(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】はさみの製造方法および少なくとも2種類のはさみの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
B26B 13/00 20060101AFI20220818BHJP
B23P 15/40 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B26B13/00 E
B23P15/40 A
B26B13/00 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021574770
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020063078
(87)【国際公開番号】W WO2020254038
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116772.8
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521546957
【氏名又は名称】トランスアトランティックザレスオイロッパ・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】TRANSATLANTICSALESEUROPE GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】クレッツァー・トルステン
【テーマコード(参考)】
3C065
【Fターム(参考)】
3C065AA03
3C065BA34
3C065CA01
(57)【要約】
【課題】
改良されたはさみの製造方法および製造がより容易なはさみを提供する。
【解決手段】
はさみ12,14,16の製造方法において、各はさみは、締結要素22により互いに回転可能に連結された第1の刃18および第2の刃20を備え、各刃は、前端24およびこの前端とは反対側にある後端26と、前端24に向かって延び、切断要素を構成する前部28と、後端26に向かって延び、ハンドル36を支持するように構成された後部30と、を備え、少なくとも1つの第1のはさみ12の第1の刃18の前部28と、少なくとも1つの第2のはさみ14の第1の刃18の前部28とが異なる設計であり、第1のはさみの第1の刃18の後部30と、第2のはさみの第1の刃18の後部30とが同一に設計されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はさみ(12,14,16)の製造方法であって、
各前記はさみは、締結要素(22)により互いに回転可能に連結された第1の刃(18)および第2の刃(20)を備え、
各前記刃は、
前端(24)および前記前端とは反対側にある後端(26)と、
前記前端(24)に向かって延び、切断要素を構成する前部(28)と、
前記後端(26)に向かって延び、ハンドル(36)を支持するように構成された後部(30)と、を備え、
少なくとも1つの第1のはさみ(12)の前記第1の刃(18)の前記前部(28)と、少なくとも1つの第2のはさみ(14)の前記第1の刃(18)の前記前部(28)とが異なる設計であり、前記第1のはさみの前記第1の刃(18)の前記後部(30)と、前記第2のはさみの前記第1の刃(18)の前記後部(30)とが同一に形成されている、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記前部(28)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記前部(28)とが異なる設計であり、前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記後部(30)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記後部(30)とが同一に形成されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、前記前部(28)が前記締結要素(22)から前記前端(24)まで延び、かつ/または、前記後部(30)が前記締結要素(22)から前記後端(26)まで延びていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法において、前記後部は、ハンドル(36)を締結するように設計された中子(34)を備え、
前記第1のはさみ(12)の前記第1の刃(18)の前記中子(34)は、前記第2のはさみ(14)の前記第1の刃(18)の前記中子(34)と同一に形成されており、かつ/または、
前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記中子(34)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記中子(34)とが同一に形成されていることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法において、前記後部(30)は触点(32)を備え、
2枚の前記刃(18,20)が互いに接して回転するとき、各前記はさみ(12,14,16)の前記第1の刃(18)の前記触点と、前記第2の刃(20)の前記触点(32)とが擦れ合い、
前記第1のはさみ(12)の前記第1の刃(18)の前記触点(32)は、前記第2のはさみ(14)の前記第1の刃(18)の前記触点(32)と同一に形成されており、かつ/または、
前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記触点(32)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記触点(32)とが同一に形成されていることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法により製造される少なくとも2種類のはさみ(12,14,16)の組み合わせ。
【請求項7】
少なくとも2種類のはさみ(12,14,16)の前記組み合わせであって、
