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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】安定液体濃縮組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20220818BHJP
   A23L 2/385 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A23L27/00 101A
A23L2/385
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575526
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2021-12-17
(86)【国際出願番号】 GB2020051481
(87)【国際公開番号】W WO2020254815
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1908813.7
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522149980
【氏名又は名称】テイト アンド ライル ソリューションズ ユー・エス・エー エル・エル・シー
【氏名又は名称原語表記】Tate & Lyle Solutions USA LLC
【住所又は居所原語表記】5450 Prairie Stone Parkway, Hoffman Estates, IL 60192, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】メアリー エリザベス クインラン
(72)【発明者】
【氏名】スヴェン ティーデマン
(72)【発明者】
【氏名】チュン ジェニー ジークフェルト
【テーマコード(参考)】
4B047
4B117
【Fターム(参考)】
4B047LB09
4B047LE01
4B047LF07
4B047LG01
4B047LG04
4B047LG06
4B047LG08
4B047LG09
4B047LG26
4B047LG30
4B047LG32
4B117LK01
4B117LK04
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK11
4B117LK13
4B117LL04
(57)【要約】
本明細書中提供されるのは、ステビオール配糖体、キサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含む安定剤、ならびに水を含む液体濃縮組成物である。ステビオール配糖体は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物の合計質量の約800ppm以上の量で含む。液体濃縮組成物のpHは、約7未満である。同じく本明細書中に記載されるのは、食物製品の提供法、本方法により得ることができる食物製品、および液体濃縮組成物の提供法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体濃縮組成物であって、
ステビオール配糖体を含み、前記ステビオール配糖体が、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約800ppm以上の量のレバウジオシドMを含むものであり;
キサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含む安定化剤;及び

を含み、前記液体濃縮組成物のpHが約7未満である、前記液体濃縮組成物。
【請求項2】
前記液体濃縮組成物のpHが約5未満である、請求項1に記載の液体濃縮組成物。
【請求項3】
前記ステビオール配糖体が、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約1000ppm以上の量で前記液体濃縮組成物中に存在する、請求項1または請求項2に記載の液体濃縮組成物。
【請求項4】
前記ステビオール配糖体が、前記ステビオール配糖体の質量を基準として少なくとも約50%の量のレバウジオシドMを含む、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項5】
前記ステビオール配糖体が、前記ステビオール配糖体の質量を基準として少なくとも約95%の量のレバウジオシドMを含む、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項6】
前記液体濃縮組成物が、約45℃未満の温度で、安定懸濁液である、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項7】
前記安定化剤が、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約0.01~約2.0%の量で前記液体濃縮組成物中に存在する、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項8】
前記キサンタンが、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約0.01~1.0%の量で前記液体濃縮組成物中に存在する、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項9】
前記イオタ-カラギーナンが、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約0.05~1.0%の量で前記液体濃縮組成物中に存在する、任意の先行請求項に記載の濃縮液体組成物。
【請求項10】
前記液体濃縮組成物が食物適合性封鎖剤を含む、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項11】
前記食物適合性封鎖剤が、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約0.01~約2.0%の量で液体濃縮組成物中に存在する、請求項10に記載の液体濃縮組成物。
【請求項12】
前記食物適合性封鎖剤が、
クエン酸三ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩、ならびにそれらの対応する共役酸、カリウム塩及び混合物
からなる群から選択される、請求項10または請求項11に記載の液体濃縮組成物。
【請求項13】
前記食物適合性封鎖剤がクエン酸三ナトリウムを含む、請求項11に記載の液体濃縮組成物。
【請求項14】
前記液体濃縮組成物が、
クエン酸、リン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、ケイ皮酸、グルタル酸または炭酸、及びそれらの混合物
からなる群から選択される食物適合性の酸を含む、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項15】
