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特表2022-537321紡糸機及び紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】紡糸機及び紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法
(51)【国際特許分類】
   D01H 4/48 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
D01H4/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575093
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020066777
(87)【国際公開番号】W WO2020254416
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116671.3
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512013754
【氏名又は名称】マスチネンファブリック ライター アーゲー
【氏名又は名称原語表記】MASCHINENFABRIK RIETER AG
【住所又は居所原語表記】Klosterstr. 20, 8406 Winterthur Swizerland
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フンケ, サイモン-モリッツ
【テーマコード(参考)】
4L056
【Fターム(参考)】
4L056CB02
4L056DA01
4L056EA04
4L056EB02
(57)【要約】
本発明は、紡糸機の紡糸ステーション(1)を操作する方法に関し、紡糸ステーション(1)の通常運転中に、紡糸ユニット(2)によって当該紡糸ユニット(2)に供給されるスライバー(3)から糸(4)を製造し、糸センサ(5)によって糸欠陥の発生について糸(4)を監視し、糸センサ(5)を通過した糸(4)を糸貯留装置(6)によって導き、続いてボビン(7)に巻き付け、糸センサ(5)によって糸(4)の糸欠陥(8)が検出された場合、通常運転を中断し、糸欠陥(8)を糸(4)から取り除き、そして、紡糸ステーション(1)を再び通常運転に戻す。本発明によれば、通常運転の中断中にも、紡糸ユニット(2)が糸(4)を連続的に製造し、通常運転の中断期間に製造された糸(4)を糸貯留装置(6)によって一時的に貯留し、糸欠陥が取り除かれた後にボビン(7)に巻き付ける。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡糸機、好ましくはエアジェット紡糸機又はローター紡糸機の紡糸ステーション(1)を操作する方法であって、
前記紡糸ステーション(1)の通常運転中に、紡糸ステーション(1)の紡糸ユニット(2)によって前記紡糸ユニット(2)に供給されるスライバー(3)から糸(4)を製造し、
糸センサ(5)によって、糸欠陥の発生について、前記紡糸ユニット(2)を出た糸(4)を監視し、
前記糸センサ(5)を通過した糸(4)を糸貯留装置(6)によって導き、続いてボビン(7)に巻き付け、
前記糸センサ(5)によって糸(4)の糸欠陥(8)が検出された場合に、通常運転を中断し、前記糸欠陥(8)を糸(4)から取り除き、次に、前記紡糸ステーション(1)を再び通常運転に戻す方法において、
前記紡糸ユニット(2)は、通常運転の中断中にも糸(4)を連続的に製造し、前記糸貯留装置(6)によって前記通常運転の中断期間に製造された糸(4)を一時的に貯留し、糸欠陥が取り除かれた後に前記ボビン(7)に巻き付ける
ことを特徴とする紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項2】
通常運転の中断期間において、前記糸貯留装置(6)と前記ボビン(7)の間で前記糸(4)を切断することによって、糸貯留装置(6)からの第1糸部(9)及びボビン(7)からの第2糸部(10)を形成し、前記第1糸部は、前記糸欠陥(8)を含むことを特徴とする請求項1に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項3】
