(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-19
(54)【発明の名称】バイオマス暖房システムならびにその構成要素
(51)【国際特許分類】
F23B 30/04 20060101AFI20220812BHJP
F23B 80/04 20060101ALI20220812BHJP
F23B 90/04 20110101ALI20220812BHJP
F23B 80/02 20060101ALI20220812BHJP
【FI】
F23B30/04
F23B80/04
F23B90/04
F23B80/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528202
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 EP2020074596
(87)【国際公開番号】W WO2021043903
(87)【国際公開日】2021-03-11
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-11-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522082126
【氏名又は名称】エスエル-テクニク ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ゾンマーラウアー,ティロ
【テーマコード(参考)】
3K046
【Fターム(参考)】
3K046AA07
3K046AA17
3K046AB06
3K046AC06
3K046AD08
3K046BA01
3K046BA04
3K046BA09
3K046CA07
3K046CA09
3K046FA01
(57)【要約】
ペレットおよび/または木質チップの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システム(1)が開示される。このシステムは、燃焼装置(2)を有するボイラー(11)と、複数のボイラー管(32)を有する熱交換器(3)と、を備え、燃焼装置(2)が、回転火格子(25)と、一次燃焼ゾーン(26)と、二次燃焼ゾーン(27)と、を有する燃焼室(24)を備え、一次燃焼ゾーン(26)は、複数の燃焼室レンガ(29)によって横方向から、かつ、回転火格子(25)によって下側から囲まれており、燃焼室レンガ(29)には複数の二次空気ノズル(291)が設けられ、一次燃焼ゾーン(26)と二次燃焼ゾーン(27)とが、二次空気ノズル(291)の高さで分離され、燃焼室(24)の二次燃焼ゾーン(27)が、熱交換器(3)の入口(33)と流体的に接続されている、バイオマス暖房システム(1)。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット及び木質チップの少なくとも1つの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システム(1)であって、
燃焼装置(2)を有するボイラー(11)と、
複数のボイラー管(32)を有する熱交換器(3)と、を備え、
前記燃焼装置(2)が、回転火格子(25)と、一次燃焼ゾーン(26)と、二次燃焼ゾーン(27)と、を有する燃焼室(24)を備え、
前記一次燃焼ゾーン(26)は、複数の燃焼室レンガ(29)によって横方向から、かつ、前記回転火格子(25)によって下側から囲まれており、
前記燃焼室レンガ(29)には複数の二次空気ノズル(291)が設けられ、
前記一次燃焼ゾーン(26)と前記二次燃焼ゾーン(27)とが、前記二次空気ノズル(291)の高さで分離され、
前記燃焼室(24)の前記二次燃焼ゾーン(27)が、前記熱交換器(3)の入口(33)と流体的に接続されている、バイオマス暖房システム(1)。
【請求項2】
前記二次空気ノズル(291)は、前記燃焼室(24)の前記二次燃焼領域(27)において垂直中心軸(A2)のまわりに二次空気と燃焼用空気の煙道ガス-空気混合物の渦流が発生するように配置され、前記渦流は、前記煙道ガス-空気混合物の混合の改善につながる、請求項1に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項3】
前記燃焼室レンガ(29)における前記二次空気ノズル(291)はそれぞれ、断面が円形または楕円形である前記燃焼室レンガ(29)の円筒形または円錐台形の開口として形成されており、それぞれの開口の最小径は、前記開口の最大長よりも小さい、請求項1または2に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項4】
前記燃焼室(24)を有する前記燃焼装置(2)は、前記渦流が、前記燃焼室ノズル(203)を出た後、前記燃焼室(24)の燃焼室天井(204)までのびる螺旋状の回転流を形成するように設定されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項5】
前記二次空気ノズル(291)は、少なくともほぼ同じ高さで前記燃焼室(24)内に配置され、
前記二次空気ノズル(291)はそれぞれ、前記二次空気が前記燃焼室(24)の対称中心に対して中心から外れて導入されるような向きにされている、請求項1~4のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項6】
前記二次空気ノズル(291)の数が8~14であること、及び、前記二次空気ノズル(291)の最小の長さが少なくとも50mmであることの少なくとも何れかであり、
最小内径が20~35mmである、請求項1~5のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項7】
前記燃焼室(24)は、前記二次燃焼ゾーン(27)において、前記熱交換器(3)の前記入口(33)の方向における前記二次燃焼ゾーン(27)の断面を小さくする燃焼室斜面(202)を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項8】
前記燃焼室(24)は、前記二次燃焼ゾーン(27)において、前記熱交換器(3)の前記入口(33)の方向で上に傾斜して設けられ、かつ、前記入口(33)の方向における前記燃焼室(24)の断面を小さくする燃焼室天井(204)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項9】
前記燃焼室斜面(202)と前記傾斜した燃焼室天井(204)とで漏斗を形成し、前記漏斗の小さい方の端は、前記熱交換器(3)の前記入口(33)に開口している、請求項7または8に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項10】
前記一次燃焼ゾーン(26)と、前記二次燃焼ゾーン(27)の少なくとも一部が、楕円形の水平断面を有すること、及び、前記二次空気ノズル(291)が、前記二次空気を接線方向で前記燃焼室(24)に導入するように配置されていること、の少なくとも1つの特徴を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項11】
前記二次空気ノズル(291)における前記二次空気の平均流速が、少なくとも8m/s、好ましくは少なくとも10m/sである、請求項1~10のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項12】
前記燃焼室レンガ(29)はモジュール構造を有し、
2つの半円形の燃焼室レンガ(29)の各々が閉じた環を形成して、前記一次燃焼ゾーン(26)及び前記二次燃焼ゾーン(27)の少なくともいずれか、の一部を形成し、
前記燃焼室レンガ(29)の少なくとも2つのリングが互いに積み重なって配置されている、
請求項1~11のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【請求項13】
前記熱交換器(3)は、
前記ボイラー管(32)の中に配置されて前記ボイラー管(32)の全長にわたってのびるスパイラルタービュレーターと、
前記ボイラー管(32)の中に配置されて前記ボイラー管(32)の少なくとも半分の長さにわたってのびるバンドタービュレーターと、
を備える、請求項1~12のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス暖房システムと、その構成要素とに関する。特に、本発明は、流体の流れを最適化したバイオマス暖房システムに関する。
【背景技術】
【0002】
出力レンジ20~500kWのバイオマス暖房システム、特にバイオマスボイラーが知られている。バイオマスは、安価で危機に強く、環境にも優しい国産燃料であるといえる。可燃性のバイオマスや固体のバイオ燃料としては、木質チップや木質ペレットがある。
【0003】
ペレットは通常、木屑、おがくず、バイオマスなどの材料を、直径約3~15mm、長さ5~30mmの小さな円盤状または円柱状に圧縮して作られる。木質チップ(鉋屑、木片、木材チップとも呼ばれる)とは、木材を切削工具で細断したものである。
【0004】
ペレットや木質チップの形での燃料を用いるバイオマス暖房システムの基本的な特徴として、燃焼室(燃焼炉)を持つボイラーと、それに接続された熱交換装置とを備えていることがあげられる。多くの国で厳しい法規制がなされていることから、バイオマス暖房システムのなかには、粉塵フィルターを装備したものも存在する。その他、通常は、燃料供給装置、制御装置、プローブ、安全サーモスタット、圧力スイッチ、煙道ガス用の再循環システム、ボイラー清掃装置、独立した燃料タンクなど、様々な付帯設備が用意されている。
【0005】
一般に、燃焼室には、燃料を供給するための装置、空気を供給するための装置、燃料用の点火装置が備えられている。空気を供給するための装置には通常、燃焼室での燃焼時に熱力学的要因に有利な影響を与えるために、低圧送風機が設けられているという特徴がある。燃料を供給するための装置には、例えば、横方向への挿入(いわゆる横挿入焚き)を備えることができる。この場合、燃料は、側面からスクリューまたはピストンによって燃焼室に供給される。
【0006】
固定床炉の燃焼室には一般に、燃料を実質的に連続的に供給して燃焼させる燃焼火格子も含まれる。この燃焼火格子には燃焼用の燃料が蓄えられ、燃料への一次空気として燃焼用空気の一部を通過させる、溝などの開口部が設けられている。さらに、火格子は、固定式であっても可動式であってもよい。燃焼用空気が火格子を通らず、側面だけから供給される火格子炉もある。
【0007】
火格子の中を一次空気が流れると、火格子も冷却され、特に材料が保護される。また、空気の供給が不十分であると、火格子でスラグが形成されることがある。特に、本開示が特に関係する、異なる燃料が供給される炉には、燃料ごとに灰融点や含水率、燃焼挙動も異なるという固有の問題がある。このため、異なる燃料に等しく適合する暖房システムを提供することには課題が多い。さらに、燃焼室を、一次燃焼ゾーン(燃焼用空気をさらに供給する前に、火格子とその上のガス空間で燃料を即時燃焼)と二次燃焼ゾーン(空気をさらに供給した後の煙道ガスの後燃焼ゾーン)とに規則的に区分することができる。燃焼室では、燃料の乾燥、熱分解およびガス化と、木炭のバーンアウトが行われる。また、得られた可燃性ガスを完全に燃焼させるために、二次燃焼ゾーンの開始時に、1段以上で追加の燃焼用空気(二次空気または三次空気)も導入される。
【0008】
乾燥後のペレットや木質チップの燃焼には、大きく分けて2つの段階がある。第一段階では、少なくとも部分的に、高い温度と燃焼室に注入可能な空気とによって燃料が熱分解されてガスに変換される。第二段階では、ガスに変換された(一)部分の燃焼が行われるとともに、残った固体(例えば木炭)の燃焼も行われる。この点で、燃料が脱ガスされ、それによって発生するガスとその中に存在する木炭も一緒に燃やされる。
【0009】
熱分解とは、固体物質が酸素のない状態で熱によって分解されることである。熱分解は、一次熱分解と二次熱分解に分けられる。一次熱分解では熱分解コークスと熱分解ガスが生成物になり、熱分解ガスは、室温で凝縮できるガスと凝縮できないガスとに分けられる。一次熱分解はおおむね250~450℃、二次熱分解は約450~600℃でなされる。その後の二次熱分解は、一次熱分解で生じる熱分解生成物をさらに反応させるものである。揮発性のCH化合物が粒子から逃げるため、乾燥と熱分解の少なくとも大部分は空気を使用せずに行われ、粒子の表面に空気が到達しない。ガス化を酸化の一部とみることができ、さらに熱を加えることで反応がなされるのは、熱分解時に形成された固体、液体、気体の生成物である。この反応は、空気、酸素、水蒸気などのガス化剤を添加することで行われ、二酸化炭素ですらもガス化剤として添加される。ガス化時のラムダ値は0より大きく、1未満である。ガス化は300~850℃前後、あるいは最大1,200℃でも行われる。続いて、これらの工程にさらに空気を加えることで、過剰な空気による完全な酸化(ラムダ値が1より大きい)が行われる。反応の最終生成物は、基本的に二酸化炭素、水蒸気および灰である。どの段階でも、境界は厳密ではなく流動的である。燃焼プロセスについては、ボイラーの排ガス出口に設置されたラムダセンサーによって都合よく制御することが可能である。
【0010】
一般論として、ペレットをガスに変換することで、気体燃料が燃焼用空気と一層よく混ざってより完全に変換されるため、燃焼効率が上がり、汚染物質の排出が少なく、未燃粒子や灰(フライアッシュまたは粉塵粒子)の発生が少なくなる。
【0011】
バイオマスの燃焼により、炭素、水素、酸素を主成分とするガス状の燃焼生成物または空気によって運ばれる燃焼生成物が生じる。これらは、完全酸化による排出物、不完全酸化による排出物、微量元素や不純物に由来する物質に分けられる。完全酸化による排出物は、主に二酸化炭素(CO2)と水蒸気(H2O)である。バイオマスの炭素から二酸化炭素が得られれば、放出されるエネルギーを一層有効に利用することができるため、二酸化炭素の生成が燃焼の目的である。二酸化炭素(CO2)の放出量は、燃やした燃料の炭素含有量にほぼ比例する。このため、二酸化炭素は、供給される有用なエネルギーにも依存する。基本的に、削減は効率を高めることでしか達成できない。
【0012】
しかしながら、上述したような複雑な燃焼過程を制御するのは容易ではない。一般論として、バイオマス暖房システムにおける燃焼過程の改善が求められている。
【0013】
燃焼室に空気を供給するだけでなく、ボイラーからの排ガスを燃焼室に戻し、冷却と再燃焼を行う、排ガス再循環装置も知られている。従来技術では、燃焼室には通常、燃焼室につながる一次空気ダクト/通路を通して一次空気を供給するための開口が設けられ、二次空気通路/ダクトからの二次空気を供給するための円周方向の開口も設けられている。煙道ガスの再循環については、火格子の下で行っても上で行ってもよい。さらに、煙道ガスの再循環を、燃焼用空気と混合して行うことも、別々に行うことも可能である。
【0014】
燃焼室での燃焼で生じる排ガスは熱交換器に送られるため、高温の燃焼ガスが熱交換器を流れ、通常は約80℃(通常は70℃~110℃)の水である熱交換媒体に熱が伝達される。ボイラーには通常、燃焼室に組み込まれた輻射セクションと、対流セクション(これに接続された熱交換器)とが備えられている。
【0015】
点火装置は通常、熱風装置またはアニール装置である。前者の場合、燃焼室に熱風を供給することで燃焼が開始され、熱風は電気抵抗器によって加熱される。2つ目の場合、点火装置にグロープラグ/グローロッドまたは複数のグロープラグを含み、燃焼が始まるまでペレットまたは木質チップと直接接触させてこれを加熱する。また、点火段階ではグロープラグとペレットや木質チップとの接触を維持し、グロープラグが炎にさらされ続けることがないようにこれを後退させるモーターが、グロープラグに備えられている場合もある。この方法は消耗を生じやすく、コストもかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
