(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(54)【発明の名称】アクチュエータ、ポンプ又はコンプレッサとして使用するための収縮装置
(51)【国際特許分類】
F15B 15/10 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
F15B15/10 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021574173
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2021-12-13
(86)【国際出願番号】 GB2020051445
(87)【国際公開番号】W WO2020249983
(87)【国際公開日】2020-12-17
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521544171
【氏名又は名称】アクチュエーション ラボ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ディッカー マイケル パトリック マハー
【テーマコード(参考)】
3H081
【Fターム(参考)】
3H081AA18
(57)【要約】
本発明は収縮装置に関する。装置は、要素のテセレーションを含む壁を有する本体を含む。本体は、第1の伸張状態と第2の収縮状態との間で本体内の流体の加圧を通して変形可能であり、第2の収縮状態では、第1の正常状態と比較して、本体の軸方向長さが減少し、内部容積が増加する。要素のテセレーションは、本体がその正常状態と変形状態との間の変形を通して実質的に円筒形のままであるように配置される一連の突出及び突入形成部を含む。要素のテセレーションの突出及び突入形成部は、突出及び突入ピラミッドの形態であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸と、内部容積と、前記中心軸に垂直な半径r
2と、要素のテセレーションを含む壁を有する本体を有する収縮装置であって、前記本体は、第1の軸方向長さ及び第1の内部容積を有する第1の正常状態と、第2の軸方向長さL2及び第2の内部容積V2を有する第2の変形状態との間の前記本体内の流体の加圧によって変形可能であり、前記第1の正常状態の前記第1の軸方向長さ及び前記第1の内部容積と比較して、前記本体の前記第2の軸方向長さは減少し、前記第2の容積V2は増加し、前記要素のテセレーションは、前記本体が前記正常状態と前記変形状態との間の変形を通して実質的に円筒形のままであるように配置される一連の突出形成部及び突入形成部を含む、収縮装置。
【請求項2】
中心軸と、内部容積と、前記中心軸に垂直な半径r
2と、要素のテセレーションを含む壁とを有する本体を有する収縮装置であって、前記本体は、第2の軸方向長さ及び第2の内部容積を有する第2の正常状態と、第1の軸方向長さ及び第1の内部容積を有する第1の変形状態との間で前記本体の伸長を通じて変形可能であり、前記第1の正常状態の前記第1の軸方向長さ及び前記第1の内部容積と比較して、前記本体の前記第2の軸方向長さは減少し、前記第2の容積は増加し、前記要素のテセレーションは、前記本体が前記正常状態と前記変形状態との間の変形を通して実質的に円筒形を維持するように配置される一連の突出形成部及び突入形成部を含む、収縮装置。
【請求項3】
前記突出形成部及び前記突入形成部は、前記中心軸から半径r
2に位置するベースノードを含む、
請求項1又は2に記載の収縮装置。
【請求項4】
各前記突出形成部の各前記ベースノードは、前記突入形成部の前記ベースノードと一致する、
請求項3に記載の収縮装置。
【請求項5】
前記突出形成部及び前記突入形成部は、ベースエッジを含む、
請求項1又は2に記載の収縮装置。
【請求項6】
前記ベースエッジは、前記中心軸から半径r
2に位置する、
請求項5に記載の収縮装置。
【請求項7】
前記突出形成部の各前記ベースエッジは、前記突入形成部の前記ベースエッジと一致する、
請求項6に記載の収縮装置。
【請求項8】
第1の状態において、前記突出形成部及び前記突入形成部は、前記ベースエッジと前記中心軸との間の角度αを定め、前記角度αは、55度未満である、
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項9】
前記角度αは、25度から30度の範囲である、
請求項8に記載の収縮装置。
【請求項10】
前記要素のテセレーションの前記突出形成部及び前記突入形成部は、突出ピラミッド及び突入ピラミッドを含む、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項11】
前記突出ピラミッド及び前記突入ピラミッドは、四角ピラミッド又は六角ピラミッドである、
請求項10に記載の収縮装置。
【請求項12】
前記突出ピラミッドは、四角ピラミッド、好ましくは、切頭四角ピラミッドの形態であり、前記突入ピラミッドは、六角ピラミッドの形態である、
請求項11に記載の収縮装置。
【請求項13】
前記突出形成部及び前記突入形成部は、各ピラミッドにくさび形形成部を含むことによって形成される四角ピラミッド及び六角ピラミッドを含み、前記四角ピラミッド及び前記六角ピラミッドにそれぞれ含まれる前記くさび形形成部の向きは、切頭四角突出ピラミッド及び六角突入ピラミッドを形成するように、逆にされる、
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項14】
前記要素のテセレーションの頂点における応力集中を低減するための手段を含む、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項15】
前記応力集中を低減する手段は、前記頂点におけるガウス曲率を低減又は除去する前記頂点の領域に位置する応力低減形成部を含む、
請求項14に記載の収縮装置。
【請求項16】
前記頂点の領域に位置する前記応力低減形成部は、孔の形態である、
請求項15に記載の収縮装置。
【請求項17】
前記頂点の領域に位置する前記応力低減形成部は、下にある前記頂点の幾何学的形状に対して反転された円錐、ピラミッド等の形態である、
請求項15に記載の収縮装置。
【請求項18】
前記頂点の領域に位置する前記応力低減形成部は、下にある前記頂点の幾何学的形状に対する平坦及び/又は湾曲した部分の形態である、
請求項15に記載の収縮装置。
【請求項19】
前記突出形成部及び前記突入形成部は、頂点の間に延びるエッジを含み、前記エッジは、前記エッジの領域における応力集中を低減するために、フィレット加工される、
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項20】
前記突出形成部及び前記突入形成部は、エッジであって、前記エッジの間の面を画定するように頂点の間に延びるエッジを含み、前記突出形成部及び前記突入形成部は、前記面の面内伸張及び面外曲げを低減する手段を含む、
請求項1乃至18のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項21】
前記突出形成部及び前記突入形成部の前記面の領域は、前記突出形成部及び前記突入形成部の前記頂点及び前記エッジの領域の材料と比較して増大した剛性を有する材料から製造される、
請求項20に記載の収縮装置。
【請求項22】
前記突出形成部及び前記突入形成部の前記面の領域は、前記エッジ及び前記頂点における前記突出形成部及び前記突入形成部の領域と比較して、増大した壁厚を有する、
請求項20に記載の収縮装置。
【請求項23】
前記増大した壁厚は、前記突出形成部及び前記突入形成部の前記面によって担持される外側及び/又は内部突出部によって作られる、
請求項22に記載の収縮装置。
【請求項24】
前記本体は、前記要素のテセレーションを担持する壁を画定する第1の構造内に配置された第2の構造によって画定される第2の内壁を含み、前記第1の壁と前記第2の壁との間の空間が、作動流体が受容可能な一次容積を画定し、前記第2の壁内の内部空間は、前記一次容積から独立した二次容積を画定する、
請求項1乃至23のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項25】
前記第2の壁を画定する前記構造は、オーセチック構造である、
請求項24に記載の収縮装置。
【請求項26】
前記第2の壁を画定する前記第2の構造は、ベローズタイプ構造又はくぼみ形構造である、
請求項25に記載の収縮装置。
【請求項27】
前記要素のテセレーションを担持する壁は、単一材料を含む、
請求項1乃至24のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項28】
前記要素のテセレーションを担持する前記壁は、付加製造、熱成形、鍛造及びスタンピング、又は複合材料製造プロセスを用いて製造される、
請求項1乃至27のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項29】
前記要素のテセレーションを担持する前記壁は、熱ポリマーアセタール(Delrin(登録商標))、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン(高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線状低密度PE(LLDPE)、超高分子量PE(UHMWPE))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフッ化物(PVDF)、ポリカーボネート及びポリプロピレン(ホモポリマー及びコポリマー)を含むグループから選択される任意の材料から製造される、
請求項1乃至28のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項30】
前記要素のテセレーションを担持する前記壁は、任意の熱硬化性プラスチック材料から製造される、
請求項1乃至28のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項31】
前記熱硬化性プラスチック材料は、エポキシ、ポリイミド、ポリウレタン、シリコーン、ビニル及び天然ゴムを含むグループから選択される、
請求項30に記載の収縮装置。
【請求項32】
前記要素のテセレーションを担持する前記壁は、超弾性合金から製造される、
請求項1乃至28のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項33】
前記要素のテセレーションを担持する前記壁は、ガラス(E、AR及びSガラス)、炭素、高弾性率(HM)及び/又は高強度(HS)、ホウ素、ポリアミド、ポリエステル、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンズイミダゾール(PBI)又は超高分子量ポリエチレンの繊維を用いる複合材料から製造される、
請求項1乃至28のいずれか1項に記載の収縮装置。
【請求項34】
弾性部材である請求項1乃至33のいずれか1項に記載の収縮装置であって、前記装置の前記本体は、前記本体を前記第2の変形状態から前記第1の正常状態に戻すように作用する、前記中心軸の方向の剛性kを有する、収縮装置。
【請求項35】
請求項1乃至34のいずれか1項に記載の収縮装置によって動かされるバルブ。
【請求項36】
前記収縮装置は、フェイルオープン又はフェイルクローズバルブアクチュエータである弾性部材である、請求項34に記載の収縮装置によって動かされるバルブ。
【請求項37】
中心軸と、内部容積と、前記中心軸に対して垂直な半径r
