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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(54)【発明の名称】医用画像チェック装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61B6/00 360Z
A61B6/00 350D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575038
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2020066732
(87)【国際公開番号】W WO2020254385
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】19181472.2
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】マーク ハンス‐インゴ
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA26
4C093CA35
4C093FB12
4C093FD03
4C093FF16
4C093FF19
4C093FF20
4C093FF35
4C093FG16
4C093FH03
4C093FH08
4C093FH09
(57)【要約】
本発明は、医用画像チェック装置10に関連する。この装置は、入力ユニット20、処理ユニット30及び出力ユニット40を含む。入力ユニットは、放射線画像を処理ユニットに提供する。放射線画像は、患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含む。記述的ラベルが、放射線画像に関連付けられる。処理ユニットは、放射線画像内の解剖学的特徴を識別する。識別は画像処理アルゴリズムの利用を含む。処理ユニットは、放射線画像内で識別された解剖学的特徴と記述的ラベルとの整合性を判定する。出力ユニットは、判定された整合性に基づいて情報を出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ユニットと処理ユニットと出力ユニットとを含む、医用画像チェック装置であって、
前記入力ユニットは、放射線画像を前記処理ユニットに提供し、
前記放射線画像は、患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含み、
記述的ラベルが、前記放射線画像に関連付けられ、
前記放射線画像は、前記記述的ラベルに関連付けられた画像データを含み、前記記述的ラベルに関連付けられた前記画像データはデジタルオーバーレイを含むか、又は、前記記述的ラベルに関連付けられた前記画像データは画像取得ユニットによって前記患者の前記解剖学的特徴に関連付けられた画像データと同時に取得され、
前記処理ユニットは、前記放射線画像内の前記解剖学的特徴を識別し、前記識別は、画像処理アルゴリズムの利用を含み、
前記処理ユニットは、前記放射線画像内で識別された前記解剖学的特徴と前記記述的ラベルとの整合性を判定し、
前記出力ユニットは、判定された前記整合性に基づいて情報を出力する、医用画像チェック装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、前記記述的ラベルを利用して少なくとも1つの基準放射線画像を選択し、前記放射線画像内の前記解剖学的特徴の前記識別は、前記放射線画像と前記少なくとも1つの基準放射線画像との比較を含む、請求項1に記載の医用画像チェック装置。
【請求項3】
ローカルデータベースに利用可能な基準放射線画像がないと判定される場合、前記処理ユニットは、外部データベースに問い合わせを行って前記少なくとも1つの基準放射線画像を選択する、請求項2に記載の医用画像チェック装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記外部データベースからの選択された前記少なくとも1つの基準放射線画像が前記ローカルデータベースに追加されるように指示する、請求項3に記載の医用画像チェック装置。
【請求項5】
前記処理ユニットは、画像処理アルゴリズムを実装して前記記述的ラベルを識別する、請求項1に記載の医用画像チェック装置。
【請求項6】
前記記述的ラベルの識別は、テキスト認識アルゴリズムの利用を含む、請求項5に記載の医用画像チェック装置。
【請求項7】
前記処理ユニットが、前記放射線画像内で識別された前記解剖学的特徴が前記記述的ラベルと整合していると判定した場合、前記処理ユニットは、前記出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題がないことを示す指標を含むように前記出力ユニットを制御する、請求項1から6のいずれか一項に記載の医用画像チェック装置。
