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特表2022-537462肝臓状態を治療するためのウリジンホスホリラーゼ(UPASE)阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】肝臓状態を治療するためのウリジンホスホリラーゼ(UPASE)阻害剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20220818BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220818BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220818BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P1/16
A61K45/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021576375
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 US2020038353
(87)【国際公開番号】W WO2020257400
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】62/864,695
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516053224
【氏名又は名称】トスク インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ガーランド,ウィリアム エー.
(72)【発明者】
【氏名】ペイリス,ヘシャン
(72)【発明者】
【氏名】リャウ,フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】フレンゼル,ブライアン ディー.
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZA751
4C084ZC201
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA75
4C086ZC20
4C086ZC75
(57)【要約】
肝臓状態、例えば、NAFLD、NASH、および/またはDILIについて対象を治療する方法が提供される。方法の態様は、任意選択的に、補助ウリジンなどのウリジン活性剤(例えば、ウリジン(UR)、URプロドラッグ、またはUR模倣物)と組み合わせて、有効量のUPase阻害剤を対象に投与して、肝臓状態について対象を治療することを含む。また、主題の方法の実践に使用するための組成物が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肝臓状態について対象を治療する方法であって、
有効量の2,2’-アンヒドロピリミジン(anhydropyrimidine)またはその誘導体を前記対象に投与して、前記肝臓状態について前記対象を治療することを含む、方法。
【請求項2】
前記2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、式(I)の化合物:
【化1】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体であり、
式中、
各R、R、R、およびRが、独立して、水素、置換または非置換のヘテロ原子、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアラルキル、炭水化物、核酸、アミノ酸、ペプチド、色素、フルオロフォア、およびポリペプチドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各R、R、R、およびRが、独立して、水素、ヒドロキシル、スルフィヒドリル(sulfyhydryl)、アミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、および1~20個の炭素を含有する置換または非置換の低級炭化水素からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記低級炭化水素が、アルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アラルキル、およびアルキルアミノ、ならびにそれらのエステルからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
が、水素、フッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、または2-ブロモビニルであり、Rが、水素、ヒドロキシルフッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、または2-ブロモビニルであり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルおよびベンゾイルオキシからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
が、水素またはメチルであり、Rが、水素であり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルおよびベンゾイルオキシからなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、立体異性体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記立体異性体が、2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-ウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-ウラシル、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシルからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記肝臓状態が、NAFLD、NASH、およびDILIからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記治療が、予防的である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記肝臓状態が、DILIである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象が、前記肝臓状態に罹患している、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記方法が、ウリジン(UR)活性剤と組み合わせて、有効量の2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体を前記対象に投与して、前記肝臓状態について前記対象を治療することを含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)、およびNAFLDのより重篤な形態である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の有病率は、世界中で急速に増加している。NAFLDは、二次的な肝脂肪蓄積(例えば、アルコール、感染症、医薬品など)の他の原因を伴わない脂肪(トリグリセリド)滴の蓄積の結果として、肝脂肪蓄積(脂肪症)、ときには線維症、および風船様肝細胞を特色とする。NALFDに見られるような風船様肝細胞および脂肪蓄積に加えて、NASHはまた、小葉炎症、線維症、および肝細胞変性を特色とする。典型的には、NASHの場合、線維症の後には、典型的には肝臓移植なしでは致命的である肝硬変および末期肝臓疾患が続く。末期肝臓疾患に加えて、NASHを有する個人はまた、多くの場合、状態の結果として、肝臓がん(肝細胞がん、HCC)を発症する4、5
【0002】
NALFDおよびNASHの両方の増加した有病率は、肥満および2型糖尿病(T2D)の社会的増加を反映し、結果として生じる代謝状態が変化した肝症状を反映している。それぞれ、脂質毒性および糖毒性と称される高濃度の脂質および炭水化物への肝細胞の曝露は、NAFLD/NASHで観察される肝細胞損傷の多くの原因である。
【0003】
肥満、インスリン抵抗性、高血糖、脂質異常症、および高血圧の群として定義される代謝症候群は、個人にNAFLDおよびNASHの素因を与える主要なリスク要因である。北米人のうちのおよそ30%がNALFDに罹患し、4%がNASHに罹患している。遺伝的、人口統計学的、および民族的要因もまた、NAFLDの病因の一因であり得、10例えば
・NAFLDは、PNPLA-3、TM6SF2、およびFDFT1を含む様々な遺伝子変異体に関連する。
・NAFLDは、高齢群および男性でより一般的である。
・ヒスパニックは、米国で最も高いNAFLDの有病率を有し、白人、次いでアフリカ系アメリカ人が続く。
【0004】
NASHを有する患者を治療するための米国食品医薬品局(FDA)が承認した医薬品は存在しない。この疾患を治療するための現在の推奨される行動としては、体重減少および食事の変更、例えば、脂肪およびグルコースの消費量を低下させることが挙げられる。11後期NASHおよび/またはHCCの唯一の既知の「治癒」は、肝臓移植である。この点では、NASHは、肝臓移植につながる単一の主な要因として、まもなく肝炎を上回ると想定されている。
【0005】
脂質体、油体、またはアディポソームとも称される脂質滴(LD)は、エネルギー過剰の期間中に中性脂質を貯蔵し、枯渇中にエネルギー貯蔵場所として機能する動的細胞小器官である。12代謝症候群および肥満などの多くの一般的な代謝性疾患は、多くの場合、肝臓における脂質の上昇およびLDの増加を生じ、これらは肝脂肪症/NAFLDとも称される。LD、特にLDに関連するタンパク質は、脂肪性肝臓疾患の病態生理学と強く関連している。13正常な生理学的条件下では、肝LDは小さく、限られた数で存在する。より実質的なLD形成は、タモキシフェン(TAM)、14、15、16、17シクロスポリン、18バルプロ酸、19、20テトラサイクリン、21クロフィブラート、22オランザピン、23およびシマバスチン(simavastin)、24などのスタチンなどの薬物の動物またはヒトへの投与後の肝毒性と関連する。LDは、物理的接触およびタンパク質シャトリングを含む、ミトコンドリアとの密接な関係性を有するように思われる。25LDはまた、細胞核とも同様の密接な関係を有するように思われる。26LDの含有量は、その毒性の可能性を決定するように思われる-多くの炎症性メディエーターの前駆体であるアラキドン酸のような不飽和脂肪酸を含有するLD27は、飽和脂肪酸を含有するLDよりも毒性が高い。28LDは、ペリリピンファミリーからのタンパク質で被覆され、その一部が脂質代謝の調節に関与している。29
【0006】
肝臓に関連する主要な公衆衛生上の問題は、薬物誘発性肝臓疾患(DILI)である。医薬品または栄養補助食品を摂取する個人に影響を及ぼす。DILIは、1000種を上回る薬物に関連している。30DILIの重篤度が低い患者では完全な回復が期待されるが、関連する症状(例えば、疲労感、かゆみ、吐き気)は衰弱させ得、回復が長引く場合があり、患者のうちの約20%は、診断6ヶ月後に肝臓損傷が継続していることの生化学的証拠を有する。31肝硬変および長期的な肝臓に関連する罹患率および死亡率は、症例のうちのおよそ3%で発生する。32現在、医師が自信を持ってDILIを診断するための試験は利用可能ではない。33DILI、またはDILIの疑いがある場合でさえも、代替治療の使用に至る場合があり、新たな有害薬物事象リスクにさらされ、基礎疾患の治療が次善策である可能性を生じる。DILIはまた、臨床的薬物開発プログラムの終了の一般的な原因である。34DILIは、広範な病態を生じる。これらの病態は、通常の生化学的な実験室試験で検出される、化学薬剤の攻撃を取り除いた後には解消される血清トランスアミナーゼレベルの上昇から、発病から26週間以内に凝固障害および肝性脳症をもたらす、新規の、突然の、生命を脅かす肝臓機能障害として定義される急性肝臓不全まで幅広い。35急性肝臓不全は、主に若年の健康な個人に影響を与え、肝臓移植を含む積極的な療法を受ける患者のうちのおよそ30%に死をもたらすので、破壊的な疾患である。
【0007】
DILIには、「中毒性」および「特異体質性」の2つの種類が存在する。
・前臨床モデルおよびヒトの両方で、予測可能な、用量依存的様式で肝臓損傷を誘発する薬物は、中毒性DILIを引き起こすと言われている。アセトアミノフェンは、米国で中毒性DILIの最も一般的な原因である。ほとんどの市販の他の薬物は、前臨床研究または初期臨床研究中にこの不利な点が一般に同定されているので、生命を脅かす中毒性DILIを引き起こさない。かかる薬物は、多くの場合、さらなる開発が放棄され、最適な効力を提供するが、肝臓損傷を引き起こさないことが予想されるよりも少ない用量で使用されるか、または制御された状況もしくは回復の見込みがない状況、例えば、化学療法で投与される。アセトアミノフェンの過剰摂取を治療するためのN-アセチルシステインを除いて、中毒性DILIに利用可能な治療はなく、N-アセチルシステインは、限られた臨床状況でのみ有用である。
・特異体質性DILIは、DILIの最も問題がある形態である。治療された患者の間ではほとんど発生せず、多くの場合、攻撃性の薬物を用いる治療の数ヶ月後に発生する。新しい薬物での特異体質性DILIは、多くの場合、薬物が一般的な使用に入ったときにのみ発見される。潜伏期間を有する特異体質性DILIは、肝臓における免疫攻撃を反映している可能性が高い。この考察と一致して、DILI患者が攻撃性の薬物で再チャレンジされる場合、完全な回復後すぐに特異体質性肝臓損傷は再発する。長い潜伏期間は、抗原特異的リンパ球が活性化され、DILIを媒介すべく十分な数まで増殖するために必要な時間に起因し得る。特異体質性DILIが開始されるおそらく最初のステップは、新抗原を誘発する肝細胞ストレスの形成である。
【0008】
中毒性および特異体質性肝臓損傷の両方は、同様のプロセスを通じて進行するように思われる。提案されている機序としては、ミトコンドリア機能障害、酸化ストレス、および胆汁酸恒常性の変化が挙げられる。ミトコンドリアは、すべての重要な細胞機能を維持するために必要とされるATPを産生する。DILIを引き起こす薬物は、ミトコンドリア機能を阻害し得、ATPのレベル低減、細胞機能の低下、および最終的に細胞死を生じる。36酸化ストレスは、正常な代謝の副産物であり、細胞シグナル伝達および恒常性における役割を有するROSの結果である。しかしながら、いくつかのDILIを引き起こす薬物は、多様な機序を通じてROS蓄積を増加させ得る。37細胞レベルのROSを調節するために存在するプロセスが過剰な場合、酸化ストレスは、主要な細胞構成要素に損傷を生じ得、最終的には細胞死を生じ得る。最後に、肝臓の主要な機能は、血液から胆汁への胆汁酸塩の輸送である。DILIを引き起こす薬物は、多くの方式で、最も重要なことに、胆汁酸塩輸出タンパク質の阻害によって肝胆汁酸の流れの低減を通じて、このプロセスを妨害し得る。38これは、肝細胞死をもたらし得る毒性の胆汁酸の細胞内蓄積を生じる。要約すると、中毒性または特異体質性の2つの異なる変形体では、DILIは、病態および病因は同様であるが、開始および促進の複数の機序を有する可能性が高いと思われる。
【0009】
まだ完全には理解されていないNAFLD/NASHとDILIとの間の関連性が存在する。39、40、41、42、43、44しかしながら、(1)NAFLD/NASH患者において、DILIは、多くの薬物でのリスク要因であり、(2)DILIは、NAFLD/NASHの病変に類似する病変として存在し、(3)DILIとNASHとは病態生理学的に重複し、(4)ある特定の薬物は、NAFLD/NASHの発症および進行で発生するものと同様の病理学的事象を引き起こすことによって肝脂肪症(DIS)および/または脂肪性肝炎(DISH)を誘発し、(5)DILIは、NAFLD/NASHの発症に影響を及ぼすか、または進行を加速させ、かつ(6)NAFLD/NASHは、DILIに対する感受性およびDILIの結果に影響を及ぼす。
【0010】
DILIからの有害な影響は、正常な肝臓におけるNAFLDの発症および/または進行を引き起こす生理学的傷害を模倣するだけでなく、脂肪性肝臓に事前に存在する同様の変化を悪化させ得る。NAFLD/NASHと比較して、DILIは、
・影響を及ぼす要因(例えば、肥満、糖尿病)を悪化させる。
・脂肪による要因を増強する(例えば、脂質肝による合成/取り込みを悪化させる)。
・炎症要因(例えば、脂質毒性脂肪酸の蓄積および酸化ストレス)を増加させる。
・線維原性要因を活性化する(例えば、コラーゲンの沈着を増強する)。
・NAFLDの背景で発生する薬物-代謝系を変化させる。
上記に基づいて、NAFLD/NASHを軽減する薬剤はまた、DILIを治療するように作用する可能性が高く、逆もまた同様である。
【0011】
NAFLD/NASHは、承認された治療がない、肥満および関連する代謝障害の有病率の増加を被る国々では、重大な、潜在的に致命的な保健状態となっている。別の重篤な肝状態であるDILIは、NAFLD/NASHの病態生理学を模倣するように思われる。
【発明の概要】
【0012】
肝臓状態、例えば、NAFLD、NASH、および/またはDILIについて対象を治療する方法が提供される。方法の態様は、任意選択的に、補助ウリジンなどのウリジン活性剤(例えば、ウリジン(UR)、URプロドラッグ、またはUR模倣物)と組み合わせて、有効量のUPase阻害剤を対象に投与して、肝臓状態について対象を治療することを含む。また、主題の方法の実践に使用するための組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】様々な量の化合物I(TK-112690)をマウスに連続注入した後に決定した、血漿UR濃度対血漿化合物I濃度の回帰分析を提供する。線のR2は、0.95であり、線の傾きおよび切片値は、それぞれ0.010および0.051である。化合物Iは、血漿URを線形的に上昇させることが見られる。
