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特表2022-537249ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム
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  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図1A
  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図1B
  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図2A
  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図2B
  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図3
  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図4
  • 特表-ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ダミー要素用の走行可能なプラットフォーム
(51)【国際特許分類】
   G01M 7/08 20060101AFI20220818BHJP
   G01M 17/007 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G01M7/08 B
G01M17/007 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021565106
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2020066602
(87)【国際公開番号】W WO2020254308
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116688.8
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515345366
【氏名又は名称】4アクティブシステムズ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハフェルナー、ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】フリッツ、マーティン
(57)【要約】
本発明は、ダミー要素(106)と試験されるべき対象、特に車両との間の衝突または衝突に近い状況を試験するためのプラットフォーム(100)に関する。プラットフォーム(100)は、基体(101)を備え、基体は、底面(102)と、その底面(102)の反対側に形成された固定面(103)とを有し、固定面(103)上にダミー要素(106)が固定可能である。プラットフォーム(100)はさらに、ローラ要素(104)を備え、ローラ要素は、底面(102)に配置されていて、ローラ要素(104)は、基体(101)が地面(105)に沿って走行可能であるように駆動可能である。さらに、プラットフォーム(100)は、方向付け装置(110)を備え、方向付け装置は、基体(101)を地面(105)上で所定の方位に方向付ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダミー要素と試験されるべき対象、特に車両との間の衝突または衝突に近い状況を試験するためのプラットフォームにおいて、前記プラットフォームは、
底面と、前記底面の反対側に形成された固定面とを有する基体と、
前記底面に配置されているローラ要素と
前記基体を地面上で所定の方位に方向付ける方向付け装置と
を備え、
前記固定面上には、前記ダミー要素が固定可能であり、
前記ローラ要素は、前記基体が前記地面に沿って走行可能であるように駆動可能である、
プラットフォーム。
【請求項2】
前記プラットフォームは、正確に唯一のローラ要素を備える、
請求項1に記載のプラットフォーム。
【請求項3】
前記ローラ要素は、前記基体の運動方向を調節するために、前記基体に対して、操舵軸を中心に制御可能である、
請求項1または2に記載のプラットフォーム。
【請求項4】
前記ローラ要素は、前記基体に対して、縦軸を中心として回転不能である、
請求項1または2に記載のプラットフォーム。
【請求項5】
前記ローラ要素は、前記基体を前記基体の拡がり方向に沿って駆動するように形成されていて、
