(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】マルチモーダル眼球撮像技術および撮像装置
(51)【国際特許分類】
A61B 3/14 20060101AFI20220818BHJP
A61B 3/12 20060101ALI20220818BHJP
A61B 3/10 20060101ALI20220818BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20220818BHJP
G01N 21/17 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61B3/14
A61B3/12
A61B3/10 100
G01N21/64 B
G01N21/17 630
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576370
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 US2020038817
(87)【国際公開番号】W WO2020257711
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518293446
【氏名又は名称】テッセラクト ヘルス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TESSERACT HEALTH,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】アリエンツォ、マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ケイ-カウデラー、オーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ラルストン、タイラー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンブルース、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ロスバーグ、ジョナサン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ウェスト、ローレンス シー.
(72)【発明者】
【氏名】グレン、ポール イー.
【テーマコード(参考)】
2G043
2G059
4C316
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043BA16
2G043EA01
2G043FA01
2G043FA03
2G043FA06
2G043JA03
2G043KA02
2G043KA09
2G059AA05
2G059AA06
2G059BB12
2G059EE02
2G059EE07
2G059EE09
2G059FF01
2G059FF04
2G059JJ11
2G059JJ22
2G059KK04
4C316AA09
4C316AB03
4C316AB06
4C316AB07
4C316AB11
4C316AB16
4C316AB17
4C316FA06
4C316FY01
4C316FY02
4C316FY05
4C316FY08
4C316FZ03
(57)【要約】
本開示の諸態様は、患者の網膜眼底を撮像する改良された技術を提供する。いくつかの態様は、実質的に双眼鏡の形にすることができ、および/または患者の網膜眼底を撮像する多数の対応するモードを提供するように構成される多数の撮像デバイスを収容することのできる撮像装置に関する。いくつかの態様は、1台の撮像装置で採用することのできる白色光、蛍光、赤外線(IR)、光干渉断層撮影(OCT)、および/または他の撮像モダリティを使用して、患者の目を撮像する技術に関する。いくつかの態様は、単独でまたは他の技術と組み合わせて採用することのできる白色光、蛍光、IR、OCTおよび/または他の撮像技術の改良に関する。いくつかの態様は、患者の健康状態の判別を可能にするマルチモーダル撮像技術に関する。本明細書で説明する撮像装置および撮像技術は、医療グレードの網膜眼底画像を提供し、低コストで製造または実施することができ、そのため医療グレードの撮像へのアクセスが向上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の網膜眼底を撮像および/または測定する撮像および/または測定装置であって、前記撮像および/または測定装置は、
白色光撮像デバイス、
蛍光撮像デバイス、
赤外線撮像デバイス、および/または
光干渉断層撮影デバイス
を備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える、撮像および/または測定装置。
【請求項2】
前記撮像および/または測定装置は、前記白色光撮像デバイスおよび前記蛍光撮像デバイスを備える、請求項1に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項3】
前記撮像および/または測定装置は、前記白色光撮像デバイスおよび前記光干渉断層撮影デバイスを備える、請求項1に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項4】
前記撮像および/または測定装置は、前記白色光撮像デバイス、前記蛍光撮像デバイス、および前記光干渉断層撮影デバイスを備える、請求項1に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項5】
前記撮像および/または測定装置は、前記蛍光撮像デバイスを備えており、前記蛍光撮像デバイスは、受光する蛍光発光のスペクトル情報および寿命情報を判別するように構成される、請求項1に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの撮像デバイスを支持するように構成された少なくとも2つの筐体部を有する筐体をさらに備える請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの筐体部は、患者の両眼と位置合わせするように構成された光学コンポーネントを有する2つの筐体部を備える、請求項6に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項8】
前記筐体は、双眼鏡の形状を有する、請求項7に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項9】
前記2つの筐体部は、それぞれ前記少なくとも2つの撮像デバイスのうちの少なくとも1つを支持するように構成される、請求項7に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項10】
前記少なくとも2つの撮像部は、少なくとも4つの撮像デバイスを備えており、前記2つの筐体部は、それぞれ前記少なくとも4つの撮像デバイスのうちの2つを支持するように構成される、請求項9に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項11】
患者の網膜眼底を撮像および/または測定する方法であって、前記方法は、
白色光撮像デバイス、
赤外線撮像デバイス、
蛍光撮像デバイス、および/または
光干渉断層撮影デバイス、
のうちの少なくとも2つを使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することを備える、方法。
【請求項12】
撮像および/または測定することは、前記白色光撮像デバイスおよび前記蛍光撮像デバイスを使用することを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
撮像および/または測定することは、前記白色光撮像デバイスおよび前記光干渉断層撮影デバイスを使用することを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
撮像および/または測定することは、前記白色光撮像デバイス、前記蛍光撮像デバイス、および前記光干渉断層撮影デバイスを使用することを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
撮像および/または測定することは、前記蛍光撮像デバイスを使用することを備えており、前記蛍光撮像デバイスは、受光する蛍光発光のスペクトル情報および寿命情報を判別するように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも2つの筐体部を有する筐体によって、前記少なくとも2つの撮像デバイスを支持することをさらに備える請求項11~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの撮像デバイスのうちの2つを患者の両眼に位置合わせすることをさらに備える請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記筐体は、双眼鏡の形状を有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記2つの筐体部は、それぞれ前記少なくとも2つの撮像デバイスのうちの少なくとも1つを支持する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも2つの筐体部は、少なくとも4つの撮像デバイスを備えており、前記2つの筐体部は、それぞれ前記少なくとも4つの撮像デバイスのうちの少なくとも2つを支持する、請求項19に記載の撮像装置。
【請求項21】
患者の網膜眼底を測定および/または撮像する撮像および/または測定装置であって、前記撮像装置は、
双眼鏡の形状を有する筐体であって、
患者の第1の眼に近接して設置されるように構成された第1開口を備える第1筐体部と、
患者の第2の眼に近接して設置されるように構成された第2開口を備える第2筐体部と、
を備える前記筐体と、
前記第1筐体部および/または前記第2筐体部によって支持されて、患者の網膜眼底を撮像および/または測定するように構成された少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスと、を備える、撮像および/または測定装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは、白色光撮像デバイスを備える、請求項21に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは、蛍光撮像デバイスを備える、請求項21または22に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項24】
前記蛍光撮像デバイスは、蛍光スペクトル撮像をするように構成される、請求項23に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項25】
前記蛍光撮像デバイスは、蛍光寿命撮像をするように構成される、請求項23に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項26】
前記蛍光撮像デバイスは、蛍光強度撮像をするように構成される、請求項23に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項27】
前記少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは、前記第1筐体部内に白色光撮像デバイスを備えるとともに、前記第2筐体部内に光干渉断層撮影デバイスを備える、請求項21または22に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは、前記第1筐体部内に蛍光撮像デバイスをさらに備える、請求項27に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項29】
前記少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは、前記第1筐体部の前記第1開口および前記第2筐体部の前記第2開口を通して、異なる時に、患者に固視対象を表示するようにさらに構成される、請求項28に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項30】
前記固視対象は、物体の画像である、請求項29に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項31】
前記固視対象は、輝点である、請求項30に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項32】
前記少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは、前記第1筐体部の前記第1開口を通して患者に第1固視対象を、前記第2筐体部の前記第2開口を通して患者に第2固視を同時に表示するようにさらに構成される、請求項28に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項33】
前記筐体に連結された把持部材をさらに備え、
前記把持部材は、患者の少なくとも片手によって掴まれるように構成されている、請求項21または22に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項34】
前記筐体に装着された設置部材をさらに備え、
前記設置部材は、前記装置を設置アームおよび/またはスタンドに取り付けるように構成されている、請求項21または22に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項35】
前記第1筐体部と前記第2筐体部との間に連結されるヒンジをさらに備える請求項21または22に記載の撮像および/または測定装置。
【請求項36】
患者の網膜眼底に光干渉断層撮影(OCT)を行う装置であって、前記装置は、
光を発するように構成された複数の光源と、
干渉計であって、
前記複数の光源コンポーネントから光を受光し、
前記光を参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとに分割し、
前記サンプルコンポーネントを通して患者の眼を照明し、
前記参照コンポーネントおよび前記サンプルコンポーネントからの光を再結合するように構成された前記干渉計と、
前記干渉計からの再結合された光を検出するように構成されたイメージセンサと、を備える、装置。
【請求項37】
前記複数の光源は、前記複数の光源の他の波長とは異なる波長の光を発するように構成される、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記干渉計は、マイケルソン干渉計である、請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記複数の光源は、複数の発光ダイオードを備える、請求項36に記載の装置。
【請求項40】
複数の光源からの光を単一の光路に結合するように構成された少なくとも1つのダイクロイックをさらに備える請求項36に記載の装置。
【請求項41】
前記複数の光源は、3つの光源を備える、請求項36~40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項42】
前記3つの光源は、
中心波長が620nmから630nmの間である光を発するように構成された第1光源と、
中心波長が635nmから645nmの間である光を発するように構成された第2光源と、
中心波長が650nmから660nmの間である光を発するように構成された第3光源と、を備える、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記第1光源は、中心波長が625nmの光を発するように構成され、
前記第2光源は、中心波長が640nmの光を発するように構成され、
前記第3光源は、中心波長が655nmの光を発するように構成される、
請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記複数の光源は、光を順次発するように構成される、請求項36~40のいずれか1項に記載の装置。
【請求項45】
前記イメージセンサは、前記複数の光源のそれぞれに関連する再結合された光を順次検出するように構成される、請求項44に記載の装置。
【請求項46】
少なくとも1つのプロセッサをさらに備え、
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記イメージセンサから再結合された光に関連した画像データを受け取ることであって、前記画像データは、前記複数の光源コンポーネントのそれぞれに関連した個別の画像データを備えている、前記画像データを受け取ること、
前記複数の光源のそれぞれに関連した前記画像データを単一のOCT画像に結合すること、を実行するように構成されている、請求項45に記載の装置。
【請求項47】
患者の網膜眼底に光干渉断層撮影を行う装置であって、前記装置は、
光を発するように構成された光源と、
干渉計であって、
前記光源からの光を受光し、
前記光を参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとに分割し、
前記サンプルコンポーネントを通して患者の眼を照明し、
前記参照コンポーネントおよびサンプルコンポーネントからの光を再結合するように構成された前記干渉計と、
前記干渉計からの再結合された光を検出するように構成されたイメージセンサと、を備える、装置。
【請求項48】
前記サンプルコンポーネントは、患者の網膜眼底に走査線を集束するように構成され、前記参照コンポーネントは、参照面に走査線を集束するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記干渉計は、マイケルソン干渉計である、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記光源と前記干渉計との間に配置される第1円柱レンズ対をさらに備える請求項47に記載の装置。
【請求項51】
前記干渉計と前記イメージセンサとの間に配置される第2円柱レンズ対をさらに備える請求項50に記載の装置。
【請求項52】
前記干渉計と前記イメージセンサとの間に配置される透過型回折格子をさらに備える請求項47~51のいずれか1項に記載の装置。
【請求項53】
前記干渉計は、患者の網膜眼底に前記走査線を眼底を横切る方向に走査するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項54】
前記イメージセンサは、前記イメージセンサの異なる複数の部分が網膜眼底の一部分の異なる複数の走査に対応するように、前記干渉計からの再結合された光を検出するように構成される、請求項47に記載の装置。
【請求項55】
患者の網膜眼底に時間領域光干渉断層撮影を行う装置であって、前記装置は、
光を発するように構成された光源と、
マイケルソン干渉計であって、
前記光源からの光を受光し、
前記光を参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとに分割し、
前記サンプルコンポーネントを通して患者の眼を照明し、
前記参照コンポーネントおよび前記サンプルコンポーネントからの光を再結合するように構成された前記マイケルソン干渉計と、
100ミリ秒未満隔てて取得された2つの画像フレームで前記マイケルソン干渉計からの再結合された光を検出するように構成されたイメージセンサと、を備える、装置。
【請求項56】
前記光源は、前記イメージセンサのフレームレートと同期された複数の光パルスを発するように構成される、請求項55に記載の装置。
【請求項57】
前記光源は、
前記複数の光パルスの第1光パルスを、前記イメージセンサの第1フレームの終わりに対応する第1の時点で発し、
前記複数の光パルスの第2光パルスを、前記第1フレームの後の次のフレームである前記イメージセンサの第2フレームの始まりに対応する第2の時点で発するように構成される、請求項56に記載の装置。
【請求項58】
前記光源によって発せられる各光パルスは、前記イメージセンサのフレーム持続時間未満の持続時間を有する、請求項56に記載の装置。
【請求項59】
前記光源は、0.1ミリ秒から5ミリ秒の間の持続時間の各光パルスを発するように構成され、
前記イメージセンサは、5msから20msの間のフレーム持続時間を有するように構成される、請求項58に記載の装置。
【請求項60】
前記光源は、0.1ミリ秒から1ミリ秒の間の持続時間の各光パルスを発するように構成され、
前記イメージセンサは、9ミリ秒から11ミリ秒の間のフレーム持続時間を有するように構成される、請求項55に記載の装置。
【請求項61】
患者の網膜眼底を撮像および/または測定する装置であって、前記装置は、
筐体と、
前記筐体によって支持される白色光撮像デバイスと、
前記筐体によって支持される蛍光撮像デバイスと、を備えており、
前記白色光撮像デバイスおよび前記蛍光撮像デバイスは、前記筐体内で共通の光路の少なくとも一部分を共有する、装置。
【請求項62】
前記白色光撮像デバイスおよび前記蛍光撮像デバイスは、撮像センサを共有する、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記白色光撮像デバイスは、白色光源を備え、
前記蛍光撮像デバイスは、少なくとも1つのレーザを備え、
前記装置は、
前記白色光源から発せられる光と前記少なくとも1つのレーザから発せられる光とが前記共通の光路を共有するように、前記白色光源から発せられる光の光路を前記少なくとも1つのレーザから発せられる光の光路と結合するように構成される光学素子をさらに備える、請求項62に記載の装置。
【請求項64】
前記蛍光撮像デバイスは、第1波長で光を発するように構成された第1レーザと、第2波長で光を発するように構成された第2レーザとを備えており、
前記装置は、
前記白色光源から発せられる光の前記光路を前記第1レーザから発せられる光の光路と結合するように構成された第1光学素子と、
前記白色光源から発せられる光、前記第1レーザから発せられる光および前記第2レーザから発せられる光が前記共通の光路を共有するように、前記白色光源から発せられる光の前記光路および前記第1レーザから発せられる光の前記光路を、前記第2レーザから発せられる光の光路と結合するように構成された第2光学素子と、を備える、請求項63に記載の装置。
【請求項65】
前記共通の光路は、前記第1光学素子から患者の眼まで、および患者の眼から前記撮像センサまでの光路を含む、請求項63に記載の装置。
【請求項66】
前記共通の光路内に反射器をさらに備えており、
前記反射器は、網膜眼底から反射される光が前記反射器を通過するように構成された開口を備える、請求項61~65のいずれか1項に記載の装置。
【請求項67】
前記蛍光撮像デバイスのための光を蛍光撮像センサに伝達し、前記白色光撮像デバイスのための光を白色光撮像センサに向けて反射するように構成されたビームスプリッタをさらに備える請求項61~65に記載の装置。