基本的に、従来のバイオマス暖房システムの問題点は、気体または固体の排出量が多すぎること、効率が悪すぎること、粉塵の排出量が多すぎることである。また、燃料の含水率や燃料の硬さがまちまちであることから燃料の品質にばらつきがあり、燃料を低エミッションで均一に燃焼させるのが難しいという問題もある。特に、種類の異なる生物燃料やバイオ燃料に適しているとされるバイオマス暖房システムでは、燃料の品質や粘稠度にばらつきがあるため、バイオマス暖房システムの効率を常に高く維持することが困難になっている。この点で、相当に最適化が必要とされている。
【0017】
従来のペレット用バイオマス暖房システムの欠点のひとつとして、燃焼室に落下したペレットが火格子から転がり落ちたり、滑り落ちたり、火格子から離れたり、火格子の横に落ちたりして、燃焼室の温度が低めの領域や空気があまり供給されない領域に入ったり、ボイラーの下層室や灰シュートに落下したりする場合があることである。火格子に残らないペレットは不完全燃焼を起こし、効率の悪さの原因となり、過剰な灰や一定量の未燃焼の汚染粒子が発生する。同じことは、ペレットだけでなく、木材チップにもあてはまる。
【0018】
このような理由から、ペレット用の公知のバイオマス暖房システムには、例えば火格子および/または燃焼ガスの出口の近傍に、燃料要素を特定の場所に保持するためのバッフル板が設けられている。ボイラーによっては、ペレットがボイラーの灰除去部または/および下層室に落ちるのを防ぐために、燃焼室内に段差が設けられている。しかしながら、このバッフルやオフセットに燃焼残渣が詰まり、それによって清掃がしにくくなり、場合によっては燃焼室内の空気の流れが阻害されることもある。その結果、効率が低下することになる。また、これらのバッフル板は、それ自体、製造や組み立てに手間がかかる。同じことは、ペレットだけでなく木材チップにもあてはまる。
【0019】
ペレットまたは木質チップ用のバイオマス暖房システムには、さらに次のような欠点や問題点がある。
【0020】
また、燃焼室内、特に火格子上のペレットの分布が不均一になり、燃焼効率が低下して、汚染物質の排出量が増加するという問題がある。この欠点がゆえ、点火装置付近に燃料のない場所があると、点火にも支障をきたす。同じことは、ペレットだけでなく木質チップにもあてはまる。
【0021】
燃焼室にバッフル板やランディングを設ければ、上記の欠点を抑えて、燃料が火格子から転がり落ちたり滑り落ちたり、場合によってはボイラーの下層室に落ちるのを防ぐことができる。反面、空気の流れが悪くなり、空気と燃料とを最適な状態で混合することができなくなる。
【0022】
もう一つの問題は、火格子からの燃料の分配が不均一であり、さらには空気と燃料との混合状態が最適ではないがゆえ、不完全燃焼によって、燃焼火格子に直接つながる空気入口開口を通して、あるいは火格子の端から空気ダクトまたは空気供給領域に、未燃灰が蓄積されたり落下したりしやすくなる点にある。
【0023】
これは特に問題が大きく、清掃などのメンテナンス作業のために頻繁に中断を引き起こすことになる。これらの理由から、通常は燃焼室内で大幅に過剰な空気が維持されているが、それによって火炎温度や燃焼効率が低下し、(スワール増加などによる)未燃ガス(CO、CyHyなど)、NOx、粉塵の排出量が増加することになる。
【0024】
圧力ヘッドの低い送風機を使用すると、燃焼室内で空気の適切な渦流が得られないため、空気と燃料とを最適な状態で混合することができない。一般に、従来の燃焼室では、最適な渦流を形成するのが困難である。
【0025】
また、空気ステージングを行わない公知のバーナーでは、ペレットのガスへの変換と燃焼の2つの段階が、同量の空気によって燃焼室全体で同時に行われ、効率が低下するという問題がある。
【0026】
最後に、点火装置との関係で、いくつかの欠点がある。熱風装置は消費電力が大きく、コストがかかる。スパークプラグであれば電力は抑えられるが、モーターで動かす必要があるため、スパークプラグには可動部が必要である。それらは高価かつ複雑であり、信頼性の面でも問題がある。
【0027】
さらに、従来技術におけるバイオマス暖房システムの熱交換器の最適化が特に求められている。すなわち、これらの熱交換器の効率を高めることができるであろう。また、従来の熱交換器では清掃が面倒で非効率的である場合が多いという点に関連して、改善も求められている。
【0028】
このことは、バイオマス暖房システムの通常の電気集塵機/フィルターでも同様である。スプレーやセパレータの電極が燃焼残渣で目詰まりし、濾過のための電界の形成状態が悪化し、濾過効率が低下する。
【0029】
本発明の課題は、ハイブリッド技術におけるバイオマス暖房システムであって、(特に細塵、CO、炭化水素、NOxの)排出量が少なく、木質チップおよびペレットを用いて柔軟に稼働させることができ、効率が良いバイオマス暖房システムを提供することであり得る。
【0030】
本発明によれば、上記に加えて、以下の考慮事項が何らかの役割を果たすであろう。
【0031】
ハイブリッド技術では、含水率8~35重量%のペレットと木質チップの両方を使用できるようにする必要がある。
【0032】
ガス排出量を可能な限り低くする(乾燥煙道ガスおよび13容量%のO2基準で50mg/Nm3未満または100mg/Nm3未満)。
【0033】
電気集塵機を稼働させない場合は15mg/Nm3未満、電気集塵機を稼働させる場合は5mg/Nm3未満という、極めて低い粉塵排出量を目標とする。
【0034】
(供給燃料エネルギー(発熱量)基準で)最大98%の高い効率を実現する。
【0035】
さらに、システムの動作を最適化すべきことも考慮することができる。例えば、灰の除去/排出が容易であること、清掃が容易であること、あるいはメンテナンスが容易であることがあげられる。
【0036】
さらに、システムの可用性が高いことも必要である。
【0037】
この文脈において、上述した課題または潜在的な個々の問題が、例えば燃焼室、熱交換器または電気フィルター装置など、システム全体の下位の態様と関連する場合もある。
【0038】
上述した課題は、独立請求項が対象とするものによって解決される。別の態様ならびに有利な追加の実施形態については、従属請求項の対象である。
【0039】
本開示の別の態様によれば、ペレットおよび/または木質チップの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムであって、燃焼装置を有するボイラーと、複数のボイラー管を有する熱交換器と、を備え、燃焼装置が、回転火格子と、一次燃焼ゾーンと、二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、一次燃焼ゾーンは、複数の燃焼室レンガによって横方向から、かつ、回転火格子によって下側から囲まれており、燃焼室レンガには複数の二次空気ノズルが設けられ、一次燃焼ゾーンと二次燃焼ゾーンとが、二次空気ノズルの高さで分離され、燃焼室の二次燃焼ゾーンが、熱交換器の入口と流体的に接続されている、バイオマス暖房システムが開示される。
【0040】
上記をさらに発展させたものによれば、二次空気ノズルは、燃焼室の二次燃焼領域において垂直中心軸のまわりに二次空気と燃焼用空気の煙道ガス-空気混合物の渦流が発生するように配置され、渦流は、煙道ガス-空気混合物の混合の改善につながる、バイオマス暖房システムが提供される。
【0041】
さらに発展させたものによれば、燃焼室レンガにおける二次空気ノズルはそれぞれ、断面が円形または楕円形である燃焼室レンガの円筒形または円錐台形の開口として形成されており、それぞれの開口の最小径は、その開口の最大長よりも小さい、請求項1または2に記載のバイオマス暖房システムが提供される。
【0042】
さらに発展させたものによれば、燃焼室を有する燃焼装置は、渦流が、燃焼室ノズルを出た後、燃焼室の燃焼室天井までのびる螺旋状の回転流を形成するように設定されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0043】
さらに発展させたものによれば、二次空気ノズルは、少なくともほぼ同じ高さで燃焼室内に配置され、二次空気ノズルは、二次空気が燃焼室の対称中心に対して偏心して導入されるように、それらの中心軸を伴って配置されているおよび/または(ノズルのタイプに応じて)整列されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0044】
さらに発展させたものによれば、二次空気ノズルの数が8~14であるおよび/または二次空気ノズルの最小の長さが少なくとも50mmであり、内径が20~35mmである、バイオマス暖房システムが提供される。
【0045】
さらに発展させたものによれば、二次燃焼ゾーンの燃焼室は、熱交換器入口の方向における二次燃焼ゾーンの断面を小さくする燃焼室斜面を有する、バイオマス暖房システムが提供される。
【0046】
さらに発展させたものによれば、二次燃焼ゾーンの燃焼室は、熱交換器の入口の方向で上に傾斜して設けられ、かつ、入口の方向における燃焼室の断面を小さくする燃焼室天井を有する、バイオマス暖房システムが提供される。
【0047】
さらに発展させたものによれば、燃焼室斜面と傾斜した燃焼室天井とで漏斗を形成し、漏斗の小さい方の端は、熱交換器の入口に開口している、バイオマス暖房システムが提供される。
【0048】
さらに発展させたものによれば、一次燃焼ゾーンと、二次燃焼ゾーンの少なくとも一部が、楕円形の水平断面を有するおよび/または二次空気ノズルが、二次空気を接線方向で燃焼室に導入するように配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0049】
さらに発展させたものによれば、二次空気ノズルにおける二次空気の平均流速が、少なくとも8m/s、好ましくは少なくとも10m/sである、バイオマス暖房システムが提供される。
【0050】
さらに発展させたものによれば、燃焼室レンガはモジュール構造を有し、各々の2つの半円形の燃焼室レンガが閉じた環を形成して一次燃焼ゾーンおよび/または二次燃焼ゾーンの一部を形成し、燃焼室レンガの少なくとも2つのリングが互いに積み重なって配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0051】
さらに別の実施形態によれば、熱交換器は、ボイラー管の中に配置されてボイラー管の全長に沿ってのびるスパイラルタービュレーターと、ボイラー管の中に配置されてボイラー管の少なくとも半分の長さに沿ってのびるバンドタービュレーターと、を備える、バイオマス暖房システムが提供される。
【0052】
本開示の別の態様によれば、ペレットおよび/または木質チップの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムであって、燃焼装置を有するボイラーと、複数のボイラー管を有する熱交換器であって、好ましくは束状に配置されている熱交換器と、を備え、燃焼装置が、回転火格子と、一次燃焼ゾーンと、好ましくは一次燃焼ゾーンの上に設けられた二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、一次燃焼ゾーンは、複数の燃焼室レンガによって横方向から、かつ、回転火格子によって下側から囲まれており、二次燃焼ゾーンが燃焼室ノズルを含むか、燃焼室の二次燃焼ゾーンが熱交換器の入口と流体的に接続され、一次燃焼ゾーンは水平断面が楕円形である、バイオマス暖房システムが提供される。
【0053】
束状に配置されたボイラー管は、互いに平行に配置されて少なくとも実質的に同一の長さを有する複数のボイラー管であってもよい。すべてのボイラー管の入口開口と出口開口を、それぞれ共通の平面に配置することができると好ましい。すなわち、すべてのボイラー管の入口開口と出口開口が同一の高さにある。
【0054】
この文脈での「水平」とは、ボイラーも水平に設置されると仮定して軸または断面の平らな向きをいう場合があり、それによって、例えば、地面の高さ位置が基準となる場合がある。あるいは、「水平」が、通常定義されるように、ボイラー11の基準平面に対して「平行」であることを意味することもできる。さらに、特に基準となる面がない場合、「水平」は、火格子の燃焼面に対して単に「平行」であることを意味すると理解されてもよい。
【0055】
さらに、一次燃焼ゾーンは、断面が楕円形であってもよい。
【0056】
水平断面が楕円形であれば死角がないため、空気の流れが改善され、渦/スワール流が大きく発生する可能性がある。その結果、バイオマス暖房システムの効率が高まり、エミッションが抑えられる。さらに、楕円形の断面は、燃料を側面から供給する場合の燃料分布のタイプと、その結果としての火格子上の燃料層の幾何学形状に、よく適している。理想的な「円形の」断面も可能であるが、燃料分布の幾何学形状や渦流の流体力学にあまり適しておらず、燃焼室の「理想的な」円形の断面形状よりも楕円形の非対称性によって、燃焼室内の乱流の形成を改善することができる。
【0057】
さらに発展させたものによれば、一次燃焼ゾーンの水平断面が、少なくとも100mmの高さにわたって、少なくともほぼ一定であるように提供される、バイオマス暖房システムが提供される。これは、燃焼室内における流れのプロファイルの形成を妨げないようにするのにも役立つ。
【0058】
さらに発展させたものによれば、二次燃焼ゾーンの燃焼室は、熱交換器の入口すなわち吸入口の方向で二次燃焼ゾーンの断面を先細りにする燃焼室傾斜を有する、バイオマス暖房システムが提供される。
【0059】
さらに発展させたものによれば、回転火格子が、第1の回転火格子要素、第2の回転火格子要素および第3の回転火格子要素を含み、各々の回転火格子要素は、水平に配置されたベアリング軸を中心に、少なくとも90度、好ましくは少なくとも160度、さらに好ましくは少なくとも170度、回転可能に配置され、回転火格子要素は、燃料用の燃焼領域を形成し、回転火格子要素は、燃焼用空気用の開口を含み、第1の回転火格子要素と第3の回転火格子要素が、燃焼領域において同一に形成されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0060】
回転火格子要素の開口は、燃料層を通る空気の流れを均一にするために、スリット状で、かつ、規則的なパターンで形成されていると好ましい。
【0061】
さらに発展させたものによれば、第2の回転火格子要素は、第1の回転火格子要素と第3の回転火格子要素との間にぴったりはまるように配置され、かつ、3つの回転火格子要素すべての水平位置で、少なくとも大部分が密着して第1の回転火格子要素と第3の回転火格子要素を密閉するように配置されている火格子リップを有する、バイオマス暖房システムが提供される。
【0062】
さらに別の実施形態によれば、回転火格子が、回転火格子機構をさらに備え、回転火格子機構は、第3の回転火格子要素を第1の回転火格子要素および第2の回転火格子要素から独立して回転させ、かつ、第1の回転火格子要素と第2の回転火格子要素とを、一緒であるが第3の回転火格子要素とは独立して回転させるように構成されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0063】
さらに別の実施形態によれば、回転火格子要素の燃焼領域が、実質的に楕円形または長円形の燃焼領域を構成する、バイオマス暖房システムが提供される。
【0064】
さらに別の実施形態によれば、回転火格子要素の側面が相互に相補的で湾曲し、第2の回転火格子要素の側面が、それぞれ隣接する第1の回転火格子要素および第3の回転火格子要素に対して凹状であると好ましく、第1の回転火格子要素および第3回転火格子要素の側面が、それぞれ第2の回転火格子要素に対して凸状であると好ましい、バイオマス暖房システムが提供される。
【0065】
さらに発展させたものによれば、燃焼室レンガはモジュール構造を有し、各々の2つの半円形の燃焼室レンガが閉じた環を形成して一次燃焼ゾーンを形成し、燃焼室レンガの少なくとも2つのリングが互いに積み重なって配置されている、バイオマス暖房システムが提供される。
【0066】
さらに別の実施形態によれば、熱交換器は、ボイラー管の中に配置されてボイラー管の全長に沿ってのびるスパイラルタービュレーターと、ボイラー管の中に配置されてボイラー管の少なくとも半分の長さに沿ってのびるバンドタービュレーターと、を備える、バイオマス暖房システムが提供される。好ましくは、バンドタービュレーターを、スパイラルタービュレーターの中または内部に配置することができる。特に、バンドタービュレーターを、スパイラルタービュレーターと一体に配置することができる。好ましくは、バンドタービュレーターを、スパイラルタービュレーターの長さの30%~70%の長さにわたって設けることができる。
