(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-24
(54)【発明の名称】同軸マルチカラーLEDのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20220817BHJP
H01L 33/42 20100101ALI20220817BHJP
H01L 33/46 20100101ALI20220817BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20220817BHJP
H01L 33/30 20100101ALI20220817BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
H01L33/08
H01L33/42
H01L33/46
H01L33/32
H01L33/30
G09F9/33
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573780
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-03
(86)【国際出願番号】 US2020038337
(87)【国際公開番号】W WO2020257391
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520510771
【氏名又は名称】ジェイド バード ディスプレイ(シャンハイ) リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521542306
【氏名又は名称】リ,キミン
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】リ,キミン
(72)【発明者】
【氏名】スー,クンチャオ
【テーマコード(参考)】
5C094
5F241
【Fターム(参考)】
5C094AA22
5C094AA43
5C094BA25
5C094DB01
5C094EA04
5C094EB02
5C094FB12
5C094GB01
5C094HA10
5C094JA08
5F241AA42
5F241AA43
5F241CA12
5F241CA34
5F241CA40
5F241CA74
5F241CA77
5F241CA93
5F241CB22
5F241CB33
5F241FF06
(57)【要約】
微小マルチカラーLEDデバイスは、様々な色を発する2つ以上のLED構造を含む。2つ以上のLED構造は垂直に積層されて、2つ以上のLED構造からの光を結合する。幾つかの実施形態では、各LED構造はピクセル駆動回路及び共通P電極に接続される。LED構造は、接合層を通して一緒に接合される。幾つかの実施形態では、反射層がデバイスで実施されて、LED放射効率を改善する。微小三色LEDデバイスのアレイを含むディスプレイパネルは、高い解像度及び高い照明輝度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネル用の単一ピクセルマルチカラー微小発光ダイオード(LED)デバイスであって、
基板と、
前記基板の上部に積層される第1のLED構造層、及び前記第1のLED構造層の上部に積層される第2のLED構造層を含む、2つ以上のLED構造層と、を含み、
前記第1のLED構造層及び前記第2のLED構造層は互いと横方向に実質的に重複して、前記第1のLED構造層から発せられた光及び前記第2のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項2】
前記2つ以上のLED構造層は、
前記第2のLED構造層の上部に積層される第3のLED構造層を更に含み、
前記第3のLED構造層は前記第1のLED構造層及び前記第2のLED構造層と横方向に実質的に重複して、前記第3のLED構造層から発せられた光を更に結合する前記光路を形成する、請求項1に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項3】
前記基板と前記第1のLED構造層との間の第1の接合層と、
前記第1のLED構造層と前記第2のLED構造層との間の第2の接合層と、
前記第2のLED構造層と前記第3のLED構造層との間の第3の接合層と、
を更に含む、請求項2に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項4】
前記第1の接合層は約0.1μmから約3μmであり、
前記第2の接合層は約0.1μmから約5μmであり、
前記第3の接合層は約0.1μmから約5μmであり、
前記第2及び第3の接合層は透明である、請求項3に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項5】
前記基板はピクセル駆動回路を支持し、前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々は前記ピクセル駆動回路に電気的に接続される、請求項2~4の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項6】
前記ピクセル駆動回路は、薄膜トランジスタピクセル駆動回路又はシリコンCMOS駆動回路を含む、請求項5に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項7】
前記基板と前記第1のLED構造層との間の第1の反射層と、
前記第1のLED構造層と前記第2のLED構造層との間の第2の反射層と、
前記第2のLED構造層と前記第3のLED構造層との間の第3の反射層と、
を更に含む、請求項2~6の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項8】
前記第1、第2、及び第3の反射層の少なくとも1つは分布ブラッグ反射器(DBR)構造を有し、
前記第1、第2、及び第3の反射層の各々は約0.1μmから約5μmである、請求項7に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項9】
前記第1のLED構造層から発せられた第1の光は、前記第2のLED構造層及び前記第3のLED構造層を通って伝播し、
前記第2のLED構造層から発せられた第2の光は、前記第3のLED構造層を通って伝播する、請求項2~8の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項10】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々は、
前記LED構造層の各々内のLEDを形成するエピタキシャル構造と、
前記LEDの下部に電気的に接続された下部導電層と、
前記LEDの上部に電気的に接続された上部導電層と、
を含み、
前記下部導電層は前記ピクセル駆動回路にも電気的に接続され、前記上部導電層は共通電極にも電気的に接続される、請求項5~9の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項11】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記エピタキシャル構造は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造からなる群からの1つ又は複数の構造から選択される、請求項10に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項12】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記下部導電層及び前記上部導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)層を含み、前記ITO層の各々は約0.01μmから約1μmである、請求項10又は11に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項13】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記下部導電層に電気的に接続されたアノード金属接点パッドと、
前記第1のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続された第1のカソード金属接点パッドと、
前記第2のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続された第2のカソード金属接点パッドと、
前記第3のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続された第3のカソード金属接点パッドと、
を更に含む、請求項10~12の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項14】
前記アノード及びカソード金属接点パッドは、アルミニウム、銀、ロジウム、亜鉛、金、ゲルマニウム、ニッケル、クロム、白金、スズ、銅、タングステン、インジウムスズ酸化物、パラジウム、インジウム、及びチタンからなる群から選択される1つ又は複数の金属を含む、請求項13に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項15】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記エピタキシャル構造は、約0.3μmから約5μmである、請求項10~14の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項16】
異なるLED構造層の前記LEDは、異なる波長の光を生成する、請求項10~15の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項17】
異なるLED構造層の前記LEDは、異なる可視波長の光を生成する、請求項10~16の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項18】
異なるLED構造層の前記LEDは、紫外線、青、緑、橙、赤、又は赤外線微小LEDである、請求項10~17の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項19】
前記第1のLED構造層は赤色光LEDを形成し、
前記第2のLED構造層は緑色光LEDを形成し、
前記第3のLED構造層は青色光LEDを形成する、請求項2~18の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項20】
前記単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの最長寸法は、約1μmから約500μmである、請求項1~19の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項21】
前記単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、最長横方向寸法を有する下層と、最短横方向寸法を有する上層とを有するピラミッドの断面形を有する、請求項1~20の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項22】
前記単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、20%以上の外部量子効率を有する、請求項1~21の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項23】
微小LEDディスプレイチップであって、
ピクセル駆動回路のアレイを支持する基板と、
単一ピクセルマルチカラー微小発光ダイオード(LED)デバイスのアレイと、
を含み、
前記単一ピクセルマルチカラーLEDデバイスの各々は、
前記基板及びピクセル駆動回路の上部に積層される2つ以上のLED構造層であって、隣接する前記LED構造層間に接合層があり、前記LED構造層の各々は、一色の光を生成するように構成された微小LEDを形成するエピタキシャル構造を更に含む、2つ以上のLED構造層を含み、
前記単一ピクセルマルチカラーLEDのアレイは、前記ピクセル駆動回路のアレイ及び共通電極に電気的に接続され、
前記2つ以上のLED構造層は、互いと横方向に重複して、一緒に直接積層された前記微小LEDを通る光伝播路を形成し、
異なるLED構造層の前記微小LEDは、異なる波長の光を生成する、微小LEDディスプレイチップ。
【請求項24】
前記共通電極は、同じ色を生成する同じLED構造層内の前記微小LEDの全てに別個の共通電極構造を含む、請求項23に記載の微小LEDディスプレイチップ。
