(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】球形フリップチップ型マイクロLED及びその製造方法、表示パネル
(51)【国際特許分類】
H01L 33/20 20100101AFI20220818BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20220818BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220818BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
H01L33/20
G09F9/33
G09F9/00 338
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 349Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545982
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(85)【翻訳文提出日】2021-08-04
(86)【国際出願番号】 CN2020091841
(87)【国際公開番号】W WO2021232414
(87)【国際公開日】2021-11-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521345899
【氏名又は名称】重慶康佳光電技術研究院有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHONGQING KONKA PHOTOELECTRIC TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】唐 彪
(72)【発明者】
【氏名】劉 海平
(72)【発明者】
【氏名】馮 中山
【テーマコード(参考)】
5C094
5F241
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA43
5C094BA23
5C094DA12
5C094DA15
5C094DB01
5F241AA03
5F241CA04
5F241CA40
5F241CA74
5F241CA88
5F241CA93
5F241CB15
5F241CB36
5F241FF01
5G435AA17
5G435BB04
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】本発明は、球形フリップチップ型マイクロLED及びその製造方法、表示パネルを提供する。
【解決手段】球形フリップチップ型マイクロLEDは、発光構造体、支持構造体、第1電極、第2電極、及び絶縁保護層を含み、前記支持構造体は透明構造であり、前記第1電極及び前記第2電極は、それぞれ前記発光構造体に電気的に接続され、前記絶縁保護層は、前記発光構造体に被覆され、前記発光構造体、前記支持構造体及び前記絶縁保護層は球体構造を構成する。従来技術と比べて、本技術案の有益な効果は、発光構造体以外に、透明な支持構造体も設置し、発光構造体、支持構造体及び絶縁保護層で所定サイズの球形構造を構成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証するということである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光構造体と、
透明構造である支持構造体と、
それぞれ前記発光構造体に電気的に接続される第1電極及び第2電極と、
前記発光構造体に被覆される絶縁保護層と、を含み、
ただし、前記発光構造体、前記支持構造体及び前記絶縁保護層は球体構造を構成する、
ことを特徴とする球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項2】
前記発光構造体の密度は前記支持構造体の密度よりも大きい、
ことを特徴とする請求項1に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項3】
前記発光構造体は、第1半導体層、発光層及び第2半導体層を含み、前記発光層は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に位置し、
前記第1電極は前記第1半導体層に電気的に接続され、前記第2電極は前記第2半導体層に電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項4】
前記発光構造体は、前記第2半導体層と前記支持構造体との間に設置されるITO電流拡散層をさらに含み、
前記第1電極は前記第1半導体層に電気的に接続され、前記第2電極は前記ITO電流拡散層を介して前記第2半導体層に電気的に接続される、
ことを特徴とする請求項3に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項5】
前記第1半導体層、前記発光層、前記第2半導体層及び前記ITO電流拡散層は半球体構造を形成し、前記支持構造体は半球体構造であり、
前記第1半導体層、前記発光層及び前記第2半導体層を貫通して電極収容ビアホールが設置され、前記電極収容ビアホールは、前記第1半導体層、前記発光層及び前記第2半導体層に垂直であり、前記第2電極は前記電極収容ビアホール内に設置され、前記第2電極の一端は前記ITO電流拡散層に電気的に接続され、前記第2電極的他端は、前記発光構造体によって形成された半球体構造の表面以外に露出し、
前記絶縁保護層は、前記第1半導体層、前記発光層、前記第2半導体層及び前記ITO電流拡散層の外側表面に被覆され、前記絶縁保護層は、前記電極収容ビアホールの内側表面にも被覆され、
前記絶縁保護層には電極収容用窓が開口され、前記第1電極は前記電極収容用窓内に設置され、前記第1電極の一端は前記第1半導体層に電気的に接続され、前記第1電極の他端は、前記発光構造体によって形成された半球体構造の表面以外に露出している、
ことを特徴とする請求項4に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項6】
前記第1電極の半球体構造の表面に露出している一端及び前記第2電極の半球体構造の表面に露出している一端には、ホットメルト導電性材料が設置されている、
ことを特徴とする請求項5に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項7】
前記第2電極が磁性材料であるか、又は、前記第2電極の表面の一部が磁性材料でコーティングされている、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項8】
前記支持構造体の材料は、SiO2又は透明な固体樹脂である、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の球形フリップチップ型マイクロLED。
【請求項9】
基板に、発光構造層と支持構造層とを順番に形成するステップと、
エッチング工程により、前記支持構造層上に、半球体構造かつ透明構造である支持構造体をエッチングするするステップと、