通常運転の中断期間において、前記ボビン(7)を制動することによって、前記糸(4)をボビン(7)に巻き付ける操作を中断することを特徴とする請求項1または2に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項4】
前記巻き付けを中断する前に、前記糸(4)を切断することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項5】
通常運転の中断期間において、前記第2糸部(10)を前記ボビン(7)に完全に巻き付けることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項6】
前記第1糸部(9)の前記糸欠陥(8)を含むセグメント(11)を第1糸部(9)の残りのセグメントから分離し、糸排出装置(13)によって処分することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項7】
前記第1糸部(9)の前記糸欠陥(8)を含むセグメント(11)を前記糸貯留装置(6)から引き出してから、前記セグメントを分離して処分することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項8】
前記紡糸ステーション(1)の吸引装置として構成された糸排出装置(13)によって、前記第1糸部(9)の前記糸欠陥(8)を含むセグメント(11)を引き出す、及び/又は前記糸部(9)を処分することを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項9】
前記吸引装置の切断ユニット(14)によって前記糸(4)を切断することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項10】
前記糸欠陥(8)を取り除いた後、前記第1糸部(9)の残りのセグメントと前記第2糸部(10)とを連結することを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項11】
前記第1糸部(9)の残りのセグメントとの連結の前に、前記第2糸部(10)を前記ボビン(7)から部分的に繰り出すことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項12】
糸継装置(16)によって前記第1糸部(9)の残りのセグメントと前記第2糸部(10)とを連結することを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項13】
前記糸欠陥(8)を含むセグメント(11)の分離前又は分離中に、前記第1糸部(9)を前記糸継装置(16)に入れることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項14】
前記第1糸部(9)の残りのセグメントと前記第2糸部(10)とを連結した後、前記紡糸ステーション(1)を再び通常運転に戻す前に、前記糸(4)を前記糸貯留装置(6)から引き出すことによって、糸貯留装置(6)を所定の充填レベルまで空にし、引き出される糸(4)を前記ボビン(7)に巻き付けることを特徴とする請求項1~13のいずれか1項に記載の紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法。
【請求項15】
少なくとも1つの紡糸ステーション(1)を有する紡糸機、好ましくはエアジェット紡糸機又はローター紡糸機であって、
前記紡糸ステーション(1)は、紡糸ステーション(1)の通常運転中に、供給されるスライバー(3)から糸(4)を製造するための紡糸ユニット(2)を含み、
前記紡糸ステーション(1)は、糸欠陥(8)の発生について、前記紡糸ユニット(2)を出た糸(4)を監視するための糸センサ(5)を含み、
前記紡糸ステーション(1)は、糸貯留装置(6)及びワインディングユニット(15)を含み、前記紡糸ステーション(1)は、前記糸センサ(5)を通過した糸(4)を糸貯留装置(6)によって導き、続いてボビン(7)に巻き付けるように構成され、
前記紡糸機は、前記糸センサ(5)によって糸(4)の糸欠陥(8)が検出された場合に、通常運転を中断するように構成されたコントローラ(20)を有し、
前記紡糸機は、前記糸欠陥(8)を糸(4)から取り除くように構成された部材を含み、
前記コントローラ(20)は、前記糸欠陥(8)が取り除かれた場合に、前記紡糸ステーション(1)を再び通常運転に戻すように構成されている、紡糸機において、
