づいて、本開示の目的を達成するために使用されてもよい。本出願は、明示的に提供された例に限定されない。
【0016】
本発明の第1の態様によれば、接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリが提供される。継手アセンブリは、ジンバルリングの周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアとともに、ジンバルリングの一部分の周りに円周方向に延在する少なくとも一対の重なり合う支柱を備えるジンバルリングを含む。継手アセンブリはまた、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを有する第1のクレビスを含む。各ローブは、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在する。加えて、各ローブは、ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有する。第1のクレビスは、抽気システムのダクトなどの高温および高圧の流体を搬送するダクトと密封結合するように適合される。継手アセンブリはまた、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを有する第2のクレビスを含む。各ローブは、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、各ローブは、ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有する。第2のクレビスは、抽気システムのダクトなどの高温および高圧の流体を搬送するダクトと密封結合するように適合される。継手アセンブリはまた、第1の端部および第2の端部を有するベローズを含んでもよく、第1の端部は第1のクレビスに密封結合され、第2の端部は第2のクレビスに密封結合される。
【0017】
第1の態様による実施形態では、前記第1のクレビスの少なくとも1つのローブは、シアウェブを形成する1つまたは複数の開口部を含む。
【0018】
第1の態様による実施形態では、ベローズは、前記第1の端部と第2の端部との間に配置された複数の畳み込みをさらに含む。
【0019】
第1の態様による実施形態では、ジンバルリングは、第1の端部と、第1の端部に軸方向に対向する第2の端部とを有する。ジンバルリングはまた、第1の領域および第2の領域を含み、それらの間を一対の重なり合う支柱が円周方向に延在する。一対の重なり合う支柱は、第1の支柱および第2の支柱を含む。第1の支柱は、第1の領域の第2の側面から第2の領域の第1の側面まで延在し、第2の支柱は、第2の領域の第1の側面から第1の領域の第2の側面まで延在する。第1の支柱および第2の支柱は、第1の支柱と第2の支柱が重なり合う位置では接続されない。これらの実施形態では、第1の支柱は、第1の領域および第2の領域と一体的に形成されてもよく、第2の支柱は、第1の領域および第2の領域と一体的に形成されてもよい。
【0020】
第1の態様による実施形態では、継手アセンブリはまた、少なくとも2つのピンの第1のペアを含み、各ピンは、ジンバルリングのボアおよび第1のクレビスのそれぞれのボアを通って延在する。同様に、これらの実施形態による継手アセンブリは、少なくとも2つのピンの第2のペアをさらに含み、各ピンは、ジンバルリングのボアおよび第2のクレビスのそれぞれのボアを通って延在する。
【0021】
第1の態様による実施形態では、ジンバルリング、第1のクレビス、および/または第2のクレビスは、1つまたは複数の積層造形プロセスを使用して構築される。
【0022】
第1の態様による実施形態では、ジンバルリング、第1のクレビス、および/または第2のクレビスは、1つまたは複数の寸法制約に基づいて計算的に生成、最適化、または改良された、最適化された幾何形状を有する。
【0023】
第1の態様による実施形態では、ジンバルリング、第1のクレビス、および/または第2のクレビスは、計算的にまたはエンジニアリング判断を介して、1つまたは複数の負荷仕様に基づいて生成、最適化、または改良され得る、最適化されたトポロジーを有する。
【0024】
第1の態様による実施形態では、第1のクレビスの環状シュラウドは、遠位区画と、遠位区画と一体的に形成された近位区画とを含む。遠位区画の一部分は、近位区画の一部分と同心円状に重なり合って、ベローズの第1の端部を受け入れるように適合された軸方向に延在するスロットを形成する。第1のクレビスの環状シュラウドは、環状シュラウドの内面と軸方向に延在するスロットとの間を軸方向に延在する複数の開口部を含んでもよい。開口部は、ろう付け後にベローズに前記第1のクレビスとの流体密封シールを形成させるろう付けフラックスをベローズの第1の端部に搬送するように適合されてもよい。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリが提供される。継手アセンブリは、各々がジンバルリングの内面から半径方向内側に延在し、前記ジンバルリングの軸方向中心に向かって軸方向に延在する、一組の一体的に形成されたアンダーハング部分を有するジンバルリングを含む。各アンダーハング部分はポケット領域を画定する。ジンバルリングはまた、ジンバルリングの周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアを含む。加えて、各アンダーハング部分は、ジンバルリングの一組のボアのうちのボアと実質的に位置合わせされたボアを含む。継手アセンブリはまた、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを有する第1のクレビスを含む。各ローブは、ジンバルリングのそれぞれのポケット領域の中に半径方向外側および軸方向に延在する。各ローブはまた、ジンバルリングのそれぞれのボアと、かつローブが配置されたポケット領域を画定するアンダーハング部分のそれぞれのボアと実質的に位置合わせするボアを含む。継手アセンブリは、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを有する第2のクレビスをさらに含む。各ローブは、前記ジンバルリングのそれぞれのポケット領域の中に半径方向外側および軸方向に延在し、ジンバルリングのそれぞれのボアと、かつローブが配置されたポケット領域を画定するアンダーハング部分のそれぞれのボアと実質的に位置合わせするボアを含む。さらに、継手アセンブリは一組のピンを含み、各ピンは、二重せん断配置内のジンバルリングの位置合わせされたボア、第1のクレビス、およびジンバルリングのそれぞれのアンダーハング部分を通って延在する。
