(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】レーザー・レーダで使用可能なノイズポイント同定方法およびレーザー・レーダ・システム
(51)【国際特許分類】
G01S 7/487 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
G01S7/487
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562848
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-15
(86)【国際出願番号】 CN2019085765
(87)【国際公開番号】W WO2020215368
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】201910322910.4
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518183103
【氏名又は名称】ベロダイン ライダー ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、シャオトン
(72)【発明者】
【氏名】シァン、シャオチン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジャオミン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、ジェンレイ
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AB08
5J084AD01
5J084AD03
5J084BA03
5J084BA06
5J084BA39
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA10
5J084CA25
5J084CA26
5J084CA32
5J084CA49
5J084CA53
5J084CA68
5J084CA74
5J084EA01
(57)【要約】
ステップS201:レーザー・レーダにより取得された点群を受信する工程と、ステップS202:点群におけるある点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと、前記点と前記レーザー・レーダ間の距離を取得する工程と、ステップS203:前記反射率と前記連続性パラメータの少なくとも1つと、前記距離により、前記点がノイズポイントであるか否かを判定する工程とを備える、レーザー・レーダで使用可能なノイズポイント同定方法。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー・レーダで使用可能なノイズポイント同定方法であって:
ステップS201:レーザー・レーダにより取得された点群を受信する工程と;
ステップS202:点群におけるある点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと、前記点と前記レーザー・レーダ間の距離を取得する工程と;
ステップS203:前記反射率と前記連続性パラメータの少なくとも1つと、前記距離により、前記点がノイズポイントであるか否かを判定する工程とを備える;
ノイズポイント同定方法。
【請求項2】
前記ステップS202が、前記点群における前記点の前記反射率と、前記点と前記レーザー・レーダ間の距離とを取得する工程を備え;
前記ステップS203が、前記反射率と前記距離とにより前記点が前記ノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える;
請求項1に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項3】
前記ステップS202が、前記点群における前記点の前記連続性パラメータと、前記点と前記レーザー・レーダ間の距離とを取得する工程を備え;
前記ステップS203が、前記連続性パラメータと前記距離とにより前記点が前記ノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える;
請求項1に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項4】
前記ステップS203が、前記距離が所定の距離範囲内で、前記反射率が所定の反射率閾値以下であると、前記点は前記ノイズポイントであると判定する工程を備える;
請求項2に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項5】
前記ステップS203は、前記点のノイズポイント信頼度を算定し、前記ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であると、前記点が前記ノイズポイントであると判定する工程を備え;
前記点の前記ノイズポイント信頼度の前記算定は、前記距離が所定の距離範囲内であるときは距離係数はゼロであり、それ以外では前記距離係数は第1重みであり、前記反射率が所定の反射率閾値以下であるときは、反射率係数はゼロであり、それ以外では前記反射率係数は第2重みであり、前記ノイズポイント信頼度は、前記距離係数と前記反射率係数の和に等しく、ここで、前記第1重みは前記第2重みより大きい、という工程を備える;
請求項2に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項6】
前記ステップS202は、前記点の前記反射率と前記連続性パラメータ、および前記点と前記レーザー・レーダ間の前記距離を取得する工程を備え;
ここで、前記ステップS203は、前記距離、前記反射率および前記連続性パラメータにより、前記点が前記ノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える;
請求項2に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項7】
前記点のノイズと前記点のエコーパルス数を取得する工程をさらに備え;
前記ステップS203は、前記距離、前記反射率、前記連続性パラメータ、前記ノイズおよび前記エコーパルス数により、前記点が前記ノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える;
請求項6に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項8】
前記点が前記ノイズポイントであるか否かを判定する前記工程は、前記点のノイズポイント信頼度を算定する工程を備え、ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であると、前記点が前記ノイズポイントであると判定し;
ここで、前記点の前記ノイズポイント信頼度を算定する前記工程は、前記距離が所定の距離範囲内であると距離係数はゼロであり、他の場合は前記距離係数は第1重みであり、前記反射率が所定の反射率閾値以下であると反射率係数はゼロであり、他の場合は第2重みであり、前記連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合は前記連続性係数は第3重みであり、前記ノイズがノイズ閾値より大きいとノイズ係数はゼロであり、他の場合は前記ノイズ係数は第4重みであり、前記エコーパルス数がパルス数閾値より大きいとエコーパルス数係数はゼロであり、他の場合は前記エコーパルス数係数は第5重みであり、前記ノイズポイント信頼度は、前記距離係数、前記反射率係数、前記連続性係数、前記ノイズ係数および前記エコーパルス数係数の和に等しい工程を備える;
請求項7に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項9】
前記第1重み、前記第2重み、前記第3重み、前記第4重みおよび前記第5重みは、下記条件の1つまたは複数を満たすノイズポイント同定方法であって:
前記第1重みは、前記第2重みおよび前記第3重みの和に等しい;
前記第2重みは前記第3重みに等しい;
前記第1重みは信頼度閾値に等しい;
前記第4重みと前記第5重みの合計は、前記第2重みおよび/または前記第3重みに等しい;
前記第1重みは、前記第2重み、前記第3重み、前記第4重みおよび前記第5重みより大きい;
請求項8に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項10】
検出された天候状態により、前記第1重み、前記第2重み、前記第3重み、前記第4重みおよび前記第5重みを動的に調整する工程をさらに備える;
請求項8または請求項9に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項11】
動的に調整する前記工程は、雪が検出されると第2重みを低減し、第4重みを増大する工程、および/または、霧が検出されると第5重みを増大する工程を備える;
請求項10に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項12】
前記ステップS203は、前記距離が所定の距離範囲内であり、前記連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると、前記点がノイズポイントと判定する工程を備える;
請求項3に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項13】
前記点が前記ノイズポイントであるか否かを判定する前記工程は、前記点のノイズポイント信頼度を算定する工程と、前記ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であると、前記点は前記ノイズポイントであると判定する工程を備え;
