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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】射出成形システムの流量制御
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/76 20060101AFI20220818BHJP
   B29C 45/28 20060101ALI20220818BHJP
   B29C 45/23 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B29C45/76
B29C45/28
B29C45/23
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575978
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 US2020036774
(87)【国際公開番号】W WO2020256999
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】16/444,677
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521553380
【氏名又は名称】インコー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イェルク、アントン
(72)【発明者】
【氏名】グレブ、スコット
(72)【発明者】
【氏名】シュトリーゲル、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
【Fターム(参考)】
4F202AM36
4F202AP02
4F202AP07
4F202AP13
4F202AR02
4F202AR08
4F202AR11
4F202AR14
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK03
4F202CK07
4F202CL12
4F202CL18
4F206AM36
4F206AP02
4F206AP071
4F206AP13
4F206AR02
4F206AR08
4F206AR11
4F206AR14
4F206JA07
4F206JL02
4F206JP11
4F206JP13
4F206JQ62
4F206JQ63
4F206JT21
(57)【要約】
少なくとも1つの第1のアクチュエータシステム(Dl,D2,D3)を備える射出成形システムが提供され、第1のアクチュエータシステムは、成形ノズルを開閉するようにピストンを駆動するための少なくとも2つの圧力ラインコネクタ(CP2,CP3)を有する少なくとも1つのピストン駆動部と、圧力ラインコネクタ(P)およびタンクラインコネクタ(T)ならびに少なくとも2つの切替圧力ラインコネクタを有する切替弁(V)に接続可能な圧力ライン(L1,L2)であって、第1の切替弁圧力ラインコネクタ(CV1)は第1の圧力ライン(L1)に接続可能であり、第2の切替弁圧力ラインコネクタ(CV2)は第2の圧力ライン(L2)に接続可能であり、第2の圧力ライン(L2)はピストン駆動部の第2の圧力ラインコネクタ(CP2)に接続される、圧力ライン(L1,L2)と、第1の圧力ラインコネクタおよび第2の圧力ラインコネクタを有する電子的に調整可能な流量制御弁であって、調整可能な流量制御弁の第1の圧力ラインコネクタは、切替弁(V)の第1の圧力ラインコネクタ(CV1)への接続を可能にするために第1の圧力ライン(L1)に接続され、第2の圧力ラインコネクタは、ピストン駆動部の第2の圧力ラインコネクタ(CP3)への接続を確立する第3の圧力ライン(L3)に接続される、流量制御弁と、第1、第2、および/または第3の圧力ライン(L1,L2,L3)内の流速を検知するための少なくとも1つの電子流量センサ(P1,P2,P3)と、コントローラであって、調整可能な流量制御弁および少なくとも1つのセンサに接続され、少なくとも1つのセンサの情報に応じて流量制御弁を電子的に調整し、それにより、ピストンおよび成形ノズルの移動のタイミングおよび速さを制御するように構成されたコントローラと、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの第1のアクチュエータシステムを備える射出成形システムであって、前記第1のアクチュエータシステムは、
成形ノズルを開閉するようにピストンを駆動するための少なくとも2つの圧力ラインコネクタを有する少なくとも1つのピストン駆動部と、
圧力ラインコネクタおよびタンクラインコネクタならびに少なくとも2つの切替圧力ラインコネクタを有する切替弁に接続可能な圧力ラインであって、前記第1の切替弁圧力ラインコネクタは第1の圧力ラインに接続可能であり、前記第2の切替弁圧力ラインコネクタは第2の圧力ラインに接続可能であり、前記第2の圧力ラインは前記ピストン駆動部の前記第2の圧力ラインコネクタに接続される、圧力ラインと、
第1の圧力ラインコネクタおよび第2の圧力ラインコネクタを有する電子的に調整可能な流量制御弁であって、前記調整可能な流量制御弁の前記第1の圧力ラインコネクタは、前記切替弁の前記第1の圧力ラインコネクタへの接続を可能にするために前記第1の圧力ラインに接続され、前記第2の圧力ラインコネクタは、前記ピストン駆動部の前記第2の圧力ラインコネクタへの接続を確立する第3の圧力ラインに接続される、流量制御弁と、
前記第1、第2、および/または第3の圧力ライン内の流速を検知するための少なくとも1つの電子流量センサと、
コントローラであって、前記調整可能な流量制御弁および前記少なくとも1つのセンサに接続され、前記少なくとも1つのセンサの情報に応じて前記流量制御弁を電子的に調整し、それにより、前記ピストンおよび前記成形ノズルの移動のタイミングおよび速さを制御するように構成されたコントローラと
を備える、射出成形システム。
【請求項2】
