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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】補綴カバー
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/78 20060101AFI20220818BHJP
【FI】
A61F2/78
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575433
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 EP2020067024
(87)【国際公開番号】W WO2020254529
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1950750-8
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515261974
【氏名又は名称】セー・リンデエクステンド・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・リンデ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097BB02
4C097BB09
4C097CC02
4C097CC08
4C097DD12
4C097EE13
4C097MM04
4C097TB20
(57)【要約】
本開示は、切断断端を覆うためのチューブ状のカバーであって、前記切断断端を導入するための少なくとも1つの開放端を有し、チューブの形をした弾性布地材料と、切断断端に接触するように配置された摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料とを備え、好ましくは、水分吸収および/または水分移送材料は水分吸収材料である、チューブ状のカバーに関する。本開示は、本開示によるカバーと、補綴ソケットの上縁部と前記カバーによって覆われた切断断端との間にシールを形成するように構成されたスリーブとを備えるキットにも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断断端(1)を覆うためのチューブ状のカバー(10、20、30、40、50、60、70)であって、前記カバーは、前記切断断端(1)を導入するための少なくとも1つの開放端(11、21、31、41、51、61、71)を有し、
前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)は、
チューブの形をした弾性布地材料(13)と、
前記切断断端(1)に接触するように配置された摩擦増大材料(14)と、
水分吸収および/または水分移送材料(16)と、
を備え、好ましくは、前記水分吸収および/または水分移送材料(16)は水分吸収材料である、チューブ状のカバー(10、20、30、40、50、60、70)。
【請求項2】
前記カバーは、空気不透過性材料(17)をさらに含む、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記カバーは、2つの開放端(51、51)を有する、請求項1または2に記載のカバー。
【請求項4】
前記カバーは、前記切断断端を導入するための1つの開放端(11、21、31、41、51、61、71)と、前記開放端(11、21、31、41、51、61、71)の反対側の1つの閉鎖端(12、22、32、42、62、72)と、を有する、請求項1または2に記載のカバー。
【請求項5】
前記弾性布地材料(13)、前記水分吸収および/または水分移送材料(16)、前記摩擦増大材料(14)、および気密材料(17)が存在する場合、前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)を形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層間に分布される、請求項1から4のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項6】
前記弾性布地材料(13)、前記摩擦増大材料(14)、前記水分吸収および/または水分移送材料(16)、および空気不透過性材料(17)が存在する場合、そのうちの2つ、3つ、または4つが同じ材料に組み込まれる、請求項1から5のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項7】
前記摩擦増大材料(14)が前記弾性布地材料(13)に組み込まれる、請求項1から6のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項8】
前記水分吸収および/または水分移送材料(16)が前記弾性布地材料(13)に組み込まれる、請求項1から7のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項9】
空気不透過性材料(17)が前記水分吸収および/または水分移送材料(16)に組み込まれるか、または前記水分吸収および/または水分移送材料(16)が気密材料(17)と同じ材料である、請求項2から8のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項10】
前記弾性布地材料(13)は、布地、織物、シリコーン糸で作られたシリコーン織布材料などの織布材料、または不織布材料である、請求項1から9のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項11】
前記水分吸収および/または水分移送材料層(16)を覆う空気不透過性材料(17)を備える外側層をさらに備える、請求項2から10のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項12】
空気不透過性材料(17)は、プラスチックの一種であり、好ましくは親水性コポリマーである、請求項2から11のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項13】
前記カバーは、補綴ソケット(2)とともに使用されるように構成され、前記補綴ソケット(2)は、切断断端(1)が前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)に導入されたときに前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)と前記補綴ソケット(2)との間の真空によって前記切断断端(1)に懸垂される、請求項1から12のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項14】
前記水分吸収および/または水分移送材料(16)は、前記弾性布地材料(13)の周囲に配置され、前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)の閉鎖端(12、22、32、42、62、72)における前記水分吸収材料および/または水分移送材料(16)の厚さは、前記カバーの残りの部分における前記水分吸収材料の厚さよりも厚い、請求項4から13のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項15】
前記切断断端と補綴ソケットとの間の荷重を適度な荷重にするように構成された前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)の閉鎖端(12、22、32、42、62、72)における緩衝材料(28)をさらに備える、請求項4から13のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項16】
前記カバー(60)の閉鎖端(62)に配置されたねじ部(63)をさらに備え、
前記ねじ部(63)は、
補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたピン(64)、および任意選択で前記ピン(64)を前記ロック内に案内するように構成されたストラップ、または
補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたストラップ、
を締結するように適合される、請求項4から15のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項17】
前記カバーは、前記カバーの閉鎖端の近位に配置されたストラップをさらに備え、
前記ストラップは、前記カバーによって覆われた切断断端を補綴ソケット内に案内するように構成される、請求項4から15のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項18】
前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)の厚さは、1mmから10mmの間、たとえば、1.25mmから8mmの間、たとえば、1.5mmから6mmの間、好ましくは2~5mmである、請求項1から17のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項19】
請求項4から18のいずれか一項に記載のカバーと、
補綴ソケット(2)の上縁部(4)と前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)によって覆われた切断断端(1)との間にシールを形成するように構成されたスリーブ(3、50)と、
を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断断端を覆うためのカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
補綴部材は一般に、切断断端が挿入されるソケットを備える。ソケットは、切断断端の形状に倣って成形され鋳造される。ソケットは、複合材料または熱可塑性物質などの剛性を有する硬い材料で作られる。過去数十年にわたって、切断患者は、シリコーン、ゲル、または織物材料からなり補綴物のソケットの下方の切断断端を覆うチューブ状の靴下型カバー(ライナとも呼ばれる)を使用している。補綴カバーは、切断断端の快適さを増し、切断断端を保護する。補綴カバーは、切断断端上に巻かれ、その後補綴部材のソケットが断端上に取り付けられる。
【0003】
しかし、補綴を使用する際、切断断端の皮膚がせん断および圧力を受け、それによって、ある部位に痛みが生じおよび/または摩擦が生じることがある。さらに、切断患者は、補綴に接触するかまたは補綴に近い断端の領域を非常に暖かいと知覚することが多い。これによって、ユーザに不快感が生じる。補綴カバーは、そのような状態から残肢を保護する場合があるが、補綴およびカバーの下方の環境は、温度および湿度が高くなりがちである。相対湿度が高いと、皮膚がさらに影響を受けやすく脆弱になる。したがって、カバーが切断断端を保護するにもかかわらず、残肢には好ましくない環境が生じることがある。
【0004】
脚の一部である切断断端は、高い荷重を受け、切断患者の体重を支える。具体的には、切断断端の底部は、高い圧力および荷重を受けそれにさらされる。切断後の期間の間、断端は特に影響を受ける。したがって、患者が自分の補綴を1日中装着することができるようになるには数年かかることもある。切断患者が覚醒している間ずっと補綴を使用できるようにするには、切断断端を高い荷重および補綴内部の環境に適合するように訓練する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、これらの問題を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、切断断端を覆うためのチューブ状のカバーであって、前記切断断端を導入するための少なくとも1つの開放端を有し、チューブの形をした弾性布地材料と、切断断端に接触するように配置された摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料とを備え、場合によっては、水分吸収および/または水分移送材料層を覆う、空気不透過性材料を含む外側層を備えるカバーによって実現される。空気不透過性材料は、気密材料と呼ばれることもある。空気不透過性材料を含む外側層を有するカバーの1つの利点は、そのような外側層が内側層を摩耗から保護することである。
【0007】
第1の態様によれば、本発明の上記および他の目的は、請求項1によって定義される補綴カバーによって、全体または少なくとも一部が実現される。この請求項によれば、上記の目的は、切断断端を覆うためのチューブ状のカバーであって、前記切断断端を導入するための少なくとも1つの開放端を有し、チューブの形をした弾性布地材料と、切断断端に接触するように配置された摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料とを備え、好ましくは、水分吸収および/または水分移送材料(16)が水分吸収材料である、チューブ状のカバーによって実現される。
【0008】
したがって、好ましくは、水分吸収および/または水分移送材料は、水分吸収性を有する材料または水分吸収性および水分移送性を有する材料である。水分を吸収することによって、断端と補綴のソケットとの間に形成される湿度が低下し、それによって、ユーザが補綴ソケットから装着による摩擦および外傷を受ける可能性が低下する。
【0009】
したがって、本明細書で提示する実施形態では、水分吸収および/または水分移送材料は好ましくは、水分吸収性を有する材料または水分吸収性および水分移送性を有する材料である。
【0010】
具体的には、カバーは、補綴ソケットにおいて使用されるかまたは補綴ソケットとともに使用される。
【0011】
そのようなチューブ状のカバーは、切断患者が、損傷およびその他の痛みを伴う状態などの問題が生じる可能性を低下させた状態で補綴を装着するのを可能にする。さらに、そのようなカバーは、切断断端の柔らかい部分を圧縮し、有利には、圧力および荷重を補綴から分布させる。さらに、本教示によるカバーは、断端と補綴のソケットとの間に形成される相対湿度を低下させる。これらの欠点は、切断患者が2、3か月訓練しただけで覚醒している間ずっと補綴を使用するのを容易にする。
【0012】
さらに、相対湿度が低下することによって、カバーを補綴ソケットとともに使用する際の快適さが向上する。相対湿度が低下することによって、ソケット内で知覚される温度が快適なレベルに維持される。
【0013】
カバーは、真空システム、吸引システム、ランヤードシステム、またはシャトルロックシステムなどの可変取り付け機構を有する補綴に適合する。
【0014】
カバーは、その全長にわたって同じ幅または直径を有してもよい。
【0015】
カバーは、その長さに沿って異なる直径を有してもよい。たとえば、一方の開放端が、カバーの他方の端部の直径よりも小さい幅または直径を有してもよい。したがって、カバーは、円錐台と同様な形状を有してもよい。好ましくは、近位端、すなわち、カバーの、患者の胴部に最も近くに位置するようになっている端部は、遠位端、すなわち、カバーの切断断端の端部に最も近くに位置するようになっている端部よりも幅が広い(より直径が大きい)。当業者には、本教示によるカバーの厳密な寸法が好ましくは、切断断端に合うように個々に調整されることが認識される。
【0016】
本教示によるカバーは、切断断端を覆うためのチューブ状のカバーであって、前記切断断端が導入される少なくとも1つの開放端を有し、チューブの形をした弾性布地材料と、切断断端に接触するように配置された摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料を備え、空気不透過性材料を含む外側層であって、水分吸収および/または水分移送材料層を覆う外側層をさらに備えるカバーの形態であってもよい。空気不透過性材料を含む外側層を有するカバーの1つの利点は、そのような外側層が内側層を摩耗から保護することである。