前記点の前記ノイズポイント信頼度を算定する前記工程は、前記距離が所定の距離範囲であると距離係数はゼロであり、他の場合は前記距離係数は第1重みであり、前記連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合は前記連続性係数は第3重みである工程を備え、前記ノイズポイント信頼度は前記距離係数と前記連続性係数の和に等しく、ここで、第1重みは第3重みより大きい;
請求項12に記載のノイズポイント同定方法。
【請求項14】
周囲環境をスキャンして点群を生成可能になされたレーザー・レーダと;
前記レーザー・レーダに接続されて前記点群を受信するノイズ除去ユニットであって、請求項1ないし13の何れか1項に記載のノイズポイント同定方法を実行可能で、前記点群における点がノイズポイントであるか否かを判定し、前記点群における前記ノイズポイントを除去する、ノイズ除去ユニットと;
前記ノイズ除去ユニットに接続され、前記点群を出力する出力ユニットとを備える;
レーザー・レーダ・システム。
【請求項15】
前記ノイズ除去ユニットに接続され、前記ノイズ除去ユニットを作動させ、停止させることが可能なコントロールユニットをさらに備え、作動状態のとき、前記ノイズ除去ユニットは前記点群のノイズポインを除去し、前記出力ユニットはノイズを除去した後の前記点群を出力し、停止モードのとき、前記ノイズ除去ユニットを停止し、前記出力ユニットはノイズを除去せずに前記点群を出力する;
請求項14に記載のレーザー・レーダ・システム。
【請求項16】
前記コントロールユニットは、雨、雪または霧が検出されると、前記ノイズ除去ユニットを作動させる;
請求項15に記載のレーザー・レーダ・システム。
【請求項17】
ノイズポイント数が所定の閾値を超えると、前記コントロールユニットは雨、雪または霧が検出されたと判断する;
請求項16に記載のレーザー・レーダ・システム。
【請求項18】
ユーザの入力を受け取る入力ユニットをさらに備え;
前記コントロールユニットは、前記ユーザの入力により前記ノイズ除去ユニットを作動させ、または停止させる;
請求項15に記載のレーザー・レーダ・システム。
【請求項19】
周囲環境をスキャンして点群を生成可能になされたレーザー・レーダと;
前記レーザー・レーダに接続されて前記点群を受信する信頼度算定ユニットであって、少なくとも前記点群の点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つ、および、前記点と前記レーザー・レーダ間の距離により、前記点のノイズポイント信頼度を算定するようになされた、信頼度算定ユニットと;
前記レーザー・レーダと前記信頼度算定ユニットに接続され、前記点群と、前記点群の前記点の前記ノイズポイント信頼度を出力する出力ユニットとを備える;
レーザー・レーダ・システム。
【請求項20】
前記信頼度算定ユニットは、前記点と前記レーザー・レーダ間の前記距離、前記点の前記反射率、前記点の前記連続性パラメータ、前記点群のノイズ、および、前記点のパルス数係数により、前記点群の前記点の前記ノイズポイント信頼度を算定するようになされ;
前記点の前記ノイズポイント信頼度を算定することは:
前記距離が所定の距離範囲内であると距離係数はゼロであり、他の場合は前記距離係数は第1重みであり、前記反射率が所定の反射率閾値以下であると反射率係数はゼロであり、他の場合は前記反射率係数は第2重みであり、前記連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合は前記連続性係数は第3重みであり、前記ノイズがノイズ閾値より大きいとノイズ係数はゼロであり、他の場合は前記ノイズ係数は第4重みであり、パルス数がパルス数閾値より大きいとパルス数係数はゼロであり、他の場合は前記パルス数係数は第5重みであり、前記ノイズポイント信頼度は、前記距離係数、前記反射率係数、前記連続性係数、前記ノイズ係数、および前記パルス数係数の和に等しいことを備え;
前記第1重みは、前記第2重み、前記第3重み、前記第4重みおよび前記第5重みより大きい;
請求項19に記載のレーザー・レーダ・システム。
【請求項21】
ユーザの入力を受け取る入力ユニットをさらに備え;
前記入力ユニットは、前記ユーザの入力により前記出力ユニットに前記点群のノイズポイントを除去するか否かを指示する;
請求項19に記載のレーザー・レーダ・システム。
【請求項22】
レーザー・レーダで取得された点群を受信する受信ユニットと;
前記点群の点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと、前記点と前記レーザー・レーダ間の距離を取得するようになされた取得ユニットと;
少なくとも、前記反射率と前記連続性パラメータの少なくとも1つと、前記距離とにより、前記点がノイズポイントであるか否かを判定するようになされた判定ユニットとを備える;
レーザー・レーダで使用可能なノイズポイント識別装置。
【請求項23】
コンピュータ可読記憶媒体であって、そこに記憶されたコンピュータで実行可能な命令を備え、プロセッサで実行されると請求項1ないし13のいずれか1項に記載のノイズポイント同定方法を実行する;
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レーザー・レーダの分野に関し、特にレーザー・レーダで使用可能なノイズポイント同定方法およびレーザー・レーダ・システムに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー・レーダまたはLiDARは、レーザーアクティブ検出センサーデバイス用の一般的な用語である。その作動原理は、おおよそ次の通りである:レーザー・レーダのエミッタは、レーザービームを放射し;レーザービームは物体に衝突した後、拡散反射し、レーザー受信器に戻り;レーダモジュールが、信号の発射と受信間の時間間隔に光速を乗じて、それを2で除してエミッタと物体との距離を算定する。レーザー光のビーム数に応じて、単線レーザー・レーダ、4線レーザー・レーダ、8/16/32/64線レーザー・レーダ等が普通にある。1本または複数本のレーザービームが、鉛直方向に異なった角度で放射され、水平方向にスキャンされ、目標領域の3次元輪郭の検出が実現される。複数の測定チャンネル(線の数)は、傾斜角を有する複数のスキャン面と等価である。したがって、垂直な視野でのレーザービームが増えれば増えるほど、鉛直方向の角分解能は高く、レーザー点群の密度は大きくなる。
【0003】
メカニカル・レーザー・レーダを例にとると、雨、雪あるいは霧の天候で検出を行うと、より多くのノイズポイントが生成され、点群の品質に影響する。例えば、雨、雪あるいは霧の天候では、空気中に大きなおよび小さな水滴が高濃度で存在する。レーザービームが水滴上に当たると、反射エコーが発生し、点群の中に対応点が形成される。このタイプの点は、検出目標の物体上に実際に存在する点ではないので、ノイズポイントとされるべきである。
【0004】
上で説明したようなメカニカル・レーザー・レーダに加え、ガルバノメータ・スキャニング・レーザー・レーダ、回転ミラー・スキャニング・レーザー・レーダ、または、フラッシュ・スキャニング・レーザー・レーダやフェーズドアレイ・スキャニング・レーザー・レーダを含むピュアソリッドステート・レーザー・レーダなどの他のタイプのレーザー・レーダでも、雨、雪あるいは霧の天候で検出を行うと上記のノイズポイント問題にぶつかるであろう。
【0005】
発明の背景技術の段落の内容は、知っている技術を単に開示するもので、明らかなよう
に本技術分野の先行技術を提供するものではない。
【発明の概要】
【0006】
従来技術における少なくとも1つの欠点の観点から、本開示は、レーザー・レーダのために使用可能なノイズポイント同定方法を提案し、その方法は、
ステップS201、レーザー・レーダにより取得された点群を受信する工程、
ステップS202、点群のある点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと、その点とレーザー・レーダ間の距離を取得する工程、および
ステップS203、反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと、距離により、その点がノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える。
【0007】
本開示のある態様によれば、ステップS202は、点群の点の反射率と、その点とレーザー・レーダ間の距離を取得する工程を備え、ステップS203は、反射率と距離により、その点がノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える。
【0008】
本開示のある態様によれば、ステップS202は、点群の点の連続性パラメータとその点とレーザー・レーダ間の距離を取得する工程を備え、ステップS203は、連続性パラメータと距離により、その点がノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える。
【0009】
本開示のある態様によれば、ステップS203は、距離が所定の距離範囲内にあり、反射率が所定の反射率閾値以下であるとき、その点はノイズポイントであると判定する工程を備える。
【0010】
本開示のある態様によれば、ステップS203は、その点のノイズポイント信頼度を算定する工程と、ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であると、その点がノイズポイントであると判定する工程とを備え、その点のノイズポイント信頼度を算定する工程は、距離が所定の距離範囲内であるときは距離係数はゼロであり、それ以外では距離係数は第1重みであり、反射率が所定の反射率閾値以下であるときは反射率係数はゼロであり、それ以外では反射率係数は第2重みであり、ノイズポイント信頼度は、距離係数と反射率係数の和に等しいものとし、ここで第1重みは第2重みより大きい。