前記基板を上下裏返して剥離し、エッチング工程により、前記発光構造層を半球体構造にエッチングするステップと、
前記発光構造層が形成された半球体構造に穴を開けて、電極収容ビアホールを得るステップと、
前記発光構造層の外側表面に被覆される、かつ、前記電極収容ビアホールの内側表面にも被覆される絶縁保護層を堆積するステップと、
前記絶縁保護層上に電極収容用窓をエッチングするステップと、
第1電極及び第2電極を堆積するステップと、を含む、
ことを特徴とする球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法。
【請求項10】
第1接続線及び第2接続線が設置されているバックプレーンと、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の球形フリップチップ型マイクロLEDであって、前記球形フリップチップ型マイクロLEDの第1電極及び第2電極がそれぞれ前記第1接続線及び前記第2接続線に電気的に接続される球形フリップチップ型マイクロLEDと、を含む、
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項11】
前記バックプレーンには、前記球形フリップチップ型マイクロLEDの大きさとマッチングする複数の搭載ウェルが設置され、前記搭載ウェル内には、前記第2電極にマッチングする磁性金属パッドが設置されている、
ことを特徴とする請求項10に記載の表示パネル。
【請求項12】
前記半球体構造の表面に露出している前記第1電極の一端及び前記半球体構造の表面に露出している前記第2電極の一端には、ホットメルト導電性材料が設置され、
前記バックプレーンの搭載ウェルには、前記第1電極及び第2電極に対応する第1金属チャネル及び第2金属チャネルが設置され、前記第1電極は、前記第1金属チャネルに対応して設置され、前記第2電極は、前記第2金属チャネルに対応して設置される、
ことを特徴とする請求項11に記載の表示パネル。
【請求項13】
前記第1金属チャネルの深さは、第1電極の前記半球体構造の表面以外に露出している厚さよりも小さく、前記第1金属チャネルの深さは前記第1電極上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きく、
前記第2金属チャネルの深さは半球体構造の表面以外に露出している前記第2電極の厚さよりも小さく、前記第2金属チャネルの深さは前記第2電極上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きい、
ことを特徴とする請求項12に記載の表示パネル。
【請求項14】
前記第1電極は、いくつかの非連続的な突出部位を含み、前記第1金属チャネルは、連続的な環状金属チャネルである、
ことを特徴とする請求項13に記載の表示パネル。
【請求項15】
前記第1接続線及び前記第2接続線は、前記バックプレーン内に設置され、前記第1金属チャネル及び前記第2金属チャネルは、前記搭載ウェル内に設置され、前記第1接続線及び前記第2接続線は、前記第1金属チャネル及び前記第2金属チャネル上に露出している、
ことを特徴とする請求項11に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術及びLED技術分野に関す、球形フリップチップ型マイクロLED及び球形フリップチップ型マイクロLEDが設けられている表示パネルに関し、また、球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロLED(Micro LED)は、一般のLEDよりもより理想的な光電変換効率、輝度、コントラスト、及びより多い電力消費を有する。表示機能を実現するためには、複数のMicro LEDをバックプレーンに搭載して、シングルチップの寸法が20μm未満のマイクロLEDアレイを形成する必要があり、その製造の難易度は極めて大きく、そのため、物質移動(Mass Transfer)技術は、Micro LEDアレイを形成する鍵となる。
【0003】
現在、物質移動技術は、主に、静電移動、マイクロプリント及び流体アセンブリなどを含む。ここで、流体アセンブリは、基板上でのブラシバレルの回転を利用して、Micro LEDを液体懸濁液に入れ、流体力によってLEDが基板上の対応する搭載ウェルに落ち込むようにする。一般のMicro LEDは、いずれも直方体又は円柱体の構造であり、その構造に制限されて、Micro LEDが搭載ウェルに嵌め込むことができないという問題が発生しやすい。
【0004】
この問題について、関連技術では、球形LEDを提案して流体アセンブリの効率を向上させた。しかし、球形LEDの大きさは、LEDのエピタキシャル層の厚さによって制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的問題は、従来の技術における上記欠陥を考慮して、球形フリップチップ型マイクロLED及びその製造方法、表示パネルを提供することであり、支持構造体の設置により、所定サイズの球形構造を形成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、技術的問題を解決するために、以下のような技術案を採用した。
【0007】
球形フリップチップ型マイクロLEDは、
発光構造体と、
透明構造である支持構造体と、
それぞれ前記発光構造体に電気的に接続される第1電極及び第2電極と、
前記発光構造体に被覆される絶縁保護層と、を含み、
ただし、前記発光構造体、前記支持構造体及び前記絶縁保護層は球体構造を構成する。
【0008】
従来技術と比べて、本技術案の有益な効果は、発光構造体を設置した上に、透明な支持構造体も設置し、発光構造体、支持構造体及び絶縁保護層で所定サイズの球形構造を構成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証するということである。
【0009】
さらに、前記発光構造体の密度は前記支持構造体の密度よりも大きい。
【0010】
上記解決手段を用いる有益な効果は、発光構造体の密度が支持構造体の密度よりも大きいことにより、フリップチップ型マイクロLED全体がだるまに似た構造を形成し、高効率の物質移動を実現するのにより有利であるいうことである。
【0011】
さらに、前記発光構造体は、第1半導体層、発光層及び第2半導体層を含み、前記発光層は、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に位置し、
前記第1電極は前記第1半導体層に電気的に接続され、前記第2電極は前記第2半導体層に電気的に接続される。
【0012】
上記解決手段を用いる有益な効果は、電子と正孔は、第1半導体層及び第2半導体層を介して発光層に放出され、電子と正孔は発光層で再結合して、光子の形態でエネルギーを放出し、それにより発光機能が実現されるということである。
【0013】
さらに、前記発光構造体は、前記第2半導体層と前記支持構造体との間に設置されるITO電流拡散層をさらに含み、
前記第1電極は前記第1半導体層に電気的に接続され、前記第2電極は前記ITO電流拡散層を介して前記第2半導体層に電気的に接続される。
【0014】
上記解決手段を用いる有益な効果は、ITO電流拡散層で第2電極と第2半導体層との実際の接触面積を大きくすることができ、第2半導体層を介してより多くの正孔を放出するのに有利であり、それにより、発光効率を向上させるということである。
