(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-24
(54)【発明の名称】センサ装置およびセンサ装置を備える流体流量測定アセンブリ
(51)【国際特許分類】
G08C 17/00 20060101AFI20220817BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570941
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2021-12-24
(86)【国際出願番号】 EP2020066513
(87)【国際公開番号】W WO2020254258
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116636.5
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521387811
【氏名又は名称】フラバ ベー.フェー.
【氏名又は名称原語表記】FRABA B.V.
【住所又は居所原語表記】Jan Campertstraat 11,6416 SG Heerlen Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローケン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ランシング,マティアス
(72)【発明者】
【氏名】ハレルマン,フローリアン
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA04
2F073AA11
2F073AA19
2F073AB01
2F073AB04
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DE02
2F073DE06
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE13
2F073EF09
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073GG05
(57)【要約】
本願発明は、交流励起磁界を生成する励起磁石(20)と、その内部で、交流励起磁界にて電気エネルギーパルスが生成されるパルスワイヤモジュール(24)を有するエネルギー発生器(22)と、物理的変数を感知してセンサ信号を出力する少なくとも1つのセンサ素子(32,34)と、少なくとも1つのセンサ信号を評価する評価ユニット(36)と、データ接続部を介して評価ユニットに接続される無線データインターフェース(38)と、を備え、少なくとも1つのセンサ素子(32,34)および評価ユニット(36)は、エネルギー発生器(22)にそれぞれ電気的に接続されることで、電気エネルギーが供給される構成とされたセンサ装置(12)に関する。さらに、本願発明は、この種のセンサ装置(12)を備える流体流量測定アセンブリ(10)に関する。本願発明に係るセンサ装置(12)および流体流量測定アセンブリ(10)は、エネルギーの供給またはデータの伝達のために外部ケーブル接続を設ける必要がないため、アクセスが困難な測定場所でも安価に設置できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流励起磁界を生成する励起磁石(20)と、
その内部で、前記交流励起磁界にて電気エネルギーパルスが生成されるパルスワイヤモジュール(24)を有するエネルギー発生器(22)と、
物理的変数を感知してセンサ信号を出力する少なくとも1つのセンサ素子(32,34)と、
前記少なくとも1つのセンサ信号を評価する評価ユニット(36)と、
データ接続部を介して前記評価ユニットに接続される無線データインターフェース(38)と、
を備え、
前記少なくとも1つのセンサ素子(32,34)および前記評価ユニット(36)は、前記エネルギー発生器(22)にそれぞれ電気的に接続され、前記エネルギー発生器(22)にて電気エネルギーが供給される、
センサ装置(12)。
【請求項2】
前記エネルギー発生器(22)は、前記パルスワイヤモジュール(24)に電気的に接続されるエネルギー蓄積部(26)を備える、
請求項1に記載のセンサ装置(22)。
【請求項3】
感知される前記物理的変数に応じて電気抵抗が変化する少なくとも1つの抵抗センサ素子(32,34)が設けられる、