【0011】
本開示のある態様によれば、ステップS202は、点の反射率と連続性パラメータおよびその点とレーザー・レーダ間の距離を取得する工程を備え、ステップS203は、距離、反射率および連続性パラメータによりその点がノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える。
【0012】
本開示のある態様によれば、その点のノイズとその点のエコーパルス数を取得する工程をさらに備え、ステップS203は、距離、反射率、連続性パラメータ、ノイズおよびエコーパルス数によりその点がノイズポイントであるか否かを判定する工程を備える。
【0013】
本開示のある態様によれば、点がノイズポイントであるか否かを判定する工程は、その点のノイズポイント信頼度を算定する工程を備え、ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外のと、その点はノイズポイントであると判定し、点のノイズポイント信頼度の計算工程は、距離が所定の距離範囲内であると距離係数はゼロであり、他の場合は距離係数は第1重みであり、反射率が所定の反射率閾値以下であると反射率係数はゼロであり、他の場合は反射率係数は第2重みであり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合は連続性係数は第3重みであり、ノイズがノイズ閾値より大きいとノイズ係数はゼロであり、他の場合はノイズ係数は第4重みであり、エコーパルス数がパルス数閾値より大きいとエコーパルス数係数はゼロであり、他の場合はエコーパルス数係数は第5重みであり、および、ノイズポイント信頼度は、距離係数、反射率係数、連続性係数、ノイズ係数およびエコーパルス数係数の和に等しい工程を備える。
【0014】
本開示のある態様によれば、第1重み、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みは、下記条件のうち、1つまたは複数を満たす。
第1重みは、第2重みと第3重みの和に等しい。
第2重みは、第3重みに等しい。
第1重みは、信頼度閾値に等しい。
第4重みと第5重みの合計は、第2重みおよび/または第3重みに等しい。
第1重みは、第2重み、第3重み、第4重み,および第5重みより大きい。
【0015】
本開示のある態様によれば、ノイズポイント同定方法は、検出された天候状態により、第1重み、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みを動的に調整する工程をさらに備える。
【0016】
本開示のある態様によれば、動的に調整する工程は、雪が検出されると第2重みを減少し第4重みを増大する工程、および/または、霧が検出されると第5重みを増大する工程を備える。
【0017】
本開示のある態様によれば、ステップS203は、距離が所定の距離範囲内であり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であるとき、その点はノイズポイントと判定する工程を備える。
【0018】
本開示のある態様によれば、点がノイズポイントであるか否かを判定する工程は、その点のノイズポイント信頼度を算定し、ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であるとその点をノイズポイントと判定する工程を備え、その点のノイズポイント信頼度を算定する工程は、距離が所定の距離範囲内であると距離係数はゼロであり、他の場合は距離係数は第1重みであり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合は連続性係数は第3重みであることを備え、ノイズポイント信頼度は距離係数と連続性係数の和に等しく、第1重みは第3重みより大きい。
【0019】
本開示は、周囲環境をスキャンして点群を生成可能になされたレーザー・レーダと、レーザー・レーダに接続されて点群を受信するノイズ除去ユニットであって、上で説明したようにノイズポイント同定方法を実行可能で、点群における点がノイズポイントであるか否かを判定し、点群のノイズポイントを除去するノイズ除去ユニットと、ノイズ除去ユニットに接続され、点群を出力する出力ユニットとを備えるレーザー・レーダ・システムにさらに関連する。
【0020】
本開示のある態様によれば、レーザー・レーダ・システムは、レーザー・レーダ、ノイズ除去ユニットおよび出力ユニットに接続され、ノイズ除去ユニットを作動させ、停止させる、コントロールユニットをさらに備え、作動状態のとき、ノイズ除去ユニットは点群のノイズポイントを除去し、出力ユニットはノイズ除去後の点群を出力し、停止モードのとき、ノイズ除去ユニットを停止し、出力ユニットはノイズ除去せずに点群を出力する。
【0021】
本開示のある態様によれば、コントロールユニットは、雨、雪または霧が検出されるとノイズ除去ユニットを作動させる。
【0022】
本開示のある態様によれば、ノイズポイント数が所定の閾値を超えると、コントロールユニットは雨、雪または霧が検出されたと判断する。
【0023】
本開示のある態様によれば、レーザー・レーダ・システムは、ユーザの入力を受け取る入力ユニットを備え、コントロールユニットは、ユーザの入力によりノイズ除去ユニットを作動させまたは停止させることができる。
【0024】
本開示は、周囲環境をスキャンして点群を生成可能になされたレーザー・レーダと、レーザー・レーダに接続されて点群を受信する信頼度算定ユニットであって、少なくとも点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つ、および、その点とレーザー・レーダ間の距離により、点群における点のノイズポイント信頼度を算定するようになされた信頼度算定ユニットと、レーザー・レーダと信頼度算定ユニットに接続された出力ユニットであって、点群と、点群の点のノイズポイント信頼度を出力する出力ユニットとを備えるレーザー・レーダ・システムにさらに関連する。
【0025】
本開示のある態様によれば、信頼度算定ユニットは、点とレーザー・レーダ間の距離、点の反射率、点の連続性パラメータ、点群のノイズ、および点のパルス数係数により点群の点のノイズポイント信頼度を算定するようになされ、点のノイズポイント信頼度を算定することは、距離が所定の距離範囲であると距離係数はゼロであり、他の場合には距離範囲は第1重みであり、反射率が所定の反射率閾値以下であると反射率係数はゼロであり、他の場合には反射率係数は第2重みであり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合には連続性係数は第3重みであり、ノイズがノイズ閾値より大きいとノイズ係数はゼロであり、他の場合にはノイズ係数は第4重みであり、パルス数がパルス数閾値より大きいとパルス数係数はゼロであり、他の場合にはパルス数係数は第5重みであり、および、ノイズポイント信頼度は距離係数、反射率係数、連続性係数、ノイズ係数およびパルス数係数の和と等しいことを備え、第1重みは、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みより大きい。
【0026】
本開示のある態様によれば、レーザー・レーダ・システムは、ユーザの入力を受け取る入力ユニットをさらに備え、入力ユニットは、ユーザの入力により出力ユニットに点群のノイズポイントを除去するか否かを指示をすることができる。
【0027】
本開示はさらに、レーザー・レーダにより取得された点群を受信するようになされた受信ユニットと、点群の点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと、その点とレーザー・レーダ間の距離を取得するようになされた取得ユニットと、少なくとも、反射率と連続性パラメータの少なくとも1つと距離とにより、その点がノイズポイントであるか否かを判定するようになされた判定ユニットとを備える、レーザー・レーダに使用可能なノイズポイント識別装置に関連する。
【0028】
本開示はさらに、そこに記憶されたコンピュータで実行可能な命令を備え、プロセッサで実行されると上記で説明したノイズポイント同定方法を実行するコンピュータ可読記憶媒体に関連する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本開示の一部を構成する図面は、本開示をより深い理解を提供するために用いられ、本開示とその説明の例示の実施形態は、本開示の説明のために用いられ、本開示の不適切な限定を構成するものではない。図面においては下記の通りである。
【0030】
【
図1】
図1は、レーザー・レーダを示す模式図である。
【
図2】
図2は、本開示の第1の態様によるレーザー・レーダに使用可能なノイズポイント同定方法を示す。
【
図3】
図3は、レーザー光方向に垂直な面でのレーザー・レーダの点群の複数の点の投射を示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施形態によるエコーのノイズ算定方法を示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施形態により算定された降雪天候の場合の波形のノイズと標準波形のノイズとの比較を示す。
【
図5】
図5は、本開示の第2の態様によるレーザー・レーダ・システムを示す。
【
図6】
図6は、本開示の好適な実施形態によるレーザー・レーダ・システムを示す。
【
図7】
図7は、本開示の他の実施形態によるレーザー・レーダ・システムを示す。
【
図8】
図8は、本開示の他の実施形態によるレーザー・レーダ・システムを示す。
【
図9】
図9は、本開示の第3の態様によるレーザー・レーダに使用可能なノイズポイント識別装置を示す。
【
図10】