前記食物適合性の酸が、前記液体濃縮組成物の総質量を基準として約0.01~約2.5%の量で前記液体濃縮組成物中に存在する、請求項14に記載の液体濃縮組成物。
【請求項16】
前記食物適合性の酸がクエン酸を含む、請求項14または請求項15に記載の液体濃縮組成物。
【請求項17】
前記液体濃縮組成物が約1mPa以上の粘度を有する、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項18】
前記液体濃縮組成物が17時間にわたる静置の後に約5以下の全体的タービスキャン安定性指数を有する、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項19】
前記液体濃縮組成物が72時間にわたる静置の後に約15以下の全体的タービスキャン安定性指数を有する、任意の先行請求項に記載の液体濃縮組成物。
【請求項20】
食物製品をもたらす方法であって、
請求項1~19のいずれかに記載の液体濃縮組成物を水で希釈して前記食物製品をもたらすこと
を含み、前記食物製品中に、前記食物製品の質量を基準として約800ppm以下の量のレバウジオシドMが存在する、前記方法。
【請求項21】
1部の液体濃縮組成物を4~7部の水で希釈して食物製品をもたらし、前記食物製品が飲料である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項20または請求項21に記載の方法から得ることができる食物製品。
【請求項23】
前記食物製品が飲料である、請求項22に記載の食物製品。
【請求項24】
キットであって、
キサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含む安定化剤を含み;
ステビオール配糖体を含み、前記ステビオール配糖体が、レバウジオシドMを含むものであり;さらに、
前記安定化剤及び前記ステビオール配糖体を水と混ぜ合わせて請求項1~19のいずれかに記載の液体濃縮組成物をもたらすための説明書を含む、
前記キット。
【請求項25】
液体濃縮組成物をもたらす方法であって、
キサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含む安定化剤とステビオール配糖体と水とを混ぜ合わせて前記液体濃縮組成物をもたらすこと
を含み、前記ステビオール配糖体が約800ppm以上の量で前記液体濃縮組成物中に存在し、前記液体濃縮組成物が約7未満のpHを有し、前記混ぜ合わせることが約45℃以下の温度で行われる、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステビオール配糖体を含む液体濃縮組成物およびその調製法に関する。同じく本明細書中に記載されるのは、飲料および飲料の調製法である。
【背景技術】
【0002】
スクロース、フルクトース、およびグルコースなどの糖類は、飲料、食物、医薬品、および口腔衛生/化粧製品に心地よい食味を提供する。特に、スクロースは、特定の消費者にとって好適な食味を付与する。スクロースは、優れた風味プロファイルおよび甘味特性を持つものの、高カロリーである。したがって、無カロリーまたは低カロリーの甘味料が望ましい。しかしながら、低カロリーの天然および合成甘味料は、特定の消費者にとって糖類ほど望ましくはない風味プロファイルを有することが多い。
【0003】
ステビオール配糖体は、植物種Stevia rebaudianaから得られる天然の甘味化合物である。当該化合物は、ジテルペン誘導体ステビオール(ent-13-ヒドロキシカウル-16-エン-19-酸)の配糖体であり、望ましい風味プロファイルを有する、糖の無カロリー代替品として同定された。これまでに、ステビア属の葉で見つかった4種の主要なステビオール配糖体は、乾燥質量基準で、ズルコシドA(約0.3%)、レバウジオシドC(約0.6~1.0%)、レバウジオシドA(約3.8%)、およびステビオシド(9.1%)であり、ステビオール配糖体の比は、植物の系統によって顕著に変化する場合がある。ステビア属で同定された他の配糖体として、レバウジオシドB、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドL、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、ステビオールビオシド、およびルブソシドが挙げられる。レバウジオシドM(レバウジオシドXと称する場合もある)およびレバウジオシドDは、特に望ましい風味プロファイルを持つとして同定されている。
【0004】
一部の用途では、甘味料が液体濃縮物に高濃度で含まれて送達されることが要求される。しかしながら、レバウジオシドは水溶性が低いため、レバウジオシドを所望の濃度で含ませることは難しい場合がある。例えば、レバウジオシドMは、pH約7の水に対する溶解度が約1,400ppmである。酸性条件では、レバウジオシドMの溶解度はさらに低くなる。このことが、飲料または飲料濃縮物(「シロップ」と称する場合もある)に使用する際の特別な障壁となる場合がある。飲料または飲料濃縮物は、pHが7未満である場合が多い。
【0005】
したがって、酸性条件下でレバウジオシドを高濃度で提供することが可能な安定系を開発することが望ましい。
【0006】
発明の概要
本発明の第一の態様に従って、以下を含む液体濃縮組成物が提供される:
ステビオール配糖体、ステビオール配糖体は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物の合計質量の約800ppm以上の量で含む、
キサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含む安定剤、ならびに
水;
ただし、液体濃縮組成物のpHは、約7未満である。
【0007】
実施形態によっては、液体濃縮組成物のpHは、約5未満である。
【0008】
実施形態によっては、ステビオール配糖体は、液体濃縮組成物の合計質量の約1000ppm以上の量で存在する。特定の実施形態において、液体濃縮組成物は、ステビオール配糖体を、液体濃縮組成物の質量の約2,000~約5,000ppmの量で含む。
【0009】
実施形態によっては、ステビオール配糖体は、レバウジオシドMを、ステビオール配糖体の少なくとも約50質量%の量で含む。特定の実施形態において、ステビオール配糖体は、レバウジオシドMを、ステビオール配糖体の少なくとも約95質量%の量で含む。
【0010】
実施形態によっては、液体濃縮組成物は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物の合計質量の約2,000ppm~約5,000ppmの量で含む。
【0011】
液体濃縮組成物は、約45℃未満の温度で、安定懸濁液であることが可能である。
【0012】
実施形態によっては、安定剤は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の合計質量の約0.01~約2.0%の量で存在する。特定の実施形態において、安定剤は、約0.095%~約0.3%の量で存在する。
