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特表2022-536983CAR-T細胞のインサイチュ動員、リプログラミングおよび放出
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-22
(54)【発明の名称】CAR-T細胞のインサイチュ動員、リプログラミングおよび放出
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20220815BHJP
   C12N 15/861 20060101ALI20220815BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20220815BHJP
   C12N 15/867 20060101ALI20220815BHJP
   C12N 15/86 20060101ALI20220815BHJP
   C12N 5/078 20100101ALI20220815BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20220815BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALI20220815BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALI20220815BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220815BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220815BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20220815BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20220815BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20220815BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20220815BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220815BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220815BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220815BHJP
【FI】
A61K38/16
C12N15/861 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/867 Z
C12N15/86 Z
C12N5/078
C12N5/0783
C12N5/0784
C12N5/0786
C12N5/10
A61P35/00
A61K38/19
A61K38/20
A61K38/22
A61K35/76
A61K39/395 H
A61K39/395 A
A61K45/00
A61K48/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576050
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2021-12-20
(86)【国際出願番号】 US2020038386
(87)【国際公開番号】W WO2020257423
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/864,703
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517366013
【氏名又は名称】ノース カロライナ ステート ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】NORTH CAROLINA STATE UNIVERSITY
(71)【出願人】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ブラドノー,イェブゲニー
(72)【発明者】
【氏名】ドッティ,ジャンピエトロ
(72)【発明者】
【氏名】アガーワラ,プリサ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA19
4C084AA22
4C084AA23
4C084BA44
4C084DA12
4C084DA14
4C084DA19
4C084DA25
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA13
4C085AA14
4C087AA01
4C087BC83
4C087NA05
4C087ZB26
(57)【要約】
CAR T細胞、CAR NK細胞、CAR NK T細胞、CARマクロファージ、腫瘍浸潤NK細胞、腫瘍浸潤リンパ球および髄浸潤リンパ球の動員およびリプログラミングに用いられるヒドロゲルマトリックスが開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の化学誘引物質を含み、前記1つ以上の化学誘引物質が、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2を含む、ヒドロゲルマトリックス。
【請求項2】
キメラ抗原受容体(CAR)、NK細胞受容体、NK T細胞受容体またはT細胞受容体をコードするウイルスベクターをさらに含む、請求項1に記載のヒドロゲルマトリックス。
【請求項3】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスを含む、請求項2に記載のヒドロゲルマトリックス。
【請求項4】
T細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、腫瘍浸潤NK細胞(TINK)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)または髄浸潤リンパ球(MIL)を活性化する1つ以上の抗体、サイトカインおよび/または共刺激分子をさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のヒドロゲルマトリックス。
【請求項5】
前記抗体が、抗CD3、CD28、B7-1、B7-2、抗誘導性共刺激因子(ICOS)、ICOSリガンド、抗CD27、CD70、4-1BBL、抗41-BB、抗CD40L、CD40、抗DAP10、抗CD30、CD30L、抗TIM-1、抗TIM-2、抗TIM-3、抗CD44、抗NK1.1、レクチン様転写因子-1(LLT-1)、抗CD137、CD48、MICA、抗2B4、および抗グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)を含む、請求項4に記載のヒドロゲルマトリックス。
【請求項6】
前記サイトカインが、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、TNF-αまたはIFN-γを含む、請求項4に記載のヒドロゲルマトリックス。
【請求項7】
化学療法剤をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のヒドロゲルマトリックス。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載のヒドロゲルマトリックスを対象に投与することを含む、前記対象におけるがんの治療方法。
【請求項9】
対象に1つ以上の化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスを投与することを含む前記対象におけるがんの治療方法であって、前記1つ以上の化学誘引物質が、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2を含み、前記化学誘引物質が、前記ヒドロゲルに免疫細胞を誘引および保持する、がんの治療方法。
【請求項10】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、NK T細胞、マクロファージ、樹状細胞、TINK、TILまたはMILを含む、請求項9に記載のがんの治療方法。
【請求項11】
前記ヒドロゲルマトリックスが、免疫ブロック阻害剤をさらに含む、請求項9または10に記載のがんの治療方法。
【請求項12】
前記ヒドロゲルマトリックスが、化学療法剤をさらに含む、請求項9~11のいずれか一項に記載のがんの治療方法。
【請求項13】
前記ヒドロゲルが、キメラ抗原受容体(CAR)、NK細胞受容体、NK T細胞受容体またはT細胞受容体をコードするウイルスベクターをさらに含む、請求項9~12のいずれか一項に記載のがんの治療方法。
【請求項14】
前記ウイルスベクターが、前記免疫細胞を形質導入し、前記形質導入された免疫細胞が、前記ヒドロゲルから前記がんに対して放出される、請求項13に記載のがんの治療方法。
【請求項15】
前記ウイルスベクターが、前記対象への前記ヒドロゲルの投与後約1日目~約14日目にインビボで前記ヒドロゲルに導入される、請求項14に記載のがんの治療方法。
【請求項16】
前記ウイルスベクターが、前記対象への前記ヒドロゲルの投与前に前記ヒドロゲルに導入される、請求項14に記載のがんの治療方法。
【請求項17】
前記免疫細胞が、前記ヒドロゲルの投与後約1週間~約12週間放出される、請求項14~16のいずれか一項に記載のがんの治療方法。
【請求項18】
前記1つ以上の化学誘引物質が、前記ヒドロゲルの投与後約1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間放出される、請求項9~17のいずれか一項に記載のがんの治療方法。
【請求項19】
対象の免疫細胞を形質導入する方法であって、前記対象に、1つ以上の化学誘引物質と、導入遺伝子をコードするウイルスベクターとを含むヒドロゲルを投与することを含む、免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項20】
前記ウイルスベクターが、前記対象への前記ヒドロゲルの投与後約1日目~約14日目にインビボで前記ヒドロゲルに導入される、請求項19に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項21】
前記ウイルスベクターが、前記対象への前記ヒドロゲルの投与前に前記ヒドロゲルに導入される、請求項19に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項22】
前記1つ以上の化学誘引物質が、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2を含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項23】
前記1つ以上の化学誘引物質が、前記ヒドロゲルの投与後約1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間放出される、請求項19~22のいずれか一項に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項24】
前記ウイルスベクターによってコードされる前記導入遺伝子が、CAR、NK細胞受容体、NK T細胞受容体またはT細胞受容体を含む、請求項19~23のいずれか一項に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項25】
前記ウイルスベクターが、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスを含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項26】
前記免疫細胞が、T細胞、NK細胞、NK T細胞、マクロファージ、樹状細胞、TINK、TILまたはMILを含む、請求項19~25のいずれか一項に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項27】
前記ヒドロゲルが、T細胞、NK細胞、NK T細胞、マクロファージ、樹状細胞、TINK、TILまたはMILを活性化する1つ以上の抗体、サイトカインおよび/または共刺激分子をさらに含む、請求項19~26のいずれか一項に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項28】
前記抗体が、抗CD28、CD3、B7-1、B7-2、抗誘導性共刺激因子(ICOS)、ICOSリガンド、抗CD27、CD70、4-1BBL、抗41-BB、抗CD40L、CD40、抗DAP10、抗CD30、CD30L、抗TIM-1、抗TIM-2、抗TIM-3、抗CD44、抗NK1.1、レクチン様転写因子-1(LLT-1)、抗CD137、CD48、MICA、抗2B4、および抗グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)を含む、請求項27に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【請求項29】
前記サイトカインが、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、TNF-αまたはIFN-γを含む、請求項27に記載の免疫細胞を形質導入する方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
I.背景技術
1.キメラ抗原受容体(CAR)にリダイレクトされたTリンパ球(CAR-T細胞)の養子細胞移入は、B細胞悪性病変に対する印象的な臨床効果を生じさせ、また他のタイプのがんに対しても効果的である。現在のCAR-T細胞の臨床的スケールでの製造方法は、広範囲なエクスビボでの細胞操作、すなわち、自己由来のT細胞の単離、CARをコードするウイルスベクターによる形質導入、および患者へ戻すための注入前のCAR-T細胞のエクスビボでの増殖、を必要とする。精巧かつ時間集約的なエクスビボ手順は実質的に経費がかさみ、すなわち、手順は3~4週間かかり、また約500,000ドルかかる。これらの経費は、この技術を他のがんおよび患者にも拡張する可能性を制限するものである。T細胞を動員および修飾して、現存するCAR T細胞と関連する課題を回避するための新規な方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0002】
II.発明の概要
2.化学誘引物質を含むヒドロゲルに関連する方法および組成物を開示する。
【0003】
3.一態様では、本明細書では、1つ以上の化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスが開示され、1つ以上の化学誘引物質は、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2を含む。
【0004】
4.また、キメラ抗原受容体(CAR)、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンFcフラグメントまたは抗i-Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)、NK T細胞受容体、および/またはT細胞受容体(例えば抗原特異的なT細胞受容体)、をコードするウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)をさらに含む、先行態様のいずれかのヒドロゲルマトリックスが本明細書で開示される。
【0005】
5.一態様では、また、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、髄浸潤リンパ球(MIL)、腫瘍浸潤NK細胞(TINK)、樹状細胞、またはマクロファージを活性化する、1つ以上の抗体、サイトカインおよび/または共刺激分子をさらに含む、先行態様のいずれかのヒドロゲルマトリックスが本明細書で開示される。例えば抗体は、抗CD3、抗CD28、抗誘導性共刺激因子(ICOS)、抗CD40L、抗DAP10を含むことができ、またサイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、TNF-αまたはIFN-γを含むことができる。
【0006】
6.また、化学療法剤をさらに含む、先行態様のいずれかのヒドロゲルマトリックスが本明細書で開示される。
【0007】
7.一態様では、本明細書では、任意の前述の態様の生体応答性ヒドロゲルを対象に投与することを含む、対象におけるがんまたは転移を、処置、予防、阻害、および/または低減する方法が開示される。例えば、対象に1つ以上の化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスを投与することを含む本主題のがんの治療方法が本明細書で開示され、1つ以上の化学誘引物質は、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2を含み、化学誘引物質は、ヒドロゲルに免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、TIL、MIL、TINK、樹状細胞および/またはマクロファージ)を誘引し、保持する。
【0008】
8.また、がんまたは転移を治療、予防、阻害、および/または低減する、先行態様のいずれかの方法が本明細書で開示され、マトリックスはさらに、免疫遮断阻害剤および/または化学療法剤を含む。
【0009】
9.一態様では、本明細書では、がんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する、先行態様のいずれかの方法が開示され、そこにおいて、ヒドロゲルはさらに、キメラ抗原受容体(CAR)、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンFcフラグメントまたは抗Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)、NK T細胞受容体、および/またはT細胞受容体(TCR)(抗原特異性T細胞受容体を含む)をコードするウイルスベクターを含む。一態様では、ウイルスベクターは、免疫細胞に形質導入し、形質導入された免疫細胞は、ヒドロゲルからがんに対して放出される。ウイルスベクターは、対象に対する投与前に、または対象へのヒドロゲルマトリックスの投与後、約1日~約14日目に、ヒドロゲルマトリックスに導入することができることが理解され、また本明細書においても意図される。すなわち、ウイルスベクターは、インビボでヒドロゲルに導入することができる。
【0010】
10.また、がんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する、先行態様のいずれかの方法が本明細書で開示され、免疫細胞は、ヒドロゲルの投与後約1週間~約12週間放出される。
【0011】
11.一態様では、がんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する、先行態様のいずれかの方法が本明細書で開示され、1つ以上の化学誘引物質は、ヒドロゲルの投与後約1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間放出される。
【0012】
