(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】締結具送出装置
(51)【国際特許分類】
B21J 15/02 20060101AFI20220818BHJP
B21J 15/32 20060101ALI20220818BHJP
F16B 1/02 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
B21J15/02 Z
B21J15/32 G
F16B1/02 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576082
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-02-18
(86)【国際出願番号】 EP2020066520
(87)【国際公開番号】W WO2020254263
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520190665
【氏名又は名称】アトラス コプコ アイエーエス ユーケー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO IAS UK LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ガルヴィン, フレッド
(57)【要約】
本発明は締結具送出装置に関する。本装置は、締結具をワークピースに向かって移送するように構成されたノーズアセンブリを備える。ノーズアセンブリは、バレルと、締結具整列デバイスとを備え、バレルは、長手方向軸線を有する穴と、ワークピースに係合するための遠位端とを備える。また、本装置は、穴を通して締結具を付勢するように構成されたアクチュエータを備える。締結具整列デバイスは、バレルの遠位端に向かって延びる複数の弾性アームを備え、複数の弾性アームのそれぞれの少なくとも一部は、バレルに設けられた開口を通して穴内に突出し、複数の弾性アームは、締結具に係合するように半径方向内向きに付勢され、弾性アームは、最大撓み状態においては、弾性アームがバレルの前記外周を越えないように構成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
締結具をワークピースに向かって移送するように構成されたノーズアセンブリであって、バレルと締結具整列デバイスとを備え、前記バレルが、長手方向軸線を有する穴と、前記ワークピースに係合する遠位端とを備える、ノーズアセンブリと、
前記穴を通して前記締結具を押し動かすように構成されたアクチュエータと
を備える、締結具送出装置であって、
前記締結具整列デバイスが、前記バレルの前記遠位端に向かって延びる複数の弾性アームを備え、
前記複数の弾性アームのそれぞれの少なくとも一部が、前記バレルに設けられた開口を通して前記穴内に突出し、
前記複数の弾性アームが、前記締結具に係合するように半径方向内向きに付勢され、
前記弾性アームは、最大撓み状態において前記弾性アームが前記バレルの外周を越えないように構成されている、締結具送出装置。
【請求項2】
休止状態において、前記複数の弾性アームの少なくとも一部が前記バレルの外面に接するように配置され、それによって、前記複数の弾性アームが前記休止状態にあるときに複数の前記弾性アームの位置を定める、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項3】
前記ノーズアセンブリが、前記バレルを受け入れるアダプタを備え、前記締結具整列デバイスの一部が、前記バレルと前記アダプタとの間に保持される、請求項1又は2に記載の締結具送出装置。
【請求項4】
前記最大撓み状態における前記長手方向軸線に垂直な軸線に対する前記弾性アームの内包的な角度が90度未満である、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項5】
撓みが0において、前記バレルの前記長手方向軸線に垂直な軸線に対する前記弾性アームの角度が約76度~約81.5度である、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項6】
前記締結具整列デバイスが環状部材をさらに備え、前記複数の弾性アームの各々が前記環状部材に連結されている、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項7】
前記弾性アームは、前記締結具が前記アクチュエータによって前記穴を通って付勢されたときに半径方向外向きに撓み、前記締結具が前記穴から出ることを可能にする、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項8】
前記締結具整列デバイスが、前記複数の弾性アームの各々の遠位端に固定された複数の締結具係合部材をさらに備える、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項9】
前記締結具係合部材がオフセット半球体を備える、請求項8に記載の締結具送出装置。
【請求項10】
前記締結具がリベットである、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項11】
前記複数の弾性アームが3本の弾性アームである、請求項1に記載の締結具送出装置。
【請求項12】
締結具をワークピースに送出する方法であって、
締結具送出装置のバレルの穴を通して締結具を移動させるステップと、
前記締結具の少なくとも一部を締結具整列デバイスで把持するステップであって、前記締結具整列デバイスが前記バレルの遠位端に向かって延びる複数の弾性アームを備え、前記複数の弾性アームのそれぞれの少なくとも一部が前記バレルに設けられた開口を通して前記バレルの前記穴内に突出する、ステップと、
アクチュエータで前記締結具を駆動するステップと
を含み、
前記締結具の駆動は、前記締結具が前記締結具整列デバイスを通過して前記バレルから出ることを可能にするように、前記弾性アームが半径方向外向きに撓むことをもたらし、
最大撓み状態においては、前記複数の弾性アームは前記バレルの外周を越えない、方法。
【請求項13】
