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▶ ジボダン エス エーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】固体の共晶抽出
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/10 20160101AFI20220818BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 31/192 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 31/12 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 31/7048 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 36/906 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 36/75 20060101ALI20220818BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220818BHJP
   A23L 5/47 20160101ALI20220818BHJP
   C12G 1/00 20190101ALI20220818BHJP
   C12G 3/06 20060101ALI20220818BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20220818BHJP
【FI】
A23L27/10 A
A61K45/00
A61K31/192
A61K31/12
A61P39/06
A61P29/00
A61P3/02 101
A61P31/00
A61K31/7048
A61K36/53
A61K36/906
A61K36/75
A23L33/105
A23L5/47
C12G1/00
C12G3/06
A23K10/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575279
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020067104
(87)【国際公開番号】W WO2020254579
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1908878.0
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ラゲール,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ビリ,アントワーヌ チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ビルティク,シモナ
(72)【発明者】
【氏名】ゲリン,セリーネ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴォード,アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】テノン,マテュー
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B047
4B115
4C084
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
2B150AE01
2B150BE04
2B150CE23
2B150DA28
2B150DA43
4B018LB08
4B018LB09
4B018LB10
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4B018MD08
4B018MD09
4B018MD18
4B018MD19
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4B018MD28
4B018MD29
4B018MD32
4B018MD53
4B018MD61
4B018MD66
4B018ME06
4B018ME14
4B018MF01
4B047LB03
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4B047LG06
4B047LG08
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4B047LG14
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4C084AA17
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4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB311
4C084ZB312
4C084ZC221
4C084ZC222
4C086AA10
4C086EA11
4C086GA17
4C086NA20
4C086ZB11
4C086ZB31
4C086ZC22
4C088AB38
4C088AB62
4C088AB81
4C088AC04
4C088BA08
4C088BA11
4C088BA13
4C088CA08
4C088NA20
4C088ZB11
4C088ZB31
4C088ZC22
4C206AA10
4C206CB14
4C206DA16
4C206KA18
4C206NA20
4C206ZB11
4C206ZB31
4C206ZC22
(57)【要約】
本発明は、以下に関する:深共晶溶媒(DES)をハイドロトロピック剤として使用した生物学的抽出物を調製するための方法および使用、深共晶溶媒(DES)をハイドロトロピック剤として使用して形成された生物学的抽出物を精製するための方法、前記方法および使用を用いて得られた生物学的抽出物、および、生物学的抽出物の、食品、フレーバーおよびフレグランス、医薬品、化粧品、栄養補助食品およびサプリメント(食品サプリメントおよびスポーツ用サプリメント等)などにおける使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体の生物学的抽出物を提供するための方法であって、以下:
i)生物学的材料を、水および深共晶溶媒(DES)を含む抽出溶液と混合すること;および
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること、
を含む、前記方法。
【請求項2】
固体の生物学的抽出物を提供するための方法であって、以下:
i)生物学的材料を、深共晶溶媒(DES)を含む抽出溶液と混合すること;および
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること、
を含み、ここで、ステップi)の溶液が水を含まない、前記方法。
【請求項3】
生物学的抽出物が、少なくとも2重量%の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物が、生物学的材料からの、以下を包含するフェノール化合物:フェノール酸(サリチル酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミン、デメトキシクルクミンまたはビスデメトキシクルクミンおよびその誘導体など)、ビキシン、カプサイシノイド、カンナビノイド、ピラノアントシアニン、スチルベン、フェノールアルコール、フェノール脂質(ショウガオールまたはユビキノールなど)、シリマリン、アルカロイド、脂質、フェニルプロパノイド、クマリン(ジメトキシクマリンなど)、有機酸(リンゴ酸または酒石酸など)、以下を包含するテルペノイド:モノテルペノイド、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物の1つ以上を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
生物学的抽出物が、生物学的材料に存在する少なくとも2重量%のカルノシン酸および/またはその誘導体および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
生物学的抽出物が、生物学的材料に存在する少なくとも2重量%のクルクミンおよび/またはクルクミノイドおよび/またはその誘導体および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
生物学的材料が、液体形態または固体形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
生物学的材料が、植物の生物学的材料である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
植物の生物学的材料が、植物の根、植物の地上部、またはそれらの混合物から得られたかまたは得ることができる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
植物の生物学的材料が、シソ科の種の少なくとも1つの植物から得られたかまたは得ることができる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
シソ科の種の少なくとも1つの植物が、バジル、ミント、ローズマリー、セージ、セイボリー、マジョラム、オレガノ、ヒソップ、タイム、ラベンダー、エゴマのうちの1つ以上およびそれらの混合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの植物が、ショウガ科の植物(ウコンなど)または柑橘類属の植物(C. sinensis、C. medica、C. reticulateなど)である、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
DESが、メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸、および尿素から選択される少なくとも2つの化合物を組み合わせることによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
a.メチルアミンが、N-トリメチルアミンオキシド(TMAO)、ベタイン、グリセロホスホコリン、カルニチン、ホマリン、塩化コリン、およびジメチルスルホノプロピオナート(DMSP)を含むメチルスルホニウム溶質、ならびにそれらの誘導体、例えば、ベタインハライド(ベタインHCl)などのそれらのハロゲン化物形態から選択され;
b.有機酸が、レブリン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、ピルビン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、シトラコン酸、グルタル酸、グリコール酸、酢酸、アコニチン酸、酒石酸、アスコルビン酸、マロン酸、シュウ酸、グルクロン酸、ノイラミン酸、シアル酸、シキミン酸、フィチン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、ヒアルロン酸、ヒドロキシクエン酸、ラクトン誘導体およびそれらの誘導体から選択され;
c.糖が、トレハロース、グルコース、スクロース、ラクトース、リボース、フルクトース、ガラクトースおよびそれらの誘導体から選択され;
d.ポリオールが、グリセロール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、リビトール、アルドニトール、プロパンジオール、イノシトール、ペンチレングリコール、およびそれらの誘導体(o-メチル-イノシトールなど)から選択され;
e.アミノ酸が、グリシン、プロリン、タウリン、リシン、およびそれらの誘導体(エクトイン、サルコシン、テアニン、ジメチルグリシンなど)から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
DESが、尿素とベタイン、グリセロールとベタイン、ピルビン酸とベタイン、塩化コリンと尿素、グリセロールと塩化コリン、リンゴ酸と塩化コリン、レブリン酸とベタイン、乳酸とベタイン、ソルビトールとレブリン酸、ベタインとソルビトール、プロリンとレブリン酸、ベタインとプロリン、ベタインとグルコース、プロリンとグルコース、リシンとレブリン酸、グリセロールとソルビトール、グリセロールと乳酸、グルコースとレブリン酸、キシリトールとレブリン酸、ソルビトールと乳酸、尿素とベタインHCl、またはグリセロールとレブリン酸である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(i)で使用される抽出溶液中のDESの濃度が、少なくともDESの最小ハイドロトロピック濃度(MHC)である、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
DESの濃度が、DESの最小ハイドロトロピック濃度(MHC)の約1~約20倍、例えば約2~約16倍または約4~約8倍である、請求項14または15に記載の方法。
【請求項18】
DESが抽出溶媒中に、抽出溶媒の総重量に対して1重量%~約100重量%の濃度で存在する、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
生物学的材料が、水およびDESを含む抽出溶媒と混合され、ここでDESの濃度が、抽出溶媒の約1重量%~約99重量%である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
vi)ステップ(iv)または(v)で得られた固体を水で約1~約10回以上洗浄し、得られた固形物を回収し、および任意に固形物を乾燥すること;
をさらに含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか一項に規定の方法を使用して得られたかまたは得ることができる、生物学的抽出物。
【請求項22】
抽出物が、少なくとも0.05重量%の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物の抽出物を含む、請求項21に記載の生物学的抽出物。
【請求項23】
抽出物が、約2重量%以上の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物の抽出物、または約10重量%以上の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物の抽出物を含む、請求項22に記載の生物学的抽出物。
【請求項24】
抽出物が、約2重量%以上のカルノシン酸および/またはヘスペリジンの抽出物を含む、請求項22または23に記載の生物学的抽出物。
【請求項25】
抽出物が、約2重量%以上のクルクミンおよび/またはクルクミノイドの抽出物を含む、請求項22または23に記載の生物学的抽出物。
【請求項26】
抽出物が、約2重量%以下のDESの抽出物または約0.04重量%以下のDESの抽出物を含む、請求項21~25のいずれか一項に記載の生物学的抽出物。
【請求項27】
抽出物が、1つ以上の抗酸化化合物、抗微生物化合物、抗炎症化合物、着色料または色素、ビタミン、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾化合物を含む、請求項21~26のいずれか一項に記載の生物学的抽出物。
【請求項28】
抗酸化剤、抗微生物剤、抗炎症剤として、着色料または色素として、ビタミンとして、界面活性剤として、フレーバー剤として、フレグランスとして、および/または味覚修飾剤として使用するための、請求項21~26のいずれか一項に記載の生物学的抽出物。
【請求項29】
請求項21~26のいずれか一項に記載の生物学的抽出物の、抗酸化剤、抗微生物剤、抗炎症剤としての、着色料または色素としての、ビタミンとしての、界面活性剤としての、フレーバー剤としての、フレグランスとしてのおよび/または味覚修飾剤としての、使用。
【請求項30】
栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品または食品製品、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー剤、医薬品、獣医学用組成物、またはワイン醸造もしくは化粧品配合物において使用するための請求項21~26のいずれか一項に記載の生物学的抽出物。
【請求項31】
請求項21~26のいずれか一項に記載の生物学的抽出物、および任意に、薬学的/獣医学的に許容し得る成分、例えば賦形剤もしくは担体、または食品に許容し得る成分またはそれらの混合物を含む、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品または食品製品、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー剤、医薬品、獣医学用組成物、またはワイン醸造もしくは化粧品配合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は以下に関する:深共晶溶媒(DES)をハイドロトロピック剤として使用した生物学的抽出物を調製するための方法および使用、深共晶溶媒(DES)をハイドロトロピック剤として使用して形成された生物学的抽出物を精製するための方法、前記方法および使用を用いて得られた生物学的抽出物、および、生物学的抽出物の、食品、フレーバーおよびフレグランス、医薬品、化粧品、栄養補助食品およびサプリメント(食品サプリメントおよびスポーツ用サプリメント等)などにおける使用。
【背景技術】
【0002】
植物材料に存在するもの等の天然分子は、多種多様な液体有機溶媒、例えばアルコール、アセトンまたはヘキサンなどにより抽出、可溶化、および/または安定化可能であるが、しかしこれらの溶媒は主に石油由来であり、環境に有害な揮発性有機化合物を放出するという固有の問題がある。
超臨界流体、主に二酸化炭素もこの目的に使用することができるが、これらは、産業レベルでは多くの場合に費用効果が低い。
水は、一般に再生可能であると考えられている天然溶剤である。しかし、その高い極性は、抽出される分子のプロファイルを大幅に制限する。典型的には、親油性/非水溶性分子の抽出は容易ではない。
【0003】
したがって、既存の抽出方法を改善して、親油性/非水溶性活性化合物の比率が異なる改善された品質の生物学的抽出物を調製すると共に、揮発性有機化合物の排出を減らすことによってかかる方法の環境への影響を低減する必要がある。
ハイドロトロピック剤は水溶性有機化合物であり、「MHC」(最小ハイドロトロピック濃度)として知られる特定の濃度以上で、通常の条件下では水にほとんど溶けない有機化合物の溶解度を大幅に向上させる。
最小ハイドロトロピック濃度(MHC)は、ハイドロトロープが凝集体を形成し始めた時およびその後の濃度であり、すなわち、化合物を希釈した場合に観察されるものとは異なり、かつハイドロトロピック挙動とは異なる物理的特性を持つ、新しい微小環境である。
【0004】
MHCは、表面張力、導電率、動的および静的光散乱の測定などのいくつかの物理化学的方法を使用して(RE, Coffman, DO, Kildsig, Self-association of nicotinamide in aqueous solution: Light-scattering and vapor pressure osmometry studies (1996) 85(8): 848-853)、または親油性化合物の可溶化曲線をプロットすることによって(可溶化溶質の含有量に対するハイドロトロープ濃度)、決定することができる。スーダンレッド(Sudan red)またはジスパースレッド13(disperse red 13)という、分光光度法で簡単に分析できる2つの親油性色素を、参照として使用することができる。
「ハイドロトロピー」という用語はCarl A. Neuberg(C. Neuberg, Hydrotropic phenomena, Biochem. Z. 76 (1916) 107)によって新造され、「ハイドロトロープ」または「ハイドロトロピック剤」と呼ばれる特定の両親媒性分子構造の、水中に存在する場合に難溶性化合物の水溶性を高める能力を説明する。
ハイドロトロープは典型的には両親媒性であり、イオン性(アニオン性、カチオン性、双性イオン性)または非イオン性であり得て(レゾルシノール、ニコチンアミド、アルキルポリグリコシドなど)、様々な構造、例えば芳香族、脂肪族、または環状などを有し得る。
【0005】
それらはミセルのようなコロイドを形成しないが、溶質と非共有相互作用を形成することによって溶解度を改善すると考えられている(V. Kumar, C. Raja, C. Jayakumar, A review on solubility enhancement using hydrotropic phenomena, Int. J. Pharm. Pharm. Sci. 6 (2014) 1-7)。
ハイドロトロピック分子は、π-πまたは引力双極子-双極子相互作用などのファンデルワールス相互作用を介して、水溶液中に難溶性の分子と相互作用すると考えられている(M. Neumann, C. Schmitt, K. Prieto, et al., The photo physical determination of the minimum hydrotrope concentration of aromatic hydrotropes, J. Colloid. Interface. Sci. 315 (2007) 810-813)。
ハイドロトロープは典型的に、その中に疎水性画分と親水性画分の両方を含有する。界面活性剤と比較すると、それらは非常に小さな疎水性画分のみを含有する(N. Kapadiya, I. Singhvi, K. Mehta, K. Gauri, D. Sen, Hydrotropy: a promising tool for solubility enhancement: a review, Int. J. Drug Dev. Res. 3 (2011) 26-33)。