【0015】
さらに、前記第1半導体層、前記発光層、前記第2半導体層及び前記ITO電流拡散層は半球体構造を形成し、前記支持構造体は半球体構造であり、
前記第1半導体層、前記発光層及び前記第2半導体層を貫通して電極収容ビアホールが設置され、前記電極収容ビアホールは、前記第1半導体層、前記発光層及び前記第2半導体層に垂直であり、前記第2電極は前記電極収容ビアホール内に設置され、前記第2電極の一端は前記ITO電流拡散層に電気的に接続され、前記第2電極的他端は、前記発光構造体によって形成された半球体構造の表面以外に露出し、
前記絶縁保護層は、前記第1半導体層、前記発光層、前記第2半導体層及び前記ITO電流拡散層の外側表面に被覆され、前記絶縁保護層は、前記電極収容ビアホールの内側表面にも被覆され、
前記絶縁保護層には電極収容用窓が開口され、前記第1電極は前記電極収容用窓内に設置され、前記第1電極の一端は前記第1半導体層に電気的に接続され、前記第1電極の他端は、前記発光構造体によって形成された半球体構造の表面以外に露出している。
【0016】
上記解決手段を用いる有益な効果は、第2電極は、ITO電流拡散層を介して電気的に接続されるために、収容ビアホール内に設置されており、第1半導体層、発光層、第2半導体層及びITO電流拡散層の外側表面には、第1電極と第2電極との短絡ことを防止するための絶縁保護層が被覆され、絶縁保護層には、第1半導体層を接続するための第1電極が設置されている電極収容用窓が開口されているということである。
【0017】
さらに、前記第1電極の半球体構造の表面に露出している一端及び前記第2電極の半球体構造の表面に露出している一端には、ホットメルト導電性材料が設置されている。
【0018】
上記解決手段を用いる有益な効果は、ホットメルト導電性材料で、球形フリップチップ型マイクロLEDの電気的接続効果を効果的に向上させることができるということである。
【0019】
さらに、前記第2電極が磁性材料であるか、又は、前記第2電極の表面の一部が磁性材料でコーティングされている。
【0020】
上記解決手段を用いる有益な効果は、磁性材料により、第2電極が磁性を持ち、物質移動の効率及び精度の向上に有利であるということである。
【0021】
さらに、前記支持構造体の材料は、SiO2又は透明な固体樹脂である。
【0022】
上記解決手段を用いる有益な効果は、光を出射しやすいということである。
【0023】
球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法は、
基板に、発光構造層と支持構造層とを順番に形成するステップと、
エッチング工程により、前記支持構造層上に、半球体構造かつ透明構造である支持構造体をエッチングするするステップと、
前記基板を上下裏返して剥離し、エッチング工程により、前記発光構造層を半球体構造にエッチングするステップと、
前記発光構造層が形成された半球体構造に穴を開けて、電極収容ビアホールを得るステップと、
前記発光構造層の外側表面に被覆される、かつ、前記電極収容ビアホールの内側表面にも被覆される絶縁保護層を堆積するステップと、
前記絶縁保護層上に電極収容用窓をエッチングするステップと、
第1電極及び第2電極を堆積するステップと、を含む。
【0024】
従来技術と比べて、技術案の有益な効果は、発光構造体を製造した上に、透明な支持構造体をさらに製造して、発光構造体、支持構造体及び絶縁保護層で所定サイズの球形構造を構成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証するということである。
【0025】
マイクロLED表示パネルは、
第1接続線及び第2接続線が設置されているバックプレーンと、
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の球形フリップチップ型マイクロLEDであって、前記球形フリップチップ型マイクロLEDの第1電極及び第2電極がそれぞれ前記第1接続線及び前記第2接続線に電気的に接続される球形フリップチップ型マイクロLEDと、を含む。
【0026】
従来技術と比べて、本技術案の有益な効果は、球形フリップチップ型マイクロLEDに、発光構造体を設置した上に、透明な支持構造体も設置し、発光構造体、支持構造体及び絶縁保護層で所定サイズの球形構造を構成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証するということである。
【0027】
さらに、前記バックプレーンには、前記球形フリップチップ型マイクロLEDの大きさとマッチングする複数の搭載ウェルが設置され、前記搭載ウェル内には、前記第2電極にマッチングする磁性金属パッドが設置されている。
【0028】
上記解決手段を用いる有益な効果は、球形フリップチップ型マイクロLEDの正確な位置合わせが容易になるということである。
【0029】
さらに、前記半球体構造の表面に露出している前記第1電極の一端及び前記半球体構造の表面に露出している前記第2電極の一端には、ホットメルト導電性材料が設置され、前記バックプレーンの搭載ウェルには、前記第1電極及び第2電極に対応する第1金属チャネル及び第2金属チャネルが設置され、前記第1電極は、前記第1金属チャネルに対応して設置され、前記第2電極は、前記第2金属チャネルに対応して設置される。
【0030】
上記解決手段を用いる有益な効果は、接続しやすく、製造工程を最適化するのに役立つ。
【0031】
さらに、前記第1金属チャネルの深さは、第1電極の前記半球体構造の表面以外に露出している厚さよりも小さく、前記第1金属チャネルの深さは前記第1電極上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きく、前記第2金属チャネルの深さは半球体構造の表面以外に露出している前記第2電極の厚さよりも小さく、前記第2金属チャネルの深さは前記第2電極上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きい。
【0032】
上記解決手段を用いる有益な効果は、効果的な電気的接続を保証するとともに、ホットメルト導電性材料が融解した後にオーバーフローすることを防止することにより、短絡を回避するということである。
【0033】
さらに、前記第1電極は、いくつかの非連続的な突出部位を含み、前記第1金属チャネルは、連続的な環状金属チャネルである。
【0034】
上記解決手段を用いる有益な効果は、より一層短絡を回避するということである。
【0035】
さらに、前記第1接続線及び前記第2接続線は、前記バックプレーン内に設置され、前記第1金属チャネル及び前記第2金属チャネルは、前記搭載ウェル内に設置され、前記第1接続線及び前記第2接続線は、前記第1金属チャネル及び前記第2金属チャネルに露出している。
【0036】
上記解決手段を用いる有益な効果は、バックプレーンと球形フリップチップ型マイクロLEDとの間の電気的接続が実現されるということである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの構造模式図である。
【