【0017】
本明細書で開示されたカバーの弾性布地材料は、制御された弾性を有し、それによって圧縮特性を有するカバーを形成する。これによって、切断断端の柔らかい部分の圧縮が可能になる。柔らかい部分が圧縮されると、補綴ソケットの荷重が切断肢を中心としてより均等に分布され、それによって、摩擦および外傷の危険性が低下する。それによって、全体的に、補綴がより快適に装着される。
【0018】
本教示によるカバーにおける弾性布地材料は、圧縮または伸張限定布地であってもよい。そのような材料は、切断断端の柔らかい部分を圧縮し、有利には、補綴からの圧力および荷重を分布させる。
【0019】
弾性布地材料は、肢の柔らかい組織を圧縮するように構成された圧縮カバーを形成するように弾性率が10%から600%の間、たとえば、50~550%、たとえば、100~500%、たとえば、150~450%、たとえば、200%~425%、好ましくは300~400%である。
【0020】
弾性布地材料は、アクリル、アルパカ、アンゴラ、バンブー、綿、エラステイン、ライクラ、大麻、モダール、ナイロン、ポリエステル(Coolmaxなど)、および/または羊毛(Merino Woolまたはカシミアウール)であってもよい。
【0021】
弾性布地材料は、布地、織物、シリコーン糸で作られたシリコーン織布材料などの織布材料、または不織布材料であってもよい。
【0022】
本教示によるカバーにおける摩擦増大材料は、ストライプ、ドット、リング、および/または図形状に配置されてもよく、カバーの表面に沿った周方向リング状に配置されてもよい。
【0023】
本教示によるカバーにおける摩擦増大材料は、切断断端と接触するようになっているカバーの表面、すなわち、カバーの内面上に配置される。
【0024】
摩擦増大材料は、シリコーン、ゴム、ゲル、および/もしくはポリウレタン(PUR)、または皮膚に適合し、皮膚とカバーとの間の摩擦を増大させる任意の他の材料であってもよい。
【0025】
本教示によるカバーにおける水分吸収および/または水分移送材料は、布地、織物、不織布材料、織布材料、ゲル、および/もしくはハイドロゲル、またはそれらの組合せであってもよい。
【0026】
水分吸収および/または水分移送材料は、断端と補綴のソケットとの間に形成される相対湿度を低下させる助けになる。
【0027】
高相対湿度は、断端とソケットが密に取り付けられた作用、また当技術分野で知られている断端用の従来のカバーにおいて使用される材料の作用である。たとえば、多くの従来のカバーは、水分吸収材料ではない圧縮材料を含み、したがって、水分が断端から適正に吸収されず、それによって、皮膚に隣接する相対湿度が高くなる。他のカバーは、シリコーンで作られ、シリコーンと皮膚との間の摩擦が強すぎるので断端に面する内側に布地が設けられている。この解決策も皮膚表面における相対湿度を十分に低く維持するのに十分な水分を吸収しない。
【0028】
したがって、好ましくは、本教示によるカバーは、水分吸収材料を含む。
【0029】
水分移送材料が使用されてもよい。その理由は、そのような材料は、水分を皮膚から移送し、したがって、湿度を低下させるからである。
【0030】
水分吸収および/または水分移送材料の例には、羊毛およびシリカゲル、膨張ポリテトラフルオロエチレン(GoreTex(登録商標)などのePTFE)などの膜が含まれる。適切な膜材料は、多孔質繊維構造を有し、そのような材料が透過性を有し、水分を移送するのを可能にするが、同時に防水性を有するのを可能にする。
【0031】
水分吸収および/または水分移送材料のさらなる例は、アクリル、アルパカ、アンゴラ、バンブー、綿、エラステイン、ライクラ、大麻、モダール、ナイロン、ポリエステル(Coolmaxなど)、および/または羊毛(Merino Woolまたはカシミアウールなど)である。不織布材料、羊毛、シリカゲル、布地、織物、織布材料、ハイドロゲル、またはそれらの組合せが水分吸収および/または水分移送材料として使用されてもよい。
【0032】
好ましくは、水分吸収材料は超吸水剤である。超吸水剤は、部分的にナトリウム塩に中和された架橋アクリレートコポリマーであってもよい。
【0033】
水分吸収性を有するシリカゲルが水分吸収材料として使用されてもよい。
【0034】
天然材料がより好ましい場合、羊毛が好ましい。その理由は、羊毛は水分を移送しかつ吸収するからである。
【0035】
水分吸収および/または水分移送材料を使用すると、使用時の補綴ソケット内部の相対湿度が50~60%程度のレベルに低下する。当技術分野で知られている補綴カバーを補綴ソケットの下方(すなわち、内部)で使用すると、相対湿度は、迅速に、たとえば15~20分内程度で100%のレベルまで増大する。人間の皮膚は水分の影響を受けやすく、したがって、皮膚の抵抗力は高い湿度レベルでは著しく低下する。しかし、相対湿度が50~60%である場合、皮膚の抵抗力はずっと高い。相対湿度が100%である環境は、非常に熱く不快な環境として経験されるが、50~60%のレベルはそのように知覚されない。
【0036】
皮膚がソケットの内部でさらされる環境における相対湿度を低下させることによって、ユーザが補綴ソケットから装着による摩擦および外傷を受ける可能性が低下する。さらに、本明細書で開示するカバーはソケット内部の相対湿度を低下させるので、ユーザの経験はより快適になる。
【0037】
これらの効果により、最近肢を切断したユーザが、現在市販されているカバーを使用する場合よりも早く、より長い期間にわたって補綴を使用できるようになる場合がある。さらに、断端上に外傷が形成される可能性を低下させることもさらなる条件を有するユーザに重要である。たとえば、糖尿病にも罹患しているユーザには切断断端上に形成された外傷によって細菌感染が生じる可能性がより高い。
【0038】
水分吸収および/または水分移送材料層は、弾性布地材料の少なくとも一部を覆ってもよい。
【0039】
水分吸収および/または水分移送材料は、カバーの周りに一様に分布された層として配置されてもよい。
【0040】
水分吸収および/または水分移送材料は、カバーの周りに非一様に分布された層として配置されてもよい。
【0041】
水分吸収および/または水分移送材料は、厚さが1mmから10mmの間、たとえば、1mmから8mmの間、好ましくは1mmから4mmの間、最も好ましくは2mmから3mmの間である層として配置されてもよい。
【0042】
好ましくは、本明細書で水分吸収および/または水分移送材料と呼ばれる材料は水分吸収材料である。
【0043】
上述のように、いくつかの実施形態では、水分吸収および/または水分移送材料と弾性布地材料は同じ材料である。
【0044】
一実施形態によれば、カバーはさらに、空気不透過性材料(17)を含む。空気不透過性材料は、気密材料とも呼ばれてもよい。
【0045】
空気不透過性材料は、カバーの外側層を構成する。空気不透過性材料を含む外側層を有するカバーの1つの利点は、そのような外側層が内側層を摩耗から保護することである。
【0046】
代替的に、空気不透過性材料は、カバーの2つの他の層間の空間を占める層の一部を構成するかまたは一部であってもよい。空気不透過性材料が水分吸収および/または水分移送材料よりも皮膚表面の近くに位置する実施形態では、空気不透過性材料は、水分を透過し、切断断端によって生成された水分を水分吸収および/または水分移送材料に移送させる。そのような材料の例は、たとえば、ポリエーテルベースの熱可塑性ポリエチレン(TPU)などの親水性プラスチック材料である。熱可塑性ポリウレタンの一例は「Respire」である。
【0047】
空気不透過性材料(すなわち、気密材料)は、外側に位置してもよく、すなわち、弾性布地材料の、切断断端から離れる方向を向いた表面上に位置してもよい。空気不透過性材料は、弾性布地材料を覆ってもよい。
【0048】
空気不透過性材料(すなわち、気密材料)は、外側に位置してもよく、すなわち、水分吸収および/または水分移送材料の、切断断端から離れる方向を向いた表面上に位置してもよい。空気不透過性材料は、水分吸収および/または水分移送材料を覆ってもよい。
【0049】
空気不透過性材料(すなわち、気密材料)は、弾性布地材料と水分吸収および/または水分移送材料の間に位置してもよい。空気不透過性材料は、弾性布地材料または水分吸収および/もしくは水分移送材料を覆ってもよい。
【0050】
空気不透過性材料は、水分が空気不透過性材料を透過し得、一方、空気が空気不透過性材料を透過しなくなり得るような特性を有してもよい。したがって、水分をカバーの内部から外部に移送することができ、したがって、補綴ソケット内部の湿度が低下し、一方、空気は空気不透過性材料の層を貫通することができない。
【0051】
好ましくは、空気不透過性材料は気密性を有するが、同時に水分吸収性および/または水分移送性を有し、それによって、上述のような微小環境が生じる。
【0052】
好ましくは、空気不透過性材料は、気密性を有するが、同時に水分吸収性を有し、それによって、上述のような微小環境が生じる。
【0053】
好ましくは、空気不透過性材料は、気密性を有するが、同時に水分移送性を有し、それによって、上述のような微小環境が生じる。
【0054】
本教示によるカバーでは、空気不透過性材料は、プラスチックの一種であってもよく、好ましくは親水性コポリマーであってもよい。最も好ましくは、空気不透過性材料はポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。熱可塑性ポリウレタンの一例は「Respire」である。
【0055】
空気不透過性材料は、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0056】
さらに、空気不透過性材料は、シリコーン、ウレタン、ブロックコポリマー、ならびに/またはブロックコポリマーおよび鉱油ゲル組成物であってもよい。ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレンブロックコポリマー、および/またはスチレンイソプレン/ブタジエンブロックコポリマーであってもよい。
【0057】
一実施形態によれば、カバーは2つの開放端を有する。そのようなカバー(スリーブとも呼ばれる)は、切断断端上に通され、たとえば、膝または肘を囲む。
【0058】
そのようなスリーブ(2つの開放端を有するカバー)は、補綴ソケットの上縁部と切断断端との間の界面の周囲にシールを形成するように構成されてもよい。
【0059】
そのようなスリーブ(2つの開放端を有するカバー)は、補綴ソケットの上縁部と本明細書で開示されるカバーとの間の界面と重なり合い密封するように構成されてもよい。
【0060】
2つの開放端を有するそのようなカバー(スリーブ)は、全長にわたって同じ幅または直径を有してもよい。
【0061】
2つの開放端を有するそのようなカバー(スリーブ)は、その長さに沿って異なる直径を有してもよい。たとえば、一方の開放端は、2つの開放端を有するカバー(スリーブ)の他方の開放端の直径よりも小さい幅または直径を有してもよい。したがって、2つの開放端を有するカバー(スリーブ)は、円錐台と同様な形状を有してもよい。好ましくは、近位端、すなわち、2つの開放端を有するカバーの、患者の胴部に最も近くに位置するようになっている端部は、遠位端、すなわち、2つの開放端を有するカバーの、切断断端の端部に最も近くに位置するようになっている端部よりも幅が広い(より直径が大きい)。当業者には、本教示による2つの開放端を有するカバー(スリーブ)の厳密な寸法が好ましくは、切断断端に合うように個々に調整されることが認識される。
【0062】
別の実施形態によれば、カバーは、前記切断断端が導入される1つの開放端と、前記開放端の反対側の1つの閉鎖端とを有する。使用時には、切断断端が開放端に挿入される。そのようなカバーは、たとえば、脚または足補綴とともに使用されてもよい。したがって、この実施形態では、カバーは、補綴のソケットの下方(すなわち、内側)の切断断端を(ライナとして)覆うために使用される。カバーは、カバー内および補綴ソケット内部の切断断端用のより優れた微小環境を生じさせる。カバーは、上述のようなより低い湿度を有する環境を形成し、それによって考えられる痛みおよび摩擦がより湿度が高い環境の場合よりもうまくかつより迅速に癒される。したがって、切断患者は、断端が痛く慎重を要する状態にある場合でも自分の補綴を使用することができる。
【0063】
言い換えれば、前記切断断端が挿入される1つの開放端と、前記開放端の反対側の1つの閉鎖端とを有するカバーは、補綴のソケットの下方の(内部の)切断断端を(ライナとして)覆うカバーとして使用される。
【0064】
1つの開放端と1つの閉鎖端とを有するカバーは、その全長にわたって同じ幅または直径を有してもよい。
【0065】
1つの開放端と1つの閉鎖端とを有するカバーは、その長さに沿って異なる直径を有してもよい。たとえば、開放端は、カバーの閉鎖端の近くの直径よりも大きい幅または直径を有してもよい。したがって、1つの開放端と1つの閉鎖端とを有するカバーは、円錐台と同様な形状を有してもよい。好ましくは、近位端、すなわち、カバーの開放端は、遠位端、すなわち、カバーの閉鎖端よりも幅が広い(より直径が大きい)。さらに、カバーの閉鎖端は、切断断端の形状に合わせることなどのために実質的に丸い形状を有してもよい。当業者には、本教示によるカバーの厳密な直径が好ましくは、切断断端に合うように個々に調整されることが認識される。
【0066】
1つの開放端と1つの閉鎖端とを有するカバーは、カバーの外側に取り付けられたシール部材を有してもよい。シール部材は、カバーから延びる少なくとも1つの環状のフランジを備えてもよい。フランジは、カバーとソケットとの間の真空または吸引懸垂部を形成する助けになり、また、使用時に空気がカバーとソケットとの間に進入するのを防止する。シール部材は、シリコーン、ゴム、またはポリマーもしくはコポリマーなどの他の空気不透過性材料を密封するのに適した任意の材料から作ってもよい。
【0067】
当業者には、1つの同じ材料が弾性を有し、同時に摩擦を増大させ、同時に水分吸収性および/もしくは水分移送性を有し、ならびに/または同時に空気不透過性を有してもよいことが認識される。好ましくは、水分吸収および/または水分移送材料は、水分吸収性を有する材料または水分吸収性および水分移送性を有する材料である。
【0068】
したがって、材料は弾性を有し、同時に摩擦を増大させる。そのような材料の例にはシリコーンおよびゴムが含まれる。
【0069】
したがって、材料は、弾性を有し、同時に水分吸収性および/または水分移送性を有してもよい。そのような材料の例には、毛織物および織布超吸収性繊維などの織布材料が含まれる。
【0070】
したがって、材料は、弾性を有し、同時に水分吸収性および/または水分移送性を有し、同時に空気不透過性を有してもよい。そのような材料の例には、親水性プラスチック材料の個体材料などの親水性プラスチック材料が含まれる。
【0071】
したがって、材料は弾性を有し、同時に摩擦を増大させ、同時に水分吸収性および/または水分移送性を有する。そのような材料の例には、織布親水性プラスチック材料などの親水性プラスチック材料が含まれる。
【0072】
したがって、材料は、弾性を有し、同時に摩擦を増大させ、同時に水分吸収性および/または水分移送性を有し、また同時に空気不透過性を有してもよい。そのような材料の例には、親水性プラスチック材料の個体材料などの親水性プラスチック材料が含まれる。
【0073】
一バージョンでは、本教示によるカバーは、弾性布地材料の1つの層を備え、弾性布地材料は、水分吸収および/または水分移送材料であり、また摩擦増大材料である。そのようなカバーは、1つの層から作られていると知覚される。弾性布地材料は空気不透過性を有してもよい。