【0013】
実施形態によっては、安定剤は、キサンタンを含み、キサンタンは、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の合計質量の約0.01~約1.0%の量で存在する。特定の実施形態において、キサンタンは、約0.095%~約0.25%の量で存在する。
【0014】
実施形態によっては、安定剤は、イオタ-カラギーナンを含み、イオタ-カラギーナンは、液体濃縮組成物中、合計質量の約0.05~約1.0%の量で存在する。特定の実施形態において、イオタ-カラギーナンは、約0.2%~約0.35%の量で存在する。
【0015】
実施形態によっては、液体濃縮組成物は、飲料基材である。
【0016】
本発明の別の態様に従って、食物製品の提供法が提供され、本方法は以下を含む:
上記のとおりの液体濃縮組成物を水で希釈して、食物製品を提供すること、ただし、レバウジオシドMは、食物製品中、食物製品の質量の約800ppm未満の量で存在する。
【0017】
実施形態によっては、液体濃縮組成物1部を、水4~7部で希釈して、食物製品を提供し、この場合の食物製品は、飲料である。特定の実施形態において、組成物は、水5部で希釈される。
【0018】
本発明の別の態様に従って、本明細書中、上記に記載される方法で得ることができる食物製品が提供される。特定の実施形態において、本明細書中、上記に記載される方法で得ることができる飲料が提供される。
【0019】
本発明の別の態様に従って、以下を含むキットが提供される:
キサンタンおよび/またはイオタ-カラギーナンを含む安定剤、
ステビオール配糖体、ステビオール配糖体は、レバウジオシドMを含む、ならびに
安定剤およびステビオール配糖体を水と混合して本明細書中、上記に記載されるとおりの液体濃縮組成物とするための説明書。
【0020】
本発明の別の態様に従って、液体濃縮組成物の提供法が提供され、本方法は以下を含む:
キサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含む安定剤と、ステビオール配糖体と、ならびに水とを混合して、液体濃縮組成物とすること、この場合、ステビオール配糖体は、液体濃縮組成物中に約800ppm以上の量で存在し、液体濃縮組成物は、pHが約7未満であり、混合は、約45℃以下の温度で行われる。
【0021】
実施形態によっては、液体濃縮物の提供法は、混合物を約45℃より高温に加熱することを含む任意の工程を除外する。
【0022】
本発明のさらなる特長および利点が、本発明の好適な実施形態についての以下の説明から明らかとなるだろう。以下の説明は、例示として提供されるに過ぎず、添付の図面と合わせて参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一部の実施形態による液体濃縮組成物の濁度を他の液体濃縮組成物と比較して示すグラフである。
図2】本発明の一部の実施形態による液体濃縮組成物の濁度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の1つの実施形態において、提供されるのは、レバウジオシドMを800ppm以上の量で含むステビオール配糖体、キサンタンおよび/またはイオタ-カラギーナンを含む安定剤、ならびに水を含む液体濃縮組成物であり、液体濃縮組成物のpHは、約7以下である。
【0025】
本明細書中使用される場合、「液体濃縮組成物」という用語は、高い甘味付与能力を有し、飲料などの甘味食物製品を調製するのに使用可能な組成物を示す。実施形態によっては、液体濃縮組成物は、飲料基材であり、この場合、液体濃縮組成物は、飲料製品完成品を作成するためには水を加えるだけでよいものである。
【0026】
本発明者らは、驚いたことに、本発明による液体濃縮組成物が、ステビオール配糖体を、酸性水系中に高濃度で安定化できる場合があることを見出した。場合によっては、当該液体濃縮組成物を提供する方法は、他の処理工程、例えば、加熱または噴霧乾燥などを必要としない。このことは、ひいては、製造費用の削減にもなる可能性がある。
【0027】
本発明の液体濃縮組成物は、ステビオール配糖体を含む水溶液である。
【0028】
本明細書中使用される場合、「ステビオール配糖体」という用語は、ステビオール配糖体の混合物、または単一ステビオール配糖体からなる組成物を示す場合がある。各ステビオール配糖体は、ジテルペン化合物、ステビオールの任意の配糖体であることが可能である。
【0029】
ステビオール配糖体は、典型的には、糖の約150~450倍甘く、当該分野で公知である方法を用いて、ステビア属の植物から抽出することができる。粗ステビア抽出物は、典型的には、ステビオシド、ステビオールビオシド、および数種のレバウジオシドを含み、レバウジオシドには、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドG、レバウジオシドH、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドL、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO(本明細書中、「レバウジオシド」ではなく「Reb」と称する場合がある)が含まれる。あるいは、レバウジオシドは、生物変換または発酵により調製可能である。RebMは特に、他のステビオール配糖体よりも望ましい食味特性を有する可能性がある。
【0030】
ステビオール配糖体は、液体濃縮組成物に添加される前に、粉末形状で提供される場合がある。場合によっては、ステビオール配糖体成分は、ステビオール配糖体の抽出または精製に関連した他の微量不純物、あるいは成分の生物変換に由来する他の微量不純物を含有する場合がある。
【0031】
ステビオール配糖体は、液体濃縮組成物中に、液体濃縮組成物の質量の約800ppm以上の量で存在する。実施形態によっては、ステビオール配糖体は、液体濃縮組成物の合計質量の約1000ppm以上、2000ppm以上、3000ppm以上、適切には約2500ppm以上の量で存在する。実施形態によっては、液体濃縮組成物は、ステビオール配糖体を、液体濃縮組成物の合計質量の約20,000ppm以下、15,000ppm以下、10,000ppm以下、8,000ppm以下の量で含む。特定の実施形態において、液体濃縮組成物は、ステビオール配糖体を、液体濃縮組成物の質量の約2,000~約5,000ppmの量で含む。
【0032】
液体濃縮組成物は、レバウジオシドMを、約800ppm以上の量で含む。実施形態によっては、液体濃縮組成物は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物の合計質量の1000ppm以上、2000ppm以上、3000ppm以上、適切には約2500ppm以上の量で含む。実施形態によっては、液体濃縮組成物は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物の合計質量の約20,000ppm以下、15,000ppm以下、10,000ppm以下、8,000ppm以下、適切には6,000ppm以下の量で含む。特定の実施形態において、液体濃縮組成物は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物の合計質量の約2,000ppm~約5,000ppmの量で含む。