前記方向付け装置は、前記拡がり方向に沿って前記ローラ要素の後方に配置されている、
請求項1から4までのいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項6】
前記方向付け装置は、接地要素を有し、前記接地要素は、前記地面に沿って前記基体が走行する間の、前記地面との、特に滑り接触による接触のために形成されている、
請求項5に記載のプラットフォーム。
【請求項7】
前記接地要素は、半球体を有する、
請求項6に記載のプラットフォーム。
【請求項8】
前記接地要素は、少なくとも一つの薄板を形成し、前記薄板は、前記基体の拡がり方向に対して平行方向の成分を有する拡がり方向を有する、
請求項6または7に記載のプラットフォーム。
【請求項9】
前記薄板の前記拡がり方向と、前記基体の前記拡がり方向との間の角度は、45°未満である、
請求項8に記載のプラットフォーム。
【請求項10】
前記接地要素は、多数の弾性スティック要素を有し、前記弾性スティック要素は、前記底面と前記地面との間で底部拡がり方向に沿って延び、
前記底部拡がり方向は、底平面に沿って、前記基体の前記拡がり方向に対して垂直方向に延びる方向成分を有する、
請求項6から9までのいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項11】
前記接地要素は、多数の弾性スティック要素を有し、前記弾性スティック要素は、前記底面と前記地面との間で、底部拡がり方向に沿って延び、
前記底部拡がり方向は、前記基体の前記拡がり方向に対して反対に延びる方向成分を有する、
請求項6から10までのいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項12】
前記方向付け装置は、可動の質量体を有し、前記可動の質量体は、前記基体が前記地面上で所定の方位に調節可能であるように制御可能である、
請求項1から11までのいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項13】
前記可動の質量体は、前記ローラ要素から離間して配置されていて、前記質量体は、前記基体の拡がり方向とは同じでない方向に沿って加速可能である、
請求項12に記載のプラットフォーム。
【請求項14】
前記質量体は、前記ローラ要素の周囲を、特に円形もしくは楕円形の軌道に沿って、または線形の軌道に沿って動くことができる、
請求項12または13に記載のプラットフォーム。
【請求項15】
前記方向付け装置は、ガイドレールを有し、前記ガイドレールは、前記基体の拡がり方向に対して垂直の方向成分で延び、
前記方向付け装置はさらに、前記ガイドレールに沿って前記質量体を動かす駆動ユニットを有する、
請求項12から14までのいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【請求項16】
前記基体に可動に固定可能であるエアガイド要素をさらに備え、
前記エアガイド要素は、ブレーキ効果または操舵効果を生成するために、前記基体の流動抵抗が調節可能であるように制御可能である、
請求項1から15までのいずれか一項に記載のプラットフォーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダミー要素と試験されるべき対象、特に車両との間の衝突または衝突に近い状況を試験するためのダミー要素用のプラットフォームに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の車両技術では、車両の周囲環境を能動的に監視し、車両の制御に受動的または能動的に干渉する支援システムがますます使用されてきている。特に、支援システムは、自動運転を行うために、十分に試験されなければならない。したがって、支援システムの誤った評価を防ぐために、支援システムは、広範囲にわたる試験を受けなければならない。
【0003】
支援システムの試験進行の間に、試験されるべき対象とダミー要素との間でどうしても衝突が生じることがある。例えば道路交通において二台の車両または車両と人との衝突のような現実に近い衝突状況をもたらすために、試験されるべき車両は、ダミー要素と同様に動かされる。この場合、特に運転支援システムは現実に近い試験を行うことができる。
【0004】