図10は、本開示の第3の態様によるコンピュータプログラム製品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下では、特定の例示の実施形態が簡潔に説明される。当業者に理解されるように、説明される実施形態は、本発明の思想あるいは範囲から逸脱することなく、種々の異なったやり方で修正され得る。したがって、図面や説明は、本質的に限定的ではなく説明的と見なされるべきである。
【0032】
本開示の説明では、例えば「中心」、「長手」、「横」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計方向」および「反時計方向」などの用語で示される方向や位置的関係は、図面で示される方向や位置的関係に基づき、参照される装置や要素を示しまたは示唆するのに特定の方向を有し、または、特定の方向で作られ、操作されるのではなく、本開示を説明し、説明を単純化するのに便利であることだけを目的とするものであることを理解する必要がある。したがって、これらの用語は、本開示を限定するものと解されてはならない。さらに、用語「第1」および「第2」は、説明の目的だけで用いられ、相対的な重要性を示したり、示唆したり、あるいは、示された技術的特徴の番号を暗に示していると理解されてはならない。よって、「第1」や「第2」で定義される特徴は、明示的にまたは暗黙的に1つまたは複数の特徴を備えてよい。本開示の説明では、「複数の」は、他に明確に具体的に定義されない限り、2つまたはそれ以上を意味する。
【0033】
本開示の説明において、他に明確に規定され定義されない限り、「搭載する」、「つなぐ」、「接続する」などの用語は、広義の意味であると解されるべきことに注意しなければならない。例えば、「接続する」は固定した接続でもよいし、取り外し可能な接続でもよいし、一体型接続でもよい。あるいは、機械的接続であってもよく、電気的接続であってもよく、相互通信であってもよい。あるいは、直接的接続であってもよく、中間媒体を介しての間接的接続であってもよく、2つの要素間の内部通信または2つの要素間の相互作用関係であってもよい。当業者にとっては、本開示の上記の用語の具体的な意味は、具体的な状況により理解できるであろう。
【0034】
本開示では、他に明確に規定され定義されない限り、第1特徴が第2特徴の「上」または「下」であることは、第1特徴が第2特徴に直接接していることを含んでもよく、第1特徴が第2特徴に直接の代わりに間に他の特徴を介して接していることを含んでもよい。さらに、第1特徴が第2特徴の「上方」、「上」および「頂部」であることは、第1特徴が第2特徴の直接上方および斜め上方にあることを含み、または、第1特徴が第2特徴の高さより水平で高い高さを有することを単に示す。第1特徴が第2特徴の「下方」、「下」および「底部」であることは、第1特徴が第2特徴の直接下方および斜め下方にあることを含み、または、第1特徴が第2特徴の高さより水平で低い高さを有することを単に示す。
【0035】
以下の開示は、本開示の異なった構造を理解できるように、多くの異なった実施形態または例を示す。本開示における開示を簡単化するために、特定の例の構成要素と配列を以下に説明する。もちろん、それらは例に過ぎず、本開示を限定する意図ではなく、加えて本開示は、異なった例で参照番号および/または参照符号を繰り返すことがあるかも知れず、この繰り返しは、簡単さと明確さのためであり、それ自身で説明される種々の実施形態および/または配置間の関係を示すものではない。加えて、本開示は、種々の特定の方法および材料の例を提供するが、当業者は、他の方法の実施および/または他の材料の仕様に気づくであろう。
【0036】
本開示の好適な実施形態は図面と関連して以下に説明される。ここで記載される好適な実施の形態は、本開示を図解し説明するためだけに用いられ、本開示を限定するために用いるものではないことを理解しなければならない。
【0037】
雨、雪または霧の天候でのレーダ点群エコーデータに関して、本開示の発明者らは、レーザー・レーダの点群のノイズポイントは、点群中の点の距離、反射率および連続性パラメータの組合せによって効果的に識別されることを見出した。当業者は、本開示は雨、雪または霧の天候の場合にレーザー・レーダの点群を取り上げて説明されるが、本開示の保護範囲は、雨、雪または霧の天候のノイズポイントの識別に限定されず、他の天候状態におけるノイズポイントの識別と判定にも適用されることを理解できるであろう。
【0038】
図1は、レーザー・レーダ100の一例を示す。そのレーザー・レーダは、16ラインのレーザー・レーダであり、すなわち、全部で16レーザービームL1、L2、...L15およびL16(レーザービームの各ラインは、レーザー・レーダの1チャンネルに対応し、全部で16チャンネルある)が周囲環境を検出するために図中の鉛直方向で放射される。検出プロセスでは、レーザー・レーダ100はその鉛直軸回りに回転してもよい。回転プロセスでは、レーザー・レーダのチャンネルが、ある時間間隔(1マイクロ秒などの)により連続的にレーザービームを放射し、視野の鉛直場でライン走査を完結するように検出を実行し、その後点群を形成する回転プロセスで複数の検出を実行するように視野の水平場の方向である角度(例えば、0.1度あるいは0.2度など)の間隔の視野の鉛直場で次のライン走査を実行し、周囲環境の状態が把握される。
【0039】
図2は、本開示の第1の態様によるレーザー・レーダに使用可能なノイズポイント同定方法を示す。
図2に示されるように、ノイズポイント同定方法は以下の工程を含む。
【0040】
ステップS201で、レーザー・レーダにより取得された点群を受け取る。
【0041】
レーザー・レーダで獲得された点群のデータでは、点の座標と点の反射率(反射率は、反射ビームの強さと、目標とする点とレーザー・レーダ間の距離に比例する)が、通常含まれる。例えば、点の座標は、原点としてレーザー・レーダの設置位置に基づき、点のオフセット量は具体的には極座標(すなわち、距離と角度)で表され、あるいは、x/y/z3次元直角座標を用いて表されてもよい。
【0042】
ステップS202で、点群の点の反射率と連続性パラメータ、および、その点とレーザー・レーダ間の距離の少なくとも1つを取得する。
【0043】
点とレーザー・レーダ間の距離に関しては、点の座標により直接的に算定されてもよい。点の反射率に関しては、点群のデータから直接的に入手してもよい。本開示においては、点の「連続性パラメータ」は、1つまたは複数の近接点に関連する点群の点の連続性を説明する特性因子として定義することができ、例えば、点群の1つまたは複数の周囲の点からの距離である。本開示の連続性パラメータを、
図3を参照して説明する。
図3は、レーザー光方法に直交する面上のレーザー・レーダの点群の投射を模式的に示す(単純化のため、
図3では深さ方向の情報は示さない)。図では、点5は、例えば、判定されている現在の点であり、すなわち、時間t
nで
図1のラインL2のレーザービームにより検出されるエコーである。点4は、同じチャンネル、すなわち、ラインL2のレーザービームにより前の時間t
n-1で検出されるエコーである。そして、点6は、同じチャンネル、すなわち、ラインL2のレーザービームにより後の時間t
n+1で検出されるエコーである。対応して、点1、点2および点3は、ラインL3のレーザービームにより時間t
n-1、t
n、t
n+1で検出されるエコーであり、点7、点8および点9は、ラインL1のレーザービームにより時間t
n-1、t
n、t
n+1で検出されるエコーである。
図3で示される点間の間隔は等しいが、図は模式図に過ぎず、連続的時間で点群データの隣接ビームにより形成されるエコー点等しい間隔を有することを意味するわけではないことに注意願う。本開示では、点5の連続性パラメータは、点5からレーザー・レーダへの距離と、点5の上下左右、左上、右上、左下および右下の8点のいずれかの点からレーザー・レーダへの距離間の差の絶対値を参照してもよく、あるいは、点5からレーザー・レーダへの距離と、点5の上下左右、左上、右上、左下および右下の8点の中の複数の点からレーザー・レーダへの距離間の差の重み付き平均値を参照してもよい。これら全ては、本開示の範囲内である。本開示の概念の動機付けの下で、当業者は、必要に応じて特定の改変を行ってもよい。
【0044】
レーザー・レーダにより標準物体が検出されると、生成される複数の点は、通常は良い連続性を有する。本開示において、点の良い連続性とは、隣接する点からレーザー・レーダへの距離の差の絶対値が小さいことを意味し、例えば、レーザー・レーダの距離検出誤差範囲内であるようなことである。レーザー・レーダの主な適用状況の1つは、道路交通における種々の物体の検出であり、道路交通における移動物体の移動スピードは、光速に比べて非常に遅い。レーザー・レーダの水平角分解能は、0.1度または0.2度のように、比較的高い。したがって、多くの場合、特に物体がレーザー・レーダに近づく場合、例えば、雨、雪または霧の天候でノイズポイントが比較的集結しまたは目立つ5-10mの範囲内では、2つの隣接水平スキャン角度の点は、同じ物体に対応する(物体のちょうど縁にある場合を除いて)。さらに、レーザー・レーダのスキャン周波数は非常に高い。例えば、視野の同じ鉛直場をスキャンするレーザー・レーダの2つの隣接チャンネルの時間間隔は、約1マイクロ秒であり、視野の鉛直場のライン走査の時間は、12または数10マイクロ秒である。そのような短時間で道路交通の移動物体の移動距離は、無視できる程度である。したがって、理論的には、レーザー・レーダの点群の隣接点からレーザー・レーダまでの距離は等しく、実測距離の差は相対的に小さいはずである。大きな距離の差があると、検出されたノイズポイントにより引き起こされた可能性が高い。例えば、ある点からレーザー・レーダへの距離と、その点の上下左右、左上、右上、左下、右下の8つの点の1つまたは複数からレーザー・レーダへの距離の差(または複数の差の重み付き平均値)が閾値(例えば1mなど)より大きいと、点の連続性が比較的乏しく、点はノイズポイントであるかと考えられる。さらに、点からレーザー・レーダへの距離と隣接点からレーザー・レーダへの距離との差(最小の差または最大の差または差の平均値)を連続性パラメータとして用いることに加え、テスト点とその周囲の点との間の相関をも算定して連続性パラメータとして用いてもよい。中央値フィルタリングと同様に、畳み込み計算により固有値が得られ、現在の点の周囲の点に対する離散性の程度を特徴づけ、離散性の程度がある閾値より大きいと、その点と周囲の点は連続的でないと考えられる。