【0006】
近年、少なくとも2つの成分の結合によって形成される新しいクラスの溶媒が、従来の溶媒の代替として出現した(Welton T. Room-temperature ionic liquids. Solvents for synthesis and catalysis. Chem. Rev. 1999, 99, 2071-2084; Smith EL, AP Abbott, KS Ryder. Deep Eutectic Solvents (DESs) and their applications. Chem. Rev. 2014, 114, 11060-11082)。これらの新しい溶媒は、深共晶溶媒(DES)として知られている。
DESは、単離されたその成分の融点よりもはるかに低い融点を有する化合物の混合物である。その名称は、1884年に英国の医師Guthrieによって初めて使用された「簡単に溶ける」を意味するギリシャ語の「eutektis」に由来する。Abbott et al.によりEP 1324979において、共晶混合物の形成による融点の低下は分子間水素結合の確立に起因すると記載されたこの現象は、化学種間の空間の体積を増加させ、それによってその移動度を増加させて、液体またはより低い粘性となるようにする効果がある。
【0007】
しかし、DESの一般的な欠点の1つは、粘度が比較的高いために、抽出および配合溶媒または合成用の反応媒体としての使用が妨げられることである。実際、それらの高粘度は、化学種の物質移動を妨げるだけでなく、取り扱いの困難さにもつながる(例えば、濾過、デカンテーション、および溶解)。さらに、それらの分解点が一般にそれらの沸点(もしあれば)より前に到達されるという事実のために、抽出物または配合物からのその除去は、蒸留または真空蒸発などの費用効果の高い技術では不可能である。
本明細書における明らかに以前に公開された文書のリストまたは議論は、必ずしもその文書が最先端または一般的な知識の一部であることの承認として解釈されるべきではない。
【発明の開示】
【0008】
生物学的抽出物を提供する方法
本発明者らは、驚くべきことに、そして予想外に、親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を含む固体の生物学的抽出物が、生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水およびDESを含む抽出溶液と組み合わせる/混合することによって得ることができることを見出した。
本発明は、以下を含む、固体の生物学的抽出物を提供するための方法を提供する:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合すること;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
【0009】
以下では、この方法を本発明の方法と呼ぶ。
本発明の方法の特定の態様において、ステップi)において抽出溶液は、DESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む。
本発明の方法の特定の態様において、ステップi)において、DESを含む抽出溶液は、水を含まない。
したがって特定の態様において、以下を含む、固体の生物学的抽出物を提供するための方法が提供される:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、DESを含む抽出溶液と混合すること;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること、
ここで、ステップi)の溶液は水を含まない。
【0010】
本発明はまた、生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)から固体の生物学的抽出物を提供するための、水およびDESを含む抽出溶液の使用を提供し、ここで該使用は、以下を含む:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合すること;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
この使用を、以下において本発明の使用と呼ぶ。
【0011】
本発明の使用の特定の態様において、ステップi)において、抽出溶液は、DESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む。
本発明の使用の特定の態様において、ステップi)において、DESを含む抽出溶液は水を含まない。
本明細書に記載の方法および使用において、抽出溶媒は、水およびDESを含み得るか、それらからなり得るか、またはそれらから本質的になり得る。
本発明の方法および使用の特定の態様において、ステップi)において、抽出溶液は、DESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満の水、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む。
任意に、抽出溶媒または溶液は、DESを含み得るか、それからなり得るか、またはそれから本質的になり得、および前記溶液は、水を含まない、すなわち実質的に水を含まない。本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない」は、記載される抽出物が低濃度の水(例えば、抽出物の最大で0.1重量%または0.01重量%または0.001重量%または0.0001重量%までの水)を含み得ることを意味する。
【0012】
生物学的抽出物が、ステップ(i)から(v)を含む本明細書に記載の方法または使用を用いて得られる場合、生物学的抽出物は、例えば粗製固体または半固体の生物学的抽出物であると見なされ得る。
本明細書で使用する場合、用語「固体の生物学的抽出物」は、生物学的抽出物の少なくとも50重量%、例えば少なくとも75重量%または少なくとも90重量%または99重量%が、閉じ込められていない場合にその形状と密度を保持する物質の形態であることを意味することを意図している。
本明細書で使用する場合、用語「水およびDESを含む抽出溶液または溶媒」は、DESの最小ハイドロトロピック濃度(MHC)以上の濃度でDESを含有する水溶液を意味することを意図している。
本明細書で使用する「DESを含む抽出溶媒または溶液は水を含まない」という用語は、DESの最小ハイドロトロピック濃度(MHC)以上の濃度でDESを含有する溶液であって、ここで溶液が水を実質的に含まないものを意味することを意図している。
【0013】
本明細書で使用する場合、用語「最小ハイドロトロピック濃度(MHC)」とは、その濃度を超えるとハイドロトロープが親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物を可溶化し始める、ハイドロトロープの臨界濃度である。MHCは、表面張力、導電率、動的および静的光散乱の測定などの、いくつかの物理化学的方法を使用して(RE, Coffman, DO Kildsig, Self-association of nicotinamide in aqueous solution: Light-scattering and vapor pressure osmometry studies (1996) 85(8): 848-853)、または親油性化合物の可溶化曲線(可溶化溶質の含有量に対するハイドロトロープ濃度)をプロットすることによって、決定することができる。分光光度法で簡単に分析できる親油性色素であるジスパースレッド13を、参照として使用することができる。
本明細書で使用する場合、用語「植物の生物学的材料」は、植物の根および/または植物の地上部分から、例えば葉、花、茎、樹皮、果実または種子またはそれらの組織などから得られたかまたは得ることができる、材料である。例えば植物の生物学的材料は、植物の葉から得ることができる。
本明細書で使用する場合、用語「藻類の生物学的材料」は、大型藻類または微細藻類源から、例えば海藻、淡水藻類、または真核生物の単一細胞微細藻類生物の培養集団などから得られたかまたは得ることができる、材料である。
【0014】
本明細書で使用する場合、用語「動物の生物学的材料」は、動物源から、例えばムスクなどの哺乳動物の腺からの分泌物などから得られたかまたは得ることができる、材料である。
本明細書で使用する場合、用語「原核生物の生物学的材料」いう用語は、細菌などの単細胞生物から得られたかまたは得ることができる、材料である。
当業者によって理解されるように、本明細書で使用する「から得ることができる」という用語は、植物および/または藻類および/または動物および/または原核生物の生物学的材料が、植物/藻類/動物/原核生物から直接得ることができる、または植物/藻類/動物/原核生物から単離することができる、または例えば化学合成または酵素的生産によって代替の供給源から得ることができることを意味する。一方で、本明細書で使用する「得られた」という用語は、抽出物が、植物/藻類/動物/原核生物の供給源に直接由来することを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「液体」は、液体内の原子または分子が互いに接触したまま自由に移動でき、その容器の形をとるような物質の状態を意味する。典型的には液体は、粘度として20℃で約1cP~20℃で約10,000cP、例えば20℃で約50cP~20℃で約5,000cPを有するであろう。
【0015】
DESが抽出溶液中に存在するため、本明細書に記載の方法または使用によって得られる生物学的抽出物は、水溶液への溶解度が限られている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性の化合物に富む。
したがって、本発明はまた、親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を、生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)から提供する方法を提供し、これは以下を含む:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合すること;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
【0016】
本発明の方法の特定の態様において、ステップi)において、DESを含む抽出溶液は水を含まない。本発明の方法の特定の態様において、ステップi)において、抽出溶液は、DESおよび、約0.5%未満の水、および約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満を含む。
本発明はまた、水およびDESを含む抽出溶液の、親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)から提供するための使用を提供し、ここで使用は、以下を含む:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合すること;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
【0017】
特定の態様において、ステップi)において抽出溶液は、DESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む。
特定の態様において、ステップi)において、DESを含む抽出溶液は、水を含まない。
本明細書で使用する場合、用語「富む(enriched)」とは、生物学的抽出物が、約0.05重量%以上の、水溶液への溶解度が制限される抽出物化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物を含むことを意味する。
例えば、粗製固体または半固体の生物学的抽出物は、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性の化合物の抽出物を、約2重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、または約40重量%以上を含み得る;すなわち、生物学的粗製抽出物は、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち、親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の抽出物を、約2重量%~約60重量%、または、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち、親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の抽出物を、約5重量%~約40重量%、含み得る。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「親油性」とは、化合物が脂肪、油、脂質、およびヘキサンまたはトルエンなどの無極性溶媒に溶解できることを意味する。例えば、化合物の少なくとも約90%は、脂肪、油、脂質、およびヘキサンまたはトルエンなどの無極性溶媒に溶解することができ、または少なくとも約95%または少なくとも約99%または約100%が、溶解することができる。
本明細書で使用する場合、用語「非水溶性」は、化合物が、20℃で約1g/L未満、例えば約0.5g/L未満等の、水への溶解度を有することを意味する。例えば、水への約0.001g/L~約1g/Lの溶解度は、水に実質的に不溶性である。
本明細書で使用する場合、用語「疎水性」は、化合物が非常に低い水への溶解度を有することを意味する。例えば、化合物は、20℃で1g/L未満、例えば0.5g/L未満の水への溶解度を有する。例えば、約0.001g/L~約1g/Lの水への溶解度は、水に実質的に不溶性である。
本明細書で使用する場合、用語「油溶性」は、化合物が油への高い溶解度を有することを意味する。例えば、化合物は、約5g/L以上、例えば約10g/L以上または約20g/L以上の、油への溶解度を有する。
【0019】
水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち、本発明の生物学的抽出物に存在し得る親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物としては、限定はされないが、以下が挙げられる:生物学的材料(すなわち、植物および/または藻類および/またはおよび/または動物および/または原核生物の生物学的材料)からの、以下を包含するフェノール化合物:フェノール酸(サリチル酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミン、デメトキシクルクミンまたはビスデメトキシクルクミンおよびその誘導体など)、ビキシン、カプサイシノイド、カンナビノイド、ピラノアントシアニン、スチルベン、フェノールアルコール、フェノール脂質(ショウガオールまたはユビキノールなど)、シリマリン、アルカロイド、脂質、フェニルプロパノイド、クマリン(ジメトキシクマリンなど)、有機酸(リンゴ酸または酒石酸など)、以下を包含するテルペノイド:モノテルペノイド、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物。例えば、生物学的抽出物は、上に列挙された化合物の1つ以上またはそれらの混合物を含み得る。
【0020】
これらの化合物は、典型的には、天然の生物学的フレーバー剤、および味覚修飾剤、甘味料、フレグランス、殺虫剤、抗微生物剤(antimicrobial)、タンパク質、酵素、着色料、色素、界面活性剤、抗酸化剤、キレート剤、乳化剤、テクスチャライザー、ビタミン、および/または栄養、化粧品または医薬的関心のある生物活性化合物であり得る。
本発明の方法で使用される生物学的材料(すなわち、植物および/または藻類および/または動物および/または原核生物の生物学的材料)は、生物学的材料からの流体などの液体形態、すなわち、植物または果物からのジュースであり得る。代替的に生物学的材料は、新鮮なまたは乾燥した生物学的材料などの固体の形態であり得、これは任意に、粉砕および/またはすり潰された生物学的材料、すなわち、生物学的材料から得られたかまたは得ることができる、粉砕またはすり潰された材料であり得る。
【0021】
生物学的材料は、好ましくは植物の生物学的材料である。植物の生物学的材料は、植物の根および/または植物の地上部分から、例えば葉、花、茎、樹皮、皮(peel)、果実および/または種子、またはそれらの組織(果実の外皮(rind)など)など、またはそれらの混合物から得られたかまたは得ることができる。例えば、植物の生物学的材料は、植物の葉、根、または果実の外皮であり得る。
植物の生物学的材料は、シソ科(バジル、ミント、ローズマリー、セージ、セイボリー、マジョラム、オレガノ、ヒソップ、タイム、ラベンダー、エゴマおよびそれらの混合物など)から、得られたかまたは得ることができる。例えば、植物の生物学的材料は、ローズマリーおよび/またはセージであり得る。植物の生物学的材料はまた、以下から得られたかまたは得ることができる:柑橘類属(C. sinensis、C. medica、C. reticulateなど)、ウコン属(Curcuma longaなど)、ショウガ(Zingiber officinale)、サクラ属(P. africana, P. armenicana, P. dulcis, P. aviumなど)、(桜の花など)、Gardenia jasminoides(ガーデニアフルーツなど)、イワヒバ(Sellaginella)属、Olea europaea(オリーブの葉など)、トクサ、クリスマム(シーフェンネル)、エリコノバラ、サフランの花、Jambuの花、ラヴァンデュラ属(Lavandula x intermedia、Lavandula angustifolia、Lavandula latifoliaなど)、オオアザミ(Silybum marianum)、緑茶、グリーンコーヒー、クローブの葉、ザクロ、籾殻など。
【0022】
生物学的材料がローズマリーおよび/またはセージなどの植物材料である場合、本発明の方法を使用して得られる生物学的抽出物は、生物学的材料中に存在するカルノシン酸および/またはその誘導体および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物に富むことができる。例えば、生物学的抽出物は、以下に富むことができる:カルノシン酸、12-メトキシカルノシン酸、カルノソール、ロスマリン酸、パルミチン酸(16:0)、ステアリン酸(18:0)、オレイン酸(18:1)、リノール酸(18:2-n6)、リノレン酸(18:3-n3)、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸、カフェー酸、ネピトリン、ウルソール酸、アピゲニン、ルテオリングルクロニド、ルテオリン-O-(O-アセチル)グルクロニド異性体、ジオスメチン、ヒスピズリン(Hispidulin)、シルシマリチン、クロロフィル色素、スクテラレイン、ネペチン、ジメトキシクマリン、ラムナジン、ロスマノール、エピロスマノール、エピイソロスマノール、ヒドロキシクリプトタンシノン、ジンゲロール、エピロスマノールメチルエーテルおよびその異性体、ユビキノール、パラミルチオイック酸(para-miltioic acid)、ロスマジアール、ロスマリジフェノール、O-メチルカルノソール、ゲンクワニン、テトラヒドロヒドロキシロスマキノン、ショウガオールおよびそれらの混合物。
生物学的材料がウコンなどの植物材料である場合、本発明の方法を使用して得られる生物学的抽出物は、生物学的材料中に存在する、クルクミンおよび/またはその誘導体および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物に富むことができる。例えば、生物学的抽出物は、以下に富むことができる:Ar-ターメロン、クルクミン、ジヒドロクルクミン、デメトキシクルクミン、デヒドロデメトキシクルクミン、ビスデメトキシクルクミン、デヒドロビスデメトキシクルクミン、クルクマジオン、プロクルクマジオール、デヒドロクルジオン、デオキシビスデメトキシクルクミン、デオキシデヒドロビスデメトキシクルクミン、O-デメチルデメトキシクルクミンおよびそれらの混合物。
【0023】
生物学的材料が植物材料である場合、本発明の方法を使用して得られる生物学的抽出物は、生物学的材料中に存在する親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物に富むことができ、これは例えば以下である:シソ科(バジル、ミント、ローズマリー、セージ、セイボリー、マジョラム、オレガノ、ヒソップ、タイム、ラベンダー、エゴマおよびそれらの混合物など)、柑橘類属(C. sinensis、C. medica、C. reticulateなど)、ウコン属(Curcuma longaなど)、ショウガ(Zingiber officinale)、サクラ属(P. africana, P. armenicana, P. dulcis, P. aviumなど)、(桜の花など)、Gardenia jasminoides(ガーデニアフルーツなど)、イワヒバ(Sellaginella)属、Olea europaea(オリーブの葉など)、トクサ、クリスマム(シーフェンネル)、エリコノバラ、サフランの花、Jambuの花、ラヴァンデュラ属(Lavandula x intermedia, Lavandula angustifolia, Lavandula latifoliaなど)、オオアザミ(Silybum marianum)、緑茶、グリーンコーヒー、クローブの葉、ザクロ、籾殻など。
【0024】
