(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】石膏ボード用混和剤の製造方法及びそれによる混和剤、それを含む石膏ボード形成用組成物
(51)【国際特許分類】
C04B 24/22 20060101AFI20220819BHJP
C04B 24/16 20060101ALI20220819BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20220819BHJP
C04B 28/16 20060101ALI20220819BHJP
C08F 8/36 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
C04B24/22 Z
C04B24/22 E
C04B24/16
C04B24/26 G
C04B24/26 E
C04B28/16
C08F8/36
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572371
(86)(22)【出願日】2020-05-11
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 KR2020006140
(87)【国際公開番号】W WO2020246718
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0066363
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011517
(32)【優先日】2020-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521530853
【氏名又は名称】シルクロード シーアンドティー
【氏名又は名称原語表記】SILKROAD C&T
【住所又は居所原語表記】9F,308,Gangnam-daero,Gangnam-gu,Seoul 06253,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】チュ、ヨン ギル
(72)【発明者】
【氏名】キム、デ ジン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ミン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュ ファン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、チョル ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、グァン ヨン
【テーマコード(参考)】
4G112
4J100
【Fターム(参考)】
4G112MD01
4G112MD07
4G112PB24
4G112PB31
4J100AB02P
4J100CA01
4J100CA31
4J100HA61
4J100HC71
4J100HE07
4J100HE14
4J100JA67
(57)【要約】
石膏ボード用混和剤の製造方法及びそれによる石膏ボード用混和剤、それを含む石膏ボード形成用組成物に関する。スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を提供し、SPS系化合物のDS(degree of sulfonation)を調節して石膏ボードの気泡サイズ、流動性、凝結時間などの物性調節を可能にする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリスチレン及び硫酸とスルホン化反応して、下記化学式1:
【化1】
(上記化学式1で、
R
1及びR
2は水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、ニトロ基、C
1-C
20アルキル基、C
2-C
20アルケニル基、C
2-C
20アルキニル基、C
1-C
20アルコキシ基、C
3-C
10シクロアルキル基、C
6-C
20アリール基、C
1-C
20ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
a
1は1乃至5のうちから選択された整数であり、
a
2は1乃至4のうちから選択された整数であり、
M
+はH
+、Li
+、Na
+、K
+又はNH
4
+であり、
xは5乃至50,000の中から選択された整数であり、
yは0乃至50,000の中から選択された整数である)
で表されるスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含む
ことを特徴とする石膏ボード用混和剤の製造方法。
【請求項2】
前記スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物のDS(degree of sulfonation)は15乃至99%である
請求項1に記載の石膏ボード用混和剤の製造方法。
【請求項3】
前記スルホン化はモノマースチレンスルホン酸を含めて重合する方法で進められるものである
請求項1に記載の石膏ボード用混和剤の製造方法。
【請求項4】
前記スルホン化はポリスチレンにスルホン化する方法で進められるものである
請求項1に記載の石膏ボード用混和剤の製造方法。
【請求項5】
前記スルホン化反応でスルホン化剤として酢酸無水物、硫酸、 発煙硫酸、三酸化硫黄から選択された少なくともいずれか1つ以上をさらに含む
請求項1に記載の石膏ボード用混和剤の製造方法。
【請求項6】
前記ポリスチレンの重量平均分子量は10,000乃至800,000である
請求項1に記載の石膏ボード用混和剤の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法によって製造された
ことを特徴とする石膏ボード用混和剤。
【請求項8】
水100重量部に対して、混和剤は1乃至60重量部を含むものである
請求項7に記載の石膏ボード用混和剤。
