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特表2022-536968バイオサーファクタントおよびその他の代謝産物の増進生産のための、粘液細菌およびシュードモナスの共培養
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】バイオサーファクタントおよびその他の代謝産物の増進生産のための、粘液細菌およびシュードモナスの共培養
(51)【国際特許分類】
   C12P 1/04 20060101AFI20220815BHJP
   C12P 13/16 20060101ALI20220815BHJP
   C12P 19/04 20060101ALI20220815BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220815BHJP
   C12P 23/00 20060101ALI20220815BHJP
   C12N 11/00 20060101ALN20220815BHJP
   C12N 11/12 20060101ALN20220815BHJP
   C12N 11/10 20060101ALN20220815BHJP
【FI】
C12P1/04 Z
C12P13/16
C12P19/04 C
C12N1/20 A
C12P23/00
C12N11/00
C12N11/12
C12N11/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575394
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020037766
(87)【国際公開番号】W WO2020257109
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/862,180
(32)【優先日】2019-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519080908
【氏名又は名称】ローカス アイピー カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ファーマー ショーン
(72)【発明者】
【氏名】アリベック ケン
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤジェ
【テーマコード(参考)】
4B033
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B033NA12
4B033NB45
4B033NB46
4B033ND02
4B033NG02
4B033NH09
4B064AD61
4B064AD85
4B064AF11
4B064AH01
4B064CA02
4B064CA36
4B064CA38
4B064CC10
4B064CD02
4B064CD09
4B064CD13
4B064CD21
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA11
4B064DA16
4B065AA01X
4B065AA41X
4B065AC14
4B065BB06
4B065BB10
4B065BB18
4B065BD22
4B065BD27
4B065BD31
4B065BD43
4B065CA05
4B065CA13
4B065CA22
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA54
4B065CA55
(57)【要約】
ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)およびシュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)を共培養する工程を含む、微生物バイオサーファクタントの増進生産のための方法が提供される。特定の態様において、バイオサーファクタントは、ラムノ脂質またはラムノ脂質様糖脂質である。特定の態様において、他の微生物成長副産物、例えば、テルペンおよび/またはテルペノイドを含む有機炭化水素が生産される。本方法にしたがい生産される微生物由来生産物、ならびに、例えば農業、油およびガス回収ならびにヘルスケアにおけるそれらの使用もまた、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の微生物成長副産物の増進生産のための方法であって、発酵リアクタ内で第1の微生物および第2の微生物を共培養する工程を含み、
第1の微生物が粘液細菌であり、第2の微生物がシュードモナス(Pseudomonas)属の非病原性株であり、
第1および第2の微生物が個別に培養されたときに達成されるよりも高い、1つまたは複数の微生物成長副産物の濃度が達成される、方法。
【請求項2】
粘液細菌が、ミクソコッカス(Myxococcus)属の種の細菌である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ミクソコッカス属の種の細菌が、M.キサンタス(M. xanthus)である、請求項2記載の方法。
【請求項4】
シュードモナスの非病原性株が、P.クロロラフィス(P. chlororaphis)の株である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記株が、P.クロロラフィス亜種オーレオファシエンス(aureofaciens)306株またはP.クロロラフィス亜種オーレオファシエンス111株である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
粘液細菌がM.キサンタスであり、シュードモナスの株が306株または111株のいずれかである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
シュードモナス株が、1つまたは複数の成長副産物を生産する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
1つまたは複数の成長副産物が、バイオサーファクタントである、請求項1記載の方法。
【請求項9】
バイオサーファクタントが、ラムノ脂質(RLP)である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
バイオサーファクタントが、フラボ脂質である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
1つまたは複数の成長副産物が、テルペンおよび/またはテルペノイドである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
テルペノイドが、カロテノイドである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
第1および第2の微生物を共培養する工程が、
液体栄養培地を含む発酵リアクタに第1の微生物を接種すること、および該発酵リアクタに第2の微生物を接種すること;
該リアクタ内の第1および第2の微生物を、成長および1つまたは複数の微生物成長副産物の生産に好ましい条件下でインキュベートすること;
該リアクタから1つまたは複数の成長副産物を抽出すること;ならびに、任意で、
該1つまたは複数の成長副産物を精製すること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
液体栄養培地が、グルコース、カゼインペプトン、グリセロール、酵母エキス、リン酸一カリウム、リン酸二ナトリウム、硝酸アンモニウム、硫酸マグネシウム七水和物、硫酸第一鉄、および微量金属を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
液体栄養培地中に粒状固着担体を懸濁する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項16】
粒状固着担体が、セルロースおよび/またはトウモロコシ粉の粒を含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
第1および/または第2の微生物が粒状固着担体に付着してバイオフィルムの形態でその上に蓄積し、複数の細菌・担体マス(mass)を形成する、請求項15記載の方法。
【請求項18】
15~25%NaOHを含む水性塩基溶液をリアクタに添加する工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項19】
48時間のインキュベーション後に500 g/Lのグリセロールをリアクタにフィードする工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項20】
24時間ごとに3%菜種油をリアクタにフィードする工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項21】
追加の液体栄養培地を発酵リアクタにフィードする工程をさらに含む、請求項13記載の方法。
【請求項22】
第1の微生物が、第2の微生物による1つまたは複数の成長副産物の増進生産を刺激する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
成長副産物が、第1または第2の微生物が個別に培養されたときよりも少なくとも0.01%~少なくとも90%高い濃度で生産される、請求項1記載の方法。
【請求項24】
1つもしくは複数の微生物および/または1つもしくは複数の微生物成長副産物を含む組成物であって、
1つまたは複数の微生物が、ミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)およびシュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chlororaphis)を含み、1つまたは複数の微生物成長副産物が、バイオサーファクタント、テルペンおよび/またはテルペノイドを含む、組成物。
【請求項25】
バイオサーファクタントが、ラムノ脂質および/またはフラボ脂質である、請求項24記載の組成物。
【請求項26】
テルペノイドが、カロテノイドである、請求項24記載の組成物。