【0074】
別のバージョンでは、本教示によるカバーは、弾性布地材料の1つの層であって、弾性布地材料が、水分吸収および/または水分移送材料であり、かつ摩擦増大材料である、弾性布地材料の1つの層と、空気不透過性材料を含む外側層とを備える。そのようなカバーは、2つの層から作られていると知覚され、外側層は、空気不透過性材料を含む。空気不透過性材料を含む外側層を有するカバーの1つの利点は、そのような外側層が内側層を摩耗から保護することである。
【0075】
本教示によるカバーの別のバージョンは、弾性布地材料の1つの層であって、弾性布地材料が、水分吸収および/または水分移送材料である、弾性布地材料の1つの層と、切断断端に接触するようになっている表面上に位置する摩擦増大材料を有する。カバーは、切断断端から離れる方向を向いた表面上に位置する、空気不透過性材料を含む外側層をさらに備える。
【0076】
本教示によるカバーの別のバージョンは、弾性布地材料の第1の層であって、弾性布地材料が摩擦増大材料である弾性布地材料の第1の層と、切断断端から離れる方向を向いた第1の層の表面上に位置する、空気不透過性ならびに水分吸収性および/または水分移送性を有する第2の層とを備える。
【0077】
本教示によるカバーのさらに別のバージョンは、弾性布地材料の第1の層であって、弾性布地材料が、切断断端に接触するようになっている表面上に位置する摩擦増大材料を有する、弾性布地材料の第1の層と、切断断端から離れる方向を向いた第1の層の表面上に位置する、空気不透過性ならびに水分吸収性および/または水分移送性を有する層とを備える。
【0078】
本教示によるカバーは、1つ、2つ、3つ、または4つの層を備えてもよい。
【0079】
当業者には、材料(弾性布地材料、摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料)のうちの2つ、3つ、または4つを外側層に組み込めることが認識される。それぞれに異なる材料は、たとえば、それぞれに異なる材料を編み込むか、織るか、積層するか、縫い合わせるか、または縫い付けることによって同じ層に組み込まれてもよい。
【0080】
弾性布地材料および摩擦増大材料は1つの層に組み込まれてもよい。
【0081】
弾性布地材料ならびに水分吸収および/または水分移送材料は1つの層に組み込まれてもよい。
【0082】
弾性布地材料ならびに水分吸収および/または水分移送材料ならびに空気不透過性材料は、1つの層に組み込まれてもよい。
【0083】
弾性布地材料、摩擦増大材料、ならびに水分吸収および/または水分移送材料は、1つの層に組み込まれてもよい。
【0084】
弾性布地材料、摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料は、1つの層に組み込まれてもよい。
【0085】
したがって、一実施形態によれば、弾性布地材料、水分吸収および/または水分移送材料、摩擦増大材料、ならびに気密材料が存在する場合、カバーを形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層の間で分布される。
【0086】
本教示によるカバーは、同じ層に組み込まれた弾性布地材料と、摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料とを含んでもよい。空気不透過性材料がこの層に組み込まれてもよい。そのようなカバーの1つの利点は、カバーの総厚さがいくつかの異なる層を備えるカバーよりも薄いことである。そのようなカバーは、追加の皮膚として知覚されることもある。
【0087】
したがって、本教示によるカバーは、弾性布地材料と、水分吸収および/または水分移送材料と、摩擦増大材料と、気密材料とを備える1つの層を備えてもよい。
【0088】
したがって、本教示によるカバーは、2つの層を備えてもよい。
【0089】
2つの層を備えるカバーの一例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、弾性布地材料と、水分吸収および/または水分移送材料と、摩擦増大材料とを含み、第2の層は、第1の層を覆い、空気不透過性材料を含む。空気不透過性材料を含む外側層を有するカバーの1つの利点は、そのような外側層が内側層を摩耗から保護することである。
【0090】
2つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、弾性布地材料と摩擦増大材料とを含み、第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料と空気不透過性材料とを含む。
【0091】
2つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、水分吸収および/または水分移送材料と摩擦増大材料とを含み、第2の層は、第1の層を覆い、弾性布地材料と空気不透過性材料とを含む。
【0092】
2つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料と、弾性布地材料と、空気不透過性材料とを含む。
【0093】
2つの層を備えるカバーのさらなる例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と、弾性布地材料と、空気不透過性材料とを含み、第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含む。
【0094】
2つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料と、空気不透過性材料とを含み、第2の層は、第1の層を覆い、弾性布地材料を含む。
【0095】
2つの層を備えるカバーのさらなる例では、第1の層は切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と、空気不透過性材料とを含み、第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料と弾性布地材料とを含む。
【0096】
本教示によるカバーは、3つの層を備えてもよい。
【0097】
3つの層を備えるカバーの一例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、弾性布地材料と摩擦増大材料とを含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、空気不透過性材料を含む。
【0098】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、水分吸収および/または水分移送材料と摩擦増大材料とを含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、空気不透過性材料を含む。
【0099】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料と水分吸収および/または水分移送材料とを含み、第3の層は、第2の層を覆い、空気不透過性材料を含む。
【0100】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料と空気不透過性材料とを含む。
【0101】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、弾性布地材料と空気不透過性材料とを含む。
【0102】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料と空気不透過性材料とを含み、第3の層は、第2の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含む。
【0103】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料と空気不透過性材料とを含み、第3の層は、第2の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含む。
【0104】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、空気不透過性材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、弾性布地材料と水分吸収および/または水分移送材料とを含む。
【0105】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、弾性布地材料と摩擦増大材料とを含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、空気不透過性材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含む。
【0106】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と水分吸収および/または水分移送材料とを含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、空気不透過性材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、弾性布地材料を含む。
【0107】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と空気不透過性材料とを含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、弾性布地材料を含む。
【0108】
3つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と空気不透過性材料とを含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含む。
【0109】
本教示によるカバーは、4つの層を備えてもよい。
【0110】
4つの層を備えるカバーの一例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含み、第3の層は、第2の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第4の層は、第3の層を覆い、空気不透過性材料を含む。
【0111】
4つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第3の層は、第2の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含み、第4の層は、第3の層を覆い、空気不透過性材料を含む。
【0112】
4つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、空気不透過性材料を含み、第4の層は、第3の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含む。
【0113】
4つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、空気不透過性材料を含み、第4の層は、第3の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含む。
【0114】
4つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、空気不透過性材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、弾性布地材料を含み、第4の層は、第3の層を少なくとも部分的に覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含む。
【0115】
4つの層を備えるカバーの別の例では、第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含み、第2の層は、第1の層を少なくとも部分的に覆い、空気不透過性材料を含み、第3の層は、第2の層を覆い、水分吸収および/または水分移送材料を含み、第4の層は、第3の層を少なくとも部分的に覆い、弾性布地材料を含む。
【0116】
したがって、本教示によるカバーのバージョンは、弾性布地材料の1つの層と、カバーによって覆われたときに切断断端から離れる方向を向く弾性布地材料の表面上に位置する水分吸収および/または水分移送材料の層とを備えてもよく、弾性布地材料は、切断断端に接触するようになっている表面上に位置する摩擦増大材料を有する。空気不透過性材料は、弾性布地材料または水分吸収および/もしくは水分移送材料に組み込まれてもよい。代替的に、空気不透過性材料を含む外側層は、水分吸収および/または水分移送材料層を覆ってもよく、その場合、空気不透過性材料はまた水分を透過させる。
【0117】
したがって、本教示によるカバーのさらなるバージョンは、水分吸収および/または水分移送材料の1つの層と、カバーによって覆われたときに切断断端から離れる方向を向く水分吸収および/または水分移送材料の表面上に位置する弾性布地材料の層とを備え、水分吸収および/または水分移送材料は、切断断端に接触するようになっている表面上に位置する摩擦増大材料を有する。空気不透過性材料は、水分吸収および/もしくは水分移送材料または弾性布地材料に組み込まれてもよい。代替的に、空気不透過性材料を含む外側層は、弾性布地材料を覆う。
【0118】
一実施形態によれば、弾性布地材料、摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料が存在する場合、そのうちの2つ、3つ、または4つが同じ材料に組み込まれる。それぞれに異なる材料は、たとえば、それぞれに異なる材料を編み込むか、織るか、積層するか、縫い合わせるか、または縫い付けることによって同じ層に組み込まれてもよい。
【0119】
したがって、弾性布地材料、摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料のうちの2つが同じ材料に組み込まれてもよい。
【0120】
弾性布地材料および摩擦増大材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0121】
弾性布地材料および水分吸収および/または水分移送材料は同じ材料に組み込まれてもよい。
【0122】
弾性布地材料および空気不透過性材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0123】
水分吸収および/または水分移送材料ならびに摩擦増大材料は同じ材料に組み込まれてもよい。
【0124】
水分吸収および/または水分移送材料ならびに空気不透過性材料は同じ材料に組み込まれてもよい。
【0125】
したがって、弾性布地材料、摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料のうちの3つが同じ材料に組み込まれる。
【0126】
弾性布地材料、摩擦増大材料、および水分吸収および/または水分移送材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0127】
弾性布地材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0128】
弾性布地材料、摩擦増大材料、および空気不透過性材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0129】
摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0130】