【請求項9】
前記石膏ボード用混和剤に石膏、硬化剤、軽量化剤及び水を含む
請求項7に記載の石膏ボード形成用組成物。
【請求項10】
前記混和剤はポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物をさらに含む
請求項9に記載の石膏ボード形成用組成物。
【請求項11】
スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物及びポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物の重量比は10:90乃至90:10である
請求項9に記載の石膏ボード形成用組成物。
【請求項12】
請求項9ないし11のいずれかに記載の石膏ボード形成用組成物を用いた
ことを特徴とする石膏ボード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏ボード用混和剤の製造方法及びそれによる石膏ボード用混和剤、それを含む石膏ボード形成用組成物に関する。
【0002】
詳しくは、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含む石膏ボード用混和剤を提供し、特に、SPS系化合物のDS(degree of sulfonation)を調節して石膏ボードの気泡サイズ、流動性、凝結時間などの物性調節が可能な技術を提供する。
【背景技術】
【0003】
石膏ボードは主に建築用内装材料として、放火性、遮音性、断熱性に優れた特性を有し、また、安価であるため広く使用されている。石膏ボードとしては普通ボード、硬質石膏ボード、強化石膏ボード、化粧石膏ボードなどの種類があり、各々の石膏ボードの要求特性によって、添加剤の種類、組み合わせ量、強化剤の添加などが異なる場合がある。
【0004】
かかる多様な種類の石膏ボードは一般に石膏を水と混合したものを原紙に流し込み、厚さと幅を調整した後、硬化、切断、乾燥させて製造され得る。この時、添加剤として石膏を水に分散させるための分散剤として混和剤が用いられ得るが、これは水の使用量を減らすことができ、石膏ボードの製造時に乾燥の効率を高めるため、生産性を高めることができる。
【0005】
一方、石膏スラリーに対する分散剤の添加は発泡する泡とその泡の残す孔隙の大きさ分布を変化させ得ることが知られている。また、分散剤らは石膏スラリーの硬化を遅延させる場合があり、さらにはウォールボードなどの石膏製品の高速生産を阻害し得る。よって、流動性を向上させるために分散剤の添加量を増加させると、硬化時間が増加する問題があり、ウォールボードがカッティングナイフ(cutting knife)で十分に硬化されなかった場合は製品の形が固定されず、カットした後のボードの扱いに困難を伴う場合ある。したがって、ボードを硬化させその形を維持するためにライン速度の減少が必要である。このように、分散剤又は混和剤の化学性質、泡の大きさ、スラリー流動性の間の複雑な関係から硬化時間の遅延なしに泡の大きさの分布及び流動性をいずれも満足する石膏スラリーを製造することは依然として解決すべき課題である。
【0006】
特許文献1では、スラリー流動性と適当な泡の大きさの分布を提供する分散剤について開示しているが、分散剤としてPCE系単独では所望の気泡が形成されないため、PCE系とPNS系の混和剤を別々にミキサに投入して使用することを開示する。しかし、混和剤の投入前に予めPCEとPNSを混合して使用することはゲルが形成される問題点が存在し、多少限界がある。
【0007】
よって、石膏ボードの気泡サイズ、混和剤の流動性、凝結時間などの物性を容易に制御でき、従来の問題点を解消できる混和剤材料に対する開発が依然として活発に進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】大韓民国公開特許第10-2008-7001092号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系石膏ボード用混和剤を提供して混和剤の物性を向上させることにある。
【0010】
特に、SPS系化合物のDS(degree of sulfonation)を調節してPNS系混和剤に比べて流動性(flow)を向上させ凝結時間を短縮させながらも、同じ大きさの気泡の形成が可能であることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施例によれば、ポリスチレン及び硫酸とスルホン化反応して、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含む石膏ボード用混和剤の製造方法が提供される。
【0012】
本発明の一実施例によれば、上記スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物のDS(degree of sulfonation)は15乃至99%であるものが提供される。
【0013】
上記スルホン化はモノマースチレンスルホン酸を活用して重合する方法で進められてもよいし、高分子のポリスチレンにスルホン化剤を直接スルホン化する方法で進められてもよい。
【0014】
本発明の一実施例によれば、上記スルホン化反応で溶媒はプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、ジブロモメタン及びジクロロベンゼンから選択される少なくとも1つ以上が提供される。
【0015】
本発明の一実施例によれば、上記スルホン化反応でスルホン化剤として酢酸無水物、硫酸、発煙硫酸(fuming sulfuric acid)及び三酸化硫黄から選択された少なくともいずれか1つ以上が提供される。
【0016】
本発明の一実施例によれば、上記ポリスチレンの重量平均分子量は10,000乃至800,000が提供される。
【0017】
本発明の一実施例によれば、上記製造方法によって製造された石膏ボード用混和剤が提供される。
