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特表2022-537358エクトヌクレオチダーゼ阻害剤およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】エクトヌクレオチダーゼ阻害剤およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07H 19/167 20060101AFI20220818BHJP
   A61K 31/7076 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 19/08 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 1/18 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 13/08 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
C07H19/167
A61K31/7076
A61K45/00
A61P43/00 111
A61P25/00
A61P9/10
A61P43/00 105
A61P37/02
A61P29/00
A61P1/04
A61P25/28
A61P25/24
A61P25/16
A61P25/20
A61P13/10
A61P19/08
A61P15/00
A61P9/00
A61P1/00
A61P1/02
A61P11/02
A61P11/04
A61P27/16
A61P13/12
A61P35/02
A61P35/00
A61P1/16
A61P11/00
A61P17/00
A61P1/18
A61P13/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575365
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-08
(86)【国際出願番号】 US2020038395
(87)【国際公開番号】W WO2020257429
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/864,031
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】514125307
【氏名又は名称】キャリセラ バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チェン, リジン
(72)【発明者】
【氏名】ビレドー, ローランド ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジム
(72)【発明者】
【氏名】スタントン, ティモシー フレンド
【テーマコード(参考)】
4C057
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C057AA17
4C057AA18
4C057BB02
4C057CC02
4C057DD03
4C057LL34
4C057LL39
4C057LL41
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA011
4C084ZA021
4C084ZA051
4C084ZA121
4C084ZA151
4C084ZA341
4C084ZA361
4C084ZA591
4C084ZA661
4C084ZA671
4C084ZA751
4C084ZA811
4C084ZA891
4C084ZA961
4C084ZB071
4C084ZB111
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZC411
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA18
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA59
4C086ZA66
4C086ZA67
4C086ZA75
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB21
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明は、新規のヘテロ環式化合物およびその薬学的調製物に関する。本発明はさらに、本発明の新規のヘテロ環式化合物を使用してがんを処置または予防する方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、がんの処置または予防において、対象における使用に対して適切な薬学的組成物であって、本明細書中に記載されている化合物のいずれか(例えば、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩など)の有効量と、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態では、薬学的調製物は、本明細書中に記載されている状態または疾患の処置または予防における使用のためであってよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化54】
[式中、
Hetは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり、
1aは、H、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アジド、アミノ、-O-C(O)-O-C1~6アルキル、C1~6アシルオキシ、およびC1~6アルコキシから選択され、
1bは、Hおよびハロから選択され、
2aは、H、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アジド、アミノ、C1~6アシルオキシ、-O-C(O)-O-C1~6アルキル、およびC1~6アルコキシから選択され、
2bは、Hおよびハロから選択され、
は、Hおよびアルキルから選択され、
は、アリールおよびヘテロアリールから選択され、
は、アラルキルおよびヘテロアラルキルから選択され、
は、-C(O)OR、-C(O)NR1314、-S(O)10、および-P(O)(OR11)(OR12)から選択され、
は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルから選択され、
10は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルから選択され、
11、R12、およびR14は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選択され、そして
13は、H、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選択され、
ただし、
が非置換または置換テトラゾリルであり、かつ
が-C(O)ORである場合、
は、非置換-CH-ピリジル、非置換-CH-チエニル、-C(O)OH基で置換された-CH-チエニル、非置換ベンジル、またはトリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、-C(O)OH、ベンジルオキシ、もしくはフェニル基で置換されたベンジルではないことを条件とする]
の化合物、またはその薬学的に許容される塩および/またはプロドラッグ。
【請求項2】
1aが、Hまたはヒドロキシである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1bが、Hである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
1aがHであり、R1bがハロであり、好ましくはFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
2aがHまたはヒドロキシであり、好ましくはヒドロキシである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
2bがHである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
1aがヒドロキシであり、R1bがHであり、R2aがヒドロキシであり、そしてR2bがHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
構造
【化55】
を有する、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項9】
1aがα-立体配置にある、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項10】
式(I)の前記化合物が、構造(IA)
【化56】
を有する、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
1aがβ-立体配置にある、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
式(I)の前記化合物が、構造(IB)
【化57】
を有する、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
2aがα-立体配置にある、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項14】
式(I)の前記化合物が、構造(IC)
【化58】
を有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
2aがβ-立体配置にある、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
式(I)の前記化合物が、構造(ID)
【化59】
を有する、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
式(I)の前記化合物が、構造(IE)
【化60】
を有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項18】
がHである、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項19】
が、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、またはチエニルである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
がアラルキルであり、好ましくはベンジルである、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項21】
が、非置換の、またはカルボキシ、ヘテロアリール、およびアリールから選択される1個もしくは複数の置換基、好ましくはアリールもしくはヘテロアリールで置換された、アラルキルまたはヘテロアラルキルである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
が、非置換のまたは例えばヒドロキシル、シアノ、アルキル、アルコキシ、アミド、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、およびスルホンアミドから選択される1個もしくは複数の置換基で置換された、第2のアリールまたはヘテロアリール環(好ましくは、フェニル環)で、アリール環上で置換されたアラルキル(例えば、フェニル環のパラ位で置換されたベンジル)である、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
が、フェニル環上で(例えば、4位で)、
【化61】
で置換されたベンジルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
が-C(O)ORであり、RがHまたはアルキルである、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項25】
【化62】
が、
【化63】
【化64】
【化65】
を表す、請求項1から16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項26】
が、HまたはC1~6アルキルである、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項27】
Hetが、6~10員のアリール、5~8員のヘテロシクリル、5~8員の単環式または5~10員の二環式ヘテロアリールから選択され、非置換であるか、またはハロ、アルコキシ、およびアミノから選択される1個もしくは複数の置換基で置換されている、任意の先行する請求項に記載の化合物。
【請求項28】
Het置換基が、ハロおよびアミノから選択される、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
Hetが、窒素含有ヘテロシクリルまたはヘテロアリールである、請求項27に記載の化合物。
【請求項30】
Hetが、
【化66】
[式中、
Zは、ORまたはNRであり、
は、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルから選択され、そして
は、Hまたはアルキルである]
である、請求項27に記載の化合物。
【請求項31】
がアルキルであり、RがHである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
【化67】
【化68】
【化69】
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【化76】
【化77】
【化78】
から選択される化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項33】
請求項1から32のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩と、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項34】
細胞においてCD73を阻害する方法であって、前記細胞を、請求項1から32のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩に接触させることを含む、方法。
【請求項35】
がん、脳および心臓の虚血性疾患、線維症、免疫および炎症性障害、炎症性腸運動障害、神経系、神経変性、およびCNSの障害および疾患、うつ病、パーキンソン病、ならびに睡眠障害から選択される疾患または障害を処置する方法であって、請求項1から32のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法。
【請求項36】
前記がんが、膀胱がん、骨がん、脳がん、乳がん、心臓がん、子宮頸がん、結腸がん、直腸結腸がん、食道がん、線維肉腫、胃のがん、消化器がん、頭頸部がん、カポジ肉腫、腎臓がん、白血病、肝がん、肺がん、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、卵巣がん、膵がん、陰茎がん、前立腺がん、精巣胚細胞性がん、胸腺腫、および胸腺癌から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記がんが、乳がん、脳がん、結腸がん、線維肉腫、腎臓がん、肺がん、黒色腫、卵巣がん、および前立腺がんから選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記がんが、乳がんである、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
1種または複数種の追加の化学療法剤を共投与することをさらに含む、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記1種または複数種の追加の化学療法剤が、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、ABT-263、アファチニブジマレイン酸塩、アキシチニブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、APCP、アスパラギナーゼ、AZD5363、カルメットゲラン桿菌ワクチン(bcg)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、β-メチレン-ADP(AOPCP)、ブセレリン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カンプトテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セリチニブ、クロラムブシル、クロロキン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コビメチニブ、コルヒチン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デメトキシビリジン、デキサメタゾン、ジクロロアセテート、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、GSK1120212、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イクサベピロン、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトホルミン、メトトレキサート、ミルテホシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、MK-2206、ムタマイシン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペメトレキセド、ペントスタチン、ペリホシン、PF-04691502、プリカマイシン、ポマリドミド、ポルフィマー、PPADS、プロカルバジン、ケルセチン、ラルチトレキセド、ラムシルマブ、反応性ブルー2、リツキシマブ、ロロフィリン、ロミデプシン、ルカパリブ、セルメチニブ、シロリムス、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タラゾパリブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トナポフィリン、トポテカン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ベリパリブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、およびボリノスタット(SAHA)から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記1種または複数種の追加の化学療法剤が、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、APCP、β-メチレン-ADP(AOPCP)、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、PPADS、ケルセチン、反応性ブルー2、ロロフィリン 2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、スマリン、およびトナポフィリンから選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記追加の化学療法剤が、イムノオンコロジー薬剤である、請求項39に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2019年6月20日出願の米国仮特許出願第62/864,031号の優先権の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
5’-ヌクレオチダーゼ(5’-NT)またはエクト-5’-ヌクレオチダーゼ(Ecto 5’NTase)とも呼ばれるCD73は、膜結合している細胞表面酵素であり、その主要な役割は、細胞外ヌクレオチド(例えば、AMP)のこれらの対応するヌクレオシド(例えば、アデノシン)への変換を触媒することである。CD73は、大部分の組織に見出され、リンパ球、内皮細胞、および上皮細胞上に発現する。CD73はまた、多くの腫瘍細胞系において広く発現し、とりわけ、がん組織において上方調節される(Antonioliら、Nat. Rev. Cancer、13巻:842~857頁、2013年)。
【0003】
CD39(ecto-ATPase)と同じくCD73は、ATP/AMPからアデノシンを生成するが、これは多くの場合損傷を受けたまたは炎症を起こした細胞から細胞外環境へと放出される。CD73により産生される細胞外アデノシンは、標的細胞上でGタンパク質共役受容体と相互作用する。このシグナル伝達の重要なダウンストリーム効果は、いくつかの経路を介した免疫抑制の増加である。例えば、CD73はTリンパ球上の共シグナル伝達分子である。正常な状況下で、細胞外アデノシンレベルは、過剰な炎症および組織損傷を予防する自己限定性免疫応答を促進する。腫瘍にとって異常に増加したCD73の利点とは、結果として生じる、CD73触媒されたアデノシンレベルの増加が、抗腫瘍免疫系応答の阻害をもたらすことである。
【0004】
CD73ががん免疫抑制のある役割を果たすとしても、CD73のより高い発現は、腫瘍脈管化、侵襲性、および転移、ならびに乳がん患者の生存時間の短縮を含めた、様々な段階の腫瘍進行を伴う。これらの観察の一部は、リンパ球が内皮に結合するために必要とされる接着分子としてのCD73の酵素-非依存性機能に起因する。
【0005】
全体的に見れば、CD73は、単剤として、または他のがん療法と組み合わせて、新規がん療法を開発するための重要な標的となってきた。実際に、CD73モノクローナル抗体を、他の化学療法標的に対する抗体と組み合わせることで、動物がんモデルにおいて応答および生存が増強する(Allardら、Clin. Cancer Res.、19巻:5626~35頁、2013年)。
現在のがん処置および化学療法剤の多くは、すべての患者または処置した患者のすべての症状を成功裏に処置することができず、これらの療法の多くは望ましくない副作用を伴う。特定のがんは様々な化学療法剤への耐性を生み出すので、代替のがん療法が必要とされる。よって、がんおよび他の疾患を処置するための追加の化合物および方法に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Antonioliら、Nat. Rev. Cancer、13巻:842~857頁、2013年
【非特許文献2】Allardら、Clin. Cancer Res.、19巻:5626~35頁、2013年
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
式(I):
【化1】
(式中、
Hetは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり;
1aは、H、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アジド、アミノ、-O-C(O)-O-C1~6アルキル、C1~6アシルオキシ、およびC1~6アルコキシから選択され;
1bは、Hおよびハロから選択され;
2aは、H、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アジド、アミノ、C1~6アシルオキシ、-O-C(O)-O-C1~6アルキル、およびC1~6アルコキシから選択され;
2bは、Hおよびハロから選択され;
は、Hおよびアルキルから選択され;
は、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
は、アラルキルおよびヘテロアラルキルから選択され;
は、-C(O)OR、-C(O)NR1314、-S(O)10、および-P(O)(OR11)(OR12)から選択され;
は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルから選択され;
10は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルから選択され;
11、R12、およびR14は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選択され;
13は、H、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選択され;
ただし、
が非置換または置換テトラゾリルであり、かつ
が-C(O)ORである場合、
は、非置換-CH-ピリジル、非置換-CH-チエニル、-C(O)OH基で置換された-CH-チエニル、非置換ベンジル、またはトリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、-C(O)OH、ベンジルオキシ、もしくはフェニル基で置換されたベンジルではないことを条件とする)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩および/またはプロドラッグが本明細書において開示される。
【0008】
特定の実施形態では、本発明は、がんの処置または予防において、対象における使用に対して適切な薬学的組成物であって、本明細書中に記載されている化合物のいずれか(例えば、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩など)の有効量と、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む薬学的組成物を提供する。特定の実施形態では、薬学的調製物は、本明細書中に記載されている状態または疾患の処置または予防における使用のためであってよい。
【0009】