例えば、生物学的抽出物が、ステップ(i)から(v)を含む本明細書で定義される方法または使用によって提供される固体の生物学的抽出物である場合、抽出物は、少なくとも約2重量%の、カルノシン酸、ヘスペリジン、クルクミン、クルクミノイド、またはビキシンおよび/またはそれらの誘導体の抽出物、例えば、少なくとも約5重量%または約10重量%の、カルノシン酸、ヘスペリジン、クルクミン、クルクミノイド、またはビキシンおよび/またはそれらの誘導体の乾燥固体または半固体抽出物を、含み得る。
本明細書で定義される方法または使用において、DESは、メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸および尿素から選択される少なくとも2つの化合物から得ることができる。前述のように、本明細書で定義される方法または使用において、DESは、水有りまたは水無しで配合され得る(例えば、本質的に水を含まないDESを含む溶液など)。
本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESを提供するために使用し得るメチルアミンは、N-トリメチルアミンオキシド(TMAO)、ベタイン、グリセロホスホコリン、カルニチン、ホマリン、塩化コリン、ジメチルスルホノプロピオナート(DMSP)を包含するメチルスルホニウム溶質およびそれらの誘導体、例えば、ベタインハライド(ベタインHCl)などのそれらのハライド形態から、選択することができる。
【0025】
本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESを提供するために使用し得る有機酸は、以下から選択することができる:レブリン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、ピルビン酸、フマル酸、コハク酸、クエン酸、シトラコン酸、グルタル酸、グリコール酸、酢酸、アコニチン酸、酒石酸、アスコルビン酸、マロン酸、シュウ酸、グルクロン酸、ノイラミン酸、シアル酸、シキミン酸、フィチン酸、ガラクツロン酸、イズロン酸、ヒアルロン酸、ヒドロキシクエン酸、ラクトン誘導体およびそれらの誘導体。
本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESを提供するために使用し得る糖は、トレハロース、グルコース、スクロース、ラクトース、リボース、ガラクトース、フルクトースなどおよびそれらの誘導体から選択することができる。
本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESを提供するために使用し得るポリオールは、グリセロール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エチレングリコール、プロピレングリコール、リビトール、アルドニトール、プロパンジオール、イノシトール、ペンチレングリコール、およびそれらの誘導体(o-メチル-イノシトールなど)から選択することができる。
【0026】
本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESを提供するために使用し得るアミノ酸は、グリシン、プロリン、タウリン、リシンなどおよびそれらの誘導体(例えば、エクトイン、サルコシン、テアニン、ジメチルグリシンなど)から選択することができる。
誤解を避けるために、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸および尿素、ならびにそれらの組み合わせから選択される少なくとも2つの化合物から得ることができる(すなわち、1つ以上のメチルアミン;1つ以上のメチルアミンと1つ以上の有機酸など)。
例えば、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、ベタインと尿素、または塩化コリンと尿素を含むか、またはそれらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。
別の態様において、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、グリセロールとベタイン、またはグリセロールと塩化コリンを含むか、またはそれらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。
【0027】
別の態様において、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、リンゴ酸と塩化コリンを含むか、またはそれらからなるか、または本質的にそれらからなることができる。
別の態様において、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、乳酸とベタイン、またはレブリン酸とベタインを含むか、またはそれらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。
別の態様において、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、ピルビン酸とベタイン、またはソルビトールとベタインを含むか、またはそれらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。別の態様において、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、尿素と塩化コリン、ソルビトールとレブリン酸、プロリンとレブリン酸、ベタインとレブリン酸、ベタインとプロリン、ベタインとグルコース、プロリンとグルコース、リシンとレブリン酸、グリセロールとソルビトール、グリセロールと乳酸、グルコースとレブリン酸、キシリトールとレブリン酸、ソルビトールと乳酸、尿素とベタインHCl、またはグリセロールとレブリン酸を含むか、またはそれらからなるか、または本質的にそれらからなり得る。
DESに2つの成分が存在する場合、成分のモル比は約4:1~約1:4の範囲、例えば約2:1~約1:2または約1:1などであり得る。特に、2つの成分のモル比は、約1:0.5~約1:4であり得る。
【0028】
前述のように、DESは、メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸および尿素から選択される少なくとも2つの化合物から得ることができ、様々な組み合わせを作成できる。
DESに3つの成分(有機酸、糖およびポリオールなど)が存在する場合、成分のモル比は約4:1:1~約1:4:4の範囲、または約1:4:1~約4:1:4、または約1:1:4~約4:4:1など、例えば約2:2:1~約1:1:2または約1:2:2または約1:1:1などであり得る。
例えば、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、ベタインと尿素、塩化コリンと尿素、グリセロールとベタイン、グリセロールと塩化コリン、リンゴ酸とコリン、乳酸とベタイン、またはレブリン酸とベタインを、約4:1~約1:4のモル比で、例えば約2:1~約1:2または約1:1などで含むか、またはそれらからなり得る。
例えば、本明細書に記載の方法および使用において用いられるDESは、ピルビン酸とベタイン、ソルビトールとベタイン、尿素と塩化コリン、ソルビトールとレブリン酸、プロリンとレブリン酸、ベタインとレブリン酸、ベタインとプロリン、ベタインとグルコース、プロリンとグルコース、リシンとレブリン酸、グリセロールとソルビトール、グリセロールと乳酸、グルコースとレブリン酸、キシリトールとレブリン酸、ソルビトールと乳酸、尿素とベタインHCl、またはグリセロールとレブリン酸を、約4:1~約1:4のモル比で、例えば約2:1~約1:2または約1:1などで含むか、またはそれらからなるか、またはそれらから本質的になり得る。
【0029】
DESは、商業的供給源から入手し、水に添加して抽出溶液を形成するか、またはDESを任意の既知の方法で個別に調製することができる。
代替的に、水およびDESを含む抽出溶液は、本明細書に記載の方法および使用の間に調製することができる。前に述べたように、DESは水有りまたは水無しで配合することができる(例えば、DESを含む溶液であって、溶液が本質的に水を含まないものなど)。後者の場合、DESを含む溶液であって、溶液が水を含まないもの(本質的に水を含まないもの)は、他の成分、例えばエタノール、メタノールなどの他の溶媒を有し得る。
したがって本明細書に記載の方法および使用は、ステップ(i)の前に、以下を含む、抽出溶液を調製するステップを含み得る:(a)メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸および尿素から選択される2つ以上の化合物を組み合わせて、DESを形成すること;および(b)(a)の生成物を水で希釈すること。本明細書に記載の方法および使用の特定の態様においては、ステップ(i)の前に、以下を含む、抽出溶液を調製するステップを含み得る:(a)メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸および尿素から選択される2つ以上の化合物を組み合わせて、本質的に水を含まないDESを形成すること。
【0030】
(b)で形成されたDESの希釈に使用される水は0%~90%であり、例えば約0.00001、0.0001、0.001、0.01、0.1、0.5、1、5、10、15、20、30または約40%から、約90、80、70、60または約50%までである。好ましい態様において、使用される水は約5%~約30%、例えば約10%、20%、25%、または約30%である。
例えば、本明細書に記載の方法および使用は、ステップ(i)の前に、以下のステップを含み得る:
(a)ベタインと尿素、または塩化コリンと尿素を、モル比1:2で組み合わせて、DESを形成すること。
例えば、本明細書に記載の方法および使用は、ステップ(i)の前に、以下のステップを含み得る:
(a)ベタインと尿素、または塩化コリンと尿素を、モル比1:2で組み合わせてDESを形成すること;および
(b)(a)の生成物を水で希釈すること。
【0031】
DESのさらなる組み合わせは、以下であり得る:グリセロール:ベタイン(モル比2:1)、グリセロール:ベタイン(モル比1:1)、グリセロール:ベタイン(モル比1:2)、グリセロール:塩化コリン(モル比2:1)、グリセロール:塩化コリン(モル比1:1)、グリセロール:塩化コリン(モル比1:2)、リンゴ酸:塩化コリン(モル比1:1)、乳酸:ベタイン(モル比3:1)、乳酸:ベタイン(モル比2:1)、乳酸:ベタイン(モル比1:1)、レブリン酸:ベタイン(モル比3:1)、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)、ピルビン酸:ベタイン(2:1モル)、尿素:ベタイン(モル比2:1)、尿素:ベタイン(モル比1:1)、尿素:ベタインHCl(2:1モル)、尿素:塩化コリン(モル比2:1)、ベタイン:ソルビトール(モル比2:1)、ベタイン:ソルビトール(モル比1:1)、ベタイン:ソルビトール(モル比1:1)、ベタイン:ソルビトール(モル比1:1)、ベタイン:ソルビトール(モル比1:2)、ベタイン:ソルビトール(モル比1:2)、プロリン:レブリン酸(モル比1:1)、ベタイン:プロリン(モル比1:1)、ベタイン:プロリン(モル比1:2)、プロリン:グルコース(モル比3:1)、プロリン:グルコース(モル比2:1)、プロリン:グルコース(モル比1:1)、プロリン:グルコース(モル比1:1)、プロリン:グルコース(モル比1:2)、ベタイン:グルコース(モル比3:1)、ベタイン:グルコース(モル比2:1)、ベタイン:グルコース(モル比1:1)、ベタイン:グルコース(モル比1:2)、ベタイン:グルコース(モル比1:2)、リシン:レブリン酸(モル比1:1)、リシン:レブリン酸(モル比1:2)、ソルビトール:レブリン酸(モル比1:1)、ソルビトール:レブリン酸(モル比1:1)、キシリトール:レブリン酸(モル比1:1)、グルコース:レブリン酸(モル比1:1)、グルコース:レブリン酸(モル比1:2)、グリセロール:ソルビトール(モル比1:1)、グリセロール:乳酸(モル比1:1)、ソルビトール:乳酸(モル比1:1)、またはグリセロール:レブリン酸(モル比1:1)。
【0032】
DESおよび水のさらなる組み合わせは、以下であり得る:グリセロール:ベタイン(モル比2:1)+30%の水、グリセロール:ベタイン(モル比2:1)+25%の水、グリセロール:ベタイン(モル比2:1)+20%の水、グリセロール:ベタイン(モル比2:1)+10%の水、グリセロール:ベタイン(モル比1:1)+20%の水、グリセロール:ベタイン(モル比1:2)+30%の水、グリセロール:塩化コリン(モル比2:1)+0%の水、グリセロール:塩化コリン(モル比1:1)+10%の水、グリセロール:塩化コリン(モル比1:2)+20%の水、リンゴ酸:塩化コリン(モル比1:1)+30%の水、リンゴ酸:塩化コリン(モル比1:1)+20%の水、乳酸:ベタイン(モル比3:1)+10%の水、乳酸:ベタイン(モル比2:1)+30%の水、乳酸:ベタイン(モル比2:1)+25%の水、乳酸:ベタイン(モル比2:1)+20%の水、乳酸:ベタイン(モル比2:1)+10%の水、乳酸:ベタイン(モル比2:1)+5%の水、乳酸:ベタイン(モル比1:1)+10%の水、レブリン酸:ベタイン(モル比3:1)+25%の水、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)+30%の水、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)+25%の水、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)+20%の水、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)+10%の水、レブリン酸:ベタイン(モル比2:1)+5%の水、ピルビン酸:ベタイン(2:1モル)+25%の水、水中950g/Lでの尿素:ベタイン(2:1モル)、水中950g/Lでの尿素:ベタイン(1:1モル)、0%の水での尿素:ベタインHCl(2:1モル)、0%の水での尿素:塩化コリン(2:1モル)、ベタイン:ソルビトール(2:1モル)+30%の水、ベタイン:ソルビトール(1:1モル)+50%の水、ベタイン:ソルビトール(1:1モル)+30%の水、ベタイン:ソルビトール(1:1モル)+20%の水、ベタイン:ソルビトール(1:2モル)+50%の水、ベタイン:ソルビトール(1:2モル)+30%の水、ベタイン:ソルビトール(1:2モル)+20%の水、プロリン:レブリン酸(モル比1:1)+20%の水、ベタイン:プロリン(モル比1:1)+30%の水、ベタイン:プロリン(モル比1:2)+30%の水、プロリン:グルコース(モル比3:1)+20%の水、プロリン:グルコース(モル比2:1)+20%の水、プロリン:グルコース(モル比1:1)+20%の水、プロリン:グルコース(モル比1:1)+30%の水、プロリン:グルコース(モル比1:2)+20%の水、ベタイン:グルコース(モル比3:1)+20%の水、ベタイン:グルコース(モル比2:1)+20%の水、ベタイン:グルコース(モル比1:1)+20%の水、ベタイン:グルコース(モル比1:2)+50%の水、ベタイン:グルコース(モル比1:2)+30%の水、ベタイン:グルコース(モル比1:2)+20%の水、リシン:レブリン酸(モル比1:1)+20%の水、リシン:レブリン酸(モル比1:2)+20%の水、ソルビトール:レブリン酸(モル比1:1)+30%の水、ソルビトール:レブリン酸(モル比1:1)+20%の水、キシリトール:レブリン酸(モル比1:1)+20%の水、グルコース:レブリン酸(モル比1:1)+30%の水、グルコース:レブリン酸(モル比1:2)+30%の水、グリセロール:ソルビトール(1:1モル比)+20%の水、グリセロール:乳酸(モル比1:1)+20%の水、ソルビトール:乳酸(モル比1:1)+20%の水、またはグリセロール:レブリン酸(モル比1:1)+20%の水。
【0033】
DESのハイドロトロープとしての使用は、予想外の驚くべきことであることに注意すべきである。
したがって本発明はまた、DESのハイドロトロープとしての使用を提供する。
本発明の方法および使用において、驚くべきことにそして予想外に、メチルアミン、有機酸、糖、ポリオール、アミノ酸および尿素から選択される2つ以上の化合物の、約4:1~約1:4のモル比での、例えば約2:1~約1:2または約1:1などでの組み合わせが、相乗的なハイドロトロピック効果を提供することが見出されている。例えば、2つの成分のモル比が約1:0.5~約1:4である場合、化合物それ自体のハイドロトロピック効果と比較して、相乗的なハイドロトロピック効果が観察される。
【0034】
例えば、本発明の方法は、以下を含むか、または以下からなることができる:
i)植物の生物学的材料(例えば、シソ科の種の植物、例えばローズマリーおよび/またはセージから、または柑橘類属の植物、例えばC. sinensis、C. medica、C. reticulateなどから、またはショウガ科の植物、例えばCurcuma longaからの)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合すること;および
ii)未溶解の植物の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
【0035】
本発明の使用は、水およびDESを含む抽出溶液の、植物の生物学的材料(例えば、シソ科の種の植物、例えばローズマリーおよび/またはセージから、または柑橘類属の植物、例えばC. sinensis、C. medica、C. reticulateなどから、またはショウガ科の植物、例えばCurcuma longaからの)からの生物学的抽出物および/または親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を提供するための使用を含み得て、ここで該使用は、以下を含む:
i)植物の生物学的材料(ローズマリーおよび/またはセージおよび/またはCurcuma longa、および/またはCitrus sinensisなど)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合すること;および
ii)未溶解の植物の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
【0036】
抽出溶液中に存在するDESの濃度は、少なくともDESの最小ハイドロトロピック濃度(MHC)である。例えば、最小ハイドロトロピック濃度(MHC)の約1~約20倍、例えば約2~約16倍または約4~約8倍などである。
DESは、抽出溶媒中に、抽出溶媒の重量に対して約99重量%以下、例えば、90重量%以下または80重量%以下の濃度で存在し得る;例えば、DESは、抽出溶媒中に、抽出溶媒の重量に対して約70重量%以下または約60重量%以下、または抽出溶媒の重量に対して約50重量%以下、または媒抽出溶媒の重量に対して約40重量%以下、または抽出溶媒の重量に対して約30重量%以下、または抽出溶媒の重量に対して約20重量%以下の濃度で存在し得る。
例えば、DESは、抽出溶媒中に、抽出溶媒の約2重量%または約2.5重量%~約99重量%、例えば、約5重量%~約90重量%または約7.5重量%~約80重量%;または抽出溶媒の重量に対して10重量%~約70重量%、または約15重量%~約60重量%の濃度で存在し得る。
【0037】
DESは、抽出溶媒中に、約1g/L~約999g/Lの濃度で存在し得る。
本発明の方法の特定の態様において、ステップi)において、抽出溶液は、DESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む。
本発明の方法または使用の特定の態様において、ステップi)において、DESを含む抽出溶液は、水を含まない。
本発明の方法のステップ(i)において、生物学的材料および、水およびDESを含む抽出溶液の混合は、当技術分野で知られている技術を使用して、例えば、攪拌、冷浸(maceration)、パーコレーションまたは注入、例えば磁気攪拌または機械的攪拌、押し出し、高せん断またはローターステーター支援抽出(rotor-stator-assisted extraction)(例えば、1000~5000rpm)を使用して、実施することができる。
【0038】
攪拌は、任意の適切な毎分回転数(rpm)で行うことができ、例えば攪拌は、約1rpmまたは約10rpmまたは約50rpmから約500rpmで行うことができる。機械的攪拌の場合、これは典型的には約1rpm~500rpmで、例えば約10rpm~約200rpmなどで行うことができる。
本発明の方法のステップ(i)において、生物学的材料を、水およびDESを含む抽出溶液、またはDESを含み水を含まない抽出溶液、またはDESと約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水とを含む抽出溶液と、約15℃~約100℃の温度で、例えば20℃~約60℃または約20℃~約80℃または約25℃の温度で、混合することができる。
本発明の方法のステップ(i)において、生物学的材料を、水およびDESを含む抽出溶液、またはDESを含み水を含まない抽出溶液、またはDESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む抽出溶液と、約10バール(1000KPa)~約1000バール(100000KPa)の圧力で、または約20バール(2000KPa)~約100バール(1000KPa)の圧力で、混合することができる。
【0039】
本発明の方法のステップ(i)において、生物学的材料を、水およびDESを含む抽出溶液、またはDESを含み水を含まない抽出溶液、またはDESおよび約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む抽出溶液と、約1分から少なくとも約48時間、少なくとも24時間、少なくとも約10時間、少なくとも約5時間、例えば約5分~約1時間、または約5分~約30分、混合することができる。
ステップ(ii)において、ステップ(i)で得られた溶液中に存在する任意の固体の生物学的材料は、当技術分野で知られている任意の手段、例えば、濾過、静的または動的デカンテーション、および/または遠心分離によって除去することができる。