【請求項25】
ディスプレイパネル用の単一ピクセル三色微小発光ダイオード(LED)デバイスを作製する方法であって、
基板を提供することと、
前記基板の上部に積層される第1のLED構造層を作製することと、
前記第1のLED構造層の上部に積層される第2のLED構造層を作製することと、
前記第2のLED構造層の上部に積層される第3のLED構造層を作製することと、
を含み、
前記第1のLED構造層、前記第2のLED構造層、及び前記第3のLED構造層は、横方向に互いと実質的に重複して、前記第1のLED構造層、前記第2のLED構造層、及び前記第3のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項26】
第1の接合層により前記基板及び前記第1のLED構造層を一緒に接合することと、
第2の接合層により前記第1のLED構造層及び前記第2のLED構造層を一緒に接合することと、
第3の接合層により前記第2のLED構造層及び前記第3のLED構造層を一緒に接合することと、
を更に含む請求項25に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項27】
前記第1の接合層は、Au-Au接合、Au-Sn接合、Au-In接合、Ti-Ti接合、及びCu-Cu接合からなる群から選択される1つ又は複数の接合構造を含む、請求項26に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項28】
前記第2の接合層及び前記第3の接合層の各々は、透明プラスチック(樹脂)、SiO2、スピンオンガラス(SOG)、及び接合接着剤Micro Resist BCL-1200からなる群から選択される1つ又は複数の接合材料を含む、請求項26又は27に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項29】
前記第1の接合層は約0.1μmから約3μmであり、
前記第2の接合層は約0.1μmから約5μmであり、
前記第3の接合層は約0.1μmから約5μmであり、
前記第2及び第3の接合層は透明である、請求項26~28の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項30】
前記基板及び前記第1のLED構造層の接合前、前記第1のLED構造層に第1の反射層を成膜することと、
前記第1のLED構造層及び前記第2のLED構造層を接合する前、前記第1のLED構造層上に第2の反射層を成膜することと、
前記第2のLED構造層及び前記第3のLED構造層を接合する前、前記第2のLED構造層上に第3の反射層を成膜することと、
を更に含む、請求項26~29の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項31】
前記第1、前記第2、及び前記第3の反射層の各々の分布ブラッグ反射器(DBR)構造を形成することを更に含み、
前記第1、前記第2、及び前記第3の反射層の各々は約0.1μmから約5μmである、請求項30に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項32】
前記基板はピクセル駆動回路を支持し、前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々は前記ピクセル駆動回路に電気的に接続される、請求項25~31の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項33】
エピタキシャル構造を含む前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々について、
前記エピタキシャル構造をパターニングして、前記LED構造層の各々内にLEDを形成することと、
前記LEDの下部に電気的に接続する下部導電層を成膜することと、
前記LEDの上部に電気的に接続する上部導電層を成膜することと、
を更に含み、
前記下部導電層は前記ピクセル駆動回路にも電気的に接続され、前記上部導電層は共通電極にも電気的に接続される、請求項32に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項34】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記エピタキシャル構造は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造からなる群からの1つ又は複数の構造から選択される、請求項33に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項35】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記下部導電層及び前記上部導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)層を含み、前記ITO層の各々は約0.01μmから約1μmである、請求項33又は34に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項36】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記下部導電層に電気的に接続するアノード金属接点パッドを成膜することと、
前記第1のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続する第1のカソード金属接点パッドを成膜することと、
前記第2のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続する第2のカソード金属接点パッドを成膜することと、
前記第3のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続する第3のカソード金属接点パッドを成膜することと、
を更に含む、請求項32~35の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項37】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記エピタキシャル構造は、約0.3μmから約5μmである、請求項33~36の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項38】
異なるLED構造層の前記LEDは、異なる波長の光を生成する、請求項33~37の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項39】
異なるLED構造層の前記LEDは、異なる可視波長の光を生成する、請求項33~38の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項40】
異なるLED構造層の前記LEDは、紫外線、青、緑、橙、赤、又は赤外線微小LEDである、請求項33~39の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【請求項41】
前記第1のLED構造層をパターニングして赤色光LEDを形成することと、
前記第2のLED構造層をパターニングして緑色光LEDを形成することと、
前記第3のLED構造層をパターニングして青色光LEDを形成することと、
を更に含む、請求項25~40の何れか一項に記載の単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
[0001] 本願は、2019年6月19日に出願された「Systems and Methods for Coaxial Multi-Color LED」と題する米国仮特許出願第62/863,559号への優先権を主張し、これらの各々は参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
[0002] 本開示は、一般的には発光ダイオード(LED)表示デバイスに関し、より詳細には、高輝度及びマイクロメートルスケールピクセルサイズを有する、異なる色を発するLED半導体デバイスのシステム及び作製方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] 近年の小型LED及び微小LED技術の開発に伴い、拡張現実(AR)、プロジェクション、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、モバイルデバイスディスプレイ、ウェアラブルデバイスディスプレイ、及び自動車ディスプレイ等の消費者デバイス及び用途では、解像度及び輝度が改善されたLEDパネルが必要とされている。例えば、ゴーグル内に統合され、着用者の目の近くに位置するARディスプレイは、HD精細(1280×720ピクセル)以上をなお必要としながら、爪ほどの大きさを有し得る。多くの電子デバイスは、LEDパネルに対して特定のピクセルサイズ、隣接ピクセル間距離、輝度、及び視野角を必要とする。多くの場合、最大解像度及び輝度を小さなディスプレイで達成しようとする場合、解像度要件及び輝度要件の両方を維持することは難問である。逆に、場合によっては、ピクセルサイズ及び輝度は概ね逆の関係を有し得るため、これらを同時にバランスさせることは難しい。例えば、各ピクセルに高輝度を得ると、解像度は低くなり得る。代替的には、高解像度を得ると、輝度が下がり得る。
【0004】
[0004] 一般に、少なくとも赤、緑、及び青の色が重ねられて、広範囲の色を再現する。場合によっては、ピクセルエリア内に少なくとも赤、緑、及び青の色を含むために、別個の単色LEDがピクセルエリア内の異なる非重複ゾーンに作製される。既存の技術は、隣接LED間の距離が決められている場合、各ピクセル内の有効照明エリアを改善するという難問に直面している。他方、1つのLED照明エリアが決められる場合、異なる色を有するLEDは1つのピクセル内のそれらの指定ゾーンを占める必要があるため、LEDパネルの全体解像度を更に改善することは難しい作業であり得る。
【0005】
[0005] 薄膜トランジスタ(TFT)技術と組み合わせたアクティブマトリックス液晶ディスプレイ(LCD)及び有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイは、今日の商用電子デバイスでますます人気になりつつある。これらのディスプレイは、ラップトップパーソナルコンピュータ、スマートフォン、及び個人情報端末で広く使用されている。数百万ものピクセルが一緒になって画像をディスプレイ上に作り出す。TFTは各ピクセルを個々にオンオフして、ピクセルを明るく又は暗くするスイッチとして作用し、各ピクセル及びディスプレイ全体の好都合で効率的な制御を可能にする。
【0006】
[0006] しかしながら、従来のLCDディスプレイには光効率が低いという欠点があり、消費電力が高くなり、電池の動作時間が制限されることになる。アクティブマトリックス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイパネルは一般にLCDパネルよりも消費電力が低いが、AMOLEDディスプレイパネルはそれでもなお、電池動作式デバイスでは大きな電力消費者である。電池寿命を延ばすために、ディスプレイパネルの消費電力を下げることが望ましい。
【0007】
[0007] 従来の無機半導体発光ダイオード(LED)は、優れた光効率を示してきており、それにより、アクティブマトリックスLEDディスプレイは電池動作式電子機器に対してより望ましいものになっている。駆動回路のアレイ及び発光ダイオード(LED)を使用して数百万ものピクセルを制御し、画像をディスプレイ上に表示する。単色ディスプレイパネル及びフルカラーディスプレイパネルは両方とも、多種多様な作製法に従って製造することができる。
【0008】
[0008] しかしながら、ピクセル駆動回路アレイを有する数千、更には数百万もの微小LEDを集積することはかなり難しい。種々の作製法が提案されてきている。一手法では、制御回路が1つの基板上に作製され、LEDは別個の基板上に作製される。LEDは中間基板に移され、元の基板は除去される。次に、中間基板上のLEDは一度に1つ又は数個ずつ、制御回路を有する基板上にピックアンドプレースされる。しかしながら、この作製プロセスは非効率であり、コストがかかり、且つ信頼性が低い。加えて、微小LEDを大量に移送する既存の製造ツールは存在しない。したがって、新しいツールが開発される必要がある。
【0009】
