(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの製作およびマイクロチャネルへの播種のためのシステムならびに方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20220815BHJP
C12N 5/07 20100101ALI20220815BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12M1/00 C
C12N5/07
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572288
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2020038560
(87)【国際公開番号】W WO2020257539
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521529721
【氏名又は名称】スリーディー バイオラブズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】バカンティ,ジョセフ,ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ブヤンバー,バットザヤ
(72)【発明者】
【氏名】カマー,カーリー
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,マシュー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】リーバサル,タイラー
(72)【発明者】
【氏名】サハキャンツ,タテビック
(72)【発明者】
【氏名】スパン,アンドリュー,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ネヴィル,クレイグ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA23
4B029AA27
4B029BB11
4B065AA93X
4B065AC12
4B065BD40
4B065CA44
4B065CA46
(57)【要約】
マイクロチャネルデバイスを製作する方法が提供される。方法は、複数の設計基準に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワーク設計を決定することを含む。マイクロチャネル導管ネットワーク設計は、第1のチャネルネットワークと、第1のチャネルネットワークに基づく第2のマイクロチャネルネットワークと、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間を通って流体連通を提供するための構造と、を含む。方法は、製作システムにおいてマイクロチャネル導管ネットワーク設計を電子形態で受信することを含む。製作システムは、プレポリマー溶液を含む。方法は、マイクロチャネル導管ネットワーク設計に基づいて、プレポリマー溶液を使用して製作システムでポリマー材料のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作することを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作する方法であって、
(A)複数の設計基準に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワーク設計を決定することであって、前記マイクロチャネル導管ネットワーク設計が、
第1のチャネルネットワークと、
前記第1のチャネルネットワークに基づく第2のマイクロチャネルネットワークと、
前記第1のチャネルネットワークと前記第2のチャネルネットワークとの間を通って流体連通を提供するための構造と、を含む、決定することと、
(B)製作システムにおいて前記マイクロチャネル導管ネットワーク設計を電子形態で受信することであって、前記製作システムが、プレポリマー溶液を含む、受信することと、
(C)前記マイクロチャネル導管ネットワーク設計に基づいて、前記プレポリマー溶液を使用して、前記製作システムにおいて、ポリマー材料のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記決定すること(A)が、前記プレポリマー溶液から前記ポリマー材料を前記形成すること(C)に関連付けられる前記複数の前記設計基準における1つ以上の設計基準を決定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリマー材料が、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリグリセロールセバケート(PGS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリグリコリド、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コーグリコリド(PLGA)、ポリジオキサノン、ポリグルコネート、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシドコポリマー、修飾セルロース、コラーゲン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシプリオピオン酸、ポリホスホエステル、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、分解性ウレタン、脂肪族ポリエステルポリアクリレート、ポリメタクリレート、アシル置換酢酸セルロース、非分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリイフィン、ポリエチレン酸化物、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、ナイロンシリコン、およびポリ(スチレン-ブロック-ブタジエン)、ポリノルボルネン、ヒドロゲル、金属合金などの形状記憶材料、ならびにスイッチングセグメントとしてのオリゴ(ε-カプロラクトン)ジオール/物理的架橋としてのオリゴ(p-ジオキシアノン)ジオールを含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記ポリマーが、生分解性材料である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記プレポリマー溶液が、光開始剤を含み、
前記形成すること(C)が、前記プレポリマー溶液を所定の時間、紫外線に曝露することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記ポリマー材料が、透明である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記構造が、
前記第1のチャネルネットワークと連通する第1の端部分であって、第1の直径を有する、前記第1の端部分と、
前記第2のチャネルネットワークと連通する第2の端部分であって、第2の直径を有する、前記第2の端部分と、を備え、
前記構造の前記第1の直径および前記第2の直径が、前記構造の内部遷移領域を画定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の直径が、前記第2の直径とは異なる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の直径が、約992ミクロン(μm)~約623μmであり、
前記第2の直径が、約832μm~約553μmである、請求項7または8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記構造の前記内部遷移領域が、前記構造の軸の周りで連続的で平滑な曲線を回転させることによって画定される内部表面を備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記連続的で平滑な曲線が、円錐形、楕円形、または円筒形を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記構造の前記内部遷移領域が、単調関数によって定義される内部表面を備える、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記構造の前記内部遷移領域が、約399μm~約701μmの対応する長さを含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの第1の端部分から第2の端部分までの画定される長さが、約15センチメートル(センチメートル)~約7.5cmである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の設計基準が、1つ以上の長さ設計基準、1つ以上の質量設計基準、1つ以上の時間設計基準、1つ以上のポリマー設計基準、1つ以上の時間設計基準、1つ以上の照度設計基準、またはこれらの組み合わせを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記決定すること(A)の前記複数の設計基準における前記1つ以上の長さ設計基準が、
前記マイクロチャネル導管ネットワーク設計に関連付けられる第1の長さと、
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられる第2の長さと、を含み、
前記第2のサイズが、前記第1のサイズよりも小さい、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の長さが、前記第1の長さ、前記ポリマー、前記製作システム、またはこれらの組み合わせに基づく、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の設計基準における前記1つ以上のポリマー設計基準が、前記ポリマーの膨潤度に基づいて、前記形成すること(C)の前記ポリマーを選択することを含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記複数の設計基準における前記1つ以上の長さの設計基準が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの長さの解像度を含む、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記複数の設計基準における前記1つ以上のポリマー設計基準が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの多孔性を含む、請求項15~19に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの細孔のメジアンサイズが、約19μm~約231μmである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記製作システムが、前記形成すること(C)のために付加製造法を利用する、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記形成すること(C)が、ポジティブモールドを用いて、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、前記第1のチャネルネットワークと前記第2のチャネルネットワークとの間に空間を形成する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記形成すること(C)が、ポジティブモールドを用いて、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、前記第1のチャネルネットワークと前記第2のチャネルネットワークとの間に空間を形成する、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記付加製造法が、結合剤噴射、材料押出し、材料噴射、ポリジェット、粉末床、シート積層、およびバット光重合からなる群から選択される、請求項22~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
マイクロチャネルデバイス内の流れを滞留または停止させる方法であって、
前記マイクロチャネルデバイスが、第1のチャネルと、第2のチャネルと、を備え、前記第1のチャネルおよび前記第2のチャネルが、1つ以上の構造によって相互接続され、
前記デバイスの第1のチャネルを通って、溶液中に複数のGelMAマイクロゲルを含む懸濁液を灌流させることを含み、前記溶液を灌流させることが、1つ以上のGelMAマイクロゲルを、前記1つ以上の構造のうちの少なくとも1つにおいて、流れを滞留または停止させる、方法。
【請求項27】
前記複数のGelMAマイクロゲルが、フォトマスキング技術を使用して製作される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記フォトマスキング技術が、
緩衝液中のGelMAと、光開始剤と、を含む、プレポリマー溶液を、その外縁部分がスペーサーによって囲まれている第1のスライド上に配置することであって、前記第1のスライドの上への前記プレポリマー溶液の前記配置の完了の際に、第2のスライドを前記第1のスライド上に配置し、それによって、封じ込め構造を形成する、配置することと、
前記第2のスライドの上面にフォトマスクを配置することと、
前記フォトマスクおよび前記封じ込め構造を、所定の時間、紫外線に曝露し、それによって、GelMAマイクロゲルを生成することと、を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記封じ込め構造を分解して、前記生成されたGelMAマイクロゲルを回収し、それによって、前記複数のGelMAマイクロゲルを製作することをさらに含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記プレポリマー溶液が、
約7重量部%~約20重量部%のGelMAと、
約1%の光開始剤と、を含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
プレポリマー溶液が、約75%~約90%のメタクリロイル置換度で形成されている、請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
透光部のアレイが、円のアレイであり、前記円のアレイ内の各円の直径が、約50マイクロメートル(μm)~約650μmである、円のアレイである、請求項28~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記スペーサーが、約50μm~約550μmの厚さを有する、請求項28~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサーについて、前記プレポリマー溶液を前記配置する前に、
約0.5重量%のメトキシポリエチレングリコール5000 Si(mPEG5000-Si)、約1重量%の酢酸、およびエチルアルコールのストック溶液のサンプルを、前記少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサー上に配置することと、
前記少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサーを、約70℃で約30分間のインキュベーションに供し、それによって、インキュベートされたスライドおよび/またはスペーサーを形成することと、
前記インキュベートしたスライドおよび/またはスペーサーを脱イオン水に浸漬し、それによって、浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーを形成することと、
前記浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーを、所定の時間、超音波処理し、それによって、超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーを形成することと、
前記超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーを乾燥させ、それによって、調製されたスライドおよび/またはスペーサーを形成することと、をさらに含む、請求項28~33に記載のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記所定の時間が、約30秒以下である、請求項28~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記紫外線が、
約360ナノメートル(nm)~約480nmの波長と、
立方センチメートル当たり約12.4ミリワットの強度と、を有する、請求項28~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記GelMAマイクロゲルを前記回収することが、
前記生成されたGelMAマイクロゲルを鉱油浴に移すことと、
前記鉱油浴を撹拌することと、を含む、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記GelMAマイクロゲルを前記回収することが、
(a)前記生成されたGelMAマイクロゲルを水酸化ナトリウム溶液に浸漬することと、
(b)前記(a)のGelMAマイクロゲルをエチルアルコール溶液に浸漬することと、
(c)前記(b)のGelMAマイクロゲルを第3の所定の時間、超音波処理することと、を含む、請求項28~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記複数のGelMAマイクロゲルが、マイクロ流体プロセスを使用して製作される、請求項26~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記複数のGelMAマイクロゲル中の1つ以上のGelMAマイクロゲルが、球体として形成される、請求項26~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上の構造が、円錐台の形状である、請求項26~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記複数のGelMAマイクロゲルの前記懸濁液および前記第1の溶液を、前記デバイスの前記第1のチャネルを通して前記灌流した後、前記デバイスの前記第2のチャネルに流体の流れを適用し、それによって、前記デバイスの前記第1のチャネルと前記第2のチャネルとの圧力差を生じさせることをさらに含む、請求項26~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通る流れを制御するためのバイオリアクターシステムであって、
1つ以上のプロセッサと、
前記1つ以上のプロセッサに結合されたメモリと、
前記メモリおよび前記1つ以上のプロセッサに接続されたコントローラであって、
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスが、
第1の流入開口部および第1の流出開口部を含む入口チャネルと、
細胞培養インサートを保持するように構成されたウェルと、を備え、前記ウェルが、
前記第1の流出開口部と連通している入口と、
前記細胞培養インサートの下に配置され、出口チャネルの第2の流入開口部と連通している出口と、を備え、
前記出口チャネルが、前記第2の流入開口部と、第2の流出開口部と、を備える、コントローラと、
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに連結され、前記コントローラによって提供される1つ以上の指令に基づいて、前記入口チャネルから前記出口チャネルを通じて前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通る流体の流れを促進するように構成されているポンプと、を備える、バイオリアクターシステム。
【請求項44】
前記バイオリアクターシステムが、前記細胞培養インサートの上に配置され、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに着脱可能に連結されているカプレットをさらに備える、請求項43に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項45】
前記デバイスの前記カプレットが、第2の出口を備える、請求項44に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項46】
前記カプレットが、逆漏斗として成形されている、請求項44または45に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項47】
前記カプレットが、Oリングを介して前記ウェルに連結されている、請求項44~46のいずれか一項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項48】
前記ウェルの少なくとも壁と接触している前記カプレットの各表面が、疎水性材料を含む、請求項44~47のいずれか一項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項49】
前記Oリングが疎水性材料を含む、請求項47に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項50】
前記細胞培養インサートが、スポンジまたはメッシュである、請求項43~49のいずれか一項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項51】
前記細胞培養インサートが、ゼラチンでコーティングされている、請求項43~50のいずれか一項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項52】
複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内の第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスのそれぞれの入口チャネルが、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスのそれぞれの出口チャネル連通するように、直列に連結され、互いに流体連通する、前記複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを備える、請求項43~51のいずれか一項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項53】
複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを備え、前記複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスが、各マイクロチャネル導管ネットワークデバイスが前記ポンプに連結されるように、並列に連結されている、請求項43~52のいずれか一項に記載のバイオリアクターシステム。
【請求項54】
マイクロチャネル導管ネットワークデバイス内で複数の細胞を培養する方法であって、
(A)候補対象に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを調製し、それによって、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成することであって、前記調製されたマイクロチャネル導管チャネルデバイスが、
第1のチャネルネットワークと、
第2のチャネルネットワークと、を備える、調製することと、
(B)前記候補対象に基づいて、前記調製されたマイクロチャネル導管デバイスで培養するための前記複数の細胞を播種し、それによって複数の種細胞を形成することと、
(C)前記調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに連結されたバイオリアクターシステムを使用して、前記調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを介して、前記複数の種細胞を含む培地を流動させ、それによって、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイス内で前記複数の細胞を培養することと、を含む、方法。
【請求項55】
前記調製すること(A)が、前記播種すること(B)のための前記複数の細胞を調製することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記複数の細胞を前記調製すること(A)が、カルシウムおよびマグネシウムを含む溶液に前記複数の細胞を曝露することを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記溶液への前記複数の細胞の曝露時間が、約15分~約25分である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記調製すること(A)が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面を修飾することを含む、請求項54~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記表面修飾が、化学的表面修飾である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記化学的表面修飾が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記表面上にペプチドコンジュゲーションを形成させることを含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記ペプチドコンジュゲーションが、アルギニルグリシルアスパラギン酸ペプチドである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記表面修飾が、機械的表面修飾である、請求項58~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記機械的表面修飾が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記表面にコーティングを塗布することを含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記コーティングが、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、GelMA、PEGdA、PLL、またはそれらの組み合わせを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記コーティングが、
約8%~約12%の第1の重量パーセント(重量%)のPEGdAと、
約0.5%~約7%の第2の重量%のGelMaと、を含む、請求項63または64のいずれかの方法。
【請求項66】
前記PEGdAの第1の重量%が、10%であり、
前記GelMAの第2の重量%が、約1%~約5%である、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記コーティングが、
PEGdA、PPL、GelMA、またはそれらの組み合わせを含む第1のコーティングであって、第1の上面および第1の下面を有する、第1のコーティングと、
コラーゲンまたはゼラチンのいずれかを含む第2のコーティングであって、第2の上面および第2の下面を有する、第2のコーティングと、を含み、
前記第1の下面が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記表面に隣接し、
前記第2の下面が前記第1の上面に隣接している、請求項63~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記播種すること(B)が、前記培地中において前記複数の細胞をカプセル化することを含む、請求項54~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記培地が光開始剤を含み、
前記播種すること(B)が、前記複数の細胞を前記カプセル化する前に、前記培地および前記複数の細胞を所定の時間、紫外線に曝露することをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記培地が、約5μm~約15μmの厚さを有する、請求項68または69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記播種すること(B)の前記複数の種細胞の密度が、1平方センチメートル当たり1×10
4個の細胞~1平方センチメートル当たり1×10
5個の細胞である、請求項54~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記流動すること(C)における流量が、毎分約375マイクロリットル(μL)~毎分約425μLである、請求項54~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記流動すること(C)の前に、前記調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの一部が、乾燥状態または水和状態のいずれかにある、請求項54~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
前記流動すること(C)の前に、前記調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの前記一部が、前記マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの下端部分にある、請求項54~73のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/863,165号、発明の名称「Systems and Methods for Retarding or Arresting Flow in a Microchannel」、および2019年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/863,169号、発明の名称「Systems and Methods for Directing Flow in a Bioreactor Device」の優先権を主張し、各々について参照によりその全体を本明細書に組み込む。
【背景技術】
【0002】
本開示は、導管ネットワークに関する。より具体的には、本開示は、マイクロチャネル導管ネットワークを製作し、マイクロチャネルに播種するための、システムおよび方法に関する。
