(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】マイクロイントロデューサシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20220815BHJP
A61M 39/10 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61M25/06 556
A61M39/10 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573584
(86)(22)【出願日】2020-06-02
(85)【翻訳文提出日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 US2020035754
(87)【国際公開番号】W WO2020251806
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116322
【氏名又は名称】桑垣 衛
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン、チェイス
(72)【発明者】
【氏名】マイゼナー、アンソニー ケント
(72)【発明者】
【氏名】メサリー、シェイン
【テーマコード(参考)】
4C066
4C267
【Fターム(参考)】
4C066JJ03
4C066LL30
4C267AA17
4C267BB04
4C267BB18
4C267BB31
4C267BB53
4C267BB61
4C267CC08
(57)【要約】
取っ手に結合されるイントロデューサシースと、アダプタを含み、取っ手およびイントロデューサシースは、それらを通るチャネルを画定する、マイクロイントロデューサシステム。アダプタは、所定の角度付き部分を有する受け取り管を含み、受け取り管は、近位開口部からマイクロイントロデューサのチャネルへの経路を提供する。アダプタは、マイクロイントロデューサと一体である、または別個に取り付けられる。別個に取り付けられたアダプタは、スピンナットまたはアダプタをマイクロイントロデューサに結合させるその他の取付機構を含み得る。所定の角度付き部分は、例えばらせん状の経路を形成するための、複数の曲げられた部分を含み得る。マイクロイントロデューサシステムは、形状感知スタイレットシステムを含み得る。アダプタの所定の角度付き部分は、形状感知スタイレットを較正するための基準点を提供し得る。スタイレットが所定の角度付き部分を通過すると、スタイレットに結合された外部装置は曲がりを較正する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取っ手に結合されるイントロデューサシースを含み、前記取っ手およびイントロデューサシースはそれらを通るチャネルを画定する、マイクロイントロデューサと、
所定の角度付き部分を有する受け取り管を備え、前記受け取り管は、近位開口部から前記マイクロイントロデューサの前記チャネルへの経路を画定する、アダプタと、を備える、マイクロイントロデューサシステム。
【請求項2】
前記アダプタは、前記マイクロイントロデューサと一体化される、請求項1に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項3】
前記所定の角度付き部分は、複数の曲げられた部分を含む、請求項1または2に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項4】
前記経路はらせん状である、請求項3に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項5】
前記所定の角度付き部分は、前記マイクロイントロデューサシステムの長手方向軸線に対して45度から90度の間の角度をなす、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項6】
前記角度は約70度である、請求項5に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項7】
前記マイクロイントロデューサは、近位コネクタを含み、前記アダプタは、前記近位コネクタに結合するように構成される取付機構を含む、請求項1および3から6のいずれか一項に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項8】
前記接続部材は、長手方向軸線に沿って延びる破断線を含むスピンナットである、請求項7に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項9】