考えられる全ての状況について支援システムを試験するために、車両は、ダミー要素と同様に、試験ごとに相互に多様な方向から動かすことが必要である。相応する状況を効果的に試験するために、試験システムを迅速にかつ複雑な改造なしに、多様な試験状況に合わせることができる必要がある。特に、例えばダミー車両、人型ダミーのような多数の異なるダミー要素が、多様な運動方向で相互に動くような複雑な交通状況をシミュレートしなければならない。多数のダミー要素の使用に基づき、低コストでかつ特に衝突後に再使用可能なダミー装置が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、支援システムの試験のためのダミー要素用の頑丈でかつ低コストのプラットフォームを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、独立請求項の特徴により解決される。
【0007】
本発明の第一の態様によると、ダミー要素と試験されるべき対象、特に車両との間の衝突または衝突に近い状況を試験するためのプラットフォームが提供される。プラットフォームは、基体を備え、基体は、底面と、その底面の反対側に形成された固定面とを有し、固定面上にダミー要素が(例えば取り外し可能に)固定可能である。プラットフォームはさらに、ローラ要素を備え、ローラ要素は、底面に配置されていて、ローラ要素は、基体が地面に沿って走行可能であるように駆動可能である。さらに、プラットフォームは、方向付け装置を備え、方向付け装置は、基体を地面上で所定の方位に方向付ける。
【0008】
別の態様によると、先に記載されたプラットフォームの操作方法が予定されている。
【0009】
本発明の別の態様によると、試験されるべき対象、特に車両とダミー要素との間の衝突または衝突に近い状況を試験するための試験システムが提供される。試験システムは、先に記載された種類のプラットフォームとダミー要素とを備え、ダミー要素は、固定面上に固定装置によって特に取り外し可能に固定されている。
【0010】
試験されるべき対象は、例えば、停止している対象、例えば車両を表してよい。あるいは、試験されるべき対象は、動くことができ、例えば乗用車(PKW)、トラック(Lkw)、バスまたは自転車のような車両を表してよい。
【0011】
プラットフォーム上に固定されているダミー要素は、例えば、プラットフォーム上に立っているように、横になっているようにまたは座っているように固定されている人に似せたダミーである。さらに、ダミー要素は、車両模型または自転車模型を表してよい。
【0012】
プラットフォームは、ローラ要素によって駆動可能であり、地面に沿って走行可能である。ダミー要素が配置されているプラットフォームは、試験されるべき対象の走行路を横切ることができるため、試験されるべき対象へのダミー要素の接近を運転支援システムによって測定することができ、この場合、運転支援システムが試験される。
【0013】
プラットフォームは、プレートに類似する形状を形成する基体を有する。これは、底平面内での基体の拡がりが、例えば垂直方向の基体の厚みよりも明らかに大きいことを意味する。基体は、この場合、底面と反対側の固定面とを有する。基体は、基体の底面によって地面に載置される。底面内には、少なくとも一つのローラ要素が駆動可能に配置されていて、このローラ要素は、少なくとも部分的に基体から突出し、それにより基体と地面との間に間隔を提供する。固定面上にダミー要素は、例えば固定装置によって固定される。
【0014】
底面には、少なくとも一つのローラ要素が配置されている。ローラ要素は、例えばゴムローラ、硬質プラスチックローラまたはプラスチックローラからなっていてよい。ローラ要素は、特にプラットフォームの運動方向で前方領域内に、つまりプラットフォームの予め規定された運動方向に対して前半部分に配置されている。
【0015】
プラットフォームは、少なくとも一つのローラ要素によって地面に沿って一つの運動方向に沿って走行可能である。プラットフォームは、特に、プラットフォームの所望の予め規定された運動方向に対して平行方向に規定される拡がり方向を有する。プラットフォームは、ローラ要素自体が駆動され、例示的な実施形態によると、操舵可能にまたは固定で操舵不可能に形成されていることにより、自由に走行可能に形成されている。
【0016】
さらに、プラットフォームは、基体を地面上で所定の向きに方向付ける方向付け装置を備える。所定の向きは、特に、プラットフォームの所望の運動方向に対して平行方向の、プラットフォームの拡がり方向が生じる向きであってよい。方向付け装置は、特に、ローラ要素から離間して配置されている。特に、方向付け装置は、プラットフォームの拡がり方向または運動方向で、ローラ要素の後方に配置されている。
【0017】