【0067】
さらに発展させたものによれば、熱交換器は、直径70~85mm、肉厚3~4mmのボイラー管を18~24を含む、バイオマス暖房システムが提供される。
【0068】
さらに発展させたものによれば、ボイラーは、一体的に配置された静電フィルター装置を備え、静電フィルター装置は、スプレー電極と、スプレー電極を囲む集塵極と、ケージまたはケージ型のクリーニング装置と、を含み、ボイラーは、機械的に動作する清掃装置をさらに備え、機械的に動作する清掃装置は、インパクト/ストップヘッドを有するインパクトレバーを含み、清掃装置がインパクトヘッドで(スプレー)電極の端を叩くように配置されているため、電極および/または(スプレー)電極の横振動によって衝撃波が発生して電極の不純物が落とされる、バイオマス暖房システムが提供される。電極の材質は、インパクトヘッドで振動(縦振動および/または横振動および/または衝撃波)させることができる鋼材である。例えば、ばね鋼および/またはクロム鋼をこの目的で使用することができる。ばね鋼の材料については、オーステナイト系クロム-ニッケル鋼、例えば1.4310とすることができると好ましい。さらに、ばね鋼を湾曲させることができる。集塵極を清掃するために、ケージ型クリーニング装置を、静電フィルター装置の壁面に沿ってさらに往復させることができる。
【0069】
さらに発展させたものによれば、低温領域のボイラーに組み込まれた清掃装置が設けられ、この清掃装置は、ボイラー管の中に設けられたタービュレーターの上下方向の移動によって、熱交換器のボイラー管を清掃できるように構成されている、バイオマス暖房システムが提供される。この上下方向の移動は、ボイラー管の中にあるタービュレーターの、ボイラー管の長手方向への前後方向の移動としても理解することができる。
【0070】
さらに発展させたものによれば、グローベッド高さ測定機構が、回転火格子の上で燃焼室内に配置され、グローベッド高さ測定機構は、回転軸に取り付けられて主面/領域を有する燃料レベルフラップを備え、燃料レベルフラップの主面の表面平行は、回転軸の中心軸に対して角度をなして設けられ、当該角度が20°を超えると好ましい、バイオマス暖房システムが提供される。
【0071】
本発明の一態様ならびにその態様の実施形態についての上述した特徴および詳細は、いずれもバイオマス暖房システムとの関連で説明されているが、それらの個々の特徴および詳細それ自体は、バイオマス暖房システムとは独立して開示されてもいる。
【0072】
例えば、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する燃焼室の二次燃焼ゾーンの燃焼室斜面は、バイオマス暖房システム(のみ)に適していることが開示されている。この点、本明細書に開示した特徴および特性を有する、バイオマス暖房システムの燃焼室の二次燃焼ゾーン用の燃焼室斜面が開示される。
【0073】
さらに開示されているのは、例えば、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する、バイオマス暖房システムの燃焼室用の回転火格子である。
【0074】
さらに開示されているのは、例えば、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する、バイオマス暖房システムの燃焼室用の複数の燃焼室レンガである。
【0075】
さらに開示されているのは、例えば、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する、バイオマス暖房システム用の組み込み式の静電フィルター装置である。
【0076】
さらに開示されているのは、例えば、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する、バイオマス暖房システム用の複数のボイラー管である。
【0077】
さらに開示されているのは、例えば、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する、バイオマス暖房システム用のグローベッド高さ測定機構である。
【0078】
さらに開示されているのは、例えば、同様に、本明細書に開示した特徴およびその特性を有する、バイオマス暖房システム用の燃料レベルフラップそれ自体である。
【0079】
以下、本発明によるバイオマス暖房システムを、例示的な実施形態および個別の態様において、図面を参照して一層詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本発明の一実施形態によるバイオマス暖房システムの三次元概略図を示す。
【
図2】断面線SL1に沿って作成され、側面視野Sから見た状態として示された、
図1のバイオマス暖房システムの断面図を示す。
【
図3】断面線SL1に沿って作成され、側面視野Sから見た状態として示された、流路の表示を含む
図1のバイオマス暖房システムの断面図を示す。
【
図4】
図2および
図3のボイラーの燃焼室の幾何学形状を示す、
図2の部分図を示す。
【
図5】
図4の垂直断面線A2に沿った、ボイラーまたはボイラーの燃焼室の断面図を示す。
【
図6】
図4の回転火格子を用いた燃焼室の一次燃焼ゾーンの三次元断面図を示す。
【
図8】
図2の断面線A1から見た、回転火格子要素を有する回転火格子の上面図を示す。
【
図9】
図2の回転火格子が閉じた位置にあり、すべての回転火格子要素が水平に整列しているか、閉じている状態を示す。
【
図10】グローメンテナンスモードで部分的に清掃した状態にある、
図9の回転火格子を示す。
【
図11】好ましくはシステムの停止中に実施される完全清掃状態にある、
図9の回転火格子を示す。
【
図13】
図2の熱交換器とフィルター装置の両方を自動で清掃することができる清掃装置を示す。
【
図14】タービュレーターホルダーを強調して拡大した図を示す。
【
図15】
図14のタービュレーターブラケット/タービュレーターホルダーとケージ装着部の両方が下降位置にある第1の状態でのクリーニング機構を示す。
【
図16】
図16は、
図14のタービュレーターホルダーとケージ装着部の両方が上の位置にある、第2の状態でのクリーニング機構を示す。
【
図17】燃料レベルフラップを有する、露出したグローベッド高さ測定機構を示す。
【
図19】二次空気ノズルの高さで燃焼室を通る水平断面図を示す。
【
図20】二次空気ノズルの高さで燃焼室を通る、異なるボイラー寸法についての3つの水平断面図を、当該断面の流れ分布の詳細とともに示す。
【
図21】
図1の断面線SL1に沿ってバイオマス暖房システムを通る、異なるボイラー寸法についての3つの垂直断面図を、当該断面における流れ分布の詳細とともに示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
以下、添付の図面を参照して、本開示の様々な実施形態を例としてのみ開示する。しかしながら、実施形態ならびにそこで用いる用語は、本開示を特定の実施形態に限定することを意図したものではなく、本開示の実施形態による様々な改変、等価物および/または代替物を含むように解釈されるべきである。
【0082】
図示の特徴または要素について、より一般的な用語を使用して説明する場合、当業者のために、特定の特徴または要素のみならず、より一般的な技術的教示内容も図に開示することを意図している。
【0083】
図の説明に関して、類似の要素または技術的に対応する要素を示すために、個々の図で同一の参照符号を使用する場合がある。さらに、分かりやすくするために、個々の詳細な図面または断面図では、概略図よりも多くの要素または特徴を参照符号で示すことができる。これらの要素または特徴は、概略図に明示的に記載されていなくても、当該概略図で適宜開示されているものと仮定することができる。
【0084】
ある物体に対応する名詞の単数形は、文脈から明らかにそうでない場合を除き、1つ以上のものを含むことができると理解されたい。
【0085】
本開示において、「AまたはB」、「『Aまたは/およびB』のうちの少なくとも1つ」または「『Aまたは/およびB』のうちの1つ以上」などの表現は、一緒に記載された特徴の全ての可能な組み合わせを含む場合がある。本明細書で使用する「第1の」、「第2の」、「一次」または「二次」などの表現は、その順序および/または意味を問わず異なる要素を表す場合があり、対応する要素を限定するものではない。ある要素(例えば、第1の要素)が他の要素(例えば、第2の要素)に「動作可能に」または「通信可能に」結合または接続されると説明される場合、その要素は他の要素に直接接続されてもよいし、もう1つの要素(例えば、第3の要素)を介して、他の要素に接続されてもよい。
【0086】
例えば、本開示で使用する「~するように構成された」(または「設定された」)という表現を、技術的に可能であれば、「~に適した」、「~に適合した」、「~に作られた」、「~ができる」または「~に設計された」と置き換えてもよい。あるいは、特定の状況において、「~するように構成された装置」または「~するように設定された」という表現は、その装置が別の装置または構成要素と連携して動作すること、あるいは対応する機能を実行できることを意味する場合がある。
【0087】
寸法については、いずれも「mm」単位で示してあり、他の公差や範囲を明示しない限り、表示値の前後±1mmの寸法範囲として理解されるものとする。
【0088】
本明細書では、個々の態様、例えば、回転火格子、燃焼室またはフィルター装置は、バイオマス暖房システムとは別にあるいは独立して個々の部品または個々の装置として開示されていることに注意されたい。したがって、個々の態様またはシステム部分は、分離されていても本明細書に開示されていることは、当業者には自明である。本明細書において、システムの個々の態様または部分は、特に括弧で示したサブチャプターに開示されている。また、これらの個々の態様は、別々に権利請求することが可能であると考えられる。
【0089】
さらに、明確にするために、すべての特徴および要素を図面に個別に示してあるわけではなく、繰り返されている場合はなおさらである。むしろ、要素および特徴を、それぞれ例として示してある。さらに、類似の要素または等しい要素も、そのように理解される。
【0090】
(バイオマス暖房システム)
【0091】
図1に、本発明の例示的な実施形態によるバイオマス暖房システム1の三次元概略図を示す。
【0092】
図中、矢印Vはシステム1を正面から見た状態を示し、矢印Sはシステム1を側面から見た状態を示す。
【0093】
バイオマス暖房システム1は、ボイラー架台12に支持されたボイラー11を備えている。ボイラー11は、例えば鋼板製のボイラー筐体13を有する。
【0094】
ボイラー11の前部には、燃焼装置2(図示せず)があり、これにはシャッター21を有する第1のメンテナンス開口を通してアクセスすることが可能である。回転火格子25(図示せず)用の回転機構装着部22が回転機構23を支持し、これを、回転火格子25用のベアリング回転軸81に駆動力を伝達するのに使用することができる。
【0095】
ボイラー11の中央部には、熱交換器3(図示せず)があり、これにはシャッター31の付いた第2のメンテナンス開口を通して上からアクセスすることが可能である。
【0096】
ボイラー11の後部には、電極44(図示せず)を有するオプションのフィルター装置4(図示せず)がある。この電極は、絶縁性の電極ホルダ43で吊り下げられ、電極給電ライン42を介して通電される。バイオマス暖房システム1からの排ガスは、フィルター装置4の下流側に設けられた排ガス出口41を通して排出される。ここにファンを設けてもよい。
【0097】
ボイラー11の下流には再循環装置5が設けられ、燃焼過程での冷却と、燃焼過程における再利用のために、再循環チャネル51、53、54およびフラップ52を通して排ガスの一部を再循環させる。この再循環装置5については、後で
図12~
図17を参照して詳細に説明する。
【0098】
また、バイオマス暖房システム1は、一次燃焼ゾーン26の燃焼装置2まで制御された方法で側面から燃料を搬送し、回転火格子25に乗せる燃料供給装置6を有する。燃料供給装置6は、燃料供給装置開口/ポート65が設けられた回転弁61を有し、回転弁61は、制御電子部品を含む駆動モーター66を有する。駆動モーター66によって駆動される回転軸62によって並進機構63が駆動される。この並進機構は、燃料が燃料供給ダクト64で燃焼装置2に供給されるように燃料供給スクリュー67(図示せず)を駆動することができる。
【0099】
バイオマス暖房システム1の下部には、灰除去/排出装置7が設けられている。これは、モーター72によって動作する灰排出ダクトに灰排出スクリュー71を有する。
【0100】
ここで、
図2に、断面線SL1に沿って作成され、側面視野Sから見た状態として示された、
図1のバイオマス暖房システム1の断面図を示す。分かりやすくするために、
図2と同一の断面を示す対応する
図3には、煙道ガスの流れと流体断面を概略的に示す。
図3については、個々の領域を
図2よりも薄く示した点に注意されたい。これは、
図3を明瞭にして、流れを示す矢印S5、S6、S7を視認しやすくするだけのためのものである。
【0101】
図2の左から右に、ボイラー11の燃焼装置2、熱交換器3および(オプションの)フィルター装置4を示す。ボイラー11は、ボイラー架台/脚12上に支持され、水などの流体の熱交換媒体が循環可能な多壁ボイラー筐体13を有している。熱交換媒体の供給および排出用に、ポンプ、弁、パイプなどを備えた水循環装置14が設けられている。
【0102】
燃焼装置2は、炉心で燃料の燃焼処理が行われる燃焼室24を有する。燃焼室24は、詳細については後述するマルチピースの回転火格子25を有し、その上に燃料層28がある。多部品の回転火格子25は、複数のベアリング回転軸81によって回転可能に取り付けられている。
【0103】
さらに
図2を参照すると、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26が(複数の)燃焼室レンガ29で囲まれており、それによって燃焼室レンガ29が一次燃焼ゾーン26の幾何学形状を画定している。(例えば)水平断面線A1に沿った一次燃焼ゾーン26の断面は、実質的に楕円形(例えば380mm±60mm×320mm±60mm;上記の大きさの組み合わせによっては、断面が円形になる場合もあることに注意されたい)である。二次空気ノズル291からの流れを矢印S1で概略的に示すが、この流れ(文字どおり概略である)には、煙道ガスの混合を改善するために二次空気ノズル291によって誘発されるスワールがある。
【0104】
二次空気ノズル291は、(燃焼室レンガ29によって予熱された)二次空気を、断面が楕円形の燃焼室24(
図19参照)に接線方向に導入するように設計されている。これによって、渦状またはスワール状の流れS1が形成される。この流れは、螺旋状に、ほぼ上に向かって流れる。すなわち、垂直軸を中心に回転しながら上に向かって流れる、螺旋状の流れが形成されることになる。
【0105】
燃焼室レンガ29は、一次燃焼ゾーン26の内張りをなし、熱を蓄え、火に直接曝される。このため、燃焼室レンガ29によって、燃焼室24の他の材料、例えば鋳鉄が、燃焼室24内で直接火炎に曝露されないように保護することもできる。燃焼室レンガ29を、火格子25の形状に合わせてあると好ましい。また、燃焼室レンガ29は、燃焼プロセスへの再参加のため、特に必要に応じて冷却を行うために、煙道ガスを一次燃焼ゾーン26に再循環させる二次空気ノズルまたは再循環ノズル291をさらに含む。この点に関して、二次空気ノズル291は、一次燃焼ゾーン26の中心に向かって配置されているわけではなく、一次燃焼ゾーン26に流れのスワール(すなわち、スワールおよび渦流であり、これについては後に詳細に説明する)を作り出すために中心から外れる向きで配置されている。この燃焼室レンガ29の詳細については、後述する。ボイラー管の入口に、断熱材311が設けられている。一次燃焼ゾーン26(およびノズル)の楕円形の断面形状ならびに二次空気ノズル291の長さと位置がゆえ、好ましくは燃焼室24の天井に向かう渦流を、都合よく形成し、維持しやすい。