12.一態様では、対象の免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、TILまたはMIL)に形質導入する方法が本明細書で開示され、方法は、対象に対して、1つ以上の化学誘引物質(例えば、CCL1、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、CXCL1、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2)と、導入遺伝子(例えば、CAR、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンFcフラグメントまたは抗Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)、NK T細胞受容体、および/またはTCR(抗原特異的なTCRを含むが、これに限定されない))をコードするウイルスベクター(例えばレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)と、を含むヒドロゲルを投与することを含む。ウイルスベクターは、対象に対する投与前に、または対象へのヒドロゲルマトリックスの投与後、約1日~約14日目に、ヒドロゲルマトリックスに導入できることが理解され、また本明細書においても意図される。すなわち、ウイルスベクターは、インビボでヒドロゲルに導入することができる。
【0013】
13.また、免疫細胞に形質導入する先行態様のいずれかの方法が本明細書で開示され、1つ以上の化学誘引物質は、ヒドロゲルの投与後約1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間放出される。
【0014】
14.一態様では、免疫細胞に形質導入する、先行態様のいずれかの方法が本明細書で開示され、ヒドロゲルはさらに、T細胞、NK細胞、NK T細胞、TILまたはMILを活性化する、1つ以上の抗体、サイトカインおよび/または共刺激分子を含む。例えば、抗体は、抗CD28、CD3、B7-1、B7-2、抗誘導性共刺激因子(ICOS)、ICOSリガンド、抗CD27、CD70、4-1BBL、抗41-BB、抗CD40L、CD40、抗DAP10、抗CD30、CD30L、抗TIM-1、抗TIM-2、抗TIM-3、抗CD44、抗NK1.1、レクチン様転写物-1(LLT-1)、抗CD137、CD48、MICA、抗2B4および抗グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)を含むことができ、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、TNF-αまたはIFN-γを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
III.図面の簡単な説明
15.添付図面は、本明細書の一部に組み込まれ、本明細書の一部を構成し、いくつかの実施形態を図示し、明細書と共に、本開示の組成物および方法を説明する。
【0016】
図1】16.インサイチュでのCAR-T細胞の生成を表す。移植された足場は、ケモカインを放出し、宿主T細胞を動員する。ウイルスベクターは、腫瘍特異的CAR構築物によりT細胞をリプログラムし、CARが改変されたT細胞は外に移動し、がんを攻撃する。
図2】17.クリオゲル化を経るマクロ多孔性ゲルの製造を表す図を示す
図3】18.凍結乾燥レジメン(-20℃)によって調製されるゲルのSEM画像を示す。
図4】19.CXCL10が、移植された足場へのT細胞動員を調節することを示す。図4Aは、実験スケジュールを示し、図4Bは、ブランク(対照)またはCXCL10放出足場に動員されるCD3+T細胞のFACS解析を示す。
図5】20.予め播種され、動員されたT細胞が、移植された足場内で形質導入されることができることを示す。足場に前播種されるか、またはCXCL10によって足場に動員される、GFP+T細胞のための実験スケジュール(5A、5C)およびFACS解析(5B、5D)。Dは、足場におけるCD3/CD28およびIL-2によるさらなるインパクトを示す。
図6】21.CAR T細胞のインサイチュ生成を示す。
図7】22.CD19 CARウイルスによる動員されたT細胞のインビボ形質導入を示す。
図8】23.マウスバーキットリンパ腫腫瘍モデル作成の概略図を示す。
図9A】24.無処理、CD19 CAR T細胞のi.v.投与、またはCCI-アルギネート足場(CCI-Alg)処理を受けた動物の、腫瘍接種後19、24、29、33および43日における、腫瘍サイズの発光イメージを示す。
図9B】25.無処理、CD19 CAR T細胞のi.v.投与、またはCCI-アルギネート足場(CCI-Alg)処理を受けた動物の、腫瘍接種後の各種の時点における全fluxおよび体重変化%を示す。
図10】26.CCI足場を移植された、またはCAR-T細胞をi.v.注入されたマウスの血液100μl当たりのCAR+細胞数を示す。マウスの頬部から採血し、赤血球を溶血させ、細胞をHu-CD45、Hu-CD3およびCAR.19抗体で染色し、フローサイトメトリーによって解析した。
【発明を実施するための形態】
【0017】
IV.発明を実施するための形態
27.本化合物、組成物、物品、機器および/または方法が開示および記載される前に、それらは、別段の明示がない限り、特定の合成法もしくは特定の組換えバイオテクノロジー法に限定されないか、または別段の明示がない限り、特定の試薬に限定されず、したがって、当然のことながら変化し得るものとして理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0018】
A.定義
28.本明細書および添付の特許請求の範囲では、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語に言及する。
【0019】
29.明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「医薬担体」への言及は、2つ以上のそのような担体の混合物などを含む。
【0020】
30.本明細書では、範囲は、「約」を用いた一方の特定の値から、および/または「約」を用いた他方の特定の値までを表すことができる。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、一方の特定の値から、および/または他方の特定の値までを含む。同様に、「約」という先行詞を使用することによって、値が近似値として表される場合、特定の値により別の実施形態が生じることが理解されるであろう。さらに、範囲の各々の端点は、他の端点と関連している場合も、他の端点とは独立している場合でも、有意であることが理解されるであろう。また、本明細書に開示される多くの値があり、各値はまた、その値自体に加えて、「約」を用いたその特定の値としても本明細書に開示されていることが理解される。例えば、「10」という値が開示されていれば、「約10」も開示されている。また、当業者によって適切に理解されるように、ある値が開示されている場合、その値「より少ないかまたは等しい(その値以下)」、その値「より多いかまたは等しい(その値以上)」および値間の可能な範囲も開示されていることが理解される。例えば、「10」という値が開示されている場合、「10より少ないかまたは等しい(10以下)」だけでなく「10より多いかまたは等しい(10以上)」も開示されている。本出願全体を通じて、データは多くの異なる形式で提供されており、このデータは終点および始点、ならびにデータ点の任意の組み合わせに対する範囲を表していることも理解される。例えば、特定のデータ点「10」と特定のデータ点15が開示されていれば、10と15より多い(超)、より多いかまたは等しい(以上)、より少ない(未満)、より少ないかまたは等しい(以下)、および10と15に等しいことの他に、10と15の間も考慮されていることが理解される。また、2つの特定の単位間の各単位も開示されていることも理解される。例えば、「10および15」が開示されていれば、11、12、13、および14も開示されている。
【0021】
31.対象への「投与」には、薬剤を対象に導入または送達する任意の経路が含まれる。投与は、経口、局所、静脈内、皮下、経皮的(transcutaneous)、経皮吸収(transdermal)、筋肉内、関節内、非経口、細動脈内、皮内、心室内、頭蓋内、腹腔内、病巣内、鼻腔内、直腸、膣、吸入による、移植されたリザーバー(implanted reservoir)を介して、非経口(例えば、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、関節滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、腹腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射または注入技法)などを含む、任意の好適な経路によって行うことができる。本明細書で使用される「併用投与」、「組み合わせでの投与」、「同時投与」または「同時に投与された」とは、同じ時点で、または本質的に互いに直後に化合物が投与されることを意味する。後者の場合、2つの化合物は、同じ時点で化合物を投与した場合に達成される結果と観察された結果が、区別がつかないほど十分に近い時点で投与される。「全身投与」とは、例えば、循環系またはリンパ系への入口を通じて、対象の身体の広範な領域(例えば、身体の50%超)に薬剤を導入または送達する経路を介して、薬剤を対象に導入または送達することを指す。これに対して、「局所投与」とは、投与点の領域または投与点に直接隣接した領域に薬剤を導入または送達し、治療的に有意な量で薬剤を全身的には導入しない経路を介して、薬剤を対象に導入または送達することを指す。例えば、局所的に投与された薬剤は、投与点の局所的近傍では容易に検出可能であるが、対象の身体の遠位部分では検出できないか、または無視できる量で検出可能である。投与には、自己投与と他者による投与が含まれる。
【0022】
32.「生体適合性」とは、一般的にレシピエントに対して無毒であり、かつ対象に重大な悪影響を引き起こさない材料およびその任意の代謝産物または分解産物を一般的に指す。
【0023】
33.「~を含む」とは、組成物、方法などが、列挙された要素を含むが、他の要素を排除するものではないことを意図している。組成物および方法を定義するために使用される場合の「~から本質的になる」とは、列挙された要素を含むが、その組み合わせにとって本質的に重要ないかなる要素も排除することを意味するものとする。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、単離および精製方法からの微量の汚染物質ならびに医薬的に許容される担体、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、保存剤などを排除しない。「~からなる」とは、他の成分の微量を超える元素および本発明の組成物を投与するための実質的な方法工程を排除することを意味するものとする。これらの各移行句(Transition term)によって定義される実施形態は、本発明の範囲内である。
【0024】
34.「対照」とは、比較目的で実験に使用される代替的な対象またはサンプルである。対照は、「陽性」または「陰性」であり得る。
【0025】
35.「制御放出」または「持続放出」とは、インビボで所望の薬物動態プロファイルを達成するために、所定の剤形から制御された方式で薬剤を放出することを指す。「制御放出」薬剤送達の一態様は、薬剤放出の所望の動態を確立するために、製剤および/または剤形を操作する能力である。
【0026】
36.薬剤の「有効量」とは、所望の効果を提供するために十分な薬剤の量を指す。「有効」である薬剤の量は、対象の年齢および全身状態、特定の薬剤または複数種の薬剤などの多くの要因に応じて、対象毎に異なるであろう。したがって、定量化された「有効量」を特定することは必ずしも可能ではない。しかしながら、いかなる対象の場合であっても、適切な「有効量」は、日常的な実験を用いて、当業者によって決定されてもよい。また、本明細書で使用される場合、特に別途明記されていない限り、薬剤の「有効量」は、治療有効量と予防有効量の両方をカバーする量を指すことができる。治療効果を達成するために必要な薬剤の「有効量」は、対象の年齢、性別および体重などの要因によって異なる場合がある。投与レジメンは、最適な治療反応を提供するように調整することができる。例えば、数回に分けた用量を毎日投与してもよく、または治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に減らしてもよい。
【0027】
1.「増加」とは、徴候、疾患、組成、症状または活性の量が結果的に多くなる、何らかの変化を指すことができる。増加は、統計的に有意な量で、症状、徴候、活性、組成の個別値、中央値、または平均値のいずれかの増加であることができる。したがって、増加は、統計的に有意である限り、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%の増加であることができる。増加は、倍数としての増加のことを指すこともできる。例えば、増加は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、10、10、10、10、10、10、10、1010倍の増加を含む。
【0028】
2.「減少」は、より小さな、遺伝子発現、タンパク質発現、症状、疾患、組成物、状態または活性の量をもたらす任意の変化を表すことができる。物質はまた、物質を含む遺伝子産物の遺伝的出力が、物質を含まない遺伝子産物の出力と比較して少ない場合に、遺伝子の遺伝子出力を減少させることが理解されている。また、低下は、例えば、障害の症状が以前に観察されたよりも低いように、該症状の変化であることができる。低下は、統計的に有意な量で、容態、症状、活性、組成物のいずれかの個別の、中央値の、または平均値の低下であることができる。したがって、低下が統計的に有意である限り、低下は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%の低下であることができる。減少は、倍数としての減少のことを指すこともできる。例えば、減少は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、10、10、10、10、10、10、10、1010倍の減少を含む。
【0029】
3.「阻害する」、「阻害すること」、および「阻害」は、活性、応答、容態、疾患、または他の生物学的パラメータを低下させることを意味する。このことは、活性、応答、容態、または疾患の完全な消失を含むことができるが、それに限定されない。このことはまた、例えば、天然のまたは対照のレベルと比較して、活性、応答、容態、または疾患の10%の低減も含むことができる。したがって、低減は、天然のまたは対照のレベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、またはこれらの間のいずれかの量の低減であることができる。
【0030】
4.本明細書において使用される「予防する」、「予防すること」、「予防」という用語、およびその文法上の変形は、疾患の発症もしくは再発および/または該疾患に付随する症状の1種以上を部分的にまたは完全に遅延させるまたは妨げる、あるいは対象が疾患を獲得するまたは再獲得するのを防止する、あるいは疾患または該疾患に付随する症状の1種以上を獲得するまたは再取得する対象のリスクを低減させる、方法を指す。
【0031】
5.「医薬的に許容される」成分とは、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない成分を指すことができ、すなわち、その成分は、重大な望ましくない生物学的作用を引き起こすことなく、またはそれが含まれる製剤の他のいずれの成分とも有害な形で相互作用することなく、本明細書に記載されているように、本発明の医薬製剤に組み込まれ、対象に投与され得る。ヒトへの投与に関連して使用される場合、この用語は、一般的に、成分が毒性試験および製造試験の要求される基準を満たしていること、または成分が米国食品医薬品局により作成された非活性成分ガイドに掲載されていることを含意する。
【0032】
6.「医薬的に許容される担体」(「担体」と呼ばれることもある)とは、一般的に安全かつ無毒である医薬組成物もしくは治療用組成物を調製するのに有用な担体または賦形剤を意味し、獣医学的用途および/またはヒト医薬用途もしくは治療用途に許容される担体を含む。「担体」または「医薬的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン(油/水エマルジョンもしくは水/油エマルジョンなど)および/または様々なタイプの湿潤剤を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「担体」という用語は、任意の賦形剤、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、脂質、安定剤、または医薬製剤で使用するために当該技術分野で周知であり、本明細書でさらに説明されるような他の材料を包含するが、これらに限定されない。
【0033】
7.「薬理学的に活性な」誘導体または類似体のように、「薬理学的に活性な」(または単に「活性な」)とは、親化合物と同じタイプの薬理活性を有し、ほぼ同等の程度である誘導体または類似体(例えば、塩、エステル、アミド、コンジュゲート、代謝産物、異性体、フラグメントなど)を指すことができる。
【0034】
8.「治療薬」とは、有益な生物学的効果を有する任意の組成物を指す。有益な生物学的効果には、治療効果、例えば、障害または他の望ましくない生理学的状態の治療、および予防効果、例えば、障害または他の望ましくない生理学的状態(例えば、非免疫原性がん)の予防の両方が含まれる。これらの用語はまた、塩、エステル、アミド、前駆薬剤(proagent)、活性代謝産物、異性体、フラグメント、類似体などを含むがこれらに限定されない、本明細書に具体的に挙げられている有益な薬剤の医薬的に許容される、薬理学的に活性な誘導体も包含する。「治療薬」という用語が使用される場合、または特定の薬剤が具体的に特定されている場合、その用語は、その薬剤自体の他に、医薬的に許容される、薬理学的に活性な塩、エステル、アミド、前駆薬剤、コンジュゲート、活性代謝産物、異性体、フラグメント、類似体なども含むことを理解されたい。
【0035】
9.組成物(例えば、薬剤を含む組成物)の「治療有効量」または「治療有効用量」とは、所望の治療結果を達成するために有効である量を指す。いくつかの実施形態では、所望の治療結果は、1型糖尿病の抑制である。いくつかの実施形態では、所望の治療結果は、肥満の抑制である。所定の治療薬の治療有効量は、典型的には、処理下の障害または疾患のタイプおよび重症度、ならびに対象の年齢、性別および体重などの要因に関連して異なるであろう。この用語はまた、疼痛緩和などの所望の治療効果を促進するために有効な治療薬の量または治療薬の送達速度(例えば、経時的な量)を指すこともできる。正確な所望の治療効果は、処理されるべき状態、対象の耐性、投与されるべき薬剤および/または薬剤製剤(例えば、治療薬の効力、製剤中の薬剤の濃度など)、ならびに当業者によって理解される様々な他の要因に応じて異なるであろう。いくつかの例では、所望の生物学的または医学的な反応は、数日、数週間または数年の期間にわたって組成物の複数の用量を対象に投与した後に達成される。
【0036】
10.本明細書および添付の特許請求の範囲では、以下の意味を有するように定義されるいくつかの用語に言及する。
【0037】
11.「任意選択的な」または「任意選択的に」とは、続けて記載される事象または状況が発生する場合と発生しない場合があり、この記載には、当該事象または状況が発生する場合と発生しない場合が含まれることを意味する。
【0038】
12.本出願全体を通じて、様々な刊行物が参照されている。本出願が属する技術分野の水準をより完全に記述するために、これらの刊行物の開示は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。開示された参考文献はまた、その参考文献が依拠している文中で考察されている、その中に含まれる材料について、参照により個別かつ具体的に本明細書に組み込まれる。
【0039】
B.組成物