2と、要素のテセレーションを含む壁とを有する本体を有する収縮装置であって前記本体は、第1の内部容積を有する第1の軸方向長さを有する第1の状態と、第2の内部容積を有する第2の軸方向長さを有する第2の状態との間で、前記中心軸に沿って軸方向に変形可能であり、前記第1の軸方向長さ及び前記第1の内部容積と比較して、前記本体の前記第2の軸方向長さは減少し、前記第2の容積は増加し、前記要素のテセレーションは、前記本体が前記第1の軸方向長さと前記第2の軸方向長さとの間の変形を通して実質的に円筒形のままでであるように配置される、一連の突出形成部及び突入形成部を含む、収縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収縮装置に関し、より詳細には、ただし排他的にではなく、円筒形状加圧形態を含む収縮装置に関する。収縮装置は、典型的には、流体アクチュエータ、ポンプ又はコンプレッサである。
【背景技術】
【0002】
流体アクチュエータ、ポンプ及びコンプレッサは、加圧された流体容積の変化の形のエネルギと機械的な力及び変位の形のエネルギとの間を変換する装置である。流体ベローズ及びマッキベン(McKibben)アクチュエータは、そのような装置の例である。流体ベローズは、内部流体の圧力及び容積が変化するときに大きな全体変位を生じる小さい局所変形を容易にするように形成された、実質的に伸張できない且つ流体不透過性材料からなる構造である。ベローズタイプアクチュエータ、ポンプ及びコンプレッサの設計は、ほぼ例外なく、正の内部流体圧を受けると軸方向に延びる。対照的に、マッキベンアクチュエータは、正の作動流体圧を受けると収縮するが、ベローズとは異なり、それらの設計は、大きな局所変形を促進しなければならない。この要件は、伸張できないが変形可能な螺旋状の織物及び別個の流体含有材料の両方を使用することによって対応される。
【0003】
ベローズタイプの設計の小さい局所変形は、良好な製造及び材料オプション、並びに高い作動圧力に耐える能力を可能にする。しかし、伸展において作動する(内圧から出力力を生成する)とき又は圧縮においてポンピングする(入力力から内圧を生成する)ときに全体的な座屈に抵抗するためのベローズの必要性は、重いブレーシング構造を追加することなく全体的な動作力を制限する。対照的に、マッキベンアクチュエータは、正の内部作動圧力にさらされると収縮し、その結果、構造に張力をかける外力が生じ、それによって、全体的な座屈の可能性を排除し、伸張装置と比較して改善された重量性能をもたらす。しかし、マッキベン装置の複雑な複合材料設計は、製造及び材料のオプションを減らし、装置の故障経路を増加させ、動作圧力を制限する。他の変形可能収縮アクチュエータが存在するが、マッキベン(又は非常に類似したもの)のみが、加圧されるとき、球形/バルーニングではなく、円筒形を維持する。これは、マッキベン装置が、作動されるときに空間の効率的な利用を維持する望ましいアスペクト比で製造されることができることを意味する。
【0004】
上述のように、流体ベローズは、限定された局所材料変形で全体的な変位を達成することを可能にする。これは、一般に、固体ヒンジのような領域の局所的な曲げを容易にする形態を介して達成される。いくつかの曲げヒンジを組み合わせると、全体的に大きな変形が生じる可能性がある。典型的なベローズアクチュエータの例は、特許文献1に見ることができる。装置では、ベローズ内に含まれる流体の圧力を増加させることによって、それは、装置の円筒形に対して軸方向に延びる。典型的なベローズポンプ又はコンプレッサは、類似のものであり、例えば、特許文献2を参照されたい。この装置では、引張力がベローズに加えられて含有流体容積を増加させ、この力の反転により、含有流体は圧縮される。異なる断面のベローズ設計も提案されている。例えば、正方形断面を開示する特許文献3、又は星形断面を開示する特許文献4を参照されたい。
【0005】
ベローズアクチュエータは、従来のシリンダ又はピストンベースの流体アクチュエータのスライディングシールを使用しないので、構造が非常に単純で、過酷な環境での動作により適しており、腐食性の動作流体を取り扱うことができ、減少した重量とともに向上した信頼性を有することができる。加えて、作動には限られた材料変形しか必要としないため、有益な製造プロセス及び高強度を伴う、様々な低コストの実質的に剛性の高い材料から製造することができる。例えば、特許文献5は、熱可塑性エラストマー材料のブロー成形ベローズを開示している。特許文献6は、ブロー成形、射出成形、回転成形、3次元(3D)プリンティング又は押出しなどの大量製造技術を用いて形成されたベローズが開示されている。Griffithらは特に、ベローズの製造におけるポリマーポリエチレンテレフタレート(PET)の使用を教示している。金属ベローズを作製するための既知の方法は、特許文献7に記載されており、一方、特許文献8は、ファブリックエラストマー複合ベローズアクチュエータの種々の形態を記載している。
【0006】
上述した既知のベローズタイプの設計の一つの問題点は、内部流体が加圧されると軸方向に延びることであり、それは、それらが、荷重に対して仕事を行う場合(又は荷重がポンプ/コンプレッサケース内の流体に対して仕事を行う場合)、圧縮されることを意味し、それによって、長さ対直径のかなりのアスペクト比を有する装置の座屈及び故障を引き起こすことを意味する。アクチュエータでは、これを克服することができるのは、非特許文献1によって示唆されているように、それを加圧する代わりにベローズ内に真空を作り出すことである。この場合、装置は、付加に逆らって仕事をするときに引っ張られている材料と収縮し、これは、装置が全体的に座屈することを効果的に防止する。しかし、真空ベローズを変形させることができる最大作動圧力は1気圧(約1bar)に制限される。これは、典型的な空気圧システムが約6barで作動し、現代の高性能油圧システムがほぼ350barで作動することを考えると特に問題である。
【0007】
伸長ベローズタイプアクチュエータの座屈の制約を克服する試みにおいて、最大ファミリーが一般にマッキベンアクチュエータと称される引張力を提供する収縮装置の開発に多くの注意が払われてきた。これらのアクチュエータは、典型的には、圧力下で変形することができる流体含有円筒膜と、変形可能な膜の外部にあるか又は変形可能な膜に組み込まれた、伸張不可能な材料の螺旋状織物とを有する。この概念は、特許文献9、特許文献10及び特許文献11、並びに特許文献12及び特許文献13に記載されている類似の装置に遡ることができる。しかし、この装置は、非特許文献2に記載されているように、矯正器具に使用するために1950年代にJoseph McKibbenによって普及された。ブリヂストンは、特許文献14及び特許文献15に記載されているRubbertuator(商標)と呼ばれる空気圧式筋肉の市販バージョンを開発した。特許文献16は、それによってスリーブと標準膜との間のキャビティが加圧されるアクチュエータの内部に剛性の摺動円筒スリーブを追加することによって装置に対する顕著な改良を記載している。標準的なマッキベンスタイルの装置は、例えば、特許文献17及び特許文献18に記載されている。これらの明細書に記載されている装置は、非伸張性の編組(braid)を流体不透過性膜から分離する傾向があり、これは編組の摩擦及び潜在的な故障につながる。膜は、一般に弾性材料であり、変形は、エネルギ損失及び性能のヒステリシスを生じ、また、破損しやすい。不具合に対する耐性を改善するために、固定された外周、伸張不可能なブラダーを利用することが特許文献19で提案された。しかし、強度の問題のために、40バール以上の圧力では、このような装置は動作していない[非特許文献3]。その結果、これらの装置は、典型的には、空気圧装置として動作する。
【0008】
特許文献20、特許文献21、特許文献22及び特許文献23に記載されているように、柔軟なマトリックス複合体として膜材料内に編組物を組み込むことによって、マッキベンタイプ装置のより堅牢な構成が製造されている。これらの装置は、より堅牢であるが、依然として、約6~8barの動作圧力に制限されている。これらの装置に使用される複合材料は、製造の複雑さ及びコストを増大させるという付加的な欠点を有する。同様の装置はまた、学会においても調査されており、例えば、非特許文献4を参照されたい。
【0009】
流体アクチュエータ及びベローズポンプ及びコンプレッサの分野を改善するために必要とされるのは、材料及び製造の選択肢ならびに結果として生じるベローズタイプ装置のコスト及び強度の利益を、マッキベンタイプ装置の収縮変位及び結果として生じる力の利益と共有する装置である。これに近づくアクチュエータには2つの例があるが、どちらもより剛性の高い材料では実現されていないようである。第1の装置は、非特許文献5及び特許文献24の明細書に記載されている。第2の装置は、特許文献25に開示されている。これらの例とマッキベンアクチュエータの重要な違いは、作動するときの装置の全体的な形状である。マッキベンは(クランプされた端部の影響から大幅に除去されるとき)円筒形のままであるが、これらの他の収縮形は、ほぼ球形の幾何学的形状をもたらす。これは、それらに実用的なアスペクト比制限を課し(比較的短く且つ広くなければならない)、これは、作動断面積の比として発生する力が、マッキベン装置より小さいことを意味する[非特許文献6]。これらの要因は、なぜマッキベンタイプアクチュエータのみが現在までに商業化されているのかを示している可能性がある。
【0010】
上記の観点から、特許文献26に記載されているスリーブコアマッキベン装置などのマッキベン装置及びその派生物の機能を複製する収縮ベローズである改良された流体アクチュエータ又はポンプ/コンプレッサを届ける必要がある。
【0011】
従って、本発明の目的は、少なくとも部分的に、上記の欠点に対処する装置を提供することである。
【0012】
また、本発明の目的は、既存のベローズ及びマッキベンタイプ装置に代わる有用な装置を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3,469,502号
【特許文献2】米国特許第5,308,230号
【特許文献3】米国特許出願公開第2013/0340875号
【特許文献4】米国特許第5,181,452号
【特許文献5】米国特許第4,464,980号
【特許文献6】米国特許第9,624,911号
【特許文献7】米国特許第2,534,123号
【特許文献8】米国特許第2015/0070904号
【特許文献9】米国特許第2,041,950号
【特許文献10】米国特許第2,296,947号
【特許文献11】米国特許第2,238,058号
【特許文献12】米国特許第2,483,088号
【特許文献13】米国特許第2,844,126号
【特許文献14】欧州特許第0161750号
【特許文献15】米国特許第5,052,273号
【特許文献16】米国特許第5,165,323号
【特許文献17】英国特許第2 390 400号
【特許文献18】米国特許第9,541,196号
【特許文献19】英国特許第2 435 308号
【特許文献20】米国特許第6,349,746号
【特許文献21】国際公開第2000/061951号
【特許文献22】米国特許出願公開第2005/0093293号
【特許文献23】米国特許出願公開第2005/0265870号
【特許文献24】米国特許出願公開第2015/0070904号
【特許文献25】米国特許第4,939,982号
【特許文献26】米国特許第5,165,323号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Jin-Gyu Lee and Hugo Rodrigue, Origami-based Vacuum Pneumatical Artificial Muscles with Large Region Ratios, Soft Robotics, Feb 2019 http://doi.org/10.1089/soro.2018.0063.