第1の流量センサが、前記調整可能な流量制御弁と前記切替弁との間の前記第1の圧力ラインの流速を測定するように適合されているか、または第2の流量センサが、前記ピストン駆動部と前記切替弁との間の前記第2の圧力ラインの流速を測定するように適合されているか、または第3の流量センサが、前記ピストン駆動部と前記調整可能な流量制御弁との間の前記第3の圧力ラインの流速を測定するように適合されている、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項3】
第1の圧力センサが、前記調整可能な流量制御弁と前記切替弁との間の前記第1の圧力ライン内の圧力を測定するように適合されている;または、追加的に、第2の圧力センサが、前記ピストン駆動部と前記切替弁との間の前記第2の圧力ライン内の圧力を測定するように適合されている;または、第3の圧力センサが、前記ピストン駆動部と前記調整可能な流量制御弁との間の前記第3の圧力ライン内の圧力を測定するように適合されている、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項4】
前記コントローラが、前記少なくとも1つのセンサの情報に基づいて成形サイクルの射出段階の開始および/または終了を決定し、かつ初期および/または最終サイクル位置で前記流量制御弁を調整するように構成される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項5】
前記コントローラが、前記少なくとも1つのセンサからの前記情報が、好ましくは所定のタイムスパンの間、成形ノズルが閉じられる位置に前記ピストンがあることを示す場合、前記成形サイクルの前記射出段階の終了を決定するように構成される、請求項4に記載の射出成形システム。
【請求項6】
前記コントローラが、前記射出段階の開始を決定した後、前記射出段階において前記流量制御弁を動的に調整し、それによって前記ピストン、したがって前記成形ノズルの位置および前記位置の変化の速さを制御するように構成され、好ましくは、少なくとも1つのタイマの情報および/または体積量情報も使用されて、前記ピストンの時点および/または位置、前記流量制御弁の前記動的調整の速さを決定する、請求項5に記載の射出成形システム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記流量制御弁の前記動的調整の対話型リプログラミングを可能にするように構成される、請求項6に記載の射出成形システム。
【請求項8】
第2の流量制御弁が前記第2の圧力ラインに配置される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項9】
第2のアクチュエータシステムをさらに備え、前記第2のアクチュエータシステムが、
成形ノズルを開閉するようにピストンを駆動するための少なくとも2つの圧力ラインコネクタを有するピストン駆動部と、
圧力ラインコネクタおよびタンクラインコネクタおよび少なくとも2つの切替圧力ラインコネクタを有する1つまたは複数の切替弁に接続可能な圧力ラインであって、前記第1の切替弁圧力ラインコネクタは第1の圧力ラインに接続可能であり、前記第2の切替弁圧力ラインコネクタは第2の圧力ラインに接続可能であり、前記第2の圧力ラインは前記ピストン駆動部の前記コネクタに接続され、前記第1の圧力ラインは前記ピストン駆動部の前記第2のコネクタに接続される、圧力ラインと、
前記第1および第2の圧力ラインにおける流速を検知するための少なくとも1つの電子センサと、
コントローラであって、前記第2のアクチュエータシステムの前記センサに追加的に接続され、前記第2のアクチュエータシステムの前記センサの情報に基づいて前記第1のアクチュエータシステムの前記電子的に調整可能な流量制御弁を制御することを可能にする、コントローラと
を備える、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項10】
いくつかの第1のアクチュエータシステムを備え、前記センサおよび前記流量制御弁が、前記コントローラに接続され、前記コントローラは前記センサの情報のうちの1つまたは複数に基づいて前記流量制御弁のうちの1つまたは複数を制御するように構成される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項11】
前記いくつかのアクチュエータシステムが、カスケード式に制御されるように構成され、1つのアクチュエータシステムの前記流量制御弁はまた、異なるアクチュエータシステムの前記少なくとも1つのセンサの前記情報によって、好ましくはタイマによって、および/または測定された一定量の流体によって制御されるように構成される、請求項9に記載の射出成形システム。
【請求項12】
前記いくつかのアクチュエータシステムが、カスケード式に制御可能であるように構成される、請求項8に記載の射出成形システム。
【請求項13】
前記少なくとも1つのセンサから閾値を超えたという情報を受信した後、前記調整可能な流量制御弁が、前記コントローラによって所定の絞りレベル/流量レベルまで開閉される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項14】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの流量センサの情報に基づいて、好ましくは所定の時間間隔にわたる前記第3の流量センサ(P3)の情報に基づいて、前記ピストン駆動部の前記ピストンの位置を計算するように構成される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項15】
逆止弁が、前記調整可能な流量制御弁に並列に接続され、前記ピストン駆動部の前記ピストンを伸縮させるときにバイパスを提供する、請求項13に記載の射出成形システム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの流量センサの前記情報に基づいて前記圧力ライン内の圧力流体の粘度を計算し、1つまたは複数の前記流量制御弁を調整することによって所定の値からの前記粘度のばらつきを補償するように構成される、請求項1に記載の射出成形システム。
【請求項17】
射出成形システムのアクチュエータを制御するための方法であって、前記アクチュエータが、成形ノズルを開閉するためのピストンを備える少なくとも1つのピストン駆動部と、前記ピストン駆動部を駆動する圧力流体を絞るために前記ピストン駆動部に接続された電子的に調整可能な流量制御弁と、前記圧力流体の前記流れを検出するための少なくとも1つの電子センサと、前記調整可能な流量制御弁および前記少なくとも1つのセンサに接続されたコントローラと、を有し、前記方法が、
