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特表2022-536902導電性水性媒体中で機能停止する電池及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】導電性水性媒体中で機能停止する電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/574 20210101AFI20220815BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/119 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/128 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/131 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/153 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/534 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/117 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/129 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/107 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/152 20210101ALI20220815BHJP
   H01M 50/181 20210101ALI20220815BHJP
【FI】
H01M50/574
H01M50/109
H01M50/119
H01M50/128
H01M50/131
H01M50/153
H01M50/184 E
H01M50/534
H01M50/536
H01M50/121
H01M50/117
H01M50/129
H01M50/107
H01M50/152
H01M50/181
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573423
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020036963
(87)【国際公開番号】W WO2020251998
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】62/861,280
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/898,140
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521540760
【氏名又は名称】フェンウッド ラボ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウリッヒ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーバーグ、ヨナ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシュドヴァン、ラヴィクマール
(72)【発明者】
【氏名】ケリー、ザカリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】カープ、ジェフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ランガー、ロバート
【テーマコード(参考)】
5H011
5H043
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011BB03
5H011CC01
5H011CC02
5H011CC03
5H011CC06
5H011CC10
5H011DD06
5H011DD15
5H011DD23
5H011EE04
5H011FF04
5H011GG02
5H011HH02
5H011HH03
5H011JJ03
5H011KK00
5H011KK01
5H043AA04
5H043BA04
5H043BA07
5H043CA03
5H043CA07
5H043CA13
5H043DA09
5H043EA12
5H043EA29
5H043HA02D
5H043HA04D
5H043HA08D
5H043HA12D
5H043HA13D
5H043JA04D
5H043KA01D
5H043KA06D
5H043KA07D
5H043KA09D
5H043LA02D
(57)【要約】
本開示は、誤って飲み込まれた場合など、導電性水性環境において胃腸損傷のリスクが低減された、又はそのリスクがない電池を提供する。本開示の電池は、GI管に見られるような湿潤組織環境の導電性水性媒体を含む導電性水性媒体と接触した直後に、大きな電流の生成を有利に停止する。本開示はさらに、そのような電池の製造に有用な複数層積層材料及び電池の製造方法を提供する。電池は、いくつかの実施形態では、3V又は1.5Vのコイン型又はボタン電池型の電池である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードケース;
内側導電層、外側導電層、及び前記内側導電層と前記外側導電層との間の絶縁層を含む、カソードケース;
アノード、カソード、及び前記アノードと前記カソードとの間に配置されたセパレータを含む、電気化学セル;並びに
前記アノードケースと前記カソードケースとの間のガスケット
を含み、
前記内側導電層及び前記外側導電層が、少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触している、
電池。
【請求項2】
前記電池が導電性水性媒体と接触した後、前記少なくとも1つのブリッジを介した前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気的接触が低減又は切断される、請求項1に記載の電池。
【請求項3】
導電性水性媒体を介して前記アノードと前記カソードとの間に一時的な導電経路が形成されるときに電気化学的に酸化しうる材料を、前記少なくとも1つのブリッジが含む、請求項1又は請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記少なくとも1つのブリッジが、1つ又は複数の点で、継ぎ目を通して、及び/又はチャネルを通して、前記電気的接触を提供する、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電池。
【請求項5】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記外側導電層の一部と電気的に接触している前記内側導電層の一部を含む、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の電池。
【請求項6】
前記電気化学セルが1.2V以上の電圧を有する、請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の電池。
【請求項7】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記内側導電層及び/又は前記外側導電層と同じ材料を含む、請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の電池。
【請求項8】
前記少なくとも1つのブリッジが、導線、導電性ストリップ、又は導電性シートを含む、請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の電池。
【請求項9】
前記カソードケースが、底部、環状側面、及びリムを備え、前記少なくとも1つのブリッジが、前記底部、前記環状側面、前記リム、又はそれらのうち任意の組み合わせに配置される、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項10】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記カソードケースの前記リムに沿って配置される、請求項9に記載の電池。
【請求項11】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記リムに沿った少なくとも一箇所で前記内側導電層及び前記外側導電層を一緒に曲げる(crimp)ことによって形成される、請求項9又は請求項10に記載の電池。
【請求項12】
前記少なくとも1つのブリッジは複数の延長部を含み、各延長部が、
a)前記カソードケースの前記リムに沿って前記外側導電層に電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在する前記内側導電層の一部、又は
b)前記カソードケースの前記リムに沿って前記内側導電層に電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在する前記外側導電層の一部、又は
c)a)とb)の組み合わせ
を含む、請求項9~請求項11のいずれか一項に記載の電池。
【請求項13】
前記少なくとも1つのブリッジは、前記カソードケースの前記リムに沿って少なくとも1つの継ぎ目を含み、前記少なくとも1つの継ぎ目が、
a)前記カソードケースの前記リムで前記外側導電層と電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在している、前記内側導電層、又は
b)前記カソードケースの前記リムで前記内側導電層と電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在する、前記外側導電層、又は
c)a)とb)との組み合わせ
を含む、請求項9~請求項12のいずれか一項に記載の電池。
【請求項14】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記カソードケースの前記絶縁層を通して前記内側導電層と前記外側導電層との間に前記電気的接触を形成するように、前記カソードケースの前記環状側面に配置される、請求項9~請求項13のいずれか一項に記載の電池。
【請求項15】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記カソードケースの前記絶縁層及び前記ブリッジを通して前記内側導電層と前記外側導電層との間に前記電気的接触を形成するように、前記カソードケースの前記底部に配置される、請求項9~請求項14のいずれか一項に記載の電池。
【請求項16】
前記ブリッジが前記内側導電層及び前記外側導電層に接触して前記電気的接触を形成するように、前記ブリッジが前記ガスケットを通して配置される、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の電池。
【請求項17】
前記少なくとも1つのブリッジが、打ち抜き(stamped)、超音波溶接、レーザ溶接、スパッタリング、物理蒸着、めっき、はんだ付け、ろう付け、熱成形、導電性インクの印刷、又は他の様態で前記内側導電層及び/又は前記外側導電層に取り付けられる、請求項1~請求項16のいずれか一項に記載の電池。
【請求項18】
前記内側導電層が、アルミニウム、ステンレススチール、クロム、タングステン、金、バナジウム、ニッケル、チタン、タンタル、銀、銅、マグネシウム、亜鉛、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~請求項17のいずれか一項に記載の電池。
【請求項19】
前記内側導電層が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む、請求項1~請求項18のいずれか一項に記載の電池。
【請求項20】
前記外側導電層が、ステンレススチール、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~請求項19のいずれか一項に記載の電池。
【請求項21】
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系2205、二相系2304、二相系2507、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む、請求項20に記載の電池。
【請求項22】
前記内側導電層及び/又は前記外側導電層が導電性複合材を含む、請求項1~請求項21のいずれか一項に記載の電池。
【請求項23】
前記導電性複合材が、非導電性媒体に埋め込まれた導電性粒子を含み、全体として、前記内側導電層及び/又は前記外側導電層として前記カソードケースに組み込まれる導電性膜を形成する、請求項22に記載の電池。
【請求項24】
前記導電性粒子が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、又はそれらのうち任意の二つ以上の組み合わせを含む、請求項23に記載の電池。
【請求項25】
前記絶縁層が、前記電池の前記開回路電圧よりも大きい絶縁破壊電圧を有する、請求項1~請求項24のいずれか一項に記載の電池。
【請求項26】
前記絶縁層が、絶縁層の厚さ25μm当たり50V以上の絶縁破壊強度を有する、請求項1~請求項25のいずれか一項に記載の電池。
【請求項27】
前記絶縁層又は前記絶縁材料が、疎水性ポリマー、天然ゴム、酢酸セルロース、紙誘電体、セラミック、金属酸化物、窒化物、炭化物、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~請求項26のいずれか一項に記載の電池。
【請求項28】
前記疎水性ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシアルカン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ジメチルポリシロキサン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリオレフィン、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項27に記載の電池。
【請求項29】
前記疎水性ポリマーの飽和平衡水透過性が約2%以下、約1.5%以下、約1.25%以下、約0.75%以下、約0.5%以下、約0.25%以下、又は約0.1%以下である、請求項27又は請求項28に記載の電池。
【請求項30】
前記疎水性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃以下、130℃以下、又は150℃以下である、請求項27~請求項29のいずれか一項に記載の電池。
【請求項31】
前記金属酸化物が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化クロム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項27~請求項30のいずれか一項に記載の電池。
【請求項32】
前記絶縁層が複数の絶縁層を含む、請求項1~請求項31のいずれか一項に記載の電池。
【請求項33】
前記絶縁層が、
a)前記外側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、
b)前記内側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、又は
c)a)とb)との組み合わせ
を含む、請求項1~請求項32のいずれか一項に記載の電池。
【請求項34】
前記接着層が、感圧接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン接着剤、フェノール樹脂、UV硬化性接着剤、アクリレート接着剤、ラミネート用接着剤、フルオロポリマー、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項33に記載の電池。
【請求項35】
前記ラミネート用接着剤が、低密度又は高密度ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体、酸含有接着剤、アイオノマー、エチレンのターポリマー、アクリレート、又はエチレン-酢酸ビニルを含む、請求項34に記載の電池。
【請求項36】
前記酸含有接着剤が、EAA、EMAA、アイオノマー、エチレンのターポリマー、酸、又はアクリレートを含む、請求項35に記載の電池。
【請求項37】
前記絶縁層が、前記外側導電層と接触している25μm~40μmのアクリル感圧接着剤層と、前記内側導電層と接触している1μm~12.5μmのラミネート用接着剤層と、前記2つの接着剤層の間にある1μm~25μmのポリエチレンテレフタレート層とを含む、請求項1~請求項36のいずれか一項に記載の電池。
【請求項38】
前記絶縁層が内部支持部材をさらに含む、請求項1~請求項37のいずれか一項に記載の電池。
【請求項39】
前記絶縁層が、絶縁材料でコーティングされた内部支持部材を含む、請求項1~請求項38のいずれか一項に記載の電池。
【請求項40】
前記内部支持部材が、金属、ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項38又は請求項39に記載の電池。
【請求項41】
前記金属が、ステンレススチール、ニッケル、銅、金、アルミニウム、チタン、亜鉛、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項40に記載の電池。
【請求項42】
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系2205、二相系2304、二相系2507、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む、請求項41に記載の電池。
【請求項43】
前記少なくとも1つのブリッジが、ステンレススチール、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、スズ、アンチモン、ビスマス、銅、ケイ素、銀、ジルコニウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項1~請求項42のいずれか一項に記載の電池。
【請求項44】
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系ステンレススチール、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む、請求項43に記載の電池。
【請求項45】
前記外側導電層が、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は不均一な(varying)厚さを有する、請求項1~請求項44のいずれか一項に記載の電池。
【請求項46】
前記内側導電層が、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の(variable)厚さを有する、請求項1~請求項45のいずれか一項に記載の電池。
【請求項47】
前記絶縁層が、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する、請求項1~請求項46のいずれか一項に記載の電池。
【請求項48】
前記少なくとも1つのブリッジが、約100nm~約50μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する、請求項1~請求項47のいずれか一項に記載の電池。
【請求項49】
前記外側導電層、前記絶縁層、及び前記内側導電層の合計厚さが、約150μm~約450μm、又は約200μm~約360μmの範囲である、請求項1~請求項48のいずれか一項に記載の電池。
【請求項50】
前記電気的接触が、前記少なくとも1つのブリッジを介して前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗を決定することによって測定される、請求項1~請求項49のいずれか一項に記載の電池。
【請求項51】
前記電気的接触が、前記少なくとも1つのブリッジを介して前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記導電率を決定することによって測定される、請求項1~請求項50のいずれか一項に記載の電池。
【請求項52】
前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体を通る導電経路と接触する前の、前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗が、1オーム未満、0.01オーム~0.1オーム、0.01オーム~1オーム、1オーム~10オーム、又は10オーム~100オームである、請求項50又は請求項51に記載の電池。
【請求項53】
前記導電性水性媒体との前記接触が、水和した組織(hydrated tissue)が前記アノードケースの少なくとも1つの部分と少なくとも1つのブリッジとの両方と接触して導電経路を形成するように、前記水和した組織上に前記電池を配置することを含む、請求項2~請求項52のいずれか一項に記載の電池。
【請求項54】
前記水和した組織が、水和したブタ食道組織である、請求項53に記載の電池。
【請求項55】
前記導電性水性媒体との前記接触が、前記電池を前記導電性水性媒体に浸漬することを含み、前記導電性水性媒体が、前記アノードケースの少なくとも1つの部分及び少なくとも1つのブリッジの両方と接触して、前記アノードと前記カソードとの間に一時的な導電経路を形成する、請求項2~請求項54のいずれか一項に記載の電池。
【請求項56】
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、導電性水性媒体に120分間浸漬した後には前記乾電池閉路電圧が1.23V以下に低下する、請求項1~請求項55のいずれか一項に記載の電池。
【請求項57】
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、0.85%生理食塩水に120分間浸漬した後には前記乾電池閉路電圧が1.23V以下に低下する、請求項1~請求項56のいずれか一項に記載の電池。
【請求項58】
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、25%リンガー液に120分間浸漬した後には前記乾電池閉路電圧が1.23V以下に低下する、請求項1~請求項57のいずれか一項に記載の電池。
【請求項59】
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、0.85%生理食塩水又は25%リンガー液に60分間、20分間、又は10分間浸漬した後には前記乾電池電圧が1.23V以下に低下する、請求項1~請求項58のいずれか一項に記載の電池。
【請求項60】
前記電池が、ボタン型電池又はコイン型電池である、請求項1~請求項59のいずれか一項に記載の電池。
【請求項61】
3ボルト又は1.5ボルトのボタン型電池又はコイン型電池である、請求項60に記載の電池。
【請求項62】
前記電池が、CR927型、CR1025型、CR1130型、CR1216型、CR1220型、CR1225型、CR1616型、CR1620型、CR1625型、CR1632型、CR2012型、CR2016型、CR2025型、CR2032型、CR2320型、BR2335型、CR2354型、CR2412型、CR2430型、CR2450型、CR2477型、CR2507型、CR3032型、若しくはCR11108型のリチウムコイン電池、又はSR41型、SR43型、SR44型、SR45型、SR48型、SR54型、SR55型、SR57型、SR58型、SR59型、SR60型、SR63型、SR64型、SR65型、SR66型、SR67型、SR68型、SR69型、S516型、SR416型、SR731型、SR512型、SR714型、SR712型の酸化銀コイン電池又はLR41型、LR44型、LR54型、又はLR66型のアルカリコイン電池である、請求項60又は請求項61に記載の電池。
【請求項63】
前記電池が、CR2032型、CR2016型、又はCR2025型のリチウムコイン電池である、請求項60~請求項62のいずれか一項に記載の電池。
【請求項64】
前記電池が、AAA型、AA型、A型、E型90/N型、4001型、810型、910A型、AM5型、LR1型、MN9100型、又はUM-5型の円筒形電池である、請求項1~請求項59のいずれか一項に記載の電池。
【請求項65】
前記導電性水性媒体が約5~約7.5の開始pHを有する約0.85%生理食塩水であり、前記電池を前記生理食塩水に浸漬した後、60分の期間にわたって5分間隔でサンプリングされた前記生理食塩水の平均pHが、約10、約9.5、約9、約8.5、又は約8の平均pHを超えない、請求項2~請求項64のいずれか一項に記載の電池。
【請求項66】
室温で少なくとも1時間、5.5~7のpHを有する20mLの0.85%w/w生理食塩水に前記電池を浸漬した後、前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗は、500オームより大きく、50kオームより大きく、又は500kオームより大きい、請求項1~請求項65のいずれか一項に記載の電池。
【請求項67】
前記電池を約5.5~7のpHを有する約20mLの0.85%w/w生理食塩水に室温で少なくとも約30秒~約2時間浸漬した後、前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗が、約500オームより大きく、約50キロオームより大きく、約500キロオームより大きい、請求項1~請求項66のいずれか一項に記載の電池。
【請求項68】
前記絶縁層の前記絶縁破壊電圧が、約3.3ボルトより大きい、請求項1~請求項67のいずれか一項に記載の電池。
【請求項69】
室温で少なくとも1時間、5.5~7のpHを有する約20mLの0.85%w/w生理食塩水に前記電池を浸漬した後には約1kオームの抵抗器、又は約15kオームの抵抗器、又は約100kオームの抵抗器と直列接続した前記電池の前記電流出力が約0.1mA未満、約0.01mA未満、又は約1μA未満である、請求項1~請求項68のいずれか一項に記載の電池。
【請求項70】
約1分~約180分、又は約1分~約60分、又は約1分~約10分非導電性水性媒体に曝露された後、前記電池の前記内部抵抗の増加が、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えないか、又は約20オームを超える、請求項1~請求項69のいずれか一項に記載の電池。
【請求項71】
温度が-20℃~60℃の範囲である環境で保存された場合に、前記電池の前記内部抵抗の増加が、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えない、又は約20オームを超える、請求項1~請求項70のいずれか一項に記載の電池。
【請求項72】
前記電池が、温度が-20℃~60℃の範囲である環境中で約2時間超、又は約2時間~約60日間、又は約120時間~約20日間、又は約7日間~約60日間保存される、請求項71に記載の電池。
【請求項73】
前記電池が、温度が約40℃~約60℃の範囲である環境に約2時間~約7日間保存される、請求項71又は請求項72に記載の電池。
【請求項74】
相対湿度が約95%以下である環境に貯蔵された後の前記電池の前記内部抵抗の増加が、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えない、又は約20オームを超える、請求項1~請求項73のいずれか一項に記載の電池。
【請求項75】
前記電池が、相対湿度が約95%以下である環境に約2時間超、又は約2時間~約60日間、又は約2時間~約20日間、又は約120時間~約7日間、又は約7日間~約60日間保存される、請求項71、請求項72又は請求項74のいずれか一項に記載の電池。
【請求項76】
前記電池が、相対湿度が約30%~約90%である環境に約2時間~約7日間保存される、請求項71~請求項75のいずれか一項に記載の電池。
【請求項77】
前記電池が、相対湿度が約30%~約90%であり温度が約40℃~約45℃の範囲である環境に約2時間~約7日間保存される、請求項71~請求項76に記載の電池。
【請求項78】
第1の導電層、
第2の導電層、及び
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の絶縁層
を含む、電極ケース用多層積層体。
【請求項79】
前記第1の導電層と前記第2の導電層が、少なくとも1つのブリッジを形成するための物理的プロセス又は化学的プロセスの後に電気的に接触している、請求項78に記載の積層体。
【請求項80】
前記積層体が電池ケース内で使用されているときに前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体と接触した後には、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の前記電気的接触が低減又は切断される、請求項78に記載の積層体。
【請求項81】
前記積層体が、a)前記第1の導電層と前記非導電層との間の接着層、b)前記第2の導電層と前記非導電層との間の接着層、又はc)a)及びb)の両方をさらに含む、請求項78~請求項80のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項82】
前記第1の導電層が、アルミニウム、ステンレススチール、クロム、タングステン、チタン、バナジウム、ニッケル、銅、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項78~請求項81のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項83】
前記第2の導電層が、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、モリブデン、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項78~請求項82のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項84】