方向付け装置は、例えば、地面との運動抵抗によってまたはさらに後に説明されるような質量体による能動的方位付けシステムによって、プラットフォームが所定の方位に方向付けられるように形成されている。方向付け装置は、例えば、ローラ要素と地面との場合よりも、地面との高い運動抵抗または高い摩擦力を有する。これは、運動方向でのプラットフォームの運動の際、特に加速の際に、駆動するローラ要素に対する方向付け装置の間隔に基づき、方向付けるモーメントが生成されることを引き起こし、このモーメントは、方向付け装置を運動方向に関してローラ要素の真後ろに押しやり、したがってプラットフォームは所定の方位に向く。あるいは、方向付け装置は、摩擦と関連する方向付けの他に、同様にプラットフォームの方向付けを、以下に記載されるような運動可能な質量要素によって可能にする。
【0018】
したがって、複雑な操舵機構または多数の必要な動的制御要素を必要としないプラットフォームが提供される。
【0019】
別の例示的な実施形態によると、プラットフォームは、正確に唯一のローラ要素を備える。唯一のローラ要素と、例えば運動方向に沿って動く間に基体を自動的に安定化する方向付け装置とを対にすることに基づき、二つまたはそれ以上のローラ要素を準備する必要はなくなる。プラットフォームを動かすために、特に駆動可能であるローラ要素は一つだけで十分である。したがって、簡単でかつ低コストのプラットフォームを提供することができる。
【0020】
プラットフォームは、正確に唯一のローラ要素を有するため、方向付け装置は、ローラ要素を形成しないかまたは回転可能なローラ要素として形成されない。
【0021】
別の例示的な実施形態によると、ローラ要素は、基体の運動方向を調節するために、基体に対して操舵軸を中心として制御可能である。駆動可能なローラ要素は、垂直の縦軸を中心として旋回可能であるため、プラットフォームの操舵を行うことが可能である。
【0022】
別の例示的な実施形態によると、ローラ要素は、基体に対して、縦軸を中心として回転不能であり、つまり操舵可能でない。例えば、プラットフォームは、所定の試験走行の際に、もっぱら直線軌道に沿ってまたは所定の曲線軌道に沿って動かされてよい。この場合、ローラ要素の能動的な操舵は必要ない。さらに、プラットフォームの向きは、能動的な方向付け装置を用いて、例えば以下に記載された質量要素を用いて能動的に方向付けることができるため、操舵可能なローラ要素は必要ない。
【0023】
別の例示的な実施形態によると、ローラ要素は、基体を基体の拡がり方向に沿って駆動するように形成されていて、方向付け装置は、拡がり方向に沿ってローラ要素の後方に配置されている。
【0024】
別の例示的な実施形態によると、方向付け装置は、接地要素を有し、この接地要素は、地面に沿って基体が走行する間の、地面との、特に滑り接触による接触のために形成されている。したがって、接地要素は、地面との摩擦接触を形成する。したがって、接地要素は、ローラ要素と地面との場合よりも地面との高い運動抵抗または高い摩擦力を有する。これは、運動方向でのプラットフォームの運動の際、特に加速の際に、駆動するローラ要素に対する方向付け装置の間隔に基づき、方向付けるモーメントが生成されることを引き起こし、このモーメントは、方向付け装置を運動方向に関してローラ要素の真後ろに押しやり、したがってプラットフォームは所定の方位に向く。
【0025】
接地要素は、以下に説明するように、半球体を形成するかまたは例えば直方体、円錐、円柱、角柱もしくは角錐のような別の幾何学形状を形成してよい。
【0026】
別の例示的な実施形態によると、接地要素は、半球体を有する。半球形の場合、地面と僅かな接触面が生成される。同時に、半球体の摩耗時または地面の起伏時に、十分な摩擦面が保証される。半球体は、特にゴム状の材料、特に硬質ゴムから製造されてよい。
【0027】
別の例示的な実施形態によると、接地要素は、少なくとも一つの薄板を形成し、薄板は、基体の拡がり方向に対して平行方向の成分を有する拡がり方向を有する。換言すると、薄板は、地面と摩擦面を形成し、摩擦面は、基体の拡がり方向または運動方向で、拡がり方向に対して横断するかまたは直交する方向よりも長い伸長を有する。これは、運動方向に対して直交する方向の摩擦力が、運動方向に対して平行方向の摩擦力よりも大きくなることを引き起こす。相応して、地面上でのプラットフォームの運動時に、一方で、運動方向に対して直交する方向の抵抗は大きくなり、他方で、薄板ひいてはプラットフォームをできる限り運動方向に対して横断する方向の最小の摩擦力を有する方位へもたらすモーメントが生成される。この方位は、典型的には、プラットフォームの所定の方位に相当する。
【0028】
別の例示的な実施形態によると、薄板の拡がり方向と基体の拡がり方向/運動方向との間の角度は45°未満である。