前記アダプタは、前記アダプタの全長に沿って延びる分割線に沿って分割可能である、請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項10】
前記アダプタは、前記受け取り管の全長に沿って延びる長手方向の開口を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項11】
前記長手方向の開口はスリットから成る、請求項10に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項12】
前記アダプタは、前記受け取り管の壁に配置される前進機構を含み、前記前進機構は、医療機器を前記マイクロイントロデューサシステムを通して移動させるように構成される、請求項1から11のいずれか一項に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項13】
前記前進機構はスクロールホイールである、請求項12に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項14】
前記スクロールホイールは、前記所定の角度付き部分に隣接して配置される、請求項13に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項15】
形状感知スタイレットシステムをさらに備える、請求項1から14のいずれか一項に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項16】
前記形状感知スタイレットシステムは、形状感知スタイレットと、前記形状感知スタイレットと通信する外部装置とを備える、請求項15に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項17】
前記所定の角度付き部分は、前記形状感知スタイレットのための較正点を提供する、請求項16に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項18】
前記アダプタは前進機構を含み、前記前進機構は、前記外部装置が前記形状感知スタイレットの曲がりパターンおよび挿入長さのうちの1つの計測を開始するための基準点を提供する、請求項16に記載のマイクロイントロデューサシステム。
【請求項19】
患者の脈管にアクセスするために、請求項16に記載のマイクロイントロデューサシステムを用いることと、
前記形状感知スタイレットを、前記受け取り管および前記所定の角度付き部分を通して前進させることと、
前記所定の角度付き部分によって形成される角度に対する前記形状感知スタイレットの第1の曲がりを較正することと、を含む、患者の脈管の形状を感知する方法。
【請求項20】
前記外部装置は、前記形状感知スタイレットの曲がりパターンを計測するために、前記第1の曲がりを使用し、前記外部装置は、前記脈管の経路を判定するために、前記曲がりパターンを使用する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される実施形態は、マイクロイントロデューサおよびアダプタを含むマイクロイントロデューサシステムに関する。
【発明の概要】
【0002】
マイクロイントロデューサは、取っ手に結合されるイントロデューサシースを含むことができ、取っ手およびイントロデューサシースは、それらを通るチャネルを画定する。アダプタは、所定の角度付き部分を有する受け取り管を含むことができ、受け取り管は、近位開口部からマイクロイントロデューサのチャネルへの経路を画定する。アダプタは、マイクロイントロデューサと一体である、または別個に取り付けられる。所定の角度付き部分は、らせん状の経路を形成するための複数の曲げられた部分を含み得る。所定の角度付き部分は、マイクロイントロデューサシステムの長手方向軸線に対して任意の角度を取ることができ、例えば、45度から90度の間であり、ある実施形態においては約70度である。別個に取り付けられる場合、アダプタは、マイクロイントロデューサの近位コネクタに結合するように構成される取付機構を含む。接続部材は、挿入された医療機器からのスピンナットの取り外しを可能にする破断線を含む、スピンナットを含み得る。アダプタの受け取り管は、挿入された医療機器からの受け取り管の取り外しを可能にする開口部またはスリットを含み得る。マイクロイントロデューサは、受け取り管の壁に配置される前進機構を含むことができ、前進機構は、医療機器をマイクロイントロデューサシステムを通して移動させるように構成される。前進機構は、スクロールホイールであってよく、いくつかの実施形態においては、受け取り管の所定の角度付き部分に隣接して配置され得る。