【0003】
関連技術の説明
ゼラチンメタクリロイル(GelMA)ヒドロゲルは、三次元の生体組織類似体の生成を含む、様々な生物医学的用途で広く採用されている。この広範な採用は、部分的には、ゼラチンの望ましい生物学的特性、GelMAヒドロゲルが示す変更可能な物理的特性、ならびに付着する細胞およびヒドロゲルのマトリックスメタロプロテイナーゼ応答ペプチドモチーフの特性、の組み合わせによるものである。これらの属性は、天然の細胞外マトリックスの様々な特性に非常に類似し、それはGelMAヒドロゲルが利用される様々な生物医学的用途に不可欠なものである。
【0004】
いくつかの生物医学的用途では、1つ以上のマイクロチャネルを含み、デバイス内の培地の制御可能な流れを可能にする構成可能なデバイスを有することが望ましい。例えば、デバイスのマイクロチャネルは、そのようなデバイス内に細胞を播種することを含むプロセス中に、細胞が流れ自体から切り離されることなく、デバイスの様々な壁に適切に付着することを可能にするために、それを通る流れを滞留させるかまたは停止させる必要がある。細胞がデバイスの壁に適切に付着すると、マイクロチャネル内の流れは、細胞への栄養の供給、および/または細胞によって生成された老廃物の除去を可能にするように、加速または再開する必要があり得る。しかしながら、マイクロチャネルのこのような一時的な滞留または停止は、現時点では実現されていない。
【0005】
さらに、様々な種類の細胞を培養し、続いて培養された細胞で実験を行うためのバイオリアクターが開発されてきた。例えば、従来のバイオリアクターは、細胞を培養するためのウェルおよびそれを通る流体の流れを含む。しかしながら、これらのデバイスは、複数の方向に流体の流れを提供して流れの方向を制御するための手段を欠くものである。さらに、これらのデバイスは、培養後にバイオリアクターから細胞を除去する必要があり、スフェロイドモデルの細胞の培養のみが可能である。
【0006】
さらに、様々なタイプの細胞を培養し、分析を行うための、および/または対象に移植するための導管ネットワークデバイスが開発されてきた。しかしながら、これらの導管ネットワークデバイスは、異なる形状の生理学的に関連する塊の培養が未だ可能ではない。さらに、これらの導管ネットワークデバイスは、生分解性材料を使用したこれらの塊を培養することができない。
【0007】
したがって、本開示以前では、マイクロチャネル内の流れを滞留させるまたは停止させる方法が必要とされていた。さらに、本開示以前では、様々な形状の生理学的に関連する塊を培養することが可能な細胞培養デバイスにおいて、流れを方向付けるためのシステムおよび方法が必要とされていた。さらに、本開示以前では、様々な形状の生理学的に関連する塊を培養することが可能なマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するための、システムおよび方法が必要とされていた。
【0008】
この背景技術のセクションに開示される情報は、本発明の一般的な背景技術の理解を高めることを目的とするに過ぎず、この情報が、当業者に周知の先行技術を形成することの承認、または何らかの形での示唆として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0009】
上記の背景技術を考慮すると、当技術分野で必要とされているものは、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作し、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内に複数の細胞を播種するための、システムおよび方法である。
【0010】
本開示は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作し、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内に複数の細胞を播種するための、改善されたシステムおよび方法を提供する。
【0011】
より詳細には、本開示の一態様は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作する方法を提供する。方法は、複数の設計基準に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワーク設計を決定することを含む。マイクロチャネル導管ネットワーク設計は、第1のチャネルネットワークと、第1のチャネルネットワークに基づく第2のマイクロチャネルネットワークと、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間を通って流体連通を提供するための構造と、を含む。方法は、製作システムにおいてマイクロチャネル導管ネットワーク設計を電子形態で受信することを含む。加えて、製作システムは、プレポリマー溶液を含む。さらに、方法は、マイクロチャネル導管ネットワーク設計に基づいて、プレポリマー溶液を使用して製作システムにおいてポリマー材料のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成することを含む。このようにして、方法は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの製作を容易にする。
【0012】
いくつかの実施形態では、決定することは、プレポリマー溶液からのポリマー材料の形成に関連付けられる複数の設計基準から1つ以上の設計基準を決定することをさらに含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリグリセロールセバケート(PGS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリグリコリド、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コーグリコリド(PLGA)、ポリジオキサノン、ポリグルコネート、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシドコポリマー、修飾セルロース、コラーゲン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシプリオピオン酸、ポリホスホエステル、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、分解性ウレタン、脂肪族ポリエステルポリアクリレート、ポリメタクリレート、アシル置換酢酸セルロース、非分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリイフィン、ポリエチレン酸化物、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、ナイロンシリコン、およびポリ(スチレン-ブロック-ブタジエン)、ポリノルボルネン、ヒドロゲル、金属合金などの形状記憶材料、ならびにスイッチングセグメントとしてのオリゴ(ε-カプロラクトン)ジオール/物理的架橋としてのオリゴ(p-ジオキシアノン)ジオールが挙げられる。
【0014】
いくつかの実施形態では、ポリマーは、生分解性材料である。
【0015】
いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液は、光開始剤を含む。さらに、形成には、プレポリマー溶液を所定の時間、紫外線に曝露することが含まれる。
【0016】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスのポリマー材料は、透明である。
【0017】
いくつかの実施形態では、構造は、第1のチャネルネットワークと連結される第1の端部分であって、第1の直径を有する第1の端部分と、第2のチャネルネットワークと連結される第2の端部分であって、第2の直径を有する第2の端部分と、を含む。さらに、構造の第1の直径および第2の直径は、構造の内部遷移領域を画定する。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の直径は、第2の直径とは異なる。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1の直径は、約992ミクロン(μm)~約623μmであり、第2の直径は、約832μm~約553μmである。
【0020】
いくつかの実施形態では、構造の内部遷移領域は、構造の軸の周りで連続的で平滑な曲線を回転させることによって画定される内部表面を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、連続的で平滑な曲線には、円錐形、楕円形、または円筒形が含まれる。
【0022】
いくつかの実施形態では、構造の内部遷移領域は、単調関数によって画定される内部表面を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、構造の内部遷移領域は、約399μm~約701μmの対応する長さを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの第1の端部分から第2の端部分までで画定される長さは、約15センチメートル(センチメートル)~約7.5cmである。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準は、1つ以上の長さ設計基準、1つ以上の質量設計基準、1つ以上の時間設計基準、1つ以上のポリマー設計基準、1つ以上の時間設計基準、1つ以上の照度設計基準、またはそれらの組み合わせを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、決定における複数の設計基準における1つ以上の長さの設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワーク設計に関連付けられる第1の長さと、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられる第2の長さと、を含む。さらに、いくつかの実施形態では、第2のサイズは第1のサイズよりも小さい。
【0027】
いくつかの実施形態では、第2の長さは、第1の長さ、ポリマー、製作システム、またはそれらの組み合わせに基づく。
【0028】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上のポリマー設計基準は、ポリマーの膨潤の程度に基づいて形成のポリマーを選択することを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上の長さの設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの長さの解像度を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上のポリマー設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの多孔性を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの細孔のメジアンサイズは、約19μm~約231μmである。
【0032】
いくつかの実施形態では、製作システムは、形成のために付加製造法を利用する。
【0033】
いくつかの実施形態では、形成は、ポジティブモールドを用いてマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に空間を形成する。
【0034】
いくつかの実施形態では、形成は、ポジティブモールドによりマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に空間を形成する。
【0035】
いくつかの実施形態では、付加製造法は、結合剤噴射、材料押出、材料噴射、ポリジェット、粉末床、シート積層、およびバット光重合からなる群から選択される。
【0036】
本開示の別の態様は、マイクロチャネルデバイス内の流れを滞留させるまたは停止させる方法を提供することに関する。マイクロチャネルデバイスは、第1のチャネルと、第2のチャネルと、を含む。第1のチャネルおよび第2のチャネルは、1つ以上の構造によって相互連結されている。したがって、方法は、デバイスの第1のチャネルを通って、溶液中に複数のGelMAマイクロゲルを含む懸濁液を灌流することを含む。したがって、溶液を灌流することにより、1つ以上のGelMAマイクロゲルが、1つ以上の構造のうちの少なくとも1つにおいて、流れを滞留または停止させる。
【0037】
いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルは、フォトマスキング技術を使用して製作される。
【0038】
いくつかの実施形態では、フォトマスキング技術は、緩衝液中にGelMAを含むプレポリマー溶液および光開始剤を、外縁部分がスペーサーによって囲まれている第1のスライド上に配置することを含む。プレポリマー溶液の第1のスライドへの配置が完了すると、第2のスライドが第1のスライドの上に配置され、それによって、封じ込め構造が形成される。方法は、第2のスライドの上面にフォトマスクを配置することを含む。さらに、方法は、フォトマスクおよび封じ込め構造を所定の時間、紫外線に曝露し、それによって、GelMAマイクロゲルを生成させることを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、方法はさらに、封じ込め構造を分解して、生成されたGelMAマイクロゲルを回収し、それによって、複数のGelMAマイクロゲルを製作することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液は、約7重量部%~約20重量部%のGelMAと、約1%の光開始剤と、を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液は、約75%~約90%のメタクリロイル置換度で形成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、透光部のアレイは円のアレイである。円のアレイ内の各円の直径は、約50マイクロメートル(μm)~約650μmである。
【0043】
いくつかの実施形態では、スペーサーは、約50μm~約550μmの厚さを有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液を配置する前に、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサーについて、方法はさらに、約0.5重量%のメトキシポリエチレングリコール5000 Si(mPEG5000-Si)、約1重量%の酢酸、およびエチルアルコールのストック溶液のサンプルを、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサー上に配置することを含む。加えて、方法は、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサーを、約70℃で約30分間のインキュベーションに供し、それによって、インキュベートされたスライドおよび/またはスペーサーを形成することを含む。インキュベートしたスライドおよび/またはスペーサーを脱イオン水に浸漬することによって、浸漬したスライドおよび/またはスペーサーが形成される。さらに、方法は、浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーを、所定の時間、超音波処理し、それによって、超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーを形成することを含む。さらに、方法は、超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーを乾燥させ、それによって、調製されたスライドおよび/またはスペーサーを形成することを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、所定の時間は、約30秒以下である。
【0046】
いくつかの実施形態では、紫外線は、約360ナノメートル(nm)~約480nmの波長、および1立方センチメートル当たり約12.4ミリワットの強度を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、GelMAマイクロゲルを回収することは、生成されたGelMAマイクロゲルを鉱油浴に移すことと、鉱油浴を撹拌することと、を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、GelMAマイクロゲルを回収することは、生成されたGelMAマイクロゲルを水酸化ナトリウム溶液に浸漬することを含む。さらに、回収には、浸漬するGelMAマイクロゲルをエチルアルコール溶液に浸漬することと、回収するGelMAマイクロゲルを第3の所定の時間、超音波処理することと、を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルは、マイクロ流体プロセスを使用して製作される。
【0050】
いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲル中の1つ以上のGelMAマイクロゲルは、球体として形成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、1つ以上の構造は、円錐台の形状である。
【0052】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のGelMAマイクロゲルの懸濁液および第1の溶液を、デバイスの第1のチャネルを通して灌流した後、デバイスの第2のチャネルに流体の流れを適用し、それによって、デバイスの第1のチャネルと第2のチャネルとの圧力差を生じさせることをさらに含む。
【0053】
本開示のさらに別の態様は、バイオリアクターシステムを提供することに関する。バイオリアクター制御システムは、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通る流れを制御するように構成されている。さらに、バイオリアクター制御システムは、1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサに接続されているメモリと、メモリおよび1つ以上のプロセッサに接続されているコントローラと、を含む。さらに、バイオリアクター制御システムは、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを含む。マイクロチャネル導管ネットワークデバイスは、第1の流入開口部および第1の流出開口部を含む入口チャネルと、細胞培養インサートを保持するように構成されているウェルと、出口チャネルと、を含む。ウェルは、第1の流出開口部と連通している入口と、細胞培養インサートの下に配置され、出口チャネルの第2の流入開口部と連通している出口と、を含む。出口チャネルは、第2の流入開口部と、第2の流出開口部と、を含む。さらに、バイオリアクターシステムは、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに連結され、コントローラによって提供される1つ以上の指令に基づいて、入口チャネルから出口チャネルへの、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通る流体の流れを促進するように構成されているポンプを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、細胞培養インサートの上に配置され、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに着脱可能に連結されているカプレットをさらに備える。
【0055】
いくつかの実施形態では、デバイスのカプレットは、第2の出口を備える。
【0056】
いくつかの実施形態では、カプレットは、逆漏斗として成形されている。
【0057】
いくつかの実施形態では、カプレットは、Oリングを介してウェルに結合されている。
【0058】
いくつかの実施形態では、少なくともウェルの壁と接触しているカプレットの各表面は、疎水性材料を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、Oリングは疎水性材料を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、細胞培養インサートは、スポンジまたはメッシュである。
【0061】
いくつかの実施形態では、細胞培養インサートは、ゼラチンでコーティングされている。
【0062】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内の第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスのそれぞれの入口チャネルが、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスのそれぞれの出口チャネル連通するように、直列に連結され、互いに流体連通する、複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを含み、ここで、複数のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスは、各マイクロチャネル導管ネットワークデバイスがポンプに連結されるように、並列に連結されている。
【0064】
本開示のさらに別の態様は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス内で複数の細胞を培養する方法を提供することに関し、方法は、候補対象に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを調製し、それによって、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークを形成することを含み、ここで、調製されたマイクロチャネル導管チャネルデバイスは、第1のチャネルネットワークと、第2のチャネルネットワークと、を含む。さらに、方法は、候補対象に基づいて、調製されたマイクロチャネル導管デバイス内で培養するための複数の細胞を播種し、それによって、複数の種細胞を形成することを含む。さらに、方法は、されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに連結されたバイオリアクターシステムを使用して、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通じて複数の種細胞を含む培地を流し、それによって、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス内で調製複数の細胞を培養することを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、調製はさらに、播種のための複数の細胞を調製することを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、複数の細胞を調製することは、複数の細胞を溶液に曝露することを含む。溶液は、カルシウムおよびマグネシウムを含有する。
【0067】
いくつかの実施形態では、溶液への複数の細胞の曝露時間は、約15分~約25分である。
【0068】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの調製は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面を修飾することを含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面の修飾は、化学的表面修飾である。
【0070】
いくつかの実施形態では、化学的表面修飾は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面上にペプチドコンジュゲーションを形成させることを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、ペプチドコンジュゲーションは、アルギニルグリシルアスパラギン酸ペプチドである。
【0072】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面修飾は、機械的表面修飾である。
【0073】
いくつかの実施形態では、機械的表面修飾は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面にコーティングを塗布することを含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、コーティングは、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、GelMA、PEGdA、PLL、またはそれらの組み合わせを含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、コーティングは、約8%~約12%の、第1の重量パーセント(重量%)のPEGdAと、約0.5%~約7%の、第2の重量%のGelMaと、を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、PEGdAの第1の重量%は、10%であり、GelMAの第2の重量%は、約1%~約5%である。
【0077】
いくつかの実施形態では、コーティングは、PEGdA、PPL、GelMA、またはそれらの組み合わせを含む第1のコーティングを含む。第1のコーティングは、第1の上面と第1の下面とを含む。コーティングは、コラーゲンまたはゼラチンのいずれかを含む第2のコーティングをさらに含む。第2のコーティングは、第2の上面と第2の下面とを含む。さらに、第1の下面は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面に隣接し、第2の下面は、第1の上面に隣接している。
【0078】
いくつかの実施形態では、播種は、培養培地中で複数の細胞をカプセル化することを含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、培養培地は、光開始剤を含み、複数の細胞をカプセル化する前に、播種はさらに、培養培地および複数の細胞を所定の時間、紫外線に曝露することを含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、培養培地は、約5μm~約15μmまでの厚さを含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、播種される複数の種子細胞の密度は、1平方センチメートル当たり約1×104細胞~1平方センチメートル当たり約1×105細胞である。
【0082】
いくつかの実施形態では、流れの流量は、毎分約375マイクロリットル(μL)~毎分約425μLである。
【0083】
いくつかの実施形態では、流れの前に、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの一部は、乾燥状態または水和状態のいずれかに置かれる。
【0084】
いくつかの実施形態では、流れの前に、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの一部は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの下端部分にある。
【0085】
本発明のマイクロチャネル内の、流れの遅延または阻止は、本発明の例示的な実施形態の特定の原理を説明するための、本明細書に組み込まれる添付の図面、および以下の詳細な説明から明らかであるか、またはより詳細に示される、他の特徴および利点を有する。
【0086】
本発明の他の特徴および利点は、本発明の例示的な実施形態の特定の原理を説明するための、本明細書に組み込まれる添付の図面、および以下の詳細な説明から明らかであるか、またはより詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【
図1】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するための、および/またはマイクロチャネルデバイス内に複数の細胞を播種するための、システムの一実施形態を示すブロック図を示す。
【
図2】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するための製作システムを示す。
【
図3】本開示の実施形態による、マイクロチャネルデバイスを通る流れを制御するためのバイオリアクターシステムを示す。
【
図4】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通る流れを設計および/または制御するためのクライアントデバイスを示す。
【
図5】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するための方法の第1のフローチャートを示し、ここで、任意選択的な要素は、破線の四角および/または線で示す。
【
図6】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに複数の細胞を播種するための方法の第2のフローチャートを示し、ここで、任意選択的な要素は、破線の四角および/または線で示す。
【
図7】本開示の実施形態による、例示的なマイクロチャネルデバイスの図を示す。
【
図8】本開示の実施形態による、例示的なマイクロゲルユニットを示す。
【
図9】本開示の実施形態による、マイクロゲルユニットを生成するための例示的なプロセスを示す。
【
図10】本開示の実施形態による、様々な例示的なマイクロゲルユニットを示す。
【
図11】本開示の実施形態による、マイクロゲルユニットを含む例示的なマイクロチャネルデバイスの図を示す。
【
図12】
図11の例示的なマイクロチャネルデバイスの別の図を示す。
【
図13A】本開示の一実施形態による1つ以上のマイクロゲルユニットを強調するために、第1の画像および第2の画像をマージした、
図11のマイクロチャネルデバイスのさらに別の図を示す。
【
図13B】本開示の一実施形態による1つ以上のマイクロゲルユニットを強調するために、第1の画像および第2の画像がマージした、
図11のマイクロチャネルデバイスのさらに別の図を示す。
【
図14】本開示の一実施形態による、例示的なマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを示す。
【
図15】本開示の一実施形態による、別の例示的なマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを示す。
【