【非特許文献2】Baldwin, H, Muscle-like contractive devices, 1963. Bionics Symposium. pp. 1-8.
【非特許文献3】M. Mori, K. Suzumori, M. Takahashi, T. Hosoya, Very High Force Hydraulic McKibben Artificial Muscle with a p-Phenylene-2,6-benzobisoxazole Cord Sleeve, Advanced Robotics, vol 24, Apr 2010, pp 233-254.
【非特許文献4】Shan, Ying, et al. "Nonlinear-elastic finite axisymmetric deformation of flexible matrix composite membranes under internal pressure and axial force." Composites Science and Technology 661.5 (2006): 3053-3063
【非特許文献5】Daerden, Frank, et al. "Pleated pneumatic artificial muscles: actuators for automation and robotics." IEEE/ASME International Conference on Advanced Intelligent Mechatronics. Vol. 2. 2001
【非特許文献6】Tondu, Bertrand. "Artificial muscles for humanoid robots." Humanoid Robots, Human-like Machines. InTech, 2007
【発明の概要】
【0015】
本発明によれば、中心軸と、内部容積と、前記中心軸に垂直な半径r2と、要素のテセレーション(tessellation)を含む壁とを有する本体を有する収縮装置(contractile device)であって、本体は、第1の軸方向長さL1及び第1の内部容積V1を有する第1の正常状態と、第2の軸方向長さL2及び第2の内部容積V2を有する第2の変形状態との間の本体内の流体の加圧によって変形可能であり得、第1の正常状態の第1の軸方向長さL1及び第1の内部容積V1と比較して、本体の第2の軸方向長さL2は減少し得、第2の容積V2は増加し得る、収縮装置が提供される。要素のテセレーションは、一連の突出形成部(protruding formations)及び突入形成部(intruding formations)を含み得、これらは、本体がその正常状態と変形状態との間の変形を通して実質的に円筒形を維持するように配置され得る。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、収縮装置は、中心軸と、内部容積Vと、前記中心軸22に垂直な半径r2と、要素のテセレーションを含む壁とを有する本体を有し得る。本体は、第2の軸方向長さL2及び第2の内部容積V2を有する第2の正常状態と、第1の軸方向長さL1及び第1の内部容積V1を有する第1の変形状態との間で本体の伸長を通じて変形可能であり得、第1の正常状態の第1の軸方向長さL1及び第1の内部容積V1と比較して、本体12の第2の軸方向長さL2は減少し得、第2の容積V2は増加し得る。要素のテセレーションは、一連の突出形成部及び突入形成部を含み得、これらは、本体がその正常状態と変形状態との間の変形を通して実質的に円筒形を維持するように配置される。
【0017】
本発明のさらなる態様によれば、収縮装置は、中心軸と、内部容積Vと、前記中心軸に垂直な半径r2と、要素のテセレーションを含む壁とを有する本体を有し得る。本体は、第1の内部容積V1を有する第1の軸方向長さL1を持つ第1の状態と、第2の内部容積V2を有する第2の軸方向長さL2を持つ第2の状態との間で中心軸に沿って軸方向に変形可能であり得、第1の軸方向長さL1及び第1の内部容積V1と比較して、本体の第2の軸方向長さL2は減少し、第2の容積V2は増加する。要素のテセレーションは、一連の突出形成部及び突入形成部を含み得、これらは、本体が、第1の軸方向長さと第2の軸方向長さとの間の変形を通して実質的に円筒形を維持するように配置され得る。
【0018】
半径r2は中心軸に対して垂直であり、中心軸の長さに沿って変化し得る。r2は、アクチュエータの本体の長さに沿った実質的に円筒形のプロファイルを示す。突出形成部は、中心軸から離れて半径方向に延び得、中心軸から離れて半径方向に円筒半径r2から半径方向に延び得る。突入形成部は、中心軸に向かって半径方向に延び得、円筒半径r2から中心軸に向かって半径方向に延び得る。
【0019】
要素のテセレーションは、突入及び突出形成部を有する要素を含み得、前記要素は、互いに嵌合し得、ギャップ又はオーバーラップすることなく繰り返す。突出及び突入形成部は、ベースノードを含み得る。前記ベースノードは、中心軸から半径r2に位置し(positioned)得る。突出形成部のベースノードは、突入形成部のベースノードと一致し得る。突出及び突入形成部は、ベースエッジを含み得る。前記ベースエッジは、中心軸から半径r2に位置し得る。突出形成部のベースエッジは、突入形成部のベースエッジと一致し得る。
【0020】
要素のテセレーションの突出及び突入形成部は、突出及び突入ピラミッド、好ましくは四角ピラミッド及び/又は六角ピラミッド(quadrilateral and/or hexagonal pyramids)の形態を含み得る、又はそれらの形態であり得る。
【0021】
一実施形態では、突出ピラミッドは、四角ピラミッドの形態、好ましくは、切頭四角ピラミッドの形態であり得、突入ピラミッドは、六角ピラミッドの形態であり得る。四角ピラミッドを含む突出形成部及び六角ピラミッドを含む突入形成部は、各ピラミッドにくさび形形成部(wedge-shaped formations)を含むことによって形成され得る。四角ピラミッド及び六角ピラミッドにそれぞれ含まれるくさび形形成部の向き(orientation)は、切頭四角突出ピラミッド及び六角突入ピラミッドを形成するように、それぞれのピラミッドに対して逆にされ得る。くさびは、中心軸の近位の狭い端部及び中心軸の遠位の広い端部を持つピラミッドの軸方向断面から形成され得る。
【0022】
収縮装置は、その第1の状態において、突出形成部及び突入形成部の前記ベースエッジと中心軸22との間の角度αを定め得る。より具体的には、中心軸及びベースエッジのノードによって定義される平面Pと、ベースエッジとの間である。角度αは、55度未満であり得る。あるいは、角度αは、25度から30度の間であり得る。
【0023】
収縮装置は弾性部材であり得る。装置の本体は、本体を第2の変形状態から第1の正常状態に戻すように作用する中心軸方向の剛性(stiffness)kを有し得る。
【0024】
装置は、要素のテセレーションの頂点における応力集中を低減するための手段を含み得る。応力集中を低減する手段は、頂点におけるガウス曲率を低減又は除去する頂点の領域に位置する応力低減形成部(stress reducing formations)を含み得る。
【0025】
頂点の領域に位置する応力低減形成部は、孔の形態であり得る。あるいは、頂点の領域に位置する応力低減形成部は、下にある頂点の幾何学形状に対して反転された円錐、ピラミッド等の形態であり得る。さらに別の実施形態では、頂点の領域に位置する応力低減形成部は、下にある頂点の幾何学的形状に対する平坦及び/又は湾曲した部分(sections)の形態であり得る。
【0026】
突出及び突入形成部は、その頂点の間に延びるエッジを含み得、エッジは、エッジの領域における応力集中を低減するために、フィレット加工され(filleted)得る。突出及び突入形成部は、それらのエッジの間に延在する面の面内伸張及び面外曲げを低減する手段を含み得る。
【0027】
突出及び突入形成部の面の領域は、突出及び突入形成部の頂点及びエッジの領域の材料と比較して増大した剛性を有する材料から製造され得る。
【0028】
突出及び突入形成部の面の領域は、エッジ及び頂点における突出及び突入形成部の領域と比較して、増大した壁厚を有し得る。増大した壁厚は、突出及び突入形成部の面によって担持される(carried)外側及び/又は内部突出部によって作られ得る。
【0029】
装置の本体は、要素のテセレーションを担持する壁を画定する第1の構造内に配置された第2の構造によって画定される第2の内壁を含み得、第1の壁と第2の壁との間の空間は、作動流体が受容可能な第1の容積を画定し、第2の壁内の内部空間は、第1の容積から独立した第2の容積を画定する。
【0030】
第2の壁を画定する構造は、好ましくは、オーセチック(auxetic)構造である。第2の壁を画定する構造は、ベローズタイプ構造又はくぼみ形(re-entrant)構造であり得る。
【0031】
要素のテセレーションを担持する壁は、好ましくは、単一材料、すなわち、補強なしの材料を含む。要素のテセレーションを担持する壁は、付加製造、熱成形、鍛造及びスタンピング、又は複合材料製造(composite manufacturing)プロセスを用いて製造され得る。
【0032】
要素のテセレーションを担持する壁は、熱ポリマーアセタール(Delrin(登録商標))、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン(高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線状低密度PE(LLDPE)、超高分子量PE(UHMWPE))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフッ化物(PVDF)、ポリカーボネート及びポリプロピレン(ホモポリマー及びコポリマー)を含むグループから選択される任意の材料から製造され得る。
【0033】
あるいは、要素のテセレーションを担持する壁は、好ましくはエポキシ、ポリイミド、ポリウレタン、シリコーン、ビニル及び天然ゴムを含むグループから選択される、任意の熱硬化性プラスチック材料から製造され得る。
【0034】
あるいは、要素のテセレーションを担持する壁は、超弾性合金から製造され得る。
【0035】
