(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ベネトクラクス、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、または白血病もしくは骨髄異形成症候群を治療するための他の化合物との組み合わせにおけるアザシチジン
(51)【国際特許分類】
A61K 31/706 20060101AFI20220818BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220818BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20220818BHJP
A61K 31/553 20060101ALI20220818BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20220818BHJP
A61K 31/53 20060101ALI20220818BHJP
A61K 31/444 20060101ALI20220818BHJP
A61K 31/496 20060101ALI20220818BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20220818BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20220818BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220818BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20220818BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K31/706
A61K45/00
A61K31/497
A61K31/553
A61K31/5377
A61K31/53
A61K31/444
A61K31/496
A61K9/48
A61K9/20
A61P35/02
A61P7/00
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575509
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-02
(86)【国際出願番号】 US2020038760
(87)【国際公開番号】W WO2020257665
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508027464
【氏名又は名称】セルジーン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CELGENE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【氏名又は名称】佐藤 渉
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】フラッティーニ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ,クル
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,シェロニトダ
(72)【発明者】
【氏名】ダンシー,ダイアナ アール
(72)【発明者】
【氏名】ロペス デ メネゼス,ダニエル イー
(72)【発明者】
【氏名】マクベス,カイル
(72)【発明者】
【氏名】ダイ,ユーミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジェシカ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
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4C086MA35
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4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA51
4C086ZB27
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
本出願において、急性骨髄性白血病または骨髄性白血病(AML)などの疾患および障害、異常細胞増殖、骨髄異形成症候群(MDS)、異常細胞増殖、血液疾患、および免疫疾患などの他の疾患および障害を治療するための、1つ以上のさらなる薬剤との組み合わせにおける、5-アザシチジンの使用方法が提供される。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性骨髄性白血病および/または骨髄異形成症候群を有するヒトの治療方法であって、当該方法が(i)経口投与される5-アザシチジンを含む医薬組成物、および(ii)少なくとも1つのさらなる治療剤を、ヒトに投与することを含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つのさらなる治療剤が、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH1)阻害剤、および/またはB細胞性リンパ腫2(BCL2)阻害剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つのさらなる治療剤が、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、および/またはベネトクラクスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つのさらなる治療剤が、ギルテリチニブまたはミドスタウリンである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのさらなる治療剤が、ベネトクラクスである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
(a)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が同時に投与される;あるいは
(b)5-アザシチジンが最初に投与される場合、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が順次投与される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
(a)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、単一の単位剤形として共に製剤化される;あるいは
(b)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が別個の剤形として製剤化される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
(a)少なくとも1つのさらなる治療剤が非経口投与される;あるいは
(b)少なくとも1つのさらなる治療剤が経口投与される、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
5-アザシチジンが、
(a)約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgの用量で経口的に;および/または
(b)約200mgの用量で;および/または
(c)約300mgの用量で;および/または
(d)28日サイクルの最初の7日、14日、または21日間にわたり;および/または
(e)1日1回または2回、ヒトに;および/または
(f)カプセルまたは錠剤の形態で
投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
5-アザシチジンが腸溶性コーティングされていない錠剤の形態で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
5-アザシチジンが即時放出経口組成物の形態で投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
5-アザシチジンが、
(a)28日サイクルの14日間にわたり1日約200mgの用量で;
(b)28日サイクルの14日間にわたり1日約300mgの用量で;
(c)28日サイクルの21日間にわたり1日約200mgの用量で;
(d)28日サイクルの21日間にわたり1日約300mgの用量で;
(e)28日サイクルの7日間にわたり1日約200mgの用量で;または
(f)28日サイクルの7日間にわたり1日約300mgの用量で
投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
5-アザシチジンが、
(a)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、または14日を超えて毎日、その後適宜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、または14日を超える治療休薬日を伴って;
(b)14日以上にわたり毎日、その後適宜7日以上の治療休薬日を伴って;
(c)21日以上にわたり、その後適宜7日以上の治療休薬日を伴って;
(d)14日間にわたり、その後適宜14日の治療休薬日を伴って;
(e)21日以上にわたり、その後7日以上の治療休薬日を伴って;または
(f)14日間にわたり、その後14日の治療休薬日を伴って
投与される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、または(f)の少なくとも1つが繰り返される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
5-アザシチジンが、
(a)14日にわたり毎日、約300mgの用量で、その後14日の治療休薬日を伴って;
(b)14日にわたり毎日、約200mgの用量で、その後14日の治療休薬日を伴って;
(c)21日にわたり毎日、約300mgの用量で、その後7日の治療休薬日を伴って;
(d)毎日約200mgの用量で、次いで7日間の治療休薬日を伴って;
(e)14日にわたり毎日、300mgの用量で、その後14日の治療休薬日を伴って;
(f)14日にわたり毎日、200mgの用量で、その後14日の治療休薬日を伴って;
(g)21日にわたり毎日、300mgの用量で、その後7日の治療休薬日を伴って;または
(h)毎日200mgの用量で、その後7日の治療休薬日を伴って、
投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、または(h)のうち少なくとも1つを繰り返す、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
5-アザシチジンが、
(a)28日サイクルの7日間、1日あたり5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて;
(b)28日サイクルの14日間、1日あたり5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて;または
(c)28日サイクルの21日間、1日あたり5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて
投与される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群の治療に相乗効果を提供する、請求項4に記載の方法。
【請求項19】
(a)急性骨髄性白血病が、FMS様チロシンキナーゼ-3 遺伝子内縦列重複(FLT3-ITD)変異によって引き起こされることを特徴とする;および/または
(b)少なくとも1つのさらなる治療剤の前に、5-アザシチジンが投与される;および/または
(c)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、骨髄細胞白血病1(MCL-1)の分解を促進する;および/または
(d)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、静脈内または皮下投与された5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、平均生存期間を増加させる;および/または
(e)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、静脈内または皮下投与された5-アザシチジンと比較して、平均生存期間を、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる、
請求項4に記載の方法。
【請求項20】
5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群の治療に相乗効果を提供する、請求項5に記載の方法。
【請求項21】
(a)急性骨髄性白血病が、FLT3-ITD変異によって引き起こされることを特徴とする;および/または
(b)急性骨髄性白血病が、少なくとも1つのさらなる治療剤のみによる治療に耐性である;および/または
(c)少なくとも1つのさらなる治療剤の前に、5-アザシチジンが投与される;および/または
(d)急性骨髄性白血病は、FMS様チロシンキナーゼ-3(FLT3阻害剤)による治療に応答性である;および/または
(e)急性骨髄性白血病が、MCL-1の過剰発現を有することを特徴とする;および/または
(f)5-アザシチジンが、MCL-1の発現を下方制御することによって、少なくとも1つのさらなる治療剤によって介在されるアポトーシスについて、癌細胞を刺激する;および/または
(g)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、MCL-1の分解を促進する;および/または
(h)5-アザシチジンが細胞代謝を変化させる;および/または
(i)5-アザシチジンが細胞周期の停止を生じさせる;および/または
(j)5-アザシチジンが酸化的リン酸化を抑制する;および/または
(k)5-アザシチジンが活性化転写因子3(ATF3)の発現を増加させる;および/または
(l)5-アザシチジンがステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD)の発現を減少させる;および/または
(m)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、静脈内または皮下投与された5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、平均生存期間を増加させる;および/または
(n)5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が、静脈内または皮下投与された5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる、
請求項5に記載の方法。
【請求項22】
当該方法が、
(a)1、2、または3日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;
(b)1日以上にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および
(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すこと
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
当該方法が、
(a)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;
(b)1日以上にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および
(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すこと
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
当該方法が、
(a)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;
(b)1日以上にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および
(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すこと
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
当該方法が、
(a)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;
(b)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日にわたり、ヒトに少なくとも1つの治療剤を毎日、同時に投与すること;および
(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すこと
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
少なくとも1つのさらなる治療剤が、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、および/またはベネトクラクスを投与することを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
当該方法が、
(a)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;
(b)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を毎日、同時に投与すること;および
(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すこと
を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することが、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、および/またはベネトクラクスを投与することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
当該方法が、
(a)28日サイクルの7日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを投与すること;
(b)28日サイクルの1日にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;
(c)28日サイクルの6日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを投与すること;および
(d)7日の休息期間後、ステップ(a)から(c)を繰り返すこと
の順次のステップを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
当該方法が、
(a)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;
(b)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を毎日投与すること;
(c)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに5-アザシチジンを毎日投与すること;および
(d)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日の休息期間後、ステップ(a)および(c)を適宜繰り返すこと
の順次のステップを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
ヒトが急性骨髄性白血病を有する、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
ヒトが骨髄異形成症候群を有する、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
骨髄異形成症候群が、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)によって定義される、高い、および非常に高いリスクの骨髄異形成症候群である、請求項32に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は米国仮出願第62/864,413号(2019年6月20日出願)の優先権の利益を主張し、その全体的な内容は参照により本明細書に援用される。
【0002】
限定されないが、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、異常細胞増殖に関連する障害、血液疾患、および免疫疾患などの癌を含む、疾患および障害を治療するための、1つ以上のさらなる治療剤との組み合わせにおける、5-アザシチジンの使用方法が提供される。
【背景技術】
【0003】
癌は、医学文献に記載されている多くの種類の癌を伴う、主要な世界的な共通の健康問題である。例としては、血液、骨、肺(例えば、非小細胞性肺癌および小細胞性肺癌)、大腸、乳房、前立腺、卵巣、脳、および腸の癌が挙げられる。癌の発生率は、全体的な人口が高齢化し、新たな形態の癌が発生するにつれて、増加し続けている。癌患者を治療するための効果的な治療に対する継続的な必要性が存在する。
【0004】
骨髄異形成症候群(MDS)は、造血幹細胞障害の多様な群をいう。MDSの年間発生率は、世界中で100,000人あたり4.9例であると推定されており、米国では約10,000人が毎年MDSと診断されている。MDSは、形態および成熟の障害(骨髄異形成)、末梢血液血球減少症、および無効な血液細胞の産生に起因する、急性白血病の進行の変動するリスクを有する骨髄細胞によって特徴付けられうる。
【0005】
骨髄、赤血球、および巨核球系の形成異常変化などの、1つ以上の造血系の形成異常変化の存在により、MDSをグループ化する。これらの変化により、3つの系統のうち1つ以上において血球減少症が生じる。MDSを患っている患者は、貧血、好中球減少症(感染)、および/または血小板減少症(出血)に関連する合併症を発症しうる。MDSを有する患者の約10%から約70%が、急性白血病を発症しうる。MDSの初期段階において、血球減少症の主な原因は、プログラムされた細胞死(アポトーシス)の増加である。疾患が進行して白血病に代わると、白血病細胞の増殖が健康な骨髄を凌駕する。疾患の経過は異なり、緩慢進行性の疾患として振る舞う場合もあれば、急性型の白血病に代わる非常に短い臨床経過で攻撃的に振る舞う場合もある。MDSのリスクが高い人の大半は、最終的に骨髄不全を経験する。MDS患者の最大50%は、AMLに進行する前に、感染または出血などの合併症に屈する。
【0006】
急性骨髄性白血病(AML)は、骨髄および血液に影響する癌の種類である。AMLは、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒性白血病、および急性非リンパ芽球性白血病などの様々な名前で知られている。急性骨髄性白血病の「急性」という言葉は、この疾患の急速な進行を反映している。これは、通常、赤血球、白血球、および血小板などの様々な種類の成熟血液細胞に発達する、骨髄細胞と呼ばれる白血球のグループに影響するため、急性骨髄性白血病と呼ばれる。言い換えれば、AMLは、骨髄前駆体細胞株の悪性腫瘍であり、骨髄に蓄積して正常細胞の産生を妨げる、異常細胞の急速な増殖によって特徴付けられる。
【0007】
AMLは一般に、以前の細胞毒性化学への曝露後に生じる場合、または以前の骨髄異形成症候群(MDS)または先行する血液障害(AHD)の前歴の後に生じる場合、新規または二次として分類される。遺伝子レベルでのAMLの病因もまた不均一である。AMLを引き起こす遺伝子変化としては、チロシンキナーゼ遺伝子における遺伝子内縦列重複、白血病誘発に関連する遺伝子の機能を変化させる染色体再配置、および転写因子の活性化などを生じる変異などが挙げられる。AMLにおける遺伝子変化の包括的なプロファイリングは、疾患の分類、リスクの層別化、および予後を向上させ、最終的にはより正確な治療的介入を可能にするであろう。MV4-11およびMOLM-13は、FLT3変異を発現するAML細胞株である。Quentmeier et al., Leukemia, 17(1):120-4 (Jan. 2003)を参照されたい。FLT3-ITDはMCL-1を上方制御し、AMLにおける幹細胞の生存を促進する。Yoshimoto et al., Blood, 114(24):5034-43 (Dec. 3, 2009)を参照されたい。
【0008】
現在のAML治療の戦略としては、寛解導入のための導入化学療法、生存期間延長を意図する低強度治療が挙げられる。寛解導入化学療法は、寛解、または少なくとも腫瘍量の効果的な減少を達成するための、腫瘍縮小モダリティである。シタラビンおよびアントラサイクリンの組み合わせは、寛解を誘導するための治療の中心であった。一般的な導入レジメンは、7日間にわたり100から200mg/m2/日の用量のシタラビン、および3日間にわたり45から90mg/m2/日の用量のダウノルビシンから成り、しばしば「7+3プロトコル」と称される。寛解が達成された場合、化学療法またはドナーからの幹細胞移植(同種造血幹細胞移植[HSCT])のさらなるサイクルを、地固めのために用いる。導入化学療法は若い健康な患者の標準であるが、高齢および健康でない人々においては議論の余地が残る。ICを受けている高齢患者において、主に治療関連死亡率の増加および予後不良の要因によって、高齢者集団において見られる寛解率の低下が生じるため、結果はあまり好ましくない。年齢、パフォーマンスステータス、および既存疾患のために不適格または不健康であるとみなされる患者、またはICの現在の化学療法選択肢を選択しない患者についての治療選択肢としては、低用量シタラビン、5-アザシチジン、またはデシタビンが挙げられる。
【0009】
導入化学療法は、新たにAMLと診断された若年成人の約60%から80%、および高齢成人の40%から50%において、形態的完全寛解(CR)をもたらすが、CRを達成することができない(すなわち、難治性のAML)相当数の患者が存在する。導入治療後にCRを達成した患者でさえ、有意な割合で最終的に再発し、治療3年後の無再発生存率はわずか約29%である。
【0010】
したがって、限定されないが、AMLおよび/またはMDSなどの癌を治療するための、より有効な治療の必要性が存在し、本開示はこの必要性に対処する。
【発明の概要】
【0011】
少なくとも1つのさらなる治療剤との組み合わせにおいて5-アザシチジンを用いる、AML、MDS、癌、異常細胞増殖に関連する障害、血液疾患、および免疫疾患などの疾患および障害の治療方法が、本明細書に提供される。
【0012】
本明細書のいくつかの実施態様は、さらなる治療剤がギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、またはベネトクラクスであることを提供する。
【0013】
本明細書におけるいくつかの実施態様は、5-アザシチジンが単一の単位剤形である組成物として投与されることを提供する。本明細書におけるいくつかの実施態様は、腸溶性コーティングされていない組成物を提供する。本明細書におけるいくつかの実施態様は、速放性経口組成物である組成物を提供する。
【0014】
ある局面において、急性骨髄性白血病、または骨髄異形成症候群を有するヒトの治療方法が提供され、ここで、当該方法は、(i)経口投与される5-アザシチジンを含む医薬組成物、および(ii)少なくとも1つのさらなる治療剤をヒトに投与することを含む。
【0015】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤は、FMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)阻害剤、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH1)阻害剤、および/またはB細胞性リンパ腫2(BCL2)阻害剤を含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤はギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、および/またはベネトクラクスを含む。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤はギルテリチニブまたはミドスタウリンである。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤はギルテリチニブである。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤はベネトクラクスである。
【0017】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は同時に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤が順次投与され、ここで、5-アザシチジンは最初に投与される。
【0018】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、単一の単位剤形として共に製剤化される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、別個の剤形として製剤化される。
【0019】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤は非経口投与される。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤は経口投与される。
【0020】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、約590mg、または約600mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは約200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは約300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、または600mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは200から300mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの最初の7、14、または21日にわたり毎日投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは1日あたり1または2回、ヒトに投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは1日あたり1回、ヒトに投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンはカプセルまたは錠剤の形態で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは腸溶性コーティングされていない錠剤の形態で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは速放性経口組成物の形態で投与される。
【0021】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて14日間、1日あたり約200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて14日間、1日あたり約300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて21日間、1日あたり約200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて21日間、1日あたり約300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて7日間、1日あたり約200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて7日間、1日あたり約300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて14日間、1日あたり200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて14日間、1日あたり300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて21日間、1日あたり200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて21日間、1日あたり300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて7日間、1日あたり200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルにおいて7日間、1日あたり300mgの用量で投与される。
【0022】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、(a)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間または14日を超えて毎日、その後適宜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日間または14日を超える治療休薬日を伴って;(b)14日以上の間毎日、その後適宜7日以上の治療休薬日を伴って;(c)21日以上の間、その後適宜7日以上の治療休薬日を伴って;(d)14日間、その後適宜14日の治療休薬日を伴って;(e)21日以上の間、その後の7日以上の治療休薬日を伴って;(f)14日間、その後の14日間の治療休薬日を伴って、投与される。いくつかの実施態様において、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、または(f)の少なくとも1つが繰り返される。
【0023】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、(a)14日間毎日、約300mgの用量で、その後14日間の治療休薬日を伴って;(b)14日間毎日、約200mgの用量で、その後14日間の治療休薬日を伴って;(c)21日間毎日、約300mgの用量で、その後7日間の治療休薬日を伴って;(d)毎日約200mgの用量で、その後7日間の治療休薬日を伴って;(e)14日間毎日、300mgの用量で、その後14日間の治療休薬日を伴って;(f)14日間毎日、200mgの用量で、その後14日間の治療休薬日を伴って;(g)21日間毎日、300mgの用量で、その後7日間の治療休薬日を伴って;または(h)毎日200mgで、その後7日間の治療休薬日を伴って、投与される。いくつかの実施態様において、ステップ(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、または(h)の少なくとも1つが繰り返される。
【0024】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、28日サイクルの7日間にわたり、1日あたり5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて、投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、28日サイクルの14日間にわたり、1日あたり5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて、投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、28日サイクルの21日にわたり、1日あたり5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて、投与される。