上記の方法または使用において、抽出溶媒は、生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物の、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%または少なくとも50%、または少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%を、例えば、約10%~約80%、または約20%~約60%、または約20%~約80%を、回収することができる。
【0040】
水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち、本発明の生物学的抽出物に存在し得る親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物としては、限定はされないが、以下が挙げられる:生物学的材料(すなわち、植物および/または藻類および/またはおよび/または動物および/または原核生物の生物学的材料)からの、フェノール酸(サリチル酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)を含むフェノール化合物、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミンおよびその誘導体など)、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物。例えば、生物学的抽出物は、上に列挙された化合物の1つ以上またはそれらの混合物を含み得る。
【0041】
ステップ(iii)で添加された水は、DESの濃度を最小ハイドロトロピック濃度(MHC)近くかそれより下に低下させる。これを達成するために必要な水の量は、水溶液(または溶液)に存在するDESのMHC、および抽出溶媒に存在する少なくとも1つのハイドロトロピック剤の量に依存する。例えば、水を加えて、DESの濃度を約2から約1000、約100、約50、約40、約30、約20倍に、例えば約2~約20、例えば約3~約10、例えば約5~9など、または約4~約6倍に、希釈することができる。例えば、DESのMHCが抽出溶媒の20重量%であった場合、十分な水を添加して、DESの濃度を抽出溶媒の20重量%近くまたはそれより下に低下させる。
抽出溶液中のDESの濃度をMHCの近くまたはそれより下に低下させると、DESの存在によってのみ溶解する溶液中にある任意の化合物を、溶液から凝集および/または沈殿させる効果がある。その後、この固形物を収集することができる。
【0042】
例えば、本発明の方法は、以下を含むか、または以下からなることができる:
i)植物の生物学的材料(例えば、シソ科の種の植物、例えばローズマリーおよび/またはセージから、または柑橘類属の植物、例えばC. sinensis、C. medica、C. reticulateなどから、またはショウガ科の植物、例えばCurcuma longaからの)を、水(50、30、25、20、10、0%など)およびDES(例えば尿素とベタイン、グリセロールとベタイン、ピルビン酸とベタイン、塩化コリンと尿素、グリセロールと塩化コリン、リンゴ酸と塩化コリン、レブリン酸とベタイン、乳酸とベタイン、ソルビトールとレブリン酸、ベタインとソルビトール、プロリンとレブリン酸、ベタインとプロリン、ベタインとグルコース、プロリンとグルコース、リシンとレブリン酸、グリセロールとソルビトール、グリセロールと乳酸、グルコースとレブリン酸、キシリトールとレブリン酸、ソルビトールと乳酸、尿素とベタインHCl、またはグリセロールとレブリン酸を、モル比4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3または1:4にて)を含む抽出溶液と、混合すること;および
ii)未溶解の植物の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること、
ここで、ステップ(ii)で得られた溶液にステップ(iii)で加えられた水は、DESの体積またはステップ(ii)で得られた溶液の体積の約2から約100倍、例えば約2~約30、例えば約4~約8、例えば約8~約10倍である。
【0043】
特定の態様において、ステップi)において、DESを含む抽出溶液は水を含まない。別の特定の態様において、ステップi)において、抽出溶液は、DESおよび、約0.5%未満の水、約0.1未満、約0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水を含む。
凝集および/または沈殿する固形物は実質的に、生物学的材料に存在する親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物である化合物であって、これは、DESの存在によってのみ溶解性である前記生物学的材料から、本発明の方法を使用して抽出される化合物である。
この凝集/沈殿により、本発明の方法を使用して得られた生物学的抽出物(すなわち、生物学的材料に存在する親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物)を収集することが可能となるが、これは、溶液から固体形態が生成されるからである。この固形物は、当技術分野で知られている技術を使用して非常に簡単に収集することができる。これにより、生物学的抽出物(すなわち、本発明の方法を使用して抽出される、生物学的材料に存在する親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物)の非常に簡単で費用効果が高く効率的な回復(recuperation)が可能となる。
【0044】
ステップ(iv)において、固形物は、濾過、静的または動的デカンテーション、および/または遠心分離などの当技術分野で知られている技術を使用して収集され得る。
ステップ(v)において、固形物は、以前に定義されたような当技術分野で知られている技術を使用して乾燥され得る。
粗製固体または半固体の生物学的抽出物は、上記で定義されているように通常は水溶液に溶解しない化合物に富んでおり、例えば、これらを抽出物の約2重量%以上、約4重量%以上、約5重量%以上または10重量%以上または20重量%以上で含む。例えば、生物学的材料が植物材料、例えばローズマリー、セージ、Curcuma longa、または柑橘類などである場合、粗製固体または半固体の生物学的抽出物は、フェノール性ジテルペン(例えば、上記で定義された生物学的材料に存在する、カルノシン酸、クルクミノイド、クルクミン、またはヘスペリジンおよび/またはその誘導体および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物)に富んでおり、例えばこれらを、約2%以上、約4%以上、約5%以上または10%以上または20%以上含む。
【0045】
例えば、本発明の方法は、以下を含むか、または以下からなることができる:
i)植物の生物学的材料(例えば、シソ科の種の植物、例えばローズマリーおよび/またはセージから、または柑橘類属の植物、例えばC. sinensis、C. medica、C. reticulateなどから、またはショウガ科の植物、例えばCurcuma longaからの)を、水(50、30、25、20、10、または0%など、または約0.5%未満の水、約0.1、0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水)およびDESを含む抽出溶液と、混合すること;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること。
ステップ(iii)において、水を、ステップ(ii)で得られた溶液に任意の適切な速度で加えることができる。例えば水は、約0.01mL/秒(例えば、滴下)から約5mL/秒以上の速度で加えることができる。
【0046】
ステップ(iii)において、水は、ステップ(ii)で得られた溶液に任意の温度で加えることができる。例えば水は、約15℃から約40℃の温度、例えば約20℃から約30℃などで添加することができる。水は、ステップ(ii)で得られた溶液に、冷却しながら加えることができる。例えば、水は、ステップ(ii)で得られた溶液に、溶液が約0℃~約10℃の温度に冷却されている間、例えば約2.5℃~約5℃に冷却されている間に加えることができ、または、約0℃~約10℃の温度に、例えば約2.5℃~約5℃などに予冷された水を使用することができる。
ステップ(iii)において、水が一旦加えられると、溶液を攪拌して凝集/沈殿を誘発することができる。溶液は、任意の適切な速度で攪拌することができる。例えば溶液は、磁気攪拌を使用して約130rpm~約500rpmで、または機械的攪拌を使用して約1rpm~約500rpmで攪拌することができる。
本発明の一側面において、ステップ(iii)は、ステップ(ii)で得られた溶液を冷却することで置き換えてもよく、固形物の溶液からの沈殿が引き起こされる(例えば、結晶化して溶液から分離する)。
【0047】
ステップ(iii)が冷却に置き換えられる場合、ステップ(ii)で得られた溶液の冷却は、約0℃~約10℃の温度で、例えば約2.5℃~約5℃などで行うことができる。
本発明の方法は、ステップ(vi)をさらに含み得、ここでステップ(vi)において、粗製固体の生物学的抽出物は、約1から約3回以上、例えば約10回または約100回まで、1~100容量の水(例えば、約1、10、20、30または40から約100、90、80、70、60または50容量の水、例えば2~4容量の水)で洗浄され、得られる固形物が収集される。
本発明者らは、驚くべきことに、粗製(未洗浄)および/または精製(洗浄)の固体の生物学的抽出物の収量は、ステップ(iii)および/または洗浄ステップ(vi)の間に塩を水に添加すると、さらに増加させることができることを見出した。したがって、さらなる態様において、ステップ(vi)で洗浄するために使用される水および/またはステップ(iii)の水は、塩化ナトリウムなどの1つ以上の塩を含み得る。ステップ(iii)および/またはステップ(vi)の水に加えられる塩(例えば塩化ナトリウム)の量は、約0.1g/L~約10g/L、例えば、約2~約5g/L、例えば約3g/Lであることができる。
ステップ(vi)を含む本発明の方法は、精製された固体の生物学的抽出物を提供する。必要に応じて、精製された生物学的固体を乾燥させて、抽出物中に存在する任意の残留水を低減/除去することができる。
【0048】
当技術分野で知られている任意の適切な乾燥技術、例えば、限定はされないが、凍結乾燥、噴霧乾燥、オーブン乾燥、熱乾燥、または真空乾燥などを使用することができる。
例えば、本発明は、以下を含む、精製された固体の生物学的抽出物を提供する方法を提供する:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水(50、30、25、20、10、または0%など、または約0.5%未満の水、約0.1、0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水)およびDES(例えば尿素とベタイン、グリセロールとベタイン、ピルビン酸とベタイン、塩化コリンと尿素、グリセロールと塩化コリン、リンゴ酸と塩化コリン、レブリン酸とベタイン、乳酸とベタイン、ソルビトールとレブリン酸、ベタインとソルビトール、プロリンとレブリン酸、ベタインとプロリン、ベタインとグルコース、プロリンとグルコース、リシンとレブリン酸、グリセロールとソルビトール、グリセロールと乳酸、グルコースとレブリン酸、キシリトールとレブリン酸、ソルビトールと乳酸、尿素とベタインHCl、またはグリセロールとレブリン酸)を含む抽出溶液と、組み合わせること;および;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること;
vi)ステップ(iv)または(v)で得られた固形物を、約1~約10回、1~1000容量の水で洗浄し、得られた固形物を回収すること;および
vii)任意に、ステップ(vi)で得られた固形物を乾燥すること。
【0049】
本発明はまた、水およびDESを含む抽出溶液の、生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)から生物学的抽出物および/または親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物を提供するための使用を提供し、ここでの使用は以下を含む:
i)生物学的材料(植物の生物学的材料、藻類の生物学的材料、動物の生物学的材料および/または原核生物の生物学的材料など)を、水(50、30、25、20、10、または0%など、または約0.5%未満の水、約0.1、0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水)およびDESを含む抽出溶液と、混合すること;および;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること;
vi)ステップ(iv)または(v)で得られた固形物を、約1~約10回、1~1000容量の水で洗浄し、得られた固形物を回収すること;および
vii)任意に、ステップ(vi)で得られた固形物を乾燥すること。
生物学的材料およびDESは、以前に定義されたとおりである。
【0050】
ステップ(vi)での洗浄は、抽出物に存在する残留DESの濃度を低下させる。驚くべきことに、そして予期せぬことに、本発明者らは、洗浄ステップ(vi)が、精製された固体の生物学的抽出物に存在する親油性/非水溶性化合物の濃度を低下させず、実際、抽出物中に存在するかかる化合物の濃度を増加し得ることを見出した。例えば、生物学的材料が植物材料、例えばローズマリーおよび/またはセージ、またはCurcuma longaなどであり、生物学的抽出物が、生物学的材料に存在するカルノシン酸および/またはその誘導体またはクルクミノイドおよび/またはクルクミン、および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物に富む場合、抽出物を洗浄することは、精製された抽出物中の生物学的材料に存在するカルノシン酸および/またはその誘導体またはクルクミノイドおよび/またはクルクミン、および/または他の親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性化合物の濃度を大幅に低下はさせず、実際、抽出物中に存在するかかる化合物の濃度を増加させ得る。
したがって、精製された固体の生物学的抽出物を提供する本明細書に記載の方法および使用において、得られる生物学的抽出物は、DES、特に、前に記載された少なくとも1つのDESの抽出物の約5重量%未満、例えば2%未満または1%未満または0.1%未満、または0.04%未満を含み得る。例えば、得られた生物学的抽出物は、実質的にDESを含まない可能性がある。
本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない」とは、記載されている抽出物が、少量(例えば、最大で抽出物の0.1重量%または0.01重量%または0.001重量%または0.0001重量%まで)のDESを含み得ることを意味し、ただしDESの存在は、抽出物の本質的な特性には影響しないものとする。
【0051】
本発明の方法は、以下を含むか、または以下からなることができる:
i)植物の生物学的材料(例えば、シソ科の種の植物、例えばローズマリーおよび/またはセージから、または柑橘類属の植物、例えばC. sinensis、C. medica、C. reticulateなどから、またはショウガ科の植物、例えばCurcuma longaからの)を、水(50、30、25、20、10、または0%など、または約0.5%未満の水、約0.1、0.01、0.001、0.0001未満または約0.00001%未満の水)およびDESを含む抽出溶液と、混合すること;および;
ii)未溶解の生物学的材料を、(i)で得られた溶液から除去すること;
iii)凝集塊および/または沈殿物を、ステップ(ii)で得られた溶液に水を加えることおよび/または冷却することにより、得ること;
iv)ステップ(iii)で得られた固形物を、溶液から収集すること;および
v)任意に、ステップ(iv)で得られた固形物を乾燥すること;
vi)任意に、ステップ(iv)または(v)で得られた固形物を、約1~約10回水で洗浄し、得られた固形物を回収すること;および
vii)任意に、ステップ(vi)で得られた固形物を乾燥すること。
【0052】
必要に応じて、ステップ(i)の前に、生物学的材料(すなわち、植物および/または藻類および/または動物および/または原核生物の生物学的材料)を、水およびDESを含む抽出溶液と混合する前に、乾燥および/または例えば粉末に粉砕することができる。
抽出物が、ステップ(i)から(vii)を含む方法または使用を用いて得られる場合、抽出物は、精製された生物学的抽出物であると見なされ得る。
ステップ(i)から(vii)を含む本明細書に記載の方法または使用によって得られる精製された生物学的抽出物は、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性の化合物の乾燥精製抽出物を、約10重量%以上、約20重量%以上、約40重量%以上、または約60重量%以上含み得る。例えば、精製された生物学的抽出物は、約10重量%~約80重量%の、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の抽出物を、または約20重量%~約60重量%の抽出物を含み得る。
【0053】
例えば、抽出物は、少なくとも約10重量%の、以下の物質の乾燥精製抽出物を含み得る:生物学的材料(すなわち、植物および/または藻類および/またはおよび/または動物および/または原核生物の生物学的材料)からの、以下を包含するフェノール化合物:フェノール酸(カルノシン酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(サリチル酸、およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミンおよびその誘導体、デメトキシクルクミンまたはビスデメトキシクルクミンなど)、ビキシン、カプサイシノイド、カンナビノイド、ピラノアントシアニン、スチルベン、フェノールアルコール、フェノール脂質(ショウガオールまたはユビキノールなど)、シリマリン、アルカロイド、脂質、フェニルプロパノイド、クマリン(ジメトキシクマリンなど)、有機酸(リンゴ酸または酒石酸など)、以下を包含するテルペノイド:モノテルペノイド、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物。
例えば、生物学的抽出物は、上に列挙された化合物の1つ以上またはそれらの混合物を含み得る。
【0054】
誤解を避けるために、本発明の所与の側面、特徴またはパラメータについて示された選好、オプション、特定の特徴などは、文脈が別段の指示をしない限り、本発明の同じまたは他の側面、特徴およびパラメータについて示されるように、任意のおよび他のすべての選好、オプション、特定の特徴などと組み合わせて開示されたと見なされるべきである。
本明細書で使用する「約」という用語は、例えば、測定可能な値(組成物または反応混合物中の特定の成分の重量など)を指す場合、指定された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、または特に±0.1%の変動を指す。
本発明のいくつかの側面において、本発明の方法は、本明細書に記載のステップからなるか、または本質的にそれからなることができる。
誤解を避けるために、本明細書において、「含むこと(comprising)」または「含む(comprises)」という用語を使用する場合、記載されている方法は列挙されたステップを含まなければならないが、任意に追加のステップを含んでもよいことを意味する。「本質的に~からなること」または「本質的に~からなる」という用語を使用する場合、記載されている発明の方法は、列挙されたステップを含まなければならず、マイナーな追加のステップも、それが方法の本質的な特性に影響しないとの条件で、含み得ることを意味する。「~からなること」または「~からなる」という用語を使用する場合、記載されている発明の方法は、列挙されたステップのみを含まなければならないことを意味する。
【0055】
生物学的抽出物
本発明はまた、以前に記載の方法または使用を用いて得られた生物学的抽出物も提供し、これは以下では「本発明の抽出物」と呼ぶこともある。
生物学的抽出物は、例えば、粗製固体または半固体の生物学的抽出物または精製された生物学的抽出物であり得る。
生物学的抽出物は、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち、親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性の化合物に富み得る。
【0056】
例えば、粗製生物学的抽出物は、約2重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、または約40重量%以上の、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性の化合物の抽出物を含み得る;すなわち粗製生物学的抽出物は、約2重量%~約60重量%の、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の抽出物を含み得、または約5重量%~約40重量%の、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の抽出物を含み得る。
精製された生物学的抽出物は、約10重量%以上、約20重量%以上、約40重量%以上、または約60重量%、または約70重量%以上の、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の、乾燥精製抽出物を含み得る;すなわち、精製された生物学的抽出物は、約10重量%~約80重量%の、水溶液への溶解度が制限されている化合物、すなわち親油性、疎水性、油溶性および/または非水溶性である化合物の抽出物を、または約20重量%~約60重量%の抽出物を含み得る。
