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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】包装材料のための方法
(51)【国際特許分類】
   G06K 19/077 20060101AFI20220818BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220818BHJP
   G06K 19/02 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G06K19/077 252
B65D65/40 D
G06K19/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575903
(86)(22)【出願日】2020-06-11
(85)【翻訳文提出日】2022-02-21
(86)【国際出願番号】 EP2020066199
(87)【国際公開番号】W WO2020254185
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】19181464.9
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】グロリア・グイデッティ
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル・ボレッリ
【テーマコード(参考)】
3E086
【Fターム(参考)】
3E086AB02
3E086BA04
3E086BA13
3E086BA14
3E086BA15
3E086BB51
3E086BB62
3E086CA11
3E086DA06
(57)【要約】
包装材料を提供する方法が提供される。方法は、包装材料処理ユニットを通して包装材料のウェブを供給することと、前記包装材料の目標位置を決定することと、前記目標位置にRFIDアンテナを印刷するように印刷ユニットを制御することとを含み、RFIDアンテナの印刷に使用される材料は導電性物質である。包装材料も提供される。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料を提供する方法であって、包装材料処理ユニットを通して包装材料のウェブを供給することと、前記包装材料の目標位置を決定することと、前記目標位置にRFIDアンテナを印刷するように印刷ユニットを制御することとを含み、前記RFIDアンテナの印刷に使用される材料は導電性物質である、方法。
【請求項2】
前記導電性物質が炭素ベースの物質、好ましくはグラフェンベースの物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グラフェンベースの導電性物質がインクである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記グラフェンベースの導電性物質が、グラフェン又は酸化グラフェンを1つ又は複数の層に含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記グラフェンベースの導電性物質が、グラフェン又は酸化グラフェンのフレークの分散液を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記包装材料処理ユニットが、包装材料変換ユニット又はパッケージ容器を形成、充填、及びシールするように構成された包装機である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
RFIDアンテナを前記目標位置に印刷するように印刷ユニットを制御することは、前記アンテナに隣接する1つ又は複数の共振回路を印刷することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の共振回路をある物質でコーティングすることをさらに含み、この物質は、前記共振回路の共振周波数を変化させるように構成されている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アンテナにRFIDチップを取り付けることをさらに含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記目標位置が前記包装材料の1つ又は複数の特徴に関連して決定される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記包装材料が、前記包装材料がパッケージ容器に形成されたときに液体食品内容物を保存するように構成された積層体を一緒に形成する複数の層を含み、前記RFIDアンテナが前記層の1つに印刷される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記RFIDアンテナが前記包装材料の外層に印刷される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記RFIDアンテナが前記包装材料に埋め込まれる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