【0045】
加えて、連続性パラメータの閾値は、また変化してもよい。例えば、連続性パラメータは、テスト点とレーザー・レーダ間の距離により調整される。距離が大きければ大きいほど、レーザー・レーダの計測誤差は大きく、連続性パラメータの閾値は大きく設定される。
【0046】
加えて、本開示の別の実施形態によれば、2つの点からレーザー・レーダへの距離の差は、2点間の距離によりおおよそ算定され得る。このことは、レーザー・レーダのスキャンプロセスの間の水平方向の点間の角度間隔は、例えば0.1度または0.2度のように、非常に小さく、よって、点4と点5の間の距離は、点4からレーザー・レーダへの距離と点5からレーザー・レーダへの距離との差におおよそ等しいという事実による。
【0047】
ステップS203で、反射率および連続性パラメータと、距離の少なくとも1つにより、その点がノイズポイントであるか否かを判定する。
【0048】
本開示における反射率および連続性パラメータと、距離の少なくとも1つによりノイズポイントであるか否かを判定する方法について具体的に述べる。
【0049】
本開示の一実施形態によれば、ノイズポイントを識別し判定するのに距離と反射率の組合せを用いてもよい。発明者らは、ノイズポイントは普通はレーザー・レーダから5-10mの範囲内に集結しており、より普通には5-7mの範囲に集結していることを見出した。同時に、ノイズポイントの反射率は普通は2%以下である。したがって、ノイズポイントは、距離と反射率の組合せにより識別され得る。例えば、距離が所定の距離範囲(例えば5-10mまたは5-7mなど)内で、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%など)以下であると、その点はノイズポイントであると判定される。
【0050】
本開示の一実施形態によれば、距離と反射率の組合せを用いてノイズポイントの識別と判定を行ってもよい。例えば、距離が所定の距離範囲(例えば5-10mまたは5-7mなど)内で、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(点からレーザー・レーダの距離と周囲の点からレーザー・レーダへの距離の差を連続性パラメータの例として捉えると、標準連続性パラメータ範囲は、例えば1m以下または0.5m以下である)外であると、その点は、ノイズポイントであると判定される。上述のように、連続性パラメータは、例えば、現在の点からレーザー・レーダへの距離と、同じチャンネルの前の点(
図3の左の点)および/または次の点(
図3の右の点)からレーザー・レーダへの距離の差、または、現在の点からレーザー・レーダへの距離と、上下の隣接チャンネルの点(
図3の上の点および/または下の点)からレーザー・レーダへの距離の差、または、点群の現在の点と他の隣接する点との距離の差、または、現在の点の周囲の点に対する離散性の程度を特徴づけるパラメータである。連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると、そのポイントは、周囲の物体上に実際に位置する点ではなく、ノイズポイントであるという可能性があることを示す。
【0051】
本開示の一実施形態によれば、距離、反射率および連続性の組合せを用いてノズルポイントを識別し判定してもよい。例えば、距離が所定の距離範囲(例えば5-10mまたは5-7mなど)内で、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下で、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であると、その点はノイズポイントであると判定される。
【0052】
加えて、本願の発明者らは、判定された点に対応するエコーのノイズは、特に降雪天候の場合に、ノイズポイントを判定するのに用いることができる係数でもあることを見出した。レーザー・レーダでは、レーザー・レーダのエミッタにより放射されたレーザービームは物体に衝突し、拡散反射してエコーを形成し、レーザー受信器により受け取られてアナログデータ信号(例えば、エコー波形信号)を生成する。アナログデータ信号はサンプリングされ、量子化され、ADCを介してある周波数によりエンコードされて、
図4Aに示すような、一連のサンプリングポイントを得る。波形のノイズをRMS値を用いて特徴付けしてもよく、例えば、波形の揺れの程度を特徴付ける。各サンプリングポイントとエコーベースライン間の差の二乗和を得て、その和の平方根を取ることにより具体的に算定されてもよい。ここで、エコーベースラインは、レーザー光ビームの反射無しでレーザー受信器により生成された信号の平均値を参照し、背景ノイズ信号値と理解することができる。
【0053】
加えて、RMS値の算定は比較的複雑で、FPGAは限定された計算資源しか有していないので、FPGAを用いて算定するのはかなり難しい。さらに、波形は、ノイズに加えて、標準エコー信号をも含み得るので、波形について統計的計算を行うのは難しい。したがって、計算するのがより簡単な他の値を用いて波形のノイズを特徴付けてもよい。例えば、本開示の好適な実施形態によれば、
図4Aに示すように、エコーベースラインは、ADCの85最下位ビット(LSB)値であり、エコーベースライン上の10LSBの範囲内で200サンプリングポイント(経験値であり、勿論、100サンプリングポイントや300サンプリングポイントを取ってもよい)が左から右に数えられ、各サンプリングポイントの縦座標の値とエコーベースラインの差の合計または平均値、あるいは、200サンプリングポイントを接続して形成される曲線、最初のサンプリングポイントの横座標を通りY軸に平行な直線、200番目のサンプリングポイントの横座標を通りY軸に平行な直線、および、エコーベースラインにより囲まれる図形の面積を用いて波形のノイズの大きさを表してもよい。LSB値は、回路でADCによりサンプルされた信号の強さを表す単位であり、使用されたADCの性能に関連していることに注意しなければならない。加えて、本好適な実施形態で選定されたエコーベースライン上の10LSB値は、レーザー・レーダにより提供されるエコー信号検出閾値に関連する。エコー信号検出閾値は、信号強度が閾値以上であるときに信号は効果的なエコー信号であると判断し、信号強度が閾値未満であるときに信号はノイズであると判断するのにシステムにより用いられる。当業者は、当業者により把握されたその分野の既存の技術的知識を用いて他の適切な値を用いてもよい。もちろん、特定の実施においては、当業者は、エコー信号の強度を特徴付けるのにLSB値以外の単位を用いてもよい。本書では、エコー信号強度を述べるためのエコー単位としてLSB値を用いることは、当業者が本発明をより良く理解し実施するための目的だけであり、本発明の保護範囲に限定を与えるものではない。
【0054】
本開示の一実施形態によれば、この方法を用いて、降雪状態で標準ポイントのエコーと雪により生ずるノイズポイントのエコーのノイズを算定する。
図4Bに示されるように、雪により生ずるノイズポイントのエコーのノイズは200(無単位)またはそれ以上であるのに対し、標準ポイントでの波形のノイズは100程度に過ぎない。それらは、互いに容易に識別できる。加えて、
図4Bの線41と線42とは連続する線に見えるが、それらは実際には、共に離散した点を1つ1つ繋げることにより形成された線である。横座標は測定点の数を表す。現在のところ、図の横座標は200であり、同じ場面が200回(200ポイント)検出されたことを示す。それに応じて、200のノイズの検出結果が、
図4Aに類似したエコー信号の200波形のように、取得される。そして、例えば、1の横座標に対して、線42の点の縦座標は標準ポイントのエコーのノイズが99であることを示し、線41の点の縦座標は雪により生じたノイズポイントのエコーのノイズが302であることを示す。他の例では、25回目のテストであることを示す25の横座標について、線42の点の縦座標は標準ポイントのエコーのノイズが102であることを示し、線41の点の縦座標は雪により生じたノイズポイントのエコーのノイズが298であることを示す。
【0055】
本開示の一実施形態によれば、距離、反射率、連続性およびノイズの組合せを用いて、ノイズポイントを識別し判定することができる。例えば、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内で、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きいと、その点はノイズポイントであると判定される。
【0056】
加えて、本願の発明らは、エコーパルス数もまたノイズポイントを判定するのに用いることができる係数であることを見出した。レーザーパルスを含むレーザービームは物体に衝突し、反射して、エコー光ビームを形成し、エコー光ビームはレーザー・レーダで検出される。理論的には、検出されるエコーパルス数は1つだけのはずである。しかし、実際の検出プロセスでは、種々の理由により、検出され得る測定閾値より大きなエコーパルス数は1以上であることも多い。例えば、進展距離が増加すると、レーザービームは連続的に広がり、前後に2つの異なった物体に衝突する。発明者らは、雨、雪または霧の天候に当たるとエコーパルス数もまた増加することを見出した。したがって、ある点が検出され、検出されたエコーパルス数がパルス数閾値(例えば3)より大きいと、その点はノイズポイントであることを示し得る。加えて、2つの異なったレーザー・レーダ間のクロストークを減ずるために、レーザー・レーダで放射されたレーザービームは通常パルスエンコードされる。例えば、検出レーザービームはある時間間隔でエンコードされた2つのレーザーパルスを含む、つまり、ダブルパルスレーザー検出である。したがって、ダブルパルスレーザー検出の間、パルス数閾値は7に設定されてもよい。例えば、検出されたエコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、その点がノイズポイントであることを示す。