あるいは、要素のテセレーションを担持する壁は、ガラス(E、AR及びSガラス)、高弾性率(HM)及び/又は高強度(HS)であり得る炭素、ホウ素、ポリアミド(ケブラー(登録商標)、トワロン(登録商標))、ポリエステル(ベクトロン(登録商標))、ポリベンゾオキサゾール(PBO、Zylon(登録商標))、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)又は超高分子量ポリエチレン(Dyneama(登録商標))の繊維を使用する複合材料から製造され得る。
【0036】
さらなる実施形態では、バルブが、収縮装置によって動かされ得る。このような実施形態では、収縮装置は、バルブをフェイルオープン又はフェイルクローズ(fail open or closed)させる弾性部材であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
本発明は、添付の図面を参照して、単なる例示として、より詳細に説明される:
【0038】
【
図1】本発明による収縮装置の第1の実施形態の斜視図であり、装置はアクチュエータとして、内部流体圧が外圧と等しい非作動の伸張状態で示されている。
【
図2】作動状態又は収縮状態における
図1の装置の斜視図を示し、内部流体圧が外圧よりも大きい。
【
図3】動作サイクルの前半で示される配置の2段ポンプ又はコンプレッサ構成で使用される
図1の装置を示す。
【
図4】動作サイクルの後半で示される配置の
図3の2段ポンプ又はコンプレッサ構成を示す。
【
図5】
図1の装置の壁の一部の拡大図を示し、要素のテセレーションの要素を構成する単一の突出ピラミッド及び単一突入ピラミッドが強調されている。
【
図6】
図1の装置のテセレーションの要素の第1の理論的に理想的な実施形態を示し、斜視図、正面図、上面図及び側面図が、
図6(a)~
図6(d)に、それぞれ、伸長状態で示されている。
【
図7】
図1の装置の要素のテセレーションの要素の第2の実施形態を示し、そこでは、斜視図、正面図、上面図、側面図が、
図7(a)~
図7(d)にそれぞれ伸張状態で示され、対応する収縮状態が
図7(e)~
図7(h)にそれぞれ示されている。
【
図8】
図1の装置の要素のテセレーションの要素の第3の実施形態を示し、斜視図、正面図、上面図、側面図が、
図8(a)~
図8(d)にそれぞれ示され、対応する収縮状態が
図8(e)~
図8(h)にそれぞれ示されている。
【
図9】
図1の装置のテセレーション要素の第4の実施形態を示し、斜視図、正面図、上面図、側面図が、
図9(a)~
図9(d)にそれぞれ示され、対応する収縮状態が、
図9(e)~(h)にそれぞれ示されている。
【
図10】本発明による収縮装置の一実施形態の斜視図を示し、装置は、その延長された非作動状態のアクチュエータとして示されている。
【
図13】本発明による収縮装置の第3の実施形態の斜視図を示し、装置は、非作動の拡張状態のアクチュエータとして示され、単一の長方形テセレーティングユニットが強調表示されている。
【
図14】
図13の装置のテセレーション要素の実施形態を示し、斜視図、上面図、及びB-Bに沿って取られた断面図が
図14(a)~(c)にそれぞれ示されている。
【
図15】壁厚が増大された
図13の装置のテセレーション要素の代替的な実施形態を示し、斜視図、上面図、及びC-Cに沿って取られた断面図が
図15(a)~
図15(c)にそれぞれ示されている。
【
図16】孔が頂点に位置する
図13の装置のテセレーション要素の代替実施形態を示し、斜視図、上面図、及びD-Dに沿った取られた断面図が
図16(a)~
図16(c)にそれぞれ示されている。
【
図17】円錐又はピラミッドが頂点に位置する
図13の装置のテセレーション要素の代替実施形態を示し、斜視図、上面図、及びE-Eに沿って取られた断面図が
図17(a)~
図17(c)にそれぞれ示されている。
【
図18】平坦及び湾曲した部分が頂点に位置する
図13の装置のテセレーション要素の代替実施形態を示し、斜視図、上面図、及びF-Fに沿って取られた断面図が
図18(a)~
図18(c)にそれぞれ示されている。
【
図19】非作動状態のアクチュエータとして示される本発明による収縮装置の第4の実施形態の斜視図を示し、内部ベローズタイプ構造がテセレーション構造内に配置されている。
【
図22】非作動状態のアクチュエータとして示される本発明による収縮装置の第5の実施形態の斜視図を示し、内部くぼみ形構造がテセレーション構造内に配置されている。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明のいずれかの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その適用において、以下の説明に記載された、又は以下の図面に示された構成要素の詳細な構成及び配置に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態で実施することが可能であり、様々な方法で実行ないし実施することができる。従って、個々の実施形態又は図に記載されている特徴の任意の組み合わせは、たとえ本明細書に明示的に開示されていなくても、本発明に含まれる。また、本明細書で使用される語法及び用語は、説明の目的のためのものであり、限定であるとみなされるべきではないことを理解されたい。「含む」、「備える」、又は「有する」及びその変形の使用は、本明細書において、以下に列挙されるアイテム及びその均等物ならびに追加のアイテムを包含することを意味する。「取り付けられた」、「接続された」、「支持された」及び「結合された」という用語及びその変形は、そうでないことを特定又は限定されない限り、広範に使用され、直接及び間接両方の取り付け、接続、支持及び結合を包含し、したがって、他の部材を介在させない2つの部材間の直接的な接続、及び1つ向きの他の部材が介在する部材間の間接的な接続を包含することが意図される。さらに、「接続された」及び「結合された」は、物理的又は機械的な接続又は結合に限定されない。さらに、用語「下方」、「上方」、「上向き」、「下」及び「下向き」は、参照される図面の方向を示す。用語は、上記用語、その派生物、及び語句又は同様の意味を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「1つの(a、an)」及び「その(the)」、ならびに任意の単語の任意の単数形の使用は、明示的かつ明白に一つの参照に限定されない限り、複数の参照を含む。本明細書中で使用されるとき、用語「含む(include)」及びその文法的変形は、リスト中のアイテムの記載が、列挙されたアイテムに置き換えられ又は追加されることができる他の同様のアイテムを排除するものではないように、非限定的であることが意図される。
【0040】
本発明は、多くの状況において、リニアアクチュエータ又はピストンを置き換えることができる。特に、本発明は、バルブを作動させるための使用に適しており、特に、フェイルクローズ又はフェイルオープンバルブアクチュエータとしての使用に適している。
【0041】
図面を参照すると、同様の数字は同様の特徴を示すが、本発明による装置の第1の実施形態の非限定的な例は、概して参照番号10によって示される。
【0042】
本発明の第1の実施形態では、装置10は、ベローズタイプ装置の形態であり、
図1に示す第1の軸方向長さL1、第1の圧力P1及び第1の内部容積V1を有する第1の正常な伸張状態と、
図2に示す第2の軸方向長さL2、第2の圧力P2及び第2の内部容積V2を有する第2の収縮変形状態との間で動作可能であり得る。装置10は、2つの長手方向に反対側の端部、それぞれ第1の端部14.1及び第2の端部14.2の間で中心軸22に沿って延びる実質的に円筒形の本体12を有し得る。端部14114.2は、各々、他のコンポーネントへの取り付けを提供するエンドキャップ又は取付具(fitting)16を担持している。
図1及び
図2に示すように、端部14.1に位置するエンドキャップ16は、流体を本体12の内部容積(V)の中に及び/又は外に搬送するための手段を担持する。流体を搬送する手段は、導管20が接続されるバルブ18を含み得る。使用に際して、導管20は、流体は、本体12の内部容積(V)の中に及び外に搬送され得るように、例えば、リザーバなどの流体源と流体連通している。本体12は、流体がその内部容積(V)内に保持されるように、実質的に不透過性である。この特定の実施形態では、本体12は、不透過性材料から作られる。しかしながら、代替実施形態では、本体12は、例えば、不透過性ライナを担持し得ると考えられる。
【0043】
図1及び
図2の図示された実施形態に戻ると、本体12は、使用時に、流体が本体12の内部容積Vに供給される又は内部容積V内の流体圧Pが増加されるとき、装置10、特に本体12が収縮するように、非伸張性材料から製造され得る。換言すれば、装置10、特に本体12は、第1の正常状態から第2の変形状態へ移動するときに収縮し、第1の軸方向長さL1は、第2の軸方向長さL2よりも長くなり得、第1の圧力P1は、第2の圧力P2よりも下がり得る及び/又は第1の内部容積V2は、第2の内部容積V2よりも下がり得る。この収縮は
図1と
図2にはっきりと見える。従って、装置10は、収縮装置とも呼ばれる。
【0044】
装置10がアクチュエータとして構成されている用途では、それは、円筒形本体12の長手方向中心軸22に実質的に沿った方向に作用する収縮運動及び/又は引張力を発生させる。
図2に示されているように、この作業動作(work action)は、ベローズタイプ本体12の半径方向の膨張と、その結果としての本体12の内部容積Vに含まれる流体容積の全体的な増加によって促進される。しかし、既知の収縮ベローズタイプ装置とは異なり、本発明の装置10は、作動するとき実質的に円筒形の形態を維持する。
図2を参照すると、装置10の本体12は、その変形状態にあるとき、その長さの大部分にわたって円筒形のままであり、その長さの大部分は、第1の端部14.1の近位から第2の端部14.2の近位まで延びる中央部分14.3を含み得る。剛性のエンドキャップ16に非常に近接した端部領域においてのみ、本体12はその円筒形形態を保持しない可能性がある。
【0045】
図3及び
図4は、装置10がポンプ又はコンプレッサとして使用される用途を示す第2の実施形態を示している。この特定の用途では、本体12が、第2の軸方向長さL2及び第2の内部容積V2を有する第2の正常な状態で収縮され、次いで、第1の軸方向長さL1及び第1の内部容積V1を有する伸張された第1の状態に変形されるように、装置10を構成することが望ましい場合がある。
