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特表2022-537041放射線治療(RT)計画作成のためのレーザー皮膚マーキング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-23
(54)【発明の名称】放射線治療(RT)計画作成のためのレーザー皮膚マーキング
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20220816BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575293
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-01-20
(86)【国際出願番号】 EP2020066016
(87)【国際公開番号】W WO2020254160
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/862,974
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】特許業務法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ステッフェン ウェイス
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AE01
4C082AJ02
(57)【要約】
RTで使用するための位置決めデバイス12は、医療機器に対して固定位置に配設され、医療機器でイメージング又は治療される患者上に、患者上に配設された関連のフォトクロミック染料34に視覚的にマークを付ける活性化光を放出する1つ以上の染料マーカー光源32を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器に対して固定位置に配設される1つ以上の染料マーカー光源であって、患者上に配設された関連のフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける活性化光を、前記医療機器でイメージング又は治療される前記患者上に放出する1つ以上の染料マーカー光源を含む、放射線治療で使用するための位置決めデバイス。
【請求項2】
前記1つ以上の染料マーカー光源は、1つ以上のUV光源を含む、請求項1に記載の位置決めデバイス。
【請求項3】
関連の医療機器に対して固定位置に配設される1つ以上の可視光源であって、可視光パターンを、前記医療機器でイメージング又は治療される患者上に放出する1つ以上の可視光源をさらに含む、請求項1又は2に記載の位置決めデバイス。
【請求項4】
前記1つ以上の可視光源はガイダンスモードで動作し、前記ガイダンスモードでは前記1つ以上の可視光源が前記患者上に前記可視光パターンを放出し、
前記1つ以上の染料マーキング光源はマーキングモードでさらに動作する前記1つ以上の可視光源を含み、前記マーキングモードでは、前記患者上に配設された前記関連のフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける前記活性化光を放出する、請求項3に記載の位置決めデバイス。
【請求項5】
前記活性化光は、前記患者の皮膚に視覚的にマークを付けない、請求項1から4のいずれか一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項6】
前記1つ以上の染料マーカー光源は、
前記活性化光によって照射された、前記患者上に配設された前記フォトクロミック染料の部分に、色及び/又は不透明を生じさせること、又は
前記活性化光によって照射された、前記患者上に配設された前記フォトクロミック染料の部分に、色変化を生じさせること、
のうちの1つによって、前記患者上に配設された前記フォトクロミック染料に、視覚的にマークを付ける前記活性化光を前記患者上に放出する、請求項1から5のいずれか一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項7】
前記1つ以上の染料マーキング光源は、前記患者上に配設された前記関連のフォトクロミック染料に、視覚的に1本以上の線でのマークを付けるために、前記患者上に前記活性化光を放出する、請求項1から6のいずれか一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項8】
前記1本以上の線のうちの少なくとも1本が、前記患者の解剖学的方向に位置合わせされるように、前記1つ以上の染料マーカー光源は、前記関連の医療機器に対して前記固定位置に配設されている、請求項7に記載の位置決めデバイス。