【0057】
例えば、粗製生物学的抽出物は、約2重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、または約40重量%以上の、次の物質の抽出物を含み得る:以下を包含するフェノール化合物:フェノール酸(サリチル酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミンおよびその誘導体、デメトキシクルクミンまたはビスデメトキシクルクミンなど)、ビキシン、カプサイシノイド、カンナビノイド、ピラノアントシアニン、スチルベン、フェノールアルコール、フェノール脂質(ショウガオールまたはユビキノールなど)、シリマリン、アルカロイド、脂質、フェニルプロパノイド、クマリン(ジメトキシクマリンなど)、有機酸(リンゴ酸または酒石酸など)、以下を包含するテルペノイド:モノテルペノイド、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物;すなわち、粗製生物学的抽出物は、約2重量%~約60重量%、または約5重量%~約40重量%の、次の物質の粗製抽出物を含み得る:以下を包含するフェノール化合物:フェノール酸(サリチル酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミンおよびその誘導体、デメトキシクルクミンまたはビスデメトキシクルクミンなど)、ビキシン、カプサイシノイド、カンナビノイド、ピラノアントシアニン、スチルベン、フェノールアルコール、フェノール脂質(ショウガオールまたはユビキノールなど)、シリマリン、アルカロイド、脂質、フェニルプロパノイド、クマリン(ジメトキシクマリンなど)、有機酸(リンゴ酸または酒石酸など)、以下を包含するテルペノイド:モノテルペノイド、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物。
【0058】
精製された生物学的抽出物は、約10重量%以上、約20重量%以上、約40重量%以上、または約60重量%以上、または約70重量%以上の、カルノシン酸および/またはヘスペリジンの乾燥精製抽出物を含み得、すなわち、精製された生物学的抽出物は、約10重量%~約80重量%のカルノシン酸および/またはヘスペリジンの抽出物、または約20重量%~約60重量%の抽出物を含み得る。
精製された生物学的抽出物は、約10重量%以上、約20重量%以上、約40重量%以上、または約60重量%以上、または約70重量%以上の、クルクミノイドおよび/またはクルクミンの乾燥精製抽出物を含み得、すなわち、精製された生物学的抽出物は、約10重量%~約80重量%のクルクミンおよび/またはクルクミノイドの抽出物、または約20重量%~約60重量%の抽出物を含み得る。
本発明の生物学的抽出物において、残存するDES(特に前述の少なくとも1つのDES)のパーセンテージは、DESの抽出物の5重量%未満、例えば、DESの抽出物の重量の2重量%未満または1重量%未満または0.1重量%未満、または約0.04重量%未満であり得る。例えば、得られた生物学的抽出物は、実質的にDESを含まない可能性がある。
本明細書で使用する場合、用語「実質的に含まない」とは、記載されている抽出物が、少量(例えば、最大で抽出物の0.1重量%または0.01重量%または0.001重量%または0.0001重量%まで)のDESを含み得ることを意味し、ただし、DESの存在は、抽出物の本質的な特性には影響しないものとする。
【0059】
本発明の生物学的抽出物の使用
本発明の生物学的抽出物を使用して、以下を提供することができる:生物学的材料(すなわち、植物および/または藻類および/または動物および/または原核生物の生物学的材料)からの、以下を包含するフェノール化合物:フェノール酸(サリチル酸、ロスマリン酸またはカフェー酸など)、フェノール性エステル、フェノール性ジテルペン(カルノシン酸およびその誘導体など)、フラボノイド(ヘスペリジンまたはルテオリングルクロニドなど)、セコイリドイド、クルクミノイド(クルクミンおよびその誘導体など)、ビキシン、カプサイシノイド、カンナビノイド、ピラノアントシアニン、スチルベン、フェノールアルコール、フェノール脂質(ショウガオールまたはユビキノールなど)、シリマリン、アルカロイド、脂質、フェニルプロパノイド、クマリン(ジメトキシクマリンなど)、有機酸(リンゴ酸または酒石酸など)、以下を包含するテルペノイド:モノテルペノイド、セスキテルペノイド(ターメロン、クルクマジオン、プロクルクマジオールまたはデヒドロクルジオンなど)、ジテルペノイド(カルノシン酸またはヒドロキシクリプトタンシノンなど)、サポニン、リグナン、アントラキノン、グルコシノラート、スルフォラファンおよびイソチオシアナート、トリテルペノイド(ウルソール酸など)、サポゲニン、サポニンまたはカロテノイド、およびそれらの混合物。
例えば、生物学的抽出物は、上に挙げた化合物の1つ以上またはそれらの混合物を含み得て、これらは以下として使用し得る:天然の生物学的フレーバー剤、および味覚修飾剤、甘味料、フレグランス、殺虫剤、抗微生物剤、タンパク質、酵素、着色料、色素、界面活性剤、抗酸化剤、キレート剤、乳化剤、テクスチャライザー、ビタミン、および/または栄養、化粧品または医薬的関心のある生物活性剤。
例えば、生物学的抽出物は、抗酸化および/または抗微生物活性(anti-microbial activity)(例えば、抗菌活性(anti-bacterial activity))および/または抗炎症活性を提供する化合物において高レベルで存在し得る。したがって本発明は、本明細書に記載の方法によって得られる植物および/または藻類および/または動物および/または原核生物の生物学的材料から得られる抗酸化剤を含む、生物学的抽出物を提供する。
【0060】
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる生物学的抽出物の、抗酸化剤としての使用を提供する。抗酸化剤抽出物は、以下に記載されるような組成物および/または製品に使用することができる。
したがって、本発明は、本明細書に記載の方法によって、植物および/または藻類および/または動物おおよび/または原核生物の生物学的材料から得られる、1つ以上の抗炎症剤、着色料または色素、ビタミン、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾剤を含む、生物学的抽出物を提供する。
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる生物学的抽出物の、抗炎症剤、着色料または色素、ビタミン、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾剤としての使用を提供する。抗炎症剤、着色料または色素、ビタミン、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾剤の抽出物は、以下に記載される組成物および/または製品に使用され得る。
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる生物学的抽出物(クルクミン、デメトキシクルクミンまたはビスデメトキシクルクミンを含むウコン抽出物など)の、関節の健康、認知(神経炎症)、心臓代謝、スポーツ回復、および/または消化器の健康のための抗炎症剤としての使用も提供する。
【0061】
したがって、本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる植物および/または藻類および/または動物および/または原核生物の生物学的材料から得られた、抗微生物剤(例えば、抗菌剤)、抗炎症剤、ビタミン、着色料または色素、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾化合物を含む、生物学的抽出物を提供する。
本発明はまた、本明細書に記載の方法によって得られる生物学的抽出物の、抗微生物剤(例えば、抗菌剤)、抗炎症剤、着色料または色素、ビタミン、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾剤としての使用も提供する。抗微生物性抽出物(例えば、抗菌剤)または抗炎症剤、着色料または色素、ビタミン、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾剤を、以下に記載される組成物および/または製品に使用することができる。
本発明の生物学的抽出物(これは、抗酸化剤および/または抗微生物剤(例えば、抗菌剤)、抗炎症剤、ビタミン、着色料または色素、界面活性剤、フレーバー剤、フレグランスおよび/または味覚修飾剤であり得る)を使用して、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物を提供することができる。
【0062】
栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物は、経口または非経口的に投与することができ、または局所、直腸、経鼻、耳介、膣および/または眼への適用とすることができる。
したがって本発明は、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物において使用するための、生物学的抽出物を提供する。
本発明はまた、生物学的抽出物、および任意に1つ以上の薬学的/獣医学的に許容し得る成分、例えば賦形剤または担体または(機能性)食品許容成分およびそれらの混合物などを適宜含む、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物も提供する。
【0063】
必要に応じて、生物学的抽出物は、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物内の他の生物学的に活性な化合物と、組み合わせることができる。
本明細書で使用する場合、薬学的または獣医学的に許容し得る賦形剤への言及は、当業者に知られているような薬学的または獣医学的に許容し得るアジュバント、希釈剤および/または担体を指し得る。
食品に許容し得る成分には、当技術分野で知られているもの(本明細書で薬学的に許容し得る賦形剤とも呼ばれるものを含む)が含まれ、天然または非天然であることができ、すなわち、それらの構造は天然に生じ得るか、またはそうではない。場合によっては、それらは天然化合物に由来し、使用前に改変することができる(例:マルトデキストリン)。
一態様において、本明細書に記載の方法によって得られる生物学的抽出物は、カルノシン酸が豊富であり、ヒマワリ、オリーブ油、コーン油または菜種油などの食品グレードの油と配合される。好ましい態様において、カルノシン酸に富む抽出物は、約1~30%、例えば約20~30%、例えば約1~10%、例えば約4~5%の濃度のヒマワリ油と配合される。
【0064】
別の態様において、本明細書に記載の方法によって得られる生物学的抽出物(カルノシン酸に富む抽出物、またはひまわり油に配合されたカルノシン酸に富む抽出物など)は、食品または飲料(例えばマヨネーズ、肉など)の製造に使用される。好ましい態様において、生物学的抽出物(カルノシン酸に富む抽出物、またはヒマワリ油に配合されたカルノシン酸に富む抽出物など)は、10~100倍または1000または10000倍に希釈される。
「薬学的または獣医学的に許容し得る」とは、組成物の追加の成分が一般に安全で毒性がなく、生物学的にもそれ以外でも望ましくないわけではないことを意味する。例えば、追加の成分は一般に、無菌で発熱物質を含まない。かかる成分は、本発明の抽出物と適合性がありそのレシピエントに有害ではないという意味で、「許容し得る」ものでなければならない。したがって「薬学的に許容し得る賦形剤」には、単に賦形剤として作用することを意図する、すなわちそれ自体が生物学的活性を有することを意図しない、製剤の一部を形成するために使用される任意の化合物が含まれる。
当業者は、本発明の抽出物(例えば、医薬または獣医学用組成物などの組成物の形態において)が、患者または対象(例えば、ヒトまたは動物の患者または対象)に、任意の適切な経路、例えば経口、直腸、経鼻、肺、頬側、舌下、経皮、大槽内、腹腔内、または非経口(皮下、筋肉内、髄腔内、静脈内および皮内を含む)の経路などによって、投与され得ることを理解するであろう。
【0065】
本発明の抽出物は、経口投与することができる。かかる場合に、本発明による医薬または獣医学用組成物は、経口経路による投与のために特別に製剤化され得る。
経口投与用の医薬または獣医学用組成物には、固形剤形、例えばハードまたはソフトカプセル剤、錠剤、トローチ、糖剤、丸剤、ロゼンジ、粉末剤および顆粒剤などが含まれる。適切な場合、それらは、腸溶コーティングなどのコーティングで調製することができ、または当技術分野で周知の方法に従って、徐放性または長期放出などの有効成分の制御放出を提供するように製剤化することができる。
経口投与用の液体剤形には、水剤、乳剤、水性または油性懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。
経口投与を目的とするもの等の本明細書に記載の組成物(例えば、医薬または獣医学または食品の組成物)は、当業者に知られている方法に従って、例えば組成物の成分を一緒に混合することなどによって、調製することができる。
【0066】
本発明の組成物は、食品成分または医薬品成分などの1つ以上の追加の成分、および賦形剤、例えば甘味剤、フレーバー剤、着色料および保存剤などを含有し得る。本発明の組成物は、活性成分(単数または複数)を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容し得る賦形剤(または成分)と混合して、含有し得る。これらの賦形剤(または成分)は、例えば、以下のものであり得る:不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなど;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチ、マルトデキストリンまたはアルギン酸など;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;または潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルクおよびそれらの混合物。
本発明の固体組成物は、コーティングされていないか、または既知の技術によりコーティングされて、胃腸管での崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続的な作用を提供し得る。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。
本発明の液体組成物は、上記で定義されたようにコーティングされていないかまたはコーティングされ得るカプセル内に含まれ得る。
【0067】
適切な医薬または獣医学用担体には、不活性な固体希釈剤または充填剤、滅菌水溶液、および様々な有機溶媒が含まれる。固体担体の例は、ラクトース、白土(terra alba)、スクロース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、アラビアガム、加工デンプン、およびセルロースの低級アルキルエーテル、サッカロース、シリカ、およびそれらの混合物である。液体担体の例は、シロップ、ピーナッツ油、オリーブ油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水である。
さらに、担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの、当技術分野で知られている任意の徐放性材料を、単独で、またはワックスと混合して含み得る。
適切な医薬担体には、不活性な固体希釈剤または充填剤、滅菌水溶液、および様々な有機溶媒が含まれる。固体担体の例は、ラクトース、白土、スクロース、シクロデキストリン、マルトデキストリン、デキストリン、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム;ステアリン酸、アラビアガム、加工デンプン、およびセルロースの低級アルキルエーテル、サッカロース、二酸化ケイ素である。液体担体の例は、シロップ、野菜油、リン脂質、脂肪酸、脂肪酸アミン、ポリオキシエチレンおよび水である。さらに、担体または希釈剤は、当技術分野で知られている任意の徐放性材料、例えばモノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどを、単独で、またはワックスと混合して含み得る。
【0068】
本明細書で使用する「担体」という用語はまた、天然生成物であるか、またはそれが由来する天然生成物とは異なるように変換または改変された天然由来の生成物を指し得、例えばマルトデキストリンである。
障害、および処置される対象、ならびに投与経路に応じて、本発明の抽出物は、様々な用量(すなわち、それを必要とする患者に投与される場合のように、治療上有効な用量)で投与され得る。これに関して、当業者は、本発明の文脈において哺乳動物、特にヒトに投与される用量は、合理的な時間枠にわたって哺乳動物の治療反応に影響を与えるのに十分であるべきであることを、理解するであろう。当業者は、正確な用量および組成物の選択ならびに最も適切な送達レジメンもまた、とりわけ、製剤の薬理学的特性、処置される状態の性質および重症度、ならびにレシピエントの身体的状態および精神的鋭敏さ、ならびに処置を受ける患者の年齢、状態、体重、性別および反応、および疾患の病期/重症度によって、影響を受けることを認識するであろう。
【0069】
医薬または獣医学または食品の組成物は、本発明の抽出物を治療上有効な量で含む。本明細書で使用する場合、用語「有効量」は、「治療有効量」、「有効用量」、または「治療有効用量」と同義であり、本発明で使用される場合、所望の治療効果を達成するのに必要な本発明の抽出物の最小用量を指し、炎症に関連する症状を軽減するのに十分な用量を含む。本明細書に記載の疾患または状態を処置する際の有効性は、個人の改善を観察することにより、1つ以上の臨床症状、および/または状態に関連する生理学的指標に基づいて、決定することができる。本明細書に記載の疾患または状態の改善はまた、同時治療の必要性の低減によっても示すことができる。
さらに、本発明の抽出物の反復投与が使用される場合、本発明の抽出物の有効量はさらに、投与の頻度、本発明の抽出物の半減期、またはそれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない要因に依存する。
栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物における生物学的抽出物の量は、用途に応じて異なるであろう。
【0070】
典型的には、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物に存在する生物学的抽出物の量は、栄養補助食品組成物、ヒトまたは動物用の食品もしくは食品製品(例えば機能性食品組成物など、すなわち食品、飲料、飼料もしくはペットフード、または食品、飲料、飼料もしくはペットフードサプリメントなど)、栄養サプリメント、フレグランスまたはフレーバー、医薬品(医薬組成物または製剤)、獣医学用組成物、ワイン醸造もしくは化粧品配合物の約0.0001重量%~約100重量%、例えば約0.001%~約50%または約0.01%~約30%であろう。
本発明の医薬または獣医学または食品の組成物は、本発明の抽出物および任意に担体からなるか、または本質的にそれらからなり得る。
【0071】
誤解を避けるために、本明細書において「含むこと(comprising)」または「含む(comprise)」という用語を使用する場合、記載されている抽出物または組成物は、列挙された成分(単数または複数)を含有しなければならないが、任意に追加の成分を含有し得ることを意味する。「~から本質的になること」または「~から本質的になる」という用語を使用する場合、記載されている抽出物または組成物は、列挙された成分(単数または複数)を含有しなければならず、また少量(例えば、最大5重量%、または最大1重量%または0.1重量%まで)の他の成分も含有し得ることを意味し、ただし、任意の追加の成分が抽出物または組成物の本質的な特性に影響を及ぼさないとの条件のもとである。「~からなること」または「~からなる」という用語を使用する場合、記載されている抽出物または組成物は、列挙された成分(単数または複数)のみを含有しなければならないことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、異なるベタイン:尿素混合物の、室温での色素「ジスパースレッド13」の水溶液への溶解度に対する効果を、525nmの吸光度で測定して示した図である。すべての溶液は、蒸留水中pHの制御なしで調製した。結果は、3回の実験(独立)の平均±Sdとして表す。挿入図:尿素対ベタインのモル分率(%)の関数としてのSmax
図2図2は、異なるベタイン:尿素混合物の、室温での色素「ジスパースレッド13」の水溶液への溶解度に対する効果を、525nmでの吸光度で測定して示した図である。すべての溶液は、pH7のリン酸緩衝液で調製した。必要に応じて、最終的なハイドロトロピック溶液を濃塩酸でpH7.0に調整した。添加したHClの量は試験したすべての混合物の総量の1%未満であったため、濃度の補正は行わなかった。結果は、3回の実験(独立)の平均±Sdとして表す。挿入図:尿素対ベタインのモル分率(%)の関数としてのSmax
【0073】
図3図3は、異なる塩化コリン:尿素混合物の、室温でのジスパースレッド13の水溶液への溶解度に対する効果を、525nmの吸光度で測定して示した図である。すべての溶液は、蒸留水中pHの制御なしで調製した。結果は、3回の実験(独立)の平均±Sdとして表す。挿入図:尿素対塩化コリンのモル分率(%)の関数としてのSmax