【請求項68】
前記ビームスプリッタの透過率は、前記ビームスプリッタの反射率よりも大きい、請求項67に記載の装置。
【請求項69】
前記蛍光撮像センサは、患者の眼の少なくとも1つの分子の蛍光寿命を検出するように構成される、請求項68に記載の装置。
【請求項70】
前記蛍光撮像センサは、患者の眼の少なくとも1つの分子の蛍光波長を検出するように構成される、請求項68に記載の装置。
【請求項71】
方法であって、
少なくとも部分的に光路を共有する白色光撮像デバイスおよび蛍光撮像デバイスを用いて、患者の網膜眼底を撮像すること、を備える方法。
【請求項72】
方法であって、
装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することであって、前記装置は、
白色光撮像デバイス、
蛍光撮像デバイス、および
光干渉断層撮影デバイス、を備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える、前記患者の網膜眼底を撮像および/または測定すること、
撮像および/または測定中に撮像された画像に基づいて、患者の医学的状態を判別すること、を備える方法。
【請求項73】
前記医学的状態を判別することは、患者が眼疾患にかかっているかどうかを判別することを備える、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記眼疾患は、加齢黄斑変性(AMD)を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記眼疾患は、スターガルト病を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記眼疾患は、糖尿病性網膜症を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項77】
前記眼疾患は、黄斑浮腫を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項78】
前記眼疾患は、黄斑円孔を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項79】
前記眼疾患は、飛蚊症を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項80】
前記眼疾患は、緑内障を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項81】
前記眼疾患は、網膜剥離を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項82】
前記眼疾患は、白内障を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項83】
前記眼疾患は、黄斑部毛細血管拡張症を含む、請求項73に記載の方法。
【請求項84】
前記医学的状態を判別することは、患者が非眼疾患にかかっているかどうかを判別することを備える、請求項72に記載の方法。
【請求項85】
前記非眼疾患は、アルツハイマー病を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
患者がアルツハイマー病にかかっているかどうかを判別することは、前記画像を使用して患者の網膜神経繊維層の厚さを判別することを備える、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記非眼疾患は、パーキンソン病を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
患者がパーキンソン病にかかっているかどうかを判別することは、前記画像を使用して患者の網膜神経繊維層の厚さを判別することを備える、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
患者がパーキンソン病にかかっているかどうかを判別することは、前記画像を使用してアイトラッキング能力の尺度を判定することを備える、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記非眼疾患は、脳震盪を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項91】
方法であって、
装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することであって、前記装置は、
白色光撮像デバイス、
蛍光撮像デバイス、および
光干渉断層撮影デバイス、のうちの少なくとも2つを備える、前記患者の網膜眼底を撮像および/または測定すること、
前記画像および/または測定値に基づいて患者を識別すること、を備える方法。
【請求項92】
方法であって、
装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することであって、前記装置は、
白色光撮像デバイス、
蛍光撮像デバイス、および
光干渉断層撮影デバイス、を備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える、前記患者の網膜眼底を撮像および/または測定すること、
前記画像および/または測定値に基づいて、患者のセキュリティアクセスを取得すること、を備える方法。
【請求項93】
方法であって、
装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することであって、前記装置は、
白色光撮像デバイス、
蛍光撮像デバイス、および
光干渉断層撮影デバイス、を備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える、前記患者の網膜眼底を撮像および/または測定すること、
前記画像および/または測定値に基づいて、患者の病状を診断すること、を備える方法。
【請求項94】
方法であって、
蛍光寿命撮像および/または光干渉断層撮影法撮像を使用して、人の網膜眼底を撮像および/または測定すること、
前記画像および/または測定値に基づいて、その人を識別すること、その人のセキュリティアクセスを取得すること、その人の健康状態を判別すること、およびその人の病状を診断することのうちの少なくとも1つを実行すること、を備える方法。
【請求項95】
網膜撮像および/または測定のためのデバイスであって、
少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスであって、
白色光撮像デバイス、
蛍光撮像コンポーネント、および
光干渉断層撮影コンポーネント、を備える群から選択される前記少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスと、
前記少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスのうちの少なくとも1つの光路内の少なくとも1つのモジュール型光透過素子、反射素子および/または屈折素子と、を備えるデバイス。
【請求項96】
前記少なくとも1つのモジュール型素子は、鏡を含む、請求項95に記載のデバイス。
【請求項97】
前記少なくとも1つのモジュール型素子は、プリズムを含む、請求項95に記載のデバイス。
【請求項98】
前記少なくとも1つのモジュール型素子は、レンズを含む、請求項95に記載のデバイス。
【請求項99】
前記少なくとも1つのモジュール型素子は、ビームスプリッタを含む、請求項95に記載のデバイス。
【請求項100】
網膜撮像および/または測定のためのデバイスであって、
白色光撮像および/または測定デバイスと、
蛍光撮像および/または測定デバイスと、
前記白色光撮像および/または測定デバイスならびに前記蛍光撮像および/または測定デバイスのうちの少なくとも1つの光路内の少なくとも1つのモジュール型光透過素子、反射素子および/または屈折素子と、を備えるデバイス。
【請求項101】
前記白色光撮像デバイスは、光干渉断層撮影法撮像および/または測定デバイスをさらに備える、請求項100に記載のデバイス。
【請求項102】
前記デバイスは、双眼鏡の形態である、請求項100に記載のデバイス。
【請求項103】
前記少なくとも1つのモジュール型素子は、
瞳リレー、
走査鏡、
光源、
円柱レンズ、および/または
プレートビームスプリッタ、
を備える群から選択される少なくとも1つの部材を備える、請求項100に記載のデバイス。
【請求項104】
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)イメージセンサ、
赤外線網膜眼底イメージセンサ、
蛍光イメージセンサ、および/または
白色光網膜眼底イメージセンサ、
を備える群のうちの少なくとも1つの部材をさらに備える、請求項100に記載のデバイス。
【請求項105】
二次元(2D)画面および/または前記デバイスに実装された発光ダイオード(LED)を備える固視標を表示するようにさらに構成される請求項100に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来、眼の網膜眼底は、従来型のデジタルカメラを使用して撮影することができる。網膜眼底を撮像する本技術は、改良により利益を得るであろう。
【発明の概要】
【0002】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底を撮像および/または測定する撮像および/または測定装置に関し、該撮像および/または測定装置は、白色光撮像デバイス、蛍光撮像デバイス、赤外線撮像デバイス、および/または光干渉断層撮影デバイスを備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える。
【0003】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底を撮像および/または測定する方法に関し、該方法は白色光撮像デバイス、赤外線撮像デバイス、蛍光撮像デバイスおよび/または光干渉断層撮影デバイスのうちの少なくとも2つを使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することを含む。
【0004】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底を測定および/または撮像する撮像装置に関し、該撮像装置は、患者の第1の眼に近接して設置されるように構成された第1開口を備える第1筐体部と、患者の第2の眼に近接して設置されるように構成される第2開口を備える第2筐体部と、第1筐体部および/または第2筐体部によって支持される少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスとを備える双眼鏡形の筐体を備えており、該少なくとも1つの撮像および/または測定デバイスは患者の網膜眼底を撮像および/または測定するように構成される。
【0005】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底に光干渉断層撮影(optical coherence tomography : OCT)を行う装置に関し、該装置は、光を発するように構成された複数の光源と、複数の光源コンポーネントから光を受光して、光を参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとに分割し、サンプルコンポーネントを通して患者の眼を照明し、参照コンポーネントおよびサンプルコンポーネントからの光を再結合するように構成された干渉計と、干渉計から再結合された光を検出するように構成されたイメージセンサとを備える。
【0006】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底に光干渉断層撮影を行う装置に関し、該装置は、光を発するように構成された光源と、光源から光を受光して、光を参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとに分割し、サンプルコンポーネントを通すことで患者の眼を照明し、参照コンポーネントおよびサンプルコンポーネントからの光を再結合するように構成された干渉計と、干渉計から再結合された光を検出するように構成されたイメージセンサとを備える。
【0007】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底に時間領域光干渉断層撮影を行う装置に関し、該装置は、光を発するように構成された光源と、光源から光を受光して、光を参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとに分割し、サンプルコンポーネントを通して患者の眼を照明し、参照コンポーネントおよびサンプルコンポーネントからの光を再結合するように構成されたマイケルソン干渉計と、マイケルソン干渉計から再結合された光を100ミリ秒未満隔てて取得された2つの画像フレームで検出するように構成されたイメージセンサとを備える。
【0008】
本開示のいくつかの態様は、患者の網膜眼底を撮像および/または測定する装置に関し、該装置は、筐体と、該筐体によって支持される白色光撮像デバイスと、該筐体によって支持される蛍光撮像デバイスとを備えており、該白色光撮像デバイスおよび該蛍光撮像デバイスは筐体内の共通の光路の少なくとも一部分を共有する。
【0009】
本開示のいくつかの態様は、少なくとも部分的に光路を共有する白色光撮像デバイスおよび蛍光撮像デバイスを用いて、患者の網膜眼底を撮像することを備える方法に関する。
本開示のいくつかの態様は、白色光撮像デバイス、蛍光撮像デバイスおよび光干渉断層撮影デバイスを備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することと、撮像および/または測定中に撮像された画像に基づいて、患者の医学的状態を判別することとを備える方法に関する。
【0010】
本開示のいくつかの態様は、白色光撮像デバイス、蛍光撮像デバイスおよび光干渉断層撮影デバイスのうちの少なくとも2つを備える装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することと、画像および/または測定に基づいて患者を識別することとを備える方法に関する。
【0011】
本開示のいくつかの態様は、白色光撮像デバイス、蛍光撮像デバイスおよび光干渉断層撮影デバイスを含む群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することと、画像および/または測定に基づいて、患者のセキュリティアクセスを取得することとを備える方法に関する。
【0012】
本開示のいくつかの態様は、白色光撮像デバイス、蛍光撮像デバイス、光干渉断層撮影デバイスを備える群から選択される少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスを備える装置を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することと、画像および/または測定に基づいて患者の病状を診断することとを備える方法に関する。
【0013】
本開示のいくつかの態様は、蛍光寿命撮像および/または光干渉断層撮影法撮像を使用して、患者の網膜眼底を撮像および/または測定することと、画像および/または測定に基づいて、その人を識別するおよび/もしくはその人のセキュリティアクセスを取得する、ならびに/またはその人の健康状態を判別するおよび/もしくはその人の病状を診断することとを備える方法に関する。
【0014】
本開示のいくつかの態様は、白色光撮像デバイス、蛍光撮像コンポーネントおよび光干渉断層撮影コンポーネントを備える群から選択される少なくとも2つの撮像デバイスおよび/または測定デバイスと、少なくとも2つの撮像および/または測定デバイスのうちの少なくとも1つの光路に少なくとも1つのモジュール式光透過素子、反射素子および/または屈折素子とを備える網膜撮像および/または測定デバイスに関する。
【0015】
本開示のいくつかの態様は、白色光撮像および/または測定デバイスと、蛍光撮像および/または測定デバイスと、白色光撮像デバイスおよび/または測定デバイスならびに蛍光撮像および/または測定デバイスのうちの少なくとも1つの光路に少なくとも1つのモジュール式光透過素子、反射素子および/または屈折素子とを備える網膜撮像および/または測定デバイスに関する。
【0016】
以上の概要は制限を意図しているわけではない。また、本開示の様々な態様は、単独で実施しても、または組み合わせて実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
添付の図面は、縮尺通りに描くことを意図しているわけではない。図面において、様々な図に示されている同一またはほぼ同一の各コンポーネントは同様な符号で表す。明確にするために、すべての図面において、すべてのコンポーネントにラベルを付しているわけではない。
【
図1A】いくつかの実施形態による、マルチモーダル撮像装置の前斜視図である。
【
図1B】いくつかの実施形態による、
図1Bのマルチモーダル撮像装置の後斜視図である。
【
図2】いくつかの実施形態による、マルチモーダル撮像装置の代替実施形態の底面斜視図である。
【
図3A】いくつかの実施形態による、マルチモーダル撮像装置の別の代替実施形態の後斜視図である。
【
図3B】いくつかの実施形態による、
図3Aのマルチモーダル撮像装置の分解図である。
【
図3C】いくつかの実施形態による、
図3A~
図3Bのマルチモーダル撮像装置を患者が操作する側面図である。
【
図3D】いくつかの実施形態による、スタンドによって支持されている
図3A~
図3Cのマルチモーダル撮像装置の側面斜視図である。
【
図4A】いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影(OCT)・赤外線(IR)兼用撮像デバイスを備えるマルチモーダル撮像装置の上斜視図である。
【
図4B】いくつかの実施形態による、筐体の一部と撮像デバイスのいくつかを取り除いた状態の
図4Aのマルチモーダル撮像装置の上面図である。
【
図4C】いくつかの実施形態による、
図4Bに図示するマルチモーダル撮像装置の側面斜視図である。
【
図4D】いくつかの実施形態による、筐体の上部を取り除いた状態の
図4Aのマルチモーダル撮像装置の上面図である。
【
図4E】いくつかの実施形態による、
図4A~
図4Dのマルチモーダル撮像装置のOCTおよびIR撮像デバイスのコンポーネントの側面斜視図である。
【
図5A】いくつかの実施形態による、
図4A~
図4CのOCT撮像デバイスの光源コンポーネントの上面図である。
【
図5B】いくつかの実施形態による、
図5AのOCT撮像デバイスのサンプルコンポーネントの側面図である。
【
図5C】いくつかの実施形態による、
図5Bに図示するサンプルコンポーネントの上面図である。
【
図5D】いくつかの実施形態による、
図5A~
図5Cに図示する光源コンポーネントおよびサンプルコンポーネントの斜視図である。
【
図5E】いくつかの実施形態による、
図4A~
図4CのOCT撮像デバイスの参照コンポーネントの斜視図である。
【
図5F】いくつかの実施形態による、
図5Aおよび
図5Eに図示する光源コンポーネントおよび参照コンポーネントの斜視図である。
【
図5G】いくつかの実施形態による、
図4A~
図4CのOCT撮像デバイスの検出コンポーネントの上面図である。
【
図5H】いくつかの実施形態による、
図5Aおよび
図5E~
図5Gに図示する光源コンポーネント、参照コンポーネントおよび検出コンポーネントの斜視図である。
【
図5I】いくつかの実施形態による、赤外線(IR)カメラおよび固視コンポーネントに連結した
図5B~
図5Dのサンプルコンポーネントの斜視図である。
【
図6A】いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影(OCT)・赤外線(IR)兼用撮像デバイスを備えるマルチモーダル撮像装置の代替実施形態の上斜視図である。
【
図6B】いくつかの実施形態による、
図6AのOCT・IR撮像デバイスのコンポーネントの側面斜視図である。
【
図6C】いくつかの実施形態による、
図6A~
図6BのOCT・IR撮像デバイスに含めることのできる代替コンポーネントの分解図である。
【
図7A】いくつかの実施形態による、
図6A~
図6BのOCT・IR撮像デバイスのコンポーネントを図示するブロック図である。
【
図7B】いくつかの実施形態による、
図6A~
図6BのOCT・IR撮像デバイスに含めることのできる代替コンポーネントを図示するブロック図である。
【
図8】いくつかの実施形態による、
図6A~
図7AのOCT・IR撮像デバイスのサンプルコンポーネントおよび固視コンポーネントの上面図である。
【
図9A】いくつかの実施形態による、
図8のサンプルコンポーネントに連結することのできるIR検出コンポーネントの側面図である。
【
図9D】いくつかの実施形態による、
図8のサンプルコンポーネントに連結することのできる代替IR検出コンポーネントの側面図である。
【
図9E】いくつかの実施形態による、
図8のサンプルコンポーネントに連結することのできる別の代替IR検出コンポーネントの側面図である。
【
図10】いくつかの実施形態による、
図6A~
図6BのOCT撮像デバイスの検出コンポーネントの上面図である。
【
図11A】いくつかの実施形態による、OCT・IR撮像デバイスの走査路を図示する
図8のサンプルコンポーネントの側面図である。
【
図11B】いくつかの実施形態による、視度補正コンポーネントを含む
図11Aに図示するサンプルコンポーネントの側面図である。
【
図12】いくつかの実施形態による、撮像装置の1つまたは複数のカメラと同期する光源パルスとして、撮像装置の光源の経時的な光の強度のグラフである。
【
図13】いくつかの実施形態による、撮像装置に含むことのできる瞳リレーコンポーネントの網膜スポット図を図示するグラフである。
【
図14A】いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影(OCT)デバイスにおける3つの異なる光源の個々の干渉振幅を示す。
【
図14B】いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影デバイスにおける3つの異なる光源の結合された干渉振幅を示す。
【
図15A】いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影デバイスで使用するための複数の光源を有する発光体を示す。
【
図15B】いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影デバイスで使用するための光の線を発する複数の光源を有する発光体を示す。
【
図16A】いくつかの実施形態による、マルチモーダル撮像装置の白色光および蛍光撮像コンポーネントの上面図である。
【
図16B】いくつかの実施形態による、撮像装置の部分を取り除いた状態の
図16Aの白色光および蛍光撮像コンポーネントの上面図である。
