(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】温度制御ユニット及び電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6557 20140101AFI20220815BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220815BHJP
H01M 10/6563 20140101ALI20220815BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20220815BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20220815BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220815BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220815BHJP
【FI】
H01M10/6557
H01M10/613
H01M10/6563
H01M50/262 E
H01M50/291
H01M10/6556
H01M50/204 401H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558705
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020096395
(87)【国際公開番号】W WO2020253684
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】201910528792.2
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910528260.9
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910528787.1
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】宿永強
(72)【発明者】
【氏名】王増忠
(72)【発明者】
【氏名】孫占宇
(72)【発明者】
【氏名】鄭陳鈴
(72)【発明者】
【氏名】駱兵団
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼慶元
【テーマコード(参考)】
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5H031CC01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA36
5H040AY08
5H040NN03
(57)【要約】
本願は温度制御ユニットを提供し、第1の側面板、第2の側面板、及び第1の緩衝板を含む。第2の側面板が第1の側面板と共にキャビティを形成し、第1の緩衝板は、第2の側面板と第1の側面板との間に設けられ、それによりキャビティを複数の通路に区画し、かつ第1の緩衝板の少なくとも一部は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸する。本願は電池パックをさらに提供し、それは上記温度制御ユニットを含む。外気が温度制御ユニットの通路を流れる時に、電池に対する放熱処理を実現することができる。電池パックの使用過程において、隣接する2つの電池の膨張力がそれぞれ第1の側面板及び第2の側面板を押圧し、第1の緩衝板の少なくとも一部は傾斜し延伸するため、第1の緩衝板に伝達された膨張力を減少させ、それにより温度制御ユニットの耐用年数を延長する。かつ、第1の緩衝板が傾斜し延伸する少なくとも一部は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすく、それにより温度制御ユニットは電池の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、それにより電池の耐用年数を大幅に向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面板(11)と、
縦方向(Y)に沿って第1の側面板(11)と対向して設けられ、かつ第1の側面板(11)に接続されて、第1の側面板(11)と共にキャビティを形成する第2の側面板(12)と、
第2の側面板(12)と第1の側面板(11)との間に設けられて、第2の側面板(12)と第1の側面板(11)に接続され、それにより前記キャビティを複数の通路(F)に区画し、かつ少なくとも一部は第1の側面板(11)から第2の側面板(12)に向かって傾斜し延伸する第1の緩衝板(13)と、を含む、
ことを特徴とする温度制御ユニット。
【請求項2】
第1の緩衝板(13)は波状構造に形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の温度制御ユニット。
【請求項3】
第1の緩衝板(13)の全体は第1の側面板(11)から第2の側面板(12)に向かって傾斜し延伸して形成される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の温度制御ユニット。
【請求項4】
第1の緩衝板(13)は平板状構造又は円弧状板状構造に形成される、
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の温度制御ユニット。
【請求項5】
第1の緩衝板(13)の全体は第1の側面板(11)から第2の側面板(12)に向かって斜め上向きに延伸して形成され、
温度制御ユニットは、第2の側面板(12)と第1の側面板(11)との間に設けられて、第2の側面板(12)と第1の側面板(11)に接続されて、かつ第1の側面板(11)から第2の側面板(12)に向かって斜め下向きに延伸して形成される第2の緩衝板(14)をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項6】
第2の緩衝板(14)と第1の緩衝板(13)はアーチ状構造として形成され、又は、
第2の緩衝板(14)、第1の緩衝板(13)、及び第1の側面板(11)の対応する部分は三角形の構造として形成され、又は、
第2の緩衝板(14)、第1の緩衝板(13)、及び第2の側面板(12)の対応する部分は三角形の構造として形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の温度制御ユニット。
【請求項7】
第1の側面板(11)には、縦方向(Y)に沿って第2の側面板(12)に向かって延伸して対応する通路(F)内に位置し、かつ第1の緩衝板(13)の第1の側面板(11)での投影領域内にある第1の位置決め突起(111)が設けられ、
第2の側面板(12)には、縦方向(Y)に沿って第1の側面板(11)に向かって延伸して対応する通路(F)内に位置し、かつ第1の緩衝板(13)の第2の側面板(12)での投影領域内にある第2の位置決め突起(121)が設けられることを含む、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項8】
第1の緩衝板(13)の延伸方向と第1の側面板(11)とのなす鋭角θ
1は45°以下である、