[0009] 別手法では、元の基板を有するLEDアレイ全体が制御回路に位置合わせされ、金属接合を使用して制御回路に接合される。LEDが作製された基板は最終製品に残り、光クロストークの原因となり得る。さらに、2つの異なる基板間の熱的不整合が、接合境界面に応力を生じさせ、信頼性の問題を生じさせる恐れがある。さらに、マルチカラーンディスプレイパネルでは通常、単色ディスプレイパネルと比較して多くのLED及び異なる色のLEDを異なる基板材料上に成長させる必要があり、それ故、従来の製造プロセスを更に複雑且つ非効率にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
[0010] したがって、特に上記欠点に対処するディスプレイパネル用のLED構造を提供することが望ましい。
【0011】
概要
[0011] 上記等の従来のディスプレイシステムの欠点を改善し、対処するのに役立つ改良されたマルチカラーLEDが必要とされる。特に、低消費電力を効率的に維持しながら、輝度及び解像度を同時に改善することができるLEDデバイス構造が必要とされる。本明細書に記載のマルチカラーLEDデバイスは、デバイス構造の異なる層に配置することによって垂直に積層され、制御電流の受け取りに同じ電極の1つを利用する少なくとも3つのLED構造を集積する。本明細書に開示するように1軸に沿って位置合わせされた少なくとも3つのLED構造を配置することにより、システムは、1つのピクセルエリア内の光照明効率を効率的に強化し、それと同時に、LEDパネルの解像度を改善する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
[0012] ピッチとは、ディスプレイパネル上の隣接ピクセルの中心間距離を指す。幾つかの実施形態では、ピッチは約20μmから、約10μmから、及び/又は好ましくは約5μm以下から約40μmまで様々であることができる。ピッチ低減に多くの尽力がなされてきた。ピッチ仕様が決定される場合、1つのピクセルエリアは固定される。
【0013】
[0013] 本明細書に記載のマルチカラー同軸LEDシステムは、異なる色を有するLED構造を収容するための追加のエリアを使用せずに、1つのピクセルエリアから異なる色の組合せを有する光を発せられるようにする。したがって、1つのピクセルのフットプリントは大きく低下し、微小LEDパネルの解像度を改善することができる。一方、1つの微小LEDデバイス境界からの異なる色の光の濃度は、1つのピクセルエリア内の輝度を大幅に強化する。
【0014】
[0014] 非効率的なピックアンドプレースプロセス又は信頼性の低い複数基板手法に頼る微小LEDディスプレイチップの従来の作製プロセスと比較して、本明細書に開示するマルチカラー微小LED作製プロセスは、微小LEDデバイス作製の効率及び信頼性を効果的に増大させる。例えば、本LED構造は、中間基板を導入することなくピクセル駆動回路を有する基板に直接接合することができる。加えて、微小LED構造の基板がないことは最終的なマルチカラーデバイスまで続き、それにより、クロストーク及び不整合を低減することができる。
【0015】
[0015] 本明細書に記載のマルチカラー微小LEDデバイスは、輝度及び解像度を同時に改善することができ、近代のディスプレイパネル、特に高精細ARデバイス及び仮想現実(VR)眼鏡に適する。
【0016】
[0016] 一実施形態では、ディスプレイパネル用の単一ピクセルマルチカラー微小発光ダイオード(LED)デバイスは、基板と、2つ以上のLED構造層とを含み、2つ以上のLED構造層は、基板の上部に積層された第1のLED構造層と、第1のLED構造層の上部に積層された第2のLED構造層とを含む。幾つかの場合、第1のLED構造層及び第2のLED構造層は互いと横方向に実質的に重複して、第1のLED構造層から発せられた光及び第2のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する。
【0017】
[0017] 幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの2つ以上のLED構造層は、第2のLED構造層の上部に積層される第3のLED構造層を更に含む。幾つかの場合、第3のLED構造層は第1のLED構造層及び第2のLED構造層と横方向に実質的に重複して、第3のLED構造層から発せられた光を更に結合する光路を形成する。
【0018】
[0018] 幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、基板と第1のLED構造層との間の第1の接合層と、第1のLED構造層と第2のLED構造層との間の第2の接合層と、第2のLED構造層と第3のLED構造層との間の第3の接合層とを更に含む。
【0019】
[0019] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1の接合層は約0.1μmから約3μmであり、第2の接合層は約0.1μmから約5μmであり、第3の接合層は約0.1μmから約5μmである。幾つかの実施形態では、第2及び第3の接合層は透明である。
【0020】
[0020] 幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの基板はピクセル駆動回路を支持し、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々はピクセル駆動回路に電気的に接続される。
【0021】
[0021] 幾つかの実施形態では、ピクセル駆動回路は、薄膜トランジスタピクセル駆動回路又はシリコンCMOS駆動回路を含む。
【0022】
[0022] 幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、基板と第1のLED構造層との間の第1の反射層と、第1のLED構造層と第2のLED構造層との間の第2の反射層と、第2のLED構造層と第3のLED構造層との間の第3の反射層とを更に含む。
【0023】
[0023] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3の反射層の少なくとも1つは分布ブラッグ反射器(DBR)構造を有し、第1、第2、及び第3の反射層の各々は約0.1μmから約5μmである。
【0024】
[0024] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1のLED構造層から発せられた第1の光は、第2のLED構造層及び第3のLED構造層を通って伝播し、第2のLED構造層から発せられた第2の光は、第3のLED構造層を通って伝播する。
【0025】
[0025] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々は、LED構造層の各々内のLEDを形成するエピタキシャル構造と、LEDの下部に電気的に接続された下部導電層と、LEDの上部に電気的に接続された上部導電層とを含む。幾つかの場合、下部導電層はピクセル駆動回路にも電気的に接続され、上部導電層は共通電極にも電気的に接続される。
【0026】
[0026] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々のエピタキシャル構造は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造からなる群からの1つ又は複数の構造から選択される。
【0027】
[0027] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の下部導電層及び上部導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)層を含み、ITO層の各々は約0.01μmから約1μmである。
【0028】
[0028] 幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の下部導電層に電気的に接続されたアノード金属接点パッドと、第1のLED構造層の上部導電層に電気的に接続された第1のカソード金属接点パッドと、第2のLED構造層の上部導電層に電気的に接続された第2のカソード金属接点パッドと、第3のLED構造層の上部導電層に電気的に接続された第3のカソード金属接点パッドとを更に含む。
【0029】
[0029] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、アノード及びカソード金属接点パッドは、アルミニウム、銀、ロジウム、亜鉛、金、ゲルマニウム、ニッケル、クロム、白金、スズ、銅、タングステン、インジウムスズ酸化物、パラジウム、インジウム、及びチタンからなる群から選択される1つ又は複数の金属を含む。
【0030】
[0030] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々のエピタキシャル構造は、約0.3μmから約5μmである。
【0031】
[0031] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、異なるLED構造層のLEDは、異なる波長の光を生成する。
【0032】
[0032] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、異なるLED構造層のLEDは、異なる可視波長の光を生成する。
【0033】
[0033] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、異なるLED構造層のLEDは、紫外線、青、緑、橙、赤、又は赤外線微小LEDである。
【0034】
[0034] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、第1のLED構造層は赤色光LEDを形成し、第2のLED構造層は緑色光LEDを形成し、第3のLED構造層は青色光LEDを形成する。
【0035】
[0035] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの最長寸法は、約1μmから約500μmである。
【0036】
[0036] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、最長横方向寸法を有する下層と、最短横方向寸法を有する上層とを有するピラミッドの断面形を有する。
【0037】
[0037] 単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの幾つかの実施形態では、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、20%以上の外部量子効率を有する。
【0038】
[0038] 別の実施形態では、微小LEDディスプレイチップは、ピクセル駆動回路のアレイを支持する基板と、単一ピクセルマルチカラー微小発光ダイオード(LED)デバイスのアレイとを含み、単一ピクセルマルチカラーLEDデバイスの各々は、基板及びピクセル駆動回路の上部に積層される2つ以上のLED構造層であって、隣接するLED構造層間に接合層があり、LED構造層の各々は、一色の光を生成するように構成された微小LEDを形成するエピタキシャル構造を更に含む、2つ以上のLED構造層を含む。幾つかの場合、単一ピクセルマルチカラーLEDのアレイは、ピクセル駆動回路のアレイ及び共通電極に電気的に接続され、2つ以上のLED構造層は、互いと横方向に重複して、一緒に直接積層された微小LEDを通る光伝播路を形成し、異なるLED構造層の微小LEDは、異なる波長の光を生成する。
【0039】
[0039] 微小LEDディスプレイチップの幾つかの実施形態では、共通電極は、同じ色を生成する同じLED構造層内の微小LEDの全てに別個の共通電極構造を含む。
【0040】
[0040] 更に別の実施形態では、ディスプレイパネル用の単一ピクセル三色微小発光ダイオード(LED)デバイスを作製する方法は、基板を提供することと、基板の上部に積層される第1のLED構造層を作製することと、第1のLED構造層の上部に積層される第2のLED構造層を作製することと、第2のLED構造層の上部に積層される第3のLED構造層を作製することとを含む。幾つかの場合、第1のLED構造層、第2のLED構造層、及び第3のLED構造層は、横方向に互いと実質的に重複して、第1のLED構造層、第2のLED構造層、及び第3のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する。
【0041】
[0041] 幾つかの実施形態では、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法は、第1の接合層により基板及び第1のLED構造層を一緒に接合することと、第2の接合層により第1のLED構造層及び第2のLED構造層を一緒に接合することと、第3の接合層により第2のLED構造層及び第3のLED構造層を一緒に接合することとを更に含む。
