IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シグフォックスの特許一覧

特表2022-537028車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法
<>
  • 特表-車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法 図1
  • 特表-車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法 図2
  • 特表-車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法 図3
  • 特表-車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法 図4
  • 特表-車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法 図5
  • 特表-車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(54)【発明の名称】車両シェアリング・システム及びそのようなシステムから車両にアクセスする方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 12/08 20210101AFI20220816BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20220816BHJP
   H04W 12/72 20210101ALI20220816BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20220816BHJP
   H04W 12/50 20210101ALI20220816BHJP
   H04W 12/77 20210101ALI20220816BHJP
   H04W 12/02 20090101ALI20220816BHJP
   H04W 12/06 20210101ALI20220816BHJP
   G06F 21/44 20130101ALI20220816BHJP
   G06F 21/35 20130101ALI20220816BHJP
【FI】
H04W12/08
H04W4/00 110
H04W12/72
H04W84/10 110
H04W12/50
H04W12/77
H04W12/02
H04W12/06
G06F21/44
G06F21/35
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574247
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2021-12-14
(86)【国際出願番号】 EP2020067012
(87)【国際公開番号】W WO2020254521
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1906591
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
3.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】512315706
【氏名又は名称】シグフォックス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】スニガ,フアン・カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ル モーン,リュドヴィク
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067AA34
5K067EE02
5K067EE16
5K067HH24
(57)【要約】
本発明は、車両シェアリング・システム(20)に関する。システムのサーバ(30)は、カーシェア・サービスへのユーザの加入情報を含むデータベースにアクセスできる。ユーザの端末(50)は、ローカル・データベース(52)を含み、ローカル・データベース(52)は、使用される可能性がある車両のリスト、及び各車両に関する、車両との通信を確立する情報を含む。端末は、車両(40)とのペアリング接続を確立し、車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を車両に送信するように構成される。車両は、サーバに前記照会を送信するように構成される。サーバは、送信された照会から、前記サーバのデータベース内に存在する前記ユーザの加入情報を検証し、検証に成功した場合、アクセスする許可を車両に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするように構成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シェアリング・システム(20)であって、前記システムは、少なくとも1台の車両(40)と、前記車両(40)へのアクセスを希望するユーザの少なくとも1つの端末(50)と、車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入情報を含むデータベース(31)にアクセスできる少なくとも1つのサーバ(30)とを含み、前記車両(40)及び前記端末(50)はそれぞれ、第1のワイヤレス通信システム(60)により、前記端末(50)と前記車両(40)との間に第1の通信リンク(61)を確立する第1の通信モジュール(41、51)を含み、前記車両(40)は、第2のワイヤレス通信システム(70)により、前記車両(40)と前記サーバ(30)との間に第2の通信リンク(71)を確立する第2の通信モジュール(42)を含む、車両シェアリング・システム(20)において、
-前記端末(50)は、前記端末のローカル・データベース(52)から前記車両(40)を識別するように構成され、前記ローカル・データベース(52)は、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及び前記リスト内の各車両に関する、前記第1の通信リンク(61)上で前記車両と前記端末との間の通信を確立する情報を含み、
-前記端末(50)は、前記第1の通信リンク(61)上で前記車両(40)とのペアリング接続を確立し、前記車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入照会を前記車両に送信するように構成され、
-前記車両(40)は、前記第2の通信リンク(71)上で前記照会を前記サーバ(30)に送信するように構成され、
-前記サーバ(30)は、前記送信された照会から、前記サーバ(30)の前記データベース(31)内に存在する前記ユーザの加入情報を検証し、前記検証に成功した場合、前記第2の通信リンク(71)上で前記車両(40)にアクセスする許可を前記車両(40)に送信し、前記ユーザが前記車両に遠隔アクセスするのを可能にするように構成されることを特徴とする、車両シェアリング・システム(20)。
【請求項2】
前記第1のワイヤレス通信システム(60)及び前記第2のワイヤレス通信システム(70)は別個である、請求項1に記載の車両シェアリング・システム(20)。