休止状態において、前記複数の弾性アームの少なくとも一部が前記バレルの外面に接するように配置され、それによって、前記複数の弾性アームが前記休止状態にあるときに前記複数の弾性アームの位置を定める、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ノーズアセンブリが、前記バレルを受け入れるアダプタを備え、前記締結具整列デバイスの一部が前記バレルと前記アダプタとの間に保持される、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記最大撓み状態における長手方向軸線に垂直な軸線に対する前記弾性アームの内包的な角度が90度未満である、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
撓みが0において、前記バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する前記弾性アームの角度が約76度~約81.5度である、請求項12~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記締結具整列デバイスが環状部材をさらに備え、前記複数の弾性アームの各々が前記環状部材に連結される、請求項12~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記弾性アームは、前記締結具が前記アクチュエータによって前記穴を通って付勢されたときに半径方向外向きに撓み、前記締結具が前記穴から出ることを可能にする、請求項12~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記締結具整列デバイスが、前記複数の弾性アームの各々の遠位端に固定される複数の締結具係合部材をさらに備える、請求項12~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記締結具係合部材がオフセット半球体を備える、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記締結具がリベットである、請求項12~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記複数の弾性アームが3本の弾性アームである、請求項12~21のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締結具送出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
「締結具」という用語は、本明細書では、リベット、ねじ、スラグ(詰め物)、溶接スタッド、機械的スタッド、及び他の種類の締結デバイスを含むものとして使用される。
【0003】
公知の締結具送出装置はノーズアセンブリを含み、締結具は、締結具格納位置からノーズアセンブリに通され、またアクチュエータによってノーズアセンブリからワークピース(加工対象物)に挿入される。ノーズアセンブリは、締結具がワークピース内に挿入される前に締結具及びアクチュエータが通る中央穴を含む。ノーズアセンブリは、中央穴の遠位端に隣接して設けられた締結具整列デバイスをさらに有する。締結具整列デバイスは、締結具がノーズアセンブリから落下するのを防止するように働く。締結具整列デバイスは、例えば、締結具がノーズアセンブリの下端部に達したときに締結具と係合するように中央穴に向かって弾性的に付勢される複数のボール又はローラを有してもよい。締結具がノーズアセンブリから落下するのを防止することに加えて、ボール又はローラは、締結具がワークピース内に挿入される前に締結具が所望の向きとなり中央穴内で心合わせされることを確実にするのを助ける。
【0004】
多様な様々な位置でワークピースを互いに締結できることが望ましい。例えば、障害物に隣接して配置された物体(例えば、自動車のドア窓から突出する樋)やその他の何らかのワークピースから突出するフランジを互いに締結することが望ましい場合がある。しかし、締結具挿入装置は、締結具挿入装置のノーズアセンブリの直径に少なくとも等しい(又は実質的に等しい)距離だけワークピースが障害物から突出しない限り、ワークピースを締結することができない場合がある。
【0005】
したがって、少なくともいくつかの公知の先行技術の締結具送出装置と比較して、少なくとも1つの方向においてより狭いノーズアセンブリを有する締結具送出装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の第1の態様は、締結具送出装置に関する。締結具送出装置は、締結具をワークピースに向かって移送するように構成されたノーズアセンブリを備え、ノーズアセンブリは、バレル(筒状部材)と締結具整列デバイスとを備える。バレルは、長手方向軸線を有する穴と、ワークピースに係合するための遠位端と備える。さらに、締結具送出装置は、穴を通して締結具を付勢するように構成されたアクチュエータを備える。締結具整列デバイスは、バレルの遠位端に向かって延びる複数の弾性アームを含む。複数の弾性アームの各々の少なくとも一部は、バレルに設けられた開口を通して穴内に突出する。複数の弾性アームは、締結具に係合するように半径方向内向きに付勢される。弾性アームは、最大撓み状態においては、弾性アームがバレルの外周を越えないように構成されている。
【0007】
従来のノーズアセンブリは、典型的には、バレルの穴とバレルの外面との間に配置された容積部又はキャビティを有し、この容積部又はキャビティは、締結具整列デバイスを収容する。そのようなアセンブリは、典型的には、容積部又はキャビティの内壁に係合する付勢部材を利用することによって、締結具を保持及び/又は整列させる。この容積部又はキャビティを設けることは、バレルの壁厚(すなわち、バレルの穴を差し引いたバレルの外面)が、締結具整列デバイスを収容することができるように十分に厚いことを必要とする。本発明は、バレルの遠位端に向かって延び、バレルに設けられた開口を通してバレルの中央穴内に突出する弾性アームを利用するという点で有利である。弾性アームはそれ自体が弾性であり、したがって板ばねとして作用し、半径方向内向きに作用する付勢力をもたらすために内面に係合することを必要としない。したがって、バレルは内容積部を備える必要がなく、バレルの外径を小さくすることができる。これは、公知のバレルアセンブリと比較して、バレルをより空間効率的にする。さらに、本発明は、他の方法ではアクセスできないワークピースの領域で使用することができる。
【0008】