包装材料(20)がパッケージ容器(30)に形成されたときに液体食品内容物を保存するように構成された積層体を一緒に形成する複数の層(21~27)を含む包装材料(20)であって、前記包装材料(20)は、前記包装材料(20)のウェブが包装材料処理ユニット(10、40)を介して供給されるときに印刷される少なくとも1つのRFIDアンテナ(100)を含み、前記RFIDアンテナ(100)はグラフェンベースの導電性物質によって形成される、包装材料(20)。
【請求項15】
前記RFIDアンテナ(100)の目標位置が、前記包装材料(20)の1つ又は複数の特徴(29)に関連して固定される、請求項14に記載の包装材料。
【請求項16】
前記RFIDアンテナ(100)に隣接して配置された少なくとも1つの共振回路(120)をさらに含み、前記共振回路(120)が前記グラフェンベースの導電性物質を用いて印刷される、請求項14又は15に記載の包装材料。
【請求項17】
前記RFIDアンテナ(100)に接続されるRFIDチップ(110)をさらに含む、請求項14又は15に記載の包装材料。
【請求項18】
請求項14~17のいずれか一項に記載の包装材料(20)によって形成されたパッケージ(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料、特に、液体食品の内容物を封入することを意図した個々の包装容器を形成するために使用される包装用積層体に関する。より具体的には、本発明は、そのような包装材料及びRFIDタグを包装材料に付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
包装材料は様々な産業で使用されている。液体食品の包装容器を形成するのに特に適している包装材料の1つのタイプは、紙又は板紙のバルク層と熱可塑性プラスチックの外側の液密層とを含む積層体として提供される。包装容器に気密性、特に酸素気密性を付与するために、例えば牛乳又はフルーツジュースの無菌包装及び包装の目的で、これらの包装容器の積層体は通常、少なくとも1つの追加層、最も一般的にはアルミニウム箔を含む。
【0003】
積層体の内側、すなわち積層体から製造された包装容器の充填された食品内容物に面するように意図された側には、アルミニウム箔の上に適用された最内層があり、この最内層である内側層は、接着性ポリマー及び/又はポリオレフィンなどのヒートシール可能な熱可塑性ポリマーを含む1つ又は複数の部分層で構成され得る。また、バルク層の外側には、最外層であるヒートシール可能ポリマー層がある。
【0004】
包装容器は、一般に、ウェブから、又は包装材料の予備製造されたブランクから、パッケージ又は容器を形成し、充填し、シールするタイプの最新の高速包装機によって製造される。したがって、包装容器は、積層された包装材料のウェブを、最も内側と最も外側のヒートシール可能な熱可塑性ポリマー層を溶着することにより、ウェブの長手方向の両方の縁部を重なり接合部で互いに結合することでチューブに再形成することによって、製造することができる。チューブに目的の液体食品が充填され、チューブはその後、チューブ内の内容物の液面よりも低い位置で互いに所定の距離でチューブの横方向のシールを繰り返すことにより、個々のパッケージに分割される。パッケージは、横方向のシールに沿って切り込みを入れることでチューブから分離され、包装材料に準備された折り目線に沿って折り目をつけることで、所望の幾何学的形状、通常は平行六面体又は立方体が与えられる。
【0005】
この連続的なチューブ形成・充填・シール包装方法のコンセプトの利点は、連続的な高速包装が可能であることであり、これはコスト効率に大きな影響を与える。
【0006】