CD73の阻害から恩恵を受ける疾患および状態を処置する方法であって、本明細書で開示されている化合物(例えば、式(I)の化合物または本明細書で開示されているその実施形態のいずれか)の有効量を、それを必要とする対象に投与することを含む方法が本明細書で開示されている。特定の実施形態では、ヒト対象はこのような処置を必要とする。これらの疾患として、これらに限定されないが、がん、例えば、肺がん、腎臓がん、皮膚がん、乳がん、および卵巣がんなどが挙げられる。本明細書中に記載されている方法を使用して処置することができる他の疾患および状態として、これらに限定されないが、神経系、神経変性およびCNSの障害および疾患、例えば、うつ病およびパーキンソン病など、脳および心臓の虚血性疾患、睡眠障害、線維症、免疫ならびに炎症性障害が挙げられる。
【0010】
アジュバント療法単独での能力を超えて治療上の利益を増強することができる、式(I)の化合物とモノクローナル抗体および他の化学療法剤との併用療法が本明細書に提供されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
定義
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術的および科学的用語は、本発明の開示の技術分野の当業者により共通して理解されている意味を有する。以下の参考文献は、本開示で使用されている用語の多くの一般的な定義を当業者に提供する:Singletonら、Dictionary of Microbiology and Molecular Biology(第2版、1994年);The Cambridge Dictionary of Science and Technology(Walker編、1988年); The Glossary of Genetics、第5版、R. Riegerら(編)、Springer Verlag(1991年);およびHale & Marham、The Harper Collins Dictionary of Biology(1991年)。本明細書で使用される場合、他に特定されていない限り、以下の用語はこれらに帰属する以下の意味を有する。
【0012】
一部の実施形態では、化学構造は対応する化学名と共に開示されている。矛盾する場合、名称ではなく、むしろ化学構造によって意味が決められる。
【0013】
本開示では、「含む(comprises)」、「含んでいる(comprising)」「含有する」および「有する」などは、米国特許法においてこれらに帰属する意味を有することができ、「含む(includes)」、「含めた(including)」などを意味することができる。「~から本質的になっている」または「~から本質的になる」は同様に米国特許法に帰属する意味を有し、用語は制限がなく、列挙されたものより多くの存在が可能となるが、ただし、これは列挙されたものの基本的または新規の特徴が、列挙されたものより多くの存在により実質的に変化しない場合に限るものとし、従来の技術の実施形態は含まれない。
【0014】
具体的に述べられているか、または文脈から明らかな場合を除き、本明細書で使用される場合、「または」という用語は包括的であると理解される。他に具体的に述べられているか、または文脈から明らかな場合を除き、本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「the」という用語は単数または複数であると理解される。
【0015】
「アシル」という用語は、当技術分野において承認されており、一般式ヒドロカルビルC(O)-で表される基、好ましくはアルキルC(O)-を指す。
【0016】
「アシルアミノ」という用語は、当技術分野において承認されており、アシル基で置換されているアミノ基を指し、例えば、式ヒドロカルビルC(O)NH-で表すことができる。
【0017】
「アシルオキシ」という用語は、当技術分野において承認されており、一般式ヒドロカルビルC(O)O-で表される基、好ましくはアルキルC(O)O-を指す。
【0018】
「アルコキシ」という用語は、1個の酸素が結合しているアルキル基、好ましくは、低級アルキル基を指す。代表的なアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、およびtert-ブトキシなどが挙げられる。
【0019】
「アルコキシアルキル」という用語は、アルコキシ基で置換されているアルキル基を指し、一般式アルキル-O-アルキルで表すことができる。
【0020】
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの二重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルケニル」と「置換アルケニル」の両方を含むことを意図しており、このうち後者は、置換基が、アルケニル基の1個または複数の炭素上で水素と置き換わっているアルケニル部分を指す。このような置換基は、1つまたは複数の二重結合に含まれているかまたは含まれていない1個または複数の炭素上に生じ得る。さらに、このような置換基は、安定性により禁じられる場合を除いて、下で論じているように、アルキル基に対して想定されるものすべてを含む。例えば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルケニル基の置換が想定される。
【0021】
「アルキル」基または「アルカン」は、完全に飽和している、直鎖または分枝鎖の非芳香族炭化水素である。典型的には、直鎖または分枝鎖のアルキル基は、他に定義されない限り、1~約20個の炭素原子、好ましくは1~約10個の炭素原子を有する。直鎖および分枝鎖のアルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ペンチルおよびオクチルが挙げられる。C~C直鎖または分枝鎖のアルキル基は、「低級アルキル」基とも呼ばれる。
【0022】
さらに、明細書、実施例、および特許請求の範囲全体にわたり使用されている「アルキル」(または「低級アルキル」)という用語は、「非置換アルキル」および「置換アルキル」の両方を含むことを意図しており、このうち後者は、置換基が、炭化水素骨格の1個または複数の炭素上で水素と置き換わっているアルキル部分を指す。このような置換基として、他に特定されていない限り、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル,ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。炭化水素鎖上で置換されている部分は、適切な場合、それら自体が置換され得ることは、当業者であれば理解されよう。例えば、置換アルキルの置換基として、置換および非置換形態のアミノ、アジド、イミノ、アミド、ホスホリル(ホスホネートおよびホスフィネートを含む)、スルホニル(スルフェート、スルホンアミド、スルファモイルおよびスルホネートを含む)およびシリル基、ならびにエーテル、アルキルチオ、カルボニル(ケトン、アルデヒド、カルボキシレート、およびエステルを含む)、-CF、および-CNなどを挙げることができる。例示的な置換アルキルが以下に記載されている。シクロアルキルは、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルチオ、アミノアルキル、カルボニル置換アルキル、-CF、および-CNなどでさらに置換され得る。
【0023】
「Cx~y」という用語は、化学部分、例えば、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどと併せて使用する場合、鎖内にx~y個の炭素を含有する基を含むことを意図する。例えば、「Cx~yアルキル」という用語は、鎖内にx~y個の炭素を含有する直鎖アルキルおよび分枝鎖アルキル基を含めた、置換もしくは非置換の飽和炭化水素基を指し、これには、ハロアルキル基、例えば、トリフルオロメチルおよび2,2,2-トリフルオロエチル(tirfluoroethyl)などが含まれる。Cアルキルは、基が末端位置にある場合には水素を、内部にある場合には結合を示す。「C2~yアルケニル」および「C2~yアルキニル」という用語は、長さおよび可能な置換において、上に記載されているアルキルと類似しているが、それぞれ少なくとも1つの二重結合または三重結合を含有する、置換もしくは非置換の不飽和の脂肪族基を指す。
【0024】
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つのアルキル基で置換されているアミノ基を指す。
【0025】
「アルキルチオ」という用語は、本明細書で使用する場合、アルキル基で置換されているチオール基を指し、一般式アルキルS-で表すことができる。
【0026】
「アルキニル」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1つの三重結合を含有する脂肪族基を指し、「非置換アルキニル」と「置換アルキニル」の両方を含むことを意図しており、このうち後者は、置換基が、アルキニル基の1個または複数の炭素上の水素と置き換わっているアルキニル部分を指す。このような置換基は、1個または複数の三重結合に含まれているかまたは含まれていない1個または複数の炭素上に生じ得る。さらに、このような置換基は、安定性により禁じられる場合を除いて、上で論じているように、アルキル基に対して想定されるものすべてを含む。例えば、1つまたは複数のアルキル、カルボシクリル、アリール、ヘテロシクリル、またはヘテロアリール基によるアルキニル基の置換が想定される。
【0027】
「アミド」という用語は、本明細書で使用する場合、基
【化2】
(式中、各R30は、独立して、水素もしくはヒドロカルビル基を表すか、または2つのR30が、これらが結合しているN原子と一緒になって、環構造内に4~8個の原子を有するヘテロ環を完成する)を指す。
【0028】
「アミン」および「アミノ」という用語は、当技術分野において承認されており、非置換および置換の両アミンおよびその塩、例えば、
【化3】
(式中、各R31は、独立して、水素またはヒドロカルビル基を表すか、または2つのR31が、これらが結合しているN原子と一緒になって、環構造内に4~8個の原子を有するヘテロ環を完成する)で表すことができる部分を指す。「アミノアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、アミノ基で置換されているアルキル基を指す。
【0029】
「アラルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、アリール基で置換されているアルキル基を指す。
【0030】
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、環の各原子が炭素である、置換もしくは非置換の単一環芳香族基を含む。好ましくは、環は5~7員環、より好ましくは6員環である。「アリール」という用語はまた、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通している、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、この環のうち少なくとも1つは芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。アリール基として、ベンゼン、ナフタレン、フェナントレン、フェノール、およびアニリンなどが挙げられる。
【0031】
「カルバメート」という用語は、当技術分野において承認されており、基
【化4】
(式中、R32およびR33は、独立して、水素またはヒドロカルビル基、例えば、アルキル基などを表すか、またはR32およびR33は、介在原子(単数または複数)と一緒になって、環構造内に4~8個の原子を有するヘテロ環を完成する)を指す。
【0032】
「炭素環」、および「炭素環式」という用語は、本明細書で使用する場合、環の各原子が炭素である、飽和または不飽和の環を指す。炭素環という用語は、芳香族炭素環と非芳香族炭素環の両方を含む。非芳香族炭素環は、すべての炭素原子が飽和しているシクロアルカン環と、少なくとも1つの二重結合を含有するシクロアルケン環の両方を含む。
【0033】
「炭素環」という用語は、5~7員の単環式環および8~12員の二環式環を含む。二環式炭素環の各環は飽和環、不飽和環および芳香環から選択することができる。炭素環は、1、2、もしくは3個、または3個より多い原子が2つの環の間で共有されている二環式分子を含む。「縮合炭素環」という用語は、環のそれぞれが、もう一方の環と2個の隣接する原子を共有している二環式炭素環を指す。縮合炭素環の各環は、飽和環、不飽和環および芳香環から選択することができる。例示的実施形態では、芳香環、例えば、フェニルは、飽和環または不飽和環、例えば、シクロヘキサン、シクロペンタン、またはシクロヘキセンと縮合することができる。飽和、不飽和および芳香族の二環式環の任意の組合せは、原子価が許す場合、炭素環式の定義に含まれる。例示的「炭素環」として、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,5-シクロオクタジエン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタ-3-エン、ナフタレンおよびアダマンタンが挙げられる。例示的な縮合炭素環として、デカリン、ナフタレン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン、ビシクロ[4.2.0]オクタン、4,5,6,7-テトラヒドロ-1H-インデンおよびビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-エンが挙げられる。「炭素環」は、水素原子を保有することが可能な任意の1つまたは複数の位置で置換されていてもよい。
【0034】
「シクロアルキル」基は、完全に飽和している環式炭化水素である。「シクロアルキル」は単環式環および二環式環を含む。典型的には、単環式シクロアルキル基は、他に定義されない限り、3~約10個の炭素原子、より典型的には3~8個の炭素原子を有する。二環式シクロアルキルの第2の環は、飽和環、不飽和環および芳香環から選択することができる。シクロアルキルは、1、2、もしくは3個、または3個より多い原子が2つの環の間で共有されている二環式分子を含む。「縮合シクロアルキル」という用語は、環のそれぞれが、もう一方の環と2個の隣接する原子を共有している二環式シクロアルキルを指す。縮合二環式シクロアルキルの第2の環は、飽和環、不飽和環および芳香環から選択することができる。「シクロアルケニル」基は、1つまたは複数の二重結合を含有する環式の炭化水素である。
【0035】
「カルボシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、炭素環基で置換されているアルキル基を指す。
【0036】
「カーボネート」という用語は、当技術分野において承認されており、基-OCO-R34(式中、R34はヒドロカルビル基を表す)を指す。
【0037】
「カルボキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、式-COHで表される基を指す。
【0038】
「エステル」という用語は、本明細書で使用する場合、基-C(O)OR35(式中、R35はヒドロカルビル基を表す)を指す。
【0039】
「エーテル」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素を介して別のヒドロカルビル基に連結されているヒドロカルビル基を指す。したがって、ヒドロカルビル基のエーテル置換基はヒドロカルビル-O-であってよい。エーテルは、対称または非対称のいずれかであってよい。エーテルの例として、これらに限定されないが、ヘテロ環-O-ヘテロ環およびアリール-O-ヘテロ環が挙げられる。エーテルは、「アルコキシアルキル」基を含み、これは、一般式アルキル-O-アルキルで表すことができる。
【0040】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用する場合、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0041】
「ヘタラルキル(hetaralkyl)」および「ヘテロアラルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、ヘタリール(hetaryl)基で置換されているアルキル基を指す。
【0042】
「ヘテロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、炭素原子および少なくとも1個のヘテロ原子の飽和または不飽和の鎖(2個のヘテロ原子が隣接することはない)を指す。
【0043】
「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語は、置換もしくは非置換の芳香族単環構造、好ましくは5~7員環、より好ましくは5~6員環を含み、これらの環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロアリール」および「ヘタリール」という用語はまた、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通している、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、この環のうち少なくとも1つはヘテロ芳香族であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。ヘテロアリール基として、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、およびピリミジンなどが挙げられる。
【0044】
「ヘテロ原子」という用語は、本明細書で使用する場合、炭素および水素以外の任意の元素の原子を意味する。好ましいヘテロ原子は窒素、酸素、および硫黄である。
【0045】
「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環」、および「ヘテロ環式」という用語は、置換もしくは非置換の非芳香環構造、好ましくは3~10員環、より好ましくは3~7員環を指し、これらの環構造は、少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1~4個のヘテロ原子、より好ましくは1または2個のヘテロ原子を含む。「ヘテロシクリル」および「ヘテロ環式」という用語はまた、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通している、2つ以上の環式環を有する多環式環系を含み、この環のうち少なくとも1つはヘテロ環式であり、例えば、他の環式環は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリルであってよい。ヘテロシクリル基として、例えば、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン、ラクトン、およびラクタムなどが挙げられる。
【0046】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、ヘテロ環基で置換されているアルキル基を指す。
【0047】
「ヒドロカルビル」という用語は、本明細書で使用する場合、=Oまたは=S置換基を有しない炭素原子を介して結合し、そして、典型的には、少なくとも1つの炭素-水素結合を有し、主に炭素骨格を有するが、必要に応じてヘテロ原子を含んでもよい基を指す。したがって、メチル、エトキシエチル、2-ピリジル、およびトリフルオロメチルなどの基は、本出願のためにヒドロカルビルとみなされるが、置換基、例えば、アセチル(連結する炭素上に=O置換基を有する)およびエトキシ(炭素ではなく、酸素を介して連結している)などは、ヒドロカルビルとみなされない。ヒドロカルビル基として、これらに限定されないが、アリール、ヘテロアリール、炭素環、ヘテロシクリル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびその組合せが挙げられる。
【0048】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、ヒドロキシ基で置換されているアルキル基を指す。
【0049】
「低級」という用語は、化学部分、例えば、アシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシなどと併せて使用する場合、置換基内に10個以下、好ましくは6個以下の非水素原子が存在する基を含むことを意図する。「低級アルキル」は、例えば、10個以下、好ましくは6個以下の炭素原子を含有するアルキル基を指す。特定の実施形態では、本明細書中で定義されているアシル、アシルオキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、またはアルコキシ置換基は、これらが、単独で現れるか他の置換基と組み合わせて現れるか(例えば、ヒドロキシアルキルおよびアラルキルという列挙の中などで(この場合、例えば、アルキル置換基中の炭素原子をカウントするときに、アリール基内の原子はカウントされない))にかかわらず、それぞれ低級アシル、低級アシルオキシ、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、または低級アルコキシである。
【0050】
「ポリシクリル」、「多環」、および「多環式」という用語は、2つ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、および/またはヘテロシクリル)を指し、この場合、2個以上の原子が2つの隣接する環に共通している(例えば、この環は「縮合環」である)。多環の環のそれぞれは、置換されていても、非置換であってもよい。特定の実施形態では、多環の各環は、環内に3~10個、好ましくは5~7個の原子を含有する。
【0051】
「シリル」という用語は、3つのヒドロカルビル部分が結合しているケイ素部分を指す。
【0052】
「置換されている」という用語は、置換基が、骨格の1個または複数の炭素上の水素と置き換わっている部分を指す。「置換」または「で置換されている」は、そのような置換は、置換された原子および置換基の許された原子価に従うものであり、置換により安定した化合物、例えば、転位、環化、脱離などにより自然に転換が起こらない安定した化合物が結果として生じるという暗黙の条件を含むことは理解されよう。本明細書で使用する場合、「置換されている」という用語は、有機化合物のすべての許容できる置換基を含むことを想定する。広範な態様では、許容できる置換基は、有機化合物の、非環式および環式の、分枝鎖および非分枝鎖の、炭素環式およびヘテロ環式の、芳香族および非芳香族の置換基を含む。許容できる置換基は、適当な有機化合物に対して1つまたは複数であってよく、同じであっても異なっていてもよい。本発明のために、ヘテロ原子、例えば窒素などは、水素置換基、および/またはヘテロ原子の原子価を満足させる、本明細書中に記載されている有機化合物の任意の許容できる置換基を有することができる。置換基として、本明細書中に記載されている任意の置換基、例えば、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボニル(例えば、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ホルミル、またはアシルなど)、チオカルボニル(例えば、チオエステル、チオアセテート、またはチオホルメートなど)、アルコキシ、ホスホリル、ホスフェート、ホスホネート、ホスフィネート、アミノ、アミド、アミジン、イミン、シアノ、ニトロ、アジド、スルフヒドリル、アルキルチオ、スルフェート、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、スルホニル、ヘテロシクリル、アラルキル、または芳香族もしくはヘテロ芳香族部分を挙げることができる。置換基は、適切な場合、それら自体が置換され得ることは、当業者であれば理解されよう。「非置換」であると具体的に述べられていない限り、本明細書中の化学部分についての言及は、置換されている改変体を含むと理解される。例えば、「アリール」基または部分についての言及は、置換と非置換の改変体の両方を暗に含む。
【0053】
「スルフェート」という用語は、当技術分野において承認されており、基-OSOH、またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0054】
「スルホンアミド」という用語は、当技術分野において承認されており、一般式
【化5】
(式中、R36およびR37は、独立して、水素またはヒドロカルビル、例えば、アルキルなどを表すか、またはR36およびR37は、介在原子(単数または複数)と一緒になって、環構造内に4~8個の原子を有するヘテロ環を完成する)で表される基を指す。
【0055】
「スルホキシド」という用語は、当技術分野において承認されており、基-S(O)-R38(式中、R38はヒドロカルビルを表す)を指す。
【0056】
「スルホネート」という用語は、当技術分野において承認されており、基SOH、またはその薬学的に許容される塩を指す。
【0057】
「スルホン」という用語は、当技術分野において承認されており、基-S(O)-R39(式中、R39はヒドロカルビルを表す)を指す。
【0058】
「チオアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、チオール基で置換されているアルキル基を指す。
【0059】
「チオエステル」という用語は、本明細書で使用する場合、基-C(O)SR40または-SC(O)R40(式中、R10はヒドロカルビルを表す)を指す。
【0060】
「チオエーテル」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素が硫黄で置き換えられている、エーテルと等しい。
【0061】
「ウレア」という用語は、当技術分野において承認されており、一般式
【化6】
(式中、R41およびR42は、独立して、水素またはヒドロカルビル、例えば、アルキルなどを表すか、または存在するR41のいずれかは、R42および介在原子(単数または複数)と一緒になって、環構造内に4~8個の原子を有するヘテロ環を完成する)で表すことができる。