【請求項8】
前記出力情報は、前記記述的ラベルに関連付けられたビューに対する前記解剖学的特徴の少なくとも1つのさらなる画像ビューの詳細を含む、請求項7に記載の医用画像チェック装置。
【請求項9】
前記処理ユニットが、前記放射線画像内で識別された前記解剖学的特徴が前記記述的ラベルと整合していないと判定した場合、前記処理ユニットは、前記出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題があることを示す指標を含むように前記出力ユニットを制御する、請求項1から8のいずれか一項に記載の医用画像チェック装置。
【請求項10】
前記出力情報は、前記解剖学的特徴をチェックする要求、画像取得ユニットのビュー方向をチェックする要求、代替の記述的ラベル、位置が一致するスキャンを再取得する要求、チュートリアル情報の表示のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の医用画像チェック装置。
【請求項11】
前記入力ユニットは、前記放射線画像内で識別された前記解剖学的特徴が前記記述的ラベルと整合しているというユーザからの入力を受信する、請求項9に記載の医用画像チェック装置。
【請求項12】
入力ユニットから処理ユニットに放射線画像を提供するステップであって、前記放射線画像は、患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含み、記述的ラベルが前記放射線画像に関連付けられ、前記放射線画像は、前記記述的ラベルに関連付けられた画像データを含み、前記記述的ラベルに関連付けられた前記画像データはデジタルオーバーレイを含むか、又は、前記記述的ラベルに関連付けられた前記画像データは、画像取得ユニットによって前記患者の前記解剖学的特徴に関連付けられた画像データと同時に取得される、提供するステップと、
前記処理ユニットによって、前記放射線画像内の前記解剖学的特徴を識別するステップであって、前記識別するステップは、画像処理アルゴリズムを利用するステップを含む、識別するステップと、
前記処理ユニットによって、前記放射線画像内で識別された前記解剖学的特徴と前記記述的ラベルとの整合性を判定するステップと、
出力ユニットによって、判定された前記整合性に基づいて出力情報を出力するステップと、
を含む、医用画像のチェック方法。
【請求項13】
プロセッサによって実行されると、請求項12に記載の方法を行うように構成された、請求項1から11のいずれか一項に記載の医用画像チェック装置を制御するためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像チェック装置、医用画像のチェック方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体に関連する。
【背景技術】
【0002】
放射線技師は、患者の異なる解剖学的特徴を異なるビューを取る必要があり、この情報を追跡することは困難であり、取得した画像に誤ったラベルが付けられてしまうと間違いが生じる可能性がある。
【0003】
欧州特許第2457512A1号には、デジタルX線画像に被検体の向きデータを含めて補正するためのシステム及び方法が説明されている。被検体はX線イメージングシステム内に置かれ、被検体の向きがX線イメージングシステムに入力される。被検体は、X線照射でイメージングされて、被検体のX線画像が作成される。オペレータが、被検体のX線画像及び被検体の向きデータをレビューする。被検体の向きデータが正しくない場合、オペレータはX線照射中の被験者の解剖学的構造と一致するように、被検体の向きデータを補正する。次に、正しい被検体の向きデータが保存され、PACS(画像保管通信システム)に送信されると、X線画像及びDICOM(医用におけるデジタル画像と通信)ヘッダの一部になる。
【0004】
米国特許出願公開第2010/185459A1には、X線画像識別のためのシステム及び方法が説明されている。このシステム及び方法では、患者情報が画像情報に関連付けられる。この方法には、デジタルX線検出器の外部にある識別部材から患者情報を取得し、患者情報をX線検出器又は画像に保存することが含まれる。この方法には、さらに、患者情報を、X線イメージングシステムによって取得された画像に関連付け、X線検出器がホストシステムに接続されているときに、情報が関連付けられた取得した画像をホストシステムに通信することが含まれる。
【0005】