一般的に、1時間に何千個ものパッケージを調製することができる。例えば、Tetra Pak(登録商標)A3/speedは、1時間に約15,000個のパッケージ(0.9リットル以上のファミリーサイズの包装容器)、及び1時間に約24,000個の包装容器(小分けパッケージ)を製造し得る。デリケートな液体食品、例えば牛乳又はジュース向けの包装容器は同じく、積層された包装材料のシート状のブランク又は予備製造済みブランクから製造することができる。平らな折り曲げられた包装用積層体のチューブ状ブランクから、パッケージは以下のように製造される、すなわち、ブランクを最初に立てて、開放したチューブ状の容器カプセルを形成し、その一方の開放端を、一体型端部パネルを折り曲げてヒートシールすることにより閉鎖することによってパッケージは製造される。このようにして閉鎖された容器カプセルに、その開放端からくだんの食品例えばジュースが充填され、その後容器カプセルは、対応する一体型端部パネルをさらに折り曲げてヒートシールすることで閉鎖される。シート状及びチューブ状のブランクから製造される包装容器の例としては、従来のいわゆるゲーブルトップ型のパッケージがある。また、このタイプのパッケージには、成形された天面及び/又はプラスチック製のスクリューキャップが付いているものもある。
【0007】
既知の包装用積層体は、従来、紙又は板紙のウェブから変換プロセスによって製造される。そのようなバリアフィルムが必要な場合は、積層材料(通常は低密度ポリエチレン(LDPE))の1つ又は複数のボンディング層を適用して、アルミニウム箔のウェブを紙又は板紙のウェブに恒久的に結合することができる。紙又は板紙のウェブは、両面にポリエチレン(通常は低密度ポリエチレン(LDPE))の液密性コーティングが施され、その後、包装機への移送及び取り扱いのために、完成包装材リールに巻き取られる。また、この変換プロセスは、最大400m/分など、非常に高速で行われる。
【0008】
後から読み取ってトレーサビリティーや又は認証に利用できる何らかの情報を表す印刷画像を包装材料に施すことが提案されている。これらの情報は、包装材料に印刷するか、又は包装材料の層の1つに印刷することができ、これは、変換プロセス中に、或いは包装材料が包装機の中を移送される際に行われる。印刷画像の例としては、バーコード、及びQRコードなどの2Dコードがある。
【0009】
従来技術では、特に、包装材料の特定のセグメントを使用して1つの包装容器を形成する場合に、包装材料の異なるセグメントに固有の情報を追加することができる。しかしながら、これらの画像は、適切な読み取りのために見えるようにしなければならず、そのためには、特定のインクと、包装材料の装飾に対する特定のコントラストが必要である。包装材料に固有の情報を提供する別の方法は、磁気マーキングを利用することであり、それによって磁界マークは複雑なデータを保持することができる。このような複雑なデータには、例えば、ウェブ又はウェブの一部を識別できる固有のコードが含まれる。また、複雑なデータは、位置情報、包装容器の仕上げの指示、その他を与えることができる。
【0010】
上述の解決策にもかかわらず、各包装容器に固有の識別子を割り当てることを可能にするとともに、得られた包装容器が外部装置と通信できるようにするための改良方法が依然として必要とされている。特に、棚の管理、物流の最適化、及び改善された接続されたリサイクル可能なチェーンにおいて利点を提供する、固有の識別子に関する改善が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の上述した限界の1つ又は複数を少なくとも部分的に克服することである。特に、RFIDタグがインラインで、すなわち、変換プロセスを介して、又は包装機を介して包装材料を移送する間に、包装材料に印刷される、包装材料を製造するための方法を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、包装材料を提供する方法が提供される。この方法は、包装材料処理ユニットを通して包装材料のウェブを供給することと、前記包装材料の目標位置を決定することと、前記目標位置にRFIDアンテナを印刷するように印刷ユニットを制御することとを含む。RFIDアンテナの印刷に使用される材料は、導電性物質、特に炭素ベース物質、より特にグラフェンベース(graphene―based)物質である。
【0013】
グラフェンベースの物質を使用することで、多くの利点が得られる。まず、RFIDアンテナを非常に薄く印刷することができるため、今日の包装材料処理ユニットの高速動作に適応することができる。第2に、この物質は食品安全規制に適合しない金属粒子を含まない可能性がある。第3に、インクジェットなどの標準的な印刷ユニットを使って、RFIDアンテナを包装材料の走行しているウェブに印刷できることが実証されている。