【0062】
「保護基」という用語は、分子内の反応性官能基に結合した場合、官能基の反応性を遮蔽するか、減少させるか、または防止する原子群を指す。典型的には、保護基は、所望する場合、合成過程の最中に選択的に除去され得る。保護基の例は、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Chemistry、第3版、1999年、John Wiley & Sons、NYおよびHarrisonら、Compendium of Synthetic Organic Methods、1~8巻、1971~1996頁、John Wiley & Sons、NYに見出すことができる。代表的な窒素保護基として、これらに限定されないが、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(「TES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、およびニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などが挙げられる。代表的なヒドロキシル保護基として、これらに限定されないが、ヒドロキシル基が、アシル化(エステル化)またはアルキル化されるもの、例えば、ベンジルおよびトリチルエーテルなど、ならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMSまたはTIPS基)、グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコール誘導体など、およびアリルエーテルが挙げられる。
【0063】
特定の実施形態では、本発明の化合物はラセミであってよい。特定の実施形態では、本発明の化合物は1種のエナンチオマーで富化されてよい。例えば、本発明の化合物は、約30%より高いee、約40%より高いee、約50%より高いee、約60%より高いee、約70%より高いee、約80%より高いee、約90%より高いee、または約95%もしくはそれより高いeeさえ有してもよい。特定の実施形態では、本発明の化合物は、1つより多くの立体中心を有していてもよい。特定のこのような実施形態では、本発明の化合物は、1種または複数種のジアステレオマーに富化されてよい。例えば、本発明の化合物は、約30%より高いde、約40%より高いde、約50%より高いde、約60%より高いde、約70%より高いde、約80%より高いde、約90%より高いde、または約95%もしくはそれより高いdeさえ有してもよい。
【0064】
特定の実施形態では、治療用調製物は、化合物(例えば、式(I)のもの)の主に1種のエナンチオマーを提供するように富化され得る。エナンチオマーが富化された混合物は、例えば、少なくとも約60モルパーセントの1種のエナンチオマーを含むことができるか、あるいは、より好ましくは少なくとも約75、約90、もしくは約95モルパーセントの、または約99モルパーセントもの1種のエナンチオマーを含むことができる。特定の実施形態では、1種のエナンチオマーに富化された化合物は、他のエナンチオマーを実質的に含まず、ここで、実質的に含まないとは、例えば、組成物または化合物混合物中の、他のエナンチオマーの量と比較して、問題になっている物質が約10%未満、または約5%未満、または約4%未満、または約3%未満、または約2%未満、または約1%未満を構成することを意味する。例えば、組成物または化合物混合物が約98グラムの第1のエナンチオマーおよび約2グラムの第2のエナンチオマーを含有する場合、これは、約98モルパーセントの第1のエナンチオマーおよびほんの約2%の第2のエナンチオマーを含有するといわれる。
【0065】
特定の実施形態では、治療用調製物は、化合物(例えば、式(I)のもの)の主に1種のジアステレオマーを提供するように富化され得る。ジアステレオマーが富化された混合物は、例えば、少なくとも約60モルパーセントの1種のジアステレオマーを含むことができるか、あるいは、より好ましくは少なくとも約75、約90、約95、または約99モルパーセントもの1種のジアステレオマーを含むことができる。
【0066】
投与が想定されている「対象」という用語は、これらに限定されないが、ヒト(すなわち、任意の年齢群の男性または女性、例えば、小児の対象(例えば、乳児、幼児、青年)もしくは成人対象(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人))および/または他の霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル);商業用途で飼育される哺乳動物を含む哺乳動物、例えば、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ、および/もしくはイヌなど;ならびに/または、商業用途で飼育される鳥を含む鳥、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、および/もしくはシチメンチョウなどが挙げられる。好ましい対象はヒトである。
【0067】
本明細書で使用する場合、障害または状態を「予防する」治療剤は、統計サンプルにおいて、未処置の対照試料と比べて、処置した試料の障害もしくは状態の出現を減少させるか、または未処置の対照試料と比べて、障害もしくは状態の1つもしくは複数の症状の発症を遅らせるか、もしくは重症度を減少させる化合物を指す。
【0068】
「処置する」という用語は、予防的および/または治療的処置を含む。「予防的または治療的」処置という用語は、当技術分野において承認されており、1種または複数種の開示組成物の対象への投与を含む。望ましくない状態(例えば、対象の疾患または他の望ましくない状態)の臨床所見以前に投与される場合、処置は予防的(すなわち、望ましくない状態の発症から対象を保護する)であるのに対して、望ましくない状態の所見後に投与される場合、処置は治療的(すなわち、現存する望ましくない状態またはその副作用を減退、回復、または安定化させることを意図する)である。
【0069】
「プロドラッグ」という用語は、生理学的条件下で、本発明の治療活性剤(例えば、式(I)の化合物)へと変換される化合物を包含することを意図する。プロドラッグを作製するための一般的方法は、生理学的条件下で加水分解されることで所望の分子を曝露する、1つまたは複数の選択された部分を含める方法である。他の実施形態では、プロドラッグは、対象の酵素活性により変換される。例えば、エステルまたはカーボネート(例えば、アルコールまたはカルボン酸のエステルまたはカーボネート)は本発明の好ましいプロドラッグである。特定の実施形態では、上に表された製剤中の一部またはすべての式(I)の化合物は、例えば、親化合物中のヒドロキシルがエステルまたはカーボネートとして与えられる、対応する適切なプロドラッグで置き換えることができる。
【0070】
「有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の生物学的効果を達成するのに十分である量を指す。「治療有効量」は、本明細書で使用される場合、所望の治療効果を達成するのに十分な量を指す。例えば、治療有効量は、がんの少なくとも1つの徴候または症状を改善するのに十分な量を指すことができる。
【0071】
処置の方法に対する「応答」として、中でも、陰性症状の低減または回復、疾患またはその症状の進行の低減、有益な症状または臨床成績の増加、副作用の軽減、疾患の安定化、疾患の部分的または完全な治療を挙げることができる。
【0072】
一部の実施形態では、本発明は、式(I):
【化7】
(式中、
Hetは、ヘテロシクリルまたはヘテロアリールであり;
1aは、H、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アジド、アミノ、-O-C(O)-O-C1~6アルキル、C1~6アシルオキシ、およびC1~6アルコキシから選択され;
1bは、Hおよびハロから選択され;
2aは、H、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、アジド、アミノ、C1~6アシルオキシ、-O-C(O)-O-C1~6アルキル、およびC1~6アルコキシから選択され;
2bは、Hおよびハロから選択され;
は、Hおよびアルキルから選択され;
は、アリールおよびヘテロアリールから選択され;
は、アラルキルおよびヘテロアラルキルから選択され;
は、-C(O)OR、-C(O)NR1314、-S(O)10、および-P(O)(OR11)(OR12)から選択され;
は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルから選択され;
10は、独立して、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキルから選択され;
11、R12、およびR14は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選択され;
13は、H、ヒドロキシ、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルから選択され;
ただし、
が非置換または置換テトラゾリルであり、かつ
が-C(O)ORである場合、
は、非置換-CH-ピリジル、非置換-CH-チエニル、-C(O)OH基で置換された-CH-チエニル、非置換ベンジル、またはトリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メトキシカルボニル、-C(O)OH、ベンジルオキシ、もしくはフェニル基で置換されたベンジルではないことを条件とする)
の化合物、またはその薬学的に許容される塩および/またはプロドラッグを提供する。
【0073】
ある特定の実施形態では、R1aがHまたはヒドロキシである。ある特定の実施形態では、R1bがHである。他の実施形態では、R2aがHまたはヒドロキシである。一部の実施形態では、R2bがHである。好ましい実施形態では、R1aがヒドロキシであり、R1bがHであり、R2aがヒドロキシであり、そしてR2bがHである。一部の実施形態では、R1aがHであり、R1bがハロであり、好ましくはFである。
【0074】
ある特定の好ましい実施形態では、RがHである。
【0075】
ある特定の実施形態では、式(I)の化合物は、下記の構造:
【化8】
を有する。
【0076】
ある特定のそのような実施形態では、R1aは、α-立体配置にある。例えば、式(I)の化合物は、構造(IA):
【化9】
を有していてもよい。
【0077】
代替の実施形態では、R1aは、β-立体配置にある。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、構造(IB):
【化10】
を有していてもよい。
【0078】
式(I)の化合物のさらなる実施形態では、例えば上述のように、R2aはα-立体配置にある。例えば、式(I)の化合物は、構造(IC):
【化11】
を有していてもよい。
【0079】
代替の実施形態では、R2aは、β-立体配置にある。一部のそのような実施形態では、式(I)の化合物は、構造(ID):
【化12】
を有していてもよい。
【0080】
ある特定の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、構造(IE):
【化13】
を有する。
【0081】
ある特定の実施形態では、Rは、アリールおよびヘテロアリールから選択され、例えばヘテロアリールである。ある特定の好ましい実施形態では、Rは、チアゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、およびチエニルから選択されるヘテロアリールである。
【0082】
ある特定の実施形態では、Rは、アラルキルおよびヘテロアラルキルから選択される。ある特定のそのような実施形態では、Rの各アラルキルおよびヘテロアラルキルは、非置換であるか、またはカルボキシ、ヘテロアリール、およびアリールから選択される1個もしくは複数の置換基で、好ましくはヘテロアリールもしくはアリールで置換されている。
【0083】
ある特定の好ましい実施形態では、Rは、非置換のまたは例えばヒドロキシル、シアノ、アルキル、アルコキシ、アミド、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、およびスルホンアミドから選択される1個もしくは複数の置換基で置換された、第2のアリールまたはヘテロアリール環(好ましくは、フェニル環)で、アリール環上で置換されたアラルキル(例えば、フェニル環のパラ位で置換されたベンジル)である。
【0084】
ある特定の好ましい実施形態では、Rは、
【化14】
で、フェニル環上で(例えば、4位で)置換されたベンジルである。
【0085】
一部の実施形態では、Rが-C(O)ORであり、RがHまたはアルキル、例えばHまたはC1~6アルキルである。
【0086】
ある特定の実施形態では、
【化15】
は、
【化16】
【化17】
を表す。
【0087】
ある特定の実施形態では、Hetは、6~10員のアリール、5~8員のヘテロシクリル、5~8員の単環式または5~10員の二環式ヘテロアリールから選択され、非置換であってもよく、またはハロ、アルコキシ、およびアミノから選択される1個もしくは複数の置換基で置換されていてもよい。一部の実施形態では、Het置換基は、ハロおよびアミノから選択される。ある特定の実施形態では、Hetは、好ましくはヘテロシクリルまたはヘテロアリール環の窒素原子を介してコア環に結合された、窒素含有ヘテロシクリルまたはヘテロアリールである。
【0088】
他の実施形態では、Hetは、
【化18】
であり、
式中、
ZはORまたはNRであり
は、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、シクロアルキル、およびヘテロシクリルから選択され;
はHまたはアルキルである。
【0089】
一部の実施形態では、Rがアルキルであり、RがHである。
使用の方法
【0090】
細胞においてCD73を阻害する方法であって、細胞を、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩などと接触させることを含む方法が本明細書に提供されている。特定の実施形態では、細胞を接触させることは、それを必要とする対象において生じ、これによってアデノシンにより媒介される疾患または障害を処置する。
【0091】
本明細書では、アデノシンにより媒介される疾患または障害を処置する方法であって、式(I)の化合物などの本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法も開示される。一部の実施形態において、本明細書では、がんを処置する方法であって、式(I)の化合物などの本発明の化合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法が開示される。
【0092】
アデノシンは様々な免疫細胞に作用して免疫抑制を誘発し、アデノシンレベルを増強するエクトヌクレオチダーゼの免疫抑制効果はまた、寄生生物、真菌、細菌、およびウイルスによる哺乳動物細胞の感染症の増強を伴う。免疫抑制効果とは別に、アデノシンはまた心血管系(血管拡張剤および心抑制剤として)、中枢神経系(CNS)(鎮静、抗不安および抗てんかん効果を誘発する)、呼吸器系(気管支収縮を誘発する)、腎臓(二相性作用を有する;低濃度で血管収縮を誘発し、高用量で血管拡張を誘発する)、脂肪細胞(脂肪分解を阻害する)、および血小板(抗凝集剤として)をモジュレートする役割を有する。さらに、アデノシンはまた様々な組織において線維症(過剰なマトリックス産生)を促進する。したがって、CD73を標的とする改善された処置は、がんに加えて、脳および心臓の虚血性疾患、線維症、免疫および炎症性障害(例えば、炎症性腸運動障害)、神経系、神経変性およびCNSの障害および疾患(例えば、うつ病、パーキンソン病)、ならびに睡眠障害を含めた広範囲な状態を処置するための療法を提供する。
【0093】
一部の実施形態では、アデノシンにより媒介される疾患または障害は、脳の虚血性疾患、がん、心臓の虚血性疾患、うつ病、線維症、免疫障害、炎症性障害(例えば、炎症性腸運動障害)、神経系の障害または疾患、神経変性障害または疾患(例えば、パーキンソン病)、CNS障害および疾患、ならびに睡眠障害から選択される。
【0094】
本明細書中に記載されている方法は、膀胱がん、骨がん、脳がん(神経膠芽細胞腫を含む)、乳がん、心臓がん、子宮頸がん、結腸がん、直腸結腸がん、食道がん、線維肉腫、胃のがん、消化器がん、頭頸部がん、カポジ肉腫、腎臓がん(腎細胞腺癌を含む)、白血病、肝がん、肺がん(非小細胞肺がん、小細胞肺がん、および粘膜表皮性肺癌を含む)、リンパ腫、黒色腫、骨髄腫、卵巣がん(卵巣腺癌を含む)、膵がん、陰茎がん、前立腺がん、精巣胚細胞性がん、胸腺腫、および胸腺癌である。
【0095】
一部の実施形態では、対象は、乳がん、脳がん、結腸がん、線維肉腫、腎臓がん、肺がん、黒色腫、卵巣がん、および前立腺がんから選択されるがんを有する。ある特定の実施形態では、対象は、乳がん、結腸がん、線維肉腫、黒色腫、卵巣がん、および前立腺がんから選択されるがんを有する。他の実施形態では、対象は、脳がん、乳がん、腎臓がん、肺がん、黒色腫、および卵巣がんから選択されるがんを有する。一部の実施形態では、対象は、頭頚部扁平上皮癌、卵巣がん、乳がん、または食道がんを有する。他の実施形態では、対象は、膵がん、食道がん、胃がん、頭頚部がん、結腸がん、肺がん、または腎臓がんを有する。さらに他の実施形態では、対象は乳がんを有する。一部の実施形態では、乳がんは乳房腺癌である。ある特定の実施形態では、乳がんはトリプルネガティブ乳がんである。
【0096】
特定の実施形態では、がんを処置または予防するための方法は、1つまたは複数の応答、例えば、アポトーシスの増加、腫瘍成長の阻害、腫瘍転移の減少、腫瘍転移の阻害、微小血管密度の減少、新血管新生の低減、腫瘍移動の阻害、腫瘍退縮、および対象の生存の増加などにより実証することができる。
【0097】
特定の実施形態では、アデノシンにより媒介される疾患または障害は、CD73活性により媒介される疾患または障害である。一部の実施形態では、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などは、CD73の阻害剤として有用である。
【0098】
一部の実施形態では、本明細書中に記載されている方法は、CD73の阻害剤を使用して心血管疾患を処置または予防する。CD73をコードしている突然変異体遺伝子は下肢動脈および小さな関節包の大規模な石灰化をもたらし、これは、心血管疾患のより高い危険性を伴う(Hilaireら、N. Engl. J. Med.、364巻(5号):432~442頁、2011年)。
【0099】
一部の実施形態では、本明細書で開示されている方法は、CD73の阻害剤を使用してがんを処置または予防する。CD73小分子干渉RNAおよび抗CD73モノクローナル抗体は、がんの処置または予防において顕著な効果を示した(Antonioliら、Nat. Rev. Cancer、13巻:842~857頁、2013年)。密接な相関関係が、CD73発現と、がん細胞が細胞外マトリクス(ECM)に移動、侵入、および接着する能力との間に存在する(Antonioli、2013年;Antonioliら、Trends Cancer、2巻(2号):95~109頁、2016年)。
【0100】
一部の実施形態では、CD73の阻害剤によるがんの処置または予防は、腫瘍特異的T細胞の活性化、クローンの増大、およびホーミングから選択される1つまたは複数の応答により実証することができる(Antonioli、2016年)。他の実施形態では、本明細書で開示されている方法は、エフェクターTリンパ球(例えば、細胞溶解性エフェクターTリンパ球)の数を増加させる。
併用処置
【0101】
一部の実施形態では、がんを処置または予防する方法は、CD39阻害剤を1種または複数種の他の化学療法剤(単数または複数)と共投与することを含むことができる。一実施形態では、CD73阻害剤は、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などである。他の化学療法剤は、全体的な免疫系活性の増加により(より低いT-調節機能およびより高いT-エフェクター機能など)、他の抗体および療法の効果を増強するCD73特異的モノクローナル抗体を含むことができる(Antonioli、2016年)。
【0102】
特定の実施形態では、がんを処置または予防する方法は、本発明の化合物を、1種または複数種の他の化学療法剤(単数または複数)と共投与することを含むことができる。
【0103】
本発明の化合物と共投与することができる化学療法剤として、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、ABT-263、アファチニブジマレイン酸塩、アキシチニブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、APCP、アスパラギナーゼ、AZD5363、カルメットゲラン桿菌ワクチン(bcg)、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、β-メチレン-ADP(AOPCP)、ブセレリン、ブスルファン、カバジタキセル、カボザンチニブ、カンプトテシン(campothecin)、カペシタビン、カルボプラチン、カルフィルゾミブ、カルムスチン、セリチニブ、クロラムブシル、クロロキン、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コビメチニブ、コルヒチン、クリゾチニブ、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、デメトキシビリジン、デキサメタゾン、ジクロロアセテート、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エベロリムス、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲフィチニブ、ゲムシタビン、ゲニステイン、ゴセレリン、GSK1120212、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イクサベピロン、レナリドミド、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミソール、ロムスチン、ロニダミン、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトホルミン、メトトレキサート、ミルテホシン、マイトマイシン、ミトタン、ミトキサントロン、MK-2206、ムタマイシン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オラパリブ、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、パゾパニブ、ペメトレキセド(pemexetred)、ペントスタチン、ペリホシン、PF-04691502、プリカマイシン、ポマリドミド、ポルフィマー、PPADS、プロカルバジン、ケルセチン、ラルチトレキセド、ラムシルマブ、反応性ブルー2、リツキシマブ、ロロフィリン、ロミデプシン、ルカパリブ、セルメチニブ、シロリムス、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、ソラフェニブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タラゾパリブ、タモキシフェン、テモゾロミド、テムシロリムス、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、二塩化チタノセン、トナポフィリン、トポテカン、トラメチニブ、トラスツズマブ、トレチノイン、ベリパリブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、およびボリノスタット(SAHA)が挙げられる。他の実施形態では、本発明の化合物と共投与することができる化学療法剤として、ABT-263、デキサメタゾン、5-フルオロウラシル、PF-04691502、ロミデプシン、およびボリノスタット(SAHA)が挙げられる。他の実施形態では、本発明の化合物と共投与することができる化学療法剤として、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、APCP、β-メチレン-ADP(AOPCP)、カペシタビン、クラドリビン、シタラビン、フルダラビン、ドキソルビシン、ゲムシタビン、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、NF279、NF449、PPADS、ケルセチン、反応性ブルー2、ロロフィリン 2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、スマリン(sumarin)、およびトナポフィリンが挙げられる。
【0104】
多くの併用療法ががんの処置のために開発されてきた。特定の実施形態では、本発明の化合物(例えば、式(I)の化合物)は、併用療法と共投与することができる。本発明の化合物と共投与することができる併用療法の例は表1に含まれている。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【0105】
一部の実施形態では、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などと共投与することができる化学療法剤は、CD39阻害剤を含む。CD39またはエクトヌクレオシド三リン酸ジホスホヒドロラーゼ1(E-NTPDase1またはENTPD1)は、細胞外アデノシン三リン酸(ATP)および/またはADP(アデノシン二リン酸)のアデノシン一リン酸(AMP)への変換を触媒する膜結合酵素である。一実施形態では、CD39阻害剤はポリオキソメタレート-1(POM-1)である。
【0106】