【0029】
別の例示的な実施形態によると、接地要素は、多数の弾性スティック要素を有し、これらのスティック要素は、底面と地面との間で底部拡がり方向に沿って延び、底部拡がり方向は、底平面に沿って、基体の拡がり方向に対して垂直方向に延びる方向成分を有する。弾性スティック要素は、特にそのスティック要素の縦方向に沿って高い抵抗を有し、その縦方向に対して横断する方向に弾性変形することができる。弾性スティック要素は、ブラシ状に形成されていて、例えば薄い毛状のマット/毛皮を形成し、スティック要素の各々は、先に記載されたように目的に合うように方向付けられている。換言すると、スティック要素は、プラットフォームの底面から出発し地面方向に外側に向かって、つまりプラットフォームの中心軸に対して反対に延びる。したがって、プラットフォームが、ローラ要素を中心として回転運動で、ひいてはプラットフォームの中心位置から動く場合、スティック要素は、比較的高い抵抗を生成する。
【0030】
別の例示的な実施形態によると、スティック要素は、底部拡がり方向が、基体の拡がり方向または運動方向に反するように延びる方向成分を有するように配置されている。したがって、前方方向へのプラットフォームの運動時には、スティック要素によってプラットフォームの後退運動時よりも、低い抵抗が生成される。
【0031】
別の例示的な実施形態によると、方向付け装置は、可動の質量体を有し、この可動の質量体は、基体が地面上で所定の方位に調節可能であるように制御可能である。
【0032】
別の例示的な実施形態によると、可動の質量体は、ローラ要素から離間して配置されていて、質量体は、基体の拡がり方向とは同じでない方向に沿って加速可能である。
【0033】
質量体の加速に基づき、ローラ要素を中心としたプラットフォームのトルクが生成される。質量体の加速は、例えば制御装置を介して目的に合うように制御されてよいので、それによりプラットフォームの所望の所定の方位が調節可能である。したがって、この実施形態では、もはやローラ要素が制御可能である必要がない。それというのも方向調節は質量要素によって行われるためである。質量体の目的に合った加速によって、慣性に基づいて、プラットフォームは、質量体の加速方向に関して反対の方向に動かされる。例えば、基体の位置決定を達成するために、質量慣性力またはコリオリの力は、質量体の目的に合った運動により生成される。
【0034】
別の例示的な実施形態によると、質量体は、ローラ要素の周囲を、特に円形もしくは楕円形の軌道に沿って、または線形の軌道に沿って動くことができる。
【0035】
別の例示的な実施形態によると、方向付け装置は、基体の拡がり方向に対して垂直の方向成分で延びるガイドレールを有する。方向付け装置はさらに、ガイドレールに沿って質量体を動かす駆動ユニットを有する。駆動ユニットは、例えば電気モータ、特にリニアモータを表す。
【0036】
別の例示的な実施形態によると、プラットフォームは、基体に可動に固定可能である少なくとも一つのエアガイド要素を備える。エアガイド要素は、ブレーキ効果または操舵効果を生成するために、基体の流体抵抗が調節可能であるように制御可能である。エアガイド要素は、翼要素として、またはガイド舵として形成可能であってよく、基体に特に旋回可能に固定されていてよい。したがって、基体の運動時に、目的に合うように向けられた流動抵抗が生成されてよく、流動抵抗は基体の所望の操舵または基体のブレーキングを引き起こす。
【0037】
本明細書に記載された実施形態は、単に本発明の可能な実施バリエーションに制限された選択を表すにすぎないことが指摘されるべきである。よって、個々の実施形態の特徴は、適切な様式で互いに組み合わせることが可能であるため、当業者にとって、本明細書で説明された実施バリエーションによって多数の多様な実施形態が明らかに開示されていると見なすことができる。特に、本発明のいくつかの実施形態は、装置の請求項によって説明されていて、本発明の別の実施形態は、方法の請求項によって説明されている。しかしながら、当業者には、本出願を読む場合、特に他に明記されない限り、本発明の主題の一つのタイプに所属する特徴の組合せに加えてさらに、本発明の主題の異なるタイプに所属する特徴の任意の組合せも可能であることが即座に明らかになる。
【0038】
以下に、本発明のさらなる説明およびより良好な理解のために、添付の図面を参照しながら実施例をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】本発明の例示的な実施形態による、接地要素としての半球体を備えるプラットフォームの概略的な底面図を示す。