図3に示すこのポンプ又はコンプレッサ用途で使用されるとき、例えば電気モータ26によって駆動されるクランクシャフト24などの機構による、引張軸方向荷重の印加が、半径方向収縮、軸方向長さL2から軸方向長さL1への軸方向伸張、及び流体容積の全体的な減少及び/又は流体圧の増加をもたらす。引張荷重の結果としてのこの変形は、
図3及び
図4に示される。これらの図面では、2つの装置10が使用される2段構成(two-stage arrangement)が示されている。装置は、互いに隣り合って取り付けられ、それぞれ10.1及び10.2の参照記号によって示されている。しかし、いくつかの装置が使用される多段構成が使用され得ることが想定される。従って、本発明は、使用される装置10の特定の数に限定されない。典型的な2段又は多段構成では、装置10は、逆止弁又はチェック弁30を担持する導管28を使用して互いに流体連通している。このような用途では、典型的には、連続的に容積を減少させる装置10が使用される。
【0046】
本発明の作動装置10は、その変形していない又は伸張した長さの約35%まで収縮することができる。換言すれば、本体12の軸方向長さは、その変形又は収縮状態において、その正常状態よりも約35%短い。その結果、第1の実施形態では、高歪み構成の開始長さで加圧され、固定されて保持されるとき、装置10は、標準のピストンアクチュエータと比較した場合、入力流体圧の5倍に等しい、本体の断面積にわたる正規化された力(normalized force)を生成することができる。機械的仕事の出力は、内部流体容積の変化とこの流体の圧力の積として近似することができる。
【0047】
装置10の所望の変形性を達成するために、ベローズタイプ本体12の壁11は、要素15のテセレーションを有する。これらの要素は、
図5及び
図6(a)~(d)において、第1の拡張状態で、より詳細に示されている。装置10のこの例示的な実施形態では、要素の第1の実施形態は、突出四角ピラミッド及び突入四角ピラミッドそれぞれを含むピラミッド構造を各々が有する突出形成部41及び突入形成部42を有する。
図5では、テセレーションの単一ユニット又は要素40が強調されている。
図6(a)~(d)は、要素40をより詳細に示す。
【0048】
図6(a)から(d)に示される要素40は、平面上に、すなわち、無限の半径r
1を有するシリンダ上で使用されるかのように、構築されるとき、テセレーションを形成するのに理論的に理想的な要素である。突出形成部又はピラミッド41は、ベースノード41.1、41.2、41.3及び41.4と、それらの間に延びるベースエッジ41.12、41.23、41.34及び41.41と、中心頂点41.5とを有し得る。軸方向エッジ41.25及び41.45は、中心頂点41.5とベースノード41.2及び41.4との間にそれぞれ延び、周辺エッジ41.15及び41.35は、中心頂点41.5とベースノード41.1及び41.3との間にそれぞれ延びる。ベースノード41.1及び41.2は、ベースエッジ41.12の第1及び第2の端部を規定し、ベースノード41.2及び41.3は、ベースエッジ41.23の第1及び第2の端部を規定し、ベースノード41.3及び41.4は、ベースエッジ41.34の第1及び第2の端部を規定し、ベースノード41.4及び41.1は、ベースエッジ41.41の第1及び第2の端部を規定する。
【0049】
同様に、突入形成部又はピラミッド42は、ベースノード42.1、42.2、42.3及び42.4と、それらの間に延びるベースエッジ42.12、42.23、42.34及び42.41と、中心頂点42.5とを有し得る。軸方向エッジ42.25及び42.45は、中心頂点42.5とベースノード42.2と42.4との間にそれぞれ延び、周辺エッジ42.15及び42.35は、中心頂点42.5とベースノード42.1及び42.3との間にそれぞれ延びる。ベースノード42.1及び42.2は、ベースエッジ42.12の第1及び第2の端部を規定し、ベースノード42.2及び42.3は、ベースエッジ42.23の第1及び第2の端部を規定し、ベースノード42.3及び42.4は、ベースエッジ42.34の第1及び第2の端部を規定し、ベースノード42.4及び42.1は、ベースエッジ42.41の第1及び第2の端部を規定する。
【0050】
ノード41.3及び41.4は、ノード42.2及び42.1それぞれと一致し得る。したがって、突出形成部41のベースエッジ41.34は、突入形成部42のベースエッジ42.12と一致する。要素40は繰り返して、本体12の要素15のテセレーションを形成し、従って、突入形成部42及び突出形成部41の他のベースエッジ41.12、41.23、41.41、42.23、42.34、42.41及びノード41.1、41.2、42.3、42.4は、隣接する突入及び突出形成部のそれぞれのベースエッジ及びノードと一致する。
【0051】
図6(b)に長手方向に伸張された状態の装置を示す。
図6(b)に示されている角度αは重要であり、加圧されたときに第1の伸張状態からの本体12の結果として生じる変形に大きな影響を及ぼす。装置10のこの特定の実施形態では、角度αは、本体12の任意の収縮が生じるために55°未満でなければならない。さらに、角度αが約25°から30°の範囲である場合に最大の変形が達成されることが決定された。
【0052】
角度αは、アクチュエータが、軸方向長さL1を持つ第1の拡張状態にあるとき、突出形成部が
図6bのような正面又は平面図の場合、突出形成部41又は突入形成部42のベースエッジ41.12、41.23、41.34、41.41、42.12、42.23、42.34及び42.41と中心軸22との間に形成される。具体的には、角度αは、各形成部41、42の軸方向エッジ41.25、41.45、42.25及び42.45並びに周辺エッジ41.15、41.35、42.15及び42.35のノードと、中心軸22及びベースエッジのノード41.2、41.4、42.2、42.4によって画定される平面Pとを接合する、それぞれのベースエッジ41.12、41.23、41.34、41.41、42.12、42.23、42.34及び42.41の間に形成される。角度αは、55度未満であり得る。代替的には、角度αは、25度から30度の間であり得る。
【0053】
本体12内の同じ軸方向位置の形成部又はピラミッド51.52は、同一の、又は少なくともほぼ同一の幾何学的形状を有するべきである。しかし、これは、中心軸22からの有限の半径r
2を有する実際のシリンダでは達成できない。その代わりに、この状態を近似することができ、要素15のテセレーションに使用される要素の第2の実施形態が
図7(a)~(h)に示され、参照符号50によって示される。要素50は、この場合も同様に、突出ピラミッド51と突入ピラミッド52とを有する。ピラミッド51は、この場合も同様に、ベースノード51.1~51.4と、それらの間に延びるそれぞれのベースエッジ51.12、51.23、51.34、51.41とを有するベースと、頂点51.5とを有し、一方、ピラミッド52は、ベースノード52.1~52.4と、それらの間に延びるそれぞれのベースエッジ52.12、52.23、52.34、52.41とを有するベース、頂点52.5とを有する。要素50では、突出51及び突入52ピラミッドそれぞれの頂点51.5及び52.5は、軸方向エッジ53、54、55及び56が全て等しい長さであるように、円筒半径r
2から等しくオフセットされる。これは、全ての変形が、困難な膜伸張の代わりに、容易なヒンジ曲げによって生じる理想(上述の要素40の無限の円筒半径r
1の場合)に近い幾何学的形状を維持する。ここでも、ベースノード51.3及び51.4は、それぞれベースノード52.2及び52.1と一致する。したがって、突出ピラミッドのベースエッジ51.34はベースエッジ52.12と一致する。
【0054】
テセレーションに使用される要素の第3の実施形態が
図8(a)~(h)に示されており、参照符号60によって示されている。ここでも、要素60は突出ピラミッド61と突入ピラミッド62を有する。ピラミッド61は、ここでも、ベースノード61.1~61.4と、その間に延びるそれぞれのベースエッジ61.12、61.23、61.34及び61.41を有するベースと、頂点61.5とを有し、ピラミッド62は、ベースノード62.1~62.4と、その間に延びるそれぞれのベースエッジ62.12、62.23、62.34及び62.41を有するベースと、頂点62.5とを有する。要素60のこの実施形態では、要素50の第2の実施形態の場合のような半径からの等しい頂点オフセットの条件が緩和される。その代わりに、周辺エッジ63、64、65及び66の長さはすべて等しい。これは、全ての変形が、困難な膜伸張の代わりに、容易なヒンジ曲げによって生じる理想(上述の要素40の無限の円筒半径r
1の場合)に近い幾何学的形状を維持する。ここでも、ベースノード61.3及び61.4は、ノード62.2及び62.1それぞれと一致する。従って、突出ピラミッド61.34のベースエッジはベースエッジ62.12と一致する。
【0055】
2つの実施形態では、要素r2のうちの3つ及び4つは中心軸22に垂直であり、その軸方向長さLに沿った任意の点において実円筒の円筒半径を規定し得る。r2の値は、前記軸方向長さLに沿って変化し、要素の変形に伴って増加又は減少し得る。具体的には、r2は、要素の端部に向かって減少し得る。
【0056】
角度αは、
図7b及び
図8bに見ることができ、上記の理論的に理想的な要素と同様の方法で形成される。
【0057】
テセレーションに使用される要素の第4の実施形態が、