請求項1または2に記載のセンサ装置(12)。
【請求項4】
複数のセンサ素子(32,34)が設けられ、前記複数のセンサ素子(32,34)の各センサ素子(32,34)は、異なる物理的変数を検知し、前記エネルギー発生器(22)にて電気エネルギーが供給される構成とされる、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のセンサ装置(12)。
【請求項5】
前記無線データインターフェース(38)は、変調後の方散乱の原理にしたがって動作する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセンサ装置(12)。
【請求項6】
データ接続部を介して前記評価ユニットに接続されるデータ記憶部(40)が設けられる、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のセンサ装置(12)
【請求項7】
前記無線データインターフェース(38)は、前記無線データインターフェース(38)と前記エネルギー発生器(22)との間の電気エネルギーの移転が可能となるように、前記エネルギー発生器(22)に電気的に接続される、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のセンサ装置(12)。
【請求項8】
前記励起磁石(20)は、回転可能なシャフト(14)上に配置され、
前記評価ユニット(36)は、前記パルスワイヤ要素(24)の前記エネルギーパルスの時間経過を評価することによって、前記シャフト(14)の回転運動を感知する構成とされる、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のセンサ装置(12)。
【請求項9】
流体流量測定アセンブリ(10)であって、
現在の回転速度が現在の流体流量に比例するシャフト(14)と、
センサ装置(12)と、
を備え、
前記センサ装置(12)は、
前記シャフト(14)に締結されて、交流励起磁界を生成する励起磁石(20)と、
その内部で、前記交流励起磁界によって電気エネルギーパルスが生成されるパルスワイヤモジュール(24)を含むエネルギー発生器(22)と、
前記流体流量測定アセンブリを流れる流体の物理特性を感知してセンサ信号を出力する少なくとも1つのセンサ素子(32,34)と、
前記少なくとも1つのセンサ信号を評価する評価部(36)であって、前記パルスワイヤ要素(24)の前記エネルギーパルスの時間経過を評価することによって、前記シャフト(14)の回転運動を検知する構成とされる前記評価部(36)と、
データ接続部を介して前記評価ユニット(36)に接続される無線データインターフェース(38)と、
を備え、
前記少なくとも1つのセンサ素子(32,34)、前記評価ユニット(36)、および前記無線データインターフェース(38)は、前記エネルギー発生器(22)にそれぞれ電気的に接続され、前記エネルギー発生器(22)にて電気エネルギーが供給される、
流体流量測定アセンブリ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、交流励起磁界を生成する励起磁石と、交流励起磁界によりエネルギーパルスを生成するパルスワイヤ素子を有するエネルギー発生器と、物理的変数を感知してセンサ信号を出力する少なくとも1つのセンサ素子と、少なくとも1つのセンサ信号を評価する評価ユニットと、を備えるセンサ装置に関する。さらに、本願発明は、このようなセンサ装置を備える流体流量測定アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のセンサ装置および流体流量測定アセンブリは、それぞれ、例えば複合工業プラントで使用される。ここで、センサ装置は、例えば機械のシャフトの回転運動を感知するために使用され、また、流体流量測定アセンブリは、例えば気体または液体ラインの流量を感知するために使用される。
【0003】