米国特許出願公開第2012/002853A1には、画像ファイルヘッダ構成のためのシステム及び方法が説明されている。これには、画像向きパラメータの1つ以上の構成基準を取得し、1つ以上の基準に基づいて画像向きパラメータを構成し、画像データを取得し、画像データを画像ファイルに保存することが含まれる。画像ファイルには、画像向きパラメータを含むヘッダ部分がある。一実施形態では、画像向きパラメータは、デフォルト構成から修正できる。1つ以上の基準には、ユーザ選好、モダリティ制限、システム選好、及び/又はルールなどが含まれる。この方法には、さらに、画像ファイルを、構成された画像向きパラメータと共に保存することも含まれる。追加的に、この方法には、構成された画像向きパラメータに従って画像を表示することが含まれる。画像は、構成された画像向きパラメータに基づいて自動的に表示のための向きにされてもよい。
【0006】
米国特許出願公開第2016/092748A1には、医用画像処理装置が、医用画像データセットの少なくとも1つの解剖学的構造を自動的に識別する構造識別ユニットと、識別された少なくとも1つの解剖学的構造に基づいて、医用画像データセットに関連付けられたメタデータを検証又は追加するメタデータユニットとを含むことが説明されている。
【0007】
米国特許出願公開第2011/0188718A1には、画像データ及び関連メタデータを含む医用イメージングデータを採用するためのシステムが、少なくとも1つのソースから画像データを受信する入力手段と、少なくとも1つの整合性基準を定義する整合性データが保存されているメモリと、イメージングデータが整合性基準を満たしているかどうかを判断するためにイメージングデータを分析し、満たしていない場合は、満たすようにイメージングデータを修正する処理手段とを含むことが説明されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、放射線技師がさらなる支援を必要とすることが明らかになっている。
【0009】
取得したX線画像の完全性に関する情報を放射線技師に提供する改良された方法があることが有益である。本発明の目的は、独立請求項の主題で解決され、さらなる実施形態は、従属請求項に組み込まれている。以下に説明される本発明の態様及び例は、医用画像チェック装置、医用画像のチェック方法、並びにコンピュータプログラム要素及びコンピュータ可読媒体にも適用されることに留意されたい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様では、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットとを含む医用画像チェック装置が提供される。
【0011】
入力ユニットは、放射線画像を処理ユニットに提供する。放射線画像は、患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含む。記述的ラベルが、放射線画像に関連付けられている。放射線画像は、記述的ラベルに関連付けられた画像データを含む。記述的ラベルに関連付けられた画像データはデジタルオーバーレイを含むか、又は、記述的ラベルに関連付けられた画像データは画像取得ユニットによって患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データと同時に取得される。処理ユニットは、放射線画像内の解剖学的特徴を識別する。識別は、画像処理アルゴリズムの利用を含む。処理ユニットは、放射線画像内で識別された解剖学的特徴と記述的ラベルとの整合性を判定する。出力ユニットは、判定された整合性に基づいて情報を出力する。
【0012】
このようにして、スマート検査機能が提供され、例えば、胸部のPA/AP画像では、特定の画像に影響を与える特徴がある場合、フィードバックが放射線技師に提供される。また、PA画像に正しいラベルが付けられていて、例えば、LAT画像としてラベルが付けられていないこと、そして逆の場合も同様であることを判定することができる。これは非常に有益である。なぜなら、これらのタイプの画像は頻繁に一緒に取得されるが、それらが取得される順序によって誤ったラベルが付けられる可能性があるからである。しかし、本装置は、この間違いを見つけることができる。したがって、解剖学的構造の正しい部分がイメージングされたかどうか、正しい向き、ビュー及び/又は回転状態でイメージングされたかどうか、患者が正しい「状態」(呼気や吸入など)にあったかどうかなど、整合性チェックを行うことができる。
【0013】
つまり、X線画像とラベルとの整合性をチェックすることで、放射線技師の作業を支援するための、即時かつ確実なフィードバックメカニズムが提供される。
【0014】
別の言い方をすれば、医用画像チェック装置、すなわち、「解剖学的構造チェッカ」が画像内の解剖学的構造を識別し、それがラベルの説明と一致しない場合に警告を発するため、放射線技師は助けられる。
【0015】
