IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ウエスト ジョナサン チャールズ デブリンの特許一覧

特表2022-537348流量計量インサートおよび/または装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】流量計量インサートおよび/または装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/168 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A61M5/168 530
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575324
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 GB2020051480
(87)【国際公開番号】W WO2020254814
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1908744.4
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517369519
【氏名又は名称】ウエスト ジョナサン チャールズ デブリン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト ジョナサン チャールズ デブリン
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD01
4C066QQ72
4C066QQ78
(57)【要約】
静脈内投与に使用するのに適した点滴チャンバ(50)用の流量計量インサート(10)が提供される。インサートは、入口と、出口と、入口と出口との間の流動抵抗通路とを有する主液体流路と、入口と流動抵抗通路との間で主液体流路と連通する流動表示流路と、を備える。流動抵抗通路は、液体が流動表示流路内に押し込まれ、主液体流路を通る液体の流量に比例する高さに達するように、液体の流れに対する抵抗を付与する。流動抵抗通路および流動表示流路は、インサートが点滴チャンバに挿入されたときに流動抵抗通路および流動表示流路がインサートと点滴チャンバの壁との間に形成されるように、インサート内の1つまたは複数の第1の凹部および/または流路によって少なくとも部分的に画定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静脈内投与における使用に適した点滴チャンバ用の流量計量インサートであって、
入口通路と、出口と、前記入口通路と前記出口との間の流動抵抗通路と、を備える主液体流路と、
前記入口通路と前記流動抵抗通路との間で前記主液体流路と連通する流動表示流路と、を備え、
前記流動抵抗通路および前記流動表示流路は、前記インサート内の1つまたは複数の第1の凹部および/または流路によって少なくとも部分的に画定され、前記インサートが前記点滴チャンバに挿入されると、前記流動抵抗通路および前記流動表示流路は、前記インサートと前記点滴チャンバの壁との間に形成または配置され、
前記流動抵抗通路は、液体が前記流動表示流路に押し込まれ前記主液体流路を通る液体流の速度に比例するレベルまたは高さに前記流動表示流路内で到達するように、前記主液体流路を通る液体流に抵抗を付与する、
インサート。
【請求項2】
前記流動抵抗通路および/または流動表示流路は、前記インサートの表面の1つまたは複数の第1の凹部および/または開放流路によって部分的に画定され、前記インサートが前記点滴チャンバに挿入されると、前記流動抵抗通路および/または流動表示流路は、前記インサートと前記点滴チャンバの壁との間に形成される、
請求項1に記載のインサート。
【請求項3】
前記表面は、前記インサートが前記点滴チャンバに挿入されたときに前記点滴チャンバの壁と合わさる、接触する、および/または封止する前記インサートの合わせ面である、
請求項2に記載のインサート。
【請求項4】
前記合わせ面は、前記インサートが前記点滴チャンバに挿入されたときに前記点滴チャンバの内面に適合し、および/または前記インサートが前記点滴チャンバに挿入されたときに前記点滴チャンバの壁の内面に対して封止するように1つまたは複数の凹部または開放流路の周囲に延びる1つまたは複数の封止リブを備える、
請求項3に記載のインサート。
【請求項5】
前記流動抵抗通路は、前記インサートが実質的に垂直に配置されたときに実質的にU字形であり、前記インサートが前記点滴チャンバに挿入され実質的に垂直に配置された状態において液体の流れが停止したときに、液体は前記流動抵抗通路内に残る、
請求項1から4のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項6】
前記流動抵抗通路は、オリフィスを備え、任意選択でまたは好ましくは、請求項4に従属する場合、前記オリフィスは、前記インサートが実質的に垂直に配置されたときにU字形の前記流動抵抗通路の下側部分またはその近くに配置される、
請求項1から5のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項7】
液体流を前記流動抵抗通路から前記出口に導くために前記流動抵抗通路の出口端および前記出口と連通する出口チャンバを更に備える、
請求項1から6のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項8】
前記出口チャンバは、液滴を形成することなく前記流動抵抗通路から前記出口に液体流を導く前記流動抵抗通路の前記出口端から延びる第2の流路を備え、任意選択でまたは好ましくは、前記第2の流路は、前記出口チャンバの側壁に少なくとも部分的に形成され前記出口チャンバの床まで延びる第2の開放流路であるか、または備える、
請求項7に記載のインサート。
【請求項9】
前記第2の流路は、毛細管作用によって前記出口チャンバ内に液体を引き込む、
請求項8に記載のインサート。
【請求項10】
前記出口チャンバは前記出口を含み、前記流動抵抗通路の前記出口端は、前記インサートが実質的に垂直に配置されたときに前記出口のレベルまたは高さより高いレベルまたは高さに位置し、任意選択でまたは好ましくは、前記出口は、前記出口チャンバの床に配置される、
請求項7から9のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項11】
前記出口チャンバは、前記出口のレベルまたは高さと前記流動抵抗通路の前記出口端のレベルまたは高さとの間のレベルまたは高さに位置するオーバーフロー出口をさらに備える、
請求項10に記載のインサート。
【請求項12】
前記流動表示流路は、目盛り付きのスケールを備え、前記流動表示流路内の液体レベルまたは高さの視覚的尺度を提供し、それによって前記主液体流路を通る液体流の速度を提供し、任意選択でまたは好ましくは、液体レベルの読み取りを容易にする可視フロートを備える、
請求項1から11のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項13】
前記流動表示流路は、
前記入口通路の出口端および前記流動抵抗通路の入口端と連通する入口端を備え、前記インサートが実質的に垂直に配置されたときに前記流動表示流路が前記入口端から実質的に上方に延び、
任意選択でまたは好ましくは、
オーバーフローを可能にする開放出口端、および/または、
液体が前記流動表示流路から流出することを可能にする前記入口端の上方の位置における前記流動表示流路の壁の切り欠きまたは開口部を備える、
請求項1から12のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項14】
前記流動表示流路の少なくとも一部は、前記インサートが前記スケール上の目盛り間隔を増大させるように実質的に垂直に配置されたとき、垂直に対してある角度でその入口端から延びており、任意選択でまたは好ましくは、前記流動表示流路は、前記インサートの長手軸および/または横軸の周りに湾曲している、
請求項12に従属する請求項13に記載のインサート。
【請求項15】
前記出口は、点滴形成オリフィスを備える、
請求項1から14のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項16】
前記流動表示流路に入る前に前記入口通路を出る液体流中の気泡を排出する前記入口通路の出口端と連通し実質的に上方に延びる通気流路、および/または、
前記入口通路の前記入口端またはその近くに配置された1つまたは複数のフィルタ素子を更に備える、
請求項1から15のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項17】
前記点滴チャンバ内に締まり嵌めを提供するように成形および/または構成され、任意選択でまたは好ましくは、請求項3に従属する場合、前記合わせ面と前記点滴チャンバの壁の内面との間のシールは、締まり嵌めによって提供される、
請求項1から16のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項18】
前記インサートから離れるように延び前記インサートが前記点滴チャンバに挿入されて締まり嵌めを提供するときに前記点滴チャンバの壁に接触する1つまたは複数のリブまたは突起を備える、
請求項17に記載のインサート。
【請求項19】
前記インサートは、実質的に剛性または変形可能な材料から形成されるまたは備え、任意選択でまたは好ましくは、前記インサートは、射出成形プロセスによって、任意選択でまたは好ましくは単一方向射出成形プロセスによって形成された単一体成形品であるか、または備える、
請求項1から18のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか1項に記載のインサートと、前記インサートを受容するための流動チャンバとを備え、
前記流動チャンバは、
前記インサートを挿入可能な開口部と、
前記インサートの前記出口から液体流を受容するための出口と、
少なくとも1つが流動表示流路内の液体レベルを見るための実質的に透明な部分を含む1つまたは複数の壁と、を備える、
流量計装置。
【請求項21】
前記流動チャンバの前記開口部に接続可能なカバーまたは蓋を更に備え、前記カバーまたは蓋は、前記インサートの前記入口通路に接続するための出口端と、液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備える、または、前記流動チャンバは、前記インサートの前記入口通路に接続するための出口端と、液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備える、
請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記カバー/蓋または流動チャンバの前記入口通路の前記出口端は、締まり嵌めによって前記インサートの前記入口通路に接続可能である、または、
前記カバー/蓋または流動チャンバの前記入口通路の前記出口端は、封止素子によって前記インサートの前記入口通路に接続可能であり、任意選択でまたは好ましくは、前記封止素子は、前記インサートの上流の液体流を濾過するためのフィルタ素子を備える、
請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記流動チャンバは、静脈内投与に使用するための少なくとも部分的に透明な点滴チャンバであるか、または備える、
請求項20、21または22に記載の装置。
【請求項24】
請求項1から19のいずれか1項に記載のインサートと、
前記インサートを受容するための少なくとも部分的に透明な点滴チャンバであって、前記インサートの前記出口から液体流を受容するための出口を備える点滴チャンバと、
前記点滴チャンバの前記出口を投与点に接続するためのチューブ類と、
流動制御装置と、を備える、
静脈内投与セット。
【請求項25】