図2】MCD研究の実験段階中に測定した、マウスの体重を提供する。実験群当たり6匹のマウスを研究した。すべての群は、実質的な体重減少を示した。群間で体重の変動は観察されなかった。データは、平均+/-SEMとして提示される。
図3】MCD研究の実験段階の終了時に測定した、血清HDLコレステロールレベルを提供する。実験群当たり6匹のマウスを研究した。UR+化合物I(TK-112690)で処理したマウスは、ビヒクルで処理した対照と比較して、著しく低い(p<0.05)HDLコレステロールレベルを有した。データは、平均+/-SEMとして提示される。
図4】(A)各実験群からの肝臓切片の代表的なH&E画像、および(B)(A)に示す画像の線維症スコアを提供する。最大の効果は、UR+化合物I(TK-112690)で処理したマウスの群であった。この群は、ビヒクルで処理した対照(実験群当たり6匹の動物)と比較して、肝臓線維症が著しく少ない(p<0.001)ことを示した。データは、平均+/-SEMとして提示される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
定義
以下の用語は、化合物、かかる化合物を含有する薬学的組成物、かかる化合物および組成物を使用する方法、ならびに化合物を使用するための生物学的および薬理学的記載を説明するときに、別段の指示がない限り、以下の意味を有する。また、以下に記載の定義される部分のうちのいずれかが、多様な置換基で置換され得、それぞれの定義が、その範囲内にかかる置換部分を含むことを意図することが理解されるべきである。
【0015】
「アシル」は、ラジカル-C(O)Rを指し、本明細書で定義されるRが、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、またはヘテロアリールである。代表的な例としては、ホルミル、アセチル、シルコ(cylco)ヘキシルカルボニル、シクロヘキシルメチルカルボニル、ベンゾイル、ベンジルカルボニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
「アシルアミノ」は、ラジカル-NR’C(O)Rを指し、本明細書で定義されるR’が、水素、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルであり、Rが、水素、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルである。代表的な例としては、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、シクロヘキシルカルボニルアミノ、シクロヘキシルメチル-カルボニルアミノ、ベンゾイルアミノ、ベンジルカルボニルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「アシルオキシ」は、-OC(O)H、-OC(O)-アルキル、-OC(O)-アリール、または-OC(O)-シクロアルキル基を指す。
【0018】
「脂肪族」は、直線状、分枝状、または環式配置の成分炭素原子、および芳香族不飽和の不在を特徴とする、ヒドロカルビル有機化合物または基を指す。脂肪族としては、アルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、およびアルキニレンが挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族基は、典型的には、1または2~6または12個の炭素原子を有する。
【0019】
「アルケニル」は、直鎖または分枝状であり得る、最大約11個の炭素原子、具体的には2~8個の炭素原子、より具体的には2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1個、具体的には1または2個のオレフィン不飽和部位を有する、一価のオレフィン性不飽和ヒドロカルビル基を指す。特定のアルケニル基としては、エテニル(-CH=CH)、n-プロペニル(-CHCH=CH)、イソプロペニル(-C(CH)=CH)、ビニル、および置換ビニルなどが挙げられる。
【0020】
「アルコキシ」は、-O-アルキル基を指す。特定のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1,2-ジメチルブトキシなどが挙げられる。
【0021】
「アルコキシカルボニル」は、アルコキシが本明細書で定義されるラジカル-C(O)-アルコキシを指す。
【0022】
「アルコキシカルボニルアミノ」は、-NRC(O)OR’基を指し、Rが、水素、アルキル、アリール、またはシクロアルキルであり、R’が、アルキルまたはシクロアルキルである。
【0023】
「アルキル」は、具体的には最大約12または18個の炭素原子、低級アルキルとしてより具体的には、1~8個の炭素原子、なおより具体的には、1~6個の炭素原子を有する、一価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。炭化水素鎖は、直鎖または分枝状のいずれかであり得る。この用語は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、tert-オクチルなどの基によって例示される。「アルキル」という用語はまた、本明細書で定義される「シクロアルキル」を含む。いくつかの例示的なアルキル基の構造を、以下の表1に提供する。
【0024】
【表1】
【0025】
「アルキレン」は、具体的には、直鎖または分枝状であり得る、最大約12または18個の炭素原子、より具体的には1~6個の炭素原子を有する、二価の飽和脂肪族ヒドロカルビル基を指す。この用語は、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン異性体(例えば、-CHCHCH-および-CH(CH)CH-)などの基によって例示される。
【0026】
「アルキニル」は、具体的には、直鎖または分枝状であり得る、最大約12または18個の炭素原子、より具体的には2~6個の炭素原子を有し、少なくとも1個、具体的には1または2個のアルキニル不飽和部位を有する、アセチレン性不飽和ヒドロカルビル基を指す。アルキニル基の特定の非限定的な例としては、アセチレン性の、エチニル(-C≡CH)、プロパルギル(-CHC≡CH)などが挙げられる。
【0027】
「アミノ」は、ラジカル-NHを指す。
【0028】
「アミノ酸」は、D、L、またはDL形態の天然に生じるアミノ酸(例えば、Ala、Arg、Asn、Asp、Cys、Glu、Gln、Gly、His、Hyl、Hyp、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Pro、Ser、Thr、Trp、Tyr、およびVal)のうちのいずれかを指す。天然に生じるアミノ酸の側鎖は、当該技術分野において周知であり、例えば、水素(例えば、グリシン中の)、アルキル(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン中の)、置換アルキル(例えば、スレオニン、セリン、メチオニン、システイン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、アルギニン、およびリジン中の)、アルカリル(例えば、フェニルアラニンおよびトリプトファン中の)、置換アリールアルキル(例えば、チロシン中の)、およびヘテロアリールアルキル(例えば、ヒスチジン中の)が挙げられる。
【0029】
「アミノカルボニル」は、-C(O)NRR基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、アリール、もしくはシクロアルキルであるか、またはR基が接続されてアルキレン基を形成する。
【0030】
「アミノカルボニルアミノ」は、-NRC(O)NRR基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、アリール、もしくはシクロアルキルであるか、または2つのR基が接続されてアルキレン基を形成する。
【0031】
「アミノカルボニルオキシ」は、-OC(O)NRR基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、アリール、もしくはシクロアルキルであるか、またはR基が接続されてアルキレン基を形成する。
【0032】
「アミノ含有サッカリド基」は、アミノ置換基を有するサッカリド基を指す。代表的なアミノ含有サッカリドとしては、L-バンコサミン、3-デスメチル-バンコサミン、3-エピ-バンコサミン、4-エピ-バンコサミン、アコサミン、アクチノサミン(actinosamine)、ダウノサミン、3-エピ-ダウノサミン、リストサミン、N-メチル-D-グルカミンなどが挙げられる。
【0033】
「ARMD」は、眼疾患加齢関連黄斑変性を指す。
【0034】
「アラルキル」または「アリールアルキル」は、上記で定義される1つ以上のアリール基で置換された、上記で定義されるアルキル基を指す。
【0035】
「アリール」は、親芳香族環系の単一の炭素原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、一価の芳香族炭化水素基を指す。典型的なアリール基としては、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどに由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。具体的には、アリール基は、6~14個の炭素原子を含む。いくつかの例示的なアリール基の構造を、表2に提供する。
【0036】
【表2】
【0037】
「アリールオキシ」は、-O-アリール基を指し、「アリール」は、本明細書で定義されるとおりである。
【0038】
「自己免疫疾患」または「自己免疫状態」は、身体組織が自らの免疫系によって攻撃されると発生する病気を指す。自己免疫疾患または状態の例としては、多発性硬化症、強直性脊椎炎、クローン病、関節炎、乾癬、ベーチェット病、および乾癬性関節炎が挙げられる。
【0039】
「アジド」はラジカル-Nを指す。
【0040】
「炭水化物」は、モノ-、ジ-、トリ-、またはポリサッカリドを意味し、ポリサッカリドが、最大約20,000の分子量を有し得る、例えば、ヒドロキシプロピル-メチルセルロースまたはキトサンである。「炭水化物」はまた、アンヒドロピリミジン(anhydropyrimidine)(例えば、アンヒドロチミジンまたはアンヒドロウリジン)またはその誘導体に、サッカリド部分の任意の原子、例えば、アグリコンの炭素原子を介して共有結合した、酸化、還元、または置換されたサッカリドモノラジカルを包含する。「モノ-、ジ-、トリ-、またはポリサッカリド」としてはまた、アミノ含有サッカリド基を挙げることができる。代表的な「炭水化物」としては、例えば、D-グルコース、D-マンノース、D-キシロース、D-ガラクトース、バンコサミン、3-デスメチル-バンコサミン、3-エピ-バンコサミン、4-エピ-バンコサミン、アコサミン、アクチノサミン、ダウノサミン、3-エピ-ダウノサミン、リストサミン、D-グルカミン、N-メチル-D-グルカミン、D-グルクロン酸、N-アセチル-D-グルコサミン、N-アセチル-D-ガラクトサミン、サイアル酸(sialyic acid)、イズロン酸、L-フコースなどのヘキソース;D-リブロースまたはD-アラビノースなどのペントース;D-リブロースまたはD-フルクトースなどのケトース;2-O-(α-バンコサミニル)-β-D-グルコピラノース-、2-O-(3-デスメチル-α-L-バンコサミニル)-β-D-グルコピラノース、スクロース、ラクトース、またはマルトースなどのジサッカリド、アセタール、アミン、アシル化、硫化、およびホスホリル化糖などの誘導体;2~10個のサッカリド単位を有するオリゴサッカリドが挙げられる。サッカリドは、それらの開放形態、rピラノース形態、またはフラノース形態のいずれかであり得る。
【0041】
「カルボキシル」は、ラジカル-C(O)OHを指す。
【0042】
「シアノ」は、ラジカル-CNを指す。
【0043】
「シクロアルケニル」は、3~10個の炭素原子を有し、単環式環、または縮合および架橋環系を含む複数の縮合環を有し、少なくとも1個、具体的には1または2個のオレフィン性不飽和部位を有する、環式ヒドロカルビル基を指す。かかるシクロアルケニル基としては、例えば、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロプロペニルなどの単環構造が挙げられる。
【0044】
「シクロアルキル」は、3~約10個の炭素原子を有し、単環式環、または縮合および架橋環系を含む複数の縮合環を有する、環式ヒドロカルビル基を指し、任意選択に、1~3個のアルキル基で置換され得る。かかるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル、1-メチルシクロプロピル、2-メチルシクロペンチル、2-メチルシクロオクチルなどの単環構造、およびアダマンタニルなどの複数の環構造が挙げられる。
【0045】
「DILI」は、薬物誘発性肝臓損傷を指す。
【0046】
「DIS」は、薬物誘発性肝脂肪症を指す
【0047】
「DISH」は、薬物誘発性脂肪性肝炎を指す。
【0048】
「DR」は、眼の状態、糖尿病性網膜症を指す。
【0049】
「FU」は、5-フルオロウラシルを指す。
【0050】
「ヘテロシクロアルキル」は、N、O、およびSから独立して選択される1つ以上のヘテロ原子を含有する、安定な複素環式非芳香族環および縮合環を指す。縮合複素環式環系としては、炭素環式環を挙げることができ、1つのみの複素環式環を含む必要がある。複素環式環の例としては、ピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペリジニル、およびモルホリニルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例示的なヘテロシクリルの構造を、表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを指す。ハロ基は、フルオロまたはクロロのいずれかであり得る。
【0053】
「HCC」は、肝細胞がんを指す。
【0054】
「HDL」は、高密度リポタンパク質を指す。
【0055】
化合物、または化合物上に存在する基を説明するために使用される場合、「ヘテロ」は、化合物中のまたは基の1つ以上の炭素原子が、窒素、酸素、またはイオウヘテロ原子によって置き換えられていることを意味する。ヘテロは、1~5個、具体的には1~3個のヘテロ原子を有する、アルキル、例えば、ヘテロアルキル、シクロアルキル、例えば、ヘテロシクロアルキル、アリール、例えば、ヘテロアリール、シクロアルケニル、例えば、ヘテロシクロアルケニル、シクロヘテロアルケニル、例えば、ヘテロシクロヘテロアルケニルなどの、上記のヒドロカルビル基のうちのいずれかに適用され得る。ヘテロ原子は、炭素または水素以外の任意の原子であり、典型的には、窒素、酸素、イオウ、リン、ホウ素、塩素、臭素、またはヨウ素であるが、これらに限らない。非置換ヘテロ原子は、アミン、ヒドロキシル、およびチオールなどのペンダントヘテロ原子を指す。置換ヘテロ原子は、ペンダントヘテロ原子以外のヘテロ原子を指す。
【0056】
「ヘテロアリール」は、親複素芳香族環系の単一の原子から1個の水素原子を除去することによって誘導される、一価の複素芳香族基を指す。典型的なヘテロアリール基としては、アクリジン、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどに由来する基が挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリール基は、5~20員ヘテロアリール、または5~10員ヘテロアリールであり得る。特定のヘテロアリール基は、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ピリジン、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、およびピラジンに由来するものである。
【0057】
「ヒドロキシル」は、ラジカル-OHを指す。
【0058】
「KO」は、ノックアウト動物という語句で使用されるノックアウトを指す。
【0059】
「MCD」は、メチオニン-コリン欠乏食を指す。
【0060】
「NAFLD」は、非アルコール性脂肪性肝臓疾患を指す。
【0061】
「NASH」は、非アルコール性脂肪性肝炎を指す。
【0062】
「ニトロ」は、ラジカル-NOを指す。
【0063】
「ペプチド」は、最大2、5、10、または約100個のアミノ酸残基を含有するポリアミノ酸を指す。
【0064】
「ポリペプチド」は、約100アミノ酸単位~約1,000アミノ酸単位、約100アミノ酸単位~約750アミノ酸単位、または約100アミノ酸単位~約500アミノ酸単位を含有するポリアミノ酸を意味する。
【0065】
「ROP」は、未熟児の乳児網膜症における眼の状態を指す。
【0066】
「SEM」は、平均の標準誤差を指す。
【0067】
「副作用」は、薬物投与の望ましくない有害な結果を意味する。
【0068】
所与の化合物に関連する「立体異性体」は、当該技術分野において十分に理解されており、他の化合物を構成する原子が空間内で配向される方式が異なるが、他の化合物中の原子が、どの原子がどの他の原子に接続するかに関して、所与の化合物中の原子のようである、同じ分子式を有する別の化合物(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマー、または幾何異性体)を指す。例えば、Morrison and Boyd,Organic Chemistry,1983,4th ed.,Allyn and Bacon、Inc.,Boston,MA,p123.