【請求項27】
P.クロロラフィスが、111株または306株である、請求項24記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる、2019年6月17日に出願された米国仮特許出願第62/862,180号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
微生物、例えば細菌、酵母および真菌の培養は、幅広い様々な有用なバイオ調製物の生産のために重要である。微生物は、例えば、食品産業、医薬、農業、油およびガス回収、鉱業、環境修復、および廃棄物運用において重要な役割を果たすが、微生物由来生産物の商業化を制限する要因の1つは、繁殖体(propagule)密度あたりの費用であり、微生物およびそれらの成長副産物の大規模生産は非常に高価であり、実現可能でない。
【0003】
微生物サーファクタント、すなわちバイオサーファクタントへの関心は、特に、構造的多様性、環境フレンドリー性、選択性、極限条件下での性能および様々な産業における潜在的な「グリーン」用途のために、近年着実に増加している。
【0004】
バイオサーファクタントは、微生物によって生産される、構造的に多様な表面活性物質のグループである。すべてのバイオサーファクタントは、極性(親水性)部分および非極性(疎水性)基の2つの部分を含む両親媒性物質である。それらの両親媒性の構造から、バイオサーファクタントは、例えば、疎水性の水不溶性物質の表面積を増加させ得、そのような物質の水中バイオアベイラビリティを増加させ得、そして細菌細胞表面の特性を変化させ得る。
【0005】
バイオサーファクタントはまた、水と油の間の界面張力を減少させ得、したがって、捕捉された液体が毛細管効果を打ち消して動くのに必要とされる静水圧を低下させ得る。界面に蓄積することにより、バイオサーファクタントは、界面張力を減少させ得、それによって溶液中で凝集ミセル構造物を形成し得る。ミセルの形成は、移動水相中で、例えば油を移動させる物理的機構を提供し、強力な乳化および解乳化特性を示し得る。孔を形成し生体膜を脱安定化するバイオサーファクタントの能力もまた、例えば、害虫を制御するため、様々な表面への微生物の接着を阻害するため、および/またはバイオフィルムの形成を防ぐための、抗細菌、抗真菌および溶血剤としてのそれらの利用を可能にする。さらに、バイオサーファクタントは、生分解性であり、低い毒性を有し、かつ再利用可能な供給源を用いて経済的に生産され得る。
【0006】
低い毒性および生分解性の特徴を有するため、バイオサーファクタントは、様々な状況および産業において有用であり得る。ほとんどのバイオサーファクタントを生産する生物は、成長培地中の炭化水素源の存在に反応してバイオサーファクタントを生産する。他の培地の要素、例えば、ミネラル濃度およびpHもまた、バイオサーファクタントの生産に有意に影響し得る。
【0007】
微生物バイオサーファクタントは、例えば、スターメレラ(Starmerella)属の種(例えば、S.ボンビコラ(S. bombicola));シュードモナス(Pseudomonas)属の種(例えば、P.エルギノーサ(P. aeruginosa)、P.プチダ(P. putida)、P.フロレセンス(P. florescens)、P.フラギ(P. fragi)、P.シリンガエ(P. syringae));フラボバクテリウム(Flavobacterium)属の種;バシルス(Bacillus)属の種(例えば、B.サブチリス(B. subtilis)、B.アミロリクエファシエンス(B. amyloliquefaciens)、B.プミルス(B. pumillus)、B.セレウス(B. cereus)、B.リケニフォルミス(B. licheniformis));ウィッカーハモミセス(Wickerhamomyces)属の種(例えば、W.アノマルス(W. anomalus))、カンジダ(Candida)属の種(例えば、C.アルビカンス(C. albicans)、C.ルゴサ(C. rugosa)、C.トロピカリス(C. tropicalis)、C.リポリティカ(C. lipolytica)、C.トルロプシス(C. torulopsis));サッカロミセス(Saccharomyces)(例えば、S.セレビシアエ(S. cerevisiae));シュードザイマ(Pseudozyma)属の種(例えば、P.アフィディス(P. aphidis));ロドコッカス(Rhodococcus)属の種(例えば、R.エリスロポリス(R. erythropolis));ウスチラゴ(Ustilago)属の種(例えば、U.メイディス(U. maydis));アルスロバクター(Arthrobacter)属の種;カンピロバクター(Campylobacter)属の種;コリネバクテリウム(Cornybacterium)属の種およびその他を含む、細菌、真菌および酵母等の様々な微生物によって生産される。
【0008】
バイオサーファクタントは、低分子量糖脂質、リポペプチド、フラボ脂質およびリン脂質、ならびに高分子量ポリマー、例えばリポタンパク質、リポ多糖・タンパク質複合体および多糖・タンパク質・脂肪酸複合体を含む、複数のタイプが存在する。脂肪酸の炭化水素鎖は、バイオサーファクタント分子の共通の親油性部分として作用し、親水性部分は、例えば、エステル、アルコール、カルボキシレート、アミノ酸、ペプチドおよび/または炭水化物により形成され得る。
【0009】
バイオサーファクタントの1つの重要なタイプは、ラムノ脂質(RLP)である。RLPは、ラムノース部分および3-(ヒドロキシアルカノイルオキシ)アルカン酸脂肪酸テイルを含む糖脂質である。それぞれが1つまたは2つのラムノース基を有する、モノ-ラムノ脂質およびジ-ラムノ脂質、というラムノ脂質の2つの大クラスが存在する。脂肪酸テイルの長さおよび分枝の程度もまた、RLP分子間で異なり得る。
【0010】
最も一般的には、RLPは細菌シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)を用いて生産されるが、P.エルギノーサは、ヒト、特に免疫系障害を有するヒトにおいて致死的であり得る、日和見病原体である。したがって、P.エルギノーサの病原性は、一部、それを扱う人々にそれがもたらす危険性から、RLPの利用を制限している。
【0011】
様々な産業において有用であり得るさらなる微生物成長副産物は、例えば、バイオポリマー、酸、酵素、抗生物質、抗ウイルス物質、抗真菌物質、および溶媒を含むが、微生物由来生産物の商業化における1つの制限要因は、有効な微生物生産物を培養するための、安全で、大規模な工程を構築することの困難さであった。
【0012】
微生物を成長させ、それらの成長副産物を生産させるための微生物培養には、深部(液体発酵)および表面培養(固相発酵(SSF))という2つの主要な形態が存在する。SSFは、微生物を培養するために、固体基材、例えば、糠、バガスおよびパルプ紙を利用する。この方法の1つの利点は、栄養豊富な廃棄物を基材として容易に再利用することができることである。さらに、基材は、非常にゆっくりと徐々に利用され、そのため同じ基材を長い発酵期間の間使用することができる。
【0013】
深部発酵は、自由流動性の液体基材、例えば、糖蜜および栄養ブロスを利用する。生理活性化合物は、成長する微生物により、流動する液体中に分泌され得る。
【0014】
微生物およびそれらの成長副産物は、石油、農業および美容を含む様々な産業において非常に有益な役割を果たす可能性を有しているが、そのような用途に必要とされる多量の微生物由来生産物、例えば、ラムノ脂質およびRLP様物質を生産するための、より安全でより効率的な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0015】
本発明は、微生物バイオサーファクタントおよび他の有用な微生物代謝産物を生産する、改善された方法を提供する。有利には、本発明の方法および微生物由来生産物は、環境に優しく、運用が容易であり、かつ費用対効果が高い。
【0016】
好ましい態様において、本発明は、粘液細菌およびシュードモナス属の種の細菌を共培養する工程を含む、1つまたは複数の微生物成長副産物の生産方法を提供する。有利には、特定の態様において、本方法を用いて達成される総細胞バイオマスおよび/または1つもしくは複数の成長副産物の総生産量は、個々の微生物の純粋な培養物が培養されるときよりも多い。
【0017】
特定の態様において、粘液細菌はミクソコッカス・キサンタス(Myxococcus xanthus)であり、シュードモナスは、P.クロロラフィス(P. chlororaphis)である。好ましい態様において、シュードモナスは、ヒトにとって病原性ではない株、例えば、P.クロロラフィス111株(UCM B-111)またはP.クロロラフィス306株(UCM B-306)である。特定の態様において、2つ以上のシュードモナス株が利用され得る。
【0018】
1つの態様において、微生物は、小規模~大規模の範囲の培養プロセスを用いて共培養される。これらの培養プロセスは、深部培養/発酵、固相発酵(SSF)、ならびにそれらのハイブリッド、改変および/または組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。いくつかの態様において、培養プロセスは、流加プロセスである。
【0019】
1つの態様において、共培養は、深部発酵を用いて実施される。1つの態様において、SSFおよび深部発酵のハイブリッドが使用され、細胞付着およびバイオフィルム形成の部位として機能するよう、粒状固着担体が液体培養培地中に懸濁される。これは特に、固相表面上で、増進した成長を示し得る粘液細菌の成長に有用である。
【0020】
液体成長培地は、例えば、炭素、窒素、タンパク質、ビタミンおよび/またはミネラルの供給源を含み得る。特定の態様において、栄養培地は、1つまたは複数の特定の微生物成長副産物の高濃度の生産用に特化される。1つの態様において、液体栄養培地は、発泡抑制剤、例えば、菜種油を含む。
【0021】
いくつかの態様において、粒状固着担体は、液体培養培地に第1および/または第2の微生物が接種される前、それと同時、またはその後に液体培養培地中に懸濁される。
【0022】