【0057】
本開示の一実施形態によれば、距離、反射率および連続エコーパルス数の組合せを用いてノイズポイントを識別し、判定することができる。例えば、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内で、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、その点がノイズポイントであると判定される。
【0058】
本開示の一実施形態によれば、距離、反射率、連続性、ノイズおよびエコーパルス数の組合せを用いてノイズポイントを識別し、判定することができる。例えば、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内で、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きく、エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、その点がノイズポイントであると判定される。
【0059】
本開示の一実施形態によれば、連続性および反射率の組合せを用いてノイズポイントを識別し、判定することができる。例えば、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であると、その点がノイズポイントであると判定される。
【0060】
本開示の一実施形態によれば、連続性、反射率およびノイズの組合せを用いてノイズポイントを識別し、判定することができる。例えば、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であり、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きいと、その点がノイズポイントであると判定される。
【0061】
本開示の一実施形態によれば、連続性、反射率およびエコーパルス数の組合せを用いてノイズポイントを識別し、判定することができる。例えば、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であり、エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、その点がノイズポイントであると判定される。
【0062】
本開示の一実施形態によれば、連続性、反射率、ノイズおよびエコーパルス数の組合せを用いてノイズポイントを識別し、判定することができる。例えば、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、反射率が所定の反射率閾値(例えば2%)以下であり、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きくて、エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、その点がノイズポイントであると判定される。
【0063】
本開示の一実施形態によれば、ノイズを用いて天候状態が雪であるか否かを判定することができる。例えば、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きいと、天候状態は雪である、または、そのノイズポイントは雪の天候状態により生じたノイズポイントであると判定される。雪の天候でのエコーノイズは、比較的大きい。
図4Bに示されるように、雪の天候におけるほとんど全ての点は、200以上のエコーノイズを有し、雪のノイズポイントは、エコーノイズの係数により実質的に判定できる。
【0064】
本開示の一実施形態によれば、ノイズと距離の組合せを用いて天候状態が雪であるか否かを識別し判定することができる。例えば、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きく、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内であると、天候状態は雪である、または、その点は雪の天候状態により生じたノイズポイントであると判断される。
【0065】
本開示の一実施形態によれば、ノイズと連続性の組合せを用いて天候状態が雪であるか否かを識別し判定することができる。例えば、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きく、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であると、天候状態は雪である、または、その点は雪の天候状態により生じたノイズポイントであると判断される。
【0066】
本開示の一実施形態によれば、ノイズと距離と連続性の組合せを用いて天候状態が雪であるか否かを識別し判定することができる。例えば、その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きく、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内であり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であると、天候状態は雪である、または、その点は雪の天候状態により生じたノイズポイントであると判断される。
【0067】
本開示の一実施形態によれば、ノイズと距離とエコーパルス数の組合せを用いて天候状態が雪であるか否かを識別し判定することができる。その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きく、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内であり、エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、天候状態は雪である、または、その点は雪の天候状態により生じたノイズポイントであると判断される。
【0068】
本開示の一実施形態によれば、ノイズと距離と連続性とエコーパルス数の組合せを用いて天候状態が雪であるか否かを識別し判定することができる。その点のノイズがノイズ閾値(例えば200)より大きく、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内であり、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲(例えば1m)外であり、エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きいと、天候状態は雪である、または、その点は雪の天候状態により生じたノイズポイントであると判断される。
【0069】
本開示の一実施形態によれば、エコーパルス数と距離との組合せを用いて天候状態が雨または霧であるか否かを識別し判定することができる。エコーパルス数がパルス数閾値(例えば7)より大きく、距離が所定の距離範囲(例えば、5―10mあるいは5―7m)内であると、天候状態は雨または霧である、または、その点は雨または霧の天候状態により生じたノイズポイントであると判断される。上記の実施形態で列挙したように、距離、反射率、連続性、ノイズおよびパルス数などの種々のパラメータ、並びにそれらの種々の組合せを用いて、ノイズポイントや具体的な天候状態を判断することができる。本開示の一実施形態によれば、点のノイズポイント信頼度を算定することも可能であり、ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であると、その点はノイズポイントであると判定される。
【0070】
上記の種々の組合せ例について、対応するノイズ信頼度を算定してもよく、その算定方法を以下にあくまで例示する。
【0071】
例えばノイズポイントを識別し判定するのに距離と反射率の組合せが用いられる実施形態では、表1に示される算定方法が用いられる。
【0072】
【0073】
例えば、上記の特徴数量のそれぞれについて、特徴数量の判断条件が満たされると、特徴数量によりもたらされる寄与係数または信頼度係数は0であり、そうでなければ、特徴数量によりもたらされる寄与係数または信頼度係数は特徴数量の重みである。最後に、全信頼度が標準信頼度範囲外であると判断されると、それはノイズポイントであると判定される。例えば、ある点とレーザー・レーダ間の距離が12mとすると、距離判定関数は満たされず、距離係数は10であり、反射率が3%であると、反射率の判断条件は満たされず、反射率係数は5である。ノイズポイント信頼度は距離係数と反射率係数の合計に等しく、すなわち10+5=15である。標準信頼度範囲は、経験および/または特定の天候あるいは環境状態によって設定されてもよい。一実施の形態によれば、標準信頼度範囲は10以上である。信頼度が10以上であるとき、その点は標準ポイントであることを示唆し、信頼度がその範囲外、すなわち10未満であると、その点がノイズポイントであることを示唆する。本開示の一実施の形態によれば、表1に示されるように、距離の重み(第1重み)は反射率の重み(第2重み)より大きい。
【0074】
上記の特徴数量と、10という標準信頼度範囲のそれぞれの重みは本開示の実施形態に過ぎないことに注意すべきであり、特徴数量と標準信頼度範囲のそれぞれの重みは必要により変更され得る。標準信頼度範囲の端点の値は、信頼度閾値として参照され、例えば10である。
【0075】
表2は、ノイズポイント信頼度を算定するのに、距離、反射率及び連続性の組合せを用いることによりノイズポイントを識別し判定する方法を示す。
