(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】バイパス通路を備えたカテーテル上の膨張可能バルーン
(51)【国際特許分類】
A61M 25/10 20130101AFI20220815BHJP
A61N 1/30 20060101ALI20220815BHJP
A61F 2/82 20130101ALI20220815BHJP
【FI】
A61M25/10 510
A61M25/10 520
A61N1/30
A61F2/82
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560509
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 US2020021509
(87)【国際公開番号】W WO2020209961
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442523
【氏名又は名称】パテル、ウダヤン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ウダヤン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C267
【Fターム(参考)】
4C053HH01
4C267AA02
4C267AA06
4C267AA50
4C267AA55
4C267BB06
4C267BB28
4C267BB42
4C267BB63
4C267CC09
4C267CC19
4C267DD10
4C267GG08
4C267GG16
4C267GG21
4C267GG34
4C267GG43
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
本発明は、治療薬を身体の通路内の組織に送達すると同時に、治療位置を通過する体液の流れを可能にする医療機器である。医療機器は、膨張可能バルーンを含み、膨張可能バルーンが膨張可能バルーンの内部の流体によって加圧されたときに膨張可能バルーンの内部の流体が膨張可能バルーンを通って流れることを可能にするように構成されている1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む。治療部位での膨張可能バルーンの膨張中、血管を通る血流は、医療機器の1つ以上のバイパス通路を使用することによって、治療部位を横切って維持される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、前記第1膨張可能バルーンが血管内で膨張したときに前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りの継続的な血流を可能にするバイパス通路を備える医療機器。
【請求項2】
前記第1膨張可能バルーンは1つ以上のバルーン壁開口部を含む、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記1つ以上のバルーン壁開口部のサイズは0.1~25ミクロンである、請求項2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記カテーテルは前記第1膨張可能バルーンの内部に開口部を有する通路を有し、前記カテーテルの遠位部分が前記第1膨張可能バルーンの近位部分に接続されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項5】
前記第1膨張可能バルーンの外面に取り付けられている拡張可能なステントをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項6】
前記バイパス通路は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路によって部分的または全体的に形成されている、請求項1に記載の医療機器。
【請求項7】
前記バイパス通路は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路によって部分的または全体的に形成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項8】
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する近位端を有し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する遠位端を有する、請求項1に記載の医療機器。
【請求項9】
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する近位端を有し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する遠位端を有する、請求項2~7のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項10】
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端から20インチ以内に位置する1つ以上の近位開口部を含み、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端から5インチ以内に位置する1つ以上の遠位開口部を含む、請求項1に記載の医療機器。
【請求項11】
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端から20インチ以内に位置する1つ以上の近位開口部を含み、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端から5インチ以内に位置する1つ以上の遠位開口部を含む、請求項2~9のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項12】
前記カテーテル上に1つ以上のルアーコネクタをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項13】
第1電極をさらに含み、前記第1電極は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する、請求項1~12のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項14】
第2電極をさらに含み、前記第2電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて、e)前記血管の外側に間隔を置いて、または、f)体の外側に間隔を置いて、体の近くまたは体と接触して位置する、請求項13に記載の医療機器。
【請求項15】
第1放射線不透過性マーカーをさらに含み、前記第1放射線不透過性マーカーは、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する、請求項1~14のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項16】
前記第1膨張可能バルーン内に少なくとも部分的に位置する側枝通路をさらに含み、前記側枝通路の第1の端部は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路に流体的に接続され、前記側枝通路の第2の端部は、前記第1膨張可能バルーンの壁まで延在する、または、前記第1膨張可能バルーンの前記壁から外向きに延在する、請求項1に記載の医療機器。
【請求項17】
前記第1膨張可能バルーン内に少なくとも部分的に位置する側枝通路をさらに含み、前記側枝通路の第1の端部は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路に流体的に接続され、前記側枝通路の第2の端部は、前記第1膨張可能バルーンの壁まで延在する、または、前記第1膨張可能バルーンの前記壁から外向きに延在する、請求項2~15のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項18】
前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に位置する第2膨張可能バルーンをさらに含み、第1および第2膨張可能バルーンは互いに流体連通し、前記第2膨張可能バルーンへの流体の供給は、1)前記第1膨張可能バルーンにも流体を供給する前記カテーテル、および/または、2)前記第1および第2膨張可能バルーンとの間で流体的に接続されている補助バルーン通路によって提供される、請求項1~17のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項19】
a)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、iv)前記第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する電極、b)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、iv)第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する放射線不透過性マーカー、c)前記第2膨張可能バルーンの前記外面に取り付けられたステント、d)前記第2膨張可能バルーンの前記外面にコーティングされた治療薬のコーティング、および/または、e)前記第2膨張可能バルーンにおける1つ以上のバルーン壁開口部をさらに含む、請求項18に記載の医療機器。
【請求項20】
前記補助バルーン通路は1つ以上の壁開口部を含む、請求項18または19に記載の医療機器。
【請求項21】
血管を治療するための方法であって、
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、バイパス通路を備える医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
を含み、
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンが前記血管内で膨張したときに、前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りで継続的な血流を可能にするように構成されている、
方法。
【請求項22】
血管を治療するための方法であって、
請求項1~20のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
を含み、
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンが前記血管内で膨張したときに、前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りで継続的な血流を可能にするように構成されている、
方法。
【請求項23】
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの内部に加圧流体を挿入することを含み、前記加圧流体は、水、血液、血漿、生理食塩水、治療薬、造影剤、および/または、放射線不透過剤を含む、請求項21または22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1膨張可能バルーンは、1つ以上のバルーン壁開口部を含み、前記第1膨張可能バルーンが前記治療部位で膨張している間に、治療薬を前記第1膨張可能バルーンに挿入し、前記1つ以上のバルーン壁開口部を通して前記治療薬を通過させるステップをさらに含む、請求項21~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記第1膨張可能バルーンが膨張している間に前記第1膨張可能バルーンに高粘度溶液を挿入するステップをさらに含み、前記高粘度溶液は、平均粒子サイズが前記1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの70~100+%である粒子を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記第1膨張可能バルーンが膨張している間に前記第1膨張可能バルーンに高粘度溶液を挿入するステップをさらに含み、前記高粘度溶液は、平均粒子サイズが前記1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの70~100+%である粒子を含む、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記膨張させるステップは、a)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、前記脳、または、b)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、心筋梗塞を引き起こしている心臓に位置する前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項28】
前記膨張させるステップは、a)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、前記脳、または、b)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、心筋梗塞を引き起こしている心臓に位置する前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、請求項22~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、30秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項30】
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、30秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、請求項22~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、60秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、60秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記医療機器は第1電極をさらに含み、前記第1電極は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置し、前記血管内で電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを引き起こして、前記血管壁の組織への治療薬の移動を容易にする、前記第1電極にエネルギーを与えるステップをさらに含む、請求項21~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
血管を治療するための方法であって、
カテーテル、および、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーンを備える医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第1内部バルーン圧力まで非高粘度溶液で膨張させるステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第2内部バルーン圧力まで高粘度溶液で膨張させるステップと、
を含み、
前記第2内部バルーン圧力は、前記第1内部バルーン圧力よりも大きい、
方法。
【請求項35】
血管を治療するための方法であって、
請求項1~20のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第1内部バルーン圧力まで非高粘度溶液で膨張させるステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第2内部バルーン圧力まで高粘度溶液で膨張させるステップと、
を含み、
前記第2内部バルーン圧力は、前記第1内部バルーン圧力よりも大きい、
方法。
【請求項36】
血管を治療するための方法であって、
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、第1電極を備える医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
前記医療機器からの治療薬を前記治療部位の内面に接触させるステップと、
イオントフォレーシスを引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
電気穿孔を引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
を含む、
方法。
【請求項37】
血管を治療するための方法であって、
請求項1~20のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
前記医療機器からの治療薬を前記治療部位の内面に接触させるステップと、
イオントフォレーシスを引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
電気穿孔を引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
を含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年4月8日に出願された米国仮出願シリアルNo.62/831,076の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、治療薬(例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など)を通路内の組織に送達すると同時に、治療位置を通過する体液の流れを可能にする医療機器に関する。1つの非限定的な配置では、医療機器は、狭窄(すなわち、血管狭窄)が発生した可能性がある血管に治療薬を送達するように構成されている。医療機器は、破裂することなく高い流体圧を保持する能力を有し、血管形成術で使用するために膨張するように構成された膨張可能バルーンを含む。医療機器は、ステントの送達を容易にするために任意に使用することができる。医療機器は、動脈壁内に治療薬を効果的に送達するための電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを任意に容易にすることができる。医療機器の膨張可能バルーンは、医療機器の遠位端に少なくとも部分的に位置する。膨張可能バルーンは、膨張可能バルーンが、膨張可能バルーンの内部の流体によって部分的にまたは全体的に加圧されたときに、膨張可能バルーンの内部の流体(例えば、1つ以上の治療薬を含む流体等)が、1つ以上の細孔を通って流れるまたは滲出することを可能にするように構成されている1つ以上の細孔を任意に含むことができる。医療機器の部分的にまたは全体的に膨張した膨張可能バルーンの1つ以上の細孔を通って流れるまたは滲出される流体は、血管壁と接触し、その後、拡散によって血管壁の組織内に部分的にまたは全体的に移動することができ、拡散は、電気穿孔および/またはイオントフォレーシスによって任意に促進されうる。治療部位での医療機器の膨張可能バルーンの膨張中、血管(例えば、静脈、動脈)を通る血流は、医療機器の1つ以上のバイパス通路を使用することによって治療部位を横切って維持される。1つ以上の電極は、電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを容易にするため膨張可能バルーンの上、その中、および/またはその周りに任意に位置させることができる。
【背景技術】
【0003】
血管の狭窄は、血管壁上のプラークまたは血栓の形成によって引き起こされる。狭窄を緩和する現代の手段は、血管の拡張がバルーンカテーテルによって駆動される血管形成術によるものである。拡張した血管の開存性を維持するために、金属製スキャフォールドが狭窄部位に一般的に挿入される。再狭窄を防ぐために、ステントは、再狭窄を阻害または予防することができる治療薬または薬物のコーティングを一般的に提供する。再狭窄に対して治療薬が有効であるためには、治療薬は長期間、通常は約1ヶ月間投与される必要がある。この治療薬送達期間は、ステントと賦形剤との間に治療薬をカプセル化することにより達成されてきた。賦形剤は、溶解可能な高分子材料で通常できている。血管内のステントと賦形剤の長期的な存在は、血栓症などの血管における遅発性副作用の原因となっている。生体吸収性賦形剤またはフッ素化ポリマーなどの不活性ポリマーの使用により、遅発性血栓形成の発生率が減少している。しかし、血管内の永久的なステントの存在は、依然として血管に遅発性副作用を引き起こす。
【0004】
より最近の発明では、生体吸収性スキャフォールドが使用されている。しかし、生体吸収性材料の機械的特性および中間副生成物の酸性度の制限のために、それは所望の結果を達成していなかった。
【0005】
スキャフォールドのないバルーン上に治療薬がコーティングされた機器が、近年開発されている。バルーンが治療部位で膨張すると、治療薬が動脈壁の内面に移動して付着すると予想される。バルーンが収縮して血管から抜去されると、血管内の血流が血管壁上の治療薬の大部分またはすべてを洗い流すので、治療薬のこの適用様式は原則として粗雑である。そのような機器から血管の壁に移される治療薬の量は、制御されておらず、したがって、大きく変動し、不正確である。バルーンが十分に膨張すると、血管を通る血流は停止する。血管の大きさ、血管の位置、および、患者の健康状態に応じて、血管の治療中に患者に害を与えることなく血管を通る血流が停止する許容可能な時間は変化する。動脈を治療する場合、バルーンの膨張は、膨張したバルーンの下流の組織や臓器への酸素と栄養素の供給を妨げる。バルーンの膨張時間は、虚血になる前に酸素または栄養素を奪われる組織の耐性に依存する。例えば、冠状動脈のためのほとんどの血管形成術は、比較的健康な患者において、約30秒以内のバルーン膨張によって冠状動脈を遮断する。しかし、心筋梗塞の患者の場合、動脈は約10秒以内遮断される。神経動脈(例えば、脳内の動脈)では、血管形成術で許容できるバルーンの膨張時間は、より短くなければならない(例えば、10~15秒以内)。末梢動脈では、血管形成術のためのバルーン膨張時間は少し長くなる可能性がある(たとえば、最大30秒)。ほとんどの場合、膨張可能バルーンの膨張時間は60秒未満であり、心筋梗塞の患者の場合は通常10秒未満である。
【0006】
膨張可能バルーンが血管内で膨張することができる短い期間、および、治療薬が膨張したバルーンから流れることができる短い期間では、膨張したバルーンからの治療薬は、血管の壁の奥深くに移動するのに十分な時間がない。唯一の治療薬、すなわちパクリタキセルは、これまでのところ、感情的であるのに十分長い期間血管壁に付着することが証明されている。短時間での血管の壁へのパクリタキセルの付着は、パクリタキセルの高い親油性によるものである。しかし、より最近の研究では、パクリタキセルが一部の患者に遅発性の有害転帰を引き起こす可能性があることがわかっている。
【0007】
従来技術の薬物被覆バルーンの別の主要な欠点は、バルーンが収縮した後、治療薬が血管を通る再開した血流によって血管の壁から洗い流されることである。バルーンの短期間の膨張が複数ある処置では、膨張/収縮それぞれの後にバルーンの外面で利用可能な薬物の量が指数関数的に減少する。したがって、ほとんどの治療薬または薬物の場合、このタイプの処置(すなわち、狭窄領域における薬物被覆バルーンの複数の膨張および収縮)は、血管の壁内への治療薬の所望のまたは必要な量の移動をもたらさない。例えば、バルーンにコーティングされたシロリムスなどのわずかに親油性の薬物は、シロリムスが血管の内側層に適切に拡散し、バルーンが収縮した途端、血流に流されないようにするために、バルーンをより長い時間膨張させる必要がある。治療薬の移動の効率は、a)バルーン表面から離れる治療薬の能力、b)治療薬の血管の壁への接着特性、c)血管壁を通って拡散する治療薬の能力、およびd)再狭窄を効果的に阻害するおよび/またはその意図された治療機能を実行する治療薬の能力などのいくつかの要因に依存する。
【0008】
バルーンの収縮後に血管壁から洗い流される治療薬に関連する問題に対処するために、治療薬または薬物は、治療薬よりも容易に血管の壁に付着する親油性賦形剤でコーティングまたはカプセル化されている。しかし、すべての治療薬を親油性賦形剤にうまくコーティングまたはカプセル化できるわけではない。また、治療薬をコーティングまたはカプセル化する必要性は、望ましくない長期の臨床転帰を引き起こす可能性があり、また、または、代替として、治療に使用される適合性のある治療薬の選択を制限する可能性がある狭窄の治療にあるレベルの複雑さを追加する。
【0009】
針を使用して血管をナビゲートし、血管壁に穴を開けて治療薬を血管壁に注射する試みがなされてきた。このような機器を使用すると、針によって血管の損傷点が誘発され、その損傷が炎症および関連する望ましくない副作用を引き起こす可能性がある。
【0010】
使用されてきた別の機器は、血管壁に治療薬を迅速に注入するための超音波補助具からなる。しかし、そのような治療は、主に治療期間の制限のために効果がないことが証明されている。血管壁に治療薬を迅速に注入する他の試みは、電気穿孔またはイオントフォレーシスの技術を使用する。しかし、これらの技術はまた、臓器によって許容されるようにバルーン膨張の短い期間内に血管の組織への薬物の効果的な移動に必要な非常に高電圧の放電中の血管壁への過度の損傷のために失敗している。