他の実施形態では、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などと共投与することができる化学療法剤は、公知のCD73阻害剤を含む。一部の実施形態では、CD73阻害剤はアントラキノン誘導体である(Baqiら、J. Med. Chem.、53巻(5号):2076~2086頁、2010年、本明細書中に参照により組み込まれている)。他の実施形態では、CD73阻害剤はスルホン酸誘導体である(Razaら、Med. Chem.、8巻:1133~1139頁、2012年、本明細書中に参照により組み込まれている)。さらに他の実施形態では、CD73阻害剤は、1-アミノ-4-フェニルアミノ-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート(アシッドブルー25)、1-アミノ-4-[4-ヒドロキシフェニル-アミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-アミノフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[1-ナフチルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[4-フルオロ-2-カルボキシフェニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、1-アミノ-4-[2-アントラセニルアミノ]-9,10-ジオキソ-9,10-ジヒドロアントラセン-2-スルホネート、2,4-ジニトロベンゼンスルホン酸ナトリウム、N-(4-スルファモイルフェニルカルバモチオイル)ピバルアミド、APCP、β-メチレン-ADP(AOPCP)、PPADS、NF279、NF449、ケルセチン、反応性ブルー2、およびスマリンから選択される(Baqi、2010年;Raza、2012年)。
【0107】
特定の実施形態では、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などを、第2のCD73阻害剤またはCD39阻害剤と併用することは、がんおよびアデノシンにより媒介される他の疾患または障害の処置において相乗効果を有し得る。任意の理論に拘束されることを望むことなく、CD39およびCD73は多くの場合異なる細胞型上にあるので、この相乗を観察することができる。低酸素の腫瘍微小環境はまた、より高いレベルのCD39およびCD73を誘発する。
【0108】
一部の実施形態では、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などと共投与することができる化学療法剤は、アデノシン受容体阻害剤を含む。他の実施形態では、アデノシン受容体阻害剤は、ロロフィリン、トナポフィリン、ATL-444、イストラデフィリン、MSX-3、プレラデナント、SCH-58,261、SCH-412,348、SCH-442,416、ST-1535、VER-6623、VER-6947、VER-7835、ビパデナント、およびZM-241,385から選択される。一部の実施形態では、このサブタイプとして、A2A受容体を標的とするアデノシン受容体阻害剤は、主に大部分の免疫細胞において発現する。
【0109】
他の実施形態では、本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などと共投与することができる化学療法剤は、ヌクレオシドベースの薬物を含む。特定の実施形態では、ヌクレオシドベースの薬物は、ゲムシタビン、カペシタビン、シタラビン、フルダラビンおよびクラドリビンから選択される。
【0110】
さらなる実施形態では、併用療法は、アントラサイクリンと共投与される本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などを含む。他の実施形態では、併用療法は、ドキソルビシンと共投与される本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などを含む。抗CD73抗体およびドキソルビシンとの併用処置は、顕著な化学療法効果を実証している(Youngら、Cancer Discov.、4巻(8号):1~10頁、2014年、本明細書中に参照により組み込まれている)。
【0111】
特定の実施形態では、併用療法は、A2A受容体阻害剤およびアントラサイクリンと共投与される本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などを含む。一部の実施形態では、アントラサイクリンはドキソルビシンである。抗CD73抗体、A2A受容体阻害剤、およびドキソルビシンとの併用処置は化学療法効果の増加を実証している(Antonioli、2013年)。
【0112】
特定の実施形態では、本発明の共同療法は、他の種類の化学療法剤、例えば、イムノオンコロジー薬剤などを共投与することを含む。がん細胞は、多くの場合、免疫系により認識することができる特定の細胞表面抗原を有する。したがって、イムノオンコロジー薬剤は、がん細胞抗原に選択的に結合し、細胞死をもたらすことができる。他のイムノオンコロジー薬剤(例えば、モノクロナール抗体)は、天然の免疫応答の腫瘍媒介性阻害を抑制するか、またはさもなければ免疫応答を活性化することができ、したがって、免疫系による腫瘍の認識を促進する。例示的な抗体イムノオンコロジー薬剤として、これらに限定されないが、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトックス、アポリズマブ、ブリナツモマブ、BMS-936559、カツマキソマブ、デュルバルマブ、エパカドスタット、エプラツズマブ、インドキシモド、イノツズマブオゾガマイシン、インテツムマブ(intelumumab)、イピリムマブ、イサツキシマブ、ラムブロリズマブ、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ(olatatumab)、ペムブロリズマブ、ピディリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、サマリズマブ、およびトレメリムマブが挙げられる。一部の実施形態では、抗体イムノオンコロジー薬剤は、抗CD73モノクローナル抗体(mAb)、抗CD39 mAb、抗PD-1 mAb、および抗CTLA4 mAbから選択される。したがって、一部の実施形態では、本発明の方法は、1種または複数種のイムノオンコロジー薬剤、例えば、上述された薬剤などの共投与を含む。
【0113】
一部の実施形態では、併用療法は、抗PD-1療法および抗CTLA4療法と共投与される本発明の化合物、例えば、式(I)の化合物などを含む。抗CD73モノクローナル抗体(mAb)、抗PD-1 mAb、および抗CTLA4 mAbを用いた併用処置は、顕著な化学療法効果を示した(Young、2014年;Antonioli、2013年)。
【0114】
一部の実施形態では、併用療法は、式(I)の化合物などの本発明の化合物と抗PD-1治療との、共投与を含む。ある特定の実施形態では、併用療法は、式(I)の化合物などの本発明の化合物とオキサリプラチンとの、共投与を含む。他の実施形態では、併用療法は、式(I)の化合物などの本発明の化合物とドキソルビシンとの、共投与を含む。
【0115】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、がん処置の非化学的方法と共投与することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、放射線療法と共投与することができる。特定の実施形態では、本発明の化合物は、手術と、温熱切除と、集束超音波治療と、凍結療法と、またはこれらの任意の組合せと共投与することができる。
【0116】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、1種または複数種の他の本発明の化合物と共投与することができる。さらに、このような組合せは、他の治療剤、例えば、がん、免疫疾患または神経疾患の処置に対して適切な他の薬剤など、例えば、上に特定された薬剤などと共投与することができる。特定の実施形態では、1種または複数種の追加の化学療法剤を本発明の化合物と共投与することは、相乗効果を提供する。特定の実施形態では、1種または複数種の追加の化学療法剤を共投与することは、相加効果を提供する。
薬学的組成物
【0117】
ある特定の実施形態では、本発明は、ヒト患者における使用に対して適切な薬学的調製物であって、上に示されている化合物のいずれか(例えば、式(I)の化合物などの本発明の化合物)と、1種または複数種の薬学的に許容される賦形剤とを含む、薬学的調製物を提供する。ある特定の実施形態では、薬学的調製物は、本明細書中に記載されている状態または疾患の処置または予防における使用のためであってもよい。開示される化合物のいずれかは、本明細書に開示される任意の疾患または状態を処置するための医薬の製造で使用されてもよい。
【0118】
本発明の組成物および方法は、それを必要とする対象を処置するために利用することができる。特定の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えばヒトなど、または非ヒト哺乳動物である。対象、例えばヒトなどに投与された場合、組成物または化合物は、好ましくは、例えば、本発明の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物として投与される。薬学的に許容される担体は、当技術分野で周知であり、例えば、水溶液、例えば、水もしくは緩衝生理食塩水など、または他の溶媒もしくはビヒクル、例えば、グリコール、グリセロール、油、例えば、オリーブ油など、または注射用の有機エステルが挙げられる。好ましい実施形態では、このような薬学的組成物がヒトへの投与、特に侵襲経路の投与のためである場合(すなわち、例えば、上皮バリアを介した輸送または拡散を回避する注射またはインプランテーションなどの経路)、水溶液はパイロジェンを含まない、またはパイロジェンを実質的に含まない。賦形剤は、例えば、剤の遅延放出を実行するように、または1つもしくは複数の細胞、組織または器官を選択的にターゲットとするよう選択することができる。薬学的組成物は、単位剤形、例えば、錠剤、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、顆粒剤、再構成用に凍結乾燥されたもの、散剤、液剤、シロップ剤、坐剤、または注射などであり得る。組成物はまた、経皮的送達システム、例えば、皮膚パッチ中に存在することもできる。組成物はまた、局所的投与に対して適切な液剤、例えば点眼剤などの中に存在することもできる。
【0119】
薬学的に許容される担体は、化合物、例えば、本発明の化合物などを、例えば、安定化させるか、溶解度を増加させるか、または吸収を増加させるように作用する、生理学的に許容される剤を含有することができる。このような生理学的に許容される剤として、例えば、炭水化物、例えば、グルコース、スクロースまたはデキストランなど、抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸またはグルタチオンなど、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定剤もしくは賦形剤などが挙げられる。生理学的に許容される剤を含めた、薬学的に許容される担体の選択は、例えば、組成物の投与経路に依存する。調製物または薬学的組成物は、自己乳化型薬物送達システムまたは自己マイクロ乳化型薬物送達システムであってよい。薬学的組成物(調製物)はまた、リポソームであっても他のポリマーマトリクスであってよく、これらの中に、例えば、本発明の化合物を組み込むことができる。リポソーム、例えば、リン脂質または他の脂質を含むリポソームなどは、作製および投与が比較的簡単な、非毒性の、生理学的に許容される、代謝可能な担体である。
【0120】
「薬学的に許容される」という句は、本明細書中で採用されることによって、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性も、刺激も、アレルギー応答も、他の問題も、合併症もなしに、妥当な損益比に見合って、対象の組織と接触させて使用するのに適切である化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0121】
「薬学的に許容される担体」という句は、本明細書で使用する場合、薬学的に許容される材料、組成物またはビヒクル、例えば、液体もしくは固体充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料などを意味する。各担体は、製剤の他の成分と相容性であり、対象に対し有害ではないという意味で「許容可能」でなければならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料の一部の例として、以下が挙げられる:(1)糖、例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロースなど;(2)デンプン、例えば、トウモロコシデンプンおよびジャガイモデンプンなど;(3)セルロース、およびその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど;(4)粉末状トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)賦形剤、例えば、ココアバターおよび坐剤ワックスなど;(9)油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油およびダイズ油など;(10)グリコール、例えば、プロピレングリコールなど;(11)ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなど;(12)エステル、例えば、オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど;(13)寒天;(14)緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど;(15)アルギン酸;(16)パイロジェンを含まない水;(17)等張生理食塩水;(18)リンゲル液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)薬学的製剤に採用される他の無毒性の相容性物質。
【0122】
薬学的組成物(調製物)は、例えば、経口的に(例えば、水性または非水性の液剤または懸濁剤などの中の飲薬、錠剤、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、ボーラス、散剤、顆粒剤、舌への適用のためのペースト剤);口腔粘膜を通しての吸収(例えば、舌下);肛門で、直腸でまたは経膣的に(例えば、ペッサリー、クリーム剤または発泡体などとして);非経口的に(筋肉内、静脈内、皮下または髄腔内を含む、例えば、滅菌の液剤または懸濁剤として);経鼻;腹腔内;皮下;経皮的に(例えば、皮膚に適用されるパッチとして);および局所的に(例えば、皮膚に適用されるクリーム剤、軟膏剤もしくはスプレー剤、または点眼剤として)などを含めた、いくつかの投与経路のうちのいずれかにより対象に投与することができる。化合物はまた、吸入用に製剤化され得る。特定の実施形態では、化合物は単に滅菌水中に溶解または懸濁させるだけでよい。適切な投与経路およびそれに適する組成物の詳細は、例えば、米国特許第6,110,973号、同第5,763,493号、同第5,731,000号、同第5,541,231号、同第5,427,798号、同第5,358,970号および同第4,172,896号、ならびにこれらの中に引用された特許の中に見出すことができる。
【0123】
製剤は、便利よく、単位剤形で与えられてよく、薬学の技術分野で周知の任意の方法により調製されてよい。担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、処置を受けている対象、特定の投与モードに応じて異なる。担体物質と組み合わせて単一剤形を生成することができる活性成分の量は、一般的に治療効果を生じる化合物の量である。一般的に、この量は、100パーセントのうち、約1パーセント~約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセント~約70パーセントの活性成分、最も好ましくは約10パーセント~約30パーセントの活性成分の範囲におよぶ。
【0124】
これらの製剤または組成物を調製する方法は、活性化合物、例えば、本発明の化合物などを、担体および、必要に応じて、1つまたは複数の副成分と会合させるステップを含む。一般的に、製剤は、本発明の化合物を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体、またはこれらの両方と均一かつ密に会合させ、次いで、必要に応じて、生成物を成形することにより調製される。
【0125】
経口投与に対して適切な本発明の製剤は、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、カシェ剤、丸剤、錠剤、ロゼンジ剤(香味づけたベース、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、凍結乾燥されたもの、散剤、顆粒剤、または水性もしくは非水性液体中の液剤もしくは懸濁剤として、または水中油型もしくは油中水型の液体乳剤として、またはエリキシル剤もしくはシロップ剤として、またはパステル剤として(不活性ベース、例えば、ゼラチンおよびグリセリンなど、またはスクロースおよびアカシアを使用)および/または洗口剤としての形態などであってよく、これらのそれぞれが活性成分として本発明の化合物の既定量を含有する。組成物または化合物はまた、ボーラス、舐剤またはペースト剤として投与されてもよい。
【0126】
経口投与のための固体剤形(カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、錠剤、丸剤、糖衣錠、散剤、および顆粒剤など)を調製するために、活性成分は、1種もしくは複数の薬学的に許容される担体、例えば、クエン酸ナトリウムもしくは第二リン酸カルシウム、および/または以下のうちのいずれかと混合する:(1)充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸など;(2)結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギナート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなど;(3)保湿剤、例えば、グリセロールなど;(4)崩壊剤、例えば、寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および炭酸ナトリウムなど;(5)溶解遅延剤、例えば、パラフィンなど;(6)吸収促進剤、例えば、第四級アンモニウム化合物など;(7)湿潤剤、例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなど;(8)吸収剤、例えば、カオリンおよびベントナイト粘土など;(9)滑沢剤、例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物など;(10)錯化剤、例えば、修飾および未修飾のシクロデキストリンなど;ならびに(11)着色剤。カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、錠剤および丸剤の場合、薬学的組成物はまた緩衝剤を含んでもよい。同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖などの賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどを使用して、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として採用することができる。
【0127】
錠剤は、必要に応じて1つまたは複数の副成分と一緒に、圧縮または成型により作製することができる。圧縮錠は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して調製することができる。成型錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状化合物の混合物を適切な機器の中で成型することによって作製することができる。
【0128】
薬学的組成物の錠剤および他の固体剤形、例えば、糖衣錠、カプセル剤(スプリンクルカプセル剤およびゼラチンカプセル剤を含む)、丸剤および顆粒剤などは、必要に応じて刻みを入れるか、またはコーティングおよびシェル、例えば、腸溶コーティングおよび医薬品製剤化技術において周知の他のコーティングなどを用いて調製してもよい。これらはまた、例えば、所望の放出プロファイルを提供するために異なる割合でヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリクス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを使用して、その中の活性成分の持続性放出または制御性放出を提供するために製剤化されていてもよい。これらは、例えば、細菌保留フィルターを通す濾過により、または使用直前に滅菌水、もしくはある他の滅菌注射用媒体に溶解させることができる滅菌された固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌されていてもよい。これらの組成物はまた、乳化剤を必要に応じて含有してもよく、活性成分(単数または複数)を、消化管の特定の部分のみにおいて、またはこの部分において優先的に、必要に応じて、遅延型方式で放出する組成物であってよい。使用することができる包埋組成物の例として、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。活性成分はまた、適切な場合、上に記載された賦形剤の1種または複数種を用いて、マイクロカプセル化した形態にすることができる。
【0129】
経口投与に対して有用な液体剤形として、薬学的に許容される乳剤、再構成用に凍結乾燥されたもの、マイクロエマルジョン、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分に加えて、液体剤形は、当技術分野で一般的に使用される不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、シクロデキストリンおよびその誘導体、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステルなど、ならびにこれらの混合物などを含有してもよい。
【0130】
不活性希釈剤の他に、経口組成物はまた、アジュバント、例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、香味剤、着色剤、香料ならびに保存剤などを含むことができる。
【0131】
懸濁剤は、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物などを含有してもよい。
【0132】
直腸、膣、または尿道への投与のための薬学的組成物の製剤は坐剤として与えられてもよく、この坐剤は、1種または複数種の活性化合物を、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチレートなどを含む、1種または複数種の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、これは、室温では固体であるが、体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔において融解して、活性化合物を放出する。
【0133】
口への投与のための薬学的組成物の製剤は、洗口剤、または経口スプレー剤、または経口軟膏剤として与えられてもよい。
【0134】
代わりにまたは追加的に、組成物は、カテーテル、ステント、ワイヤ、または他の腔内デバイスを介した送達用に製剤化することができる。このようなデバイスを介した送達は、特に膀胱、尿道、尿管、直腸、または腸への送達に対して有用であり得る。
【0135】
経膣投与に対して適切な製剤はまた、当技術分野で適当であることが公知であるような担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、発泡体またはスプレー製剤を含む。
【0136】
局所的または経皮的投与のための剤形は、散剤、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、パッチおよび吸入剤を含む。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要であり得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合することができる。
【0137】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤およびゲル剤は、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、動物性および植物性の油脂、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの混合物などを含有してもよい。
【0138】
散剤およびスプレー剤は、活性化合物に加えて、賦形剤、例えば、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などを含有することができる。スプレー剤は、慣習的噴霧剤、例えば、クロロフルオロ炭化水素などおよび揮発性の非置換炭化水素、例えば、ブタンおよびプロパンなどをさらに含有することができる。
【0139】
経皮的パッチにより、本発明の化合物の制御送達を身体に提供するという利点が加わった。このような剤形は、活性化合物を適正な媒体中に溶解または分散させることによって作製することができる。吸収増強剤を使用することによって、皮膚を横断する化合物のフラックスを増加させることもできる。このようなフラックスの速度は、速度制御膜を提供すること、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲル内で分散させることのいずれかによって制御することができる。