したがって、このように投影像の正確性が向上し、正しい画像が撮られたことが保証され、PACS内のラベルに整合性があることが保証され(これにより、例えば、グランドトゥルースラベル/画像の関連付けなどに役立つ)、解剖学的構造固有のパラメータが常に正しい/実際の画像と一致するため、後処理は安定している。
【0016】
つまり、本装置は、身体の一部が、体の後部から前部へX線が通過することで取得されたことを判定し、関連するラベルがPAである場合は、ラベルに整合性があると判定できる。一方、ラベルがAPであった場合は、ラベルに整合性がないと判定できる。これは、例えば、APビューでは背面の方がより良い影を与え、PAビューでは前面の方がより明確な影を与える(より明確な影を有する検出器により近い特徴に起因する)ことにより達成できる。
【0017】
一例では、処理ユニットは、記述的ラベルを利用して少なくとも1つの基準放射線画像を選択する。その後、放射線画像内の解剖学的特徴の識別には、放射線画像と少なくとも1つの基準放射線画像との比較が含まれ得る。
【0018】
つまり、例えば、本装置は、身体の一部が、体の後部から前部へX線が通過することで取得されたことを判定し、関連するラベルがPAである場合は、ラベルに整合性があると判定できる。したがって、解剖学的構造の一部が取得され、例えば、PAビューで解剖学的構造の一部が取得され、一方で、画像に関連付けられるラベルはAPである。その後、画像のデータベースを使用して、解剖学的構造のその部位の1つ以上の画像をAPビューで提供し、本装置は、取得した画像は反対方向から取得されたため、整合性がないことを即座に判定できる。
【0019】
一例では、ローカルデータベースに利用可能な基準放射線画像がないと判定される場合、処理ユニットは、外部データベースに問い合わせを行って少なくとも1つの基準放射線画像を選択する。
【0020】
一例では、処理ユニットは、外部データベースからの選択された少なくとも1つの基準放射線画像がローカルデータベースに追加されるように指示する。
【0021】
したがって、装置に共通していない(又は既知ではない)投影像を持つ画像を使用して、ローカル投影像データベースを更新できる。このようにして、本装置は効率的なやり方で自動的に継続的に向上される。
【0022】
一例では、処理ユニットは、画像処理アルゴリズムを実装して記述的ラベルを識別する。
【0023】
一例では、記述的ラベルの識別は、テキスト認識アルゴリズムの利用を含む。
【0024】
一例では、処理ユニットが、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合していると判定した場合、処理ユニットは、出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題がないことを示す指標を含むように出力ユニットを制御する。
【0025】
一例では、出力情報は、記述的ラベルに関連付けられたビューに対する解剖学的特徴の少なくとも1つのさらなる画像ビューの詳細を含む。
【0026】
一例では、処理ユニットが、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合していないと判定した場合、処理ユニットは、出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題があることを示す指標を含むように出力ユニットを制御する。
【0027】
一例では、出力情報は、解剖学的特徴をチェックする要求、画像取得ユニットのビュー方向をチェックする要求、代替の記述的ラベル、位置が一致するスキャンを再取得する要求、チュートリアル情報の表示のうちの1つ以上を含む。
【0028】
一例では、入力ユニットは、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合しているというユーザからの入力を受信する。
【0029】
第2の態様では、医用画像のチェック方法が提供される。本方法は、
入力ユニットから処理ユニットに放射線画像を提供するステップであって、放射線画像は、患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含み、記述的ラベルが放射線画像に関連付けられ、放射線画像は、記述的ラベルに関連付けられた画像データを含み、記述的ラベルに関連付けられた画像データはデジタルオーバーレイを含むか、又は、記述的ラベルに関連付けられた画像データは、画像取得ユニットによって患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データと同時に取得される、提供するステップと、
処理ユニットによって、放射線画像内の解剖学的特徴を識別するステップであって、識別するステップは、画像処理アルゴリズムを利用するステップを含む、識別するステップと、
処理ユニットによって、放射線画像内で識別された解剖学的特徴と記述的ラベルとの整合性を判定するステップと、