【0042】
[0042] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、第1の接合層は、Au-Au接合、Au-Sn接合、Au-In接合、Ti-Ti接合、及びCu-Cu接合からなる群から選択される1つ又は複数の接合構造を含む。
【0043】
[0043] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、第2の接合層及び第3の接合層の各々は、透明プラスチック(樹脂)、SiO2、スピンオンガラス(SOG)、及び接合接着剤Micro Resist BCL-1200からなる群から選択される1つ又は複数の接合材料を含む。
【0044】
[0044] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、第1の接合層は約0.1μmから約3μmであり、第2の接合層は約0.1μmから約5μmであり、第3の接合層は約0.1μmから約5μmである。幾つかの場合、第2及び第3の接合層は透明である。
【0045】
[0045] 幾つかの実施形態では、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法は、基板及び第1のLED構造層の接合前、第1のLED構造層上に第1の反射層を成膜することと、第1のLED構造層及び第2のLED構造層を接合する前、第1のLED構造層上に第2の反射層を成膜することと、第2のLED構造層及び第3のLED構造層を接合する前、第2のLED構造層上に第3の反射層を成膜することとを更に含む。
【0046】
[0046] 幾つかの実施形態では、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法は、第1、第2、及び第3の反射層の各々の分布ブラッグ反射器(DBR)構造を形成することを更に含む。幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3の反射層の各々は約0.1μmから約5μmである。
【0047】
[0047] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、基板はピクセル駆動回路を支持し、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々はピクセル駆動回路に電気的に接続される。
【0048】
[0048] 幾つかの実施形態では、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法は、エピタキシャル構造を含む第1、第2、及び第3のLED構造層の各々について、エピタキシャル構造をパターニングして、LED構造層の各々内にLEDを形成することと、LEDの下部に電気的に接続する下部導電層を成膜することと、LEDの上部に電気的に接続する上部導電層を成膜することとを更に含む。幾つかの場合、下部導電層はピクセル駆動回路にも電気的に接続され、上部導電層は共通電極にも電気的に接続される。
【0049】
[0049] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々のエピタキシャル構造は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造からなる群からの1つ又は複数の構造から選択される。
【0050】
[0050] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の下部導電層及び上部導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)層を含み、ITO層の各々は約0.01μmから約1μmである。
【0051】
[0051] 幾つかの実施形態では、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法は、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の下部導電層に電気的に接続するアノード金属接点パッドを成膜することと、第1のLED構造層の上部導電層に電気的に接続する第1のカソード金属接点パッドを成膜することと、第2のLED構造層の上部導電層に電気的に接続する第2のカソード金属接点パッドを成膜することと、第3のLED構造層の上部導電層に電気的に接続する第3のカソード金属接点パッドを成膜することとを更に含む。
【0052】
[0052] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々のエピタキシャル構造は、約0.3μmから約5μmである。
【0053】
[0053] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、異なるLED構造層のLEDは、異なる波長の光を生成する。
【0054】
[0054] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、異なるLED構造層のLEDは、異なる可視波長の光を生成する。
【0055】
[0055] 単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法の幾つかの実施形態では、異なるLED構造層のLEDは、紫外線、青、緑、橙、赤、又は赤外線微小LEDである。
【0056】
[0056] 幾つかの実施形態では、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法は、第1のLED構造層をパターニングして赤色光LEDを形成することと、第2のLED構造層をパターニングして緑色光LEDを形成することと、第3のLED構造層をパターニングして青色光LEDを形成することとを更に含む。
【0057】
[0057] 本明細書に開示されるマルチカラーLEDデバイス及びシステムのコンパクトな設計は、発光LED構造の横方向重複を利用し、それにより、LEDディスプレイシステムの発光効率、解像度、及び全体性能を改善する。さらに、マルチカラーLEDディスプレイシステムの作製は、追加の基板を使用又は保持することなく、LED構造パターンを確実且つ効率的に形成することができる。したがって、マルチカラーLEDディスプレイシステムの実施は、従来のLEDの使用と比較して、AR及びVR、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、モバイルデバイスディスプレイ、ウェアラブルデバイスディスプレイ、高精細小型プロジェクタ、及び自動車ディスプレイの厳しいディスプレイ要件を満たすことができる。
【0058】
[0058] なお、上述した種々の実施形態は、本明細書に記載の任意の他の実施形態と組み合わせることができる。本明細書に記載の特徴及び利点は全てを包含するものではなく、特に、多くの追加の特徴及び利点が、図面、明細書、及び特許請求の範囲に鑑みて当業者に明らかになろう。さらに、本明細書で使用される用語が主に、読みやすさ及び教示目的で選択されており、本発明の趣旨の線引き又は制限のために選択されていないことがあることに留意されたい。
【0059】
図面の簡単な説明
[0059] 本開示を更に詳細に理解することができるように、幾つかを添付図面に示す種々の実施形態の特徴を参照することにより、より具体的な説明を行い得る。しかしながら、添付図面は単に本開示の関連する特徴を示すだけであり、したがって、限定ではなく説明と見なされるべきであり、他の有効な特徴を認め得る。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】[0060]幾つかの実施形態による単一ピクセル三色同軸LEDデバイス100の断面図である。
【
図2A】[0061]幾つかの実施形態による三色同軸LEDデバイスを形成する多層構造200の断面図である。
【
図2B】[0062]幾つかの実施形態による、作製プロセス後の三色同軸LEDデバイス250の断面図である。
【
図3】[0063]幾つかの実施形態による三色LEDデバイス300の行列を示す回路図である。
【
図4】[0064]幾つかの実施形態による三色同軸LEDデバイスを作製する方法400を示す流れ図である。
【
図5】[0065]幾つかの実施形態による微小LEDディスプレイパネル500の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
[0066] 一般的な実施によれば、図面に示す種々の特徴は一定の比率で描かれているわけではない。したがって、種々の特徴の寸法は、明確にするために任意に拡大又は縮小されていることがある。加えて、図面によっては、所与のシステム、方法、又はデバイスの構成要素を全ては示していないものがある。最後に、同様の参照番号は、本明細書及び図全体を通して同様の特徴を示すのに使用し得る。
【0062】
詳細な説明
[0067] 添付図面に示す実施形態例を完全に理解するために、多くの詳細が本明細書に記載される。しかしながら、幾つかの実施形態は、具体的な多くの詳細なしで実施し得、特許請求の範囲は、特許請求の範囲に特に記載される特徴及び態様によってのみ限定される。さらに、本明細書に記載の実施形態の関連する態様を不必要に曖昧にしないように、周知のプロセス、構成要素、及び材料については精緻に詳述していない。
【0063】
[0068]
図1は、幾つかの実施形態による単一ピクセル三色同軸LEDデバイス100の断面図である。幾つかの実施形態では、三色同軸LEDデバイス100は基板102を含む。便宜上、「アップ」は基板102から離れることを意味し、「ダウン」は基板102に向かうことを意味し、上、下、上方、下方、下に、下で等の他の方向用語はそれに従って解釈される。支持基板102は、個々の駆動回路104のアレイが上に作製される基板である。幾つかの実施形態では、駆動回路は基板102の上又は微小三色LED構造100の上の層の1つに配置することもできる。各駆動回路はピクセル駆動回路104である。幾つかの場合、ピクセル駆動回路は薄膜トランジスタピクセル駆動回路又はシリコンCMOSピクセル駆動回路である。一実施形態では、基板102はSi基板である。別の実施形態では、支持基板102は透明基板、例えばガラス基板である。他の基板例には、GaAs、GaP、InP、SiC、ZnO、及びサファイア基板がある。駆動回路104は、個々の単一ピクセル三色同軸LEDデバイス100の動作を制御する個々のピクセル駆動回路を形成する。基板102上の回路は、個々の各ピクセル駆動回路104への接点を含むとともに、接地接点も含む。各微小三色LED構造100は2つのタイプの接点も有する:ピクセル駆動回路に接続される120等のP電極又はアノード及び接地(すなわち共通電極)に接続される122、124、及び126等のN電極又はカソード。
【0064】
[0069] 幾つかの特徴は用語「層」を用いて本明細書に記載されるが、そのような特徴は1つの層に限定されず、複数の副層を含み得ることを理解されたい。幾つかの場合、「構造」は「層」の形態をとることができる。
【0065】
[0070] 幾つかの実施形態では、3つのエピタキシャル層108、112、及び116を含む3つのLED構造は積層構造内に形成され、例えば、緑色LEDエピタキシャル層112は赤色LEDエピタキシャル層108の上部に直接あり、青色LEDエピタキシャル層112は緑色エピタキシャル層112の上部に直接ある。幾つかの実施形態では、赤色エピタキシャル層108から発せられた光は、緑色エピタキシャル層112、次いで青色エピタキシャル層116を通って伝播することが可能であり、三色LEDデバイス100から発せられる。幾つかの実施形態では、緑色エピタキシャル層112から発せられた光は、青色エピタキシャル層116を通って伝播することが可能であり、三色LEDデバイス100から発せられる。幾つかの実施形態では、LED構造は、異なる組成を有する多くのエピタキシャル副層を含む。LEDエピタキシャル構造の例には、III-V族窒化物、III-V族ヒ化物、III-V族リン化物、及びIII-V族アンチモン化物エピタキシャル構造がある。微小LEDの例には、GaNベースのUV/青/緑微小LED、AlInGaPベースの赤/橙微小LED、及びGaAs又はInPベースの赤外線(IR)微小LEDがある。
【0066】
[0071] 幾つかの実施形態では、積層LED構造の各々は個々に制御されて、その個々の光を生成することができる。幾つかの実施形態では、三色同軸LEDデバイス100内の全てのLEDエピタキシャル層動作からの結果としての上部LEDエピタキシャル層の結合光は、小さなフットプリント内のディスプレイパネル上の1つのピクセルの色を変えることができる。
【0067】