図16】本開示の一実施形態による、バイオリアクターシステムの一部を示し、破線は培地の一般的な流路を表す。
【
図17A】本開示の一実施形態による、直列に連結された、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスと、第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスと、を含む、バイオリアクターシステムを示す。
【
図17B】本開示の一実施形態による、並列に連結された、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスと、第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスと、を含む、バイオリアクターシステムを示す。
【
図17C】本開示の一実施形態による、並列に結合された、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスと、第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスと、を含む、バイオリアクターシステムを示す。
【
図18A-18D】は、本開示の実施形態による、バイオリアクターシステムの様々な構成を示す。
【
図19】本開示の実施形態による、バイオリアクターシステムおよび製作システムの様々な条件を制御することによって誘導される蛍光切断(fluorescence cleavage)を示す。
【
図20】本開示の実施形態による、バイオリアクターシステムおよび製作システムの様々な条件を制御することによって誘導されるさらなる蛍光切断を示す。
【
図21】本開示の実施形態による、フルオレセインジアセテートへのHep G2細胞の曝露後、バイオリアクターシステムおよび製作システムの条件を制御することによって誘導される蛍光切断のグラフを示す。
【
図22】本開示の実施形態による、フルオレセインジアセテート曝露後、バイオリアクターシステムおよび製作システム条件を制御することによって誘導される蛍光切断の別のグラフを示す。
【
図23】本開示の実施形態による、バイオリアクターシステムおよび製作システムの条件を制御することによって誘導されるさらなる蛍光切断を示す。
【
図24】本開示の実施形態による、PEGdAヒドロゲルマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内の細胞増殖の効果を示す。
【
図25-40】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスにおいて細胞を製作および培養するための方法およびシステムの例を示す。
【
図41-42】本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスをバイオリアクターシステムと連結するためのコネクタを示す。
【0088】
添付の図面は必ずしも原寸どおりではなく、本発明の基本原理を例示する様々な特徴を、いくらか簡略化して表現するものであることを理解されたい。例えば、特定の寸法、配向、位置、および形状などの、本明細書に開示される本発明の特定の設計上の特徴は、特定の意図された用途および使用環境によって一部決定される。
【0089】
図において、参照番号は、図面のいくつかの図全体にわたって、本発明の同じまたは等価の部分を指す。
【発明を実施するための形態】
【0090】
ここで、本発明の様々な実施形態を詳細に参照するが、添付の図面に示され、以下で記載されるのは、それらの例である。本発明は、例示的な実施形態を踏まえて記載されるが、記載は、本発明をそれらの例示的な実施形態に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。むしろ、本発明は、例示的な実施形態のみならず、各種の代替物、変更物、均等物およびその他の実施形態をも網羅するものであり、それらは、添付の特許請求の範囲に記載される、本発明の技術思想および請求範囲内に含まれ得る。
【0091】
ここで実施形態を詳細に参照すると、その例は添付の図面に示される。以下の詳細な説明では、本開示の完全な理解を提供するために、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本開示がこれらの具体的な詳細なしで実践されてもよいことは当業者には明らかであろう。他の例では、周知の方法、手順、および構成要素は、実施形態の態様を不必要に曖昧にしないように、詳細には説明されない。
【0092】
また、第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことも理解されるであろう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱しない限りにおいて、第1のグラフチャートは、第2のグラフチャートと呼ばれ得、同様に、第2のグラフチャートは、第1のグラフチャートと呼ばれ得る。第1のグラフチャートおよび第2のグラフチャートは、いずれもグラフであるが、同じグラフではない。
【0093】
本開示で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明および特許請求の範囲の中で使用されるとき、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈において特に明確な指示がない限り、複数形も含むことを意図する。また、本明細書で使用されるとき、「および/または」という用語は、列挙する関連項目の1つ以上の任意のおよびあり得るすべての組み合わせを指し、包含することも理解されるであろう。さらに本明細書で使用されるとき、「備える(comprises)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、述べた特徴、完全体、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを規定するが、1つ以上の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループが存在すること、もしくは追加されることを除外しないことも理解されるであろう。
【0094】
前述の記載には、例示的な実装を具体化する例示的なシステム、方法、技術、指令シーケンス、およびコンピューティングマシンプログラム製品が含まれていた。説明の目的で、本発明の主題の様々な実施形態を理解させるために、ここで多くの具体例な詳細事項を示す。しかしながら、本発明の主題の実施形態は、これらの具体的な詳細事項なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。一般に、公知の指令インスタンス、プロトコル、構造、および技術は詳細に示さない。
【0095】
前述の記載は、説明の目的で、具体的な実装を参照して説明されていた。しかしながら、下記の例示的な考察は、網羅的であることを、または、本発明を、開示された正確な形態に限定することを、意図するものではない。上記の教示を考慮して、多くの変更および変形が可能である。その実装は、本発明の原理およびその実際の使用を最良に説明するために選択および説明され、それによって、当業者が、上記の実装形態および意図される特定の使用に適する様々な変更を伴う様々な実装形態を、最良に利用することを可能にする。
【0096】
明確にするために、本明細書に記載されている実装の通常の特徴のすべてが示され、説明されているわけではない。もちろん、任意のそのような実際の実装の開発では、用途およびビジネス関連の制約の順守など、開発者の具体的な目標を達成するために、多数の実装に特有の決定を行う必要があり、また、これらの具体的な目標は、実装ごとに、また開発者ごとに異なり得ることを理解されたい。さらに、そのような開発努力は、複雑かつ時間がかかる場合があるが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者のための日常的な技術的事項であることを理解されたい。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「もし」という用語は、文脈に応じて「場合」もしくは「とき」、または「決定することに応じて」もしくは「検出することに応じて」を意味するものと解釈されてもよい。同様に、「決定される場合」または「(述べた条件または事象を)検出される場合」という句は、文脈に応じて「決定するとき」もしくは「決定することに応じて」、または「(述べた条件または事象を)検出するとき」もしくは「(述べた条件または事象を)検出することに応じて」を意味するものと解釈され得る。
【0098】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内であることを意味することができ、これは、測定系の限界など、値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存し得る。例えば、「約」は、当技術分野の慣行に従って、1以内または1超の標準偏差を意味することができる。「約」は、特定の値の±20%、±10%、±5%、または±1%の範囲を意味することができる。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載されている場合、特に明記しない限り、「約」という用語は、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味する。「約」という用語は、当業者によって一般的に理解されるような意味を有することができる。「約」という用語は、±10%を指すことができる。「約」という用語は、±5%を指すことができる。
【0099】
本明細書で使用される、「生物学的サンプル」、「患者サンプル」、または「サンプル」という用語は、対象から採取された任意のサンプルを指し、それは本明細書に記載の遺伝子座に関する対象の遺伝子型を反映する核酸を包含する。生物学的サンプルの例としては、限定されないが、血液サンプル、唾液サンプル、頬細胞サンプルなどが包含される。サンプルは、液体サンプルまたは固体サンプル(例えば、細胞または組織サンプル)とすることができる。
【0100】
本明細書で使用される、「等間隔」という用語は、特に明記しない限り、第1の特徴から対応する第2の特徴までの距離が、連続する特徴の対について同じであることを意味する。
【0101】
本明細書で使用される「生分解性」とは、生理学的環境との相互作用の際に、必要な構造的完全性を維持しながら、数分間~3年間、好ましくは1年未満の期間にわたって、代謝可能または排泄可能な成分に、生体吸収可能化され、および/または機械的分解(例えば、溶解、再吸収など)によって分解および/または崩壊する材料であることを意味する。
【0102】
本明細書で使用される「交換機構」とは、有窓壁、透過性膜、透過性壁、多孔質壁、多孔質膜、穿孔物などの、第1の要素から第2の要素への材料の流れを実質的に可能にし、または阻害するように構成された材料または構造を意味する。
【0103】
本明細書で使用される「直径」とは、非円形構造の水力直径を含む、同等の特性を有する長さが包含されることを意味する。
【0104】
本明細書で使用される「フラッシュ」とは、第1の要素と第2の要素とを0μmの許容範囲内、5μmの許容範囲内、10μmの許容範囲内、20μmの許容範囲内、または100μmの許容範囲内に分離する距離またはレベルを有する、第1の要素の表面および同一平面上の第2の要素の表面を意味する。
【0105】
本明細書で使用される「直接流」とは、第1の要素から少なくとも第2の要素への、少なくとも1つの物質または材料の移動または流れを意味する。
【0106】
本明細書で使用される「間接流」とは、交換機構によって媒介される、第1の要素から少なくとも第2の要素への、少なくとも1つの物質または材料の交換または流れを意味する。
【0107】
本明細書で使用される「自然な方法」とは、自然界に見られるようなプロセスまたは進展を意味する。
【0108】
本明細書で使用される「ポリマー」とは、重合または接着して、一体的な単位を形成することができるポリマーおよびモノマーを包含することを意味する。ポリマーは、非生分解性であるか、または典型的には加水分解または酵素的切断を介して生分解性であることができる。
【0109】
本明細書で使用される「後続のチャネル」とは、所与のチャネルについて、材料がそこから流れるチャネルを意味する。したがって、本明細書で使用される「先行するチャネル」とは、所与のチャネルについて、材料がそこに流れるチャネルを意味する。
【0110】
本明細書で使用される「剛性」とは、強直であり、容易に変形しない材料のことを意味する。本明細書で使用される「弾性」とは、本明細書で定義されるような剛性を有さない材料または複合材料のことを意味する。
【0111】
加えて、「クライアント」、「患者」、「対象」、および「ユーザー」という用語は、特に明記しない限り、本明細書では交換可能に使用される。
【0112】
「疾患」とは、ヒトを含む動物の健康状態であって、動物が恒常性を維持することができず、疾患が改善されない場合には動物の健康が悪化し続ける、状態のことである。例示的な実施形態では、本発明のデバイスは、疾患に罹患している対象に移植され、そのような移植によってその治療が行われる。
【0113】
本明細書で使用される「アミノ酸」には、親水性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、極性アミノ酸、疎水性アミノ酸、芳香族アミノ酸、非極性アミノ酸、および脂肪族アミノ酸を含む包含する属が含まれ、属およびその中の種を包含するものである。「ペプチド」は、ペプチド結合を介して連結されたそのようなアミノ酸から形成される。アミノ酸にはまた、α-アミノ酸以外のアミノカルボン酸種、例えば、アミノ酪酸(aba)、アミノヘキサン酸(aha)、アミノメチル安息香酸(amb)などが含まれる。例示的な実施形態では、本発明のシアニン色素は、1つ以上のアミノ酸を有するリンカーを介して担体分子にコンジュゲートしている。そのようなリンカー中で使用される例示的なアミノ酸としては、リシン、プロリン、および酸性アミノ酸が挙げられる。
【0114】
「カルボキシル部分の活性化誘導体」および同等の種は、脱離基、例えば活性エステル、ハロゲン化アシル、アシルイミダゾールなどを有する、本発明のコンジュゲートの前駆体構成要素(例えば、染料、アダプター、リンカー、多価部分)上の部分を指す。
【0115】
「アルキル」という用語は、それ自体、または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、直鎖状もしくは分枝鎖状または環状の炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味し、それらは、完全飽和、一価不飽和、または多価不飽和であってもよく、指定された数の炭素原子を有する(すなわちC1~C10は、1~10個の炭素を意味する)二価および多価ラジカルを含み得る。飽和炭化水素ラジカルの例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、ならびに、例えば、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどの同族体および異性体など、の基が挙げられる。不飽和アルキル基は、1つ以上の二重結合または三重結合を有するものである。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-および3-プロピニル、3-ブチニル、ならびに高級同族体および異性体が挙げられるが、それらに限定されない。「アルキル」という用語には、特に断りのない限り、任意選択的に、「アルケニル」、「アルキニル」、「アルキルジイル」、「アルキレノ」、および「ヘテロアルキル」など、以下により詳細に定義されるアルキルの誘導体が含まれる。
【0116】
「アルケニル」とは、親アルカンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する、不飽和の分岐状、直鎖状または環状アルキルラジカルを指す。ラジカルは、二重結合についてシスまたはトランスのいずれかの立体構造を採り得る。典型的なアルケニル基としては、限定されないが、エテニル、プロプ-1-エン-1-イル、プロプ-1-エン-2-イル、プロプ-2-エン-1-イル、プロプ-2-エン-2-イル、シクロプロペン-1-エン-1-イルなどのプロペニル、シクロプロペン-2-エン-1-イル、ブト-1-エン-1-イル、ブト-1-エン-2-イル、2-メチル-プロプ-1-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル、ブト-2-エン-1-イル、ブト-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブト-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなどのブテニル、等が挙げられる。例示的な実施形態では、アルケニル基は(C2-C6)アルケニルである。
【0117】
「アルキニル」は、親アルケンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和分岐、直鎖または環状アルキルラジカルを指す。典型的なアルキニル基としては、限定されないが、エチニル、プロプ-1-イン-1-イル、プロプ-2-イン-1-イルなどのプロピニル、ブト-1-イン-1-イル、ブト-3-イン-1-イルなどのブチニル、等が挙げられる。例示的な実施形態では、アルキニル基は(C2-C6)アルキニルである。
【0118】
「アルキルジイル」は、親アルカン、アルケンまたはアルキンの、2つの異なる炭素原子のそれぞれから1つの水素原子を除去することによって、または親アルカン、アルケンまたはアルキンの単一の炭素原子からの2つの水素原子を除去することによって生じる、飽和もしくは不飽和の、分岐状、直鎖状または環状の二価の炭化水素ラジカルを指す。2つの一価ラジカル中心または二価ラジカル中心の各原子価は、同じまたは異なる原子と結合を形成することができる。典型的なアルキルジイルとしては、限定されないが、メタンジイル、エタン-1,1-ジイル、エタン-1,2-ジイル、エテン-1,1-ジイル、エテン-1,2-ジイルなどのエチルジイル、プロパン-1,1-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、シクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイル、プロプ-1-エン-1,1-ジイル、プロプ-1-エン-1,2-ジイル、プロプ-2-エン-1,2-ジイル、プロプ-1-エン-1,3-ジイルシクロプロプ-1-エン-1,2-ジイル、シクロプロプ-2-エン-1,2-ジイル、シクロプロプ-2-エン-1,1-ジイル、プロプ-1-イン-1,3-ジイルなどのプロピルジイル、ブタン-1,1-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、2-メチル-プロパン-1,1-ジイル、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイルなどのブチルジイル、シクロブタン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,3-ジイル、ブト-1-エン-1,1-ジイル、ブト-1-エン-1,2-ジイル、ブト-1-エン-1,3-ジイル、ブト-1-エン-1,4-ジイル、2-メチル-プロプ-1-エン-1,1-ジイル、2-メタニリデン-プロパン-1,1-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,1-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,3-ジイル、シクロブト-1-エン-1,2-ジイル、シクロブト-1-エン-1,3-ジイル、シクロブト-2-エン-1,2-ジイル、シクロブタ-1,3-ジエン-1,2-ジイル、シクロブタ-1,3-ジエン-1,3-ジイル、ブト-1-イン-1,3-ジイル、ブト-1-イン-1,4-ジイル、ブタ-1,3-ジイン-1,4-ジイルなど、等が挙げられる。特定の飽和レベルが意図されている場合、命名法に従うアルカニルジイル、アルケニルジイルおよび/またはアルキニルジイルが使用される。好ましい実施形態では、アルキルジイル基は(C2-C6)アルキルジイルである。ラジカル中心が末端炭素にある飽和非環式アルカニルジイルラジカル、例えば、メタンジイル(メタノ)、エタン-1,2-ジイル(エタノ)、プロパン-1,3-ジイル(プロパノ)、ブタン-1,4-ジイル(ブタノ)など(以下に定義されるアルキレノとも称される)も好ましい。
【0119】
「アルキレノ」とは、直鎖の親アルカン、アルケンまたはアルキンの2つの末端炭素原子のそれぞれから1つの水素原子を除去することによって誘導される、2つの末端一価ラジカル中心を有する、直鎖アルキルジイルラジカルを指す。典型的なアルキレノ基としては、限定されないが、メタノ、エタノ、エテノ、エチノなどのエチレノ、プロパノ、プロペノ、プロパ[1,2]ジエノ、プロペ[1]イノなどのプロピレノ、ブタノ、ブタノ、ブタ[1]エノ、ブタ[2]エノ、ブタ[1,3]ジエン、ブタ[1]イノ、ブタ[2]イノ、ブタ[1,3]ジイノなどのブチレノ、等が挙げられる。特定の飽和レベルが意図されている場合、命名法に従うアルカノ、アルケノおよび/またはアルキノが使用される。好ましい実施形態では、アルキレノ基は(C2-C6)アルキレノである。
【0120】
「ヘテロアルキル」という用語は、それ自体で、または別の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、記載の数の炭素原子と、O、N、Si、PおよびSからなる群から選択される少なくとも1つのヘテロ原子とからなる安定な直鎖、分枝鎖、もしくは環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味し、窒素および硫黄原子は、任意選択的に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は、任意選択的に四級化されていてもよい。ヘテロ原子O、N、S、PおよびSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置に、またはアルキル基が分子の残部に結合されている位置に、配置され得る。例としては、限定されないが、-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2-CH3、-CH2-CH2、-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-Si(CH3)3、-CH2-CH=N-OCH3、および-CH=CH-N(CH3)-CH3が挙げられる。例えば、-CH2-NH-OCH3および-CH2-O-Si(CH3)3などの最大2個のヘテロ原子が連続していてもよい。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体で、または別の置換基の一部として、ヘテロアルキルから誘導された二価のラジカルを意味し、-CH2-CH2-S-CH2-CH2-および-CH2-S-CH2-CH2-NH-CH2-が例示されるが、それらに限定されない。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は、鎖末端のいずれかまたは両方を占有することもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。またさらに、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基については、連結基の配向は、連結基の式が書かれている方向によって示唆されていない。例えば、式-C(O)2R’-は、-C(O)2R’-と-R’C(O)2-との両方を表す。
【0121】
「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それ自体で、または他の用語と組み合わせて、特に明記しない限り、それぞれ、「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環式バージョンを表す。また、「シクロアルキレン」などのように、二価または多価の種も含まれる。加えて、ヘテロシクロアルキルの場合、ヘテロ原子は、複素環が分子の残部に結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロヘキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、それらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例としては、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それら自体または別の置換基の一部として、特に明記しない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキルおよびポリハロアルキルを含むことを意味する。例えば、「ハロ(C1-C4)アルキル」という用語は、限定されないが、トリフルオロメチル、2、2、2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むことを意味する。
【0123】
「アリール」という用語は、特に明記しない限り、一緒に縮合しているかまたは共有結合している単環または多環(好ましくは、1~3環)であり得る、多価不飽和、芳香族炭化水素置換基を意味する。「ヘテロアリール」という用語は、N、OおよびSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を指し、その窒素および硫黄原子は、任意選択的に酸化され、窒素原子は、任意選択的に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して分子の残部に結合することができる。アリールおよびヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、および6-キノリルが挙げられる。また、二価値または多価のリンカー種、例えば「アリーレン」も含まれる。上述のアリールおよびヘテロアリール環系の各々の置換基は、下記の許容される置換基の群から選択される。
【0124】
簡潔にするために、「アリール」という用語は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用される場合、上で定義したアリール環および任意選択的にヘテロアリール環を含む。したがって、「アリールアルキル」という用語は、アリール基がアルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)に結合しているラジカルを含むことを意味し、これらのアルキル基には、炭素原子(例えば、メチレン基)が、例えば、酸素原子(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)で置き換えられているアルキル基が含まれる。
【0125】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、および「ヘテロアリール」)の各々には、示されたラジカルの置換型および非置換型の両方が含まれる。各種のラジカルの置換基の例を、以下に示す。
【0126】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしばしば称されるそれらの基を含む)のための置換基は、限定されないが、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R”、-SR’、ハロゲン、-SiR’R”R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、SO3R’、-NR’-C(O)NR”R’’’、-NR”C(O)2R’、-NR-C(NR’R”R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R”)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)2R’、-S(O)2NR’R”、-NRSO2R’、-CN、および-NO2から選択される様々な基のうちの1つ以上であることができ、それらは、0~(2m’+1)(式中、m’は、かかるラジカル中の炭素原子の総数である)の範囲の数である。R’、R”、R’’’、およびR’’’’は、各々、好ましくは、独立して、水素、置換もしくは非置換ヘテロアルキル、置換もしくは非置換アリール、例えば、1~3個のハロゲンで置換されたアリール、置換もしくは非置換アルキル基、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が1つを超えるR基を含むとき、例えば、これらの基のうちの1つを超える基が存在するとき、R基の各々は独立して、各R’、R”、R’’’、およびR’’’’基であるように選択される。R’およびR”が同じ窒素原子に結合されるとき、それらは、窒素原子と組み合わさって、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NR’R”は、1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを非限定的に含むことを意味する。したがって、置換基の上記の考察から、当業者であれば、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)およびアシル(例えば、-C(O)CH3、-C(O)CF3、-C(O)CH2OCH3など)などの、水素原子以外の基に結合された炭素原子を含む基を含むことを意味するものと理解するであろう。
【0127】
上記の段落に記載されている置換基は、本明細書では「アルキル基置換基」と称される。
【0128】
アルキルラジカルについて説明した置換基と同様に、アリール基およびヘテロアリール基の置換基は、異なり、例えば、0~芳香環系の空原子価の総数の範囲の数で、ハロゲン、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R”、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R”R”‘、-OC(O)R’、-C(O)R’、-CO2R’、-CONR’R”、-OC(O)NR’R”、-NR”C(O)R’、-NR’-C(O)NR”R”‘、-NR”C(O)2R’、-NR-C(NR’R”)=NR’”、-S(O)R’、-S(O)2R’、SO3R’、-S(O)2NR’R”、-NRSO2R’、-CNおよび-NO2、-R’、-N3、-CH(Ph)2、フルオロ(C1-C4)アルコキシ、およびフルオロ(C1-C4)アルキルから選択され、式中、R’、R”、R’”およびR””は、水素、(C1-C8)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換のアリールおよびヘテロアリール、(非置換のアリール)-(C1-C4)アルキル、ならびに(非置換のアリール)オキシ-(C1-C4)アルキルから独立して選択されることが好ましい。本発明の化合物が1つを超えるR基を含むとき、例えば、これらの基のうちの1つを超える基が存在するとき、R基の各々は独立して、各R’、R”、R’’’、およびR’’’’基であるように選択される。