【0140】
眼用製剤、眼軟膏剤、散剤、および液剤などもまた本発明の範囲内にあると想定されている。例示的眼用製剤は、米国特許公開第2005/0080056号、同第2005/0059744号、同第2005/0031697号および同第2005/004074号ならびに米国特許第6,583,124号(これらの内容は、本明細書に参考として援用される)に記載されている。所望する場合、液体眼用製剤は、涙液、房水または硝子体液と同様の特性を有するか、またはこのような流体と相容性である。好ましい投与経路は、局部への投与(例えば、局所的投与、例えば点眼剤など、または埋込物を介した投与)である。
【0141】
「非経口投与」および「非経口的に投与された」という句は、本明細書で使用する場合、経腸および局所的投与以外の投与モード、通常は注射によるものを意味し、制限なしで、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内および胸骨内注射および注入が挙げられる。
非経口投与に対して適切な薬学的組成物は、1種または複数種の活性化合物を、1種または複数種の薬学的に許容される滅菌の、等張の、水性もしくは非水性の液剤、分散液、懸濁剤もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射液剤もしくは分散液に再構成することができる滅菌散剤と組み合わせて含み、それらは、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、対象とするレシピエントの血液と製剤とを等張性にする溶質、または懸濁化剤もしくは粘稠化剤を含有することができる。
【0142】
本発明の薬学的組成物に採用され得る適切な水性および非水性の担体の例として、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコールなど)、および適切なこれらの混合物、植物油、例えば、オリーブ油など、および注射用有機エステル、例えば、オレイン酸エチルなどが挙げられる。適正な流動度は、例えば、コーティング材料、例えば、レシチンなどを使用することによって、分散液の場合、必要な粒径を維持することによって、および界面活性剤を使用することによって、維持することができる。
【0143】
これらの組成物はまた、アジュバント、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤なども含有することができる。微生物の作用の防止は、様々な抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、およびフェノールソルビン酸などの包含により確実にすることができる。等張剤、例えば、糖および塩化ナトリウムなどを組成物中に含めることもまた望ましい。加えて、注射用医薬品形態の長期吸収は、吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの包含により引き起こすことができる。
【0144】
場合によっては、薬物の効果を長引かせるために、皮下注射または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶性の乏しい、結晶質材料または非晶質材料の液体懸濁剤を使用することによって遂行されてもよい。よって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、さらに速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。代わりに、非経口的に投与された薬物の形態の遅延型吸収は、油ビヒクル中に薬物を溶解または懸濁させることによって遂行される。
【0145】
注射用のデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド-ポリグリコリドなど)中で対象化合物のマイクロカプセル化マトリクスを形成することによって作製される。薬物対ポリマーの比率、および採用される特定のポリマーの性質に応じて、薬物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例として、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体組織と相容性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に薬物を封入することによって調製される。
【0146】
本発明の方法における使用に対して、活性化合物それ自体が与えられてもよく、または、例えば、0.1~99.5%(より好ましくは、0.5~90%)の活性成分を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する薬学的組成物として与えられてもよい。
【0147】
導入の方法はまた、再充填可能なデバイスまたは生分解性のデバイスにより提供することもできる。近年では、タンパク質性生物製剤を含めた薬物の制御送達のために、様々な持続放出ポリマーデバイスが開発され、インビボで試験されてきた。生分解性ポリマーと非分解性ポリマーの両方を含めた、様々な生体適合性ポリマー(ハイドロゲルを含む)を使用することによって、ある特定のターゲット部位での化合物の持続性放出のための埋込物を形成することができる。
【0148】
薬学的組成物中の活性成分の実際の投与量レベルを変化させることによって、ある特定の患者に対して有毒であることなく、上記特定の患者、組成物、および投与モードに対して所望の治療応答を達成するのに有効な活性成分の量を得ることができる。
【0149】
選択された投与量レベルは、採用された特定の化合物もしくは化合物の組合せ、またはそのエステル、塩もしくはアミドの活性、投与経路、投与時間、採用されている特定の化合物(単数または複数)の排出速度、処置の継続時間、採用された特定の化合物(単数または複数)と組み合わせて使用される他の薬物、化合物および/または物質、処置を受けている対象の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康状態および以前の病歴、ならびに医学的技術分野において周知の同種の因子を含めた様々な因子に依存する。
【0150】
当業者である医師または獣医は、必要とされる薬学的組成物の治療有効量を容易に判定および処方することができる。例えば、医師または獣医であれば、薬学的組成物または化合物の用量を、所望の治療効果を達成するために必要とされるレベルより低いレベルから開始し、所望の効果が達成されるまで投与量を徐々に増加させることができる。「治療有効量」とは、所望の治療効果を顕在化させるのに十分な化合物の濃度を意味する。化合物の有効量は、対象の体重、性別、年齢、および病歴に従い変わることが一般的に理解されている。有効量に影響を与える他の因子として、これらに限定されないが、対象の状態の重症度、処置を受けている障害、化合物の安定性、および、所望する場合、本発明の化合物と共に投与されている別のタイプの治療剤を挙げることができる。より多い総用量を、上記剤の複数回投与により送達することができる。効力および投与量を判定する方法は、当業者に公知である(本明細書に参考として援用される、Isselbacherら(1996年)Harrison’s Principles of Internal Medicine、13版、1814~1882頁)。
【0151】
一般的に、本発明の組成物および方法において使用される活性化合物の適切な1日量は、治療効果を生じるのに有効な最も低い用量である、化合物の量となる。このような有効用量は、一般的には、上に記載されている因子に依存する。
【0152】
所望する場合、活性化合物の有効な1日量は、必要に応じて単位剤形で、1日を通して適当な間隔で別々に投与される1、2、3、4、5、もしくは6個または6個より多い分割用量として投与されてもよい。本発明の特定の実施形態では、活性化合物は、1日2回または3回投与され得る。好ましい実施形態では、活性化合物は、1日1回投与される。
【0153】
特定の実施形態では、投薬は3+3設計に従う。従来の3+3設計は、毒性が用量と共に増加するという細胞障害性薬物に対する古典的な仮定を超えた用量-毒性曲線のモデリングを必要としない。この規則ベースの設計は、3人の患者のコホートと共に進行する。第1のコホートは、動物毒物学的データからの外挿に基づき安全であると考えられる開始用量で処置し、その後のコホートは、事前に固定された、増加する用量レベルで処置する。一部の実施形態では、式(I)の化合物の3つの用量は、経口的に約100mg~約1000mg、例えば、約200mg~約800mg、例えば、約400mg~約700mg、例えば、約100mg~約400mg、例えば、約500mg~約1000mg、さらに例えば、約500mg~約600mgの範囲である。投薬は、食物と一緒に摂取してもしなくても、1日3回、または食物と一緒に摂取した場合、1日2回であることができる。特定の実施形態では、式(I)の化合物の3つの用量は、1日2回の、約400mg~約800mg、例えば、約400mg~約700mg、例えば、約500mg~約800mg、さらに例えば、約500mg~約600mgの範囲である。特定の好ましい実施形態では、約600mgより高い用量は1日2回投薬される。
【0154】
コホートの中の3人の患者のうちのいずれもが用量制限毒性を経験しなかった場合、別の3人の患者が、次により高い用量レベルで処置される。しかし、第1の3人の患者のうちの1人が用量制限毒性を経験した場合、もう3人の患者が同じ用量レベルで処置される。3~6人の患者のコホートの中の少なくとも2人の患者が用量制限毒性を経験する(すなわち、その用量レベルにおいて、用量制限毒性を有する患者の≧約33%)まで用量の段階的増大は継続する。治験II相に対して推奨される用量は、この有毒性用量レベルのほんの少し下の用量レベルとして慣例的に定義される。
【0155】
特定の実施形態では、投薬計画は、4週サイクルの3週の間、IVにより約40mg/m~約100mg/m、例えば、約50mg/m~約80mg/m、さらに例えば約70mg/m~約90mg/mなどであることができる。
【0156】
特定の実施形態では、本発明の化合物は、単独で使用してもよいし、別のタイプの治療剤と共投与してもよい。本明細書で使用する場合、「共投与(conjoint administration)」という句は、以前に投与された治療用化合物が体内で依然として有効である間に第2の化合物が投与されるような(例えば、この2種の化合物は対象の体内で同時に有効であり、それは、2種の化合物の相乗効果を含み得る)、2種もしくは2種より多い異なる治療用化合物の投与の任意の形態を指す。例えば、異なる治療用化合物は、同じ製剤または別個の製剤のいずれかで、同時にまたは逐次的にのいずれかで投与することができる。特定の実施形態では、異なる治療用化合物は、互いに1時間以内、12時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、72時間以内、または1週間以内に投与することができる。したがって、このような処置を受ける対象は、異なる治療用化合物の併用効果から恩恵を受けることができる。
【0157】
特定の実施形態では、本発明の化合物の、1種または複数種の追加の治療剤(例えば、1種または複数種の追加の化学療法剤)との共同投与は、本発明の化合物(例えば、式IまたはIaの化合物)または1種もしくは複数種の追加の治療剤のそれぞれ個々の投与と比較して、改善された効力を提供する。特定のこのような実施形態では、共同投与は相加効果を提供し、ここで、相加効果とは、本発明の化合物および1種または複数種の追加の治療剤の個々の投与の効果のそれぞれの合計を指す。
【0158】
本発明は、本発明の組成物および方法における、本発明の化合物の薬学的に許容される塩の使用を含む。特定の実施形態では、本発明の想定される塩として、これらに限定されないが、アルキルアンモニウム、ジアルキルアンモニウム、トリアルキルアンモニウムまたはテトラアルキルアンモニウムの塩が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の想定される塩として、これらに限定されないが、L-アルギニン、ベネタミン(benenthamine)、ベンザチン、ベタイン、水酸化カルシウム、コリン、デアノール、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2-(ジエチルアミノ)エタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-メチルグルカミン、ヒドラバミン、1H-イミダゾール、リチウム、L-リシン、マグネシウム、4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリン、ピペラジン、カリウム、1-(2-ヒドロキシエチル)ピロリジン、ナトリウム、トリエタノールアミン、トロメタミン、および亜鉛塩が挙げられる。特定の実施形態では、本発明の想定される塩として、これらに限定されないが、Na、Ca、K、Mg、Znまたは他の金属の塩が挙げられる。
【0159】
薬学的に許容される酸付加塩は、例えば、水、メタノール、エタノール、およびジメチルホルムアミドなどとの様々な溶媒和物として存在することもできる。このような溶媒和物の混合物もまた調製することができる。このような溶媒和物の供給源は、結晶化の溶媒由来のもの、調製もしくは結晶化の溶媒に特有のもの、またはこのような溶媒に偶発的なものであってよい。
湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムなど、ならびに着色剤、剥離剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料、保存剤ならびに抗酸化剤もまた組成物中に存在することができる。
【0160】
薬学的に許容される抗酸化剤の例として、以下が挙げられる:(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、システイン塩酸塩、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、およびアルファ-トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、およびリン酸など。
【0161】
次に本発明について概略的に記載するが、本発明のある特定の態様および実施形態を単に例示する目的で含まれるかつ本発明を限定するものではない下記の実施例を参照することによって、より容易に理解されよう。
一般合成手順
【0162】
下記の一般合成セクションで使用される化合物番号1~50は、このセクションにおいて属構造を単に指すだけであり、本出願の他の箇所に開示される化合物に適用されるものではない。本明細書に開示される化合物は、下記の反応スキームで示される方法によって作製することができる。
【0163】
これらの化合物の調製で使用される出発材料および試薬は、Aldrich Chemical Co.、Bachemなどの業者から入手可能でありまたは当技術分野で周知の方法により作製することができる。スキームは、本明細書に開示される化合物を合成することができる一部の方法の単なる例示であり、これらのスキームの様々な修正を行うことができかつ本開示を参照したPOSITAに示唆されることになる。反応の出発材料および中間体および最終生成物は、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィー、および同様のものを含むがこれらに限定されない従来の技法を使用して、望む場合には単離され精製されてもよく、物理定数およびスペクトルデータを含む従来の手段を使用して特徴付けられてもよい。
【0164】
他に指定しない限り、本明細書に開示される反応は、約-78℃~約150℃の温度範囲にわたり大気圧で行われる。
【0165】
一般スキーム
構造:
【化19】
(式中、Z、R、R、R2a、R、およびRは、発明の概要で定義された変数Z、R2a、R、およびRに類似している)
を有する式(I)の化合物は、下記のスキーム1に例示し記載されるように合成することができる。
【0166】
酢酸エステルA-1(式中、Rはアリールまたはヘテロアリール基のいずれかであり、Rはアルキル基である)を、MeCNまたはTHFなどの溶媒中、DBU、TEA、またはCsCOなどの塩基の存在下、4-アセトアミドベンゼンスルホニルアジド(A-2)などのジアゾ化試薬の処理によって、必要とされるジアゾ中間体A-3に変換する。第一級アルコールA-4(式中、R2aはHまたはOHであり、Rはアルキル基であり、Pはt-Boc、Ac、またはTBSなどの保護基であり、RおよびRはH、アルキル、アリール、アミノ、アルコキシエーテル、およびチオエーテルなどの共通の置換基である)は、報告された手順(WO2018119284およびWO2018049145)に従い調製される。得られたジアゾ中間体A-3と第一級アルコールA-4とをカップリングして、トルエン、ジクロロメタン、およびジクロロエタンなどの溶媒中、Rh(OAc)などの金属触媒によって触媒される挿入反応を介してA-5を得る。CsCO、KCO、LiHMDS、DBU、またはNaHなどの塩基の存在下、アルキルハロゲン化物、トリフレート、トシレート、またはメシレートなどの求電子剤A-6でA-5をアルキル化して、A-7を得る。Pがt-Boc基である場合について、A-7中の保護基のTFAによる除去により、中間体A-8が得られる。A-8中のエステル基は、水性媒体中、LiOH、NaOH、KOH、およびNHなどの塩基によって最終的に除去されて、所望の生成物が式(I)で得られる。
スキーム1
【化20】
【0167】
当業者であれば、出発材料および反応条件が変更され、反応の順序を変え、そして追加のステップを用いて、以下の実施例により実証されるように本発明により包含される化合物を生成してもよいことが理解されよう。一部の場合には、ある特定の反応性官能基の保護が、上記変換のいくつかを実現するのに必要であってもよい。一般に、そのような保護基の必要性ならびにそのような基の結合および除去に必要な条件は、経験ある有機化学者に明らかにされよう。特許を含む、本出願で述べる全ての論文および参考文献の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0168】
本発明の化合物の調製を、以下の実施例によってさらに例示するが、これらは本発明の範囲または趣旨をそれらに記載される特定の手順および化合物に限定すると解釈されるべきではない。
合成実施例
(実施例1)
3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化21】
ステップ1:
【0169】
2-(チアゾール-4-イル)酢酸メチル(1.84g、11.7mmol)のCHCN(15mL)中の溶液に、0℃で、CHCN(10mL)中のDBU(2.62ml、17.6mmol)および4-アセトアミジベンゼンスルホニルアジド(3.4g、14.1mmol)を添加した。反応混合物を25℃で1.5時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮乾固した。得られた粗製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)酢酸メチル(2.0g)を得た。
ステップ2:
【0170】
tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメート(1.0g、1.42mmol)のトルエン(10mL)中の溶液に、2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)酢酸メチル(365mg、1.85mmol)およびRh(OAc)(63mg、0.14mmol)をアルゴン雰囲気下で添加した。得られた混合物を70℃で1.5時間撹拌し、その後、室温に冷ました。有機揮発性物質を減圧下で除去した。得られた粗製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、メチル2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラ-ヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)アセテートのジアステレオマー混合物(約1:1)を得た。
ステップ3:
【0171】
エチル2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)アセテートのジアステレオマー混合物(約1:1)(458mg、0.526mmol)のDMF(2mL)中の溶液に、25℃で、CsCO(145mg、0.446mmol)を添加した。反応混合物を30分間撹拌し、その後、4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニル(260mg、1.051mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、その後、HO(20mL)で希釈して、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をHO(2×40mL)、ブラインでさらに洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。得られた粗製物を、フラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~50%のEtOAc)により精製して、メチル3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエートのジアステレオマー混合物(約1:1)を得た。
ステップ4:
【0172】
メチル3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラ-ヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエートのジアステレオマー混合物(約1:1)(190mg、0.183mmol)のCHCl(2mL)中の溶液に、0℃で、TFA(2mL)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮した。残渣を減圧下でCHCl(3×5mL)で共沸混合させて、粗製メチル3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエートを得た。
ステップ5:
【0173】
粗製メチル3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエートのジアステレオマー混合物(約1:1)のTHF(2mL)およびHO(2mL)中の溶液に、0℃で、LiOH一水和物(150mg)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌し、その後、0℃に冷却し、1N HCl水溶液でpHを約6に酸性化し、減圧下で濃縮した。粗残渣を、分取逆相HPLCにより精製して、3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸のジアステレオマー混合物(約1:1)を白色の固体として得た。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.05-9.07 (m, 1H), 8.46 (s, 0.5H), 8.25(s, 0.5H), 7.71-7.75 (m, 1H), 7.22-7.58 (m, 9H), 6.00-6.02 (d, J = 5.4Hz, 0.5H) 5.93-5.95 (d, J = 5.91 Hz, 0.5H), 4.73-4.76 (t, J =5.34, 5.16 Hz, 0.5H), 4.66-4.70 (t, J = 5.19, 5.49 Hz, 0.5H), 4.36-4.40(q, J = 3.93, 4.26, 3.3 Hz, 1H), 4.18-4.23 (m, 1H), 3.66-3.93 (m, 3H),3.48-3.54 (m, 1H);LC/MS[M+H]=609.1.
(実施例2および3)
4’-((S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸および4’-((R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸の合成
【化22】
【0174】
上記実施例1で記載したように進行させるが、4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをエチル4’-(ブロモメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキシレートで置き換えて、その立体配置が任意に割り当てられる一対のジアステレオマー生成物(約1:1)を得た。両方の生成物を、分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
【0175】
4’-((S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.060-9.064 (d, J = 1.38 Hz, 1H),8.22 (s, 1H), 8.01-8.04 (d, J = 8.13 Hz, 2H), 7.713-7.718 (d, J =1.44 Hz, 1H), 7.58-7.61 (d, J = 8.25 Hz, 2H), 7.45-7.47 (d, J =7.95 Hz, 2H), 7.27-7.30 (d, J = 8.04 Hz, 2H), 5.93-5.95 (d, J =5.79 Hz, 1H), 4.66-4.69 (t, J = 4.77, 5.43 Hz, 1H), 4.37-4.39 (t, J =4.02, 4.26 Hz, 1H), 4.19-4.20 (m, 1H), 3.67-3.87 (m, 3H), 3.49-3.53 (m, 1H);LC/MS[M+H]=653.