【0011】
バルーンの膨張中に治療薬を血管壁に供給する別の試みは、治療薬が膨張したバルーンの内部から血管壁に放出され得るバルーンの穴の使用を含んでいた。このような機器の欠点は2つある。つまり、1)バルーンを短時間しか膨張させることができないため、治療の継続時間の制限、および2)バルーンを加圧して十分に膨張させ、また、血管壁内に治療薬を送達するために、血管壁に対して膨張したバルーンの外面を密着させることができる能力である。そのような機器では、第2のバルーンが多孔質バルーンの内側に配置され、多孔質バルーンが血管壁に対して完全に接することを可能にする。しかしながら、機器内で2つの膨張可能バルーンを使用すると、機器のかさ高さおよびサイズが増加し、それにより、機器が血管内で狭窄領域にナビゲートすることがより困難になる。
【0012】
狭窄の治療のために膨張可能バルーンを使用する場合の治療時間の制限のために、治療薬または薬物の選択は制限される。したがって、治療薬を血管の壁に表面的に移動させる薬物被覆バルーンおよび他の機器は効果的ではなかった。
【0013】
狭窄の治療に使用するための膨張可能バルーンの現在の最先端技術を考慮して、治療薬を血液の組織に効果的に送達するように構成された膨張可能バルーンを含む医療機器が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、膨張可能ルーンを使用することによって狭窄を治療する医療機器および方法に関するものであり、本医療機器および方法は、狭窄の治療に使用するための従来技術の膨張可能バルーンの過去の欠陥および制限を克服する。本開示による膨張可能バルーンの使用による狭窄を治療する医療機器および方法は、バルーンが膨張している間に血管を通る血流を妨げることなく、治療薬を血管の組織に効果的に運ぶことを可能にする。さらに、本開示による医療機器および方法は、血管壁に穴を開けることなく、治療薬の血管壁への拡散を任意に促進する。さらに、本開示による医療機器および方法は、カプセル化または非カプセル化のいずれかである治療薬を血管壁に提供し、血管壁内の治療薬の所望の飽和点が達成されると同時に、治療部位を通過する血流が可能になるまで、血管壁に治療薬を任意に提供し続ける柔軟性を提供する。本開示による医療機器および方法は、狭窄の治療のための現在の膨張可能バルーン機器の不足に対処し、より良い結果のために各患者の標的用量治療における柔軟性を介護者に提供することによって医療ニーズを満たす。
【0015】
本開示の1つの非限定的な態様では、医療機器および方法は、治療薬(以下、総称して「治療薬」と呼ぶ)を送達すると同時に治療点を通過する体液の流れを促進することによる、罹患した血管の治療に向けられているが、これに限定されない。
【0016】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、カテーテル本体を含み、カテーテル本体の遠位端は膨張ルーメンを介して膨張可能バルーンと連通している。医療機器は、膨張可能バルーンが部分的または全体的に膨張した状態にあるときに、血管内の流体が膨張可能バルーンを通過することを可能にする1つ以上のバイパス通路を含む。1つ以上のバイパス通路は、1)ガイドワイヤによって使用されるガイドワイヤ通路(例えば、ガイドワイヤルーメン)、および/または2)ガイドワイヤ通路とは別の第2の通路によって形成することができる。ガイドワイヤ通路がバイパス通路の少なくとも1つを全体的に形成するために使用される場合、ガイドワイヤ通路は、一般に、膨張可能バルーンを完全に通過するように構成されている。1つ以上のバイパス通路は、膨張可能バルーンの位置の前に位置する1つ以上の開口部(膨張可能バルーンの後端の前に位置する)、および、膨張可能バルーンの位置の後ろに位置する1つ以上の開口部(膨張可能バルーンの前端の後ろに位置する)を含む。そして、膨張可能バルーンが血管内の治療部位に配置されているとき、1つ以上の開口部は血管内に位置する。1つ以上のバイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが血管内で90~100%(およびそれらの間のすべての値と範囲)膨張したとき、血管を通る治療前流体流量(例えば、治療前流体流量は、医療機器が血管の治療領域に挿入される前の血管を通る流体の流量である)の少なくとも5体積%が維持されるように選択される。1つの非限定的な実施形態では、1つ以上のバイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが血管内で90~100%(およびそれらの間のすべての値と範囲)膨張したとき、血管を通る治療前流体流量の少なくとも10体積%(およびそれらの間のすべての値と範囲)が維持されるように選択される。別の非限定的な実施形態では、1つ以上のバイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが血管内で90~100%膨張したとき、血管を通る治療前流体流量の少なくとも20体積%が維持されるように選択される。別の非限定的な実施形態では、1つ以上のバイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが血管内で90~100%膨張したとき、血管を通る治療前流体流量の少なくとも40体積%が維持されるように選択される。別の非限定的な実施形態では、1つ以上のバイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが血管内で90~100%膨張したとき、血管を通る治療前流体流量の少なくとも50体積%が維持されるように選択される。別の非限定的な実施形態では、1つ以上のバイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが血管内で90~100%膨張したとき、血管を通る治療前流体流量の少なくとも60体積%が維持されるように選択される。1つの非限定的な実施形態では、医療機器は、単一のバイパス通路を含む。別の非限定的な実施形態では、医療機器は、2つ以上のバイパス通路を含む。別の非限定的な実施形態では、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で90~100%(およびそれらの間のすべての値と範囲)膨張したとき、治療部位を通って流れ、医療機器の膨張した膨張可能バルーンをバイパスする流体の少なくとも50体積%は、1つ以上のバイパス通路を通って流れる。別の非限定的な実施形態では、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で90~100%膨張したとき、治療部位を通って流れ、医療機器の膨張した膨張可能バルーンをバイパスする流体の50~100体積%(およびそれらの間のすべての値と範囲)は、1つ以上のバイパス通路を通って流れる。別の非限定的な実施形態では、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で90~100%膨張したとき、治療部位を通って流れ、医療機器の膨張した膨張可能バルーンをバイパスする流体の少なくとも60体積%は、1つ以上のバイパス通路を通って流れる。別の非限定的な実施形態では、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で90~100%膨張したとき、治療部位を通って流れ、医療機器の膨張した膨張可能バルーンをバイパスする流体の少なくとも80体積%は、1つ以上のバイパス通路を通って流れる。別の非限定的な実施形態では、膨張可能バルーンが血管の治療部位で90~100%膨張したとき、治療部位を通って流れ、医療機器の膨張した膨張可能バルーンをバイパスする流体の100体積%は、1つ以上のバイパス通路を通って流れる。
【0017】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、バイパス通路を全体的に形成するための二次通路(ガイドワイヤと共に使用されない)を含む。この非限定的な実施形態の1つの非限定的な配置では、二次通路は膨張可能バルーンを完全に通過するように構成されており、二次通路は、膨張可能バルーンの後端またはその前に位置する1つ以上の開口部を有し、また、膨張可能バルーンの前端またはその後ろに位置する1つ以上の開口部を有する。一般に、膨張可能バルーンの後端の前に位置する二次通路の1つ以上の開口部は、膨張可能バルーンの前端または近位端から0~20インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)に位置し、通常は膨張可能バルーンの前端または近位端から約0~5インチ、より一般的には膨張可能バルーンの前端または近位端から0~2インチに位置する。一般に、膨張可能バルーンの後端または遠位端の後ろに位置する二次通路の1つ以上の開口部は、膨張可能バルーンの後端または遠位端から0~5インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)に位置し、通常は膨張可能バルーンの後端または遠位端から約0~0.5インチ、より一般的には、膨張可能バルーンの後端または遠位端から0~0.2インチに位置する。
【0018】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、バイパス通路を部分的に形成するために使用される二次通路を含む。この非限定的な実施形態の1つの非限定的な配置では、二次通路がバイパス通路の一部を形成し、他の通路がバイパス通路の別の部分を形成するように、二次通路は別の通路(例えば、ガイドワイヤ通路、治療用流体通路、バルーン膨張通路など)に接続されるように構成されている。例えば、二次通路の第1の端部は、ガイドワイヤ通路(ただし、治療用流体通路、バルーン膨張通路などの他の通路を使用することができることが理解される)に流体的に接続することができ、二次通路の第2の端部は、膨張可能バルーンの後端または遠位端から外向きに延在することができる。そのような配置では、膨張可能バルーンの後端または遠位端から外向きに延在する二次通路の第2の端部は、1つ以上の開口部を含む。また、この配置では、ガイドワイヤ通路は、膨張可能バルーンの前端または近位端の前に位置する1つ以上の流体開口部を含む(例えば、1つ以上の流体開口部は、ガイドワイヤ通路の第1の端部から離間しており、膨張可能バルーンが治療部位に配置されたときに血管内の流体がガイドワイヤ通路に流入できるようにガイドワイヤ通路に位置している)。この非限定的な配置では、二次通路の第1の端部は、ガイドワイヤ通路の1つ以上の流体開口部の位置またはその後ろの位置でガイドワイヤ通路に一般に接続される。一般に、ガイドワイヤ通路上の1つ以上の流体開口部は、膨張可能バルーンの前端または近位端から0~20インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)に位置し、通常は膨張可能バルーンの前端または近位端から約0~5インチ、より一般的には膨張可能バルーンの前端または近位端から0~2インチに位置する。一般に、膨張可能バルーンの後端または遠位端の後ろに位置する二次通路の1つ以上の開口部は、膨張可能バルーンの後端または遠位端から0~5インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)に位置し、通常は膨張可能バルーンの後端または遠位端から約0~0.5インチ、より一般的には膨張可能バルーンの後端または遠位端から0~0.2インチに位置する。
【0019】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、バイパス通路を全体的に形成するために使用されるガイドワイヤ通路を含む。この非限定的な実施形態の1つの非限定的な配置では、ガイドワイヤ通路は、膨張可能バルーンを完全に通過するように構成され、ガイドワイヤ通路は、膨張可能バルーンの前端または近位端またはその前に位置する1つ以上の流体開口部(例えば、1つ以上の流体開口部は、ガイドワイヤ通路の第1の端部から離間し、膨張可能バルーンが治療部位に配置されたときに血管内の流体がガイドワイヤ通路に流入できるようにガイドワイヤ通路に位置している)を有し、また、膨張可能バルーンの前端またはその後ろに位置する1つ以上の流体開口部を有する。一般に、膨張可能バルーンの後端の前に位置するガイドワイヤ通路の1つ以上の流体開口部は、膨張可能バルーンの後端から0~20インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)内に位置し、通常は膨張可能バルーンの後端から約0~5インチ、より一般的には膨張可能バルーンの後端から0~2インチに位置する。一般に、膨張可能バルーンの前端の後ろに位置する二次通路の1つ以上の流体開口部は、膨張可能バルーンの前端から0~20インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)内に位置し、通常は膨張可能バルーンの前端から約0~5インチ、より一般的には膨張可能バルーンの前端から0~2インチに位置する。
【0020】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、1つ以上の放射線不透過性マーカーを任意に含む。1つ以上の放射線不透過性マーカーは、血管内の治療部位に医療機器を配置することを容易にする。1つの非限定的な実施形態では、1つ以上の放射線不透過性マーカーは、膨張可能バルーンの内側に位置する。この非限定的な配置では、放射線不透過性マーカーは、部分的または全体的に膨張バルーンを通過する膨張通路(例えば、膨張ルーメン)またはガイドワイヤ通路(例えば、ガイドワイヤルーメン)に位置する。理解できるように、1つ以上の放射線不透過性マーカーは膨張バルーンの外側に位置させることができる。
【0021】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器の膨張可能バルーンは、治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)が膨張可能バルーン壁を通過できるようなサイズの1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む。1つ以上のバルーン壁開口部の数およびサイズは、膨張可能バルーンが十分に膨張し、膨張可能バルーンの所望の内圧(例えば、1~20気圧およびそれらの間のすべての値および範囲)を保持できるように選択される。したがって、1つ以上のバルーン壁開口部の数およびサイズは、血管の狭窄領域の治療時に血管を適切に拡張するように、膨張可能バルーンの所望の内部膨張圧力を保持しながら、膨張した膨張可能バルーンの内部から、膨張可能バルーンの壁を通って、血管の壁上への治療材料の所望の流量を可能にする。膨張可能バルーンが1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む場合、膨張可能バルーンの最大内圧(膨張時)は、1つ以上のバルーン壁開口部のサイズ、バルーン壁開口部の数、および、膨張可能バルーンを膨張させるために使用される流体の粘度に依存する。例えば、すべてが1ミクロンの直径を持つ120個の等間隔のバルーン壁開口部を備えた膨張可能バルーンは、77°で5cpsの粘度を有する生理食塩水と造影剤の50:50混合物の膨張液を使用する場合、膨張可能バルーンを膨張させ、約6気圧の内圧を保持することを可能にする。膨張可能バルーンを膨らませるのに使用される種々の流体の粘度はさまざまである。例えば、100%生理食塩水(14%~20%NaCl溶液)は77°で約1.3~1.6cpsの粘度を有する。50/50生理食塩水-治療薬は77°で約1.3~3cpsの粘度を有する。造影剤または放射線不透過性流体の100%溶液は77°で約5~12cpsの粘度を有する。理解できるように、異なるサイズのバルーン壁開口部、異なる数のバルーン壁開口部、および/または、溶液粘度を使用して、膨張可能バルーンを異なる内圧に膨張させることができる。膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部のサイズおよびバルーン壁開口部のパターンは、膨張可能バルーンを膨張させるために使用される治療材料および/または流体のサイズおよび構成に基づいて任意に選択することができる。一般に、膨張可能バルーンは、1~30気圧(およびそれらの間のすべての値と範囲)、通常は2~20気圧、より一般的には約3~12気圧の内圧を維持するよう膨張させるように構成されている。膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部は、鋭利な針、レーザー、穴あけ器、または、微細孔を作製するための業界で知られている同様の技術によって任意に形成することができる。別の非限定的な実施形態では、1つ以上のバルーン壁開口部は、バルーン壁に部分的に形成されたバルーン壁細孔によって任意に形成することができる(例えば、細孔は、膨張可能バルーン壁により薄い壁厚を作り出す)が、バルーン壁細孔は、膨張可能バルーンが最初に膨張するまで、バルーン壁を完全には貫通しない。バルーン壁細孔は、膨張可能バルーンが膨張した後にのみバルーン壁を通る開口部を形成するように構成され、膨張中のバルーン壁の伸長、および/または、膨張中の膨張可能バルーン内の内圧により、バルーン壁細孔が破裂または開き、それによってバルーン壁にバルーン壁開口部が形成される。別の非限定的な実施形態では、1つ以上のバルーン壁開口部は、連続気泡発泡材料などの多孔質バルーン材料を使用することによって任意に形成することができる。膨張可能バルーンが1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む場合、治療材料が1つ以上のバルーン壁開口部を通って流れるまたは押し出す速度は、膨張可能バルーンの内圧、膨張可能バルーン内の流体の粘度、膨張可能バルーンの壁厚、1つ以上のバルーン壁開口部のサイズ、バルーン壁開口部の数、膨張可能バルーン上のバルーン壁開口部の分布パターン、膨張可能バルーン内の流体中の任意の粒子(例えば、治療材料粒子、放射線不透過性粒子または流体(例えば、ヨウ素、バリウム、ジアトリゾ酸、イオヘキソール、イオパミドール、イオタラメート、イオベルソール、イオキサグレート、メトリザミドなど)、染料または着色剤粒子、塩粒子、生物学的材料の粒子など)のサイズ、膨張した膨張可能バルーン表面に血管壁によって及ぼされる力の量、および、血管の過膨張の作用である。一般に、治療材料は、1)膨張可能バルーン内でほぼ一定の内圧を維持すること、および/または2)膨張可能バルーンから流出する流体/治療材料のほぼ一定の量を維持することによって、1つ以上のバルーン壁開口部を通って流れまたは押し出される。流体/治療材料が、高圧(例えば、少なくとも16気圧)および/または1つ以上のバルーン壁開口部を通って高速(例えば、少なくとも0.25mm/秒)で膨張可能バルーンから流出する場合、膨張可能バルーン流体から流出する流体/治療材料は、血管壁の奥深く、および、血管の内側層または外層に注入することができる。理解できるように、膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部を通る流体/治療材料の速度は、0.01mm/秒以上、通常は0.01~1mm/秒(およびそれらの間のすべての値と範囲)であることが可能である。
【0022】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、膨張可能バルーンは、血管内の治療領域での医療機器の挿入を容易にするために、より小さな外形に任意に折りたたむことができる。折りたたまれた膨張可能バルーンは、治療部位で展開および膨張するように構成することができる。
【0023】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、膨張可能バルーンが十分に膨張したときに、血管内の治療部位に位置する医療機器を通って血液が流れるように構成されている。膨張可能バルーンが血管内の治療部位で膨張している間、治療薬は、血管壁に近接しているか、または、血管壁と接触している血管の壁に任意に適用することができる。そのような治療薬は、1)膨張可能バルーンの外面を1つ以上の治療薬でコーティングすること、2)膨張可能バルーンの外面を1つ以上のコーティングまたはカプセル化された治療薬でコーティングすること、および/または3)治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)を膨張した膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部に流すまたは通過させることによって血管の壁に任意に適用することができる。
【0024】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、以下に限定されないが、ガイドカテーテルまたはガイドシース、ガイドワイヤ、注射器、および/または、バルーン加圧装置などの他の機器と組み合わせて使用されるように構成されている。
【0025】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、血管内の膨張したバルーンの適切な配置を確実にするために1つ以上の放射線不透過性マーカーを任意に含むことができる。1つ以上の放射線不透過性マーカーが医療機器に含まれている場合、放射線不透過性液体の使用を排除することができる。
【0026】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、染料は、治療材料と任意に混合され、膨張可能バルーンを部分的または全体的に膨張させるための流体として使用することができる。
【0027】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様によれば、ガス状薬物担体は、膨張可能バルーンを部分的または全体的に膨張させるために任意に使用することができ、治療材料を膨張可能バルーンに送達するために任意に使用することができる。
【0028】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、電界発生エレメントを任意に含むことができる。電界発生エレメントは、一般に2つの電極を含む。一般に、2つの電極は電界を生成する。一般に、2つの電極は膨張可能バルーンの両端近くに配置される。電極は、膨張可能バルーン内および/または膨張可能バルーンの外側に配置することができる。一方の電極はアノードで、もう一方の電極はカソードである。2つの電極は、一般に、回路を短絡させないように、2つの導電性ワイヤによってカテーテルの近位端まで延長される。膨張可能バルーンの膨張、膨張可能バルーンの加圧、および/または、バルーン管の治療領域における任意のステント展開中に、電流を2つの電極に流すことができる。2つの電極間の組織は、2つの電極を流れる電流によって帯電し、電気穿孔と呼ばれる効果を引き起こす。電気穿孔は、血管壁組織の深部への治療材料の移動を容易にするために使用できる。電気穿孔治療は、医療機器とともに任意に使用される場合、医療機器のバイパス通路を介して血管内の治療部位を通って流れ通過する血流を維持しながら使用することができる。
【0029】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、アノードとして機能する単一の電極を任意に含むことができる。医療機器を使用して血管内の部位を治療する処置中に、カソードプレートを治療部位に近い患者の体に任意に配置することができる。医療機器による部位の治療中に、電流をアノードに任意に流して電気穿孔を作成することができる。アノードは、膨張可能バルーン内および/または膨張可能バルーンの外側に配置された電極の形態であることが可能である、または、そのようなステントが使用される場合、任意に金属ステントであることが可能である。
【0030】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、バイパス通路から形成される側枝通路を任意に含むことができる。側枝通路は、膨張可能バルーンの近位端と遠位端との間の位置に血液を供給するように構成することができる。1つの非限定的な配置として、側枝通路は、膨張可能バルーンの近位端と遠位端との間の膨張可能バルーンの壁に開口部を形成する。側枝通路は、膨張可能バルーンの膨張中に血管の壁への血流のための通路を提供する。
【0031】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、第1膨張可能バルーン(例えば、前述の医療機器の膨張可能バルーン)に隣接して配置される、または、第1膨張可能バルーンから間隔を置いて位置する第2膨張可能バルーンを任意に含むことができる。医療機器が第1および第2バルーンを含む場合、バイパス通路の第1の端部は、第1膨張可能バルーンの近位端またはその前に1つ以上の開口部を含むように構成され、バイパス通路の第2の端部は、第2膨張可能バルーンの遠位端またはその後に1つ以上の開口部を含むように構成される。第2膨張可能バルーンは、第1膨張可能バルーンに関して前述したように放射線不透過性マーカーを任意に含むことができ、放射線不透過性マーカーを使用して、血管内の第1および/または第2膨張可能バルーンの適切な配置を確実にすることができる。医療機器が第1および第2膨張可能バルーンを含む場合、補助バルーン通路を任意に使用して、第1および第2膨張可能バルーンを流体的に接続することができる。そのような補助バルーン通路は、第1膨張可能バルーンを膨張させるために使用される流体が、第2膨張可能バルーンを膨張させるためにも使用されることを可能にする。そのような配置では、第1および第2膨張可能バルーンの両方を同時に膨張させることができる。第1および/または第2膨張可能バルーンは、第1膨張可能バルーンに関して前述したように治療材料が第1および/または第2膨張可能バルーンから血管壁に流れるまたは押し出されることを可能にする1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含むことができる。第1および/または第2膨張可能バルーンは、第1膨張可能バルーンに関して前述したように電気穿孔処置を実行するために、1つ以上の電極を任意に含むことができる。