【0018】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード用混和剤に石膏、硬化剤、軽量化剤及び水を含む石膏ボード形成用組成物が提供される。
【0019】
本発明の一実施例によれば、上記石膏は半水石膏(CaSO4・1/2H2O)であり得る。
【0020】
この場合、上記石膏ボード形成用組成物は石膏100重量部に対して、石膏ボード用混和剤0.1乃至2重量部、硬化剤0.1乃至1重量部、軽量化剤0.01乃至1重量部及び水60乃至150重量部が提供される。
【0021】
この場合、上記石膏ボード用混和剤はポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物をさらに含むことができる。また、上記スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物及びポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物の重量比は10:90乃至90:10であるものが提供される。
【0022】
本発明の一実施例によれば、上記硬化剤は硫酸カリウム(K2SO4)及び硫酸ナトリウム(Na2SO4)のうち少なくとも1つ以上を含むことができる。
【0023】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード形成用組成物は硬化遅延剤をさらに含むことができる。
【0024】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード形成用組成物を用いた石膏ボードが提供される。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるSPS系混和剤を含んで石膏ボードを製造するとき、SPS系スルホン化の程度(DS)によって石膏ボードの製造時、流動性及び凝結時間を調節できる。
【0026】
本発明によるSPS系混和剤を含んで石膏ボードを製造するとき、 SPS系提供されるポリスチレンの重量平均分子量(Mw)による流動性、凝結時間に加えて気泡の大きさも調節できる効果を提供する。
【0027】
したがって、従来のPNS系混和剤に比べて、物性が向上した混和剤を提供する効果がある。
【0028】
本発明の石膏ボード形成用組成物を利用して、石膏ボードの製造工程時、凝結時間が短縮されて費用が節減されるとともに物性が向上した良質の石膏ボードを製造できる。
【0029】
また、追加の工程又は添加剤なしでも、SPS系化合物の分子量を調節することによって用途に合った多様な重量の石膏ボードを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明によるスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)化合物でポリスチレンにスルホン酸基(sulfonic group)が合成されたか否かを測定したFT-IRの結果値を示す。
【
図2】スルホン化反応をしなかったポリスチレンのFT-IR結果値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための具体的な内容及び可能な具現例を説明する。ただし、下記に具体的に明示していない構成に関しては、本発明の目的に反しない限り、該当分野に知られている内容が適用され得る。
【0032】
本明細書で、ある層又は部材が他の層又は部材と「上に」位置するとした場合、これはある層又は部材が他の層又は部材に接している場合だけでなく、2つの層又は2つの部材の間に他の異なる層又は他の異なる部材が存在する場合を含む。
【0033】
また、本明細書である部分が他の構成要素を「含む」とした場合、これは特に相反する記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0034】
本明細書で「分子量」は別途定義されない限り、「重量平均分子量(Weight Average Molecular Weight、Mw)」を意味する。
【0035】
[置換基の一般的な定義]
【0036】
本明細書におけるC1-C20アルキル基は、炭素数1乃至20の線状又は分枝状脂肪族炭化水素一価(monovalent)基を意味し、具体的な例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、ter-ブチル基、ペンチル基、iso-アミル基、ヘキシル基などが含まれる。
【0037】
本明細書におけるC2-C20アルケニル基は、上記C2-C20アルキル基の中間または末端に1つ以上の炭素二重結合を含む炭化水素基を意味し、その具体的な例には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基などが含まれる。本明細書におけるC2-C20アルキニル基は、上記C2-C20アルキル基の中間または末端に1つ以上の炭素三重結合を含む炭化水素基を意味し、その具体的な例には、エチニル基、プロピニル基などが含まれる。
【0038】
本明細書におけるC1-C20アルコキシ基は、-OA101(ここで、A101は、上記C1-C20アルキル基である)の化学式を有する一価基を意味し、その具体的な例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロピルオキシ基などが含まれる。
【0039】
本明細書におけるC3-C10シクロアルキル基は、炭素数3乃至10の一価飽和炭化水素単環式基を意味し、その具体例には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが含まれる。本明細書におけるC3-C10シクロアルキレン基は、C3-C10シクロアルキル基と同一構造を有する二価基を意味する。
【0040】
本明細書におけるC6-C20アリール基は、炭素数6乃至20の炭素環式芳香族系を有する一価(monovalent)基を意味する。上記C6-C20アリール基の具体例には、フェニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、クリセニル基、フルオレニル基などが含まれる。
