(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(54)【発明の名称】内臓神経の血管内アブレーションの方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20220816BHJP
A61M 25/098 20060101ALI20220816BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/098
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021571583
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(85)【翻訳文提出日】2021-12-01
(86)【国際出願番号】 US2020038934
(87)【国際公開番号】W WO2020257763
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519030774
【氏名又は名称】アクソン セラピーズ,インク.
【氏名又は名称原語表記】AXON THERAPIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】バプナ,アニシャ
(72)【発明者】
【氏名】エンジェルマン,ゾアル,ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】レヴィン,ハワード
(72)【発明者】
【氏名】イラニタラブ,パジャンド
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ケイシー アンドリュウ
(72)【発明者】
【氏名】マクグラス,トーマス ライアン
(72)【発明者】
【氏名】ハヴィエル,マヌエル アルザドン,ジュニア
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK17
4C160KK36
4C160KK38
4C267AA03
4C267BB02
4C267BB43
4C267BB63
4C267CC08
4C267GG24
(57)【要約】
標的組織の経血管アブレーションの為のシステム、デバイス、及び方法。本デバイス及び方法は、幾つかの実施例では、心不全及び高血圧の少なくとも一方を治療する為に内臓神経アブレーションによって内臓静脈の血液キャパシタンスを増やすことに使用されてよい。例えば、本明細書に開示のデバイスは、胸内臓神経(TSN)(例えば、大内臓神経(GSN)又はTSN神経根)の領域にある標的血管まで血管内を進んでいくことが可能である。更に、胸内臓神経を血管内アブレーションして静脈キャパシタンスを増やして肺血圧を下げることによって心不全(HFpEF等)を治療する方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アブレーションカテーテルを、T9、T10、又はT11肋間静脈内の、大内臓神経(GSN)をアブレーションする為の場所に位置決めする方法であって、
患者の、T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの少なくとも1つを含む一部分と、前記患者の脊椎の一部分と、を画像化するステップと、
前記T9、T10、又はT11肋間静脈中にアブレーションカテーテルの遠位セクションを位置決めするステップと、
アブレーションカテーテル放射線不透過性マーカを、前記脊椎の一部分、肋骨、肋椎関節、奇静脈、又は前記奇静脈と前記T9、T10、又はT11肋間静脈との間の静脈口のうちの1つ以上に対して相対的な、前記放射線不透過性マーカの位置に基づく場所に位置決めするステップと、
アブレーションカテーテルアブレーションエレメントからエネルギを送達するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記放射線不透過性マーカを前記脊椎の中線に位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記放射線不透過性マーカは前記アブレーションエレメントの近位側にある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記画像化に基づいて、前記静脈口が前記脊椎の前記中線に対して相対的に左に偏っている場合には、前記放射線不透過性マーカを前記脊椎の前記中線まで遠位方向に進めるステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記放射線不透過性マーカを前記静脈口内に位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放射線不透過性マーカは前記アブレーションエレメントの近位側にある、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記奇静脈が左に偏っているかどうかを前記画像化に基づいて判定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記奇静脈が左に偏っている場合には、前記放射線不透過性マーカを前記脊椎の中線に又はほぼ中線に位置決めする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記奇静脈が右に偏っているかどうかを前記画像化に基づいて判定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記奇静脈が右に偏っている場合には、前記放射線不透過性マーカを、前記肋椎関節又は前記肋骨のうちの少なくとも一方に対して相対的に位置決めするステップを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記放射線不透過性マーカは前記アブレーションエレメントの遠位側にある、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記放射線不透過性マーカが前記肋骨又は前記肋椎関節に対して相対的に遠位方向に離れすぎて位置している場合には、前記アブレーションカテーテルを近位方向に引っ込めるステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記放射線不透過性マーカと前記肋骨又は前記肋椎関節のうちの少なくとも一方との相対位置に基づく場所に前記放射線不透過性マーカを位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記放射線不透過性マーカと前記脊椎の中線との相対位置に基づく場所に前記放射線不透過性マーカを位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記放射線不透過性マーカと、前記奇静脈、又は前記奇静脈と前記T9、T10、又はT11肋間静脈との間の前記静脈口のうちの少なくとも一方と、の相対位置に基づく場所に前記放射線不透過性マーカを位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線不透過性マーカは前記アブレーションエレメントの近位側にある、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記放射線不透過性マーカは前記アブレーションエレメントの遠位側にある、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記アブレーションカテーテルアブレーションエレメントからエネルギを送達するステップによって、少なくとも1つの非標的構造を損傷するリスクを最小限に抑えながら前記GSNがアブレーションされる可能性を高めるような場所に前記アブレーションエレメントを位置決めする、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの非標的構造は、交感神経幹、迷走神経、胸管、又は食道のうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記アブレーションエレメントを交感神経幹の近位側に位置決めする、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記アブレーションエレメントを前記静脈口と前記交感神経幹との間に位置決めする、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
エネルギを送達する前記ステップは、前記放射線不透過性マーカが前記肋骨又は前記肋椎関節にあるか、その近位側にあると判定された後に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記放射線不透過性マーカが前記肋骨又は前記肋椎関節になく、その近位側にもない場合には、前記アブレーションエレメントを近位方向に動かすステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記アブレーションエレメントは近位アブレーションエレメントであり、前記アブレーションカテーテルは更に、遠位アブレーションエレメントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記放射線不透過性マーカが前記肋間静脈内で相対的に遠位側に寄りすぎている場合には、前記遠位アブレーションエレメントからエネルギが送達されない、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記アブレーションエレメントは、軸方向に間隔を空けて配置された第1及び第2のコイル状電極を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
前記アブレーションエレメントはコイル状アブレーション電極を含み、前記放射線不透過性マーカを位置決めする前記ステップは、前記コイル状アブレーション電極の遠位端を、前記T9、T10、又はT11肋間静脈内の、前記静脈口から30mm以内の場所に位置決めする、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの別の肋間静脈まで前記アブレーションエレメントを動かすステップと、前記動かすステップの後に前記別の静脈内にある前記アブレーションエレメントからエネルギを送達するステップと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項29】
アクセス用イントロデューサシースにより、前記患者の頸静脈又は腿静脈にある静脈血管系にアクセスするステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項30】
送達シースを前記奇静脈まで、前記T9、T10、又はT11肋間静脈よりある胸部レベル上方まで送達するステップを更に含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ガイドワイヤを送達シースに通して前記T9、T10、又はT11肋間静脈内まで送達するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項32】
前記アブレーションカテーテルを前記送達シースに通して前記ガイドワイヤで送達するステップを更に含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記画像化ステップ中に前記奇静脈及び前記T9、T10、又はT11肋間静脈の位置を表示する為に前記アブレーションカテーテルから放射線不透過性造影剤を送達するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項34】
前記画像化ステップは、前斜位像で画像化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
前記画像化ステップは、前後方向に画像化するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項36】
前記画像化ステップは、Cアームを右前斜位角度で位置決めするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
前記位置決めステップは、前記Cアームを20~70度の範囲で(任意選択で30~60度の範囲で)位置決めするステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記位置決めステップは、前記アブレーションカテーテル上の軸方向に間隔を空けて配置された第1の場所と第2の場所の間の投射距離を最大化する角度で前記Cアームを位置決めするステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記位置決めステップは、軸方向に間隔を空けて配置された第1の放射線不透過性マーカと第2の放射線不透過性マーカの間の投射距離を最大化する角度で前記Cアームを位置決めするステップを含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記アブレーションエレメントからエネルギを送達するステップは、無線周波エネルギ、超音波エネルギ、化学エネルギ、熱エネルギ、又はエレクトロポレーションエネルギのうちの1つ以上を送達するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
アブレーションエネルギ源が、コンピュータ化されたコントローラと通信している、請求項1に記載の方法。
【請求項42】
前記コンピュータ化されたコントローラにはアルゴリズムが記憶されており、前記アルゴリズムは、前記アブレーションエレメントの少なくとも一部分が奇静脈内に位置しているかどうかを識別するように構成されており、前記奇静脈内の前記位置に基づいて1つ以上のエネルギ送達パラメータを調節するように構成されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記アブレーションエネルギはRFであり、コンピュータ化されたコントローラが、15W~50W(例えば15~40W、例えば20~35W)の範囲にあるRFパワーを送達するように適合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項44】
前記RFエネルギは、第1の電極に送達され、次に第2の電極に送達される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記RFエネルギは、第1の電極と第2の電極とに同時に送達されるが、パルス状であり非同期である為、それらは互いに独立している、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記パルス幅は1~2秒の範囲にある、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
RFは、第1の電極と第2の電極との間にバイポーラモードで送達される、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記アブレーションエネルギはRFであり、コンピュータ化されたコントローラがRFパワーを、20~120秒にわたって(例えば50~120秒にわたって、例えば90~120秒にわたって、例えば90秒にわたって、100秒にわたって、110秒にわたって、又は120秒にわたって)送達するように適合されている、請求項1に記載の方法。
【請求項49】
潅注を1つ以上のアブレーションカテーテル潅注ポートに向けて、10~20mL/分(例えば15mL/分)の流量で送達するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項50】
前記アブレーションカテーテルは、潅注管腔と流体連通している1つ以上の潅注ポートを有し、前記潅注管腔は潅注源(例えば、生理食塩水と任意選択のポンプ)に接続可能であり、前記方法は更に、RF電極の近傍にある前記アブレーションカテーテルから潅注流体(例えば、生理食塩水)を送達するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
前記潅注流体を送達する前記ステップは、前記アブレーションエレメントを肋間静脈内へ進めている間に実施され、前記肋間静脈内へ前記進めることを容易にすることが可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記潅注流体を送達する前記ステップは、前記アブレーションエレメントを肋間静脈から除去している間に実施され、前記アブレーションエレメントの除去を容易にすることが可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
アブレーションが成功したことを確認するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項54】
アブレーションが成功したことを確認する前記ステップは、静脈コンプライアンス、心拍、血管収縮、又は血圧等のパラメータを評価するベースライン試験を実施するステップと、前記1つ以上のパラメータの変化を評価するアブレーション後試験を実施するステップと、を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
アブレーションが成功したことを確認する前記ステップは、前記パラメータの変化の大きさが閾値を超えているかどうかを評価するステップを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
アブレーションが成功したことを確認する前記ステップは、アブレーションエネルギを送達する前記ステップ及びパラメータを評価する前記ステップの前及び後に、前記アブレーションカテーテル上の1つ以上の刺激電極から神経刺激信号を送達するステップを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの別の1つまで前記アブレーションカテーテルを動かすステップと、前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの前記別の1つにおいてアブレーションエネルギを送達するステップと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項58】
請求項1~57のいずれか一項に記載の方法であって、請求項59~148に記載のアブレーションカテーテルのいずれかを使用することを含む方法。
【請求項59】
胸内臓神経の経血管アブレーションの為の、特に大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションする為のアブレーションカテーテルであって、
細長シャフトであって、前記細長シャフトは、前記細長シャフトの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置されることが可能であるような長さを有し、前記細長シャフトの前記遠位セクションは外径が1.5~3mmである、前記細長シャフトと、
前記細長シャフト遠位セクションに載せられた、導電性であり可撓である近位アブレーション電極及び遠位アブレーション電極であって、前記遠位電極の遠位端から前記近位電極の近位端までの長さが10~25mmであり、前記近位電極及び前記遠位電極はそれぞれの長さが5~12mmである、前記近位アブレーション電極及び前記遠位アブレーション電極と、
前記近位アブレーション電極と前記遠位アブレーション電極との間の、0.1~2mmの軸方向間隔と、
前記遠位電極の遠位端の0~5mm遠位側に配置された遠位放射線不透過性マーカと、
前記近位電極の近位端の0~5mm近位側に配置された近位放射線不透過性マーカと、
を含むアブレーションカテーテル。
【請求項60】
前記遠位電極の遠位端から前記近位電極の近位端までの前記長さが15~20mmである、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項61】
前記近位電極及び前記遠位電極は、それぞれの長さが7~9mm(例えば、7mm、7.5mm、8mm、8.5mm、又は9 mm)である、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項62】
前記遠位アブレーション電極と前記近位アブレーション電極は、軸方向に0.5~1mmの間隔を空けて配置されている、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項63】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、それぞれの長さが同じである、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項64】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、それぞれの長さが同じではない、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項65】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、それぞれの長さが6~10mmである、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項66】
前記遠位アブレーション電極はらせん形態であり、前記近位アブレーション電極はらせん形態である、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項67】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極の前記らせん形態は同じである、請求項66に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項68】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極の前記らせん形態は、1つ以上の異なる特徴を有する、請求項66に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項69】
前記1つ以上の異なる特徴は、コイルの方向(例えば、左巻きか右巻きか)、ピッチ、又は太さのうちの1つ以上を含む、請求項68に記載のカテーテル。
【請求項70】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極はそれぞれが、曲線からなる断面形態を有する、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項71】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極はそれぞれが、直線からなる断面形態を有する、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項72】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、ニチノール等の超弾性材料から作られている、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項73】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、前記遠位セクションを奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈の1つの中へ進めることを可能にするのに十分な可撓性及びサイズを有する、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項74】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極はそれぞれ、前記シャフトの遠位端領域及び近位端領域に貼り付けられているが、前記遠位端領域と前記近位端領域との間には貼り付けられていない、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項75】
放射線不透過性マーカを更に含む、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項76】
前記放射線不透過性マーカは前記遠位アブレーション電極の遠位端の遠位側に配置されている、請求項75に記載のカテーテル。
【請求項77】
前記放射線不透過性マーカは前記遠位アブレーション電極の前記遠位端の0~5mm(任意選択で0~3mm)遠位側にある、請求項76に記載のカテーテル。
【請求項78】
前記放射線不透過性マーカは前記近位アブレーション電極の近位端の近位側に配置されている、請求項75に記載のカテーテル。
【請求項79】
前記放射線不透過性マーカは前記遠位アブレーション電極の前記近位端の0~5mm(任意選択で0~3mm)近位側にある、請求項78に記載のカテーテル。
