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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-24
(54)【発明の名称】シリンジ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20220817BHJP
   A61M 5/19 20060101ALI20220817BHJP
【FI】
A61M5/315 516
A61M5/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523732
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 GB2020051518
(87)【国際公開番号】W WO2020260867
(87)【国際公開日】2020-12-30
(31)【優先権主張番号】1908957.2
(32)【優先日】2019-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521559267
【氏名又は名称】レヴァイヴ イノヴェイションズ プラス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カマル アブヒシェイク
(72)【発明者】
【氏名】ガウタム ウルシタ
(72)【発明者】
【氏名】カログロウリス アレキサンダー
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD13
4C066EE14
4C066FF05
4C066HH12
4C066HH17
4C066KK16
(57)【要約】
薬剤送達装置100で用いるシリンジ200、400はバイアルを備える。バイアル201、411はチャンバ206を備える。チャンバは、ピストン又はプランジャ205、416を受け入れるように構成されている。シリンジは、皮下注射針204を取り付けるための針取付点202を更に備える。チャンバは針取付点に対してオフセットされている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達装置に用いるシリンジであって、
ピストン及び/又はプランジャを受け入れるように構成されているチャンバを備えるバイアルと、
皮下注射針の取り付けのための針取付点と、を備え、
前記チャンバは前記針取付点からオフセットされている、シリンジ。
【請求項2】
請求項1に記載のシリンジであって、前記チャンバは一対のチャンバであり、各チャンバは、ピストン及び/又はプランジャを受け入れるように構成されており、選択的に、前記シリンジは、ピストン及び/又はプランジャを備える、シリンジ。
【請求項3】
請求項2に記載のシリンジであって、前記一対のチャンバは、前記針取付点について対称に配置さている、シリンジ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のシリンジであって、前記シリンジは、薬剤送達方向とは反対方向に押し込み動作を提供するように構成されている、シリンジ。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1項に記載のシリンジであって、一対のピストン又はプランジャを備える、シリンジ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のシリンジであって、前記1つ又は複数のチャンバは、少なくとも部分的に、略円筒形又は略長方形の断面を有する、シリンジ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のシリンジであって、前記チャンバは、複数の接続されたチャンバを備え、少なくとも2つの前記接続されたチャンバの間に、圧力逃がし孔が設けられている、シリンジ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載のシリンジであって、シリンジキャリアの相互取付手段を受け入れるように及び/又は前記相互取付手段と協働するように構成されている取付手段を備える、シリンジ。
【請求項9】
請求項8に記載のシリンジであって、前記シリンジの前記取付手段は、雌型の取付手段であり又は雌型の取付手段を備え、任意選択的に、前記雌型の取付手段は、スロット、ベアリング、又は孔である、或いはスロット、ベアリング、又は孔を備える、シリンジ。
【請求項10】
請求項8又は請求項9に記載のシリンジであって、前記シリンジの前記取付手段は、前記バイアルの壁、表面、又は本体に形成されている、シリンジ。
【請求項11】
遠位端及び近位端を有するハウジングと、
エネルギー貯蔵手段と、
アクチュエータアセンブリと、
前記エネルギー貯蔵手段に取り付けられる、請求項1から10のいずれか1項に記載のシリンジと、を備え、
前記アクチュエータアセンブリは、前記エネルギー貯蔵手段を作動させて前記シリンジを前記近位端に向かって移動させるように構成されている、薬剤送達装置。
【請求項12】
請求項11に記載の薬剤送達装置であって、前記エネルギー貯蔵手段は、前記ハウジングの前記遠位端内に設けられる、薬剤送達装置。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の薬剤送達装置であって、前記アクチュエータアセンブリは、遠位端及び近位端を有し、加えて/または、前記遠位端は、前記ハウジング内に設けられると共に、前記近位端は、前記ハウジングを越えて延びている、薬剤送達装置。
【請求項14】
請求項11から13のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、前記シリンジは、貫通ステージ及び注入ステージにおいて移動可能に構成されている、薬剤送達装置。
【請求項15】
請求項14に記載の薬剤送達装置であって、針の先端は、前記貫通ステージの間に患者の組織内の注入位置に移動させられ、薬剤は、前記注入ステージの間に前記患者の組織に注入される、薬剤送達装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の薬剤送達装置であって、前記注入ステージにおいて前記シリンジが動かされるように構成されている距離は、前記貫通ステージにおいて前記シリンジが動かされるように構成されている距離の半分未満である、薬剤送達装置。
【請求項17】
請求項14から16のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、前記シリンジは、前記エネルギー貯蔵手段から得られる力を受けて、前記貫通ステージ及び/又は前記注入ステージにおいて移動される、薬剤送達装置。
【請求項18】
ピストン又はプランジャを規定するいずれかの請求項に最終的に従属する請求項14から17のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、前記ハウジング、近位アクチュエータ部分、又は前記薬剤送達装置の他の構成は、停止壁を備え、前記停止壁は、前記ピストン又は前記プランジャと協働して前記貫通ステージから前記注入ステージに移行するように構成されている、薬剤送達装置。
【請求項19】
請求項11から18のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、更にシリンジキャリアを備え、前記シリンジキャリアは、バイアルの相互取付手段を受け入れるように、加えて/または、前記相互取付手段と協働するように構成されている取付手段を任意選択的に備える、薬剤送達装置。
【請求項20】
請求項18又は19に記載の薬剤送達装置であって、前記シリンジキャリアの前記取付手段は、雄型取付手段又はガイドレールであり、または、雄型取付手段又はガイドレールを備え、任意選択的に、前記雄型取付手段又は前記ガイドレールは、前記シリンジに摺動可能に接続される、薬剤送達装置。
【請求項21】
請求項11から20のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、前記アクチュエータアセンブリの前記近位端は、針のための通路を備える、薬剤送達装置。
【請求項22】
請求項11から21のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、前記アクチュエータアセンブリは、該アクチュエータアセンブリの前記近位端において力を受けて、また、任意選択的に、手動による力を受けて、作動されるように構成されている、薬剤送達装置。
【請求項23】
請求項11から22のいずれか1項に記載の薬剤送達装置であって、前記アクチュエータアセンブリは、注入が行われた後に前記針を覆うように延びるように構成されている、薬剤送達装置。
【請求項24】
請求項23に記載の薬剤送達装置であって、前記アクチュエータアセンブリは、遠位アクチュエータ部分と近位アクチュエータ部分とを備え、前記アクチュエータアセンブリは更に、注入が行われた後に前記針を覆うように前記近位アクチュエータ部分を前記遠位アクチュエータ部分から離れるように移動するように構成されており、また、任意選択的に又は好ましくは、前記遠位アクチュエータ部分と前記近位アクチュエータ部分とは、1つ又は複数の対応する戻り止めを備え、前記戻り止めは、前記装置の作動時に外れるように構成されている、薬剤送達装置。
【請求項25】
請求項24に記載の薬剤送達装置であって、前記アクチュエータアセンブリは、アクチュエータスプリングを備え、前記アクチュエータスプリングは、前記近位アクチュエータ部分を前記遠位アクチュエータ部分から離す力を提供するように構成されている、薬剤送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンジの分野に関し、特に、限定するものではないが、薬剤送達装置に用いるシリンジ、及び薬剤送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医学的症状によっては、薬剤の投与による迅速な対応を必要とする。この対応は、患者が医療専門家に搬送される前に必要とされることが多い。したがって、患者又は別の人が薬剤を投与することを可能にする自己投与式自動注射器が利用可能である。例えば、自動注射器は、アナフィラキシーショックの処置において使用でき、この場合、薬剤は例えばエピネフリンである。このような装置はまた、他の医学的症状の治療において異なる薬剤を投与するために使用され得る。
【0003】
本技術分野において公知の薬剤送達装置は、従来、直線的に組み立てられて構成されている。これらの構造は、針と、それに続く薬剤を保持する円筒形バイアルと、バイアル内の容積を減少させ、圧力を増加させ、それによって、針を介して薬剤を押し出すプランジャとに単純化することができる。
【0004】
本発明の目的は、本技術分野において公知のものよりも改善された薬剤送達装置を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、例えば薬剤送達装置に用いるシリンジが提供される。シリンジは、1つ又はそれより多いバイアルを有していてもよい。1つのバイアル又は各バイアルは、チャンバを含んでいてもよい。チャンバは、シリンダ内のボアとして形成されていてもよく、シリンダはバイアル内に含められていてもよい。チャンバは、流体を収容するように構成されていてもよい。バイアルは、ピストンを受け入れるように構成されていてもよい。シリンジはピストンを備えていてもよい。シリンジは更に、皮下注射針を取り付けるための針取付点を備えていてもよい。チャンバは、例えば、シリンジ内で針取付点から横方向にオフセットされていてもよい。針は、シリンジと一体であってもよく、または、シリンジに取り付け可能(且つシリンジから取り外し可能)であってもよい。