【0003】
マイクロイントロデューサシステムはさらに、形状感知スタイレットシステムを含むことができ、これは、形状感知スタイレットおよびそれと通信する外部装置を含み得る。所定の角度付き部分は、形状感知スタイレットのための較正点を提供する。マイクロイントロデューサシステムが前進機構を含む実施形態において、前進機構は、外部装置が形状感知スタイレットの曲がりパターンおよび挿入長さのうちの1つの計測を開始するための基準点を提供し得る。患者の脈管の形状感知方法は、形状感知スタイレットを受け取り管および所定の角度付き部分を通して前進させることと、所定の角度付き部分によって形成される角度に対する、形状感知スタイレットの第1の曲がりを較正することと、を含み得る。外部装置は、形状感知スタイレットの曲がりパターンを計測するために、第1の曲がりを用いることができ、脈管の経路を判定するために、曲がりパターンを用いることができる。外部装置は、3次元(3D)空間における患者の脈管の形状を判定するために、曲がりパターンを用いることができる。
【0004】
いくつかの実施形態において、アダプタは、長尺の医療機器を受け取るために、マイクロイントロデューサの近位端に別個に結合され得る。アダプタは、漏斗状の開口部を含み、かつ角度付き部分を備えるチャネルを画定し、角度付き部分は所定の角度を含む。角度付き部分は、漏斗状の開口部を皮膚の表面から離して配置し、長尺の医療機器を導入するのに便利な目標を提供する。アダプタはさらに、スクロールホイールを含み得る。スクロールホイールは、角度付き部分に配置されることができ、長尺の医療機器の遠位先端部と係合し得る。スクロールホイールは、長尺の医療機器をアダプタ内および角度付き部分の中へ引き込むために用いられ得る。したがって、長尺の医療機器のねじれまたはもつれを防止する。さらにスクロールホイールは、アダプタ内の連続的な圧力、曲がりおよび前進速度を提供する。
【0005】
添付の図面に示されている特定の実施形態を参照して、本開示のより詳細な説明が記載される。これらの図面は本発明の典型的な実施形態のみを表しており、したがって、その範囲を制限するものであるとみなされないことが理解される。本発明の例示的な実施形態は、以下の添付の図面を用いて、追加の特徴および詳細が記載され説明される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】
図1Aは、マイクロイントロデューサと、角度付き部分を含む一体化されたアダプタとを含む、マイクロイントロデューサシステムを示す。
【
図1B】
図1Bは、マイクロイントロデューサと、角度付き部分を含む別個のアダプタとを含む、マイクロイントロデューサシステムを示す。
【
図2】
図2は、マイクロイントロデューサに結合した
図1Bのアダプタを示す。
【
図4A】
図4Aは、第1の位置に位置する形状感知スタイレットシステムを含むマイクロイントロデューサシステムを示す。
【
図4B】
図4Bは、形状感知スタイレットシステムが第2の位置に位置する、
図4Aのマイクロイントロデューサシステムを示す。
【
図5A】
図5Aは、いくつかの実施形態におけるスクロールホイールを含むマイクロイントロデューサシステムを示す。
【
図5B】
図5Bは、スタイレットと分離したスクロールホイールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで、同様の構造に同様の符号が付される図を参照する。図面は本発明の例示的な実施形態の図示的および模式的な表現であり、限定的なものではなく、必ずしも寸法通りに描かれたものでもないことが理解される。
【0008】
固定されたシステムの説明を補助するために、以下の座標用語が用いられる(
図1A参照)。「長手方向軸線」は一般的に、機器のイントロデューサシースの軸線と平行である。「横方向軸線」は長手方向軸線に対して垂直である。「横断方向軸線」は長手方向軸線と横方向軸線との両方に対して垂直に延びる。さらに、本明細書において使用される場合、「長手方向」は長手方向軸線に対して実質的に平行な方向を指し、「横方向」は横方向軸線に対して実質的に平行な方向を指し、「横断方向」は横断方向軸線に対して実質的に平行な方向を指す。本明細書において使用される「軸線」という用語はイントロデューサシースの軸線を指し、したがって、本明細書で使用される「長手方向」という用語と実質的に同義である。
【0009】