【請求項3】
前記第2のワイヤレス通信システム(70)は、省電力広域ネットワークである、請求項2に記載の車両シェアリング・システム(20)。
【請求項4】
車両シェアリング・システム(20)のユーザが車両(40)にアクセスする方法(100)であって、前記システム(20)は、車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入情報を含むデータベース(31)にアクセスできるサーバ(30)を含み、前記車両(40)は、第1のワイヤレス通信システム(60)による第1の通信リンク(61)上での前記ユーザの端末(50)との通信、及び第2のワイヤレス通信システム(60)による第2の通信リンク(71)上での前記サーバ(30)との通信に適合する、方法(100)において、前記方法(100)は、
-前記端末(50)のローカル・データベース(52)から、前記端末(50)によって前記車両(40)を識別すること(101)と、
-前記第1の通信リンク(61)上で前記端末(50)と前記車両(40)との間をペアリングすること(102)と、
-前記第1の通信リンク(61)上で、前記端末(50)によって、車両シェアリング・システムへの前記ユーザの加入照会を前記車両(40)に送信すること(103)と、
-前記第2の通信リンク(71)上で、前記車両(40)によって前記照会を前記サーバ(30)に送信すること(104)と、
-前記送信された照会から、前記サーバの前記データベース内に存在する前記ユーザの前記加入情報を前記サーバ(30)によって検証すること(105)と、
-前記検証(105)に成功した場合、前記第2の通信リンク(71)上で、前記サーバ(30)によって前記車両(40)にアクセスする許可を前記車両(40)に送信し、前記ユーザが前記車両に遠隔アクセスするのを可能にすること(106)と
を含み、前記ローカル・データベース(52)は、前記ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及び前記リスト内の各車両(40)に関する、前記第1の通信リンク(61)上で前記車両(40)と前記端末(50)との間の通信の確立する情報を含むことを特徴とする、方法(100)。
【請求項5】
前記方法は、前記端末(50)上に前記ローカル・データベース(52)をロードする先行ステップを更に含み、前記ローカル・データベース(52)は、前記ローカル・データベース(52)内に記憶した前記リスト内の前記車両が位置する地理的領域に関連付けられることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
車両シェアリング・システム(20)のサーバ(30)であって、前記サーバ(30)は、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベース(31)にアクセスでき、前記サーバ(30)は、前記車両(40)と前記サーバ(30)との間に通信リンク(71)を確立するワイヤレス通信モジュールを含む、サーバ(30)において、前記サーバ(30)は、前記通信リンク(71)上で、前記車両(40)が送信した前記ユーザの加入照会を受信し、前記送信された参照から、前記サーバ(30)の前記データベース(31)内に存在する前記ユーザの加入情報を検証し、前記検証に成功した場合、前記通信リンク(71)上で前記車両(40)へのアクセスの許可を前記車両に送信し、前記ユーザが前記車両に遠隔アクセスするのを可能にするように構成させることを特徴とする、サーバ(30)。
【請求項7】
車両シェアリング・システム(20)のサーバ(30)のためのコンピュータ・プログラム製品であって、前記サーバ(30)は、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベース(31)にアクセスでき、前記サーバ(30)は、通信リンク(71)上での前記車両(40)との通信に適合する、コンピュータ・プログラム製品において、前記コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード命令セットを含み、前記プログラム・コード命令セットは、前記サーバ(30)の1つ又は複数のプロセッサによって実行すると、前記1つ又は複数のプロセッサが
-前記通信リンク(71)上で、前記車両(40)が送信した前記ユーザの加入照会を受信するステップ、
-前記照会から、前記サーバ(30)の前記データベース(31)内に存在する前記ユーザの加入情報を検証するステップ、
-前記検証に成功した場合、前記通信リンク(71)上で、前記車両(40)にアクセスする許可を前記車両に送信し、前記ユーザが前記車両に遠隔アクセスするのを可能にするステップ
を実施するように構成することを特徴とする、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項8】
車両シェアリング・システム(20)の車両(40)であって、前記システム(20)は、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベース(31)にアクセスできるサーバ(30)を含み、前記車両(40)は、第1のワイヤレス通信システム(60)により、前記車両(40)と前記ユーザの端末(50)との間に第1の通信リンク(61)を確立する第1の通信モジュール(41)を含み、前記車両(40)は、第2のワイヤレス通信システム(70)により、前記車両(40)と前記サーバ(30)との間に第2の通信リンク(71)を確立する第2の通信モジュール(42)を含む、車両(40)において、前記車両(40)は、
-前記第1の通信リンク(61)上で、前記端末(50)が送信した前記車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入照会を受信し、
-前記第2の通信リンク(71)上で前記サーバ(30)に前記照会を送信し、
-前記照会から、前記サーバ(30)の前記データベース(31)内に存在する前記ユーザの加入情報が前記サーバ(30)によって正確に検証された場合、前記第2の通信リンク(71)上で、前記サーバ(30)が送信した前記車両(40)にアクセスする許可を受信する
ように構成されることを特徴とする、車両(40)。
【請求項9】
車両シェアリング・システム(20)の車両(40)の制御ユニット(43)ためのコンピュータ・プログラム製品であって、前記システム(20)は、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベース(31)にアクセスできるサーバ(30)を含み、前記車両(40)は、第1のワイヤレス通信システム(60)による、第1の通信リンク(61)上での前記ユーザの端末(50)との通信、及び第2のワイヤレス通信システム(70)による、第2の通信リンク(71)上での前記サーバ(30)との通信に適合する、コンピュータ・プログラム製品において、前記コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード命令セットを含み、前記プログラム・コード命令セットは、前記制御ユニット(43)の1つ又は複数のプロセッサによって実行した場合、前記1つ又は複数のプロセッサが、
-前記第1の通信リンク(61)上で、前記端末(50)が送信した前記車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入照会を受信し、
