(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】センサ付の超音波乳化ハンドピース及びサージ抑制システム、方法
(51)【国際特許分類】
A61F 9/007 20060101AFI20220818BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20220818BHJP
B02C 19/18 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61F9/007 130B
H04R17/00 330G
B02C19/18 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575309
(86)(22)【出願日】2020-04-13
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 CN2020084411
(87)【国際公開番号】W WO2021012720
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】201910666176.3
(32)【優先日】2019-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521549246
【氏名又は名称】以諾康医療科技(蘇州)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】顔 忠余
(72)【発明者】
【氏名】程 春節
(72)【発明者】
【氏名】王 福源
(72)【発明者】
【氏名】劉 振中
(72)【発明者】
【氏名】汪 輝
(72)【発明者】
【氏名】駱 威
【テーマコード(参考)】
4D067
5D019
【Fターム(参考)】
4D067CE01
4D067GA20
5D019BB02
5D019EE01
5D019FF04
(57)【要約】
センサ付の超音波乳化ハンドピースにおいて、中間の吸引管路は、遊合される固定管(304)と延長管(305)とから構成され、小型の圧力センサ(307)が当該延長管(305)に取り付けられ、ハンドピースに使いやすいサイズと超音波の性能とが維持される。延長管(305)により超音波の振動のセンサ(307)への影響が最大限に緩和されるとともに、超音波乳化ニードル(202)を取り付け又は取り外すための十分な剛性が維持される。当該ハンドピースにおいて圧力センサ(307)の手術部位との距離が縮小することで、サージのリスクを確実に抑制できる技術的構成を提供する。さらに、サージ抑制システム及び方法も開示する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピースハウジング(201)と、前記ハンドピースハウジング(201)の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル(202)と、前記ハンドピースハウジング(201)の近位端に設けられている吸引継手(204)と、を含むセンサ付の超音波乳化ハンドピースであって、
前記ハンドピースハウジング(201)の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、
前記エネルギ変更装置部分は、ホーン(301)と駆動要素(302)とを含み、
前記ホーン(301)の遠位端には、前記超音波乳化ニードル(202)が螺合され、
前記ホーン(301)の近位端は、固定管(304)であり、
前記延長部分は、延長管(305)と、前記延長管(305)に固定装着されているセンサ(307)とを含み、
前記延長管(305)と前記固定管(304)とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、
接続された両者の内部空間が前記超音波乳化ニードル(202)に連通して吸引通路を形成することを特徴とするセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項2】
前記センサ(307)は、ピエゾ抵抗式微小電子機械システムによる圧力センサであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項3】
前記センサ(307)は、接着剤結合によって前記延長管(305)の側面に固定され、
前記センサ(307)の電力線は、前記超音波乳化ハンドピースケーブル内に設けられることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項4】
前記延長部分は、前記延長管(305)と前記固定管(304)との接続領域の外側を被覆する封止固定ゲル(306)をさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項5】
前記延長管(305)と前記固定管(304)の接続端口との間に回転防止構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項6】
前記駆動要素(302)は、前記ホーン(301)の外周に外挿され、末端ブロック(303)によって固定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項7】
前記固定管(304)の近位端への延出長さは、前記末端ブロック(303)の近位端から前記固定管(304)の近位端までの長さであり、ハンドピースの動作周波数の1/8の波長を超えないことを特徴とする請求項6に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項8】
前記エネルギ変更装置部分は、増幅領域(310)と駆動領域(311)とを含み、
前記増幅領域(310)の直径は、駆動領域(311)の直径の1/2未満であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項9】
前記駆動領域(311)の長さは、ハンドピースの動作周波数のホーンの波長の1/4から1/2の間であることを特徴とする請求項8に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項10】