明確にするために、「近位」という語句は本明細書で説明される機器を用いる臨床医に比較的近い方向を指し、「遠位」という語句は臨床医から比較的遠い方向を指す。例えば、患者の体内に位置するイントロデューサシースの先端は、機器の遠位端であるとみなされ、体の外に残るコネクタは機器の近位端へ向かう。また、「含む」、「有する」、および「有している」という語句は、特許請求の範囲を含めた本明細書で使用される場合、「備える」という語句と同様の意味を有する。
【0010】
この固定されたシステムを説明するために用いられる、「上方」、「下方」、「頂部」、「底部」、「下側」、「上側」等の語句は、実施形態の図示された方向に関して用いられる。例えば、「上側」という語句は、イントロデューサシースの軸線を通る横方向軸線の上方に位置する機器の部分を説明するために用いられる。「下側」という語句は、イントロデューサシースの軸線を通る横方向軸線の下方に位置する機器の部分を説明するために用いられる。「左」および「右」という語句は、本開示を通して一貫して用いられ、機器を用いる臨床医の視点からの構造を説明するために用いられる。
【0011】
簡単に要約すると、本明細書において開示される実施形態は、マイクロイントロデューサシステムおよびその方法に関する。説明は血管アクセスシステム用のマイクロイントロデューサに関するが、本明細書において開示される実施形態は、胃栄養チューブ、カテーテル、ガイドワイヤ、および、機器を導入してヒトまたは動物の体内領域をマッピングする同様のシステム、の導入にも適用できることが理解される。本明細書において開示される実施形態は、形状感知スタイレットのような長尺の医療機器を受け取るためにマイクロイントロデューサの近位端に結合されるアダプタを含む。アダプタは、漏斗状の開口部を含み、かつ所定の角度を含む角度付き部分を備えるチャネルを画定する。角度付き部分は、漏斗状の開口部を皮膚の表面から離して配置し、長尺の医療機器を導入するのに便利な目標を提供する。さらに、所定の角度は、形状感知スタイレットのような、マイクロイントロデューサを介して挿入される医療機器に基準点を提供する。スタイレットが角度付き部分を通過すると、形状感知スタイレットに結合された外部装置は、所定の角度に対するスタイレットの曲がりを較正する。さらに、基準点は、形状感知スタイレットの曲がりパターンおよび挿入長さの計測の開始地点を示す。これらは、形状感知スタイレットの経路の形状、したがって3次元(3D)空間における患者の脈管の形状を判定するために、外部装置によって用いられ得る。
【0012】
アダプタはさらに、スクロールホイールを含み得る。スクロールホイールは、角度付き部分に配置されることができ、長尺の医療機器の遠位先端部と係合し得る。スクロールホイールは、長尺の医療機器をアダプタ内および角度付き部分の中へ引き込むために用いられ得る。したがって、長尺の医療機器のねじれまたはもつれを防止する。さらにスクロールホイールは、アダプタ内の連続的な圧力、曲がりおよび前進速度を提供する。本明細書における実施形態はさらに、システムおよびその使用方法のさらなる態様を説明する。
【0013】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る、マイクロイントロデューサ110およびアダプタ150を含むマイクロイントロデューサシステム100の斜視図を示す。マイクロイントロデューサ110は、近位端から遠位端まで延びるチャネル122を画定するイントロデューサシース112を含み、その中に拡張器114または同様の機器が配置され得る。
図1Aにおいて、拡張器114の遠位先端部は、イントロデューサシース112の遠位先端部を越えて延びることが示されている。シース112の近位端は、1つの取っ手116(または一対の取っ手116、例えば左右の取っ手116A,116B)に結合されることが示されている。取っ手は、シースの近位端の側面に取り付けられることができ、すなわち取っ手はチャネルの近位端を形成し得る。例えば、取っ手はシースの近位端上にインサート成形され得る。さらに、取っ手はバルブを含み得る。シースおよび取っ手の構成を含むイントロデューサシースの例は、米国特許第7637893号明細書、米国特許第8403890号明細書、および米国特許第8932260号明細書に開示されており、これらの各々は、参照によってその全体が本出願に組み込まれる。シース112は、シース112の対向する壁に沿って長手方向に延びる分割線118A,118Bを含む。分割線118A,118Bは、スコアライン、ミシン目、レーザ切断線、またはシース112が長手方向軸線に沿って分割されることを可能にする、同様の弱い部分の線であり得る。分割線118A,118Bは、シース112が実質的に等しい2つの部分に分けられるように、シース112の対向する壁に沿って配置される。