【0032】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器を使用するための非限定的な方法は、以下の通りである。1)最初に、ガイドカテーテルが体内および血管構造内に導入され、治療部位のすぐ近くまでナビゲートされ、2)次に、ガイドワイヤがガイドカテーテルを通ってナビゲートされ、治療部位を越えて伸ばされ、3)本開示による医療機器は、ガイドワイヤを介しておよびガイドカテーテルを通って導入され、医療機器の膨張可能バルーンが治療部位を横切って配置されるように治療部位にナビゲートされ、医療機器の任意のマーカーを治療部位での医療機器の適切な配置に使用することができ、4)次に、膨張可能バルーンは流体で加圧され、その流体は、治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)を任意に含むことができ、5)膨張可能バルーンが膨張すると、膨張可能バルーンが拡張し、膨張可能バルーンの外壁が治療部位で血管の壁に接し、膨張可能バルーンの拡張は、血管の治療領域の開口部の断面積を任意に増加させることができ、6)膨張可能バルーンが完全に拡張されたとき(例えば、治療領域で十分に膨張したとき)、膨張可能バルーンの周りの血流は、医療機器の1つ以上のバイパス通路を介した膨張した膨張可能バルーンの周りの血液の継続した流れを除いて実質的または完全に停止し、7)a)膨張可能バルーンの内部に治療材料を流し込み、治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)を膨張した膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部に流すまたは通過させること、b)膨張可能バルーンの外面を1つ以上の治療薬でコーティングすること、および/またはc)膨張可能バルーンの外面を1つ以上のコーティングまたはカプセル化された治療薬でコーティングすることにより、治療部位で膨張可能バルーンに近接してまたは接触している血管の壁に治療材料を任意に適用することができ、8)膨張可能バルーンは、血管の適切な治療に必要な限り(例えば、1つ以上の治療薬を血管の壁内に所望の量で注入するのに十分な時間を与えるなど)、治療部位で膨張したままにすることができ、そして、9)血管の治療が完了すると、膨張可能バルーンを部分的または全体的に収縮させることができ、膨張可能バルーン、ガイドワイヤ、ガイドワイヤカテーテルなどを血管から抜去することができる。1つの任意の追加ステップにおいて、膨張可能バルーン、ガイドワイヤ、ガイドワイヤカテーテルなどが血管から抜去される前に、膨張可能バルーンを治療部位で部分的または全体的に収縮させることができ、治療材料を含む流体を膨張可能バルーン流体から任意に回収することができ、その後、バルーンを高粘度溶液で満たすことができ、高粘度溶液は、膨張可能バルーンが治療材料を含む溶液によって膨張したときに使用できる圧力よりも高い圧力まで膨張可能バルーンを膨張させることができるように、1つ以上のバルーン壁開口部に抵抗するまたは通過できない粒子を有している。高粘度溶液は、77°で2.5cps以上の粘度を有する溶液として定義される。一般に、高粘度溶液ではない流体中の粒子の平均粒子サイズは、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で75~100%(およびそれらの間のすべての値および範囲)膨張したときのバルーン壁開口部の開口部のサイズの50%未満であるため、膨張可能バルーンが75~100%膨張するときに、非高粘度溶液は、バルーン壁開口部を遮られることなく通過するだろう。1つの特定の非限定的な実施形態では、非高粘度溶液の粘度は、77°Fで2.4cps未満であり、非高粘度溶液中の粒子の平均粒子サイズは、膨張可能バルーンが7%~100%膨張したときのバルーン壁開口部の開口部のサイズの50%未満である。別の特定の非限定的な実施形態では、非高粘度溶液の粘度は、77°Fで0.9~2.4cps(およびそれらの間のすべての値および範囲)であり、非高粘度溶液中の粒子の平均粒子サイズは、膨張可能バルーンが75~100%膨張したときのバルーン壁開口部の開口部のサイズの45%未満である。高粘度溶液は、染料、収縮剤、および/または、放射線不透過性粒子を任意に含むことができる。例えば、膨張可能バルーンが生理食塩水および治療材料(非高粘度溶液である)の溶液で膨張する場合、そのような溶液を使用して、膨張可能バルーンを最大6~8気圧の内圧まで膨張させることができる。一般に、生理食塩水中の治療薬の0.1重量%溶液の粘度は、77°Fで約2cps以下である。そのような溶液は、膨張可能バルーンが0.05~0.25mm/秒の速度のそのような溶液で膨張するとき、バルーン壁開口部を通る流量を有することができる。一般に、バルーン壁開口部を備えた膨張可能バルーンは、非高粘性溶液を使用して膨張可能バルーンを膨らませる場合、8気圧を超える内圧まで膨張させることはできない。したがって、治療部位で血管を適切に治療するために膨張可能バルーンをより高い内圧で膨張させる必要がある場合、高粘度溶液を使用して、膨張可能バルーンをそのようなより高い内圧に膨張させる。高粘度溶液は、1つ以上のバルーン壁開口部に抵抗するか、または通過できない粒子を含むため、より大きな内圧を得ることができる。一般に、高粘度溶液中の粒子の平均サイズは、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で75%~100%(およびそれらの間のすべての値と範囲)膨張したときの1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの50~100+%(およびそれらの間のすべての値と範囲)であり、通常は、高粘度溶液中の粒子の平均サイズは、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で75~100%膨張したときの1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの75~100+%であり、より一般的には、高粘度溶液中の粒子の平均サイズは、膨張可能バルーンが血管内の治療部位で十分に膨張したときの1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの80~100+%である。より高い内圧での膨張可能バルーンの膨張は、治療部位を形成する膨張可能バルーンを除去する前に、治療領域の開口部を所望のサイズに拡張する。理解できるように、高粘度溶液を膨張可能バルーンに挿入して膨張可能バルーンを膨張させる前に、治療材料を膨張可能バルーンから部分的または完全に取り出する必要はない。高粘度溶液を膨張可能バルーンに挿入する前に、治療材料が膨張可能バルーンから部分的または完全に取り出されていない場合、高粘度溶液を使用して、1)さらなる治療材料がバルーン壁開口部を通過することを部分的または完全に防止するため、1つ以上のバルーン壁開口部を部分的または全体的に塞ぐ、または2)治療材料がバルーン壁開口部を通過できるようにより高い内圧を必要とするため1つ以上のバルーン壁開口部を部分的に塞ぐことができる。一般に、高粘度溶液は、複数のバルーン壁開口部を有する膨張可能バルーンを、77°で1.6cpsの粘度を有するNaClの生理食塩水によって膨張しているバルーンの内圧よりも少なくとも20%高い内圧まで膨張させることができるように処方される。通常は、高粘度溶液は、高粘度溶液が複数のバルーン壁開口部を有する膨張可能バルーンを、77°で1.6cpsの粘度を有するNaClの生理食塩水によって膨張しているバルーンの内圧よりも少なくとも40%高い内圧まで膨張させることができるように処方される。より一般的には、高粘度溶液は、複数のバルーン壁開口部を有する膨張可能バルーンを、77°で1.6cpsの粘度を有するNaClの生理食塩水によって膨張しているバルーンの内圧よりも少なくとも50%高い内圧まで膨張させるように処方される。
【0033】
別の任意の方法または手順ステップでは、膨張可能バルーンは、放射線不透過性液体または造影剤であるかまたはそれを含む流体によって任意に膨張させることができる。一般に、このような流体は高粘度溶液である。治療材料は、放射線不透過性液体に任意に含まれ得る。造影剤は一般的に血管に無害であると考えられている。放射線不透過性液体は、通常、オペレーターが血管内の疾患を確実に特定できるようにするその放射線不透過性のために使用される。放射線不透過性液体は、また、1つ以上のバルーン壁開口部を部分的または全体的に密封または塞ぐために使用することができるが、これは必須ではない。放射線不透過性液体の使用を含む1つの非限定的な方法または手順では、1)膨張可能バルーンは治療部位に挿入され、2)膨張可能バルーンは放射線不透過性液体であるまたはそれを含む流体で部分的または全体的に膨張され、3)治療部位での膨張可能バルーンの位置は、部分的または全体的に膨張した膨張可能バルーン内の放射線不透過性液体の観察に基づいて確認および/または調整され、4)膨張可能バルーンが治療部位の適切な位置にあることが確認された後、放射線不透過性液体は、膨張可能バルーンから任意に全体的にまたは部分的に取り出され、5)放射線不透過性液体が膨張可能バルーンから任意に取り出されたときに、膨張可能バルーンが部分的または全体的に収縮した場合、膨張可能バルーンを再び膨張させ、そして、6)膨張可能バルーンの壁を通って流れるまたは押し出される治療材料によって血管の壁に治療材料を任意に適用することができるように、治療材料は、膨張した膨張可能バルーンの内部に任意に挿入される。
【0034】
別の任意の方法または手順ステップでは、膨張可能バルーンの膨張中に治療部位を横切ってより多くの血流が望まれ、ガイドワイヤカテーテルがバイパス通路から部分的または全体的に使用される場合、ガイドワイヤがバイパス通路のどの開口部の間にも位置しないように、ガイドワイヤの遠位端がバイパス通路の最も近位の開口部の近位に位置するような点までガイドワイヤを引き戻すことができる。膨張可能バルーンが膨張している間に、治療部位を横切る血液の継続的な流れを可能にする本開示による医療機器の能力は、生命の維持に重要な器官を窒息させることなく長期間の治療を可能にする。
【0035】
本開示の別のおよび/または代替の非限定的な態様では、医療機器は、ステントを任意に含むことができる。ステントは、膨張可能バルーンに取り付けられ、治療部位に送達されることができ、膨張可能バルーンが治療部位で膨張するときに、ステントは、治療部位で拡張および展開され得る。ステントの展開中に、1)ステントにコーティングされている治療材料、2)膨張可能バルーンの外壁にコーティングされている治療材料、および/または3)膨張可能バルーンの壁を通って流れるまたは押し出される治療材料によって、治療材料を血管壁に任意に適用することができる。膨張可能バルーンによる治療が完了すると、膨張可能バルーンは部分的または全体的に収縮し、治療部位から抜去される。一般に、展開したステントは、膨張可能バルーンが治療部位から抜去された後も治療部位に留まる。膨張可能バルーンが膨張し、ステントが治療部位に適切に展開され、そして、所望の量の任意の治療材料が、血管の壁内に所望の量を注入することができる間に、治療部位を横切って血液の継続的な流れを可能にする本開示による医療機器の能力は、生命の維持に重要な器官を窒息させることなく長期間の治療を可能にする。
【0036】
本開示の1つの非限定的な目的は、膨張可能バルーンが膨張している間に、血管を通る血液の流れを妨げることなく、治療材料を血管の組織に効果的に移送することを可能にする膨張可能バルーンの使用による狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0037】
本開示の別の非限定的な目的は、血管壁を穿刺する必要なしに、治療材料の血管壁への拡散を任意に促進する膨張可能バルーンの使用による狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0038】
本開示の別の非限定的な目的は、血管壁に治療材料を提供し、治療部位を通過する血流を可能にすると同時に血管壁内の治療材料の所望の飽和点が達成されるまで血管壁内に治療材料を提供し続ける柔軟性を提供する膨張可能バルーンの使用による狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0039】
本開示の別の非限定的な目的は、より良い結果のために各患者の標的用量治療において介護者に柔軟性を提供する膨張可能バルーンの使用による狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0040】
本開示の別の非限定的な目的は、遠位端が膨張ルーメンを介して膨張可能バルーンと連通しているカテーテル本体の使用による狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することであり、医療機器は、膨張可能バルーンが部分的または全体的に膨張した状態にあるときに、血管内の流体が膨張可能バルーンを通過することを可能にするバイパス通路を含む。
【0041】
本開示の別の非限定的な目的は、1)ガイドワイヤによって使用されるガイドワイヤ通路、および/または2)ガイドワイヤ通路とは別の第2の通路によって形成されることが可能であるバイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0042】
本開示の別の非限定的な目的は、ガイドワイヤ通路によって全体的に形成されるバイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することであり、ガイドワイヤ通路は膨張可能バルーンを完全に通過するように構成され、ガイドワイヤ通路は膨張可能バルーンの位置の前に位置する1つ以上の開口部(膨張可能バルーンの後端の前に位置する)および膨張可能バルーンの位置の後に位置する1つ以上の開口部(膨張可能バルーンの前端の後に位置する)を含む。
【0043】
本開示の別の非限定的な目的は、二次通路によって全体的に形成されるバイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することであり、二次通路は膨張可能バルーンを完全に通過するように構成され、二次通路は膨張可能バルーンの後端またはその前に位置する1つ以上の開口部を有し、また、膨張可能バルーンの前端またはその後に位置する1つ以上の開口部を有する。
【0044】
本開示の別の非限定的な目的は、ガイドワイヤ通路によって部分的に形成され、かつ、二次通路によって部分的に形成されるバイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することであり、ガイドワイヤ通路は膨張可能バルーンを部分的または全体的に通過するように構成され、二次通路は膨張可能バルーンを部分的または全体的に通過するように構成され、そして、ガイドワイヤ通路は膨張可能バルーンの位置の前に位置する1つ以上の開口部(膨張可能バルーンの後端の前に位置する)を含み、二次通路は膨張可能バルーンの前端またはその後に位置する1つ以上の開口部を有する。
【0045】
本開示の別の非限定的な目的は、バイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することであり、膨張可能バルーンの前端または近位端の前に位置する1つ以上の開口部が膨張可能バルーンの前端または近位端から0~20インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)内に位置し、膨張可能バルーンの後端または遠位端の後に位置する1つ以上の開口部が膨張可能バルーンの後端または遠位端から0~5インチ(およびそれらの間のすべての値と範囲)内に位置する。
【0046】
本開示の別の非限定的な目的は、バイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することであり、膨張可能バルーンが90~100%(およびそれらの間のすべての値と範囲)膨張したときに、血管を通る治療前流体流量(例えば、治療前流体流量は、医療機器が血管の治療領域に挿入される前の血管を通る流体の流量である)の少なくとも5%が維持されるように、通常は、膨張可能バルーンが血管内で90~100%膨張したときに血管を通る治療前流体流量の少なくとも10体積%が維持されるように、バイパス通路の1つ以上の開口部の数およびサイズは選択される。
【0047】
本開示の別の非限定的な目的は、単一のバイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0048】
本開示の別の非限定的な目的は、2つ以上のバイパス通路を含む狭窄を治療するための医療機器および方法を提供することである。
【0049】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、膨張可能バルーンが、血管の治療部位で90%~100%(およびそれらの間のすべての値と範囲)膨張したときに、治療部位を通って流れ、医療機器の膨張した膨張可能バルーンをバイパスする流体の少なくとも50体積%が、1つ以上のバイパス通路を通って流れる。
【0050】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、血管内の治療部位での医療機器の配置を容易にするために1つ以上の放射線不透過性マーカーを任意に含む。
【0051】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、膨張可能バルーンの内側に位置する1つ以上の放射線不透過性マーカーを含む。
【0052】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器の膨張可能バルーンは、治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)の通過が膨張可能バルーン壁を通過できるようにサイズ設定されている1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む。
【0053】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器の膨張可能バルーンは1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含み、膨張可能バルーンが十分に膨張し、膨張可能バルーン内に所望の内圧を保持できるように、1つ以上のバルーン壁開口部の数およびサイズが選択される。
【0054】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器の膨張可能バルーンは1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含み、膨張可能バルーンが十分に膨張し、1~20気圧の内圧を保持できるように、1つ以上のバルーン壁開口部の数およびサイズが選択される。
【0055】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器の膨張可能バルーンは、バルーン壁に部分的に形成されたバルーン壁細孔によって形成された1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む(例えば、細孔は、より薄い壁厚を膨張可能バルーン壁に作り出す)が、バルーン壁細孔は膨張可能バルーンの最初の膨張後までバルーン壁を完全に貫通せず、バルーン壁細孔は膨張可能バルーンが膨張した後にのみバルーン壁を通る開口部を形成するように構成されており、膨張中のバルーン壁の伸長および/または膨張中の膨張可能バルーン内の内圧は、バルーン壁細孔を破裂または開放させ、それによってバルーン壁の開口部を形成する。
【0056】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器の膨張可能バルーンは、血管内の治療領域での医療機器の挿入を容易にするために、より小さな外形に任意に折りたたむことができる。折りたたまれた膨張可能バルーンは、治療部位で展開および膨張するように構成することができる。
【0057】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、1)治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)を膨張した膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部に流すまたは通過させること、2)膨張可能バルーンの外面を1つ以上の治療薬でコーティングすること、および/または3)膨張可能バルーンの外面を1つ以上のコーティングまたはカプセル化された治療薬でコーティングすることにより、任意に、治療材料を血管の壁に適用するように構成されている。
【0058】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、電気穿孔を引き起こすための電界発生エレメントを任意に含むことができる。
【0059】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、1つ以上の電極を含む電界発生エレメントを任意に含むことができる。
【0060】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、バイパス通路から形成される側枝通路を任意に含むことができ、側枝通路は、膨張可能バルーンの近位端と遠位端の間の位置に血液を供給するように構成することができる。
【0061】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1膨張可能バルーンに隣接して配置されるか、または第1膨張可能バルーンから離間された第2膨張可能バルーンを任意に含むことができる。
【0062】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1膨張可能バルーンに隣接して配置されるか、または第1膨張可能バルーンから離間された第2膨張可能バルーンを任意に含むことができ、バイパス通路の第1の端部は第1膨張可能バルーンの近位端またはその前に1つ以上の開口部を含むように構成され、バイパス通路の第2の端部は第2膨張可能バルーンの遠位端またはその後に1つ以上の開口部を含むように構成されている。
【0063】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1膨張可能バルーンに隣接して配置されるか、または第1膨張可能バルーンから離間された第2膨張可能バルーンを任意に含むことができ、第1および第2膨張可能バルーンを流体的に接続する補助バルーン通路を任意に含む。
【0064】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1膨張可能バルーンに隣接して配置されるか、または第1膨張可能バルーンから離間された第2膨張可能バルーンを任意に含むことができ、第1膨張可能バルーンに関して前述したように、第1および/または第2膨張可能バルーンは、治療材料が第1および/または第2膨張可能バルーンから血管壁に流れるまたは押し出されることを可能にする1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む。
【0065】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1膨張可能バルーンに隣接して配置されるか、または第1膨張可能バルーンから離間された第2膨張可能バルーンを任意に含むことができ、第1および/または第2膨張可能バルーンは、電気穿孔処置を実行するための1つ以上の電極を任意に含む。
【0066】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、以下の通りである。1)最初に、ガイドカテーテルが体内および血管構造内に導入され、治療部位のすぐ近くまでナビゲートされ、2)次に、ガイドワイヤがガイドカテーテルを通ってナビゲートされ、治療部位を越えて伸ばされ、3)本開示による医療機器は、ガイドワイヤを介しておよびガイドカテーテルを通して導入され、医療機器の膨張可能バルーンが治療部位を横切って配置されるように治療部位にナビゲートされ、医療機器の任意のマーカーを治療部位での医療機器の適切な配置に使用することができ、4)次に、膨張可能バルーンは流体で加圧され、その流体は、治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)を任意に含むことができ、5)膨張可能バルーンが膨張すると、膨張可能バルーンが拡張し、膨張可能バルーンの外壁が治療部位で血管の壁に接し、膨張可能バルーンの拡張は、血管の治療領域の開口部の断面積を任意に増加させることができ、6)膨張可能バルーンが完全に拡張されたとき(例えば、治療領域で十分に膨張したとき)、膨張可能バルーンの周りの血流は、医療機器の1つ以上のバイパス通路を介した膨張した膨張可能バルーンの周りの血流が継続することを除いて実質的または完全に停止し、7)a)膨張可能バルーンの内部に治療材料を流し込み、治療材料(例えば、1つ以上の治療薬[例えば、血管拡張薬、抗血栓剤、抗再狭窄薬など]、1つ以上のコーティングされた治療薬(例えば、賦形剤または他のタイプのコーティングを使用するコーティングまたはカプセル化された治療薬、1つ以上の治療薬および/またはコーティングされた治療薬の溶液など)を膨張した膨張可能バルーンの1つ以上のバルーン壁開口部に流すまたは通過させること、b)膨張可能バルーンの外面を1つ以上の治療薬でコーティングすること、および/またはc)膨張可能バルーンの外面を1つ以上のコーティングまたはカプセル化された治療薬でコーティングすることにより、治療部位で膨張可能バルーンに近接してまたは接触している血管の壁に治療材料を任意に適用することができ、8)膨張可能バルーンは、血管の適切な治療に必要な限り(例えば、1つ以上の治療薬を血管の壁内に所望の量で注入するのに十分な時間を与えるなど)、治療部位で膨張したままにすることができ、そして、9)血管の治療が完了すると、膨張可能バルーンを部分的または完全に収縮させることができ、膨張可能バルーン、ガイドワイヤ、ガイドワイヤカテーテルなどを血管から抜去することができる。