【0026】
本発明の第3の態様によれば、接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止ジンバル継手を製造するための方法が提供される。方法は、積層造形により、ジンバルリングの一部分の周りに円周方向に延在する少なくとも一対の重なり合う支柱を含むジンバルリングを形成することを含む。ジンバルリングは、ジンバルリングの周りに円周方向に間隔を置いて配置された一組のボアを含む。方法はまた、積層造形により、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを有する第1のクレビスを形成すること含む。各ローブは、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有する。方法は、積層造形により、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを有する第2のクレビスを形成すること含む。第2のクレビスの各ローブは、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、ジンバルリングのそれぞれのボアとの位置合わせのためにそれを通って延在するボアを有する。さらに、方法は、ベローズの第1の端部を第1のクレビスに、かつベローズの第2の端部を第2のクレビスに密封結合することを含む。
【0027】
第3の態様による実施形態では、方法はまた、第1のクレビスの少なくとも2つのローブのボアをジンバルリングの一組のボアのうちの第1の対のボアと位置合わせすることと、第2のクレビスの少なくとも2つのローブのボアをジンバルリングの一組のボアのうちの第2の対のボアと位置合わせすることとを含む。方法は、第1および第2のクレビスをジンバルリングにしっかりと結合するために、各それぞれの位置合わせされた一対のボアホールを通して一組のピンを挿入することをさらに含んでもよい。
【0028】
第3の態様による実施形態では、方法はまた、第1のクレビスの環状シュラウド内で、各々が環状シュラウドの内面と軸方向に延在するスロットとの間を軸方向に延在する複数の円周方向に間隔を置いて配置された開口部を形成することを含む。方法は、複数の円周方向に間隔を置いて配置された開口部のうちの1つまたは複数を通り、前記ベローズの第1の端部に近接するろう付けフラックスを提供することをさらに含んでもよい。さらに、方法は、前記ベローズの第1の端部を第1のクレビスにろう付けすることを含んでもよい。
【0029】
本発明の第4の態様によれば、接合するダクト間で高温および高圧の流体を伝達するための封止継手アセンブリが提供される。継手アセンブリは、ジンバルリングと、第1のクレビスと、第2のクレビスと、ベローズとを含む。第1のクレビスは、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを含む。第1のクレビスの各ローブは、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、ローブにわたって延在する相互接続されたトラスのシアウェブを生成するために、それを通って延在する1つまたは複数のギャップを含む。同様に、第2のクレビスは、ジンバルリングの一部分内に同心円状に位置決めするために適合された環状シュラウド、およびシュラウドと一体的に形成された少なくとも2つのローブを含む。第2のクレビスの各ローブは、ジンバルリングの一部分の上を半径方向外側および軸方向に延在し、ローブにわたって延在する相互接続されたトラスのシアウェブを生成するために、それを通って延在する1つまたは複数のギャップを含む。ベローズは第1の端部および第2の端部を有し、第1の端部は第1のクレビスに密封結合され、第2の端部は第2のクレビスに密封結合される。
【0030】
前述の概要は例示にすぎず、決して限定するものではない。上述された例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴が、図面、以下の詳細な説明、および特許請求の範囲を参照することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴うこの特許または特許出願公開の写しは、請求し必要な料金を支払うと特許庁によって提供される。
【0032】
本発明をよりよく理解するために、および本発明がどのように実装され得るかを示すために、ここで添付の図面を参照して、本発明による具体的な実施形態、方法、およびプロセスが単なる例として記載される。
図1A】本発明による例示的な封止ジンバル継手アセンブリの斜視図である。
図1B図1Aの実施形態による、例示的なジンバル継手アセンブリの分解斜視図である。
図2図1Aの実施形態による、例示的なジンバル継手アセンブリの2つのクレビスおよびジンバルリングの再配置された斜視図である。
図3図1Aの実施形態による、例示的なジンバル継手アセンブリの2つのクレビスの斜視図である。
図4図1Aの実施形態による、例示的なジンバル継手アセンブリのジンバルリングの斜視図である。
図5】線5-5に沿って取られ、矢印の方向に見る、図2の実施形態による、例示的なジンバル継手アセンブリの直立断面側面図である。
図6】線6-6に沿って取られ、矢印の方向に見る、図1Aの実施形態による、例示的なジンバル継手アセンブリの直立断面側面図である。
図7A】位置合わせされた位置にある一対のダクトに接合する例示的なジンバル継手アセンブリの斜視図である。
図7B図7Aの実施形態に対して角度偏向された位置で一対のダクトに接合する例示的なジンバル継手アセンブリの斜視図である。
図8図1A図7Bに示されたように、クレビスがジンバルリングの周りに配置される代わりに、中心ジンバルリング内に配置される、本発明の連結ジンバル継手アセンブリの別の実施形態の斜視図である。
図9図8の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの詳細直立側面図である。
図10図8の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの直立前面図である。