【0129】
アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に式-T-C(O)-(CRR’)q-U-の置換基で置き替えられてもよく、式中、TおよびUは、独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、または単結合であり、qは0~3の整数である。代替的に、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-A-(CH2)r-B-の置換基で置き換えてもよく、式中、AおよびBは独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR’-、または単結合であり、rは、1~4の整数である。そのようにして形成された新しい環の単結合のうちの1つは、任意選択的に、二重結合で置き換えられてもよい。代替的に、アリール環またはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に式-(CRR’)s-X-(CR”R’”)d-の置換基で置き換えられてもよく、式中、sおよびdは、独立して、0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NR’-である。置換基R、R’、R”、およびR’’’は好ましくは独立して、水素、または置換もしくは非置換(C1~C6)アルキルから選択される。
【0130】
上記の2つの段落に記載されている置換基は、本明細書では「アリール基置換基」と称される。
【0131】
「結合フラグメント」は、結合であるか、または相補的反応性の2つの反応性官能基の反応によって形成される基である。例示的な結合フラグメントは、アミンとカルボン酸の活性化誘導体(例えば、ハロゲン化アシル、アシルイミダゾール、活性エステルなど)との反応によって形成されるアミドである。本発明のシアニン色素が担体分子にコンジュゲートされる場合、それらは、結合フラグメントを介して直接に、または1つ以上の結合フラグメントを含むリンカーを介して、コンジュゲートすることができる。例えば、色素がリンカーを介して担体分子に結合しているコンジュゲートは、任意選択的に、リンカーと色素を結合する、および/またはリンカーと担体分子を結合する結合フラグメントを含む。
【0132】
本明細書で使用される「リンカー」または「L」という用語は、C、N、O、SおよびPからなる群から選択される1~40個、例えば10~30個の非水素原子を組み込んだ単一の共有結合または一連の安定な共有結合を指し、それらは、蛍光発生化合物または蛍光化合物を、化学反応性基または生物学的または非生物学的成分、例えば、担体分子などの別の部分に共有結合させる。例示的なリンカーとしては、色素をリンカーに、および/またはリンカーを担体分子等に、結合させる1つ以上の結合フラグメント、例えば、-C(O)NH-、-C(O)O-、-NH-、-S-、-O-が挙げられる。リンカーは、化合物のシアニン核成分を、反応性官能基または反応性官能基の構成要素に結合させるためにも使用される。
【0133】
本明細書で使用される場合、「フルオロフォア」は、蛍光種を指す。
【0134】
「部分」とは、別の部分に結合している分子のラジカルを指す。
【0135】
さらに、参照番号に「i番目」の表記が与えられている場合、参照番号は、一般的な構成要素、セット、または実施形態を指す。例えば、「グラフィカルアイコンi」と呼ばれるグラフィカルアイコンは、複数のグラフィカルアイコン内のi番目のグラフィカルアイコン(例えば、複数のグラフィカルアイコン616内のグラフィカルアイコン616-i)を指す。
【0136】
以下のセクションで考察される化合物、プローブ、および方法は、一般に、本発明の組成物およびそのような組成物を使用できる方法を代表するものである。以下の考察は、本発明の選択された態様および実施形態を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0137】
本開示では、特に明記しない限り、デバイスおよびシステムの説明は、1つ以上のコンピュータの実装形態を含むであろう。例えば、
図1では、例示を目的として、クライアントデバイス(例えば、
図4のクライアントデバイス400)は、クライアントデバイス400のすべての機能を含む単一のデバイスとして表されている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。例えば、クライアントデバイス400の機能は、任意の数のネットワーク化されたコンピュータにわたって分散され得、かつ/または、いくつかのネットワーク化されたコンピュータのそれぞれに存在し得、かつ/または、1つ以上の仮想マシンおよび/もしくは通信ネットワーク(例えば、通信ネットワーク106)全体にわたってアクセス可能なリモートな位置のコンテナ上にホストされ得る。当業者であれば、クライアントデバイス400、ならびにプリセットディスクロージャの他のデバイスおよびシステムのために、異なるコンピュータトポロジーの広範なアレイを採ることが可能であり、そのようなすべてのトポロジーが本開示の範囲内にあることを理解するであろう。
【0138】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による分散型クライアントサーバシステム(例えば、分散型クライアントサーバシステム100)のブロック図を示す。システム100は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス(例えば、
図7のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700-1、
図14のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700-2など)の製作を容易にする。さらに、システム100は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内の複数の細胞の播種および培養を容易にする。このように、本開示は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内に細胞を製作および播種するためのシステムおよび方法を提供するものであり、それらは従来は実現不可能であった。
【0139】
当然ながら、システム100の他のトポロジーが採用可能である。例えば、いくつかの実施形態では、図示されたデバイスおよびシステムのいずれかは、実際には、ネットワーク内で一緒にリンクされているか、またはクラウドコンピューティング環境内の仮想マシンまたはコンテナである、いくつかのコンピュータシステムを構成することができる。さらに、図示されたデバイスおよびシステムは、物理的な通信ネットワーク106に依存するのではなく、相互に無線で情報を送信することができる。したがって、
図1に示される例示的なトポロジーは、当業者に容易に理解されるように、本開示の実施形態の特徴を説明するための1つに過ぎない。
【0140】
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、分散型クライアントサーバシステム100は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の製作を容易にするための製作システム200、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内での細胞の培養を容易にするためのバイオリアクターシステム200、および1つ以上のクライアントデバイス400(例えば、第1のクライアントデバイス400-1、以下「クライアントデバイス」)を含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、通信ネットワーク106には、任意選択的に、インターネット、1つ以上のローカルエリアネットワーク(LAN)、1つ以上のワイドエリアネットワーク(WAN)、他のタイプのネットワーク、またはそのようなネットワークの組み合わせが含まれる。
【0142】
ネットワーク106の例として、World Wide Web(WWW)、イントラネット、および/または携帯電話ネットワーク、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、および/または首都圏ネットワーク(MAN)などの無線ネットワーク、ならびに無線通信による他のデバイスが挙げられる。無線通信は、任意選択的に、複数の通信規格、プロトコル、および技術のうちのいずれかを使用し、例えば、移動通信用のグローバルシステム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)、エボリューションデータオンリー(EV-DO)、HSPA、HSPA+、デュアルセルHSPA(DC-HSPDA)、ロングタームエボリューション(LTE)、近距離無線通信(NFC)、広帯域符号分割多重接続(W-CDMA)、符号分割多元接続(CDMA)、時分割多元接続(TDMA)、Bluetooth、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)(例えば、IEEE 802.11a、IEEE 802.11ac、IEEE 802.11ax、IEEE 802.11b、IEEE 802.11g、および/もしくはIEEE 802.11n)、ボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用のプロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)および/もしくはポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、拡張可能なメッセージングおよびプレゼンスプロトコル(XMPP)、インスタントメッセージングおよびプレゼンス事象パッケージのためのセッション開始プロトコル(SIMPLE)、インスタントメッセージングおよびプレゼンスサービス(IMPS))、および/もしくはショートメッセージサービス(SMS)、または本開示の出願日時点ではまだ開発されていない通信プロトコルなど、任意の他の好適な通信プロトコルが挙げられる。
【0143】
分散型クライアントサーバシステム100が一般的に説明されたことを踏まえ、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を製作するための例示的な製作システム200を、
図2を参照して説明する。
【0144】
様々な実施形態では、製作システム200は、1つ以上の処理ユニット(CPU)202、ネットワークまたは他の通信インターフェース204、およびメモリ212を含む。
【0145】
メモリ212は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択的に、1つ以上の磁気ディスクストレージデバイス、光ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、またはその他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリも含む。メモリ212は、任意選択的に、CPU202からリモートに配置された1つ以上のストレージデバイスを含み得る。メモリ212、代替的にメモリ212内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。CPU202などの製作システム200の他の構成要素によるメモリ212へのアクセスは、任意選択的に、コントローラによって制御される。いくつかの実施形態では、メモリ212は、CPU202に対してリモートに配置される大容量ストレージを含むことができる。言い換えれば、メモリ212に格納される一部のデータは、実際には、対立遺伝子検出システム200の外部にあるデバイスに置かれ得るが、インターネット、イントラネット、または他の形態のネットワーク106もしくは通信インターフェース204を使用する電子ケーブルを介して、製作システム200によって電子的にアクセスされ得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を製作するための製作システム200のメモリ212は、以下を格納する。
●様々な基本システムサービスを処理するための手順を含むオペレーティングシステム216(例えば、ANDROID、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、WINDOWS、またはVxWorksなどの組み込みオペレーティングシステム)、
●製作システム200を識別する、製作システム200に関連付けられた電子アドレス218、
●1つ以上の設計基準230に基づきそれぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成するための設計制御モジュール220、
●それぞれが対応するマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられている複数の設計240を格納するための設計ストレージ240、および
●マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの製作を容易にするための製作モジュール260。
【0147】
電子アドレス218は、対立遺伝子検出システム200に関連付けられ、これは、分散システム100の他のデバイスおよび構成要素から対立遺伝子検出システム200を少なくとも一意的に識別するために利用される。例えば、いくつかの実施形態では、電子アドレス218は、クライアントデバイス300からのリクエストを受信し、患者固有のレポート600を生成し、および/または通信するために利用される。
【0148】
設計制御モジュール220は、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するための基礎となる複数の設計基準230を含む。例えば、いくつかの実施形態では、複数の設計基準230におけるそれぞれの設計基準230は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスのパラメータ(例えば、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの長さ、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成する材料の多孔性など)、製作システム200のパラメータ(例えば、製作システム200の解像度など)、またはその両方、に関連付けられている。いくつかの実施形態では、複数の設計基準230は、1つ以上の所定の設計基準を含む。いくつかの実施形態では、所定の設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの製作において対象が選択するための所定の範囲の選択を含む。このようにして、対象は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の機能的実施形態の外側にある設計基準を選択することから妨げられる。
【0149】
例えば、いくつかの実施形態では、複数の設計基準は、それぞれのマイクロチャネルデバイス内の流れをモデル化するために使用される経験的パラメータが利用され、および/またはそれに基づく。例えば、いくつかの実施形態では、複数の設計基準は、流量、拡散速度、またはその両方(例えば、流れ中の拡散速度および/または流れなしの拡散速度)を含む複数の流れ設計基準を含む。
【0150】
設計ストレージ240は、1つ以上のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス設計250を保持する。各設計250のそれぞれは、1つ以上の設計基準230のそれぞれの選択を含む。このようにして、対象は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を製作するためのそれぞれの設計基準230を個別に選択する必要なしに、設計240から設計250を選択することができる。例えば、いくつかの実施形態では、対象は、対応するマイクロチャネル導管ネットワークを製作するために、それぞれの複数の設計基準230を決定する。したがって、それぞれの複数の設計基準230を決定することに応答して、製作システム200は、対応するマイクロチャネル導管ネットワークに関連付けられた対応するデバイス設計250を保持することができる。したがって、対象は、製作の各インスタンスの設計基準を決定する必要なしに、複数の対応するマイクロチャネル導管ネットワークを製作することができる。
【0151】
例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上のデバイス設計250は、候補対象のために構成された所定のマイクロチャネル導管ネットワークのデバイス設計250を含む。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス設計は、第1の哺乳動物候補対象に対して構成され、第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイス設計は、第2の哺乳動物候補対象に対して構成される。いくつかの実施形態では、第1の哺乳動物候補対象および第2の哺乳動物候補対象は、同じ種の哺乳動物である(例えば、両方ともヒト哺乳動物候補対象のために構成される、両方ともラット哺乳動物候補対象のために構成される、など)。さらに、いくつかの実施形態では、第1の哺乳動物候補対象および第2の哺乳動物候補対象は、同じ種の哺乳動物であるが、異なる候補対象である(例えば、第1の候補対象は第1のヒトであり、第2の候補対象は第1のヒトと異なる第2のヒトである)。しかしながら、本開示は、これに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、第1の第1の哺乳動物候補対象および第2の哺乳動物候補対象は、異なる種のおよび/または異なる属の哺乳動物に属する。
【0152】
別の非限定的な例として、いくつかの実施形態では、デバイス設計250は、インビボ実装に関連付けられる1つ以上のデバイス設計、およびインビトロ実装に関連付けられる1つ以上のデバイス設計を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1のデバイス設計250-1は、第1のチャネル、第2のチャネル、および第1と第2のチャネル間に介在する構造、50μmの層の厚さ、2秒の露光時間、約2倍から約4倍の第1層の時間スケール係数(FLTSF)、および約48分の製作時間、に関連付けられる第1の複数の設計基準230を含む、第1のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられる。いくつかの実施形態では、第2のデバイス設計250-2は、第1のチャネル、第2のチャネル、および第1と第2のチャネル間に介在する構造、100μmの層の厚さ、4秒の露光時間、約2倍から約4倍のFLTSF、および約24分の製作時間、に関連付けられる第2の複数の設計基準230を含む、第2のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられる。いくつかの実施形態では、第3のデバイス設計250-3は、第1のチャネル、第2のチャネル、および第1と第2のチャネル間に介在する構造、100μmの層の厚さ、4秒の露光時間、約4倍から約8倍のFLTSF、および約72~77分の製作時間、に関連付けられる第3の複数の設計基準230を含む、第3のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられる。いくつかの実施形態では、第3のデバイス設計250-3は、ラット哺乳動物候補対象に関連付けられる。
【0153】
製作システム200は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するための機構を制御することを容易にする製作モジュール260を含む。例えば、いくつかの実施形態では、製作モジュールは、1つ以上の指令を機構に通信し、これが、1つ以上の指令に応答して、領域を横断し、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの製作を実施する。非限定的な例として、バット光重合機構を含む製作システム200を考察する。すなわち、製作モジュール260は、1つ以上の指令を、光の強度に関連付けられるバット光重合機構、光の露光時間に関連付けられるバット光重合機構、プレポリマー溶液の供給に関連付けられるバット光重合機構、光開始剤の供給に関連付けられるバット光重合機構、などのバット光重合機構に通信する。
【0154】
上で識別されたモジュールおよびアプリケーションのそれぞれは、上記の1つ以上の機能を実行するための実行可能指令のセット、および本開示に記載の方法(例えば、本明細書に記載のコンピュータ実装方法および他の情報処理方法、
図5の方法500、
図6の方法600等)に対応する。それらのモジュール(例えば、指令のセット)は、別々のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装される必要はなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットは、任意選択的に、様々な実装形態において組み合わされるか、または他の方法で再構成される。いくつかの実施形態では、メモリ212は、任意選択的に、上で識別されるモジュールおよびデータ構造のサブセットを格納する。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ212は、上で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を格納する。
【0155】
図2の製作システム200は、製作システム200の一例に過ぎず、製作システム200は、任意選択的に、示されているよりも多いまたは少ない構成要素を有するか、任意選択的に2つ以上の構成要素を組み合わせるか、または任意選択的に異なる構成要素の構成または配置を有することを理解されたい。
図2に示される様々な構成要素は、1つ以上の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実装される。
【0156】
図3を参照すると、様々な実施形態では、本開示は、バイオリアクターシステム300を含む。バイオリアクターシステム300は、1つ以上の処理ユニット(CPU)302、ネットワークまたは他の通信インターフェース304、およびメモリ312を含む。
【0157】
メモリ312は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択的に、1つ以上の磁気ディスクストレージデバイス、光ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、またはその他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリも含む。メモリ312は、任意選択的に、CPU202からリモートに配置された1つ以上のストレージデバイスを含み得る。メモリ312、代替的にメモリ312内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。CPU302などのバイオリアクターシステム300の他の構成要素によるメモリ312へのアクセスは、任意選択的に、コントローラによって制御される。いくつかの実施形態では、メモリ312は、CPU302に対してリモートに配置される大容量ストレージを含むことができる。言い換えれば、メモリ312に格納される一部のデータは、実際には、バイオリアクターシステム300の外部にあるデバイスに置かれ得るが、インターネット、イントラネット、または他の形態のネットワーク106もしくは通信インターフェース304を使用する電子ケーブルを介して、バイオリアクターシステム300によって電子的にアクセスされ得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内で複数の細胞を培養するためのバイオリアクターシステム300のメモリ312は、以下を格納する。
●様々な基本システムサービスを処理するための手順を含むオペレーティングシステム316(例えば、ANDROID、iOS、DARWIN、RTXC、LINUX、UNIX、OS X、WINDOWS、またはVxWorksなどの組み込みオペレーティングシステム)、
●バイオリアクターシステム300を識別する、バイオリアクターシステム300に関連付けられた電子アドレス318、および
●バイオリアクターシステム300の1つ以上のシステムパラメータを制御するための制御モジュール。
【0159】
電子アドレス318は、バイオリアクターシステム300に関連付けられ、これは、分散システム100の他のデバイスおよび構成要素から対立遺伝子検出システム300を少なくとも一意的に識別するために利用される。例えば、いくつかの実施形態では、電子アドレス318は、クライアントデバイス400からマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の設計を受信するために利用される。
【0160】
制御モジュール320は、1つ以上の指令をバイオリアクターシステム300の構成要素に伝達することを容易にする。例えば、いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステム300は、ポンプ(例えば、
図17のポンプ1720)および/または1つ以上のリザーバ(例えば、
図17のリザーバ1710)を含み、その動作は、制御モジュール320により制御される。例えば、いくつかの実施形態では、制御モジュール320は、バイオリアクターシステム300の流量を制御する。
【0161】
簡潔に参照する
図17A、17B、および17Cでは、バイオリアクターシステム300内の1つ以上のデバイスマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を含むバイオリアクターシステム300の様々な構成が示されている。例えば、
図17Aのシステムは、第1のデバイス700-1および第2のデバイス700-2が直列に連結され、培地130が、ポンプによって、第1のリザーバ1720-1から第1のデバイスを通って引き出され、第2のデバイスを通って、第2のリザーバ1720-2によって回収される実施形態を示す。したがって、第2のデバイス700-2によって収容される細胞は、第1のデバイス700-1からの材料アウトプット(例えば、老廃物)を受けるため、第1のデバイスからの材料アウトプットが、第2のデバイスの細胞にどのように影響するかが決定付けられる。この決定は、医薬組成物、未知の物質、推定上の毒素、既知の毒素、戦争病原体などを含む、毒性アッセイの構成要素として有用である。同様に、
図17Bは、培地130が、ポンプによって第1のリザーバ1720-1から引き出され、それが分岐して流れ、第1のデバイスおよび第2のデバイスを通って、最終的には第2のデバイス1720-2によって回収されるように、第1のデバイス700-1および第2のデバイス700-2が並列に連結されている、バイオリアクターシステムの実施形態を示す。
図17Bに示されるような構成を使用することにより、培地130の条件が、それぞれのデバイス700に保存された異なる細胞にどのように影響するかを試験する(例えば、培地130に含まれる医薬組成物が、第1のデバイスの第1の細胞、同時に第2のデバイスの第2の西郷にどのように影響するかを決定する)ことができる。
図17Cを参照すると、いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムの1つ以上のデバイス700には、それぞれのリザーバ1720が割り当てられている。例えば、いくつかの実施形態では、各デバイス700、またはデバイスのサブセットには、それぞれのデバイスによってアウトプット(例えば、チャネルの出口または各デバイスのカプレットの出口を通じてアウトプット)された培地130を回収する専用のリザーバ1720が提供され、その回収された培地で試験が実施される(例えば、毒性アッセイが実施される)。
【0162】
参照する
図18A~
図18Dでは、バイオリアクターシステムおよび流路の様々な実施形態が示されている。
図18A~
図18Dの様々なシステムにおいて、デバイスの任意の有用な構成(例えば、直列の複数のデバイス、並列の複数のデバイスなど)を、「デバイス100」により示されるバイオリアクターシステムの一部により表す。
図18Aは、リザーバ1720-1が培地130の流れを供給し、それがシステムを通って流れた後にリザーバ1720-2によって回収されるシステムの実施形態を示す。
図18Bは、
図18Aに示されるのと同様の実施形態を示すが、代わりに、ポンプ1720を利用して、培地を押すかまたは駆動する代わりに、システムを通して培地130を引き込む形態を示す。
図18Cは、デバイス700の出口の一部が開いている(例えば、外部環境に曝曝されている)バイオリアクターシステムを示す。いくつかの実施形態では、この開放構成は、サイフォンタイプの圧力差を形成するために、またはそれぞれのリザーバの外側に培地130を回収するために使用される。さらに、
図18Dは、デバイス700の出口の一部がリザーバ200と連絡しており、したがって培地130のための閉鎖された流路を形成するバイオリアクターシステムを示す。いくつかの実施形態では、この閉鎖された構成を使用する(例えば、培地130を、ある時間にわたって連続的にシステム内を通流させる)ことにより、所定の時間にわたるデバイス700の細胞に対する効果(例えば、培地130への曝露)を決定する。
【0163】
図17A~
図18Dのシステムはそれぞれ、少なくとも1つのリザーバを含む構成を示すが、当業者であれば、これらのシステムが単なる例示であり、本開示が、リザーバを利用しない、または複数のリザーバ(例えば、システムの各デバイスごとのリザーバ)を利用するシステムを包含することを認識するであろう。
【0164】
上で識別されたモジュールおよびアプリケーションのそれぞれは、上記の1つ以上の機能を実行するための実行可能指令のセット、および本開示に記載の方法(例えば、本明細書に記載のコンピュータ実装方法および他の情報処理方法、
図5の方法500、