【0033】
そのように高含量でレバウジオシドMを含む本発明の実施形態による液体濃縮組成物は、いったんそれが希釈されて飲料製品になると、その飲料製品は望ましい食味プロファイルを提供するのに適切な量でレバウジオシドMを含むのに十分なほど高い甘味付与能力を有する可能性がある。
【0034】
実施形態によっては、液体濃縮組成物のステビオール配糖体は、レバウジオシドMを、液体濃縮組成物中に存在するステビオール配糖体の質量の約30%以上、50%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上の量で含む。特定の実施形態において、液体濃縮組成物のステビオール配糖体は、レバウジオシドMを、ステビオール配糖体の質量の約95%以上の量で含む。
【0035】
実施形態によっては、液体濃縮組成物は、さらに、追加の甘味剤、香味剤、機能性成分、及び/または添加剤を含む場合がある。
【0036】
追加の甘味剤は、任意の種類の甘味剤、例えば、天然、非天然、または合成の甘味剤などが可能である。少なくとも1つの実施形態において、少なくとも1種の追加甘味剤が、ステビア甘味剤以外の天然甘味剤から選択される。別の実施形態において、少なくとも1種の追加甘味剤が、合成高甘味度甘味剤から選択される。例えば、少なくとも1種の追加甘味剤は、炭水化物甘味剤の場合がある。適切な炭水化物甘味剤の限定ではなく例として、スクロース、フルクトース、グルコース、エリスリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、D-プシコース、D-タガトース、ロイクロース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、a-シクロデキストリン、b-シクロデキストリン、およびg-シクロデキストリン)、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノースまたはイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、アロース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、フクロース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノラクトン、アベクオースabequose、ガラクトサミン、キシロオリゴ糖類(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖類(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ガラクトオリゴ糖類、ソルボース、ケトトリオース(デヒドロキシアセトン)、アルドトリオース(グリセルアルデヒド)、ニゲロオリゴ糖類、フルクトオリゴ糖類(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオース、マルトトリオール、四糖類、マンナンオリゴ糖類、マルトオリゴ糖類(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、デキストリン、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース(raffmose)、ラムノース、リボース、異性化液糖、例えば、高フルクトースコーン/デンプンシロップ(HFCS/HFSS)(例えば、HFCS55、HFCS42、またはHFCS90)、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖類、グルコースシロップ、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0037】
他の実施形態において、追加甘味剤は、グルコース、フルクトース、スクロース、D-プシコース、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される炭水化物甘味剤である。
【0038】
実施形態によっては、液体濃縮組成物は、炭水化物甘味剤を含まない。
【0039】
さらに他の実施形態において、少なくとも1種の追加甘味剤は、合成甘味剤である。本明細書中使用される場合、「合成甘味剤」という語句は、自然で天然に見つかることがなく、特徴として、スクロース、フルクトース、またはグルコースよりも高い甘味度を有し、それでいてカロリーは低い任意の組成物を示す。本開示の実施形態に適切な合成高甘味度甘味剤の限定ではなく例として、スクラロース、アセスルファムカリウム、アセスルファム酸およびその塩、アスパルテーム、アリターム、サッカリンおよびその塩、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、チクロ、シクラミン酸およびその塩、ネオテーム、アドバンテーム、グルコシル化ステビオール配糖体(GSG)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。さらに他の実施形態において、追加甘味剤は、天然高甘味度甘味剤が可能である。適切な天然高甘味度甘味剤として、モグロシドIV、モグロシドV、モグロシドVI、イソモグロシドV、グロスモモシド(grosmomoside)、ネオモグロシド(neomogroside)、羅漢果甘味剤(Luo Han Guo sweetener)、シアメノシド、モナチンおよびその塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリチルリチン酸およびその塩、タウマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルチン(hernandulcin)、フィロズルチン、グリシフィリン(glycyphyllin)、フロリジン(phloridzin)、トリロバチン(trilobatin)、バイユノシド(baiyunoside)、オスラジン、ポリポドシド(polypodoside)A、プテロカリオシド(pterocaryoside)A、プテロカリオシド(pterocaryoside)B、ムクロジオシド(mukurozioside)、フロミソシド(phlomisoside)I、ペリアンドリン(periandrin)I、アブルソシド(abrusoside)A、ステビオールビオシド、およびシクロカリオシド(cyclocarioside)Iが挙げられる。
【0040】
実施形態によっては、液体濃縮組成物は、合成甘味剤を含まない。
【0041】