締結具送出装置は所要の作業空間を有する。必要とされる作業空間は、装置の動作中の任意の点において装置によって占有される最大空間を意味すると理解されるとよい。これは、例えば、1つの動作中に突出しない構成要素が、異なる動作中に突出することが多いためであり得る。有利には、バレルの外周を越えて通過しない締結具整列デバイスを提供することによって、バレルの必要な作業空間が最小化される。締結具送出装置の必要な作業空間を最小限に抑えることは、そうでなければアクセスできないワークピースの領域へのアクセスを可能にするので、望ましい。
【0009】
いくつかの実施形態では、休止状態において、複数の弾性アームの少なくとも一部は、バレルの外面に接するように配置され、それによって、複数の弾性アームが休止状態にあるときの複数の弾性アームの位置を定める。
【0010】
既知の締結具整列デバイスは、典型的には、内部キャビテカ内に配置され、したがって、バレルの内面に接するように配置される。これは、上述したように、バレル直径を大きくする。本発明の締結具整列デバイスはバレルの外部に配置され、従ってバレルは締結具整列デバイスを収容するための内部キャビティを必要としない。
【0011】
いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリは、バレルを受け入れるアダプタを備え、締結具整列デバイスの一部は、バレルとアダプタとの間に保持される。
【0012】
締結具が通過できるように締結具整列デバイスが撓められるとき、締結具整列デバイスは、ニュートンの第3法則を満たすために、締結具整列デバイスが荷重を及ぼすことができる面を必要とする。ノーズアダプタとバレルとの間に締結具整列デバイスを保持することは、締結具整列デバイスを軸線方向に(すなわち、穴の長手方向軸線に平行に)把持し、したがって、必要とされる面を空間効率的に提供する点で、有利である。他の方法及び/又は構成要素を使用して、締結具整列デバイスに必要な面を提供することができることは理解されよう。
【0013】
いくつかの実施形態では、最大撓み状態における長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの内包的な角度は90度未満である。
【0014】
有利なことに、これは、弾性アームがバレルの周囲を越えないことを確実にし、したがって、より空間効率のよいノーズアセンブリをもたらす。
【0015】
いくつかの実施形態では、撓みが0において、バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの角度は約72.5度~約81.5度である。他の実施形態では、撓みが0において、バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの角度は約72.5度~約77.5度である。他の実施形態では、撓みが0において、バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの角度は約76度~約81.5度である。
【0016】
このような角度範囲により、弾性アームは、最大撓み時にバレルの周囲を越えて撓むことなく締結具に係合することができる点で有利である。
【0017】
いくつかの実施形態では、締結具整列デバイスは環状部材をさらに備え、複数の弾性アームの各々は環状部材に連結される。
【0018】
いくつかの実施形態では、弾性アームは、締結具がアクチュエータによって穴を通して付勢されると、半径方向外向きに撓み、締結具が穴から出ることを可能にする。
【0019】
いくつかの実施形態では、締結具整列デバイスは、複数の弾性アームの各々の遠位端に固定された複数の締結具係合部材をさらに備える。
【0020】
有利なことに、締結具係合部材は、穴を通過する締結具に係合する締結具整列デバイスの能力を向上させることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、締結具係合部材はオフセット半球体を備える。
【0022】
オフセット半球体は、半球の平坦面に平行な半球のスライス部分が除去されるような態様で半球が調整された半球を意味すると理解されたい。
【0023】
有利には、これにより、締結具整列デバイスを通る締結具の滑らかな通過を維持しながら、締結具送出装置の必要な作業空間を減少させることができる。オフセット半球体は、非オフセット半球体と比較して、締結具係合部材が中央穴内に深く突出しないので、最大撓みを低減する。
【0024】
いくつかの実施形態では、締結具はリベットである。
【0025】
いくつかの実施形態では、複数の弾性アームは3本の弾性アームを含む。
【0026】
これは、締結具がバレルの中央穴と同軸となることを可能にする点で有利である。これは、締結具がワークピースに正確に挿入されることを確実にするのに役立つ。
【0027】
本発明の第2の態様は、締結具をワークピースに送出する方法に関する。本方法は、締結具送出装置のバレルの穴を通して締結具を移動させることと、締結具の少なくとも一部を締結具整列デバイスで把持することとを含む。締結具整列デバイスは、バレルの遠位端に向かって延びる複数の弾性アームを含む。複数の弾性アームの各々の少なくとも一部は、バレルに設けられた開口を通してバレルの穴内に突出する。本方法はさらに、アクチュエータを用いて締結具を駆動することを含む。締結具を駆動すると、弾性アームが半径方向外向きに撓んで締結具が締結具整列デバイスを通過してバレルから出ることができるようになる。最大撓み状態では、複数の弾性アームはバレルの周囲を越えることはない。
【0028】
いくつかの実施形態では、休止状態において、複数の弾性アームの少なくとも一部は、バレルの外面に接するように配置され、それによって、複数の弾性アームが休止状態にあるときの複数の弾性アームの位置を定める。
【0029】
いくつかの実施形態では、ノーズアセンブリは、バレルを受け入れるアダプタを備え、締結具整列デバイスの一部は、バレルとアダプタとの間に保持される。
【0030】
いくつかの実施形態では、最大撓み状態における長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの内包的な角度は90度未満である。
【0031】
いくつかの実施形態では、撓みが0において、バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの角度は約72.5度~約81.5度である。他の実施形態では、撓みが0において、バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの角度は約72.5度~約77.5度である。他の実施形態では、撓みが0において、バレルの長手方向軸線に垂直な軸線に対する弾性アームの角度は約76度~約81.5度である。