【0069】
「置換」は、1つ以上の水素原子が、各々独立して、同じかまたは異なる置換基で置き換えられている基を指す。「置換」基は、具体的には、アシル、アシルアミノ、アシルオキシ、アルコキシ、置換アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、アミノ、置換アミノ、アミノカルボニル、アミノカルボニルアミノ、アミノカルボニルオキシ、アリール、アリールオキシ、アラルキル、アジド、カルボキシル、シアノ、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ハロゲン、ヒドロキシル、イミデート、ケト、ニトロ、チオアルコキシ、置換チオアルコキシ、チオアリールオキシ、チオケト、チオール、アルキルチオ、(置換アルキル)チオ、アリールチオ、(置換アリール)チオ、アルキル-S(O)-、アリール-S(O)-、アルキル-S(O)-、およびアリール-S(O)からなる群から選択される1個以上の置換基、例えば、1~5個の置換基、具体的には1~3個の置換基を有する基を指す。典型的な置換基としては、-X、(ただし、Rが、水素ではないことを条件として)-R、-O-、=O、-OR、-SR、-S、=S、-NR、=NR、-CX、-CF、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO、=N、-N、-S(O)、-S(O)OH、-S(O)、-OS(O)O、-OS(O)、-P(O)(O-)、-P(O)(OR)(O)、-OP(O)(OR)(OR)、-C(O)R、-C(S)R、-C(O)OR、-C(O)NR、-C(O)O、-C(S)OR、-NR10C(O)NR、-NR10C(S)NR、-NR11C(NR10)NR、および-C(NR10)NR(Xが、独立してハロゲンではない)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0070】
「置換アミノ」としては、本明細書の「置換」の定義に列挙される基が挙げられ、具体的には、-N(R)基を指し、各Rが、独立して、水素、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アリール、シクロアルキル、置換シクロアルキルからなる群から選択され、両方のR基が、接続して、アルキレン基を形成する。
【0071】
「T2D」は、2型糖尿病を指す。
【0072】
「TG」は、トランスジェニックを指す。
【0073】
「チオアルコキシ」は、-S-アルキル基を指す。
【0074】
「チオアリールオキシ」は、-S-アリール基を指す。
【0075】
「チオケト」は、=S基を指す。
【0076】
「チオール」は、-SH基を指す。
【0077】
「UR」は、ウリジンを指す。
【0078】
「UPase(ウリジンホスホリラーゼ)」は、酵素学において、化学反応:ウリジン+ホスフェート→ウラシル+アルファ-D-リボース1-リン酸を触媒するホスホリラーゼ(EC2.4.2.3)を指す。この酵素の2つの基質は、ウリジンおよびホスフェートであり、その2つの産生物は、ウラシルおよびアルファ-D-リボース1-リン酸である。この酵素は、グリコシルトランスフェラーゼ、具体的にはペントシルトランスフェラーゼのファミリーに属する。この酵素の部類の系統名は、ウリジン:リン酸アルファ-D-リボシルトランスフェラーゼである。一般的に使用される他の名称としては、ピリミジンホスホリラーゼ、UrdPase、UPH、およびUPaseが挙げられる。この酵素は、ピリミジン代謝に関与する。
【0079】
「ウリジンサプリメント」は、URを含有する配合製品、または体内でURに変換されるUR一リン酸もしくはアセチル化URなどのUR前駆体を含有する配合製品のいずれかを指す。配合製品は、溶液、カプセル、錠剤、またはクリームであり得る。製品は、po、ip、sc、またはivで投与され得る。URサプリメントは、栄養サプリメントなどのより複雑な混合物の一部として投与され得る。
【0080】
ip、po、およびscは、それぞれ、腹腔内、経口、または皮下投与である。H&Eは、組織を染色するために使用される色素であるヘマトキシリンおよびエオシンである。SDは、標準偏差である。SEは、標準誤差である。PBSは、リン酸緩衝生理食塩水である。qdおよびbidは、それぞれ、毎日および1日2回である。
【0081】
当業者は、芳香族であるか、または非芳香族であるかにかかわらず、安定な化学的に実現可能な複素環式環中のヘテロ原子の最大数が、環のサイズ、不飽和度、およびヘテロ原子の価数によって決定されることを認識する。一般に、複素環式環は、複素芳香族環が化学的に実現可能であり、かつ安定である限り、1~4個のヘテロ原子を有し得る。
【0082】
肝臓状態、例えば、NAFLD、NASH、および/またはDILIについて対象を治療する方法が提供される。方法の態様は、任意選択的に、補助ウリジンなどのウリジン活性剤(例えば、ウリジン(UR)、URプロドラッグ、またはUR模倣物)と組み合わせて、有効量のUPase阻害剤を対象に投与して、肝臓状態について対象を治療することを含む。また、主題の方法の実践に使用するための組成物が提供される。
【0083】
本発明がより詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されるものではなく、したがって、もちろん、変動し得ることが理解される。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることになるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する対象となるためのものであり、限定することが意図されるものではないことも理解されるべきである。
【0084】
値の範囲が提供される場合、文脈が明確に別段の指示をしない限り、その範囲の上限と下限との間の、下限の単位の10分の1までの各中間値、およびこの記載の範囲内の任意の他の記載される値または中間値が本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれてもよく、記載の範囲において任意の具体的に除外された限界に従って、同様に本発明に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲も、同様に本発明に含まれる。
【0085】
ある特定の範囲は、「約」という用語の前に数値を伴って本明細書において提示される。「約」という用語は、本明細書において、それが先行する正確な数、ならびにその用語が先行する数に近いか、または近似しているその数についての文字どおりの裏付けを提供するために使用される。数が具体的に記載された数に近いか、または近似しているか否かを判定する際、記載されていない数に近いか、またはそれに近似している数は、それが提示される文脈において、具体的に記載された数の実質的等価物を提供する数であり得る。
【0086】
別段に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料も、本発明の実施または試験で使用することができるが、代表的な例示的な方法および材料がここで説明される。
【0087】
本明細書で引用されるすべての刊行物および特許は、あたかも各個々の刊行物または特許が、参照することによって組み込まれるように具体的かつ個々に示されているかのように、参照することによって本明細書に組み込まれ、方法および/または材料を開示および記載するために、参照によって本明細書に組み込まれ、それらの方法および/または材料に関連して刊行物が引用される。いかなる刊行物の引用も、出願日以前のその開示に関するものであり、本発明が、先行発明を理由に、かかる刊行物に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、独立して確認される必要がある場合がある。
【0088】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用するとき、「a」、「an」、および「the」という冠詞は、別途文脈が明確に指示しない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。特許請求の範囲は、任意の要素を除外するために起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙、または「否定的な」制限の使用に関連して、「もっぱら」、「単独で」などの排他的な用語を使用するための先行する基礎として機能することが意図される。
【0089】
本開示を閲読することで当業者に明らかになるように、本明細書に記載および例示される個々の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のうちのいずれかの特徴から容易に分離され得るか、またはそれと組み合わされ得る別個の構成要素および特徴を有する。任意の記載された方法は、記載された事象の順序、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0090】
装置および方法は、文法的な流動性のために機能的説明とともに記述されてきた、または記述されるが、米国特許法第112条に基づいて明確に記載されていない限り、特許請求の範囲は、必ずしも「手段」または「ステップ」の限定の解釈によって限定されると解釈されるものではなく、法的均等論の下で特許請求の範囲によって提供される定義の意味および等価物の完全な範囲を付与されるものであり、特許請求の範囲が米国特許法第112条に基づいて明確に記載されている場合には、米国特許法第112条に基づく完全な法的等価物を付与されるべきであることが明確に理解されるものである。
【0091】
主題の本発明のさらなる記載において、まず、主題の方法がより詳細に記載され、続いて主題の方法での使用が見出され得る様々な組成物、例えば、配合物およびキットの考察、ならびに主題の方法および組成物の使用が見出される様々な代表的な用途の考察が記載される。
【0092】
方法
上記で要約したように、対象における肝臓状態を予防的に治療すること(例えば、肝臓状態の発生を防止すること)を含む、治療する方法が提供される。方法の態様は、単独で、またはウリジン(UR)活性剤(例えば、UR、URプロドラッグ、またはUR模倣物)と組み合わせてのいずれかで、UPase阻害剤を対象に投与して、肝臓状態について対象を治療することを含む。UPase阻害剤が、UR活性剤と組み合わせて、すなわち、同時に投与される場合、UPase阻害剤は、UR活性剤と同時に投与され得る。代替的に、例えば、UR活性剤の前にUPase阻害剤が投与されるか、またはUR活性剤の後にUPase阻害剤が投与される場合、UPase阻害剤およびUR活性剤は順次投与され得る。かかる実施形態では、UPase阻害剤およびUR活性剤は、同時に、例えば、2つの別々の配合物として、または単一の組成物に組み合わせて投与され得る。あるいは、UPase阻害剤およびUR活性剤は、異なる配合物中で対象に順次投与され得る。UPase阻害剤およびUR活性剤が連続的にもしくは同時に投与されるか、またはその任意の有効な変形で投与されるかにかかわらず、薬剤は、本発明の目的のために一緒に、または組み合わせて投与されることが考慮される。2つの薬剤の投与経路は、変動し得る。代表的な投与経路を以下に記載する。
【0093】
本発明の方法に従って治療される対象は、NAFLD、NASH、またはDILIなどの肝臓状態に罹患しているか、または罹患している疑いがある対象であり得る。開示の方法による治療は、肝臓疾患のリスクがある対象、または重篤な肝臓状態の診断後の対象のために予防的に開始され得る。治療は、当業者によって適切であると決定される間隔で実行され得る。例えば、投与は、1、2、3、4回、またはそれ以上/日実行され得る。理想的には、治療は、絶えずqdであることが期待される。治療はまた、重篤な肝臓状態に関連する薬物の前、またはそれと同時に、またはそれとほぼ同時に開始され得る。
【0094】
本発明の文脈において、動物、具体的にはヒトに投与される用量は、合理的な時間枠にわたって動物において予防的または療法的応答に影響を及ぼすために十分であるべきである。当業者は、投薬量が、用いられる特定の化合物の強度、および使用される用量レジメン、動物の状態、および動物の体重、ならびに病気の重篤度、および疾患の段階を含む、多様な要因に依存することを認識する。用量のサイズはまた、特定の化合物の投与に伴い得る任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって決定される。
【0095】
UPase阻害剤
上記で要約したように、本発明の態様は、UPase阻害剤を対象に投与することを含む。UPase(UPh;EC2.4.2.3)は、リボース1-リン酸およびウラシルの形成とともに、URのC-Nグリコシド結合のリン酸化切断を触媒する酵素のピリミジンヌクレオシドホスホリラーゼファミリーのメンバーである。45UPase阻害剤は、対象におけるウリジン血漿レベルを調節するように作用する薬剤、例えば、対象におけるウリジン(UR)血漿レベルを上昇させるように作用する薬剤である。任意のUR血漿レベル増強の大きさは変動し得るが、場合によっては、増強の大きさは、5倍以上、10倍以上、15倍以上、20倍以上、25倍以上、または50倍以上などの、2倍以上である。
【0096】
場合によっては、UPase阻害剤は、アンヒドロヌクレオシドである。アンヒドロヌクレオシドは、多くの場合、ヌクレオシド誘導体の合成における中間体としての使用が見出される、天然ヌクレオシドの類似体である。それらは、N-グリコシド結合に加えて、糖の2’、3’、または5’炭素と、塩基の炭素、酸素、または窒素原子(グリコシド結合の窒素を除く)との間の直接的または架橋原子を介してのいずれかの共有結合を有することを特徴とする。アンヒドロピリミジンは、糖の2’、3’、または5’炭素と、ピリミジン塩基の炭素、酸素、または窒素原子(グリコシド結合の窒素を除く)との間の直接的または架橋原子を介してのいずれかで共有結合されるピリミジン塩基を特徴とする。
【0097】
場合によっては、UPase阻害剤は、2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体である。いくつかの実施形態では、2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体は、式(I)の化合物:
【0098】
【化1】
【0099】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体であり、
式中、
各R、R、R、およびRが、独立して、水素、置換または非置換のヘテロ原子、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアラルキル、ヒドロキシル、ハロゲン、アジド、アミノ、置換アミノ、炭水化物、核酸、アミノ酸、ペプチド、色素、フルオロフォア、およびポリペプチドからなる群から選択される。
【0100】
ある特定の実施形態では、化合物は、式(I)のものであり、R、R、R、およびRが、独立して、水素、ヒドロキシル、ヘテロ原子、C-C18アルキル、C-C18置換アルキル、C-C18アルケニル、C-C18アシル、アミノ、置換アミノであり、アルキル、アルケニル、またはアシルが、線状または分枝状であり、任意選択的に、ヒドロキシル、エステルおよびその誘導体、カルボキシルおよびその誘導体、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロ原子で置換され、場合によっては、窒素、酸素、およびイオウなどの、鎖中のヘテロ原子または架橋ヘテロ原子を含有する。
【0101】
対象となるR成分の例としては、水素;ヒドロキシル;スルフィヒドリル(sulfyhydryl);フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素などのハロゲン、ならびにメチル-、エチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、イソブチル-、tert-ブチル-などの1~5個の炭素の低級アルキルスルホニル基、およびベンゼン、p-トルエン、p-ニトロベンゼンスルホニル基などのペンタスルホニルまたはアリールスルホニル基などの擬ハロゲン;アミノメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、ベンジルオキシ、イミデート、アルキルチオ、(置換アルキル)チオ、アリールチオ、(置換アリール)チオなどの置換低級アルキルを含む、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルなどの1~20個の炭素を含有する低級アルキル;ビニルおよび置換ビニル、エチニルおよび置換エチニルなどの1~20個の炭素を含有する低級アルケニル(置換ビニル、または置換エチニルが、臭素、塩素、フッ素、もしくはヨウ素などのハロゲンによるビニルもしくはエチニルのβ位の置換、またはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどの1~5個の炭素原子のアルキルによる置換、またはベンジル、p-クロロベンジル、p-ニトロベンジルなどのアラルキルによる置換、またはフェニル、p-ニトロフェニル、p-トリル、p-アニシル、ナフチルなどのアリールによる置換を指す);ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリル、バレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、アラキジル、スチリジル(stilligyl)、パルミトイル、オレイル、リノレニル、アラキドニルなどの1~20個の炭素を含有する低級アルカノイル(アシル基);フェニル、p-トリル、p-クロロフェニル、p-アミノフェニル、p-ニトロフェニル、p-アニシルなどの1~20個の炭素を含有する低級アリール;ベンゾイルおよびナフトイルなどの1~20個の炭素を含有する低級アロイル(芳香族基が、p-トルノイル、p-アニソイル、p-クロロベンゾイル、p-ニトロベンゾイル、もしくは2,4-ジニトロベンゾイル、ペンタフルオロベンゾイルなどのアルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはニトロ部分によって、またはベンジルオキシベンゾイルなどの別のアロイルによって追加的に置換され得る);ベンジル、ベンズヒドリル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、p-ニトロベンジル、ベンジルオキシベンジル、ペンタフルオロベンジルなどの1~20個の炭素を含有する低級アラルキル;メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、またはベンズアミノなどのモノアルキル基またはモノアラルキルアミノ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、またはモルフォリノなどのジアルキルアキノなどの1~20個の炭素を含有するアミノまたはアルキルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0102】
したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素、ヒドロキシル、スルフィヒドリル、アミノ、置換アミノ、ヒドロキシメチル、モノメトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、または1~20個の原子を含有する低級炭化水素(炭化水素が、置換または非置換であり得る)である。特定の実施形態では、Rは、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アラルキル、またはアルキルアミノから選択される低級炭化水素である。特定の実施形態では、Rは、アルコキシ、置換アルコキシ、イミデート、アリールチオ、または(置換アリール)チオで置換された低級炭化水素である。他の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、およびペンチルから選択される低級アルキルである。他の実施形態では、Rは、ビニル、置換ビニル、エチニル、または置換エチニルから選択される低級アルケニルである。他の実施形態では、Rは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリル、バレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、アラキジル、スチリジル、パルミトイル、オレイル、リノレニル、およびアラキドニルから選択される低級アルカノイルである。他の実施形態では、Rは、フェニル、p-トリル、p-クロロフェニル、p-アミノフェニル、p-ニトロフェニル、p-アニシルから選択される低級アリールである。さらに他の実施形態では、Rは、ベンゾイルおよびナフトイルから選択される低級アロイルである。他の実施形態では、Rは、ベンジル、ベンズヒドリル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、p-ニトロベンジル、ベンジルオキシベンジル、またはペンタフルオロベンジルから選択される低級アラルキルである。ある特定の他の実施形態では、Rは、モノアルキルアミノ、モノアラルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ジアラルキルアミノ、およびベンジルアミノから選択される低級アルキルアミノである。
【0103】
対象となる化合物としては、Rが、水素、フッ素、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、2-ブロモビニル、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、ベンジルオキシベンジル、ベンジルアミノ、アルキルオキシアルキル、ベンジルオキシアルキル、イミデートアルキル、アリールチオ、および(置換アリール)チオから選択される、式(I)のものが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、ある特定の実施形態では、化合物は、式(I)のものであり、Rは、H、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、ベンジルオキシベンジル、ベンジル-NH-、CHCHOCH、ベンジル-O-CH、CHOCH、CHC(NH)-O-CH、またはCH-フェニル-O-CHである。