13.開示された組成物を調製するために使用される成分の他に、本明細書に開示される方法の中で使用される組成物自体も開示されている。これらおよび他の材料は本明細書に開示されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの化合物の、各様々な個々かつ集合的な組み合わせおよび並べ替えへの具体的な言及は、明示的に開示されていないことがあるが、各々が本明細書で具体的に企図され、記載されていることが理解される。例えば、化学誘引物質を含む特定のヒドロゲルマトリックスが開示および考察され、化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスを含む多数の分子に対してなし得る多数の修飾について考察される場合には、具体的に断りがなければ、化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスおよび可能であるその修飾物のありとあらゆる組み合わせおよび並べ替えが、具体的に想定される。したがって、分子A、B、およびCのクラスの他に、分子D、E、およびFのクラスも開示され、組み合わせ分子の例であるA-Dが開示されている場合、それぞれが個別に記載されていないときであっても、それぞれが個別かつ集合的に企図された意味の組み合わせA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、およびC-Fが開示されているものとみなされる。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも開示されている。したがって、例えば、A-E、B-F、およびC-Eのサブグループが、開示されているものとみなされる。この概念は、開示された組成物を作製および使用する方法における工程を含むがこれらに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。したがって、実行可能な様々な追加の工程が存在する場合、これらの追加の工程の各々は、開示された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせにより実行可能であることが理解される。
【0040】
14.キメラ抗原受容体(CAR)免疫療法は、患者の自己由来のT細胞、NK細胞および/またはマクロファージの、それぞれ、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞またはCARマクロファージ(CARMA)への、遺伝子修飾を含む、一種のがん免疫療法である。これらのCAR細胞は、特異的な腫瘍抗原を標的とすることができる抗体ベースのキメラ抗原受容体を発現する。そのプロセスは、自己由来のT細胞、NK細胞、NK T細胞またはマクロファージの単離と、CARをコードするウイルスベクターによる形質導入と、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞またはCARMAのエクスビボでの増殖およびその後の患者への戻し注入と、を含む。著しい臨床的成功にもかかわらず、厳しい規制標準に従って臨床グレードのCAR免疫細胞(例えば、CAR T細胞)を生成させることと関連する面倒な、時間およびコストを要する手順は、依然として、がんの治療の際の治療標準として、CAR免疫細胞治療を実施するための主要な障壁であり続けている。CAR免疫細胞細胞を生成させることと関連する時間およびコストを削減できるアプローチは、臨床的に非常に重要であり、CAR T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞および/またはCARMA治療の有効性を劇的に高めることができる。
【0041】
15.インサイチュで腫瘍特異的CAR免疫細胞を生成させることは、CAR-T細胞のエクスビボ生成と関連する多くの課題を解決することができる。キメラ抗原受容体(CAR)は、腫瘍関連抗原に対する免疫細胞(例えば、CAR T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞またはCARMA)の特異性をリダイレクトする合成受容体である。CD19の注入。CAR-T細胞は、最初にCD19による臨床試験において著しい抗腫瘍効果を示している。CAR-T治療は、2017年にFDAによって承認された。T細胞の回収、エクスビボ活性化、遺伝子修飾および細胞の増殖、ならびにそれに続く患者への注入は、時間を要し(約4週)、また高額である(約$500,000)。がんがヘルスケアのシステムに対して既に大きな負担を掛けていると仮定すると、何百万人ものがん患者に対してCAR免疫細胞治療を提供することは、非常に大きな課題である。本明細書では、T細胞を動員する因子およびCARをコードするウイルスベクターでロードされたマクロ多孔性足場において、CAR免疫細胞をインサイチュで生成させることができることを示している。このアプローチは、臨床的重要性であり得るCAR免疫細胞(例えば、CAR T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞またはCARMA)を生成させることと関連する時間およびコストを削減し、CAR免疫細胞治療の有効性を劇的に高めることができる。
【0042】
16.本明細書では、生理活性マクロ多孔性足場を使用して、患者体内でCAR免疫細胞をインサイチュ生成させるためのストラテジーが開示される。足場は、免疫細胞を動員して、それらをCAR免疫細胞に活性化およびリプログラミングし、体内にCAR免疫細胞を放出し、腫瘍に向かわせる(図1)。足場からのケモカインの放出制御は、T細胞、(TILおよびMILを含むが、これに限定されない)、NK細胞(TINKを含むが、これに限定されない)、NK T細胞、樹状細胞および/またはマクロファージを足場に誘引する勾配を形成する。マクロ多孔性足場は、ケモカインの媒介によるT細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞および/またはマクロファージの浸潤を促進し、埋め込まれたサイトカインおよび抗体と共に、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞および/またはマクロファージの生存および増殖を促進し、またウイルス粒子による形質導入のためのインターフェースを提供する。ケモカインが完全に放出された後、その枯渇は足場からのCAR-T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞またはCARMAの移動を促進する。このアプローチでは、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞および/またはマクロファージは、生体材料足場に動員され、ウイルスベクターによってCAR-遺伝子によって再プログラムされ、足場から血流中に放出され、その結果、インサイチュでのT細胞、CAR-T細胞、CAR-NK細胞、CAR-NK-T細胞またはCARMAの間断のない生成が導かれる。したがって、一態様では、本明細書では、1つ以上の化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスが開示される。
【0043】
17.化学誘引物質の目的は、免疫細胞(例えば、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、髄浸潤リンパ球(MIL)、腫瘍浸潤NK細胞(TINK)、樹状細胞および/またはマクロファージ)をヒドロゲルに誘引することであることが理解され、また本発明では意図される。開示されるヒドロゲルに用いられる1つ以上の化学誘引物質の例としては、限定されないが、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2が挙げられる。
【0044】
18.本明細書において開示されるヒドロゲルは、いずれの好適な生分解性高分子も使用して製造することができる。「ポリマー」とは、天然または合成の比較的高分子量の有機化合物を指し、その構造は繰り返しの小単位であるモノマーで表すことができる。ポリマーの非限定的な例として、ポリエチレン、ゴム、セルロースが挙げられる。合成ポリマーは、通常、モノマーの付加重合または縮合重合によって形成される。「コポリマー」という用語は、2種以上の異なる繰り返し単位(モノマー残基)から形成されたポリマーを指す。限定としてではなく例として、コポリマーは、交互コポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーであり得る。特定の態様ではまた、ブロックコポリマーの様々なブロックセグメントは、それ自体がコポリマーを含み得ることも企図される。「ポリマー」という用語は、天然ポリマー、合成ポリマー、ホモポリマー、ヘテロポリマーまたはコポリマー、付加ポリマーなどを含むがこれらに限定されないすべての形態のポリマーを包含する。
【0045】
19.一態様では、ヒドロゲルは、生体適合性ポリマー(例えば、アルギネートなど)を含むことができる。かかるポリマーはまた、組織中に徐々にCAR T細胞、CAR NK細胞、CAR NK T細胞、CARMA、TIL、MIL、TINKおよび/またはMILを放出する役割を果たすこともできる。本明細書で使用される場合、生体適合性ポリマーとしては、限定されないが、アルギネート、キトサン、ヒアルロン酸などの多糖、親水性ポリペプチド、コラーゲン、フィブリンおよびゼラチンなどのタンパク質、ポリ-L-グルタミン酸(PGS)、ガンマ-ポリグルタミン酸、ポリ-L-アスパラギン酸、ポリ-L-セリンまたはポリ-L-リジンなどのポリ(アミノ酸)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)およびポリ(エチレンオキシド)(PEO)などのポリアルキレングリコールおよびポリアルキレンオキシド、ポリ(オキシエチル化ポリオール)、ポリ(オレフィンアルコール)、ポリビニルピロリドン)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)、ポリ(サッカリド)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)などのポリヒドロキシ酸、ポリ3-ヒドロキシブチレートまたはポリ4-ヒドロキシブチレートなどのポリヒドロキシアルカノレート、ポリカプロラクトン、ポリ(オルトエステル)、ポリ無水物、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ラクチド-コ-カプロラクトン)、チロシンポリカーボネートなどのポリカーボネート、ポリアミド(合成および天然ポリアミドを含む)、ポリペプチドおよびポリ(アミノ酸)、ポリエステルアミド、ポリエステル、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレート)、疎水性ポリエーテル、ポリウレタン、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリシロキサン、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ポリケタール、ポリホスフェート。ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、ならびにこれらのコポリマーが挙げられる。また、生体適合性ポリマーには、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルキレン、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレンテレフタラート、ポリビニルアルコール(PVA)、メタクリラートPVA(m-PVA)、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリビニルハロゲン化物、ポリビニルピロリドン、ポリグリコリド、ポリシロキサン、ポリウレタンおよびこれらのコポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、アクリルエステルおよびメタクリルエステルのポリマー、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースアセタートブチラート、セルロースアセタートフタラート、カルボキシルエチルセルロース、三酢酸セルロース、硫酸セルロースナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリラート)、ポリ(エチルメタクリラート)、ポリ(ブチルメタクリラート)、ポリ(イソブチルメタクリラート)、ポリ(ヘキシルメタクリラート)、ポリ(イソデシルメタクリラート)、ポリ(ラウリルメタクリラート)、ポリ(フェニルメタクリラート)、ポリ(メチルアクリラート)、ポリ(イソプロピルアクリラート)、ポリ(イソブチルアクリラート)、ポリ(オクタデシルアクリラート)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(酢酸ビニル、ポリビニルクロリドポリスチレンおよびポリビニルプリロリドン、それらの誘導体、それらの線状および分岐コポリマーならびにそれらのブロックコポリマー、ならびにそれらのブレンドも含むことができる。例示的な生分解性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリ(エチレンアミン)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチラート)、ポリ(ヒドロキシバレラート)、ポリ無水物、ポリ(アクリル酸)、ポリグリコリド、ポリ(ウレタン)、ポリカーボネート、ポリリン酸エステル、ポリホスプリアゼン、これらの誘導体、それらの線状および分岐コポリマー、ならびにそれらのブロックコポリマー、ならびにそれらのブレンドが挙げられる。
【0046】
20.いくつかの実施形態において、粒子は、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸-コ-グリコール酸)のような生体適合性および/または生分解性のポリエステルまたはポリ無水物を含有する。粒子は、以下のポリエステル、すなわち、本明細書で「PGA」と称されるグリコール酸単位と、ポリ-L-乳酸、ポリ-D-乳酸、ポリ-D,L-乳酸、ポリ-L-ラクチド、ポリ-D-ラクチド、および「PLA」と本明細書で集約的に称されるポリ-D,L-ラクチド5のような乳酸単位と、ポリ(e-カプロラクトン)のような、「PCL」と本明細書で集約的に称されるカプロラクトン単位とを含むホモポリマー;ならびに乳酸:グリコール酸の比を特徴とし、「PLGA」と本明細書で集約的に称されるポリ(乳酸-コ-グリコール酸)およびポリ(ラクチド-コ-グリコリド)の様々な形態のような、乳酸およびグリコール酸単位を含むコポリマー;ならびにポリアクリラート、およびその誘導体のうちのもう1つを含有することができる。また、例示的なポリマーとしては、PLGA-PEGまたはPLA-PEGコポリマーの様々な形態のような、本明細書で「ペグ化ポリマー」と集約的に称されるポリエチレングリコール(PEG)と上述のポリエステルとのコポリマーも挙げられる。ある特定の実施形態において、PEG領域は、ポリマーと共有結合して、開裂可能なリンカーによって「ペグ化ポリマー」を生成することができる。一態様において、ポリマーは、少なくとも60、65、70、75、80、85、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、または99パーセントのアセタールペンダント基を含む。
【0047】
21.本明細書に開示されるトリブロックコポリマーは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリ(ビニルピロリドン-コ-ビニルアセテート)、ポリメタクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリカプロラクタム、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-グリコール)酸、ポリ(乳酸コ-グリコール酸)(PLGA)、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体などのコアポリマーを含む。
【0048】
22.一態様では、ヒドロゲルマトリックスはさらに、免疫の活性化および/または維持のための抗体、ケモカインおよびサイトカイン(例えば、CD28、CD3、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、IFN-γおよびTNF-α)を含むことができる。
【0049】
23.開示されるヒドロゲルマトリックスは、1つ以上の免疫チェックポイント阻害剤および/または化学療法剤をさらに含むことができることが理解され、また本明細書において意図される。開示されるヒドロゲルマトリックスで使用することができる化学療法剤としては、いかなる化学療法剤であってもよく、限定されないが、以下のもの:
Abemaciclib、Abiraterone酢酸エステル、Abitrexate(Methotrexate)、Abraxane(Paclitaxelアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、AC-T、Adcetris(Brentuximab Vedotin)、ADE、Ado-Trastuzumab Emtansine、Adriamycin(Doxorubicin塩酸塩)、Afatinibジマレイン酸エステル、Afinitor(Everolimus)、Akynzeo(NetupitantおよびPalonosetron塩酸塩)、Aldara(Imiquimod)、Aldesleukin、Alecensa(Alectinib)、Alectinib、Alemtuzumab、Alimta(Pemetrexed2ナトリウム)、Aliqopa(Copanlisib塩酸塩)、注入用Alkeran(Melphalan塩酸塩)、Alkeran錠剤(Melphalan)、Aloxi(Palonosetron塩酸塩)、Alunbrig(Brigatinib)、Ambochlorin(Chlorambucil)、Amboclorin Chlorambucil)、Amifostine、アミノレブリン酸、Anastrozole、Aprepitant、Aredia(Pamidronate2ナトリウム)、Arimidex(Anastrozole)、Aromasin(Exemestane),Arranon(Nelarabine)、Arsenic Trioxide、Arzerra(Ofatumumab)、Erwinia chrysanthemiアスパラギナーゼ、Atezolizumab、Avastin(Bevacizumab)、Avelumab、Axitinib、Azacitidine、Bavencio(Avelumab)、BEACOPP、Becenum(Carmustine)、Beleodaq(Belinostat)、Belinostat、Bendamustine塩酸塩、BEP、Besponsa(Inotuzumab Ozogamicin)、Bevacizumab、Bexarotene、Bexxar(TositumomabおよびIodine I 131 Tositumomab)、Bicalutamide、BiCNU(Carmustine)、Bleomycin、Blinatumomab、Blincyto(Blinatumomab)、Bortezomib、Bosulif(Bosutinib)、Bosutinib、Brentuximab Vedotin、Brigatinib、BuMel、Busulfan、Busulfex(Busulfan)、Cabazitaxel、Cabometyx(Cabozantinib-S-マレエート)、Cabozantinib-S-マレエート、CAF、Campath(Alemtuzumab)、Camptosar、(Irinotecan塩酸塩)、Capecitabine、CAPOX、Carac(Fluorouracil-局所用)、Carboplatin、CARBOPLATIN-TAXOL、Carfilzomib、Carmubris(Carmustine)、Carmustine、Carmustine