1つの態様において、固着担体は、細菌の付着および成長のための核形成部位として機能するのに適した、任意の滅菌された物質であり得る。いくつかの態様において、この物質は、約0.1μm~約5 mm径である複数の個別の微細粒子、例えば粒、を含む。細菌は、この粒子に付着してその上に蓄積し、細菌・担体マス(mass)を生成する。
【0023】
固着担体は不活性であり得る、またはそれは追加の栄養分および/もしくは微生物接種体を保持し得るおよび/もしくは含み得る。特定の態様において、固着担体は、多孔性であり得る。固着担体は、合成物質および/または天然由来物質を含み得る。
【0024】
1つの態様において、固着担体は、例えば、ガラス、ポリマー(例えば、ポリ乳酸(PLA))、寒天またはゼラチンから製造される球体を含む。1つの態様において、固着担体は、例えば、細断されたスポンジまたはヘチマの細片であり得る。1つの態様において、固着担体は、食品、例えば種子、堅果、豆または細断された果実、例えばバナナの細片さえも含み得る。
【0025】
好ましい態様において、固着担体は、セルロースおよび/またはトウモロコシ粉の細かい粒を含む。
【0026】
有利には、固着担体の使用は、例えば細菌が付着および蓄積することができる表面積を増加させることにより、細菌バイオマスの生成の増加を提供する。さらに、細菌バイオマスの蓄積は、細菌成長副産物、例えば、バイオサーファクタントおよび他の代謝産物の生産を増加させ得る。
【0027】
1つの態様において、細菌は、粒状固着担体上でバイオフィルムの形態で成長する。1つの態様において、一部の細菌は液体培養培地中で成長し、一部の細菌は粒状固着担体上で成長する。
【0028】
いくつかの態様において、培養方法は、流加培養を利用する。発酵リアクタは、例えば、菜種油(もしくは別の消泡溶液)、炭素源(例えば、グリセロール)、pH調整剤、および/または必要とされる他の追加の栄養源をフィードされ得る。発酵リアクターへの「フィード」は、例えば、24時間で、48時間で、または複数回、例えば、24~48時間ごとに行われ得る。
【0029】
本方法にしたがい、第1および第2の微生物は、所望の効果、例えば、所望の量の細胞バイオマスまたは所望の量の1つもしくは複数の微生物成長副産物の生産を達成するのに十分な期間、発酵システム内でインキュベートされ得る。いくつかの態様において、発酵は、20~30℃の温度で、24時間~5日間またはそれより長く行われる。
【0030】
好ましい態様において、本発明の方法は、1つまたは複数の微生物成長副産物を生産するために使用され得る。特定の態様において、成長副産物は、1つまたは複数のバイオサーファクタントを含む。
【0031】
本発明にしたがうバイオサーファクタントは、例えば、糖脂質、リポペプチド、フラボ脂質、リン脂質、高分子量ポリマー、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、リポタンパク質、リポ多糖・タンパク質複合体、および/または多糖・タンパク質・脂肪酸複合体を含み得る。
【0032】
特定の態様において、本方法は、糖脂質系バイオサーファクタント、例えば、ラムノ脂質(RLP)、トレハロース脂質、マンノシルエリスリトール脂質(MEL)、セロビオース脂質および/またはソホロ脂質(SLP)を生産するために使用され得る。特定の態様において、本方法は、5~30 g/Lの糖脂質を生産するために使用され得る。好ましい態様において、糖脂質は、ラムノ脂質および/またはRLP様糖脂質である。
【0033】
特定の態様において、共培養の間に2つ以上のタイプのバイオサーファクタント、例えば、他の糖脂質および/またはフラボ脂質が生産される。
【0034】
いくつかの態様において、1つまたは複数の成長副産物はまた、他の代謝産物、例えば、酵素、バイオポリマー、酸、溶媒、ガス、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、アルコール、ホルモン、脂質、炭水化物、抗生物質、色素、および他の生理活性化合物を含み得る。特定の態様において、他の代謝産物は、テルペンおよび/またはテルペノイド、例えば、カロテノイドである。
【0035】
有利には、特定の態様において、本発明の方法は、個々の微生物の純粋な培養物が培養されるときよりも、高濃度のバイオサーファクタント、テルペンおよび/もしくはテルペノイド、ならびに/または他の成長副産物の生産をもたらし得る。
【0036】
特定の態様において、本発明は、本方法にしたがい生産される微生物由来生産物、および例えば改善された油生産、バイオレメディエーションおよび鉱業、廃棄物処理(waste disposal)および廃棄物処理(waste treatment)、植物の健康および生産性の促進、ならびに土壌の再利用および/または土壌の健康の回復におけるそれらの使用を提供する。
【0037】
微生物由来生産物は、第1および/もしくは第2の微生物ならびに/またはそれらの成長副産物、ならびに残留する成長培地、粒状固着担体および/または栄養分を含む、本方法にしたがい生産される培養物全体を含み得る。
【0038】
微生物は、生きている、生存能力がある、または不活性形態であり得る。それらは、バイオフィルム、栄養細胞、胞子および/またはそれらの組み合わせの形態であり得る。特定の態様において、微生物は存在せず、ここで、組成物は、培養物から抽出され任意で精製された微生物成長副産物、例えば、バイオサーファクタントを含む。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
本発明は、微生物およびそれらの成長副産物を生産する方法を提供する。有利には、本発明の微生物由来生産物および方法は、環境に優しく、運用が容易であり、かつ費用対効果が高い。
【0040】
好ましい態様において、本発明は、粘液細菌およびシュードモナス属の種の株を共培養する工程を含む、1つまたは複数の微生物成長副産物の増進生産のための方法を提供する。特定の態様において、成長副産物は、バイオサーファクタント、例えば、ラムノ脂質および/またはフラボ脂質を含む。
【0041】
成長副産物はまた、他の代謝産物、例えば、酵素、バイオポリマー、酸、溶媒、ガス、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、アルコール、ホルモン、脂質、炭水化物、抗生物質、色素、ならびに他の有機および/または生理活性化合物を含み得る。特定の態様において、他の代謝産物は、テルペンおよび/またはテルペノイド、例えば、カロテノイドである。
【0042】
有利には、特定の態様において、本方法を用いて達成される総細胞バイオマスおよび/または1つもしくは複数の成長副産物の総生産量は、個々の微生物の純粋な培養物がそれら単独で培養されるときよりも多くなり得る。
【0043】
選択された定義
本明細書で使用される場合、「バイオフィルム」は、微生物、例えば細菌の、複雑な凝集物であって、細胞が細胞外多糖マトリクスを用いて相互におよび/または表面に接着しているものである。バイオフィルム内の細胞は、液体培地中を浮遊または遊泳することができる単一の細胞である同じ生物の浮遊細胞とは生理学的に区別される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「共培養」は、単一の発酵システム内での2つ以上の微生物の培養を意味する。いくつかの例において、微生物は、拮抗的または共生的のいずれかで互いと相互作用して、所望の効果、例えば、所望の量の細胞バイオマス成長または所望の量の代謝産物生産をもたらす。1つの態様において、この拮抗的または共生的関係は、増進された効果をもたらし得、例えば、所望の効果は、その微生物の1つのみを単独で培養することにより得られるものと比較して増大し得る。例示的な態様において、1つの微生物、例えばミクソコッカス(Myxococcus)属の種は、他の微生物、例えばシュードモナス属の種によるバイオサーファクタントまたは他の代謝産物の生産の刺激因子として作用し得る。
【0045】
本明細書で使用される場合、「増進」は、改善および/または増加を表す。
【0046】
本明細書で使用される場合、「発酵」は、制御された条件下での細胞の培養または成長を表す。成長は、好気性または嫌気性であり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「単離」または「精製」された核酸分子、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、タンパク質、有機化合物、例えば低分子(例えば、以下に記載されるもの)、または他の化合物は、自然状態では付随する他の化合物、例えば細胞物質、遺伝子もしくは遺伝子配列、および/またはアミノ酸もしくはアミノ酸配列を実質的に含まない。精製または単離された微生物株は、自然状態でそれが存在するおよび/またはそれが培養された環境から取り出されている。したがって、単離された株は、例えば、生物学的に純粋な培養物として、または胞子(またはこの株の他の形態)として存在し得る。
【0048】
特定の態様において、精製された化合物は、重量で少なくとも60%が関心対象の化合物である。好ましくは、調製物は、重量で少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも99%が関心対象の化合物である。例えば、精製された化合物は、好ましくは、重量で少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、98%、99%、または100%(w/w)が所望の化合物であるものである。純度は、任意の適切な標準的方法により、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、または高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)分析により測定される。
【0049】
本明細書で使用される場合、「微生物由来組成物」への言及は、微生物または他の細胞培養物の成長の結果として生産された成分を含む組成物を意味する。したがって、微生物由来組成物は、微生物自体および/または微生物成長の副産物を含み得る。微生物は、栄養状態もしくは胞子形態、または両方の混合物であり得る。微生物は、浮遊性もしくはバイオフィルム形態、または両方の混合物であり得る。成長の副産物は、例えば、代謝産物(例えば、バイオサーファクタント)、細胞膜成分、発現されたタンパク質、および/または他の細胞成分であり得る。微生物は、インタクトであり得るまたは溶解され得る。細胞または胞子は、存在していなくてもよく、または、例えば、組成物1ミリリットルあたり少なくとも1 x 104、1 x 105、1 x 106、1 x 107、1 x 108、1 x 109、1 x 1010、1 x 1011もしくは1 x 1012またはそれ以上のCFUの濃度で存在していてもよい。