前記駆動要素(302)は、圧電セラミックであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項11】
前記ホーン(301)と固定管(304)とは、一体的に製造されるか、又は、剛性的に固定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項12】
前記ハンドピースハウジング(201)には、灌流管(206)がさらに設けられており、
前記灌流管(206)の近位端は、灌流源(512)に接続するための灌流継手(205)であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項13】
ハンドピースハウジング(201)と、前記ハンドピースハウジング(201)の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル(202)と、前記ハンドピースハウジング(201)の近位端に設けられている吸引継手(204)と、を含むセンサ付の超音波乳化ハンドピースであって、
前記ハンドピースハウジング(201)の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、
前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手(204)に連通して吸引通路を形成し、
前記延長部分には、センサ(307)が設けられており、
前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制されることを特徴とするセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項14】
前記エネルギ変更装置部分は、ホーン(301)と駆動要素(302)とを含み、
前記駆動要素(302)は、圧電セラミックであり、
前記ホーン(301)の遠位端には、前記超音波乳化ニードル(202)が螺合され、
前記延長部分は、延長管(305)と、接着剤結合によって前記延長管(305)の側面に固定されるセンサ(307)と、を含み、
前記延長管(305)の遠位端と前記ホーン(301)の近位端とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、
接続された前記延長管(305)と前記ホーン(301)との内部空間が前記超音波乳化ニードル(202)に連通して吸引通路を形成することを特徴とする請求項13に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項15】
ハンドピースケーブル(511)を介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラ(505)に接続される、請求項1から14のいずれか1項に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース(501)と、
灌流ホース(515)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続される灌流源(512)と、
一側が吸引ホース(508)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続され、他側が廃液キャビティ(518)と廃液通路(519)とを介して廃液バッグ(509)に接続される真空発生装置(507)と、
前記吸引ホース(508)と前記廃液キャビティ(518)との間に設けられており、第1の信号線(510)を介して前記コントローラ(505)に接続される常時閉の吸引弁(506)と、を含み、
前記吸引弁(506)と前記廃液キャビティ(518)との間には、負圧解放通路(520)が設けられていることを特徴とするサージ抑制システム。
【請求項16】
前記灌流ホース(515)には、灌流センサ(513)と灌流弁(514)とが設けられており、前記灌流センサ(513)と前記灌流弁(514)は、それぞれ第2、第3の信号線(516、517)を介して前記コントローラ(505)に接続されることを特徴とする請求項15に記載のサージ抑制システム。
【請求項17】
センサ付の超音波乳化ハンドピース(501)を提供するステップS1であって、前記超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースハウジング(201)と、前記ハンドピースハウジング(201)の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル(202)と、前記ハンドピースハウジング(201)の近位端に設けられている吸引継手(204)と、を含み、前記ハンドピースハウジング(201)の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手(204)に連通して吸引通路を形成し、前記延長部分には、センサ(307)が設けられており、前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、前記超音波乳化ハンドピース(501)は、ハンドピースケーブル(511)を介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラ(505)に接続されるステップS1と、
灌流ホース(515)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続される灌流源(512)を提供するステップS2と、
一側が吸引ホース(508)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続され、他側が廃液キャビティ(518)と廃液通路(519)とを介して廃液バッグ(509)に接続される真空発生装置(507)を提供するステップS3と、