前記インサートの前記入口通路に接続するための出口端と液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備える、前記点滴チャンバのためのカバーまたは蓋を更に備える、または前記点滴チャンバが、前記インサートの入口通路に接続するための出口端と液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備え、任意選択でまたは好ましくは、
前記カバー/蓋または点滴チャンバの前記入口通路の前記出口端は、締まり嵌めによって前記インサートの前記入口通路に接続可能であり、任意選択でまたは好ましくは、前記インサートは、前記インサートの前記入口通路の前記入口端にまたはその近くに配置されたフィルタ素子を備え、または、
前記カバー/蓋または点滴チャンバの前記入口通路の前記出口端は、封止素子によって前記インサートの前記入口通路に接続可能であり、任意選択でまたは好ましくは、前記封止素子は、前記インサートの上流の液体流を濾過するためのフィルタ素子を備える、
請求項24に記載の静脈内投与セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、静脈内溶液の投与に適した流量計装置および/またはその部品に関する。特に、限定するものではないが、本発明は、静脈内投与に使用される点滴チャンバ用の流量計量インサート、インサートを含む流量計装置、およびインサートを含む静脈内投与セットに関する。
【背景技術】
【0002】
静脈内(IV)投与システムは、概して、様々なタイプの非経口溶液を患者に注入するために使用される。IV投与システムは、IVバッグなどの剛性または可撓性の供給容器から患者への液体(例えば、生理食塩水、グルコース溶液など)の無菌通過を制御する手段を提供する。従来のIV投与システムは、液体が流れるときに液滴を生成するノズル出口を有する閉鎖チャンバ(いわゆる点滴チャンバ)を特徴とする。点滴チャンバの目的は、単位時間当たりの液滴の数をカウントすることによって液体流量を計算できるようにすることである。これは、液滴サイズが一定ではなく、液滴タイミングから液体流量への変換が困難であり得るため、時間がかかり、不正確であり得る。いくつかの確立された流量計設計が、IV液体投与における使用に適合されている。
【0003】
周知のロータメータ設計(例えば、米国特許第3587313号明細書)の変形例は、垂直に配置された先細の表示チャンバ(またはチューブ)内に配置された適切な比重(通常、液体よりも大きいが、いくつかの設計ではフロートであってもよい)の小さなボールを使用し、液体入口はチャンバの下側のより小さい端部にある。ボールは、液体がボールの周りを流れるときに表示チャンバのより大きな断面の領域に向かって押され、その結果、ボールの位置が液体流量を示す。これらの装置は、より正確な流量の調節および調整を可能にするが、必要とされる公差が大きく、ならびに構成要素の組み立てが複雑になる可能性があるため、高い製造コストをもたらす。
【0004】
別のタイプの流量計装置は、米国特許第2479786号明細書に開示されるような逆流型のものである。米国特許第2479786号明細書の装置は、上端に液体入口を有すると共に、上端に開口部を有する上方に延びる部分(表示チャンバ/チューブ)を形成するように屈曲された下端の短い部分を有する垂直に配置されたチューブを使用する。この構成は、患者に通じるさらなるチューブ類への出口を有する、より大きい密閉ハウジング(すなわち、点滴チャンバ)内に封入される。屈曲部でのチューブの壁における小さなオリフィスは、液体が入口から点滴チャンバ内へ下向きに流れることを可能にする。液体の流れは、オリフィスによって引き起こされる流れに対する抵抗と組み合わされて、上方部分の液体レベルを流量に比例するレベルまで上昇させ、したがって表示チャンバ/チューブとして機能する。この設計は、ロータメータの変形形態よりも単純であるが、低流量では不正確であり、一貫した幾何学形状を有する複数のユニットを製造することは困難であり、較正および精度にさらに影響を及ぼす。
【0005】
米国特許第4136692号明細書における装置は、米国特許第2479786号明細書におけるものと同様の原理を使用し、湾曲したチューブを、下端で相互に接続され、患者への出口を有するより大きい密封ハウジング(点滴チャンバ)内に封入された2つのチャンバ/チューブ(入口チャンバおよび表示チャンバ)に置き換える。米国特許第2479786号明細書の小さなオリフィスは、極小厚さ(約0.001インチまたは0.0254mm)の非常に正確なオリフィスディスクに置き換えられる。これは、測定精度に対する温度および粘度の変化のいかなる影響も最小限に抑えることを意図しているが、設計は、小さな部品の比較的複雑なアセンブリのままであり、標準的なIV投与システムと比較してより高い製造コストをもたらす。
【0006】
逆流設計の別の変形例は、米国特許第4291693号明細書において開示されており、米国特許第4136692号明細書のオリフィスディスクは、流量制限器チューブに置き換えられ、流量制限器チューブの少なくとも一部分は、それを通過する液体が上方に移動して気泡の捕捉を回避するのを助けるように配向される。米国特許第4136692号明細書および米国特許第2479786号明細書と同様に、流量制限器チューブによって引き起こされる流れに対する抵抗は、上向き表示チューブ内の液体レベルを流量に比例するレベルまで上昇させる。しかしながら、米国特許第4136692号明細書における装置と同様に、設計は比較的複雑なままであり、より高い製造コストをもたらす。
【0007】
米国特許第4523464号明細書には、熱可塑性材料から製造することができる逆流型装置の別の変形例が開示されている。特に、当該装置は、垂直入口チューブおよび表示チャンバの下端に流れ制限オリフィスを備えるが、入口チューブおよび/または表示チャンバの壁は、封入ハウジングの壁によって形成される。当該装置は、米国特許第4136692号明細書および米国特許第4291693号明細書と比較して製造が比較的簡単であるが、依然として複数の構成部品の組み立ておよび溶着を必要とする。加えて、この装置は、流量の突然の変化にあまり適しておらず、入口チューブが重力によって供給されるように部分的に満杯のパイプを通る液体流を測定するように設計されている。
【0008】
逆流型装置のさらなる変形例は、本出願人の先行特許である欧州特許第3294379号明細書に開示されており、流量計装置は、2つの別々に成形された部品から形成され、一方の部品を他方の部品の中に嵌め込むことによって簡単に組み立てることができる。第1の部品は点滴チャンバを備え、第2の部品は入口チューブを備え、組み立てられたときに第1の部品と第2の部品との間に実質的にU字形の流量制限器通路および表示チャンバが形成される。製造および組み立ては簡単であるが、依然として2つの特注部品の成形を必要とする。
【0009】
本発明の目的は、従来の逆流型の設計よりも製造および組み立てが簡単で信頼性が高いが、依然としてコストが同等であり、液滴計数に基づく標準的なIV投与システムよりも使用が容易で、迅速で、より正確である、改良された流量計装置を提供することにある。
【0010】
本発明の態様および実施形態は、前述のことを考慮して考案されたものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、例えば静脈内(IV)液体投与に使用するための点滴チャンバと共に使用することができる流量計量インサートが提供される。インサートは、主液体流路と流動表示流路とを備えていてもよい。主液体流路は、入口通路と、出口と、入口通路と出口との間の流動抵抗通路と、を備えていてもよい。入口通路は、液体流を受容するための液体容器またはIVバッグなどの液体源に接続可能であってもよい。流動表示流路は、入口通路と流動抵抗通路との間で主液体流路と連通することができる。流動抵抗通路は、液体が流動表示流路内に押し込まれ、主液体流路、入口通路、および/または流動抵抗通路を通る液体流の速度に比例するレベルまたは高さに達するように、流動抵抗通路を通る液体流に抵抗を付与する。
【0012】
インサートは、流量計装置を形成するために、当技術分野で公知の標準的なサイズおよび未変更の透明な点滴チャンバ、例えば、医薬および/または静脈内(IV)投与において使用される点滴セットまたは注入セットと共に使用され、挿入され得る。このような点滴チャンバは、典型的には滑らかな内面を有する。特に、インサートは、標準的な点滴チャンバの上部に、例えばその上端の開口部を通して挿入することができる。点滴チャンバは、実質的に剛性または可撓性であってもよい。したがって、流動表示流路内の液体レベルまたは高さは、点滴チャンバの側壁/外壁を通して見ることができる。流量計装置を液体源(例えば、IVバッグまたは容器)に接続するための手段を有するカバーまたは蓋、例えば、当技術分野で知られているような標準的な通気式または非通気式スパイクを点滴チャンバに取り付けて、点滴チャンバを閉鎖および封止し、液体源からインサートの入口通路への液体流のための通路を画定することができる。一部の点滴チャンバでは、カバーまたは蓋は点滴チャンバと一体であってもよいし、例えば、点滴チャンバを閉鎖および封止するように互いに着脱可能な上側部分(例えば、スパイクを有する)および下側部分を備える2分割点滴チャンバでは、インサートは、その下端の開口部を通じて上側部分に挿入することができる。標準的なチューブ類、アクセサリ、および/または流動コントローラを、得られる流量計装置の下流で使用することができる。前記点滴チャンバに挿入され液体源に接続されると、インサートの流動表示流路は、液体流量の視覚的表示を提供し、これは、そのようなインサートのない他の標準的な点滴チャンバ内の液滴を計数することに基づく方法よりも、より直接的で、正確で、信頼性が高い。したがって、インサートのは、既存の標準的なIV投与システムに後付けされて、最小限のコストおよび/または標準的なIV投与セット製造プラクティスの中断で改良された流量計量を提供することができる。さらに、インサートの出口は、ISO-8536-4(滴剤を義務付ける国際標準は、医療用途のための重力供給式注入機器において継続的に可視化されなければならない)に従って、液体がインサートを出るときに出口からの液滴の流れが点滴チャンバの下側部分において依然として可視であり得るように、点滴形成オリフィスを備えていてもよい。得られる流量計装置は、既存の点滴セットと同じ方法で「プライミング」することができ、これは、点滴チャンバの可撓性下側部分(インサートの下方)を圧搾および解放して、液体源から主液体通路を通して液体を下方に引き込み、空気を液体源内に上方に放出することを含む。
【0013】
主液体流路および/または流動表示流路は、インサートによって少なくとも部分的に画定されてもよい。主液体流路および/または流動表示流路は、インサートによって部分的に画定されてもよく、その結果、主液体流路および/または流動表示流路は、インサートが点滴チャンバに挿入されると、完成/完全に画定される。あるいは、主液体流路および/または流動表示流路は、インサートによって、またはインサート内に完全に画定されてもよい。
【0014】
入口通路は、閉鎖流路であってもよく、または閉鎖流路を含んでもよい。流動抵抗通路および/または流動表示流路は、インサートによって少なくとも部分的に画定されてもよい。インサートは、流動抵抗通路および流動表示流路を少なくとも部分的に画定する1つまたは複数の凹部および/または流路を備えていてもよい。1つまたは複数の凹部および/または流路は、1つまたは複数の第1の凹部および/または第1の流路(第2の凹部または第2の流路とは対照的に、以下で定義される)であってもよい。流動抵抗通路および/または流動表示流路は、点滴チャンバに挿入されたときに流動抵抗通路および/または流動表示流路がインサートと点滴チャンバの(例えば、側壁または外壁などの)壁(の内面)との間に形成または配置されるように、インサート内の1つまたは複数の凹部および/または流路によって少なくとも部分的に画定されてもよい。
【0015】
流動抵抗通路および/または流動表示流路がインサートによって部分的に画定される場合、流動抵抗通路および/または流動表示流路は、インサートの表面に形成された1つまたは複数の凹部または開放流路であるか、または備えていてもよい。1つまたは複数の凹部または開放流路は、インサートが点滴チャンバに挿入されると、点滴チャンバの(例えば、側壁または外壁などの)壁(の内面)によって閉鎖、封止、および/または完成されてもよい。これは、製造を大幅に簡素化し、それによってインサートを製造するコストを低減することができる。例えば、それは、標準的な射出成形公差内で製造され、当該技術分野において広く利用可能であり、かつ使用されている標準的な点滴チャンバと共に使用され得る。