Implant、Casodex(Bicalutamide)、CEM、Ceritinib、Cerubidine(Daunorubicin塩酸塩)、Cervarix(組換え HPV二価ワクチン)、Cetuximab、CEV、Chlorambucil、CHLORAMBUCIL-PREDNISONE、CHOP、Cisplatin、Cladribine、Clafen(Cyclophosphamide)、Clofarabine、Clofarex(Clofarabine)、Clolar(Clofarabine)、CMF、Cobimetinib、Cometriq(Cabozantinib-S-マレエート)、Copanlisib塩酸塩、COPDAC、COPP、COPP-ABV、Cosmegen(Dactinomycin)、Cotellic(Cobimetinib)、Crizotinib、CVP、Cyclophosphamide、Cyfos(Ifosfamide)、Cyramza(Ramucirumab)、Cytarabine、Cytarabineリポソーム、Cytosar-U(Cytarabine)、Cytoxan(Cyclophosphamide)、Dabrafenib、Dacarbazine、Dacogen(Decitabine)、Dactinomycin、Daratumumab、Darzalex(Daratumumab)、Dasatinib、Daunorubicin塩酸塩、Daunorubicin塩酸塩およびCytarabineリポソーム、Decitabine、Defibrotideナトリウム、Defitelio(Defibrotideナトリウム)、Degarelix、Denileukin Diftitox、Denosumab、DepoCyt(Cytarabineリポソーム)、Dexamethasone、Dexrazoxane塩酸塩、Dinutuximab、Docetaxel、Doxil(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、Doxorubicin塩酸塩、Doxorubicin塩酸塩リポソーム、Dox-SL(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(Dacarbazine)、Durvalumab、Efudex(Fluorouracil-局所用)、Elitek(Rasburicase)、Ellence(Epirubicin塩酸塩)、Elotuzumab、Eloxatin(Oxaliplatin)、Eltrombopag Olamine、Emend(Aprepitant)、Empliciti(Elotuzumab)、Enasidenibメシレート、Enzalutamide、Epirubicin塩酸塩、EPOCH、Erbitux(Cetuximab)、Eribulinメシレート、Erivedge(Vismodegib)、Erlotinib塩酸塩、Erwinaze(Erwinia chrysanthemiアスパラギナーゼ)、Ethyol(Amifostine)、Etopophos(Etoposide Phosphate)、Etoposide、Etoposide Phosphate、Evacet(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、Everolimus、Evista、(Raloxifene塩酸塩)、Evomela(Melphalan塩酸塩)、Exemestane、5-FU(Fluorouracil注入用)、5-FU(Fluorouracil-局所用)、Fareston(Toremifene)、Farydak(Panobinostat)、Faslodex(Fulvestrant)、FEC、Femara(Letrozole)、Filgrastim、Fludara(Fludarabineホスフェート)、Fludarabine Phosphate、Fluoroplex(Fluorouracil-局所用)、Fluorouracil Injection、Fluorouracil-局所用、Flutamide、Folex(Methotrexate)、Folex PFS(Methotrexate)、FOLFIRI、FOLFIRI-BEVACIZUMAB、FOLFIRI-CETUXIMAB、FOLFIRINOX、FOLFOX、Folotyn(Pralatrexate)、FU-LV、Fulvestrant、Gardasil(組換えHPV四価ワクチン)、Gardasil 9(組換えHPV九価ワクチン)、Gazyva(Obinutuzumab)、Gefitinib、Gemcitabine塩酸塩、GEMCITABINE-CISPLATIN、GEMCITABINE-OXALIPLATIN、Gemtuzumab Ozogamicin、Gemzar(Gemcitabine塩酸塩)、Gilotrif(Afatinibジマレエート)、Gleevec(Imatinibメシレート)、Gliadel(Carmustineインプラント)、Gliadel wafer(Carmustineインプラント)、Glucarpidase、Goserelin酢酸エステル、Halaven(Eribulinメシレート)、Hemangeol(Propranolol塩酸塩)、Herceptin(Trastuzumab)、HPV二価ワクチン、組換え、HPV九価ワクチン、組換え、HPV四価ワクチン、組換え、Hycamtin(Topotecan塩酸塩)、Hydrea(Hydroxyurea)、Hydroxyurea、Hyper-CVAD、Ibrance(Palbociclib)、Ibritumomab Tiuxetan、Ibrutinib、ICE、Iclusig(Ponatinib塩酸塩)、Idamycin(Idarubicin塩酸塩)、Idarubicin塩酸塩、Idelalisib、Idhifa(Enasidenibメシレート)、Ifex(Ifosfamide)、Ifosfamide、Ifosfamidum(Ifosfamide)、IL-2(Aldesleukin)、Imatinibメシレート、Imbruvica(Ibrutinib)、Imfinzi(Durvalumab)、Imiquimod、Imlygic(Talimogene Laherparepvec)、Inlyta(Axitinib)、Inotuzumab Ozogamicin、Interferon Alfa-2b、組換え、インターロイキン-2(Aldesleukin)、イントロンA(組換えインターフェロンα-2b)、Iodine I 131 TositumomabおよびTositumomab、Ipilimumab、Iressa(Gefitinib)、Irinotecan塩酸塩、Irinotecan塩酸塩リポソーム、Istodax(Romidepsin)、Ixabepilone、Ixazomib Citrate、Ixempra(Ixabepilone)、Jakafi(Ruxolitinibホスフェート)、JEB、Jevtana(Cabazitaxel)、Kadcyla(Ado-Trastuzumab Emtansine)、Keoxifene(Raloxifene塩酸塩)、Kepivance(Palifermin)、Keytruda(Pembrolizumab)、Kisqali(Ribociclib)、Kymriah(Tisagenlecleucel)、Kyprolis(Carfilzomib)、Lanreotide酢酸エステル、Lapatinib Ditosylate、Lartruvo(Olaratumab)、Lenalidomide、Lenvatinibメシレート、Lenvima(Lenvatinibメシレート)、Letrozole、Leucovorin Calcium、Leukeran(Chlorambucil)、Leuprolide酢酸エステル、Leustatin(Cladribine)、Levulan(Aminolevulinic Acid)、Linfolizin(Chlorambucil)、LipoDox(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、Lomustine、Lonsurf(Trifluridine and Tipiracil塩酸塩)、Lupron(Leuprolide酢酸エステル)、Lupron Depot(Leuprolide酢酸エステル)、Lupron Depot-Ped(Leuprolide酢酸エステル)、Lynparza(Olaparib)、Marqibo(Vincristine Sulfateリポソーム)、M



atulane(Procarbazine塩酸塩)、Mechlorethamine塩酸塩、Megestrol酢酸エステル、Mekinist(Trametinib)、Melphalan、Melphalan塩酸塩、Mercaptopurine、Mesna、Mesnex(Mesna)、Methazolastone(Temozolomide)、Methotrexate、Methotrexate LPF(Methotrexate)、Methylnaltrexone Bromide、Mexate(Methotrexate)、Mexate-AQ(Methotrexate)、Midostaurin、マイトマイシンC、Mitoxantrone塩酸塩、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP、Mozobil(Plerixafor)、Mustargen(Mechlorethamine塩酸塩)、Mutamycin(マイトマイシンC)、Myleran(Busulfan)、Mylosar(Azacitidine)、Mylotarg(Gemtuzumab Ozogamicin)、Nanoparticle Paclitaxel(Paclitaxelアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、Navelbine(Vinorelbineシュセキ酸エステル)、Necitumumab、Nelarabine、Neosar(Cyclophosphamide)、Neratinib Maleate、Nerlynx(Neratinibマレエート)、NetupitantおよびPalonosetron塩酸塩、Neulasta(Pegfilgrastim)、Neupogen(Filgrastim)、Nexavar(Sorafenib Tosylate)、Nilandron(Nilutamide)、Nilotinib、Nilutamide、Ninlaro(Ixazomib Citrate)、Niraparibトシレート一水和物、Nivolumab、Nolvadex(Tamoxifenシトレート)、Nplate(Romiplostim)、Obinutuzumab、Odomzo(Sonidegib)、OEPA、Ofatumumab、OFF、Olaparib、Olaratumab、Omacetaxine Mepesuccinate、Oncaspar(Pegaspargase)、Ondansetron塩酸塩、Onivyde(Irinotecan塩酸塩リポソーム)、Ontak(Denileukin Diftitox)、Opdivo(Nivolumab)、OPPA、Osimertinib、Oxaliplatin、Paclitaxel、Paclitaxelアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、Palbociclib、Palifermin、Palonosetron塩酸塩、Palonosetron塩酸塩およびNetupitant、Pamidronate2ナトリウム、Panitumumab、Panobinostat、Paraplat(Carboplatin)、Paraplatin(Carboplatin)、Pazopanib塩酸塩、PCV、PEB、Pegaspargase、Pegfilgrastim、Peginterferon Alfa-2b、PEG-イントロン(Peginterferon Alfa-2b)、Pembrolizumab、Pemetrexed Disodium、Perjeta(Pertuzumab)、Pertuzumab、Platinol(Cisplatin)、Platinol-AQ(Cisplatin)、Plerixafor、Pomalidomide、Pomalyst(Pomalidomide)、Ponatinib塩酸塩、Portrazza(Necitumumab)、Pralatrexate、Prednisone、Procarbazine塩酸塩、Proleukin(Aldesleukin)、Prolia(Denosumab)、Promacta(Eltrombopag Olamine)、Propranolol塩酸塩、Provenge(Sipuleucel-T)、Purinethol(Mercaptopurine)、Purixan(Mercaptopurine)、Radium 223 Dichloride、Raloxifene塩酸塩、Ramucirumab、Rasburicase、R-CHOP、R-CVP、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)九価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)四価ワクチン、組換えインターフェロンα-2b、Regorafenib、Relistor(臭化Methylnaltrexone)、R-EPOCH、Revlimid(Lenalidomide)、Rheumatrex(Methotrexate)、Ribociclib、R-ICE、Rituxan(Rituximab)、Rituxan Hycela(Rituximabおよびヒトヒアルロニダーゼ)、Rituximab、Rituximabおよびヒトヒアルロニダーゼ、Rolapitant塩酸塩、Romidepsin、Romiplostim、Rubidomycin(Daunorubicin塩酸塩)、Rubraca(Rucaparibカムシレート)、Rucaparibカムシレート、Ruxolitinibホスフェート、Rydapt(Midostaurin)、Sclerosol胸腔内エアゾール(Talc)、Siltuximab、Sipuleucel-T、Somatuline Depot(Lanreotide酢酸エステル)、Sonidegib、Sorafenibトシレート、Sprycel(Dasatinib)、STANFORD V、滅菌タルク粉末(Talc)、Steritalc(Talc)、Stivarga(Regorafenib)、Sunitinibマレエート、Sutent(Sunitinibマレエート)、Sylatron(Peginterferon Alfa-2b)、Sylvant(Siltuximab)、Synribo(Omacetaxine メペスクシネート)、Tabloid(Thioguanine)、TAC、Tafinlar(Dabrafenib)、Tagrisso(Osimertinib)、Talc、Talimogene Laherparepvec、Tamoxifenシトレート、Tarabine PFS(Cytarabine)、Tarceva(Erlotinib塩酸塩)、Targretin(Bexarotene)、Tasigna(Nilotinib)、Taxol(Paclitaxel)、Taxotere(Docetaxel)、Tecentriq、(Atezolizumab)、Temodar(Temozolomide)、Temozolomide、Temsirolimus、Thalidomide、Thalomid(Thalidomide)、Thioguanine、Thiotepa、Tisagenlecleucel、Tolak(Fluorouracil-局所用)、Topotecan塩酸塩、Toremifene、Torisel(Temsirolimus)、Tositumomabおよびヨウ素131 Tositumomab、Totect(Dexrazoxane塩酸塩)、TPF、Trabectedin、Trametinib、Trastuzumab、Treanda(Bendamustine塩酸塩)、TrifluridineおよびTipiracil塩酸塩、Trisenox(三酸化ヒ素)、Tykerb(Lapatinibジトシレート)、Unituxin(Dinutuximab)、Uridine Triacetate、VAC、Vandetanib、VAMP、Varubi(Rolapitant塩酸塩)、Vectibix(Panitumumab)、VeIP、Velban(Vinblastine Sulfate)、Velcade(Bortezomib)、Velsar(Vinblastineスルフェート)、Vemurafenib、Venclexta(Venetoclax)、Venetoclax、Verzenio(Abemaciclib)、Viadur(Leuprolide酢酸エステル)、Vidaza(Azacitidine)、Vinblastineスルフェート、Vincasar PFS(Vincristineスルフェート)、Vincristineスルフェート、Vincristineスルフェートリポソーム、Vinorelbine酒石酸エステル、VIP、Vismodegib、Vistogard(Uridine三酢酸)、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、Vorinostat、Votrient(Pazopanib塩酸塩)、Vyxeos(Daunorubicin塩酸塩およびCytarabineリポソーム)、Wellcovorin(Leucovorinカルシウム)、Xalkori(Crizotinib)、Xeloda(Capecitabine)、XELIRI、XELOX、Xgeva(Denosumab)、Xofigo(Radium 223 Dichloride)、Xtandi(Enzalutamide)、Yervoy(Ipilimumab)、Yondelis(Trabectedin)、Zaltrap(Ziv-Aflibercept)、Zarxio(Filgrastim)、Zejula(Niraparibトシレート一水和物)、Zelboraf(Vemurafenib)、Zevalin(Ibritumomab Tiuxetan)、Zinecard(Dexrazoxane塩酸塩)、Ziv-Aflibercept、Zofran(Ondansetron塩酸塩)、Zoladex(Goserelin酢酸エステル)、Zoledronic Acid、Zolinza(Vorinostat)、Zometa(Zoledronic Acid)、Zydelig(Idelalisib)、Zykadia(Ceritinib)、および/またはZytiga(アビラテロン(Abiraterone)酢酸エステル)が挙げられる。チェックポイント阻害剤としては、限定されないが、PD-1(ニボルマブ(Nivolumab)(BMS-936558またはMDX1106)、CT-011、MK-3475)、PD-L1(MDX-1105(BMS-936559)、MPDL3280A、MSB0010718C)、PD-L2(rHIgM12B7)、CTLA-4(イピリムマブ(Ipilimumab)(MDX-010)、トレメリムマブ(Tremelimumab)(CP-675,206))、IDO、B7-H3(MGA271)、B7-H4、TIM3、LAG-3(BMS-986016)をブロックする抗体が挙げられる。
【0050】
24.一態様では、本願明細書でまた開示されるのは、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、腫瘍浸潤NK細胞(TINK)、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)または髄浸潤リンパ球(MIL)を活性化する、1つ以上の抗体、サイトカインおよび/または共刺激分子をさらに含む、本明細書で開示されるように、ヒドロゲルマトリックスが開示される。例えば抗体は、抗CD28、CD3、B7-1、B7-2、抗誘導性共刺激因子(ICOS)、ICOSリガンド、抗CD27、CD70、4-1BBL、抗41-BB、抗CD40L、CD40、抗DAP10、抗CD30、CD30L、抗TIM-1、抗TIM-2、抗TIM-3、抗CD44、抗NK1.1、レクチン様転写物-1(LLT-1)、抗CD137、CD48、MICA、抗2B4および抗グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)を含むことができ、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、TNF-αまたはIFN-γを含むことができる。