【
図17】いくつかの実施形態による、
図16Aの撮像装置に含めることのできる代替白色光および蛍光撮像コンポーネントの斜視図である。
【
図18】いくつかの実施形態による、
図16Aの撮像装置に含むことのできる別の代替白色光および蛍光撮像コンポーネントの斜視図である。
【
図19】いくつかの実施形態による、
図17または
図18の白色光および蛍光撮像コンポーネントに含むことのできる代替サンプルコンポーネントおよび検出コンポーネントの側面図である。
【
図20A-C】
図20Aは、いくつかの実施形態による、1.22波長の距離分隔てられている2枚のエアリーディスクを使用して生成される光学パターンのグラフであり、
図20Bは、いくつかの実施形態による、1.41波長の距離分隔てられている2枚のエアリーディスクを使用して生成される光学パターンのグラフであり、
図20Cは、いくつかの実施形態による、2.44波長の距離分隔てられている2枚のエアリーディスクを使用して生成される光学パターンのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の態様は、患者の網膜眼底を撮像する改良された技術を提供する。いくつかの態様は、実質的に双眼鏡の形にすることができ、および/または患者の網膜眼底を撮像する複数の対応モードを提供するように構成された複数の撮像デバイスを収容することのできる撮像装置に関する。いくつかの態様は、1つの撮像装置によって採用することのできる白色光、蛍光、赤外線(infrared : IR)、光干渉断層撮影(optical coherence tomography : OCT)、および/または他の撮像モダリティ(imaging modalities)を使用して、患者の眼球を撮像する技術に関する。いくつかの態様は、単独でまたは他の技術と組み合わせて採用することのできる白色光、蛍光、IR、OCTおよび/または他の撮像技術の改良に関する。いくつかの態様は、患者の健康状態の判別を可能にするマルチモーダル撮像技術(multi-modal imaging techniques)に関する。本明細書で説明する撮像装置および撮像技術は、医療グレードの撮像品質を提供し、低コストで製造または実施することができ、そのため医療グレードの撮像へのアクセスを向上させる。
【0019】
発明者らは、人の眼が、その人が眼疾患を有しているかどうかを判断するためだけではなく、その人の全般的な健康を判別するためにも使用することのできる人体の窓口となることを認識し、理解するにいたった。しかし、従来の眼底撮像システムは患者の眼に関する表面的な情報を提供するのみで、特定の疾患を診断するのに十分な情報を提供できていない。したがって、いくつかの実施形態において、複数の撮像モードを使用して、患者の眼底をより完全に撮像する。例えば、2つ以上の技術を使用して眼底を同時に撮像することもできる。いくつかの実施形態において、光学撮像、蛍光撮像および光干渉断層撮影の技術を使用して、眼底のマルチモーダル撮像を提供することもできる。発明者らは、従来の二次元撮像と比べて、マルチモーダル撮像を使用することによって、眼底に関して、患者の健康を判別するために使用することのできるものよりも多くの量の情報を得ることができることを認識するにいたった。いくつかの実施形態において、二次元光学撮像、光干渉断層撮影(OCT)、蛍光スペクトル撮像および蛍光寿命撮像(fluorescent lifetime imaging : FLIM)のうちの2つ以上を使用して、眼底の多次元画像を提供することができる。例として、二次元光学撮像、光干渉断層撮影(OCT)、蛍光スペクトル撮像および蛍光寿命撮像(FLIM)を一緒に使用するデバイスは眼底の五次元画像を提供する。
【0020】
発明者らは、前述した追加の撮像モードのうちの1つまたは複数を提供することによって、従来の眼底の二次元光学撮像の制限を克服できることを認識し、理解するにいたった。例えば、OCTは眼底の表面の下に存在する眼底の特徴に関する情報を提供する。この情報は従来の撮像技術ではアクセスすることができない。同様に、蛍光撮像(スペクトルおよび/または寿命の相違を使用する)は、従来の光学撮像またはOCTを使用して区別することのできない眼底の分子のコンシステンシー(molecular consistency)および/またはバイオマーカー(使用されている場合)の有無に関する情報を提供する。
【0021】
発明者らは、これらの情報の余剰次元が、眼の健康に制限されずに、患者の全般的な健康を含む幅広い範囲の疾患を診断するために、専門家および/または機械学習技術が使用することのできる追加情報を含むことを認識し、理解するにいたった。したがって、いくつかの実施形態は、例えば、眼科的健康、バイタル、感染の有無、循環器の健康、炎症、および/または神経学的健康、ならびに人の特定の病気へのかかりやすさを含む個人の健康状態を判断することのできるリアルタイムの万能診断装置に向けられる。例として、循環器疾患の34%は初期段階でリスクのある患者を特定することにより効果的に治療することができる。小児の視覚障害は、未熟児に緑内障および他の眼疾患の検査をすることで診断および予防することができる。発明者らは、いくつかの実施形態で説明する装置のような診断ツールが、患者が病気に罹患しているかどうか、またはこのような病気にかかりやすいかどうかを判断するために非侵襲的技術を提供することを認識するにいたった。
【0022】
発明者らは、デバイスを移動可能、手持式および手頃な価格にすることが世界中の人々の健康に対して非常に大きな影響をもつであろうこともさらに認識し、理解するにいたった。特定の疾病を診断する専門施設を用意できない、および/または撮像検査からのデータを分析する医療専門家がいない国や地域は、住民全体の健康が損なわれたままになっていることが多い。低所得コミュニティに運べる移動可能なデバイスは、重要な健康診断への受診拡大を可能にする。したがって、いくつかの実施形態は、移動可能ないくつかの実施例では、手持式の筐体内に、眼底を撮像する複数のモードを含む装置に向けられる。いくつかの実施形態において、装置は、患者が眼底撮像のために装置を両眼にかざすことのできるように、双眼鏡のフォームファクタを有する。いくつかの実施形態において、複数の撮像モードのうちの1つまたは複数は装置をより小型に、効率的に、および費用対効果を高くするために、光学コンポーネントを共有することができる。例えば、光学撮像デバイスおよび蛍光撮像デバイスを装置の双眼鏡筐体の第1半体に収容することができ、OCTデバイスを双眼鏡筐体の第2半体に収容することができる。このような装置を使用して、患者の両眼を異なるデバイスを使用して同時に撮像することができる。例えば、OCTデバイスを使用して患者の右眼を撮像しながら、患者の左眼を光学撮像デバイスおよび/または蛍光撮像デバイスを使用して撮像することができる。最初の撮像が完了した後、患者は双眼鏡装置の向きを反転して、各眼を今度は双眼鏡筐体の他方の半体に配置されるデバイスで測定する、例えば、OCTデバイスを使用して左眼を撮像し、右眼を光学撮像デバイスおよび/または蛍光撮像デバイスを使用して撮像するようにすることができる。装置が両方の向きで確実に動作できるようにするために、患者の両眼付近に設置される装置の前面は実質的に対称形にすることができる。追加的または代替的に、装置の筐体の2つの半体を、2つの半体をいずれの向きにも調整できるヒンジで接続してもよい。
【0023】
発明者らは、システムを学習可能にし、よりスマートにすることを可能にする深層学習システムとのインターフェースを有する装置を提供することが、非専門職による使用をしやすくすることをさらに認識し、理解するにいたった。低所得コミュニティでは、複雑な装置を操作するおよび/または当該機器が取得した結果の画像を分析することのできる専門家へのアクセスは限られる。さらに、装置はスマートデバイス(例えば、携帯電話もしくはタブレット)および/またはクラウドベースの記憶装置といずれの方向でも通信することができるので、装置はスマートデバイスおよび/もしくはクラウドによって制御することができ、ならびに/またはスマートデバイスおよび/もしくはクラウドに画像をアップロードするようにすることができる。深層学習システムとインターフェースする装置を提供することにより、いくつかの実施形態の装置が取得したマルチモーダル画像(multimodal images)を自動分析して、医療現場で専門家の必要なく、患者の1つ以上の健康指標を判別することができる。
【0024】
I.マルチモーダル撮像装置(Multi-Modal Imaging Apparatus)
発明者らは、撮像機能性を高め、可転性のフォームファクタを有する新規で改良された撮像装置を開発した。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像装置は、共通の筐体内のOCT、IR、白色光および/またはFLIMデバイスから選択される少なくとも2つのデバイスなど、多数の撮像デバイスを含むことができる。例えば、単一の撮像装置が筐体内に様々な撮像デバイス(白色光、IR、蛍光および/またはOCT等)を支持できる形状の筐体を含むことができる。いくつかの実施形態において、異なる撮像デバイスを筐体の両側で分けることができ、筐体の各側の撮像デバイスは患者の両眼のうちの一方を撮像するように構成される。いくつかの実施形態において、撮像デバイスのすべてを患者の両眼のうちの同じ方を撮像するように構成することもできる。いくつかの実施形態において、筐体の部分に位置付けられた単一のマルチモーダル撮像デバイスを多数の撮像モード(例えば、IRとOCT、白色光とFLIM、等)を支持するように構成することもできる。いくつかの実施形態において、筐体は画像の撮像、処理もしくは前処理を行う、ならびに/または画像の格納および/もしくは伝送のためにクラウドにアクセスするための電子機器をさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、撮像装置に内蔵された電子機器はユーザの健康状態または病状を判断するように構成されることもできる。
【0025】
いくつかの実施形態において、本明細書に説明する撮像装置は人の両眼をどちらも(例えば、同時に)撮像することに適したフォームファクタ(form factor)を有することもできる。いくつかの実施形態において、本明細書に説明する撮像装置は、撮像装置の異なる撮像デバイスで各眼を撮像するように構成されることができる。例えば、以下に詳しく説明するように、撮像装置は人の両眼に位置合わせするために撮像装置の筐体内に保持される1対のレンズを含むことができ、該1対のレンズも撮像装置のそれぞれの撮像デバイスに位置合わせされている。いくつかの実施形態において、撮像装置は、撮像デバイスを撮像装置の各側に位置付けた実質的に双眼鏡形のフォームファクタを含むことができる。撮像装置の操作中、人は撮像装置の垂直方向の向きを(例えば、撮像が行われる方向に平行な軸に対してデバイスを回転することにより)簡単にひっくり返すことができる。したがって、撮像装置は第1撮像デバイスを用いて人の右眼を撮像することから、第2撮像デバイスを用いて右眼を撮像することに移行することができ、同様に、第2撮像デバイスを用いて人の左眼を撮像することから第1撮像デバイスを用いて左眼を撮像することに移行することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に説明する撮像装置は、テーブルまたは机に設置するように構成され、例えばスタンドに設置される。例えば、スタンドは撮像装置を1つまたは複数の軸に対して回転させることを可能にして、操作中にユーザが回転しやすいようにすることができる。
【0026】
本明細書に説明される撮像装置の態様は、実質的に双眼鏡の形とは異なるフォームファクタを使用して実施できることは理解されるべきである。例えば、実質的に双眼鏡の形とは異なるフォームファクタを有する実施形態は、以下に説明される例示的な撮像装置に関連して、本明細書で説明する方法で別様に構成することができる。例えば、当該撮像装置は、撮像装置の1つまたは複数の撮像デバイスを使用して、人の両眼のうちの一方または両方を同時に撮像するように構成されることができる。
【0027】
本明細書に説明される技術による撮像装置の一実施例を
図1A~
図1Bに図示する。
図1Aに示すように、撮像装置100は、第1筐体部102と第2筐体部103とを有する筐体101を含む。いくつかの実施形態において、第1筐体部102は撮像装置100の第1撮像デバイス122を収容することができ、第2筐体部103は撮像装置の第2撮像デバイス123を収容することができる。
図1A~
図1Bに図示するように、筐体101は実質的に双眼鏡の形にされている。
【0028】
いくつかの実施形態において、第1および第2の撮像デバイス122および123は、光学撮像デバイス、蛍光撮像デバイス、および/またはOCT撮像デバイスを含むことができる。例えば、一実施形態において、第1撮像デバイス122はOCT撮像デバイスとしてもよく、第2撮像デバイス123は光学および蛍光撮像デバイスにしてもよい。いくつかの実施形態において、撮像装置100は、光学撮像デバイスのみまたは蛍光撮像デバイスのみなど、単一の撮像デバイス122または123のみを含むこともできる。いくつかの実施形態において、第1および第2の撮像デバイス122および123は、レンズ(例えば、収束、発散レンズ等)、鏡および/または他の撮像コンポーネントなどの1つまたは複数の光学コンポーネントを共有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、第1および第2の撮像デバイス122および123は共通の光路を共有することができる。デバイスは独立してまたは共同して動作することができることは想定される。各デバイスがOCT撮像デバイスであってもよく、各デバイスが蛍光撮像デバイスであってもよく、または両方がどちらか一方であってもよい。両眼を同時に撮像および/もしくは測定しても、または各眼を別々に撮像および/もしくは測定してもよい。
【0029】
筐体部102および103は前筐体部105によって筐体101の前端に接続することができる。例示的な実施形態において、前筐体部105は、人の顔に合わせる形を有するなど、人の顔の輪郭を受け入れるような形にされている。人の顔を受け入れるとき、前筐体部105によって、人の両眼から撮像装置100の撮像デバイス122および/または123までの視線がさらに提供されることができる。例えば、前筐体部105は、第1および第2の光学デバイス122および123と人の眼との間に最小限に遮られる光路を提供するため、第1筐体部102および第2筐体部103でそれぞれの開口に対応する第1開口110および第2開口111を含むことができる。いくつかの実施形態において、開口110および111は、ガラス製またはプラスチック製の1つまたは複数の透明な窓(例えば、それぞれが独自の窓を有する、共通窓を有する等)で覆われている。
【0030】
第1および第2の筐体部102および103は、後筐体部104によって筐体101の後端に接続することができる。後筐体部104は、撮像装置100の環境内の光が筐体101に入って撮像デバイス122または123に干渉しないように、第1および第2の筐体部102および103の端部を覆うような形にすることができる。
【0031】
いくつかの実施形態において、撮像装置100は、携帯電話、デスクトップ、ラップトップ、またはタブレットコンピュータおよび/またはスマートウォッチなどの別のデバイスに通信可能に連結するように構成されることができる。例えば、撮像装置100は、USBおよび/または適切な無線ネットワークなどにより、当該デバイスへの有線接続および/または無線接続を確立するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、筐体101は1つまたは複数の電気(例えば、USB)ケーブルを収容するための1つまたは複数の開口を含むことができる。いくつかの実施形態において、筐体101には、当該デバイスに無線信号を送信しおよび/または当該デバイスから無線信号を受信するために1つまたは複数のアンテナが搭載されている。いくつかの実施形態において、撮像デバイス122および/または123は、電気ケーブルおよび/またはアンテナとインターフェースを取るように構成されることができる。いくつかの実施形態において、撮像デバイス122および/または123は、筐体101内に配置されている充電可能なバッテリを充電するためなど、ケーブルおよび/またはアンテナから電力を受けることができる。
【0032】
撮像装置100の操作中、撮像装置100を使用する人は、その人の両眼が開口110および111に位置合わせされるように、前筐体部105をその人の顔に当てることができる。いくつかの実施形態において、撮像装置100は筐体101に連結されて、人の手で掴めるように構成された把持部材(図示せず)を含むことができる。いくつかの実施形態において、把持部材は軟質プラスチック材を使用して形成することができ、人の指を受け入れるように人間工学的な形にすることができる。例えば、人は把持部材を両手で掴んで、その人の両眼が開口110および111に位置合わせされるように、前筐体部105をその人の顔に当てることができる。代替的または追加的に、撮像装置100は筐体101に連結されて、撮像装置100をテーブルまたは他の機器に設置等するために、撮像装置100を設置アームに設置するように構成された設置部材(図示せず)を含むことができる。例えば、設置部材を使用して設置されたとき、撮像装置100は、人が撮像装置100をしっかり保持する必要なく、その人が使用するためのある位置で安定させることができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、撮像装置100は、例えば、開口110および111が人の両眼に位置合わせされる方向に沿ってなど、撮像装置100からその人の両眼に向った可視光投影などの固視手段(fixator)を採用することができる。様々な実施形態によると、固視手段は、円形もしくは楕円形のスポットなどの輝点としてもよく、または画像もしくは家(house)もしくは何か他の物体などの画像にしてもよい。発明者らは、人は一般的に、片眼だけが物体を認識するときでも、物体に焦点を合わすために両眼を同じ方向に動かすことを認識した。したがって、いくつかの実施形態において、撮像装置100は、1つの開口110または111のみを使用するなどして、固視物を片眼のみに提供するように構成することもできる。他の実施形態において、開口110および111の両方を使用するなどして、固視物を両眼に提供することもできる。
【0034】
図2は、いくつかの実施形態による、撮像装置200のさらなる実施形態を図示する。示されるように、撮像装置200は、1つまたは複数の撮像デバイス(図示せず)を内部に配置することのできる筐体201を含む。筐体201は、中央筐体部分204に接続されている第1筐体部202および第2筐体部203を含む。中央筐体部分204は、第1および第2の筐体部202および203を接続するヒンジを含み、および/またはヒンジとして作用することができる。このヒンジを中心として第1および第2の筐体部分202および203が回転可能となっている。第1および/または第2の筐体部202および/または203を中央筐体部分204に対して回転させることにより、それに応じて第1および第2の筐体部202および203を隔てる距離を増減させることができる。撮像装置200の操作前および/または操作中、人は第1および第2の筐体部202および203を回転させて、その人の両眼を第1および第2の筐体部202および203の開口に容易に位置合わせするためなど、その人の両眼を隔てる距離に適応させることができる。
【0035】
第1および第2の筐体部202および203は、
図1A~
図1Bに関連して第1および第2の筐体部102および103について説明したように構成することができる。例えば、各筐体部は、光学撮像デバイス、蛍光撮像デバイスおよび/またはOCT撮像デバイスなど、1つまたは複数の撮像デバイスを内部に収容することができる。
図2では、各筐体部202および203は前筐体部205Aおよび205Bの個々の1つに連結されている。前筐体部205Aおよび205Bは、人の両眼に近い人の顔の部分に適合するなど、撮像装置200を使用して人の顔の輪郭に適合するような形にすることができる。一実施例において、前筐体部205Aおよび205Bは、人の顔に当てたときに、人の顔の輪郭に適合することのできる柔軟なプラスチックを使用して形成することができる。前筐体部205Aおよび205Bは、人の両眼から撮像装置200の撮像デバイスまで最小閉塞光路(minimally obstructed optical paths)を提供するために、第1および第2の筐体部202および203の開口に位置合わせさせるなど、第1および第2の筐体部202および203の開口に対応する各開口211および210を有することができる。いくつかの実施形態において、開口210および211はガラス製またはプラスチック製の透明な窓で覆われている。
【0036】
いくつかの実施形態において、中央筐体部204は撮像装置200を動作させるための1つまたは複数の電子回路(例えば、集積回路、プリント回路基板等)を含むことができる。いくつかの実施形態において、撮像デバイスを使用して撮像されたデータを分析するためなど、1つまたは複数のプロセッサを中央筐体部204に配置することができる。中央筐体部204は、撮像装置100について説明したように、他のデバイスおよび/またはコンピュータに電気的に通信する有線手段および/または無線手段を含むことができる。例えば、撮像装置200に通信可能に連結されるデバイスおよび/またはコンピュータによって別の処理を行うことができる。いくつかの実施形態において、撮像装置200に内蔵される電子回路は、当該通信可能に接続されたデバイスまたはコンピュータから受け取る命令に基づいて、撮像した画像データを処理することができる。いくつかの実施形態において、撮像装置200は、撮像装置200に通信可能に接続されたデバイスおよび/またはコンピュータから受け取る命令に基づいて、画像撮像シーケンスを開始することができる。
【0037】
撮像装置100に関連するものを含めて本明細書で説明するように、撮像装置200は把持部材および/もしくは設置部材、ならびに/または固視手段を含むことができる。
図3A~
図3Dは、いくつかの実施形態による撮像装置300のさらなる実施形態を図示する。
図3Aに示すように、撮像装置300は、複数の筐体部分301a、301b、および301cを含む筐体301を有する。筐体部分301aは、撮像装置300をオンまたはオフにするため、および走査シーケンスを開始するための複数のボタンを含む制御パネル325を有する。
図3Bは、撮像デバイス322および323ならびに電子機器320など、筐体301内に配置される複数のコンポーネントを図示する撮像装置300の分解図である。撮像デバイス322および323は、様々な実施形態に応じて、白色光撮像コンポーネント、蛍光撮像コンポーネント、赤外線(IR)撮像コンポーネント、および/またはOCT撮像コンポーネントのうち、1つまたは複数を含むことができる。一実施例において、撮像デバイス322はOCT撮像コンポーネントおよび/またはIR撮像コンポーネントを含むことができ、撮像デバイス323は白色光撮像デバイスおよび/または蛍光撮像デバイスを含むことができる。撮像装置は、例えば、