前記センサからの情報に基づいて、射出成形サイクルの開始を決定するステップと、
前記コントローラによって前記射出成形サイクル中に前記調整可能な流量制御弁の前絞りを制御し、それによって前記ピストン、したがって前記成形ノズルの位置、前記移動の速さおよびタイミングを制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記射出成形システムが、いくつかのアクチュエータおよびいくつかのセンサを備え、前記コントローラが、前記いくつかのセンサおよびアクチュエータに接続され、前記センサのうちの1つまたは複数に基づいて前記調整可能な流量制御弁のうちの1つまたは複数を制御している、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記いくつかのアクチュエータシステムが、カスケード式に制御され、1つのアクチュエータシステムの前記流量制御弁はまた、異なるアクチュエータシステムの前記少なくとも1つのセンサの前記情報によって、好ましくはタイマによって、および/または測定された一定量の流体によって制御される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記コントローラが、前記少なくとも1つのセンサの情報に基づいて成形サイクルの射出段階の開始および/または終了を決定し、初期および/または最終サイクル位置で前記流量制御弁を調整する、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記少なくとも1つのセンサからの前記情報が、好ましくは所定のタイムスパンの間、成形ノズルが閉じられる位置に前記ピストンがあることを示す場合、前記コントローラが、前記成形サイクルの前記射出段階の終了を決定する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記コントローラが、前記成形サイクルの開始を検出するための前記センサの情報および/またはタイマを使用して、前記射出成形サイクル中に前記弁を制御する、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの流量センサの前記情報に基づいて前記圧力ライン内の圧力流体の前記粘度を計算し、1つまたは複数の前記流量制御弁を調整することによって所定の値からの前記粘度のばらつきを補償する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形のためのプロセスおよび装置に関し、特に、カスケード射出成形プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
単一のインゲート(供給オリフィス)を介した平坦および/または細長い部品の射出成形では、成形ツールのキャビティを溶融物で完全に充填することは困難である。さらに、供給オリフィスから離れたキャビティの領域に溶融物が到達するとき、その温度はすでに明らかに低下しているため、成形部品の構造に不均一性が生じる可能性がある。
【0003】
このため、特に細長いおよび/または平坦な部品の成形の場合、いくつかの供給オリフィスを介して成形ツールのキャビティを溶融物で充填することが知られている。これに関連して、フローラインが、隣接する供給オリフィス間のどこかで互いに合流する供給オリフィスから発せられる溶融物のフローフロントから生じる。このようなフローラインは、射出された部品の弱点を表す。さらに、フローラインは、その材料、表面、または色に応じて、部品の表面に見える場合があり、そのような部品は、その後、仕上げによって処理されなければならない。
【0004】
このようなフローラインが発生するのを防止するために、ニードル弁ノズルを使用して異なる時間に異なるノズルを開く場合の既知の手法がある。ニードル弁ノズルは、一般に油圧/空気圧システムによって駆動される少なくとも1つのアクチュエータシステムによって駆動される。例えば、プロセスは第1のノズルからの射出で始まり、そのノズルから出ているフローフロントが隣接するノズルの供給オリフィスに到達したときに、その隣接するノズルを開く。第1のノズルからさらに取り外されたノズルの開放は、対応する方法で延期される。この状況は、例えば、好ましくは第1の供給オリフィスの周りの円弧上にあるいくつかの追加の供給オリフィスによって囲まれた中央供給オリフィスを介して射出プロセスが開始する場合に類似している。これらの周囲の供給オリフィスは、中央供給オリフィスからのフローフロントがそれらに到達または通過したときに開く。供給オリフィスの異なるレイアウトが可能である。いくつかのニードル弁ノズルを通して時間間隔をおいて射出するこのプロセスは、「カスケード射出成形」と呼ばれる。
【0005】
これまでに説明したカスケードプロセスは、第2のノズルまたは追加のノズルを開くと、溶融物が射出成形機によって所定の圧力で射出され、圧力がすべてのノズルについて等しい大きさであるという欠点を有する。以前に開放されたノズルのフローフロントが隣接するノズルの供給オリフィスに到達すると、そのフローフロントの溶融物はすでに冷却および圧力損失を受けているため、後で開放されるノズルで爆発的に現れる全圧力下の溶融物に起因して望ましくないフローフロントマーキングが生じる。これは、後の開放ノズルが突然ではなくむしろゆっくりと開放され、初期射出圧力を低下させることによって回避され得る。したがって、追加のノズルの制御およびそれらの同期は、許容可能な結果を受け取るために不可欠である。
【0006】
米国特許出願公開第2010/0225025号明細書、米国特許出願公開第2017/0210048号明細書、および米国特許出願公開第2015/0239162号明細書は、この分野の技術を開示している。
【0007】
したがって、当技術分野では、プロセスならびにプロセスを実行するのに適した装置を開発する必要があり、プロセスおよび装置を用いて、一時的に下流の供給オリフィスでの溶融物の爆発的排出が単純かつ経済的であるが依然として満足のいく方法で防止され、射出サイクル中にプロセスを正確に制御する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0225025号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2017/0210048号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2015/0239162号明細書