図9(a)~(h)に示され、参照符号70によって示されている。概念的には、要素70は、ここでも、突出形成部又はピラミッド71及び突入形成部又はピラミッド72を有するが、この実施形態では、ウェッジ状(wedge-like(くさび状))形成部73、74が、各ピラミッド71及び72それぞれの2つの半部(halves)の間にそれぞれ挿入される。ウェッジ(wedges)73、74は、ピラミッドの軸方向断面から形成され得る。ピラミッド71は、本質的にノード71.1~71.4と、それらの間に延びるそれぞれのベースエッジ71.12、71.23、71.34及び71.41とを有するベースと、2つの頂点71.5及び71.6とを有する。軸方向エッジ71.25及び71.26は、ベースノード71.2から、軸方向エッジ71.45及び71.56は、ベースノード71.4から、中心頂点71.5及び71.6にそれぞれ延び、周辺エッジ71.15及び71.36は、中心頂点71.5及び71.6とベースノード71.1及び71.3との間にそれぞれ延びている。頂点71.5及び71.6は、ウェッジ73のベースノードを形成し、これは、ノード71.2及び71.4それぞれと一致する頂点を有する。したがって、ウェッジ73は、ノード71.5、71.6及び71.2によって及びノード71.5、71.6及びノード71.4によってそれぞれ画定される2つの三角形の面を効果的に追加する。突入ピラミッド72は、本質的に、ベースノード72.1~72.6、それらの間に延びるそれぞれのベースエッジ72.12、72.23、72.34、72.45、72.56及び72.61、及び頂点72.7を有する。軸方向エッジ72.27、72.37、72.57及び72.67は、中心頂点72.7とベースノード72.2、72.3、72.5及び72.6との間にそれぞれ延び、周辺エッジ72.17及び72.47は、中心頂点72.7とベースノード72.1及び72.4との間にそれぞれ延びる。ピラミッド72では、これらのノード72.2、72.3、72.5、及び72.6は、ピラミッド72の頂点72.7と一致する頂点を有するウェッジ74のベースノードを形成する。ここでも、ベースノード71.3と71.4は、ノード72.2と72.1それぞれと一致する。したがって、突出ピラミッド71のベースエッジ71.34は、突入ピラミッド72のベースエッジ72.12と一致する。この実施形態では、突入ピラミッド72の、ウェッジ74の、ベースエッジ72.23及び72.56は、それらの軸方向に隣接する突入ピラミッド72のウェッジ74のそれぞれのベースエッジと一致する。
【0058】
ウェッジ73、74の向きは、ピラミッド71及び72に関して逆転され、ピラミッド71、72よって形成される形成部71、72及びベースノードによって画定されるウェッジ73、74の形状が有限半径r
2に従うように、ウェッジの狭い端部は中心軸22の近接にあり、広い端部は中心軸22の遠位にある。このようにして、突出ピラミッド又は形成部71及び突入ピラミッド又は形成部72の幾何学的形状は、同等のままであり、したがって、
図6に示される要素40の実施形態の理想的な幾何学的形状と似ている。言い換えると、突出形成部又はピラミッド71及び突入形成部又はピラミッド72の幾何学的形状は、各ピラミッド71、72の2つの半部の間にウェッジ73、74を挿入することによる有限の半径r
2にもかかわらず、
図6の理想的な幾何学的形状と同等のままである。
【0059】
突出形成部71及び突入形成部72は、構造及び形状においてピラミッド状であり得ることが理解されるであろう。突出形成部71は、前述の実施形態のいずれかと同様のピラミッド41、51、61を含み得、さらに、ウェッジ73を含み得、ウェッジ73は、切頭(truncated)又は拡張(augmented)ピラミッド71を形成するよう中心軸22に沿って(in line with)ピラミッド41、51、61を分割するように挿入される。さらに、突入形成部72は、前述の実施形態のいずれかと同様のピラミッド42、52、62を含み得、さらにウェッジ74を含み得、ウェッジ74は、六角ピラミッド72を形成するよう中心軸22に沿ってピラミッド72を分割するように挿入されることが理解されるであろう。
【0060】
要素70のこの実施形態では、ノード71.5、71.2及び71.6によって定義されるウェッジ角度は、本体12の円筒形状の周りでテセレーションを回転させ、それによって突出71及び突入72ピラミッドの面の幾何学的形状が等しくなることを可能にする。ノード71.2とノード71.6との間のエッジの長さは、ノード72.2とノード72.7との間のエッジの長さに等しい。また、ノード71.6とノード71.3との間のエッジの長さは、ノード72.7とノード72.1との間のエッジの長さに等しい。
【0061】
要素70の実施形態では、ピラミッド71のベースは、実質的に多角形、特に四辺形、より具体的には平行四辺形である。
図9(b)に最もよく見られるように、ノード71.1と71.2及びノード72.3と72.4の間の返の長さは等しい。ノード71.4と71.1、及びノード71.1と71.2の間の辺(sides)の長さは等しい。
図9(c)に最もよく見られるように、ピラミッド71内のウェッジ73の包含は、ピラミッド71を切頭ピラミッドに効果的に変換する。言い換えれば、ウェッジ73の包含は、ピラミッド71の頂部又は最外部が切断された切頭ピラミッドの形状と実質的に一致する形状を形成する。その結果、(ピラミッド72及び他の実施形態のピラミッドのように)点の形の頂点を有する代わりに、ピラミッドの頂点は、ノード71.5と71.6との間に延びるエッジ又は線の形態である。したがって、用語「頂点」は、ピラミッドの頂部又は最高部分を意味するものとして明細書全体を通して広く解釈されるべきであり、点の形で頂点を表すことに限定されないことを理解すべきである。用語「頂点」は、したがって、ピラミッドの頂部又は最高部分を説明するために使用され、これは、また、ピラミッドのピーク、頂上又は頂点とも呼ばれ得る。
【0062】
ピラミッド72のベースは、実質的に多角形、特に六角形、より具体的にはその辺の長さがすべて等しいわけではない不規則な六角形である。
図9(b)に最もよく見られるように、ノード72.1とノード72.2、ノード72.3とノード72.4、ノード72.4とノード72.5、ノード72.6とノード72.1の間の辺の長さは等しい。ノード72.2と72.3、ノード72.5と72.6の間の辺の長さは等しい。ピラミッド72の六角形の形状は、ピラミッドのベース内にウェッジ73のベースノードを含めることによって形成される。ウェッジ73についてでなければ、ピラミッドのベースはピラミッド71のベースと同じであったであろう。
【0063】
図9(b)は、伸長した状態におけるアクチュエータの要素を示す。第4の実施形態の角度αは、
図9(b)に示すように、アクチュエータが、突出形成部71又は突入形成部72が
図9(b)に示されるように正面又は平面図で事項方向に見るとき、突出形成部71のベースエッジ71.12、71.23、71.34、71.41、又は突入形成部72のベースエッジ72.12、72.34、72.45、72.61と、中心軸22との間の軸方向長さL1を持つ、第1の伸張状態にあるときに形成される。具体的には、角度αは、それぞれの形成部71、72.72の軸方向エッジ71.25、71.26、71.45、71.46、72.27、72.37、72.57及び72.67並びに周辺エッジ71.15、71.36、72.17及び72.47のノードを接合するそれぞれのベースエッジ71.12、71.23、71.34、71.41、72.12、72.34、72.45及び72.61と、中心軸22との間に形成され、面Pが、中心軸22、及びそれぞれのベースエッジのノード71.2、71.4、72.2、72.3、72.5、72.6によって定められる。
【0064】
上記の説明から、要素40、50、60、及び70は、事実上、中空の多面体の形状であることが理解されるべきである。多面体は、典型的には、ベースを有し、ベースは、頂部で出会う、4以上、好ましくは4~6個の三角形の面のポリゴンであることができる。三角形の側面は、側部又は側面とも呼ばれる。
【0065】
上記の実施形態は、各々、要素15のテセレーションの要素40、50、60、70を有する、単一の突出形成部41、51、61、71及び単一の突入形成部42、52、62、72を使用して示される。要素15のテセレーションは、複数の前記要素40、50、60、70から構成され、ギャップ又は重複することなく互いに嵌合する突出形成部41、51、61、71及び突入形成部42、52、62、72を含む反復パターンである。したがって、突出形成部41、51、61、71のベースノード41.1、41.2、41.3、41.4、51.1、51.2、51.3、51.4、61.1、61.2、61.3、61.4、71.1、71.2、71.3、71.4及びベースエッジ41.12、41.23、41.34、41.41、51.12、51.23、51.34、51.41、61.12、61.23、61.34、61.41、71.12、71.23、71.34、71.41は、アクチュエータの本体12の円筒形又は実質的に円筒形の壁11の要素15のテセレーションを形成するために、要素の繰り返しパターンで上述したような、隣接する突入形成部42、52、62、72のベースノード42.1、42.2、42.3、42.4、52.1、52.2、52.3、52.4、62.1、62.4、72.1、72.2、72.3、72.4、72.5、72.6及びベースエッジ42.12、42.23、42.34、42.41、52.12、52.23、52.34、52.41、62.12、62.23、62.34、62.41、72.12、72.34、72.45、72.61と一致する。特に、突出形成部41、51、61、71のベースノード41.1、41.2、41.3、41.4、51.1、51.2、51.3、51.4、61.1、61.2、61.3、61.4、71.1、71.2、71.3、71.4及び/又はベースエッジ41.12、41.23、41.34、41.41、51.12、51.23、51.34、51.41、61.12、61.23、61.34、61.41、71.12、71.23、71.34、71.41は、突入形成部42、52、62、72のベースノード42.1、42.2、42.3、42.4、52.1、52.2、52.3、52.4、62.1、62.2、62.3、62.4、72.1、72.2、72.3、72.4、72.5、72.6及び/又はベースエッジ42.12、42.23、42.34、42.41、52.12、52.23、52.34、52.41、62.12、62.23、62.34、62.41、72.12、72.34、72.45、72.61と一致する。この場合、突出形成部のベースノード及び/又はベースエッジは、各々、突入形成部のそれぞれのベースノード及び/又はベースエッジと一致する。ここで、突出形成部41、51、61、71の各ベースノード41.1、41.2、41.3、41.4、51.1、51.2、51.3、51.4、61.1、61.2、61.3、61.4、71.1、71.2、71.3、71.4及び/又はベースエッジ42.12、42.23、42.34、42.41、51.12、51.23、51.34、51.41、61.12、61.23、61.34、61.41、71.12、71.23、71.34、71.41は、前記突出形成部41、51、61、71の面の境界を示し(bounds)、突入形成部の42、52、62、72のベースノード42.1、42.2、42.3、42.4、52.1、52.2、52.3、52.4、62.1、62.2、62.3、62.4、72.1、72.2、72.3、72.4、72.5、72.6及び/又はベースエッジ42.12、42.23、42.34、42.41、52.12、52.23、52.34、52.41、62.12、62.23、62.34、62.41、72.12、72.34、72.45、72.61は、突入形成部の42、52、62、72の面の境界を示す。ここで、突出形成部41、51、61、71の面の各ベースノード41.1、41.2、41.3、41.4、51.1、51.2、51.3、51.4、61.1、61.2、61.3、61.4、71.1、71.2、71.3、71.4及び/又はベースエッジ42.23、42.34、42.41、51.12、51.23、51.34、51.41、61.12、61.23、61.34、61.41、71.12、71.23、71.34、71.41は、突入形成部42、52、62、72の隣接する面のそれぞれのベースノード42.1、42.2、42.3、42.4、52.1、52.2、52.3、52.4、62.1、62.2、62.3、62.4、72.1、72.2、72.3、72.4、72.5、72.6及び/又はベースエッジ42.12、42.23、42.34、42.41、52.12、52.23、52.34、52.41、62.12、62.23、62.34、62.41、72.12、72.34、72.45、72.61と一致する。
