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▶ エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】デジタルバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20220818BHJP
   G16H 20/30 20180101ALI20220818BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G16H50/20
G16H20/30
A61B10/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575248
(86)(22)【出願日】2020-06-17
(85)【翻訳文提出日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2020066661
(87)【国際公開番号】W WO2020254341
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】19181093.6
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.iPhone
2.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ゴッセンス クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リンデマン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】リプスマイアー フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルフ デトレフ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
本明細書に記載する態様は、疾患の追跡および診断の分野に関する。具体的には、モバイルデバイスを使用して、対象のセンサ測定値のデータセットから少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、決定された少なくとも1つのパラメータを基準と比較するステップであって、それによって、筋障害および特にSMAが評価される、比較するステップとを含む、対象の筋障害および特に脊髄性筋萎縮症(SMA)を評価する方法に関する。本明細書に記載する態様はまた、モバイルデバイスであって、プロセッサと、少なくとも1つの圧力センサと、データベースと、上記デバイスに有形的に埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、本発明の方法を実施するソフトウェアとを備える、モバイルデバイス、ならびに筋障害および特にSMAを評価するための、かかるデバイスの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の脊髄性筋萎縮症(SMA)を評価する方法であって、
a)モバイルデバイスを使用して、前記対象からのセンサ測定値のデータセットから少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、
b)決定された前記少なくとも1つのパラメータを基準と比較するステップであって、それによって、前記比較の結果からSMAが評価される、比較するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパラメータが、遠位運動機能、中枢運動機能、および軸性運動機能を示すパラメータである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
個々の前記運動機能の前記センサ測定値のデータセットが、個々の指で対象によってかけることができる最大圧力の測定値または時間経過に伴う個々の指で圧力をかける能力に対する測定値、「アー」という声の最大持続時間の測定値、既定の期間内で、特に30秒以内で画面に触れる最大量、最大のダブルタッチの非同時性、風が吹いた後の加速の変動、集められた物、特に集められたコインの数、および/あるいは手の最大転回速度からのデータを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記個々の運動機能の前記センサ測定値のデータセットが、以下の特徴測定値:
i.平均印加圧力、
ii.ピッチの変動、
iii.画面を叩くまでの中央時間、
iv.ダブルタッチの非同時性、
v.形状を描くのにかかる時間、
vi.電話機の最大転回速度、
vii.(風が吹いた後の)加速の変動、および/または、
viii.集められたコインの数
からのデータを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記個々の運動機能の前記センサ測定値のデータセットが、以下の特徴試験:
i.ベルを鳴らす、
ii.モンスターを応援する、
iii.モンスターをタップする、
iv.トマトを握り潰す、
v.軌跡を歩く、
vi.電話機の向きを変える、
vii.綱渡りをする、および/または、
viii.コインを集める
からのデータを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記個々の運動機能の前記センサ測定値のデータセットが、毎日からの、または少なくとも1日おきの測定値からのデータを含み、特に、前記個々の運動機能の前記センサ測定値のデータセットが、朝取得したセンサ測定値からのデータを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記モバイルデバイスが、前記対象に対して、請求項3~6のいずれか一項に記載のセンサ測定の1つまたは複数を実施するように適合されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記基準と比較して本質的に同一である決定された少なくとも1つのパラメータが、SMAを有する対象を示す、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
モバイルデバイスであって、
プロセッサ、
少なくとも1つの圧力センサ、および
データベース、ならびに
前記デバイスに有形的に埋め込まれており、前記デバイス上で実行すると、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するソフトウェア
を備える、モバイルデバイス。
【請求項10】
少なくとも1つの圧力センサを備える、モバイルデバイスと、
プロセッサおよびデータベース、ならびに、前記デバイスに有形的に埋め込まれており、前記デバイス上で実行すると、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法を実施するソフトウェアを備える、リモートデバイスと
を備え、
前記モバイルデバイスおよび前記リモートデバイスが互いに動作可能にリンクされている、
システム。
【請求項11】
前記個々の対象のセンサ測定値のデータセットにおいてSMAを評価するための、請求項9に記載のモバイルデバイスまたは請求項10に記載のシステムの、使用。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法と、対象のSMAを治療するのに適した医薬剤、特に、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1モジュレータ、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシングモジュレータ、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2モジュレータ、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤、より詳細にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムとの、組み合わせ。
【請求項13】
対象のSMAを治療するのに適した医薬剤、特に、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1モジュレータ、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシングモジュレータ、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2モジュレータ、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤、より詳細にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムであって、治療される前記対象が、E1~E8のいずれか一項に記載の方法を用いて前記対象の疾患をモニタリングする、医薬剤。
【請求項14】
SMAを治療するための方法であって、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1モジュレータ、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシングモジュレータ、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2モジュレータ、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤、より詳細にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムを対象に投与することを含み、前記対象の疾患をモニタリングするのに、E1~E8のいずれか一項に記載の方法を含む、SMAを治療するための方法。
【請求項15】
決定された少なくとも1つのパラメータが、前記対象が前記医薬剤による治療を受ける前の前記患者の前記基準パラメータと比較してより良好である、請求項12に記載の方法の組み合わせ。
【請求項16】
SMAを患っている対象のMFM32スコアを予測するために機械学習を使用するコンピュータ実装方法。
【請求項17】
SMAを患っている対象のFVCスコアを予測するために機械学習を使用するコンピュータ実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本明細書に記載する態様は、疾患の追跡および診断プロセスの支援の分野に関し、特に、対象の筋障害、特に脊髄性筋萎縮症(SMA)の評価に関する。本明細書に記載する態様はまた、モバイルデバイスであって、プロセッサと、少なくとも1つのセンサと、データベースと、上記デバイスに有形的に埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、本明細書に記載するような方法を実施するソフトウェアとを備える、モバイルデバイス、ならびに筋障害および特にSMAを評価するための、かかるデバイスの使用に関する。本明細書に記載する態様はまた、対象の、特に、筋障害および特にSMAを患っている患者の、臨床アンカーのスコアを予測するために機械学習を使用するコンピュータ実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
脊髄性筋萎縮症(SMA)は、その最も広範な意味において、筋力低下および筋委縮を引き起こす、脊髄および脳幹における進行性の運動ニューロン喪失によって特徴付けられる、一連の遺伝性および後天性中枢神経系(CNS)疾患を表す。SMAは、筋委縮につながり、麻痺に至る、脊髄の前角からのアルファ運動ニューロンの変性によって特徴付けることができる。したがって、このアルファ運動ニューロン変性は、患者の生命予後を大幅に損なう。健康な対象では、これらのニューロンは脳から筋肉にメッセージを伝達し、それが筋肉の収縮に結び付く。かかる刺激がなければ、筋肉は委縮する。その後、筋力低下および筋委縮が全身に、より詳細には体幹、上腕、大腿に広がることに加えて、これらの障害は深刻な呼吸器系の問題を伴う恐れがある。
【0003】
乳児SMAは、この神経変性障害の最も重篤な形態である。症状としては、筋力低下、弱い筋緊張、弱い泣き声、弛緩または転倒傾向、吸啜または嚥下困難、肺または咽頭における分泌物の蓄積、哺乳困難、および呼吸器感染症の易罹患性の増加が挙げられる。脚は腕よりも弱い傾向があり、首が据わるまたはお座りするなどの、発達の目安に達することができない。一般に、症状が早く現れるほど、寿命は短くなる。運動ニューロン細胞が悪化すると、症状はその直後に現れる。疾患の重篤な形態は致死的であり、全ての形態の治療法が知られているわけではない。SMAの経過は、運動ニューロン細胞の悪化の速度およびその結果としての脱力の重篤度に直接関係する。重篤なSMAを持つ乳児は、呼吸を助ける筋肉の脱力により、呼吸器系合併症によって死亡することが多い。より軽度のSMAを持つ小児はそれよりもかなり長く生存するが、特にそのスペクトル内で重症側の場合は、広範な医学的支援を必要とすることがある。SMA障害の臨床スペクトルは以下の5つのグループに分割されている。