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系ステンレススチール、約10%重量以上のクロム接触及び約0.1%重量以上のニッケル含有量を有するスチール、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項83に記載の積層体。
【請求項85】
前記絶縁層が、疎水性ポリマー、天然ゴム、シリコーンエラストマー、酢酸セルロース、紙誘電体、セラミック、金属酸化物、窒化物、炭化物、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項78~請求項84のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項86】
前記疎水性ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン、陽極酸化処理アルミニウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせである、請求項85に記載の積層体。
【請求項87】
前記金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化クロム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせである、請求項86に記載の積層体。
【請求項88】
前記積層体が電池ケース内で使用されているときに前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体と接触した後には電気化学的に酸化しうる材料を、前記少なくとも1つのブリッジが含む、請求項78~請求項87のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項89】
前記少なくとも1つのブリッジが、ステンレススチール、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、マグネシウム、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、請求項78~請求項88のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項90】
前記第1の導電層が、約1μm~約400μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する、請求項78~請求項89のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項91】
前記第2の導電層が、約1μm~約400μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する、請求項78~請求項90のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項92】
前記絶縁層が、約1μm~約400μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する、請求項78~請求項91のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項93】
請求項78~請求項92のいずれか一項に記載の積層体を含む、ボタンセル電池用又はコインセル電池用の電極ケース。
【請求項94】
前記電極ケースがカソードケースである、請求項93に記載の電極ケース。
【請求項95】
底部、環状側面、及びリムを含むカソードケースを形成するために、請求項78~請求項92のいずれか一項に記載の積層体を打ち抜き成形すること(stamping);並びに
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に少なくとも1つのブリッジを形成すること
を含み、
前記第1の導電層は、前記ケースの内表面を構成し、
前記第2の導電層は、前記ケースの外表面を構成する、
カソードケースを製造する方法。
【請求項96】
前記形成することが、前記リムを曲げる(crimping)ことによって前記少なくとも1つのブリッジを形成することを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1つのブリッジが前記打ち抜き成形で形成される、請求項95に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1つのブリッジを形成することが、はんだ付け、蒸着、めっき、ろう付け、導電性インクを用いる印刷、又は他の様態でブリッジ材料を前記第1の導電層及び/又は前記第2の導電層に取り付けることを含む、請求項95に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記第2の導電層と電気的に接触している、前記第1の導電層の一部を含む、請求項95~請求項98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記少なくとも1つのブリッジが、前記第1の導電層と電気的に接触している、前記第2の導電層の一部を含む、請求項93~請求項99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記少なくとも1つのブリッジが、導線、導電性ストリップ、又は導電性シートを含む、請求項95~請求項100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
複数のブリッジが形成される、請求項95~請求項101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
単一のブリッジが形成される、請求項95~請求項101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
リム、内表面、及び外表面を有するカップ形状の絶縁層を提供すること;
前記絶縁層の前記内表面、前記外表面、及び前記リム上に導電性膜を堆積させて、内側導電層及び少なくとも1つのブリッジを形成すること;並びに
底部、環状側壁、及びリムを有するカップ形状の外側導電層の内側に、前記導電性膜を有する前記絶縁層を配置して、前記内側導電層及び前記外側導電層が前記少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触するようにし、それによってカソードケースを形成すること、
を含む、カソードケースを製造する方法。
【請求項105】
前記導電性膜を有する前記絶縁層が、前記外側導電層の前記リムを部分的に覆う、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記導電性膜を有する前記絶縁層が、前記外側導電層の前記リムを完全に覆う、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
リム、内表面、及び外表面を有するカップ形状の絶縁層を提供すること;
前記絶縁層の前記内表面上に導電性膜を堆積させ、前記絶縁層の前記リム上へと前記膜を折り曲げて、内側導電層及び少なくとも1つのブリッジを形成すること;並びに
底部、環状側壁、及びリムを有するカップ形状の外側導電層の内側に、前記導電性膜を有する前記絶縁層を配置して、前記内側導電層及び前記外側導電層が前記少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触するようにし、それによってカソードケースを形成すること、
を含む、カソードケースを製造する方法。
【請求項108】
前記絶縁層の前記リムが延長され、前記絶縁層の前記延長されたリムが前記外側導電層の前記リム全体を覆う、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記絶縁層の前記リムが、前記外側導電層の前記リムの一部を覆う、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
内側導電層、外側導電層、及び絶縁層を提供すること;並びに
前記内側導電層と前記外側導電層と前記絶縁層とをアセンブルすることにより、カソードケースを形成すること
を含み、
前記内側導電層は、前記外側導電層に接触するように前記リム上に掛かる延長部を有する延長リムを含み、それによって少なくとも1つのブリッジを形成する、
カソードケースを製造する方法。
【請求項111】
前記絶縁層及び前記外側導電層がカップ形状に形成され、前記内側導電層が前記絶縁層及び前記外側導電層に適用されて前記カソードケースを形成する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記絶縁層及び/又は内側導電層が、熱成形によってカップ形状に形成される、請求項104~請求項111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
第1の導電層、第2の導電層、及び前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の絶縁層を含む、積層体を提供すること;
前記積層体を、底部、環状側壁、及びリムを有するカップ形状に、打ち抜き成形すること;並びに
前記リム上に導電性箔を適用することによって、前記内側導電層と前記外側導電層との間に少なくとも1つのブリッジを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
【請求項114】
底部、環状側面、リム、内表面、及び外表面を含む内部支持体を提供すること;
前記内部支持体の前記内部、前記外部、及び前記リム上に絶縁層を堆積させること;
第1の導電性材料を、前記内表面上の絶縁層上に、及び任意で前記リム上の絶縁層上に、堆積させ、それによって内側導電層を形成すること;並びに
第2の導電性材料を、前記外表面上の前記絶縁層上に、及び任意で前記リム上の絶縁層上に、堆積させ、それによって外側導電層を形成すること
を含み、
ここで前記内側導電層及び前記外側導電層は、少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触している、
カソードケースを製造する方法。
【請求項115】
カップ形状の絶縁層を準備すること、ここで前記カップ形状の絶縁層は内部、リム、及び外壁を含む;
前記カップ形状の絶縁層を導電性材料でコーティングして、コーティングされたカップ形状の絶縁層を形成すること、ここで前記導電性材料は、前記内部、前記リム、及び前記外壁の上半分の約50%以下を覆う;並びに
前記コーティングされたカップ形状の絶縁層をカップ形状の外側導電層の内側に配置して、カソードケースを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
【請求項116】
前記カップ形状の絶縁層が、絶縁材料を熱成形することによって準備される、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記導電層が、物理蒸着を使用して前記カップ形状の絶縁層上にコーティングされる、請求項115又は請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記コーティングされたカップ形状の絶縁層を配置することが、圧入、接着剤による固定、又はその両方を含む、請求項115~請求項117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
導電層と絶縁層とを含む積層体を提供すること;
前記積層体を、延長されたリムを有するカップ形状に形成すること;
前記延長されたリムを折り曲げて、前記カップの内側から前記カップの外壁まで連続した導電層を形成すること;並びに
前記カップ形状の積層体をカップ形状の外側導電層の内側に配置して、カソードケースを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
【請求項120】
導電層と絶縁層とを含む積層体を提供すること;
前記積層体を打ち抜き成形して、複数のタブを有する積層体カップを形成すること;
前記積層体カップの外側に向かって前記タブを折り曲げることによって、内側導電層及び絶縁層を形成すること;並びに
折り曲げられたタブを有する前記カップをカップ形状の外側導電層の内側に配置して、カソードケースを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
【請求項121】
前記カップ形状の外側導電層が、前記カップ形状の積層体上の前記タブに合うように位置する(align with)複数のチャネルを含み、前記複数のタブが前記チャネル内に折り曲げられる、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
前記折り曲げられたタブ及び外側導電層にはんだ付けすること又は導電性接着剤を塗布することによって、前記内側導電層と前記外側導電層との間の電気的接続を完成させることをさらに含む、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
導電性箔を提供すること;
前記導電性箔を打ち抜き成形して、複数のタブを有するカップ形状箔を形成することと、
前記カップ形状箔の外側に向かって前記タブを折り曲げること;
絶縁材料を含むカップの外側に前記タブが来るように、前記絶縁カップの内側に前記内側導電層を配置することにより、内側導電層及び絶縁層を形成すること;並びに
前記内側導電層及び絶縁層をカップ形状の外側導電層の内側に配置すること、ここで前記配置することは、圧入、接着剤による固定、又はその両方を含む
を含む、カソードケースを形成する方法。
【請求項124】
前記カップ形状の外側導電層が、前記カップ形状箔上の前記タブに合うように位置する(align with)複数のチャネルを含み、前記タブは前記チャネル内に折り曲げられる、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
前記折り曲げられたタブ及び前記外側導電層にはんだ付けすること又は導電性接着剤を塗布することによって、前記内側導電層と前記外側導電層との間の電気的接続を完成させることをさらに含む、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記絶縁層が、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、又はそれらのうち任意の組み合わせを含む、請求項95~請求項125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記内側導電層は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はそれらのうち任意の組み合わせを含む、請求項95~請求項126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記外側導電層がステンレススチールを含む、請求項95~請求項127のいずれか一項に記載の方法。
【請求項129】
請求項95~請求項128のいずれか一項に記載の方法によって製造されたカソードケース。
【請求項130】
前記第1の導電層と第2の導電層とが、又は前記内側導電層と外側導電層とが、前記少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触しており、前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体と接触した後には前記第1の導電層と前記第2の導電層の間又は前記内側導電層と外側導電層との間の前記電気的接触が低減又は切断される、請求項129に記載のカソードケースを含む電池。
【請求項131】
前記電池が、図2A図2B図3図4図5図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10B図11A図11B図12A図12B図13A図13B図13C図13D図13E図13F図13G図14図15A図15B図15C図15D図15E図15F図16A図16B図16C図16D図17A図17B図18A図18B図19A図19B図19C図19D図20A図20B図21図22A図22B図22C図23A図23B図23C図23D図24C図25A図25B図25C図25D図26A図26B図27A図27B図27C図30C図30D図33A図33B図34A図39A図39B図39C図40A図40B、及び図47のいずれか1つに記載の構成を含む、請求項1に記載の電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月13日に出願された米国仮出願第62/861,280号、及び2019年9月10日に出願された米国仮特許出願第62/898,140号の優先権の利益を主張し、これらのそれぞれは、任意の目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、電池に関し、より詳細には、誤って飲み込まれた場合など、導電性水性環境において胃腸損傷のリスクが低減されているか、又はそのリスクがない電池に関する。
【背景技術】
【0003】
例えば、リモコン、懐中電灯、カメラ、車のキーフォブ、電卓、秤、音楽グリーティングカード、グルコメータ、時計、温度計、仮想ペットデバイス、補聴器、レーザーポインタ、ゲーム、玩具などを含むポータブル電子デバイスに電力を供給するために、毎年数十億個の電池が販売されている。電池は家庭及び社会全体に広く存在するため、残念なことに、子供、ペット、及び高齢者が電池を摂取する危険性がある。
【0004】
電池の摂取は、壊滅的な傷害を引き起こす。消化管(GI)閉塞は、異物の摂取によるリスクである。しかし、コインなどの比較的サイズの大きい物体の摂取よりも、電池の摂取は、電池がGI管内で放電するときに引き起こされる組織損傷のせいで、はるかに深刻である。導電性であるGI流体中の電流の流れは、電気分解を引き起こし、水酸化物イオンを生成し、それによって消化管に長期の組織損傷を引き起こす可能性がある。摂取された電池からの損傷は、食道及び他のGI穿孔、気管食道瘻孔、心房食道瘻孔、食道狭窄、食道狭窄、化学熱傷、及び声帯麻痺を含む急性傷害を引き起こしている。これらの傷害は、永久的な、生命にかかわる損傷及び死さえも引き起こす可能性がある。事例研究は、ヒトにおけるGI穿孔が、電池摂取の5時間後位のすぐに起こり得ることを示している。ペットでは、重度のGI損傷がさらに迅速に起こり、イヌでは摂取1時間以内、ネコでは2~4時間以内に経壁的食道壊死が報告されている。
【0005】
製造業者がより小型のケーシングでより強力でよりエネルギー密度の高い電池を製造するにつれて、電池の摂取及び傷害が増加している。電池出力の増加は、対応する傷害の重症度及び電池摂取による死亡率の増加をもたらす。現在、安全基準では、玩具内の電池区画がロックされるよう規制がなされているが、電池自体をより安全にするための電池の設計はほとんどなされていない。実際、図1に示すように、電池及びロックされた電池区画に不正開封防止パッケージを導入した後でも、電池摂取に関連する傷害の発生率は上昇し続けている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、偶発的に摂取された場合に著しい組織損傷を引き起こさない電池を提供する必要がある。より具体的には、GI管などの導電性水性環境にあるときに長時間にわたって大きな電流を生成しない電池を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態1.
アノードケース;
内側導電層、外側導電層、及び前記内側導電層と前記外側導電層との間の絶縁層を含む、カソードケース;
アノード、カソード、及び前記アノードと前記カソードとの間に配置されたセパレータを含む、電気化学セル;並びに
前記アノードケースと前記カソードケースとの間のガスケット
を含み、
前記内側導電層及び前記外側導電層が、少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触している、
電池。
実施形態2.
前記電池が導電性水性媒体と接触した後、前記少なくとも1つのブリッジを介した前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気的接触が低減又は切断される、実施形態1に記載の電池。
実施形態3.
導電性水性媒体を介して前記アノードと前記カソードとの間に一時的な導電経路が形成されるときに電気化学的に酸化しうる材料を、前記少なくとも1つのブリッジが含む、実施形態1又は実施形態2に記載の電池。
実施形態4.
前記少なくとも1つのブリッジが、1つ又は複数の点で、継ぎ目を通して、及び/又はチャネルを通して、前記電気的接触を提供する、実施形態1~実施形態3のいずれか一つに記載の電池。
実施形態5.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記外側導電層の一部と電気的に接触している前記内側導電層の一部を含む、実施形態1~実施形態4のいずれか一つに記載の電池。
実施形態6.
前記電気化学セルが1.2V以上の電圧を有する、実施形態1~実施形態5のいずれか一つに記載の電池。
実施形態7.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記内側導電層及び/又は前記外側導電層と同じ材料を含む、実施形態1~実施形態6のいずれか一つに記載の電池。
実施形態8.
前記少なくとも1つのブリッジが、導線、導電性ストリップ、又は導電性シートを含む、実施形態1~実施形態7のいずれか一つに記載の電池。
実施形態9.
前記カソードケースが、底部、環状側面、及びリムを備え、前記少なくとも1つのブリッジが、前記底部、前記環状側面、前記リム、又はそれらのうち任意の組み合わせに配置される、実施形態1~実施形態8のいずれか一つに記載の電池。
実施形態10.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記カソードケースの前記リムに沿って配置される、実施形態9に記載の電池。
実施形態11.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記リムに沿った少なくとも一箇所で前記内側導電層及び前記外側導電層を一緒に曲げる(crimp)ことによって形成される、実施形態9又は実施形態10に記載の電池。
実施形態12.
前記少なくとも1つのブリッジは複数の延長部を含み、各延長部が、
a)前記カソードケースの前記リムに沿って前記外側導電層に電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在する前記内側導電層の一部、又は
b)前記カソードケースの前記リムに沿って前記内側導電層に電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在する前記外側導電層の一部、又は
c)a)とb)の組み合わせ
を含む、実施形態9~実施形態11のいずれか一つに記載の電池。
実施形態13.
前記少なくとも1つのブリッジは、前記カソードケースの前記リムに沿って少なくとも1つの継ぎ目を含み、前記少なくとも1つの継ぎ目が、
a)前記カソードケースの前記リムで前記外側導電層と電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在している、前記内側導電層、又は
b)前記カソードケースの前記リムで前記内側導電層と電気的に接触するように前記絶縁層の上に延在する、前記外側導電層、又は
c)a)とb)との組み合わせ
を含む、実施形態9~実施形態12のいずれか一つに記載の電池。
実施形態14.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記カソードケースの前記絶縁層を通して前記内側導電層と前記外側導電層との間に前記電気的接触を形成するように、前記カソードケースの前記環状側面に配置される、実施形態9~実施形態13のいずれか一つに記載の電池。
実施形態15.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記カソードケースの前記絶縁層及び前記ブリッジを通して前記内側導電層と前記外側導電層との間に前記電気的接触を形成するように、前記カソードケースの前記底部に配置される、実施形態9~実施形態14のいずれか一つに記載の電池。
実施形態16.
前記ブリッジが前記内側導電層及び前記外側導電層に接触して前記電気的接触を形成するように、前記ブリッジが前記ガスケットを通して配置される、実施形態1~実施形態8のいずれか一つに記載の電池。
実施形態17.
前記少なくとも1つのブリッジが、打ち抜き(stamped)、超音波溶接、レーザ溶接、スパッタリング、物理蒸着、めっき、はんだ付け、ろう付け、熱成形、導電性インクの印刷、又は他の様態で前記内側導電層及び/又は前記外側導電層に取り付けられる、実施形態1~実施形態16のいずれか一つに記載の電池。
実施形態18.
前記内側導電層が、アルミニウム、ステンレススチール、クロム、タングステン、金、バナジウム、ニッケル、チタン、タンタル、銀、銅、マグネシウム、亜鉛、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態1~実施形態17のいずれか一つに記載の電池。
実施形態19.
前記内側導電層が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む、実施形態1~実施形態18のいずれか一つに記載の電池。
実施形態20.
前記外側導電層が、ステンレススチール、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態1~実施形態19のいずれか一つに記載の電池。
実施形態21.
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系2205、二相系2304、二相系2507、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む、実施形態20に記載の電池。
実施形態22.
前記内側導電層及び/又は前記外側導電層が導電性複合材を含む、実施形態1~実施形態21のいずれか一つに記載の電池。
実施形態23.
前記導電性複合材が、非導電性媒体に埋め込まれた導電性粒子を含み、全体として、前記内側導電層及び/又は前記外側導電層として前記カソードケースに組み込まれる導電性膜を形成する、実施形態22に記載の電池。
実施形態24.
前記導電性粒子が、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、炭素繊維、又はそれらのうち任意の二つ以上の組み合わせを含む、実施形態23に記載の電池。
実施形態25.
前記絶縁層が、前記電池の前記開回路電圧よりも大きい絶縁破壊電圧を有する、実施形態1~実施形態24のいずれか一つに記載の電池。
実施形態26.
前記絶縁層が、絶縁層の厚さ25μm当たり50V以上の絶縁破壊強度を有する、実施形態1~実施形態25のいずれか一つに記載の電池。
実施形態27.
前記絶縁層又は前記絶縁材料が、疎水性ポリマー、天然ゴム、酢酸セルロース、紙誘電体、セラミック、金属酸化物、窒化物、炭化物、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態1~実施形態26のいずれか一つに記載の電池。
実施形態28.
前記疎水性ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ペルフルオロアルコキシアルカン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフェニレンスルフィド、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ジメチルポリシロキサン、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、熱可塑性ポリオレフィン、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態27に記載の電池。
実施形態29.
前記疎水性ポリマーの飽和平衡水透過性が約2%以下、約1.5%以下、約1.25%以下、約0.75%以下、約0.5%以下、約0.25%以下、又は約0.1%以下である、実施形態27又は実施形態28に記載の電池。
実施形態30.
前記疎水性ポリマーのガラス転移温度(Tg)が80℃以下、130℃以下、又は150℃以下である、実施形態27~実施形態29のいずれか一つに記載の電池。
実施形態31.
前記金属酸化物が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化クロム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態27~実施形態30のいずれか一つに記載の電池。
実施形態32.
前記絶縁層が複数の絶縁層を含む、実施形態1~実施形態31のいずれか一つに記載の電池。
実施形態33.
前記絶縁層が、
a)前記外側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、
b)前記内側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、又は
c)a)とb)との組み合わせ
を含む、実施形態1~実施形態32のいずれか一つに記載の電池。
実施形態34.
前記接着層が、感圧接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン接着剤、フェノール樹脂、UV硬化性接着剤、アクリレート接着剤、ラミネート用接着剤、フルオロポリマー、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態33に記載の電池。
実施形態35.
前記ラミネート用接着剤が、低密度又は高密度ポリエチレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン誘導体、酸含有接着剤、アイオノマー、エチレンのターポリマー、アクリレート、又はエチレン-酢酸ビニルを含む、実施形態34に記載の電池。
実施形態36.
前記酸含有接着剤が、EAA、EMAA、アイオノマー、エチレンのターポリマー、酸、又はアクリレートを含む、実施形態35に記載の電池。
実施形態37.
前記絶縁層が、前記外側導電層と接触している25μm~40μmのアクリル感圧接着剤層と、前記内側導電層と接触している1μm~12.5μmのラミネート用接着剤層と、前記2つの接着剤層の間にある1μm~25μmのポリエチレンテレフタレート層とを含む、実施形態1~実施形態36のいずれか一つに記載の電池。
実施形態38.