図6の方法600等)に対応する。それらのモジュール(例えば、指令のセット)は、別々のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装される必要はなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットは、任意選択的に、様々な実装形態において組み合わされるか、または他の方法で再構成される。いくつかの実施形態では、メモリ312は、任意選択的に、上で識別されるモジュールおよびデータ構造のサブセットを格納する。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ312は、上で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を格納する。
【0165】
図3のバイオリアクターシステム300は、バイオリアクターシステム300の一例に過ぎず、バイオリアクターシステム300は、任意選択的に、示されるよりも多いまたは少ない構成要素を有するか、任意選択的に2つ以上の構成要素を組み合わせるか、または任意選択的に異なる構成要素の構成または配置を有することを理解されたい。
図3に示される様々な構成要素は、1つ以上の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実装される。
【0166】
参照する
図4では、例示的なクライアントデバイス400(例えば、第1のクライアントデバイス400-1)が提供される。クライアントデバイス400は、1つ以上の処理ユニット(CPU)402、1つ以上のネットワークまたは他の通信インターフェース404、1つ以上のコントローラによって任意選択的にアクセスされるメモリ411(例えば、ランダムアクセスメモリおよび/または不揮発性メモリ)、および1つ以上のコントローラ、および前述の構成要素を相互連結する1つ以上の通信バス414を含む。
【0167】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400は、携帯電話、タブレット、ラップトップコンピュータ、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイスなどのモバイルデバイスを含む。代替的に、いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400は、デスクトップコンピュータまたは他の同様のデバイスである。さらに、いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400(例えば、第1のユーザデバイス300-1、第2のユーザデバイス400-2、第3のユーザデバイス400-3など)は、集中型クライアントデバイス400(例えば、サーバクライアントデバイス400)と通信し、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の設計の製作システム200への通信を容易にする。
【0168】
さらに、クライアントデバイス400は、ユーザインターフェース406を含む。ユーザインターフェース406は、典型的には、クライアントアプリケーション420に関連付けられてクライアントデバイス400を動作する対象からの指令を受信するグラフィカルユーザインターフェースなどの、メディアを提示するためのディスプレイデバイス408を含む。いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイス408は、任意選択的に、スマートデバイス(例えば、スマートフォン)などのクライアントデバイス400内に統合される(例えば、CPU402およびメモリ412と同じシャーシに収容される)。いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400は、対象がクライアントデバイス400と相互作用することを可能にする1つ以上の入力デバイス410を含む。いくつかの実施形態では、入力デバイス410は、キーボード、マウス、および/または他の入力機構を含む。代替的に、またはさらに、いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイス408は、タッチセンシティブ表面を含み、例えば、ディスプレイ408はタッチセンシティブディスプレイであるか、またはクライアントデバイス400はタッチパッドを含む。
【0169】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400は、1つ以上の周辺機器とクライアントデバイス400とをインターフェースするための入力/出力(I/O)サブシステム430を含む。例えば、いくつかの実施形態では、外部デバイス(例えば、スピーカー、ヘッドホンなど)を通じて音声が提示されるが、ここでは、クライアントデバイス400および/またはリモートデバイス(例えば、製作システム200)からの音声情報を受信し、この音声情報に基づき、音声データが提示される。いくつかの実施形態では、入力/出力(I/O)サブシステム430はまた、スピーカー、またはスピーカー、イヤホンもしくはヘッドホンと接続するためのオーディオ出力などの、オーディオ出力デバイスを含むか、またはそれらとインターフェースする。いくつかの実施形態では、入力/出力(I/O)サブシステム430はまた、(例えば、入力デバイス410を補足または置換するために)音声認識機能を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400はまた、1つ以上のセンサー(例えば、加速度計、磁力計、近接センサー、ジャイロスコープなど)、画像キャプチャデバイス(例えば、カメラデバイスまたは画像キャプチャモジュール、および関連する構成要素)、ロケーションモジュール(例えば、全地球測位システム(GPS)受信機、または他のナビゲーションまたはジオロケーションシステムモジュール/デバイスおよび関連する構成要素)、またはそれらの組み合わせなどを含む。
【0171】
メモリ412は、DRAM、SRAM、DDR RAM、または他のランダムアクセスソリッドステートメモリデバイスなどの高速ランダムアクセスメモリを含み、任意選択的に、1つ以上の磁気ディスクストレージデバイス、光ディスクストレージデバイス、フラッシュメモリデバイス、またはその他の不揮発性ソリッドステートストレージデバイスなどの不揮発性メモリも含む。メモリ412は、任意選択的に、CPU402からリモートに配置された1つ以上のストレージデバイスを含み得る。メモリ412、代替的にメモリ412内の不揮発性メモリデバイスは、非一時的なコンピュータ可読ストレージ媒体を含む。CPU402およびI/Oサブシステム330などのクライアントデバイス400の他の構成要素によるメモリ412へのアクセスは、任意選択的に、コントローラによって制御される。いくつかの実施形態では、メモリ412は、CPU402に対してリモートに配置される大容量ストレージを含むことができる。言い換えれば、メモリ412に格納される一部のデータは、実際には、クライアントデバイス400の外部にあるデバイスに置かれ得るが、インターネット、イントラネット、または他の形態のネットワーク106もしくは通信インターフェース404を使用する電子ケーブルを介して、クライアントデバイス400によって電子的にアクセスされ得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400のメモリ412は、以下を格納する。
●様々な基本システムサービスを処理するための手順を含むオペレーティングシステム416、
●クライアントデバイスを識別する、クライアントデバイスに関連付けられた電子アドレス418、および
●クライアントデバイス400のディスプレイ408に提示されるグラフィカルユーザインターフェースを介して表示するためのコンテンツを生成するためのクライアントアプリケーション420。
【0173】
電子アドレス418は、クライアントデバイス400に関連付けられ、これは、分散システム100の他のデバイスおよび構成要素からクライアントデバイス400を少なくとも一意的に識別するために利用される。いくつかの実施形態では、クライアントデバイス400に関連付けられた電子アドレス418は、クライアントデバイス400から受信されたおよび/またはクライアントデバイス400に提供された通信源を決定するために使用される。
【0174】
いくつかの実施形態では、クライアントアプリケーション420は、プロセッサ(例えば、CPU402)によって実行されるときに、対象への提示のためのコンテンツ(例えば、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の1つ以上の設計基準を選択するためのグラフィカルユーザインターフェース)を生成する指令のグループである。いくつかの実施形態では、クライアントアプリケーション420は、クライアントデバイス400のユーザインターフェース406を介して対象から受信された1つ以上の入力に応答してコンテンツを生成する。例えば、いくつかの実施形態では、クライアントアプリケーション420は、ファイルまたはウェブアプリケーションのコンテンツを表示するためのメディアプレゼンテーションアプリケーションを含む。
【0175】
上で識別されたモジュールおよびアプリケーションのそれぞれは、上記の1つ以上の機能を実行するための実行可能指令のセット、および本開示に記載の方法(例えば、本明細書に記載のコンピュータ実装方法および他の情報処理方法、
図5の方法500、
図6の方法600等)に対応する。それらのモジュール(例えば、指令のセット)は、別々のソフトウェアプログラム、手順、またはモジュールとして実装される必要はなく、したがって、これらのモジュールの様々なサブセットは、任意選択的に、様々な実装形態において組み合わされ、または他の方法で再構成されてもよい。いくつかの実施形態では、メモリ312は、任意選択的に、上で識別されるモジュールおよびデータ構造のサブセットを格納する。さらに、いくつかの実施形態では、メモリ312は、上で説明されていない追加のモジュールおよびデータ構造を格納する。
【0176】
図4のクライアントデバイス400は、クライアントデバイス400の一例に過ぎず、クライアントデバイス400は、任意選択的に、示されているよりも多いまたは少ない構成要素を有するか、任意選択的に2つ以上の構成要素を組み合わせるか、または任意選択的に異なる構成要素の構成または配置を有することを理解されたい。
図3に示される様々な構成要素は、1つ以上の信号処理および/または特定用途向け集積回路を含む、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組み合わせで実装される。
【0177】
分散システム100の一般的なトポロジーが本開示の様々な実施形態に従って説明されたことを踏まえ、
図5に従って、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作するためのいくつかのプロセスに関する詳細を説明する。
図5は、本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を製作するための方法(例えば、方法500)の第1のフローチャートを示す。フローチャートでは、方法の好ましい部分を実線の四角で示し、一方、方法の任意選択的なバリエーション、または方法で使用される任意選択的な機器を破線の四角で示す。
【0178】
製作検出システム200のメモリ212、クライアントデバイス400のメモリ412、またはその両方の様々なモジュールは、特に明記しない限り、
図5に記載された方法の特定のプロセスを実行する。さらに、
図5のプロセスは、単一のモジュールまたはモジュールの任意の組み合わせでコードできることが理解されよう。
【0179】
ブロック502。
図5のブロック502を参照すると、方法500は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス(例えば、
図7のマイクロチャネル導管デバイス700)の場合、複数の設計基準(例えば、
図2の設計基準230)に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワーク設計(例えば、
図2のデバイス設計基準250)を決定することを含む。
【0180】
マイクロチャネル導管ネットワーク設計は、第1のチャネルネットワーク(例えば、
図7の第1のチャネルネットワーク702-1)および第1のチャネルネットワークに基づく第2のマイクロチャネルネットワーク(例えば、
図7の第1のチャネルネットワーク702-1)を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間を通る流体連通を提供するための構造(例えば、
図7の構造704)が、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に介在して提供される。いくつかの実施形態では、構造は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの材料(例えば、ポリマー材料)である。他の実施形態では、構造は、膜を含む。いくつかの実施形態では、構造は、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に介在する1つ以上の中間チャネルを含む。
【0182】
非限定的な例として、
図25~
図27ならびに
図37および38を参照すると、いくつかの実施形態では、それぞれのマイクロチャネル導管設計は、哺乳動物ラットである候補対象と関連付けられる。したがって、それぞれのマイクロチャネル導管設計は、肝静脈(HB)として構成された第1のチャネルネットワークと、門脈(PV)として構成された第2のチャネルネットワークと、を有するマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成するように構成される。第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に介在する構造が形成され、これにより、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間の流体連通が可能になる。いくつかの実施形態では、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間の流体連通。いくつかの実施形態では、構造は、1つ以上の中間チャネルを含み、それは1つ以上の中間チャネルの内部構造内の機構を交換するように構成される。ここで、それぞれのマイクロチャネル導管設計は、長さが31ミリメートル(mm)(例えば、y軸の長さ)、幅が11.4mm(例えば、x軸の長さ)、高さが11mm(例えば、z軸の深さ)のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを製作する。第1のチャネルネットワークおよび第2のチャネルネットワークのそれぞれは、それぞれの直径を有する。
【0183】
いくつかの実施形態では、構造は、第1のチャネルネットワークと連結される第1の端部分であって、第1の直径を有する第1の端部分と、第2のチャネルネットワークと連結される第2の端部分であって、第2の直径を有する第2の端部分と、を含む。さらに、構造の第1の直径および第2の直径は、構造の内部遷移領域を画定する。
【0184】
いくつかの実施形態では、第1の直径は、第2の直径とは異なる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の直径は、約992ミクロン(μm)~約623μmであり、第2の直径は、約832μm~約553μmである。いくつかの実施形態では、第1の直径および/または第2の直径は、約1,000μm~約399μmである。いくつかの実施形態では、第1の直径および/または第2の直径は、約900μm~約199μmである。
【0185】
いくつかの実施形態では、構造の内部遷移領域は、構造の軸の周りで連続的で平滑な曲線を回転させることによって画定される内部表面を含む。いくつかの実施形態では、連続的で平滑な曲線には、円錐形、楕円形、または円筒形が含まれる。非限定的な例として、
図30Aは、それぞれが円錐形の内部遷移領域を有する複数の構造を示す。
図30Bは、それぞれが円筒形の内部遷移領域を有する複数の構造を示す。さらに、
図30Cは、それぞれが楕円形の内部遷移領域を有する複数の構造を示す。例えば、
図30Dを参照すると、円錐形の平滑な連続曲線を含む複数の構造が提供され、それぞれの直径の範囲は、約1000μm~約573μmである。
図32を簡潔に参照すると、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの断面が提供され、第1の構造は、約982μm~約805μmまでの対応する直径を有し、第2の構造は、約960μm~約815μmの対応する直径を含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、構造の内部遷移領域は、単調関数によって画定される内部表面を含む。いくつかの実施形態では、単調関数は、線形関数(例えば、円錐台)、平方根関数、または対数関数である。
【0187】
いくつかの実施形態では、構造の内部遷移領域は、約399μm~約701μmの対応する長さを有する。したがって、この長さは、培地の態様を劣化させることなく、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間での培地の交換を可能にする。
【0188】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの第1の端部分から第2の端部分までで画定される長さは、約15センチメートル(センチメートル)~約7.5cmである。
【0189】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準は、1つ以上の長さ設計基準、1つ以上の質量設計基準、1つ以上の時間設計基準、1つ以上のポリマー設計基準、1つ以上の時間設計基準、1つ以上の照度設計基準、またはそれらの組み合わせを含む。
【0190】
例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の設計基準は、プレポリマー溶液の分子量、ポリマー材料の分子量、プレポリマー溶液の濃度、ポリマー材料の濃度、曝露を含む。時間、電力(例えば、製作システムから放出される光の強度)、厚さ、時間スケール係数(例えば、第1層の時間スケール係数)、またはそれらの組み合わせを含む。非限定的な例として、いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液の分子量および/またはポリマー材料の分子量は、約2000分子量のPEGdA-500である。いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液の濃度および/またはポリマー材料の濃度は、約20重量%である。いくつかの実施形態では、曝露時間は、約1.5秒~約10秒の範囲である。いくつかの実施形態では、電力は、約20ミリワット/平方メートル(mW/cm2)である。いくつかの実施形態では、厚さ(例えば、層の厚さまたはスライスの厚さ)は、約50μm~約100μmである。いくつかの実施形態では、第1の層の時間スケール係数(例えば、第1の層の時間スケール係数)は、約2×秒~約8×秒である。
【0191】
いくつかの実施形態では、決定の複数の設計基準における1つ以上の長さの設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワーク設計に関連付けられる第1の長さと、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連付けられる第2の長さと、を含む。さらに、いくつかの実施形態では、第2のサイズは第1のサイズよりも小さい。
【0192】
いくつかの実施形態では、第2の長さは、第1の長さ、ポリマー、製作システム、またはそれらの組み合わせに基づく。いくつかの実施形態では、第2の長さは、1.49ミリリットル(mL)~4.51mLの間の体積を有するマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成する。
【0193】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上のポリマー設計基準は、ポリマーの膨潤の程度に基づいて形成のポリマーを選択することを含む。いくつかの実施形態では、膨潤の程度は、1つ以上の寸法パラメータ(例えば、平面膨潤、体積膨潤)、1つ以上の質量パラメータ(例えば、質量膨潤)、時間パラメータ(例えば、単位時間当たり)、またはそれらの組み合わせを含む複数のパラメータに基づく。いくつかの実施形態では、膨潤の程度は、湿重量と、湿重量と比較した乾燥重量と、の間の差の比である。例えば、ヒドロゲルの膨潤率は、組織工学アプリケーションにとって重要な要素である。PEGDAヒドロゲルマイクロチャネルデバイスの膨潤特性を実証するために、デバイスをPBS溶液に適用し、デバイスの膨潤重量を測定した。次に、ヒドロゲルを凍結乾燥して乾燥重量を得た。膨潤度は、次の式で計算した:膨潤率=Wwet-Wdry Wwet。4℃でPBSに1週間浸漬すると、印刷デバイスのサイズw、h、d1、およびd2が、それぞれ18%、15%、16%、および13%増加した。3週間後、その膨潤は安定して維持され、これは膨潤率と分解率が平衡状態に達したということを示す。
【0194】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上の長さの設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの長さの解像度を含む。いくつかの実施形態では、解像度は、0.005インチ~0.010インチの間の解像度である。いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上の長さの設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの第1の長さの第1の解像度およびマイクロチャネル導管ネットワークの第2の長さの第2の解像度(例えば、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスのxy平面の0.005インチの解像度700)を含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、複数の設計基準における1つ以上のポリマー設計基準は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの多孔性を含む。いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの多孔性は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスに関連する候補対象に基づいて決定される。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの多孔性は、候補対象の細胞がマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの細孔に付着することを可能にするよう決定される。いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの細孔のメジアンサイズは、約19μm~約231μmである。例えば、いくつかの実施形態では、複数の設計基準は、マイクロチャネルデバイスの多孔質材料の透過性を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、の決定は、プレポリマー溶液からのポリマー材料の形成に関連付けられる複数の設計基準から1つ以上の設計基準を決定することをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液からのポリマー材料の形成に関連付けられる設計基準は、プレポリマー溶液の材料設計特性を含む。
【0197】
ブロック504。ブロック504を参照すると、方法500は、製作システムにおいてマイクロチャネル導管ネットワーク設計を電子形態で受信することを含む。いくつかの実施形態では、受信は、1つ以上の指令を、マイクロチャネル導管ネットワーク設計に基づく製作システムの製作制御機構に関連する製作機構に通信することを含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、製作システム200は、プレポリマー溶液を含む。例えば、いくつかの実施形態では、製作システム200は、複数のプレポリマー溶液を含み、それにより、製作システムが、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を製作するためのプレポリマー溶液を提供することが可能になる。いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液が製作システム200に提供され、予め形成されている。しかしながら、本開示は、これに限定されない。例えば、いくつかの実施形態では、製作システムは、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を形成する際に使用するためのプレポリマー溶液を形成する。
【0199】
いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液は光開始剤を含み、それにより、プレポリマー溶液を光開始剤と共に光に曝露することにより架橋効果が生じ、次にポリマー材料が形成される。
【0200】
ブロック506。ブロック506を参照すると、その方法は、マイクロチャネル導管ネットワーク設計に基づいて、プレポリマー溶液を使用して、製作システムでポリマー材料のマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成することを含む。このようにして、方法は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの製作を容易にする。
【0201】
いくつかの実施形態では、ポリマー材料としては、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリグリセロールセバケート(PGS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ-L-乳酸(PLLA)、ポリ-D-乳酸(PDLA)、ポリグリコリド、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド-コーグリコリド(PLGA)、ポリジオキサノン、ポリグルコネート、ポリ乳酸-ポリエチレンオキシドコポリマー、修飾セルロース、コラーゲン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシプリオピオン酸、ポリホスホエステル、ポリ(α-ヒドロキシ酸)、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリ無水物、ポリ乳酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、分解性ウレタン、脂肪族ポリエステルポリアクリレート、ポリメタクリレート、アシル置換酢酸セルロース、非分解性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニルイミダゾール、クロロスルホン化ポリイフィン、ポリエチレン酸化物、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、ナイロンシリコン、およびポリ(スチレン-ブロック-ブタジエン)、ポリノルボルネン、ヒドロゲル、金属合金などの形状記憶材料、ならびにスイッチングセグメントとしてのオリゴ(ε-カプロラクトン)ジオール/物理的架橋としてのオリゴ(p-ジオキシアノン)ジオールが挙げられる。例えば、いくつかの実施形態では、PLGAポリマーは、分子量が30,000Daの、PLA/PGAポリマー=50/50である。
【0202】
例えば、PLGAポリマーを利用することにより、本開示は
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスのポリマー材料は、透明である。いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスのポリマー材料は、透明、半透明、不透明、またはそれらの組み合わせである。透明および/または半透明のマイクロチャネル導管デバイスを有することにより、対象は、その中身を撹乱する必要なしに、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの内部部分を光学的に検査することができる。例えば、
図27、29~34、および36~40を参照すると、実施形態は、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークの透明および/または半透明の製作物が提供されることを含む。具体的には、
図31は、(A)対応する第1のチャネルネットワークと対応する第2のチャネルネットワークとの間に介在する20個の円錐形構造、(B)対応する第1のチャネルネットワークと対応する第2のチャネルネットワークとの間に介在する20個の球形の構造、対応する第1のチャネルネットワークと対応する第2のチャネルネットワークとの間に介在する20個の円筒形の構造、の内部の複数のPLGAミクロスフェア(例えば、ビーズ)の複数の顕微鏡画像を示す。例えば、
図31(A)のそれぞれのマイクロチャネルデバイスは、
図31(B)および(C)のそれぞれのデバイスとは対照的に、ミクロスフェアの一部が、上から下へのサイズの違いなしに、構造の内部部分内に閉じ込められることを示す。
【0203】
いくつかの実施形態では、ポリマーは生分解性材料である。いくつかの実施形態では、ポリマーは、非吸収性、吸収性、吸収性、生分解性、またはそれらの組み合わせである。PEGdAなどの生分解性材料を利用することにより、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを、後でマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを取り外す必要なしに(例えば、侵襲的手順で)対象内に移植することができる。
【0204】
いくつかの実施形態では、形成は、プレポリマー溶液を所定の時間、紫外線に曝露することを含む。例えば、いくつかの実施形態では、製作システムは、プレポリマー溶液を紫外線に曝露することを容易にするバット光重合機構を含む。さらに、いくつかの実施形態では、製作システムは、ボリューメトリック(volumetric)印刷を利用する。
【0205】