1)0型SMA(子宮内SMA)は、疾患の最も重篤な形態であり、出生前に始まる。通常、0型SMAの最初の症状は、妊娠30~36週で最初に観察され得る、胎児の運動減少である。出生後、これらの新生児はほとんど運動せず、嚥下および呼吸に困難があり、出生直後に死亡する。
2)I型SMA(乳児SMAまたはウェルドニッヒ・ホフマン(Werdnig-Hoffman)病)は、0~6か月に症状を呈し、この形態のSMAは非常に重篤である。患者は座る能力を達成することはなく、通常、最初の2年以内に死亡する。
3)II型SMA(中間型SMA)は7~18か月の月齢で発症する。患者は、支えなしに座る能力を達成するが、ひとりで立ったり歩いたりすることはない。このグループの予後は、呼吸器系合併症の程度に大きく依存する。
4)III型SMA(若年性SMAまたはクーゲルベルク・ヴェランダー(Kugelberg-Welander)病)は一般に18か月以降に診断される。3型SMAの個体は、この疾患の経過中のある時点ではひとりで歩くことができるが、若年期または成人期の間に車椅子生活になる場合が多い。
5)IV型SMA(成人発症SMA)。脱力は通常、青年期後期に、舌、手、または足で始まり、次に身体の他の領域に進行する。成人SMAの経過ははるかに遅く、平均余命にはほとんどまたは全く影響しない。
【0004】
全ての形態の脊髄性筋萎縮症は、脊髄の前角からのニューロンの変性に続く、進行性の筋力低下および筋委縮を伴う。SMAは現在、乳児死亡の最も一般的な原因の1つを構成している。世界中全ての地域で、女児または男児に対して等しい影響を有し、有病率は1/6000~1/10,000である。希少疾患に分類されているものの、脊髄性筋萎縮症は、常染色体劣性パターンを有する二番目に多い遺伝性疾患である。
【0005】
ヌシネルセン(スピンラザ(商標)、FDA認可2017年)、オナセムノゲンアベパルボベック(ゾルゲンスマ(登録商標)、FDA認可2019年)、リスジプラム(CAS1825352-65-5)、およびブラナプラム(CAS1562338-42-4)は、SMA治療用として良く知られている薬物である。少量の生存運動ニューロンタンパク質(SMN)は、SMAの発病機序の原因としての役割を果たす。結論として、例えば、異常があるSMN1遺伝子を置換もしくは修正することによって、またはSMN2の発現を調節することによって、このタンパク質の量を押し上げる新しい療法が開発されている。更なるルートとしては、神経保護、ならびに筋肉の強度および機能を改善することを標的とした戦略が挙げられる。SMNタンパク質は、(神経筋接合部が発達する)早期乳児期において重要な役割を果たすので、特にI型SMA患者の場合、介入の推定窓は非常に早期かつ短期である。臨床的に関連する特徴を頻繁かつ流動的に測定することで、客観的で高感度の精密な測定値が得られ、最終的に患者の疾患状態のより完全な実態が得られる。これにより、患者を評価する負担が低減され、診断の支援がもたらされる。
【0006】
薬物治療に加えて、SMA患者は一般的に、特に整形外科、運動支援、呼吸管理、栄養、心臓学、およびメンタルヘルスに関して、特別な医療ケアを要する。米国国防総省のミリタリーヘルスケアシステムによるデータ(2003~2012)が、脊髄性筋萎縮症患者にかかる医療コストを決定するために、Armstrongらによって研究された。10年の研究期間にわたるSMA患者に関する総支出額の中央値は、対応対照群の中央値約4,500米ドルに対して、83,000米ドル超過であった。早期診断された患者のサブグループでは、コストの中央値は約170,000米ドルであった(J Med Econ.2016 Aug;19(8):822-6(非特許文献1))。
【0007】
現在、筋障害、特にSMAと診断された対象における症状の重篤度および進行の評価は、数週間または更には数か月ごとの診察により、時々対象を院内モニタリングおよび試験することを伴う。筋障害、特にSMAの臨床アンカー測定(MFMスコア)については、以下で見出すことができる(http://www.motor-funciton-measure.org/user-s-manual.aspx(非特許文献2))。
【0008】
SMAはCNSの臨床的に異質な疾患なので、現在の疾患状態および症状の進行の信頼性が高い診断および特定を可能にし、したがって正確な治療を補助することができる、診断ツールが必要である。
【0009】
US2014/163426(特許文献1)は、患者の神経機能および認知機能を査定する試験に関する。Merlini et al.MUSCLE AND NERVE,vol.26,no,1,July 2002(非特許文献3)は、SMAの手持ち式動力測定法の信頼性に関する。国際特許出願PCT/EP2018/086192(特許文献2)は、SMAを評価する特徴試験について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】US2014/163426
【特許文献2】PCT/EP2018/086192
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Armstrongら、J Med Econ.2016 Aug;19(8):822-6
【非特許文献2】http://www.motor-funciton-measure.org/user-s-manual.aspx
【非特許文献3】Merlini et al.MUSCLE AND NERVE,vol.26,no,1,July 2002
【発明の概要】
【0012】
概要
本明細書に記載する態様の根底にある1つの技術的課題は、上述の必要性に従った手段および方法を提供することに見出すことができる。1つの技術的課題は、特許請求の範囲において特徴付けられ、以下の明細書に記載される、実施形態によって解決される。
【0013】
E1 対象の脊髄性筋萎縮症(SMA)を評価する方法であって、
a)モバイルデバイスを使用して、上記対象からのセンサ測定値のデータセットから少なくとも1つのパラメータを決定するステップと、
b)決定された少なくとも1つのパラメータを基準と比較するステップであって、それによって、比較の結果からSMAが評価される、比較するステップと
を含む、方法。
【0014】
E2 上記少なくとも1つのパラメータが、遠位運動機能、中枢運動機能、および軸性運動機能を示すパラメータである、E1の方法。
【0015】
E3 個々の運動機能のセンサ測定値のデータセットが、個々の指で被検体によってかけることができる最大圧力の測定値または時間経過に伴う個々の指で圧力をかける能力に対する測定値、「アー」という声の最大持続時間の測定値、既定の期間内で、特に30秒以内で画面に触れる最大量、最大のダブルタッチの非同時性、風が吹いた後の加速の変動、集められた物、特に集められたコインの数、および/あるいは手の最大転回速度からのデータを含む、E1~E2のいずれか1つの方法。
【0016】
E4 個々の運動機能のセンサ測定値のデータセットが、以下の特徴測定値からのデータを含む、E1~E3のいずれか1つの方法。
i.平均印加圧力、
ii.ピッチの変動、
iii.画面を叩くまでの中央時間、
iv.ダブルタッチの非同時性、
v.形状を描くのにかかる時間、
vi.電話機の最大転回速度、
vii.(風が吹いた後の)加速の変動、および/または、
viii.集められたコインの数。
【0017】
E5 個々の運動機能のセンサ測定値のデータセットが、以下の特徴試験からのデータを含む、E1~E4のいずれか1つの方法。
i.ベルを鳴らす、
ii.モンスターを応援する、
iii.モンスターをタップする、
iv.トマトを握り潰す、
v.軌跡を歩く、
vi.電話機の向きを変える、
vii.綱渡りをする、および/または、
viii.コインを集める。
【0018】
E6 個々の運動機能のセンサ測定値のデータセットが、毎日からの、または少なくとも1日おきの測定値からのデータを含み、特に、個々の運動機能のセンサ測定値のデータセットが、朝取得したセンサ測定値からのデータを含む、E1~E5のいずれか1つの方法。
【0019】
E7 上記モバイルデバイスが、対象に対して、請求項3~6のいずれか一項に記載のセンサ測定の1つまたは複数を実施するように適合されている、E1~E6のいずれか1つの方法。
【0020】
E8 基準と比較して本質的に同一である決定された少なくとも1つのパラメータが、SMAを有する対象を示す、E1~E7のいずれか1つの方法。
【0021】
E9 モバイルデバイスであって、
プロセッサ、
少なくとも1つの圧力センサ、および
データベース、ならびに
上記デバイスに有形的に埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、E1~E8のいずれか1つの方法を実施するソフトウェア
を備える、モバイルデバイス。
【0022】
E10 少なくとも1つの圧力センサを備える、モバイルデバイスと、
プロセッサおよびデータベース、ならびに、上記デバイスに有形的に埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、E1~E8のいずれか1つの方法を実施するソフトウェアを備える、リモートデバイスと
を備え、
上記モバイルデバイスおよび上記リモートデバイスが互いに動作可能にリンクされている、
システム。
【0023】
E11 個々の対象のセンサ測定値のデータセットにおいてSMAを評価するための、E9によるモバイルデバイスまたはE10によるシステムの、使用。
【0024】
E12 E1~E8のいずれか1つによる方法と、対象のSMAを治療するのに適した医薬剤、特に、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1モジュレータ、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシングモジュレータ、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2モジュレータ、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤、より詳細にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムとの、組み合わせ。
【0025】
E13 対象のSMAを治療するのに適した医薬剤、特に、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1モジュレータ、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシングモジュレータ、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2モジュレータ、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤、より詳細にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムであって、治療される対象が、E1~E8のいずれか1つによる方法を用いて対象の疾患をモニタリングする、医薬剤。
【0026】
E14 SMAを治療する方法であって、m7GpppXジホスファターゼ(DCPS)阻害剤、生存運動ニューロンタンパク質1モジュレータ、SMN2発現阻害剤、SMN2スプライシングモジュレータ、SMN2発現増強剤、生存運動ニューロンタンパク質2モジュレータ、またはSMN-AS1(SMN1由来の長鎖ノンコーディングRNA)阻害剤、より詳細にはヌシネルセン、オナセムノゲンアベパルボベック、リスジプラム、またはブラナプラムを対象に投与することを含み、対象の疾患をモニタリングするのに、E1~E8のいずれか1つによる方法を含む、SMAを治療する方法。
【0027】
E15 決定された少なくとも1つのパラメータが、上記対象が医薬剤による治療を受ける前の上記患者の基準パラメータと比較してより良好である、E13による方法の組み合わせ。
【0028】
E16 SMAを患っている対象のMFM32スコアを予測するために機械学習を使用するコンピュータ実装方法。
【0029】
E17 SMAを患っている対象のFVCスコアを予測するために機械学習を使用するコンピュータ実装方法。
【0030】
E18 本明細書に記載する態様に従って記載されるような方法は、本質的に上述のステップから成る方法、または追加のステップを含み得る方法を含む。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下で使用するとき、「有する」、「備える」、もしくは「含む」、またはそれらの任意の文法的変形は、非排他的な形で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって紹介される特徴以外には、この文脈で記載する実体に更なる特徴が存在しない状況と、1つもしくは複数の更なる特徴が存在する状況との両方を指すことができる。一例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、および「AはBを含む」という表現は、B以外には他の要素がAに存在しない状況(つまり、Aが排他的にBのみから成る状況)と、B以外に、要素C、要素CおよびD、または更に他の要素など、1つまたは複数の更なる要素が実体Aに存在する状況との両方を指すことができる。