例えば、任意の適切な香味剤を含ませることができ、そのような香味剤として、コーラ香味剤、ダイエットコーラ香味剤、オレンジ香味剤(例えば、オレンジエード用)またはレモン香味剤(例えば、レモネード用)などの柑橘香味剤、ジュースカクテル香味剤、ルートビール香味剤、バーチビール香味剤、フルーツジュース香味剤、トニックウォーター香味剤、スポーツ飲料香味剤、およびクラブソーダ香味剤などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0042】
例えば、任意の機能性成分を含ませることができ、任意の機能性成分は、組成物に真のまたは認識されている健康効果をもたらすことができる。適切な機能性成分として、抗酸化剤、食物繊維源、脂肪酸、ビタミン、グルコサミン、ミネラル、保存料、水分補給剤、プロバイオティック製品、プレバイオティック製品、体重管理作用剤、骨粗鬆症管理作用剤、植物エストロゲン、長鎖第一級脂肪族飽和アルコール、植物ステロール、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
例えば、任意の適切な添加剤を液体濃縮組成物に含ませることができ、そのような添加剤として、pH調節剤、炭水化物、ポリオール、アミノ酸およびそれらの相当する塩、ポリアミノ酸およびそれらの相当する塩、糖酸およびそれらの相当する塩、ヌクレオチド、有機酸、無機酸、有機酸塩および有機塩基塩を含む有機塩、無機塩、カフェイン、収斂化合物、タンパク質またはタンパク質加水分解物、界面活性剤、乳化剤、増量剤、ジュース、乳製品、穀物および他の植物抽出物、フラボノイド、アルコール、重合体、ならびにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書中に記載されるとおりの液体濃縮組成物は、安定剤を含む。本発明者らは、当該分野で公知である多くの安定剤が、pH約7未満の液体濃縮組成物を安定化するのに有効ではないことを特定した。しかしながら、本発明者らは、キサンタンおよび/またはイオタ-カラギーナンが、酸性ステビオール配糖体濃縮組成物において、安定化効果をもたらすことができることを見出した。
【0045】
安定剤の存在は、ステビオール配糖体濃度が高い場合に、ステビオール配糖体のより安定な懸濁液をもたらす効果を有する。本開示による組成物は、より長期間、例えば、3日間以上の間、安定懸濁液であり続けることができる。これにより、有利なことに、すぐに使える飲料を調製する前の甘味剤組成物の貯蔵がより簡単になる可能性がある。
【0046】
組成物中の安定剤の量は、液体マトリクス(例えば、炭酸水または非炭酸水)の量に依存することになる。場合によっては、安定剤は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の質量の約2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.7%以下、0.5%以下、0.4%以下、適切には0.35%以下の量で存在する。
【0047】
場合によっては、安定剤は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の質量の約0.005%以上、0.01%以上、0.05%以上、0.08%以上、0.09%以上、適切には0.095%以上の量で存在する。
【0048】
場合によっては、安定剤は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の質量の約0.095~約0.35%の量で存在する。
【0049】
場合によっては、安定剤は、キサンタンを含む。場合によっては、安定剤は、キサンタンを含み、イオタ-カラギーナンを含まない。場合によっては、安定剤は、キサンタンからなる。
【0050】
任意の適切な種類の適合性キサンタンガムを使用することができる。キサンタンの存在は、キサンタンを含まない組成物に比べて、組成物の粘度を上昇させる可能性があるが、本発明者らは、キサンタンを含む組成物が、高度に擬塑性(すなわち、ずり減粘する)であり、したがって、粘度の上昇にも関わらず、混合が簡単であることを特定した。組成物中に存在するキサンタンの量は、存在する液体マトリクスの量に依存する場合がある。
【0051】
場合によっては、キサンタンは、液体濃縮組成物の質量の約1.0%以下、0.7%以下、0.5%以下、0.45%以下、0.4%以下、適切には0.3%以下、適切には0.25%以下の量で存在する。
【0052】
場合によっては、キサンタンは、液体濃縮組成物の質量の約0.01%以上、0.05%以上、0.07%以上、0.090%以上、適切には0.095%以上の量で存在する。適切には、キサンタンは、液体濃縮組成物の質量の約0.095~約0.25%の量で存在する。
【0053】
理論に固執するつもりはないが、キサンタンの添加は、それが重合体ネットワークを提供するようにして粘度を上昇させると考えられる。重合体ネットワークは、ステビオール配糖体粒子が沈降を呈することを防ぎ、それにより、ステビオール配糖体粒子が液体マトリクス全体に浮遊している安定懸濁液を提供している可能性がある。すなわち、ステビオール配糖体が存在しかつ液体濃縮組成物が安定懸濁液であることを維持する濃度は、キサンタンを含まない組成物より高くなる可能性がある。この効果は、温度が低くなっても(45℃より低温)、酸性(pHが7未満)条件でも、および組成物に全く熱を加える必要がなく、それでもなお観察することができる。
【0054】
場合によっては、安定剤は、イオタ-カラギーナンを含む。場合によっては、安定剤は、イオタ-カラギーナンを含み、キサンタンを含まない。場合によっては、安定剤は、イオタ-カラギーナンからなる。
【0055】
カラギーナンは、化学構造に従って分類され、それらのスルファート基およびアンヒドロ-D-ガラクトース量に応じてそれぞれミュー-、カッパ-、ニュー-、イオタ-、ラムダ-、シータ-、およびクサイ-カラギーナンと名付けられている。市場で一般的な種類のカラギーナンは、カッパ-、イオタ-、およびラムダ-である。各種カラギーナンは、存在するカチオンに応じて、特性が変化する。
【0056】
本発明の一部の実施形態で使用されるカラギーナンは、イオタ-カラギーナンである。イオタ-カラギーナンは、カルシウムイオンが溶解している冷水(「水道水」は一般的にカルシウムイオンを含有する)のチキソトロピー分散体(時間依存のずり減粘を起こす)をもたらす。したがって、イオタ-カラギーナンを含む組成物は、静的状態では粘性を維持するが、剪断応力下で粘度を低下させる効果を有することになるため、混合しやすくなる可能性がある。イオタ-カラギーナンは、カルシウムと最も強力にゲル化し、形成されたゲルは、弾性であり、シネレシス(液体のゲルからの分離)を呈さない。形成されたゲルは、溶液内に架橋ネットワーク構造を提供することができる。イオタ-カラギーナンは、低温(例えば、45℃未満)で使用することができるが、カッパ-カラギーナンは、溶解度の低さのため、低温での使用に適さない。ラムダ-カラギーナンは、金属イオンの存在下で、チキソトロピー分散体または重合体ネットワークをもたらさない。
【0057】