【0025】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は相乗効果を提供し、急性骨髄性白血病または骨髄異形成症候群を治療する。
【0026】
いくつかの実施態様において、急性骨髄性白血病はFMS様チロシンキナーゼ-3遺伝子内縦列重複(FLT3-ITD)変異によって生じるものとして特徴付けられる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、少なくとも1つのさらなる治療剤の前に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、骨髄細胞白血病1(MCL-1)の分解を増加させる。
【0027】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、静脈内または皮下投与した5-アザシチジン、および少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、平均生存率を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、静脈内または皮下投与した5-アザシチジン、および少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、平均生存率を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0028】
いくつかの実施態様において、急性骨髄性白血病は、少なくとも1つのさらなる治療剤による治療に耐性である。いくつかの実施態様において、急性骨髄性白血病は、FMS様チロシンキナーゼ-3(FLT3阻害剤)による治療に応答性である。いくつかの実施態様において、急性骨髄性白血病は、MCL-1の過剰発現を有することとして特徴付けられる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、MCL-1の発現を下方制御することにより、少なくとも1つのさらなる治療剤によって介在されるアポトーシスについて、癌細胞を刺激する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、MCL-1分解を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは細胞代謝を変化させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは細胞周期の停止を生じさせる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは酸化的リン酸化を抑制する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは活性化転写因子3(ATF3)の発現を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、ステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD)の発現を減少させる。
【0029】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)1、2、または3日間にわたり、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;(b)1日以上にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すことを含む。
【0030】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日間にわたり、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;(b)1日以上にわたり、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すことを含む。
【0031】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;(b)1日以上にわたりヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すことを含む。
【0032】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日にわたり、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;(b)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日にわたり、ヒトに毎日少なくとも1つの治療剤を同時に投与すること;および(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すことを含む。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することは、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、またはベネトクラクスを投与することを含む。
【0033】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;(b)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日にあたり、ヒトに毎日少なくとも1つのさらなる治療剤を同時に投与すること;および(c)ステップ(a)および(b)を適宜繰り返すことを含む。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することは、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、またはベネトクラクスを投与することを含む。
【0034】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)28日サイクルの7日間、ヒトに5-アザシチジンを投与すること;(b)28日サイクルの1日間、ヒトに少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;(c)28日サイクルの6日間、ヒトに5-アザシチジンを投与すること;および(d)7日の休息期間の後ステップ(a)から(c)を繰り返すことの順次のステップを含む。
【0035】
いくつかの実施態様において、当該方法は:(a)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日間、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;(b)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日間、ヒトに毎日少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;(c)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日間、ヒトに毎日5-アザシチジンを投与すること;および(d)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21日の休息期間の後、ステップ(a)および(c)を適宜繰り返すことの、順次のステップを含む。
【0036】
いくつかの実施態様において、ヒトは急性骨髄性白血病を有する。いくつかの実施態様において、ヒトは骨髄異形成症候群を有する。いくつかの実施態様において、骨髄異形成症候群は、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)によって定義される、高いリスクおよび非常に高いリスクの骨髄異形成症候群である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、MV4-11およびMOLM-13細胞株の両方を用いた、ギルテリチニブとの組み合わせにおける5-アザシチジン、およびミドスタウリンとの組み合わせにおける5-アザシチジンの、最大EC
50倍率変化を表す。3つの異なる用量スケジュールの結果を示す:(i)最初に投与した5-アザシチジン(黒の棒);(ii)同時に投与した2つの薬剤(薄い灰色の棒);および(iii)2番目に投与した5-アザシチジン(中間の灰色の棒)。
【0038】
【
図2】
図2は、(i)FLT3阻害剤(FLT3i)の前に、間隔を置いて、最初に投与した5-アザシチジン(AZA);(ii)同時に投与した2つの薬剤(5-アザシチジンおよびFLT3i);および(iii)FLT3iを投与した後、間隔を置いて、2番目に投与した5-アザシチジンの、3つの異なる用量スケジュールを表す。FLT3阻害剤は、ミドスタウリン、またはギルテリチニブなどの任意の適切なFLT3阻害剤でありうる。
【0039】
【
図3】
図3A-Dは、MV4-11(
図3A)およびMOLM-13(
図3C)細胞株を用いた、ベネトクラクスとの組み合わせにおける5-アザシチジンの、最大EC
50倍率変化を表す。凡例に示されるように、3つの異なる用量スケジュールからの結果が示される:(i)最初に投与した5-アザシチジン(黒の棒);(ii)同時に投与した2つの薬剤(薄い灰色の棒);および(iii)2番目に投与した5-アザシチジン(中間の灰色の棒)。3つの異なる用量スケジュールについて、MV4-11(
図3B)およびMOLM-13(
図3D)細胞株を用いて、ベネトクラクスとの組み合わせで投与される5-アザシチジンについて、相乗指数もまた示す。
【0040】
【
図4】
図4A-Cは、5-アザシチジンを最初に投与した場合のMV4-11細胞における5-アザシチジンとベネトクラクスの相乗効果(
図4A)、同時投与による比較的低い相乗効果(
図4B)、および最初に投与したベネトクラクスとの相乗効果(
図4C)を示す、応答曲面分析を表す。応答曲面法(RSM)は、いくつかの説明変数および1つ以上の応答変数の関係を調査するための、よく知られた統計学的方法である。RSMは、最適な応答、この場合は5-アザシチジンとベネトクラクスとの相乗効果を得るための、一連の計画実験を用いる。
【0041】
【
図5】
図5は、MV4-11細胞株において、(a)5-アザシチジンおよびミドスタウリン(「aza+0.3μM Mido」)および(b)5-アザシチジンおよびギルテリチニブ(「aza+0.3μM Gilt」)が、MCL-1分解を増加させることを示す、ウエスタンブロットを表す。
【0042】
【
図6】
図6は、5-アザシチジンおよびベネトクラクス治療が、FLT3ITD MV4-11細胞におけるMCL-1量を減少させることを示すウエスタンブロットを表す。
【0043】
【
図7】
図7A-Cは、生存率(y軸)対0~70日目(x軸)のグラフによる、MOLM-13異種移植モデルにおける、5-アザシチジンの組み合わせのインビボ評価を示す。
図7Aは、5-アザシチジンおよびミドスタウリンの組み合わせの結果を示し、
図7Bは、ベネトクラクスと組み合わせた5-アザシチジンの結果を示し、
図7Cは、5-アザシチジンおよびギルテリチニブの組み合わせの結果を示す。
図7A-Cに示す実験についての用量は、次の通りである:(i)5-アザシチジン(低曝露、長期間、LEED):1mg/kg 腹腔内(IP)、1日1回5日間を3回(qdx 5x3);(ii)5-アザシチジン(高曝露、短期間、HELD):3mg/kg 腹腔内(IP)、1日1回5日間(qdx 5);(iii)ミドスタウリン(100mg/kg 経口(PO)、1日1回21日間(qdx21));(iv)ギルテリチニブ(4mg/kg 経口(PO)、1日1回21日間(qdx21));および(v)ベネトクラクス(100mg/kg 経口(PO)、1日1回21日間(qdx21))。P値 (最善の単一薬剤に対して) *P < 0.05; **P<0.001; ***P<0.0001。
【0044】
【
図8】
図8A、8B、および8Cは、22個のAML細胞株の、単一薬剤としての5-アザシチジン(AZA)およびベネトクラクスに対する感受性(それぞれ、
図8Aおよび8B)、および5-アザシチジンおよびベネトクラクスの組み合わせに対する感受性(
図8C)を示す。
【0045】
【
図9】
図9A-Fは、5-アザシチジンおよびベネトクラクスによる治療開始の7日後、MV4-11細胞(
図9A-C)およびMOLM-13細胞(
図9D-F)の細胞生存および対応する相乗指数(SI)を示す。以下のスケジュールを試験した:1、2、および3日目に5-アザシチジン投与、次いで4日目にベネトクラクス投与(最初に5-アザシチジン AZA)(
図9Aおよび9D);1日目に5-アザシチジンおよびベネトクラクスを共投与、次いで2および3日目に5-アザシチジン投与(同時)(
図9Bおよび9E);並びに1日目にベネトクラクス投与、次いで2、3、および4日目に5-アザシチジン(最初にベネトクラクス)(
図9Cおよび9F)。
【0046】
【
図10】
図10A、10B、および10Cは、MCL-1の発現と、野生型FLT3、FLT3-ITD、またはFLT3(D835Y)変異を発現する人工BaF3細胞株のパネルにおいて、5-アザシチジンおよびベネトクラクスの組み合わせの相乗効果の程度との相関を示す。
【0047】
【
図11】
図11は、RNASeqによって測定したMCL1 RNA量と、20個のAML細胞株のパネルにおける相乗指数(r
2=-0.5607、p=0.0101)との相関を示す。
【0048】
【
図12】
図12A-Hは、4つの異なるAML細胞株:KG1α(
図12A)、MV4-11(
図12B)、THP-1(
図12C)、およびOCI-AML2(
図12D)における、5-アザシチジン介在MCL-1分解の程度を示す。結果は、KG1α(
図12E)およびMV4-11(
図12F)細胞株を用いた5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗活性(それぞれ、70および35.5の相乗指数(SI))、並びにTHP-1(
図12G)およびOCI-AML-2(
図12H)細胞株を用いた非常に低い、または存在しない相乗活性(それぞれ、20.2および10.8のSI)を示す。KG1α(
図12A)およびMV4-11(
図12B)細胞株について、5-アザシチジン-ベネトクラクスが最大の相乗効果を有する場合(
図12Eおよび12F)、5-アザシチジンは最も早くMCL-1の分解を生じさせ、これは治療の6時間後に開始した。対照的に、THP-1(
図12G)について、5-アザシチジン-ベネトクラクスがわずかな相乗活性しか提供しなかった場合、5-アザシチジン介在MCL-1分解は遅く、16時間において開始し、24時間まで不完全な分解を示した(
図12C)。OCI-AML2(
図12D)について、5-アザシチジン-ベネトクラクスが最も低い相乗効果を有する場合(
図12H)、5-アザシチジンはMCL-1のいかなる分解も生じさせなかった。
【0049】
【
図13】
図13Aは、カスパーゼ3の分解を評価するウエスタンブロットを示す。細胞をZ-VAD-FMK、汎カスパーゼ阻害剤で処理し、5-アザシチジンによるMCL-1分解の程度を測定した。
図13Bは、5-アザシチジンによるMCL-1の分解の棒グラフを示し、ここで、さらに16時間5-アザシチジンで処理する前に、細胞を20μM Z-VAD-FMKで1時間処理した。カスパーゼ阻害は、MV4-11細胞における5-アザシチジンによるMCL-1分解を部分的に除去し、これはMCL-1分解のさらなるカスパーゼ依存性メカニズムを示唆した。
【0050】
【
図14】
図14AおよびBは、PBS(ビヒクル)、1μMの5-アザシチジンで24時間(
図14A)、または1μMの5-アザシチジンで48時間(
図14B)処理したMV4-11細胞において行った、RNAseqの結果を示す。
図14AおよびBは、24時間(
図14A)および48時間(
図14B)において有意に改変された遺伝子のボルケーノプロットを示し、これは5-アザシチジンが、24時間において133個の差次的に発現した遺伝子、および48時間において226個の差次的に発現した遺伝子を誘導したことを示す。5-アザシチジンによって誘導される、差次的に発現した遺伝子のさらなる分析によって、MCL1発現を制御することが以前に示された、2つの遺伝子を特定した:活性化転写因子3(ATF3)およびステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD)。5-アザシチジン治療の48時間後に、ATF3の発現は2倍に増加した。脂質代謝およびMCL1の調節因子である、SCD(ステアロイル-CoAデサチュラーゼ)の発現は、48時間における5-アザシチジン処理によって、2.5倍減少した。ATF3(
図14C)およびSCD(
図14D)発現の変化は、リアルタイムPCRを用いた別の実験において検証した。0.3μM 5-アザシチジン処理は、24または48時間のいずれかにおいて、ATF3発現を誘導するのに十分ではなかったため、ATF3発現は時間および濃度依存的な方法で増加した(
図14C)。同様に、3μM 5-アザシチジンで処理した場合、SCD発現は24時間以内に急激に減少したが、この時点では低濃度の5-アザシチジンの影響を受けなかった(
図14D)。
【0051】
【
図15】
図15A-Cは、相乗効果におけるそれらの機能を評価するため、MV4-11細胞におけるATF3および/またはSCD遺伝子のsiRNAノックダウンの結果を示す。MV4-11細胞をトランスフェクトしないままにするか、あるいはATF3、SCD、または対照(スクランブル)siRNAをトランスフェクトした。対照として、細胞をsiRNAでトランスフェクトし、RNAについて回収し、トランスフェクションの72時間後にqPCRした(
図15A)。スクランブルsiRNAによって処理した細胞において、ATF3(
図15B)またはSCD(
図15C)の発現に変化は見られなかった。トランスフェクション後、1~3日目に毎日、細胞を様々な濃度の5-アザシチジンで処理した。4日目に、細胞にベネトクラクスを投与し、次いで治療開始7日後にCellTiter-Glo(登録商標)を用いて細胞生存試験を行った。5-アザシチジン-ベネトクラクスの相乗効果は、CombenefitおよびHighest Single Agent分析を用いて計算した(
図15D-G)。
図15D=トランスフェクトしていない細胞;
図15E=スクランブルRNAi;
図15F=ATF3ノックダウン;および
図15G=SCDノックダウン。
【0052】
【
図16】
図16A、16B、16C、16D、16E、および16Fは、5-アザシチジンおよびベネトクラクスが、注射可能な5-アザシチジン(HELD)または経口5-アザシチジン(LEED)に対応する用量およびスケジュールにおいて、インビボの相乗活性を有するかどうかに関する評価の結果を示す。5-アザシチジン-ベネトクラクスの相乗効果を示す2つの細胞株、MV4-11(
図16A-C)およびMOLM-13(
図16D-F)を用いて、免疫不全動物において播種性AML異種移植マウスを生成した。インビトロで、ベネトクラクスは、いずれの細胞株もベネトクラクスに対して感受性にし(
図16Aおよび16D)、5-アザシチジンと相乗作用した(
図16Bおよび16E)。経口5-アザシチジン(LEED)レジメンをモデル化するために、マウスを1mg/kg 5-アザシチジンで15日間処理した(低曝露、長期間)。あるいは、同じ累積用量であるが、注射可能な5-アザシチジン(HELD)レジメンを用いるために、マウスを3mg/ml 5-アザシチジンで5日日処理した(高曝露、短時間)。
【0053】
【
図17】
図17A、17B、17C、17D、17E、17F、17G、17H、17I、17J、および17Kは、5-アザシチジンおよびFLT3阻害剤の併用治療が、AML細胞において相乗効果を有するかどうかについての調査の結果を示す。
図17A-Dは、MV4-11細胞を用いた実験結果を示し、
図17E-Hは、MOLM-13細胞を用いた実験結果を示す。
図17A、17B、17E、および17Fは、5-アザシチジンおよびミドスタウリンを用いた治療の結果を示す。
図17C、17D、17G、および17Hは、5-アザシチジンおよびギルテリチニブを用いた治療の結果を示す。1~3日目に、細胞を5-アザシチジンの1日用量で処理し、次いで4日目にFLT-3阻害剤(ミドスタウリンまたはギルテリチニブ)で処理した。7日目に細胞を回収し、細胞生存率をCellTiter-Glo(登録商標)アッセイによって評価した。ミドスタウリンは、MV4-11を5-アザシチジンに対して感受性にし(
図17A)、5-アザシチジンと相乗作用することが示された(
図17B)。同様の効果は、5-アザシチジンおよびギルテリチニブで処理したMV4-11細胞(
図17Cおよび17D)、並びに5-アザシチジンおよびミドスタウリン(
図17Eおよび17F)、またはギルテリチニブ(
図17Gおよび17H)で処理したMOLM-13細胞において観察された。
図17Iは、MOLM-13細胞の生存率(y軸)対1~70日目のビヒクル、5-アザシチジン(LEED)、5-アザシチジン(HELD)、ミドスタウリン、5-アザシチジン(LEED)およびミドスタウリン、および5-アザシチジン(HELD)およびミドスタウリンの投与についての結果を示す。
図17Jは、MV4-11細胞の生存率(y軸)対1~91日目のビヒクル、5-アザシチジン(LEED)、5-アザシチジン(HELD)、ミドスタウリン、5-アザシチジン(LEED)およびミドスタウリン、および5-アザシチジン(HELD)およびミドスタウリンの投与についての結果を示す。
図17Kは、MOLM-13細胞の生存率(y軸)対1~70日目のビヒクル、5-アザシチジン(LEED)、5-アザシチジン(HELD)、ギルテリチニブ、5-アザシチジン(LEED)およびギルテリチニブ、および5-アザシチジン(HELD)およびギルテリチニブの投与の結果を示す。
【0054】
【
図18】
図18は、実施例3の全体的な試験設計の結果を示す。
【0055】
詳細な説明
I.概要
本開示は、驚くべきことに、癌を治療するための他の薬剤との組み合わせで、5-アザシチジンがアポトーシスについて癌細胞株を刺激することを発見したことに部分的に基づく。特に、5-アザシチジンは、癌細胞を刺激してFMS様チロシンキナーゼ3(FLT3)またはベネトクラクス活性に応答性にすることによって、骨髄細胞白血病1(MCL-1)の量を減少させることが見出された。ベースライン量が既に低下している場合、ある閾値未満にMCL-1量を減少させることは容易である場合があるので、MCL-1の低いベースライン量は、癌治療に対するより良い相乗応答と相関する。そのため、驚くべきことに、FLT3阻害剤またはベネトクラクスなどの他の治療剤との組み合わせにおける5-アザシチジンは、それぞれの単独の薬剤よりもMCL-1量を低下させることが発見された。
【0056】
本明細書に開示される別の局面は、経口投与される他の薬剤との組み合わせにおいて、5-アザシチジンが経口投与されることである。そのため、本開示の他の経口剤と組み合わせた5-アザシチジン経口投与プロトコルは、より良好な患者の体験をもたらすだけでなく、免疫系が損なわれた癌患者にとって特にリスクが存在しうる、院内感染のリスクを軽減する。
【0057】
本明細書に開示される方法のさらに別の局面は、1つ以上の薬剤との組み合わせにおいて、5-アザシチジンは、比較的低用量で、長期間(例えば、1mg/kg、1日1回15日(QDx15)および1mg/kg、1日1回5日間、3回(qdx5x3))経口投与される。本開示以前は、比較的高用量(例えば、75mg/m2皮下または静脈内、1日1回、4週間ごとに7日間)における注射によって5-アザシチジンを投与する理由は、5-アザシチジンなどの高用量の化学療法剤は、腫瘍細胞死を増加させ、それにより患者の生存を延長することにつながると考えられていたためであった。本開示は、この「従来の知恵」に反する。特に、驚くべきことに、1つ以上の薬剤との組み合わせにおいて、長期間の投与期間にわたり、5-アザシチジンを相対的に低用量で経口投与することは、AMLおよび/またはMDSの治療において治療効果をもたらすことが見出された。低用量の5-アザシチジンは他の治療剤との組み合わせで投与されるが、組み合わせ療法は驚くべきことに、AMLおよび/またはMDSの治療において治療有効性を提供する。
【0058】
細胞分化に関しては、理論にとらわれることなく、5-アザシチジン用量を減少させることが、癌細胞の脱メチル化をもたらしうるとの仮説が立てられる。分化を誘発する化学療法剤は、骨髄からの芽球細胞を循環させ、それらを機能的な細胞にし、それらの寿命を短縮すると考えられている。さらに、5-アザシチジンへの曝露は、芽球細胞を最終的に分化した免疫細胞に変え、腫瘍細胞を殺傷するであろう(造血分化経路)と考えられており;芽球細胞が一度分化系統に押し下げられると、それらは最終的に腫瘍細胞を殺傷する。まとめると、FLT3阻害剤またはベネトクラクスなどの1つ以上の他の薬剤と共に、長期間にわたり投与される低用量の5-アザシチジンは、より大きな分化をもたらし、最終的にはより顕著な腫瘍細胞死をもたらすと考えられている。
【0059】
さらに、以下の実施例に詳述されるように、驚くべきことに、いくつかの例において、ベネトクラクス活性に耐性のあるAML細胞株が、5-アザシチジンが最初に投与された場合、5-アザシチジンおよびベネトクラクスの組み合わせによる治療の後のベネトクラクスに応答性であることが見出された。また、5-アザシチジンおよびFLT3阻害剤またはベネトクラクスの組み合わせは相乗効果をもたらし、それぞれの単独の薬剤よりもMCL-1タンパク質量を減少させた。MCL-1発現量は、5-アザシチジン-ベネトクラクスの組み合わせの相乗効果と相関がある(例えば、MCL-1発現量が低いほど、相乗効果が大きくなる)こともまた発見された。
【0060】
ある局面において、本開示は、ヒトに(i)経口投与される5-アザシチジンを含む医薬組成物;および(ii)少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することによって、急性骨髄性白血病(AML)を有するヒトを治療する方法に関する。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、および/またはベネトクラクスを含む。また、本明細書において、ヒトにおけるAMLを治療するための、(i)経口投与される5-アザシチジンを含む医薬組成物、および(ii)少なくとも1つのさらなる治療剤が開示される。
【0061】
いくつかの実施態様において、いくつかの組み合わせは、特定の疾患または障害、例えば、癌の種類、並びに望ましくない血管形成または異常な細胞増殖に関連する、またはそれらによって特徴付けられる、特定の疾患または病状などの治療において、相乗的に作用する。
【0062】
急性骨髄性白血病(AML)は、急性骨髄白血病としても知られており、高悪性度の不均一な骨髄の悪性腫瘍である。米国癌協会によると、AMLは、成人で診断される白血病の最も一般的な種類であり、全ての成人の白血病症例の32%を占める。2020年に米国(US)において、約19,940人がAMLを有すると診断され、11,180人の患者がこの疾患で死亡するであろうことが推定されている。この疾患は特に、患者の大半を占める高齢者において治療が困難であり;そのため、5年の全生存率は約29%しかない。National Cancer Institute, SEER Cancer Stat Facts: Leukemia-Acute Myeloid Leukemia (AML), https://seer.cancer.gov/statfacts/html/amyl.html (2020年6月10日にアクセス).1970年代から、最初の標準的な治療は、それを受けるのに十分に適した人について、「7+3」レジメンで構成され、これは7日間のシタラビン、および3日間のアントラサイクリンの持続注入を含む。Rai et. al. Blood 1981:58: 1203-1212.次の35年間で、治療標準をわずかに変化させることによって、AML治療の安全性および有効性を強化することを試みる多くの臨床試験が行われてきた。しかしながら、AMLの分子的個体発生を詳細に説明する近年のデータは、原因となる経路を解明し、これが標的薬物療法を開発するための努力につながった。E. Winer and R. Stone, Ther. Adv. Hematol., 10:PMC6624910 (2019年6月).
【0063】
AMLは再発率が高いため、本明細書に記載の併用療法の必要性が長い間感じられている。さらに、再発性および難治性AMLは治療が非常に困難な疾患であり、複数の異常なシグナル伝達経路によって引き起こされ、これによって白血病細胞が阻害されている単一の経路を克服する利点を得る可能性が高い。したがって、AML患者を治療するために、成功する組み合わせ療法が非常に望ましい。
【0064】
本明細書に記載の治療方法のある局面において、治療される患者は約60歳以上である。本明細書に記載の治療方法の別の局面において、治療される患者は約65歳以上、約70歳以上、約75歳以上、または約80歳以上である。さらに別の局面において、患者は再発性AML患者である。さらに別の局面において、患者は難治性AML患者である。治療される患者はまた、約60歳未満、約55歳未満、約50歳未満、約45歳未満、または約40歳未満でありうる。別の局面において、治療される患者は、FLT3-ITDまたはFLT3-TKDのいずれかのFLT3変異を有する。いくつかの局面において、治療される患者は、再発性AML変異を有する。AML変異の例としては、限定されないが、FMS関連チロシンキナーゼ3(FLT3)、カーステン・ラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)、神経芽腫RASウイルス(V-Ras)癌遺伝子ホモログ(NRAS)、癌原遺伝子c-Kit(KIT)、タンパク質チロシンホスファターゼ非受容体タイプ11(PTPN11)、ニューロフィブロミン1(NF1)、DNAメチルトランスフェラーゼ3A(DNMT3A)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)、ten-eleven translocation-2(TET2)、additional sex comb-like 1(ASXL1)、enhancer of zeste homolog 2(EZH2)、混合形質型白血病1/ヒストン-リシン N-メチルトランスフェラーゼ2A(MLL/KMT2A)、ヌクレオフォスミン(NPM1)、CCAATエンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPA)、runt関連転写因子1(RUNX1)、GATA結合因子2(GATA2)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、セリンおよびアルギニンリッチスプライシング因子2(SRSF2)、U2 small nuclear RNA auxiliary factor 1(U2AF1)、splicing factor 3b subunit 1(SF3B1)、ジンクフィンガー(CCCH型)、RNA結合モチーフおよびセリン/アルギニンリッチ2(ZRSR2)、RAD21 cohesin complex component(RAD21)、stromal antigen 1(STAG1)、stromal antigen 2(STAG2)、structural maintenance of chromosomes 1A(SMC1A)、およびstructural maintenance of chromosomes protein 3(SMC3)が挙げられる。
【0065】
別の局面において、本開示は、ヒトに(i)経口投与される5-アザシチジンを含む医薬組成物;および(ii)少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することによって、骨髄異形成症候群(MDS)を有するヒトを治療する方法に関する。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は、ギルテリチニブおよび/またはベネトクラクスを含む。また、本明細書は、(i)経口投与される5-アザシチジンを含む医薬組成物、および(ii)ヒトにおいてMDSを治療するための少なくとも1つのさらなる治療剤を開示する。
【0066】
いくつかの実施態様において、MDSは、より高リスクな、または高リスクなMDSである。本開示のより高リスクなMDSは、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)によって、高いまたは非常に高いリスクであると定義され(Voso M.T., et. al., J Clin Oncol. 2013; 31(21): 2671-2677; and Greenberg P.L. et al., Blood. 2012, 120(12): 2454-2465)、ここで、これらの患者はそれぞれ、1.6および0.8年の平均生存期間を有する。
A.実験および臨床試験プロトコルの概要
【0067】
実施例2は、AML患者における最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)の確立を含む、薬物曝露と有効性、安全性、薬力学との関係を分析する臨床試験を詳述する。治療後の血液および/または骨髄における微小残存病変もまた決定されるであろう。試験集団は、最初に1または2個の標準的な導入治療に対して再発性、難治性であるAML患者、または集中的なICを受ける候補でない、新たに診断されたAML患者から成る。試験される薬物の組み合わせは、イボシデニブ、エナシデニブ、ベネトクラクス、またはFLT3阻害剤、例えばギルテリチニブなど(FLT3ITDまたはTKD変異を有するAML患者において)との組み合わせにおいて投与される場合の経口5-アザシチジンを含む。
【0068】
イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)は、クエン酸回路における重要な酵素である。IDHの変異型は、高いレベルの2-ヒドロキシグルタル酸の(R)-エナンチオマー(R-2-HG)を生じ、腫瘍の成長に寄与しうる。IDH1は細胞質でこの反応を触媒し、IDH2はミトコンドリアでこの反応を触媒する。イボシデニブおよびエナシデニブはIDH阻害剤である。
【0069】
イボシデニブ(Tibsovo(登録商標))は、IDH1の小分子阻害剤である。神経膠腫、急性骨髄性白血病(AML)、胆管癌、および軟骨肉腫を有すると診断された患者からの腫瘍において、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(IDH)1および2の保存活性部位における体細胞変異が観察される。これらの新しい変異により、これらの酵素は、新規の新形態の挙動を示し、α-ケトグルタル酸の、癌代謝物であるR-2-ヒドロキシグルタル酸への還元が生じる。イボシデニブは、α-ケトグルタル酸依存性酵素を競合的に阻害し、最終的にはエピジェネティック変化および造血分化の障害を生じる。
【0070】
インビトロ試験において、イボシデニブは、アルファ-ケトグルタル酸(α-KG)基質およびNADPH補因子に対して、非競合的阻害性挙動を示した。これは、イボシデニブが変異イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(mIDH1)-R132Hホモ二量体の急速な平衡の阻害剤であることに関係すると考えられているものである。
【0071】
エナシデニブ(Idhifa(登録商標))は、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)遺伝子の小分子阻害剤である。上記のように、IDHの変異型は高レベルのR-2-HGを生じ、細胞質においてIDH1がこの反応を触媒し、ミトコンドリアにおいてIDH2がこの反応を触媒する。エナシデニブは、ミトコンドリアにおいて(R)-2-HGの総量を減少させることによって、このサイクルを妨害する。