【0032】
いくつかの実施形態では、締結具整列デバイスは環状部材をさらに備え、複数の弾性アームの各々は環状部材に連結される。
【0033】
いくつかの実施形態では、弾性アームは、締結具がアクチュエータによって穴を通して付勢されると、半径方向外向きに撓み、締結具が穴から出ることを可能にする。
【0034】
いくつかの実施形態では、締結具整列デバイスは、複数の弾性アームの各々の遠位端に固定された複数の締結具係合部材をさらに備える。
【0035】
いくつかの実施形態では、締結具係合部材はオフセット半球体を備える。
【0036】
いくつかの実施形態では、締結具はリベットである。
【0037】
いくつかの実施形態では、複数の弾性アームは3本の弾性アームを含む。
【0038】
本発明の一態様に関して開示された特徴は、本発明の他の態様と組み合わせることもできる。
【0039】
以下、本発明を次の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】撓んでいない状態の締結具保持デバイスを含む、本発明の一実施形態による締結具送出装置の断面図である。
【
図3】締結具保持デバイスの締結具係合構成要素の斜視図である。
【
図4】締結具保持デバイスのバレルの斜視図である。
【
図5】中間状態における締結具保持デバイスの断面図である。
【
図6】締結具保持デバイスが最大撓み状態にある締結具送出装置の断面図である。
【
図7】変更された締結具保持デバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図8を参照すると、締結具挿入装置は典型的にはリベット取付機Aを備え、このリベット取付機Aは、C形フレームCの下部顎部B’に配置された締結具かしめダイDの上方でC形フレームCの上部顎部Bによって支持されている。リベットは、当該技術分野で周知のように、ダイD上に支持されたワークピース(図示せず)にリベット取付機によって挿入される。
【0042】
リベット取付機Aは、円筒形ハウジングF内の往復動アクチュエータ(パンチと称されることがあり、図では見えない)を駆動するように動作する電気駆動装置E(油圧式又は空気圧式などの他のタイプの駆動装置を使用することもできる)と、ノーズアセンブリGとを備えてもよい。リベットは、アクチュエータによってワークピースに挿入するためにノーズアセンブリGに装填される。リベットは、ドッキングステーションIを介してリベット挿入装置に取外し可能に接続することができる送出管Hを通して、バルクフィーダ(図示せず)から空気圧下又はガス圧下で供給されてもよい。ドッキングステーションIの一方の半分は送出管Hの一端に接続され、他方の半分(ロボット取付板上に支持されている)はバッファマガジンJの入口に接続されている。供給されるリベットは、バッファマガジン内に断続的に装填され、次いで、脱進機機構及び(可撓性の)供給管を通してリベット取付機に個々に供給される。環状近接センサKは、管内のリベットの通過を検出する。リベットは、ノーズアセンブリGに直接隣接して取り付けられたノーズアセンブリフィーダアセンブリLを経てアクチュエータに送られる。リベットは、アクチュエータに送られると、アクチュエータに係合され、ノーズアセンブリGを通ってワークピース内に進むことができる。本発明は、ノーズアセンブリの構成に関する。
【0043】
空気圧又はガス圧を使用してリベットを第1の送出管を通して供給することの代替案(図示せず)として、リベットは、テープと呼ばれることがあるウェブを使用して供給されてもよい。テープは、例えば、プラスチックから作られてもよく、ウェブに安定性を与えるのを助けると共に、ノーズアセンブリ内に切り入れられた部分を通してウェブを誘導するのを助けることができるフランジを含んでもよい。アクチュエータは、リベットをテープからノーズアセンブリを通してワークピースに打ち込むために使用される。
【0044】
使用中、ウェブは、リベットがアクチュエータの下方に位置するまで、前記部分を通して移動される。次に、アクチュエータを、ウェブを通して下方に移動させ、それによりリベットをウェブからノーズアセンブリの中央穴に押し込む。リベットは、ノーズアセンブリの下端部に設けられた締結具整列デバイス(以下にさらに説明する)によって所望の向きに保持される。アクチュエータは、リベットを係合し、リベットをノーズアセンブリからワークピースに押し込む。次いで、アクチュエータをノーズアセンブリ及びウェブから引き出す。次に、新しいリベットがアクチュエータの下方に位置するまでウェブを移動させ、その後、装置の動作を繰り返す。
【0045】
上記の方法のいずれにおいても、締結具がアクチュエータに係合されると、本発明は、概ね同様に動作する。したがって、以下の開示は、両方の方法にも適用可能である。
【0046】
ここで
図1を参照すると、本発明の一実施形態によるノーズアセンブリ2が示されている。ノーズアセンブリ2は、バレル4及び締結具保持デバイス6を備える。
【0047】
バレル4は中央穴8を備え、この穴8は、長手方向軸線10と、ワークピース(図示せず)に係合するための平坦な遠位端12とを有する。バレルの中央穴8は、均一な直径であっても、そうでなくてもよい。バレル4は、遠位部分14と近位部分16とを備える。遠位部分14の外径は、近位部分16の外径より大きくてもよい。図示実施形態では、バレル4の近位部分16は、アダプタ18によって受け入れられる。バレル4は、必ずしも断面が円形の外面を有する必要はないことは理解されよう。バレル4の外面は、正方形、五角形、六角形、又はその他の任意の好適な断面形状であってもよい。
【0048】
アダプタ18は、バレル4の穴8と同軸である中央穴20を備える。アダプタ18は、遠位部分22及び近位部分24を備える。図示実施形態では、アダプタ18の中央穴20の直径は、近位部分24よりも遠位部分22の方が大きい。遠位部分22内の穴20の内径は、バレル4の近位部分16の外径に概ね対応するとよい。これは、バレル4の近位部分16がアダプタ18によって受け入れられることを可能にする。上述したように、アダプタ18の中央穴8は均一な直径ではない。しかしながら、他の実施形態では、反対に、アダプタの中央穴は均一な直径であってもよい。
【0049】
