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特表2022-537510クリーンルーム用途のためのサポートチェーンを有するラインガイド及びそのためのサポートチェーン
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】クリーンルーム用途のためのサポートチェーンを有するラインガイド及びそのためのサポートチェーン
(51)【国際特許分類】
   F16G 13/16 20060101AFI20220819BHJP
   H02G 11/00 20060101ALI20220819BHJP
   H02G 3/04 20060101ALI20220819BHJP
【FI】
F16G13/16
H02G11/00 060
H02G3/04 075
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573223
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2020066139
(87)【国際公開番号】W WO2020249642
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】202019103269.3
(32)【優先日】2019-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507336499
【氏名又は名称】イグス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクター ハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ヘルマイ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク バルテン
【テーマコード(参考)】
5G357
5G371
【Fターム(参考)】
5G357DD16
5G371BA01
5G371CA02
(57)【要約】
本発明は、2本のラン(8、9)及び方向転換アーク(6)を形成して可動の、特にクリーンルーム用途のためのラインガイド構成(1)に関する。ラインガイド構成(1)は、供給ライン(22;32)のための相互に並行して配置された複数の受容通路(24;34)を有する柔軟なエンクロージャ(10;20;30)と、伸張位置において少なくとも1本の関連する受容通路(24;34)を支持するためにエンクロージャ(10;20;30)と協働する少なくとも1本のサポートチェーン(16;26;36)とを備える。本発明によると、サポートチェーン(16;26;36)は支持面(13;23;33;43)を形成し、その幅は関連する受容通路(24;34)の自由断面の対応する寸法よりも大きい。本発明は、支持面(13;23;33;43)をそれ自体で形成するサポートチェーンにも関し、その幅はサポートチェーン(16;26;36)の対向面から支持面(13;23;33;43)までの距離の少なくとも3倍となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が他方に対して可動の2つの接続位置(2、4)の間のケーブル、ホースなどのような供給ラインの保護された案内のための、特にクリーンルーム用途のためのラインガイド構成(1)であって、
該ラインガイド構成(1)は2本のラン(8、9)及び該ランの間の方向転換アーク(6)によって往復方向に変位可能であり、前記ラインガイド構成(1)は前記ラン(8、9)内ではその長手方向(L)に対して直線位置にあり、前記方向転換アーク内では湾曲した方向転換位置にあり、前記ラインガイド構成(1)は、
-少なくとも1本の各供給ライン(22;32)に対して複数の相互に並置された受容通路(24;34)を有する、供給ライン(22;32)を囲むための柔軟なエンクロージャ(10;20;30)であって、前記受容通路(24;34)は前記長手方向(L)に延在する、エンクロージャ(10;20;30)と、
-前記直線位置において少なくとも1本の関連する受容通路(24;34)の支持のために前記エンクロージャ(10;20;30)と協働する、特に個々のチェーンリンク(18;48)を備える少なくとも1本のサポートチェーン(16;26;36)と、
を含み、
前記サポートチェーン(16;26;36)は支持面(13;23;33;43)を形成し、該支持面の幅は前記関連する受容通路(24;34)の自由断面の対応する寸法よりも大きい、ラインガイド構成(1)。
【請求項2】
特に請求項1に記載のラインガイド構成(1)のためのサポートチェーン(16;26;36)であって、該サポートチェーン(16;26;36)は、
-2本のラン及び該ランの間の方向転換アークの形成によって往復方向に変位可能であり、前記ラン内の前記サポートチェーン(16;26;36)はその長手方向(L)に対して直線位置にあり、前記方向転換アーク内の方向転換位置において延在し、
-前記方向転換位置において、方向転換軸(A)を中心として湾曲され、
-チェーンリンク(18;48)を含み、各2つの連続するチェーンリンク(18;48)は旋回可能に相互接続され、
前記サポートチェーン(16;26;36)は支持面(13;23;33;43)を形成し、該支持面の幅は前記サポートチェーン(16;26;36)の対向面に対する前記支持面(13;23;33;43)までの間隔の少なくとも3倍である、サポートチェーン(16;26;36)。
【請求項3】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、前記直線位置において相互に支持し合う第1の当接面(41)及び前記方向転換位置において相互に支持し合う第2の当接面(42)を有し、前記第1の当接面(41)及び前記第2の当接面(42)はそれぞれ前記長手方向(L)の寸法及び方向転換軸(A)に平行な幅方向(W)の寸法のものであり、
前記第1及び第2の当接面(41、42)の前記幅方向(W)の前記寸法は、前記第1及び第2の当接面(41、42)の前記長手方向(L)の前記寸法よりも大きい、請求項1に記載のラインガイド構成又は請求項2に記載のサポートチェーン。
【請求項4】