【0032】
更に、特徴もしくは要素が1回または2回以上存在し得ることを示す、「少なくとも1つ」、「1つまたは複数」という用語、または類似の表現は、一般的に、それぞれの特徴もしくは要素を紹介する際に1回のみ使用されることに留意すべきである。以下、ほとんどの場合において、それぞれの特徴もしくは要素を指すとき、それぞれの特徴もしくは要素が1回または2回以上存在し得るという事実にかかわらず、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」という表現は繰り返されない。
【0033】
更に、以下で使用するとき、「特に」、「より詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」、「一般的に」、および「より一般的には」という用語、または類似の用語は、代替の可能性を制限することなく、追加/代替の特徴と併せて使用される。したがって、これらの用語によって紹介される特徴は、追加/代替の特徴であり、特許請求の範囲をいかなる形でも制限しようとするものではない。本発明は、当業者であれば認識するように、代替の特徴を使用することによって実施することができる。同様に、「本発明の一実施形態では」または類似の表現によって紹介される特徴は、本発明の代替実施形態に関する制限を何ら有さない、本発明の範囲に関する制限を何ら有さない、またそのような形で紹介される特徴を、本発明の他の追加/代替のもしくは追加/代替以外の特徴と組み合わせる可能性に関する制限を何ら有さない、追加/代替の特徴であることが意図される。
【0034】
方法は、圧力測定値のデータセットが獲得されると対象によってモバイルデバイスで、または異なるデバイスで実施することができる。したがって、モバイルデバイス、およびデータセットを獲得するデバイスは、物理的に同一の、例えば同じデバイスであるか、または異なる、例えば遠隔に位置するデバイスであることができる。かかるモバイルデバイスはデータ獲得ユニットを有してもよく、それは一般的に、データを獲得する手段を含み、即ち、物理的および/または化学的パラメータを定量的または定性的に検出もしくは測定し、それらを、本発明による方法を実施するのに使用されるモバイルデバイスの査定ユニットに送信される電子信号に変換する、ソフトウェアおよび/またはハードウェアを含む。データ獲得ユニットは更に、または別の方法として、物理的および/または化学的パラメータを定量的または定性的に検出もしくは測定し、それらを、モバイルデバイスの遠隔にあって本明細書に記載する態様による方法を実施するのに使用されるデバイスに送信される電子信号に変換する、ハードウェアおよび/またはソフトウェアを含んでもよい。一般的に、データ獲得は少なくとも1つのセンサによって実施される。1つを超えるセンサを、例えば少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、もしくは少なくとも10、または更に多くの異なるセンサを、モバイルデバイスに使用できることが理解されるであろう。データ獲得に使用される一般的なセンサとしては、ジャイロスコープ、磁力計、加速度計、近接センサ、温度計、湿度センサ、歩数計、心拍検出器、指紋検出器、タッチセンサ、ボイスレコーダー、光センサ、圧力センサ、位置データ検出器、カメラ、汗分析センサなどのセンサが挙げられる。査定ユニットは、一般的に、プロセッサおよびデータベース、ならびに上記デバイスに有形的に埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、本明細書に記載するような1つもしくは複数の方法を実施するソフトウェアを備える。かかるモバイルデバイスはまた、査定ユニットによって実施された分析の結果をユーザに提供することを可能にする、画面などのユーザインターフェースを備えてもよい。別個のデバイスが使用される場合、モバイルデバイスは、任意の手段によって分析方法を実施するのに使用されるデバイスと連絡および/または通信して、データ送信することができる。かかるデータ送信は、同軸、ファイバー、光ファイバー、またはツイストペア10BASE-Tケーブルなど、恒久的または一時的な物理的接続によって達成することができる。あるいは、Wi-Fi、3G、4G、LTE、LTEアドバンスト、5G、および/またはブルートゥースなど、例えば電波を使用する、一時的または恒久的な無線接続によって達成することができる。したがって、本明細書に記載するような方法を実施するのに、唯一の要件は、モバイルデバイスを使用して対象から得られた入力測定値のデータセットが存在することである。上記データセットは、獲得側のモバイルデバイスから恒久的または一時的メモリデバイスに、送信または格納されてもよく、その後にメモリデバイスを使用して、データを第2のデバイスに転送して、分析を実施することができる。このセットアップで本発明の方法を実施するリモートデバイスは、一般的に、プロセッサおよびデータベース、ならびに上記デバイスに埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、本発明の方法を実施するソフトウェアを備える。より一般的には、上記デバイスはまた、査定ユニットによって実施された分析の結果をユーザに提供することを可能にする、画面などのユーザインターフェースを備えることができる。
【0035】
「評価する」という用語は、本明細書で使用するとき、対象が筋障害を、特にSMAを患っているか否かを診断するための補助を決定または提供することを指す。当業者には理解されるように、かかる評価は、調査される対象の100%に対して適正であることが好ましいが、そうではなくてもよい。しかしながら、この用語は、対象の統計的に有意な部分を適正に評価し、したがって筋障害またはSMAを患っていると特定できることを要する。ある部分が統計的に有意であるか否かは、例えば信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定など、様々な良く知られている統計的評価ツールを使用して、当業者による更なる面倒なしに決定することができる。詳細は、Dowdy and Wearden,Statistics for Research,John Wiley & Sons,New York 1983に見出すことができる。一般的に、想到される信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%である。p値は、一般的に、0.2、0.1、0.05である。したがって、本発明の方法は、一般的に、圧力測定値のデータセットを査定することによって、筋障害またはSMAの特定を補助する。この用語はまた、SMAの任意の種類の診断、モニタリング、またはステージ分類を包含し、特に、筋障害および特にSMAと関連付けられる任意の症状または任意の症状の進行の評価、診断、モニタリング、および/またはステージ分類に関する。適正な診断または評価が行われると、適切な治療を投与または処方することができる。これらは、非限定的に、薬物、遺伝子治療、筋肉の強度および機能の改善を標的とした戦略、整形外科、運動支援、呼吸管理、栄養、心臓学、およびメンタルヘルス介入を含む。
【0036】
本明細書で参照する「筋障害」は、筋機能の障害を伴う症状である。一般的に、かかる筋障害は、筋委縮などの疾患または障害によって引き起こされる場合があり、より一般的には、脊髄性筋萎縮症などの神経筋疾患であり得る。「脊髄性筋萎縮症(SMA)」という用語は、本明細書で使用するとき、一般的に脊髄における、運動ニューロン機能の喪失によって特徴付けられる、神経筋疾患に関する。運動ニューロン機能の喪失の結果として、一般的に、筋委縮が起こって、罹患した対象の早期死亡に至る。疾患は、SMN1遺伝子の遺伝性遺伝子異常によって引き起こされる。上記遺伝子によってコード化されたSMNタンパク質は、運動ニューロン生存のために必要である。疾患は常染色体劣性型で遺伝する。
【0037】
「対象」という用語は、本明細書で使用するとき、動物、一般的に哺乳類に関する。特に、対象は霊長類であり、最も一般的には人間である。本発明による対象は、筋障害および特にSMAを患っているものとし、または患っている疑いがあるものとし、即ち、上記疾患と関連付けられた症状の一部もしくは全てを既に示している場合がある。
【0038】
「少なくとも1つの」という用語は、1つまたは複数のパラメータを、即ち少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、もしくは少なくとも10、または更に多くの異なるパラメータを、本発明に従って決定できることを意味する。したがって、本発明の方法に従って決定することができる、異なるパラメータの数に上限はない。しかしながら、一般的に、決定されるセンサ測定値のデータセットごとに、1つから4つの異なるパラメータが存在するであろう。パラメータは、ピーク圧力、統合圧力、時間経過に伴う圧力プロファイル、および圧力の振動から成る群から選択されてもよい。
【0039】
「パラメータ」という用語は、本明細書で使用するとき、対象が指の圧力をかける能力を示すパラメータを指すことができる。より一般的には、パラメータは、ピーク圧力、統合圧力、時間経過に伴う圧力プロファイル、および圧力の振動から成る群から選択される。測定される活動のタイプに応じて、対象に対して実施される圧力測定によって獲得されるデータセットからパラメータを導き出すことができる。本発明に従って使用される特定のパラメータについては、更に詳細に本明細書のいずれかの箇所に列挙する。
【0040】
「センサ測定値のデータセット」という用語は、モバイルデバイス、特にスマートフォンのセンサの測定中、対象からモバイルデバイスによって獲得されているデータ全体、またはパラメータを導き出すのに有用な上記データの任意のサブセットを指す。
【0041】
「個々の指の強度」という用語は、本明細書で使用するとき、指によってかけることができる力のレベルを指す。これは、圧力ピークを加える能力、時間経過に伴う特定の圧力レベル(統合圧力)を印加する能力、および/または時間経過に伴う圧力を維持する能力を含む。
【0042】
以下、本発明の方法に従ってモバイルデバイスによって測定する、特定の想到される圧力試験および手段を特定する。
【0043】
一実施形態では、したがって、モバイルデバイスは、対象の指によってかけることができる最大圧力を測定するように構成された、圧力試験(いわゆる「ベルを鳴らす試験」)を実施するか、またはそこからデータを獲得するように適合される。更に、試験は一般的に、最大圧力印加の持続時間を測定するようにも構成される。かかる試験から獲得されるデータセットによって、ピーク圧力、統合圧力、ならびに時間経過に伴う圧力プロファイルを特定することが可能になる。試験は、対象の指によって最初に加えることができる、最大力に対する校正を必要とする場合がある。更に、考慮すべきセンサ特有の制限がある。センサ固有の飽和未満の範囲内にある圧力を測定するために、試験は、最大圧力の印加を回避するように構成することができる。
【0044】
上述の圧力測定は、感圧タッチ技術または3Dタッチ技術を使用することによって、スマートフォンなどのモバイルデバイスによって行うことができる。感圧タッチ技術は、モバイルデバイスの画面の縁部を縁取っている、力を感知する電極を使用する。上記電極は、画面に印加される圧力を決定する。したがって、試験は、上記画面を指で押圧し、それによって特定の強度でまたは特定の時間にわたって力を加えることを要する、特定のタスクを画面上に表示することができる。測定されたパラメータはその後、電極から、前後に振動する電磁リニアアクチュエータに中継される。上記アクチュエータは、本発明に従って、力測定値のデータセットのためのデータを生成する。3Dタッチ技術は、画面に直接統合された容量センサを使用することによって働く。押圧が検出されると、これらの容量センサは、バックライトとカバーガラスとの間の距離における微細な変化を測定する。これらのデータは次に、加速度計データおよびタッチセンサデータと組み合わされて、力測定値のデータセットのデータを完成させ、それを、例えば査定ユニット上で実行する適切なアルゴリズムによって、少なくとも1つのパラメータを決定するのに使用することができる。本発明の方法で使用される力測定値のデータセットを生成するのに使用される、モバイルデバイスに一般的に含まれる感圧タッチセンサに関する更なる詳細は、米国特許第8,633,916号に記載されている。本発明の方法で使用される力測定値のデータセットを生成するのに使用される、モバイルデバイスに一般的に含まれる3Dタッチ技術の力センサは、国際出願公開WO2015/106183号に記載されている。モバイルデバイスで使用される更なる好適な力測定センサは、欧州特許第2 368 170号、米国特許第9,116,569号、欧州特許第2 635 957号、米国特許第8,952,987号、または米国出願公開US2015/0097791号のいずれか1つに記載されている。