【0106】
二次燃焼ゾーン27は、(機能面または燃焼面から考慮される)燃焼室ノズル291のレベルまたは(純粋に構造面または建設上の理由で考慮される)燃焼室ノズル203のレベルで、燃焼室26の一次燃焼ゾーン26と接続され、燃焼室26の輻射部を画定している。輻射セクションでは、主に熱放射によって、燃焼中に生じた煙道ガスの熱エネルギーが、特に、熱交換媒体38用の2つの左チャンバーに配置された熱交換媒体に伝達される。対応する煙道ガスの流れを、純粋に例として
図3に矢印S2およびS3で示す。これらの渦流には、おそらく、純粋に概略的な矢印S2およびS3で示していないわずかな逆流や追加の乱流も含まれる。しかしながら、矢印S2およびS3から当業者には燃焼室24内での流れ特性の基本原理が明らかであり、あるいは計算可能である。
【0107】
二次空気の噴射によって、隔離されているか閉じ込められた燃焼室24に、顕著なスワール流または回転流または渦流(二次ノズル291のレベルでの渦流の始まりについては
図20を参照)が形成される。特に、燃焼室の楕円形の幾何学形状24は、渦流を乱すことなく最適な状態で発達させるのに役立つ。
【0108】
これらの渦流を再び束にするノズル203を出た後、ろうそく炎状の回転流S2が現れる(同じく
図21参照)。この流れは燃焼室天井204まで都合よく到達することができ、燃焼室24の利用可能な空間が一層良く活用される。この場合、渦流は燃焼室の中央A2に集められ、二次燃焼ゾーン27の空間が理想的な状態で活用される。さらに、燃焼室ノズル203によって渦流の範囲が狭くなるため回転流が緩和され、それによって、空気と煙道ガスとの混合物の混合を改善するための乱流が発生する。このように、燃焼室ノズル203によって範囲が狭く限定されることで、クロスミキシングが生じる。しかしながら、燃焼室ノズル203の上では流れの回転運動が少なくとも一部は維持され、これらの流れの燃焼室天井204に対する伝搬が維持される。
【0109】
このように、二次空気ノズル291は、その長さと向きによって煙道ガスと二次空気との混合物を回転させることで、最低限の過剰な空気、よって最大の効率で完全燃焼を可能にする(上に位置する燃焼室ノズル203との組み合わせによって、再び強調される)渦流を誘発するように、燃焼室24の長円形または楕円形の断面に統合される。これを、
図19~
図21にも示す。
【0110】
二次空気供給は、高温の燃焼室レンガ29の周囲を流れることでこれを冷却し、代わりに二次空気自体を予熱するように設計されているため、煙道ガスの燃焼速度が速く、極端な部分負荷(例えば、公称負荷の30%)でも完全燃焼させることができる。
【0111】
第1のメンテナンス開口21は、例えばVermiculite(商標)などの断熱材で断熱されている。この二次燃焼ゾーン27は、煙道ガスを確実に燃やしきるように配置されている。二次燃焼ゾーン27の具体的な幾何学設計については、後に詳細に説明する。
【0112】
二次燃焼ゾーン27の後、煙道ガスは、互いに平行に設けられたボイラー管32の束のある熱交換装置3へ流入する。ここで、煙道ガスは、
図3に矢印S4で示すように、ボイラー管32の中を下向きに流れる。ボイラー管の壁面では煙道ガスの放熱が基本的に強制対流によって行われるため、この部分の流れを対流部分とも呼ぶことができる。熱交換媒体、例えば水中で、ボイラー11内に生じる温度勾配によって、水の自然対流が生じる。これは、ボイラー水の混合に好都合である。
【0113】
ボイラー管32には、熱交換装置4の効率を向上させるために、スプリングタービュレーター36およびスパイラルタービュレーターまたはバンドタービュレーター37が配置されている。これについては、後で詳細に説明する。
【0114】
ボイラー管32の出口は、ターニングチャンバー入口34を経由してターニングチャンバー35に開口している。フィルター装置4がない場合、煙道ガスはボイラー11内で再び上に向かって排出される。オプションのフィルター装置4の他の例を、
図2および
図3に示す。ターニングチャンバー35の後、煙道ガスは再び上昇し、本例では静電フィルター装置4であるフィルター装置4に送られる(矢印S5参照)。フィルター装置4の入口44に、フィルターに流入する煙道ガスの流れをならすフローバッフルを設けてもよい。
【0115】
電気集塵装置すなわち電気集塵機は、静電気の原理を利用して気体から粒子を分離するための装置である。これらのフィルター装置は、特に、排ガスを電気的に浄化するのに用いられる。電気集塵機では、スプレー電極のコロナ放電により粉塵粒子が帯電し、対向する帯電電極(集塵極)に引き寄せられる。コロナ放電は、この目的に適した、電気集塵機内で帯電させた高圧電極(スプレー電極としても知られている)で行われる。電極については、先端が突出し、場合によっては鋭いエッジを持つように設計しておくことが好ましい。なぜなら、力線密度、ひいては電界強度がそこで最大となり、コロナ放電が有利になるためである。対向する電極(集塵極)は通常、接地した排気管を電極の周囲に取り付けて構成される。電気集塵機の分離効率は、特にフィルター系での排ガスの滞留時間と、スプレー電極と分離電極との間の電圧に依存する。そのために必要な整流された高電圧は、高電圧発生装置(図示せず)から供給される。不要な漏れ電流を防ぎ、システム1の耐用年数をのばすために、高電圧発生装置および電極用のホルダーを粉塵や汚染から保護する必要がある。
【0116】
図2に示すように、フィルター装置4のほぼ煙突状の内部には、ほぼ中央に、棒状の電極45(細長い板状の鋼製ばねのような形状が好ましい;
図15を参照のこと)が支持されている。電極45は、少なくとも大部分が高品質のばね鋼またはクロム鋼からなり、高電圧絶縁体すなわち電極絶縁体46を介して、電極支持部43/電極ホルダー43に支持されている。
【0117】
(噴霧)電極45は、揺れ動くことが可能な状態で、フィルター装置4の内部で下向きに垂れ下がっている。例えば、電極45は、電極45の長手方向の軸に対して横方向に往復して振動することができる。
【0118】
ケージ48が、対向電極とフィルター装置4用のクリーニング機構を兼ね備えている。ケージ48は、アース電位に接続されている。上述したように、フィルター装置4内を流れる排ガスが、優位な電位差がゆえに濾過される(矢印S6参照)。フィルター装置4を清掃する場合、電極45の通電を解除する。ケージ48は、好ましくは、例えば
図13から明らかなように、正規断面の形状が八角形である。ケージ48は、製造時にレーザーで切断可能なものであると好ましい。
【0119】
熱交換器3を出た後、煙道ガスは、ターニングチャンバー34を通ってフィルター装置4の入口44に流入する。
【0120】
ここで、(オプションの)フィルター装置4は、ボイラー11と完全に一体で設けられていてもよい。それによって、熱交換器3に面して熱交換媒体が流れる壁面が、フィルター装置4の方向からも熱交換に使用され、システム1の効率がさらに改善される。このように、フィルター装置4の壁の少なくとも一部に熱交換媒体を流すことが可能であり、それによって、この壁の少なくとも一部がボイラー水で冷却される。
【0121】
フィルターの出口47では、矢印S7で示すように、清浄化後の排ガスがフィルター装置4から流出する。フィルターを出た後、排ガスの一部は、再循環装置5を通って一次燃焼ゾーン26に戻される。これについても、後に詳細に説明する。排ガスの残りは、排ガス出口41を通ってボイラー11の外に導かれる。
【0122】
ボイラー11の下部には、灰除去部7/灰排出部7が配置されている。灰排出スクリュー71によって、例えば燃焼室24、ボイラー管32およびフィルター装置4から分離して落下した灰が、ボイラー11から横方向に排出される。
【0123】
本実施形態の燃焼室24およびボイラー11について、CFDシミュレーションを用いて計算した。また、CFDシミュレーションの結果を確認するために、現場での実験も行った。100kWのボイラーでの計算を検討の出発点としたが、20~500kWの出力範囲を考慮に入れた。
【0124】
CFDシミュレーション(CFD=Computational Fluid Dynamics;数値流体力学)とは、流れや熱伝導の過程を空間的、時間的に分解してシミュレーションすることである。流れのプロセスは、層流および/または乱流の場合もあれば、化学反応を伴って生じる場合もあり、多相系の場合もある。このため、CFDシミュレーションは、設計や最適化のツールとして適している。本発明では、CFDシミュレーションを用いて、上述した本発明の課題を解決するような方法で流体パラメータを最適化した。特に、その結果、ボイラー11、燃焼室24、二次空気ノズル291および燃焼室ノズル203の機械的な設計と寸法が、CFDシミュレーションによって、また、関連する実用的な実験によって、ほぼ規定された。これらのシミュレーション結果は、熱伝導を考慮した流動シミュレーションに基づくものである。そのようなCFDシミュレーションの結果の例を
図20および
図21に示す。
【0125】
以下、CFDシミュレーションの結果である、バイオマス暖房システム1およびボイラー11の上記の構成要素について、より詳細に説明する。
(燃焼室)
【0126】
課題ごとの要件を満たすには、燃焼室の形状設計が重要である。燃焼室の形状または幾何学形状は、煙道ガスダクトの断面における流れの乱流混合と均一化を可能な限り最適化し、燃焼容積を最小限に抑え、過剰な空気を減らして再循環率を下げ(効率、運転コスト)、COおよびCxHxの排出量、NOx排出量、粉塵排出量を低減し、局所的な温度ピークを抑え(ファウリング、スラグ)、局所的な煙道ガス速度ピークを抑えること(材料ストレスおよび侵食)などを目的として意図されている。
【0127】
図2の部分図である
図4と、垂直断面線A2に沿ったボイラー11を通る断面図である
図5に、例えば20~500kWの広い出力範囲でバイオマス暖房システムに対する上述した要件を満たす燃焼室の幾何学形状を示す。さらに、垂直断面線A2を、楕円形の燃焼室24の中心または中心軸として理解することも可能である。
【0128】
約100kWの例示的なボイラーついてのCFD計算結果および実用的な実験により求めた寸法ならびに、
図3および
図4に示す寸法は、以下の通りである。
BK1=172mm±40mm、好ましくは±17mm。
BK2=300mm±50mm、好ましくは±30mm。
BK3=430mm±80mm、好ましくは±40mm。
BK4=538mm±80mm、好ましくは±50mm。
BK5=(BK3-BK2)/2=例えば65mm±30mm、好ましくは±20mm。
BK6=307mm±50mm、好ましくは±20mm。
BK7=82mm±20mm、好ましくは±20mm。
BK8=379mm±40mm、好ましくは±20mm。
BK9=470mm±50mm、好ましくは±20mm。
BK10=232mm±40mm、好ましくは±20mm。
BK11=380mm±60mm、好ましくは±30mm。
BK12=460mm±80mm、好ましくは±30mm。
【0129】
これらの値により、本例では燃焼室24の一次燃焼ゾーン26と二次燃焼ゾーン27の両方の幾何学形状が最適化される。標記の大きさの範囲は、厳密に標記の値を用いた場合と同様に(近似的に)要件が充足される範囲である。
【0130】
好ましくは、一次燃焼ゾーン26と燃焼室24のチャンバーの幾何学形状(または燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の内容積)を、以下の基本パラメータに基づいて定義することができる。
【0131】
寸法380mm±60mm(好ましくは±30mm)×320mm±60mm(好ましくは±30mm)、高さ538mm±80mm(好ましくは±50mm)の楕円形の水平基部を有する空間。
【0132】
上記のサイズデータを、縮尺だけ変更して他の出力クラス(例えば50kWまたは200kW)のボイラーに適用することも可能である。
【0133】
さらに別の実施形態として、上で定義した空間に、燃焼室24の二次燃焼ゾーン27に設けられた燃焼室ノズル203の形で上部開口を含んでもよく、これには、好ましくは熱交換媒体38を含む、二次燃焼ゾーン27に突出した燃焼室斜面202が含まれる。燃焼室斜面202によって、二次燃焼ゾーン27の断面積が小さくなる。ここで、燃焼室斜面202は、水平または直線状の架空の燃焼室天井H(
図4の水平破線Hを参照)に対して、少なくとも5%の角度k、好ましくは少なくとも15%の角度k、さらに好ましくは少なくとも19%の角度kで設けられる。
【0134】
また、燃焼室天井204も、入口33に向かって上に傾斜して設けられている。このように、二次燃焼ゾーン27の燃焼室24では、熱交換器3の入口33に向かって上に傾斜して燃焼室天井204が設けられている。この燃焼室天井204は、
図2の断面において少なくとも実質的に直線状か、あるいは直線状に、傾斜してのびている。直線状または平坦な燃焼室天井204の(架空の)水平方向に対する傾斜角を、好ましくは4~15°とすることができる。
【0135】
燃焼室天井204によって入口33の前方で燃焼室24に別の斜面(天井)が設けられ、これと燃焼室斜面202とによって、漏斗が形成される。この漏斗は、上向きのスワールまたは渦流を横に向け、その流れをほぼ水平に方向転換させる。すでに乱れている上向きの流れと入口33の前方の漏斗形状により、すべての熱交換器管32またはボイラー管32で均一の流れが保証され、すべてのボイラー管32で煙道ガスの流れが均一になる。その結果、熱交換器3での熱伝導がかなり最適化される。
【0136】
特に、対流ボイラーの入口の幾何学形状として、二次燃焼ゾーンの垂直方向の斜面203と水平方向の斜面204とを組み合わせることで、対流ボイラー管への煙道ガスの均一な分配を実現することができる。
【0137】
燃焼室斜面202は、熱交換器3の方向での流れS3、ひいてはボイラー管32への流れを均一にする役割を果たす。これにより、煙道ガスが個々のボイラー管にできるだけ均等に分配されるようになり、そこでの熱伝導が最適化される。
【0138】
具体的には、斜面とボイラーの入口断面との組み合わせることで、煙道ガスの流れまたは流量がそれぞれのボイラー管32にできるだけ均等に分配されるように、煙道ガス流を回転させることができる。
【0139】
従来技術では、燃焼室とノズルが矩形または多角形である燃焼室がよくみられるが、燃焼室とノズルの形状が不規則で、それらが相互作用するのは、すでに認識されているように、空気の分布を均一にして空気と燃料とを良好な状態で混合し、良好な燃焼を達成する上での障害となる。特に、燃焼室の幾何学形状に角があると、流れの筋または優先的な流れが生じてしまい、都合の悪いことに、これが熱交換器管32内の不均一な流れにつながる。
【0140】
したがって、本例では、死角やデッドエッジのない燃焼室24を提供する。
【0141】
このように、燃焼室(およびボイラー内の流路全体)の幾何学形状が、バイオマス暖房システム1を最適化するための検討において重要な役割を果たすことが認識された。そこで、(通常の矩形または多角形または純粋に筒形の形状から離れて)本明細書で説明した死角のない楕円形または円形の基本的な幾何学形状を選択した。また、この燃焼室の基本的な幾何学形状と、その設計も、上述した寸法/寸法範囲で最適化された。これらの寸法/寸法範囲は、特に、品質の異なる(例えば、含水率の異なる)様々な燃料(木質チップやペレット)を極めて高効率で燃焼させることができるように選択されている。これは、現場での試験とCFDシミュレーションで示されたことである。
【0142】
特に、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26には、好ましくは外周の水平断面が楕円形またはほぼ円形の空間を含んでもよい(このような断面を、
図2のA1に例示する)。さらに好ましくは、この水平断面が燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の床面積を表していてもよい。両端矢印BK4で示す高さ全体で、燃焼室24の断面がほぼ一定であってもよい。この点で、一次燃焼ゾーン24は、ほぼ楕円筒形の空間を有していてもよい。好ましくは、一次燃焼ゾーン26の側壁と底面(火格子)とが互いに垂直であってもよい。この場合、上述した斜面203、204を、燃焼室24の壁として一体に設けてもよく、これらの斜面203、204は、熱交換器33の入口33に開口してそこで断面が最も小さくなる漏斗を形成している。