【0006】
針取付点から「オフセット」されているチャンバについての記載は、例えば、チャンバの少なくとも一部分又は全てが針取付点からオフセットされている構成、及び/又は、チャンバの少なくとも一部分又は全てが、1つ又はそれより多い流体チャネル又は流体コネクタによって、針取付点に流体接続されている構成を包含することと意図される。「オフセット」とは、チャンバの一部又は全部が横方向にオフセットされることを意味し得る。横方向にとは、注入方向を横切る次元(dimension)を表し、注入方向は、シリンジに取り付けられた針の軸線に対応する。
【0007】
本発明の別の態様又は実施形態によれば、例えば、薬剤送達装置に用いるシリンジが提供され、また例えば、このシリンジは上記態様のシリンジであってもよい。シリンジはバイアルを含んでいてもよい。バイアルは、複数の相互接続されたチャンバを備えていてもよい。バイアルは、ピストンを受け入れるように構成されていてもよい。シリンジはピストンを備えていてもよい。
【0008】
複数の又は多数のチャンバが存在する場合、これらのチャンバは、1つ又はそれより多い流体チャネル又は流体通路を介して、互いに流体接続されていてもよく、加えて/または、針取付点に流体接続されていてもよい。流体通路は、長手方向に小さい又は狭い断面を有していてもよく、チャンバよりも少なくとも1つの小さい寸法を有していてもよい。好ましくは、複数のチャンバは実質的に同じ容積容量である。
【0009】
いずれの態様においても、有利には、シリンジは、標準的なシリンジとは異なる構成を有しており、例えば、そのサイズ又は外観により、従来のシリンジが適さない又は望ましい用途を有し得る。従来のシリンジでは、チャンバは針取付点と直列である。本発明は、針取付点に対してオフセットされた、すなわち、針取付点と直列ではないチャンバを提供するので、例えば、標準的な細長いシリンジと比較してより広い、加えて/または、より平坦な、加えて/または、より短い、シリンジの異なる構成が可能になる。
【0010】
上記の態様のいずれも、以下の実施形態によって限定又は特徴付けることができる:
【0011】
チャンバは、単一のチャンバであってもよく、又は一対のチャンバ若しくは複数のチャンバであってもよく、又は一対のチャンバ若しくは複数のチャンバを含んでいてもよい。1つのチャンバ又は各チャンバは、プランジャとしても知られるピストンを受け入れるように構成されていてもよい。複数のチャンバが存在する場合、2つ又はそれより多いチャンバが、針取付点について対称に配置されていてもよい。言い換えれば、針取付点及びチャンバは、平行に設けられていてもよい。針取付点及びチャンバは、少なくとも部分的に平行に設けられていてもよい。針取付点及びチャンバは、横方向に少なくとも部分的に整列させられて、又は少なくとも部分的に重なって設けられていてもよい。針取付点及びチャンバは、直列でなく設けられていてもよい。これは、チャンバ及び針取付点を直列に設けるよりも、間隔を空けた利用をもたらす。対称的な配置は、装置からの薬剤の投与中に対称的で均等な力の分布をもたらす。このような構成は、適用対象(application)が要求する場合により適当になり得る。チャンバは、実質的に長方形の断面であってもよい。実質的に長方形とは、丸みを帯びた長方形、ディスコレクタングル(discorectangle)、丸みを帯びた台形等を含む、長方形に類似する形状を含むとみなすことができる。主な評価基準は、断面の1つの寸法が断面の別の寸法よりも大きいこととすることができる。チャンバは、代わりに、バイアルのシリンダ内に形成されたボアを備えていてもよい。したがって、チャンバは、実質的に円形の断面を有していてもよい。チャンバは、複数の接続されたチャンバから形成されていてもよい。2つ又はそれより多い連結されたチャンバ間に圧力逃がし孔を設けてもよい。圧力逃がし孔は、圧力逃がし孔が使用されない場合よりも、チャンバの1つ又はそれより多い部分において高められた圧力を低減し得る。
【0012】
本発明の実施形態では、シリンジは、薬剤送達方向とは反対方向に押し込み動作を提供するように構成されていてもよい。シリンジは、遠位から近位への薬剤送達方向とは対照的に、近位から遠位に向かう方向に押し込み動作を提供するように構成され得る。これは、必要とされる空間をさらに低減し、よりコンパクトなシリンジを可能にする。このような構成はまた、1つ又は複数のプランジャが、緩衝部として作用し、それによってバイアル又はそのチャンバに対する衝撃力を低減するという二次機能を果たすことを可能にするように構成され得る。
【0013】
本発明の実施形態は、一対のピストンを備えることができる。一対のチャンバが設けられる場合、各チャンバ内に受け入れられるように1つのピストンが設けられてもよい。
【0014】
他の実施形態においては、単一のチャンバ又は多数のチャンバが設けられてもよく、加えて/または、単一又は多数のピストンが対応して設けられてもよい。
【0015】
本発明の実施形態は、取付手段を備えてもよく、取り付け手段は、シリンジキャリアの相互の又は相互に協働する取付手段を受け入れるように、加えて/または、この取付手段と協働するように構成される。シリンジの取付手段は、雌型の取付手段であってもよく、または、雌型の取付手段を備えてもよい。シリンジの取付手段は、スロット、溝、チャネル、孔、ボア、ベアリング、又は他の開口であってもよく、または、これらを含んでもよい。シリンジの取付手段は、バイアル又はシリンジの壁、本体又は表面に形成され得る。シリンジの取付手段は、シリンジキャリアの相互の又は相互に協働する取付手段と連結するように形成され得る。いくつかの実施形態においては、シリンジキャリア及びシリンジの取付手段は、シリンジがシリンジキャリア取付手段に対して直線的に並進し得るように、摺動可能に接続可能である。
【0016】
本発明の更なる態様によれば、上述の態様又は実施形態のいずれかのシリンジを備える薬剤送達装置が提供される。
【0017】
本発明の実施形態は、任意選択的に、遠位端及び近位端を有するハウジングを備え得る。ハウジングは、単一の構成要素であってもよく、また、複数のハウジング部品から形成されてもよい。本発明の実施形態はカバーを備えてもよい。カバーは、ハウジングに取り外し可能に取り付け可能であってもよい。本発明の実施形態は、任意選択的に、ハウジングの遠位端内に設けられるエネルギー貯蔵手段を備え得る。本発明の実施形態は、任意選択的に、遠位端及び近位端を有するアクチュエータアセンブリを備え得る。遠位端は、ハウジング内に設けられてもよく、近位端は、ハウジングを越えて延びてもよい。アクチュエータアセンブリは、複数のアクチュエータ、作動構成要素、及び/又は作動サブシステムを備え得る。一つの実施形態においては、近位アクチュエータ部分及び遠位アクチュエータ部分が設けられる。いくつかの実施形態においては、遠位アクチュエータ部分はシャーシと呼ばれてもよく、近位アクチュエータ部分は単にアクチュエータと呼ばれてもよく、また、その逆であってもよい。シリンジは、エネルギー貯蔵手段に取り付けられてもよいし、取り付け可能であってもよい。アクチュエータアセンブリ(例えば、近位アクチュエータ部分)は、エネルギー貯蔵手段を作動させて、シリンジを近位端に向かって移動させ、使用のために針を露出させるように構成されてもよい。遠位アクチュエータ部分は、使用後に針を覆うために装置構成要素を互いに対して移動させるように構成されてもよい。代替として、単一のアクチュエータアセンブリが提供され、両方の機能のために構成されてもよい。
【0018】
本発明の実施形態は、貫通ステージ及び注入ステージにおいて移動可能であるシリンジを提供し得る。
【0019】
貫通ステージは、針が患者の皮膚を貫通するように構成される段階である。注入ステージは、シリンジが使用者に薬剤を送達するように構成される段階である。注入ステージは、貫通ステージに続く。注入ステージは、最後の15mm以下に亘る移動を含んでもよい。注入ステージは、最後の1mm以上に亘る移動を含んでもよい。好ましくは、注入ステージは、7mm以下に亘る移動を含む。好ましくは、注入ステージは、3mm以上に亘る移動を含む。更に好ましくは、注入ステージは、約5mmに亘る移動を含む。シリンジは、注入ステージの間にのみ薬剤を送達するように構成されてもよい。これは、針が薬剤を投与するために患者の皮膚上面の下の適切な深さにあることを確実にし得る。適切な深さは、用途に応じて皮下又は筋肉内であってよい。
【0020】
シリンジは、エネルギー貯蔵手段から与えられる力を受けて、貫通ステージ及び/又は注入ステージにおいて移動可能であってよい。
【0021】
本発明の実施形態は、停止壁を備え得る。停止壁は、ハウジング内に形成され得る。停止壁は、ピストンと協働して貫通ステージから注入ステージに移行するように構成され得る。停止壁は、薬剤を針を介して押し出すために、プランジャ/ピストンと相互作用して、プランジャ/ピストンをシリンジのチャンバ内に押し込むという点で、「プランジャプッシャ」と見なすことができる。ハウジングの壁ではなく、停止壁は突起として形成されてもよい。壁又は突起は、ハウジングではない他の構成要素に設けられてもよい。例えば、壁又は突起は、使用時にシリンジに対して移動する任意の部分に設けることができる。このような構成要素は、遠位アクチュエータ部品又はシャーシであってもよい。
【0022】
本発明の実施形態は、シリンジキャリアを備え得る。シリンジキャリアは、バイアル又はシリンジの相互取付手段を受け入れる及び/又はこの相互取付手段と協働するように構成された取付手段を備え得る。シリンジキャリアの取付手段は、雄型の取付手段であってもよく、または、雄型の取付手段を備えてもよく、任意選択的に、雄型の取付手段は、突起であってもよく、または、突起を備えてもよい。
【0023】
代替として、バイアルの取付手段は、雄型の取付手段であってもよく、または、雄型の取付手段を備えてもよく、シリンジキャリアの取付手段は、雌型の取付手段であってもよく、または、雌型の取付手段を備えてもよい。雄型/雌型の取付手段の特徴及び/又は特質は、シリンジキャリアとバイアルとの間で交換可能である。実施形態は、一方が他方内で受け入れ可能であり、任意選択的に他方内に連結可能であることが想定される。
【0024】
本発明の他の実施形態においては、シリンジキャリア及びシリンジは、摺動可能に接続される。シリンジキャリアは、ガイドレールの形態の取付手段を備え得る。ガイドレールは、シリンジのための位置決め手段を提供することができる。ガイドレールは、装置の遠位端から装置の近位端に向かうシリンジの並進を制御する手段を提供し得る。
【0025】
本発明の実施形態は、針のための通路を備え得る。針のための通路は、アクチュエータアセンブリの近位端に形成され得る。
【0026】
本発明の実施形態において、アクチュエータアセンブリは、アクチュエータアセンブリの近位端において力を受けて作動されてもよい。任意選択的に、これは、手動で加えられる力を受けて生じる。
【0027】
本発明の実施形態において、アクチュエータアセンブリは、注入が行われた後に針を覆うように延びるように構成され得る。
【0028】