【0176】
4’-((R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.08 (s, 1H), 8.48 (s, 1H), 7.98-8.01 (m,2H), 7.78 (s, 1H), 7.27-7.52 (m, 6H), 6.00-6.02 (m, 1H), 4.72-4.76 (m, 1H),4.39-4.40 (m, 1H), 4.23-4.25 (m, 1H), 3.69-3.96 (m, 3H), 3.48-3.51 (m, 1H);LC/MS[M+H]=653.
(実施例4および5)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(シアノメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(シアノメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化23】
ステップ1:
【0177】
メチル2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシ-カルボニル)オキシ)テトラ-ヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)アセテートのジアステレオマー混合物(約1:1)(2g、2.33mmol、1当量)のDMF(6mL)中の溶液に、25℃で、CsCO(1.52g、4.67mmol、2当量)および臭化4-ヨードベンジル(1.39g、4.67mmol、2当量)を添加した。得られた混合物を4時間撹拌し、その後、HO(25mL)で希釈し、EtOAc(30mL)で抽出した。有機層をHO(20mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。粗残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、メチル2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-ヨードフェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエート(2.45g)のジアステレオマー混合物(約1:1)を得た。
ステップ2:
【0178】
メチル2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-ヨードフェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエートのジアステレオマー混合物(約1:1)(200mg、0.186mmol)および2-シアノメチルフェニルボロン酸,ピナコールエステル(91mg、0.373mmol)のジオキサン(2mL)中の溶液に、KCO(129mg、0.932mmol)、Pd(dppf)Cl・CHCl(15mg、0.0186mmol)およびHO(0.7ml)を添加した。混合物を、アルゴンを5分間通気することによって脱気し、次いでマイクロ波反応器内で、110℃で25分間照射した。次いで反応混合物を25℃に冷却し、その後、HOで希釈し、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、次いで減圧下で濃縮した。得られた粗残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~50%のEtOAc)によって精製して、メチル2-(((2R,3R,4R,5R)-5-(6-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(シアノメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパノエートの一対のジアステレオマー(約1:1)を得た。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(シアノメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.05-9.06 (d, J = 1.86 Hz, 1H),8.26 (s, 1H), 7.69-7.70 (d, J = 1.86 Hz, 1H), 7.11-7.49 (m, 8H),5.94-5.96 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 4.63-4.67 (t, J = 5.31 Hz, 1H),4.35-4.38 (m, 1H), 4.19-4.22 (m, 1H), 3.82-3.87 (m, 2H), 3.52-3.75 (m, 4H);LC/MS[M+H]=648.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(シアノメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.066-9.069 (d, J = 1.05 Hz, 1H), 8.46 (s,1H), 7.75-7.76 (d, J = 1.47 Hz, 1H), 7.05-7.48 (m, 8H), 5.99-6.01 (d, J= 5.31 Hz, 1H), 4.70-4.73 (t, J = 5.16 Hz, 1H), 4.37-4.39 (t, J =4.26 Hz, 1H), 4.22-4.23 (m, 1H), 3.55-3.92 (m, 6H);LC/MS[M+H]=648.
(実施例6および7)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(カルボキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(カルボキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化24】
【0179】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルを、2-(2-ボロノフェニル)酢酸で置き換えたことにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものである。両方の生成物を、分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(カルボキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.03 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 7.05-7.28(m, 8H), 5.95-5.96 (d, J = 3.03 Hz, 1H), 4.67 (m, 1H), 4.38 (m, 1H),4.22 (m, 1H), 3.46-3.89 (m, 6H);LC/MS[M+H]=667.1.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(カルボキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.05-9.06 (d, J = 1.68 Hz, 1H), 8.50 (s, 1H),7.73-7.74 (d, J = 1.71 Hz, 1H), 7.05-7.29 (m, 8H), 5.99-6.01 (d, J =5.46 Hz, 1H), 4.74-4.77 (t, J = 4.95, 5.22 Hz, 1H), 4.36-4.39 (t, J =3.69, 4.47 Hz, 1H), 4.22-4.23 (m, 1H), 3.49-3.92 (m, 6H);LC/MS[M+H]=667.1.
(実施例8および9)
(S)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化25】
【0180】
上記実施例1で記載されたように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートで置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を、分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
(S)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.05 (s, 1H), 8.14 (s, 1H), 7.68 (s, 1H),7.49-7.51 (d, J = 7.71 Hz, 2H), 7.18-7.41 (m, 7H), 6.35-6.42 (dd, J =4.71, 15.3, 4.2 Hz, 1H), 5.03-5.23 (dt, J = 2.88, 51.96, 3.15 Hz, 1H),4.63-4.71 (dt, J = 3.75, 17.61, 3.6 Hz, 1H), 4.09-4.16 (m, 1H),3.92-3.97 (m, 1H), 3.60-3.84 (m, 3H);LC/MS[M+H]=611.1.
(R)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.04 (s, 1H), 8.35 (s, 1H), 8.27 (s, 1H),7.71 (s, 1H), 7.25-7.43 (m, 8H), 6.36-6.41 (dd, J = 4.74, 11.85 Hz, 1H),5.06-5.27 (dt, J = 4.32, 52.53 Hz, 1H), 4.66-4.76 (dt, J = 9.27,23.1 Hz, 1H), 4.05-4.10 (m, 1H), 3.66-3.81 (m, 4H);LC/MS[M+H]=611.1.
(実施例10および11)
4’-((S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸および4’-((R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸の合成
【化26】
【0181】
上記実施例1に記載されたように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシルメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよびエチル4’-(ブロモメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボキシレートで置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
4’-((S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.05-9.06 (d, J = 1.89 Hz, 1H), 8.03-8.11 (m,3H), 7.61-7.68 (m, 3H), 7.44-7.47 (d, J = 8.16 Hz, 2H), 7.22-7.25 (d, J= 8.28 Hz, 2H), 6.35-6.42 (dd, J = 4.35, 15.27 Hz, 1H), 5.03-5.23(dt, J = 3.18, 52.77 Hz, 1H), 4.63-4.71 (dt, J = 3.78, 17.79 Hz,1H), 4.12-4.16 (q, J = 4.47, 4.41 Hz, 1H), 3.94-3.99 (m, 1H), 3.62-3.84(m, 3H);LC/MS[M+H]=655.1.
4’-((R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-カルボン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.07 (s, 1H), 8.34 (s, 1H), 8.00-8.03 (d, J =8.4 Hz, 2H), 7.76 (s, 1H), 7.50-7.52 (d, J = 8.19 Hz, 2H), 7.28-7.38 (q,J = 8.01, 22.1 Hz, 4H), 6.38-6.43 (dd, J = 4.77, 11.43 Hz, 1H),5.05-5.28 (dt, J = 4.14, 52.71 Hz, 1H), 4.67-4.78 (m, 1H), 4.08-4.11 (m,1H), 3.66-3.87 (m, 4H);LC/MS[M+H]=655.1.
(実施例12)
2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-シアノ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化27】
【0182】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4’-(ブロモメチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボニトリルで置き換えることにより、表題化合物が、ジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.06 (m, 1H), 8.32 (s, 0.5H), 8.11(s, 0.5H), 7.62-7.79 (m, 3H), 7.25-7.50 (m, 6H), 6.35-6.43 (m, 1H), 5.03-5.26(m, 1H), 4.62-4.76 (m, 1H), 4.09-4.17 (m, 1H), 3.65-4.00 (m, 4H);LC/MS[M+H]=636.1.
(実施例13)
4’-(2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸の合成
【化28】
【0183】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよびメチル4’-(ブロモメチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボキシレートで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.03-9.05 (m, 1H), 8.343-8.347 (d, J =1.41 Hz, 0.5H), 8.17-8.18 (d, J = 1.86 Hz, 0.5H), 7.52-7.76 (m, 2H),7.07-7.50 (m, 7H), 6.36-6.44 (m, 1H), 5.02-5.26 (m, 1H), 4.61-4.72 (m, 1H),4.09-4.16 (m, 1H), 3.61-3.97 (m, 4H);LC/MS[M+H]=655.1.
(実施例14)
2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)酢酸の合成
【化29】
【0184】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートで置き換え、かつ4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルによるアルキル化を行わないことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.020-9.024 (m, 1H), 8.35-8.44 (d, J =28.26 Hz, 1H), 7.68-7.72 (dd, J = 1.86, 10.53 Hz, 1H),6.39-6.45 (dd, J = 4.5, 12.81 Hz, 1H), 5.36 (s, 1H), 5.08-5.29 (m, 1H),4.60-4.69 (m, 1H), 4.10-4.17 (m, 1H), 3.78-4.00 (m, 2H);LC/MS[M+H]=445.0.
(実施例15および16)
4-((S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)安息香酸および4-((R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)安息香酸の合成
【化30】
【0185】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよびメチル4-(ブロモメチル)ベンゾエートで置き換えたことにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
4-((S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)安息香酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.04-9.05 (d, J = 1.89 Hz, 1H), 8.09-8.10 (d,J = 1.89 Hz, 1H), 7.79-7.81 (d, J = 8.19 Hz, 2H), 7.64-7.65 (d, J= 1.95 Hz, 1H), 7.21-7.24 (d, J = 8.16 Hz, 2H), 6.35-6.42 (dd, J =4.17, 15.72 Hz, 1H), 5.02-5.21 (dt, J = 3.36, 52.2 Hz, 1H), 4.59-4.67(dt, J = 3.75, 16.86 Hz, 1H), 4.09-4.16 (m, 1H), 3.92-3.97 (m, 1H), 3.62-3.85(m, 3H);LC/MS[M+H]=579.0.
4-((R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)安息香酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.05 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 7.69-7.75 (m, 3H),7.25-7.27 (d, J = 8.16 Hz, 2H), 6.38-6.44 (dd, J = 4.35, 13.35Hz, 1H), 5.05-5.25 (dt, J = 4.11, 52.71 Hz, 1H), 4.64-4.73 (dt, J =4.29, 18 Hz, 1H), 4.07-4.12 (m, 1H), 3.62-3.86 (m, 4H);LC/MS[M+H]=579.1.
(実施例17)
3-(2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)安息香酸の合成
【化31】
【0186】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよびメチル3-(ブロモメチル)ベンゾエートに置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.04-9.06 (m, 1H), 8.291-8.296 (d, J= 1.41 Hz, 0.4H), 8.10-8.11 (d, J = 1.86 Hz, 0.6H), 7.63-7.85 (m, 3H),7.17-7.42 (m, 2H), 6.35-6.43 (m, 1H), 5.01-5.25 (m, 1H), 4.60-4.76 (m, 1H),4.08-4.16 (m, 1H), 3.62-3.97 (m, 4H);LC/MS[M+H]=579.1.
(実施例18)
2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(カルボキシメチル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化32】
【0187】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび22-(2-ボロノフェニル)酢酸で置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.04 (s, 1H), 8.35 (s, 0.5H), 8.13 (s,0.5H), 7.64-7.72 (m, 1H), 7.05-7.30 (m, 8H), 6.35-6.41 (m, 1H), 5.02-5.25 (m,1H), 4.62-4.73 (m, 1H), 4.10-4.17 (m, 1H), 3.62-3.84 (m, 4H), 3.47-3.49 (d, J= 5.37 Hz, 2H);LC/MS[M+H]=669.1.
(実施例19および20)
(S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-メトキシピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-メトキシピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化33】
【0188】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)-オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび(2-メトキシピリジン-3-イル)ボロン酸で置き換えたことにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-メトキシピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.051-9.058 (d, J = 2.01 Hz, 1H), 8.05-8.10(m, 2H), 7.68-7.69 (d, J = 1.98 Hz, 1H), 7.58-7.61 (dd, J = 1.89,7.29 Hz, 1H), 7.32-7.35 (d, J = 8.31 Hz, 2H), 7.16-7.19 (d, J =8.25 Hz, 2H), 6.96-7.00 (m, 1H), 6.35-6.41 (dd, J = 3.99, 14.97 Hz, 1H),5.03-5.22 (dt, J = 3.21, 52.83 Hz, 1H), 4.62-4.70 (m, 1H), 4.11-4.15 (q,J = 4.35 Hz, 1H), 3.60-3.96 (m, 7H);LC/MS[M+H]=642.1.
(R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-メトキシピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.061-9.067 (d, J = 1.92 Hz, 1H), 8.34 (s,1H), 8.01-8.03 (dd, J = 1.92, 5.01 Hz, 1H), 7.75-7.76 (d, J =1.92 Hz, 1H), 7.45-7.48 (dd, J = 1.92, 7.38 Hz, 1H), 7.22-7.29 (q, J =8.34, 4.29 Hz, 4H), 6.90-6.94 (m, 1H), 6.38-6.43 (dd, J = 4.47, 11.52Hz, 1H), 5.07-5.28 (dt, J = 4.41, 52.56 Hz, 1H), 4.67-4.77 (dt, J =4.74, 18.36 Hz, 1H), 4.08-4.11 (q, J = 3.72, 5.1 Hz, 1H), 3.64-3.87 (m,7H);LC/MS[M+H]=642.1.
(実施例21および22)
(S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化34】
【0189】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルをtert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)-オキシ)-3-フルオロ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)ボロン酸で置き換えたことにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものである。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.04-9.05 (d, J = 2.01 Hz, 1H), 8.13-8.14 (d,J = 1.95 Hz, 1H), 7.66-7.67 (d, J = 1.98 Hz, 1H), 7.59-7.62 (dd, J= 2.01, 7.05 Hz, 1H), 7.45-7.48 (d, J = 8.19 Hz, 2H), 7.36-7.39 (dd,J = 1.98, 6.36 Hz, 1H), 7.16-7.19 (d, J = 8.25 Hz, 2H), 6.35-6.47(m, 2H), 5.02-5.21 (dt, J = 3.54, 52.38 Hz, 1H), 4.60-4.68 (dt, J =3.6, 18.06 Hz, 1H), 4.10-4.15 (q, J = 4.89 Hz, 1H), 3.60-3.95 (m, 4H);LC/MS[M+H]=628.0.
(R)-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-3-(4-(2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-イル)フェニル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.04-9.05 (d, J = 1.95 Hz, 1H), 8.321-8.326(d, J = 1.53 Hz, 1H), 7.71-7.72 (d, J = 1.98 Hz, 1H), 7.50-7.53(dd, J = 1.95, 6.96 Hz, 1H), 7.33-7.42 (m, 3H), 7.20-7.23 (d, J =8.22 Hz, 2H), 6.37-6.44 (m, 2H), 5.05-5.25 (dt, J = 4.53, 52.5 Hz, 1H),4.64-4.73 (dt, J = 9.15, 13.29 Hz, 1H), 4.06-4.10 (q, J = 3.81,4.74 Hz, 2H), 3.63-3.83 (m, 3H);LC/MS[M+H]=628.0.