【0016】
表面は、インサートの合わせ面および/または外側表面(すなわち、インサートから実質的に離れて面する)であってもよい。合わせ面は、インサートが点滴チャンバに挿入されたときに、点滴チャンバの(例えば、側壁または外壁などの)壁の内面と合わさる、すなわち、接触/当接および/または密封するように構成されてもよい。合わせ面は、インサートが点滴チャンバに挿入されたときに点滴チャンバの(例えば、側壁または外壁などの)壁の内面に適合および/または接触するように構成されていてもよい。合わせ面は、実質的に滑らかであってもよい。あるいは、または加えて、合わせ面は、流動抵抗通路および/または流動表示流路を部分的に画定する1つまたは複数の凹部または開放流路の周囲に延びる1つまたは複数の封止リブであるか、または備えていてもよい。合わせ面および/または1つまたは複数の封止リブは、壁の内面を少なくとも部分的に変形させ、および/または壁の内面によって少なくとも部分的に変形させられ、それらの間に液密シールを作るように構成されてもよい。
【0017】
ここで、流動抵抗流路および/または流動表示流路は、インサートによって完全に画定されており、流動抵抗通路および/または流動表示流路は、たとえば1つまたは複数の凹部および/または流路によって画定される1つまたは複数の閉鎖流路であるか、または備えていてもよい。このようなインサートは、機能するために点滴チャンバの幾何学形状に依拠せず(流動抵抗流路および/または流動表示流路は、インサートの内部通路/流路であるため)、したがって、インサートがその中に嵌合することができるならば、任意の形状の点滴チャンバとともに使用することができる。あるいは、インサート自体が、点滴チャンバ内に挿入される必要なく、独立型流量計装置を形成してもよい。例えば、出口からの液滴の形成および観察が必要とされない場合、インサートは、液体回路と直列に接続されて、そこを通る流量を監視および/または設定してもよい。
【0018】
液体「流路」は、閉鎖流路、開放流路、またはインサート中の1つまたは複数の開放および閉鎖流路部分を有する流路を意味し得る。閉鎖流路は、それを通る液体流を囲む1つまたは複数の流路壁を有する流路を意味する。開放流路は、それを通る液体流が完全には封入されないように、流路壁の少なくとも一部が開放され、その直近の周囲に露出される流路(例えば、それは凹部によって形成され得る)を意味する。
【0019】
インサートは、点滴チャンバ内に締まり嵌めを提供するように構成、成形、および/または寸法設定されてもよい。特に、インサートは、合わせ面と点滴チャンバの壁との間に締まり嵌めを提供するように成形および/または寸法設定されてもよい。締まり嵌めは、1つまたは複数の凹部または開放流路を閉鎖および封止し、流動抵抗通路および/または流動表示流路を完全に画定または完成するように、合わせ面と点滴チャンバの壁との間に液密シールを提供してもよい。したがって、液密シールを提供するために、点滴チャンバ壁の内面へのインサートの追加の封止および/または結合が必要とされず、これは、得られる流量計装置の組立てを単純化する。
【0020】
インサートは、実質的に剛性の材料から形成されてもよく、または備えていてもよい。この場合、インサートは、点滴チャンバの実質的に可撓性/変形可能な部分内に締まり嵌めを提供して、それらの間に液密シールを提供することができる。あるいは、インサートは、実質的に可撓性、変形可能、および/または圧縮性材料から形成されるか、または備えていてもよい。この場合、インサートは、点滴チャンバの実質的に剛性の部分内に締まり嵌めを提供して、それらの間に液密シールを提供してもよい。インサートが実質的に剛性の材料で形成されるか、または備える場合、点滴チャンバの壁は、インサートが点滴チャンバに挿入されたときに壁の内面が少なくとも部分的に屈曲または変形してインサートの合わせ面に適合するように、インサートよりも実質的に可撓性であるか、または剛性が低くてもよい。あるいは、インサートが実質的に変形可能な材料で形成されるか、または備える場合、点滴チャンバの壁は、インサートの合わせ面が側壁の内面に適合するように少なくとも部分的に変形するように、実質的に剛性であってもよい。いずれの場合も、合わせ面は、インサートが点滴チャンバに挿入されたときに壁の最終内部表面に(変形後または変形せずに)適合することができるように構成される。
【0021】
インサートは、プラスチックおよび/または熱可塑性材料といった熱成形可能な材料から形成されていてもよく、または備えていてもよい。例示的な材料としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)または等価物、ポリ塩化ビニル(PVC)またはPVCを含まない等価物、ポリエチレン、ポリカーボネート、ナイロン、ポリプロピレン、ポリウレタン、エチレンビニルアセタート、または静脈内適用における使用が許容される任意のプラスチックが挙げられるが、これらに限定されない。ABSまたは等価物は、実質的に剛性のインサートを形成するために好適である。PVCまたはPVCを含まない等価物は、実質的に可撓性、変形可能、および/または圧縮可能なインサートを形成するために好適である。
【0022】
インサートを備える流量計装置は、液体が重力下で入口通路を通って下方に流れることができるように、使用時に実質的に垂直に配置されるように構成されていてもよい。以下の「上側」および「下側」への言及は、この配向を指す。
【0023】
インサートは、長さおよび幅を有していてもよい。長さは、長手(垂直)方向/軸であってもよい。長さは、挿入方向であってもよく、挿入方向は、組立て中にインサートが点滴チャンバに挿入される方向に対応する。幅は、横方向であってもよい。
【0024】
IV投与の文脈において上述したが、インサートはまた、例えば、電子ポンプなどの他の流動装置と直列に使用され、流速を監視および/または設定してもよい。したがって、より一般的には、インサートは、インサートを受容するための開口部と、インサートの出口から液体流を受容するための出口とを備える液体流動チャンバまたはハウジングとともに使用され、挿入されてもよい。出口は、インサート出口の下流に配置されてもよい。流量計装置は、インサートおよび流動チャンバまたはハウジングによって形成されてもよい。インサートは、流動チャンバまたはハウジングを閉鎖および/または封止するように構成されていてもよい。インサートは、流動チャンバまたはハウジングの開口部を閉鎖および/または封止するように構成されていてもよい。あるいは、装置を液体源に接続するための手段を有するカバーまたは蓋が、流動チャンバまたはハウジングの開口部を閉鎖および封止するために使用されてもよい。チューブ類、流動アクセサリおよび/または流動コントローラは、流動チャンバまたはハウジングの出口に接続され/下流で使用することができる。流動チャンバまたはハウジングは、インサートを収容するサイズの内部容積、キャビティまたは空間を画定する1つまたは複数の壁(例えば、側壁または外壁)を備えてもよい。壁は、開口部から挿入方向に延びていてもよい。流れチャンバまたはハウジングの壁の少なくとも一部は、流動表示流路内の液体レベルまたは高さを壁を通して見ることができるように、実質的に透明であってもよい。流動チャンバまたはハウジングの内部容積、キャビティまたは空間は、実質的に円形の水平断面(例えば、点滴チャンバの内部は、実質的に円筒形であってもよい)を有してもよく、または非円形および/または任意の水平断面を有してもよい。壁の内面は、挿入方向に(内向きに)テーパ状であってもよく、またはテーパ状でなくてもよい。流動チャンバまたはハウジングは、実質的に管状であってもよい。流動チャンバまたはハウジングは、チューブまたは管状部材であってもよく、または備えていてもよい。流動チャンバは、インサートが容器/バッグ/チャンバ内への、および/または容器/バッグ/チャンバを通る流量の視覚的表示を提供することができるように、インサートを受容および/または収容するように構成された開口部、部分、および/または管状部分を有する容器またはバッグであってもよく、または備えていてもよい。流動チャンバまたはハウジングの外部は、規則的または不規則な形状を有していてもよい。例えば、インサートは、尿排出速度を監視するためにカテーテルバッグ内に配置するために使用されてもよい。言い換えれば、インサートの幾何学的形状は、多くの異なる流動チャンバの幾何学的形状に適合するように構成することができ、用途によって限定されない。
【0025】
あるいは、流動抵抗通路および/または流動表示流路がインサートによって部分的に画定される場合、カラーまたはリングを使用して、1つまたは複数の凹部または開放流路を閉鎖および/または封止してもよい。カラーまたはリングは、インサートの周囲に少なくとも部分的に延び、インサートの長さに少なくとも部分的に延びていてもよい。例えば、インサートがカラーまたはリングに挿入されるか、またはカラーまたはリングがインサートの周りに少なくとも部分的に位置するとき、流動抵抗通路および/または流動表示流路は、例えば上述のように、インサートとカラーまたはリングの(例えば側壁などの)壁(の内面)との間に形成されてもよい。流量計装置は、インサートおよびカラー/リングのみによって形成されてもよく、または、インサートおよびカラー/リングは、点滴チャンバまたは流動チャンバに挿入されて、流量計装置を形成してもよい(後者の場合、点滴/流動チャンバの壁は、1つまたは複数の凹部または開放流路を閉鎖および封止しない)。チューブ類、流動アクセサリおよび/または流動コントローラは、インサートの出口に接続され/下流で使用することができる。
【0026】
インサートの入口通路は、入口端(上端)および出口端(下端)を有していてもよい。入口通路の上端は、液体流を受容するための開口部を備えていてもよい。
【0027】
入口通路の下端(出口端)は、流動抵抗通路および/または流動表示流路を部分的に画定するインサートの外面/合わせ面の1つまたは複数の凹部または開放流路と連通してもよい。インサートの出口は、流動抵抗通路(の出口端)と連通してもよい。
【0028】
流動表示流路は、入口通路の出口端および流動抵抗通路の入口端と連通する入口端を備えていてもよい。流動表示流路は、インサートが実質的に垂直に配置されるとき、その入口端(下端)から開放出口端(上端)まで実質的に上方に延びていてもよい。
【0029】
インサートの操作/使用は、流動表示流路内の液体レベル/高さが、流動抵抗通路を通る液体流量に比例するという原理に依存する。流量に伴う液体レベル/高さの変化は、流動抵抗通路によって付与される流動抵抗によって決定される。例えば、所与の流量に対して、流動に対するより高い抵抗は、流動表示流路内のより高い液体レベル/高さをもたらす。流動表示流路は、目盛り付きのスケールを備え、流動表示流路内の液体レベルまたは高さの視覚的尺度を提供し、それによって流動抵抗通路を通る液体流の速度(および/または入口通路および/または主液体流路)を提供してもよい。スケールは、所与の流量間隔に対応する所与の間隔で離間された目盛りまたは指標を含む。液体レベル/高さの読み取りを容易にするために、目に見えるフロートが設けられてもよい。
【0030】
高流量では、液体レベル/高さは、流動表示流路の高さを超えることがある。流動表示流路の開放出口端は、オーバーフローを提供して、高流量条件(例えば、250ml/時間超)下で液体が得られる流量計装置を通って自由に流れ続けることを可能にしてもよい。
【0031】
