(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】角度フィルタリングに基づく裸眼立体視3Dディスプレイの画像を強化するための方法
(51)【国際特許分類】
G02B 30/27 20200101AFI20220815BHJP
G03B 35/18 20210101ALI20220815BHJP
H04N 13/307 20180101ALI20220815BHJP
H04N 13/305 20180101ALI20220815BHJP
H04N 13/324 20180101ALI20220815BHJP
G02B 27/02 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
G02B30/27
G03B35/18
H04N13/307
H04N13/305
H04N13/324
G02B27/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574828
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-04
(86)【国際出願番号】 US2020038172
(87)【国際公開番号】W WO2020257307
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】315012286
【氏名又は名称】ピーシーエムエス ホールディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】マキネン、ユッカ-タパニ
【テーマコード(参考)】
2H059
2H199
5C061
【Fターム(参考)】
2H059AB01
2H059AB12
2H059AC08
2H199BA08
2H199BA17
2H199BB03
2H199BB04
2H199BB24
2H199CA23
2H199CA25
2H199CA42
2H199CA69
2H199CA93
2H199CA94
2H199CA95
2H199CA97
5C061AA07
5C061AA25
5C061AB16
(57)【要約】
実施形態は、3Dディスプレイデバイスおよび動作させる方法を含む。例示的なデバイスでは、発光層が、発光素子のアドレス可能なアレイを備えている。光学層は、発光層の上に置かれている。光学層は、発光層からの光を実質的にコリメートするように動作するレンズのアレイを含む。迷光を抑制するために、角度フィルタ層が、発光層からディスプレイの外部までの光路に沿って提供されている。角度フィルタは、閾値角度よりも大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する。角度フィルタは、薄膜干渉バンドパスフィルタであってもよい。角度フィルタの異なる領域を、光の異なる波長向けに調整することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイデバイスであって、
発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層と、
前記発光層の上に置かれている光学層であって、前記光学層が前記発光層からの光を実質的にコリメートするように動作するレンズのアレイを含む、光学層と、
前記発光層から前記ディスプレイデバイスの外部までの光路に沿った透明な角度フィルタ層であって、前記角度フィルタが、閾値角度より大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、かつ閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する、角度フィルタ層と、を備える、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
前記光学層が、収束レンズの実質的に二次元のアレイである、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項3】
前記光学層が、レンチキュラーアレイである、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項4】
前記角度フィルタ層が、前記光学層の少なくとも1つの表面上のコーティングを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項5】
前記角度フィルタ層が、複数の誘電体層を有する干渉フィルタを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項6】
前記角度フィルタ層が、バンドパス干渉フィルタ層を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイ。
【請求項7】
前記バンドパス干渉フィルタ層が、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含む、請求項6に記載のディスプレイ。
【請求項8】
前記バンドパス干渉フィルタ層が、
赤色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、赤色調整された干渉層領域のセットと、
緑色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、緑色調整された干渉層領域のセットと、
青色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、青色調整された干渉層領域のセットと、を備える、請求項6または7に記載のディスプレイ。
【請求項9】
各発光素子が、対応する干渉層領域の下にあり、
前記赤色調整された干渉層領域の下にある前記発光素子が、実質的に赤色の光を発するように構成されており、
前記緑色調整された干渉層領域の下にある前記発光素子が、実質的に緑色の光を発するように構成されており、
前記青色調整された干渉層領域の下にある前記発光素子が、実質的に青色の光を発するように構成されている、請求項8に記載のディスプレイ。
【請求項10】
前記光学層が、収束レンズの実質的に二次元のアレイであり、
前記角度フィルタ層が、バンドパス干渉フィルタ層を含み、
前記バンドパス干渉フィルタ層が、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含み、
各干渉層領域が、前記収束レンズのうちのそれぞれの1つに対応する、請求項1に記載のディスプレイ。
【請求項11】
ディスプレイデバイスを動作させる方法であって、
光を発するための発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層を選択的に動作させることと、
前記発光層の上に置かれている光学層において、レンズのアレイを使用して、前記発光層からの前記光の少なくとも一部分を実質的にコリメートすることと、
前記発光層から前記ディスプレイデバイスの外部までの光路に沿った透明な角度フィルタ層に前記光を透過させることであって、前記角度フィルタ層が、閾値角度より大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、かつ閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する、透過させることと、を含む、方法。
【請求項12】
前記角度フィルタ層が、前記光学層の少なくとも1つの表面上のコーティングを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学層が、収束レンズの実質的に二次元のアレイであり、
前記角度フィルタ層が、バンドパス干渉フィルタ層を含み、
前記バンドパス干渉フィルタ層が、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含み、
各干渉層領域が、前記収束レンズのうちのそれぞれの1つに対応する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記角度フィルタ層が、バンドパス干渉フィルタ層を含む、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記バンドパス干渉フィルタ層が、
赤色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、赤色調整された干渉層領域のセットと、
緑色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、緑色調整された干渉層領域のセットと、
青色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、青色調整された干渉層領域のセットと、を備える、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、「Method for Enhancing Image of Autostereoscopic 3D Displays Based on Angular Filtering」と題する、2019年6月21日に出願された米国仮特許出願第62/864,846号の非仮出願であり、米国特許法第119条の下でこの仮出願の利益を主張するものであり、この非仮出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
三次元(3D)画像を提示するための様々な異なる表示ソリューションが存在する。ハードウェアに基づく分割は、眼鏡またはゴーグルを使用するシステムと、それらなしで使用できるシステムとの間で行うことができる。これらの両方に、複数のユーザを許容するテクノロジーと、単一のユーザに対してのみ機能するテクノロジーが存在する。ただし、ゴーグルレスディスプレイのみが、視聴者を周囲の現実世界から少なくともある程度隔離する構造を妨げることなく、真に共有されたユーザエクスペリエンスを提供し得る。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の場合、すべてのバーチャルリアリティ(VR)システムの特性である自然な視界の完全遮断から、拡張現実(AR)や複合現実(MR)のユーザ体験を許容する目の前に置かれる軽度な障害物であるバイザやライトガイドまで、隔離のレベルは様々である。ただし、ヘッドマウントデバイスは、常に視聴者を「鏡」または「窓」の後ろに追いやり、人工的な体験をさせることになる。
【0003】
全体として、ゴーグルレス3Dディスプレイソリューションは、ある種のヘッドギアを備えたシステムよりも技術的に困難である。これは、ヒトが使用し得るすべての視覚情報が、目の瞳孔を通してヒトの視覚知覚システムに入るという事実による。HMDには、目に非常に近いという大きな利点があり、ゴーグルレスディスプレイで可能なものよりもはるかにコンパクトな光学構造で広い視野(FOV)をカバーすることができる。また、「視聴窓」が小さく、比較的固定された位置で明確に画定されているため、必要な量の光を生成するのに非常に効率的であり得る。ゴーグルレスディスプレイは、視聴者のFOVの大部分をカバーしようとすると一般に物理的に大きくなり、システムの製造コストがゴーグルよりはるかに高くなり得る。ユーザの位置がディスプレイデバイスに固定されていないため、複数の位置から見えるようにするために投影画像を大きな角度範囲に広げることになり、発せられた光のほとんどが無駄になってしまうという状況になりやすくなる。これは、バッテリ寿命が非常に限られているモバイルデバイスでは、ディスプレイ画像のコントラストを高めるために、周囲の光量が多いときに高いディスプレイ輝度を必要とする環境で使用され得るため、困難が伴う。
【0004】
HMDはまた、ゴーグルレスデバイスよりもはるかに少ない3D画像データを使用し得る。頭に取り付けられたディスプレイシステムが目と共に動くため、1人のユーザが3Dシーンに対して2つ以上の立体視視点を必要とすることはない。対照的に、ゴーグルを持たないユーザは3Dディスプレイの周囲の位置を自由に変更でき、システムは通常、同じ3D風景でもいくつかの異なる「ビュー」を提供する。これにより、処理される3D画像情報の量が増加する。ゴーグルレスディスプレイによる大量のデータ処理の負担を軽減するための1つのアプローチは、ユーザの位置と視線を決定するために、特殊なアイトラッキングシステムを使用することである。この場合、3Dサブ画像は瞳孔に向かってまっすぐに向けられ、周囲の空間全体に広がらないことがある。目の位置を知ることで、「視聴窓」のサイズを大幅に縮小することができる。データ量を減らすことに加えて、アイトラッキングは、光が目だけに向けて発せられる可能性があるため、消費電力を削減するためにも使用することができる。この手法には、独自のハードウェアと処理能力を使用するアイトラッキングとプロジェクションシステムを使用する代償として、サブシステムの性能の限界により、可能な視聴者の数も制限される可能性がある。
【0005】
三次元(3D)画像を提示するための1つの周知の手法は、立体視である。この方法では、2つの二次元(2D)画像が左および右目に別々に表示される。ゴーグルレスディスプレイでは、視差バリア法、または指定された目でのみピクセルが見えるように1対の発光ピクセルの可視性を制限できるレンチキュラーシートを用いて、2つのビューが一般に作り出される。奥行きの知覚は、これらのピクセル対のマトリックスを使用して、わずかに異なる視野角から撮影された画像を作成し、3D画像を脳内で結合するときに創出される。ただし、2つの2D画像の提示は、画像を完全な3Dで表示することと知覚的に同じではない。1つの違いは、頭と目の動きでは、表示されている物体に関する詳細情報が得られないという事実であり、2D画像は、同じ2つのわずかに異なる視点しか提示できない。これらのタイプのシステムは、一般に3Dディスプレイと呼ばれるが、正確には立体視ディスプレイと呼ぶべきであろう。多くの立体視ディスプレイは実際の3Dディスプレイとは見なされないが、すべての実際の3Dディスプレイは、視聴者の2つの目に画像対を提示できるため、立体視ディスプレイでもある。2つのビューのみを使用すると、視聴者がディスプレイの前の間違った位置に移動した場合に3D画像が「反転」するか、または画像が正しい目に適切に見えない場合に3D錯視がまったく発生しない可能性があり、脳は情報を処理することができない。最悪の場合、視聴者は吐き気を催し、低品質のディスプレイを長時間使用すると、頭痛やめまいを引き起こす可能性がある。
【0006】
マルチビューシステムは、一般的な立体視ディスプレイから一歩前進したディスプレイである。これらのデバイスでは、光はピクセル化された層から発せられ、マイクロレンズまたはレンチキュラーシートは、発せられた光を、様々な伝搬方向においてレンズ開口部を出る一連のビームにコリメートする。ビーム方向は、画像の内容に応じてピクセルを変調することにより、同じ3D画像のいくつかの固有のビューが異なる方向に投影されることで、立体3D効果が創出される。3Dシーンに2つのピクセルのみが使用されている場合、結果はFOVの中央に立つ1人のユーザに対する立体画像になる。マルチビューディスプレイセルの境界を画定する1つのマイクロレンズ下で3つ以上のピクセルを使用すると、結果はFOV全体に広がる一連の固有のビューになり、複数のユーザが事前に画定された視聴ゾーン内の異なる位置において立体画像を見ることができる。各視聴者は、同じ3Dコンテンツに対して独自の立体視視点を持つことができ、三次元画像の知覚が作り出され、共有された視覚体験が可能になる。視聴者がディスプレイ周辺を移動すると、新しい視野角ごとに画像が変更されるため、3D錯視がはるかに堅牢になり、個々の視聴者にとっても説得力があり、知覚される表示品質が大幅に向上する。