【0050】
本明細書で使用される場合、「微生物由来生産物」は、所望の結果を達成するための実施において利用される生産物である。微生物由来生産物は単に、培養プロセスから採集された微生物由来組成物であり得る。あるいは、微生物由来生産物は、添加されたさらなる成分を含み得る。これらの添加成分は、例えば、安定化剤、緩衝化剤、担体(例えば、水もしくは塩溶液)、さらなる微生物成長を支援するために添加された栄養分、非栄養成長増進剤ならびに/またはそれが適用された環境において微生物および/もしくは組成物の追跡を容易にする薬剤を含み得る。微生物由来生産物はまた、微生物由来組成物の混合物を含み得る。微生物由来生産物はまた、何らかの方法で、例えば、非限定的に、ろ過、遠心分離、溶解、乾燥、精製等により処理された微生物由来組成物の1つまたは複数の成分を含み得る。
【0051】
本明細書で使用される場合、「減少」は、少なくとも1%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%の負の変化を意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「サーファクタント」は、2つの液体の間、液体と気体の間、または液体と固体の間の表面張力(または界面張力)を低下させる化合物を意味する。「バイオサーファクタント」は、生きた細胞により生産される表面活性物質である。
【0053】
「含む(including)」または「含む(containing)」と同義である「含む(comprising)」という移行句は、包括的またはオープンエンド型であり、追加の、言及されていない要素または方法の工程を除外しない。これに対して、「からなる」という移行句は、特許請求の範囲に示されていないあらゆる要素、工程、または成分を除外する。「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲を、示されている物質または工程「および」請求項発明の「基本的かつ新規の特徴に実質的に影響しないそれら」に限定する。「含む」という用語の使用は、言及されている構成要素「からなる」または「から本質的になる」他の態様も想定している。
【0054】
具体的に言及されていない限りまたは文脈から自明でない限り、本明細書で使用される場合、「または、もしくは」という用語は、包括的であると理解される。具体的に言及されていない限りまたは文脈から自明でない限り、本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「および、ならびに」および「その(the)」という用語は、単数または複数であることが理解される。
【0055】
具体的に言及されていない限りまたは文脈から自明でない限り、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当技術分野における普通公差の範囲内、例えば、平均の2標準偏差内であると理解される。約は、言及されている値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%内であると理解され得る。
【0056】
本願における任意の可変要素の定義における化学基のリストの記載は、列挙されている基の任意の単一の基または組み合わせとしてのその可変要素の定義を含む。本願における可変要素または局面に関する態様の記載は、任意の単一の態様または任意の他の態様もしくはその一部との組み合わせとしての態様を包含する。
【0057】
本明細書に提供される任意の組成物または方法は、本明細書に提供される任意の他の組成物および方法の1つまたは複数と組み合わされ得る。
【0058】
本発明の他の特徴および利点は、以下のその好ましい態様の記載から、および特許請求の範囲から明らかとなるであろう。本明細書で引用されているすべての参考文献が、参照により本明細書に組み入れられる。
【0059】
共培養方法
本発明は、バイオマス(例えば、生存能力のあるもしくは不活性な細胞物質)、細胞外代謝産物、および/または細胞内成分の生産のための物質および方法を提供する。好ましい態様において、本発明は、発酵リアクタ内で2つまたはそれ以上の異なる微生物を共培養する工程を含む、1つまたは複数の微生物成長副産物を生産するための改善された方法を提供する。
【0060】
有利には、本発明の共培養方法を用いた場合に達成される1つまたは複数の成長副産物の総細胞バイオマスおよび/または総生産量は、個々の微生物の培養物が別々に培養される場合と比較して多くなり得る。
【0061】
より詳細には、好ましい態様において、本発明は、1つまたは複数の微生物成長副産物の増進生産方法であって、成長および1つまたは複数の成長副産物の生産に好ましい条件下で深部発酵リアクタにおいて第1の微生物および第2の微生物を共培養する工程を含む方法を提供する。特定の態様において、第1の微生物は粘液細菌であり、第2の微生物はシュードモナスの株である。
【0062】
微生物は、小~大規模の範囲の培養システムを用いて共培養され得る。これらの培養システムは、深部培養/発酵、固相発酵(SSF)、ならびにそれらのハイブリッド、改変、および/または組み合わせを含み得るがこれらに限定されない。
【0063】
特定の好ましい態様において、微生物を共培養するおよび/または微生物成長副産物を生産するための方法は、液体栄養培地を含む発酵システムに第1の微生物を接種する工程および該発酵システムに第2の微生物を接種する工程を含み、第1の微生物はミクソコッカス属の種の細菌であり、第2の微生物はシュードモナス属の種の株である。さらにより好ましくは、1つの態様において、ミクソコッカスは、M.キサンタスであり、シュードモナスは、P.クロロラフィスの株である。好ましくは、該株は、ヒトおよび/または動物に対して病原性でない。
【0064】
1つの態様において、P.クロロラフィスの株は、P.クロロラフィス亜種オーレオファシエンス(aureofaciens)「306株」(Ukrainian Collection of Microorganisms (UCM)寄託番号UCM B-306(IMV B-7096)、2687番)である。
【0065】
1つの態様において、P.クロロラフィスの株は、P.クロロラフィス亜種オーレオファシエンス「111株」(UCM寄託番号UCM B-111(IMV B-7097)、2116番)である。
【0066】
特定の態様において、共培養方法は、深部発酵を利用する。特定の態様において、固相および深部発酵のハイブリッドが使用され、粒状固着担体が、細胞付着および/またはバイオフィルム形成のための部位として機能するよう液体培養培地中に懸濁される。これは特に、固相表面または他の担体上で増進された成長を示し得る粘液細菌の成長に有用である。
【0067】
本発明の方法にしたがい使用される微生物成長ベッセルは、産業用の任意の発酵または培養リアクタであり得る。1つの態様において、ベッセルは、共培養プロセスにおける重要な因子、例えば、pH、酸素、圧、温度、攪拌軸動力、湿度、粘度ならびに/または微生物密度および/もしくは代謝産物濃度を測定するための機能制御/センサを有し得、または機能制御/センサに接続され得る。
【0068】
さらなる態様において、ベッセルはまた、ベッセル内の微生物の成長をモニタリング(例えば、細胞数および成長期の測定)することが可能であり得る。あるいは、例えばCFU計測および/または純度測定を行うために、発酵を通じて任意の時点でサンプルが採取され得る。1つの態様において、サンプル採取は、発酵開始時に、および発酵を通じて1日複数回(例えば、1日2回)行われる。
【0069】
いくつかの態様において、培養方法は、流加培養を利用する。発酵リアクタは、例えば、菜種油(もしくは他の消泡(anti-foam)/消泡(de-foaming)溶液)、炭素源(例えば、グリセロール)、pH調整剤、および/または必要に応じて他の追加の栄養源をフィードされ得る。
【0070】
1つの態様において、発酵リアクタは、フィードコンテナに接続される。フィードコンテナは、好ましくは、発酵リアクタにフィードする(例えば、移動させるまたは補充する)ための液体栄養培地および/または他の物質を保持する。発酵リアクタの「フィード」は、培養を通して連続的にまたは指定された時点でのいずれかで行われ得る。
【0071】
特定の態様において、指定されるフィード時点は、培養開始から約12時間、24時間、36時間、48時間または52時間後である。特定の態様において、複数の時点で、例えば培養を通じて6時間ごと、12時間ごと、24時間ごと、36時間ごと、または48時間ごとに、栄養培地および/または他のフィード物質がリアクタにフィードされる。
【0072】
1つの態様において、発酵リアクタは、泡収集コンテナに接続される。栄養培地および/またはフィード中で消泡(anti-foam)/消泡(de-foaming)溶液を使用したとしても、発酵プロセスにより一定量の泡がなおも自然に発生する。いくつかの態様において、泡は、自動的におよび/または手作業でリアクタから抽出され、泡収集コンテナに収集される。いくつかの態様において、収集された泡は、微生物成長副産物、例えば、バイオサーファクタントを含み、これが抽出および任意で精製され得る。
【0073】
1つの態様において、液体栄養培地は、炭素源を含む。炭素源は、炭水化物、例えばグルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、トレハロース、マンノース、マンニトール、および/またはマルトース;有機酸、例えば、酢酸、フマル酸、クエン酸、プロピオン酸、リンゴ酸、マロン酸、および/またはピルビン酸;アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、イソブタノール、および/またはグリセロール;脂肪および油、例えば、大豆油、こめ油、オリーブ油、トウモロコシ油、ごま油、菜種油および/または亜麻仁油;粉末化糖蜜等であり得る。これらの炭素源は、独立してまたは2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0074】