【請求項80】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極のそれぞれは、展開形態に展開するようには構成されていない、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項81】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極はそれぞれ、送達形態と同じ又はほぼ同じである運用形態を有する、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項82】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極はそれぞれ、運用状態での外径が送達状態での外径と同じ又はほぼ同じである、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項83】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極はそれぞれ、膨張形態が送達形態と異なる、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項84】
前記シャフトに載せられた温度センサを更に含む、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項85】
前記温度センサは前記遠位アブレーション電極の遠位端に配置されている、請求項84に記載のカテーテル。
【請求項86】
前記温度センサは前記近位アブレーション電極の近位端に配置されている、請求項84に記載のカテーテル。
【請求項87】
第2の温度センサを更に含み、前記温度センサは前記遠位アブレーションエレメントの遠位端に配置されており、前記第2の温度センサは前記近位アブレーションエレメントの近位端に配置されている、請求項84に記載のカテーテル。
【請求項88】
潅注管腔と流体連通している1つ以上の潅注ポートを更に含み、前記潅注管腔は、前記アブレーションカテーテルの近位領域において流体源に接続可能である、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項89】
前記1つ以上の潅注ポートのうちの1つが前記遠位アブレーション電極と前記近位アブレーション電極との間に軸方向にある、請求項88に記載のカテーテル。
【請求項90】
前記1つ以上の潅注ポートのうち、アブレーション電極構造の下に放射状に配置されるものはない、請求項88に記載のカテーテル。
【請求項91】
前記1つ以上の潅注ポートは、前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極のらせん状巻線間に配置されている、請求項88に記載のカテーテル。
【請求項92】
前記1つ以上の潅注ポートのうち、アブレーション電極構造の下に放射状に配置されるものはない、請求項91に記載のカテーテル。
【請求項93】
側面から見て、前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極のアブレーション電極らせん状セクションの全ての隣接ペアの間に潅注ポートが配置されている、請求項88に記載のカテーテル。
【請求項94】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、モノポーラモードで個別に通電されるように電気的に構成されている、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項95】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、バイポーラモードで通電されるように電気的に構成されている、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項96】
前記遠位セクションは、前記アブレーションカテーテルの遠位先端から7cm以内にあり、任意選択で、前記遠位セクションは直線的な休止時形態を有する、請求項59に記載のカテーテル。
【請求項97】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、長さが10~25mm(例えば15~20mm)の範囲にある連続的アブレーションを作成するように適合されている、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項98】
前記遠位セクションは、奇静脈からT9~T11肋間静脈にかけての曲がりを柔軟にトラバースするように適合されている、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項99】
前記細長シャフト内にあって、前記カテーテルの遠位先端に遠位ポートを有するガイドワイヤ管腔を更に含む、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項100】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極のそれぞれは、RFアブレーション電極、コイル状ワイヤ電極、レーザカットされたRF電極、導電性インクで印刷されたRF電極、膨張可能バルーン上のRF電極(例えば、導電性インク、フレキシブル回路)、導電性メンブレンRF電極、膨張可能なケージ又はメッシュ上のRF電極、超音波アブレーショントランスデューサ、エレクトロポレーション電極、クライオアブレーションエレメント、又は仮想RF電極のうちの1つ以上を含む、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項101】
前記遠位アブレーション電極及び前記近位アブレーション電極は、円周方向の損傷を作成する為にアブレーションエネルギを円周方向に送達するように適合及び構成されている、請求項59に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項102】
胸内臓神経の経血管アブレーションの為の、特に大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションする為のアブレーションカテーテルであって、
細長シャフトであって、前記細長シャフトの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置されることが可能であるような長さを有する前記細長シャフトと、
前記細長シャフト遠位セクションに載せられた導電性可撓アブレーションエレメントであって、アブレーションエネルギ源に接続可能であり、長さが5~25mmの範囲にある(好ましくは10~20mm(任意選択で15~20mm)の範囲にある)アブレーションを作成するように構成された前記導電性可撓アブレーションエレメントと、
を含むアブレーションカテーテル。
【請求項103】
前記導電性可撓アブレーションエレメントは、軸方向の長さが5~25mm、好ましくは10~25mm、例えば15~20mmである、請求項102に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項104】
前記遠位セクションは、少なくとも前記カテーテルの送達状態における最大外径が1.5~3mmの範囲にある、請求項102又は103に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項105】
前記細長シャフトは、長さが100~140cm、任意選択で110~130cmである、請求項102~104のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項106】
前記導電性可撓アブレーションエレメントは、長さが1~12mm(任意選択で2~12mm)の範囲にあるアブレーションを作成するようにそれぞれが構成された、軸方向に間隔を空けて配置された複数のアブレーションエレメントを含み、且つ/又は、前記導電性可撓アブレーションエレメントを形成している前記複数の軸方向に連続するアブレーションエレメントのそれぞれの長さが1~12mm(任意選択で2~12mm)である、請求項102~105のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項107】
前記導電性可撓アブレーションエレメントは、長さが5~12mm(任意選択で6~11mm、より任意選択で7~10mm)の範囲にある細長アブレーションを作成するようにそれぞれが構成された、軸方向に間隔を空けて配置された複数のアブレーションエレメントを含み、且つ/又は、
前記導電性可撓アブレーションエレメントを形成している前記複数の軸方向に連続するアブレーションエレメントのそれぞれの長さが5~12mm(任意選択で6~11mm、より任意選択で7~10mm)である、
請求項102~106のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項108】
前記導電性可撓アブレーションエレメントを形成している複数の軸方向に連続するアブレーションエレメントのそれぞれの長さは、前記カテーテルの送達状態における前記細長シャフト遠位領域がとる最大外径より大きく、任意選択で少なくとも前記最大外径の2倍である、請求項102~107のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項109】
前記導電性可撓アブレーションエレメントは、第1のアブレーションエレメントと、前記第1のアブレーションエレメントから軸方向に間隔を空けて配置された第2のアブレーションエレメントと、を含むか、これらから形成されており、前記第1及び第2のアブレーションエレメントは前記シャフトに載せられている、請求項102~108のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項110】
前記複数の軸方向に連続するアブレーションエレメントのうちのそれぞれの連続する2つのアブレーションエレメントの間に軸方向の間隔が存在し、特に、前記第1のアブレーションエレメントと前記第2のアブレーションエレメントとの間に軸方向の間隔が存在する、請求項106~109のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項111】
前記軸方向間隔は8mm以下であり、任意選択で5mm以下であり、より任意選択で、前記軸方向間隔は0.5~5mmであり、更により任意選択で1~4mmである、請求項110に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項112】
前記導電性可撓アブレーションエレメントの各アブレーションエレメントはコイル状形態を有し、特に、前記第1のアブレーションエレメントはコイル状形態を有し、前記第2のアブレーションエレメントはコイル状形態を有する、請求項106~111のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項113】
各アブレーションエレメントの前記コイル状形態は、前記導電性可撓アブレーションエレメントのそれ以外のアブレーションエレメントの前記コイル状形態とあらゆる点において同じであり、特に、前記第1のアブレーションエレメントの前記コイル状形態は、前記第2のアブレーションエレメントの前記コイル状形態とあらゆる点において同じである、請求項112に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項114】
前記第1のアブレーションエレメントの前記コイル状形態は前記第2のアブレーションエレメントの前記コイル状形態と、以下に挙げる様式から選択される少なくとも1つの様式で異なる、即ち、
前記第1のアブレーションエレメントの長さが前記第2のアブレーションエレメントと異なる、
前記第1のアブレーションエレメントのコイル方向(例えば、左巻きか右巻きか)が前記第2のアブレーションエレメントと異なる、
前記第1のアブレーションエレメントのピッチが前記第2のアブレーションエレメントと異なる、
前記第1のアブレーションエレメントのワイヤ太さが前記第2のアブレーションエレメントと異なる、
前記第1のアブレーションエレメントの場所での前記遠位領域の外径が、前記第2のアブレーションエレメントの場所での前記遠位領域の外径と異なる、又は
前記第1のアブレーションエレメントの断面外形が前記第2のアブレーションエレメントの断面外形と異なる、
請求項112に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項115】
前記導電性可撓アブレーションエレメントの各アブレーションエレメントは、ニチノール等の超弾性材料を含むか、この材料でほぼ作られており、特に、前記第1のアブレーションエレメント及び前記第2のアブレーションエレメントは、ニチノール等の超弾性材料を含むか、この材料で作られている、請求項106~114のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項116】
前記導電性可撓アブレーションエレメントの各アブレーションエレメントは、前記遠位セクションを奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈の1つの中へ進めることを可能にするのに十分な可撓性を有し、特に、前記第1のアブレーションエレメント及び前記第2のアブレーションエレメントは、前記遠位セクションを奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈の1つの中へ進めることを可能にするのに十分な可撓性を有する、請求項106~114のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項117】
前記アブレーションエレメントのうちの少なくとも1つ、特に、前記第1及び第2のアブレーションエレメントの少なくとも一方が、レーザカットされたチューブ状エレメント(任意選択でニチノールチューブ)から作られており、且つ/又は、前記アブレーションエレメントのうちの少なくとも1つ、特に、前記第1及び第2のアブレーションエレメントの少なくとも一方がワイヤメッシュ又はワイヤ編組を含み、且つ/又は、前記アブレーションエレメントのうちの少なくとも1つ、特に、前記第1及び第2のアブレーションエレメントの少なくとも一方が、長さが5mm以下、任意選択で3mm前後であるリング状電極である、請求項106~111及び115~116のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項118】
前記アブレーションエレメントの各アブレーションエレメントの径、任意選択で、前記第1及び第2のアブレーションエレメントの両方の径が拡張可能である、請求項106~117のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項119】
前記遠位セクションは、前記細長シャフトの前記遠位セクション以外の部分より可撓であり、前記奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈にかけての前記曲がりを柔軟にトラバースする為に5mmの小ささの曲率半径と最大120度の角度をとるように構成されている、請求項102~118のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項120】
前記導電性可撓アブレーションエレメントは、アブレーションエネルギを円周方向に送達するように、且つ/又は前記アブレーションエレメントの周囲に放射対称的なアブレーションエネルギを送達するように構成されている、請求項102~119のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項121】
前記導電性可撓アブレーションエレメントは、前記カテーテルが肋間静脈内の前記遠位領域内に位置する場合には、前記肋間静脈の周囲の組織を円周方向に、2~10mmの範囲(任意選択で2~8mmの範囲、より任意選択で3~8mmの範囲)の深さでアブレーションするように構成されている、請求項102~120のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項122】
前記アブレーションカテーテルは近位端、遠位端を含み、前記遠位セクションは、前記アブレーションカテーテルの最も遠位側の7cmを含む、請求項102~121のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項123】
胸内臓神経の経血管アブレーションの為の、特に大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションする為のアブレーションカテーテルであって、
細長シャフトであって、前記細長シャフトの遠位領域がT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置されることが可能であるような長さを有する前記細長シャフトと、
前記細長シャフト遠位領域に載せられた少なくとも1つのアブレーションエレメントであって、アブレーションエネルギ源に接続可能な前記アブレーションエレメントと、
前記細長シャフト遠位領域において作用するように構成されていて、流量源に接続可能であるように構成されている、少なくとも1つの潅注ポートと、
を含むアブレーションカテーテル。
【請求項124】
幾つかの潅注ポートを含み、前記潅注ポートは、流体源/前記流体源に接続可能であり、前記細長シャフトの前記遠位領域に沿って分布しており、特に、少なくとも10個の潅注ポートが前記細長シャフトの前記遠位領域に沿って均一に分布している、請求項1~123のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項125】
前記細長シャフト内を延びる潅注管腔を含み、前記潅注管腔は、1つ以上の潅注ポートに接続されており、前記細長シャフトの近位領域において前記流体源に接続可能である、請求項1~124のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項126】
前記1つ以上の潅注ポートは、どのアブレーションエレメントにも覆われない遠位端領域表面上に配置されている、請求項123~125のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項127】
複数のアブレーションエレメントを含み、前記複数のアブレーションエレメントのそれぞれは、長さが1~12mm、任意選択で2~12mm、より任意選択で6~11mm、更により任意選択で6~10mmである、請求項123~126のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項128】
前記1つ以上の潅注ポートは、前記遠位領域のうちの、連続するアブレーションエレメント又はアブレーションエレメント部分の間のスペースに位置する、請求項123~127のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項129】
前記アブレーションエレメントは、1つのアブレーションエレメントが他のアブレーションエレメントに対して軸方向に間隔を空けて配置されており、前記第1のアブレーションエレメントと前記第2のアブレーションエレメントとの間の軸方向間隔は8mm以下であり、任意選択で5mm以下であり、より任意選択で、前記軸方向間隔は0.5~5mmであり、更により任意選択で1~4mmである、請求項123~128のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項130】
各アブレーションエレメントはコイル状形態を有し、特に、前記カテーテルは、コイル状形態を有する第1のアブレーションエレメントと、軸方向に間隔を空けて配置された、コイル状形態を有する第2のアブレーションエレメントと、を含む、請求項123~129のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項131】
各アブレーション部材の遠位端と近位端との間に1つ以上の潅注ポートが配置されており、前記潅注ポートは各アブレーション部材の巻線間に位置する、請求項123~130のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項132】
どのアブレーションエレメントよりも遠位側に第1の潅注ポートを含む、請求項123~131のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項133】
前記第1の潅注ポートは遠位アブレーションエレメントの遠位側にあり、前記アブレーションカテーテルは更に、近位アブレーションエレメントを含み、且つ/又は、前記アブレーションカテーテルは更に、前記近位アブレーションエレメントの遠位側に第2の潅注ポートを含む、請求項132に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項134】
コイル状近位アブレーションエレメントの巻線間に1つ以上の潅注ポートを含む、請求項123~133のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項135】
コイル状遠位アブレーションエレメントの巻線間に1つ以上の潅注ポートを含む、請求項123~134のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項136】
少なくとも1つの放射線不透過性マーカを含み、前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカは、前記遠位領域に載せられて全てのアブレーションエレメントより近位側に位置する近位放射線不透過性マーカ、及び/又は全てのアブレーションエレメントより遠位側に位置する遠位放射線不透過性マーカを含む、請求項123~135のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項137】
胸内臓神経の経血管アブレーションの為の、特に大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションする為のアブレーションカテーテルであって、
細長シャフトであって、前記細長シャフトの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置されることが可能であるような長さを有する前記細長シャフトと、
前記細長シャフト遠位セクションに載せられた少なくとも1つのアブレーションエレメントであって、アブレーションエネルギ源に接続可能な前記アブレーションエレメントと、
少なくとも1つの放射線不透過性マーカであって、
前記遠位領域に載せられて全てのアブレーションエレメントより近位側に位置する近位放射線不透過性マーカ、及び/又は
全てのアブレーションエレメントより遠位側に位置する遠位放射線不透過性マーカ
を含む、前記少なくとも1つの放射線不透過性マーカと、
を含むカテーテル。
【請求項138】
前記近位放射線不透過性マーカは、前記アブレーションエレメントのすぐ近位側に位置するか、前記カテーテルの前記遠位領域に載せられた前記アブレーションエレメントのうちの最も近位側にあるアブレーションエレメントのすぐ近位側に位置する、請求項137に記載のカテーテル。
【請求項139】
前記遠位放射線不透過性マーカは、前記アブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置するか、前記カテーテルの前記遠位領域に載せられた前記アブレーションエレメントのうちの最も遠位側にあるアブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置する、請求項137又は138に記載のカテーテル。
【請求項140】
前記近位放射線不透過性マーカが、前記奇静脈が前記肋間静脈と交わる静脈口に位置するか、ヒト患者の前記脊椎の中線に位置する場合には、前記アブレーションエレメントは前記肋間静脈のうちの1つにおける適切なアブレーション場所に位置するように、前記近位放射線不透過性マーカは構成され、前記アブレーションエレメントに対して相対的に位置する、請求項137~139のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項141】
前記遠位放射線不透過性マーカが、前記肋椎関節から少なくとも3mm。好ましくは少なくとも5mmの距離にある場合には、前記アブレーションエレメントは前記肋間静脈のうちの1つにおける安全なアブレーション場所に位置するように、前記遠位放射線不透過性マーカは構成され、前記アブレーションエレメントに対して相対的に位置する、請求項137~140のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項142】
前記アブレーションエレメントは、コイル状形態の第1のアブレーションエレメントと、前記第1のアブレーションエレメントから軸方向に間隔を空けて配置された、コイル状形態の第2のアブレーションエレメントと、で形成された導電性可撓アブレーションエレメントであり、
前記第1のアブレーションエレメントと前記第2のアブレーションエレメントとの間の軸方向間隔が8mm以下であり、任意選択で5mm以下であり、より任意選択で、前記軸方向間隔は0.1~5mmであり、更により任意選択で0.5~1mmであり、
前記導電性可撓アブレーションエレメントの長さが5~25mmであり、好ましくは15~20mmであり、
前記近位放射線不透過性マーカが前記第1のアブレーション電極のすぐ近位側に0.1~5mmの距離で位置し、且つ/又は、
遠位放射線不透過性マーカが前記第2のアブレーションエレメントのすぐ遠位側に0.1~5mmの距離で位置する、
請求項137~141のいずれか一項に記載のカテーテル。
【請求項143】
前記細長シャフト遠位領域に載せられた温度センサを更に含む、請求項102~142のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項144】