前記絶縁層が内部支持部材をさらに含む、実施形態1~実施形態37のいずれか一つに記載の電池。
実施形態39.
前記絶縁層が、絶縁材料でコーティングされた内部支持部材を含む、実施形態1~実施形態38のいずれか一つに記載の電池。
実施形態40.
前記内部支持部材が、金属、ポリマー、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態38又は実施形態39に記載の電池。
実施形態41.
前記金属が、ステンレススチール、ニッケル、銅、金、アルミニウム、チタン、亜鉛、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態40に記載の電池。
実施形態42.
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系2205、二相系2304、二相系2507、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む、実施形態41に記載の電池。
実施形態43.
前記少なくとも1つのブリッジが、ステンレススチール、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、スズ、アンチモン、ビスマス、銅、ケイ素、銀、ジルコニウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態1~実施形態42のいずれか一つに記載の電池。
実施形態44.
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系ステンレススチール、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む、実施形態43に記載の電池。
実施形態45.
前記外側導電層が、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は不均一な(varying)厚さを有する、実施形態1~実施形態44のいずれか一つに記載の電池。
実施形態46.
前記内側導電層が、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の(variable)厚さを有する、実施形態1~実施形態45のいずれか一つに記載の電池。
実施形態47.
前記絶縁層が、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する、実施形態1~実施形態46のいずれか一つに記載の電池。
実施形態48.
前記少なくとも1つのブリッジが、約100nm~約50μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する、実施形態1~実施形態47のいずれか一つに記載の電池。
実施形態49.
前記外側導電層、前記絶縁層、及び前記内側導電層の合計厚さが、約150μm~約450μm、又は約200μm~約360μmの範囲である、実施形態1~実施形態48のいずれか一つに記載の電池。
実施形態50.
前記電気的接触が、前記少なくとも1つのブリッジを介して前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗を決定することによって測定される、実施形態1~実施形態49のいずれか一つに記載の電池。
実施形態51.
前記電気的接触が、前記少なくとも1つのブリッジを介して前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記導電率を決定することによって測定される、実施形態1~実施形態50のいずれか一つに記載の電池。
実施形態52.
前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体を通る導電経路と接触する前の、前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗が、1オーム未満、0.01オーム~0.1オーム、0.01オーム~1オーム、1オーム~10オーム、又は10オーム~100オームである、実施形態50又は実施形態51に記載の電池。
実施形態53.
前記導電性水性媒体との前記接触が、水和した組織(hydrated tissue)が前記アノードケースの少なくとも1つの部分と少なくとも1つのブリッジとの両方と接触して導電経路を形成するように、前記水和した組織上に前記電池を配置することを含む、実施形態2~実施形態52のいずれか一つに記載の電池。
実施形態54.
前記水和した組織が、水和したブタ食道組織である、実施形態53に記載の電池。
実施形態55.
前記導電性水性媒体との前記接触が、前記電池を前記導電性水性媒体に浸漬することを含み、前記導電性水性媒体が、前記アノードケースの少なくとも1つの部分及び少なくとも1つのブリッジの両方と接触して、前記アノードと前記カソードとの間に一時的な導電経路を形成する、実施形態2~実施形態54のいずれか一つに記載の電池。
実施形態56.
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、導電性水性媒体に120分間浸漬した後には前記乾電池閉路電圧が1.23V以下に低下する、実施形態1~実施形態55のいずれか一つに記載の電池。
実施形態57.
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、0.85%生理食塩水に120分間浸漬した後には前記乾電池閉路電圧が1.23V以下に低下する、実施形態1~実施形態56のいずれか一つに記載の電池。
実施形態58.
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、25%リンガー液に120分間浸漬した後には前記乾電池閉路電圧が1.23V以下に低下する、実施形態1~実施形態57のいずれか一つに記載の電池。
実施形態59.
15kオームの抵抗器と直列接続で前記乾電池閉路電圧を測定すると、0.85%生理食塩水又は25%リンガー液に60分間、20分間、又は10分間浸漬した後には前記乾電池電圧が1.23V以下に低下する、実施形態1~実施形態58のいずれか一つに記載の電池。
実施形態60.
前記電池が、ボタン型電池又はコイン型電池である、実施形態1~実施形態59のいずれか一つに記載の電池。
実施形態61.
3ボルト又は1.5ボルトのボタン型電池又はコイン型電池である、実施形態60に記載の電池。
実施形態62.
前記電池が、CR927型、CR1025型、CR1130型、CR1216型、CR1220型、CR1225型、CR1616型、CR1620型、CR1625型、CR1632型、CR2012型、CR2016型、CR2025型、CR2032型、CR2320型、BR2335型、CR2354型、CR2412型、CR2430型、CR2450型、CR2477型、CR2507型、CR3032型、若しくはCR11108型のリチウムコイン電池、又はSR41型、SR43型、SR44型、SR45型、SR48型、SR54型、SR55型、SR57型、SR58型、SR59型、SR60型、SR63型、SR64型、SR65型、SR66型、SR67型、SR68型、SR69型、S516型、SR416型、SR731型、SR512型、SR714型、SR712型の酸化銀コイン電池又はLR41型、LR44型、LR54型、又はLR66型のアルカリコイン電池である、実施形態60又は実施形態61に記載の電池。
実施形態63.
前記電池が、CR2032型、CR2016型、又はCR2025型のリチウムコイン電池である、実施形態60~実施形態62のいずれか一つに記載の電池。
実施形態64.
前記電池が、AAA型、AA型、A型、E型90/N型、4001型、810型、910A型、AM5型、LR1型、MN9100型、又はUM-5型の円筒形電池である、実施形態1~実施形態59のいずれか一つに記載の電池。
実施形態65.
前記導電性水性媒体が約5~約7.5の開始pHを有する約0.85%生理食塩水であり、前記電池を前記生理食塩水に浸漬した後、60分の期間にわたって5分間隔でサンプリングされた前記生理食塩水の平均pHが、約10、約9.5、約9、約8.5、又は約8の平均pHを超えない、実施形態2~実施形態64のいずれか一つに記載の電池。
実施形態66.
室温で少なくとも1時間、5.5~7のpHを有する20mLの0.85%w/w生理食塩水に前記電池を浸漬した後、前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗は、500オームより大きく、50kオームより大きく、又は500kオームより大きい、実施形態1~実施形態65のいずれか一つに記載の電池。
実施形態67.
前記電池を約5.5~7のpHを有する約20mLの0.85%w/w生理食塩水に室温で少なくとも約30秒~約2時間浸漬した後、前記内側導電層と前記外側導電層との間の前記電気抵抗が、約500オームより大きく、約50キロオームより大きく、約500キロオームより大きい、実施形態1~実施形態66のいずれか一つに記載の電池。
実施形態68.
前記絶縁層の前記絶縁破壊電圧が、約3.3ボルトより大きい、実施形態1~実施形態67のいずれか一つに記載の電池。
実施形態69.
室温で少なくとも1時間、5.5~7のpHを有する約20mLの0.85%w/w生理食塩水に前記電池を浸漬した後には約1kオームの抵抗器、又は約15kオームの抵抗器、又は約100kオームの抵抗器と直列接続した前記電池の前記電流出力が約0.1mA未満、約0.01mA未満、又は約1μA未満である、実施形態1~実施形態68のいずれか一つに記載の電池。
実施形態70.
約1分~約180分、又は約1分~約60分、又は約1分~約10分非導電性水性媒体に曝露された後、前記電池の前記内部抵抗の増加が、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えないか、又は約20オームを超える、実施形態1~実施形態69のいずれか一つに記載の電池。
実施形態71.
温度が-20℃~60℃の範囲である環境で保存された場合に、前記電池の前記内部抵抗の増加が、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えない、又は約20オームを超える、実施形態1~実施形態70のいずれか一つに記載の電池。
実施形態72.
前記電池が、温度が-20℃~60℃の範囲である環境中で約2時間超、又は約2時間~約60日間、又は約120時間~約20日間、又は約7日間~約60日間保存される、実施形態71に記載の電池。
実施形態73.
前記電池が、温度が約40℃~約60℃の範囲である環境に約2時間~約7日間保存される、実施形態71又は実施形態72に記載の電池。
実施形態74.
相対湿度が約95%以下である環境に貯蔵された後の前記電池の前記内部抵抗の増加が、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えない、又は約20オームを超える、実施形態1~実施形態73のいずれか一つに記載の電池。
実施形態75.
前記電池が、相対湿度が約95%以下である環境に約2時間超、又は約2時間~約60日間、又は約2時間~約20日間、又は約120時間~約7日間、又は約7日間~約60日間保存される、実施形態71、実施形態72又は実施形態74のいずれか一つに記載の電池。
実施形態76.
前記電池が、相対湿度が約30%~約90%である環境に約2時間~約7日間保存される、実施形態71~実施形態75のいずれか一つに記載の電池。
実施形態77.
前記電池が、相対湿度が約30%~約90%であり温度が約40℃~約45℃の範囲である環境に約2時間~約7日間保存される、実施形態71~実施形態76に記載の電池。
実施形態78.
第1の導電層、
第2の導電層、及び
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の絶縁層
を含む、電極ケース用多層積層体。
実施形態79.
前記第1の導電層と前記第2の導電層が、少なくとも1つのブリッジを形成するための物理的プロセス又は化学的プロセスの後に電気的に接触している、実施形態78に記載の積層体。
実施形態80.
前記積層体が電池ケース内で使用されているときに前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体と接触した後には、前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の前記電気的接触が低減又は切断される、実施形態78に記載の積層体。
実施形態81.
前記積層体が、a)前記第1の導電層と前記非導電層との間の接着層、b)前記第2の導電層と前記非導電層との間の接着層、又はc)a)及びb)の両方をさらに含む、実施形態78~実施形態80のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態82.
前記第1の導電層が、アルミニウム、ステンレススチール、クロム、タングステン、チタン、バナジウム、ニッケル、銅、マグネシウム、モリブデン、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態78~実施形態81のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態83.
前記第2の導電層が、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、ニッケル、銅、モリブデン、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態78~実施形態82のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態84.
前記ステンレススチールが、SS304、SS316、SS430、二相系ステンレススチール、約10%重量以上のクロム接触及び約0.1%重量以上のニッケル含有量を有するスチール、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態83に記載の積層体。
実施形態85.
前記絶縁層が、疎水性ポリマー、天然ゴム、シリコーンエラストマー、酢酸セルロース、紙誘電体、セラミック、金属酸化物、窒化物、炭化物、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態78~実施形態84のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態86.
前記疎水性ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン、陽極酸化処理アルミニウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせである、実施形態85に記載の積層体。
実施形態87.
前記金属酸化物が、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化クロム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせである、実施形態86に記載の積層体。
実施形態88.
前記積層体が電池ケース内で使用されているときに前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体と接触した後には電気化学的に酸化しうる材料を、前記少なくとも1つのブリッジが含む、実施形態78~実施形態87のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態89.
前記少なくとも1つのブリッジが、ステンレススチール、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、マグネシウム、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む、実施形態78~実施形態88のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態90.
前記第1の導電層が、約1μm~約400μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する、実施形態78~実施形態89のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態91.
前記第2の導電層が、約1μm~約400μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する、実施形態78~実施形態90のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態92.
前記絶縁層が、約1μm~約400μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する、実施形態78~実施形態91のいずれか一つに記載の積層体。
実施形態93.
実施形態78~実施形態92のいずれか一つに記載の積層体を含む、ボタンセル電池用又はコインセル電池用の電極ケース。
実施形態94.
前記電極ケースがカソードケースである、実施形態93に記載の電極ケース。
実施形態95.
底部、環状側面、及びリムを含むカソードケースを形成するために、実施形態78~実施形態92のいずれか一つに記載の積層体を打ち抜き成形すること(stamping);並びに
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間に少なくとも1つのブリッジを形成すること
を含み、
前記第1の導電層は、前記ケースの内表面を構成し、
前記第2の導電層は、前記ケースの外表面を構成する、
カソードケースを製造する方法。
実施形態96.
前記形成することが、前記リムを曲げる(crimping)ことによって前記少なくとも1つのブリッジを形成することを含む、実施形態95に記載の方法。
実施形態97.
前記少なくとも1つのブリッジが前記打ち抜き成形で形成される、実施形態95に記載の方法。
実施形態98.
前記少なくとも1つのブリッジを形成することが、はんだ付け、蒸着、めっき、ろう付け、導電性インクを用いる印刷、又は他の様態でブリッジ材料を前記第1の導電層及び/又は前記第2の導電層に取り付けることを含む、実施形態95に記載の方法。
実施形態99.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記第2の導電層と電気的に接触している、前記第1の導電層の一部を含む、実施形態95~実施形態98のいずれか一つに記載の方法。
実施形態100.
前記少なくとも1つのブリッジが、前記第1の導電層と電気的に接触している、前記第2の導電層の一部を含む、実施形態93~実施形態99のいずれか一つに記載の方法。
実施形態101.
前記少なくとも1つのブリッジが、導線、導電性ストリップ、又は導電性シートを含む、実施形態95~実施形態100のいずれか一つに記載の方法。
実施形態102.
複数のブリッジが形成される、実施形態95~実施形態101のいずれか一つに記載の方法。
実施形態103.
単一のブリッジが形成される、実施形態95~実施形態101のいずれか一つに記載の方法。
実施形態104.
リム、内表面、及び外表面を有するカップ形状の絶縁層を提供すること;
前記絶縁層の前記内表面、前記外表面、及び前記リム上に導電性膜を堆積させて、内側導電層及び少なくとも1つのブリッジを形成すること;並びに
底部、環状側壁、及びリムを有するカップ形状の外側導電層の内側に、前記導電性膜を有する前記絶縁層を配置して、前記内側導電層及び前記外側導電層が前記少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触するようにし、それによってカソードケースを形成すること、
を含む、カソードケースを製造する方法。
実施形態105.
前記導電性膜を有する前記絶縁層が、前記外側導電層の前記リムを部分的に覆う、実施形態104に記載の方法。
実施形態106.
前記導電性膜を有する前記絶縁層が、前記外側導電層の前記リムを完全に覆う、実施形態104に記載の方法。
実施形態107.
リム、内表面、及び外表面を有するカップ形状の絶縁層を提供すること;
前記絶縁層の前記内表面上に導電性膜を堆積させ、前記絶縁層の前記リム上へと前記膜を折り曲げて、内側導電層及び少なくとも1つのブリッジを形成すること;並びに
底部、環状側壁、及びリムを有するカップ形状の外側導電層の内側に、前記導電性膜を有する前記絶縁層を配置して、前記内側導電層及び前記外側導電層が前記少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触するようにし、それによってカソードケースを形成すること、
を含む、カソードケースを製造する方法。
実施形態108.
前記絶縁層の前記リムが延長され、前記絶縁層の前記延長されたリムが前記外側導電層の前記リム全体を覆う、実施形態107に記載の方法。
実施形態109.
前記絶縁層の前記リムが、前記外側導電層の前記リムの一部を覆う、実施形態108に記載の方法。
実施形態110.
内側導電層、外側導電層、及び絶縁層を提供すること;並びに
前記内側導電層と前記外側導電層と前記絶縁層とをアセンブルすることにより、カソードケースを形成すること
を含み、
前記内側導電層は、前記外側導電層に接触するように前記リム上に掛かる延長部を有する延長リムを含み、それによって少なくとも1つのブリッジを形成する、
カソードケースを製造する方法。
実施形態111.
前記絶縁層及び前記外側導電層がカップ形状に形成され、前記内側導電層が前記絶縁層及び前記外側導電層に適用されて前記カソードケースを形成する、実施形態110に記載の方法。
実施形態112.
前記絶縁層及び/又は内側導電層が、熱成形によってカップ形状に形成される、実施形態104~実施形態111のいずれか一つに記載の方法。
実施形態113.
第1の導電層、第2の導電層、及び前記第1の導電層と前記第2の導電層との間の絶縁層を含む、積層体を提供すること;
前記積層体を、底部、環状側壁、及びリムを有するカップ形状に、打ち抜き成形すること;並びに
前記リム上に導電性箔を適用することによって、前記内側導電層と前記外側導電層との間に少なくとも1つのブリッジを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
実施形態114.
底部、環状側面、リム、内表面、及び外表面を含む内部支持体を提供すること;
前記内部支持体の前記内部、前記外部、及び前記リム上に絶縁層を堆積させること;
第1の導電性材料を、前記内表面上の絶縁層上に、及び任意で前記リム上の絶縁層上に、堆積させ、それによって内側導電層を形成すること;並びに
第2の導電性材料を、前記外表面上の前記絶縁層上に、及び任意で前記リム上の絶縁層上に、堆積させ、それによって外側導電層を形成すること
を含み、
ここで前記内側導電層及び前記外側導電層は、少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触している、
カソードケースを製造する方法。
実施形態115.
カップ形状の絶縁層を準備すること、ここで前記カップ形状の絶縁層は内部、リム、及び外壁を含む;
前記カップ形状の絶縁層を導電性材料でコーティングして、コーティングされたカップ形状の絶縁層を形成すること、ここで前記導電性材料は、前記内部、前記リム、及び前記外壁の上半分の約50%以下を覆う;並びに
前記コーティングされたカップ形状の絶縁層をカップ形状の外側導電層の内側に配置して、カソードケースを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
実施形態116.
前記カップ形状の絶縁層が、絶縁材料を熱成形することによって準備される、実施形態115に記載の方法。
実施形態117.
前記導電層が、物理蒸着を使用して前記カップ形状の絶縁層上にコーティングされる、実施形態115又は実施形態116に記載の方法。
実施形態118.
前記コーティングされたカップ形状の絶縁層を配置することが、圧入、接着剤による固定、又はその両方を含む、実施形態115~実施形態117のいずれか一つに記載の方法。
実施形態119.
導電層と絶縁層とを含む積層体を提供すること;
前記積層体を、延長されたリムを有するカップ形状に形成すること;
前記延長されたリムを折り曲げて、前記カップの内側から前記カップの外壁まで連続した導電層を形成すること;並びに
前記カップ形状の積層体をカップ形状の外側導電層の内側に配置して、カソードケースを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
実施形態120.
導電層と絶縁層とを含む積層体を提供すること;
前記積層体を打ち抜き成形して、複数のタブを有する積層体カップを形成すること;
前記積層体カップの外側に向かって前記タブを折り曲げることによって、内側導電層及び絶縁層を形成すること;並びに
折り曲げられたタブを有する前記カップをカップ形状の外側導電層の内側に配置して、カソードケースを形成すること
を含む、カソードケースを形成する方法。
実施形態121.
前記カップ形状の外側導電層が、前記カップ形状の積層体上の前記タブに合うように位置する(align with)複数のチャネルを含み、前記複数のタブが前記チャネル内に折り曲げられる、実施形態120に記載の方法。
実施形態122.
前記折り曲げられたタブ及び外側導電層にはんだ付けすること又は導電性接着剤を塗布することによって、前記内側導電層と前記外側導電層との間の電気的接続を完成させることをさらに含む、実施形態121に記載の方法。
実施形態123.
導電性箔を提供すること;
前記導電性箔を打ち抜き成形して、複数のタブを有するカップ形状箔を形成することと、
前記カップ形状箔の外側に向かって前記タブを折り曲げること;
絶縁材料を含むカップの外側に前記タブが来るように、前記絶縁カップの内側に前記内側導電層を配置することにより、内側導電層及び絶縁層を形成すること;並びに
前記内側導電層及び絶縁層をカップ形状の外側導電層の内側に配置すること、ここで前記配置することは、圧入、接着剤による固定、又はその両方を含む
を含む、カソードケースを形成する方法。
実施形態124.
前記カップ形状の外側導電層が、前記カップ形状箔上の前記タブに合うように位置する(align with)複数のチャネルを含み、前記タブは前記チャネル内に折り曲げられる、実施形態123に記載の方法。
実施形態125.
前記折り曲げられたタブ及び前記外側導電層にはんだ付けすること又は導電性接着剤を塗布することによって、前記内側導電層と前記外側導電層との間の電気的接続を完成させることをさらに含む、実施形態124に記載の方法。
実施形態126.