【0045】
別の実施形態では、モバイルデバイスは、既定の期間にわたって指を介して制御された量の圧力を持続させる能力を測定するように構成された、更なる圧力試験を実施するか、またはそこからデータを獲得するように適合される。かかる試験から獲得されるデータセットによって、時間経過に伴う圧力の振動および圧力プロファイルを特定することが可能になる。試験は、快適な圧力レベルに関する校正を獲得することができ、即ち、快適な圧力レベルに対する閾値を最初に特定する必要があり得る。更に、試験は、圧力測定に対するセンサ固有の飽和未満で測定が実施されるように構成されるものとする。上述の圧力測定は、本明細書のいずれかの箇所で定義するような感圧タッチ技術または3Dタッチ技術、あるいはタッチ画面に対する力または圧力の測定を可能にする類似技術を使用することにより、スマートフォンなどのモバイルデバイスによって行うことができる。
【0046】
両方の試験を、潜在的な校正および実際の圧力測定を可能にする特定のタスクを、対象ユーザが実施することを要求するコンピュータプログラムコードによって、モバイルデバイスにおいて実現することができる。一般的に、かかるタスクは、対象がタスクを楽しく、したがって快適なやり方でデバイスにおいて実施することを要する、娯楽エクササイズまたはゲーム内にマスキングすることができる。上記ゲームセットアップを使用することによって、タスクはまた、特に、小児または認知能力に障害がある対象によって実施することができる。更に、試験のゲーミングキャラクターは、対象が試験を実施する動機全体を改善することもできる。一般的に想到される圧力測定試験の例については、以下の添付の実施例に更に詳細に記載する。
【0047】
本発明に従って適用されるモバイルデバイスは、上述の力測定試験の1つまたは複数を実施するように適合できることが理解されるであろう。特に、両方の試験を実施するように適合させることができる。
【0048】
モバイルデバイスに応じて、ピーク圧力を測定する圧力測定、時間経過に伴う特定の圧力レベル(統合圧力)を印加する能力、および/または時間経過に伴う圧力(圧力プロファイル)を維持する能力はまた、ユーザがそれに集中することなく上記圧力測定(受動試験)を記録することを可能にする動作が実施される、モバイルデバイスの他の使用の間に実施することができる。一般的に、スマートフォンがモバイルデバイスとして使用される場合、対象(ユーザ)は通常、画面との指圧力駆動の対話を伴う、様々なタッチ制御タスクを実施することになる。一般的に、タッピングは、電話番号がダイヤルされるか、または例えばインターネットクエリが行われるなど、他の標準的活動が実施されたときに行われる。かかるタスクの実施中に指によって印加される圧力は、校正目的または基準を提供するため、特定の時間にわたって分析することができる。一般的に、ピーク圧力測定は、例えば、ダイヤルなどのタッピングタスクの間に実施することができ、または印加圧力を特定の時間窓にわたって統合して、統合圧力をもたらすことができる。続いて、ピーク力、統合圧力、またはタスク特有の圧力プロファイルの基準に対する変化を、上記(受動的)圧力測定から得られるデータセットを調査するために適用される、本発明による方法において使用することができる。
【0049】
更に、タッピングおよび他の圧力印加活動は、後述する更なる試験の間に行われてもよい。圧力測定はまた、上記更なる試験中の受動的試験として実施することができる。
【0050】
更に、モバイルデバイスは、SMAのような筋障害に関連してもよい、更なる試験を実施するように適合されてもよい。したがって、更なるデータを本発明の方法で同様に処理することができる。これらの更なるデータは、一般的に、対象におけるSMAまたは筋障害の評価を更に強化するのに適している。遠位運動機能(例えば、タッピングする、描画する、および摘まむ指の能力)、軸性運動機能(例えば、持ち上げる、捻る、綱渡りをする、および水を注ぐ対象の能力)、ならびに/あるいは中枢運動機能(例えば、発声能力)を調査する、特定の想到される試験については、更に詳細に後述する。加えて、福祉および認知能力全体に対する検査も考慮することができる。
【0051】
本発明の方法によって調査されるデータセットに一般的に含むことができるデータを獲得するための、モバイルデバイスにおいて実現される特定の想到される更なる試験は、以下の試験から選択される。
【0052】
(1)遠位運動機能の試験:モンスターをタップする、軌跡を歩く、およびトマトを握り潰す。
【0053】
モバイルデバイスは更に、指の器用さおよび遠位の弱さを測定するように構成された、遠位運動機能(いわゆる「モンスターをタップする」)に関する更なる試験を実施するか、またはそこからデータを獲得するように適合させることができる。かかる試験から獲得されたデータセットによって、指の速度、指の動きの精度、ならびに指の移動時間および距離を特定することが可能になる。
【0054】
モバイルデバイスは更に、指の器用さおよび遠位の弱さを測定するように構成された、遠位運動機能(いわゆる「軌跡を歩く」)に関する更なる試験を実施するか、またはそこからデータを獲得するように適合させることができる。かかる試験から獲得されるデータセットによって、指の動きの精度、圧力プロファイル、および速度プロファイルを特定することが可能になる。
【0055】
「軌跡を歩く」試験の目的は、微細な指の制御およびストロークのシーケンシングを評価することである。試験は、振戦および痙攣、ならびに手と目の協調運動障害といった、障害がある手の運動機能の態様を網羅するものとみなされる。患者は、試験されない手でモバイルデバイスを保持し、モバイルデバイスのタッチ画面に、次第に複雑になる事前に書かれた異なる交互の形状(直線、長方形、円形、正弦曲線、およびらせん(以下参照))を、試験される手の中指で、例えば30秒の最大時間内で「できるだけ早く正確に」描くように指示される。形状を上手く描くためには、患者の指はタッチ画面上で継続的にスライドし、全ての示されたチェックポイントを通過し、書込み経路の境界内に収まる示された始点および終点を接続しなければならない。患者は、6つの形状それぞれを上手く完成させるために最大2回の試行を有する。試験は右手と左手で交互に実施されてもよい。ユーザは毎日交互に行うように指示されてもよい。2つの直線形状はそれぞれ、特定の数「a」のチェックポイントを有して、即ち「a-1」個のセグメントを接続してもよい。正方形形状は、特定の数「b」のチェックポイントを有して、即ち「b-1」個のセグメントを接続してもよい。円形形状は、特定の数「c」のチェックポイントを有して、即ち「c-1」個のセグメントを接続してもよい。8の字形状は、特定の数「d」のチェックポイントを有して、即ち「d-1」個のセグメントを接続してもよい。らせん形状は、特定の数「e」のチェックポイントを有して、即ち「e-1」個のセグメントを接続してもよい。6つの形状が完成したということは、合計「(2a+b+c+d+e-6)」個のセグメントを描くのに成功したことを示唆する。形状のうち1つまたは複数は、任意に、他のもの、例えば数字の「8」を描くことよりも重い重みが与えられてもよい。
【0056】
一般的な形状を描く試験の関心パラメータ
形状の複雑さに基づいて、直線および正方形形状は重み付け因子(Wf)1、円形および正弦曲線形状は重み付け因子2、らせん形状は重み付け因子3と関連付けられる。2回目の試行で上手く完成した形状は、重み付け因子0.5と関連付けることができる。これらの重み付け因子は、本発明の文脈で変更することができる数値例である。
【0057】
1.形状完成スコア
i.試験ごとの上手く完成した形状の数(0~6)(ΣSh)。
ii.1回目の試行で上手く完成した形状の数(0~6)(ΣSh)。
iii.2回目の試行で上手く完成した形状の数(0~6)(ΣSh)。
iv.全ての試行で失敗した/未完成の形状の数(0~12)(ΣF)。
v.上手く完成した形状の数を、それぞれの形状の異なる複雑さレベルに対する重み付け因子で調節したものを反映した、形状完成スコア(0~10)(Σ[Sh×Wf])。
vi.上手く完成した形状の数を、それぞれの形状の異なる複雑さレベルに対する、また1回目対2回目の試行における成功から成る重み付け因子で調節したものを反映した、形状完成スコア(0~10)(Σ[Sh×Wf]+Σ[Sh×Wf×0.5])。
vii.#1eで定義されるような形状完成スコア、また#1fは、30/tを掛けた場合の試験完成時の速度から成ることができる(tは、試験を完了するまでの時間を秒単位で表す)。
viii.特定の期間内の複数の試験に基づいた、6つの個々の形状それぞれにおける全体および1回目の試行の完成率:(ΣSh)/(ΣSh+ΣSh+ΣF)および(ΣSh+ΣSh)/(ΣSh+ΣSh+ΣF)。
【0058】
2.セグメント完成および位相速度スコア/指標
(適用可能な場合、各形状に対する2回の試行のうち最良のもの[完成したセグメントの最大数]に基づいた分析)
i.試験ごとの上手く完成したセグメントの数(0~[2a+b+c+d+e-6])(ΣSe)。
ii.上手く完成したセグメントの平均の位相速度([C]、セグメント/秒):C=ΣSe/t(tは、試験を完成するまでの時間を秒単位で表す(最大30秒))。
iii.上手く完成したセグメントの数を、それぞれの形状の異なる複雑さレベルに対する重み付け因子で調節したものを反映した、セグメント完成スコア(Σ[Se×Wf])。
iv.速度調節し重み付けしたセグメント完成スコア(Σ[Se×Wf]×30/t)(tは、試験を完了するまでの時間を秒単位で表す)。
v.直線および正方形形状に対する形状特有の上手く完成したセグメントの数(ΣSeLS)。
vi.円形および正弦曲線形状に対する形状特有の上手く完成したセグメントの数(ΣSeCS)。
vii.らせん形状に対する形状特有の上手く完成したセグメントの数(ΣSe)。
viii.直線および正方形形状試験で実施される上手く完成したセグメントに対する形状特有の平均直線位相速度:C=ΣSeLS/t(tは、これらの特定の形状内の対応する上手く完成したセグメントにおける開始点から終了点までに経過した累積エポックタイムを秒単位で表す)。
ix.円形および正弦曲線形状試験で実施される上手く完成したセグメントに対する形状特有の平均円形位相速度:C=ΣSeCS/t(tは、これらの特定の形状内の対応する上手く完成したセグメントにおける開始点から終了点までに経過した累積エポックタイムを秒単位で表す)。
x.らせん形状試験で実施される上手く完成したセグメントに対する形状特有の平均らせん位相速度:C=ΣSe/t(tは、この特定の形状内の対応する上手く完成したセグメントにおける開始点から終了点までに経過した累積エポックタイムを秒単位で表す)。
【0059】
3.描画精度スコア/指標
(適用可能な場合、各形状に対する2回の試行のうち最良のもの[完成したセグメントの最大数]に基づいた分析)
i.特定の形状内の(開始チェックポイントから終了チェックポイントまで伸ばされた)対応する標的経路の合計累積長さで割った、これらの形状それぞれに伸ばされた開始チェックポイントから終了チェックポイントまでの、描かれた軌道と標的の描画経路との間の統合された表面偏差における、曲線下面積(AUC)全体の指標の合計として計算した偏差(Dev)。
ii.#3aでDevとして計算した、ただし具体的には直線および正方形形状試験結果からの、直線偏差(Dev)。
iii.#3aでDevとして計算した、ただし具体的には円形および正弦曲線形状試験結果からの、円形偏差(Dev)。
iv.#3aでDevとして計算した、ただし具体的にはらせん形状試験結果からの、らせん偏差(Dev)。
v.#3aでDevとして計算した、ただし6個の個別の形状試験結果それぞれからの、最良の試行の中で少なくとも3つのセグメントが上手く完成した形状のみに適用可能な、形状特有の偏差(Dev1-6)。
vi.形状特有のまたは形状にとらわれない標的軌道からの全体偏差を計算する他の任意の方法の連続変数分析。
【0060】
4)圧力プロファイル測定
(1)掛けられる平均押圧。
(2)圧力の標準偏差として計算される偏差(Dev)。
【0061】
モバイルデバイスは更に、指の器用さおよび遠位の弱さを測定するように構成された、遠位運動機能(いわゆる「トマトを握り潰す」)に関する更なる試験を実施するか、またはそれからデータを獲得するように適合させることができる。かかる試験から獲得されるデータセットによって、指の動きの精度と速度、および関連する圧力プロファイルを特定することが可能になる。試験は、最初に対象における動きの精度の能力に関して校正を要する場合がある。
【0062】