【0041】
本明細書におけるC1-C20ヘテロアリール基は、N、O、Si、P及びSのうちから選択された少なくとも1つのヘテロ原子を環形成原子として含み、炭素数1乃至20の複素環式芳香族系を有する一価基を意味する。上記C1-C60ヘテロアリール基の具体例には、ピリジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、カルバゾリル基などが含まれる。
【0042】
[石膏ボード用混和剤の製造方法及び混和剤]
【0043】
本発明の一実施例によれば、ポリスチレン及び硫酸とスルホン化反応して、下記化学式1で表されるスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含む石膏ボード用混和剤の製造方法が提供される。
【0044】
【0045】
上記化学式1で、
R1及びR2は水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、ニトロ基、C1-C20アルキル基、C2-C20アルケニル基、C2-C20アルキニル基、C1-C20アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C6-C20アリール基、C1-C20ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
a1は1乃至5のうちから選択された整数であり、
a2は1乃至4のうちから選択された整数であり、
M+はH+、Li+、Na+、K+又はNH4
+であり、
xは5乃至50,000の中から選択された整数であり、
yは0乃至50,000の中から選択された整数である。
【0046】
石膏ボードの製造時、分散性である流動性(Flow)値と凝結時間(見掛けの終結)が重要な要素である。
【0047】
流動性が向上すると、スラリーの混合時、石膏の早期固着を防止することができ、設備効率を増加させることができ、最終的には向上した硬化性能を提供できる。
【0048】
凝結時間の場合、凝結又は硬化時間が長引き十分な硬化がなされない場合は最終製品の形が固定されない問題があり、生産にかかる時間も長くなるため経済的ではない。したがって、石膏ボードを生産するとき、流動性が高いと同時に凝結時間は短縮させることが重要である。
【0049】
よって、本発明は上記のような物性を提供するために、ポリスチレン(Polystyrene、PS)系化合物のスルホン化の程度によって、使用される石膏スラリーの流動性及び凝結時間を調節することを目的とする。
【0050】
本発明の一実施例によれば、上記スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物のスルホン化の程度を示すDS(degree of sulfonation)は15乃至99%が提供され得る。好ましくは15乃至95%が提供され得る。上記範囲を15%以下に下げた場合はSPS系化合物が水に分散されない問題点があり、上記99%を超過した場合、流動性で不利かつ凝結時間が長くなる問題点がある。したがって、DSが15乃至99%範囲で石膏スラリーの流動性を向上させ凝結時間を短縮させる効果を提供できる。
【0051】
一方、ポリスチレン(Polystyrene)のスルホン化(Sulfonation)方法は多様であり、大きくは2つの方法がある。
【0052】
第一、モノマーであるポリスチレンスルホン酸(polystyrene sulfonic acid)を活用して重合する方法(Jessica, E., “Sulfonation of Polystyrene: Toward the “Ideal” Polyelextrolyte”. JOURNAL OF POLYMER SCIENCE, PART A: POLYMER CHEMISTRY, 2013, vol51, 11, 2416-2424)がある。
【0053】
第二、高分子であるポリスチレン(Polystyrene)をスルホン化(sulfonation)する方法(Crisriane, R., “Synthesis in Pilot Scale and Physical Properties of Sulfonated Polystyrene”.J. Braz. Chem. Soc., 2003, Vol. 14, No. 5, 797-802)がある。
【0054】
本発明では、上記2つの方法のいずれも採用できる。すなわち、上記スルホン化はモノマースチレンスルホン酸を活用して重合する方法で進めるか、又は高分子のポリスチレンを直接スルホン化剤を使用してスルホン化する方法で進められることを採用できるが、これに限定されない。
【0055】
前者の場合、一実施例として、モノマースチレンスルホン酸を含めて重合する方法が提供され得る。
【0056】
また、後者の場合、一実施例として、ポリスチレンに直接スルホン化する方法の過程は次のように提供される。
【0057】
まず、硫酸アセチル溶液(Acetyl sulfate solution)を準備する過程が提供される。不活性窒素条件下で酸無水物を準備して、硫酸アセチル溶液を製造する。
【0058】
次のステップとして高分子ポリスチレンを有機溶媒に溶解させた後、上記硫酸アセチル溶液を投入してスルホン化されたポリスチレンを製造できる。それに対するメカニズムは下記のとおりである。
【0059】
[メカニズム:Acetyl sulfate solution preparation]
【0060】
【0061】
[メカニズム:Sulfonation reaction]
【0062】
【0063】
本発明の一実施例によれば、上記スルホン化反応で溶媒はプロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、アセトン、ジブロモメタン、ジクロロベンゼンから選択される少なくともいずれか1つ以上が提供され、これに限定されない。
【0064】