【0072】
ベネトクラクス(Venclexta(登録商標)およびVenclyxto(登録商標))は、BH3(Bcl-2 ホモログドメイン3)-模倣化合物であり、抗アポトーシス性B細胞リンパ腫-2(Bcl-2)タンパク質を阻害し、慢性リンパ性白血病(CLL)細胞のプログラム細胞死を生じる。一部のリンパ系悪性腫瘍において、Bcl-2の過剰発現は、化学療法に対する耐性の増加と関連する場合があることが示されている。
【0073】
FLT3阻害剤はチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。他のチロシンキナーゼ阻害剤と同様に、FLT3阻害剤はキナーゼの活性ドメインにおけるアデノシン三リン酸(ATP)結合部位について競合し、タンパク質がリン酸化され、その後そのタンパク質の活性を減少させる能力を阻害する。FLT3変異は、急性骨髄性白血病(AML)を有する患者において最も一般的な所見の1つである。FLT3/ITD遺伝子は、正常な細胞遺伝を有するAMLの患者の約30%において見られる。FLT3遺伝子は、主にヒト造血前駆細胞および樹状細胞に発現し、白血病細胞の増殖、分化、および生存において重要な役割を有する。FLT3/ITD遺伝子の構造的活性化は、STAT5、RAS、MEK、およびPI3K/AKT経路などの複数の下流シグナル伝達カスケードを引き起こし、最終的に白血病細胞増殖の調節不全などの、白血病細胞のアポトーシスおよび分化の抑制を生じる。評価したFLT3阻害剤としては、ミドスタウリン(Rydapt(登録商標))およびギルテリチニブ(Xospata(登録商標))が挙げられる。ミドスタウリンはスタウロスポリンの半合成誘導体であり、細菌Streptomyces staurosporeusからのアルカロイドであり、発癌性CD135(FMS様チロシンキナーゼ3受容体、FLT3)に対して活性である。ギルテリチニブはまた、AXL受容体チロシンキナーゼの阻害剤としても機能する。
【0074】
実施例3は、急性骨髄性白血病(AML)または高リスクの骨髄異形成症候群(HR-MDS)を有する患者における、バイオマーカー指向療法との組み合わせにおける、経口5-アザシチジンの安全性、許容性、および予備的有効性を評価する第1b/2相臨床試験を詳述する。試験集団は、集中的な導入化学療法に適格でない、新たに診断されたAMLを有する患者、および再発性/難治性(R/R)AMLを有する患者、および改訂国際予後判定システム(IPSS-R)で高いおよび非常に高い、一次または二次MDSを有する治療対象から成る。試験される薬物の組み合わせは、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせで投与される場合の経口5-アザシチジンを含む。
B.5-アザシチジン
【0075】
5-アザシチジン(National Service Center designation NSC-102816; CAS Registry Number 320-67-2)はまた、アザシチジン、AZAと略される、または4-アミノ-l-B-D-リボフラノシル-l,3,5-トリアジン-2(1H)-オンとしても知られている。市販品であるVIDAZA(登録商標)(注射のための5-アザシチジン)は5-アザシチジンを含み、皮下または静脈内使用のためである。5-アザシチジンはシチジンのピリミジンヌクレオシド類似体である。5-アザシチジンは以下の構造:
【化1】
を有する。
【0076】
DNAの複製への取り込みの後、5-アザシチジンはDNAメチルトランスフェラーゼとの共有結合複合体を形成する。DNAメチルトランスフェラーゼは、新規のDNAメチル化および複製されるDNAの娘DNA鎖において確立したメチル化パターンを再現することに関与する。5-アザシチジンによるDNAメチルトランスフェラーゼの阻害はDNAの低メチル化を引き起こし、それによって、正常な細胞周期の制御、分化、および死に関与する遺伝子の再発現によって、形態的な異形成、未熟な造血細胞、および癌細胞に対して正常な機能を回復させる。これらのシチジン類似体の細胞毒性効果は、正常な細胞増殖制御メカニズムにもはや応答しない、癌細胞などの急速に分裂する細胞の死を引き起こす。5-アザシチジンはまた、RNAに取り込まれる。5-アザシチジンの細胞毒性効果は、DNA、RNA、およびタンパク質合成の阻害、RNAおよびDNAへの取り込み、DNA損傷経路の活性化など、複数のメカニズムに起因しうる。
【0077】
注射可能な5-アザシチジンは、臨床試験において試験され、例えば、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、急性リンパ性白血病(ALL)、および非ホジキンリンパ腫(NHL)において、有意な抗腫瘍活性を示した。例えば、Aparicio et al., Curr. Opin. Invest. Drugs 3(4): 627-33 (2002)を参照されたい。
【0078】
5-アザシチジンは、以下のFrench-American-British(FAB)骨髄異形成症候群サブタイプを有する患者への皮下(SC)または静脈内(IV)投与について承認されている:環状鉄芽球を伴う難治性貧血(RA)または難治性貧血(好中球減少症または血小板減少症を伴う場合、または輸血が必要な場合)、芽球増加を伴う難治性貧血(RAEB)、移行期の芽球増加を伴う難治性貧血(RAEB-T)、および慢性骨髄単球性白血病(CMMoL)。経口投与は、NCT00761722、NCT01519011、NCT00528982、およびNCT01757535などの臨床試験において試験されている。5-アザシチジンを用いた経口製剤および治療方法は、米国特許第8,846,628号において開示され、これはその全体が参照によって援用される。
【0079】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンはカプセルまたは錠剤の形態で投与される。いくつかの実施態様において、錠剤は腸溶性コーティングされていない。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約110mg、約120mg、約130mg、約140mg、約150mg、約160mg、約170mg、約180mg、約190mg、約200mg、約210mg、約220mg、約230mg、約240mg、約250mg、約260mg、約270mg、約280mg、約290mg、約300mg、約310mg、約320mg、約330mg、約340mg、約350mg、約360mg、約370mg、約380mg、約390mg、約400mg、約410mg、約420mg、約430mg、約440mg、約450mg、約460mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約510mg、約520mg、約530mg、約540mg、約550mg、約560mg、約570mg、約580mg、または約600mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは約200から約300mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは約200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは約300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mg、510mg、520mg、530mg、540mg、550mg、560mg、570mg、580mg、または600mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは200から300mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは200mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは300mgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの最初の7、14、または21日間にわたり毎日経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの最初の14日間にわたり毎日経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは1日1回対象に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは1日2回対象に投与される。
【0080】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの14日間にわたり、1日約200mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの14日間にわたり、1日200mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの14日間にわたり、1日約300mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの14日にわたり、1日300mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの21日間にわたり、1日約200mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの21日にわたり、1日200mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの21日にわたり、1日約300mgの用量で経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは28日サイクルの21日にわたり、1日300mgの用量で経口投与される。
【0081】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、または14日を超えて毎日経口投与され、適宜1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14日、または14日を超える治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、14日以上にわたり毎日経口投与され、適宜7日以上の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは21日以上にわたり毎日経口投与され、適宜7日以上の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは14日間にわたり経口投与され、適宜14日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは21日以上にわたり経口投与され、7日以上の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは14日にわたり経口投与され、14日の治療休薬日が続く。
【0082】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、14日にわたり毎日約300mgの用量で経口投与され、14日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは14日間にわたり毎日300mgの用量で経口投与され、14日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは14日にわたり毎日約200mgの用量で経口投与され、14日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは14日間にわたり毎日200mgの用量で経口投与され、14日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは21日間にわたり毎日約300mgの用量で経口投与され、7日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは21日間にわたり毎日300mgの用量で経口投与され、7日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは毎日約200mgの用量で経口投与され、7日の治療休薬日が続く。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは毎日200mgの用量で経口投与され、7日の治療休薬日が続く。
【0083】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、28日サイクルの7日間にわたり、1日あたりの5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、28日サイクルの14日間にわたり、1日あたりの5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて経口投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、28日サイクルの21日間にわたり、1日あたりの5-アザシチジンの投与を含む治療サイクルを用いて経口投与される。
【0084】
5-アザシチジンは、細胞生存率および細胞のエピジェネティック・リプログラミングにおいて影響を有する。Taylor and Jones, Cell 20(1):85-93 (1980).高用量において、5-アザシチジンは主に急性細胞毒性効果を発揮すると考えられているが(Khan et al., Experimental Hematology 36(2): 149-57, 2008)、低用量において、分化を通して腫瘍細胞のクローン原性を阻害する(Tsai et al., Cancer Cell, 21(3): 430-46, 2012)。
【0085】
市販の製品であるVIDAZA(登録商標)は、5-アザシチジンの注射可能な製剤であり、CC-486などの米国特許第8,846,628号に記載されるような、5-アザシチジンの経口の腸溶性コーティングされていない製剤と比較して、比較的高用量において短期間で投与される。臨床試験により、CC-486の14または21日レジメンの累積曝露は、5日間投与したVIDAZA(登録商標)よりも低いが、CC-486は、VIDAZA(登録商標)と比較して、より持続可能な脱メチル化効果を誘発することが明らかになった。(Laille et al., PLOSOne 10(8):e0135520, 2015)
【0086】
5-アザシチジンの曝露期間の関数としての細胞毒性およびエピジェネティックな効果における違いを調べるために、注射可能な5-アザシチジンの高曝露、短期間(HELD)の投与を、経口投与した5-アザシチジンの低曝露、長期間(LEED)の投与と比較した。非臨床システムにおいて注射可能な経口アザシチジン投与をモデル化するために、曝露期間を変更させながら、5-アザシチジンの総曝露を一定に保った。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンの経口投与をモデル化するために、5-アザシチジンを、1mg/kgの用量で、低曝露で長期間(low exposure for extended duration;LEED)、15日間1日1回送達した(QDx15)。5-アザシチジンの静脈内または皮下投与による同じ累積用量をモデル化するために、5-アザシチジンを、3mg/kgの用量で、高曝露で短期間(high exposure for a limited duration;HELD)、5日間1日1回投与した(QDx5)。
【0087】
いくつかの実施態様において、他の薬剤と組み合わせた5-アザシチジンのLEED投与は、持続的な薬力学的効果および/または改善された患者のコンプライアンスを提供する。持続的な薬力学的効果には、例えば、MCL-1分解、および/またはATF3またはSCD遺伝子発現の変化など、5-アザシチジンによって誘発される任意の変化が含まれ得る。いくつかの実施態様において、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのLEEDは、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのHELDと比較して、治療サイクル(すなわち、28日サイクル)の終了まで持続する、(例えば、核酸取り込みの増加に起因する)全体的なDNAメチル化の減少を提供する。いくつかの実施態様において、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのLEEDは、28日サイクルの21日目にピークに達し、28日サイクルの28日まで生存能力の漸進的な喪失を特徴とする細胞死を有する、分化マーカーの上方制御を提供する。いくつかの実施態様において、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのHELDは、28日サイクルの7日目にピークに達し、14日目にピークがあり、その後28日サイクルにおいて回復することによって特徴付けられる細胞死を有する、分化マーカーの上方制御を提供する。いくつかの実施態様において、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのLEEDは、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのHELDと比較して、治療サイクル(すなわち、28日サイクル)を通して維持される、限定されないが、CD11b、CD14、CD86、HLA-DR、およびMERTKなどの、骨髄分化マーカーのより高い発現を提供する。いくつかの実施態様において、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのLEEDは、他の薬剤との組み合わせにおける5-アザシチジンのHELDと比較して、より顕著なエピジェネティックな変化およびより広範な分化を提供する。
II.医薬製剤
A.概要
【0088】
本明細書に記載の実施態様は、5-アザシチジンおよび適宜、透過促進剤を含む医薬製剤および組成物を含み、ここで、製剤および組成物は経口投与のために製剤化される。特定の実施態様において、製剤および組成物は、胃において実質的に5-アザシチジンを放出するように調製される。具体的な実施態様において、5-アザシチジンおよび医薬製剤および組成物は、異常な細胞増殖に関連する疾患および障害の治療に用いられ、ここで、5-アザシチジン、製剤、および組成物は、経口投与のために、好ましくは胃において実質的に5-アザシチジンを放出するために調製される。特定の実施態様は、本明細書において提供される、特定の医学的適応症を治療するための医薬製剤および組成物の製造のための、5-アザシチジンの使用に関する。本明細書において提供される5-アザシチジンを含む医薬製剤および組成物は、必要な対象における5-アザシチジンの経口送達を意図する。経口送達フォーマットとしては、限定されないが、錠剤、カプセル、カプレット、溶液、懸濁液、およびシロップが挙げられる。
【0089】
本明細書における特定の実施態様は、錠剤またはカプセルである固体経口剤形を提供する。いくつかの実施態様において、製剤は5-アザシチジンを含む錠剤である。いくつかの実施態様において、錠剤は5-アザシチジンを含むカプセルである。いくつかの実施態様において、本明細書において提供される錠剤またはカプセルは、例えば、流動促進剤、希釈剤、滑沢剤、着色剤、崩壊剤、造粒剤、結合剤、ポリマー、およびコーティング剤などの、1つ以上の賦形剤を適宜含む。いくつかの実施態様において、本明細書に記載の実施態様は、異常な細胞増殖に関連する疾患を治療するための医薬組成物の調製のための、5-アザシチジンの使用を含み、ここで、組成物は経口投与のために調製される。
本明細書において提供されるいくつかの剤形の薬物動態特性
【0090】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを含む製剤は、経口投与後の医薬品有効成分(API)の即時放出をもたらす。特定の実施態様において、5-アザシチジンを含む製剤は、治療上の有効量の5-アザシチジン(および適宜、1つ以上の賦形剤)を含み、経口投与後のAPIの即時放出をもたらす。
【0091】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを含む製剤は、経口投与後に胃において実質的にAPIを放出する。いくつかの実施態様において、製剤は経口投与後の5-アザシチジンの即時放出をもたらす。いくつかの実施態様において、製剤はさらに、5-アザシチジンを実質的に胃で放出することができる薬物放出制御成分を含む。いくつかの実施態様において、製剤はさらに、薬物放出制御成分を適宜含み、ここで、薬物放出制御成分は、胃において5-アザシチジンの放出が実質的に生じるように調整される。特定の実施態様において、薬物放出制御成分は、5-アザシチジンの放出が即時であり、胃で実質的に生じるように調整される。特定の実施態様において、薬物放出制御成分は、5-アザシチジンの放出が持続し、胃で実質的に生じるように調整される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンの製剤は、経口投与後に、胃において実質的にAPIを放出し、次いで腸においてAPIの残りを放出する。
【0092】
当業者が対象における薬物製剤の経口バイオアベイラビリティを評価することができる方法は、当技術分野において既知である。そのような方法としては、例えば、限定されないが、最大血漿中濃度(「Cmax」)、最大血漿中濃度までの時間(「Tmax」)、または曲線下面積(「AUC」)決定などの様々な薬物動態パラメーターを比較することが挙げられる。
【0093】
本明細書における特定の実施態様は、製剤が経口投与される対象(例えば、ヒト)において、特定のAUC値(例えば、AUC(0-t)またはAUC(0-∞))を達成する、5-アザシチジンを含む医薬製剤(例えば、胃において実質的にAPIを放出する、即時放出経口製剤)を提供する。特定の実施態様は、少なくとも25ng-hr/mL、少なくとも50ng-hr/mL、少なくとも75ng-hr/mL、少なくとも100ng-hr/mL、少なくとも150ng-hr/mL、少なくとも200ng-hr/mL、少なくとも250ng-hr/mL、少なくとも300ng-hr/mL、少なくとも350ng-hr/mL、少なくとも400ng-hr/mL、少なくとも450ng-hr/mL、少なくとも500ng-hr/mL、少なくとも550ng-hr/mL、少なくとも600ng-hr/mL、少なくとも650ng-hr/mL、少なくとも700ng-hr/mL、少なくとも750ng-hr/mL、少なくとも800ng-hr/mL、少なくとも850ng-hr/mL、少なくとも900ng-hr/mL、少なくとも950ng-hr/mL、少なくとも1000ng-hr/mL、少なくとも1100ng-hr/mL、少なくとも1200ng-hr/mL、少なくとも1300ng-hr/mL、少なくとも1400ng-hr/mL、少なくとも1500ng-hr/mL、少なくとも1600ng-hr/mL、少なくとも1700ng-hr/mL、少なくとも1800ng-hr/mL、少なくとも1900ng-hr/mL、少なくとも2000ng-hr/mL、少なくとも2250ng-hr/mL、または少なくとも2500ng-hr/mLのAUC値を達成する経口製剤を提供する。特定の実施態様において、AUCの決定は、投与後のヒト患者の血液サンプルから得られた時間-濃度薬物動態プロファイルから得られる。
【0094】
本明細書における特定の実施態様は、製剤が経口投与される対象において、特定の最大血漿中濃度(「Cmax」)を達成する、5-アザシチジンを含む医薬製剤(例えば、胃において実質的にAPIを放出する、即時放出経口製剤)を提供する。特定の実施態様は、少なくとも25ng/mL、少なくとも50ng/mL、少なくとも75ng/mL、少なくとも100ng/mL、少なくとも150ng/mL、少なくとも200ng/mL、少なくとも250ng/mL、少なくとも300ng/mL、少なくとも350ng/mL、少なくとも400ng/mL、少なくとも450ng/mL、少なくとも500ng/mL、少なくとも550ng/mL、少なくとも600ng/mL、少なくとも650ng/mL、少なくとも700ng/mL、少なくとも750ng/mL、少なくとも800ng/mL、少なくとも850ng/mL、少なくとも900ng/mL、少なくとも950ng/mL、少なくとも1000ng/mL、少なくとも1100ng/mL、少なくとも1200ng/mL、少なくとも1300ng/mL、少なくとも1400ng/mL、少なくとも1500ng/mL、少なくとも1600ng/mL、少なくとも1700ng/mL、少なくとも1800ng/mL、少なくとも1900ng/mL、少なくとも2000ng/mL、少なくとも2250ng/mL、または少なくとも2500ng/mLの5-アザシチジンのCmaxを達成する、経口製剤を提供する。本明細書における特定の実施態様は、製剤が経口投与される対象において、特定の最大血漿中濃度までの時間(「Tmax」)を達成する、5-アザシチジンを含む医薬製剤(例えば、胃において実質的にAPIを放出する、即時放出経口製剤)を提供する。特定の実施態様は、10分未満、15分未満、20分未満、25分未満、30分未満、35分未満、40分未満、45分未満、50分未満、55分未満、60分未満、65分未満、70分未満、75分未満、80分未満、85分未満、90分未満、95分未満、100分未満、105分未満、110分未満、115分未満、120分未満、130分未満、140分未満、150分未満、160分未満、170分未満、180分未満、190分未満、200分未満、210分未満、220分未満、230分未満、または240分未満である5-アザシチジンのTmaxを達成する経口製剤を提供する。特定の実施態様において、Tmax値は、製剤が経口投与される時間から測定される。
本明細書において提供される特定の剤形の設計
【0095】
本明細書において、経口投与後に、例えば、胃における実質的な放出のために、5-アザシチジンの吸収および/または有効な送達を最大化するように設計された剤形が提供される。そのため、本明細書におけるいくつかの実施態様は、例えば実質的に胃において、経口投与時のAPIの即時放出をもたらす医薬賦形剤を用いて、例えば、5-アザシチジンなどの、5-アザシチジンの固体経口剤形を提供する。特に即時放出製剤は、5-アザシチジンと、適宜1つ以上の賦形剤の特定の分量を含む。いくつかの実施態様において、製剤は即時放出錠剤または即時放出カプセル(例えば、HPMCカプセルなど)である。
【0096】
本明細書において、本明細書に提供される5-アザシチジンを含む、本明細書に提供される製剤(例えば、胃において実質的にAPIを放出する、即時放出経口製剤)の製造方法が提供される。特定の実施態様において、本明細書において提供される製剤は、例えば、関連するテキストにおいて記載されるように、医薬組成物の分野において当業者に既知の従来の方法を用いて調製される。例えば、REMINGTON, THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY, 20th Edition, Lippincott Williams & Wilkins, (2000); ANSEL et al., PHARMACEUTICAL DOSAGE FORMS AND DRUG DELIVERY SYSTEMS, 7th Edition, Lippincott Williams & Wilkins, (1999); GIBSON, PHARMACEUTICAL PREFORMULATION AND FORMULATION, CRC Press (2001)を参照されたい。
【0097】
いくつかの実施態様において、製剤は錠剤であり、錠剤は標準的な、当技術分野において認められている錠剤処理手順および装置を用いて製造される。いくつかの実施態様において、錠剤を形成するための方法は、単独で、または例えば、担体、添加剤、ポリマーなどの1つ以上の賦形剤との組み合わせで、5-アザシチジンを含む粉末、結晶、および/または顆粒状組成物の直接圧縮である。いくつかの実施態様において、直接圧縮の代替として、錠剤は湿式造粒または乾式造粒プロセスを用いて調製される。いくつかの実施態様において、錠剤は、湿潤または加工しやすい物質から開始して、圧縮ではなく成形される。いくつかの実施態様において、圧縮および造粒技術が用いられる。
【0098】
特定の実施態様において、5-アザシチジンの圧縮錠剤はフィルムコーティングされている。いくつかの実施態様において、フィルムコーティング錠は、錠剤上に膜のようなフィルムを形成することができるポリマーの薄層でコーティングされた圧縮錠剤である。フィルムは通常着色されており、耐久性が高く、かさばらず、適用に時間がかからないという利点がある。その組成により、コーティングは消化管内の目的の位置でコア錠剤を破裂させて露出させるように設計されうる。圧縮錠剤の上にプラスチックのような物質の薄い膜に密着したコーティングを施すフィルムコーティングプロセスは、元の圧縮錠剤と本質的に同じ重量、形状、およびサイズを有するコーティングされた錠剤を生じうる。いくつかの実施態様において、フィルムコーティングは、錠剤を魅力的かつ特徴的にするために着色されている。いくつかの実施態様において、フィルムコーティング溶液は非水性または水性である。特定の実施態様において、非水性溶液は、錠剤に目的のコーティングをもたらすために、以下の種類の物質の1つ以上を適宜含む:(1)従来のコーティング条件下で再現可能であり、様々な錠剤形状に適用可能な、滑らかで薄い膜を生成することができる膜形成剤、例えば、フタル酸酢酸セルロースなど;(2)体液による浸透および薬物の治療利用可能性を確実にするために、膜に水溶性または透過性を提供する合金物質、例えば、ポリエチレングリコールなど;(3)コーティングの柔軟性と弾力性を生じさせ、例えば、ヒマシ油などの耐久性を提供する可塑剤;(4)塗布中の膜の広がりを高める界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンソルビタン誘導体など;(5)コーティングされた錠剤の外観を魅力的かつ特徴的にするための不透明化剤および着色剤、例えば、不透明化剤としての酸化チタン、および着色剤としてのFD&CまたはD&C色素など;(6)対象の錠剤の受容性を高めるための甘味剤、香味剤、または芳香剤、例えば、甘味剤としてのサッカリン、および香味剤および芳香剤としてのバニリンなど;(7)別個の研磨操作なしで錠剤に光沢を与える光沢剤、例えば、蜜蝋など;および(8)揮発性溶媒により、錠剤全体に他の成分を拡散させると同時に、急速な蒸発を可能にして、効果的でありながら迅速な操作を可能にする揮発性溶媒、例えば、アルコール-アセトン混合物。いくつかの実施態様において、水性膜コーティング製剤は、以下の1つ以上を含む:(1)膜形成ポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチル-セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびメチル-セルロースなどのセルロースエーテルポリマーなど;(2)可塑剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、フタル酸ジエチル、および塩基性酢酸ジブチルなど;(3)着色剤および乳白剤、例えば、FD&CまたはD&Cレイクおよび酸化鉄色素など;または(4)ビヒクル、例えば、水など。
【0099】
いくつかの実施態様において、医薬製剤は、5-アザシチジンの即時放出錠剤である。いくつかの実施態様において、即時放出錠剤は、例えば、特別なコーティングおよび他の技術などの、任意の特別な速度制御機能がない場合にAPIを分解および放出するように設計されている。
【0100】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される医薬製剤は、「薬物コア」を形成するために、5-アザシチジンおよび適宜1つ以上の賦形剤を含む。適宜の賦形剤としては、例えば、希釈剤(充填剤)、滑沢剤、崩壊剤、充填剤、安定化剤、界面活性剤、防腐剤、着色剤、風味剤、結合剤、賦形剤サポート、流動促進剤、浸透促進賦形剤、可塑剤などの、例えば、当技術分野において既知のものなどが挙げられる。
【0101】
実用的な大きさの錠剤が最終的に提供されるように、例えば、体積を増加させるために、1つ以上の希釈剤を使用しうる。希釈剤としてはまた、例えば、アルギン酸アンモニウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸セルロース、圧縮糖、粉砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、エリスリトール、エチルセルロース、フルクトース、フマル酸、パルミトステアリン酸グリセリン、イソマルト、カオリン、ラクチトール、ラクトース、マンニトール、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マルトース、中鎖トリグリセリド、微結晶セルロース、珪化微結晶セルロース、粉末セルロース、ポリデキストロース、ポリアクリル酸メチル、シメチコン、アルギン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、スクロース、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン、タルク、トラガカント、トレハロース、およびキシリトールが挙げられる。いくつかの実施態様において、希釈剤はマンニトールおよび珪化微結晶セルロースを含む。希釈剤は、錠剤に望ましい体積を与えるために計算された分量で用いられうる。いくつかの実施態様において、希釈剤は約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上、約22%以上、約24%以上、約26%以上、約28%以上、約30%以上、約32%以上、約34%以上、約36%以上、約38%以上、約40%以上、約42%以上、約44%以上、約46%以上、約48%以上、約50%以上の分量で用いられる。いくつかの実施態様において、製剤において用いられる希釈剤は、薬物コアの約20%から約40%w/wの間である。
【0102】
例えば、錠剤の製造を容易にするために、1つ以上の滑沢剤が用いられうる。適切な滑沢剤の例としては、例えば、ピーナツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびカカオ脂、グリセリン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびステアリン酸などの植物油が挙げられる。いくつかの実施態様において、ステアリン酸は、存在する場合、薬物含有コアの約2重量%未満に相当する。特定の実施態様において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。いくつかの実施態様において、滑沢剤は、薬物コアに対して、薬物コアの約0.2%w/w、薬物コアの約0.4%w/w、薬物コアの約0.6%w/w、薬物コアの約0.8%w/w、薬物コアの約1.0%w/w、薬物コアの約1.2%w/w、薬物コアの約1.4%w/w、薬物コアの約1.6%w/w、薬物コアの約1.8%w/w、薬物コアの約2.0%w/w、薬物コアの約2.2%w/w、薬物コアの約2.4%w/w、薬物コアの約2.6%w/w、薬物コアの約2.8%w/w、薬物コアの約3.0%w/w、薬物コアの約3.5%w/w、薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約4.5%w/w、または薬物コアの約5%w/wの分量で存在する。いくつかの実施態様において、滑沢剤は薬物コアの約0.5%から約5%w/wの間、または薬物コアの約1%から約3%w/wの間の分量で存在する。
【0103】