【請求項9】
前記1つ以上の染料マーキング光源は、前記患者上に配設された前記関連のフォトクロミック染料に、視覚的に1つ以上の形状でのマークを付けるために、前記患者上に前記活性化光を放出する、請求項1から8のいずれか一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項10】
前記関連の医療機器に対して固定して位置決めされた光ブリッジを更に含み、前記1つ以上の染料マーカー光源は、前記医療機器に対して前記固定位置で前記光ブリッジ上に配設されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の位置決めデバイス。
【請求項11】
医用イメージングデバイスと、
請求項1から10のいずれか一項に記載の位置決めデバイスと、
を含み、
前記1つ以上の可視光源は、前記医用イメージングデバイスに対して固定位置に配設され、前記1つ以上の染料マーカー光源は、前記医用イメージングデバイスに対して固定位置に配設されている、医用システム。
【請求項12】
放射線治療デバイスと、
前記放射線治療デバイスに対して固定位置に配設され、前記放射線治療デバイスで治療される患者上に可視光パターンを放出する1つ以上の第2の可視光源と、
をさらに含む、請求項11に記載の医用システム。
【請求項13】
医用イメージングデバイスのボアの外周上に配設される1つ以上の可視光源であって、前記医用イメージングデバイスでイメージング又は治療される患者上に、1つ以上の線又は形状を含む可視光パターンを放出する1つ以上の可視光源と、
前記ボアの外周上に配設される1つ以上のマーカー光源であって、前記可視光パターンの前記1つ以上の線又は形状に一致する1つ以上の線又は形状を含むマークで、前記患者の皮膚に、又は前記患者の皮膚上に配設された関連のフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける活性化光を、前記医用イメージングデバイスでイメージング又は治療される前記患者上に放出する1つ以上のマーカー光源と、
を含む、医用システム。
【請求項14】
前記1つ以上の可視光源はガイダンスモードで動作し、前記ガイダンスモードでは、前記1つ以上の可視光源が前記患者上に前記可視光パターンを放出し、
前記1つ以上のマーキング光源はマーキングモードでさらに動作する前記1つ以上の可視光源を含み、前記マーキングモードでは、前記皮膚又は関連のフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける前記活性化光を放出する、請求項13に記載の医用システム。
【請求項15】
前記1つ以上のマーカー光源は、前記患者の皮膚上に配設されたナプソピランフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける、請求項13又は14に記載の医用システム。
【請求項16】
前記1つ以上のマーカー光源は、前記患者上に前記活性化光を放出し、前記活性化光は、前記活性化光によって照射されたフォトクロミック染料の部分に、色及び/又は不透明を生じさせることによって、前記患者の皮膚上に配設された前記フォトクロミック染料に、視覚的にマークを付ける、請求項13から15のいずれか一項に記載の医用システム。
【請求項17】
前記1つ以上のマーカー光源は、前記患者上に前記活性化光を放出し、前記活性化光は、前記活性化光によって照射されたフォトクロミック染料の部分に、色変化を生じさせることによって、前記患者の皮膚上に配設されたフォトクロミック染料に、視覚的にマークを付ける、請求項13から15のいずれか一項に記載の医用システム。
【請求項18】
前記1つ以上のマーカー光源は、前記患者上に配設された前記関連のフォトクロミック染料に、視覚的に1つ以上の線又は形状でのマークを付けるために、前記患者上に前記活性化光を放出する、請求項13から17のいずれか一項に記載の医用システム。
【請求項19】
前記活性化光は、前記患者の皮膚に視覚的にマークを付けない、請求項13から18のいずれか一項に記載の医用システム。
【請求項20】
放射線治療を用いて患者を治療する方法であって、
前記患者に向かって光を放出して、放射線治療を用いて治療する1つ以上の領域と重なる前記患者の皮膚上に、可視光パターンを生成するステップと、
前記可視光パターンがある前記患者の前記皮膚上に、1つ以上の染料マーカー光源から提供されるフォトクロマティック染料でマークを付けるステップと、