欧州特許第2479542号明細書によって、例えばセンサ装置を有する流体流量測定アセンブリであり、気体流にて駆動されるシャフトに励起磁石が配置される構成が公知である。このセンサ装置は、シャフトの現在の回転角度を感知する位置センサと、流体流量測定アセンブリを通って流れる気体の現在の温度を感知する温度センサおよびその圧力を感知する圧力センサ、とを備える。上記センサ装置は、励起磁石にて生成される交流励起磁界により、動作中に、エネルギー発生器のパルスワイヤ素子内に電気エネルギーパルスが生成される。複数のセンサ素子および評価部の動作にそれぞれ必要な電気エネルギーは、上述のように生成された電気エネルギーで十分に供給できる。結果として、上記流体流量測定アセンブリのセンサ装置は、流体流量測定アセンブリを動作させるために外部からのエネルギー供給を必要とすることなく、エネルギー自給式で動作する。
【0004】
感知および/または検出された出力パラメータを読み出すために、上述のセンサ装置および流体流量測定アセンブリのそれぞれは、有線データ接続される必要がある。そのため、センサ装置および流体流量測定アセンブリのそれぞれに、複雑な方法で設置されてつなげられる常時ケーブル接続を設けたり、または、必要に応じてケーブルを接続して読み取りができるように、センサ装置および流体流量測定アセンブリのそれぞれを、比較的容易にアクセスできる場所に設置したりなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本願発明の目的は、アクセスが困難な測定場所においても、安価に設置できるセンサ装置および流体流量測定アセンブリをそれぞれ提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的は、請求項1に記載の特徴を備えるセンサ装置と、請求項9に記載の特徴を備える流体流量測定アセンブリにて達成できる。
【0008】
本願発明に係るセンサ装置は、交流励起磁界を生成する励起磁石を備える。典型的には、永久磁石である励起磁石は、シャフトの回転運動により交流励起磁界が生成されるように、回転可能なシャフトに取り付けられる。あるいは、励起磁石は、前後に直線的に移動するか、または閉曲線軌道上を移動する装置に取り付けてもよい。いずれの場合にも、永久磁石である励起磁石が移動することで、交流励起磁界、つまり、極性が連続的に反転する励起磁界、すなわち、磁力線の(有効な)方向が時間経過に伴い連続的に変化する励起磁界が生成される。
【0009】
本願発明に係るセンサ装置は、その内部で、交流励起磁界により電気エネルギーパルスが生成されるパルスワイヤモジュールを有するエネルギー発生器を備える。パルスワイヤモジュールは、一般に、ウィーガンドワイヤとも呼ばれるパルスワイヤと、パルスワイヤを半径方向に囲むコイルアセンブリとを備える。パルスワイヤの磁化方向は、特定のトリガ磁界強度を超えると、外部磁界がパルスワイヤに作用する際に急激に変化する。これにより、規定の電気エネルギーを有する短い電圧パルスがコイルアセンブリ内に生成される。以下、パルスワイヤの磁化方向の変化を、パルスワイヤモジュールの「トリガ」とも称する。パルスワイヤモジュールは、典型的には、単一パルスワイヤで構成されるが、複数のパルスワイヤで構成されてもよい。
【0010】
本願発明に係るセンサ装置は、物理的変数を感知して、センサ信号を出力する少なくとも1つのセンサ素子を備える。センサ素子は、例えば、装置温度や流体温度を感知する温度センサ、または流体圧力を感知する圧力センサである。さらに、センサ素子は、振動または一時的な衝撃といった運動や、デバイスの空間的な向きを感知する運動および/または加速度センサでもよい。例えば、力センサ、磁界センサ、湿度センサ、音圧センサ、明るさセンサ等が考えられる。一般に、センサ素子は、物理的変数を感知し、感知した変数に応じてセンサ信号を出力する構成とされた各種センサである。本願発明に係るセンサ装置は、単一のセンサ素子、または異なるまたは類似の複数のセンサ素子を備える。
【0011】
本願発明に係るセンサ装置は、少なくとも1つのセンサ信号を評価する評価ユニットを備える。センサ信号の伝達を目的として、評価ユニットは、少なくとも1つのセンサ素子に電気的に接続されることが好ましい。一方、評価ユニットは、一般に、各種データ接続を介して、少なくとも1つのセンサ素子に接続できる。評価ユニットは、少なくとも1つの出力パラメータを判定するために予め定義された方法で、受信したセンサ信号を評価する。評価ユニットは、マイクロコントローラを含むか、または全体がマイクロコントローラにて構成されてもよい。一方、評価ユニットは、一般に、少なくとも1つのセンサ信号を評価して出力パラメータを判定するのに適していれば、任意の電気回路により構成されてもよい。
【0012】