図11図8の実施形態による、実質的に透明なジンバルリングが説明目的で示された、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの斜視ファントム図である。
図12図11の実施形態による、実質的に透明なジンバルリングが説明目的で示された、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの拡大前面斜視ファントム図である。
図13】線13-13に沿って取られ、矢印の方向に見る、図11の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの直立断面前面図である。
図14A】線A-Aに沿って取られ、矢印の方向に見る、図11の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの断面斜視図である。
図14B】線B-Bに沿って取られ、矢印の方向に見る、図11の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの断面斜視図である。
図14C】線C-Cに沿って取られ、矢印の方向に見る、図11の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの断面斜視図である。
図14D】線D-Dに沿って取られ、矢印の方向に見る、図11の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの断面斜視図である。
図14E】線E-Eに沿って取られ、矢印の方向に見る、図11の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの断面斜視図である。
図14F】線F-Fに沿って取られ、矢印の方向に見る、図10の実施形態による、例示的な連結ジンバル継手アセンブリの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
ここで、本発明者によって企図される本発明のいくつかの具体的なモードが例として記載される。以下の説明では、完全に理解するために多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細に対する制限なしに本発明が実践され得ることは、当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の説明を不必要に覆い隠さないように、周知の方法および構造は詳細に記載されていない。
【0034】
上述されたように、本発明の目的は、ジンバル継手の強度および構造的完全性のジンバル継手アセンブリの全重量とのバランスをとるジンバル継手設計および最適化技法を提供することである。ジンバル継手は、ジンバル継手アセンブリが、一組の設計要件および予想される負荷を満たし、同時にアセンブリの重量を最小化または低減するように、幾何学的に最適化および/またはトポロジー的に最適化されてもよい。
【0035】
本開示のジンバル継手は、2つのクレビスと、クレビスの間に配置された中心ジンバルリングとを含む。クレビスおよび/またはジンバルリングの各々は、他の特徴の中でも、少なくとも中実構造と比較して、材料の量を低減して構造的完全性を維持または改善する、空間、ギャップ、開口部、支柱、トラス、ガセット、および/またはブレースなどのトポロジー的または構造的な特徴を含んでもよい。たとえば、クレビスに中実の突出したラグまたはローブを設けるのではなく、本開示の実施形態は、(ピンホールとは別個であり、ピンホールに加えて)1つまたは複数のギャップまたは開口部を有するクレビスローブを含む。クレビスローブ内の残りの材料は、クレビスの重量を低減しながら、圧縮応力、引張応力、およびせん断応力を処理することが可能なトラスの相互接続されたウェブとして作用する。
【0036】
同様に、中心ジンバルリングは、ジンバルリングの周りに円周方向に延在する、その中に一体的に形成された1つまたは複数の構造的な特徴を含んでもよい。たとえば、本発明のジンバルリングは、1つまたは複数の構造要件とのジンバルリングの適合性を維持または強化する一体的に形成された支柱構造またはトラス構造を有することができる。たとえば、ジンバルリングは、ジンバルリングの重量を低減しながら圧縮負荷およびせん断負荷に耐えることが可能な交差し重なり合う支柱を含んでもよい。例示的なジンバルリング構造が、以下により詳細に図示され記載される。
【0037】
本明細書に記載されたように、ジンバル継手またはその構成部品の形状、幾何形状、および/またはトポロジーを「最適化」することは、一般に、1つまたは複数の目標をよりよく達成するために、構成部品の幾何形状および/またはトポロジーが経験的に生成、改良、改善、またはさもなければ修正されるプロセスを指す。たとえば、構成部品の初期設計は、構成部品が様々な力を受けたときの歪みエネルギーおよび/または負荷分布を分析またはシミュレートすることによって最適化されてもよい。最適化のための1つの目標は、構造の歪みエネルギーを最小化または許容可能なしきい値未満に低減することを含んでもよい。しかしながら、最適化は、幾何学的制限、特定の製造プロセスの制限、および/または順守されなければならないかもしくは順守されるべき他の制約として機能する1つまたは複数の制約および/または境界条件を考慮することができる。さらに、最適化は、歪みエネルギーを最小化または低減し、同時に構成要素の重量を最小化または低減する幾何形状またはトポロジーを改良しようと試みることができる。したがって、「最適化」という用語は、1つまたは複数のコストを考慮して、バランスよく1つまたは複数の目標をより良好に達成するために構成部品の設計が修正されるプロセスを指すことができる。さらに、「最適化」は、必ずしも絶対的に最適な解決策または設計を指さない場合があり、特定の目的にとって満足のいく解決策または設計を指す場合があることを理解されたい。
【0038】
本明細書に記載されたように、「ベローズ」は、ガスまたは他の流体を搬送するための任意のタイプの流体密封導管を指す。「ベローズ」という用語は、時々、導管に可撓性および/または拡張性を付与する一連の畳み込みを有する導管を指すが、本開示は、一般に、そのような畳み込みの有無にかかわらず、スリーブまたはダクトが延在して2つの対向するダクトを接続して、それらの間で移送される流体を密封下で移送する導管を包含する「ベローズ」を指すことができる。