【0067】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、任意の追加ステップを含み、膨張可能バルーン、ガイドワイヤ、ガイドワイヤカテーテルなどが血管から抜去される前に、膨張可能バルーンを治療部位で部分的または全体的に収縮させることができ、治療材料を含む流体を膨張可能バルーン流体から任意に回収することができ、その後、膨張可能バルーンが治療材料を含む溶液によって膨張されたときに達成できる圧力より高い圧力まで膨張可能バルーンは膨張することができるように、バルーンを、1つ以上のバルーン壁開口部に抵抗するかまたは通過できない粒子を有する高粘度溶液で満たすことができる。
【0068】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、治療部位から膨張可能バルーンを取り外す前に、治療領域の開口部を所望のサイズに拡張するために、より高い内圧で膨張可能バルーンを膨張させる任意の追加ステップを含む。
【0069】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、高粘度溶液を膨張可能バルーンに挿入して膨張可能バルーンを膨張させる前に、治療材料を膨張可能バルーンから部分的または完全に取り出さないことを任意に含み、高粘度溶液を任意に使用して、1)さらなる治療材料がバルーン壁開口部を通過することを部分的または完全に防止するため、1つ以上のバルーン壁開口部を部分的または全体的に塞ぐ、または2)治療材料がバルーン壁開口部を通過できるようにより高い内圧を必要とするため1つ以上のバルーン壁開口部を部分的に塞ぐことができる。
【0070】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、放射線不透過性液体(例えば、造影剤)であるかまたはそれを含む流体によって膨張可能バルーンを膨張させることを含む。
【0071】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、1)膨張可能バルーンが治療部位に挿入され、2)膨張可能バルーンが放射線不透過性液体であるまたはそれを含む流体で部分的または全体的に膨張され、3)治療部位での膨張可能バルーンの位置は、部分的または全体的に膨張した膨張可能バルーン内の放射線不透過性液体の観察に基づいて確認および/または調整され、4)膨張可能バルーンが治療部位の適切な位置にあることが確認された後、放射線不透過性液体は、任意に、膨張可能バルーンから全体的にまたは部分的に取り出され、5)放射線不透過性液体が膨張可能バルーンから任意に取り出されたときに、膨張可能バルーンが部分的または全体的に収縮した場合、膨張可能バルーンを再び膨張させ、そして、6)膨張可能バルーンの壁を通って流れるまたは押し出される治療材料によって血管の壁に治療材料を任意に適用することができるように、治療材料は、膨張した膨張可能バルーンの内部に任意に挿入されるステップを含む。
【0072】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器を使用するための非限定的な方法は、膨張可能バルーンの膨張中に治療部位を横切ってより多くの血流が望まれ、ガイドワイヤカテーテルがバイパス通路を部分的または全体的に形成するために使用される場合、ガイドワイヤがバイパス通路のどの開口部の間にも位置しないように、ガイドワイヤの遠位端がバイパス通路の最も近位の開口部の近位に位置するような点までガイドワイヤを任意に引き戻すことができる任意のステップを含む。
【0073】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、ステントを任意に含むことができる。
【0074】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、ステントを任意に含むことができ、ステント展開中に、1)ステントにコーティングされている治療材料、2)膨張可能バルーンの外壁にコーティングされている治療材料、および/または3)膨張可能バルーンの壁を通って流れるまたは押し出される治療材料により、治療材料を壁に任意に適用することができる。
【0075】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、膨張可能バルーンを放射線不透過性液体(例えば、造影剤)であるかまたはそれを含む流体によって任意に膨張させることができ、治療材料を放射線不透過性液体に任意に含むことができる。
【0076】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、体液が動脈狭窄の一方の側からその狭窄の他方の側に横切って移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0077】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、バルーンが加圧されている間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄の他方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0078】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、バルーンが加圧され、流体を滲出させている間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄の他方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0079】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、バルーンが加圧され、その外面に流体を押し出している間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄の他方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0080】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、バルーンが加圧され、1つ以上の治療物質を含む液体を押し出している間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄の他方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0081】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、バルーンが加圧され、治療物質を含む粒子を含む液体を押し出している間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄の他方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0082】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、圧力を保持することができる細孔を備え、カテーテルに取り付けられている医療用血管形成バルーンを提供し、バルーンが加圧され、カプセル材を通って拡散することができるカプセル化された治療物質を含む粒子を含む流体を押し出している間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄の他方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。
【0083】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、バルーン壁細孔のサイズは0.5~25ミクロン(およびそれらの間のすべての値および範囲)である。
【0084】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、治療薬は粒子サイズが25ミクロン未満であるポリマー内にカプセル化されている。
【0085】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、1つ以上のポリマー内にカプセル化された治療薬は、以下に限定されないが、ポリ乳酸およびその誘導体、ポリ無水物、チロシンおよびその誘導体、ポリグリコール酸およびその誘導体などの生体吸収性ポリマーを含み、カプセル材は親油性または親水性である。
【0086】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、外面に配置され、体液が動脈狭窄の一方の側から同じ動脈狭窄のもう一方の側に移動するための通路を提供することができるカテーテルに取り付けられた、治療物質または複数の物質を備えた医療用血管形成バルーンを提供する。
【0087】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療する医療機器および方法の提供であり、治療物質または複数の物質をカプセル化する粒子を備えた医療用血管形成バルーンは、外面に配置され、バルーンが圧力下で膨張している間に体液が動脈狭窄の一方の側から同じ動脈狭窄のもう一方の側に移動するための通路を提供することができるカテーテルに取り付けられている。
【0088】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療する医療機器および方法の提供であり、外面に配置され、バルーンが圧力下で膨張している間に体液が動脈狭窄の一方の側から同じ動脈狭窄のもう一方の側に移動するための通路を提供することができるカテーテルに取り付けられた、治療物質または複数の物質をカプセル化する粒子を備えた医療用血管形成バルーンを提供する。
【0089】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を有する医療用血管形成バルーンは、加圧することができるカテーテルに取り付けられ、その上にステントが取り付けられ、ステントは、血管を開いたままにするためにスキャフォールド内に拡張可能である。
【0090】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を有する医療用血管形成バルーンは、加圧され、流体を押し出すことができるカテーテルに取り付けられ、ステントを展開することができる。
【0091】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を有する医療用血管形成バルーンは、加圧され、治療物質を含む流体を押し出すことができるカテーテルに取り付けられ、ステントを展開することができる。
【0092】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を有する医療用血管形成バルーンは、加圧され、カプセル化された治療物質を含む粒子を含む流体を押し出すことができるカテーテルに取り付けられ、ステントを展開することができる。
【0093】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を備えた医療用血管形成バルーンは、加圧され、親油性であるカプセル材を通って拡散することができるカプセル化された治療物質を含む粒子を含む流体を押し出すことができるカテーテルに取り付けられ、ステントを展開することができる。
【0094】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、機器がガイドワイヤ上をスライドすることを可能にするチャネルを有する迅速交換カテーテルを提供し、チャネルは遠位先端から前記バルーンの近位のカテーテル本体上の任意の場所まで延びる。
【0095】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、オーバーザワイヤーカテーテルは、機器がガイドワイヤ上をスライドすることを可能にするチャネルを有し、チャネルはカテーテルの遠位先端から近位端まで延びる。
【0096】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、バルーン膨張ルーメンに開口する複数のルアーコネクタを有するカテーテルを提供する。
【0097】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を備えた医療用血管形成バルーンがカテーテルに取り付けられている。バルーンが加圧されて1つ以上の治療物質を含む流体を押し出している間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄のもう一方の側に移動するための通路を提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。カテーテルはバルーンの各端部の外側に位置する2つの電極を有し、各電極がカテーテルの近位端に延びる導電性ワイヤに接続されている。
【0098】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、カテーテルが2つの電極を有し、各電極が導電性ワイヤに接続され、一方のワイヤは電流の正極端子に接続され、もう一方は地面に接続されている。
【0099】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、圧力を保持することができる細孔を備えた医療用血管形成バルーンがカテーテルに取り付けられている。バルーンが加圧されて1つ以上の治療物質を含む流体を押し出している間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄のもう一方の側に移動するための通路を提供することができるように、カテーテルはバルーンの近位端をカテーテルの近位端に接続する通路を有する。カテーテルは、バルーン内に位置する1つの電極を有し、カテーテルの近位端に延びる導電性ワイヤに接続されている、
【0100】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、遠位端に2つのバルーンを有する医療用血管形成カテーテルを提供し、2つのバルーンが接続チューブを介して互いに連通している。2つのバルーンが加圧されている間に、体液が動脈狭窄の一方の側を横切ってその狭窄のもう一方の側に移動するための通路をカテーテルが提供することができるように、カテーテルはカテーテルの近位端をカテーテルの遠位端に接続する通路を有している。2つのバルーンは治療領域を横切って作成および電気的にファイルすることができ、治療薬はバルーン間の接続チューブを通して圧力下で滲出される。
【0101】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、前記第1膨張可能バルーンが血管内で膨張したときに血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りの継続的な血流を可能にするバイパス通路を備える。
【0102】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記第1膨張可能バルーンは1つ以上のバルーン壁開口部を含む。
【0103】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記1つ以上のバルーン壁開口部のサイズは0.5~25ミクロン(およびそれらの間のすべての値および範囲)である。
【0104】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、膨張可能バルーンのバルーン壁開口部の密度は、1cm2あたり1~25個のバルーン壁開口部(およびそれらの間のすべての値および範囲)である。
【0105】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記カテーテルは前記第1膨張可能バルーンの内部に通路を有し、前記カテーテルの遠位部分が前記第1膨張可能バルーンの近位部分に接続されている。
【0106】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は前記第1膨張可能バルーンの外面に取り付けられている拡張可能なステントをさらに含む。
【0107】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記バイパス通路は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/またはc)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路によって部分的または全体的に形成されている。
【0108】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する近位端を有し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する遠位端を有する。
【0109】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端から20インチ以内に位置する1つ以上の近位開口部を含み、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端から5インチ以内に位置する1つ以上の遠位開口部を含む。
【0110】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、前記カテーテル上に1つ以上のルアーコネクタをさらに含む。
【0111】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1電極をさらに含み、前記第1電極は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはd)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する。
【0112】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第2電極をさらに含み、前記第2電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはd)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する。
【0113】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、第1放射線不透過性マーカーをさらに含み、前記第1放射線不透過性マーカーは、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはd)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する。
【0114】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、前記第1膨張可能バルーン内に少なくとも部分的に位置する側枝通路をさらに含み、前記側枝通路の第1の端部は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/またはc)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路に流体的に接続され、前記側枝通路の第2の端部は、前記第1膨張可能バルーンの壁まで延在する、または、前記第1膨張可能バルーンの前記壁から外向きに延在する。
【0115】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に位置する第2膨張可能バルーンをさらに含み、第1および第2膨張可能バルーンは互いに流体連通し、前記第2膨張可能バルーンへの流体の供給は、1)前記第1膨張可能バルーンにも流体を供給する前記カテーテル、および/または2)前記第1および第2膨張可能バルーンとの間で流体的に接続されている補助バルーン通路によって提供される。
【0116】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、前記補助バルーン通路が1つ以上の壁開口部を含む。
【0117】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、医療機器は、a)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはiv)前記第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する電極、b)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはiv)第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する放射線不透過性マーカー、c)前記第2膨張可能バルーンの前記外面に取り付けられたステント、d)前記第2膨張可能バルーンの前記外面上の治療薬のコーティング、および/またはe)前記第2膨張可能バルーンにおける1つ以上のバルーン壁開口部をさらに含む、
【0118】
狭窄を治療するための医療機器および方法の本開示の別の非限定的な目的において、1)カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、バイパス通路を備える医療機器を提供すること、2)前記医療機器を前記血管に挿入し、前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置すること、および3)前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む血管を治療するための方法を提供し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンが前記血管内で膨張したときに、前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りで継続的な血流を可能にするように構成されている。
【0119】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの内部に加圧流体を挿入することを含み、前記加圧流体は、水、血液、血漿、生理食塩水、治療薬、造影剤、および/または放射線不透過剤を含む。
【0120】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記第1膨張可能バルーンは、1つ以上のバルーン壁開口部を含み、前記第1膨張可能バルーンが前記治療部位で膨張している間に、治療薬を前記第1膨張可能バルーンに挿入し、前記1つ以上のバルーン壁開口部を通して前記治療薬を通過させるステップをさらに含む。
【0121】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、方法は、前記第1膨張可能バルーンが膨張している間に前記第1膨張可能バルーンに高粘度溶液を挿入するステップをさらに含み、前記高粘度溶液は、平均粒子サイズが前記1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの50%~100+%(およびそれらの間の全ての値および範囲)である粒子を含む。
【0122】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法であり、前記膨張させるステップは、a)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、脳、または、b)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、心筋梗塞を引き起こしている心臓に位置する前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む。
【0123】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、30秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む。
【0124】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、60秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む。
【0125】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、最大15分間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む。
【0126】