出力ユニットによって、判定された前記整合性に基づいて出力情報を出力するステップとを含む。
【0030】
別の態様では、前述のように、装置のうちの1つ以上を制御するコンピュータプログラム要素が提供される。コンピュータプログラム要素が処理ユニットによって実行される場合、前述のように、方法のうちの1つ以上が行われる。
【0031】
別の態様では、前述のプログラム要素が保存されたコンピュータ可読媒体が提供される。
【0032】
コンピュータプログラム要素は、例えばソフトウェアプログラムであり得るが、FPGA、PLD、又は任意の他の適切なデジタル手段であってもよい。
【0033】
有利には、上記のどの態様によって得られる利点も、他のすべての態様にも同様に適用され、その逆も同様である。
【0034】
上記態様及び例は、以下に説明される実施形態から明らかになり、また、当該実施形態を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
次の図を参照して、例示的な実施形態を以下に説明する。
【0036】
図1図1は、医用画像チェック装置の一例の概略的なセットアップを示す。
図2図2は、医用画像のチェック方法を示す。
図3図3は、記述的ラベルを有するX線画像の表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、医用画像チェック装置10の一例を示し、ここでは、必須の特徴が実線で表され、オプションの特徴が一点鎖線で表される。この装置は、入力ユニット20、処理ユニット30、及び出力ユニット40を含む。入力ユニットは、放射線画像を処理ユニットに提供する。放射線画像は、患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含む。記述的ラベルが放射線画像に関連付けられている。処理ユニットは、放射線画像内の解剖学的特徴を識別する。この識別は、画像処理アルゴリズムの利用を含む。処理ユニットは、放射線画像内で識別された解剖学的特徴と記述的ラベルとの整合性を判定する。出力ユニットは、判定された整合性に基づいて情報を出力する。
【0038】
一例では、この整合性の判定は、放射線画像の取得に必要なRIS(放射線医学情報システム)コードが、識別された解剖学的特徴と合致しないという判定を含む。
【0039】
一例では、解剖学的特徴の識別は、画像データの取得に使用された投影法の識別を含む。
【0040】
一例では、この整合性の判定は、放射線画像を記述するDICOM(医用におけるデジタル画像と通信)コードが、識別された解剖学的特徴と合致しないという判定を含む。
【0041】
一例によれば、処理ユニットは、技術的なラベルを利用して少なくとも1つの基準放射線画像を選択する。その後、放射線画像内の解剖学的特徴の識別は、放射線画像と少なくとも1つの基準放射線画像との比較を含み得る。
【0042】
一例では、基準放射線画像は、投影像データベースとも呼ばれるローカルデータベース50に保持される。
【0043】
一例では、投影像データベースの形のローカルデータベースには、グランドトゥルースを使用して追加され、この場合、画像は記述的ラベルに正しく関連付けられている。これは、手動で行うことも、例えば機械学習アルゴリズムを利用して、人工知能を使用して行うこともできる。
【0044】
一例によれば、ローカルデータベース50に利用可能な基準放射線画像がないと判定される場合、処理ユニットは、外部データベース60に問い合わせを行って少なくとも1つの基準放射線画像を選択する。
【0045】
一例によれば、処理ユニットは、外部データベースからの選択された少なくとも1つの基準放射線画像がローカルデータベースに追加されるように指示する。
【0046】
一例によれば、放射線画像は、記述的ラベルに関連付けられた画像データを含む。
【0047】
一例によれば、記述的ラベルに関連付けられた画像データはデジタルオーバーレイを含む。
【0048】
一例では、デジタルオーバーレイはDICOM投影像情報から提供される。
【0049】
一例によると、記述的ラベルに関連付けられた画像データは、画像取得ユニットによって患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データと同時に取得された。処理ユニットは、画像処理アルゴリズムを実装して記述的ラベルを識別する。
【0050】
一例によれば、記述的ラベルの識別は、テキスト認識アルゴリズムの利用を含む。
【0051】
一例によれば、処理ユニットが、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合していると判定した場合、処理ユニットは、出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題がないことを示す指標を含むように出力ユニットを制御する。