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項9】
第1の緩衝板(13)の長さはLであり、かつ第1の緩衝板(13)は第1の端部(131)を有し、前記第1の端部(131)は第1の側面板(11)に接続され、
第1の位置決め突起(111)の数は1つであり、第1の位置決め突起(111)と第1の端部(131)との上下方向(Z)での距離はa
1であり、かつ0<a
1≦L/2であり、又は、
第1の位置決め突起(111)の数は複数であり、前記複数の第1の位置決め突起(111)のうち第1の端部(131)に近接する第1の位置決め突起(111)と第1の端部(131)との上下方向(Z)での距離はa
2であり、かつ0<a
2≦L/2である、
ことを特徴とする請求項7又は8に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項10】
第1の緩衝板(13)の長さはLであり、かつ第1の緩衝板(13)は第2の端部(132)を有し、前記第2の端部(132)は第2の側面板(12)に接続され、
第2の位置決め突起(121)の数は1つであり、第2の位置決め突起(121)と第2の端部(132)との上下方向(Z)での距離はb
1であり、かつ0<b
1≦L/2であり、又は、
第2の位置決め突起(121)の数は複数であり、前記複数の第2の位置決め突起(121)のうち第2の端部(132)に近接する第2の位置決め突起(121)と第2の端部(132)との上下方向(Z)での距離はb
2であり、かつ0<b
2≦L/2である、
ことを特徴とする請求項7~9のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項11】
温度制御ユニット(1)の縦方向(Y)での厚さはHであり、
第1の位置決め突起(111)の縦方向(Y)での高さはh
1であり、かつ0<h
1≦H/2であり、
第2の位置決め突起(121)の縦方向(Y)での高さはh
2であり、かつ0<h
2≦H/2である、
ことを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項12】
第1の位置決め突起(111)の数は1つであり、H/8≦h
1≦H/2であり、又は、
第1の位置決め突起(111)の数は複数であり、H/20≦h
1≦H/8である、
ことを特徴とする請求項11に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項13】
第2の位置決め突起(121)の数は1つであり、H/8≦h
2≦H/2であり、又は、
第2の位置決め突起(121)の数は複数であり、H/20≦h
2≦H/8である、
ことを特徴とする請求項11又は12に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項14】
第1の緩衝板(13)は第1の側面板(11)から第2の側面板(12)に向かって斜め上向きに延伸し、
温度制御ユニット(1)は、第2の側面板(12)と第1の側面板(11)との間に設けられて、第1の側面板(11)から第2の側面板(12)に向かって斜め下向きに延伸し、かつ第2の側面板(12)と第1の側面板(11)に接続されて、第1の緩衝板(13)と共に前記キャビティを複数の通路(F)に区画する第2の緩衝板(14)をさらに含み、
第1の側面板(11)には、縦方向(Y)に沿って第2の側面板(12)に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板(14)の第1の側面板(11)での投影領域内にある第3の位置決め突起(112)がさらに設けられ、
第2の側面板(12)には、縦方向(Y)に沿って第1の側面板(11)に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板(14)の第2の側面板(12)での投影領域内にある第4の位置決め突起(122)が設けられる、
ことを特徴とする請求項7~13のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項15】
第2の緩衝板(14)は上下方向(Z)に沿って第1の緩衝板(13)と間隔を隔てて設けられる、
ことを特徴とする請求項5、6又は14のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項16】
第2の緩衝板(14)は第1の緩衝板(13)に直接接続される、
ことを特徴とする請求項5、6、14又は15のいずれか一項に記載の温度制御ユニット。
【請求項17】
第2の緩衝板(14)と、第1の緩衝板(13)と、第1の側面板(11)と、第2の側面板(12)とは共に通路(F)として囲まれ、
前記通路(F)は、広い表面(F1)、狭い表面(F2)及び位置決め突起(F3)を有し、狭い表面(F2)は縦方向(Y)に沿って広い表面(F1)に対向して設けられ、位置決め突起(F3)は縦方向(Y)に沿って広い表面(F1)から突出して、狭い表面(F2)と間隔を隔てて設けられ、かつ位置決め突起(F3)の少なくとも一部は狭い表面(F2)の広い表面(F1)での投影領域内にある、
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の温度制御ユニット。
【請求項18】
第1の緩衝板(13)は第2の緩衝板(14)の下方に位置し、前記通路(F)の広い表面(F1)は第1の側面板(11)の第2の側面板(12)に向く表面である、
ことを特徴とする請求項17に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項19】
第1の側面板(11)の縦方向(Y)での肉厚はc
1であり、
位置決め突起(F3)の狭い表面(F2)に向く表面の上下方向(Z)での寸法はbであり、かつc
1<bである、
ことを特徴とする請求項17又は18に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項20】
狭い表面(F2)の上下方向(Z)での寸法はlであり、かつ2.5c
1≦b≦lである、
ことを特徴とする請求項19に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項21】
第1の緩衝板(13)は第2の緩衝板(14)の上方に位置し、前記通路(F)の広い表面(F1)は第2の側面板(12)の第1の側面板(11)に向く表面である、
ことを特徴とする請求項17~20のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項22】
第2の側面板(12)の縦方向(Y)での肉厚はc
2であり、
位置決め突起(F3)の狭い表面(F2)に向く表面の上下方向(Z)での寸法はbであり、かつc
2<bである、
ことを特徴とする請求項17~21のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項23】
狭い表面(F2)の上下方向(Z)での寸法はlであり、かつ2.5c
2≦b≦lである、
ことを特徴とする請求項22に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項24】
温度制御ユニット(1)の縦方向(Y)での厚さはHであり、
位置決め突起(F3)の縦方向(Y)での高さはaであり、かつ1.5H≦a<Hある、