1つ以上の崩壊剤は、例えば、錠剤の崩壊を促進するために用いられてもよく、例えば、デンプン、粘土、セルロース、アルギン、ガム、または架橋ポリマーでありうる。崩壊剤としてはまた、例えば、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、AC-DI-SOL、PRIMELLOSE)、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン(例えば、KOLLIDON、POLYPLASDONE)、グアーガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリンカリウム、粉末セルロース、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、EXPLOTAB)、およびデンプンが挙げられる。いくつかの実施態様において、崩壊剤はクロスカルメロースナトリウムである。いくつかの実施態様において、崩壊剤は、薬物コアに対して、薬物コアの約1%w/w、薬物コアの約2%w/w、薬物コアの約3%w/w、薬物コアの約4%w/w、薬物コアの約5%w/w、薬物コアの約6%w/w、薬物コアの約7%w/w、薬物コアの約8%w/w、薬物コアの約9%w/w、または薬物コアの約10%w/wの分量で存在する。いくつかの実施態様において、崩壊剤は、薬物コアの約1%および約10%w/wの間、約2%および約8%w/wの間の分量で存在する。
B.5-アザシチジンと少なくとも1つのさらなる治療剤
【0104】
特定の実施態様において、本明細書において提供される5-アザシチジン組成物はさらに、1、2、3、またはそれ以上の他の薬学的に活性な物質(「さらなる治療剤」、「第二活性剤」などとも称される)を含む。いくつかの実施態様において、5-アザシチジン組成物は経口製剤である。いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤を含む5-アザシチジン経口組成物は、本明細書に開示される任意の疾患または障害の治療のために用いられる。特定の実施態様において、本明細書において提供される経口製剤は、治療有効量のさらなる治療剤を含む。特定の実施態様において、5-アザシチジンおよびさらなる治療剤は、本明細書に開示される方法および当技術分野において既知の方法などの、医薬品有効成分を共に製剤化する方法を用いて、同じ剤形に一緒に共製剤化される。別の実施態様において、5-アザシチジンおよびさらなる治療剤は、別個の剤形において共製剤化される。いくつかの実施態様において、特定の組み合わせは、例えば、望ましくない血管形成または異常な細胞増殖に関連する、またはそれらに特徴付けられる、いくつかの癌並びに疾患および病状などの、特定の疾患または障害の治療に相乗的に作用する。
【0105】
さらなる治療剤の例としては、限定されないが、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、およびベネトクラクスが挙げられる。
【0106】
さらなる治療剤の例としては、限定されないが、FLT3阻害剤、IDH2阻害剤、IDH1阻害剤、およびBCL2阻害剤が挙げられる。第一世代FLT3阻害剤の例としては、限定されないが、ミドスタウリン、レスタウルチニブ、スニチニブ(Sutent(登録商標))、およびソラフェニブ(ネクサバール(登録商標))が挙げられる。第二世代FLT3阻害剤の例としては、限定されないが、キザルチニブ、クレノラニブ、ペキシダルチニブ(PLX3397)、およびギルテリチニブ(ASP2215)が挙げられ、第一世代阻害剤よりも強力で選択的である。IDH1および/またはIDH2阻害剤などの、IDH阻害剤の例としては、限定されないが、イボシデニブおよびエナシデニブが挙げられる。BCL2阻害剤の例としては、限定されないが、ベネトクラクス(ABT-199)、ナビトクラックス(ABT-263)、ABT-737(4-[4-[[2-(4-クロロフェニル)フェニル]メチル]ピペラジン-1-イル]-N-[4-[[(2R)-4-(ジメチルアミノ)-1-フェニルスルファニルブタン-2-イル]アミノ]-3-ニトロフェニル]スルホニルベンズアミド)、オバトクラックスメシル酸塩(GX15-070)、TW-37(N-[4-(2-tert-ブチルフェニル)スルホニルフェニル]-2,3,4-トリヒドロキシ-5-[(2-プロパン-2-イルフェニル)メチル]ベンズアミド)、AT101((R)-(-)-ゴシポール)、HA14-1(2-アミノ-6-ブロモ-α-シアノ-3-(エトキシカルボニル)-4H-1-ベンゾピラン-4-酢酸エチルエステル)、およびサブトクラックスが挙げられる。
C.疾患の治療に驚くほど安全で効果的な、5-アザシチジンと少なくとも1つのさらなる治療剤としてのベネトクラクスの組み合わせ
【0107】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを含む経口医薬組成物は、さらなる治療剤としてベネトクラクスと共に用いられる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジン経口組成物は、本明細書に開示される任意の疾患または障害を安全かつ効果的に治療するために、ベネトクラクスと共に用いられる。
【0108】
ベネトクラクスはBCL-2の選択的阻害剤であり、錠剤の形態であるVENCLEXTA(登録商標)として販売されている。ベネトクラクスは米国において以下に適応する:(i)慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ性リンパ腫(SLL)を有する成人患者の治療;(ii)75歳以上、または集中的な導入化学療法の使用を妨げる併存疾患を有する成人における、新たに診断された急性骨髄性白血病(AML)の治療のための、注射可能な5-アザシチジンまたはデシタビンまたは低用量シタラビンの組み合わせ。いくつかの実施態様において、患者は、低用量シタラビンとして、4週間ごとに10日連続して1日1回、20mg/m2のシタラビンの皮下投与を受ける。
【0109】
ベネトクラクスを用いる治療は、推奨される1日の投与量まで、数日または数週間の特定の期間にわたり、毎週強化スケジュールに従って開始される。CLLおよびSLLの治療のために、ベネトクラクスを第1週に20mgの1日用量、第2週に50mgの1日用量、第3週に100mgの1日用量、第4週に200mgの1日用量、および第5週以降に400mgの1日用量で投与する。注射可能な5-アザシチジンなどの別の薬剤との組み合わせ療法においてAMLを治療するために、ベネトクラクスを1日目に100mgの1日用量、2日目に200mgの1日用量、および3日目以降の400mgの1日用量で投与する。VIDAZA(登録商標)(注射のための5-アザシチジン)を、ベネトクラクス治療の1日目から開始される28日サイクルにおいて、各サイクルの1~7日目にIVまたは皮下で75mg/m2の用量で投与する。
【0110】
いくつかの実施態様において、ベネトクラクスを経口投与する。いくつかの実施態様において、ベネトクラクスを錠剤の形態で投与する。いくつかの実施態様において、ベネトクラクスを毎日投与する。いくつかの実施態様において、ベネトクラクスを約20mgから約400mg、例えば、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、または約400mgなどの用量で投与する。いくつかの実施態様において、ベネトクラクスを約400mgの用量で投与する。
【0111】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスを同時に投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスを順次投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスを順次投与する場合、5-アザシチジンを最初に投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、静脈内または皮下使用に適切な注射剤および/または経口使用に適切な錠剤またはカプセルなどの、別個の剤形として投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、静脈内または皮下使用に適切な注射剤または経口使用に適切な錠剤またはカプセルなどの、単一の単位剤形として共に製剤化される。
D.疾患を治療するのに驚くほど安全で効果的な、5-アザシチジンと少なくとも1つのさらなる治療剤としてのギルテリチニブの組み合わせ
【0112】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを含む経口医薬組成物は、さらなる治療剤としてのギルテリチニブと共に用いられる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジン経口組成物は、本明細書に開示される任意の疾患または障害を安全かつ効果的に治療するために、ギルテリチニブと共に用いられる。
【0113】
ギルテリチニブはチロシンキナーゼ阻害剤であり、錠剤の形態で、XOSPATA(登録商標)として市場されている。ギルテリチニブは、FDAに承認された試験によって検出されたFLT3変異を有する再発性または難治性急性骨髄性白血病(AML)の成人患者の治療について、USにおいて適応とされている。ギルテリチニブの推奨される開始用量は、食事の有無に関わらず、1日1回経口で120mgである。
【0114】
いくつかの実施態様において、ギルテリチニブは経口投与される。いくつかの実施態様において、ギルテリチニブは錠剤の形態で投与される。いくつかの実施態様において、ギルテリチニブは毎日投与される。いくつかの実施態様において、ギルテリチニブは約20mgから約400mgまで、約40mgから約400mgまで、約40mgから約200mgまで、例えば、約20mg、約40mg、約50mg、約80mg、約100mg、約120mg、約160mg、約200mg、または約400mgなどの用量で投与される。いくつかの実施態様において、ギルテリチニブは約120mgの用量で投与される。
【0115】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびギルテリチニブは、同時に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびギルテリチニブは、順次投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびギルテリチニブが順次投与される場合、5-アザシチジンが最初に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびギルテリチニブは、別個の剤形として、例えば、静脈内または皮下使用に適した注射剤および/または経口使用のための錠剤もしくはカプセルとして投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびギルテリチニブは、静脈内または皮下使用に適切な注射剤、または経口使用に適切な錠剤またはカプセルなどとして、単一の単位剤形として共製剤化される。
E.5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤の使用方法
【0116】
本明細書に記載されるように、本明細書におけるいくつかの実施態様は、急性骨髄性白血病(AML)を有する対象を治療する方法を提供し、ここで、当該方法は、(i)5-アザシチジンを含む医薬組成物、および(ii)少なくとも1つのさらなる治療剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを含む医薬組成物は経口投与される。また、いくつかの実施態様において、本明細書に記載される5-アザシチジンを含む医薬組成物は、ヒト患者などの対象におけるAMLを治療するために用いられる、少なくとも1つのさらなる治療剤と共に用いられる。
【0117】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび1つ以上の治療剤は、対象に共投与されて、相乗的な治療効果を生じる。共投与される薬剤は、経口投与または注射によって投与される癌治療剤でありうる。
【0118】
いくつかの実施態様において、異常細胞増殖に関連する障害を治療するために本明細書において提供される方法は、治療上の有効量の5-アザシチジンを含む製剤を経口投与することを含む。本明細書において提供される方法に関する特定の治療適応症が、本明細書において開示される。いくつかの実施態様において、医薬製剤中の治療上の有効量の5-アザシチジンは、本明細書に開示される分量である。いくつかの実施態様において、製剤中に正確な治療上の有効量の5-アザシチジンは、例えば、対象の年齢、体重、疾患、および/または病状に応じて変化するであろう。
【0119】
特定の実施態様において、異常細胞増殖に関連する障害としては、限定されないが、骨髄異形成症候群(MDS)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、リンパ腫(非ホジキンリンパ腫(NHL)およびホジキンリンパ腫など)、多発性骨髄腫(MM)、肉腫、黒色腫、癌、腺癌、脊索腫、乳癌、大腸癌、卵巣癌、肺癌(例えば、非小細胞性肺癌および小細胞性肺癌)、精巣癌、腎臓癌、膵臓癌、骨肉腫、胃癌、頭頸部癌、および前立腺癌が挙げられる。特定の実施態様において、異常細胞増殖に関連する障害はリンパ腫である。特定の実施態様において、リンパ腫は血管免疫芽球性T細胞リンパ腫である。特定の実施態様において、異常細胞増殖に関連する障害はMDSである。特定の実施態様において、異常細胞増殖に関連する障害はAMLである。
【0120】
本明細書における特定の実施態様は、本明細書において提供される医薬組成物を経口投与することにより、本明細書において提供される疾患または障害を有する対象を治療するための方法を提供し、ここで、治療は患者の生存を改善することにつながる。いくつかの実施態様において、改善された生存は、1つ以上の標準的なケアレジメンと比較して測定される。本明細書における特定の実施態様は、本明細書において提供される医薬組成物を経口投与することによって、本明細書で提供される疾患または障害を有する対象を治療する方法を提供し、ここで、治療は疾患または障害を治療するための改善された有効性を提供する。特定の実施態様において、改善された有効性は、米国食品医薬品局(FDA)によって推奨されるように、癌の臨床試験のための1つ以上のエンドポイントを用いて測定される。例えば、FDAは、抗癌剤および生物製剤の承認のための臨床試験エンドポイントに関する業界のためのガイドラインを提供している(http://www.fda.gov/CbER/gdlns/clintrialend.htm)。FDAのエンドポイントとしては、限定されないが、全生存期間、(i)無疾患生存率、(ii)客観的奏効率、(iii)進行までの時間および無進行生存期間(Progression-Free Survival)、および(iv)治療失敗までの時間などの腫瘍評価に基づくエンドポイントが挙げられる。症状を伴うエンドポイントには、(i)癌症状の進行までの時間、および(ii)複合症状が含まれうる。血液または体液から分析したバイオマーカーもまた、疾患の管理を決定するのに役立ちうる。いくつかの実施態様において、改善は約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%でありうる。
【0121】
治療を必要とする対象は、AMLのリスクが増加した患者集団のメンバーでありうる。例えば、いくつかの受け継がれた遺伝性疾患および免疫不全疾患は、AMLのリスクの増加に関連する。これらとしては、無作為な染色体切断を生じるDNAの安定性の欠損を伴う障害、例えば、ブルーム症候群、ファンコニ貧血、リ・フラウメニ症候群、毛細血管拡張性運動失調症、およびX連鎖無ガンマグロブリン血症などが挙げられる。
【0122】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、それを必要とする対象に、1つ以上のさらなる薬剤との組み合わせで、5-アザシチジンを含む医薬組成物を投与することによって、急性前骨髄球性白血病(APML)を治療することを含む。APMLはAMLの稀なサブタイプであり、AML M31と呼ばれることもある。このサブタイプは、15;17染色体転座を含む前骨髄球性芽球によって特徴付けられる。この転座は、レチノイン酸受容体と配列PMLから成る融合転写物の生成に繋がる。
【0123】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載される方法は、特定の種類の急性骨髄性白血病を治療するために用いられる。急性骨髄性白血病の例示的な種類としては、限定されないが、反復性遺伝子異常を有する急性骨髄性白血病、骨髄形成異常関連の変化を有する急性骨髄性白血病、治療関連骨髄性腫瘍、骨髄性肉腫、ダウン症に関連する骨髄増殖、芽球形質細胞様樹状細胞腫瘍、および/または急性前骨髄球性白血病が挙げられる。
【0124】
いくつかの実施態様において、AMLは、以下の変異のいずれか1つによって引き起こされることとして特徴付けられる:Fms関連チロシンキナーゼ3(FLT3)、カーステン・ラット肉腫ウイルス癌遺伝子ホモログ(KRAS)、神経芽腫RASウイルス(V-Ras)癌遺伝子ホモログ(NRAS)、癌原遺伝子c-Kit(KIT)、タンパク質チロシンホスファターゼ非受容体タイプ11(PTPN11)、ニューロフィブロミン1(NF1)、DNAメチルトランスフェラーゼ3A(DNMT3A)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ1(IDH1)、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ2(IDH2)、ten-eleven translocation-2(TET2)、additional sex comb-like 1(ASXL1)、enhancer of zeste homolog 2(EZH2)、混合形質型白血病1/ヒストン-リシン N-メチルトランスフェラーゼ2A(MLL/KMT2A)、ヌクレオフォスミン(NPM1)、CCAATエンハンサー結合タンパク質アルファ(CEBPA)、runt関連転写因子1(RUNX1)、GATA結合因子2(GATA2)、腫瘍タンパク質p53(TP53)、セリンおよびアルギニンリッチスプライシング因子2(SRSF2)、U2 small nuclear RNA auxiliary factor 1(U2AF1)、splicing factor 3b subunit 1(SF3B1)、ジンクフィンガー(CCCH型)、RNA結合モチーフおよびセリン/アルギニンリッチ2(ZRSR2)、RAD21 cohesin complex component(RAD21)、stromal antigen 1(STAG1)、stromal antigen 2(STAG2)、structural maintenance of chromosomes 1A(SMC1A)、およびstructural maintenance of chromosomes protein 3(SMC3)。
【0125】
いくつかの実施態様において、AMLはFLT3-ITD変異によって引き起こされることとして特徴付けられる。いくつかの実施態様において、AMLは少なくとも1つのさらなる治療剤のみによる治療に耐性である。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、少なくとも1つのさらなる治療剤の前に投与される。いくつかの実施態様において、AMLはFTL3阻害剤による治療に応答性である。いくつかの実施態様において、AMLはMCL-1の過剰発現を有することによって特徴付けられる。
【0126】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、MCL-1の発現を下方制御することによって、少なくとも1つのさらなる治療剤によって介在されるアポトーシスについて癌細胞を刺激する。いくつかの実施態様において、MCL-1の発現の下方制御は、カスパーゼ依存性または非依存性メカニズムによって介在される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、MCL-1分解を増加させる。
【0127】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、必要な対象に1つ以上のさらなる治療剤との組み合わせにおいて、5-アザシチジンを含む医薬組成物を投与することによって、リンパ腫を治療することを含む。リンパ腫の種類としては、非ホジキンリンパ腫およびホジキン疾患が挙げられる。リンパ腫の例としては、限定されないが、汎発性大細胞型B細胞性リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、皮膚T細胞性リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、辺縁帯B細胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、および血管免疫芽球性T細胞リンパ腫が挙げられる。いくつかの実施態様において、リンパ腫は血管免疫芽球性T細胞リンパ腫である。
【0128】
いくつかの実施態様において、本明細書において提供される方法は、必要な対象に、1つ以上のさらなる薬剤との組み合わせで、5-アザシチジンを含む医薬組成物を投与することによって、骨髄異形成症候群を治療することを含む。MDSはまた、死亡率および急性骨髄性白血病(AML)への変換のリスクに基づいて、患者を非常に低いリスクから非常に高いリスクの1~5の群に分類する、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)を用いて分類してもよい。本開示において用いられる高リスクMDSは、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)に従って、高い、または非常に高いリスクとして定義される。Greenberg, P. L. et al., Blood 2012 Sep 20; 120 (12): 2454-2465. IPSS-Rの判定システムは、以下の因子に基づく:骨髄における芽球(血球の非常に初期の形態)の割合、細胞における染色体異常の種類および数、患者の血液中の赤血球(ヘモグロビンとして測定)の量、患者の血液中の血小板の量、および患者の血液中の好中球(白血球の種類)の量。それぞれの因子にはスコアが割り当てられ、スコアの合計を用いて、MDS患者を以下の5つのリスク群の1つに割り当てる:非常に低い(<1.5のリスクスコア);低いリスク(>1.5-3のリスクスコア);中程度のリスク(>3-4.5のリスクスコア);高いリスク(>4.5-6のリスクスコア);および非常に高いリスク(>6のリスクスコア)。MDS患者の約13%は、1.6年の平均全生存期間を有する、高リスクに分類され、一方でMDS患者の約10%は、0.8年の平均全生存期間を有する、非常に高いリスクとして分類される。いくつかの実施態様において、MDSは、IPSS-Rによって定義されるように、高リスクまたは非常に高いリスクとして分類されるMDSである。
F.5-アザシチジンとさらなる治療剤についての投与レジメン
【0129】
本明細書におけるいくつかの実施態様は、本明細書に開示される疾患または障害(例えば、異常な細胞増殖に関する疾患または障害)の治療方法を提供し、ここで、当該方法は、相乗的な治療効果を得るために、本明細書に開示される経口製剤(例えば、5-アザシチジンを含む経口製剤)を、1つ以上のさらなる治療剤(例えば、癌治療剤など)と共に共投与することを含む。本明細書に開示される方法において有用な、特定の共投与される治療剤は、明細書全体にわたって開示される。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、治療上の有効量である分量で共投与される。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、共投与される5-アザシチジン剤形とは別の剤形で、共投与される。特定の実施態様において、さらなる治療剤は、共投与される5-アザシチジンと共に、1つの剤形(例えば、単一の単位剤形)において共投与される。そのような場合において、5-アザシチジン(例えば、アザシチジン)およびさらなる治療剤は、本明細書に開示される方法および当技術分野において既知の方法などの、医薬品有効成分を共製剤化する方法を用いて、同じ剤形に共に製剤化されうる。
【0130】
いくつかの実施態様において、本明細書において、急性骨髄性白血病を有するヒトを治療する方法が提供され、ここで、当該方法は、5-アザシチジンを含む医薬組成物をヒトに投与することを含み;当該方法はさらに、少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することを含む。
【0131】
いくつかの実施態様において、本明細書において、骨髄異形成症候群を有するヒトを治療する方法が提供され、ここで、当該方法は、5-アザシチジンを含む医薬組成物をヒトに投与することを含み;当該方法はさらに、少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することを含む。
【0132】
本明細書において提供されるいくつかの実施態様において、さらなる治療剤は、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、キザルチニブ、エナシデニブ、イボシデニブ、またはベネトクラクスから選択される。
【0133】
本明細書において提供されるいくつかの実施態様において、さらなる治療剤はFLT3阻害剤である。ある実施態様において、FLT3阻害剤はギルテリチニブ、ミドスタウリン、またはキザルチニブである。
【0134】
本明細書において提供されるいくつかの実施態様において、さらなる治療剤はIDH2阻害剤である。ある実施態様において、IDH2阻害剤はエナシデニブである。
【0135】
本明細書において提供されるいくつかの実施態様において、さらなる治療剤はIDH1阻害剤である。ある実施態様において、IDH1阻害剤はイボシデニブである。
【0136】
本明細書において提供されるいくつかの実施態様において、さらなる治療剤はBcl2阻害剤である。ある実施態様において、Bcl2阻害剤はベネトクラクスである。
【0137】
本明細書において提供されるある実施態様において、5-アザシチジンを含む医薬組成物は、経口投与される。
【0138】
本明細書において提供されるある実施態様において、5-アザシチジンを含む医薬組成物は、カプセルである。
【0139】
本明細書において提供されるある実施態様において、5-アザシチジンを含む医薬組成物は、錠剤である。
【0140】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、同時に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は順次投与され、ここで、5-アザシチジンは最初に投与される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、単一の単位剤形として共投与される。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は非経口投与される。いくつかの実施態様において、さらなる治療剤は経口投与される。
【0141】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを経口投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mg、約100mg、約150mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、または600mgの用量で経口投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを約200mgの用量で投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを約300mgの用量で投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンをサイクルの最初の7日、14日、または21日にわたり経口投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンを1日1回または2回、対象に投与する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンをカプセルまたは錠剤の形態で投与する。いくつかの実施態様において、錠剤は腸溶性コーティングされていない錠剤である。
【0142】
いくつかの実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤はギルテリチニブである。いくつかの実施態様において、少なくも1つのさらなる治療剤はミドスタウリンである。いくつかの実施態様において、少なくも1つのさらなる治療剤はベネトクラクスである。
【0143】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、本明細書に開示される疾患を治療するための相乗効果を提供する。相乗効果は、最大単一薬剤(HSA)モデルおよびCombenefitパッケージを用いて測定しうる(Di Veroli et al., Bioinformatics. 2016 Sep 15;32(18):2866-8)。EC50の変化および/または最大阻害効果の増加が存在するかどうかを決定するために、陰性細胞株を対照として用いる。言い換えれば、陰性対照細胞株からのEC50および最大阻害効果は、ベースラインの有効性結果を提供し、薬物の組み合わせのEC50の変化および最大阻害効果を陰性対照細胞株の結果と比較して、薬物の組み合わせが相乗効果を生じたかどうかを決定する。具体的には、2つの薬物間の相乗的相互作用を決定するために、以下のステップを用いる:(a)EC50(すなわち、効力の変化)から決定した用量応答曲線の変化および/または陰性対照細胞株からの結果と比較した、最大阻害効果の増加の実証;(b)2つの薬物間の濃度マトリックスに対する相乗効果、相加性、または拮抗作用を可視化することができる応答曲面分析;および(c)(ソフトウェアアプリケーションCombenefitを用いて生成された)組み合わせインデックススコアの分析。(薬物の組み合わせが相乗効果を発揮するような)相乗指数が有意になる限界は経験的に決定され、データの分散およびEC50の効力シフトの確認に基づいている。言い換えれば、用量応答曲線の明確な変化がなければ、組み合わせ指数は相乗的相互作用を構成しない。本明細書で使用される場合、いくつかの実施態様において、相乗効果は、HSAモデルおよびCombenefitパッケージによって測定される場合、約4を超えるEC50シフトおよび/または約20を超える相乗指数を有することして定義される。いくつかの実施態様において、相乗効果は、HSAモデルおよびCombifitパッケージによって測定される場合、4を超えるEC50シフトおよび/または20を超える相乗指数を有することして定義される。
【0144】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは、MCL-1の発現を下方制御することによって、少なくとも1つのさらなる治療剤によって介在されるアポトーシスについて癌細胞を刺激する。いくつかの実施態様において、MCL-1の発現の下方制御は、カスパーゼ依存性または非依存性メカニズムによって介在される。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、MCL-1分解を増加させる。
【0145】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは細胞代謝を変化させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは細胞周期の停止を生じさせる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンは酸化的リン酸化を抑制する。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンはATF3(活性化転写因子3)の発現を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンはSCD(ステアロイル-CoA デサチュラーゼ)の発現を減少させる。
【0146】
いくつかの実施態様において、(1)経口投与される5-アザシチジンと少なくとも1つのさらなる治療剤の治療効果は、(2)5-アザシチジンのみ、(3)少なくとも1つのさらなる治療剤のみ、および/または(4)静脈内または皮下投与される5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤の組み合わせの治療効果よりも良好である。
【0147】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、5-アザシチジンのみと比較して、平均生存期間を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、5-アザシチジンのみと比較して、臨床的に認められている任意の技術によって測定して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0148】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、5-アザシチジンのみと比較して、平均生存期間を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、5-アザシチジンのみと比較して、臨床的に認められている任意の技術によって測定して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0149】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、少なくとも1つのさらなる治療剤のみと比較して、平均生存期間を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、少なくとも1つのさらなる治療剤のみと比較して、臨床的に認められている任意の技術によって測定して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0150】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、ベネトクラクスのみと比較して、平均生存期間を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、ベネトクラクスのみと比較して、臨床的に認められている任意の技術によって測定して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0151】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、静脈内または皮下投与される5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、平均生存期間を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤は、静脈内または皮下投与される5-アザシチジンおよび少なくとも1つのさらなる治療剤と比較して、臨床的に認められている任意の技術によって測定して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0152】
いくつかの実施態様において、5-アザシチジンおよびベネトクラクスは、静脈内または皮下投与される5-アザシチジンおよびベネトクラクスと比較して、平均生存期間を増加させる。いくつかの実施態様において、5-アザシチジン ベネトクラクスは、静脈内または皮下投与される5-アザシチジンおよびベネトクラクスと比較して、臨床的に認められた任意の技術によって測定して、平均生存期間を約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、または約100%増加させる。