本発明の一実施例によれば、上記スルホン化反応のためにスルホン化剤を使用でき、この場合、スルホン化剤として酢酸無水物、硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄から選択された少なくともいずれか1つ以上が提供され得る。また、目的の反応を達成できるスルホン化剤であれば特に限定されず、好ましくは、硫酸及び酢酸無水物を提供してスルホン化反応させることができる。
【0065】
本発明の一実施例によれば、上記ポリスチレンの重量平均分子量は30,000乃至400,000であるものが提供される。
【0066】
好ましくは、ポリスチレンの重量平均分子量は35,000乃至350,000の範囲で提供され、後述する表1及び表2によれば、上記範囲で流動性が向上し凝結時間は短縮されることが確認できる。これにより、現在商用中のPNS系混和剤に比べて、物性が向上した点を確認できる。
【0067】
加えて、表3によれば、重量平均分子量によって気泡サイズも大きくなる場合があるので、必要によっては分子量を調節して、気泡サイズを調節できる。
【0068】
すなわち、本発明では、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物のポリスチレンの重量平均分子量範囲10,000乃至800,000内で、分子量によって石膏ボードの気泡サイズも制御可能である。
【0069】
本発明の一実施例によれば、上記製造方法によって製造された石膏ボード用混和剤が提供される。
【0070】
この場合、上記混和剤は水分散型のものが提供される。水分散は別途の容器に水を入れて攪拌しながら上記活性化段階を経た反応液を徐々に投入して行われる。水の含量は特に限定されないが、作業性などを考慮して、最終製品で水100重量部に対して、混和剤は1乃至60重量部を含む範囲内で自由に添加できる。
【0071】
よって、本発明による混和剤を提供して、従来の混和剤を石膏ボード製造に提供するにおいて、台頭した流動性及び石膏ボード製造時に気泡サイズが小さい問題点を解決できる。
【0072】
したがって、必要によって、SPS系化合物のポリスチレン分子量を調節して気泡サイズを調節できる点から追加の工程や添加剤なしでも、用途に合った多様な重量の石膏ボードを製造できる。
【0073】
[石膏ボード形成用組成物]
【0074】
本発明の石膏ボード形成用組成物は、石膏、混和剤、硬化剤、軽量化剤及び水を含み、上記混和剤はポリスチレン及び硫酸とスルホン化反応して、下記化学式1で表されるスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含む石膏ボード用混和剤を含む。
【0075】
【0076】
上記化学式1で、
R1及びR2は水素、重水素、-F、-Cl、-Br、-I、ヒドロキシル基、ニトロ基、C1-C20アルキル基、C2-C20アルケニル基、C2-C20アルキニル基、C1-C20アルコキシ基、C3-C10シクロアルキル基、C6-C20アリール基、C1-C20ヘテロアリール基、一価非芳香族縮合多環基及び一価非芳香族ヘテロ縮合多環基のうちから選択され、
a1は1乃至5のうちから選択された整数であり、
a2は1乃至4のうちから選択された整数であり、
M+はH+、Li+、Na+、K+又はNH4
+であり、
xは5乃至50,000の中から選択された整数であり、
yは0乃至50,000の中から選択された整数である。
【0077】
本発明の一実施例によれば、石膏ボード形成用組成物に含まれる石膏は半水石膏であり得る。
【0078】
石膏(gypsum)は硫酸カルシウム(CaSO4)を主成分とする非常に柔らかい硫酸塩鉱物を意味する。石膏は結晶の形状によって多種が知られており、そのうち二水石膏(CaSO4・2H2O)を150℃乃至200℃の温度で加熱するか、大気中で水分を吸収させて焼成することによって半水石膏(CaSO4・1/2H2O)が得られる。
【0079】
本発明の一実施例によれば、上記半水石膏は原料石膏を焼成して製造され得る。上記原料石膏としては天然石膏又は脱硫(flue gas desulfurization: FGD)石膏、リン酸石膏(phospho gypsum)、チタン石膏(titanogypsum)、シトロ石膏(citrogypsum)、タタロ石膏(tartarogypsum)、ボロ石膏(borogypsum)、ラクト石膏(lactogypsum)などの化学石膏を使用できる。または、上記原料石膏として廃石膏ボードなどから回収されたリサイクル石膏を使用することもでき、これに限定されない。
【0080】
本発明の一実施例によれば、上記原料石膏の焼成時、酸又はその塩、例えば、クエン酸又はその塩、リンゴ酸又はその塩、コハク酸又はその塩、酒石酸又はその塩などがともに配合され得る。上記酸又は塩がともに配合される場合、生成された半水石膏を用いて石膏ボードを製造したとき、混水量が低減され得る。
【0081】
上記酸又はその塩の配合量は上記原料石膏100重量部に対して0.01重量部乃至10重量部、又は0.1重量部乃至5重量部、又は0.5重量部乃至1重量部であり得る。
【0082】
本発明の一実施例によれば、上記原料石膏の焼成は150℃乃至200℃の温度範囲内で、例えば、160℃乃至180℃の温度で行われ得る。
【0083】
本発明の一実施例によれば、上記原料石膏の焼成は当業界で用いられるケトル(kettle)、ロータリキルン(rotary kiln)などの焼成装置を利用することができ、使用される焼成装置は特に限定されない。
【0084】
本発明の一実施例によれば、上記焼成された半水石膏はボールミル(ball mill)又はチューブミル(tube mill)などの装置を利用して組成物に用いられるに適した形態にさらに粉砕され得る。
【0085】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード形成用組成物は石膏100重量部に対して、石膏ボード用混和剤0.1乃至2重量部、硬化剤0.1乃至1重量部、軽量化剤0.01乃至1重量部及び水60乃至150重量部を含む。