ことを特徴とする請求項17~23のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項25】
1/3H≦a≦1/2Hである、
ことを特徴とする請求項24に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項26】
位置決め突起(F3)は、広い表面(F1)から狭い表面(F2)に向かって延伸する本体部(F31)、及び本体部(F31)の狭い表面(F2)に接近する一端に設けられて、周方向に沿って本体部(F31)から突出する突出部(F32)を有し、
突出部(F32)の少なくとも一部が狭い表面(F2)の広い表面(F1)での投影領域内にある、
ことを特徴とする請求項17~25のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)。
【請求項27】
複数の電池(2)、及び請求項1~26のいずれか一項に記載の温度制御ユニット(1)を含み、前記複数の電池(2)は第1の電池(2A)及び第2の電池(2B)を含み、温度制御ユニット(1)は第1の電池(2A)と第2の電池(2B)との間に設けられる、ことを特徴とする電池パック。
【請求項28】
前記複数の電池(2)は横方向(X)には少なくとも2列の電池列(S)に配列され、各電池列(S)のうち隣接する2つの電池(2)の間にはいずれも温度制御ユニット(1)が設けられ、
電池パックは、前記少なくとも2列の電池列(S)を支持する下部筐体(3)と、2列の電池列(S)の間に設けられて下部筐体(3)に固定され、かつ対応する電池列(S)とともにダクトを形成するダクトユニット(4)であって、前記ダクトが対応する温度制御ユニット(1)の複数の通路(F)に連通されるダクトユニット(4)と、前記ダクトに連通されるファン(5)と、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の電池パック。
【請求項29】
ダクトユニット(4)は、前記ダクト内に設けられて、前記ダクトを縦方向(Y)に沿ってファン(5)に接近する側からファン(5)から離れる側に拡張させる風量調整板(41)を含む、
ことを特徴とする請求項27に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年6月18日に中国特許局に出願され、出願番号は201910528792.2であり、出願名称は「温度制御ユニット機器電池パック」の中国特許出願の優先権と、2019年6月18日に中国特許局に出願され、出願番号は201910528260.9であり、出願名称は「温度制御ユニット機器電池パック」の中国特許出願の優先権と、及び2019年6月18日に中国特許局に出願され、出願番号は201910528787.1であり、出願名称は「温度制御ユニット機器電池パック」の中国特許出願の優先権とを主張するものであり、そのすべての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は電池の技術分野に関し、特に温度制御ユニット及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
電池パックは、通常、グループ化された複数の電池を含む。グループ化技術において、構造自体の強度及び性能を保証するだけでなく、構造の電池寿命に対する影響を考慮する必要があり、ここで温度及び膨張力は電池寿命に対する影響が大きいため、設計する時に熱管理及び膨張力の設計を考慮する必要がある。
【0004】
熱管理設計の面では、現在主に水冷と空冷の2つの方式がある。ここで、水冷方式のコストが高いため、電池パックは一般的に空冷方式を採用して放熱を行う。
【0005】
膨張力設計の面では、電池パックは充放電過程において、電池が徐々に膨張し、かつ固定構造と相互作用力(つまり膨張力)を生成する。ここで、適切な膨張力は電池自体の反応に有利であるが、過大な膨張力により電池の受けた圧力が大きすぎて、リチウムの析出現象が発生し、ひいては不可逆的な容量損失が発生し、それにより、電池の寿命を大幅に低減させる。
【0006】
膨張力を緩和するために、現在主に以下のいくつかの方式を有する。(1)電池の間に直接に密着し、外部構造を補強することによって、膨張力を直接的に抵抗し、このような方式の欠点は以下のとおりであり、電池容量と電池のグループ化された直列数が徐々に向上する場合に、電池のグループ化された後の膨張力がますます大きくなり、それにより電池の耐用年数を低減させる。(2)電池の間にクッションパッド等の構造を増加し、それは材料自体の伸縮特性によって膨張力を吸収し、それによりグループ化された後の膨張力を低下させ、このような方式の欠点は以下のとおりであり、電池の面積が大きい面がクッションパッドに密着し、電池の側面及び底部のみを採用して放熱することができ、それによって、放熱効率を低減させる。(3)電池と電池を離間させ、その間に隙間を空けて、それにより電池を自由に膨張させ、このような方式の欠点は以下のとおりであり、電池が初期に自由に膨張し、無圧力で反応が不十分になりやすく、耐用年数を低減させ、同時に電池の膨張量が大きく、予め保留する隙間が大きすぎる時に、グループ化された体積に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
背景技術に存在する問題に鑑み、本願の目的は温度制御ユニット及び電池パックを提供することであり、温度制御ユニットが電池パックに応用される場合に、温度制御ユニットは電池を熱管理するだけでなく、電池が生成した膨張力を吸収することができ、それにより電池が膨張力の作用下で生成した変形を低減し、電池の耐用年数を大幅に向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を実現するために、本願の第1の態様は温度制御ユニットを提供し、前記温度制御ユニットは、第1の側面板と、縦方向に沿って第1の側面板と対向して設けられ、かつ第1の側面板に接続されて、第1の側面板と共にキャビティを形成する第2の側面板と、第2の側面板と第1の側面板との間に設けられて、第2の側面板と第1の側面板に接続され、それにより前記キャビティを複数の通路に区画し、かつ少なくとも一部は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸する第1の緩衝板と、を含む。
【0009】
本願の第2の態様は電池パックを提供し、前記電池パックは複数の電池及び上記に記載の温度制御ユニットを含み、前記複数の電池は第1の電池及び第2の電池を含み、温度制御ユニットは第1の電池と第2の電池との間に設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本願の有益な効果は以下のとおりである。
本願の電池パックにおいて、外気が温度制御ユニットの通路を流れる時に、電池に対する放熱処理を実現することができる。かつ、電池パックの使用過程において、電池は膨張力が生成し、このときに隣接する2つの電池の膨張力はそれぞれ第1の側面板と第2の側面板を押圧し、第1の側面板と第2の側面板は膨張力を第1の緩衝板に伝達する。第1の緩衝板の少なくとも一部は第1の側面板から第2の側面板に向かって傾斜し延伸し、それにより第1の側面板及び第2の側面板を介して第1の緩衝板に伝達された膨張力を大幅に減少させ、それにより温度制御ユニットの耐用年数を延長する。かつ、第1の緩衝板が傾斜し延伸する前記少なくとも一部は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすく、それにより温度制御ユニットは電池の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、それにより電池の耐用年数を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本願の電池パックの1つの実施例における分解斜視図である。