前記吸引ホース(508)と前記廃液キャビティ(518)との間に設けられ、第1信号線(510)を介して前記コントローラ(505)に接続される常時閉の吸引弁(506)を提供するステップであって、前記吸引弁(506)と前記廃液キャビティ(518)との間には、負圧解放通路(520)が設けられているステップS4と、
前記センサ(307)が前記吸引通路内の圧力値を測定し、前記コントローラ(505)が圧力変化の速さを計算し、流体システムパラメータに基づいて前記コントローラ内に閾値を設定し、圧力変化の速さが前記閾値より大きいと、前記コントローラ(505)が前記吸引弁(506)が開となるように制御して、前記吸引通路内の負圧を前記負圧解放通路(520)によって迅速に解放させるステップS5と、を含むことを特徴とするサージ抑制方法。
【請求項18】
前記流体システムパラメータは、眼圧(IOP)、同等な注射液密封容器の高さ、超音波乳化ニードル(202)の直径の大きさ、真空発生装置(507)の最大真空度を含むが、これらに限定されないのではないことを特徴とする請求項17に記載のサージ抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特に、超音波乳化による白内障摘出手術(超音波を利用してニードルを駆動して病理変化が起きた眼の中の水晶体を破砕、乳化、吸引する手術)の超音波乳化ハンドピース及びサージ抑制システム、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波乳化による白内障摘出手術システムは、一般には、本体と、超音波乳化ハンドピースと、灌流/流体吸引システムと、の3つの主な部分から構成される。
図1に示す簡易型超音波乳化システムは、本体101と、超音波乳化ハンドピース105と、灌流/流体吸引システムとを含む。前記本体101は、駆動エネルギ及びユーザインタフェースを提供し、各ユニットからの信号を受け取って処理する。前記灌流/流体吸引システムは、一般には、モータ102と、流体ボックス103と、流体管104と、から構成され、その内部には、一般には吸引管路内の負圧を測定、抑制するための圧力/真空センサが設けられる。従来の一般的な設計では、当該圧力/真空センサが流体ボックス103にセットされる。前記超音波乳化ハンドピース105は、流体管104を介して流体ボックス103に接続され、当該流体管104の長さは、一般には約2メートルである。前記超音波乳化ハンドピース105は、ハンドピースケーブル106を介して本体101に接続され、ハンドピースケーブル106内には、一般には超音波信号線が含まれる。
【0003】
超音波乳化による白内障摘出手術では、適切な眼圧(IOP)と眼球内腔の安定性とを維持することは、安全に大きく寄与する。正常的な液体の流動において、眼球内腔に入る灌流液の量と取り出された液体の量とにバランスが保たれ、これにより、眼球内腔は、予め設定された眼圧(IOP)値を維持することができる。しかし、超音波乳化ニードルが組織塊によって詰まる(よく発生する状況)と、吸引管路内に負圧が形成される。強い吸引力又は超音波によって当該超音波乳化ニードルなどが振動される場合には、それを詰める組織塊が破砕される又は移動されて、眼の中の液体が、形成された負圧により直ちに吸入される。取り出された液体の量が流入する量より多いと、眼圧が低下し、眼球内腔が圧縮され、ひいては落ち窪まれる恐れがあり、この全般過程は極めて短い間で発生する。このような現象が超音波乳化白内障手術においてサージと呼ばれ、サージによる眼球内腔の変形は、手術の操作が一層難しくなり、ひいては手術合併症が起きてしまう。
【0004】
サージの深刻度は、主に、超音波乳化ニードルの内径、眼圧(IOP)の設定、詰まり解消時の負圧、吸引管路の大きさ、硬さなどのいくつかの要因の影響を受ける。一般には、小さいニードル内径、高眼圧の設定、低真空の設定、小さくかつ硬い吸引管路の方がサージの低減に役立つが、これらはいずれも技術上の制限があり、それぞれ欠点がある。
【0005】
したがって、吸引管路の詰まりが突然に解消されることが直ちに検知され、且つ形成された負圧が直ちに解放されれば、サージが緩和され、ひいてはサージを回避することができる。現在利用している超音波乳化システムは、前述したように、圧力/真空センサが流体ボックス内にセットされ、流体ボックスが本体に取り付けられ、灌流/吸引のための流体管を介して超音波乳化ハンドピースに接続され、流体管の長さは約2メートルである。管路の詰まりは、眼の中の腔体で発生するため、このように長い管は、詰まりの解消の検知が遅くなり、信号が遅くなるので、サージを効果的に緩和することはできない。
【0006】
一方で、超音波乳化ハンドピースは、眼の手術部位から非常に近い。当該超音波乳化ハンドピースの吸引管に小型の圧力センサをセットすると、詰まりが解消されたことを直ちに検知することができる。しかし、従来の超音波乳化ハンドピースを用いる場合、超音波の振動がその圧力センサに影響を与えてそれを壊すだけではなく、その圧力センサが超音波乳化ハンドピースの超音波の性能を低下させてしまう。特許文献US20180049920A1、US10182940B2には、超音波乳化ハンドピース内にセンサをセットすることが開示されているが、センサの設置形態、超音波の振動のセンサへの影響の防止、センサの設置による超音波の性能への影響の緩和に関する技術的解決手段は示されなかった。
【0007】
そこで、センサの装着に適合であり、互いの性能への影響を緩和しこのようなセンサ付の超音波乳化ハンドピースを用いてサージのリスクの低減又は回避を実現することができる超音波乳化ハンドピースの新規的な設計案を提案する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、超音波乳化による白内障摘出手術(超音波を利用してニードルを駆動して病理変化が起きた眼の中の水晶体を破砕、乳化、吸引する手術)の超音波乳化ハンドピース及びサージ抑制システム、方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の技術的課題を解決するための、本発明に係るセンサ付の超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースハウジングと、前記ハンドピースハウジングの遠位端に設けられている超音波乳化ニードルと、前記ハンドピースハウジングの近位端に設けられている吸引継手と、を含み、前記ハンドピースハウジングの内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、前記エネルギ変更装置部分は、ホーンと駆動要素とを含み、前記ホーンの遠位端には、前記超音波乳化ニードルが螺合され、前記ホーンの近位端は、固定管であり、前記延長部分は、延長管と、前記延長管に固定装着されているセンサと、を含み、前記延長管と前記固定管とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、接続された両者の内部空間が超音波乳化ニードルに連通して吸引通路を形成する。