流動表示流路は、実質的に真っ直ぐであっても、湾曲していても、および/または1つまたは複数の屈曲部であってもよい。流動表示流路は、インサートが垂直に配置されたとき、その入口端から実質的に垂直に延びていてもよい。あるいは、流動表示流路の少なくとも一部分は、インサートが実質的に垂直(またはインサートの長手軸に対してある角度で)に配置されたとき、その入口端から垂直に対してある角度(ゼロでない角度)で延びていてもよい。角度は、垂直(または長手軸)から実質的に5~85度、または10~80度、または15~75度、または20~70度、または25~65度、または30~60度、または35~55度の範囲、またはそれらの任意の組み合わせもしくは部分的範囲であってもよい。流動表示流路の少なくとも一部分に角度を付けることは、スケールの垂直成分が角度で表されることを意味する。これにより、スケールの垂直成分がより大きな距離に広がり(すなわち、所与の目盛り/インクリメント間の絶対間隔/分離が増加し)、液体レベル/高さの測定/読み取りがより容易になり、および/または追加のサブ目盛りのための余地が提供され、したがってスケールの分解能が高まる。これは、液体レベル/高さが低い流量(例えば、50ml/時間未満)に対応する流動表示流路の入口端またはその付近で特に有用である。流動表示流路は、インサートの長手軸の周りおよび/またはインサートの横軸の周りに湾曲していてもよい。例えば、流動表示流路は、例えばインサートの側面から見たときに、長手軸から離れるように湾曲してもよい。点滴チャンバの壁の内面が湾曲している場合(すなわち、インサートの長手軸の周りである)、傾斜した流動表示流路も湾曲してもよく(すなわち、インサートの長手軸の周りである)、例えば、実質的に螺旋形状であってもよい。角度付きおよび/または湾曲した流動表示流路は、例えば、サイズが低減された流動/点滴チャンバに適合するように、インサートの長さを低減することを可能にする。
【0032】
流動表示流路は、異なる角度で配置された第1の部分および第2の部分を備えてもよい。第1の部分は、上述のように、インサートが実質的に垂直に配置されたとき、垂直(または長手軸)に対してある角度で流動表示流路の入口端から延びる下側部分であってもよい。第2の部分は、インサートが実質的に垂直に配置されたときに第1の部分から実質的に垂直に延びる上側部分であってもよい。あるいは、第2の部分は、垂直(または長手軸)に対してある角度で第1の部分から延びていてもよく、角度は、第1/下側部分の角度より小さい(すなわち、垂直軸または長手軸により近い)。
【0033】
流量変化に伴う流動表示流路内の液体レベルまたは高さの変化は、流動表示流路の幾何学的形状および/または体積に依存してもよい。体積が小さいほど、変化速度が速くなり、および/または流量の変化に対するレベル/高さの応答性が速くなり、逆もまた同様である。
【0034】
あるいは、または加えて、1つまたは複数の切り欠きまたは開口部が、流動表示流路から液体が流出することを可能にするように構成される流動表示流路の壁に形成されてもよい。流動表示流路内の液体レベルが切り欠きの位置に到達し、および/または切り欠きの上方に上昇すると、液体のいくらかは、切り欠きを介して(点滴チャンバ内に)逃げることができる。これは、レベル上昇が切り欠きを介した流体損失も克服しなければならないため、流動表示流路内の液体レベルが切り欠きの位置を超えて上昇し続けるためには、はるかに高い流量が必要とされることを意味する。これは、切り欠きの下により多くの流れ感受性を有し、切り欠きの上により少ない流れ感受性を有する不均一なスケールを提供する。複数の切り欠きが存在する場合、各切り欠きは、流動表示流路内の異なるレベルに位置していてもよい。そのような非線形スケールは、より低い流量でより高い流量測定精度が必要とされるが、同じ流量計が高い流量も測定しなければならない場合に望ましいことがある。そのような事例における線形スケールは、実用的でないほど大きい場合がある。
【0035】
流動抵抗通路は、必要な流動抵抗を付与するのに充分な断面および/または長さを有する。流動抵抗通路は、流れに対して均一なまたは不均一な幅/断面を有してもよい。流動抵抗通路は、オリフィスを備えていてもよい。オリフィス絞り(狭いパイプ/チューブセクションのような細長い絞りではない)の使用は、組み立てられた流量計装置を液体の粘度の変化の影響を受けにくくし得る。オリフィス絞りによって付与される流動抵抗通路内の抵抗が大きいほど、流量測定は液体粘度の変化の影響を受けにくい。抵抗が狭いパイプ流(例えば、細長い絞りの場合)によって付与されるほど、液体粘度の変化の影響を受けやすい。したがって、オリフィスは、流れの方向において(製造プロセスの制約内で)できるだけ短い方が好ましい。流動抵抗通路を部分的に画定する凹部または開放流路の壁は、流動抵抗通路の幅を狭めるために、通路の中へ、または通路の中心に向かって内向きに指向するかまたは延びる突起を備えてもよい。突起は、凹部の床から延び、点滴チャンバの壁に対向してもよい。加えて、またはあるいは、突起は、凹部または流動抵抗通路の側壁から凹部または流動抵抗通路の反対側の側壁に向かって延びていてもよい。オリフィスは、単一の突起によって形成されてもよく、例えば、突起は、壁の実質的に直線の部分(例えば、凹部の壁または点滴チャンバの壁)に対向してもよく、またはオリフィスは、2つの対向する突起によって形成されてもよい。突起は、断面が実質的に長方形、V字形または三角形であってもよい。突起を形成する側壁の角度θvが鋭角であるほど、オリフィスはより理想的となり、流量計装置は液体の粘度の変化の影響を受けにくくなる。V字形突起は、性能と製造可能性との間の妥協点である。
【0036】
オリフィスの幅は、流動抵抗通路を通る流量が実質的に0~250ml/時間の間であるときに流動表示チャンバ内の液体レベル/高さの識別可能な変化をもたらすのに充分な液体流れに対する抵抗を付与してもよい。オリフィスの幅は、実質的に0.1~0.2mmの範囲であってもよい。
【0037】
流動抵抗通路を通る流量に伴う流動表示流路内の液体レベル/高さの変化は、オリフィス寸法によって決定される。例えば、所与の流量に対して、より狭いオリフィスでより高い液体レベル/高さが達成される。したがって、オリフィスの寸法は、流動表示流路の長さ、角度および/または高さに基づいて、流動表示流路内の液体レベル/高さから測定可能な流量の所望の範囲、および/または所望の測定分解能、等の用途に応じて選択されてもよい。例えば、所与の最大高さを有する流動表示流路の場合、最大測定可能流量(液体がその上端を溢れる前)は、より狭いオリフィスの場合よりもより広いオリフィスの場合の方が大きい。しかしながら、より狭いオリフィスでは、より高い分解能スケール(すなわち、より小さい流量間隔で指数/目盛りを有する)を使用することができる。同様に、流動表示流路が角度を有する場合、スケールの垂直成分の広がりに起因して、より広いオリフィスが使用されてもよい。
【0038】
流動抵抗通路は、インサートが点滴チャンバに挿入され、実質的に垂直に配置された場合において、液体の流れが停止されたときに流動抵抗通路内に液体が残るような形状であってもよい。流動抵抗液体通路は、インサートが実質的に垂直に配置されるとき、実質的にU字形であってもよい。この文脈において、「U字形」とは、液体流の方向が、流動抵抗通路(V字形、C字形などを含む。)を通るその通路上で実質的に逆転されることを意味する。このように、流動抵抗通路は、インサートが実質的に垂直に配置されたときに液体が実質的に上方に流れる部分を含む。流動抵抗通路はまた、追加の屈曲部および/または湾曲部を備えてもよい。
【0039】
略U字形の流動抵抗通路は、液体流がオペレータによって停止されたときに、流動抵抗通路が乾燥せず、濡れたままであることを提供する。これは、流動抵抗通路の断面積、したがって流動抵抗に影響を及ぼし、流動表示流路からの液体流量の測定に誤差をもたらし得る、液体の蒸発から生じ得る、流動抵抗通路内の固体堆積物の蓄積を防止し得る。
【0040】
流動抵抗通路がオリフィスを備える場合、オリフィスは、インサートが実質的に垂直に配置されたときにU字型流動抵抗通路の下側部分またはその近くに配置されてもよい。これは、オリフィスが使用中に沈められる(オリフィスが乾燥するのを防ぐ)こと、および液滴が液体流の絞られた部分の間に形成しないことを確実にし得る。液滴の形成を避けることは、液滴の体積または形成速度が一貫していない可能性があるので、得られる流量計装置の信頼性を改善することができる。
【0041】
インサートは、射出成形などの成形プロセスによって形成されてもよい。特に、インサートは、単一体成形品であってもよい。任意選択で、または好ましくは、インサートは、一方向射出成形プロセスによって形成されてもよい。一方向成形プロセスは、インサートを形成する金型が、単一方向に分離された2つの部品で構成される(すなわち、サイドコアまたは複雑な工具を必要としない)ことを意味する。このようにして、製造時間およびコストが低減される。さらに、流動抵抗通路は、インサートと点滴チャンバの壁(の内面)との間に形成することができるので、流動抵抗通路(例えば、オリフィス)の臨界形状および寸法は、通常の射出成形技術および公差を用いて達成することができる。例えば、入口通路は、入口通路の出口端がインサートの外面まで延び、および/またはインサートの外面の1つ又は複数の凹部もしくは開放流路と連通するように、インサートが実質的に垂直に配置されたときに垂直に対してある角度で(または長手軸に対してある角度で)形成されてもよい。あるいは、インサートは、三次元印刷または機械加工プロセスを使用して形成されてもよい。
【0042】
表示柱内の液体レベルまたは高さが流動抵抗通路を通る流れに比例するという同じ原理に依拠する装置は、これまで、低流量(50ml/時間未満)では信頼性がなく、および/または高い公差および高価な製造コストを必要とする。本発明のインサートは、低流量であっても、示された流れの精度および一貫性の改善を可能にし、標準的な射出成形公差内で製造することができ、当技術分野において広く利用可能であり使用されている標準的な点滴チャンバと共に使用することができる。
【0043】
インサートは、液体流を流動抵抗通路から出口に向けるための出口チャンバをさらに備えていてもよい。出口チャンバは、流動抵抗通路の出口端および出口と連通してもよい。出口チャンバは、出口を備えてもよい。出口チャンバは、流動抵抗通路の出口端と連通する側壁の開口部を備えていてもよい。流動抵抗通路の側壁開口部および/または出口端は、インサートが垂直に配置されたときに出口のレベル/高さより上のレベルまたは高さに位置していてもよい。出口チャンバは、出口が配置される床、基部、または底壁を備えていてもよい。
【0044】
出口チャンバは、流動抵抗通路の側壁開口部および/または出口端から延びる流路を備えて、液滴を形成することなく、流動抵抗通路から出口に液体流を向けるおよび/または案内してもよい。流路は、第2の流路であってもよい。流路は、毛細管作用によって出口チャンバの中へ液体を(例えば、実質的に下向きに)引き込むように構成されていてもよい。流路は、出口チャンバの側壁内に少なくとも部分的に形成される開放流路または凹部であるか、または備えていてもよい。開放流路は、出口チャンバの床、基部、または底壁まで延びていてもよい。
【0045】
出口チャンバは、インサートによって少なくとも部分的に画定されてもよい。出口チャンバは、インサートが点滴チャンバに挿入されたときに出口チャンバがインサートと点滴チャンバの壁(例えば、側壁または外壁)との間に形成されるように、インサートによって部分的に画定されてもよい。出口チャンバは、インサート内の凹部によって形成されてもよい。凹部の少なくとも一部は、組み立てられたときに点滴チャンバの壁(例えば、側壁または外壁)によって封鎖されてもよい。点滴チャンバの壁は、出口チャンバの側壁の少なくとも一部分を形成してもよい。
【0046】
出口チャンバは、出口のレベル/高さと、流動抵抗通路の側壁開口部および/または出口端のレベル/高さとの間のレベルまたは高さに位置するオーバーフロー開口部をさらに備えていてもよい。点滴チャンバに挿入されると、オーバーフロー開口部は、出口チャンバからオーバーフローする液体が点滴チャンバの下側部分に排出され得るように、インサートの下方で点滴チャンバの下側部分と連通してもよい。これは、そうでなければ流動表示流路からの流量、特に「ゼロライン」の測定に誤差をもたらすであろう出口チャンバ内の液体充填を防止し得る。オーバーフロー開口部はまた、出口チャンバと点滴チャンバの低部との間の空気流を可能にしてもよい。加えて、出口チャンバは、オーバーフロー出口のレベル/高さより上に配置され、点滴チャンバの内部と連通して出口チャンバと点滴チャンバの残りの部分との間の空気流を可能にする、1つまたは複数の通気開口部を備えていてもよい。このように、出口チャンバは、開放チャンバであってもよい。