図4図4は、尿素対ベタインのモル分率(%)の関数としての、カルノシン酸のSmaxを示す図である。
図5図5は、尿素対ベタインのモル分率(%)の関数としての、ヘスペリジンのSmaxを示す図である。
図6図6は、尿素対ベタインのモル分率(%)の関数としての、クルクミンのSmaxを示す図である。
図7図7は、1:1または2:1の尿素:ベタイン深共晶を室温(RT)で0.5、1、2、3、7、または16時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の粗製(未洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。すべての溶媒は、950g/LのDESを水中に含む。すべての抽出について、植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は9倍量の水を室温で使用して得た。
【0074】
図8図8は、1:1または2:1の尿素:ベタイン深共晶を室温(RT)で0.5、1、2、または3時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。すべての溶媒は、950g/LのDESを水中に含む。植物:溶媒の重量比は、1:10(10Mと表示)、1:15(15Mと表示)、または1:20(20Mと表示)であり、沈殿は、9倍量の水を室温で使用して得た。抽出物は1、2または5回洗浄した。
図9図9は、10%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸深共晶を室温(RT)で1時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の粗製(未洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は、1:10(10Mと表示)または1:15(15Mと表示)であり、沈殿は両方の条件において、9倍量の水を室温で使用して得た。
図10図10は、5、10、20、25、または30%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸深共晶を室温(RT)で0.25、0.5、1、2、または3時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は、1:6(6Mと表示)、1:8(8Mと表示)、1:10(10Mと表示)、または1:15(15Mと表示)であった。沈殿は、1.5、2、3、4、または9倍量の水を室温または4℃で使用して得た。
【0075】
図11図11は、10%の水を含有する1:1または1:2のベタイン:乳酸深共晶を室温(RT)で1時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の粗製(未洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)または1:15(15Mと表示)であり、沈殿は、9倍量の水を室温で使用して得た。
図12図12は、5、10、20、または25%の水を含有する1:2または1:3のベタイン:乳酸深共晶を室温(RT)で1時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は、1:8(8Mと表示)、1:10(10Mと表示)、または1:15(15Mと表示)であり、沈殿は、4または9容量の水を室温で使用して得た。図の最初の試料(左から)は、沈殿水を2μmフィルターで濾過した後に得たものである。他のものは遠心分離されている。
【0076】
図13図13は、20または25%の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール深共晶を室温(RT)で1時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の粗製(未洗浄)または精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4または9倍量の水を室温で使用して得た。
図14図14は、20、30、または50%の水を含有する1:1、1:2または2:1のベタイン:ソルビトール深共晶を室温(RT)で0.5、1、または2時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:8(8Mと表示)または1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図15図15は、20または50%の水を含有する1:1または1:2のベタイン:ソルビトール深共晶を60℃で0.5時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:8(8Mと表示)または1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図16図16は、20または30%の水を含有する1:1のソルビトール:レブリン酸深共晶を室温(RT)で0.5時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
【0077】
図17図17は、30%の水を含有する1:2のベタイン:プロリン深共晶を室温(RT)で0.5、1、または2時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図18図18は、30%の水を含有する1:2のベタイン:プロリン深共晶を60℃で0.5または2時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図19図19は、20または30%の水を含有する1:1、1:2、2:1または3:1のプロリン:グルコース深共晶を60℃または室温(RT)で0.5、1、または2時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および、質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図20図20は、20、30、または50%の水を含有する1:1、1:2、2:1、および3:1のベタイン:グルコース深共晶を60℃で0.5、1、または2時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
【0078】
図21図21は、25%の水を含有する1:2のベタイン:ピルビン酸深共晶を室温(RT)で0.5時間使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。植物:溶媒の重量比は、1:8(8Mと表示)、1:10(10Mと表示)、または1:15(15Mと表示)であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図22図22は、以下を使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率(A)、最終の粗製(未洗浄)または精製(洗浄)抽出物のCA含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である:外から添加された水を含まない2:1の尿素:塩化コリン深共晶、20%の水を含有する1:1グリセロール:乳酸深共晶、20%の水を含有する1:1グリセロール:レブリン酸深共晶、20%の水を含有する1:1のソルビトール:乳酸深共晶、20%の水を含有する1:1のキシリトール:レブリン酸深共晶、30%の水を含有する1:2のグルコース:レブリン酸深共晶、20%の水を含有する1:1のプロリン:レブリン酸深共晶、および20%の水を含有する1:1のリシン:レブリン酸深共晶。抽出は、60℃または室温(RT)で0.5または1時間実施した。植物:溶媒の重量比はすべての溶媒で1:10(10Mと表示)であり、沈殿は、4または9倍量の水を室温で使用して得た。
【0079】
図23図23は、以下を使用して得た、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸(CA)抽出の回収率を示す図である:外から添加された水を含まない2:1の尿素:ベタインHCl深共晶、10、20、または30%の水を含有する様々なモル比(1:1、1:2または2:1)でのベタイン:グリセロール深共晶、20または30%の水を含有する1:1のリンゴ酸:塩化コリン深共晶、0、10、または20%の水を含有する様々なモル比(1:1、1:2または2:1)でのグリセロール:塩化コリン深共晶、20%の水を含有する1:1のグリセロール:ソルビトール深共晶、20%の水を含有する1:2のリシン:レブリン酸深共晶、および30%の水を含有する1:1のベタイン:プロリン深共晶。すべての抽出は、室温(RT)で0.5または1時間、植物と溶媒の重量比1:10(10Mと表示)で実施した。
【0080】
図24図24は、尿素:ベタイン深共晶を使用して得たローズマリーの粗製(未洗浄)および精製(洗浄)抽出物の、Rancimatアッセイにより測定された抗酸化活性を示す図である。
図25図25は、ベタイン:レブリン酸深共晶を使用して得たローズマリーの精製(洗浄)抽出物の、Rancimatアッセイにより測定された抗酸化活性を示す図である。
図26図26は、Rancimatアッセイにより測定された防護係数と、最終抽出物のカルノシン酸含有量(%)との間の線形の正の相関を示す図である。
図27図27は、水中の塩(NaCl)の含有量の、上清のCA含有量として表されるカルノシン酸(CA)水溶性に対する効果を示す図である。
【0081】
図28図28は、粉砕したウコンの根を30分間抽出した後に、様々なDESおよび温度(室温、RT、または60℃)を使用した得た、活性回収率(A)、最終抽出物における含有量(B)、および質量収率(C)を示す図である。使用した溶媒は、20%の水を含有する1:1のソルビトール:レブリン酸、20%の水を含有する1:1のプロリン:レブリン酸、30%の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール、25%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸、および10%の水を含有する1:2のベタイン:乳酸であった。すべての溶媒について、植物:溶媒の重量比は1:10であり、沈殿は、4倍量の水を室温で使用して得た。
図29図29は、粉砕したオレンジの皮を、様々なDESを使用して室温で30分間抽出する間の、ヘスペリジンの回収率を示す図である。使用した溶媒は、20%の水を含有する1:1のソルビトール:レブリン酸、20%の水を含有する1:1のプロリン:レブリン酸、30%の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール、25%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸、および10%の水を含有する1:2のベタイン:乳酸であった。すべての溶媒について、植物:溶媒の重量比は1:10であった。
【実施例
【0082】
本発明を、以下の非限定的な例を参照してさらに説明する。
【0083】
材料および方法
色素「ジスパースレッド13」の可溶化
尿素(≧98%、U5378、Sigma)およびベタイン(≧99%、61962、Sigma)は分析グレードであった。尿素とベタインを、シリカと共にデシケーターに保管することにより湿気を避けるように注意した。塩化コリンの場合は、かかる注意は湿気を避けるには不十分であり、エタノールで再結晶化し、乾燥剤としてのPと共にデシケーターに保管した。
所望の量のベタインおよび/または尿素粉末を、蒸留水またはリン酸緩衝液(PBS、67mM)にpH7.0で溶解して、100mLの溶液を形成した。
水またはPBS中の、尿素:ベタイン混合物における尿素の濃度は、0.025~8.3Mの範囲であった。
水またはPBS中の純粋な尿素溶液の濃度は0.025~10.1Mの範囲であり、後者の値は、尿素の飽和レベルに対応する。
【0084】
最後に、水またはPBS中の純粋なベタインの濃度は0.025~5.4Mの範囲であり、後者はベタインの飽和レベルに対応する。
PBS中の尿素および/またはベタインの溶液は、濃HClを使用して7.0のpHを提供するように調整した。添加されたHClの量は、ベタインおよび/または尿素の最終モル濃度を計算する際に考慮した。
10mLのオスモライト溶液を、5mgのジスパースレッド13を過剰に含むバイアル(最終濃度:364827、Sigma)に加え、16時間磁気攪拌し(500rpm)、濾過した(0.45μm)。濾液中のジスパースレッド13の濃度は、525nmで測定する(Shimadzu UV-1800、日本)。
【0085】

例1.ベタイン:尿素混合物の、非緩衝水性媒体中のジスパースレッド13に対する可溶化特性
ベタインは、テンサイジュースで最初に発見されたグリシンのトリメチル化形態である。これは、カルボン酸基(COO)の2つの酸素原子を介して水素結合アクセプターの役割を果たすことができる、豊富な天然資源である。尿素は、第一級アミン基を介した強力な水素結合供与体として知られている。
この例では、異なるモル比の無水の尿素:ベタイン(U:B)混合物を最初に調製し、次に異なる濃度で、すなわち1.5g/Lから、U:B比がそれぞれ1:0、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、および0:1の場合に対する飽和レベルである607、813、985、957、795、741、および633g/Lまでの範囲の濃度で、蒸留水に可溶化した。
これらの液体混合物を、溶媒の可溶化特性をスクリーニングするための疎水性プローブとして使用される過剰のジスパースレッド13と混合した。図1から観察されるように、ジスパースレッド13の吸光度は、水中の深共晶濃度の増加に伴って、指数関数的に(約525nm)増加する。これは、共晶組成(1:2、ベタイン:尿素)およびその他(共晶混合物ではなく包晶混合物と呼ばれる)が、水中でハイドロトロープとして振る舞うことを明確に実証する。
【0086】
MHCは次のように減少する:1:3のU:B>1:2のU:B>1:1のU:B>2:1のU:B>3:1のU:B>尿素。
さらに重要なことに、最大のSmax(特定の溶質のハイドロトロープによる最大可溶化能力)は、2成分系の共晶組成に対応する1:2のベタイン:尿素比で観察された。これは、Smaxをベタインに対する尿素のモル分率(%)の関数としてプロットした図1の挿入図で、最もよく観察される。
これは、この例で試験したすべての混合物の中で、ジスパースレッド13を可溶化する能力が最も高い溶媒が、985g/Lの水の濃度(飽和レベルまたはCmax)における2:1のU:B溶液であったことを意味する。
【0087】
この例において、尿素およびU:B混合物のハイドロトロピーにプラトーがないことを考慮すると、水中の深共晶の最大達成可能な濃度(飽和レベル)(Cmax、x軸、図1)は、ジスパースレッド13の最大達成可能な可溶化値に対応する(Smax、y軸、図1)。言い換えると、Cmaxは、特定の溶質のSmaxへの到達を可能にするハイドロトロープ濃度である。ここで、深共晶での濃度が高いほど、可溶化されたジスパースレッド13の濃度が高くなる(合体効果(colligative effect))。最適化されたSmaxが共晶組成に対して臨界的に観察されるという事実は、前例のない発見である。
さらに、尿素のみではハイドロトロピック挙動を示すが、このことは、ベタインのみの場合、すなわち、ジスパースレッド13をかかる認定には少なすぎるだけしか増加させなかったベタインのみの場合には、該当しない。このように、特定の比率(共晶組成、すなわちここでは2:1のUB)での尿素のベタインへの添加は、ジスパースレッド13を可溶化するための対応する混合物の、強力な相乗効果をもたらす。
【0088】
例2.ベタイン:尿素混合物の、緩衝化されpH7に調整された水性媒体中のジスパースレッド13に対する可溶化特性
U:Bモル比の臨界性(criticality)が単にpH効果によるものではないことを確認するために(pHは、尿素とベタインの比および水溶液中のそれらの濃度によっても異なる)、第2の一連の実験を、ジスパースレッド13を同じU:B混合物に、ただしpH=7のリン酸緩衝液中に溶解することにより、実施した。
深共晶の高濃度には、濃HCl溶液でpHを7に調整することが必要であり、その理由は、緩衝液の緩衝効果が、ベタインによって誘発されるpHの上昇に対抗するのに必ずしも十分ではなかったためであった。添加されたHClの量は、試験したすべての混合物で総容量の1%未満であったため、濃度の補正は行わなかった。
得られた結果は、蒸留水(pHの制御なし)を用いた例1に見られる結果に近く、深共晶のハイドロトロピーは主にpHによって決定されるのではなく、むしろ両方の成分間の臨界モル比によって制御されることを示している。(図2)。
したがって、さらなる実験を蒸留水中で実施した。以前に観察されたように、水中の飽和レベルでの共晶組成(2:1のUB)は、ジスパースレッド13色素を可溶化するための最良の条件を提供する。例1と全く同じ相乗効果が、尿素とベタインの間でpH7においても観察される。
【0089】
例3.塩化コリン:尿素混合物の、非緩衝水性媒体中のジスパースレッド13に対する可溶化特性
塩化コリン(ChCl)はメチルアミン塩であり、バイオマスから抽出することも、非常に高い原子経済プロセスを介して化石埋蔵物から容易に合成することもできる。尿素などの水素結合ドナーと組み合わせて、例えばモル比2:1の尿素:ChClにおいて、ChClは、12℃で液体の深共晶溶媒を生成することができる(図3)。
【0090】
例4.ベタイン:尿素混合物の、非緩衝水性媒体中のカルノシン酸に対する可溶化特性
この例では、異なるモル比の無水の尿素:ベタイン(U:B)混合物を最初に調製し、次に飽和レベル、すなわちU:B比が1:0、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、および0:1の場合についてそれぞれ607、813、985、957、795、741、および633g/Lで、これを蒸留水に可溶化した。これらの液体混合物を、様々な溶媒の可溶化特性をスクリーニングするための疎水性プローブとして使用されるジテルペン抗酸化剤である、過剰のカルノシン酸と混合した。
図4から、最大のカルノシン酸Smax(カルノシン酸の深共晶による最大可溶化能力)が、2成分系の共晶組成に対応する1:2のベタイン:尿素比で観察されたことがわかる。これは、この例で試験したすべての混合物の中で、カルノシン酸を可溶化する能力が最も高い溶媒が、985g/Lの水の濃度(飽和レベルまたはCmax)の2:1のU:B溶液であることを意味する。さらに、2:1のU:B混合物で正味の相乗効果が得られた。
【0091】
例5.ベタイン:尿素混合物の、非緩衝水性媒体中のヘスペリジンに対する可溶化特性
この例では、異なるモル比の無水の尿素:ベタイン(U:B)混合物を最初に調製し、次に飽和レベル、すなわちU:B比が1:0、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、および0:1の場合にそれぞれ607、813、985、957、795、741、および633g/Lで、これを蒸留水に可溶化した。これらの液体混合物は、様々な溶媒の可溶化特性をスクリーニングするための疎水性プローブとして使用されるフラボノイド生物活性物質であるヘスペリジンと混合した。
図5から、最大のヘスペリジンSmax(深共晶によるヘスペリジンの最大可溶化能力)が、1:2と1:1の両方のベタイン:尿素比で観察されたことがわかり、これは、2成分系の共晶組成に近い組成、または正確にその組成に対応する。
このことは、この例で試験したすべての混合物の中で、ヘスペリジンを可溶化する能力が最も高い溶媒は、(i)985g/Lの水の濃度での2:1のU:B溶液、および(ii)957g/Lの水の濃度での1:1のU:B溶液、を有する溶液(どちらの場合も、飽和レベルまたはCmax)であることを意味する。さらに、純粋なベタインまたは純粋な尿素の飽和溶液と比較して、これら2つの溶媒で正味の相乗効果が得られた。
【0092】
例6.ベタイン:尿素混合物の、非緩衝水性媒体中のクルクミンに対する可溶化特性
この例では、異なるモル比の無水の尿素:ベタイン(U:B)混合物を最初に調製し、次に飽和レベル、すなわちU:B比が1:0、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、および0:1の場合にそれぞれ607、813、985、957、795、741、および633g/Lで、蒸留水に可溶化した。これらの液体混合物は、様々な溶媒の可溶化特性をスクリーニングするための疎水性プローブとして使用されるフェノール性生物活性物質かつ色素である、過剰のクルクミンと混合した。
図6から、最大のクルクミンSmax(深共晶によるクルクミンの最大可溶化能力)が、1:1の尿素:ベタイン比で観察されたことがわかり、これは、2成分系の共晶組成に近い組成に対応する。このことは、この例で試験したすべての混合物の中で、ヘスペリジンを可溶化する能力が最も高い溶媒が、957g/Lの水の濃度(飽和レベルまたはCmax)の1:1のU:B溶液であることを意味する。さらに、純粋なベタインまたは純粋な尿素の飽和溶液と比較して、この溶媒で正味の相乗効果が得られた。実際、他のすべての組み合わせも、それらの可溶化特性に関して相乗効果を示す。
【0093】
例7.尿素:ベタイン深共晶を使用したローズマリーの抽出、遠心分離とその後の濾過によるケーキの除去、貧溶媒として水を使用した深共晶からの抽出物の分離、および遠心分離による粗製抽出物の回収