図1B図1Aからのプラットフォームの概略的な側面図を示す。
図2A】本発明の例示的な実施形態による、接地要素としての弾性スティック要素を備えるプラットフォームの概略的な底面図を示す。
図2B図2Aからのプラットフォームの概略的な側面図を示す。
図3】本発明の例示的な実施形態による、接地要素としての薄板を備えるプラットフォームの概略的な底面図を示す。
図4】本発明の例示的な実施形態による、方向付け装置の線形に運動可能な質量体を備えるプラットフォームの概略的な底面図を示す。
図5】本発明の例示的な実施形態による、方向付け装置の円形に運動可能な質量体を備えるプラットフォームの概略的な底面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
異なる図面中の同じまたは類似の構成要素は、同じ符号が付与されている。これらの図面中の表示は、概略的である。
【0041】
図1Aは、本発明の例示的な実施形態による、接地要素としての半球体111を備えるプラットフォーム100の概略的な底面図を示す。図1Bは、図1Aからのプラットフォームの概略的な側面図を示す。プラットフォーム100は、基体101を備え、基体は、底面102と、その底面102の反対側に形成された固定面103とを有し、固定面103上にダミー要素106が固定可能である。プラットフォーム100はさらに、ローラ要素104を備え、ローラ要素は、底面102に配置されていて、ローラ要素104は、基体101が地面105に沿って走行可能であるように駆動可能である。さらに、プラットフォーム100は、方向付け装置110を備え、方向付け装置は、基体101を地面105上で所定の方位に方向付ける。
【0042】
プラットフォーム100上に固定されているダミー要素106は、例えば、プラットフォーム100上に立っているように固定されている人に似せたダミーである。プラットフォーム100は、ローラ要素104によって駆動可能であり、地面105に沿って走行可能である。ダミー要素106が配置されているプラットフォーム100は、試験されるべき対象の走行路を横切ることができるため、試験されるべき対象へのダミー要素106の接近を運転支援システムによって測定することができ、この場合、運転支援システムが試験される。
【0043】
プラットフォーム100は、プレートに類似する形状を形成する基体101を備える。基体101は、この場合、底面102と反対側の固定面103とを有する。基体101は、その底面102により地面105上に載置される。底面102内には、ローラ要素104が駆動可能に配置されていて、このローラ要素は、少なくとも部分的に基体101から突出し、それにより基体101と地面105との間に間隔を提供する。固定面103上にダミー要素106は、例えば固定装置によって固定される。
【0044】
ローラ要素104は、特にプラットフォーム100の運動方向107で、前方領域に、つまりプラットフォーム100の予め規定された運動方向107に対して前半部分に配置されている。
【0045】
プラットフォーム100は、少なくとも一つのローラ要素104によって地面105に沿って運動方向107に沿って走行可能である。プラットフォーム100は、特に、プラットフォーム100の所望の予め規定された運動方向107に対して平行方向に規定される拡がり方向107を有する。プラットフォーム100は、ローラ要素104自体が駆動され、例示的な実施形態によると、操舵可能にまたは固定で操舵不可能に形成されていることにより、自由に走行可能に形成されている。
【0046】
さらに、プラットフォーム100またはプラットフォームの基体101は、中心軸108を有する。中心軸108は、特に運動方向107で前端から基体101の中心を通過して後端まで延び、例えばプラットフォーム100の対称軸/鏡軸を形成する。
【0047】
さらに、プラットフォーム100は、基体101を地面105上で所定の向きに方向付ける方向付け装置110を備える。所定の向きは、特に、プラットフォームの所望の運動方向107に対して平行方向のプラットフォームの拡がり方向107が生じる向きであってよい。方向付け装置110は、特に、ローラ要素104から離間して配置されている。特に、方向付け装置110は、プラットフォームの拡がり方向または運動方向107で、ローラ要素104の後方に配置されている。
【0048】
図1図3の実施例における方向付け装置110は、例えば地面105との運動抵抗によるかまたは図4および図5の実施例における能動的方位システムにより、プラットフォーム100が所定の方位に向くように形成されている。
【0049】