【0047】
インサートはさらに、インサートと点滴チャンバの壁との間に間隙を設けるように成形および構成されてもよい。間隙は、インサートの長さに延びていてもよい。間隙は、インサートの面取りされた側面、または流路もしくは凹部に設けられていてもよい。オーバーフロー開口部、間隙、および/または通気開口部は、任意の/全ての液体充填されていない通路/流路/チャンバ内のエアロックを防止し、得られる流量計装置が、既存の点滴セットと同じ様式で「プライミング」されることを可能にしてもよく、これは、点滴チャンバの可撓性部分(下側部分)を圧搾および解放して、液体源から主液体流路を通して液体を下方に引き込み、空気を上方に液体源内に排出することを含む。
【0048】
インサートはさらに、インサートから点滴チャンバの外壁に向かって延びる1つまたは複数の側方リブ、パネル、および/または突起を備えていてもよい。1つまたは複数の側方リブおよび/または突起は、点滴チャンバの内側の緊密な締まり嵌めを促進し、インサートの構造的強度/剛性、例えば、インサートの曲げ、屈曲、および/またはねじれに対する抵抗を増加させる働きをしてもよい。1つまたは複数の側方リブおよび/または突出部は、実質的に長手方向および/または横方向に延びていてもよい。側方リブまたは突起は、空気または液体を捕捉することを回避するように構成される、1つまたは複数の開口部または切り欠きを備えていてもよい。
【0049】
インサートは、流動抵抗通路の上流に位置するフィルタ素子をさらに備え、さもなければ得られる流量計装置の信頼性に悪影響を及ぼすであろう液体中の粒子が流動抵抗通路内に堆積するのを防止してもよい。フィルタ素子は、入口通路の入口端にまたはその近くに位置していてもよい。フィルタ素子は、入口通路に/入口通路内に成形されていてもよい。
【0050】
インサートは、入口通路を出る液体流中の気泡が流動表示流路に到達する前にそれらを排出するように構成された、入口通路の下端/出口端と流体連通する通気流路または気泡通気流路をさらに備えていてもよい。通気流路は、入口通路の下端/出口端と流体連通する下端と、開放上端とを有していてもよい。通気流路の下端は、流動表示流路の下端の上流に配置されていてもよい。通気流路は、流動表示流路と実質的に平行に、および/または沿って延びていてもよい。通気流路は、インサートの長手軸に実質的に平行な方向に延びていてもよい。通気流路は、インサートが実質的に垂直に配置されたとき、その下端から実質的に垂直に延びていてもよい。通気流路は、入口通路から流出する液体中の気泡が通気流路内で上方に上昇することを可能にし、さもなければ流れ測定に悪影響を及ぼすであろう流動表示流路に入れないように構成される。通気流路の上端は、少なくとも流動表示流路の上端と同じ高さであってもよい。これは、通気流路からの流体(気泡および液体)のオーバースピル/オーバーフローが、流動表示流路内の通気流路の上端よりも高い液体レベルに影響を及ぼすのを防ぐことができる。
【0051】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のインサートと、インサートを受容するための流動チャンバまたはハウジングとを備える流量計装置が提供される。
【0052】
流動チャンバまたはハウジングは、インサートを挿入することができる開口部と、インサートの出口から液体流を受容するための出口とを備えていてもよい。流動チャンバの出口は、装置の下流のチューブ類、アクセサリ、および/または流動コントローラ等のさらなる構成要素に接続するためのインサート出口の下流に配置されてもよい。流動チャンバは、1つまたは複数の壁(例えば、側壁または外壁)を備えていてもよい。第1の態様において点滴チャンバの壁を参照して定義されるインサートの特徴は、流動チャンバの壁を参照して同様に定義されてもよい。壁は、インサートを収容するサイズの内部容積、キャビティ、または空間を画定してもよい。壁は、開口部から挿入方向に延びていてもよい。1つまたは複数の壁のうちの少なくとも1つは、流動表示流路内の液体レベル/高さを見るための実質的に透明な部分を備えていてもよい。
【0053】
流動観察チャンバの内部容積、キャビティまたは空間は、断面が実質的に円形であってもよく(例えば、流動チャンバの内部は、実質的に円筒形であってもよく)、または非円形および/または任意の断面を有してもよい。流動チャンバまたはハウジングは、チューブまたは管状部材であってもよく、または備えていてもよい。流動チャンバは、インサートが、容器/バッグ/チャンバ内へのおよび/または通る流量の視覚的表示を提供することができるように、インサートを受容および/または収容するように構成された開口部、部分、および/または管状部分を有する容器またはバッグであってもよく、または備えていてもよい。壁の内面は、挿入方向にテーパ状(内向きに)であってもよく、またはテーパ状でなくてもよい。点滴チャンバの壁は、実質的に剛性もしくは可撓性/変形可能であってもよく、または実質的に剛性の部分および実質的に可撓性/変形可能の部分を含んでいてもよい。流動チャンバまたはハウジングは、実質的に管状であってもよい。流動チャンバまたはハウジングの外部は、規則的または不規則な形状を有していてもよい。
【0054】
流動チャンバは、当該技術分野において既知のIV投与/点滴セットにおいて使用される標準的な(少なくとも部分的に)透明な点滴チャンバといった点滴チャンバであってもよく、または備えていてもよい。しかしながら、特に非IV用途では、適切な寸法を有する任意の流動チャンバを使用してもよいは理解されるであろう。
【0055】
流動チャンバは、インサートの長さよりも長い長さを有していてもよい。流動チャンバがIV投与用の点滴チャンバである場合、インサートの長さよりも少なくとも40mm長い長さを有していてもよく、インサートの出口は、ISO-8536-4に適合するように、点滴チャンバの壁(の内面)から少なくとも5mmに位置していてもよい。
【0056】
点滴チャンバは、約100mmの長さを有していてもよい。インサートは、約60mmの長さを有していてもよい。これは、流動表示流路について約40mmの使用可能な読み取りスケールを残し得る。
【0057】
流動チャンバは、互いに取り付け可能な2つ以上の別個の部分を含む単一の部品であってもよい。インサートを受容するための開口部は、流動チャンバの上端に形成されていてもよい。装置は、装置を液体源(IVバッグまたは容器など)に接続するための手段を有する流動チャンバに接続可能なカバーまたは蓋をさらに備えていてもよい。カバーまたは蓋は、流動チャンバの開口部に接続可能であってもよい。カバーまたは蓋は、流動チャンバを閉鎖および封止し、液体源からインサートの入口通路への液体流のための入口通路を画定してもよい。カバーまたは蓋は、インサートの入口通路に接続するための出口端と、液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備えていてもよい。
【0058】
あるいは、カバーまたは蓋は、流動チャンバと一体であってもよい。流動チャンバは、インサートの入口通路に接続するための出口端と、液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備えていてもよい。この場合、インサートを受容するための開口部は、流動チャンバの下端であってもよい。流動チャンバは、互いに取り付け可能な別個の上側部分および下側部分を備えていてもよい。上側部分は、入口通路を備えていてもよい。下側部分は出口を備えていてもよい。インサートを受容するための開口部は、上側部分の下端に形成されてもよい。
【0059】
カバーまたは蓋または流動チャンバの入口通路の出口端は、例えば、漏れおよび/または空気が入口通路に入るのを防止するために、インサートの入口通路(の上端/入口端)に接続可能および/または封止可能であってもよい。カバー/蓋または流動チャンバの入口通路の出口端は、インサートの入口通路を封止するように構成されていてもよく、またはその逆も同様である。例えば、カバー/蓋または流動チャンバの入口通路の出口端は、インサートの入口通路の入口端と、その周囲に、またはその内部で締まり嵌めを提供するように構成されていてもよく、またはその逆であってもよい。あるいは、カバー/蓋または流動チャンバの入口通路の出口端は、封止素子によってインサートの入口通路に接続可能であってもよい。装置は、カバー/蓋が点滴チャンバに接続されたとき、またはインサートが流動チャンバに挿入されたときに、カバー/蓋または流動チャンバの入口通路の出口端をインサートの入口通路に封止する封止素子を備えていてもよい。封止素子は、インサートとカバー/蓋または流動チャンバとの間に嵌合することができる封止リングであってもよく、または備えていてもよい。流動チャンバのカバー/蓋は、封止素子を備えていてもよい。IV投与の場合、カバー/蓋は、当技術分野で知られているように、液体容器に挿入または穿刺するための標準的な通気式または非通気式のスパイク/穿刺装置であってもよく、または備えていてもよい。カバー/蓋の入口通路は、スパイク/穿刺装置を通って延びていてもよい。あるいは、点滴チャンバがカバー/蓋を備えない場合、点滴チャンバは、スパイクまたは穿刺装置を備えていてもよい。
【0060】
カバーまたは蓋は、締まり嵌めによって流動チャンバの開口部を閉鎖および封止するように構成されていてもよい。あるいは、または加えて、密閉リング等の、点滴チャンバとカバー/蓋との間に嵌合することができる封止素子が使用されてもよい。カバー/蓋の入口通路をインサートの入口通路に封止するために使用される封止素子およびカバー/蓋を点滴チャンバに封止するために使用される封止素子は、一体型封止素子または別個の封止素子であってもよい。
【0061】
装置はさらに、インサートの上流で液体を濾過するための1つまたは複数のフィルタ素子を備えてもよい。フィルタ素子は、インサートとカバー/蓋との間に嵌合し、少なくともインサートの入口通路の入口端を覆うように構成されていてもよい。フィルタ素子はさらに、インサートの入口通路とカバー/蓋の入口通路との間にシールを提供するように構成されていてもよい。封止素子は、フィルタ素子を含んでいてもよく、逆もまた同様である。インサートがフィルタ素子を含む場合、別個のフィルタ素子を必要としなくてもよい。カバー/蓋は、インサートとは別個であってもよい。あるいは、インサートはカバー/蓋を備えていてもよい。
【0062】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様による1つまたは複数のインサートを備えるIV投与セットが提供される。セットは、第2の態様による1つまたは複数の流量計装置を備えていてもよい。セットは、インサートを受容するための1つまたは複数の少なくとも部分的に透明な点滴チャンバをさらに備えていてもよい。点滴チャンバは、当技術分野で知られているように、IV投与で使用するための標準的な点滴チャンバであってもよい。点滴チャンバは、例えばインサートの出口の下流に配置される、インサートの出口から液体流を受容するための出口を備えてもよい。セットはさらに、点滴チャンバのための1つまたは複数のカバーまたは蓋を備えていてもよい。カバー/蓋は、インサートの入口通路を液体源に接続するための手段を備えていてもよい。カバー/蓋は、インサートの入口通路に接続するための出口端と、液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備えていてもよい。カバー/蓋は、当技術分野で公知のように、IVバッグまたは剛性容器等の液体源を穿刺するための標準通気または非通気スパイクであってもよく、または備えてもよい。
【0063】
あるいは、点滴チャンバは、カバー/蓋を備えていてもよい。点滴チャンバは、インサートの入口通路に接続するための出口端と、液体源に接続するための入口端とを有する入口通路を備えていてもよい。点滴チャンバは、スパイクまたは穿孔装置などの、インサートの入口通路を液体源に接続するための手段をさらに備えていてもよい。点滴チャンバは、単一部品の点滴チャンバであってもよく、または、例えば互いに接続可能な上側部分および下側部分を含む複数部品の点滴チャンバであってもよい。
【0064】