各前記はさみは、締結要素(22)により互いに回転可能に連結された第1の刃(18)および第2の刃(20)を備え、
各前記刃は、
前端(24)および前記前端とは反対側にある後端(26)と、
前記前端(24)に向かって延び、切断要素を構成する前部(28)と、
前記後端(26)に向かって延び、ハンドル(36)を支持するように構成された後部(30)と、を備え、
少なくとも1つの第1のはさみ(12)の前記第1の刃(18)の前記前部(28)と、少なくとも1つの第2のはさみ(14)の前記第1の刃(18)の前記前部(28)とが異なる設計であり、前記第1のはさみの前記第1の刃(18)の前記後部(30)と、前記第2のはさみの前記第1の刃(18)の前記後部(30)とが同一に形成されている、組み合わせ。
【請求項8】
請求項7に記載の組み合わせにおいて、前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記前部(28)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記前部(28)とが異なる設計であり、前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記後部(30)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記後部(30)とが同一に形成されていることを特徴とする組み合わせ。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか一項に記載の組み合わせにおいて、前記前部(28)が前記締結要素(22)から前記前端(24)まで延び、かつ/または、前記後部(30)が前記締結要素(22)から前記後端(26)まで延びていることを特徴とする組み合わせ。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか一項に記載の組み合わせにおいて、前記後部は、ハンドル(36)を締結するように設計された中子(34)を備え、
前記第1のはさみ(12)の前記第1の刃(18)の前記中子(34)は、前記第2のはさみ(14)の前記第1の刃(18)の前記中子(34)と同一に形成されており、かつ/または、
前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記中子(34)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記中子(34)とが同一に形成されていることを特徴とする組み合わせ。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか一項に記載の組み合わせにおいて、前記後部(30)は触点(32)を備え、
2枚の前記刃(18,20)が互いに接して回転するとき、各前記はさみ(12,14,16)の前記第1の刃(18)の前記触点と、前記第2の刃(20)の前記触点(32)とが擦れ合い、
前記第1のはさみ(12)の前記第1の刃(18)の前記触点(32)は、前記第2のはさみ(14)の前記第1の刃(18)の前記触点(32)と同一に設計されており、かつ/または、
前記第1のはさみ(12)の前記第2の刃(20)の前記触点(32)と、前記第2のはさみ(14)の前記第2の刃(20)の前記触点(32)とが同一に設計されていることを特徴とする組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結要素により回転可能に連結された第1の刃および第2の刃をそれぞれ備えるはさみの製造方法と、少なくとも2種類の前記はさみの組み合わせとに関する。
【背景技術】
【0002】
はさみの2枚の刃は、多くの場合、ねじまたはリベットからなる締結要素により互いに連結されている。それぞれの刃は、前端と、この前端とは反対側にある後端とを備える。それぞれの刃の前部は上記前端に向かって延び、切断要素を構成している。それぞれの刃の後部は、後端に向かって延び、例えば射出成型部品として当該後部に射出形成または設置され得るハンドルを支持するように構成されている。通常、この後部に、2枚の刃が締結要素を中心として回転するときに擦れ合う触点が設けられる。プラスチック製のハンドルが取り付けられる上記後部は、中子(なかご)と呼ばれる。
【0003】
触点の設計は切断性能および動かし易さに影響する。中子の設計および位置は各ハンドルの相互の位置に影響し、それにより、はさみの人間工学に影響する。従来の方式では、特に、ほとんどの場合、刃は個別に製造され研磨されることから、はさみの大きさおよび用途に応じて後部の設計が異なることが一般的であった。触点の設計が異なることにより、はさみの切断性能が異なることになる。よって、異なる設計の中子はハンドルの取り付けに影響する。結果として、その後の製造プロセス(例えば、射出形成器具など)や研磨プロセスにおいてワークホルダが異なることになるので、はさみの製造時に手作業での再加工が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、改良されたはさみの製造方法および製造がより容易なはさみを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る方法は、請求項1の構成により定められる。本発明に係る少なくとも2種類のはさみの組み合わせは、独立請求項6および7のそれぞれに定められる。
【0006】
本発明によると、少なくとも1つの第1のはさみの第1の刃の前部と、少なくとも1つの第2のはさみの第1の刃の前部とが異なる設計であり、前記第1のはさみの前記第1の刃の後部と、前記第2のはさみの前記第1の刃の後部とが同一に形成されている。これにより、異なる設計の前部または切断要素を有するはさみとしつつも、前記第1および第2のはさみの各第1の刃の後部が同一の形状となる。ここで、はさみの第1および第2の刃の後部、特に中子は、触点が互いに擦れ合う限り、異なる設計としてもよい。これにより、非対称のハンドル形状とすることも可能となる。よって、異なる用途のために異なる設計とされた切断要素を有するはさみにおいて、その後部に同一のハンドルを設けることができ、かつ/または、同様の設計とされた触点により再現性よく同一の切断性能を有するように作製できる。