前記温度センサは、第1のアブレーションエレメントと第2のアブレーションエレメントとの間に配置されており、前記シャフトに載せられている、請求項143に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項145】
遠位アブレーションエレメントの遠位側にある温度センサ、又は近位アブレーションエレメントの近位側にある温度センサのうちの1つ以上を更に含む、請求項143又は144に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項146】
前記遠位セクションは、前記細長シャフトの前記遠位セクション以外の部分より可撓であり、前記奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈にかけての前記曲がりを柔軟にトラバースする為に5mmの小ささの曲率半径と最大120度の角度をとるように構成されている、請求項102~145のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項147】
前記カテーテルの前記近位端にハンドルを含み、前記ハンドルは、前記導電性可撓アブレーションエレメントと前記アブレーションエネルギ源との接続を可能にするように構成された電気的接続を収容する、請求項102~146のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項148】
前記細長シャフト内にガイドワイヤ管腔を更に含む、請求項102~147のいずれか一項に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項149】
ヒト患者の脊椎の一部分に対して相対的な、前記患者の奇静脈の位置を特性化する方法であって、
前記患者の脊椎及び血管系(特に、前記奇静脈及び/又は1つ以上の肋間静脈)の少なくとも一部分を、画像化装置を使用して(特に、前記患者の血管系に放射線不透過性造影剤を注入する放射線画像化装置を使用して)画像化するステップ、又は、
前記脊椎の一部分に対して相対的に、前記奇静脈内及び/又は1つ以上の肋間静脈内に配置された少なくとも1つの放射線不透過性デバイスであって、任意選択でガイドワイヤの放射線不透過性部分を含む前記放射線不透過性デバイスを、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)画像化して、前記脊椎の中線に対して相対的な、前記患者の奇静脈の位置を特性化し、前記画像化装置によって生成された1つ以上の画像に基づいて、前記椎骨の前記中線に対して前記奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかを判定するステップ
を含む方法。
【請求項150】
(特に、大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションすることを可能にする為に)ヒト患者の血管系の、カテーテルを挿入すべき適切な場所を決定する方法であって、
請求項149に記載の方法を実行するステップと、
前記椎骨の前記中線に対して前記奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかの前記判定に基づいて、経血管アブレーション用カテーテル(特に、請求項1~149のいずれか一項に記載のカテーテル)のアブレーションエレメントを配置すべき場所を決定するステップと、
を含む方法。
【請求項151】
前記放射線不透過性マーカは、前記アブレーションエレメントの近位側に配置された近位放射線不透過性マーカであり、前記遠位セクションは更に、前記アブレーションエレメントの遠位側に配置された遠位放射線不透過性マーカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項152】
前記アブレーションエレメントは長さが15~20mmである、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記アブレーションエレメントは、軸方向に間隔を空けて配置された第1及び第2の可撓アブレーションエレメントを含み、任意選択で、これらは両方ともコイル状形態を有する、請求項151又は152に記載の方法。
【請求項154】
前記第1のアブレーションエレメントと前記第2のアブレーションエレメントとの間の前記軸方向間隔は0.1~1mmであり、例えば0.5~1mmであり、例えば、0.6mm、0.65mm、0.7mm、0.75mm、0.8mm、又は0.85mmである、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記遠位放射線不透過性マーカは、前記アブレーションエレメントの遠位端の0~5mm、任意選択で0~3mm、例えば0~2mm遠位側にある、請求項151~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記近位放射線不透過性マーカは、前記アブレーションエレメントの近位端の0~5mm、任意選択で0~3mm、例えば0~2mm近位側にある、請求項151~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記方法は、前記遠位セクションを回転によって方向付けるステップを含まず、前記方法は更に、エネルギを送達する前記ステップの開始後に前記T9、T10、又はT11肋間静脈内で前記アブレーションエレメントを再配置して前記アブレーションエレメントからエネルギを再度送達するステップを含まない、請求項151~156のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの別の1つまで前記遠位セクションを動かすステップを更に含む、請求項151~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの前記別の1つにおいて前記アブレーションからエネルギを送達するステップを更に含む、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
前記方法は、前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの前記別の1つにおいて前記遠位セクションを回転によって方向付けるステップを含まず、前記方法は更に、前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの前記別の1つにおいてエネルギを送達する前記ステップの開始後に前記T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの前記別の1つの中で前記アブレーションエレメントを再配置して前記アブレーションエレメントからエネルギを再度送達するステップを含まない、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
請求項2~58のいずれか一項における任意のステップを更に含む、請求項151~160のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
文献の引用
本出願は、2019年6月20日に出願された米国特許仮出願第62/864,093号、並びに2019年7月31日に出願された米国特許仮出願第62/881,251号の優先権を主張するものであり、これらの開示内容は、あらゆる目的の為に参照により完全な形で本明細書に組み込まれている。
【0002】
本明細書中において言及される全ての公表文献及び特許出願は、それぞれ個々の公表文献又は特許出願が参照により具体的且つ個別に示されて組み込まれる場合と同程度に、参照により本明細書に組み込まれている。
【0003】
本開示は、主題によって、米国特許出願公開第2019/0175912号、同第2019/0183569号、米国特許第10,376,308号、同第10,207,110号、米国特許出願第16/510,503号、同第62/836,720号、同第62/837,090号、同第62/864,093号、国際出願PCT/US2019/15400号、及び国際公開第2018/023132号、同第2019/118976号における開示に関連付けられており、これらの全てが、あらゆる目的の為に参照により完全な形で本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0004】
心不全(HF)は、心臓が体の器官を維持するのに十分なポンピングを行えない場合に発生する医学的状態である。心不全は重篤な状態であり、米国内及び世界中の何百万もの患者が冒されている。
【0005】
心不全の一般的な指標の1つが左心室駆出率(LVEF)又は駆出率である。定義によれば、収縮直前の心室内の血液の量が拡張末期容積(EDV)と呼ばれる。同様に、収縮終了時に心室内に残る血液の量が収縮末期容量(ESV)である。EDVとESVとの差が1回拍出量(SV)である。SVは、1回の心拍で右室及び左室から駆出される血液の量を表す。駆出率(EF)は、EDVのうちの1回の心拍で駆出される割合であり、SVをEDVで割ったものである。心拍出量(CO)は、心臓の各心室によって1分間にポンピングされる血液の量として定義される。COは、SVに心拍数(HR)を掛けたものに等しい。
【0006】
心筋症では、心筋が弱くなったり、延びたり、他の構造的問題を示したりするが、心筋症は更に、心室駆出率に基づいて収縮機能障害と拡張機能障害とに分類されてよい。
【0007】
幾つかの薬物療法が収縮機能障害及びHFrEFへの標的化に成功しているが、大きなグループである拡張機能障害及びHFpEFの患者に対しては有望な治療法が未だ明らかになっていない。HFrEF及びHFpEFの両方がある患者の臨床経過は、呼吸困難、運動能力の低下、末梢浮腫等の症状を伴う急性非代償性心不全(ADHF)の再発性発現に関して重要である。ADHFの為の再入院は、現行の医療資源の大部分を利用する為、膨大なコストの発生が続く可能性がある。
【0008】
HFの病態生理についてはますますよく理解されつつあるが、現代医学は、これまでのところ、HFや再発性ADHFの症状の発現の慢性管理の為の新たな治療法の開発には成功していない。ADHFの管理及び予防のストラテジは、塩分及び水分の保持が血管内水分の膨張及び心代償不全の原因であるとする古典的なパラダイムに数十年前からフォーカスし続けている。
【0009】
そこで、心不全患者の為の安全且つ有効な、改良された治療法、並びにそれらの治療法を実施するように適合及び構成されたデバイス及びシステムが引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、胸内臓神経又は胸内臓神経根をアブレーションすることの方法、その為のデバイス、及びその為のアプローチに関する。アブレーションは、高血圧及び心不全の少なくとも一方を治療する為に実施可能であるが、その一般的な方法は他の治療にも使用されてよい。例えば、本明細書に記載の方法は、痛みの治療に使用可能であり、更には、内臓床から中心胸静脈内に吐き出される血液の量を減らすことで患者に全般的な恩恵をもたらすことに使用可能である。
【0012】
本明細書に記載の治療は、内臓キャパシタンスを増やすことによって達成可能である。本治療は、全般的には、患者の節前胸内臓神経又は胸内臓神経根をアブレーションして内臓キャパシタンスを増やし、それによって、高血圧及び心不全の少なくとも一方を治療することを含む。
【0013】
本明細書に記載の方法では、胸内臓神経、例えば、大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションすることについて述べる。本明細書に記載の方法では大内臓神経又は大内臓神経根を標的とする具体的な実施例を示しうるが、代替又は追加として、本明細書に記載の1つ以上の治療を実施する為に他の胸内臓神経(例えば、小内臓神経、最小内臓神経)をアブレーションすることも可能でありうる。
【0014】
本開示の一態様は、組織をアブレーションする方法であり、経血管的に標的組織の近傍に医療デバイスを位置決めし、その医療デバイスを使用して組織をアブレーションし、損傷を作成することによって組織をアブレーションする方法である。本開示の一態様は、組織をアブレーションする方法であり、経血管的に1つ以上の標的血管内に医療デバイスを位置決めし、その医療デバイスを使用して組織をアブレーションし、損傷を作成することによって組織をアブレーションする方法である。従って、本明細書に記載の方法は、アブレーション対象の標的組織の近くに医療デバイスを位置決めする方法、及び/又は1つ以上の血管内に医療デバイスを位置決めする方法であって、標的組織がその1つ以上の血管内で標的領域に比較的近い方法として述べることができる。(限定ではなく例として、特許請求項又は「発明を実施するための形態」セクションにあるものも含めて)本明細書に記載の方法ステップはいずれも、本明細書において反対のことが特に示されない限り、本明細書に記載の他の任意の使用方法に組み込まれることが可能である。
【0015】
本開示の一態様は、大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションして内臓神経の血液キャパシタンス及び/又は静脈コンプライアンスを増やす方法であって、本方法は、医療デバイスを第1の血管内に進めるステップと、医療デバイスの少なくとも一部分を第2の血管内に進めるステップと、医療デバイスからアブレーションエネルギを送達して、第1の血管を包囲する組織に損傷を作成するステップと、を含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、第1の血管は奇静脈であり、第2の血管は肋間静脈である。肋間静脈は、最も低い3つの肋間静脈のうちの1つであってよい。肋間静脈は、T9、T10、又はT11肋間静脈であってよい。
【0017】
本方法は、アブレーションエレメントからエネルギを送達する際に、アブレーションエレメントの遠位端を、第2の血管内の、第1の血管と第2の血管の接合点から30mm以内(例えば、20mm、15mm、12mm)のところに位置決めするステップを含んでよい。
【0018】
本方法は、エネルギ送達時にアブレーションエレメントの近位部分を第2の血管内に配置するステップを含んでよい。
【0019】
本方法は、骨ランドマーク(例えば、第2の血管(例えば、肋間静脈)があるのと同じ椎骨レベルにある肋椎関節)に対してアブレーションエレメントを位置合わせ又は位置決めするステップを含んでよい。
【0020】
幾つかの実施形態では、骨ランドマーク(例えば、肋椎関節)に対してアブレーションエレメントを位置合わせ又は位置決めするステップは、蛍光透視等の医療画像化により骨ランドマークを表示するステップを含む。
【0021】
幾つかの実施形態では、蛍光透視等の医療画像化により骨ランドマークを表示するステップは、医療画像化透視図を、標的神経がある患者の側部に向かう、(例えば、30~60°の範囲、35~55°の範囲にある)APから25~65°の範囲にある前斜位角度に方向付けるステップを含む。
【0022】
幾つかの実施形態では、蛍光透視等の医療画像化により骨ランドマークを表示するステップは、医療画像化透視図を、患者の第1の血管(例えば、奇静脈)と骨ランドマーク(例えば、肋椎関節)との間の線にほほ垂直に方向付けるステップを含む。
【0023】
幾つかの実施形態では、骨ランドマークに対してアブレーションエレメントを位置合わせするステップは、アブレーションエレメントを収容するカテーテル上に配置された放射線不透過性マーカを骨ランドマークと位置合わせするステップを含む。
【0024】
本方法は、アブレーションエレメントの周囲に5mmの距離で損傷を作成するステップを含んでよい。損傷を作成するステップは、胸内臓神経又は胸内臓神経根の一部(例えば、大内臓神経又はGSN根)をアブレーションするステップを含んでよい。損傷は連続的損傷であってよい。損傷の長さは5~25mm、例えば10~25mm、例えば15~20mmであってよい。損傷は、第2の血管の周囲の全周にわたる円周方向損傷であってよい。但し、損傷は、第2の血管の周囲の全周に満たない円周方向損傷であってもよく、例えば、全周のうちの225度以下、180度以下、135度以下、90度以下、又は45度以下の円周方向損傷であってもよい。
【0025】
本方法は、アブレーションエレメント全体を第2の血管内に位置決めするステップを含んでよく、一方、本方法は又、アブレーションエレメントの全長より短い部分を第2の血管内に位置決めするステップを含んでよい。
【0026】
本方法は、2つ以上の標的血管(例えば、肋間静脈又は奇静脈)内からアブレーションプロセスを実施するステップを含んでよい。本明細書に記載のアブレーション方法は、第2の血管内で実施されてもよい。
【0027】
本方法は、アブレーション確認試験(例えば、本明細書に記載の試験のいずれか)を実施するステップを含んでよい。望ましければ、又は必要であれば、アブレーションエレメントを第2の標的血管(奇静脈又は別の肋間静脈であってよい)内に再配置してよい。
【0028】
本方法は又、アブレーションエネルギの送達前、送達中、及び/又は送達後に、医療デバイスに載せられた第1及び第2の刺激電極に刺激エネルギを送達するステップを含んでよい。刺激エネルギを送達することは、アブレーションエレメントが肋間静脈内の標的場所にあるかどうか、且つ/又はアブレーション処置が有効であったかどうかの判定に役立ちうる。
【0029】
本開示の一態様は、エネルギ送達エレメント(又は部材)を含むアブレーションカテーテルを患者の静脈系に通して送達するステップと、エネルギ送達エレメントの少なくとも一部分(任意選択で全体)を、T9、T10、及びT11肋間静脈から選択される静脈の中に位置決めするステップと、エネルギ送達エレメントからアブレーションエネルギを送達して、深さが少なくとも5mmであり長さが10~25mmである連続的損傷を作成するステップと、を含む方法である。連続的損傷及びそのパラメータは、その損傷を作成する特定のエネルギ送達パラメータを選択することによって形成されてよい。幾つかの実施形態では、損傷は、奇静脈の静脈口から肋間静脈に沿って最大20mmまで延びてよい。本明細書に記載の他の方法ステップはいずれも、他の方法の文脈で述べられる場合でも、この例示的方法で実施されてよい。
【0030】
本明細書に記載の幾つかの代替方法では、複数のアブレーションから作られる2つ以上の損傷で構成される損傷全体を作成する為に、単一標的血管(例えば、肋間静脈)内でアブレーション(即ち、アブレーションエネルギをオンにしてオフにするアブレーション)を複数回実施してよい。複数の損傷で構成される損傷全体は、本明細書に記載の他の損傷の特性のいずれを有してもよい。例えば、損傷全体は、連続的であってよく(異なる複数のアブレーションで作成された複数の損傷をつなぎ合わせて作られてよく)、長さが最大20mmであってよく、円周方向であってよく(又は円周方向でなくてよく)、その他の特性を有してよい。第1のアブレーションの後にアブレーションデバイスは同じ血管内で動かされて第2の損傷を作成してよく、第2の損傷は第1の損傷と重なり合ってよく、重なり合わなくてもよい。これは、必要な回数だけ繰り返されてよい。本明細書に記載の刺激ステップ又は試験ステップはいずれも、任意のアブレーションステップの前、途中、又は後に実施されてよく、単一血管内で複数のアブレーションが実施される場合でも刺激ステップ又は試験ステップはそのように実施されてよい。
【0031】
本開示の一態様は、アブレーションカテーテルを、T9、T10、又はT11肋間静脈内の、大内臓神経(GSN)をアブレーションする為の場所に位置決めする方法であり、本方法は、患者の、T9、T10、又はT11肋間静脈のうちの少なくとも1つを含む一部分と、患者の脊椎の一部分と、を画像化するステップと、T9、T10、又はT11肋間静脈中にアブレーションカテーテルの遠位セクションを位置決めするステップと、アブレーションカテーテル放射線不透過性マーカを、解剖学的ランドマーク(例えば、脊椎の一部分、肋骨、肋椎関節、奇静脈、又は奇静脈とT9、T10、又はT11肋間静脈との間の静脈口のうちの1つ以上)に対して相対的な、放射線不透過性マーカの位置に基づく場所に位置決めするステップと、を含む。本方法は更に、アブレーションカテーテルアブレーションエレメントからエネルギを送達して組織をアブレーションするステップを含んでよい。
【0032】
本開示の一態様は、患者の奇静脈の相対位置を特性化して、奇静脈が中心又はほぼ中心に位置するか、右に偏っているか(患者の中心より右にあるか)、左に偏っているか(患者の中心より左にあるか)を判定するステップを含む方法である。特性化ステップは、患者の解剖学的構造の特定の部分を表示しながら、特性化が正確に行われることを可能にする特定の視点から実施されてよい。本方法は更に、特性化ステップに基づいてアブレーションカテーテルを位置決めするステップを含んでよい。
【0033】
本開示の一態様は、ヒト患者の脊椎の一部分に対して相対的な、患者の奇静脈の位置を特性化する方法であり、本方法は、患者の脊椎及び血管系(特に、奇静脈及び/又は1つ以上の肋間静脈)の少なくとも一部分を、画像化装置を使用して(特に、患者の血管系に放射線不透過性造影剤を注入する放射線画像化装置を使用して)画像化するステップ、又は、脊椎の一部分に対して相対的に、奇静脈内及び/又は1つ以上の肋間静脈内に配置された少なくとも1つの放射線不透過性デバイスであって、任意選択でガイドワイヤの放射線不透過性部分を含む放射線不透過性デバイスを、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)画像化して、脊椎の中線に対して相対的な、患者の奇静脈の位置を特性化し、上記画像化装置によって生成された1つ以上の画像に基づいて、椎骨の中線に対して奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかを判定するステップを含む。この態様は更に、(特に、大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションすることを可能にする為に)ヒト患者の血管系の、カテーテルを挿入すべき適切な場所を決定する方法を含み、この方法は、椎骨の中線に対して奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかの上記判定に基づいて、経血管アブレーション用カテーテル(特に、本明細書に記載のアブレーションカテーテルのいずれか)のアブレーションエレメントを配置すべき場所を決定するステップを含む。
【0034】
この態様は更に、椎骨の中線に対して奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかの上記判定に基づいて、アブレーションカテーテルの遠位セクションに載せられた放射線不透過性マーカ(任意選択で、同じ遠位セクションに載せられたどのアブレーションエレメントよりも近位側に位置する近位放射線不透過性マーカ)を配置すべき場所を決定するステップを含んでよい。
【0035】
本開示の一態様は、ヒト患者の血管系に挿入されるカテーテルの(任意選択で、本明細書における請求項又は開示のいずれかによるカテーテルの)位置決めが適切かどうかを判定する方法であり、カテーテルは、1つ以上のアブレーションエレメント及び近位放射線不透過性マーカを載せている遠位セクションを有する細長シャフトであって、細長シャフトの遠位セクションはT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置される細長シャフトを含み、本方法は、椎骨の中線に対して奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかを判定するステップと、椎骨の中線に対して相対的な、近位放射線不透過性マーカの位置を評価するステップと、カテーテルが患者の解剖学的ランドマークに対して相対的に正しく位置決めされているかどうかを検証するステップと、を含み、検証するステップは、以下の状況のうちの1つ、即ち、奇静脈が右に偏っている場合には近位放射線不透過性マーカが椎骨の中線の右側の、肋間静脈の静脈口に配置されている状況、奇静脈が中心に位置するか、左に偏っている場合には近位放射線不透過性マーカが椎骨の中線と位置合わせされている状況のうちの1つが発生した場合にカテーテルが正しく位置決めされていると見なすステップを含む。
【0036】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、近位放射線不透過性マーカは、遠位セクションに載せられてよく、全てのアブレーションエレメントより近位側に位置してよい。近位放射線不透過性マーカは、アブレーションエレメントのすぐ近位側に位置するか、カテーテルの遠位セクションに載せられたアブレーションエレメントのうちの最も近位側にあるアブレーションエレメントのすぐ近位側に位置してよい。
【0037】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、カテーテルは、全てのアブレーションエレメントよりも遠位側に配置された遠位放射線不透過性マーカを含んでよく、検証するステップは更に、患者の肋椎関節及び/又は肋骨に対して相対的な、遠位放射線不透過性マーカの位置を評価するステップと、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節及び/又は肋骨から、少なくとも、事前決定された閾値距離だけ間隔を空けて配置されていることを確認するステップと、を含む。遠位放射線不透過性マーカは、アブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置してよく、又は、カテーテルの遠位領域に載せられたアブレーションエレメントのうちの最も遠位側にあるアブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置してよく、確認するステップは、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節から少なくとも3mm、好ましくは少なくとも5mm離れていることを確認するステップを含む。