【0007】
現在の比較的低密度のマルチビューディスプレイでは、視聴者がデバイスの前に移動すると、ビューが段階的に変化する。この機能は、3Dエクスペリエンスの品質を低下させ、3D知覚の崩壊を引き起こす可能性さえある。この問題を軽減するために、いくつかのスーパーマルチビュー(SMV)技術が、512ものビューでテストされている。基本的な考え方は、2つの視点間の移行を非常にスムーズにする極めて多くのビューを作り出すことである。わずかに異なる視点からの少なくとも2つの画像からの光がほぼ同時に瞳孔に入ると、よりリアルな視覚体験が生じる。この場合、脳は無意識のうちに動きによる画像の変化を予測するため、動きの視差効果はより自然な状態のようになる。SMV条件は、正しい視聴距離における2つのビュー間の空間間隔を、瞳孔のサイズよりも小さい値に縮小することによって満たすことができる。あるいは、2つの画像は、片方の目の瞳孔に少しずつ異なる時点で投影されることもあるが、それでもヒトの視覚持続の時間枠であり、その場合、画像は連続したものとして認識される。
【0008】
公称照明条件では、ヒトの瞳孔は一般に直径約4mmと推定される。周囲光のレベルが高い場合(日光)、直径は1.5mm程度まで小さく、暗い条件では8mm程度まで大きくなることもある。SMVディスプレイで達成できる最大角度密度は、一般に回折によって制限され、空間解像度(ピクセルサイズ)と角度解像度の間には逆相関が存在する。回折は、開口部を通過する光ビームの角度広がりを増加させ、この効果は、非常に高密度のSMVディスプレイの設計で考慮に入れることができる。これは、非常に小さいディスプレイピクセルが使用される使用事例(例えば、モバイルディスプレイ)や、ディスプレイが視聴者から遠く離れて置かれている場合に問題になり得る。実際には、空間多重化のみでは高角度ビュー密度を実現することは難しく、代替手段は時間多重化を追加で使用することである。言い換えれば、適切な投影画質で同時に多数のビューを作り出すことができない場合でも、SMV条件は、ビューを連続して生成できるコンポーネントまたはシステムで満たされる場合があるが、ヒトの視覚系はそれらを同時として知覚するほど高速である。
【0009】
多数の画像を創出するために時分割多重化のみを利用するいくつかのマルチビューシステムを説明した。例えば、一部のシステムは、移動する視差バリアの使用に基づいている。これらの場合、発光ピクセルの前に位置決めされたバリア構造は、ピクセルの可視性を非常に狭い開口部に制限する。バリアが非常に速いペースで移動するため、画像は様々な視点に順に投影される。これらの場合、発光素子はバリアが動くよりもはるかに速く変調される。一部のシステムは、空間および時間多重化の組み合わせを使用する。空間多重化は、2D画像を作り出す非常に高速なプロジェクタシステムで実装でき、これらの画像は、移動するスクリーンから様々な方向に反射される。スクリーンの回転運動は、わずかに異なる時間において異なる視点を創出する可能性があり、画像プロジェクタが十分に高速である場合、片方の目に3つ以上の画像を投影することが可能になる。時分割多重化を利用するそのようなシステムに関連する1つの問題は、かさばりすぎず、またはエネルギーを消費しないアクチュエータを用いて、光学コンポーネントの高速運動をどのように生成するかということである。すべてのコンポーネントは、長時間の使用にも十分な信頼性を備えている必要があり、これは、任意の機械的な動きでは実現が困難である。光学システムは、位置決めに対して非常に厳しい公差を持つ傾向があり、移動メカニズムの摩耗は、画質の低下につながる可能性がある。これらの問題は、平坦で堅牢で消費電力の少ないモバイルデバイスディスプレイの場合に特に深刻である。
【0010】
一部のディスプレイの問題の1つは、比較的低速のLCDディスプレイの使用に関連している。バックライトモジュールは、単一のLCDを通過する一連の指向性照明パターンを生成することができ、これは、様々な方向に進む画像を変調するライトバルブとして使用される。光源として一般的に使用されるLEDは、現在のLCDが可能な1秒当たり数百サイクルよりもはるかに速く変調され得る。ただし、指向性照明パターンのすべてが同じディスプレイピクセルを通過するため、ディスプレイのリフレッシュレートが、ちらつきのないビューをいくつ創出できるかを決定する際の制限要因になる。光強度変調を見るためのヒトの目の限界は、一般に60Hzの値に設定されている。一例として、LCDディスプレイを240Hzの周波数で変調できる場合、画像に目が疲れるちらつきを誘発することなく、ディスプレイで4つの固有のビューのみを作り出すことができると計算できる。一般に、同じリフレッシュ頻度の制限が、LCDの使用に基づくすべての3Dディスプレイシステムに適用される。
【発明の概要】
【0011】
いくつかの実施形態では、コントラストを低減する滞在光は、マルチビュー自動立体視3Dディスプレイの画質を改善するために抑制される。迷光の抑制は、バンドパス薄膜コーティングを利用して作られた角度フィルタリングを使用して実行することができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、薄膜スタックは、レンチキュラーシートまたはマイクロレンズアレイの上部にコーティングされ、コーティングされた光学界面へのそれらの入射角に基づいて光線を選択的に遮断または透過する。光源がレンズ光軸に近い場合よりも遠い場合の方が、光線入射角が大きくなるため、角度フィルタコーティングは、3D画像形成に使用する光よりも迷光を選択的に遮断するように動作する。
【0013】
いくつかの実施形態では、光指向光学部コンポーネント全体にわたるフィルタコーティングを含む完全マルチビュー3Dディスプレイが提供される。
【0014】
マルチビューディスプレイシステムにおいて迷光を制御するためのいくつかの実施形態は、発光素子アレイと、角度フィルタコーティングでコーティングされた光学要素の規則的または非規則的パターンから構成されるコリメート光学層と、を含む。光学層は、閾値量未満(ただし臨界角未満)の光学表面構造への入射角を有する光を実質的に透過し、閾値角度よりも大きい光学表面への入射角にある光を実質的に反射する。角度フィルタコーティングは、光学素子のいずれかの側または両側にあってもよい。角度フィルタコーティングは、バッフル要素と組み合わせて使用することができる。いくつかの実施形態では、様々なパターン/構成において、異なる色の光路に対して異なる角度フィルタコーティングが使用される。いくつかの実施形態では、照明源のスペクトルは、選択されたフィルタコーティングの特性に少なくとも部分的に基づいて選択される。
【0015】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態は、発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層と、発光層の上に置かれている光学層であって、光学層が発光層からの光を実質的にコリメートするように動作するレンズのアレイを含む、光学層と、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿った角度フィルタ層であって、角度フィルタ層が、閾値角度より大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、かつ閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する、角度フィルタ層と、を含み得る。
【0016】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、収束レンズの実質的に二次元のアレイであり得る。
【0017】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層はレンチキュラーアレイであり得る。
【0018】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、角度フィルタは、光学層の少なくとも1つの表面上のコーティングを含み得る。
【0019】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得、角度フィルタコーティングは、非平面の表面上にあり得る。
【0020】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得、角度フィルタコーティングは、実質的に平面の表面上にあり得る。
【0021】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、角度フィルタは、複数の誘電体層を有する干渉フィルタを含み得る。
【0022】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、少なくとも複数の誘電体層の各々は、発光層によって発せられる所定の波長の光の、それぞれの層における波長の4分の1にほぼ等しい厚さを有する。
【0023】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、誘電体層のうちの少なくとも4つは、所定の波長の光の、それぞれの層における波長の4分の1にほぼ等しい厚さを有する。
【0024】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、誘電体層のうちの少なくとも1つは、所定の波長の、それぞれの層における波長の2分の1にほぼ等しい厚さを有する。
【0025】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、角度フィルタ層は、バンドパス干渉フィルタ層を含み得る。
【0026】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、バンドパス干渉フィルタ層は、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿っていてもよい。
【0027】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、角度フィルタ層は、バンドパス干渉フィルタ層を含み得、バンドパス干渉フィルタ層は、光学層の少なくとも1つの表面上のコーティングを含み得る。
【0028】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得、バンドパス干渉フィルタコーティングは、非平面の平面上にあり得る。
【0029】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得、バンドパス干渉フィルタコーティングは、実質的に平面の表面上にあり得る。
【0030】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、バンドパス干渉層は、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含み得る。
【0031】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、バンドパス干渉層は、赤色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、赤色調整された干渉層領域のセットと、緑色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、緑色調整された干渉層領域光のセットと、青色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、青色調整された干渉層領域のセットと、を含み得る。
【0032】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、各発光素子は、対応する干渉層領域の下にあり得、発光素子は、実質的に赤色の光を発するように構成されている赤色調整された干渉層領域の下にあり得、発光素子は、実質的に緑色の光を発するように構成されている緑色調整された干渉層領域の下にあり得、発光素子は、実質的に青色の光を発するように構成されている青色調整された干渉層領域の下にあり得る。
【0033】
例示的な表示装置のいくつかの実施形態では、光学層は、収束レンズの実質的に二次元のアレイであり得、角度フィルタ層は、バンドパス干渉フィルタ層を含み得、バンドパス干渉フィルタ層は、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含み得、各干渉層領域は、収束レンズのうちのそれぞれの1つに対応し得る。
【0034】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、角度フィルタ層は透明であり得る。
【0035】
例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、角度フィルタ層は、閾値角度よりも大きい入射角を有する光の発光層に向かって光を実質的に反射するようにさらに動作し得る。
【0036】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態は、発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層と、発光層の上に置かれている光学層であって、光学層が発光層からの光を実質的にコリメートするように動作するレンズのアレイを含む、光学層と、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿ったバンドパス干渉フィルタ層と、を含み得る。
【0037】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、収束レンズの実質的に二次元のアレイであり得る。
【0038】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層はレンチキュラーアレイであり得る。
【0039】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、バンドパス干渉フィルタは、光学層の少なくとも1つの表面上にコーティングを含み得る。
【0040】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得、バンドパス干渉フィルタコーティングは、非平面の平面上にあり得る。
【0041】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得、バンドパス干渉フィルタコーティングは、実質的に平面の表面上にあり得る。