上記の代替案(図示せず)では、バレル4の近位部分16の内径は、アダプタ18の遠位部分22の外径とほぼ一致するようにしてもよい。したがって、アダプタ18の遠位部分22は、バレル4の近位部分16によって受容され得る。バレル4をアダプタ18に固定するための以下に説明する方法は、必要に応じて適切な変更を加えて、この実施形態に適用される。
【0050】
バレル4は、任意の適切な手段によってアダプタ18に固定することができる。図示実施形態では、アダプタ18の遠位部分22は、半径方向ねじ付きの開口(図示せず)を有する。その場合、締結具(図示せず)、例えばグラブねじ又はボルトを半径方向ねじ付きの開口内に挿入し、バレル4の近位部分16に係合させることができる。これにより、締結具とバレル4の近位部分16との間に摩擦が生じ、それにより、アダプタ18に対するバレル4の位置が固定される。バレル4は、ホイッスルフラットとして当技術分野で知られている平坦部分17を備えることができる。平坦部分17は、
図4において見ることができるように、バレル4の近位部分16に配置されている。平坦部分17は、上述の締結具によって係合されてもよく、締結具によって加えられる荷重が、締結具とアダプタ4との間の接触領域によって、(締結具が非平面に係合する場合と比較して)より均一に分散されることを可能にする。加えて、平坦面17は、バレル4の穴8の中心軸線10に向かって傾斜している。これにより、アダプタ18に対するバレル4の軸線方向の移動が防止され、したがって、アダプタ内でのバレルの保持に寄与する。
【0051】
あるいは、図示されていない実施形態では、バレル4は、締まり嵌めによりアダプタ18の穴20によって受け入れられてもよい。さらに代替として、図示されていない実施形態において、アダプタ18の中央穴20がねじ切りされ、バレル4の近位部分16の外径部がねじ切りされてもよく、これによって、バレル4がアダプタ18に螺合されることが可能となる。さらに代替として、図示されていない実施形態において、バレル4は、適切な接着剤によってアダプタ18の中央穴20に接着されてもよい。アダプタ及びバレルは、任意の適切な材料(例えば、硬化鋼)から作られてもよい。
【0052】
上述したように、アダプタ18の中央穴20とバレル4の穴8とは同軸である。これにより、アクチュエータ19は、アダプタ18の中央穴20及びバレル4の中央穴8を通過することができる。上述したように、リベットは、アクチュエータ19による係合のために供給される。リベットがアクチュエータ19に係合されると、リベット及びアクチュエータ19は、以下に詳細に説明するように、アダプタ18の中央穴20及びバレル4の中央穴8を通って移動する。
【0053】
現在説明している実施形態は、アダプタによって受け入れられる別個のバレルを含むが、他の実施形態では、バレル及びアダプタは一体型であってもよい。
【0054】
上述したように、ノーズアセンブリ2は、
図2に明示する締結具保持デバイス6を備える。締結具保持デバイス6は、ワークピースに挿入されるリベットがバレル4の中央穴8から簡単に落下してしまうことを防止するように設けられている。締結具保持デバイスはまた、リベットにバレル4の長手方向軸線10に対する所望の向き及び整列状態をもたらすために設けられている。したがって、締結具保持デバイス6は、締結具整列デバイス6とも称され得る。
【0055】
締結具保持デバイス6は、長手方向中心軸線25を備える。締結具保持デバイス6は、弾性アーム26を備える。弾性アーム26の各々は、締結具保持デバイス6によって受け入れられたリベットに付勢力を及ぼすように構成され、この付勢力は長手方向中心軸線25の方に向けられる。弾性アーム26の各々の付勢力の方向によって定められる軸線は、締結具保持デバイス6長手方向中心軸線25上で概ね交差する。弾性アーム26によって与えられる付勢力は、締結具保持デバイス6が、バレル4の中央穴8を通過するリベットを把持し、リベットを所望の向きとし、リベットを中央穴内に整列させることを可能にする。締結具保持デバイス6は、3本の弾性アーム26を有するものとして示されているが、締結具保持デバイス26は任意の好適な本数の弾性アーム26を有してもよい。一般に、3本の弾性アーム26を備えた締結具保持デバイス6は、締結具がワークピースに挿入される直前に締結具がバレル4の中央穴8と同軸であることを保証するのに十分な支持で締結具を保持しかつ整列させることができる。加えて、3本の弾性アーム26を有する締結具保持デバイス6は、製造及びノーズアセンブリ2への組付けが簡単である。3本よりも多い弾性アーム26を有する締結具保持デバイス6はまた、締結具がバレル4の中央穴8と同軸であることを確実にすることができるが、製造及びノーズアセンブリ2への組付けの複雑さを増す。締結具保持デバイス6は、少なくとも2本の弾性アーム26を備えるべきであるが、2本の弾性アームのみが使用された場合、締結具がワークピースに挿入される前にバレル4の中央穴8と同軸ではないという恐れがある。締結具がバレル4の中央穴8と同軸でない場合、締結具が中央穴10の壁を傷つけ、及び/又は締結具が中央穴の壁によって傷付けられる恐れがある。
【0056】
本実施形態では、弾性アーム26、したがって各アームの締結具係合部分33(以下を参照)は、中心軸線の周りに等角度で離間されている。すなわち、本実施形態では、弾性アームのうちの1つの位置とそれに隣接する弾性アームとの間に約120°の間隔がある。他の実施形態では、そうである必要はなく、中心軸線の周りで弾性アーム間に任意の適切な角度間隔があってもよい。
【0057】
図示実施形態では、弾性アーム26の各々は、近位端30において環状部材28に連結されている。しかしながら、環状部材は省略されてもよいことは理解されるであろう。その場合、弾性アーム26は、代わりに、バレル4に個々に接続される別個の構成要素として設けられてもよい。しかしながら、弾性アーム26を環状部材28又は他の共通の固定部材(締結具が通過することができる開口部を含む)に接続することにより、締結具保持デバイス6をノーズアセンブリ2に容易に組み付けることができることは理解されよう。
【0058】
各弾性アーム26は、締結具係合部分33を含む。図示実施形態では、締結具係合部分33は、弾性アーム26とは別個に形成され、弾性アームに取り付けられた締結具係合部材34である。締結具係合部材34は、各弾性アーム26の遠位端32に取り付けられる。代替の構成では、各弾性アーム26の遠位端32は、締結具保持デバイス6の長手方向中心軸線25に向かって曲げられてもよく、それによって締結具係合部分33を形成する(すなわち、締結具係合部分は弾性アーム26と一体的に形成されてもよい)。以下に説明する図示実施形態では、締結具係合部分33は締結具係合部材34であるが、説明及び図示した特徴は、弾性アーム26と一体的に形成された締結具係合部分として実施することができる。