前記患者の前記皮膚の前記マークの下の領域において、前記患者に放射線治療を施すステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 以下は、概して、RT技術、患者位置決め技術、RT位置マーキング技術、医用イメージング技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 現在のRTシステムでは、磁気共鳴イメージング(MRI)デバイス、コンピュータ断層撮影(CT)イメージングデバイス、ハイブリッドMRI/CTシステムなどを使用して、腫瘍及びリスク臓器(例えば最小のRT線量を受けるべき健康な臓器)の計画作成画像を取得している。これらの画像に基づいて、ビーム幾何学的配置、ビーム形状、照射時間、及び/又は外部ビームRTの照射中に使用される放射線治療システムの他のパラメータの計算の基礎となる線量計画が処方される。
【0003】
[0003] このワークフローでは、イメージングシステムの座標系を治療システムの座標系に位置合わせする必要がある。そのためには、患者をイメージングシステムの中にロードするために使用するサポート上に患者を配置する。次に、イメージングシステムの近くにあり、イメージングシステムの基準フレームに対して固定位置を有する第1のレーザーブリッジを使用して患者の皮膚上に投影される光パターンの(例えば)3つの点に対応する、患者の皮膚上の(通常は)3つの点(例えば1つの前方マークと、2つの側方マーク)で患者にマークが付けられる。次に、取得した画像は、線量計画の作成に使用される。しばらくしてから(例えば多くの場合、数日後又はそれ以上)、患者は線量計画に従って放射線治療を受ける。患者は、患者を治療システムの中にロードするために使用するサポート上に配置される。通常、このサポートの形状とサイズとは、イメージングシステムで使用されるサポートと同じである。次に、患者の位置を調整して、治療システムの近くにあり、治療システムの基準フレームに対して固定位置を有する第2のレーザーブリッジを使用して患者の皮膚上に投影された(例えば3つの点の)光パターンに、皮膚のマークを位置合わせする。このようにして、治療システムの基準フレーム内の患者の位置が、イメージングシステムの基準フレーム内の患者の位置と一致していることが保証される。
【0004】
[0004] 通常、マークは、注射器でインクを注入することによってタトゥーを付けるか、ペンを使用して点を手動でマークを付けるか、又は粘着マーカーを患者の皮膚に貼ることによって、計画作成イメージング段階中に患者の皮膚に付けられる。(例えばRathod S、Munshi A、Agarwal J.のSkin markings methods and guidelines:A reality in image guidance radiotherapy era、South Asian Journal of Cancer、2012;1(1):27~29、Doi:10.4103/2278-330X.96502を参照)。患者の胴体にマークを付けるために3つの点を使用することで、通常は2mmの平行移動及びヨー軸における数度の空間誤差を有する完全空間位置合わせが保証される(例えばElsner K、Francis K、Hruby G、Roderick S.のQuality improvement process to assess tattoo alignment,set-up accuracy and isocentre reproducibility in pelvic radiotherapy patients、J Med Radiat Sci.、2014年12月、61(4):246~252を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] これらの問題を解決するための新規かつ改良システム及び方法を以下に開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006] 開示される一態様では、RTで使用するための位置決めデバイスが、医療機器に関して固定位置に配設され、医療機器でイメージング又は治療される患者上に、患者上に配設された関連のフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける活性化光を放出する1つ以上の染料マーカー光源を含む。
【0007】
[0007] 開示される別の態様では、医用システムが、医用イメージングデバイスのボアの外周上に配設される1つ以上の可視光源であって、医用イメージングデバイスでイメージング又は治療される患者上に、1つ以上の線又は形状を含む可視光パターンを放出する1つ以上の可視光源を含む。1つ以上のマーカー光源が、ボアの外周上に配設され、可視光パターンの1つ以上の線又は形状に一致する1つ以上の線又は形状を含むマークで、患者の皮膚又は患者の皮膚上に配設された関連のフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける活性化光を、医用イメージングデバイスでイメージング又は治療される患者上に放出する。