図2】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において基板と第1半導体層、発光層、第2半導体層との構造模式図である。
【
図3】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において基板と第1半導体層、発光層、第2半導体層、ITO電流拡散層との構造模式図である。
【
図4】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において発光構造層及び支持構造層の構造模式図である。
【
図5】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において支持構造層上に半球体構造をエッチングする模式図である。
【
図6】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において発光構造層と支持構造層を裏返す模式図である。
【
図7】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において基板を剥離する構造模式図である。
【
図8】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において基板を剥離した後の構造模式図である。
【
図9】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において発光構造層上に半球体構造をエッチングする模式図である。
【
図10】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において電極収容ビアホールをエッチングする構造模式図である。
【
図11】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において絶縁保護層を堆積する構造模式図である。
【
図12】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において絶縁保護層に対してパターン化処理を行う構造模式図である。
【
図13】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において第1電極及び第2電極を堆積する構造模式図である。
【
図14】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において支持構造層にマスク層を形成する構造模式図である。
【
図15】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法においてマスク層に対してパターン化処理を行う構造模式図である。
【
図16】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法においてマスク層を介してエッチングを補助する構造模式図である。
【
図17】本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法において支持構造体に半球体構造を形成する模式図である。
【
図18】本発明の表示パネルのバックプレーンの斜視図である。
【
図19】本発明の表示パネルのバックプレーンの平面図である。
【
図20】本発明の表示パネルの球形フリップチップ型マイクロLEDの底面図である。
【
図21】本発明の物質移動過程に懸濁液を得る模式図である。
【
図22】本発明の物質移動過程に球形フリップチップ型マイクロLEDが搭載ウェルに落ち込む模式図である。
【
図23】本発明の物質移動が完了した後の表示パネルの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の目的、技術案及び利点をより明瞭、明確にするために、以下、図面を参照しながら、例を挙げて本発明についてさらに説明する。本明細書に説明する具体的な実施例は、本発明を解釈するためにのみ使用され、本発明を限定するものではない。
【0039】
なお、本発明の説明において、「中心」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」などの用語によって示される方位又は位置関係は、図面に示される方位又は位置関係に基づいたものであり、本発明の説明及び説明の簡略化を容易にするためのものにすぎず、示される装置又はコンポーネントが、必ずしも特定の方位を有し、特定の方位で構成や操作されることを指示又は暗示することではなく、したがって、本発明を限定するものとして理解することはできない。また、「第1」、「第2」という用語は、説明のために使用されるだけで、相対的な重要性を指示するか又は暗示すると理解することはできない。
【0040】
なお、本発明の説明において、特に明確に定義や限定しない限り、「取り付け」、「接続」、「連結」などの用語は、広義に理解されるべきであり、固定的な接続であっても、着脱可能な接続であっても、又は一体になってもよく、機械的接続であっても、電気的接続であってもよく、直接的に連結しても、中間媒体を介して間接的に連結してもよく、2つのコンポーネントの内部の連通であってもよい。コンポーネントが、別の素子に「固定」又は「設置」されていると見なされる場合、それが直接他のコンポーネント上にあっても、介在するコンポーネントがあってもよい。あるコンポーネントが別の素子に「接続」されていると見なされる場合、それは、別の素子に直接接続されているか、又は、介在する素子が同時に存在する可能性がある。当業者であれば、具体的な状況に応じて、本発明における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0041】
マイクロLEDは、その卓越した性能により、業界で広く注目されており、市場から歓迎されているが、マイクロLEDのシングルチップの寸法が20μm未満であり、その製造の難易度が非常に大きいため、一般のLEDパッチ方式に従って生産すると、その生産効率が大幅に制限されるため、物質移動技術は、Micro LEDアレイを形成する鍵となる。
【0042】
物質移動とは、大量の微小サイズのMicro LEDを基板に移動させて、マイクロLEDアレイを形成し、さらにLED表示パネルを形成する過程を言う。従来のLEDチップは、一般に、直方体又は円柱体の構造であり、Micro LEDは、移動中に、その形状に制限されて搭載ウェルの外に引っかかり、基板上の搭載ウェルとの正確な位置合わせが困難であり、Micro LEDを搭載ウェルに嵌め込めない問題が発生しやすく、移動の歩留まり及び生産効率を大幅に制限した。球形LEDでこの問題を解決することができる。LEDを球形構造に製造して、マイクロLEDが移動中に搭載ウェルの外に引っかかることを防止することにより、移動中に、搭載ウェルに正確に位置を合わせることが容易になり、移動歩留まり及び生産効率を効果的に向上させることができ、物質移動の効率を大幅に向上させる。
【0043】