図1Aに示されているように、分割線118Aはシース112の上側に配置され、分割線118Bはその下側に配置され、したがって、左右の部分112A,112Bに分割可能なシース112を画定する。左のシース部分112Aは左の取っ手116Aと結合し、右のシース部分112Bは右の取っ手116Bと結合する。あるいは、シースの材料(例えばPTFE)は、シースが分割線なしで同じまたは同様の円周方向の位置ではがされるような、分子の並びで形成され得る(例えば押し出し成形される)。
【0014】
アダプタ150は、
図1Aに示されているように、マイクロイントロデューサと一体化されるまたはマイクロイントロデューサ内に組み込まれ、あるいは、
図1Bに示されているように、別個に取り付けられる。マイクロイントロデューサ110と一体化される場合、アダプタ150は、シース112および/または取っ手116の分割線に整列される半体150Aおよび15Bに分割可能な遠位部分を含む。
【0015】
図1Bに示されているようなアダプタ150が別個に取り付けられる実施形態において、マイクロイントロデューサ110はさらに、近位端に配置されるコネクタ120を含む。以下で説明されるように、コネクタ120は、アダプタ150からの対応するスピンナット152を受け取るための、ねじ部を含み得る。しかしながら、ルアーロック、スリップフィット、バヨネットコネクタ等のような、その他の種類のコネクタも考えられることが理解される。コネクタ120は、左右の取っ手116A,116Bの近位部とそれぞれ結合する左右の部分120A,120Bによって規定され得る。
図2に示されているように取り付けられると、コネクタの左右の部分120A,120Bは、対応するスピンナット152または同様のコネクタがその外面に係合可能な、連続した外周を画定する。
【0016】
上述したように、アダプタ150は、コネクタに結合する取付機構を含み得る。一実施形態における取付機構は、医療機器がアダプタ150の中を通り、マイクロイントロデューサを通って患者の脈管に挿入された後に、アダプタ150の分離を許容する分割可能なまたは破壊可能な部分を含む。
図1Bに示されている一実施形態において、アダプタ150は、ねじ状のコネクタ120に係合するように構成されたスピンナット152を含む。他の実施形態において、取付機構は、上に記載されたような異なる種類のコネクタに対応する。図示されている実施形態において、スピンナットは、長手方向軸線に沿って軸方向に延びる破断線166を含む。破断線166は、本明細書において説明されているような、スコアライン、ミシン目、レーザ切断線、または同様の弱い部分の線を含み得る。一実施形態において、スピンナット152は、その中を通る長尺の医療機器が位置を維持したまま、スピンナットが取り除かれることを可能にする、1つ以上の破断線166を含む。
【0017】
アダプタ150は、マイクロイントロデューサシステム100の長手方向軸線に沿って延び、チャネル122と連通する、遠位管部154を含む。遠位管部154は、遠位管部154に対して近位管部158へ向かう角度で滑らかに曲がる、事前に形成された角度付き部分156まで延びる。近位管部158は、マイクロイントロデューサシステム100の長手方向軸線に対してある角度で、遠位管部154から離れて延びる。角度付き部分156は、長手方向軸線に対して5度から175度の間の角度「θ」を定義し得る。一実施形態において、角度θは45度から90度の間であり、好ましい実施形態においては70度である。細長い管は、いくつかの実施形態においては角度付き部分に沿った、またいくつかの実施形態においては近位管部に沿った、らせん状の経路を共に画定する、複数の曲がった部分を含む。例えば正弦曲線のような、その他の曲がった経路も考えられる。遠位管部154、角度付き部分156、および近位管部158は、アダプタ150の連続した受け取り管160を共に画定する。受け取り管160は、その中を通る経路162を画定し、図示されている実施形態においては、コネクタ120を介してシースチャネル122に流体的に接続される。受け取り管160の近位端は、漏斗164を含む。漏斗164は、受け取り経路162の直径よりも大きい直径を規定する漏斗164の近位端のように、テーパ部を画定する。
【0018】