本発明の実施形態は、遠位アクチュエータ部分及び近位アクチュエータ部分を備え得る。遠位アクチュエータ部分及び近位アクチュエータ部分は、アクチュエータアセンブリを形成し得る。
【0029】
薬剤送達装置はさらに、注入が行われた後に、針を覆うために、遠位アクチュエータ部分から離れるように近位アクチュエータ部分を並進させるように構成されてもよい。したがって、注入が行われた後に針を覆うことは、遠位アクチュエータ部分から離れるように近位アクチュエータ部分を並進させることを含み得る。
【0030】
アクチュエータアセンブリは、1つ以上のアクチュエータスプリングを備え得る。アクチュエータスプリングは、遠位アクチュエータ部分から離れるように近位アクチュエータ部分を並進させる力を提供するように構成され得る。スプリングは、螺旋ばねであってもよい。スプリングは、圧縮ばねであってもよい。他の実施形態においては、スプリングは、引張ばねであってもよい。近位及び遠位アクチュエータ部分は、異なる種類のばね(圧縮、引張等)を使用して、相互に向かって、または、相互から離れるように付勢されてもよく、ハウジング及び/又はカバー及び/又は近位及び遠位アクチュエータ部分等に協働する特徴を提供することによって、初期/充填位置に保持されてもよい。
【0031】
遠位アクチュエータ部分及び近位アクチュエータ部分は、1つ又は複数の対応する戻り止めを備え得る。戻り止めは、装置の作動時に外れるように構成されてもよい。戻り止めは、タブ、停止面、又は停止面を備えるタブとして説明され得る。
【0032】
本発明の更なる態様によれば、薬剤を貯蔵するためのチャンバを備える薬剤送達装置が提供される。薬剤送達装置は、皮下注射針を受け入れるための針取付点を備え得る。薬剤送達装置は、エネルギー貯蔵手段を備え得る。薬剤送達装置は、エネルギー貯蔵手段に蓄えられたエネルギーを放出するためのアクチュエータを備え得る。針取付点は、チャンバからオフセットされてもよい。
【0033】
本発明のさらに別の態様によれば、上述の態様の1つ又は複数に係る装置、また、任意選択的に、提供される実施形態に係る装置を使用する方法が提供される。本方法は、シリンジを装置の近位端に向かって移動させるように、エネルギー貯蔵手段を作動させることを備え得る。
【0034】
本発明のさらに別の態様によれば、上述の態様の1つ又は複数に係る装置、また、任意選択的に、提供される実施形態に係る装置を製造する方法が提供される。本方法は、針取付点からオフセットされるチャンバを提供することを備え得る。
【0035】
上記態様のいずれかの実施形態において、ハウジングは、シリンジ及び/又は他の構成要素の全部又は一部を取り囲み得る。ハウジングは、装置の使用中に針が突出できる開放又は実質的に開放する端を有してもよい。ハウジングの開放端に、この開放端の周りに、この間放端の中に、又はこの開放端を覆って取り付ける及び/又は受け入れることができるように構成されたカバーが設けられ得る。カバーは、針が不注意に突出され又はいずれかを傷つけることができないように、保護を提供するように構成されてもよい。ハウジング及び/又はカバーは、戻り止め、雄型/雌型の要素(例えば、突起、スロット、フック、開口、カンチレバー、停止部等。)等のような、1つ又は複数の対応する及び/又は協働する特徴を介して、相互に固定可能であるように構成されてもよい。
【0036】
1つ又は複数のしるしを、シリンジ/装置の任意の部分、例えばカバー及び/又はハウジングに設けることができる。しるしは、テキスト及び/又は視覚的及び/又は触感的であってもよく、使用の際の警告又は指示を伝えてもよい。
【0037】
上記の態様又は実施形態のいずれについても、有利には、シリンジ/薬剤送達装置は、標準的なシリンジに対して異なる物理的/幾何学的構成を有する。従来のシリンジでは、チャンバは針取付点と直列である。本発明は、チャンバが針取付点にオフセットされる、すなわち、針取付点と直列ではないようにするので、シリンジの異なる構成、例えば、標準的な細長いシリンジと比較してより広い及び/又はより平坦な及び/又はより短い構成が可能である。これは、装置がより容易に収納可能且つ搬送可能であることを意味する。
【0038】
シリンジ/装置は、有利には、薬剤を自己投与するため、又は薬剤を別の者に投与するために使用することができる。
【0039】
1つ以上の保持及び/又は協働部材は、1つ又は複数の所定の位置にシリンジ又は装置を保持するために、1つ又は複数の上記構成部品上の対応する他の特徴と協働又は係合するように、ハウジングの内部、カバー及び/又はシリンジキャリア及び/又はアクチュエータアセンブリ及び/又はバイアルの1つ又は複数に設けられてもよい。例えば、装置は、使用の準備ができている充填位置に固定されてもよい。代替として、装置は、例えば、薬剤が内部に存在しないとき、又は薬剤が使用された後に、非装填位置に固定されてもよい。
【0040】
ピストンは、硬質及び/又は剛体部分及び/又は軟質及び/又は柔軟又は変形可能部分を備え得る。より柔らかい部分は、ピストンとシリンジとの間にシール手段を提供し得る。ピストンはプランジャと呼ばれてもよく、シール手段を提供するためにシリンジと接触するシールリッジ(sealing ridge)を備えてもよい。
【0041】
任意の態様からの任意の特徴は、任意の組み合わせで、任意の他の態様の特徴と組み合わせることができる。
【0042】
本発明の別々の態様及び実施形態に関連して説明されている特徴は、可能であれば、一緒に使用されてもよく、加えて/または、交換可能であってもよい。同様に、簡潔にするために、特徴が単一の実施形態に関連して説明されている場合、これらの特徴はまた、別個に、または、任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。本方法に関連して説明される特徴は、装置及び装置の使用に関して定義可能な対応する特徴を有してもよく、これらの実施形態は、具体的に想定される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
添付の図面を参照して、単に例として、本発明の実施形態を説明する:
図1図1は、薬剤送達装置の分解図を示す。
図2図2は、組み立てられた図1の薬剤送達装置の縦断面図及び横断面図を示す。
図2a図2aは、組み立てられた図1の薬剤送達装置の縦断面図及び横断面図を示す。
図3図3は、シリンジキャリアアセンブリの詳細図を示す。
図4図4は、シリンジの詳細図を示す。
図5図5は、シリンジキャリアの詳細図を示す。
図6図6は、アクチュエータアセンブリの詳細図を示す。
図7図7は、図6のアクチュエータアセンブリの一部の等角図を示す。
図7a図7aは、別の実施形態に係るアクチュエータアセンブリの一部の等角図を示す。
図7b図7bは、ハウジング内に配置された図7aのアクチュエータアセンブリの一部を示す。
図8a図8aは、様々な作動ステージにおける図1及び図2の薬剤送達装置を示す。
図8b図8bは、様々な作動ステージにおける図1及び図2の薬剤送達装置を示す。
図8c図8cは、様々な作動ステージにおける図1及び図2の薬剤送達装置を示す。
図8d図8dは、様々な作動ステージにおける図1及び図2の薬剤送達装置を示す。
図8e図8eは、様々な作動ステージにおける図1及び図2の薬剤送達装置を示す。
図8f図8fは、様々な作動ステージにおける図1及び図2の薬剤送達装置を示す。
図9a図9aは、図8a~8eに示すステージにおけるアクチュエータアセンブリのより詳細な図を示す。
図9b図9bは、図8a~8eに示すステージにおけるアクチュエータアセンブリのより詳細な図を示す。
図9c図9cは、図8a~8eに示すステージにおけるアクチュエータアセンブリのより詳細な図を示す。
図10a図10aは、完全に組み立てられた図1又は図2の薬剤送達装置の外部を示す。
図10b図10bは、完全に組み立てられた図1又は図2の薬剤送達装置の外部を示す。
図11a図11aは、異なるステージにおける図1又は図2の装置の断面を示す。
図11b図11bは、異なるステージにおける図1又は図2の装置の断面を示す。
図11c図11cは、異なるステージにおける図1又は図2の装置の断面を示す。
図12図12は、別の薬剤送達装置の分解図を示す。
図13図13は、図12の薬剤送達装置のバイアルサブアセンブリの断面を示す。
図14図14は、図12の薬剤送達装置のシャーシサブアセンブリの部分断面図を示す。
図15図15は、図12の薬剤送達装置のアクチュエータの断面を示す。
図16図16は、図12の薬剤送達装置の安全カバーを示す。
図17図17は、図12の薬剤送達装置の内部アセンブリを示す。
図18図18は、図17の内部アセンブリを有する図12の組み立てられた薬剤送達装置を示す。
図19図19は、いくつかの構成要素が取り外された、組み立てられた薬剤送達装置を示す。
図20図20は、注入位置にある図19の組み立てられた薬剤送達装置の半分の正面図を示す。
図21図21は、貫通ステージにおける図19の装置の正面図を示す。
図22図22は、注入ステージにおける図19の装置の半分の正面図を示す。
図23図23は、ハウジング及びシールを通る部分断面を有する図19の装置の半分の斜視図を示す。
図24図24は、図19の装置の部分断面正面図を示す。
図25図25は、図19の装置の部分断面斜視図を示す。
図26図26は、薬剤送達装置のバイアルサブアセンブリの更なる実施形態の半断面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
薬物送達装置100及びその主要な構成要素のいくつかは、図面を参照して以下で説明される。装置自体は、容易に収納可能かつ輸送可能であるように設計される。この理由から、薬物送達装置100は、本技術分野で公知の薬剤送達装置と比較して、実質的に平坦な形態及び小さいサイズを有する。平坦とは、装置の厚さがその幅及び長さよりも実質的に小さいことを意味する。装置の長さ及び幅は、クレジットカードの長さ及び幅と同等であり、これにより、例えばポケットに収納するのに適している。装置100は、実質的に84~98mmの長さ、実質的に52~68mmの幅、及び実質的に11.5mm~15.5mmの厚さである。より具体的には、装置100は、87~94mmの長さ、55~58mmの幅、及び11.5mm~13.5mmの厚さである。例えば、装置100は、略87mmの長さ、略55mmの幅、及び略11.5mmの厚さであり、0.5mlの服用量を送達するように構成され得る。これらは例としてのみ与えられることが理解されるであろう。寸法は、服用量サイズや運ばれる液体の体積等の用途の実際の要件に応じて変更され得る。
【0045】
装置100及びその構成要素は、以下のように説明される。「近位」への言及は、装置100が使用される患者における、または、この患者に向かう構成要素を示す。「遠位」への言及は、装置の反対側の端部にある、または、装置100が使用される患者から離れた構成要素を示す。装置100の近位端100aは、カバー102によって囲まれた装置の端部を指し、患者の身体の対象領域と接触させられる端部である。装置100の遠位端100bは、装置100の近位端の反対側の装置の端部を指す。遠位端と近位端との間で直線的に延びる軸線(図示せず)は、長手方向であるとして説明される。装置は、2つの大きい又は主表面100c、100dを有する。機能的には、主表面(これは、装置100の前部及び後部とみなされ得る)は交換可能である。装置100の側部は、近位端及び遠位端100a、100bと2つの主表面100c、100dとの間に延びる。側部間で直線的に延びる軸線は、横方向であるとして説明される。