【0104】
対象となるR成分の例としては、水素;ヒドロキシル;スルフィヒドリル(sulfyhydryl);フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素などのハロゲン、ならびにメチル-、エチル-、プロピル-、イソプロピル-、ブチル-、イソブチル-、tert-ブチル-などの1~5個の炭素の低級アルキルスルホニル基、およびベンゼン、p-トルエン、p-ニトロベンゼンスルホニル基などのペンタスルホニルまたはアリールスルホニル基などの擬ハロゲン;アミノメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、エチルオキシ、プロピルオキシなどの置換低級アルキルを含む、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルなどの1~20個の炭素を含有する低級アルキル;ビニルおよび置換ビニル、エチニルおよび置換エチニルなどの1~20個の炭素を含有する低級アルケニル(置換ビニル、または置換エチニルが、臭素、塩素、フッ素、もしくはヨウ素などのハロゲンによるビニルもしくはエチニルのβ位の置換、またはメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルなどの1~5個の炭素原子のアルキルによる置換、またはベンジル、p-クロロベンジル、p-ニトロベンジルなどのアラルキルによる置換、またはフェニル、p-ニトロフェニル、p-トリル、p-アニシル、ナフチルなどのアリールによる置換を指す);ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリル、バレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、アラキジル、スチリジル、パルミトイル、オレイル、リノレニル、アラキドニルなどの1~20個の炭素を含有する主鎖の低級アルカノイル(アシル基)またはそれらのエステル;フェニル、p-トリル、p-クロロフェニル、p-アミノフェニル、p-ニトロフェニル、p-アニシルなどの1~20個の炭素を含有する低級アリール;ベンゾイルおよびナフトイルなどの1~20個の炭素を含有する低級アロイル(芳香族基が、アルキル、アルコキシ、ハロ、もしくはp-トルノイル、p-アニソイル、p-クロロベンゾイル、p-ニトロベンゾイル、もしくは2,4-ジニトロベンゾイル、ペンタフルオロベンゾイルなどのニトロ部分によって、またはベンジルオキシベンゾイルなどの別のアロイルによって追加的に置換され得る);ベンジル、ベンズヒドリル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、p-ニトロベンジル、ベンジルオキシベンジル、ペンタフルオロベンジルなどの1~20個の炭素を含有する低級アラルキル;フェニルオキシ(すなわち、O-フェニル)、ベンジルオキシ(すなわち、O-ベンジル)、ベンズヒドリルオキシ(すなわち、O-ベンジルヒドリル)、p-クロロベンジルオキシ(すなわち、O-(p-クロロベンジル))、m-クロロベンジルオキシ(すなわち、O-(m-クロロベンジル))、p-ニトロベンジルオキシ(すなわち、O-(p-ニトロベンジル))、(4-ベンジルオキシベンジル)-オキシ(すなわち、O-ベンジルオキシベンジル)、またはペンタフルオロベンジルオキシ(すなわち、O-ペンタフルオロベンジル)などの1~20個の炭素を含有する低級アリールオキシ;ベンゾイルオキシ(すなわち、O-ベンゾイル)、ジフェニルアセチルオキシ(すなわち、O-ジフェニルアセチル)、p-クロロベンゾイルオキシ(すなわち、O-(p-クロロベンゾイル))、m-クロロベンゾイルオキシ(すなわち、O-(m-クロロベンゾイル))、p-ニトロベンゾイルオキシ(すなわち、O-(p-ニトロベンゾイル))、(4-ベンジルオキシベンゾイル)-オキシ(すなわち、O-ベンジルオキシベンゾイル)、またはペンタフルオロベンゾイルオキシ(すなわち、O-ペンタフルオロベンゾイル)などの1~20個の炭素を含有する低級アロイルオキシ(すなわち、O-アロイル)などのアリールオキシのエステル;メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、またはベンズアミノなどのモノアルキル基またはモノアラルキルアミノ基、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、またはモルフォリノなどのジアルキルアキノなどの1~20個の炭素を含有するアミノまたはアルキルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素、ヒドロキシル、スルフィヒドリル、アミノ、ヒドロキシメチル、モノメトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、または1~20個の原子を含有する低級炭化水素(炭化水素が、置換または非置換であり得る)、およびそのエステルである。特定の実施形態では、Rは、アルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アロイルオキシ、アラルキル、またはアルキルアミノから選択される低級炭化水素である。他の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、およびペンチルから選択される低級アルキルである。他の実施形態では、Rは、ビニル、置換ビニル、エチニル、または置換エチニルから選択される低級アルケニルである。他の実施形態では、Rは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリル、バレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、アラキジル、スチリジル、パルミトイル、オレイル、リノレニル、およびアラキドニルから選択される低級アルカノイルである。他の実施形態では、Rは、フェニル、p-トリル、p-クロロフェニル、p-アミノフェニル、p-ニトロフェニル、p-アニシルから選択される低級アリールである。さらに他の実施形態では、Rは、ベンゾイルおよびナフトイルから選択される低級アロイルである。他の実施形態では、Rは、ベンジル、ベンズヒドリル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、p-ニトロベンジル、ベンジルオキシベンジル、またはペンタフルオロベンジルから選択される低級アラルキルである。他の実施形態では、Rは、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンズヒドリルオキシ、p-クロロベンジルオキシ、m-クロロベンジルオキシ、p-ニトロベンジルオキシ、(4-ベンジルオキシベンジル)-オキシ、またはペンタフルオロベンジルオキシから選択される低級アリールオキシである。他の実施形態では、Rは、ベンゾイルオキシ、ジフェニルアセチルオキシ、p-クロロベンゾイルオキシ、m-クロロベンゾイルオキシ、p-ニトロベンゾイルオキシ、(4-ベンジルオキシベンゾイル)-オキシ、またはペンタフルオロベンゾイルオキシから選択される低級アロイルオキシである。ある特定の他の実施形態では、Rは、モノアルキルアミノ、モノアラルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびジアラルキルアミノから選択される低級アルキルアミノである。したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素またはヒドロキシルだけでなく、O-アシル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、O-アルキル、O-アルキレン、O-アルキニル、O-アラルキル、O-アリール、O-アリールオキシ、O-炭水化物、O-シクロアルケニル、O-シクロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、O-ヘテロアリールであり得る。加えて、Sは、Oで置換され得る。
【0106】
対象となる化合物としては、Rが、水素、フッ素、トリフルオロメチル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、2-ブロモビニル、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、およびベンジルオキシベンジルから選択される、式(I)のものが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、ある特定の実施形態では、化合物は、式(I)のものであり、Rは、H、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、またはベンジルオキシベンジルである。
【0107】
対象となる特定の実施形態では、化合物は、式(I)のものであり、Rは、水素、ヒドロキシル、またはO結合置換基である。これとしては、Rが、H、OH、またはCC(O)Oである式(I)の化合物が挙げられる。
【0108】
対象となるRの例としては、水素;ヒドロキシル;アジド;スルフィヒドリル;ハロゲン;擬ハロゲン;アミノメチル、ヒドロキシメチル、メトキシ、エチルオキシ、プロピルオキシなどの置換低級アルキルを含む、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルなどの1~20個の炭素を含有する低級アルキル;ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリル、バレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、アラキジル、スチリジル、パルミトイル、オレイル、リノレニル、アラキドニルなどの1~20個の炭素原子の主鎖のそれらのエステルを含む低級アルカノイル(アシル);フェニル、p-ニトロフェニル、p-トリル、p-アニシル、ナフチルなどの低級アリール;ベンゾイルおよびナフトイルなどの1~20個の炭素の低級アロイル(芳香族酸のアシルラジカル)(芳香族基が、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはp-トルノイル、p-アニソイル、p-クロロベンゾイル、p-ニトロベンゾイル、または2,4-ジニトロベンゾイル、ペンタフルオロベンゾイルなどのニトロ部分によって追加的に置換され得る);フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンズヒドリルオキシ、p-クロロベンジルオキシ、m-クロロベンジルオキシ、p-ニトロベンジルオキシ、(4-ベンジルオキシベンジル)-オキシ、またはペンタフロベンジルオキシなどの1~20個の炭素の低級アリールオキシ;ならびにベンゾイルオキシ、ジフェニルアセチルオキシ、p-クロロベンジルオキシ、m-クロロベンジルオキシ、p-ニトロベンジルオキシ、(4-ベンジルオキシベンゾイル)-オキシ、またはペンタフルオロベンゾイルオキシなどの1~20個の炭素の低級アロイルオキシ(O-アロイル)などのアリールオキシのエステルが挙げられるが、これらに限定されない。Rはまた、アダマントイル、または置換アダマントイルであり得る。
【0109】
したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素、ヒドロキシル、アジド、スルフィヒドリル、ヒドロキシメチル、ハロゲン、または擬ハロゲンである。他の実施形態では、Rは、アルキル、アルカノイル、アリール、アロイル、アリールオキシ、アロイルオキシ、またはアラルキルから選択される低級炭化水素である。他の実施形態では、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、およびペンチルから選択される低級アルキルである。他の実施形態では、Rは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリル、バレリル、ピバロイル、カプロイル、カプリル、ラウリル、ミリスチル、パルミチル、ステアリル、アラキジル、スチリジル、パルミトイル、オレイル、リノレニル、およびアラキドニルから選択される低級アルカノイルである。他の実施形態では、Rは、フェニル、p-トリル、p-クロロフェニル、p-アミノフェニル、p-ニトロフェニル、p-アニシルなどから選択される低級アリールである。他の実施形態では、Rは、ベンゾイルおよびナフトイルから選択される低級アロイルである。さらに他のある特定の実施形態では、Rは、ベンジル、ベンズヒドリル、p-クロロベンジル、m-クロロベンジル、p-ニトロベンジル、ベンジルオキシベンジル、またはペンタフルオロベンジルから選択される低級アラルキルである。他の実施形態では、Rは、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンズヒドリルオキシ、p-クロロベンジルオキシ、m-クロロベンジルオキシ、p-ニトロベンジルオキシ、(4-ベンジルオキシベンジル)-オキシ、またはペンタフルオロベンジルオキシから選択される低級アリールオキシである。他の実施形態では、Rは、ベンゾイルオキシ、ジフェニルアセチルオキシ、p-クロロベンゾイルオキシ、m-クロロベンゾイルオキシ、p-ニトロベンゾイルオキシ、(4-ベンジルオキシベンゾイル)-オキシ、またはペンタフルオロベンゾイルオキシから選択される低級アロイルオキシである。したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素またはヒドロキシルだけでなく、O-アシル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、O-アルキル、O-アルキレン、O-アルキニル、O-アラルキル、O-アリール、O-アリールオキシ、O-炭水化物、O-シクロアルケニル、O-シクロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、O-ヘテロアリールであり得る。加えて、Sは、Oで置換され得る。
【0110】
対象となる化合物は、Rが、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、アジド、またはO結合置換基である、式(I)のものである。これとしては、Rが、水素、ヒドロキシル、n-ブトキシ、イソブチルオキシ、t-ブチルオキシ、フェニルオキシ、ベンジルオキシ、ベンゾイルオキシ、およびペンタフルオロベンゾイルオキシから選択される、式(I)の化合物が挙げられる。したがって、ある特定の実施形態では、化合物は、式(I)のものであり、Rは、H、OH、CHCHCHCHO、(CHCHCHO、(CHCO、CO、ベンゾイルオキシ、およびペンタフルオロベンゾイルオキシから選択される。
【0111】
対象となる特定の実施形態では、化合物は、Rが、H、OH、F、Cl、Br、I、N、またはCC(O)Oである、式(I)のものである。特に対象となるものは、Rが、OH、またはO-アシル(例えば、CC(O)Oなどのエステル)である、式(I)の化合物である。
【0112】
の例としては、水素;ヒドロキシル;スルフヒドリル;フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素などのハロゲン;アミノまたは低級アルキルアミノが挙げられるが、これらに限定されない。Rはまた、ホルミル、アセチル、プロピオニル、イソプロピオニル、ブチリル、イソブチリル、tert-ブチリルなどの1~7個の炭素原子の低級アルカノイル基であり得るアシル基、およびそれらのエステルを含む、低級アルキル基によって例示される。したがって、Rはまた、ベンゾイルおよびナフトイルなどのアロイル(およびO結合アロイル、すなわち、O-アロリル、またはアロイルオキシなどのそれらのエステル)であり得、芳香族基が、アルキル、アルコキシ、ハロ、またはp-トルノイル、p-アニソイル、p-クロロベンゾイル、p-ニトロベンゾイル、もしくは2,4-ジニトロベンゾイルなどのニトロ部分によって追加的に置換され得る。したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素またはヒドロキシルだけでなく、O-アシル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、O-アルキル、O-アルキレン、O-アルキニル、O-アラルキル、O-アリール、O-アリールオキシ、O-炭水化物、O-シクロアルケニル、O-シクロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、O-ヘテロアリールであり得る。加えて、Sは、Oで置換され得る。
【0113】
したがって、ある特定の実施形態では、Rは、水素;ヒドロキシル;スルフヒドリル;ハロゲン、アミノアミノメチル、またはアミノジメチルである。他の実施形態では、Rは、低級アルキル、アシル、アロイル、またはアロイルオキシである。これとしては、式(I)の化合物が、Rが、水素、フッ素、ヒドロキシル、アミノ、アミノメチル、アミノジメチル、t-ブチルオキシ、フェニルオキシ、またはベンゾイルオキシであるもの(例えば、Rが、H、F、OH、NH、NHCH、N(CH(CHCO、CO、またはCC(O)Oである、式(I)の化合物)である、特定の実施形態が挙げられる。
【0114】
特に対象となる化合物は、Rが、水素、ヒドロキシル、またはO結合置換基である、式(I)のものである。特定の実施形態では、化合物は、Rが、H、OH、またはCC(O)Oである、式(I)のものである。特に対象となるものは、Rが、OH、またはO-アシル(例えば、CC(O)Oなどのエステル)である、式(I)の化合物である。
【0115】
対象となる化合物は、Rが、H、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、またはベンジルオキシベンジルであり、Rが、H、OH、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、またはベンジルオキシベンジルであり、RおよびRが、各々ヒドロキシルである、式(I)の化合物である。これらとしては、以下の化合物が挙げられる:2,2’-アンヒドロウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-フルオロウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-トリフルオロメチルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-イソブチルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-メチルアシルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-プロピルアシルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-フェニルル(phenyll)ウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-ベンジルウリジン、2,2’-アンヒドロ-5-ベンジオル(benzyol)ウリジン、および2,2’-アンヒドロ-5-(ベンジルオキシルベンジル)-ウリジン。特に対象となるものは、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体である。
【0116】
対象となる追加の化合物は、Rが、H、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、またはベンジルオキシベンジルであり、Rが、H、OH、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、またはベンジルオキシベンジルであり、Rがヒドロキシルであり、Rが、ベンゾイルオキシである、式(I)の化合物である。これらとしては、以下の化合物が挙げられる:3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フルオロウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-トリフルオロメチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-O-アンヒドロ-5-イソブチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルアシルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルアシルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フェニルルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジオルウリジン、および3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(ベンジルオキシベンジル)-ウリジン。特に対象となるものは、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体である。
【0117】
また、対象となる化合物は、Rが、H、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、またはベンジルオキシベンジルであり、Rが、H、OH、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、またはベンジルオキシベンジルであり、Rがベンゾイルオキシであり、Rが、ヒドロキシルである、式(I)の化合物である。これらとしては、以下の化合物が挙げられる:5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フルオロウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-トリフルオロメチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-O-アンヒドロ-5-イソブチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルアシルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルアシルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フェニルルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジオルウリジン、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(ベンジルオキシベンジル)-ウリジン。特に対象となるものは、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体である。