【0014】
グラフェンベースの導電性物質はインクであってもよく、これにより、標準的なインク塗布技術を使用することがさらに可能になる。
【0015】
グラフェンベースの導電性物質は、グラフェン又は酸化グラフェンを1つ又は複数の層に含んでもよい。好ましくは、グラフェン物質の配置は、1~20層の範囲内である。
【0016】
グラフェンベースの導電性物質は、グラフェン又は酸化グラフェンのフレークの分散液を含んでもよく、これにより、RFIDアンテナの取り扱い及び適用が容易になる。
【0017】
包装材料処理ユニットは、包装材料変換ユニット又は包装容器を形成、充填、及びシールするように構成された包装機であってもよい。それによって本方法は、包装材料が製造される際に、又はパッケージ容器の製造中に、RFIDアンテナを包装材料に印刷することができるため、非常に汎用性が高い。
【0018】
RFIDアンテナを前記目標位置に印刷するように印刷ユニットを制御するステップは、前記アンテナに隣接する1つ又は複数の共振回路を印刷することをさらに含んでもよい。このようにすることで、共振回路を固有の周波数に調整することができるため、RFIDチップなしでRFIDアンテナを使用することができる。
【0019】
本方法は、前記1つ又は複数の共振回路をある物質でコーティングすることをさらに含んでもよく、この物質は、共振回路の共振周波数を変化させるように構成されている。したがって、そのような共振回路を周囲の条件に敏感になるようにすることができ、そのような共振回路はそのような周囲の条件が変更された場合に情報を提供するように調整することができる。
【0020】
本方法は、前記アンテナにRFIDチップを取り付けることをさらに含んでもよい。それにより、RFIDタグの機能性の向上が達成される。
【0021】
RFIDアンテナの目標位置は、包装材料の1つ又は複数の特徴に関連して決定されてもよい。これによりRFIDアンテナの正確な位置決めが達成され、これは機械の見当合わせ又は特定の位置決めを必要とするその他の機械操作に利用することができる。
【0022】
包装材料は、包装材料がパッケージ容器に形成されたときに液体食品内容物を保存するように構成された積層体を形成する複数の層を含んでもよく、RFIDアンテナは、前記層の1つに印刷されていてもよい。したがって、RFIDアンテナは、必ずしも包装材料の外側(それによって目に見える)層に印刷されなくてもよく、RFIDアンテナの保護を向上させるために積層体に埋め込まれてもよい。
【0023】
第2の態様によれば、包装材料がパッケージ容器に形成されたときに液体食品内容物を保存するように構成された積層体を一緒に形成する複数の層を含む包装材料が提供される。包装材料は、前記包装材料のウェブが包装材料処理ユニットを介して供給されるときに印刷される少なくとも1つのRFIDアンテナを含み、RFIDアンテナは、グラフェンベースの導電性物質によって形成される。
【0024】
RFIDアンテナの目標位置は、包装材料の1つ又は複数の特徴に関連して固定されていてもよい。
【0025】
包装材料は、前記RFIDアンテナに隣接する少なくとも1つの共振回路位置をさらに含んでいてもよく、共振周波数はグラフェンベースの導電性物質によって形成される。
【0026】
包装材料は、前記RFIDアンテナに取り付けられるRFIDチップをさらに含んでいてもよい。
【0027】
第3の態様によれば、パッケージが提供される。このパッケージは、第2の態様による包装材料によって形成される。
【0028】
さらに、このRFIDタグは、パッケージと一緒にリサイクル可能であり得る。
【0029】
本発明のさらに他の目的、特徴、態様及び利点は、以下の詳細な記載及び図面から明らかになるであろう。
【0030】
本発明の実施形態を、例として、添付の概略図を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】包装機の概略図である。
図2】変換ユニットの概略図である。
図3】包装材料の断面図である。
図4】包装材料の平面図である。
図5-6】RFIDアンテナの上面図である。
図7】包装材料を提供する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1を参照すると、パッケージ容器を形成し、充填し、シールするように構成された包装機10が図示されている。包装機10は、典型的には、包装材料の平面状のウェブ20を閉鎖したパッケージ30に変形させるための多数の連続したステーションを含む。
【0033】