【0046】
装置100は、自己によって投与されるように又は他の者によって投与されるように構成される。したがって、本明細書は、使用者及び患者について言及し、使用者とは管理者であり、患者とは受ける者である。装置100は、自己投与され得るため、使用者及び患者は、同一となり得る。
【0047】
図1は、薬剤送達装置100の分解図である。薬剤送達装置100は、多数の相互接続可能な又は相互接続された部分を有する。薬剤送達装置101の外周は、ハウジング101及びカバー102によって画定されている。ハウジング101は、以下で説明される複数の内部構成要素を含む。カバー102は、ハウジング101の近位端を取り囲むために、ハウジング101に取り外し可能に接続可能である(またはその逆)。あるいは、カバー102は、ハウジング101の近位端を実質的に囲むことなく、ハウジング101の端部に単に取り付けることができもてよい。
【0048】
ハウジング101は、第1の、例えば前部分101aと、第2の、例えば後部分101bとを備えている。第1の部分101a及び第2の部分101bは、内部構成要素を取り囲むように互いに接続可能であるように構成されている。一実施形態においては、ハウジングは、単一又は単体構造の代わりになる。ある実施形態では、カバー102及びハウジング101は、剛体材料から形成される。例えば、それらはプラスチック材料で形成されてもよい。プラスチックは、PP(ポリプロピレン)又はABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)であってもよい。プラスチック部品は、射出成形又は他の公知の適切な処理を使用して形成され得る。あるいは、カバー102及びハウジング101は、アルミニウム等の金属から形成(例えば、鋳造及び機械加工)され得る。1つ又は複数のカバー戻り止め102aがカバー102に設けられており、カバー戻り止め102aは、ハウジング101上の1つ又は複数の凹部101cに対応し、加えて/または、凹部101c内に受け入れ可能である。戻り止め102aは、ハウジング101の凹部101cに又は凹部101cの近傍に設けられた戻り止め107と係合するように構成されたキャッチ102b(例えばフック)を有する。戻り止め102a、107の係合は、例えば輸送及び保管中に、カバーがハウジング101上に保持されることを可能にする。カバー102を取り外すために、カバー102の横/側面上の1つ以上のつめ106が把持でき、ハウジング101から長手方向に引っ張ることができる。この動作による圧力は、キャッチを外側に押して、カバー戻り止め102aをハウジング戻り止め107から係合解除する。追加の同様に対応する戻り止め及びハウジング凹部(図示せず)を主面100c、100dに設けることができる。このような実施形態は、安全カバー101を取り外すために必要とされるより多くの力をもたらし、特定の状況に対して好ましい場合がある。代替的又は追加的に、カバー102をハウジングに固定するために、1つ又は複数の他の取付手段又は固定手段を設けることができる。1つ以上の雄型/雌型の取付部材がカバー102/ハウジング101に設けられてもよく(またはその逆)、加えて/または、1つ以上の相互に協働する取付部材(例えば相互係合可能なフック)がカバー102/ハウジング101に設けられてもよい(またはその逆)。
【0049】
図示される実施形態では、カバー102は、短い側面及び長い主(前/後)表面102cを有する。したがって、戻り止め102aとは別に、カバーは部分的に開いた側面を有する。他の実施形態では、側面は閉じられているか又は実質的に閉じられている。したがって、いずれの場合も、カバーの2つの主面102cは、カバー102の近位端から離れるように突出するプレートの形態で提供される。図示の実施形態では、ハウジング101の主面100c、100dは、プレート102cを受け入れるように構成された凹状又は差し込み部分101dを備えている。好ましくは、プレート102cが凹部101d内に位置するとき、カバー102及びハウジング101の外部は、互いに実質的に面一である。他の実施形態では、カバー102は、例えばハウジングの近位端に取り付けられてもよく、例えばクリップ留めされてもよい。
【0050】
グラフィック及び/又は視覚的及び/又は触覚的な指示の形態の1つ又は複数のしるし108を、ハウジング101及び/又はカバー102の外面の1つ又は複数に設けることができる。これらのしるし108のうちの1つ以上は、製造プロセスの一部において形成されてもよく、したがって、装置100の表面に隆起又は陥没した輪郭として形成されてもよい。他のしるし108は、装置の表面に直接印刷することによって提供されてもよい。他のしるし108は、接着性ステッカーとして提供されてもよい。カバー102を取り外すことにより、ハウジング101上の、例えば凹状又は差し込み部分101d上又は内の追加のしるし108が現れるようにすることもできる。カバー102の取り外しによって現れるハウジング101上のこのような追加のしるし108は、警告及び/又は指示を表示するようにできる。警告及び指示は、とりわけ、装置が「準備完了」状態であること、及び誤った注入を防止するために注意を払うべきであることを表してもよい。カバー102は、取り外すためにカバーを引っ張る方向を示すしるし108を特徴としてもよい。これらのしるし108は、正しい方向を示す矢印の形態であってもよい。「PULL」又は同様の語も使用され得る。
【0051】
ハウジング101、又は実施形態では、ハウジング101の前部101a及び後部101bのうちの1つ以上は、装置100の内部構成要素を保持するように構成される、1つ以上のリブ及び/又は突出部104を備えている。リブ及び/又は突出部104の1つ以上はまた、構造的剛性を装置100に提供するように構成されていてもよい。したがって、リブ及び/又は突出部104は、装置100が輸送中(例えば、ポケット又はバッグの中)であるとき又は使用されているときに、ハウジング101が押しつぶし又は破壊に抗することを補助できる。1つ又は複数のリブ及び/又は突出部の代わりに、他の保持手段、例えば壁、止め具(stop)、隆起部(ridge)、戻り止め等を設けることができる。
【0052】
内部構成要素は、シリンジキャリアアセンブリ及びアクチュエータアセンブリを備えており、これらの両方は、図1において、それらの構成部品に分解されて示されており、エネルギー貯蔵手段103と共に、以下でより詳細に説明される。エネルギー貯蔵手段103は、好ましくは、ばね、例えば螺旋ばねを備えている。図示の実施形態では、一対の平行な螺旋ばね103が設けられている。1つ又は複数の他のばね、及び/又は異なる種類のばね、及び/又は1つ又は複数の他の付勢手段が、追加的に又は代わりに使用され得ることは理解される。
【0053】
図2は、組み立てられているがカバー102がない薬剤送達装置100の断面を示す。図示された構成では、装置100は、カバー102が取り外されており、使用のために準備されている。アクチュエータアセンブリの近位アクチュエータ部分310は、ハウジング101の近位端を越えて突出している。アクチュエータアセンブリの近位アクチュエータ部分310は、装置100が作動されるときに皮下注射針204が貫通するように構成された開口部311を近位アクチュエータ部分310の近位端に有する。近位アクチュエータ部分310はまた、使用者が開口部311を迅速に識別することを可能にするために、成形品内又は成形品上に更なるしるし312を備えていてもよい。
【0054】
1つ以上の可動及び/又は変形可能要素が、装置100を充填位置に維持することを補助するために提供されていてもよい。1つ以上の可動/変形可能なカンチレバーが使用されてもよい。図示の実施形態では、一対のカンチレバー110が、ハウジング101の遠位端に又は遠位端に向かって内面において配置されている。カンチレバー110は、内部遠位表面からハウジング101の近位端に向かって長手方向に延びている。各カンチレバー110は、戻り止めの夫々の対、すなわち、横方向内側に延びる戻り止め111及び横方向外側に延びる戻り止め112、において終端している。したがって、カンチレバー110は、断面が略「T」字形である。実施形態では、カンチレバー110は、異なるように、例えば、「L」字形に構成されてもよく、または別様に、カンチレバーの近位端が、その遠位端よりも大きい寸法を有するように構成されてもよい。2つのカンチレバー110が示されているが、1つのみ又はそれより多いカンチレバーが代わりに設けられてもよいことは理解されるであろう。カンチレバー110は、それらの近位端111、112がハウジング101内で横方向に移動可能であるように、可撓性、変形可能、及び/又は枢動可能である。
【0055】
ハウジング101は、ハウジング101の近位端から固定距離で装置100の近位端に向かって位置決めされた一対の停止壁105を更に備えている。
【0056】
無菌性のために、ゴムシール204rが針204の先端に押し付けられていてもよい。非コアリング針を使用して、ゴムの粒子が患者の組織に入ることを防ぐことができる。プラスチックラッピング204wは、針204の残りの部分をシールするために設けられていてもよい。
【0057】
図3は、図1において分解されて示されたシリンジキャリアアセンブリをより詳細に示す。シリンジキャリアアセンブリは、シリンジキャリア210と、シリンジ200と、皮下注射針204と、ピストン205の形態の一対のプランジャとを備えている。シリンジキャリア210の近位端は、シリンジ200の遠位端に設けられた雌型要素203内に受け入れ可能な雄型要素211を備えている。図示の実施形態では、雄型要素211はT字形突起であり、雌型要素203は対応する形状の開口部又はスロットである。
【0058】
針204は、シリンジ200に取り付けられるか、又は取り付け可能である。針204はカラー204cを備えている。シリンジ200への皮下注射針204の取り付けは、シリンジ200の近位端に設けられた針取付点202にカラー204cに圧着することによってなすことができ、あるいは、例えば、ねじ嵌め、バヨネット嵌め、又はスナップ嵌め等による他の方法で固定することができる。ピストン205は、シリンジ200の夫々の開口部に挿入されるか、または、これら開口部の中に受容可能である。各ピストン205は、押し出し作用を提供するための剛体又は硬質部分205aと、より柔らかい又は変形可能な部分205b、例えば、少なくとも1つのゴムプランジャ部分とを備えていてもよい。より柔らかい部分205bは、ピストン205とシリンジ200の内壁との間にシールを形成するように構成されたシール手段207を提供する。図示された実施形態では、軟質ピストン部分205bは、剛体ピストン部分205aに受容されるように構成されている。軟質ピストン部205bは、剛体ピストン部205aの突起205dを受け入れるための開口又は凹部205cを備えている。突起205dは、例えば、溶接、接着剤、又は任意の他の好適な既知の手段によって、開口205c内の位置に固定されてもよい。
【0059】
各ピストン205の剛体部分205aは、その近位端に作動面208を更に備えている。ハウジングの停止壁105及びプランジャ支持体208は、作動面208を受け入れるように対応して構成することができる。図示された実施形態では、停止壁105は凹状の構成を有し、プランジャ支持体208は対応する凸状の構成を有しているが、異なる構成が使用されてもよいことは理解される。1つ又は複数の安定化突起205eを剛体プランジャ部分205aの遠位端に向かって設けて、動作(貫通及び注入)中の安定した接触を容易にすることができる。