1つの態様において、液体栄養培地は、窒素源を含む。窒素源は、例えば、硝酸カリウム、硝酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アンモニア、尿素、および/または塩化アンモニウムであり得る。これらの窒素源は、独立してまたは2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0075】
1つの態様において、1つまたは複数の無機塩もまた、液体栄養培地中に含まれ得る。無機塩は、例えば、リン酸二水素カリウム、リン酸一カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸鉄(第一鉄)、塩化鉄、硫酸マンガン、塩化マンガン、硫酸亜鉛、塩化鉛、硫酸銅、塩化カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および/または炭酸ナトリウムを含み得る。これらの無機塩基は、独立してまたは2つ以上の組み合わせで使用され得る。
【0076】
1つの態様において、微生物用の成長因子および微量栄養分が、培地中に含まれる。これは、成長させる微生物が、それらが必要とするビタミンのすべてを生産できない場合に特に好ましい。微量元素、例えば鉄、亜鉛、銅、マンガン、モリブデンおよび/またはコバルトを含む無機栄養分もまた、培地中に含まれ得る。さらに、ビタミン、必須アミノ酸、タンパク質および微量成分の供給源、例えば、ペプトン、酵母エキス、ジャガイモエキス、牛肉エキス、大豆エキス、バナナ皮エキス等が含まれ得る、または純粋な形態であり得る。アミノ酸、例えば、タンパク質の生合成に有用なそれらもまた、含まれ得る。
【0077】
いくつかの態様において、粒状固着担体は、液体培養培地に第1および/または第2の微生物を接種する前、それと同時、またはその後に液体培養培地中に懸濁される。
【0078】
粒状固着担体は、細菌の付着および成長のための核形成部位として機能するのに適した任意の物質であり得る。いくつかの態様において、この物質は、約0.1μm~約5 mm、4 mm、3 mm、2 mm、1 mmまたは0.5 mm径である複数の個別の細片、粒子、および/または粒を含む。細菌は、これらの細片に付着してその上に蓄積し、細菌・担体マスを生成する。
【0079】
固着担体は不活性であり得る、またはそれは追加の栄養分および/もしくは微生物接種体を保持し得るおよび/もしくは含み得る。特定の態様において、固着担体は、多孔性であり得る。固着担体は、合成物質および/または天然由来物質を含み得る。
【0080】
1つの態様において、固着担体は、アルギン酸ナトリウムビーズを含む。ビーズは、例えば、1~5%、または2~3%の無菌アルギン酸ナトリウムならびに、任意で、栄養分および/または細菌接種体を含む溶液を、滅菌性の1~7%、または2~5%塩化カルシウム溶液に連続的に添加してビーズを形成することによって調製され得る。
【0081】
1つの態様において、固着担体は、例えば、ガラス、ポリマー(例えば、ポリ乳酸(PLA))、寒天、またはゼラチンから製造される球体を含み得る。1つの態様において、固着担体は、例えば、細断されたスポンジまたはヘチマの細片であり得る。1つの態様において、固着担体は、食品、例えば種子、堅果、豆または細断された果実、例えばバナナの細片でさえも含み得る。
【0082】
好ましい態様において、固着担体は、セルロースおよび/またはトウモロコシ粉の細かい粒を含む。1つの態様において、細かい粒の使用は、そのプロセスの規模拡大が容易なことから、大きな(例えば、5 mmより大きな)粒子よりも好ましい。
【0083】
有利には、固着担体の使用は、例えば細菌が付着し蓄積することができる表面積の増加により、細菌バイオマスの生産増加を提供する。さらに、細菌バイオマスの蓄積は、細菌成長副産物、例えば、バイオサーファクタントの生産を増加させ得る。
【0084】
1つの態様において、細菌は、固着担体上でバイオフィルムの形態で成長する。1つの態様において、一部の細菌は、液体培養培地中で浮遊形態で成長し、一部の細菌は固着担体上で成長する。
【0085】
いくつかの態様において、液体培養培地は、固着担体の懸濁の前、またはそれと同時に、微生物を接種される。いくつかの態様において、固着担体は、液体培養培地中に懸濁される前に第1および/または第2の微生物を事前接種される。
【0086】
共培養の方法はさらに、成長培養物への酸素添加を提供し得る。1つの態様は、低酸素含有空気を除去し、酸素添加された空気を導入する、ゆるやかな空気の動きを利用する。酸素添加された空気は、液体の機械的攪拌のためのインペラおよび液体への酸素の溶解のために液体に気泡を供給するエアスパージャーを含む機構を通じて毎日補充される大気であり得る。特定の態様において、溶解酸素(DO)レベルは、約25%~約75%、約30%~約70%、約35%~約65%、約40%~約60%、または約50%の空気飽和度で維持される。エアフローは、例えば、約0.5~約2.0 v/m、または約1.0~約1.5 vvmで供給され得る。
【0087】
いくつかの態様において、共培養方法はさらに、汚染からの保護のために、共培養プロセスの前および/またはその間に液体培地に酸および/または抗菌剤を添加する工程を含み得る。
【0088】
1つの態様において、接種の前に、液体培養培地の成分は、任意で、滅菌され得る。使用される場合、固着担体もまた、好ましくは、例えば、オートクレーブまたは当技術分野で公知の他の方法を用いて滅菌される。さらに、培地を調製するために使用される水は、汚染を防ぐためにろ過され得る。
【0089】
1つの態様において、液体栄養培地の滅菌は、液体培養培地の成分を約85~100℃の温度の水中に入れることによって達成され得る。1つの態様において、滅菌は、それらの成分を1~3%の過酸化水素中に1:3(w/v)比で溶解させることによって達成され得る。
【0090】
1つの態様において、共培養に使用される機具は、滅菌される。培養機具、例えば、リアクタ/ベッセルは、滅菌ユニット、例えばオートクレーブとは別であり得るが、これに接続され得る。培養機具はまた、接種を開始する前にインサイチューで滅菌する滅菌ユニットを有し得る。空気は、当技術分野で公知の方法により滅菌され得る。例えば、大気は、ベッセルに導入される前に、少なくとも1つのフィルターを通過し得る。他の態様において、培地は、低温殺菌され得、または任意で、全く加熱されず、望まれない微生物の成長を制御するためにpHおよび/または低水分活性の使用が活用され得る。
【0091】
混合物のpHは、関心対象の微生物に適したものであるべきである。いくつかの態様において、pHは、約2.0~約11.0、約3.0~約10.0、約4.0~約9.0、約5.0~約8.0、または約6.0~約7.0である。1つの態様において、pHは約6.8である。緩衝液、およびpH調節剤、例えば炭酸塩およびリン酸塩が、pHを好ましい値付近で安定化させるために使用され得る。特定の態様において、培養物のpHを自動的に維持および/または調整するために、塩基性溶液(例えば、15~25%、または20% NaOH溶液)が、液体栄養培地中に含まれる、および/または培養中にリアクタにフィードされる。金属イオンが高濃度で存在する場合、液体培養培地中でのキレート剤の使用が必要となり得る。
【0092】
1つの態様において、微生物の共培養方法は、約5℃~約100℃、約15℃~約60℃、約20℃~約45℃、または約24℃~約30℃で実施される。1つの態様において、共培養は、一定温度下で連続的に実施され得る。別の態様において、共培養は、温度変更に供され得る。
【0093】
本方法にしたがい、第1および第2の微生物は、所望の効果、例えば、所望の量の細胞バイオマスまたは所望の量の1つもしくは複数の微生物成長副産物の生産を達成するのに十分な期間、発酵システム内でインキュベートされ得る。バイオマス量は、例えば、5 g/l~180 g/lもしくはそれ以上、または10 g/l~150 g/lであり得る。
【0094】
いくつかの態様において、発酵は、24時間~1週間、約4~6日間、または約5日間行われる。微生物により生産される微生物成長副産物は、微生物内で保持され得るまたは成長培地中に分泌され得る。特定の態様において、成長副産物は、培養物の上部にある泡層の形態で生産される。
【0095】
別の態様において、微生物成長副産物を生産する方法はさらに、関心対象の微生物成長副産物を抽出、濃縮および/または精製する工程を含み得る。あるいは、微生物成長副産物は、それらの粗形態で利用され得、これは精製が行なわれないことを意味する。さらなる態様において、成長培地は、微生物成長副産物の活性を安定化させる化合物を含み得る。
【0096】
本方法は、バッチ、準連続、連続プロセス、または流加プロセスで実施され得る。
【0097】
1つの態様において、泡、栄養培地、細胞および/または細菌・担体マスのすべてが、共培養の完了の際に(例えば、所望の細胞密度、または代謝産物の量を達成した際に)取り出される。残りの細胞マスは、再利用され得るおよび/または細胞中に存在する任意の残存化合物を得るために加水分解され得る。このバッチ手順において、第1のバッチの採集後に完全に新しいバッチが開始される。
【0098】
1つの態様において、このプロセスは、特定の栄養源および/または他の物質が、栄養培地を補充するようおよび/またはプロセスの効率を上げるよう特定の時点でリアクタにフィードされる流加プロセスである。バッチ全体は、培養サイクルの終了時に採集され、第1のバッチの採集後に完全に新しいバッチが開始される。
【0099】
1つの態様において、このプロセスは、関心対象の成長副産物が、培養物から、例えば共培養の間に形成される泡からおよび/または液体栄養培地から収集される、連続または準連続プロセスである。好ましい態様において、泡および/または培地は、オプションのpHメーターを備える収集コンテナに入れられる。生存能力のある細胞を含むバイオマスおよび/または接種された固着担体は、接種体として発酵リアクタ内に残され、微生物の成長および代謝産物の生産を継続するよう、例えば新鮮な栄養培地を収容するフィードタンクから栄養培地が補充される。
【0100】