(実施例23)
2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化35】
ステップ1:
【0190】
既に記載された手順(WO2018049145およびWO2018119284)に従い調製された(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-オール(377mg、1.045mmol)のDMF(2mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下0℃で、イミダゾール(179mg、2.62mmol)を添加し、その後、TBDPSCl(312uL、1.2mmol)を添加した。反応混合物を0℃で2時間撹拌し、次いで室温まで温め、18時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をHO(10mL)で希釈し、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をさらにHO(30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-フルオロテトラ-ヒドロフラン-3-オール(650mg)を得た。
ステップ2:
【0191】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-2-(((tert-ブチル-ジフェニルシリル)オキシ)メチル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-オール(650mg、1.085mmol)の乾燥DMF(5mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下0℃で、EtN(166uL、1.193mmol)、4-DMAP(22mg、0.1807mmol)を添加し、その後、BocO(249mg、1.139mmol)を乾燥DMF(1mL)に溶かした溶液を滴下により添加した。反応混合物を1時間、0℃で撹拌し、次いで25℃で18時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)-メチル)-4-フルオロテトラヒドロ-フラン-3-イルtert-ブチルカーボネート(600mg)を得た。
ステップ3:
【0192】
(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-2-(((tert-ブチルジフェニル-シリル)オキシ)-メチル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-イルtert-ブチルカーボネート(600mg、0.858mmol)を乾燥THF(10mL)に溶かした溶液に、TBAFの溶液(1.3mL、1.287mmol、THF中1M)を滴下により添加した。反応混合物を18時間撹拌し、その後、蒸発乾固させた。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-3-イルtert-ブチルカーボネート(301mg)を得た。
ステップ4:
【0193】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートを(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラ-ヒドロフラン-3-イルtert-ブチルカーボネートで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.03-9.04 (d, J = 1.68 Hz, 1H),8.45-8.46 (d, J = 1.74 Hz, 0.5H), 8.30-8.31 (d, J = 1.8 Hz,0.5H), 7.63-7.66 (dd, J = 1.98, 7.44 Hz, 1H), 7.08-7.16 (m, 5H),6.44-6.52 (dt, J = 3.9, 14.88 Hz, 1H), 5.06-5.26 (m, 1H), 4.79-4.59 (m,3H), 4.10-4.17 (m, 1H), 3.55-3.93 (m, 4H), 1.83-1.92 (m, 2H), 1.50-1.62 (m,2H), 1.00-1.05 (t, J = 7.35 Hz, 3H);LC/MS[M+H]=592
(実施例24)
2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(2-クロロ-6-(プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化36】
ステップ1:
【0194】
((2R,3R,4S,5R)-3-(ベンゾイルオキシ)-5-(2,6-ジクロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-2-イル)メチルベンゾエート(5.00g、0.94mmol、1当量)およびプロピルアミン(4.44g、75.28mmol、8当量)のMeOH(50mL)中の混合物を、25℃で5時間撹拌し、その後、濃縮した。粗製物を、1N LiOH水溶液(20mL)およびTHF(10ml)の混合物に溶解した。混合物を1時間撹拌し、その後、有機揮発性物質を除去した。水層を0℃に冷却し、2N HCl水溶液で約6のpHに酸性化した。沈殿物を吸引濾過により収集し、乾燥して、粗製(2R,3R,4S,5R)-5-(2-クロロ-6-(プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-オール(1.20g)を得た。
ステップ2:
【0195】
粗製(2R,3R,4S,5R)-5-(2-クロロ-6-(プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-3-オール(1.20g、3.47mmol、1当量)のDMF(8mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下0℃で、イミダゾール(709mg、10.41mmol、3当量)およびTBDPSCl(1.08mL、4.16mmol、1.2当量)を添加した。反応混合物を25℃で5時間撹拌し、その後、HO(10mL)で希釈し、EtOAc(100mL)で抽出した。有機層をさらにHO(2×30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗残渣を、シリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10~80%のEtOAc)により精製して、(2R,3R,4S,5R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-5-(2-クロロ-6-(プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-オール(780mg)を得た。
ステップ3:
【0196】
(2R,3R,4S,5R)-2-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-5-(2-クロロ-6-(プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロテトラヒドロフラン-3-オール(700mg、1.20mmol、1当量)の乾燥THF(5mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下0℃で、EtN(668uL、4.79mmol、4当量)、4-DMAP(60mg)、およびBocO(1.05mg、4.79mmol)を添加した。反応混合物を25℃で4時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10~40%のEtOAc)により精製して、tert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロフラン-2-イル)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)(プロピル)カルバメート(780mg)を得た。
ステップ4:
【0197】
tert-ブチル(9-((2R,3S,4R,5R)-4-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(((tert-ブチルジフェニルシリル)オキシ)メチル)-3-フルオロテトラヒドロフラン-2-イル)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)(プロピル)カルバメート(700mg、0.99mmol、1当量)を乾燥THF(10mL)に溶かした溶液に、25℃で、TBAFの溶液(2.0mL、1.98mmol、THF中1M)を滴下により添加した。反応混合物を4時間撹拌し、その後、水(10mL)およびEtOAc(40mL)で希釈した。有機層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10~50%のEtOAc)により精製して、(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-3-イルtert-ブチルカーボネート(301mg)を得た。
ステップ5:
【0198】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートを(2R,3R,4S,5R)-5-(6-ブトキシ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-2-(ヒドロキシメチル)-テトラヒドロフラン-3-イルtert-ブチルカーボネートで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.02-9.03 (d, J = 1.92 Hz, 1H),8.03-8.19 (m, 1H), 7.61-7.64 (dd, J = 1.89, 6.39 Hz, 1H), 7.10-7.15 (m,5H), 6.33-6.41 (dt, J = 4.11, 2.4, 3.81, 14.88 Hz, 1H), 4.99-5.22 (m,1H), 4.63-4.69 (m, 1H), 4.08-4.13 (m, 1H), 3.52-3.88 (m, 6H), 1.64-1.76 (m,2H), 0.99-1.04 (t, J = 7.47 Hz, 3H);LC/MS[M+H]=577.0.
(実施例25)
4’-(2-カルボキシ-2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(2-クロロ-6-(プロピルアミノ)-9H-プリン-9-イル)-4-フルオロ-3-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸の合成
【化37】
【0199】
上記実施例1に記載したように進行させるが、tert-ブチル(9-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ビス((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをメチル2-(((2R,3R,4S,5R)-5-(6-((tert-ブトキシカルボニル)-(プロピル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3-((tert-ブトキシカルボニル)オキシ)-4-フルオロテトラヒドロ-フラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)アセテートおよびメチル4’-(ブロモメチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボキシレートで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (MeOD, 300 MHz) δ 9.03 (s, 1H), 8.08-8.25 (d, J =51.09 Hz, 1H), 7.09-7.76 (m, 9H), 6.34-6.42 (dt, J = 4.35, 3.66, 5.97,15.48 Hz, 1H), 4.99-5.24 (m, 1H), 4.62-4.68 (m, 1H), 4.10-4.14 (m, 1H),3.50-3.97 (m, 6H), 1.64-1.71 (m, 2H), 0.97-1.02 (t, J = 7.23 Hz, 3H);LC/MS[M+H]=697.1.
(実施例26)
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化38】
ステップ1:
【0200】
エチル2-(チアゾール-4-イル)アセテート(2.00g、11.7mmol)のCHCN(15mL)中の溶液に、0℃で、CHCN(10mL)中のDBU(2.62ml、17.6mmol)および4-アセトアミジベンゼンスルホニラジド(3.4g、14.1mmol)を添加した。反応混合物を25℃で1.5時間撹拌し、減圧下で濃縮して乾固した。得られた粗製物を、シリガゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、エチル2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)アセテート(2.0g)を得た。
ステップ2~5:
【0201】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)アセテートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをエチル2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)アセテートおよびBnBrに置き換えたことによって、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz):異性体1: δ 9.04-9.06 (m,1H), 8.40 (s, 1H),7.68-7.71 (m, 1H), 7.06-7.19 (m, 5H), 5.99 (d, J=5.76Hz, 1H), 4.75 (t, J=5.31 Hz, 1H), 4.30-4.37 (m, 1H), 4.16-4.22 (m, 1H),3.49-3.86 (m, 4H);異性体2: δ 9.02-9.04 (m, 1H), 8.29 (s, 1H),7.64-7.67 (m, 1H),7.06-7.19 (m, 5H), 5.95 (d, J=5.67 Hz, 1H), 4.69 (t, J=5.40 Hz,1H), 4.16-4.22 (m, 1H), 4.30-4.37 (m, 1H), 3.49-3.86 (m, 4H);LC/MS[M+H]=533.2.
(実施例27)
3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-クロロチアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化39】
ステップ1:
【0202】
エチル2-(2-クロロチアゾール-4-イル)アセテート(2.40g、11.7mmol)のCHCN(15mL)中の溶液に、0℃で、CHCN(10mL)中のDBU(2.62ml、17.6mmol)および4-アセトアミジベンゼンスルホニラジド(3.4g、14.1mmol)を添加した。反応混合物を25℃で1.5時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮して乾固した。得られた粗製物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中0~40%のEtOAc)により精製して、エチル2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)アセテート(2.0g)を得た。
ステップ2~5:
【0203】
上記実施例26に記載したように進行させるが、エチル2-ジアゾ-2-(チアゾール-4-イル)アセテートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルをエチル2-(2-クロロチアゾール-4-イル)-2-ジアゾアセテートおよび4-(ブロモメチル)-1,1’-ビフェニルで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、オフホワイト色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz):異性体1: δ 8.46 (s, 1H),7.60 (s, 1H), 7.18-7.51 (m, 9H), 5.96 (d, J=5.79 Hz, 1H), 4.75 (t, J=5.19Hz, 1H), 4.35-4.39 (m, 1H), 4.20-4.24 (m, 1H), 3.85 (dd, J=10.17, 2.88Hz, 1H), 3.55-3.75 (m, 3H);異性体2: δ 8.26 (s, 1H),7.63 (s, 1H), 7.18-7.51 (m, 9H), 6.02 (d, J=5.52 Hz, 1H), 4.69 (t, J=5.30Hz, 1H), 4.39-4.43 (m, 1H), 4.24-4.28 (m, 1H), 3.91 (dd, J=10.39, 2.85Hz, 1H), 3.55-3.75 (m, 3H);LC/MS[M+H]=643.1.
(実施例28および29)
(S)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化40】
【0204】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをエチル2-(2-メチルチアゾール-4-イル)アセテートで置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、白色固体として単離した。
(S)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 8.29 (s, 1H), 7.22-7.53 (m, 10H), 5.95(d, J=5.88 Hz, 1H), 4.68-4.73 (m, 1H), 4.36 (dd, J=4.83, 3.09 Hz,1H), 4.18-4.23 (m, 1H), 3.79 (dd, J= 10.24, 3.03 Hz, 1H), 3.76 (d, J =14.08 Hz, 1H), 3.64 (d, J = 14.10 Hz, 1H), 3.55 (dd, J = 10.19, 3.29 Hz, 1H),4.73 (s, 3H);LC/MS[M+H]=623.2.
(R)-3-([1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-メチルチアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 8.49 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.22-7.49 (m,9H), 6.01 (d, J=5.37 Hz, 1H), 4.73 (t, J=5.09 Hz, 1H), 4.37-4.42(m, 1H), 4.21-4.26 (m, 1H), 3.92 (dd, J=10.40, 2.71 Hz, 1H), 3.78 (d, J=14.32Hz, 1H), 3.65 (d, J=14.20 Hz, 1H), 3.53 (dd, J=10.38, 2.49 Hz,1H), 2.75 (s, 3H);LC/MS[M+H]=623.2.
(実施例30および31)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸の合成
【化41】
ステップ1:
【0205】
エチル2-(2-アミノチアゾール-4-イル)アセテート(1.5g、8.06mmol)の乾燥DCM(40mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下25℃で、4-DMAP(110mg、0.9mmol)およびジ-tert-ブチルジカーボネート(4.574g、20.96mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、その後、濃縮した。粗残渣を、シリカゲルでのCombiFlash(登録商標)クロマトグラフィー(ヘキサン中10~68%のEtOAc)により精製して、エチル2-(2-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシ-カルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)アセテート(2.775g)を粘性油状物として得た。
ステップ2~6:
【0206】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをエチル2-(2-N,N’-(ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)チアゾール-4-イル)アセテートと置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。これらのジアステレオマーは一対の互変異性体としても存在する。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、オフホワイト色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz):互変異性体1: δ 8.33 (s, 1 H), 7.10-7.31 (m, 5 H),6.59 (s, 1 H), 5.93 (d, J=6.06 Hz, 1 H), 4.66-4.71 (m, 1H), 4.30-4.37(m, 2 H), 3.70-3.81 (m, 1H), 3.54 (d, J=14.01 Hz, 1 H), 3.46 (d, J=14.04Hz, 1 H), 3.07 - 3.13 (m, 1 H);LC/MS[M+H]=548.1.互変異性体2:δ 8.29 (s, 1H), 7.64 (s, 1H),7.10-7.31 (m, 5H), 5.95 (d, J=5.94 Hz, 1H), 4.44-4.61 (m, 1H), 4.10-4.27(m, 2H), 3.82-3.94 (m, 1H), 3.59-3.69 (m, 1H), 3.49-3.55 (m, 2H);LC/MS[M+H]=548.1.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(2-アミノチアゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz):互変異性体1: δ 8.16 (s, 1H), 7.10-7.30 (m, 5H), 6.60(s, 1H), 5.98 (d, J=5.67 Hz, 1H), 4.69-4.75 (m, 1H), 4.38-4.44 (m, 1H),4.19-4.27 (m, 1H), 3.42-3.89 (m, 3H), 3.09 - 3.15 (m, 1H);LC/MS[M+H]=548.1.互変異性体2:δ 8.27 (s, 1H), 7.56-7.61 (m, 1H),7.10-7.30 (m, 5H), 6.60 (s, 1H), 5.95 (d, J=5.40 Hz, 1H), 4.53-4.60 (m,1H), 4.44-4.51 (m, 1H), 4.30-4.37 (m, 1H), 3.42-3.89 (m, 3H), 3.09 - 3.15 (m,1H);LC/MS[M+H]=548.1.
(実施例32)
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(1H-ピラゾール-3-イル)プロパン酸の合成
【化42】
ステップ1:
【0207】
エチル2-(1H-ピラゾール-3-イル)アセテート(500mg、3.24mmol)および塩化トリメチルシリル)エトキシメチル(0.69mL、3.89mmol)の乾燥DMF(7mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下25℃で、粉末状炭酸カリウム(896mg、6.48mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、その後、ブライン(30mL)およびEtOAc(30mL)で希釈した。有機層を分離した。水相をEtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)および水(30mL)で連続して洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、CombiFlash(登録商標)シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中8~58%のEtOAc)により精製して、エチル2-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)アセテート(259mg)を油状物として得た。
ステップ2~6:
【0208】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをエチル2-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-ピラゾール-3-イル)アセテートと置き換えることにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、オフホワイト色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz):異性体1: δ 8.40 (s, 1H),7.68 (d, J=2.10 Hz, 1H), 7.07-7.29 (m, 5H), 6.43 (d, J=2.10 Hz,1H), 6.01 (d, J=5.67 Hz, 1H), 4.77 (t, J=5.28 Hz, 1H), 4.14-4.33(m, 2H), 3.47-3.90 (m, 4H);異性体2: δ 8.39 (s, 1H),7.63 (d, J=2.16 Hz, 1H), 7.07-7.29 (m, 5H), 6.39 (d, J=2.13 Hz,1H), 5.96 (d, J=5.97 Hz, 1H), 4.66 (t, J=5.10 Hz, 1H), 4.14-4.33(m, 2H), 3.47-3.90 (m, 4H);LC/MS[M+H]=516.2.
(実施例33および34)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロパン酸の合成
【化43】
ステップ1:
【0209】
エチル2-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アセテート(500mg、3.24mmol)および塩化トリメチルシリル)エトキシメチル(0.69mL、3.89mmol)の乾燥DMF(7mL)中の溶液に、アルゴン雰囲気下25℃で、粉末状炭酸カリウム(896mg、6.48mmol)を添加した。反応混合物を一晩撹拌し、その後、HO(30mL)で希釈し、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(30mL)および水(30mL)で洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、濃縮した。残渣を、CombiFlash(登録商標)シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中8~58%のEtOAc)により精製して、エチル2-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アセテート(240mg)を油状物として得た。
ステップ2~6:
【0210】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをエチル2-(1-((2-(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)-1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アセテートで置き換えたことにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を、分取HPLCにより精製し、オフホワイト色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 8.40 (s, 1H),8.32 (s, 1 H), 7.10-7.26 (m, 5H), 5.96 (d, J=5.91 Hz, 1H), 4.63-4.69 (m,1H), 4.27-4.32 (m, 1H), 4.15-4.20 (m, 1H), 3.80 (d, J=14.20 Hz, 1H),3.73-3.79 (m, 1H), 3.63 (d, J=14.2 Hz, 1H), 3.56 (dd, J=10.16,3.29 Hz, 1H);LC/MS[M+H]=517.2.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-フェニル-2-(1H-1,2,4-トリアゾール-3-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz,) δ 8.47 (s, 1H),8.44 (s, 1H), 7.17-7.27 (m, 2H), 7.04-7.14 (m, 3H), 6.01 (d, J=5.67 Hz,1H), 4.77 (t, J=5.27 Hz, 1H), 4.34-4.39 (m, 1 H), 4.17-4.23 (m, 1H),3.88-3.96 (m, 1H), 3.81 (d, J=14.71 Hz, 1H), 3.66 (d, J=14.70 Hz,1 H), 3.44-3.52 (m, 1 H);LC/MS[M+H]=517.2.
(実施例35および36)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(オキサゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(オキサゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸の合成
【化44】
【0211】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをメチル2-(オキサゾール-4-イル)アセテートと置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、オフホワイト色の固体を単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(オキサゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 8.37 (s, 1H),8.25 (d, J=0.70 Hz, 1H), 7.97 (d, J=0.71 Hz, 1H), 7.09-7.20 (m,5H), 5.98 (d, J=5.60 Hz, 1H), 4.65 (t, J=5.31 Hz 1H), 4.37-4.41(m, 1H), 4.16-4.21 (m, 1H), 3.72 (dd, J=10.21, 2.97 Hz, 1H), 3.58 (d, J=13.50Hz, 1H), 3.51 (d, J=13.49 Hz, 1H), 3.48 (dd, J=10.13, 3.11 Hz,1H);LC/MS[M+H]=517.2.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(オキサゾール-4-イル)-3-フェニルプロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz,) δ 8.55 (s, 1H),8.26 (bs, 1H), 8.02 (bs, 1H), 7.11 (bs, 5H), 6.00 (d, J=5.43 Hz, 1H),4.71 (t, J=5.13 Hz 1H), 4.30-4.44 (m, 1H), 4.20-4.24 (m, 1H), 3.75 (dd, J=10.24,2.91 Hz, 1H), 3.48-3.62 (m, 3H);LC/MS[M+H]=517.2.
(実施例37)
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(5-メチルイソオキサゾール-3-イル)-3-フェニルプロパン酸の合成
【化45】
【0212】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをメチル2-(5-メチルイソオキサゾール-3-イル)アセテートで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、オフホワイト色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz):異性体1: δ 8.25 (s, 1H),7.14-7.22 (m, 5H), 6.46 (s, 1H), 5.95-6.01 (m, 1H), 4.66 (t, J=5.50 Hz,1H), 4.28-4.32 (m, 1H), 4.18-4.25 (m, 1H), 3.76-3.89 (m, 1H), 3.50-3.67 (m,3H), 2.28 (s, 3H);異性体2: δ 8.23 (s, 1H), 7.14-7.22 (m, 5H), 6.46 (s, 1H),5.95-6.01 (m, 1H), 4.72 (t, J=5.50 Hz, 1H), 4.33-4.38 (m, 1H), 4.18-4.25(m, 1H), 3.76-3.89 (m, 1H), 3.50-3.67 (m, 3H), 2.28 (s, 3H);LC/MS[M+H]=643.1.