前記コントローラ(20)は、前記紡糸ステーション(1)を制御し、通常運転の中断中も、前記紡糸ユニット(2)によって糸(4)が連続的に製造されるように構成されており、前記糸貯留装置(6)によって、前記通常運転の中断期間に製造された糸(4)を一時的に貯留し、前記糸欠陥(8)が取り除かれた後に前記ボビン(7)に巻き付ける
ことを特徴とする紡糸機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紡糸機、好ましくはエアジェット紡糸機又はローター紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法に関する。紡糸ステーションの通常運転中に、紡糸ステーションの紡糸ユニットによって当該紡糸ユニットに供給されるスライバーから糸を製造し、糸センサによって糸欠陥の発生について、紡糸ユニットを出た糸を監視し、糸センサを通過した糸を糸貯留装置によって導き、続いてボビンに巻き付け、糸センサによって糸の糸欠陥が検出された場合、通常運転を中断し、糸欠陥を糸から取り除き、そして、紡糸ステーションを再び通常運転に戻す。
【0002】
また、少なくとも1つの紡糸ステーションを有する紡糸機、好ましくはエアジェット紡糸機又はローター紡糸機をさらに提供する。前記紡糸ステーションは、紡糸ステーションの通常運転中に、供給されるスライバーから糸を製造するための紡糸ユニットを含み、前記紡糸ステーションは、糸欠陥の発生について、紡糸ユニットを出た糸を監視するための糸センサを含み、前記紡糸ステーションは、糸貯留装置及びワインディングユニットを含み、前記紡糸ステーションは、糸センサを通過した糸を糸貯留装置によって導き、続いてボビンに巻き付けるように構成されており、前記紡糸機は、糸センサによって糸の糸欠陥が検出された場合、通常運転を中断するように構成されたコントローラを有し、前記紡糸機は、糸欠陥を糸から取り除くように構成された部材を含み、前記コントローラは、糸欠陥が取り除かれた場合に、紡糸ステーションを再び通常運転に戻すように構成されている。
【0003】
当然ながら、本発明の紡糸機は、複数の紡糸ステーションを含んでもよい。特に好ましくは、すべての紡糸ステーションは、下記の方法で運転する。
【背景技術】
【0004】
本発明の紡糸機は、一般的にストランド状の繊維材料から糸を製造するためのものである。紡糸ステーションの紡糸ユニットに繊維材料を供給し、紡糸ユニットによって繊維材料を撚って糸とする。紡糸ステーションの紡糸ユニットは、例えば従来技術における既知のローター紡糸法又は同様に一般的に知られているエアジェット紡糸法により動作する。ローター紡糸機では、オープニングローラーによって紡糸ユニットにスライバーを供給する。紡糸機がエアジェット紡糸機として構成されている場合、この紡糸機は、通常、紡糸ユニットにスライバーを供給するためのドラフト装置を有する。
【0005】
糸の搬送方向に沿って紡糸ユニットの下流に設けられた糸センサによって、所定の糸欠陥について、紡糸ユニットで製造された糸を監視する。選択された1つ又は複数の糸パラメータが、所定の閾値を上回った場合又は下回った場合、糸欠陥が存在している。例えば、毛羽立ち又は糸の粗さを糸パラメータとして監視してもよい。糸センサは、例えば光学方式又は容量方式により糸を監視してもよい。
【0006】
糸センサによって、紡糸ユニットから送られてきた糸に糸欠陥が検出された場合、従来技術では、糸から糸欠陥を取り除くために糸の製造を中断することが一般的である。そのために、糸を切断し、これによって第1糸部及び第2糸部が形成される。その後、糸の糸欠陥を含むセグメントを、対応する第1糸部又は第2糸部から取り除き、処分する。この方式では、糸の製造を停止する必要があり、糸欠陥が取り除かれなければ製造を再開できないため、糸欠陥を取り除くことは、対応する紡糸ステーションの生産性に悪影響を及ぼすことでもあるという欠点がある。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、既存の従来技術を改良する紡糸機又は紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、独立請求項の特徴を有する方法及び紡糸機という解決手段によって、上記の目的を達成する。
【0009】
本発明によれば、前記紡糸機の紡糸ステーションを操作する方法は、通常運転の中断中にも、前記紡糸ユニットが糸を連続的に製造し、通常運転の中断中に製造された糸を糸貯留装置によって一時的に貯留し、糸欠陥を取り除いた後にボビンに巻き付けることを特徴とする。