本開示の別の非限定的な目的は、狭窄を治療するための医療機器および方法の提供であり、前記医療機器は第1電極をさらに含み、前記第1電極は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはd)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置し、前記血管内で電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを引き起こして、前記血管壁の組織への治療薬の移動を容易にする、前記第1電極にエネルギーを与えるステップをさらに含む。
【0127】
これらおよび他の目的および利点は、本開示と従来技術との間の差異の議論から、および、添付の図面に示されている好ましい実施形態を検討するときに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0128】
ここで、本開示が物理的形態で、ならびに、特定の部分および部分の配置で取ることができる様々な実施形態を示す図面を参照することができる。
【0129】
【
図1】
図1は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図1A】
図1Aは、バイパス通路の前端部分または近位端部分の拡大図である。
【
図2】
図2は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図3】
図3は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図3A】
図3Aは、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図3B】
図3Bは、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図3C】
図3Cは、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図4】
図4は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示による医療機器上に配置することができる電極の非限定的な構成を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示による医療機器上に配置することができる電極の非限定的な構成を示す。
【
図4C】
図4Cは、本開示による医療機器上に配置することができる電極の非限定的な構成を示す。
【
図5】
図5は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図6】
図6は、本開示による2つの拡張可能なバルーンおよび1つのバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図7】
図7は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図8】
図8は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図8A】
図8Aは、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図9】
図9は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図10】
図10は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図11】
図11は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の遠位部分を示す。
【
図11A】
図11Aは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図11B】
図11Bは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図11C】
図11Cは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図11D】
図11Dは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図11E】
図11Eは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図11F】
図11Fは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図11G】
図11Gは、膨脹可能バルーンの壁に形成することができる、さまざまな非限定的なバルーン壁の開口部およびバルーン壁細孔を示す。
【
図12】
図12は、膨張可能バルーンの内圧の関数として、時間の経過とともに膨張可能バルーンから押し出される治療薬の量を示すグラフである。
【
図13】
図13は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図14】
図14は、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の別の非限定的な例示的な実施形態の側面図を示す。
【
図15A】
図15Aは、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の非限定的な例示的な実施形態を含む血管の拡大部分を示す。
【
図15B】
図15Bは、本開示による拡張可能なバルーンおよびバイパス通路を含む医療機器の非限定的な例示的な実施形態を含む血管の拡大部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0130】
本明細書に開示される物品/機器、プロセス、および構成要素のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって得ることができる。これらの図は、利便性および本開示の実証の容易さに基づく単なる概略図であり、したがって、機器または構成要素の相対的なサイズおよび寸法を示すこと、および/または、例示的な実施形態の範囲を定義または制限することを意図するものではない。
【0131】
以下の説明では、特定の用語が明確にするために使用されているが、これらの用語は、図面で説明するために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、開示の範囲を定義または限定することを意図していない。以下の図面および以下の説明において、同様の数値指定は、同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0132】
単数形「ひとつの(a)」、「ひとつの(an)」、および「該(the)」は、文脈が明らかに他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0133】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「備える(comprising)」は、実施形態「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を含み得る。本明細書で使用される用語「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有している(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」、および、それらの変形は、指定された成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を許可する自由な移行句、用語、または単語であることを意図する。しかし、そのような説明は、列挙された成分/ステップ「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」として組成物またはプロセスを説明するものとしても解釈されるべきであり、これにより、そこから結果として生じる可能性のある不可避の不純物とともに、指定された成分/ステップのみの存在が可能になり、他の成分/ステップを除外する。
【0134】
本出願の明細書および特許請求の範囲における数値は、有効数字と同数に減らされたときに同じ数値、および、値を決定するために本出願に記載されているタイプの従来の測定技術の実験誤差よりも少ない数値だけ記載された値とは異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0135】
本明細書に開示されるすべての範囲は、列挙されたエンドポイントを含み、独立して組み合わせることができる(例えば、「2グラムから10グラム(from 2 grams to 10 grams)」の範囲は、エンドポイントである2グラムおよび10グラム、すべての中間値およびすべての中間範囲を含む)。
【0136】
用語「約(about)」および「おおよそ(approximately)」は、その値の基本的な機能を変更することなく変化することができる任意の数値を含むために使用することができる。範囲とともに使用される場合、「約(about)」および「およそ(approximately)」は、2つのエンドポイントの絶対値によって定義される範囲も開示し、例えば、「約2から約4(about 2 to about 4)」は、「2から4(from 2 to 4)」の範囲も開示する。一般に、「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語は、示された数のプラスマイナス10%を指す場合がある。
【0137】
成分のパーセンテージは、特に明記しない限り、記載された成分の重量パーセントであると想定されるべきである。
【0138】
本開示は、治療薬を体の通路内の組織に送達すると同時に、治療位置を通過する体液の流れを可能にする医療機器1に関する。医療機器1は、疾患(例えば、血管狭窄)が発症した可能性のある血管壁に治療材料(例えば、治療薬など)を送達するように構成することができる。医療機器1は、膨張可能バルーン14を含み、膨張可能バルーン14は、膨張し、破裂することなく医療処置を実行するのに十分な圧力(例えば、1~20気圧)で膨張可能バルーン内の流体を保持する能力を有する。膨張可能バルーン14は、血管形成術の処置で使用されるように構成されているが、他のタイプの処置で使用するように構成することができる。
【0139】
医療機器1は、血管内でのステント60の送達を容易にするように構成することができる。医療機器1は、血管壁BV内に治療材料を効果的に送達するための電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを任意に容易にすることができる。医療機器1上の膨張可能バルーン14は、医療機器1の近位端または遠位端に少なくとも部分的に位置している。膨張可能バルーン14の壁は、1つ以上の開口部または細孔16を任意に含むことができ、1つ以上の開口部または細孔16は、膨張可能バルーン14が膨張可能バルーン14の内部の流体によって部分的または全体的に加圧された場合に、膨張可能バルーン14の内部の流体(例えば、流体は、治療材料、着色剤または染料、および/または、放射線不透過性材料などを含む)が1つ以上の細孔を通って流れるまたは押し出されることができるように構成されている。流体は、医療機器1の部分的または全体的に膨張したバルーン14の1つ以上の細孔を通って流れるまたは押し出され、血管壁BVに接触し、その後、拡散および/または他のメカニズムによって血管壁BVの組織に部分的または全体的に移動することができ、その拡散および/または他のメカニズムは、電気穿孔および/またはイオントフォレーシスによって任意に支援されることが可能である。
【0140】
医療機器1の膨張可能バルーン14の膨張中、血管(例えば、静脈、動脈)を通る血流は、医療機器1の1つ以上のバイパス通路を使用することによって、治療部位を横切って部分的または全体的に維持される。
【0141】
図1を参照すると、カテーテル本体10を含む医療機器1が示されている。カテーテル本体10は、カテーテル本体の近位セクション11とカテーテル本体の遠位セクション12との間に延在する通路19を備えた細長体13を含む。膨張可能バルーン14は、カテーテル本体10の遠位セクション12に取り付けられ、通路19の遠位端の開口部21は、膨張可能バルーン14と流体連通している。
【0142】
カテーテル本体10の通路19は、カテーテル本体10の近位セクション11の前端または近位端に開口部20を有する管状セクションとして示されている。通路19は、また、膨張可能バルーン14と流体連通している遠位セクション12の後端または遠位端に開口部21を有する。理解できるように、遠位セクション12は、追加で、または、代わりに、膨張可能バルーン14と流体連通している1つ以上の壁開口部を含むことができる。
【0143】
カテーテル本体の遠位セクション12は、膨張可能バルーン14の前端または近位端を通過するものとして示されている。一般に、膨張可能バルーン14は、接続配置(例えば、接着剤、溶融シーム、機械的接続など)によってカテーテル本体10の遠位セクション12に固定され、シールされる。カテーテル本体10の通路19は、膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSに位置するときに、膨張可能バルーン14を膨張および収縮させるために使用される。膨張可能バルーン14の膨張中に、流体(例えば、治療材料、生理食塩水、血液および/または血漿、ガスなど)は、カテーテル本体10の通路19を通って、膨張可能バルーン14の内部に挿入され、膨張可能バルーン14の膨張を引き起こす。一般に、カテーテル本体10の細長体13の長さは、膨張可能バルーン14による血管の治療部位TSの治療中に、開口部20が血管に入らないような長さである。1つの非限定的な配置では、カテーテル本体10の細長体13の長さは、膨張可能バルーン14による血管の治療部位TSの治療中に、開口部20が患者の体に入らないような長さである。
【0144】
医療機器1は、ガイドワイヤルーメンとしても知られているガイドワイヤ本体15を含む。ガイドワイヤ本体15は、ガイドワイヤ通路22を含む。ガイドワイヤ本体15は、ガイドワイヤ(図示せず)がガイドワイヤ通路22内を通過できるように構成されている。ガイドワイヤは、医療機器を血管内の治療部位TSに案内するために使用される。
【0145】
ガイドワイヤ本体15の少なくとも一部は、カテーテル本体10の細長体13に概ね隣接して配置される。ガイドワイヤ本体15の一部は、カテーテル本体10の細長体13に任意に接続することができる(例えば、接着剤、溶融接続、機械的接続など)。1つの非限定的な配置では、ガイドワイヤ本体15は、膨張可能バルーン14の近位端27またはその近くでカテーテル本体10の連長体13に接続される。ガイドワイヤ本体15は、遠位端24および近位端23を有する。ガイドワイヤ本体15の近位端23は、一般に、カテーテル本体10の細長体13の近位端20と遠位端21との間に位置する。一般に、ガイドワイヤ本体15の長さは、膨張可能バルーン14による血管の治療部位TSの治療中、近位端23が血管に入らないような長さである。1つの非限定的な配置では、ガイドワイヤ本体15の長さは、膨張可能バルーン14による血管の治療部位TSの治療中、近位端23が患者の身体に入らないような長さである。
【0146】
図1に示されるように、ガイドワイヤ本体15は、膨張可能バルーン14の本体を通って延在する。一般に、膨張可能バルーン14は、接続配置(例えば、接着剤、溶融シーム、機械的接続など)によってガイドワイヤ本体15に固定され、シールされる。
図1に示されるように、膨張可能バルーン14は、バルーン遠位端28でガイドワイヤ本体15に接続され、シールされる。膨張可能バルーン14の近位端27は、カテーテル本体10の細長体13およびガイドワイヤ本体15の両方に接続され、シールされる。
【0147】
カテーテル本体10の細長体13の近位セクション11は、カテーテル本体の通路19の開口部20と連通しているルアー26を含む。ルアー26は、一般に、漏れることなく加圧することができる流体貯蔵器の注射器または同様の容器を収容するためのスレッディングまたは他の何らかの接続配置(図示せず)を含む。膨張可能バルーン14の膨張中に、流体は、カテーテル本体の通路19に導かれ、次に膨張可能バルーンの内部に導かれて、膨張可能バルーン14の膨張を引き起こす。
【0148】
膨張可能バルーン14の壁は、膨張可能バルーン14の内部と流体的に連通する1つ以上のバルーン壁開口部16を任意に含むことができる。1つ以上のバルーン壁開口部16は、膨張可能バルーン14の内部の流体が、膨張可能バルーン14の内部から、膨張可能バルーン14に隣接してまたは接触している血管壁BVに流れるまたは押し出されることを可能にする。膨張可能バルーン14上の1つ以上のバルーン壁開口部16のサイズ、数、および位置は非限定的である。
図11A~Eは、使用することができるいくつかの非限定的なバルーン壁開口部16の構成を示した。
図11F~Gは、膨張可能バルーンの壁を完全には貫通していないバルーン壁細孔16’を示している。しかし、バルーン壁細孔16’は、膨張可能バルーン14の内部の流体がバルーン壁開口16を完全に通過することができるように、膨張可能バルーン14が拡張されてバルーン壁開口16を形成するときに破裂するように構成されている。バルーン壁細孔16’は、膨張可能バルーン材料の特定の部分を除去して、膨張可能バルーン14の外壁および/または内壁の表面に不連続性を作り出すことによって形成することができる。バルーン壁細孔16’は、レーザーまたは中性子衝撃による材料のアブレーションによって形成することができる。膨張可能バルーン14の壁のバルーン壁開口部16は、ホールパンチによって形成することができるが、他の手段を使用することもできる。
【0149】
図11Aは、円筒形であり、均一な直径を有するバルーン壁開口部16を示している。バルーン壁開口部16の直径は、0.05~10ミクロン(およびそれらの間のすべての値および範囲)、通常は1~5ミクロン、より一般的には2~4ミクロンまで変化することができる。
【0150】
図11B~Cは、膨張可能バルーン14の内面と膨張可能バルーン14の外面とで形状および/または直径が同じではないバルーン壁開口部16を示している。
【0151】
図11Dは、バルーン壁開口部16を形成する際に材料が除去されていない、膨張可能バルーン14の壁のスリットを表している。穿孔は、単一の針パンチによって形成することができる。穿孔は、複数の針を使用して型内で膨張可能バルーン14を拡張することによって形成することもできる。
【0152】
膨張可能バルーン14の外面は、治療材料で任意にコーティングすることができる。膨張可能バルーン14の外面が治療材料でコーティングされている場合、1つ以上のバルーン壁開口部16の使用を使用または排除することができる。
【0153】
再び
図1を参照すると、ガイドワイヤ本体15は、ガイドワイヤ通路22と流体連通している1つ以上の近位バイパス開口部17を含む。1つ以上の近位バイパス開口部17のサイズおよび数は非限定的である。1つ以上の近位バイパス開口部17は、ガイドワイヤ本体の近位端23と膨張可能バルーン14の近位端27との間に位置している。
図1に示されるように、1つ以上の近位バイパス開口部17は、カテーテル本体10の細長体13とは反対側を任意に向いている。膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSに配置されたときに、1つ以上の近位バイパス開口部17が、血管内に位置するように、1つ以上の近位バイパス開口部17はガイドワイヤ本体15上に位置している。ガイドワイヤ本体15上の1つ以上の近位バイパス開口部17のそのような位置は、膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSで膨張している間に、血液が1つ以上の近位バイパス開口部17およびガイドワイヤ通路22に流れることを可能にする。1つの非限定的な配置では、1つ以上の近位バイパス開口部17は、一般に、膨張可能バルーン14の近位端27から0~20インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)に位置し、通常は1つ以上の近位バイパス開口部17は、膨張可能バルーン14の近位端27から0~10インチに位置し、より一般的には1つ以上の近位バイパス開口部17は、膨張可能バルーン14の近位端27から0~5インチに位置する。
【0154】
ガイドワイヤ本体15は、ガイドワイヤ通路22と流体連通している1つ以上の遠位バイパス開口部18も含む。遠位バイパス開口部18はまた、ガイドワイヤ本体15の遠位端24に開口によって形成され得る。1つ以上の近位遠位開口部18のサイズおよび数は非限定的である。1つ以上の遠位バイパス開口部18は、ガイドワイヤ本体15の遠位端24と膨張可能バルーン14の遠位端28との間に位置している。膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSに配置されたときに、1つ以上の遠位バイパス開口部18は血管内に位置している。ガイドワイヤ本体15上の1つ以上の遠位バイパス開口部18のそのような位置は、膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSで膨張している間に、ガイドワイヤ通路22内を流れている血液がガイドワイヤ本体15を出て血管に入ることを可能にする。1つの非限定的な配置では、1つ以上の遠位バイパス開口部は、一般に、膨張可能バルーン14の遠位端28から0~5インチ(およびそれらの間のすべての値および範囲)に位置し、通常は1つ以上の遠位バイパス開口部は膨張可能バルーン14の遠位端28から0~0.5インチに位置し、より一般的には1つ以上の近位バイパス開口部は、膨張可能バルーン14の遠位端27から0~0.2インチに位置する。
【0155】
近位および遠位開口部17、18は、ガイドワイヤが近位および遠位開口部17、18を不注意に通過することができないように、ガイドワイヤ(図示せず)の直径よりも概ね小さい最大寸法を有する。ただし、これは必須ではない。近位および遠位開口部17、18のサイズは、ガイドワイヤが近位および遠位開口部17、18を通って出ることができないように通常は選択される。例えば、冠状動脈形成術の処置では、典型的なガイドワイヤの直径は0.014インチである。したがって、近位および遠位開口部17、18の最大寸法は、0.014インチ未満であり、一般的に、0.013インチ以下である。医療機器1が末梢動脈処置で使用される場合、典型的なガイドワイヤの直径は、0.035インチである。したがって、近位および遠位開口部17、18の最大寸法は、0.035インチ未満であり、一般的に、0.034インチ以下である。医療機器1が神経用途で使用される場合、典型的なガイドワイヤの直径は、0.010インチである。したがって、近位および遠位開口部17、18の最大寸法は、0.010インチ未満であり、一般的に、0.009インチ以下である。
【0156】
図1Aは、近位および遠位開口部17、18の非限定的な形状を示している。2つ以上の近位開部口17の形状は、同じであっても異なっていてもよい。2つ以上の遠位開口部18の形状は、同じであっても異なっていてもよい。2つ以上の近位および遠位開口17、18の形状は、同じであっても異なっていてもよい。ガイドワイヤ本体15上の近位および遠位開口部17、18の向きおよび位置は非限定的である。2つ以上の近位および遠位開口部17、18の間隔は非限定的である。遠位開口部18の数は、近位開口部17の数と同じであっても異なっていてもよい。
【0157】
図1Aに示される近位および遠位開口部17、18は、楕円形の開口部、長方形の開口部などを形成するための短軸および長軸を有する。理解できるように、近位および遠位開口部17、18の形状は、他の形状(例えば、円形、正方形、多角形など)を有することができる。
【0158】
図1に示されるように、近位開口部17は、ほぼ円形または楕円形を有し、カテーテル本体10の細長体13の反対側であるガイドワイヤ本体15の側面に位置し、ガイドワイヤ本体15の長手方向軸に沿って互いに、frpから間隔を置いて位置している。近位開口部17の形状およびサイズは、概して同じである。
図1は、遠位開口部18がほぼ円形または楕円形であり、ガイドワイヤ本体15の周りの様々な位置に配置されていることを示している。遠位開口部18の形状およびサイズは、概して同じである。
【0159】
図1の医療機器1は、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド25を任意に含むことができる。1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド25は、ガイドワイヤ本体15に取り付けることができる。しかしながら、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド25は、他の場所(例えば、膨張可能バルーン14上、カテーテル本体10の細長体13の遠位部分上など)に取り付けることができる。
図1に示されるように、2つの放射線不透過性マーカーバンド25は、膨張可能バルーン14の内部に位置し、放射線不透過性マーカーバンド25の1つは、膨張可能バルーン14の近位端27の近くに位置し、他の放射線不透過性マーカーバンド25は、膨張可能バルーン14の遠位端28に位置する。理解できるように、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド25は、膨張可能バルーンの内部の外側に配置することができる。
【0160】
図1の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0161】