-前記第2の通信リンク(71)上で前記サーバ(30)に前記照会を送信し、
-前記照会から、前記サーバ(30)の前記データベース(31)内に存在する前記ユーザの加入情報が正確に検証された場合、前記第2の通信リンク(71)上で、前記サーバ(30)が送信した前記車両(40)にアクセスする許可を受信する
ことを実施するように構成することを特徴とする、コンピュータ・プログラム製品。
【請求項10】
車両シェアリング・システム(20)のユーザの端末(50)であって、前記端末(50)は、前記端末(50)と前記車両シェアリング・システム(20)の車両との間に通信リンク(61)を確立するワイヤレス通信モジュール(51)を含む、端末(50)において、前記端末(50)は、
-前記端末(50)のローカル・データベース(52)から前記車両(40)を識別し、
-前記通信リンク(61)上で、前記車両(40)とのペアリング接続を確立し、
-前記通信リンク(61)上で、前記車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入照会を前記車両(40)に送信する
ように構成し、前記ローカル・データベース(52)は、前記ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及び前記リスト内の各車両に関する、前記通信リンク上で前記車両と前記端末との間の通信の確立を可能にする情報を含み、
前記送信された照会から、前記サーバ(30)のデータベース(31)内に存在する前記ユーザの加入情報が前記サーバ(30)によって正確に検証された場合、前記車両(40)への遠隔アクセスは、前記車両シェアリング・システムのサーバ(30)によって許可することを特徴とする、端末(50)。
【請求項11】
車両シェアリング・システム(20)のユーザの端末(50)の制御ユニット(53)のためのコンピュータ・プログラム製品であって、前記端末(50)は、通信リンク(61)上での前記車両シェアリング・システム(20)の車両(40)との通信に適合する、コンピュータ・プログラム製品において、前記コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード命令セットを含み、前記プログラム・コード命令セットは、前記制御ユニット(53)の1つ又は複数のプロセッサによって実行すると、前記1つ又は複数のプロセッサが、
-前記端末(50)のローカル・データベース(52)から前記車両(40)を識別するステップ、
-前記通信リンク(61)上で前記車両(40)とのペアリング接続を確立するステップ、
-前記通信リンク(61)上で前記車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入照会を前記車両(40)に送信するステップ
を実施するように構成し、前記ローカル・データベース(52)は、前記ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及び前記リスト内の各車両に関する、前記通信リンク上で前記車両と前記端末(50)との間の通信の確立を可能にする情報を含むことを特徴とする、コンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々なユーザの間で車両をシェアするシステムの分野に属する。より詳細には、本発明は、車両シェアリング・サービスに加入するユーザがシェア車両にアクセスする方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
用語カーシェア・サービス又はセルフサービス車両サービスによっても公知である車両シェアリング・サービスは、車両が、前記シェアリング・サービスへの加入を申し込んであるユーザ群に利用可能になるシステムである。
【0003】
たまにしか使用されない場合がある車両を個人的に所有するのではなく、車両シェアリング・サービスのユーザは、加入を介して、ユーザが必要な時間の間のみ、ユーザが資金を提供する車両にアクセスすることができる。この時間の残りの間、車両は、シェアリング・サービスに加入してある他のユーザが使用することができる。シェア車両が使用されると、例えば、車両の種類、予約期間、移動距離等に従ってユーザに請求書を送付することができる。
【0004】
車両シェアリング・サービスへの加入を申し込んである1人のユーザのみが前記サービスのシェア車両にアクセスできるように、シェア車両へのアクセスを制限する方法を実施する必要がある。
【0005】
既存の車両シェアリング・システムの間では、一群のシェア車両において1台の車両へのアクセスを希望するユーザは、ユーザの携帯電話上のアプリケーションを使用し、ユーザが位置する地理的位置の近傍で利用可能な車両を識別し、前記車両へのアクセスを解放することが公知である。
【0006】
図1は、従来技術のそのような車両シェアリング・システム10の一例を概略的に示す。図1に示すように、車両シェアリング・システム10は、特に、車両13と、サーバ11と、車両13へのアクセスを希望するユーザの携帯電話14とを含む。
【0007】
サーバ11は、一群のシェア車両に属する車両のリストを中に記憶したデータベース12にアクセスできる。各車両の地理的位置は、例えば、データベース内で最新に保たれる。データベース12は、車両シェアリング・サービスに登録した各ユーザに関する加入情報も含む。
【0008】
携帯電話14とサーバ11との間の第1の通信リンク15は、例えば、第1のワイヤレス通信システム150、例えば、GSM、3G又はLTE等のセルラー・システムにより確立することができる。次に、携帯電話14上にインストールした携帯アプリケーションとサーバ11との間で情報を交換することができる。特に、アプリケーションは、ユーザが、電話の画面上に表示されるマップ上で、ユーザに近い地理的領域内に位置するシェア車両の場所を見ることを可能にし得る。ユーザは、特定のシェア車両13を選択し、サーバ11によりこの車両13を予約することもできる。この目的で、車両の識別子及びユーザの加入に関係する情報(例えばユーザの識別子、顧客番号等)は、携帯電話14によってサーバ11に送信される。次に、サーバ11は、携帯電話14から受信した加入情報から、データベース内に記憶したユーザの加入情報を検証することができる。検証に成功した場合、サーバ11は、ユーザが車両13にアクセスすることを解放可能にする一時的認証鍵を作成する。この一時的認証鍵は、一方で、サーバ11と携帯電話14との間の第1の通信リンク15上で携帯電話14に送信され、もう一方で、第2のワイヤレス通信システム160により、車両13とサーバ11との間の第2の通信リンク16上で車両13に送信される。第2のワイヤレス通信システム160は、第1のワイヤレス通信システム150と同一であっても、異なっていてもよい。次に、携帯電話14と車両13との間の第3の通信リンク17は、第3のワイヤレス通信システム170により確立される。この通信リンク17上で、携帯電話14は、サーバ11から受信した一時的認証鍵を車両11に送信することができる。端末14から受信した認証鍵がサーバ11から受信した認証鍵と同一である場合、車両13は、車両13へのアクセスを解放する(例えば、車両13のステアリング・コラム上の盗難防止デバイスのロックを解除する)。第3のワイヤレス通信システム170は、第1のワイヤレス通信システム150及び/又は第2のワイヤレス通信システム150と同一であっても、異なっていてもよい。