セットは、点滴チャンバの出口を投与点に接続するためのチューブ類をさらに備えていてもよい。セットはさらに、1つまたは複数の流動制御装置を備えてもよい。流動制御装置は、当技術分野で知られているようなローラークランプバルブまたはピンチクランプバルブなどの、チューブ類をクランプするためのクランプ装置であるか、または備えていてもよい。あるいは、流動制御装置は、チューブ類と直列に接続するためのものであってもよい。IV投与セットは、三方活栓、注入ポート、カニューレ、ルアーロック、および/またはシャットオフクランプを含むがこれらに限定されない、当技術分野で公知の他の標準的なアクセサリとともに使用されてもよく、または備えてもよい。
【0065】
カバー/蓋の入口通路の出口端は、締まり嵌めによってインサートの入口通路に接続可能であってもよい。あるいは、カバー/蓋の入口通路の出口端は、封止素子によってインサートの入口通路に接続可能であってもよい。
【0066】
セットは、インサートの上流の液体流を濾過するための1つまたは複数のフィルタ素子をさらに備えていてもよい。フィルタ素子は、インサートとカバー/蓋との間に嵌合し、少なくともインサートの入口通路の入口端を覆うように構成されていてもよい。任意選択でまたは好ましくは、封止素子はフィルタ素子を備えていてもよい。
【0067】
本発明の第4の態様によれば、第1の態様によるインサートを使用する方法、第2の態様による流量計装置を使用する方法、および/または第3の態様によるIV投与セットを使用する方法が提供される。
【0068】
方法は、点滴チャンバまたは流動チャンバの開口部にインサートを挿入することを備えていてもよい。方法はさらに、カバーまたは蓋を点滴チャンバまたは流動チャンバの開口部に取り付けて、点滴/流動チャンバを閉鎖および/または封止するステップを備えていてもよい。カバー/蓋を取り付けることは、インサートの入口通路の入口端とカバー/蓋の入口通路の出口端との間にフィルタ素子を位置させることをさらに備えていてもよい。カバー/蓋を取り付けることは、インサートの入口通路の入口端をカバー/蓋の入口通路の出口端に接続および/または封止することをさらに備えていてもよい。方法は、カバー/蓋の入口通路の入口端を液体源に接続することをさらに備えていてもよい。液体源に接続するステップは、カバー/蓋のスパイクまたは穿刺装置で液体容器を穿刺することを備えていてもよい。方法は、液体流を使用点/投与点に方向付けるために、チューブ類を点滴/流動チャンバの出口に接続するステップをさらに備えていてもよい。方法は、流量計装置を通して液体を流すことをさらに備えていてもよい。方法はさらに、流動表示流路から流量を読み取ることを備えていてもよい。
【0069】
インサートを点滴チャンバまたは流動チャンバに挿入するステップは、インサートを挿入して、インサートと点滴チャンバまたは流動チャンバの壁との間に流動抵抗通路および/または流動表示流路を形成することを備えていてもよい。挿入のステップは、インサートを挿入して、点滴チャンバまたは流動チャンバの壁に対してインサートの合わせ面の1つまたは複数の凹部または開放流路を閉鎖および/または封止することを備えていてもよい。
【0070】
本発明の別個の態様および/または実施形態の文脈で説明される特徴は、共に使用されてもよく、および/または交換可能であってもよい。同様に、特徴は、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されるが、これらはまた、別個に、または任意の好適な部分的組み合わせで提供されてもよい。装置に関連して説明される特徴は、方法に関して定義可能な対応する特徴を有してもよく、これらの実施形態は、具体的に想定される。
【図面の簡単な説明】
【0071】
本発明をよく理解するために、以下の添付の図面を参照して、単なる例として実施形態を説明する。
【0072】
図1a】本発明による流量計装置の分解側面図を示す。
図1b】本発明による流量計装置の分解斜視図を示す。
図2】インサートが見える状態の図1の組み立てられた流量計装置の側面図を示す。
図3a】インサートが見える状態の図1の組み立てられた流量計装置のさらなる側面図を示す。
図3b】インサートが見える状態の図1の組み立てられた流量計装置のさらなる断面図を示す。
図4a図1~3のインサートの詳細の斜視図を示す。
図4b図4aのインサートの1つまたは複数の凹部または開放流路の外形を示す。
図4c図4aの流動抵抗通路のオリフィスの概略水平断面を示す。
図4d図4aの流動抵抗通路のオリフィスの概略垂直断面を示す。
図4e】代替オリフィスの幾何学形状の概略垂直断面を示す。
図4f】代替オリフィスの幾何学形状の概略垂直断面を示す。
図5a】液体流路を示す異なる角度からの図1~4のインサートのさらなる斜視図をそれぞれ示す。
図5b】液体流路を示す異なる角度からの図1~4のインサートのさらなる斜視図をそれぞれ示す。
図6】液体流路を示す、図1~5のインサートの拡大図を示す。
図7】出口チャンバを示す、異なる角度からの図1~6のインサートのさらなる斜視図を示す。
図8a】流量を測定するための目盛り付きスケールを示す。
図8b】流量を測定するための目盛り付きスケールを示す。
図9】成形方向を示す、図1~7のインサートのさらなる斜視図を示す。
図10図1の装置のための別の例示的なインサートを示す。
図11図1の装置のための別の例示的なインサートを示す。
【0073】
図面は概略的であり、縮尺通りに描かれていないことがあることに留意されたい。これらの図の部分の相対的な寸法および比率は、図面の明瞭さおよび便宜のために、誇張または縮小されて示されている場合がある。同じ参照符号は、概して、修正されたおよび/または異なる実施形態における対応するまたは同様の特徴を参照するために使用される。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1a~3bは、本発明の一態様および/または実施形態による流量計装置100を示す。装置100は、流量計量インサート10と、インサート10を受容するための流動チャンバまたはハウジング50と、流動チャンバ50を閉鎖/封止し装置100を液体源(図示せず)に接続するためのカバーまたは蓋30とを備える。装置100は、インサート10を流動チャンバ50に挿入しカバーまたは蓋30を流動チャンバ50に取り付けて流動チャンバ50を閉鎖および/または封止することによって組み立てられる。装置100は、液体が重力下で装置100を通って下向きに流れることができるように、使用時に実質的に垂直に配置されるように構成される。以下の「上側」および「下側」への言及は、この向きを指すが、本発明の態様および実施形態は、特定の向きに限定されないことが理解されるであろう。
【0075】
図示の実施形態では、流動チャンバ50は、概して管状の部材であり、インサート10を収容するために上端に開口部、凹部またはボア51を備え、装置100の下流のさらなる構成要素、例えばチューブ類および/または流動制御装置(図示せず)に接続するために下端に出口52を備える。開口部、凹部またはボア51は、側壁50wによって画定されるチャンバの内部容積または空間を画定する。流動チャンバ50は、示される幾何学形状に限定されず、例えば、壁50wの外部は、規則的または不規則的形状を有してもよく、点滴チャンバ50の内部容積は、以下で説明されるように、インサート10を収容し協働することができる部分が少なくとも存在することを条件として、図示されるように実質的に円筒形または非円筒形であってもよいことが理解されるであろう。カバーまたは蓋30は、液体源から液体流を受容するための入口通路32を備える。図示の例では、入口通路32は、例えばスパイク31を液体源の出口に挿入することによって、または液体源を貫通することによって、装置100を液体源に接続するための突起またはスパイク31に形成される。しかしながら、装置100を液体源に流体接続するための他の手段、例えば、当該技術分野において既知のプッシュフィット、スクリューフィットまたはルアーロックフィッティングを使用してもよいことが理解されるであろう。液体源に接続されると、液体は、カバー/蓋30の入口通路32を通って装置100に入り、インサート10を通って流れて流動チャンバ50に入り、出口52を通って装置100から出る。インサート10は、以下でさらに説明するように、装置100を通る液体流量の直接的な視覚的表示を提供する。したがって、流動チャンバ50の少なくとも一部分は、インサート10の少なくとも一部分が流動チャンバ50の側壁50wを通して見えるようにするために、実質的にまたは少なくとも部分的に透明な材料で形成され、または備えなければならない。
【0076】
図示の実施形態では、流動チャンバ50は、標準的な点滴チャンバであり、カバー/蓋30は、当技術分野で知られているように、静脈内(IV)投与セットで使用される標準的な通気式または非通気式のスパイク/穿刺装置である。点滴チャンバ50は、実質的に透明なプラスチック材料から構成され、側壁50wの少なくとも一部分(すなわち、インサートの下方の下側部分)は、実質的に可撓性/変形可能であり、点滴チャンバ50内の液体の流れを観察することができ、点滴チャンバの可撓性/変形可能部分を圧搾および解放して液体を液体源から引き下げると共に空気を液体源(例えば、IVバッグまたは容器)内に上方に放出することによって、IVセットを通常の方法でプライミングすることができる。カバー/蓋の入口通路32の出口端32bは、ISO8536-4に適合するように構成され(すなわち、側壁50wの内面から5mmに位置し)、通常、点滴チャンバ50内で見られるような流量を表示するように液滴を形成するために従来のように使用されるように、点滴形成オリフィスを備える。例えば、点滴形成オリフィスは、必要とされる液滴サイズ/体積に応じて、約3mmの幅、またはより狭いもしくはより広いものであってもよい。しかしながら、本発明はIV投与に限定されず、したがって、(実質的に透明な側壁50wを有する)インサート10を収容するようにサイズ決めされた概して任意の適切な流動チャンバ50と、特に非IV用途において、装置100を液体源に接続する手段を有する任意の適切なカバー/蓋30とが使用されてもよいことが理解されるであろう。
【0077】
図4a、5aおよび5bは、インサート10をより詳細に示す。インサート10は、入口通路11と、出口13と、入口通路と出口13との間の流動抵抗通路12とを備える。これは、インサート10を通る主液体流路を画定する。インサート10はまた、流動表示流路14を備え、下端/入口14aは、入口通路11と流動抵抗通路12との間に接続される。カバー/蓋30を点滴チャンバ50に取り付けることは、図3bに示されるように、入口通路32を入口通路11の入口端11a(上端)に接続し、したがって、液体源からインサート10の入口通路11への液体流のための通路を提供する。締まり嵌めまたは別個の封止素子を使用して、以下でさらに説明するように、カバー/蓋30の入口通路32とインサート10の入口通路11との間に液密シールを提供することができる。
【0078】
インサート10は、点滴チャンバ50の長さよりも小さい長手軸に沿った長さを有する。IV投与の場合であって、点滴チャンバ50は、インサート10の長さよりも少なくとも40mm長い長さを有してもよく、インサート10の出口13は、ISO-8536-4に適合するように点滴チャンバ50の側壁50w(の内面)から少なくとも5mmに位置していてもよい。しかしながら、ISO-8536-4の順守が必要とされない非IV用途では、インサート10は、それに嵌合するために点滴チャンバ50の長さに等しいかまたはそれより短いだけでよいことが理解されるであろう。一例では、点滴チャンバ50は、長さが約100mmであってもよく、インサート10は、ISO-8536-4に適合するように長さが約60mmであってもよい。加えて、インサート10の出口13は、点滴形成オリフィス(例えば、約3mm幅の開口を有する)であってもよく、または備えていてもよく、それにより、液体がインサート10を出るときに、ISO-8536-4(医療用重力供給注入機器内で液滴が連続的に可視であることを必要とする)に従って点滴チャンバ50内で液滴の流れが依然として可視であってもよい。約60mmの長さのインサートでは、入口通路11は約40mmの長さであってもよく、これは層流を促進し得る。
【0079】