球形LEDの内部及び動作原理は、通常のLEDとほぼ同じであり、電子と正孔は、N型半導体層及びP型半導体層を介して放出され、発光層で再結合して、光子の形態でエネルギーを放出し、それにより発光機能が実現される。これにより新しい問題が生じ、球形LEDのエピタキシャル構造上のP型半導体層がドーピング濃度に制限されて、N型半導体層のように厚く成長することができないため、製造中に、球形LEDのサイズは、薄いP型半導体層に依存し、P型半導体層及びN型半導体層のみでは、所定サイズの球形構造を形成することが難しく、半径が極めて小さい球形LEDしか形成できない。また、N型半導体層、P型半導体層及び発光層のみで球形LEDを形成する場合、このような球形LEDにおいて、P型半導体層の厚みを増やすのが難しいため、P型半導体層と球心との間の距離が大きく、発光層はP型半導体層に隣接し、このとき、発光層と球心との間の距離も大きいため、絶対面積が小さく、したがって発光層の発光面積が制限される。
【0044】
この問題について、本発明は、球形フリップチップ型マイクロLED、球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法、及び表示パネルを提供し、極めて低いコストで所定サイズの球形構造を形成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証する。以下、
図1~
図23を参照しながら、本発明の技術案について詳細に説明する。
【0045】
なお、一般に、異なる内部構造及び動作方法に応じて、LEDチップは、横方向チップ、フリップチップ型のチップ及び垂直チップに分類でき、本発明に関するマイクロLEDは、フリップチップに属し、主に、球形LEDの内部構造に対して対応する改良を行ったものである。
【0046】
図1に示すように、球形フリップチップ型マイクロLEDは、発光構造体1、第1電極3、第2電極4及び絶縁保護層5を含む。第1電極3及び第2電極4は、それぞれ発光構造体1に電気的に接続され、絶縁保護層5は発光構造体1の表面に被覆される。ここでの被覆とは、全部被覆又は一部被覆を意味する。
【0047】
発光構造体1は、球形フリップチップ型マイクロLEDの本体機能構造であり、発光構造体1によって発光が実現され、第1電極3及び第2電極4の作用は、発光構造体1と、外部制御信号及び/又は外部電源とを接続することであり、絶縁保護層5は、第1電極3と第2電極4との間に短絡が発生することを防止するために用いられる。以上は、従来技術における球形LED構造であり、本技術案は、発光構造体1の発光原理に対する改良を行わず、発光構造体1の具体的な発光原理は、先行技術の記載を参考することができる。
【0048】
従来技術より優れているのは、本発明の球形フリップチップ型マイクロLEDは、発光構造体1、第1電極3、第2電極4及び絶縁保護層5以外に、支持構造体2をさらに含み、特に、支持構造体2は、透明構造であり、光線を出射するために用いられる。具体的には、支持構造体2の材料は、SiO2又は透明な固体樹脂である。対応して、絶縁保護層5は、発光構造体1及び/又は支持構造体2の表面に被覆され、発光構造体1、支持構造体2及び絶縁保護層5は、球体構造を構成する。
【0049】
発光構造体1のP型半導体層のドーピング濃度に制限され、十分な厚さの発光構造層108を直接エピタキシャル生成させることは困難であり、発光構造層108をエッチングして球形LEDチップを得ることがより困難となる。したがって、本発明は、発光機能を実現するために発光構造体1を設置する以外に、さらに、創造的に支持構造体2を設置し、P型半導体層の厚みを増やし難いという欠陥を支持構造体2で補う。一方、発光構造体1で発光機能を実現し、他方、支持構造体2、発光構造体1及び絶縁保護層5で所定サイズの球形構造を形成することにより、極めて低いコストで完全な球形構造を形成することができる。
【0050】
図1に示すように、具体的には、発光構造体1は、第1半導体層101、発光層102及び第2半導体層103を含み、発光層102は、第1半導体層101と第2半導体層103との間に位置し、第1電極3は第1半導体層101に電気的に接続され、第2電極4は第2半導体層103に電気的に接続され、ここで、第1半導体層101はN型半導体層であり、第2半導体層103はP型半導体層である。電子と正孔は、第1半導体層101及び第2半導体層103を介して発光層102に放出され、電子と正孔は発光層102で再結合して、光子の形態でエネルギーを放出し、それにより発光機能が実現される。
【0051】
支持構造体2の存在により、第2半導体層103の厚みを増やし難いため、第2半導体層103から球心までの距離が大きいことになっても、第2半導体層103に隣接する発光層102を球心まで近づけること、さらには球心に位置するようすることができ、それにより、発光層102の絶対面積を小さくすることができ、その発光面積を大きくするのに有利である。
【0052】
好ましくは、発光構造体1の密度は、支持構造体2の密度よりも大きく、即ち、支持構造層201の密度は、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104が1つの全体としての全体密度よりも大きい。発光構造体1の密度が支持構造体2の密度よりも大きいため、フリップチップ型マイクロLED全体がだるま状に似た構造を形成し、それにより、前記球形LEDは、発光構造体1が下方にありかつ支持構造体2が上方にある姿勢を維持する傾向があり、液体を組み立てる時に、電極を有する半球がバックプレーン上の搭載ウェルに落ち込むようにするのに有利であり、それにより、液体の組み立ての歩溜まり及び移動効率を向上させる。また、初回搭載時にミスマッチングが発生したとしても、発光構造体1の密度が支持構造体2の密度よりも大きいことから、振動するだけで、ミスマッチングされた球形LEDチップがバックプレーンから分離されて、正確な位置になるようにすることができ、歩溜まりを向上させるという効果が達成される。
【0053】
図21及び
図22を参照して分かるように、上記構造の球形LEDを使用してディスプレイを組み立てるとき、流体移動を介してより高効率な物質移動を実現することができる。球形フリップチップ型マイクロLEDが懸濁液からバックプレーン7の表面に落ち込む過程において、発光構造体1の密度が支持構造体2の密度よりも大きいため、発光構造体1の半球体構造がバックプレーン7と接触することを維持でき、懸濁液に伴って緩慢に水平移動するとき、球形フリップチップ型マイクロLEDの発光構造体1がある半球体構造がバックプレーン7上の溝に落ち込むのに有利であり、球形フリップチップ型マイクロLEDとバックプレーン7とのボンディングが容易になる。
【0054】
具体的には、第1半導体層101の材料はn-GaNであり、第2半導体層103の材料はp-GaNであり、発光層102の材料はInGaN又はInNであり、第1電極3の材料はITOであり、絶縁保護層5の材料はシリカである。これ以外に、第1半導体層101の材料は、N型ガリウム砒素及びN型りん化銅などのうちの1つであり、第2半導体層103の材料は、P型ガリウム砒素及びP型りん化銅などの材料のうちの1つを含み、発光層102の材料は、窒化インジウムガリウムアルミニウム、ガリウム砒素、ヒ化アルミニウムガリウム、インジウムガリウムリン、リン化インジウムヒ素或いはインジウムガリウムヒ素のうちの1つ又は複数であり、第1電極3の材料は、チタン、アルミニウム、ニッケル及びその合金のうちの1つ又はその任意の組合せを含む実現形態を採用してもよい。なお、上記材料は、実施形態の1つにすぎず、第1半導体層101、第2半導体層103、発光層102、第1電極3及び絶縁保護層5の材料を限定するものではなく、同じ原理で同じ機能を実現する他の材料も、本発明の実施例の1つであるべきであり、ここでは一一列挙しない。