【0039】
本明細書に記載されたように、「積層造形」は、コンピュータ制御の製造機またはレーザによって一連の層に材料を堆積または融合することによって三次元物体を生成するための任意の製造プロセスまたは製造技法を指すことができる。いくつかの例示的な積層造形技法には、他の3次元(3D)プリント技法の中でも、レーザ粉体層溶融(LPBF)、材料押出、選択式レーザ焼結(SLS)、選択式レーザ溶融(SLM)が含まれる。積層造形は、たとえば、3D構成部品を構築するために金属粉末を層状に融合することを含んでもよい。本開示は、いかなる特定の積層造形技法にも限定されない。
【0040】
本明細書に記載されたように、「シアウェブ」は、ギャップまたは空間を有する構造を形成するために互いに一体的に形成されたトラス、支柱、ガセット、および/または他の補強材の網を指すことができる。トポロジー的には、シアウェブは、1つまたは複数の環状体(たとえば、属2の表面、属3の表面、または1つもしくは複数の環状体の任意の他の接続された総体)から構成された2次元連結管である構造を指すことができる。シアウェブは、構成部品の構造的完全性を損なうことなくその構成要素の重量を低減する、中実で連続する構造に対する適切な代替物として機能することができる。
【0041】
ローブ、支柱、トラス、ガセット、開口部、および他の構造要素のサイズ、形状、および配置を含むジンバル継手の様々な態様は、ジンバル継手の特定の用途およびエンジニアリング要件に応じて変化する場合がある。したがって、たとえば、低圧および低温のガスを搬送するダクトを接合するためのジンバル継手設計は、本明細書に明示的に図示され記載されたものとは異なる寸法を有する異なる構造的特徴を有することができる。本開示は、異なる目的に適するようにジンバル継手設計の様々な態様を包含し、本出願は、図面に明示的に示されたジンバル継手設計に限定されない。
【0042】
図1A図7Bの実施形態を参照すると、図1Aは本発明による例示的な封止ジンバル継手アセンブリの斜視図を描写する。封止ジンバル継手アセンブリは、第1のクレビス100と、第2のクレビス150と、第1のクレビス100と第2のクレビス150との間に配置されたジンバルリング200と、第1のクレビス100および第2のクレビス150に密閉結合され、第1のクレビス100と第2のクレビスとの間を延在するベローズ300とを含む。図1Aに示された組み立てられた状態では、第1のクレビス100、第2のクレビス150、およびベローズ300の内面は、ジェットエンジン航空機用の抽気システムの中などの高温および高圧の環境内で使用するために適合された流体密封ガス通路を形成する。
【0043】
第1のクレビス100は、遠位区画122、および遠位区画122と一体的に形成された近位区画126から形成された実質的に環状シュラウドを含む。封止ジンバル継手アセンブリがその組み立てられた状態では、遠位区画122は、近位区画126よりも第2のクレビス150およびジンバルリング200に軸方向により近く配置される。図1A図7Bによる例では、遠位区画122は、近位区画126の半径に対してより大きい半径を有し、それにより、遠位区画122が接合するパイプまたはダクトの周りに取り付けられることが可能になってもよい(たとえば、図7Aおよび図7Bを参照)。
【0044】
第1のクレビス100はまた、各々が環状シュラウドから半径方向外側に、かつジンバルリング200の一部分の上を軸方向に延在する一対のローブ110を含む。各ローブ110は、第1のクレビス100の環状シュラウドと一体的に形成され、遠位区画122および/または近位区画126から延在することができる。図1A図7Bに示された例示的な実施形態では、各ローブ110は遠位区画122の外面から延在する。各ローブ110はまた、ジンバルリング200内のそれぞれのボアホール222と位置合わせするボアホール112を含む(図4を参照)。
【0045】
各ローブ110は、第1のクレビス100の形成中に実質的な量の材料が除外される、1つまたは複数のギャップ114を含んでもよい。図1Aに示された例では、各ローブ110は、5つの実質的なサイズのギャップ114を含む。ギャップ114は、第1のクレビス100の構造的完全性を実質的に維持または改善しながら、第1のクレビス100の全重量を低減する除外された材料であってもよい。ギャップ114とローブ110を形成するために使用される材料の組合せは「シアウェブ」を形成することができ、その結果、相互接続された材料は、荷重を受けたときの変形を防止することが可能だが、中実でギャップがないクレビス構造と比較して軽量である、支柱、トラス、および/またはガセットの網を形成する。いくつかの実装形態では、ギャップ114のサイズ、形状、位置、および分布は、幾何学的な最適化および/またはトポロジー的な最適化を介して計算的に決定または修正されてもよい。例示的な最適化技法は、以下でより詳細に記載される。
【0046】
いくつかの実装形態では、第1のクレビス110は、遠位区画122の内面と近位端126の外面との間を軸方向に延在する複数の円周方向に間隔を置いて配置された開口部124を含んでもよい。開口部124は、はんだ、ろう付けフラックス、または接着剤を軸方向に延在する(図5および図6により詳細に示された)スロット125に搬送するために使用されてもよい。軸方向に延在するスロット125は、はんだ付け、ろう付け、溶接、接着、および/または他の接合方法によって第1のクレビス110に密封接合され得るベローズ300の第1の端部304を受け入れることができる。
【0047】
第2のクレビス150は、第1のクレビス100と同様または同じであってもよい。第1のクレビス100と同様に、第2のクレビス150は、互いに約180°離れて配置された一対のローブ160を含む。第2のクレビス150は第1のクレビス100とは反対に向けられてもよく、その結果、ローブ160は第1のクレビス100に向かって軸方向に延在し、ローブ110は第2のクレビス150に向かって軸方向に延在する。その組み立てられた状態では、第2のクレビス150は、それらの共有中心軸の周りを第1のクレビス100に対して90°回転し、その結果、各ローブ160は隣接するローブ110から約90°間隔を置いて配置される。ローブ110と同様に、各ローブ160は、除外された不必要な材料の1つまたは複数のギャップ164と、ピン、ラグ、または(図1A図7Bに示されていない)他のコネクタを受け入れるためのボアホール162とを含む。