トマトを握り潰す試験の1つの目的は、摘まんで閉じた指の動きの正確さを査定することによって、微細な遠位運動操作(把持および掴持)ならびに制御を評価することである。試験は、把持/掴持機能の障害、筋力低下、および手と目の協調運動障害といった、障害がある手の運動機能の態様を網羅するものとみなされる。患者は、試験されない手でモバイルデバイスを保持し、同じ手の2つの指(親指+中指、または好ましくは親指+薬指)で画面に触れることによって、30秒の間にできるだけ多くの丸い形状(即ち、トマト)を握り潰す/摘まむように指示される。障害がある微細運動操作はthe_number pinched_に影響を及ぼす。試験は右手と左手で交互に実施される。ユーザは毎日交互に行うように指示される。
【0063】
一般的な形状を握り潰す試験の関心パラメータ
1.握り潰された形状の数
a)30秒で握り潰されたトマト形状の合計数(ΣSh)。
b)30秒で1回目の試行において握り潰されたトマトの合計数(ΣSh)(1回目の試行は、試験の一番最初の試行ではない場合は握り潰しの成功に続く、画面上における第1の二重接触として検出される)。
【0064】
2.摘まむ動作の精度指標
a)試験の合計持続時間内における摘まむ動作の試行の合計数(ΣP)(別個に検出した画面上における二重の指接触の合計数として測定)でΣShを割ったものとして定義される、摘まむ動作の成功率(PSR)。
b)検出された全ての二重接触に関して第1および第2の指による画面タッチの間の遅れ時間として測定される、ダブルタッチの非同時性(DTA)。
c)検出された全ての二重接触に関して、二重接触における2つの指の開始タッチ地点の間における等距離の地点から、トマト形状の中心まで距離として測定される、摘まむ標的の精度(PTP)。
d)摘まむ動作に成功する全ての二重接触に関して、摘まみのギャップに達するまで二重接触の開始地点から2つの指がスライドするそれぞれの距離の間の比(最短/最長)として測定される、摘まむ指の動きの非対称性(PFMA)。
e)摘まむ動作に成功する全ての二重接触に関して、二重接触の時間から摘まみのギャップに達するまで画面上をスライドする一方および/または両方の指それぞれの速度(mm/秒)として測定される、摘まむ指の速度(PFV)。
f)摘まむ動作に成功する全ての二重接触に関して、二重接触の時間から摘まみのギャップに達するまで画面上をスライドする個々の指それぞれの速度間の比(最低速/最高速)として測定される、摘まむ指の非同時性(PFA)。
g)時間経過に伴う2a~2fの連続変数分析、ならびに可変持続時間(5~15秒)のエポックによるそれらの分析。
h)全ての試験される形状に関する、標的の描かれた軌道からの偏差を統合測定する連続変数分析(特にらせんと四角形)。
【0065】
3)圧力プロファイル測定
a)掛けられる平均圧力。
b)圧力の標準偏差として計算された偏差(Dev)。
【0066】
(2)軸性運動機能を測定する試験:電話機の向きを変える、綱渡りをする、およびコインを集める。
【0067】
モバイルデバイスは更に、上肢運動(例えば、モバイルデバイスを捻ることによる)、脱力および疲労、近位緊張低下、関節の拘縮および振戦を測定するように構成された、軸性および近位運動機能運動機能(いわゆる「電話機の向きを変える」)に対する更なる試験を実施するか、あるいはそこからデータを獲得するように適合することができる。この試験の場合、患者は、電話機を自身の掌で保持し、電話機の画面を繰り返し上に向けたり下に向けたりしなければならない。
【0068】
かかる試験から獲得されるデータセットによって、捻り(手首の回転)の精度および速度および回数を特定することが可能になる。試験は、最初に対象における動きの精度の能力に関して校正を要する場合がある。
【0069】
モバイルデバイスは更に、上肢の近位緊張低下を測定するように構成された、軸性運動機能(いわゆる「綱渡りをする」)に関する更なる試験を実施するか、またはそこからデータを獲得するように適合させることができる。かかる試験から獲得されるデータセットによって、適正な動きの数、サイズ、および速度を特定することが可能になる。試験は、最初に対象の均衡および不均衡の能力に関して校正を要する場合がある。
【0070】
モバイルデバイスは更に、上肢運動(モバイルデバイスを動かすことによる)、脱力および疲労を測定するように構成された、軸性運動機能(いわゆる「コインを集める」)に関する更なる試験を実施するか、またはそこからデータを獲得するように適合させることができる。かかる試験から獲得されるデータセットによって、軸性回転運動の範囲、時間経過に伴う動きの速度および数、ならびに進行中のゲーム状況に対する応答としての反応時間を特定することが可能になる(即ち、ボールは、画面の対向する部位間でユーザによって行ったり来たりさせる必要がある)。試験は、最初に対象における動きの精度の能力に関して校正を要する場合がある。
【0071】
(3)中枢運動機能の試験:モンスターを応援する
【0072】
モバイルデバイスは更に、発声能力を測定することによって近位中枢運動機能を測定するように構成された、中枢運動機能(いわゆる「モンスターを応援する」)に関する更なる試験を実施し、そこからデータを獲得するように適合させることができる。
【0073】
一般的に、上述の試験を、校正および力測定を可能にする特定のタスクを、対象ユーザが実施することを要求するコンピュータプログラムコードによって、同様にモバイルデバイスにおいて実現することができる。一般的に、かかるタスクは、対象がタスクを楽しく、したがって快適でリラックスしたやり方でデバイスにおいて実施することを要する、ゲーム内にマスキングすることができる。上記ゲームセットアップを使用することによって、タスクはまた、特に、小児または認知能力に障害がある対象によって実施することができる。更に、試験のゲーミングキャラクターは、対象が試験を実施する動機全体を改善することもできる。一般的に想到される上述の試験の例については、以下の添付の実施例に更に詳細に記載する。
【0074】
本発明の方法の更なる実施形態では、データセットがそこから得られるモバイルデバイスは、圧力測定のデータセットに加えて、遠位運動機能、軸性運動機能、および/または中枢運動機能に関する試験のうち少なくとも1つからのデータを、より一般的にはこれらのタイプのデータのいずれか1つを、少なくとも提供するように構成される。
【0075】
「モバイルデバイス」という用語は、本明細書で使用するとき、圧力測定のデータセットを得るのに適した、圧力センサおよびデータ記録機器、加速度計、およびジャイロスコープを少なくとも備える、任意のポータブルデバイスを指す。これはまた、モバイルデバイスにおける圧力測定試験を電子的にシミュレートする、データプロセッサおよびストレージユニット、ならびにディスプレイを要する場合がある。更に、対象の活動から、データが記録されコンパイルされて、モバイルデバイス自体または第2のデバイス上のどちらかで、本発明の方法によって査定されるデータセットとなるものとする。想到される特定のセットアップに応じて、獲得されたデータセットをモバイルデバイスから更なるデバイスに転送するため、モバイルデバイスがデータ送信機器を備えることが必要な場合がある。本発明によるモバイルデバイスとして特に良く適したものは、スマートフォン、ポータブルマルチメディアデバイス、またはタブレットコンピュータである。あるいは、データ記録および処理機器を備えるポータブルセンサを使用することができる。更に、実施される活動試験の種類に応じて、モバイルデバイスは、試験に対して実施されるべき活動に関する指示を対象に対して表示するように適合されるものとする。対象によって実施される特定の想到される活動は、本明細書のいずれかの箇所に記載され、遠位緊張低下試験ならびに本明細書に記載する他の試験を包含する。
【0076】
少なくとも1つのパラメータを決定することは、所望の測定値をパラメータとしてデータセットから直接導き出すことによって達成することができる。あるいは、パラメータは、データセットからの1つまたは複数の測定値を統合することができ、したがって、計算などの数学的動作によってデータセットから導き出すことができる。一般的に、パラメータは、自動化アルゴリズムによって、例えば、上記データセットによるデータ処理デバイスフィードに有形的に埋め込まれたとき、活動測定値のデータセットからパラメータを自動的に導き出すコンピュータプログラムによって、データセットから導き出される。
【0077】
「基準」という用語は、本明細書で使用するとき、対象の筋障害および特にSMAを評価することを可能にする弁別器を指す。かかる弁別器は、筋障害および特にSMAを患っている対象、または筋障害および特にSMAを患っていない対象を示す、パラメータの値であり得る。
【0078】
かかる値は、筋障害および特にSMAを患っていると分かっている対象の1つまたは複数のパラメータから導き出すことができる。一般的に、平均または中央値を、かかる事例における弁別器として使用することができる。対象からの決定されたパラメータが基準と同一であるか、または基準から導き出される閾値を上回る場合、対象は、かかる例では、筋障害および特にSMAを患っていると特定することができる。決定されたパラメータが基準と異なり、特に上記閾値未満の場合、対象は筋障害および特にSMAを患っていないと特定されるものとする。
【0079】
同様に、値は、筋障害および特にSMAを患っていないと分かっている対象の1つまたは複数のパラメータから導き出すことができる。一般的に、平均または中央値を、かかる事例における弁別器として使用することができる。対象からの決定されたパラメータが基準と同一であるか、または基準から導き出される閾値を下回る場合、対象は、かかる例では、筋障害および特にSMAを患っていないと特定することができる。決定されたパラメータが基準と異なり、特に上記閾値超過の場合、対象は筋障害および特にSMAを患っていると特定されるものとする。
【0080】
代替例として、基準は、実際のデータセットの前に同じ対象から得られている、圧力測定値のデータセットから以前に決定されたパラメータであることができる。かかる例では、以前に決定されたパラメータとは異なる、実際のデータセットから決定されたパラメータは、疾患またはそれに伴う症状の以前の状態、およびパラメータによって表される活動の種類に応じて、改善または悪化のどちらかを示すものとする。当業者であれば、活動の種類および以前のパラメータに基づいて、上記パラメータを基準としてどのように使用できるかが分かっている。
【0081】
決定された少なくとも1つのパラメータと基準との比較は、コンピュータなどのデータ処理デバイスに実装される、自動化比較アルゴリズムによって達成することができる。互いに比較されるのは、決定されたパラメータ、および本発明のいずれかの箇所で詳細に指定するような、上記決定されたパラメータに対する基準の値である。比較の結果として、決定されたパラメータが基準と同一であるか、または異なるかもしくは特定の関係にあるか(例えば、基準よりも大きいもしくは小さい)を評価することができる。上記評価に基づいて、対象を、筋障害および特にSMAを患っている(「ルールイン」)、または患っていない(「ルールアウト」)ものとして特定することができる。評価に関して、本発明による好適な基準に関連していずれかの箇所に記載されるように、基準の種類が考慮に入れられる。
【0082】
更に、決定されたパラメータと基準との間の差の度合いを決定することによって、対象における筋障害および特にSMAの定量的評価が可能であるものとする。疾患状態またはその症状の改善、悪化、もしくは不変を、実際の決定されたパラメータを以前に決定されて基準として使用したものと比較することによって、決定できることが理解されるべきである。上記パラメータの値における定量的な差に基づいて、改善、悪化、または不変状態を決定することができ、また任意に定量化することもできる。SMAを有する対象からの基準など、他の基準が使用される場合、特定の病期を集合的基準に割り振ることができる場合に、定量的な差が有意味であることが理解されるであろう。この病期に対して、悪化、改善、または不変の疾患状態を、かかる例に置いて決定することができ、また任意に定量化することもできる。
【0083】
上記診断、例えば対象における筋障害またはSMAの評価は、対象、または医療従事者もしくは臨床アナリストなどの別の人間に示される。一般的に、これは、モバイルデバイスまたは査定デバイスに表示することによって達成される。
【0084】
更に、1つまたは複数のパラメータはまた、モバイルデバイスに格納するか、または一般的にはリアルタイムで、対象に示すことができる。格納されたパラメータを組み合わせて、時間経過または類似の査定指標とすることができる。かかる査定されたパラメータは、本発明の方法に従って調査された活動能力に対するフィードバックとして対象に提供することができる。一般的に、かかるフィードバックは、モバイルデバイスの好適なディスプレイに電子形式として提供することができ、上述したような療法の推奨またはリハビリテーション指標とリンクさせることができる。
【0085】
更に、査定されたパラメータは、医院または病院の医療従事者、ならびに臨床試験に関連する診断試験の開発者もしくは薬物開発者、健康保険提供者、または公共もしくは個人ヘルスケアシステムの他の利害関係者など、ヘルスケア提供者に提供することができる。
【0086】