【0042】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、バンドパス干渉層は、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含み得る。
【0043】
さらなく例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、バンドパス干渉層は、赤色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、赤色調整された干渉層領域のセットと、緑色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、緑色調整された干渉層領域光のセットと、青色の光用に実質的に調整されたパスバンドを有する、青色調整された干渉層領域のセットと、を含み得る。
【0044】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、各発光素子は、対応する干渉層領域の下にあり得、発光素子は、実質的に赤色の光を発するように構成されている赤色調整された干渉層領域の下にあり得、発光素子は、実質的に緑色の光を発するように構成されている緑色調整された干渉層領域の下にあり得、発光素子は、実質的に青色の光を発するように構成されている青色調整された干渉層領域の下にあり得る。
【0045】
さらなる例示的なディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、光学層は、収束レンズの実質的に二次元のアレイであり得、各干渉層領域は、収束レンズのそれぞれの1つに対応し得る。
【0046】
例示的な方法のいくつかの実施形態は、光を発するための発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層を選択的に動作させることと、発光層の上に置かれている光学層において、レンズのアレイを使用して、発光層からの光の少なくとも一部分を実質的にコリメートすることと、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿って角度フィルタ層を動作させることであって、角度フィルタ層が、閾値角度より大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、かつ閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する、動作させることと、を含み得る。
【0047】
別の例示的な方法のいくつかの実施形態は、発光素子のアドレス可能なアレイを含み得る発光層を選択的に動作させることと、発光層の上に置かれている光学層において、レンズのアレイを使用して、発光層からの光を実質的にコリメートすることと、発光層からディスプレイデバイスの外部への光路に沿って、光をバンドパス干渉フィルタ層に光を透過させることと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1A】いくつかの実施形態による、例示的な通信システムを例示するシステム図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、
図1Aに示す通信システム内で使用できる例示的な無線送受信ユニット(WTRU)を例示するシステム図である。
【
図2A】いくつかの実施形態による、多方向ピクセル(MDP)の中心線において光源点から発せられる例示的な光線のセットを例示する概略平面図である。
【
図2B】いくつかの実施形態による、MDPの中心線から離れた光源点から発せられる例示的な光線のセットを例示する概略平面図である。
【
図3】いくつかの実施形態による、バッフル構造を有する2つの隣接するMDPから発せられる例示的な光線のセットを例示する概略平面図である。
【
図4】いくつかの実施形態による、例示的な9ビュー自動立体視3Dディスプレイの例示的な視聴形状を例示する概略平面図である。
【
図5】いくつかの実施形態によるフラットマルチビューディスプレイで発生する例示的な視聴形状の問題を例示する概略平面図である。
【
図6】いくつかの実施形態による、マルチビューディスプレイの視聴形状の問題に対処するために使用される例示的な湾曲ディスプレイを例示する概略平面図である。
【
図7A】いくつかの実施形態による、1人の視聴者に対する例示的な3Dディスプレイの視聴形状を例示する概略平面図である。
【
図7B】いくつかの実施形態による、複数の視聴者に対する例示的な3Dディスプレイの視聴形状を例示する概略平面図である。
【
図8A】いくつかの実施形態による、MDP光軸上に位置する光源点から光線群が発せられる、測定値(μm)を伴う例示的な光学構造を例示する概略断面図である。
【
図8B】いくつかの実施形態による、MDP光軸から離れて位置する光源点から光線群が発せられる、測定値(μm)を伴う例示的な光学構造を例示する概略断面図である。
【
図9】いくつかの実施形態による、角度フィルタリング方法を利用する例示的な水平のみのマルチビューフルカラー3Dディスプレイ構造を例示する概略背面図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、角度フィルタリング方法を利用する例示的な水平のみのマルチビューフルカラー3Dディスプレイ構造を例示する概略背面図である。
【
図11】いくつかの実施形態による、角度フィルタコーティングを備えた代替のマルチビューディスプレイ構造の例示的な形状を例示する概略断面図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、2層の角度フィルタコーティングを有する例示的な代替マルチビューディスプレイ構造を例示する概略断面図である。
【
図13】いくつかの実施形態による、卓上44インチマルチビュー3Dディスプレイが3人の観察者によって2mの距離から視聴される例示的なシステムを例示する概略平面図である。
【
図14A】いくつかの実施形態による、測定値を伴う例示的なOLEDパネルピクセル形状を例示する概略正面図である。
【
図14B】いくつかの実施形態による、測定値を伴う例示的な光学構造を例示する概略断面図である。
【
図15A】いくつかの実施形態による、角度フィルタコーティング特性を例示する透過対波長のグラフである。
【
図15B】いくつかの実施形態による、550nmの波長に対する角度フィルタコーティング特性を例示する透過対入射角のグラフである。
【
図15C】いくつかの実施形態による、540nmの波長に対する角度フィルタコーティング特性を例示する透過対入射角のグラフである。
【
図15D】いくつかの実施形態による、560nmの波長に対する角度フィルタコーティング特性を例示する透過対入射角のグラフである。
【
図16A】いくつかの実施形態による、シミュレーションで使用される光源の例示的な角度分布を示すグラフである。
【
図16B】いくつかの実施形態による、視聴窓の距離に対して画像化された単一の光源の例示的な放射照度分布を示すグラフである。
【
図17A】いくつかの実施形態による、バッフルのないコーティングされていないレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
【
図17B】いくつかの実施形態による、バッフルを有するコーティングされていないレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
【
図17C】いくつかの実施形態による、バッフルのない角度フィルタでコーティングされたレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
【
図17D】いくつかの実施形態による、バッフルを有する角度フィルタでコーティングされたレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
【0049】
様々な図に描写されている、およびそれに関連して説明されている実体、接続、配置などは、例によって提示されており、限定するものではない。そのため、特定の図が「描写する」もの、特定の図中の特定の要素または実体が「ある」または「有する」もの、および、孤立し文脈から外れて絶対的であり、したがって限定的であると読まれ得る任意のおよびすべての同様の記述に関する、任意のおよびすべての記述または他の表示は、「少なくとも1つの実施形態において、・・・」といった句が建設的に先行するとしか適切に読まれない可能性がある。簡潔で明確な表現にするため、この暗示的な先頭の句は詳細な説明の中では繰り返さないようにしている。
【0050】
実施のためのネットワークの例
図1Aは、1つ以上の開示された実施形態が実装され得る例示的な通信システム100を示す図である。通信システム100は、音声、データ、ビデオ、メッセージング、ブロードキャストなどのコンテンツを複数の無線ユーザに提供するマルチアクセスシステムであり得る。通信システム100は、複数の無線ユーザが、無線帯域幅を含むシステムリソースの共有を通じてそのようなコンテンツにアクセスすることを可能にし得る。例えば、通信システム100は、符号分割多重アクセス(CDMA)、時分割多重アクセス(TDMA)、周波数分割多重アクセス(FDMA)、直交FDMA(OFDMA)、シングルキャリアFDMA(SC-FDMA)、ゼロテールユニークワードDFT-スプレッドOFDM(ZT UW DTS-s OFDM)、ユニークワードOFDM(UW-OFDM)、リソースブロックフィルタリングOFDM、フィルタバンクマルチキャリア(FBMC)などの1つ以上のチャネルアクセス方式を採用し得る。
【0051】
図1Aに示すように、通信システム100は、無線送受信ユニット(WTRU)102a、102b、102c、102d、RAN104/113、CN106、公衆交換電話網(PSTN)108、インターネット110、および他のネットワーク112を含み得るが、開示された実施形態は、任意の数のWTRU、基地局、ネットワーク、および/またはネットワーク要素を想定することが理解されよう。WTRU102a、102b、102c、102dのそれぞれは、無線環境で動作および/または通信するように構成された任意の種類のデバイスであり得る。例として、WTRU102a、102b、102c、102d(これらのいずれも「ステーション」および/または「STA」と称され得る)は、無線信号を送信および/または受信するように構成されてもよく、ユーザ機器(UE)、モバイルステーション、固定もしくはモバイルサブスクライバーユニット、サブスクリプションベースのユニット、ページャー、携帯電話、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、スマートフォン、ラップトップ、ネットブック、パーソナルコンピューター、無線センサ、ホットスポットもしくはMi-Fiデバイス、モノのインターネット(IoT)デバイス、時計もしくは他のウェアラブル、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)、車両、ドローン、医療機器およびアプリケーション(例えば、遠隔手術)、産業用デバイスおよびアプリケーション(例えば、産業用および/または自動処理チェーンのコンテキストで動作するロボットおよび/または他の無線デバイス)、家庭用電化製品デバイス、商用および/または産業用無線で動作するデバイスネットワークなどを含み得る。WTRU102a、102b、102c、および102dのいずれも、交換可能にUEと称され得る。
【0052】
通信システム100はまた、基地局114aおよび/または基地局114bを含むことができる。基地局114a、114bの各々は、CN106、インターネット110、および/または他のネットワーク112などの、1つ以上の通信ネットワークへのアクセスを容易にするために、WTRU102a、102b、102c、102dのうちの少なくとも1つと無線インターフェースするように構成された任意のタイプのデバイスであり得る。例として、基地局114a、114bは、基地トランシーバ局(BTS)、Node-B、eNode B、ホームNode B、ホームeNode B、gNB、NR NodeB、サイトコントローラ、アクセスポイント(AP)、無線ルータなどであり得る。基地局114a、114bは、それぞれ、単一の要素として示されているが、基地局114a、114bは、任意の数の相互接続された基地局および/またはネットワーク要素を含むことができることが理解されよう。
【0053】
基地局114aは、RAN104/113の一部であってもよく、これはまた、基地局コントローラ(BSC)、無線ネットワークコントローラ(RNC)、リレーノード等などの他の基地局および/またはネットワーク要素(図示せず)を含み得る。基地局114aおよび/または基地局114bは、セル(図示せず)と称され得る1つ以上のキャリア周波数で無線信号を送信および/または受信するように構成され得る。これらの周波数は、ライセンススペクトル、非ライセンススペクトル、またはライセンススペクトルと非ライセンススペクトルの組み合わせであってもよい。セルは、比較的固定されているか、時間の経過と共に変化する可能性がある特定の地理的領域に無線サービスのカバレッジを提供することができる。セルは、さらにセルセクタに分割され得る。例えば、基地局114aに関連するセルは、3つのセクタに分割され得る。したがって、一実施形態では、基地局114aは、3つのトランシーバ、すなわち、セルの各セクタに1つを含むことができる。一実施形態では、基地局114aは、多入力多出力(MIMO)技術を採用することができ、セルの各セクタに対して複数のトランシーバを利用することができる。例えば、ビームフォーミングが使用されて、所望の空間方向に信号を送信および/または受信することができる。
【0054】
基地局114a、114bは、任意の好適な無線通信リンク(例えば、無線周波数(RF)、マイクロ波、センチメートル波、マイクロ波、赤外線(IR)、紫外線(UV)、可視光など)とすることができるエアインターフェース116を介して、1つ以上のWTRU102a、102b、102c、102dと通信することができる。エアインターフェース116は、任意の好適な無線アクセス技術(RAT)を使用して確立され得る。
【0055】
より具体的には、上記のように、通信システム100は、多元接続システムであってもよく、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、SC-FDMAなどのような1つ以上のチャネルアクセス方式を採用してもよい。例えば、RAN104/113の基地局114a、およびWTRU102a、102b、102cは、ユニバーサルモバイルテレコミュニケーションシステム(UMTS)地上無線アクセス(UTRA)などの無線技術を実装することができ、これは、広帯域CDMA(WCDMA)を使用して、エアインターフェース116を確立することができる。WCDMAは、高速パケットアクセス(HSPA)および/または発展型HSPA(HSPA+)などの通信プロトコルを含み得る。HSPAは、高速ダウンリンク(DL)パケットアクセス(HSDPA)および/または高速ULパケットアクセス(HSUPA)を含み得る。