(実施例38)
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(N-メチルスルファモイル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化46】
【0213】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルを(2-(N-メチルスルファモイル)フェニル)ボロン酸で置き換えることにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、オフホワイト色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz):異性体1: δ 9.04-9.08 (m, 1H),8.52 (s, 1H), 7.98-8.00 (m, 1H), 7.74 (d, J=1.98 Hz 1H), 7.49-7.63 (m,2H), 7.15-7.29 (m, 5H), 5.99 (d, J=5.31 Hz, 1H), 4.73 (t, J=5.13Hz, 1H), 4.34-4.41 (m, 1H), 4.17-4.24 (m, 1H), 3.83 (d, J=14.22 Hz, 1H),3.72 (d, J=14.17 Hz, 1H), 3.64 (dd, J=10.25, 3.07 Hz, 1H), 3.55(dd, J=10.10, 3.31 Hz, 1H), 2.28 (s, 3H).異性体2: δ 9.04-9.08 (m, 1H),8.38 (s, 1H), 8.01-8.03 (m, 1H), 7.73 (d, J=1.95 Hz 1H), 7.49-7.63 (m,2H), 7.15-7.29 (m, 5H), 5.96 (d, J=5.58 Hz, 1H), 4.66 (t, J=5.22Hz, 1H), 4.34-4.41 (m, 1H), 4.17-4.24 (m, 1H), 3.77-3.87 (m, 2H), 3.53-3.64 (m,2H), 2.29 (s, 3H),LC/MS[M+H]=702.2.
(実施例39および40)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(ヒドロキシメチル)-6’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(ヒドロキシメチル)-6’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化47】
【0214】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルを(2-(ヒドロキシメチル)-6-メトキシフェニル)ボロン酸で置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、オフホワイト色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(ヒドロキシメチル)-6’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.03 (d, J=1.92Hz 1H), 8.47 (s, 1 H), 7.68 (d, J=1.95 Hz, 1H), 7.11-7.34 (m, 4H), 7.03(d, J=8.38 Hz, 2H), 6.92 (d, J=8.14 Hz, 1H), 5.98 (d, J=5.91Hz, 1H), 4.73 (t, J=5.34 Hz, 1H), 4.29-4.33 (m, 1H), 4.18-4.24 (m, 3H),3.81 (d, J=14.14 Hz, 1H), 3.73 (d, J=14.3 Hz, 1H), 3.71-3.78 (m,1H), 3.55-3.63 (m, 1H), 3.60 (s, 3H);LC/MS[M+H]=669.2.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(ヒドロキシメチル)-6’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.05 (d, J=1.83Hz 1H), 8.54 (s, 1 H), 7.72 (d, J=1.86 Hz, 1H), 7.27-7.34 (m, 1H),7.13-7.24 (m, 3H), 6.88-7.03 (m, 3H), 6.01 (d, J=5.91 Hz, 1H), 4.81 (t, J=5.42Hz, 1H), 4.33-4.37 (m, 1H), 4.32 (d, J=13.01 Hz, 1H), 4.24 (d, J=13.18Hz, 1H), 4.19-4.24 (m, 1H), 3.82-3.88 (m, 1H), 3.81 (d, J=14.16 Hz, 1H),3.69 (d, J=14.02 Hz, 1H), 3.60 (s, 3H), 3.57-3.63 (m, 1H);LC/MS[M+H]=669.2.
(実施例41および42)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メチルスルホンアミド)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メチルスルホンアミド)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化48】
【0215】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルを(2-(メチルスルホンアミド)フェニル)ボロン酸に置き換えたことにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、オフホワイト色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メチルスルホンアミド)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.06 (d, J=1.95Hz 1H), 8.18 (s, 1 H), 7.69 (d, J=1.95 Hz, 1H), 7.49 (dd, J=7.99,1.32 Hz, 1H), 7.17-7.40 (m, 7H), 5.96 (d, J=5.58 Hz, 1H), 4.68 (t, J=5.27Hz, 1H), 4.37-4.42 (m, 1H), 4.18-4.23 (m, 1H), 3.86 (dd, J=10.16, 2.96Hz, 1H), 3.83 (d, J=14.14 Hz, 1H), 3.69 (d, J=14.08 Hz, 1H), 3.53(dd, J=10.28, 2.80 Hz, 1H), 2.70 (s, 3H);LC/MS[M+H]=702.2.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メチルスルホンアミド)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.07 (d, J=1.45Hz 1H), 8.39 (s, 1 H), 7.77 (d, J=1.46 Hz, 1H), 7.50 (dd, J=7.88,1.32 Hz, 1H), 7.17-7.39 (m, 7H), 6.01 (d, J=5.97 Hz, 1H), 4.80-4.84 (m,1H), 4.34-4.39 (m, 1H), 4.19-4.24 (m, 1H), 3.85-3.92 (m, 1H), 3.71 (d, J=14.64Hz, 1H), 3.84 (d, J=14.53 Hz, 1H), 3.48-3.55 (m, 1H), 2.72 (s, 3H);LC/MS[M+H]=702.2
(実施例43および44)
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)-3-(2’-(トリフルオロメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)プロパン酸および(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)-3-(2’-(トリフルオロメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)プロパン酸の合成
【化49】
【0216】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルを(2-(トリフルオロメトキシ)フェニル)ボロン酸で置き換えることにより、一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものであった。両方の生成物を分取HPLCにより精製し、オフホワイト色の固体として単離した。
(S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)-3-(2’-(トリフルオロメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.07 (s, 1H) , 8.45 (s, 1H), 7.72 (s,1H), 7.35-7.37 (m, 4H), 7.21-7.27 (m, 4H), 6.00-6.02 (d, J = 5 Hz, 1H),4.76 (bs, 1H), 4.40 (s, 1H), 4.23 (s, 1H), 3.72-3.89 (m, 3H), 3.60-3.64 (m,1H);LC/MS[M+H]=693.1.
(R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)-3-(2’-(トリフルオロメトキシ)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)プロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.06 (s, 1H) , 8.25 (s, 1H), 7.68 (s,1H), 7.32-7.37 (m, 4H), 7.26 (bs, 4H), 5.95-5.97 (d, J = 6 Hz, 1H), 4.67(bs, 1H), 4.40 (s, 1H), 4.21 (s, 1H), 3.70-3.89 (m, 3H), 3.56 (bs, 1H);LC/MS[M+H]=693.1.
(実施例45)
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(ジエチルカルバモイル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-(チアゾール-4-イル)プロパン酸の合成
【化50】
【0217】
上記実施例4および5に記載したように進行させるが、2-シアノメチル-フェニルボロン酸,ピナコールエステルを(2-(ジエチルカルバモイル)フェニル)ボロン酸で置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.07 (s, 1H) , 8.53-8.57 (d, J =11 Hz, 1H), 8.09 (s, 1H), 7.74 (bs, 1H), 7.20-7.47 (m, 8H), 6.00-6.01 (m, 1H),4.69-4.76 (m, 1H), 4.37 (s, 1H), 4.22 (s, 1H), 3.69-3.84 (m, 3H), 3.57-3.60 (m,2H), 3.05-3.09 (m, 2H), 2.56-2.74 (m, 1H), 0.93 (bs, 3H), 0.71 (bs, 3H);LC/MS[M+H]=708.3.
(実施例46、47および48)
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メトキシカルボニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-フェニルプロパン酸および4’-((S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-フェニルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸および4’-((R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-フェニルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸の合成
【化51】
【0218】
上記実施例1に記載したように進行させるが、2-(チアゾール-4-イル)酢酸メチルを2-フェニル酢酸エチルで置き換えたことにより、表題化合物が2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メトキシ-カルボニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-フェニルプロパン酸としておよび一対のジアステレオマーである表題の生成物(約1:1)が得られ、その立体配置は任意に割り当てられたものである:4’-((S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-フェニルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸および4’-((R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-フェニルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸。全ての表題の生成物を、分取HPLCにより精製し、白色の固体として単離した。
2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-(2’-(メトキシ-カルボニル)-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)-2-フェニルプロパン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.51 (bs, 1H), 7.73 (d, J=7.6 Hz,1H), 7.51-7.42 (m, 3H), 7.39-7.30, (m, 5H), 7.25-7.22 (m, 4H), 5.98 (d, J=5.6Hz, 1H), 4.68 (t, J=6.0 Hz, 1H), 4.18-4.15 (m, 2H), 3.86-3.67 (m, 6H),3.58-3.53 (m, 1H);LC/MS[M+H]=660.1.
4’-((S)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-フェニルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.60 (bs, 1H), 7.73 (d, J=7.0 Hz,1H), 7.57-7.20 (m, 12H), 5.99 (d, J=6.1 Hz, 1H), 4.71 (t, J=5.8Hz, 1H), 4.17 (d, J=2.2 Hz, 1H), 4.10-4.08 (m, 1H), 3.93-3.56 (m, 4H);LC/MS[M+H]=646.2.
4’-((R)-2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-フェニルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸:1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ8.52 (bs, 1H), 7.76 (d, J=6.6 Hz,1H), 7.59-7.11 (m, 12H), 6.06 (bs, 1H), 4.70 (1H, 水ピークと重なっている), 4.21 (bs, 2H), 3.95(d, J=9.9 Hz, 1H), 3.73 (bs, 2H), 3.43 (d, J=10.8 Hz, 1H);LC/MS[M+H]=646.2
(実施例49)
4’-(2-(((2R,3S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チオフェン-3-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸の合成
【化52】
【0219】
上記実施例1に記載したように進行させるが、メチル2-(チアゾール-4-イル)アセテートをエチル2-(チオフェン-3-イル)アセテートで置き換えたことにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、白色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 8.52 (s, 1H), 7.75-7.77 (d, J=7.29Hz, 1H), 7.16-7.53 (m, 10H), 6.00 (s, 1H), 4.65-4.68 (d, J=8.67 Hz, 1H),4.17-4.23 (m, 2H), 3.54-3.80 (m, 4H);LC/MS[M+H]=652.0.
(実施例50)
4’-(2-(((2S,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-ヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-カルボキシ-2-(チアゾール-4-イル)エチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボン酸の合成
【化53】
ステップ1:
【0220】
(2R,3R,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチル-ジメチルシリル)オキシ)-2-(((4-メトキシフェニル)ジフェニルメトキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-オール(1.41g、2.05mmol、1当量)のアセトニトリル(35mL)中の溶液に、ジ-(イミダゾール-1-イル)メタンチオン(876mg、4.92mmol、2.4当量)を添加した。得られた混合物を70℃に温め、5時間撹拌し、その後、濃縮乾固した。残渣を、SiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中40%のEtOAc)により精製して、O-((2R,3R,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(((4-メトキシフェニル)-ジフェニルメトキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)1H-イミダゾール-1-カーボチオエート(1.16g、71%収率)を白色の固体として得た。
ステップ2:
【0221】
O-((2R,3R,4R,5R)-5-(6-アミノ-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-2-(((4-メトキシフェニル)ジフェニルメトキシ)メチル)テトラヒドロフラン-3-イル)1H-イミダゾール-1-カーボチオエート(1.16g、1.45mmol、1当量)のトルエン(17mL)中の溶液に、AIBN(48mg、0.29mmol、0.2当量)を、アルゴン雰囲気下で添加した。反応物を110℃で加熱し、(n-Bu)SnH(468μL、1.74mmol、1.2当量)をその反応物に、慎重に滴下により添加した。反応物を110℃で1時間撹拌し、その後、飽和KF水溶液(3mL)でクエンチし、反応混合物を濃縮乾固した。反応物を、SiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中30%のEtOAc)により精製して、9-((2R,3R,5S)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((4-メトキシフェニル)ジフェニルメトキシ)-メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-クロロ-9H-プリン-6-アミン(610mg、63%収率)を白色の固体として得た。
ステップ3:
【0222】
9-((2R,3R,5S)-3-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-5-(((4-メトキシ-フェニル)ジフェニルメトキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-2-クロロ-9H-プリン-6-アミン(610mg、0.907mmol、1当量)のDMF(1.2mL)中の溶液に、4-DMAP(28mg、0.227mmol、0.25当量)およびBocO(594mg、2.72mmol、3.0当量)を添加した。得られた混合物を25℃で2時間撹拌し、その後、HO(50mL)で希釈し、EtOAc(4×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固して、粗製tert-ブチル(9-((2R,3R,5S)-3-((tert-ブチルジメチル-シリル)オキシ)-5-(((4-メトキシフェニル)ジフェニルメトキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメートを得、これをさらに精製せずに次のステップで使用した。
ステップ4:
【0223】
上記からの粗生成物のDCM(15mL)中の溶液に、0℃で、TFA(337μL、4.54mmol、5.0当量)をDCM(15mL)に溶かした溶液を、滴下により添加した。得られた混合物を25℃で6時間撹拌し、その後、TEA(2mL)でクエンチし、濃縮乾固した。残渣を、SiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中20%のEtOAc)により精製して、tert-ブチル(9-((2R,3R,5S)-3-((tert-ブチルジメチル-シリル)オキシ)-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメート(395mg、2ステップで73%収率)を白色の固体として得た。
ステップ5:
【0224】
tert-ブチル(9-((2R,3R,5S)-3-((tert-ブチルジメチル-シリル)オキシ)-5-(ヒドロキシルメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)-6-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-6-イル)カルバメート(395mg、0.658mmol、1当量)およびRh(OAc)(58mg、0.132mmol、0.2当量)のトルエン(4mL)中の溶液に、エチル2-ジアゾ-3-オキソ-3-(チアゾール-4-イル)プロパノエート(145mg、0.788mmol、1.2当量)をトルエン(1mL)に溶かした溶液を95℃で、N雰囲気下で滴下により添加した。得られた混合物を、95℃で8時間撹拌し、その後、濃縮乾固した。残渣を、SiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中20%のEtOAc)により精製して、エチル2-(((2S,4R,5R)-5-(6-(N,N’-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)アセテート(236mg、54%収率)を薄黄色のガム状物として得た。
ステップ6:
【0225】
エチル2-(((2S,4R,5R)-5-(6-(N,N’-ビス-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-2-(チアゾール-4-イル)アセテート(236mg、0.312mmol、1当量)のDMF(3.5mL)中の溶液に、CsCO(204mg、0.625mmol、2当量)を25℃で添加した。30分間撹拌した後、メチル4’-(ブロモメチル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボキシレート(191mg、0.625mmol、2当量)を反応混合物に添加した。得られた混合物を25℃で6時間撹拌し、その後、HO(10mL)で希釈し、EtOAc(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。残渣を、SiOでのフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の%EtOAc)により精製して、メチル4’-(2-(((2S,4R,5R)-5-(6-(N,N’-ビス(tert-ブトキシカルボニル)アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-エトキシ-3-オキソ-2-(チアゾール-4-カルボニル)プロピル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボキシレート(85mg、28%)を白色の固体として得た。
ステップ7~9:
【0226】
メチル4’-(2-(((2S,4R,5R)-5-(6-(N,N’-ビス(tert-ブトキシカルボニル)-アミノ)-2-クロロ-9H-プリン-9-イル)-4-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)テトラヒドロフラン-2-イル)メトキシ)-3-エトキシ-3-オキソ-2-(チアゾール-4-カルボニル)プロピル)-[1,1’-ビフェニル]-2-カルボキシレート(85mg、0.087mmol、1.0当量)をDCM(1.7mL)に溶かした溶液を、氷浴内で冷却し、その後、TFA(100μL)を滴下により添加した。反応を周囲温度に温め、14時間撹拌し、その後、濃縮乾固した。得られた油状物をTHF(0.5mL)に0℃で溶解し、その後、TBAF(173μL、0.173mmol、THF中1M、2.0当量)の溶液を滴下により添加した。反応混合物を0℃から周囲温度に、4時間にわたり撹拌し、その後、蒸発乾固した。反応油状物を、水(1.0mL)中にスラリー化し、氷浴内で冷却した。4M NaOH(200μL、0.86mmol、10.0当量)をゆっくり添加した。反応を周囲温度に温め、10時間保持した。反応混合物を、1MのHCl水溶液で2~3のpHに調節し、次いでEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して粗生成物を得、これを精製することにより、表題化合物がジアステレオマーの混合物(約1:1)として得られ、分取逆相HPLC精製によりオフホワイト色の固体として単離した。
1H NMR (CD3OD, 300 MHz) δ 9.06 (s, 1H) , 8.62 (s, 1H), 7.70-7.76(m, 2H), 7.41-7.50 (m, 3H), 7.11-7.25 (m, 5H), 5.95 (s, 1H), 4.62-4.73 (m, 2H),3.93 (bs, 2H), 3.54-3.84 (m, 3H), 2.47-2.48 (m, 1H), 2.01 (bs, 3H);LC/MS[M+H]=637.2.
(実施例51)
アッセイ1:in vitroでのCD73酵素の阻害
【0227】
溶解性CD73酵素活性の測定のため、組換え型CD73をR&D Systems、Cat.No.5795-EN-010から得た。試験化合物の段階希釈物を、反応緩衝液(25mM Tris HCl pH7.5、5mM MgCl2、50mM NaCl、0.25mM DTT、0.005% Triton X-100)中で組換え型CD73およびAMPと共にインキュベートした。最終反応容量は25μLであり、組換え型CD73およびAMPの最終濃度はそれぞれ0.5nMおよび50μMであった。反応を室温で30分間進行させてから、100μLのMalachite Green(Cell Signaling Technology、Cat.No.12776)を添加した。室温で5分後、630nmでの吸光度をマイクロプレート分光光度計で判定した。ホスフェート検量線を使用して、無機ホスフェートの濃度を判定した。
【0228】
IC50データを、以下の表2に示す。NDは、決定されなかったことを示す。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【0229】
参考としての援用
本明細書中に記述されているすべての刊行物および特許は、それぞれ個々の刊行物または特許が具体的および個々に、参考として援用されていると示されているかのように、これらの全体が参考として本明細書に援用される。矛盾する場合、本明細書中のあらゆる定義を含めて、本出願が優先されるものとする。
【0230】
均等物
本発明の具体的な実施形態が論じられているが、上記明細書は例証となるものであり、限定するものではない。本発明の多くの変化形が、本明細書および以下の特許請求の範囲を再検討した際に当業者には明らかとなろう。同等物の全範囲と共に特許請求の範囲を参照し、そしてこのような変化形と共に明細書を参照して、本発明の全範囲が判定されるべきである。

【国際調査報告】