【0143】
上記で「ほぼ」という語を用いたのは、例えば燃焼室レンガ29同士の継ぎ目で、いうまでもなく個々の切り欠き、設計による誤差や若干の非対称が存在し得るためである。しかしながら、これらの小さな誤差は、流れという点ではほぼ何の役割も果たさない。
【0144】
燃焼室24の水平断面、特に燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の水平断面も、同様に好ましくは規則的な設計であってよい。さらに、燃焼室24の水平断面、特に燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の水平断面は、好ましくは、正楕円(および/または左右対称の楕円)であってもよい。
【0145】
また、一次燃焼ゾーン26の水平断面(外周部)が所定の高さ(例えば20cm)にわたって一定となるように設計することも可能である。
【0146】
このように、本例では、燃焼室24の楕円筒形の一次燃焼ゾーン26が提供され、CFD計算によれば、従来技術の矩形の燃焼室よりも燃焼室24内の空気の分布をはるかに均一かつ良好にすることができる。また、デッドスペースがないため、燃焼室内に空気の流れが悪い部分がなく、効率が増し、スラグの発生も抑えられる。
【0147】
同様に、燃焼室24のノズル203は、流れ条件をさらに最適化するために、楕円形またはほぼ円形の狭窄部として構成されている。本発明による特別に設計された二次空気ノズル291によって生じる、上述した一次燃焼ゾーン26内の流れのスワールにより、ほぼ螺旋状またはスパイラル状に上向きのフローパターンが生じる。このため、等しく楕円形またはほぼ円形のノズルは、このフローパターンに都合がよく、従来の矩形のノズルのように干渉することがない。この最適化されたノズル203は、回転しながら上に流れる煙道ガスと空気との混合物を集合させ、より良い混合、二次燃焼ゾーン27における渦流の保存、完全燃焼を保証する。これにより、過剰な空気の必要量が最小限になり、燃焼プロセスが改善され、効率が向上する。
【0148】
したがって、特に、(
図19を参照して後述もする)上述した二次空気ノズル291と、それによって引き起こされる渦流と、最適化したノズル203との組み合わせは、上向きに回転する煙道ガスと空気との混合物を集合させる役割を果たす。これにより、二次燃焼ゾーン27での少なくともほぼ完全な燃焼が提供される。
【0149】
このように、ノズル203を通るスワール流が集合されて上に向けられ、この流れが、従来技術で一般的であるよりもさらに上に達する。これは、角運動量に関する物理法則から当業者に明らかなように、ノズル203によって強制される回転中心軸またはスワール中心軸に対する気流のスワール距離が減少した結果として生じるものである(ピルエット効果の物理を類推のこと)。
【0150】
また、詳細については後述するように、本例では、二次燃焼ゾーン27内と二次燃焼ゾーン27からボイラー管32までのフローパターンが最適化されている。
【0151】
CFD計算によれば、
図2および
図3でも参照符号なしで確認することができ、燃焼室25(またはその断面)が底部から頂部に向かって少なくともほぼ直線的に先細りになっている
図4の燃焼室斜面202によって、熱交換器4の方向での煙道ガス流の均一性を保証し、その効率を高めることができる。ここで、燃焼室25の水平断面積は、燃焼室斜面202の始点から終点まで少なくとも5%テーパ状であることが好ましい。この場合、燃焼室斜面202は、燃焼室25の熱交換装置4に面する側に設けられ、テーパが最大となる箇所で丸みがつけられている。従来技術においては、(煙道ガスの流れを妨げないように)テーパのない平行または直線的な燃焼室壁が一般的である。また、入口33の方向と水平な方向に対して斜め上にのびる燃焼室天井204が個別にまたは組み合わせで設けられ、二次燃焼ゾーン27内の渦流を横方向に偏向させることで、流速分布を揃えることができる。
【0152】
多管式熱交換器の上流での煙道ガス流の流入または偏向は、管への不均一な流入が可能な限り回避されるように設計されている。これは、個々のボイラー管32での温度ピークを低く抑えることが可能であって、熱交換器4での熱伝導を改善(熱交換器の表面を可能な限り最適に利用)することが可能であることを意味する。その結果、熱交換装置4の効率を高めることができる。
【0153】
詳細に説明すると、煙道ガスの気体体積流は、燃焼室の傾斜した壁203を通って、(燃焼条件が異なる場合であっても)均一な速度で熱交換器管またはボイラー管32に導かれる。この効果は、燃焼室の傾斜した天井204によってさらに高められ、漏斗効果が生じる。その結果、個々のボイラー管32の熱交換器表面の熱分布が均一になり、熱交換器表面の利用率が改善される。このため、排ガス温度が低下し、効率が高まる。特に
図3に示す指示線WT1での流量分布は、従来技術に比べて大幅に均一である。線WT1は、熱交換器3の入口面を表す。指示線WT3は、(特に、フィルター装置4の入口のフローバッフルとターニングチャンバー35の幾何学形状に起因して)ボイラー管32の断面全体で流れがほぼ均等に分配されるか、流れが可能な限り均一に設定される、フィルター装置4を通る例示的な断面線を示す。フィルター装置3または最後のボイラーパスを通る均一な流れによって、ストランディングが最小限に抑えられ、フィルター装置4の分離効率とバイオマス暖房システム1内の熱の伝達も最適化される。
【0154】
さらに、燃焼室25の下部では、燃料層28の位置に点火装置201が設けられている。これにより、燃料の初期着火または再着火を行うことができる。点火装置201がグローイグナイターであってもよい。都合がよいことに、点火装置は固定され、燃料が導入される場所に対して水平方向にオフセットされている。
【0155】
さらに、フィルター装置からの煙道ガスの出口の後(すなわち、S7の後)に、ラムダセンサー(図示せず)を(任意に)設けることができる。このラムダセンサーによって、コントローラ(図示せず)がそれぞれの発熱量を検出できるようになる。このように、ラムダセンサーを用いることで、燃料と酸素供給との間の理想的な混合比を確保することができる。燃料の品質が異なるにもかかわらず、結果として、高効率および高能率が達成される。
【0156】
図5に示す燃料層28は、燃料が
図5の右側から供給されることによる大まかな燃料分布を示している。
【0157】
さらに
図4および
図5に示すのは、二次燃焼ゾーン27が設けられ、煙道ガス流を加速して集合させる燃焼室ノズル203である。その結果、煙道ガス流をさらによく混合し、後燃焼ゾーン27または二次燃焼ゾーン27で、より効率的に燃焼させることができる。燃焼室ノズル203の面積比は25%~45%の範囲であるが、好ましくは30%~40%であり、例えば100kWのバイオマス暖房システム1の場合、理想的には36%±1%(ノズル203の実測入力面積と実測出力面積との比)である。
【0158】
その結果、一次燃焼ゾーン26の燃焼室の幾何学形状についての上述した詳細が、二次空気ノズル291およびノズル203の幾何学形状とともに、本開示の有利な別の実施形態を構成する。
(燃焼室レンガ)
【0159】
図6に、回転火格子25を有する燃焼室24の一次燃焼ゾーン26ならびに二次燃焼ゾーン27の分離された部分、特に燃焼室レンガ29の特別なデザインの(斜め上からの)三次元断面図を示す。
図7には、
図6に対応する燃焼室レンガ29の分解図を示す。
図6および
図7の図を、上記にて列挙した
図4および
図5の寸法で設計することが可能であると好ましい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0160】
燃焼室24の一次燃焼ゾーン26のチャンバー壁には、複数の燃焼室レンガ29がモジュール構成で備えられ、これによって特に製造とメンテナンスが容易になっている。特に、個々の燃焼室レンガ29を取り外すことが可能であることから、メンテナンスが容易である。
【0161】
燃焼室レンガ29のベアリング面/支持面260に、ポジティブロック溝261と突起262(
図6では、冗長性を避けるために、このうち例として数個だけ各図に例示している)を設け、機械的かつ大部分が気密な接続状態を達成して、ここでも邪魔になる外気の侵入を防止している。好ましくは、少なくとも大幅に対称的な2つの燃焼室レンガの各々で(二次空気用または再循環された煙道ガス用の開口を可能な限り除いて)完全なリングが形成されている。さらに、好ましくは、3つのリングを積み重ねることで、燃焼室24の楕円形の円筒形状あるいは少なくともほぼ円形の(後者は図示せず)一次燃焼ゾーン26が形成されている。
【0162】
上側のリング263に確実に嵌め込まれた、2つの保持用レンガ264によって環状のノズル203を支持した状態で、さらに3つの燃焼室レンガ29が上端として設けられている。適切な突起262および/または適切なシール材の挿入用に、すべての支持面260に溝261が設けられている。
【0163】
好ましくは対称的である取付用ブロック264には、好ましくは、回転火格子25上へのフライアッシュの掃き出しを容易にするために、内側に傾斜した斜面265がある。
【0164】
燃焼室レンガ29の下側のリング263は、回転火格子25の底板251の上に乗っている。この燃焼室レンガ29の下側のリング263の間で内側の縁に灰が次第に堆積し、バイオマス暖房システム1の稼働時に、この継ぎ目の部分を独立して都合よく封止する。
【0165】
燃焼室レンガ29の中央のリングに、再循環ノズル291または二次空気ノズル291用の(オプションの)開口が設けられている。この場合、二次空気ノズル291は、燃焼室レンガ29における燃焼室24の少なくともほぼ同じ(水平方向の)高さに設けられる。
【0166】
本例では、燃焼室レンガ29のリングを3つ設けたが、これは製造上もメンテナンス上も最も効率的であるからである。あるいは、2個、4個、5個のリングを設けてもよい。
【0167】
燃焼室レンガ29は、高温炭化ケイ素製であると好ましく、そのようにすることで、耐摩耗性に優れたレンガになる。
【0168】
燃焼室レンガ29は、成形レンガとして提供される。燃焼室レンガ29は、燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の内部空間が楕円形の水平断面を有するように成形されており、煙道ガスと空気との混合物が通常は最適な状態では流れないことから燃料の燃焼も最適な状態にならないデッドスポットまたはデッドスペースを、人間工学的な形状によって回避している。このような燃焼室レンガ29の形状がゆえ、火格子25を通る一次空気の流れが火格子25上の燃料の分布に適合し、渦流が妨げられにくくなり、結果として、燃焼効率が高まる。
【0169】
燃焼室24の一次燃焼ゾーン26の楕円形の水平断面は、最小の内径BK3と最大の内径BK11を有する点対称および/または正楕円形であることが好ましい。これらの寸法は、CFDシミュレーションと実用的な試験とを用いて燃焼室24の一次燃焼ゾーン26を最適化した結果である。
(回転火格子)
【0170】
図8に、
図2の断面線A1から見た、回転火格子25の上面図を示す。
【0171】
図8の上面図を、上記にて列挙した寸法で設計することが可能であると好ましい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0172】
回転火格子25は、底板251を基本要素としている。底板251のほぼ楕円形の開口には、回転可能に支持された、第1の回転火格子要素252、第2の回転火格子要素253、第3の回転火格子要素254の間の隙間を埋めるためのつなぎ要素255が設けられている。このように、回転火格子25は、3つの独立した要素を有する回転火格子として提供されている。すなわち、3つ折回転火格子とも称することができる。回転火格子要素252、253、254には、一次空気を流すための空気孔が設けられている。
【0173】
回転火格子要素252、253、254は、例えば金属鋳物からなる平坦で耐熱性の金属板であり、上側に少なくとも大部分が平坦に構成された表面を有し、下側は例えば中間の支持要素を介してベアリング回転軸81に接続されている。上から見ると、回転火格子要素252、253、254は、湾曲して相補的な側面または輪郭を有している。
【0174】
特に、回転火格子要素252、253、254の側面が相互に相補的で湾曲していてもよい。第2の回転火格子要素253の側面が、それぞれ隣接する第1および第3の回転火格子要素252、254に対して凹状であると好ましく、第1および第3の回転火格子要素252、254の側面が、それぞれ第2の回転火格子要素253に対して凸状であると好ましい。このようにすることで、破砕の長さが長くなり、破砕のために作用する力(ハサミに似ている)が一層狙い通りに作用するため、回転火格子要素の破砕機能が改善される。
【0175】
回転火格子要素252、253および254(ならびにつなぎ要素255としての囲いの部分)は、まとめて平面図で見ると外形がほぼ楕円形である。このようにすることで、燃焼が最適にならなかったり望ましくないほど灰が蓄積したりする原因になり得る、デッドコーナーまたはデッドスペースが回避される。この回転火格子要素252、253、254の外形の最適な寸法を、
図8に両端矢印DR1、DR2で示す。DR1およびDR2を以下のように規定すると好ましいが、これは排他的ではない。
DR1=288mm±40mm、好ましくは±20mm
DR2=350mm±60mm、好ましくは±20mm
【0176】
これらの値は、CFDシミュレーションとその後の実用的な試験において最適な値(範囲)であることが明らかになった。これらの寸法は、
図4および
図5における寸法に相当する。これらの寸法は、20~200kWの出力範囲で、異なる燃料すなわち燃料タイプの木質チップやペレットを燃焼させる場合(ハイブリッド燃焼)に特に有利である。
【0177】
この場合、回転火格子25の燃焼領域は楕円形であり、従来の矩形の燃焼領域よりも燃料の分布、燃料空気の流れ、燃料の燃焼の点で有利である。燃焼領域258は、回転火格子要素252、253、254の表面によって(水平状態で)コアに形成されている。したがって、燃焼領域は、回転火格子要素252、253、254の上に向いた表面である。この楕円形の燃焼領域は、好都合なことに、回転火格子25の側面に適用されるか押されるときに燃料支持面に対応している(
図9、
図10、
図11の矢印Eを参照のこと)。特に、回転火格子25の楕円形の燃焼領域の長いほうの中心軸(長軸)に平行な方向から燃料を供給してもよい。
【0178】
第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254は、好ましくは、その燃焼領域258が同一であってもよい。さらに、第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254は、互いに同一であるか同一の構造であってもよい。これは、例えば、第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254とが同一の形状を有する
図9で確認することができる。
【0179】
さらに、第2の回転火格子要素253は、第1の回転火格子要素252と第3の回転火格子要素254との間に配置されている。
【0180】
回転火格子25には、ほぼ点対称の楕円形の燃焼領域258があると好ましい。
【0181】
同様に、回転火格子25によって、DR2が長軸の寸法であり、DR1が短軸の寸法である、ほぼ楕円形の燃焼領域258が形成されていてもよい。
【0182】
さらに、回転火格子25の燃焼領域258が、当該燃焼領域258の中心軸に対して軸対称である、ほぼ楕円形のものであってもよい。
【0183】
さらに、回転火格子25の燃焼領域258が、ほぼ円形であってもよいが、これは燃料の供給と分配の点でいくぶん不利である。
【0184】
さらに、回転火格子要素252、253、254を適宜回転させるために、回転機構23の2つのモーターまたは駆動部231が設けられている。この回転火格子25の特定の機能および利点の詳細については、