【0038】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、検証するステップは、以下の状況、即ち、奇静脈が右に偏っている場合には近位放射線不透過性マーカが椎骨の中線の右側の、肋間静脈の静脈口に配置されている状況、奇静脈が中心に位置するか、左に偏っている場合には近位放射線不透過性マーカが椎骨の中線と位置合わせされている状況がいずれも発生していない場合にカテーテルが正しく位置決めされていないと見なすステップを含む。
【0039】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、カテーテルが正しく位置決めされていないことが確認された場合には、本方法は更に、カテーテルの位置を調節することを含んでよく、この調節は、アブレーションカテーテル上の近位放射線不透過性マーカをそれぞれの解剖学的ランドマークと位置合わせすることによって、且つ/又は遠位放射線不透過性マーカを肋椎関節から更に離すことによって行われる。
【0040】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、椎骨の中線に対して奇静脈が中心に位置するか、左に偏っているか、右に偏っているかを判定するステップは、患者の脊椎及び血管系(特に、奇静脈及び/又は1つ以上の肋間静脈)の少なくとも一部分を、画像化装置を使用して(特に、患者の血管系に放射線不透過性造影剤を注入する放射線画像化装置を使用して)画像化するステップ、又は、脊椎の一部分に対して相対的に、奇静脈内及び/又は1つ以上の肋間静脈内に配置された少なくとも1つの放射線不透過性デバイスであって、任意選択でガイドワイヤの放射線不透過性部分を含む放射線不透過性デバイスを、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)画像化して、脊椎の中線に対して相対的な、患者の奇静脈の位置を特性化するステップを含んでよい。
【0041】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、椎骨の中線に対して相対的な、近位放射線不透過性マーカの位置を評価するステップは、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)近位放射線不透過性マーカを含むカテーテルの少なくとも一部分を画像化するステップを含んでよい。
【0042】
本明細書に記載の方法態様のいずれにおいても、肋椎関節に対して相対的な、遠位放射線不透過性マーカの位置を評価するステップは、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)遠位放射線不透過性マーカを含むカテーテルの少なくとも一部分を画像化するステップを含んでよい。
【0043】
本開示の一態様は、ヒト患者の血管系に挿入されるカテーテルの(任意選択で、本明細書における請求項又は開示のいずれかによるカテーテルの)位置決めが適切かどうかを判定する方法であり、カテーテルは、1つ以上のアブレーションエレメント及び遠位放射線不透過性マーカを載せている遠位セクションを有する細長シャフトであって、細長シャフトの遠位セクションはT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置される細長シャフトを含み、本方法は、患者の肋椎関節に対して相対的な、遠位放射線不透過性マーカの位置を特定するステップと、カテーテルが患者の解剖学的ランドマークに対して相対的に正しく位置決めされているかどうかを検証するステップと、を含み、検証するステップは、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節から、少なくとも、事前決定された閾値距離だけ間隔を空けて配置されている場合に、カテーテルが正しく位置決めされていると見なすステップを含む。遠位放射線不透過性マーカは、アブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置してよく、又は、カテーテルの遠位セクションに載せられたアブレーションエレメントのうちの最も遠位側にあるアブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置してよく、事前決定された閾値距離は少なくとも3mm、好ましくは少なくとも5mmである。
【0044】
この態様では、本方法は更に、カテーテルが正しく位置決めされていないことが確認されている場合に、遠位放射線不透過性マーカを肋椎関節から更に離すことによってカテーテルの位置を調節するステップを含んでよい。
【0045】
この態様では、患者の肋椎関節に対して相対的な、遠位放射線不透過性マーカの位置を特定するステップは、患者の脊椎及び血管系(特に、奇静脈及び/又は1つ以上の肋間静脈)の少なくとも一部分を、画像化装置を使用して(特に、患者の血管系に放射線不透過性造影剤を注入する放射線画像化装置を使用して)画像化するステップ、又は、脊椎の一部分に対して相対的に、奇静脈内及び/又は1つ以上の肋間静脈内に配置された少なくとも1つの放射線不透過性デバイスであって、任意選択でガイドワイヤの放射線不透過性部分を含む放射線不透過性デバイスを、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)画像化して、脊椎の中線に対して相対的な、患者の奇静脈の位置を特性化するステップと、画像化装置を使用して(特に、放射線画像化装置を使用して)遠位放射線不透過性マーカを含むカテーテルの少なくとも一部分を画像化するステップと、を含んでよい。
【0046】
本開示の一態様は、胸内臓神経の経血管アブレーションの為の、特に大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションする為のアブレーションカテーテルであり、これは、細長シャフトであって、細長シャフトの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置されることが可能であるような長さを有する細長シャフトと、細長シャフト遠位セクションに載せられた、導電性であり可撓である近位アブレーションエレメント及び遠位アブレーションエレメントと、を含み、遠位アブレーションエレメントの遠位端から近位アブレーションエレメントの近位端までの長さが10~25mmである。
【0047】
この態様では、細長シャフトの遠位セクションは、外径が1.5~3mmであってよい。
【0048】
この態様では、近位アブレーションエレメントと遠位アブレーションエレメントとの間に軸方向間隔が存在してよく、これは0.1~5mm、例えば0.1~3mm、例えば0.1~2mm、例えば5~1mmである。
【0049】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは電極であってよい。
【0050】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、それぞれの長さが同じであってよい。
【0051】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、それぞれの長さが同じでなくてよい。
【0052】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、長さが5~12mmであってよく、例えば6~10mm、例えば7~9mm、例えば、これらのいずれかの範囲の任意の整数であってよい。
【0053】
この態様では、遠位アブレーションエレメントはらせん状形態を有してよく、近位アブレーションエレメントはらせん状形態を有してよい。遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントのらせん状形態は同じであってよい。遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントのらせん状形態は1つ以上の異なる特徴を有し、例えば、コイルの方向(例えば、左巻きか右巻きか)、ピッチ、又は太さのうちの1つ以上を有する。
【0054】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれが、曲線からなる断面形態を有してよい。
【0055】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれが、直線からなる断面形態を有してよい。
【0056】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、ニチノール等の超弾性材料から作られてよい。
【0057】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、遠位セクションを奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈の1つの中へ進めることを可能にするのに十分な可撓性及びサイズを有してよい。
【0058】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、シャフトの遠位端領域及び近位端領域に貼り付けられていてよいが、遠位端領域と近位端領域との間には貼り付けられていなくてよい。
【0059】
この態様では、カテーテルは更に、放射線不透過性マーカを含んでよい。放射線不透過性マーカは、遠位アブレーションエレメントの遠位端の遠位側に配置されてよい。放射線不透過性マーカは、遠位アブレーションエレメントの遠位端の0~5mm(任意選択で0~3mm、又は0~2mm)遠位側に配置されてよい。放射線不透過性マーカは、近位アブレーションエレメントの近位端の近位側に配置されてよい。放射線不透過性マーカは、遠位アブレーションエレメントの近位端の0~5mm(任意選択で0~3mm、又は0~2mm)近位側に配置されてよい。
【0060】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントのそれぞれは、展開形態に展開するようには構成されていない。
【0061】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、送達形態と同じ又はほぼ同じである運用形態を有する。
【0062】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、運用状態での外径が送達状態での外径と同じ又はほぼ同じである。
【0063】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、膨張形態が送達形態と異なってよい。
【0064】
この態様では、カテーテルは更に、シャフトに載せられた温度センサを含んでよい。温度センサは、遠位アブレーションエレメントの遠位端に配置されてよい。温度センサは、近位アブレーションエレメントの近位端に配置されてよい。カテーテルは第2の温度センサを含んでよく、上記温度センサは遠位アブレーションエレメントの遠位端に配置されており、第2の温度センサは近位アブレーションエレメントの近位端に配置されている。
【0065】
この態様では、カテーテルは更に、潅注管腔と流体連通している1つ以上の潅注ポートを含んでよく、潅注管腔は、アブレーションカテーテルの近位領域において流体源に接続可能である。1つ以上の潅注ポートのうちの1つが遠位アブレーション電極と近位アブレーション電極との間に軸方向にあってよい。1つ以上の潅注ポートのうち、アブレーションエレメント構造の下に放射状に配置されるものはなくてよい。1つ以上の潅注ポートは、遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極のらせん状巻線間に配置されてよい。側面から見て、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントのアブレーションエレメントらせん状セクションの全ての隣接ペアの間に潅注ポートが配置されてよい。
【0066】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、モノポーラモードで個別に通電されるように電気的に構成されてよい。
【0067】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、バイポーラモードで通電されるように電気的に構成されてよい。
【0068】
この態様では、遠位セクションは、アブレーションカテーテルの遠位先端から7cm以内にあってよい。
【0069】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、長さが5~25mm(例えば10~25mm、例えば15~20mm)の範囲にある連続的アブレーションを作成するようにサイズ決定及び適合されてよい。
【0070】
この態様では、遠位セクションは、奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈にかけての曲がりを柔軟にトラバースするように適合されてよい。
【0071】
この態様では、カテーテルは更に、細長シャフト内にあって、カテーテルの遠位先端に遠位ポートを有するガイドワイヤ管腔を含んでよい。
【0072】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、RFアブレーション電極、コイル状ワイヤ電極、レーザカットされたRF電極、導電性インクで印刷されたRF電極、膨張可能バルーン上のRF電極(例えば、導電性インク、フレキシブル回路)、導電性メンブレンRF電極、膨張可能なケージ又はメッシュ上のRF電極、超音波アブレーショントランスデューサ、エレクトロポレーション電極、クライオアブレーションエレメント、又は仮想RF電極のうちの1つ以上を含んでよい。
【0073】
この態様では、遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントはそれぞれ、円周方向の損傷を作成する為にアブレーションエネルギを円周方向に送達するように適合及び構成されてよい。
【0074】
本開示の一態様は、胸内臓神経の経血管アブレーションの為の、特に大内臓神経又は大内臓神経根をアブレーションする為のアブレーションカテーテルであり、これは、細長シャフトであって、細長シャフトの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置されることが可能であるような長さを有する細長シャフトと、細長シャフト遠位セクションに載せられた、導電性であり可撓であるアブレーションエレメントであって、長さが10~25mmであるアブレーションエレメントと、細長シャフトに載せられた放射線不透過性マーカと、を含む。
【0075】
この態様では、細長シャフトの遠位セクションは、外径が1.5~3mmであってよい。
【0076】
この態様では、細長シャフトに載せられた放射線不透過性マーカは、アブレーションエレメントの端部から0~5mm(例えば0~4mm、又は0~3mm、又は0~2mm)のところに配置されてよい。端部は、アブレーションエレメントの遠位端であってよい。端部は、遠位アブレーション電極の遠位端であってよく、アブレーションエレメントは更に、遠位アブレーション電極から軸方向に間隔を空けて配置された近位アブレーション電極を含んでよい。
【0077】
この態様では、この端部は、アブレーションエレメントの近位端であってよい。
【0078】
この態様では、カテーテルは更に、第2の放射線不透過性マーカを含んでよく、これは、細長シャフトに載せられて、アブレーションエレメントの第2の端部から0~5mm(例えば0~4mm、0~3mm、又は0~2mm)のところに配置されている。
【0079】
この態様では、アブレーションエレメントは、遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極を含んでよい。放射線不透過性マーカは遠位アブレーション電極の遠位側にあってよく、カテーテルは、近位アブレーション電極の近位側に第2のマーカを含んでよい。
【0080】
この態様では、放射線不透過性マーカは、アブレーションエレメントの端部から0~3mm(任意選択で1mm)のところに配置されてよい。
【0081】
この態様では、アブレーションエレメントは、近位アブレーション電極と、近位アブレーション電極から軸方向に間隔を空けて配置された遠位アブレーション電極と、を含んでよい。遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極のそれぞれの長さは同じであってよく、同じでなくてもよい。遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極はそれぞれ、長さが5~12mmであってよい。遠位アブレーション電極と近位アブレーション電極は、軸方向に0.1~5mm(例えば0.1~3mm、任意選択で0.5~1mm)の間隔を空けて配置されてよい。この態様での遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントは、本明細書に記載の遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメント(例えば、コイル状エレメント)のいずれであってもよい。この態様では、遠位アブレーション電極の断面外形が近位アブレーション電極の断面外形と異ってよい。遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極は、ニチノール等の超弾性材料から作られてよい。遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極は、遠位領域を奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈の1つの中へ進めることを可能にするのに十分な可撓性を有してよい。
【0082】
この態様では、アブレーションエレメントは、展開形態に展開するようには構成されていなくてよい。
【0083】
この態様では、アブレーションエレメントは、送達形態と同じ又はほぼ同じである運用形態を有してよい。
【0084】
この態様では、遠位セクションは、直線的な休止時形態を有してよい。
【0085】
この態様では、アブレーションエレメントは、運用状態での外径が送達状態での外径と同じ又はほぼ同じである。
【0086】
この態様では、カテーテルは更に、シャフトに載せられた1つ以上の温度センサを含んでよい。温度センサは、アブレーションエレメントの遠位端に配置されてよい。温度センサは、アブレーションエレメントの近位端に配置されてよい。カテーテルは更に、第2の温度センサを含んでよく、上記温度センサはアブレーションエレメントの遠位端又はその近くに配置されてよく、第2の温度センサはアブレーションエレメントの近位端又はその近くに配置されてよい。
【0087】
この態様では、カテーテルは、潅注管腔と流体連通している1つ以上の潅注ポートを含んでよく、潅注管腔は、アブレーションカテーテルの近位領域において流体源に接続可能であり、本明細書に記載の1つ以上の潅注ポートのいずれかを含む。1つ以上の潅注ポートのうちの1つが遠位アブレーション電極と近位アブレーション電極との間に軸方向にあってよい。1つ以上の潅注ポートのうち、アブレーションエレメント構造の下に放射状に配置されるものはなくてよい。1つ以上の潅注ポートは、遠位アブレーション電極及び近位アブレーション電極の巻線間に配置されてよく、1つ以上の潅注ポートのうち、アブレーションエレメント構造の下に放射状に配置されるものはなくてよい。側面から見て、アブレーションエレメントらせん状セクションの全ての隣接ペアの間に潅注ポートが配置されてよい。
【0088】
この態様では、アブレーションエレメントは第1のアブレーションエレメント及び第2のアブレーションエレメントを含んでよく、これらのそれぞれは、モノポーラモードで個別に通電されるように電気的に構成されてよい。
【0089】
この態様では、アブレーションエレメントは第1のアブレーションエレメント及び第2のアブレーションエレメントを含んでよく、これらは、バイポーラモードで通電されるように電気的に構成されてよい。
【0090】
この態様では、遠位セクションは、アブレーションカテーテルの遠位先端から7cm以内にあってよい。
【0091】
この態様では、アブレーションエレメントは、長さが10~25mm(例えば15~20mm)の範囲にあるアブレーションを作成するように適合されてよい。
【0092】
この態様では、遠位セクションは、奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈にかけての曲がりを柔軟にトラバースするように適合されてよい。
【0093】
この態様では、カテーテルは更に、細長シャフト内にあって、カテーテルの遠位先端に遠位ポートを有するガイドワイヤ管腔を含んでよい。
【0094】
この態様では、アブレーションエレメントは、RFアブレーション電極、コイル状ワイヤ電極、レーザカットされたRF電極、導電性インクで印刷されたRF電極、膨張可能バルーン上のRF電極(例えば、導電性インク、フレキシブル回路)、導電性メンブレンRF電極、膨張可能なケージ又はメッシュ上のRF電極、超音波アブレーショントランスデューサ、エレクトロポレーション電極、クライオアブレーションエレメント、又は仮想RF電極のうちの1つ以上を含んでよい。
【0095】
この態様では、アブレーションエレメントは、円周方向の損傷を作成する為にアブレーションエネルギを円周方向に送達するように適合及び構成されてよい。
【0096】
本明細書に含まれる図面は、本明細書の物品、方法、及び装置の様々な実施例を示す為のものであり、いかなる形でも教示内容の範囲を限定するものではない。各図面は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】胸内臓神経のアブレーションの為に肋間静脈内に配置されたアブレーションカテーテルを概略的に示す等角図である。
【
図2】肋間静脈及び中心に位置する奇静脈の中に配置されたアブレーションカテーテルを概略的に示す横断図である。
【
図3】右に偏った奇静脈を示す解剖学的構造を概略的に示す横断図である。
【
図4】左に偏った奇静脈を示す解剖学的構造を概略的に示す横断図である。
【
図5】奇静脈の位置の範囲と右GSNの位置の範囲とを示す解剖学的構造を概略的に示す横断図である。
【
図6】患者のT8~T12胸部領域のAP蛍光透視画像である。
【
図7】患者のT8~T12胸部領域のRAO30蛍光透視画像である。
【
図8A】2つのコイル状RF電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図8B】2つのコイル状RF電極と遠位展開可能エレメントとを有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図9】2つのコイル状RF電極と遠位展開可能エレメントと近位展開可能エレメントとを有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図10】2つのコイル状RF電極と遠位展開可能エレメントと近位展開可能エレメントと中間展開可能エレメントとを有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図11】拡張可能ワイヤストラットを含むRF電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図12】表面にRF電極を有する膨張可能バルーンを含むRF電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図13B】導電性インクから作られたRF電極を表面に有する膨張可能バルーンを含むRF電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図14】ジグザグパターンのRF電極を表面に有する膨張可能バルーンを含むRF電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図15】膜によって画定されたキャビティの中にRF電極を有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図16】テーパ状シャフト上に複数のRF電極セクションを有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図17B】膨張可能バルーン上にRF電極パッドを有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【
図18】超音波トランスデューサを有するアブレーションカテーテルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0098】