ウェブ状の包装材料20は、包装・充填機10に装填される。巻き出された包装材料20は、形成、充填、及びシールのために包装材料を準備するために、様々なステーションを通して連続的に移送される。このようなステーションは、例えば、長手方向ストリップアプリケータ、及び滅菌ユニット(図示せず)を含んでもよい。
【0034】
充填のために、包装材料20はチューブに変形され、液体食品が無菌雰囲気でチューブ状の包装材料に充填されることを保証する無菌室12に運ばれる。包装材料20は、例えば形成リングを用いて徐々に変形され、チューブ状の形状に形成される。
【0035】
チューブ状の包装材料20は長手方向にシールされ、液体食品は充填パイプ14によってチューブ状の包装材料20に充填される。最後に、横方向シールユニット16が、チューブ状包装材料20の閉鎖された下端と同時に閉鎖された上端が形成されるように、チューブ状包装材料の閉鎖を行う。また、シールユニット16は、完成したパッケージ30をチューブ状包装材料20から分離するために、横方向の切断を行う。切断されたパッケージ30は、さらに折り曲げ形成され、シールされて、立方体形状などの最終形状を獲得し得る。
【0036】
また、包装機10は、包装材料20が包装機10を通して移送される際に、包装材料20のウェブの近くに配置される印刷ユニット50を備える。好ましくは、印刷ユニット50は、包装材料のウェブ20が平坦な位置、すなわち、チューブ形成の前に配置される。
【0037】
印刷ユニット50は制御ユニット52に接続されており、その結果、印刷ユニット50は、包装材料20のウェブが包装機10を通って走行する際に、RFIDアンテナ100を異なる位置に印刷するように構成されている。RFIDアンテナ100は、好ましくは、グラフェンベースの導電性物質を用いて印刷される。
【0038】
しかしながら、他の導電性物質を使用することも可能であり、特に、RFIDアンテナを印刷するために導電性インクを使用することも可能である。導電性インクは、炭素ベース(例えば、グラフェン又はカーボンナノチューブ)、金属ナノ粒子ベース(例えば、AG、Al)、又は有機系(例えば、Sigma Aldrich社のPlexcore OC AQ-1250)であり得る。金属ナノ粒子ベースのインクは使いやすく、市販されているが、液体食品包装との適合性の観点から、やはり炭素ベースの物質が好ましい可能性がある。
【0039】
印刷ユニット50は、包装材料20の幅を横切って延びる細長い本体として示されている。しかしながら、印刷ユニット50は、RFIDアンテナ100を包装材料20+に印刷できるかぎり、多くの異なる形状及びサイズで実現できることを理解すべきである。
【0040】
印刷ユニット50は、本実施形態では、RFIDアンテナ100を包装材料20の外面に印刷するように配置されているが、印刷に使用される物質によっては、印刷ユニット50は、RFIDアンテナ100を包装材料20の内面に印刷するように配置することも可能である。
【0041】
RFIDアンテナ100は、包装材料20の固定された、すなわち予め決められた位置に配置される。図4を参照して後で説明するように、包装材料20には折り目線などの特徴が設けられており、これにより、印刷ユニット50及び関連する制御ユニット52は、最終的なパッケージ30上でもRFIDアンテナ100が正しく配置されるように、印刷されたRFIDアンテナ100をこれらの特徴に対する所望の位置に正確に配置することができる。これは、RFIDチップがチップアプリケータによって適用される場合にも当てはまり、制御ユニット52(又は、チップアプリケータの動作を制御するように構成されている、いずれかの他の制御ユニット)は、RFIDアンテナに対するRFIDチップの位置を正確に制御するように構成されている。
【0042】
したがって、RFIDアンテナ100は、包装材料20が包装機10を通して移送されるときに、包装材料20に適用されてもよい。
【0043】
別の実施形態が図2に示されており、RFIDアンテナ100は、包装材料20の製造中に既に、すなわち包装材料20が包装機10に供給される前に、包装材料20に印刷される。
【0044】
図2には、包装材料変換ユニット40の一例が示されている。包装材料変換ユニット40は、マガジンリール41から供給されるアルミニウム箔ウェブ21を、押出機42から供給される熱可塑性材料22に予備積層するという概念に基づいているが、ここに提示される実施形態は、アルミニウム箔を持たないチルド製品の包装材料にも特に適し得ることに留意すべきである。したがって、図2の例は、1つの選択肢としてのみ捉えられるべきである。実際には、より複雑でなく、金属を含まない包装材料が、本明細書に記載されている技術的解決策にとって、はるかにより好ましい場合がある。