【0010】
通常運転とは、紡糸ステーションにより所望の糸が製造される際の運転である。糸の品質に悪影響を及ぼす糸欠陥が糸センサによって検出され、糸のさらなる加工の前に当該糸欠陥を取り除く必要がある場合、この通常運転を中断する。糸欠陥は、例えば太い箇所又は細い箇所を含む。
【0011】
従来技術とは異なり、本発明によれば、時間制限のある通常運転の中断中、紡糸ユニットにより糸を製造し続ける。即ち、糸欠陥を取り除く間、従来技術で一般的に見られるような糸の製造停止が発生しない。
【0012】
糸貯留装置により、通常運転の中断中に製造された糸の量を受け取る。糸貯留装置は、貯留ドラムを含むことが好ましく、糸は、当該貯留ドラムに巻き付けられ、そして、糸欠陥が取り除かれ、対応する糸部が下記のように連結された後、当該貯留ドラムから再び繰り出される。
【0013】
紡糸ユニットからの糸を一時的に貯留することによって、糸貯留装置の上流にある糸部を停止することができる。これは、動いている糸よりも、止まっている糸のほうが、糸欠陥を取り除きやすいことから、有利である。
【0014】
即ち、本発明によれば、通常運転中に糸欠陥が検出された場合、通常運転を中断しても、紡糸ユニットによって、糸の製造及び糸貯留装置への移送が継続して行われる。通常運転の中断中、この糸貯留装置には、相応に糸が充填されている。これにより、通常運転が中断された後、少なくとも一時的に糸貯留装置から糸が引き出されなくなるか、又は糸貯留装置から引き出される糸の量が通常運転時よりも少なくなる。
【0015】
好ましくは、通常運転の中断中に、糸貯留装置とボビンとの間で糸を切断することによって、糸貯留装置からの第1糸部及びボビンからの第2糸部が形成される。例えば紡糸ステーションの切断ユニット又は複数の紡糸ステーションに沿って巡回するサービスレポーターによって糸を切断する。
【0016】
いずれの場合でも、第1糸部が糸欠陥を含むように糸を切断する。特に好ましくは、糸の糸欠陥を含むセグメントが糸貯留装置にある場合、又は糸貯留装置と糸を切断する位置の間にある場合に、糸を切断する。
【0017】
特に好ましくは、通常運転の中断中に、ボビンを制動することによって、糸をボビンに巻き付ける操作を中断する。糸の切断前又は切断中にボビンを制動することが好ましい。
【0018】
好ましくは、巻き付けの中断前に、糸を切断する。即ち、糸がボビンに巻き付けられて動いている間に、糸を切断することが好ましい。例えば、糸欠陥が検出された後、以下に詳述する糸排出装置によって糸を把持し、切断ユニット、好ましくは糸排出装置の切断ユニットによって糸を切断する方法を用いることができる。これにより、上記の第1糸部及び同様に上述した第2糸部が形成される。最後に、常時回転のボビンにより第2糸部をこのボビンに巻き付ける。
【0019】
また、好ましくは、第2糸部をボビンに完全に巻き付ける。これにより、ボビンを急に制動する必要がない。正確には、糸欠陥が検出された後に、ボビンをゆっくり制動することができ、対応する制動装置の摩耗を最小限に抑えることができる。
【0020】
特に好ましくは、第1糸部の糸欠陥を含むセグメントを第1糸部の残りのセグメントから分離し、糸排出装置によって処分する。
【0021】
前記糸排出装置は、例えば負圧軸に接続された吸引装置である。通常運転の中断中に、第1糸部を当該吸引装置にある程度吸い込む。それと同時に、又はその後に、第1糸部の糸欠陥を含むセグメントを当該吸引装置に吸い込み、そのために、第1糸部の一部を糸貯留装置から引き出す。第1糸部の糸欠陥を含むセグメントが第1糸部の残りのセグメントから分離されると、吸引装置によって糸欠陥を処分することができる。
【0022】
また、この段階では第1糸部の長さは、糸の製造が続いているため、伸び続けているが、この糸部の糸欠陥はすでに除去されている。また、ボビンに部分的又は完全に巻き付けられた第2糸部も存在する。続いて、以下にさらに詳述するように、2つの糸部を連結してもよい。
【0023】
上述したとおり、第1糸部の糸欠陥を含むセグメントを糸貯留装置から引き出してから、このセグメントを分離して処分することが好ましい。好ましくは、糸を切断した後に、前記セグメントを引き出す。
【0024】
特に、糸貯留装置の上流において糸欠陥の発生を検出するセンサが設けられてもよい。これにより、糸欠陥を糸貯留装置から引き出すか否か、及びいつ引き出すかを判断することができる。このようにして、糸欠陥の確実な除去を確保できる。
【0025】