【0008】
[0008] 開示される別の態様では、RTを用いて患者を治療する方法が、患者に向かって光を放出して、RTで治療する1つ以上の領域と重なる患者の皮膚上に可視光パターンを生成するステップと、可視光パターンがある患者の皮膚上に、1つ以上の染料マーカー光源で提供されるフォトクロマティック染料でマークを付けるステップと、患者の皮膚のマークの下の領域において、患者にRTを施すステップとを含む。
【0009】
[0009] 1つの利点は、RT計画作成における手動の皮膚マーキングを排除することで、手順のコスト及び時間が節約される点にある。
【0010】
[0010] 別の利点は、RT計画作成のための手動の皮膚マーキングの空間誤差が低減される点にある。
【0011】
[0011] 別の利点は、より複雑な皮膚マークを効率的に付けることで、より正確な患者の位置合わせを容易にできる点にある。
【0012】
[0012] 別の利点は、RT計画作成のためのマーク生成中に皮膚のくぼみや位置ずれが低減される点にある。
【0013】
[0013] 別の利点は、患者の皮膚に痛みを引き起こす可能性のある損傷を与えることなく、迅速な自動皮膚マーキングが提供される点にある。
【0014】
[0014] 別の利点は、高い視覚コントラスト及び/又は特徴的な色を有する皮膚マークが自動的に生成される点にある。
【0015】
[0015] 別の利点は、治療段階中に位置合わせ基準として機能した後で簡単に除去できる皮膚マークが自動的に生成される点にある。
【0016】
[0016] 別の利点は、皮膚マーキングプロセス中に患者が動く可能性を低減又は排除するために、迅速な皮膚マーキングが提供される点にある。
【0017】
[0017] 別の利点は、医用イメージングデバイスのボア内での皮膚マーキングを可能にすることで、ボアの内側で行われるイメージング手順とボアの外側で行われるマーキング手順との間での患者の動きが回避される点にある。
【0018】
[0018] 所与の実施形態は、上記の利点のいずれも提供しない、上記の利点のうちの1つ、2つ以上、又はすべてを提供することができ、及び/又は、本開示を読んで理解した上で、当業者には明らかになる他の利点を提供することもある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
[0019] 本開示は、さまざまな構成要素及び構成要素の配置、並びに、さまざまなステップ及びステップの配置の形態をとることができる。図面は、好ましい実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定していると解釈されるべきではない。
【0020】
図1】[0020]図1は、一態様によるRT用の医用システムの実施形態を示す。
図2】[0021]図2は、いくつかの企図される染料マーキングパターンを示す。
図3】[0022]図3は、一態様によるRT用の医用システムの別の実施形態を示す。
図4】[0023]図4は、図1のシステムの例示的なフローチャート動作を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[0024] 以下は、RT計画作成に関する。RT計画作成の一部として、照射する解剖学的領域の医用画像が取得される。RT計画は、通常は腫瘍に対する最小線量を定義する線量目標と、いわゆる決定臓器(すなわち、過剰な放射線被曝によって損傷する可能性のある臓器)に対する線量の制約又は制限とを満たすように、計画作成画像に基づいてデザインされている。RTは、計画作成イメージングの後、例えば、数日後に(分割RTでは、複数日の複数セッションで)行われる。
【0022】
[0025] 計画に従って正確に照射するには、患者をイメージングデバイスにおけるのと同じようにRTデバイスにおいて位置合わせする必要がある。従来は、これは、イメージングデバイス及びRTデバイスの横に配置されたイメージングレーザーブリッジ及びRTレーザーブリッジによって、イメージングシステム及びRTシステムのそれぞれの基準フレームに対する所定の位置に光マーカーを投影することによって達成されている。計画作成中、臨床医は、インク、タトゥー、又は粘着マーカーを使用して、患者の皮膚上の光マーカーの位置にマークを付ける(この光マーカーは、イメージングシステムと位置合わせされたイメージング光ブリッジによって投影される)。放射線治療デバイスの中にロードされると、患者は、インクスポット、タトゥー、又はマーカーが、RTデバイスに位置合わせされたRTレーザーブリッジによって生成された対応する光マーカーと位置合わせするように配置される。