【0009】
しかし、そのような解決策は、携帯電話14とサーバ11との間で交換される通信、又は携帯電話14と車両13との間で交換される通信が支払われる際、ユーザに費用がかかる。特に、第1のワイヤレス通信システム150及び/又は第3のワイヤレス通信システム170がセルラー・システム(GSM、3G又はLTE)である場合、並びにユーザが、携帯電話の契約を申し込んでいる国以外でローミングする場合、通信リンク15及び17上の通信費用は、特に高額であることがある。更に、ユーザが、ユーザの電話契約のために通信が可能ではないシステム内に位置する場合、ユーザは、シェア車両サービスの使用が不可能であることが判明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ユーザが車両を予約し、車両にアクセスするのに車両シェアリング・サービスのサーバとの直接通信を確立する必要がない解決策を提案することによって、従来技術の欠点、特に、上記した欠点の全て又は一部を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的で、第1の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムを提案する。車両シェアリング・システムは、少なくとも1台の車両と、前記車両へのアクセスを希望するユーザの少なくとも1つの端末と、車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入情報を含むデータベースにアクセスできるサーバとを含む。車両及び端末はそれぞれ、第1のワイヤレス通信システムにより端末と車両との間に第1の通信リンクの確立を可能にする第1の通信モジュールを含む。車両は、第2のワイヤレス通信システムにより車両とサーバとの間に第2の通信リンクの確立を可能にする第2の通信モジュールも含む。端末は、端末のローカル・データベースから車両を識別するように構成される。ローカル・データベースは、特に、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及びリスト内の各車両に関する、第1の通信リンク上で前記車両と端末との間の通信の確立を可能にする情報を含む。端末は、第1の通信リンク上で車両とのペアリング接続を確立し、車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を車両に送信するように構成される。車両は、第2の通信リンク上で前記照会をサーバに送信するように構成される。サーバは、車両が送信した照会から、サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報を検証し、検証に成功した場合、第2の通信リンク上で車両にアクセスする許可を車両に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするように構成される。
【0012】
車両と端末との間の通信の確立を可能にする情報は、例えば、識別子、MAC(「媒体アクセス制御」)アドレス、認証鍵等である。この情報は、単一の特定のパラメータに制限するか、又はいくつかの異なるパラメータの組合せから構成することができる。そのような情報は、特に、端末と車両との間に安全で確実な通信リンクの確立を可能にし得る。
【0013】
ユーザの加入照会は、サーバのデータベース内に記憶した全ての加入から、ユーザの加入を識別可能にするデータ項目である。ユーザの加入照会により、車両が加入状況についてサーバに問い合わせることを可能にする。加入照会は、ユーザの識別子(例えば、電子メール・アドレス)、顧客番号又は加入番号等とすることができる。
【0014】
そのような規定により、従来技術の解決策とは異なり、ユーザにとって高額である可能性がある、端末とサーバとの間の直接通信リンクを確立する必要がもはやない。
【0015】
このことは、提案する解決策では、車両が、端末とサーバとの間で仲介の役割を果たすためである。基盤を使用しない無料アドホック通信リンクは、例えば、端末と車両との間で使用することができる。この点で、車両とサーバとの間の通信リンクに関係する費用は、ユーザが負担しない。この費用は、実際には、車両シェアリング・サービスの管理者が負担することができる。
【0016】
特定の実施形態では、本発明は、更に、個別に又は全ての技術的に可能な組合せにより解釈される1つ又は複数の以下の特徴を含むことができる。
【0017】
特定の実施形態では、第1のワイヤレス通信システム及び第2のワイヤレス通信システムは、別個である。
【0018】
特定の実施形態では、第2のワイヤレス通信システムは、省電力広域ネットワークである。
【0019】
このことは、本発明において、第1のワイヤレス通信システム及び第2のワイヤレス通信システムを別個にする義務はないとしても、第1の通信システムが無料近距離アドホック・ワイヤレス通信リンクを提供し、第2の通信システムが低消費電力の長距離ワイヤレス通信リンクを提供することが有利であるためである。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムのユーザが車両にアクセスする方法に関する。車両シェアリング・システムは、車両シェアリング・サービスへの前記ユーザの加入情報を含むデータベースにアクセスできるサーバを含む。車両は、第1のワイヤレス通信システムによる、第1の通信リンク上でのユーザ端末との通信に適合する。車両は、第2のワイヤレス通信システムによる、第2の通信リンク上でのサーバとの通信にも適合する。方法は、
-端末のローカル・データベースから、端末によって車両を識別するステップと、
-第1の通信リンク上で端末と車両との間をペアリングするステップと、
-第1の通信リンク上で、端末によって車両シェアリング・システムへのユーザの加入照会を車両に送信するステップと、
-第2の通信リンク上で、車両によって前記照会をサーバに送信するステップと、
-送信された照会から、サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報をサーバによって検証するステップと、
-検証に成功した場合、第2の通信リンク71上で、サーバによって車両にアクセスする許可を車両に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするステップと
を含み、前記ローカル・データベースは、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及びリスト内の各車両に関する、第1の通信リンク上で前記車両と端末との間の通信の確立を可能にする情報を含む。
【0021】
特定の実施形態では、本発明は、個別に又は全ての技術的に可能な組合せにより解釈される以下の特徴の1つ又は複数を更に含むことができる。
【0022】
特定の実施形態では、方法は、端末上にローカル・データベースをロードする先行ステップを更に含み、前記ローカル・データベースは、前記ローカル・データベース内に記憶したリスト内の車両が位置する地理的領域に関連付けられる。
【0023】