【0056】
一実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、発展型UMTS地上無線アクセス(E-UTRA)などの無線技術を実装することができ、これは、ロングタームエボリューション(LTE)および/またはLTE-アドバンスト(LTE-A)および/またはLTE-アドバンストプロ(LTE-A Pro)を使用してエアインターフェース116を確立することができる。
【0057】
一実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、NR無線アクセスなどの無線技術を実装し得、これは、新しい無線(NR)を使用してエアインターフェース116を確立し得る。
【0058】
一実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、複数の無線アクセス技術を実装することができる。例えば、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、例えば、二重接続(DC)原理を使用して、LTE無線アクセスおよびNR無線アクセスを一緒に実装し得る。したがって、WTRU102a、102b、102cによって利用されるエアインターフェースは、複数のタイプの無線アクセス技術および/または複数のタイプの基地局(例えば、eNBおよびgNB)との間で送信される送信によって特徴付けられ得る。
【0059】
他の実施形態では、基地局114aおよびWTRU102a、102b、102cは、IEEE802.11(すなわち、無線フィデリティ(WiFi)、IEEE802.16(すなわち、マイクロ波アクセスのための世界的相互運用性(WiMAX))、CDMA2000、CDMA2000 1X、CDMA2000 EV-DO、暫定規格2000(IS-2000)、暫定規格95(IS-95)、暫定規格856(IS-856)、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーションズ(GSM)、GSMエボリューションの拡張データレート(EDGE)、GSM EDGE(GERAN)などの無線技術を実装してもよい。
【0060】
図1Aの基地局114bは、例えば、無線ルータ、ホームNode-B、ホームeNode-B、またはアクセスポイントであってもよく、事業所、家庭、車両、キャンパス、産業施設、(例えば、ドローンが使用するための)空中回廊、道路などの局所領域における無線接続を容易にするために任意の好適なRATを利用してもよい。一実施形態では、基地局114bおよびWTRU102c、102dは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を確立するために、IEEE802.11などの無線技術を実装することができる。一実施形態では、基地局114bおよびWTRU102c、102dは、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)を確立するために、IEEE802.15などの無線技術を実装することができる。さらに別の実施形態では、基地局114bおよびWTRU102c、102dは、セルラーベースのRAT(例えば、WCDMA、CDMA2000、GSM、LTE、LTE-A、LTE-A Pro、NRなど)を利用して、ピコセルまたはフェムトセルを確立することができる。
図1Aに示されるように、基地局114bは、インターネット110への直接接続を有し得る。したがって、基地局114bは、CN106を介してインターネット110にアクセスする必要がない場合がある。
【0061】
RAN104/113は、CN106と通信することができ、これは、WTRU102a、102b、102c、102dのうちの1つ以上に音声、データ、アプリケーション、および/またはボイスオーバーインターネットプロトコル(VoIP)サービスを提供するように構成されている任意の種類のネットワークであり得る。データは、異なるスループット要件、遅延要件、エラー許容要件、信頼性要件、データスループット要件、モビリティ要件など、様々なサービス品質(QoS)要件を有し得る。CN106は、呼制御、課金サービス、モバイル位置ベースのサービス、プリペイド通話、インターネット接続、ビデオ配信などを提供し、および/またはユーザ認証などの高レベルのセキュリティ機能を実行し得る。
図1Aには示されていないが、RAN104/113および/またはCN106は、RAN104/113と同じRATまたは異なるRATを採用する他のRANと直接または間接的に通信できることが理解されよう。例えば、NR無線技術を利用し得るRAN104/113に接続されることに加えて、CN106はまた、GSM、UMTS、CDMA2000、WiMAX、E-UTRA、またはWiFi無線テクノロジーを採用する別のRAN(図示せず)と通信してもよい。
【0062】
CN106はまた、WTRU102a、102b、102c、102dがPSTN108、インターネット110、および/または他のネットワーク112にアクセスするためのゲートウェイとして機能し得る。PSTN108は、一般電話サービス(POTS)を提供する回線交換電話網を含み得る。インターネット110は、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、および/またはTCP/IPインターネットプロトコルスイートのインターネットプロトコル(IP)などの共通の通信プロトコルを使用する相互接続されたコンピュータネットワークおよびデバイスのグローバルシステムを含み得る。ネットワーク112は、他のサービスプロバイダによって所有および/または運用される有線および/または無線通信ネットワークを含み得る。例えば、ネットワーク112は、1つ以上のRANに接続された別のCNを含み得、これは、RAN104/113と同じRATまたは異なるRATを使用し得る。
【0063】
通信システム100内のWTRU102a、102b、102c、102dの一部またはすべては、マルチモード機能を含むことができる(例えば、WTRU102a、102b、102c、102dは、異なる無線リンクを介して異なる無線ネットワークと通信するための複数のトランシーバを含むことができる)。例えば、
図1Aに示されるWTRU102cは、セルラーベースの無線技術を採用し得る基地局114aと、およびIEEE802無線技術を採用し得る基地局114bとを通信するように構成され得る。
【0064】
図1Bは、例示的なWTRU102を示すシステム図である。
図1Bに示されるように、WTRU102は、とりわけプロセッサ118、トランシーバ120、送信/受信要素122、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、ディスプレイ/タッチパッド128、非リムーバブルメモリ130、リムーバブルメモリ132、電源134、グローバルポジショニングシステム(GPS)チップセット136、および/または他の周辺機器138を含み得る。WTRU102は、一実施形態と一致性を保ちながら、前述の要素の任意のサブコンビネーションを含むことができることが理解されよう。
【0065】
プロセッサ118は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来のプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアに関連する1つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、その任意の他の種類の集積回路(IC)、ステートマシンなどとすることができる。プロセッサ118は、信号符号化、データ処理、電力制御、入力/出力処理、および/またはWTRU102が無線環境で動作することを可能にする他の任意の機能を実行することができる。プロセッサ118は、トランシーバ120に結合され得、トランシーバ120は、送信/受信要素122に結合され得る。
図1Bは、プロセッサ118およびトランシーバ120を別個のコンポーネントとして示しているが、プロセッサ118およびトランシーバ120は、電子パッケージまたはチップに一緒に集積され得ることが理解されよう。
【0066】
送信/受信要素122は、エアインターフェース116を介して基地局(例えば、基地局114a)に信号を送信するか、または基地局から信号を受信するように構成され得る。例えば、一実施形態では、送信/受信要素122は、RF信号を送信および/または受信するように構成されたアンテナであってもよい。一実施形態では、送信/受信要素122は、例えば、IR、UV、または可視光信号を送信および/または受信するように構成されたエミッタ/検出器であってもよい。さらに別の実施形態では、送信/受信要素122は、RF信号および光信号の両方を送信および/または受信するように構成され得る。送信/受信要素122は、無線信号の任意の組み合わせを送信および/または受信するように構成され得ることが理解されよう。
【0067】
送信/受信要素122は、単一の要素として
図1Bに示されているが、WTRU102は、任意の数の送信/受信要素122を含み得る。より具体的には、WTRU102は、MIMO技術を採用し得る。したがって、一実施形態では、WTRU102は、エアインターフェース116を介して無線信号を送受信するための2つ以上の送信/受信要素122(例えば、複数のアンテナ)を含み得る。
【0068】
トランシーバ120は、送信/受信要素122によって送信される信号を変調し、送信/受信要素122によって受信される信号を復調するように構成され得る。上記のように、WTRU102はマルチモード機能を有し得る。したがって、トランシーバ120は、WTRU102が、例えば、NRおよびIEEE802.11などの複数のRATを介して通信することを可能にするための複数のトランシーバを含み得る。
【0069】
WTRU102のプロセッサ118は、スピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)ディスプレイユニットまたは有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイユニット)に結合され得、それらからユーザ入力データを受信し得る。プロセッサ118はまた、ユーザデータをスピーカ/マイクロフォン124、キーパッド126、および/またはディスプレイ/タッチパッド128に出力し得る。加えて、プロセッサ118は、非リムーバブルメモリ130および/またはリムーバブルメモリ132などの任意の種類の好適なメモリからの情報にアクセスし、データを記憶し得る。非リムーバブルメモリ130は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、ハードディスク、または任意の他の種類のメモリ記憶装置を含み得る。リムーバブルメモリ132は、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリスティック、セキュアデジタル(SD)メモリカードなどを含み得る。他の実施形態では、プロセッサ118は、サーバまたはホームコンピュータ(図示せず)など、WTRU102上に物理的に配置されていないメモリから情報にアクセスし、メモリにデータを記憶し得る。
【0070】
プロセッサ118は、電源134から電力を受け取ることができ、WTRU102内の他のコンポーネントに電力を分配および/または制御するように構成され得る。電源134は、WTRU102に電力を供給するための任意の好適なデバイスであり得る。例えば、電源134は、1つ以上の乾電池(例えば、ニッケルカドミウム(NiCd)、ニッケル亜鉛(NiZn)、ニッケル金属水素化物(NiMH)、リチウムイオン(Liイオン)など)、太陽電池、燃料電池などを含み得る。
【0071】
プロセッサ118はまた、GPSチップセット136に結合され得、これは、WTRU102の現在の位置に関する位置情報(例えば、経度および緯度)を提供するように構成され得る。GPSチップセット136からの情報に加えて、またはその代わりに、WTRU102は、基地局(例えば、基地局114a、114b)からエアインターフェース116を介して位置情報を受信してもよく、および/または2つ以上の近くの基地局から受信される信号のタイミングに基づいてその位置を判定してもよい。WTRU102は、一実施形態と一致性を保ちながら、任意の好適な位置判定方法によって位置情報を取得し得ることが理解されよう。
【0072】
プロセッサ118は、追加の特徴、機能、および/または有線または無線接続を提供する1つ以上のソフトウェアおよび/またはハードウェアモジュールを含むことができる他の周辺機器138にさらに結合され得る。例えば、周辺機器138は、加速度計、eコンパス、衛星トランシーバ、デジタルカメラ(写真および/またはビデオ用)、ユニバーサルシリアルバス(USB)ポート、振動装置、テレビトランシーバ、ハンズフリーヘッドセット、ブルートゥース(登録商標)モジュール、周波数変調(FM)無線ユニット、デジタル音楽プレーヤー、メディアプレーヤー、ビデオゲームプレーヤーモジュール、インターネットブラウザ、仮想現実および/または拡張現実(VR/AR)デバイス、アクティビティトラッカなどを含むことができる。周辺機器138は、1つ以上のセンサを含み得、センサは、ジャイロスコープ、加速度計、ホール効果センサ、磁力計、方向センサ、近接センサ、温度センサ、時間センサ、地理位置情報センサ、高度計、光センサ、タッチセンサ、磁力計、気圧計、ジェスチャセンサ、生体認証センサ、および/または湿度センサのうちの1つ以上であり得る。
【0073】
WTRU102は、UL(例えば、送信用)およびダウンリンク(例えば、受信用)の双方の信号の一部またはすべて(例えば、特定のサブフレームに関連付けられる)の送信および受信が並列および/または同時に行われ得る全二重無線を含むことができる。全二重無線は、ハードウェアまたはプロセッサ(例えば、別個のプロセッサ(図示せず)またはプロセッサ118を介した)を介した信号処理のいずれかを介した自己干渉(例えば、チョーク)を低減および/または実質的に排除するための干渉管理ユニットを含み得る。実施形態では、WRTU102は、信号の一部またはすべての送信および受信(例えば、UL(例えば、送信用)またはダウンリンク(例えば、受信用)のいずれかの特定のサブフレームに関連付けられる)のための半二重無線を含むことができる。
【0074】
図1A~1B、ならびに
図1A~1Bの対応する説明を考慮して、WTRU102a~d、基地局114a~b、および/または本明細書に記載された任意の他のデバイスのうちの1つ以上に関して、本明細書に記載された機能のうちの1つ以上、またはそれらのすべては、1つ以上のエミュレーションデバイス(図示せず)によって実行することができる。エミュレーションデバイスは、本明細書に記載の機能のうちの1つ以上、またはすべてをエミュレートするように構成された1つ以上のデバイスであってもよい。例えば、エミュレーションデバイスは、他のデバイスをテストするために、および/またはネットワークおよび/またはWTRU機能をシミュレートするために使用され得る。