【0023】
[0026] 本明細書に開示されるいくつかの実施形態では、患者の皮膚に直接マークを付けるか、又は患者の皮膚に塗布されるフォトクロミック染料にマークを付けるマーキングレーザーを、イメージングデバイスのイメージング光ブリッジに追加することによって、イメージング光ブリッジを変更する。これらのアプローチでは、臨床医が患者の皮膚に触れる必要がなく、また、小さな個別のペンマーク、タトゥー、又はマーカーと比較して、より便利な位置決め支援を提供することができる線又は形状などのより複雑なパターンの瞬間マーキングを提供することができるため、ペン、タトゥー、又は接着剤を使用した手動マーキングと比較して精度が向上する。本明細書では、マーキングレーザーは、視覚的に知覚可能なパターンを生成する光源とは別個のものとして説明されているが、パターンの投影と皮膚又は染料のマーキング(例えば、マークを付けるために高い光パワーで動作することによる)との両方に同じ光源を使用することも企図されている。フォトクロマティック染料を使用する実施形態は、患者の皮膚に直接マークを付ける実施形態よりも大きな利点がある。利点には、患者にとって痛みが少ないこと、放射線療法後に特別な溶液を使用してマークを洗い流すことができること(対照的に、直接マーキングでは、マークは、皮膚が治癒しない限り/治癒するまで残る皮膚の領域の損傷をもたらす)、直接皮膚マーキングとは対照的に使用するレーザー出力が低いこと(これにより、患者やイメージングシステムのオペレータがレーザーアイプロテクションを着用する必要性が低減する又は排除される)、及び、レーザー形成マークの色などの特徴の柔軟性が高くなることが含まれる。
【0024】
[0027] 開示するイメージング光ブリッジの実施形態は、RT計画作成用の計画作成画像を取得するために使用される任意のイメージングモダリティと合わせて使用でき、また、同様に、任意のRTモダリティにも使用できる。マーキングレーザーは、紫外線(UV)レーザーであってもよい。したがって、フォトクロマティック染料は、可視光には不感であるようにすることができる。マーキングレーザーが好ましいが、直接皮膚マーキングとは対照的に、フォトクロマティック染料にマークを付けるには出力が低くてよいので、LED/レンズ配置も染料マーキング用に企図され、線や形状などのより複雑なマークパターンを生成するために便利である。さらに、所望の形状の輪郭に沿ってレーザースポットをすばやく循環させ、それが一定の形状として見えるようにすることで、いくつかの複雑な形状(例えば、星、ダイヤモンド、五角形、六角形など)も、レーザービームを用いて生成できる。磁気共鳴イメージング/線形加速器(MRI/LINAC)システムの企図される変形例では、フォトクロマティック染料には金属粒子が含まれ、MRI計画作成画像内のレーザー生成マークの視認性を提供する。
【0025】
[0028] 図1を参照して、医用システム10の例示的な実施形態が示されている。医用システムは、医用イメージングデバイス16に関連付けられた位置決めデバイス(例えば例示的なイメージング光ブリッジ)12と、RTデバイス14に関連付けられた第2の位置決めデバイス(例示的なRT光ブリッジ)15と、医用イメージングデバイス16とを含む。本明細書ではMRIデバイスとして説明するが、医用イメージングデバイス16は、任意の適切なイメージングデバイス(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)、陽電子断層撮影(PET)、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、X線、超音波、PET/CTデバイスなどのハイブリッドシステム)であってもよい。
【0026】
[0029] RTデバイス14は、例えば、電子ビーム、陽子ビーム、高エネルギーX線ビームなど、治療放射線ビームを使用する任意のタイプのRTデバイスであり得る。RTでは、患者を部分的又は完全に囲む軌道に沿って、放射線ビームの線源が、連続する固定位置の間でステップされる個別の「ステップアンドシュート」アプローチを採用する場合がある。あるいは、RTでは、VMAT、強度変調アーク治療(IMAT)、ステップアンドショートRT照射などの連続アーク放射線治療を採用する場合があり、部分的又は完全に囲む軌道に沿ってビームが患者の周囲を中心に回転する際に、放射線ビームの線源が連続的に患者を照射する。例えば、軌道の横断は、治療用放射線の線源を連続アークに沿って移動させることを含む。