したがって、弾性布地材料、摩擦増大材料、水分吸収および/または水分移送材料、ならびに空気不透過性材料が同じ材料に組み込まれてもよい。
【0131】
一実施形態によれば、摩擦増大材料が弾性布地材料に組み込まれる。このようにして、カバーは、摩擦増大材料の別個の層を有するカバーよりも薄くなり得る。そのようなカバーは、より厚いカバーほど暖かく感じられない。さらに、切断断端と補綴との接触はずっと良好になる。
【0132】
別の実施形態によれば、水分吸収および/または水分移送材料が弾性布地材料に組み込まれる。そのようなカバーはより厚いカバーほど暖かく感じられない。水分吸収および/または水分移送材料は、断端から水分を移送し、それによって冷却効果が生じる。さらに、湿度レベルが低下し、それによって補綴ソケット内の熱知覚が低下する。また、切断断端と補綴との接触はずっと良好になる。
【0133】
当業者には、摩擦増大材料と水分吸収および/または水分移送材料の両方が弾性布地材料に組み込まれてもよいことが認識される。
【0134】
さらに別の実施形態によれば、空気不透過性材料が水分吸収および/または水分移送材料に組み込まれる。そのようなカバーは、別々の材料を含むカバーよりも薄く、これにより切断断端とソケットがより密に接触する。さらに、カバーはよりしっかりしており、それによって、カバーとソケットとの間に遊びが生じてカバーの自由度が増す。さらに、カバーは、切断断端の周囲の追加の保護皮膚層として知覚される。
【0135】
別の実施形態によれば、水分吸収および/または水分移送材料は、気密材料と同じ材料である。そのようなカバーは、別々の材料を含むカバーよりも薄く、これにより切断断端とソケットがより密に接触する。さらに、カバーはよりしっかりしており、それによって、カバーとソケットとの間に遊びが生じてカバーの自由度が増す。さらに、カバーは、切断断端の周囲の追加の保護皮膚層として知覚される。
【0136】
さらなる実施形態によれば、弾性布地材料は、布地、織物、シリコーン糸で作られたシリコーン織布材料などの織布材料、または不織布材料である。弾性布地材料が、シリコーンまたはゴム材料から作られた織布材料など、シリコーン材料またはゴム材料であるときなどのいくつかの場合には、弾性布地材料は摩擦増大材料でもある。したがって、摩擦増大材料は材料全体にわたって均等に分布される。
【0137】
別の実施形態によれば、カバーは、水分吸収および/または水分移送材料層を覆う空気不透過性材料を含む外側層をさらに備える。そのようなカバーは、真空または吸引懸垂システムを使用して取り付けられる補綴とともに使用されてもよい。空気不透過性材料は、空気がソケットに進入しソケットに形成された真空を破壊し、補綴が切断断端にしっかりと取り付けられなくなるのを防止する助けになる。さらに、気密材料は、内側層を摩耗から保護する。
【0138】
真空締結システムを使用する補綴とともにカバーを使用する場合、空気が補綴のソケットに進入するのを禁止する。このことは、上述のスリーブおよび/またはカバーの外側に位置するシール部材によって実施されてもよい。
【0139】
好ましくは、空気不透過性材料(すなわち、気密材料)は弾性布地材料の外側に位置する。
【0140】
一実施形態では、空気不透過性材料は、プラスチックの一種であり、好ましくは親水性コポリマーである。最も好ましくは、空気不透過性材料は、ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。熱可塑性ポリウレタンの一例は「Respire」である。
【0141】
好ましくは、空気不透過性材料は気密性を有するが、同時に水分を透過させ、それによって、上述のように微小環境が生じる。
【0142】
空気不透過性材料は、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、およびそれらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0143】
さらに、空気不透過性材料は、シリコーン、ウレタン、ブロックコポリマー、ならびに/またはブロックコポリマーおよび鉱油ゲル組成物であってもよい。ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレンブロックコポリマー、および/またはスチレンイソプレン/ブタジエンブロックコポリマーであってもよい。
【0144】
空気不透過性材料は、水分が空気不透過性材料を透過し得、一方、空気が空気不透過性材料を透過しなくなり得るような特性を有してもよい。したがって、水分をカバーの内部から外部に移送することができ、したがって、補綴ソケット内部の湿度が低下し、一方、空気は空気不透過性材料の層を貫通することができない。
【0145】
一実施形態によれば、カバーは、補綴ソケットとともに使用されるように構成され、補綴ソケットは、切断断端が前記カバーに導入されるときにカバーとソケットとの間に形成された真空によって切断断端に懸垂される。真空は、本教示によるカバーによって覆われた切断断端にソケットをしっかりと取り付けることによって形成されてもよい。
【0146】
カバーが切断断端上に巻かれるかまたは通されるとき、断端が補綴のソケットに挿入され取り付けられる。その後、補綴の側面上に配置されることが多い機械的または電気的ポンプを使用することによって、空気が除去されてカバーとソケットとの間に真空が形成される。空気は、真空ポンプを使用することによって能動的に除去される。現行の例には「Harmony」(Ottobock)およびUnity(Ossur)が含まれる。代替的には、カバーが設けられた断端が吸引懸垂システムに挿入され取り付けられ、吸引懸垂によって補綴をしっかりと断端に取り付ける。現行の例には「Iceross Seal-In」(Ossur)が含まれる。
【0147】
別の実施形態によれば、水分吸収および/または水分移送材料が弾性布地材料の周囲に配置され、カバーの閉鎖端における水分吸収材料および/または水分移送材料の厚さは、カバーの残りの部分における水分吸収材料の厚さよりも厚い。したがって、この実施形態では、弾性布地材料は、水分吸収および/または水分移送材料よりも切断断端のより近くに配置され、水分吸収および/または水分移送材料は、弾性布地材料を覆う。水分吸収および/または水分移送材料のより厚い層は、残肢と補綴との間の荷重および圧力を適度な荷重および圧力にする。これによって、切断患者の装着がより快適になり、切断断端の端部上で摩擦が生じる可能性が低下する。
【0148】
別の実施形態によれば、カバーは、カバーの閉鎖端に緩衝材料をさらに備える。緩衝材料は、切断断端と補綴ソケットとの間の荷重を適度な荷重にするように構成される。緩衝材料は、残肢と補綴との間の荷重を適度な荷重にする。これによって、切断患者の装着がより快適になり、切断断端の端部上に摩擦が生じる可能性が低下する。このことは、過度に影響を受けやすい断端または新たに肢を切断した患者には特に好都合である。断端の影響の受けやすさは、患者ごとに異なる。
【0149】
緩衝材料は、内面、すなわち、カバーの切断断端に対向するようになっている表面上に配置されてもよい。
【0150】
緩衝材料は、カバーの外面上に配置されてもよい。
【0151】
緩衝材料は、内面、すなわち、切断断端に対向するようになっている表面と、カバーの外面上の両方に配置されてもよい。
【0152】
緩衝材料はたとえば、水分吸収および/または水分移送材料と同じ材料であってもよい。そのような場合、緩衝材は、カバーの閉鎖端に水分吸収および/または水分移送材料のより厚い層として配置されてもよい。
【0153】
緩衝材料は、任意の柔らかい材料であってもよい。さらなる例はシリコーンまたはゲルである。
【0154】
一実施形態によれば、カバーは、カバーの閉鎖端に配置されたねじ部であって、補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたピンを締結するように適合されたねじ部、場合によっては、ロック内にピンを案内するように構成されたストラップ、または補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたストラップをさらに備える。
【0155】
そのようなカバーをピンおよびロックシステムとともに使用してもよく、または補綴をカバーに締結するためにランヤードシステムとともに使用してもよい。ピンおよびロックシステムの現行の例には、「Iceross Seal-In」(Ossur)が含まれる。
【0156】
ねじ部は、補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたピンを締結するように適合されてもよい。場合によっては、ねじ部は、ピンをロック内に案内するように構成されたストラップを締結するように適合されてもよい。
【0157】
カバーの閉鎖端に配置されたねじ部は、雄ねじ部を備えるピンを締結するように適合された雌ねじ部であってもよい。ピンの雄ねじ部は、雌ねじ部にねじ込まれてもよい。そのようなカバーをピンおよびロックシステムとともに使用してもよい。たとえば、ピンおよびロックシステムのピンの雄ねじ部をカバーの閉鎖端に配置された雌ねじ部にねじ込むことができる。ピンは、このようにカバーの補綴ソケットへの締結を固定する、補綴ソケットにおける底部に配置されたロックに係合するように構成される。
【0158】
ロックは、シャトルロックであってもよい。
【0159】
カバーをシャトルロックシステムなどのピンおよびロックシステムとともに使用するときは、カバーは、開放端と、カバーの閉鎖端に配置された雌ねじ部とを備える。ピンは、雄ねじ部を備える。したがって、ピンはカバーに取り外し可能に接続可能である。使用時に、カバーが切断断端上に取り付けられ、ピンの雄ねじ部が、カバーの閉鎖端に配置された雌ねじ部にねじ込まれる。次いで、カバーで覆われた切断断端が、底部にロックを有する補綴ソケットに挿入される。ピンがロックに係合して補綴ソケット内のカバーの締結を固定する。
【0160】
ピンをロック内に案内するように構成されたストラップが存在する場合、カバーが切断断端上に取り付けられ、ストラップがソケットの底部に配置された開口部に挿入される。ストラップを引っ張ることによって、カバーを装着した切断断端がソケット内に案内され、ピンがソケットの底部に配置されたロック内に案内される。
【0161】
代替的に、カバーのねじ部は、補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたストラップを締結するように適合される。そのようなカバーをいわゆるランヤードシステムとともに使用してもよい。ストラップは、たとえば、カバーの閉鎖端に配置された雌ねじ部にねじ込まれるねじによって、カバーに締結してもよい。
【0162】
ストラップが補綴ソケットの底部の穴に引き込まれ、カバーを装着した切断断端は、ソケットに挿入され、ストラップはその後、たとえば、補綴ソケットの外側のループ、リング、またはフック内にしっかりと締結される。ストラップは、ループ、リング、またはフックに通され、任意の適切な締結手段によってストラップ自体に固定されてもよい。現行の例には「Ice-Lock」(Ossur)およびKISSランヤードシステム(Ottobock)が含まれる。
【0163】
上述のようにランヤードシステムとともに使用するようになっているカバーは、カバーの頂部開放端に近接して配置されたさらなるストラップを備えてもよい。ランヤードシステムにおける補綴のソケットはスリットを備え、このスリットを通して、カバーの頂部開放端に近接して配置されたストラップがソケットの内部から外部に導入されてもよい。このストラップはまた、ループを備え、したがって、このループがスリット内を移動させられ、ストラップがスリットに引き込まれた後にソケットの外側に配置される。カバーの閉鎖端に配置されたストラップは、カバーに近い部分にフックアンドループシステムの第1の部分を備え、第2の端部にフックアンドループシステムの第2の部分を備える。ソケットの底部はスリットを備え、このスリットを通して、カバーの閉鎖端に配置されたストラップがソケットの内部から外部に挿入される。このストラップは、スリットに引き込まれたときに、カバーの頂部開放端に近接して配置されたストラップのループに通される。その後、カバーの閉鎖端に配置されたストライプの2つの端部は、「Alpha Lock」 (Willow Wood)などの任意の適切な締結手段によって互いに取り付けられてもよく、それによって、フックアンドループシステムの2つの部分が互いに係合する。補綴は今や、切断断端に締結されており、カバーは装着時に摩擦および過度に高い湿度から断端を保護する。
【0164】
したがって、本教示によるカバーは、カバーの頂部開放端に近接して配置された第1のストラップと、カバーの閉鎖端に配設された第2のストラップとを備えてもよく、2つのストラップは、補綴ソケットの締結のためのランヤードシステムを形成するように構成される。現行の例には、「Ice-Lock」(Ossur)およびKISSランヤードシステムシステム(Ottobock)が含まれる。カバーの閉鎖端に配置されたねじ部は、第2のストラップの締結に適合されてもよい。
【0165】
一実施形態では、カバーは、前記カバーの閉鎖端の近位に配置されたストラップをさらに備え、ストラップは、前記カバーによって覆われた切断断端を補綴ソケット内に案内するように構成される。
【0166】
補綴のソケットはスリットを有し、このスリットを通して、ストラップがソケットの内部から外部に導入されてもよい。ストラップを引っ張ることによって、カバーを装着した切断断端がソケット内の適正な位置に案内される。
【0167】
カバーは、底部閉鎖端に第2のストラップをさらに備える。
【0168】
第1のストラップは、ループを備え、第2のストラップは、フックアンドループシステムの第1および第2の部分を備えてもよい。さらに、第2のストラップは、第1のストラップのループに通されるように構成されてもよく、それによって、フックアンドループシステムの第1および第2の部分が互いに係合してもよい。
【0169】
そのようなカバーをいわゆるランヤードシステムとともに使用してもよい。カバーは、切断断端上に取り付けられる。さらに、ランヤードシステム内の補綴のソケットは、第1のスリットを備え、このスリットを通して、第1のストラップがソケットの内部から外部に導入されてもよい。この第1のストラップは、ループを備え、したがって、このループがスリット内を移動させられ、第1のストラップが第1のスリットに引き込まれた後にソケットの外側に配置される。この第2のストラップは、カバーに近い部分にフックアンドループシステムの第1の部分を備え、第2の端部にフックアンドループシステムの第2の部分を備える。ソケットの底部は、第2のスリットを備え、このスリットを通して、第2のストラップがソケットの内部から外部に挿入される。第2のストラップは、第2のスリットに引き込まれたときに、第1のストラップのループに通される。その後、第2のストラップの2つの端部が互いに取り付けられ、それによって、フックアンドループシステムの2つの部分が互いに係合する。補綴は今や、切断断端に締結されており、カバーは断端を装着時に摩擦および過度に高い湿度から保護する。
【0170】
一実施形態によれば、カバーは、厚さが、1mmから10mmの間、たとえば、1.25mmから8mmの間、たとえば、1.5mmから6mmの間、好ましくは2mmから5mmの間である。
【0171】
カバーは、長さが10cm~50cm、たとえば、20cm~40cm、好ましくは約30cmである。
【0172】
1つの開放端と1つの閉鎖端とを有するカバーは一般に、長さが10~50cm、たとえば、20~40cm、好ましくは約30cmである。カバーの厳密な長さは、特定の断端に合うように個別に調整されてもよい。
【0173】