受け取り管160はさらに、分割線168を含む。分割線168は、近位端の漏斗164から遠位端としてのスピンナット152まで、受け取り管160に沿って軸方向に延びる。分割線は、スコアライン、ミシン目、レーザ切断線、または、受け取り管160が受け取り経路162の軸線に沿って分割されることを可能にする、本明細書において説明されているような同様の弱い部分の線、を含み得る。分割線168は、アダプタ150を通って延びる長尺の医療機器がその位置に残ることを可能にしたまま、アダプタ150が取り除かれることを可能にする。一実施形態において、受け取り管160は、アダプタ150が実質的に等しい部分に分割され得るように、例えば168A,168Bのような1つ以上の分割線を含む。アダプタ150のより多くの部分を画定する、より多くの分割線168も考えられる。
【0019】
図3Aに示されている一実施形態において、受け取り管160は、分割線168の代わりに、細長い開口170を含み得る。
図3Bに示されている実施形態における開口170は、受け取り管160の対向する側面が互いに接触するようなスリットである。開口170は、例えば近位端の漏斗164から遠位端としてのスピンナット152まで、その全長に沿って受け取り管160の少なくとも1つの側面に沿って縦方向に延びる。開口170は、アダプタを通って延びる任意の長尺の医療機器がその位置に残ることを可能にしたまま、アダプタが取り除かれることを可能にする。開口170が、受け取り管の任意の円周方向の位置に配置され得ることが理解される。
図3Aに示されている実施形態において、開口は、受け取り管160の側面間の等距離の隙間として示されている。しかしながら、隙間はテーパ状であっても良く、図示されているよりも狭くまたは広くても良いことが理解されるべきである。
【0020】
例示的な使用方法において、その中に配置される拡張器114を備えるマイクロイントロデューサ110は、患者の脈管または同様の領域にアクセスするために用いられる。マイクロイントロデューサ110および拡張器114は、シース112の遠位先端部124が患者の脈管または同様の領域にアクセスするまで、遠位方向に進められる。そして、拡張器114が取り除かれ、イントロデューサ110のシース112が、他の長尺の医療機器が導入されるアクセス経路を画定する。そのような長尺の医療機器は、スタイレット、ガイドワイヤ、一体化された形状感知カテーテル、抹消静脈カテーテル、正中線カテーテル、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)、急性または慢性中心静脈カテーテル(CVC)のようなカテーテル、およびその他の患者に導入される長尺の医療機器を含み得る。
【0021】
アダプタがシース/取っ手から分かれている、すなわち一体化されていない実施形態において、アダプタ150は、スピンナット152または同様の接続部材を用いて、コネクタ120に結合される。受け取り経路162は、シースチャネル122に流体的に接続され、近位端に位置する漏斗164から遠位端に位置するシース先端部124まで延びるアクセスチャネルを提供する。そして、長尺の医療機器は、漏斗164を通って機器を導入することによって、脈管に導入され、シース112の遠位先端部124を越えて延びるように、受け取り経路162/シースチャネル122に沿って進む。長尺の医療機器が所定の位置にあるとき、マイクロイントロデューサシステム100は、長尺の医療機器の位置を乱すことなく取り除かれ得る。
【0022】
初めに、スピンナット152を緩めることによって、コネクタからアダプタ150が取り外され、その後、スピンナット152は破断線166に沿って破断され、受け取り管160は分割線168に沿って分離される。一実施形態において、スピンナット152が分離されて取り除かれ得る、2つの実質的に等しい部分に破断するように、スピンナット152は、スピンナット152の対向する壁に沿って配置される2つの破断線166を含む。次に、使用者は取っ手116A,116Bを掴み、取っ手を近位方向および横断方向外側に分離させる。これは、コネクタ120およびシース112の分割線118A,118Bに沿った(または配列された分子に沿った)分離を引き起こす。これは、長尺の医療機器を所定の場所に残したまま、マイクロイントロデューサ110が取り除かれることを可能にする。
【0023】
一実施形態において、受け取り管160は、接着剤、ボンディング、溶接、または同様の適切な方法を用いて、コネクタ120に取り付けられる。一実施形態において、受け取り管160およびコネクタ120は、単一の構造として一体的に形成される。したがって、アダプタ150およびマイクロイントロデューサ110の除去が同時に行われる。受け取り管160およびコネクタ120は、取っ手が互いに引き離されると、遠位において分割線118に沿って分離し、近位において分割線168に沿って分離する。これは、長尺の医療機器を所定の場所に残したままの状態での、マイクロイントロデューサシステム100の除去を可能にする。