例示的に、対象のSMAを評価する本発明の方法は、次のように実施することができる。
【0087】
第一に、モバイルデバイスを使用して、上記対象から得られたセンサ測定値の既存のデータセットから、少なくとも1つのパラメータが決定される。上記データセットは、モバイルデバイスからコンピュータなどの査定デバイスに送信されていることができ、または少なくとも1つのパラメータをデータセットから導き出すために、モバイルデバイスで処理されていることができる。
【0088】
第二に、例えば、モバイルデバイスのデータプロセッサによって、または査定デバイス、例えばコンピュータによって実施される、コンピュータ実装比較アルゴリズムを使用することによって、決定された少なくとも1つのパラメータが基準と比較される。比較の結果は、比較に使用される基準に対して評価され、また上記評価に基づいて、対象がSMAを患っているまたはいない対象として特定される。
【0089】
第三に、上記診断、即ちSMAを患っているまたはいない対象としての対象の特定が、対象または医療従事者などの他の人間に示される。しかしながら、最終的な臨床診断または評価に関して、更なる因子またはパラメータが、臨床医によって考慮に入れられ得ることが理解されるであろう。
【0090】
「特定」という用語は、本明細書で使用するとき、対象がSMAを患っているか否かを特定の尤度で評価することを指す。したがって、評価は全てに対して適正ではない場合があることが理解されるであろう。しかしながら、調査された対象の統計的に有意な部分を、SMAを患っているものと評価する、即ち特定することができるものと、一般的に想到される。統計的有意性をどのように決定できるかについては、本発明のいずれかの箇所に記載する。特定は、本明細書で使用するとき、一般的に、最終結論ではなくヒントを提供することを指す。
【0091】
更に、代替としてまたは加えて、診断の基礎を成す少なくとも1つのパラメータがモバイルデバイスに格納される。一般的に、本明細書のいずれかの箇所で指定されるような、リハビリテーションまたは療法の推奨を電子的に支援することができる、モバイルデバイスに実装される時間経過組立てアルゴリズムなどの好適な査定ツールによって、他の格納されたパラメータと併せて査定されるものとする。
【0092】
有利には、本発明の基礎を成す研究において、SMA患者のセンサ測定値のデータセットから得られるパラメータを、それらの患者のSMAを評価する、即ちSMAを患っているそれらの患者を特定する、デジタルバイオマーカーとして使用できることが見出されている。上記データセットは、対象が能動もしくは受動圧力試験を実施する、スマートフォン、ポータブルマルチメディアデバイス、またはタブレットコンピュータなどのモバイルデバイスを使用することによって、便利な手法でSMA患者から獲得することができる。特に、他の活動がスマートフォンで実施される間に実施された受動的圧力測定によって得られたデータセットであっても、SMA患者の有意味な評価に十分な質のものであることが、本発明の基礎を成す研究において見出された。獲得されたデータセットを、その後、デジタルバイオマーカーとして好適なパラメータに関して、本発明の方法によって査定することができる。上記査定は、同じモバイルデバイスで実施することができ、または別個のリモートデバイスで実施することができる。更に、かかるモバイルデバイスを使用することによって、ライフスタイルまたは療法に対する推奨を患者に直接、即ち、医院もしくは病院救急車における医療従事者の助言なしに、提供することができる。本発明のおかげで、本発明の方法によって実際に決定されたパラメータを使用することにより、SMA患者の生活条件を、実際の疾患状態に合わせてより精密に調節することができる。それにより、より有効な薬物治療を選択することができ、または投薬計画を患者の現在の状態に適合させることができる。本発明の方法は、一般的に、対象からの活動測定値の既存のデータセットを要する、データ査定方法であることが理解されるべきである。このデータセット内で、方法は、SMAを評価するのに使用することができる、即ちSMAのデジタルバイオマーカーとして使用することができる、少なくとも1つのパラメータを決定する。更に、圧力測定のデータセットからのパラメータを使用する、本発明の方法は、SMA以外の筋障害の評価に適用することもできることが理解されるであろう。かかる評価に対して、SMAと同じ原理が適用されるものとする。
【0093】
したがって、本発明の方法は次のことに使用できる。
- 疾患状態を評価する
- 患者を実生活でモニタリングする
- 毎日患者をモニタリングする
- 特に臨床試験中の薬効を調査する
- 治療の意志決定を容易にする、および/または支援する
【0094】
上記した用語に関する説明および定義は、変更すべきことは変更して、本明細書で後述する実施形態に適用される。
【0095】
本発明はまた、コンピュータプログラム、コンピュータプログラム製品、または有形的に埋め込まれた上記コンピュータプログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体であって、コンピュータプログラムが、データ処理デバイスまたはコンピュータで実行すると、上述したような本発明の方法を実施する命令を含むこと、を想起する。具体的には、本開示は以下を更に包含する。
- 少なくとも1つのプロセッサを備え、プロセッサが、本明細書に記載の実施形態のうち1つによる方法を実施するように適合された、コンピュータまたはコンピュータネットワーク
- データ構造がコンピュータで実行されている間に、本明細書に記載の実施形態のうち1つによる方法を実施するように適合された、コンピュータロード可能データ構造
- プログラムがコンピュータで実行されている間に、本明細書に記載の実施形態のうち1つによる方法を実施するように、コンピュータプログラムが適合された、コンピュータスクリプト
- コンピュータプログラムがコンピュータまたはコンピュータネットワークで実行されている間に、本明細書に記載の実施形態のうち1つによる方法を実施するプログラム手段を備える、コンピュータプログラム
- プログラム手段がコンピュータ可読の記憶媒体に格納される、上述の実施形態によるプログラム手段を備える、コンピュータプログラム
- データ構造が記憶媒体に格納され、データ構造が、コンピュータもしくはコンピュータネットワークのメインおよび/または作業ストレージにロードされた後、本明細書に記載の実施形態のうち1つによる方法を実施するように適合された、記憶媒体
- プログラムコード手段を有し、プログラムコード手段がコンピュータもしくはコンピュータネットワークで実行される場合、本明細書に記載の実施形態のうち1つによる方法を実施するため、プログラムコード手段を記憶媒体に格納することができるか、またはそれが記憶媒体に格納される、コンピュータプログラム製品
- モバイルデバイスを使用して対象から得られた圧力測定値のデータセットを含む、一般的に暗号化された、データストリーム信号
- モバイルデバイスを使用して対象から得られた圧力測定値のデータセットから導き出される少なくとも1つのパラメータを含む、一般的に暗号化された、データストリーム信号
【0096】
少なくとも1つのセンサを備えるモバイルデバイスと、プロセッサおよびデータベースを備えるリモートデバイスであって、上記デバイスに有形的に埋め込まれており、上記デバイス上で実行すると、本発明の方法のいずれかを実施するソフトウェアを備える、リモートデバイスとを備え、上記モバイルデバイスおよび上記リモートデバイスが互いに動作可能にリンクされている、システム。
【0097】
「互いに動作可能にリンクされている」とは、一方のデバイスから他方のデバイスへのデータ転送が可能であるように、デバイスが接続されていることと理解されるべきである。一般的に、対象からデータを獲得するモバイルデバイスが少なくとも、獲得されたデータを処理のためにリモートデバイスに送信することができるように、本発明の方法のステップを実施するリモートデバイスに接続されることが想到される。しかしながら、リモートデバイスはまた、その適切な機能を制御または監督する信号など、データをモバイルデバイスに送信することができる。モバイルデバイスとリモートデバイスとの間の接続は、同軸、ファイバー、光ファイバー、またはツイストペア10BASE-Tケーブルなど、恒久的または一時的な物理的接続によって達成することができる。あるいは、Wi-Fi、セルラー、3G、4G、LTE、LTEアドバンスト、5G、ブルートゥースなどであるがそれらに限定されない、例えば電波を使用する、一時的または恒久的な無線接続によって達成することができる。更なる詳細を本明細書のいずれかの箇所に見出すことができる。データ獲得のため、モバイルデバイスは、画面または他のデータ獲得用機器などのユーザインターフェースを備えることができる。一般的に、活動測定は、モバイルデバイスが備える画面上で実施することができ、上記画面は、例えば5.1インチ画面を含む、異なるサイズを有し得ることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0098】
図1A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図1B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図2図1A~Bに示される診断試験による様々なセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(試験中における秒単位で最も長い「アー」の持続時間)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(努力性肺活量)と一致している。
図3A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図3B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図3C】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図4図3A~Cに示される実施例2の「モンスターをタップする」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(モンスターを叩くまでの中央時間)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(代償運動なしでCDの縁部をぐるっと回る)と一致している。
図5A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図5B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図6図5A~Bに示される実施例3の「トマトを握り潰す」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(指が画面に触れる秒単位の時間差)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(MFM004、MFM017、MFM018、MFM019、MFM020、MFM021、MFM022)と一致している。
図7A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図7B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図7C】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図7D】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図7E】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図8図7A~Eに示される実施例4の「軌跡を歩く」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(形状を描く秒単位の持続時間)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(20秒間で片手で10枚のコインを拾う)と一致している。
図9A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図9B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図9C】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図10図9A~Cに示される実施例5の「電話機の向きを変える」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(電話機の向きを変える秒単位の持続時間)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(テニスボールを拾い、次に手の向きを変える持続時間)と一致している。