図1図3の実施例における方向付け装置110は、例えば、運動方向107に対して地面105との、地面105とローラ要素104の場合よりも高い運動抵抗または高い摩擦力を有する。これは、運動方向107でのプラットフォーム100の運動の際、特に加速の際に、駆動するローラ要素104に対する方向付け装置110の間隔に基づき、方向付けるモーメントが生成されることを引き起こし、このモーメントは、方向付け装置110を運動方向107に関してローラ要素104の後方に押しやり、したがってプラットフォーム100は所定の方位に向く。
【0050】
プラットフォームは、実施例において、正確に唯一のローラ要素104を備える。しかしながら、いくつかのローラ要素を有する別の実施例を除外するものではない。唯一のローラ要素104と、例えば運動方向107に沿って動く間に基体101を自動的に安定化する方向付け装置110とを対にすることに基づき、二つまたはそれ以上のローラ要素を準備する必要はなくなる。プラットフォーム100を動かすために、特に駆動可能であるローラ要素104は一つだけで十分である。
【0051】
ローラ要素104は、基体101の運動方向107を調節するために、基体101に対して操舵軸を中心として制御可能である。
【0052】
図1図3の例示的な実施形態では、方向付け装置110は、接地要素により形成されていて、接地要素は、地面105に沿った基体101の走行の間に、地面105との、特に滑り接触による接触のために形成されている。したがって、接地要素は、地面105との摩擦接触を形成する。したがって、接地要素は、ローラ要素104と地面105との場合よりも地面との高い運動抵抗または高い摩擦力を有する。これは、運動方向107でのプラットフォーム100の運動の際、特に加速の際に、駆動するローラ要素104に対する方向付け装置110の間隔に基づき、方向付けるモーメントが生成されることを引き起こす。
【0053】
図1A図1Bにおける実施例において、接地要素は、半球体111を有する。半球体111の場合、地面105に対して僅かな接触面が生成される。
【0054】
図2Aは、本発明の例示的な実施形態による、接地要素としての弾性スティック要素201を備えるプラットフォーム100の概略的な底面図を示す。図2Bは、図2Aからのプラットフォームの概略的な側面図を示す。スティック要素201は、底面102と地面105との間で底部拡がり方向に沿って延び、底部拡がり方向は、底平面に沿って基体101の拡がり方向107に対して垂直方向に延びる方向成分を有する。スティック要素201は、底部拡がり方向に沿って延び、基体101の拡がり方向107とスティック要素の底部拡がり方向との間の、45°未満の角度αを有する。この場合、スティック要素は、プラットフォーム100の運動方向107に対抗して後端の方向に延びる。
【0055】
弾性スティック要素201は、特にそのスティック要素の縦方向に沿って高い抵抗を有し、その縦方向に対して横断する方向に弾性変形することができる。弾性スティック要素201は、例えば薄い毛状のマット/毛皮を形成してよく、スティック要素201の各々は、目的に合うように方向付けられている。換言すると、スティック要素201は、プラットフォームの底面から出発し地面方向に外側に向かって、つまりプラットフォーム100の中心軸108に対して反対に延びる。したがって、プラットフォーム100が、ローラ要素104を中心として回転運動で、ひいてはプラットフォームの中心位置から動く場合、スティック要素201は、比較的高い抵抗を生成する。
【0056】
さらに、スティック要素201は、底部拡がり方向が、基体101の拡がり方向または運動方向107に反するように延びる方向成分を有するように配置されている(図2Bにおいて角度βを参照)。したがって、前方方向107へのプラットフォーム100の運動時には、スティック要素201によってプラットフォーム100の後退運動時よりも、低い抵抗が生成される。
【0057】
図3は、本発明の例示的な実施形態による、接地要素としての薄板301を備えるプラットフォーム100の概略的な底面図を示す。薄板301は、基体101の拡がり方向107に対して平行方向の成分を有する拡がり方向を有する。換言すると、薄板301は、地面105と摩擦面を形成し、摩擦面は、基体101の拡がり方向または運動方向107で、拡がり方向107に対して横断するかまたは直交する方向よりも長い伸長を有する。これは、運動方向107に対して直交する方向の摩擦力が、運動方向107に対して平行方向の摩擦力よりも大きくなることを引き起こす。相応して、地面105上でのプラットフォーム100の運動時に、一方で、運動方向107に対して直交する方向の抵抗は、運動方向107に対して平行方向の抵抗と比べて大きくなり、薄板301ひいてはプラットフォーム100をできる限り運動方向107に対して横断する方向の最小の摩擦力を有する方位へもたらすモーメントが生成される。この方位は、典型的には、プラットフォームの所定の方位に相当する。