【0066】
次に、
図10~
図12を参照すると、本発明による装置の第2の実施形態の非限定的な例が、概して、参照番号110によって示される。
【0067】
上記実施形態の装置10とは別に、又は関連して使用され得る代替構成では、装置110は、実質的に円筒形の本体112を有し得、第1の端部114.1及び第2の端部114.2を有する。エンドキャップ又は取付具116は、ここでも、各端部114.1.114.2に配置される。第1の端部114.1に配置されたエンドキャップ116は、ホースコネクタ又は取付具118などの流体を搬送する手段を担持する。使用時には、流体を本体112に供給するためのホースがホース取付具118に接続され得る。装置110のこの代替実施形態では、各エンドキャップ116は、外部コンポーネントへの接続のための接続手段を担持する。この実施形態では、接続手段は、力を伝達することができる機械的接続部を形成するために、ロッドエンドベアリング120のような接合部として示されている。使用時には、ロッドエンドベアリング120は、外部装置及び機構に機械的荷重及び変位を伝達又は伝える。本発明の装置110のこの第2の実施形態は、テセレーションの最も基本的な実施形態を含む。テセレーションは、
図7、
図8及び
図9をそれぞれ参照して上述したような要素50、60又は70のいずれかを含む。
【0068】
次に、
図13を参照すると、本発明による装置の第3の実施形態の非限定的な例が、概して、参照番号210によって示される。装置210は、テセレーションの要素の設計を除いて、装置110と実質的に類似している。従って、テセレーションのための要素の設計のみが詳細に説明される。
【0069】
装置210のテセレーションに使用される要素の設計は、装置210全体、特に、テセレーションを有するその本体212の全体に渡って、より大きなアクチュエータ強度及び改良された剛性分布を提供することを目的とする。
図13に示すように、実質的に矩形のユニット又は要素の形態の要素240が、テセレーションに使用される。装置210のテセレーションは、ここでも、突出ピラミッド及び突入ピラミッドを有するが、
図6~9に示す要素40、50、60及び70のように2つの完全に形成されたピラミッドを有する要素240の代わりに、矩形要素240が、突出ピラミッド241及び突入ピラミッド242の2つの半部を含むように選択される。矩形要素240は、以下、応力低減形成部を通して要素15のテセレーションの突出241及び突入242ピラミッドの頂点及びエッジにおける応力集中を低減するための以下の手段を図示するために使用される。
【0070】
要素240は、
図14(a)~(c)により詳細に示されている。要素240は、ノード又は頂点243.1~243.9を含む。線244.1~244.4は、突出241と突入242ピラミッド半部の間のリンク又は接合部を示している。ピラミッド241、242のエッジ又はコーナーは、これらの領域における応力集中を低減するためにフィレット加工される(filleted)。フィレット加工されたエッジは、参照記号245によって示される。
【0071】
要素240からのテセレーションを含む本体212を単一材料から製造するためには、一般に、例えばポリウレタンエラストマーのような、より柔軟な材料を使用する必要があると考えられる。作動流体圧も一般に制限される。これらの措置は、特に頂点243.1~243.9における高応力集中、及び非フィレット加工面246.1~246.8の面内伸張及び面外曲げを防止するために典型的に必要とされ、それによって、本体212の性能の損失又は故障を防止する。
【0072】
要素240の限界に対処するために、頂点243.1~243.9における応力集中は、
頂点の領域に要素240の残りの部分で使用される材料よりも柔らかい材料を使用することによって低減されることができることが想定される。頂点243.1~243.9の領域におけるより柔軟な材料は、典型的には、平面又は面246.1~246.8におけるような要素の残りの部分で使用される材料よりも破壊に対してより高い歪みを有する。さらに、フィレット加工部245及び頂点243.1~243.9の領域、ならびにピラミッド241、242の間の接合部244.1~244.4は、例えばポリウレタンマトリックスのような軟質ポリマーマトリックス中のケブラー(登録商標)繊維のような、比較的低い曲げ弾性率の高強度材料から作ることができると考えられる。面246.1~246.8の領域では、要素240は、フィレット加工部、頂点、及び接合部に使用される材料と比較して、より剛性の高い材料から作ることができる。より剛性の高い材料は、例えば、炭素繊維エポキシ複合材料であり得る。要素240内のこの材料構成を使用することによって、本体212、そして従って、装置210は、より高い作動流体圧が可能である。
【0073】
装置210のテセレーションに使用される要素の代替実施形態が、
図15(a)~(c)に示されている。
図15のこの実施形態は、数字250によって示され、面246.1~246.8の領域を除いて要素240と実質的に類似している。要素250では、要素の壁厚は、面246.1~246.8の領域において、内部及び外部の両方で増加する。内部に延びる突出部257及び外部に延びる突出部258は、フィレット加工部245、頂点243.1~243.9及び接合部244.1~244.4の領域においてこの場合も壁厚を減少させる面取り部259によって仕上げられる。要素250のこの実施形態は、面246.1~246.8の面内伸張及び面外曲げを減少させる一方で、本体212が単一の材料から製造されることを可能にする。
図15では、壁厚は、内部にも外部にも増加することが示されているが、図面に示されていない代替の実施形態では、壁厚は、内部又は外部いずれかにのみ増加することができると考えられる。増大した壁厚の領域257、258は、面取り部259を用いてフィレット加工された領域245に接続されていることが示されているが、直線状の滴(straight drops)、フィレット等のような他の幾何学的に形状の接続部が使用され得ることがさらに想定される。従って、本発明は、厚さが増大した領域と厚さが増大しない領域、例えば、フィレット加工領域245、頂点243.1~243.9、及び接合部244.1~244.4の間の接続部の特定の形状に限定されない。
【0074】
さらに、頂点243.1~243.9の領域における任意の応力集中は、本発明によるテセレーションで使用される要素の他の実施形態を参照して上述した任意の方法を使用することによって、低減され得ることが想定される。
【0075】
装置210のテセレーションに使用される要素の別の実施形態が、
図16(a)~(c)に示されている。
図16のこの実施形態は、数字260によって示され、頂点における要素の領域を除いて要素250と実質的に類似している。要素260では、要素の壁厚は、要素250と実質的に同様に増加するので、再度説明しない。しかし、要素260は、要素260が、頂点243.1~243.9の領域における応力集中を低減する手段を含むという点で要素250とは異なる。要素260のこの実施形態では、応力集中を低減する手段は、頂点の領域に位置する孔261の形態である。孔261は、
図16に円形で示されているが、本発明は、円形孔に限定されない。本発明は、頂点における応力集中を低減するために頂点で材料を除去する原理をカバーすることが理解されるべきである。
【0076】
本体212の流体不透過性を維持するために、別個の膜又はフィルム262が使用される。不透過性膜は、実質的に本体212全体に沿って内部に広がる。膜262は、好ましくは、柔軟な弾性材料から作られる。
【0077】
装置210のテセレーションに使用される要素の別の実施形態が、
図17(a)~(c)に示されている。
図17のこの実施形態は、数字270によって示され、頂点243.1~243.9の領域における応力集中を低減するための代替手段を含む。要素270は、要素240と実質的に類似しており、従って、頂点における応力集中を低減する手段のみが、詳細に説明される。要素270のこの実施形態では、応力集中を低減する手段は、要素260で使用される孔261以外の応力低減形成部の形態である。この特定の実施形態では、応力低減形成部は、円錐又はピラミッド271の形態であり、それらは、下にある頂点形状に対して反転される。
【0078】
装置210のテセレーションに使用される要素のさらに別の実施形態が、
図18(a)~(c)に示されている。
図18のこの実施形態は、数字280によって示され、頂点243.1~243.9の領域における応力集中を低減するための代替手段を含む。要素280は、要素270と実質的に類似しており、従って、頂点における応力集中を低減する手段のみが、詳細に説明される。要素280のこの実施形態では、頂点での応力集中を低減するために使用される応力低減形成部は、下にある球面頂点幾何学形状に対して平坦な281又は湾曲した282応力低減形成部又は断面の形態である。
【0079】
頂点における応力集中を低減するために、要素270及び280において使用される応力低減形成部271、281、282は、頂点におけるガウス曲率を効果的に低減又は除去することが理解されるべきである。従って、本発明は、図面に示された応力低減形成部の幾何学的形状に限定されないことが理解されるべきである。さらに、上述の実施形態の頂点及び面における異なる応力低減形成部からの特徴を組み合わせることができることが想定される。