【0048】
第1のクレビス100および第2のクレビス150は、それぞれ、ローブ110および160のボアホール112および162をジンバルリング200内に形成されたボアホール222に位置合わせするように配向されてもよい。ピン、ラグ、または他のコネクタは、位置合わせされたボアホール112、162、および222を通して配置されてもよく、その後、第1のクレビス100をジンバルリング200に、かつ第2のクレビス150をジンバルリング200に結合するために、所定の位置に溶接、ろう付け、または他の方法で保持されてもよい。この配置では、第1のクレビス100およびジンバルリング200は、第1のクレビス100が第1のクレビス100のボアホール112を通って延在する軸の周りを角度を付けて偏向することを可能にする回転継手を形成する。同様に、第2のクレビス150およびジンバルリング200は、第2のクレビス150が第2のクレビス150のボアホール162を通って延在する異なる軸の周りを角度を付けて偏向することを可能にする回転継手を形成する。このようにして、第2のクレビス150は、第1のクレビス100に対して2つの自由度で角度を付けて偏向されてもよい。そのような角度偏向の例が図7Bに示されている。
【0049】
第2のクレビス150は、第1のクレビス100と同様に、遠位区画172、近位区画176も含み、複数の円周方向に間隔を置いて配置された開口部174を含んでもよい。第2のクレビス150の特徴は、図2および図3により詳細に示されており、図2はベローズ300を省略し、図3はベローズ300およびジンバルリング200を省略している。
【0050】
図1Bは、図1Aに示されたジンバル継手アセンブリを分解斜視図で描写する。図1Bに示されたように、ベローズ300は、ジンバルリング200内に同心円状に配置されてもよく、クレビス100および150は、ベローズ300の両端に配置される。ピン230は、それぞれ、第1のクレビス110およびジンバルリング200の位置合わせされたボアホール112および222を通って挿入されてもよい。同様に、ピン230は、それぞれ、第1のクレビス110およびジンバルリング200の位置合わせされたボアホール162および222を通って挿入されてもよい。ピン230は、いくつかの実装形態では、所定の位置に溶接、ろう付け、または他の方法で固定されてもよい。
【0051】
図4を参照すると、ジンバルリング200は、支柱212、214、216、および218、ギャップ220、ならびにボアホール222を含む実質的に環状の構造である。図4に示された特定の実装形態では、ボアホール222は、ローブ110および160と同様に、円周方向に約90°間隔を置いて離れ、ジンバルリング200は、連続的に中実の構造ではなく、代わりに、(少なくとも特定の一組の構造要件に関して)不要または無関係な材料が除外されたギャップ220を含む。
【0052】
この特定の例では、ジンバルリング200は、4組の支柱212、214、216、および218を含む。支柱212は、第1の領域206にあるジンバルリング200の第1の側面202から、第2の領域208にあるジンバルリング200の第2の側面204まで斜めに延在する。同様に、支柱214は、第1の領域206にあるジンバルリング200の第2の側面204から、第2の領域208にあるジンバルリング200の第1の側面202まで斜めに延在する。支柱214は、支柱214が支柱212から半径方向外側になるように支柱212と重なり合う。支柱212と支柱214が重なり合う領域において、支柱212と支柱214は接続されていない。この重なり合う支柱配置により、ジンバルリング200が、動作中に他の予想される負荷との適合性を適切に維持しながら、せん断力に耐えることが可能になる。加えて、重なり合う支柱配置は、支柱212および214が互いに対して並進することを可能にするが、互いに直接接触することなく、それによってジンバルリング200によって経時的に遭遇する摩耗量が低減される、幾何形状を有することができる。支柱212および214は、ジンバルリング200が単一の構成部品として形成され得るように、第1の領域206および第2の領域208と一体的に形成されてもよい。
【0053】
いくつかの実施形態では、ジンバルリング200はまた、ジンバルリング200用の追加の補強構造として機能する側部支柱216および218を含む。支柱216は、第1の領域206の第2の側面204から第2の領域208の第2の側面204まで延在し、支柱218は、第1の領域206の第1の側面202から第2の領域208の第1の側面202まで延在する。集合的に、支柱212、214、216、および218は、同等のまたは改善された構造的適合性を実現するが、従来の中実で連続するジンバルリングと比較して材料が少なく重量が低いトラス網を形成することができる。
【0054】
図5および図6を参照すると、図5は、線5-5に沿って取られた、図2に示されたジンバル継手アセンブリの直立断面図を示す。図5に示されたように、第1のクレビス100の環状遠位区画122は、環状近位区画126の一部分の上を延在し、軸方向に延在するスロット125を形成する。同様に、第2のクレビス150の環状遠位区画172は、環状近位区画176の一部分の上を延在し、軸方向に延在するスロット175を形成する。スロット125および175は、図6に示されたベローズ300の端部304および306をそれぞれ受け入れるように適合された狭いスロットであってもよい。上述されたように、開口部124および174は、ろう付けフラックスまたは接着剤をスロット125および175にそれぞれ搬送して、ベローズ300を第1のクレビス100および第2のクレビス150に密封接合するために使用されてもよい。しかしながら、開口部127および174は任意選択の特徴であり、ベローズ300を第1のクレビス100および第2のクレビス150に接合させるための他の方法も使用されてもよい。
【0055】
図5および図6はまた、第1のクレビス100のボアホール112とジンバルリング200のボアホール222の位置合わせを示す。ピン、ラグ、または他のコネクタは、位置合わせされたボアホール112および222を通って挿入されてもよく、それによって第1のクレビス100をジンバルリング200に結合する。同様の接合技法は、(図5および図6には示されていない)位置合わせされたボアホール162および222にも使用されてもよい。
【0056】