いくつかの実施形態では、製作システムは、形成のために付加製造法を利用する。いくつかの実施形態では、付加製造法は、結合剤噴射、材料押出し、材料噴射、ポリジェット、粉末床、シート積層、およびバット光重合からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、バット光重合の付加製造法は、ステレオリソグラフィー(例えば、プロジェクションステレオリソグラフィー)を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、形成は、ポジティブモールドを用いてマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に空間を形成する。いくつかの実施形態では、形成は、ポジティブモールドによりマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成し、それによって、第1のチャネルネットワークと第2のチャネルネットワークとの間に空間を形成する。例えば、
図38は、ポジティブモールドとして形成されたそれぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを示し、一方、
図39は、ネガティブモールドとして形成されたそれぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを示す。
【0207】
マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を製作するための一般的な方法500が本開示の様々な実施形態に従って説明されたことを踏まえ、
図6により、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを播種するためのいくつかのプロセスに関する詳細を説明する。
図6は、本開示の実施形態による、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700を播種するための方法(例えば、方法600)の第2のフローチャートを示す。フローチャートでは、方法の好ましい部分を実線の四角で示し、一方、方法の任意選択的なバリエーション、または方法で使用される任意選択的な機器を破線の四角で示す。
【0208】
ブロック602。
図6のブロック602を参照すると、方法600は、候補対象に基づいて、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスを調製することを含み、それによって、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを形成する。調製されたマイクロチャネル導管チャネルデバイスは、第1のチャネルネットワークおよび第2のチャネルネットワークを含む。
【0209】
いくつかの実施形態では、調製はさらに、播種のための複数の細胞を調製することを含む。
【0210】
いくつかの実施形態では、複数の細胞を調製することは、複数の細胞を溶液に曝露することを含む。いくつかの実施形態では、溶液はカルシウムおよびマグネシウムを含む。
【0211】
いくつかの実施形態では、溶液への複数の細胞の曝露時間は、約15分~約25分である。いくつかの実施形態では、溶液への複数の細胞の曝露時間は約20分である。
【0212】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの調製は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面を修飾することを含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面修飾は、化学的表面修飾、機械的表面修飾、またはその両方である。いくつかの実施形態では、化学的表面修飾は、機械的表面修飾の前に行われる。他の実施形態では、機械的表面修飾は、化学的表面修飾の前に、またはそれと同時に行われる。
【0214】
いくつかの実施形態では、化学的表面修飾は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面上にコンジュゲーションを形成することを含む。本開示の化合物と、結合パートナー上の反応性官能基および適切なリンカー、アダプター、担体分子またはそれらの組み合わせを介したドナーまたはアクセプターと、の結合は、当業者の技量の範囲内である。
【0215】
例えば、いくつかの実施形態では、本開示の界面活性剤は、1つ以上のアミノ酸を有するリンカーを介して担体分子にコンジュゲートされる。そのようなリンカー中で使用される例示的なアミノ酸としては、リシン、プロリン、および酸性アミノ酸が挙げられる。
【0216】
いくつかの実施形態では、コンジュゲーションは、ペプチドコンジュゲーションである。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の界面活性剤は、極性基および非極性基の両方を含む。したがって、ペプチドコンジュゲーションを形成することにより、界面活性剤の非極性基は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の表面とコンジュゲートする。他方、界面活性剤の極性基は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内の1つ以上のタンパク質および/または1つ以上の細胞を捕捉する。したがって、ペプチドコンジュゲーションを形成することにより、マイクロチャネル導管デバイス700の表面の湿潤性が増加し、これにより、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内で細胞を培養する能力が向上する。
【0217】
例示的な実施形態では、ペプチドはトリペプチドである。様々な実施形態では、ペプチドは、1つ以上のアルギニル、グリシル、またはアスパラギン酸残基を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、アルギニルおよびグリシル、アルギニルおよびアスパラギン酸、ならびにグリシルおよびアスパラギン酸から選択されるメンバーを含む。例示的な実施形態では、ペプチドは、アルギニルグリシル、グリシルアスパラギン酸、およびそれらの組み合わせから選択されるジペプチジル残基を含む。例えば、いくつかの実施形態では、ペプチドコンジュゲーションは、アルギニルグリシルアスパラギン酸ペプチドである。ペプチドは、直接またはリンカーを介して表面に結合する。ペプチドを表面に結合させる多くの経路が公知である。一例では、ペプチド上のカルボン酸基が活性化され、アミンまたはヒドロキシル部分を有する表面またはリンカーと反応する。別の例では、表面のカルボン酸部分が活性化され、続いてペプチド上のアミンと反応する。明らかなように、リンカーを使用するこれらの実施形態についても同じことが当てはまる。ペプチドは、表面に結合したリンカーに結合させることができ、代替的に、ペプチドリンカーカセットを表面に、または表面にすでに存在する2つ目のリンカーに結合させることができる。
【0218】
様々な実施形態におけるコンジュゲーション戦略に関するさらなる非限定的な情報を以下に記載する。
【0219】
本発明の化合物およびコンジュゲートは、前駆体間の共有結合形成のための部位である反応性官能基を有する前駆体間の共有結合反応から組み立てられる。本発明の化合物の前駆体は、化合物上の任意の位置に配置できる反応性官能基を有する。完成した色素コンジュゲートは、分子上の任意の部位にさらなる反応性官能基を含むことができる。様々な実施形態では、ペプチド上の反応性官能基は、表面上の反応性官能基(または表面に結合されたリンカー)と反応して、結合フラグメントを介して、2つの成分を共有結合させる。
【0220】
例示的な種としては、ペプチド核に直接結合した、または表面の成分に結合したリンカーに結合した、反応性官能基が挙げられる。例示的な反応性官能基は、アルキルまたはヘテロアルキル部分に結合している。反応性基が置換もしくは非置換アルキルまたは置換もしくは非置換ヘテロアルキルリンカー部分に結合している場合、反応性基は、好ましくはアルキルまたはヘテロアルキル鎖の末端部分に位置する。本発明の実施に有用な反応性官能基および反応のクラスは、一般に、バイオコンジュゲート化学の分野で周知のものである。本発明の反応性官能基と共に利用可能な現在の好ましいクラスの反応は、比較的穏やかな条件下で進行するものである。これらとしては、求核置換(例えば、アミンおよびアルコールとハロゲン化アシルおよび活性化エステルとの反応)、求電子置換(例えば、エナミン反応)、および炭素-炭素および炭素-ヘテロ原子多重結合への付加(例えば、マイケル反応およびディールス・アルダー反応)が挙げられるが、これらに限定されない。これらおよび他の有用な反応は、例えば、March,ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY,3rd Ed.,John Wiley&Sons,New York,1985、Hermanson,BiOCONJUGATE TECHNIQUES,Academic Press,San Diego,1996、およびFeeney et al.,MODIFICATION OF PROTEINS;Advances in Chemistry Series,Vol.198,American Chemical Society,Washington,D.C.,1982において考察されている。
【0221】
有用な反応性官能基としては、例えば、以下が挙げられる:
(a)活性エステル、例えば、限定されないが、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシフタルイミド、N-ヒドロキシベンズトリアゾールエステル、p-ニトロフェニルエステル、酸ハロゲン化物、アシルイミダゾール、チオエステル、アルキル、アルケニル、アルキニルおよび芳香族エステル、ペプチド合成に使用される活性化基、などのカルボキシル基およびその誘導体、
(b)ヒドロキシル基およびヒドロキシルアミン、これらはエステル、スルホネート、ホスホルアミデート、エーテル、アルデヒドなどに変換することができる、
(c)ハロアルキル基、これらは、ハライドが、求核基、例えば、アミン、カルボン酸アニオン、チオールアニオン、カルバニオン、またはアルコキシドイオンなどで置換され、それにより、ハロゲン原子の部位に新たな基の共有結合が得られる、
(d)ディールス・アルダー反応に関与することが可能である、ジエノフィル基、例えばマレイミド基など、
(e)アルデヒドまたはケトン基、これらは、例えばイミン、ヒドラゾン、セミカルバゾンまたはオキシムなどのカルボニル誘導体の形成を介して、またはグリニャール付加またはアルキルリチウム付加などの機構を介して、誘導体化が可能である、
(f)ハロゲン化スルホニル基、これらは、例えばアミンと反応してスルホンアミドを形成する、
(g)チオール基、これらは、例えば、ジスルフィドに変換されるか、またはハロゲン化アシルと反応できる、
(h)アミン、ヒドラジンまたはスルフヒドリル基、これらは、例えば、アシル化、アルキル化、または酸化され得る、
(i)アルケン、これらは、例えば、付加環化、アシル化、マイケル付加などを受けることができる、
(j)エポキシド、これらは、例えば、アミンおよびヒドロキシル基と反応できる、
(k)ホスホルアミダイトおよび核酸合成に有用な他の標準的な官能基。
【0222】
様々な実施形態では、反応性官能基は、以下から選択されるメンバーである:
【化1】
式中、各rは独立して、1から10までの整数から選択され、Gはハロゲンであり、R
30およびR
31は独立して、Hおよびハロゲンから選択されるメンバーであり、R
30およびR
31の少なくとも一つはハロゲンである。
【0223】
反応性官能基は、それらが反応性リガンドを構築するのに必要な反応に関与しないか、または干渉しないように選択することができる。代替的に、反応性官能基を、保護基を存在させることによって反応への関与から保護することができる。当業者であれば、選択された一連の反応条件を妨げないように特定の官能基を保護する方法を理解するであろう。有用な保護基の例については、例えば、Greene et al.,PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS,John Wiley&Sons,New York,1991を参照されたい。
【0224】
様々な実施形態では、ペプチドは、結合フラグメント、または少なくとも1つの結合フラグメントを含むリンカーを介して表面に付着する。例示的な結合フラグメントは、結合と、相補的反応性の2つの反応性官能基の反応によって形成される少なくとも1つのヘテロ原子を含む部分と、を含む。本発明のコンジュゲートで使用される例示的な結合フラグメントとしては、限定されないが、以下が挙げられる:
-(CH2)tS(CH2)z-、-(CH2)xSC(O)NR(CH2)z-、-(CH2)xSC(O)O(CH2)z-、-(CH2)xNR(CH2)z-、-(CH2)xNRC(O)(CH2)z-、-(CH2)xNRC(O)O(CH2)z-、-(CH2)xO(CH2)z-、-(CH2)oT-PEG-、-(CH2)xC(O)CH2S-、-S-マレイミド-N-、-RNC(O)NR-、-RNS(O)NR、-S(O)2NR-、
式中、TはS、NH、NHC(O)、C(O)NH、NHC(O)O、OC(O)NH、およびOから選択されるメンバーである。インデックスoは、1~50の整数である。インデックスtおよびzは、0~10までの整数から独立して選択される。
【0225】
結合フラグメントは、アジド部分を有する1つの成分とアルキン部分を有する別の成分との間の「クリックケミストリー」を介して形成することもできる。ドナーまたはアクセプターは、担体分子と同様に、いずれかの反応性官能基で誘導体化することができる。
【0226】
非限定的な例として、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスは、生物学的に不活性なタンパク質および細胞を忌避する特性で周知のPEGベースのヒドロゴールポリマー材料を含むことが考えられる。したがって、PEGdA材料の細胞付着特性を改善するために、本開示は、RGDペプチドのコンジュゲーションを通じて生物学的に機能的な表面を形成する化学的表面修飾を行うことによって、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面を化学的に活性化する。例えば、RGDコンジュゲーション化学表面修飾によって、複数の細胞がマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内で増殖する(例えば培養される)能力が大幅に改善される。
【0227】
いくつかの実施形態では、化学的表面修飾は、表面グラフト修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の表面は、アクリル表面を含むため、化学的表面修飾は、表面上のエポキシおよび/またはケノティック(kenotic)基を開環することによって表面グラフト化を実施することを含み、それによって、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の表面上のヒドロキシル基の数が増加する。
【0228】
いくつかの実施形態では、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面修飾は、機械的表面修飾である。いくつかの実施形態では、機械的表面修飾は、単独で、または化学的表面処理と組み合わせて、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700に適用される。例えば、いくつかの実施形態では、化学的表面処理は、1つ以上の汚染粒子を形成し、これが機械的表面修飾による処理を必要とする。このようにして、機械的表面修飾は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス700の表面とマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内の複数の細胞との間の構造を形成して、それぞれの細胞とそれぞれの汚染粒子との間の相互作用を防ぐことができる。
【0229】
いくつかの実施形態では、機械的表面修飾は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面にコーティングを塗布することを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン、GelMA、PEGdA、PLL、またはそれらの組み合わせを含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、コーティングは、約8%~約12%の、第1の重量パーセント(重量%)のPEGdAと、約0.5%~約7%の、第2の重量%のGelMaと、を含む。いくつかの実施形態では、PEGdAの第1の重量%は、10%であり、GelMAの第2の重量%は、約1%~約5%である。いくつかの実施形態では、GelMAの第2の重量%は4%~5%である。
【0231】
いくつかの実施形態では、コーティングは、PEGdA、PPL、GelMA、またはそれらの組み合わせを含む第1のコーティングを含む。第1のコーティングは、第1の上面と第1の下面とを含む。コーティングは、コラーゲンまたはゼラチンのいずれかを含む第2のコーティングをさらに含む。第2のコーティングは、第2の上面と第2の下面とを含む。さらに、第1の下面は、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの表面に隣接し、第2の下面は、第1の上面に隣接している。
【0232】
例えば、いくつかの実施形態では、コーティングは、10%のPEGdA、5%のGelMA、および0.25%の光開始剤を含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、GelMAでコーティングされた10%PEGdAを含み、次いでコーティングをUV光に曝露する。いくつかの実施形態では、コーティングは、10%ゼラチンでさらにコーティングされた10%PEGdAを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは10%ゼラチンを含む。いくつかの実施形態では、コーティングは、大動脈内皮細胞を含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、表面修飾は、約10分間NaOH-EtOH溶液処理を適用することを含む。これは、マイクロチャネルデバイスの表面に新しい亀裂を形成させ、それにより表面形態の効果的な変化がもたらされる。
【0234】
例えば、非限定的な例として簡潔に参照する
図35では、PLGAポリマーのそれぞれのマイクロチャネルデバイス内の細胞の灌流性、PLGAデバイスの内部多孔質構造、およびデバイスの細胞接着を、SEM画像によって特徴付ける。SEMサンプルのサンプル調製では、HepG2灌流PLGAデバイスを凍結し、顕微鏡観察のために手動で小さな断片に分解した。PLGA印刷フィラメントは、ほとんどすべての亀裂のあるPLGAフラグメントで観察された。BioXプリンターのピストンサイズは100umで、実際に印刷されたフィラメントはほぼ同じサイズであった。
図35に示すように、フィラメント間に不規則な形状の細孔(穴)が観察され、サイズは20um~200umまで変動した。これに基づいて、HepG2細胞がマイクロチャネルデバイスの表面で観察された。
【0235】
ブロック604。ブロック604を参照すると、方法600は、候補対象に基づいて、調製されたマイクロチャネル導管デバイス内で培養するための複数の細胞を播種し、それによって複数の種子細胞を形成することを含む。
【0236】
いくつかの実施形態では、播種は、培養培地中にて複数の細胞をカプセル化することを含む。
【0237】
いくつかの実施形態では、培養培地は、光開始剤を含み、複数の細胞をカプセル化する前に、播種はさらに、培養培地および複数の細胞を所定の時間、紫外線に曝露することを含む。
【0238】
図24を簡潔に参照すると、PEGDAヒドロゲルマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内の細胞増殖に対する曝露時間の影響が提供される。具体的には、
図24は、異なる露光時間(例えば、30秒、60秒、および120秒)での、PEGDAマイクロチャネル導管ネットワークデバイス内のカプセル化された細胞についての複数の蛍光イメージを示す。1.6M/mL RAEC、0.8M/mLのH4-II-EC3、および0.4M/mLのrMSCの混合物を、20重量%のPEGDAヒドロゲルにカプセル化し、約30秒~約120秒で架橋した。図示するように、蛍光イメージを1日目および7日目にキャプチャして比較した。RAEC細胞を赤で標識し、H4-II-EC3細胞を緑で標識し、スケールバーは200umを示す。ヒドロゲルマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700内での細胞増殖を実証するために、細胞を150umの厚さのヒドロゲル内にカプセル化し、1~7日間培養した(例えば、
図6の方法600)。細胞増殖に対する光曝露時間の影響を評価するために、光照射を約30秒~約2分まで変化させた。1日目、すべてのサンプルは、光曝露時間に関係なく、高い細胞生存率を示した。しかしながら、7日目に、2分間曝露されたヒドロゲル内の細胞は、1日目と比較して細胞生存率の半分未満を示した。この違いは、長時間照射の光毒性と、光開始剤分子からの大量のフリーラジカル発生とによるものであった。対照的に、30秒および60秒曝露されたヒドロゲル内の細胞は、7日間の培養後に細胞生存率が維持された。これは、最大60分の曝露時間が、カプセル化された細胞に対して最小限の細胞毒性を示したことを示す。
【0239】
いくつかの実施形態では、培地は、約5μm~約15μmまでの厚さを有する。
【0240】
いくつかの実施形態では、播種される複数の種細胞の密度は、1平方センチメートル当たり約1×104細胞~1平方センチメートル当たり約1×105細胞である。
【0241】
いくつかの実施形態では、培地は、コラーゲンにカプセル化された複数の細胞を含む。このカプセル化は、マイクロチャネルデバイス内における細胞の培養をサポートするための適切なサポート構造を提供する。
【0242】
細胞が断面全体に均一に分布しているため
ブロック606。ブロック606を参照すると、方法600は、されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスに連結されたバイオリアクターシステムを使用して、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスを通じて複数の種細胞を含む培地を流し、それによって、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス内で調製複数の細胞を培養することを含む。
【0243】
例えば、
図33を簡潔に参照すると、マイクロチャネルデバイスの第1のチャネルの画像が提供される。示されるように、バイオリアクターシステムを介してデバイス内の細胞の動きが提供される。ここで、チャネルの直径は約920μmである。したがって、本開示は、バイオリアクターシステムによって促進されるように、デバイス内の制御フローを可能にすることによって、マイクロチャネル導管ネットワークデバイス内での細胞の培養を可能にする。
【0244】
いくつかの実施形態では、流れの流量は、毎分約375マイクロリットル(μL)~毎分約425μLである。例えば、いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステム200は、1つ以上の指令をポンプ1720に伝達し、これにより流量の制御を容易にする。
【0245】
いくつかの実施形態では、流れの前に、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの一部が、乾燥状態または水和状態のいずれかに置かれる。
【0246】
いくつかの実施形態では、流れの前に、調製されたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの一部が、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスの下端部分にある。
【0247】
本開示の様々な態様は、デバイス内の培地の流れを滞留させるかまたは停止させるためのシステムおよび方法を提供することに関する。本開示のデバイスには、人工臓器デバイス(例えば、インプラント)、バイオリアクターデバイス、ラボオンチップデバイス(例えば、臓器オンチップデバイス)などが含まれる。したがって、例示的なデバイスは、培地が流れる少なくとも第1のチャネルおよび第2のチャネルを含む。さらに、いくつかの実施形態では、第1のチャネルおよび第2のチャネルのそれぞれは、デバイスの第1の端部分に配置された第1の開口部および第2の開口部を含む。第1のチャネルおよび第2のチャネルのそれぞれの第2の開口部は、デバイスの同じ端部分(例えば、デバイスの第2の端部分)またはデバイスの異なる端部分(例えば、それぞれ、デバイスの第2の端部分とデバイスの第3の端部分)に配置され得る。したがって、それぞれのチャネルの各開口部は、培地の流れのための入口または出口として機能する。しかしながら、本開示は、これに限定されない。いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、第1のチャネルおよび第2のチャネルと連通するマスター入口およびマスター入口を含む。
【0248】
前述のように、いくつかの実施形態では、例示的なデバイスは、バイオリアクターシステムなどのシステムの構成要素である。したがって、いくつかの実施形態では、それぞれのチャネルの各開口部は、培地のリザーバまたはポンプと連通するチュービングなど、システムの別の構成要素への連結を容易にするための部分を含む。いくつかの実施形態では、各チャネルのそれぞれの連結部分は、それぞれのチャネルにおけるチャネル直径とは異なる連結直径を有する。いくつかの実施形態では、第1のチャネルおよび第2のチャネルの第1の開口部および第2の開口部は、それぞれ、約500マイクロメートル(μm)~約10,000μm、約500μm~約5,000μm、約500μm~約2,500μm、約500μm~約1,500μm、約500μm~約1,000μm、約650μm~約2,500μm、約650μm~約1,500μm、約650μm~約1,000μm、または約650μm~約750μmの範囲のチャネル直径を有する。さらに、いくつかの実施形態では、第1のチャネルの第1の開口部および第2の開口部は、第2のチャネルの第1の開口部および第2の開口部とは異なる直径を有する。
【0249】
1つ以上の中間チャネルは、第1のチャネルおよび第2のチャネルを相互連結する。1つ以上の中間チャネルは、培地、または栄養素および/もしくは老廃物などの培地内の材料を、デバイスの第1のチャネルおよび第2のチャネルに対して、またはそれらから、拡散させるように構成される。いくつかの実施形態では、培地の拡散速度は、デバイスに含まれる中間チャネルの数に比例する(例えば、中間チャネルが多いほど、培地の拡散速度は高くなる)。いくつかの実施形態では、デバイスは、1つの中間チャネル、2つの中間チャネル、3つ以下の中間チャネル、5つ以下の中間チャネル、10個以下の中間チャネル、15個以下の中間チャネル、20個以下の中間チャネル、50個以下の中間チャネル、100個以下の中間チャネル、200個以下の中間チャネル、500個以下の中間チャネル、1000個以下の中間チャネル、または1万個以下の中間チャネルを含む。さらに、1つ以上の中間チャネルは、円柱、直方体、円錐台、三次元メッシュなどを含む様々な形状で形成することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の中間チャネルは、中間チャネル内でより均一な流れを提供するために、丸みを帯びたまたは面取りされたエッジで形成される。それにもかかわらず、各中間チャネルは、中間チャネルを通る培地の流れを可能にし、少なくとも1つのマイクロゲルユニットを受け入れることができるのに十分に広い開口部を伴って形成される。いくつかの実施形態では、1つ以上の中間チャネルの各チャネルは、約50μm~約1,500μm、約50μm~約1,250μm、約50μm~約1,000μm、約100μm~約1,250μm、約100μm~約1,000μm、約100μm~約800μm、約400μm~約1,000μm、約300μm~約800μm、約300μm~約600μm、または約400μm~約800μmの開口部で形成される。さらに、いくつかの実施形態では、1つ以上の中間チャネルの各チャネルは、直径を変化させることができるよう形成され、その結果、各中間チャネルのそれぞれの直径は、第1の開口部の第1の直径から第2の開口部の第2の直径に減少する。いくつかの実施形態では、第2の開口部は、第1の開口部のサイズの約50%~約90%である。例えば、いくつかの実施形態では、各中間チャネルの第1の開口部は600μmであり、各中間チャネルの第2の開口部は500μmである(例えば、第2の開口部は第1の開口部のサイズの約83%である)。さらに、いくつかの実施形態では、各中間チャネルのそれぞれの第1の開口部の直径は、複数のマイクロゲルユニットにおけるマイクロゲルユニットの直径以上であり、一方、第2の開口部の直径は、複数のマイクロゲルユニットにおけるマイクロゲルユニットの直径未満である。例えば、いくつかの実施形態では、複数のマイクロゲルユニットは、300μm~500μmの範囲で形成される。したがって、各中間チャネルの第1の開口部は500μm以上であり、各中間チャネルの第2の開口部は300μm以下である。1つ以上の中間チャネルの直径を変化させ得る上記の構成は、第1の溶液に懸濁された複数のマイクロゲルユニット内の1つ以上のマイクロゲルユニットが、第1の開口部を通って中間チャネルに入り、その後、マイクロゲルの直径よりも小さい直径を有する中間チャネルの一部に留まることを可能にする。
【0250】
例えば、参照する
図7では、例示的なデバイス700が示されている。デバイスは、第1のチャネル702-1および第2のチャネル702-2を含む。各チャネル702(例えば、第1のチャネル702-1および第2のチャネル702-2)は、第1の開口部および第2の開口部を含む。したがって、各チャネル702の各開口部のそれぞれは、システムの別の構成要素と連結するように構成された連結直径を有する連結部分710-1(例えば、管の一部を受け入れる)、およびチャネル直径を有するチャネル部分710-2を含む。さらに、第1のチャネル702-1と第2のチャネル702-2との相互連結が、中間チャネル704でなされる(例えば、第1の中間チャネル704-1、第2の中間チャネル704-2、第3の中間チャネル704-3、…、n
番目の中間チャネル704-n)。
図7のデバイス700は、16個の中間チャネル(例えば、第1の中間チャネル704-1、第2の中間チャネル104-2、…、および第16の中間チャネル704-16)を含む実施形態を示す。例示的な実施形態では、各中間チャネルは、約400μmの開口部を有する直方体形状に形成される。