【0075】
エミュレーションデバイスは、ラボ環境および/またはオペレータネットワーク環境で他のデバイスの1つ以上のテストを実装するように設計され得る。例えば、1つ以上のエミュレーションデバイスは、通信ネットワーク内の他のデバイスをテストするために、有線および/または無線通信ネットワークの一部として完全にまたは部分的に実装および/または展開されている間に、1つ以上または全ての機能を実行し得る。1つ以上のエミュレーションデバイスは、有線および/または無線通信ネットワークの一部として一時的に実装/展開されている間に、1つ以上、または全ての機能を実行し得る。エミュレーションデバイスは、テストの目的で別のデバイスに直接結合し得、および/または無線経由(over-the-air)無線通信を使用してテストを実行し得る。
【0076】
1つ以上のエミュレーションデバイスは、有線および/または無線通信ネットワークの一部として実装/展開されていない間に、全てを含む1つ以上の機能を実行し得る。例えば、エミュレーションデバイスは、1つ以上のコンポーネントのテストを実装するために、テストラボでのテストシナリオおよび/または展開されていない(例えば、テスト)有線および/または無線通信ネットワークで利用され得る。1つ以上のエミュレーションデバイスは、テスト機器であってもよい。RF回路(例えば、1つ以上のアンテナを含むことができる)を介した直接RF結合および/または無線通信は、データを送信および/または受信するためにエミュレーションデバイスによって使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0077】
いくつかの実施形態で対処される問題
いくつかの現在利用可能なフラットパネルタイプのゴーグルレスマルチビューディスプレイの機能は、空間多重化のみに基づいている。1つのインテグラルイメージング手法では、発光ピクセルの行またはマトリックスがレンチキュラーレンズシートまたはマイクロレンズアレイの背後に置かれ、各ピクセルがディスプレイ構造の前で固有のビュー方向に投影される。発光層上にある発光ピクセルが多いほど、より多くのビューが生成され得る。高品質の3D画像を得るために、角度分解能は1つのビュー当たり少なくとも1.0°~1.5°の範囲とすることができる。ただし、高解像度ディスプレイでは迷光の問題が発生する可能性があり、鮮明な立体画像を創出するには、隣接するビューを適切に分離する必要があるが、同時に、高角度分解能を提供し、1つのビューから次のビューへスムーズに移行するためには、それらを密接にパックする必要がある。
【0078】
レンチキュラーシートまたはマイクロレンズに基づくマルチビュー3Dディスプレイには、一般に、画像のコントラストを低下させる迷光の多くの異なる根本原因がある。すべての光学システムは、光学表面の不規則性(粗さおよび形状誤差)からの一部の迷光、および開口部やレンズマウントなどのオプトメカニカル機能からの光散乱を呈する。インテグラルイメージングベースの3Dディスプレイでは、レンチキュラーまたはマイクロレンズ構造を使用すると、画像化光学形状が表示領域上で隣り合わせに繰り返されるため、問題が発生する可能性がある。1つの光学形状が次の光学形状に変化するにつれて、形状が光線を正しい方向に屈折せず、一部の迷光が散乱する境界線が存在する。発光源はまた、通常、非常に広い発光パターンを有し、これは、光が、画像投影を目的とした1つのレンズの開口部以上に広がり得ることを意味する。隣接するレンズに光が当たると、二次画像が間違った方向に投射される。視聴者が片方の目でこれらの二次ビューのうちの一方を、もう片方の目で1つの正しいビューを同時に見ると、知覚される画像が間違った向きに反転し、3D画像がひどく歪む可能性がある。
【0079】
図2Aは、いくつかの実施形態による、多方向ピクセル(MDP)の中心線における光源点から発せられる光線の例示的なセットを例示する概略平面図である。一例として、
図2Aは、1つの多方向ピクセル(MDP)204の光軸に位置する1つの光源点から発せられる光線のセットを提示する。MDP204は、画像化レンズ形状とその直下の光源群との組み合わせを含み得る。この組み合わせは、マルチビューディスプレイで繰り返し使用され、複数の固有の画像方向を有する1つの3Dディスプレイ画像ピクセルを形成する。マイクロレンズアレイ(MLA)202は、単一のレンズ形状の焦点距離が光源とレンズとの間の光学距離と同じになるように配置することができる。これは、単一の光源点から発生し、レンズ-空気界面に当たる光線が、実質的に同じ角度方向に曲げられ、投影された光線が平行になることを意味する。一例として、
図2Aは、互いに平行な光線R3(218)およびR4(220)を示している。
【0080】
図2Aに示される光線R6(224)およびR7(226)は、意図された投影画像の方向を表す。光軸上に位置する単一の画像点は、光軸と同じ方向に投影されるこれらの2つの光線を発する。同じ点から発せられる他のすべての映像化光線は、隣接するレンズ表面に当たる。光線R1(214)およびR2(216)は、入射角A1(206)およびA2(208)が透過率に対して大きすぎるため、MLA202における材料-空気界面において全内部反射(TIR)を経験する。光線R3(218)およびR4(220)は、界面での入射角が小さく、界面の反対側に透過し、角度A3(210、212)に曲げられる。光線が間違ったレンズを通して画像化されるため、投影されたビューが光源の二次画像になる。実際の3Dディスプレイでは、光軸方向に表示されることを意図した画像は、A3方向(210、212)にも同時に表示される。光線R5(222)は、TIR制限を超えて反射されて戻る角度で、レンズ材料-空気界面に再び当たる。この場合、レンズ材料-空気界面は、入射角が急すぎる光線の伝播を遮断する自然角度フィルタのように機能する。
【0081】
図2Bは、いくつかの実施形態による、MDPの中心線から離れた光源点から発せられる光線の例示的なセットを示す概略平面図である。
図2Bは、同じ光学設計で作り出された別の例示的な光線のセットを示しているが、ここで、光源点は、光軸から距離(SPD)230に位置している。この場合、光線R4(248)、R5(250)、R6(252)、およびR7(254)は、レンズ材料-空気界面を透過し、ここでは意図したビュー方向である方向A4(238)へ曲げられる。光源が光軸上に位置していないため、投影されたビューの方向も軸から外れている。意図されたビューに加えて、意図された方向の両側に2つの追加の二次ビュー方向A3(236)とA5(240)が存在する。実際のマルチビューディスプレイでは、これら3つのビュー方向すべてが、同じ画像コンテンツを有するようになる。光源点がMDP204の右側の境界の近くに位置しているため、発せられた光の大部分が右側の次のレンズ表面に当たる。光線R9(258)、R10(260)、およびR11(263)は、意図した視野角A4(238)に近い角度A5(240)に投影されるが、光軸の反対側にも投影される。意図したMDP204の左側において、光線R3(246)およびR2(244)は、意図したビュー方向からさらに離れた角度A3(236)に曲げられている。これらの2つの二次画像方向から、方向A5(240)に伝播する光線は、意図した表示視野(FOV)に近いという事実のために、角度A3(236)に投影される光線よりも3D画質に対する迷光の影響が深刻である。意図したMDP204の左側にある別の光線である光線R1(242)もまた、意図したビュー方向から離れるように曲げられる。意図したMDP204、R13(266)、およびR14(268)の右側の光線は、意図したビュー方向から離れるように曲げられる。光線R8(256)およびR12(264)は、入射角A1(232)およびA2(234)が透過率に対して大きすぎるため、MLA202における材料-空気界面において全内部反射(TIR)を経験する。
【0082】
図3は、いくつかの実施形態による、バッフル構造を有する2つの隣接するMDPから発せられる例示的な光線のセットを例示する概略平面図である。
図3は、
図2Aおよび2Bと同じ例示的な光学設計を示しているが、ここでは、2つの隣接するMDPであるMDP1(304)およびMDP2(306)からの光線セットR4(318)、R5(320)、R6(322)およびR16(342)、R17(344)、R18(346)を有している。この場合、迷光の量を減らすために、光吸収バッフルのセット310もレンズの間に追加されている。ここで、一連の光学開口部308が形成され、これは、システムから投影され得る光線の場所を制限する。例えば、光線R1(312)、R3(316)、R10(330)、R12(334)、R13(336)、R15(340)、R22(354)、およびR24(358)は迷光としてディスプレイに投影され得るが、ここではバッフルはその伝播を遮断する。これにより、一部の迷光が抑制されるため、画質が多少向上し得る。ただし、隣接するレンズ開口部を通って構造から出る迷光は依然として存在する。光線R2(314)、R8(326)、R9(328)、R14(338)、R20(350)、およびR21(352)は、隣接するMDP304、306上での画像形成に使用される光学開口部308を通って移動するために、機械的バッフル構造310で遮断することができないこれらの迷光光線のいくつかの例である。これらの迷光の光線経路の遮断は、異なる時間間隔で光線の通過を遮断する調整可能な開口部を有するシステムで行うことができる。この場合、システムは、例えばLCDパネルのような追加の空間光変調器(SLM)、および発光体とSLMとの間の同期を伴う時分割多重化を必要とし得る。光線R7(324)、R11(332)、R19(348)、およびR23(356)は、入射角が透過率に対して大きすぎるため、MLA302材料-空気界面において全内部反射(TIR)を経験する。
【0083】
図4は、いくつかの実施形態による、例示的な9ビュー自動立体視3Dディスプレイの例示的な視聴形状を例示する概略平面図である。
図4は、9ビュー3Dディスプレイの例示的な視聴形状を示している。別個のビューは、3Dマルチビューディスプレイ402によって特定のFOV404に投影され、投影方向の円錐は、特定の視聴距離において視聴窓410を形成する。視聴者の目の間の距離(平均約64mm)よりも小さい個々のソース画像を視聴窓に投影することが望ましい。例えば、位置1(406)における視聴者は、右目で方向1(412)に投影された一次ビューを、左目で方向3(414)に投影された一次ビューを見ることになる。これらの2方向の画像コンテンツは、2つの異なる視点からレンダリングされるため、視聴者は立体3D画像を形成することができる。ただし、アレイ内の隣接するレンズを通して投影された迷光画像である二次ビュー方向も存在する。これらのビューは、意図したFOV404の縁から始まる可能性があり、ビューの方向に関して誤った画像内容を有する。これは、表示された視聴形状中の位置2(408)に視聴者がいる場合でも、右目は方向9(416)への正しい画像投影を依然として見るであろうが、左目はビュー方向1(418)を意図した画像の二次投影を見ることになることを意味する。このような場合、画像が反転し、知覚される3Dの内容が激しく歪むことになる。
【0084】
図5は、いくつかの実施形態による、フラットマルチビューディスプレイで発生する例示的な視聴形状の問題を例示する概略平面図である。ピクセルFOVは視聴者508の目において重ならなくてはならないため、ディスプレイ502の異なる部分からの同じビュー方向が、視聴窓における同じ位置に投影されることが望ましい。FOVが重ならない場合、3D画像の一部を形成できないか、2つの目が誤った画像を得て、3D画像が見えない可能性がある。FOV間に不一致がある場合、ディスプレイの一部から二次迷光のビュー方向が視聴者に見え、それにより画像が何らかの形で歪む可能性もある。この状況は、
図5に描かれており、例示的なフラット9ビュー3Dディスプレイ502は、表面法線方向のみにビューを投影している。中央のディスプレイピクセルは、正しい一次ビュー1(510)および3(512)を視聴者の両目に投影しており、ディスプレイの中央において適切な立体3D画像が形成される。しかしながら、FOV504、506は完全に重ならないので、ディスプレイ縁のピクセルは、視聴者の目の外側にビューを投影しており、意図された3D画像の反対側からの二次ビュー(例えば、二次方向7(514)および9(516))のみが目に見える。これは、ディスプレイの縁に誤った画像対が表示され、画像全体がひどく歪んでいることを意味する。
【0085】
図6は、いくつかの実施形態による、マルチビューディスプレイの視聴形状の問題に対処するために使用される例示的な湾曲ディスプレイを例示する概略平面図である。指向性ピクセルFOV604、606が特定の視聴距離で重なるように、ディスプレイ602は、例えば、特定の半径で湾曲され得るか、または投影されたビーム方向は、例えば、平坦なフレネルレンズシートで特定の点に向けられ得る。余分な集束光学系なしでフラットディスプレイを使用し、ピクセルの位置をディスプレイの縁に向かってシフトすることも可能である。しかしながら、この場合、二次ビュー方向に投射される迷光の量は、意図したビュー方向に投射される光の量が減少すると同時に増加する。
図6は、個々のディスプレイ指向性ピクセルFOV604、606が、ディスプレイ表面602を湾曲させることによって重なり合うようにされる例を示している。ディスプレイの曲率が正しい場合、ディスプレイの異なる部分から投影されるすべてのビュー方向(例えば、一次方向4(610、612)および6(614、616)を含む)は、視聴者608の位置において正確に重なることになり、コヒーレントな3D画像が目に見える。この場合、二次迷光ビュー618、620は、視聴窓の外側に投影されることになる。
【0086】
図7Aは、いくつかの実施形態による、1人の視聴者に対する例示的な3Dディスプレイの視聴形状を例示する概略平面図である。
図7Bは、いくつかの実施形態による、複数の視聴者に対する例示的な3Dディスプレイの視聴形状を例示する概略平面図である。重なり合うビーム束FOVは、フラットな視聴窓だけでなく、視聴者の顔の領域の周りに奥行きのある視聴ゾーンを形成する。この視聴ゾーンのサイズによって、視聴者の頭に許容される動きの量が決まる。立体画像を可能にするために、両方の瞳孔が同時にゾーン内にある必要がある。
図7Aおよび7Bは、画像ゾーン702、752の2つの異なる例示的な視聴形状の概略図を示している。第1の図例である
図7Aでは、単一の観察者がディスプレイの前に座っており、両方の瞳孔は、狭いビーム束FOV704、706、708で達成される小さな視聴ゾーン710で覆われている。ゾーンの最小機能幅は、目の瞳孔間距離(平均で約64mm)によって決定される。幅が小さいということは、狭いFOV704、706、708が最適な視聴場所の前後の両方で非常に速く互いに分離し始めるため、視聴距離の変化に対する許容誤差が小さいことも意味する。第2の例である
図7Bは、ビーム束FOV754、756、758が非常に広く、視聴ゾーン760内、かつ異なる視聴距離で複数の視聴者を有することを可能にする視聴形状を提示する。この場合、位置公差も大きくなる。
【0087】