【0051】
25.開示されるヒドロゲルの1つの利点は、免疫細胞がヒドロゲルと接触した後に、免疫細胞が、例えばキメラ抗原受容体(例えば、がん特異抗原を標的とする抗体またはscFv)、T細胞受容体(例えば抗原特異性T細胞受容体)、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンFcフラグメントまたは抗Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)、NK T細胞受容体などの導入遺伝子を含むよう形質導入され得るということである。T抗原は、腫瘍細胞によって産生されるタンパク質であり、免疫応答(特にT細胞によって媒介される免疫応答)を誘引する。さらなる抗原結合ドメインは、抗体またはT抗原の天然リガンドであり得、または、MHC分子によって提示されるT抗原に由来するペプチドを認識する分子であり得る。さらなる抗原結合ドメインの選択は、治療しようとするがんの具体的なタイプに依存すると考えられる。T抗原は、当該技術分野において周知であり、例えば、膠腫関連抗原、がん胎児性抗原(CEA)、EGFRvIII、IL-llRa、IL-13Ra、EGFR、FAP、B7H3、Kit、CA LX、CS-1、MUC1、BCMA、bcr-abl、HER2、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン、アルファフェトプロテイン(AFP)、ALK、CD19、CD123、サイクリンBl、レクチン反応性AFP、Fos関連抗原1、ADRB3、チログロブリン、EphA2、RAGE-1、RUl、RU2、SSX2、AKAP-4、LCK、OY-TESl、PAX5、SART3、CLL-1、フコシルGM1、GloboH、MN-CA IX、EPCAM、EVT6-AML、TGS5、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、ポリシアル(plysialic)酸、PLAC1、RUl、RU2(AS)、腸カルボキシルエステラーゼ、lewisY、sLe、LY6K、mut hsp70-2、M-CSF、MYCN、RhoC、TRP-2、CYPIBI、BORIS、プロスターゼ(prostase)、前立腺特異抗原(PSA)、PAX3、PAP、NY-ESO-1、LAGE-la、LMP2、NCAM、p53、p53変異体、Ra変異体、gp100、プロステイン(prostain)、OR51E2、PANX3、PSMA、PSCA、Her2/neu、hTERT、HMWMAA、HAVCR1、VEGFR2、PDGFR-ベータ、サバイビン(survivin)およびテロメラーゼ、レグマイン(legumain)、HPV E6,E7、精子タンパク質17、SSEA-4、チロシナーゼ、TARP、WT1、前立腺がん腫瘍抗原-1(PCTA-1)、ML-IAP、MAGE、MAGE-A1,MAD-CT-1、MAD-CT-2、MelanA/MART 1、XAGE1、ELF2M、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、好中性エラスターゼ、肉腫トランスロケーションブレイクポイント、NY-BR-1、ephnnB2、CD20、CD22、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD97、CD171、CD179a、アンドロゲン受容体、FAP、インスリン成長因子(IGF)-I、IGFII、IGF-I受容体、GD2、o-アセチル-GD2、GD3、GM3、GPRC5D、GPR20、CXORF61、葉酸受容体(FRa)、葉酸受容体β、ROR1、Flt3、TAG72、TN Ag、Tie 2、TEM1、TEM7R、CLDN6、TSHR、UPK2およびメソテリンが挙げられる。
【0052】
1.細胞に対する組成物の送達
26.当該技術分野において既知のいかなる手段によっても、免疫細胞の形質導入を行うことができる。一態様では、導入遺伝子(例えばCAR)をコードするウイルスベクターを介して、免疫細胞の形質導入を行うことができる。したがって、一態様では、本明細書で開示されるのは、導入遺伝子(例えば、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体、NK細胞受容体および/またはNK T細胞受容体)をコードするウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)をさらに含む、開示されるいずれかのヒドロゲルが開示される。
【0053】
27.インビトロまたはインビボでの細胞への核酸の送達に使用することができる多くの組成物および方法が存在する。これらの方法および組成物は、主に2つのクラス、すなわちウイルスベースの送達系、および非ウイルスベースの送達系、に分類することができる。例えば、核酸は、多くの直接的な輸送系、例えばエレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、プラスミド、ウイルスベクター、ウイルス核酸、ファージ核酸、ファージ、コスミドなどを介して、または、セルまたは担体、例えばカチオン性リポソームなどによる遺伝性物質の輸送を経て、送達することができる。ウイルスベクターなどのトランスフェクションのための適切な手段、化学トランスフェクタントまたはエレクトロポレーションおよびDNAの直接的拡散などの物理的機械的方法は、例えば、Wolff,J.A.et al.Science 247,1465-1468(1990)、およびWolff,J.A.Nature,352,815-818(1991)に記載されている。かかる方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書において記載される組成物および方法での使用に容易に応用できる。特定の場合においては、方法は、特に大きなDNA分子で機能させるために修飾されると考えられる。さらに、これらの方法は、担体の標的化された特徴を使用することにより、特定の疾患および細胞集団の標的化に使用することができる。
【0054】
(1)レトロウイルスベクター
28.レトロウイルスは、レトロウイルス科のあらゆるタイプ、サブファミリー、属またはトロピズムを含むウイルスファミリーに属する動物ウイルスである。レトロウイルスベクターは、一般に、Verma,I.M.,Retroviral vectors for gene transferに記載されている。
【0055】
29.レトロウイルスは、基本的に、核酸カーゴを内部に包装したパッケージである。核酸カーゴは、そこにパッケージングシグナルを担持し、それにより、複製された娘分子がパッケージコート内に効率的にパッケージングされ得る。パッケージシグナルに加えて、シスにおける複製において、および複製されたウイルスのパッケージングにおいて、必要となる多くの分子が存在する。典型的には、レトロウイルスゲノムは、タンパクコートの作製に関与するgag、pol、およびenv遺伝子を含む。典型的には、gag、polおよびenv遺伝子が、外来DNAと置き換えられ、それが標的細胞へ輸送される。レトロウイルスベクターは、典型的には、パッケージコートへの取り込みのためのパッケージングシグナルと、gag転写単位の開始シグナルを送る配列と、逆転写に必要なエレメント(逆転写のtRNAプライマーを結合するプライマー結合部位を含む)と、DNA合成の間、RNA鎖のスイッチを誘導する末端反復配列と、DNA合成の第2鎖の合成のプライミング部位として機能するプリンリッチな5’→3’LTRと、宿主ゲノムに挿入されるDNA状態のレトロウイルスの挿入を可能にする、LTRの末端付近の特異的な配列と、を含む。gag、polおよびenv遺伝子を除去することにより、約8kbの外来配列がウイルスゲノムに挿入され、逆転写され、複製されて新規なレトロウイルス粒子にパッケージされることが可能となる。この核酸の量は、各転写物のサイズに応じて、1から複数の遺伝子の送達には充分である。挿入物中には、他の遺伝子と一緒に、陽性または陰性選抜マーカーを有することが好ましい。
【0056】
30.ほとんどのレトロウイルスベクターでは、複製機構およびパッケージングタンパク質(gag、polおよびenv)が除去されているため、ベクターは典型的には、それらをパッケージングする細胞系に導入することによって生成させることができる。パッケージング細胞系は、複製およびパッケージング機構を含むレトロウイルスによってトランスフェクションまたは形質転換される細胞系であるが、いずれのパッケージングシグナルも欠くものである。選択されたDNAを担持するベクターがこれらの細胞系にトランスフェクションされたとき、目的遺伝子を含むベクターは複製され、ヘルパー細胞によってシスで提供される機構によって、新規なレトロウイルス粒子にパッケージされる。機構に係るゲノムは、それらが必要なシグナルを欠いているため、パッケージされない。
【0057】
(2)アデノウイルスベクター
31.複製能を欠くアデノウイルスの構築は、Berkner et al.,J.Virology 61:1213-1220(1987)、Massie et al.,Mol.Cell.Biol.6:2872-2883(1986)、Haj-Ahmad et al.,J.Virology 57:267-274(1986)、Davidson et al.,J.Virology 61:1226-1239(1987)、Zhang”Generation and identification of recombinant adenovirus by liposome-mediated transfection and PCR analysis”BioTechniques 15:868-872(1993)に記載されている。ベクターとしてのこれらのウイルスの使用の利点は、それらが他のタイプの細胞型に拡散することができる範囲が制限されているということであり、それは、それらが最初に感染した細胞中でのみ複製され得るが、新規な感染性ウイルス粒子を形成することができないことによる。組換えアデノウイルスは、気道上皮、肝細胞、血管内皮、CNS実質組織および多くの他の組織部位に対する直接のインビボ送達後に、高効率で遺伝子導入をなし得ることが示されている(Morsy,J.Clin.Invest.92:1580-1586(1993)、Kirshenbaum(J.Clin)。Invest.92:381-387(1993)、Roessler,J.Clin.Invest.92:1085-1092(1993)、Moullier,Nature Genetics 4:154-159(1993)、La Salle,Science 259:988-990(1993)、Gomez-Foix,J.Biol.Chem.267:25129-25134(1992)、Rich,Human Gene Therapy 4:461-476(1993)、Zabner,Nature Genetics 6:75-83(1994)、Guzman,Circulation Research 73:1201-1207(1993)、Bout,Human Gene Therapy 5:3-10(1994)、Zabner,Cell 75:207-216(1993)、Caillaud,Eur.J.Neuroscience 5:1287-1291(1993)、およびRagot,J.Gen.Virology 74:501-507(1993))。組換えアデノウイルスは、特異的な細胞表面受容体へ結合し、その後ウイルスが、受容体を媒介するエンドサイトーシスによって、野生株または複製能を欠くアデノウイルスと同様に内在化されることによって、遺伝子導入を行う
(ChardonnetおよびDales,Virology 40:462-477(1970)、BrownおよびBurlingham,J.Virology 12:386-396(1973)、SvenssonおよびPersson,J.Virology 55:442-449(1985)、Seth et al.,J.Virol.51:650-655(1984)、Seth et al.,Mol.Cell.Biol.4:1528-1533(1984)、Varga et al.,J.Virology 65:6061-6070(1991)、Wickham et al.(Cell 73:309-319(1993))。
【0058】
32.ウイルスベクターは、E1遺伝子を除去されたアデノウイルスに基づくものであり得、またこれらのビリオンは、ヒト293細胞系などの細胞系において生成する。他の好ましい実施形態では、E1およびE3遺伝子の両方がアデノウイルスゲノムから除去される。
【0059】
(3)アデノ随伴ウイルスベクター
33.別のタイプのウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス(AAV)をベースとする。この不完全なパルボウイルスは、それが多くのタイプの細胞に感染することができ、またヒトに非病原性であることから、好ましいベクターである。AAVタイプのベクターは、約4~5kbを輸送することができ、野生型AAVは、19番染色体に(例えばAAV組込み部位1(AAVS1)に)安定的に挿入されることが既知である。この部位特異的組込み特性を有するベクターは、好ましい。このタイプのベクターの特に好ましい実施形態は、Avigen,San Francisco,CAによって製造されるP4.1Cベクターであり、それは、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子HSV-tk、および/またはマーカー遺伝子(例えば緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子)を含むことができる。
【0060】
34.別のタイプのAAVウイルスでは、AAVは、作動可能に異種遺伝子に連結される細胞特異的な発現を誘導するプロモータを含む少なくとも1つのカセットの両側に位置する一対の逆向き末端リピート(ITR)を含む。この文脈では、異種とは、AAVまたはB19パルボウイルスには天然に存在しないヌクレオチド配列または遺伝子のことを指す。
【0061】
35.典型的には、AAVおよびB19コーディング領域が削除され、結果として安全な、細胞毒性のないベクターとなったものである。AAV ITRまたはその修飾物は、感染性および部位特異的組込み能を有するが、細胞毒性はなく、またそのプロモータは細胞特異的な発現を誘導する。米国特許第6,261,834号は、AAVベクターに関連する材料について、参照により本明細書に組み込まれる。
【0062】
36.そこで開示されるベクターは、実質的な毒性なく哺乳類の染色体に組み込まれ得るDNA分子を提供する。
【0063】
37.ウイルスおよびレトロウイルスに挿入された遺伝子は通常、目的の遺伝子産物の発現制御に有用なプロモータ、および/またはエンハンサを含む。プロモータは、一般に、転写開始点に関して比較的固定された位置に存在するときに機能するDNA配列である。プロモータは、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的な相互作用のために必要とされるコアとなるエレメントを含み、また、その上流側にもエレメントおよび応答エレメントを含み得る。
【0064】
(4)大型ペイロード用のウイルスベクター
38.大型のヒトヘルペスウイルスを用いた分子遺伝子的実験の結果、大型の異種DNAフラグメントをクローニングし、伝播させ、ヘルペスウイルスへの感染感受性を有する細胞において確立することができる手段が提供された(Sun et al.,Nature Genetics 8:33-41,1994、CotterおよびRobertson,Curr Opin Mol Ther 5:633-644、1999)。これらの大型のDNAウイルス(単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタイン-バーウイルス(EBV)は、特異的な細胞に>150kbのヒトの異種DNAフラグメントを送達する能力を有する。組換えEBVは、エピソームDNAとして、感染したB細胞内で大型のDNA片として維持されることができる。個々のクローンは330kbまでのヒトゲノム由来挿入物を輸送し、遺伝的にも安定と考えられた。これらのエピソームの維持には、特異的なEBV核タンパク質(EBNA1)が、EBVによる感染の間に構成的に発現されることが必要である。さらに、これらのベクターは、タンパク質を大量にインビトロでトランジェントに産生させるためのトランスフェクションにおいて使用することができる。ヘルペスウイルスアンプリコン系はまた、>220kbのDNAフラグメントをパッケージし、エピソームとしてDNAが安定的に維持され得る細胞に感染させるために使用されている。
【0065】
39.他の有用なシステムとしては、例えば、複製型および宿主限定非複製型のワクシニアウイルスベクターが挙げられる。
【0066】
2.発現系
40.細胞に送達される核酸は、典型的には、発現制御系を含む。例えば、ウイルスおよびレトロウイルス系に挿入された遺伝子は通常、目的の遺伝子産物の発現制御に有用なプロモータ、および/またはエンハンサを含む。プロモータは、一般に、転写開始点に関して比較的固定された位置に存在するときに機能するDNA配列である。プロモータは、RNAポリメラーゼおよび転写因子の基本的な相互作用のために必要とされるコアとなるエレメントを含み、また、その上流側にもエレメントおよび応答エレメントを含み得る。
【0067】
a)ウイルスプロモータおよびエンハンサ
41.哺乳動物宿主細胞において、ベクターからの転写を制御する好ましいプロモータは、各種の給源(例えば、例えばウイルスのゲノム)に由来するものであってもよく、例えば、
ポリオーマ、シミアンウイルス40(SV40)、アデノウイルス、レトロウイルス、B型-肝炎ウイルス、また最も好ましくはサイトメガロウイルス、または、異種哺乳動物由来のプロモータ(例えばベータアクチンプロモータに由来するものであってもよい。SV40ウイルス初期および後期プロモータは、SV40ウイルス複製開始点をも含むSV40制限酵素処理フラグメントとして簡便に得られる(Fiers et al.,Nature,273:113(1978))。ヒトサイトメガロウイルスの即時初期プロモータは、HindIII E制限処理フラグメントとして簡便に得られる(Greenway,P.J.et al.,Gene 18:355-360(1982))。もちろん、宿主細胞または近縁種由来のプロモータも、本発明において有用である。
【0068】
42.エンハンサとは、一般に、転写開始点から不定の距離で機能するDNA配列を指し、それは転写単位の5’側(Laimins,L.et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.78:993(1981))または、3’側(Lusky,M.L.et al.,Mol.Cell Bio.3:1108(1983))のいずれかであり得る。さらに、エンハンサは、イントロン内に存在することもでき(Banerji,J.L.et al.,Cell 33:729(1983))、またコーディング配列自体の内部に存在することもできる(Osborne,T.F.et al.,Mol.Cell Bio.4:1293(1984))。4:それらは通常10~300bp長であり、またそれらはシス(cis)において機能する。エンハンサは、付近のプロモータから行われる転写を増強する機能を果たす。エンハンサはまた、転写調節を媒介する応答エレメントをしばしば含む。プロモータもまた、転写調節を媒介する応答エレメントを含むことができる。エンハンサは、遺伝子の発現調節をしばしば決定づける。哺乳類の遺伝子(グロビン、エラスターゼ、アルブミン、-フェトプロテインおよびインスリン)に由来する多くのエンハンサ配列が現在既知であるが、典型的には、一般的な発現用の、真核細胞ウイルス由来のエンハンサが使用される。好ましい例は、SV40の複製開始点の後期側(100-270bp)のエンハンサ、サイトメガロウイルス初期プロモータエンハンサ、ポリオーマの複製開始点の後期側のエンハンサ、およびアデノウイルスエンハンサである。