【0086】
上記化学式1で表される 石膏ボード形成用組成物は石膏100重量部に対して、石膏ボード用混和剤0.1乃至2重量部を含むことができ、好ましくは0.1乃至1重量部を含むことができる。
【0087】
また、ポリスチレンの重量平均分子量は10,000乃至800,000の範囲を提供する。上記ポリスチレンの重量平均分子量が前述の範囲を満足するとき、上記石膏ボード形成用組成物の流動性が高く、硬化時間を短縮させる効果及び泡の大きさを調節する効果を提供できる。
【0088】
本発明の一実施例によれば、上記混和剤はスルホン化されたポリスチレン(SPS)系化合物以外にも、ポリナフタレンスルホネート(PNS)系化合物、ポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物、リグニンスルホン酸塩系化合物、アルキルアリールスルホン酸系化合物、ポリオキシエチレン系化合物、アルキルアリールエーテル系化合物、オキシカルボン酸系化合物、ポリカルボン酸系化合物及びアミノスルホン酸系化合物のうちから選択された1種以上の化合物をさらに含むことができる。好ましくは、ポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物をさらに含むことができる。
【0089】
この場合、上記スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物及びポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物の重量比は10:90乃至90:10であるものが提供される。好ましくは40:60乃至60:40であることができ、より好ましくは、45:55乃至55:45であり得る。よって、下記表1及び表2の結果から確認できるように、ポリカルボキシレートエーテル(PCE)系と共に使用して従来のPNS系より流動性及び凝結速度を向上させた石膏ボード形成用組成物を提供できる。
【0090】
本発明の一実施例によれば、石膏ボード形成用組成物は硬化剤を含み、これは石膏と水の水和反応を促進させて、石膏ボードの生産性を高めることができる。
【0091】
本発明の一実施例によれば、上記硬化剤は無機系化合物及び有機系化合物のうち少なくとも1つを含むことができる。
【0092】
上記無機系化合物は塩化カルシウム、塩化カリウムなどの塩化物;亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カルシウムなどの亜硝酸塩;硝酸ナトリウム、硝酸カルシウムなどの硝酸塩;硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アルミニウムなどの硫酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなどのケイ酸塩;水酸化アルミニウム、酸化アルミニウムなどのアルミナ系化合物;のうちから選択された1種以上であり得る。好ましくは硫酸カリウム(K2SO4)又は硫酸ナトリウム(Na2SO4)が提供され得る。
【0093】
また、上記有機系化合物はジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類;ギ酸カルシウム、酢酸カルシウムなどの有機酸のカルシウム塩;及び無水マレイン酸;のうちから選択された1種以上であり得る。
【0094】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード形成用組成物は石膏100重量部に対して、硬化剤0.1乃至1重量部を含む。硬化剤の含量が前述の範囲を満足する場合、上記石膏ボード形成用組成物から製造された石膏ボードの硬化性が増加しながらも、過度な硬化によって石膏ボードが脆性(brittleness)を持たないように制御され得る。
【0095】
本発明の一実施例によれば、石膏ボード形成用組成物は軽量化剤を含む。上記軽量化剤は上記石膏ボード形成用組成物から製造された石膏ボードの密度を制御し、石膏ボード内に気泡を発生させて石膏ボードが軽量化される。
【0096】
本発明の一実施例によれば、上記軽量化剤はサルフェート化合物、パーサルフェート化合物、バイサルフェート化合物、カーボネート化合物、バイカーボネート化合物を含むことができる。
【0097】
例えば、上記軽量化剤はアンモニウムパーサルフェート((NH4)2S2O8)、ソジウムバイカーボネート(NaHCO3)、アンモニウムサルフェート((NH4)2SO4)、又はソジウムバイサルフェートを含むことができる。
【0098】
本発明の他の実施例によれば、上記軽量化剤はアルキルサルフェート化合物、アルキルエーテルサルフェート化合物、アルキルスルホネート化合物、アルキルエーテルスルホネート化合物、アルキルホスフェート化合物、アルキルエーテルホスフェート化合物、アルキルカーボネート化合物及びアルキルエーテルカーボネート化合物などの陰イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0099】
例えば、上記軽量化剤はラウリルスルホネート、イソトリデシルスルホネート、ラウリルサルフェート、イソトリデシルサルフェート又はステアリルサルフェートなどの陰イオン性界面活性剤を含むことができ、これに限定されない。
【0100】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード形成用組成物は石膏100重量部に対して、上記軽量化剤の含量は0.01重量部乃至1重量部であることができ、好ましくは上記硬化剤の含量は0.01重量部乃至0.1重量部が提供される。上記軽量化剤の含量が前述の範囲を満足する場合、上記石膏ボード形成用組成物から製造された石膏ボードが軽量化しながらも、過度な気泡の発生によって石膏ボードの物性が低下しないように制御され得る。本発明の一実施例によれば、石膏ボード形成用組成物は水を含む。上記水は上記半水石膏と水和反応して固い二水石膏を形成する。