図9、
図10および
図11を参照して後述する。
【0185】
特に、ペレットおよび木質チップの暖房システムでは(特にハイブリッドバイオマス暖房システムでは)、燃焼室24、特に回転火格子25上でのスラグの形成により、次第に故障が起こりやすくなる可能性がある。スラグは、燃焼過程で余燼が灰融点よりも高い温度になるたびに形成される。その後、灰が軟化し、互いに融合し、冷却後に固体となり、暗色のスラグになることも多い。このプロセスは焼結としても知られており、燃焼室24にスラグが蓄積されると、燃焼室24が誤動作すなわち停止するため、バイオマス暖房システム1では望ましくない。通常、燃焼室24を開放し、スラグを除去しなければならない。
【0186】
灰溶融範囲(焼結点から降伏点まで)は、使用する燃料材によって大きく異なる。例えば、スプルース材の臨界温度は約1,200℃である。しかしながら、燃料の灰溶融範囲が大幅に変動する可能性もある。木材に含まれる鉱物の量や組成によって、燃焼過程での灰の挙動が変化する。
【0187】
スラグの生成に影響を与えうる別の要因として、木質ペレットまたは木材チップの搬送と保管があげられる。これらは、できるだけ破損していない状態で燃焼室24に投入される必要がある。燃焼プロセスに入るときに木質ペレットがすでに砕かれていると、グローベッドの密度が高くなる。その結果、さらに大きなスラグが形成される。特に、ここでは貯蔵室から燃焼室24への搬送が重要である。特に長い経路、曲がった部分や角度が、木質ペレットの損傷や磨耗につながる。
【0188】
もうひとつの要因として、燃焼過程の管理がある。これまで、可能なかぎり最良の燃焼状態と低エミッションを達成するために、むしろ温度を高く保つことが目標とされてきた。燃焼室の幾何学形状と回転火格子25の燃焼ゾーン258の幾何学形状を最適化することで、火格子では燃焼温度を低めに保ち、二次空気ノズル291の領域では高く保つことができ、火格子でのスラグの形成を抑制することができる。
【0189】
さらに、回転火格子25の特定の形状と機能により、発生するスラグ(および灰)を都合よく除去することができる。これについて、以下、
図9、
図10および
図11を参照してより詳細に説明する。
【0190】
図9、
図10、
図11に、底板251、第1の回転火格子要素252、第2の回転火格子要素253、第3の回転火格子要素254を含む回転火格子25の三次元図を示す。
図9、
図10および
図11の図を、上記にて列挙した寸法に対応させることができると好ましい。しかしながら、必ずしもそうであるとは限らない。
【0191】
この図では、回転火格子25を、回転火格子機構23および駆動部231を備えた露出したスライドイン部品として示してある。回転火格子25は、モジュールシステムのようにして個別にあらかじめ製造し、ボイラー11に設けられた細長い開口にスライドイン部品として挿入して設置することができるように、機械的に設けられている。そのようにすることで、この摩耗しやすい部品の保守が容易になる。こうして、回転火格子25をモジュール設計にしておくことができると好ましく、それによって、回転火格子機構23と駆動部231を備えた完全な構成要素として、迅速かつ効率的に取り外し、挿入しなおすことが可能である。また、モジュール化された回転火格子25を、手軽に解放される固定具で組み立てたり分解したりすることもできる。これに対して、従来技術における回転火格子は、通常は固定されており、メンテナンスや設置が困難である。
【0192】
駆動部231には、別々に制御可能な2つの電動機が含まれていてもよい。これらが回転火格子機構23の側面に設けられていると好ましい。電動機に、減速ギアを備えることも可能である。さらに、回転火格子要素252、253、254の端の位置に対するエンドストップを提供するために、エンドストップスイッチを設けてもよい。
【0193】
回転火格子機構23の個々の構成要素は、交換可能であるように設計されている。例えば、歯車は取り付け可能なように設計されている。このようにすることで、メンテナンスが容易になり、必要に応じて、組み立て時に機構を側面から交換することができる。
【0194】
上述した開口256は、回転火格子25の回転火格子要素252、253、254に設けられている。回転火格子要素252、253、254については、ここでは2つのモーター231である駆動部231によって回転機構23を介して駆動されるそれぞれのベアリング軸81を介して、それぞれのベアリング軸または回転軸81を中心に少なくとも90度、好ましくは少なくとも120度、さらに好ましくは170度、回転させることが可能である。ここで、最大回転角は、火格子リップ257で許容されるように、180度あるいは180度よりわずかに小さい角度であればよい。この点で、回転機構23は、第3の回転火格子要素254が第1の回転火格子要素252および第2の回転火格子要素243とは独立して個別に回転できるように、かつ、第1の回転火格子要素252と第2の回転火格子要素243とが、第3の回転火格子要素254とは独立して一緒に回転できるように配置されている。回転機構23は、例えば、インペラ、歯付きベルトまたは駆動ベルトおよび/または歯車によって、適宜提供すればよい。
【0195】
回転火格子要素252、253、254は、正確な形状を確実に保てるようにするために、レーザー切断して鋳造火格子として製造可能なものであると好ましい。これは特に、燃料層28を通る空気流をできるだけ正確に規定し、回転火格子要素252、253、254の縁で空気のストランドなどの空気流が乱れるのを回避するためである。
【0196】
回転火格子要素252、253、254の開口256は、通常のペレット材料および/または木材チップが落下しない程度に小さく、燃料が十分に通気される程度に大きくなるように配置されている。さらに、開口256は、灰粒子や不純物が詰まる程度の大きさである(例えば、燃料中の石ではない)。
【0197】
ここで、
図9に、すべての回転火格子要素252、253、254が水平に整列しているか、閉じている、閉鎖位置の回転火格子25を示す。これは、制御モードでの位置である。複数の開口256を均一に配置することで、回転火格子25の燃料層28(
図9には図示せず)を通る燃料の均一な流れが保証される。この点で、ここでは最適な燃焼状態を作り出すことができる。燃料は、矢印Eの方向から回転火格子25に投入される。この点で、燃料は
図9の右側から回転火格子25上に押し上げられることになる。
【0198】
稼働時、回転火格子25、特に回転火格子要素252、253、254に、灰およびまたはスラグが蓄積される。ここでは、回転火格子25を使用することで、回転火格子25を効率的に清掃することができる。
【0199】
図10に、余燼メンテナンスモードで回転火格子25の部分的な清掃を行った状態で、回転火格子を示す。この目的で、第3の回転火格子要素254だけが回転される。3つの回転火格子要素のうちの1つだけを回転させることで、第1の回転火格子252および第2の回転火格子要素253上に余燼が残り、同時に灰とスラグを落下させて燃焼室24から出すことができる。その結果、運転再開のための外からの点火が不要になる(これにより、点火エネルギーが最大90%節約される)。別の結果として、点火装置(例えば、点火棒)の摩耗が減り、電力が節約される。さらに、好都合なことに、灰の清掃をバイオマス暖房システム1の稼働時に行うことができる。
【0200】
また、
図10には、(既に十分な場合も多い)部分清掃時にアニーリングが行われた状態も示す。好都合なことに、このようにシステム1の動作をより連続的にすることができる。これは、従来の火格子の通常の完全清掃とは対照的に、数十分かかる可能性がある長時間の完全点火を行う必要がないことを意味する。
【0201】
さらに、第3の回転火格子要素254の2つの外縁における潜在的なスラグ形成または蓄積は、その回転時に(分断)され、第3の回転火格子要素254の曲がった外縁により、従来技術の既存の矩形要素より大きい全長にわたって剪断が生じるだけでなく、外縁に対する運動の不均一な分布でも剪断が生じる(下縁および上縁よりも中央のほうが大きな運動が生じる)。このため、回転火格子25の破砕機能が大幅に向上する。
【0202】
図10では、第2の回転火格子要素253の火格子リップ257(両側)が見えている。これらの火格子リップ257は、第1の回転火格子要素252および第3の回転火格子要素254がその閉鎖状態で火格子リップ257の上側に乗るように配置されている。このため、回転火格子要素252、253、254は、互いに隙間なく密着した状態で提供されている。これにより、グローベッドを流れる不均一で不要な一次空気の流れや空気のストランドが防止される。好都合なことに、これによって燃焼効率が改善される。
【0203】
図11に、好ましくはシステムの停止中に実施される完全清掃状態にある回転火格子25を示す。この場合、3つの回転火格子要素252、253、254がいずれも回転され、第1の回転火格子要素252および第2の回転火格子要素253が、第3の回転火格子要素254とは反対方向に回転されると好ましい。一方では、これによって回転火格子25を完全に空にすることができ、他方では灰とスラグが4つの不揃いな外縁で分断される。すなわち、都合のよい4倍の破砕機能が実現される。外縁の幾何学形状について
図9を参照して上述した内容は、
図10に関してもあてはまる。
【0204】
要約すると、この回転火格子25では、好都合なことに通常運転(
図9参照)に加えて2通りの清掃(
図10および
図11参照)が実現され、部分清掃ではシステム1の稼働時の清掃が可能になる。
【0205】
それに比べて、市販の回転火格子システムは人間工学的に優れておらず、幾何学形状が長方形であるため一次空気が燃料中を最適な状態では流れず、空気のストランドが発生しやすい死角がある。また、この死角部分ではスラグが発生する。このため、燃焼状態が悪くなり、効率も劣る。
【0206】
この回転火格子25の単純な機械的設計により、堅牢で信頼性が高く、耐久性に優れた回転火格子になる。
(再循環装置)
【0207】
上述した燃焼室の幾何学形状との相乗効果で、熱交換器3を最適化するために、CFDシミュレーションと現場での試験を再度実施した。また、スプリングタービンまたはバンドタービュレーターまたはこれらの組み合わせで、熱交換器3の圧力損失を大きくしすぎることなく、熱交換過程の効率をどの程度向上させることができるか否かも確認した。タービュレーターは、ボイラー管32の中で乱流を増やすことで流速を減少させ、ボイラー管32内での煙道ガスの滞留時間を長くして、熱交換の効率を増加させる。具体的には、流れの境界層が管壁で分断され、熱伝達が改善される。しかしながら、流れの乱れが大きくなると、圧力降下も大きくなる。
【0208】
また、煙道ガスと接触するすべての表面について、軽い汚れ(厚さ1mmのいわゆるファウリング)も考慮した。このようなファウリング層の放射率を0.6と仮定した。
【0209】
この最適化の結果を、
図2の切り欠き詳細図である
図12に示す。
【0210】
熱交換器3は、垂直に配置されたボイラー管32の束を有し、各々のボイラー管32がスプリングタービュレーターとバンドタービュレーターまたはスパイラルタービュレーターの両方を備えていると好ましい。それぞれのスプリングタービュレーター36は、好ましくはそれぞれのボイラー管32の長さ全体にのび、スプリング形状である。それぞれのバンドタービュレーター37は、好ましくは、それぞれのボイラー管32の長さの約半分にわたってのびていて、かつ、ボイラー管32の軸方向に螺旋状にのびる厚さ1.5mm~3mmのベルトを有する。さらに、それぞれのバンドタービュレーター37は、それぞれのボイラー管32の長さの約35%~65%の長さであってもよい。また、それぞれのバンドタービュレーター37は、一端がそれぞれのボイラー管32の下流側の端に配置されていると好ましい。スプリングタービュレーターとバンドタービュレーターまたはスパイラルタービュレーターとの組み合わせを、ダブルタービュレーターと呼ぶこともできる。バンドタービュレーターとスパイラルタービュレーターの両方を、
図12に示す。このデュアルタービュレーターでは、バンドタービュレーター37が、スプリングタービュレーター36の中に配置されている。
【0211】
バンドタービュレーター37を設けたのは、バンドタービュレーター37がボイラー管32内の乱流効果を増大させ、管の断面で見たときに、温度プロファイルや速度プロファイルをより均一にするのに対し、バンドタービュレーターがないと、管の中心に、ボイラー管32の出口まで続く速度が高めのホットストリークが形成されやすく、熱伝達の効率に悪影響が出るためである。このように、ボイラー管32の底にあるバンドタービュレーター37は、対流による熱伝達を改善する。
【0212】
最適な好ましい例として、直径76.1mm、肉厚3.6mmのボイラー管22本を使用することができる。
【0213】
この場合の圧力降下を、25Pa未満にすることができる。この場合、スプリングタービュレーター36は、理想的には外径が65mm、ピッチが50mm、横断面が10×3mmである。この場合、バンドタービュレーター37は、外径が43mm、ピッチが150mm、横断面が43×2mmであってもよい。バンドタービュレーターのシート厚については、2mmとすることができる。
【0214】
直径70~85mm、肉厚3~4.5mmのボイラー管18~24本で良好な効率が達成される。適当なスプリングタービュレーターとバンドタービュレーターを使用すればよい。
【0215】
しかしながら、十分な効率を達成するためには、直径60~80mm、肉厚2~5mmのボイラー管32を14~28本使用することができる。これらの場合の圧力降下は、20~40Paの間になり得るため、陽圧とみなすことができる。スプリングタービュレーター36およびバンドタービュレーター37の外径、ピッチおよび横断面は、好適に提供される。
【0216】
ボイラー管32の出口における所望の目標温度については、定格出力で100~160℃にすることができると好ましい。
【0217】
(ボイラー用の清掃装置)
【0218】
図13に、熱交換器3とフィルター装置4の両方を自動で清掃することができる清掃装置9を示す。
図13では、説明のために、ボイラー11からの清掃装置を強調して示してある。清掃装置9は、ボイラー11全体に関係し、ボイラー11の対流部分ならびにオプションで静電フィルター装置4を組み込むことが可能な最終ボイラー経路にも関係する。
【0219】
清掃装置9は、好ましくは電動機である2つの清掃用駆動部91を有し、これらの駆動部が2本の清掃用シャフト92を回転可能に駆動する。これらのシャフトは、シャフトホルダ93に装着されている。清掃用シャフト92を、他の場所、例えば遠位端にも同様に回転可能に取り付けることができると好ましい。清掃用シャフト92は突出部94を有し、この突出部に、フィルター装置4のケージ48およびタービュレーターホルダー/ブラケット95が、ジョイントまたはピボット軸受けを介して接続されている。
【0220】
このタービュレーターホルダー95を、
図14に強調して拡大表示する。タービュレーターホルダー95は櫛歯状であり、水平方向に対称であると好ましい。さらに、タービュレーターホルダー95は、厚み方向Dの厚さが2mm~5mmの平らな金属片として形成されている。タービュレーターホルダー95は、その下面に、清掃用シャフト92の突出部94のピボットベアリングジャーナル(図示せず)と接続するための2つのピボット軸受取付部951を有する。ピボット軸受取付部951は水平方向のクリアランスを有し、その中で、ピボット軸受ジャーナルまたはピボット軸受連結部955が前後に動くことができる/動いてもよい。垂直方向に突出する突出部952には、デュアルタービュレーター36、37を固定することが可能な複数の凹部954が設けられている。凹部954は、ツインタービュレーター36、37のギア間隔に等しい距離だけ離間していてもよい。さらに、ボイラー管32からフィルター装置4への流れを最適化するために、タービュレーター支持部95に煙道ガス用のカルバート953を配置することができると好ましい。そうしないと、平らな金属が流れに対して直角に立ち、流れを妨害しすぎることになる。
【0221】