【
図2】本願の電池パックの他の実施例における斜視図である。
【
図3】
図2における温度制御ユニットの斜視図である。
【
図5】
図1における温度制御ユニットの斜視図である。
【
図9】本願の電池パックの1つの実施例における斜視図である。
【
図10】
図9における隣接する2つの電池と対応する温度制御ユニットとの位置関係の模式図である。
【
図11】
図9における温度制御ユニットの斜視図である。
【
図13】
図11の正面図であり、ここで温度制御ユニットは変形された前の状態にある。
【
図14】13における温度制御ユニットは変形された後の状態である。
【
図15】
図13における丸部分の拡大図であり、ここで複数の第1の位置決め突起と第1の緩衝板の第1の端部の上下方向における距離a
2を示す。
【
図17】
図13における丸部分の拡大図であり、ここで複数の第2の位置決め突起と第1の緩衝板の第2の端部の上下方向における距離b
2を示す。
【
図18】
図13の変形例であり、ここで温度制御ユニットは変形された前の状態にある。
【
図19】
図18における温度制御ユニットは変形された後の状態である。
【
図20】
図18における丸部分の拡大図であり、ここで第1の位置決め突起と第1の緩衝板の第1の端部との上下方向における距離a
1を示す。
【
図22】
図18における丸部分の拡大図であり、ここで第2の位置決め突起と第1の緩衝板の第2の端部との上下方向における距離b
1を示す。
【
図23】ダクトユニットと下部筐体の組立図である。
【
図25】
図24における隣接する2つの電池と対応する温度制御ユニットとの位置関係の模式図である。
【
図28】
図26の正面図であり、ここで温度制御ユニットは変形された前の状態にある。
【
図29】
図28における温度制御ユニットは変形された後の状態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。理解されるように、ここで説明する具体的な実施例は、本願を解釈することのみに用いられ、本願に限定されるものではない。
【0013】
本願の記載において、他の明確な規定と限定がない限り、用語「第1」、「第2」は説明の目的のみに用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示することを理解することができない。用語「複数」は2つ以上(2つを含む)を指す。別に規定又は説明がない限り、用語「接続」は広義に理解すべきであり、例えば、「接続」は固定的な接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、一体的な接続であってもよく、又は電気的な接続であってもよく、信号による接続であってもよい。「接続」は直接的な接続であってもよく、中間媒体による間接的な接続であってもよい。当業者であれば、上述する用語は、具体的な状況によって本願における具体的な意味を理解することができる。
【0014】
本明細書の説明において、理解すべきことは、本願の実施例に説明された「上」、「下」、等の方位語は図面に示された角度で説明され、本願の実施例を限定するものと理解すべきではない。以下は具体的な実施例によって、図面を参照ながら、本願をさらに詳細に説明する。
【0015】
図1~
図31を参照し、本願の電池パックは温度制御ユニット1、複数の電池2、下部筐体3、ダクトユニット4、ファン5、ケーブルタイ6、上部筐体カバー7、端板8、取付パネル9及びワイヤハーネス隔離板10を含む。
【0016】
図2、
図9、
図10、
図24及び
図25を参照し、前記複数の電池2は第1の電池2A及び第2の電池2Bを含み、温度制御ユニット1は第1の電池2Aと第2の電池2Bとの間に設けられる。さらに、第1の電池2Aと第2の電池2Bの数はいずれも複数であってもよく、複数の第1の電池2Aと複数の第2の電池2Bは縦方向Yにおいて交互に配列され、かつ各隣接する第1の電池2Aと第2の電池2Bとの間にいずれも温度制御ユニット1が設けられてもよい。
【0017】
温度制御ユニット1の強度及び熱伝導性を保証するために、温度制御ユニット1は金属材料例えばアルミニウム型材で製造されてもよい。
【0018】
図3~
図8、
図11~
図15、
図17~
図20、
図22、
図26~
図30を参照して、温度制御ユニット1は第1の側面板11、第2の側面板12、第1の緩衝板13、第1の接続板15及び第2の接続板16を含んでもよい。ここで、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の緩衝板13、第1の接続板15及び第2の接続板16は、アルミニウム押出プロセスを採用して一体成形されてもよい。
【0019】
第1の側面板11は縦方向Yに沿って第2の側面板12に対向して設けられ、かつ第2の側面板12は第1の接続板15及び第2の接続板16を介して第1の側面板11に接続される。ここで、第1の側面板11及び第2の側面板12は対応する電池2の大きい面に直接に面して設けられ、外気が温度制御ユニット1を流れる時に、電池2に対する放熱処理を実現することができる。
【0020】
第1の接続板15は第1の側面板11の一端と、第2の側面板12の一端に接続され、第2の接続板16は第1の側面板11の他端と第2の側面板12の他端に接続され、これによって、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の接続板15及び第2の接続板16は共にキャビティ付きの枠状構造を形成する。
【0021】
第1の緩衝板13は第2の側面板12と第1の側面板11との間に設けられて、第2の側面板12と第1の側面板11に接続され、それにより前記キャビティを複数の通路Fに区画し、かつ第1の緩衝板13の少なくとも一部は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって傾斜し延伸する。ここで、第1の緩衝板13の数は複数であってもよく、前記複数の第1の緩衝板13は上下方向Zに沿って間隔を隔てて設けられ、それにより前記キャビティを複数の通路Fに区画する。
【0022】
電池パックの使用過程において、電池2は膨張力が生成し、この時に隣接する2つの電池2(つまり第1の電池2Aと第2の電池2B)の膨張力はそれぞれ第1の側面板11と第2の側面板12を押圧し、第1の側面板11と第2の側面板12は膨張力を第1の緩衝板13に伝達する。第1の緩衝板13の少なくとも一部は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって傾斜し延伸し、それにより第1の側面板11及び第2の側面板12を介して第1の緩衝板13に伝達された膨張力を大幅に減少させ、それにより温度制御ユニット1の耐用年数を延長する。かつ、第1の緩衝板13が傾斜し延伸する前記少なくとも一部は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすく、それにより温度制御ユニット1は電池2の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0023】