図1の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0162】
図2を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、ガイドワイヤ本体15の近位端23は、カテーテル本体10の細長体13の内部に接続されている。ガイドワイヤ本体15の近位端23が接続されているカテーテル本体10の細長体13に沿った位置は、非限定的である。操作中、ガイドワイヤ(図示せず)は、開口部20を介してカテーテル本体10の細長体13の通路19に送り込まれる。ガイドワイヤが、ガイドワイヤ本体15の近位端23が接続されているカテーテル本体10の細長体13に沿った位置に到達すると、ガイドワイヤは、ガイドワイヤ本体15のガイドワイヤ通路22にさらに送り込まれる。近位開口部17の位置より前に位置するガイドワイヤ本体15のガイドワイヤ通路22の近位部分の一部または全部の断面積は、ガイドワイヤ本体15のガイドワイヤ通路22の残りの部分の断面積よりも任意に小さくすることができる。
【0163】
図2の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン14の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0164】
図2の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0165】
図3、3A、3B、および3Cを参照すると、追加の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器1は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、ガイドワイヤ本体15は、放射線不透過性マーカーバンド25を含まないが、代わりに、2つの導電性エレメントまたは電極29および30を含む。電極29および30は、ガイドワイヤ本体15に取り付けられたものとして示されている。しかし、1つ以上の電極29および30は、他の位置(例えば、膨張可能バルーン14上、カテーテル本体10の細長体13の遠位部分上など)において取り付けることができる。
図3に示されるように、電極29および30は、膨張可能バルーンの内部に位置し、電極29は膨張可能バルーン14の近位端27の近くに位置し、電極30は膨張可能バルーン14の遠位端28の近くに位置する。一般的に、電極29および30は互いに間隔を置いて位置する。電極29および30は、それぞれワイヤ32および31に接続されている。ワイヤ31および32は、通常、互いに絶縁されている。
図3に示されるように、ワイヤ31および32はカテーテル本体10の細長体13の周りに配置され、両端部は電源(図示せず)に接続されている。電極29および30は、腐食に強く、高導電性である材料で形成することができる。このような材料には、銅グラファイト、真ちゅう、チタン、銀、白金、モリブデン、レニウム、タングステン、および、それらの合金が含まれるが、これらに限定されない。電極29および30を使用して、血管壁内に治療材料を効果的に送達するための電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを容易にすることができる。
【0166】
図15Aは、
図3の医療機器1の拡大部分を示しており、膨張可能バルーン14は、膨張可能バルーン14の外面が血管壁BVの内面に位置するか、またはそれに近接して位置するように、治療部位TSで膨張する。膨張可能バルーンが膨張状態にある間に、血管を通って膨張した膨張可能バルーンを通過した血流は、ガイドワイヤ本体15によって形成されたバイパス通路に続く。
図15Aに示されるように、血液は、ガイドワイヤ通路22と流体連絡しており、膨張可能バルーン14の近位端またはその近くに位置する近位バイパス開口部17に(矢印で示されているように)流れ込む。血液は、近位バイパス開口部17を介してガイドワイヤ通路22に流れ込み、(矢印で示されているように)ガイドワイヤ本体15の遠位開口部18を介してガイドワイヤ本体15を出るまで、ガイドワイヤ通路22内を流れ続ける。
図15Aにも示されているように、膨張可能バルーン14を膨張させるために使用される流体は、(矢印によって示されているように)バルーン壁開口部16を介して膨張可能バルーンから流出することができる。膨張可能バルーン14を出る流体は、血管壁BVの組織に入ることができる治療薬を含むことができる。
【0167】
図15Bを参照すると、医療機器1の別の拡大部分がある。
図15Bに示されている医療機器1が
図15Aに示されているような電極29、30の代わりにガイドワイヤ本体15上に2つの放射線不透過性マーカー25を含むこと以外は、
図15Bに示される医療機器1は、
図15Aに示される医療機器と同様である。また、
図15Bに示されている医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に配置された電極30を含む。電極30は、ワイヤ31によって電源(図示せず)に接続されている。電極29は、患者の体の表面上またはその上に、電極30に近接して(例えば、6インチ以下、3インチ以下など)任意に配置することができる。電極30が血管内に治療電荷を与えることができるアノードである場合、第2電極29の使用は任意である。
【0168】
図15Aに示されている医療機器1の操作と同様に、
図15Bに示されている医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面が血管壁BVの内面に位置するか、またはそれに近接して位置するように、治療部位TSで膨張する膨張可能バルーン14を有する。膨張可能バルーンが膨張状態にある間、血管を通り膨張した膨張可能バルーンを通過する血流は、ガイドワイヤ本体15によって形成されたバイパス通路によって継続する。
図15Bに示されているように、血液は、ガイドワイヤ通路22と流体連通しており、膨張可能バルーン14の近位端またはその近くに位置する近位バイパス開口部17に(矢印で示されているように)流れ込む。血液は、近位バイパス開口部17を介してガイドワイヤ通路22に流れ込み、(矢印で示されているように)ガイドワイヤ本体15の遠位開口部18を介してガイドワイヤ本体15を出るまで、ガイドワイヤ通路22内を流れ続ける。
図15Bにも示されているように、膨張可能バルーン14を膨張させるために使用される流体は、(矢印によって示されているように)バルーン壁開口部16を介して膨張可能バルーンから流出することができる。膨張可能バルーン14を出る流体は、血管壁BVの組織に入ることができる治療薬を含むことができる。電極29および30は、電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを使用して、治療材料の吸収および/または血管壁への移動を容易にする。
【0169】
図3A~Cは、医療機器1上の電極29および30の位置を除いて、
図3に示されているものと同じ構成を有する医療機器1を示している
【0170】
図3Aは、電極29および30が両方とも、それぞれ、膨張可能バルーン14の近位端および遠位端の外側に位置することを示している。電極29はカテーテル本体10の細長体13とガイドワイヤ本体15の両方の周りに配置され、電極30はガイドワイヤ本体15の周りに位置するように示されている。
【0171】
図3Bは、電極29が膨張可能バルーン14の近位端27の近くの膨張可能バルーン14の外側に位置することを示している。電極29は、カテーテル本体10の細長体13およびガイドワイヤ本体15の両方の周りに配置されるように示されている。電極30は、膨張可能バルーン14内に位置し、膨張可能バルーン14の遠位端28の近くのガイドワイヤ本体15の周りに位置する。
【0172】
図3Cは、電極29が膨張可能バルーン14の近位端27近くの膨張可能バルーン14の内側に位置することを示している。電極29は、ガイドワイヤ本体15の周りに配置されるように示されている。電極30は、膨張可能バルーン14の外側に位置し、膨張可能バルーン14の遠位端28の近くのガイドワイヤ本体15の周りに位置する。
【0173】
図3~3Cの医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0174】
図3~3Cの医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0175】
図3~3Cの医療機器1は、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド(図示せず)を任意に含むことができる。
【0176】
図4を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図3に関して前述した医療機器と同様である。しかし、医療機器1は、単一の電極30のみを含む。電極30は、膨張可能バルーン14の内側に位置する。電極30の長さは、
図3~3Cの電極30の長さよりも長いものとして示されているが、これは必須ではない。1つの非限定的な実施形態では、電極30の長手方向の長さは、膨張可能バルーン14の長手方向の長さの少なくとも25%であり、通常は、電極30の長手方向の長さは、膨張可能バルーン14の長手方向の長さの少なくとも50%であり、より一般的には、電極30の長手方向の長さは、膨張可能バルーン14の長手方向の長さの少なくとも60%である。
【0177】
膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSに配置されるとき、第2電極33は、患者の体の表面上またはその上に、電極30に近接して(例えば、6インチ以下、3インチ以下など)任意に配置することができる。電極30が血管内に治療電荷を与えることができるアノードである場合、第2電極33の使用は任意である。電極30は、腐食に強く、高導電性である材料で形成することができる。このような材料には、銅グラファイト、真ちゅう、チタン、銀、白金、モリブデン、レニウム、タングステン、および、それらの合金が含まれるが、これらに限定されない。
【0178】
図4A~4Cは、電極30の様々な非限定的な形状および構成を示している。
図4Aは、円形バンドから延在する複数のアームを備えた円形バンド前部を有する電極30を示している。
図4Aは、らせん形状の電極30を示している。
図4Cは、電極30を中実またはメッシュ状に形成された管状バンドとして示している。
【0179】
図4の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0180】
図4の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0181】
図4の医療機器1は、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド(図示せず)を任意に含むことができる。
【0182】
図5を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、側枝通路36の第1の端部は膨張可能バルーン14の内側のガイドワイヤ本体15に流体的に接続され、側枝通路36の第2の端部は膨張可能バルーン14上に形成されるか、または膨張可能バルーン14から外側に延びる分岐開口部38を含む。分岐開口部38は、膨張可能バルーン14の近位端39と遠位端40との間の任意の場所に位置することができる。膨張可能バルーン14が膨張したとき、側枝通路36は治療部位TSの位置で血管壁BWに血流を供給するために使用できる。側枝通路36は、部分的または全体的に可撓性材料(例えば、可撓性ポリマーなど)で任意に形成されて、膨張可能バルーン14の膨張および/または収縮中の側枝通路36の任意の移動を容易にすることができる。理解できるように、複数の側枝通路36を膨張可能バルーン14の内側に配置することができる。
【0183】
ステント60は、膨張可能バルーン14の外面に任意に取り付けることができる。ステントは、治療薬コーティングを任意に含むことができる。ステント60が使用される場合、ステント60が電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを容易にする電極として機能できるように、ワイヤ31をステントの1つ以上の支柱内および/または上に解放可能に任意に配置することができる。ステント60が展開されるとき、ワイヤ31(使用される場合)はステント60と接触したままでいることができる。膨張可能バルーン14が治療部位から抜去されると、展開したステント60が血管内の治療部位TSに残っている間に、ワイヤ31もステント60から切り離すことができる。理解できるように、ステント60は、膨張可能バルーン14の外側に取り付けられた電極の代わりに使用することができる。
【0184】
理解できるように、参照番号60は、ステントの代わりに、膨張可能バルーン14の外面の外面上にコーティングされた治療薬を代替的に表すことができる。このような配置では、ワイヤ31は使用されない。
【0185】
図4の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側に位置する、および/または、膨張可能バルーン14の遠位または近位の位置に配置される1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0186】
図6を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、医療機器1は、膨張可能バルーン14の遠位端28より遠位の位置でガイドワイヤ本体15に接続された第2膨張可能バルーン42を含み、膨張可能バルーン14および/または42は、バルーン壁の開口部16を任意に含むことができる。
【0187】
膨張可能バルーン14および42は、互いに間隔を置いて位置するように示されているが、これは必須ではない。膨張可能バルーン14および42のサイズ、形状、および構成は、同じであっても異なっていてもよい。
図6に示されているように、膨張可能バルーン14および42のサイズ、形状、および構成は同じである。
【0188】
任意にチューブの形態である補助バルーン通路43は、膨張可能バルーン14および42を互いに流体的に接続するために使用される。したがって、流体が膨張可能バルーン14に供給されて膨張可能バルーン14の膨張を引き起こすときに、流体膨張可能バルーン14の内部に流入する流体は、補助バルーン通路43に流入し補助バルーン通路43を通って、膨張可能バルーン42の内部に流入して、膨張可能バルーン42の膨張を引き起こすことができる。補助バルーン通路43は、補助バルーン通路を通って流れる流体が2つの膨張可能バルーン14、42の間の領域にも流れ込むことを可能にする1つ以上の開口部44を任意に含むことができる。1つ以上の開口部44の数、サイズ、および形状は非限定的である。補助バルーン通路43は、接続配置(例えば、接着剤、溶融接続、機械的接続など)によって膨張可能バルーン14および42に接続およびシールすることができる。補助バルーン通路43の近位端は、開口部45を介して膨張可能バルーン14の内部に流体的に接続されている。補助バルーン通路43の遠位端は、開口部46を介して膨張可能バルーン42の内部に流体的に接続されている。補助バルーン通路43は、接続配置(例えば、接着剤、溶融接続、機械的接続など)によってガイドワイヤ本体15に任意に接続することができる。
【0189】
理解できるように、補助バルーン通路43は排除可能であり、カテーテル本体13は、膨張可能バルーン14を完全に通って、部分的に膨張可能バルーン42内に延在することができる。そのような代替の配置では、カテーテル本体13は、流体がカテーテル本体13から流出し膨張可能バルーン14の内部に流れ込んで膨張可能バルーンを膨張させることができるように、膨張可能バルーン14の内部に1つ以上の壁開口部を含むであろう。カテーテル本体13の遠位端にある開口部21を使用して、膨張可能バルーン42の内部を流体で膨張させることができる。
【0190】
膨張可能バルーン14および/または膨張可能バルーン42は、膨張可能バルーンの内部の流体および/または治療材料が1つ以上のバルーン壁開口部を通って治療部位の血管の壁に流れることを可能にする1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含むことができる。
【0191】
図6に示されているように、ガイドワイヤ本体15は、膨張可能バルーン14および膨張可能バルーン42の両方を通って延在し、ガイドワイヤ本体15の遠位部分は、膨張可能バルーン42の遠位端から外向きに延在する。ガイドワイヤ本体15は、ガイドワイヤ通路22と流体連通しており、膨張可能バルーン14の近位端またはその近くに位置する1つ以上の近位バイパス開口部17を含む。ガイドワイヤ本体15は、ガイドワイヤ通路22と流体連通しており、膨張可能バルーン42の遠位端またはその近くに位置する1つ以上の遠位近位バイパス開口部18および/または開口部24も含む。遠位近位バイパス開口部18および/または開口部24と組み合わせた近位バイパス開口部は、1つ以上の膨張可能バルーン14、42が膨張したときに、膨張可能バルーン14、42を通過する継続的な血流を可能にする。
【0192】
医療機器1は、膨張可能バルーン14内の1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド25および/または膨張可能バルーン42内の1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド52を任意に含む。理解できるように、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンドが使用される場合、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンドの位置は、膨張可能バルーン14、42の内部以外の場所であることが可能である。
【0193】
医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられた電極50と、膨張可能バルーン42の外面に取り付けられた電極51とを任意に含む。ワイヤ48の一端は、電極50に取り付けられ、カテーテル本体13の近位端まで延在する。別のワイヤ49は電極51に接続され、また、カテーテル本体の近位端まで延在する。ワイヤ48および49は、一般に、電気的に絶縁されているか、および/またはワイヤが通電されたときに短絡を引き起こさないように互いに間隔を置いて位置している。
【0194】
図6の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開することができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0195】
図6の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0196】
図6の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側に位置し、および/または、膨張可能バルーン14の遠位または近位である位置に配置された1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0197】
図7を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、医療機器1は、治療材料61でコーティングされた膨張可能バルーン14を含む。
図7には示されていないが、膨張可能バルーン14は、膨張可能バルーンの内部の流体および/または治療材料が1つ以上のバルーン壁開口部を通って治療部位の血管壁に流れることを可能にする1つ以上のバルーン壁開口部を任意に含む。
【0198】
電極30は、膨張可能バルーン14の内部に任意に位置する。ワイヤ31は、電極30に接続される。ワイヤ31は、カテーテル本体10の近位セクション11まで延びるガイドワイヤ本体15に接続される。膨張可能バルーン14が血管内の治療部位TSに配置される場合、第2電極33は、患者の体の表面上またはその上に、電極30に近接して(例えば、6インチ以下、3インチ以下など)任意に配置することができる。
【0199】
電極30が血管内に治療電荷を与えることができるアノードである場合、第2電極33の使用は任意である。
【0200】
ステント60は、膨張可能バルーン14の上に任意に取り付けることができる。ステント60が使用される場合、電極30は排除されることが可能であり、ステント60が電極30と同じ機能を実行するように、ワイヤ31をステントの支柱(図示せず)に解放可能に配置されることが可能である。ステントが展開されるとき、ワイヤ31はステント60と接触したままでいることができる。膨張可能バルーン14が治療部位から取り外されると、展開したステント60が血管内の治療部位に留まっている間に、ワイヤ31もステント60から切り離すことができる。理解できるように、ステント60は、膨張可能バルーンの外側に取り付けられた電極の代わりに使用することができる。また理解できるように、参照番号60は、ステントの代わりに、膨張可能バルーン14の外面の外面上の治療薬コーティングを表すことができる。このような配置では、ワイヤ31は使用されない。
【0201】
図8を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、開口部23と24との間のガイドワイヤ通路22は、医療機器の最遠位端から医療機器の最近位端まで延びる。
【0202】
図8の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0203】
図8の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0204】
図8の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側、膨張可能バルーン14の遠位または近位である位置、および/または、膨張可能バルーン14の外面に配置される1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0205】
図8Aを参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図3に関して前述した医療機器と同様である。しかし、開口部23と24との間のガイドワイヤ通路22は、医療機器の最遠位端から医療機器の最近位端まで延びる。
【0206】
図8の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0207】
図8の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0208】
図8の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側に配置され、膨張可能バルーン14の遠位または近位の位置に配置され、および/または、膨張可能バルーン14の外面に配置される1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0209】
図9を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、医療機器1は、膨張可能バルーン14の内部に位置する3つの電極29、30、および62を含む。中間電極62は1つのタイプの電荷を有し、一方、電極29および30は、電極62の反対側の電荷を有する。ワイヤ31は電極29および30に接続され、ワイヤ32は電極62に接続される。3つの電極はすべて膨張可能バルーン14の内部に位置しているように示されているが、1つ以上の電極を膨張可能バルーン14の外壁および/または膨張可能バルーン14の外部に配置することができることが理解されよう。
【0210】
図9の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0211】
図9の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0212】
図9の医療機器1は、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド(図示せず)を任意に含むことができる。
【0213】
図10を参照すると、医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、医療機器1は、膨張可能バルーン14の外側に取り付けられたステント60を含む。ステント60が使用される場合、ステント60が電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを容易にする電極として機能できるように、ワイヤ31をステントの支柱に解放可能に任意に配置することができる。ステント60が展開されるとき、ワイヤ31はステント60と接触したままでいることができる。膨張可能バルーン14が治療部位から抜去されると、展開したステント60が血管内の治療部位に留まっている間に、ワイヤ31もステント60から切り離すことができる。理解できるように、ステントは、膨張可能バルーンの外側に取り付けられた電極の代わりに使用することができる。また理解できるように、参照番号60は、ステントの代わりに、膨張可能バルーン14の外面の外面上の治療薬コーティングを表すことができる。このような配置では、ワイヤ31は使用されない。
【0214】
図10の医療機器1は、1つ以上の放射線不透過性マーカーバンド(図示せず)を任意に含むことができる。
【0215】
図10の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側に配置され、および/または、膨張可能バルーン14の遠位または近位である位置にある1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0216】