【発明の概要】
【0009】
この問題は、請求項に記載の射出成形システムおよび方法によって解決される。
【0010】
射出成形システムは、少なくとも1つの第1のアクチュエータシステムを備える。第1のアクチュエータシステムは、成形ノズルを開閉するようにピストンを駆動するための少なくとも2つの圧力ラインコネクタを有する少なくとも1つのピストン駆動部を備える。ピストンが延伸した場合、成形ノズルは閉じられる。ピストンが後退した場合、成形ノズルは開かれる。逆の動作も可能である。
【0011】
可能な実施形態では、ノズルはニードル弁ノズルである。カスケード成形システムでは、いくつかのアクチュエータシステムが配置され、プロセス中に異なる時間に開閉され得る。
【0012】
アクチュエータシステムは、圧力ラインコネクタおよびタンクラインコネクタを有する切替弁に接続可能であり、少なくとも2つの切替圧力ラインコネクタが設けられる。第1の切替圧力ラインコネクタは第1の圧力ラインに接続され、第2の切替圧力ラインコネクタは第2の圧力ラインに接続され、第2の圧力ラインはピストン駆動部のコネクタに接続される。切替弁は、一般的な圧力流体システムへの接続を確立し、アクチュエータシステムとの間の圧力流および加圧流体の流れの方向を制御する。流体は、作動液または空気であり得る。以下では、すべての構成要素を作動液または空気に適用することができる。切替弁は、圧力の流れを連続的に制御できるような、磁気弁、サーボ弁、または比例弁であってもよい。切替弁の制御は、電子的に行うことができる。
【0013】
さらに、第1の圧力ラインコネクタおよび第2の圧力ラインコネクタを有する電子的に調整可能な流量制御弁が提供され、調整可能な流量制御弁の第1の圧力ラインコネクタは、第1の圧力ラインに接続されて、切替弁の第1の圧力ラインコネクタへの接続を確立する。さらに、第2の圧力ラインコネクタは、ピストン駆動部の第2のコネクタへの接続を確立する第3の圧力ラインに接続される。調整可能な流量制御弁は、所定の時間遅延に従って少なくとも1つのノズルの開放および/または閉鎖のタイミングを調整し、かつノズルのうちの少なくとも1つの開放時に流体が金型キャビティ内に爆発的に排出されるのを防止するために使用される。流量制御弁は、サーボ弁または比例弁とすることができる。
【0014】
本発明のさらなる構成要素は、第1、第2、および/または第3の圧力ライン(L1,L2,L3)内の流速を検知する流れ(P1,P2,P3)を検出するための少なくとも1つの電子センサである。流量センサは、センサを通過した流体の量、および好ましくは流れ方向も決定することができる。
【0015】
流量センサは、様々な技術、機械式メータ、圧力ベースのメータ、可変面積流量計、オプティカル流量計、熱質量流量計、ボルテックス流量計、ソナー流量測定 電磁式、超音波式およびコリオリ式流量計、レーザドップラ流量測定計、一定量の流体を蓄積し、次いでその量が満たされた回数をカウントして、流れを測定する閉塞タイプ(差圧または可変面積)、羽根車式(タービンタイプ)、電磁式、容積式流量計、流体力学(渦放出)、風速計などを使用することができる。このリストは限定されない。また、センサへのインターフェースは、デジタルまたはアナログであってもよい。センサは、コントローラによってアクセスされ得る異なるレジスタを提供するより高い情報レベルでインパルス値または流速値を提供することができる。
【0016】
本発明のさらなる部分は、コントローラであって、調整可能な流量制御弁および少なくとも1つのセンサに接続され、少なくとも1つのセンサの情報に応じて流量制御弁を電子的に調整し、それによってピストンおよび成形ノズルの移動のタイミングおよび速さを制御するように構成されたコントローラである。流量制御弁を、常開または常閉に構成することができる。これは、電力を印加することなく、流量制御弁が開いていること、またはその逆を意味する。以下では、常開構成について説明するが、本発明はこの構成に限定されない。可能な実施形態では、コントローラはプログラマブルコンピュータを含み、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)も使用することができる。PLCは、コントローラのリプログラミングを可能にするユーザインターフェースまたはコネクタを有することができる。特に、センサの閾値および調整可能な流量制御弁の開閉のタイミングをプログラムすることができる。また、コントローラは、射出サイクルの射出段階の開始および終了を決定するようにプログラムされ得る。射出サイクルの状態の情報およびセンサ情報に基づいて、閉鎖および開放のレベルを画定することができる。開放および/または閉鎖のレベルによって、流体の流れを制御することができる。また、2つのレベル間の変化の速さは、ニードルの開閉の速さに直接影響を与えるコントローラによってプログラムされ得る。
【0017】
可能な実施形態では、コントローラは、本発明が組み込まれている機械のコントローラとは独立して動作することができる。コントローラの動作は、センサ情報のみに基づくことができ、いくつかの構成ではタイマにも基づくことができる。可能な実施形態では、特に切替弁の状態に関する外部情報をコントローラの入力コネクタに提供することもできるが、本発明を可能にする必要はない。
【0018】
流量制御弁の概念は、ニードルの開放および/またはニードルの閉鎖ならびに対応するピストンの動作に使用され得ることに留意されたい。可能な実施形態では、ピストンからの圧力ラインおよびピストンへの圧力ラインの両方にそれぞれ独立して接続されて動作する2つの流量制御弁がある。
【0019】
可能な実施形態では、逆止弁が調整可能な流量制御弁に並列に接続され、ピストン駆動部のピストンを延伸するときにバイパスを提供し、その結果、ノズルを開くときにのみ制御が提供される。制御は、特定の時間にニードル位置に影響を及ぼすより遅い圧力減少および/または時限圧力増加および/または圧力減少もしくは圧力解放の遅延によって規定される。