図3Cに図示されるように、人の両眼を撮像するために受け入れるように構成された前筐体部分305をさらに含む。
図3Dは、本明細書で詳しく説明するように、スタンド350に着座した撮像装置300を示す。
【0038】
図3A~
図3Dに示すように、筐体部分301aおよび301bは、撮像装置300のコンポーネントの全部またはほとんどを筐体部分301aと301bとの間に配置することなどにより、撮像装置300を実質的に格納することができる。筐体部分301cは、筐体301を一緒に留め付ける1つまたは複数のねじを使用するなどして、筐体部分301aおよび301bに機械的に連結することもできる。
図3Bに図示するように、筐体部分301cは、撮像デバイス322および323を収容するための筐体部分302および303など、内部に複数の筐体部分を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、筐体部分302および303は、撮像デバイス322および323をしっかりと保持するように構成されることができる。筐体部分301cは、レンズ310および311が配置される1対のレンズ部分をさらに含む。筐体部分302および303ならびにレンズ部分は、撮像デバイス322および323をレンズ310および311に位置合わせして保持するように構成されることができる。筐体部分302および303は、レンズ310および311の焦点を調整するための焦点合わせ部品326および327を収容することができる。いくつかの実施形態は固定用タブ(securing tabs)328をさらに含むことができる。固定用タブ328を調整する(例えば、押し付ける、引く、押す、等)ことにより、保守および/または修理の目的で撮像装置300の複数のコンポーネントにアクセスするためなど、筐体部分301a、301bおよび/または301cを互いに切り離すことができる。
【0039】
電子機器320は、
図2に関連して電子機器320について説明したように構成することができる。制御パネル325を電子機器320に電気的に接続することができる。例えば、制御パネル325の走査ボタンは、電子機器320に走査コマンドを通信して、撮像デバイス322および/または323を使用して走査を開始するように構成されることができる。別の実施例として、制御パネル325の電力ボタンを、電子機器320に電源オンまたは電源オフコマンドを通信するように構成されることができる。
図3Bに図示するように、撮像装置300は、撮像装置300の周辺環境における電磁干渉(electromagnetic interference : EMI)源から電子機器320を隔離するように構成される電磁シールド324をさらに含むことができる。電磁シールド324を含むことによって、電子機器320の動作(例えば、ノイズ性能)を改善しうる。いくつかの実施形態において、電磁シールド324は電子機器320の1つまたは複数のプロセッサに接続されて、1つまたは複数のプロセッサ内で発生する熱を放散させることができる。
【0040】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像装置は、
図3Dの実施例で図示するように、スタンドに設置するように構成されることができる。
図3Dにおいて、撮像装置300は、ベース352および保持部分358を含むスタンド350によって支持される。ベース352は実質的にU字形の支持部分を含むことが図示され、支持部分の下側に装着される複数の脚部354を有する。図に示されるように、ベース352はテーブルまたは机の上に撮像装置300を支持するように構成されることができる。保持部分358は撮像装置300の筐体301を収容するような形にすることができる。例えば、保持部分358の外側は筐体301に適合する形にすることができる。
【0041】
図3Dに図示するように、ベース352はヒンジ356によって保持部分358に連結することができる。ヒンジ356は、ベース352を支持する面に平行な軸を中心に回転可能に構成されることができる。例えば、撮像装置300およびスタンド350の操作中、人は、撮像装置300を受容した状態の保持部分358を人が片眼または両眼を撮像するのに適した角度に回転することができる。例えば、人は、スタンド350を支持するテーブルまたは机に着席する。いくつかの実施形態において、人は撮像装置内の撮像デバイスが人の(両)眼を撮像する光軸に平行な軸を中心に撮像装置300を回転させることができる。例えば、いくつかの実施形態において、スタンド350は、代替的または追加的に、光軸に平行なヒンジを含むことができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、保持部分358(またはスタンド350の他の部分)は有線接続または無線接続により撮像装置300に電力を送るように構成された充電ハードウェアを含むことができる。一実施例では、スタンド350の充電ハードウェアは1つまたは複数の無線充電コイルに接続される電源を含むことができ、撮像装置300はスタンド350内のコイルから電力を受け取るように構成された無線充電コイルを含むことができる。別の実施例では、スタンド350内の充電ハードウェアは、撮像装置300が保持部分358に着座したときに、撮像装置300の相補型コネクタがスタンド350のコネクタとインターフェースを取るように、保持部分358の外側の電気コネクタに接続されることができる。様々な実施形態によると、無線充電ハードウェアは、充電するために撮像装置300に適切な電圧および電流を供給するように構成された1つまたは複数の電力コンバータ(例えば、ACからDC、DCからDC等)を含むことができる。いくつかの実施形態において、スタンド350は撮像装置300に有線電力または無線電力を供給するように構成された少なくとも1つの充電可能なバッテリを収容することができる。いくつかの実施形態において、スタンド350は、単相の壁コンセントなど、標準的な壁コンセントから電力を受け取るように構成された1つまたは複数の電力コネクタを含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、前筐体部分305は複数の部分305aおよび305bを含むことができる。部分305aは機械的に弾性を有する材料を使用して形成することができるのに対し、前部分305bは機械的に柔軟性を有する材料を使用して形成することができるため、前筐体部分305はユーザにとって着け心地がよい。例えば、いくつかの実施形態において、部分305aはプラスチックを使用して形成することができ、部分305bはゴムまたはシリコーン(silicone)を使用して形成することができる。他の実施形態において、前筐体部分305は機械的弾性または機械的柔軟性を有する単一の材料を使用して形成することができる。いくつかの実施形態において、部分305bは前筐体部分305の外側に配置することができ、部分305aは部分305bの中に配置することができる。
【0044】
II.光干渉断層撮影および/または赤外線(IR)撮像技術
発明者らは、マルチモーダル撮像装置内に単独でまたは組み合わせて実装することのできる改良されたOCTおよびIR撮像技術を開発した。いくつかの実施形態において、本明細書で詳しく説明するOCTおよびIR撮像コンポーネントの組合せは、マルチモーダル撮像装置の第1および第2の筐体部の一方または両方に一緒に入れることができる。いくつかの実施形態において、OCT撮像コンポーネントは第1または第2の筐体部の一方に配置することができ、IR撮像コンポーネントは他の筐体部に配置することができる。発明者らは、OCTコンポーネントおよびIRコンポーネントを組み合わせて、複数のコンポーネントの少なくとも一部分が撮像経路(imaging path)を共有したようにすると、マルチモーダル撮像装置を製造するフォームファクタおよびコストが削減されることを認識した。
【0045】
いくつかの実施形態において、OCT技術は患者の網膜眼底に広帯域光を集光させるとともに、参照面にも当てて、その後患者の網膜眼底から反射される光を参照面から反射される光と結合させて、網膜眼底の構造に関する情報を得ることができる。この情報は、患者の網膜眼底から受光する光と参照面から受光する光との間で検出される干渉に基づいて判別することができる。いくつかの実施形態において、OCT技術は網膜眼底の表面の下の構造に関する深さ撮像情報を提供することができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタは、光源光を、患者の網膜眼底に光を供給するサンプルコンポーネントと、参照面に光を供給する参照コンポーネントとに分割する。ビームスプリッタは、次いで、サンプルコンポーネントおよび参照コンポーネントから反射された光を結合して、結合された光を干渉計に提供する。いくつかの実施形態において、干渉計はサンプリングされた光と参照光との位相差を判別することにより干渉を検出することができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、OCTは患者の網膜眼底の深さを走査するために時間領域で行うことができる。例えば、いくつかの実施形態において、参照コンポーネントとサンプルコンポーネントとの光路長の違いを調整してもよい。いくつかの実施形態において、OCTは干渉計を使用することにより周波数領域で行って、特定の光スペクトルの干渉を検出することができる。本明細書で説明する実施形態は、時間領域および/または周波数領域OCTを行うように構成されることができる。
【0047】
いくつかの実施形態において、IR撮像コンポーネントは、患者の網膜眼底のIR撮像を行うことができ、患者の網膜眼底の深さおよび/または温度に関する情報を提供することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する少なくともいくつかのIRおよびOCT撮像コンポーネントは光路を共有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、IR撮像およびOCT撮像は、本明細書で説明するように、複数の同じ光学コンポーネントの少なくともいくつかを使用して、異なる時に行うことができる。
【0048】
本明細書で説明するOCT技術およびIR技術は、単一モードまたはマルチモーダル撮像装置内で単独でまたは組み合わせて使用できることは理解されるべきである。また、本明細書で説明する複数の技術が単独でまたは組み合わせて実施することができるため、いくつかの実施形態はOCTコンポーネントのみまたはIRコンポーネントのみを含んでもよい。
【0049】
図4A~
図4Cは、いくつかの実施形態による、複数のOCT光源コンポーネント410、複数のサンプルコンポーネント(sample components)420、複数の参照コンポーネント440および複数の検出コンポーネント450を有する組み合わされたOCT/IR撮像デバイスを備えるマルチモーダル撮像装置400を図示する。
図4Aは撮像装置400の上斜視図であり、
図4Bは撮像装置400の上面図であり、
図4Cは撮像装置400の側面斜視図である。いくつかの実施形態において、光源コンポーネント410は、スーパールミネッセントダイオードなどの1つまたは複数の光源と、光源からの光を集光するように構成された複数の光学コンポーネントとを含むことができる。光源コンポーネント410のうち、光源412、円柱レンズ416およびビームスプリッタ418を
図4A~
図4Cに示している。いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント420は光源コンポーネント410から1つまたは複数の光学コンポーネントを通して患者の眼に光を提供するように構成されることができる。サンプルコンポーネント420のうち、走査鏡422および固視ダイクロイック(fixation dichroic)424を
図4A~
図4Cに示している。いくつかの実施形態において、参照コンポーネント440は、光源コンポーネント410から1つまたは複数の光学コンポーネントを通して1つまたは複数の参照面に光を提供するように構成されることができる。参照コンポーネント440のうち、分散補償器(dispersion compensator)442、円柱レンズ444、複数のフォールドミラー(fold mirrors)446および参照面448を
図4A~
図4Cに示している。いくつかの実施形態において、検出コンポーネント450は、光源コンポーネント410からサンプルコンポーネント420および参照コンポーネント440への光の提供に応答して、サンプルコンポーネント420および参照コンポーネント440から反射光を受光するように構成されることができる。検出コンポーネント450のうち、非球面レンズ452、平凹レンズ454、アクロマティックレンズ(achromatic lens)456、透過型回折格子458およびアクロマティックレンズ460を
図4A~
図4Cに示している。
【0050】
図4Dは、いくつかの実施形態による、筐体の上部分を取り除いた状態の撮像装置400の上面図である。複数のフォールドミラー446および参照面448など、複数の参照コンポーネント450のいくつかを
図4Dに示す。
図4Eは、いくつかの実施形態による、撮像装置400のOCT・IR撮像デバイスの複数のコンポーネントの側面斜視図である。IRカメラ470、光源412、走査鏡422およびOCTモータ走査窓451を
図4Eに示す。
【0051】
撮像装置400に含むことのできる複数の光源コンポーネント410、複数のサンプルコンポーネント420、複数の参照コンポーネント440および複数の検出コンポーネント450のさらなる実施例を、
図5A~
図5Iへの参照を含めて本明細書で説明する。
【0052】
図5Aは、いくつかの実施形態による、例示的な光源コンポーネント510の上面図である。いくつかの実施形態において、光源コンポーネント510はOCT撮像デバイス400に光源コンポーネント410として含むことができる。いくつかの実施形態において、光源コンポーネント510は、サンプルコンポーネントおよび/または参照コンポーネントなど、他のOCTコンポーネントに光を供給するように構成されることができる。例えば、光源コンポーネント510は、患者の眼に供給するためにサンプルコンポーネントに光を供給し、参照面に供給するために参照コンポーネントに光を供給して、サンプルコンポーネントを介した光の供給に応答して患者の眼から検出される光が参照面に供給される光と比較することができるように構成されることができる。
【0053】
図5Aでは、光源コンポーネント510は光源512、ビームスプレッダ514、円柱レンズ516およびビームスプリッタ518を含む。いくつかの実施形態において、光源512はスーパールミネッセントダイオードを含むことができる。いくつかの実施形態において、光源512は偏光(例えば、線形、円形、楕円形、等)を供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、光源512は、白色光およびIR光を含むなど、広帯域光を供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、光源512は、40nmより大きいスペクトル幅および750nmから900nmの間の中心波長を有するスーパールミネッセントダイオードを含むことができる。一実施例において、光源512は850nmの中心波長を有することができ、患者の組織による散乱が他の波長よりも少ない。いくつかの実施形態において、光源512は単一側方空間モード(single lateral spatial mode)を有するスーパールミネッセントダイオードを含むことができる。いくつかの実施形態において、光源512は片側に調整可能な鏡を有する垂直共振器型面発光レーザ(vertical-cavity surface-emitting laser : VCSEL)を含むことができる。いくつかの実施形態において、VCSELはマイクロメカニカルムーブメント(micro-mechanical movement : MEM)を使用して100nmよりも大きいチューニング範囲を有することができる。いくつかの実施形態において、光源512は、合わせて広いスペクトル幅を有する複数の光源を含むことができる。一実施形態において、光源512はすぐ近くに複数のレーザダイオードを含むことができる。レーザダイオードはスーパールミネッセントダイオードよりも安価で、スーパールミネッセントダイオードよりも高い輝度および短いパルス持続時間を有するため、費用対効果が高い。いくつかの実施形態において、各レーザダイオードのスペクトルを、CMOSセンサの個別の波長において回折格子によって重ね合わせてもよい。
【0054】
いくつかの実施形態において、ビームスプレッダ514は円柱ビームスプレッダを含むことができる。いくつかの実施形態において、ビームスプレッダ514は非球面レンズを含むことができる。いくつかの実施形態において、ビームスプレッダ514および/または円柱レンズ516は、光源512からの光を患者の網膜眼底を走査するための細長い線にするように構成されることができる。例えば、光が患者の網膜眼底に到達すると、光は第1方向に集光されて、第1方向に垂直な第2方向に引き伸ばしてもよい。いくつかの実施形態において、フォールドミラーはビームスプレッダ514と円柱レンズ516との間に位置付けることができる。いくつかの実施形態において、円柱レンズ516は、光源コンポーネント510に連結される他のサンプルコンポーネントとともに含むことができる走査鏡522に、光源を空間的に集光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、走査鏡522は1つまたは複数のステッパモータ、検流計、ポリゴンスキャナ、微小電気機械スイッチ(micro-electromechanical switch : MEMS)鏡、および/または他の可動鏡デバイスを用いて起動することができる。
図5Aに示すように、円柱レンズ516は反対方向に向かい合っており、曲面が互いに向かい合っている。
【0055】
いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は光源512からの光を、サンプルコンポーネントおよび/または参照コンポーネントなどの他のOCTコンポーネントに結合するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は光を走査鏡522などのサンプルコンポーネントに結合するように構成されることができ、それがさらに他のサンプルコンポーネントに光を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518はロングパスフィルタとして構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は白色光源光を反射して、光源512から入射するIR光源光を透過するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は、IR光をサンプルコンポーネントに伝達し、白色光を参照コンポーネントに向かって反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は、光源光の半分をサンプルコンポーネントに、光源光の半分を参照コンポーネントに供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は、サンプルコンポーネントに参照コンポーネントよりも多くの光源光を供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518はサンプルコンポーネントおよび参照コンポーネントからの干渉光を検出コンポーネントに供給するようにさらに構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518はプレートビームスプリッタにすることができる。
【0056】
図5Bは、いくつかの実施形態による、例示的なサンプルコンポーネント520の側面図であり、
図5Cはサンプルコンポーネント520の上面図である。いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント520はサンプルコンポーネント420としてOCT撮像デバイス400に含まれることができる。
図5B~
図5Cに示すように、サンプルコンポーネントは走査鏡522、固視ダイクロイック524、IR眼底ダイクロイック526、平凸レンズ528、両凹レンズ530、平凹レンズ532および平凸レンズ534を含む。いくつかの実施形態において、固視ダイクロイック524は、固視表示部などの固視コンポーネントに向けて光源光のいくらかを反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、固視ダイクロイック524はロングパスフィルタとして構成されることができるので、短い波長の(例えば、可視)光は固視ダイクロイック524によって反射される。いくつかの実施形態において、IR眼底ダイクロイック526はショートパスフィルタとして構成されることができるので、長い波長の(例えば、IR)光はIR眼底ダイクロイック526によって反射される。いくつかの実施形態において、IR眼底ダイクロイック526はIR光を反射し、白色光を透過するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、レンズ528、530、532および/または534は視度補正を提供するために調整されることができる。いくつかの実施形態において、これらのレンズは異なる矯正、遠視または老眼を有する患者を補正するために調整されることができる。
図5Bおよび
図5Cは、サンプルコンポーネント520が患者の網膜に光源光をどのように集光することができるかをさらに図示する。
図5Bに示すように、サンプルコンポーネント510によって提供される光は、横から見たときに、眼の奥の1点に焦点を合わせることができる。
図5Cに示すように、サンプルコンポーネント510によって提供される光は、上から見たときに、光が眼の奥の点の線に広がるように、眼の前側の1点(例えば、瞳孔)に焦点を合わせることができる。
【0057】
図5Dは、いくつかの実施形態による、光学的に結合した構成における光源コンポーネント510およびサンプルコンポーネント520の斜視図である。
図5Dでは、走査鏡522は光源コンポーネント510からの光をサンプルコンポーネント520に結合するように構成されて示されている。いくつかの実施形態において、走査鏡522は光源コンポーネント510からのIR光をサンプルコンポーネント520に結合するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント520は患者の眼から反射して返される光を走査鏡522に集光して、反射光をビームスプリッタ518に供給することができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ518は、反射光を検出コンポーネントに供給するようにさらに構成されることができる。
【0058】