本願発明に係るセンサ装置は、データ接続部を介して評価ユニットに接続される無線データインターフェースを備える。無線データインターフェースを備えることで、適切な受信インターフェースを有する外部EDPシステムとの無線通信が可能になり、特に、評価ユニットが検出した出力パラメータを無線で読み取って送信することがそれぞれ可能になる。したがって、本願発明に係るセンサ装置は、一般に、所謂「モノのインターネット」(IoT)とリンクすることに適している。無線データインターフェースは、例えば、従来のインターフェース規格や仕様である「(パッシブ)Wi?Fi、「LoRa(後方散乱)」、「Bluetooth、「SigFox」、「Zigbee」、または「RFDI」に基づく。一方、無線データインターフェースは、一般に、無線データの伝達を可能にするものであれば、各種電気回路にて構成してもよい。好ましくは、無線データインターフェースは、無線データインターフェースの動作に必要な電気エネルギーが、無線データインターフェース自体によって、例えば、入射電磁放射から生成される構成とされる。あるいは、無線データインターフェースは、必要とする電気エネルギーがエネルギー発生器にて供給されるように構成してもよい。
【0013】
本願発明によれば、少なくとも1つのセンサ素子および評価ユニットは、エネルギー発生器にそれぞれ電気的に接続され、必要な電気エネルギーがエネルギー発生器によって供給される構成とされる。個々の素子は、エネルギー発生器に直接的に電気的に接続されるか、または、例えば、電圧変圧器またはセンサ装置の別の構成部品を介して、エネルギー発生器に間接的に接続されてもよい。いずれの場合にも、センサ装置が適切に動作するために必要な電気エネルギーは、エネルギー発生器にて完全に生成されて供給される。本願発明に係るセンサ装置は、完全にエネルギー自給式で動作するため、外部、すなわちケーブルやバッテリを介するいかなるエネルギー供給も必要としない。
【0014】
本願発明に係るセンサ装置では、エネルギーを供給する、または出力パラメータを伝達するために、ケーブル接続を設ける必要がない。さらに、本願発明に係るセンサ装置は、エネルギーを供給する(バッテリ交換)または出力パラメータを読み出すために、比較的容易にアクセス可能に設ける必要がない。したがって、本願発明に係るセンサ装置は、アクセスが困難な測定位置においても安価に設置できる。
【0015】
本願発明に係る流体流量測定アセンブリは、現在の回転速度が現在の流体流量に比例するシャフトを備える。典型的には、流体流量測定アセンブリには、共に回転するようにシャフトに接続されるインペラが設けられる。流体流量測定アセンブリを通って流れる流体によりインペラが回転駆動され、それ伴ってシャフトも回転駆動される。
【0016】
本願発明に係る流体流量測定アセンブリは、本願発明に係る上記センサ装置を備え、励起磁石はシャフトに締結され、流体の流れによって駆動される。ここで、励起磁石によって生成される励起磁界の交流周波数は、シャフトの回転速度に正比例し、したがって、現在の流体流量に正比例する。
【0017】
本願発明に係る流体流量測定アセンブリのセンサ装置の評価ユニットは、パルスワイヤ素子のエネルギーパルスを評価することによって、シャフトの回転運動を感知する構成とされる。ここで、エネルギーパルスの評価は、一般に、エネルギーパルス情報の各種処理、特に発生したエネルギーパルスを単純に計数するものとして理解される。典型的には、評価ユニットは、励起磁界の交流周波数を判定するために、パルスワイヤ要素のエネルギーパルスの時間経過を評価し、そして、現在のシャフト回転速度、つまり電流流体流量を、現在の交流周波数にて判定する。なお、エネルギーパルスの評価は、連続的に行ってもよいし、または、蓄積されたエネルギーパルスのパターンに基づいて遡及的に行ってもよい。
【0018】
流体流量測定アセンブリのセンサ装置の少なくとも1つのセンサ素子は、流体流量測定アセンブリを流れる流体の物理的特性を感知するように配置および構成される。そのため、現在の流体流量に加えて、本願発明に係る流体流量測定アセンブリは、流体の少なくとも1つの物理的特性を感知できる。例えば、本願発明に係る流体流量測定アセンブリのセンサ装置は、現在の流体温度や現在の流体圧力を感知する温度センサや圧力センサを備えてもよい。このようにして、汎用性のある流体流量測定アセンブリが実現する。感知された物理的流体特性との相互関係により、流体流量をさらに厳密に感知できる。
【0019】