【0055】
発光構造体1が正常に発光できるようにするため、第1電極3を第1半導体層101に電気的に接続する必要があり、同様に、第2電極4を第2半導体層103に電気的に接続する必要がある。球形構造において、第1半導体層101は球形構造の底部に位置し、第2半導体層103は球形構造の中間部に位置するため、第1電極3を複数設置することにより、第1半導体層101との効果的な接触面積を向上させることができるが、第2電極4を複数設置することにより、第2半導体層10との効果的な接触面積を向上させることは困難である。これから分かるように、第2半導体層103と第2電極4との効果的な接触面積は、球形フリップチップ型マイクロLEDの発光効率を制限するボトルネック問題である。
【0056】
図1に示すように、好ましくは、第2半導体層と第2電極4との効果的な接触面積を向上させるために、発光構造体1は、ITO電流拡散層104をさらに含み、ITO電流拡散層104は、第2半導体層103と支持構造体2との間に設置され、第1電極3は第1半導体層101に電気的に接続され、第2電極4はITO電流拡散層104を介して第2半導体層103に電気的に接続される。
【0057】
第2電極4を介して直接第2半導体層103に電気的に接続される場合、第2電極4と第2半導体層103との間の接続関係は、点と面との接続のように、第2電極4は第2半導体層103上の接触点の周囲の正孔のみを活性化することができる。第2電極4は、ITO電流拡散層104を介して第2半導体層103に電気的に接続される場合、ITO電流拡散層104と第2半導体層103との間の接続関係は、面と面との接続のように、第2電極4は、理論上、ITO電流拡散層104を介して第2半導体層103全体にある全ての正孔を活性化することができる。一般的に、ITO電流拡散層104で第2電極4と第2半導体層103との実際の接触面積を大きくすることができ、第2半導体層103を介してより多くの正孔を放出するのに有利であり、それにより、発光効率を向上させる。
【0058】
図1に示すように、好ましくは、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104は、半球体構造を形成し、支持構造体2は半球体構造である。球形フリップチップ型マイクロLEDを形成するために、第1半導体層101、発光層102及び第2半導体層103を貫通して電極収容ビアホール105が設置されており、電極収容ビアホール105は第1半導体層101、発光層102及び第2半導体層103に垂直であり、第2電極4は、電極収容ビアホール105内に設置され、第2電極4の一端は、ITO電流拡散層104に電気的に接続され、第2電極4の他端は、前記半球体構造の表面以外に露出している。
【0059】
絶縁保護層5は、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104の外側表面に被覆され、絶縁保護層5は、さらに、電極収容ビアホール105の内側表面に被覆される。絶縁保護層5には、電極収容用窓106が開口されており、第1電極3は、電極収容用窓106内に設置され、第1電極3の一端は第1半導体層101に電気的に接続され、第1電極3の他端は前記半球体構造の表面以外に露出している。
【0060】
第2電極4は、ITO電流拡散層104を介して電気的に接続されるために、収容ビアホール内に設置されており、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104の外側表面には、第1電極3と第2電極4とが短絡することを防止するための絶縁保護層5が被覆され、絶縁保護層5には、接続第1半導体層101を接続するための第1電極3が設置されている電極収容用窓106が開口されており、それにより、第1電極3及び第2電極4を介して発光構造体1と外部制御信号及び/又は外部電源とが接続される。
【0061】
より好ましくは、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104の断面面積は、順次大きくなり、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104は、順番に支持構造体2に近づく。このように設置すると、第1電極3及び第2電極4を容易に設置することができ、ITO電流拡散層104と第2半導体層103との密着を保証するとともに、ITO電流拡散層104の面積を第2半導体層103の面積よりも大きくすることができ、第2半導体層103上の正孔を最大限に放出するのに有利であり、それにより、発光効率を向上させる。
【0062】
好ましくは、前記半球体構造の表面に露出している前記第1電極の一端及び前記半球体構造の表面に露出している第2電極4の一端には、ホットメルト導電性材料が設置されている。球形フリップチップ型マイクロLEDは、その機能が実際に実現されるためには、バックプレーンに取り付けられて、表示パネルを形成する必要があるため、球形フリップチップ型マイクロLEDとバックプレーンとの間の効果的な電気的接続が鍵であり、ホットメルト導電性材料で、球形フリップチップ型マイクロLEDの電気的接続の効果を効果的に向上させることができる。
【0063】
好ましくは、第2電極4が磁性材料であるか、又は第2電極4の表面の一部に磁性材料がコーティングされている。磁性材料により、第2電極4が磁性を持ち、物質移動の効率及び精度の向上に有利である。
【0064】
好ましくは、絶縁保護層5にはDBR構造が設置されている。光線は、第1半導体層101、発光層102及び第2半導体層103の協働によって四方八方に発射されるが、最終的には、支持構造体2を介して出射されるため、絶縁保護層5内にはDBR構造が設置されており、四方八方に向かう光線をDBR構造で支持構造体2に集中することができ、発光効率を向上させやすい。また、球面状の発光面は球形フリップチップ型マイクロLEDの内部の全反射を低減するのに有利であり、したがって、光抽出効率を向上させることができる。なお、DBR構造は、光を反射する従来技術であり、当業者に知られている技術案に属する。
【0065】
対応して、球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法は、
基板6に、発光構造層108と支持構造層201とを順番に形成するステップと、
エッチング工程により、支持構造層201上に、半球体構造かつ透明構造である支持構造体2をエッチングするステップと、
基板6を上下裏返して剥離し、エッチング工程により、発光構造層108を半球体構造にエッチングするステップと、
発光構造層108が形成された半球体構造に穴を開けて、電極収容ビアホール105を得るステップと、
発光構造層108の外側表面に被覆される、かつ、電極収容ビアホール105の内側表面にも被覆される絶縁保護層5を堆積するステップと、
絶縁保護層5上に電極収容用窓106をエッチングするステップと、
電極収容用窓106に第1電極3を堆積し、電極収容ビアホール105に第2電極4を堆積するステップと、を含む。
【0066】
具体的には、球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法は、