【0045】
包装材料20の製造は、アルミニウム箔ウェブ21がマガジンリール41から払い出され、ニップローラ43及び下流に配置されたさらなるニップローラ45と接触し、それらと同期して回転する冷却ローラ44と接触するニップローラ43の上に導かれるように進行する。同時に、溶融又は半溶融の熱可塑性材料、例えばポリエチレンの連続フィルム22が押出機42によって押し出され、このプラスチックフィルムは、いわゆるニップ、すなわちニップローラ43と冷却ローラ44との間の接触点に導かれる。溶融又は半溶融の熱可塑性フィルム22は、このような例では、アルミニウム箔ウェブ21と冷却ローラ44の表面との間に収容され、それによってプラスチック-アルミニウム箔積層体23が形成される。
【0046】
別のマガジンリール46からは、紙又は板材のコア層ウェブ24が払い出され、ニップローラ45上に導かれて冷却ローラ44と接触する。第2の押出機47の助けを借りて、第2のニップローラ45と冷却ローラ44との間に連続したプラスチックフィルム25が押し出され、この場合、押し出されたポリエチレンのプラスチックフィルム25は、形成されたプラスチック-アルミニウム箔積層体23のアルミニウム箔側とコア層24との間に収容される。そして、第2のニップローラ45と冷却ローラ44との間で圧縮されることにより、コア層24と積層体23とが一体化され、複合包装材料積層体20が形成される。なお、包装材料20を形成するために、上述した変換プロセスに加えて、プラスチック材料の外層26やプラスチック材料の内層27を加えてもよい。
【0047】
図1を参照して記載した印刷ユニット50は、包装材料変換ユニット40の様々な位置に配置されてもよい。したがって、複数の印刷ユニット50が図2に示されているが、1つの場所に、1つの印刷ユニット50のみで必要とされる場合もあることを理解すべきである。
【0048】
例えば、印刷ユニット50は、RFIDアンテナ100が積層前のコア層24の外側に印刷されるように、又は、積層前のコア層24の内側に印刷されるように配置されてもよい。印刷ユニット50の他の可能な位置は、図2に示されている。
【0049】
結果として得られる包装材料20の一例を、図3に断面で示す。RFIDアンテナ100は、変換プロセス中の印刷ユニット50の位置に応じて、異なる材料層間の界面のいずれか、すなわち、層27の外面側、層27と22の間、層22と21の間、層21と25の間、層25と24の間、層24と26の間、又は層26の外面側に配置することができる。
【0050】
次に、図4に目を向けると、包装材料20の一例が示されている。包装材料20は、例えば、図1に示すような包装機10によって使用されるように、連続的なウェブの形態で提供される。ウェブは、一連のセグメント28を含み、各セグメント28は、後に個々のパッケージ30を形成するために使用される。図4では、2つのセグメント28が示されている。各セグメント28は、複数の折り目線29を有し、また、各セグメント28は、印刷ユニット50によって印刷されるRFIDアンテナ100を備えている。
【0051】
したがって、図4の包装材料20は、図1の印刷ユニット50の下流側の位置から、或いは図2の包装材料変換ユニット40による製造終了後に得ることができる。
【0052】
図5に、グラフェンベースのRFIDアンテナ100の一例が示されている。アンテナ100を除いて、RFIDチップ110がアンテナ100に取り付けられている。RFIDチップ110は、RFIDアンテナ100が印刷された後であれば、いつでも取り付けることができる。図6では、グラフェンベースの導電性RFIDアンテナ100の別の例が示されている。ここでは、RFIDアンテナ100は、必ずしもRFIDチップに接続されておらず、1つ又は複数の共振回路120がアンテナ110の近くに印刷されている。好ましくは、これらの共振回路120も、印刷ユニット50によって、同じグラフェンベースの導電性物質を用いて印刷される。各共振回路120がエネルギーを吸収するため、アンテナ応答における共振周波数でエネルギー損失が発生する。16個の共振回路を有する図示の例では、すべての共振回路が唯一のものである場合、216個の組み合わせがあり、これをデジタルデータ表現に使用することができる。
【0053】