第1の緩衝板13の延伸方向(つまり第1の緩衝板13の前記少なくとも部分の延伸方向)と第1の側面板11で形成された夾角の大きさ及び第2の側面板12と形成された夾角の大きさによって、第1の側面板11及び第2の側面板12を介して第1の緩衝板13に伝達された膨張力の大きさを決定し、第1の緩衝板13の受けた膨張力が大きすぎると、第1の緩衝板13を押し潰す。そこで、第1の緩衝板13が大きすぎる膨張力で押し潰されることを防止するために、好ましくは、
図8、
図15、
図20を参照し、第1の緩衝板13の延伸方向と第1の側面板11とのなす鋭角θ
1は45°以下である(第1の緩衝板13と第2の側面板12とのなす鋭角は第1の緩衝板13と第1の側面板11とのなす鋭角に等しい)。
【0024】
以下に第1の緩衝板13の設置方式に基づいて、温度制御ユニット1のいくつかの具体的な構造を詳細に説明する。
【0025】
第1の実施例において(図示せず)、温度制御ユニット1の第1の側面板11と第2の側面板12との間に第1の緩衝板13のみが設けられ、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって傾斜し延伸して形成される。具体的には、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め上向きの方向に沿って延伸することができる。又は、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め下向きの方向に沿って延伸することができる。
【0026】
第1の実施例において、第1の緩衝板13は平板状構造又は円弧状板状構造に形成されてもよい。第1の緩衝板13は厚さが均一な構造に形成されてもよい。又は、第1の緩衝板13は中央が厚く、両端が薄い構造に形成されてもよい。又は、第1の緩衝板13は中央が薄く、両端が厚い構造に形成されてもよい。
【0027】
第2の実施例において、
図3及び
図4を参照し、温度制御ユニット1の第1の側面板11と第2の側面板12との間には第1の緩衝板13のみが設けられ、この時に第1の緩衝板13は波状構造(段ボール板状構造とも呼ばれる)に形成されてもよい。換言すれば、第1の緩衝板13は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め上向きの方向及び第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め下向きの方向に沿って交互に延びて形成される。
【0028】
このような構造の第1の緩衝板13は個別の突起が形成され、かつ各突起は円弧状構造に形成される。各突起の形状構造に基づいて、第1の緩衝板13を十分な曲げ変形空間を有させ、それにより温度制御ユニット1は電池2の膨張力をタイムリーに吸収させることができ、電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0029】
第3の実施例において、
図5~
図8、
図11、
図13、
図14、
図18、
図19、
図26、
図28、
図29を参照し、第1の緩衝板13の全体は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め上向きに延伸して形成され、温度制御ユニット1は第2の緩衝板14をさらに含む。第2の緩衝板14は第2の側面板12と第1の側面板11との間に設けられて、第2の側面板12と第1の側面板11に接続され、かつ第2の緩衝板14は第1の側面板11から第2の側面板12に向かって斜め下向きに延伸して形成される。第2の緩衝板14は第1の緩衝板13と共に電池2の膨張力を吸収するために用いられ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0030】
第2の緩衝板14の数は複数であってもよいし、前記複数の第2の緩衝板14は上下方向Zに沿って間隔を隔てて設けられ、それにより第1の緩衝板13と共に前記キャビティを複数の通路Fに区画される。
【0031】
第2の緩衝板14の延伸方向と第1の側面板11で形成された夾角の大きさ及び第2の側面板12と形成された夾角の大きさによって、第1の側面板11及び第2の側面板12を介して第2の緩衝板14に伝達された膨張力の大きさを決定し、第2の緩衝板14の受けた膨張力が大きすぎると、第2の緩衝板14を押し潰す。そこで、第2の緩衝板14が大きすぎる膨張力で押し潰されることを防止するために、好ましくは、
図8、
図20、
図30を参照し、第2の緩衝板14の延伸方向と第1の側面板11とのなす鋭角θ
2は45°以下である(第2の緩衝板14と第2の側面板12とのなす鋭角は第2の緩衝板14と第1の側面板11とのなす鋭角に等しい)。
【0032】
図5~
図8、
図11、
図13、
図14、
図18、
図19、
図26、
図28、
図29を参照し、第2の緩衝板14は上下方向Zに沿って第1の緩衝板13と間隔を隔てて設けられ、かつ第1の緩衝板13と第2の緩衝板14が交互に設けられ、この時に第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は「八」字状構造に形成される。このような「八」字状構造は、温度制御ユニット1の構造の安定性を保証し、温度制御ユニット1の構造強度を向上させる。
【0033】
図6、
図11を参照し、第2の緩衝板14は第1の緩衝板13に直接接続され、かつ第1の緩衝板13と第2の緩衝板14と第1の側面板11の対応する部分とは三角状構造を形成し、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14と第2の側面板12の対応する部分とも三角状構造を形成する。このような三角状構造は、温度制御ユニット1の構造の安定性を保証し、温度制御ユニット1の構造強度を向上させる。
【0034】
図7を参照し、第2の緩衝板14は第1の緩衝板13に直接接続され、かつ第1の緩衝板13と第2の緩衝板14はアーチ状構造に形成される。このようなアーチ状構造は、温度制御ユニット1の構造の安定性を保証し、温度制御ユニット1の構造強度を向上させる。
【0035】
第3の実施例において、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は厚さが均一な構造(
図6及び
図7に示すように)に形成してもよい。又は、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は中央が厚く、両端が薄い構造に形成されてもよい。又は、第1の緩衝板13と第2の緩衝板14は中央が薄く、両端が厚い構造(
図5及び
図8に示すように)に形成されてもよい。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14は平板状構造(
図6に示すように)又は円弧状板状構造(
図7に示すように)に形成されてもよい。
【0036】
図12、
図15、
図16、
図17、
図20、
図21、