2つの開放端を有するカバー、すなわち、スリーブは一般に、長さが10~70cm、たとえば、20~60cm、好ましくは約40cmである。カバーの厳密な長さは、特定の断端に合うように個別に調整されてもよい。
【0174】
第2の態様によれば、本教示によるカバーと、本教示によるスリーブであって、補綴ソケットの上縁部と切断断端との間にシールを形成するように構成されたスリーブとを備えるキットが提供される。スリーブは、補綴ソケットの上縁部と本明細書で開示されるカバーとの間の界面と重なり合い密封するように構成される。したがって、スリーブは、補綴ソケットの上縁部と前記カバーによって覆われた切断断端との間の界面の周囲にシールを形成するように構成される。
【0175】
カバーとスリーブは、別々に使用されてもよく、または一緒に使用されてもよい。
【0176】
本教示によるカバーは、補綴カバー、ライナ、または補綴ライナと呼ばれることもある。
【0177】
本明細書では、切断断端は、断端、切断肢、または残肢と呼ばれることもある。
【0178】
本明細書では、気密材料は、空気不透過性である材料と呼ばれることもある。
【0179】
布地という用語は、本明細書では、繊維、糸、もしくは織物、または繊維、糸、もしくは織物のいずれかの組合せから作られるものとして定義される。布地は不織布または織布とすることができる。
【0180】
布地という用語は、本明細書では繊維および/または糸から作られるものとして定義される。布地は不織布または織布とすることができる。布地は、たとえば編み込んでもよい。
【0181】
したがって、布地という用語は、織物という単語の意味よりも広い意味を有する。
【0182】
本発明の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な開示、添付の特許請求の範囲、ならびに図面から明らかになろう。本発明が、特徴のすべての可能な組合せに関することに留意されたい。
【0183】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、別段の定義がない限り、当技術分野における通常の意味に従って解釈される。「a/an/the [要素、デバイス、構成要素など]」のすべての参照は、特に明記しない限り、前記要素、デバイス、構成要素などの少なくとも1つの例を参照するものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0184】
本明細書では、「備える」という用語およびこの用語の変形例は、他の構成要素または整数を除外するものではない。
【0185】
一例として、次に、本教示の実施形態について添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0186】
図1a】弾性布地材料層を備える本教示によるカバーの一実施形態の横断面図である。
図1b】弾性布地材料層と気密材料の外側層とを備える本教示によるカバーの一実施形態の横断面図である。
図1c】摩擦増大層と、弾性布地材料層と、気密材料層とを備える本教示によるカバーの一実施形態の横断面図である。
図1d】摩擦増大層と、弾性布地材料層と、水分吸収および/または水分移送材料層と、気密材料層とを備える本教示によるカバーの一実施形態の横断面図である。
図2a】水分吸収および/または水分移送材料の右側が左側よりも厚い本教示によるカバーの一実施形態の横断面図である。
図2b】水分吸収および/または水分移送材料のより厚い底部層を有する本教示によるカバーの一実施形態の横断面図である。
図2c】カバーの閉鎖端22における緩衝材料28で形成された緩衝材を有する本教示によるカバーの実施形態の横断面図である。
図2d】カバーの閉鎖端22における緩衝材料28で形成された緩衝材を有する本教示によるカバーの実施形態の横断面図である。
図3a】本教示によるカバーの一実施形態における摩擦増大材料の例示的な構成を示す図である。
図3b】本教示によるカバーの一実施形態における摩擦増大材料の例示的な構成を示す図である。
図3c】本教示によるカバーの一実施形態における摩擦増大材料の例示的な構成を示す図である。
図3d】本教示によるカバーの一実施形態における摩擦増大材料の例示的な構成を示す図である。
図3e】本教示によるカバーの一実施形態における摩擦増大材料の例示的な構成を示す図である。
図4】補綴脚などの補綴のハードソケットに導入され取り付けられカバーで覆われた切断断端を示す図である。
図5】スリーブとして成形された補綴カバーの代替実施形態を示す図である。
図6】ピンを接続するためにねじ付きインサートを備えるカバーを示す図である。
図7a】本教示によるカバー上のシール部材の例示的な構成を示す図である。
図7b】本教示によるカバー上のシール部材の例示的な構成を示す図である。
図7c】本教示によるカバー上のシール部材の例示的な構成を示す図である。
図7d】本教示によるカバー上のシール部材の例示的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0187】
本教示は、カバーであって、補綴カバー、ライナ、または補綴ライナとも呼ばれ、チューブ状を有し、弾性布地材料と、切断断端に接触するように配置された摩擦増大材料と、水分吸収および/または水分移送材料とを備えるカバーに関する。好ましくは、水分吸収および/または水分移送材料は水分吸収材料である。カバーは、空気不透過性材料を含んでもよい。切断断端は、本明細書では断端または残肢とも呼ばれる。
【0188】
以下では、カバーは、参照符号10a~10d、20a~20d、30a~30e、40、50、60、および70a~70dによって参照される。
【0189】
簡単に言えば、開示される補綴カバーは、切断患者が損傷およびその他の痛みを伴う状態などの問題が生じる可能性を低下させた状態で補綴を装着するのを可能にする。さらに、本明細書で開示されるカバーは、切断断端の柔らかい部分を圧縮し、それによって、有利には補綴からの圧力および荷重が分布される。さらに、カバーは、断端と補綴のソケットとの間に形成される相対湿度を低下させる。これらの利点は、切断患者が2、3か月訓練しただけで覚醒している間ずっと補綴を使用するのを容易にする。カバーは、真空システム、吸引システム、ランヤードシステム、またはシャトルロックシステムなどの可変取り付け機構を有する補綴に適合する。
【0190】
カバーは、カバー10a~10dを形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層間に分布された弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16と、摩擦増大材料14と、気密材料17とを備えてもよい。
【0191】
次に、本教示によるカバーの実施形態について添付の図面に関して説明する。
【0192】
好ましくは、本明細書で提示する実施形態では、水分吸収および/または水分移送材料は、水分吸収性を有する材料または水分吸収性および水分移送性を有する材料である。
【0193】
図1a図1dに示すチューブ状のカバー10a、10b、10c、10dはすべて、開放端11と、開放端11の反対側の閉鎖端12とを備える。使用時には、切断断端が開放端11に挿入される。
【0194】
図1a図1dに示すチューブ状のカバーは、補綴のソケットの下方(すなわち、内部)の切断断端を覆うカバーとして、すなわち、ライナとして使用するためのカバーである。
【0195】
図1a図1dに示すチューブ状のカバーは、全長にわたって同じ幅または直径を有してもよい。
【0196】
図1a図1dに示すチューブ状のカバーは、その長さに沿って異なる直径を有してもよい。たとえば、開放端11は、カバー10a、10b、10c、10dの閉鎖端12の近くの直径よりも大きい幅または直径を有してもよい。したがって、図1a図1dに示すチューブ状のカバーは、円錐台と同様な形状を有してもよい。好ましくは、カバー10a、10b、10c、10dの近位端、すなわち開放端11は、カバー10a、10b、10c、10dの遠位端、すなわち閉鎖端よりも幅が広くてもよい(より直径が大きくてもよい)。さらに、カバー10a、10b、10c、10dの閉鎖端12は、切断断端の形状に合うような実質的に丸い形状を有してもよい。当業者には、カバー10a、10b、10c、10dの厳密な寸法が好ましくは切断断端に合うように個別に調整されることが認識される。
【0197】
図1aは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13を備えるチューブ状の補綴カバー10aの横断面を示す。この実施形態では、弾性布地材料13は、カバーを切断断端上にしっかりと配置された状態に維持するのに十分な摩擦を有するカバーを構成し、すなわち、弾性布地材料13は摩擦増大材料でもある。弾性布地材料13は、断端を備えるので、弾性布地材料13はまた、摩擦増大特性を有する。図1aに示すカバー10aは、空気不透過性材料をさらに含んでもよい。
【0198】
いくつかの実施形態では、弾性布地材料13は圧縮材料または伸張限定材料であってもよい。
【0199】
いくつかの実施形態では、弾性布地材料13は空気不透過性材料でもある。
【0200】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、別個の摩擦増大材料14とを備える。
【0201】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、水分吸収および/または水分移送材料ならびに/または空気不透過性材料でもある弾性布地材料13と、別個の摩擦増大材料14とを備える。
【0202】
摩擦増大材料14は、カバー10cの内面15上に配置される。
【0203】
摩擦増大材料14は、カバーの内面15全体を覆ってもよい。
【0204】
摩擦増大材料14は、カバーの内面15の一部のみを覆ってもよい。
【0205】
摩擦増大材料は、ストライプ、リング、円、矩形、星形、卵形などの様々な幾何学的形態を有してもよい。
【0206】
摩擦増大材料14は、内面15上全体にわたって均等に広げられてもよい。
【0207】
摩擦増大材料14は、内面15の特定の部分上に密に広げられるかまたは内面15の特定の部分にのみ存在するなど、内面15全体にわたって不均等に広げられてもよい。
【0208】
一般に、摩擦増大材料14は、カバーの内面15上の点またはストライプ/周方向リングとして配置される。
【0209】
図1bに示すカバー10bは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、本明細書では空気不透過性材料とも呼ばれる気密材料17の層とを備える。この実施形態では、弾性布地材料13は、カバーを切断断端上にしっかりと配置された状態に維持するのに十分な摩擦を有するカバーを構成し、すなわち、弾性布地材料13は摩擦増大材料でもある。弾性布地材料13の弾性特性は、皮膚とカバーとの間に摩擦を生じさせる。いくつかの実施形態では、弾性布地材料13は圧縮材料または伸張限定材料である。気密材料17(すなわち、空気不透過性材料)は弾性布地材料13を覆う。
【0210】
好ましくは、気密材料17はプラスチックの一種である。好ましいプラスチックは、たとえば、ポリエーテルベースの熱可塑性ポリウレタン(TPU)などの親水性コポリマーである。可塑性ポリウレタンの一例は「Respire」である。その理由は、このような材料は空気不透過性および水分透過性を有するからである
【0211】
気密材料17は、熱可塑性エラストマ、熱硬化性エラストマ、それらの混合物からなる群から選択されてもよい。
【0212】
さらに、気密材料17は、シリコーン、ウレタン、ブロックコポリマー、ならびに/またはブロックコポリマーおよび鉱油ゲル組成物であってもよい。ブロックコポリマーは、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロックコポリマー、スチレン-エチレン/プロピレンブロックコポリマー、および/またはスチレンイソプレン/ブタジエンブロックコポリマーであってもよい。
【0213】
気密材料17は、水分が気密材料17を透過し得、一方、空気が気密材料17を透過しなくなり得るような特性を有してもよい。したがって、水分をカバー10bの内部から外部に移送することができ、したがって、補綴ソケット内部の湿度が低下し、一方、空気は気密材料17の層を貫通することができない。
【0214】
真空または吸引懸垂システムを使用して補綴が取り付けられないときには気密材料17を使用することが好ましい。カバー10が切断断端上に巻かれるかまたは通されるとき、断端が補綴のソケットに挿入され取り付けられる。その後、補綴の側面上に配置されることが多い機械的または電気的ポンプを使用することによって、空気が除去されてカバー10とソケットとの間に真空が形成される。カバーが設けられた断端が吸引懸垂システムに挿入され取り付けられ、吸引懸垂によって補綴をしっかりと断端に取り付けた状態に保持する。気密材料17は吸引懸垂を実現する。したがって、気密材料17は、空気がソケットに進入しソケットに形成された真空/吸引を破壊し、補綴が切断断端にしっかりと取り付けられなくなるのを防止する助けになる。
【0215】
図1cでは、摩擦増大材料14の層を備えるカバー10cが示されている。カバー10cは、弾性布地材料13をさらに備え、弾性布地材料13は、水分吸収および/または水分移送材料および気密材料17の層でもある。
【0216】
摩擦増大材料14は、カバー10cの内面15上に配置される。
【0217】
摩擦増大材料14は、カバーの内面全体15を覆ってもよい。
【0218】
摩擦増大材料14は、カバーの内面15の一部のみを覆ってもよい。
【0219】
摩擦増大材料は、ストライプ、リング、円、矩形、星形、卵形などの様々な幾何学的形態を有してもよい。
【0220】
摩擦増大材料14は、内面15上全体にわたって均等に広げられてもよい。
【0221】
摩擦増大材料14は、内面15の特定の部分上に密に広げられるかまたは内面15の特定の部分にのみ存在するなど、内面15全体にわたって不均等に広げられてもよい。
【0222】
好ましくは、摩擦増大材料は、カバーの内面15上の点またはストライプ/周方向リングとして存在する。
【0223】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備える。この実施形態では、弾性布地材料13は、カバーを切断断端上にしっかりと配置された状態に維持するのに十分な摩擦を有するカバーを構成し、すなわち、弾性布地材料13は摩擦増大材料でもある。いくつかの実施形態では、弾性布地材料13は圧縮材料または伸張限定材料である。弾性布地材料13は、気密材料であってもよく、ならびに/または水分吸収および/もしくは水分移送材料16は気密材料であってもよい。
【0224】
図1dにおいて、本教示によるカバー10dが示されている。カバー10dは、弾性布地材料13の層を備える。さらに、カバー10dは、カバー10dの内面15上に配置された摩擦増大材料14の層と、水分吸収および/もしくは水分移送材料16の別個の層ならびに/または気密材料17の層とを備える。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0225】
図1dに示すカバー10は、厚さTを有し、Tは1mmから6mmの間である。好ましくは、厚さTは2mmから5mmの間である。
【0226】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、弾性布地材料13の層を備える。さらに、カバーは、カバー10dの内面15上に配置された摩擦増大材料14の層と、水分吸収および/または水分移送材料ならびに気密材料の層が組み込まれた別個の層とを備える。したがって、この実施形態では、水分吸収および/または水分移送材料16と空気不透過性材料17が同じ材料に組み込まれる。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。カバーは厚さTを有し、Tは1mmから6mmの間である。好ましくは、厚さTは2mmから5mmの間である。