1つの態様において、泡は、1~24時間ごと、1日おき、または2~7日ごとを意味する、一定の基準で抽出され得る。別の態様において、泡は、特定の体積に達した際に抽出され得る。取り出される組成物は無細胞の泡もしくはブロスであり得る、またはそれはいくつかの細胞を含み得る。
【0101】
培養システムから収集される泡および/またはブロスは、微生物成長副産物を抽出するため、洗浄および/または遠心分離により処理され得る。任意で、成長副産物は、その後、保管され得、精製され得、および/または粗形態で直接使用され得る。
【0102】
1つの態様において、使用される場合、固着担体の一部またはすべてが、培養物から採集され得、溶媒、例えば、低濃度(例えば、1~2%)エタノールを用いて洗浄され得る。得られる液体は、その後、成長副産物および細胞マスを分離するよう遠心分離される。
【0103】
有利には、本共培養方法を用いたときに達成される総細胞バイオマスおよび/または1つもしくは複数の成長副産物の総生産量は、個々の微生物の純粋な培養物がそれら単独で培養されるときと比較して多くなり得る。
【0104】
特定の態様において、本方法にしたがい達成される総細胞バイオマスは、第1および第2の微生物が個別に培養されるときよりも少なくとも0.01%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれ以上多い。
【0105】
特定の態様において、本方法にしたがい生産される成長副産物の総濃度は、第1および第2の微生物が個別に培養されるときよりも少なくとも0.01%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、またはそれ以上多い。
【0106】
微生物
本発明のシステムおよび方法にしたがい生育される微生物は、例えば、細菌、酵母および/または真菌であり得る。これらの微生物は、天然または遺伝子改変微生物であり得る。例えば、微生物は、特定の特徴を示す特定の遺伝子によって形質転換され得る。微生物はまた、所望の株の変異体であり得る。本明細書で使用される場合、「変異体」は、参照微生物と比較して1つまたは複数の遺伝的バリエーション(例えば、点変異、ミスセンス変異、非センス変異、欠失、重複、フレームシフト変異または反復伸長)を有する、参照微生物の株、遺伝的変種またはサブタイプを意味する。変異体を作成する手順は、微生物学分野で周知である。例えば、UV変異誘発およびニトロソグアニジンがこの目的で広く使用されている。
【0107】
好ましい態様において、微生物は、グラム陽性およびグラム陰性細菌を含む細菌である。特定の態様において、第1の微生物は、粘液細菌から選択される。粘液細菌は、グループまたは群れで生活するスライム形成性、捕食性の細菌である。これらの群れは、複雑なバイオフィルム、ならびに粘液胞子を含む単純なまたは分岐した凝集物のいずれかである、子実体構造を形成し得る。捕食の際、この細菌は、酵素、抗生物質および、例えばバイオサーファクタントを含み得る他の二次代謝産物を含む捕食分子を分泌する。
【0108】
粘液細菌は、例えば、ミクソコッカス属の種、スチグマテラ・オーランティアカ(Stignatella aurantiaca)、ソランギウム・セルロサム(Sorangium cellulosum)、ミニキュスティス・ロセア(Minicystis rosea)、およびコンドロミセス・クロカタス(Chondromyces crocatus)を含む。
【0109】
好ましい態様において、粘液細菌は、例えば、M.キサンタス、M.フルバス(M. fulvus)、M.フラベセンス(M. flavescens)、M.マクロスポラス(M. macrosporus)、M.スチピタタス(M. stipitatus)、M.ビレセンス(M. virescens)、M.コラロイデス(M. coralloides)、およびM.ディスシフォルミス(M. disciformis)から選択されるミクソコッカス属の種の細菌である。さらにより好ましくは、粘液細菌は、M.キサンタスである。
【0110】
特定の態様において、第2の微生物は、シュードモナス属の種の細菌から選択される。好ましくは、シュードモナスは、ヒトまたは動物に対して病原性でない株である。
【0111】
シュードモナス族は、典型的に好気性条件下で成長するグラム陰性細菌を含む。一部はヒトに対して病原性(例えば、P.エルギノーサ)または植物に対して病原性(例えば、P.プチダ)であり、他は植物の成長を促進し得る(例えば、P.フロレセンス)。ほとんどのシュードモナスはバイオフィルムを形成し、これがそれらを抗生物質に対して特に抵抗性にし、そして感染の症例では処置を困難にしているが、多くのシュードモナス属の種は、例えば、バイオサーファクタントを含む有用な成長副産物を生産することができる。
【0112】
1つの態様において、P.クロロラフィスの株は、P.クロロラフィス亜種オーレオファシエンス「306株」(Ukrainian Collection of Microorganisms (UCM)寄託番号UCM B-306(IMV B-7096)、2687番)である。1つの態様において、P.クロロラフィスの株は、P.クロロラフィス亜種オーレオファシエンス「111株」(UCM寄託番号UCM B-111(IMV B-7097)、2116番)である。
【0113】
特定の態様において、第1および第2の微生物に加えて、1つまたは複数の追加の微生物が含まれる。いくつかの態様において、追加の微生物は、第2の微生物として利用されるもの以外のシュードモナスの株である。例えば、いくつかの態様において、306株および111株が両方とも、第1の微生物と共培養される。
【0114】
好ましい態様において、M.キサンタスおよびP.クロロラフィスの株が、本方法にしたがい共培養される。有利には、いくつかの態様において、これらの2つの株の共培養からの細胞バイオマスは、個々の微生物の純粋な培養物を培養したときよりも多い。さらに、いくつかの態様において、共培養下でのバイオサーファクタントおよび/または他の代謝産物の生産は、個々の微生物の純粋な培養物を使用したときよりも多い。
【0115】
特定の態様において、この成長副産物および/または代謝産物の増進生産は、競合微生物の存在が例えば防御分子および/または自己成長促進物質の増進生産を誘導する共培養により、もたらされる。特定の態様において、これらは、バイオサーファクタントおよび/またはテルペン/テルペノイドである。
【0116】
微生物成長副産物
本発明の方法およびシステムは、1つまたは複数の有用な微生物成長副産物を含む組成物を生産するために使用され得る。
【0117】
好ましい態様において、成長副産物は、1つまたは複数のバイオサーファクタントである。本発明にしたがうバイオサーファクタントは、例えば、糖脂質、リポペプチド、フラボ脂質、リン脂質、脂肪酸エステル、脂肪酸エーテル、リポタンパク質、リポ多糖・タンパク質複合体、および/または多糖・タンパク質・脂肪酸複合体を含み得る。
【0118】
特定の態様において、1つまたは複数のバイオサーファクタントは、ラムノ脂質(RLP)または類似の糖脂質バイオサーファクタントである。ラムノ脂質は、グリコシルヘッド基(すなわち、ラムノース)部分、および3-(ヒドロキシアルカノイルオキシ)アルカン酸(HAA)脂肪酸テイル、例えば、3-ヒドロキシデカン酸を含む。ラムノ脂質には、それぞれが1つまたは2つのラムノース部分を含む、モノ-およびジ-ラムノ脂質、という2つの大クラスが存在する。HAA部分は、例えば、成長培地および環境条件に依存して、長さおよび分枝度が相違し得る。
【0119】
いくつかの態様において、バイオサーファクタントは、ラムノ脂質(RLP)または類似の糖脂質バイオサーファクタントである。ラムノ脂質は、グリコシルヘッド基(すなわち、ラムノース)部分、および3-(ヒドロキシアルカノイルオキシ)アルカン酸(HAA)脂肪酸テイル、例えば、3-ヒドロキシデカン酸を含む。ラムノ脂質には、それぞれが1つまたは2つのラムノース部分を含む、モノ-およびジ-ラムノ脂質、という2つの大クラスが存在する。HAA部分は、例えば、成長培地および環境条件に依存して、長さおよび分枝度が相違し得る。
【0120】
特定の態様において、RLPは、一般構造(1):
の一般構造を有し、式中、
mは2、1または0であり、
nは1または0であり、
R1およびR2は、互いから独立して、2~24個、好ましくは5~13個の炭素原子を有する同じまたは異なる有機官能基、特に置換または非置換、分枝または非分枝アルキル官能基であり、これはまた不飽和でもあり得、
ここで、アルキル官能基は、8~12個の炭素原子を有する直鎖状の飽和アルキル官能基であるか、またはノニルもしくはデシル官能基またはそれらの混合物である。
【0121】
これらの化合物の塩もまた、本発明に含まれる。本発明において、「ジ-ラムノ脂質」という用語は、nが1である上記式の化合物またはその塩を意味すると理解される。したがって、「モノ-ラムノ脂質」は、本発明において、nが0である上記一般式の化合物またはその塩を意味すると理解される。
【0122】
特定の態様において、本方法は、約0.1~約30 g/L、約1~約25 g/L、または約5~約25 g/LのRLPおよび/またはRLP様糖脂質を生産するために使用され得る。
【0123】
いくつかの態様において、微生物はまた、1つまたは複数のさらなるタイプのバイオサーファクタント、例えば、他の糖脂質(例えば、ソホロ脂質、トレハロース脂質、セロビオース脂質および/もしくはマンノシルエリスリトール脂質)ならびに/またはフラボ脂質を生産し得る。フラボ脂質は典型的に、フラボバクテリウム属の細菌によって生産される。その親水性部分は、クエン酸および2つのカダベリン分子を含む。その疎水性部分は、6~10個の炭素の範囲の2つの分枝鎖アシル基から構成される。
【0124】
特定の態様において、本方法は、約0.1~約30 g/L、約1~約25 g/L、または約5~約25 g/Lの1つまたは複数の他のタイプのバイオサーファクタント、例えば、フラボ脂質を生産するために使用され得る。
【0125】
いくつかの態様において、微生物成長副産物は、他の代謝産物を含む。本明細書で使用される場合、「代謝産物」は、微生物によって生産される任意の物質(例えば、成長副産物)または特定の代謝プロセスに加担するために必要とされる物質、例えば、酵素、酵素阻害物質、バイオポリマー、酸、溶媒、ガス、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、アルコール、色素、ポリケチド、フェロモン、ホルモン、脂質、エクトトキシン、エンドトキシン、エクソトキシン、炭水化物、抗生物質、抗真菌物質、抗ウイルス物質ならびに/または他の有機および/もしくは生理活性化合物を表す。本方法によって生産される代謝産物量は、例えば、少なくとも0.1%、1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%であり得る。