IV投与に使用される標準的なスパイク30では、出口端32bは、通常、面取りされている。入口通路11の入口端11aは、これを収容し、出口端32との締まり嵌めを提供して、インサートの入口通路11をカバー/蓋30の入口通路32に接続して封止するように成形することができる。あるいは、カバー/蓋30が取り付けられたとき(図示せず)、インサートの入口通路11とカバー/蓋30の入口通路32との間の界面を封止するために、別個の封止リングが設けられてもよい。
【0080】
流動抵抗通路12は、入口端12aと、出口端12cと、入口端12aと出口端12cとの間の流れ絞りオリフィス12bとを備える。入口通路11の出口端11b(下端)は、流動抵抗通路12の入口端12aと連通している。入口通路11の下端11bも流動表示流路14と連通している。特に、流動表示流路14は、入口通路11の下端11bおよび流動抵抗通路12の入口端12aと連通する入口端(下端)14aを備え、図3aに示すように、その下端14aから開放出口端14b(上端)まで概ね上方に延びる。流動表示流路14の開放上端14bは、点滴チャンバ50の内部容積51と連通している(インサート10の下方の点滴チャンバ50の一部と同様に)。
【0081】
流動抵抗通路12および流動表示流路14は、図4a、図5aおよび図5bに見られるように、面10mの1つまたは複数の凹部または開放流路10rによって部分的に画定される。1つまたは複数の凹部または開放流路10rの輪郭は、より明確にするために、図4bにおいて太線で示されている。インサート10は、点滴チャンバ50内に締まり嵌めを有するように成形および構成され、1つまたは複数の凹部または開放流路10rは、インサート10が点滴チャンバ50内に挿入されたときに、点滴チャンバ50の側壁50wに対して閉鎖および封止される。締まり嵌めは、インサート10が点滴チャンバ50に挿入されたときに側壁50wの内面に接触するように構成された1つまたは複数の合わせ面10m、10m’によって提供される。1つまたは複数の凹部または開放流路10rは、インサート10が点滴チャンバ50に挿入されたときに側壁50wの内面を収容し、適合し、封止するように構成された合わせ面10mに形成される。このように、インサート10が点滴チャンバ50に挿入されると、インサート10と側壁50wの内面との間に流動抵抗通路12および流動表示流路14が形成される。合わせ面10mは、側壁50wの内面を少なくとも部分的に変形させるように、および/または側壁50wの内面によって少なくとも部分的に変形させられ、それらの間で適合し、液密シールを作るように構成されてもよい。例えば、インサート10が実質的に剛性の材料で形成されるか、または備える場合、点滴チャンバ50の側壁50wは、インサートよりも実質的に可撓性であるか、または剛性が低くてもよく、側壁50wの内面は、インサート10が点滴チャンバ50に挿入されたときに、インサート10の合わせ面10mに適合するように少なくとも部分的に屈曲または変形する。あるいは、インサート10が実質的に変形可能な材料で形成されるか、または備える場合、点滴チャンバ50の側壁50wは、合わせ面10mが側壁50wの内面に適合するように少なくとも部分的に変形するように、実質的に剛性であってもよい。いずれの場合も、合わせ面10mは、インサート10が点滴チャンバ50に挿入されたときに側壁50wの最終内面に(変形後または変形せずに)適合することができるように構成される。
【0082】
合わせ面10mは、少なくとも部分的にインサート10の側面の周囲に延びていてもよく、および/またはさらなる合わせ面10m’を、点滴チャンバ50内の緊密な締まり嵌めを促進するように、インサート10の側面の周囲の異なる場所に設けてもよい。図示の実施形態では、さらなる合わせ面10m’が、図5a、5bおよび7に見られるように、側壁50wに向かっておよび/または間に延びるリブまたはパネル16、17上に設けられる。流動抵抗通路12および流動表示流路14が部分的に画定される合わせ面10mは、側壁50wとの均一な封止接触を提供し、漏れを回避するために、連続した実質的に滑らかな表面である。あるいは、または加えて、合わせ面10m、10m’は、接触面積を低減させ、点滴チャンバ50の側壁50wの内面に対する液密シールを促進する、1つまたは複数の密閉リブであるか、または備えることができる(図示せず)。例えば、合わせ面10mは、1つまたは複数の(図示しない)凹部または開放流路(の周囲)の周りに延びる、1つまたは複数の封止リブを備えていてもよい。封止リブは、実質的に丸いまたは三角形の外形を有してもよく、側壁50wの内面を変形させるように、または側壁50wの内面によって変形されて、それらの間に液密シールを形成するように構成されていてもよい。
【0083】
インサート10は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)またはIV用途での使用が許容される任意の他の実質的に剛性のプラスチック等の、実質的に剛性の材料から形成されてもよく、または備えていてもよい。この場合、インサート10は、点滴チャンバ50の実質的に可撓性/変形可能な部分内に締まり嵌めを提供して、それらの間に液密シールを提供してもよい。あるいは、インサート10は、ポリ塩化ビニル(PVC)またはIV用途での使用が許容される任意のPVCを含まない同等のプラスチック等の、実質的に可撓性の、変形可能な、および/または圧縮可能な材料で形成されるか、または備えていてもよい。この場合、インサート10は、点滴チャンバ50の実質的に剛性の部分内に締まり嵌めを提供して、それらの間に液密シールを提供してもよい。
【0084】
使用時に、入口通路11を通って流れる液体は、点滴チャンバ50の側壁50wに遭遇し、流動抵抗通路12に向かって押しやられる。オリフィス12bによって付与される流動抵抗は、図5aおよび5bの矢印によって示されるように、液体を隣接する流動表示流路14に進入させる。インサート10を通るこの液体の流れは、図6の矢印によってさらに示されている。流動表示流路14内の液体レベルまたは高さは、流動抵抗通路12を通る液体流量に比例する高さまで上昇し(以下でさらに説明する)、これは、外部の流動制御装置(図示せず)によって調節されてもよい。較正された指標60iを有するスケール60は、図8aに示されるように、液体流量の明確な読み取りを提供するために、流動表示流路14上に、それに沿って、またはそれに隣接して配置されてもよい。液体レベル/スケール60の読み取りを容易にするために、目に見えるフロートが流動表示流路14に設けられてもよい。インサート10または点滴チャンバ50は、必要に応じてスケール60を備えていてもよい。
【0085】
装置100の動作原理は、以下の通りである。流動抵抗液体通路12は、オリフィス12bの幅および液体流量に従って、液体流れに対する抵抗および関連する圧力降下を付与する。液体がオリフィス12bを通って流れるとき、その圧力は、オリフィス12bの下流側で降下する前にオリフィス12bのわずかに上流で上昇し、最終的に、流れが拡大するにつれてさらに下流で再び上昇する。流動表示流路14内の液体柱の底部における圧力Pは、P=ρghによって与えられ、ここでρは液体密度であり、gは重力定数であり、hは液体高さである。したがって、オリフィス12bによって引き起こされる流動抵抗は、上流の液体を逆流させ、流動表示流路14に進入させ、圧力降下に従って高さhに到達させる。オリフィス12bを通る流量は、主液体流路12の残りの部分における流量と実質的に同じである。したがって、装置100を通る液体流量は、スケール60を介して(以下で説明するように、流量が流動表示流路14をオーバーフローするほど高くない限り)流動表示流路14内の液体のレベル/高さから直接読み取ることができる。
【0086】
一実施形態では、オリフィス12bは、実質的に0.1mm~0.2mmの幅を有する。これは、流れに対する適切な抵抗を付与し、約40mmのスケール60をカバーする約0~250ml/時間の範囲の流量に対して流動表示流路14内の液体レベル/高さの識別可能な変化を提供することができる。しかしながら、装置100の用途(例えば、必要とされるスケールサイズおよび/または測定される流量)に応じて、他のオリフィス幅を使用できることが理解されるであろう。オリフィス絞り(狭いパイプ/チューブセクションのような細長い絞りではない)の使用は、流量計装置100を液体の粘度の変化の影響を受けにくくし得る。したがって、オリフィス12bは、(製造プロセスの制約内で)可能な限り(流れの方向に)長さを有しないことに近いことが好ましい。図4aおよび4bに見られるように、オリフィス12bは、通路の幅を狭くする凹部10rまたは流動抵抗通路12の壁から延びる実質的にV字形の突起10pによって形成される。水平断面において、突起10pは、図4cに示すように、凹部10rの床部から延び、点滴チャンバ50の壁50wに対向する。加えて、突起10pは、垂直断面において、図4dに示すように、凹部10rまたは流動抵抗通路12の側壁から、対向する凹部側壁の実質的に直線の部分に向かって延びることができる。あるいは、オリフィス狭窄部12bは、図4eに示すように、垂直断面における2つの対向する突起10pによって形成されてもよい。理想的には、オリフィス12bは、図4fに示すように、流動抵抗通路12を少なくとも部分的に横切って延びる1つまたは複数の薄壁突起10pによって形成される。しかしながら、V字形突起10pは、性能と製造可能性との間の妥協点である。突起10pを形成する側壁の角度θが鋭くなればなるほど、オリフィス12bはより理想的となり、流量計装置100は液体の粘度の変化の影響を受けにくくなる(図4cおよび4d参照)。
【0087】
流動抵抗液体通路12は、液体流の方向が流動抵抗液体通路12を通るその通路上で実質的に逆になるように、実質的にU字形である(インサート10および装置100が実質的に垂直に配置されたときにおいて)。オリフィス12bは、U字状の流動抵抗液体通路12の底部側に配置されている。U字形の流動抵抗液体通路12は、オペレータによって液体の流れが停止されたときに、液体が流動抵抗液体通路12内に留まることを可能にする。これは、オリフィス12bのサイズを変化させその機能に悪影響を及ぼし得る固体堆積物または結晶の蓄積をもたらし得る、オリフィス12bの乾燥を防止する。例えば、オリフィス12bの幅の減少は、流動表示流路14内の液体流の読み取りに誤差をもたらし、オリフィス12bの最終的な遮断は、インサート10内の液体流を完全に妨げる。
【0088】
オリフィス12bを通過した後、液体は、図7に示すように、流動抵抗通路12の出口端12cまで実質的に上方に流れ、開口部15aを通って出口チャンバ15に入る。沈められているオリフィス12bを通るこの流れは、流れの絞られた部分の間に液滴が形成されるのを防止する。出口チャンバ15の目的は、出口チャンバ15の床に形成された出口13に液体流を方向付けることである。開口部15aは、液体が出口13に下向きに排出されるようにインサート10が実質的に垂直に配置されたとき、出口13のレベル/高さの上方に位置する。出口チャンバ15は、開口部15aから出口チャンバ15の床まで延びる狭流路15bを備える。狭流路15bは、毛細管作用によって出口チャンバ内に液体を下方に引き込む。したがって、液体が開口部15aから出口13に流れる際に、流量測定を信頼できないものにし得る不規則な液滴が形成されることを防止する。狭流路15bは、閉鎖流路であっても開放流路であってもよい。図示の実施形態では、狭流路15bは、開放流路である。狭開放流路15bは、出口チャンバ15の側壁の凹部によって形成されていてもよく、したがって、通常の成形プロセスによって容易に形成することができる。狭開放流路15bは、理想的には、断面が半円形であり、1mm未満(約0.5mm)の幅を有する。
【0089】
出口チャンバ15は、点滴チャンバ50の内部容積51(特に、点滴チャンバ50のインサート10の下方にある部分)と連通するオーバーフロー開口部15cを備える。オーバーフロー出口15cは、出口13のレベル/高さと開口部15aとの間に位置し、そうでなければ流動表示流路14からの流量、特に「ゼロライン」の測定に誤差をもたらすであろう出口チャンバ15の中の液体充填を防止する。図示の実施形態では、オーバーフロー開口部15cは、パネル16の切欠きによって形成され、出口チャンバ15は、空間を囲まないように、点滴チャンバ50の内部容積51に開口している。開放された出口チャンバ15および/またはオーバーフロー開口部15cは、出口チャンバ15と点滴チャンバ50の低い部分との間の空気流を可能にする。これは、エアロックを防止し、既存の点滴セットと同じ方法で装置100を「プライミング」することを可能にし、点滴チャンバ50の下側部分を圧搾および解放して液体を液体源から主液体通路を通して下方に引き込み、空気を上方に液体源に放出することを含む。