本明細書における開示は、全般的には、内臓キャパシタンスを増やすことによって心不全及び高血圧の少なくとも一方を治療する方法に関する。幾つかのアプローチは、内臓静脈キャパシタンス又は静脈コンプライアンスを増やす為の、標的組織の経血管(例えば、経静脈)アブレーションのシステム、デバイス、及び方法を含む。本デバイス及び方法は、幾つかの実施例では、内臓キャパシタンスを増やす為に内臓神経をアブレーションすることに使用されてよい。例えば、本明細書に開示のデバイスは、胸内臓神経(「TSN」)(例えば、節前大内臓神経(「GSN」)、小内臓神経、又は最小内臓神経又はそれらの根のうちの1つ(TSN神経根))の領域にある1つ又は複数の標的血管まで血管内を進んでいくことが可能である。標的血管は、例えば、肋間静脈又は奇静脈(又はその両方)又は奇静脈系の一静脈、好ましくは、最も低い(即ち、最も尾側にある)3つの肋間静脈(T9、T10、又はT11であってよい)のうちの1つ以上であってよい。
【0099】
図1は患者の胸椎を示しており、これは、T12(62)、T11(63)、T10(64)、及びT9(65)の各椎骨、椎間板、交感神経幹54、奇静脈50、右T11肋間静脈55、右T10肋間静脈56、右T9肋間静脈66、GSN根53、及び完全に形成されたGSN52を含む。小内臓神経及び最小内臓神経並びにそれらの根は、簡単にするために省略してある。提案する処置の第1の目的は、GSN又はその根をアブレーションすることであり、本明細書ではこれについて詳細に論じる。但し、小内臓神経又は最小内臓神経又はそれらの根のアブレーションにも治療効果がある場合があり、手続き上の目的であってよい。図では、送達シース80が奇静脈内に位置しており、アブレーションカテーテル81がシースを通って送達されて、奇静脈からT11肋間静脈内へ通っている。交感神経幹は、脊椎にほぼ平行に走っており、一貫して各肋椎関節61の近くを通っている(
図2を参照)。GSN根は、体の右側で交感神経幹から(典型的には)T9椎骨に分岐し、集束してGSNを形成しており、GSNは、ある角度で交感神経幹から脊椎の前部中央に向かって延び、肋間静脈と壁側胸膜60の間の肋間静脈の前方に位置する(
図2を参照)。奇静脈50は、脊椎の前部に沿って延びており、
図1に示すように、ある程度まっすぐに、脊椎の軸に平行に延びていると言ってよい。但し、奇静脈の、脊椎に対して相対的な厳密な位置は、患者ごとに様々であり、様々な椎骨レベルにある。T9、T10、及びT11の椎骨レベルでは、奇静脈50は、
図2に示すように椎骨69の中線に対して中心に位置する場合があり、或いは、
図3に示すように椎骨69の中線に対して右に偏った奇静脈50Rである場合があり、或いは、
図4に示すように椎骨69の中線に対して左に偏った奇静脈50Lである場合がある。著者らが実施した死体の分析によれば、T9、T10、及びT11レベルでの脊椎の中心に対して相対的な奇静脈の位置は、大多数の人々については中心から左右に10mm以内の範囲にある。
図5は、左に偏った奇静脈50L、右に偏った奇静脈50R、及び中心に位置する奇静脈50Cを、脊椎69の中心に対して相対的な奇静脈の範囲67とともに示す。更に、患者ごとの右GSNの厳密な位置は、交感神経幹のどこから出ているか、いかなる角度で延びているか、脊椎に対して相対的にどこに向かっているかを含めてある程度のばらつきがある。従って、T9、T10、及びT11の椎骨に対して相対的なGSNの位置にはばらつきがある可能性がある。著者らが実施した死体の分析によれば、T9、T10、及びT11レベルでの脊椎の中心に対して相対的な右側GSNの位置は、
図5の範囲ボックス68に示すように、中心69から右に0~25mmの範囲にある。
【0100】
TSN(特にGSN)を経血管アブレーションする為の一血管内アプローチは、アクセス用イントロデューサシース(例えば、12F)により、患者の頸静脈又は腿静脈にある静脈血管系にアクセスするステップと、送達シース(例えば、9Fシース)を奇静脈まで(例えば、標的肋間静脈より1又は2胸部レベル上方まで)送達するステップと、任意選択で、静脈の位置を蛍光透視で表示する為に造影剤をシースに通して送達するステップと、任意選択で、ガイドワイヤ(例えば、0.014”ガイドワイヤ)を、送達シースに通して、標的化されたT9、T10、又はT11肋間静脈まで送達するステップと、アブレーションカテーテルを送達シースに通して奇静脈まで送達するステップと、任意選択でガイドワイヤを介して、アブレーションエレメントを肋間静脈内、奇静脈内、又はその両方に配置するステップと、1つ以上の非標的構造を傷つけるリスクを最小限に抑えながら標的TSN/GSNのアブレーションの有効性を最大化する領域にアブレーションエレメントを配置する為に、アブレーションカテーテル上の放射線不透過性マーカを解剖学的ランドマークと位置合わせする(解剖学的ランドマークに対して相対的に配置する)ステップと、のうちの1つ以上を含んでよい。
【0101】
この領域の近傍にあって傷つけてはならない幾つかの重要な解剖学的構造として、交感神経幹54、迷走神経、胸管、及び食道がある。従って、安全を確保する為には、アブレーションゾーンが、そのような構造を傷つけない安全な領域に収まっていなければならない。奇静脈及びGSNの、T9、T10、及びT11椎骨に対して相対的な位置がばらつくことに起因して、アブレーションエレメントが中に配置される肋間静脈又は奇静脈に対して相対的なGSNの位置にもばらつきがある。
【0102】
骨、放射線不透過性造影剤が注入された血管、及び放射線不透過性材料から作られた医療デバイスは蛍光透視で見えるが、神経は見えない。TSN(例えば、GSN)のアブレーションの、安全を確保しながらの有効性を保証する為に、手続きステップに従って肋間静脈、奇静脈、又は両方からTSN(例えば、GSN)の経血管(例えば、経静脈)アブレーションを行う為に設計されたアブレーションデバイスが提供されてよい。手続きステップは、骨構造又は血管構造に対してアブレーションカテーテルのアブレーションエレメントを位置決めする為の蛍光透視画像化を含んでよい。
【0103】
右GSNをアブレーションする方法の第1の実施形態では、近位放射線不透過性マーカ136と、遠位放射線不透過性マーカ130と、1つのアブレーションエレメント131又は複数のアブレーションエレメント132、133と、アブレーションエレメントと遠位放射線不透過性マーカとの間の任意選択のギャップ135と、を有するアブレーションカテーテルが、奇静脈50から、下のほうの3つの胸部レベル(例えば、T9、T10、T11)のうちの1つにある肋間静脈55の中へ進められる。Cアームは前部-後部(AP)方向に配置される。近位放射線不透過性マーカ136は、椎骨69の中線と位置合わせされる。これは、奇静脈50が中心に位置しているか左に偏っている場合に可能である。奇静脈50が左に偏っている場合には、近位放射線不透過性マーカを肋間静脈の中に進めて椎骨69の中線と位置合わせすることが必要になる。奇静脈が右に偏っている場合には、近位放射線不透過性マーカ136を椎骨69の中線に置くことができないようになっている。この場合には、近位放射線不透過性マーカ136を肋間静脈口に置いてよい。これは椎骨69の右側になる。任意選択で、(例えば、患者が非常に小さくて奇静脈が極端に右に偏っている場合に)交感神経幹が傷つくリスクがないことを確認する為に、遠位放射線不透過性マーカ130の、肋椎関節に対して相対的な位置を(例えば、CアームをRAO方向にして)評価することが可能である。肋椎関節61と椎骨69の前方中線との間の肋間静脈の断面の2D投射を最大化する為に、Cアームは右側(RAO方向)に対して斜めの角度であってよい(
図7)。例えば、Cアームは、APから20~70°の範囲の右前斜位(RAO)角度で位置決めされてよい(例えば、30~60°の範囲で、35~55°の範囲で、約30°で、近位ROマーカと遠位ROマーカとの間の投射距離を最大化する角度で位置決めされてよい)。こうした考え方で、ユーザは、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節61に近づきすぎないようにチェックしてよい。例えば、遠位放射線不透過性マーカがアブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置する場合には、交感神経幹が傷つかないように、少なくとも3mm(例えば、少なくとも5mm)の距離が選択されてよい。別の例では、遠位放射線不透過性マーカがアブレーションエレメントとの間に既知の間隔を空けてアブレーションエレメントの遠位側に位置する場合には、遠位放射線不透過性マーカは、交感神経関節の安全を確保する為に肋椎関節と、又はその近位と位置合わせされてよい。遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節に近すぎるか肋椎関節を越えている場合には、カテーテルは、遠位放射線不透過性マーカと肋椎関節との間の距離が許容可能であると認識されるまで引き戻されてよく、それによって、近位放射線不透過性マーカが奇静脈内に配置されることが可能である(特に奇静脈が右に偏っている場合)。アブレーションエレメントが複数の(例えば、2つの)アブレーションエレメントからなる場合には、最初に、より近位側のアブレーションエレメントからアブレーションが実施されてよく、その後、カテーテルが引き戻されて、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節に対して相対的に適切に配置されてよい。次に、より遠位側のアブレーションエレメントから後続のアブレーションが実施されてよい。
【0104】
右GSNをアブレーションする方法の第2の実施形態では、近位放射線不透過性マーカ136と、遠位放射線不透過性マーカ130と、1つのアブレーションエレメント131又は複数のアブレーションエレメント132、133と、アブレーションエレメントと遠位放射線不透過性マーカとの間の任意選択のギャップ135と、を有するアブレーションカテーテルが、奇静脈50から、下のほうの3つの胸部レベル(例えば、T9、T10、T11)のうちの1つにある肋間静脈55の中へ進められる。Cアームは前部-後部(AP)方向に配置される。近位放射線不透過性マーカ136は、肋間静脈口59と位置合わせされる。肋間静脈口は、例えば、造影剤を注入して血管系を蛍光透視で表示することによって見つけることが可能であり、或いは、ガイドワイヤが標的肋間静脈内にあらかじめ配置されている場合には、ガイドワイヤ又はアブレーションカテーテルの曲がりから肋間静脈口の場所が分かる。奇静脈が左に偏っている場合には、カテーテルが肋間静脈口より遠位まで進められて、近位放射線不透過性マーカ136が椎骨69の中線と位置合わせされる。この配置ストラテジでは、近位放射線不透過性マーカ136は、奇静脈が左に偏っているか中心に位置する場合には椎骨69の中線と位置合わせされることになり、奇静脈が右に偏っている場合には椎骨の中線の右側と位置合わせされることになる。同時に、近位放射線不透過性マーカ136は、奇静脈が右に偏っているか中心に位置する場合には肋間静脈口と位置合わせされることになり、奇静脈が左に偏っている場合には椎骨69の中線と位置合わせされることになる。任意選択で、(例えば、患者が非常に小さくて奇静脈が極端に右に偏っている場合に)交感神経幹が傷つくリスクがないことを確認する為に、遠位放射線不透過性マーカ130の、肋椎関節に対して相対的な位置を(例えば、CアームをRAO方向にして)評価することが可能である。肋椎関節61と椎骨69の前方中線との間の肋間静脈の断面の2D投射を最大化する為に、Cアームは右側(RAO方向)に対して斜めの角度であってよい(
図7)。例えば、Cアームは、APから20~70°の範囲の右前斜位(RAO)角度で位置決めされてよい(例えば、30~60°の範囲で、35~55°の範囲で、約30°で、近位ROマーカと遠位ROマーカとの間の投射距離を最大化する角度で位置決めされてよい)。こうした考え方で、ユーザは、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節61に近づきすぎないようにチェックしてよい。例えば、遠位放射線不透過性マーカがアブレーションエレメントのすぐ遠位側に位置する場合には、交感神経幹が傷つかないように、少なくとも3mm(例えば、少なくとも5mm)の距離が選択されてよい。別の例では、遠位放射線不透過性マーカがアブレーションエレメントとの間に既知の間隔を空けてアブレーションエレメントの遠位側に位置する場合には、遠位放射線不透過性マーカは、交感神経関節の安全を確保する為に肋椎関節と、又はその近位と位置合わせされてよい。遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節に近すぎるか肋椎関節を越えている場合には、カテーテルは、遠位放射線不透過性マーカと肋椎関節との間の距離が許容可能であると認識されるまで引き戻されてよく、それによって、近位放射線不透過性マーカが奇静脈内に配置されることが可能である(特に奇静脈が右に偏っている場合)。
【0105】
右GSNをアブレーションする方法の第3の実施形態では、遠位放射線不透過性マーカ130と、1つのアブレーションエレメント131又は複数のアブレーションエレメント132、133と、アブレーションエレメントと遠位放射線不透過性マーカとの間のギャップ135と、を有するアブレーションカテーテルが、奇静脈50から、下のほうの3つの胸部レベル(例えば、T9、T10、T11)のうちの1つにある肋間静脈55の中へ進められる。肋椎関節61と椎骨69の前方中線との間の肋間静脈の断面の2D投射を最大化する為に、Cアームは右側に対して斜めの角度である(
図2)。例えば、Cアームは、APから20~70°の範囲の右前斜位(RAO)角度で位置決めされてよい(例えば、30~60°の範囲で、35~55°の範囲で、約30°で、近位ROマーカと遠位ROマーカとの間の投射距離を最大化する角度で位置決めされてよい)。前後方向(AP)像としての蛍光透視画像を
図6に示す。比較として、RAO 30°での蛍光透視画像を
図7に示す。カテーテルは、遠位放射線不透過性マーカ130が肋椎関節61と位置合わせされるように進められる。交感神経幹54は肋椎関節61に隣接している為、遠位放射線不透過性マーカとアブレーションエレメントとの間にギャップがあることで交感神経幹が傷つかないようになっている。このギャップは、例えば、長さが0~25mmの範囲(例えば、3~25mmの範囲、5~25mmの範囲、5~20mmの範囲)にあってよい。任意選択で、ギャップ内のカテーテルシャフト上に膨張可能バルーン134を配置してよく、これは、カテーテルを固定したり、アブレーションエネルギをバルーンの近位でせき止めたりすることに役立ちうる。任意選択で、肋間静脈の狭くなっている遠位部分を通る送達を容易にする為に、アブレーションエレメントの遠位側のカテーテルシャフト138がシャフトの他の部分より狭くてよく、又はより可撓であってよい。任意選択で、アブレーションエレメントは、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節と位置合わせされたときに椎骨69の前方中線までアブレーションすることが可能な長さであってよい。例えば、アブレーションエレメントは、全長が5~25mmの範囲(例えば、10~25mmの範囲、15~20mmの範囲)にあってよい。アブレーションカテーテルは、近位放射線不透過性マーカがアブレーションエレメントのすぐ近位側に配置されていてよい。任意選択で、ユーザは、アブレーションエネルギを送達する前に、近位放射線不透過性マーカを画像化して、それが椎骨69の前方中線にあることを確認してよい。近位放射線不透過性マーカが中線69の左側にあると、例えば、患者が非常に小さい場合には、胸管や食道のような非標的組織を傷つけるリスクがありうる。このリスクを軽減する為に、アブレーションエレメントのサイズを小さくしたカテーテルが使用されてよく、或いは、アブレーションエレメントが複数のアブレーションエレメントで構成されている場合には、中線69と遠位放射線不透過性マーカとの間にあるエレメントだけがアブレーションの為に活性化されてよい。逆に、近位放射線不透過性マーカが中線69の右側にあると、例えば、患者が非常に大きい場合には、GSNを見失うリスクがありうる。このリスクを軽減する為に、別の肋間レベルで別のアブレーションが実施されてよく、或いは、同じ肋間静脈内で、近位放射線不透過性マーカが中線69と位置合わせされるまでアブレーションエレメントの位置を引っ込めた状態で別のアブレーションが実施されてよい。
【0106】
右GSNをアブレーションする方法の第4の実施形態では、アブレーションエレメント131を有するアブレーションカテーテルが、奇静脈から、下のほうの3つの胸部レベル(例えば、T9、T10、T11)のうちの1つにある肋間静脈の中へ進められ、アブレーションカテーテルは、複数のアブレーションエレメントと、それらのアブレーションエレメントの遠位端に配置された遠位放射線不透過性マーカと、それらのアブレーションエレメントの近位端に配置された近位放射線不透過性マーカと、を含んでよい。肋椎関節61と椎骨69の前方中線との間の肋間静脈の断面の2D投射を最大化する為に、Cアームは右側に対して斜めの角度である(
図5)。例えば、Cアームは、APから25~65°の範囲の右前斜位(RAO)角度で位置決めされてよい(例えば、30~60°の範囲で、35~55°の範囲で、約30°で位置決めされてよい)。カテーテルは、斜位像において遠位放射線不透過性マーカが、肋椎関節と椎体の反対側エッジとに対して相対的な位置と位置合わせされるように進められる。例えば、遠位放射線不透過性マーカは、斜位像において肋椎関節と椎体の反対側エッジとの間の中程にある点と位置合わせされてよい。アブレーションエレメントの全長は、ほとんどの患者においてGSN位置範囲68をカバーするものと見込まれてよい。前述の方法と同様に、アブレーションエレメントの近位端は、奇静脈が中心に位置するか左に偏っている状況では椎骨69の前方中線又はその左にあってよく、奇静脈が右に偏っている状況では奇静脈内にあってよい。カテーテルを動かすことなくその範囲をアブレーションする為のアブレーションエネルギがアブレーションエレメントから送達されてよい。任意選択で、カテーテルは別の肋間レベルまで動かされてよく、同じ方法ステップにより第2のアブレーションが作成されてよい。
【0107】
ここまでに開示した配置ストラテジの例示的実施形態のいずれかを実施することにより、アブレーションエレメント131の全長が30mm未満(例えば、25mm未満、20mm未満、約15mm)であれば、大多数の患者において、奇静脈が右に偏っていても交感神経幹が傷つくのを免れることが期待される。更に、本明細書に記載の方法を実施する場合には、アブレーションエレメント131の全長が15mm以上であれば、大多数の患者においてGSNがアブレーションされることが期待される。従って、アブレーションエレメント131の全長は、15~30mmの範囲にあれば、これらの配置ストラテジを使用する大多数の患者にとって有効且つ安全であることが可能である。但し、アブレーションエレメントの全長が短いほど、例外的な患者にとっても適切である可能性がある。例えば、アブレーションエレメントは、全長が5~25mmの範囲(例えば、10~20mmの範囲、又は10~15mmの範囲)にあってよい。
【0108】
本明細書では、アブレーションエレメントは、単一構造又は複数の構造を意味してよい。例えば、本明細書では、アブレーションエレメントは、軸方向に間隔を空けて配置された複数のアブレーション電極を含んでよく、それらのそれぞれは、アブレーションエネルギの送達を促進するように適合されてよい。
【0109】
許容できるアブレーションエレメント配置が達成されたら、例えば、本明細書に記載の配置ストラテジの例示的実施形態のいずれかを使用して、カテーテルを動かすことを必要とせずにその1つ又は複数のアブレーションエレメントからアブレーションエネルギを送達することが可能である。アブレーションエレメントからアブレーションエネルギを送達することにより、肋間静脈の周囲の組織を円周方向に2~10mmの範囲(例えば、2~8mmの範囲、3~8mmの範囲、約5mm)の深さでアブレーションすることが可能である。任意選択で、この手続きを別の胸部レベル(例えば、より頭側レベル、より尾側レベル、その患者の同じ側のT9、T10、T11肋間静脈のうちの別のもの)で繰り返してよい(特に奇静脈が右に偏っている場合)。1つ又は複数のアブレーションエレメントの両端に遠位側及び近位側の放射線不透過性マーカを有することの代替又は追加として、アブレーションエレメント自体が放射線不透過性であってよく、本明細書に記載の同じ方法を使用して、アブレーションエレメントの遠位端及び近位端を解剖学的ランドマーク(例えば、脊椎の中線、肋椎関節等)に対して相対的に位置決めすることが可能である。従って本明細書では、放射線不透過性マーカという語句は、アブレーションエレメントが放射線不透過性である場合にはアブレーションエレメントを表すものであってよい。いくつかの代替実施形態では、放射線不透過性マーカが、1つ以上のアブレーションエレメントの下又は隣に配置された比較的長い放射線不透過性マーカを含んでよく、その長い放射線不透過性マーカの近位端は、少なくとも、アブレーションエレメントの近位端と位置合わせされているか、アブレーションエレメントの近位側に最大3mm延びており、その長い放射線不透過性マーカの遠位端は、少なくとも、アブレーションエレメントの遠位端と位置合わせされているか、アブレーションエレメントの遠位側に最大3mm延びている。
【0110】
ここまでに開示した配置ストラテジの例示的実施形態のいずれにおいても、アブレーションエレメントの一部分が奇静脈内にあり、他の部分が肋間静脈内にあるという状況、具体的には、アブレーションカテーテルの1つ又は複数のアブレーションエレメントの全長が10~25mmの範囲にあるという状況が存在しうる。奇静脈は肋間静脈より大きく、より多くの血液が流れる。このことは、奇静脈の周囲、更には肋間静脈内で有効なアブレーションを作成できるかどうかに影響する可能性があり、肋間静脈内で完結するアブレーションとは異なるエネルギ送達パラメータを要求する可能性がある。これを解決する為に、アブレーションカテーテルは複数のアブレーションエレメントを有してよく、少なくとも1つのアブレーションエレメントが完全に肋間静脈内に位置し、残りのアブレーションエレメントは肋間静脈内又は奇静脈内又はその両方にあってよい。様々なシナリオに対して様々なアブレーションエネルギ送達パラメータが使用されてよく、例えば、奇静脈内にあるアブレーションエレメントにはより大きなパワー又はエネルギが送達されてよく、或いは、全体又は一部が肋間静脈内にあるエレメントにのみアブレーションエネルギが送達されてよい。複数のアブレーションエレメントの位置は、蛍光透視画像化によって、又は各アブレーションエレメント(例えば、RF電極)と分散電極との間の電気的インピーダンスを監視することによって特定可能である。
【0111】
任意選択で、2つ、更には3つのレベルがアブレーションされてよく、これは特に奇静脈が右に偏っている場合に行われてよいが、奇静脈が中心に位置するか左に偏っている場合であっても行われてよく、このことは有効性を更に高めうる。
【0112】
別のデバイス及び使用方法は、より短いアブレーションエレメントを含んでよく、これは、比較的短いアブレーションを作成する為に使用され、GSN位置範囲68内で複数のアブレーションを作成する場合には複数回の再配置が行われる。奇静脈が中心に位置するか左に偏っている場合には、全てのアブレーションを肋間静脈55内で作成して範囲68をカバーしてよい。奇静脈が右に偏っている場合には、アブレーションを肋間静脈内で行って範囲68の一部をカバーしてよく、その後、別の肋間レベルでアブレーションを行って、GSNがアブレーションされる確率を高めることが可能である。任意選択で、奇静脈からアブレーションが作成されてよく、これには異なるエネルギ送達パラメータ(例えば、より大きなエネルギ又はパワー)が使用されてよい。
【0113】
(例えば、本明細書に開示の配置ストラテジの実施形態の1つ以上を使用して)肋間静脈及び/又は奇静脈からTSN(例えば、GSN)をアブレーションするように適合されたアブレーションカテーテルは、カテーテルが経血管的にT9、T10、又はT11肋間静脈内の所望の場所まで送達されることと、カテーテルが、大多数の患者において重要な非標的構造を安全に回避しながら標的TSNを有効にアブレーションすること、及び標的TSNをアブレーションすることが可能なアブレーションエネルギを送達することの為に解剖学的特徴に対して相対的に位置決めされることと、を可能にする機能を有してよい。アブレーションカテーテル及びシステムの機能は、有効性又は安全性を犠牲にすることなく、ユーザが比較的容易且つ効率的にTSNをアブレーションすることを可能にできる。例えば、(本明細書に開示の方法を使用して)カテーテルのアブレーションエレメントが位置決めされたら、コンピュータ化されたアブレーションコンソールからアブレーションエネルギが送達されてよく、これは、ボタンを押すことにより、又は少なくともカテーテルの最小限の調節、再配置、ドラッギング、トルキングにより、又はエネルギ送達に関する最小限のユーザ決定により、行われてよい。GSN68及び奇静脈67の場所にばらつきがあるとしても(
図5を参照)、本明細書に開示のアブレーションカテーテル及びシステムの機能は、1つの配置及びエネルギ送達手続きによって、又は場合によっては、更なる配置(例えば、T9、T10、又はT11肋間静脈の別のいずれかにおける更なる配置)及びエネルギ送達によって、TSN/GSNがアブレーションされることを可能にでき、大多数の患者において成功の確率を高めることが可能である。
【0114】