第3の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムのサーバに関する。サーバは、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する、車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベースにアクセスできる。サーバは、車両とサーバとの間の通信リンク上で前記車両と通信する通信モジュールを含む。サーバは、前記通信リンク上で、車両が送信したユーザの加入照会を受信し、前記照会から、サーバのデータベース内に存在する前記ユーザの加入情報を検証し、検証に成功した場合、前記通信リンク上で車両にアクセスする許可を車両に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするように構成される。
【0024】
第4の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムのサーバのためのコンピュータ・プログラム製品に関する。サーバは、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する、車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベースにアクセスできる。サーバは、車両とサーバとの間の通信リンク上での前記車両との通信に適合する。前記コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード命令セットを含み、プログラム・コード命令セットは、サーバの1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサが、
-前記通信リンク上で、車両が送信したユーザの加入照会を受信するステップ、
-前記照会から、サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報を検証するステップ、
-検証に成功した場合、前記通信リンク上で、車両にアクセスする許可を車両に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするステップ
を実施するように構成する。
【0025】
第5の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムの車両に関する。システムは、サーバを含み、サーバは、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する、車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベースにアクセスできる。車両は、第1のワイヤレス通信システムにより車両とユーザの端末との間に第1の通信リンクの確立を可能にする第1の通信モジュールを含む。車両は、第2のワイヤレス通信システムにより車両とサーバとの間に第2の通信リンクの確立を可能にする第2の通信モジュールも含む。更に、車両は、
-第1の通信リンク上で、端末が送信した車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を受信し、
-第2の通信リンク上でサーバに前記照会を送信し、
-サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報が、前記照会から正確に検証された場合、第2の通信リンク上で、サーバが送信した車両にアクセスする許可を受信する
ように構成される。
【0026】
第6の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムの車両の制御ユニットのためのコンピュータ・プログラム製品に関する。前記システムは、サーバを含み、サーバは、シェア車両へのアクセスを希望する少なくとも1人のユーザに関する、車両シェアリング・サービスへの加入情報を含むデータベースにアクセスできる。前記車両は、第1のワイヤレス通信システムによる、第1の通信リンク上でのユーザ端末との通信に適合する。車両は、第2のワイヤレス通信システムによる、第2の通信リンク上でのサーバとの通信にも適合する。前記コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード命令セットを含み、プログラム・コード命令セットは、制御ユニットの1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサが、
-第1の通信リンク上で、端末が送信した車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を受信し、
-第2の通信リンク上でサーバに前記照会を送信し、
-サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報が、前記照会から正確に検証された場合、第2の通信リンク上で、サーバが送信した車両にアクセスする許可を受信する
ことを実施するように構成する。
【0027】
第7の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムのユーザの端末に関する。前記端末は、端末と車両シェアリング・システムの車両との間の通信リンクの確立を可能にするワイヤレス通信モジュールを含む。端末は、
-端末のローカル・データベースから車両を識別し、
-通信リンク上で車両とのペアリング接続を確立し、
-車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を車両に送信する
ように更に構成され、前記ローカル・データベースは、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及びリスト内の各車両に関する、通信リンク上で前記車両と端末との間の通信の確立を可能にする情報を含む。
【0028】
サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報が、前記照会からサーバによって正確に検証された場合、車両への遠隔アクセスは、車両シェアリング・システムのサーバによって可能になる。
【0029】
第8の態様によれば、本発明は、車両シェアリング・システムのユーザの端末の制御ユニットのためのコンピュータ・プログラム製品に関する。端末は、ワイヤレス通信リンク上での車両シェアリング・システムの車両との通信に適合する。コンピュータ・プログラム製品は、プログラム・コード命令セットを含み、プログラム・コード命令セットは、制御ユニットの1つ又は複数のプロセッサによって実行されると、1つ又は複数のプロセッサが、
-端末のローカル・データベースから車両を識別し、
-通信リンク上で車両とのペアリング接続を確立し、
-車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を車両に送信する
ことを実施するように構成し、前記ローカル・データベースは、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及びリスト内の各車両に関する、通信リンク上で前記車両と端末との間の通信の確立を可能にする情報を含む。
【0030】
本発明は、非限定的な例として示し図1から図6を参照して行う以下の説明を読めば、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】従来技術による車両シェアリング・システムの概略図である(図1は既に説明した)。