図7Aおよび図7Bは、第1のクレビス100がダクト400に結合され、かつ第2のクレビス150がダクト450に結合される例示的な用途を示す。図7Aは、ダクト400と450が位置合わせされ、互いに対して角度偏向をもたないように、ジンバル継手が負荷を受けていないアセンブリを描写する。対照的に、図7Bは、ジンバル継手アセンブリに負荷がかかっており、ダクト400の軸460に対して角度462でダクト450をジンバルに入れるシナリオを描写する。
【0057】
図7Bに示されたように、第2のクレビス150のローブ160によって形成された回転継手は、ダクト450が(図7Bに示された視点から)左に偏向することを可能にする。同様に、第1のクレビス100のローブ110によって形成された回転継手は、ダクト450が(図7Bに示された視点から)上方に偏向することを可能にする。したがって、第1のクレビス100、第2のクレビス150、およびジンバルリング200から形成されたジンバル継手アセンブリは、2つの自由度の角度偏向を可能にする。
【0058】
図8図14Fは、本明細書では「連結」または「二重せん断」のジンバル継手設計と呼ばれる場合がある、代替的な実施形態のジンバル継手アセンブリを描写する。図1A図7Aを参照して図示され上述された実施形態と同様に、連結ジンバル継手アセンブリは、ジンバルリング自体(ジンバルリング600)内に配置された一対のクレビス(第1のクレビス500および第2のクレビス550)を含む。加えて、第1のクレビス500および第2のクレビス550は、ジンバルリング600内に形成されたそれぞれのボアホール620と位置合わせする(図14Fに示されたボアホール512などの)ボアホールを含む、それぞれ、一体的に形成されたトポロジー的に効率的なローブ510および560のペアを含む。図12に示されたピン630またはピン640などのピンは、ジンバルリング600を第1のクレビス500および第2のクレビス550に結合するために、位置合わせされたボアホールを通って挿入されてもよい。
【0059】
述べられたように、ジンバルリング200がローブ110および160内に同心円状に配置された、図1A図7Aに関して図示され上述された実施形態とは異なり、第1のクレビス500および第2のクレビス550のほぼすべてがジンバルリング600内に同心円状に配置される。加えて、ジンバルリング200が重なり合う交差支柱212および214を含むのに対して、ジンバルリング600は、斜めに延在する支柱612と、一対の軸方向に延在するトラス614および616とを含み、それらは集合的にシアウェブを形成してジンバルリング600に構造的剛性を付与する。
【0060】
第1のクレビス500および第2のクレビス550は、上述されたクレビス100および150の1つまたは複数の特徴を有することができる。たとえば、クレビス500および550は、それぞれ、遠位区画522および572と、それぞれ、近位端524および574とを含んでもよい。加えて、クレビス500および550はまた、ベローズ(図示せず)の端部を受け入れるための軸方向に延在するスロット525および575を含んでもよい。クレビス500および550は、本開示の実施形態のいずれかに関して本明細書に記載されたクレビスまたはローブの特徴の任意の組合せを含んでもよい。
【0061】
図11は、図8の実施形態による例示的な連結ジンバル継手アセンブリを示すが、ジンバルリング600は半透明であるように示されている。ジンバルリング600の半透明性は説明目的で提供され、ジンバルリング600を形成する際に使用することができる材料のタイプを必ずしも示すものではない。図11に示されたように、ローブ510は、第1のクレビス500の環状部分の外面から軸方向および半径方向の両方に延在する。ローブ510の形状は、フックまたはアンカの形状と同様である。ピン630の周りに、ジンバルリング600は、ローブ510の下を半径方向に延在するC字形のアンダーハング「口」部分を含み、ローブ510の一部分が配置されるポケットを形成する。ジンバルリング600の「ポケット」構造は、図13および図14A図14Fの断面図により詳細に示されている。
【0062】
ジンバルリング600のアンダーハングポケット構造の下位部分はまた、ジンバルリング600のボアホール622および第1のクレビス500のボアホール512と位置合わせされたボアホールを含む(図14C図14Eを参照)。この配置では、(ピン630または640などの)ピンは、3つのボアホールを通って延在し、図1A図7Bに関して図示され記載されたジンバル継手設計などの「単一せん断」ジンバル継手設計と比較してより効果的にせん断力に抵抗することができる「二重せん断」関係を形成する。
【0063】
図12は、ジンバルリング600およびローブ510のボアホールを通って延在する代替のピン640を示す詳細斜視図である。図11と同様に、ジンバルリング600は、説明の目的のためだけに半透明として示されている。ピン630とは異なり、ピン640は、ジンバルリング600の外面から突出し、それを越えて延在する頭部を含む。
【0064】
図13は、図11の線13-13に沿って取られた直立断面前面図であり、ジンバルリング600の外側区画624と内側区画626との間に形成されたポケット内に配置され、ピン630の周りに配置されたローブ510を示す。図13に示されたように、位置合わせされたボアホールは、ジンバルリング600の外側区画624を通り、ローブ510を通り、ジンバルリング600の下部区画626を通って延在する。ピン630がこれらの3つの位置合わせされたボアホールの間を延在することにより、第1のクレビス500およびジンバルリング600は、せん断力に対する抵抗を増大させる「二重せん断」方式で互いに結合される。
【0065】
図14A図14Eは、図11に示された破線によって画定された異なる平面に沿って取られた連結ジンバル継手アセンブリの切り取り斜視図を描写する。ジンバルリング600、クレビス500および550の間の関係、ならびにそれらが二重せん断関係で「連結」する方式を示すために、複数の連続する切り取り図が示されている。
【0066】
図14Aは、図11の線A-Aに沿って取られた切り取り斜視図であり、クレビス500の環状部分からジンバルリング600の外側区画624と内側区画626との間の「ポケット」またはキャビティの中に延在するローブ510を示す。特に、ジンバルリング600とローブ510との間に隙間が存在し、その結果、二つの構成部品は直接隣接しない。図14Aに示されたように、ローブ510は、延在部分510a、510b、510c、および510dを含み、それらは、クレビス500の環状シュラウド部分と一体的に形成され、それから延在する。