図22を参照し、本願の電池パックにおいて、第1の側面板11には、縦方向Yに沿って第2の側面板12に向かって延伸して対応する通路F内に位置し、かつ第1の位置決め突起111が第1の緩衝板13の第1の側面板11での投影領域内にある第1の位置決め突起111が設けられてもよい。第2の側面板12には、縦方向Yに沿って第1の側面板11に向かって延伸して対応する通路F内に位置し、かつ第2の位置決め突起121が第1の緩衝板13の第2の側面板12での投影領域内にある第2の位置決め突起121が設けられてもよい。
【0037】
第1の緩衝板13の曲げ変形過程において、第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121の設置によって、第1の緩衝板13は最終的に第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121に当接し(
図16及び
図21に示すように)、それにより第1の緩衝板13の曲げ変形が制限され、ひいては対応する通路Fは依然として熱管理要求を満たす通風空間を有し、それにより温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を向上させ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0038】
第1の位置決め突起111と第2の位置決め突起121は対向して設けられる。具体的には、第1の位置決め突起111と第2の位置決め突起121は縦方向Yに面一に設けられる。又は、第1の位置決め突起111と第2の位置決め突起121は上下方向Zにずれて設けられる。
【0039】
第1の側面板11及び第2の側面板12の耐押圧強度を保証するために、第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121の数は強度要求に応じて選択的に設けられてもよい。具体的には、
図18~
図22を参照し、第1の側面板11の第1の位置決め突起111の数は1つであってもよい。
図12~
図17を参照し、第1の位置決め突起111の数は複数であってもよい。同様に、第2の位置決め突起121の数は1つ(
図18~
図22に示すように)又は複数(
図12~
図17に示すように)であってもよい。
【0040】
第1の緩衝板13の長さはLであって、第1の端部131及び第2の端部132を有し、かつ前記第1の端部131は第1の側面板11に接続され、前記第2の端部132は第2の側面板12に接続される。
【0041】
第1の位置決め突起111の数は1つである場合(
図20に示すように)、第1の位置決め突起111と第1の端部131との上下方向Zでの距離はa
1(つまり第1の端部131が第1の位置決め突起111に近接するエッジと第1の位置決め突起111が第1の端部131に近接するエッジとの間の距離)であり、かつ0<a
1≦L/2である。第1の位置決め突起111の数は複数である場合(
図15に示すように)、前記複数の第1の位置決め突起111と第1の端部131との上下方向Zでの距離はa
2(つまり第1の端部131が第1の位置決め突起111に近接するエッジと第1の端部131に最も近い第1の位置決め突起111のエッジとの間の距離)であり、かつ0<a
2≦L/2である。
【0042】
ここで、パラメータa1(又はa2)の大きさは第1の位置決め突起111の第1の側面板11での設置位置を決定し、第1の位置決め突起111の第1の緩衝板13に対する位置決め作用を保証するために、第1の位置決め突起111は、第1の緩衝板13の最大自由変形円弧と第1の側面板11との相接位置と、第1の端部131との間に設けられる必要があり、つまり0<a1≦L/2(又は0<a2≦L/2)とする。a1>L/2(又はa2>L/2)である場合、第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が限られるため、第1の位置決め突起111は第1の緩衝板13の曲げ変形に対して制限作用を果たすことが難しい又は不可能である。
【0043】
第2の位置決め突起121の数は1つである場合(
図22に示すように)、第2の位置決め突起121と第2の端部132との上下方向Zでの距離はb
1(つまり第2の端部132が第1の位置決め突起121に近接するエッジと第2の位置決め突起121が第2の端部132に近接するエッジとの間の距離)であり、かつ0<b
1≦L/2である。第2の位置決め突起121の数は複数である場合(
図17に示すように)、前記複数の第2の位置決め突起121と第2の端部132との上下方向Zでの距離はb
2(つまり第2の端部132が第2の位置決め突起121に近接するエッジと第2の端部132に最も近い第2の位置決め突起121のエッジとの間の距離)であり、かつ0<b
2≦L/2である。
【0044】
ここで、パラメータb1(又はb2)の大きさは第2の位置決め突起121の第2の側面板12での設置位置を決定し、第2の位置決め突起121の第1の緩衝板13に対する位置決め作用を保証するために、第2の位置決め突起121は第1の緩衝板13の最大自由変形円弧と第2の側面板12との相接位置と、第2の端部132との間に設けられる必要があり、つまり、0<b1≦L/2(又は0<b2≦L/2)とする。b1>L/2(又はb2>L/2)である場合、第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が限られるため、第2の位置決め突起121は第1の緩衝板13の曲げ変形に対して制限作用を果たすことが難しい又は不可能である。
【0045】
図15及び
図20を参照し、温度制御ユニット1の縦方向Yでの厚さはHであり、第1の位置決め突起111の縦方向Yでの高さはh
1であり、かつ0<h
1≦H/2である。第2の位置決め突起121の縦方向Yでの高さはh
2であり、かつ0<h
2≦H/2である。これは、h
1>H/2(又はh
2>H/2)であると、電池2が膨張変形を生成する過程において、第1の緩衝板13が生成した曲げ変形程度が小さく、それが電池2の膨張変形をタイムリーに吸収することができず、それにより温度制御ユニット1が電池2の膨張力要求を満たすことができないからである。
【0046】
さらに、第1の位置決め突起111の数は1つである場合、H/8≦h1≦H/2である。第1の位置決め突起111の数は複数である場合、前記複数の第1の位置決め突起111の高さが同じであり、かつH/20≦h1≦H/8である。
【0047】
なお、1つの第1の位置決め突起111のみがある場合、第1の緩衝板13が曲げ変形した後に当該第1の位置決め突起111との間の接触は点接触に相当し、この時に第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が小さく、当該第1の位置決め突起111が第1の緩衝板13に対して位置決め作用を果たしようとすると、その縦方向Yでの高さh1は過小ではなく、即ちH/8≦h1≦H/2である。第1の位置決め突起111は複数である場合、第1の緩衝板13が曲げ変形した後に複数の第1の位置決め突起111との間の接触は面接触に相当し、この時に第1の緩衝板13の曲げ変形の程度が大きく、前記複数の第1の位置決め突起111が縦方向Yでの高さh1は適切に減らしてもよく、即ちH/20≦h1≦H/8である。
【0048】
同様に、第2の位置決め突起121の数は1つである場合、H/8≦h2≦H/2である。第2の位置決め突起121の数は複数である場合、前記複数の第2の位置決め突起121の高さが同じであり、かつH/20≦h2≦H/8である。ここで、第2の位置決め突起121の数とその縦方向Yでの高さh2が上記の設置方式を採用する理由は第1の位置決め突起111と一致し、ここで詳細な説明を省略する。