ビームの数は、1、2、3、又はそれ以上であり得る。連続アーク放射線治療の場合、治療セッションで実行されるアークの数は、一般に1、2、3、又はそれ以上であり得る。計画作成目的では、連続アークは、例えば2°~4°の間隔(所望の分解能に応じて、これよりも大きい間隔又は小さい間隔も企図される)で離散制御点に離散化される。他の例では、軌道は、円形、非円形、又は他の形状であり、ステップアンドシュートアプローチ又は連続的に横断され得る。後者の場合、放射線治療計画作成をより扱いやすくするために、通常は軌道に沿って連続軌道が制御点に離散化される。一例では、放射線照射計画作成の最適化システムは、ターゲット(例えば、X線又はガンマ線ジェネレータ及び放射線源として機能する関連ハードウェア)に衝突する高エネルギー電子ビームを成形して照射するマルチリーフコリメータ(MLC)を有する線形加速器(LINAC)であり得る。ターゲットは、応答して、X線(すなわち、光子)を放出して、患者(図示せず)に治療ビームが照射される。これらは、単なる非限定的な例である。
【0027】
[0030] 図1はまた、RT計画作成で使用される位置決めデバイス12も示している。位置決めデバイス12は、患者が医用イメージングデバイス16の(通常は電動の)患者サポート17上に横たわる際に、患者を囲むように配置された光ブリッジ13として構成される。位置決めデバイス12は、医用イメージングデバイス16及び/又はRTデバイス14に対して固定位置に配設される1つ以上の可視光源30を含む。図1に示すように、位置決めデバイス12には2つの可視光源30がある(ただし、任意の適切な数の可視光源を使用できる)。可視光源30は、医用イメージングデバイス16でイメージングする患者上に可視光パターンを放出(例えば投影)する。
【0028】
[0031] また、イメージングデバイス16における位置決めデバイス12は、医用イメージングデバイス16に対して固定位置に配設される1つ以上の染料マーカー光源32を含む。図1に示すように、位置決めデバイス12には染料マーカー光源32がある(ただし、任意の適切な数の染料マーカー光源を使用できる)。染料マーカー光源32は、患者の皮膚上に配設されたフォトクロミック染料に視覚的にマークを付ける活性化光を、医療機器を用いてイメージングされる又は治療される患者上に放出する。フォトクロマティック染料のマークは、目に見えるほど知覚可能であるべきであり、染料の明暗、染料の色変化マーク、又はフォトクロミック染料の明暗など、患者に配設された染料に対する視覚的に知覚可能な他の変化であり得る。好ましくは、染料マーカー光源32から放出される活性化光は、患者の皮膚に視覚的にマークを付けないため、マーキングプロセスによって皮膚は損傷されない。さらに、マークは永久的ではなく、フォトクロマティック染料の組成によっては、洗い流しや除去にかかる時間は短い。(通常、フォトクロマティック染料の層は、適切な溶剤、洗い流しの繰り返しなどによって皮膚から除去され、これにより、マークは、塗布された染料とともに除去される)。一例では、放出された活性化光は、活性化光によって照射された患者上に配設されたフォトクロミック染料の部分に色又は不透明を生じさせる。別の例では、放出された活性化光は、活性化光によって照射された患者上に配設されたフォトクロミック染料の部分に色変化を生じさせる。好ましくは、患者の皮膚への照射前は、染料は透明又は半透明である。
【0029】
[0032] 図1に戻って参照して、いくつかの実施形態では、可視光源30によって生成されるパターンは、ペン、タトゥー、又は接着マーカーでマークを付ける際に従来使用されていたような3ドットパターンであり、染料マーキング光源32は、対応する3ドットパターンでフォトクロマティック染料にマークを付ける。
【0030】
[0033] 図1を引き続き参照し、かつ、図2をさらに参照して、マーキング光源32によって行われる迅速な自動マーキングプロセスにより、染料マーキングプロセスでは皮膚は損傷されないという観察と共に、皮膚上の染料に1本以上の線でのマークを付けるなど、より複雑なマークを使用できる。図2に示すいくつかの例では、患者の皮膚35上に配設されたフォトクロマティック染料34は、マーカー光源32によって、垂直線のセット(例えば図2の例示的なマークP1におけるようなクロス)又は平行線のセット(図2の例示的なマークP2)でマーク付けされ、患者の皮膚にマークを付けるために使用でき、任意選択で、線は、患者の解剖学的方向に位置合わせされる(例えば、P2の線は、頭尾軸に位置合わせされ、P1の交差線は、左右の解剖学的軸に位置合わせされる)。線の縦横比は、少なくとも3:1であり、より好ましくは5:1以上である。