【0052】
一例によれば、出力情報は、記述的ラベルに関連付けられたビューに対する解剖学的特徴の少なくとも1つのさらなる画像ビューの詳細を含む。
【0053】
一例によれば、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合していないと処理ユニットが判定した場合、処理ユニットは、出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題があることを示す指標を含むように出力ユニットを制御する。
【0054】
一例によれば、出力情報は、解剖学的特徴をチェックする要求、画像取得ユニットのビュー方向をチェックする要求、代替の記述的ラベル、位置が一致するスキャンを再取得する要求、チュートリアル情報の表示のうちの1つ以上を含む。
【0055】
一例によれば、入力ユニットは、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合しているというユーザからの入力を受信する。
【0056】
一例では、処理ユニットは、ユーザが提供した補正に基づいてローカルデータベースを更新する。
【0057】
図2は、医用画像のチェック方法100の基本ステップを示し、ここでは、必須のステップが実線で表され、オプションのステップが一点鎖線で表される。この方法は、
提供ステップ110(ステップa)とも呼ぶ)において、入力ユニットから処理ユニットに放射線画像を提供する。この場合、放射線画像は患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データを含み、記述的ラベルが放射線画像に関連付けられている。
識別ステップ120(ステップc)とも呼ぶ)において、処理ユニットによって放射線画像内の解剖学的特徴が識別され、識別は、画像処理アルゴリズムを利用することを含む。
判定ステップ130(ステップe)とも呼ぶ)において、処理ユニットによって、放射線画像内で識別された解剖学的特徴と記述的ラベルとの整合性が判定される。
出力ステップ140(ステップf)とも呼ぶ)において、判定された整合性に基づいて出力ユニットによって出力情報が出力される。
【0058】
一例では、整合性の判定は、放射線画像の取得に必要なRISコードが、識別された解剖学的特徴と合致しないという判定を含む。
【0059】
一例では、整合性の判定は、放射線画像を記述するDICOMコードが、識別された解剖学的特徴と合致しないという判定を含む。
【0060】
一例では、この方法は、ステップb)処理ユニットによって、少なくとも1つの基準放射線画像を選択すること150を含む。選択することは、記述的ラベルを利用することを含む。この場合、ステップc)は、放射線画像と少なくとも1つの基準放射線画像と比較することを含む。
【0061】
一例では、基準放射線画像は、ローカルデータベースに保持される。
【0062】
一例では、ステップb)において、処理ユニットが、ローカルデータベースに利用可能な基準放射線画像がないと判定する場合、処理ユニットは、外部データベースに問い合わせを行い少なくとも1つの基準放射線画像を選択する。
【0063】
一例では、この方法は、外部データベースからの選択された少なくとも1つの基準放射線画像がローカルデータベースに追加することを含む。
【0064】
一例では、放射線画像は、記述的ラベルに関連付けられた画像データを含む。
【0065】
一例では、記述的ラベルに関連付けられた画像データはデジタルオーバーレイを含む。
【0066】
一例では、デジタルオーバーレイはDICOM投影像情報から提供される。
【0067】
一例では、記述的ラベルに関連付けられた画像データは、画像取得ユニットによって患者の解剖学的特徴に関連付けられた画像データと同時に取得される。この場合、この方法は、ステップd)画像処理アルゴリズムを実装することを含む、処理ユニットによって記述的ラベルを識別すること160を含む。
【0068】
一例では、記述的ラベルの識別は、テキスト認識アルゴリズムの利用を含む。
【0069】
一例では、ステップe)において、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合していると判定される場合、ステップf)は、処理ユニットによって、出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題がないことを示す指標を含むように出力ユニットを制御することを含む。
【0070】
一例では、出力情報は、記述的ラベルに関連付けられたビューに対する解剖学的特徴の少なくとも1つのさらなる画像ビューの詳細を含む。
【0071】