図5Eは、いくつかの実施形態による、例示的な参照コンポーネント540の斜視図である。いくつかの実施形態において、参照コンポーネント540は参照コンポーネント440としてOCT撮像デバイス400に含まれることができる。
図5Eに示すように、参照コンポーネント540は分散補償器542、コリメートレンズ544、フォールドミラー546および参照面548を含む。
図5Eに示すように、光源コンポーネント510のビームスプリッタ518は参照コンポーネント540に向かって白色光を反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、分散補償器542は鏡を含むことができる。いくつかの実施形態において、分散補償器542は、患者の眼によってサンプルコンポーネント520を通過する光に提供されるのと同じ量の分散を、参照コンポーネント540を通過する光に提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、コリメートレンズ544は円柱平凸レンズを含むことができる。いくつかの実施形態において、参照面548はウェッジガラスを含むことができる。いくつかの実施形態において、参照面548は、各反射点が点光源(point source)として作用するため、人の眼と同様に反射するように構成された拡散反射器を含むことができる。いくつかの実施形態において、参照面548は鏡を含むことができる。いくつかの実施形態において、参照コンポーネント540は+/-5mmの調整可能な光路長を有する。
【0059】
図5Fは、いくつかの実施形態による、光学的に結合された構成における光源コンポーネント510および参照コンポーネント540の斜視図である。
図5Fでは、ビームスプリッタ518は光源コンポーネント510の光源512からの光を参照コンポーネント540に結合するように構成されて示されている。いくつかの実施形態において、参照コンポーネント540は参照面548からの光をビームスプリッタ518に戻すように構成されることができ、該ビームスプリッタは戻った参照光を検出コンポーネントに供給することができる。
【0060】
図5Gは、いくつかの実施形態による、例示的な検出コンポーネント550の上面図である。いくつかの実施形態において、検出コンポーネント550は検出コンポーネント450としてOCT撮像デバイス400に含まれることができる。
図5Gに示すように、検出コンポーネント550は非球面レンズ552、平凹レンズ554、アクロマティックレンズ556、透過型回折格子558、アクロマティックレンズ560、偏光子(polarizer)562、平凸レンズ564および平凹レンズ566を含む複数のフィールドレンズ、ならびにOCTカメラ568を含む。いくつかの実施形態において、非球面レンズ552、平凹レンズ554およびアクロマティックレンズ556は、ビームスプリッタ518から受光する検出された光を拡大するように構成されることができる。例えば、受光した光は、サンプルコンポーネントからの患者の眼から反射された光、参照コンポーネント540の参照面548によって反射される光を含むことができる。いくつかの実施形態において、OCTカメラ568は、マッハ・ツェンダー(Mach-Zehnder)干渉計および/またはマイケルソン干渉計などの干渉計を含むことができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、透過型回折格子558はOCTカメラ568によって受光される光のスペクトル信号雑音比を改善することができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、OCTカメラ568に垂直入射で光を供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、OCTカメラ558の伝達関数の雑音性能を向上させることができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、受光した光の対称性を増加させ、収差を減少させるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、受光した光をリトロー角度で透過するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、受光した光を波長で分割するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、1200~1800本/mmの分散回折格子を有することができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、1500~1800本/mmの分散回折格子を有することができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558は、1800本/mmの分散回折格子を有することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ560およびフィールドレンズは透過型回折格子558からOCTカメラ568に向けて光を集光するように構成されることができ、該OCTカメラは集光された光を検出するように構成されることができる。偏光子562は、アクロマティックレンズ560とフィールドレンズとの間に位置付けられて示されている。いくつかの実施形態において、偏光子562は光源コンポーネント510の光源512と同じ偏光を有することができるので、光源512とは異なる偏光を有する光が濾波される(filtered out)ことができる。いくつかの実施形態において、偏光子562は、異なる(例えば、反対の)偏光を有する眼によって反射された患者の眼から受光される光を透過するためになど、光源512とは異なる偏光を有することができる。いくつかの実施形態において、フィールドレンズは、受光した光のフィールドを平坦化するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、フィールドレンズは、受光した光の主光線角度を調整するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、フィールドレンズは、受光した光の発散光線を得るように構成されることができる。
【0064】
図5Hは、いくつかの実施形態による、光学的に結合された構成における光源コンポーネント510、参照コンポーネント540および検出コンポーネント550の斜視図である。
図5Hでは、ビームスプリッタ518は光源コンポーネント510からの光を参照コンポーネント540に結合して、参照コンポーネント540から受光する光を検出コンポーネント550に供給するように構成されて示されている。
【0065】
図5Iは、いくつかの実施形態による、検出コンポーネント550、IRカメラ570、ならびに集光レンズ574および固視表示部576を含む固視コンポーネントに結合されるサンプルコンポーネント520の斜視図である。
図5Iに示すように、レンズ528、530および534は瞳リレーコンポーネント(pupil relay component)590として構成されることができる。いくつかの実施形態において、両凹レンズ530は負の焦点距離を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、瞳リレーコンポーネントは同等のスペクトル拡散および空間的拡散を提供し、および/または空間的拡散を減らすことができる。一実施例において、瞳リレーコンポーネントは空間的拡散を5倍減らすことができる。
【0066】
図5Iに示すように、レンズ534、530および528を通して患者の眼から受光する少なくともいくつかのIR光はIR眼底ダイクロイック526で反射し、集光レンズ527によってIRカメラ570に供給されることができる。いくつかの実施形態において、集光レンズ572は、リング照明を用いて構成されることができる。例えば、集光レンズ572は、複数のIR発光ダイオード(light emitting diode : LED)のリングを含むことができる。いくつかの実施形態において、IR LEDは910nmの波長を有することができる。いくつかの実施形態において、IR LEDは940nmの波長を有することができる。
図5Iにも示すように、患者の眼から受光する少なくともいくらかの可視光は固視ダイクロイック524で反射し、集光レンズ574によって固視表示部576に供給されることができる。
図5Iに示すように、いくらかの可視光およびIR光は、OCT撮像のために、走査鏡522を通して検出コンポーネント550にも供給される。
図5Iでは、レンズ528、530および534は、OCTおよびIR撮像のための共通の光路を提供する。
【0067】
図6Aは、いくつかの実施形態による、光干渉断層撮影(OCT)・赤外線(IR)兼用撮像デバイスを備えるマルチモーダル撮像装置600の代替実施形態の上斜視図である。いくつかの実施形態において、撮像装置600のコンポーネントは、
図4A~
図4Cおよび
図5A~
図5Iに関連して説明したように構成されることができる。
図6Aに示すように、撮像装置600は、複数の光源コンポーネントと複数のサンプルコンポーネントと複数の参照コンポーネントと複数の検出コンポーネントとを含む複数のOCT・IRコンポーネント602を含む。サンプルコンポーネントのうち、ビームスプリッタ618、走査鏡622およびIR眼底ダイクロイック626を
図6Aに示している。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ618はプレートビームスプリッタにすることができる。検出コンポーネントのうち、アクロマティックレンズ654および656、透過型回折格子658、ならびにOCTカメラ668が
図6Aに示されている。
図6Aは、固視表示部674、および視度モータ(diopter motor)682と視度機構684とを含む視度コンポーネントも示す。いくつかの実施形態において、OCTカメラ668は、マッハ・ツェンダー干渉計および/またはマイケルソン干渉計などの干渉計を含むことができる。いくつかの実施形態において、走査鏡622は1つ以上のステッパモータ、検流計、ポリゴンスキャナ、微小電気機械スイッチ(MEMS)鏡、および/または他の可動鏡デバイスを用いて作動させることができる。
図5Aに示すように、円柱レンズ516は反対方向に向かい合って、曲面が互いに向かい合っている。
【0068】
図6Bは、いくつかの実施形態による、撮像装置600のコンポーネント602の側面斜視図である。
図6Bは、OCT・IRコンポーネント602、IRカメラ664、および固視レンズ672と固視表示部674とを含む固視コンポーネントを示す。OCT・IRコンポーネント602は光源コンポーネント、サンプルコンポーネント、参照コンポーネントおよび検出コンポーネントを含む。光源コンポーネントのうち、光源612およびビームスプリッタ618を
図6Bに示しており、光源612はスーパールミネッセントダイオードとすることができる。サンプルコンポーネントのうち、走査鏡622、平凸レンズ630、両凹レンズ632および平凸レンズ634を
図6Bに示している。レンズ630、632および634は視度調整可能コンポーネント690である。いくつかの実施形態において、これらのレンズは、異なる矯正、遠視または老眼を有する患者を補正するために調整されることができる。検出コンポーネントのうち、透過型回折格子658およびOCTカメラ668が
図658に示されている。
図6Bはモータおよび走査窓651も示している。
【0069】
図6Cは、いくつかの実施形態による、撮像装置600に含まれることのできる代替コンポーネント602’の分解図である。
図6Cは、光源コンポーネント610の光源612およびコリメートレンズ616と、参照コンポーネント640の分散補償器642、コリメートレンズ644および参照面648と、検出コンポーネント650のピックオフミラー652、反射型回折格子658’、フィールドレンズ666およびOCTカメラ668を示す。いくつかの実施形態において、円柱レンズ616は、単独で、または円柱もしくは非球面のビームスプレッダと組み合わせて、光源612からの光を患者の網膜眼底を走査するために細長い線にするように構成されることができる。例えば、光が患者の網膜眼底に到達すると、光は第1方向に集光されて、第1方向に垂直な第2方向に引き伸ばすことができる。
【0070】
図6Cは、サンプルコンポーネント620の瞳リレーレンズ690aと、検出コンポーネント690cの瞳リレーレンズ690cも示す。いくつかの実施形態において、瞳リレーレンズ690cは、ビームスプリッタ618の近くに配置される第1レンズと、反射型回折格子658’の近くに配置される第2レンズとを含むことができ、第2レンズがビームスプリッタ618からの干渉光を拡大することによって、干渉光の角度範囲を減じるように、第1レンズは第2レンズよりも小さい焦点距離を有する。いくつかの実施形態において、反射型回折格子658’は干渉光を反射および回折するように構成されることができ、光の異なる波長を第2レンズに向けて異なる方向で伝播させる。いくつかの実施形態において、異なる波長の拡散の方向は光の線の細長い軸の方向に対して垂直にすることができる。
図6Cに示すように、第2レンズは回折光をピックオフミラー652に集光することができ、該ピックオフミラーが回折光をOCTカメラ668に向けて反射する。いくつかの実施形態において、ピックオフミラー652で反射された光は、OCTカメラ668に向けて円柱レンズ対666を通過することができる。いくつかの実施形態において、円柱レンズ対666は光のフィールドを平坦化し、反射型回折格子658’によるスペクトル方向の光拡散と線の空間方向の光拡散との間の焦点距離を等しくするように構成されることができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、OCTカメラ668は受光した光を使用して二次元画像を撮像するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、OCTカメラ668は光を2方向に拡散するように構成されることができ、第1方向は反射型回折格子658’による光のスペクトル拡散に対応し、第2方向は光の線を形成するために使用される円柱レンズ616による光の空間的拡散に対応する。いくつかの実施形態において、OCTカメラ668は深さ情報を得るために、スペクトル方向に沿ってフーリエ変換を行うように構成されることができる。いくつかの実施形態において、線が照明する患者の網膜眼底の部分の二次元画像は、線および深さの細長い方向に対応して得ることができる。いくつかの実施形態において、OCTカメラ668は三次元画像を撮像するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、OCTカメラ668は、コンポーネント602’が患者の網膜眼底を横切って線を走査しているときに、多数の画像を撮像するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、取得した各画像は線の細長い方向に垂直かつ深さ方向に垂直な方向に網膜眼底のスライスに対応させることができる。一実施例において、15~30枚の画像を撮像することができ、各画像は網膜眼底の異なるスライスに対応する。
【0072】
いくつかの実施形態において、コンポーネント602’は、多数の画像を取得するために、患者の網膜眼底を横切って線を走査するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、走査鏡(例えば、走査鏡622)は、ビームスプリッタ618と瞳リレーレンズ690cとの間に位置付けることができる。いくつかの実施形態において、走査鏡は、線が走査鏡の異なる向きで患者の網膜眼底の異なるスライスを照明するように走査鏡を回転するように構成されたステッパモータ(例えば、モータおよび走査窓651)に装着することができる。他の実施形態において、眼を横切って線を走査するために可動部品を使用しなくてもよい。一実施例において、固視表示部は、患者の両眼が固視物対象を追うときに走査を行えるように、動く固視物対象を含むことができる。
【0073】
図7Aは、いくつかの実施形態による、撮像装置600のOCTコンポーネント602を図示するブロック図である。
図7Aに示すように、OCTコンポーネント602は、光源コンポーネント610、サンプルコンポーネント620(
図8および
図11Aにより詳しく示している)、参照コンポーネント640および検出コンポーネント650(
図10により詳しく示している)を含む。光源コンポーネント610は光源612を含み、これはスーパールミネッセントダイオード、コリメートレンズ616およびビームスプリッタ618として示されている。いくつかの実施形態において、コリメートレンズ616は、円柱コリメートレンズおよび/または非球面レンズを含むことができる。
図6では、ビームスプリッタ618は、光源612からの光をサンプルコンポーネント620と参照コンポーネント640とに分割し、サンプルコンポーネント620および参照コンポーネント640からの反射光を検出コンポーネント650に向けるように構成される。サンプルコンポーネント620の走査鏡622も
図6Bに示されている。参照コンポーネント640は分散補償器642、いくつかの実施形態では円柱コリメートレンズにしてもよいコリメートレンズ644、および1枚の鏡として示されている参照面648aを含む。いくつかの実施形態において、参照面648aは、各反射点が点光源として作用するため、人の眼と同様に反射するように構成された拡散反射器を含むことができる。
【0074】
図7Bは、いくつかの実施形態による、
図6A~
図6BのOCT・IR撮像デバイスに含むことのできる代替コンポーネント602’’を図示するブロック図である。いくつかの実施形態において、コンポーネント602’’は患者の網膜眼底の軸外走査を行うように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、参照面648bのフォールドミラーは、検出コンポーネント650の多数の光路に沿って反射光を供給することができるように多数の反射のように軸外に向けることができる。
図7Bに示すように、コンポーネント602’’は、参照コンポーネント640’’の参照面648bが1対のフォールドミラーを含むことを除き、コンポーネント602と同様に構成されることができる。多数の光路に沿って光を検出コンポーネント650に向かって反射している参照面648bが示されており、光路の少なくとも1つはサンプルコンポーネント620を通して受光する光とは空間的にずれている。
図7Bは、検出コンポーネント650のアクロマティックレンズ556およびOCTカメラ668をさらに示す。
【0075】
いくつかの実施形態において、軸外照明は、OCT撮像に干渉するDCおよび/または自己相関成分を除去する手段を提供することができる。いくつかの実施形態において、軸外照明は複素スペクトルの回復を可能にすることによって、全範囲の撮像のための複素解析信号の回復を可能にする。いくつかの実施形態において、撮像範囲を増やして、撮像速度を減じることができる(サンプリングするスペクトル信号を減らすこと、その逆も含む)。
【0076】
いくつかの実施形態において、カメラによって受光される照射線の相対的な配向角は、光の空間方向を変調することができる。いくつかの実施形態において、相互相関変調は以下の式で表すことができる。
【0077】
【0078】
いくつかの実施形態において、αはナイキストレートの50%から90%の間の空間周波数を提供する角度に設定することができる(例えば、1度から6度)。いくつかの実施形態において、両方向に1.2倍以上のオーバーサンプリングはよりよい信号雑音比および改善された復調を提供することができる。いくつかの実施形態において、OCT画像の事前処理は、トリミング、平均スペクトル(例えば、DC成分)を減じること、および/または1つもしくは複数の窓関数を採用することを含む。いくつかの実施形態において、OCT画像の処理には、1つまたは複数の高速フーリエ変換(FFT、例えば、x空間FFT)、復調(例えば、対象の空間周波数をベースバンドにシフトする)、および/または受け取る信号のDC成分およびAC成分をトリミングすることを含むことができる。いくつかの実施形態において、処理には、さらに、逆FFおよび/またはk空間リサンプリングおよび高速フーリエ変換の適用を含むことができる。
【0079】
図8は、いくつかの実施形態による、サンプルコンポーネント620および固視コンポーネント670の上面図である。
図8に示すように、サンプルコンポーネント620は、走査鏡622、IR眼底ダイクロイック624、固視ダイクロイック626、およびアクロマティックレンズにしてもよい対物レンズ628を含む。
図8には、視度調整可能コンポーネント680aも示されており、これは
図6Bに示す平凸レンズ630および634と両凹レンズ632とを含み、走査鏡622を通して光を受光する。いくつかの実施形態において、視度調整可能コンポーネント680aは、+/-10ジオプトリ(diopter)までの視度調整に対応するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、視度調整可能コンポーネント680aは、画像品質の妨げとなるおそれのある過度な瞳デスペース(pupil de-space)を誘導することを防止するように構成されることができる。IR眼底検査システムの場合、走査窓を通してイメージセンサおよび固視標を見る撮像システムが想定される。いくつかの実施形態において、視度調整可能コンポーネント680aはIRコンポーネントおよび患者の角膜からの背面反射の影響を実質的に低減するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、視度調整可能コンポーネント680aは、患者の眼の水晶体からの蛍光の可視性をなくすかまたは実質的に減じるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、視度調整可能コンポーネント680aはシュバイツァー(Schweitzer)技術を採用することができる。
【0080】
図8に示すように、固視コンポーネント670は固視ダイクロイック626および固視表示部674を含む。いくつかの実施形態において、固視ダイクロイックは、固視レンズを通して固視表示部674に向けて短い波長の(例えば、可視)光を反射し、長い波長の(例えば、IR)光を透過するロングパスフィルタとして構成されることができる。いくつかの実施形態において、固視表示部674は、可視固視画像(visible fixation image)を表示するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、固視表示部674は可視固視画像を表示するように構成されたカラーディスプレイにすることができる。いくつかの実施形態において、固視表示部674はNew Haven Display InternationalモデルNHD 0.6-6464Gディスプレイにすることができる。いくつかの実施形態において、固視表示部674は、3.45平方ミクロンで1440×1080の解像度を有するモノクロのSony IMX273センサにすることができる。いくつかの実施形態において、固視コンポーネント670は3.45平方ミクロンで1440×1080の解像度を有するSony IMX273センサを含むことができる。いくつかの実施形態において、固視表示部674の短い寸法(例えば、アスペクト比が4:3、16:9または16:10の場合は垂直方向)は眼を調べる30度の視野にマッピングする。いくつかの実施形態において、固視表示部674は完全な円形の30度径(degree diameter)の視野、または適切な他の視野がぼやけることを実質的に免れることができる。いくつかの実施形態において、固視表示部674(例えば、方形アレイ)は、眼で見るように20度×20度の視野にマッピングする。