【0060】
一の実施形態では、軟質プランジャ部分205cは、例えば、医療グレードのTPE(熱可塑性エラストマー)、ポリイソプレン、及び/又は他の好適なゴムを使用して成形されて形成されてもよい。軟質プランジャ部分205cは、シリンジ200内のシールを強化するための複数のリブ、隆起部、又はリングを有していてもよい。ピストン205及びゴムプランジャ207の形状は、シリンジ200のチャンバ206の形状に対応する。シリンジキャリアアセンブリは、ハウジング101内で長手方向に並進するように構成されている。図6を参照して後述されるように、突起及び/又はリブ104は、近位アクチュエータ部分310上の壁316aと共に、シリンジキャリアアセンブリがそれに沿って移動するためのガイドを提供する。
【0061】
ここで、シリンジ200について、図4を参照してより詳細に説明する。シリンジ200は、バイアル201及び針取付点202を備えている。バイアル201は、針取付点202から横方向にオフセットされたチャンバ206を有するように構成されている。これは、先行技術のシリンジとは異なり、先行技術のシリンジは、従来の方法で、針取付点と直線的に配列されたチャンバを有する。チャンバ206を針取付点から横方向にオフセットし、それらを直列ではなく並列に効果的に有することは、装置の長手方向寸法の低減を可能にする。同様に、このシリンジの配置は、ハウジング101内のより効果的な空間利用を提供し、したがって、より長手方向にコンパクトなハウジング101が提供される。
【0062】
バイアルは、1つ、2つ、3つ、4つ以上のチャンバを備えていてもよい。図4の実施形態では、バイアル201は一対のチャンバ206を備えている。チャンバ206は、針取付点202の両側に対称的に配置されている。各チャンバ206は、略矩形の横断面を有する。矩形の角は、バイアル201の構造的一体性を向上し、上述のようにゴムプランジャ207及びピストン205でシールするための連続的な内面を提供するために丸みを帯びている。更に、丸みを帯びた表面は、より良好な液体の通過及び移送をもたらす。チャンバ206の横断面は、装置100の寸法に従って変化し得る。丸みを帯びた長方形及びディスコレクタングルは、それらが実質的に平坦である一方で、形成中により構造的一体性をもたらし、ゴムプランジャ207及びピストン205のための改良された密閉表面を提供するように、丸みを帯びた角を有するため、好適な形状の例である。
【0063】
流体通路又はチャネル206aは、一対のチャンバ206と針取付点202とを連結し、それらの間の流体連通を提供する。流体通路は、長手方向に小さい又は狭い断面を有していてもよい。狭い流体連通チャネル206aと、針取付点202からオフセットされているチャンバ206及び/又は針取付点202を越えて延びるチャンバ206の遠位端との組み合わせは、気泡が針取付点202又はその近傍に存在する可能性を低減する。これは、薬剤投与中の安全性を有利に高める。針取付点202は、バイアル201と針取付点202に取り付けられる皮下注射針204との間の流体連通を提供するために、針取付点202を通って延びる流体ノズル202aを有している。取付手段203は、バイアル201上又はその中に設けられており、シリンジ200をシリンジキャリア210に取り付けるように構成されている。取付手段は、上述のようにバイアル201の壁にスロット203を設けることによって形成されている。
【0064】
バイアル201は、薬剤が汚染されないことを確実にする材料から作られている。医療グレードのガラス(例えば、ホウケイ酸塩)又はプラスチックを使用することができる。特に、医療グレードのPP(ポリプロピレン)、ポリエチレン、又は他の適切な材料を使用することができる。好ましい実施形態では、PPが使用される。バイアル201は、2つの半体から形成され、例えば、超音波溶接によって互いに固定されてもよい。バイアル201は、特定の/意図された目的のために必要に応じて薬剤を収容するように構成される。様々な組成物を、意図する治療に応じて使用することができる。装置100は、例えば、アナフィラキシーショックの治療における使用が想定され、この場合、エピネフリンが薬剤となり得る。装置100は、種々の症状の治療及びそれに応じて特定される薬剤の治療において使用され得る。シリンジ200は、装置100に組み立てる前に予め充填されていてもよい。他の実施形態では、シリンジ200は再充填可能であってもよい。
【0065】
図5は、シリンジキャリア210を示す。シリンジキャリア210は、突起211の形態の取付手段を備えている。突起211は、シリンジ200のスロット203に接続可能に構成されている。スロット203及び突起211は、キャリアアセンブリを下方に移動させ、また、作動前にシリンジ200を定位置にしっかりと保持する機能を提供する。キャリア210は更に、横方向内壁213a及び横方向外カンチレバー212又は他の可動/変形可能係合手段(例えば、カンチレバー110の上述したような代替手段)によって画定されるソケット213を備えている。ソケット213は、エネルギー貯蔵スプリング103を受け入れるように構成されている。カンチレバー212は、長手方向に延びるアーム212aと、横方向に延びる戻り止め214とを備えている。
【0066】
アクチュエータアセンブリは、図6、7、及び7aにおいて、他の構成要素が除去された状態で、より詳細に示されている。アクチュエータアセンブリは、近位アクチュエータ部分310と遠位アクチュエータ部分320とを備えている。より具体的には、アクチュエータアセンブリは、近位アクチュエータ部分310と、一対の遠位アクチュエータ部分320とを備えている。近位アクチュエータ部分310は、カバー102が取り外されたときにハウジング101を越えて延びるアクチュエータアセンブリの部分である。図7により詳細に示されているように、近位アクチュエータ部分310は、その近位端に概して平坦な針シールド316と、上方に延びる一対のアームの形態のトレーリング部分313とを含んでいる。各アームの遠位端はソケット317cを含んでいる。各アームの遠位端は、アーム313に柔軟に取り付けられているカンチレバー314を含んでいる。カンチレバー314は、横方向外側に延びる戻り止め315を有している。各遠位アクチュエータ320はソケット317cを有している。アクチュエータスプリング330は内部に収容され、近位部分310のソケット317cを遠位部分320のソケット317cに接合している。いくつかの例では、ソケットは、スプリングを所定の位置に保持するためのボスを含むことができる。各遠位アクチュエータ320は、柔軟に取り付けられたカンチレバー321を有している。遠位アクチュエータ320のカンチレバー321は、横方向外側に延びる戻り止め322と、横方向内側に延びる戻り止め323とを有している。内向き凹部324が、遠位アクチュエータ部320の各々に形成されている。横方向に延在する戻り止め317a、317bは、夫々、近位アクチュエータ部分310の側面に、並びに、近位アクチュエータ部分310近位端及び遠位端に又はこれら近位端及び遠位端の方に形成されている。
【0067】
図6及び図7の実施形態では、針シールド316は、近位部分310の近位端から長手方向に突出するが、近位部分310の全幅に亘って横方向に延びていないプレートである。他の実施形態においては、針シールド316は、近位部分310の全幅に亘って横方向に延びていてもよい。図7bは、図6及び図7の実施形態に類似するが、薄膜316bが針シールド316と近位部分310のアーム313との間の間隙に広がっている他の実施形態を示す。膜は、針カバー316に取り付けられ、恐怖の発生を低減するために針204の視認を部分的又は完全に遮るのに役立つ不透明性/透明性を有していてもよい。図7bは、近位部分310が、例えば使用後に、ハウジングから延在されるときに、膜316b(または完全に広がる針シールド)が針204の視認をどのように遮るかを示す。
【0068】
図2aに(図8cと比較して)示すように、ハウジング101内に組み立てられると、ハウジング101の中央又はその近くに設けられたつめ104aは、ハウジング101を遠位アクチュエータ部分320の横方向外側に延びる戻り止め322に対して極めて狭いものにする。したがって、この配置は、力を与え、可撓性カンチレバー321を屈曲させ、カンチレバー321の横方向内向き戻り止め323を、近位アクチュエータ部分310のカンチレバー314の横方向外向きに延びる戻り止め315と協働させる。
【0069】
図10a及び10bは、完全に組み立てられた薬剤送達装置を示す。ハウジング101及びカバー102は、互いに協働し、接続する略平らな外面を提供するように構成されていることが分かる。これは、審美的に心地よい装置を提供するだけでなく、内部の構成要素を汚染から保護するのに役立つ。プラスチックから形成される場合、ハウジング101及び102は、超音波溶接によって封止されることもできる。
【0070】
次に、図8a~8e及び図9a~9cに関連して、装置100の動作を説明する。
【0071】
図8aは、図2に示す装置100と同様の充填された形態の装置100を示す。図9aは、図8aの関連する構成要素の拡大図を提供する。カバー102は取り外され、近位アクチュエータ部分310を露出している。ハウジングカンチレバー110は、充填位置に配置されている。ハウジングカンチレバー110は、弾性特性を有し、充填位置において、実質的に長手方向に沿った休止位置から変位されている。この位置において、ハウジング戻り止め111、112は、シリンジキャリア戻り止め214と遠位アクチュエータ部分320との間に留められている。ハウジング101の横方向内側に延在する戻り止め111は、シリンジキャリア戻り止め214と係合し、シリンジキャリアアセンブリを保持し、スプリング103を圧縮状態に維持し、その内部のエネルギーが貯蔵された状態を維持する。
【0072】
使用時、近位アクチュエータ部分310の近位端は、患者の注射部位に押し付けられる。この動作は、図8b及び図9bに示すように、アクチュエータアセンブリを長手方向に、更にハウジング101内に並進させる。これは、針204の先端と開口部311との間の距離を減少させ、これにより、針204が患者の皮膚を貫通するために必要とされる移動距離を減少させる。この位置において、ハウジング戻り止め112は、遠位アクチュエータ部分320との接触から解放され、遠位アセンブリ320の凹部324内に延在することができる。すなわち、ハウジングカンチレバー110は、図8c及び図9cに示すように、解放され、それらの弛緩位置へと更に回転することができる。この動作は、ハウジング戻り止め111をシリンジキャリア戻り止め214から解放し、シリンジキャリアアセンブリがハウジングの遠位端と近位端との間で直線的に自由に移動することを可能にする。更に、近位アクチュエータ部分と遠位アクチュエータ部分との間に圧縮を生じさせる力が解放され、アクチュエータ部分315、323の対応する戻り止めは、もはや(図6に示す協働状態と比較して)協働状態に保持されない。
【0073】