【0153】
本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)1、2、または3日にわたり、対象に5-アザシチジンを投与すること;および(ii)1日以上にわたり、対象に少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することを含む。本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法はさらに、ステップ(i)および(ii)を繰り返すことを含む。
【0154】
本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日にわたり、対象に毎日5-アザシチジンを投与すること;(ii)1日以上にわたり、対象に少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;および(iii)ステップ(i)および(ii)を適宜繰り返すことを含む。
【0155】
本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、対象に毎日5-アザシチジンを投与すること;および(ii)1日以上にわたり、対象に少なくとも1つのさらなる治療剤を投与することを含む。本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法はさらに、ステップ(i)および(ii)を繰り返すことを含む。
【0156】
本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14日にわたり、対象に毎日5-アザシチジンを投与すること;(ii)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日にわたり、対象に毎日少なくとも1つのさらなる治療剤を同時に投与すること;および(iii)ステップ(i)および(ii)を適宜繰り返すことを含む。
【0157】
本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、対象に毎日5-アザシチジンを投与すること;(ii)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、または28日にわたり、対象に毎日少なくとも1つのさらなる治療剤を同時に投与すること;および(iii)ステップ(i)および(ii)を適宜繰り返すことを含む。
【0158】
本明細書に提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)28日サイクルの7日にわたり、対象に5-アザシチジンを投与すること;(ii)28日サイクルの1日にわたり、対象に少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;(iii)28日サイクルの6日にわたり、対象に5-アザシチジンを投与すること;および(iv)7日の休薬期間の後、ステップ(i)から(iii)を繰り返すことの順次のステップを含む。
【0159】
本明細書において提供されるある実施態様において、当該方法は:(i)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、対象に毎日5-アザシチジンを投与すること;(ii)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、対象に毎日少なくとも1つのさらなる治療剤を投与すること;(iii)28日サイクルの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日にわたり、対象に毎日5-アザシチジンを投与すること;および(iv)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21日の休薬期間の後、ステップ(i)から(iii)を繰り返すことの順次のステップを含む。
【0160】
本明細書において提供されるある実施態様において、医薬組成物の5-アザシチジンは、約50mg、約75mg、約100mg、約100mg、約200mg、約250mg、約300mg、約350mg、約360mg、約370mg、約400mg、約470mg、約480mg、約490mg、約500mg、約550mg、または約600mgの5-アザシチジンを含む。
【0161】
本明細書において提供されるある実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤は非経口投与される。
【0162】
本明細書において提供されるある実施態様において、少なくとも1つのさらなる治療剤は経口投与される。
【0163】
本明細書において提供されるある実施態様において、対象はヒトである。
【0164】
参照による援用:本明細書を通して参照される、全ての開示(例えば、特許、刊行物、およびウェブページ)は、その全体が参照によって援用される。さらに、以下の開示はまた、その全体が本明細書に参照によって援用される:(1) 2008 ASCO poster abstract by Skikne et al., Leukemia, 2008, 22, 1680-84。
III.定義
【0165】
特に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および科学的用語は、本技術分野における当業者に通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において参照される全ての刊行物および特許は、その全体が引用によって本明細書に援用される。
【0166】
明細書および付属の特許請求の範囲において用いられるように、不定冠詞「a」および「an」、並びに定冠詞「the」は、文脈が明らかにそうでないものを示していない限り、複数形並びに単数形の言及を含む。
【0167】
用語「約」または「およそ」は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差を意味し、これはその値がどのように測定または決定されるかに部分的に依存する。いくつかの実施態様において、用語「約」または「およそ」は、1、2、3、または4標準偏差内を意味する。いくつかの実施態様において、用語「約」または「およそ」は、所定の値または範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、または0.05%内を意味する。
【0168】
本明細書において用いられる用語「治療する」、「治療すること」、および「治療」は、特に言及されない限り、疾患もしくは障害、または疾患もしくは障害の関連する1つ以上の症状の根絶または改善をいう。いくつかの実施態様において、当該用語は、そのような疾患または障害を有する対象に、1つ以上の予防剤または治療剤を投与することによって生じる、疾患または障害の拡散または悪化を最小化することをいう。いくつかの実施態様において、当該用語は、特定の疾患の症状の発症後の、1つ以上のさらなる活性剤を伴う、または伴わない、本明細書において提供される化合物または剤形の投与をいう。
【0169】
本明細書において用いられる、特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症状の改善は、永久的か一時的か、持続的か一過性かに関わらず、組成物の投与に起因する、または関連する、任意の軽減をいう。
【0170】
本明細書で用いられる用語、化合物の「治療上の有効量」および「有効量」は、特に言及されない限り、疾患または障害の治療または管理において、治療上の利益を提供すること、あるいは疾患または障害に関連する1つ以上の症状を遅延または最小化することについて十分な量を意味する。化合物の「治療上の有効量」および「有効量」は、単独で、または1つ以上の他の薬剤との組み合わせにおいて、疾患または障害の治療または管理において治療上の利益を提供する、治療剤の分量を意味する。用語「治療上の有効量」および「有効量」は、全体的な治療を向上させ、疾患または障害の症状または原因を軽減または回避し、他の治療剤の治療効果を高める分量を含むことができる。
【0171】
本明細書において用いられる「腫瘍」は、悪性または良性を問わず、全ての腫瘍性細胞の成長および増殖、並びに全ての前癌性および癌性細胞および組織をいう。本明細書で用いられる「腫瘍性」は、悪性または良性を問わず、異常な組織増殖において生じる、無調節または調節不能な細胞増殖の任意の形態をいう。そのため、「腫瘍性細胞」としては、無調節または調節不能な細胞増殖を有する、悪性および良性細胞が挙げられる。
【0172】
用語「癌」および「癌性」は、一般に無調節な細胞増殖によって特徴付けられる哺乳動物における生理学的状態をいうか、またはそれを説明する。癌の例としては、限定されないが、血液由来のもの(例えば、リンパ腫、白血病)、および固形腫瘍が挙げられる。
【0173】
本明細書で用いられる用語「組成物」、「製剤」、および「剤形」は、特定の成分(示されている場合、特定の量で)、並びに示される量において、特定の成分の組み合わせから直接的または間接的に生じる、任意の生成物を含む組成物を含むことが意図される。「薬学的な」または「薬学的に許容される」によって、組成物、製剤、または剤形中の任意の希釈剤、賦形剤、または担体が、他の成分と許容可能であり、その受容者に有害でないことが意味される。特に言及されない限り、用語「組成物」、「製剤」、および「剤形」は、本明細書において同義で用いられる。
【0174】
本明細書において提供される用語「即時放出」は、組成物、製剤、または剤形への言及において本明細書において用いられる場合、組成物、製剤、または剤形が、経口投与後の胃を超えて、組成物、製剤、または剤形からのAPIの一部または全ての空間的および/または時間的放出の遅延に寄与する成分(例えば、コーティング)を含まないことを意味する。いくつかの実施態様において、即時放出組成物、製剤、または剤形は、経口投与後に胃において実質的にAPIを放出するものである。特定の実施態様において、即時放出組成物、製剤、または剤形は、遅延放出でないものである。特定の実施態様において、即時放出組成物、製剤、または剤形は、腸溶性コーティングを含まないものである。
【0175】
本明細書で用いられる場合、用語「腸溶性コーティングされていない」は、胃を超えて(例えば、腸において)活性成分を放出することを目的としたコーティングを含まない、医薬組成物、製剤、または剤形をいう。いくつかの実施態様において、腸溶性コーティングされていない組成物、製剤、または剤形は、実質的に胃で活性な成分を放出するように設計されている。
【0176】
用語「胃において実質的に」は、本明細書において提供される組成物、製剤、または剤形についての言及において、本明細書において用いられている場合、少なくとも約99%、少なくとも約95%、少なくとも約90%、少なくとも約85%、少なくとも約80%、少なくとも約75%、少なくとも約70%、少なくとも約65%、少なくとも約60%、少なくとも約55%、少なくとも約50%、少なくとも約45%、少なくとも約40%、少なくとも約35%、少なくとも約30%、少なくとも約25%、少なくとも約20%、少なくとも約15%、または少なくとも約10%の5-アザシチジンが胃において放出されることを意味する。本明細書において用いられる用語「胃において放出される」および関連する用語は、5-アザシチジンが胃の内側の細胞による取り込み、またはそれらを介した輸送に利用可能であり、その後体内で利用可能となるプロセスをいう。
【0177】
本明細書において、用語「対象」は、哺乳動物などの動物、限定されないが、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなどを含むように定義される。特定の実施態様において、対象はヒトである。
【実施例】
【0178】
実施例1
物質および方法:
細胞、培養条件、および試薬
AML細胞株は、American Tissue Culture Collection(ATCC)から購入した、あるいはCelgeneマスターセルラインバンクから入手した。細胞は、10%または20%ウシ胎児血清および10mM L-グルタミンを添加したRPMI1640培地で、37℃、5%CO2の湿潤雰囲気下で培養した。BaF3-FLT3wt、BaF3-FLT3ITD、BaF3-FLT3D538Yを、Kyinno (Beijing, China)によって生成した。細胞を、0.5ug/mlピューロマイシンを含む10%FBSを含むRPMI中で培養した。指数関数的に増加する細胞を、全てのインビトロ試験について用いた。5-アザシチジン(DMSO中に10mM)を、Celgene化合物コレクションバンクから得た。ギルテリチニブ(ASP2215)、ミドスタウリン(PKC412)、ベネトクラクス(ABT-199)、キザルチニブ(AC220)、汎カスパーゼ阻害剤 Z-VAD-FMKを、Selleckchem (Houston,TX)から購入し、DMSOで10mMストックとして再構成した。
細胞生存力アッセイ
【0179】
細胞を、384ウェルプレート(Coming Cat#3764)に、2000細胞/ウェルで50μlの培地中に播種した。%DMSO対照ウェルとして計算した、相対細胞数は、製造元の説明に従って、Cell Titer-Glow (Promega, Madison, WI)を用いて測定した。発光値は、EnvVsionプレート(PerkinElmer)を使用して、所定の時間において定量した。細胞を5-アザシチジンで3日間毎日、および/またはミドスタウリン、ギルテリチニブまたはベネトクラクスで一度処理した。5-アザシチジンに対する感受性に応じて滴定された5-アザシチジンの9個の用量を、評価した第二薬物の6個の用量と組み合わせて、54の可能な組み合わせを生成し、それぞれを全ての実験で重複して評価した。Prism version 7.03(Prism Software Corporation)を用いて、EC50値を計算した。
組み合わせ効果のデータ分析
【0180】
細胞生存率を薬物濃度の関数としてプロットし、GraphPad Prismソフトウェア(San Diego,CA)を用いてEC50値を計算するために用いた。相乗指数は、最大単一薬剤モデルおよびCombenefitソフトウェアによって計算した。Combenefit:薬物の組み合わせの分析および可視化のための双方向性プラットフォーム(Di Veroli et al., Bioinformatics. 2016 Sep 15;32(18):2866-8)。
ウエスタンブロット
【0181】
示された用量/時間における5-アザシチジンおよび/または阻害剤による処理の後、タンパク質を1mM PMSFを含む可溶化緩衝液(Cell Signaling, #9803, Cell Signaling Technologies, Danvers, MA)を用いて回収した。可溶化液は、ビシンコニン酸(BCA)キットを用いて定量化した(Piece/Thermo Fisher, Waltham, MA)。20~30μgのタンパク質を、4-12%SDS-PAGEゲルにおいて分離し、PVDF膜に移し(ウェットトランスファーによって80V/90分)、Oddysey TBSブロッキング緩衝液で1時間ブロッキングし、次いで製造元が推奨する希釈液を用いて、4℃で一晩適切な一次抗体でプローブした。膜を合計30分にわたり3回洗浄し、次いで暗所で1時間、室温で二次抗体と共にインキュベートした。さらに3回洗浄した後、Odyssey赤外線イメージングシステムおよびコンパニオンソフトウェア(LI-COR biosciences, Lincoln, NE, USA)を用いて、製造元の説明に従って、免疫ブロット膜をスキャンし、バンド強度を定量した。処理したサンプル中のローディングコントロールに対する、目的のタンパク質の比率は、未処理の細胞における対応する比率に対して標準化した。免疫ブロットに用いる抗体は、以下の供給源から購入した:BCL-2(sc-7382)、MCL1-(sc-819)はSanta Cruz Biotechnology(Dallas, TX, USA, Bim (2819))から、カスパーゼ-3(9664)はCell Signaling Technologyから;ベータ-アクチン(A2228)はSigma-Aldrichから;DNMTI(abl88453)はAbCamから;IRDye680ヤギ抗ウサギおよびIRDye800ヤギ抗マウス二次抗体(#925-68073および#925-32212)はLi-COR Biosciences(Lincoln, NE)から購入した。
RNASeq分析
【0182】
MV4-11細胞をPBSまたは1μMの5-アザシチジンで24時間、または1μMの5-アザシチジンで48時間毎日3回処理した。処理後、細胞を回収し、PBS中で1回洗浄し、細胞ペレットとして瞬間凍結させた。細胞ペレットをRNA抽出、およびライブラリー調製、およびシーケンシングのために、Canopy Biosciencesに送った。Qiagen RNeasy Mini Kitを用いて、製造元の説明に従って、RNAを抽出した。変更したプロトコルを用いて、miRNA種を保存した。総RNA Seqライブラリーは、200ngの総RNAおよびNEBNext Ultra IIディレクショナルライブラリー調製キットを用いて調製した。rRNAの枯渇は、RNase-Hに基づく方法を用いて行った(New England Biolabs, Ipswich, MA)。他の細胞株中のMCL1 RNA量を、標準的な方法を用いて、RNASeqによって定量した。
【0183】
ライブラリーを多重化し、Illumina HiSeqを用いてシーケンシングした。次いで、全ての遺伝子カウントをR/Bioconductor package EdgeRにインポートし、TMM標準化サイズ因子を計算し、ライブラリーの大きさの差についてサンプルを調整した。リボソーム遺伝子、および100万あたり1カウントを超える1サンプルを差し引いた、最小グループサイズにおいて発現されていない遺伝子は、さらなる分析から除外した。次いで、差次的発現分析を行って条件間の差について分析し、結果を、Benjamini-Hochberg偽陽性率(false-discovery rate)調整p値が0.05以下である遺伝子についてのみフィルターした。R/Bioconductor package GAGEを用いて、既知の遺伝子オントロジー(GO)タームおよびKEGG経路における全体的な攪乱を検出し、それぞれのタームにおいてLimmaによって報告されたlog2倍率変化の発現の変化対それぞれのタームの外で見つかった全ての遺伝子のバックグラウンドlog2倍率変化をテストした。R/Bioconductor packageピートマップおよびPathviewを用いて、Benjamini-Hochberg偽陽性率調整p値が0.05以下である、それぞれのGOタームまたはKEGG経路について(それぞれ)、サンプル群全体のヒートマップまたは注釈付きKEGGグラフを表示した。差次的に発現する遺伝子を見つけるために、R/BioconductorパッケージDESeq2を用いて、生のカウントを分散安定化した。
【0184】
ATF3およびSCD発現を検証するために、MV4-11細胞をPBSまたは0.3μMの5-アザシチジン、1μMの5-アザシチジン、または3μMの5-アザシチジンで24時間および48時間処理した。この時点で、細胞を回収し、RNAを製造元の説明に従って、Qiagen RNeasyキットを用いて抽出した。SuperScript VILO cDNA合成キットを用いて、逆転写を行った。検証済みTaqmanプローブおよびTaqman Fast Advanced Master Mixを用いて、Viia 7 Real-Time PCR System (Invitrogen/ThermoFisher Scientific, Waltham, MA)によって、ATF3、SCD、および18S mRNAの転写物を定量した。
RNA遺伝子スプライシング干渉
【0185】
ATF3、SCD、または対照Silencer Select siRNA(16nM siRNA、Invitrogen)を、製造元の推奨プロトコルに従って、リポフェクトアミン2000を用いてMV4-11細胞に遺伝子導入した。未処理の細胞は、siRNAなしで疑似遺伝子導入した。細胞を次いで、5-アザシチジンの様々な濃度で3日間毎日処理した。4日目に、細胞をベネトクラクスで処理し、次いで製造元のプロトコルに従って、Cell Titer Gloを用いて7日目に細胞生存能力を試験した。相乗効果をCombenefitを用いて計算し、最大単一薬剤分析を用いて比較した。
【0186】
遺伝子ノックダウンの確認は、遺伝子導入の72時間後に(5-アザシチジンまたはベネトクラクス処理なしで)、siRNA遺伝子導入した細胞において行った。Qiagen RNeasyキットを用いてRNAを抽出し、SuperScript VILO cDNA synthesis kitを用いて逆転写を行った。検証済みのTaqmanプローブおよびTaqman Fast Advanced Master Mixを、Viia 7 Real-Time PCR System (Invitrogen/ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)と共に用いて、ATF3、SCD、および18S mRNAの転写物を定量した。
LEED 5-アザシチジンおよびHELD 5-アザシチジン投与の組み合わせにおける、5-アザシチジンのインビボ分析
【0187】
実施例全体で用いられるように、LEEDは、5-アザシチジンを、15日にわたり1日1回(QDx15)、1mg/kgで長期間にわたり低曝露(LEED)で送達することをいう。同じ累積用量の5-アザシチジンを送達するために、5-アザシチジンを、15日間にわたり1日1回(QDx5)、3mg/kgで短期間にわたり高曝露(HELD)で投与する。LEEDはAZAの経口投与をモデル化し、一方でHELDはAZAの静脈内または皮下投与をモデル化する。
【0188】
実験は、Charles River Laboratories (Morissville、NC)において、試験1日目に17.6~28.4グラムの体重(BW)範囲の、8週齢の雌NOD/SCIDマウス(NOD.CB17-Prkdcscid/NcrCrl、Charles River)を用いて行った。動物に自由に水(逆浸透、1ppm Cl)を与え、18.0%の粗タンパク質、5.0%の粗脂質、および5.0%の粗繊維から成る、NIH 31 Modified and Irradiated Lab Diet(登録商標)を与えた。マウスを20-22℃(68-72°F)および40-60%の湿度で、12時間の光サイクルで、静的マイクロアイソレーターにおいて、照射したEnrich-o’cobs(登録商標)実験動物寝床において飼育した。
【0189】
セルジーンは、LEED 5-アザシチジン(ロット番号.SOOL10)、HELD 5-アザシチジン(ロット番号.SOOL10およびSOOL13)、ミドスタウリン (MedChemExpress, Monmouth Junction, NJ)、ギルテリチニブ (Sigma Aldrich, St.Louis, MO)、およびベネトクラクス (ABT-199, Sigma Aldrich, St.Louis, MO)を提供した。この研究で用いたビヒクルは、脱イオン(DI)水中の、PO(経口)投与では、脱イオン(DI)水中の6%Gelucire(登録商標)44/14(Gattefosse, Paramus, NJ)であり、これは融解に44℃までウォーターバスを加熱することが必要なワックス状の固体であり、IP(腹腔内)投与では、リン酸緩衝化食塩水(PBS)である。投与のそれぞれの日に、LEEDまたはHELD 5-アザシチジンの適切な分量をPBS中に再懸濁し、それぞれ0.1mg/mLまたは0.3mg/mLで投与懸濁液を得た。投与のそれぞれの日に、ミドスタウリンの適切な分量を6% Gelucire 44/14中に溶解させ、10mg/mLの投与溶液を得た。投与のそれぞれの日に、ギルテリチニブの適切な分量を、DI水中の0.5%メチルセルロースに溶解させ、0.4mg/mLの投与溶液を得た。各週、適切な分量のベネトクラクスを、10%エタノール:30%PEG400:60%フォサル50プロピレングリコール中に溶解し、10mg/mLの投与溶液を得た。播種を用いた細胞を、対数期増殖の間に回収し、PBS中に5x107細胞/mLの濃度で再懸濁した。各テストマウスは、尾静脈注射によって5x106 MOLM-13細胞または107 MV4-11細胞(0.2mL 細胞懸濁液)を受けた。投与は、腫瘍細胞播種後の3日後に開始し、これを研究の1日目として設計した。NOD/SCIDマウス(n=9-12/群)を、体重に応じて無作為化し、投与した。リン酸緩衝化食塩水、LEED 5-アザシチジン、およびHELD 5-アザシチジンを腹腔内(IP)投与し、一方でミドスタウリン、ギルテリチニブ、およびベネトクラクスをPO投与した。ビヒクルをIPおよびPOの両方で投与した。全ての処理についての投与体積は、各個別の動物の体重に合わせて調整して、10mL/kgであった。
【0190】
白血病の進行による瀕死のエンドポイントについて、動物をそれぞれモニターした。後肢の完全麻痺、重度の眼球突出、または瀕死は、腫瘍の進行による安楽死には十分であると判断した。瀕死の動物を、食事および水に到達できない病気の動物として定義した。これらの死は、生存研究において死に分類した。エンドポイント(TTE)までの時間は、疾患により死亡した、または広範な腫瘍の進行により安楽死されたマウスのそれぞれについて、日数で記録した。エンドポイントに到達しなかった動物は、試験終了時に安楽死させ、最終日に等しいTTE値を割り当てた。治療関連(TR)原因により死亡したと分類された動物は、死亡日と同じTTE値を割り当てた。非治療関連(NTR)原因により死亡したと分類された動物、またはエンドポイント前のサンプリングに使用された動物は、TTEの計算および全てのさらなる分析から除外した。各群のTTE値の中央値を計算した。治療したマウスのTTEの中央値は、対照マウスのTTE中央値(%T/C)の割合として表し、寿命延長率(ILS)の増加を以下のように計算した:ILS=%T/C-100%、ここで、T=TTE治療の中央値、およびC=TTE対照の中央値。そのため、T=Cである場合、ILS=0%。
【0191】
動物を1~5日目に毎日、次いで試験完了まで週に2回秤量した。マウスを、任意の有害な、治療関連(TR)副作用の明らかな徴候について頻繁に観察し、臨床的徴候が観察された場合、記録した。プロトコルに従って個々の体重減少をモニターし、許容される体重減少の限界を超えた任意の動物を安楽死させた。グループ平均体重もまた、プロトコルに従ってモニターした。許容される体重減少の中央値の限界を超えた任意のグループには、投与を中止した。体重の中央値が回復した場合、そのグループにおいて投与を再開することができるが、低い用量であるか、投与頻度の少ないスケジュールである。最大耐用量における許容される毒性は、試験中のグループ体重減少の中央値が20%であり、10匹の治療される動物のうちTR死亡が1匹未満であることとして定義した。死亡は、臨床的徴候および/または剖検によって証明された治療の副作用に起因する場合、TRに分類し、あるいは、投与期間中または最後の投与から14日以内に、不明な原因によって生じた場合もまた、TRに分類してもよい。死亡は、治療関連副作用または腫瘍の進行に関連する死の証拠がない場合、NTRに分類した。非治療関連死はさらに、死因に基づいて分類されうる。事故または人為的なミスに起因する場合、死亡はNTRに分類されうる。死因が不明であり、治療副作用、移転、事故、または人為的なミスに関連する死亡である利用可能な証拠が存在しない場合、これらの病因による死亡を除外することはできないが、死亡はNTRに分類されうる。生存率は、TTE値に基づいて、Kaplan-Meier法によって分析した。ログランク(Mantel-Cox)およびGehan-Breslow-Wilcoxon検定により、TTE値に基づく2つのグループの全生存経験(生存曲線)間の差の有意性を決定した。
結果
5-アザシチジンと、ミドスタウリン、ギルテリチニブ、またはベネトクラクスとの組み合わせ
【0192】
図1~7は、実験に関する様々な情報およびデータを提供する。例えば、
図1は、細胞株MV4-11およびMOLM-13を用いた、ギルテリチニブとの組み合わせにおける5-アザシチジン、およびミドスタウリンとの組み合わせにおける5-アザシチジンの、最大EC
50倍率変化を示す棒グラフである。3つの異なる投与スケジュールによる結果が示される:(i)最初に投与した5-アザシチジン(黒い棒);(ii)同時に投与した2つの薬剤(薄いグレーの棒);および(iii)2番目に投与した5-アザシチジン(中程度のグレーの棒)。
図2は、(i)FLT3阻害剤(FLT3i)の前のインターバルに、最初に投与した5-アザシチジン(AZA);(ii)同時に投与した2つの薬剤(5-アザシチジンおよびFLT3i);および(iii)FLT3iが投与された後のインターバルに、2番目に投与した5-アザシチジンの、異なる3つの投与スケジュールを表し;ここで、FLT3iは、ミドスタウリンまたはギルテリチニブなどの任意の適切なFLT3阻害剤でありうる。
図3A-Dは、細胞株MV4-11(
図3A)およびMOLM-13(
図3C)を用いた、ベネトクラクスとの組み合わせにおける5-アザシチジンの最大EC
50倍率変化を表す。3つの異なる投与スケジュールは、(i)最初に投与した5-アザシチジン(黒い棒);(ii)同時に投与した2つの薬剤(薄いグレーの棒);および(iii)2番目に投与した5-アザシチジン(中程度のグレーの棒)を示す。3つの異なる投与スケジュールについて、細胞株MV4-11(
図3B)およびMOLM-13(
図3D)を用いて、ベネトクラクスとの組み合わせで投与される5-アザシチジンについて、相乗指数もまた示す。
【0193】
図4A-Cは、5-アザシチジンが最初に投与されたときの、MV4-11細胞における5-アザシチジンとベネトクラクスとの相乗効果(
図4A)、同時投与による比較的低い相乗効果(
図4B)、および最初に投与したベネトクラクスとの相乗効果(
図4C)を示す応答曲面分析を表す。応答曲面法(RSM)は、いくつかの説明変数と1つ以上の応答変数間の統計的関係性を調査する。RSMは、一連の計画した実験を用いて、最適な応答を獲得し、これはこの場合において、5-アザシチジンとベネトクラクスとの相乗効果である。
【0194】
図5は、(a)5-アザシチジンおよびミドスタウリン(「aza+0.3μM Mido」)および(b)5-アザシチジンおよびギルテリチニブ(「aza+0.3μM Gilt」)が、MV4-11細胞株においてMCL-1分解を増加させることを示すウエスタンブロットを示す。さらに、
図6は、5-アザシチジンおよびベネトクラクス処理が、FLT3ITD MV4-11細胞におけるMCL-1レベルを減少させることを示すウエスタンブロットを示す。
【0195】
最後に、
図7A-Cは、MOLM-13異種移植モデルにおける5-アザシチジンの組み合わせのインビボ評価を、生存率(y軸)vs0~70日(x軸)のグラフによって示す。
図7A-Cにおいて示される実験のための用量は、以下の通りである:(i)5-アザシチジン(低曝露、長期間、LEED):1mg/kg腹腔内(IP)、1日1回5日間、3回(qdx5x3);(ii)5-アザシチジン(高曝露、短期間、HELD):3mg/kg腹腔内(IP)、1日1回5日間(qdx5);(iii)ミドスタウリン(100mg/kg経口(PO)、1日1回21日間(qdx21));(iv)ギルテリチニブ(4mg/kg経口(PO)、1日1回21日間(qdx21));および(v)ベネトクラクス(100mg/kg経口(PO)、1日1回21日間(qdx21))。P値(最大単一薬剤に対する)*P<0.05;**P<0.001;***P<0.0001。
図7Aは5-アザシチジンおよびミドスタウリンの組み合わせの結果を示し、
図7Bはベネトクラクスとの組み合わせによる5-アザシチジンの結果を示し、
図7Cは5-アザシチジンおよびギルテリチニブの組み合わせの結果を示す。
図7Aについて、試験した組成物は、ビヒクル、5-アザシチジン(低曝露、長期間、LEED、1mg/kg 5-アザシチジン、1日1回15日間(qdx15)のスケジュール)、5-アザシチジン(高曝露、短期間、HELD、3mg/kg 5-アザシチジン、1日1回5日間(qdx5)のスケジュール)、ミドスタウリン(100/kg、1日1回28日間(qdx28))、LEED+ミドスタウリン、およびHELD+ミドスタウリンであった。
図7Bについて、試験した組成物は、ビヒクル、5-アザシチジン(LEED)、5-アザシチジン(HELD)、ベネトクラクス、LEED+ベネトクラクス、およびHELD+ベネトクラクスであった。
図7Cについて、試験した組成物は、ビヒクル、5-アザシチジン(LEED)、5-アザシチジン(HELD)、ギルテリチニブ、LEED+ギルテリチニブ、およびHELD+ギルテリチニブであった。LEEDおよびHELD 5-アザシチジン投与のいずれも、ビヒクルのみに対して、生存率の統計的に有意な増加を生じた(LEEDvsビヒクル、p=0.003、Gehan-Breslow-Wilcoxon検定による;HELDvsビヒクル、p=0.003、Gehan-Breslow-Wilcoxon検定)。ミドスタウリン単独、およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクルのみと比較して、有意に生存率を増加させた(ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.027;LEED+ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.012;HELD+ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.003)。ミドスタウリンとの組み合わせにおけるHELD 5-アザシチジンの投与は、LEEDまたはHELD 5-アザシチジンと比較してそれぞれ、有意に生存率を増加させた(LEED+ミドスタウリンvsLEED、p=0.028;HELD+ミドスタウリンvsHELD、p=0.039)。ミドスタウリン単独治療と比較して、ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELDの間に、生存率の有意な変化は観察されなかった。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤のみと比較して、ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンによって増加した(LEED+ミドスタウリン=45日、HELD+ミドスタウリン=43日、ビヒクル=19日、ミドスタウリン=34日、LEED=36日、HELD=32日)(
図7A)。ギルテリチニブ単独、およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクル単独と比較して、有意に生存率を増加させた(ギルテリチニブvsビヒクル、p=0.003;LEED+ギルテリチニブvsビヒクル、p=0.003;HELD+ギルテリチニブvsビヒクル、p=0.003)。ギルテリチニブとの組み合わせにおける、低曝露、長期間、またはHELD 5-アザシチジン投与は、LEEDまたはHELD 5-アザシチジン単独と比較して、生存率を有意に増加させた(LEED+ギルテリチニブvsLEED、p=0.019;LEED+ギルテリチニブvsHELD、p=0.004;HELD+ギルテリチニブvsLEED、p=0.008;HELD+ギルテリチニブvsHELD、p=0.003)。さらに、ギルテリチニブとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンの投与は、ギルテリチニブ単独と比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ギルテリチニブvsギルテリチニブ、p<0.001;HELD+ギルテリチニブvsギルテリチニブ、p<0.001)。ベネトクラクス単独、およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクルのみと比較して、有意に生存率を増加させた(ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.003;LEED+ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.002;HELD+ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.004)(