【0081】
いくつかの実施形態において、いくつかのIR光は、検出コンポーネント650まで伝達することもできる。いくつかの実施形態において、固視レンズ672は視度補正を提供するために調整可能にすることができる。IR眼底ダイクロイック624は、IR検出コンポーネント(
図9Aおよび
図9D~
図9Eに示す)に向けて長い波長の(例えば、IR)光を反射し、短い波長の(例えば、可視)光を検出コンポーネント650まで伝達するショートパスフィルタとして示されている。
【0082】
図9Aは、いくつかの実施形態による、サンプルコンポーネント660aに連結することのできるIR検出コンポーネント660aの側面図である。
図9Aに示すように、IR検出コンポーネント660aはIR眼底ダイクロイック624、IR瞳リレー690b、乱視矯正器662、視度調整可能レンズ680cおよびIRカメラ664を含む。
図9Bは、いくつかの実施形態によるものを含め、瞳リレー690bおよびファイバ692の側面図である。
図9Cは、いくつかの実施形態による、瞳リレー690bおよびファイバ692の上面図である。
【0083】
図9Dは、いくつかの実施形態による、サンプルコンポーネント620に連結することのできる代替IR検出コンポーネント660Bの側面図である。IR検出コンポーネント660aと同様に、IR検出コンポーネント660bは乱視矯正器662、視度調整可能レンズ680bおよびIRカメラ664を含む。IR検出コンポーネント660bは、複数の軸外LED694を含む瞳リレー690bをさらに含む。いくつかの実施形態において、瞳リレー690bは、前対物レンズの反射部に低強度スポットを設けるためにホログラフィプレート(holographic plate)をさらに含むことができ、それによって反射部と撮像面との間のカップリングを減らす。
【0084】
図9Eは、いくつかの実施形態による、サンプルコンポーネント620に連結することのできる別の代替IR検出コンポーネント660cの側面図である。IR検出コンポーネント660aおよび660bと同様に、IR検出コンポーネント660cは乱視矯正器662、視度調整可能レンズ680bおよびIRカメラ664を含む。IR検出コンポーネント660cは、複数の軸外LED694および回折プレート696を含む瞳リレー690cをさらに含む。いくつかの実施形態において、回折プレート696は前対物レンズの反射部に低強度スポットを設けるように構成されることができ、それによって反射部と撮像面との間のカップリングを減らす。
【0085】
図10は、いくつかの実施形態による、ビームスプリッタ618に連結される検出コンポーネント650の上面図である。
図10に示されるように、検出コンポーネント650は非球面レンズ653、アクロマティックレンズ654および656、透過型回折格子658、フィールドレンズ666およびOCTカメラ668を含む。いくつかの実施形態において、透過型回折格子658は透過型回折格子558について説明したように構成されることができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558はOCTカメラ568が受光する光のスペクトル信号雑音比を改善することができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558はOCTカメラ568に垂直入射で光を供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、透過型回折格子558はOCTカメラ558の伝達関数の雑音性能を向上させることができる。いくつかの実施形態において、非球面レンズ653は、アクロマティックレンズ654の前に瞳リレー690cを提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、非球面レンズ653は空間的拡散を5倍減らすように構成されることができる。いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ654は受光した光を透過型回折格子658に向けて平行にするように構成されることができる。いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ656は光をOCTカメラ668に集光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、フィールドレンズ666は、フィールドを平坦化し、主光線角度を調整し、発散する主光線を得るように構成されることができる。
【0086】
図11Aは、いくつかの実施形態において、OCT・IR撮像デバイスの走査路を図示するサンプルコンポーネント620の側面図である。走査鏡622からレンズ630、632および634を通過する水平走査路798aおよび垂直走査路798bが示されている。
【0087】
図11Bは、走査鏡622、固視ダイクロイック624、IR眼底ダイクロイック626、ならびに視度調整可能レンズ630、632、634および636を含むサンプルコンポーネント620の側面図である。いくつかの実施形態において、レンズ630、632、634および/または636は、視度補正を提供するために、走査鏡622から光軸に沿って患者の眼まで移動可能にすることができる。いくつかの実施形態において、IRカメラ664および/またはレンズ666は、910nm LEDまたは940nm LEDなどのIR LEDを含むことができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、本明細書で(例えば、
図4A~
図11Bに関連して)説明する撮像装置は、時間領域OCTを行うように構成できることは理解されるべきである。いくつかの実施形態において、撮像装置の走査鏡は患者の網膜眼底の深さを走査するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、走査鏡は、参照コンポーネント540または640の中の参照面548または648としてそれぞれ機能することができる。いくつかの実施形態において、撮像装置の圧電式アクチュエータは走査鏡の走査を制御するように構成されることができる。
【0089】
いくつかの実施形態において、本明細書で(例えば、
図4A~
図11Bに関連して)説明する撮像装置は、単一の深さ画像を形成するように2つの画像を高速連続で撮像するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、高速連写で撮像された2つの画像は、時間的に互いに十分に接近して撮影され、2つの画像間で眼の動きが確実に起こらないようにする。発明者らは、従来のカメラのフレームレートは遅すぎてこれを保証することができないことがあることを認識した。例えば、撮像装置の価格を低くしておくためには、フレームレートが毎秒276フレーム未満のカメラを使用することがある。いくつかの実施形態において、このようなカメラは、撮像視野を制限することで、はるかに高いフレームレートで動作するよう構成されることができる。遅いフレームレートの使用に関連する欠点を克服するために、
図7の参照を含めて本明細書で説明するように、撮像装置の光源をあるフレームの終わり間近に、および次のフレームの始まりにパルス伝送することができる。
【0090】
図12は、いくつかの実施形態による、撮像装置の1つまたは複数のカメラと同期した複数の光源パルスとしての、(例えば、
図4A~
図11Bの)撮像装置の光源に関する経時的な光の強度のグラフである。
図12では、点線1202は撮像フレームの持続時間を表し、実線1204は光パルスの持続時間を表す。光パルスをイメージセンサのフレームレートと同期させることによって、1ms未満隔てて撮影された眼底の2つの画像を、はるかに長いフレーム期間(例えば、10ms)のイメージセンサを使用して得ることができる。
【0091】
図13は、いくつかの実施形態による、(例えば、
図4A~
図11Bの)撮像装置に含めることのできる瞳リレーコンポーネントの網膜スポット図を図示するグラフである。
図13では、縮尺は1グリッド1mmであり、30mm径の視野は8.5mm径の円板に相当する。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する瞳リレーコンポーネントは50%ピーク低減を施すように構成されることができる。いくつかの実施形態において、瞳リレーコンポーネントは、2.44波長の2倍レイリー基準ではなく、解像度のベースライン解釈として1.41波長の距離で隔てられる2つのエアリーディスクを含むことができる。一実施例において、公称IR撮像波長が910nmで、瞳の径が2.5mmで、空気中における眼の焦点距離が22.2mmであるが、これは11umの回折限界解像度を提供する。別の実施例では、中心白色光波長が550nmで、これは7umに解像度が低下することになる。1080列のカメラに向けて網膜眼底の8.5mm円板の所望の撮像をすると、16umあたり1サイクルのナイキスト限界となり、50%MTFの撮像品質の目標が得られる。様々なエアリーディスクの隔たりの例示的な光学パターンを
図20A~
図20Cに図示する。
図20Aは、いくつかの実施形態による、1.22波長の距離分隔てられる2つのエアリーディスクを使用して生成される光学パターンのグラフである。
図20Bは、いくつかの実施形態による、1.41波長の距離分隔てられる2つのエアリーディスクを使用して生成される光学パターンのグラフである。
図20Cは、いくつかの実施形態による、2.44波長の距離分隔てられる2つのエアリーディスクを使用して生成される光学パターンのグラフである。
【0092】
いくつかの実施形態において、走査鏡は患者の眼の瞳孔と共役位置に配置し、撮像装置によって生成される平行ビームを患者の瞳孔の平行ビームに中継するように構成されることができる。一実施例では、走査鏡は入射角45+/-6度で、走査厚さ3mmで第1表面反射を生じるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、走査鏡は可変角度窓として構成されることができる。
【0093】
図14Aは、(例えば、
図4A~
図11Bの)OCT撮像デバイスに含むことのできる異なる3つの光源の結合された干渉振幅を図示する。
図14Bは、(例えば、
図4A~
図11Bの)OCT撮像デバイスに含むことのできる異なる3つのダイオードレーザの個々の干渉振幅を図示する。
図14Bに示すように、3つの結合されたレーザダイオードの深さ解像度は、個々のレーザダイオードのいずれの深さ解像度よりも大きい。
【0094】
図15Aは、多数のダイオードレーザを結合して広帯域放射体1501を形成するために可能なある技術を図示する。広帯域放射体1501は第1ダイオードレーザ1501、第2ダイオードレーザ1502および第3ダイオードレーザ1503を含む。第1ダイオードレーザ1501は、第2ダイオードレーザ1502が発する光の波長よりも大きい第1波長の光を発し、第2ダイオードレーザ1502が発する光の波長自体は第3ダイオードレーザ1503が発する光の波長よりも大きい。第1ダイオードレーザ1501からの光は、第1ダイクロイックミラー1504で第2ダイオードレーザ1502からの光と結合される。第1ダイオードレーザ1501からの光および第2ダイオードレーザ1502からの光を、第2ダイクロイックミラー1505で第3ダイオードレーザ1503からの光と結合する。このように、第2ダイクロイックミラー1505から得られる出力は、撮像装置で使用することのできる広帯域光である。
図15Bは撮像システムに給光するレーザダイオードのそれぞれを図示する。
【0095】
いくつかの実施形態において、レーザ波長は、隣のレーザのスペクトル幅の1.5倍を超えて隔てられない。一実施例では、40nm帯域幅の発光体は、3つのレーザのそれぞれが10nm帯域幅を有するようにし、隣のレーザのスペクトルピーク間の5nmの隙間を5nmにして作ることができる。
【0096】
III.蛍光および/または白色光撮像技術
発明者らは、本明細書で説明するように、単独で、またはマルチモーダル撮像装置と組み合わせて実施することのできる改良された白色光および蛍光撮像技術を開発した。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の白色光および/または蛍光撮像デバイスを、装置の第1および第2の筐体部の一方または両方に含めることができる。いくつかの実施形態において、蛍光撮像デバイスおよび白色光撮像デバイスを同じ筐体部に含めて、短時間(例えば、数秒)に両方の撮像デバイスで片眼を撮像するようにする。いくつかの実施形態において、本明細書で説明するデバイスは、患者が動かなくても、または患者の両眼を向け直さなくても、白色光画像および蛍光画像を撮像するように構成されることができる。様々な実施例によると、白色光および蛍光撮像デバイスは、5秒未満、3秒未満、および/または1秒未満の期間でそれぞれ白色光画像および蛍光画像を撮像するように構成されることができる。また、撮像デバイスを撮像装置の2つの筐体部に含める実施形態では、各筐体部内の撮像コンポーネントは、上記説明したように、画像を同時におよび/または短時間で撮像するように構成されることができる。
【0097】
いくつかの実施形態において、白色光撮像は、白色光源(または複数のカラーLED)からの光で患者の網膜眼底を照明し、白色光カメラを使用して網膜眼底からの反射光を感知することによって行うことができる。一実施例では、複数のカラーLEDが異なる時点で患者の網膜眼底を照明することができ、カメラは異なるカラーLEDに対応する多数の画像を撮像することができ、画像を組み合わせて患者の網膜眼底のカラー画像を作ることができる。いくつかの実施形態において、蛍光撮像は、励起光源(例えば、1つまたは複数の狭帯域LED)を用いて患者の網膜眼底を照明し、蛍光センサおよび/またはカメラを使用して患者の網膜眼底からの蛍光光を感知することによって行うことができる。例えば、励起光源の波長は、患者の網膜眼底の1つまたは複数の標的分子に蛍光を生じさせるように選択して、蛍光光の検出が画像内の分子の場所を示せるようにすることができる。様々な実施形態によると、ある特定の分子の蛍光は、検出された光の寿命、強度、スペクトルおよび/または他の属性に基づいて判別することができる。
【0098】
本明細書で説明するように、撮像装置は、撮像コンポーネントが光路の少なくとも一部分を共有するように、少なくともいくつかのコンポーネントを共有するように構成された蛍光・白色光撮像コンポーネントを含むことができる。その結果、当該コンポーネントを含む撮像装置は、高品質の医療画像を提供しながら、より小型にし、より製造コストを抑えることができる。本明細書で説明される技術は単独で、または組み合わせて実施することができるが、いくつかの実施形態は蛍光撮像コンポーネントのみまたは白色光撮像コンポーネントのみを含むことができることは理解されるべきである。
【0099】
図16A~
図16Bは、いくつかの実施形態による、マルチモーダル撮像装置1600の白色光および蛍光撮像コンポーネント1604の上面図である。
図16Aは、白色光および蛍光撮像コンポーネント1604の部分図と合わせたマルチモーダル撮像装置1600の上面図で、
図16Bは、撮像装置1600の部分を取り除いた状態の白色光および蛍光撮像コンポーネント1604の上面図である。
図16A~
図16Bに示すように、白色光および蛍光撮像コンポーネント1604は白色光源コンポーネント1610、励起光源コンポーネント1620、サンプルコンポーネント1630、固視表示部1640および検出コンポーネント1650を含む。いくつかの実施形態において、白色光源コンポーネント1610および励起光源コンポーネント1620は、患者の網膜眼底からの反射光および/または蛍光光を、検出コンポーネント1650を使用して撮像することができるように、サンプルコンポーネント1630を通して患者の網膜眼底を照明するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、固視表示部1640は、撮像中に患者が焦点を合わせるための固視対象を提供するように構成されることができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、白色光源コンポーネント1610は、本明細書で説明するように、網膜眼底によって反射および/または散乱される光が検出コンポーネント1650によって捕捉および撮像されることができるように、患者の網膜眼底を照明するように構成されることができる。
図16A~
図16Bに示すように、白色光源コンポーネント1610は白色光源1612、コリメートレンズ1614およびレーザダイクロイック1616を含む。いくつかの実施形態において、白色光源1612は白色LEDを含むことができる。いくつかの実施形態において、白色光源1612は、実質的に可視スペクトルをカバーするために組み合わせる複数のカラーLEDを含むことができ、それによって白色光源に近似させる。いくつかの実施形態において、白色光源1612は1つまたは複数のブルーまたは紫外線(UV)レーザを含むことができる。
【0101】
いくつかの実施形態において、励起光源コンポーネント1620は、患者の網膜眼底の1つまたは複数の標的分子の蛍光を励起して、蛍光光を検出コンポーネント1650で捕捉できるように構成されることができる。
図16A~
図16Bに示すように、蛍光光源コンポーネントはレーザ1622、コリメートレンズ1624および鏡1626を含む。いくつかの実施形態において、レーザ1622は患者の網膜眼底の1つまたは複数の各標的分子の蛍光特性に対応する1つまたは複数の波長で光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、当該分子は網膜眼底で自然に発生することがある。いくつかの実施形態において、当該分子は蛍光撮像のために構成されるバイオマーカーにすることができる。例えば、レーザ1622は、405nmから450nmの間の波長を有する励起光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、レーザ1622は、5~6nmの帯域幅を有する光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態は異なる波長を有する光を生成するように構成された複数のレーザを含むことができる。
【0102】
図16A~
図16Bに示すように、白色光源1612は白色光を生成して、コリメートレンズ1614を通して白色光をレーザダイクロイック1616まで伝達するように構成される。レーザ1622は、励起光を生成して、コリメートレンズ1624を通して励起光を鏡1626まで伝達するように構成され、該鏡1626が、励起光をレーザダイクロイック1616に向かって反射する。レーザダイクロイック1616は、白色光および励起光が患者の網膜眼底への光路を共有するように、白色光を透過し、励起光を反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、レーザダイクロイック1616はロングパスフィルタとして構成されることができる。
【0103】
いくつかの実施形態において、固視表示部1640は、撮像中に患者が焦点を合わすための固視対象を表示するように構成されることができる。固視表示部1640は、固視ダイクロイック1642に固視光を供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、固視ダイクロイック1642は、固視光、白色光および励起光のすべてが固視ダイクロイック1642から患者の網膜眼底までの光路を共有するように、固視光を透過し、白色光および励起光を反射するように構成されることができる。
【0104】
いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント1630は、白色光および励起光を患者の網膜眼底に供給し、患者の網膜眼底からの反射光および/または蛍光光を検出コンポーネント1650に供給するように構成されることができる。
図16A~
図16Bに示すように、サンプルコンポーネント1630はアクロマティックレンズ1632、虹彩絞り1634、照明鏡1636およびアクロマティックレンズ1638を含む。いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ1632および1638は白色光、励起光および固視光を患者の網膜眼底に集光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、虹彩絞り1634は、異なる光源からの光が患者の網膜眼底それぞれの部分に集光するように、白色光、励起光および/または固視光のいくつかを散乱させるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、照明鏡1636は、撮像軸(imaging axis)に平行な方向に位置決めコンポーネント1637を移動することなどにより、調整可能にすることができる。いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ1638は、さらに、患者の網膜眼底からの反射光および/または蛍光光を検出コンポーネント1650に供給するように構成されることができる。
【0105】
検出コンポーネント1650は、患者の網膜眼底からの光を集光および捕捉して、受光した光を使用して画像を作るように構成されることができる。
図16A~
図16Bに示すように、検出コンポーネント1650は、アクロマティックレンズ1652、ダイクロイック1654、集光レンズ1656およびカメラ1658を含む。いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ1652および集光レンズ1656は、カメラ1658が受光した光を使用して画像を撮像することができるように、受光した光をカメラ1658に集光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ダイクロイック1654は、励起光がカメラ1658に到達しないように、白色光および蛍光光を透過し、励起光を反射するように構成されることができる。
【0106】
図17は、いくつかの実施形態による、撮像装置に含めることのできる代替の蛍光・白色光撮像コンポーネント1704の斜視図である。例えば、いくつかの実施形態において、蛍光・白色光撮像コンポーネント1704は、上記述べたように、撮像装置の第1および/または第2の筐体部に配置することができる。