【0049】
いくつかの実施例(図示せず)において、第1の位置決め突起111及び第2の位置決め突起121は第1の緩衝板13のみが設けられた実施例に設けられてもよく、例えば、前述の第1の実施例のように、当然のことながら、第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14を同時に設ける実施例に設けられてもよく、例えば、前述の第3実施例のように、ここで、第2の緩衝板14は板状構造又は円弧状構造に形成されてもよく、第2の緩衝板14は第1の緩衝板13と共に電池2の膨張変形を吸収するために用いられ、それにより温度制御ユニット1は電池2の膨張力要求を満たすことを保証し、電池2の耐用年数を向上させる。
【0050】
図13及び
図19を参照し、第2の緩衝板14は上下方向Zに沿って第1の緩衝板13と間隔を隔てて設けられ、この時に第2の緩衝板14、第1の緩衝板13、第1の側面板11及び第2の側面板12は台形の通路Fとして囲まれる。
【0051】
第2の緩衝板14は第1の緩衝板13に直接接続されてもよく、このときには第2の緩衝板14、第1の緩衝板13及び第1の側面板11は三角形の通路Fとして囲まれ、第2の緩衝板14、第1の緩衝板13及び第2の側面板12も三角形の通路Fとして囲まれる。
【0052】
第1の側面板11には、縦方向Yに沿って第2の側面板12に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板14の第1の側面板11での投影領域内にある第3の位置決め突起112がさらに設けられてもよい。第2の側面板12には、縦方向Yに沿って第1の側面板11に向かって延伸し、かつ第2の緩衝板14の第2の側面板12での投影領域内にある第4の位置決め突起122がさらに設けられてもよい。
【0053】
第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、第3の位置決め突起112及び第4の位置決め突起122の設置によって、第2の緩衝板14は最終的に第3の位置決め突起112及び第4の位置決め突起122に当接し(
図16及び
図21に示すように)、それにより第2の緩衝板14の曲げ変形が制限され、ひいては対応する通路Fは依然として熱管理要求を満たす通風空間を有し、それにより温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を向上させ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0054】
第2の緩衝板14は第3の端部141及び第4の端部142を有し、かつ前記第3の端部141は第1の側面板11に接続され、前記第4の端部142は第2の側面板12に接続される。ここで、第3の位置決め突起112と第3の端部141との間の位置関係は第1の位置決め突起111と第1の端部131との間の位置関係に一致し、第4の位置決め突起122と第4の端部142との間の位置関係は第2の位置決め突起121と第2の端部132との間の位置関係に一致し、ここで詳細な説明を省略する。
【0055】
第3の位置決め突起112と第4の位置決め突起122は対向して設けられる。具体的には、第3の位置決め突起112と第4の位置決め突起122は縦方向Yに面一に設けられる。又は、第3の位置決め突起112と第4の位置決め突起122は上下方向Zにずれて設けられる。
【0056】
第1の側面板11及び第2の側面板12の耐押圧強度を保証するために、第3の位置決め突起112及び第4の位置決め突起122の数は強度要求に応じて選択的に設けられてもよい。
【0057】
前述の第3実施例において、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の緩衝板13、第2の緩衝板14、第1の接続板15及び第2の接続板16は、アルミニウム押出プロセスを採用して一体成形されてもよい。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の数はいずれも複数であってもよく、第2の緩衝板14と第1の緩衝板13は順に千鳥配列され、かつ上下方向Zに各隣接する第2の緩衝板14と第1の緩衝板13と第1の側面板11の対応する部分、第2の側面板12の対応する部分とはそれぞれ1つの通路Fとして囲まれる。換言すれば、第1の側面板11、第2の側面板12、第1の接続板15及び第2の接続板16で共に形成されたキャビティは第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14によって複数の通路Fに区画される。
【0058】
図27、
図30及び
図31を参照し、通路Fは、広い表面F1、狭い表面F2及び位置決め突起F3を有してもよく、狭い表面F2は縦方向Yに沿って広い表面F1に対向して設けられ、位置決め突起F3は縦方向Yに沿って広い表面F1から突出して、狭い表面F2と間隔を隔てて設けられ、かつ位置決め突起F3の少なくとも一部は狭い表面F2の広い表面F1での投影領域内にある。ここで、通路F内の位置決め突起F3の数は1つ又は複数であってもよい。
【0059】
電池パックの作動過程において、電池2は膨張力を生成し、隣接する2つの電池2(つまり第1の電池2Aと第2の電池2B)の膨張力はそれぞれ第1の側面板11と第2の側面板12を押圧し、第1の側面板11と第2の側面板12は膨張力を第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14に伝達する。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の傾斜設置により、第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14は膨張力の作用で曲げ変形を生成しやすいことによって、電池2の膨張力をタイムリーに吸収し、それにより温度制御ユニット1が電池2の膨張力要求を満たすことを保証する。同時に、第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3は最終的に通路Fの狭い表面F2に当接し、それにより通路Fは依然として十分な通風空間を有し、それにより温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を向上させ、それにより電池2の耐用年数を大幅に向上させる。
【0060】
いくつかの可能な実施例において、上下方向Zに隣接する第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14に対して、第1の緩衝板13は第2の緩衝板14の下方に位置し、通路Fの広い表面F1は第1の側面板11の第2の側面板12に向く表面、狭い表面F2は第2の側面板12の第1の側面板11に向く表面であり、つまり通路F内の位置決め突起F3は第1の側面板11に設けられる。
【0061】
図27、
図30及び
図31を参照し、第1の緩衝板13は、第1の側面板11に接続される第1の端部131と、第2の側面板12に接続される第2の端部132とを有してもよい。第2の緩衝板14は、第1の側面板11に接続される第3の端部141と、第2の側面板12に接続される第4の端部142とを有してもよい。通路Fの広い表面F1は、第1の側面板11が第1の端部131と第3の端部141との間にある表面部分であり、狭い表面F2は、第2の側面板12が第2の端部132と第4の端部142との間にある表面部分である。