また、染料34は、最も長い寸法(例えば少なくとも3インチ)のマークを視覚的に含むこともできる。他の例では、染料34を使用して、形状(例えば、円、三角形、正方形、ダイヤモンドなど)を作成できる。これは、図2に、例示的な中空のクロスパターンP3や(異なる)例示的な塗りつぶしのクロスパターンP3として示されている。マークP4のような塗りつぶされた形状は、マークP3のような中空形状よりもコントラストが強いため、また、マーキング光源はフォトクロマティック染料にマークを付けることから、マークP4の塗りつぶされた形状は、中空マークP3と同じ速さで皮膚35の染料34にインプリントできるため有利である。マークされた線は、連続した線であっても、点線や破線、又は他のタイプの破線(例えば例示的なP2の外側の破線)であってもよい。同様に、マークされた形状は、実線や破線を有するか、又は、図2の例示的なP4のように、形状が塗りつぶされた形状であってもよい。図2では、フォトクロマティック染料34は、皮膚35の長方形の領域にコーティングされている。しかしながら、他のコーティングされた領域の形状も企図され、いくつかの実装形態では、フォトクロマティック染料は、手動で皮膚に塗装されてもよい。この場合、フォトクロマティック染料でコーティングされた皮膚領域は不規則になる。(正確性がほとんど又は全く必要ないため、このような手動での染料の塗布は実用的である。染料は、染料マーキング光源32によって付けられるマークを確実に網羅するために十分な面積をカバーすればよい)。
【0031】
[0034] 前述のように、フォトクロマティック染料34を使用する実施形態を使用して、皮膚を損傷することなく、図2のような空間的に広範囲のマークを付けることができる。マーキング光源が皮膚に直接マークを付ける代替実施形態では、マークを付けると皮膚損傷(これがマークである)が生じるため、直接皮膚マーキングを使用するときは、小さなマーク(例えば3点パターン)が好ましいと考えられる。しかしながら、特に、マーキング光源の出力及び波長が調整されて、皮膚の表面への皮膚損傷が抑えられる(例えば、皮膚の中への浸透深度が浅い比較的短い(例えば紫外線)波長光を使用することによる)場合には、光学マーキング光源を使用する直接皮膚マーキングと合わせて、図2のような広範囲のマークを使用することが企図される。
【0032】
[0035] いくつかの実施形態では、染料マーカー光源32は、患者上に配設されたナプソピラン(napthopyran)フォトクロミック染料34に視覚的にマークを付ける。ナプソピランフォトクロミック染料は、次のようないくつかの理由から有利である。(i)照明により透明から着色に変化できる。(ii)そのような色変化はUV光によって誘発できる。(iii)溶液又は局所クリームとして提供され、人間の皮膚に安全に塗布できる。(iv)皮膚に浸透するエチルアルコール及びジメチルイソソルビドを含む製剤に溶解されると、皮膚に簡単に吸収できる。(v)米国FDAの要件を満たしている。(vi)周囲光を遮断できる。しかし、より一般的には、皮膚へのコーティング用に生体適合性があり、選択された染料マーカー光源32で効果的にマークを付けることができ、入浴時やシャワー時に洗い流されにくい任意のフォトクロマティック染料を使用できる。
【0033】
[0036] 例示的な一実施形態では、ユーザは、光ブリッジ13又は他の場所(例えば、イメージングデバイス16のワークステーション)に取り付けられた光スイッチ(図示せず)を使用して、可視光源30及び/又は染料マーカー光源32の動作を制御できる。ガイダンスモードでは、オン/オフスイッチを使用して1つ以上の可視光源30をオンにし、患者上に可視光パターンを放出するが、マーキング光源32は、ガイダンスモードではオフである。次に、患者サポート17の電動コントロールを使用して患者を位置決めし、オペレータがマークを付けたい解剖学的位置に、可視光源30から放出された光パターンが投影される(例えば、事前に塗布されたフォトクロマティック染料34に光パターンが投影されるように位置決めされる)。マークを付けるには、ユーザは、光ブリッジ13上の「マーク」(又は同様のラベルが付けられた)ボタンを適切に押して、マーキング光源32をオンにし、これにより、患者上に配設されたフォトクロミック染料34に視覚的にマークを付ける照射時間の間、患者上に活性化光を放出する。その後、マーキング光源32はオフにされる。通常、固定の照射時間が使用される(すなわち、「マーク」ボタンを押すと、マーキング光源32が所定の固定時間の間オンになる)。様々な照射時間での様々なフォトクロマティック染料の使用に対応するために、光ブリッジ13又はオペレータが照射時間を設定することを可能にする他の場所に、照射時間設定コントロールが提供される。
【0034】