前記絶縁層が、ポリエーテルイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリフッ化ビニリデン、又はそれらのうち任意の組み合わせを含む、実施形態95~実施形態125のいずれか一つに記載の方法。
実施形態127.
前記内側導電層は、アルミニウム、アルミニウム合金、又はそれらのうち任意の組み合わせを含む、実施形態95~実施形態126のいずれか一つに記載の方法。
実施形態128.
前記外側導電層がステンレススチールを含む、実施形態95~実施形態127のいずれか一つに記載の方法。
実施形態129.
実施形態95~実施形態128のいずれか一つに記載の方法によって製造されたカソードケース。
実施形態130.
前記第1の導電層と第2の導電層とが、又は前記内側導電層と外側導電層とが、前記少なくとも1つのブリッジを介して電気的に接触しており、前記少なくとも1つのブリッジが導電性水性媒体と接触した後には前記第1の導電層と前記第2の導電層の間又は前記内側導電層と外側導電層との間の前記電気的接触が低減又は切断される、実施形態129に記載のカソードケースを含む電池。
実施形態131.
前記電池が、図2A図2B図3図4図5図6A図6B図7A図7B図8A図8B図9A図9B図10A図10B図11A図11B図12A図12B図13A図13B図13C図13D図13E図13F図13G図14図15A図15B図15C図15D図15E図15F図16A図16B図16C図16D図17A図17B図18A図18B図19A図19B図19C図19D図20A図20B図21図22A図22B図22C図23A図23B図23C図23D図24C図25A図25B図25C図25D図26A図26B図27A図27B図27C図30C図30D図33A図33B図34A図39A図39B図39C図40A図40B、及び図47のいずれか1つに記載の構成を含む、実施形態1に記載の電池。
【0008】
追加の目的及び利点は、以下の説明に部分的に記載され、説明から部分的に明らかになるか、又は実践によって習得され得る。
【0009】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求の範囲を限定するものではないことを理解されたい。
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、いくつかの実施形態を示し、説明と共に、本明細書に記載の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、電池摂取の頻度及び重症度(重大な及び致命的な結果)を示す全国毒物データシステム(National Poison Data System:NPDS)のチャートである。
図2A図2Aは、導電性水性媒体と接触する前の、本開示の一実施形態による例示的なコイン型電池又はボタン型電池の断面概略図である。
図2B図2Bは、導電性水性媒体と接触した後の、本開示の一実施形態による例示的なコイン型電池又はボタン型電池の断面概略図である。
図3図3は、導電性水性媒体との接触によって機能停止した後に本開示の例示的な電池を放電する方法を示す断面概略図である。
図4図4は、本開示の一実施形態によるカソードケースの断面概略図である。
図5図5は、本開示の一実施形態によるカソードケース及びガスケットの断面の断面概略図である。
図6図6A及び図6Bは、カソードケースのリムに配置されたブリッジの部分的な溶解を示す、導電性水性媒体と接触する前及び接触した後のガスケットを有する本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の概略断面図である。
図7図7A及びは、本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の概略断面図であり、カソードケースのリムに配置されたブリッジ上の酸化物の形成を示す、導電性水性媒体との接触前及び接触後のガスケットの概略断面図である。
図8図8A及び図8Bは、カソードケースの環状壁に配置されたブリッジの完全な溶解を示す、導電性水性媒体と接触する前及び接触した後の本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の概略断面図である。
図9図9A及び図9Bは、カソードケースの環状壁に配置されたブリッジ上の酸化物の形成を示す、導電性水性媒体と接触する前及び接触した後の本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の概略断面図である。
図10図10A及び図10Bは、カソードケースの底部に配置されたブリッジの溶解を示す、導電性水性媒体と接触する前及び接触した後の本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の概略断面図である。
図11図11A及び図11Bは、カソードケースの底部に配置されたブリッジ上の酸化物の形成を示す、導電性水性媒体と接触する前及び接触した後の本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の断面概略図である。
図12図12A及び図12Bは、本開示の一実施形態によるカソードケースの断面の概略断面図であり、ブリッジがガスケットを貫通して配置されている(図12A)。実施形態では、ブリッジは、カソードケースのリムが曲げられるときに内側導電層と外側導電層との間の電気的接触を提供する(図12B)。
図13図13A図13Gは、本開示のいくつかの実施形態による、内側導電層、外側導電層、及び絶縁層の異なる厚さを有するカソードケースの断面概略図を示す(ブリッジは示されていない)。
図13F】本開示のいくつかの実施形態による、内側導電層、外側導電層、及び絶縁層の異なる厚さを有するカソードケースの断面概略図を示す(ブリッジは示されていない)。
図13G】本開示のいくつかの実施形態による、内側導電層、外側導電層、及び絶縁層の異なる厚さを有するカソードケースの断面概略図を示す(ブリッジは示されていない)。
図14図14は、例示的な多層積層体の断面概略図である。
図15図15A及び図15Bは、カソードケースの例示的な製造方法を示す概略図である。図15C図15D図15E及び図15Fは、カソードケースのリムの例示的な製造方法を示す拡大概略図である。
図16図16A及び図16Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。図16C及び図16Dも、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図17図17A及び図17Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図18図18A及び図18Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図19図19A及び図19Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。図19C及び図19Dも、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図20図20A及び図20Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図21図21は、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図22A図22Aは、本開示の電池を製造するのに有用な複数のタブを有する例示的なカップ形状のインサートを示す図である。
図22B図22Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図22C図22Cは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図23A図23Aは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図23B図23Bは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図23C図23Cは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図23D図23Dは、カソードケースを製造する別の例示的な方法を示す概略図である。
図24図24A及び図24Bは、本開示のカソードケースの抵抗を測定するのに有用な四探針ミリオーム計(Extech Моdel#380580)の写真である。図24Cは、本開示のカソードケースの抵抗の測定を示す概略図である。
図25図25A及び図25Bは、本開示の例示的なカソードケースの写真である。図25Cは、図25Bのカソードケースのリムの一部の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)画像を示す。図25Dは、カソードケースの概略図を示す。
図26図26A及び図26Bは、例示的なカソードケースのリムの上面図のSEM画像である。
図27図27A図27Cは、例示的なCR2032型のリチウム電池を組み立てる際に使用される例示的なカソードケースを示す。図27Aは、リムへと曲げられたカソードケースの概略図である。図27Bは、アセンブルされた電池の曲げ領域の上面SEM画像である。図27Cは、電池のX線断層撮影スキャンである。
図28図28は、市販の対照電池、実験室用対照電池、及び本開示の例示的な電池を0.85%生理食塩水に浸漬した後の3時間にわたるpHの変化を示すグラフである。
図29】0.85%生理食塩水に浸漬された市販の対照電池、実験室で作製された対照電池、及び本開示の例示的な電池の生理食塩水浸漬試験の結果の写真画像である。t=5分(図29A)及びt=60分(図29B)。
図30図30A図30Dは、生理食塩水浸漬試験後の実験室製の対照及び処理電池のトップダウンSEM画像である。
図31図31A図31Cは、市販の対照電池及び本開示のいくつかの例示的な電池を25%リンガー溶液に浸漬した後の2時間にわたる電圧の変化を示すグラフである。
図32図32は、市販の対照電池及び本開示の例示的な電池を18Mオーム-cm脱イオン水に浸漬した後の10日間にわたる電圧の変化を示すグラフである。
図33図33A及び図33Bは、本開示の例示的なカソードケースの写真である。
図34図34は、それぞれ、本開示の例示的な電池及び市販の対照電池の写真を示す。
図35図35A及び図35Bは、市販の対照電池及び本開示のいくつかの例示的な電池を25%リンガー溶液に浸漬した後の2時間にわたるpH及び電圧の変化を示すグラフである。
図36図36Aは、25%リンガー液に浸漬した15分後の本開示の例示的な電池の写真を示す。図36Bは、25%リンガー液に浸漬した20分後の市販の対照電池の写真を示す。
図37図37Aは、25%リンガー液に浸漬した120分後の本開示の例示的な電池の写真を示す。図37Bは、25%リンガー液に浸漬した120分後の市販の対照電池の写真を示す。
図38図38Aは、25%リンガー液に浸漬した14日後の本開示の例示的な電池の写真を示す。図38Bは、25%リンガー液に浸漬した17日後の市販の対照電池の写真を示す。
図39図39A図39B、及び図39Cは、25%リンガー溶液に浸漬した14日後の洗浄及び乾燥した本開示の例示的な電池のガスケット領域の顕微鏡写真を示す。図39D図39E、及び図39Fは、25%リンガー溶液に浸漬した17日後の洗浄及び乾燥した市販の対照電池のガスケット領域の顕微鏡写真を示す。
図40図40Aは抵抗率測定のためのアクセスホールを有する例示的な曲げカソードケース(crimped cathode case)の写真であり、図40Bはその概略図である。
図41図41は、4つの異なる湿度範囲で60℃に曝露された日数に対する例示的な曲げカソードケースの抵抗をミリオームで示すグラフを提供する。
図42図42は、異なる時点でMaxellの市販の対照電池に曝露した後のブタ食道の一連の写真画像である。
図43図43は、異なる時点で実験室で作製された対照電池に曝露した後のブタ食道の一連の写真画像である。
図44図44は、異なる時点での本開示の例示的な電池への曝露後のブタ食道の一連の写真画像である。
図45図45は、Maxellの市販の対照電池、実験室で作製された対照電池、及び本開示の例示的な電池を0.85%生理食塩水で水和したハムで包んだ後の1時間にわたるpHの変化を示すグラフである。
図46図46Aは、Maxellの市販の対照電池への曝露後の60分後のハムの写真画像である。図46Bは、実験室で作製された対照電池への曝露後の60分後のハムの写真画像である。図46Cは、例示的な電池への曝露後の60分後のハムの写真画像である。
図47図47は、本開示に従って製造された例示的なCR2032型の電池の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書で使用される場合、約という用語は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、例えば、整数、分数、及びパーセンテージを含む数値を指す。約という用語は、一般に、当業者が列挙された値(例えば、同じ機能又は結果を有する)と等価であると考えるであろう数値の範囲(例えば、列挙された範囲の+/-5~10%)を指す。少なくとも及びほぼなどの用語が数値又は範囲のリストの前にある場合、それらの用語は、リストに提供された値又は範囲の全てを修飾する。場合によっては、約という用語は、最も近い有効数字に丸められた数値を含み得る。
【0013】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、特に明記しない限り、「少なくとも1つ」又は「1つ又は複数」を意味する。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、特に明記しない限り、「及び/又は」を意味する。複数従属請求項の文脈では、他の請求項を参照するときの「又は」の使用は、代替形態のみにおけるそれらの請求項を指す。
【0014】
I.例示的な電池
本開示は、より安全であり、例えば子供又はペットが誤って電池を飲み込んだ場合に摂取したときに組織を損傷する可能性が低い電池を提供する。本開示は任意の電池に関し、特定の実施形態では、本開示は、3ボルト又は1.5ボルトのボタン電池などの、コイン電池型又はボタン電池型の電池を提供する。図2Aは、本開示の一実施形態による例示的なコイン型又はボタン型のセル型電池200の断面図を示す。
【0015】
例示的な電池200は、
アノードケース201と、
内側導電層203、外側導電層204、及び内側導電層と外側導電層との間の絶縁層205を含むカソードケース202と、
アノード206、カソード207、及びアノードとカソードとの間のセパレータ208を含む電気化学セルと、
アノードケースとカソードケースとの間のガスケット209と、を備え、
内側導電層及び外側導電層は、少なくとも1つのブリッジ210を介して電気的に接触している。
【0016】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのブリッジを導電性水性媒体と接触させた後、少なくとも1つのブリッジを介した内側導電層と外側導電層との間の電気的接触は低減又は切断される。
【0017】
図2Bは、導電性水性媒体との接触によりブリッジが少なくとも部分的に電気化学的に溶解した電池200の実施形態を示す。この実施形態では、ブリッジはもはや存在せず、絶縁層205、ガスケット209、又はその両方が、かつてブリッジがあった空間211に充填されている。したがって、内側導電層203及び外側導電層204は、もはや互いに電気的に接触していない。
【0018】
理論に束縛されるものではないが、本発明の電池は、アノードとカソードとの間の電流の流れが比較的短時間で遮断され、それによって組織損傷を引き起こし得る電池の周りの苛性局所環境の形成を防止するので、偶発的に摂取してしまった場合により安全である。少なくとも1つのブリッジ及びアノードケースが導電性水性媒体と接触すると、アノードとカソードとの間に一時的な導電経路が形成され、それによって電流を流すことができる。この電流の存在下で、ブリッジは電気化学的に酸化を受ける。ブリッジの電気化学的酸化は、その導電性を低下させるか又は切断し、それによって内側導電層と外側導電層との間の電気的接続を低減又は切断し、導電経路及び結果として生じる電流を、2時間、1時間、30分、20分、10分又は5分以内などの比較的短期間にわたって効果的に制限する。
【0019】
一実施形態では、ブリッジの酸化は、ブリッジ材料の電気化学的溶解、例えば導電性水性媒体への金属イオンの溶解をもたらす。別の実施形態では、ブリッジの酸化は、ブリッジ上に酸化物の形成をもたらす。酸化物はブリッジを効果的に絶縁し、電気的接続が低減される。
【0020】
電池が導電性水溶液にさらされ、ブリッジが酸化されて電池が機能停止した後では、電池は、従来の手段で容易に放電してセル内のエネルギーを放出することはできない。電池を放電するには、図3に示すように、鋭利な導電性プローブ342でカソードケースの底部を穿刺し、外側導電層304及び絶縁層305を通過して内側導電層303と電気的に接触することができる。これにより、従来の手段によって電池を放電することができる。
【0021】
本明細書で使用される「ブリッジ」という用語は、絶縁層によって分離された内側導電層と外側導電層との間の接続又はリンクを指す。ブリッジは、内側導電層と外側導電層との間の電気的接触を提供する。ブリッジは、内側及び/又は外側導電層材料と同じ又は異なる導電性材料を含み得る。ある実施形態では、ブリッジは、内側導電層及び/又は外側導電層の少なくとも1つの延長部を含む。延長部は、導電層から半径方向外側に延在する1つ又は複数の突起であってもよく、又は延長部は単一の環状リングであってもよい。他の実施形態では、ブリッジは、電気接続が確立されるように内側及び外側導電層にはんだ付け又は他の方法で固定された導電性材料のワイヤ、ストリップ、又はシートを含み得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのブリッジは、ブリッジの少なくとも一部が導電性水性媒体に曝されたときに電気化学的に酸化しうる材料(material that is capable of electrochemical oxidation)を含む。例えば、少なくとも1つのブリッジは、導電性水性媒体を介してアノードとカソードとの間に一時的な導電経路が形成されるときに電気化学的に酸化しうる材料を含む。
【0022】
ブリッジによって提供される「電気的接触」は、電流が流れることができるように低抵抗を有する。一実施形態では、電気的接触は、内側導電層と外側導電層との間の電気抵抗を決定することによって測定することができる。一実施形態では、内側導電層と外側導電層との間の電気抵抗は、導電性水性媒体との接触前には、約1オーム未満、約0.01オーム~約1オーム、約1オーム~約10オーム、又は約10オーム~約100オームである。別の実施形態では、電気的接触は、例えば導電性水性媒体と接触する前に、乾燥環境において少なくとも1つのブリッジを介して内側導電層と外側導電層との間の導電率を決定することによって測定される。導電率は、抵抗、電流、及び/又は電圧を測定することによって決定することができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、電気的接触は、コーティング、プレス、圧着(crimping)、打ち抜き成形、ピンチング、はんだ付け、溶接、及び/又は接着剤の使用によって物理的接触状態にある、内側導電層、ブリッジ、及び外側導電層を含む。他の実施形態では、電気的接触は、ブリッジ及び外側導電層に加えて、内側導電層とブリッジとの間、ブリッジと外側導電層との間、又は内側導電層とブリッジとの間の量子トンネリングを可能にする、近接した少なくとも2つの導電性表面を含む。別の実施形態では、量子トンネル複合材料を使用して電気的接触を行う。
【0024】
導電性水性媒体との接触後、電気的接触は比較的短時間内に減少又は切断される。電気的接触が低減又は切断されると、電流の流れは、水酸化物イオンの形成が大幅に低減又は停止され、高いpHの苛性環境が形成されないようになる。電気的接触の減少又は切断は、抵抗、電流、及び/又は電池電圧を測定することによって判断することができる。いくつかの実施形態では、電気的接触は、約60分以内、約30分以内、約20分以内、又は約10分以内に減少又は切断される。電気的接触が比較的迅速に低減されるので、生体内で引き起こされる損傷が大幅に低減され得る。
【0025】
いくつかの実施形態では、導電性水性媒体との接触後には、内側導電層と外側導電層との間の抵抗は約500オームより大きく、約50キロオームより大きく、又は約500キロオームより大きく増加する。他の実施形態では、乾燥後の電池の電圧が1.23V以下になるように抵抗が増加する。
【0026】
電池が少なくとも約24時間にわたって水性媒体(導電性又は非導電性)から取り外されてもはや水性媒体と接触しなくなり、例えば、それらの24時間の間にデシケータ内に置かれたとき、電池は乾燥していると見なされる。
【0027】
開回路電圧(Open circuit voltage:OCV)は、開回路としても知られる任意の回路から切断されたときのデバイスの2つの端子間の電位差である。閉路電圧(Closed circuit voltage:CCV)は、回路内に接続されたときのデバイスの2つの端子間の電位差である。CCV測定はまた、持続時間と共に回路内で直列に使用される抵抗器を指定することによって示されてもよい。本明細書に開示されるいくつかのCCV測定の例では、約15キロオーム抵抗器、約3.9キロオーム抵抗器、又は約1キロオーム抵抗器を使用する。本明細書に開示されるCCVを測定するために使用される持続時間の例は、回路を閉じた後約1秒、約3秒、又は約5秒である。電池のOCV及びCCVの測定は、当技術分野で公知である。
【0028】
いくつかの実施形態では、導電性水性環境との接触後には、例示的な電池のOCVは、約5秒間の測定後、約1.23V未満、約1.2V未満、又は約1V未満である。
【0029】
さらなる実施形態では、導電性水性環境との接触後には、例示的な電池のCCVは、約15kオームの抵抗器、約3.9kオームの抵抗器、又は約1kオームの抵抗器と直列である場合、約1秒~約5秒の測定後、約1.23V未満、約1.2V未満、又は約1V未満である。
【0030】
他の実施形態では、導電性水性環境との接触後には、内側導電層と外側導電層との間の電流は、約0.1mA未満、約0.01mA未満、又は約1μA未満である。
【0031】
「減少した」とは、基準に対する減少を意味する。いくつかの実施形態では、「低減された」とは、基準値に対して約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約200%以上、約500%以上、又は約1000%以上の低減を意味する。いくつかの実施形態では、「低減した」とは、約5%~約50%、約10%~約20%、約50%~約100%の低減を意味する。いくつかの実施形態では、低減は、導電性水性媒体と接触する前の電池の電気的接触、電流、又は電圧を基準とするもの(be in reference to)でありうる。