図2】本発明による車両シェアリング・システムの概略図である。
図3】本発明による車両シェアリング・システムのユーザの端末の概略図である。
図4】本発明による車両シェアリング・システムの車両の概略図である。
図5】本発明による車両シェアリング・システムの車両にアクセスする方法の主なステップの概略図である。
図6】本発明による車両シェアリング・システムの車両にアクセスする方法の一連のステップを表すメッセージ・シーケンスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
これらの図面において、互いの図に対して同一である参照番号は、同一又は同様の要素を示す。明確にする理由で、図示する要素は、別段に述べない限り、必ずしも同じ尺度ではない。
【0033】
既に示したように、本発明は、特に、車両シェアリング・システム、及びシェア車両にアクセスする方法を提案することを目的とし、このシェア車両に対し、ユーザは、ユーザが車両の予約及びアクセスを希望する際、車両シェアリング・サービスのサーバとの直接通信を確立する必要がない。
【0034】
図2は、本発明による車両シェアリング・システム20の一例を概略的に示す。図2に示すように、車両シェアリング・システム20は、特に、少なくとも1台の車両40と、サーバ30と、車両40へのアクセスを希望するユーザの少なくとも1つの端末50とを含む。
【0035】
本明細書の残りにおいて、決して限定的な例ではないものとして、端末50は携帯電話であるとみなす。しかし、端末50は、コネクテッド・ブレスレット、コネクテッド・ウォッチ、単純なチップ・カード、又は端末50の機能を満たすのに必要な電子構成要素を含むあらゆる他の電子デバイスであってもよいことを留意されたい。
【0036】
考慮される、図2に示す例では、車両40はオートバイである。しかし、例えば、自動車、自転車、電気スクーター等、別の種類の車両のケースがあり得ることを留意されたい。特定の種類の車両に対する選択は、本発明の一変形形態にすぎない。
【0037】
サーバ30は、データベース31にアクセスでき、データベース31には、システム20が支持する車両シェアリング・サービスに加入している各ユーザに関する加入情報が記憶されている。データベースは、例えば、サーバ30内に直接組み込むことができる。別の例によれば、データベース31は、サーバ30とは別個の物理的実体であってよく、サーバは、従来の様式で、データベース31と通信し、データベース31内に情報を記録するか又はデータベース31内に記憶した情報を得ることができる。
【0038】
サーバ30のデータベース31において、車両シェアリング・サービスに加入しているユーザの加入情報は、例えば、ユーザの識別子(電子メール・アドレス、顧客番号等)、加入特性(例えば、最大許可マイル数、又は車両を借りられる最大許可台数等)に関する情報、支払いオプション(例えば、銀行カード番号、又はユーザが支払いを行った後のユーザの口座残高等)を含む。
【0039】
サーバ30は、1つ又は複数のプロセッサと、記憶手段(磁気ハードディスク、電子メモリ、光ディスク等)とを含み、記憶手段の中に、プログラム・コード命令セットの形態でコンピュータ・プログラム製品が記憶されており、このプログラム・コード命令セットは、車両シェアリング・システム20の車両40にアクセスする方法ステップの少なくとも一部を実施するために実行すべきものである。
【0040】
サーバ30は、車両40とのメッセージを交換する通信モジュールも含む。
【0041】
図3に示すように、ユーザの端末50は、第1のワイヤレス通信システム60により、端末50と車両40との間に第1の通信リンク61を確立する通信モジュール51を含む。
【0042】
第1のワイヤレス通信システム60について様々な選択が可能であり、特定の通信システムの選択は、本発明の一変形形態にすぎない。しかし、第1のワイヤレス通信システム60は、有利には、無料近距離アドホック・ワイヤレス通信リンク61を提供するように選択することができる。「アドホック通信リンク」とは、端末50と車両40との間に通信リンクを確立するのにネットワーク基盤を必要としないことを意味する。「近距離」とは、端末50と車両40との間の最大距離が、通信リンク61上で端末50と車両40との間でメッセージを交換できるように、数メートル又は更には数十メートル未満でなければならないことを意味する。近距離通信リンク61を使用すると、特に、ユーザが車両40へのアクセス許可手順を開始する際、ユーザが前記車両の近傍(例えば、車両40から5メートル未満)にいることを保証可能にする。例えば、第1のワイヤレス通信システム60は、(IEEE802.15ベースの)Bluetooth、NFC(「近距離通信」、ISO/IEC14443への拡張仕様)、(IEEE802.15.4ベースの)Zigbee、又は(IEEE802.11規格ベースの)Wi-Fi通信規格に対応する。有利には、第1のワイヤレス通信システム60は、低エネルギー消費システムであり、このため、端末50及び車両40は、定期的に交換又は充電する必要がない比較的低容量の電池を使用することができる。
【0043】
図3に示すように、端末50は、ローカル・データベース52を更に含む。ローカル・データベース52は、特に、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及びリスト内の各車両、第1の通信リンク61上で前記車両と端末50との間の通信の確立を可能にする情報を含む。
【0044】
ローカル・データベース52は、例えば、ユーザが端末50上にダウンロードする。ローカル・データベース52は、車両の地理的位置がどこであれ、車両シェアリング・サービスの全車両のリストを含むことができる。一変形形態では、ローカル・データベース52は、前記ローカル・データベース52内に記憶したリスト内の車両が位置する地理的領域に関連付けることができる。前記地理的領域は、例えば、町、国の一地域、国、又は更には大陸とし得る。したがって、特定の地理的領域内に滞在予定であるユーザは、前記地理的領域に関連付けたローカル・データベースをユーザ端末上にダウンロードすることができ、このため、ユーザ等が当該地理的領域に到着した後、ユーザがこの地理的領域内に位置する車両シェアリング・サービスの車両にアクセスできる。
【0045】
ユーザがこの地理的領域での滞在を終了すると、関連付けたローカル・データベースを削除し、ユーザ端末50内のメモリ空間を解放することができる。
【0046】
任意で、ローカル・データベース52は、車両シェアリング・サービス内の車両の駐車地点の地理的位置も含むことができる。これらの地理的位置は、車両を借りるために駐車地点に向かうユーザを支援することができる。
【0047】
車両40と端末50との間の通信の確立を可能にする、ローカル・データベース52内に含まれる情報は、例えば、識別子、MACアドレス、認証鍵等を含む。
【0048】
例として、車両に関係する情報(MACアドレス、認証鍵)を40バイトで符号化し得る場合、3メガバイト(3MB)のローカル・データベース52は、45,000台の車両のリストを含むことができる。
【0049】