【0227】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、弾性布地材料および摩擦増大材料が組み込まれた層を備える。カバーは、水分吸収および/または水分移送材料の別個の層ならびに気密材料の層をさらに有する。したがって、この実施形態では、弾性布地材料と摩擦増大材料は同じ材料に組み込まれる。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。カバーは厚さTを有し、厚さTは1mmから6mmの間である。好ましくは、厚さTは2mmから5mmの間である。
【0228】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、弾性布地材料13と、カバー10の内面15上に配置された摩擦増大材料14の層と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備える。カバーは厚さTを有し、厚さTは1mmから6mmの間である。好ましくは、厚さTは2mmから5mmの間である。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0229】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、弾性布地材料の層を備える。弾性布地材料は、摩擦増大材料である。カバーは、水分吸収および/または水分移送材料の別個の層ならびに気密材料の層を有する。それぞれに異なる層の詳細は、上記で説明した通りである。カバーは、厚さTを有し、厚さTは1mmから6mmの間である。好ましくは、厚さTは2mmから5mmの間である。
【0230】
一実施形態(図示せず)では、カバーは、弾性布地材料と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、気密材料17の層とを備える。それぞれに異なる層の詳細は、上記で説明した通りである。
【0231】
本明細書で開示されるカバー10、20、30の弾性布地材料13は、制御された弾性を有し、この弾性が圧縮特性を有するカバーを形成する。これによって、切断断端の柔らかい部分を圧縮することが可能になる。柔らかい部分を圧縮すると、補綴ソケットの荷重は、切断断端を中心としてより均等に分布され、それによって、摩擦および外傷の可能性が低下する。また、補綴の装着が全体的により快適になる。
【0232】
弾性布地材料13は好ましくは、弾性率が10%から600%の間、たとえば、50%から550%の間、たとえば、100%から500%の間、たとえば、150%から450%の間、たとえば、200%から425%の間、最も好ましくは300%から400%の間である。
【0233】
好ましくは、弾性布地材料13は、アクリル、アルパカ、アンゴラ、バンブー、綿、エラステイン、ライクラ、大麻、モダール、ナイロン、ポリエステル(Coolmaxなど)、および/または羊毛(Merino Woolまたはカシミアウールなど)である。
【0234】
さらに、弾性布地材料13は、布地、織物、シリコーン糸で作られたシリコーン織布材料などの織布材料、または不織布材料である。
【0235】
弾性布地材料13は、空気透過性および水分移送性を有してもよい。
【0236】
摩擦増大材料14は、シリコーン、ゴム、ゲル、またはポリウレタン(PUR)から選択されてもよい。
【0237】
摩擦増大材料14は、断端の皮膚と本明細書で開示されるカバーとの間の摩擦を増大させるように構成される。したがって、摩擦増大材料14は、切断断端の皮膚表面に接触するように配置される。このことは、(たとえば、図1cおよび図1dを見るとわかるように)摩擦増大材料14を本明細書で開示されるカバーの内面15上に配置するか、(たとえば、図1aおよび図1bに示すように)摩擦増大材料14を弾性布地材料13に組み込むことによって実現される。切断断端の皮膚とカバー10a、10b、10c、10dとの間の摩擦によって、使用時にカバー10a、10b、10c、10dが所定の位置に留まる。カバー10a、10b、10c、10dが所定の位置に留まると、補綴のソケットによって生じる痛みが生じる可能性が低下する。上述のように、摩擦増大材料は、水分吸収および/もしくは水分移送材料16または空気不透過性材料に組み込まれてもよい。
【0238】
水分吸収および/または水分移送材料16は、図1dに示すように、代替的に別個の層16として配置されてもよい。水分吸収および/または水分移送材料16は、切断断端の皮膚表面から水分を吸収して除去し、したがって、断端とソケットの間および切断断端の皮膚表面上の環境における相対湿度が低下する。
【0239】
水分吸収および/または水分移送材料16の層は、厚さが1mmから4mmの間であり、好ましくは2mmから3mmの間である。
【0240】
層16は、切断断端の皮膚を保護するのに十分な厚さおよび補綴部材内の温度および湿度が過度に高くなるのを回避するのに十分な薄さを有するべきである。たとえば、1mm~6mmなどのより厚い層16は、吸収を向上させて水分を増やし、したがって、冷却効果を向上させる。
【0241】
層16は、断端を硬いソケットから保護するのに十分な厚さを有する必要がある。
【0242】
層16はまた、補綴内部に取り付けられるのに十分な薄さを有する必要がある。
【0243】
不織布材料、羊毛、シリカゲル、布地、織物、織布材料、ハイドロゲル、超吸収剤、またはそれらの組合せが水分吸収および/または水分移送材料16として使用されてもよい。
【0244】
これらの材料を使用すると使用時に補綴ソケット内部の相対湿度が50%~60%の低いレベルに低下する。当技術分野で知られている補綴カバーを補綴ソケットの下方(すなわち、内部)に使用すると、相対湿度は、15分~20分内程度で迅速に100%程度のレベルに上昇することが多い。したがって、特に好ましい実施形態では、カバーは、水分吸収材料を備える。
【0245】
高相対湿度は、断端とソケットとがしっかりと取り付けられることの作用であり、また当技術分野で知られている断端用の従来のカバーに使用される材料の作用である。たとえば、多くの従来のカバーは、水分吸収性を有しない圧縮材料を備え、したがって、水分が断端から適正に吸収されず、それによって、皮膚に隣接する相対湿度が上昇する。他のカバーは、シリコーンで作られ、シリコーンと皮膚の間の摩擦が過度に高くなるので摩擦を低下させるために断端に対向する内側に布地が設けられる。この解決策は、皮膚表面における相対湿度を十分に低い湿度に維持させるのに十分な程度に水分を吸収することもない。
【0246】
人間の皮膚は、水分の影響を受け、したがって、皮膚の抵抗力は湿度レベルが高いときには著しく低下する。しかし、相対湿度が50~60%である場合、皮膚の抵抗力はずっと高くなる。相対湿度が100%である環境は、非常に熱く不快な環境として経験されるが、50~60%のレベルはそのように知覚されない。
【0247】
皮膚がソケットの内部でさらされる環境における相対湿度を低下させることによって、ユーザが補綴ソケットから装着による摩擦および外傷を受ける可能性が低下する。さらに、本明細書で開示するカバー10a~10d、20a~20d、30a~30e、40、50、60、70a~70dはソケット内部の相対湿度を低下させるので、ユーザの経験はより快適になる。
【0248】
これらの効果により、最近肢を切断したユーザが、現在市販されているカバーを使用する場合よりも早く、より長い期間にわたって補綴を使用できるようになる場合がある。さらに、断端上に外傷が形成される可能性を低下させることもさらなる条件を有するユーザに重要である。たとえば、糖尿病にも罹患しているユーザには切断断端上に形成された外傷によって細菌感染が生じる可能性がより高い。
【0249】
本開示のカバーは、驚くべきことに、断端の表面における相対湿度のレベルを50~60%に維持するように管理するカバーである。さらに、同時に気密材料17を備え、それによって、断端と補綴ソケットとの間のしっかりとした取り付けを実現することができる。
【0250】
好ましくは、水分吸収材料は超吸収剤である。
【0251】
水分を吸収するシリカゲルが、水分吸収材料として使用されてもよい。
【0252】
天然材料がより好ましい場合、羊毛が好ましく、その理由は、羊毛は水分を移送し吸収するからである。
【0253】
超吸収剤は、部分的にナトリウム塩に中和された架橋アクリレートコポリマーであってもよい。
【0254】
図1dにおける水分吸収および/または水分移送材料16は、カバー10の周囲において均等に厚い層として分布される。
【0255】
水分吸収および/または水分移送材料16の層は、カバー10のそれぞれに異なる領域においてそれぞれに異なる厚さを有するように配置されてもよい。断端のそれぞれに異なる部分は、それぞれに異なる構造および硬さを有する。たとえば、骨が存在することに起因して硬い断端の部分は、水分吸収および/または水分移送材料16の層がより厚いことが有利である傾向があり、一方、断端のより柔らかい部分は、層16と同じ厚さである必要はない。したがって、本教示によるカバーは、各々の個々の切断断端に合うように特注されてもよい。
【0256】
一実施形態では、水分吸収および/または水分移送材料16は、カバー10の閉鎖端12における水分吸収材料16の厚さが、カバーの残りの部分における水分吸収材料16の厚さよりも厚くなるように配置される。断端の端部が荷重の影響を受けやすい場合、カバー10の閉鎖端12における水分吸収および/または水分移送材料16のより厚い層が断端を保護し荷重を低下させる。
【0257】
図2a図2dは、水分吸収および/または水分移送材料16の例示的な構成および緩衝材料28の例示的な構成を有するカバー20a~20dの横断面を示す。
【0258】
図示を簡単にするために、図2a図2dには、水分吸収および/または水分移送材料16のみが示されている。しかし、当業者には、カバー20a~20dが、図1または上記に関して説明したそれぞれに異なる層のそれぞれに異なる組合せを備えてもよいことが認識される。
【0259】
カバー20a~20dは、弾性布地材料13を備えてもよく、この弾性布地材料13は、図1aまたは上記に関して説明した水分吸収および/または水分移送材料でもある。
【0260】
代替的に、カバー20a~20dは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、上記で説明した摩擦増大材料14とを備えてもよい。
【0261】
代替的に、カバー20a~20dは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、図1bに関して説明した気密材料17の層とを備えてもよい。真空締結システムを使用する補綴とともにカバー20a~20dを使用する場合、空気がカバーと補綴のソケットとの間に進入するのを防止することが重要である。カバー20a~20dが気密材料17を備えるとき、空気がカバーとソケットとの間に進入する可能性が低下し、補綴はカバー20a~20dによってしっかりと締結される。
【0262】
代替的に、カバー20a~20dは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、気密材料17の層と、および図1cに関して説明した摩擦増大材料14とを備えてもよい。
【0263】
代替的に、カバー20a~20dは、弾性布地材料13の層と、カバー20a~20dの内面15上に配置された摩擦増大材料14の層と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0264】
代替的に、カバー20a~20dは、弾性布地材料13と水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0265】
代替的に、カバー20a~20dは、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、気密材料17の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は、上記で説明した通りである。
【0266】
代替的に、カバー20a~20dは、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、別個の摩擦増大材料14と、図1dに関して説明した気密材料17の層とを備えてもよい。
【0267】
代替的に、カバー20a~20dは、上述のようにカバー20a~20dを形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層間で分布される弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16と、摩擦増大材料14と、気密材料17とを備えてもよい。
【0268】
図2aは、水分吸収および/または水分移送材料16の例示的な構成を有するカバー20aの横断面図を示す。カバー20aは、開放端21と閉鎖端22とを有する。図2aの水分吸収および/または水分移送材料16は、カバー20aの左側よりも右側の方が厚い。
【0269】
図2bは、カバー20bの別の実施形態を提示し、カバー20bは、開放端21と、開放端21の反対側の閉鎖端22とを有する。カバー20bは、カバー20bの閉鎖端22により厚い層として設けられた水分吸収および/または水分移送材料16をさらに備える。水分吸収および/または水分移送材料16のより厚い層は、残肢と補綴との間の荷重および圧力を適度な荷重および圧力にする。これによって、切断患者の装着がより快適になり、切断断端の端部において摩擦が生じる可能性が低下する。
【0270】
カバーは、カバー20の閉鎖端22に緩衝材料28で形成された緩衝材が設けられてもよい(図2cおよび図2d)。図2bの水分吸収および/または水分移送材料16のより厚い層と同様に、緩衝材は、残肢と補綴との間の荷重を適度な荷重にする。これによって、切断患者の装着がより快適になり、切断断端の端部において摩擦が生じる可能性が低下する。さらに、非常に影響を受けやすい断端を有するかまたは最近肢を切断した患者は、緩衝材料28が有利である。その理由は、緩衝材料28が応力を解放し、断端に快適さをもたらすからである。
【0271】
緩衝材料28は、たとえば、水分吸収および/または水分移送材料16と同じ材料であってもよい。そのような場合、緩衝材は、(図2bに示す実施形態に類似した実施形態に対応する)カバー20の閉鎖端22における水分吸収および/または水分移送材料16のより厚い層として配置されてもよい。
【0272】
緩衝材料28は、シリコーン、ゲル、ゴム、または任意の他の圧力解放材料であってもよい。
【0273】
緩衝材料28は、閉鎖端22およびカバー20cの内面上に配置されてもよい(図2c)。
【0274】
代替的に、緩衝材料28は、閉鎖端22およびカバー20dの外面上に配置されてもよい(図2d)。
【0275】
図3a図3eは、摩擦増大材料14の例示的な構成を有するカバー30a~30eの横断面図を示す。
【0276】
図3a図3eに示すように、摩擦増大材料14は、ストライプ、ドット、リング、図形、および/またはカバーの内部の周方向リングとして配置されてもよい。
【0277】
摩擦増大材料14は、これらの異なる幾何学的形状の組合せまたは摩擦増大材料14を切断断端の皮膚に接触させる任意の他の構成として配置されてもよい。
【0278】
図3aでは、摩擦増大材料14は、カバー30aの内面上に分布された点として配置される。
【0279】
図を簡単にするために、図3a図3dには、水分吸収および/または水分移送材料16のみが示されている。
【0280】
摩擦増大材料14は、図3bにおけるカバー30bに示すように線またはストライプとして配置されてもよい。
【0281】