[0072] 幾つかの実施形態では、同軸LEDデバイス100の設計に応じて、同じデバイスに含まれるLED構造の発色は、赤、緑、及び青に限定されない。例えば、適した色は、可視色範囲の380nmから700nmの波長の異なる色の範囲から選択することができる。幾つかの実施形態では、紫外線及び赤外線等の不可視範囲からの他の色を発するLED構造を実施することができる。例えば、三色の選択は下から上に赤、緑、及び青であることができる。別の実施形態では、三色の選択は下から上に紫外線、橙、及び赤外線であることができる。幾つかの実施形態では、デバイス100の一層上のLED構造からの光の波長は、現在層の上の層上のLED構造よりも長い波長でなければならない。例えば、下部エピタキシャル層108からの光の波長は、中間エピタキシャル層112からの光の波長よりも長く、中間エピタキシャル層112からの光の波長は、上部ピタキシャル層116からの光の波長よりも長い。幾つかの実施形態では、デバイス100の一層上のLED構造からの光の波長は、現在層の上部の層上のLED構造からの波長よりも短い必要がある。例えば、下部エピタキシャル層108からの光の波長は中間エピタキシャル層112からの光の波長よりも短く、中間エピタキシャル層112からの光の波長は上部エピタキシャル層116からの光の波長よりも短い。
【0068】
[0073] 幾つかの実施形態では、絶縁層128が三色LED構造の上部及び側壁を覆う。幾つかの実施形態では、P電極120が三色LEDデバイス100の側部に配置されて、赤色LED構造、緑色LED構造、及び青色LED構造に接続する。幾つかの実施形態では、別個のN電極が配置されて、赤色LED構造、緑色LED構造、及び青色LED構造の各々に接続する。例えば、N電極126は、LEDエピタキシャル層108を含む赤色LED構造に接続される。N電極124は、LEDエピタキシャル層112を含む緑色LED構造に接続される。N電極122は、LEDエピタキシャル層116を含む青色LED構造に接続される。
【0069】
[0074] 幾つかの実施形態では、下部エピタキシャル層108は金属接合層106を通して基板に接合される。幾つかの実施形態では、金属接合層106は、上方のLED構造から発せられた光を反射する反射器として使用することもできる。幾つかの実施形態では、中間エピタキシャル層112は第1の透明接合層110を通して下部エピタキシャル層108に接合される。幾つかの実施形態では、上部エピタキシャル層116は第2の透明接合層114を通して中間エピタキシャル層112に接合される。幾つかの実施形態では、透明接合層は、接合層の下方の層から発せられた光の透過を促進することができる。
【0070】
[0075] 幾つかの実施形態では、反射層がLEDエピタキシャル層間に形成されて、発光効率を改善し、これについて更に後述する。幾つかの実施形態では、導電透明層がLEDエピタキシャル層間に形成されて、導電性及び透過性を改善する。
【0071】
[0076]
図2Aは、幾つかの実施形態による三色同軸LEDデバイスを形成する多層構造200の断面図である。より具体的には、
図2Aは、三色同軸LEDデバイスの基板上の複数の層の作製を示す。
【0072】
[0077]
図2Aはピクセル駆動回路204を支持する基板202を示す。幾つかの実施形態では、基板202はシリコンからなり、約700μm厚である。一手法では、金属(接合)層206が基板202上に成長する。金属(接合)層206はオーミック接触層及び金属接合層を含み得る。幾つかの実施形態では、金属(接合)層206の厚さは約0.1μmから約3μmである。幾つかの場合、2つの金属層が金属(接合)層206に含まれる。金属層の一方は、金属(接合)層206の真上にあるエピタキシャル層210又は反射層208上に堆積する。相手方の金属接合層もピクセル駆動回路204を有する基板202上に堆積する。幾つかの実施形態では、金属(接合)層206の組成はAu-Au接合、Au-Sn接合、Au-In接合、Ti-Ti接合、Cu-Cu接合、又はそれらの混合を含む。例えば、Au-Au接合が選択される場合、Auの2つの層は各々、接着層としてCr被膜及び抗拡散層としてPt被膜を必要とする。そしてPt被膜はAu層とCr層との間にある。Cr層及びPt層は、2つの接合されたAu層の上部及び下部に位置決めされる。幾つかの実施形態では、2つのAu層の厚さが概ね同じである場合、高圧及び高温下で、両層上のAuの相互拡散が2つの層を一緒に接合する。共晶接合、熱圧着、及び遷移液相(TLP)接合は、使用し得る技法の例である。
【0073】
[0078] 幾つかの実施形態では、エピタキシャル層210は、金属(接合)層206を通してピクセル駆動回路204を有する基板202の既存構造の上部に接合される。一手法では、エピタキシャル層210は別個の基板(エピタキシャル基板と呼ばれる)上に成長する。接合後、例えばレーザリフトオフ又は化学ウェットエッチングによりエピタキシャル基板は次いで除去され、
図2Aに示す構造を残す。
【0074】
[0079] 幾つかの実施形態では、反射層208は、接合前、エピタキシャル層210上に成膜される。反射層208は、接合後、金属(接合)層206とエピタキシャル層210との間にある。幾つかの場合、反射層208の厚さは約0.1μmから約5μmである。幾つかの実施形態では、反射層208は分布ブラッグ反射器(DBR)構造を含む。例えば、反射層208は、様々な屈折率を有する交互又は異なる材料の複数の層から形成される。幾つかの場合、DBR構造の各層境界は、光波の部分反射を生じさせる。反射層208は、いくらかの選択された波長、例えば赤色光を反射するのに使用することができる。幾つかの実施形態では、反射層208はSiO2及びTi3O5の複数の層から作られる。SiO2及びTi3O5の各層の厚さ及び数を変えることにより、異なる波長の光の選択的反射又は透過を形成することができる。幾つかの実施形態では、赤色光LEDの反射層208は、Au又は/及びインジウムスズ酸化物(ITO)の複数の層を含む。
【0075】
[0080] 幾つかの実施形態では、赤色LED構造の反射層208は、三色LEDデバイスの異なる層により生成される光に対して低い吸収率(例えば、5%以下)を有する。幾つかの実施形態では、赤色光LED構造の反射層208は、現在の反射層の上方で生成される光、例えば、赤色光、緑色光、及び青色光に対して高い反射率(例えば、95%以上)を有する。
【0076】
[0081] 幾つかの実施形態では、エピタキシャル層210は、赤色微小LEDの形成のためのものである。赤色LEDエピタキシャル構造の例は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造を含む。幾つかの場合、赤色LEDエピタキシャル層210内の薄膜は、P型GaP/P型AlGaInP発光層/AlGaInP/N型AlGaInP/N型GaAsの層を含むことができる。幾つかの実施形態では、P型は一般にMgドープされ、N型は一般にSiドープされる。幾つかの例では、エピタキシャル層210の厚さは約0.3μmから約5μmである。
【0077】
[0082] 幾つかの実施形態では、エピタキシャル層210の上方には透明導電酸化物であるインジウムスズ酸化物(ITO)層212がある。幾つかの実施形態では、ITO層212の厚さは約0.01μmから約1μmである。幾つかの場合、次のエピタキシャル層とのあらゆる接合前、ITO層212は、一般に蒸着、例えば電子ビーム蒸着又はスパッタリング堆積によりエピタキシャル層210上に堆積する。幾つかの例では、ITO層は、幾つかの場合、反射性又は透過性等のLEDデバイスの光学性を改善しながら、電極接続の良好な導電性を維持するのに使用される。
【0078】
[0083] 幾つかの実施形態では、次のエピタキシャル層とのあらゆる接合プロセス前、第2の反射層214がITO層212上に成膜される。幾つかの場合、反射層214の厚さは約0.1μmから約5μmである。幾つかの実施形態では、反射層214はDBR構造を含む。例えば、反射層214は、様々な屈折率を有する交互又は異なる材料の複数の層から形成される。幾つかの場合、DBR構造の各層境界は、光波の部分反射を生じさせる。反射層214は、いくらかの選択された波長、例えば緑色光を反射するのに使用することができる。幾つかの実施形態では、反射層214はSiO2及びTi3O5の複数の層から作られる。SiO2及びTi3O5の各層の厚さ及び数を変えることにより、異なる波長の光の選択的反射又は透過を形成することができる。
【0079】
[0084] 一例では、表1に示す以下のDBR構造が緑色光LEDからの緑色光の反射に使用される。
【0080】
【0081】
[0086] 幾つかの実施形態では、緑色光LED構造の反射層214は、三色LEDデバイスの異なる層によって生成される光に対して低い吸収率(例えば、5%以下)を有する。幾つかの実施形態では、緑色光LED構造の反射層214は、現在の反射層の上で生成される光、例えば緑色光及び青色光に対して高い反射率(例えば、95%以上)を有する。
【0082】
[0087] 幾つかの実施形態では、第2のエピタキシャル層220が、透明接合層216を通して第1のエピタキシャル層210の上部に接合される。一手法では、第2のエピタキシャル層220は別個の基板(エピタキシャル基板と呼ばれる)上に成長する。接合後、例えばレーザリフトオフ又は化学ウェットエッチングによりエピタキシャル基板は次いで除去され、
図2Aに示す構造を残す。
【0083】
[0088] 幾つかの実施形態では、透明接合層216は、スピンオンガラス(SOG)、接合接着剤Micro Resist BCL-1200等の透明プラスチック(樹脂)又はSiO2で作られる。透明接合層216の厚さは約0.1μmから約5μmである。
【0084】
[0089] 幾つかの実施形態では、第2のエピタキシャル層220は、緑色微小LEDの形成のためのものである。緑色LEDエピタキシャル構造の例は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造を含む。幾つかの場合、緑色LEDエピタキシャル層220内の薄膜は、P型GaN/InGaN発光層/N型GaNの層を含むことができる。幾つかの実施形態では、P型は一般にMgドープされ、N型は一般にSiドープされる。幾つかの例では、第2のエピタキシャル層220の厚さは約0.3μmから約5μmである。
【0085】
[0090] 幾つかの実施形態では、接合前、ITO層218が第2のエピタキシャル層220上に堆積する。ITO層218は、接合後、透明接合層216と第2のエピタキシャル層220との間にある。幾つかの実施形態では、ITO層218の厚さは約0.01μmから約1μmである。
【0086】
[0091] 幾つかの実施形態では、次のエピタキシャル層とのあらゆる接合プロセス前、別のITO層222が第2のエピタキシャル層220の上部に堆積する。幾つかの実施形態では、ITO層218の厚さは約0.01μmから約1μmである。
【0087】
[0092] 幾つかの実施形態では、次のエピタキシャル層とのあらゆる接合プロセス前、第3の反射層224がITO層222上に成膜される。幾つかの場合、反射層224の厚さは約0.1μmから約5μmである。幾つかの実施形態では、反射層224はDBR構造を含む。例えば、反射層224は、様々な屈折率を有する交互又は異なる材料の複数の層から形成される。幾つかの場合、DBR構造の各層境界は、光波の部分反射を生じさせる。反射層224は、いくらかの選択された波長、例えば青色光を反射するのに使用することができる。幾つかの実施形態では、反射層224はSiO2及びTi3O5の複数の層から作られる。SiO2及びTi3O5の各層の厚さ及び数を変えることにより、異なる波長の光の選択的反射又は透過を形成することができる。
【0088】
[0093] 一例では、表2に示す以下のDBR構造が青色光LEDからの青色光の反射に使用される。
【0089】
【0090】
[0095] 幾つかの実施形態では、青色光LED構造の反射層224は、三色LEDデバイス100の異なる層によって生成される光に対して低い吸収率(例えば、5%以下)を有する。幾つかの実施形態では、青色光LED構造の反射層224は、現在の反射層の上で生成される光、例えば青色光に対して高い反射率(例えば、95%以上)を有する。
【0091】
[0096] 幾つかの実施形態では、第3のエピタキシャル層230が、透明接合層226を通して第2のエピタキシャル層220の上部に接合される。一手法では、第3のエピタキシャル層230は別個の基板(エピタキシャル基板と呼ばれる)上に成長する。接合後、例えばレーザリフトオフ又は化学ウェットエッチングによりエピタキシャル基板は次いで除去され、
図2Aに示す構造を残す。
【0092】
[0097] 幾つかの実施形態では、透明接合層226は、スピンオンガラス(SOG)、接合接着剤Micro Resist BCL-1200等の透明プラスチック(樹脂)又はSiO2で作られる。透明接合層226の厚さは約0.1μmから約5μmである。