【0059】
図から分かるように、弾性アーム26は、長手方向中心軸線25に向かって角度が付けられている。締結具保持デバイス6は、ある種の鋼、例えばばね鋼で作られてもよい。あるいは、締結具保持デバイスはベリリウム銅で作られてもよい。
【0060】
締結具係合部材34は
図3に示されている。締結具係合部材34の各々は同一であってもよい。図示実施形態では、締結具係合部材34はオフセット半球体36を含む。オフセット半球体36は、ドーム面38と円形面40とを含む。締結具係合部材34はまた、オフセット半球体36の円形面40から突出するシャフト42を備える。シャフト42は、円形面40のほぼ中心に配置されている。シャフト42は、必ずしも円形面40の中心に配置する必要はないことは理解されよう。締結具係合部材34は、ステンレス鋼又はその他の任意の好適な材料等の金属から作られ得る。
【0061】
ここで、「オフセット半球体」とは、締結具係合部材34の各々のドーム面38が完全な半球ではないことを意味する。その代わりに、ドーム面38は、円形面40に垂直な方向において完全な半球の半分より小さいものからなる。これは、締結具係合部材34がバレル4の中央穴8内に突出することを可能にしながら、バレル4への締結具保持デバイス6の組付けみ中に弾性アーム26が塑性変形を受けることを回避する点で有効である。
【0062】
再び
図2を参照すると、締結具係合部材34の各々は、対応の弾性アーム26の開口44内に受け入れられる。締結具係合部材34は、締結具係合部材34を対応の弾性アーム26に対して固定するために、対応の弾性アーム26に据込み加工される。しかしながら、締結具係合部材34は、任意の適切な手段によって対応の弾性アーム26に固定されてもよいことは理解されよう。例えば、図示されていない実施形態では、締結具係合部材34は、適切な接着剤によって対応の弾性アーム26に接着されてもよい(この場合、締結具係合部材34は、シャフト42を備えても備えなくてもよい)。代替として、図示されていない実施形態では、弾性アーム26の開口44及び締結具係合部材34のシャフト42はねじ切りされてもよく、これにより締結具係合部材34のシャフト42は弾性アーム26の開口44に螺合され得る。この構成は、逆に適用することもでき、すなわち、弾性アーム26はそれぞれ、対応の弾性アーム26に対して垂直に延びるねじ付きシャフトを備えてもよく、締結具係合部材34の円形面40は、対応の弾性アーム26のねじ付きシャフトを受け入れるねじ付き凹部を備えてもよい。あるいは、図示されていない実施形態では、締結具係合部材34は弾性アーム26に溶接されてもよい。締結具係合部材34は、任意の適切な方法で弾性アーム26に取り付けることができる。
【0063】
ここで
図4を参照すると、バレル4は、開口46をさらに備える。開口46は、バレル4の平坦な遠位端12に隣接して配置されてもよい。図示実施形態では、開口46は、締結具係合部材34がバレル4の中央穴8内に突出することができるよう、締結具係合部材34を受け入れるように寸法決めされている。開口46は、隙間嵌めにより締結具係合部材34を受け入れる。したがって、締結具係合部材34は開口46を実質的に閉鎖するが、締結具係合部材34と対応の開口との間に隙間が設けられ得ることは理解されよう。有利なことに、これは、なんらかの異物が開口46を通してバレル4から出ることを実質的に防止する。開口46の数は、弾性アーム26の数に対応すべきであることも理解されよう。
【0064】
バレル4は、凹部48をさらに備える。凹部48の各々は、対応の開口46まで延びている。凹部48の各々は凹面49を有する。凹部48は、バレル4の遠位部分14の外面51に形成されている。凹部48は、バレル4の外面51内に径方向に延びる。その結果、凹面49は、バレル4の外面51の一部を形成する。各凹部48は載置面50を有する。凹部48がバレル4の外面51に形成されているので、載置面50も外面となる。凹部48の数は、弾性アーム26の数に対応してもよいことは理解されよう。
【0065】
図1に示すように、ノーズアセンブリ2が組み立てられ、締結具保持デバイス6が休止状態にあるとき、弾性アーム26は対応の載置面50に載置される。載置面50は、締結具保持デバイス6が休止状態にあるとき(すなわち、リベットが締結具保持デバイスによって係合されていないとき)、弾性アーム26の位置を定める。弾性アーム26と中心軸線10に垂直な軸視線との間の角度は70~80度であってもよい。特に、弾性アーム26と中心軸線10に垂直な軸線との間の角度は、72.5~77.5度であってもよい。特に、弾性アーム26と中心軸線10に垂直な軸線との間の角度は、約75度であってもよい。
【0066】
図示実施形態では、載置面50は平坦面として示されている。しかしながら、載置面50は、弾性アーム26が適切な位置で載置されるのであれば、いかなる適切な幾何学的形状であってもよい。バレル4は、任意の適切なプロセスを通して製造され得る。例えば、バレル4は、中実から機械加工されてもよい。代替的に、バレル4は3D印刷によって製造されてもよい。
【0067】
バレル4には凹部48を設ける必要はない。代わりとして、図示されていない実施形態では、バレル4は、弾性アーム26がバレル4の中央穴8の中心軸線10に向かって延びることを可能にする縮径された外径の軸線方向部分を含んでもよい。縮径部分は、直径が一定であってもよいし、弾性アームが休止状態にあるときにバレル4の外面51の形状が弾性アーム26の形状に対応するように外径が変化していてもよい。凹部48は、弾性アーム26の各々の周方向位置も確保するので、凹部48を設けることが好ましい。加えて、凹部48を設けることは、縮径された軸線方向部分を設けることと比較して、除去すべき材料をより少なくすることができる。これはバレル4の堅牢性を向上させ、これはリベット締めプロセス中にバレルが受ける荷重故に有益である。
【0068】