図17に示すように、蛍光・白色光撮像コンポーネント1704は、白色光源コンポーネント1710および白色光カメラ1760を含む白色光撮像コンポーネントと、励起光源コンポーネント1720および蛍光検出コンポーネント1770を含む蛍光撮像コンポーネントとを含む。蛍光・白色光撮像コンポーネント1704は、サンプルコンポーネント1730および検出コンポーネント1750をさらに含み、これらは蛍光・白色光撮像のために共通の撮像路を含む。いくつかの実施形態において、白色光源コンポーネント1710および励起光源コンポーネント1720はサンプルコンポーネント1730に光を供給するように構成されることができ、該サンプルコンポーネントが患者の網膜眼底に光を集光することができる。いくつかの実施形態において、検出コンポーネント1750は、患者の網膜眼底から反射されるおよび/または発せられる光を受光して、受光した白色光を白色光カメラ1760に、蛍光光を蛍光検出コンポーネント1770に供給するように構成されることができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、白色光源コンポーネント1710は、本明細書で説明するように、網膜眼底によって反射および/または散乱される光を白色光カメラ1760で捕捉および撮像することができるように、患者の網膜眼底を照明するように構成されることができる。
図17では、白色光源コンポーネント1710は、白色光源1712およびコリメートレンズ1714を含む。いくつかの実施形態において、白色光源1712は、白色LEDを含むことができる。いくつかの実施形態において、白色光源1712は、可視スペクトルを実質的にカバーするために組み合わせる複数のカラーLEDを含むことができ、それによって白色光源に近似させる。
【0108】
いくつかの実施形態において、励起光源コンポーネント1720は患者の網膜眼底の蛍光性分子を励起する光を生成して、蛍光光を蛍光検出コンポーネント1770で捕捉および撮像することができるように構成されることができる。
図17では、励起光源コンポーネント1720は第1および第2のレーザ1722aおよび1722bと、第1および第2のコリメートレンズ1724aおよび1724bと、第1および第2のレーザダイクロイック1726aおよび1726bとを含む。いくつかの実施形態において、第1および第2のレーザ1722aおよび1722bは患者の網膜眼底の1つまたは複数の各標的分子の蛍光特性に対応する波長の光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、当該分子は網膜眼底に自然発生することがある。いくつかの実施形態において、当該分子は蛍光撮像のために構成されたバイオマーカーにすることができる。いくつかの実施形態において、第1および第2のレーザ1722aおよび1722bは、患者の網膜眼底を撮像するための単一の光路に結合することのできる波長の光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第1レーザ1722aは405nmの波長を有する励起光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第2レーザ1722bは450nmの波長を有する励起光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第1レーザ1722aおよび/または第2レーザ1722bは、5~6nmの帯域幅を有する光を生成するように構成されることができる。いくつかの実施形態は
図17に示すよりも少ないレーザまたは多いレーザを含んでもよいことは理解されるべきである。様々な実施形態によると、励起光源コンポーネント1720は、それぞれ405nm、450nm、473nm、488nm520nmおよび633nmの波長の光を生成するように構成された3つから6つのレーザを含むことができる。いくつかの実施形態において、励起光源コンポーネント1720は、蛍光強度測定に適した励起光を供給するように構成されることができる。一実施例では、励起光源コンポーネント1720は、可視光スペクトルにまたがるLEDの範囲を含むことができる。
【0109】
図17に示すように、第1レーザ1722aは励起光を、コリメートレンズ1724aを通して第1レーザダイクロイック1726aに向けて発するように構成される。いくつかの実施形態において、第1レーザダイクロイック1726aは、第1レーザ1722aからの光が第1レーザダイクロイック1726aから第2レーザダイクロイック1726bまで白色光源1712からの光と光路を共有するように、白色光源1712からの光を透過し、第1レーザ1722aからの光を反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第1レーザダイクロイック1726aはロングパスフィルタとして構成することができる。
図17にも示されるように、第2レーザ1722bは励起光を、コリメートレンズ1724bを通して第2レーザダイクロイック1726bに向けて発するように構成される。いくつかの実施形態において、第2レーザダイクロイック1726bは、第2レーザ1722bからの光が白色光源1712および第1レーザ1722aからの光と光路を共有するように、白色光源1712および第1レーザ1722aからの光を透過し、第2レーザ1722bからの光を反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第2レーザダイクロイック1726bはロングパスフィルタとして構成されることができる。
図17では、白色光源1712、第1レーザ1722aおよび第2レーザ1722bからの光は第2レーザダイクロイック1726bからビームスプリッタ1754までの光路を共有し、その点で、受光する蛍光光および白色光が蛍光検出コンポーネント1770と白色光カメラ1760とにそれぞれ分割される。
【0110】
図17に示すように、鏡1728は、結合された光をサンプルコンポーネント1730に向けて反射するように構成される。いくつかの実施形態において、鏡1728は、平面鏡にすることができる。いくつかの実施形態において、鏡1728は、反射光のサイズおよび/または発散を調整するように構成される球面鏡にすることができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント1730は、白色光源コンポーネント1710および励起光源コンポーネント1720からの白色光および励起光を患者の網膜眼底に集光するように構成されることができる。
図17に示すように、サンプルコンポーネント1730は、第1アクロマティックレンズ1732および散乱コンポーネント1734を含む。散乱コンポーネント1734は、鏡1728からの光を第1アクロマティックレンズ1732に向けて反射するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、散乱コンポーネント1734は、平面鏡にすることができる。いくつかの実施形態において、散乱コンポーネント1734は、平面鏡よりも患者の網膜眼底のより均一な照明を提供するように構成された散乱面を有する鏡にすることができる。いくつかの実施形態において、散乱コンポーネント1734は、1200グリットの散乱面を有することができる。様々な実施形態によると、散乱コンポーネント1734は、800グリット、1000グリット、1400グリットまたは1600グリットの散乱面を有することができる。
【0112】
図17に示すように、散乱コンポーネント1734は、いくらかの光を散乱コンポーネント1734に通過させるように構成された穴1736を含む。いくつかの実施形態において、穴1736を通過する第2レーザダイクロイック1726bを通して受光された光は撮像に使用しなくてもよい。いくつかの実施形態において、穴1736は、患者の網膜眼底から受光する散乱光を、散乱コンポーネント1734を通して白色光カメラ1760および蛍光検出コンポーネント1770に向けて通過させるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、穴1736は円柱形状にすることができる。いくつかの実施形態において、穴1736は、雑音光が白色光カメラ1760および蛍光検出コンポーネント1770に到達しないように構成されることができる。例えば、穴1736は、患者の網膜眼底から光を受光する方向以外の方向から散乱コンポーネント1734に入射する光が、白色光カメラ1760および蛍光検出コンポーネント1770に到達するのを遮るように構成されることができる。いくつかの実施形態において、穴1736の内壁の少なくとも一部分は、反射を低減するように構成された黒色材料を含むことができる。いくつかの実施形態において、黒色材料は黒色のテープにすることができる。いくつかの実施形態において、穴1736は、反射を低減するような形状を有することができる。例えば、いくつかの実施形態において、穴1736は、円錐形の形状を有することができる。
【0113】
第1アクロマティックレンズ1732は、散乱コンポーネント1734を通して受光した光を患者の網膜眼底に集光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第1アクロマティックレンズ1732は、患者の網膜眼底から受光する光を平行にするように構成されることができる。いくつかの実施形態において、第1アクロマティックレンズ1732は、受光がほぼ平行にされることになる網膜眼底からの距離に位置付けることができる。一実施例では、第1アクロマティックレンズ1732の焦点距離は20mmにすることができ、第1アクロマティックレンズ1732から患者の眼の正面までの距離を37mmにすることができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、励起光源コンポーネント1720は、サンプルコンポーネント1730によって光が網膜眼底に集光されるときに、患者の網膜眼底に蛍光を生じさせるように構成されることができる。いくつかの実施形態において、蛍光は患者の網膜眼底に励起光の波長とは異なる波長の光を発生させることができる。例えば、励起光で励起されて、蛍光光を発することで応答することのできる標的分子によって、蛍光光は励起光の波長よりも30~50nm、50~70nmまたは70~80nm長い波長を有することができる。いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント1730は、患者の網膜眼底から励起光および蛍光光の両方を受光して、受光した光を検出コンポーネント1750に供給するように構成されることができる。
【0115】
いくつかの実施形態において、検出コンポーネント1750は、サンプルコンポーネント1730から光を受光して、受光した白色光を白色光カメラ1760に、蛍光光を蛍光検出コンポーネント1770に供給するように構成されることができる。
図17に示すように、検出コンポーネント1750は、第2アクロマティックレンズ1752およびビームスプリッタ1754を含む。いくつかの実施形態において、第2アクロマティックレンズ1752は、サンプルコンポーネント1730を通して患者の網膜眼底から受光する光をさらに平行にするように構成されることができる。いくつかの実施形態において、受光した光は、第1アクロマティックレンズ1732よりも第2アクロマティックレンズ1752で大きな拡散を有することができる。したがって、いくつかの実施形態において、第2アクロマティックレンズ1752は、第1アクロマティックレンズ1732よりも大きな径を有することができる。一実施例では、第1アクロマティックレンズ1732は半インチ径を有することができ、第2アクロマティックレンズ1752は1インチ径を有することができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ1754は、受光した光のいくらかを白色光カメラ1760に向かって反射し、受光した光のいくらかを蛍光検出コンポーネント1770に伝達するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ1754は受光した光の半分を白色光カメラ1760に向かって反射し、受光した光の半分を蛍光検出コンポーネント1770に伝達するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、光のレベルは白色光カメラ1760よりも蛍光検出コンポーネント1770の方を低くすることができる。したがって、いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ1754は、受光した光を白色光カメラ1760に向かって反射するよりも多く蛍光検出コンポーネント1770に伝達するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ビームスプリッタ1754は光の90%、95%、99%または99.9%を蛍光検出コンポーネント1770に透過し、光の10%、5%、1%または0.1%を白色光カメラ1760に向かって反射するように構成されることができる。
図17に示すように、ビームスプリッタ1754は、蛍光撮像および白色光撮像のために光路を分離する。
【0117】
いくつかの実施形態において、白色光カメラ1760は、ビームスプリッタ1754から反射される光を検出して、分析のために画像データを格納するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、白色光カメラ1760は、高解像度カラーデジタルカメラにすることができる。いくつかの実施形態において、白色光カメラ1760は、3~10メガピクセルの解像度を有することができる。いくつかの実施形態において、白色光カメラ1760は、高解像度モノクロデジタルカメラにすることができる。いくつかの実施形態において、白色光源1712は複数のカラーLEDを含むことができ、白色光カメラ1760は患者の網膜眼底のカラー画像を撮像するように構成されることができる。一実施例では、光源1712は赤色LED、青色LEDおよび緑色LEDを含み、各LEDが時間的に順次光を発するように構成され、白色光カメラ1860はその順次の発光ごとに個別の画像を撮像するように構成されることができる。白色光カメラ1760および/または白色光カメラ1760に連結される処理回路は、その順次の発光ごとに撮像された画像を組み合わせて、網膜眼底のカラー画像を作るように構成されることができる。
【0118】
いくつかの実施形態において、蛍光検出コンポーネント1770は、ビームスプリッタ1754を通して伝達される蛍光光を検出し、光から蛍光情報を取得するように構成されることができる。
図17に示すように、蛍光検出コンポーネント1770はスペクトルフィルタ1772、フィールドレンズ1774および蛍光センサ1776を含む。いくつかの実施形態において、スペクトルフィルタ1772は励起光を遮り、蛍光光を透過するように構成されることができる。一実施例では、スペクトルフィルタ1772は、405nmおよび450nmの波長を有する光を遮るように構成されることができる。いくつかの実施形態において、フィールドレンズ1774は、受光した光を蛍光センサ1776に集光するように構成されることができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は、少なくとも2つの異なる分子からの蛍光発光を区別するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は、蛍光発光が異なる寿命を有する分子を区別するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は、受光した光の寿命を判別することによって、患者の網膜眼底で異なる分子の場所を判別するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は蛍光発光が異なる波長を有する分子を区別するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は、受光した光の寿命を判別することによって、網膜眼底で異なる分子の場所を判別するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は、蛍光発光が異なる強度を有する分子を区別するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、蛍光センサ1776は、受光した光の強度を判別することによって、網膜眼底で異なる分子の場所を判別するように構成することができる。様々な実施形態によると、蛍光センサ1776は寿命、スペクトル、強度および/または他の測定値について単独で、または組み合わせて構成されてもよいことは理解されるべきである。
【0120】
図18は、いくつかの実施形態による、撮像装置に含めることのできる別の代替蛍光・白色光撮像コンポーネント1804の斜視図である。
図18に示すように、蛍光・白色光撮像コンポーネント1804は、白色光源コンポーネント1810、励起光源コンポーネント1820、サンプルコンポーネント1830および検出コンポーネント1850を含む。いくつかの実施形態において、白色光源コンポーネント1810および励起光源コンポーネント1820は、患者の網膜眼底を撮像するために、光をサンプルコンポーネント1830に供給するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント1830は、光を患者の網膜眼底に集光して、応答して患者の網膜眼底によって反射されるおよび/または発せられる光を受光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、検出コンポーネント1850は、サンプルコンポーネント1830を通して受光した光を使用して画像を撮像するように構成されることができる。蛍光・白色光コンポーネント1704が白色光カメラ1760および蛍光検出コンポーネント1770を含むのに対して、検出コンポーネント1850は白色光・蛍光兼用センサ1858を含む。また、励起光源コンポーネント1720が第1および第2のレーザ1722aおよび1722bを含むのに対して、単一のレーザ1822を含む励起光源コンポーネント1820が
図18に示されている。
図18に図示する実施形態において、白色光・蛍光センサ1858は、異なる蛍光発光波長を有する分子を区別するように構成される。蛍光・白色光撮像コンポーネント1804は固視表示部1840をさらに含み、これは撮像中に患者が目視の焦点を合わせるための固視対象を提供するように構成される。
【0121】
いくつかの実施形態において、白色光源コンポーネント1810は、患者の網膜眼底に伝達するために白色光を供給するように構成されることができる。
図18に示すように、白色光源コンポーネント1820は白色光源1812およびコリメートレンズ1814を含み、これらは
図17に関連して白色光源1712およびコリメートレンズ1714について説明したように構成されることができる。
【0122】
いくつかの実施形態において、励起光源コンポーネント1820は、患者の網膜眼底の1つまたは複数の標的分子から蛍光発光を励起させるために、励起光を供給するように構成されることができる。
図18に示すように、励起光源コンポーネント1820は、レーザ1822、コリメートレンズ1824、鏡1826およびレーザダイクロイック1816を含む。いくつかの実施形態において、レーザ1822は第1および/または第2のレーザ1722aおよび/または1722bについて説明したように構成されることができ、コリメートレンズ1824は、第1および/または第2のコリメートレンズ1724aおよび/または1724bについて説明したように構成されることができ、レーザダイクロイック1816は、第1および/または第2のレーザダイクロイック1726aおよび/または1726bについて説明したように構成されることができる。鏡1826は、レーザ1822からの光をレーザダイクロイック1816に向かって反射するように構成されることができる。
図18に示すように、励起光および白色光は、レーザダイクロイック1816から白色光・蛍光センサ1858までの光路を共有する。
【0123】
いくつかの実施形態において、固視表示部1840は、患者の両眼が撮像に望ましい方向に向くように、撮像中に患者が焦点を合わせるための固視対象を提供するように構成されることができる。例えば、いくつかの実施形態において、固視表示部1840は、固視対象として点または家を表示するように構成されることができる。
図18に示すように、固視表示部は、固視光を固視ダイクロイック1842に供給するように構成される。いくつかの実施形態において、白色光、励起光および固視光が、サンプルコンポーネント1830を通して患者の網膜眼底に伝達するために結合されるように、固視ダイクロイック1842は、白色光および励起光を反射し、固視光を透過するように構成されることができる。
【0124】
いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント1830は、白色光、励起光および固視光を患者の網膜眼底に供給するように構成されることができる。
図18に示すように、サンプルコンポーネント1830は、第1アクロマティックレンズ1832、虹彩絞り1834、入射鏡1836および第2アクロマティックレンズ1838を含む。いくつかの実施形態において、第2アクロマティックレンズ1838は、患者の網膜眼底から反射されるおよび/または発せられる光を受光して、検出コンポーネント1850に伝達するために受光した光を平行にするように構成される。
【0125】
いくつかの実施形態において、検出コンポーネント1850は、患者の網膜眼底から受光した光を使用して、画像を撮像するように構成されることができる。
図18に示すように、検出コンポーネント1850は、虹彩絞り1852、集光レンズ1854、ダイクロイック1856、および白色光・蛍光センサ1858を含む。いくつかの実施形態において、虹彩絞り1852は、患者の網膜眼底から光を受光する方向以外の方向から受光する光が白色光・蛍光センサ1858に到達しないように構成されることができる。いくつかの実施形態において、集光レンズ1854は、患者の網膜眼底から受光した光を白色光・蛍光センサ1858に集光するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ダイクロイック1856は、反射された励起光が白色光・蛍光センサ1858に到達しないように構成されることができる。いくつかの実施形態において、ダイクロイック1856は、ロングパスフィルタとして構成されることができる。
【0126】
図19は、いくつかの実施形態による、マルチモーダル撮像装置の他の白色光および/または蛍光撮像コンポーネントと組み合わせて含めることのできる代替サンプルコンポーネント1930および検出コンポーネント1950の側面図である。