【0251】
本開示のデバイス700の様々な実施形態の一般的な構造が説明されたことを踏まえ、マイクロゲルユニットの様々な製作技術および方法を詳細に説明する。
【0252】
いくつかの実施形態では、デバイス内の培地の流れは、滞留または停止されなければならない。例えば、デバイス内に細胞を播種し、細胞をデバイスのチャネルに付着させるには、細胞が浮遊している培地の流れを滞留させるか停止させる必要があり、さもないと、細胞がデバイスに付着せずにデバイスを通ってフラッシュされる危険がある。この播種を容易にするために、マイクロゲルユニットの懸濁液を含む溶液(例えば、培地)は、デバイスの少なくとも1つのチャネルを通って流れる。この流れは、デバイスの少なくとも1つの中間チャネル内に1つ以上のマイクロゲルユニットを体積させ、それはデバイスのチャネル間の培地の流れを滞留させるかまたは停止させる。
【0253】
複数のゼラチンメタクリロイル(GelMA)マイクロゲルユニットの製作は、様々な方法を使用して行うことができる。例えば、いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルは、マイクロ成形技術を介して、フォトマスキング技術を介して、バイオプリンティング技術を介して、自己アセンブリ技術を介して、付加製造技術(例えば、三次元印刷)を介して、マイクロ流体技術を介して、またはそれらの組み合わせを介して製作される。本開示の設計者の目標および利用される製作技術に応じて、少なくともある程度のメタクリロイル置換、GelMAマイクロゲルの濃度、光開始剤の濃度、およびUV光へのサンプル溶液の曝露時間を、個別にまたは組み合わせて制御してもよく、それにより得られるGelMAヒドロゲルの1つ以上の物理的特性が構成される。いくつかの実施形態では、物理的特性としては、第1の製作技術が第1のサイズ(例えば、50μm)の1つ以上のマイクロゲルを生成し、第2の製作技術が第2のサイズ(例えば、500μm)の1つ以上のマイクロゲルを生成するなどの、得られるGelMAマイクロゲルのサイズが挙げられる。いくつかの実施形態では、物理的特性には、得られるGelMAマイクロゲルの分解速度が含まれる。分解速度を制御することにより、それぞれのデバイスの中間チャネルを通る培地の流れを、分解速度に比例して、所定の時間、遅延または停止させることが可能になる。いくつかの実施形態では、物理的特性には、得られるGelMAマイクロゲルの形状が含まれる。いくつかの実施形態では、物理的特性には、得られるGelMAマイクロゲルの粘着性が含まれる。本開示の当業者であれば、制御可能な他の物理的特性を認知しているであろう。
【0254】
いくつかの実施形態では、GelMAは、緩衝液の存在下でのゼラチンと無水メタクリル酸(MA)との直接反応によって合成される。この反応により、アミノ酸残基の反応性アミンおよびヒドロキシル基にメタクリロイル置換基が導入される(
図2)。メタクリロイル置換の程度の変化は、反応混合物に添加されるMAの量を調整することによってGelMAにおいて達成可能であり、これにより、異なる物理的特性を有するGelMAが生成される。合成されたGelMAの光架橋は、水溶性開始剤を使用して紫外線(UV)光への曝露下で行うことができる。置換度、GelMA濃度、光開始剤(PI)濃度、およびUV光への曝露時間は、結果として得られるGelMAヒドロゲルマイクロユニットの物理的特性の調整を可能にするパラメータの一部である。
【0255】
したがって、
図8~
図10を参照して、本開示の実施形態に従い、フォトマスキング技術を通じて複数のGelMAマイクロゲルを製作する方法を説明する。いくつかの実施形態では、フォトマスキング技術は、プレポリマー溶液を形成することを含む。プレポリマー溶液の形成は、GelMAを緩衝液に溶解させ、光開始剤を添加することを含む。いくつかの実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)である。いくつかの実施形態では、溶解したGelMAは、5%重量/重量~35%重量/重量、7%重量/重量~20%重量/重量、10%重量/重量~30%重量/重量、15%重量/重量~25%重量/重量、または18%重量/重量~22%重量/重量(例えば、20%重量/重量)の範囲にある。さらに、いくつかの実施形態では、光開始剤は、プレポリマー溶液の0.5%重量/重量~2%重量/重量の範囲、プレポリマー溶液の0.5%重量/重量~1.5%重量/重量の範囲、プレポリマー溶液の1%重量/重量~1.5%重量/重量、またはプレポリマー溶液の0.8%重量/重量~1.2%重量/重量(例えば、1%重量/重量)で添加される。いくつかの実施形態では、光開始剤は、2-ヒドロキシ-1-(4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル)-2-メチル-1-プロパノンを含む。いくつかの実施形態では、より低い重量部のGelMA(例えば、20重量部%のGelMAと比較して7重量部%)を利用すると、典型的には、より高い重量部のGelMAマイクロゲルと比較して、それらの製作環境からより容易に着脱可能なマイクロゲルが生成される。しかしながら、これらのより低い重量部のGelMAマイクロゲルでは、しばしば、それらの製作された形状から変形し、かつ/または、より高い重量部のGelMAマイクロゲルと比較してより速い速度で分解する。同様に、より高い重量部のGelMA(例えば、20重量部%)では、典型的には硬く、かつ/または、周囲の環境および構造に付着しないが、それらの製作環境から分離するのが困難であり得る、マイクロゲルが生成される。いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液は、約75%~約90%のメタクリロイル置換度で形成される。本明細書で使用される場合、「GelMA_低」は約80%以下のメタクリロイル置換度を指し、「GelMA_中」は約80%を超えるメタクリロイル置換度を指し、「GelMA_高」は約90%を超えるメタクリロイル置換を指す。
【0256】
いくつかの実施形態では、フォトマスキング技術は、透光部のアレイを含むフォトマスクを製作および/または利用することを含む。フォトマスクの透光部のアレイの各透光部は、少なくとも1つの対応するGelMAマイクロゲルを形成する。いくつかの実施形態では、透光部のアレイは、円形のアレイ(例えば、薄いシリンダー)として形成され、これは、円筒形または円盤状のマイクロゲルを生成する。さらに、いくつかの実施形態では、各透光部は、50μm~750μm、50μm~650μm、100μm~650μm、100μm~500μm、150μm~650μm、150μm~550μm、200μm~550μm、または300μm~500μmの範囲の対応する直径で形成される。透光部のアレイにおける各透光部の追加の形状およびサイズが、本開示において利用可能である。いくつかの実施形態では、透光部のアレイ内の各透光部は、ほぼ等しい直径(例えば、±10μmなどの許容範囲内)で形成され、これにより、フォトマスクは、ほぼ等しいサイズの複数のGelMAマイクロゲルを生成することができる。同様に、いくつかの実施形態では、透光部のアレイは、所定の範囲の直径を有し、得られるGelMAマイクロゲルを様々なサイズ(例えば、300μm~500μmの範囲)で製作することを可能にする。
【0257】
いくつかの実施形態では、GelMAマイクロゲルを製作する際、所定量(例えば、体積または質量)のプレポリマー溶液および光開始剤が、第1のスライド上に配置(例えば、ピペットにより添加)される。いくつかの実施形態では、所定量は、5マイクロリットル(μL)~1,000μL、5μL~750μL、10μL~500μL、10μL~250μL、10μL~150μL、10μL~100μL、5μL~100μL、10μL~80μL、20μL~75μL、25μL~75μL、または35μL~65μL(例えば、50μL)の範囲である。いくつかの実施形態では、所定量は、スライドによって形成される収容構造の内部容量(例えば、体積)によって画定される体積(例えば、スライドの内面によって形成される内部体積)である。いくつかの実施形態では、所定量は、封じ込め構造の体積よりも少ない体積(例えば、封じ込め構造の体積の約95%)である。
【0258】
いくつかの実施形態では、第1のスライドの外縁部分は、1つ以上のスペーサーを取り囲む。1つ以上のスペーサーは、第1のスライドと第2のスライドとの間に垂直方向の分離(例えば、封じ込め構造の体積の高さ)を提供し、ならびに溶液の漏れの防止を補助する。さらに、いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液および光開始剤の配置が完了すると、第2のスライドが第1のスライドの上に配置され、プレポリマー溶液および光開始剤のフィルムをその中に均一に分配しながら、封じ込め構造を形成する。第1のスライドおよび/または第2のスライドのサイズ、ならびに1つ以上のスペーサーの厚さ(例えば、形成される垂直方向の分離)を変えることによって、マイクロゲルは、異なるアスペクト比で形成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、得られるマイクロゲルの厚さは、50μm~1,000μm、50μm~750μm、150μm~750μm、100μm~650μm、 150μm~650μm、100μm~550μm、150μm~550μm、150μm~500μm、100μm~450μm、150μm~450μm、200μm~500μm、または300μm~500μmの範囲である。さらに、いくつかの実施形態では、プレポリマー溶液および光開始剤の配置が完了すると、第2のスライドが第1のスライドの上に配置され、これが封じ込め構造を形成し、プレポリマー溶液および光開始剤のフィルムをその中に均一に分配する。少なくとも第1のスライドおよび/または第2のスライドのサイズ、ならびに1つ以上のスペーサーの厚さを変えることによって、マイクロゲルを異なるアスペクト比で構成することができる。
【0259】
いくつかの実施形態では、フォトマスクは、第2のスライドの上面に配置される。したがって、フォトマスクおよび封じ込め構造は、所定の時間、UV光に曝曝され、その際、フォトマスクの透光部はUV光を通過させ、同時に残りのUV光を遮断することを可能にする。いくつかの実施形態では、所定時間は、約30秒以下である。いくつかの実施形態では、所定時間は、1秒~180秒、1秒~150秒、1秒~120秒、10秒~120秒、1秒~90秒、1秒~60秒、5秒~60秒、5秒~50秒、5秒~40秒、10秒~40秒、5秒~30秒、または10秒~30秒の範囲である。いくつかの実施形態では、光は、10ナノメートル(nm)~480nm、100nm~480nm、100nm~400nm、200nm~480nm、200nm~400nm、300nm~480nm、300nm~400nm、または350nm~400nm(例えば、365nmの波長)の範囲の波長を有する。さらに、いくつかの実施形態では、紫外光は、立方センチメートル当たり10ミリワット(mWcm-3)~15mWcm-3、10.5mWcm-3~14.5mWcm-3、11mWcm-3~14mWcm-3、11.5mWcm-3~13.5mWcm-3、12mWcm-3~13mWcm-3、または12.2mWcm-3~12.8mWcm-3(例えば、12.4mWcm-3)の強度を有する。UV光に曝露させると、プレポリマー溶液の架橋が可能になり、GelMAマイクロゲルが生成される。
【0260】
いくつかの実施形態では、封じ込め構造は、GelMAマイクロゲルを回収するために、少なくとも部分的に分解される(例えば、破壊され)、複数のGelMAマイクロゲルの製作の完了をマークすることができる。いくつかの実施形態では、製作されたGelMAマイクロゲルは、連結された構造(例えば、マイクロゲルのネットワークまたはマトリックス)として形成され、GelMAマイクロゲルがデバイス内を適切に流れ、中間チャネルを塞ぐことを確実にするために物理的分離を必要とする。例えば、いくつかの実施形態では、GelMAマイクロゲルの製作は、マイクロゲルを相互連結するスパーを生成する。したがって、いくつかの実施形態では、GelMAマイクロゲルの回収は、生成されたGelMAマイクロゲルを鉱油浴に移すことを含み、これは、機械的撹拌(例えば、スパーを除去するかまたはマイクロゲルを取り除くための撹拌)に供される。いくつかの実施形態では、鉱油浴での撹拌には、ピペットで撹拌することが含まれる(例えば、ピペットを前後方向に、および/または円運動にて撹拌する)。いくつかの実施形態では、鉱油浴での撹拌には、超音波処理が含まれる。さらに、いくつかの実施形態では、鉱油浴での撹拌には、マグネチックスターラーを利用することが含まれる。上記の撹拌には、手動による撹拌および/または自動撹拌(例えば、自動システムを使用して行われる撹拌)が含まれる。
【0261】
いくつかの実施形態では、スライドおよび/または封じ込め構造のスペーサーから作製されたGelMAマイクロゲルを回収するには、プレポリマー溶液を配置する前の、スライドおよび/またはスペーサーの処理(例えば、プレコンディショニング)が必要である。例えば、いくつかの実施形態では、スライドおよび/または封じ込め構造のスペーサーの処理を行わないと、それぞれのスライドから製作されるマイクロゲルは、所望の性質を有さなくなる(例えば、製作されたマイクロゲルの粘着性が高まる)。したがって、いくつかの実施形態では、GelMAマイクロゲルの回収には、スライドおよび/またはスペーサーを水酸化ナトリウム(NaOH)溶液に浸漬することが含まれる。いくつかの実施形態では、スライドおよび/またはスペーサーは、所定の時間、浸漬される。いくつかの実施形態では、浸漬のためのこの所定の時間は、5分~60分、5分~50分、10分~45分、20分~40分、または25分~35分(例えば30分)の範囲である。スライドおよび/またはスペーサーを水酸化ナトリウム溶液に浸漬したのに続き、スライドおよび/またはスペーサーをエチルアルコール溶液に浸漬する。続いて、浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーを、所定の時間、超音波処理にかけ、それにより超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーが形成される。いくつかの実施形態では、この所定の時間は、5分~60分、5分~50分、10分~45分、5分~30分、または5分~20分(例えば15分)の範囲である。
【0262】
さらに、製作されたマイクロゲルの回収(例えば剥離)を促進するためのいくつかの実施形態では、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサーのために、プレポリマー溶液を配置する前に、方法は、約0.5重量%メトキシポリエチレングリコール5000Si(mPEG5000-Si)、約1重量%の酢酸、およびエチルアルコールのストック溶液を調製することをさらに含む。ストック溶液のサンプルは、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサー上に配置される。いくつかの実施形態では、サンプルは、5μL~500μL、5μL~250μL、10μL~250μL、5μL~100μL、10μL~100μL、5μL~750μL、25μL~70μL、または40μL~60μL(例えば、50μL)の範囲の体積を有する。いくつかの実施形態では、サンプルのサイズは、それぞれのスライドおよび/またはスペーサーのサイズに依存すると考えられる。それにもかかわらず、少なくとも1つのスライドおよび/またはスペーサーは、所定の時間加熱された環境に供され、それにより、インキュベートされたスライドおよび/またはスペーサーが形成される。いくつかの実施形態では、加熱された環境は、50℃~110℃、50℃~100℃、50℃~90℃、60℃~100℃、50℃~80℃、または65℃~75℃(例えば70℃)の温度を有する。さらに、いくつかの実施形態では、所定の加熱時間は、5分~60分、5分~50分、10分~45分、20分~40分、または25分~35分(例えば30分)の範囲である。それにもかかわらず、インキュベートされたスライドおよび/またはスペーサーは、脱イオン水に浸漬され、浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーが形成される。この浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーを、各浸漬されたスライドおよび/またはスペーサーのそれぞれの所定の時間、超音波処理に供することで、超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーが形成される。いくつかの実施形態では、この所定の時間は、5分~60分、5分~50分、10分~45分、5分~30分、または5分~20分(例えば、15分)の範囲である。さらに、超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーを乾燥させ、それにより、GelMAマイクロゲルを製作する際に将来使用する準備ができている、調製されたスライドおよび/またはスペーサーが形成される。いくつかの実施形態では、超音波処理されたスライドおよび/またはスペーサーの乾燥は、デシケーターを介して行われる。
【0263】
いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルは、マイクロ流体技術を使用して製作される。マイクロ流体技術は、第1の溶液(例えば、GelMA)を第2の溶液(例えば、鉱油またはグリセリンなどの非反応性流体)に懸濁して、第1の溶液の液滴の懸濁液を形成することを含む。いくつかの実施形態では、液滴は、第1の溶液および第2の溶液の流れを集中させるチャネルの組み合わせを使用して形成される。例えば、第1のチャネルはGelMAのストリームを生成し、第1のチャネルにそれぞれ直交する第2のチャネルおよび第3のチャネルは第2の溶液の流れを生成する。第2の溶液の流れは、第1の溶液の液滴の形成を補助する。液滴はさらにUV光に曝露され、製作されたGelMAマイクロゲルが形成される。いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲル中の1つ以上のGelMAマイクロゲルは、球体または回転楕円体として形成される。いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルには、直方体マイクロゲル、円筒形マイクロゲル、および/または球状(例えば、回転楕円体)マイクロゲルの組み合わせが含まれる。さらに、いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルには、ピラミッド形状の1つ以上のマイクロゲルが含まれる。
【0264】
さらに、本開示のいくつかの実施形態では、マイクロゲルは、1つ以上のプルロニックヒドロゲルマイクロゲルを含む。いくつかの実施形態では、プルロニックマイクロゲルは、上記のGelMAの溶解と同様の、純水(例えば、脱イオン水)中において、見かけの式EO100-PO65-EO100の、ポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)のトリブロックコポリマーであるプルロニックF127(pl F127)を溶解することを含むプロセスを介して製作される。したがって、いくつかの実施形態では、プルロニックF127 GelMAの製作は、プルロニックF127を、約0.25%の光開始剤を含む10%重量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に溶解させることを含む。いくつかの実施形態では、溶解では、脱イオン水中に約20重量%のプルロニックF127が含まれる。いくつかの実施形態では、溶解では、溶液浴として有機溶媒(例えば、ヘキサン、トルエン、クロロホルム(CHCl3)、ジクロロメタン、アセトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)を使用することが含まれる。いくつかの実施形態では、溶液浴は、非有機溶液および/または非水溶液(例えば、鉱油、オリーブ油、グリセリンなどの油相溶液)を含む。さらに、いくつかの実施形態では、複数のマイクロゲル中の1つ以上のマイクロゲルのサイズは、マイクロゲルの製作中の撹拌機構に従って決定される。例えば、いくつかの実施形態では、遅い撹拌速度(RPM)(例えば、4RPM)は、より大きいマイクロゲルを生成する。さらに、いくつかの実施形態では、表面張力を低減させる界面活性剤(例えば、ポリソルベート20(TWEEN20))および/または乳化剤(例えば、モノステアリン酸ソルビタン(SPAN60))が、マイクロゲルの安定性を高めるためにマイクロゲルの製作に含められる。
【0265】
いくつかの実施形態では、複数のマイクロゲル中の1つ以上のマイクロゲルは、付加製造を使用して製作される。いくつかの実施形態では、1つ以上のマイクロゲルは、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、PGLA、ポリカプロラクトン(PCL)、または同様のポリマーを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上のマイクロゲルは、GelMA、フィブリン、およびコラーゲンを含む。
【0266】
いくつかの実施形態では、デバイスの中間チャネル内の流れを滞留させるかつ/または停止させるために、複数のGelMAマイクロゲルが第1の溶液内に懸濁される。いくつかの実施形態では、第1の溶液は、作業溶液1mL当たり10マイクロゲル~作業溶液1mL当たり10,000マイクロゲル、作業溶液1mL当たり10マイクロゲル~作業溶液1mL当たり5000マイクロゲル、作業溶液1mL当たり100マイクロゲル~作業溶液1mL当たり5,000マイクロゲル、作業溶液1mL当たり500マイクロゲル~作業溶液1mL当たり5,000マイクロゲル、作業溶液1mL当たり100マイクロゲル~作業溶液1mL当たり2,500マイクロゲル、作業溶液1mL当たり500マイクロゲル~作業溶液1mL当たり2,500マイクロゲル、作業溶液1mL当たり500マイクロゲル~作業溶液1mL当たり2,000マイクロゲル、1mL当たり500マイクロゲル作業溶液~作業溶液1mL当たり1,500マイクロゲルまで、または作業溶液1mL当たり750マイクロゲル~作業溶液1mL当たり1,250マイクロゲル(例えば作業溶液1mL当たり約1,000マイクロゲル)の範囲で、複数のマイクロゲルの懸濁液を含む。いくつかの実施形態では、第1の溶液中の複数のGelMAマイクロゲルの懸濁液が形成されると、第1の溶液中の複数のGelMAマイクロゲルの懸濁液が、デバイスの第1のチャネルを通して灌流される。第1の溶液中の複数のGelMAマイクロゲルの懸濁液の灌流は、複数のGelMAマイクロゲル中の1つ以上のGelMAマイクロゲルの、1つ以上の中間チャネルの少なくとも1つにおける流れを滞留させ、および/または停止させる。いくつかの実施形態では、単一のGelMAマイクロゲルが、それぞれの中間チャネルにおける流れを滞留させ、および/または停止させるのに十分である。いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲルが、それぞれの中間チャネルにおける流れを滞留させ、および/または停止させるのに十分である。例えば、いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲル中のそれぞれのGelMAマイクロゲルは、中間チャネルのサイズ(例えば、直径)にほぼ等しいサイズ(例えば、直径)を有する。したがって、それぞれのGelMAマイクロゲルは、中間チャネル内の流れを滞留させ、かつ/または停止させるために、中間チャネルの開口部で変形し、かつ/またはその中に留まる。いくつかの実施形態では、複数のGelMAマイクロゲル中のそれぞれのGelMAマイクロゲルは、中間チャネルの開口部のサイズよりも小さいサイズを有する。したがって、1つ以上のGelMAマイクロゲルが中間チャネルの開口部に流れ込み、中間チャネル内に留まり、それにより、中間チャネル内の流れを滞留させ、かつ/または停止させる。例えば、
図7Bを簡潔に参照すると、1つ以上の中間チャネル704の構造は、少なくとも3つのGelMAマイクロゲル802(例えば、第1のGelMAマイクロゲル202-1、第2のGelMAマイクロゲル802-2、および第3のGelMAマイクロゲル802-3)を含み、それらが中間チャネル内の流れを滞留させ、および/または停止させる。デバイスの中間チャネルを通る培地の流れを滞留させるかまたは停止させる必要がなくなったとき、流れを滞留させるかまたは停止させるマイクロゲルを除去し得る。いくつかの実施形態では、マイクロゲルの除去は、マイクロゲルの除去を促進する圧力差が形成されるように、デバイスを通じた流体の流れを適用することを含む。同様に、いくつかの実施形態では、マイクロゲルの除去は、マイクロゲルがデバイス内で分解するように(例えば、マイクロゲルの分解速度に従って)一定の時間を経過させることを含む。
【0267】
いくつかの実施形態では、デバイスの第1のチャネルを介した第1の溶液中の複数のGelMAマイクロゲルの懸濁液の灌流に続いて、流体(例えば、培地)の流れがデバイスの第2のチャネルに適用される。この流体の流れは、デバイスの第1のチャネルと第2のチャネルとの間に圧力差を生じさせ、これにより、GelMAマイクロゲルが1つ以上の中間チャネルに流れ込み、流れを滞留させ、かつ/または停止させる。いくつかの実施形態では、重力がGelMAマイクロゲルを介した中間チャネル内の流れの遅延または阻止を促進するには不十分であるため、この圧力差は、中間チャネル内にGelMAマイクロゲルを配置するために必要である。
【0268】
図11~
図13、ならびに
図31A、31B、および31Cを参照すると、GelMAマイクロゲルで満たされたマイクロチャネル導管ネットワークデバイスの様々な図が示されている。
図11~
図13、
図31A、31B、および31Cに示されるように、第1のチャネルは、複数のGelMAマイクロゲル802で満たされ、これは、続いて、1つ以上の中間チャネル704(例えば、構造)において流れを滞留させ、かつ/または停止させる。
【0269】
したがって、本開示のGelMAマイクロゲルは、様々なデバイスのマイクロチャネル内の流れの一時的な滞留および/または停止を可能にする。GelMAマイクロゲルは、様々な技術によって、そして多種多様な形状およびサイズで製作することができ、本開示の設計者の目標に従って、流れを滞留させるかつ/または停止させることを可能にする。
【0270】
さらに、GelMAマイクロゲルは分解性であるため、デバイス内の流れの遅延および/または停止は一時的であり得、そのようなデバイスの使用を延長させる。
【0271】
PLGAによる流れの停止。非限定的な例として、PLGAは、水溶液中でのそのエステル結合の加水分解によって分解し、PLAおよびPGAモノマーを生成する。いくつかの実施形態では、PLGAミクロスフェアの初期平均サイズは、0日目で約533.7±58.62μmであり、培養24時間後に約520.6±117.04μm、および培養48時間後に509.9±63.24μmのサイズに減少した。これらのミクロスフェアはその後8日間減少し続け、これは、PBS溶液中でのPLGAミクロスフェアの加水分解を示す(
図1B)。しかしながら、平均直径は11日目に増加し、その増加が維持されたが、これは、ミクロスフェアの膨潤を示し、一方で分解が培養期間を通じて継続した。前述のように、膨潤は、浸透圧の上昇による外部および内部からの水の拡散(例えば、水の取り込み)によって引き起こされるPLGAミクロスフェアの分解における重要なプロセスである。16日目に、ミクロスフェアは分解プロセスのため、小さな断片に完全に分割された。22日目に、PLGAミクロスフェアはもはや球形を維持しなくなり、ポリマー自体が完全に拡散し、96ウェルプレートの表面に付着し、その状態が維持された。これにより、本開示のミクロスフェアは、マイクロチャネルデバイス内の流れの停止および/または滞留を可能にする。
【0272】
本開示の様々な態様は、1つ以上のデバイスを通じて培地の流れを導くためのシステムを提供することに関する。システムは、培地をそこを通じて流すように構成された1つ以上のデバイスを含む。1つ以上のデバイスの配置およびそこを通る培地の流れは、システムの配置に応じて、システムが、栄養素の供給および/または1つ以上のデバイス内で培養された様々な細胞から老廃物の除去を提供するように、構成可能であり。
【0273】
本開示のデバイスは、入口および出口を有するチャネルを含む。デバイスの入口および出口に介在するのは、細胞を培養するための構造を含むインサートを収容するように構成されたウェルである。いくつかの実施形態では、デバイスの入口および出口は通常、形状が管状であり、同じ内径を有する。さらに、いくつかの実施形態では、デバイスの入口および出口は、それぞれのチャネル内に配置された平面流ノズルを含む。平面流ノズルにより、システム内を流れる培地は平面状または線状の流路を有する。例示的な実施形態では、平面状の流路は、システム内の培地の実質的に一定の流速を提供する。一般に、それぞれのデバイス内の培地の速度は、それぞれのデバイスの細胞によって受け取られる栄養素の濃度を決定する。この一定の流速は、システムの1つ以上のデバイス全体において一定の流量を提供し、したがって、栄養素および/または老廃物の一定の濃度を提供する。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、垂直軸に関して対称である。いくつかの実施形態では、培地の流れは、システムのデバイス全体にわたる層流である。
【0274】
図14を参照すると、本開示の例示的なマイクロチャネル導管ネットワークデバイス700-2が示されている。デバイス700-1は、デバイスを通る培地130の流れに対応するチャネル110を含む。チャネル100は、チャネルの第1の端部分に入口112を含み、チャネルの第2の端部分に少なくとも出口114を含む。いくつかの実施形態では、デバイスの1つ以上の入口および出口は、培地の流れが通過するシリコンチューブと連結されるように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、入口または出口のいずれかの端部分は、シリコンチューブによって受容され(例えば、入口または出口のいずれかの端部分は、シリコンチューブによって受容されるオス部分である)、これにより、チューブとチャネルの入口または出口との間の密封状態が形成される。いくつかの実施形態では、シリコンチューブは、入口または出口のいずれかの端部分によって受容される(例えば、入口または出口のいずれかの端部分は、メス部分である)。いくつかの実施形態では、それぞれのデバイスのチャネルは、複数の連結ピン(例えば、対応するメスおよびオスの連結ピン)を介して互いに連結される。
【0275】