GSNの経血管アブレーションの為のアブレーションカテーテルが、近位端と、遠位端と、それらの間の細長シャフトと、(例えば、最も遠位側の7cmを含む)遠位セクションと、その遠位セクションにあるアブレーションエレメントと、を有してよい。アブレーションエレメントは、長さが5~25mm、好ましくは10~25mm(例えば、15~20mm)の範囲にあって、半径方向深さが血管表面から少なくとも5mmであるアブレーションを作成するように適合されてよい。電気的接続又は流体接続を収容すること、又はカテーテルを扱いやすくすることの為のハンドルが、カテーテルの近位端に配置されてよい。張力緩和領域から遠位先端部までの細長シャフトは、長さが100~140cm(例えば110~130cm、例えば約120cm)であってよく、この場合は、大多数のヒト患者において遠位セクションが腿静脈アクセスからT11肋間静脈まで送達されることが可能になり、或いは、細長シャフトは、長さが50~140cmであってよく、この場合は、ほとんどの患者において遠位セクションが頸静脈アクセスからT11肋間静脈まで送達されることが可能になる。9F送達シースを通って送達可能である為には、カテーテルは、少なくともその送達状態において最大外径が3mm(例えば、2.5mm、2mm、1.5mm)であってよい。カテーテルは、幾つかの実施形態では、任意選択で、送達シースから進んで標的血管内に位置した時点で、この寸法を超えて広がる展開可能構造を有してよい。細長シャフトの近位領域は、押しやすさ、ねじれ耐性、トルク伝達、及び可撓性に関して適合されてよい。例えば、近位端から、遠位端から約7cmのところまでの細長シャフトは、シャフトの外層に金属ワイヤが編み込まれていてよい。細長シャフトの材料の一例は、押出Pebax(登録商標)であってよい。遠位セクションは、奇静脈から肋間静脈にかけての曲がり(例えば、曲率半径≧5mm、角度は最大120度)を柔軟にトラバースするように適合されてよい。例えば、遠位セクション(例えば、最も遠位側の7cm)は、デュロメータ硬度がより低い材料、又はより可撓な編組外層、又は無編組外層を使用することによって、カテーテルのうちの遠位セクションより近位側のセクション(例えば、細長シャフトの他の部分)より可撓であることが可能である。遠位セクションの最大外径は、少なくとも送達状態においては、1.5~3mmの範囲にあってよい。ガイドワイヤ管腔は、シャフトの遠位先端部に出口ポートがある細長シャフトを通り抜けてよい。ガイドワイヤ管腔は、例えば、内径が0.014インチのポリイミドチューブで作られて、シャフトの管腔内に配置されてよい。
【0115】
アブレーションカテーテルは、全長が10~25mm(例えば10~20mm、例えば15~20mm)の範囲にある場合に、血管表面から最大5mmのところにある標的神経にアブレーションエネルギを送達するように適合されたアブレーションエレメントを有してよい。アブレーションエレメントは、シャフトのうちの、全長が10~25mm(例えば10~20mm、例えば15~20mm)である領域に位置する複数の(例えば、2つの)アブレーションエレメントで構成されてよく、アブレーションエレメントが軸方向に間隔を空けて配置されていてもそのようであってよい。アブレーションエレメントは、RFアブレーション電極、コイル状ワイヤ電極、レーザカットされたRF電極、導電性インクで印刷されたRF電極、膨張可能バルーン上の(例えば、導電性インク又はフレキシブル回路で作られた)RF電極、導電性メンブレンRF電極、膨張可能なケージ又はメッシュ上のRF電極、超音波アブレーショントランスデューサ、エレクトロポレーション電極、クライオアブレーションエレメント、又は仮想RF電極のうちの1つ以上を含んでよい。
【0116】
アブレーションエレメントは、アブレーションエレメントの周囲、及びアブレーションエレメントが中に位置する血管の周囲に円周方向に、即ち放射対称的にアブレーションエネルギを送達するように適合されてよい。GSNは必ず肋間静脈及び奇静脈より前方を通るが、肋間静脈又は奇静脈の周囲の組織をアブレーションすることが安全であり、且つ条件にかなっており、円周方向にアブレーションすることは、エネルギ送達の狙いを定めることが不要な為、よりシンプル且つ迅速な処置を可能にでき、それによってユーザエラーも少なくなる傾向がある。円周方向アブレーションを可能にできる特徴として、限定ではなく、膨張して、血管の円周の周辺の血管壁に均一に接触するアブレーション電極、導電性流体とともに使用されるアブレーション電極、アブレーションエネルギを標的血管の一セグメントに収容し、アブレーションエネルギが半径方向に向けられることを可能にする電気的絶縁性バルーン又は展開可能構造、及びアブレーションエネルギを円周方向に向けるアブレーションエレメント(例えば、円筒形超音波トランスデューサ)があってよい。
【0117】
幾つかの実施形態では、アブレーションエレメントはRF電極であり、このRF電極と流体連通している血管に生理食塩水が送達されてよい。潅注ポートと連通している潅注管腔が、アブレーションエレメントの遠位側、又はアブレーションエレメントの下(潅注された生理食塩水がアブレーションエレメントを通り抜けることが可能な幾つかの設計の場合)、又は幾つかの実施形態では展開可能構造の中に配置されてよい。潅注管腔は、例えば、カテーテルの近位端にあって流体源及びポンプと接続可能なチューブと流体連通している、細長シャフト中の管腔であってよい。
【0118】
任意選択で、アブレーションエレメントの遠位側のシャフト上に、少なくとも1つの展開可能な閉塞構造(例えば、バルーン、ベロー、ワイヤメッシュ、ワイヤ編組、コーティングされたワイヤメッシュ、又はコーティングされたワイヤ編組)が位置してよい。展開可能構造は、エネルギ送達中にカテーテルを定位置に固定するように機能してよく、場合によっては、電気的絶縁体を設けることによって、又は展開可能構造の近位側に生理食塩水を収容することによって、交感神経幹をアブレーションしないようにして安全性を高めるように機能してよい。任意選択で、展開可能な閉塞構造が、アブレーションエレメントの近位端のすぐ近位側に位置してよく、奇静脈中の血流の進路をアブレーションゾーンから離れるように変えるように機能してよい。例えば、展開可能な閉塞構造はバルーンであってよく、例えば、(シャフトの軸方向の)長さが約2.5mmであり、膨張時の径が約2.5~7mm(例えば、3~6 mm、4~5 mm)であるウレタンバルーンであってよい。バルーンは、バルーンを膨張管腔に接続する膨張ポートと流体連通していてよく、膨張管腔は、カテーテルの近位端にある膨張源に接続可能である。任意選択で、膨張管腔は潅注管腔と流体連通していてよく、潅注管腔は管腔源及びポンプに接続可能である。任意選択で、そのようなカテーテルのバルーンには、潅注流体が膨張したバルーンから出てアブレーションエレメントに向かって流れることを可能にする穴があってよい。
【0119】
アブレーションカテーテルは、アブレーションエレメントの近位端の又はその近位側のシャフト上に位置する近位放射線不透過性マーカを有してよい。任意選択で、アブレーションカテーテルは、アブレーションエレメントの遠位端の又はその遠位側のシャフト上に位置してよい遠位放射線不透過性マーカを含んでよい。任意選択で、遠位放射線不透過性マーカとアブレーションエレメントの遠位端との間にスペースがあってよく、このスペースは、長さが0.1~25mmの範囲にある(例えば0.1~5mm、例えば0.1~3mm、例えば0.5mm、1mm、又は1.5mmである)。例えば、
図2に示すように、遠位放射線不透過性マーカ130が肋椎関節61等の解剖学的ランドマークと位置合わせされてよく、又はそのランドマークに対して相対的に位置決めされてよく、スペース135(例えば1~25mm)が遠位放射線不透過性マーカ130とアブレーションエレメント132の遠位端との間にあって、アブレーションエレメントが交感神経幹54から安全な距離をとるようにしている。任意選択で、展開可能構造134が、収縮状態(シャフト外径と同等の外径、例えば、1.5~3mmの範囲)と展開状態(3~7mmの範囲まで広がった外径)との間で遷移可能なスペースに配置されてよい。展開可能構造は、バルーン、ベロー、ワイヤメッシュ、ワイヤ編組、コーティングされたワイヤメッシュ、又はコーティングされたワイヤ編組であってよい。
【0120】
GSNアブレーション用としてサイズ決定及び適合されているアブレーションカテーテルの一例を
図2に示す。アブレーションカテーテル81が、腿静脈又は頸静脈にある導入場所からT11肋間静脈に達するようにサイズ決定及び適合された細長シャフトを有する。カテーテル81の遠位セクションは、図では肋間静脈55内に位置しており、肋椎関節61と位置合わせされた又は肋椎関節61に対して相対的に位置決めされた遠位放射線不透過性マーカ130と、遠位導電性コイル状RF電極132及び近位導電性コイル状RF電極133を含む又はこれらからなるアブレーションエレメント131と、アブレーションエレメント131と遠位放射線不透過性電極130との間に配置された任意選択の膨張可能バルーン134と、を含む。遠位放射線不透過性マーカ130は、(例えば、0~25mmの範囲にある(例えば0.1~20mmの範囲、例えば0.1~15mmの範囲、0.13mmの範囲、例えば0.5mm、1mm、又は1.5 mmである))距離135だけアブレーションエレメント132の遠位端から遠位方向に間隔を空けて配置される。カテーテル81は又、アブレーションエレメント131の近位端又はその近くに位置する近位放射線不透過性マーカ136を含む。幾つかの実施形態では、近位放射線不透過性マーカ136は、アブレーションエレメント31の近位端から(これはアブレーションエレメント133の近位端からであってよい)0~25mmの間隔を空けて軸方向に配置される。
【0121】
本明細書に記載のマーカと電極との間の例示的軸方向距離(例えば0~25mm、又は0~15mm)は、本明細書において反対のことが示されない限り、本明細書に記載の他のどのアブレーションカテーテルに組み込まれてもよい。
【0122】
アブレーション電極132及び133(又は本明細書に記載の他の任意のアブレーション電極)は、例えば、カテーテルシャフトの周囲にコイル状に巻かれたニチノールワイヤから作られてよく、これにより、電極が奇静脈から肋間静脈にかけてのきつい曲がりをトラバースできるほどに、又、(例えば5~25mmの)長いアブレーションを作成できるほどに可撓であることを可能にできる。ニチノールは、アブレーションエレメントが解剖学的な曲がりをトラバースする際には曲がり、電極が曲がりを過ぎたら直線的即ちまっすぐな形態に弾性的に戻ることを可能にする超弾性材料の一例である。
【0123】
本明細書に記載の遠位セクションはいずれも、このように、休止時(製造時)の直線的即ちまっすぐな形態を有する遠位セクションとして示されてよい。これは、非直線的な休止時形態に戻りうる又はその形態を呈しうる遠位セクション(例えば、コイル状の形態に戻る、電極を載せた遠位セクション)とは対照的であろう。
【0124】
任意選択で、アブレーションカテーテル81は(
図2に示したように)少なくとも1つの潅注ポート137を含む。これは、生理食塩水等の流体を送達する為にコイル電極の近くにある潅注管腔と流体連通している。生理食塩水の送達により、デバイスの送達及び除去を容易にすることが可能であり、或いはエネルギ送達中に生理食塩水を送達することにより、例えば、アブレーション形成を改善し、過熱を防ぐことが可能である。任意選択で、カテーテル81は、ガイドワイヤ79で送達を行う為のガイドワイヤ管腔82を含んでよい。
【0125】
図8Aは、遠位セクション自体の少なくとも一部分を含む、一例示的アブレーションカテーテルの一部分を示す。
図8Aのアブレーションカテーテルはアブレーションエレメントを含み、アブレーションエレメントは遠位アブレーションエレメント及び近位アブレーションエレメントを含む。このアブレーションエレメント(及び他の、本明細書に記載のアブレーションエレメント)は、
図8Aに示すように、遠位導電性コイル状RF電極132及び近位導電性コイル状RF電極133を含む又はこれらからなる。遠位コイル状電極及び近位コイル状電極は両方とも、シャフトの周囲に位置し、少なくとも一部分がシャフトの外面上に(任意選択でシャフトの溝の中に)位置するらせんコイルであってよい。コイル状電極は、らせん状であってよく、方向、ピッチ、又はワイヤ太さが変化してよく、ステンレス綱又は超弾性ニチノール等の(任意選択で電解研磨された)(任意選択でプラチナイリジウム等の放射線不透過性材料を含む)導電性材料の円形ワイヤ又はリボンワイヤから作られてよい。或いは、1つ又は複数のコイル状電極が、コイル状パターン又は他の可撓パターンを形成している、ニチノールチューブ等のレーザカットされたチューブから作られてよい。或いは、アブレーションエレメント(例えば、アブレーションエレメント131)は、ワイヤメッシュ又はワイヤ編組の形態の遠位可撓電極及び近位可撓電極から作られてよい。或いは、可撓アブレーションエレメントは、それぞれの長さが5mm未満(例えば、3mm)である複数のリング電極を含んでよい。任意選択で、可撓アブレーションエレメントは、膨張して血管壁に接触することが可能なように、収縮した送達状態から(例えば、外径が最大約5mmの)膨張した展開状態に遷移可能な膨張可能直径を有してよい。
【0126】
本明細書に記載の電極、例えば、本明細書に記載の近位電極及び遠位電極(例えば、遠位電極132及び近位電極133)は、長さが4~12mm(例えば、5~11mm)の範囲にあってよく、又は幾つかの実施形態では、それらは、約5mm、5.5mm、6mm、6.5mm、7.0mm、7.5mm、8mm、8.5mm、9mm、9.5mm、10mm、10.5mm、又は11mmである。近位電極及び遠位電極は、本明細書で提示した範囲(例えば、5~11mm)にある長さを含めて、長さが同じ又はほぼ同じであってよい。幾つかの実施形態では、電極の長さは異なってよい。例えば、幾つかの実施例では、遠位電極132は近位電極133より長くてよいが、個々の電極は、本明細書に記載の長さのいずれであってもよい。幾つかの実施例では、遠位電極132は近位電極133より短くてよいが、個々の電極は、本明細書に記載の長さのいずれであってもよい。
【0127】
カテーテルが複数の電極を有する場合には、各電極は、細長シャフトを通り抜けてカテーテルの近位領域に達する独立した導体と接続されてよく、その導体は延長ケーブル又はアブレーションエネルギ源に接続可能である。これにより、各電極がモノポーラモードでもバイポーラモードでも個別に通電されることを可能にできる。
【0128】
遠位電極及び近位電極を有する幾つかのカテーテルの場合、これらのカテーテルは、近位電極の遠位端と遠位電極の近位端との間にギャップを含んでよい。幾つかの実施形態では、ギャップは、0~5mmの範囲にあってよく、例えば0~4mm、例えば0.1~1.25mm、例えば0.25mm、0.5mm、0.75mm、1mm、又は1.25mmであってよい。近位電極と遠位電極は互いに電気連通していないことが好ましい。或いは、近位電極と遠位電極は、互いに電気連通していない限り、長さ方向に少なくとも一部分が互いに重なり合ってよい。
【0129】
近位電極と遠位電極との間のギャップは、あまり大きくないことで連続的なアブレーション損傷が形成されないようになっていてよい。本明細書に記載のギャップ(例えば0~5mm、例えば0.1~1.25mm、例えば0.25mm、0.5mm、0.75mm、1mm、又は1.25mm)であれば、連続的損傷形成を可能にすることの例示的メリットを実現することが可能である。
【0130】
本明細書に記載のアブレーションカテーテルは、1つ以上の温度センサを含んでよい。
図8Aは、少なくとも1つの温度センサを含む一例示的アブレーションカテーテルを示している。図示したアブレーションカテーテルは、例えば、近位温度センサ139を含み、これは、近位電極133と接触して位置してよく、任意選択で近位電極133の近位端にあってよい。図示したアブレーションカテーテルは又、遠位温度センサ140を含み、これは、遠位電極132と接触して位置してよく、任意選択で遠位電極の遠位端にあってよい。本明細書に記載のアブレーションカテーテルはいずれも、任意選択で別の温度センサを含んでよく、これは、近位電極と遠位電極との間、又は複数の電極の間に位置してよい。カテーテルが1つ以上の温度センサを含む場合、それらの温度センサは熱電対(例えば、T型)又はサーミスタであってよい。任意選択で、少なくとも1つの温度センサが、カテーテル表面から最大3mm離れた組織に接触する為に、カテーテルシャフトから半径方向に伸展してよく又は半径方向に伸展可能であってよい。温度センサは、カテーテルの近位領域において、コンピュータ化されたエネルギ送達コンソールと接続可能であってよく、コンソールでは、センサからの信号が入力されて、エネルギ送達制御アルゴリズムで使用されてよい。
【0131】
本明細書に記載のアブレーションカテーテルはいずれも、潅注管腔と流体連通している1つ以上の潅注ポート(本明細書では孔又はアパーチャと呼ぶこともある)を含んでよく、潅注管腔は、生理食塩水(例えば、通常又は高張の生理食塩水)等の流体を血管に送達する為に、カテーテルの近位領域において流体源に接続可能である。ポートは、ポートと潅注管腔との間の流体連通を形成する為に細長シャフトの1つ以上の層に形成されてよい。流体の機能は、電極及び/又は血管壁を冷却すること(即ち、それらから熱を除去すること)、血管から血液をフラッシュすることにより、血栓形成のリスクを低減すること又はアブレーションの均一性を向上させること、アブレーション電極から電気エネルギを伝導すること、血管内の圧力を制御すること、アブレーションカテーテルの遠位セクションの、標的血管(例えば、肋間静脈)への送達を容易にすること、又はアブレーションカテーテルの遠位セクションの、標的血管からの除去を容易にすることであってよい。任意選択で、1つ以上の潅注ポートが、アブレーションエレメントの遠位側、又は複数の可撓アブレーションエレメントのそれぞれの遠位側にあってよい。幾つかの実施形態では、潅注ポートはいずれも、可撓アブレーションエレメントの下に放射状に位置してよい。幾つかの実施形態では、1つ又は全ての潅注ポートがコイル状アブレーションエレメントの巻線間に配置されてよく、この場合、ポートはアブレーションエレメントの巻線の下で放射状にはならない。任意選択で、隣接するアブレーション電極間の軸方向のギャップ又はスペースに潅注ポートが位置してよい。任意選択で、1つ以上の潅注ポートが、展開可能な閉塞構造(例えば、バルーン)のキャビティにあってよく、バルーンを膨張させるように機能してよい。バルーンは、その近位側に打ち抜き穴があってよく、この穴は、流体がバルーンから出て血管の標的領域に入ることを可能にする。
【0132】
図8A~10は、アブレーションカテーテルの遠位セクションを示しており、これは、コイル状アブレーションエレメントの巻線間に潅注ポートを含む(図では1つのポート137のみにラベルを付けているが、他のポートも見えている)。
図8A~10に示した側面図では、例示的ポートは直線状に、遠位セクションの長軸に平行に並んでいる。
図8A~10の側面図に更に示すように、巻線材料の全ての隣接ペアの間に潅注ポートがある(コイル状エレメント132及び133のそれぞれがその長さ方向の連続巻線で形成されている場合でもそこに潅注ポートがある)。アブレーションエレメント間の中央ポート137はあってもなくてもよい。実施形態のいずれにおいても、遠位セクションの全てのポートが(側面図の)巻線間にあってよい。言い換えると、実施形態のいずれにおいても、巻線構造の下にはポートが放射状になくてよい。
【0133】
任意選択で、アブレーションカテーテルは、(例えば、外径が1.5~3mmの範囲にある)収縮した送達状態から(例えば、外径が2.5~6mmの範囲にある)膨張した展開状態に遷移可能な展開可能エレメントを有してよく、これの機能は、カテーテルの遠位セクションを血管の標的領域に固定すること、血流を閉塞すること、生理食塩水等の送達された流体を収容すること、血管の開存性を維持すること、又は電気的絶縁体として作用することのうちの1つ以上である。例えば、
図8Bに示すように、本明細書に記載のカテーテルはいずれも、遠位展開可能エレメント134を含んでもよく、これは、最適化された潅注流との組み合わせで、壁との接触を必要とせずに有効なアブレーションを実現する仮想電極を形成することが可能である。遠位展開可能エレメント134は、
図8Bに示したようなバルーン(例えば、コンプライアントバルーン)であってよく、或いは、ベロー、又はコーティングされたステント又はメッシュであってよい。遠位展開可能エレメント134は、
図8Bに示すように近位電極及び遠位電極を含んでよいアブレーションエレメントの遠位側にあってよい。
【0134】
任意選択で、本明細書に記載のアブレーションカテーテルはいずれも、近位展開可能エレメントを有してよい。
図9は、近位展開可能エレメント141を含む一例示的アブレーションカテーテルを示しており、近位展開可能エレメント141は、送達状態では外径が1.5~3mmの範囲にあるように収縮してよく、展開状態では、
図9に示すように、外径が4~10mmの範囲にあるように展開してよい。近位展開可能エレメント141の機能は、カテーテルの遠位セクションを血管の標的領域に固定すること、血流を閉塞すること、生理食塩水等の送達された流体を収容すること、電気的絶縁体として作用すること、血管の開存性を維持すること、(例えば、標的の肋間静脈より大きい展開時外径で)深さストッパとして作用して、遠位セクションが肋間静脈内へ進みすぎるのを防ぐこと、又は奇静脈内の血流を静脈口から離れるように方向付けて、静脈口近くのアブレーションを容易にすることのうちの1つ以上であってよい。近位展開可能エレメント及び遠位展開可能エレメントは、最適化された潅注流との組み合わせで、壁との接触を必要とせずに有効なアブレーションを実現する仮想電極を形成することが可能である。近位展開可能エレメントは、
図9に示したようなバルーン(例えば、コンプライアントバルーン)であってよく、或いは、ベロー、又はコーティングされたステント又はメッシュであってよい。本明細書に記載のカテーテルはいずれも、近位展開可能エレメント及び遠位展開可能エレメントを含んでよい。
【0135】
任意選択で、本明細書に記載のアブレーションカテーテルはいずれも、中間又は中央展開可能エレメントを含んでよい。
図10は、中間展開可能エレメント142を含む一例示的アブレーションカテーテルを示しており、中間展開可能エレメント142は、送達状態では外径が1.5~3mmの範囲にあるように収縮してよく、
図10に示すように(例えば、外径が2.5~6mmの範囲にある)膨張状態に展開してよい。中間展開可能エレメントの機能は、遠位セクションを血管の標的領域に固定すること、血流を閉塞すること、生理食塩水等の送達された流体を収容すること、血管の開存性を維持すること、又は電気的絶縁体として作用することのうちの1つ以上であってよい。中間展開可能エレメントは、遠位展開可能エレメントと中間展開可能エレメントとの間にあって遠位アブレーションエレメントの周囲にある血管を隔離して、壁との接触を必要とせずに有効なアブレーションを実現する仮想電極を形成することに使用されてよい。同様に、血管の、中間展開可能エレメントと近位展開可能エレメントとの間のセクションも隔離されてよい。中間展開可能エレメントは、
図10に示したようなバルーン(例えば、コンプライアントバルーン)であってよく、或いは、ベロー、又はコーティングされたステント又はメッシュであってよい。アブレーションエネルギがエレクトロポレーションである一実施形態では、中間展開可能エレメントは、血管から出る電流を血管の周囲の組織の中へ方向付けることによって、より効果的に標的神経をアブレーションする為の電気的絶縁体として機能することが可能である。別の実施形態では、アブレーションカテーテルは、中間展開可能エレメントと遠位展開可能エレメントだけを有すること(即ち、近位展開可能エレメントがないこと)、又は中間展開可能エレメントと近位展開可能エレメントだけを有すること(即ち、遠位展開可能エレメントがないこと)が可能である。
【0136】
上述の開示では、非標的構造の損傷を最小限に抑えるか回避しながらGSNをアブレーションする為の、アブレーションカテーテルを肋間静脈内で位置決めする例示的方法を示した。
図8A、8B、9、及び10に示したものを含む上述のアブレーションカテーテルは、それらの位置決め方法の一環として使用可能な1つ以上の放射線不透過性マーカ(例えば、遠位マーカ130及び近位マーカ136)を含んでいた。
図8A、8B、9、及び10のアブレーションカテーテルは、本明細書に記載の方法を実施する際に使用可能なアブレーションカテーテルの実施例であるが、それらの方法は様々なアブレーションカテーテルで実施可能であると理解される。従って、本明細書に記載の方法は、本明細書に記載の特定のアブレーションカテーテルには限定されないと理解される。又、本明細書に記載のアブレーションカテーテルは、本明細書に記載の位置決め方法で使用されなくてもよいことも理解される。
【0137】
TSN/GSNアブレーションカテーテルの別の実施形態は、本明細書に記載の特徴を1つ以上有してよく、例えば、記載のように間隔を空けて配置される近位放射線不透過性マーカ及び遠位放射線不透過性マーカ、潅注管腔、温度センサ、ガイドワイヤ管腔、可撓シャフトセクションを有してよく、別のアブレーションエレメントを含んでもよい。例えば、アブレーションエレメントは、様々な構成を有するRF電極、或いは、様々なタイプのアブレーションエネルギ(例えば、超音波、エレクトロポレーション、クライオアブレーション、レーザ、化学物質、又は他のアブレーションモダリティ)を送達するアブレーションエレメントであってよい。本明細書に記載の一実施形態又は一実施例に関して説明した、アブレーションカテーテルの特徴は、本開示において矛盾する場合を除き、他の適切な実施形態に組み込まれてよい。同じ又は同様の参照符号を有する特徴は任意選択で含まれることになっており、同じ構成要素であってよい。
【0138】
例えば、