【0093】
[0098] 幾つかの実施形態では、第3のエピタキシャル層230は、青色微小LEDの形成のためのものである。青色LEDエピタキシャル構造の例は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造を含む。幾つかの場合、青色LEDエピタキシャル層230内の薄膜は、P型GaN/InGaN発光層/N型GaNの層を含むことができる。幾つかの実施形態では、P型は一般にMgドープされ、N型は一般にSiドープされる。幾つかの例では、第3のエピタキシャル層230の厚さは約0.3μmから約5μmである。
【0094】
[0099] 幾つかの実施形態では、接合前、ITO層228が第3のエピタキシャル層230上に堆積する。ITO層228は、接合後、透明接合層226と第3のエピタキシャル層230との間にある。幾つかの実施形態では、ITO層228の厚さは約0.01μmから約1μmである。
【0095】
[00100] 幾つかの実施形態では、別のITO層232が第3のエピタキシャル層230の上部に堆積する。幾つかの実施形態では、ITO層232の厚さは約0.01μmから約1μmである。
【0096】
[00101]
図2Bは、幾つかの実施形態による、作製プロセス後の三色同軸LEDデバイス250の断面図である。より具体的には、
図2Bは、幾つかの追加の作成プロセス、特に多層構造200のパターニング後の三色同軸LEDデバイス250を更に示す。
【0097】
[00102] 幾つかの実施形態では、ドライエッチング及びウェットエッチングを通して、三色LED構造が形成され、異なる色のLED構造の軸は互いに垂直に位置合わせされる。幾つかの実施形態では、異なる色のLED構造は同じ軸を共有する。幾つかの実施形態では、異なる色のLED構造は、ピラミッドのような形状又は台形断面形を形成し、下部LED構造の横方向寸法は最長であり、上部LED構造の横方向寸法は最短である。各層は、その下の層と比較してより狭い幅又はより小さな面積を有する。この場合、幅又は面積は基板202の表面に平行する平面の寸法によって測定される。幾つかの実施形態では、金属(接合)層206等の下部層は約1μmから約500μmの横方向寸法を有する。ピラミッドのような形状は、個々のLED構造間及び電極への電子接続を改善し、作製プロセスを簡易化する。例えば、電極接続は、容易な接続のために各層で露出される。
【0098】
[00103] 幾つかの実施形態では、三色LEDデバイスの層の断面のアスペクト比は、同じ層の横方向寸法が変わる場合、略同じままである。例えば、パターニングされたエピタキシャル層の横方向寸法が5μmである場合、パターニングされたエピタキシャル層の厚さは1μm未満である。別の例では、同じパターニングされたエピタキシャル層の横方向寸法が増大する場合、パターニングされたエピタキシャル層の厚さはそれに従って増大して、同じアスペクト比を維持する。幾つかの実施形態では、エピタキシャル層及び他の層の断面のアスペクト比は厚さ/幅において1/5未満である。
【0099】
[00104] LEDデバイスの形状は限定されず、幾つかの他の実施形態では、三色同軸LEDデバイスの断面形は他の形状、例えば逆台形、半楕円形、矩形、平行四辺形、三角形、又は六角形等の形態をとることができる。
【0100】
[00105] 幾つかの実施形態では、
図1Aに示す層がすべて形成された後、第3のエピタキシャル層230の上の上部ITO層232は、フォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされる。幾つかの場合、パターン形成に使用されるエッチング法は、ドライエッチング、例えば誘導結合プラズマ(ICP)エッチング又はITOエッチング溶液を用いたウェットエッチングである。幾つかの実施形態では、同じパターニング法は、構造200内のITO層212、218、222、228を含め、他の全てのITO層に適用することができる。
【0101】
[00106] 幾つかの実施形態では、青色LEDエピタキシャル層230及び緑色LEDエピタキシャル層220はフォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされる。幾つかの場合、パターン形成に使用されるエッチング法は、Cl2及びBCl3エッチングガスを用いたドライエッチング、例えば誘導結合プラズマ(ICP)エッチングである。
【0102】
[00107] 幾つかの実施形態では、216及び226を含む透明接合層は、フォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされる。幾つかの場合、パターン形成に使用されるエッチング法は、CF4及びO2エッチングガスを用いたドライエッチング、例えば誘導結合プラズマ(ICP)エッチングである。
【0103】
[00108] 幾つかの実施形態では、208、214、及び224を含む反射層は、フォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされる。幾つかの場合、反射層、特にDBR層のパターン形成に使用されるエッチング法は、CF4及びO2エッチングガスを用いたドライエッチング、例えば誘導結合プラズマ(ICP)エッチング又はArガスを用いたイオンビームエッチング(IBE)である。
【0104】
[00109] 幾つかの実施形態では、赤色エピタキシャル層210はフォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされる。幾つかの場合、パターン形成に使用されるエッチング法は、Cl2及びHBrエッチングガスを用いたドライエッチング、例えば誘導結合プラズマ(ICP)エッチングである。
【0105】
[00110] 幾つかの実施形態では、金属(接合)層206はフォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされる。幾つかの場合、パターン形成に使用されるエッチング法は、Cl2/BCl3/Arエッチングガスを用いたドライエッチング、例えば誘導結合プラズマ(ICP)エッチング又はArガスを用いたイオンビームエッチング(IBE)である。
【0106】
[00111] 幾つかの実施形態では、LEDデバイス構造がパターニングされた後、絶縁層252が、パターニングされた層、側壁、及び露出した基板の全てを含むパターニングされたLEDデバイス構造の表面上に堆積する。幾つかの実施形態では、絶縁層252はSiO2及び/又はSi3N4で作られる。幾つかの実施形態では、絶縁層252はTiO2で作られる。幾つかの実施形態では、絶縁層252は、高温でSOG等の層を硬化した後、SiO2と同様の組成を用いて形成される。幾つかの実施形態では、絶縁層252は、絶縁層252の下の層と同様の熱係数を有する材料で作られる。
【0107】
[00112] 幾つかの実施形態では、絶縁層252は、フォトリソグラフィ及びエッチングを使用してパターニングされて、電極接点エリアを露出する。幾つかの場合、パターン形成に使用されるエッチング法は、CF4及びO2を用いたドライエッチング、例えば、誘導結合プラズマ(ICP)エッチングである。
【0108】
[00113] 幾つかの実施形態では、アノード金属パッド254は、片面等の、パターニングされたLED構造の適した場所に蒸着により堆積して、赤色LED構造、緑色LED構造、及び青色LED構造を覆う。幾つかの実施形態では、アノード金属パッド254は、赤色LEDエピタキシャル層210の下部金属(接合)層206、緑色LEDエピタキシャル層220の下部導電性ITO層218、及び青色LEDエピタキシャル層230の下部導電ITO層228に接続するように作られる。アノード金属パッド254はまた、金属(接合)層206を通して基板202上のピクセル駆動回路204を含む集積回路にも電気的に接続される。
【0109】
[00114] 幾つかの実施形態では、別個のカソード金属パッドが配置されて、赤色LEDエピタキシャル層、緑色LEDエピタキシャル層、及び青色LEDエピタキシャル層の各々に接続される。例えば、カソード金属パッド256は、パターニングされたLED構造の片側に蒸着して、赤色LEDエピタキシャル層210の上部の導電性ITO層212を通して赤色LEDエピタキシャル層210に接続する。幾つかの実施形態では、カソード金属パッド258は、パターニングされたLED構造の片側に蒸着して、緑色LEDエピタキシャル層220の上部の導電性ITO層222を通して緑色LEDエピタキシャル層220に接続する。幾つかの実施形態では、カソード金属パッド260は、パターニングされたLED構造の片側に蒸着して、青色LEDエピタキシャル層230の上部の導電性ITO層232を通して青色LEDエピタキシャル層230に接続する。
【0110】
[00115] 幾つかの実施形態では、三色LEDデバイス内の赤色LED構造の外部量子効率は約0.5%~5%である。幾つかの実施形態では、三色LEDデバイス内の緑色LED構造の外部量子効率は約2%~10%である。幾つかの実施形態では、三色LEDデバイス内の青色LED構造の外部量子効率は約5%~15%である。幾つかの実施形態では、各色のLED構造の外部量子効率は、LED構造に加えて、反射層、接合層、ITO層、及び絶縁層等の関連する全ての層の影響がカウントされる場合、測定される。
【0111】
[00116] 幾つかの実施形態では、三色LEDデバイス250の外部量子効率は約20%以上である。幾つかの実施形態では、三色LEDデバイスの外部量子効率は、LED構造に加えて、反射層、接合層、ITO層、及び絶縁層等の、全ての層の影響がカウントされる場合、測定される。
【0112】
[00117] 層の寸法(例えば、各層の幅、長さ、高さ、及び断面積)、電極の寸法、2つ以上のLED構造層、接合層、反射層、及び導電層のサイズ、形状、間隔、及び配置、並びに集積回路、ピクセル駆動回路、及び電気接続の間の構成等の三色同軸LEDシステム250の種々の設計態様は、所望のLED特性を得るように選択される(例えば、費用関数又は性能関数を使用して最適化される)。上記設計態様に基づいて変わるLED特性には、例えば、サイズ、材料、コスト、作製効率、発光効率、消費電力、指向性、ルミナンス強度、ルミナンス束、色、スペクトル、及び空間放射パターンがある。
【0113】
[00118]
図3は、幾つかの実施形態による単一ピクセル三色LEDデバイス300の行列を示す回路図である。
図3の回路は、3つのピクセル駆動回路302、304及び306並びに3つの三色同軸LEDデバイス308、310、及び312を含む。
【0114】
[00119] 幾つかの実施形態では、ディスプレイパネルは、数百万ものピクセル等の複数のピクセルを含み、各ピクセルは三色LEDデバイス構造を含む。幾つかの実施形態では、LEDデバイス構造は微小LEDであることができる。微小LEDは通常、50マイクロメートル(μm)以下の横方向寸法を有し、10μm未満、更にはわずか数μmの横方向寸法を有することができる。
【0115】
[00120] 幾つかの実施形態では、ピクセル駆動回路、例えば302は、幾つかのトランジスタ及びコンデンサ(
図3に示さず)を含む。トランジスタは、電圧供給源に接続された駆動トランジスタと、走査信号バス線に接続されたゲートが構成された制御トランジスタとを含む。コンデンサは、走査信号が他のピクセルを設定している間、駆動トランジスタのゲート電圧を維持する使用される貯蔵コンデンサを含む。
【0116】
[00121] この例では、3つの三色LEDデバイス、例えば308の各々はそれ自体の集積回路(IC)ピクセル駆動回路302を有する。単一ピクセル三色LEDデバイス308は、並列接続された、異なる色を有する3つの個々のLEDとして見ることができる。例えば、同じ三色LEDデバイス308内の赤色LED318、緑色LED316、及び青色LED314は、
図2Bの金属パッド254等の共有P電極パッド又はアノードを介して、同じICピクセル駆動回路302に接続される。
【0117】
[00122] 幾つかの実施形態では、同じ三色LEDデバイス308内の赤色LED、緑色LED、及び青色LEDの各々は、別個のN電極パッド又はカソードに接続される。例えば、赤色LEDは、
図2Bの金属パッド256等のN電極336に接続される。緑色LEDは、
図2Bの金属パッド258等のN電極334に接続される。青色LEDは、
図2Bの金属パッド260等のN電極332に接続される。
【0118】
[00123] 幾つかの実施形態では、異なる三色LEDデバイスからの全ての赤色LED、例えば318、324、及び330は、同じ共通N電極336に接続される。異なる三色LEDデバイスからの全ての緑色LED、例えば316、322、及び328は、同じ共通N電極334に接続される。異なる三色LEDデバイスからの全ての青色LED、例えば314、320、及び326は、同じ共通N電極332に接続される。共通電極の使用は、作製プロセスを簡易化し、LEDデバイスの面積、特に電極のフットプリントを低減する。