図19に示すように、サンプルコンポーネント1930は瞳リレーレンズ1990を含み、これは平凸レンズ1932および1936と両凹レンズ1934とを含む。いくつかの実施形態において、両凹レンズ1934は負分散および/またはフィールドの平坦化を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、両凹レンズ1934は、負の焦点距離を提供するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、サンプルコンポーネント1930は、
図17~
図18に関連して本明細書で説明するような、他のサンプルコンポーネントをさらに含むことができる。様々な実施形態によると、サンプルコンポーネント1930は、軸上または軸外照明リングから患者の網膜眼底を照明するように構成されることができる。
【0127】
図19にも示すように、検出コンポーネント1950は、アクロマティックレンズ1952および1956とカメラ1958とを含む。いくつかの実施形態において、アクロマティックレンズ1952および1956は、照射されるフィールド(field)を平坦化し、主光線角度を調整し、発散する主光線を得るように構成されることができる。いくつかの実施形態において、カメラ1958は、白色光および/または蛍光撮像センサにすることができる。いくつかの実施形態において、瞳リレーレンズ1990は、カメラ1958の像面湾曲を補正するために調整されることができる。例えば、
図19に示すように、瞳リレーレンズ1990は、異なる波長の光を異なる角度で空間的に分散するように構成される。図示するように、アクロマティックレンズ1952および1956は、異なる波長の光をカメラ1958の異なる各部分に集光するように構成される。
【0128】
IV.用途
発明者らは、本明細書で説明する撮像装置を使用して実施することのできる改良された撮像技術を開発した。様々な実施形態によると、当該撮像技術は生体認証、健康状態の判別、および疾病診断などに使用することができる。
【0129】
発明者らは、本明細書で説明する技術により撮像される1つまたは複数の画像に、人の網膜眼底の外観によって様々な病気が示唆されうることを認識するにいたった。例えば、糖尿病性網膜症は、小さい血管の血管壁から突出した小さな膨らみまたは微小動脈瘤によって示唆されることがあり、ときには流体および血液が網膜に漏れている場合がある。さらに、より大きな網膜血管が膨張し始めて、径が不揃いになる可能性もある。網膜の神経繊維が膨らみ始めることもある。ときには、黄斑浮腫など、網膜の中心部(黄斑)が膨らみ始める。傷ついた血管は閉塞することがあり、網膜に新たな血管の異常成長を生じさせる。緑内障性視神経症、または緑内障は、軸索および二次的網膜神経節細胞の消失の結果として、乳頭周囲網膜神経繊維層(retinal nerve fiber layer : RNFL)の薄化および視神経乳頭陥凹によって示唆されることがある。発明者らは、例えばOCTで示唆されるRNFL欠損が、緑内障の最も早期の徴候の1つであることを認識するにいたった。さらに、加齢黄斑変性(age-related macular degeneration : AMD)は、黄斑の剥離および/または持ち上がり、網膜中心帯の色素上皮層の下の黄色みを帯びた物質などの斑状色素沈着の障害、および/または黄斑ドルーゼン、末梢ドルーゼンおよび/または顆粒状型ドルーゼンなどのドルーゼンによって示唆されることがある。AMDは、色素沈着過度のくっきりと線引きされる丸い領域などの地図状萎縮、円形萎縮および/または網膜下液によっても示唆されることがある。スターガルト病は、網膜の中心部分の光受容体細胞の死によって示唆されることがある。黄斑浮腫は中心窩周囲の領域の溝によって示唆されることがある。黄斑円孔は、黄斑の穴によって示唆されることがある。飛蚊症は焦点が合わない光路不明瞭さによって示唆されることがある。網膜剥離は重度の視神経乳頭障害、および/または下の色素上皮からの分離によって示唆されることがある。網膜変性は網膜の変質によって示唆されることがある。中心性漿液性網膜症(Central serous retinopathy : CSR)は黄斑の感覚網膜の隆起、および/または色素上皮からの局所的な剥離によって示唆されることがある。脈絡膜悪性黒色腫は、脈絡膜に始まる色素細胞由来の悪性腫瘍によって示唆されることがある。白内障は不透明な水晶体によって示唆されることがあり、ぼやけた蛍光寿命および/または2D網膜眼底画像を生じさせることもある。黄斑部毛細血管拡張症は黄斑について劇的に増加している蛍光寿命のリング、および中心窩とその周囲の小さい血管の劣化によって示唆されることがある。アルツハイマー病およびパーキンソン病は、RNFLの薄化によって示唆されることがある。糖尿病性網膜症、緑内障および他のそのような病気が、適切に検査されて治療されなければ、失明または重度の視覚障害に至ることがあることは理解されるべきである。
【0130】
したがって、いくつかの実施形態において、人の様々な病状の前段階を、本明細書に説明する技術により撮像されたその人の網膜眼底の1つまたは複数の画像に基づいて判別することができる。例えば、上述した特定の病状の徴候(例えば、加齢黄斑変性の黄斑の剥離および/または持ち上がり)のうちの1つまたは複数が撮像された画像で検出される場合、その人はその病状にかかりやすい可能性がある。
【0131】
発明者らは、いくつかの健康状態を本明細書で説明する蛍光撮像技術を使用して検出することができることも認識するにいたった。例えば、黄斑円孔は540nmおよび/または430~460nmの蛍光発光波長を有する患者の眼の網膜色素上皮(retinal pigment epithelium : RPE)および/または黄斑色素を励起するために、340~500nmの励起光の波長を使用して検出することができる。RPEからの蛍光は主にRPEライゾームからのリポフスチンが原因である可能性がある。網膜動脈閉塞症は、520nm~570nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のフラビンアデニンジヌクレオチド(Flavin adenine dinucleotides : FAD)、RPEおよび/またはニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(nicotinamide adenine dinucleotide : NADH)を励起するために、445nmの励起光波長を使用して検出することができる。ドルーゼンのAMDは、540nmおよび/または430~460nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のRPEを励起するために、340~500nmの励起光波長を使用して検出することができる。地図状萎縮を含むAMDは、520~570nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のRPEおよびエラスチンを励起するために、445nmの励起光波長を使用して検出することができる。血管新生型のAMDは、患者の脈絡膜および/または網膜内層を励起することによって検出することができる。糖尿病性網膜症は、590~560nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のFADを励起するために、448nmの励起光波長を使用して検出することができる。中心性漿液性脈絡網膜症(Central serous chorio-retinopathy : CSCR)は、520~570nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のRPEおよびエラスチンを励起するために、445nmの励起光波長を使用して検出することができる。スターガルト病は、540nmおよび/または430~460nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のRPEを励起するために、340~500nmの励起光波長を使用して検出することができる。コロイデレミアは、540nmおよび/または430~460nmの蛍光発光波長を有する患者の眼のRPEを励起するために、340~500nmの励起光波長を使用して検出することができる。
【0132】
発明者らは、人の網膜眼底の撮像された画像を使用して、その人の様々な健康問題を診断するための技術も開発した。例えば、いくつかの実施形態において、上述した病気のいずれかを診断することができる。
【0133】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像技術は健康状態の判別に使用することができ、該健康状態には心臓の健康、循環器病、貧血、網膜毒性、ボディマス指数、水分重量、水分補給状態、筋肉量、年齢、喫煙習慣、血中酸素レベル、心拍数、白血球数、赤血球数、および/またはそのような他の健康属性を含むことができる。例えば、いくつかの実施形態において、少なくとも40nmの帯域幅を有する光源は、直径6μmの赤血球および少なくとも15μmの直径を有する白血球を捕捉する十分な撮像解像度で構成することができる。したがって、本明細書で説明する撮像技術は、赤血球および白血球の分類および算定、血液中のそれぞれの密度の推定および/またはそのような他の判別をしやすくするように構成することができる。
【0134】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像技術は、血液の流量を測定するために、血液細胞の移動をトラッキングする(tracking)ことを可能にする。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像技術は、血管の幅をトラッキングすることを可能にして、血圧の変化および豊富さの推定を提供することができる。例えば、1μs以内に完了する三次元(3D)空間スキャンを使用して赤血球および白血球を解像するように構成された、本明細書で説明する撮像装置は、毎秒1メートルで血球細胞の動きを捕捉するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、スーパールミネッセントダイオード、LED、および/またはレーザなど、本明細書で説明する装置に含むことのできる光源は、画像が1マイクロ秒未満で撮像できるように、サブマイクロ秒光パルスを発するように構成されることができる。本明細書で説明するスペクトルラインスキャン技術を使用して、走査される線対深さの断面全体をサブマイクロ秒で撮像することが可能である。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する二次元(2D)センサは、遅い速度での内部または外部の読取りおよびその後の分析のために当該画像を撮像するように構成されることができる。いくつかの実施形態において、3Dセンサを使用することができる。以下に説明する実施形態は、1マイクロ秒以内に多数の高品質スキャンを得るという課題を克服する。
【0135】
いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像装置は、血管の方向に沿って整列される線を走査するように構成されることができる。例えば、患者の網膜眼底の血管構成を同定し、観察のために大きめの血管を選択した後、走査線を回転して位置付けることができる。いくつかの実施形態において、選択した血管が1本の走査線内に収まるように、小さくて、順次1つの細胞しか血管を通さない血管を選択してもよい。いくつかの実施形態において、ターゲット撮像領域を患者の眼のより小さな区画に制限することで、撮像センサの収集領域を減らすことができる。いくつかの実施形態において、撮像センサの一部分を使用することで、撮像フレームレートを数十KHzに増やすのに役立つ。いくつかの実施形態において、本明細書で説明する撮像装置は、スペクトル拡散干渉を減らしながら、患者の眼の小領域に高速スキャンを行うように構成されることができる。例えば、各走査された線は撮像センサアレイの異なる2D断面を使用することができる。したがって、多数のラインスキャンを同時に捕捉することができ、各ラインスキャンを撮像センサアレイのそれぞれの部分によって捕捉する。いくつかの実施形態において、各ラインスキャンを拡大すると、分散されたスペクトルよりも広いなど、撮像センサアレイ上でより広い間隔になることができるので、各2Dラインスキャンを独立して測定することができる。
【0136】
本開示に記載される技術のいくつかの態様および実施形態を以上説明してきたが、当業者には様々な変更、修正および改良を容易に行えることは理解されるであろう。当該変更、修正および改良は、本明細書で説明する技術の精神および範囲内であることが意図される。例えば、当業者は、本明細書で説明する機能を果たすならびに/または結果および/もしくは利点の1つもしくは複数を得るための多様な他の手段および/または構造を容易に想定するであろう、また、当該変型および/または修正のそれぞれは本明細書で説明する実施形態の範囲内にあると見なされる。当業者は、通常の実験を用いるだけで、本明細書で説明する具体的な実施形態の多くの均等物を認識し、または確認することができるであろう。そのため、前述の実施形態は例として提示されるにすぎず、添付の請求項およびその均等物の範囲内で、具体的に述べられているもの以外の形で発明的実施形態を実施できることは理解されるべきである。さらに、本明細書で説明される2つ以上の特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組み合わせは、当該特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が互いに矛盾していなければ、本開示の範囲内に含まれる。
【0137】
上述の実施形態は、多数の方法のいずれで実施することも可能である。プロセスまたは方法の実施を伴う本開示の1つまたは複数の態様および実施形態は、そのプロセスもしくは方法を実施する、またはこれらの実施を制御するためのデバイス(例えば、コンピュータ、プロセッサまたは他のデバイス)によって実行可能なプログラム命令を利用することができる。この点に関し、様々な発明概念は、1つまたは複数のコンピュータまたは他のプロセッサで実行されたときに、上述の様々な実施形態のうちの1つまたは複数を実施する方法を行う1つまたは複数のプログラムで符号化されたコンピュータ可読記憶媒体(または多数のコンピュータ可読記憶媒体)(例えば、コンピュータメモリ、1つまたは複数のフロッピーディスク、コンパクトディスク、光学ディスク、磁気テープ、フラッシュメモリ、フィールドプログラマブルゲートアレイもしくは他の半導体デバイスの回路構成、または他の有形コンピュータ記憶媒体)として実現することができる。1つまたは複数のコンピュータ可読媒体は、それに格納される1つまたは複数のプログラムが1つまたは複数の異なるコンピュータまたは他のプロセッサにロードされて、上述の態様の様々なものを実施することができるように、搬送可能にすることができる。いくつかの実施形態において、コンピュータ可読媒体は非一時的媒体にすることができる。
【0138】
本明細書において「プログラム」または「ソフトウェア」という用語は、上述した様々な態様を実施するコンピュータまたは他のプロセッサをプログラミングするために採用することのできる任意のタイプのコンピュータコードまたはコンピュータ可読命令のセットをいうために、総称的な意味で使用される。加えて、一態様によると、実行されたときに、本開示の方法を行う1つまたは複数のコンピュータプログラムは単一のコンピュータまたはプロセッサに常駐する必要はなく、本開示の様々な態様を実施する多数の異なるコンピュータまたはプロセッサ間にモジュール式に分散してもよいことは理解されるべきである。
【0139】
コンピュータ実行可能命令は、プログラムモジュールなど、1つまたは複数のコンピュータまたは他のデバイスによって実行される多くの形態にすることができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを行うか、または特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む。典型的には、プログラムモジュールの機能性は、様々な実施形態で望まれるように組合せ、または分散させることができる。
【0140】
また、データ構造はコンピュータ可読媒体に任意の適切な形態で格納することができる。説明を簡単にするために、データ構造はデータ構造内の位置により関連したフィールドを有するように示していることがある。このような関係は、同様に、フィールド間の関係を伝えるコンピュータ可読媒体内の位置でフィールドのストレージを割り当てることによって達成することができる。しかし、ポインタ、タグまたはデータ要素間の関係を確立する他の仕組みの使用などにより、任意の適切な仕組みを使用して、データ構造のフィールド内の情報間の関係を確立することもできる。
【0141】
ソフトウェアに実装されるとき、ソフトウェアコードは、単一のコンピュータで提供されるか、または多数のコンピュータ間に分散されるかを問わず、任意の適切なプロセッサまたはプロセッサの集合体で実行することができる。
【0142】
さらに、コンピュータは、非制限的な例として、ラックマウントコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、またはタブレットコンピュータなど、多数の形態のうちのいずれで実現してもよいことは理解されるべきである。加えて、コンピュータは、携帯情報端末(Personal Digital Assistant : PDA)、スマートフォンまたは任意の他の適切な携帯式もしくは固定式電子機器を含め、一般にはコンピュータと見なされないが適切な処理能力を有するデバイスに埋め込むこともできる。
【0143】
また、コンピュータは、1つまたは複数の入出力デバイスを有することができる。これらのデバイスは、特に、ユーザインターフェースを提示するために使用することが可能である。ユーザインターフェースを提供するために使用することが可能な出力デバイスの例には、出力の視覚的提示のためのプリンタまたはディスプレイ画面、および出力の可聴提示のためのスピーカまたは他の音響発生デバイスが含まれる。ユーザインターフェースに使用することの可能な入力デバイスの例には、キーボード、およびマウスなどのポインティングデバイス、タッチパッド、およびデジタイズ用タブレットが含まれる。別の例として、コンピュータは、音声認識により、または他の可聴フォーマットで入力情報を受け取ることもできる。
【0144】
当該コンピュータは、エンタープライズネットワークなどのローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワーク、およびインテリジェントネットワーク(intelligent network : IN)またはインターネットを含め、任意の適切な形態の1つまたは複数のネットワークで相互接続することができる。当該ネットワークは任意の適切な技術に基づくことができ、任意の適切なプロトコルに従って動作することができ、無線ネットワーク、有線ネットワークまたは光ファイバネットワークを含むことができる。
【0145】
方法の一部として行われる動作は、任意の適切な方法で順序付けることができる。したがって、例示的な実施形態で順次的な動作として示されている場合でも、動作が図示されるものとは異なる順序で行われる実施形態を構成することができ、いくつかの動作を同時に行うことを含めることもできる。
【0146】
本明細書で定義および使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により組み込まれる文書内の定義および/または定義された用語の通常の意味に優先して適用される。
本明細書および特許請求の範囲で使用される「1つの」は、内容が明らかに異なることを示していない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解される。
【0147】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「および/または」という用語は、この用語によって接続された要素の「一方または両方」を指すと理解され、つまり、接続的に理解される場合と、離接的に理解される場合がある。「および/または」という用語とともに列挙された複数の要素も同様に解釈され、つまり、列挙された要素のうちの「1つまたは複数」を指す。「および/または」を用いて具体的に特定された要素以外の要素も、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意的に存在していてもよい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」は、「備える」等の非制限語句と組み合わせて使用される場合において、一実施形態では、Aのみ(任意的にB以外の要素も含む)を意味し、別の実施形態では、Bのみ(任意的にA以外の要素も含む)を意味し、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意的に他の要素も含む)を意味する。
【0148】
本明細書の明細書および特許請求の範囲において、1つまたは複数の要素の列挙を参照する「少なくとも1つ」という句は、その列挙された要素のうちの1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を指すと理解されるが、列挙された要素において具体的に挙げられている全ての要素のそれぞれを少なくとも1つ含む必要はなく、列挙された要素のうちの要素の組み合わせを除外するものではない。この定義においてはまた、「少なくとも1つ」という句が参照する列挙された要素において具体的に特定された要素以外の要素も、具体的に特定された要素に関連するか否かにかかわらず、任意的に存在していてもよい。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(同様に「AまたはBの少なくとも1つ」または「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つ、任意的に2つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意的にB以外の要素を含む)ことを意味し、別の実施形態では、少なくとも1つ、任意的に2つ以上のBを含み、Aが存在しない(および任意的にA以外の要素を含む)ことを意味し、さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、任意的に複数のAを含み、少なくとも1つ、任意的に複数のBを含む(および任意的に他の要素を含む)ことを意味する。
【0149】
また、本明細書で使用される表現および用語は説明を目的とするものであり、限定的ではない。本明細書における「含む」、「備える」、「有する」、「持つ」、「用いる」およびこれらの変形は、その後に記載される項目およびその同等物ならびに追加の項目を包含することを意味する。
【0150】
特許請求の範囲および上記の明細書において、「備える」、「含む」、「持つ」、「有する」、「構成されている」、「伴う」、「保持する」、「構成する」等の全ての移行句は、非制限語句であり、含むがこれに限定されないことを意味すると理解される。「からなる」および「本質的にからなる」の移行句のみが、制限語句または半制限語句として理解される。
【国際調査報告】