組成物中に存在するイオタ-カラギーナンの量は、存在する液体マトリクスの量に依存する場合がある。場合によっては、イオタ-カラギーナンは、液体濃縮組成物の質量の約1.0%以下、0.8%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、適切には0.35%以下の量で存在する。
【0058】
場合によっては、イオタ-カラギーナンは、液体濃縮組成物の質量の約0.01%以上、0.05%以上、0.08%以上、0.1%以上、0.12%以上、0.14%以上、0.16%以上、0.18%以上、適切には0.2%以上の量で存在する。適切には、イオタ-カラギーナンは、液体濃縮組成物の質量の約0.2~約0.35%の量で存在する。
【0059】
理論に固執するつもりはないが、イオタ-カラギーナンの添加は、組成物中にゲルの形成を引き起こし、これが、架橋ネットワーク構造をもたらして、溶液中のステビオール配糖体粒子の分離を可能にすると考えられる。すなわち、ゲルは、組成物内に、ステビオール配糖体粒子が安定して浮遊することを可能にする。このようにして、ステビオール配糖体が存在しかつ液体濃縮組成物が安定懸濁液であることを維持する濃度は、イオタ-カラギーナンを含まない組成物より高くなる可能性がある。この効果は、温度が低くなっても(45℃より低温)、酸性(pHが7未満)条件でも、および組成物に全く熱を加える必要がなく、それでもなお観察することができる。
【0060】
場合によっては、安定剤は、キサンタンおよびイオタ-カラギーナンを含む。場合によっては、安定剤は、キサンタンおよびイオタ-カラギーナンからなる。
【0061】
液体濃縮組成物の粘度は、存在する構成要素に依存する場合がある。詳細には、粘度は、存在するキサンタンおよび/またはイオタ-カラギーナンの量に依存する場合がある。場合によっては、液体濃縮組成物の粘度は、約1mPa以上、または5mPa以上、または10mPa以上である(Antan Paar Physica MCR301レオメータで測定した場合)。
【0062】
実施形態によっては、水は、カルシウムイオンを含有する。本明細書中に記載される組成物がイオタ-カラギーナンを含む安定剤を含む一部の実施形態において、カルシウムイオンは、ゲルの形成を支援する。
【0063】
本明細書中に記載される一部の実施形態に従って、液体濃縮組成物は、食物適合性封鎖剤を含む。任意の適切な食物適合性封鎖剤が使用可能であり、そのような封鎖剤として、クエン酸三ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、三ポリリン酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム、エチレンジアミンテトラ酢酸二ナトリウム塩、これらの相当する共役酸、カリウム塩も含み、ならびにこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、食物適合性封鎖剤は、クエン酸三ナトリウムを含む。場合によっては、食物適合性封鎖剤は、クエン酸三ナトリウムからなる。
【0064】
液体濃縮組成物中に存在する食物適合性封鎖剤の量は、水中に存在する金属イオンの量(「水の硬度」)に従って選択される場合がある。例えば、カルシウム含有量が高い水(例えば「硬水」)は、特に、安定剤がイオタ-カラギーナンを含む場合に、含まれる封鎖剤の濃度が高くなる可能性がある。食物適合性封鎖剤は、水溶液中の遊離金属イオン(存在する場合)の利用可能性を低下させる可能性がある。理論に固執するつもりはないが、このことが、液体濃縮組成物中のゲル形成度合いの制御を可能にし、特に安定剤がイオタ-カラギーナンを含む場合にそうであると考えられる。
【0065】
場合によっては、食物適合性封鎖剤は、液体濃縮組成物中に、液体濃縮組成物の質量の約2.0%以下、1.5%以下、1.0%以下、0.7%以下、0.5%以下、0.3%以下、適切には0.2%以下、適切には0.15%以下の量で存在する。場合によっては、食物適合性封鎖剤は、液体濃縮組成物中に、液体濃縮組成物の質量の約0.01%以上、0.03%以上、0.05%以上、適切には0.07%以上の量で存在する。
【0066】
場合によっては、食物適合性封鎖剤は、液体濃縮組成物中に、液体濃縮組成物の質量の約0.07~約0.15%の量で存在する。
【0067】
本明細書中開示される液体濃縮組成物は、酸性であり、pHが約7以下、5以下、4以下、適切には3以下である。場合によっては、液体濃縮組成物のpHは、約0.1以上、0.5以上、1以上、1.5以上、適切には2以上の場合がある。
【0068】
場合によっては、液体濃縮組成物のpHは、およそ、0~7、0.5~6、1~5、1.5~4、適切には2~3の場合がある。
【0069】
液体濃縮組成物は、食物適合性の酸を含む可能性がある。任意の適切な食物適合性の酸を使用することができ、そのような酸として、クエン酸、リン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、アジピン酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸、マレイン酸、ケイ皮酸、グルタル酸、または炭酸、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、食物適合性の酸は、クエン酸を含む。他の場合では、食物適合性の酸は、クエン酸からなる。
【0070】
場合によっては、食物適合性の酸は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の質量の約2.5%以下、2%以下、1.5%以下、1%以下、適切には0.8%以下の量で存在する。場合によっては、食物適合性の酸は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の質量の約0.01%以上、0.05%以上、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上、適切には0.4%以上の量で存在する。
【0071】
場合によっては、食物適合性の酸は、液体濃縮組成物中、液体濃縮組成物の質量の約0.4~約0.8質量%の量で存在する。
【0072】
場合によっては、液体濃縮組成物中に存在する食物適合性の酸は、本明細書中、上記に記載される範囲のpHを有する組成物を提供するように選択されることになる。
【0073】
本明細書中に記載される実施形態による液体濃縮組成物は、約45℃未満の温度で安定懸濁液を提供する可能性がある。
【0074】
場合によっては、この安定懸濁液は、長期間放置しても維持される可能性がある。
【0075】
試料の分散安定性を特性決定する標準方法は、ISO標準規格TR 13097に与えられている。この標準方法により得ることができる1種のパラメーターで、濃厚溶液の分散安定性を測定するのに特に適しているものは、包括的タービスキャン安定性指数(Turbiscan Stability Index、TSI)である。包括的TSIは、試料の濁度を示し、典型的には、タービスキャン装置(例えば、Turbiscan LAB、Turbiscan TOWER、およびTurbiscan AGS)で静的多重光散乱法(SMLS)を用いて測定される。