【0118】
本発明の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物は、単一の立体異性体、立体異性体の混合物、ならびに互変異性体の平衡混合物として生じ得るその様々な誘導体を含有する組成物中にあり得る。例えば、式(I)による2,2’-アンヒドロピリミジンは、αおよびβアノマー、ならびにLまたはD鏡像構成を含む、フラノ環に関する4つの立体中心を含む。本発明の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物の立体異性体の例は、β-D-異性体、β-L-異性体、α-D-異性体、およびα-L-異性体、ならびにα,β-D-異性体、α,β-L-異性体、α-DL-異性体、およびβ-DL-異性体を含む、互換異性体および混合物である。したがって、一実施形態では、β-D-異性体、β-L-異性体、α-D-異性体、またはα-L-異性体である2,2’-アンヒドロピリミジンの立体異性体から本質的になる組成物が提供される。
【0119】
特に対象となる立体異性体としては、以下が挙げられる:2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)ウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フルオロウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-トリフルオロメチルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-エチルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-n-プロピルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソプロピルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソブチルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチアシルウラシル(methyacyluracil);2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-プロピルアシルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(2-ブロモビニル)ウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フェニルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンジルウラシル;2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンジオルウラシル;および2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(3-ベンジオキシベンジル(benzyoxybenzyl))ウラシル。対象となるさらなる立体異性体としては、以下が挙げられる:3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)ウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フルオロウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-トリフルオロメチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-エチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-n-プロピルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソプロピルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソブチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルアシルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-プロピルアシルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(2-ブロモビニル)ウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フェニルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンジルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンゾイルラシル、および3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(3-ベンジオキシベンジル)ウラシル。対象となる追加の立体異性体としては、以下が挙げられる:5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)ウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フルオロウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-トリフルオロメチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-エチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-n-プロピルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソプロピルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソブチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルアシルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-プロピルアシルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(2-ブロモビニル)ウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フェニルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンジルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンズヨルウラシル、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(3-ベンジオキシベンジル)ウラシル。
【0120】
本発明の2,2’-アンヒドロピリミジンの他の類似体または誘導体、およびそれらの立体異性体の例としては、3’-O-アセチル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン(3’-O-アセチル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-プロピルウラシル)、および3’-O-アセチル-2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン(3’-O-アセチル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソプロピルウラシル);ならびに2,2’-アンヒドロシチジン、およびそれらの類似体および誘導体が挙げられ、それらの立体異性体2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)シトシンが一例である。
【0121】
上記に留意されるように、特に対象となる立体異性体および様々な2,2’-アンヒドロピリミジンは、モルに基づいて改善された活性を呈するものである。かかる化合物は、表4に示されるもの(化合物が、式(I)のものである)などの、特定の対象となる化合物のマトリックスに対して比較することによって、この目的のために容易に選択することができる。
【0122】
【表4-1】
【0123】
【表4-2】
【0124】
上記のように、表4の化合物は例示的であるが、限定的ではない。例えば、Rは、ヒドロキシルだけでなく、O-アシル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルコキシカルボニルアミノ、O-アルキル、O-アルキレン、O-アルキニル、O-アラルキル、O-アリール、O-アリールオキシ、O-炭水化物、O-シクロアルケニル、O-シクロアルキル、O-ヘテロシクロアルキル、O-ヘテロアリールであり得る。加えて、Sは、Oおよび本明細書に記載のような構造要素の他の組み合わせに置換され得、同様に他の立体化学的配向も可能である。
【0125】
ある特定の実施形態では、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジンのアシル誘導体は、対象となるものである。したがって、式(I)の化合物としては、R、R、R、およびRが上記で定義されるとおりであり、R、R、およびRのうちの少なくとも1つがアシル誘導体であるものが挙げられる。「アシル誘導体」は、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが、エステル結合を通じて式(I)のリボースまたはピリミジン環上のヒドロキシル基に結合されるカルボン酸から得ることが可能な実質的に非毒性の有機アシル置換基である、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジンの誘導体を意図する。
【0126】
式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物のアシル誘導体としては、Rが上記で定義されるとおりであり、各R、R、およびRが、独立して、水素、ヒドロキシル、またはアシルラジカルであるが、ただし、R、R、およびRのうちの少なくとも1つが、水素ではないことを条件とするものが挙げられる。別の実施形態では、2,2’-アンヒドロピリミジンのアシル誘導体は、RおよびRが、上記で定義されるとおりであるが、ただし、Rが、水素以外であり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルまたはアシルラジカルであることを条件とする、式(I)の化合物である。一実施形態では、2,2’-アンヒドロピリミジンのアシル誘導体は、Rが、上記に定義されるとおりであり、Rが、水素であり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルまたはアシルラジカルである、式(I)の化合物である。特に対象となるものは、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルまたはアシルラジカルである、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物のアシル誘導体である。また、対象となるものは、Rが、メチルであり、Rが、水素であり、各RおよびRが、アシルラジカルである、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物のアシル誘導体である。
【0127】
一般に、式(I)のアシル誘導体のエステル結合は、細胞に基づく系内などのインビトロ、および/または体内での代謝を通じるなどのインビボのいずれかの生理学的条件下で切断可能である。したがって、ある特定の実施形態では、アシルラジカルは、代謝産物のラジカルである。かかるアシル置換基としては、酢酸、脂肪酸、アミノ酸、リポ酸、グリコール酸、乳酸、エノールピルビン酸(enolpyruvic acid)、ピルビン酸、オロト酸、アセト酢酸、ベータ-ヒドロキシ酪酸、クレアチン酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、安息香酸、およびp-アミノ安息香酸に由来するものが挙げられるが、これらに限定されない。対象となる特定のアシル置換基は、通常、食事成分または中間代謝産物のいずれかとして体内に存在し、インビボで対象となる2,2’-アンヒドロピリミジン化合物から切断されると本質的に非毒性である化合物である。
【0128】
特に対象となるものは、3’-O-アシル-2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体を含む組成物である。例えば、対象となるアシル誘導体は、各R、R、およびRが、独立して、水素、ヒドロキシル、スルフィヒドリル、アミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、ならびにアルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アラルキル、およびアルキルアミノから選択される低級炭化水素などの、1~20個の炭素を含有する置換または非置換の低級炭化水素、ならびにそれらのエステルから選択され、Rが、O-アシルラジカルである、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物を含むものである。
【0129】
ある特定の実施形態では、アシル誘導体としては、Rが、O-アシルラジカルであり、アロイルオキシ、アラルコイルオキシ(aralkoyloxy)、ヘテロアロイルオキシ、およびシクロアルコイルオキシ(cycloalkoyloxy)から選択されるO-アシルラジカルなどの、O-アシルラジカルが、1~10個の炭素原子を含む、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物が挙げられる。
【0130】
したがって、式(I)の2,2’-アニドロピリミジン化合物のアシル誘導体としては、3’-O-アシル-2,2’-アニドロ(anyhdro)ピリミジン、5’-O-アシル-2,2’-アニドロピリミジン、3’,5’-O-アシル-2,2’-アニドロピリミジン、およびそれらの誘導体が挙げられる。例えば、3’-O-アシル-2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体としては、3’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロウリジンなどの3’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロピリミジン、またはその誘導体が挙げられる。特に対象となる例は、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンなどの3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、またはその誘導体である。また、対象となるものは、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンが、立体異性体3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシルである化合物である。
【0131】
いくつかの実施形態では、式(I)の2,2’-アンヒドロピリミジン化合物のアシル誘導体としては、Rが、H、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、ベンジル、ベンゾイル、またはベンジルオキシベンジルであり、Rが、H、OH、F、CF、CH、CHCH、CHCHCH、(CHCH、(CHCHCH、CH(O)CCH、CH(O)CCHCH、Br-CH=CH、フェニル、フェニルオキシ、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンゾイル、ベンジルオキシベンジル、またはアシルラジカルであり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルまたはアシルラジカルであるものが挙げられる。これらとしては、以下の化合物が挙げられる:3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フルオロウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-トリフルオロメチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-O-アンヒドロ-5-イソブチルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルアシルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルアシルリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フェニルルリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジルウリジン、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジオルウリジン、および3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(ベンジルオキシベンジル)-ウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フルオロウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-トリフルオロメチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-O-アンヒドロ-5-イソブチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルアシルリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルアシルリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フェニルルリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジオルウリジン、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(ベンジルオキシベンジル)-ウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フルオロウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-トリフルオロメチルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-イソプロピルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-O-アンヒドロ-5-イソブチルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルアシルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピルアシルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-フェニルルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジルウリジン、3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジオルウリジン、および3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(ベンジルオキシベンジル)-ウリジン、またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにそれらの立体異性体。
【0132】
特に対象となるものは、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、および3’,5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン、またはそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにそれらの立体異性体である。特に対象となるものは、これらの化合物のβ-D-アラビノフラノシル異性体、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態である。
【0133】
別の実施形態では、特定の対象となる式(I)による化合物は、RおよびRが、上記で定義されるとおりであり、Rおよび/またはRが、環式ヒドロカルビルであるものである。「環式ヒドロカルビル」は、3~約10個の炭素原子を有し、置換され得る単一の環式環または複数の縮合環を有する、炭化水素系環構造を意図する。対象となる環式ヒドロカルビルは、アリール、アラルキル、アリールオキシ、アロイル、アロイルオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアロイルオキシ、シルコアルキル、シクロアルキルオキシ、およびシクロアルコイルオキシから選択される。したがって、特に対象となる環式ヒドロカルビルは、式(I)のリボースまたはピリミジン環にO結合される。Rおよび/またはRが、環式ヒドロカルビルである化合物は、モルに基づいて改善された活性を呈する。
【0134】
