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特表2022-536957レーザ走査ヘッドによって方向づけられたレーザビームおよび横方向粉末射出によって加工物の定められた表面に材料を付加するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】レーザ走査ヘッドによって方向づけられたレーザビームおよび横方向粉末射出によって加工物の定められた表面に材料を付加するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 12/40 20210101AFI20220815BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220815BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220815BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20220815BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20220815BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220815BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20220815BHJP
   B29C 64/141 20170101ALI20220815BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20220815BHJP
   B22F 10/22 20210101ALI20220815BHJP
   B22F 10/25 20210101ALI20220815BHJP
   B22F 12/53 20210101ALI20220815BHJP
   B22F 12/13 20210101ALI20220815BHJP
   B22F 10/362 20210101ALI20220815BHJP
   B22F 10/366 20210101ALI20220815BHJP
   B22F 12/90 20210101ALI20220815BHJP
【FI】
B22F12/40
B33Y30/00
B33Y10/00
B29C64/321
B33Y40/00
B33Y50/02
B29C64/393
B29C64/141
B29C64/268
B22F10/22
B22F10/25
B22F12/53
B22F12/13
B22F10/362
B22F10/366
B22F12/90
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575331
(86)(22)【出願日】2020-05-25
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 FR2020050863
(87)【国際公開番号】W WO2020254737
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1906482
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520467028
【氏名又は名称】ビーム
(71)【出願人】
【識別番号】520467039
【氏名又は名称】イペラ レーザー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】フレチャード ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】マチ フレデリク
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル ティエリー
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213AP11
4F213AP12
4F213AQ01
4F213WA25
4F213WB01
4F213WK03
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL32
4F213WL44
4F213WL74
4F213WL76
4F213WL85
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