【0058】
薄板301の拡がり方向と、基体の拡がり方向/運動方向107との間の角度αは、45°未満である。
【0059】
さらに、例えば図1A図3からの多様な接地要素が、相応するプラットフォーム100に設けられていてよい。さらに、別のローラ要素104が設けられていてもよい。
【0060】
図4は、本発明の例示的な実施形態による、方向付け装置110の線形に運動可能な質量体401を備えるプラットフォーム100の概略的な底面図を示す。質量体401は、基体101が地面上で所定の方位に調節可能であるように制御可能である。可動の質量体401は、ローラ要素104から離間して配置されていて、質量体401は、基体101の拡がり方向107とは同じでない方向に沿って加速可能である。特に、第二の質量体の運動方向400は、ローラ要素104の軸受を通過して延びるのではなく、ローラ要素のそばを通り過ぎるので、質量体401の運動時に、ローラ要素104を中心としてモーメントが生成される。
【0061】
基体101の拡がり方向または運動方向107とは同じでない、質量体の運動方向402に沿った質量体401の加速に基づき、ローラ要素104を中心としたプラットフォーム100のトルクが生成される。質量体401の加速は、例えば制御装置を介して目的に合うように制御されてよいので、それによりプラットフォーム100の所望の所定の方位が調節可能である。例えば、この実施形態では、操舵可能なローラ要素104は省略されてよい、というのも運動方向107の方向調節またはプラットフォーム100の向きは質量要素によって行われるためである。質量体401の目的に合った加速によって、慣性に基づいて、プラットフォーム100は、質量体401の加速方向に関して反対の方向に動かされる。ローラ要素104は、例えば縦軸を中心として回転不能であり、つまり操舵できない。
【0062】
方向付け装置110は、基体101の拡がり方向107に対して垂直の方向成分で延びるガイドレール403を有する。方向付け装置110はさらに、ガイドレール403に沿って質量体を動かす駆動ユニットを有する。駆動ユニットは、例えば電気モータ、特にリニアモータを表す。
【0063】
図4からの実施例では、質量体401は運動方向402に沿って線状に駆動される。特に、質量体401は、運動方向107でローラ要素104の後方に配置されている。付加的にまたはそれとは別に、別の質量要素401′が、運動方向107でローラ要素104の前方に配置されていてよい。別の質量要素401′は、例えば別の運動方向402′に沿って、ガイドレール403′に沿って線状に駆動されてよい。
【0064】
図5は、本発明の例示的な実施形態による、方向付け装置110の円形に運動可能な質量体401を備えるプラットフォームの概略的な底面図を示す。質量体401は、ローラ要素104の周囲を、特に円形の軌道または運動方向107に沿って運動可能である。
【0065】
図4および図5の実施例では、基体101は、他の領域で、地面105上に直接載置されていてよく、地面105上を沿って移動しながら引き摺る。プラットフォーム100の軽量構造方式に基づき、大きな摩擦または摩耗は生じない。さらに、方向付け装置110は、運動する質量体401の他に同様に別の接地要素、例えば相応するスティック要素、半球体または薄板を有していてよい。
【0066】
補足的に、「含む(umfassend)」は、他の要素またはステップを除外するものではなく、かつ「一つ(eine)」または「一つ(ein)」は複数を除外するものではないことを指摘する。さらに、先の実施例の一つを参照して説明された特徴またはステップは、先に説明された別の実施例の別の特徴またはステップと組み合わせて使用されてもよいことを指摘する。特許請求の範囲の符号は、限定とは見なされない。
【符号の説明】
【0067】
100 プラットフォーム
101 基体
102 底面
103 固定面
104 ローラ要素
105 地面
106 ダミー要素
107 基体の拡がり方向/運動方向
108 プラットフォームの中心軸
110 方向付け装置
111 半球体
201 スティック要素
301 薄板
302 薄板の拡がり方向
401 質量体
402 質量体の運動方向
403 ガイドレール
α 角度
β 角度
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
【国際調査報告】