【0032】
「電気的接触が切断される」とは、2つの構成要素間の電気接続が破壊され、電気回路が開回路であることを意味する。
【0033】
「増加した」とは、基準に対する増加を意味する。いくつかの実施形態では、「増加した」とは、基準値に対して約5%以上、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約40%以上、約50%以上、約60%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、約100%以上、約200%以上、約1000%以上、約1万%、及び/又は約10万%の増加を意味する。いくつかの実施形態では、「増加した」とは、約5%~約100%、約100%~約1万%、約1万%~約100万%の増加を意味する。いくつかの実施形態では、増加は、導電性水性媒体と接触する前の内側導電層と外側導電層との間の抵抗を基準とするものでありうる。
【0034】
ブリッジにはいくつかの実施形態がありうる。例えば、ブリッジは、ブリッジが外側導電層と電気的に接触する(例えば、物理的に接触している)ように、内側導電層の延長部又は突出部から形成されてもよい。あるいは、ブリッジは、ブリッジが内側導電層と電気的に接触する(例えば、物理的に接触している)ように、外側導電層の一部を含んでいてもよい。
【0035】
ブリッジは、内側及び外側導電層と同じ又は異なる材料を含み得る。ある実施形態では、ブリッジは、内側又は外側導電層よりも急速に酸化する材料を含む。ブリッジの酸化速度は、ブリッジを形成するために使用される特定の材料、材料のテクスチャ、及び/又は材料の厚さに依存する。
【0036】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのブリッジは複数の延長部を含み、各延長部は、
a)カソードケースのリムに沿って外側導電層に電気的に接触するように絶縁層の上に延在する内側導電層の一部、又は
b)カソードケースのリムに沿って内側導電層に電気的に接触するように絶縁層の上に延在する外側導電層の一部、又は
c)a)とb)との組み合わせ、を含む。
【0037】
図16Bは、カソードケースのリムに沿った複数の点1614で外側導電層1604と接触する内側導電層1619の複数の延長部1619cを含むブリッジを有する例示的なカソード1600ケースを示す。
【0038】
ある実施形態では、少なくとも1つのブリッジは、カソードケースのリムに沿って少なくとも1つの継ぎ目を含み、少なくとも1つの継ぎ目は、
a)カソードケースのリムで外側導電層と電気的に接触するように絶縁層の上に延在している、内側導電層、又は
b)カソードケースのリムで内側導電層と電気的に接触するように絶縁層の上に延在している、外側導電層、又は
c)a)とb)との組み合わせ、を含む。
【0039】
継ぎ目は、圧着(crimping)、打ち抜き成形、ピンチング、はんだ付け、溶接、及び/又は接着剤によって作成することができる。図26Bは、超音波溶接によって生成された継ぎ目の一例である。継ぎ目は、短距離、例えば10μmから、リムの円周に沿った連続的又は半連続的な継ぎ目までの範囲とすることができる。
【0040】
本明細書で使用される「導電性水性媒体」は、限定されないが、塩水溶液及び緩衝水溶液などの導電性水含有溶液を含む。消化液、唾液、粘膜、湿潤組織、血液等の体液、水性ゲル、などである。導電性水系媒体の抵抗率は、1Mオームcm以下である。
【0041】
本明細書で使用される「非導電性水性媒体」は、精製水若しくは脱イオン水、又は非イオン性洗浄洗剤を含む水の溶液を指し、溶液は1Mオームcmを超える抵抗率を有する。
【0042】
本明細書で使用される「導電経路」は、電池のアノードとカソードとの間の回路を完成させるために電荷が流れることができる経路を含むが、これに限定されない。アノードケース及びブリッジは、例えば、両方が導電性水性媒体と接触しているときに導電経路を形成する。水の電気分解は、導電性経路の存在の指標の1つである。電解の指標の1つは、電池が導電性水性媒体と接触しているときのアノードからの気泡の存在であり得る。あるいは、アノード端子付近のpHの上昇は、導電性経路の存在を示し得る。
【0043】
アノード材料及びカソード材料は、電池技術分野において既知の任意のものから選択することができる。アノードケースは、アノードの保護バリアを提供し、一般に導電性材料を含む。アノードケースに適した材料は、当業者に知られている。セパレータは、一般に、アノードとカソードとの間の物理的分離を提供し、当技術分野で公知の任意の材料から作製することができる。さらに、当技術分野でよく理解されているように、電解質が電池に含まれてもよい。
【0044】
ガスケットは、有利には、アノードケースとカソードケースとの間にあり、アノードとカソードとの間に封止を提供することができる。ガスケットは、エラストマー材料又はプラスチックなどの非導電性材料を含み得る。非導電性材料としては、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシポリマー、ポリビニル、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、シリコーンゴムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
II.例示的なカソードケース
A.例示的なカソードケース構造
図4は、本開示の電池に有用な例示的なカソードケースを示す図である。カソードケース400は、底部413と、環状側面412と、リム414とを備える。ケースは、内側導電層403と、外側導電層404と、絶縁層405と、この実施形態ではリム414に配置されるブリッジ410とを備える。他の実施形態では、ブリッジは、カソードケースの底部又は環状側面に配置されてもよい。さらに別の実施形態では、ブリッジは、カソードケースのリム、環状側面、又は底部の任意の組み合わせであってもよい。
【0046】
図5は、底部513、環状側面512、及びリム514を有する一実施形態によるカソードケース500の断面の拡大断面概略図を示す。ガスケット509も示されている。この実施形態では、環状側面の一部が曲げられて、リム514を含む曲げ領域515を形成する。ケースは、内側導電層503と、外側導電層504と、絶縁層505と、この実施形態ではリム514に配置されるブリッジ510とを備える。いくつかの実施形態では、例えば、図6A及び図7Aに示すように、ブリッジは、曲げプロセス中に曲げ領域(615,715)に形成される。
【0047】
図6Aに見られるように、ブリッジ610は、カソードケースのリム614に配置されてもよい。ケースは、内側導電層603と、外側導電層604と、絶縁層605と、この実施形態ではリム614に配置されるブリッジ610とを備える。ガスケット609も示されている。上述のように、内層と外層との間の電気的接触は、導電性水性媒体中でアノードとカソードとの間に形成された導電経路に起因するブリッジの酸化によって切断又は低減される。一実施形態では、酸化は、ブリッジの一部又は全部の電気化学的溶解をもたらす。図6Bは、一実施形態による導電性水性媒体への曝露後のブリッジの変化を示す図である。ブリッジ610は、図6Aに見られるように導電性水性媒体と接触する前は無傷であるが、露光後、ブリッジの少なくとも一部は溶解している(611)。この実施形態では、ガスケット609は、内側導電層を覆うように膨張しており(expanded)、それによって内側導電層603と外側導電層604との間の電気的接触を低減している。
【0048】
図7A及び図7Bは、ブリッジ材料が導電性水性媒体と接触した後に酸化物716を形成し、ガスケット709が内側導電層を覆い続け、導電性水溶液との接触を減少させる、代替実施形態を示す。したがって、酸化物は、内側導電層と外側導電層との間の電気的接触を切断又は低減する。ケースは、内側導電層703、外側導電層704、絶縁層705、及びブリッジ710を備える。
【0049】
図8A図9Bは、ブリッジがカソードケースの環状側面に配置されている例示的なカソードケースの概略図である。これらの実施形態では、ブリッジ810及び910は、導電性水性媒体の存在下で酸化して溶解する(図8B、811)か、又は酸化物を形成する(図9B、916)。ケースは、内側導電層803及び903と、外側導電層804及び904と、絶縁層805及び905と、ブリッジ810及び910とをそれぞれ備える。ガスケット809及び909も示されている。
【0050】
図10A図10Bに示すさらに別の実施形態では、ブリッジ1010は、カソードケースの底部にあり、カソードケースの絶縁層1005及びブリッジを介して内側導電層1003と外側導電層1004との間に電気的接触を形成する。ガスケット1009も示されている。導電性水性媒体の存在下では、ブリッジは電気化学的に溶解し(1011)、絶縁層1005は膨張して、内側導電層1003と導電性水性媒体との間に、導電性経路を破壊する物理的障壁を形成する(図10B)。
【0051】
図11A図11Bに示す別の実施形態では、ブリッジ1110は、カソードケースの底部にあり、カソードケースの絶縁層1105及びブリッジを通して内側導電層1103と外側導電層1104との間に電気的接触を形成する。ガスケット1109も示されている。導電性水性媒体の存在下では、ブリッジは酸化物1116を形成する(図11B)。
【0052】
図12A及び図12Bに示す別の実施形態では、ブリッジ1210は、ガスケット1209を通って内側導電層1203から外側導電層1204まで配置される。絶縁層1205は、他の実施形態で説明した任意の絶縁ポリマーを含み得る。ガスケット1210aの上部から突出するブリッジの部分は、リムが曲げられた後の内側導電層と外側導電層との間の電気接続を形成する(1215)。いくつかの実施形態では、内側導電層1203から外側導電層1204へのブリッジは、本明細書に記載の導電性ブリッジ材料のいずれかによって作製されてよく、ブリッジ及び内側導電層と外側導電層との間の電気的接続を形成するのに適した任意の形状、例えばシート、タブ、ねじ(thread)、又はロッドなどでありうる。シート又はタブは、約100nm~約100μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有しうる。ねじ又はロッドは、約50nm~約100μmの範囲の均一な又は不均一な直径を有してもよい。いくつかの実施形態では、ブリッジはワイヤである。代替的な実施形態では、ブリッジは、内側導電層1203と外側導電層1204との間に形成された、1つ又は複数の、層又はコーティングであってもよい。
【0053】
ブリッジは、上述の曲げプロセスに加えて、当業者に利用可能な任意の方法で形成することができる。例えば、ブリッジは、打ち抜き、超音波溶接、レーザ溶接、スパッタリング、物理蒸着、めっき、はんだ付け、ろう付け、熱成形、導電性インクを用いる印刷、又は他の方法で、内側導電層及び/又は外側導電層に取り付けることができる。
【0054】
さらなる実施形態では、カソードケース内の絶縁層は、a)外側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、b)内側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、又はc)a)及びb)の両方を含む。
【0055】
この実施形態において有用な接着剤には、限定するものではないが、感圧接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン接着剤、フェノール樹脂、UV硬化性接着剤、アクリレート接着剤、又はそれらのうち2つ以上の任意の組み合わせが含まれる。
【0056】
B.例示的なカソードケース材料
カソードケース構成要素は、当業者に知られている様々な材料を含み得る。内側導電層に適した材料としては、限定されないが、導電性金属が挙げられる。ある実施形態では、内側導電層は、アルミニウム、ステンレススチール、クロム、タングステン、金、バナジウム、ニッケル、チタン、タンタル、銀、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む。特定の実施形態では、内側導電層は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む。
【0057】
外側導電層もまた、導電性金属を含み得る。外側導電層に有用な例示的な金属には、ステンレススチール、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、外側導電層はステンレススチールを含む。
【0058】
ステンレススチールは合金であり、様々な形態で市販されている。外側導電層に有用なステンレススチールとしては、限定されないが、SS304、SS316、SS430、二相系2205、二相系2304、二相系2507、又は10重量%以上のクロム含量及び/又は0.1重量%以上のニッケル含量を有する1種又は複数種の他のステンレススチールが挙げられる。
【0059】
内側導電層及び外側導電層は、導電性金属に加えて、導電性複合材料を含み得る。一実施形態では、導電性粒子は、非導電性媒体に埋め込まれて、内側導電層及び/又は外側導電層としてカソードケース上にコーティングされる、全体として導電性である膜を形成する。別の実施形態では、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェン、グラファイト、及び/又は炭素繊維が、導電性複合フィルム中の導電性粒子として使用される。
【0060】
絶縁層は、当技術分野で公知の任意の絶縁材料であり得る。いくつかの実施形態では、絶縁層は、電池の開回路電圧よりも大きい絶縁破壊電圧を有する。
【0061】
本明細書で使用される「絶縁破壊電圧」は、絶縁体の一部を導電性にする最小電圧である。ある実施形態では、絶縁層の絶縁破壊電圧は3.3ボルトを超える。絶縁層に有用な材料には、疎水性ポリマー、天然ゴム、酢酸セルロース、紙誘電体、セラミック、金属酸化物、窒化物、炭化物、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0062】
疎水性ポリマーとしては、限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、パーフルオロアルコキシアルカン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、絶縁層はポリエチレンテレフタレートを含む。
【0063】
絶縁層に有用な金属酸化物には、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化クロム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
一実施形態では、絶縁層はカップ形状の熱成形品を含む。カップ形状の熱成形品は、ポリフェニレンスルフィド及び/又はフルオロポリマー(ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロアルコキシアルカンポリマー、フッ素化エチレンプロピレン、及びそれらのうち任意の組み合わせを含む)を含むがこれらに限定されない熱可塑性物質を含み得る。
【0065】
別の実施形態では、カップ形状の熱成形品は、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない熱可塑性エラストマーを含む。一実施形態では、熱可塑性エラストマーは、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンなどのコポリマーを含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、絶縁層は複数層構造体(multi-layered construct)を含む。例えば、複数層構造体は、外側導電層と接触する接着層、内側導電層と接触する接着層、又はその両方を含み得る。
【0067】
接着剤層に有用な接着剤としては、限定されないが、感圧接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン接着剤、フェノール樹脂、UV硬化性接着剤、アクリレート接着剤、ラミネート用接着剤及びその誘導体、フルオロポリマー、又はそれらのうち2つ以上の任意の組み合わせが挙げられる。ある実施形態では、接着剤は、低密度又は高密度ポリエチレン(high density polyethylene:HDPE/low density polyethylene:LDPE)、ポリオレフィン又はその誘導体、EAA又はEMAAなどの酸含有接着剤、アイオノマー、エチレンのターポリマー、及びメチルアクリレート又はイソブチルアクリレートを含むアクリレート、エチレン-酢酸ビニル(ethylene-vinyl acetate:EVA)、又はそれらのうち2つ以上の任意の組み合わせを含む。
【0068】
一実施形態では、絶縁層は、外側導電層と接触するアクリル感圧接着剤層と、内側導電層と接触するラミネート用接着剤と、接着剤層の間のポリエチレンテレフタレートとを含む、複数層構造体を含む。一実施形態では、絶縁層は、外側導電層と接触する25~40μmのアクリル感圧接着剤層と、内側導電層と接触する1~12.5μmのラミネート用接着剤層と、2つの接着剤層の間の1~25μmのポリエチレンテレフタレート層とを含む、複数層構造体である。
【0069】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、前述の絶縁材料のいずれかで覆われた内部支持部材(図13F、1317)をさらに含む。内部支持部材は、いくつかの実施形態では、市販のカソードケース、金属、ポリマー、又は他の層状若しくは複数層の組み合わせ及びそれらの派生物(derivatives)を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、内部支持部材は、限定はしないが、ステンレススチール、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、それらの合金、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む金属を含む。一実施形態では、内部支持部材に使用されるステンレススチールは、SS304、SS316、SS430、二相系2205、二相系2304、二相系2507、又は約10%重量以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む。
【0071】
いくつかの実施形態では、内部支持部材は絶縁層でコーティングされている。絶縁層は、内部支持部材の一部又は全部を覆っていてもよい。いくつかの実施形態では、絶縁層は、内部支持部材を封入している。いくつかの実施形態では、コーティングは熱硬化性エラストマーを含む。いくつかの実施形態では、最大約50μmの熱硬化性エラストマーのコーティングが、空気補助スプレー又はニードル分配コンフォーマルコーティングを使用して内部支持部材上にスプレーコーティングされる。熱硬化性エラストマーの例には、ポリジメチルシロキサン、架橋ポリウレタンコーティング、架橋アクリレート、ゴム化エポキシ、又はそれらのうち任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。架橋アクリレートは、いくつかの実施形態では、紫外線光源を使用して架橋されてもよい。
【0072】
絶縁層を形成するためにコーティング、成形又は熱成形した後、絶縁材料の全体的な収縮は、いくつかの実施形態では、約30%未満、約15%未満、又は約5%未満である。
【0073】
絶縁層を形成するためにコーティング、成形又は熱成形した後、その誘電特性は、DC抵抗又はコンダクタンスを含む任意の従来の方法によって決定することができる。ASTM D257-14,Standard Test Methods for DC Resistance or Conductance of Insulating Materials,ASTM International,West Conshohocken,PA,2014(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)は、材料のDC抵抗又はコンダクタンスを決定する方法の1つである。一実施形態では、絶縁層は、絶縁層の厚さ25μm当たり50V以上の絶縁破壊強度を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、ポリマーコーティングのガラス転移温度(Tg)は、高温プロセス中、例えば金属膜形成(metallization)中のポリマーの反り、収縮、又は変形を最小限に抑えるために十分に高い。あるいは、試験プロセス中、試験電池は、ポリマー層が位置又は破壊においてシフトしないことを確認するために、高温試験(thermal abuse testing)のために最大130℃の温度に曝されうる。いくつかの実施形態における熱可塑性エラストマーのTgは、80℃超、約90℃超、約100℃超、約110℃超、約120℃超、約130℃超、約140℃超、又は約150℃超である。他の実施形態において、ガラス転移温度は、約80℃~約350℃、約80℃~約300℃、約80℃~約250℃、約90℃~約350℃、約90℃~約300℃、約90℃~約250℃、約100℃~約350℃、約100℃~約300℃、約100℃~約250℃、約110℃~約350℃、約110℃~約300℃、約110℃~約250℃、約130℃~約350℃、約130℃~約300℃、約130℃~約250℃、約140℃~約350℃、約140℃~約300℃、約140℃~約250℃、約150℃~約350℃、約150℃~約300℃、又は約150℃~約250℃の範囲である。
【0075】
いくつかの実施形態では、熱硬化性ポリマーの分解温度は、約85℃超、約100℃超、約125℃超、約150℃超、約175℃超、又は約200℃超である。
【0076】
電池が供され得る別の試験は、約-45℃から約75℃への低熱から高熱へのサイクルである。いくつかの実施形態では、絶縁層は、熱サイクル中の亀裂及び内部短絡を防止するポリマーを含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、水、0.85%生理食塩水、25%リンガー溶液、又は人工唾液溶液に浸漬すると、ポリマーは水で飽和し得る。したがって、ポリマー絶縁層を通る水のいくらかの拡散があり、「透水性」と呼ばれる絶縁層の電気的特性の変化をもたらす可能性がある。電池の捲縮半径(crimp radius)付近の領域で透水性が生じる場合がある。ポリマーがこの領域において水に曝される程度は、カソード缶の内径の周りの0~500μm幅の円周の範囲であり得る。したがって、透水性は、水への曝露の幅及びポリマーの種類に依存する。水、0.85%食塩水、又は人工唾液溶液に浸漬すると、ポリマーが水で飽和し、水拡散及び絶縁層の導電性の増加をもたらす可能性がある。いくつかの実施形態では、導電率の増加は、約1000%以下、約100%以下、又は約10%以下であり得る。
【0078】