レーザビームによる粉末溶融によって部品の定められた表面に材料を付加して体積部を作製するシステムであって、システムは、‐入射レーザビームを放出するレーザビーム放出装置を含み、‐少なくとも、定められたパターンにしたがって再表面仕上げされ、修復されまたは作製されるべき表面の平面内において、入射レーザビームを反射して動かすために少なくとも2つの電流測定ミラーを備えるとともに反射された入射レーザビームを定められた表面上に集束させるレンズを備えたレーザ走査ヘッドを含み、システムは、体積部の作製時に部品に対して静止状態に保持されているレーザ走査ヘッドを含み、‐粉末を定められた表面上に送り出すために集束状態の反射された入射レーザビームに対して横方向に配置された粉末射出装置を含み、粉末は、体積部の作製時に連続的に送り出し、粉末の溶融が定められた表面上に送り出された粉末上に放出される集束状態の反射された入射レーザビームによって実施されることを特徴とするシステムが開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム(13)による粉末溶融によって部品の定められた表面に材料を付加して体積部を作製するシステム(10)であって、前記システム(10)は、
‐入射レーザビームを放出するレーザビーム放出装置を含み、
‐少なくとも、定められたパターンにしたがって再表面仕上げされ、修復されまたは作製されるべき表面の平面内において、前記入射レーザビームを反射して動かすために少なくとも2つの電流測定ミラーを備えるとともに前記反射された入射レーザビームを前記定められた表面上に集束させるレンズを備えたレーザ走査ヘッド(12)を含み、前記システム(10)は、前記体積部の作製時に前記部品に対して静止状態に保持されている前記レーザ走査ヘッド(12)を含み、
‐粉末を前記定められた表面上に小出しするために集束状態の前記反射された入射レーザビーム(13)に対して横方向に配置された粉末射出装置(14)を含み、前記粉末は、前記体積部の作製時に連続的に小出しされ、前記粉末の溶融が前記定められた表面上に小出しされた前記粉末上に放出される集束状態の前記反射された入射レーザビーム(13)によって実施される、システム(10)。
【請求項2】
前記定められた表面に接近するために前記システム(10)および/または前記部品を動かして前記システム(10)を前記部品に対して位置決めする少なくとも1つの多関節式支持体を含む、請求項1記載のシステム(10)。
【請求項3】
前記粉末射出装置(14)は、粉末を前記定められた表面上に小出しするための管(16)を有する、請求項1または2記載のシステム(10)。
【請求項4】
前記粉末射出装置(14)は、前記管(16)を前記部品の前記定められた表面に平行な平面内で横方向に調節する第1の調節装置(18)を有する、請求項3記載のシステム(10)。
【請求項5】
前記粉末射出装置(14)は、前記定められた表面上への前記粉末の射出角度を調節する第2の調節装置(20)を有する、請求項1~4のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項6】
前記粉末射出装置(14)は、前記管(16)の高さを前記定められた表面に対して調節する第3の調節装置(22)を有する、請求項3記載のシステム(10)。
【請求項7】
前記粉末射出装置(14)は、前記粉末射出装置(14)の高さを前記部品の前記定められた表面に対して調節する第4の調節装置(24)を有する、請求項1~6のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項8】
前記システムは、前記定められた表面を照明する照明装置を含む、請求項1~7のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項9】
前記システムは、前記パターンの存在場所を突き止めて前記システム(10)を位置決めするカメラを含む、請求項1~8のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項10】
前記システムは、付加されるべき材料の前記体積部を分析する装置、例えばプローブ、三次元スキャナまたはカメラを含む、請求項1~9のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項11】
前記システムは、付加されるべき材料の前記体積部に適合した軌道を生じさせる適合プログラミングユニットを含む、請求項1~10のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項12】
前記システムは、材料の付加前における予熱ステップ(102)中および材料の付加後における後加熱ステップ(107)中に前記部品の温度を取得するユニットを含む、請求項1~11のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項13】
前記システムは、材料の付加を所定の温度で自動的に開始させるユニットを含む、請求項1~12のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項14】