[0037] 別の例示的な実施形態では、1つ以上の染料マーキング光源32が、1つ以上の可視光源30を含み、さらにマーキングモードで動作して活性化光を放出する。活性化光は、患者上に配設されたフォトクロミック染料34に視覚的にマークを付ける。例えば、マーキングモードでは、活性化光を放出するために、光の強度がより高い又は光の波長がより短い。言い換えれば、例示する2つの光源30、32は、単一の光源(又は光源の単一のセット)であり、ガイダンスモード中は、視覚的に知覚可能なパターンを投影するために低強度で放出するが、この強度は、フォトクロマティック染料にマークを付けるには低すぎる。この実施形態では、「マーク」ボタンが押されると、光源の出力が(照射時間にわたって)より高い強度に上昇し、染料にマークが付けられる。
【0035】
[0038] 可視光源30及び/又は染料マーカー光源32は、半導体レーザー(例えば端面発光レーザー、垂直キャビティ面発光レーザー(VCSEL)など)、発光ダイオード(LED)などの任意の適切な光源を含み、任意選択で、集束レンズ(例えば、点又は線に光を集束させる球面レンズ又は円筒レンズ)などの光学部品、点又は線に光を集束させるバッキング放物面リフレクタ、レーザー及び/若しくはLEDの配置、並びに/又はクロスなど、より複雑なパターンを生成する光学部品)をさらに含み得る。染料マーカー光源32は、選択したフォトクロマティック染料にマークを付ける波長及び強度を有する。一般に、染料は通常、可視光には不感であるため(そうでなければ、周囲室内照明によってマークが付いてしまう)、染料マーカー光源32は、紫外線(UV)を適切に放出し、UV光子のより高い光子エネルギーによって染料にマークが付けられる。直接マーキングを使用する実施形態では、マーカー光源は、目に見える皮膚損傷を残すのに十分に皮膚に浸透するが、患者にとって痛みが非常に強く有害であり得る深い皮膚損傷をもたらすほど深くは浸透しないように選択される波長及び強度を有する必要がある。
【0036】
[0039] イメージングセッション中に、患者に染料34が塗布され、上述したように、マーカー光源32を使用してマークが付けられ、計画作成画像を取得するために患者に医用イメージングが行われる。その後、線量測定士、放射線医、腫瘍医、及び/又は他の医療専門家は、医用画像を使用して線量計画を作成及び最適化する。しばらくして(通常は1日以上後)、患者はRTデバイス14に移される。RTデバイス14は、RTデバイスに対して固定位置に配設された1つ以上の第2の可視光源36を有する光ブリッジ15を含み、RTデバイスを用いて治療する患者上に可視光パターンを放出する。放射線照射の前に、第2の可視光源36から放出される光が、イメージング光ブリッジ13によって付けられたマークにオーバレイして、確実にRTが患者の正しい位置に施されるように、患者を位置決めする。特に、RTデバイスにおいて患者にマークを付ける必要がないため、RT光ブリッジ15は通常、イメージング光ブリッジ13のマーカー光源32との任意の類似物を含まない。
【0037】
[0040] 図3は、システム10の代替実施形態を示している。この実施形態では、位置決めデバイス12は取り除かれ、可視光源30及び染料マーカー光源32は医用イメージングデバイス16のボア38内に配設されている。図3に示すように、可視光源30及び染料マーカー光源32は、ボア38の周囲に配設され、ボアの入口又は内部に配置された状態で患者の上方に配設されている。この実施形態では(かつ、イメージングデバイス16がMRIである場合)、任意選択で、染料34は磁性粒子を含むことができ、これは、医用イメージングデバイス16によって取得される患者の画像内で視覚化される。
【0038】
[0041] 図4を参照して、RT治療計画作成方法100の例示的な実施形態を、フローチャートとして示している。動作102において、可視光源30から患者に向かって光が放出されて、RTで治療する1つ以上の領域にオーバレイする患者の皮膚上に可視光パターンが生成される。動作104において、染料マーカー光源32によって送達されるフォトクロマティック染料34を用いて、可視光パターンがある患者の皮膚上にマークが付けられる。動作106において、患者の皮膚のマークの下の領域において、RTデバイス14によってRTが患者に施される。
【0039】
[0042] 本開示は、好ましい実施形態を参照して説明されている。前の詳細な記述を読み、理解した者は、修正及び変更を想到するであろう。本開示は、添付の特許請求の範囲又はその等価物の範囲内である限り、そのようなすべての修正及び変更を含むものと解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】