実施例で使用した例示的な材料の透水性データを表1に示す。
【0079】
【表1】
【0080】
ポリマーが水を吸収する程度を、ASTM標準試験、ASTM D570-98(2018)、Standard Test Method for Water Absorption of Plastics、ASTM International、West Conshohocken、PA、2018(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に従って測定した。
【0081】
いくつかの実施形態では、ブリッジは、金属などの導電性材料を含む。ブリッジ材料に有用な金属には、ステンレススチール、マグネシウム、アルミニウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、スズ、アンチモン、ビスマス、銅、ケイ素、銀、ジルコニウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせなどの、電流の存在下で容易に酸化される金属が含まれる。いくつかの実施形態では、ステンレススチールは、SS304、SS316、SS430、二相系ステンレススチール、又は10重量%以上のクロム含有量及び/若しくは0.1重量%以上のニッケル含有量を有する1つ若しくは複数の他のスチールを含む。
【0082】
ある実施形態では、ブリッジは、外側導電層と同じ速度で、又はより迅速に、酸化する。特定の実施形態では、ブリッジは、導電性水性媒体との最初の接触後約1時間未満で酸化する。他の実施形態では、ブリッジ酸化物は、約30分未満、約20分未満、又は約10分未満で酸化される。
【0083】
C.例示的な層厚
図13A図13Gは、カソードケースの異なる層厚のいくつかの例示的な実施形態を示す。層は、箔、表面、フィルム、又はシートとも呼ばれ得る。カソードケースの全体の厚さは、約200μm~約360μmの範囲である。
【0084】
いくつかの実施形態では、外側導電層1304は、約100nm~約400μmの範囲の均一な厚さ(図13A図13D)又は不均一な厚さ(図13E)を有し得る。いくつかの実施形態では、外側導電層は、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の厚さを有する。
【0085】
いくつかの実施形態では、内側導電層1303は、約100nm~約400μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する。いくつかの実施形態では、内側導電層は、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の厚さを有する。
【0086】
いくつかの実施形態では、絶縁層1305は、約1μm~約400μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する。いくつかの実施形態では、絶縁層は、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、約5μm~約50μm、約50μm~250μm、又は約5μm~約200μmの範囲の厚さを有する。
【0087】
ある実施形態では、絶縁層は、約200μm~約356μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する内部支持体1317を含む(図13F及び図13G)。いくつかの実施形態では、内部支持体は、絶縁層を形成する非導電性膜1305で完全にコーティングされている(図13F)か、又は部分的にコーティングされている(図13G)。続いて、非導電性膜1305は、内側膜1318a、外側膜1318b、及びリム膜1318cを含む導電層1318でコーティングされ、ここで膜1318a、1318b、及び1318cは全て電気的に接触している。内側導電性膜1318aは内側導電層として機能し、リム膜1318cはブリッジとして機能する。図13Fに示す実施形態では、外側膜1318bは、外側導電層として機能し、カソードケースの環状側面1312及び底部1313を覆う。図13Gに示す実施形態では、外側膜1318bは、導電性内部支持体1317aと物理的及び電気的に接触しており、外側膜1318b及び内部支持体1317aを含む外側導電層をもたらす。外側膜1318bは、カソードケースの環状側面1312及び底部1313を部分的に又は完全に覆う。
【0088】
少なくとも1つのブリッジは、約100nm~約50μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有し得る。
【0089】
上述の厚さを有する層を形成する方法は、当技術分野で公知である。例えば、物理蒸着は、約100nm~約10μmの厚さを有する層を形成するのに有用である。クラッディング、溶接、ピンチング、又は打ち抜き成形は、約1μm~約400μmの範囲の厚さを有する層を形成するのに有用なプロセスである。
【0090】
III.導電性水性媒体との例示的な接触
電池と導電性水性媒体との接触は、電池を導電性水性媒体に浸漬すること、又は電池を哺乳動物の口、喉、食道、又はGI管の任意の他の部分の組織などの湿潤組織と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、導電性水性媒体との接触は、少なくとも1つのブリッジ及びアノードケースの少なくとも1つの部分が水和した組織(hydrated tissue)と接触するように、水和した組織上に電池を配置することを含む。いくつかの実施形態では、水和した組織は水和したハム(hydrated ham)であり、他の実施形態では、組織は水和したブタ食道組織(hydrated pig esophageal tissue)である。
【0091】
別の実施形態では、導電性水性媒体との接触は、上向きのアノード端子を有する電池を導電性水性媒体に浸漬することを含む。一実施形態では、導電性水性媒体は、初期pHが約5~約7の範囲にある、約20mLの0.85%w/w生理食塩水又は約20mLの25%リンガー液であり、電池を浸漬した後の最初の60分間にわたっての生理食塩水の平均pHは、5分ごとのサンプリング間隔で、約10の平均pHを超えない。25%リンガー液は、塩化ナトリウムを36.75mM、塩化カリウムを1.00mM、及び塩化カルシウムを0.75mM含有する。pHは、pH紙又はデジタルpH計のいずれかを用いて、撹拌を行わずに、アノードケースの中心から約3cm上方の溶液容器内で直接測定されるべきである。さらに別の実施形態では、溶液のpHは、浸漬後10~60分の期間にわたって約9.5を超えない。別の実施形態では、溶液のpHは、浸漬後10~60分の期間にわたって9を超えない。さらに別の実施形態では、溶液のpHは、浸漬後10~60分の期間にわたって約8.5を超えない。さらに別の実施形態では、溶液のpHは、浸漬後10~60分の期間にわたって約8を超えない。さらに別の実施形態では、溶液のpHは、浸漬後10~60分の期間にわたって約7.5を超えない。
【0092】
別の実施形態では、室温で少なくとも1時間、約5~7のpHを有する20mLの0.85%w/w生理食塩水又は20mLの25%リンガー溶液に電池を浸漬した後、内側導電層と外側導電層との間の電気抵抗は、約500オームより大きく、約50キロオームより大きく、又は約500キロオームより大きい。別の実施形態では、内側導電層と外側導電層との間の接続は開回路になる。別の実施形態では、内側導電層と外側導電層との間の電流は、約0.1mA未満、約0.01mA未満、又は約1μA未満である。
【0093】
いくつかの実施形態では、電池は、アノード側を上に向けて約20mLの約0.85%生理食塩水又は約20mLの25%リンガー液に浸漬される。
【0094】
IV.例示的な積層体
次に、本開示は、電極ケースの形成に有用な多層積層体を提供する。例示的な多層積層体1400が図14に示されている。1403は第1の導電層を表し、1404は第2の導電層を表し、1405は絶縁層を表す。絶縁層は、第1の導電層及び第2の導電層の間にある。第1の導電層及び第2の導電層の間に少なくとも1つのブリッジを形成するための物理的又は化学的プロセスの後、第1の導電層及び第2の導電層は電気的に接触することができる。
【0095】
多層積層体は、本明細書に記載の電池用のカソードケースなどの電極ケースを形成するために有利に使用することができ、少なくとも1つのブリッジと導電性水性媒体とが接触した後には、第1の導電層及び第2の導電層の間の電気的接触が低減又は切断される。
【0096】
第1の導電層は、任意の導電性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の導電層は、アルミニウム、ステンレススチール、ニッケル、クロム、タングステン、バナジウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせを含む。第2の導電層はまた、任意の導電性材料を含み得る。第2の導電層に有用な金属には、ステンレススチール、アルミニウム、チタン、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
特定の実施形態では、第2の導電層はステンレススチールを含む。有用なステンレススチールとしては、限定されないが、SS304、SS316、SS430、二相系ステンレススチール、約10%重量以上のクロム接触及び約0.1%重量以上のニッケル含有量を有するスチール、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0098】
絶縁層は、いくつかの実施形態では、疎水性ポリマー、天然ゴム、シリコーンエラストマー、酢酸セルロース、紙誘電体、セラミック、金属酸化物、窒化物、炭化物、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせであってもよい。疎水性ポリマーは、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレンプロピレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリイミド、ジメチルポリシロキサン、接着剤、陽極酸化処理アルミニウム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせであってもよい。有用な金属酸化物には、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化クロム、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0099】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、a)複数の層、b)外側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、c)内側導電層と接触する接着層を含む複数層構造体、又はd)a)b)及び/若しくはc)、を含む。
【0100】
複数層絶縁層の接着剤層は、感圧接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ、ポリウレタン、シリコーン接着剤、フェノール樹脂、UV硬化性接着剤、アクリレート接着剤、ラミネート用接着剤、フルオロポリマー、又はそれらのうち2つ以上の任意の組み合わせを含み得る。
【0101】
積層体で形成され得る少なくとも1つのブリッジは、導電性水性媒体に電気化学的に溶解することができる材料を含み得る。ブリッジに有用な材料には、ステンレススチール、アルミニウム、クロム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、又はそれらのうち任意の2つ以上の組み合わせが含まれる。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1の導電層は、約100nm~約400μm、100nm~約350μm、1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、又は約50μm~200μmの範囲の均一な又は可変の厚さを有する。
【0103】
いくつかの実施形態では、第2の導電層は、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有してもよい。いくつかの実施形態では、第2の導電層は、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、又は約50μm~200μmの範囲の厚さを有する。
【0104】
いくつかの実施形態では、絶縁層は、約100nm~約400μm、約100nm~約350μm、約1μm~約350μm、約200μm~約350μm、約1μm~約50μm、又は約50μm~200μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する。
【0105】
ある実施形態では、絶縁層は、約200μm~約356μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有する内部支持体を含む。
【0106】
少なくとも1つのブリッジは、約100nm~約50μmの範囲の均一な又は不均一な厚さを有し得る。
【0107】
V.例示的な製造方法
本開示は、上述の例示的なカソードケース及び例示的な電池の製造方法をさらに提供する。以下の非限定的な例を含むいくつかの方法が利用可能である。図15Aに示す一実施形態では、カソードケースを製造する方法は、
a)第1の導電層1503、第2の導電層1504、及び第1の導電層と第2の導電層との間の絶縁層1505を有する、積層体を提供すること、
b)底部、環状側面、及びリムを含むカソードケース1500Aを形成するように、積層体1530を打ち抜き成形すること、及び
c)第1の導電層と第2の導電層との間に少なくとも1つのブリッジを形成することと、
を含み、
ここで第1の導電層はケースの内表面を形成し、第2の導電層はケースの外表面を形成する。
【0108】
いくつかの実施形態では、ブリッジは、リムを曲げることによって形成されてもよい。あるいは、打ち抜き成形工程はブリッジを形成する。図15Bに示す別の実施形態では、カソードケース1500Bの製造方法は、内表面が缶のリム1514の上を包む(wrap)ように、缶1501の中心から離れる方向に缶の縁部を巻くこと(rolling)ことを含む。いくつかの実施形態では、図15Cのクローズアップカソード缶リム概略図に示すように缶の縁部が少なくとも270°又はそれ以上巻かれると、第1の導電層1503は第2の導電層1504と物理的及び電気的に接触する。さらに他の実施形態では、缶の縁部は、缶の中心から離れる方向に角度X°まで巻かれ、ここでX°は、缶の底1501に平行な0°に対して測定され、X°は約1°~270°、約5°~200°、約45°~135°、約270°~360°、又は約360°~720°の範囲であり得る(図15C及び図15D)。さらに別の実施形態では、缶の縁部は、図15E及び図15Fに示すように、缶1502の中心に向かって内側に巻かれる。さらに他の実施形態では、缶の縁部は、缶の中心に向かう方向に角度Y°まで巻かれ、ここでY°は、缶の底1502に平行な0°に対して測定され、Y°は約1°~270°、約5°~200°、約45°~135°、約270°~360°、又は約360°~720°の範囲であり得る。缶の縁部が内側に巻かれるいくつかの実施形態では、カソードは、巻き包み部(roll over)の近くの内側導電層の一部がブリッジになり、導電性水性媒体に浸漬されたときに酸化して接続を切断するために利用可能である形状に、曲げることができる。
【0109】
缶の縁部がいずれかの方向に巻かれているが(図15D及び図15F)、第1の導電層が第2の導電層と物理的に接触していない他の実施形態では、ブリッジは、はんだ付け、蒸着、めっき、ろう付け、導電性インクを用いる印刷、又は他の方法でブリッジ材料を第1の導電層及び/又は第2の導電層に取り付けることによって形成され得る。
【0110】
少なくとも1つのブリッジは、第2の導電層と電気的に接触している、第1の導電層の一部を含み得る。あるいは、少なくとも1つのブリッジは、第1の導電層と電気的に接触している、第2の導電層の一部を含み得る。
【0111】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのブリッジは、導線、導電性ストリップ、又は導電性シートを含む。複数のブリッジが形成されてもよいし、単一のブリッジが形成されてもよい。
【0112】
別の実施形態では、絶縁層内に内部支持体を有するカソードケースを製造する方法は、
a)底部、環状側面、リム、内表面、及び外表面を含む内部支持体を提供すること、
b)内部支持体の内部、外部、及びリム上に絶縁層を堆積させること、
c)第1の導電性材料を、内表面上の絶縁層上に、及び任意でリム上の絶縁層上に、堆積させ、それによって内側導電層を形成すること、並びに
d)第2の導電性材料を、外表面上の絶縁層上に、及び任意でリム上の絶縁層上に、堆積させ、それによって外側導電層を形成すること
を含み、
内側導電層及び外側導電層は、少なくとも1つのブリッジを介して接触している(図13F及び図13G)。
【0113】
図16A図20Bは、カソードケース1600を組み立てるための追加の方法の概略図を示す。図16A及び図16Bでは、絶縁層1605は、外側導電層1604とは別個にカップ形状に形成される。次いで、絶縁層は、内側膜1619a、外側膜1619b、及びリム膜1619cを含む導電性膜1619で覆われ、膜1619a、1619b、及び1619cは全て電気的に接触している。次いで、導電性膜を有する絶縁層を外側導電層に機械的に嵌合させて、カソードケースを形成する。本実施形態では、導電性膜付き絶縁層は、カソードケースリム1614の全体を覆っている。層は、プレス、打ち抜き成形、又は圧着によって、及び/又は導電性及び非導電性接着剤によって機械的に固定することができる。いくつかの実施形態では、導電性膜を有する絶縁層は、図16C及び図16Dに示すようにリムを部分的にのみ覆う。
【0114】
図17A及び図17Bは、延長された縁部を有するカソードケースの形状である、絶縁層1705の一方の側に内側導電層1720が堆積される例示的な製造方式を示す。内側導電層1720は、内表面1720a、外表面1720b、及びリム表面1720cを含み、表面1720a、1720b、及び1720cは全て電気的に接触している。絶縁層の縁部は折り返されて、リム上で露出する導電性表面1720cと、外側導電層1704と直接物理的及び電気的に接触する導電性表面1720bとを形成する。次いで、外側導電層が、その中に絶縁層を押し込むことによって、又は絶縁層上に外側導電層材料を堆積することによって、適用される。
【0115】
図18A及び図18Bに示す別の実施形態では、絶縁層1805は、内側膜1820a、外側膜1820b、及びリム膜1820cが存在するように、絶縁層の内側に堆積され絶縁層のリム上へ折り曲げられた、導電性膜1820を有する。図18Bにおけるように、絶縁層及び導電性膜を外側導電層1804に挿入することができる。
【0116】
図19A及び図19Bは、内側導電層1920、外側導電層1904、及び絶縁層1905が全て別々に形成され、二次組み立て工程で機械的に接合される、例示的な製造方式を示す。内側導電層1920は、3つの部分、即ち、内側部分1920a、外側部分1920b、及びブリッジ部分1920cを含む。内側導電層ブリッジ部分及び外側部分は、カソード缶リム1914上に延在し、外側導電層1904の環状壁1912に接触する。内側導電層のブリッジ部1920cはブリッジとして機能し、外側導電層1920bの環状側面に接触する外側部は、打ち抜き、挟み込み、圧着、はんだ付け、溶接、又は導電性接着剤の塗布により電気的接触を確保するように機能する。いくつかの実施形態では、絶縁層1905及び外側導電層1904が一緒にカソードケースの形状に形成され、内側導電層1920が別個に形成され、その後に組み合わされてカソード缶を完成させる(図19C及び図19D)。
【0117】
さらに別の製造プロセスが図20A及び図20Bに示されており、ここでは、図14に示されている積層体1400などの積層体が、内側導電層2003、外側導電層2004、及び絶縁層2005が全て一緒に、ブリッジなしで形成されるように打ち抜かれる。内側導電性部分2021a、リム部分2021c、及び外側導電性部分2021bを含む導電性箔2021の別個のストリップが、ブリッジを形成するためにリム上に配置される。
【0118】
図21に示す別の実施形態では、導電層2120及び絶縁層2105を含む積層体2132が、フランジを有するカップ形状の積層体に形成される。フランジは、リム2120cで折り曲げられて、カップの内側2120aから外壁2120bまで連続した導電層を形成する。カップ形状の積層体の底部は、絶縁層2105を備える。カップ形状の積層体2132は、カソードケースを完成させるためにカソード缶2104内に配置される。本明細書では、この実施形態を「二重折り(double-fold)」と呼ぶ。
【0119】
図22A図22B、及び図22Cに示す別の実施形態では、内側導電層2220を有するカップ形状のインサート2200は、内側領域2220a、外側領域2220d、及び1つ又は複数のタブ2220bを含む。タブの、より小さい領域2220cを使用して、ブリッジを作製することができる。いくつかの実施形態では、カップ形状の内側導電層は、2~10個のタブ、2~8個のタブ、4~6個のタブ、又は4個のタブを含む。いくつかの実施形態では、図22Bに示すように、積層体インサート2200は、カップ形状の内側導電層2220と、複数のタブを有するカップ形状の絶縁層2205とを含む。カップ形状の内側導電層2220は、内側領域2220a、ブリッジ領域2220c、及びタブ領域2220bを含む。いくつかの実施形態では、カップ形状の積層体は、2~10個のタブ、2~8個のタブ、4~6個のタブ、又は4個のタブを含む。図22Bは、4つのタブ2220bと、内側導電層及び絶縁層2205を含む内側領域2220aと、を有する、例示的なカップ形状の積層体を示す。次いで、タブ2220bをリムで折り曲げてブリッジ領域2220cを形成することができる。絶縁層2205は、内側領域2205a及びタブ領域2205bを含む。カップ形状の積層体は、例えば、圧入又は接着剤を使用して、絶縁材料を含むカップ形状の熱成形品2206の内部に配置されうる。カップ形状の熱成形品2206は、主にインサート全体の形状を支持するために使用される。図22Bに示されるように、カップ形状の熱成形品2206内への配置の前に、タブ2205bの絶縁側に及び/又はカップ形状の積層体2205aの底部の絶縁層に、接着剤が塗布されてもよい。次いで、カップ形状の積層体及び熱成形品を外側導電層2204の内側に配置して、カソードケースを完成させる。
【0120】