同様に、特に好ましくは、紡糸ステーションの吸引装置として構成された糸排出装置によって、第1糸部の糸欠陥を含むセグメントを引き出す、及び/又は前記糸部を処分する。前記吸引装置は、例えば、負圧軸に接続された長尺状の吸引管として構成されてもよい。
【0026】
また、好ましくは、吸引装置の切断ユニットによって、糸を切断する。即ち、切断ユニットは、糸排出装置の構成部分であり、特に吸引装置の糸排出装置の構成部分として構成されている。例えば、切断ユニットは、カッター又はハサミとして構成されてもよい。好ましくは、空気圧で切断ユニットを操作する。
【0027】
また、好ましくは、糸欠陥を取り除いた後、第1糸部の残りのセグメントと第2糸部とを連結する。例えば、従来技術で知られているように2つの糸部同士を結び付ける糸結び装置によって、この2つの糸部を連結する。
【0028】
特に好ましくは、2つの糸部は、連結時に対応する連結装置の領域内で静止する。したがって、糸部を連結する際に、糸貯留装置は、紡糸ユニットで製造され続ける糸で満たされることが好ましい。
【0029】
特に好ましくは、第1糸部の残りのセグメントとの連結の前に、第2糸部をボビンから部分的に繰り出す。即ち、連結前に、第2糸部は、ボビンに完全に巻き付けられることが好ましい。続いて、ボビンを逆回転させることにより、第2セグメントの一部を再びボビンから繰り出す。即ち、ボビンのドライバは、逆回転可能なシングルドライバとして構成されることが好ましい。
【0030】
代替形態では、糸を切断した後、第2糸部をボビンに完全に巻き付けなくてもよい。この場合、第2糸部の巻き付けられていないセグメントが残り、その後、連結操作の前にボビンを逆回転させることなく、このセグメントと第1糸部とを連結してもよい。
【0031】
好ましくは、糸継装置によって、第1糸部の残りのセグメントと第2糸部とを連結する。従来技術では、対応する糸継装置が知られているため、ここでは、糸継装置の動作原理について繰り返して述べない。好ましくは、糸継装置は、紡糸ステーションの構成部分である。複数の紡糸ステーションが設けられる場合、各紡糸ステーションは何れも独自の糸継装置を含むことが好ましい。代替形態では、糸継装置は、各紡糸ステーションの間で往復巡回するサービスロボットの構成部分であってもよい。
【0032】
同様に、好ましくは、糸欠陥を含むセグメントの分離前又は分離中に、第1糸部を糸継装置に装入する。糸継ぎ操作中、対応する糸部の連結領域は静止しているものとする。しかし、元の供給操作の前に、2つの糸部を糸継装置に挿入又は装入する必要がある。糸部が動いている状態でこの操作を行うことができる。糸欠陥を含むセグメントを分離する前に、第1糸部を糸継装置に装入しておけば、特に通常運転の中断を短縮することができる。
【0033】
同様に、特に好ましくは、第1糸部の残りのセグメントと第2糸部とを連結した後、紡糸ステーションを再び通常運転に戻す前に、糸を糸貯留装置から引き出すことによって、糸貯留装置を所定の充填レベルまで空にし、引き出される糸をボビンに巻き付ける。これは、上記の2つの糸部の連結操作中に、糸貯留装置にこの期間中に紡糸ユニットから送られてきた糸を充填できることから、有利である。
【0034】
本発明は、さらに1つ又は複数の紡糸ステーションを有する紡糸機に関する。前記紡糸ステーションは、1つ又は複数のコントローラを含む。好ましくは、各紡糸ステーションは、いずれも紡糸機の中央コントローラに接続される独自のコントローラを有する。代替形態では、中央コントローラによって各紡糸ステーションを直接制御する。いかなる場合でも、1つ又は複数の紡糸ステーションは、いずれも1つの(個別又は共通の)コントローラに対応し、当該コントローラは、対応する紡糸ステーションを制御して、通常運転の中断中も、紡糸ユニットによって糸が連続的に製造されるように構成されている。また、通常運転の中断中に製造された糸を糸貯留装置によって一時的に貯留し、糸欠陥が取り除かれた後にボビンに巻き付けるという手段を採用する。
【0035】
即ち、コントローラは、上記又は下記の方法により紡糸ステーションを作動するように構成されている。特に、前記紡糸ステーションは、上記の装置のうちの1つ又は複数、例えば糸継装置も含む。同様に、好ましくは負圧軸に接続される吸引装置としての糸排出装置を設けるべきである。糸排出装置は、切断ユニットを含んでもよく、切断ユニットは、紡糸ステーションの独立部材又はサービスロボットの独立部材として構成されてもよい。
【0036】