【0007】
また、好ましくは、前記第1のはさみの前記第2の刃の前部と、前記第2のはさみの前記第2の刃の前部とが異なる設計であり、前記第1のはさみの前記第2の刃の後部と、前記第2のはさみの前記第2の刃の後部とが同一に形成されている。この場合、前記第1および第2のはさみにおいて各第2の刃の後部も同一に形成される一方で、前記第1および第2のはさみの各第2の刃の前部は異なる設計である。有利には、特に、これらのはさみの各第1の刃の中子と、これらのはさみの各第2の刃の中子とが同一に形成されている。
【0008】
前記前部は、前記締結要素から前記前端まで延びていてもよい。これに対応して、前記後部が、前記締結要素から前記後端まで延びる構成とすることができる。
【0009】
本発明において、各刃の前部とは、当該刃のうち、その前端へと延びる部分である。この部分は、例えば、締結要素から当該刃の前端までの刃部分全体であってもよいし、そのうちの一部分のみであってもよい。同様に、後部とは、当該刃のうち、その後端まで延びる部分を指す。この後部は、締結要素から後端までの刃部分全体であってもよいし、そのうちの一部分のみであってもよい。よって、重要となるのは、ハンドルを取り付けるように設計された前記第1のはさみの前記第1の刃の後部と、前記第1のはさみの前記第2の刃の対応部分とが同一の設計であり、また、該当する場合には他のはさみにおいてもこれらの部分が同一の設計であることにより、複数のはさみが異なる刃または切断要素を備える場合に、同じ器具を用いてそれぞれの刃の同一の部分にハンドルを取り付けることができるようにすることで、それらのはさみの製造を容易にすることである。
【0010】
前記第1の刃は、各はさみの上側の刃であってもよいし、下側の刃であってもよい。前記第2の刃は、各はさみの他方の刃であることが重要である。このことから、前記第1の刃が上側の刃であれば、前記第2の刃は下側の刃である。同様に、前記第1の刃が各はさみの下側の刃であれば、前記第2の刃は上側の刃である。
【0011】
前記後部は、例えば、当該後部にプラスチック製のハンドルを射出形成もしくは取り付けることにより、またはハンドルを鍛造、溶接、もしくは焼結することにより、当該後部にハンドルを締結するように設計された中子を備えていてもよい。ここでは、前記第1のはさみの前記第1の刃の中子が、前記第2のはさみの前記第1の刃の中子と同一に形成されている。これに対応して又は代替的に、前記第1のはさみの前記第2の刃の中子が、前記第2のはさみの前記第2の刃の中子と同一に形成されていてもよい。
【0012】
各刃の前記後部は触点を備えていてもよく、前記2枚の刃が互いに接して互いに対して回転するとき、各はさみの前記第1の刃の前記触点と、前記第2の刃の前記触点とが互いに擦れ合う。好ましくは、前記第1のはさみの前記第1の刃の前記触点は、前記第2のはさみの前記第1の刃の前記触点と同一の設計であり、かつ/または、前記第1のはさみの前記第2の刃の前記触点は、前記第2のはさみの前記第2の刃の前記触点と同一の設計である。
【0013】
本発明は、さらに、本発明に係る方法により製造される少なくとも2種類のはさみの組み合わせに関する。
【0014】
以下では、図面に言及しつつ、本発明の実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面に示された実施形態に係る3種類のはさみ12,14,16はそれぞれ、例えば、ねじからなる締結要素(図示せず)により互いに連結された2枚の刃18,20を備える。ここで、前記締結要素は、図面に示された2つの締結孔22を介して締結され(例えば螺合され)、2枚の刃18,20は、締結され連結された状態で互いに向かって回転可能である。
【0017】
各はさみの2枚の刃18,20はそれぞれ、前端24と、この前端24とは反対側にある後端26とを備える。各刃の前部28は、前端24から締結開口22まで延びている。各刃18,20の後部30は、締結開口22から後端26へと延びている。それぞれの後部30は、触点32と、中子34とを有する。各はさみ12,14,16の2枚の刃18,20の触点32は、2枚の刃18,20が互いに向かって回転するときに、互いに擦れ合うように設計され配置されている。
【0018】
中子34とは、各刃18,20において、触点32と後端26との間に延在し、比較的小さい幅を有する部分であって、例えばプラスチック製のハンドルを当該部分に射出形成することにより、ハンドル36を取り付けることができる形状を有する部分である。このため、各刃18,20の中子34には、取り付けられたハンドル36の脱落を防止する凹部40が設けられている。ハンドル36が脱落しないようにハンドル36を適切に取り付けることができる刃18,20の中子34の形状については、他の設計も考えられる。
【0019】
図面から分かるように、それぞれのはさみ12,14,16の刃18,20の前部28は異なる設計を有する。第1のはさみ12の前部28は、前端24に向かって細くなる設計とされ、ほぼ直線状のエッジを有する設計である。第2のはさみ14の前部28は、前端24の領域において丸みのある形状である。第3のはさみ16の前部28は、前端24に向かって細くなる設計とされ、湾曲したエッジを有する設計である。
【0020】
これに対して、3種類のはさみ12,14,16はそれぞれ、刃18,20の後部30が同一の設計である。結果として、触点32および中子34も同一である。これにより、3種類のはさみ12,14,16はそれぞれ触点間において同一の摩擦および同一の摩擦挙動を示す。加えて、3種類のはさみ12,14,16の後部30に対して、同じ製造方法および同じ製造器具を用いて、射出成形プロセスなどにより、同一または同様の設計のハンドル36を取り付けることが可能である。
【0021】
本明細書において、「同一の設計」や「同一の形状」などの表現は、大きさ、形状、外側寸法、および外縁の輪郭線が互いに一致することを意味し、つまり、これらが同一であるということを意味する。これに対して、本明細書において、「異なる設計」や「異なる形状」などの表現は、大きさ、形状、外側寸法、および外縁の輪郭線が相違することを意味し、つまり、これらが互いに異なるということを意味する。
【国際調査報告】