両方とも飽和レベル(950g/L)に近い2:1の尿素:ベタイン(UB2/1_950g/L)混合物および1:1の尿素:ベタイン(UB1/1_950g/L)混合物の、均一水溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mLのこの深共晶溶液(植物:溶媒、1:10)を用いて、室温で0.5、1、2、3、7、または16時間インキュベートし、濃縮溶液を、遠心分離とそれに続く濾過によって植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は27~43%であった(図7a)。次に、濾液を9倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。沈殿物を遠心分離により回収し、真空オーブン内で45℃で一晩乾燥した。最後に、乾燥ペレット(以下「粗製抽出物」と呼ぶ)を収集した。それらには、11~19%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図7b)。最終的な質量収率は1.2~4.2%であった(図7c)。
【0094】
例8.尿素:ベタイン深共晶を使用したローズマリーの抽出、遠心分離とその後の濾過によるケーキの除去、貧溶媒として水を使用した深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および残留深共晶の水での洗浄手順による除去
ここでは、例7で行ったプロセスを、最後に追加の洗浄手順を用いて再現した。両方とも飽和レベル(950g/L)に近い、2:1の尿素:ベタイン(UB2/1_950g/L)混合物および1:1の尿素:ベタイン(UB1/1_950g/L)混合物の、均一の水溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mLのこの深共晶溶液(植物:溶媒、1:10)を用いて、室温で0.5、1、2、または3時間インキュベートし、濃縮溶液を、遠心分離とそれに続く濾過によって植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は28~65%であった(図8a)。次に、濾液を9倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、抽出物から残留深共晶を除去し(以下、「無溶媒の共晶抽出物」または「洗浄抽出物」と呼ぶ)、カルノシン酸濃度をさらに増加させる。真空オーブン内で45℃で一晩乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に17~33%のカルノシン酸が含有されており(HPLC定量)((図8b)、これは、例7に記載の洗浄手順を使用しないプロセスと比較して、カルノシン酸含有量の重要な改善を表している。最終的な質量収率は、0.8~2.4%の範囲の値で同時に減少し(図8c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0095】
例9.飽和レベル(950g/L)に近い2:1の尿素:ベタイン混合物を室温で2時間使用して例7(粗製抽出物)および8(精製抽出物)で得られたローズマリー抽出物の化学的特性付け
表1は、共晶ローズマリー抽出物であって、洗浄手順の適用前(図7の試料「UB2/1_950 g/L_10M_RT_2h_10vol_crude」に対応する粗製抽出物)、および適用後(図8の試料「UB2/1_950 g/L_10M_RT_2h_10vol_1washed」に対応する精製抽出物)の前記抽出物に見出される、いくつかの同定された化合物を示す。記号+は存在を意味し、記号-は不在を意味する。
【0096】
表1.洗浄手順の適用前(粗製抽出物)および適用後(精製抽出物)の共晶ローズマリー抽出物中で同定された化合物
【表1-1】
【表1-2】
【0097】
例10.ベタイン:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、および遠心分離による粗製抽出物の回収
10%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸混合物(BLe1/2_10%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)または300mL(植物:溶媒、1:15)のこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は73~76%であった(図9a)。次に、濾液を9倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。沈殿物を遠心分離により回収し、一晩凍結乾燥した。最後に、乾燥ペレット(以下「粗製抽出物」と呼ぶ)を収集した。それらには、29~31%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図9b)。最終的な質量収率は6.3~11%であった(図9c)。
【0098】
例11.ベタイン:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
ここでは、例10で実施したプロセスを、最後に追加の洗浄手順を用いて再現した。5%(BLe1/2_5%w)、10%(BLe1/2_10%w)、20%(BLe1/2_20%w)、25%(BLe1/2_25%w)、および30%(BLe1/2_30%w)の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、120mL(植物:溶媒、1:6)、160mL(植物:溶媒、1:8)、200mL(植物:溶媒、1:10)、または300mL(植物:溶媒、1:15)のこの深共晶溶液と共に、室温で0.25、0.5、1、2、または3時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は63~82%であった(図10a)。次に、濾液を1.5、2、3、4、および9倍量の水で4または10℃または室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、抽出に使用した溶媒の量(120、160、200、または300mL)と同じ量の水を使用する追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に36~45%のカルノシン酸が含まれており(HPLC定量)(図10b)、これは、例10に記載の洗浄手順なしのプロセスと比較して、カルノシン酸含有量の重要な改善を表している。最終的な質量収率は、2.7~4.5%の範囲の値で付随して減少し(図10c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0099】
例12.ベタイン:乳酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、および遠心分離による粗製抽出物の回収
それぞれ10%の水を含有する、1:2のベタイン:乳酸(BLa1/2_10%w)混合物および1:1のベタイン:乳酸(BLa1/1_10%w)混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、これらの深共晶溶液200mL(植物:溶媒、1:10)または300mL(植物:溶媒、1:15)と共に、室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は32~80%であった(図11a)。次に、濾液を9倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。沈殿物を遠心分離により回収し、一晩凍結乾燥した。最後に、乾燥ペレットを収集した。それらは23~40%のカルノシン酸を含有していた(HPLC定量化)(図11b)。最終的な質量収率は1.7~7.5%であった(図11c)。
【0100】
例13.ベタイン:乳酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
ここでは、例12で実施したプロセスを、最後に追加の洗浄手順を用いて再現した。5%(BLa1/2_5%w)、10%(BLa1/2_10%w)、20%(BLa1/2_20%w)、および25%(BLa1/2_25%)の水を含有する1:2のベタイン:乳酸混合物の均一溶液、および、10%の水を含有する1:3のベタイン:乳酸混合物(BLa1/3_10%w)の溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、160mL(植物:溶媒、1:8)、200mL(植物:溶媒、1:10)、または300mL(植物:溶媒、1:15)のこの深共晶溶液と共に、室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は40~80%であった(図12a)。次に、濾液を4または9倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、水の抽出に使用した溶媒の量(160、200、または300mL)と同じ量の水を使用する追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に33~41%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図12b)。最終的な質量収率は0.8~4.6%の範囲であり(図12c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0101】
例14.ベタイン:グリセロールDESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、および遠心分離による粗製抽出物の回収
20%の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール混合物(BGly1/2_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、この深共晶溶液200mL(10M)と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は40%であった(図13a、試料「BGly1/2_20%w_10M_RT_1h_9vol_crude」)。次に、濾液を9倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。沈殿物を遠心分離により回収し、一晩凍結乾燥した。最後に、乾燥ペレットを収集した。それらには17%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図13b)。最終的な質量収率は2.4%であった(図13c)。
【0102】
例15.ベタイン:グリセロールDESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
ここでは、例14で実施したプロセスを、最後に追加の洗浄手順を用いて再現した。20%(BGly1/2_20%w)および25%(BGly1/2_25%w)の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mLのこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は22~43%であった(図13a)。次に、濾液を4または9倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に29~40%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図13b)。最終的な質量収率は0.2~0.8%の範囲であり(図13c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0103】
例16.ベタイン:ソルビトールDESを使用した室温でのローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%(BS1/2_20%w)、30%(BS1/2_30%w)、および50%(BS1/2_50%w)の水を含有する1:2のベタイン:ソルビトール混合物の均一溶液、ならびに、20%(BS1/1_20%w)、30%(BS1/1_30%w)および50%(BS1/1_50%w)を含有する1:1のベタイン:ソルビトール混合物の溶液、および30%を含有する2:1のベタイン:ソルビトール混合物(BS2/1_30%w)の溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、160mL(植物:溶媒、1:8)、200mL(植物:溶媒、1:10)、および300mL(植物:溶媒、1:15)のこの深共晶溶液と共に、室温で0.5、1、および2時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は3.9~13.1%であった(図14a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、抽出に使用した溶媒の量(160、200、または300mL)と同じ量の水を使用する追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に1~18%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図14b)。最終的な質量収率は0.1~1.7%の範囲であり(図14c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0104】
例17.ベタイン:ソルビトールDESを60℃で使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
50%の水を含有する1:2のベタイン:ソルビトール混合物(BS1/2_50%w)の均一溶液、および、20%(BS1/1_20%w)、および50%(BS1/1_50%w)の水を含有する1:1のベタイン:ソルビトール混合物の溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、160mL(植物:溶媒、1:8)または200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に、60℃で0.5、1、または2時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は3.9~13.1%であった(図15a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、抽出に使用した溶媒の量(160または200mL)と同じ量の水を使用する追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に1~18%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図15b)。最終的な質量収率は0.1~1.7%の範囲であり(図15c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0105】
例18.ソルビトール:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%(SLe1/1_20%w)または30%(SLe1/1_30%w)の水を含有する1:1のソルビトール:レブリン酸混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に、室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率はそれぞれ58%および27%であった(図16a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的にSLe1/1_20%wについて36%、SLe1/1_30%wについて31%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図16b)。最終的な質量収率は、それぞれ1.1と0.5であることが見出された(図16c)。これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0106】
例19.ベタイン:プロリンDESを室温で使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
30%の水を含有する1:2のベタイン:プロリン混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に、室温で0.5、1、または2時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は14~24%であった(図17a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に10~16%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図17b)。最終的な質量収率は0.1~1.7%であることが見出され(図17c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0107】
例20.ベタイン:プロリンDESを60℃で使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
30%の水を含有する1:2のベタイン:プロリン混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に、60℃で0.5時間または2時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析し、2時間後に実施した抽出の回収率は38%であった(図18a)。残念ながら、0.5時間後に実施した抽出の回収率は評価されなかった。
次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に21%(0.5時間)および20%(2時間)のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図18b)。最終的な質量収率は、どちらの場合も2.9%であることが見出された(図18c)。
【0108】
例21.プロリン:グルコースDESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%(PGlu1/1_20%w)または30%(PGlu1/1_30%w)の水を含有する1:1のプロリン:グルコース混合物、ならびに、それぞれが20%の水を含有する1:2のプロリン:グルコース(PGlu1/2_20%w)、2:1のプロリン:グルコース(PGlu2/1_20%w)、および3:1のプロリン:グルコース(PGlu3/1_20%w)の混合物の、均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に、室温、60℃、または100℃で、0.5、1、または2時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は6~22%であった(図19a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に4~23%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図19b)。最終的な質量収率は0.3~3%であることが見出され(図19c)、これは工業標準に関して依然として十分に許容され得る。
【0109】
例22.ベタイン:グルコースDESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
30%(BGlu1/2_30%w)または50%(BGlu1/2_50%w)の水を含有する1:2のベタイン:グルコース混合物、ならびに、それぞれが20%の水を含有する1:1のベタイン:グルコース(BGlu1/2_20%w)、2:1のベタイン:グルコース(BGlu2/1_20%w)、および3:1のベタイン:グルコース(BGlu3/1_20%w)の混合物の、均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に、60℃で0.5、1、または2時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は1~35%であった(図20a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に1~22%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図20b)。最終的な質量収率は1.1~1.7%であることが見出された(図20c)。
【0110】
例23.ベタイン:ピルビン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
25%の水を含有する1:2のベタイン:ピルビン酸混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、160mL(植物:溶媒、1:8)、200mL(植物:溶媒、1:10)、または300mL(植物:溶媒、1:15)のこの深共晶溶液と共に、室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率はそれぞれ34、44、および56%であった(図21a)。
次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、抽出に使用した溶媒の量(160、200、または300mL)と同じ量の水を使用する追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に39%(植物:溶媒、1:8)、44%(植物:溶媒、1:10)、および42%(植物:溶媒、1:15)のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図21b)。最終的な質量収率は、それぞれ1.6、2.1、および2.3%であることが見出された(図18c)。
【0111】
例24.尿素:塩化コリンDESを使用したローズマリーの抽出、遠心分離とその後の濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、および遠心分離による粗製抽出物の回収