【0101】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボード形成用組成物は石膏100重量部に対して、上記水の含量は60重量部乃至150重量部が提供され、好ましくは60重量部乃至80重量部が提供され得る。
【0102】
本発明の一実施例によれば、石膏ボード形成用組成物は、硬化遅延剤をさらに含むことができる。上記硬化遅延剤としては、例えば、グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトンなどのオキシカルボン酸又はそれらのナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウムなどの無機塩類、グルコース、フルクトース、ガラクトース、スクロース、キシロース、アラビノース、リボース、オリゴ糖、デキストランなどの糖類、ホウ酸などを使用できる。上記硬化遅延剤は石膏ボードの製造時、硬化速度を制御するために添加されることができ、これに限定されない。
【0103】
本発明の一実施例によれば、石膏ボード形成用組成物は、強度改善剤をさらに含むことができる。上記強度改善剤としては、例えば、シリカヒューム、フライアッシュなどを使用できる。上記強度改善剤は石膏ボードの物理的特性を補完する役割を行うことができる。
【0104】
上記硬化遅延剤及び強度改善剤の含量はそれぞれ記石膏ボード形成用組成物に対して石膏100重量部に対して、0.1重量部乃至10重量部、例えば0.5重量部乃至5重量部であり得る。
【0105】
[石膏ボード]
【0106】
本発明の一実施例によれば、石膏、上記石膏ボード用混和剤、硬化剤、軽量化剤及び水を含み、前述と同じ化学式1で表されるスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含むものである石膏ボード形成用組成物を用いた石膏ボードが提供される。
【0107】
よって、上記石膏、硬化剤、軽量化剤、スルホン化されたポリスチレン系化合物及び混和剤に関する説明は本明細書の記載を参照できる。
【0108】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボードは外装材シート及び石膏コアに提供され得る。
【0109】
本発明の一実施例によれば、上記石膏ボードが第1外装材シート、上記第1外装材シートと対向する第2外装材シート、及び上記第1外装材シート及び上記第2外装材シートの間に配置された石膏コアを含むことができる。
【0110】
上記各々の外装材シートは紙外装材シート又は繊維質外装材シートであることができ、これに限定されず、当業界に知られているものを制限なく使用できる。
【0111】
したがって、本発明による石膏ボードは製造時の流動性が高く凝結時間が短いため、生産性を向上させることができる。また、上記石膏ボードは上記混和剤の中のスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を含み、製造時に気泡サイズが制御され得る。
【0112】
さらには、流動性、硬化性、硬度などに優れ、加えて従来のPSN系混和剤のみを使用した場合に比べて、環境に優しく人体に無害である。
【0113】
したがって、本発明の石膏ボードは必要によって適切に成形されて建築資材として有用に使用され得る。
【0114】
以下、下記実施例は本発明の範囲を限定することなく本発明を例示する。
【実施例】
【0115】
製造例:SPS系化合物の製造
1)硫酸アセチル溶液の製造
不活性窒素条件下で酢酸無水物を0℃に冷却させ95乃至97%の硫酸を投入した後、室温で透明な溶液になるまで攪拌する。
【0116】
2)スルホン化
フラスコにポリスチレン(Polystyrene)を有機溶媒に溶解させた後、フラスコを40℃に加熱しながら30分の間窒素をパージさせた。次に、上記硫酸アセチル溶液を漏斗を用いて、投入した後、40℃で2時間の間攪拌した。その後、溶液が透明な黄色を帯びると、2-プロパノールを30分の間添加した後、室温で冷却して反応を終結して重合されたスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を収得した。収得した化合物は必要によって、蒸留水で洗浄して分離する。
【0117】
3)SPS系化合物
上記製造例2)で製造したスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物を用いて混和剤を製造した。
【0118】
実験例1:IR測定法(sulfonic groupの合成有無)
上記製造例2)で製造したスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)化合物でポリスチレンにスルホン酸基(sulfonic group)が合成されたか否かはFT-IR測定法を用いて分析した。その結果は
図1に示した。また、この場合、DS値は35%である。比較のために、スルホン化反応をしなかったポリスチレンのFT-IR値は
図2に示した。
【0119】
加えて、スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)化合物のスルホン化の程度(DS)は投入した硫酸アセチル溶液の量から類推できる。より正確な測定方法は、必要によってNMR(Nuclear magnetic resonance) spectroscopyとMALDI-ToF MS(Matrix-assisted laser desorption ionization time-of-flight mass spectrometry)によって測定が可能であり、これについては下記論文でより詳細な内容を確認できる。
【0120】
Longhe Zhang, Bryan, C., “Sulfonation Distribution in Sulfonated Polystyrene Ionomers Measured by MALDI-ToF MS”. ACS Macro Lett, 2013, 2, 217-221.