【0119】
[00124]
図4は、幾つかの実施形態による三色同軸LEDデバイスを作製する方法400を示す流れ図である。
【0120】
[00125] 方法400の動作(例えばステップ)は、上記の
図1、
図2A、
図2B、及び
図3に記載の実施形態に対応して実行し得る。
【0121】
[00126] 方法400は、基板を提供するステップ402を含む。幾つかの実施形態では、ピクセル駆動回路が基板に形成される。
【0122】
[00127] 方法400は、基板の上部に積層された第1のLED構造層を作製するステップ404も含む。幾つかの実施形態では、第1のLED構造層は第1のエピタキシャル構造を含む。幾つかの実施形態では、第1のLED構造層は第1の接合層により基板に接合される。幾つかの実施形態では、基板及び第1のLED構造層の接合前、第1の反射層がLED構造層の基板に面する面に成膜される。そして幾つかの場合、接合後、第1の反射層は第1の接合層と第1のエピタキシャル構造との間にある。幾つかの実施形態では、第1の接合層は第1のLED構造層の下部における導電層であり、第1の接合層は、ピクセル駆動回路及び第1のLED構造層の下部の両方に電気的に接続される。幾つかの実施形態では、第1の上部導電層が第1のLED構造層の上部に成膜されて、第1のLED構造層の上部及び共通電極に電気的に接続する。
【0123】
[00128] 方法400は、第1のLED構造層の上部に積層された第2のLED構造層を作製するステップ406を更に含む。幾つかの実施形態では、第2のLED構造層は第2のエピタキシャル構造を含む。幾つかの実施形態では、第2のLED構造は第2の接合層により第1のLED構造に接合される。幾つかの実施形態では、第1のLED構造層及び第2のLED構造層の接合前、第2の反射層が第1のLED構造層の第2のLED構造層に面する面に成膜される。そして幾つかの場合、第2の反射層は、接合後、第1の上部導電層と第2の接合層との間にある。幾つかの実施形態では、第2の下部導電層が第2のLED構造層の下部に成膜され、第2の下部導電層は、ピクセル駆動回路及び第2のLED構造層の下部の両方に電気的に接続される。幾つかの実施形態では、第2の上部導電層が第2のLED構造層の上部に成膜されて、第2のLED構造層の上部及び共通電極に電気的に接続する。
【0124】
[00129] 方法400は、第2のLED構造層の上部に積層された第3のLED構造層を作製するステップ408を更に含む。幾つかの実施形態では、第3のLED構造層は第3のエピタキシャル構造を含む。幾つかの実施形態では、第3のLED構造は第3の接合層により第2のLED構造に接合される。幾つかの実施形態では、第2のLED構造層及び第3のLED構造層の接合前、第3の反射層が第2のLED構造層の第3のLED構造層に面する面に成膜される。そして幾つかの場合、接合後、第3の反射層は第2の上部導電層と第3の接合層との間にある。幾つかの実施形態では、第3の下部導電層が第3のLED構造層の下部に成膜され、第3の下部導電層は、ピクセル駆動回路及び第3のLED構造層の下部の両方に電気的に接続される。幾つかの実施形態では、第3の上部導電層は第3のLED構造層の上部に成膜されて、第3のLED構造層の上部及び共通電極に電気的に接続する。
【0125】
[00130] 幾つかの実施形態では、第1のLED構造層、第2のLED構造層、及び第3のLED構造層は互いと横方向に実質的に重複して、第1のLED構造層、第2のLED構造層、及び第3のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する。
【0126】
[00131] 方法400は、フォトリソグラフィ及びエッチングにより上述したステップ402~408から形成された各層をパターニングして、一緒に直接積層された3つのLEDを形成するステップ410を更に含む。
【0127】
[00132] 方法400は、上述したステップ402~410から形成された、露出した構造の上方に絶縁層を堆積させ、電極接点パッドを被膜するように絶縁層をエッチングするステップ412を更に含む。
【0128】
[00133] 方法400は、ステップ402~412から形成された構造の表面に電極接点パッドを成膜するステップ414を更に含む。幾つかの実施形態では、アノード金属接点パッドが成膜されて、第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の下部導電層及びピクセル駆動回路に電気的に接続する。幾つかの実施形態では、第1のカソード金属接点パッドが成膜されて、第1のLED構造層の上部導電層に電気的に接続する。幾つかの実施形態では、第2のカソード金属接点パッドが成膜されて、第2のLED構造層の上部導電層に電気的に接続する。幾つかの実施形態では、第3のカソード金属接点パッドが成膜されて、第3のLED構造層の上部導電層に電気的に接続する。
【0129】
[00134] 更なる実施形態は、種々の実施形態で組み合わせられ、又は他の方法で再配置された
図1、
図2A、
図2B、
図3、及び
図4の実施形態を含む上記実施形態の種々のサブセットも含む。
【0130】
[00135]
図5は、幾つかの実施形態による微小LEDディスプレイパネル500の上面図である。ディスプレイパネル500は、データインターフェース510、制御モジュール520、及びピクセル領域550を含む。データインターフェース510は、表示する画像を定義するデータを受信する。このデータのソース及びフォーマットは用途に応じて様々である。制御モジュール520は、入力データを受信し、ディスプレイパネルのピクセルを駆動するのに適した形態に変換する。制御モジュール520は、受信したフォーマットをピクセル領域550に適切なフォーマットに変換するデジタル論理及び/又は状態機械、シフトレジスタ又はデータを記憶、転送する他のタイプのバッファ及びメモリ、デジタル/アナログ変換器及びレベルシフタ、及びクロック回路を含む走査コントローラを含み得る。
【0131】
[00136] ピクセル領域550はピクセルのアレイを含む。ピクセルは、例えば上述したようにピクセル駆動回路と統合された三色同軸LED534等の微小LEDを含む。この例では、ディスプレイパネル500はカラーRGBディスプレイパネルである。赤、緑、及び青のピクセルを含む。各ピクセル内で、三色同軸LED534はピクセル駆動回路によって制御される。ピクセルは、先に示した実施形態によれば、供給電圧(図示せず)及び接地パッド536を介して接地と連絡するとともに、制御信号にも連絡する。
図5に示さないが、三色同軸LED534のp電極及び駆動トランジスタの出力はLED534内に位置決めされ、
図2Aの金属層204等の接合金属層により電気的に接続される。LED電流駆動信号接続(LEDのp電極とピクセル駆動回路の出力との間)、接地接続(n電極とシステム接地との間)、供給電圧Vdd接続(ピクセル駆動回路のソースとシステムVddとの間)、及びピクセル駆動回路のゲートへの制御信号接続は、種々の実施形態によりなされる。
【0132】
[00137]
図5は代表的な図にすぎない。他の設計も明らかであろう。例えば、色は赤、緑、及び青である必要はない。列又は縞に配置される必要もない。一例として、
図5に示すピクセルの正方形行列の配置から離れて、ピクセルの六角形行列の配置を使用して、ディスプレイパネル500を形成することもできる。
【0133】
[00138] 幾つかの用途では、ピクセルの完全にプログラマブルな矩形アレイは必要ない。本明細書に記載のデバイス構造を使用して、多種多様な形状及びディスプレイを有する他の設計のディスプレイパネルを形成することもできる。一クラスの例は、看板及び自動車を含む特殊用途である。例えば、複数のピクセルを星又は螺旋の形状に配置して、ディスプレイパネルを形成し得、LEDをオンオフすることによりディスプレイパネル上に異なるパターンを生成することができる。別の特殊な例は、自動車のヘッドライト及びスマート照明であり、これらでは特定のピクセルが一緒にグループ化されて、種々の照明形状を形成し、LEDの各グループは、個々のピクセル駆動回路によってオンオフ又は他の方法で調節することができる。
【0134】
[00139] 各ピクセル内のデバイスの横方向配置さえも変更することができる。
図1、2A及び2Bでは、LED及びピクセル駆動回路は垂直に配置され、すなわち、各LEDは対応するピクセル駆動回路の上部に配置される。他の配置も可能である。例えば、ピクセル駆動回路はLEDの「後方」、「前方」、又は「横」に配置することもできる。
【0135】
[00140] 異なるタイプのディスプレイパネルを作製することができる。例えば、ディスプレイパネルの解像度は通常、8×8から3840×2160の範囲であることができる。一般的なディスプレイ解像度には、解像度320×240及びアスペクト比4:3を有するQVGA、解像度1024×768及びアスペクト比4:3を有するXGA、解像度1280×720及びアスペクト比16:9を有するD、解像度1920×1080及びアスペクト比16:9を有するFHD、解像度3840×2160及びアスペクト比16:9を有するUHD、並びに解像度4096×2160を有する4Kがある。サブミクロン以下から100mm超の範囲の広く様々なピクセルサイズが存在することもできる。全体表示領域のサイズも広く様々であることができ、数十μm以下という小さな対角線から数百インチ超と様々である。
【0136】
[00141] 異なる用途は、光学輝度について異なる要件も有する。用途例には、直視型表示画面、ホーム/オフィスプロジェクタ及びスマートフォン、ラップトップ、ウェアラブル電子機器、AR及びVR眼鏡等のポータブル電子機器、並びに網膜投影のライトエンジンがある。消費電力は、網膜プロジェクタの数ミリワットから大型画面屋外ディスプレイ、プロジェクタ、及びスマート自動車ヘッドライトでの数キロワットまで、様々であることができる。フレームレートに関しては、無機LEDの高速応答(ナノ秒)に起因して、フレームレートはKHz、更には低解像度でMHzであることができる。
【0137】
[00142] 更なる実施形態は、種々の実施形態と結合又は他の方法で再構成される
図1、2A、2B及び
図3~5の実施形態を含む上記実施形態の種々のサブセットも含む。
【0138】
[00143] 詳述した説明は多くの詳細を含むが、これらは本発明の範囲の限定として解釈されるべきではなく、単に本発明の異なる例及び態様の例示的なとして解釈されるべきである。本発明の範囲が詳細に上述していない他の実施形態を含むことを理解されたい。例えば、上述した手法は、LED以外の機能デバイスのピクセル駆動回路以外の制御回路との統合に適用することもできる。非LEDデバイスの例には、垂直キャビティ面発光レーザ(VCSEL)、光検出器、微小電子機械システム(MEMS)、シリコンフォトニックデバイス、パワー電子デバイス、及び分布フィードバックレーザ(DFB)がある。他の制御回路の例には、電流駆動回路、電圧駆動回路、トランスインピーダンス増幅器、及び論理回路がある。
【0139】
[00144] 開示する実施形態の上記説明は、当業者が本明細書に記載の実施形態及びその変形を作成又は使用できるようにするために提供される。これらの実施形態への種々の修正が当業者には容易に明らかになり、本明細書に定義される一般原理は、本明細書に開示される趣旨の精神又は範囲から逸脱せずに他の実施形態に適用し得る。したがって、本開示は、本明細書に示される実施形態に限定されることは意図されず、以下の特許請求の範囲並びに本明細書に開示される原理及び新規特徴と一貫する最も広い範囲に従うべきである。
【0140】
[00145] 本発明の特徴は、本明細書に提示した任意の特徴を事項するように処理システムをプログラムするのに使用することができる命令が表面/内部に記憶された記憶媒体(メディア)又はコンピュータ可読記憶媒体(メディア)等のコンピュータプログラム製品で、コンピュータプログラム製品を使用して、又はコンピュータプログラム製品の助けを用いて実施することができる。記憶媒体は、限定ではなく、DRAM、SRAM、DDR RAM、又は他のランダムアクセス固体状態メモリデバイス等の高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体状態記憶装置等の不揮発性メモリを含み得る。メモリは任意選択的に、CPUからリモートに配置された1つ又は複数の記憶装置を含む。メモリ又は代替的にはメモリ内の不揮発性メモリ装置は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体を含む。
【0141】