2:1の尿素:塩化コリンのニート混合物(UChCl2/1_0%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は13%であった(図22a、試料「UChCl2/1_0%w _10M_RT_1h_9vol_crude」)。次に、濾液を9倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。沈殿物を遠心分離により回収し、一晩凍結乾燥した。最後に、乾燥ペレットを収集した。それらには6%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は2.1%であった(図22c)。
【0112】
例25.グリセロール:乳酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%の水を含有する1:1のグリセロール:乳酸混合物(GlyLa1/1_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は24%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に19%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は1.6%であることが見出された(図22c)。
【0113】
例26.グリセロール:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキ除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%の水を含有する1:1のグリセロール:レブリン酸混合物(GlyLe1/1_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は79%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に33%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は0.2%であることが見出された(図22c)。
【0114】
例27.ソルビトール:乳酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%の水を含有する1:1のソルビトール:乳酸混合物(SLa1/1_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は7%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に8%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は0.1%であることが見出された(図22c)。
【0115】
例28.キシリトール:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキ除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%の水を含有する1:1のキシリトール:レブリン酸混合物(XLe1/1_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は67%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に33%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は0.4%であることが見出された(図22c)。
【0116】
例29.グルコース:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
30%の水を含有する1:2のグルコース:レブリン酸混合物(GluLe1/2_30%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は77%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に28%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は0.2%であることが見出された(図22c)。
【0117】
例30.プロリン:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキ除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%の水を含有する1:1のプロリン:レブリン酸混合物(PLe1/1_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は95%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に38%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は4.1%であることが見出された(図22c)。
【0118】
例31.リシン:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、濾過によるケーキの除去、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
20%の水を含有する1:1のリシン:レブリン酸混合物(LLe1/1_20%w)の均一な溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に60℃で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は53%であった(図22a)。次に、濾液を4倍量の水で室温で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置した。
次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。一晩凍結乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に32%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)(図22b)。最終的な質量収率は2.9%であることが見出された(図22c)。
【0119】
例32.尿素:ベタインHCl DESを使用したローズマリーの抽出、および遠心分離とその後の濾過によるケーキの除去
2:1の尿素:ベタインHClのニート混合物(UBHCl2/1)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を、遠心分離とその後の濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は10%であった(図23)。
【0120】
例33.ベタイン:グリセロールDESを使用したローズマリーの抽出、および濾過によるケーキの除去
10%(BGly1/2_10%w)および30%(BGly1/2_30%w)の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール混合物、ならびに20%の水を含有する1:1のベタイン:グリセロール混合物(BGly1/1_20%w)および30%の水を含有する2:1のベタイン:グリセロール混合物(BGly2/1_30%w)の、均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は19~33%であった(図23)。
【0121】
例34.リンゴ酸:塩化コリンDESを使用したローズマリーの抽出、および濾過によるケーキの除去
20%(MChCl1/1_20%w)および30%(MChCl1/1_30%w)の水を含有する1:1のリンゴ酸:塩化コリン混合物の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は8~18%であった(図23)。
【0122】
例35.グリセロール:塩化コリンDESを使用したローズマリーの抽出、および濾過によるケーキの除去
2:1のグリセロール:塩化コリンのニート混合物(GlyChCl2/1_0%w)、10%の水を含有する1:1のグリセロール:塩化コリン混合物(GlyChCl1/1_10%w)、および20%の水を含有する1:2のグリセロール:塩化コリン混合物(GlyChCl1/2_20%w)の、均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は9~13%であった(図23)。
【0123】
例36.グリセロール:ソルビトールDESを使用したローズマリーの抽出、および濾過によるケーキの除去
20%の水を含有する1:1のグリセロール:ソルビトール混合物(GlyS1/1_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は4%であった(図23)。
【0124】
例37.リシン:レブリン酸DESを使用したローズマリーの抽出、および濾過によるケーキの除去
20%の水を含有する1:2のリシン:レブリン酸混合物(LLe1/2_20%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は87%であった(図23)。
【0125】
例38.ベタイン:プロリンDESを使用したローズマリーの抽出、および濾過によるケーキの除去
30%の水を含有する1:1のベタイン:プロリン混合物(BPr1/1_30%w)の均一溶液を調製した。20グラムの粉砕したローズマリーの葉(2.77%のカルノシン酸含有)を、200mL(植物:溶媒、1:10)のこの深共晶溶液と共に室温で0.5時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率は14%であった(図23)。
【0126】
例39.沈殿/凝集ステップに対するDESの組み合わせの重要性を示す陰性対照
本発明のプロセスが、例えばベタイン:レブリン酸などの2つの分子の組み合わせ(したがって、DESの形成)を必要とすることをさらに検証するために、いくつかの陰性対照を沈殿ステップについて試験した。実際、10%または25%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸の場合とまったく同じプロセスを、混合物中にレブリン酸のみ、ベタインの添加なしで再現した(表2)。粉砕したローズマリーの葉を、これらの混合物中、植物:溶媒の重量比1:10で室温で1時間インキュベートした。抽出の最初のステップは、カルノシン酸回収率が84~93%の範囲で正常に実行されたが、水を追加した標準的な沈殿ステップを適用した後、濾過または遠心分離によって粗製抽出物を回収することはできなかった。
次に、純粋なレブリン酸(ベタインなし)を水の添加なしで直接使用し、ローズマリーの葉の抽出を、植物と溶媒の重量比1:10で室温で1時間実施した。再度、現在DESに適用されている手順と同じ手順で、形成された沈殿物(存在する場合)を収集することはできなかった。
最後の検証は、抽出期間が0.5時間であったこと以外は、レブリン酸のみの場合と同じ抽出および沈殿手順を使用し、40%の水を含有するベタインのみ(水中の飽和レベルに近い)を使用して実施した。9.2%のカルノシン酸が抽出されたが、再度、沈殿物(存在する場合)の収集には失敗した。
【0127】
表2.沈殿/凝集ステップに使用される陰性対照
【表2】

これらの陰性対照は、レブリン酸:ベタインDESの例において、粗製または精製ローズマリー抽出物を得るには2つの化合物の組み合わせが絶対に必要であることを示しており、何故ならば、対応するDESの代わりにレブリン酸のみまたはベタインのみを使用した場合には、抽出物が収集できないからである。
【0128】
例40.尿素:ベタイン深共晶で得てひまわり油に配合されたローズマリーの粗製および精製共晶抽出物の抗酸化活性(Rancimat法)
例7および8に記載の本発明のプロセスを使用し、尿素:ベタイン深共晶を用いて得た粗製(未洗浄)および精製(洗浄)ローズマリー抽出物を、それらの抗酸化活性についてRancimat法により評価した。抽出物を最終濃度1000mg/kgでひまわり油に可溶化し、Rancimat装置のガラス管に導入した。試料を110℃で加熱し、10L/hのフラックスで空気を流して、酸化速度を加速した。収集したヘッドスペースの導電率により、酸化が大幅に増加するまでの誘導期(誘導時間)の正確な評価が可能となる。ローズマリー抽出物で処理した試料の誘導時間を、未処理のひまわり油対照の誘導時間で割ることにより、防護係数(PF)を決定できる。PFが1の場合、抽出物は抗酸化作用がないことを示し、一方値が高いPFは抗酸化作用があることを示す。
ここでは、飽和レベル(それぞれ950および957g/L)に近い2:1の尿素:ベタインまたは1:1の尿素:ベタイン混合物を使用して得られた3つの異なる粗製ローズマリー抽出物が、PFが1.1~1.2の間での油配合物において顕著な抗酸化活性を示すことがわかる(図24)。これらの粗製抽出物を洗浄して精製ローズマリー抽出物を得ると、PFは劇的に増加して、1.8から2.0の範囲の値に達する。これは、本発明のプロセスに追加の洗浄手順を適用することにより、油性配合物(ここではひまわり油)の酸化安定性が2倍になったことを意味する。
【0129】
例41.ベタイン:レブリン酸DESで得てひまわり油に配合されたローズマリーの粗製および精製された共晶抽出物の抗酸化活性(Rancimat法)
例40で説明したものと同じRancimatプロトコルを使用して、1:2のベタイン:レブリン酸DESを使用して得られた7つの異なる精製ローズマリー抽出物が、PFが2.7~3の油配合物において顕著な抗酸化活性を示すことがわかる(図25)。これは、本発明のプロセスに追加の洗浄手順を適用することにより、油性配合物(ここではひまわり油)の酸化安定性を3倍にすることができることを意味する。興味深いことに、我々は、アセトンによる従来の抽出とそれに続く複雑な精製プロセスを使用して得られた、標準的なローズマリー抽出物を示す。本発明の抽出物は、このローズマリー抽出物参照とほぼ同等であるか、またはさらに優れている。
【0130】
例42.Rancimatアッセイを使用して測定した防護係数と最終抽出物中のカルノシン酸含有量(%)の相関
ここでは、Rancimatアッセイを使用して測定した例40および41に例示の防護係数を、最終抽出物中のカルノシン酸含有量(%)の関数としてプロットした。y=0.0523x+0.5173として数学的に表すことができる線形の正の相関が、0.96のR2で見出された(図26)。これは、最終抽出物のカルノシン酸含有量が高いほど、対応する抗酸化活性が高いことを意味する。
【0131】
例43.水中の塩(NaCl)含有量のカルノシン酸(CA)の水溶性に対する効果
最終抽出物中の高いカルノシン酸含有量と、それに伴う強力な抗酸化活性をもたらす洗浄手順をさらに改善するために、ここでは、塩化ナトリウムの添加の、CAの水溶性に対する効果を調べた。図27に示す結果は明確に、塩が洗浄手順中に失われるCAの量を減らすのに役立つことを示している。実際、CAの水溶性は、蒸留水と酸性化蒸留水の両方に3g/Lの塩を加えることによって大幅に低下する。したがって、洗浄手順後の遠心分離後に回収されるCAの量は、塩を添加することによって大幅に改善することができる。
洗浄ステップでのこの塩の添加は、25%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸混合物を使用した、室温で0.5時間、植物:溶媒の重量比10での、粉砕したローズマリーの葉からのカルノシン酸抽出に対して実施した。濾過後のカルノシン酸の回収率は79%であった。次に、9倍量の水を室温で15分間磁気的に撹拌しつつ加え、さらに15分間静置した。手順の最後に、塩化ナトリウムを添加した水(3.5%)を洗浄ステップに使用した。精製された抽出物の最終的なカルノシン酸含有量は38%であることが見出されたが、最終的な質量収率は4.5%であった。この検証により、塩の添加が抽出物の取得に適合することを実証した。
洗浄手順に加えて、塩の添加は、貧溶媒として3g/L以上の塩を添加した水を使用することにより、沈殿/凝集ステップ中にも役立つ。これにより、沈殿中に失われるCAの量を最小限にすることができる。
【0132】
例44.粉砕したセージの葉の抽出(1時間)、遠心分離とその後の濾過によるケーキの除去、、水を貧溶媒として用いた深共晶からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶の除去
2:1の尿素:ベタイン混合物の均一な水溶液を、飽和レベル(950g/L)近くで調製した。20グラムのセージ(Salvia officinalis)の葉(1.75%のカルノシン酸含有)を200mLのこの深共晶溶液と共に周囲温度で1時間インキュベートし、濃縮溶液を遠心分離とその後の濾過によって植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、カルノシン酸の濃度は0.67g/Lであり、これは28.6%の回収率に相当する。次に、濾液を水で10倍に希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、抽出物からほとんどの深共晶を分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に攪拌し、さらに15分間静置した。沈殿物を遠心分離により回収し、真空オーブン内で45℃で一晩乾燥した。最後に、7.30%のカルノシン酸を含有する573mgの乾燥ペレット(質量収率:2.86%)を収集し(HPLC定量)、これは、セージ出発物質と比較して11.92%の最終回収率に相当する。
その後、このプロセスを別の実験で再現した。31.6%のカルノシン酸の回収率が、セージ残留物を除去した後の濾液において観察され、これは、以前に得られたものに匹敵する。次に、200mLの水を使用した追加の洗浄手順を適用して、残留深共晶を抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。真空オーブンで45℃で一晩乾燥した無溶媒の共晶抽出物には、最終的に14.3%のカルノシン酸が含まれていた(HPLC定量)。最終的な質量収率は1.22%で、カルノシン酸の全体的回収率は9.95%であった。抽出物は容易に回収可能であり、さらに粉砕可能な流動性粉末を形成する。
【0133】
例45.粉砕したウコンの根の抽出(1時間)、濾過によるケーキの除去、貧溶媒として水を使用した深共晶溶媒からの抽出物の分離、遠心分離による粗製抽出物の回収、および水での洗浄手順による残留深共晶溶媒の除去
20%の水を含有する1:1のソルビトール:レブリン酸混合物(SLe1/1_20%w)、20%の水を含有する1:1のプロリン:レブリン酸混合物(PLe1/1_20%w)、30%の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール混合物(BGly1/2_30%w)、25%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸混合物(BLe1/2_25%w)、および10%の水を含有する1:2のベタイン:乳酸混合物(BLa1/2_10%w)の、均一水溶液を調製した。20グラムの粉砕したウコン(Curcuma longa)の葉(2.93%のクルクミノイドと1.74%のクルクミンを含有)を、200mLの各DES(植物:溶媒比:1:10)と共に周囲温度または60℃で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、回収率はクルクミノイドについて9~117%、クルクミンについて7~112%であった(図27a)。次に、濾液を4倍量の水で希釈した。粗製抽出物をその後に構成する活性成分を、水を貧溶媒として用いて沈殿させるこのステップは、DESの大部分を抽出物から分離するために不可欠である。得られた沈殿物を15分間磁気的に撹拌し、さらに15分間静置させた。沈殿物を遠心分離によって回収し、次に200mLの酸性水を使用して洗浄して、残留DESを抽出物から除去し、カルノシン酸濃度をさらに増加させた。この場合も、遠心分離ステップにより、無溶媒の共晶抽出物を構成するペレットの回収が可能となる。これらの後者は一晩凍結乾燥されて、最終的にクルクミノイドを21~46%、クルクミンを12~26%含んでいた(HPLC定量)(図27b)。最終的な質量収率は0.2~3.9%であった(図27c)。
【0134】
例46.1:2のベタイン:乳酸DESを使用して例45で得られた精製(洗浄)ウコン抽出物の化学組成
表3は、10%の水を含有する1:2のベタイン:乳酸を使用して得られ、例45および図27で説明されている共晶ウコン抽出物に見出される、同定された化合物の一部を示す(試料「BLa1/2_10%w_10M_1h_4vol_1washed」)。
表3.共晶ウコン精製抽出物中で同定された化合物
【表3】
【0135】
例47.粉砕したオレンジ(Citrus sinensis)の皮の抽出(1時間)および濾過によるケーキの除去
20%の水を含有する1:1のソルビトール:レブリン酸混合物(SLe1/1_20%w)、20%の水を含有する1:1のプロリン:レブリン酸混合物(PLe1/1_20%w)、30%の水を含有する1:2のベタイン:グリセロール混合物(BGly1/2_30%w)、25%の水を含有する1:2のベタイン:レブリン酸混合物(BLe1/2_25%w)、および10%の水を含有する1:2のベタイン:乳酸混合物(BLa1/2_10%w)の、均一水溶液を調製した。20グラムの粉砕したオレンジの皮(2.67%のヘスペリジン含有)を200mLの各DES(植物:溶媒比:1:10)と共に周囲温度で1時間インキュベートし、濃縮溶液を濾過により植物から分離した。濾液をHPLCで分析したところ、ヘスペリジンの回収率は49~93%であった(図29)。
図1
図2
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図29
【国際調査報告】