ハウジング戻り止め111がもはやシリンジキャリアアセンブリを拘束しない状態で、エネルギー貯蔵スプリング103は、それらの付勢又は圧縮状態から延びるように動作可能であり、それによって、それらの貯蔵されたエネルギーの少なくともいくらかを解放して、装置100の近位端に向かってシリンジキャリアアセンブリを移動させることを助ける。図8dに示すように、これにより、針204は、開口部311を通ってハウジング101の近位端を越えて延在する。近位端100aが患者の注入部位に対して配置された状態で、針204は皮膚を破り、注入部位を貫通する。シリンジキャリアアセンブリが遠位端から近位端に移動すると、プランジャ支持体208は停止壁105と接触する。したがって、作動シーケンスのこの段階は、貫通ステージと呼ぶことができる。
【0074】
スプリング103は延び続け、シリンジキャリアアセンブリは装置100の近位端100aに向かって押され続ける。プランジャ支持体208がストッパ壁105によって支えられている状態で、この移動は、ピストン205をバイアル201内に押し込む効果を有する。より正確には、バイアル201は、ピストン205の周囲で近位方向に押される。ピストン205が夫々のチャンバ206内に移動すると、バイアル201内の流体の容積容量が減少する。これは、バイアル201内の圧力を増加させ、これは次に、薬剤を針取付点202の流体ノズル202aを通して針204内に押し込み、そこから患者の組織内に押し込む。したがって、この段階を注入ステージと呼ぶことができる。シリンジ200の開放端、ピストン205の長さ及び/又はバイアル201の容積は、必要とされる薬剤投与量に従って構成することができる。注入運動はまた、針204を所望の長さまで組織の中へさらに深く延ばす。所望の長さは、近位アクチュエータ部分310がハウジング101内にどれだけ延或することができるかを制御する構成要素の長手方向サイズによって決定される。作動運動を2つの段階に分離することにより、プランジャ205が、そうでなければハウジング101内の未利用の空隙となるであろうところに位置することを可能にし、これは装置のコンパクト化に寄与する。更に、作動前にプランジャ本体208に接触する構成要素がないので、薬剤を事前に放出する移動の危険性がない。これは、装置100が、従来とは異なり、動きに抵抗するためにより高い摩擦を有する従来のより硬質のゴムの代わりに軟質のゴムプランジャ205bを使用することを意味する。したがって、薬剤を投与するためにピストン205及びゴムプランジャ205bを近位方向に押すために、よりコンパクトなスプリング203を使用することができ、従来必要とされるよりも少ないエネルギーをもたらすことができる。直列に2つの段階を有することはさらに、単一のエネルギー貯蔵手段(この例では平行なスプリングに分割されているが)が、必要とされる貫通力と、薬剤を注入するために圧力を生成するために必要とされる力との両方を提供することを可能にする。
【0075】
装置100は、ある期間に亘って患者の身体に押し付けられて保持される。しるし108は、推奨時間を指定することができ、推奨時間は、装置100が完全に作動し、バイアル201が排気されるのに必要な時間を超えてもよい。装置100が患者の身体に押し付けられるべき期間は、特定の用途で使用される薬剤に特有の医療アドバイスに従うべきである。例えば、エピネフリンを考えるときでさえ、市場のいくつかの製造業者は、装置を5秒間保持することを指定し、他の製造業者は10秒間保持することを指定する。実用的な例として、本発明の装置は、約3秒で0.5ml用量の投与を完全に完了することができる。したがって、しるし108は、薬剤の完全な送達を確実にするために、少なくとも3秒、4秒、5秒、6秒、又はそれより長い7秒、又はそれより長い時間の最小動作時間を示し得る。図8eは、針204が完全に延びた装置100を示し、例えば完全に貫通された位置を表す。
【0076】
いったん作動が完了し、薬剤が患者に送達されると、装置100は、患者から針204を引き出すように離されるように操作可能である。装置100は、患者から離れるようにゆっくりと引き戻され、注入部位から針204を引き抜くことができる。アクチュエータアセンブリの近位端100aが注入部位表面に押し付けられなくなると、近位アクチュエータ部分310は、317bが107と接触し、107に対して支持されて押し付けられるまで、長手方向外側に自由に並進する。これにより、所望の長さを超えて延出することが阻止される。上述のように、近位アクチュエータ部戻り止め315は、もはや遠位アクチュエータ部戻り止め323と係合しておらず、夫々のカンチレバー314、321は、それらの弛緩(付勢されていない)位置に回転している。これは図8fに示されている。
【0077】
アクチュエータアセンブリスプリング330は、近位アクチュエータ部分310を所定の長さ押し出す。この長さは、317bと107との間の距離によって決定され、針204を再収容するのに充分であるように設計されるべきであり、それによって、使用済みの針204を露出させることに関連する生物災害リスクを低減する。近位アクチュエータ部分310の過度の並進は、側部戻り止め317bが近位ハウジング戻り止め107と接触することによって防止される。これは、アクチュエータの317bの幅よりも小さい幅となる。この実施形態では、カバー102は、もはや、装置100が使用された後、解放されたスプリングのエネルギーにより、元の凹状ハウジング101d内に固定することができない。しかしながら、近位アクチュエータ部分310上の近位戻り止め317aと嵌合するように構成された内部戻り止め102dが設けられている。図11aは、使用前の装置100を示し、カバー102及び近位アクチュエータ部分310は断面図で示され、カバー102は凹状ハウジング101d内に固定されている。この段階では、戻り止め102d及び317aは接触していない。図11b及び図11bの近位端の拡大図である図11cは、使用後の装置100を示し、カバー102は、近位アクチュエータ部分310の戻り止め317bと係合するカバーの戻り止め102dによって固定される。
【0078】
説明された実施形態と同じ機能を果たす様々な変形、設計、例、及び実施形態が提供され得る。アクチュエータ部品間の様々な解放可能な取付手段を使用することができる。他のエネルギー貯蔵手段が適用されてもよい。雄型/雌型の相互作用を有すると記載される部分は、相互に交換することができる。装置又はシリンジの一部に設けられている特徴及び構成要素は、代わりに、装置又はシリンジの別の部分で使用されてもよい。
【0079】
図12は、薬剤送達装置400の更なるそのような実施形態であり、分解図において、複数の相互接続可能又は相互接続された部品を示す。薬剤送達装置400の外周は、ハウジング401及びカバー402によって画定されている。ハウジング401のシール溝401bに嵌合するシール403が設けられている。ハウジング401の1つ以上の夫々の第1の窓開口部404bに嵌合する1つ以上の第1の窓404が設けられている。ハウジング401の1つ以上の夫々の第2の窓開口部405bに嵌合する1つ以上の第2の窓405が設けられている。第1の窓及びそれらの夫々の開口部は、第2の窓及びそれらの夫々の開口部よりも小さい。アクチュエータ406及びシャーシ408が設けられている。アクチュエータ406は、上述の実施形態の近位アクチュエータ部分310と機能的に類似しており、シャーシ408は、上述の実施形態の遠位アクチュエータ部分320と機能的に類似している。ハウジング401及びカバー402内に嵌合する送達サブアセンブリ420は、アクチュエータ406及びシャーシ408を備えている。送達サブアセンブリ420は更に、薬剤送達装置400の構成要素の大部分を備えている。送達サブアセンブリ420の構成要素の機能は、以下でより詳細に説明される。送達サブアセンブリ420の構成要素は、以下のうちの1つ以上を含む、すなわち、アクチュエータ406の内側に嵌合するように構成されているアクチュエータロック407、1つ以上のガイドレール409、シャーシロック414、1つ以上のアクチュエータスプリング410(圧縮構成で示されている)及び1つ以上のバイアルスプリング413(圧縮構成で示されている)、バイアル411、バイアルカバー412、1つ以上のプランジャ416(プランジャは、任意選択的なシールリッジ416bを備える)、近位端が鋭利である皮下注射針415、針カバー418、針ライナー419、及び安全プラグ417のうちの1つ以上を含む。
【0080】
図13は、バイアルカバー412を有するバイアル411を備えるシリンジ430の半断面を示す。この実施形態では、バイアル411及びバイアルカバー412は、ポリプロピレン、環状オレフィンコポリマー、又は薬剤433に好適な任意の他の材料(他の実施形態に関連して説明されるようなホウケイ酸ガラスを含む)等のポリマーから形成され得る。バイアルカバー412は、液密シールが達成されるように、溶接、接着、又は同様の産業用標準手段によってバイアル411に取り付けられている。バイアル411は、閉鎖近位端を有する中空の細長い中央部411dを備えている。皮下注射針415の遠位端は、皮下注射針415とバイアル411との間に液密シールが達成されるように、例えば、溶接、接着、ルアーロック、ねじ付き取付部、又はオーバーモールドによって、細長い中央部411dの閉鎖近位端に接続されている。バイアル中央空洞411cと皮下注射針415のボアとの間に連続的な流体接続が提供されている。中央部411dの近位端は、そこから突出する1つ以上のバイアルキャッチ432を有している。各バイアルキャッチ432は、バイアルキャッチ上面432b及びバイアルキャッチ下面432cと、皮下注射針415の方向に延びるシール面41leとを有している。バイアル411は、中央部411dの両側に対称的に離間されたボア411aを有する2つのシリンダ411gを有している。ボア411aはチャンバであり、上述の実施形態のチャンバ206に類似している。プランジャ416は、各ボア411aの近位端内に入れられることができ、遠位端に向かってその中で自由に摺動し、液密シールを確保するシール隆起416bを有している。各シリンダ411gから横方向に外向きにオフセットされるのは、1つ以上のバイアルクリップ411k(図17により見える)を有する外側バイアルガイド411h、バイアルスプリングポスト411f、バイアルスプリング台411j、及びバイアルガイドレール軸受411bである。バイアルガイドレール軸受411bは、ガイドレール409に摺動可能に接続されるように構成されている。したがって、ガイドレール409及びバイアルガイドレールは、前述の実施形態のシリンジとシリンジキャリアとの間の取付手段に類似の機能を提供する。バイアル上部空洞431は、中央空洞411cとボア411aとを連通し、自由流動薬剤433が貯蔵される連続容積を形成する。プランジャ416がボア411aの近位端から遠位端に移動すると、薬剤433は加圧され、皮下注射針415を通って押し出される。針カバーサブアセンブリ434は、剛体針カバー418を備えている。剛体針カバー418内には、好ましくはエラストマーなどの柔軟な材料から形成された針ライナー419が設けられている。針ライナー419は、針カバー溝418bに取り付けられ、又は取り付け可能であり、例えば、接着され、オーバーモールドされ、又は摩擦若しくは機械的手段によって保持される。針カバー溝418bは、針カバー418の近位端に形成されている。針カバーサブアセンブリ434は、皮下注射針415の露出した長さを覆っている。針ライナー419の遠位端は、バイアル中央部411dの近位端においてシール表面411eの上に強固に嵌っている。針カバーサブアセンブリ434は、バイアル411への緊密な嵌合によってしっかりと保持されるが、それを引き離すことによって取り外すことができる。針カバーサブアセンブリ434は、針ライナー419がシール表面41le上にしっかりと嵌合することによって、皮下注射針415の無菌性を維持するように構成されている。