本願発明に係るセンサ装置では、エネルギーの供給、または出力パラメータの読み出しや伝達を目的としてケーブル接続部を設ける必要がないので、本願発明に係る流体流量測定アセンブリは、複合工業プラント等のアクセスが困難な測定場所であっても安価に設置できる。
【0020】
パルスワイヤモジュールがトリガされると、比較的短いエネルギーパルスのみが生成される。そのため、本願発明の好ましい実施形態によれば、エネルギー発生器は、パルスワイヤモジュールに電気的に接続されて、エネルギーパルスの電気エネルギーを一時的に蓄積するエネルギー蓄積部を備える。励起磁界の特定の交流周波数から開始することで、センサ装置の構成部品への本質的で連続的なエネルギー供給が可能になる。さらに、エネルギーを蓄積することで、励起磁界が存在せず、したがってエネルギーが発生しない場合にも、例えば無線データインターフェースを介したセンサ装置の読み出し等の、センサ装置の短時間の動作が可能となる。エネルギーの蓄積は、典型的には、その蓄積容量が単一のエネルギーパルスの電気エネルギーより大きくなる構成とされる。よって、発生したエネルギーパルスの電気エネルギーの全体がセンサ装置の動作に必要でない限り、エネルギーを蓄積することで、単一のエネルギーパルスの電気エネルギーよりも大きい電気エネルギーを一時的に供給可能になる。エネルギー蓄積部は、例えば、安価なセラミックコンデンサとして構成できる。
【0021】
感知される物理的変数に応じて電気抵抗が変化する少なくとも1つの抵抗センサ素子を設けると特に有効である。抵抗センサ素子は容易で安価に実現可能であり、比較的少量の電気エネルギーで確実に機能する。例えば、抵抗センサ素子は、抵抗温度センサ、抵抗圧力センサ、または抵抗力センサでもよい。
【0022】
本願発明の有効な実施形態によれば、複数のセンサ素子が設けられ、各センサ素子は、異なる物理的変数を感知し、エネルギー発生器によって電気エネルギーが供給される構成とされる。このようなセンサ装置は、異なる物理的変数を感知し、特に評価中にそれらを相関させるために適しているため、厳密な評価が可能になる。結果として、エネルギー自給式で動作し、信頼性が高く汎用性のあるセンサ装置を実現できる。
【0023】
本願発明の好ましい実施形態によれば、無線データインターフェースは、変調の後方散乱の原理にしたがって動作する。つまり、無線データインターフェースは、それ自体は無線信号を生成せず、受信した無線信号を反射することで、通常は逆位相の弱め界磁によって信号を変調する。そのため、無線信号を能動的に発生させる場合と比較して、必要とされる電気エネルギーが実質的に少くて済む。なお、無線データインターフェースは、動作する際に外部エネルギーの供給を必要としないように、変調のために必要な電気エネルギーが入射電磁放射から生成されるように構成されることが特に好ましい。結果として、外部エネルギーの供給を受けることなく、または、外部エネルギーが供給されてもその量が比較的小さい中でデータの伝達を確実に行うことのできる、エネルギー効率のよい無線データインターフェースを実現できる。
【0024】
無線データインターフェースは、エネルギー発生器に電気的に接続されることが好ましい。無線データインターフェースは、エネルギー発生器に直接的に電気的に接続してもよいし、または、例えば、電圧変圧器またはセンサ装置の別の構成部品を介してエネルギー発生器に間接的に接続してもよい。いずれの場合にも、無線データインターフェースとエネルギー発生器との間のエネルギー伝達、すなわち電気エネルギーの伝達が可能になる。ここで、電気接続部は、双方向のエネルギー伝達が可能であるように、すなわち、エネルギー発生器から無線データインターフェースへの電気エネルギーの伝達と、無線データインターフェースからエネルギー発生器への電気エネルギーの伝達の両方が可能であるように構成されることが好ましい。無線データインターフェースにおいて、動作する際に必要となるよりも多くの電気エネルギーが生成されるように無線データインターフェースが構成される場合、このエネルギーは、エネルギー発生器に提供してもよく、したがって、センサ装置のエネルギー供給のために使用できる。無線データインターフェースが電気エネルギーを生成しない場合、または無線データインターフェースで生成された電気エネルギーが、動作する際に十分でない場合には、必要な電気エネルギーは、電気接続部を介してエネルギー生成器から無線データインターフェースに提供される。このようにして、無線データインターフェースは確実に機能するように保証されている。エネルギー発生器と無線データインターフェースとの間の電気的接続により、より信頼性が高く、エネルギー効率のよいセンサ装置を実現できる。