【0010】
好ましくは、前記センサは、ピエゾ抵抗式微小電子機械システム(Piezoresistive MEMS)による圧力センサである。
【0011】
好ましくは、前記センサは、接着剤結合によって前記延長管の側面に固定され、前記センサの電力線は、前記超音波乳化ハンドピースケーブル内に設けられる。
【0012】
好ましくは、前記延長部分は、前記延長管と前記固定管との接続領域の外側を被覆する封止固定ゲルをさらに含む。
【0013】
好ましくは、前記延長管と前記固定管の接続端口との間に回転防止構造を備える。
【0014】
好ましくは、前記駆動要素は、前記ホーンの外周に外挿され、末端ブロックによって固定される。
【0015】
好ましくは、前記固定管の近位端への延出長さは、前記末端ブロックの近位端から前記固定管の近位端までの長さであり、ハンドピースの動作周波数の1/8の波長を超えない。
【0016】
好ましくは、前記エネルギ変更装置部分は、増幅領域と駆動領域とを含み、前記増幅領域の直径は、駆動領域の直径の1/2未満である。
【0017】
好ましくは、前記駆動領域の長さは、ハンドピースの動作周波数のホーンの波長の1/4から1/2の間である。
【0018】
好ましくは、前記駆動要素は、圧電セラミックである。
【0019】
好ましくは、前記ホーンと固定管とは、一体的に製造されか、又は、剛性的に固定される。
【0020】
好ましくは、前記ハンドピースハウジングには、灌流管がさらに設けられており、前記灌流管の近位端は、灌流源に接続するための灌流継手である。
【0021】
本発明に係るセンサ付の超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースハウジングと、前記ハンドピースハウジングの遠位端に設けられている超音波乳化ニードルと、前記ハンドピースハウジングの近位端に設けられている吸引継手とを含み、前記ハンドピースハウジングの内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手に連通して吸引通路を形成し、前記延長部分には、センサが設けられており、前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制される。
【0022】
好ましくは、前記エネルギ変更装置部分は、ホーンと駆動要素とを含み、前記駆動要素は、圧電セラミックであり、前記ホーンの遠位端には、前記超音波乳化ニードルが螺合され、前記延長部分は、延長管と、接着剤結合によって前記延長管の側面に固定されるセンサと、を含み、前記延長管の遠位端と前記ホーンの近位端とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、接続された延長管とホーンとの内部空間が超音波乳化ニードルに連通して吸引通路を形成する。
【0023】
本発明に係るサージ抑制システムは、ハンドピースケーブルを介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラに接続される、上述したセンサ付の超音波乳化ハンドピースと、
灌流ホースを介して前記超音波乳化ハンドピースに接続される灌流源と、
一側が吸引ホースを介して前記超音波乳化ハンドピースに接続され、他側が廃液キャビティと廃液通路とを介して廃液バッグに接続される真空発生装置と、
前記吸引ホースと廃液キャビティとの間に設けられており、第1の信号線を介して前記コントローラに接続される常時閉の吸引弁と、を含み、
前記吸引弁と前記廃液キャビティとの間に負圧解放通路が設けられている。
【0024】
好ましくは、前記灌流ホースには、灌流センサと灌流弁とが設けられており、前記灌流センサと前記灌流弁とは、それぞれ第2、第3の信号線を介して前記コントローラに接続される。
【0025】
本発明に係るサージ抑制方法は、以下のようなステップを含む。
ステップS1では、センサ付の超音波乳化ハンドピースを提供する。前記超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースハウジングと、前記ハンドピースハウジングの遠位端に設けられている超音波乳化ニードルと、前記ハンドピースハウジングの近位端に設けられている吸引継手とを、含む。前記ハンドピースハウジングの内部にエネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられている。前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手に連通して吸引通路を形成する。前記延長部分には、センサが設けられている。前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制される。前記超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースケーブルを介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラに接続される。
ステップS2では、灌流ホースを介して前記超音波乳化ハンドピースに接続される灌流源を提供する。
ステップS3では、一側が吸引ホースを介して前記超音波乳化ハンドピースに接続され、他側が廃液キャビティと廃液通路とを介して廃液バッグに接続される真空発生装置を提供する。