ローカル・データベース52は、ユーザが車両40へのアクセスを希望する際に、サーバ30と端末50との間の通信リンク上で端末50上にダウンロードされるのではないことを留意されたい。ローカル・データベース52は、ユーザが車両40の近傍に位置する前、上流でロードされる。ローカル・データベース52は、例えば、端末50内に挿入されるメモリ・カードにより端末50内にロードすることができる。別の例によれば、ローカル・データベース52は、ユーザが端末50を用いて無料でインターネットにアクセスできる際、この場所でインターネットを介して端末50によってダウンロードすることができる。
【0050】
図3に示すように、端末50は、制御ユニット53も含み、制御ユニット53は、1つ又は複数のプロセッサと、記憶手段(磁気ハードディスク、電子メモリ、光ディスク等)とを含み、記憶手段の中に、プログラム・コード命令セットの形態でコンピュータ・プログラム製品が記憶されており、このプログラム・コード命令セットは、車両シェアリング・システム20の車両40にアクセスする方法ステップの少なくとも一部を実施するために実行すべきものである。
【0051】
端末50は、特に、ローカル・データベース52から車両40を識別するように構成される。例えば、カーシェアリング・システム20の各車両40は、第1の通信リンク61上で、車両の識別子を含むメッセージを含む無線信号を繰り返し送信する。端末50は、メッセージを復号し、ローカル・データベース52内に記憶したリスト内の車両が、車両の識別子として、メッセージ内に含まれる識別子を有するかどうかを探索することができる。
【0052】
ユーザがカーシェア・サービスの複数台の車両の近傍におり、端末50が、様々な車両が送信した複数の無線信号を受信した場合、端末は、無線信号の質を表すパラメータが最高の値を有する無線信号に対応するメッセージの復号を決定することができる。無線信号の質を表すそのようなパラメータは、例えば、前記無線信号に関して端末50が受信する電力レベル(「受信信号強度」、即ちRSSI)、又は前記無線信号の信号対ノイズ比(SNR)に対応することができる。
【0053】
別の例によれば、端末50は、車両40上に見える一連番号又は登録番号に対応する識別子から車両40を識別することができる。識別子は、端末50のグラフィカル・インターフェースを介して、ユーザが端末50に表示させることができる。次に、端末50は、ローカル・データベース52内に記憶したリスト内の車両が、車両の識別子として、表示された識別子を有するかどうかを探索することができる。
【0054】
また別の例によれば、端末50は、バーコード又はQR(「クイック・レスポンス」)コードをスキャンする手段(例えば写真装置)を提案することができ、バーコード又はQRコードは、車両40上に見え、車両40の識別子に対応する。次に、端末50は、ローカル・データベース52内に記憶したリスト内の車両が、車両の識別子として、スキャンしたコードに対応する識別子を有するかどうかを探索することができる。
【0055】
端末50のローカル・データベース52から車両40を識別する他の方法を想定することができる。特定の方法の選択は、本発明の一変形形態にすぎない。
【0056】
端末50は、第1の通信リンク61上で車両40とのペアリング接続を確立し、車両シェア・サービスへのユーザの加入照会を車両40に送信するようにも構成される。
【0057】
ペアリング接続は、例えば、端末50と車両40との間の認証鍵の交換に対応する。使用する認証鍵は、識別される車両40に関連付けたローカル・データベース52の情報の一部を形成する。このペアリング接続は、第1の通信リンク61上で端末50と車両40との間の通信の確立を可能にする。
【0058】
端末50が送信するユーザの加入照会は、例えば、ユーザの識別子(電子メール・アドレス、顧客番号)又は加入識別子(加入番号)に対応する。
【0059】
図4で示されるように、車両40は、第1の通信モジュール41を含み、第1の通信モジュール41は、車両40が第1の通信リンク61上で端末50とメッセージを交換することを可能にする。
【0060】
車両40は、第2の通信モジュール42も含み、第2の通信モジュール42は、車両40が、第2のワイヤレス通信システム70により、第2の通信リンク71上でサーバ30とメッセージを交換することを可能にする。
【0061】
第2のワイヤレス通信システム70について様々な選択が可能であり、特定の通信システムの選択は、本発明の一変形形態にすぎない。第2のワイヤレス通信システム70は、第1のワイヤレス通信システム60と同一であっても、別個であってもよい。第1のワイヤレス通信システム60及び第2のワイヤレス通信システム70が同一である場合、第1の通信モジュール41及び第2の通信モジュール42は、単一の物理的実体とし得ることを更に留意されたい。
【0062】
しかし、第2のワイヤレス通信システム70は、有利には、数キロメートルの範囲を有し、電気消費の点で要件が制限される通信リンク71を提供するように選択することができ、このため、車両40が、定期的に交換又は充電する必要のない電池を使用して遠隔サーバ30とメッセージを交換できるようにする。
【0063】
特定の実施形態では、第2のワイヤレス通信システム70は、用語LPWAN(「Low Power Wide Area Network(省電力広域ネットワーク)」)によって公知である低消費電力のワイヤレス広域ネットワークである。そのようなワイヤレス通信システムは、長距離(1キロメートル超、又は更には数十キロメートル超)であり、低エネルギー消費(例えば、メッセージの伝送若しくは受信中のエネルギー消費が100mW未満、若しくは更には50mW未満、若しくは更には25mW未満である)であり、ビット・レートが概ね1Mビット/s未満であるアクセス・ネットワークである。そのようなワイヤレス通信システムは、コネクテッド・オブジェクトを伴うアプリケーション(文献では「モノのインターネット」、即ちIoT)に特に適合する。
【0064】
特定の実施形態では、ワイヤレス通信システム10は、超狭帯域通信システムとし得る。文献における「超狭帯域」、即ちUNBとは、端末が伝送する無線信号の瞬間周波数スペクトルが、2キロヘルツ未満又は更には1キロヘルツ未満の周波数幅を有することを意味する。そのようなシステムは、端末がアクセス・ネットワークと通信する際、端末の電気消費を著しく制限することを可能にする。
【0065】
サーバ30は、第2のワイヤレス通信システム70に接続される。例えば、サーバ30は、第2のワイヤレス通信システム70のアクセス・ネットワークに直接接続される。別の例によれば、サーバ30及び第2のワイヤレス通信システム70のアクセス・ネットワークは、両方ともインターネットに接続され、したがって、第2のワイヤレス通信システム70のアクセス・ネットワーク及びインターネットの両方を通じて車両40とサーバ30との間に通信を確立することができる。
【0066】
図4に示すように、車両40は、制御ユニット43を更に含み、制御ユニット43は、1つ又は複数のプロセッサと、記憶手段(磁気ハードディスク、電子メモリ、光ディスク等)とを含み、記憶手段の中に、プログラム・コード命令セットの形態でコンピュータ・プログラム製品が記憶されており、このプログラム・コード命令セットは、車両シェアリング・システム20の車両40にアクセスする方法ステップの少なくとも一部を実施するために実行すべきものである。
【0067】
車両40は、特に、第2の通信リンク71上で端末50から受信した加入照会をサーバ30に送信するように構成される。
【0068】