前記システムは、材料の付加の一サイクル全体を自動的に管理するユニットを含む、請求項1~13のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項15】
前記システムは、材料の付加をモニタする情報分析ユニットを含む、請求項1~14のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項16】
前記システムは、作製された前記体積部の幾何学的形状を分析するユニットおよび該幾何学的形状を三次元モデルと比較するユニットを含む、請求項1~15のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項17】
前記システムは、粉末の到着を自動的に管理するユニットを含む、請求項1~16のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項18】
前記システムは、前記レーザビームの放射強度を温度の関数としてフィードバック制御するユニットを含む、請求項1~17のうちいずれか一に記載のシステム(10)。
【請求項19】
レーザ走査ヘッド(12)、レーザビーム放出装置および粉末射出装置(14)によって部品の定められた表面に材料を付加する方法であって、前記レーザ走査ヘッド(12)が2つの電流測定ミラーを備え、前記電流測定ミラーは、入射レーザビームを反射して集束させ、そして前記電流測定ミラーおよび前記レーザ走査ヘッド(12)の回転時に、前記集束状態の反射後入射レーザビーム(13)を定められたパターンに従って前記定められた表面上で該定められた表面に沿って動かすようになっており、前記レーザビーム放出装置および前記粉末射手装置(14)は、前記部品に対して静止しており、前記方法は、
‐前記部品上の再表面仕上げされ、作製され、または修復されるべき表面を見分けるステップ(100)と、
‐前記レーザ走査ヘッド(12)、前記レーザビーム放出装置、および前記粉末射出装置(14)および/または前記部品を相対的に位置決めするステップ(102)と、
‐前記粉末を見分け済みの前記定められた表面上に流すために前記粉末射出装置(14)を作動させるステップ(104)と、
‐見分け済みの前記定められた表面上に集束された状態の前記反射入射レーザビーム(13)を既定のパターンに従って放出するステップ(105)と、
‐集束状態の前記反射入射レーザビーム(13)の放出と同時に、前記粉末を見分け済みの前記定められた表面上で溶融させるステップ(105)とを含む、方法。
【請求項20】
集束状態の前記反射入射レーザビーム(13)を見分け済みの前記定められた表面上に既定のパターンに従って放出する加熱前ステップ(102)を含み、前記加熱前ステップ(102)は、前記粉末射出装置(14)の作動ステップ(104)の前に実施される、請求項19記載の方法。
【請求項21】
加熱後ステップ(107)を含み、前記加熱後ステップ(107)は、前記粉末射出装置(14)を作動停止させるステップの実施後に実施される、請求項19または20記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再表面仕上げ、作製および修復分野に関し、特に、レーザビームによって材料を部品の定められた表面に付加するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、再表面仕上げ、作製および修復は、工業製造技術と見なされている。したがって、付加作製またはアディティブマニュファクチャリングは、多くの工業部門、例えば航空機分野または医療分野で用いられており、これらは、需要のある分野である。したがって、最終取引先にとって高品質な部品を製造することが必要である。
【0003】
先行技術において、集中エネルギー下における材料の蒸着方法は、金属粉末を溶融状態で固体基材上に蒸着させる原理を利用している。
【0004】
確かなこととして、当初の原理的技術では、ツールを用いて定められた粒径、典型的には45~90μmのオーダの金属粉末を固体の形態でパワービーム、例えばレーザビームまたは電子ビーム中に送り出す。粉末がレーザビームを通過しているときにこの粉末を加熱・溶融させ、そして基材に金属学的に結合して堆積物を形成する。ツールが動いているときに、金属ビーズを基材上に作ることが可能である。次に、これらの層を互いに重ね合わせて体積部を作る。金属粉末の使用は、LMD(Laser Metal Deposition:レーザ金属蒸着)技術を用いたあらゆる作製技術の基礎である。
【0005】
粉末は、極めて細かい粒径で乾燥ガス(キャリヤガスと呼ばれる)および金属粉末粒子で構成されるジェットの形態で送られる。このジェットにより、粉末をレーザビームまで運ぶことができる。ガス流量は、リットル/分で表され、粉末流量は、グラム/分で表される。