ステップS4では、前記吸引ホースと廃液キャビティとの間に設けられており、第1の信号線を介して前記コントローラに接続される常時閉の吸引弁を提供する。前記吸引弁と前記廃液キャビティとの間には、負圧解放通路が設けられている。
ステップS5では、前記センサが前記吸引通路内の圧力値を測定し、前記コントローラが圧力変化の速さを計算し、流体システムパラメータに基づいて前記コントローラ内に閾値を設定し、圧力変化の速さが前記閾値より大きいと、前記コントローラが前記吸引弁を開となるように制御して、前記吸引通路内の負圧を前記負圧解放通路によって迅速に解放させる。
【0026】
好ましくは、前記流体システムパラメータは、眼圧(IOP)、同等な注射液密封容器の高さ、超音波乳化ニードルの直径の大きさ、真空発生装置の最大真空度を含むが、これらに限定されるのではない。
【発明の効果】
【0027】
本発明の有益な効果は、主に下記のとおりである。
(1)超音波乳化ハンドピースの中間の吸引管路は、遊合される固定管と延長管との2つの部分から構成され、小型の圧力センサが当該延長管に取り付けられ、ハンドピースに使いやすいサイズと超音波の性能とを維持することができる。
(2)延長管という設計とその取付形態(超音波振動とカップリングする遊合)とにより超音波振動のセンサへの影響が最大限に緩和されるとともに、超音波乳化ニードルを取り付け又は取り外すための十分な剛性が維持される。
(3)ハンドピースのエネルギ変更装置という設計によりこのようなセンサを取り付けることの超音波の性能への影響が緩和される。
(4)超音波乳化による白内障摘出手術では、このように圧力センサの手術部位との距離を縮小することで、サージのリスクを確実に抑制できる技術的構成を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】従来技術に係る簡易型超音波乳化システムの模式図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例に係る超音波乳化ハンドピースの構造模式図である。
【
図3】
図2における、ハウジングと灌流スリーブとを省略した超音波乳化ハンドピースの断面模式図である。
【
図5】本発明の好ましい実施例に係るサージ抑制システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に示す具体的な実施形態を参照して本発明を詳しく説明する。本発明がこれらの実施形態に限定されず、当業者がこれらの実施形態に基づいて構造、方法、又は機能上の変更を行う場合、そのいずれも本発明の保護範囲に含まれる。
【0030】
なお、実施形態の説明では、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などで示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、説明の便宜上これらの用語が使用されるだけであり、対象となる装置又は要素が特定の方位に位置し、特定の方位で構造又は操作されなければならないことを示すものでも、これを示唆するものでもないので、本発明に対する制限とは理解されない。また、用語「第1」、「第2」、「第3」は、説明するため用語のみであり、相対的な重要性を示すか又はそれを示唆するものと理解されない。また、実施形態の説明では、操作者を基準として、操作者の方に近づく方が近位端であり、操作者から離れる方が遠位端である。
【0031】
図2、
図3に示すように、本発明に係るセンサ付の超音波乳化ハンドピースは、従来技術と同様に、ハンドピースハウジング201と、前記ハンドピースハウジング201の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル202と、前記ハンドピースハウジング201の近位端に設けられている吸引継手204と、を含み、この吸引継手は、真空発生装置507に接続するために用いられる(
図5)。
【0032】
前記ハンドピースハウジング201には、灌流管206がさらに設けられており、この灌流管206の近位端は、灌流源512(
図5)に接続するための灌流継手205である。前記超音波乳化ニードル202と前記ハンドピースハウジング201とが接続する箇所には、灌流スリーブ203がさらに設けられている。
【0033】
前記超音波乳化ハンドピースは、吸引と灌流との両方の機能を兼備したものであり、ここでその説明は省略する。
【0034】
本発明において、前記ハンドピースハウジング201の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、エネルギ変更装置部分は、増幅領域310と駆動領域311との両領域に区分することができる。前記エネルギ変更装置部分は、ホーン301と、駆動要素302と、を含み、前記ホーン301の遠位端には、前記超音波乳化ニードル202が螺合され、前記ホーン301の増幅構造は、本発明の重点的なものではないので、ここでその説明は省略する。この好ましい実施例において、前記駆動要素302は、前記ホーン301の外周に外挿され、末端ブロック303によって固定される。前記駆動要素302は、圧電セラミックである。前記末端ブロック303と駆動要素302とホーン301とは、その最大外径が略同じ、駆動領域311を構成し、前記ホーン301の小外径段は、増幅領域310である。
【0035】
前記ホーン301の近位端は、固定管304であり、前記ホーン301と固定管304とは、一体的に製造されるか、又は、両者は別な要素であるが取り付ける時に剛性的に固定される。
【0036】
前記延長部分は、延長管305と、センサ307と、封止固定ゲル306と、を含む。具体的には、前記センサ307は、接着剤結合によって前記延長管305の側面に固定され、前記センサ307の電力線及び信号線は、前記超音波乳化ハンドピースケーブル内に設けられる。前記センサ307は、ピエゾ抵抗式微小電子機械システム(Piezoresistive MEMS)による圧力センサである。
【0037】