また、前記糸部を糸の切断後に連結装置の領域に移動させるための部材を設けるべきであり、当該連結装置は、糸継装置として構成されることが好ましい。例えば、対応する糸部を吸引し、連結装置の領域に移動させるための1つ又は複数の偏向可能な吸引装置を採用してもよい。
【0037】
最後に、好ましくは貯留ドラムを含む糸貯留装置が設けられており、当該貯留ドラムは、ドライバによって回転運動することができる。また、糸貯留装置は、好ましくは同様に回転運動することができ、糸を糸貯留装置から引き出す又は繰り出すための糸ガイド装置を含むべきである。糸ガイド装置によって糸貯留装置から引き出された糸が、貯留ドラムの回転により糸貯留装置に受け取られた糸よりも多ければ、糸貯留装置の充填レベルが低下する。糸貯留装置から引き出された糸が、紡糸ユニットから送られて貯留ドラムに巻き付けられた糸よりも少なければ、充填レベルが向上する。
【0038】
如何なる場合でも、糸貯留装置は、通常運転の中断期間に紡糸ステーションで製造された糸を受け取り、さらに一時的に貯留するのに十分な容量を持っていなければならない。
【0039】
通常運転の中断期間に、紡糸ステーションの製造速度、即ち単位時間当たりに製造される糸の長さは、通常運転に比べて少なくとも一時的に減少してもよい。しかし、通常運転中の製造速度と中断期間の製造速度とを同じにしてもよい。
【0040】
本発明の範囲内で原理的に適用可能な対応する糸貯留装置は、例えば、EP 2 684 827 A2に記載されている。
【0041】
糸は、ワインディングユニットに向かう途中で糸貯留装置を通過し、糸貯留装置の貯留ドラムの第1端側の領域内でこの貯留ドラムに巻き付けられ、そして、第2端側の領域内で再び取り出される。貯留ドラムの糸の量を調節することによって、通常運転中に糸の張力の変動を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明のさらなる利点は、以下の実施例に記載される。
【0043】
図1図1は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第1の図である。
図2図2は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第2の図である。
図3図3は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第3の図である。
図4図4は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第4の図である。
図5図5は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第5の図である。
図6図6は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第6の図である。
図7図7は、異なる時点での本発明の紡糸機の紡糸ステーションの一実施例を示す第7の図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面には、本発明の紡糸機の1つの紡糸ステーション1の選択されたセグメントが示されている。当然ながら、紡糸機は、図示される紡糸ステーションを複数含んでもよい。
【0045】
図1には、通常運転中の紡糸ステーション1が示されている。通常運転中に、ストランド状のスライバー3を紡糸ユニット2(例えば、ローター紡糸ユニット又はエアジェット紡糸ユニット)に供給する。
【0046】
紡糸ユニット2内では、スライバー3から糸4を製造し、最終的には、例えば一対の引き出しローラ18により、又は下記の糸貯留装置6を直接利用して当該糸を引き出す。
【0047】
糸4を糸貯留装置6に供給する前に、糸は、好ましくは紡糸ユニット2と一対の引き出しローラ18との間又は一対の引き出しローラ18と糸貯留装置6との間に配置される糸センサ5を通過する。一対の引き出しローラ18又は他の引き出し装置が設けられていない場合、糸センサ5は、紡糸ユニットと糸貯留装置6との間に配置されることが好ましい。
【0048】
糸センサ5は、紡糸ユニットからの糸4の1つ又は複数の糸パラメータを監視するためのものである。糸センサ5の信号を評価することで、最終的には糸欠陥8が存在するか否かについて糸4を監視することができる。糸欠陥8は、例えば許容できない太い箇所又は細い箇所である。図1にのみ模式的に示されているコントローラ20により信号を評価することが好ましく、当該コントローラは、特に紡糸ステーション1の他の部材を制御するように構成されたものでもある。