図7B)。ベネトクラクスとの組み合わせにおいて投与される、低曝露、長期間またはHELD 5-アザシチジンは、LEEDまたはHELD 5-アザシチジンのいずれか単独と比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ベネトクラクスvsLEED、p=0.001;LEED+ベネトクラクスvsHELD、p<0.001;HELD+ベネトクラクスvsLEED、p=<0.001;HELD+ベネトクラクスvsHELD、p=<0.001)。さらに、ベネトクラクスとの組み合わせにおいて投与されるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンは、ベネトクラクス単独と比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ベネトクラクスvsベネトクラクス、p<0.001;HELD+ベネトクラクスvsベネトクラクス、p<0.001)。ベネトクラクスとの組み合わせにおける低曝露、長期間は、ベネトクラクスとの組み合わせにおけるHELDと有意な差はなかった。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤と比較して、ベネトクラクスとの組み合わせにおいてLEEDまたはHELD 5-アザシチジンによって増加した(LEED+ベネトクラクス=46日、HELD+ベネトクラクス=45日、ビヒクル=19日、ベネトクラクス=29日、LEED=36日、HELD=32日)。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤と比較して、ギルテリチニブとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンで増加した(LEED+ギルテリチニブ=45日、HELD+ギルテリチニブ=43日、ビヒクル=19日、ギルテリチニブ=34日、LEED=36日、HELD=32日)、(
図7C)。
【0196】
図8A、8B、および8Cは、単一薬剤としての5-アザシチジン(AZA)およびベネトクラクス(それぞれ
図8Aおよび8B)、および5-アザシチジンおよびベネトクラクスとの組み合わせ(
図8C)に対する、22個のAML細胞株の感受性を示す。
図8Aは、0.15μMから2.5μMの範囲のEC
50値によって、5-アザシチジンが大半の細胞において細胞毒性効果を示したことを示す。反対に、
図8Bは、試験したAML細胞株の11/22が、ベネトクラクスに対して感受性であったことを示す(EC
50<10μM)。
図8Cは、表面応答分析および最大単一薬剤モデルを用いて、5-アザシチジンとベネトクラクスとの組み合わせ活性を示し、ここで、10/22の細胞株は、任意の閾値である20を超える相乗活性を示した。特に、ベネトクラクスに耐性のある3つの細胞株(Kasumi-1、Kasumi-2、およびNOMO-1)は、5-アザシチジンとの同時処理により、ベネトクラクス耐性の逆転を示した。AMLにおける再発性変異であるFLT3-ITDを有する細胞株はまた、5-アザシチジンおよびベネトクラクスとの相乗効果を示した。
【0197】
これらの結果は、驚くべきことに、5-アザシチジンとベネトクラクスの組み合わせが、AML細胞株、特にベネトクラクスに耐性であるAML細胞株において、相乗効果を提供することを実証している。これらの結果は、5-アザシチジンとベネトクラクスの組み合わせが、AML患者の治療に安全かつ効果的であることを支持する。
【0198】
5-アザシチジンおよびベネトクラクス投与の特定のスケジュールが、5-アザシチジンおよびベネトクラクスによって提供される相乗効果に影響を有するかどうかもまた調査した。
図9A-Fは、5-アザシチジンおよびベネトクラクスによる治療開始の7日後、MV4-11細胞(
図9A-C)およびMOLM-13細胞(
図9D-F)の細胞生存を示す。以下のスケジュールを試験した:1、2、および3日目に5-アザシチジンを投与、次いで4日目にベネトクラクスを投与(最初に5-アザシチジン(AZA))(
図9Aおよび9D);1日目に5-アザシチジンおよびベネトクラクスを共投与、次いで2および3日目に5-アザシチジンを投与(同時)(
図9Bおよび9E);および1日目にベネトクラクス投与、次いで2、3、および4日目に5-アザシチジン(最初にベネトクラクス)(
図9Cおよび9F)。両方の細胞株について、5-アザシチジンを最初に投与したレジメンが、最大相乗効果を提供したことが結果から示された。これらの結果は、5-アザシチジンがベネトクラクス活性についてAML細胞を刺激しうることを示唆する。
【0199】
ベネトクラクス耐性についての因子の1つは、アポトーシス制御因子MCL-1の発現であり、これはFLT3変異AMLにおいて上方制御され、5-アザシチジン処理により下方制御される。MCL-1レベルが、5-アザシチジンおよびベネトクラクスの組み合わせの相乗効果の程度と関連するかどうかを調べるために、野生型FLT3、FLT3-ITD、またはFLT3(D835Y)変異のいずれかを発現する、改変BaF3細胞株のパネルを調べた。改変BaF3細胞株はまた、IL-3と無関係に増殖した。
図10Aは、これらの改変BaF3細胞株が、ベネトクラクスに耐性であるが(EC
50>1μM)、ギルテリチニブ、ミドスタウリン、およびキザルチニブなどのFLT3阻害剤に対して感受性であることを示す。
図10Aに示すデータを、以下の表1にも示す。
【表1】
【0200】
図10Bは、MCL-1が、FLT3(D835Y)に次いで、FLT-ITD変異体株において最も高い発現レベルで、全ての細胞株で検出されたことを示す。5-アザシチジン とベネトクラクスの組み合わせは相乗効果を示し、MCL-1の発現量が最も低い、FLT3(野生型)において最大の相乗指数を有し、次いでFLT3(D835Y)(中程度のMCL-1量)およびFLT3-ITD(最大のMCL-1量)であった(
図10C)。これらの結果から、MCL-1発現が、5-アザシチジン-ベネトクラクスの相乗効果の決定因子でありうることが示唆される。
【0201】
MCL-1と5-アザシチジン-ベネトクラクスとの間の相乗効果の関係性をさらに調査するために、MCL1 RNA量と5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗指数との間の関係性を、20のAML細胞株のパネルにおいて探索した。
図11は、20のAML細胞株のパネルにおいて、MCL1 RNA量が相乗指数(r
2=-0.5607、p=0.0101)と直接相関することを示す。これらの結果は、MCL-1がベネトクラクス誘導性アポトーシスについて、AZA刺激の重要な調節因子である可能性があり、特に、5-アザシチジンは、MCL-1を、ベネトクラクス介在性アポトーシスを可能にするある閾値以下にしうることを示す。
【0202】
次いで、4つの異なるAML細胞株における5-アザシチジン介在性MCL-1分解の程度を、KG1α(
図12A)、MV4-11(
図12B)、THP-1(
図12C)、およびOCI-AML-2(
図12D)で探索した。KG1α(
図12E)およびMV4-11(
図12F)細胞株を用いた5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗活性(それぞれ、70および35.5の相乗指数(SI))、およびTHP-1(
図12G)およびOCI-AML-2(
図12H)細胞株を用いた非常に少ない相乗活性、または相乗活性がないこと(それぞれ、20.2および10.8のSI)が結果から示された。5-アザシチジン-ベネトクラクスが最大の相乗効果を有する(
図12Eおよび12F)KG1α(
図12A)およびMV4-11(
図12B)細胞株について、5-アザシチジンは、処理後6時間から開始して、最も速くMCL-1分解が生じた。一方、5-アザシチジン-ベネトクラクスが低い相乗効果を提供したTHP-1(
図12C)について、5-アザシチジン介在性MCL-1の分解は遅く、16時間から開始して、24時間までに不完全な分解を示した(
図12G)。5-アザシチジン-ベネトクラクスが最小の相乗効果を有する(
図12H)OCI-AML2(
図12D)について、5-アザシチジン処理はMCL-1のいかなる分解も生じなかった。これらの結果は、5-アザシチジンがMCL-1量を低下させることによって、ベネトクラクス介在性アポトーシスについて、5-アザシチジンが細胞を刺激するという仮説を支持するものである。
【0203】
5-アザシチジンがMCL-1を下方制御する1つの可能性のあるメカニズムは、カスパーゼ活性化を誘導することである。カスパーゼ活性化は、カスパーゼ3の分解をウエスタンブロットで評価することにより、アッセイすることができる(
図13A)。この効果がカスパーゼ依存性であるかどうかを調べるために、細胞をZ-VAD-FMK、汎カスパーゼ阻害剤で処理し、5-アザシチジンによるMCL-1分解の程度を測定した(
図13B)。特に、
図13Bは、5-アザシチジンによるMCL-1分解の棒グラフを示し、ここで、細胞は1時間20μM Z-VAD-FMKで処理し、さらに16時間5-アザシチジンで処理した。カスパーゼ阻害は、MV4-11細胞における5-アザシチジンによるMCL-1の分解を部分的に阻害し、このことは、MCL-1分解のさらなるカスパーゼ依存性メカニズムを示唆した。Z-VAD-FMKが、5-アザシチジンがMCL-1を分解する能力を部分的に阻害することが発見され、このことは、このプロセスがカスパーゼ依存性および非依存性メカニズムによって介在されることを示唆した。
【0204】
5-アザシチジンが急性アポトーシスについてベネトクラクスをどのように刺激するかをさらに理解するために、PBS(ビヒクル)、1μM AZAで24時間(
図14A)、または1μM AZAで48時間(
図14B)処理したMV4-11細胞において、RNAseqを行った。表2は、
図14AのRNASeqデータについての経路分析であり、KEGG経路経路に基づく5-アザシチジンにより有意に誘導または抑制される遺伝子の分類である、5-アザシチジン処理後の解析を示す。
【表2】
【0205】
処理後48時間において5-アザシチジンによって制御されたKEGG経路に、有意な差は観察されなかった。しかしながら、5-アザシチジン処理の24時間後に差次的に調節される上位のKEGG経路は、「リボソーム」、「酸化的リン酸化」、「代謝経路」、および「細胞周期」であった。これらの結果は、5-アザシチジン+ベネトクラクスの組み合わせにより治療された患者において以前観察された、5-アザシチジンが細胞代謝を変化させ、細胞周期を停止させ、酸化的リン酸化を抑制する役割を有するという仮説を支持する。
【0206】
24時間(
図14A)および48時間(
図14B)において有意に変更された遺伝子のボルケーノプロットは、5-アザシチジンが、24時間において、133個の差次的に発現した遺伝子を誘導し、48時間において、226個の差次的に発現した遺伝子を誘導したことを示す。5-アザシチジンによって誘導された差次的に発現した遺伝子をさらに分析することにより、MCL1発現を制御することが以前示されていた、2つの遺伝子:活性化転写因子3(ATF3)およびステアロイル-CoAデサチュラーゼ(SCD)が特定された。ATF3は、MCL-1並びに免疫および代謝遺伝子を制御することが示されている、ストレス応答性転写因子である。ATF3の発現は、5-アザシチジン処理の48時間後に2倍に増加した。一方で、脂質代謝およびMCL1の調節因子であるSCDの発現は、48時間における5-アザシチジン処理の2.5倍減少した。ATF3(
図14C)およびSCD(
図14D)発現の変化は、リアルタイムPCRを用いる別の実験において検証した。0.3μMの5-アザシチジン処理は、24または48時間のいずれかにおいて、ATF3発現を誘導するのに十分ではなかったため、ATF3発現は時間および濃度依存性様式で増加した(
図14C)。同様に、SCD発現は、3μMの5-アザシチジンで処理した場合、24時間以内に急速に減少したが、この時点では低濃度の5-アザシチジンに影響を受けなかった(
図14D)。
【0207】
MCL1発現の調整との関連を考えると、ATF3および/またはSCDが、5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗効果に寄与しうることを仮定した。これをさらに調査するために、これらの遺伝子のsiRNAノックダウンをMV4-11細胞において利用し、相乗効果におけるそれらの機能を評価した。MV4-11細胞は遺伝子導入されていないままであるか、あるいはATF3、SCD、または対照(スクランブル)siRNAで遺伝子導入した。対照として、細胞にsiRNAによって遺伝子を導入し、RNAを回収し、遺伝子導入の72時間後にqPCRを行った(
図15A)。このことから、細胞にATF3またはSCD siRNAをそれぞれ遺伝子導入したとき、siRNAノックダウンが、ATF3またはSCDのmRNA発現を減少させるが、完全に阻害はしないことが確認された。さらに、スクランブルsiRNAで処理した細胞において、ATF3(
図15B)またはSCD(
図15C)の発現に変化は見られなかった。遺伝子導入の後、細胞を1~3日目において毎日、様々な濃度の5-アザシチジンで処理した。4日目に、細胞にベネトクラクスを投与し、治療開始7日後にCellTiter-Glo(登録商標)を用いて細胞生存能力を試験した。Combenefitおよび最大単一薬剤分析を用いて、5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗効果を計算した(
図15D-G)。5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗効果は、遺伝子導入しなかった細胞において確認され(相乗指数=43)(
図15D)、スクランブルsiRNAによって遺伝子導入した細胞(
図15E)は、相乗指数が46であるため、相乗効果は遺伝子導入自体によって影響されなかった。ATF3がノックダウンされたとき(
図15F)、5-アザシチジン-ベネトクラクスは減少した相乗効果を有する(相乗指数=19)。一方で、SCD(
図15G)がノックダウンされた場合、5-アザシチジン-ベネトクラクスは増加した相乗効果を有する(相乗指数=60)。このデータは、5-アザシチジンによって誘導されるATF3の増加およびSCDの減少が、5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗効果において、少なくとも部分的に役割を有することを示唆する。
【0208】
5-アザシチジンおよびベネトクラクスが、注射可能な5-アザシチジン(HELD)または経口5-アザシチジン(LEED)に対応する用量およびスケジュールにおいて、インビボ相乗活性を有するかどうかを次に決定した。MV4-11(
図16A-C)およびMOLM-13(
図D-F)は、5-アザシチジン-ベネトクラクス相乗効果(
図8C)を示した2つの細胞株であり、これらを用いて免疫不全動物において播種性AML異種移植マウスを作製した。インビトロで、ベネトクラクスは両方の細胞株をベネトクラクスに感作させ(
図16Aおよび16D)、5-アザシチジンと相乗させた(
図16Bおよび16E)。経口5-アザシチジン(LEED)レジメンをモデル化するために、マウスを1mg/kg 5-アザシチジンで15日間(低曝露、長期間)処理した。あるいは、同じ蓄積用量を用いるが、注射可能な5-アザシチジン(HELD)レジメンを用いて、マウスを3mg/ml 5-アザシチジンで5日間(高曝露、短期間)処理した。
【0209】
MV4-11移植のために、メスのNCGマウスに、0.2mL細胞懸濁液中の1x10
7個の細胞を尾静脈から注入した。1日目は移植後14日として設計した。1日目に、マウスを体重に基づいて治療群に分類し、投与を次のように開始した:ビヒクルで処理したマウス、高用量5-アザシチジン(HELD、3mg/kg 1日1回5日間(qdx5))、低用量5-アザシチジン(LEED、1mg/kg 1日1回5日間、3回(qdx5x3))、ベネトクラクス(100mg/kg、1日1回21日間、(qdx21))、HELD+ベネトクラクス、またはLEED+ベネトクラクス。マウスがいつ腫瘍負荷に屈したかを決定するために、最初の治療後最大56日間にわたり、マウスを体重減少および瀕死についてモニターした。ベネトクラクス単独、またはLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクルのみと比較して、有意に生存率を増加させた(ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.0493;LEED+ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.0123;HELD+ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.04)。ベネトクラクスとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンは、5-アザシチジンのみと比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ベネトクラクスvsLEED、p=0.001;HELD+ベネトクラクスvsHELD、p=0.0004)。しかしながら、LEED+5-アザシチジンのみは、ベネトクラクス単独と比較して、有意に良好であった(LEED+ベネトクラクスvsベネトクラクス、p=0.0378)。さらに、ベネトクラクスとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンは、単一薬剤と比較して、平均生存率を増加させた(LEED+ベネトクラクス=38、HELD+ベネトクラクス=37、ビヒクル=29.5、HELD=35、LEED=35、ベネトクラクス=35.5)。(
図16C)
【0210】
これらの実験を、2番目のFLT3-ITD細胞株、MOLM-13によって繰り返した。簡潔に説明すると、5x10
6個のMOLM-13細胞を、グループごとに12匹のNOD/SCIマウスに注射した。腫瘍細胞播種の3日後、マウスをMV4-11細胞と同じ用量レジメンで処理した。マウスが腫瘍負荷にいつ屈したかを決定するために、マウスを最初の治療から最大70日にわたり、体重減少および瀕死についてモニターした。ベネトクラクス単独およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクルのみと比較して、有意に生存率を増加させた(ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.003;LEED+ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.002;HELD+ベネトクラクスvsビヒクル、p=0.004)。ベネトクラクスとの組み合わせにおける低曝露、長期間またはHELD 5-アザシチジン投与は、LEEDまたはHELD 5-アザシチジン単独のいずれかと比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ベネトクラクスvsLEED、p=0.001;LEED+ベネトクラクスvsHELD、p<0.001;HELD+ベネトクラクスvsLEED、p=<0.001;HELD+ベネトクラクスvsHELD、p=<0.001)。さらに、ベネトクラクスとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジン投与は、ベネトクラクス単独と比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ベネトクラクスvsベネトクラクス、p<0.001;HELD+ベネトクラクスvsベネトクラクス、p<0.001)。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤と比較して、ベネトクラクスとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンによって増加した(LEED+ベネトクラクス=46日、HELD+ベネトクラクス=45日、ビヒクル=19日、ベネトクラクス=29日、LEED=36日、HELD=32日)。(
図16F)要するに、これらの結果から、FLT3-ITD変異を有する患者が、5-アザシチジン+ベネトクラクスの組み合わせ療法から利益を受け得ることが示される。
5-アザシチジンとFLT-3阻害剤との組み合わせ
【0211】
FLT3変異はAML患者の~30%で生じ、予後不良と関連している。広範作用型FLT-3阻害剤ミドスタウリンおよび選択的FLT3阻害剤、ギルテリチニブは、AMLの治療について承認されている。5-アザシチジンおよびFLT3阻害剤による共投与が、AML細胞において相乗効果を有するかどうかを調査するために、2つのFLT3-ITD細胞株、MV4-11およびMOLM-13細胞を、5-アザシチジン+ミドスタウリンまたは5-アザシチジン+ギルテリチニブで処理した。細胞を1~3日目に5-アザシチジンの1日用量で処理し、次いで4日目にFLT-3阻害剤(ミドスタウリンまたはギルテリチニブ)で処理した。細胞を7日目に回収し、CellTiter-Glo(登録商標)アッセイによって細胞生存能力を評価した。ミドスタウリンはMV4-11を5-アザシチジンに感作性にし(
図17A)、5-アザシチジンと相乗効果を示した(
図17B)。同様の効果は、5-アザシチジンおよびギルテリチニブ(
図17Cおよび17D)で処理したMV4-11細胞において、並びに5-アザシチジンおよびミドスタウリン(
図17Eおよび17F)またはギルテリチニブ(
図17Gおよび17H)によって処理したMOLM-13細胞において観察された。
【0212】
次に、注射可能(高曝露、短期間、またはHELDレジメン)または経口(低曝露、長期間、LEED)と同様の用量およびスケジュールを用いて、FLT3阻害剤および5-アザシチジンの相乗効果を調べた。MOLM-13およびMV4-11細胞株に基づくAMLの2つの播種性異種細胞モデルを用いた。マウスを、HELDレジメン(3mg/kg、5日間毎日)またはLEED(1mg/kg、1日1回15日間(qdx15))を用いて、5-アザシチジンで処理した。100mg/kg、21日間毎日、FLT3阻害剤ミドスタウリンを、および4mg/kg、qdx21、ギルテリチニブを、HELDまたはLEED 5-アザシチジンレジメンで、単一薬剤として投与した。MOLM-13異種移植モデルにおいて、ミドスタウリン単独で、およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクル単独と比較して、有意に生存率を増加させた(ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.027;LEED+ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.012;HELD+ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.003)(
図17I)。ミドスタウリンとの組み合わせにおける低曝露、長期間またはHELD 5-アザシチジン投与は、LEEDまたはHELD 5-アザシチジンそれぞれと比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ミドスタウリンvsLEED、p=0.028;HELD+ミドスタウリンvsHELD、p=0.039)。ミドスタウリン治療単独と比較して、ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELDとの間に、生存率の有意な変化は観察されなかった。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤と比較して、ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンによって増加した(LEED+ミドスタウリン=45日、HELD+ミドスタウリン=43日、ビヒクル=19日、ミドスタウリン=34日、LEED=36日、HELD=32日)(
図17I)。
【0213】
MV4-11異種移植モデルにおいて、ミドスタウリン単独、およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクルのみと比較して、生存率を増加させた(ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.0067;LEED+ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.0084;HELD+ミドスタウリンvsビヒクル、p=0.0625)。ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジン投与は、LEEDまたはHELD 5-アザシチジンのいずれか単独と比較して、有意に生存を増加させた(LEED+ミドスタウリンvsLEED、p=<0.0001;HELD+ミドスタウリンvsHELD、p=0.0015)。さらに、ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンは、ミドスタウリン単独と比較して、有意に生存率を増加させなかった(LEED+ミドスタウリンvsミドスタウリン、p=0.1704;HELD+ミドスタウリンvsミドスタウリン、p=0.8308)。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤のHELDまたはLEEDと比較して、ミドスタウリンとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンによって増加した(LEED+ミドスタウリン=64.5、HELD+ミドスタウリン=59.5、ビヒクル=29.5、LEED=35、HELD=35、ミドスタウリン=57)(
図17J)。
【0214】
MOLM-13異種移植モデルにおいて、ギルテリチニブ単独およびLEEDまたはHELD 5-アザシチジンとの組み合わせは、ビヒクルのみと比較して、有意に生存率を増加させた(ギルテリチニブvsビヒクル、p=0.003;LEED+ギルテリチニブvsビヒクル、p=0.003;HELD+ギルテリチニブvsビヒクル、p=0.003)。ギルテリチニブとの組み合わせにおける、低曝露、長期間またはHELD 5-アザシチジン投与は、LEEDまたはHELD 5-アザシチジンいずれかの単独と比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ギルテリチニブvsLEED、p=0.019;LEED+ギルテリチニブvsHELD、p=0.004;HELD+ギルテリチニブvsLEED、p=0.008;HELD+ギルテリチニブvsHELD、p=0.003)。さらに、ギルテリチニブとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジン投与は、ギルテリチニブ単独と比較して、有意に生存率を増加させた(LEED+ギルテリチニブvsギルテリチニブ、p<0.001;HELD+ギルテリチニブvsギルテリチニブ、p<0.001)。平均生存率は、ビヒクルまたは単一薬剤と比較して、ギルテリチニブとの組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンによって増加した(LEED+ギルテリチニブ=45日、HELD+ギルテリチニブ=43日、ビヒクル=19日、ギルテリチニブ=34日、LEED=36日、HELD=32日)(
図17K)。
【0215】
要するに、これらの結果は、FLT3阻害剤との組み合わせにおけるLEEDまたはHELD 5-アザシチジンは、単一薬剤の5-アザシチジンまたはFLT3阻害剤のみと比較して、AML細胞の殺傷に有意により効果的であることを示唆する。
実施例2
【0216】
試験の目的:本試験の第一の目的は以下の通りである。
【0217】
組み合わせアームA(経口5-アザシチジン+イボシデニブアーム):目的は:(1)IDH1変異を有するAML患者において、イボシデニブとの組み合わせで投与される場合の、経口5-アザシチジンの最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)を確立すること、(2)IDH1変異を有するAML患者において、イボシデニブとの組み合わせで投与される場合の、経口5-アザシチジンの安全性および許容性を確立することである。
【0218】
組み合わせアームB(経口5-アザシチジン+エナシデニブアーム):目的は:(1)IDH2変異を有するAML患者において、エナシデニブとの組み合わせで投与される場合の、経口5-アザシチジンの最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)を確立すること、(2)IDH2変異を有するAML患者において、エナシデニブとの組み合わせで投与される場合の、経口5-アザシチジンの安全性および許容性を確立することである。
【0219】
組み合わせアームC(経口5-アザシチジン+FLT3アーム):目的は:(1)FLT3 ITDまたはTKD変異を有するAML患者において、FLT3阻害剤との組み合わせで投与される場合の、経口5-アザシチジンの最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)を確立すること、(2)FLT3 ITDまたはTKD変異を有するAML患者において、FLT3阻害剤との組み合わせにおいて投与される場合の、経口5-アザシチジンの安全性および許容性を確立することである。
【0220】
組み合わせアームD(経口5-アザシチジン+ベネトクラクスアーム):目的は:(1)AML患者において、ベネトクラクスとの組み合わせで投与される場合の、経口5-アザシチジンの最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)を確立すること、(2)AML患者においてベネトクラクスとの組み合わせにおいて投与される場合の、経口5-アザシチジンの安全性および許容性を確立することである。
【0221】
第二の目的は以下の通りである:(1)AML患者において、イボシデニブ、エナシデニブ、ベネトクラクス、およびFLT3阻害剤との組み合わせにおける経口5-アザシチジンの薬物動態(PK)を特徴付けること;および(2)AML患者において、イボシデニブ、エナシデニブ、ベネトクラクス、およびFLT3阻害剤との組み合わせにおける経口5-アザシチジンの予備的な有効性を評価すること。
【0222】
探索的目的は以下の通りである:(1)イボシデニブ、エナシデニブ、ベネトクラクス、またはFLT3阻害剤と共に投与した場合の、経口5-アザシチジンの薬物曝露と、有効性、安全性、薬力学、および/または他の探索的エンドポイントとの関係性を探索すること、(2)血液および/または骨髄において、フローサイトメトリー(または関連する遺伝子シーケンシング方法(例えば、FLT3、IDH1/2変異アレル頻度(VAF))によって、微小残存病変(MRD)を評価すること、(3)評価した各用量/スケジュールにおける薬力学的応答を完全に理解するために、経口5-アザシチジンと、組み合わせ対の薬剤であるイボシデニブ、エナシデニブ、ベネトクラクス、またはFLT3阻害剤のそれぞれの適切な薬力学的マーカーを探索すること、(4)それぞれの治療アームにおいて、有効性および/または耐性との予後的および/または予測的関連を可能にする、さらなる探索的分子、細胞、および/または代謝マーカーを評価すること。
【0223】
試験エンドポイントは、以下の表3に示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【0224】
試験設計:これは、以下に列挙する、バイオマーカー指向の新規治療との組み合わせにおける、バックボーンとしての経口5-アザシチジンの安全性および許容性を評価するための、非盲検、第I相、多施設アンブレラ試験である:
組み合わせアームA:IDH1変異を有するAML患者における、経口5-アザシチジン+イボシデニブ、
組み合わせアームB:IDH2変異を有するAML患者における、経口5-アザシチジン+エナシデニブ、
組み合わせアームC:FLT3 ITDまたはTKD変異を有するAML患者における、経口5-アザシチジン+FLT3阻害剤、および
組み合わせアームD:AML患者における、経口5-アザシチジン+ベネトクラクス。
【0225】
試験集団は、最初に再発した、1または2個の標準的な導入治療に難治性であり、または集中的なICを受ける候補ではない新たに診断されたAML患者である、AML患者から成る。この試験は、事前スクリーニング段階、スクリーニング段階、治療段階、および追跡段階から構成される。
【0226】
事前スクリーニング段階:全ての患者は、特定のAML変異の結果を収集および決定するための、事前スクリーニングの同意書に署名する。再発時以降に、骨髄穿刺および/または末梢血サンプルから利用可能な局所的な血液病理およびおよび遺伝子変異検査を最近受けた患者について(または新たに診断された患者について)、これらの結果をスクリーニングに用いる。局所的な血液病理および遺伝子変異試験を受けていない患者について、特定のAML変異についての高度実験検査が利用可能である。
【0227】
患者は、変異試験の結果に基づいて、適切な組み合わせアームに割り当てられる。特定の変異アームが埋まっている/閉鎖されている場合、特定のAML変異(IDH1/2またはFLT3野生型)を有しない他の全てのAML患者;および全ての適格基準を満たす患者は、アームが完了するまで/閉鎖されるまで、経口5-アザシチジン+ベネトクラクス組み合わせアーム(アームD)に登録されうる。
【0228】
注:的確な患者が複数の変異を有するような稀な場合において、潜在的な治療組み合わせへの割り当ては、参加する治験責任医師および医療モニターの決定に基づき、情報源資料に記録される。例えば:IDH1およびFLT3変異の両方を有する患者は、経口イボシデニブまたはFLT3治療アームのいずれかに割り当てられうる。
【0229】
スクリーニング段階:事前スクリーニング、および試験への参加に適格な特定のAML変異の確認に続いて、登録される全ての患者は、スクリーニング期間の間、すなわち、試験治療の開始前28日以内に、スクリーニング手順を受ける。これは、プロトコルで定義された全ての適格基準に基づいて、研究の適格性を決定するのに役立つ。
【0230】
治療段階:適格性の確認が終わると、患者は登録され、適切な組み合わせアームにおいて治療を開始する。組み合わせアームと特定の用量レベルは、治験依頼者ごとに登録が可能である。
【0231】
試験治療は、それぞれの治療サイクルの1日目に開始されるべきである。治療サイクルは28日の期間である。訪問枠はサイクル1および2の±1日目であり;サイクル3において開始し、枠は±3日である。
【0232】
治療段階の間、それぞれの組み合わせアームおよび用量レベルについての用量決定を行う。
【0233】
用量決定:「用量決定」の間、それぞれの組み合わせアームについてMTD/MADを決定するという第一の目的のために、修正毒性発現確率区間(mTPI-2)法を用いる。mTPI-2法は、同じ用量レベルにおいて以前および現在のコホートで治療された全ての患者を用いて計算された、統計学的確率アルゴリズムに依拠し、将来のコホートが用量の漸増、現在の用量の維持、または用量の漸減にどこで関係するかを決定する。試験されるそれぞれの組み合わせの計画用量を表4に列挙する。mTPI-2法に基づく用量決定方法を、表5において説明する。
【0234】
用量審査チーム(DRT)は、イボシデニブ、エナシデニブ、FLT3阻害剤、およびベネトクラクスの組み合わせにおいて投与される場合の、経口5-アザシチジンの安全性および許容性を決定するために、サイクル1のそれぞれの用量レベルの間、患者が経験する全ての有害事象(AE)を審査する。
【0235】