【0024】
図3Aに示されているような、分離したアダプタ150を有する実施形態において、アダプタ150は細長い開口170を含む。本明細書において開示されているように、スピンナット152が取り除かれた状態で、長尺の医療機器が、開口170の位置に応じて開口170を横断方向または横方向に通過することを可能にすることによって、アダプタ150は長尺の医療機器から取り除かれる。開口部は、本発明の範囲から逸脱することなく、受け取り管160の上側、下側または側面部に配置されても良いことが理解される。そして、マイクロイントロデューサ110は、本明細書において開示されているように、取っ手116を分離することによって取り除かれ得る。
【0025】
有利には、漏斗164を含むアダプタ150は、長尺の医療機器を導入するための、より広い開口部およびより大きい目標領域を提供する。さらに、マイクロイントロデューサ110が患者に導入される際には、マイクロイントロデューサ110は、患者の皮膚表面に対して実質的に平坦になる。角度付き部分156は、近位管部158および漏斗164が、皮膚の表面から離れて延びることを可能にし、医療機器を導入するのにより便利な、開いた目標領域を提供する。
【0026】
一実施形態において、角度θは、光ファイバスタイレット200の基準データまたは開始地点として用いられ得る、決まった基準角度を提供する。
図4Aおよび4Bに示されているように、マイクロイントロデューサシステム100が患者の中に配置され、拡張器114が取り除かれた状態で、受け取り経路162およびシースチャネル122のアクセスチャネルを提供する。光ファイバスタイレット200は、角度付き部分156内で受け取られるまで、アダプタを通って進められる。そして、角度付き部分156は、遠位先端部をマイクロイントロデューサ110の長手方向軸線に一致させるために、光ファイバスタイレット200の遠位端部224を、所定の角度に曲げる。光ファイバスタイレット200は、スタイレット200の長さに沿った曲がりを検出して記録する外部装置250に通信可能に結合される。光ファイバスタイレット200を既知の角度θに通すことによって、外部装置250は、光ファイバスタイレット200の曲がりを既知の角度θに対して自動的に較正できる。光ファイバスタイレット200はまた、曲がり角度θから遠位のスタイレット200に沿って検出される曲がりが、記録されて患者の脈管を通るスタイレット200の経路をマッピングするために用いられるように、既知の角度θの曲がりを、形状感知の手順における開始地点として使用し得る。光ファイバスタイレット200はまた、既知の角度θの曲がりを、患者の脈管に挿入されるスタイレットの長さを追跡するための開始地点として使用し得る。
【0027】
スタイレット200および外部装置250のような光ファイバスタイレットシステムは、患者の脈管の3Dマップを決定するために、挿入されるスタイレットの長さと共に、スタイレットの長さに沿った曲がりのパターンを用いる。アダプタ150の角度付き部分156を基準点として用いることは、スタイレット200および外部装置250が、スタイレットを基準面に対して較正し、自動的にマッピングソフトウェアを起動させることを可能にする。外部装置250は、追加の患者のイメージと共に、スタイレット200の等角図をユーザインタフェースに表示させる。
【0028】
本明細書において用いられるように、外部装置は、スタイレット200から情報を受信して、患者の脈管を通るスタイレットによってとられた経路のマップを表示するための、携帯式の装置、ラップトップ、コンピュータステーション、サーバ、ネットワーク化された装置、または同様の適切な装置または通信可能に互いに接続された装置を含み得る。外部装置250はさらに、患者のイメージを重ねることができ、そのイメージは、CATスキャン、PETスキャン、MRI、X線、等を含み得る。本明細書において用いられるように、光ファイバスタイレット200は、それと関連するカテーテルまたはガイドワイヤのような1つ以上の追加の医療機器と共に用いられ得る。したがって、スタイレット200の経路がマッピングされると、任意の関連する医療機器の経路も決定される。光ファイバスタイレットシステムが、患者の脈管を通る1つ以上の経路をマッピングするために、外部装置250に通信可能に結合された1つ以上のスタイレットを含み得ることも理解される。
【0029】