従来の設計においては、中間の吸引管が一体的な要素又は剛性的に固定された2つの要素であるため、吸引管には強い超音波の振動が存在する。センサをこのような吸引管に固定すると、超音波の振動の干渉を受けやすく、ひいては壊れる。本発明では、これらのことを避けるために、前記延長管305と前記固定管304とをプラグイン式遊合とし且つ両者の周方向への回転を規制し、また接続された両者の内部空間を超音波乳化ニードル202に連通させて吸引通路を形成するように構成する。なお、具体的なプラグイン式遊合は、
図3に示すように、延長管305が前記固定管304の外周に外挿されてもよいし、前記固定管304が前記延長管305の外周に外挿されてもよい。
【0038】
前記封止固定ゲル306は、前記延長管305と前記固定管304との接続領域の外側を被覆する。前記封止固定ゲル306の硬化後の硬さは、60~90ショアA(Shore A)である。なお、本発明における遊合は、超音波振動とカップリングする遊合である。
前記延長管305と固定管304とが剛性体を形成していないため、超音波の伝達が遮断される。硬化後のゲルは、機械的固定の効果(静止又は超低周波の伝達)だけを果たし、引っ張られて離脱すること、つまり縦方向の相対的移動が避けられる。硬化後のゲルは、周方向へもある程度の固定効果を果たすが、ニードルの取り付けと取り外しが頻繁に行われるトルクには耐えられないため、本発明では、下記のような回転防止付属構造を増設する。
【0039】
実際に使用する時は、超音波乳化ニードル202をホーンに取り付け又は取り外す必要があり、一般には螺合する。取り付け又は取り外し操作時、片手でハンドピースハウジング201を把持し、他方の手で超音波乳化ニードル202を挟んだ捩じり工具を把持する。こうすると、トルクがハンドピースハウジング201を介してそれに固着された延長管305に伝達され、さらに固定管304、ホーン301の遠位端まで伝達される。そのため、前記延長管305と固定管304の接続端口との間に回転防止付属構造を増設する必要がある。
図4は、回転防止付属構造の適用例を示し、2つの管の接続端口は、互いに対応する平坦な表面を有する。このような設計により、前記延長管305とセンサ307とへの超音波振動が効果的に遮断され、全体的構造の剛性が保持されることができるので、様々な機械的操作に適用されることができる。なお、他の形状の回転防止付属構造も許容されるのは当業者として明らかである。
【0040】
上述したような増設された封止固定ゲル306及び延長管305と固定管304との遊合構造は、エネルギ変更装置の超音波の性能への影響を効果的に緩和する。なお、本発明では、このような性能の低下を最小に抑えながらハンドピースの超音波性能を維持するために、超音波エネルギ変更装置の以下のような設計案を提案する。
【0041】
前記固定管304の近位端への延出長さ、即ち前記末端ブロック303の近位端から前記固定管304の近位端までの長さは、ハンドピースの動作周波数の1/8の波長を超えず、これにより、延長管305と固定管304とが接続した箇所での超音波振動が極めて小さくなる。それは、太い振動体(ここで、末端ブロック303を指す)の端部に細い振動体(ここで、固定管304の延出部分を指す)が接続され、細い振動体が動作周波数の1/4の波長に近いと、その末端に極めて強い振動が発生するからである。そのため、延出長さが短いほど、このような振動増幅が小さくなる。
【0042】
前記増幅領域310の直径は、駆動領域311の直径の1/2未満であり、これにより、エネルギ変更装置の高い動作効率を維持し、駆動領域311の振幅を低減させる。それは、超音波ホーンの振幅の増幅に影響を与える要因の1つは、前後端の面積比であり、本発明において、後端が増幅領域310で、前端が駆動領域311であり、両者の直径比が小さいと、増幅効果が明らかであるため、駆動領域の小さな振幅のみで、増幅領域の末端に大きな振幅が生じるからである。
【0043】
前記駆動領域311の長さは、ハンドピースの動作周波数のホーンの波長の1/4から1/2の間であり、これにより、ハンドピースの耐荷性能と適切なサイズとを維持する。それは、駆動領域311が短すぎてホーンの1/4の波長未満であると、ハンドピースの耐荷性能が極めて低く、ニードルの先端への軽微な妨げでもハンドピース全体の振動が極めて弱くなり、駆動領域311が長すぎてホーンの1/2の波長を超えると、耐荷性能が正比例に向上しないだけではなく、ハンドピース全体の体積が極めて大きくなるからである。
【0044】
図5に示すように、本発明に係るサージ抑制システムは、
超音波乳化ニードル502(
図3での202)が設けられており、ハンドピースケーブル511を介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラ505に接続される、センサ521(
図3での307)付の超音波乳化ハンドピース501と、
灌流センサ513と灌流弁514とが設けられている灌流ホース515を介して前記超音波乳化ハンドピース501に接続され、前記灌流センサ513及び前記灌流弁514がそれぞれ第2、第3の信号線516、517を介して前記コントローラ505に接続される灌流源512と、
一側が吸引ホース508を介して前記超音波乳化ハンドピース501に接続され、他側が廃液キャビティ518と廃液通路519とを介して廃液バッグ509に接続される真空発生装置507と、
を含む。
【0045】
従来技術と同様に、超音波振動は、超音波乳化ニードル502を介して眼内503に伝達され、吸引通路内の吸引負圧は、前記真空発生装置507によって発生される。白内障組織504を破砕乳化して吸い出し、吸い出された白内障と液体との混合物が廃液バッグ509に送られる。
【0046】
本発明の相違としては、前記吸引ホース508と廃液キャビティ518との間に設けられ、第1信号線510を介して前記コントローラ505に接続される常時閉(normally closed)の吸引弁506をさらに含み、前記吸引弁506と前記廃液キャビティ518との間に負圧解放通路520が設けられていることである。本発明では、吸引弁506を閉とすると、吸引する通路は、吸引ホース508とそれに接続されているハンドピースニードル通路のみであるため、真空発生装置507によって発生された負圧は、この通路のみに存在し、ニードルの内管のみによって解放される。負圧が高すぎると、ニードルによって急に大量の液体が吸引されて眼球内腔が落ち窪まれる恐れがある。吸引弁506を開とすると、もう1つ廃液キャビティ518と廃液バッグ509とに連通されて大気圧に連通されておりかつ開口がニードルの内管よりも遥かに大きい別の吸引通路520が増加されるため、吸引通路内の負圧が迅速に補正されることができ、換言すれば吸引通路内の負圧が迅速に解放される。少し大きい開口は、真空発生装置507によって発生された負圧を補正するには十分ではない。