図11A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図11B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図12図11A~Bに示される実施例6の「綱渡りをする」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(風の反応に対する加速の大きさの標準偏差)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(MFM32)と一致している。
図13A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図13B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図13C】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図14図13A~Cに示される実施例7の「コインを集める」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(30秒で集めたコインの数)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(テニスボールを拾い、次に手の向きを変える)と一致している。
図15A】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図15B】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図15C】本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様による、診断試験の例示的なスクリーンショットおよび進行を示す図である。ユーザは、「スタート」ボタンを選択してタスクを始める必要がある。
図16図15A~Cに示される実施例8の「ベルを鳴らす」診断試験によるセンサ特徴の結果を示すプロットである。センサ特徴(10秒間にわたるタッチ圧力の平均)の結果は、両方の研究において臨床アンカー(20秒間で片手で10枚のコインを拾う)と一致している。
図17A】5つの異なる機械学習(ML)方法を比較したプロットである。上の列は試験セット(即ち、ここでは一者抜き交差検証を適用したので、抜いた患者)における結果を示す。結果はOLEOS研究の患者に対して計算されている。結果は、全ての試験からの特徴に基づいたランダムフォレストおよびブースティングツリーモデルが、MFM32合計スコアを予測する可能性を有することを示している。
図17B】5つの異なる機械学習(ML)方法を比較したプロットである。上の列は試験セット(即ち、ここでは一者抜き交差検証を適用したので、抜いた患者)における結果を示す。y軸は図17Aに示されるものと同じ単位を有する。結果はOLEOS研究の患者に対して計算されている。結果は、全ての試験からの特徴に基づいたランダムフォレストおよびブースティングツリーモデルが、MFM32合計スコアを予測する可能性を有することを示している。
図17C】5つの異なる機械学習(ML)方法を比較したプロットである。上の列は試験セット(即ち、ここでは一者抜き交差検証を適用したので、抜いた患者)における結果を示す。y軸は図17Aに示されるものと同じ単位を有する。結果はOLEOS研究の患者に対して計算されている。結果は、全ての試験からの特徴に基づいたランダムフォレストおよびブースティングツリーモデルが、MFM32合計スコアを予測する可能性を有することを示している。
図18A】5つの異なるML方法を比較したプロットである。上の列は試験セット(即ち、ここでは一者抜き交差検証を適用したので、抜いた患者)における結果を示す。結果はOLEOS研究の患者に対して計算されている。結果は、線形回帰および部分的最小二乗回帰がFVCを予測する可能性を有することを示している。
図18B】5つの異なるML方法を比較したプロットである。上の列は試験セット(即ち、ここでは一者抜き交差検証を適用したので、抜いた患者)における結果を示す。y軸は図17Aに示されるものと同じ単位を有する。結果はOLEOS研究の患者に対して計算されている。結果は、線形回帰および部分的最小二乗回帰がFVCを予測する可能性を有することを示している。
図18C】5つの異なるML方法を比較したプロットである。上の列は試験セット(即ち、ここでは一者抜き交差検証を適用したので、抜いた患者)における結果を示す。y軸は図17Aに示されるのと同じ単位を有する。結果はOLEOS研究の患者に対して計算されている。結果は、線形回帰および部分的最小二乗回帰がFVCを予測する可能性を有することを示している。
図19】本明細書に記載する1つもしくは複数の例示的態様を実施するのに、全体または部分が使用されてもよい、相互接続されたコンピューティングシステムの例示的概略図である。
【実施例
【0099】
本明細書に記載する多くの様々な例示的態様に関して提供される、上述の詳細な説明およびアルゴリズムに加えて、以下の実施例は単に様々な実施形態を例示する。本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0100】
分析された患者コホートの特性を、2つの異なる研究で収集した。
【0101】
i)OLEOS研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02628743)
分析した参加者:20名
データ分析期間:最後2回の受診の間(176日)のスマートフォンデータ
【表1】
【0102】
ii)JEWELFISH研究(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03032172?term=BP39054)
分析した参加者:19名
【表2】
【0103】
実施例1:肺活量を決定するコンピュータ実装試験(試験:モンスターを応援する)である、中枢運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表3】
【0104】
肺気量を測定する試験を携帯電話機(iPhone)で実現した。図1~2を参照。患者は、30秒でモンスターがゴールラインに達するように、大きい「アー」という音を出すものとする。電話機は患者の正面で腕を伸ばしてテーブルの上に置く必要がある。「アー」という音が大きいほど、モンスターは速く走る。持続する発声を検出し、「アー」が止まるごとに発声をセグメント化する、音声検出器を使用した。患者は、声の最大持続時間を得ることを目的としたゲームで遊ぶ必要がある。試験の結果は秒単位の上記最大持続時間として表現される。標準的なピッチの変動を決定した。
【0105】
図2は、ミリメートル単位の努力性肺活量(FVC)とモンスターを応援する試験からの結果との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(FCV)と一致している。
【0106】
実施例2:圧力測定によって指の強度を決定するコンピュータ実装試験(試験:モンスターをタップする)である、中枢運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表4】
【0107】
圧力測定によって指の強度を圧力測定する試験を携帯電話機(iPhone)で実現した。図3~4を参照。患者は、モンスターが巣に戻るように、モンスターを人差し指でタップするものとする。電話機はテーブルの上に置かれなければならない。モンスターをできるだけ速くタップしなければならない。患者は使用する好きな方の手を選択しなければならない。患者は、1回のタップの最大圧力、モンスターが現れてからタップするまでの時間の中央値、ならびに30秒の期間内でタップしたモンスターの合計数を得ることを目的として、30秒間ゲームで遊ぶ必要である。最大圧力の標準偏差、最大圧力の中央値、1回のタップの最大圧力、モンスターが現れてから叩くまでの中央時間、ならびに30秒内で得られたモンスター叩きの合計回数を決定した。真のモンスター叩きは試験によってプロトコル化したイベントであった。このデータは転送され、モンスター叩きの時間スタンプが、モンスターを叩くまでの中央時間を計算するのに使用された。
【0108】
図4は、臨床アンカー試験とモンスターを応援する試験からの結果(time to hit_50%)との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(指を用いてCDの縁部をぐるっと回る)と一致している。
【0109】
実施例3:検出された全ての二重接触に関して第1および第2の指による画面タッチの間の遅れ時間を測定することによって、2つの指(同じ手のパンチおよび人差し指)の同期性を決定するコンピュータ実装試験(試験:トマトを握り潰す)である、遠位運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表5】
【0110】
ダブルタッチの非同時性(DTA)に関する試験を携帯電話機(iPhone)で実現した。図5~6を参照。患者は、指示された手の親指と人差し指との間で摘まむことによって、30秒以内でできるだけ多くのトマトを握り潰すものとする。電話機はテーブルの上に置く必要がある。関連する手を選択する必要がある。患者は30秒間ゲームで遊ぶ必要がある。
【0111】
図6は、臨床アンカー試験とトマトを握り潰すことによる結果との相関(DTA)を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカーと一致している。
【0112】
実施例4:数字の「8」を描くのに要した時間を測定することによって決定するコンピュータ実装試験(試験:軌跡を歩く)である、中枢運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表6】
【0113】
試験は携帯電話機(iPhone)で実現した。図7~8を参照。患者は、好きな方の手の人差し指を使用して、できるだけ正確に形状を進むものとする。電話機はテーブルの上に置かなければならない。好きな方の手を選択しなければならない。患者は最も大きい点から開始しなければならない。形状の1つは数字の「8」である。形状の1つは棒である。形状の1つは正方形である。形状の1つは円である。形状の1つはらせんである。患者は、30秒間ゲームで遊び、正確さを失うことなくできるだけ迅速に形状を進む必要がある。
【0114】
図8は、臨床アンカー試験と軌跡を歩く試験による結果(「8」を描く時間)との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(20秒間で片手で10枚のコインを拾う)とは明確に関係していない。
【0115】
実施例5:電話機の向きを変えるのに要する時間を測定することによって決定するコンピュータ実装試験(試験:電話機の向きを変える)である、軸性運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表7】
【0116】
試験は携帯電話機(iPhone)で実現した。図9~10を参照。患者は、好きな方の手で10秒間、電話機を繰り返し上に向けたり下に向けたりするものとする。電話機は好きな方の手で保持するべきである。腕は患者の正面でできるだけ伸ばさなければならない。患者は、腕の位置、即ちいっぱいに伸ばす、肘を宙に浮かせた状態で曲げる、肘を肘掛けに載せる、または手をテーブルの上に載せることを示すものとする。1回の向き変えの転回速度ならびに10秒での向き変えの数が測定される。
【0117】
図10は、臨床アンカー試験と電話機の向きを変える試験による結果(秒単位での1回の向き変えの最大速度)との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(テニスボールを拾い、次に手の向きを変える)と明確に関係している。臨床アンカーに関しては、単位はない。0、1、2、3、または4のスケール上にある。2と3との間の値は、2回の連続する受診の臨床測定値の平均を示している。選択された特徴は、角速度(rad/s)での指標としての、転回ごとの平均最大転回速度である。特徴(1回の向き変えの秒単位での最大速度)を、検出されセグメント化された転回に基づいて計算した。
【0118】
実施例6:突然の風の動きに対して反応/補償しながら、電話機の向きを変えたときに生じる加速の変動を測定することによって決定するコンピュータ実装試験(試験:綱渡りをする)である、軸性運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表8】
【0119】
試験は携帯電話機(iPhone)で実現した。図11~12を参照。患者は、風が吹いてモンスターのバランスを崩そうとしている間、ロープ上のモンスターのバランスを取るものとする。電話機は両手で保持するべきである。モンスターのバランスを取るには、電話機を左右に傾ける必要がある。風の影響に更に対抗するため、電話機を回転させることができる。患者は、腕の位置、即ちいっぱいに伸ばす、肘を宙に浮かせた状態で曲げる、肘を肘掛けに載せる、または手をテーブルの上に載せることを示すものとする。試験は30秒間続く。