したがって、本発明のある特定の化合物は、5’-O-(環式ヒドロカルビル)-2,2’-アンヒドロピリミジン、またはその誘導体を含む。本実施形態は、Rが、R(例えば、「5(R)」が、式(I)のRを指し、それと同じであるR=R)である、5’-O-(環式ヒドロカルビル)-2,2’-アンヒドロ-5(R)-ウリジンまたはその誘導体を含む。
【0135】
対象となる化合物は、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体であり、その様々な2,2’-アンヒドロウリジン誘導体が含まれる。これとしては、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロピリミジンが、以下のような5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロピリミジンである化合物が挙げられる:5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロピリミジン、5’-O-クロロベンジル-2,2’-アンヒドロピリミジン、5’-O-ニトロベンジル-2,2’-アンヒドロピリミジン、5’-O-ヒドロキシベンジル-2,2’-アンヒドロピリミジンなど。
【0136】
一実施形態では、フルオロウラシル療法の効力を妨げないことに関して、モルに基づいて改善された活性、または改善された特異性を呈する化合物は、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロ-5(R)-ウリジン、5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロ-5(R)-ウリジン、およびそれらの誘導体などの5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロウリジン、5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロウリジン、およびそれらの誘導体である。例としては、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロ-5-メチル-ウリジン、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロ-5-エチル-ウリジン、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロ-5-プロピル-ウリジン、5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジル-ウリジン、および5’-O-アリール-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。例としてはまた、5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチル-ウリジン、5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチル-ウリジン、5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピル-ウリジン、5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジル-ウリジン、および5’-O-アロイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジン、ならびにそれらの誘導体が挙げられる。特に対象となる化合物としては、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチル-ウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-エチル-ウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-プロピル-ウリジン、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-ベンジル-ウリジン、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-(2-ブロモビニル)-ウリジンなどの5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5(R)-ウリジンが挙げられる。
【0137】
対象となる立体異性体としては、β-D-異性体である5’-O-(環式ヒドロカルビル)-2,2’-アンヒドロピリミジンが挙げられる。例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない。5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)ウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フルオロウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-トリフルオロメチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-エチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-n-プロピルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソプロピルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-イソブチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルアシルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-プロピルアシルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(2-ブロモビニル)ウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-フェニルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンジルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-ベンズヨルウラシル、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-(3-ベンジオキシベンジル)ウラシル。
【0138】
上記に留意されるように、対象となるものはまた、上記の化合物の類似体/誘導体である。
【0139】
上記の2,2’-アンヒドロピリミジンおよびその誘導体は、市販されているか、または当業者に既知の技法によって従来どおり調製され得る。例えば、中間体および前駆体を含む様々な2,2’-アンヒドロピリミジンおよび誘導体、分析、ならびにそれらの合成/調製を説明する代表的な特許としては、米国特許第3,975,367号、同第4,145,531号、同第4,230,698号、同第4,247,544号、同第4,544,740号、同第4,604,382号、同第4,613,604号、同第4,681,933号、同第4,841,039号、同第4,916,122号、同第4,987,224号、同第5,008,384号、同第5,077,280号、同第5,084,445号、同第5,141,943号、同第5,190,926号、同第5,212,293号、同第5,278,167号、同第5,384,396号、同第5,455,339号、同第5,476,855号、同第5,596,093号、同第5,610,292号、同第5,721,241号、同第5,723,449号、同第5,739,314号、同第5,760,202号、同第5,889,013号、同第5,861,493号、同第6,060,592号、同第6,090,932号、同第6,222,025号、同第6,369,040号、同第6,642,367号、同第6,670,461号、同第6,867,290号、および同第7,176,295号が挙げられ、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0140】
ウリジンホスホリラーゼ(UPase)阻害剤としてはまた、ベンジルアシクロ(acyclo)ウリジン、ベンジルオキシアシロ(acylo)ウリジン、アミノメチル-ベンジルアシロウリジン、アミノメチル-ベンジルオキシベンジルアシクロウリジン、ヒドロキシメチル-ベンジルアシクロウリジン、ヒドロキシメチル-ベンジルオキシベンジルアシクロウリジンなど、5-ベンジルオキシベンジルバルビツレートなどの5-ベンジルバルビツレートの誘導体、5-ベンジルオキシベンジル-1-(1-ヒドロキシ-2-エトキシ)メチル)バビツレート、5-ベンジルオキシベンジルアセチル-1-(1-ヒドロキシ-2-エトキシ)メチル)バルビツレート、5-ベンジルオキシベンジル-1-(1,3-ジヒドロキシ2-プロポキシ)メチルバルビツレート、5-ベンジルオキシベンジル-1-1-ヒドロキシ,3-アミノ-2-プロポキシ)メチル)バルビツレート、5-ベンジルオキシベンジル-1-(2-(3-カルボキシプロピオニルオキシ)エトキシ)メチル)バルビツレート、5-ベンジル-1-(1-ヒドロキシ-2-エトキシ)メチル)バルビツレート、5-メトキシベンジルアセチルバルビツレート、5-ベンジル-1-(1,3-ジヒドロキシ-2-プロポキシ)メチル)バルビツレート、5-ベンジル-1-(1-ヒドロキシ,3-アミノ-2-プロポキシ)メチル)バルビツレート、および5-ベンジル-1-(2-(3-カルボキシプロピオニルオキシ)エトキシ)メチル)バルビツレートなどが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態で用いられ得るUpase阻害剤としては、米国特許第5,723,449号、同第5,141,943号、同第5,077,280号、および同第4,613,604号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0141】
ウリジン(UR)活性剤
上記に要約したように、いくつかの実施形態では、UPase阻害剤は、UR活性剤(例えば、ウリジン(UR)、URプロドラッグ、またはUR模倣物)と組み合わせて対象に投与される。ウリジンは、ウラシルがβ-N-グリコシド結合を介してリボース環(リボフラノースとしても知られる)に結合すると形成される、ヌクレオシドである。ウリジンは、リン酸化形態、すなわち、ウリジン-5’-一リン酸(5’-ウリジン酸およびUMPとしても知られる)、ウリジン5’-一リン酸トリス塩、ウリジン5’-一リン酸塩二水和物、ウリジン5’-一リン酸塩溶液、ウリジン5’-一リン酸塩水和物、ウリジン13C 155’-一リン酸ナトリウム塩溶液、ウリジン-155’-一リン酸ナトリウム塩溶液、ウリジン5’-一リン酸三ナトリウム塩水和物、ウリジン-N5’-一リン酸ナトリウム塩溶液、ウリジン-5’-二リン酸(UDP)、ウリジン5’-二リン酸トリス塩、ウリジン5’-二リン酸塩二水和物、ウリジン5’-二リン酸塩溶液、ウリジン5’-二リン酸塩水和物、ウリジン13C 155’-二リン酸ナトリウム塩溶液、ウリジン-5’-三リン酸(UTP)、UTPγS、MRS2498、ウリジン5’-三リン酸トリス塩、ウリジン5’-三リン酸塩二水和物、ウリジン5’-三リン酸塩溶液、ウリジン5’-三リン酸塩水和物、ウリジン13C 155’-5’-三リン酸ナトリウム塩溶液、2-ジウリジン四リン酸、チオ-UTP四ナトリウム塩、デヌホソル四ナトリウム、またはUTP.gamma.S三ナトリウム塩、当該技術分野においてトリアセチルウリジン(TAU)またはウリジントリアセテート(PN501)として知られるプロドラッグ、米国特許第7,582,619号に記載のものなどのウリジンのアシル誘導体(すなわち、2’,3’,5’-トリ-0-ピルビルウリジン(pyruvyluridine))、2,2’-アンヒドロ-5-エチルウリジン、5-エチル-2-デオキシウリジン、および例えば、ベンジルアシクロウリジン、ベンジルオキシベンジルアシクロウリジン、アミノメチル-ベンジルアシクロウリジン、アミノメチルベンジルオキシ-ベンジルアシクロウリジン、ヒドロキシメチル-ベンジルオキシ-ベンジルアシクロウリジン(W089/09603およびW091/16315も参照されたい)を含む5-ベンジル置換アシクロウリジン同族体などのアシクロウリジン化合物、ならびにサトウキビ抽出物に由来するMitocnolおよびNucleomaxXなどの食事用サプリメントで入手可能である。
【0142】
URおよびその供給源としては、魚、ブタ、およびウシの肝臓および膵臓などの肉製品;醸造酵母、ビール、キノコなどの真菌関連製品;サトウキビ、トマト、オーツ、藻類、ブロッコリーなどの植物性製品;URリン酸、アシル化URなどの塩が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態で用いられ得るURおよびその供給源としては、米国特許第9,579,337号、同第6,316,426号、および同第5,470,838号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0143】
UR前駆体およびその供給源としては、トリフェニルウリジン、オロト酸などのURのプロドラッグ;モノ-およびジ-アルキルエステル、アシルオキシアルキルエステル、アルコキシカルボニルメチルエステル、置換エチルおよびプロピルエステル、アミドメチルエステル、ベンジルエステルフェニルエステル、ホスホンアミデート、シクロリン酸エステルなどのウリジン5’-一リン酸のプロドラッグ;モノ-、ジ-、およびトリアセチルURなどのURのモノ-、ジ-、またはトリ-エステルを含有するURプロドラッグ;UR一リン酸、UR二リン酸、UR三リン酸などのURの一リン酸、ジ-またはトリ-リン酸を含有するURプロドラッグ;U-P-UなどのURホモ二量体およびそれらのエステル;ジデオキシヌクレオシド化合物のヘテロ二量体ならびにAZT-P-UおよびAZT-P-BAUなどのURまたはUPase阻害剤などが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態で用いられ得るウリジン前駆体およびその供給源としては、米国特許第5,723,449号、および同第7,737,128号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0144】
ウリジン(UR)処理調節剤
所望される場合、UR処理調節剤はまた、UPase阻害剤と組み合わせて対象に投与され得る。UR分泌阻害化合物としては、ジラゼプ、ヘキソベンジンなどの薬物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態で用いられ得るUR分泌阻害化合物としては、米国特許第6,989,376号、および同第5,567,689号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
UR腎輸送競合体としては、L-ウリジン、L-2’,3’-ジデオキシウリジン、D-2’,3’-ジデオキシウリジンなどの薬物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の実施形態で用いられ得るUR腎輸送競合体としては、米国特許第6,989,376号、同第5,723,449号、および同第5,567,689号に記載のものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの化合物の開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0146】
配合物
また例えば、上記のように、UPase阻害剤および/またはUR活性剤を含有する、本発明の実施形態での使用が見出される薬学的組成物が提供される。活性剤は、例えば、薬学的に許容される塩の形態で、薬学的組成物中に存在し得、上記のように、主題の方法で使用するための経口、局所、または非経口投与用に配合され得る。本発明の実施形態で用いられる配合物は、単一の活性剤、または活性剤の組み合わせを含み得る。したがって、本発明の実施形態は、UPase阻害剤またはUR活性剤などの単一の活性剤を含む配合物、ならびにUPase阻害剤およびUR活性剤の両方が共通の配合物中に一緒に存在するような、2つ以上の活性剤を含む配合物を含む。
【0147】
例えば、UPase阻害剤、および所望される場合、UR活性剤(別個にまたは組み合わせて)は、従来の薬学的に許容される担体および賦形剤(例えば、ビヒクル)と混和され得、水溶液、錠剤、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハースなどの形態で使用され得る。かかる薬学的組成物は、ある特定の実施形態では、約0.1重量%~約90重量%の活性化合物、より一般的には、約1重量%~約30重量%の活性化合物を含有する。薬学的組成物は、トウモロコシデンプンまたはゼラチン、ラクトース、デキストロース、スクロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸などの一般的な担体および賦形剤を含有し得る。本発明の配合物に一般的に使用される崩壊剤としては、クロスカルメロース、微結晶セルロース、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸が挙げられる。
【0148】
液体組成物は、概して、懸濁化剤、防腐剤、界面活性剤、湿潤剤、香味剤、または着色剤を含む、好適な液体担体、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、油または水などの非水性溶媒中の化合物または薬学的に許容される塩の懸濁液または溶液からなる。代替的に、液体配合物は、再構成可能な粉末から調製され得る。
【0149】
例えば、活性化合物、懸濁剤、スクロース、および甘味料を含有する粉末を、水で再構成して懸濁液を形成してもよく、活性成分、スクロース、および甘味料を含有する粉末からシロップを調製してもよい。
【0150】
錠剤の形態の組成物は、固体組成物を調製するために通常使用される任意の好適な薬学的担体を使用して調製され得る。かかる担体の例としては、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、ラクトース、スクロース、微結晶セルロース、および結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンが挙げられる。錠剤はまた、担体の一部として含まれるカラーフィルムコーティングまたは着色料とともに提供され得る。加えて、活性化合物は、親水性または疎水性マトリックスを含む錠剤として制御放出剤形で配合され得る。
【0151】
カプセルの形態の組成物は、例えば、活性化合物および賦形剤を硬質ゼラチンカプセルに組み込むことによる通常の封入手順を使用して調製され得る。代替的に、活性化合物および高分子量ポリエチレングリコールの半固体マトリックスを調製し、硬質ゼラチンカプセルに充填してもよいか、またはポリエチレングリコール中の活性化合物の溶液、または食用油、例えば、液体パラフィンもしくは分画ココナッツ油中の懸濁液を調製し、軟質ゼラチンカプセルに充填してもよい。
【0152】
挙げることができる錠剤結合剤としては、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ-ビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、デンプン、およびエチルセルロースである。使用され得る潤滑剤としては、ステアリン酸マグネシウムまたは他の金属ステアリン酸塩、ステアリン酸、シリコーン流体、タルク、ワックス、油、およびコロイド状シリカが挙げられる。
【0153】
ペパーミント、冬緑色油、チェリーフレーバーなどの香味剤も使用され得る。加えて、剤形を外観上より魅力的にするために、または製品の識別を補助するために、着色剤を添加することが望ましい場合がある。
【0154】
所与の非経口投与時に活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、筋肉内、くも膜下腔内、または静脈内投与用に配合され得る。
【0155】
筋肉内またはくも膜下腔内投与用の典型的な組成物は、油、例えば、アラキス油またはゴマ油中の活性成分の懸濁液または溶液のものである。静脈内またはくも膜下腔内投与用の典型的な組成物は、例えば、活性成分と、デキストロースもしくは塩化ナトリウム、またはデキストロースおよび塩化ナトリウムの混合物とを含有する滅菌等張水溶液である。他の例は、ラクトリンゲル注射液、ラクトリンゲルプラスデキストロース注射液、Normosol-Mおよびデキストロース、Isolyte E、アシル化リンゲル注射液などである。任意選択的に、共溶媒、例えばポリエチレングリコール、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸、および抗酸化剤、例えばメタ重亜硫酸ナトリウムを配合物に含めてもよい。代替的に、溶液を凍結乾燥させ、次いで投与直前に好適な溶媒で再構成してもよい。
【0156】
直腸投与で活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、坐剤として配合され得る。典型的な坐剤配合物は、一般に、ゼラチンもしくはココアバター、または他の低融点の植物性もしくは合成ワックスもしくは脂肪などの結合剤および/または潤滑剤を含む活性成分からなる。
【0157】
局所投与で活性である本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、経皮組成物または経皮送達デバイス(「パッチ」)として配合され得る。かかる組成物は、例えば、裏材、活性化合物リザーバ、制御膜、ライナー、および接触接着剤を含む。かかる経皮パッチを使用して、制御された量の本発明の化合物の連続的または不連続的な注入を提供することができる。薬学的薬剤の送達用の経皮パッチの構築および使用は、当該技術分野において周知である。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,023,252号を参照されたい。かかるパッチは、薬学的薬剤の連続的、脈動的、またはオンデマンド送達用に構築され得る。
【0158】