開始用量レベルは、経口5-アザシチジン、イボシデニブ、およびFLT3阻害剤についてのより大規模な試験で現在使用されている用量;およびエナシデニブ、FLT3阻害剤、およびベネトクラクスの組み合わせ薬剤についての承認された用量に基づく。中間用量レベルおよび用量の調整は、DRTによって議論され修正されうる。用量レベル-1Aまたは-1Bへの漸減は、経口5-アザシチジン(レベル-1A)または組み合わせ薬剤(レベル-1B)のそれぞれに対する利用可能な安全性情報および毒性の帰属に基づく。毒性が両方の薬物に起因するか、または評価することができない場合、両方の薬物用量をDRTによる議論に対して開示しうる。経口5-アザシチジンの患者間の用量調節は、最大21日間の300mgQDをセルジーンの医療モニターと議論した後に生じうる。
【0236】
新たな用量レベルにおいて登録される患者の最初の群は、治験依頼者によって決定されるように、時差をつけて治療を開始する。
【表6】
【0237】
サイクルは28日として定義される。試験訪問は、最初の2サイクルについて毎週、次いでサイクル3からは2週間ごと(1日目および15日目)に行われる。各組み合わせアームについての用量決定を完了した後、全ての治療中の患者は、中止まで同じ用量および治療を受け続ける。
【0238】
修正毒性発現確率区間(mTPI-2):用量決定の間、修正毒性発現確率区間(mTPI-2)法設計を用いて、組み合わせについての最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)を決定する。MTDは、治療の最初のサイクルで目標DLT確率が0.30を超えない、評価される最大用量レベルとして定義される。mTPI-2の決定は、それぞれの組み合わせアームにおける全ての用量レベルに独立である。mTPI-2法に基づく用量決定規則を表5に示す。
【表7】
*列は治療される患者の数を示す。行はDLTを有する患者の数を示す。
*E:次のより高い用量への漸増;S:同じ用量で維持;D:前のより低い用量への漸減;DU:試験において、前のより低い用量への漸減および現在の用量が再び用いられることはない。
【0239】
一般に、mTPI-2法を用いる用量探索規則としては、以下が挙げられる:
・用量レベルアーム内のそれぞれのコホートは、2~6人の患者を登録する;(注:新たな用量レベルにおいて、最初のコホートに、少なくとも3人の患者を登録し治療するべきである)
・少なくとも3人の患者が、現在の用量レベルにおいてDLTについて評価されているか、DLTを経験している場合、次のコホートが登録され、表4に従って用量レベルを割り当てる。前のコホートおよび現在のコホートなど、同じ用量レベルにおいて評価した全ての患者は、次のコホートの用量レベルを決定するために用いられる。
・患者が、試験薬関連毒性以外の理由で、DLT観察期間内に試験治療のプロトコル指定の投与を受けていない場合、別の患者が現在の用量レベルにおいて代替として登録される。
・決定規則は、全ての組み合わせアームにおいて、それぞれの用量レベルと独立している。
・それぞれの組み合わせの用量探索段階は、少なくとも10人の患者が、MTDであると予測される用量レベルで治療された場合、または用量が過度に毒性であると思われ、現在の試験においてMTDを決定することができない場合に終了する。
・患者は、DLTの評価が可能であるとみなされるために、経口5-アザシチジンと組み合わせ薬剤の計画された総用量の少なくとも80%を完了していなければならない、あるいはDLT観察期間にDLTを経験していなければならない。用量漸増決定規則は、統計学的方法のセクションで定義する。
【0240】
それぞれの用量レベルについての評価のためのDLT観察期間は、現在の用量レベルの治療の最初のサイクル(28日)、またはDLTが速く生じる場合は、DLTまでである。
【0241】
以下は、組み合わせアームB(経口5-アザシチジン+エナシデニブ)の用量探索手順の例である。4つの所定の用量レベルは:
・用量レベル+1:1~21日目に経口5-アザシチジン 300mg QD+1~28日目にエナシデニブ 100mg QD;
・開始用量レベル0:1~14日目に経口5-アザシチジン 300mg QD+1~28日目にエナシデニブ 100mg QD;
・用量レベル-1A:1~14日目に経口5-アザシチジン 200mg QD+1~28日目にエナシデニブ 100mg QD;
・用量レベル-1B:1~14日目に経口5-アザシチジン 300mg QD+1~28日目にエナシデニブ 50mg QD;
・用量レベル-2:1~14日目に経口5-アザシチジン 200mg QD+1~28日目にエナシデニブ 50mg QD
である。
【0242】
用量設定は、3人の患者の登録および開始用量レベル(用量レベル0):1~14日目に経口5-アザシチジン 300mg QD+1~28日目にエナシデニブ 100mg QDでの治療によって開始する。3人の患者のDLT観察期間の終わりまでに、次のコホートが登録され、DLTの数およびmTPI-2規則表(表5)に基づいて決定される用量レベルに割り当てる:
・3/3DLTの場合-用量レベル-1Aまたは-1B(帰属する薬剤に応じて)へ漸減させ、この新たな用量レベルコホートに3人の患者を登録し割り当てる。現在の、またはより高い用量は、過度に毒性であり、再び調査することはできない。
・2/3DLTの場合-用量レベル-1Aまたは-1Bへ漸減させ、この新たな用量レベルコホートに3人の患者を登録し割り当てる。
・1/3DLTの場合-同じ用量レベル(用量レベル0)を維持し、さらに2人の患者を割り当てる(第二コホート)。用量レベル0における患者の総数は5になることに注意されたい。
・0/3DLTの場合-同じ用量レベル(用量レベル0)を維持し、(適用可能な場合)漸増する選択肢がある、さらに2人の患者を登録する(第二コホート)。用量が漸増する場合、新たな用量レベルコホートに3人の患者を割り当てる。
【0243】
新たな用量レベルが開始されると、mTPI-2規則表をリセットし、新たな用量レベルコホートを以前の用量レベルとは別に評価する。
【0244】
用量レベルの第二コホートのDLT観察期間の終わりに、次のコホート(第三コホート)を登録し、DLTの数およびmTPI-2規則表に基づいて決定される用量レベルに割り当てる(表4)。現在のコホートおよび任意の以前のコホートなど、同じ用量レベルにおける全ての患者およびそのDLTが用いられる。
【0245】
各用量レベルにおいて第一コホートに少なくとも3人の患者が必要であることを除いて、用量レベルにおけるさらなるコホートの大きさは柔軟でありうる。例えば、用量レベルがmTPI-2規則に従って同じレベルで継続する場合、コホートの大きさのシーケンスは3、2、2、3などでありうる。
【0246】
用量探索は、少なくとも10人の患者が、MTDであると予測される用量で治療されたとき、または用量が過度に毒性であるように見え、MTDが試験のための現在の組み合わせアームにおいて決定することができない場合に、結論付けられる。
【0247】
MTD/MADの決定後、DRTは、組み合わせアーム(アームAからE)で治療された患者の全ての安全性データを検討し、拡張コホートで使用されうる組み合わせアームのRP2Dを決定する。
【0248】
治療の終了(EOT):治療は、疾患の進行、許容できない有害事象、治療のさらなる投与を阻害する併発疾患、治験責任医師による患者を除外する決断、患者の同意の撤回、患者の妊娠、試験治療または手順の要件に対する非遵守、または管理上の理由の記録まで継続される。
【0249】
EOT訪問において、評価は±7日の訪問枠で行われる。予定された訪問中にEOTが生じる場合、全てのEOT評価もまた完了しなければならない。
【0250】
追跡段階:治療終了後、それぞれの患者はAEモニタリングのために28日間追跡される。疾患の進行以外の理由で治療を中止する患者は、疾患の進行、非研究的癌治療の開始、同意の撤回、または追跡不能になるまで、疾患状態について治療後の追跡を受ける。
【0251】
追跡段階は、最初の年は28日ごと、次いでその後3ヶ月ごとに評価を行う。
【0252】
さらに、全ての患者は、死亡までの生存、同意の撤回、または試験の終了のいずれか早いものまでに、電話連絡によって追跡される。
【0253】
試験集団/推定患者数:最大約72人の患者が、この試験に登録される(4つの組み合わせアーム×それぞれ18人の患者)。
【0254】
各組み合わせアームの用量レベルについて、約12人の患者を登録し、安全性、許容性、および予備的な有効性について評価しうる。用量決定に用いられる用量レベルに応じて、各組み合わせアームに最大18人の患者を登録しうる。
【0255】
それぞれの組み合わせアームの第一の目的を完了した後、用量拡大のためのさらなる患者もまた、登録されうる。
【0256】
主要な組み入れ基準:患者は試験に登録されるために、以下の基準を満たさなければならない:
1.患者は同意書(ICF)に署名した時点で、>18歳である。
2.WHO分類によって定義されるAMLを有する患者:
a.最初の再発(すなわち、前骨髄球性白血病[APML]を除いて、化学療法に対して最初の応答[CR/CRi]が得られた後に再発する);または
b.1~2回の一次導入過程の後に持続性/難治性(すなわち、1~2回の以前の化学療法レジメンの後に非応答);または
c.集中的な化学療法の候補でない、新たに診断されたAML。
3.患者は、最後の進行/再発(または新たに診断された最近の検査)以降に記録された、骨髄穿刺および/または末梢血サンプルにおける、以下のAML特異的変異を有していなければならない:
a.組み合わせアーム-A(IDH1):IDH1変異が確認された
b.組み合わせアーム-B(IDH2):IDH2変異が確認された
c.組み合わせアーム-C(FLT3):LT3変異(ITDまたはTKD)が確認された
d.組み合わせアームD(BCL-2):列挙される特異的変異のいずれも有しない患者、または上記の閉鎖した組み合わせアームにおいて変異を有する患者は、この経口5-アザシチジン+ベネトクラクスアームに登録されうる。
4.患者は、0、1、または2の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスを有する。
5.患者は以下で定義される適切な臓器機能を有する:
・白血病による臓器病変によるものと考えられる場合を除いて、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)およびアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(SGPT)<2.5x正常値上限(ULN)、
・ジルベール症候群(例えば、UGT1A1における遺伝子変異)または白血病臓器病変によるものと考えられる場合を除いて、血清総ビリルビン<1.5xULN
・腎疾患における食事変更(MDRD)糸球体濾過率(GFR):
GFR(mL/分/1.73m2)=175×(血清クレアチニン)-1.154×(年齢)-0.203×(0.742,女性の場合)×(1.212,アフリカン・アメリカンの場合)
に基づいて、クレアチニンクリアランス>30mL/分
6.一連の骨髄穿刺/生検への同意。
7.出産可能性(FCBP)*のある女性は、以下でなければならない:
試験治療を開始する前に、治験責任医師により確立された2つの陰性妊娠検査を受ける。女性は試験の過程、および試験治療の終了後、進行中の妊娠検査に同意しなければならない。これは、患者が異性愛者との接触を真に禁欲*している場合にもまた当てはまる。
異性愛者との接触を真に禁欲*することを実行するか(毎月見直し、情報を文書化しなければならない)、あるいはこの試験治療の間(投与中断を含む)、および試験治療の中止から90日間、またはそれぞれの化合物および/または地域による制限によって必要な場合、さらに長い間、治験化合物を開始する-3日前まで、非常に効果的な避妊を中断せず使用することに同意し実行することができるかのいずれか。
組み合わせアームAの場合:期間は最後の試験治療用量から4ヶ月に延長される
組み合わせアームBの場合:期間は最後の試験治療用量から4ヶ月に延長される
組み合わせアームDの場合:期間は最後の試験治療用量から6ヶ月に延長される。
8.男性患者は、男性が成功した精管切除を受けていても、試験参加中に、投与中断中、および治験化合物の中断から少なくとも90日間、またはそれぞれの化合物および/または地域による制限によって必要な場合、さらに長い間、真の禁欲*を実行するか(毎月見直す必要がある)、あるいは妊娠した女性または出産可能性のある女性との性的接触の間、コンドームを使用することに同意しなければならない。
組み合わせアームA:期間は最後の試験治療用量から4ヶ月に延長される
組み合わせアームB:期間は最後の試験治療用量から4ヶ月に延長される
組み合わせアームD:期間は最後の試験治療用量から6ヶ月に延長される。
9.患者は、任意の試験関連評価/手順を実施する前に、ICFを理解し、自発的に署名しなければならない。
10.患者は、試験訪問スケジュールおよび他のプロトコルの要件を進んで遵守し、遵守することができる。
【0257】
除外基準:以下のいずれかの存在により、患者は登録から除外される:
1.患者が、形態、免疫表現型、分子アッセイ、または核型に基づいて、急性前骨髄球性白血病の疑いがあるか、そのことが証明されている。
2.患者が、慢性骨髄性白血病の二次的なAMLを有するか、患者がBCR-ABL1 t(9;22)(q34;q11)陽性である。
3.患者が、>15,000細胞/mcl(15x109/L)の白血球数を有する。注:ヒドロキシ尿素は、採血のスクリーニングの最大72時間前に許可され、細胞切除のため(高い白血球数を制御するため)に、サイクル1の間のみ限定的に使用される。
4.患者が、試験治療開始の<28日前に全身抗癌療法または放射線療法を受けている。ヒドロキシ尿素は、白血球増多を制御するために、試験治療の開始前に許容されていることに注意されたい。
5.患者が、脱メチル化剤によるAMLの治療を受けており、第一選択治療の間CR/CRi/PR/MLFS/SDを達成しなかった。
6.患者が、試験治療開始前に、<30日または5半減期のいずれか長い方まで、治験薬を投与されている。
7.患者が、試験治療開始前90日以内にHSCTを受けているか、あるいはスクリーニング時にHSCT後の免疫抑制療法を受けているか、あるいは移植片対宿主病(GVHD)を有する。HSCT後の経口ステロイドの安定用量、または進行中の皮膚GVHDの局所的ステロイドの使用は許容される。
8.患者が、<グレード2まで回復していない以前の治療により、持続的、臨床的に重要な非造血毒性を有する。
9.患者が、中枢神経系(CNS)白血病を患っている、またはその疑いがある。脳脊髄液の評価は、スクリーニング時に白血病によるCNSの関与が疑われる場合にのみ必要である。
10.患者が、活性、制御不能な、全身性真菌、細菌、またはウイルス感染(適切な抗生物質、抗ウイルス療法、および/または他の治療にも関わらず改善しない、感染に関連する進行中の徴候/症状として定義される)を有する。患者は少なくとも72時間は熱がないはずである。
11.患者が、制御不能な出血、低酸素症またはショックを伴う肺炎、および/または播種性血管内血液凝固などの、即時に生命を脅かす、重篤な白血病の合併症を有する。
12.患者が、治験治療開始前に>1年以上疾患がない場合を除いて、MDS、MPN、またはAML以外の悪性腫瘍の既往歴を有する。
しかしながら、以下の病歴/併存疾患を有する患者は許容される:
・皮膚の基底細胞癌または扁平上皮細胞癌
・子宮頸部の上皮内癌
・乳房の上皮内癌
・前立腺癌の偶発的な組織学的発見(腫瘍リンパ節転移病期分類システムを用いて、T1aまたはT1b)
13.患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に血清反応陽性である、または活動性感染している、あるいはB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)に活動性感染していることが既知である。
14.患者が、嚥下障害、短腸症候群、胃不全麻痺、または経口投与された薬物の摂取または消化管吸収を制限する他の病状を有することが既知である
15.患者が、制御不能な高血圧症(収縮期血圧[BP]>180mmHgまたは拡張期BP>100mmHg)を有する、あるいは治療前の少なくとも1ヶ月安定でない。
16.ICFに署名する前の6ヶ月以内の、有意な活動性心臓疾患、例えば:
ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIVのうっ血性心不全;
不安定狭心症または外科的または医学的介入を必要とする狭心症;
重大な心不整脈;および/または
心筋梗塞
17.患者が、妊娠中または授乳中の女性である。
18.患者が、割り当てられた試験治療のいずれかの構成要素に過敏症を有することが既知である、あるいは疑いがある。
19.患者が、試験へ参加するのを妨げるような重大な病状、検査異常、または精神疾患を有する。
20.患者が、試験に参加した場合に、患者が許容できないリスクにさらされる検査異常の存在を含む任意の病状を有する。
21.患者が、試験からのデータを解釈する能力を混乱する任意の病状を有する。
22.計画された組み合わせアームに基づく、患者のさらなる除外基準は、以下の通りである:
a.組み合わせアーム-A(IDH1)について:
-患者が、QTc間隔(すなわち、Fridericia補正法[QTcF])>450ms、またはスクリーニング時にQT延長または不整脈事象(例えば、心不全、低カリウム血症、QT間隔延長症候群の家族歴)のリスクを増加させる他の因子を有する。
-患者が、試験治療開始前の少なくとも5半減期、他の薬物治療に移行できない限り、患者が、QT間隔を延長することが知られている他の薬物治療を受けている。
-患者が、試験治療開始の6ヶ月以内に、重大な活性心臓疾患;急性冠血管症候群(ACS);および/または卒中を有する;あるいは、試験治療開始前28日以内に得られた心エコー図(ECHO)またはマルチゲート取得(MUGA)スキャンによる左心室駆出率(LVEF)が<40%である。
b.組み合わせアーム-B(IDH2)について:
-患者が、試験治療開始前の少なくとも5半減期、他の薬物治療に移行できない限り、乳癌耐性タンパク質(BCRP)トランスポーター感受性基質ロスバスタチンを服用している場合、研究から除外されるべきである。
-患者が試験治療開始前の少なくとも5半減期、他の薬物治療に移行できない限り、狭い治療範囲を有する以下の高感度CYP基質薬剤の投与を受けている患者は、試験から除外される:パクリタキセルおよびドセタキセル(CYP2C8)、フェニトイン(CYP2C9)、S-メフェニトイン(CYP2C19)、チオリダジン(CYP2D6)、テオフィリン、およびチザニジン(CYP1A2)。
c.組み合わせアーム-C(非特異的なFLT3):
スクリーニング時の低カリウム血症および低マグネシウム血症を有する患者(正常な[LLN]の下限未満の値)。
患者が、試験参入前3ヶ月以内に行ったスクリーニング心エコーが、>45%の左心室駆出率でない限り、うっ血性心不全NYHAクラス3または4の病歴を有する。
スクリーニングで3回のFridericia補正QT間隔(QTcF)の平均値が>450msである患者。
スクリーニングでQT延長症候群を有する患者。
患者が、シトクロムP450(CYP)3Aの強力な誘導物質である併用薬物による治療を必要とする。
患者が、患者のケアに絶対的に不可欠であると考えられている薬物を除いて、P糖タンパク質(P-gp)の強力な阻害剤または誘導剤である併用薬物による治療を必要とする。
患者が、患者のケアに絶対的に不可欠であると考えられている薬物を除いて、セロトニン 5-ヒドロキシトリプタミン受容体1(5HT1R)または5-ヒドロキシトリプタミン受容体2B(5HT2BR)、またはシグマ非特異的受容体を標的とする併用薬剤による治療を必要とする。
d.組み合わせアーム-D(BCL-2)について:
-試験治療開始前7日以内に、強力なCYP3A阻害剤、中程度のCYP3A阻害剤、強力なCYP3A誘導剤、中程度のCYP3A誘導剤、強力なCYP2C8阻害剤、CYP2C8基質、またはOATP1B1/3基質を受けている
-治験治療開始前14日以内に、強力なCYP2C8誘導剤を受けている。
【0258】
試験期間:試験の全期間は、募集、スクリーニング、治療、および追跡を含み、約30ヶ月であると予想される。1人の患者について、試験の予想期間は、最大28日のスクリーニング期間を含み、約8ヶ月である。
【0259】
試験終了は、治療後の追跡を完了するための最後の患者の最後の訪問日、またはプロトコルにおいて事前に指定されている、第1、第2、および/または探索分析に必要な最後の患者から最後のデータを受領した日のいずれか遅い日として定義される。
【0260】
主な有効性評価の概要:治療への応答は、欧州白血病ネット(ELN)AML応答基準に従って、治験責任医師によって評価される(Dohner, H et al., Blood, 2017 Jan 26, 129(4): 424-47)。新たに診断されたAMLを有する患者の造血機能の改善(HI)もまた、IWG骨髄異形成症候群のHI基準に従って評価される(Cheson, 2006)。試験治療が中止された場合、患者は治療終了時の評価を受けることになる。治療中止の理由は、電子症例報告書(eCRF)ページおよび情報源資料に記録されている。
【0261】
ベースラインにおいて、骨髄穿刺および生検サンプルが必要である。サイクル2の1日目から開始する治療への応答を決定するために、順次の血液および骨髄穿刺を(必要な場合、骨髄生検と共に)用い、寛解(または、寛解がない場合、EOT)まで、1サイクルおき(サイクル4、サイクル6など)に評価する。寛解時には、さらなる骨髄穿刺および生検が必要である。寛解の間、穿刺は4ヶ月毎に、または臨床的に必要な場合に、回収するべきである。EOTにおいて、さらなる骨髄穿刺を回収する。応答は、報告された血液臨床検査パラメーター、末梢血スメア、骨髄穿刺、および/または生検に基づいて、2017ELN基準に従って局所的に評価される。この現場は、毎回の骨髄採取時に探索検査のために、末梢血およびBMA/BMBサンプルを回収し、保管することを確実にする必要がある。
【0262】
再発または進行の前に試験治療を中止した患者は、再発または進行が確認されるまで、毎月現場訪問を完了する。再発または進行により試験治療を中止した患者については、毎月の追跡は、現場訪問または電話によって行うことができる。患者は、死亡、追跡不能、さらなるデータ収集についての同意の撤回まで、または試験が終了するまで、追跡される。
【0263】
主要な安全性評価の概要:全ての患者は、試験の間AEについて追跡される。有害事象は、NCI有害事象共通用語規準(CTCAE)第5版において概説されるガイドラインに従って、重症度を評価する。
【0264】
用量規制毒性(DLT):毒性の重症度は、有害事象共通用語規準(CTCAE)第4.03版に従って評価する。用量決定の間のDLTは、DLT観察期間に生じる有害事象に基づく。この試験について、DLT観察期間は最初の治療サイクル(28日)として定義され、患者はそれぞれのコホートの用量レベルの完了時に評価される。DLT事象が2回目の治療サイクルの間に生じる場合、DRTによる検討および協議まで、新たな患者の治療を開始することはできない。これらの期間に基づいてDLTとみなされる事象は、DLT評価期間中に開始する場合、DLTとみなされる。
【0265】
事象が治験責任医師によって、基礎疾患または疾患の進行、他の併発疾患、または併用薬物治療などの明確に識別可能な原因に帰することができない事象がない限り、以下の事象のいずれもDLTと考えられる:
・血液学的DLTは、前のサイクルの1日目から42日以内に、グレード4の血液学的毒性から回復しないこととして定義される。
DLTを決定するために、グレード4の血液学的毒性を以下のように定義する:(i)ANC<0.5x109/L(グレード>4)および/または(ii)PLT数<25.0x109/L(グレード>4)
血液学的DLTは、治験責任医師の判断において、回復の遅れが、AMLの残留効果ではなく、治療誘発性毒性に起因するかどうかを割り当てることができる(骨髄サンプルは、これが骨髄芽球<5%のAMLによるものではないことを記録するために示されうる)。
-DLTを決定するために、血液学的毒性からの回復は、最下点の時点で観察されたベースラインから>50%の減少により、最下点からの細胞数の増加として定義される
-DLT評価期間中は、G-CSFまたは血小板輸血の使用が禁止される。これらの治療を受けている患者は、評価不可と決定され、置き換えられる。
-低い血液計数を有する(グレード3およびグレード4)試験参加患者は、臨床的に意味のある変化が生じない限り(前のサイクルの1日目から42日以内に計数が復活せず、必須の骨髄評価が治療誘発性の骨髄毒性を示す)、造血機能のDLTについて評価可能であるとはみなされない。
非血液学的DLTは、治験責任医師によって疾患の進行、基礎疾患、併発疾患、または併用薬物治療などの明確に特定可能な原因に割り当てることができない、試験の最初のサイクルにおいて生じるグレード>3の臨床的に有意な非造血機能の有害事象または異常な臨床検査値の発生として定義され、以下の例外を含む:
グレード3の疲労
72時間以内に標準的な制吐薬または止痢薬によって<グレード2(またはベースライン)に管理することができる、グレード3の悪心、嘔吐、または下痢
IDH1またはIDH2の組み合わせの場合:ヒドロキシ尿素および/またはコルチコステロイドによって<グレード3に管理することができる、グレード3または4の白血球増多症、またはグレード3の分化症候群(DS)
医学的管理によって管理されていない限り、グレード3の腫瘍崩壊症候群
【0266】
経口5-アザシチジンおよび/または併用剤の両方の中断を必要としうるDLT観察期間中に発生する任意のDLTについて、毒性グレードがグレード<1またはベースラインに戻った後の減少用量における再導入は、セルジーン医療モニターとの議論に基づいて行われうる。DLTまたは他の任意の有害事象からの回復を可能にするために、後続のサイクルの開始を遅らせる必要がある場合がある。用量変更スケジュールは、ガイダンスとして各組み合わせアームについて利用可能である。治療開始前の疾患の結果として好中球減少症または血小板減少症を有する患者は、骨髄抑制のために治療を中断することを必要としない。しかしながら、治験責任医師は、患者の疾患状態、臨床的病状、および併存疾患に基づく臨床的判断を用いて、治療の変更に関する決定を下す場合がある。これらの患者における試験治療の用量減少は、個々の症例ごとに検討し、医療モニターと議論する必要がある。
【0267】
経口5-アザシチジンおよび/または組み合わせ薬剤の任意の減少用量レベルは、治験責任医師およびセルジーン医療モニター(MM)によって共同で定義される。その後、治験責任医師とセルジーンMMの共同決定に基づいて、用量を増加させうる。DLTを有する個々の患者についての継続投与についての全ての判断は、治験責任医師によって、必要に応じてセルジーンMMとの議論に基づいて、医学的に管理される。
【0268】
全ての患者は、DLT観察期間中に標準的な施設ガイドラインに基づいて抗生物質予防(禁止された薬物療法を除く)を受けることが許可される。
【0269】
評価基準:全体的な試験期間にわたる安全性および許容性の測定として、安全性評価としては、限定されないが、AEの取得、臨床検査(血液および化学)、物理的検査、バイタルサイン測定、心電図(ECG)検査が挙げられる。
【0270】
それぞれの組み合わせアームについて、用量決定中の用量漸増/漸減決定は、DLT評価によって、および所定の用量レベルにおいてDLTを経験した患者の累積数に基づいて、導かれる。
【0271】
試験治療:経口5-アザシチジンは、各28日の治療サイクルの1~14日目(または21日目)に1日1回経口投与される。患者は、毎日ほぼ同じ時間に1日用量を服用するように指示されるべきである。各用量は、約240mL(8オンス)の室温の水と共に服用する必要がある。経口5-アザシチジンは、空腹時、または食物と共に服用されうる。
【0272】
イボシデニブは、各28日サイクルの1~28日目に1日1回(QD)経口投与される。患者は、毎日±6時間のほぼ同じ時間に、1日用量を服用するように指示されるべきである。各用量は、コップ1杯の水で服用し、できるだけ短時間で摂取する必要がある。患者は、錠剤を丸ごと飲み込み、錠剤を噛まないように指示されるべきである。
【0273】
エナシデニブは、各28日サイクルの1~28日目に1日1回(QD)経口投与されるべきである。患者は、毎日±6時間のほぼ同じ時間に、1日用量を服用するように指示されるべきである。各用量はコップ1杯の水で服用し、できるだけ短時間で摂取する必要がある。患者は、錠剤を丸ごと飲み込み、錠剤を噛まないように指示されるべきである。エナシデニブの投与の2時間前および1時間後に、絶食する必要がある。絶食の間、水は許可される。
【0274】
ミドスタウリンは、各28日サイクルの1~28日目に、1日2回(BID)経口投与される。患者は、毎日±Y時間のほぼ同じ時間に、それらの用量を服用するように指示されるべきである。各用量は、食事および水と共に服用し、できるだけ短時間で摂取する必要がある。患者は、錠剤を丸ごと飲み込み、錠剤を噛まないように指示されるべきである。
【0275】
ギルテリチニブは、各28日サイクルの1~28日目に、1日1回(QD)経口投与される。患者は、毎日±Y時間のほぼ同じ時間に、それらの1日用量を服用するように指示されるべきである。各用量は、食事および水と共に服用し、できるだけ短時間で摂取する必要がある。患者は錠剤を丸ごと飲み込み、錠剤を噛まないように指示されるべきである。
【0276】
ベネトクラクスは、各28日サイクルの1~28日目に、1日1回(QD)経口投与される。サイクル1では、1日目に100mg、2日目に200mg、および3日目に400mgの投与によって、短期間の用量強化が生じる。患者は、毎日±6時間のほぼ同じ時間に、それらの1日用量を服用するように指示されるべきである。各用量は、食事および水と共に服用し、できるだけ短時間で摂取する必要がある。患者は錠剤を丸ごと飲み込み、錠剤を噛まないように指示されるべきである。
【0277】
用量の中断/変更の場合、サイクル訪問は同じスケジュールおよびタイミングで継続する(例えば、サイクル3はサイクル2の28日後、など)。薬物の中断が生じる場合、他の治験薬は治療スケジュールを継続しうる。
【0278】
統計学的方法:用量決定の最後に、目標DLT率に最も近い同位体変換されたDLT率が、推定MTD/MADとして選択される。2つ以上の用量が目標DLT率に同様に近い場合、それらが目標DLT率よりも低い場合は、関連する用量のうち最も高い用量が選択され、それらが目標DLT率よりも高い場合は、関連する用量のうち最も低い用量が選択される。
【0279】
統計分析は、主に記述的な性質を持つであろう。体内処分、人口動態およびベースライン疾患特性、安全性、PK、PD、および臨床活性パラメーターについて、表を生成する。カテゴリーデータは頻度分布(患者の数および割合)によって要約され、連続データは記述的統計(平均値、標準偏差、中央値、最小値、および最大値)によって要約される。データは適宜、用量レベルおよび全体として要約される。
【0280】
臨床研究の結果は、以下を示す:(1)イボシデニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンは、最大許容用量(MTD)および/または最大投与用量(MAD)において、IDH1変異を有するAML患者において安全で許容される;(2)エナシデニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンは、最大許容用量(MTD)および/または最大投与用量(MAD)において、IDH2変異を有するAML患者において安全で許容される;(3)FLT3阻害剤、例えば、ミドスタウリンおよびギルテリチニブなどとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンは、最大許容用量(MTD)および/または最大投与用量(MAD)において、FLT3 ITDまたはTKD変異を有するAML患者において安全で許容される;および/または(4)ベネトクラクスとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンは、最大許容用量(MTD)および/または最大投与用量(MAD)において、AML患者において安全で許容される。
実施例3
【0281】
試験対象:試験の第一の目的は以下の通りである。
【0282】
用量探索(フェーズ1b):AMLまたは高リスクMDSを有する患者において、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの安全性および許容性を評価することによって、最大許容用量(MTD)または最大投与用量(MAD)および/または推奨される第2相用量(RP2D)を確立すること。
【0283】
用量拡大(フェーズ2):AMLまたは高リスクMDSを有する新たに診断された患者において、ベネトクラクスとの組み合わせで投与される場合の経口5-アザシチジンのRP2Dにおける有効性を評価すること。
【0284】
第二の目的は以下の通りである:
【0285】
用量探索(フェーズ1b):AMLまたは高リスクMDSを有する患者において、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの予備的な有効性を評価すること。
【0286】
用量拡大(フェーズ2):AMLまたは高リスクMDSを有する新たに診断された患者において、ベネトクラクスとの組み合わせにおいて投与される場合の経口5-アザシチジンのRP2Dにおける安全性および許容性をさらに評価すること。
【0287】
全てのパート(フェーズ1b/2):ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの薬物動態(PK)を特性評価すること。
【0288】
探索的目的は以下の通りである:全てのパート(フェーズ1b/2):(1)ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの機構的効果を明らかにするために、薬力学(Pd)を特性評価すること。(2)マルチカラーフローサイトメトリー(MFC)および/または次世代シーケンス(NGS)により、MRD奏効率およびMRD変換率を評価すること。(3)骨髄穿刺(BMA)および末梢血スメア(PBS)標本の評価によって、MRD応答期間を調査すること。(4)ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンのPK、PDバイオマーカー、および/または臨床的結果の関係性を調査すること。(5)それぞれの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの有効性を予測しうる、BMおよび血液中の分子および/または細胞マーカーを評価すること。
【0289】
試験エンドポイントを、以下の表6に示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【表12】
【表13】
【0290】
試験設計:これは、2つの別の疾患コホート:AMLおよびHR-MDSにおける、バイオマーカー指向の新規治療との組み合わせにおける、バックボーンとしての経口5-アザシチジンの安全性、許容性、および予備的な有効性を評価する、非盲検、第1b/2相、多施設、用量決定、用量拡大、アンブレラ試験である。
【0291】
>75歳、または併存疾患を有する>18歳であるために、集中的な導入化学療法を受けるのに不適格である、AMLを有すると新たに診断された患者;および1または2個の標準的な導入治療に再発性または難治性である>18歳のAML患者は、この試験に登録される。>18歳であるHR-MDSを有すると新たに診断された患者は、この試験に登録される。
【0292】
この試験は2つのパート:フェーズ1b用量探索およびフェーズ2用量拡大を含む。
【0293】
フェーズ1bは用量探索パートであり、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの安全性、許容性、予備的な有効性を評価し、MTD/MADを確立させ、RP2Dを決定する。用量探索パートは、mTPI-2法に基づく用量決定規則を用いる。患者は、以下の組み合わせアームのいずれか1つに登録される:
コホート1AML
-アームA:全ての変異を有する、新たに診断されたAMLについて、経口5-アザシチジン+ベネトクラクス
-アームB:FLT3 ITDまたはTKDを有する、新たに診断された、またはR/RであるAMLについて、経口5-アザシチジン+ギルテリチニブ