一例では、ステップe)において、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合していないと判定される場合、ステップf)は、処理ユニットによって、出力情報が解剖学的構造及び/又は画像チェックに問題があることを示す指標を含むように出力ユニットを制御することを含む。
【0072】
一例では、出力情報は、解剖学的特徴をチェックする要求、画像取得ユニットのビュー方向をチェックする要求、代替の記述的ラベル、位置が一致するスキャンを再取得する要求、チュートリアル情報の表示のうちの1つ以上を含む。
【0073】
一例では、この方法は、入力ユニットによって、放射線画像内で識別された解剖学的特徴が記述的ラベルと整合しているというユーザからの入力を受信することを含む。
【0074】
一例では、処理ユニットは、ユーザが提供した補正に基づいてローカルデータベースを更新する。
【0075】
したがって、検査の一部では、実際の画像が、それを作るのに必要であるRISコード又はそれを記述するDICOMコードと合致しないことが確認されている。多くの場合、放射線技師は単にこのエラーの原因となるものを混同している。ここで説明する医用画像チェック装置及び医用画像のチェック方法は、取得した画像と記述的ラベルとの整合性を判定し、一致がない場合はこれを放射線技師に示すことができることによってこれに対処する。
【0076】
以下は、ある病院で使用されている119個の解剖学的プログラムのリストであり、取得した画像に間違ってラベルを付ける可能性を説明するのに役立つ。
【表1】
【0077】
したがって、患者のX線検査中にエラーが発生する可能性がある。
【0078】
例えば、臓器に「Right(右)」と注釈付けされるが、実際には「left(左)」であるように、側性について間違ってラベルが付けられる場合がある。
【0079】
胸部画像では、PA投影像とAP投影像とで混同される場合がある。したがって、「situs inversus(内蔵逆位)」(反対側の心臓)を明確に識別することができない。
【0080】
画像に誤った一致するラベルが付けられる:
これのよくある理由は再撮影であり、第1の画像胸部PAを繰り返す必要がある。しかしながら、システムは、後続の照射「chest Lat(胸部側面)」を予想する。そのため、X線PAが再撮影されると、LATとしてラベルを付けることができる。
【0081】
簡単な混同:放射線技師は、次のいずれかの股関節検査を行うように求められる
標準的な前後股関節X線写真
カエル足側面像
ローウェンスタイン(Lowenstein)像
仰臥位側面像
フォルスプロファイル(False-profile)像
【0082】
しかしながら、放射線技師は間違った検査をたやすく選択する。
【0083】
医用画像チェック装置及び医用画像のチェック方法は、取得した画像と、関連付けられた記述的ラベルとの整合性を判定することで、この間違ってラベル付けすることに対処する。図3に、そのような取得した画像が示されている。2つの記述的ラベルが示されているが、1つしかなくてもよい。第1のラベルは、左側に表示されている「PA」である。このテキストは、DICOM投影像情報からのデジタルオーバーレイによって作られる。したがって、この記述的ラベルの詳細は既知であり、装置に簡単に提供される。第2のラベルは、右側に示される「L」である。Lは、X線撮影時に患者と共に置かれた鉛の文字であり、関連付けられた画像がX線画像データの一部を形成する。したがって、記述的ラベルは既知ではないが、テキスト認識アルゴリズムから判定できる。他のラベルは、例えば胸部照射ための呼吸状態のラベルである。例えば、「inhale(吸い込む)」(これは、通常のケースであるので、明示的には示されないことが多い)や「exhale(吐き出す)」(これは、例外であるので、常にラベルが必要)である。
【0084】
詳細な実施形態では、医用画像チェック装置及び医用画像のチェック方法により、画像が関連付けられたラベルと整合しているかどうかを以下のやり方でチェックできる。X線写真が撮られると、最も一致する既知の投影像及び解剖学的特徴を返す画像タイプ判定ソフトウェアが呼び出される。このプロセスでは、投影像データベースと呼ばれるローカルデータベースが使用される。投影像データベースは、グランドトゥルース情報を有する多数の(数千もの)画像を使用して、学習フェーズで準備されている。
【0085】
追加的に、病院情報システムHISを介して新しい記述的ラベル(「ローウェンスタイン像」などの検査コード)がシステムに現れると、システムはこれが既に投影像データベースにあるかどうかをチェックする。このコード(記述的ラベル)がまだデータベースにない場合は、この投影像の利用可能なすべての例を取得するためにPACSに問い合わせを行う。利用可能な場合は、それに応じて投影像データベースが更新される。
【0086】
X線写真が記述的ラベル(解剖学的コード)と一致する場合:
解剖学的構造のチェックに問題がないことを示す出力が表示される。