【0006】
粉末粒は、粉末ディスペンサから来て管を通ってレーザビームにできるだけ近いところに位置する蒸着ツールまで移動し、そして、粉末粒は、レーザビーム中に射出される。粉末ジェットを流出させる機械的要素は、ノズルと呼ばれる。金属粉末は、ノズルから数ミリメートル離れたところに位置する基材上に蒸着される。ノズルの役割は、キャリヤガスを含む粉末ジェットを制御された仕方で案内して粉末ジェットがレーザビームに最適な仕方で到達するようにすることにある。ノズルは、同心コーン(円錐体)を含む数個の機械的部品で構成され、これらの目的は、粉末を案内することである。粉末ジェットの案内具合は、2つのコーン、すなわち、外側コーンおよび中間コーンで決まる。かくして、ノズルは、粉末ジェットを案内するようになっており、ノズルの中央には、粉末を加熱するようになったレーザビームが存在する。
【0007】
かくして、粉末は、環状円錐形ジェットによってレーザビーム中に差し向けられる。粉末ジェットは、レーザビーム中にさながら「集束」され、レーザビームは、この円錐形ジェットの中心のところに位置する。かくして、粉末ジェットとレーザビームは、互いに平行な方向に送られる。
【0008】
しかしながら、ノズルが存在しているので、再表面仕上げ、修復または製造方法を実施する際に比較的狭いゾーンに接近する上で全体的なサイズに関する問題が生じる。
【0009】
加うるに、先行技術によるシステムでは、幾つかの材料がレーザビームの加熱作用を受けて亀裂を生じる。これは、毎分5メートル未満のゆっくりとしたまたは緩動のレーザビームによるエネルギー供給によりこれらの材料が亀裂を生じるからである。
【0010】
先行技術において、DED(Directed Energy Deposition:指向性エネルギー蒸着)システムの中には、ビームを人工的に拡大するために走査型レーザヘッドを用いるものがある。確かなこととして、堆積物のサイズを増大させることを目的として、ビームは、極めて迅速に動かされ、堆積物作製軌道は、走査型ヘッドを動かすことによって作られる。亀裂発生および全体的サイズに関連した問題は、ペッカリネン(Pekkarinen)文書[1]に開示されているこの種のシステムでは解決されない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Pekkarinen J. "Scanning optics enabled possibilities and challenges in laser cladding" Physics Procedia 78, (2015), pages 285-295.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、上述の欠点を解決するシステムおよび方法を提供することが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の観点では、本発明の目的は、レーザビームによる粉末溶融によって部品の定められた表面に材料を付加して体積部を作製するシステムであって、本システムは、
‐入射レーザビームを放出するレーザビーム放出装置を含み、
‐少なくとも、定められたパターンにしたがって再表面仕上げされ、修復されまたは作製されるべき表面の平面内において、入射レーザビームを反射して動かすために少なくとも2つの電流測定ミラーを備えるとともに反射された入射レーザビームを定められた表面上に集束させるレンズを備えたレーザ走査ヘッドを含み、システムは、体積部の作製時に部品に対して静止状態に保持されているレーザ走査ヘッドを含み、
‐粉末を定められた表面上に小出しするために集束状態の反射された入射レーザビームに対して横方向に配置された粉末射出装置を含み、粉末は、体積部の作製時に連続的に小出しされ、粉末の溶融が定められた表面上に小出しされた粉末上に放出される集束状態の反射された入射レーザビームによって実施されることを特徴とするシステムに関する。
【0014】
好ましくは、本システムは、定められた表面に接近するためにシステムおよび/または部品を動かしてシステムを部品に対して位置決めする少なくとも1つの多関節式支持体を含む。
【0015】
好ましくは、粉末射出装置は、粉末を定められた表面上に小出しするための管を有する。
【0016】
好ましくは、粉末射出装置は、管を部品の定められた表面に平行な平面内で横方向に調節する第1の調節装置を有する。
【0017】
好ましくは、粉末射出装置は、定められた表面上への粉末の射出角度を調節する第2の調節装置を有する。
【0018】
好ましくは、粉末射出装置は、管の高さを定められた表面に対して調節する第3の調節装置を有する。
【0019】
好ましくは、粉末射出装置は、粉末射出装置の高さを部品の定められた表面に対して調節する第4の調節装置を有する。
【0020】