【0120】
図12は、臨床アンカー試験と綱渡りをする試験による結果(m/s単位の風の反応に対する加速の大きさの標準偏差)との相関を示している。試験では、モンスターのバランスを取るとき、風が邪魔をする場合があり、これはその後の最初の2秒での反応である。また手の動きの変動がどの程度起こっているかは、これは1回の試験実施における風の邪魔全体に対する平均である。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(MFM32)と明確に関係している。
【0121】
実施例7:患者が電話機を高速で左右に傾けてコインを集めなければならない、集めたコインの数を測定することによって決定するコンピュータ実装試験(試験:コインを集める)である、軸性運動機能試験を使用したデータセット獲得
【表9】
【0122】
試験は携帯電話機(iPhone)で実現した。図13~14を参照。電話機は両手で保持するべきである。患者は、電話機を高速で左右に傾けることによって、できるだけ多くのコインを集めるものとする。患者は、腕の位置、即ちいっぱいに伸ばす、肘を宙に浮かせた状態で曲げる、肘を肘掛けに載せる、または手をテーブルの上に載せることを示すものとする。試験は30秒間続く。特徴(集めたコインの最大数)は、試験で集めたコインの数である。
【0123】
図14は、臨床アンカー試験とコインを集める試験による結果(集めたコインの最大数)との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(テニスボールを拾い、次に手の向きを変える)と明確に関係している。
【0124】
実施例8:指の強度を決定するコンピュータ実装試験(試験:ベルを鳴らす)である、遠位運動機能試験を使用した圧力データセット獲得
【表10】
【0125】
指によって掛けられる圧力を測定する試験を携帯電話機(iPhone)で実現した。図15~16を参照。電話機はテーブルの上に置かれなければならない。患者は、ベルが鳴るように、ディスプレイの表面に最大圧力をかけるものとする。これは、画面の打上げボタンを好きな方の手の人差し指でできるだけ強く、少なくとも10秒間押さなければならないことを意味する。手首および他の指はテーブルの上に載せなければならない。試験は、患者の指による圧力印加を測定するように適合された。患者は、最大圧力および最大圧力印加の持続時間を得る目的で、ゲームで遊ぶ必要がある。試験は、対象の指によって最初に加えることができる、最大圧力に対する校正を必要とした。ベルを鳴らす試験の結果は、上記最大圧力のパーセンテージとして表される。試験は10秒間続く。
【0126】
図16は、臨床アンカー試験とベルを鳴らす試験による結果(ゲーム中に掛けられる平均タッチ圧力)との相関を示している。センサ特徴の結果は、両方の研究において臨床アンカー(20秒間で片手で10枚のコインを拾う)と明確に関係している。
【0127】
図19は、本明細書に記載する1つまたは複数の例示的態様を実現するのに使用されてもよい、ネットワークアーキテクチャおよびデータ処理デバイスの一例を示している。様々なネットワークノード303、305、307、および309が、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(WAN)301を介して相互接続されてもよい。専用イントラネット、企業ネットワーク、LAN、無線ネットワーク、パーソナルネットワーク(PAN)などを含む、他のネットワークも加えて、または代わりに使用されてもよい。ネットワーク301は、例示目的のものであり、より少数のまたは追加のコンピュータネットワークと置き換えられてもよい。ローカルエリアネットワーク(LAN)は、任意の知られているLANトポロジーの1つまたは複数を有してもよく、イーサネットなど、様々な異なるプロトコルの1つまたは複数を使用してもよい。デバイス303、305、307、309、および他のデバイス(図示なし)は、ツイストペアワイヤ、同軸ケーブル、光ファイバー、電波、または他の通信媒体を介して、ネットワークの1つまたは複数に接続されてもよい。
【0128】
「ネットワーク」という用語は、本明細書で使用し図面に図示するとき、リモート記憶デバイスが1つまたは複数の通信経路を介して互いに結合されるシステムだけでなく、記憶能力を有するようなシステムに時々結合されてもよい、スタンドアロン型デバイスも指す。結論として、「ネットワーク」という用語は、「物理的ネットワーク」だけではなく、全ての物理的ネットワークにわたって常駐する(単一のエンティティに属することができる)データで構成される「コンテンツネットワーク」も含む。
【0129】
構成要素は、データサーバ303と、ウェブサーバ305と、クライアントコンピュータ307、309とを含んでもよい。データサーバ303は、データベースの全体的なアクセス、制御、および管理と、本明細書に記載する1つまたは複数の例示的な態様を実施する、ソフトウェアの制御とを提供する。データサーバ303は、ウェブサーバ305に接続されてもよく、それを通してユーザが必要に応じてデータと対話し、データを得る。あるいは、データサーバ303は、ウェブサーバ自体として作用してもよく、インターネットに直接接続されてもよい。データサーバ303は、ネットワーク301(例えば、インターネット)を通して、直接もしくは間接的接続を介して、または他の何らかのネットワークを介して、ウェブサーバ305に接続されてもよい。ユーザは、リモートコンピュータ307、309を使用して、例えば、ウェブサーバ305がホストする1つまたは複数の外部に露出したウェブサイトを介して、データサーバ303に接続するウェブブラウザを使用して、データサーバ303と対話してもよい。クライアントコンピュータ307、309は、データサーバ303と協力して、格納されたデータにアクセスするのに使用されてもよく、または他の目的で使用されてもよい。例えば、ユーザは、クライアントデバイス307から、当該分野で知られているようにインターネットブラウザを使用して、またはコンピュータネットワーク(インターネットなど)を通じて、ウェブサーバ305および/またはデータサーバ303と通信するソフトウェアアプリケーションを実行することによって、ウェブサーバ305にアクセスしてもよい。いくつかの実施形態では、クライアントコンピュータ307は、スマートフォン、スマートウォッチ、または他のモバイルコンピューティングデバイスであってもよく、診断デバイスを実装してもよい。いくつかの実施形態では、データサーバ303はサーバを実装してもよい。
【0130】
サーバおよびアプリケーションは、同じ物理的機械上で組み合わされ、別個の仮想もしくは論理アドレスを保持してもよく、または別個の物理的機械に常駐してもよい。例えば、ウェブサーバ305およびデータサーバ303によって提供されるサービスは、単一のサーバ上で組み合わされてもよい。
【0131】
各構成要素303、305、307、309は、任意のタイプの知られているコンピュータ、サーバ、またはデータ処理デバイスであってもよい。データサーバ303は、例えば、レートサーバ303の動作全体を制御するプロセッサ311を含んでもよい。データサーバ303は更に、RAM 313と、ROM 315と、ネットワークインターフェース317と、入出力インターフェース319(例えば、キーボード、マウス、ディスプレイ、プリンタなど)と、メモリ321とを含んでもよい。I/O 319は、データもしくはファイルの読取り、書込み、表示、および/または印刷のための、様々なインターフェースユニットおよびドライブを含んでもよい。メモリ321は更に、データ処理デバイス303の動作全体を制御するオペレーティングシステムソフトウェア323と、本明細書に記載する態様を実施するようにデータサーバ303に命令する制御論理325と、本明細書に記載する他の態様と併せて使用されてもされなくてもよい、二次的、補助的、および/または他の機能性を提供する他のアプリケーションソフトウェア327とを格納してもよい。制御論理は、本明細書では、データサーバソフトウェア325と呼ばれることもある。データサーバソフトウェアの機能性とは、制御論理にコード化されたルールに基づいて自動的に行われる動作または決定、システムに入力を提供するユーザによって手動で行われる動作または決定、ならびに/あるいはユーザ入力(例えば、クエリ、データ更新など)に基づいた自動処理の組み合わせを指すことがある。
【0132】
メモリ321はまた、第1のデータベース329および第2のデータベース331を含めて、本明細書に記載する1つまたは複数の態様を実施するのに使用されるデータを格納してもよい。いくつかの実施形態では、第1のデータベースは第2のデータベース(例えば、別個の表、レポートなどとして)を含んでもよい。つまり、情報は、システム設計に応じて、単一のデータベースに格納するか、または異なる論理的、仮想、または物理的データベースに分割することができる。デバイス305、307、309は、デバイス303に関して記載したような、類似のまたは異なるアーキテクチャを有してもよい。当業者であれば、本明細書に記載するようなデータ処理デバイス303(またはデバイス305、307、309)の機能性は、例えば、複数のコンピュータにわたって処理負荷を分散するため、地理的位置、ユーザのアクセスレベル、サービス品質(QoS)などに基づいて取引を区別するためなど、複数のデータ処理デバイスにわたって拡散させてもよいことを理解するであろう。
【0133】
本明細書に記載する1つまたは複数の態様は、本明細書に記載するような1つもしくは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される、1つまたは複数のプログラムモジュールの形など、コンピュータ使用可能もしくは可読データおよび/またはコンピュータ実行可能命令の形で具体化されてもよい。一般に、プログラムモジュールは、コンピュータもしくは他のデバイスのプロセッサで実行されると、特定のタスクを実施するか、または特定の抽象データタイプを実現する、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含む。モジュールは、ソースコードプログラミング言語で記述され、続いて実行のためにコンパイルされてもよく、またはHTMLもしくはXMLなど(であるがそれらに限定されない)、スクリプト型言語で記述されてもよい。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光学ディスク、リムーバブル記憶媒体、固体メモリ、RAMなど、コンピュータ可読媒体に格納されてもよい。当業者には理解されるように、プログラムモジュールの機能性は、様々な実施形態において、所望のように組み合わせられるかまたは分散されてもよい。加えて、機能性は、集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)など、ファームウェアまたはハードウェアの等価物において全体もしくは一部が具体化されてもよい。特定のデータ構造は、1つまたは複数の態様をより有効に実現するのに使用されてもよく、かかるデータ構造は、本明細書に記載するコンピュータ実行可能命令およびコンピュータ使用可能データの範囲内で想起される。
【0134】
図20は、対象の能動的な検査に基づいて、筋障害、特にSMAの運動機能を評価する、一例の方法を説明する。方法は、診断タスクを実施するように対象に指示することを含む、ステップ205に進むことによって始まる。いくつかの実施形態では、診断タスクは、筋障害、特にSMAを査定し評価するため、十分に確立された方法および標準化された試験の後に、固定されるかまたはモデル化される。
【0135】
方法は、対象が1つまたは複数の診断タスクを実施するのに応答して、1つまたは複数のセンサを介して複数の第2のセンサデータを受信することを含む、ステップ210に進む。対象が1つまたは複数の診断タスクを実施するのに応答して、診断デバイスは、デバイスと関連付けられた1つまたは複数のセンサを介して複数のセンサデータを受信する。方法は、受信したセンサデータから、筋障害、特にSMAの軸性運動機能と関連付けられた第2の複数の特徴を抽出することを含む、ステップ215に進む。
【0136】
方法は、少なくとも、抽出したセンサデータに基づいて、筋障害、特にSMAの軸性運動機能の評価を決定することを含む、ステップ220に進む。
【0137】
上述したように、本開示による診断を使用した、筋障害、特にSMAの症状の重篤度および進行の評価は、臨床結果に基づいた評価と十分に相関し、したがって、臨床的な対象のモニタリングおよび検査に取って代わることができる。本開示による診断について、筋障害がある対象群、特にSMAの対象で研究した。対象には、1つまたは複数の運動機能試験を含むスマートフォンアプリケーションを提供した。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17A
図17B
図17C
図18A
図18B
図18C
図19
図20
【国際調査報告】