【0080】
次に、
図19を参照すると、本発明による装置の第4の実施形態の非限定的な例が、概して、参照番号310によって示される。装置310は、実質的に装置210と同様である。装置310は、ここでも、要素15のテセレーションを含む実質的に円筒形の本体312を有する。本体312の要素は、装置10、110、210の他の実施形態を参照して上述した要素のいずれであってもよい。装置310は、ここでも、第1の端部314.1及び第2の端部314.2と、端部に配置されたエンドキャップ又は取付具316とを有する。装置310は、ここでも、ホースコネクタ又は取付具318と、外部コンポーネントに接続するための接続手段320とを有する。
【0081】
しかしながら、装置310と他の装置10、110、210との間の最も大きな違いは、その本体312が多層化されていることである。この特定の実施形態では、本体312は、第1の側壁312.1及び第2の側壁312.2を有する。第1の側壁312.1は、上述のような要素15のテセレーションを含む第1の構造322によって画定され、第2の側壁312.2は、第1の構造内に位置する第2の構造324によって画定される。装置310では、第2の構造324は、ベローズタイプ構造の形態である。
図21に最もよく見られるように、ベローズタイプ構造324は、ベローズ326が第1の構造322のピーク又は突出セクション328と一致するように、第1の構造322の内側に配置される。
【0082】
第1の322及び第2の324構造は、装置310が、互いに独立した第1の又は一次容積330及び第2の又は二次容積332を画定するように配置される。この構成では、内部容積330、332内の流体は、独立して加圧され得る。依然として
図21を参照すると、ホース取付具318は、第1の側壁312.1と第2の側壁312.2との間(すなわち、第1の構造322と第2の構造324との間)に画定される第1の内部容積330と流体連通していることが分かる。使用において、第1の容積330内の流体は、作動又はポンプ/圧縮のための作動流体として作用する。しかし、第2の容積332内の流体を作動に影響を及ぼすように使用することができると考えられる。
【0083】
次に、
図22を参照すると、本発明による装置の第5の実施形態の非限定的な例が、概して、参照番号410によって示される。装置410は、内部ベローズタイプ構造324のくぼみ形構造424での置換を除いて、装置310と実質的に類似している。
【0084】
くぼみ形構造424は、
図24に最もよく示されている。装置310と同様に、ここでも、そのピーク426が第1の構造422のピーク428と一致するように配置される。使用時には、装置410、特に本体41.2の第1の422及び第2の424の構造の変形に伴い、第1の容積430の容積領域(volumetric area)が増加する。この容積の増加は、第1の容積430内の流体圧の増加による変形の際のくぼみ形構造424の半径方向の収縮に起因することは明らかである。装置410の変形の際の増加する容積の結果として、アクチュエータの仕事出力の増加が達成される。
【0085】
第2の内部構造424は、くぼみ形構造として説明されるが、任意のオーセチック構造、すなわち、負のポアソン比を有する構造が使用され得ることが想定される。
【0086】
本発明の装置310、410の利点は、角度αが55度未満であるべきであるという制約が、収縮作動を依然としてもたらす一方で緩和され得ることである。換言すれば、装置310、410は、作動に際し、すなわち、内圧の増加時に、角度αが55°よりも大きい場合であっても、依然として軸方向に収縮する。
【0087】
本発明の装置10、110、210、310、410、特にその本体12、112、212、312、412は、溶融フィラメント製造(FFF)、別名溶融体積モデリング(FDM)、紛体層(powder bed)、選択的レーザー焼結(SLS)、選択的レーザー溶融(SLM)、ステレオリソグラフィー、及びポリジェットプロセスなどの種々の付加製造プロセスのいずれかを使用して製造することができると考えられる。代替的には、本発明の装置10、110、210、310、410は、ブロー成形、射出成形、及び回転成形などの熱成形プロセスを使用して製造され得る。さらに、本発明による装置は、鍛造及び型抜きを通じて金属を用いて製造することができることが想定される。代替的には、複合材料製造プロセスを使用することもできる。複合材料製造プロセスは、オートクレーブ内外での事前含浸及びドライ材料、ならびに熱間成形、テープ敷設及び樹脂転写成形が含まれるが、これらに限定されない。
【0088】
さらに、本発明の装置10、110、210、310、410、特に、要素15のテセレーションを含むその本体12、112、212、312、412を製造するために、一連の異なる材料を使用することができると考えられる。材料は、熱可塑性ポリマーアセタール(Delrin(登録商標))、ナイロン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリエチレン(高密度PE(HDPE)、低密度PE(LDPE)、線状低密度PE(LDDPE)、超高分子量PE(UHMWPE))、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート及びポリプロピレン(ホモポリマー及び共重合体)を含むが、これらに限定されない。本発明の装置10、110、210、310、410、特にその本体12、112、212、312、412はまた、例えばエポキシ、ポリイミド、ポリウレタン、シリコーン、ビニル及び天然ゴムのような熱硬化性プラスチックから全体又は一部を製造され得る。本発明の装置、特にその本体は、特に超弾性合金が使用される場合には、金属から製造され得ることがさらに想定される。また、ガラス(E、AR及びSガラス)、炭素(HM及びHS)、ホウ素、ポリアミド(ケブラー(登録商標)、トワロン(登録商標))、ポリエステル(ベクトロン(登録商標))、ポリベンゾオキサゾール(PBO、Zylon(登録商標))、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)又は超高分子量ポリエチレン(Dyneema(登録商標))の繊維を使用する場合、上記材料から一部を形成された複合材料を装置10の製造に使用することができると考えられる。
【0089】
本発明による装置の上記の説明から、装置の重要な利点は、既知のマッキベンアクチュエータの複雑な編組及び膜を必要とせずにマッキベンタイプアクチュエータが得られることであることが理解されるべきである。結果として、本発明の装置は、単一の材料、すなわち、補強材を含まない材料から製造することができる。これにより、本発明の装置を一連の材料から製造し、既知のマッキベンアクチュエータと互換性のないプロセスを使用することができる。本発明の別の重要な利点は、装置が既知の収縮アクチュエータにおいて達成可能な圧力を超える圧力に耐えることができることである。本発明の装置はまた、過酷な動作環境においてポンプ又はコンプレッサとして使用するのにも適している。
【0090】
四角ピラミッドを含むと突出及び突入形成部41、42、51、52、61、62、71、72のテセレーションを含む壁11を使用することによって、本発明の装置10は、マッキベンタイプアクチュエータとある程度等しい方法で、内圧を外力に関連付ける(linking)ことができる。収縮作動は、作動中に生成される引張力の結果としての引張収縮とも呼ばれ、内部流体圧Pの増加により達成され、一方、引張ポンピング力を加えると、含有流体容積の減少がもたらされ、全ての間に円筒形形態を維持する。
【0091】
本発明による流体ベローズタイプ収縮装置は、ベローズ設計によって、アクチュエータのマッキベンクラスの高重量比性能及び円筒形加圧形態を維持し、それによって、アクセス可能な付加製造技術、低コストの熱成形プロセス、及び高性能複合材料からの製造を可能にする。これらの製造及び材料のオプションは、それぞれ、既知のベローズ又はマッキベンタイプの流体装置で以前に達成されたものを超える、改良された調整可能性、低減されたコスト、及び増加された力対重量比(作動及びポンプ/コンプレッサ構成の両方におけるより高い作動圧力)を可能にする。
【0092】
本発明の主な機能は、加圧流体(アクチュエータ又はポンプ/コンプレッサとして)からの、又は加圧流体へのエネルギの伝達であるが、アクチュエータは、弾性部材として作用することができ、装置10の本体12は、中心軸22の方向に剛性kを有する。従って、第1の通常状態から第2の変形状態に変形されると、装置10は、このプロセスの間、材料の弾性エネルギを貯蔵し、装置10を第2の変形位置から第1の通常位置に戻すように作用する力fを生成する。これにより、本発明は、流体圧が除去されるとき、作動力とは逆方向の力を加えるバネとして作用することができる。従って、本発明は、例えば、フェイルクローズ又はフェイルオープンバルブアクチュエータにおいて、アクチュエータ及びスプリングが現在2つの別個の、しかし接続されたコンポーネントとして適用されている用途において、アクチュエータ及びスプリングの両方を置き換えることができる。
【0093】
剛性kは、アクチュエータを第1の通常状態に戻す方向に力Fを提供し得る。力Fは、アクチュエータ及びそれが作用している負荷を通常状態に戻すのに使用するのに十分であり得る。剛性kは、1N/mmより大きくてもよい。
【0094】
上記の説明は、本発明のいくつかの実施形態を提供するに過ぎず、本発明の精神及び/又は範囲から逸脱することなく、多くのバリエーションが存在し得ることが理解されるであろう。本発明の特定の特徴は、図面に一般的に記載され、図示されているように、広範な異なる構成に従って配置され、設計され得ることが本出願から容易に理解される。このように、本発明の説明及び関連する図面は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に選択された実施形態を表すものである。
【0095】
当業者は、そうでないことが表されない又はこれらの特徴が、互換性がないことが明らかでない限り、所与の実施形態の技術的特徴を他の実施形態の特徴と実際に組み合わせることができることを理解するであろう。また、所与の実施形態に記載された技術的特徴は、そうでないことが表されない限り、この実施形態の他の特徴から分離することができる。
【国際調査報告】