図11は、一アブレーションカテーテルの遠位セクションを示す。このアブレーションカテーテルは、RF電極であってよいアブレーションエレメントを含み、複数のワイヤストラット143がアブレーションエレメントの長さ方向に走っていて、シャフトの円周の周囲に並んでいる。ワイヤストラットは、導電性であって(例えば)ステンレス綱、ニチノール等で作られ、(例えば、外径が1.5~3mmの範囲にある)収縮した送達状態から、血管壁(特に肋間静脈)に接触する(例えば、外径が2.5~6mmの範囲にある)膨張した展開状態に遷移可能である。ワイヤストラットの展開は、ワイヤストラットの一端を保持しているか別の方法でその一端に固定されているカラーを動かすプルワイヤに張力を印加し、2つの端部の間の距離を短くすることで、ワイヤストラットが外側に曲がることによって行われてよい。ストラットは、
図11に示したように、偏った形態でヒートセットされてよい。任意選択で、RF電極が、ワイヤストラットで作られた複数の(例えば、2つの)RF電極を有してよく、この複数の電極は、
図8~10に示したコイル状電極と同様に、互いに隣接して配置される。任意選択で、ワイヤストラットは、レーザカットされたチューブから作られてよい。任意選択で、膨張可能ワイヤ電極の遠位端、近位端、又はその両方は、膨張時に血管を閉塞するように機能する膜を有してよく、
図8A~10に示した展開可能構造(例えば、バルーン)と同様に機能することが可能である。
【0139】
図12は、膨張可能バルーンがアブレーションエレメントを載せている一例示的アブレーションカテーテルを示す。
図12は、RFアブレーションエレメントを有するアブレーションカテーテルの遠位セクションを示しており、アブレーションエレメントは、1つ以上の導電性エレメントが膨張可能バルーン144上に配置されている。導電性エレメントは、フィルム又は導電性インク又は可撓回路であってよい。センサ(例えば、温度センサ)もバルーン上に配置されてよい。任意選択で、バルーンの膨張は、生理食塩水等の流体又は空気をバルーン内に送達することによって行われてよい。任意選択で、導電性エレメント又はバルーンは、流体が通り抜けて電極の冷却又はエネルギの伝導を行うことを可能にする打ち抜き穴を有してよい。導電性エレメントのパターンは、円筒状148(
図12)、らせん状149(
図13A)、それぞれがらせん状の形態を有する複数の電極150(
図13B)、波状(例えば、正弦波)又はジグザグのパターンを有する電極151(
図14)、又は他の、血管の周囲を円周方向にアブレーションするように適合されたパターンであってよい。
図12~14に示した実施例は、上述の位置決め方法のいずれとも使用可能な、任意選択の遠位放射線不透過性マーカ及び近位放射線不透過性マーカを含む。
【0140】
図15は、膜内に導電性エレメントを含む、アブレーションカテーテルの別の一例示的遠位セクションを示す。
図15のカテーテルは、膜185によって画定されたキャビティの中のカテーテルシャフト上又はその周囲に、導電性ワイヤ145(例えば、ワイヤコイル)であるRFアブレーションエレメントを含む。膜は、イオノマー、導電性膜、又は湿潤性膜であってよい。任意選択の遠位マーカ及び近位マーカは、それぞれ、バルーンの遠位側及び近位側に示されている。
【0141】
図16は、本明細書に記載の位置決め方法とともに使用可能な、アブレーションカテーテルの遠位セクションの一実施例を示す。
図16に示しているのはRFアブレーションエレメントの別の実施形態であり、アブレーションエレメントは、テーパ状シャフト147上の複数の短いRF電極146である。この実施形態は、アブレーションエレメントを載せているシャフトの全長が既述の5~25mm(好ましくは10~15mm)より長くてよい点が異なっている。その代わりに、このカテーテルは、それぞれの長さがこの範囲にある複数の(例えば、2つ又は3つの)セクションを含むが、それらは、肋間静脈内でそれらがどの程度フィットするかに応じたアブレーションエネルギを送達するように選択的に選択される。テーパ状シャフトは、(例えば、2.5~5mmの範囲にある)肋間静脈のレンジにフィットするように機能することが可能である。遠位端は近位端より細く、電極は個別に且つ選択的に通電可能である。カテーテルの遠位セクションが比較的細い(例えば、内径が約2.5mmの)肋間静脈に送達される場合、遠位側の細い部分は、肋間静脈内に進められてよく且つアブレーションエネルギの送達に使用されるように選択されてよく、一方、近位側の太い部分は、奇静脈内にとどまってよく且つアブレーションエネルギの送達に使用されなくてよい。肋間静脈が太い場合(例えば、内径が5mmある場合)には、遠位セクションは、肋間静脈内の更に奥まで、太い電極が血管に食い込んで壁に接触するまで進められてよい。太い近位側の電極はエネルギ送達を行うように選択されてよく、一方、遠位側の電極は交感神経幹の損傷を避ける為に非活性である。任意選択で、電極の中間セクションが、内径が約3.5mmである肋間静脈にフィットするようにサイズ決定されてよい。複数の電極は、コイル状ワイヤ、レーザカットされたチューブ、又は固体電極であってよい。電極は、放射線不透過性であってよく、又は電極に関連付けられた放射線不透過性マーカを有してよく、これにより、ユーザは、電極が肋間静脈内のどこに位置するかを画像化して、電極のどのセクションを活性化すべきかを選択することが可能である。
【0142】
肋間神経内からTSN又はGSNをアブレーションする為の経血管アブレーションカテーテル241の別の実施形態を
図17Aに示す。カテーテル241は、長手軸に沿って延びてよい。(例えば、非膨張状態と膨張状態とがあるバルーン242の形態の)膨張可能部材がカテーテルの遠位セクション243と結合されてよい。膨張可能部材(例えば、バルーン)は、(例えば、長さが5~25mmの範囲、10~15mmの範囲にある)円周方向処置ゾーン248を有してよく、これは、膨張状態で長手軸に沿って延びて血管55を包囲している。カテーテルは電極アセンブリ252を含み、これは、複数の電極パッド244を含み、バルーン242にマウント又は別の方法で固定されてよい。各電極パッドアセンブリは、第1及び第2の電極パッドを支持する基盤を含んでよく、各電極パッドは、細長バイポーラ電極のペアを有し、電気配線249で接続されている。各電極パッドアセンブリの電極パッドは、長手方向及び円周方向に互いにオフセットしていてよい。本方法は又、肺高血圧症又は心不全(例えば、HFpEF)等の病気の治療の為に患者の血液量が再分配されるように、電極が肋間静脈の壁と電気的に結合されるように肋間静脈内でバルーンを膨張させるステップと、肋間静脈から5mm以内でTSN又はGSNが治療的に改変されるように各バイポーラペアの電極間のバイポーラエネルギを駆動するステップと、を含んでよい。
【0143】
各電極パッドは、バイポーラペアの電極間に配置された温度センサを含んでよい。バルーンの膨張によって、温度センサが肋間静脈の壁と結合されてよい。幾つかの実施形態では、本方法は更に、温度センサからの温度信号に対する応答として、壁がほぼ均一に加熱されるようにエネルギをバイポーラペアに向けるステップを含んでよい。
【0144】
肋間静脈からGSNを標的化する深さ5mmのアブレーションを作成する為に、電極パッドを冷却することにより、アブレーション深さの妨げになる静脈壁の組織の乾燥を防いで、より大きなパワーが送達されることを可能にできる。電極の冷却は、例えば、バルーン242内に冷却液を循環させることによって行われてよい。一実施形態では、冷却液は、バルーンチャンバの一方の端部にある冷却液注入ポート246からバルーン242に注入されてよく、冷却液は、バルーンチャンバの反対側の端部にある出口ポート247からチャンバの外に出されてよく、出口管腔を通ってカテーテルに戻ることが可能であってよい。
【0145】
別の実施形態では、冷却液は、カテーテルの管腔を通って戻る代わりに、血流中に沈殿してよい。この実施形態は、冷却液の流量を増やす為に、カテーテルシャフトをより細く、より可撓にすること、又は冷却液送達管腔をより太くすることを可能にできる。バルーン内の圧力を高めてバルーンを膨張させることを可能にする為に、冷却液出口ポートを冷却液注入ポートより小さくしてよい。冷却液出口ポートは、カテーテルシャフト全体を貫通して近位端に至る管腔ではなく、カテーテルの遠位端に移動して冷却液(例えば、通常の生理食塩水)を肋間静脈内に沈殿させる管腔と連通してよい。任意選択で、冷却液出口管腔は、ガイドワイヤ送達管腔と同じ管腔であってよい。
【0146】
電極パッドは、標的アブレーションゾーン58と同等の長さ(例えば、最大20mm、約15mm、12~18mm)の円周方向アブレーションパターンを作成するようにバルーンの周囲に配置されてよい。例えば、
図17Bに示すように、電極パッドが細長シャフト253にマウントされたバルーンが、径が約1~2.5mmであって円周が約3.14~7.85mmである非展開状態を有してよく、膨張して、径が約3~5mmの範囲にあって円周が約9.4~15.7mmの範囲にある展開状態になることが可能であってよい。電極パッド244は、5mm未満(例えば、2.5mm未満)の距離250だけ互いに隔てられて、即ち間隔を空けて、3~3.5mmの範囲にある幅又は弧長251で配置されてよい。電極パッド244は、それぞれの長さが約3~5mmであってよい。
図17Aに示したように、電極パッドアセンブリ252は、電気配線249で互いに接続されて4つの別々の列に並べられた複数の電極パッド244を含んでよく、これらの列は、バルーン242の円周の周囲に均等な間隔を空けて配置される(例えば、4つの列が各90度四分円に配置される)。長手方向には、1つの列のパッド244は、隣接する列のパッドからオフセットされていてよい。バルーンが非膨張状態のときは、電極パッドの間隔が(例えば、約0~1mmまで)小さくなっており、隣接する行が互いにインタロックしている。バルーンが膨張状態になると、パッドの間隔250が膨張可能バルーン242によって約2~5mmまで広がる。バルーン242は、ラテックス等のコンプライアント材料、又は柔軟に折り重なって収縮する非コンプライアント材料であってよい。
【0147】
代替として、電極パッドは一方の側にのみ(例えば、バルーンの円周のうちの50%、40%、30%、25%に)に配置されてもよい。これは、全てが同じ側を向いていて標的アブレーションゾーン58の長さである方向性アブレーションパターンを生成する為である。方向性アブレーションカテーテルの場合、放射線不透過性マーカは、半径方向を示す為にカテーテルの遠位セクションに配置されてよい。例えば、放射線不透過性マーカは、非対称であって、表示されるべき方向性電極パッドと同じ側又は反対側に配置されてよく、使用時に医師がカテーテルを回転させて、椎骨から離れている放射線不透過性マーカ、従って、電極パッドに狙いをつけることが可能であり、これは常にGSNに向けられる。
図17Aは、幾つかの小さい電極パッドを示している。代替として、本デバイスは、電極パッドがより大きく且つより少なくてよく、例えば、2つ又は3つの(例えば、長さが3~5mmの)方向性電極パッドが、標的アブレーションゾーン58に広がる、バルーンの同じ側にあってよい。電極パッド間に(例えば、1~3mmの)ギャップがあることで、本デバイスを曲げて奇静脈から肋間静脈にかけてトラバースさせることが容易になりうる。
図17A及び17Bのアブレーションカテーテルは、近位放射線不透過性マーカ及び/又は遠位放射線不透過性マーカを含んでよく、本明細書に記載の位置決め方法とともに使用可能である。
【0148】
バルーンのすぐ近位側のカテーテルシャフトが可撓ネック245を含んでよく、これにより、アブレーションバルーンが肋間静脈の自然な向きに合わせて収まることが可能である。この場所で曲げ半径が小さいと、堅いシャフトによってアブレーションバルーンに力がかかって肋間静脈がゆがんで、アブレーションゾーンの予測可能性が低下する可能性がある。可撓ネックは、軟らかい(デュロメータ硬度が低い)ポリマー(例えば、Pebax(登録商標))で作られてよく、その材料にワイヤコイルが埋め込まれていてよく、これにより、押しやすさを備えながらの柔軟な曲げが可能になりうる。このタイプの可撓ネックは、本明細書に記載の他のアブレーションカテーテルにも組み込まれてよい。
【0149】
最も近位側の電極は、肋間静脈内の静脈口のすぐ近くに配置されてよい。奇静脈を通る血流は、その近くの組織を代謝によって冷却してアブレーション作成を妨げる可能性がある。この血流による冷却を補償する為に、この近位電極に送達されるアブレーションパワー(例えば、RF)の量を他の電極より多くしたり、継続時間を他の電極より長くしたりしてよい。
【0150】
カテーテル241は、アブレーションエレメントの遠位側(例えば、バルーン242の遠位側)に位置する遠位放射線不透過性マーカ255と、アブレーションエレメント244の近位側(例えば、バルーン242の近位側)に位置する近位放射線不透過性マーカ254と、を有してよい。遠位放射線不透過性マーカ255及び近位放射線不透過性マーカ254は、シャフトの長手軸方向に5~25mmの範囲にある距離だけ(例えば、10~15mmだけ)離れていてよい。本明細書に記載の放射線不透過性マーカの他の任意の特徴又は説明がマーカ255及び/又は254にも当てはまってよい。
【0151】
図18Aは、一例示的超音波アブレーションカテーテルを示す。カテーテル220は、近位領域及び遠位セクションを有する細長シャフト225と、遠位セクションにマウントされているか遠位セクションにあるアブレーションアセンブリ232と、を含む。超音波アブレーションカテーテル220は膨張可能バルーン221を有し、膨張可能バルーン221は、肋間静脈内での膨張に適するジオメトリ(例えば、膨張状態において2.5~5mmの範囲にある外径222)と、8~30mmの範囲にある長さ223と、を有してよい。バルーン221内には、バルーン221の中心に位置するシャフト233上に複数の超音波トランスデューサ224が配置されてよい。トランスデューサ224は、標的アブレーションゾーン58の長さのアブレーションを作成することが可能な、同等の長さのアブレーションを生成する為に、5~25mmの範囲にある長さ226にわたって直列に配置されてよい。肋間静脈の径が小さいことでバルーンのサイズが小さくなると、トランスデューサとの接触やトランスデューサによる過熱のリスクがあり、それによって、バルーンが破裂したり、アブレーションの有効性が低下したりする可能性がある。このリスクを取り除く為に、トランスデューサとバルーンとの間にストラット又は突起物227が配置されてよい。ストラット227は、例えば、トランスデューサ224から離れて放射状に広がるように弾性的に事前成形されたポリマーストランドであってよい。標的アブレーションゾーンにまたがる長いアブレーションを作成する為に、複数のトランスデューサが組み込まれて(例えば、長さ4mmのトランスデューサが3つ組み込まれて)、それらの間の柔軟なギャップ228によって間隔を空けて配置されてよく、これにより、奇静脈から肋間静脈にかけての小さな曲げ半径をトラバースすることが容易になる。例えば、シャフト225は、ガイドワイヤ79による送達の為の任意選択のガイドワイヤ管腔229を有する編組補強ポリイミドチューブであってよく、トランスデューサ224に通電する電気導体を保持してよい。超音波トランスデューサ224は、標的静脈の周囲に円周方向アブレーションを生成する為に円筒形であってよい。或いは、超音波トランスデューサは、静脈の円周の部分断片であるアブレーションを生成する為に平ら又は半円筒形であってよく、放射状に識別可能な放射線不透過性マーカ230が遠位セクションに配置されてよく、これにより、ユーザがアブレーションの方向を、GSNが静脈55の上を通る患者の前部に向けることが可能になる。任意選択で、超音波トランスデューサは、画像化及びアブレーションを行うように構成されてよく、画像化機能は、肺、椎骨、肋骨等の近接構造を評価することに使用されてよい。超音波画像化は、トランスデューサが肺(標的GSNの方向)に狙いをつけていることを確認する為に使用されてよい。任意選択で、シャフトは、遠位セクションが肋間静脈内にうまく収まることを可能にする為に、バルーン221の近位端から10mm以内に可撓ネック231を有してよい。
【0152】
超音波アブレーションカテーテルの一代替実施形態では、カテーテルは、アクティブ超音波トランスデューサ及び膨張可能リフレクタバルーンで構成されてよく、これらは同じカテーテル上にあってもよく、或いは別々のカテーテル上にあってもよい。リフレクタバルーンは、膨張時の径が2.5~4mmの範囲にあってよく、その近位側の表面が、反射波を標的アブレーションゾーン上にフォーカスさせる形状(例えば、凹面曲率)になっていてよい。リフレクタバルーンは、トランスデューサの遠位側に位置し、より細い肋間静脈に挿入され、一方、超音波トランスデューサはより太い奇静脈内にとどまる。超音波トランスデューサは、奇静脈内の血流に曝されてよく、或いは、膨張可能バルーン内の、冷却液(例えば、滅菌水又は生理食塩水等の循環冷却液)で満たされたチャンバに収容されてよい。超音波エネルギは、遠位リフレクタバルーンに向けられ、反射されて、内臓神経を包囲する組織内にフォーカスされる。このアプローチの利点は、アクティブ超音波トランスデューサを太く作ることができて、奇静脈から肋間静脈にかけての鋭い曲がりに通さなくてよいことである。2つ目の利点は、同じカテーテルで幾つかの肋間静脈を使用してアブレーションを標的化できることである。
【0153】
カテーテル220は、アブレーションエレメントの遠位側(例えば、バルーン221の遠位側)に位置する遠位放射線不透過性マーカ230と、アブレーションエレメントの近位側(例えば、バルーンの近位側)に位置する近位放射線不透過性マーカと、を有してよい。遠位放射線不透過性マーカ及び近位放射線不透過性マーカは、シャフトの長手軸方向に5~25mm(例えば10~15mm)の範囲にある距離だけ離れていてよい。
【0154】
図8A~10には例示的アブレーションカテーテルを示した。これらの実施例におけるアブレーションカテーテルに含まれるアブレーションエレメントは、軸方向に間隔を空けて配置された第1及び第2の可撓コイル状アブレーション電極を含む。単一の長い電極が組織を主に電極の一方の端部に向かって加熱する傾向を避ける為には、単一の長い電極ではなく、それより短い第1及び第2の電極を有することが有益であろう。従って、2つ以上の電極を有することが、長い、一貫性のあるアブレーションを組織に作成することに役立ちうる。従って、
図8A~10は、所望の長さ(例えば10~25mm、例えば15~25mm、例えば15~20mm)の連続的アブレーションをより一貫して作成することが可能なアブレーションカテーテルの実施例を示している。
【0155】
単一の長い電極に対して、より短い第1及び第2の電極を有することの更なる例示的利点は、単一の長い電極ではなく、それより比較的短い単一の電極だけに通電することが可能である点である。このことは、患者の解剖学的構造がより短いアブレーションの作成を必要とする場合、又はその作成の恩恵を受けうる場合(例えば、奇静脈が完全に中心に位置する場合)に有利でありうる。このような場合、長い単一の電極では、非標的構造を避けながら組織を安全にアブレーションすることが困難又は危険である可能性がある。これについては本明細書の別の場所で詳述する。
【0156】
更に、
図8A~10では、第1のアブレーションエレメントと第2のアブレーションエレメントとがギャップ又は間隔によって軸方向に隔てられているアブレーションカテーテルを示した。このギャップは、第1及び第2のアブレーションエレメントに通電したときに連続的損傷が形成される程度に小さく(即ち、大きすぎず)、更に、短絡しない程度に大きい。
【0157】
従って、本明細書(例えば、
図8A~10)に記載のアブレーションカテーテルの遠位セクションの設計特徴は、遠位セクションが肋間静脈内の所定位置まで進められて、患者の解剖学的構造に基づき、必要に応じて、より短いアブレーション区間を可能にしながら、長さが少なくとも10~25mmの連続的アブレーションを確実に作成することを可能にする例示的利点を提供する。
【0158】
幾つかの使用方法では、アブレーションエネルギはRFであり、エネルギ送達コントローラが、15~50Wの範囲にあるRFパワーを送達するように適合されている。幾つかの実施形態では、コントローラは、15~40Wの範囲にある、又は15~35Wの範囲にある、又は20~35Wの範囲にある(例えば、約25W、約30W、又は約35Wの)RFパワーを送達するように適合されている。
【0159】
幾つかの使用方法では、エネルギが25~120秒の時間長にわたって送達される。例えば、エネルギが90秒、100秒、110秒、又は120秒にわたって送達されてよく、その時間長の一部分(例えば、半分)にわたって、エネルギが第1の電極に送達されてよく、その時間長の残り部分(例えば、半分)にわたって、エネルギが第2の電極に送達されてよい。
【0160】
幾つかの使用方法では、潅注の流量が10~20mL/分であり、例えば、10mL/分、15mL/分、又は20mL/分である。本明細書に開示のデバイス及び方法によれば、TSNは比較的安全にアブレーションすることが可能であり、弊害(例えば、肺や他の神経の損傷)が最小限に抑えられるか軽減される。本明細書に記載の幾つかの使用方法実施形態では、血流を一時的に閉塞して静脈がつぶれる作用を抑えることで、加熱プロセス中に熱的環境及び電気的環境が変化する困難を有利に回避することが可能である。本明細書に記載の幾つかの使用方法実施形態では、標的血管から最大5mmまでの神経をアブレーションすることが可能である。本明細書に記載のデバイスの幾つかは、標的神経(例えば、TSN、GSN)をアブレーションする為に指定された血管系への送達及び位置決めの為に寸法決定及び構成される。
【0161】
本明細書に記載のデバイスの幾つかは、標的血管への安全な送達を可能にする1つ以上の特徴を有してよい。
【0162】
本明細書に記載のデバイス及び使用方法の幾つかは、温度監視エネルギ送達によりエネルギを安全に送達することが可能である。
【0163】
本明細書に記載の使用方法の幾つかでは、1回の位置決め及びエネルギ送達で、連続的損傷の長さが5~25mm、例えば10~25mm、例えば15~20mm(例えば、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm)である標的領域内で標的血管から最大5mm離れた神経を標的化することが可能な損傷を生成することが可能である。
【0164】
本明細書に記載のデバイス及び方法の幾つかは、アブレーションの有効性を低下させうる沸騰、温点、又は不安定なエネルギ送達のリスクを避けるように適合されている。更に、幾つかの実施形態は、アブレーション前に位置決めを確認する為に、又はアブレーション中又はアブレーション後に技術的成功を確認する為に標的神経と非標的神経とを識別する神経刺激を含んでよい。
【0165】
アブレーション方法は、連続的なアブレーションゾーンを作成すること(即ち、互いにつながっていない、アブレーションされた組織の別々の離散的な領域を有しないこと)が、必須ではないものの好ましいと考えられる。これによって、標的のGSN神経又はGSN神経根が位置する可能性が高い組織領域がアブレーションエネルギによって効果的にアブレーションされる可能性が最も高くなる。連続的なアブレーションゾーンは円周であってよく、円周に満たなくてもよい。
【0166】
その後、任意選択でアブレーション確認試験が実施されてよく、例えば、神経刺激信号を送達することによって実施されてよい。アブレーション確認試験に対する生理学的反応(例えば、内臓血管収縮、心拍上昇、血圧上昇)の監視が実施されてよい。生理学的反応から、第1の損傷が臨床的に有意な規模のGSNブロッキングを実現しなかったことが(例えば、生理学的反応の欠落を観測したことによって)わかった場合には、第2の肋間静脈から最大5mmの組織に第2の損傷を作成するアブレーションエネルギがアブレーションカテーテルから送達されてよい。アブレーションカテーテルの遠位セクションは、第2の肋間静脈の上にある(例えば、上にあって隣接している)第3の肋間静脈まで動かされてよい。同じ又は別のアブレーション確認試験が実施されてよく、その後に更なる監視試験が実施されてよい。生理学的反応から、第1の損傷及び第2の損傷が臨床的に有意な規模のGSNブロッキングを実現しなかったことが(例えば、生理学的反応の欠落を観測したことによって)わかった場合には、第3の肋間静脈から最大5mmの組織に第3の損傷を作成するアブレーションエネルギがアブレーションカテーテルから送達されてよい。これらのアブレーション確認試験はいずれも、胸内臓神経中に活動電位を発生させるように構成された神経刺激信号を、アブレーションカテーテルの遠位セクション上に配置された刺激電極から送達することを含んでよい。代替又は追加として、アブレーション確認試験は脚上げ試験を含んでよい。代替又は追加として、アブレーション確認試験は、静脈系に液量を追加することを含んでよい。代替又は追加として、アブレーション確認試験は握り試験を含んでよい。代替又は追加として、アブレーション確認試験は、静脈コンプライアンス又は静脈キャパシタンスを測定することを含んでよい。
【0167】
アブレーション確認試験が脚上げ試験を含む例示的方法では、この方法は以下のステップのいずれかを含んでよい。最も低い肋間静脈におけるアブレーションの前にベースライン測定値を取得してよく、これは、脚を上げて、中心静脈圧の変化を測定して、平衡になるのを待つこと(即ち、中心静脈及び内臓床を含む総静脈コンプライアンスを測定すること)によって行われてよい。次に脚を下げてよく、それによって平衡が可能になって血流が脚に再分配される。次に、最も低い肋間静脈(例えば、T11)におけるアブレーションを、本明細書に記載のように実施してよい。次に脚を上げてよく、その後、平衡になるのを待って中心静脈圧を再測定する。次に、測定を行って、総静脈コンプライアンスの適切な低下があったかどうかを判定してよい。あった場合は、GSNのアブレーションが成功したことになる。なかった場合は、一段高い肋間静脈(例えば、T10)におけるアブレーションを、本明細書に記載のように実施してよい。この測定を繰り返してよい。次に、総静脈コンプライアンスの適切な低下があったかどうかを判定してよい。あった場合は、GSNのアブレーションが成功したことになる。なかった場合は、一段高い肋間静脈(例えば、T9)におけるアブレーションを実施してよい。