図22Cに示す別の実施形態では、導電性箔が、打ち抜きか、そうでなければその他の方法で、図22Aのカップ形状の内側導電層と同様の形状を有するタブを有するカップ形状の内側導電層2222へと成形されうる。カップ形状の内側導電層2222は、内表面2222a、ブリッジ面2222c、頂部タブ面2222b、底面2222d、及び底部タブ面2222eを含む。カップ形状の内側導電層は、例えば圧入又は接着剤を使用して、カップ形状の熱成形品などであるカップ形状の絶縁層2206の内側に配置することができる。この場合、カップ形状の熱成形品2206は、主に絶縁層として使用され、インサートに構造的支持を付与する。例えば、熱成形品に挿入する前に、底部タブ面2222e及び/又はカップ形状の内側導電層2222dの底部に接着剤を塗布することができる。次いで、組み合わされた内側導電層及び熱成形品は、外側導電層2204内に配置されて、カソードケースを完成させる。
【0121】
図23A及び図23Bに示す別の実施形態では、導電性箔2320及び絶縁層2305を含む積層体2300が、図23に示す形状のような1つ又は複数のタブを有するカップ形状に打ち抜かれる。導電性箔2320は、内表面2320a、タブ面2320b、及びブリッジ面2320cを含む。カップ形状の積層体は、積層体の1つ又は複数のタブに対応する1つ又は複数のチャネル2330を有するカソード缶2304の内部に配置される。タブ2320bは、チャネル2330内へと折り曲げられる。いくつかの実施形態では、チャネルの深さは、約25μm~約50μmの範囲でありうる。積層体カップとカソードは、圧入又は接着剤で接着することができる。低温はんだ又は銀エポキシなどの導電性接着剤2331を使用して、内側導電層と外側導電層との間の電気的接続を完成させることができる。
【0122】
図23C及び図23Dに示す別の実施形態では、箔は、例えば打ち抜き成形によって、図22Aに示すようなタブを有するカップ形状へと成形される。箔カップ2320は、内表面2320a、タブ面2320b、及びブリッジ面2320cを含む。次いで、箔カップ2320は、絶縁層として機能する熱成形カップ2321内に配置され、圧入又は接着剤によって固定される。カップ形状の箔上のタブは、カソードケース2304上のチャネル2330に位置が合う。低温はんだ又は銀エポキシなどの導電性接着剤2331を使用して、内側導電層と外側導電層との間の電気的接続を完成させることができる。
【0123】
前述の製造方法のいずれかのいくつかの実施形態では、絶縁材料は、熱成形によってカップ形状の絶縁層へと成形される。あるいは、絶縁層は、成型(molding)によりカップ形状に成形されてもよい。いくつかの実施形態では、成型で約10μm~約100μmの範囲の厚さを有するカップ形状の絶縁層を生成する。
【0124】
前述の製造方法のいくつかの実施形態では、内側導電層は、導電性金属を鋳造してカップを形成することによって形成することができる。いくつかの実施形態では、鋳造導電性金属カップは、カップ形状の絶縁層の内側に嵌合することができる。一実施形態では、アルミニウム又はアルミニウム合金を鋳造して、約5μm~約50μmの範囲の厚さを有するカップを形成することができる。鋳造は打ち抜き又は成形プロセス中に起こり得るしわを防止し得、有利である。鋳造導電層は、例えば図22Aに示すように、複数のタブをさらに含み得る。
【0125】
品質管理のために、カソードケースの抵抗を、四探針ミリオーム計(Extech Model#380580)を使用して測定することができる。図24A図24B、及び図24Cに示すように、内側導電層2403、外側導電層2404、絶縁層2405、及びブリッジ2410を含む、例示的なカソードケース2402は、二組のラジアルプローブ2440及び2441の間に配置される。4プローブ半径方向固定具の一例は、Gamry Universal Batteryホルダである(図24A)。図24Cに記載されるように、内側導電層2403の内側からブリッジ2410を通って外側導電層2404までの抵抗が測定される。
【0126】
電池の内部抵抗の測定は、当該技術分野において公知である。内部抵抗を測定する1つの方法は、Gamryポテンショスタットを使用して1kHzでACインピーダンスを測定することである。
【0127】
いくつかの製造プロセスでは、電池の安定性又は性能を妨げない方法でおそらく過剰である材料及び/又は溶媒を除去するよう、組み立てられたセルは、アセンブリ後すぐにスプレーされるか又は非導電性水性媒体に浸漬される。
【0128】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電池は、非導電性水性媒体中で機能停止しないことがありうる。いくつかの実施形態では、電池が乾燥しているとき及び15kオーム抵抗器と直列接続で電池電圧を測定するとき、電池の電圧が1.23V以下に低下すると機能停止が起こる。例えば、本明細書に開示される電池の機能停止は、非導電性水性媒体に最大1分間、最大10分間、最大1時間、最大3時間、最大1日間、又は最大10日間浸漬した後に生じないことがありうる。
【0129】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される電池が非導電性水性媒体に約1分まで、約10分まで、約1時間まで、約3時間まで、約1日間まで、又は約10日間まで浸漬された後、電池の内部抵抗の増加は、約1オーム未満、約10オーム未満、約20オーム未満、約100オーム未満、又は約500オーム未満でありうる。
【0130】
いくつかの実施形態では、例示的な電池を非導電性水性媒体に約1分まで、約10分まで、約1時間まで、約3時間まで、約1日間まで、又は約10日間まで浸漬した後、内側導電層と外側導電層との間で測定される電池の抵抗の増加は、約1オーム未満、約10オーム未満、約20オーム未満、約100オーム未満、又は約500オーム未満でありうる。
【0131】
いくつかの実施形態では、電池を非導電性水性媒体に約1分~180分、又は約1分~60分、又は約1分~10分浸漬した後、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。
【0132】
いくつかの実施形態では、電池の貯蔵寿命安定性は、典型的な貯蔵条件よりも極端な条件で貯蔵後に電池を試験することによって推定することができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、電池は、約-20℃~約60℃の範囲の温度を有する環境に貯蔵される。いくつかの実施形態では、-20℃~60℃の範囲、又は約40℃~約60の範囲の温度を有する環境、例えば約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、又は約60℃の温度で電池を保存した後、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。いくつかの実施形態では、上記温度のいずれかを有する環境で電池を約2時間超、又は約2時間~60日間、又は約120時間~20日間、又は約60日間~1年間保存した後、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。
【0134】
いくつかの実施形態では、電池は、相対湿度(relative humidity:RH)が0~100%RHの範囲内、例えば約30%~約90%RHの環境に保管される。いくつかの実施形態では、相対湿度が約95%以下、又は相対湿度が約90%以下、又は30%~90%RHの環境で保存した場合、電池の内部抵抗の増加は、約500オームを超えない、又は約100オームを超えない、又は約50オームを超えない、又は約20オームを超えない。いくつかの実施形態では、上記相対湿度値のいずれかを有する環境に電池を約2時間超、又は2時間~60日間、又は120時間~20日間、又は60日間~1年間保存した後、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。
【0135】
さらに他の実施形態では、40℃~60℃の温度を有する環境に2時間~7日間保存した後、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、又は約100オーム未満、又は約50オーム未満、又は約20オームを超える。
【0136】
いくつかの実施形態では、電池が約95%以下の相対湿度を有する環境に保存された場合、又は電池が約95%以下の相対湿度を有する環境に、約2時間超、又は2時間~60日間、又は2時間~20日間、又は120時間~7日間、又は7日間~60日間保存された場合、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。
【0137】
他の実施形態では、電池が約30%~約90%の相対湿度を有する環境に約2時間~約7日間保存された場合、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。
【0138】
いくつかの実施形態では、電池が約30%~約90%の相対湿度及び約40℃~約45℃の温度を有する環境に約2時間~7日間保存された場合、電池の内部抵抗の増加は、約500オーム未満、約100オーム未満、約50オーム未満、又は約20オーム未満である。
【実施例
【0139】
[実施例1]
A.例示的な電池の製造
例示的なカソードケースが図25A及び図25Bに示されている。この例では、絶縁層として、粘着剤及びラミネート用接着剤付きのポリエチレンテレフタレート(PET)が使用され、内側導電層2503としてアルミニウムが使用され、外側導電層2504としてステンレススチール304が使用される。アルミニウム層の延長部は、ステンレススチール外側導電層に電気的に接触することによってブリッジを形成する。図25Cにおいて、上面図である走査型電子顕微鏡(SEM)画像は、ケースのリム2514上に延在する内側導電層2503、絶縁層2505、及びアルミニウム箔2503を示す。エネルギー分散型X線分光法(Energy-dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)分析により、灰色はアルミニウム、黒色は炭化水素、薄灰色はステンレススチールであることが分かる。図25Dは、図25A図25Cのカソードケースの構造を示す概略図である。次いで、市販のリチウムアノード及び二酸化マンガンカソードを用いて電池をアセンブルし加締めた。
【0140】
図26A及び図26Bは、それぞれ、別の例示的な積層カソードケースのリム2614の超音波溶接前後の上面SEM画像である。アルミニウム箔2603はリム2614を横切って延在し、絶縁層2605の一部が見える。超音波溶接点2640は、アルミニウムとステンレススチールの外側導電層との間にブリッジを作り出している。
【0141】
図27A図27Cは、CR2032型のリチウム電池をアセンブルする際に使用される例示的なカソードケースを示す。図27Aは、外側導電層2704、内側導電層2703、絶縁層2705、ガスケット2709、及びブリッジ2710を示す曲げカソードケースの概略図である。図27Bには、外側導電層2704、ブリッジ2710、ガスケット2709、及びアノードケース2701が見える、アセンブルされた電池の曲げ領域の上面SEM画像が示されている。図27Cにおいて、電池の側面視からのX線断層撮影スキャンが、曲げカソードケースの内部構造を明らかにする。
【0142】
B.対照電池及び実施例電池の比較試験
市販のMaxell CR2032型のリチウム対照電池、実験室製対照電池、及び処理例電池を、生理食塩水、25%リンガー液、脱イオン水、水和食道組織、及び水和ハムに曝露した結果を、以下に報告する。これらの試験は、生物学的条件下(例えば、嚥下され、生体組織と反応した後)での電池の活性をシミュレートする。
【0143】
i)生理食塩水への浸漬
図28は、市販の電池及び処理例電池を、開始pHが約5.5である20mLの0.85%生理食塩水に浸漬した場合の、3時間にわたるpHの変化を示すグラフである。この結果は、図29A及び図29Bに示すように、視覚的に反映される。処理例セル2952a及び2952bへの曝露後、5分以内に生理食塩水のpHのわずかな上昇があったものの、その後、処理例セルの試験の残りの期間にわたってpHは一貫して低かった。対照的に、市販のMaxell CR2032型のリチウム対照2950a及び2950b並びに実験室で作製された対照電池2951a及び2951bの両方に曝露した後、生理食塩水のpHは、同じ期間にわたってpHが11~12に上昇した。図29Bは、第1及び第2のカップ内の、溶液の色変化を引き起こした腐食副生成物及びセル周囲の金属酸化物堆積物を示す。対照的に、第3のカップでは、溶液は透明でほぼ無色であり、実施例電池上に目に見える酸化鉄は形成されなかった。処理例電池は、24時間~48時間にわたって生理食塩水に浸漬し続けている間に追加的に腐食を示すことがなく、一方、対照電池は腐食し続けた(データは示さず)。
【0144】
実験室で作製された対照電池及び処理例電池を、食塩水実験への浸漬の前後に走査型電子顕微鏡(SEM)によって検査した。実験後、デシケータ内で電池を少なくとも24時間乾燥させた。図30Aの生理食塩水浸漬前及び図30Bの浸漬後の実験室製対照の、曲げ領域の上面図を示す。カソードケース3004の外表面に著しい腐食が生じた。カソード3004c上に直接孔食3004b及び酸化物が形成されたのみならず、ガスケット3009及びアノード3001の近くに粉末形態の酸化物3004dが形成された形跡もある。酸化物3004c及び3004dは、エネルギー分散型X線分光法(EDX)により酸化鉄と同定された。
【0145】
図30Cは、浸漬前の処理例電池を示す。ブリッジアルミニウム箔3010(bridging aluminum foil 3010)は完全に無傷であり、カソードケースに近接している。その後、アルミニウムは完全に酸化し、内側導電層と外側導電層との間の電気的接触を破壊し、ガスケット3009及び絶縁層3005のみを残すように見える(図30D)。カソードケース3004の外層は、腐食の兆候を示さない。酸化アルミニウム粉末の痕跡3010bがガスケット及びアノードカップ上に集まっているのが分かる。
【0146】
ii).25%リンガー液及びDI水への浸漬
図31A図31B、及び図31Cは、25%リンガー液に浸漬した後の電圧対時間を示す。Maxellの市販の対照である310Aを、未処理セルの基準として各グラフにプロットする。電圧を、Graphtec Data logger GL240(Graphtec America,Inc.)を使用して測定及び記録した。チタン金属リボンリードを、クリップを使用して電池の各端子に取り付け、リード及び電池を所定の位置に保持した。電池、リード及びクリップを室温の20mLの25%リンガー液に完全に浸漬して実験を開始した。結果を表2にまとめた。
【0147】
【表2】
【0148】
4つの例示的な電池、具体的には、実施例3にさらに記載される9μmのAl層厚さを有する二重折り実施例、及び1つの市販対照CR2032型の結果を、図31Aに示す。試作品電池の電圧は15分未満で1V未満に低下し、平均低下時間は10(+/-3)分の1.2V未満である。電圧が1.2V未満に低下する期間は、より薄いAl層を有する試作品を構築することによって短縮することができる。図31Bは、3つの例示的な電池、具体的には、実施例3にさらに記載される5μmのAl層厚を有する二重折り実施形態を示す。1.2Vを下回るまでの平均時間は3.5(+/-1.2)分である。図31Cでは、6つの例示的な電池、具体的には実施例4でさらに説明する9μmのAl層厚を有するタブ4つの実施形態を、同じ条件下で運転した。電圧が1.2Vを下回るまでの時間は7(+/-3)分である。このことは、ブリッジにおけるAl層の露出量を少なくすることで、電圧降下までの時間を短縮できることを示唆している。処理された全ての試作品セルについてのpHは、溶液に浸漬された2時間後に5~6のpH範囲であった。
【0149】
市販の電池が供される洗浄手順と同様の洗浄条件下における処理電池の安定性を試験するために、例示的な電池、具体的には9μmのAl層を有する二重折り実施形態(3219)及び市販の対照電池(320C)を脱イオン水(18MΩ-cm)に室温で10日間浸漬した(図32)。各電池の電圧がわずかに低下し、これは脱イオン水の抵抗が無限大ではないためと推測される。10日間にわたって、両方のセルは約2.9Vの電圧を維持した。市販の対照セルでは少量の赤色腐食生成物が目に見え、二重折り試作品セルでは少量の白色腐食生成物が見られた。脱イオン水の高抵抗は電気分解速度を低下させる可能性があるが、電気分解を完全に停止させることはできないため、いくらかの腐食が観察される場合がある。しかしながら、この腐食は、セルが10日後にDI水中で同様の電圧を維持するのを妨げなかった。
【0150】
いくつかの商業的製造プロセスでは、セルは、おそらく過剰な材料及び/又は溶媒を除去するために、アセンブリ後すぐにスプレーされるか又は非導電性水性媒体に浸漬される。例示的な非導電性水性媒体は、18Mオーム-cmの脱イオン水又は1Mオーム-cmを超える抵抗率を有する非イオン性洗浄液を含み得る。上記の18Mオーム-cm脱イオン水への浸漬は、例示的電池が洗浄条件下で市販の電池と同様に挙動し得ることを示唆している。
【0151】
iii)25%リンガー液における延長浸漬
5つの例示的な電池、具体的には9μmのAl層を有する二重折り実施形態、及び1つの市販のMaxell対照セルを、15mLの25%リンガー溶液に少なくとも14日間浸漬した。二重折りインサート及びCR2032型のステンレススチールカソードケースの内側の前記二重折りインサートの画像を、それぞれ図33A及び図33Bに示す。図34Bの実験開始時の市販の対照(試料350A)の隣にある図34Aで、完全にアセンブルされた二重折りの例示的な電池(試料3501)を見ることができる。電池の電気性能及びアノードの直上の溶液のpHを、浸漬後最初の120分間測定した。14日以上後にセルを溶液から取り出した後、目視観察及び電気的性能を再度測定した。
【0152】
3501から3505までの5つの例示的セルは全て、実験の最初の120分間、同様のpH曲線に従った(図35A)。25%リンガー液の出発pHは5~5.5であった。5分後、実施例のセル溶液のpHは7.5~8に上昇し、15分で8~8.5にピークに達した。次いで、pHは、残りの120分間、7未満まで徐々に低下した。市販の対照(350A)溶液のpHは15分後に11.5に上昇し、120分後に12.5に上昇し続けた。
【0153】
図35Bに示されているように、3501から3505までの全ての例示的なセルの電圧は、15分後に1.2Vを下回る。これは、この時点でアノードで観察された発泡の劇的な減少にも対応していた。市販の対照である350Aは、1.75Vを超える電圧及び120分後の活性発泡を維持した。
【0154】
反応の進行は、図36図37及び図38に見ることができ、図36A図37A及び図38Aは試料3501を示し、図36B図37B及び図38Bは試料350Aを示す。試料3501及び市販の対照350Aについて、それぞれ15分及び20分後、処理セルの透明溶液と比較すると、市販のセルの溶液中には褐色腐食生成物が見える(図36)。120分後(図37)及び14日以上後(図38)では、実施例セルと対照セルの反応生成物の違いは、より視覚的に明らかになる。
【0155】
14日以上後、セルを除去し、過剰な固体を除去するために軽くブラッシングしながら18MΩ-cmの脱イオン水中で洗浄した。図39は、ダイノーライトデジタル顕微鏡によって撮影された二重折り試作品試料3501(図39A図39B及び図39C)の拡大画像を示す。全ての二重折り試作品電池は、アノードカップ又はカソード缶のいずれにも孔食又は腐食の兆候がなく、この試料と同様に見えた。市販の対照350Aでは画像(図39D図39E、及び図39F)に示すように、カソード缶に過剰な孔食及び腐食がある。対照を含む全ての試料は、2週間浸漬した後、質量がわずかに増加した。質量変化は、セルの質量の0.5%の変化を超えなかった。市販の対照は、アノード及びカソードの缶の表面に残った腐食生成物を形成することによって質量を増加させ、壊れてセルから離れる腐食生成物から質量を失うことによって同様の質量を維持することができた可能性が高い。
【0156】
【表3】
【0157】
表3では、浸漬の前後に、15kオームで5秒間(15k_CCV)、3.9kオームで5秒間(3.9k_CCV)、及び1kオームで1秒間(1k_CCV)の負荷の下での開回路電圧(OCV)及び閉路電圧(CCV)を記録している。実験室で作製されており、商業ラインで作製されたものではないため、実験室で作製された試作品電池は、初期電気性能の変動がより大きい。浸漬後、全てのセルは非常に高い内部抵抗を有し、有意な電圧で15kオームの負荷を運ぶことができない。1.2Vを超えるOCVが読み取られる唯一のセルは試料3502である。これは、いくらかの残留溶液によって促進される、浸漬後でも依然として無傷である非常に高い抵抗経路に起因する可能性がある。抵抗は、導電性水性媒体の電気分解が起こらせない程十分に大きい。試料3502をベンチトップ上で三日間乾燥させた後に再測定したところ、OCVは0.018Vであった。市販のセルも15kオームの負荷で電圧を維持することができなかったが、これは、セルが溶液と反応し続けて水酸化物イオンを形成し、内部の化学構造(chemistry)が最終的に溶液にさらされるため排出される能力に起因する可能性がある。
【0158】
試作品試料では、15分後に少量の白色沈殿物が形成され、これは試料をより長期間(図36図37、及び図38)溶液に浸漬するとより明らかになる。沈殿物を含む各溶液を14日以上後に収集し、誘導結合プラズマ発光分光法(inductively coupled plasma-optical emission spectrometry:ICP-OES)によって分析した。表4に示す結果は、全ての試作品セルについて溶液中の非常に高いレベルのAlを示し、試作品試料に見られる白色固体がアルミニウム系種(最も可能性の高いのはAl(OH))であることを示唆している。白色沈殿物は、水酸化物が豊富な環境(塩基性)で安定である可溶性錯イオン[Al(OH)が溶液から析出し、pHが低下して系が平衡に達するにつれて溶解性の低いAl(OH)生成物を形成するので、時間が経過するにつれてより多くみられるようになる可能性が高い。
【0159】
【表4】
【0160】
市販の対照からの溶液は、Fe、Ni、及びCrなど、ステンレススチールの腐食から予想される元素を高濃度で含有していた。対照はまた、非常にMn及びLiを高レベルで有し、これはケーシングが損傷した後にセルを破損する内部内容物に起因する可能性が高い。試作品セルでは、Li及びMnのレベルは極めて低く、セルの内部内容物が溶液中にこぼれなかったことを示唆した。
【0161】
iv.)二重折り実施形態の高温高湿試験中のアルミニウムとステンレススチールの電気接合部の抵抗