【0062】
第1の側面板11の縦方向Yでの肉厚はc
1であり、位置決め突起F3の狭い表面F2に向く表面の上下方向Zでの寸法はbであり、
図30に示すとおりである。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3は第2の側面板12上の狭い表面F2を介して対応する電池2の大きい面を押圧し、電池2が位置決め突起F3によって印加された大きすぎる押圧力によって、リチウムの析出現象が発生することを防止するために、c
1<bである。対応する電池2に対する位置決め突起F3の押圧力を効果的に減少させ、位置決め突起F3が対応する電池2の大きい面に対する応力集中を軽減するために、好ましくは、2.5c
1≦b≦lであり、ここで、狭い表面F2の上下方向Zでの寸法はlであり、
図30に示すとおりである。
【0063】
他のいくつかの可能な実施例において、上下方向Zに隣接する第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14に対して、第1の緩衝板13は第2の緩衝板14の上方に位置し、通路Fの広い表面F1は第2の側面板12の第1の側面板11に向く表面、狭い表面F2は第1の側面板11の第2の側面板12に向く表面であり、つまり通路F内の位置決め突起F3は第2の側面板12に設けられる。
【0064】
図27、
図30及び
図31を参照し、第1の緩衝板13は、第1の側面板11に接続される第1の端部131と、第2の側面板12に接続される第2の端部132とを有してもよい。第2の緩衝板14は、第1の側面板11に接続される第3の端部141と、第2の側面板12に接続される第4の端部142とを有してもよい。通路Fの広い表面F1は、第2の側面板12が第2の端部132と第4の端部142との間にある表面部分であり、狭い表面F2は、第1の側面板11が第1の端部131と第3の端部141との間にある表面部分である。
【0065】
上述の実施例において、第2の側面板12の縦方向Yでの肉厚はc
2であり、位置決め突起F3の狭い表面F2に向く表面の上下方向Zでの寸法はbであり、
図30に示すとおりである。第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3は第1の側面板11上の狭い表面F2を介して対応する電池2の大きい面を押圧し、電池2が位置決め突起F3によって印加された大きすぎる押圧力によって、リチウムの析出現象が発生することを防止するために、c
2<bである。対応する電池2に対する位置決め突起F3の押圧力を効果的に減少させ、位置決め突起F3が対応する電池2の大きい面に対する応力集中を軽減するために、好ましくは、2.5c
2≦b≦lであり、ここで、狭い表面F2の上下方向Zでの寸法はlであり、
図30に示すとおりである。
【0066】
図30を参照し、温度制御ユニット1の縦方向Yでの厚さはHであり、位置決め突起F3の縦方向Yでの高さはaである。第1の緩衝板13と第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3の高さaは変形した後の通路Fの通風空間の大きさを決定し、温度制御ユニット1の電池2に対する熱管理性能を保証するために、1/5H≦a<Hである。好ましくは、1/3H≦a≦1/2Hである。
【0067】
図30、
図31を参照し、位置決め突起F3は、広い表面F1から狭い表面F2に向かって延伸する本体部F31、及び本体部F31の狭い表面F2に接近する一端に設けられて、周方向に沿って本体部F31(即ち突出部F32の周方向での寸法が本体部F31の周方向での寸法よりも大きい)から突出する突出部F32を有してもよく、かつ突出部F32の少なくとも一部が狭い表面F2の広い表面F1での投影領域内にある。
【0068】
第1の緩衝板13及び第2の緩衝板14の曲げ変形過程において、位置決め突起F3の突出部F32は狭い表面F2を介して対応する電池2の大きい面を押圧し、突出部F32の周方向での寸法は本体部F31の周方向での寸法より大きく、それは変形した後の通路Fの通風空間をできるだけ減少させず、さらに突出部F32と狭い表面F2との間の接触面積を保証することにより、位置決め突起F3が対応する電池2に対する押圧力を減少させる。
【0069】
図1、
図2、
図9及び
図24を参照し、下部筐体3は前記複数の電池2を支持するために用いられる。前記複数の電池2は横方向Xには少なくとも2列の電池列Sに配列されてもよく、ダクトユニット4は2列の電池列Sの間に設けられかつ下部筐体3に固定される。温度制御ユニット1は複数の通路Fを有し、ダクトユニット4及び対応する電池列Sはダクトが形成され、かつ前記ダクトは対応する温度制御ユニット1の複数の通路F及びファン5に連通される。具体的には、
図23を参照し、ダクトユニット4は風量調整板41、第1の支持板42、第2の支持板43、取付板44及びシーリングストリップ45を含んでもよい。
【0070】
風量調整板41は前記ダクト内に設けられ、第1の支持板42と第2の支持板43は縦方向Yに間隔を隔てて設けられ、かつ第1の支持板42はファン5に近接する。ここで、風量調整板41の高さは第1の支持板42に沿って第2の支持板43の方向に向かって順に減少し、それにより前記ダクトを縦方向Yに沿ってファン5に接近する側からファン5から離れる側に拡張させる。
【0071】
取付板44は縦方向Yに沿って延伸して第1の支持板42と第2の支持板43に接続され、かつ風量調整板41は取付板44に固定的に取り付けられる。シーリングストリップ45は、第1の支持板42、第2の支持板43及び取付板44には設けられる。ダクトユニット4と複数の電池2が組み立てられた後、シーリングストリップ45は対応する電池列Sに接着し、それにより当該電池列Sにシール接続される。
【0072】
電池パックは使用過程において、ファン5の作用で、外気が温度制御ユニット1の複数の通路F内に入ることができ、それにより電池2に対する放熱を実現する。同時に、風量調整板41の設置に基づいて、外気が異なる温度制御ユニット1に入る量が異なり、それにより全ての電池2に対する均一な放熱を実現する。
【0073】
図1、
図2、
図9及び
図24を参照し、端板8は縦方向Yにおいて各電池列Sの両端に設けられる。ケーブルタイ6は周方向に沿って対応する1つの電池列Sにおける全ての電池2、対応する温度制御ユニット1及び対応する2つの端板8を締め付ける。取付パネル9は縦方向Yにおいて対応する端板8の外側に位置し、下部筐体3及び対応する端板8に固定的に接続されて、ファン5を固定して取り付ける。
【0074】
図1、
図2を参照し、ワイヤハーネス隔離板10は前記複数の電池2の上方に設けられて、端板8に直接固定され、それにより電池パックのグループ化効率及び一体化程度を向上させることに有利である。上部筐体カバー7は、ワイヤハーネス隔離板10の上方に設けられて、ファスナ(例えばリベット)を介してワイヤハーネス隔離板10に固定的に接続されている。ここで、上部筐体カバー7の周側にはスナップフィットなどの複雑な構造が設けられないため、それはブリスタープロセスを採用して、直接に加工することができ、それにより加工コストを低減する。
【国際調査報告】