【0076】
【0077】
例えば、点のノイズポイント信頼度の算定は次のように行う:
距離が所定の距離範囲内のときは距離係数はゼロ、他の場合は距離係数は第1重み(すなわち、距離の重み);反射率が所定の反射率閾値以下のときは反射率係数はゼロ、他の場合は反射率係数は第2重み(すなわち、反射率の重み);そして、連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外のときは連続性係数はゼロ、他の場合は連続性係数は第3重み(すなわち、連続性の重み)。ノイズポイント信頼度は、距離係数、反射率係数および連続性係数の和に等しい。
【0078】
表3は、ノイズポイント信頼度を算定するのに、距離、反射率、連続性、ノイズ及びエコーパルス数の組合せを用いることによりノイズポイントを識別し判定する方法を示す。
【0079】
【0080】
例えば、点のノイズポイント信頼度の算定は次のように行う:
距離が所定の距離範囲内のときは距離係数はゼロ、他の場合は距離係数は第1重み(すなわち、距離の重み);反射率が所定の反射率閾値以下のときは反射率係数はゼロ、他の場合は反射率係数は第2重み(すなわち、反射率の重み);連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外のときは連続性係数はゼロ、他の場合は連続性係数は第3重み(すなわち、連続性の重み);ノイズがノイズ閾値より大きいときはノイズ係数はゼロ、他の場合はノイズ係数は第4重み(すなわち、ノイズの重み);そして、エコーパルス数がパルス数閾値より大きいときはエコーパルス数係数はゼロ、他の場合はエコーパルス数係数は第5重み(すなわち、エコーパルス数の重み)。ノイズポイント信頼度は、距離係数、反射率係数、連続性係数、ノイズ係数及びエコーパルス数係数の和に等しい。
【0081】
本開示の好適な実施形態によれば、第1重み、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みは、以下の条件の1つまたは複数を満足する:
第1重みは、第2重みと第3重みの和に等しい;
第2重みは、第3重みに等しい;
第1重みは、信頼度閾値に等しい;
第4重みと第5重みの和は、第2重みおよび/または第3重みに等しい;
第1重みは、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みより大きい。
【0082】
本開示の好適な実施形態によれば、第1重み、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みは、重みのそれぞれの絶対値およびそれらの間の相対的比例関係を含め、検出された天候状態により動的に調整されてもよい。
【0083】
例えば、雪の天候により生じたノイズポイントのエコーノイズは相対的に大きく、点群中の雪の天候により生じたほとんど全てのノイズポイントは200以上のエコーノイズを有する。さらに、雪の天候により生じたノイズポイントの反射率値は、相対的に大きいであろうし、反射率を通じて雪の天候により生じたノイズポイントを判定することは難しい。したがって、反射率の重みは、雪の天候では適切に減少されるべきである。したがって、雪が検出されたときは、第2重み(反射率)は動的に減少されてもよく、第4重み(エコーノイズ)が増加されてもよい。
【0084】
さらに、霧の天候が検出されたときは、第5重みが増加されてもよい。
【0085】
本開示のノイズポイント同定方法(連続性+反射率)をFPGAで用いて、レーザー・レーダの点群での処理のノイズ除去を実行する。結果として、雨天で生成されるノイズポイントは非常に効果的に除去できることが分かった。除去により失われる標準ポイントの割合は、1/144であり、それは完全に許容範囲内である。
【0086】
種々のパラメータの閾値と重み値、および上記の実施形態の重み間の比例関係は、経験と非常に多くの実験とにより発明者により判断されたものに過ぎない。それらは、本開示の好適な実施形態であって、本開示の保護範囲を限定するのに用いてはならない。
【0087】
[第2の態様]
本開示の第2の態様は、レーザー・レーダ・システム300に関連する。以下に
図5を参照して詳細に説明する。
【0088】
図5に示されるように、レーザー・レーダ・システム300は、レーザー・レーダ301、ノイズ除去ユニット302および出力ユニット303を備える。レーザー・レーダ301は、例えば、
図1に示すレーザー・レーダ100のような、既存のレーザー・レーダであってもよい。それは、周囲環境をスキャンし点群のデータを生成するようになされ、その詳細な構造は詳細には説明しない。ノイズ除去ユニット302は、レーザー・レーダ301に接続され、点群を受信する。ノイズ除去ユニット302は、本開示の第1の態様で説明されたノイズポイント同定方法200を実行して、点群の点がノイズポイントであるか否かを判定して、点群のノイズポイントを除去するようになされる。出力ユニット303は、ノイズ除去ユニット302に接続され、点群を出力する。図示のノイズ除去ユニット302から出力ユニット303への情報の流れは、一方向である。本開示はそれには限定されず、その2つの間で双方向の情報の流れがあってもよい。
【0089】
図5に示されるレーザー・レーダ301、ノイズ除去ユニット302および出力ユニット303は、3つの別々のニットであるが、図解のためだけである。ノイズ除去ユニット302と出力ユニット303との両方がレーザー・レーダ301と一体にされてもよい。例えば、ノイズ除去ユニット302が既存のレーザー・レーダ301に加えられて点群のデータを受信し、ノイズポイント同定方法200によりノイズポイントが判定されて除去され、そしてノイズポイントを除去した後の点群が出力ユニット303、すなわち出力インターフェースを介して出力され、ユーザに示される。当然ながら、レーザー・レーダ301、ノイズ除去ユニット302および出力ユニット303は別々のユニットであってもよい。例えば、レーザー・レーダ301は、レーザー光により周囲環境を検知し、もとの点群を出力するだけである。ノイズ除去ユニット302と出力ユニット303は、例えば、データ処理をするコンピュータ、ワークステーション、あるいは特定用途向け集積回路(ASIC)であってもよい。点群データを受信した後、それらは、ノイズポイントについて、識別、除去および出力作業を実行する。これらは全て、本開示の保護の範囲内である。
【0090】
図6は本開示による好適な一実施形態を示す。レーザー・レーダ・システム300は、コントロールユニット304をさらに備える。コントロールユニット304は、ノイズ除去ユニット302に接続され、ノイズ除去ユニット302を作動させ、または、停止させる。作動状態において、ノイズ除去ユニット302は、点群中のノイズポイントを除去し、出力ユニット303は、ノイズポイントを除去後の点群を出力し、停止モードにおいては、ノイズ除去ユニット302は停止され、出力ユニット303は、ノイズポイントを除去せず点群を出力する。好ましくは、コントロールユニット304は、レーザー・レーダ301と出力ユニット303とに接続される。
【0091】
本開示による好適な一実施形態によれば、ノイズ除去ユニット302はデフォルト設定でスイッチが入れられる。
【0092】
本開示による好適な一実施形態によれば、ノイズ除去ユニット302はデフォルト設定でスイッチが切られ、特定の状況でスイッチが入れられる。例えば、雪または霧が検出されると、コントロールユニット304は、ノイズ除去ユニット302を作動させる。これは、雨、雪または霧の天候状態では、空気中に大量の液体または固体の水があり、異常なレーダー反射を生じがちであり、したがって点群に多数のノイズポイントを生成するからである。
【0093】
本開示による好適な一実施形態によれば、例えば、ノイズポイント数が所定の閾値を超えると、コントロールユニット304は、雨、雪または霧が検出されたと判断する。例えば、コントロールユニット304またはノイズ除去ユニット302にカウンタが設置されて、現在検出された点群のノイズポイント数をカウントする。カウントされた値が所定の閾値を超えると、現在の天候状態は雨、雪または霧であると判断されてもよい。よって、ノイズ除去ユニット302はスイッチが入れられるようになされる。
【0094】
好ましくは、レーザー・レーダ・システム300はまた、光学センサーや容量センサーなどのような降雨センサーを含んでもよい。雨、雪または霧の天候状態が検出されると、降雨センサーの出力信号がノイズ除去ユニット302を発動させて、スイッチを入れる。光学センサーを例にとると、発光ダイオードと透明なウィンドウを備える。降雨がないと、発光ダイオードから放射された光のほとんど全てが受光素子上で反射される。降雨があると、例えば、雨、雪または霧の天候状態で、水滴または水蒸気が透明なウィンドウ上に付き、発光ダイオードから放射された光の一部は屈折され、受光素子により受け取られる光の総量を変化させる。よって、雨、雪または霧の天候状態が検出されたことが判断され、その後ノイズ除去ユニット302が起動される。
【0095】
本開示による好適な一実施形態によれば、前述のパラメータのいくつかによって、雨、雪または霧の天候を判定し、ノイズ除去ユニット302をスイッチを入れるように起動することもまた可能である。例えば、点群の天の反射率がある閾値より高いと、雪であると判断されてもよく、この時、ノイズ除去ユニット302はスイッチが入るように起動される。さらに、点群の点のエコーパルス数がある閾値を超えると、霧であると判断されてもよく、この時、ノイズ除去ユニット302はスイッチが入るように起動される。
【0096】
図6に示されるように、本開示による好適な一実施形態によれば、レーザー・レーダ・システム300は、ユーザの入力を受け取る入力ユニット305をさらに備える。コントロールユニット304は、ユーザの入力によりノイズ除去ユニット302を作動させ、または停止させる。これの利点は、ユーザがノイズ除去ユニット302を有効にするか否か、および、ノイズポイントの除去動作を実行するか否かを決定できることである。