基板6に、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103、TO電流拡散層104及び支持構造層201を順番に形成し、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103、ITO電流拡散層104で発光構造層108が構成され、発光構造層108及び支持構造層201は下から上に順番に設置されるステップと、
エッチング工程により、支持構造層201上に、半球体構造かつ透明構造である支持構造体2をエッチングするステップと、
基板6を上下裏返して剥離し、エッチング工程により、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104で構成された発光構造層108を半球体構造にエッチングするステップと、
発光構造層108が形成された半球体構造に穴を開けて、電極収容ビアホール105を得るステップと、
第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104の外側表面に被覆される、かつ、電極収容ビアホール105の内側表面にも被覆される絶縁保護層5を堆積するステップと、
絶縁保護層5上に、第1半導体層101と対向する位置に位置する電極収容用窓106をエッチングするステップと、
電極収容用窓106に第1電極3を堆積し、電極収容ビアホール105に堆積して第2電極4を堆積し、ただし、第1電極3は電極収容用窓106内に設置され、第1電極3の一端は第1半導体層101に電気的に接続され、第1電極3の他端は前記半球体構造の表面以外に露出し、第2電極4は電極収容ビアホール105内に設置され、第2電極4の一端はITO電流拡散層104に電気的に接続され、第2電極4の他端は前記半球体構造の表面以外に露出しているステップと、を含む。
【0067】
上記技術案により、発光構造体1を製造した上に、透明な支持構造体2をさらに製造して、極めて低いコストで発光構造体1、支持構造体2及び絶縁保護層5で完全な球形構造を形成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証する。
【0068】
以下、上記方法について、
図2~
図13を参照しながら、生産工程のフローにしたがって説明する。
【0069】
図2に示すように、まず、基板6に発光構造層108及び支持構造層201を順番に形成し、発光構造層108は、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104を含み、
図3に示すように、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103及びITO電流拡散層104が順番に形成され、
図4に示すように、ITO電流拡散層104に透明構造の支持構造層201を形成し、続いて、
図5に示すように、エッチング工程により、支持構造体2を1個目の半球にエッチングする。
【0070】
次に、
図6に示すように、発光構造層108及び支持構造層201の全体を裏返して、接合材料8及び接合基板9に置き、
図7及び
図8に示すように、基板6が剥離されて、発光構造層108が露出する。
図9に示すように、続いて、エッチング工程により、発光構造層108を2個目の半球にエッチングして、発光構造体1を得る。
【0071】
図10に示すように、エッチング工程によって発光構造体1をエッチングして、第1半導体層101、発光層102及び第2半導体層103を貫通する電極収容ビアホール105を取得し、続いて、
図11に示すように、絶縁保護層5を堆積し、好ましくは、発光効率を向上させるために、絶縁保護層5内にDBR構造が設置され、
図12に示すように、絶縁保護層5に対してパターン化処理を行い、電極収容ビアホール105内で絶縁保護層5とITO電流拡散層104とが接触する部分をエッチングし、かつ電極収容用窓106をエッチングし、次に、
図13に示すように、電極収容用窓106に第1電極3を堆積し、電極収容ビアホール105内に第2電極4を堆積し、最後に、前記接合基板9を剥離して、
図1に示すような球形フリップチップ型マイクロLEDを形成する。
【0072】
図14~
図17に示すように、具体的には、エッチング工程で支持構造体2を1個目の半球にエッチングする具体的な工程は次のとおりである。
【0073】
図14に示すように、支持構造層201にマスク層107を形成する。
【0074】
図15に示すように、マスク層107を、半球形又は半楕円形になるようにパターン化処理を行い、マスク層107の実際のパターンは、ドライエッチング工程のパラメータにしたがって調整される。
【0075】
図16に示すように、マスク層107のエッチングが完了するまで、エッチング工程を行い、
図17に示すように、支持構造体2に半球体構造を形成する。
【0076】
図18~
図23に示すように、対応して、表示パネルは、バックプレーン7と、バックプレーン7に設置されている複数の球形フリップチップ型マイクロLEDと、を含む。バックプレーン7には、第1接続線704及び第2接続線705が設置されており、前記球形フリップチップ型マイクロLEDの第1電極3及び第2電極4は、それぞれ第1接続線704及び第2接続線705に電気的に接続される。
【0077】
図18に示すように、具体的には、バックプレーン7には、前記球形フリップチップ型マイクロLEDの大きさにマッチングする複数の搭載ウェル701が設置されており、搭載ウェル701内には第2電極4にマッチングする磁性金属パッドがある。複数の球形フリップチップ型マイクロLEDがバックプレーン7の搭載ウェル701に固定されると、マイクロLEDアレイを形成することができる。
【0078】
好ましくは、第2電極4が磁性材料であるか、又は第2電極4の表面の一部に磁性材料がコーティングされており、これに対応して、搭載ウェル701内には磁性金属パッドが設置され、第2電極4の磁性は、搭載ウェル701に設置されている磁性金属パッドの磁性と反対である。磁力の作用により、移動中に、球形フリップチップ型マイクロLEDを搭載ウェル701に吸着しやすく、第2電極4と磁性金属パッドとの効果的な接触を保証することができる。
【0079】
図19及び
図20に示すように、球形フリップチップ型マイクロLED10とバックプレーン7との間のより効果的な電気的接続を実現できるために、前記半球体構造の表面に露出している第1電極3の一端および前記半球体構造の表面に露出している第2電極4の一端には、ホットメルト導電性材料が設置されている。それに対応して、バックプレーン7の搭載ウェル701には、第1電極3及び第2電極4に対応する第1金属チャネル702及び第2金属チャネル703が設置されている。搭載時に、第1電極3は第1金属チャネル702に対応し、第2電極4は第2金属チャネル703に対応する。
【0080】