【0020】
本発明のさらなる構成要素は、射出成形システムの動作を制御するのに使用可能な、第1、第2、および/または第3の圧力ライン内の流れを検知する少なくとも1つの流量センサである。
【0021】
さらに、射出成形システムの構成要素の状態条件、特にピストン駆動部、切替弁、調整可能な流量制御弁、および/または逆止弁の状態条件は、プログラミングに使用することができる追加のセンサおよび/またはコネクタによって導出され得る。特に、構成要素の1つが摩耗により、動作していないか、または特定の時間範囲内で動作していないかを判定することができる。
【0022】
また、ピストン駆動部のピストンの位置および/または調整可能な流量制御弁の調整は、特定の時間にわたる流速切替の測定によって決定され、好ましくは示され得る。特定の時間にわたって測定された圧力チャンバのサイズおよび流速の情報に基づいて、ピストン内にある流体の量を計算することができ、したがってニードルの位置を決定することができる。また、調整可能な流量制御弁を制御して、特定の位置および/または時間でニードルの開放および/または閉鎖の速さを変更することが可能である。
【0023】
流量センサを使用して、圧力流体の粘度のばらつきを決定することができる。これらのばらつきは、射出成形品の製造において再現不可能な結果をもたらす。圧力ライン内の流体の流動性が熱によって増加する場合、ニードルはより迅速に開閉され得る。これにより、射出成形品の品質にばらつきが生じる。しかしながら、圧力流体の粘度が規定の基準から逸脱した場合に、成形品の品質を改善するために流量制御弁を調整することができる。1つのセンサを使用して、特にカスケード成形プロセスの場合に、金型の異なる位置で使用されるいくつかの流量制御弁を調整することも可能である。粘度が高すぎる場合、流量制御弁は絞りを減少させるように調整され、逆もまた同様である。
【0024】
可能な実施形態では、第1の流量センサは、調整可能な流量制御弁と切替弁との間の第1の圧力ライン内の流速を測定するように適合される。一定の最大流量を超えた場合、漏れに関する情報を表示することができる。第1のラインにおける最大流量まで流量を増加させる時間が予め設定された勾配から逸脱する場合、ピストン駆動部または逆止弁に関する問題を表示することができる。以下に説明する他のセンサ(例えば、圧力センサ)と組み合わせて、問題を特定の構成要素に限定することができる。
【0025】
可能な実施形態では、第2の流量センサは、ピストン駆動部と切替弁との間の第2の圧力ラインL2内の流速(流量)を測定するように適合される。また、このセンサについても、第1のセンサと同様である。
【0026】
可能なさらなる実施形態では、第3の流量センサは、ピストン駆動部と調整可能な流量制御弁との間の第3の圧力ライン内の流速を測定するように適合される。また、このセンサについても、他のセンサと同様である。特に、このセンサを使用して、流量を調整することによって、調整可能な流量制御弁を制御することができる。
【0027】
流量センサに加えて、第1の圧力制御センサを、調整可能な流量制御弁と切替弁との間の第1の圧力ライン内の圧力を測定するように適合させることができる;または、第2の圧力センサが、ピストン駆動部と切替弁との間の第2の圧力ライン内の圧力を測定するように適合されている;または、第3の圧力センサが、ピストン駆動部と調整可能な流量制御弁との間の第3の圧力ライン内の圧力を測定するように適合されている。
【0028】
これらの圧力センサは、特定の期間に通過した流体の量、好ましくは流れの方向を測定する流量センサとは対照的に、ライン内の圧力を測定する。
【0029】
成形サイクルはいくつかの段階を含み、一般に、サイクルはニードルが開放される射出段階を含み、これは切替弁をトリガすることによって初期化される。圧力段階の後、切替弁は、油流の方向を変更することによってニードルを閉じるように再びトリガされる(いくつかの射出を伴うプロセスもある)。冷却段階、金型が開かれる型開き段階、生成された製品が型から排出される排出段階、金型が閉じられる型閉段階が順次実行される。その後、サイクルが再び開始する。
【0030】
コントローラは、少なくとも1つのセンサの情報に基づいて成形サイクルの射出段階の開始および/または終了を決定し、初期および/または最終サイクル位置で流量制御弁を調整するように構成される。この決定は、射出成形機のコントローラの追加情報なしで実行され得る。本発明のコントローラは、外部ソースからのステータス入力なしで独立して動作することができる。可能な実施形態では、外部の供給源から追加の情報を提供することができるが、流量制御弁を制御する必要はない。
【0031】
コントローラは、少なくとも1つのセンサからの情報が、好ましくは所定のタイムスパンの間、成形ノズルが閉じられる位置にピストンがあることを示す場合、流体の流量および/または方向を決定することによって、成形サイクルの射出段階の終了を決定するように構成される。特に、圧力段階の終了後、冷却段階を開始するために、切替弁、またはカスケードシステムの場合、すべての切替弁が閉じられる。冷却段階は、通常、より長いタイムスパンであるため、可能な実施形態では、タイマも使用して射出段階の終了を決定する。タイマが、成形ノズルが閉じていることをセンサが示す所定のタイムスパンをカウントした場合、コントローラは、射出段階が終了したと仮定する。さらに、成形ノズルが再び開かれたことをセンサが示すとき(特定のタイムスパンの後)、射出サイクルが開始すると仮定する。例えば、流量センサを使用する場合、流量は成形ノズルが閉じる一定レベルを超えていることを流量計情報が示す場合、および流量はノズルが開く一定レベルを下回っていることを情報が示す場合を決定することができる。センサの位置によっては、その逆の場合もある。
【0032】
射出段階の開始および終了、したがってサイクルの情報に基づいて、コントローラは、射出段階中に流量制御弁を動的に調整するように構成される。射出段階の開始を決定した後、コントローラは、ピストンの位置、したがって成形ノズルの位置の変化の位置および速さを制御することができる。この制御は、タイマに基づいて、および/またはセンサ情報に基づいて実行されることができ、好ましくは、少なくとも1つのタイマの情報もまた、流体量および流体の流れの方向と共に使用されて、流量制御弁の動的調整の時点および速さを決定する。