【0168】
アブレーション確認試験が握り活動又は他の、内臓床への交感神経系(SNS)流出を増やす活動を含む例示的方法は、以下のステップを含んでよい。最も低い肋間静脈(例えば、T11)においてアブレーションを実施してよい。次に静脈コンプライアンスを測定してよい。次に、所定の時間長(例えば、60秒)にわたって握りを実施してよい。次に静脈コンプライアンスを再測定してよい。静脈コンプライアンスに変化がない場合には、最初のアブレーションが、臨床的に有意な結果を達成するのに十分だったことになる。依然としてコンプライアンスの低下がある場合には、握りによって引き起こされたSNS活動の一部がまだ終わっていない。従って、最も低い肋間静脈におけるアブレーションは、臨床的に有意な結果を達成するには不十分だったことになる。次に、一段高い肋間静脈(例えば、T10)におけるアブレーションを実施してよい。所定の時間長(例えば、60秒)にわたって握り試験を実施してよい。次に静脈コンプライアンスを再測定してよい。コンプライアンスに変化がない場合には、第2のアブレーションが十分だったことになる。コンプライアンスの低下がある場合には、握りによって引き起こされたSNS活動の一部がまだ終わっていない為、その一段高い肋間静脈におけるアブレーションが、臨床的に有意な結果を達成するには不十分だったことになる。次に、一段高い肋間静脈(例えば、T9)におけるアブレーションを実施してよい。この時点で処置は完了である。これは、3番目に低い肋間静脈より高いレベルでのアブレーションが想定されていない為である。
【0169】
本明細書に記載のアブレーション確認試験を含む、本明細書に記載の方法のいずれにおいても、これらのステップの全てを実施しなければならないわけでは必ずしもない。そして、これらのステップの幾つかは別の順序で実施されてもよい。注目すべきこととして、本明細書に記載の処置は、特定の神経又は神経根を標的化しようとするものであり、特定の標的静脈からそのようにするものであり、それらの静脈内であっても、アブレーションエレメント又はアブレーション部材を特定の領域内に配置するものである。アクセス及び標的化される解剖学的領域は、特定の設計要件を必要とする。様々な解剖学的場所を配置の為に標的化していて、様々な標的神経を標的化している他の治療では、それらのアプローチに関するデバイス設計制約が非常に様々なである為、それらの治療において使用可能なデバイスも非常に様々である。従って、本開示は、特定のデバイスを設計する具体的な理由を示しており、それらの理由は、本明細書において具体的に記載された治療を有効に実施することが可能であることを含む。
【0170】
上述の説明では1つ以上のプロセス又は装置の実施例を示したが、当然のことながら、他のプロセス又は装置も添付の特許請求の範囲内にあってよい。
【0171】
先行技術であれ他の技術であれ任意の技術に関して(本特許出願において、又は、あらゆる親、きょうだい、又は子を含む任意の関連する特許出願又は特許において)既に行われたあらゆる補正、特性化、又は他の主張が、本出願の本開示によって支持されるあらゆる主題の放棄として解釈される可能性がある範囲では、出願人は、ここでは、そのような放棄を破棄及び撤回する。出願人は又、あらゆる親、きょうだい、又は子を含む任意の関連する特許出願又は特許において既に考慮されているあらゆる先行技術についての再考が必要である可能性があることを謹んで具申するものである。
【0172】
本明細書に記載の具体的な実施形態はいかなる請求項も限定するものではなく、いかなる請求項も、特に断らない限り、以下に記載のプロセス又は装置と異なるプロセス又は装置を包含しうる。請求項は、特に断らない限り、以下に記載のいかなる1つの装置又はプロセスの特徴の全てを有する装置又はプロセスに限定されず、或いは、以下で述べる装置のうちの複数の装置又は全ての装置に共通の特徴に限定されない。以下に記載の装置又はプロセスが、本特許出願の発行によって与えられるいかなる排他的権利の実施形態でもない可能性がある。以下に記載の、本特許出願の発行によって排他的権利が与えられないいかなる主題も、別の保護的法律文書、例えば、継続特許出願の主題であってよく、出願人、発明者、又は保有者は、そのようないかなる主題も、本文書におけるその開示によって、放棄するものではなく、棄権するものではなく、公衆に提供するものではない。
【0173】
追加実施例
【0174】
第1の追加実施例は、患者の脊椎の一部分に対して相対的な、患者の奇静脈の位置を特性化する方法であり、本方法は、患者の脊椎の少なくとも一部分を画像化しながら、患者の奇静脈内へデバイスを血管内送達し、脊椎の位置に対して相対的に血管系を可視化する為に、デバイスから患者の血管系の中に(例えば、奇静脈及び/又は1つ以上の肋間静脈の中に)放射線不透過性造影剤(例えば、染料)を注入すること、又は脊椎の一部分に対して相対的な、デバイスの少なくとも一部分の位置を識別することのうちの少なくとも一方を実施して、脊椎の一部分に対して相対的な(例えば、脊椎の中線に対して相対的な)患者の奇静脈の位置を特性化(例えば、定性化及び/又は定量化)するステップを含む。
【0175】
この第1の追加実施例では、画像化は、前後方向像としての画像化を含んでよい。
【0176】
この第1の追加実施例は更に、患者の脊椎に対して相対的な、患者の奇静脈の(奇静脈が肋間静脈と交わる)横方向位置を決定するステップを含んでよい。患者の奇静脈の横方向位置を決定するステップは、患者の奇静脈を画像化している間に実施されてよい。画像化は、デバイスから患者の血管系に放射線不透過性造影剤(例えば、染料)を注入してからの放射線画像化(例えば、蛍光透視)を含んでよい。横方向位置を決定するステップは、(任意選択でGSNをアブレーションする)アブレーション処置の一環として、肋間静脈に対して相対的な、アブレーションカテーテルを配置する場所を決定する為に使用されてよい。
【0177】
第2の追加実施例は、患者の奇静脈の位置を評価して、奇静脈が中心に位置するか、右に偏っているか(患者の中心より右にあるか)、左に偏っているか(患者の中心より左にあるか)を判定するステップを含む方法である。患者の奇静脈の位置を評価するステップは、患者の奇静脈を画像化している間に実施されてよい。画像化は、放射線画像化(例えば、蛍光透視)を含んでよい。画像化は、前後方向像としての画像化を含んでよい。位置を評価するステップは、(任意選択でGSNをアブレーションすることを意図された)アブレーション処置の一環として、アブレーションカテーテルを配置する場所を決定する為に使用されてよい。
【0178】
この第2の追加実施例では、評価するステップは、アブレーションカテーテルの放射線不透過性マーカ(任意選択で、近位放射線不透過性マーカ)を配置する場所を決定する為に使用されてよく、アブレーションカテーテルは、放射線不透過性マーカの遠位側にアブレーションエレメントを含む。
【0179】
この第2の追加実施例では、評価するステップは、放射線不透過性マーカを、奇静脈が肋間静脈と交わる静脈口に配置するか、脊椎の中線(ほぼ中線を含む)に配置するかを決定する為に使用される。
【0180】
この第2の追加実施例では、評価するステップによって、奇静脈が右に偏っているか、中心(ほぼ中心を含む)に位置することが示された場合には、本方法は、放射線不透過性マーカを、奇静脈が肋間静脈と交わる静脈口に配置することを含んでよい。
【0181】
この第2の追加実施例では、評価するステップによって、奇静脈が左に偏っていることが示された場合には、本方法は、放射線不透過性マーカを脊椎の中線(又はほぼ中線)に配置することを含んでよい(これらは、例えば、前後方向画像化像において決定される)。
【0182】
この第2の追加実施例では、評価するステップは、アブレーションカテーテルの一部であるアブレーションエレメント(例えば、1つ以上の電極)を配置する場所を決定する為に使用されてよい。
【0183】
この第2の追加実施例では、本方法は更に、脊椎、肋骨、又は肋椎関節の一部分のうちの少なくとも1つ以上に対して相対的な、遠位放射線不透過性マーカの位置を評価するステップを含んでよい。本方法は更に、評価によって、遠位放射線不透過性マーカの位置が遠位側に寄りすぎていることが示された場合には(従って、アブレーションエレメントの位置が遠位側に寄りすぎていることが示された場合には)アブレーションカテーテルを近位側に引っ込めるステップを含んでよい。本方法は更に、遠位放射線不透過性マーカが肋椎関節より遠位側にはないことを保証することが可能である。
【0184】
第3の追加実施例は、GSNアブレーションの為にアブレーションカテーテルを血管内配置する方法であり、本方法は、肋間静脈(例えば、T9、T10、又はT11)及び奇静脈のうちの一方又は両方にアブレーションカテーテルを配置するステップを含み、アブレーションカテーテルの位置は、脊椎の一部分の特性化された相対位置と、奇静脈のうちの、奇静脈が肋間静脈と交わる場所とに基づいて選択される。
【0185】
第4の追加実施例は、アブレーションカテーテルの遠位セクションの位置を特性化して、アブレーションカテーテルの少なくとも一部分を肋間静脈内に配置することを容易にする方法であり、本方法は、患者の肋間静脈(例えば、T9、T10、又はT11肋間静脈)にアブレーションカテーテルを配置するステップと、肋間静脈と脊椎の一部分とを含む患者の一部分を画像化している間に、脊椎、肋骨、又は肋椎関節の一部分のうちの1つ以上に対して相対的な、アブレーションカテーテルの1つ以上の構成要素の場所を決定するステップと、を含む。
【0186】
第5の追加実施例は、本明細書に記載の任意の請求項の方法であり、本方法は、アクセス用イントロデューサシース(例えば、12F)により、患者の頸静脈又は腿静脈にある静脈血管系にアクセスするステップを含む。
【0187】
第6の追加実施例は、本明細書に記載の任意の請求項の方法であり、本方法は、送達シース(例えば、9Fシース)を奇静脈まで(例えば、標的肋間静脈より1又は2胸部レベル上方まで)送達するステップを含む。
【0188】
第7の追加実施例は、本明細書に記載の任意の請求項の方法であり、本方法は、奇静脈及び1つ以上の肋間静脈を画像化している間にその奇静脈及び1つ以上の肋間静脈の場所を表示する為に造影剤を送達するステップを含む。
【0189】
追加実施例はいずれも、前後方向で(例えば、AP位置にあるCアームにより)画像化することを含む画像化ステップを含んでよい。
【0190】
追加実施例はいずれも、Cアームを右前斜位(RAO)角度で位置決めすることを含んでよい。
【0191】
追加実施例はいずれも、Cアームを20~70度の範囲で(例えば、30~60度の範囲で)位置決めすることを含んでよい。
【0192】
追加実施例はいずれも、アブレーションカテーテル上の軸方向に間隔を空けて配置された第1の場所と第2の場所(例えば、近位放射線不透過性マーカの場所と遠位放射線不透過性マーカの場所)の間の投射距離を最大化する角度でCアームを位置決めすることを含んでよい。
【0193】
追加実施例はいずれも、ROマーカ(例えば、遠位ROマーカ)が特定の解剖学的場所(例えば、肋椎関節)又はその近位側にあるかどうかを評価することを含んでよい。
【0194】
追加実施例はいずれも、そのマーカがその特定の解剖学的場所又はその近位側にある場合には、アブレーション処置(例えば、組織をアブレーションすること)を続けることを含んでよい。そのマーカがその特定の解剖学的場所又はその近位側にない場合には、本方法は、アブレーションカテーテルを肋間静脈内で動かすことを含んでよい。そのマーカがその特定の解剖学的場所又はその近位側にない場合には、本方法は、遠位アブレーションエレメント(例えば、コイル状電極)ではなく近位アブレーションエレメント(例えば、コイル状電極)でアブレーションエネルギを発生させることを含んでよい。
【0195】
第8の追加実施例はアブレーションカテーテルであり、これは、アブレーションカテーテルの遠位セクションが、奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈内に進むことが可能であって、アブレーションエネルギを送達するように適合されることが可能であるようにサイズ決定及び構成されており、カテーテルの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置可能であるような長さの細長シャフトを含み、遠位セクションは、細長シャフトに載せられた導電性可撓アブレーションエレメントを含み、導電性可撓アブレーションエレメント(これは2つ以上のアブレーションエレメントを含んでよい)は、長さが5~20mmであり、遠位セクションは、(少なくとも送達形態における)外径が1.5~3mmである。
【0196】
第9の追加実施例はアブレーションカテーテルであり、これは、アブレーションカテーテルの遠位セクションが、奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈内に進むことが可能であって、アブレーションエネルギを送達するように適合されることが可能であるようにサイズ決定及び構成されており、カテーテルの遠位セクションがT9、T10、又はT11肋間静脈内に配置可能であるような長さの細長シャフトを含み、遠位セクションは、細長シャフトに載せられた導電性可撓アブレーションエレメントを含む。
【0197】
この第9の追加実施例では、アブレーションエレメントは、軸方向に互いに間隔を空けて配置された第1のアブレーションエレメント及び第2のアブレーションエレメントを含んでよく、第1及び第2のアブレーションエレメントはシャフトに載せられている。第1のアブレーションエレメントはコイル状形態を有してよく、第2のアブレーションエレメントはコイル状形態を有してよい。第1のアブレーションエレメントのコイル状形態は、あらゆる点において、第2のアブレーションエレメントのコイル状形態と同じであってよい。第1のアブレーションエレメントのコイル状形態は、少なくとも1つの点において、第2のアブレーションエレメントのコイル状形態と異なってよい。
【0198】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメントの長さが第2のアブレーションエレメントと異なってよい。
【0199】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメントのコイル方向(例えば、左巻きか右巻きか)が第2のアブレーションエレメントと異なってよい。
【0200】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメントのピッチが第2のアブレーションエレメントと異なってよい。
【0201】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメントのワイヤ太さが第2のアブレーションエレメントと異なってよい。
【0202】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメントの場所での遠位セクションの外径が、第2のアブレーションエレメントの場所での遠位セクションの外径と異なってよい。
【0203】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメント及び第2のアブレーションエレメントのそれぞれが、曲線からなる(例えば、円形の)断面外形、又は直線からなる(例えば、長方形の)断面外形を有してよい。
【0204】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメント及び第2のアブレーションエレメントの材料は、ニチノール等の超弾性材料であってよい。
【0205】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメント及び第2のアブレーションエレメントは、遠位セクションを奇静脈からT9、T10、又はT11肋間静脈の1つの中へ進めることを可能にするのに十分な可撓性を有してよい。
【0206】
この第9の追加実施例では、第1及び第2のアブレーションエレメントの少なくとも一方が、レーザカットされたチューブ状エレメント(例えば、ニチノールチューブ)から作られてよい。
【0207】
この第9の追加実施例では、第1及び第2のアブレーションエレメントの少なくとも一方が、ワイヤメッシュ又はワイヤ編組を含んでよい。
【0208】
この第9の追加実施例では、第1及び第2のアブレーションエレメントの少なくとも一方が、長さが5mm以下、任意選択で3mm前後であるリング状電極であってよい。
【0209】
この第9の追加実施例では、第1及び第2のアブレーションエレメントのそれぞれの長さが1~12mm、任意選択で2~12mm、任意選択で5~12mm、任意選択で6~11mm、任意選択で7~10mm、例えば8mm前後であってよい。
【0210】
この第9の追加実施例では、第1のアブレーションエレメントと第2のアブレーションエレメントの軸方向の間隔が0~8mm、例えば0~5mm、例えば0.5~5mm、例えば1~4mmであってよい。
【0211】
この第9の追加実施例では、アブレーションエレメントの軸方向の全長が1~25 mm、任意選択で2~22mm、任意選択で5~20mm、任意選択で8~20mm、任意選択で10~20mm、任意選択で10~18mm、任意選択で好ましくは10~15mmであってよい。
【0212】
この第9の追加実施例では、アブレーションエレメント(任意選択で、第1及び第2のアブレーションエレメントの両方)の径が拡張可能であってよい。
【0213】
この第9の追加実施例では、アブレーションエレメントは複数のアブレーションエレメントを含んでよく、そのうちの第1及び第2のアブレーションエレメントが、その複数のアブレーションエレメントの全体のうちの一部であってよく、その複数のアブレーションエレメントの全体を定義するものであってよい。
【0214】
この第9の追加実施例では、複数のアブレーションエレメントが、(接地パッドとともに)モノポーラモードで個別に通電されるように構成されてよい。
【0215】
この第9の追加実施例では、複数のアブレーションエレメントのうちの任意の2つが、バイポーラモードで通電されるように構成されてよい。
【0216】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、第1のアブレーションエレメントと第2のアブレーションエレメントとの間に配置されてシャフトに載せられた温度センサを含んでよい。
【0217】
この第9の追加実施例では、カテーテルは更に、遠位アブレーションエレメントの遠位側にある温度センサ、又は近位アブレーションエレメントの近位側にある温度センサのうちの一方又は両方を含んでよい。
【0218】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、潅注管腔と流体連通している少なくとも1つの潅注ポートを含んでよく、潅注管腔は、アブレーションカテーテルの近位領域において流体源に接続可能である。アブレーションカテーテルは更に、近位アブレーションエレメントの遠位側にある第2の潅注ポートを含んでよい。
【0219】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、遠位アブレーション部材の遠位端と近位端との間にあって、任意選択で、コイル状遠位アブレーション部材の巻線間にある1つ以上の潅注ポートを含んでよい。
【0220】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、近位アブレーション部材の遠位端と近位端との間にあって、任意選択で、コイル状近位アブレーション部材の巻線間にある1つ以上の潅注ポートを含んでよい。
【0221】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、可撓アブレーションエレメントのいずれか(例えば、遠位アブレーションエレメント及び/又は近位アブレーション部材)の下に1つ以上の潅注ポートを含んでよい。
【0222】
この第9の追加実施例では、カテーテルは更に、シャフトに載せられた(任意選択で膨張可能な)展開可能エレメントを含んでよい。展開可能エレメントは、アブレーションエレメントの遠位側にあってよく、任意選択で、遠位アブレーションエレメントの遠位側にあってよい。展開可能エレメントは膨張可能であってよく、シャフトは、膨張可能な展開可能エレメント内に膨張ポートを含んでよい。展開可能エレメントは、送達形態と、送達形態より外径が大きい展開形態と、を有してよい。展開可能エレメントは、展開形態では外径が3~6mm、例えば、4~6mmであってよい。展開可能エレメントの外径は、遠位セクション内のシャフトの外径と等しいか、それより0.2mm未満だけ大きくてよい。展開可能エレメントは、バルーン、ベロー部材、又はコーティングされたステント又はコーティングされたステント状デバイス(例えば、1つ以上の材料層でコーティングされた補強部材)のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0223】
この第9の追加実施例では、アブレーションカテーテルは更に、アブレーションエレメントの近位側のシャフトに載せられた近位展開可能エレメントを含んでよく、これは、近位アブレーションエレメントの近位側にあってよい。近位展開可能エレメントは膨張可能であってよく、シャフトは、近位展開可能エレメント内に膨張ポートを含んでよい。近位展開可能エレメントは、送達形態と、送達形態より外径が大きい展開形態と、を有してよい。展開可能エレメントの外径は、展開形態では4~10mmであってよく、任意選択で、遠位展開可能部材の外径より大きくてよい。近位展開可能エレメントの外径は、遠位セクション内のシャフトの外径と等しいか、それより0.2mm未満だけ大きくてよい。近位展開可能エレメントは、バルーン、ベロー部材、又はコーティングされたステント又はコーティングされたステント状デバイス(例えば、1つ以上の材料層でコーティングされた補強部材)のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0224】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、中央展開可能エレメントを含んでよい。中央展開可能エレメントは、本明細書に記載の遠位展開可能部材又は近位展開可能部材の特徴のうちのいずれかを、それらの特徴の任意の組み合わせを含めて、含んでよい。
【0225】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、GSNの経血管アブレーションを行うように構成されている。アブレーションカテーテルは、アブレーションカテーテルの最も遠位側の7cmを含む遠位セクションを含んでよい。アブレーションエレメントは、長さが5~25mmの範囲にあるアブレーションを作成するように適合されてよい。
【0226】
この第9の追加実施例では、遠位セクションは、奇静脈からT9~T11肋間静脈にかけての曲がり(例えば、曲率半径≧5mm、角度は120度ほど)を柔軟にトラバースするように適合されてよい。
【0227】
この第9の追加実施例では、遠位セクションの外径は、(少なくとも送達状態においては)1.5~3mmの範囲にある。
【0228】
この第9の追加実施例では、アブレーションカテーテルは更に、細長シャフト内にガイドワイヤ管腔を含んでよい。
【0229】
この第9の追加実施例では、(複数の個別アブレーションエレメントを含んでよい)アブレーションエレメントの全長が5~20mm、例えば、10~15mmであってよい。
【0230】
この第9の追加実施例では、アブレーションエレメントのいずれかが、RFアブレーション電極、コイル状ワイヤ電極、レーザカットされたRF電極、導電性インクで印刷されたRF電極、膨張可能バルーン上のRF電極(例えば、導電性インク、フレキシブル回路)、導電性メンブレンRF電極、膨張可能なケージ又はメッシュ上のRF電極、超音波アブレーショントランスデューサ、エレクトロポレーション電極、クライオアブレーションエレメント、又は仮想RF電極のうちの1つ以上を含んでよい。
【0231】
この第9の追加実施例では、アブレーションエレメントは、アブレーションエネルギを円周方向に(アブレーションエレメントの周囲/血管の周囲に放射対称的に)送達するように適合されてよい。
【0232】
この第9の追加実施例では、カテーテルは更に、アブレーションエレメントの近位端の又はその近位側のシャフト上に位置する近位放射線不透過性マーカを含んでよい。
【0233】
この第9の追加実施例では、カテーテルは更に、アブレーションエレメントの遠位端の遠位側のシャフト上に位置する遠位放射線不透過性マーカを含んでよい。
【0234】
この第9の追加実施例では、カテーテルは、遠位放射線不透過性マーカと、アブレーションエレメントの遠位端との間に軸方向のスペースを含んでよい。
【0235】
これらの更なる方法のうちのいずれかにおける方法はいずれも、これらの追加実施例におけるカテーテルのいずれかとともに使用されてよい。これらの追加実施例におけるカテーテルのいずれかは、本明細書に記載の方法とともに使用されてよく、本明細書に記載されていない形で使用されてもよい。
【国際調査報告】