また、スパイラルタービュレーター(ダブルタービュレーター)を含むそれぞれのスプリングタービュレーター36を装着すると、スパイラルが自重によって自動的に回転してタービュレーターホルダー95のソケット(受けロッドともいう)の中に入りし、固定されるようになっている。このため、組み立てが大幅に容易になる。
【0222】
図15および
図16に、ケージ48のないクリーニング機構9を2つの異なる状態で示す。この場合、ケージ装着部481をより明確に見ることができる。
【0223】
図15に、タービュレーターホルダー95とケージ装着部481の両方が下降位置にある第1の状態でのクリーニング機構9を示す。一方の清掃用シャフト92に取り付けられているのは、インパクト/ストップヘッド97を備えた2腕式のインパクト/ストップレバー96である。あるいは、インパクトレバー96は、1つ以上のアームを備えていてもよい。インパクトヘッド97を有するインパクトレバー96は、(スプレー)電極45の端まで移動する、すなわちこれを叩くことができるように設定されている。
【0224】
図16に、タービュレーターホルダー95とケージ装着部481の両方が上の位置にある、第2の状態でのクリーニング機構9を示す。
【0225】
第1の状態から第2の状態(その逆も)への移行時に、清掃用駆動部91によって清掃用シャフト92が回転すると、突出部952(およびピボットリンク955)を介してタービュレーターホルダー95とケージ装着部481の両方が垂直に持ち上げられる。これにより、ボイラー管32内のツインタービュレーター36、37や、フィルター装置4の煙突内のケージ48を上下に動かすことができるようになり、それぞれの壁面に付着したフライアッシュ等を適宜清掃することができる。
【0226】
さらに、インパクトヘッド97を有するストライカー96が、第1の状態から第2の状態への移行時に、(スプレー)電極45の端を叩いてもよい。このように(スプレー)電極45の自由端(すなわち、吊り下げられていない端)で電極を叩くことには、従来の振動機構(電極が吊り下げによって移動する)に比べて、叩かれたこと自体による加振後に(スプレー)電極45が自らの振動特性に従って(理想的には自由に)振動することができるという利点がある。ここで、(スプレー)電極45の振動または振動モードは、衝撃の種類によって決まる。衝撃波や縦振動の励起用に、(スプレー)電極45を下から(すなわち、その長手軸の方向または長手方向から)叩くことが可能である。しかしながら、(スプレー)電極45を横方向から(
図15および
図16では、例えば矢印Vの方向から)叩いて横振動させることも可能である。あるいは、(スプレー)電極45の端を下から(
図15および
図16に示すように)やや横にずれた方向から叩いてもよい。後者の場合、(打撃によって)(スプレー)電極45に何種類かの異なる振動が発生し、清掃効果とうまく相まって清掃効率を向上させることができる。特に、(スプレー)電極45の表面に対する横振動の剪断効果により、清掃効果を向上させることができる。
【0227】
この点で、好ましくは細長い板状の棒として設計される弾性のスプリング電極45の長手方向に、衝撃または衝撃波を発生させることができる。同様に、作用する横方向の力(電極45の長手軸方向に対して横方向すなわち直角方向)によって、(スプレー)電極45の横振動が発生することもある。
【0228】
同様に、何種類かの振動を同時に発生させることも可能である。特に、電極45の横振動と組み合わせた衝撃波および/または縦方向の波も、電極45の清掃の向上につなげることができる。
【0229】
その結果、排出スクリュー71によって灰を除去して加熱システム(図示せず)の前面にある共通の灰箱に送る際に全自動で清掃を実施することができる。同様に、ばね鋼電極48を、摩耗させることなく騒音も抑えて清掃することができる。
【0230】
さらに、清掃装置9は、説明したような方法で容易かつ安価に製造することができ、単純で摩耗の少ない構造を有している。
【0231】
さらに、駆動機構を有する清掃装置9は、有利には灰残渣がタービュレーターによってボイラー管32の第1の通気部から清掃によって除去され、下に落下し得るように設定されている。
【0232】
また、清掃装置9は、ボイラー11の下部のいわゆる「低温領域」に設置されている。このため、機械部品が極めて高い温度にさらされることがなく(すなわち、熱負荷が小さくなる)、摩耗も減少する。これに対して、従来技術ではクリーニング機構がシステムの上部の領域に設置されており、その度合いに応じて都合のよくない摩耗が増加する。
【0233】
定期的な自動清掃により、熱交換器3の表面が一層清潔になるため、システム1の効率も向上する。同様に、フィルター装置4も、表面がさらに清潔になることで一層効率的に動作することができる。フィルター装置4の電極はボイラー11の対流部より早く汚れるため、このことも重要である。
【0234】
この場合、稼働時、具体的にはボイラー11の稼働時にも、フィルター装置4の電極を清掃することが可能であると都合がよい。
【0235】
(システムおよびボイラー構成要素のモジュール化)
【0236】
バイオマス暖房システム1は、下部ボイラー領域における駆動機構全体(回転火格子、熱交換器クリーニング機構、移動床用の駆動機構、フィルター装置用の機構、清掃バスケットおよび駆動軸ならびに灰排出スクリューを含む回転火格子機構を含む)を、「引き出しの原理」で迅速かつ効率的に取り外しおよび再挿入することができるように設計されていると好ましい。これの一例を、
図9から
図11を参照して回転火格子25で上述している。これにより、メンテナンス作業が容易になる。
【0237】
(グローベッド高さ測定)
【0238】
図17に、燃料レベルフラップ83を有するグローベッド高さ測定機構86を(抜き出して)示す。
図18には、
図17の燃料レベルフラップ83の詳細図を示す。
【0239】
詳細に説明すると、グローベッド高さ測定機構86は、燃料レベルフラップ83用の回転軸82を含む。回転軸82には中心軸832があり、片面に回転軸82を保持するための軸受けノッチ84が設けられているとともに、角度センサーまたは回転センサー(図示せず)を取り付けるためのセンサフランジ85も有する。
【0240】
回転軸82は、横断面が六角形であると好ましい。燃料レベルフラップ83を取り付ける部分には、内側が六角形の開口834を2つ含むようにしてもよい。これによって、燃料レベルフラップ83を回転軸82に押し付けるだけで固定することができるようになる。さらに、燃料レベルフラップ83は、単純な板金成型品であってもよい。
【0241】
グローベッド高さ測定機構86は、燃焼室24内に、好ましくは中心からわずかにずれた位置で、燃料層28、具体的には燃焼領域258の上に設けられる。燃料レベルフラップ83は、燃料があれば、その燃料すなわち燃料層28の高さに応じて上昇し、それによって、燃料層28の高さに対応して回転軸82が回転する。この回転は回転軸82の絶対角度でもあり、(図示しない)非接触の回転センサーおよび/または角度センサーで検出することができる。このように、効率的かつ堅牢なグローベッド高さ測定を実施することができる。
【0242】
燃料レベルフラップ83は、回転軸82の中心軸823に対して斜めになるように設けられている。詳細には、燃料レベルフラップ83の主面831の表面平行835は、回転軸82の中心軸823に対して角度をなして配置されてもよい。この角度を10~45°にすることができると好ましい。角度の測定については、表面平行835と中心軸823とが中心軸823で交差(水平に投影)して角度をなすと考えられることに留意されたい。さらに、表面平行835は一般に、燃料レベルフラップ83の前縁とは平行にならない。
【0243】
燃焼室24への燃料供給6では燃料が平らに分散されず、細長く丘のように盛り上がる。その結果、回転火格子25の表面に対して平行な回転軸82の中心軸823と斜めの燃料レベルフラップ83によって、燃料レベルフラップ83の主面/領域831が燃料の山すなわち燃料層28の上に平らに乗るように、いくぶん斜めの燃料の分布に合うようにされている。このように、燃料レベルフラップ83を平らに支持することで、燃料層28の凹凸による測定誤差を減らし、測定精度と人間工学を改善することができる。
【0244】
さらに、上記にて示した燃料レベルフラップ83の幾何学形状により、異なる燃料(木片、ペレット)であっても、非接触の回転センサーおよび/または角度センサーによってグローベッドの正確な高さを決定することができる。人間工学的に傾斜した形状は、給炭ストーカースクリューによっていくぶん斜めに導入される燃料に理想的に適合し、代表的な測定値を保証する。
【0245】
グローベッドの高さを測定することで、回転火格子25の燃焼領域258の上に残っている燃料の高さ(および量)をさらに正確に決定することができ、それによって、燃焼過程を最適化することができるように燃料層28を通る燃料の供給と流れを制御することが可能になる。
【0246】
また、このセンサーの製造および組み立ては容易であり、安価でもある。
(バイオマス暖房システム1の流体設計)
【0247】
図19に、二次空気ノズル291の高さで燃焼室を通り、
図5の水平断面線A6に沿った水平断面図を示す。
【0248】
図19に示す寸法は、あくまで例として理解されるべきものであり、特に
図3の技術的な教示内容を明確にするためにのみ役立つものである。
【0249】
例えば、二次空気ノズル291の長さは、40~60mmであってもよい。例えば、円筒形または円錐台形の二次空気ノズル291の(最大)直径は、20mm~25mmであってもよい。
【0250】
図示の角度は、楕円の長径に最も近い2つの二次空気ノズル291に関するものである。26.1°として例示した角度は、二次空気ノズル291の中心軸と、燃焼室24の楕円の長径との間で測定される。この角度を、15°~35°の範囲にすることができると好ましい。残りの二次空気ノズル291については、渦流を作用させるために(例えば、燃焼室壁24に対して)楕円の長径に最も近い2つの二次空気ノズル291の中心軸の角度に機能的に対応する角度をなしていてもよい。
【0251】
図19に示した10個の二次空気ノズル291は、それぞれの破(中心)線で示す中心軸または向きが、燃焼室の楕円形の(対称)中心から外れるように配置されている。すなわち、二次空気ノズル291は、楕円形の燃焼室24の中心を目指さず、その中心すなわち中心軸(
図4ではA2と表示)を通り過ぎている。このため、中心軸A2を、楕円形の燃焼室の幾何学形状24に関する対称軸として理解することも可能である。
【0252】
二次空気ノズル291は、二次空気を、水平面で見て接線方向に燃焼室24の中に導入するような向きで配置されている。すなわち、二次空気ノズル291はそれぞれ、燃焼室の中心に向けられない二次空気の入口として設けられている。なお、燃焼室の幾何学形状が円形である場合にも、このような接線方向の入口を用いることができる。
【0253】
ここで、二次空気ノズル291はいずれも、各々が時計回りまたは反時計回りのいずれかの流れを生じるような向きに配置されている。この点、各々の二次空気ノズル291を同じような向きにすることで、二次空気ノズル291を渦流の発生に寄与させることができる。上記に関して、例外的に、個々の二次空気ノズル291を(中心に向かう)中立の向きまたは逆の向き(反対の向き)で配置してもよいが、そのようにすると配置の流体効率が悪化する場合がある点に注意されたい。
【0254】
図20に、二次空気ノズル291の高さで
図2および
図4の燃焼室24を通る、異なるボイラー寸法(50kW、100kWおよび200kW)についての3つの水平断面図を、それぞれの公称負荷での例における当該断面の流れ分布の詳細を示す。
【0255】
図20で灰色の濃淡が等しいのは、おおむね流速が等しい領域を示す。大ざっぱにいうと、
図20から明らかなように、二次空気ノズル291は、燃焼室24の中に接線方向すなわち中心から外れた位置でノズル流を作用させる。
【0256】
明確にするために、これらのノズル流の関連する流速を、
図20に例として明示的に示してある。得られるノズル流は、燃焼室24の中に比較的遠くまでのびており、これを利用して、燃焼室24の内部空間の大部分を覆う強い渦流を生じさせることができることが分かる。
【0257】
200kWのボイラーでのディメンショニングについてのCFD計算の燃焼室24の矢印は、二次空気ノズル291によって生じる渦流のスワールまたは渦の方向を示している。同様に、これは
図20の他の2つのボイラー寸法(50kW、100kW)にも類推的に適用される。(上から見て)右巻の渦流を例としてとりあげる。
【0258】
二次空気ノズル291を通って、燃焼室24に二次空気(単なる周囲空気であると好ましい)が導入される。この際、二次空気ノズル内の二次空気は、公称負荷での例では、ノズル内で10m/sよりも高い速度まで加速される。従来技術の二次空気開口部と比較して、燃焼室24内で生じる空気ジェットの侵入深さは増加し、燃焼室の内部空間の大部分で有効な渦流を誘発するのに十分なものになる。
【0259】
燃焼室24の楕円形(あるいは円形)の断面では、空気が接線方向で燃焼室24に入ることで、比較的乱れのない渦流が生じる。これは、スワールまたは吸込み渦流とも呼ばれることがある。ここでは、渦流/螺旋流が形成される。これらの螺旋流は、燃焼室24内を螺旋状または渦巻き状に上に向かって進む。
【0260】
図21に、
図1の断面線SL1に沿ってバイオマス暖房システムを通る、異なるボイラー寸法(50kW、100kW、200kW)についての3つの垂直断面図を、この断面への二次ノズル流の接線方向の進入の詳細とともに示す。
【0261】
また、
図21で灰色の濃淡が等しいのは、おおむね流速が等しい領域を示す。大ざっぱにいうと、
図21から、二次燃焼ゾーン27には、ろうそく炎状の回転流S2(
図3も参照)が存在し、この流れは燃焼室天井204まで都合よく到達することができることがわかる。また、ボイラー管32を通る流れは、上述した入口33の方向の漏斗により、約1~2m/sでかなり均一であることが分かる。これらの利点と技術的背景については、
図1~
図4についての説明を参照のこと。
(他の実施形態)
【0262】
本発明は、上述した実施形態および態様に加えて、他の設計原理を認めるものである。したがって、当業者にとって実行可能であることが明らかである限り、様々な実施形態および態様の個々の特徴を、所望の形で互いに組み合わせることもできる。
【0263】
さらに、3つの回転火格子要素252、253および254だけを用いる代わりに、2つ、4つまたはそれ以上の回転火格子要素を提供してもよい。例えば、5つの回転火格子要素を使用して、提示した3つの回転火格子要素と同一の対称性および機能性で配置することもできるであろう。さらに、回転火格子要素を互いに異なる形に成形または形成することも可能である。また、回転火格子要素を増やせば、粉砕機能が増すという利点がある。
【0264】
他の寸法や寸法の組み合わせも提供可能であることに注意されたい。
【0265】
回転火格子要素252、254の凸状の側面の代わりに、凹状の側面を設けてもよく、回転火格子要素253の側面が順に相補的な凸状であってもよい。これは機能的にほぼ同等である。
【0266】
図19には、10本の二次空気ノズル291を示したが、(バイオマス暖房システムの寸法に応じて)異なる数の二次空気ノズル291を設けてもよい。
【0267】
燃焼室24内の回転流または渦流は、時計回り方向であっても反時計回り方向であってもよい。
【0268】
また、燃焼室天井204に段差をつけるなどして、部分的に傾斜させてもよい。
【0269】
二次空気ノズル291は、燃焼室レンガ291に設けられた純粋な円筒形の穴に限定されるものではない。これらは、円錐台形の開口や側面がくびれた開口の形であってもよい。
【0270】
二次(再)循環では、二次空気または新鮮な空気だけを供給することができ、この点では、煙道ガスを再循環させるのではなく、単に新鮮な空気を供給するにとどまる。
【0271】
例示的な実施形態に関連して示した寸法と数値は、単に例示的なものとして理解されるものとする。本明細書に開示するこの技術的な教示内容は、これらの寸法に限定されるものではなく、例えば、ボイラー11の寸法(kW)を変更した場合には、寸法も変更することができる。
【0272】