図14を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、膨張可能バルーン14の遠位に位置するガイドワイヤ出口ポート70が提供される。そのような配置では、膨張可能バルーン14が膨張したとき、ガイドワイヤは膨張可能バルーンの外側にあり、膨張可能バルーン14と血管壁BVとの間に配置される。
【0217】
図13の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0218】
図13の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)任意に含むことができる。
【0219】
図13の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側、および/または、膨張可能バルーン14の遠位または近位である位置に配置された1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0220】
図14を参照すると、別の非限定的な医療機器1が示されている。医療機器は、
図1に関して前述した医療機器と同様である。しかし、膨張可能バルーン14の遠位端は、ガイドワイヤ72が膨張可能バルーンを完全に通過できるように構成され、カテーテル本体10の細長体13の通路19は、ガイドワイヤ72の通路としても機能するが、流体が膨張可能バルーン14を膨張させることも可能にする。膨張可能バルーン14の遠位端は、ガイドワイヤ72が遠位端を通過することを可能にするが、遠位端を通る流体の流れを最小限に抑えるように構成することができる。この配置を使用している間、処置中に別個のガイドワイヤは必要ない。この構成では、ガイドワイヤ本体15はガイドワイヤと共に使用されなくなり、バイパス通路としてのみ使用される。したがって、ガイドワイヤ本体15の長さは、バイパス通路としてのみ機能し、任意にはるかに短くすることができるため、ガイドワイヤ本体15の近位端23は、膨張可能バルーン14の近位端27から5インチ未満延びることができ、かつ、ガイドワイヤ本体15の遠位端24は、膨張可能バルーン14の遠位端28から5インチ未満延びることができ、通常は、ガイドワイヤ本体15の近位端23は、膨張可能バルーン14の近位端27から3インチ未満延びることができ、かつ、ガイドワイヤ本体15の遠位端24は、膨張可能バルーン14の遠位端28から2インチ未満延びることができる。
【0221】
図14の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面に取り付けられたステント(図示せず)を任意に含むことができる。膨張可能バルーン16の膨張中に、ステントを血管内の治療部位で展開させることができる。ステントは、治療薬で任意にコーティングすることができる。
【0222】
図14の医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面にコーティングされた治療薬コーティング(図示せず)を任意に含むことができる。
【0223】
図14の医療機器1は、膨張可能バルーンの内側、および/または、膨張可能バルーン14の遠位または近位である位置に配置された1つ以上の電極(図示せず)を任意に含むことができる。
【0224】
第1の使用方法
本開示による医療機器1は、罹患した血管の治療に使用することができる。血管形成術でよく知られているように、身体の穿刺は患者の動脈または静脈系で最初に行われる。ガイドカテーテルは血管内の治療部位の近くまでナビゲートされ、ガイドワイヤは血管内の治療部位を横切ってナビゲートされる。次に、本開示による医療機器は、ガイドワイヤの上を通過し、治療部位に配置される。血管内の適切な位置への医療機器1の配置は、医療機器1上の放射線不透過性マーカー25を使用することによって任意に容易にすることができる。
【0225】
医療機器1が治療部位に配置されると、膨張可能バルーン14は流体によって膨張する。流体は、治療薬を含む場合と含まない場合がある。膨張可能バルーンが血管内で膨張している間、膨張したバルーンを横切る血流は医療機器のバイパス通路により停止しないため、施術者は膨張可能バルーンを長時間、そして、もし必要であれば複数回膨張させることができる。医療機器のそのような特徴は、本発明による医療機器の新しい特徴の1つである。以前の血管形成術の処置では、血管内の血流は膨張可能バルーンの膨張によって遮断されていた。したがって、膨張可能バルーンは、膨張した膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、数秒間(脳内の処置)、通常は長くても10~30秒しか膨張させることができない。本開示による医療機器1におけるバイパス通路の新規の使用は、過去の膨張可能バルーン機器のこの制限を克服する。医療機器1は、治療部位TSに挿入することができ、膨張可能バルーン14は、膨張した膨張可能バルーン14の下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、30秒よりはるかに長い時間(例えば、40秒から10+分およびそれらの間のすべての値および範囲)にわたって治療部位で膨張させることができる。理解できるように、医療機器1は、十分な量の血液が膨張した膨張可能バルーン14をバイパスすることをバイパス通路が可能にするように構成することができるので、膨張可能バルーンが10分を超える期間膨張している間、膨張した膨張可能バルーン14の下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、医療機器は血管内に留まることができる。したがって、より長い治療時間が可能になり、所望の量の治療薬が治療部位の血管の壁の組織に移動することを可能にする。膨張可能バルーン14は、血管内の治療部位TSを適切に治療するために、より長期間拡張することができる。膨張可能バルーン14が膨張している間、より長い期間を使用して、治療部位TSを分析することができる。したがって、膨張した膨張可能バルーン14の下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、膨張可能バルーン14が30秒を超えて膨張している間、血管内に安全に留まる医療機器の能力は、血管形成術の機器および処置における重要な進歩である。したがって、本開示による医療機器1は、膨張可能バルーン14が10秒を超える期間(例えば、11秒から2分およびこれらの間のすべての値と範囲)、30秒、60秒などを超える期間膨張している間、下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、神経血管における血管形成術処置で使用することができる。膨張可能バルーンのそのような長い膨張時間は、従来技術の血管形成機器を使用する神経血管では不可能であった。同様に、本開示による医療機器1は、膨張可能バルーン14が10秒を超える期間(例えば、11秒から2分およびこれらの間のすべての値と範囲)、30秒、60秒などを超える期間膨張している間、下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、心筋梗塞を伴う血管形成術処置で使用することができる。さらに、膨張可能バルーンを最大約30秒間膨張させることができる血管形成術の処置においてさえ、本開示による医療機器1は、膨張可能バルーン14が膨張している間、下流の組織に損傷を与えるリスクなしに、そのような処置でより長期間使用することができる。
【0226】
膨張可能バルーン14は、治療領域の通路のサイズが開かれるように、2~20気圧の内圧まで一般に膨張する。一般的に、膨張可能バルーン14は、血管の治療領域内の通路の断面サイズが、血管の治療領域の近位(例えば、治療領域の近位端から1~3cm以内)および/または遠位(例えば、治療領域の遠位端から1~3cm以内)の位置における血管の通路の断面サイズの±10%にするのに十分な圧力で拡張される。膨張可能バルーン14による治療部位の最初の治療後、血管の治療領域における通路の断面サイズが、血管の治療領域の近位および/または遠位の位置における血管の通路の断面サイズの100%未満である場合、膨張可能バルーン14は、治療部位で1回または複数回再膨張して、血管の治療領域の通路の所望の断面サイズを達成することができる。
【0227】
治療部位での治療が完了すると、膨張可能バルーン14(ガイドワイヤ、カテーテル本体などを含む)が部分的または全体的に収縮され、血管から抜去される。
【0228】
第1の使用方法のための第1の任意の追加治療
医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面の周りに配置されたステントを任意に含む。ステントは、膨張可能バルーンが膨張するときに、治療部位で展開させられる。展開したステントは、通常、膨張可能バルーンが少なくとも部分的に収縮して治療部位から抜去されたときに治療部位に留まる。
【0229】
第1の使用方法のための第2の任意の治療
治療薬は、医療機器1によって任意に導入することができ、そのような治療薬は、治療部位で血管を治療するために使用することができる。各患者に必要な治療材料の投与量は、一般的に施術者によって事前に決定されている。
【0230】
1つの非限定的な配置では、膨張可能バルーン14の外面は、1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が治療部位で膨張すると、膨張可能バルーン14の外面上の治療薬は、血管の治療領域に接触することができる。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。
【0231】
別の非限定的な配置では、医療機器1がステントを任意に含む場合、ステントは1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が膨張し、ステントを展開させて治療領域の内壁に接触させると、ステント上の治療薬は血管の治療領域に接触することができる。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。
【0232】
別の非限定的な配置では、膨張可能バルーン14は、バルーン壁開口部16を任意に含む。膨張可能バルーン14が、治療薬を含む流体によって膨張するとき、治療薬は、膨張可能バルーン14の内部から1つ以上のバルーン壁開口部16を通って流れ、血管の治療領域に接触する。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。膨張可能バルーンが治療材料のコーティングを含む場合、および/またはステント(使用される場合)が治療用コーティングを含む場合、膨張可能バルーンは、任意に、1つ以上のバルーン壁開口部16がない。
【0233】
膨張可能バルーン14内の流体に加えられる圧力、および、圧力が加えられる時間は、1つ以上のバルーン壁開口部16を通って流れる治療材料の量を決定する。異なる圧力での投与量の例を
図12に示す。
図12では、膨張可能バルーン14の壁を通る治療薬の量は、流体が圧力下に保持されている持続時間に対して示されている。
図12はまた、様々な圧力下で保持されたときに膨張可能バルーン14の壁を横切って流れる治療薬の量を示す。膨張可能バルーン14の壁を横切って流れる治療薬の量は、細孔サイズ、細孔密度、細孔の総数、治療薬の濃度、および粘度にも依存する。冠状動脈の治療に使用される膨張可能バルーン14の典型的なバルーン壁開口部のサイズは、0.05~5ミクロン(およびそれらの間のすべての値および範囲)であり、バルーン壁開口部の密度は、1平方センチメートルあたり1~25穴(およびそれらの間のすべての値および範囲)である。例えば、生理食塩水中の治療薬の0.1重量%溶液は、膨張可能バルーン14内の8気圧下、77°Fで2cpsの粘度を有しており、25穴/cm
2の穴密度では、約0.6マイクログラムの治療薬が、膨張可能バルーンの平方センチメートルあたりの膨張可能バルーンの壁を15秒で通過する。5~15ミクロンのより大きなバルーン壁開口部サイズの場合、バルーン壁開口部密度は平方センチメートルあたり約1~10穴である。
図12に示されているように、膨張可能バルーン14のより高い内圧は、バルーン壁開口部16を通って血管壁BVの組織に流れる時間の関数として、より大量の治療薬をもたらすであろう。
【0234】
治療材料の送達が完了すると(例えば、膨張可能バルーン上の治療用コーティング、ステント上の治療用コーティング、および/または1つ以上のバルーン壁開口部を通る治療用流動)、膨張可能バルーン14は任意に収縮されて、施術者が罹患した血管の狭くなった通路の拡張の治療の程度を評価する機会を与える。上記のように、膨張可能バルーン14は、血管の治療領域における通路の所望の断面サイズを達成するために、治療部位において複数回膨張させることができる。治療部位での治療が完了すると、膨張可能バルーン14は部分的または全体的に収縮され、ガイドワイヤ、カテーテル本体なども一緒に血管から抜去される。
【0235】
第1の使用方法のための第3の任意の治療
治療薬が治療部位に適用される場合、医療機器1は、1つ以上の電極を任意に含むことができる。そのような任意の電極は、電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを使用して治療材料の吸収および/または血管壁BVへの移動を容易にするために、膨張可能バルーン14が膨張したときに通電して血管壁BVに電流を提供することができる。
【0236】
1つ以上の電極は、a)膨張可能バルーンの内側に、b)膨張可能バルーンの外側に、c)膨張可能バルーンの外面に取り付けられたステント(使用される場合)に、および/またはd)患者の体の表面上またはその上で医療機器またはステント上の別の電極に近接して位置することができる。
【0237】
第2の使用方法
本開示による第2の新規の方法は、上記の第1の使用方法と共に使用することができ、または、独立した使用方法であることができる。本開示による第2の新規の方法は、1つ以上のバルーン壁開口部16を含む膨張可能バルーン14を膨張させるために異なる粘度の流体を使用することを含む。
【0238】
血管形成術の処置では、身体の穿刺は、患者の動脈または静脈系で最初に行われる。次に、ガイドカテーテルが血管内の治療部位の近くまでナビゲートされ、ガイドワイヤが血管内の治療部位を横切ってナビゲートされる。次に、本開示による医療機器は、ガイドワイヤを通過し、治療部位に配置される。血管内の適切な位置への医療機器1の配置は、医療機器1上の放射線不透過性マーカー25を使用することによって任意に容易にすることができる。
【0239】
医療機器1が治療部位に配置されると、膨張可能バルーン14は流体によって膨張する。流体は、治療薬を含む場合と含まない場合がある。膨張可能バルーン14は、バルーン壁開口部16を含む。膨張可能バルーン14が治療薬を含む流体によって膨張すると、治療薬は、膨張可能バルーン14の内部から1つ以上のバルーン壁開口部16を通って流れ、血管の治療領域に接触する。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。膨張可能バルーン14内の流体に加えられる圧力、および、圧力が加えられる時間は、1つ以上のバルーン壁開口部16を通って流れる流体の量を決定する。
【0240】
膨張可能バルーン14が1つ以上のバルーン壁開口部16を含む場合、膨張可能バルーンで得られる最大内圧は、一般に、8気圧以下である。いくつかの血管形成術では、最大8気圧の膨張圧は、血管の治療領域の通路の断面サイズを、血管の治療領域の近位(例えば、治療領域の近位端から1~3cm以内)および/または遠位(例えば、治療領域の遠位端から1~3cm以内)の位置での血液の通路の断面サイズの±10%にするのに十分であろう。しかし、いくつかの治療部位では、血管の治療領域の通路の断面サイズを、血管の治療領域の近位および/または遠位の位置での血液の通路の断面サイズの±10%にするために、8気圧を超える膨張圧が必要である。したがって、膨張可能バルーンの最初の膨張後(および場合によっては非高粘度溶液を使用した膨張可能バルーンの追加の膨張後)、治療部位の血管の開口部が十分に開かれていないと判断された場合、より高い膨張圧力が、高粘度の溶液を使用することによって達成される。
【0241】
高粘度流体は、1つ以上のバルーン壁開口部を通過できない、または、容易に通過できないサイズを有する粒子を含むので、膨張可能バルーンがバルーン壁開口部を含む場合でも、膨張可能バルーン内の膨張圧力を増加させることができる。例えば、非高粘度の流体を使用して膨張可能バルーンを膨張させる場合(例えば、77°Fで約2cpsの粘度を有する治療薬を含む溶液であり、溶液中の粒子サイズは膨張可能バルーンが膨張したときのバルーン壁開口部の開口部のサイズの50%未満である)、膨張可能バルーンの最大内部膨張圧力は約4~8気圧である。高粘度の流体を使用して膨張可能バルーンを膨張させる場合(例えば、77°Fで2.5cps以上の粘度を有する溶液であり、溶液中の粒子サイズは膨張可能バルーンが膨張したときのバルーン壁の開口部の開口部のサイズの100%より大きい)、膨張可能バルーンは8気圧を超える内部膨張圧力(例えば、10~20気圧)によって膨張することができる。
【0242】
治療部位での治療が完了すると、膨張可能バルーン14は、部分的または全体的に収縮され、ガイドワイヤ、カテーテル本体などとともに血管から抜去される。
【0243】
第2の使用方法のための第1の任意の追加治療
医療機器1は、膨張可能バルーン14が膨張している間に血液が医療機器1を通過して流れることを可能にするバイパス通路を任意に含むことができる。したがって、施術者は、膨張可能バルーンを長期間膨張させることができる。
【0244】
第2の使用方法のための第2の任意の追加治療
医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面の周りに配置されたステントを任意に含む。ステントは、膨張可能バルーンが膨張するとき、治療部位で展開される。展開したステントは、膨張可能バルーンが少なくとも部分的に収縮して治療部位から抜去されたときに治療部位に通常留まる。
【0245】
ステントは、1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が膨張し、ステントを展開させて治療領域の内壁に接触させると、ステント上の治療薬が血管の治療領域に接触することができる。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。
【0246】
第2の使用方法のための第3の任意の治療
膨張可能バルーン14の外面は、1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が治療部位で膨張するとき、膨張可能バルーン14の外面上の治療薬は、血管の治療領域に接触することができる。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。
【0247】
第2の使用方法の第4の任意の治療
治療薬が治療部位に適用される場合、医療機器1は、1つ以上の電極を任意に含むことができる。そのような任意の電極は、電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを使用して治療材料の吸収および/または血管壁BVへの移動を容易にするために、膨張可能バルーン14が膨張したときに通電して血管壁BVに電流を提供することができる。
【0248】
1つ以上の電極は、a)膨張可能バルーンの内側に、b)膨張可能バルーンの外側に、c)膨張可能バルーンの外面に取り付けられたステント(使用される場合)上に、および/またはd)患者の体の表面上またはその上で医療機器またはステント上の別の電極に近接して位置することができる。
【0249】
第3の使用方法
本開示による第3の新規の方法は、上記の第1および/または第2の使用方法と共に使用することができ、または、独立した使用方法であることができる。本開示による第3の新規の方法は、血管の組織への治療薬の移動を改善するために、異なる電流治療レベルおよび電流治療時間を使用することを含む。
【0250】
血管形成術の処置では、身体の穿刺は、患者の動脈または静脈系で最初に行われる。次に、ガイドカテーテルが血管内の治療部位の近くまでナビゲートされ、ガイドワイヤが血管内の治療部位を横切ってナビゲートされる。本開示による医療機器は、ガイドワイヤを通過し、治療部位に配置される。血管内の適切な位置への医療機器1の配置は、医療機器1上の放射線不透過性マーカー25を使用することによって任意に容易にすることができる。
【0251】
医療機器1が治療部位に配置されると、膨張可能バルーン14は流体によって膨張する。治療薬を使用して治療部位の血管を治療することができるように、治療薬は医療機器1によって治療部位に導入される。各患者に必要な治療材料の投与量は、一般的に施術者によって事前に決定されている。
【0252】
1つの非限定的な配置では、膨張可能バルーン14の外面は、1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が治療部位で膨張するとき、膨張可能バルーン14の外面上の治療薬は、血管の治療領域に接触することができる。
【0253】
別の非限定的な配置では、医療機器1がステントを任意に含む場合、ステントは、1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が膨張し、ステントを展開させて治療領域の内壁に接触させると、ステント上の治療薬は血管の治療領域に接触することができる。
【0254】
別の非限定的な配置では、膨張可能バルーン14は、バルーン壁開口部16を任意に含む。膨張可能バルーン14が治療薬を含む流体によって膨張するとき、治療薬は、膨張可能バルーン14の内部から1つ以上のバルーン壁開口部16を通って流れ、血管の治療領域に接触する。
【0255】
医療機器1は、電気穿孔およびイオントフォレーシスを使用して、治療材料の吸収および/または血管壁BVへの移動を容易にするために、血管壁BVに電流を提供するための1つ以上の電極を含む。1つ以上の電極は、a)膨張可能バルーンの内側に、b)膨張可能バルーンの外側に、c)膨張可能バルーンの外面に取り付けられたステント(使用される場合)上に、および/またはd)患者の体の表面の上またはその上で医療機器またはステント上の別の電極のすぐ近くに位置することができる。
【0256】
1つ以上の電極は、イオントフォレーシスによる血管内への治療薬の移動を促進するために電流で励起される。イオントフォレーシスは、治療薬が医療機器から血管に運ばれている間に発生する。
【0257】
医療機器から血管への治療薬の移動が完了すると、1つ以上の電極に異なるレベルで通電して、電気ポロシスによる治療薬の血管内へのさらなる移動を促進することができる。
【0258】
治療薬の取り込みを改善するために、正常な細胞に損傷を与えることなく、電界が治療部位の細胞全体に適用される。適用される電流の強さは、治療の種類がイオントフォレーシスであるか電気ポロシスであるかを決める。イオントフォレーシスは、電界が組織の透過性を高めて治療薬を吸収するプロセスである。血管の壁の奥深くへの治療薬の取り込みを促進するために、0.1~12mA/cm2(およびそれらの間のすべての値および範囲)の電流で0.1Vから15V(およびそれらの間のすべての値および範囲)の範囲のマイルドな電圧が2つの電極間に印加され、通常、0.3~0.6mA/cm2で0.1V~15Vである。
【0259】
本開示によれば、治療薬は、上記の方法によって血管壁に最初に導入される。膨張可能バルーンの膨張および治療薬の送達中に、電流が1つ以上の電極に印加されて、イオントフォレーシスを引き起こす。電極の1つがバルーン空洞の外側にある場合(
図3A、3B、3C、4、7、15Bに示されるように)、バルーン空洞と直接接触している、または、バルーン空洞に最も近い電極はカソードである。バイパス通路を通る同時血流は、下流の組織や臓器に影響を与えることなく、長期の治療を可能にする。イオントフォレーシスの使用は、治療部位の血管の壁の奥深くへの治療薬の浸透を確実にすることを容易にするが、血管壁を形成する細胞の細胞壁への治療薬の浸透を必ずしも引き起こさなくてもよい。
【0260】
罹患した血管の組織が治療薬で部分的または全体的に飽和すると、高電圧を1つ以上の短いパルスで1つ以上の電極に任意に印加して、電気穿孔を引き起こすことができる。電気穿孔は、細胞膜を短時間透過性にして、大きな分子を細胞に入れるプロセスである。電気穿孔中、電極は0.1kV~500kV(キロボルト)(およびそれらの間のすべての値と範囲)で通電され、パルス長(パルス持続時間)は0.3~99マイクロ秒(およびそれらの間のすべての値と範囲)である。1つの非限定的な配置では、200~2000V/cm(およびそれらの間のすべての値および範囲)が、電気穿孔プロセスに使用される。理解できるように、血管壁の細胞に損傷を与えることなく効果的な電気穿孔のために、より低い電圧でより長いパルスを1つ以上の電極に印加することができる。パルス数は1~50パルス(およびそれらの間のすべての値と範囲)であり、パルス間の期間は0.1ミリ秒から10秒(およびそれらの間のすべての値と範囲)であることが可能である。
【0261】
1つの非限定的な配置では、1)治療部位の血管壁が治療薬で飽和している場合、2)1つ以上のバルーン壁開口部を通る治療薬の流れが治療部位で終了した、または、治療薬の流れが治療部位のバルーン壁開口部を通る最大流量の20%未満に減少した場合、および/または3)治療薬のさらなるコーティングが膨張可能バルーンの外面に存在しない場合、電気穿孔プロセスは、イオントフォレーシス後に任意に使用される。