【0076】
測定中、乳濁液の濁度プロファイルが、試料の長さに渡りスキャニングされる。測定装置の読取ヘッドは、近赤外光源(λ=880nm)および2つの同期検出器で構成される。透過検出器は、試料を通過した光(T)を受け取り、一方、後方散乱検出器は、試料により後方散乱された光(BS)を受け取る。試料による光の透過および後方散乱は、20μmごとに測定されるため、試料の長さに渡る詳細なプロファイルが記録される。異なる時間(t)間隔で試料のスキャニングを繰り返すことにより、液系中の分散粒子の移動をモニタリングすることができる。
【0077】
包括的タービスキャン安定性指数(TSI)は、試料の長さに渡り検出された全ての変動を合計して、単一パラメーターを提供し、これが、様々な試料の物理的安定性を比較することを可能にする。
【0078】
試料のTSIは、以下の式を用いて計算される:
【数1】
式中、hは、試料の長さに渡って選択された位置であり、Hは、試料の全長である。
【0079】
場合によっては、本明細書中に記載される一部の実施形態による液体濃縮組成物は、17時間放置後、包括的タービスキャン安定性指(TSI)が、約10以下、5以下、8以下、6以下、5以下、4以下、3以下、2以下、適切には1.5以下である。
【0080】
場合によっては、本明細書中に記載される一部の実施形態による液体濃縮組成物は、72時間放置後、包括的タービスキャン安定性指(TSI)が、約15以下、12以下、10以下、9以下、8以下、適切には7以下である。一部の例において、液体濃縮組成物は、この濁度レベルを、90時間放置後も呈する場合がある。
【0081】
本発明の別の態様は、液体濃縮組成物の調製法である。本方法は、ステビオール配糖体が液体濃縮組成物中に約800ppm以上の量で存在し、かつpHが約7未満であるように、本明細書中、上記に記載されるとおりの安定剤を、ステビオール配糖体および水と混合することを含む。
【0082】
一部の例において、構成要素は、液体濃縮組成物が本明細書中、上記に記載されるとおりのステビオール配糖体濃度を有するように、混合される。特定の実施形態において、ステビオール配糖体はレバウジオシドMを含み、構成要素は、液体濃縮組成物が本明細書中、上記に記載されるとおりのレバウジオシドM濃度を有するように、混合される。
【0083】
一部の例において、液体濃縮組成物は、本明細書中、上記に記載されるとおりのpHを有する。
【0084】
液体濃縮組成物の構成要素は、約45℃以下の温度で混合される。例えば、構成要素は、30℃未満の温度で混合される場合がある。実施形態によっては、構成要素は、周辺温度で混合される。驚いたことに、本発明者らは、キサンタンおよび/またはイオタ-カラギーナン安定剤を含む安定液体濃縮組成物が、比較的低温で調製可能性であることを特定した。
【0085】
実施形態によっては、液体濃縮物を提供する方法は、混合物を約45℃より高温に加熱することを含むどのような工程も除外する。詳細には、こうした実施形態は、構成要素を約45℃より高温に加熱する工程を含まずに液体濃縮組成物を調製することを含む場合があり、その場合、液体濃縮組成物は、17時間放置後の包括的タービスキャン安定性指が約5以下、および/または72時間放置後の包括的タービスキャン安定性指が約15以下である。
【0086】
このことは、有利なことに、加熱用機械の必要性またはエネルギー集約型加熱工程の必要性を伴わない、安定液体濃縮組成物、例えば飲料濃縮物の調製を可能にする可能性がある。したがって、本発明の液体濃縮組成物の調製法は、より経済的かつエネルギー効率の良いものである可能性がある。
【0087】
本発明の別の態様において、提供されるのは、本明細書中、上記に記載されるとおりの液体濃縮組成物を調製するためのキットである。キットは、キサンタンおよび/またはイオタ-カラギーナンを含む安定剤を含む。キットは、ステビオール配糖体も含み、ステビオール配糖体は、レバウジオシドMを含む。キットは、さらに、安定剤およびステビオール配糖体を水と混合して、本明細書中、上記に記載されるとおりの液体濃縮組成物を提供するための説明書を含む。
【0088】
液体濃縮組成物は、食物製品を調製するのに使用することができる。場合によっては、液体濃縮組成物は、飲料濃縮物である。液体濃縮組成物を用いて調製される食物製品は、飲料の場合がある。飲料濃縮物または飲料シロップ(「スローシロップ(throw syrup)」と呼ぶ場合がある)は、飲料濃縮物またはシロップを所定体積の液体(例えば、非炭酸水または炭酸水)および任意選択でさらなる構成要素と混合することにより、すぐに飲める飲料を調製するのに使用される。特定の実施形態において、液体濃縮組成物は、飲料基材であり、この場合、すぐに飲める飲料は、どのような追加の構成要素の添加も必要とせずに、飲料基材を所定体積の液体(例えば、非炭酸水または炭酸水)と混合することにより調製される。
【0089】
飲料濃縮物は、消費者が処理して飲料製品(「すぐに飲める飲料」と呼ぶ場合がある)にすることができる。そのような飲料濃縮物は、液体(例えば、非炭酸水または炭酸水)を加えることにより飲料製品へと処理することができ、「プレミックス」製品と称する場合がある。飲料濃縮物は、アルコール飲料用または非アルコール飲料用の濃縮物である場合がある。非アルコール飲料用の飲料濃縮物は、冷たい飲物(フルーツ風味の非アルコール飲料および高エネルギーまたは高タンパク質スポーツ飲料などの補助飲料を含む)または温かい飲物(例えば、茶、ココア、ホットチョコレート、コーヒー)である非アルコール飲料用の場合がある。
【0090】
実施形態によっては、すぐに飲める飲料製品の調製法が提供され、この方法では、本明細書中に記載される液体濃縮組成物が水で希釈されて、飲料製品をもたらし、レバウジオシドMは、飲料製品中、食物製品の質量の約800ppm以下、600ppm以下、適切には500ppm以下の量で存在する。実施形態によっては、レバウジオシドMは、飲料製品中、飲料製品の質量の約10ppm以上、50ppm以上、適切には100ppm以上の量で存在する。適切には、レバウジオシドMは、食物製品中、飲料製品の質量の約50ppm~約600ppmの量で存在する。
【0091】
実施形態によっては、液体濃縮組成物1部を、水4~7部、適切には5~6部、適切には5部で希釈して、すぐに飲める飲料製品とする。
【0092】