【0067】
図14Bは、図11の線B-Bに沿って取られた切り取り斜視図であり、ジンバルリング600の外側区画624とアンダーハング内側区画626との間に形成されたポケットまたはキャビティ内に配置されたローブ510を示す。図14Bに示されたように、ローブ510は、最初にジンバルリング600の下に延在し、ローブ510の一部分は、外側区画624および内側区画626によって画定されたポケットまたはキャビティを通って延在する。
【0068】
図14Cは、図11の線C-Cに沿って取られた切り取り斜視図であり、ジンバルリング600の外側区画624とアンダーハング内側区画626との間に形成されたC字形のポケット内に配置されたローブ510を示す。図14Cに示されたように、外側区画624および内側区画626は、ジンバルリング600の一部として一体的に形成される。外側区画624と内側区画626との間の空間は、二重せん断配置で実現されるせん断力抵抗を高めるために、ローブ510の形状を実質的に反映するように成形されてもよい。
【0069】
図14Dは、(線C-Cおよび交差ピン630に実質的に隣接する)図11の線D-Dに沿って取られた切り取り斜視図であり、それはまた、ジンバルリング600の外側区画624とアンダーハング内側区画626との間に形成されたC字形のポケット内に配置されたローブ510を示す。図14Dに示されたように、ピン630は、外側区画624、ローブ510、および内側区画626のボアホールを通って延在する。この構成では、外側区画624および内側区画626は、それぞれ、外側および内側のジンバルリングとして機能し、構造的完全性およびせん断力に対する実質的な抵抗を実現する。
【0070】
図14Eは、(実質的にピン630を両断する)図11の線E-Eに沿って取られた切り取り斜視図であり、それは、クレビス500の環状シュラウド部分からジンバルリング600の外側区画624と内側区画626との間に形成されたポケットまたはキャビティの中に延在するローブ510の延在部分510cを示す。図14Dと同様に、図14Eは、外側区画624、ローブ510、および内側区画626の位置合わせされたボアホールを通って延在するピン630によって形成された二重せん断関係を示す。
【0071】
図14Fは、図10の線F-Fに沿って取られた切り取り斜視図であり、それは、ローブ510の各延在部分510a、510b、510c、および510dがジンバルリング600内に形成されたポケットまたはキャビティを貫通する方式を示す。図14Fに示されたように、延在部分510bおよび510cは、ジンバル右600内に形成された実質的に円形のギャップを通って突出し、それぞれ、延在部分510aおよび510dに向かって延在する(かつ最終的にそれらに収斂する)。クレビス500、クレビス550、およびジンバルリング600の織り合わされ、緊密に圧縮された幾何形状は、積層造形技法を使用して形成されてもよい。
【0072】
図1A図7Bに関して図示され上述された例示的な実施形態と同様に、クレビス500および550ならびにジンバルリング600などの連結ジンバル継手アセンブリの実施形態の構成部品は、ジンバル継手アセンブリの構造的完全性のジンバル継手アセンブリの重量とのバランスをとるために、幾何学的および/またはトポロジー的に最適化されてもよい。いくつかの例示的な最適化技法が以下でより詳細に記載される。
【0073】
上述されたように、ジンバル継手設計の態様は、一組のエンジニアリング要件、設計制約、および他の考慮事項に従って、パラメトリックに生成および/または最適化されてもよい。例示的な技法は、他の態様の中でも、クレビス、クレビスローブ、およびジンバルリングの形状およびサイズ、クレビスおよび/またはジンバルリングの周りの様々な位置にある材料の厚さ、ならびにクレビスおよび/またはジンバルリング内に形成された支柱、トラス、またはシアウェブ構造の寸法などの、ジンバル継手の設計の態様をパラメータ化することを含む。パラメータ化されたジンバル継手設計は、パラメータ化されたモデルの特定の実装形態を計算的に生成するための基礎として機能するモデルとして機能することができる。
【0074】
ジンバル継手設計を生成することは、いくつかの実施形態では、2段階の最適化を含んでもよい。第1に、一組の設計制約および要件(たとえば、空間制約、ジンバル継手アセンブリの全体的な寸法またはサイズなど)は、パラメータとして幾何オプティマイザに提供されてもよい。幾何オプティマイザは、幾何学的な最適化(たとえば、形状およびサイズの最適化)を実行して、1つまたは複数のコスト関数(たとえば、構成部品の衝突または隣接する要素間の空間、材料の総体積、他のあまり好ましくない形状よりも好ましい形状の使用など)を考慮して設計制約を満たす形状を決定することができる。幾何オプティマイザの出力は、トポロジー的に最適化されない可能性があり、製造することが困難な特徴を表す可能性がある、ジンバル継手設計の粗い空間制約バージョンを提供する場合がある。
【0075】
幾何学的な最適化技法はまた、エンジニアリング判断を拡大または強化するために使用されてもよい。構成部品の初期設計を開発する際に、エンジニアが自分自身の判断に頼ることは依然として一般的であり、それは、しばしば、ある程度の試行錯誤および経験に基づく推測作業を伴う。したがって、エンジニアまたは設計者が、特定の幾何形状が適切な量の構造的適合性を実現するか、アセンブリ内の他の隣接する構成部品との十分な隙間を維持するか、またはさもなければ構成部品の設計のための実現可能な基礎となるかどうかを確実には知らないことが多い。結果として、エンジニアは、後でアセンブリ内で不適切、非現実的、または互換性がないと判断される初期設計を開発することに、かなりの時間およびリソースを浪費する可能性がある。
【0076】