【0121】
実施例1石膏ボード形成用組成物の製造
実際の石膏ボード生産工場で使用可能な半水石膏100重量部に対して、水70重量部、混和剤0.6重量部、硬化剤(硫酸カリウム)0.2重量部及び軽量化剤(アンモニウムサルフェート)として0.06重量部を添加し、小型ミキサで10秒の間混合を行って実施例1の石膏ボード形成用組成物を製造した。
【0122】
この場合、上記混和剤この場合、スルホン化されたポリスチレン(SPS、溶液)及びポリカルボキシレートエーテル(PCE)系化合物を50:50の重量比で提供した。
【0123】
また、上記スルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)は製造例1によるもので、特に、SPS系化合物を製造するために提供されたポリスチレンの重量平均分子量は10,000である。
【0124】
実施例2乃至6及び比較例1
混和剤として下記表1に記載の重量平均分子量又は化合物(DS)を異ならせて提供したことを除いては、実施例1と同じ方法で実施例2乃至6及び比較例1の石膏ボード形成用組成物を製造した。比較例1での混和剤は石膏ボード生産企業で使用中のポリナフタレンスルホネート(PNS)系を使用しており、この場合、重量平均分子量は10,000である。
【0125】
評価例1:石膏ボード形成用組成物の流動性及び見掛けの終結評価
上記実施例1乃至6及び比較例1で製造された石膏ボード形成用組成物の流動性及び見掛けの終結を下記の方法によって測定した。よって、流動性に対する結果を表1及び
図3に示し、見掛けの終結に対する結果を表2及び
図4に示した。
【0126】
<流動性(Flow)評価>
【0127】
石膏ボード形成用組成物を直径70mm、高さ40mmの円形モールドに注入した後、10秒後脱型したときの広がる直径を測定した。この時、円形の広がったスラリーを60度間隔で3箇所で測定した後、測定データの中の最大値と最小値を足した後、2で割って流動性(Flow)値とした。
【0128】
【0129】
<凝結時間実験>
【0130】
まず、上記石膏ボード形成用組成物を横50mm×縦50mm×高さ50mmのゴムモールドに注ぎ、ショア硬度計(Shore durometer、type D)で硬度を測定して測定値が85になった時の時間を凝結時間(見掛けの終結時間)とした。
【0131】
【0132】
評価例2:石膏ボードの気泡サイズ評価
実施例1乃至6及び比較例1で製造された石膏ボード形成用組成物から石膏ボードを製造し、その断面を顕微鏡(500倍率)で観察して平均気泡サイズを測定し、その結果を表3に示した。
【0133】
【0134】
まず、
図1を参照して、本発明によるスルホン化されたポリスチレン(Sulfonated Polystyrene、SPS)系化合物の場合、DS(degree of sulfonation)は15乃至99%の範囲で提供され得る。
【0135】
流動性を確認するための表1の場合、SPSのDS値が減少するほど流動性は向上することを確認することができ、実施例のDSが15%乃至60%の範囲で比較例に比べて流動性に優れたことを確認できる。特に、DS値が15乃至35%程度で最も優れ、15%以下に下げた場合はSPSが水に分散されないため、それ以下に下げることは困難であることを確認した。
【0136】
凝結時間を確認するための表2の場合、SPSのDS値が減少するほど凝結時間が短縮されることを確認することができ、実施例の場合は比較例に比べて凝結時間が全般的に短縮されることを確認できる。
【0137】
気泡サイズを観察するための表3の場合、実施例1乃至6の組成物から製造された石膏ボードは十分な大きさの気泡サイズが確保され軽量化されることができ、これもポリスチレンの分子量によって気泡サイズの調節が可能であることがわかった。よって、SPS系を混和剤として提供して、従来の問題点である気泡サイズが小さい問題を解消し、従来のPNS系混和剤に比べてより高い軽量化レベルを提供できることを確認できる。
【0138】
したがって、本発明によって石膏ボードを製造するとき、生産性に優れ、従来の混和剤として広く使用されてPNS系混和剤に比べて優れた物性を提供することができ、それを代替できることは無論である。
【0139】
以上のように、本発明は限定された実施例と図面によって説明されたが、本発明は上記の実施例によって限定されるものではなく、これは本発明の属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような記載から多様な修正及び変形が可能である。よって、本発明の思想は下記に記載される特許請求の範囲によってのみ把握され、これの均等又は等価の変形はいずれも本発明の思想の範疇に属する。
【国際調査報告】