視聴ゾーンのサイズは、ビーム束FOVを変更することにより、使用事例に基づいて設計することができる。これは、発光体列の幅を増やすか、ビームコリメート光学系の焦点距離を変更することによって行うことができる。残念ながら、焦点距離が短いほど投影されるボクセルが大きくなるため、空間分解能を高めるためには焦点距離を長くすることが望ましい場合がある。これは、空間/角度分解能、レンズの焦点距離、FOVなどの光学設計パラメータ間にトレードオフの状況があり、設計は使用事例ごとに個別にバランスを取ることができることを意味する。
【0088】
レンズの焦点距離を短くしてFOVを大きくすることもできるが、これは、エミッタがレンズの開口部に近く、アレイ内の隣接するレンズに大量の光が当たって迷光が発生することも意味している。焦点距離が非常に短く、開口サイズが大きい場合、特にビューを視聴ゾーンの中心に向けて傾ける必要があるディスプレイの縁において、二次ビューが非常に明るくなる可能性がある。明るい二次は、例えば個々のレンズ間の境界において未使用のピクセルを残すなどして、視聴ゾーンのサイズを制限し、FOVの縮小を余儀なくされる場合がある。このように、ディスプレイの光学構造の迷光特性は、マルチビュー3Dディスプレイの性能仕様および使い心地に影響を与える。
【0089】
角度調整された薄膜光学フィルタ
薄膜フィルタは、光の波長を選択的に透過するために使用できる光学コンポーネントの一種である。これらのフィルタには、光の波長と同じサイズ範囲(例えば、約1/4波長以上)で屈折率を変え、厚さを正確に制御した薄膜コーティングの積層が含まれる。光の入射角、偏光、波長の特定の組み合わせにより、コーティング積層は、光波の建設的/破壊的な干渉により、入射光を透過または遮断/反射する。
【0090】
薄膜フィルタの1つのグループは、特別に設計された薄膜コーティング積層を有する平坦な光学コンポーネントを回転させることによってスペクトル透過窓の位置を調整するために開発されたものである。このようなフィルタは、US2011/0170164A1で説明されている。これらのコンポーネントは、表面法線方向から入射角度を大きくすると、薄膜積層の透過スペクトルが、短波長側にシフトする現象に基づいている。このようなフィルタの望ましい特性には、例えば、透過曲線のエッジが急峻であること、光の偏光に影響を受けないこと、使用可能な角度の範囲が広いことなどが含まれる。一部の利用可能なコンポーネントにはこれらすべての特性があり、異なる中心波長および透過窓サイズに応じてカスタム設計することが可能である。角度調整フィルタは、一般に、蛍光顕微鏡、スペクトル画像化、および電気通信などの用途で使用される。
【0091】
角度調整された薄膜フィルタは、通常、0°の光入射角で定義される設計中心透過波長と、幅がナノメートル単位で定義される透過窓を有している。コンポーネントの回転角と透過波長との関係を明確にするために、透過窓のエッジは急峻になるように設計されている。角度調整されたフィルタ光学パラメータの1つの例のセットは、以下でより詳細に説明する実例の中で提示されている。このフィルタのいくつかの光学特性は、
図15A~15Dに一連のグラフで提示されている。例示的なフィルタでは、中心波長を緑色の550nmに設定し、透過窓の幅を最大95%~25nmに設定した。最小透過率0%における透過窓の幅を30nmに設定したので、スペクトル窓のエッジはかなり急峻になった。
【0092】
角度調整された薄膜フィルタの光学特性の1つは、薄膜積層でコーティングされたコンポーネントを回転させることによって誘導され得るスペクトル透過窓のシフトである。使用されるコンポーネントは通常、回転する機械的なマウントに取り付けられた平坦なガラス窓である。コリメートされた光の入射ビームの方向に対してフィルタを回転させると、スペクトル窓の位置がシフトし、出力ビームの色が変化する。あるいは、例えばレーザの場合のようにビームスペクトル幅が狭い場合、フィルタを使用して透過を完全に遮断することができる。波長調整特性が可能な限り広いスパンをカバーするようにするために、フィルタは広い角度動作範囲を有するように設計されている。
図15A~15Dに提示された例示的なフィルタは、傾斜角が60°であるとき、60nmのスペクトル窓シフトを有する。
【0093】
いくつかの実施形態の概要
本開示は、角度フィルタリングを利用することによって、インテグラルイメージング3Dマルチビューシステムにおいて迷光を抑制するためのシステムおよび方法を提示する。レンチキュラーシートまたはマイクロレンズアレイの上に薄膜スタックがコーティングされている。薄膜積層の特性は、コーティングされた光学界面への入射角に基づいて、光線を選択的に遮断または透過するように選択される。光源がレンズの光軸に近い場合よりもレンズの光軸から離れている場合の方が、光線の入射角は大きいため、角度フィルタコーティングは、3D画像形成に使用される光よりも多くの迷光を選択的に遮断するように動作する。いくつかの実施形態では、角度フィルタコーティングは、実質的に連続的なコーティング層である。
【0094】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、インテグラルイメージングに基づくマルチビュー3Dディスプレイで遭遇する迷光を低減することができる。提示された光学コーティングは、レンチキュラーシートとマイクロレンズに基づく現在使用されている3Dディスプレイ光学構造に簡単に適用することができる。
【0095】
いくつかの実施形態で使用される薄膜構造は平坦であり、既存のディスプレイ光学系に厚みをあまり追加しないため、コンパクトなディスプレイ構造が望まれる場合に有益である。
【0096】
例示的なシステムおよび方法は、高品質の3D画像体験を可能にするSMV条件を満たす非常に高密度のマルチビュー映像の創出に特に役立ち得る。SMVシステムでは、画像ビュー方向が密集しており、二次ビュー方向の遮断に機械的手段を効果的に使用することができない。本明細書に記載の例示的なシステムおよび方法は、迷光抑制構造を光路に直接追加することを可能にし、これは、機械的バッフルよりも効果的であり得る。バッフルはまた、光吸収開口部をシステムに追加し、画像の明るさを低下させ、バッフルは、例示的な角度フィルタコーティングの実施形態では必要とされない正確な機械的位置合わせを必要とする。
【0097】
角度フィルタは二次迷光のピークを抑制できるため、意図するFOVと二次ビューが見えるゾーンとの間に明確なギャップが創出され得る。これは、視聴者が意図するFOVのすぐ外側に移動したときに、画像が完全にフェードアウトする設計を創出できることを意味している。これにより、視聴者にとって境界線が明確になり、FOVを大きく保つことができ、意図するビューゾーンの開始位置に混乱が生じないため、ディスプレイの使いやすさが大幅に向上する。
【0098】
いくつかの実施形態では、角度フィルタを使用して、中央ビューと側面ビューとの間の明るさの違いを均等にすることができる。ビュー間の明るさが不均一であると、光源のコンポーネントを異なるダイナミックレンジで駆動する必要が生じる可能性があり、これには較正が必要になる。角度フィルタを使用して角度範囲全体でより良い均一性が達成される場合、光源のコンポーネントの較正は必要性が少なくなり、光源のコンポーネントはより均一なダイナミックレンジになるように設計することができる。
【0099】
角度フィルタの例
本開示は、角度フィルタリングを利用することによって、インテグラルイメージング3Dマルチビューシステムにおいて迷光を抑制するための実施形態を提示する。レンチキュラーシートまたはマイクロレンズアレイの上に薄膜積層がコーティングされている。薄膜積層の特性は、コーティングされた光学界面への入射角に基づいて、光線を選択的に遮断または透過するように選択される。光源がレンズの光軸に近い場合よりもレンズの光軸から離れている場合の方が、光線の入射角は大きいため、角度フィルタコーティングは、3D画像形成に使用される光よりも多くの迷光を選択的に遮断することができる。
【0100】
図8A~8Bは、マイクロレンズアレイ(MLA)が角度フィルタとして機能する薄膜積層でコーティングされた1つの例示的な構造の概略図を示している。MLAは、ポリスチレンまたは他の材料から製造されたポリマーシートであり得る。シートの下部に置かれた光源群は、マイクロレンズによって、各レンズの下の位置に基づいて異なる角度方向に伝搬するコリメートされたビームのセットに画像化される。アレイ内の単一のレンズは、その下の光源マトリックスと共に、多方向ディスプレイピクセル(MDP)を形成する。この実施形態における単一の例示的なMDPユニットの幅は1mmである。
【0101】
いくつかの実施形態では、角度フィルタは、屈折率が異なる材料を有する正確に制御された薄膜層でレンチキュラーまたはマイクロレンズシートをコーティングすることによって、レンズ表面の真上に形成される。例示的なコーティング材料は、例えば、70nm~140nmの範囲の可変厚さを有する交互層として塗布することができるNb
2O
5およびSiO
2である。コーティング積層の総厚は、例えば約15μmであり得る。コーティングは、光源のスペクトル発光ピークに対して0°の入射角を中心とする急峻なエッジのスペクトル透過ウィンドウを有するように設計されている。光学界面への光線の入射角がレンズ表面の法線方向から傾くと、この窓はより短い波長にシフトする。
図8Aおよび8Bに提示される例の場合、レンズ表面上の角度フィルタコーティングは、20°未満の角度で界面に当たる実質的にすべての光線を透過し、実質的に他のすべての光線を、発光層に向けて反射し、バックプレーン基板または発光コンポーネントのいずれかに吸収されるように設計されている。
【0102】
図8Aは、いくつかの実施形態による、MDP光軸上に位置する光源点から光線群が発せられる、測定値(μm)を伴う例示的な光学的構造を例示する概略断面図である。
図8Aは、光源ポイントが1000μmの例示的な幅804を有するMDPの光軸上にあるMLA802の例を提示する。MLA802は、1500μmの例示的な高さ830で示されている。発せられた光線S6およびS7は、それぞれ19°および6°の角度でフィルタ界面に当たり、透過する。レンズ表面の曲率およびMLA材料802と空気との屈折率差により、両方の光線が光軸810に平行な方向に向かって曲がる。これらの光線は、マルチビューディスプレイの中央の0°の視聴方向で画像を形成するために使用される画像ビームを表す。光線S1は65°の角度で発せられる。光線S3は、同じ点から放射され、10°の入射角で隣接するレンズ表面に当たり、やはり透過する。この光線は、界面で51°に曲がり、表示目的のFOVの外側を伝搬する二次迷光画像投影を形成する。光線S4は、S3と同じ方向に画像化されるが、それが31°の角度で角度フィルタコーティング828に当たると、フィルタは光線を透過させる代わりに反射する。
図8Aに提示されている他のすべての光線(S1、S2、およびS5)も、20°のカットオフ角度よりも高い入射角(それぞれ50°、44°、および57°)でフィルタ表面に当り、光学的構造内で実質的に反射される。したがって、コーティング828は、マルチビュー画質を別様に低下させたであろう迷光の一部を抑制することができる。
【0103】
図8Bは、いくつかの実施形態による、MDP光軸から外れて位置する光源点から光線群が発せられる、測定値(μm)を伴う例示的な光学的構造を例示する概略断面図である。
図8Bは、
図8Aと同じ光学設計を有する別の例示的な場合を提示しているが、ここで、光源点は、光軸から0.4mm離れて位置している。MDPは、1000μmの例示的な幅804で示されている。MLA802は、1500μmの例示的な高さ830で示されている。光源点の例は、130°の範囲で光線を発しているように示されている。光線S4、S5、およびS6は、それぞれ14°、1°、および15°の入射角で、指定されたレンズ表面において角度フィルタコーティング828に当たる。(わかりやすくするために、すべての角度が明確に示されているわけではない。)これらの角度はすべて20°のカットオフ角度よりも小さいため、光線S4、S5、およびS6は、MDP光軸から26°の角度まで透過し、かつ屈折する。これらの光線S4、S5、およびS6は、マルチビューディスプレイの26°の視聴方向で画像を形成するのに使用される画像ビームを表す。光線S2、S10、S11、およびS13は、それぞれ10°、17°、1°、および20°の入射角で隣接するレンズの表面に当たる。これらの光線S2、S10、S11、およびS13は、ディスプレイ表面の法線からそれぞれ61°、36°、36°、68°の角度で透過し、かつ屈折し、意図した表示FOVの外側を進む迷光の二次画像ビームを表す。光線S9もこの方向に屈折するが、コーティングされた表面での入射角が33°であるため、光線S9は、角度フィルタ828によって実質的に遮断され、迷光の一部が抑制される。同様に、光線S1、S3、S7、S8、S12、およびS14は、それぞれ23°、37°、30°、53°、55°、31°の入射角を有し、角度フィルタ828によって遮断される。角度フィルタのカットオフ角度が20°ではなく16°になるように選択された場合、迷光線S10も、画像光線S4、S5、およびS6に影響を与えることなく実質的に減衰され得る。この例は、望ましい結果を得るために、光学設計とフィルタ設計のパラメータをどのように組み合わせるかを示している。
【0104】
図8Bから、光線S7は、画像ビームS4、S5、およびS6と同じ方向に画像化されるが、入射角が30°であるため、光線S7は、角度フィルタ828によって遮断されることが分かる。この例は、意図する光の一部も角度フィルタ828によって減衰され得ることを示している。したがって、画像形成を目的とした光よりも多くの迷光が遮断される角度に角度カットオフが位置決めされるようにフィルタを構成することが望ましい。このようにして、マルチビューディスプレイの信号対雑音比を改善することができる。フィルタ828は、インテグラルイメージング光学システムの意図された機能にあまり影響を与えることなく、光学開口に直接適用することができるので、光路の外側に位置決めされる機械的バッフルよりも迷光を抑制するのにより効果的であり得る。
【0105】
いくつかの実施形態では、