【0090】
インサート10はさらに、インサート10と、インサート10の長さに延びる点滴チャンバ50の側壁50wとの間に間隙Gを設けるように成形および構成されていてもよい。間隙Gはさらに、出口チャンバ15と点滴チャンバ50の内部容積51との間の空気流を補助してもよい(したがって、上述のように「プライミング」できる)。示される実施形態では、間隙Gは、図7に見られるように、インサート10の面取りされた側面16を形成するパネル16によって提供される。図7の破線は、インサート10が点滴チャンバ50に挿入されたときの側壁50wの配置と、側壁50wとパネル16との間に形成されて得られる間隙Gとを示す。
【0091】
入口通路11は、流動抵抗通路12に到達する前に液体を濾過し、液体に含まれる粒子によるいかなる閉塞も防止するフィルタ素子(図示せず)を含んでいてもよい。フィルタ素子は、入口通路11の上端11aまたはその近くに設けられていてもよい。フィルタ素子は、インサート10と一体であってもよい。あるいは、または追加的に、装置100は、インサート10とカバー/蓋30との間および/または点滴チャンバ50とカバー/蓋30との間に嵌合され得る別個のフィルタ素子を備えていてもよい。そのようなフィルタ素子は、カバー/蓋30の入口通路32とインサート10の入口通路11との間の界面および/またはカバー/蓋30と点滴チャンバ50の上端との間の界面を封止するために、封止リング(存在する場合)と一体化されていてもよい。例えば、装置100は、フィルタ素子(図示せず)を含む可撓性挿入リングを備えていてもよい。
【0092】
図8aおよび8bは、流動表示流路14内の液体レベル/高さからの流量を示すために使用され得る例示的なスケール60、62を示す。スケールの視認性を向上させるために、目に見えるフロート(図示せず)を流動表示流路14に設けることもできる。図1~7に示す実施形態では、流動表示流路14は、実質的に一定の水平断面を有し、実質的に真っ直ぐであり、インサート10が実質的に垂直に配置されたとき、その下端14aから実質的に垂直に延びる。この場合、図8aに示すように、規則的に離間した指標60iを有するリニアスケール60を使用して、液体レベル/高さから流量を示すことができる。しかしながら、流動表示流路14が真っ直ぐであること、垂直であること、および/または液体レベル/高さを有する一定の水平断面を有することは必須ではないことが理解されるであろう。
【0093】
別の実施形態(図示せず)では、流動表示流路14は、その下端14aから垂直(またはインサート10の長手軸)に対してある角度θ、例えば垂直から0~45度で上方に延在することができ、同様のスケール60を依然として使用することができる。この場合、流動表示流路14はまた、点滴チャンバ50の側壁50wの湾曲に追従して、インサートの軸の周りに湾曲している。流動表示流路14に角度を付けると、スケールは係数1/cos(θ)だけ引き伸ばされ、これにより、より詳細な(すなわち、より多くの数の指標60iおよび/またはより小さい流量増分を有する)スケールを使用することが可能になり、それによって、流量測定値の相対誤差が低減される。より正確な流量測定は、通常、相対誤差が増加する低流量(例えば、50ml/時間未満)で、(測定値が減少するので)必要とされる。低流量は、低液体レベル/高さに対応する。したがって、別の実施形態(図示せず)では、低流量での測定精度を高めるために、流動表示流路14は、その下端14aから垂直に対してある角度θ(例えば0~45度)で上方に延びる下側部分と、下側部分から実質的に垂直に延びる上側部分とを備える。図8bは、そのような流動表示流路14と共に使用することができる例示的な角度付きスケール62を示す。スケール62は、指標の第1のセット62iを有する上側部分62aと、第1のセット62iとは異なる指標の第2のセット62i’を有する下側部分62bとを備える。
【0094】
別の実施形態では(図示せず)、流動表示流路14は、例えばインサート10の側面から見たときに、インサート10の長手軸から離れるように湾曲することができる。長手軸に対して流動表示流路14に角度を付けることおよび/または湾曲させることは、インサートの長さが短縮されることを可能にし得る。
【0095】
あるいは、または加えて、1つまたは複数の切り欠きまたは開口部14cが流動表示流路14の壁に形成されて、液体レベルが切り欠き14cを上回って上昇するにつれて、矢印が流動表示流路14の中の液体流を示す図10に示されるように、いくつかの液体が切り欠き14cを介して(点滴チャンバ50の中に)漏出してもよい。そのような切り欠き14cの存在は、流動表示流路14内の液体レベルが切り欠き14cの上方に上昇し続けるために、はるかに高い流量が必要とされることを意味する。切り欠き14cの上方では、液体レベルは、オリフィス12bによる流動抵抗と、切り欠き14cを介した流動表示流路14からの液体損失とに起因して、規則的な流体力学に依存する。これは、切り欠き14cより下のより多くの流れ感度および切り欠きより上のより少ない流れ感度を有する、不均一または非線形スケールを提供する。この切り欠き14cの特徴は、流動表示流路14に沿って所望に応じて繰り返してもよい。非線形スケールは、より低い流量でより高い流量測定精度が必要とされるが、同じ流量計が高い流量も測定しなければならない場合に望ましいことがある。そのような事例における線形スケールは、実用的でないほど大きい場合がある。
【0096】
高流量(例えば、250ml/時間超)では、液体は、流動表示流路14の高さを超え、開放上端14bから点滴チャンバ50の中へ流出してもよく、そこで、出口52を通して装置100から出てもよい。したがって、開放上端14bはまた、液体が高流動条件下で装置100を通って自由に流れ続けることを可能にするためのオーバーフローとしての役割も果たす。例えば、0~250ml/時間のスケール60、62が、(図8aおよび8bに示されるように)流動表示流路14のために提供されてもよいが、はるかに大きい流量、例えば、3000ml/時間以上が、依然として、装置100によって達成されてもよい(スケールは、そのような高流量では不必要である)。流動表示流路14によって測定可能な流量よりも多い流量の制御が必要とされる場合、出口13の点滴形成オリフィスを出る液滴は、点滴チャンバ50内の流量を測定する公知の液滴計数方法に従って計数されてもよい(ただし、以下で参照するように、流量は、もはや液滴が形成されないほど大きくない)。非常に高流量では(例えば、蘇生中)、オリフィス13を出る液体流は、分離された液滴ではなく安定流を形成する。これは、通常のIV点滴セット(インサート10なし)と一致し、オペレータは、自由流れが生じていることをチェックするために、液滴の代わりにスパイク30のオリフィス32bからの連続流を予期するであろう。
【0097】
図11は、通気流路18をさらに備えるインサート10の実施形態を示す。通気流路18は、流動表示流路14と平行に延びる実質的に垂直な柱であり、図示のように、下端18aが入口通路11の下端/出口端11bと流体連通し、上端18bが開口している。通気流路18は、入口通路11から流出する液体中の気泡が、流量測定/読み取りに悪影響を及ぼす流動表示流路14に入るのではなく、通気流路18内で上方に上昇することを可能にするように構成される。液体ならびに任意の気泡が通気流路18を上方に流れることが理解されるであろう。入口通路11を出る液体流に気泡がない場合、液体は、流動表示流路14および通気流路18の両方において同じレベルで上昇および下降するであろう。しかしながら、通気流路18はまた、その中に気泡を有してもよく、したがって、その中の液体レベルは、無視されるべきである。重要なことに、これは、流動表示流路14内の液体レベルが実質的に気泡を含まず、正確な流量測定値を提供することを意味する。通気流路18の上端18bは、少なくとも流動表示流路14の上端14bと同じ高さであり、通気流路18からの流体(液体および気体/気泡)のあらゆるオーバースピル/オーバーフローが、流動表示流路14内の通気流路18の上端18bよりも高い液体レベルに影響を及ぼすことを防止する。例えば、通気流路18の上端18bが流動表示流路14の上端14bより下にある場合、これは、上述のように、切り欠き14cのように効果的に作用し、上端18bの上方の流動表示流路14内の任意の液体高さが、オリフィス12b(標準表示機構)による流れに対する抵抗と、上述の切り欠き14cとよく似た端部18bからの流体損失とを反映するようにする。
【0098】
インサート10は、射出成形プロセスによって形成することができる。図示される実施形態では、図9の矢印によって示されるように単一方向成形プロセスを使用して成形することができるように(すなわち、ツーピース型を単一方向に分離することができるように)形作られる。例えば、入口通路は、入口通路11の出口端11bがインサートの外面まで延び、および/またはインサートの合わせ面10mの1つまたは複数の凹部または開放流路10rと連通するように、成形方向において長手軸に対してある角度で形成される。加えて、出口13および入口通路11の入口端11aは、それらを依然としてある角度で成形できるように面取りされ、インサート10の様々な表面は、成形性を改善するために抜き勾配を含む。インサート10は、インサート10からの金型の解放および分離を改善するために、図5aに示す表面10sなどの様々なセットバック表面をさらに備えていてもよい。
【0099】
単一方向成形プロセスは、成形サイクル時間およびコストを最小限に抑えることができる。さらに、流動抵抗液体通路12は、インサート10と点滴チャンバ50の側壁50wとの間の締まり嵌めによって形成されるので、流動抵抗液体通路12、特にオリフィス12bの臨界形状および寸法は、通常の射出成形技術および公差を用いて達成することができる。
【0100】
インサート10および装置100は、IV投与の文脈において上記で説明されるが、流量を監視および/または設定するために、電子ポンプおよびIV流量調節器等の他の流動装置と直列で使用されてもよい。
【0101】
本開示を読むことにより、当業者には他の変形および変更が明らかであろう。そのような変形および変更は、当技術分野ですでに公知であり、本明細書ですでに説明された特徴の代わりに、またはそれに加えて使用され得る、同等および他の特徴を伴っていてもよい。
【0102】
添付の特許請求の範囲は、特徴の特定の組み合わせを対象とするが、本発明の開示の範囲は、本発明が任意の請求項において現在請求されているものと同じ発明に関するか否か、および本発明と同じ技術的問題の一部または全てを軽減するか否かにかかわらず、明示的もしくは暗黙的に本明細書に開示される任意の新規の特徴もしくは任意の新規の特徴の組み合わせ、またはそれらの任意の一般化も含むことを理解するべきである。
【0103】
別個の実施形態の文脈で説明される特徴はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供されてもよい。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明される様々な特徴はまた、別々に、または任意の適切な一部の組み合わせで提供されてもよい。
【0104】
完全を期すために、「備える(comprising)」という用語は、他の要素またはステップを除外するものではなく、用語「a」または「an」は複数を排除するものではなく、請求項におけるいかなる参照符号も特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことを明記する。
図1a-1b】
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5a-5b】
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10
図11
【国際調査報告】