好ましくは、本システムは、定められた表面を照明する照明装置を含む。
【0021】
好ましくは、本システムは、パターンの存在場所を突き止めてシステムを位置決めするカメラを含む。
【0022】
好ましくは、本システムは、付加されるべき材料の体積部を分析する装置、例えばプローブ、三次元スキャナまたはカメラを含む。
【0023】
好ましくは、本システムは、付加されるべき材料の体積部に適合した軌道を生じさせる適合プログラミングユニットを含む。
【0024】
好ましくは、本システムは、材料の付加前における予熱ステップ中および材料の付加後における後加熱ステップ中に部品の温度を取得するユニットを含む。
【0025】
好ましくは、本システムは、材料の付加を所定の温度で自動的に開始させるユニットを含む。
【0026】
好ましくは、本システムは、材料の付加の一サイクル全体を自動的に管理するユニットを含む。
【0027】
好ましくは、本システムは、材料の付加をモニタする情報分析ユニットを含む。
【0028】
好ましくは、本システムは、作製された体積部の幾何学的形状を分析するユニットおよびこの幾何学的形状を三次元モデルと比較するユニットを含む。
【0029】
好ましくは、本システムは、粉末の到着を自動的に管理するユニットを含む。
【0030】
好ましくは、本システムは、レーザビームの放射強度を温度の関数としてフィードバック制御するユニットを含む。
【0031】
第2の観点では、本発明は、材料をレーザ走査ヘッド、レーザビーム放出装置および粉末射出装置によって部品の定められた表面に材料を付加する方法であって、レーザ走査ヘッドが2つの電流測定ミラーを備え、電流測定ミラーは、入射レーザビームを反射して集束させ、そして電流測定ミラーおよびレーザ走査ヘッドの回転時に、集束状態の反射後入射レーザビームを定められたパターンに従って定められた表面上でこれに沿って動かすようになっており、レーザビーム放出装置および粉末射手装置は、部品に対して静止しており、本方法は、
‐部品上の再表面仕上げされ、作製され、または修復されるべき表面を見分けるステップと、
‐レーザ走査ヘッド、レーザビーム放出装置、および粉末射出装置および/または部品を相対的に位置決めするステップと、
‐粉末を見分け済みの定められた表面上に流すために粉末射出装置を作動させるステップと、
‐見分け済みの定められた表面上に集束された状態の反射入射レーザビームを既定のパターンに従って放出するステップと、
‐集束状態の反射入射レーザビームの放出と同時に、粉末を見分け済みの定めれた表面上で溶融させるステップとを含むことを特徴とする方法に関する。
【0032】
好ましくは、本方法は、集束状態の反射入射レーザビームを見分け済みの定められた表面上に既定のパターンに従って放出する加熱前ステップを含み、加熱前ステップは、粉末射出装置の作動ステップの前に実施される。
【0033】
好ましくは、本方法は、加熱後ステップを含み、加熱後ステップは、粉末射出装置を作動停止させるステップの実施後に実施される。
【0034】
本発明の目的、構成および特性は、添付の図面を参照して行われる以下の説明を読むと明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明に係るシステムの側面図である。
図2図1に示されたシステムの詳細斜視図である。
図3】本発明に係る粉末射出装置の斜視図である。
図4】本発明に係る方法のステップの略図である。
図5】本発明に従って、レーザビームの螺旋軌道が描かれた修復物の平面写真図である。
図6】本発明に従って、レーザビームのジグザグ形軌道が正方形部品上に描かれた修復物の平面写真図である。
図7】本発明に従ってレーザビームの螺旋軌道が描かれた修復物の別の平面写真図である。
図8】本発明に従って、加工済み部品の横断面を研磨してエッチングした後の修復物の写真図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は、本質的にレーザビームの放出方向に対して横方向に射出された金属粉末を溶融させることによって要素を基材上または部品上に層ごとに作製するステップから成るアディティブマニュファクチャリング方法、すなわち再表面仕上げ、修復および作製方法に関する。作製されるべき要素または体積部は、n個の層で構成される。各層は、層に応じて互いに異なる場合のある特定の仕方でレーザビームによって走査される。
【0037】
本発明はまた、部品を修復する方法および部品を再表面仕上げする方法に関する。
【0038】
図1は、本発明に係るシステム10を示している。システム10は、集束レンズ11、レーザ走査型ヘッド12、レーザ放出装置(図示せず)、例えばファイバレーザ、レーザビーム13、粉末射出装置14および集束レンズ11を保護するための交差ジェット装置15を含む。粉末射出装置14には粉末供給装置(図示せず)により金属粉末が供給される。
【0039】