【0081】
図14は、薬剤送達装置400のシャーシサブアセンブリ440を、シャーシ408を通る部分断面、シャーシロック414、及び明確にするためにオフセットされたガイドレール409のうちの1つとアクチュエータばね410のうちの1つと共に示す。シャーシロック414は、遠位端及び近位端を有する。シャーシロック414のフレームの遠位端には、1つ以上の縦方向上側ガイド溝414cが設けられている。シャーシロック414は、下面414bを有し、下面414bは、近位端に面するシャーシロック414のフレームの表面である。1つ以上のシャーシタブ414dは、下面414bから遠位端まで延びている。シャーシタブ414dは、アセタールなどの弾性変形可能な材料から作られている。シャーシタブ414dは、内側停止面414e及び外側停止面414fを有している。シャーシタブ414dの弾性は、図14に示されるように、シャーシ414dタブが曲げられて近づくか又は離れるので、一対の対称タブが、一緒により接近し、また、更に離れることができる内側停止面414e及び外側停止面414fを有することを可能にする。シャーシロック414は、この実施形態ではシャーシ408とは別個の構成要素として示されているが、2つを一緒に1つの部品に組み合わせることは選択肢であり、それらは単一の構成要素として形成されてもよい。シャーシ408は、その遠位端に1つ以上のシャーシ直立部408aを伴うシャーシ中央台408qを有している。各シャーシ直立部408aは、シャーシロック414を位置決めするためにシャーシロック下面414bに当接するように構成されたシャーシ上面408bを有している。1つ又は複数の中心ガイド溝408cは、直立部408aを通って長手方向に延びており、上側ガイド溝414cと位置合わせされる。中央台408qは、ボア411a内に嵌合する1つ以上のプランジャプッシャ408kを支持している。プランジャプッシャ408kは、図示されるような十字形状であってもよく、中実であってもよく、又はボア411aの内側でプランジャ416を押すことができる任意の他の構成であってもよい。プランジャプッシャ408kの外側は、シャーシスプリング台408eであり、シャーシスプリングプラット台408eはシャーシスプリング支柱408fを有しており、シャーシスプリング支柱408fの上にはアクチュエータスプリング410が嵌合可能であり、シャーシスプリング支柱408fはその内部にシャーシガイドレール軸受408gを有し、シャーシガイドレール軸受408gを介してガイドレール409が摺動し得る。各シャーシスプリング台は、そこから突出する1つ以上のシャーシクリップ408jを有している。各シャーシスプリング台408eは、シャーシ408の近位端まで延びるシャーシ延長部408rを有している。各シャーシ延長部408rの近位端には、シャーシ延長部ロック面408n、シャーシ延長部停止面408s、1つ以上のシャーシアセンブリ突出部408m、及びシャーシアセンブリ面408pがある。シャーシ中央台408qの剛性を向上するために、1つ以上のシャーシ補強プレート408tが設けられている。アクチュエータロック407は、アセタール等の弾性材料から形成され、アクチュエータロック407は、アクチュエータロック台407bから成り、アクチュエータロック台407bは、アクチュエータロック台407bを貫通する中央針孔407cと、アクチュエータロック台407bを貫通する1つ以上のアクチュエータロック安全孔407dとを有している。アクチュエータロック台407bからは、アームロック内側停止面407g及びアームロック外側停止面407hが設けられたアームロック407fを遠位端に有する1つ又は複数のアクチュエータロックアーム407eが延びている。アクチュエータロックアーム407eの弾性は、図14に示されるように、アクチュエータロックアーム407eが曲げられて近づくか又は離れるので、一対の対称アームが、一緒により接近し、また、更に離れることができる内側停止面407g及び外側停止面407hを有することを可能にする。アクチュエータロック台407bから、遠位端に1つ以上のアクチュエータ針ガイド突出部407kを有する1つ以上のアクチュエータ針ガイド407jが延びている。アクチュエータロック台407bから延在するのは、1つ以上のアクチュエータスプリングポスト407pであり、アクチュエータスプリングポスト407pは、アクチュエータスプリングポスト407pを貫通するアクチュエータロックスプリング孔407qを有しており、アクチュエータロックスプリング孔407q内にガイドレール409が挿入可能であり、また、摩擦又は同等の手段によって強固に保持可能である。
【0082】
図15は、外側針孔406c及び1つ以上の安全カバーピン孔406dを含むアクチュエータベースプレート406bを近位端に有する、薬剤送達装置400のアクチュエータ406の半断面を示す。アクチュエータベースプレート406bの周縁から、遠位端に向かって延びるアクチュエータ壁406eが延延びている。中央切り欠き領域406fは、2つのアクチュエータ直立部406gを残し、アクチュエータ直立部406gを貫通する更なる切り欠きは、広い面406pで終端する広いガイド406hを近位端に、また、狭い面406qで終端する狭いガイド406jを遠位端に形成する。中間面406rは、幅広ガイド406hと幅狭ガイド406jとが交わる点に存在する。1つ以上のシャーシ逃げスロット406kがアクチュエータ壁406eを貫通し、アクチュエータ針ガイド突起407k、アクチュエータロック台407b、及びシャーシ補強プレート408tのためのクリアランス凹部406mがアクチュエータ壁406eに設けられている。下側ガイド溝406sは、中央ガイド溝408c及び上側ガイド溝414cと一列に並んで長手方向に延びる。歪み緩和スロット406nは、アクチュエータ直立部406gの遠位端に設けられており、アクチュエータ直立部406gの前方セクション及び後方セクションがわずかに異なって伸びることを可能にする。
【0083】
図16は、針カバー溝418bにしっかりとクリップ留めすることができる安全スロット417cを中に有する安全プラグ台417bから成る安全プラグ417を示す。1つ以上の安全プラグピン417dが安全プラグ台417bの上面から延びており、フィンガグリップ417eが下面から延びている。
【0084】
図17は、図12の薬剤送達装置のバイアルサブアセンブリ430、シャーシサブアセンブリ440、アクチュエータ406、バイアルスプリング413、及び安全カバー417の内部アセンブリ445を、アクチュエータ及びシャーシを通る部分断面で示す。バイアル中央セクション411dに沿った1つ以上の長手方向ガイドリブ411mが、上側ガイド溝414c、中央ガイド溝408c、及び下側ガイド溝406sを通って干渉なく走っている。圧縮されたアクチュエータスプリング410は、シャーシ中央台408qとアクチュエータロック台407bとの間に膨張力を及ぼす。この膨張力は、アクチュエータロック407をアクチュエータベースプレート406bに押し付け、それによってアクチュエータ406を同じ方向に押す。バイアルサブアセンブリ430が、狭いガイド406jの中へ突出し、狭い面406qに対して静止する、バイアルクリップ411kを介して、アクチュエータ406の内側に保持されているので、バイアルサブアセンブリ430もまた、アクチュエータ406と同じ方向に押される。しかしながら、バイアル中央セクション411dがシャーシロック414の遠位端を通過し、バイアルキャッチ下面432cがシャーシロック414の内側停止面414eに当接し、シャーシロック下面414bがシャーシ408の上面408bに当接すると、圧縮されたアクチュエータばね410の膨張力によるバイアルサブアセンブリ430の移動は抵抗される。シャーシタブ414dの外側停止面414fがアームロック407fのアームロック内側停止面407gに接触し、アームロック外側停止面407hが内側シャーシ延長面408dに接触していることも見ることができる。このようにして、アームロック407fは、シャーシタブ414dをブロックし、アクチュエータばね410が膨張することを可能にする、バイアルキャッチ432がシャーシロック414を通過することを可能にするシャーシタブ414dの跳ね開きを防止する。これは、シャーシ408に対するアクチュエータ406及びバイアルサブアセンブリ430の係止位置である。安全プラグ417は、安全スロット417cが針カバー溝418bと係合している、その組み立てられた位置で示されている。安全プラグピン417dは、安全カバーピン孔406d(図15参照)及びアクチュエータロック安全孔407dを通り、それらの遠位端がシャーシ組立面408pに接触する。この組み立てられた位置において、何らかの力が安全プラグ417をアクチュエータ406に向かって押す場合、その力はシャーシ408に直接伝達され、アクチュエータ406は影響を受けない。例えば、人の指が指グリップ417eを引っ張ることによって、安全プラグ417にアクチュエータ406から離れる方向に力が作用した場合、安全プラグ417と針カバーサブアセンブリ434との組み合わせは、バイアルサブアセンブリ430から離れ、皮下注射針415を露出させ、また、アクチュエータ406に加えられている力に対する上述の保護を除去する。
【0085】
図18は、ハウジング401、カバー402、シール403、大きな窓405、アクチュエータ406、及びシャーシ408を貫通する部分断面を有する薬剤送達装置400のハウジング401及びカバー402内の内部アセンブリ445を示す。シール403は、ハウジング401とカバー402との間に防水シールを提供し、カバー402が損傷されることなく取り外し及び交換されることを可能にする、独立気泡ポリウレタン発泡体等のコンプライアント材料から作られる。1つ以上のカバー突出部402bが、カバー402の内面の遠位端から外向きに延びており、上部カバーくぼみ401f(または任意選択的に、下部カバーくぼみ401g)と係合する。この係合は、1つ以上の好ましい位置でキャップ402をハウジング401にロックする手段を提供する。しるし402dが、カバー402の中又は上に設けられてもよい。カバーグリップ402cが、指による把持を補助するためにカバー402の外面に設けられてもよい。ハウジンググリップ401cが、指による把持を補助するためにハウジング401の外面に設けられてもよい。ラベリング凹部401dが、ハウジング401の外面に設けられていてもよい。大きな窓405及び小さな窓404は透明であり、接着剤、溶剤、超音波溶接、機械的クリップ、又は任意の他の工業的取り付け方法を使用して、夫々の大窓開口部405b及び小窓開口部404bに取り付けられてもよい。大きい窓405は、薬剤433を調べるために使用することができ、小さい窓404は、薬剤送達装置400の正しい機能を調べるために使用することができる。圧縮されたバイアルスプリング413が、バイアルスプリング台411jとハウジング端板401kに取り付けられたハウジングスプリングガイド401mとの間に示されている。ハウジングスプリングガイド軸受401nは、ガイドレール409がその内部で自由に摺動することを可能にする。この構成における薬剤送達装置400の全体的な寸法は、略84.5×53.5×13.7mmであるが、当然ながらより大きく又はより小さくすることができる。例えば、装置は、100×70×20mmと70×40×5mmとの間の範囲のいずれかの寸法を有することができる。
【0086】