本出願に開示された原理に従って、構成部品の設計の態様をパラメータ化し、それらを幾何オプティマイザまたは評価器の中に符号化することにより、エンジニアは、提案された構成部品設計に対するほぼリアルタイムのフィードバックを受け取ることができる。数学的には、幾何オプティマイザは、1つまたは複数の入力パラメータ値が与えられると、(所与の構成部品に対する制約および境界を定義する)連立方程式に解が存在するか否かを判定しようと試みることができる。オプティマイザが、いかなる境界にも違反していないか、またはさもなければ許容できないほど制約を超える入力値に対する解を見つけることができない場合、オプティマイザは、その入力された一組のパラメータ値に適切な設計が存在しないことをエンジニアに通知することができる。逆に、オプティマイザが、一組の入力値に対して1つまたは複数の適切な解が存在すると判定した場合、オプティマイザは、1つまたは複数の適切な解が存在することをエンジニアに通知することができる。そのような幾何オプティマイザは、構成部品の初期設計を開発する際にかかる時間を大幅に短縮する。
【0077】
加えて、幾何オプティマイザまたは評価器は、構成部品の1つまたは複数の特徴または要素が無関係であるか、必須ではないか、またはさもなければ除外することができると判断することができる。たとえば、幾何オプティマイザは、1つまたは複数の構造要件を依然として満たしながら、隙間、材料の形状、空隙の形状、および/または他の要素を除去することができると判断することができる。このようにして、幾何オプティマイザは、不必要な所与の構成部品の幾何形状の特徴を示し、設計プロセスを促進し、後で不適切であることが判明した構成部品を構築し試験するという別のコストのかかる作業を回避することにより、エンジニアの設計ワークフローをさらに強化することができる。
【0078】
場合によっては、幾何学的な最適化プロセスから1つまたは複数の制約または制限が除外されてもよい。たとえば、図8図14Fに関して図示され記載された実施形態などの、連結ジンバル継手アセンブリの構成部品は、部分的に組み立てられた状態で積層造形を使用して形成されてもよい。そのような場合、2つの別個の構成部品を組み立てることができるかどうか(たとえば、1つの構成部品がその中、その周り、またはさもなければそれとともに配置されることを可能にするために十分な隙間が存在するかどうか)を判定することは無関係であり得る。したがって、いくつかのアセンブリ設計では、トポロジー的な最適化が幾何学的な最適化に先行してもよい。
【0079】
第2に、さらなる一組の制約(たとえば、製造することができない特徴、構成部品がそれを超えて延在することができない空間など)、境界条件(たとえば、積層造形機または特定の積層造形プロセスに必要な他の支持構造体の分解能などの特定の製造方法の制限)、特定の範囲の負荷または他のエンジニアリング要件(たとえば、温度、圧力、せん断応力、圧縮応力、引張応力、曲げ角度など)、ならびにジンバル継手の設計および動作に制限または影響を及ぼす可能性がある他の要因が、トポロジカルオプティマイザにパラメータとして提供されてもよい。トポロジカルオプティマイザは、幾何オプティマイザによって決定された制約された設計空間内の材料のレイアウトおよび分布を最適化するように機能することができる。
【0080】
トポロジカルオプティマイザは、たとえば、接続された総体または2つ以上のトポロジー的な空間または連結管としてトポロジーを決定しようと試みることができる。たとえば、図1A図7Bの実施形態に示されたローブは、不必要な材料が除外された5つの滑らかなギャップまたは開口部を含む。トポロジー的に、ローブは、接合する環状体の接続された総体と見なされてもよく、各環状体はローブ内のギャップに対応する。より詳細には、ローブは、5つの「接着」または取付けられた環状体から構成される「属5」の表面と見なされてもよい。例示的な最適化技法は、5つの環状体の形状が一組の設計要件を満たすことを幾何学的に判断することと、その後、残りの材料の量を低減もしくは最小化し、製造プロセスもしくは製造機械の制限を考慮して設計を製造可能にし、かつ/またはさもなければシアウェブの構造的完全性を高めるためにローブの形状を改良するように、ローブの形状をトポロジー的に最適化することとを含んでもよい。
【0081】
このようにして、ジンバル継手構成部品の設計が、生成、最適化、またはさもなければ改良されてもよい。いくつかの例では、ジンバル継手の構成部品用の設計は、最初に(たとえば、コンピュータ支援設計(CAD)を使用して)エンジニアによって設計されてもよく、その後、それは幾何学的および/またはトポロジー的に改良または最適化される。他の場合、エンジニアは、(たとえば、目的関数、制約関数、設計空間、所定の形状またの形状のセットなどを含むパラメータ化された連立方程式として)パラメータ化モデルを開発することができ、それは、特定の一組の要件およびエンジニアリング規格と適合する設計を生成するための基礎として働くことができる。パラメータ化モデル、幾何オプティマイザ、および/またはトポロジカルオプティマイザを開発する際の特定のパラメータ、形状、トポロジー、および考慮事項は、ジンバル継手の特定の用途(たとえば、自動車システム、航空機システム、航空宇宙システムなど)に応じて異なってもよい。
【0082】
特定の例示的な方法および装置が本明細書に記載されているが、本特許の対象範囲はそれらに限定されない。それどころか、本特許は、文字通りに、または均等論の下で、添付の特許請求の範囲内に正しく入るすべての方法、装置、および製造品を包含する。
【0083】
本明細書に記載された配置は、例示のみを目的としていることを理解されたい。そのため、当業者は、所望の結果に応じて、他の配置および他の要素(たとえば、機械、インターフェース、動作、命令、および動作のグループ化など)を代わりに使用することができ、いくつかの要素が完全に除外されてもよいことを理解されよう。さらに、記載された要素の多くは、個別のもしくは分散された構成部品として、または他の構成部品と組み合わせて、任意の適切な組合せおよび位置で、または独立した構造として記載された他の構造要素として実装され得る機能エンティティである。
【0084】
様々な態様および実装形態が本明細書に開示されているが、他の態様および実装形態が当業者には明らかであろう。本明細書に開示された様々な態様および実装形態は、例示の目的のためであり、限定するものではなく、真の範囲は、以下の特許請求の範囲によって示され、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに示される。本明細書で使用される用語は、特定の実装形態を記載することのみを目的としており、限定するものではないことも理解されたい。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
【国際調査報告】