図3cに示すカバー30cは、円の形状をした摩擦増大材料14を備える。
【0282】
図3dにおけるカバー30dは、星形の図形の形態をした摩擦増大材料14を備える。
【0283】
当業者には、摩擦増大材料14が任意の幾何学的形状を有することができることが認識される。
【0284】
図3eにおけるカバー30eは、周方向リングの形をした摩擦増大材料14をカバー30eの内部に備える。
【0285】
さらに、これらの異なる構成は組み合わされてもよい。たとえば、カバー30a、30b、30c、および30dにおいて、摩擦増大材料14の周方向リングは、カバー30a、30b、30c、および30d(図示せず)の開放端31の近くの内面上に設けられてもよい。
【0286】
摩擦増大材料14は、弾性布地材料13に組み込まれ、断端の皮膚に接触する接合部層を形成してもよい。
【0287】
摩擦増大材料14は、水分吸収および/または水分移送材料16に組み込まれ、断端の皮膚に接触する接合部層を形成してもよい。
【0288】
摩擦増大材料14は、気密材料17に組み込まれ、断端の皮膚に接触する接合部層を形成してもよい。
【0289】
カバー30a~30eは、弾性布地材料13を備えてもよく、この弾性布地材料13は、図1aに関して説明した水分吸収および/または水分移送材料でもある。
【0290】
代替的に、カバー30a~30eは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、上記で説明した摩擦増大材料14とを備えてもよい。
【0291】
代替的に、カバー30a~30eは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、図1bに関して説明した気密材料17とを備えてもよい。
【0292】
代替的に、カバー30a~30eは、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、気密材料17と、図1cに関して説明した摩擦増大材料14とを備えてもよい。
【0293】
代替的に、カバー30a~30eは、弾性布地材料13の層と、カバー20aの内面15上に配置された摩擦増大材料14の層と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0294】
代替的に、カバー30a~30eは、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0295】
代替的に、カバー30a~30eは、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、気密材料17の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は上記で説明した通りである。
【0296】
代替的に、カバー30a~30eは、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、別個の摩擦増大材料14と、図1dに関して説明した気密材料17の層とを備えてもよい。
【0297】
代替的に、カバー30a~30eは、カバー30a~30eを形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層間に分布された、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16と、摩擦増大材料14と、気密材料17とを備えてもよい。
【0298】
本教示によるカバーに存在する層13、14、16、および17の数および特性にかかわらず、水分吸収および/または水分移送材料26の例示的な構成ならびに上述の緩衝材料28の例示的な構成は、図3a図3eに示し上記で説明した摩擦増大材料14の例示的な構成のうちの1つもしくは複数と組み合わされてもよい。
【0299】
したがって、本教示によるカバーは好ましくは、弾性布地材料13と、摩擦増大材料14と、水分吸収および/または水分移送材料16と、気密材料17とを備え、これらの材料は、まとまってカバー10、20、30、40、50、60、70を形成する層の数だけ存在する。
【0300】
たとえば、弾性布地材料12は、摩擦増大材料14であってもよく、水分吸収および/または水分移送材料16は、気密材料17であってもよい。
【0301】
図4は、本教示によるカバー40で覆われた切断断端1が、たとえば補綴脚であってもよい補綴デバイス5の補綴ソケット2内にどのように配置されるかを示す。
【0302】
ソケット2は硬く、したがって、カバー40は、切断断端1の皮膚表面と硬いソケット2の内面との摩耗を低下させる。
【0303】
図4に示す構成は、ソケット2の上縁部4を覆うスリーブ3をさらに備える。スリーブ3は、追加のシールを形成して空気がソケット2に進入するのを防止するために使用される。スリーブ3は、必ずしも使用されるとは限らないが、下腿義足を使用する際には一般に使用される。
【0304】
図4におけるカバー40は、本明細書で開示した任意のカバーである。したがって、カバー40は、上述の層13、14、16、および17のうちの1つ~3つからなってもよい。さらに、カバー40は、水分吸収および/または水分移送材料26の例示的な構成のうちのいずれかを備えてもよい。さらに、カバー40は、上述の緩衝材料28の例示的な構成のうちのいずれかを備えてもよい。最後に、カバー40は、上述の摩擦増大材料14の例示的な構成のうちの1つまたは複数を備えてもよい。
【0305】
本教示によるカバーは、スリーブ50の形態であってもよい。そのようなスリーブ50の一実施形態の横断面を図5に示す。図5におけるスリーブ(カバー)は、互いに対向する2つの開放端51、51を備える。したがって、スリーブ50は、切断断端上に通され、たとえば、膝または肘を囲んでもよい。
【0306】
スリーブ50は、その長さに沿って異なる直径を有してもよい。たとえば、一方の開放端51は、スリーブの他方の開放端51の直径よりも小さい幅または直径を有してもよい。したがって、スリーブ50は、円錐台と同様な形状を有してもよい。好ましくは、近位端、すなわち、患者の胴部の最も近くに位置するようになっている端部は、遠位端、すなわちスリーブ50の切断断端の端部の最も近くに位置するようになっている端部よりも幅が広い(より直径が大きい)。当業者には、スリーブ50の厳密な直径が好ましくは、切断断端に合うように個別に調整されることが認識される。
【0307】
スリーブ50を図4に示すようにソケット2の上縁部4を覆うように使用してもよい。真空締結システムまたは吸引懸垂システムを使用する補綴とともにカバーを使用する場合、スリーブ50は、空気が補綴のソケットに進入するのを防止することができる。
【0308】
一実施形態では、スリーブ50は、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13の層を備える。スリーブ50は、カバー10a~10dと同じであり、本明細書で開示するすべての異なる構成の材料を備えてもよい。
【0309】
図を簡単にするために、図5には弾性布地材料13のみが示されている。しかし、当業者には、スリーブ50が、図1に関して説明したそれぞれに異なる層のそれぞれに異なる組合せを備えてもよいことが認識される。
【0310】
スリーブ50は、弾性布地材料13を備えてもよく、弾性布地材料13は、図1aに関して説明した水分吸収および/または水分移送材料でもある。
【0311】
代替的に、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、上述の摩擦増大材料14とを備えてもよい。
【0312】
代替的に、スリーブ50は、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、図1に関して説明した気密材料17の層とを備えてもよい。
【0313】
代替的に、スリーブ50は、水分吸収および/または水分移送材料でもある弾性布地材料13と、気密材料17の層と、図1cに関して説明した摩擦増大材料14とを備えてもよい。
【0314】
代替的に、スリーブ50は、弾性布地材料13の層と、スリーブ50の内面15上に配置された摩擦増大材料14の層と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は、上記で説明した通りである。
【0315】
代替的に、スリーブ50は、弾性布地材料13と水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は、上記で説明した通りである。
【0316】
代替的に、スリーブ50は、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、気密材料17の層とを備えてもよい。それぞれに異なる層の詳細は、上記で説明した通りである。
【0317】
代替的に、スリーブ50は、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16の別個の層と、別個の摩擦増大材料14と、図1dに関して説明した気密材料17の層とを備えてもよい。
【0318】
一般に、摩擦増大材料は、内面、すなわち、ソケットの上縁部に接触するようになっているスリーブの表面上に位置する。
【0319】
摩擦増大材料14と弾性布地材料13は、共通の層に組み込まれてもよい。
【0320】
摩擦増大材料14と水分吸収および/または水分移送材料16は、共通の層に組み込まれてもよい。
【0321】
代替的に、スリーブ50は、弾性布地材料13と、水分吸収および/または水分移送材料16と、摩擦増大材料14と、気密材料17とを備え、これらの材料は、スリーブ50を形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層の間に分布される。
【0322】
本教示によるスリーブ50に存在する層13、14、16、および17の数および特性にかかわらず、水分吸収および/または水分移送材料26の例示的な構成ならびに上述の緩衝材料28の例示的な構成は、図3a図3eに示し上記で説明した摩擦増大材料14の例示的な構成のうちの1つまたは複数と組み合わされてもよい。
【0323】
摩擦増大材料14は、スリーブ50の端部における内面15上により密に広げられてもよい。
【0324】
一実施形態では、スリーブ50は、スリーブ50(図示せず)の内部上縁部および内部下縁部を覆う摩擦増大材料14を備え、気密材料17(図示せず)の外側層をさらに備える。
【0325】
上述のように、本明細書で開示するカバーは、様々な種類の締結システムを使用して切断断端に締結される補綴とともに使用されてもよい。
【0326】
カバーは、真空または吸引懸垂システムとともに使用されてもよい。そのような場合、本教示による気密材料を備えるカバーで覆われた切断断端が、補綴部材のソケットに導入され、ソケット内に真空が確立され、それによって、切断断端が補綴にしっかりと接続される。
【0327】
真空は受動的に実現されてもまたは能動的に実現されてもよい。受動真空は、切断断端が完全に補綴ソケットに合う場合に実現される。断端がソケットに導入されると、空気が一方向排気弁を通してソケットから除去され、ソケット内部に真空が形成される。本教示によるカバーが、切断断端上に巻かれ、補綴のソケット内に挿入される。カバーで覆われた切断断端がソケットに挿入されたとき、および切断患者が立ち上がるときに切断患者の体重が加わったときには、ソケット内に含まれる空気が一方向排気弁を透過する。ソケット内の吸引が生じ、それによって、場合によっては、カバーとソケットとの間に均一な付着が生じる。
【0328】
真空を能動的に形成する場合、補綴ソケットは、手動で操作されてもよい機械的ポンプまたは電気ポンプなどの何らかの種類の空気ポンプを備える。
【0329】
真空は、ソケットと切断断端との間の付着を向上させ、それによって、快適な装着が実現される。本教示による気密材料を含むカバーは、特にそのような用途に適している。
【0330】
スリーブ3は、真空締結システムにおいて使用されてもよく、真空締結システムは、ソケット2の上縁部4の周囲にシールを形成し、それによって、空気がカバーと補綴ソケットとの間に進入する可能性がさらに低下する。
【0331】
代替的に、カバーは、いわゆるランヤードシステムとともに使用されてもよい。そのような場合、カバーは、カバーの頂部開放端11、21、31、41、51、61、71に近接した第1のストラップと、カバーの底部閉鎖端12、22、32、42、62、72における第2のストラップとを備える。カバーは、切断断端上に取り付けられる。さらに、ランヤードシステム内の補綴のソケットは、第1のスリットを備え、このスリットを通して、第1のストラップがソケットの内側から外側に導入されてもよい。第1のストラップはまたループを備え、したがって、ループがスリットを通して移動させられ、第1のストラップが第1のスリットに引き込まれた後ソケットの外側に配置される。第2のストラップは、カバーに近い部分におけるフックアンドループシステムの第1の部分と、第2の端部におけるフックアンドループシステムの第2の部分とを備える。ソケットの底部は、第2のスリットを備え、このスリットを通して、第2のストラップがソケットの内側から外側に挿入される。第2のストラップは、第2のスリットに引き込まれるとき、第1のストラップのループに通される。その後、第2のストラップの2つの端部が互いに取り付けられてもよく、それによって、フックアンドループシステムの2つの部分が互いに係合する。補綴は今や、切断断端に締結されており、カバーは、装着時に摩擦および過度に高い湿度から断端を保護する。
【0332】
ランヤードシステムはまた、カバーの底部閉鎖端において単一のストラップを備えて配置されてもよく、ストラップは、補綴ソケットの底部の穴に引き込まれ、その後、たとえば、補綴ソケットの外側のループ、リング、またはフックにしっかりと締結される。ストラップはループ、リング、またはフックに通されて任意の適切な締結手段によってストラップ自体に固定されてもよい。
【0333】
カバーは、シャトルロックシステムなどのピンおよびロックシステムとともに使用されてもよい。そのようなカバー60が図6に示されている。カバー60は、開放端61と、カバー60の閉鎖端62に配置された雌ねじ部63とを備える。ピン64は、雄ねじ部65を備える。したがって、ピンは、カバー60に取り外し可能に接続可能である。カバー60は、切断断端上に取り付けられ、ピン64の雄ねじ部65は雌ねじ部63にねじ込まれる。カバー60で覆われた切断断端が、底部にロックを有する補綴ソケット(図示せず)に挿入される。ピン64がロックに係合して補綴ソケット(図示せず)におけるカバー60の締結を固定する。
【0334】
場合によっては、ストラップがピンに取り付けられてもよい。ストラップは、ピンを補綴のソケットに含まれるシャトルロック内に案内するようになっている(図示せず)。
【0335】
上記で例示したように、本教示によるカバーは、たとえば、ランヤードシステム、ピンおよびロックシステム、真空システム、または吸引システムなどの、様々な補綴懸垂体に適合する。
【0336】
真空締結システムを使用する補綴とともに本教示によるカバーを使用する場合、空気が補綴のソケットに進入するのを防止することが重要である。このことは、上述のスリーブおよび/またはカバーの外側に位置するシール部材によって実現されてもよい。
【0337】
図7a図7dにおいて、カバー70の断面が示されている。本教示によるカバー70は、シール部材73とともに示されている。カバー70は、開放端71と閉鎖端72とを備える。シール部材73は、カバー70から延びる環状のフランジ74を備える。いくつかの実施形態では、シール部材73は、2つ、3つ、または4つのフランジなどの複数のフランジ74を備える。
【0338】
シール部材73は、シリコーン、ゴム、またはポリマーもしくはコポリマーなどの他の空気不透過性材料などの密封に適した任意の材料から作られてもよい。