【0126】
特定の態様において、1つまたは複数の成長副産物は、有機化合物、例えば、テルペンおよび/またはテルペノイドを含む。テルペンおよびテルペノイド(イソプレノイド)は、典型的に植物および一部の昆虫によって生産される炭化水素化合物である。テルペン/テルペノイドを生産する植物、例えば、球果植物および大麻の成長速度が理由で、テルペンおよびテルペノイドの大量生産もまた、非常に遅く、非経済的であり得る。いくつかの態様において、本発明にしたがい培養される微生物は、テルペンおよび/またはテルペノイドを生産する。
【0127】
テルペンのタイプは、例えば、ヘミテルペン、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペン、セスタテルペン、トリテルペン、セスクアテルペン、テトラテルペン、ポリテルペン、および/またはノルイソプレノイドを含み得る。テルペノイドは、修飾テルペンである。テルペノイドのタイプは、例えば、ヘミテルペノイド、モノテルペノイド、セスキテルペノイド、ジテルペノイド、セスタテルペノイド、トリテルペノイド、テトラテルペノイド、および/またはポリテルペノイドを含み得る。テルペンおよび/またはテルペノイドの具体的、非限定的な例は、カロテン、カロテノイド、ミルセン、リモネン、リナロール、ピネン、カリオフィレン、ビサボロール、シトラル、メントール、樟脳、サルビノリンA、カンナビノイド、ギンコライド、ビロバリドおよびクルクミノイドを含む。1つの態様において、有機化合物は、カロテノイドである。
【0128】
特定の態様において、1つまたは複数の成長副産物は、酵素、例えば、オキシドレダクターゼ、トランスフェラーゼ、ヒドロラーゼ、リアーゼ、イソメラーゼおよび/またはリガーゼを含む。本発明にしたがう酵素の具体的なタイプおよび/またはサブクラスはまた、ニトロゲナーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、グリコシダーゼ、セルラーゼ、グルコシダーゼ、グルカナーゼ、ガラクトシダーゼ、マンノシダーゼ(moannosidase)、スクラーゼ、デキストラナーゼ、ヒドロラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、ホスホリラーゼ、デヒドロゲナーゼ(例えば、グルコースデヒドロゲナーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ)、オキシゲナーゼ(例えば、アルカンオキシゲナーゼ、メタンモノオキシゲナーゼ、ジオキシゲナーゼ)、ヒドロキシラーゼ(例えば、アルカンヒドロキシラーゼ)、エステラーゼ、リパーゼ、リグニナーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ、チトクロムP450酵素、ペルオキシダーゼ(例えば、クロロペルオキシダーゼおよび他のハロペルオキシダーゼ)、ならびにラクターゼを含み得るがこれらに限定されない。
【0129】
特定の態様において、1つまたは複数の成長副産物は、抗生物質化合物、例えば、アミノグリコシド、アミロサイクリシン、バシトラシン、バシラエン、バシリシン、バシリソシン、コラロピロニンA、ディフィシジン、エトナンギエングラミシジン、β-ラクタム、リケニフォルミン、マクロラクチンスブラシン、オキシディフィシジン、プランタゾリシン、リポスタチン、スペクチノマイシン、サブチリン、チロシジン、および/またはツヴィッターマイシンAを含む。いくつかの態様において、抗生物質は、バイオサーファクタントの一タイプでもあり得る。
【0130】
特定の態様において、1つまたは複数の成長副産物は、抗真菌化合物、例えば、フェンギシン、サーファクチン、ハリアンギシン(haliangicin)、ミコバシリン、ミコサブチリン、および/またはバシロマイシンを含む。いくつかの態様において、抗真菌物質は、バイオサーファクタントの一タイプでもあり得る。
【0131】
特定の態様において、1つまたは複数の成長副産物は、他の生理活性化合物、例えば、いくつか列挙すると、ブタノール、エタノール、アセテート、酢酸エチル、ラクテート、アセトイン、安息香酸、2,3-ブタンジオール、ベータ-グルカン、インドール-3-酢酸(IAA)、ロバスタチン、オーラシン、カノサミン、レセオフラビン(reseoflavin)、テルペンテシン、ペンタレノラクトン、チューリンゲンシン(thuringiensin)(β-エクソトキシン)、ポリケチド(PK)、テルペン、テルペノイド、フェニル-プロパノイド、アルカロイド、シデロフォア、ならびにリボソームおよび非リボソーム合成ペプチドを含む。
【0132】
微生物由来生産物
本発明は、微生物由来生産物、ならびに、例えば、農業、増進した油回収、バイオレメディエーション、製薬、および美容を含む様々な用途におけるそれらの使用を提供する。
【0133】
本発明の1つの微生物由来生産物は、単に、微生物、微生物によって生産された微生物成長副産物、任意の残留する栄養分および/または残留する粒状固着担体を含む発酵培地である。微生物由来生産物は、抽出および/または精製されまたはされずに使用され得る。
【0134】
微生物は、活性もしくは不活性形態、または栄養細胞、バイオフィルム、胞子、もしくはそれらの組み合わせの形態であり得る。微生物由来生産物は、さらなる安定化、保護、および保管なしで使用され得る。有利には、これらの微生物由来生産物の直接使用は、微生物の高い生存性を保護し、外来物質および望ましくない微生物の汚染の可能性を減らし、微生物成長の副産物の活性を維持する。
【0135】
1つの態様において、第1および第2の微生物は、共培養後に互いから分離される。1つの態様において、生産物は、第1および第2の微生物ならびに/またはそれらの成長副産物のブレンドを含む。
【0136】
1つの態様において、組成物は、生きた微生物を含まない。1つの態様において、組成物は、生きているか不活性であるかによらず、微生物を全く含まない。
【0137】
1つの態様において、組成物は、それらを生産した微生物から分離された1つまたは複数の微生物成長副産物を含む。成長副産物は、精製または非精製形態であり得る。
【0138】
微生物、栄養培地および/または微生物成長により生じる泡は、発酵槽および/または収集コンテナから取り出され得、そして例えば、直接使用のための配管を通じて移送され得る。
【0139】
他の態様において、組成物(微生物、泡および/またはブロス)は、例えば、意図されている用途、想定されている適用方法、発酵タンクのサイズ、および微生物成長設備から使用場所への任意の輸送様式を考慮して、適切なサイズのコンテナに入れられ得る。したがって、微生物由来生産物を入れるコンテナは、例えば、1ガロン~1,000ガロンまたはそれ以上であり得る。特定の態様において、コンテナは、2ガロン、5ガロン、25ガロン、またはそれより大きい。
【0140】
微生物由来生産物を成長ベッセルから採集する際、採集された生産物をコンテナに入れるおよび/または配管に流す(またはそれ以外の方法で使用のために輸送する)ときに、さらなる成分が添加され得る。添加物は、例えば、緩衝剤、担体、同じまたは異なる設備で生産された他の微生物由来組成物、粘度調整剤、防腐剤、微生物成長のための栄養分、追跡剤、殺虫剤、および意図されている用途に特異的な他の成分であり得る。
【0141】
有利には、本発明にしたがい、微生物由来生産物は、微生物を成長させたブロスを含み得る。生産物は、例えば、少なくとも、重量で1%、5%、10%、25%、50%、75%、または100%がブロスであり得る。生産物中のバイオマスの量は、重量で、例えば、その間のすべての比率を含む、0%~100%、10%~90%、20%~80%、または30%~70%のいずれかであり得る。
【0142】
任意で、生産物は、使用前に保管され得る。保管時間は、好ましくは短い。したがって、保管時間は、60日、45日、30日、20日、15日、10日、7日、5日、3日、2日、1日、または12時間未満であり得る。好ましい態様において、生産物は、例えば、20℃、15℃、10℃、5℃もしくは4℃またはそれ未満等の温度でまたはそれより低い温度で保管される。細胞が胞子形態で存在する場合、生産物は、1つの態様において、早期の再生育を防止するために、15℃以下の低温で保管および輸送される。
【0143】
使用方法
本発明の微生物由来生産物は、様々な目的で使用され得る。1つの態様において、組成物は、農業で使用され得る。例えば、害虫および/もしくは病気を処置するならびに/またはその伝播を防止するために、本発明にしたがい生産される組成物を植物および/またはその環境に適用する方法が提供される。組成物はまた、土壌における水の分散および吸収を増進するため、ならびに植物の根を通じた土壌からの栄養分の吸収を増進する、植物の健康を促進する、採集高を増加させる、および土壌の通気を管理するために有用であり得る。
【0144】
1つの態様において、本組成物は、油およびガス産業において非常に有益であり得る。油井、坑井、地下形成に、または油および/もしくはガスの回収に使用される機器に適用される場合、本発明にしたがい生産される組成物は、原油回収の増進、油粘度の減少、ロッド、チューブ、ライナーおよびポンプからのパラフィンの除去および分散、機器の腐食の防止、オイルサンドおよびストリッパーウェルからの油の回収、フラクチャリング液として破砕作業の増進、地層および原油中のH2S濃度の減少、ならびにタンク、フローラインおよびパイプラインの洗浄のための方法において使用され得る。
【0145】
1つの態様において、本発明にしたがい生産される組成物は、油の1つまたは複数の特性を改善するために使用され得る。例えば、油の粘度を低下させるため、油をサワー油からスイート油に変換するため、および/または油を重質原油から軽質留分にアップグレードするために組成物を油または油含有層に適用する方法が提供される。
【0146】