いくつかの実施形態では、デバイスは、細胞を培養するためのインサートを収容するように構成されたウェルを含む。ウェルは、チャネルの入口と出口との間に介在し、それにより、システムの培地が入口からウェルの少なくとも一部を通ってデバイスの出口に向かって流れる。いくつかの実施形態では、デバイスのチャネルは、デバイスの構成要素間の偶発的な分離のリスクを最小限に抑える複数の金属性の連結ピンを使用してウェルに連結される。いくつかの実施形態では、デバイスのチャネルは、ルアーロックなどの可逆的締め具またはジョイントを介してウェルに連結される。いくつかの実施形態では、デバイスのチャネルは、標準化されたフィッティングを介してウェルに連結される。例えば、いくつかの実施形態では、標準化されたフィッティングは、国際標準化機構(ISO)80369(2017)、「ヘルスケアアプリケーションにおける液体および気体用の小口径コネクタ」、ISO/TC210品質管理および対応する一般的な医療機器用側面、ICS11.040.25、印刷、によって定義されたものである。
【0276】
図41および42を参照すると、いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、それぞれのマイクロチャネル導管ネットワークデバイスをバイオリアクターシステムと連結することを容易にする複数のコネクタを含む。図示のように、複数のラチェットフリーゾーンは、整数個のラチェットによるカプラーの利用を可能にする。いくつかの実施形態では、カプラーのポート長(例えば、より大きい直径部分)は、約0.3mm~約1.8mmである。いくつかの実施形態では、ポート長は、0.5mm、0.8mm、または1.8mmである(例えば、サイズ#3または#5のチューブなどの所定のサイズのチューブに対応する)。
【0277】
さらに、いくつかの実施形態では、バイオリアクターシステムは、筺体を含むか、または筺体内に包含される。このようにして、バイオリアクターシステムは環境から密閉され、バイオリアクターシステムの内部機能を汚染から保護する。例えば、いくつかの実施形態では、PMMA筺体は、バイオリアクターシステムを包含し、そこにおいて、ポンプは、マイクロチャネルデバイスなどの1つ以上の構成要素および/またはガス交換用のフィルター(例えば、HEPAフィルター)に連結されるための適切な開口部と、ならびにマイクロチャネルデバイスの入口および出口チャネルへのおよび/またはそこからの培地の流れを可能にするための1つ以上のポート(例えば、カプラー)と、を有する。
【0278】
いくつかの実施形態では、ウェルは、ウェルの空洞内に細胞培養インサートを収容するように構成される。インサートは、複数の細胞および他の生物学的材料を播種するための構造を含む。いくつかの実施形態では、インサートは、インサートの下端部分から外向きに突出する複数の脚を含む。インサートの複数の脚は、ウェルのエッジ部分に接触し、それによりウェルとインサートの間に間隔を空ける。したがって、間隔は、デバイスのチャネル、ウェル、およびインサートの間での培地の流れを可能にする。代替的に、細胞培養インサートは、流体の流れおよび排出のための適切な間隔を提供するような、吊り下げインサート(例えば、インサートがウェルの上端部分に載っている)、または脚を必要としない他のタイプのインサートであり得る。さらに、ウェルのエッジ部分は、デバイス内の培地の流れおよび排出のための適切な間隔を提供するようにインサートが置かれるように、複数のスペーサーを含むことができる。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、インサートの一部は、半透膜などの膜を含む。インサートに生細胞が含まれる場合、細胞と培地の間に栄養素の勾配が存在するため、膜は栄養素の勾配によって駆動される、膜を介した培地の拡散を提供する。いくつかの実施形態では、インサートの下端部分は膜を含む。いくつかの実施形態では、インサートの1つ以上の側壁は、膜を含む。ウェルはチャネルと連絡しており、ウェルの細胞培養インサートの上にカプレットを配置して、ウェル内の培地の流路を制御する。
【0279】
いくつかの実施形態では、インサートは、ポリスチレンインサートである。いくつかの実施形態では、ウェルのインサートは、約10.5ミリメートル(mm)の高さを有する。いくつかの実施形態では、ウェルのインサートは、9mm~11mmの範囲の高さを有する。いくつかの実施形態では、インサートは約12mmの直径である。いくつかの実施形態では、インサートは、10mm~14mm、11mm~13mm、または11.5mm~12.5mmの範囲の直径である。さらに、いくつかの実施形態では、ウェルのインサートは、複数の細孔を含む。インサートの細孔は、インサートに保持された細胞とシステム内の培地との間で材料の交換を可能にする(例えば、栄養素を提供し、および/または老廃物を除去する)ように構成される。いくつかの実施形態では、インサートは、約1,000立方ミリメートル(mm3)の体積を有する物体(例えば、複数の細胞、スポンジ、ヒドロゲルなど)を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、インサートは、1×10-12mm3~1,500mm3、1×10ー5mm3~1,500mm3、または1mm3~1,500mm3の範囲の体積を有する物体を収容するように構成される。いくつかの実施形態では、インサートは、1mm-3~200mm2、1mm2~150mm2、または1mm-2~100mm2の範囲の断面積を有する物体に構成される。
【0280】
本開示のシステムおよび方法は、いくつかの実施形態では、大きい空間領域(例えば、少なくとも100mm2の断面積)を占める細胞を培養するように構成される。いくつかの実施形態では、ウェルのインサートは、400 Summit Drive(バーリントン、マサチューセッツ州 01803)のMilliporeSigmaによって提供されるようなインサートおよび/または膜である。いくつかの実施形態では、インサートは膜を含む。例えば、いくつかの実施形態では、インサートは、複数の細胞をさらに含む膜を収容するように構成される。同様に、いくつかの実施形態では、インサートは、それ自体、培地と複数の細胞との間の材料の交換を可能にする膜部分を含む。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、インサートは、細胞が逃げるのを防ぎながら、インサートを通る培地の流れを可能にするメッシュ部分を含む。いくつかの実施形態では、インサートの上部(例えば、デバイスのカプレットに近接するインサートの一部)、インサートの下部(例えば、デバイスのチャネルに近接するインサートの一部)、またはインサートの上部と下部の両方に、メッシュが備わる。例えば、いくつかの実施形態では、インサートは、約30ナノメートル(nm)、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、または約90nmのメッシュ開口部を有するメッシュを含む。いくつかの実施形態では、インサートは、約50nm~1,000nm、約50nm~200nm、または約60nm~150nmの範囲のメッシュ開口部を有するメッシュを含む。それにもかかわらず、本開示のシステムおよび方法は、比較的大容量の各デバイス内(例えば、約500mm3~1000mm3の大容量)で細胞を培養することが可能である。この比較的大容量であることにより、システムでは、生理学的に関連する塊の状態で細胞を培養することが可能となり、1つのシステム内で複数のタイプの細胞を培養することが可能となるが、従来のシステムは、球形の塊またはモデルを培養することが可能であるにすぎなかった。
【0281】
図1Aに示されるように、デバイス100-1は、インサート122を収容するように構成されたウェル120を含む。培地130は、デバイスの入口112を通って受容され、ウェル120を通って流れ、少なくとも部分的にインサート122を通って流れ、出口114を通って出る。
図1Aで明らかなように、デバイス100-1は、垂直軸に関して対称であり、その結果、デバイス内の流れ条件は、平面軸に関して均一である。培地のこの平面的な流れにより、インサートの細胞は均一で一定の濃度の栄養を受け取ることができる。
【0282】
いくつかの実施形態では、本開示のデバイスは、デバイスのウェル上に配置されるカプレットを含む。カプレットは、デバイスの少なくとも一部(例えば、デバイスのウェル)を外部環境から密封する(例えば、培地および/または細胞の汚染を防止する)ように構成され、いくつかの実施形態では、カプレットは、デバイスに着脱可能に連結され、デバイス内のインサートの操作および観察(例えば、インサートの取り付け、インサート内で培養された細胞の検査、インサートの取り外しなど)を容易にする。いくつかの実施形態では、カプレットはウェルによって収容される(例えば、カプレットの一部がウェルの内縁部分に連結する)。例えば、いくつかの実施形態では、カプレットは、ウェルの対応するオス部分を受容するように構成されたメス部分を含む。いくつかの実施形態では、デバイスのカプレットおよびウェルは、対応するねじ部分を含むことで、カプレットおよびウェルは、対応するねじ部分の回転運動を介して連結される。それにもかかわらず、カプレットとウェルとの連結は、培地および細胞の汚染を防ぎ、同時に培地がデバイスから外部に漏れるのを防ぐ、または液体がデバイス内に入るのを防ぐ機構(例えば、圧入、ねじ切りなど)を使用して行われることが好ましい。
【0283】
いくつかの実施形態では、カプレットは、デバイスを通る培地のさらなる流路を提供するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、カプレットは、デバイス内の培地が通過するための追加の流路を提供するように構成された第2の出口を含む。例えば、いくつかの実施形態では、第1の出口(例えば、チャネルの出口)を通る培地の流れは遮断または滞留され、それにより、デバイスを通る培地が入口からウェルを通ってカプレットの第2の出口に向かって流れるようになる。いくつかの実施形態では、培地は、入口からウェルを通って、チャネルの第1の出口およびウェルの第2の出口の両方に向かって流れる。いくつかの実施形態では、培地は、入口からウェルを通って、チャネルの第1の出口およびウェルの第2の出口のいずれかまたは両方に向かって選択的に流れる。この選択的な流れは、システムの1つ以上のポンプによって提供される圧力勾配(例えば、それぞれの出口に連結されたポンプの吸引圧力)に依存する。いくつかの実施形態では、第1の流入開口部および第2の流出開口部は、それぞれ、マイクロチャネル導管ネットワークデバイスをポンプと着脱可能に連結するように構成された固定機構を備える。
【0284】
いくつかの実施形態では、カプレットの第2の出口は、第1の直径から第2の直径への内径の減少を含む。したがって、カプレットの第2の出口は、いくつかの実施形態では、ウェルの直径にほぼ等しい第1の直径から、デバイスの入口の内径にほぼ等しい第2の直径まで減少する。いくつかの実施形態では、第1の直径から第2の直径へのカプレットの内径の減少は、直線的な減少である(例えば、減少が直線的な傾斜としてなされる)。いくつかの実施形態では、減少は、直径の離散的な(例えば、突然のまたは段階的な)減少である。それにもかかわらず、カプレットの出口の内径の減少により、デバイスを通る培地の流路が集中(例えば、収束)しながら、その中の平面流特性が維持される(例えば、平面的な層流が維持される)。いくつかの実施形態では、カプレットの第2の出口は、チャネルの入口および出口に関して上記したのと同じ連結機構(例えば、オスの対応するメスへの連結機構)を含む。
【0285】
いくつかの実施形態では、システムは、システム内に圧力差を生じさせ、システムを通る培地の流れを提供するように構成された1つ以上のポンプを含む。例えば、いくつかの実施形態では、ポンプは、システムを通じて培地を押し出す(例えば、排出する)または駆動するために、システムの上流に配置される(例えば、
図4Aに示されるようなシステム)。いくつかの実施形態では、ポンプは、システムを通して培地を引っ張る(例えば、吸引する)または引くために、システムの下流に配置される(例えば、
図4Bに示されるようなシステム)。例えば、いくつかの実施形態では、ポンプは、それぞれのデバイスのチャネルの出口の下流に配置され、これにより、出口を通って培地を引き出すことが可能になる(例えば、
図2の流路132-1によって示される)。いくつかの実施形態では、ポンプは、それぞれのデバイスのカプレットの第2の出口の下流に配置され、これにより、カプレットの第2の出口を通って培地を引き出すことが可能になる(例えば、
図2の流路132-2によって示される)。いくつかの実施形態では、第1のポンプが、デバイスのチャネルの出口の下流に配置され、第2のポンプが、デバイスのカプレットの第2の出口の下流に配置される。この第1および第2のポンプの構成により、チャネルの出口およびカプレットの第2の出口の両方から培地を引き出すことが可能になる(例えば、培地はデバイスの入口から流れ、
図2の流路132-1および132-2に示されるチャネルの出口およびカプレットの出口から出る)。各ポンプの構成に応じて、デバイスの各出口から引き出される培地の流れは、均一(例えば、同じ流量が両方の出口を通る)であるか、または不均一(例えば、デバイスの第1の出口を通る第1の培地の流量と、デバイスの第2の出口を通る第2の培地の流量とが異なる)であり得る。いくつかの実施形態では、ポンプは、約200キロパスカル(kPa)以下、約100kPa以下、約90kPa以下、約80kPa以下、約70kPa以下または約50kPaまたは以下の最大吐出圧である。いくつかの実施形態では、ポンプは、約200キロパスカル(kPa)以下、約100kPa以下、約90kPa以下、約80kPa以下、約70kPa以下または約50kPaまたは以下の最大吸引圧である。いくつかの実施形態では、ポンプは、Welco WPM2ポンプ(例えば、東京都府中市住吉町3-3-1、183-0034、日本のウェルコ社によって提供されるWelco WPM2-P1EA-CPポンプ)である。
【0286】
いくつかの実施形態では、システムは、少なくともシステムの1つ以上のポンプを動作させるように構成されたコントローラを含む。ポンプの動作には、各ポンプのそれぞれの電力状態(例えば、オン状態およびオフ状態)の制御、ならびに各ポンプのそれぞれによって提供される流量の制御(例えば、各ポンプのそれぞれのモーターの回転速度の制御)が含まれる。ポンプのこの動作は、各ポンプのそれぞれの流量を調節するダイヤルなどの様々な物理的機構を介して、およびコントローラに提供される指示を介して実行できる。
【0287】
前述のように、本開示のいくつかの実施形態では、システムは、システム内で複数の細胞培養を可能にするために複数のデバイスを含む。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、様々な構成で配置することができる複数のデバイスを含む。いくつかの実施形態では、複数のデバイス内の1つ以上のデバイスは、複数のデバイス内の1つ以上の隣接するデバイスと連結され、連通する(例えば、システムの培地が第1のデバイスから第2のデバイスに流れるように、これらのデバイスが連結され、流体連通する)。いくつかの実施形態では、システムの複数のデバイスは、第1のデバイスのそれぞれのチャネルの出口が第2のデバイスのそれぞれのチャネルの入口と連通するように、並列に連結される。同様に、いくつかの実施形態では、システムの複数のデバイスは、各デバイスで培養されたそれぞれの細胞が、複数のデバイス内の別のデバイスの細胞から単離される(例えば、第1のデバイスを通って流れる培地が、第2のデバイスを流れる培地から分離されている)ように、直列に連結される。同様に、いくつかの実施形態では、システムの複数のデバイスは、並列に連結されたデバイスの少なくとも第1のサブセットと、直列に結合されたデバイスの第2のサブセットと、を含む。それぞれのシステム内で複数のデバイスを利用する実施形態は、システム内で複数のタイプの細胞を培養すること、および/または培養細胞に対する材料の有効性を決定することを可能にする。例えば、供給ラインおよび出口ラインのネットワーク(シリコンチューブなど)は、多数のウェルを直列に接続するように構成することができ、これにより、システムが、栄養素および老廃物の濃度が勾配的な増減で変化する生体内組織の状態を、臓器の空間的次元全体の場合のようにモデル化することを可能にする。
【0288】
さらに、いくつかの実施形態では、システムは、1つ以上の培地のリザーバを含む。システムの1つ以上のリザーバ内の各リザーバは、システムの供給された培地および/または様々な副産物(例えば、胆汁流出物など、デバイスのウェル内に保持される、様々な細胞によって生成される老廃物)を収容するように構成される。例えば、いくつかの実施形態では、システムの1つ以上のリザーバは、最初に供給された培地を収容する第1のリザーバ(例えば、
図4のリザーバ200-1)を含む。いくつかの実施形態では、システムの1つ以上のリザーバは、システムまたはシステムの各のデバイスを通って流れた培地または老廃物を回収する第2のリザーバ(例えば、
図4のリザーバ200ー2)を含む。いくつかの実施形態では、システムは、リザーバがシステムを通って流れる過剰の培地を収容するように構成されるように、閉ループを形成する(例えば、
図4Dのリザーバ200)。
【0289】
図16を参照すると、第1のデバイス700-1および第2のデバイス700-2が並列に連結されているシステムの実施形態が示されている。
図16において、破線および矢印は、デバイスを通る培地130の流路を表す。
図17に示されるように、培地130は、第1のデバイス700-1の入口112-1を通って受容され、第1のデバイスのウェル120-1を通って流れる。培地130は、第1のデバイス700-1の出口114-1によって受容され、次に、第2のデバイス700-2の入口112-2を通って受容される。培地130が第2のデバイス700-2のウェル120-2によって受容されると、培地の流れは、第2のデバイス内の圧力勾配に依存して、第2のデバイスの出口114-2または第2のデバイスのカプレットの出口114-3のいずれかに向かって継続し得る。例えば、いくつかの実施形態では、培地130は、第2のデバイス700-2の出口114-2を通って連続し、一方、ウェル120-2内に収容された細胞によって生成された老廃物は、第2のデバイスのカプレットの出口114-3を通ってシステムから除去される。
【0290】
図16を参照すると、いくつかの実施形態では、デバイスのカプレットは、Oリングを介してウェルに連結される。いくつかの実施形態では、カプレット、ウェル、またはカプレットとウェルの両方は、Oリングを収容するように構成された溝を含む。このOリングは、それぞれのデバイスのカプレットとウェルとの間に密封状態を形成するように構成され、空気または同様の汚染物質がシステムに混入しないこと、および/または培地がシステムから漏れないことを確実にし、したがって、システムを外部環境(例えば、大気条件)から隔離し、デバイス内部の環境の一体性を維持する。システムが外部環境から隔離されることをさらに確実にするために、いくつかの実施形態では、ウェルの少なくとも壁と接触している着脱可能なカプレットの各表面は、疎水性材料を含む。いくつかの実施形態では、このような疎水性材料を含めることは、少なくともウェルの表面(例えば、壁)と接触しているカプレットの各表面を疎水性材料でコーティングする(例えば、2つの疎水性材料のコートを塗布する)ことを含む。例えば、いくつかの実施形態では、疎水性材料は、Rust-Oleum(登録商標)(ヴァーノンヒルズ、イリノイ)から市販されているNeverWet(登録商標)である。いくつかの実施形態では、Oリングは、疎水性材料を含む(例えば、疎水性材料がOリング上にコーティングされている)。いくつかの実施形態では、Oリングは、0.3インチ(インチ)~0.7インチ、0.4インチ~0.6インチ、または0.4インチ~0.5インチの範囲の内径を有する。いくつかの実施形態では、Oリングは、0.489インチの内径を有する。いくつかの実施形態では、Oリングは、0.4インチ~0.8インチ、0.5インチ~0.7インチ、または0.6インチ~0.7インチの範囲の外径を有する。いくつかの実施形態では、Oリングは、0.629インチの外径を有する。
【0291】
前述のように、いくつかの実施形態では、本開示のシステムは、細胞を培養するため、および/またはシステム内で培養された細胞に対して生物学的実験を実施するために利用される。したがって、いくつかの実施形態では、細胞培養インサートは、細胞の培養を容易にするスポンジまたはメッシュを含む。例えば、いくつかの実施形態では、インサートのスポンジは、ブタの真皮から調製されたものなどの1型コラーゲンスポンジである。いくつかの実施形態では、細胞培養インサートは、円筒形ゲルフォーム(foam)などのゲルフォームである。いくつかの実施形態では、細胞培養インサートは、ニューヨーク州ニューヨーク市のファイザー社によって提供されるようなゲルフォームである。それにもかかわらず、いくつかの実施形態では、細胞培養インサートはゼラチンでコーティングされている。例えば、いくつかの実施形態では、細胞培養インサートは、約2%ゼラチン、約1.5%ゼラチン、約1%ゼラチン、約0.5%ゼラチン、約0.2%ゼラチン、約0.1%ゼラチン、または約0.05%ゼラチンでコーティングされている。
【0292】
本開示の別の態様は、細胞を培養する方法を提供することに関する。いくつかの実施形態では、方法は、上記のようなシステムの一実施形態を利用する。それにもかかわらず、方法は、システムの1つ以上のデバイス内で培養される複数の細胞を播種することを含む。いくつかの実施形態では、播種は、それぞれのデバイスのウェル内にインサートを配置し、インサートに細胞を収容させることを含む。いくつかの実施形態では、播種は、システムの培地内に細胞を懸濁し、続いて培地をシステムに流すことを含む。
【0293】
したがって、方法は、培地をシステムに流すことをさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の細胞が、それぞれのデバイス内で二次元的に培養される(例えば、インサートの膜上で培養される)。いくつかの実施形態では、複数の細胞が、それぞれのデバイス内で三次元的に培養される(複数の細胞が、例えば、細胞足場デバイス内に埋め込まれる、および/または、例えば、ヒドロゲルに懸濁される)。
【0294】
いくつかの実施形態では、デバイスのウェルに細胞を播種する前に、カルシウムが胆汁および他の類似の産生物の区画化を補助することから、複数の細胞として肝細胞を培養して、肝細胞によって小管を形成させることが一般に好ましい。いくつかの実施形態では、複数の細胞は、約20分の所定の時間、溶液に曝露される。有益な曝露時間の使用は、本開示に含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、所定の時間は約10分である。いくつかの実施形態では、所定の時間は約15分である。いくつかの実施形態では、所定の時間は約25分である。いくつかの実施形態では、所定の時間は約30分である。
【0295】
いくつかの実施形態では、複数の細胞は、約1×102細胞/平方センチメートル、約5×102細胞/平方センチメートル、約1×103細胞/平方センチメートル、約5×103細胞/平方センチメートル、約1×104細胞/平方センチメートル、約5×104細胞/平方センチメートル、約1×105細胞/平方センチメートル、約5×105細胞/平方センチメートル、約1×106細胞/平方センチメートル、または約5×106細胞/平方センチメートルの密度でウェルに播種される。
【0296】
いくつかの実施形態では、システム内の培地の流れは、約150マイクロリットル/分(μL/分)、約200μL/分、約250μL/分、約300μL/分、約350μL/の流量で行われる。分、約400μL/分、約450μL/分、約500μL/分、約550μL/分、約600μL/分、約650μL/分、または約700μL/分で実施される。一般に、システム内の培地の流れは、細胞に損傷を与えることなく、システム内の細胞への適切な栄養素の供給および老廃物の除去が行われるように、臓器内の流体の流れを模倣する流量で行われる。
【0297】
本開示のシステム、デバイス、および方法の様々な実施形態の一般的な構造を説明したところで、次に、本開示の様々な実施例を詳細に説明する。
【0298】
実施例1-肝細胞の培養
システムのデバイスは、それぞれのインサートに収容された複数の肝細胞を含む。培地を導入すると、肝細胞は、血液流出物および胆汁流出物を生成する。したがって、ポンプは、デバイスのチャネルの出口が血液流出物を受容するように構成される一方で、チャネルの出口が胆汁流出物を受容するように構成されるように、システムに連結される。この構成により、各排出液のそれぞれに対して様々な実験および決定を行う(例えば、それぞれの排出液が後続の細胞を殺傷するか否かを決定する)ことができる。
【0299】
実施例2-細胞の播種およびデバイス内部のコーティング
簡潔に参照する
図19では、ウェルの側壁をコーティングする際の様々な実験の結果を示す。
図19の実験では、HepG2細胞株を、1立方センチメートル当たり約3×10
5細胞の密度で播種し、静的または動的条件のいずれかで(例えば、培地の流れに供して)培養した。細胞内の極性化を検出するために、細胞をフルオレセインジアセテート(FDA)に1時間曝露した。培地のサンプルを、播種された細胞を含むデバイスのウェルから捕捉し、かつ、ウェルの下のデバイスの部分(例えば、デバイスのチャネル)から捕捉した。結果は、HepG2細胞を欠くデバイスの下部と比較し、デバイスの上部(例えば、ウェルの上部)では高い蛍光を示す好ましい傾向を示した。デバイスの下部への細胞の播種を増加させるため、細胞を播種する前に、デバイスのそれぞれの表面に0.1%ゼラチンをコーティングした。したがって、
図19の測定された切断によって示されるように、播種された細胞の最適密度は、0.1%ゼラチンコーティングを含ませ、立方センチメートル当たり約1×10
4細胞~立方センチメートル当たり約1×10
5細胞の密度で細胞を播種することによって達成される。
【0300】
実施例3-播種のパラメータ
いくつかの実施形態では、細胞の播種の前に、デバイスのカプレット(例えば、デバイスの上端部分)を乾燥させるかまたは事前に水和させ、カプレットを、播種の前に培地および/またはゼラチンで曝露する。同様に、いくつかの実施形態では、播種の前に、デバイスのウェルの下端部分を乾燥させるか、または事前に水和させる。簡潔に参照する
図20、
図21、および
図22では、細胞の播種のプロトコルに関連する様々な実験からの結果を示す。図は、円筒形のゲルフォームスポンジに、約1×10
6個のHepG2細胞をロードした実験の結果を示す。これらの細胞を、約400μL/分の流速の培地の流れの下で3日間または6日間培養した。さらに、細胞を上記の流れに曝露する間、ミリリットル当たり約3マイクログラム(μg/mL)のフルオレセインジアセテートに曝露した。8時間にわたって、培地アリコートを捕捉し、細胞インサートの下(例えば、ウェルの下端部分のスポンジの下)のもの、および細胞インサートを通過した後(例えば、デバイスの上端部分のスポンジを通過した後)のものを測定し、その結果を
図20および
図21に示す。
図20、
図21、および
図22に示すように、インサートの下および細胞の内側で測定された蛍光は、アッセイの開始時にほぼ等しかった。約20分後、細胞はFDAをフルオレセインに変換し始めた。したがって、
図22に示すように、FDAが添加された後、デバイスの上部とウェルの下部との間で統計的差異が測定された。
【0301】
図23を簡潔に参照すると、ゼラチンコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)ウェル上で、1立方センチメートル当たり約5×10
4細胞の低いHepG2播種密度で試験した。約3日後、1立方センチメートル当たり約1×10
5細胞の細胞密度で播種された様々なウェルの90%のコンフルエンスと比較し、低い播種密度では約80%のコンフルエンスであった。FDAまたはローダミンのいずれかに曝露した後の様々な洗浄ステップ中に、低い細胞密度で播種された各ウェルは分離したが、高い細胞密度で播種されたウェルでは付着したままであった。この実験では、細胞をカルシウムおよびマグネシウムを含むハンクス平衡塩溶液(HBSS)に約20分間入れた後、HBSS中のフルオレセインジアセテート3μg/mLまたはローダミン0.1mM溶液に20分間曝露した。約20分後、ウェルを洗浄し、HBSS中で約1時間にわたりイメージングした。いずれの場合も、ほとんどの細胞の縁の周りに、切断を示す明るいリングが観察された。曝露の際のこの変化により、細胞の内側で切断されたフルオレセインが細胞の外側の境界に局在化する結果となった。さらに、この変化により、同様の培養液中の細胞のより良好な視覚化が可能となった。
【0302】
マイクロチャネルデバイスにおける物質の拡散。分子量の異なる2つの分子、FITC-BSA(66500Da)およびローダミンB(479g/mol)を基質として使用した。すなわち、40μLの1.0重量%FTIC-BSA/Rho B溶液を、ヒドロゲルマイクロチャネルデバイスの上面にアプライし、約0~30分後にPBSで3回洗浄し、表面の蛍光溶液を除去した。蛍光顕微鏡を使用して、ヒドロゲルの断面を観察した。ヒドロゲルマイクロチャネルデバイス内の栄養物質の透過をシミュレートする拡散強度は、組織工学材料にとって重要な要素である。RhoBと比較し、FITC-BSA、はヒドロゲルデバイス内で速い拡散を示し、これは、66.5kDa程度の大きい分子がヒドロゲルデバイスの中に容易に輸送され、それを通って拡散され得ることを示す。
【0303】
したがって、本開示のシステムおよび方法は、1つ以上の細胞培養デバイス内に流れを向けさせるための手段を提供する。これらのデバイスは、インビボでの細胞培養のシミュレーションに利用され、約1,000mm3の体積で細胞を培養できる。
【0304】
説明の便宜および添付の特許請求の範囲における正確な定義のために、「上の」、「下の」、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「内部の」、「外部の」、「内側」、「外側」、「内側へ」、「外側へ」、「内側」、「外側」、「前」、「後」、「背後」、「前方」、および「後方」という用語は、図に示されるような特徴の位置に関する例示的な実施形態の特徴を説明するために使用される。
【0305】
本発明の特定の例示的な実施形態に関する前述の説明は、例示および説明の目的で示したものである。それらは、網羅的であること、または本発明を実際に開示された形態に限定することを意図するものではなく、上記の教示に照らして多くの修飾および変形が可能であることは自明である。例示的な実施形態は、本発明の特定の原理およびそれらの実際の応用を説明するために選択および説明するものであり、それにより、当業者が本発明の様々な例示的な実施形態ならびにその様々な代替および修飾を作製および利用できるようにするものである。本発明の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されることが意図されている。
【国際調査報告】