締結具保持デバイス6をバレル4に組み付けるために、弾性アーム26は、半径方向外向きに撓むように変形されるべきである。これは、手動で又は機械を用いて行うことができる。弾性アーム26は、締結具保持デバイス6の長手方向中心軸線25から弾性アーム26の各々の遠位端32の半径方向における最も内側の点までの半径方向距離が、バレル4の中央穴8の中心軸線10から凹面49の半径方向における最も内側の点までの半径方向距離よりも大きくなるように変形されるべきである。これにより、締結具保持デバイス6の長手方向中心軸線25がバレル4の穴8の長手方向中心軸線10と同軸であるとき、弾性アーム26の各々が対応の凹部48によって受け入れられることが可能になる。次に、締結具保持デバイス6をバレル4に対して軸線方向に並進させることができ、逆もまた同様であり、その結果、凹部48は対応の弾性アーム26を受け入れて、締結具係合部材34は対応の開口46によって受け入れられる。
【0069】
図7は、締結具保持デバイス58の別の実施形態を示す。締結具保持デバイス58は、上述した締結具保持デバイス26とほぼ同じである。締結具保持デバイス58は、締結具保持デバイス26と同様に動作する。締結具保持デバイス26、58は、それらの軸線方向長さが異なる。短くされた遠位部分14を有するバレル4を提供することが望ましい場合がある。短くされた遠位部分14を有するバレル4が使用される場合、短くされた締結具保持デバイス58もまた使用されなければならない。これは、バレル4の開口46が、バレルの遠位部分14の長さにかかわらず、バレルの平坦な遠位端12から同じ距離だけ離間されることを確実にするためである。バレルの長さは、締結具保持デバイスの特定の用途を考慮して、任意の適切な長さになるように選択することができる。例えば、バレルの長さは、リベット取付機のストローク及び/又はワークピースに利用可能なアクセスの程度によって決定され得る。
【0070】
次に
図1、
図5及び
図6を参照して、ノーズアセンブリ2の使用法について説明する。リベット52は、軸部54及び頭部56を備える。頭部56は下面53を有する。図示実施形態では、頭部56の下面53は、断面が円形である。中空のリベット52が示されているが、本発明は、任意の自己穿孔型リベット、例えば、半中空自己穿孔型リベット(又は他の形態の締結具)と共に使用するのに適している。上述したように、リベット52は、空気圧又はガス圧の下でアクチュエータ19に係合するように供給されるか、又はテープ送りによってノーズアセンブリ2の頂部に供給される。また、上述したように、リベット52がアクチュエータ19に係合されると、本発明は、リベットが供給される方法にかかわらず、ほぼ同様に動作する。
【0071】
リベット52が所望の位置でワークピース内に打ち込まれ得るようにノーズアセンブリ2が配置されると、リベットはアクチュエータ19に係合される。アクチュエータ19は、最大350mm/sの速度でワークピースに向かって進む。リベット52がアダプタ18の穴20及びバレル4の穴8を通って移動する際に、アクチュエータ19がリベット52との接触を維持するか否かは、ノーズアセンブリ2の向きによって決定される。例えば、第1の状態では、リベット52及びアクチュエータ19が重力の方向に移動するようにノーズアセンブリ2が配向されるならば、リベットは、前進するアクチュエータに係合され、アクチュエータ19の速度までリベットを加速させる。リベット52の速度がアクチュエータ19の速度と一致すると(ほぼ瞬間的に起こる)、リベットは、重力によってさらに加速し、したがって、アクチュエータ19との接触状態を失うことがある。あるいは、第2の状態では、リベット52が重力と反対方向に移動するようにノーズアセンブリ2が配向される場合、アクチュエータ19は、リベットをアクチュエータと接触させる重力によって、リベット締めプロセス中にリベットとの接触状態を維持する。上述した2つの向きの間での向きは、重力の方向に対するノーズアセンブリの角度(すなわち、バレルの中央穴8の長手方向軸線10の角度)に応じて、アクチュエータ19がリベット52との接触状態を維持する場合も、又は失う場合もあることは理解されよう。さらに、重力に対するノーズアセンブリの向き、及び/又はアダプタ18の穴20及びバレル4の穴8に対するリベットの向きは、穴20、8を通って移動するリベットが各穴のそれぞれの壁面に接触する程度に影響を及ぼす場合がある。リベットと穴の壁面との間のより大きな程度の接触は、リベットが穴を通して押されるとき、リベットとアクチュエータとの間のより大きな程度の接触をもたらす。しかしながら、そのような接触は、壁の摩耗を増大させることによって悪影響を及ぼす恐れがある。
【0072】
図1は、リベットが締結具保持デバイス6に到達する前のノーズアセンブリ2を示す。この状態は、上述したように休止状態と呼ばれる。これは、リベット52がまだ係合していないため、したがって締結具保持デバイス6の変形が引き起こされていない。
【0073】
弾性アーム26が
図1に示される休止状態にある場合、締結具係合部材34の各々の半径方向における最も内側の点は、バレル4の中央穴8の中心軸線10から等距離にある。中心軸線10から締結具係合部材34の半径方向における最も内側の点までの半径方向距離は、リベット52の軸部54の外径以下であるべきである。具体的には、リベット(したがって弾性アーム)が
図5に示されるような中間状態にある場合、中心軸線10から締結具係合部材34の半径方向における最も内側の点までの半径方向距離は、リベット52の軸部54の外側半径と実質的に等しくてもよい。弾性アームが
図1に示す休止状態にある場合、中心軸線10から締結具係合部材34の半径方向における最も内側の点までの半径方向距離は、リベット52の軸部54の外側半径よりも小さいのがよい。例えば、中心軸線10から締結具係合部材34の半径方向における最も内側の点までの半径方向距離とリベット52の軸部54の外側半径との比は、約0.5:1~約1:1、好ましくは約0.75:1~約1:1であるのがよい。
【0074】
リベット52が締結具保持デバイス6に達すると、リベット52は締結具係合部材34に係合する。この結果、弾性アーム26は中間状態へと外側に撓む。
図5は、中間状態にある締結具保持デバイス6を示す。休止状態から中間状態に移行するために、弾性アーム26は、(中心軸線に対して)外側に湾曲される(又は撓む)。中間状態では、バレル4の中央穴8の中心軸線10から締結具係合部材34の半径方向における最も内側の点までの距離は、リベット52の軸部54の外側半径に等しい。上述したように、第1の状態では、アクチュエータ19は、リベット52がワークピースに向かって前進するときにリベット52との接触状態を失う場合があり、第2の状態では、アクチュエータ19は、リベット52がワークピースに向かって前進するときにリベット52との接触状態を維持する。