アダプタ150はさらに、マイクロイントロデューサ100を通って挿入される医療機器のための前進機構を含み得る。前進機構は、例えば、スライド、スクリュー、クランク等のような、任意の種類の駆動機構であり得る。一実施形態において、前進機構は、
図5Aおよび5Bに示されているようなスクロールホイールである。スクロールホイール180は、その端面が長尺の医療機器、例えばスタイレット200と係合するように、アダプタ150の壁に配置され得る。任意に、スタイレット200は、補強部材(図示されていない)を含み得る。補強部材は、スタイレット200を通ってまたはスタイレット200と共に長手方向に延びる長尺部材を含むことができ、一実施形態において、補強部材はスタイレット200と一体に押し出し成形される。補強部材は、スタイレット200よりも強固な機械的特性を示し、さらにスタイレット200がねじれることまたはもつれることを防止できる、金属または同様の代替材料のような材料を含み得る。スクロールホイール180は、中心点182を中心に回転する。
図5Bに示されているように、使用者は、アダプタ150の外壁を越えて延び、スタイレット200と係合している端面と反対側の、スクロールホイール180の端面を操作する。スクロールホイール180が回転させられると、スタイレット200は、受け取り経路162を通って動かされる。
図5Aに示されているように、スクロールホイール180は、アダプタ150に沿った他の位置も考えられるが、角度付き部分156に隣接する。
【0030】
図5Bは、スクロールホイール180の側面形状を示す。一実施形態において、側面は、長尺の医療機器、例えばスタイレット200の側面に係合する凹面を画定する。任意に、スクロールホイール180は、スクロールホイール180と一体的に形成される、または異なる特徴を示す別個の材料によって形成される、リッジのような、グリップ部184を含み得る。例えば、グリップ部184は、スタイレット200の係合だけでなく、反対側の面を操作する使用者のための係合を補助するために、側面の周りに配置されるシリコンラバーリングを含み得る。スクロールホイール180はさらに、ボールプランジャおよびディテント機構、または段階的な回転を提供するラチェット機構を含み得る。これは、使用者が設定された間隔でスクロールホイール180を回転させ、そして設定された距離間隔でスタイレット200を前進または後退させることを可能にする。
【0031】
有利には、スクロールホイール180は、使用者が制御された速度で、長尺の医療機器をアダプタ150を通して前進または後退させることを可能にする。これは、スタイレット200が、早すぎる速度でまたは一定でない速度で、前進させられる/後退させられることを防止する。さらに、スクロールホイール180は、長尺の医療機器をアダプタ150を通して引っ張ることによって、医療機器のねじれを防止できる。長尺の医療機器がアダプタ150に導入されると、遠位端は、角度付き部分156と係合する前に、スクロールホイール180のグリップ部184と係合する。スクロールホイール180は、スタイレット200または同様の長尺の医療機器の張力を維持し、その機器をアダプタ150を通して、角度付き部分156の既知の角度θの周りに引き込むことができる。対して、近位端からアダプタ150を通して長尺の医療機器を押し込む際には、遠位先端部は、角度付き部分156の内壁に突き当たり、それらの間での摩擦を生じさせ、機器をその近位点でねじれさせるまたはもつれさせる可能性がある。
【0032】
スクロールホイール180はまた、長尺の医療機器に、既知の一定の張力(fixed strain)を加え得る。スタイレット200が、その長さに沿って加えられる曲がりおよび張力を検出すると、スクロールホイール180によって加えられた既知の一定の張力は、外部装置250による結果から説明およびフィルタリングされ得る。これは、スタイレット200に直接働く使用者の一定でない張力および曲がりが、形状感知の結果に影響を及ぼすことを防止する。スクロールホイール180はまた、本明細書において開示されているように、形状感知スタイレット200のための較正点および開始点のための、曲がりθの既知の角度の基準点を提供できる。
【0033】
本発明の実施形態は、本開示の精神から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化され得る。説明された実施形態は、すべての点において、単に例示的なものであり、限定的なものではないとみなされるべきである。実施形態の範囲は、したがって、上記の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内のすべての変更は、その範囲内に含まれる。
【国際調査報告】