図19は、カバー402、安全プラグ417、及び針カバーサブアセンブリ434を取り外して小窓開口部404bに小さな窓404を露出させた、組み立てられた薬剤送達装置400を示す。圧縮されたバイアルスプリング413は、バイアルサブアセンブリ430をハウジング端板401kから押し離そうとする力を及ぼす。バイアルサブアセンブリ430は、先に詳述したように、バイアルキャッチ432がシャーシロック414を通過することができないので、動くことができない。ハウジング401は、ハウジングアセンブリ孔40le内に位置するシャーシアセンブリ突出部408mを介してシャーシ408に係止され、それによってシャシ408をハウジング401に係止する。ハウジング401は、内部アセンブリ445が内部を通過するのに充分に変形可能なABS又はアセタール等の柔軟な材料で作られている。
【0087】
図20は、薬剤送達装置400の半分の正面図を示し、したがって、構成要素間の相対運動が容易に認識できる。ここで、アクチュエータ406は、アクチュエータベースプレート406bに加えられた力によってハウジング401内に押し込まれた注入位置に示されている。これは、アームロック内側停止面407gがシャーシロック414外側停止面414fを越えて移動するまで、アクチュエータスプリング410をさらに圧縮する。ここで、バイアルスプリング413は、自由に膨張し、シャーシロック414を通してバイアルサブアセンブリ430(針カバーサブアセンブリ440が外されている)を押す。シャーシタブ414dがアームロック407fによってもはや移動しないように制約されないので、バイアルキャッチ下面432cは、内側停止面414eを摺動して越えることができる。バイアルサブアセンブリ430は、バイアルキャッチ432がシャーシタブ414dを最大量だけ押し離した点まで降下した瞬間において示されている。これは、貫通ステージの開始であり、皮下注射針415の鋭利な近位端は、アクチュエータベースプレート406bを越えて移動している。
【0088】
図21は、プランジャ416がプランジャプッシャ408kと接触し、皮下注射針415の近位端がアクチュエータベースプレート406bを実質的に越えるまで、バイアルスプリング413を膨張することによってバイアルサブアセンブリ430(針カバーサブアセンブリ440が外されている)が押された時を示す。プランジャ416がプランジャプッシャ408kと接触した時が、貫通ステージの終了を意味する。膨張するバイアルスプリング413によって及ぼされる残りの力は、プランジャプッシャ408kがプランジャ416をボア411a内に押し込み、薬剤433を皮下注射針415を通して流すように、バイアルサブアセンブリ430をシャーシ414に向かって押し続けるのに充分である。したがって、プランジャプッシャ408kは、前述の実施形態の停止壁と類似の機能を提供し、停止壁自体であると見なすことができる。シャーシタブ414dは、バイアルキャッチ432によって伸ばし開かれる前にいた位置に跳ね戻っていることが分かる。これが注入ステージの開始である。
【0089】
図22は、プランジャ416がプランジャプッシャ408kによってボア411a内に完全に押し込まれるまで、膨張するバイアルスプリング413によって押された際のバイアルサブアセンブリ430の最終静止位置(針カバーサブアセンブリ440が外された状態)を示す。皮下注射針415の近位端は、ここではアクチュエータベースプレート406bをその全範囲で越えており、シリンダ411gの近位端は、ここではシャーシ中央台408qに接触している。これが注入ステージの終了である。
【0090】
図23は、バイアルサブアセンブリ430の最終静止位置における幅広ガイド406h及び幅狭ガイド406j内のシャーシクリップ408j及びバイアルクリップ411kの位置を示す。
【0091】
図24は、アクチュエータベースプレート406bから力が取り除かれたときにアクチュエータ406が移動する位置を示す。アクチュエータスプリング410は膨張し、中間面406rがシャーシクリップ408jと接触するまで、アクチュエータロック407を介してアクチュエータ406を押す。アクチュエータ406がこの位置にある状態で、アクチュエータロックアーム407eは、図14に示すように、それらの元の位置に跳ね開くことができ、この際、アームロック外側停止面407hはシャーシ延長停止面408sと接触し、シャーシ延長ロック面408nはアームロック外側上面407mの上方に位置する。ここでアクチュエータベースプレート406bに加えられるいかなる力も、シャーシ延長部ロック面408nとアームロック外側上面407mとの間の接触をもたらし、アクチュエータ406が皮下注射針415の近位端を露出させるのに充分に動くのを防止する。この位置において、アクチュエータ406は、ハウジング401及び皮下注射針415に対してロックされ、それによって皮下注射針415との接触による偶発的な損傷を防止する。
【0092】
図25は、キャップ402がハウジング401に嵌合され、カバー突起402bが下側カバー窪み401gに係合された第2の位置にある薬剤送達装置400を示す。組み合わせられた安全カバー417/針カバーサブアセンブリ434は、バイアル411のシール表面41leに(任意選択的に)再嵌合されて示されている。印刷又はラベリングは、ラベリング凹部401d、下部ラベリング面401p、カバーラベリング面402e、及び/又はアクチュエータラベリング面406tに適用されてもよい。図25は、組み合わせられた安全カバー417/針カバーサブアセンブリ434を取り外すことによって作動させられた後の薬剤送達装置400の最終構成を示す。充分な力がアクチュエータロック台407bに加えられて、アクチュエータスプリング410を更に圧縮し、アームロック407fをシャーシロック414の外側停止面414fから離す。これは、シャーシタブ414dが跳ねて離れること、及びバイアルキャッチ432がシャーシロック414を滑って通過することを可能にする。この結果、プランジャ416がプランジャプッシャ408kに衝突し、プランジャ416をボア411a内に移動させて、薬剤433を皮下注射針415に通す。上記作動及び注入後、アクチュエータロック台407bへの力が取り除かれ、アクチュエータ406は、皮下注射針415を覆う位置まで押されるようになる。アクチュエータ406は、アームロック外側上面407mとシャーシ延長部ロック面408nとの間の相互作用によってこの位置にロックされる。
【0093】
したがって、機能的には、図12図24に示される例は、図1図11eの例と同じように動作する。バイアルスプリング413は、針を患者の組織内に位置決めし、次いで薬剤を投与するために針を移動させる際に、エネルギー貯蔵スプリング103と同じ機能を果たす。両方の例のアクチュエータスプリング330、410は、注入が行われた後に針を覆う安全機構を提供するために使用される。
【0094】
図26は、図12の送達装置で使用するためのバイアル511の更なる実施形態を示す。バイアル511は、概して、バイアルの上記の実施形態に類似する構造である。前述の実施形態と同様に、バイアルは、一対のボア511aを備えている。各孔511aは、その遠位端に位置する圧力壁511nを有している。圧力壁511nは、バイアル511の頂部空洞531内に延在するドーム形プロファイルを有して示されている。いくつかの実施形態では、ドーム形プロファイルは、反対方向に延在するか、又は平坦なままであるように提供され得る。圧力壁511nはまた、ボア511aの更に内側に位置付けられてもよく、言い換えれば、より遠位ではなく位置付けられてもよい。各圧力壁511nは、それを貫通する1つ以上の圧力逃がし孔511pを有している。この例における孔は円形断面であるが、代わりに任意の断面であってもよい。圧力逃がし孔51lpの典型的な断面積は、直径が略0.5mmの単一の孔に相当する。孔は、好ましくは、0.2mmと1mmとの間の直径である。なお、1つの圧力逃がし孔に代えて、複数の圧力逃がし孔を用いてもよい。
【0095】
プランジャ516がボア511aの近位端から遠位端に向かって移動するとき、圧力壁511n及び圧力逃がし孔511pは、薬剤533が、圧力逃がし孔511pを通ってバイアル頂部空洞531内のより低い圧力レベルまで流れ、皮下注射針515に向かって流れる前に、薬剤533内の圧力がボア511a内においてはるかに高い値になることを可能にする。このようにして、上部空洞531内の圧力レベルは、薬剤533の圧力がバイアル511からバイアルカバー512を破裂させ得るレベルまで上昇しない。
上記の様々なシリンジの使用は、主に注射装置に関連して説明されているが、例えば、患者又はIVチューブにプレフィルドシリンジとして薬剤を手動で投与するための他の用途も想定されることが理解されよう。
【0096】
本開示を読むことにより、当業者には他の変形及び変更が明らかであろう。当然のことながら、上述の例には様々な変更を加えることができる。上述の様々な例及び実施形態は、任意の組み合わせで組み合わせることができる。上記特徴及び構成要素の全ては、別段の明示的な記載がない限り、包含及び組み合わせは任意選択可能である。変形形態及び変更形態は、当技術分野で既に知られており、本明細書で既に説明されている特徴の代わりに又はそれに加えて使用され得る、均等物及び他の特徴を含むことができる。
【0097】
添付の特許請求の範囲は、特徴の特定の組み合わせを対象とするが、本発明の開示の範囲はまた、それが本特許請求の範囲のいずれかの請求項において請求される発明と同じであろうとなかろうと、また、それが本発明が軽減する技術的問題と同じ技術的課題のいずれか又は全てを軽減するか否かによらず、明示的であっても、明示的ではなくても、本明細書に開示される特徴のいずれの新規な特徴又はいずれの新規な組み合わせをも包含し、また、それらの一般化された概念をも包含するものと理解される。
【0098】
別個の実施形態の文脈で説明される特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよい。一方、簡潔にするために単一の実施形態に関連して説明される様々な特徴はまた、別々に、または、任意の適切な部分的組合せで提供され得る。本出願人は、本出願又は本出願に基づくいずれの更なる出願の審査又は審理中に、そのような特徴及び/又はそのような特徴の組み合わせに対して新しい請求項が策定され得ることをここに述べる。説明される装置及びシステムの特徴は、対応する方法に組み込まれてもよく/使用されてもよい。
【0099】
完全性のために、用語「備える(comprising)」は、他の要素又はステップを除外せず、用語「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を除外せず、単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載のいくつかの手段の機能を果たし得、請求項における参照符号は、請求項の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことも述べられる。
図1
図2
図2a
図3
図4
図5
図6
図7
図7a
図7b
図8a
図8b
図8c
図8d
図8e
図8f
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図11a
図11b
図11c
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
【国際調査報告】