コホート2HR-MDS
-アームC:新たに診断された、IPSS-Rによる高リスク、および非常に高リスクであるMDS患者について、経口5-アザシチジン+ベネトクラクス
【0294】
フェーズ2は用量拡大パートであり、RP2Dにおいて、ベネトクラクスとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの安全性、PK/Pd、および有効性をさらに評価する。患者は、以下のいずれか1つに登録される:
コホート1AML:全ての変異を有する、新たに診断されたAMLについて、経口5-アザシチジン+ベネトクラクス
コホート2HR-MDS:新たに診断された、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)によるHR-MDSについて、経口5-アザシチジン+ベネトクラクス
【0295】
試験は、スクリーニング期間、治療期間(用量探索および用量拡大)、および追跡期間から成る。試験設計を
図18に示す。
【0296】
この試験のある実施態様において、実施例2に記載されるものなどのさらなる治療アームが含まれる。例えば、さらなる治療アームは、IDH1変異を有するAML患者における経口5-アザシチジン+イボシデニブ(組み合わせアームA)、および/またはIDH2変異を有するAML患者における経口5-アザシチジン+エナシデニブ(組み合わせアームB)を含みうる。
【0297】
用量探索フェーズ:試験の用量探索パートの目的は、28日サイクルにおいて、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンのMTD/MAD(到達した場合)および/またはRP2Dを特定することである。用量探索パートは、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンの5つの用量レベルを評価するように設計され(表7)、それぞれの用量レベルに3~9人の患者を登録する。約9~18人の患者が、それぞれ組み合わせアームに登録される。
【表14】
【0298】
各用量レベルにおいて、経口5-アザシチジンによる治療開始後の最初の28日(サイクル1)として定義される、それぞれのDLT期間について用量規制毒性(DLT)を評価する。全ての最適な決定の事前に計算された決定表は、用量および/またはスケジュールの選択を導くために用いられる。用量レベルを用量拡大とするために、用量漸増の間に少なくとも6人の患者をDLTについて評価し、許容用量レベルを宣言するべきである。
【0299】
患者がDLT評価可能であるとみなされるためには、患者は、経口5-アザシチジンの少なくとも1回の投与を受けた後にサイクル1DLTを有するか、あるいはDLTを伴わずサイクル1を完了しなければならない。治療の最初のサイクルの経口5-アザシチジン(28日サイクルの11/14または16/21日)および組み合わせ薬剤(ベネトクラクスについて11/14、16/21、または22/28日;またはギルテリチニブについて22/28日)の計画された用量の80%を完了する前に、患者が毒性以外の理由で(すなわち、個人的な理由または疾患の進行)試験を中止した場合、この患者は治療サイクルを完了したとはみなされず、置き換えられる。
【0300】
ベネトクラクスまたはギルテリチニブと経口5-アザシチジンの5つの計画された用量レベルの評価が完了した後、MTDおよび/またはRP2Dが決定され、用量拡大パートが開かれる。
【0301】
用量探索パートの間、治療責任医師は、安全性、PK、およびPDデータ、および予備的な有効性情報の統合的な評価に基づいて用量拡大に用いるための、経口5-アザシチジンの用量漸増/漸減決定、および組み合わせRP2Dを推奨する。用量決定規則は、mTPI-2設計(Guo et al., Contemp Clin Trials, 2017 Jul: 58:23-33)によって導かれ、30%の目標DLT率を用いて、次に登録される患者の用量レベルについてSRCに勧告する。
【0302】
用量拡大フェーズ:経口5-アザシチジンとベネトクラクスの併用療法のMTDおよび/またはRP2Dを決定した後、約61人の新たに診断されたAML患者および54人の新たに診断されたMDS患者を、2つの別の疾患コホートに登録する。これらの用量拡大パートをさらに、経口5-アザシチジンとベネトクラクスとの併用投与RP2Dの安全性および有効性について評価する。
【0303】
それぞれの組み合わせアームについて用量決定が完了した後、全ての進行中の患者は、中止まで同じ用量および治療を受け続けることになる。
【0304】
用量減少は、用量変更ガイドラインに従い、観察された安全性に基づいて行われうる。
【0305】
試験期間:全体的な試験について予測される期間は約4年であり、これは約24ヶ月の全体的な登録期間(フェーズ1bにおいて12ヶ月、フェーズ2において12ヶ月)、および患者ごとに約2年の期間:28日のスクリーニング期間、約12ヶ月の治療期間、および最後の投与から1年の追跡期間を含む。試験の実際の期間は、平均試験期間および患者の追跡に応じて変化する。
【0306】
治験終了:治験終了は、治療後の追跡を完了するために最後の患者を最後に訪問した日、またはプロトコルにおいて事前に指定されている、第一、第二、および/または探索分析に必要な最後の患者からの最後のデータ点を受領した日のうち遅い日のいずれかとして定義される。
【0307】
試験集団/推定患者数:約169人の患者を登録することが予定されている。フェーズ1b用量探索パートは、最大約54人の患者(36人のAML、18人のMDS)を登録する。安全性、許容性、および予備的な有効性を評価するために、約18人の患者をそれぞれの組み合わせアームに登録する。フェーズ2用量拡大パートは、約115人の患者(61人のAML、54人のMDS)を登録する。
【0308】
主要な組み入れ基準:患者は試験に登録されるために以下の基準を満たさなければならない:
1.患者は同意書(ICF)に署名した時点で、>18歳である。
2.AMLコホート:最新の2016年の世界保健機関(WHO)分類によって定義されるAMLについて、以下を確認する。
a.最初の再発(すなわち、急性前骨髄球性白血病[APML]を除いて、集中的な導入化学療法に対して最初の応答[CR/CRi/CRp]が得られた後に再発する);または
b.1~2回の集中的な導入過程の後に持続性/難治性(すなわち、1~2回の以前の化学療法レジメンの後に非応答);または
c.>75歳であるか、あるいは以下の併存疾患のいずれかを有する>18歳であるために、集中的な導入化学療法の候補でない、新たに診断されたAML:
-米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスが2
-治療を必要とする、または駆出率<50%のうっ血性心不全(CHF)、またはマルチゲート取得(MUGA)または心エコー図(ECHO)によって決定された慢性安定狭心症の心臓病歴
-Cockcroft-gault式によって計算して、クレアチニンクリアランスが>30mL/分から<45mL/分
-総ビリルビンが>1.5から<3.0x正常値上限(ULN)の中程度の肝機能障害
-治験責任医師が集中的な化学療法に適合しないと判断する任意の他の併存疾患は、治験依頼者によってスクリーニングの間および試験登録の前に検査されなければならない。
d.新たに診断されたAMLの中程度または低リスク状態の細胞遺伝(付属E)
e.最後の進行/再発(または新たに診断された最近の検査)以降に記録された、承認された機関の臨床検査によって検出される、骨髄穿刺および/または末梢血サンプル中のAML特異的変異の確認:
-アームA:全ての変異
-アームB:FLT3(ITDまたはTKD)
3.MDSコホート:
f.以前に未治療であった、WHO分類によって定義される原発性または二次的MDSの診断の確認。最初のIP投与を受ける前に、病理の結果の検査が必要である。
g.IPSS-Rによる高リスク、または非常に高リスクのMDSリスク分類の確認。最初のIP投与を受ける前に、病理の結果の検査が必要である。
4.0、1、または2の米国東海岸癌臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータス
5.患者は以下で定義のベースライン臨床検査値を有していなければならない:
h.白血球(WBC)数が<25x109/L。ヒドロキシ尿素または白血球除去がこの基準を満たすことが許容される。注:ヒドロキシ尿素は、治療開始の最大24時間まで許容され、細胞切除のため(高い白血球数を制御するため)に、サイクル1の間のみ限定的に使用される。
i.カリウムおよびマグネシウムが通常の範囲内であるか、サプリメントで修正可能である。
j.尿酸が<7.5mg/dL(446μmol/L)。低尿酸血症薬(例えば、アロプリノール、ラスブリカーゼ)による前および/または併用治療が許容される。ラスブリカーゼは、ベースラインのグルコース-6-ホスフェート デヒドロゲナーゼ(G6PD)欠損症を有する患者には禁忌である。
k.国際標準比(INR)が<1.5xULN、および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)が<1.5xULN。
6.以下のように定義される適切な臓器機能:
l.腎機能:Cockcroft-Gault式によって計算して、または24時間蓄尿によって計算して、クレアチニンクリアランスが>30mL/分
m.肝機能:ジルベール症候群または白血病臓器病変の関与が原因でない場合、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ALTが<3.0xULN、ビリルビンが<1.5xULN。<75歳である患者は、ビリルビンが<3.0xULNでありうる。
n.マルチゲート収集(MUGA)または(心エコー図)ECHOによって、左心室駆出率(LVEF)が>40%。(それぞれの組み合わせアームにおいて、さらなるLVEF要件については、除外基準#22を参照されたい)
7.一連の骨髄穿刺/生検への同意
8.出産可能性(FCBP)*のある女性は、以下でなければならない;
o.試験治療を開始する前に、治験責任医師により確立された2つの陰性妊娠検査を受ける。女性は試験の過程、および試験治療の終了後、進行中の妊娠検査に同意しなければならない。これは、患者が異性愛者との接触を真に禁欲している場合であっても当てはまる。
p.異性愛者との接触を真に禁欲することを実行するか(毎月見直し、情報を文書化しなければならない)、あるいはこの試験治療の間(投与中断を含む)、および試験治療の中止から90日間、またはそれぞれの化合物および/または地域による制限によって必要な場合、さらに長い間、効果的な避妊を中断することなく使用することに同意し実行することができるかのいずれか。
q.組み合わせアームAおよびアームCの場合:期間は最後の試験治療用量から6ヶ月に延長される。
9.男性患者は、男性が成功した精管切除を受けていても、試験参加中に、投与中断中、および治験化合物の中断から少なくとも90日間、またはそれぞれの化合物および/または地域による制限によって必要な場合、さらに長い間、真の禁欲*を実行するか(毎月見直す必要がある)、あるいは妊娠した女性または出産可能性のある女性との性的接触の間、コンドームを使用することに同意しなければならない。
r.組み合わせアームAおよびアームC:期間は最後の試験治療用量から6ヶ月に延長される。
10.患者は、任意の試験関連評価/手順を実施する前に、ICFを理解し、自発的に署名しなければならない。
11.患者は、試験訪問スケジュールおよび他のプロトコルの要件を進んで遵守し、遵守することができる。
【0309】
除外基準:以下のいずれかの存在により、患者は登録から除外される:
1.患者が、形態、免疫表現型、分子アッセイ、または核型に基づいて、急性前骨髄球性白血病(APML)の疑いがあるか、そのことが証明されている。
2.患者が、慢性骨髄性白血病の二次的なAMLを有するか、患者がBCR-ABL1 t(9;22)(q34;q11)陽性である。
3.患者が、試験治療開始の<28日前に全身抗癌療法または放射線療法を受けている。ヒドロキシ尿素は、白血球増多を制御するために、試験治療の開始前に許容されていることに注意されたい。
4.患者が、脱メチル化剤(HMA)によるAMLの治療を受けているか、あるいはMDSについて、2サイクル以上のHMAを受けている。
5.患者が、試験治療開始前に、<28日または5半減期のいずれか長い方まで、治験薬を投与されている。
6.患者が、試験治療開始前90日以内に造血幹細胞移植(HSCT)を受けているか、あるいは、スクリーニング時にHSCT後の免疫抑制療法を受けているか、あるいは移植片対宿主病(GVHD)を有する。HSCT後の経口ステロイドの安定用量、または進行中の皮膚GVHDの局所ステロイドの使用は許容される。
7.患者が、<グレード2まで回復していない以前の治療により、持続的、臨床的に有意な非造血毒性を有する。
8.患者が、中枢神経系(CNS)白血病を患っている、またはその疑いがある。脳脊髄液の評価は、スクリーニング時に白血病によるCNSの関与が疑われる場合にのみ必要である。
9.患者が、活性、制御不要な、全身性真菌、細菌、またはウイルス感染(適切な抗生物質、抗ウイルス療法、および/または他の治療にも関わらず改善しない、感染に関連する進行中の徴候/症状として定義される)を有する。患者は少なくとも72時間は熱がないはずである。
10.患者が、制御不能な出血、低酸素症またはショックを伴う肺炎、および/または播種性血管内血液凝固などの、即時に生命を脅かす、重篤な白血病の合併症を有する。
11.患者が、試験治療開始前に>1年疾患がない場合を除いて、MDS、MPN、またはAML以外の悪性腫瘍の既往歴を有する。しかしながら、以下の病歴/併存疾患を有する患者は許容される:
・皮膚の基底細胞癌または扁平上皮細胞癌
・子宮頸部の上皮内癌
・乳房の上皮内癌
・前立腺癌の偶発的な組織学的発見(腫瘍リンパ節移転病期分類システムを用いて、T1aまたはT1b)
12.患者が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に血清反応陽性である、または活動性感染している、またはB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)に活動性感染していることが既知である。
13.患者が、嚥下障害、短腸症候群、胃不全麻痺、または経口投与された薬物の摂取または消化管吸収を制限する他の病状を有することが既知である。
14.患者が、制御不能な高血圧症(収縮期血圧[BP]>180mmHgまたは拡張期BP>100mmHg)を有する、あるいは、治療前の少なくとも1ヶ月安定でない。
15.ICFに署名する前の6ヶ月以内の、有意な活動性心臓疾患、例えば:
・ニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスIIIまたはIVのうっ血性心不全(付属Jを参照されたい)
・不安定狭心症または外科的または医学的介入を必要とする狭心症;
・重大な心不整脈;および/または
・心筋梗塞
16.患者が、妊娠中または授乳中の女性である。
17.患者が、割り当てられた試験治療のいずれかの構成要素に過敏症を有することが既知である、あるいは疑いがある。
18.患者が、試験へ参加するのを妨げるような重大な病状、検査異常、または精神疾患を有する。
19.患者が、試験に参加した場合に、患者が許容できないリスクにさらされる検査異常の存在を含む任意の病状を有する。
20.試験治療開始前28日以内の任意の治験治療
21.患者が、試験からのデータを解釈する能力を混乱する任意の病状を有する。
22.計画された組み合わせアームに基づく、患者のさらなる除外基準は、以下の通りである:
・組み合わせアームA(AML全変異)およびアームC(HR-MDS):
-試験治療開始前7日以内に、強力なCYP3A阻害剤、中程度のCYP3A阻害剤、強力なCYP3A誘導剤、中程度のCYP3A誘導剤、強力なCYP2C8阻害剤、CYP2C8基質、またはOATP1B1/3基質を受けている
-試験治療開始前14日以内に強力なCYP2C8誘導剤を受けている
-試験治療開始前に弱毒生ワクチンを受けている
・組み合わせアームB(非特異的FLT3):
-患者が、心拍数補正QT間隔(QTc)(すなわち、Fridericia補正法[QTcF])>450ms、またはスクリーニング時にQT延長または不整脈事象(例えば、心不全、低カリウム血症、QT間隔延長症候群の家族歴)のリスクを増加させる他の因子を有する
-患者が、試験治療開始前の少なくとも5半減期、他の薬物治療に移行できない限り、患者が、QT間隔を延長することが知られている他の薬物治療(禁止される薬物治療の一覧は、プロトコルにおいて提供される)を受けている
-患者が、持続性心室頻拍の病歴または存在を有する;心室細動またはトルサード・ド・ポワント;心拍数(HR)<50bpmとして定義される徐脈;右脚ブロック+左脚前枝ブロック(2束ブロック);サイクル1の1日目から14日以内にMUGAまたはECHOによって評価して、駆出率<45%のいずれかの病歴を有する。
-患者が、7日前以内に、P糖タンパク質基質(P-gp)、および強力なCYP3A4阻害剤、および誘導剤である薬物治療を受けている。
-スクリーニング時に低カリウム血症および低マグネシウム血症を有する患者(正常な[LLN]の下限未満の値)。
-スクリーニング時にQT延長症候群を有する患者。
-患者が、患者のケアに絶対的に不可欠であると考えられている薬物を除いて、P-gpの強力な阻害剤または誘導剤である併用薬物による治療を必要とする。
-患者が、患者のケアに絶対的に不可欠であると考えられている薬物を除いて、セロトニン 5-ヒドロキシトリプタミン受容体1(5HT1R)または5-ヒドロキシトリプタミン受容体2B(5HT2BR)、またはシグマ非特異的受容体を標的とする併用薬剤による治療を必要とする。
23.患者が、試験へ参加するのを妨げるような重大な病状、検査異常、または精神疾患を有する。
24.患者が、試験に参加した場合に、患者が許容できないリスクにさらされる検査異常の存在を含む任意の病状を有する。
25.患者が、試験からのデータを解釈する能力を混乱する任意の病状を有する。
【0310】
治療期間:全ての包含/除外基準が検証され、患者が適格であるとみなされた場合、患者は登録されうる。患者は登録から3日以内に治療を開始しなければならない。それ以降の全ての訪問について、±3日の投与幅が許容される。
【0311】
最初のベネトクラクスの投与前(すなわち強化前)に、患者は、強化期間の間継続される(すなわち、強化前および最終投与に到達後まで、あるいは臨床的に適応する限り継続する)、適切な水分補給および抗高尿酸血症剤などの予防措置を受ける。治療サイクルは28日の期間である。
【0312】
試験物質
試験は、経口投与のために、200mgおよび300mgの錠剤として経口5-アザシチジンを使用する。各錠剤は、一般的に安全とみなされ、市販の医薬品に使用されている賦形剤を用いて製剤化される。
【0313】
ベネトクラクス(VENCLEXTA(登録商標))の市販形態は、経口投与のために10mg、50mg、および100mgの錠剤で使用される。
【0314】
ギルテリチニブ(XOSPATA(登録商標))の市販形態は、経口投与のために40mgの錠剤で使用される。
【0315】
治療投与およびスケジュール:用量探索(フェーズ1b)のために、以下のスクリーニングで適格な患者を割り当て、本実施例に記載される28日の治療サイクルにおいて、1~14(または21)日目に1日1回、ベネトクラクスまたはギルテリチニブと共に5-アザシチジン 300mg 経口(PO)を受ける。
【0316】
治療から利益を受ける最善の機会を可能にするために、および経口5-アザシチジンの作用機序、およびベネトクラクスまたはギルテリチニブの組み合わせに対する平均応答期間を考慮して、患者は少なくとも3サイクルにわたりベネトクラクスによる治療を受けるか、あるいは少なくとも6サイクルにわたりギルテリチニブによる治療を受けるべきであるが、患者は、CRまたはPRの再発、疾患の進行、許容できない有害事象、さらなる治療投与を阻害する併発疾患、治験責任医師による対象を除外する決断、同意の撤回、試験治療または手順の要件に対する非遵守、死亡、または管理上の理由の記録が実証された場合、患者は速やかに治療を中断されうる。
【0317】
経口5-アザシチジンは、28日サイクルの1~14(または21)日目に14(または21)日間、1日1回PO投与される。経口5-アザシチジンは、食物の有無に関わらず、約240mL(8オンス)の室温の水で毎日ほぼ同じ時間に投与される。
【0318】
試験のフェーズ1bの用量探索パートにおいて、経口5-アザシチジンの開始用量レベルは、28日サイクルの1~14(または21)日目に、300mgx14日 PO QDである。DLTの数に応じて、用量は200mgx14日に減少する場合があり;あるいは許容される場合、用量は同じままであるか、治療期間を数日増加し、300mgx21日としうる。
【0319】
経口5-アザシチジン、ベネトクラクス、またはギルテリチニブが同日に投与される場合、経口5-アザシチジンが最初に投与され、次いでベネトクラクスまたはギルテリチニブが投与される。
【0320】
ベネトクラクスは、AML患者に対して、承認された添付文書(Venclexta(登録商標)、2019)に従って、28日サイクルごとに1~28日目にQDで経口投与する。HR-MDSに対してベネトクラクスの投与は、28日サイクルの1~14日目に行われる。サイクル1について、1日目に100mg、2日目に200mg、3日目以降に400mgの開始用量で、短期間で用量強化が生じる。ベネトクラクスは翌日以降400mgで投与される。
【0321】
試験のフェーズ1b用量探索パートにおいて、ベネトクラクスの開始用量レベルは、28日サイクルにおいて、AML患者について400mg PO QDx28日(アームA)であり、MDS患者について400mg PO QDx14日(アームC)である。経験したDLTの数に応じて、ベネトクラクスに関連する場合、治療期間を400mg PO QDx21日に減少させることによって(アームA)、あるいは28日サイクルにおいて200mg PO QDx14日に用量を減少させることによって(アームC)、ベネトクラクスの用量を漸減させてもよい。フェーズ2用量拡大において、RP2Dが患者に投与される。フェーズ2用量拡大パートにおいて、ベネトクラクスのRP2Dは28日サイクルにおいて同じスケジュールおよびタイミングを継続する(すなわち、サイクル3はサイクル2の28日後である、など)。
【0322】
患者は、ベネトクラクスの用量強化のサイクル1から、少なくとも1~8日目までの8日間入院する。この入院はプロトコルごとに必要であり、重篤な有害事象を構成するものではない。患者は毎日±8時間のほぼ同じ時間に1日用量を服用するように指示されるべきである。
【0323】
ギルテリチニブ(XOSPATA(登録商標))は、それぞれの28日サイクルの1~28日目に1日1回経口で(QD)、120mgの推奨される開始用量で投与される。患者は、毎日ほぼ同じ時間に1日用量を服用するように指導されるべきである。
【0324】
安全性追跡:全ての患者は、AE報告、および併用薬物治療情報、並びに新たな疾患の治療のために、治験物質(IP)の最後の投与またはEOT訪問のうちいずれか遅い方から28日後まで追跡される。28日(±3日)の安全性追跡連絡は、FCBPでない人について、電話で行われうる。FCBPについては、妊娠検査の必要性から、クリニックにおいて28日の安全性追跡を完了する。さらに、その後の任意の時点において、IPに関連することが疑われる任意のSAEが、治験責任医師に知らされる。
【0325】
生存追跡:治療訪問の終了後、全ての患者を4週間ごとに追跡し、最終投与後最大1年まで、または死亡、追跡不能、または治験の終了のうち、いずれか最初に生じるものまで、4週間ごとに生存を追跡される。AMLまたはMDSの新たな疾患治療は、同じ時間スケジュールにおいて収集するべきである。
【0326】
有効性評価:連続血液および骨髄BMサンプリングは、サイクル2の1日目から開始する治験薬療法への応答を決定するために用いられる。
【0327】
ベースラインにおいて、骨髄穿刺(BMA)サンプルが必要である。穿刺が利用可能でない場合は、生検を収集する必要があり、医療機関の慣習に従って、穿刺に加えて生検を収集してもよい。スクリーニングにおいて、BMAからの細胞遺伝子学および分子プロファイリングもまた必要である(過去90日間の患者の医療記録から入手可能である場合を除く)。全血球計測、末梢血スメア(PBS)、およびBMAを使用して、特定の時点ごとの治療への応答を決定する。サンプルは、サイクルの終了前最大4日、例えば25~28日において得られ得る。
【0328】
治療への応答は、報告された血液臨床検査パラメーター、末梢血スメア(PBS)、骨髄穿刺(BMA)、および/または生検に基づいて、疾患基準ごとに以下のガイドラインに従って、局所検査結果を用いて、治験責任医師によって評価される:
・AML治療は、欧州白血病ネット(ELN)AML応答基準、すなわち造血機能の部分的な回復を伴う完全寛解(CRh)および血液学的応答を含むように修正された基準(Dohner, H et al., Blood, 2017 Jan 26, 129(4): 424-47);およびAML応答基準についてのIWG(Cheson B.D. et al., J Clin Oncol. 2003, 21(24): 4642-92003)に従って評価される。造血機能の改善(HI)もまた、IWG MDS HI基準に従って評価される(Cheson B.D. et al., Blood 2006; 108(2): 419-425)。
・MDS治療は、MDS応答基準のIWGに従って評価される(Cheson B.D. et al., Blood 2006; 108(2): 419-425)。
【0329】
先行する血液疾患を有する患者が試験に登録されうる場合は、血液学的応答を評価する。輸血依存は、試験治療前の8週間以内に、>2単位のRBCおよび/または血小板を受けていることとして定義される。輸血非依存は、輸血なしの8週間の期間として定義される。
【0330】
AMLについて、進行性疾患はベースラインからの以下の変化のいずれかとして定義される:
・ベースラインにおいて5~70%の骨髄(BM)芽球:ベースラインから>20%のBM芽球数の割合の>50%増加を有する患者;または
・ベースラインにおいて>70%のBM芽球:ベースラインから>10x109/L(10,000/μL)に、末梢血中の芽球の絶対数の倍増を有する患者;または
・最後の応答評価からの新たな骨髄外疾患
・少なくとも1つの以下を有する造血機能の改善後の進行/再発:
-顆粒球または血小板において、最大応答レベルから少なくとも50%の減少
->1.5g/dLのHgbの減少
-輸血依存
【0331】
HR MDSについて、進行性疾患は、ベースラインからの以下の変化のいずれか1つとして定義される:
・5%未満の芽球:芽球の>50%の増加による、>5%の芽球
・5%-10%の芽球:芽球の>50%の増加による、>10%の芽球
・10%-20%の芽球:芽球の>50%の増加による、>20%の芽球
・20%-30%の芽球:芽球の>50%の増加による、>30%の芽球
【0332】
以下のいずれか:
・顆粒球または血小板において、最大寛解/応答レベルから少なくとも50%の減少
・>2g/dLのHgb濃度の減少
・輸血依存
【0333】
進行性疾患は、少なくとも1ヶ月離れた、2つの連続する応答評価によって確認されるべきである。進行性疾患の日は、上記の病状のいずれか1つを満たす最初の日として定義される。進行性疾患(上記で定義される)または許容できない毒性が存在しない場合、治験責任医師が判断して、患者は利益を得ている場合、治療を継続しうる。
【0334】
骨髄穿刺およびコアサンプリング(生検)は、標準治療に従って実施され、国際血液標準化評議会(ICSH)ガイドライン(Lee, J. H. et al., J Clin Oncol. 2017, 35 (24): 2754-2763)に従って、地元の研究室において分析されるべきである。
【0335】
患者は、試験治療が中断された場合に、治療終了評価を受けることになる。治療中止の理由は、eCRFページおよび情報源資料に記録される。再発または進行の前に試験治療を中断した患者は、現場訪問を完了する。再発または進行により試験治療を中止した患者については、生存追跡は、現場訪問または電話によって行うことができる。患者は、投与後最大1年間まで、または最後の投与日から1年以内の死亡、追跡の失敗、またはさらなるデータ収集についての同意の撤回まで、追跡される。
【0336】
急性骨髄性白血病について、応答基準は、最善の全奏功率カテゴリーにまとめられる:
・CR/CRh率、および全奏効率ORR。ORRは、完全寛解(CR)(すなわち、CR、CRi CRp)、形態的な白血病消失状態(MLFS)、および部分寛解(PR)の全ての応答を含む。CRh=造血機能の部分的な回復を伴う完全寛解。CRi=造血機能の不完全な回復を伴うCR。CRp=C反応性タンパク質。
・微小残存病変(MRD)応答率およびMRD変換率はまた、有効性変数として評価される。微小残存病変は有効性評価と同時に、MFCおよび/または次世代シーケンシング(NGS)によって評価され、一次元的に評価される。この部位は、末梢血およびBMA/骨髄生検(BMB)サンプルを回収し、各BM収集時点における探索的検査のために保管することを確実にする。
・全生存期間(OS)、無イベント生存期間(EFS)、RFS、応答までの時間(CR、CRi、CRp、PR、MLFS)、応答期間(CR、CRh、およびORR)、造血機能の改善率、および1年生存率などの、臨床的活性の他の測定値をまとめる。
【0337】
骨髄異形成症候群の場合、応答基準は、最善の全奏功率カテゴリーにまとめられる:
・CR、PR、mCR
・OS、EFS、RFS、CR、PR、およびmCRについての応答までの時間および応答期間、造血機能の改善率、および1年生存率などをまとめる。
【0338】
臨床研究の結果により、ベネトクラクスまたはギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンは、最大許容用量(MTD)、最大投与用量(MAD)、および/または推奨される第2相用量(RP2D)において、以下のAMLまたは高リスクMDSを有する患者において安全であり許容されることが示される:(1)ベネトクラクスとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンによって処理される、全ての変異を有する新たに診断されたAMLを有する患者;(2)ギルテリチニブとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンによって処理される、FLT3 ITDまたはTKD変異変異を有する新たに診断された、または再発性および/または難治性AMLを有する患者;および(3)ベネトクラクスとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンによって処理される、新たに診断された高リスクおよび非常に高リスクのMDSを有する患者。
【0339】
さらに、臨床研究の結果はまた、ベネトクラクスとの組み合わせにおいて、RP2Dにおいて投与される場合の経口5-アザシチジンが、以下のAMLまたは非常に高リスクのMDSを有する新たに診断された患者に有効であることを示す:(1)ベネトクラクスとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンによって処理される、全ての変異を有する新たに診断されたAMLを有する患者;および(2)ベネトクラクスとの組み合わせにおける経口5-アザシチジンによって処理される、改訂国際予後判定システム(IPSS-R)に従って新たに診断されたHR-MDSを有する患者。
* * * * *
【0340】
本開示は、いくつかの実施態様および実施例に関連して説明されているが;しかしながら、特許請求の範囲に記載される発明は、そのような特定の実施態様および実施例に限定されるべきではない。
【0341】
いくつかの実施態様において図示および説明されているように、以下の特許請求の範囲において定義されるより広い局面における技術から逸脱することなく、当業者の知識に従って変更および修正を行うことができることが理解されるべきである。
【0342】
本明細書に例示的に記載されている実施態様は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素、限定が存在しない状態で、適切に実施されうる。そのため、例えば、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などは、広範に限定を含まずに解釈されるべきである。さらに、本明細書において用いられる用語および表現は、説明の用語として限定的でなく用いられ、そのような用語および表現を使用して、表示または記載されている特徴またはその一部の任意の等価物を排除する意図は存在しないが、特許請求の範囲に記載された技術の範囲内で、様々な修正が可能であることが理解される。さらに、用語「実質的に~から成る」は、具体的に記載される要素と、特許請求の範囲の技術の基本的な新規の特徴に実質的に影響を及ぼさないさらなる要素を含むことが理解される。用語「から成る」は、特定されていない任意の要素を排除する。
【0343】
本開示は、本出願に記載される特定の実施態様に関して限定されるべきではない。当業者に明らかであるように、その精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変更を行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に同等な方法および組成物は、前述の説明から当業者に明らかである。そのような修正および変形は、付属の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。本開示は、付属の特許請求の範囲の用語、およびそのような特許請求の範囲が権利を与えられる同等物の全範囲によってのみ限定されるべきである。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、または組成物に限定されず、これらは当然ながら変化しうることが理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、特定の実施態様を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0344】
さらに、本開示の特徴または局面がマーカッシュ群について記載されている場合、当業者はそれによって、本開示がマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーのサブグループについて記載されていることを認識するであろう。
【0345】
当業者に理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に開示される全ての範囲はまた、エンドポイントを含む、ありとあらゆる可能なサブレンジおよびそのサブレンジの組み合わせを含む。任意の列挙される範囲は、当該範囲を少なくとも2分の1、3分の1、4分の1、5分の1などに分割することを十分に記載し可能にするものとして容易に理解することができる。限定されない例として、本明細書に記載されるそれぞれの範囲は、下3分の1、中3分の1、および上3分の1などに容易に分割することができる。また当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「を超える」、「未満」などの全ての用語は、記載される数を含み、上記で記載されるサブ範囲に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲はそれぞれの個々のメンバーを含む。
【0346】
本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、発行済み特許、および他の文書は、それぞれの刊行物、特許出願、発行済み特許、または他の文書が、その全体が引用により具体的かつ個別に組み込まれていることが示されているかのように、本明細書に参照により組み込まれる。参照により組み込まれる文書に含まれる定義は、本開示の定義と矛盾する範囲について除外される。
【0347】
別の実施態様は、以下の特許請求の範囲に記載される。
【国際調査報告】