図8Bに示される例のようなディスプレイデバイスは、発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層と、発光層の上に置かれている光学層であって、光学層が発光層からの光を実質的にコリメートするように動作するレンズのアレイを含む、光学層と、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿った角度フィルタ層であって、角度フィルタが、閾値角度より大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、かつ閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する、角度フィルタ層と、を備え得る。いくつかの実施形態では、角度フィルタ層は透明である。角度フィルタ層は、例えば、20°などの閾値角度よりも大きい入射角を有する光に対して、発光層に向かって光を実質的に反射するように動作することができる。例示的なディスプレイデバイスは、発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層と、発光層の上に置かれている光学層であって、光学層が発光層からの光を実質的にコリメートするように動作するレンズのアレイを含む、光学層と、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿ったバンドパス干渉フィルタ層と、を含み得る。ディスプレイデバイスは、光を発するための発光素子のアドレス可能なアレイを含む発光層を選択的に動作させることと、発光層の上に置かれている光学層において、レンズのアレイを使用して、発光層からの光の少なくとも一部分を実質的にコリメートすることと、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿った角度フィルタ層を動作させることであって、角度フィルタ層が、閾値角度より大きい入射角を有する光を実質的に遮断し、かつ閾値角度未満の入射角を有する光を実質的に透過するように動作する、動作させることと、を含む方法を実行することができる。別の例示的なディスプレイデバイスは、発光要素のアドレス可能なアレイを含む発光層を選択的に動作させることと、発光層の上に置かれている光学層において、レンズのアレイを使用して、発光層からの光を実質的にコリメートすることと、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿ったバンドパス干渉フィルタ層を通して光を透過させることと、を含む方法を実行することができる。
【0106】
薄膜角度フィルタの機能は、フィルタのスペクトル透過窓が光の入射角と共にシフトする現象に基づいている。その結果、光の透過波長と入射角の間には関係がある。広いスペクトル範囲の光源が使用される場合、角度フィルタリング法は角度によって色を分離する。これに対処するために、いくつかの実施形態では、比較的狭いスペクトル帯域源のみをこの方法で使用することができる。
【0107】
提示されたフィルタリング技術に適合する光源の一例はμLEDであり、これは約20~30nmの典型的なスペクトル幅を有している。フルカラー表示には、赤色、緑色、および青色の3つの異なる色のコンポーネントを使用することができる。3色の変換用のオーバーコートされた量子ドット蛍光材料を有する単色μLED(UV/青色)も1つの実行可能な選択肢である。白色バックライトおよび比較的広い透過窓カラーフィルタを有するLCDディスプレイも使用できるが、そのようなディスプレイのスペクトル幅は数十ナノメートルであるため、角度フィルタリングはμLEDの場合ほど効果的ではない可能性がある。いくつかの実施形態の代替光源は、レーザダイオードまたはVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)であり、1nm未満のスペクトル幅を有する。このような光源では、カットオフ角度が非常に鋭く、角度依存の着色があったとしても、ヒトの目は、その色分解能の限界から、スペクトルの違いを検出することができない。
【0108】
図9は、いくつかの実施形態による角度フィルタリング方法を利用する例示的な水平のみのマルチビューフルカラー3Dディスプレイ構造を示す概略背面図である。フルカラーマルチビューディスプレイのいくつかの実施形態では、マイクロレンズまたはレンチキュラーシートは、例えば、3つの異なる色源中心放出波長向けに調整された異なる角度フィルタ特性を全て有する3つの異なるインターレースストライプまたはゾーンに分割されてもよい。
図9は、一例のディスプレイ構造の概略正面図を示している。ディスプレイは、7つの水平方向のビューを投影するように設計されている。各多方向ディスプレイピクセル902は、垂直配向のレンチキュラーシート904の後ろに、行912a、912bなどの水平行に組み立てられた7つの赤色、緑色、および青色の個別にアドレス可能な光源を有する。この例では、各行914、916、918のピクセルはすべて同じ色を有している。シート904は、正しい色源行と整列された3つの交互の水平角度フィルタゾーン906、908、910を有する。各フィルタゾーン906、908、910は、その下の光源を中心とするスペクトル透過窓を有するように設計されているので、着色効果を最小限に抑えることができる。異なるゾーン906、908、910は、グリッドマスクと、異なるゾーン906、908、910が順次コーティングされる3段階コーティングプロセスを利用することによって製造され得る。いくつかの実施形態では、光学層はレンチキュラーアレイであり得る。
【0109】
図10は、いくつかの実施形態による角度フィルタリング方法を利用する例示的な全視差マルチビューフルカラー3Dディスプレイ構造を示す概略背面図である。
図10は、角度フィルタリングを利用するフルカラーマルチビューディスプレイ構造の別の例を示している。この場合、垂直方向と水平方向の両方に固有のビューを投影することができるため、ディスプレイは全視差を有する。単色光源1004、1006、1008のマトリックスは、各色専用の角度フィルタコーティングを施したマイクロレンズの背後に置かれている。多方向3色ピクセル1002は、例えば、2つの緑色、1つの赤色および1つの青色の多方向サブピクセルからの出力を組み合わせることによって形成され得る。ヒトの視覚系は、光度よりも色に対する空間分解能の感度が低く、このようなピクセル構造は、より高い知覚分解能を得るために3つの異なる色を使用することを最適化するために使用することができる。各色専用の角度フィルタコーティングを使用するいくつかの実施形態は、緑色のサブピクセルが赤色および青色よりも高い空間分解能の画像を示すために使用され得るので、垂直方向および水平方向の両方で分解能が追加されるという利点を有する。この技術は、例えば、ベイヤマトリックスと呼ばれる光検出ピクセルを有する配置を使用する多くのデジタルカメラシステムで使用されている。異なる光源色専用の異なるマイクロレンズを有することの潜在的な利点は、色ごとにレンズを個別に特別に設計することができることである。光学材料の屈折率は色ごとにわずかに異なるため、色分散の問題は、赤色、緑色、および青色の光源ごとに表面の曲率をわずかに異なるようにすることで対処できる。例示的な光学層は、収束レンズの実質的に二次元のアレイである。ディスプレイデバイスのいくつかの実施形態では、発光素子が、対応する干渉層領域の下にあり、そのため、赤色調整された干渉層領域の下にある発光素子が、実質的に赤色の光を発するように構成されており、緑色調整された干渉層領域の下にある発光素子が、実質的に緑色の光を発するように構成されており、青色調整された干渉層領域の下にある発光素子が、実質的に青色の光を発するように構成されている。例示的なディスプレイデバイスは、干渉層領域と、各干渉層領域がそれぞれの収束レンズに対応するように、収束レンズの実質的に二次元のアレイである光学層とを含み得る。
【0110】
本明細書に記載の角度フィルタリング技術は、マイクロレンズアレイ以外の光学層で使用することができる。例えば、本明細書に記載の技術は、モザイク光学層を用いて実施することができる。いくつかの実施形態では、コーティング配置は、光度を高めるために指向性サブピクセルマトリックスに例えばいくつかの白色ピクセルを使用することによって変えることができる。この機能は、例えば、ハイダイナミックレンジ(HDR)画像に使用することができる。この場合、白色ピクセルは、指向性のある着色のために、角度フィルタを使用しないことがある。しかしながら、場合によっては、着色は、例えば、着色光にフィルタリングされた白色発光の助けを借りて、異なる投影方向にディスプレイの彩度を較正する場合などの利点として採用され得る。色透過窓と入射角を結ぶ角度コーティングを白色光が通過すると、指向性着色が自然に発生する。光源とその発光方向を投影レンズ表面の形状に適切に整列させることで、様々な色を様々な方向に投影することができる。
【0111】
図11は、いくつかの実施形態による、角度フィルタコーティングを有する代替のマルチビューディスプレイ構造の例示的な形状を例示する概略断面図である。この場合、レンチキュラーまたはマイクロレンズ構造では光源層に直接到達できないため、イメージングコンポーネントは発光源から離れて置かれている。レンズの焦点距離、開口部のサイズ、ディスプレイのFOV、およびビューの数の最適な組み合わせを得るために、光学コンポーネントを反転させる。そのような状況の一例は、例えば携帯電話のOLEDディスプレイの場合のように、ピクセルが比較的厚い保護ガラス窓1104の後ろにある場合である。レンズコンポーネントが反転しているため、レンズ形状は、空気とレンズ部材の間のMLA1102の第1の界面でイメージングビームをコリメートすることができる。これらのコリメートされたビームは、平行光線束として光学シートの第2の表面に当たる。角度フィルタコーティング1108は、平坦であるこの第2のレンズ材料-空気界面に適用され得、潜在的に、ディスプレイ表面全体にわたって均一に複数の薄いコーティング層を製造することを容易にする。コンポーネントはまた、特定の角度コーティング設計のために光線角度を微調整するために設計された追加のグレーデッドインデックス(GRIN)コーティング層1106を特徴とし得る。これらの層は、異なる屈折率の材料で作ることができ、数マイクロメートルの範囲で、いくらか厚くすることができる。GRIN層1106はまた、例えば、多孔質材料の創出および屈折率調整に使用される斜角材料堆積法によって作られたカスタム屈折率プロファイルを有し得る。
【0112】
図11のような実施形態は、意図されたビュー方向1110に発せられる光線が迷光の二次ビュー方向1112に発せられる光線よりも小さい入射角を有するので、角度コーティング1108の使用によく適している可能性がある。
図11において、角度A1(1114)は、所望の光線束の方向を表し、角度A2(1116)は、同じ発光点からの二次迷光画像の方向を示す。フィルタのカットオフ角度を必要な光線角度と不要な光線角度の間に直接配置することにより、光学構造から出る迷光のほとんどを遮断することができる。2つ以上のレンズコンポーネント層を使用すると、角度フィルタ層をインテグラルイメージング光学構造に位置決めする可能性が高くなり、角度コーティングを設計プロセスの欠くことのできない部分として考慮すれば、迷光性能が大幅に向上する可能性がある。
【0113】
図12は、いくつかの実施形態による2層の角度フィルタコーティングを有する例示的な代替マルチビューディスプレイ構造を例示する概略断面図である。この例では、光源は比較的薄い保護窓1208の背後にあり、光源との直接の接触は依然として禁止されているが、曲面が光源から離れる方向を向いている光学的に良好な向きでレンチキュラーシートを使用することは許容される。この配置はまた、いくつかの実施形態について、バッフル1206の間に空気1204を有する隣接する多方向ピクセル間の低いバッフル/支持構造1206を許容する。MLA1202の平坦な表面には、第1の角度フィルタ層1210がコーティングされており、第1の角度フィルタ層1210は、指定された開口数(NA)角度値1222を超える、発せられた光線をフィルタリングして除去する。これは、隣接するレンズ表面に別様に当たり得る光線がMLA1202に入るのを遮断するのに役立つ。バッフル構造1206は利用可能な光学コンポーネントによって浅くせざるを得ないため、保護窓側1208から、および専用レンズの開放底面開口側からの両方、これらの遮断構造1206を通過する光線径路がいくつかまだ存在する。これらの光線は、湾曲したレンズ表面に適用された第2の角度フィルタコーティング1212で遮断される。追加のGRIN層1216は、いくつかの光線経路を第2のコーティングに向かってより有利な角度に曲げるのに役立ち得る。GRIN層1216はまた、第1の角度フィルタが光源NA1222を十分に制限した後、指向性ピクセルの達成可能なFOVをいくらか広げることができる。2つの角度フィルタコーティング1210、1212は共に、すべての光線が通過しなければならない角度窓を形成する。例示的な構造は、設計されたビュー方向1214に伝播する光線が、角度A1(1220)で伝播することを許容する。光学形状の選択的な使用を通して、この角度窓は、1218a、1218bで示すように、画像形成を目的とした光よりもかなり多くの迷光を遮断するように構成され得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、ディスプレイデバイスは、光学層の少なくとも1つの表面上のコーティングである角度フィルタを含み得る。光学層は、実質的に平面の表面および非平面の表面を含み得る。角度フィルタコーティングは、光学層の非平面または実質的に平面の表面上にあってもよい。角度フィルタ層は、バンドパス干渉フィルタ層を含み得、バンドパス干渉フィルタ層は、光学層の少なくとも1つの表面上のコーティングを含み得る。バンドパス干渉フィルタコーティングは、光学層の非平面の表面または実質的に平面の表面上にあり得る。
【0115】
例示的な干渉フィルタ
いくつかの実施形態では、角度フィルタは、誘電体薄膜干渉フィルタを用いて実装されている。誘電体薄膜干渉フィルタは、屈折率の異なる少なくとも2つの材料の複数の層を、それぞれの材料内の所定波長の光の波長の約4分の1の厚さで含んでもよい。このような各層は、4分の1波長層と呼ばれることがある。薄膜干渉フィルタは、比較的高い屈折率と比較的低い屈折率を有する2つの異なる材料の交互の層を含み得る。いくつかの実施形態では、誘電体薄膜干渉フィルタは、少なくとも4つの4分の1波長層を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、誘電体薄膜干渉フィルタはバンドパスフィルタである。誘電体薄膜バンドパスフィルタは、複数の4分の1波長層に加えて、それぞれの材料内の所定波長の光の波長の約2分の1の厚さを有する少なくとも1つの半波長層を含んでもよい。誘電体薄膜干渉フィルタの特性(パスバンドを含む)は、既知の技術に従って層の異なる数、厚さ、および屈折率を選択することによって調整することができる。
【0117】
いくつかの実施形態では、異なる領域に対して異なるパスバンドを選択することができる。例えば、赤色ピクセルの上にあるフィルタ領域は赤色の光向けに調整でき、緑色ピクセルの上にあるフィルタ領域は緑色の光向けに調整でき、および青色ピクセルの上にあるフィルタ領域は青色の光向けに調整できる。
【0118】
誘電体薄膜バンドパスフィルタのパスバンドは、様々な入射角によって異なる。その結果、小さな入射角においてパスバンドに入る(したがって透過する)波長も、大きな入射角においてパスバンド外になる(および反射する)波長もある。したがって、いくつかの実施形態では、薄膜バンドパスフィルタを角度フィルタとして使用することができる。
【0119】
ディスプレイデバイスのいくつかの実施形態は、それぞれの層において、所定の波長の光の波長の4分の1にほぼ等しい厚さを有する少なくとも4つの誘電体層を含み得る。ディスプレイデバイスは、角度フィルタがバンドパス干渉フィルタ層を含むように、角度フィルタを含み得る。バンドパス干渉フィルタ層は、発光層からディスプレイデバイスの外部までの光路に沿っていてもよい。バンドパス干渉層は、異なるパスバンドを有する異なる干渉層領域を含み得る。