用いられるレーザビームは、約1マイクロメートルの波長でマルチモードファイバレーザ源から導き出される。レーザビームは、他の波長を含んでも良い。レーザ源は、シングルモードであっても良い。
【0040】
レーザビームと部品の相対運動は、先行技術の機械の多関節式軸線ではなくレーザ走査型ヘッド12を用いるシステム10によって生じる。レーザ走査型ヘッド12のかかる使用により、一般に技術の現状において多関節式軸線の使用により達成されるレーザビーム軌道および走査速度とは異なりかつこれよりも著しく迅速であるレーザビーム軌道および走査速度の利用が可能である。横方向薄肉管16の使用により、粉末を部品の幾何学的形状と関連して接近しにくい部品の表面に密接したところに送り出すことができる。この薄肉管は、数ミリメートル、例えば8mmのオーダの内径を有する。
【0041】
レーザ走査型ヘッド12は、集束したレーザビームを少なくとも再表面仕上げされ、修復されまたは作製されるべき表面の平面内で動かすための電流測定ミラーと呼ばれている少なくとも2つのミラーを有する。各ミラーは、電流測定モータと呼ばれるモータによってその軸線回りに回転可能に駆動される。電流測定ミラーは、2つの電気コイル、および対応の電流測定ミラーを駆動する回転子が取り付けられた永久磁石を有する。電流が電気コイルを通って循環すると、電気コイルは、電磁石として働いて磁界を生じさせる。次に、永久磁石は、回動して、それ自体、電界と整列する。永久磁石が回転子によりミラーに連結されている限り、永久磁石は、ミラーを可動的に駆動し、ミラーもまた回動する。制御手段により、電流測定ミラーを制御することができる。走査型ヘッド12の出口は、集束システムを有する。かくして、入射レーザビーム(図示せず)の放射から、レーザ走査型ヘッドは、図1図2および図3に示された集束状態の反射入射レーザビーム13を生じさせることができる。便宜上、集束状態の反射入射レーザビーム13を以下の説明においてレーザビーム13と言う。レーザビームの電力は、例えば、1キロワット未満である。レーザビーム13の運動速度は、例えば、毎分50メートルを超え、そのピッチは、200マイクロメートル未満である。レーザビーム13の直径は、例えば、1ミリメートルである。
【0042】
レーザ走査型ヘッド12により生じるレーザビーム13の運動により、本発明に係る方法によって加工されるべき部品の表面温度を上昇させるとともに維持することができ、それにより、本発明による材料の付加前における予熱または材料の付加後における加熱である後加熱を必要とする材料の加工が可能である。
【0043】
レーザ走査型ヘッドにより、レーザビームを高速でかつ正確に偏向させることができる。
【0044】
したがって、レーザ走査型ヘッドにより、レーザビーム13は、任意の形状の軌道またはパターンを作ることができ、かくして加速、慣性および接近困難という問題を回避することができる。したがって、レーザビーム13は、特定のパターンに従って動く。かくして、レーザビーム13は、螺旋、正方形、円形、または「ジグザグ」軌道を描くことができる。
【0045】
システム10は、レーザビーム13を放出させる際にレーザビーム13に対して横方向に配置された粉末射出装置14を含む。粉末射出装置14は、作製され、再表面仕上げされまたは修復されるべきであって一般に接近困難な一般的に狭い表面領域上に粉末材料を「雲」として分散させまたは小出しすることができる薄肉管16を有する。粉末の質量流量は、例えば毎分20グラム未満である。薄肉管16は、粉末を粉末供給装置(図示せず)から薄肉管16の出口に運ぶためのキャリヤガスを収容している。キャリヤガスの流量は、例えば、毎分数リットルである。この流量により、キャリヤガスが十分であり、しかも溶融浴および粉末を酸化から保護するので、粉末の酸化を阻止するための保護ガスは不要である。
【0046】
図3に示されているように、粉末射出装置14は、4つの電動式調節装置18,20,22,24をさらに有する。第1の調節装置18により、部品の表面に平行な平面内における薄肉管16の横方向調節が可能である。第2の調節装置20により、粉末を調節されるべき部品の表面上に分散する角度の実現が可能である。第3の調節装置22により、薄肉管16の高さを部品の表面に対して調節することができる。第4の調節装置24により、粉末射出装置14の高さを部品の表面に対して調節することができる。
【0047】
粉末ジェットは、修復され、表面仕上げされまたは作製されるべき表面に対して固定され、この粉末ジェットは、表面全体を覆う。調節装置18,20,22,24により、部品の表面に対する角度およびデカルト調節が可能である。例えば、部品の表面の垂線に対する薄肉管16の傾斜角度は、25°である。部品からの薄肉管16の距離は、15ミリメートルである。かくして、粉末射出装置14により、粉末を接近が困難な部品のゾーンに供給することができる。粉末射出装置14はまた、非金属粉末を扱うことができる。