【0069】
43.プロモータまたはエンハンサは、それらの機能を開始させる光学的または特異的な化学的イベントによって、特異的に活性化され得る。系は、例えばテトラサイクリンおよびデキサメタゾンなどの試薬によって調節することができる。照射(例えばγ線照射)またはアルキル化化学療法剤への曝露によって、ウイルスベクターの遺伝子発現を強化する方式も存在する。
【0070】
44.特定の実施形態では、転写される転写単位の領域の発現を最大化するための構成的プロモータおよび/またはエンハンサとして、プロモータおよび/またはエンハンサ領域を作用させることができる。特定の構築物では、プロモータおよび/またはエンハンサ領域は、すべてのタイプの真核細胞において活性であるが、但し、それは特定のタイミングで特定のタイプの細胞においてのみ発現される。このタイプの好ましいプロモータは、CMVプロモータ(650塩基)である。他の好ましいプロモータは、SV40プロモータ、サイトメガロウイルス(完全長プロモータ)およびレトロウイルスベクターLTRである。
【0071】
45.すべての特異的な制御エレメントをクローニングし、特異的なタイプの細胞(例えばメラノーマ細胞)において選択的に発現される発現ベクターの構築に使用することができることが、これまで示されている。グリア線維酸性タンパク質(GFAP)プロモータは、グリア由来の細胞において遺伝子を選択的に発現させるために使用されている。
【0072】
46.真核宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、設備、動物、ヒトまたは有核細胞)において使用する発現ベクターはまた、mRNA発現に影響を及ぼし得る転写終結のために必要な配列を含み得る。これらの領域は、組織因子タンパク質をコードするmRNAの非翻訳部分においてポリアデニル化セグメントとして転写される。3’非翻訳領域はまた、転写終結部位を含む。転写単位は、ポリアデニル化領域も含むことが好ましい。この領域の1つの利益は、転写された単位がmRNAのように処理され輸送される可能性を増加させるということである。ポリアデニル化シグナルの同定および発現構築物中での使用は、十分に確立されている。導入する遺伝子構築物においては、同種のポリアデニル化シグナルを使用することが好ましい。特定の転写単位では、ポリアデニル化領域は、SV40の初期ポリアデニル化シグナルに由来し、約400塩基からなる。また、転写された単位が、他の標準配列を含み、それが単独でまたは上記の配列との組み合わせで、構築物からの発現を改善し、または安定化させることも好ましい。
【0073】
b)マーカー
47.ウイルスベクターは、マーカー産物をコードする核酸配列を含むことができる。このマーカー産物は、遺伝子が細胞に送達され、送達された後に発現されたことを判定するために使用される。好ましいマーカー遺伝子は、β-ガラクトシダーゼをコードするE.ColiのlacZ遺伝子、および緑色蛍光タンパク質である。
【0074】
48.いくつかの実施形態では、マーカーは、選抜可能なマーカーであり得る。哺乳動物細胞用の適切な選抜可能マーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)、チミジンキナーゼ、ネオマイシン、ネオマイシン類似体G418、ヒドロマイシンおよびピューロマイシンである。かかる選抜可能マーカーで哺乳動物の宿主細胞が首尾よく形質転換されたとき、選抜圧下に配置された場合に、形質転換された哺乳類宿主細胞は生存することができる。選抜レジメンとして広く使用される、2つの異なるカテゴリーが存在する。第1のカテゴリーは、細胞の代謝、および補充培地から独立した場合に生存能力を有さない変異細胞系の使用、に基づくものである。2つの例として、CHO DHFR-細胞およびマウスLTK-細胞である。これらの細胞は、チミジンまたはヒポキサンチンなどの栄養分の添加がなければ増殖する能力を有さない。これらの細胞は、完全なヌクレオチド合成経路に必要なある種の遺伝子を欠損しているため、欠乏するヌクレオチドが補充培地中に提供されなければ生存することができない。培地を補充することの代替として、完全なDHFRまたはTK遺伝子を、各遺伝子を欠損する細胞に導入することで、それらの増殖要求性を変化させることが行われる。DHFRまたはTK遺伝子によって形質転換されなかった個々の細胞は、非-補充培地中では生存可能ではない。
【0075】
49.選抜方法の第2のカテゴリーは、ドミナント選抜であり、これはいずれのタイプの細胞でも使用される選抜スキームと呼ばれ、変異細胞系の使用を必要としない。これらのスキームは、典型的には、宿主細胞の増殖を抑制する薬剤を使用する。ある新規な遺伝子を有する細胞は、薬剤耐性をもたらすタンパク質を担持し、選抜において生存する。かかるドミナント選抜の例は、薬剤ネオマイシン(Southern P.およびBerg,P.J.,Molec.Appl.Genet.1:327(1982))、ミコフェノール酸(Mulligan,R.C.およびBerg,P.,Science 209:1422(1980))または、ハイグロマイシン(Sugden,B.et al.,Mol.Cell.Biol.5:410-413(1985))の使用である。3つの例は、真核細胞性の調節下で細菌遺伝子を使用し、それぞれ、適切な薬剤であるG418もしくはネオマイシン(ジェネティシン)、xgpt(ミコフェノール酸)またはハイグロマイシンに対する耐性をもたらす。他の例として、ネオマイシン類似体G418およびピューロマイシン(puramycin)が挙げられる。
【0076】
3.医薬担体/医薬製品の送達
50.上記のように、組成物は、医薬的に許容される担体中でインビボ投与することもできる。「医薬的に許容される」とは、生物学的にまたは他の点で望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、その材料は、いかなる望ましくない生物学的作用も引き起こすことなく、またはそれが含まれる医薬組成物の他のいずれの成分とも有害な形で相互作用することなく、核酸またはベクターと共に対象に投与され得る。担体は、当業者に周知であるとおり、当然のことながら、活性成分のいかなる分解も最小限に抑え、対象におけるいかなる有害な副作用も最小限に抑えるように選択されるであろう。
【0077】
51.組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、静脈内投与)、筋肉内注射、腹腔内注射、経皮投与、体外投与などで投与することができ、局所鼻腔内投与または吸入剤による投与を含む。本明細書で使用される場合、「局所鼻腔内投与」は、鼻孔の一方または両方を通じた鼻および鼻腔内への組成物の送達を意味し、噴霧機構もしくは液滴機構による、または核酸もしくはベクターのエアロゾル化を介した送達を含むことができる。吸入剤による組成物の投与は、噴霧機構または液滴機構による送達を介した鼻または口を通じたものであり得る。挿管を介して呼吸器系の任意の領域(例えば、肺)に直接送達することもできる。必要とされる組成物の正確な量は、対象の種、年齢、体重および全身状態、治療下のアレルギー性障害の重症度、使用される特定の核酸またはベクター、その投与形式などに応じて、対象毎に異なるであろう。したがって、すべての組成物に対して正確な量を特定することは不可能である。しかしながら、適切な量は、本明細書の教示があれば、通例の実験のみを使用して、当業者によって決定されることができる。
【0078】
52.組成物の非経口投与は、使用される場合、一般的に注射によって行われることを特徴とする。注射剤は、液体溶液もしくは懸濁液として、注射前の液体中での懸濁液の溶解に好適な固体形態として、またはエマルジョンとして、慣用の形態で調製することができる。比較的最近になって改訂された非経口投与のためのアプローチは、一定の用量が維持されるように徐放または持続放出システムの使用を伴う。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,610,795号を参照されたい。
【0079】
53.材料は、溶液、懸濁液(例えば、微粒子、リポソームまたは細胞中に組み込まれている)の状態であってもよい。これらは、抗体、受容体または受容体リガンドを介して、特定の細胞型を標的とし得る。以下の参考文献は、特定のタンパク質が腫瘍組織を標的とする本技術の使用例である(Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,2:447-451,(1991);Bagshawe,K.D.,Br.J.Cancer,60:275-281,(1989);Bagshawe,et al.,Br.J.Cancer,58:700-703,(1988);Senter,et al.,Bioconjugate Chem.,4:3-9,(1993);Battelli,et al.,Cancer Immunol.Immunother.,35:421-425,(1992);Pietersz and McKenzie,Immunolog.Reviews,129:57-80,(1992);およびRoffler,et al.Biochem.Pharmacol,42:2062-2065,(1991))。ビヒクル、例えば「ステルス」および抗体がコンジュゲートされた他のリポソーム(結腸がん腫への脂質媒介性薬物標的化を含む)、細胞特異的リガンドを介したDNAの受容体媒介性標的化、リンパ球誘導腫瘍標的化、およびインビボでのマウス神経膠腫細胞の高特異的治療レトロウイルス標的化。以下の参考文献は、特定のタンパク質が腫瘍組織を標的とする本技術の使用例である(Hughes et al.,Cancer Research,49:6214-6220,(1989);およびLitzinger and Huang,Biochimica et Biophysica Acta,1104:179-187,(1992))。一般に、受容体は、構成性またはリガンド誘導性のいずれかで、エンドサイトーシスの経路に関与している。これらの受容体は、クラスリンで被覆されたピットに集まり、クラスリンで被覆された小胞を介して細胞内に入り、酸性化されたエンドソームを通過し、その中で受容体は選別され、次いで、細胞表面にリサイクルされるか、細胞内に貯蔵されるか、またはリソソーム中で分解されるかのいずれかである。インターナリゼーション経路は、栄養素の取り込み、活性化タンパク質の除去、高分子のクリアランス、ウイルスおよび毒素の日和見的侵入、リガンドの解離および分解、ならびに受容体レベルの調節などの様々な機能を果たす。多くの受容体は、細胞のタイプ、受容体の濃度、リガンドのタイプ、リガンドの価数、およびリガンドの濃度に応じて、1つ以上の細胞内経路をたどる。受容体媒介性エンドサイトーシスの分子・細胞機序が概説されている(Brown and Greene,DNA and Cell Biology 10:6,399-409(1991))。
【0080】
a)医薬的に許容される担体
54.抗体を含む組成物は、医薬的に許容される担体と組み合わせて治療的に使用することができる。
【0081】
55.好適な担体および該担体の配合は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy (19th ed.)ed.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA 1995において説明されている。典型的には、製剤を等張性にするために、適切な量の医薬的に許容される塩が製剤中で使用される。医薬的に許容される担体の例としては、生理食塩水、リンゲル溶液およびデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。溶液のpHは、好ましくは約5~約8、より好ましくは約7~約7.5である。さらなる担体として、持続放出製剤、例えば、抗体を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、成形品、例えば、フィルム、リポソームまたは微粒子の形態である。ある担体が、例えば、投与される組成物の投与経路および濃度に応じて、より好ましいものであり得ることは、当業者に自明であろう。
【0082】
56.医薬担体は、当業者に既知である。これらは、最も典型的には、無菌水、生理食塩水および生理的pHで緩衝化された溶液などの溶液を含む、ヒトへの薬物投与のための標準的な担体であろう。組成物は、筋肉内投与にまたは皮下投与することができる。他の化合物は、当業者によって使用される標準的な手順に従って投与されるであろう。
【0083】
57.医薬組成物は、選択された分子に加えて、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝剤、保存剤および界面活性剤などを含み得る。医薬組成物は、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔剤などの1種以上の活性成分も含み得る。
【0084】
58.医薬組成物は、局所的または全身的な治療が所望されるか否か、および治療されるべき領域に応じて、いくつかの方式で投与され得る。投与は、局所的(点眼、経膣、直腸内、経鼻を含む)、経口的、吸入により、または非経口的、例えば、点滴、皮下、腹腔内または筋肉内注射により行うことができる。開示された抗体は、静脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、腔内投与、または経皮投与することができる。
【0085】
59.非経口投与のための調製物として、滅菌水性溶液または非水性溶液、懸濁液およびエマルジョンが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの注射可能な有機エステルである。水性担体として、生理食塩水および緩衝化媒体を含む、水、アルコール性/水性溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、デキストロースリンゲル液、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸リンゲル液、または不揮発性油が挙げられる。静脈内ビヒクルとして、流体および栄養素補充液、電解質補充液(デキストロースリンゲル液をベースとするものなど)などが挙げられる。保存剤および他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤および不活性ガスなども存在し得る。
【0086】
60.局所投与用の製剤として、軟膏、ローション、クリーム、ジェル、ドロップ、坐剤、スプレー、液体および粉末が挙げられ得る。慣用の医薬担体、水性、粉末または油性の基剤、増粘剤などが必要であり得るか、または望ましくあり得る。
【0087】
61.経口投与用の組成物として、粉末もしくは顆粒、水もしくは非水性媒体中の懸濁液もしくは溶液、カプセル、サシェまたは錠剤が挙げられる。増粘剤、着香剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤または結合剤が望ましいことがあり得る。
【0088】
62.組成物のいくつかは、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸およびリン酸などの無機酸、ならびにギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸およびフマル酸などの有機酸との反応によって、または水酸化ナトリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カリウムなどの無機塩基、ならびにモノ、ジ、トリアルキルアミンおよびアリールアミンおよび置換されたエタノールアミンなどの有機塩基との反応によって形成される、医薬的に許容される酸または塩基付加塩として潜在的に投与され得る。
【0089】
b)治療用途
63.組成物を投与するための有効用量およびスケジュールは実験により決定され得、そのような決定を行うことは当該技術分野の技術の範疇である。組成物の投与のための用量範囲は、障害の症状が影響を受ける所望の効果を生じるのに十分大きな投与量範囲である。用量は、望ましくない交差反応、アナフィラキシー型反応などの副作用を引き起こすほど多いものであってはならない。一般的に、用量は、患者の年齢、状態、性別、疾患の程度、投与経路により、または他の薬物がレジメンに含まれているか否かで異なり、当業者によって決定されることができる。用量は、任意の禁忌の場合には、個々の医師によって調整されることができる。用量は変えることができ、1日または数日間で、毎日1回以上の用量投与で投与されることができる。所与の部類の医薬製品の適切な用量については、文献に手引きを見出すことができる。例えば、抗体の適切な用量を選択する上での手引きは、抗体の治療用途に関する文献、例えば、Handbook of Monoclonal Antibodies,Ferrone et al.,eds.,Noges Publications,Park Ridge,N.J.,(1985)ch.22 and pp.303-357;Smith et al.,Antibodies in Human Diagnosis and Therapy,Haber et al.,eds.,Raven Press,New York(1977)pp.365-389中に見出すことができる。単独で使用される抗体の典型的な一日用量は、上記の要因に応じて、1日当たり約1μg/kg~最大100mg/kg(体重)またはそれを超える範囲であり得る。
【0090】
C.免疫細胞を形質導入する方法
64.開示されるヒドロゲルは、ヒドロゲルに免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、TINK、TILおよび/またはMIL)を誘引して、免疫細胞のインビボ形質導入を生じさせるために使用することができることが理解され、また本明細書においても意図される。一態様では、本明細書で開示されるのは、対象の免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、TINK、TILまたはMIL)を形質導入する方法であり、方法は、対象に対して、1つ以上の化学誘引物質(例えば、CCL1、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、CXCL1、CXCL9、CXCL10、CXCL11、CXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP2)と、導入遺伝子(例えば、CAR、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンのFcフラグメントまたは抗Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)、T細胞受容体(例えば抗原特異的なT細胞受容体)またはNK T細胞受容体)をコードするウイルスベクター(例えばレンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルス)と、を含むヒドロゲルを投与することを含む。
【0091】
65.ウイルスベクターは、対象に対する投与前に、または対象へのヒドロゲルマトリックスの投与後、約1日~約14日目に、ヒドロゲルマトリックスに導入することができることが理解され、また本明細書においても意図される。すなわち、ウイルスベクターは、インビボでヒドロゲルに導入することができる。例えば、ウイルスベクターは、ヒドロゲルのゲル化中、ゲル化後、但し対象に対するヒドロゲルの投与前に、または、対象へのヒドロゲルの投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日において、導入することができる。