[00146] 任意の機械可読媒体(メディア)に記憶される場合、本発明の特徴は、処理システムのハードウェアを制御し、処理システムが本発明の結果を利用して他のメカニズムと対話できるようにするために、ソフトウェア及び/又はファームウェアに組み込むことができる。そのようなソフトウェア又はファームウェアは、限定ではなく、アプリケーションコード、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及び実行環境/コンテナを含み得る。
【0142】
[00147] 用語「第1の」、「第2の」等が、種々の要素の記述に本明細書で使用されていることがあるが、これらの要素がこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素から区別するためだけに使用される。
【0143】
[00148] 本明細書で使用される用語は特定の実施形態を説明することのみを目的とし、特許請求の範囲を限定することを意図しない。実施形態の説明及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により明らかに別段のことが示される場合を除き、複数形も同様に含むことが意図される。用語「及び/又は」が本明細書で使用されるとき、関連する列記された項目の1つ又は複数のありとあらゆる可能な組合せを指し、包含することも理解されよう。用語「含む」及び/又は「含み」が本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、完全体、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を指定するが、1つ又は複数の他の特徴、完全体、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外しないことが更に理解されよう。
【0144】
[00149] 本明細書で使用されるとき、用語「場合」は、文脈に応じて、述べられた前提条件が真である「とき」又は真「であると」又は真であるとの「判断に応答して」又は真であるとの「判断に従って」又は真であることの「検出に応答して」を意味するものと解釈し得る。同様に、句「[述べられた前提条件が真であると]判断される場合」又は「[述べられた前提条件が真である]場合」又は「[述べられた前提条件が真である]とき」は、文脈に応じて、述べられた前提条件が真である「と判断されると」又は真であるとの「判断に応答して」又は真であるとの「判断に従って」又は真であると「検出されると」又は真であるとの「検出に応答して」を意味するものと解釈し得る。
【0145】
[00150] 説明を目的とした上記説明は、特定の実施形態を参照して説明されている。しかしながら、上記の例示的な論考は、網羅的である、又は開示される厳密な形態に特許請求の範囲を限定する意図はない。上記教示に鑑みて多くの修正及び変形が可能である。実施形態は、動作の原理及び実際用途を最良に説明し、それにより当業者ができるようにするために選ばれ説明された。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネル用の単一ピクセルマルチカラー微小発光ダイオード(LED)デバイスであって、
基板と、
前記基板の上部に積層される第1のLED構造層、及び前記第1のLED構造層の上部に積層される第2のLED構造層を含む、2つ以上のLED構造層と、を含み、
前記第1のLED構造層及び前記第2のLED構造層は互いと横方向に実質的に重複して、前記第1のLED構造層から発せられた光及び前記第2のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する、単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項2】
前記2つ以上のLED構造層は、
前記第2のLED構造層の上部に積層される第3のLED構造層を更に含み、
前記第3のLED構造層は前記第1のLED構造層及び前記第2のLED構造層と横方向に実質的に重複して、前記第3のLED構造層から発せられた光を更に結合する前記光路を形成する、請求項1に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項3】
前記基板と前記第1のLED構造層との間の第1の接合層と、
前記第1のLED構造層と前記第2のLED構造層との間の第2の接合層と、
前記第2のLED構造層と前記第3のLED構造層との間の第3の接合層と、
を更に含む、請求項2に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項4】
前記第1の接合層は約0.1μmから約3μmであり、
前記第2の接合層は約0.1μmから約5μmであり、
前記第3の接合層は約0.1μmから約5μmであり、
前記第2及び第3の接合層は透明である、請求項3に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項5】
前記基板はピクセル駆動回路を支持し、前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々は前記ピクセル駆動回路に電気的に接続される、請求項2~4の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項6】
前記ピクセル駆動回路は、薄膜トランジスタピクセル駆動回路又はシリコンCMOS駆動回路を含む、請求項5に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項7】
前記基板と前記第1のLED構造層との間の第1の反射層と、
前記第1のLED構造層と前記第2のLED構造層との間の第2の反射層と、
前記第2のLED構造層と前記第3のLED構造層との間の第3の反射層と、
を更に含む、請求項2~6の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項8】
前記第1、第2、及び第3の反射層の少なくとも1つは分布ブラッグ反射器(DBR)構造を有し、
前記第1、第2、及び第3の反射層の各々は約0.1μmから約5μmである、請求項7に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項9】
前記第1のLED構造層から発せられた第1の光は、前記第2のLED構造層及び前記第3のLED構造層を通って伝播し、
前記第2のLED構造層から発せられた第2の光は、前記第3のLED構造層を通って伝播する、請求項2~8の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項10】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々は、
前記LED構造層の各々内のLEDを形成するエピタキシャル構造と、
前記LEDの下部に電気的に接続された下部導電層と、
前記LEDの上部に電気的に接続された上部導電層と、
を含み、
前記下部導電層は前記ピクセル駆動回路にも電気的に接続され、前記上部導電層は共通電極にも電気的に接続される、請求項5~9の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項11】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記エピタキシャル構造は、III-V族窒化物エピタキシャル構造、III-V族ヒ化物エピタキシャル構造、III-V族リン化物エピタキシャル構造、及びIII-Vアンチモン化物エピタキシャル構造からなる群からの1つ又は複数の構造から選択される、請求項10に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項12】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記下部導電層及び前記上部導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)層を含み、前記ITO層の各々は約0.01μmから約1μmである、請求項10又は11に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項13】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記下部導電層に電気的に接続されたアノード金属接点パッドと、
前記第1のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続された第1のカソード金属接点パッドと、
前記第2のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続された第2のカソード金属接点パッドと、
前記第3のLED構造層の前記上部導電層に電気的に接続された第3のカソード金属接点パッドと、
を更に含む、請求項10~12の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項14】
前記第1、第2、及び第3のLED構造層の各々の前記エピタキシャル構造は、約0.3μmから約5μmである、請求項10~
13の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項15】
異なるLED構造層の前記LEDは、異なる波長の光を生成する、請求項10~
14の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項16】
前記第1のLED構造層は赤色光LEDを形成し、
前記第2のLED構造層は緑色光LEDを形成し、
前記第3のLED構造層は青色光LEDを形成する、請求項2~
15の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項17】
前記単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスの最長寸法は、約1μmから約500μmである、請求項1~
16の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項18】
前記単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、最長横方向寸法を有する下層と、最短横方向寸法を有する上層とを有するピラミッドの断面形を有する、請求項1~
17の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項19】
前記単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイスは、20%以上の外部量子効率を有する、請求項1~
18の何れか一項に記載の単一ピクセルマルチカラー微小LEDデバイス。
【請求項20】
微小LEDディスプレイチップであって、
ピクセル駆動回路のアレイを支持する基板と、
単一ピクセルマルチカラー微小発光ダイオード(LED)デバイスのアレイと、
を含み、
前記単一ピクセルマルチカラーLEDデバイスの各々は、
前記基板及びピクセル駆動回路の上部に積層される2つ以上のLED構造層であって、隣接する前記LED構造層間に接合層があり、前記LED構造層の各々は、一色の光を生成するように構成された微小LEDを形成するエピタキシャル構造を更に含む、2つ以上のLED構造層を含み、
前記単一ピクセルマルチカラーLEDのアレイは、前記ピクセル駆動回路のアレイ及び共通電極に電気的に接続され、
前記2つ以上のLED構造層は、互いと横方向に重複して、一緒に直接積層された前記微小LEDを通る光伝播路を形成し、
異なるLED構造層の前記微小LEDは、異なる波長の光を生成する、微小LEDディスプレイチップ。
【請求項21】
前記共通電極は、同じ色を生成する同じLED構造層内の前記微小LEDの全てに別個の共通電極構造を含む、請求項
20に記載の微小LEDディスプレイチップ。
【請求項22】
ディスプレイパネル用の単一ピクセル三色微小発光ダイオード(LED)デバイスを作製する方法であって、
基板を提供することと、
前記基板の上部に積層される第1のLED構造層を作製することと、
前記第1のLED構造層の上部に積層される第2のLED構造層を作製することと、
前記第2のLED構造層の上部に積層される第3のLED構造層を作製することと、
を含み、
前記第1のLED構造層、前記第2のLED構造層、及び前記第3のLED構造層は、横方向に互いと実質的に重複して、前記第1のLED構造層、前記第2のLED構造層、及び前記第3のLED構造層から発せられた光を結合する光路を形成する、単一ピクセル三色微小LEDデバイスを作製する方法。
【国際調査報告】