印刷されたRFIDアンテナ100は、それによってRFIDタグを形成し、又はその一部を形成する。従来、RFIDタグは、アンテナ100とチップ110の2つの部分で構成される。RFIDアンテナ100は、本明細書の文脈では、グラフェンベースの材料によって形成され、特定の形状を有する平面導体である。一方、チップ110は、アンテナ100に接続された0.5mm程度の小型の集積回路である。アンテナ100が包装材料20上に直接印刷されていることにより、RFIDタグを専用の基板上に製造し、それを最終的な包装材料上に適用しなければならないという追加の製造ステップは必要ない。RFIDアンテナ100を印刷するために使用されるグラフェンベースの導電性物質は、好ましくはインクの形態であり、それにより、標準的な機器(インクジェット技術など)を使用することができる。グラフェンベースの導電性物質は、グラフェン又は酸化グラフェンを1つ又は複数の層に含む。好ましくは、グラフェンベースの導電性物質は、グラフェン又は酸化グラフェンのフレークの分散液を含み、これにより、グラフェンベースの物質を印刷することができ、且つ、得られるRFIDアンテナ100がグラフェンベースの物質の導電性分布によって形成されるようになっている。
【0054】
また、グラフェンベースの導電性インクは、上述したように、変換ユニット40において、包装材料20に直接アンテナ100を印刷することを可能にする。グラフェンベースの物質を印刷に使用することの利点の1つは、金属インクを使用した場合に比べて、アンテナ100の厚さを大幅に減らすことができることである。さらに、グラフェンは食品安全性にも優れている。
【0055】
アンテナ100にRFIDチップ110を接続する場合は、印刷後にチップ110をアンテナ100に適用して接続することが好ましい。
【0056】
また、提案した印刷技術は、図6を参照して上で提案したように、チップレスRFIDの使用も可能にする。このような実施形態では、アンテナ100はいかなるチップにも接続されず、それによって、統合されたRFID技術のより速い、迅速な生産を可能にする。
【0057】
同じグラフェンベースの導電性インクを使って、アンテナ100の近くにいくつかの形状を印刷することができる。これらの形状は共振器として機能し、その形状に応じて静電容量、インダクタンス、及び共振周波数によって特徴づけられる。唯一の形状を印刷することで、唯一のスペクトルシグネチャを持つチップレスRFIDタグを印刷する可能性もまたもたらされる。このように、パッケージ(又は包装材料)のRFID識別は、包装材料上に集積回路がなくても、グラフェンベースの物質とそれを包装材料上に直接印刷する能力のみを利用して可能である。
【0058】
一実施形態では、感知機能を追加することで、チップレスRFIDアンテナ100を改良することができる。いくつかの共振回路120を有する図6の実施形態から出発して、これらの共振回路の特性パラメータを、いくつかの環境変数に応じて変化するように構成することができる。一例として、共振回路120の1つを、包装材料20の温度が10℃を超えて上昇した場合に昇華するように構成されたポリマーインクで覆うことができる。この場合、共振回路120の静電容量が変化し、その結果、共振周波数も変化する。換言すると、そのようなアプローチは、パッケージ30のコールドチェーン監視に使用されると好ましい。
【0059】
次に、図7を参照して、包装材料20を提供するための方法200について記載する。この方法200は、包装材料処理ユニットを介して包装材料20のウェブを供給する第1のステップ202と、前記包装材料20の目標位置を決定するステップ204と、前記目標位置にRFIDアンテナ100を印刷するように印刷ユニット50を制御するステップ206とを含み、RFIDアンテナ100の印刷に使用される材料はグラフェンベースの導電性物質である。
【0060】
RFIDアンテナ100を印刷するように印刷ユニット50を制御するステップ206は、アンテナ100に隣接する1つ又は複数の共振回路120を印刷するステップ208も含むことができる。
【0061】
任意選択的に、方法200は、1つ又は複数の共振回路120をある物質でコーティングするステップ208を含んでもよく、この物質は、共振回路120の共振周波数を変更するように構成されている。
【0062】
また、任意選択的に、方法200は、RFIDチップをアンテナ100に取り付けるステップ210を含んでいてもよい。
【0063】
本発明の様々な実施形態を記載し、示してきたが、本発明はこれらに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲で定義される主題の範囲内で他の方法で具現化することもできることが、以上の記載から導かれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】