【0047】
本発明に係るサージ抑制方法は、以下のようなステップを含む。
ステップS1では、センサ付の超音波乳化ハンドピース501を提供する。前記超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースハウジング201と、前記ハンドピースハウジング201の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル202と、前記ハンドピースハウジング201の近位端に設けられている吸引継手204と、を含む。前記ハンドピースハウジング201の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手204に連通して吸引通路を形成し、前記延長部分には、センサ307が設けられており、前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、前記超音波乳化ハンドピース501は、ハンドピースケーブル511を介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラ505に接続される。
ステップS2では、灌流ホース515を介して前記超音波乳化ハンドピース501に接続される灌流源512を提供する。
ステップS3では、一側が吸引ホース508を介して前記超音波乳化ハンドピース501に接続され、他側が廃液キャビティ518と廃液通路519とを介して廃液バッグ509に接続される真空発生装置507を提供する。
ステップS4では、前記吸引ホース508と廃液キャビティ518との間に設けられ、第1信号線510を介して前記コントローラ505に接続される常時閉の吸引弁506を提供し、前記吸引弁506と前記廃液キャビティ518との間に負圧解放通路520が設けられている。
ステップS5では、前記センサ307が前記吸引通路内の圧力値を測定し、前記コントローラ505が圧力変化の速さ(例えば、mmHg/10ms)を計算する。流体システムパラメータに基づいて前記コントローラ内に閾値を設定し、前記流体システムパラメータは、眼圧(IOP)、同等な注射液密封容器の高さ、超音波乳化ニードル202の直径の大きさ、真空発生装置507の最大真空度を含むが、これらに限定されるのではない。詰まりが解消されて圧力変化の速さが前記閾値より大きいと、前記コントローラ505は前記吸引弁506が開となるように制御して、前記吸引通路内の負圧を前記負圧解放通路520によって迅速に解放させるので、サージが回避される。
【0048】
なお、上述したことは、本発明の好ましい実施形態であり、上記の好ましい実施形態は、本発明への限定と見なされず、本発明の保護範囲は特許請求の範囲に記載の内容に準拠する。当業者は、本発明の趣旨と範囲を逸脱することなく、様々な改善と変更を行うことができ、これらの改善も変更も本発明の保護範囲と見なされる。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピースハウジング(201)と、前記ハンドピースハウジング(201)の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル(202)と、前記ハンドピースハウジング(201)の近位端に設けられている吸引継手(204)と、を含むセンサ付の超音波乳化ハンドピースであって、
前記ハンドピースハウジング(201)の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、
前記エネルギ変更装置部分は、ホーン(301)と駆動要素(302)とを含み、
前記ホーン(301)の遠位端には、前記超音波乳化ニードル(202)が螺合され、
前記ホーン(301)の近位端は、固定管(304)であり、
前記延長部分は、延長管(305)と、前記延長管(305)に固定装着されているセンサ(307)とを含み、
前記延長管(305)と前記固定管(304)とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、
接続された両者の内部空間が前記超音波乳化ニードル(202)に連通して吸引通路を形成することを特徴とするセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項2】
前記延長管(305)と前記固定管(304)の接続端口との間に回転防止構造を備えることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項3】
前記駆動要素(302)は、前記ホーン(301)の外周に外挿され、末端ブロック(303)によって固定されることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項4】
前記固定管(304)の近位端への延出長さは、前記末端ブロック(303)の近位端から前記固定管(304)の近位端までの長さであり、ハンドピースの動作周波数の1/8の波長を超えないことを特徴とする請求項
3に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項5】
前記エネルギ変更装置部分は、増幅領域(310)と駆動領域(311)とを含み、
前記増幅領域(310)の直径は、駆動領域(311)の直径の1/2未満であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項6】
前記駆動領域(311)の長さは、ハンドピースの動作周波数のホーンの波長の1/4から1/2の間であることを特徴とする請求項
5に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項7】