バイオマス暖房システムの燃料としては、木質チップまたはペレット以外の燃料を使用することも可能である。
【0273】
また、本明細書に開示するバイオマス暖房システムでは、1種類の燃料のみ、例えば、ペレットのみを用いた燃焼も可能である。
【0274】
本明細書に開示の実施形態は、開示された技術的事項を説明し理解するために提供されたものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。したがって、本開示の範囲には、本開示の技術的意図に基づく改変または他の様々な実施形態が含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0275】
1 バイオマス暖房システム
11 ボイラー
12 ボイラー脚
13 ボイラー筐体
14 水循環装置
15 送風機
16 外装
2 燃焼装置
21 燃焼装置用の第1のメンテナンス開口
22 回転機構ホルダー
23 回転機構
24 燃焼室
25 回転火格子
26 燃焼室の一次燃焼ゾーン
27 燃焼室の二次燃焼ゾーンまたは輻射部
28 燃料層
29 燃焼室レンガ
A1 第1の水平断面線
A2 楕円形の燃焼室24の第1の垂直断面線および垂直方向の中心軸
201 点火装置
202 燃焼室斜面
203 燃焼室ノズル
204 燃焼室天井
231 回転機構の駆動部またはモーター
251 回転火格子の底板またはベースプレート
252 第1の回転火格子要素
253 第2の回転火格子要素
254 第3の回転火格子要素
255 つなぎ要素
256 開口
257 火格子リップ
258 燃焼領域
260 燃焼室レンガの支持面
261 溝
262 リード
263 リング
264 保持用石
265 取付用ブロックの斜面
3 熱交換器
31 熱交換器用のメンテナンス開口
32 ボイラー管
33 ボイラー管の入口
34 ターニングチャンバーエントリ/入口
35 ターニングチャンバー
36 スプリングタービュレーター
37 バンドタービュレーターまたはスパイラルタービュレーター
38 熱交換媒体
4 フィルター装置
41 排ガス出口
42 電極給電ライン
43 電極ホルダー
44 フィルターの入口
45 電極
46 電極絶縁体
47 フィルターの出口
48 ケージ
5 再循環装置
51、54 再循環チャネル
52 フラップ
53 再循環チャネル
6 燃料供給装置
61 回転弁
62 燃料供給装置軸
63 並進メカニクス/機構
64 燃料供給装置ダクト
65 燃料供給装置開口
66 駆動モーター
67 燃料スクリューコンベア
7 灰除去部
71 灰排出スクリューコンベア
72 メカニクスを有する灰除去モーター
81 ベアリング回転軸
82 燃料レベルフラップの回転軸
83 燃料レベルフラップ
831 主領域
832 中心軸
835 表面平行
84 軸受ノッチ/支持ノッチ
85 センサーフランジ
86 グローベッド高さ測定機構
9 清掃装置
91 清掃用駆動部
92 清掃用シャフト
93 シャフトホルダー
94 突出部
95 タービュレーターホルダー
951 ピボット軸受取付部
952 突出部
953 カルバート
954 凹部
955 ピボット軸受連結部
96 2腕インパクトレバー
97 インパクトヘッド
211 Vermiculiteなどの断熱材
291 二次空気ノズルまたは再循環ノズル
E 燃料の投入方向
331 ボイラー管の入口の断熱材
481 ケージ装着部
【手続補正書】
【提出日】2022-05-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット及び木質チップの少なくとも1つの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムであって、
燃焼装置を有するボイラーと、
複数のボイラー管を有する熱交換器と、を備え、
前記燃焼装置が、回転火格子と、一次燃焼ゾーンと、二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、
前記一次燃焼ゾーンは、
前記回転火格子によって下側から囲まれており、
前記一次燃焼ゾーンと前記二次燃焼ゾーンとが、燃焼室ノズルで分離され、
前記燃焼室の前記二次燃焼ゾーンが、前記熱交換器の入口と流体的に接続
され、
前記一次燃焼ゾーンは、複数の燃焼室レンガによって横方向から囲まれるとともに、楕円形の水平方向断面を持つ、バイオマス暖房システム。
【請求項2】
前記一次燃焼ゾーンの水平方向断面は、常に少なくとも100mmの高さを有するように設計される、
請求項1に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項3】
前記二次燃焼ゾーンにおける前記燃焼室は、前記熱交換器の前記入口の方向で前記二次燃焼ゾーンの断面を先細りにする燃焼室傾斜を有する燃焼室斜面を有する、
請求項1または2に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項4】
前記回転火格子は、第1の回転火格子要素、第2の回転火格子要素および第3の回転火格子要素を回転火格子要素として有し、
前記回転火格子要素の各々は、水平に配置されたベアリング軸を中心に、少なくとも90度回転可能に配置され、
前記回転火格子要素は、燃料用の燃焼面を形成するとともに、燃焼用空気用の開口を有し、
前記第1の回転火格子要素及び前記第3の回転火格子要素は、同一形状の燃焼面を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項5】
前記第2の回転火格子要素は、前記第1の回転火格子要素と前記第3の回転火格子要素との間に確実に配置され、
前記第2の回転火格子要素は、前記回転火格子要素が全て水平な姿勢をとる場合に前記第1の回転火格子要素と前記第3の回転火格子要素とに対して少なくとも大部分が密着するように配置された、火格子リップを有する、
請求項4に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項6】
前記回転火格子は、回転火格子機構をさらに備え、
前記回転火格子機構は、前記第3の回転火格子要素を前記第1の回転火格子要素および前記第2の回転火格子要素から独立して回転させ、かつ、前記第1の回転火格子要素と前記第2の回転火格子要素とを、一緒であるが前記第3の回転火格子要素とは独立して回転させるように構成されている、
請求項4または5に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項7】
前記回転火格子要素の前記回転火格子の前記燃焼面は、楕円または長円形の燃焼領域を構成する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項8】
前記回転火格子要素は、相互に相補的に湾曲した側面を有し、
前記第2の回転火格子要素は、隣接する前記第1の回転火格子要素および前記第3の回転火格子要素のそれぞれに対して凹状となった側面を有し、
前記第1の回転火格子要素および前記第3の回転火格子要素のそれぞれは、前記第2の回転火格子要素に対して凸状となった側面を有する、
請求項4から7のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項9】
前記燃焼室レンガはモジュール構造を有し、前記燃焼室レンガのうち対称形となる2つ各々が閉じたリングを形成して一次燃焼ゾーンを形成し、かつ、
前記燃焼室レンガの少なくとも2つのリングが互いに積み重なっている、
請求項1から8のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項10】
前記熱交換器は、
前記ボイラー管の中に配置されて前記ボイラー管の全長に亘ってのびるスパイラルタービュレーターと、
前記ボイラー管の中に配置されて前記ボイラー管の少なくとも半分の長さに亘ってのびるバンドタービュレーターと、を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項11】
前記熱交換器は、直径70~85mm、肉厚3~4mmのボイラー管を18~24本有する、
請求項1から10のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項12】
前記ボイラーは、電極及びケージを有する一体的な静電フィルター装置を備え、
前記ボイラーは、機械的に動作する清掃装置をさらに備え、
前記清掃装置はストップヘッドを持つロッキングレバーを有し、
前記清掃装置は、前記ストップヘッドで前記電極の端を叩くことにより、前記電極に生じる衝撃波と前記電極を伝わる振動との少なくとも1つを発生させて、前記電極の不純物を清掃する、
請求項1から11のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項13】
前記清掃装置は、低温領域の前記ボイラーに組み込まれており、前記ボイラー管の中に設けられた前記タービュレーターの上下方向の移動によって、前記熱交換器の前記ボイラー管を清掃できるように構成される、
請求項12に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項14】
グローベッド高さ測定機構が、前記回転火格子の上で前記燃焼室内に配置され、
前記グローベッド高さ測定機構は、主面を有する燃料レベルフラップを備え、
前記燃料レベルフラップの前記主面の平行表面は、回転軸の中心軸に対して20度を超える角度で配置される、
請求項1から13のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項15】
前記回転格子要素は、主軸288mm±40mm、副軸350mm±60mmの最大外寸を有し、
少なくとも400mm超の高さでの一次燃焼ゾーンが、前記回転火格子要素の最小断面と同じ寸法を有する、
請求項4から14のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペレット及び木質チップの少なくとも1つの形態の燃料を燃焼させるためのバイオマス暖房システムであって、
燃焼装置を有するボイラーと、
複数のボイラー管を有する熱交換器と、を備え、
前記燃焼装置が、回転火格子と、一次燃焼ゾーンと、二次燃焼ゾーンと、を有する燃焼室を備え、
前記一次燃焼ゾーンは、前記回転火格子によって下側から囲まれており、
前記一次燃焼ゾーンと前記二次燃焼ゾーンとが、燃焼室ノズルで分離され、
前記燃焼室の前記二次燃焼ゾーンが、前記熱交換器の入口と流体的に接続され、
前記一次燃焼ゾーンは、複数の燃焼室レンガによって横方向から囲まれるとともに、楕円形の水平方向断面を持つ、バイオマス暖房システム。
【請求項2】
前記一次燃焼ゾーンの水平方向断面は、
少なくとも100mmの高さにわたって少なくとも一定であるように設計される、
請求項1に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項3】
前記二次燃焼ゾーンにおける前記燃焼室は、前記熱交換器の前記入口の方向で前記二次燃焼ゾーンの断面を先細りにする燃焼室傾斜を有する燃焼室斜面を有する、
請求項1または2に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項4】
前記回転火格子は、第1の回転火格子要素、第2の回転火格子要素および第3の回転火格子要素を回転火格子要素として有し、
前記回転火格子要素の各々は、水平に配置されたベアリング軸を中心に、少なくとも90度回転可能に配置され、
前記回転火格子要素は、燃料用の燃焼面を形成するとともに、燃焼用空気用の開口を有し、
前記第1の回転火格子要素及び前記第3の回転火格子要素は、同一形状の燃焼面を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項5】
前記第2の回転火格子要素は、前記第1の回転火格子要素と前記第3の回転火格子要素との間に確実に配置され、
前記第2の回転火格子要素は、前記回転火格子要素が全て水平な姿勢をとる場合に前記第1の回転火格子要素と前記第3の回転火格子要素とに対して少なくとも大部分が密着するように配置された、火格子リップを有する、
請求項4に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項6】
前記回転火格子は、回転火格子機構をさらに備え、
前記回転火格子機構は、前記第3の回転火格子要素を前記第1の回転火格子要素および前記第2の回転火格子要素から独立して回転させ、かつ、前記第1の回転火格子要素と前記第2の回転火格子要素とを、一緒であるが前記第3の回転火格子要素とは独立して回転させるように構成されている、
請求項4または5に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項7】
前記回転火格子要素の前記回転火格子の前記燃焼面は、楕円または長円形の燃焼
面を構成する、
請求項4から6のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項8】
前記回転火格子要素は、相互に相補的に湾曲した側面を有し、
前記第2の回転火格子要素は、隣接する前記第1の回転火格子要素および前記第3の回転火格子要素のそれぞれに対して凹状となった側面を有し、
前記第1の回転火格子要素および前記第3の回転火格子要素のそれぞれは、前記第2の回転火格子要素に対して凸状となった側面を有する、
請求項4から7のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項9】
前記燃焼室レンガはモジュール構造を有し、前記燃焼室レンガのうち対称形となる2つ各々が閉じたリングを形成して一次燃焼ゾーンを形成し、かつ、
前記燃焼室レンガの少なくとも2つのリングが互いに積み重なっている、
請求項1から8のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項10】
前記熱交換器は、
前記ボイラー管の中に配置されて前記ボイラー管の全長に亘ってのびるスパイラルタービュレーターと、
前記ボイラー管の中に配置されて前記ボイラー管の少なくとも半分の長さに亘ってのびるバンドタービュレーターと、を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項11】
前記熱交換器は、直径70~85mm、肉厚3~4mmのボイラー管を18~24本有する、
請求項1から10のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項12】
前記ボイラーは、電極及びケージを有する一体的な静電フィルター装置を備え、
前記ボイラーは、機械的に動作する清掃装置をさらに備え、
前記清掃装置はストップヘッドを持つロッキングレバーを有し、
前記清掃装置は、前記ストップヘッドで前記電極の端を叩くことにより、前記電極に生じる衝撃波と前記電極を伝わる振動との少なくとも1つを発生させて、前記電極の不純物を清掃する、
請求項1から11のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項13】
清掃装置が低温領域の前記ボイラーに組み込まれ、
前記清掃装置は、前記ボイラー管の中に設けられた前記タービュレーターの上下方向の移動によって、前記熱交換器の前記ボイラー管を清掃できるように構成される、
請求項1から12に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項14】
グローベッド高さ測定機構が、前記回転火格子の上で前記燃焼室内に配置され、
前記グローベッド高さ測定機構は、主面を有する燃料レベルフラップを備え、
前記燃料レベルフラップの前記主面の平行表面は、回転軸の中心軸に対して20度を超える角度で配置される、
請求項1から13のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【請求項15】
前記回転
火格子要素は、主軸288mm±40mm、副軸350mm±60mmの最大外寸を有し、
少なくとも400mmの高さにわたって、一次燃焼ゾーンが、前記回転火格子要素の最小断面と同じ寸法を有する、
請求項4から14のいずれか1項に記載のバイオマス暖房システム。
【国際調査報告】