【0049】
図面からも分かるように、好ましくは、糸貯留装置6は、図示されていないドライバによって回転運動し、紡糸ユニット2からの糸4を巻き付けることが可能な貯留ドラム21を有する。また、糸貯留装置6の前方及び/又は後方には、糸4に対する偏向装置19が設けられてもよい。
【0050】
図示される糸貯留装置6は、貯留ドラム21と同じ回転軸を中心に回転可能な糸ガイド装置12をさらに含む。貯留ドラム21と糸ガイド装置12の回転数の比を調節することによって、最終的には糸貯留装置6の充填レベルを調節することができる。
【0051】
最後に、糸が糸貯留装置6を出た後、ワインディングユニット15によって糸4をボビン7に巻き付け、当該ボビンは、好ましくは駆動ローラ17によって回転運動することができる。
【0052】
糸センサ5によって糸欠陥8が検出された(図2に示すように、糸欠陥8が糸センサ5を通過した)場合、通常運転を中断する。
【0053】
ここでは、糸4を紡糸ステーション1によって製造し続け、糸貯留装置6に巻き付けるため、糸欠陥8は、図3に示すように貯留ドラム21の領域に徐々に移動する。同時に、糸4を、好ましくは吸引装置として構成された糸排出装置13の領域内で偏向させる。これを実現するために、ボビン7を制動する、及び/又は通常運転よりも早く糸4を糸貯留装置6から排出する。
【0054】
次の工程では、切断ユニット14により糸4を切断することによって、第1糸部9及び第2糸部10が形成される。第1糸部9は、紡糸ステーション1から糸排出装置13の領域まで延びる。第2糸部10は、糸排出装置13からボビン7まで延びる。
【0055】
図4に示すように、さらなるプロセスでは、ボビン7を引き続き駆動することによって、第2糸部10をボビン7に完全に巻き付ける(図5を参照)。さらに、第1糸部9の糸欠陥8を含むセグメント11を糸貯留装置6から取り除き、そして糸排出装置13により排出する。
【0056】
糸欠陥8が切断ユニット14を通過した場合(図5)、糸欠陥8を含むセグメント11を第1糸部9の残りのセグメントから分離し、糸排出装置13によって処分する(図6を参照)。
【0057】
次の工程では、第1糸部9の残りのセグメントと第2糸部10とを連結する。
【0058】
そのために、2つの糸部9、10を、好ましくは糸継装置16として構成された連結装置に装入する。2つの糸部9、10を連結する際に、この2つの糸部を静止状態に保つ必要があるため、遅くとも連結前にボビン7を停止しなければならない。ボビン7を予めある程度逆回転させることで、第2糸部10を糸継装置16の領域に移動させる。
【0059】
同様に、第1糸部9を糸継装置16の領域内に停止させる。しかし、紡糸ユニット2は、この時点でも糸4を製造し続けるため、糸貯留装置6は、紡糸ステーション1からの糸4で徐々に満たされる(図6を参照)。
【0060】
糸貯留装置6の最大の充填レベルを超える前に、2つの糸部9、10を連結し、再び通常運転に戻す。糸貯留装置6の充填レベルは、連結後に、再び予め設定された目標状態まで低下する。これは、ボビンを一時的に加速させることで実現されることが好ましい。
【0061】
最後に、図7には、再び通常運転に戻る時点が示されている。
【0062】
最終的には、紡糸ユニット2の領域内で糸4の製造を停止することなく、糸欠陥8を糸4から取り除くことができる方法が提案されている。即ち、糸欠陥8を取り除くために通常運転を中断する期間全体を通じて、紡糸ユニット2は糸4を製造し続ける。これにより、紡糸ステーション1の生産性を最大化することができる。
【0063】
本発明は、例示及び説明された実施例に限定されない。特許請求の範囲内の変形、及び明細書もしくは特許請求の範囲の異なる部分、または異なる実施例に例示及び説明された特徴の任意の組合せであっても、独立請求項の原理と矛盾しない限り、すべて実施可能な形態である。
【符号の説明】
【0064】
1 紡糸ステーション
2 紡糸ユニット
3 スライバー
4 糸
5 糸センサ
6 糸貯留装置
7 ボビン
8 糸欠陥
9 第1糸部
10 第2糸部
11 第1糸部の糸欠陥を含むセグメント
12 糸ガイド装置
13 糸排出装置
14 切断ユニット
15 ワインディングユニット
16 糸継装置
17 駆動ローラ
18 一対の引き出しローラ
19 偏向装置
20 コントローラ
21 貯留ドラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】