【0092】
66.開示される化学誘引物質が、時間経過と共にヒドロゲル中に浸出または放出され、ヒドロゲルに免疫細胞を誘引することが理解され、また本明細書においても意図され、当該免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、TINK、TILまたはMIL)は、キメラ抗原受容体、NK T細胞受容体、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンのFcフラグメントまたは抗Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)またはT細胞受容体(抗原特異性T細胞受容体を含むがこれに限定されない)などの導入遺伝子によって形質導入することができる。一態様では、化学誘引物質の放出は、ヒドロゲルの投与後1時間から、ヒドロゲルの投与後約12週間とすることができる。例えば、化学誘引物質の放出は、ヒドロゲルの投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、28、30、36、42、48、60、72時間、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、30、31日、5、6、7、8、9、10、11または12週間とすることができる。したがって、一態様では、本明細書で開示されるのは、免疫細胞を形質導入する方法であり、1つ以上の化学誘引物質がヒドロゲルの投与後約1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間放出される。化学誘引物質の放出時間は、ゲル化前またはゲル化後に、化学誘引物質をヒドロゲルポリマーに添加することによって調節されることができ、その際、ゲル化後の添加は、化学誘引物質の迅速な放出時間をもたらし、またゲル化中もしくはゲル化前におけるポリマーへの添加は、遅い放出をもたらす。
【0093】
67.一態様では、免疫細胞は、さらなる刺激を行うことで、細胞が維持されるか、または治療のために当該免疫細胞が活性化される、という利益を得ることができると認識される。したがって、一態様では、本明細書で開示されるのは、形質導入する方法であり、ヒドロゲルは、細胞、NK細胞、NK T細胞、樹枝状の細胞、マクロファージ、TINK、TILまたはMILを活性化する1つ以上の抗体、サイトカインおよび/またはT共刺激分子をさらに含む。例えば抗体は、抗CD28、CD3、B7-1、B7-2、抗誘導性共刺激因子(ICOS)、ICOSリガンド、抗CD27、CD70、4-1BBL、抗41-BB、抗CD40L、CD40、抗DAP10、抗CD30、CD30L、抗TIM-1、抗TIM-2、抗TIM-3、抗CD44、抗NK1.1、レクチン様転写物-1(LLT-1)、抗CD137、CD48、MICA、抗2B4および抗グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体関連タンパク質(GITR)を含むことができ、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、TNF-αまたはIFN-γを含むことができる。
【0094】
D.がんを治療する方法
68.一態様では、本明細書で開示されるのは、本明細書に開示される生体応答性ヒドロゲルマトリックスのいずれかを対象に投与することを含む、対象におけるがんまたは転移を、治療、予防、阻害、および/または低減する方法である。例えば、本明細書で開示されるのは、対象に1つ以上の化学誘引物質を含むヒドロゲルマトリックスを投与することを含む主題のがんの治療方法であり、1つ以上の化学誘引物質は、C-Cモチーフケモカインリガンド(CCL)1(CCL1)、CCL5、CCL19、CCL21、CCL22、CCL28、C-X-Cモチーフケモカインリガンド(CXCL)1(CXCL1)、CXCL9、CXCL10、CXCL11、またはCXCL CXCLCXCL12、M-CSF、GM-CSF、MCP-1、MCP-3、CCL2、CCL3、CCL7、CCL20、CX3CL1、BRAK、IL-12、S1P、および/またはMCP212を含み、化学誘引物質は、ヒドロゲルに免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、TINK、TILまたはMIL)を誘引し、保持する。
【0095】
69.一態様では、本明細書において開示されるがんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する方法で使用されるヒドロゲルマトリックスは、キメラ抗原受容体(CAR)、NK細胞受容体(抗CD3抗体、CD1d、イムノグロブリンのFcフラグメントまたは抗Fcγ受容体(FcγRIII)抗体を含むが、これに限定されない)、NK T細胞受容体またはT細胞受容体(TCR)(抗原特異性T細胞受容体を含むが、これに限定されない)をコードするウイルスベクターをさらに含むことができる。一態様では、ウイルスベクターは、免疫細胞に形質導入し、形質導入された免疫細胞は、ヒドロゲルからがんに対して放出される。ウイルスベクターは、対象に対する投与前に、または対象へのヒドロゲルマトリックスの投与後、約1日~約14日目に、ヒドロゲルマトリックスに導入することができることが理解され、また本明細書においても意図される。すなわち、ウイルスベクターは、インビボでヒドロゲルに導入することができる。例えば、ウイルスベクターは、ヒドロゲルのゲル化中、ゲル化後、但し対象に対するヒドロゲルの投与前に、または、対象へのヒドロゲルの投与後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21日において、導入することができる。
【0096】
70.開示される化学誘引物質は、時間経過と共にヒドロゲル中に浸出するかまたは放出され、ヒドロゲルに免疫細胞を誘引し、当該免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、TINK、TILまたはMIL)が導入遺伝子(例えば、キメラ抗原受容体、T細胞受容体、NK細胞受容体および/またはNK T細胞受容体)によって形質導入され得ることが理解され、また本明細書において意図される。一態様では、化学誘引物質の放出は、ヒドロゲルの投与後1時間から、ヒドロゲルの投与後約12週間とすることができる。例えば、化学誘引物質の放出は、ヒドロゲルの投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、28、30、36、42、48、60、72時間、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、30、31日、5、6、7、8、9、10、11または12週間とすることができる。一態様では、本明細書で開示されるのは、がんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する方法であり、1つ以上の化学誘引物質は、ヒドロゲルの投与後約1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間放出される。化学誘引物質の放出時間は、ゲル化前またはゲル化後に、化学誘引物質をヒドロゲルポリマーに添加することによって調節されることができ、その際、ゲル化後の添加は、化学誘引物質の迅速な放出時間をもたらし、またゲル化中もしくはゲル化前におけるポリマーへの添加は、遅い放出をもたらす。
【0097】
71.同様に、従来のCAR治療に対する、開示されたヒドロゲルの1つの利点は、CAR T細胞、CAR NK細胞、CAR NK T細胞、CARMA、TINK、MILまたはTILの、腫瘍微小環境への遅い発散であることが理解され、また本明細書においても意図される。免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、NK T細胞、樹状細胞、マクロファージ、TINK、TILまたはMIL)の放出が、ヒドロゲルの投与後1時間~ヒドロゲルの投与後約12週間とすることができることが理解され、また本明細書において意図される。例えば、化学誘引物質の放出は、ヒドロゲルの投与後、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、28、30、36、42、48、60、72時間、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、28、30、31日、5、6、7、8、9、10、11または12週間とすることができる。したがって、一態様では、本明細書で開示されるのは、がんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する方法であり、免疫細胞は、ヒドロゲルの投与後約1週間~約12週間放出される。
【0098】
72.開示されるがんまたは転移を治療、予防、阻害および/または低減する方法で使用される開示されたヒドロゲルマトリックスが、1つ以上の免疫ブロック阻害剤および/または化学療法剤をさらに含むことができることが理解され、また本明細書において意図される。開示されるヒドロゲルマトリックスで使用され得る化学療法剤としては、いかなる化学療法剤であってもよく、限定されないが、以下のもの:
Abemaciclib、Abiraterone酢酸エステル、Abitrexate(Methotrexate)、Abraxane(Paclitaxelアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、ABVD、ABVE、ABVE-PC、AC、AC-T、Adcetris(Brentuximab Vedotin)、ADE、Ado-Trastuzumab Emtansine、Adriamycin(Doxorubicin塩酸塩)、Afatinibジマレイン酸エステル、Afinitor(Everolimus)、Akynzeo(NetupitantおよびPalonosetron塩酸塩)、Aldara(Imiquimod)、Aldesleukin、Alecensa(Alectinib)、Alectinib、Alemtuzumab、Alimta(Pemetrexed2ナトリウム)、Aliqopa(Copanlisib塩酸塩)、注入用Alkeran(Melphalan塩酸塩)、Alkeran錠剤(Melphalan)、Aloxi(Palonosetron塩酸塩)、Alunbrig(Brigatinib)、Ambochlorin(Chlorambucil)、Amboclorin Chlorambucil)、Amifostine、アミノレブリン酸、Anastrozole、Aprepitant、Aredia(Pamidronate2ナトリウム)、Arimidex(Anastrozole)、Aromasin(Exemestane),Arranon(Nelarabine)、Arsenic Trioxide、Arzerra(Ofatumumab)、Erwinia chrysanthemiアスパラギナーゼ、Atezolizumab、Avastin(Bevacizumab)、Avelumab、Axitinib、Azacitidine、Bavencio(Avelumab)、BEACOPP、Becenum(Carmustine)、Beleodaq(Belinostat)、Belinostat、Bendamustine塩酸塩、BEP、Besponsa(Inotuzumab Ozogamicin)、Bevacizumab、Bexarotene、Bexxar(TositumomabおよびIodine I 131 Tositumomab)、Bicalutamide、BiCNU(Carmustine)、Bleomycin、Blinatumomab、Blincyto(Blinatumomab)、Bortezomib、Bosulif(Bosutinib)、Bosutinib、Brentuximab Vedotin、Brigatinib、BuMel、Busulfan、Busulfex(Busulfan)、Cabazitaxel、Cabometyx(Cabozantinib-S-マレエート)、Cabozantinib-S-マレエート、CAF、Campath(Alemtuzumab)、Camptosar、(Irinotecan塩酸塩)、Capecitabine、CAPOX、Carac(Fluorouracil-局所用)、Carboplatin、CARBOPLATIN-TAXOL、Carfilzomib、Carmubris(Carmustine)、Carmustine、Carmustine Implant、Casodex(Bicalutamide)、CEM、Ceritinib、Cerubidine(Daunorubicin塩酸塩)、Cervarix(組換えHPV二価ワクチン)、Cetuximab、CEV、Chlorambucil、CHLORAMBUCIL-PREDNISONE、CHOP、Cisplatin、Cladribine、Clafen(Cyclophosphamide)、Clofarabine、Clofarex(Clofarabine)、Clolar(Clofarabine)、CMF、Cobimetinib、Cometriq(Cabozantinib-S-マレエート)、Copanlisib塩酸塩、COPDAC、COPP、COPP-ABV、Cosmegen(Dactinomycin)、Cotellic(Cobimetinib)、Crizotinib、CVP、Cyclophosphamide、Cyfos(Ifosfamide)、Cyramza(Ramucirumab)、Cytarabine、Cytarabineリポソーム、Cytosar-U(Cytarabine)、Cytoxan(Cyclophosphamide)、Dabrafenib、Dacarbazine、Dacogen(Decitabine)、Dactinomycin、Daratumumab、Darzalex(Daratumumab)、Dasatinib、Daunorubicin塩酸塩、Daunorubicin塩酸塩およびCytarabineリポソーム、Decitabine、Defibrotideナトリウム、Defitelio(Defibrotideナトリウム)、Degarelix、Denileukin Diftitox、Denosumab、DepoCyt(Cytarabineリポソーム)、Dexamethasone、Dexrazoxane塩酸塩、Dinutuximab、Docetaxel、Doxil(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、Doxorubicin塩酸塩、Doxorubicin塩酸塩リポソーム、Dox-SL(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、DTIC-Dome(Dacarbazine)、Durvalumab、Efudex(Fluorouracil-局所用)、Elitek(Rasburicase)、Ellence(Epirubicin塩酸塩)、Elotuzumab、Eloxatin(Oxaliplatin)、Eltrombopag Olamine、Emend(Aprepitant)、Empliciti(Elotuzumab)、Enasidenibメシレート、Enzalutamide、Epirubicin塩酸塩、EPOCH、Erbitux(Cetuximab)、Eribulinメシレート、Erivedge(Vismodegib)、Erlotinib塩酸塩、Erwinaze(Erwinia chrysanthemiアスパラギナーゼ)、Ethyol(Amifostine)、Etopophos(Etoposide Phosphate)、Etoposide、Etoposide Phosphate、Evacet(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、Everolimus、Evista、(Raloxifene塩酸塩)、Evomela(Melphalan塩酸塩)、Exemestane、5-FU(Fluorouracil注入用)、5-FU(Fluorouracil-局所用)、Fareston(Toremifene)、Farydak(Panobinostat)、Faslodex(Fulvestrant)、FEC、Femara(Letrozole)、Filgrastim、Fludara(Fludarabineホスフェート)、Fludarabine Phosphate、Fluoroplex(Fluorouracil-局所用)、Fluorouracil Injection、Fluorouracil-局所用、Flutamide、Folex(Methotrexate)、Folex PFS(Methotrexate)、FOLFIRI、FOLFIRI-BEVACIZUMAB、FOLFIRI-CETUXIMAB、FOLFIRINOX、FOLFOX、Folotyn(Pralatrexate)、FU-LV、Fulvestrant、Gardasil(組換えHPV四価ワクチン)、Gardasil 9(組換えHPV九価ワクチン)、Gazyva(Obinutuzumab)、Gefitinib、Gemcitabine塩酸塩、GEMCITABINE-CISPLATIN、GEMCITABINE-OXALIPLATIN、Gemtuzumab Ozogamicin、Gemzar(Gemcitabine塩酸塩)、Gilotrif(Afatinibジマレエート)、Gleevec(Imatinibメシレート)、Gliadel(Carmustineインプラント)、Gliadel wafer(Carmustineインプラント)、Glucarpidase、Goserelin酢酸エステル、Halaven(Eribulinメシレート)、Hemangeol(Propranolol塩酸塩)、Herceptin(Trastuzumab)、HPV二価ワクチン、組換え、HPV九価ワクチン、組換え、HPV四価ワクチン、組換え、Hycamtin(Topotecan塩酸塩)、Hydrea(Hydroxyurea)、Hydroxyurea、Hyper-CVAD、Ibrance(Palbociclib)、Ibritumomab Tiuxetan、Ibrutinib、ICE、Iclusig(Ponatinib塩酸塩)、Idamycin(Idarubicin塩酸塩)、Idarubicin塩酸塩、Idelalisib、Idhifa(Enasidenibメシレート)、Ifex(Ifosfamide)、Ifosfamide、Ifosfamidum(Ifosfamide)、IL-2(Aldesleukin)、Imatinibメシレート、Imbruvica(Ibrutinib)、Imfinzi(Durvalumab)、Imiquimod、Imlygic(Talimogene Laherparepvec)、Inlyta(Axitinib)、Inotuzumab Ozogamicin、Interferon Alfa-2b、組換え、インターロイキン-2(Aldesleukin)、イントロンA(組換えインターフェロンα-2b)、Iodine I 131 TositumomabおよびTositumomab、Ipilimumab、Iressa(Gefitinib)、Irinotecan塩酸塩、Irinotecan塩酸塩リポソーム、Istodax(Romidepsin)、Ixabepilone、Ixazomib Citrate、Ixempra(Ixabepilone)、Jakafi(Ruxolitinibホスフェート)、JEB、Jevtana(Cabazitaxel)、Kadcyla(Ado-Trastuzumab Emtansine)、Keoxifene(Raloxifene塩酸塩)、Kepivance(Palifermin)、Keytruda(Pembrolizumab)、Kisqali(Ribociclib)、Kymriah(Tisagenlecleucel)、Kyprolis(Carfilzomib)、Lanreotide酢酸エステル、Lapatinib Ditosylate、Lartruvo(Olaratumab)、Lenalidomide、Lenvatinibメシレート、Lenvima(Lenvatinibメシレート)、Letrozole、Leucovorin Calcium、Leukeran(Chlorambucil)、Leuprolide酢酸エステル、Leustatin(Cladribine)、Levulan(Aminolevulinic Acid)、Linfolizin(Chlorambucil)、LipoDox(Doxorubicin塩酸塩リポソーム)、Lomustine、Lonsurf(Trifluridine and Tipiracil塩酸塩)、Lupron(Leuprolide酢酸エステル)、Lupron Depot(Leuprolide酢酸エステル)、Lupron Depot-Ped(Leuprolide酢酸エステル)、Lynparza(Olaparib)、Marqibo(Vincristine Sulfateリポソーム)、Ma