【0339】
フランジ74は、様々な幅および厚さを有してもよい。シール部材73の幅は、図7a図7dにおいて点線によって示されている。幅は、2cm~15cm、たとえば、5~10cm、好ましくは約7cmであってもよい。
【0340】
シール部材73は、分離部であってもよく、カバー70上に通される。
【0341】
代替的に、シール部材73は、カバー70の外側に取り付けられたカバー70の一部である。
【0342】
図7a図7dに示すシール部材73は、補綴ソケットとカバー70との間に真空を形成するのを可能にし、カバー70と補綴ソケットとの間にシールを形成するために使用される。フランジ74は、カバー70とソケットとの間に真空を形成するのを助け、また空気が使用時にカバー70とソケットとの間に進入するのを防止する。
【0343】
シール部材73がカバー70の一部である場合、シール部材73を含むカバー70は切断断端上に巻かれる。その後、シール部材73を有するカバー70を装着した断端が補綴ソケットに押し込まれる。フランジ74は、カバー70とソケットとの間に真空を形成するのを助け、また空気が使用時にカバー70とソケットとの間に進入するのを防止する。
【0344】
別個のシール部材73を使用する場合、カバー70が切断断端上に巻かれる。次いで、シール部材73はカバー70の外側に通される。その後、カバー70およびシール部材73を装着した断端が補綴ソケットに押し込まれる。フランジ74は、カバー70とソケットとの間に真空を形成するのを助け、また空気が使用時にカバー70とソケットとの間に進入するのを防止する。
【0345】
具体的な実施形態
実施形態A: カバーは4つの層を備える。第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含む。第2の層は、第1の層を覆い、弾性布地材料を含む。第3の層は、水分吸収および水分移送材料を備え、第2の層を覆う。第4の層は、空気不透過性材料を含み、第3の層を覆う。
【0346】
摩擦増大材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、および軟性プラスチックから選択される。
【0347】
弾性布地材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、およびポリウレタンから選択される。
【0348】
水分吸収および水分移送材料は好ましくは、羊毛、綿、および超吸収剤材料から選択される。
【0349】
空気不透過性材料は好ましくは、個体親水性プラスチックである。
【0350】
実施形態B: カバーは実施形態Aについて説明した通りであり、さらに、1つ~3つ、好ましくは1つのフランジを含むシールを有する。
【0351】
実施形態C: カバーは4つの層を備える。第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含む。第2の層は、第1の層を覆い、弾性布地材料を含む。第3の層は、水分吸収材料を含み、第2の層を覆う。第4の層は、空気不透過性材料を含み、第3の層を覆う。
【0352】
摩擦増大材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、および軟性プラスチックから選択される。
【0353】
弾性布地材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、およびポリウレタンから選択される。
【0354】
水分吸収および水分移送材料は好ましくは、羊毛、綿、および超吸収剤材料から選択される。
【0355】
空気不透過性材料は好ましくは、個体親水性プラスチックである。
【0356】
実施形態D: カバーは、実施形態Cについて説明した通りであり、さらに、1つ~3つのフランジ、好ましくは1つのフランジを有する。
【0357】
実施形態E: カバーは3つの層を備える。第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含む。第2の層は、第1の層を覆い、弾性布地材料を含む。第3の層は、水分吸収および水分移送材料と空気不透過性材料とを含み、第2の層を覆う。
【0358】
摩擦増大材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、および軟性プラスチックから選択される。
【0359】
弾性布地材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、およびポリウレタンから選択される。
【0360】
水分吸収および水分移送材料は好ましくは、羊毛、綿、および超吸収剤材料から選択される。
【0361】
空気不透過性材料は好ましくは、個体親水性プラスチックである。
【0362】
実施形態F: カバーについては実施形態Eについて説明した通りであり、さらに、1つ~3つのフランジ、好ましくは1つのフランジを有する。
【0363】
実施形態G: カバーは3つの層を備える。第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料を含む。第2の層は、第1の層を覆い、弾性布地材料を備える。第3の層は、水分吸収材料と空気不透過性材料とを含み、第2の層を覆う。
【0364】
摩擦増大材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、および軟性プラスチックから選択される。
【0365】
弾性布地材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、およびポリウレタンから選択される。
【0366】
水分吸収および水分移送材料は好ましくは、羊毛、綿、および超吸収剤材料から選択される。
【0367】
空気不透過性材料は好ましくは、個体親水性プラスチックである。
【0368】
実施形態H: カバーについては実施形態Gについて説明した通りであり、さらに、1つ~3つのフランジ、好ましくは1つのフランジを有する。
【0369】
実施形態I: カバーは2つの層を備える。第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と弾性布地材料とを含む。第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収および水分移送材料と空気不透過性材料とを含む。
【0370】
摩擦増大材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、および軟性プラスチックから選択される。
【0371】
弾性布地材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、およびポリウレタンから選択される。
【0372】
水分吸収および水分移送材料は好ましくは、羊毛、綿、および超吸収剤材料から選択される。
【0373】
空気不透過性材料は好ましくは、個体親水性プラスチックである。
【0374】
実施形態J: カバーについては実施形態Iについて説明した通りであり、さらに、1つ~3つのフランジ、好ましくは1つのフランジを有する。
【0375】
実施形態K: カバーは2つの層を備える。第1の層は、切断断端に直接接触するようになっており、摩擦増大材料と弾性布地材料とを含む。第2の層は、第1の層を覆い、水分吸収材料と空気不透過性材料とを備える。
【0376】
摩擦増大材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、および軟性プラスチックから選択される。
【0377】
弾性布地材料は好ましくは、シリコーン、ゴム、およびポリウレタンから選択される。
【0378】
水分吸収および水分移送材料は好ましくは、羊毛、綿、および超吸収剤材料から選択される。
【0379】
空気不透過性材料は好ましくは、個体親水性プラスチックである。
【0380】
実施形態L: カバーについては実施形態Kについて説明した通りであり、さらに、1つ~3つのフランジ、好ましくは1つのフランジを有する。
【符号の説明】
【0381】
1 切断断端
2 補綴ソケット
3、50 スリーブ
4 補綴ソケットの上縁部
10a~10d、20a~20d、30a~30d、40、50、60、70 カバー
11、21、31、51、61、71 開放端
12、22、32、52、62、72 閉鎖端
13 弾性布地材料
14 摩擦増大材料
15 カバーの内面
16 水分吸収および/または水分移送材料
17 気密材料
28 緩衝材料
63 雌ねじ部
64 ピン
65 雄ねじ部
73 シール部材
74 シール部材上のフランジ
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
【手続補正書】
【提出日】2022-02-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断断端(1)を覆うためのチューブ状のカバー(10、20、30、40、50、60、70)であって、前記カバーは、前記切断断端(1)を導入するための少なくとも1つの開放端(11、21、31、41、51、61、71)を有し、
前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)は、
チューブの形をした弾性布地材料(13)と、
前記切断断端(1)に接触するように配置された摩擦増大材料(14)と、
水分吸収および/または水分移送材料(16)であって、好ましくは、前記水分吸収および/または水分移送材料(16)は水分吸収材料である、水分吸収および/または水分移送材料(16)と、
空気不透過性材料(17)と、
を備えるチューブ状のカバー(10、20、30、40、50、60、70)。
【請求項2】
前記カバーは、2つの開放端(51、51)を有する、請求項1に記載のカバー。
【請求項3】
前記カバーは、前記切断断端を導入するための1つの開放端(11、21、31、41、51、61、71)と、前記開放端(11、21、31、41、51、61、71)の反対側の1つの閉鎖端(12、22、32、42、62、72)と、を有する、請求項1に記載のカバー。
【請求項4】
前記弾性布地材料(13)、前記水分吸収および/または水分移送材料(16)、前記摩擦増大材料(14)、および気密材料(17)が存在する場合、前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)を形成する1つ、2つ、3つ、または4つの層間に分布される、請求項1からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項5】
前記弾性布地材料(13)、前記摩擦増大材料(14)、前記水分吸収および/または水分移送材料(16)、および前記空気不透過性材料(17)が存在する場合、そのうちの2つ、3つ、または4つが同じ材料に組み込まれる、請求項1からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項6】
前記摩擦増大材料(14)が前記弾性布地材料(13)に組み込まれる、請求項1からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項7】
前記水分吸収および/または水分移送材料(16)が前記弾性布地材料(13)に組み込まれる、請求項1からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項8】
前記空気不透過性材料(17)が前記水分吸収および/または水分移送材料(16)に組み込まれるか、または前記水分吸収および/または水分移送材料(16)が気密材料(17)と同じ材料である、請求項からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項9】
前記弾性布地材料(13)は、布地、織物、シリコーン糸で作られたシリコーン織布材料などの織布材料、または不織布材料である、請求項1からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項10】
前記水分吸収および/または水分移送材料層(16)を覆う前記空気不透過性材料(17)を備える外側層をさらに備える、請求項からのいずれか一項に記載のカバー。
【請求項11】
前記空気不透過性材料(17)は、プラスチックの一種であり、好ましくは親水性コポリマーである、請求項から10のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項12】
前記カバーは、補綴ソケット(2)とともに使用されるように構成され、前記補綴ソケット(2)は、切断断端(1)が前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)に導入されたときに前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)と前記補綴ソケット(2)との間の真空によって前記切断断端(1)に懸垂される、請求項1から11のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項13】
前記水分吸収および/または水分移送材料(16)は、前記弾性布地材料(13)の周囲に配置され、前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)の閉鎖端(12、22、32、42、62、72)における前記水分吸収材料および/または水分移送材料(16)の厚さは、前記カバーの残りの部分における前記水分吸収材料の厚さよりも厚い、請求項から12のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項14】
前記切断断端と補綴ソケットとの間の荷重を適度な荷重にするように構成された前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)の閉鎖端(12、22、32、42、62、72)における緩衝材料(28)をさらに備える、請求項から12のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項15】
前記カバー(60)の閉鎖端(62)に配置されたねじ部(63)をさらに備え、
前記ねじ部(63)は、
補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたピン(64)、および任意選択で前記ピン(64)を前記ロック内に案内するように構成されたストラップ、または
補綴ソケット内のロックに係合するように構成されたストラップ、
を締結するように適合される、請求項から14のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項16】
前記カバーは、前記カバーの閉鎖端の近位に配置されたストラップをさらに備え、
前記ストラップは、前記カバーによって覆われた切断断端を補綴ソケット内に案内するように構成される、請求項から14のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項17】
前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)の厚さは、1mmから10mmの間、たとえば、1.25mmから8mmの間、たとえば、1.5mmから6mmの間、好ましくは2~5mmである、請求項1から16のいずれか一項に記載のカバー。
【請求項18】
請求項から17のいずれか一項に記載のカバーと、
補綴ソケット(2)の上縁部(4)と前記カバー(10、20、30、40、50、60、70)によって覆われた切断断端(1)との間にシールを形成するように構成されたスリーブ(3、50)と、
を備えるキット。
【国際調査報告】