【0033】
コントローラを個別に構成するために、コントローラは、対話型ユーザインターフェースを使用することによって、あるいはタイマおよび/または圧力値および/または流れ信号に基づいてコントローラの構成またはプログラミングを可能にする任意の他のインターフェースを提供することによって、流量制御弁の動的調整の対話型プログラミングを可能にするように構成される。
【0034】
可能な実施形態では、本発明は、上述のアクチュエータと比較して流量制御弁を備えず、センサのみを備える第2のアクチュエータシステムをさらに備える。したがって、第2のアクチュエータシステムは、成形ノズルを開閉するようにピストンを駆動するための少なくとも2つの圧力ラインコネクタを有するピストン駆動部と、圧力ラインコネクタおよびタンクラインコネクタおよび少なくとも2つの切替圧力ラインコネクタを有する切替弁に接続可能な圧力ラインであって、第1の切替弁圧力ラインコネクタは第1の圧力ラインに接続可能であり、第2の切替弁圧力ラインコネクタは第2の圧力ラインに接続可能であり、第2の圧力ラインはピストン駆動部のコネクタに接続され、第1の圧力ラインはピストン駆動部の第2のコネクタに接続される、圧力ラインと、圧力ラインのうちの1つにおける流れを検出するための少なくとも1つの電子センサと、上記と同じものであるコントローラであって、第2のアクチュエータシステムのセンサに追加的に接続され、第2のアクチュエータシステムのセンサの情報に基づいて第1のアクチュエータシステムの電子的に調整可能な流量制御弁を制御することを可能にする、コントローラと、を備える。
【0035】
いくつかのアクチュエータシステムを有するシステムでは、すべての流量制御弁を駆動するために単一の流量センサが使用されることも可能である。これは、圧力流体の粘度が経時的に変化して粘度のばらつきを補償する場合に有用であり得る。サイクルのタイミングに関する他の用途も、システム内のただ1つのセンサによって駆動され得る。両方の手法をカスケードシステムで使用することができる。
【0036】
例えば、カスケードシステムでは、第2のアクチュエータシステムは、サイクルにおいて最初にそのノズルを開く第1のアクチュエータシステムとすることができる。
【0037】
カスケードシステムはまた、いくつかの第1のアクチュエータシステムを備えることができ、センサおよび流量制御弁は、センサの情報のうちの1つまたは複数に基づいて流量制御弁のうちの1つまたは複数を制御するように構成されたコントローラに接続される。すなわち、1つの単一のコントローラが、異なるセンサに基づいて流量制御弁を制御することができる。これにより、1つのアクチュエータシステムの流量制御弁もまた、異なるアクチュエータシステムの少なくとも1つのセンサの情報によって、おそらくはタイマによって制御される。
【0038】
閾値(流体の量)が通過したという少なくとも1つのセンサからの情報(一方向または他方向)に基づいて、調整可能な流量制御弁は、コントローラによって所定の流量レベルまで開閉される。これは、検出された流体量に応じて、流量制御弁が例えば70%まで閉じられるか、または30%まで開かれることを意味し、これは、流体の30%が規定のタイムスパンで通過することができることを意味する。他のレベルも可能である。例えば、サイクルの終了を決定するとき、この値を弁に予め設定することができる。射出段階の間、レベルは、異なる速さで100%~0%の範囲で変更され得る。開放のレベルおよび開放の速さは、ニードルの開放に影響を及ぼす。流量制御弁の種類に応じて、異なる特性曲線がコントローラにプログラムされ、コントローラによって印加される電流/電圧に応じて開放を決定することを可能にする。
【0039】
可能な実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの流量センサの情報に基づいて、ピストン駆動部のピストンの位置を、おそらくは所定の時間間隔にわたる流量センサの情報に基づいて計算するように構成される。また、流量制御弁の電圧および/または特性曲線を計算に使用することができる。この特性曲線は、特定の電圧における開放レベルを規定する。また、特定の所定の圧力下で特定のレベルで特定の時間に通過した流体の量の情報を提供することを規定する特性曲線を使用することができる。
【0040】
可能な実施形態では、逆止弁が調整可能な流量制御弁に並列に接続され、ニードルを閉じ、それによってピストン駆動部のピストンを移動させるときにバイパスを提供する。
【0041】
上述のような2つの流量制御弁を有する構成では、2つの逆止弁を使用して、1つの流量制御弁が動作時に第2の制御弁と干渉することを回避することも可能である。流れが一方の流量制御弁によって制御される場合、他方の流量制御弁は閉じられ、逆止弁はアクティブであり、逆もまた同様である。
【0042】
流量センサの助けを借りて、調整可能な流量制御弁のより良好な制御を達成することができる。圧力ライン内の実際に測定された流量に起因して、アクチュエータシステムの状態をより高い精度で決定することができ、調整可能な流量制御弁の制御のタイミングおよびタイミングの正確性、したがって、射出段階中のニードルまたは他のアクチュエータシステムを改善することができる。
【0043】
特にカスケード接続されたアクチュエータシステムでは、コントローラは、タイマおよび異なるアクチュエータシステムの1つまたは複数のセンサに基づいて、アクチュエータシステムの少なくともいくつかを制御する。追加のセンサが可能であり得る。例えば、圧力ライン内の流体の圧力を測定するセンサである。流体の圧力は、ピストンの位置に関する追加の情報を提供する。また、通過する流体の速さは、構成要素を制御するために使用することができる情報を提供する。したがって、ライン内の流体の圧力を測定する少なくとも1つの圧力センサを追加または使用することが選択肢となる。流速に関する情報と組み合わせた圧力から、流れ方向および/または粘度に関する追加情報を導出することができる。
【0044】
経時的な流れ勾配は、ピストンの位置に関する情報を提供し、特に第1の流量センサの勾配および/または第3の流量センサの勾配は、特定の時間間隔において必要な情報を提供する。
【0045】
エラーまたはタイムオーバーランの場合、コントローラは、サイクルを開始するときに調整可能な流量弁をその初期位置にするように構成される。