本発明に係る表示パネルにおいて、第1電極3、第2電極4、第1接続線704、第2接続線705、搭載ウェル701、第1金属チャネル702、第2金属チャネル703及び磁性金属パッドなどのコンポーネントは、いずれも球形フリップチップ型マイクロLED10とバックプレーン7との間のより効果的な電気的接続を実現するためのものである。第1接続線704及び第2接続線705は、バックプレーン7に内蔵され、第1金属チャネル702及び第2金属チャネル703は搭載ウェル701内に形成され、第1接続線704及び第2接続線705は第1金属チャネル702及び第2金属チャネル703に露出されている。搭載時に、第1電極3は、第1金属チャネル702内に嵌め込められるだけで、第1接続線704との電気的接続が実現され、第2電極4は、第2金属チャネル703内に嵌め込められるだけで、第2接続線705との電気的接続が実現される。特に、搭載ウェル701には、さらに、磁力でより正確な物質移動を行うための磁性金属パッドが設置されている。
【0081】
球形フリップチップ型マイクロLEDのボンディングを容易にするために、第1金属チャネル702の深さは、第1電極3の半球体構造の表面以外に露出している厚さよりも小さく、第1金属チャネル702の深さは第1電極3上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きい。それに対応して、第2金属チャネル703の深さは、第2電極4の半球体構造の表面以外に露出している厚さよりも小さく、第2金属チャネル703の深さは第2電極4上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きい。
【0082】
半球体構造の表面以外に露出している第1電極3の厚さ、即ち第1電極3の突出部分自体に、第1電極3上のホットメルト導電性材料を加えて突出部分の総厚さを取得し、この厚さが第1金属チャネル702の深さよりも大きい場合こそ、第1電極3及び第1電極3上のホットメルト導電性材料は第1接続線704に接触することができる。また、第1金属チャネル702は第1電極3上のホットメルト導電性材料の厚さよりも大きいため、ホットメルト導電性材料が融解した後にオーバーフローすることを防止することができ、それにより短絡を回避する。
【0083】
図19及び
図20に示すように、より好ましくは、前記球形フリップチップ型マイクロLEDをバックプレーン7にボンディングする際に、第1電極3上のホットメルト導電性材料が第1金属チャネル702からオーバーフローして、第1電極3と第2電極4とが短絡することをさらに防止するために、第1電極3をいくつかの非連続の突出部位として設置することができ、対応して、第1金属チャネル702を連続の環状金属チャネルとして設置し、球形フリップチップ型マイクロLED10をボンディングする際に、余分のホットメルト導電性材料を第1電極3の非連続の突出部位間に流してもよい。
【0084】
図21及び
図22に示すように、表示パネルを組み立てて、繋ぎ合わせる過程において、大量の球形フリップチップ型マイクロLED10を液体環境に入れて懸濁液を取得し、バックプレーン7の搭載ウェル701内には磁性金属パッドが設置されている。球形フリップチップ型マイクロLED10の発光構造体1の密度が支持構造体2の密度よりも大きいため、懸濁液の中で、バックプレーン7に落ちたが球形フリップチップ型マイクロLED10の電極付きの発光構造体1が下を向くようにすることができ、懸濁液が水平方向に沿って緩慢に流動すると、第1電極3及び第2電極4が設置されている発光構造体1が形成される半球体構造がバックプレーン7の搭載ウェル701に落ち込むことができる。物質移動が完了した後、バックプレーン7及び球形フリップチップ型マイクロLED10の構造は、
図23に示すとおりである。
【0085】
対応して、本発明は、マイクロLED表示パネルの移動方法をさらに提供し、当該方法は、次のステップを含む。
【0086】
まず、複数の球形フリップチップ型マイクロLEDを懸濁液に入れ、懸濁液内の球形フリップチップ型マイクロLEDは、発光構造体1の密度が支持構造体2の密度よりも大きいため、第1電極3及び第2電極4が位置する発光構造体1は下を向く。
【0087】
次に、懸濁液にバックプレーン7を入れるとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDがバックプレーン7の上方に浮くようにし、ここで、バックプレーン7には複数の搭載ウェル701が設置されており、複数の搭載ウェル701は搭載ウェル701アレイを形成し、搭載ウェル701内には磁性金属パッドが設置されており、第2電極4は磁性導電材料であり、第2電極4の磁性は、搭載ウェル701に設置されている磁性金属パッドの磁性と反対である。
【0088】
再び、第2電極4と磁性金属パッドとの間の磁力で、球形フリップチップ型マイクロLEDを搭載ウェル701内に吸着して、マイクロLEDアレイを形成し、移動を完了する。
【0089】
なお、上記は、球形フリップチップ型マイクロLEDをバックプレーン7に移動するプロセスにすぎず、パッケージングプロセスを含まない。マイクロLED表示パネルをワンブロックに形成するには、さらにパッケージングする必要がある。
【0090】
大量の球形フリップチップ型マイクロLEDを懸濁液に入れて、第1電極3及び第2電極4が位置する発光構造体1が下を向くようにし、バックプレーン7には磁性金属パッドが設置されており、磁性金属パッドは、第2電極4と反対の磁性を有し、磁力の作用により、球形フリップチップ型マイクロLEDを搭載ウェル701内に吸着し、それにより、球形フリップチップ型マイクロLEDがバックプレーン7の搭載ウェル701に正確に位置を合わせる。磁性金属パッドの実現方式は2つあり、1つは、磁性金属パッドとして磁性材料を使用することにより、磁力が直接ある方式であり、1つは、電磁誘導を使用して、電源を入れた後に磁力を生成する方式である。懸濁液が流動する際に、磁性電極の吸着により第2電極4及び第2金属パッドが互いに吸着して、物質移動が完了する。
【0091】
要約すると、本発明は、球形フリップチップ型マイクロLED、球形フリップチップ型マイクロLEDの製造方法、及び表示パネルを提供し、ここで、球形フリップチップ型マイクロLEDは、発光構造体1、支持構造体2、第1電極3、第2電極4及び絶縁保護層5を含み、支持構造体2は透明構造であり、第1電極3及び第2電極4は、それぞれ発光構造体1に電気的に接続され、絶縁保護層5は、発光構造体1及び/又は支持構造体2の表面に被覆され、発光構造体1、支持構造体2及び絶縁保護層5は球体構造を構成する。従来技術と比べて、本技術案の有益な効果は、発光構造体1が設置されている以外に、透明な支持構造体2も設置されており、発光構造体1、支持構造体2及び絶縁保護層5で所定サイズの球形構造を形成するとともに、球形フリップチップ型マイクロLEDの正常な発光を保証するということである。
【0092】
本発明の適用は、上記の例示に限定されず、当業者であれば、上記の説明に基づいて改良又は変更することができ、これらの改良及び変更はいずれも本発明の添付の特許請求書の保護範囲に属することは理解できる。
【符号の説明】
【0093】
発光構造体1、支持構造体2、第1電極3、第2電極4、絶縁保護層5、基板6、バックプレーン7、接合材料8、接合基板9、球形フリップチップ型マイクロLED10、第1半導体層101、発光層102、第2半導体層103、ITO電流拡散層104、電極収容ビアホール105、電極収容用窓106、マスク層107、発光構造層108、支持構造層201、搭載ウェル701、第1金属チャネル702、第2金属チャネル703、第1接続線704、第2接続線705
【国際調査報告】