【0120】
例示的な実施形態の性能
図13は、いくつかの実施形態による、卓上44インチマルチビュー3Dディスプレイが3人の観察者によって2mの距離から見られる例示的なシステムを例示する概略平面図である。
図13は、例示的な使用例の視聴条件を例示する平面図である。
図13の実施形態では、44インチのマルチビュー3Dスクリーンを有するディスプレイ1302が、3人の視聴者1304、1406、1308から2mの視聴距離1314に置かれている。ディスプレイのFOV1312は41°であり、複数の視聴者に同時に画像を表示し、体験を共有することが可能である。ディスプレイは、指定された視聴距離でディスプレイ領域のすべての部分から投影されたビュー方向と重なるように湾曲している。カスタムモノクロOLEDパネルおよびレンチキュラーシートをベースにしたディスプレイ構造で、合計47個の水平ビューが創出される。このディスプレイは、無制限の視聴者が3Dイメージングを共有できるように設計されているため、アイトラッキングは使用せず、すべてのビューを同時に生成している。二次ビュー1316、1318は、意図した視聴窓の両側へ、中心方向から24°ずれた角度(1320)から迷光として投影される。
【0121】
図14Aは、いくつかの実施形態による、測定値を伴う例示的なOLEDパネルピクセル形状を例示する概略正面図である。
図14Bは、いくつかの実施形態による測定値を伴う例示的な光学構造を例示する概略断面図である。
図14A~14Bは、
図13の例で使用されるOLEDピクセルおよびディスプレイ光学構造1402の概略図および測定値を示す。異なるビュー画像を創出するために、10μm(1414)x100μm(1410)ピクセルピッチの9μm(1412)x90μm(1408)ピクセルのモノクロOLEDパネル1452が使用される。例示的なOLEDピクセル形状1402は、垂直方向1406で列ごとに3つのサブピクセルを示し、水平方向1404で行ごとに15サブピクセルを示している。ポリスチレン製の1mm厚さ(1460)のレンチキュラーシート(MLA)1454は、ピクセル画像を41°(1474)の設計FOVに投影する。レンズピッチは0.5mm(1466、1472)、および焦点距離は1mmである。角度フィルタ薄膜積層1456は、レンチキュラー表面に直接コーティングされている。レンズ間に印刷された線は、迷光を減らすバッフルとして機能する。迷光の量をさらに減らすために、レンズ間の境界線においてOLEDパネル1452内に3つのピクセルが暗く残されている。各レンズの下の最外側ピクセルの中心間の距離は0.46mm(1468)である。いくつかの実施形態では、各ユニットは、水平方向に対して固有のビューを生成する47個のサブピクセルを有する。ユニットの最外側のピクセルによってOLEDパネル1452からレンズの中心に発せられる光線は、13°の角度で発せられる(1462)。ユニットの最外側のピクセルによって隣接するユニットに関連付けられたレンズの中心に発せられる迷光線は、15°の角度で発せられる(1464)。このような迷光線は、レンズを通過した後、24°(1476)の角度に曲げられる。レンズ間に、プリントバッフル1458が存在する場合がある。例示的なプリントバッフルは、0.15mmの幅を有する(1478)。レンズは、0.39mmの半径を有し得る(1470)。
【0122】
図15Aは、いくつかの実施形態による、角度フィルタコーティング特性を例示する透過対波長のグラフである。
図15A~15Dは、角度フィルタコーティングの光学特性を例示するグラフである。
図15Aの角度フィルタ透過対波長のグラフは、3つの異なる光線入射角(0°(1512)、30°(1510)、60°(1508))および平均偏光における光波長およびフィルタ透過の関係を示している。入射角0°の透過窓を、緑色の光源中心発光波長である550nmに適合させた。光源のスペクトル幅は20nmで、これは、この公称角度においてフィルタが入射光の最大95%を透過していたことを意味する。
【0123】
図15Bは、いくつかの実施形態による、550nmの波長に対する角度フィルタコーティング特性を例示する透過対入射角のグラフである。
図15Bの表面透過対波長のグラフは、入射角と550nm波長における透過との間の関係を示している。角度フィルタ透過トレース1530は、約12°を超える入射角で中心波長において実質的に光が透過されないことを示している。
図15Bはまた、平均化された偏光を有する裸のポリスチレン-空気界面の透過トレース1528を示している。
【0124】
図15Cは、いくつかの実施形態による540nmの波長に対する角度フィルタコーティング特性を例示する透過対入射角のグラフである。
図15Cの表面透過対波長のグラフは、入射角と540nmの波長における透過との間の関係を示している。角度フィルタ透過トレース1550は、約18°を超える入射角で中心波長において実質的に光が透過されないことを示している。透過角度窓は、540nmの波長が低いほどやや大きくなる。
図15Cはまた、平均化された偏光を有する裸のポリスチレン-空気界面の透過トレース1548を示している。
【0125】
図15Dは、いくつかの実施形態による、560nmの波長に対する角度フィルタコーティング特性を例示する透過対入射角のグラフである。
図15Dの表面透過対波長のグラフは、入射角と550nm波長における透過との間の関係を示している。角度フィルタ透過トレース1570は、約6°を超える入射角で中心波長において実質的に光が透過されないことを示している。透過角度窓は、560nmの波長が高いほどやや小さくなる。
図15Dはまた、平均化された偏光を有する裸のポリスチレン-空気界面の透過トレース1568を示している。
【0126】
図16Aは、いくつかの実施形態による、シミュレーションで使用される光源の例示的な角度分布を示すグラフである。
図13~15のシステムの光学的機能を試験するために、一連の光線追跡シミュレーションを、市販の光学シミュレーションソフトウェアOpticsStudio 17を用いて実行した。3つの9μm幅の光源を、焦点距離1mmになるようにレンチキュラーレンズ構造の下に置いた。1つの光源をレンズの光軸に位置決めし、2つの光源を軸の両側に0.23mmの距離で置いた。
図16Aの光源角度分布のグラフは、正規化された強度対入射角を示している。光源の角度発散は、
図16Aに示す全幅半値(FWHM)値±34°のガウス分布に設定した。この角度分布により、単一の光源によって発せられた光は、隣の2つの隣接レンズ開口部に、特に0.23mm軸外点において容易に到達することができた。
【0127】
図16Bは、いくつかの実施形態による、視聴窓の距離に対して画像化された単一の光源の例示的な放射照度分布を示すグラフである。
図16Bの光源画像放射照度プロファイルのグラフは、指定された視聴距離における単一の中央に位置する9μm幅の光源の正規化された強度対位置を示している。バッフルおよび角度フィルタリングのため、分布プロファイルは純粋なガウス分布ではない。FWHMの幅は30mmで、画像全体の幅は約55mmで、2つの瞳孔間の平均距離をはるかに下回っている。これは、単一の光源の画像が2mの視聴距離でのみ片方の目に見えることを意味し、光学設計を用いて立体画像を創出することができる。
【0128】
迷光の低減に対する角度フィルタコーティングの効果を示すために、4つの異なる比較シミュレーションを行った。
図17A~17Dは、レンチキュラーレンズによって2mの距離の視聴窓に画像化され3つの光源のシミュレート放射照度分布を示している。
【0129】
シミュレートされたすべての放射照度分布グラフでは、背の高い細い中央のピークは中央の光源からきており、その光は意図したレンズをほとんど透過している。このピークの高さを用いて、放射照度分布を最大値1に正規化した。また、±750mmの位置にある側方ピークは、レンズ中心の各側にある2つの別個の光源から来ている。それらは、意図したFOV内の極端なビューに使用される。これらのピークは、光源によって発せられた光の大部分が隣接するレンズに当たり、グラフの±890mmの位置において追加のピークとして示される二次ピクセル迷光画像を創出するため、中央のピークよりもはるかに低い。
【0130】
図17Aは、いくつかの実施形態による、バッフルのないコーティングされていないレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
図17Aは、バッフルなしのコーティングされていないレンチキュラーシートを用いた分布を示している。
図17Aは、正規化された照度対位置のグラフであり、迷光抑制構造がない場合、中央の画像ピークと側方ビューの画像ピークとの間に均一に広がる迷光が存在することを示している。この光は、レンチキュラーレンズ間の境界形状において散乱した光線から発生する。放射照度値は中央のピークからわずか約1%であるが、光が広い範囲に広がるため、すべてのビューを使用すると蓄積され、画像のコントラストが著しく低下する可能性がある。
図17Bは、レンズ間にプリントバッフルを追加することにより、迷光のこの部分をほぼ完全に遮断することが可能であることを示している。
【0131】
図17Bは、いくつかの実施形態による、バッフルを有するコーティングされていないレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
図17Bは、レンズ間に設計された光吸収プリントバッフルを追加することによって迷光がどのように低減されるかを示している。
図17Bは、正規化された放射照度対位置のグラフであり、バッフルだけでは、二次画像方向に伝播する迷光を遮断することができないことを示している。
図17Aおよび17Bでは、±750mmの位置における設計された極端な側方ビューのピークが、±890mmの位置にある二次画像のピークと融合している。実際には、これは、視聴者の目がFOVの端に置かれている場合、二次ピークが多くのコントラストを低下させる迷光を引き起こすことを意味することになる。この二次ビュー投影は、FOVの反対側に投影することを想定しているため、全く異なる画像が表示され、混乱させることになる。意図したビューからシフトした画像への移行が連続的に行われるようになるため、意図した視聴窓とFOV外の境界線がぼやける。このような機能により、縁のビューは実質的に使用できなくなり、エミッタマトリックス内の個々のレンチキュラーレンズ間の未使用ピクセルの間隔が広がるため、FOVの縮小を余儀なくされる。
【0132】
図17Cは、いくつかの実施形態による、バッフルのない角度フィルタでコーティングされたレンチキュラーシートの視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
図17Cは、バッフルなしの迷光抑制に対する角度フィルタコーティングの効果を示している。
図17Cは、角型フィルタコーティングの最大効果を示す、正規化された放射照度対位置のグラフである。この場合、レンズ間にバッフルはなく、ビューのピーク間に再び迷光が存在する。この迷光の放射照度は、角度フィルタによって伝播する光の角度の一部がカットされるため、約40~60%減少した。この効果は顕著だが、この迷光成分の広がりと蓄積性が大きいため、まだ十分ではない可能性がある。±750mmの位置においる意図するビューと±890mmにおける二次画像ピークが完全に分離しているため、側方ビューのピークでさらに大きな効果がみられる。これは、角度フィルタは、意図したFOVと二次ビューが見えるゾーンとの間に明確な間隔を創出できることを意味する。この間隔の幅は、目の瞳孔間の平均距離の2倍よりも大きく、これは、視聴者が意図したFOVのすぐ外側に移動すると、画像は完全にフェードアウトすることを意味する。これにより、視聴者にとって境界線が明確になり、FOVを大きく保つことができ、意図するビューゾーンの開始位置に混乱が生じないため、ディスプレイの使いやすさが大幅に向上する。
【0133】
図17Dは、いくつかの実施形態による、バッフルを有する角度フィルタコーティングされたレンチキュラーシートに対する視聴窓における例示的な放射照度分布を示すグラフである。
図17Dは、バッフルによる迷光抑制に対する角度フィルタコーティングの効果を示している。
図17Dは、正規化された放射照度対位置のグラフである。
【0134】
角度フィルタの別の潜在的な利点は、
図17Aおよび
図17Cの中央および側方の放射照度ピークを比較することで分かる可能性がある。フィルタを使用しない場合、側方ビューの画像は、中央に投影された画像の明るさの約45%しかない。この差を補正して、すべての方向に均等な明るさの画像が得られるように、光源ダイナミックレンジを調整することができる。角度フィルタを使用すると、側方ピークが比較的高くなり、中央のピークから約60%になり、ダイナミックレンジ調整の必要性がはるかに少なくなる。
図17Dに示すように、バッフルが角度フィルタと共に追加される場合、この利点は幾分減少する。マルチビュー3D画像には、これらの迷光抑制機能を両方採用することも可能であるが、一般的にはバッフルだけよりも角度フィルタの方が大きな利益をもたらす。
【0135】
説明された実施形態のうちの1つ以上の様々なハードウェア要素は、それぞれのモジュールに関連して本明細書で説明される様々な機能を実行する(すなわち、行う、実施など)「モジュール」と称されることに留意されたい。本明細書で使用される場合、モジュールは、所与の実装に対して関連技術の当業者によって好適であると見なされるハードウェア(例えば、1つ以上のプロセッサ、1つ以上のマイクロプロセッサ、1つ以上のマイクロコントローラ、1つ以上のマイクロチップ、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、1つ以上のメモリデバイス)を含む。記載された各モジュールはまた、それぞれのモジュールによって実行されると記載された1つ以上の機能を実行するために実行可能な命令を含み得、これらの命令は、ハードウェア(すなわち、ハードワイヤード)命令、ファームウェア命令、ソフトウェア命令などの形態を採り得るか、一般にRAM、ROMなどと称される任意の好適な非一時的なコンピュータ可読媒体または複数の媒体に格納され得ることに留意されたい。
【0136】
特徴および要素が特定の組み合わせで上記に説明されているが、当業者は、各特徴または要素が単独で、または他の特徴および要素と任意の組み合わせで使用されることができることを理解するであろう。加えて、本明細書に記載の方法は、コンピュータまたはプロセッサによって実行するために、コンピュータ可読媒体に組み込まれたコンピュータプログラム、ソフトウェア、またはファームウェアに実装され得る。コンピュータ可読記憶媒体の例は、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリデバイス、内蔵ハードディスクおよび取り外し可能なディスクなどの磁気媒体、磁気光学媒体、CD-ROMディスクなどの光学媒体、ならびにデジタル多用途ディスク(DVD)を含むが、これらに限定されるものではない。ソフトウェアに関連するプロセッサを使用して、WTRU、UE、端末、基地局、RNC、または任意のホストコンピュータで使用するための無線周波数トランシーバを実装し得る。
【国際調査報告】