【0075】
第1の状態では、リベット52は、弾性アーム26を中間状態に撓ませることができる。中間状態にある間、締結具保持デバイスは、アクチュエータ19がリベット52の頭部56に再係合するまでリベット52を保持するように作用する。さらに、締結具保持デバイス6は、リベット52をバレル4の中央穴8内に整列させるようにも作用する。(アクチュエータと接触していない間の)リベット52の運動量は、リベットの頭部56が締結具保持デバイス6を通過することができる程度まで弾性アーム26を撓ませるのには十分ではない。リベットが締結具保持デバイスを通過するのに必要な力は、50N未満としてもいよ。例えば、力は、40N又は任意の他の適切な力としてもよい。この状態では、リベット52とバレル4の中央穴8との整列、リベットの運動量、及び弾性アームを必要な程度まで外向きに撓ませるのに必要な力に応じて、リベット52は、弾性アーム26を中間状態まで撓ませることができず、その代わりに、締結具係合部材34上に単に載ることができるだけであることは理解されよう。この場合、リベット52は、アクチュエータ19がリベットの頭部56に再係合するまで締結具係合部材34上に載置される。リベット52が再係合されると、リベット52はワークピースに向かって移動し、弾性アーム26は中間状態に撓む。
【0076】
上述した第2の状態では、リベット52がワークピースに向かって前進するときにアクチュエータ19がリベット52との接触状態を維持し、リベット52は締結具係合部材34に係合され、弾性アーム26は休止状態から中間状態に移行する。
【0077】
前にリベット52が前述した第1又は第2の状態であったアームが中間状態にあるときに、リベットが最終的に締結具保持デバイスによって保持されることになるか否かにかかわらず、リベット52は締結具係合部材34によって係合されて、弾性アーム26が中間状態に移行されると、リベットはバレル4の中央穴8と整列される。これは、弾性アーム26によって与えられる付勢力によるものである。言い換えるならば、リベット52の軸部54は、バレル4の中央穴8の長手方向軸線10と同軸になるように作られる。いくつかの例では、中間状態の前に、リベットの軸部54は、バレル4の中央穴8の長手方向軸線10と整列していない場合がある。リベット52をバレル4の中央穴8の長手方向軸線10と整列させることにより、リベットがアクチュエータによってワークピース内に押し込まれたときに、リベットがワークピース内に良好な接続状態を形成することが保証される。
【0078】
リベット52は、締結具保持デバイス6によって保持され整列されるために、必ずしも弾性アーム26を付勢する必要はないことは理解されよう。代わりに、弾性アーム26の各々の半径方向における最も内側の点は、リベット52の軸部54の半径方向における最も外側の点の半径方向の外側にあり、リベット52の頭部56の半径方向における最も外側の点の半径方向の内側にあるものとすることができる。したがって、リベット52がバレル4の中央穴8を通過すると、リベットの頭部56の下面53は、リベットを保持して整列させるために締結具係合部材34に直接係合する。リベット52を保持し整列させるこの方法は、頭部グリッピングと呼ばれる。この場合、リベット52の重量が、リベットをバレル4の中央穴8の中心軸線10と少なくとも部分的に整列させることは理解されよう。さらに、頭部56の下面53が締結具係合部材34によって係合されるとき(アクチュエータの作用がない場合)、弾性アーム26がそれらの中間位置を越えて撓むことは無視できる。さらに、リベットの頭部がアクチュエータによって係合されると、弾性アームによってリベットに及ぼされる半径方向内向きの力と組み合わせた、アクチュエータによってリベットに及ぼされる(ワークピースの方向の)力もまた、少なくとも部分的に、リベットをバレル4の中央穴8の中心軸線10と整列させ得る。
【0079】
アクチュエータ19がリベットと接触しながらバレル4の中央穴8を通って前進すると、締結具保持デバイス6は最大撓み状態まで撓む。
図6は、最大撓み状態にある締結具を示す。最大撓み状態では、弾性アーム26は最大撓み状態にある。最大撓み状態は、リベット52の半径方向における最も外側の点が締結具係合部材34(特に、各締結具係合部材の先端)に係合したときに得られる。リベット52の半径方向における最も外側の点は、典型的には、リベットの頭部56にある。一般的に言えば、締結具係合部材34の半径方向における最も内側の点(締結具係合部材の先端であってもよい)は、穴を画定する壁の表面を越えて外向きに撓むことができない。これにより、弾性アーム26の最大撓みの状態を規定することができる。
【0080】
図6に見られるように、最大撓み状態では、締結具保持デバイス6のいかなる部分も、ノーズアセンブリ2の周縁を越えて通ることはない。締結具保持デバイス6のいかなる部分もバレル4の周囲を越えないことが特に有益である。ノーズアセンブリ2は、ノーズアセンブリの動作中の任意の時点でノーズアセンブリによって占有される最大空間である必要な作業空間を有する。ノーズアセンブリ2の必要な作業空間を減ずることにより、ノーズアセンブリは、ワークピースの領域にアクセスすることができ、そうでなければ、その領域はアクセス不能となり得、すなわち、より大きな必要な作業空間を有するノーズアセンブリを使用する場合にはアクセス不能となり得る。したがって、締結具保持デバイス6のいかなる部分もノーズアセンブリ2の外周を越えて通過しない場合、ノーズアセンブリ2の必要な作業空間は最小限に抑えられることは理解されよう。すなわち、ノーズアセンブリの作業空間は、バレル4の外径によって単純に画定される。したがって、締結具保持デバイス6はバレルの有効直径を増大させない。バレル4の有効直径径は、ノーズアセンブリ2の動作中の任意の点におけるバレルの最大直径を意味すると理解することができる。
【0081】
本明細書に記載の任意の及び/又は好ましい特徴は、適切な場合、特に添付の特許請求の範囲に記載の組合せにおいて、個々に又は互いに組み合わせて使用することができる。本明細書に記載される本発明の各態様についての任意選択の及び/又は好ましい特徴は、適切な場合、本発明の任意の他の態様にも適用可能である。本発明をリベットに関して上述したが、本発明は、任意の締結具に適用することもできる。例えば、本発明は、当業者には理解されるように、特にねじ又はボルトで使用することもできる。
【国際調査報告】