【0048】
本発明に係るシステム10は、多関節式支持体(図示せず)上に配置されたレーザ走査型ヘッドおよび粉末射出装置14を含み、この多関節式支持体は、システムを処理されるべき表面に対して位置決めするとともに処理されるべき表面上に材料を堆積させたときにシステム10を静止状態に保持するために数本の軸線に沿って関節連結された支持体である。
【0049】
かくして、多関節式支持体により、システム10を加工されるべき部品の上方の定められた位置に動かすことができる。再表面仕上げ、修復、または作製中、システム10は、部品に対して静止したままである。
【0050】
変形例として、システム10を静止状態になるようフレームに取り付けても良い。すると、多関節式支持体により、部品をシステム10に対する定められた位置に動かすことができる。
【0051】
本発明に係るシステム10は、作製され、修復されまたは再表面仕上げされるべき表面の存在場所を突き止めてシステム10を位置決めするカメラをさらに含む。
【0052】
本発明に係るシステム10は、修復され、再表面仕上げされるべき欠陥部の形状または作製され、修復されまたは再表面仕上げされるべき部品の表面を演繹しまたは導き出すよう部品を測定できる分析装置(図示せず)を含む。分析装置は、例えば、プローブ、三次元スキャナまたは直線カメラから成る。
【0053】
本発明に係るシステム10は、付加されるべき材料の体積部に適合する軌道またはパターンを作るための適合プログラミングユニット(図示せず)を含む。
【0054】
本発明に係るシステム10は、材料の付加前の予熱中および材料の付加後における後加熱中、作製され、修復されまたは再表面仕上げされるべき部品の温度取得ユニット(図示せず)または温度センサを含む。
【0055】
本発明に係るシステム10は、定められた温度状態にある適当な温度で作製を自動的に開始するユニット(図示せず)を含む。
【0056】
本発明に係るシステム10は、材料(図示せず)の付加の一サイクル全体を自動的に管理するユニット(図示せず)を含む。
【0057】
本発明に係るシステム10は、材料の付加をモニタする情報分析ユニット(図示せず)を含む。
【0058】
本発明に係るシステム10は、作製された体積部の幾何学的形状を分析してこれを三次元モデル(図示せず)と比較するユニットを含む。
【0059】
本発明に係るシステム10は、粉末の到着を自動的に管理するユニット(図示せず)を含む。
【0060】
本発明に係るシステム10は、レーザビームの放射強度を温度の関数としてフィードバック制御するユニット(図示せず)を含む。
【0061】
使用にあたり、本発明に係るシステム10は、図4の流れ図に示された以下のステップを含む方法に従って稼働する。
【0062】
ステップ100では、欠陥部、すなわち定められた表面の見分けまたは識別を分析装置(図示せず)によって実施し、システム10は、定められた距離および定められた方位で修復され、再表面仕上げされまたは作製されるべき表面に対して多関節式システムにより欠陥部上にそれ自体、位置合わせする。
【0063】
この位置合わせは、手動であっても良く自動であっても良い。システム10が欠陥部と位置合わせされると、システム10は、いつでも欠陥部を修復し、再表面仕上げしまたは体積部を作製する準備ができる。
【0064】
ステップ101では、ユーザは、定められた表面の予熱、すなわち、以下において説明する再表面仕上げ、作製または修復ステップ105に先立つ加熱が必要であるかどうかを判定する。
【0065】
予熱が必要である場合、本方法は、ステップ102に進み、このステップは、レーザ走査型ヘッド12が部品の定められた表面上に既定のパターンを描く手段としてのレーザビーム13の放出を含む。製造パターンとは異なる場合のあるこのパターンにより、均質に表面され、修復されまたは作製されるべきゾーンの温度を上昇させることができ、しかも予熱材料上への堆積を可能にし、かくして亀裂発生を回避することができる。
【0066】
ステップ103では、温度センサにより、再表面仕上げされ、修復されまたは作製されるべき表面の温度をモニタすることができる。定められた温度設定値に達するやいなや、本方法は、ステップ104に進む。
【0067】
ステップ104では、粉末射出装置を作動させて粉末が薄肉管16を通って流れるようにすることができる。
【0068】
次に、ステップ105では、レーザ放出装置を作動させる。次に、レーザビームが既定のパターンを走査する。このパターンは、数個の層で構成されたパターンであるのが良く、各層は、潜在的にそれ自体のパターンを有する。粉末をレーザビーム13で非常に局所化された仕方で溶融させ、パターンおよび層のシーケンスにより、造形物を堆積させることができる。
【0069】