臓器の側性もDICOMラベルと一致していることを示す出力も表示される。
実行されたビューと組み合わされることが多い追加ビューのリストの出力も表示される。
【0087】
X線写真が記述的ラベルと一致しない場合:
「解剖学的構造と投影像を確認してください!」との出力が表示される。
代替のラベルが提案される
一致する位置を用いる再撮影が提案される
チュートリアル画像/情報が表示される
【0088】
オプションは、「この画像を「投影像は問題無い」ものとして受け入れる」と表示して、それに応じて投影像データベースを更新することである。
【0089】
別の例示的な実施形態では、適切なシステム上で、上記の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように構成されていることを特徴とするコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム要素が提供される。
【0090】
したがって、コンピュータプログラム要素は、コンピュータユニットに保存され得る。このコンピューティングユニットは、上記の方法のステップを実行する又は実行を誘導し得る。さらに、上記のシステムの構成要素を動作させ得る。コンピューティングユニットは、自動的に動作するか、及び/又は、ユーザの命令を実行できる。コンピュータプログラムは、データプロセッサの作業メモリにロードされてもよい。したがって、データプロセッサは、上記の実施形態のうちの1つによる方法を実行するために準備が整っている。
【0091】
本発明のこの例示的な実施形態は、最初から本発明を使用するコンピュータプログラムと、アップデートによって既存のプログラムを、本発明を使用するプログラムに変換するコンピュータプログラムとの両方を対象としている。
【0092】
さらに、コンピュータプログラム要素は、上記の方法の例示的な実施形態の手順を遂行するために必要なすべてのステップを提供できる。
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROM、USBスティックなどのコンピュータ可読媒体が提示される。コンピュータ可読媒体には、コンピュータプログラム要素が保存されている。コンピュータプログラム要素については前のセクションで説明されている。
【0093】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの任意の適切な媒体に格納及び/又は配布することができるが、インターネット又はその他の有線若しくは無線通信システムを介してなど他の形式で配布することもできる。
【0094】
しかしながら、コンピュータプログラムはまた、ワールドワイドウェブのようなネットワークを介して提示されてもよく、このようなネットワークからデータプロセッサの作業メモリにダウンロードできる。本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、ダウンロード用にコンピュータプログラム要素を利用可能にする媒体が提供される。このコンピュータプログラム要素は、本発明の前述の実施形態のうちの1つによる方法を行うように構成されている。
【0095】
なお、本発明の実施形態は、異なる主題を参照して説明されていることに留意されたい。具体的には、方法タイプの請求項を参照して説明されている実施形態もあれば、デバイスタイプの請求項を参照して説明されている実施形態もある。しかしながら、当業者であれば、特に明記されていなければ、上記及び以下の説明から、1つのタイプの主題に属する特徴の任意の組み合わせに加えて、異なる主題に関連する特徴の任意の組み合わせも、本出願で開示されていると見なされることを推察できるであろう。但し、すべての特徴は、特徴の単なる寄せ集め以上の相乗効果を提供するならば組み合わせることができる。
【0096】
本発明は、図面及び上記の説明に詳細に例示及び説明されているが、このような例示及び説明は、例示的又は模範的と見なされるべきであって、限定的と見なされるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態の他の変形は、図面、開示、及び従属請求項の検討から、請求項に係る発明を実施する際に当業者によって理解され、実行され得る。
【0097】
特許請求の範囲において、「含む」という語は、他の要素やステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されているいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを意味するものではない。特許請求の範囲における任意の参照符号は、範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
【国際調査報告】