【0262】
別の非限定的な配置では、イオントフォレーシスプロセスのみが使用される。
【0263】
別の非限定的な配置では、電気穿孔プロセスのみが使用される。
【0264】
別の非限定的な配置では、イオントフォレーシスプロセスのみが電気穿孔プロセスの後に使用される。
【0265】
血管への治療材料の送達が完了し、イオントフォレーシスプロセスまたはイオントフォレーシスおよび電気穿孔プロセスが完了すると、膨張可能バルーン14は、施術者が罹患した血管の狭くなった通路の拡張の治療の程度を評価する機会を与えるために、任意に収縮する。上記のように、膨張可能バルーン14は、血管の治療領域における通路の所望の断面サイズを達成するために、治療部位において複数回膨張させることができる。
【0266】
治療部位での治療が完了すると、膨張可能バルーン14は、部分的または全体的に収縮され、ガイドワイヤ、カテーテル本体なども一緒に血管から抜去される。
【0267】
第3の使用方法のための第1の任意の追加治療
医療機器1は、膨張可能バルーン14が膨張している間に血液が医療機器1を通過して流れることを可能にするバイパス通路を任意に含むことができる。したがって、施術者は、膨張可能バルーンを長期間膨張させることができる。
【0268】
第3の使用方法のための第2の任意の追加治療
医療機器1は、膨張可能バルーン14の外面の周りに配置されたステントを任意に含む。膨張可能バルーンが膨張するとき、ステントを治療部位で展開させる。展開したステントは、膨張可能バルーンが少なくとも部分的に収縮して治療部位から抜去されたときに治療部位に通常留まる。
【0269】
ステントは、1つ以上の治療薬で任意にコーティングすることができる。したがって、膨張可能バルーン14が膨張し、ステントを展開させて治療領域の内壁に接触させるとき、ステント上の治療薬は血管の治療領域に接触することができる。一般的に、治療薬は血管の組織に入るが、これは必須ではない。
【0270】
第3の使用方法のための第3の任意の治療
第2の使用方法に関して上記したように、高粘度流体を使用して、膨張可能バルーンを膨張させることができる。
【0271】
したがって、前述の説明から明らかになったものの中で、上記の目的が効率的に達成されることが分かるであろう。そして、開示の精神および範囲から逸脱することなく、説明された構造に特定の変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されることが意図されている。本開示は、好ましい代替の実施形態を参照して説明されてきた。修正および変更は、本明細書で提供される開示の詳細な議論を読んで理解すると、当業者に明らかになるであろう。この開示は、それらが本開示の範囲内に入る限り、そのようなすべての修正および変更を含むことを意図している。以下の特許請求の範囲は、本明細書に記載の開示の一般的および特定の特徴のすべて、ならびに、言語の問題としてその間にあると言われる可能性のある開示の範囲のすべての陳述を網羅することを意図していることも理解されたい。本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されてきた。本開示の好ましい実施形態および他の実施形態のこれらおよび他の修正は、本明細書の開示から明らかであり、それにより、前述の説明事項は、限定としてではなく、単に開示の例示として解釈されるべきである。添付の特許請求の範囲の範囲内にある限り、そのようなすべての修正および変更を含むことを意図している。
【0272】
(付記)
(付記1)
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、前記第1膨張可能バルーンが血管内で膨張したときに前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りの継続的な血流を可能にするバイパス通路を備える医療機器。
【0273】
(付記2)
前記第1膨張可能バルーンは1つ以上のバルーン壁開口部を含む、付記1に記載の医療機器。
【0274】
(付記3)
前記1つ以上のバルーン壁開口部のサイズは0.1~25ミクロンである、付記2に記載の医療機器。
【0275】
(付記4)
前記カテーテルは前記第1膨張可能バルーンの内部に開口部を有する通路を有し、前記カテーテルの遠位部分が前記第1膨張可能バルーンの近位部分に接続されている、付記1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
【0276】
(付記5)
前記第1膨張可能バルーンの外面に取り付けられている拡張可能なステントをさらに含む、付記1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
【0277】
(付記6)
前記バイパス通路は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路によって部分的または全体的に形成されている、付記1に記載の医療機器。
【0278】
(付記7)
前記バイパス通路は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路によって部分的または全体的に形成されている、付記2~5のいずれか一項に記載の医療機器。
【0279】
(付記8)
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する近位端を有し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する遠位端を有する、付記1に記載の医療機器。
【0280】
(付記9)
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する近位端を有し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する遠位端を有する、付記2~7のいずれか一項に記載の医療機器。
【0281】
(付記10)
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端から20インチ以内に位置する1つ以上の近位開口部を含み、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端から5インチ以内に位置する1つ以上の遠位開口部を含む、付記1に記載の医療機器。
【0282】
(付記11)
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端から20インチ以内に位置する1つ以上の近位開口部を含み、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端から5インチ以内に位置する1つ以上の遠位開口部を含む、付記2~9のいずれか一項に記載の医療機器。
【0283】
(付記12)
前記カテーテル上に1つ以上のルアーコネクタをさらに含む、付記1~11のいずれか一項に記載の医療機器。
【0284】
(付記13)
第1電極をさらに含み、前記第1電極は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する、付記1~12のいずれか一項に記載の医療機器。
【0285】
(付記14)
第2電極をさらに含み、前記第2電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて、e)前記血管の外側に間隔を置いて、または、f)体の外側に間隔を置いて、体の近くまたは体と接触して位置する、付記13に記載の医療機器。
【0286】
(付記15)
第1放射線不透過性マーカーをさらに含み、前記第1放射線不透過性マーカーは、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する、付記1~14のいずれか一項に記載の医療機器。
【0287】
(付記16)
前記第1膨張可能バルーン内に少なくとも部分的に位置する側枝通路をさらに含み、前記側枝通路の第1の端部は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路に流体的に接続され、前記側枝通路の第2の端部は、前記第1膨張可能バルーンの壁まで延在する、または、前記第1膨張可能バルーンの前記壁から外向きに延在する、付記1に記載の医療機器。
【0288】
(付記17)
前記第1膨張可能バルーン内に少なくとも部分的に位置する側枝通路をさらに含み、前記側枝通路の第1の端部は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路に流体的に接続され、前記側枝通路の第2の端部は、前記第1膨張可能バルーンの壁まで延在する、または、前記第1膨張可能バルーンの前記壁から外向きに延在する、付記2~15のいずれか一項に記載の医療機器。
【0289】
(付記18)
前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に位置する第2膨張可能バルーンをさらに含み、第1および第2膨張可能バルーンは互いに流体連通し、前記第2膨張可能バルーンへの流体の供給は、1)前記第1膨張可能バルーンにも流体を供給する前記カテーテル、および/または、2)前記第1および第2膨張可能バルーンとの間で流体的に接続されている補助バルーン通路によって提供される、付記1~17のいずれか一項に記載の医療機器。
【0290】
(付記19)
a)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、iv)前記第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する電極、b)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、iv)第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する放射線不透過性マーカー、c)前記第2膨張可能バルーンの前記外面に取り付けられたステント、d)前記第2膨張可能バルーンの前記外面にコーティングされた治療薬のコーティング、および/または、e)前記第2膨張可能バルーンにおける1つ以上のバルーン壁開口部をさらに含む、付記18に記載の医療機器。
【0291】
(付記20)
前記補助バルーン通路は1つ以上の壁開口部を含む、付記18または19に記載の医療機器。
【0292】
(付記21)
血管を治療するための方法であって、
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、バイパス通路を備える医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
を含み、
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンが前記血管内で膨張したときに、前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りで継続的な血流を可能にするように構成されている、
方法。
【0293】
(付記22)
血管を治療するための方法であって、
付記1~20のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
を含み、
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンが前記血管内で膨張したときに、前記血管内および前記第1膨張可能バルーンの周りで継続的な血流を可能にするように構成されている、
方法。
【0294】
(付記23)
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの内部に加圧流体を挿入することを含み、前記加圧流体は、水、血液、血漿、生理食塩水、治療薬、造影剤、および/または、放射線不透過剤を含む、付記21または22に記載の方法。
【0295】
(付記24)
前記第1膨張可能バルーンは、1つ以上のバルーン壁開口部を含み、前記第1膨張可能バルーンが前記治療部位で膨張している間に、治療薬を前記第1膨張可能バルーンに挿入し、前記1つ以上のバルーン壁開口部を通して前記治療薬を通過させるステップをさらに含む、付記21~23のいずれか一項に記載の方法。
【0296】
(付記25)
前記第1膨張可能バルーンが膨張している間に前記第1膨張可能バルーンに高粘度溶液を挿入するステップをさらに含み、前記高粘度溶液は、平均粒子サイズが前記1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの70~100+%である粒子を含む、付記21に記載の方法。
【0297】
(付記26)
前記第1膨張可能バルーンが膨張している間に前記第1膨張可能バルーンに高粘度溶液を挿入するステップをさらに含み、前記高粘度溶液は、平均粒子サイズが前記1つ以上のバルーン壁開口部の平均サイズの70~100+%である粒子を含む、付記22~24のいずれか一項に記載の方法。
【0298】
(付記27)
前記膨張させるステップは、a)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、前記脳、または、b)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、心筋梗塞を引き起こしている心臓に位置する前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、付記21に記載の方法。
【0299】
(付記28)
前記膨張させるステップは、a)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、前記脳、または、b)前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、10秒を超える期間、心筋梗塞を引き起こしている心臓に位置する前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、付記22~26のいずれか一項に記載の方法。
【0300】
(付記29)
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、30秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、付記21に記載の方法。
【0301】
(付記30)
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、30秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、付記22~28のいずれか一項に記載の方法。
【0302】
(付記31)
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、60秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、付記29に記載の方法。
【0303】
(付記32)
前記膨張させるステップは、前記第1膨張可能バルーンの下流の組織に損傷を与えることなく、60秒を超える期間、前記血管内で前記第1膨張可能バルーンを膨張させることを含む、付記30に記載の方法。
【0304】
(付記33)
前記医療機器は第1電極をさらに含み、前記第1電極は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1電極は、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、または、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置し、前記血管内で電気穿孔および/またはイオントフォレーシスを引き起こして、前記血管壁の組織への治療薬の移動を容易にする、前記第1電極にエネルギーを与えるステップをさらに含む、付記21~32のいずれか一項に記載の方法。
【0305】
(付記34)
血管を治療するための方法であって、
カテーテル、および、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーンを備える医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第1内部バルーン圧力まで非高粘度溶液で膨張させるステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第2内部バルーン圧力まで高粘度溶液で膨張させるステップと、
を含み、
前記第2内部バルーン圧力は、前記第1内部バルーン圧力よりも大きい、
方法。
【0306】
(付記35)
血管を治療するための方法であって、
付記1~20のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第1内部バルーン圧力まで非高粘度溶液で膨張させるステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを、第2内部バルーン圧力まで高粘度溶液で膨張させるステップと、
を含み、
前記第2内部バルーン圧力は、前記第1内部バルーン圧力よりも大きい、
方法。
【0307】
(付記36)
血管を治療するための方法であって、
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、第1電極を備える医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
前記医療機器からの治療薬を前記治療部位の内面に接触させるステップと、
イオントフォレーシスを引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
電気穿孔を引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
を含む、
方法。
【0308】
(付記37)
血管を治療するための方法であって、
付記1~20のいずれか一項に記載の医療機器を提供するステップと、
前記医療機器を前記血管に挿入するステップと、
前記医療機器を前記血管内の治療部位に配置するステップと、
前記治療部位で前記第1膨張可能バルーンを膨張させるステップと、
前記医療機器からの治療薬を前記治療部位の内面に接触させるステップと、
イオントフォレーシスを引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
電気穿孔を引き起こすために前記第1電極に電流を印加するステップと、
を含む、
方法。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル、前記カテーテルに取り付けられた第1膨張可能バルーン、および、
A)バイパス通路
および/またはB)第1の電極または導電性エレメントを備え
、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンが血管内で膨張したときに血管内の血流が前記第1膨張可能バルーンの周りを流れ続けることを可能にし、前記バイパス通路は、I)前記カテーテル、II)ガイドワイヤ通路、および/またはIII)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路によって部分的または全体的に形成され、前記バイパス通路は、a)前記カテーテルとは別の流体通路から少なくとも部分的に形成され、b)前記カテーテルを超えて延在する流体通路を含み、c)近位端開口部および1つ以上の近位側壁開口部を含み、これらは両方とも前記第1膨張可能バルーンの近位に配置され、前記近位端開口部および前記1つ以上の近位側壁開口部は、前記第1膨張可能バルーンが血管内で膨張したときに前記バイパス通路の内部への血流を可能にし、d)遠位端開口部および1つ以上の遠位側壁開口部を含み、これらは両方とも前記第1膨張可能バルーンの遠位に配置され、前記遠位端開口部および前記1つ以上の遠位側壁開口部は、前記第1膨張可能バルーンが血管内で膨張したときに血流が前記バイパス通路の内部からの血流を可能にし、および/またはe)前記バイパス通路上に配置された前記第1の電極または導電性エレメントを含み、前記第1の電極または導電性エレメントは、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続され、前記第1の電極または導電性エレメントは、i)前記第1膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第1膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、iv)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置し、v)前記バイパス通路に配置され、および/またはvi)前記カテーテルに配置されており、前記カテーテルは前記第1膨張可能バルーンの内部に開口部を有する通路を任意に有し、前記カテーテルの遠位部分が前記第1膨張可能バルーンの近位部分に任意に接続され、前記カテーテルは、1つ以上のルアーコネクタを任意に含む、医療機器。
【請求項2】
前記第1膨張可能バルーンは1つ以上のバルーン壁開口部を含
み、前記1つ以上のバルーン壁開口部のサイズは任意に0.1~25ミクロンである、請求項1に記載の医療機器。
【請求項3】
前記第1膨張可能バルーンの外面に取り付けられた拡張可能なステントをさらに含む、請求項
1または2に記載の医療機器。
【請求項4】
前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する近位端を有し、前記バイパス通路は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する遠位端を有し、前記近位端は前記近位端開口部を含み、前記遠位端は前記遠位端開口部を含み、前記近位端開口部および/または前記1つ以上の近位側開口部は、前記第1膨張可能バルーンの近位端から20インチ以内に任意に位置し、および/または前記遠位端開口部および/または前記1つ以上の遠位側開口部は、前記第1膨張可能バルーンの遠位端から5インチ以内に任意に位置する、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項5】
第2の電極または導電性エレメントをさらに含み、前記第2の電極または導電性エレメントは、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて、e)前記血管の外側に間隔を置いて、f)体の外側に間隔を置いて、体の近くまたは体と接触して位置し、g)前記バイパス通路に配置され、および/またはh)前記カテーテルに配置されており、前記第2の電極または導電性エレメントは、前記第1の電極または導電性エレメントから間隔を置いて位置する、請求項1~
4のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項6】
第1放射線不透過性マーカーをさらに含み、前記第1放射線不透過性マーカーは、a)前記第1膨張可能バルーンの内側に、b)前記第1膨張可能バルーンの外面に、c)前記第1膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、d)前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置し、e)前記バイパス通路に配置され、および/またはf)前記カテーテルに配置されている、請求項1
~5のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項7】
前記第1膨張可能バルーン内に少なくとも部分的に位置する側枝通路をさらに含み、前記側枝通路の第1の端部は、a)前記カテーテル、b)ガイドワイヤ通路、および/または、c)前記カテーテルおよび前記ガイドワイヤ通路とは別の通路に
流体的に接続され、前記側枝通路の第2の端部は、前記第1膨張可能バルーンの壁まで延在する、または、前記第1膨張可能バルーンの前記壁から外向きに延在する、請求項
1~6のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項8】
前記第1膨張可能バルーンの遠位端の前方に位置する第2膨張可能バルーンをさらに含み、第1および第2膨張可能バルーンは互いに流体連通し、前記第2膨張可能バルーンへの流体の供給は、1)前記第1膨張可能バルーンにも流体を供給する前記カテーテル、および/または、2)前記第1および第2膨張可能バルーンとの間で流体的に接続されている補助バルーン通路によって提供され、前記補助バルーン通路は1つ以上の壁開口部を任意に含む、請求項1
~7のいずれか一項に記載の医療機器。
【請求項9】
a)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはiv)前記第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置し、前記第1および第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて位置する電源にワイヤを介して電気的に接続される補助の電極または導電性エレメント、b)i)前記第2膨張可能バルーンの内側に、ii)前記第2膨張可能バルーンの外面に、iii)前記第2膨張可能バルーンの近位端の後方に間隔を置いて、またはiv)前記第2膨張可能バルーンの遠位端の前方に間隔を置いて位置する放射線不透過性マーカー、c)前記第2膨張可能バルーンの前記外面に取り付けられたステント、d)前記第2膨張可能バルーンの前記外面にコーティングされた治療薬のコーティング、および/またはe)前記第2膨張可能バルーンにおける1つ以上のバルーン壁開口部をさらに含む、請求項
8に記載の医療機器。
【国際調査報告】