対象となるある特定の実施形態では、UPase阻害剤およびUR活性剤は、単一の薬学的配合物として投与され、これは、活性剤に加えて、他の好適な化合物および担体を含み、また他の活性剤と組み合わせて使用され得る。したがって、本発明はまた、薬学的に許容される賦形剤を含む薬学的組成物を含む。薬学的に許容される賦形剤としては、例えば、任意の好適なビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤が挙げられ、公に容易に入手可能である。本発明の薬学的組成物は、当該技術分野において周知の他の活性剤をさらに含有し得る。
【0159】
当業者は、本発明の配合物を、配合物を必要とする対象または宿主、例えば患者に投与する多様な好適な方法が利用可能であり、特定の配合物を投与するために、2つ以上の経路を使用することができるが、特定の経路は、別の経路よりもより即時的かつより効果的な応答を提供し得ることを理解する。薬学的に許容される賦形剤はまた、当業者に周知であり、容易に入手可能である。賦形剤の選択は、特定の化合物、ならびに組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。したがって、本発明の薬学的組成物の好適な配合物は多種多様である。以下の方法および賦形剤は、単なる例示であり、決して限定するものではない。
【0160】
経口投与に好適な配合物は、(a)水、生理食塩水、またはオレンジジュースなどの希釈剤に溶解させた有効量の化合物などの液体溶液、(b)固体または顆粒として所定量の活性成分を各々含有するカプセル剤、小袋、または錠剤、(c)好適な液体中の懸濁液、および(d)好適なエマルションからなり得る。錠剤形態は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース、アカシア、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色料、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤、香味剤、および薬理学的に適合する賦形剤のうちの1つ以上を含み得る。トローチ形態は、通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカントである香味料中の活性成分、ならびに活性成分に加えて、当該技術分野において既知のそのような賦形剤を含有する、ゼラチンおよびグリセリン、またはスクロースおよびアカシアなどの不活性塩基中に活性成分を含む香錠、エマルション、ゲルなどを含み得る。
【0161】
本発明の主題の配合物は、吸入を介して投与されるエアロゾル配合物に作製され得る。これらのエアロゾル配合物は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの加圧された許容される推進剤に配置され得る。それらはまた、ネブライザーまたはアトマイザー内で使用するためなどの非加圧調製物用の医薬品とし配合され得る。
【0162】
非経口投与に好適な配合物としては、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、および意図されるレシピエントの血液と配合物を等張にする溶質を含有し得る等張性の水性および非水性の滅菌注射溶液、ならびに懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および防腐剤を含み得る水性および非水性の滅菌懸濁液が挙げられる。配合物は、アンプルおよびバイアルなどの単位用量または複数用量の密封容器内に存在し得、使用直前に、注射用の滅菌液体賦形剤、例えば、水の添加のみを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管することができる。即時注射溶液および懸濁液は、前述の種類の滅菌粉末、顆粒、および錠剤から調製することができる。
【0163】
局所投与に好適な配合物は、活性成分に加えて、適切であることが当該技術分野において既知の他のかかる担体を含有する、クリーム、ゲル、ペースト、または発泡体として存在し得る。
【0164】
座薬配合物はまた、乳化塩基または水溶性塩基などの多様な塩基と混合することによって提供される。膣投与に好適な配合物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、発泡体として存在し得る。
【0165】
各投薬単位、例えば、小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤、または坐剤が、1つ以上の阻害剤を含有する所定量の組成物を含有する、シロップ、エリキシル、および懸濁液などの経口または直腸投与用の単位剤形が提供され得る。同様に、注射液または静脈内投与用の単位剤形は、滅菌水、通常の生理食塩水、または別の薬学的に許容される担体中の溶液として、組成物中に阻害剤を含み得る。
【0166】
本明細書で使用される「単位剤形」という用語は、ヒトおよび動物対象に対する単位投薬量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位が、薬学的に許容される希釈剤、担体、またはビヒクルと関連して所望の効果を生じるために十分な量で計算された所定量の本発明の化合物を含有する。本発明の新規の単位剤形の仕様は、用いられる特定の化合物および達成される効果、ならびに宿主における各化合物に関連する薬力学に依存する。
【0167】
当業者は、用量レベルが、特定の化合物、送達ビヒクルの性質などに相関して変動し得ることを容易に理解する。所与の化合物に好適な投薬量は、多様な手段によって当業者によって容易に決定可能である。
【0168】
本発明の文脈において、動物、具体的にはヒトに投与される用量は、合理的な時間枠にわたって動物において予防的または療法的応答を引き起こすために十分であるべきである。当業者は、投薬量が、用いられる特定の化合物の強度、動物の状態、および動物の体重、ならびに病気の重篤度、および疾患の段階を含む、多様な要因に依存することを認識する。用量のサイズはまた、特定の化合物の投与に伴い得る任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって決定される。任意選択的に、薬学的組成物は、緩衝液、界面活性剤、抗酸化剤、粘度改変剤、防腐剤などの他の薬学的に許容される構成要素を含有し得る。これらの構成要素の各々は、当該技術分野において周知である。例えば、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,985,310号を参照されたい。
【0169】
本発明の配合物で使用するために好適な他の構成要素は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)に見出すことができる。一実施形態では、シクロデキストリンの水溶液はまた、デキストロース、例えば、約5%のデキストロースを含有する。
【0170】
利用可能性
主題の方法は、肝臓疾患の治療における使用が見出される。標的肝臓疾患は変動し得るが、場合によっては、肝臓疾患は、線維症の特色の存在、または毒性エンドポイントとして瘢痕組織を構成する細胞外マトリックス分子の蓄積、ならびにとりわけ、肺線維症、腎線維症、全身性硬化症(SSc)、強皮症性移植片対宿主疾患、放射線誘発性線維症、および心線維症などの他の疾患を特徴とする。
【0171】
場合によっては、肝臓疾患は、脂肪性肝臓障害である。脂肪性肝臓または脂肪性肝臓疾患(FLD)としても知られる脂肪性肝臓疾患は、脂肪症の過程、または細胞内の脂質の異常な保持を介して、大きい液胞のトリグリセリド脂肪が肝臓細胞に蓄積する状態に関する。複数の原因を有するにもかかわらず、脂肪性肝臓は、過剰なアルコール摂取によって対象に、および(インスリン抵抗性の影響の有無にかかわらず)肥満である対象に頻繁に発生する単一の疾患と見なされる。この状態はまた、脂肪代謝に影響を与える他の疾患と関連している。FLDは、アルコール性FLDおよび非アルコール性FLDの2つの別々の状態に分類され得る。両方の状態は、疾患の異なる段階での微小滴性および大滴性の脂肪性変化を示す。脂肪の蓄積はまた、脂肪性肝炎と呼ばれる肝臓の進行性炎症(肝炎)を伴い得る。脂肪性肝臓は、アルコール性脂肪症および非アルコール性脂肪性肝臓疾患(NAFLD)としても当該技術分野において既知であり、より重篤な形態は、アルコール性脂肪性肝炎(アルコール性肝臓疾患の一部)および非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)である。非アルコール性脂肪性肝臓疾患に関連する肝硬変は、疾患の最も重篤な形態であり、肝臓組織の瘢痕化につながる肝臓炎症を特徴とし、最終的に肝臓不全を生じる。場合によっては、肝臓状態は、NAFLD、NASH、またはDILIである。
【0172】
治療は、宿主が患う状態に関連する症状の少なくとも改善が達成されることを意味し、改善が、パラメータの大きさ、例えば、治療されている状態に関連する症状、または薬物の投与から生じる副作用の少なくとも低減を指すために広い意味で使用される。したがって、治療はまた、宿主がもはや状態、または少なくとも状態を特徴とする症状に罹患していないなどの、病理学的状態または少なくともそれに関連する症状が、完全に阻害される、例えば、発生が防止されるかまたは停止される、例えば終結される状況を含む。治療はまた、肝臓状態が対象において発生しないように、対象を予防的に治療することを含む。したがって、治療は、対象における肝臓状態の発生を防止することを含む。
【0173】
多様な対象が、主題の方法に従って治療可能である。一般に、かかる宿主は、「哺乳類」または「哺乳動物」であり、これらの用語は、肉食目(例えば、イヌおよびネコ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、および霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、哺乳類の部類内である生物を説明するために広く使用される。多くの実施形態では、対象は、ヒトである。
【0174】
ある特定の実施形態では、対象は、活性剤の投与が必要であると診断され、かつ活性剤の投与が必要である対象、したがって活性剤の投与を必要とする対象である。ある特定の実施形態では、方法は、活性剤の投与によって治療される疾患状態の存在について対象を診断することを含み得る。
【0175】
肝臓疾患がDILIである場合、本発明の方法は、DILIを引き起こすことが疑われる療法レジメンと組み合わせて、例えば、すでに発生しているDILIを治療するか、またはDILIを予防的に治療するために用いられ得る。本発明の化合物が他の療法と併せて投与される場合、同時投与される化合物の投薬量は、もちろん、用いられる同時薬物の種類、用いられる特定の薬物、治療されている状態などに応じて変動する。本明細書で使用される場合、互換的に使用される「併用治療(combination treatment)」、「併用療法(combination therapy)」、「併用治療(combined treatment)」または「併用治療(combinatorial treatment)」という用語は、少なくとも2つの異なる治療剤による個人の治療を指す。本明細書で利用される「同時投与」または「併用投与」などの用語は、選択された治療剤を単一の患者に投与することを包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路によって、または同時に投与される必要がない治療レジメンを含むことを意図する。「薬学的組み合わせ」という用語は、2つ以上の活性成分の混合または組み合わせから生じる製品を意味し、活性成分の固定の組み合わせおよび非固定の組み合わせの両方を含む。「固定の組み合わせ」は、活性成分、例えば、本明細書に開示の化合物および1つ以上の追加の治療剤の両方が、単一の実体の形態または投薬量で患者に同時に投与されることを意味する。「非固定の組み合わせ」は、活性成分、例えば、本明細書に開示の化合物および1つ以上の追加の治療剤の両方が、特定の時間制限なしに、同時に(simultaneously)、同時に(concurrently)、または順次にのいずれかで別々の実体として患者に投与されることを意味し、かかる投与が、患者の体内の2つの化合物の治療有効レベルを提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3つ以上の活性成分の投与にも適用される。本明細書で使用される場合、本発明の方法は、アンブリセンタン、ボセンタン、トレプロスチニル、シルデナフィル、エポプロステノール、トレプロステノール、イロプロストなどの肺高血圧症用の薬剤、スピロノラクトンおよびエプレレノンのようなアルドステロン受容体拮抗薬、トランドラプリル、フォシノプリル、エナラプリル、カプトプリル、ラミプリル、モエキシプリル、リシノプリル、キナプリル、ベナゼプリル、およびペリンドプリルなどのアンギオテンシン変換酵素阻害剤、エプロサルタン、オルメスミアン(olmesmian)、テルミスミアン(telmismian)、ロサルタン、バルスミアン(valsmian)、カンデサルタン、およびイルベスミアン(irbesmian)などのアンギオテンシンII阻害剤、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、および二硝酸イソソルビドなどの抗狭心症剤、モリシジン、キニジン、ジソピラミド、フェニロイン、プロパフェノン、フレカミド、メキシリテン(mexilitene)、リドカイン、プロカインアミド、プロプラノロール、アセブトロール、アミオダロン、ドフェチリド、ドロネダロン、ソタロール、イブチリド、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピン、ニモジピン、フェロジピン、ニカルジピン、クレビジピン、イスラジピン、ベプリジル、ニソルジピン、アデノシン、およびジゴキシンを含む抗不整脈剤、ベタキソロール、ビソプロロール、メトプロロール、アテノロール、ネビボロール、ナドロール、カルベジロール、ラベタロール、チモロール、カルテオロール、ペンブトロール、ピンドール、およびエスモロールのようなP-アドレナリン受容体拮抗薬、スルホニル尿素、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリベンクラミド、グリクラジド、ナテグリニド、セナグリニド、レパグリニドなどのメグリチニドなどの分泌促進薬を含む抗糖尿病剤、ビグアニド、メトホルミンなどのインスリン増感剤、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、およびピオグリタゾンなどのチアゾリジンジオン、ミグリトール、ボグリボース、エミグリタート、およびアカルボースなどのa-グルコシダーゼ阻害剤、エクセナチド、リラグルチド、およびタスプグルチド(taspglutide)などのグルカゴン様ペプチド類似体および作用薬、ビルダグリプチン、シタグリプチン、およびサキサグリプチンのようなジペプチジルペプチダーゼ-4阻害剤、プラムリンタイドなどのアミリン類似体、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)-アルファ、ベータ、デルタ、およびガンマのリガンドまたは作用薬、例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、およびシンバスタチンなどのスタチンのようなヒドロキシメチルグルタリル補酵素A(HMG-CoA)レダクターゼ阻害剤などのコレステロール低下剤、例えばALRT-268、LG-1268、またはLG-1069などのレチノイドX受容体(RXR)の作用薬、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝酵素の阻害剤であるグルコキナーゼ活性因子、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、トラセミド、フロセミド、ブメタニド、エタクリニン酸、アミロライド、トリアムテレン、インダパミド、メトラゾン、メチルクロチアジド、ヒドロクロロチアジド、クロロチアジド、メトラゾン、ベンドロフルメサイアザイド、ポリチアジド、およびクロルタリドンなどの利尿剤、アルプロスタジル、ヒドララジン、ミノキシジル、ネシリチド、およびニトロプルシドのような血管拡張剤、ならびにコレスチラミン、コレスチポール、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、プロブコール、またはデキストロチロキシンのような他の抗脂血症剤などのこれらに限定されない1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて用いられ得る。
【0176】
キットおよび系
また、例えば、上記の主題の方法の実践における使用が見出されるキットおよび系が提供される。例えば、主題の方法を実施するためのキットおよび系は、UPase阻害剤と、いくつかの実施形態ではUR活性剤とを含む、1つ以上の薬学的配合物を含み得る。したがって、ある特定の実施形態では、キットは、1つ以上の単位投薬量として存在する単一の薬学的組成物を含み得、組成物が、UPase阻害剤およびUR活性剤の両方を含む。さらに他の実施形態では、キットは、UPase阻害剤、および任意選択的にUR活性剤を各々含有する、2つ以上の別々の薬学的組成物を含み得る。
【0177】
上記の構成要素に加えて、主題のキットは、主題の方法を実践するための説明書をさらに含み得る。これらの説明書は、様々な形態で主題のキット内に存在し得、そのうちの1つ以上が、キット内に存在し得る。これらの説明書が存在し得る1つの形態は、好適な媒体または基材、例えば、情報が印刷される1枚または複数枚の紙、キットのパッケージ内、パッケージ装入物内など上に印刷された情報としてである。さらに別の手段は、コンピュータ可読媒体、例えばディスク、CDなどであり、それらに情報が記憶されている。存在し得るさらに別の手段は、隔たったサイトの情報にアクセスするために、インターネットを介して使用され得るウェブサイトアドレスである。任意の便利な手段が、キット内に存在し得る。例えば、一実施形態によるキットは、第1の構成要素として、(a)血漿URレベル調節剤を使用するための説明書、および第2の構成要素として、(b)ウリジン、URプロドラッグ、またはUR模倣物を含む薬学的組成物を含む。
【0178】
特定の対象となるキットは、本発明の2,2’-アンヒドロピリミジン薬学的組成物を含み、重篤な肝臓状態を軽減するためなどの、本発明の主題の方法を実践するために好適なものである。
【0179】
本明細書で用いられる「系」という用語は、主題の方法を実践する目的で一緒にされる、単一または異なる組成物中に存在するUPase阻害剤、および任意選択的にUR活性剤の集合体を指す。例えば、本発明に従って一緒にされ、対象に同時投与される、別々に得られたUPase阻害剤およびUR活性剤の剤形は、本発明による系である。
【0180】
以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、いかなる方式でも、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例
【0181】
I.化合物Iの濃度の増加に伴うURの増加
URは、たったの数分で非常に迅速なクリアランス、排除t1/2を有し、46マウスにおける化合物Iの排除除去t1/2は、わずか1~2時間であるので、ip投薬に使用されるなどの、化合物Iの別個の用量後のUR濃度上昇を測定することは、非常に困難である。この理由から、BDF(登録商標)-1雄マウスへの化合物I(純正TK-112690、バッチTCY90108)の連続注入を、scインプラント浸透圧ポンプを介して投与し、UR血漿濃度を測定した。
【0182】
滅菌PBS中500mg/mLの濃度で、化合物Iの溶液を調製した。浸透圧ポンプ(ALZET(登録商標)微量浸透圧ポンプ2001Dおよび1003D、Alza Co)に、200μL(2001D浸透圧ポンプ)および/または100μL(1003D浸透圧ポンプ)のTK-112690溶液を充填した。
【0183】
皮下にインプラントした浸透圧ポンプを介して送達された667、833または3000mg/kg/日の用量の化合物Iを一定速度で注入することによって、BDF-1雄マウス(n=6)を処理した。ポンプのインプラント前に、100mg/kgのケタミンで動物に麻酔をかけた。外科用ハサミを使用して、動物の肩甲骨近くの背面におよそ1cmの切開部を作製した。止血器を使用して、動物の前端に向かって皮下にトンネルを形成した。浸透圧ポンプを皮下トンネル内側に配置した。切開部は創傷クリップで封じた。
【0184】
ケタミン(ip100mg/kg)で麻酔をかけた動物に採血を実施した。一定速度のTK-112690の注入で処理した動物からの血液試料を、ポンプのインプラント後、667mg/kg/日および833mg/kg/日では72時間、3000mg/kg/日では24時間で収集した。全血(約0.8mL)を、ヘパリンでコーティングされたマイクロ-ヘマトクリットチューブを使用して後眼窩洞を通じて引き出し、EDTAマイクロティナチューブに収集した。血液試料を未使用の1.5mLの微量遠心チューブに移し、Eppendorf Minispin Plusを使用して14,000×gで10分間遠心分離し、4℃の冷蔵庫に保管した。正確に0.4mLの血漿を、2μLの10mMの5-FUを含有する未使用の微量遠心チューブに移し、およそ5秒間の最高設定でボルテックスした。最終的に50μM濃度の5-FUを、内部標準として使用した。動物は、頸部脱臼によって屠殺し、適切に処分した。
【0185】
一定速度の化合物Iの注入で処理した動物からの血液試料を、ポンプインプラント後、667mg/kg/日および833mg/kg/日では72時間、3000mg/kg/日では24時間で収集した。全血(約0.8mL)を、ヘパリンでコーティングされたマイクロ-ヘマトクリットチューブを使用して後眼窩洞を通じて引き出し、EDTAマイクロティナチューブに収集した。血液試料を未使用の1.5mLの微量遠心チューブに移し、Eppendorf Minispin Plusを使用して14,000×gで10分間遠心分離し、4℃の冷蔵庫に保管した。正確に0.4mLの血漿を、2μLの10mMの5-FUを含有する未使用の微量遠心チューブに移し、およそ5秒間の最高設定でボルテックスした。最終的に50μM濃度の5-FUを、内部標準として使用した。動物は、頸部脱臼によって屠殺し、適切に処分した。
【0186】