【0046】
本発明の別の態様は、射出成形システムのアクチュエータを制御するための方法であり、アクチュエータは、成形ノズルを開閉するためのピストンを備える少なくとも1つのピストン駆動部を有する。電子的に調整可能な流量制御弁は、ピストン駆動部を駆動する圧力流体を絞ることによってピストン駆動部の動きに影響を与えるために使用される。圧力流体の流量を検出するための少なくとも1つの電子センサは、調整可能な流量制御弁を調整するためにコントローラに接続され、方法は、センサからの情報に基づいて、射出成形サイクルの開始を決定するステップと、コントローラによって射出成形サイクル中に調整可能な流量制御弁の絞りを制御し、それによってピストン、したがって成形ノズルの移動の位置、速さ、およびタイミングを制御するステップと、を含む。
【0047】
本発明の上記およびさらなる利点は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】ピストン駆動部と、切替弁と、調整可能な流量制御弁と、圧力ライン内のいくつかの流量センサとを備えるアクチュエータシステムを示す図である。
図2】コントローラによって制御される図1によるいくつかのアクチュエータシステムを備える射出成形システムを示す図である。
図3】射出成形サイクルのタイミング図である。
図4】調整可能な流量制御弁を制御することによる粘度の補償を示す図である。
図5】ピストン駆動部と、切替弁と、2つの調整可能な流量制御弁と、2つの流量センサとを圧力ライン内に備える、図1によるアクチュエータシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、ピストン駆動部10のシリンダ空間12に接続された圧力ラインL1とL3との間に導入される電気的に制御可能な流量制御弁20を備えるアクチュエータシステム100を示し、このシリンダ空間12に加圧媒体が供給されると、このシリンダ空間12を介してノズルが閉鎖される。流量制御弁20は、調整可能な絞り弁と、それと平行に位置する、通過方向がピストン-シリンダ駆動部10に向かう逆止弁22とからなる。逆止弁を有さない実施形態が可能である。制御可能な流量制御弁は、シリンダ空間12の外および/または中への加圧媒体の突然の流れ、したがって一時的に下流のノズルの突然の開放および/または閉鎖、したがってキャビティへの溶融物13の爆発的な射出を防止し、その結果、射出された物体上にフローフロントマーキングは生じない。この実施形態では、一体化することができ、したがって任意選択である逆止弁22が開示される。図示の構成では、ニードル弁ノズルの閉鎖は、絞り21と並列に位置する逆止弁22を介して制御することなくより速く行われる。
【0050】
シリンダ空間12から加圧媒体を交換するために、流量制御弁20を使用して、特定の速さ、レベルおよび/または時間遅延で各ノズルを開閉することができる。
【0051】
少なくとも1つのピストン駆動部10は、圧力が通過してピストンを駆動して成形ノズルを開閉する2つのコネクタCP2,CP3を有する。切替弁Vは、圧力ラインコネクタPおよびタンクラインコネクタT(図示せず)と、2つの切替圧力ラインコネクタCV1,CV2とを有し、第1の切替圧力ラインコネクタCV1は第1の圧力ラインL1に接続され、第2の切替圧力ラインコネクタCV2は第2の圧力ラインL2に接続されている。第2の圧力ラインL2は、ピストン駆動部10のコネクタCP2に接続されている。第1の位置では、CV1と圧力ラインPとの接続が確立され、CV2がタンクラインTに接続され、切替弁の切り替え後、CV1はタンクラインに接続され、CV2は圧力ラインPに接続される。調整可能な流量制御弁20は、第1の圧力ラインコネクタおよび第2の圧力ラインコネクタを有する。調整可能な流量制御弁の第1の圧力ラインコネクタは、切替弁Vの第1の圧力ラインコネクタCV1への接続を確立するために第1の圧力ラインL1に接続される。第2の圧力ラインコネクタは、ピストン駆動部10の第2のコネクタCP3への接続を確立する第3の圧力ラインL3に接続される。
【0052】
流量センサP1,P2,P3は、コントローラCの助けによって、射出成形システムの動作を制御するために使用可能な、第1、第2、および/または第3の圧力ラインL1,L2,L3における流れ(好ましくは時間あたりに通過する流体の量)を検知している。コントローラは、可能な実施形態では、流量センサの情報に基づいて、サイクルの前、サイクル中、および/またはサイクルの終わりに、調整可能な流量制御弁のみを制御する。他の実施形態では、コントローラはまた、機械の他の構成要素を制御するか、または機械の他の構成要素から情報を受信することができる。
【0053】
図2による射出成形システムでは、3つのニードル弁ノズルD1~D3が、他の点では示されていない成形ツールのキャビティに接続されている。ノズルの供給オリフィスの開閉は、弁ロッド11を介して達成され、弁ロッド11の各々は、そのピストン-シリンダ駆動部10によって駆動される。溶融物は、図示されていない射出成形機に接続された高温のランナ-ディストリビュータブロック(開示せず)を介してノズルに供給される。各ピストン-シリンダ駆動部10は、それぞれの切替弁(一ブロックとして示す)によって制御される。切替弁は、それらの接続Pを介して加圧媒体の供給源(図示せず)に接続され、それらの接続Tを介して減圧タンク空間(図示せず)に接続される。
【0054】
図2による射出成形システムを使用するカスケード射出成形システムでは、ノズルD1が最初に開く。フローフロントがノズルD2の供給オリフィスに到達するかまたはそれを通過すると、ノズル2が開き、それに対応して、フローフロントがノズルD3の供給オリフィスに到達したときにノズルD3が開く。
【0055】
時間設定要素および/または流量センサP3_V1~P3_V3を介して、ノズルの開閉のそれぞれの遅延時間を設定することができる。例えば、これらの遅延時間および/または流量値は、経験的に決定され得る。
【0056】
別の例では、一時的に下流のノズルを開くための正しい時間を決定するために、成形ツールの供給オリフィスにセンサを設けることができる。フローフロントの到達が図1には示されていない金型の横方向排出部に示されるチャネルに記録されることによって、光学的に動作する光学センサ、または圧力に基づいて動作する圧力センサ、または温度に基づいて動作する温度センサなど、様々なタイプの追加のセンサが考えられる。