tulane(Procarbazine塩酸塩)、Mechlorethamine塩酸塩、Megestrol酢酸エステル、Mekinist(Trametinib)、Melphalan、Melphalan塩酸塩、Mercaptopurine、Mesna、Mesnex(Mesna)、Methazolastone(Temozolomide)、Methotrexate、Methotrexate LPF(Methotrexate)、Methylnaltrexone Bromide、Mexate(Methotrexate)、Mexate-AQ(Methotrexate)、Midostaurin、マイトマイシンC、Mitoxantrone塩酸塩、Mitozytrex(マイトマイシンC)、MOPP、Mozobil(Plerixafor)、Mustargen(Mechlorethamine塩酸塩)、Mutamycin(マイトマイシンC)、Myleran(Busulfan)、Mylosar(Azacitidine)、Mylotarg(Gemtuzumab Ozogamicin)、Nanoparticle Paclitaxel(Paclitaxelアルブミン安定化ナノ粒子製剤)、Navelbine(Vinorelbineシュセキ酸エステル)、Necitumumab、Nelarabine、Neosar(Cyclophosphamide)、Neratinib Maleate、Nerlynx(Neratinibマレエート)、NetupitantおよびPalonosetron塩酸塩、Neulasta(Pegfilgrastim)、Neupogen(Filgrastim)、Nexavar(Sorafenib Tosylate)、Nilandron(Nilutamide)、Nilotinib、Nilutamide、Ninlaro(Ixazomib Citrate)、Niraparibトシレート一水和物、Nivolumab、Nolvadex(Tamoxifenシトレート)、Nplate(Romiplostim)、Obinutuzumab、Odomzo(Sonidegib)、OEPA、Ofatumumab、OFF、Olaparib、Olaratumab、Omacetaxine Mepesuccinate、Oncaspar(Pegaspargase)、Ondansetron塩酸塩、Onivyde(Irinotecan塩酸塩リポソーム)、Ontak(Denileukin Diftitox)、Opdivo(Nivolumab)、OPPA、Osimertinib、Oxaliplatin、Paclitaxel、Paclitaxelアルブミン安定化ナノ粒子製剤、PAD、Palbociclib、Palifermin、Palonosetron塩酸塩、Palonosetron塩酸塩およびNetupitant、Pamidronate2ナトリウム、Panitumumab、Panobinostat、Paraplat(Carboplatin)、Paraplatin(Carboplatin)、Pazopanib塩酸塩、PCV、PEB、Pegaspargase、Pegfilgrastim、Peginterferon Alfa-2b、PEG-イントロン(Peginterferon Alfa-2b)、Pembrolizumab、Pemetrexed Disodium、Perjeta(Pertuzumab)、Pertuzumab、Platinol(Cisplatin)、Platinol-AQ(Cisplatin)、Plerixafor、Pomalidomide、Pomalyst(Pomalidomide)、Ponatinib塩酸塩、Portrazza(Necitumumab)、Pralatrexate、Prednisone、Procarbazine塩酸塩、Proleukin(Aldesleukin)、Prolia(Denosumab)、Promacta(Eltrombopag Olamine)、Propranolol塩酸塩、Provenge(Sipuleucel-T)、Purinethol(Mercaptopurine)、Purixan(Mercaptopurine)、Radium 223 Dichloride、Raloxifene塩酸塩、Ramucirumab、Rasburicase、R-CHOP、R-CVP、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)二価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)九価ワクチン、組換えヒトパピローマウイルス(HPV)四価ワクチン、組換えインターフェロンα-2b、Regorafenib、Relistor(臭化Methylnaltrexone)、R-EPOCH、Revlimid(Lenalidomide)、Rheumatrex(Methotrexate)、Ribociclib、R-ICE、Rituxan(Rituximab)、Rituxan Hycela(Rituximabおよびヒトヒアルロニダーゼ)、Rituximab、Rituximabおよびヒトヒアルロニダーゼ、,Rolapitant塩酸塩、Romidepsin、Romiplostim、Rubidomycin(Daunorubicin塩酸塩)、Rubraca(Rucaparibカムシレート)、Rucaparibカムシレート、Ruxolitinibホスフェート、Rydapt(Midostaurin)、Sclerosol胸腔内エアゾール(Talc)、Siltuximab、Sipuleucel-T、Somatuline Depot(Lanreotide酢酸エステル)、Sonidegib、Sorafenibトシレート、Sprycel(Dasatinib)、STANFORD V、滅菌タルク粉末(Talc)、Steritalc(Talc)、Stivarga(Regorafenib)、Sunitinibマレエート、Sutent(Sunitinibマレエート)、Sylatron(Peginterferon Alfa-2b)、Sylvant(Siltuximab)、Synribo(Omacetaxine メペスクシネート)、Tabloid(Thioguanine)、TAC、Tafinlar(Dabrafenib)、Tagrisso(Osimertinib)、Talc、Talimogene Laherparepvec、Tamoxifenシトレート、Tarabine PFS(Cytarabine)、Tarceva(Erlotinib塩酸塩)、Targretin(Bexarotene)、Tasigna(Nilotinib)、Taxol(Paclitaxel)、Taxotere(Docetaxel)、Tecentriq、(Atezolizumab)、Temodar(Temozolomide)、Temozolomide、Temsirolimus、Thalidomide、Thalomid(Thalidomide)、Thioguanine、Thiotepa、Tisagenlecleucel、Tolak(Fluorouracil-局所用)、Topotecan塩酸塩、Toremifene、Torisel(Temsirolimus)、Tositumomabおよびヨウ素131 Tositumomab、Totect(Dexrazoxane塩酸塩)、TPF、Trabectedin、Trametinib、Trastuzumab、Treanda(Bendamustine塩酸塩)、TrifluridineおよびTipiracil塩酸塩、Trisenox(三酸化ヒ素)、Tykerb(Lapatinibジトシレート)、Unituxin(Dinutuximab)、Uridine Triacetate、VAC、Vandetanib、VAMP、Varubi(Rolapitant塩酸塩)、Vectibix(Panitumumab)、VeIP、Velban(Vinblastine Sulfate)、Velcade(Bortezomib)、Velsar(Vinblastineスルフェート)、Vemurafenib、Venclexta(Venetoclax)、Venetoclax、Verzenio(Abemaciclib)、Viadur(Leuprolide酢酸エステル)、Vidaza(Azacitidine)、Vinblastineスルフェート、Vincasar PFS(Vincristineスルフェート)、Vincristineスルフェート、Vincristineスルフェートリポソーム、Vinorelbine酒石酸エステル、VIP、Vismodegib、Vistogard(Uridine三酢酸)、Voraxaze(グルカルピダーゼ)、Vorinostat、Votrient(Pazopanib塩酸塩)、Vyxeos(Daunorubicin塩酸塩およびCytarabineリポソーム)、Wellcovorin(Leucovorinカルシウム)、Xalkori(Crizotinib)、Xeloda(Capecitabine)、XELIRI、XELOX、Xgeva(Denosumab)、Xofigo(Radium 223 Dichloride)、Xtandi(Enzalutamide)、Yervoy(Ipilimumab)、Yondelis(Trabectedin)、Zaltrap(Ziv-Aflibercept)、Zarxio(Filgrastim)、Zejula(Niraparibトシレート一水和物)、Zelboraf(Vemurafenib)、Zevalin(Ibritumomab Tiuxetan)、Zinecard(Dexrazoxane塩酸塩)、Ziv-Aflibercept、Zofran(Ondansetron塩酸塩)、Zoladex(Goserelin酢酸エステル)、Zoledronic Acid、Zolinza(Vorinostat)、Zometa(Zoledronic Acid)、Zydelig(Idelalisib)、Zykadia(Ceritinib)、および/またはZytiga(アビラテロン(Abiraterone)酢酸エステル)が挙げられる。チェックポイント阻害剤としては、限定されないが、PD-1(ニボルマブ(Nivolumab)(BMS-936558またはMDX1106)、CT-011、MK-3475)、PD-L1(MDX-1105(BMS-936559)、MPDL3280A、MSB0010718C)、PD-L2(rHIgM12B7)、CTLA-4(イピリムマブ(Ipilimumab)(MDX-010)、トレメリムマブ(Tremelimumab)(CP-675,206))、IDO、B7-H3(MGA271)、B7-H4、TIM3、LAG-3(BMS-986016)をブロックする抗体が挙げられる。
【0099】
73.開示された組成物は、がんなどの調節されない細胞増殖が起こる任意の疾病を処置するために使用することができる。開示された組成物を使用して治療可能ながんの、例示的かつ非限定的な一覧は、以下のとおりである:リンパ腫、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、菌状息肉症、ホジキン病、骨髄性白血病、膀胱がん、脳腫瘍、神経系がん、頭頸がん、頭頸部の扁平上皮細胞がん、小細胞肺がんおよび非小細胞肺がんなどの肺がん、神経芽細胞腫/グリア芽腫、卵巣がん、皮膚がん、肝がん、黒色腫、口、喉、喉頭、および肺の扁平上皮細胞がん、子宮頸がん、子宮頸がん、乳がん、および上皮がん、腎がん、泌尿生殖器がん、肺がん、食道がん、頭頸がん腫、大腸がん、造血性がん;精巣がん;大腸がん、直腸がん、前立腺がん、または膵がん。
【実施例
【0100】
E.実施例
74.以下の実施例は、本明細書で特許請求された化合物、組成物、物品、デバイスおよび/または方法がどのように作製され評価されるかの完全な開示および記述を当業者に提供するために提示されており、純粋に例示的であることが意図されており、本開示を限定することは意図されていない。数字(例えば、量、温度など)に関して正確性を確保するための努力がなされているが、一部の誤差および偏差が考慮されるべきである。特に明記しない限り、部は、重量部であり、温度は、℃単位または周囲温度であり、圧力は、大気圧または大気圧に近い。
【0101】
1.実施例1:クリオゲル形成を介する微孔性ゲルの製造
75.アルギネートをグルコン酸カルシウムによって架橋し、-20℃で凍結させる。氷晶の付近でゲル化が生じ、これらの氷晶はポロゲンとして作用する(図2)。足場のマクロ多孔性は、ケモカインの媒介によるT細胞の浸潤を促進し、またウイルス粒子による形質導入のためのインターフェースを提供する。図3は、このようにして調製されたゲルの走査電子顕微鏡写真を示す。
【0102】
2.実施例2:宿主T細胞の媒介された動員およびリプログラミング
76.本実施例では、移植を受けたCXCL10-放出マクロ多孔性足場が、移植されたT細胞を効率的に動員することが実証される(図4Aおよび4B)。また本実施例では、アルギネート足場にプレロードされた活性化ヒトT細胞の約20%が、ウイルスベクターにより形質導入されること(図5Aおよび5B)、ならびに、ゲル内部でCD3/CD28抗体およびIL-2が組み合わせられるときに、移植された2~3百万個のヒトPBMCの1~2%が血流から動員され(図5Cおよび5D)、CD3/CD28抗体およびIL-2が環境因子を提供してT細胞の活性化を促進することが実証される。
【0103】
3.実施例3:足場により媒介されたT細胞のリプログラミングにおけるパラメータを最適化する
77.結果から、化学誘引物質CXCL10の制御された放出により、循環T細胞がインプラント足場へと動員されることが実証される。さらに、活性化T細胞によってプレロードされた足場がウイルスで形質導入され得ることが本明細書で示される。GFPおよびCAR-Tベクターを用い、動員されたT細胞に対するウイルスベクターのインビボ形質導入効率を検討する。
【0104】
4.実施例4:GFPをコードするウイルスベクターによるT細胞のインビボ形質導入の最適化および特徴解析
78.動員されたT細胞を形質導入する封入レトロウイルスベクターの能力を試験することができる。NSGマウス中にヒトPBMC(1×10細胞/マウス)を20日間移植することができる。CXCL10(4μg/mgアルギナート)およびGFPをコードするレトロウイルスベクター(2つの異なる濃度)をロードしたアルギネート足場を、マウスの皮下スペースに移植することができる(n=4)。いくつかの時点(足場の移植後4、6、8日目)で、足場を外植することができ、CD45+CD3+GFP+細胞の頻度をフローサイトメトリーによって評価することができる。対照としては、以下を含めることができる:1)ケモカインなしの空のゲル、および2)偽ウイルス投与。
【0105】
5.実施例5:CAR-T細胞のインサイチュ生成:
79.ケモカインをロードした足場およびCARをコードするウイルスベクターを使用して、CAR-形質導入をインサイチュで行うことができる。T細胞のための最適な動員およびリプログラミング条件を、CARをコードするウイルス構築物で試験することができる。n=10が使用される(「統計分析」のセクションを参照)。足場は、外植することができ、動員された細胞およびCD19.CAR+細胞のパーセンテージは、フローサイトメトリーによって評価することができる。対照としては、以下を含めることができる:1)ケモカインなしの空のゲル、および2)偽ウイルス投与。ウイルスベクターは、インビボでは時間経過と共に分解され得る。かかるシナリオにおいては、ウイルスは、1回以上の緩徐な足場内注入を介して投与することができる。類似の結果は、GFPおよびCARをコードするウイルスベクターからも観察される。
【0106】
80.Hu-PBMC-NSGマウスに対し、CXCL10を有する足場(CCI-Alg)を挿入した。ヒトCD19.CARをコードするγレトロウイルスを、緩徐な足場内注入によって投与した。ウイルス投与の3日後、足場を外植し、消化されおよび単離された細胞をCD3およびCD19抗体で染色し、フローサイトメトリーによって解析する(図6)。図7は、CD19 CARウイルスによる動員されたT細胞のインビボ形質導入を示す。
【0107】
6.実施例6:形質導入されたT細胞の移動の特徴解析:
81.T細胞の動員およびリプログラミング後に、リプログラムされた細胞の血流中への有効的な放出は、治療的機能にとって重要である。体内循環への形質導入されたT細胞の移動効率および動態は、特徴解析することができる。
【0108】
82.形質導入されたT細胞の血流への移動を評価するために、T細胞の動員および形質導入のための足場を担持するマウス(n=12)におけるGFP+またはCAR+T細胞を測定することができる。いくつかの時点(足場インプラント後5、10、15日目)でマウスを殺し、全身性T細胞におけるGFPまたはCARの発現を定量化することができる。最良の条件を、T細胞の動員およびリプログラミングに使用することができる。いくつかの時点で、血液、脾臓、骨髄、流入領域(draining)および末梢リンパ節からT細胞を単離し、フローサイトメトリーによって、CD45+CD3+GFP+またはCD45+CD3+CAR+細胞の頻度および数を評価することができる。対照としては、以下を含めることができる:1)ウイルスを欠く足場、2)GFP+T細胞を事前に播種した足場。足場のマクロ多孔性という性質は、足場から血流へのCAR-T細胞の移動を促進する。移動が遅い場合、またはT細胞が足場内に閉じ込められている場合、リンパ球がコラーゲン繊維に沿って移動することが既知であるように、足場をコラーゲン様ペプチドによって修飾することができる。さらに、アルギネートを慎重に化学的修飾して生分解速度を調整することもでき、また、足場の分解を利用してCAR-Tの放出を増加させることもできる。
【0109】
7.実施例7:統計分析:
83.GFP実験のための動物数は、80%検出力に基づき決定し、両側α=0.05で上記の差を検出した。CAR T細胞のインサイチュ生成のための動物数は、CD19の平均パーセンテージに関する両側95%の信頼区間(CI)に基づき決定し、その際、CIの半値幅は約3.6%、推定SDは約5%であった。
【0110】
8.実施例8:腫瘍モデル
84.Daudi.ffluc細胞(CD19+腫瘍細胞)を使用することにより、NSGマウスを使用して、ヒトバーキットリンパ腫(一種のB細胞リンパ腫)のマウスモデルを開発した(図8)。腫瘍接種後19、24、29、33および43日目にマウスをモニターした。図9Aに示すように、マウスの腫瘍サイズを発光によって観察し、未処理の対照と、アルギネート足場を使用して処理またはi.v.を受容したマウスとの間で比較した。マウスの体重増加およびfluxについても測定を行ったが(図9B)、処理群において識別可能な差は示されなかった。さらに、CD19 CAR T細胞のi.v.投与、またはCCI-アルギネート足場(CCI-Alg)を受けた動物において、腫瘍接種後のいくつかの時点における、CCI足場を移植された、またはCAR-T細胞をi.v.注入されたマウスの血液100μl中のCAR-T細胞数。マウスの頬部から採血し、赤血球を溶血させ、細胞をHu-CD45、Hu-CD3およびCAR.19抗体で染色し、フローサイトメトリーによって解析した(図10)。
【0111】
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
【国際調査報告】