1つの態様において、本発明にしたがい生産される組成物は、産業機具を洗浄するために使用され得る。例えば、重炭化水素、パラフィン、アスファルテン、スケールおよび環境由来の他の汚染物質を除去するために組成物を油生産機具、例えば油井用ロッド、配管および/またはケーシングに適用する方法が提供される。組成物はまた、他の産業、例えば、食品加工および製造、農業、製紙、ならびに脂肪、油およびグリースが機具に溜まって汚染するかつ/または汚すその他で使用される機具に適用され得る。
【0147】
1つの態様において、本発明にしたがい生産される組成物は、動物の健康を増進するために使用され得る。例えば、組成物が動物の食餌もしくは水に適用され得る、または食餌もしくは水に混合され得る、ならびに家畜および農作業において病気の伝播を防止するため、多量の抗生物質の使用の必要性を減少させるため、メタン、二酸化炭素および/または亜酸化窒素の発生を減少させるため、ならびに補助タンパク質および他の栄養分を提供するために使用され得る、方法が提供される。
【0148】
1つの態様において、本発明にしたがい生産される組成物は、食物の腐敗を防止するため、食物の消費期限を延長するため、および/または食物を媒介する病気を防止するために使用され得る。例えば、望ましくない微生物の成長を防止するために、組成物を食品、例えば生鮮食品、焼き調理済食品、肉類、および採集後の穀類に適用する方法が提供される。
【0149】
本組成物の他の使用は、バイオ肥料、バイオ殺虫剤、バイオリーチング、土壌および水のバイオレメディエーション、薬学的アジュバント(経口摂取薬のバイオアベイラビリティを増大させるため)、化粧品、望ましくない微生物成長の制御、およびその他多数を含むがこれらに限定されない。
【0150】
微生物由来生産物の現地生産
本発明の好ましい態様において、微生物成長設備は、関心対象の、新鮮な、高密度の微生物および/または微生物成長副産物を所望の規模で生産する。微生物成長設備は、適用場所またはその付近に設置され得る。設備は、高密度の微生物由来組成物を、バッチ、準連続、または連続培養で生産する。
【0151】
流通している微生物成長設備は、微生物由来生産物を使用するであろう場所に設置され得る。例えば、微生物成長設備は、使用場所から300、250、200、150、100、75、50、25、15、10、5、3または1マイル未満であり得る。
【0152】
本発明の微生物成長設備は、微生物自体、微生物の代謝産物、および/または微生物を成長させたブロスの他の成分を含む、新鮮な微生物由来組成物を生産する。所望の場合、組成物は、高密度の栄養細胞もしくは繁殖体、または栄養細胞および繁殖体の混合物を有し得る。
【0153】
微生物由来生産物は、従来的な微生物生産の微生物安定化、保護、保管および輸送プロセスによらずに現地で生成されるので、非常に高密度の細菌細胞および/または繁殖体を生成することができ、それによって現地適用で使用するためにより小さな体積の微生物由来生産物しか必要とせず、またはそれは所望の効果を達成するために必要な場合、非常に高密度の微生物の適用を可能にする。これは、システムを効率的にする、小型化されたバイオリアクタ(例えば、より小さな発酵タンク、およびより少ない開始物質、栄養分、pH制御剤の供給)を可能にする。微生物由来生産物の現地生成はまた、製品への成長ブロスの含有を容易にする。ブロスは、現地使用に特に適する、発酵中に生産された物質を含み得る。
【0154】
有利には、組成物は、特定場所での使用のために適合され得る。微生物成長設備は、目的地の地理との相乗作用を改善するよう微生物由来生産物を適合させる能力、ならびに油生産を改善するよう天然の現地微生物およびそれらの代謝副産物の力を利用する能力により、製造汎用性を提供する。現地微生物は、例えば、耐塩性および高温で成長する能力に基づき同定され得る。
【0155】
有利には、上流の処理の遅れ、サプライチェーンのボトルネック、不適切な保管、ならびに、例えば、生存能力のある高細胞数生産物、および細胞を当初成長させるのに関わったブロスおよび代謝産物の、適時の送達および適用を妨げる他の不測の事態によって、その製品品質が損なわれる、遠方の産業規模の生産者に依存するという現在の問題に対する解決策を、これらの微生物成長設備は提供する。
【0156】
本発明の微生物由来生産物は、特に、細胞を発酵成長培地中に存在する代謝産物および栄養分から分離した従来の生産物と比較して有利である。輸送時間の短縮は、現地の要求により必要とされる時期におよび必要とされる体積で微生物および/またはそれらの代謝産物の新鮮なバッチを生産および送達することを可能にする。
【0157】
現地生産および、例えば、発酵から24時間以内の送達は、純粋な高細胞密度の組成物および実質的に低い輸送費をもたらす。より効率的および強力な微生物接種体の開発における急速な進歩の可能性を考えれば、消費者は、微生物由来生産物を迅速に送達するこの能力から大きな利益を享受するであろう。
【実施例
【0158】
本発明のおよびその多くの利点のより深い理解は、例示を目的として示される、以下の実施例から得ることができる。以下の実施例は、本発明の方法、応用、態様および派生の一部を例示している。それらは本発明を限定するものとみなされるべきでない。本発明に関して、多くの変更および改変をなすことができる。
【0159】
実施例1 - バイオサーファクタントおよび炭化水素の生産のための、M.キサンタスおよび111株の共培養
シュードモナス・クロロラフィス「111株」を小規模リアクタ内で少なくとも48時間生育し、3.0~5%の接種物を生成する。ミクソコッカス・キサンタスを小規模リアクタ内で少なくとも4日間生育し、0.6~1.0%の接種物を生成する。純度を試験するため、3日後にM.キサンタス接種物をサンプル採取し、スライド画線を用いて試験することができる。
【0160】
発酵リアクタに2つの接種物を接種する。栄養培地は、以下を含む。
【0161】
さらに、栄養培地は、セルロース(1.0~5.0 g/L)および/またはトウモロコシ粉(1.0~8.0 g/L)を含む細かい粒の粒状固着担体を含む。
【0162】
pHを自動的に、約6.8~7.0に/約6.8~7.0で、調整および維持するため、20% NaOHを含む水性塩基溶液をリアクタにフィードする。その後、リアクタ内での泡の発生を減少させるため、および追加の栄養源として利用するため、菜種油および/または植物油(10~30 ml/L)を添加する。追加の菜種油/植物油は、泡を減少させるおよび/または栄養培地を補充する必要に応じて、発酵を通じてフィードすることができる。
【0163】
温度は約24℃で維持し、DOは約50%で維持し、エアフロー速度は約1 vvmで維持する。
【0164】
培養は、約5日間行う。CFU計数および/または純度のための発酵槽および泡収集タンクのサンプル採取を、0時間で、その後、発酵を通じて1日2回行う。サンプル採取はまた、培養物の採集を行う時点で、すなわち、5日間の培養後に行うことができる。
【0165】
細菌培養物は、バイオサーファクタントおよび、カロテノイド(テトラテルペノイド)の存在を示すオレンジ色~赤色の色素を含む、他の微生物成長副産物を含む。
【0166】
発酵サイクルが終了した後、リアクタから培養物を採集する。微生物成長副産物を含む泡層もまた、発酵の間に生成され得る。この泡層を抽出し、収集コンテナに収集する。泡の抽出は、発酵を通じておよび/または発酵終了時に行うことができる。
【0167】
採集された培養物および抽出された泡は、バイオサーファクタントおよび有機化合物を精製するために、例えば、酢酸エチル抽出および/またはロータリーエバポレーション精製を用いて、処理することができる。
【0168】
精製または非精製形態のいずれかの成長副産物を、例えば、バイオサーファクタントの存在を確認するために分析することができる。111株の成長副産物を、バイオサーファクタントの存在を示す表面張力減少能力について測定した。水に添加すると、表面張力は約30 mN/mに減少した。
【0169】
実施例2 - バイオサーファクタントを生産するためのM.キサンタスおよび306株の流加共培養
シュードモナス・クロロラフィス306株を小規模リアクタ内で少なくとも48時間生育し、3.0%の接種物を生成する。ミクソコッカス・キサンタスを培養フラスコ(2L実容積)内で少なくとも4日間生育し、0.5%の接種物を生成する。純度を試験するため、3日後に、M.キサンタス接種物をサンプル採取し、スライド画線を用いて試験することができる。
【0170】
発酵リアクタに2つの接種物を接種する。栄養培地は、以下を含む。
【0171】
さらに、栄養培地は、セルロース(1.0~5.0 g/L)および/またはトウモロコシ粉(1.0~8.0 g/L)を含む細かい粒の粒状固着担体を含む。
【0172】
pHを自動的に、約6.8~7.0に/約6.8~7.0で、調整および維持するため、20% NaOHを含む水性塩基溶液をリアクタにフィードする。その後、リアクタ内での泡の発生を減少させるため、および追加の栄養源として利用するため、菜種油および/または植物油(10~30 ml/L)を添加する。
【0173】
培養は、約5日間行う。温度は約24℃で維持し、DOは約50%で維持し、エアフロー速度は約1 vvmで維持する。
【0174】
培養を通じて、リアクタに追加の菜種油(3%、24時間ごとに1回)およびグリセロール(500 g/L、48時間後)をフィードする。
【0175】
温度は約24℃で維持し、DOは約50%で維持し、エアフロー速度は約1 vvmで維持する。CFU計数および/または純度のための発酵槽および泡収集タンクのサンプル採取を、0時間で、その後、発酵を通じて1日2回行う。サンプル採取はまた、培養物の採集を行う時点で、すなわち、5日間の培養後に行うことができる。
【0176】
発酵サイクルが終了した後、リアクタから培養物を採集する。微生物成長副産物を含む泡層もまた、発酵の間に生成され得る。この泡層を抽出し、収集コンテナに収集する。
【0177】
採集された培養物および抽出された泡は、バイオサーファクタントを精製するために、例えば、酢酸エチル抽出および/またはロータリーエバポレーション精製を用いて、処理することができる。
【0178】
精製または非精製形態のいずれかの成長副産物を、例えば、バイオサーファクタントの存在を確認するために分析することができる。306株の成長副産物を、バイオサーファクタントの存在を示す表面張力減少能力について測定した。水に添加すると、表面張力は約27 mN/mに減少した。
【国際調査報告】