【0025】
データ接続部を介して評価ユニットに接続されるデータ記憶部が設けられると有効である。データ記憶部を設けることで、評価ユニットにて検出された出力パラメータを記憶できるため、出力パラメータを連続的に伝達しなくても、必要に応じて、まとめて読み出したり伝達したりすることが可能となる。ここでは、データ記憶部は、不揮発性データ記憶部、例えば、強誘電性記憶部として構成され、エネルギーの供給が中断した後でも、データの読み出しが可能な構成とされることが好ましい。このように構成することで、エネルギー効率がよく、信頼性のあるセンサ装置を実現できる。
【0026】
典型的に、センサ装置の励起磁石は、回転可能なシャフト上に配置される。ここで、本願発明の有効な実施形態によれば、評価ユニットは、パルスワイヤ素子のエネルギーパルスを評価することによって、シャフトの回転運動を感知する構成とされる。ここで、エネルギーパルスの評価は、一般に、エネルギーパルス情報の各種処理、特に発生したエネルギーパルスを単純に計数するものとして理解される。なお、エネルギーパルスの評価は、連続的に行ってもよいし、または、蓄積されたエネルギーパルスのパターンに基づいて遡及的に行ってもよい。典型的に、評価ユニットは、励起磁界の交流周波数を判定するために、パルスワイヤ要素のエネルギーパルスの時間経過を評価する。ここで、励起磁石は、励起磁界の現在の交流周波数が現在のシャフト回転速度に正比例するように、シャフト上に配置される。そのため、シャフトの回転運動を感知するために追加のセンサ素子を設ける必要がない。このように構成することで、汎用性があり、安価でエネルギー効率のよいセンサ装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願発明に係る流体流量測定アセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本願発明に係るセンサ装置を備えた、本願発明に係る流体流量測定アセンブリの例示的な実施形態を、本願発明に係るセンサ装置を備えた、本願発明に係る流体流量測定アセンブリの概略図を示す添付の
図1に基づいて説明する。
【0029】
添付の
図1には、センサ装置12およびシャフト14を有する流体流量測定アセンブリ10が示されている。シャフト14は、共に回転するようにインペラ16に接続され、インペラ16は、流体が流れる流体チャネル18内に配置されている。インペラ16は、流体チャンネル18を流れる流体によってシャフト14と共に回転駆動される構成とされる。
【0030】
センサ装置12には、永久磁石である励起磁石20が設けられる。励起磁石20は、シャフト14と共に回転するように、インペラ16と対向して離れる方向の、シャフト14の端部に締結される。励起磁石20は、シャフト14の回転により、交流励起磁界を発生するように構成および配置されている。
【0031】
さらに、センサ装置12には、パルスワイヤモジュール24およびエネルギー蓄積部26を有するエネルギー発生器22が設けられる。エネルギー蓄積部26は、パルスワイヤモジュール24に電気的に接続されていて、例えば単純なコンデンサにて構成できる。交流励起磁界により、パルスワイヤモジュール24のパルスワイヤ28(ウィーガンドワイヤ)の磁化方向が連続的に変化し、この磁化方向の各変化に伴って、パルスワイヤ28を径方向に囲むコイルアセンブリ30内に電気エネルギーパルスが生成される。例示的な本実施形態では、エネルギー蓄積部26は、生成されたエネルギーパルスの電気エネルギーで充電される。生成された電気エネルギーは、エネルギー蓄積部26に一時的に蓄積される。ここで、エネルギー蓄積部26は、その蓄積容量が単一のエネルギーパルスの電気エネルギーよりも大きくなる構成とされる。
【0032】
例示的な本実施形態において、センサ装置12は、流体チャネル18を通って流れる流体の物理的特性を感知するために、流体チャネル18内に配置された2つのセンサ素子32,34を備える。2つのセンサ素子32,34は、エネルギーの供給を目的としてエネルギー蓄積部22にそれぞれ電気的に接続される。エネルギー発生器22は、2つのセンサ素子32,34に対して、それぞれが動作するために必要な電気エネルギーの全体を供給する。