HPLC分析の前に、血漿から分析物(UR、化合物I、および5-FU)の固相抽出(SPE)を行った。Supelco C8 SPEカラムを抽出プロセスに使用した。真空圧力ポンプ(Barnant Company Model 400-1901)から生成した正圧を使用して、すべての溶液をSPEカラムに押し通した。SPEカラムを通る流量は、1秒当たりおよそ2滴であった。合計2.4mLの滅菌PBS(室温、pH=7.4)を用いて、SPEカラムの事前洗浄を行った。正確に0.6mLのPBSを4回に分けてSPEカラムに添加し、カラムに押し通した。事前洗浄の直後に、0.4mLの(5-FU内部標準物質を添加した)血漿試料をすべてカラム上に移し、カラムに押し通した。正確に0.5mLの5MのNaCl(室温、pH約5)を押し通すことによって、分析物をSPEカラムから分離した。溶出させた試料を未使用の1.5mL微量遠心チューブに収集した。試料を未使用のHPLCバイアルに移し、分析した。
【0187】
脱気器、ポンプ、オートサンプラー、および紫外線検出器を備えたThermoFinnigan Spectra Systemを使用して、HPLC分析を室温(RT)で行った。クロマトグラムは、ペンを備えたチャートレコーダーから構築した。Phenomenex C18逆相カラム(250×4.6mm)を使用して、分析物を分離した。HPLC分析に、(1)0.1%のギ酸を含むナノ水中5%のメタノールと(2)0.1%のギ酸を含むアセトニトリル中5%のメタノール(流量=1分当たり0.5mL)との2つの別々の移動相勾配を用いた。化合物IおよびURについてのHPLC応答を、5-FU応答によって除算した。較正曲線を使用して、これらの比を化合物Iの濃度に変換した。
【0188】
研究からのデータの回帰分析(UR濃度対化合物I濃度)を図1に提供する。より高い濃度の化合物Iは、より高いレベルのURに関連すると見られる。
【0189】
II.NASHのメチオニン-コリン食(MCD)モデル
MCD食を与えたマウスは、食事誘発性NASHの標準モデルである。47、48実験段階を通じて、換気した標準的な筐体ケージにすべての動物を収容した。すべての動物に自由に水道水を提供した。Charles Riverからの雄の8週齢のC57BL/6マウスを、標準的な固形飼料食を3日間維持して順応させ、群を通常12時間の明サイクル(午前8時から午後8時まで光源オン)で、hepa濾過したケージ(1ケージ当たり5匹の動物)に収容した。温度および湿度は、それぞれ22±2℃および50±10%であった。ケージの敷き藁は、週に1回交換した。
【0190】
順応させた後、動物を体重に応じて均質な処理群にランダム化し、メチオニンおよびコリンが欠乏した食事:4.2kcal/g;MP Biomedicals、Solon,OH)を自由に与えた。食物および水の摂取は、週に3回(体重測定と同時に)測定した。順応期間の後、24匹のマウス(n=6/処理群)を、屠殺するまで週に3回計量した。
【0191】
4つの処理群は、
・群1:ビヒクル+MCD
・群2:MCD+200mg/kgのUR
・群3:MCD+60mg/kgの化合物I
・群4:MCD+60mg/kgの化合物I、加えて化合物Iの30分後に200mg/kgのUR
【0192】
すべての化合物IおよびUR用量(10mL/kgのビヒクル中のmg/kg)は、28日間、少なくとも8時間間隔でip、bidした。ビヒクル=PBSである。動物にMCD食を与える2日前から、ビヒクル、UR、および化合物I±URを毎日投与する。マウスにMCD食を26日間行った。
【0193】
MCDで26日後、最後の用量の約2時間後に動物を屠殺し、血漿脂質パネル、TNF-α、ALTおよびASTとともに非空腹時グルコースを測定した。総体重は毎週決定した。総肝臓を計量し、内側葉を切除し、ホルマリン固定し、Oil Red Oで染色して、脂質含有量を評価した。独立した組織病理学者によって測定した固定組織スライドの強度スコアも決定した。
【0194】
予想どおり、49体重は、すべての処理群でおよそ20%減少した(図2、データは平均+/-SEMとして提示した)。群間では体重に差はなかった。また、総トリグリセリド、コレステロール、ASTまたはALTに関して、群2、3、および4との差はなかった。HDL-コレステロール値について、群1と群4との間に統計的な差があった(図3)(MCD研究終了時に血清HDLコレステロール濃度を測定した。データは、平均+/-SEMである。TK-90は、化合物Iであり、TK-112690としても知られる)。最も重要なものは、線維症の所見である(図4)((A)各実験群の肝臓切片の代表的なH&E画像。(B)(A)に示された画像の線維症スコア。TK-90は、化合物Iであり、TK-112690としても知られる。データは、平均+/-SEMである。)データの重要性の理由は、線維症がNASHの病理学的エンドポイントであることである。図4のデータでは、群2、3、および4は、すべて群1対照群とは統計的に異なっていた。
【0195】
添付の特許請求の範囲にもかかわらず、本開示はまた、以下の付記によっても定義される。
1.肝臓状態について対象を治療する方法であって、
有効量の2,2’-アンヒドロピリミジン(anhydropyrimidine)またはその誘導体を対象に投与して、肝臓状態について対象を治療することを含む、方法。
2.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、式(I)の化合物:
【0196】
【化2】
【0197】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体であり、
式中、
各R、R、R、およびRが、独立して、水素、置換または非置換のヘテロ原子、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアラルキル、炭水化物、核酸、アミノ酸、ペプチド、色素、フルオロフォア、およびポリペプチドからなる群から選択される、付記1に記載の方法。
3.各R、R、R、およびRが、独立して、水素、ヒドロキシル、スルフィヒドリル、アミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、および1~20個の炭素を含有する置換または非置換の低級炭化水素からなる群から選択される、付記2に記載の方法。
4.低級炭化水素が、アルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アラルキル、およびアルキルアミノ、ならびにそれらのエステルからなる群から選択される、付記2に記載の方法。
5.Rが、水素、フッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、または2-ブロモビニルであり、Rが、水素、ヒドロキシルフッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、または2-ブロモビニルであり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルおよびベンゾイルオキシからなる群から選択される、付記2に記載の方法。
【0198】
6.Rが、水素またはメチルであり、Rが、水素であり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルおよびベンゾイルオキシからなる群から選択される、付記5に記載の方法。
7.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン;3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン;3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン;5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン;および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンからなる群から選択される、付記1に記載の方法。
8.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンである、付記7に記載の方法。
9.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンである、付記7に記載の方法。
10.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンである、付記7に記載の方法。
【0199】
11.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、立体異性体を含む、付記1に記載の方法。
12.立体異性体が、2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-ウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-ウラシル、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシルからなる群から選択される、付記11に記載の方法。
13.肝臓状態が、NAFLD、NASH、およびDILIからなる群から選択される、付記1~12のいずれか一つに記載の方法。
14.治療が、予防的である、付記1~13のいずれか一つに記載の方法。
15.肝臓状態が、DILIである、付記14に記載の方法。
16.対象が、肝臓状態に罹患している、付記1~13のいずれか一つに記載の方法。
【0200】
17.肝臓状態について対象を治療する方法であって、、
ウリジン(UR)活性剤と組み合わせて、有効量の2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体を対象に投与して、肝臓状態について対象を治療することを含む、方法。
18.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、式(I)の化合物:
【0201】
【化3】
【0202】
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、およびプロドラッグ形態、ならびにその立体異性体であり、
式中、
各R、R、R、およびRが、独立して、水素、置換または非置換のヘテロ原子、置換または非置換のアルキル、置換または非置換のシクロアルキル、置換または非置換のヘテロシクロアルキル、置換または非置換のアリール、置換または非置換のヘテロアリール、置換または非置換のアラルキル、炭水化物、核酸、アミノ酸、ペプチド、色素、フルオロフォア、およびポリペプチドからなる群から選択される、付記17に記載の方法。
19.各R、R、R、およびRが、独立して、水素、ヒドロキシル、スルフィヒドリル、アミノ、ヒドロキシメチル、メトキシ、ハロゲン、擬ハロゲン、および1~20個の炭素を含有する置換または非置換の低級炭化水素からなる群から選択される、付記18に記載の方法。
20.低級炭化水素が、アルキル、アルケニル、アルカノイル、アリール、アロイル、アラルキル、およびアルキルアミノ、ならびにそれらのエステルからなる群から選択される、付記18に記載の方法。
【0203】
21.Rが、水素、フッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、または2-ブロモビニルであり、Rが、水素、ヒドロキシルフッ素、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、ベンゾイル、ベンゾイルオキシ、または2-ブロモビニルであり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルおよびベンゾイルオキシからなる群から選択される、付記18に記載の方法。
22.Rが、水素またはメチルであり、Rが、水素であり、各RおよびRが、独立して、ヒドロキシルおよびベンゾイルオキシからなる群から選択される、付記21に記載の方法。
23.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン;3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン;3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジン;5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロウリジン;および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンからなる群から選択される、付記18に記載の方法。
24.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンである、付記23に記載の方法。
25.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンである、付記23に記載の方法。
【0204】
26.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-5-メチルウリジンである、付記23に記載の方法。
27.2,2’-アンヒドロピリミジンまたはその誘導体が、立体異性体を含む、付記18に記載の方法。
28.立体異性体が、2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-ウラシル、3’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシル、5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-ウラシル、および5’-O-ベンゾイル-2,2’-アンヒドロ-1-(β-D-アラビノフラノシル)-5-メチルウラシルからなる群から選択される、付記27に記載の方法。
29.肝臓状態が、NAFLD、NASH、およびDILIからなる群から選択される、付記17~28のいずれか一つに記載の方法。
30.治療が、予防的である、付記17~29のいずれか一つに記載の方法。
31.肝臓状態が、DILIである、付記30に記載の方法。
32.対象が、肝臓状態に罹患している、付記17~29のいずれか一つに記載の方法。
【0205】
前述の実施形態の少なくともいくつかでは、一実施形態で使用される1つ以上の要素は、かかる置き換えが技術的に実現可能でない限り、別の実施形態で互換的に使用することができる。当業者は、特許請求される主題の範囲から逸脱することなく、上記の方法および構造に他の様々な省略、追加、および修正を行うことができることを理解されたい。すべてのかかる修正および変更は、添付の特許請求の範囲によって定義される主題の範囲内に入ることが意図される。
【0206】
一般に、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の本体)で使用される用語は、通常、「開放的な」用語として意図される(例えば、「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は、「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきであるなど)ことが当業者によって理解される。特定の数の導入された特許請求の範囲の記載が意図される場合、かかる意図が特許請求の範囲内で明示的に記載され、かかる記載がない場合、かかる意図は存在しないことが当業者によってさらに理解される。例えば、理解の補助として、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の記載を導入するための「少なくとも1つ」および「1つ以上」という導入語句の使用を含み得る。ただし、かかる語句の使用は、「a」または「an」という不定冠詞による特許請求の範囲の記載の導入が、かかる導入された特許請求の範囲の記載を含む特定の特許請求の範囲を、かかる記載を1つだけ含む実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。同じ主張には、「1つ以上」または「少なくとも1つ」という導入語句と、「a」または「an」などの不定冠詞が含まれる(例えば、「a」および/または「an」は「少なくとも1つ」または「1つ以上」)。同じことが、特許請求の範囲の記載を紹介するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、導入された特許請求の範囲の特定の数の記載が明示的に記載されていても、当業者は、かかる記載は、少なくとも記載された数を意味すると解釈されるべきであることを認識する(例えば、他の修飾語なしの「2つの記載」のありのままの記載は、少なくとも2つの記載、または2つ以上の記載を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBともに、AおよびCともに、BおよびCともに、ならびに/またはA、B、およびCともになどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」に類似する慣習が使用される場合、概して、かかる構成は、当業者が慣習を理解するという意味で意図される(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」には、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBともに、AおよびCともに、BおよびCともに、ならびに/またはA、B、およびCともになどを有するシステムが含まれるが、これらに限定されない)。明細書、特許請求の範囲、または図面にかかわらず、2つ以上の代替用語を提示する実質的に任意の離接語および/または語句は、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図するように理解されるべきであることが、当業者によってさらに理解される。例えば、「AまたはB」という語句は、「A」または「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0207】
さらに、本開示の特徴または態様がマークッシュ群の観点から記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マークッシュグループの任意の個々のメンバー、またはマークッシュグループのメンバーの任意のサブグループの観点からも記載されることを認識する。
【0208】
当業者には理解されるように、書面による説明を提供することなど、ありとあらゆる対象となるために、本明細書に開示されるすべての範囲はまた、ありとあらゆる可能なサブ範囲、ならびにそのサブ範囲の組み合わせも包含する。任意のリストされた範囲は、同じ範囲が、少なくとも等しい2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に示し、分解されることを可能にするものとして容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、容易に、下側の3分の1、真ん中の3分の1、および上側の3分の1などに分解され得る。当業者に同様に理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より少ない」などのすべての用語は、記載される数を含み、上述のようにサブ範囲に後に分解され得る範囲を指す。最後に、当業者に理解されるように、範囲は各個々のメンバーを含む。したがって、例えば、1~3個の物品を有する群は、1個、2個、または3個の物品を有する群を指す。同様に、1~5個の物品を有する群は、1個、2個、3個、4個、または5個の物品を有する群を指す、等々。
【0209】
上記の本発明は、明確な理解のために例示および例により多少詳しく説明されてきたが、当業者であれば、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱することなく、ある特定の変更および修正が行われ得ることが、容易に明らかである。
【0210】
したがって、上記は単に本発明の原理を例示するにすぎない。当業者は、本明細書に明示的に記載または示されていないが、本発明の原理を具現化し、その精神および範囲内に含まれる様々な配置を考案することができることが理解される。さらに、本明細書に記載されるすべての例および条件付き言語は、主に、読者が、本発明の原理および発明者が当該技術分野を促進するために寄与する概念を理解することを助ける点を意図し、かかる具体的に記載される例および条件に限定されないと解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を記載する本明細書におけるすべての記述は、その構造的および機能的等価物の両方を包含することを意図する。加えて、かかる等価物は、構造にかかわらず、現在既知である等価物および将来開発される等価物、すなわち、構造に関係なく同じ機能を実行するように開発された任意の要素の両方を含むことが意図される。さらに、本明細書に開示されるものは、かかる開示が特許請求の範囲に明示的に記載されるか否かにかかわらず、公衆に捧げられることを意図するものではない。
【0211】
したがって、本発明の範囲は、本明細書に示され、説明される例示的な実施形態に限定されることを意図しない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付の特許請求の範囲によって具現化される。特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)または米国特許法第112条(6)は、特許請求の範囲におけるかかる制限の冒頭に「のための手段」という正確な語句または「のためのステップ」という正確な語句が記載される場合にのみ、特許請求の範囲における制限のために呼び出されるものとして明示的に定義され、かかる正確な語句が特許請求の範囲における制限で使用されない場合、米国特許法第112(f)または米国特許法第112条(6)は呼び出されない。
【0212】
関連出願の相互参照
米国特許法第119条(e)に基づいて、本出願は、2019年6月21日に出願された米国仮特許出願第62/864,695号の出願日の優先権を主張するものであり、この出願の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0213】
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【国際調査報告】