【0057】
図2による実施形態では、この例ではノズルD1がカスケード成形のために最初に開くと仮定されているため、ノズルD1の加圧媒体ラインに流量制御弁20が存在しない(ただし、調整可能な流量制御弁を第1のアセンブリにも導入することも可能である)。流量制御弁20,20_V2,20_V3は、各ノズルの加圧媒体回路に設けられてもよく、これは、どのノズルからの射出が最初に発生するかをコントローラが事前に知らないためである。流量制御弁20は、上述したように、射出成形がカスケード射出成形ではない場合にも有利である。
【0058】
空気圧制御式ニードル弁ノズルの場合、図2を用いて説明した装置の有効性は、ガス状加圧媒体が圧縮可能であるという事実のために制限され得る。流量制御弁は、電磁石およびばねを介して作動され、絞りの強度を調整するために調整することができる。さらに、そのような流量制御弁は、コントローラCによって使用され得る追加の調整能力を有する。したがって、加圧媒体の貫流を、流量制御弁によって完全に中断することができる。
【0059】
図2のコントローラは、圧力ライン内の流量センサP3_V1,P3_V2および/またはP3_V3に基づいて調整可能な流量制御弁20_V2および/または20_V3を制御する。タイマ信号および/または圧力および/または流量情報の組み合わせは、ピストン駆動部およびニードルの状況の正確な決定を可能にする。例えば、コントローラCは、P3_V1の情報に基づいて、サイクルが開始するかどうかを決定することができ、これは、D1がP3_V1で測定された流量によって決定され得る成形プロセスにおいて作動/開放される第1のニードル弁ノズルであるためである。さらに、すべての流量センサP3_V1~P3_V3が、D1~D3が閉じていることを示す場合、射出段階は終了する。これらの2つの事象の間、および/または流量制御弁の前後に、圧力流体の流れ、したがってニードルの位置を制御するように調整することができ、これはやはり金型への流体の流れに影響を及ぼす。
【0060】
図3は、2つのアクチュエータD1およびD2がニードル弁ノズルを駆動するシステムの射出成形サイクルのタイミング例を示している。この例では、第2の弁ノズルD2は、特性曲線で説明される流量制御弁によって制御される。図3の最初の2つのラインでは、射出サイクルは時点T0~T7で示されている。射出サイクルは、通常の射出段階でのT1でのサイクルの開始、圧力射出段階、すべてのニードルを閉じた後のT6での冷却段階、金型の開放段階、製品の排出段階、および金型の閉鎖段階を含む、いくつかの段階を含む。したがって、射出段階は、2つの副段階、すなわち通常の射出段階および圧力射出段階を含む。2行目は、第1のアクチュエータD1および下方の第2のアクチュエータD2のタイミングを示している。第2のアクチュエータは、T1でのD1の動作から遅れてT2で動作を開始する。下方の一点鎖線の値図は、第2のアクチュエータのセンサP3によって測定された流速を示している。ニードルを開く(切替弁を切り替える)とき、T1からT6のタイムスパンでは流体がタンクに向かう方向に流れるため、流速は0を上回る。T6では、ニードルの閉鎖動作により流れが反転する。最初に、サイクルの開始時に、流量制御弁は、コントローラによって70%絞りに調整される。コントローラは流量変化を決定し、タイマの助けおよび/または流量変化により、絞りが変更される。この値は、射出段階中に60%~100%の間で変更される。点線は変化を示している。T3では、絞りは80%に変更され、T4では60%に変更され、T5では100%に変更される。シリンダ内に流入する一方向に測定された流体の総量は、ニードルの位置に対応し、実線で表示される。閉動作により、流体の量が逆流しているため、シリンダ内の値は0になる。絞りは、ニードルの位置を示す実線から導き出せるように、ニードルの位置/速さおよびニードルの速度に影響を与える。速度は、測定された圧力流体の流速に対応する。タンクへの方向の流れが増加すると、第1の一定速さでT2ではニードルが開き始め、T3で絞りが変更され、点線から導き出すことができる開放の速さが低下する。T4では、流量弁がT5で60%に開かれ、絞りが100%である(閉じられている)ため、ニードル速さが増加され、速さは0に低下し、ニードルの位置は一定である。T6では、切替弁が切り替えられているため、再びニードルが閉じられる。流れは、センサにおいて反対方向に増加し、負の速度をもたらす。
【0061】
図4は、経時的な圧力流体の粘度の変化の補償を示している。予め設定された粘度は、コントローラによって設定される。流体制御弁の位置の知識により、流体センサは圧力流体の流速を測定することができ、したがって粘度が予め設定された値の範囲内にあるかどうかを判定することができる。期間T0~T1では、粘度が予め設定された値よりも高いため、流量制御弁の絞りが減少し、これは、より多くの流体が通過できることを意味する。プロセスT1~T2の間、流体は加熱され、測定される粘度は低下し、したがって絞りは70%に増加する。T2とT3との間で、粘度は安定しており、絞りに影響を与えない。
【0062】
図5は、図1の概念に基づくアクチュエータシステムを示している。図1のシステムに加えて、第2の調整可能な流量制御弁20aおよび第2の逆止弁22aは、圧力ラインL2に一体化され、圧力ラインL2をラインL2およびL4に分割する。コントローラCは、2つの流量センサP2およびP3ならびに2つの調整可能な流量制御弁に接続されている。この手法は、ニードルを開閉するときに、ピストンの動きの両方向の流れを制御することを可能にする。粘度の変動も補償することができる。2つの逆止弁は、一方の流量制御弁が閉じているときにバイパスを可能にする機能を有し、その結果、両方の流量制御弁が同時にアクティブになるわけではない。
【0063】
以上、本発明を例示的に説明した。使用されている用語は、限定的なものではなく説明的な単語の性質であることが意図されていることを理解されたい。本発明の多くの修正および変形は、上記の教示に照らして可能である。したがって、本発明は、具体的に説明した以外の方法で実施されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】