前記駆動要素(302)は、圧電セラミックであることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項8】
前記ハンドピースハウジング(201)には、灌流管(206)がさらに設けられており、
前記灌流管(206)の近位端は、灌流源(512)に接続するための灌流継手(205)であることを特徴とする請求項1に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項9】
ハンドピースハウジング(201)と、前記ハンドピースハウジング(201)の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル(202)と、前記ハンドピースハウジング(201)の近位端に設けられている吸引継手(204)と、を含むセンサ付の超音波乳化ハンドピースであって、
前記ハンドピースハウジング(201)の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、
前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手(204)に連通して吸引通路を形成し、
前記延長部分には、センサ(307)が設けられており、
前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制されることを特徴とするセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項10】
前記エネルギ変更装置部分は、ホーン(301)と駆動要素(302)とを含み、
前記駆動要素(302)は、圧電セラミックであり、
前記ホーン(301)の遠位端には、前記超音波乳化ニードル(202)が螺合され、
前記延長部分は、延長管(305)と、接着剤結合によって前記延長管(305)の側面に固定されるセンサ(307)と、を含み、
前記延長管(305)の遠位端と前記ホーン(301)の近位端とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、
接続された前記延長管(305)と前記ホーン(301)との内部空間が前記超音波乳化ニードル(202)に連通して吸引通路を形成することを特徴とする請求項
9に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース。
【請求項11】
ハンドピースケーブル(511)を介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラ(505)に接続される、請求項1から14のいずれか1項に記載のセンサ付の超音波乳化ハンドピース(501)と、
灌流ホース(515)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続される灌流源(512)と、
一側が吸引ホース(508)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続され、他側が廃液キャビティ(518)と廃液通路(519)とを介して廃液バッグ(509)に接続される真空発生装置(507)と、
前記吸引ホース(508)と前記廃液キャビティ(518)との間に設けられており、第1の信号線(510)を介して前記コントローラ(505)に接続される常時閉の吸引弁(506)と、を含み、
前記吸引弁(506)と前記廃液キャビティ(518)との間には、負圧解放通路(520)が設けられていることを特徴とするサージ抑制システム。
【請求項12】
前記灌流ホース(515)には、灌流センサ(513)と灌流弁(514)とが設けられており、前記灌流センサ(513)と前記灌流弁(514)は、それぞれ第2、第3の信号線(516、517)を介して前記コントローラ(505)に接続されることを特徴とする請求項1
1に記載のサージ抑制システム。
【請求項13】
センサ付の超音波乳化ハンドピース(501)を提供するステップS1であって、前記超音波乳化ハンドピースは、ハンドピースハウジング(201)と、前記ハンドピースハウジング(201)の遠位端に設けられている超音波乳化ニードル(202)と、前記ハンドピースハウジング(201)の近位端に設けられている吸引継手(204)と、を含み、前記ハンドピースハウジング(201)の内部には、エネルギ変更装置部分と延長部分とが設けられており、前記エネルギ変更装置部分及び延長部分の内部空間が前記吸引継手(204)に連通して吸引通路を形成し、前記延長部分には、センサ(307)が設けられており、前記エネルギ変更装置部分と延長部分とは、プラグイン式遊合となり且つ両者の周方向への回転が規制され、前記超音波乳化ハンドピース(501)は、ハンドピースケーブル(511)を介して、超音波発生器が内蔵されているコントローラ(505)に接続されるステップS1と、
灌流ホース(515)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続される灌流源(512)を提供するステップS2と、
一側が吸引ホース(508)を介して前記超音波乳化ハンドピース(501)に接続され、他側が廃液キャビティ(518)と廃液通路(519)とを介して廃液バッグ(509)に接続される真空発生装置(507)を提供するステップS3と、
前記吸引ホース(508)と前記廃液キャビティ(518)との間に設けられ、第1信号線(510)を介して前記コントローラ(505)に接続される常時閉の吸引弁(506)を提供するステップであって、前記吸引弁(506)と前記廃液キャビティ(518)との間には、負圧解放通路(520)が設けられているステップS4と、
前記センサ(307)が前記吸引通路内の圧力値を測定し、前記コントローラ(505)が圧力変化の速さを計算し、流体システムパラメータに基づいて前記コントローラ内に閾値を設定し、圧力変化の速さが前記閾値より大きいと、前記コントローラ(505)が前記吸引弁(506)が開となるように制御して、前記吸引通路内の負圧を前記負圧解放通路(520)によって迅速に解放させるステップS5と、を含むことを特徴とするサージ抑制方法。
【国際調査報告】