ステップ106では、ユーザは、定められた表面の後加熱が必要であるかどうかを判定する。後加熱は、ステップ105に続くステップであり、後加熱中、粉末射出装置14を作動停止させ、レーザビーム13を見分け済みの定められた表面上に既定のパターンで放出する。
【0070】
後加熱が必要である場合、本方法は、ステップ107に進む。ステップ107では、粉末射出装置14を作動停止させ、その結果、粉末が流れるのを止め、レーザステップ13が部品上の既定のパターンを走査するようにする。
【0071】
ステップ108では、温度センサを用いて後加熱温度をモニタし、それによりレーザビーム13のパラメータを調節して部品の冷却プロフィールを辿るようにすることによって加熱を続行することが必要であるかどうかまたは後加熱を停止させることが必要であるかどうかを判定する。
【0072】
次に、オプションとしてのステップ109では、定められた表面上に堆積した造形物の幾何学的形状を、ユーザは目で見てチェックし、システム10はプローブ、三次元スキャナ、直線カメラを使用して自動的にチェックし、その目的は、定められたパターンを用いて幾何学的形状が適合していることを実証することにある。
【0073】
好ましい実施形態によれば、再表面仕上げ、作製または修復速度は、毎分13メートルであり、キャリヤガスの流量は、毎分3リットルであり、薄肉管の傾斜角は、部品の表面の垂線に対して25°である。
【0074】
図5は、レーザビームの螺旋軌道が描かれた修復物の平面写真図である。
【0075】
図6は、レーザビームのジグザグ形軌道が正方形部品上に描かれた修復物の平面写真図である。
【0076】
図7は、レーザビームの螺旋軌道が描かれた修復物の別の平面写真図である。
【0077】
図8は、加工済み部品の横断面を研磨してエッチングした後の修復物の写真図である。
【0078】
本発明に係るシステムにより、システム10を加工されるべき部品に対して静止状態に保ちながら固定粉末床なしでLMD(レーザ金属蒸着)法のためのレーザ走査型ヘッド12の使用が可能である。本発明の範囲内において、粉末ジェットは、動的であり、すなわち、粉末ジェットは、修復、再表面仕上げまたは作製持続時間の間、存在する。上述の体積部の作製に必要なパターンは、電流測定ミラーの動きによってのみ達成される。
【0079】
本発明により、運動の動力学的特徴、すなわち、部品の平面内におけるレーザビームの速度および加速度は、先行技術の修復システム内、再表面仕上げシステム内、作製システム内の場合よりも高い。かくして、レーザビームの迅速な運動により、処理済み表面の均一な温度分布が可能である。
【0080】
本発明により、局所化された作製の熱管理を達成することができる。確かなこととして、粉末送り速度と熱エネルギー供給速度が本発明の範囲内において互いに関連していない限り、作製され、修理されまたは表面仕上げされるべき表面を上述のレーザビームの軌道によって予熱し、そして上述したように作製され、修理されまたは表面仕上げされた表面を後加熱することが可能である。
【0081】
したがって、この熱管理を定められた表面の作製、修理または再表面仕上げの前後において実施することができる。
【0082】
本発明に係る方法の終了時においては、希釈度は、非常に低く、しかも先行技術のレーザ再表面仕上げ手段の希釈度と同等である。
【0083】
本発明に係るシステムにより、僅かなサイズの、すなわち数センチメートルオーダの部品を修理し、再表面仕上げしまたは作製することができる。
【0084】
また、本発明に係るシステムにより、先行技術に係る堆積ノズルの全体的サイズに起因して現時点においては接近できない部品のゾーン内における部品の表面を修理し、再表面仕上げしまたは作製することができる。
【0085】
また、本発明に係るシステムにより、技術の現状によれば亀裂を生じさせる恐れのある材料に対して修理、再表面仕上げまたは作製作業を実施することができる。本発明に係るシステムにより、これら材料は、本発明に係る方法の実施後に亀裂を生じない。確かなこととして、本発明に係る熱管理により、亀裂発生を回避することができる。
【0086】
本発明に係るシステムにより、部品上の材料堆積物のサイズとレーザビームの運動に関する動力学的特徴によりレーザビームのサイズとの関係をレーザビームの運動にかかる動力学的特徴により断ち切ることができる。
【0087】
さらに、本発明に係るシステムを既存のアディティブマニュファクチャリング機械に容易に適合させることができる。
【0088】
上述の実施形態は、例示として与えられているに過ぎない。
参考文献
[1] Pekkarinen J. "Scanning optics enabled possibilities and challenges in laser cladding" Physics Procedia 78, (2015), pages 285-295.
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】