【0033】
例示的な本実施形態において、第1センサ素子32は、温度に応じてその電気抵抗が変化する抵抗温度センサである。したがって、例示的な本実施形態では、一定の電気電圧が印加されると、第1センサ素子32は、感知された温度に比例する電流強度を有する温度センサ信号を出力する。あるいは、第1センサ素子32に一定の電流を供給することも可能であり、その場合、温度センサ信号の電気電圧は、感知された温度に比例する。
【0034】
例示的な本実施形態において、第2センサ素子34は、周囲の圧力に応じてその電気抵抗が変化する抵抗圧力センサである。したがって、例示的な本実施形態では、一定の電圧が印加されると、第2センサ素子34は、感知された周囲の圧力に比例する電流強度を有する圧力センサ信号を出力するか、または、一定の電流が供給されると、感知した周囲の圧力に比例した電圧を有する圧力センサ信号を出力する。
【0035】
センサ装置12には、評価ユニット36がさらに設けられる。評価ユニット36は、エネルギーの供給を目的としてエネルギー発生器22に電気的に接続され、評価ユニット36のエネルギー発生器22は、動作するために必要なエネルギーの全体を提供する。評価ユニット36は、センサ信号の伝達を目的として、2つのセンサ素子32,34にそれぞれ電気的に接続されるか、あるいは、各種データインターフェースを介してセンサ素子32,34に接続される。評価ユニット36は、2つのセンサ素子32,34が受信したセンサ信号を評価し、対応する出力パラメータを判定して提供する構成とされる。さらに、例示的な本実施形態において、評価ユニット36は、エネルギー発生器22のパルスワイヤ要素24で生成されたエネルギーパルスの時間経過を評価し、それにより、シャフト14の現在の回転速度や現在の回転角度を判定して提供する構成とされる。
【0036】
さらに、センサ装置12には、エネルギー発生器22に電気的に接続される無線データインターフェース38が設けられる。無線データインターフェース38は、データ接続部を介して評価ユニット36に接続される。このデータ接続部は、好ましくは、単純な電気接続部として構成される。無線データインターフェースを設けることで、評価ユニット36によって判定された出力パラメータを、例えば、対応する受信インターフェースを有する外部EPDシステム(図示せず)に無線伝達可能になる。例示的な本実施形態において、無線データインターフェース38は、変調後の方散乱の原理、例えば、既知の「LoRa後方散乱」の仕様にしたがって動作する。ここで、無線データインターフェース38を動作させるために必要となる電気エネルギーは、理想的には完全に、受信した電磁放射から生成される。このような理想的なケースでは、無線データインターフェース38を動作させるために、エネルギー発生器22から無線データインターフェース38に電気エネルギーを供給する必要はなく、むしろ、無線データインターフェース38は、その動作に必要とされるよりも多くの電気エネルギーを発生させた場合に、エネルギー発生器22に対して電気エネルギーを供給できる。一方で、無線データインターフェース38において生成された電気エネルギーが、無線データインターフェース38を動作させるために十分でない場合、不足している電気エネルギーをエネルギー発生器22から無線データインターフェース38に提供することも可能である。
【0037】
例示的な本実施形態において、センサ装置12は、データ記憶部40をさらに備える。データ記憶部40は、エネルギーの供給を目的としてエネルギー発生器22に電気的に接続され、エネルギー発生器22は、データ記憶部40に対して、動作するために必要な電気エネルギーの全体を供給する。データ記憶部40は、不揮発性の強誘電性データ記憶部として構成されることが好ましい。データ記憶部40は、データ接続部、好ましくは単純な電気接続部を介して評価ユニット36に接続され、例えば、評価ユニット36にて判定された出力パラメータを記憶する構成とされる。
【符号の説明】
【0038】
10 流体流量測定アセンブリ
12 センサ装置
14 シャフト
16 インペラ
18 流体チャネル
20 励起磁石
22 エネルギー発生器
24 パルスワイヤモジュール
26 エネルギー蓄積部
28 パルスワイヤ
30 コイルアセンブリ
32 第1センサ素子
34 第2センサ素子
36 評価ユニット
38 無線データインターフェース
40 データ記憶部
【国際調査報告】