サーバ30は、車両40が送信した加入照会から、サーバ30のデータベース31内に存在するユーザの加入情報を検証するように構成される。
【0069】
サーバ30は、検証に成功すると、通信リンク71上で車両40にアクセスする許可を車両40に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするように構成される。
【0070】
ユーザの加入情報を検証することは、例えば、ユーザの支払い手段(ユーザの口座残高、銀行カード番号等)が有効であること、又は車両を借りる特定の条件を満たしている(例えば、ユーザが、借りることができる最大台数、若しくは許可された最大マイル数にまだ達していない)ことを保証することにある。照会は、情報がサーバ30のデータベース31内に記憶されている全ての加入の中で、ユーザの加入の識別を可能にする。
【0071】
車両40が車両40にアクセスする許可を受信すると、車両40の制御ユニット43は、例えば、車両40の盗難防止デバイスを無効にするコマンドを送信する。盗難防止デバイスは、例えば、盗難防止デバイスを作動させた際に車両40のステアリング・コラムをロックするように構成される。
【0072】
したがって、図2に示すように、従来技術の解決策とは異なり、ユーザが車両へのアクセスを希望する時に端末50とサーバ30との間に直接通信リンクを確立する必要がないことは明らかである。提案する解決策では、車両は、端末50とサーバ30との間の仲介の役割(プロキシの役割)を果たす。
【0073】
したがって、提案する解決策は、端末50とサーバ30との間の通信の確立を必要としないため、実施がより単純である。
【0074】
更に、提案する解決策は、特にユーザが外国でローミングする状況にある場合、ユーザにとってさほど高額ではないことが可能である。このことは、基盤を使用しない無料アドホック通信リンク61が端末50と車両40との間で使用される場合、ユーザには負担すべき通信費用が一切ないためである。車両40とサーバ30との間の通信リンク71に関連する費用は、実際には、車両シェアリング・サービスの管理者が負担し得る。
【0075】
図5は、本発明による車両シェアリング・システム20の車両40にアクセスする方法100の主なステップを概略的に示す。
【0076】
この方法100の様々なステップは、例えば、図2を参照して既に説明した車両シェアリング・システム20のサーバ30、車両40及び端末50によって実施される。
【0077】
方法100は、特に、
-端末50のローカル・データベース52から、端末50によって車両40を識別するステップ101と、
-第1の通信リンク61上で端末50と車両40との間をペアリングするステップ102と、
-第1の通信リンク61上で、端末50によって、車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を車両40に送信するステップ103と、
-第2の通信リンク71上で、車両40によって、前記照会をサーバ30に送信するステップ104と、
-送信された照会から、サーバのデータベース内に存在するユーザの加入情報をサーバ30によって検証するステップ105と、
-検証105に成功した場合、第2の通信リンク71上で、サーバ30によって、車両40にアクセスする許可を車両40に送信し、ユーザが車両に遠隔アクセスするのを可能にするステップ106と
を含み、前記ローカル・データベース52は、ユーザが使用する可能性のある車両のリスト、及びリスト内の各車両40に関する、第1の通信リンク61上で前記車両40と端末50との間の通信の確立を可能にする情報を含む。
【0078】
任意で、方法100は、車両へのアクセスが許可された場合、車両40によって確認を端末50に送信することを含むこともできる。しかし、車両へのアクセスが許可されたという表示が車両上に直接見えるため、このステップは必須ではない。このステップは図5に示さない。
【0079】
既に説明したように、ユーザが車両へのアクセスを希望する際、端末50のローカル・データベース52からの端末50による車両40の識別101は、端末によって自律的に行われ、端末50と遠隔サーバとの間に対話がないことに留意することが重要である。
【0080】
特定の実施形態では、方法100は、端末50上にローカル・データベース52をロードする先行ステップを更に含む。ローカル・データベース52は、車両の地理的位置がどこであれ、車両シェアリング・サービスの全車両のリストを記憶することができる。別の例によれば、ローカル・データベース52は、ローカル・データベース52内に記憶したリスト内の車両が位置する特定の地理的領域、及びユーザが行く予定である特定の地理的領域に関連付けることができる。
【0081】
本発明による車両シェアリング・システム20の車両40にアクセスする方法100の一連のステップの一例を表すメッセージ-シーケンス図200図6に示す。
【0082】
図6に示すように、識別メッセージ201は、例えば、車両40によってカーシェア・サービスのユーザの端末50に繰り返し送信される。識別メッセージ201は、特に、車両40の識別子を含む。
【0083】
端末50は、識別メッセージ201を復号し、識別メッセージ201内に含まれる識別子に関連付けた車両が端末50のローカル・データベース52内で発見された場合(識別ステップ101)、端末50は、認証メッセージ202を車両40に送信する。認証メッセージ202は、例えば、ローカル・データベース52内で識別され、記憶されている車両40に関連付けた認証鍵を含む。
【0084】
車両40は、認証鍵を検証し、検証に成功した場合、認証確認メッセージ203を送信する(認証メッセージ202及び認証確認メッセージ203によって形成されるセットは、端末50と車両40との間をペアリングするステップ102に対応する)。
【0085】
次に、端末50は、アクセス要求メッセージ204を車両40に送信する位置におり、アクセス要求メッセージ204は、車両シェアリング・サービスへのユーザの加入照会を含む(送信ステップ103)。
【0086】
次に、車両40は、新たなアクセス要求メッセージ205内で前記照会をサーバ30に送信し、このアクセス要求メッセージ205は、サーバ30にアドレスが指定されている。
【0087】
サーバ30は、送信された照会から、サーバ30のデータベース31内に記憶したユーザの加入情報を検証する(検証ステップ105)。検証に成功した場合、サーバ30は、車両40へのアクセス許可メッセージ206を送信する(送信ステップ106)。アクセス許可メッセージ206を受信すると、車両40の盗難防止システムのロック解除を生じさせる。
【0088】
任意で、車両へのアクセスが許可された場合、車両40は、確認メッセージを端末50に送信することができる。このメッセージは図6に示さない。
【0089】
図6において、端末50と車両40との間で交換されるメッセージ201、202、203及び204は、第1の通信リンク61上で交換される。端末40とサーバ30との間で交換されるメッセージ205及び206は、第2の通信リンク71上で交換される。
【0090】
上記の説明は、様々な特徴及びその利点を通じて本発明が設定した目的を達成することを明らかに示す。特に、本発明が提案するカーシェア・サービスの車両にアクセスする手順は、単純であり、ユーザにとって通信費用の点で有利である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】