【0097】
図7は、本開示の別の実施形態によるレーザー・レーダ・システム400を示す。
図7に示されるように、レーザー・レーダ・システム400は、レーザー・レーダ401、信頼度算定ユニット402および出力ユニット403を備える。レーザー・レーダ401は、周囲環境をスキャンできて点群を生成するように構成され、その具体的な構成は詳細には説明しない。信頼度算定ユニット402は、レーザー・レーダ401に接続され点群を受信し、少なくとも、その点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つとその点とレーザー・レーダ間の距離により、点群の点のノイズポイント信頼度を算定するようになされる。出力ユニット403は、レーザー・レーダ401と信頼度算定ユニット402に接続され、点群と点群の点のノイズポイント信頼度を出力する。
【0098】
ノイズポイント信頼度の算定方法に関して、それは、本開示の第1の態様で説明したものと類似している。算定は、距離、反射率、連続性、ノイズおよびエコーパルス数の5つの特徴数量の1つまたは複数の組合せにより実行されてもよい。ここでは、一例のみを提供し、その他は重複して繰り返さない。例えば、点群の点のノイズポイント信頼度は、その点とレーザー・レーダ間の距離、その点の反射率、その点の連続性パラメータ、その点のノイズおよびその点のパルス数係数により算定される。例えば、具体的な算定は以下を備える:
距離が所定の距離範囲内であると距離係数はゼロで、他の場合には距離係数は第1重みである;
反射率が所定の反射率閾値以下であると反射率係数はゼロであり、他の場合には反射率係数はは第2重みである;
連続性パラメータが標準連続性パラメータ範囲外であると連続性係数はゼロであり、他の場合には連続性係数は第3重みである;
ノイズがノイズ閾値より大きいとノイズ係数はゼロであり、他の場合にはノイズ係数は第4重みである;
パルス数がパルス数閾値より大きいとパルス数係数はゼロであり、他の場合にはパルス数係数は第5重みである; および
ノイズポイント信頼度は、距離係数、反射率係数、連続性係数、ノイズ係数およびパルス数係数の和に等しい。
【0099】
好ましくは、第1重みは、第2重み、第3重み、第4重みおよび第5重みより大きい。
【0100】
図5および
図6に示されるレーザー・レーダ・システム300と同様に、
図7のレーザー・レーダ・システム400においても、信頼度算定ユニット402と出力ユニット403はレーザー・レーダ401と一体にされてもよく、あるいは3つが別々のユニットとして実装されてもよい。これら全ては、本開示の保護範囲内である。
【0101】
本実施形態の技術的解決法で、点群を出力する一方、点群の点のノイズ信頼度もまた同時にユーザに提供され得る。具体的な実施では、1つまたは複数のビットがレーザー・レーダの点群データに加えられてもよく、信頼度情報はビットで満たされてもよい。信頼度情報は、顧客に提供され、ユーザに参考を与え、信頼度情報により、レーダー点群画像を最適化し、またはノイズポイントを除去するかが、顧客により決定される。
【0102】
図8に示されるように、本開示の好適な実施形態によれば、レーザー・レーダ・システム400は、ユーザの入力を受け取る入力ユニット404をさらに備え、入力ユニット404は、ユーザの入力により、出力ユニットが点群のノイズポイントを除去するか否かを示してもよい。例えば、ユーザが出力点群には多くのノイズポイントがあると考え(たとえば、雨、雪または入りの天候のとき)、ノイズポイントが除去される必要があると考えると、ユーザは、入力ユニット404により出力ユニット403にノイズポイントを除去し、その後に点群を出力するように指示できる。出力ユニット403がノイズポイントを除去するように指示を受けた後、点群の点のノイズポイント信頼度により、ノイズポイント信頼度が標準信頼度範囲外であると、その点はノイズポイントであると判断され、消去される。よって、出力点群には、ノイズポイントが含まれない、または、可能な限り少ないノイズポイントしか含まれない。
【0103】
[第3の態様]
本開示の第3の態様は、レーザー・レーダに使用可能なノイズポイント識別装置500にさらに関連する。
図9に示されるように、ノイズポイント識別装置500は、レーザー・レーダで取得された点群を受信するようになされた受信ユニット501と、点群の点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つおよびその点とレーザー・レーダ間の距離を取得するようになされたユニット502と、少なくとも反射率と連続性パラメータの少なくとも1つおよび距離によりその点がノイズポイントであるか否かを判定するようになされた判定ユニット503とを備える。
【0104】
本開示の第3の態様は、
図10に示されるように、コンピュータプログラム製品600のブロック図にさらに関連する。信号伝達媒体602は、コンピュータ可読媒体606、コンピュータ記録媒体608、コンピュータ通信媒体610またはそれらの組合せとして実装され、または、備え、それらは、前に説明したプロセスの全てまたはいくつかをプロセッサで実行するようになされたプログラム命令604を記憶する。これらの命令は、例えば、1つまたは複数のプロセッサに次のプロセスを実行させる1つまたは複数の実行可能命令を含んでもよい:
S201:レーザー・レーダにより取得された点群を受信する;
S202:点群の点の反射率と連続性パラメータの少なくとも1つおよびその点とレーザー・レーダ間の距離を取得する;および
S203:少なくとも反射率と連続性パラメータの少なくとも1つおよび距離により、その点がノイズポイントであるか否かを判定する。
【0105】
本書で記載されたフローチャートその他のプロセスまたは方法の説明は、特定の論理的作用またはプロセスを実行するステップを実行可能な命令のコードの1つまたは複数のモジュール、セグメントまたは一部を表すものと理解され、本書の好適な実施形態の範囲は、本書で示され説明された順序に従っていない他の実施の含み、実質的に同時の手法でまたは作用により逆の順序で取り込まれる作用を実行することを含む。このことは、本開示の実施形態の技術分野における当業者には理解されるはずである。フローチャートで示されたまたは本書で他に説明された論理および/またはステップは、例えば、論理的作用を実行するための実行可能な命令のシーケンス・リストであると見なされてもよく、命令実行システム、装置またはデバイス(コンピュータベースシステム、命令実行システム、装置またはデバイスからの命令を解読し実行するプロセッサや他のシステムを備えるシステム、などのような)により使用され、または、これらの命令実行システムの組合せで使用されるためのコンピュータ可読媒体に具体的に実装されていてもよい。説明の用語において、「コンピュータ可読媒体」は、命令実行システム、装置またはデバイスにより使用される、あるいは、これらのシステム、装置またはデバイスの組合せで使用されるプログラムを含む、記憶する、通信する、伝播する、あるいは伝送するいかなる装置であってもよい。コンピュータ可読媒体のより具体的な例(例示列挙)は、以下を含む:1つまたは複数の配線を有する電気接続部分(電子装置)、携帯コンピュータ・エンクロージャ(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的にプログラム可能なリードオンリーメモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ装置、およびシーディーROM(CDROM)。
【0106】
さらに、コンピュータ可読媒体は、プログラムが印刷された紙または他の適切な媒体であってもよい。このことは、プログラムは、例えば、紙または他の媒体を光学的にスキャンし、その後編集し、解釈し、または、必要に応じて他の適切なやり方で処理し、その後にそれらがコンピュータメモリに記憶されることにより、電子的に入手できるからである。本開示の各部分はハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの組合せにより実行されることが理解されるべきである。
【0107】
上記で説明した実施形態では、複数のステップまたは方法が、メモリに記憶されたソフトウェアまたはファームウェアにより実行され、適切な命令実行システムにより実行され得る。例えば、ハードウェアにより実行されると、当該分野で公知の以下の技術またはそれらの組合せのいずれかを用いて、別の実施形態における場合のように、実行する:データ信号に対する論理的作用を実行する論理ゲート回路を伴う離散論理回路、適切な組み合わせ論理回路を伴う特定用途集積回路、プログラマブル・ゲート・アレイ(PGA)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、等。
【0108】
さらに、本書の実施形態の解決法は、上記の実施形態で述べられたようにメカニカル・レーザー・レーダに適用可能なだけではなく、他のタイプのレーザー・レーダにも適用可能であり、例えば、ガルバノメータ・スキャニング・レーザー・レーダ、回転ミラー・スキャニング・レーザー・レーダ、フラッシュ・スキャニング・レーザー・レーダおよびフェーズドアレイ・スキャニング・レーザー・レーダを含むピュアソリッドステート・レーザー・レーダなどにも適用可能である。本発明は、適用可能なレーザー・レーダのタイプにいかなる限定もしない。最後に、これまでに記載した内容は、本開示の好適な実施形態に過ぎず、本開示を限定するのに用いるものではない。本開示の詳細な説明は、前述の実施形態を参照して提供されたが、当業者は上記の実施形態で説明された技術的解法に修正をし、そこの技術的特徴のいくつかの均等置換を行うことができるであろう。本開示の思想と原理内でなされたいかなる修正、均等置換、改良等は本開示の保護範囲内に含まれる。
【国際調査報告】