本発明の飲料濃縮物から調製される可能性のあるすぐに飲める飲料製品の限定ではなく例として、炭酸飲料(非アルコール炭酸飲料を含むが、これらに限定されない)、非炭酸飲料(非アルコール非炭酸飲料、例えば、風味付けした水および甘い茶またはコーヒー系飲料を含むが、これらに限定されない)、フルーツ風味飲料、フルーツジュース、茶、ミルク、コーヒー、特に減糖または微糖製品が挙げられる。本明細書中言及されないが伝統的に1種または複数の栄養甘味剤を含む他の種類の飲料製品もまた、本発明の文脈において企図されている可能性があり、特に、減糖または微糖製品はそうである。非炭酸および炭酸飲料製品の例として、コーラ、ダイエットコーラ、ソーダ、ダイエットソーダ、柑橘風味飲料、例えば、オレンジ風味飲料(例えば、オレンジエード)またはレモン風味飲料(例えば、レモネード)、ジュースカクテル、ルートビール、バーチビール、任意の清涼飲料水、発泡フルーツジュース、水、発泡水、トニックウォーター、スポーツドリンク、およびクラブソーダが挙げられる。飲料製品として、非アルコール(ソフト)またはアルコール飲料も挙げることができ、例えば、任意のビール(エール、ピルスナー、ラガー、またはそれらから誘導されるものを含む)、モルトリカー、赤ワイン、白ワイン、スパークリングワイン、強化ワイン、ワインクーラー、ワインスプリッツァー、任意のあらかじめ作られたカクテルミックス(マルガリータミックス、サワーミックス、またはダイキリミックスを含む)、任意の発酵フルーツもしくは茶飲料、強い酒、および任意の風味付けされた酒、例えば、ブランデー、シュナップス、ビターズ、または、コーディアルが挙げられる。飲料製品として、任意の乳製品、ミルク、もしくはクリーム製品、または任意の乳製品、クリーム、もしくはミルクの代替品、例えば、ハーフアンドハーフ、乳成分不使用のクリーム、粉末クリーム、風味付けクリーム、豆乳製品、およびラクトースを含まない乳製品を挙げることができる。飲料製品として、任意のフルーツまたは野菜の、丸ごとジュース、濃縮ジュース、または粉末形状、ならびにフルーツジュースと野菜ジュースまたは他の飲料との任意の組み合わせも挙げることができる。飲料製品として、コーヒー、任意のコーヒー飲料、任意のコーヒー風味シロップ、茶、アイスティー、およびココア、ならびにこれらのいずれかの任意の組み合わせも挙げることができる。
【0093】
本発明の別の態様は、本明細書中、上記に記載される方法から得ることができる食物製品である。例えば、食物製品は、本明細書中、上記に記載される方法から得ることができる飲料の場合がある。詳細には、本発明の実施形態は、本明細書中、上記に記載される方法により調製された、本明細書中、上記に列挙されるすぐに飲める飲料を含む。
【実施例
【0094】
実施例1
液体濃縮組成物の例の分散体安定特性を評価する実験を行った。表1は、調製した組成物の一覧を示す。
【0095】
安定化剤(存在する場合)と金属イオン封鎖剤(存在する場合)とステビオール配糖体とクエン酸とを含む乾燥成分を混ぜ合わせ、その後、乾燥成分を水道水と混ぜ合わせ、その後、成分を激しく混合して均質な溶液をもたらすことによって、各試料を調製した。
【0096】
全ての試料において、ステビオール配糖体成分は95%超のreb Mを含有するものであり、10℃の水道水で100%とした。
【0097】
各試料のpHは標準的なpHメーターを使用して測定された。
【0098】
試料1は、reb Mを含むが安定化剤を含まない対照試料であり、試料2、4及び6は、安定化剤がキサンタン及び/またはイオタ-カラギーナンを含んでいる本発明に係る液体濃縮組成物の例であり、試料3、5、7及び8は、代替となる安定化剤を採用している参考例である。
【表1】
【0099】
試料1(安定化剤なし)、3(ペクチン安定化剤)、7(ジェラン/ペクチン/ローカストビーン安定化剤)及び8(ジェラン/ペクチン/ローカストビーン安定化剤と金属封鎖剤)は、視認可能な沈澱をすぐさま呈した。試料2(イオタ-カラギーナン安定化剤と金属イオン封鎖剤)、4(キサンタン/グアー安定化剤)、5(グアー安定化剤)及び6(キサンタン安定化剤)は、安定懸濁液を形成した。
【0100】
試料1、2、5及び6を合計90時間にわたって冷蔵庫内で貯蔵した。1、2、5及び6の分散体安定特性を、各試料の濁度を経時的に測定することによって評価した。このようにして、長期間にわたる組成物の安定性が決定され得る。
【0101】
濁度測定を、濁度の無単位の評価尺度であるTurbiscan安定性指数(TSI)を測定するTurbiscan TOWER装置を使用して行った。試料の長さにわたる全体的測定だけでなく各試料の頂部位置、各試料の底部位置でも測定を行った。TSIは静的多重光散乱(SMLS)によって測定される。より低いTSIは試料からのより少ない光の後方散乱を示しており、それによって、より安定懸濁液であることが示される。測定は3反復で行った。試料1、2、5及び6についての各時間点での濁度測定の平均結果を表2に示す。図1は、濁度測定結果をグラフに示したものであり、図1の凡例に使用されている数字は、表2に示す試料番号に対応する。
【表2】
【0102】
試料2(カラギーナン安定化剤)及び6(キサンタン安定化剤)はどちらも、17時間42分及び90時間にわたる静置の後に何ら明らかな沈澱を示さなかった。試料5(グアー安定化剤)は24時間後に視覚的沈澱を呈し、このため、T=90時間での濁度測定は行わなかった。
【0103】
試料2及び6が最も良好な分散体特性を示し、どちらも17時間42分後に1.5未満の全体的TSIを有して最も安定して懸濁していたことが分かる。
【0104】
実施例2
本発明の実施形態に従って液体濃縮組成物を調製することによってさらなる実験を行った。各試料中の安定化剤の量を変化させた。試料9~12として調製された組成物を表3に列挙する。試料9~12は試料1~8と同じ要領で調製された。
【表3】
【0105】
経時的な試料9~12の分散体特性を実施例2のときと同じ方法で決定した。Turbiscan TOWER装置を使用して測定した試料9~12の濁度測定結果を表4及び図2に示す。
【表4】
【0106】
試料9~12は各々、4日間にわたる静置の後に低い全体的TSI測定結果を示した。試料11は最も良好な分散体特性を示し、4日間にわたって溶液が、視認可能な沈澱を何ら呈することなく最も低い濁度値を有して安定懸濁液のままであった。
【0107】
実施例3
液体濃縮組成物試料9~12から食物製品を調製した。1部の液体濃縮組成物と5部の炭酸水とを混ぜ合わせることによって即席飲料を調製した。
【0108】
各試料のために33.33gの濃縮物を166.67gの炭酸水と混ぜ合わせ、撹拌した。試料は完全に透明になり、沈澱を全く示さなかった。
【0109】
同じreb M及びクエン酸含有量を有するが安定化剤を含んでいない比較即席飲料製品を調製し、試料9~12から調製された即席飲料製品と比較した。比較飲料製品試料は視覚的に、希釈された試料9~12との区別が付かなかった。
【0110】
希釈された試料9~12の各々を試飲し、風味を比較reb M即席飲料の風味と比較した。試料9~12の風味は比較reb M即席飲料と区別が付かないことが分かり、試料9~12の中に存在する安定化剤成分が風味または甘味に悪影響を及ぼさないことが示された。
【0111】
上記実施形態は、本発明の説明のための例であると理解されるべきである。本発明のさらなる実施形態が企図される。任意の一実施形態に関して記載される任意の特徴を、単独で、または記載されている他の特徴と組み合わせて用いてもよく、さらには他の任意の実施形態または他の任意の実施形態の任意の組合せの1つ以上の特徴と組み合わせて用いてもよいことは、理解されるべきである。さらに、上に記載されていない均等物及び改変形態を、添付の特許請求の範囲において画定される本発明の範囲から逸脱することなく採用してもよい。
図1
図2
【国際調査報告】