図33Aに記載されるように、二重折り積層体インサート4020を304ステンレススチールカソード缶4004内に配置し、市販のアノードキャップ4001及びガスケット4009で封止して、空の二重折り試料4000を形成した。アノードキャップ4001には、上部に穴が予め開けられており、抵抗率プローブを貫通させて、封止前にAl内部導電層4020にアクセスできるようにした(図40A)。相対湿度(RH)0~10%で約60℃、相対湿度35~55%で約60℃、相対湿度70~80%で約60℃、及び相対湿度90~100%で約60℃、という4つの異なる環境に試料を置いた。抵抗率は、4プローブ抵抗率法を用いてミリオーム計で、選択した時間間隔で133日間にわたって測定した。抵抗率の測定は、図40Bに示すように、点Aと点Bとの間で行った。AからBへの経路は、内側導電層4020aから、リム4020cにわたって延在し、外側導電層4020bに電気的に接続されて、ステンレススチールカソード缶4004へのブリッジを形成する。図41に示すように、全ての試料は、60℃及び全ての試験したRH条件で133日間を通して0.12オーム未満のままである。Al内部導電層又はステンレススチールケーシングの劣化の目に見える兆候はなかった。
【0162】
指定の性能を失うことなく電池を保管できる時間は、電池の貯蔵寿命安定性と考えられる。通常の保管条件下で製品を保管し、次いで製品性能を日常的に測定することによって、貯蔵寿命安定性を測定することができる。あるいは、いくつかの電池試験手順では、貯蔵寿命安定性は、約60℃、相対湿度約90%でセルの性能を測定することによって推定され得る。これらの条件下で20日間は、周囲の温度及び湿度の下で約1年間であり得る。1年以上の近似貯蔵寿命は、大量生産及び製造性の点で有利である。上記の実験は、例示的な電池カソードケースが、約60℃の温度及び約90~100%の相対湿度を有する環境で133日間貯蔵した後に腐食を受けないことを示唆している。実施例1biiなどの他の実験は、同じ例示的な電池カソードケースが約5~約15分の範囲の持続時間で導電性水性媒体中で機能停止し得ることを示唆している。示唆された約60℃、相対湿度約90%における安定性に加えて、導電性水性媒体中における機能停止までの時間(deactivation time)が短いものでありうることは、この例示的な電池ケース設計に固有の特徴(aspect)であり得る。
【0163】
v)水和したブタ食道組織への曝露
市販のMaxell CR2032型の対照電池、実験室で作製された電池、及び処理例電池をブタ食道組織に入れ、外観の変化及び視覚的損傷の徴候について検査した。凍結したブタ食道試料を使用前に室温水中で12時間解凍し、次いで人工唾液ですすぎ、37℃の人工唾液浴に入れた。ブタ食道組織を約7cmの切片に切断し、管状試料を長軸に沿って切断して組織を開き平らなシートにした。組織試料は、実験開始まで人工唾液浴中で維持した。次に、組織切片の最下層に電池を、アノードを下に向けて配置し、次いで、点滴灌注ホースを食道部の上に配置し、最後に、組織を畳んでクランプによって灌注ボードに固定した。10mL/15分、37℃の人工唾液の点滴灌注を設定した。約15分ごとに、クリップを開き、組織を合計4時間撮影した。pHを測定する試みは、人工唾液の連続的な流れに起因する可能性が最も高い不規則な変動値をもたらした。
【0164】
実験室で作製された対照電池への組織の曝露では、市販の対照への曝露と較べると、おそらく電池間のインピーダンスの差(実験室で作製された電池のインピーダンスは、一貫して市販の対照電池の2倍を超える)のために、視覚的損傷の増加が遅かった。これらの違いにもかかわらず、市販の対照及び実験室で作製された対照は、60分以内に視覚的損傷の徴候を示し始めた(図42及び図43)。240分後、両対照電池に供された組織は壊死組織の視覚的徴候を示し、これはアノードとカソードとの間の間隔に曝露された組織で特に劇的であった。対照的に、処理例電池への240分間の曝露後の食道組織の視覚的損傷は最小であるように見えた(図44)。
【0165】
vi)水和ハムへの曝露
市販のMaxell CR2032型のリチウム電池、実験室で作製された対照、及び例示的な電池の、ハムのスライスへの曝露では、生理食塩水浸漬試験で見られるのと同様の傾向が示された。ハム試料を最初に浅いペトリ皿中で約3mlの0.85%生理食塩水で水和し、ハムの下層にセルを、アノードを下に向けて配置した。スライスしたハムを折り畳んでセルを覆い、500gの重りをハムの上に押し付けた。アノードケースの中心に直接接触しているハムのpHは、ハムを静かに広げ、電池を横に動かし、アノードケースの中心があったハムの箇所にpH試験紙片を接触させることによって、0分、10分、30分及び60分で測定した。各測定後、電池を最初の位置に戻した。図45は、各電池への曝露時間に対するアノード下のハムの表面のpHのプロットである。ハムのpHは、市販のMaxell CR2032型のリチウム電池への曝露後と、実験室で作製された対照試料への曝露後との両方で、7から10に上昇した。食道組織試験と同様に、実験室で作製された対照試料へのハムの曝露では、市販の対照への曝露と較べると、おそらく電池間のインピーダンスの差(実験室で作製された対照電池のインピーダンスは、一貫して市販の対照電池の2倍を超える)のために、pHの増加がより遅かった。インピーダンスの差はpH上昇の速度に影響を与えたが、ハムは、実験室で作製された対照セルへの曝露後と市販のセルへの曝露後の両方で、60分の時点でpHが10であった。対照的に、処理例電池へ曝露したハムのpHは、曝露後60分まで一貫してpH8のままであった。
【0166】
図46A図46Cに表示された60分の時点の写真は、ハムの外観の重大な違いを示している。市販のMaxell CR2032型のリチウム電池及び実験室で作製された対照電池では、緑色及び黒色の沈殿物並びにハムの変色があり、それはアノードケースとカソードケースとの間の間隔付近に最も集中している(図46A及び図46B)。この沈殿物及びハムの変色は、電解中に反応するカソードケースからの腐食副生成物に起因する可能性が高い。また、pHの上昇が最も集中する箇所である、アノードケースと直接接触する組織は、わずかにオレンジ色の色合いを有する半透明になった。対照的に、処理例電池(図46C)では、緑色及び黒色沈殿物並びにハムの変色は最小限量でしかなかった。
【0167】
[実施例2]
A.実施例2~10で使用される例示的な材料を以下に列挙する。
1.例示的な箔及び箔積層体材料
アルミニウム合金1100テンパーOは、厚さ9ミクロン(μm)、12.5μm、17.5μm又は25μmであり、包まれている。アルミニウム合金1235テンパーOは、厚さ9μm、12.5μm、17.5μm又は25μmであり、包まれている。様々な架橋剤濃度を有する2部構成の積層用熱硬化性エポキシ系接着性を備えた、厚さ8.89μmの1145アルミニウム箔の箔層が厚さ12.5μm(48ga)のポリエチレンテレフタレートポリマーフィルムに積層されている、アルミニウム箔積層体(商標名Lamart MF100)。
【0168】
様々な架橋剤濃度を有する2部構成の積層用熱硬化性エポキシ系接着剤を備えた、厚さ8.89μmの1145アルミニウム箔の箔層が厚さ12.5μm(48ga)のポリエーテルイミドULTEMフィルムに積層されている、アルミニウム箔積層体。
【0169】
2.例示的な熱成形フィルム材料
ポリマー材料を断熱層用のプラスチック製ライナーカップに熱成形した。このプロセスに使用されるポリマーの例としては、厚さ36μm又は50μmのポリエチレンテレフタレート(商品名マイラー)、25μm又は50μmのポリエーテルイミド(商品名ULTEM及びカプトン)厚さ25μm又は50μmの、ペルフルオロアルコキシポリマーフィルム、のフッ素化エチレンプロピレンフィルム及びポリフッ化ビニルデンフィルムが挙げられる。
【0170】
3.例示的な外側カソード缶基材材料
実施例におけるカソード「缶」は、典型的には外側導電層を構成する、厚めのステンレススチール層を指す。
【0171】
カソード「ケース」は、カソード缶とカソード缶に取り付けられた任意のインサートとを含む、カソードケース構造全体を指す。
【0172】
カソード缶基材は、200μm、225μm又は250μmの厚さのステンレススチールSS304又はSS430から作製された。
【0173】
次いで、CR2032型の電池アセンブリが適合し、該コインセルの活性部分を収容するアノードカップをカバーし内に押し込めるように設計された、特定の寸法に、上記の基板材料を打ち抜いた。
【0174】
B.ULTEM熱成形カップ上に3~8μmのPVD Al層を有する試作品
この例による電池の製造を示す概略図を図18A及び図18Bに示す。25μm又は50μmのULTEM(ポリエーテルイミド)のシートをカップインサート1805へと熱成形した。ULTEM熱成形カップ上に3~8μmのAlコーティングを物理蒸着(PVD)を使用して堆積させることによって、内部導電層1820を形成した。ULTEM熱成形品はPVDプロセスを経た後に反っておらず、そのサイズ及び形状を維持する。36μmのPET熱成形カップ試料を同じAl PVDプロセスでコーティングしたが、PETカップの壁が反ってしまい、得られた嵌合はそれほど望ましくなかった。Alコーティングは、カップの内側1820aの全体、カップのリム1820c、及びカップの外壁の上部50%を覆い、連続層1820bを形成した。ミリオーム計で測定した熱成形品の抵抗は、カップの内側の中心から外壁までで1オーム未満であった。次いで、AlでコーティングされたULTEM熱成形品を、200μm又は250μmの厚さを有するステンレススチール(この実験では、SS304を使用した)カソード缶1804の内部に配置した。熱成形品は、圧入物としてカソード缶内に配置しても、又は熱成形品1805の底面に接着剤を塗布することによって固定してもよい。次いで、カソードケースをアセンブルしてCR2032型のコイン電池にした。PVDコーティングされた熱成形品の高さは、熱成形品1820cのリムが曲げられた後にリム縁部全体の周りに見えるように、2.3~2.8cmであった。熱成形品は、ブリッジのいかなる部分もガスケットの下に埋め込まれないがアノードケースに接触するほど高くはないように十分な、好適な高さであった。
【0175】
0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、カソードのリム縁部の周りにコーティングされた露出したAlが酸化されて、電池の抵抗が大幅に増加し、生理食塩水の電気分解が停止した。表5に示すように、機能停止までの時間は、Al PVDコーティングの厚さ及び露出したAl層の高さによって30秒~4分の範囲にあった。
【0176】
【表5】
【0177】
[実施例3]
全フランジが折り曲げられた積層二重折りインサートを有する試作品
この例による電池の製造を示す概略図を図21に示す。インサートの写真を図33A及び図33Bに示し、完成した試作品を図34に示す。9μmのAlと12.5μmのPETとの積層体(ラミネート用接着剤によって接合された9μmのAlと12.5μmのPETとの積層体であるLamart Corp MF100)を、図22Aに記載の形状に打ち抜いた。積層体をプログレッシブダイに供給し、ブランク加工し(blanked)、カップ形状にし(cupped)、確認し(qualified)、トリミングしてインサートにした。次の一連の打ち抜き工程では、リム上のフランジを折り曲げ、所望の形状を生成した。積層体2120のAl側は、カップの内側2120aに面していた。フランジをリム2120cで折り曲げて、カップの内側から外壁2120bまで連続的なAl層を形成した。二重に折り曲げられた2120bは、側壁の全長にわたって広がり、壁厚を全体にわたって同じに保つ。積層体カップの底部は、PET側2105である。次いで、MF100二重折りインサートを200μmのSS304カソード缶2104の内部に配置した。カソードケースを形成するため、インサートは、圧入物としてカソード缶2104内に配置しても、又は2105と2104との間の底面上の接着剤で固定してもよい。次いで、カソードケースをアセンブルしてCR2032型のコイン電池にした。MF100二重折りインサートの高さは2.3~2.8cmの間であったため、押し込んだ後にAl折り目2120cの上部がリム縁部全体の周りに見える。インサートは、ブリッジのいかなる部分もガスケットの下に埋め込まれないがアノードケースに接触するほど高くはないように十分な、好適な高さである。
【0178】
前述の試料のように、0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、カソード2119cのリム縁部の周りの露出したAl箔が酸化されて、電池の抵抗が大幅に増加し、生理食塩水の電気分解が停止した。機能停止までの時間は、露出したAl箔折り部(Al foil fold)の高さによって3~20分の範囲にある。
【0179】
[実施例4]
積層4タブインサート及び熱成形支持体を有する試作品
この例による電池の製造を示す概略図を図22A及び図22Bに示す。完成した試作品の写真を図47に示す。9μmのAlと12.5μmのPETとの積層体である、Lamart Corporationによって製造されたMF100を、図22Aに記載の形状に打ち抜いた。積層体をプログレッシブダイに供給し、ブランク加工し、カップ形状にし、確認し、トリミングして4タブのデザインを製造した。積層体2220のAl側はカップの内側2220aに面し、PET側はカップの底部2205a上にあった。4タブMF100カップは、圧入物として36μmPETの熱成形カップ2205bの内側に配置されたか、又は底面上に接着剤で固定されてもよい。タブ2220eのPET側に少量の接着剤を塗布し、タブを折り曲げてPET熱成形カップ2205bに固定した。カソードケースを形成するために、インサートは、圧入物としてカソード缶2204(200μmのSS304又は250μmのSS304)内に配置しても、又は底面2205b上に接着剤で固定してもよい。次いで、カソードケースをアセンブルしてCR2032型のコイン電池にした。インサートの高さは、押し込んだ後にタブ2220cから露出したAlがリム縁部の周りに見えるように、約2.3~2.8cmであった。インサートは、ブリッジのいかなる部分もガスケットの下に埋め込まれないがアノードケースに接触するほど高くはないように十分な、好適な高さである。
【0180】
前述の試料のように、0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、カソードのリム縁部の周りの露出したAl箔が酸化されて、電池の抵抗が大幅に増加し、生理食塩水の電気分解が停止した。機能停止までの時間は、露出したAl箔折り部の高さ及び厚さによって3~10分の範囲にあった。
【0181】
[実施例5]
Al箔4タブインサート及び熱成形断熱支持体を有する試作品
Al箔を図22Aに記載の形状に打ち抜き、図22Cに示すカップ2222を形成した。Al箔の厚さは12.5~25μmの範囲とすることができる。本実施例では、12.5μm又は25μmのAl箔を使用した。箔をプログレッシブダイに供給し、ブランク加工し、カップ形状にし、確認し、トリミングして4タブのデザインを製造した。36μmのPET熱成形カップ2205の内側に、4タブAlカップ2222を、圧入又は2つの層の間に接着剤を塗布することによって配置した。タブ2222eのPET側に少量の接着剤を塗布し、タブを折り曲げ、PET熱成形カップ2205に固定してインサートを形成した。カソードケースを形成するために、インサートは、圧入物としてカソード缶2204内に配置しても、又はPET熱成形カップ2205の底面に接着剤で固定してもよい。次いで、カソードケースをアセンブルしてCR2032型のコイン電池にした。インサートの高さは、押し込んだ後にタブ2222cから露出したAlがリム縁部の周りに見えるように、2.5~2.8cmである。インサートは、ブリッジのいかなる部分もガスケットの下に埋め込まれないがアノードケースに接触するほど高くはないように十分な、好適な高さである。
【0182】
前述の試料のように、0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、カソードのリム縁部の周りの露出したAl箔が酸化して、電池の抵抗が大幅に増加し、生理食塩水の電気分解が停止する。機能停止までの時間は、露出したAl箔折り部の高さ及び厚さによって3~20分の範囲にある。
【0183】
[実施例6]
積層4タブインサート及びチャネル付きカソード缶を有する試作品
図23A及び図23Bに示すように、9μmのAlと12.5μmのPETとの積層体(MF100)を図22Aに示す形状に打ち抜いた。積層体をプログレッシブダイに供給し、ブランク加工し、カップ形状にし、確認し、トリミングして4タブ設計を製造した。積層体のAl側2320aは、カップの内側を向いていた。4タブMF100カップを、チャネル付き225μm SS304カソード缶の内側に配置した。4つのタブは、カソード缶チャネル2330と位置が合っており、タブは、チャネルの内部の凹みへと折り畳まれる。チャネルの深さは25~50μmの範囲であった。これは、圧着プロセス中にタブがカソード缶の外壁上に残っていて圧着ダイがMF100の4つのタブと直接接触してしまうのを防止する。インサートは、圧入物として固定しても、又は熱成形カップ2305の底面及びタブの裏側に接着剤を塗布することによって固定してもよい。タブは、低温はんだ2331を用いてステンレススチールカソード缶に電気的に接続され、カソードケースの内側と外側との間の電気的接続を完成させた。次いで、カソードケースをアセンブルしてCR2032型のコイン電池にした。
【0184】
0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、4つの延長タブから露出したAl箔が酸化されて、電池の抵抗を大幅に増加させ、生理食塩水の電気分解を停止させる。機能停止までの時間は、露出した積層体タブの幅、長さ、及び厚さによって3~20分の範囲にあった。
【0185】
[実施例7]
Al箔4タブインサート及びチャネル付きカソード缶を有する試作品
Alの12.5μm箔2320を図22Aに示す形状に打ち抜いた。箔をプログレッシブダイに供給し、ブランク加工し、カップ形状にし、確認し、トリミングして4タブのデザインを製造した。図23C及び図23Dに示すように、4タブAl箔カップ2320を36μmのPET熱成形カップ2321の内側に配置し、圧入又は層間の接着剤のいずれかによって固定してインサートを形成した。カソード缶は、タブ用の凹みチャネルを有する225μmのSS304カソード缶であった。4つのタブは、カソード缶チャネル2330と位置が合っており、タブは、チャネルの内部の凹みへと折り畳まれた。これにより、圧着プロセス中にタブがカソード缶の外壁に残っていて圧着ダイが4つのタブと直接接触してしまうのが防止された。インサートは、圧入物として固定しても、又は熱成形カップ2321の底面とステンレススチールカソード缶2304との間に接着剤を塗布することによって固定してもよい。タブは、カソードケースの内側と外側との間の電気的接続を形成する低温はんだ2331(S-ボンド220)で固定される。あるいは、タブは、銀エポキシ(Creative Materials)などの導電性接着剤を用いて外側カソード缶に固定されてもよい。次いで、カソードケースをアセンブルしてCR2032型のコイン電池にする。
【0186】
0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、4つの延長タブから露出したAl箔が酸化されて、電池の抵抗を大幅に増加させ、生理食塩水の電気分解を停止させる。機能停止までの時間は、露出したAl箔タブの幅、長さ、及び厚さによって3~20分の範囲にあった。
【0187】
[実施例8]
架橋剤レベルが調整されたトリラミン酸塩を用いる試作品
MF100(ラミネート用接着剤によって接合された9μmのAlと12.5μmのPETとの積層体であるLamart Corp MF100)を、200μm、225μm又は250μmの、完全焼鈍された延伸品質SS304のシートに積層することによって、図14及び図15による三層積層材料が作製された。材料の接合には架橋剤を含有するラミネート用接着剤を使用した。架橋剤の量は、材料が剥離することなく打ち抜きができるように柔軟性も維持しつつ、強い接着が得られるように、最適化された。架橋レベルが高すぎると、ラミネート用接着剤は脆くなり、打ち抜きプロセス中に、特に材料が最も深く引き込まれる缶の壁に沿って、剥離した。
【0188】
三層積層体を打ち抜いてカソード缶にした。ブリッジは、曲げプロセス中にAl箔層をSS304外側カソード缶内に挟むことによって形成された。ブリッジは、曲げ工程の前又は後にAl SS304の接合を補助するためにはんだ又は超音波溶接を使用することによって、さらに固定することができる。
【0189】
前述の試料のように、0.85重量%の生理食塩水に浸漬すると、カソードのリム縁部の周りの露出したAl箔が酸化されて、電池の抵抗が大幅に増加し、生理食塩水の電気分解が停止した。機能停止までの時間は、露出したAl箔の量及び厚さによって3~20分の範囲にあった。
【0190】
[実施例9]
PVDコーティングされたSS304とカプトンとの積層体の試作品:
完全焼鈍された延伸品質SS304シートロールとカプトン(PEI)フィルムとの2層積層体をラミネート用接着剤によって接合した。厚さの組み合わせは、200μmのSS304/50μmのカプトン、225μmのSS304/25μmのカプトン、及び250μmのSS304/25μmのカプトンを含む。架橋剤の量は、材料が剥離することなく打ち抜きができるように柔軟性も維持しつつ、強い接着が得られるように、最適化された。架橋レベルが高すぎると、ラミネート用接着剤は脆くなり、打ち抜きプロセス中に、特に材料が最も深く引き込まれる缶の壁に沿って、剥離した。
【0191】
次いで、カプトン/SS304積層体を打ち抜いてカソード缶にし、3~10μmのAl層をPVDによって堆積させた。ULTEM層は、PVDプロセスを経た後、反っておらず、そのサイズ及び形状を維持し、ラミネート用接着剤は、ステンレススチールとカプトン層との間の結合を維持した。
【0192】
[実施例10]
Dykorで封入する試作品
200μmのステンレススチールカソード缶から出発して、約50~100μmのDykor層が絶縁層としてコーティングされる(図13Gに例示されるものと同様)。カソード缶は、連続層を形成するために、缶の内側、内壁、缶のリムの上、及び部分的にカソード缶の外壁の上に均一にコーティングされる。Dykorコーティングは、最高使用温度及び耐摩耗性を高めるためにガラス繊維で強化することができる。次いで、この試料を金属膜形成に供して(metallize)、厚さ約200nm~約25μmのアルミニウムPVDコーティングを形成する(図13G)。
【0193】
均等物
以上に記載された明細書は、当業者が実施形態を実施することを可能にするのに十分である。先の説明及び実施例は、特定の実施形態を詳述し、本発明者らが企図する最良の態様を説明する。しかしながら、前述の内容がいかに詳細に記載されていても、本実施形態は多くの方法で実施することができ、添付の特許請求の範囲及びその均等物に従って解釈されるべきであることは理解されよう。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図13F
図13G
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図23D
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
【国際調査報告】