前記支持面(13;23;33;43)の幅は、少なくとも2本の関連する受容通路(24;34)、好ましくは少なくとも3本の関連する受容通路(24;34)の前記長手方向(L)に垂直な断面の対応する寸法の合計よりも大きい、請求項1から3のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項5】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、個々の、特に構造的に同一のチェーンリンク(18;48)からなる、請求項1から4のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項6】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、特にプラスチックからなるそれぞれ一体でかつ中実体の形態である、又はモノリシックである複数のチェーンリンク(18;48)を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項7】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、各々がプレート状構成の複数のチェーンリンク(18;48)を有し、かつ/又はそれぞれの前記チェーンリンク(18;48)の幅方向(W)の寸法は前記幅方向(W)に垂直でかつ前記長手方向(L)に垂直な高さ方向(H)のその寸法よりも少なくとも5倍以上大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項8】
前記サポートチェーン(16;26;36)の前記直線位置では、前記方向転換位置において相互に支持し合う第2の当接面(42)の反対側の、チェーンリンク(18;48)の表面領域(48a)が次の隣接チェーンリンク(18;48)の表面と面一であり、前記サポートチェーン(16;26;36)の前記方向転換位置では、前記直線位置において相互に支持し合う第1の当接面(41)の反対側の、前記チェーンリンク(18;48)の更なる表面領域(48b)が次の隣接チェーンリンク(18;48)の表面と面一である、請求項3から7のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項9】
前記支持面(13;23;33;43)は、前記サポートチェーン(16;26;36)のチェーンピッチよりも大きな幅のものである、請求項1から8のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項10】
前記サポートチェーン(16;26;36)の前記チェーンリンク(18;48)は、受容手段とピンの接続によって旋回可能に相互接続され、特に前記ピン(47)における傾斜挿入部(47a)及び前記受容手段(45)における挿入溝(45a)を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項11】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、前記チェーンリンク(18;48)の各々の幅方向(W)の寸法がそれぞれ前記長手方向(L)のその寸法よりも大きくなるように構成された複数のチェーンリンク(18;48)を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項12】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、特に曲げ弾性プラスチックを含むそれ自体の柔軟なチェーンエンクロージャ(200;300)で囲まれている、請求項1から11のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項13】
前記エンクロージャ(10;20;30)及び/又はチェーンエンクロージャ(200;300)はベルト状構成のものであり、その狭面の少なくとも1つにおいて、特に、供給ライン(22、32)又はサポートチェーン(26;36)が前記長手方向に対して横断する方向に挿抜可能な、前記エンクロージャ(10;20;30)又はチェーンエンクロージャ(200;300)の開放状態の防塵的閉塞のために、及び前記開放状態への前記エンクロージャ(10;20;30)又は前記チェーンエンクロージャ(200;300)の移行のために、前記長手方向(L)に延在された少なくとも1つの機能領域(28;38;208;308)を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項14】
前記機能領域(28;38;208;308)は、クロージャの2つの協働する閉塞形材(29;39、209;309)、特に積極的ロック及び/又は強制的ロック係合形材を含む、請求項13に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項15】
前記機能領域(28;38;208;308)は、前記エンクロージャ(10;20;30)及び/又は前記チェーンエンクロージャ(200;300)を更なるエンクロージャ(10;20;30)及び/又は前記チェーンエンクロージャ(200;300)に接続するための固定用形材(27;37;207;307)を有する、請求項13又は請求項14に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項16】
前記エンクロージャ(10;20;30)は、曲げ弾性プラスチック、特に前記サポートチェーン(16;26;36)の前記チェーンリンク(18;48)のプラスチックよりも硬度の低いプラスチックからなる、請求項1から15のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【請求項17】
前記サポートチェーン(16;26;36)は、各々が凸状ガイド面(47a、45a)を有するとともに対向端面(49)と最小移動ギャップを形成する複数のチェーンリンク(18;48)を有する、請求項3から16のいずれか一項に記載のラインガイド構成又はサポートチェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相互に対して可動な2つの接続位置の間のケーブル、ホースなどのような供給ラインの保護された動的又は能動的な案内のための、特にクリーンルーム用途のためのラインガイド構成に関する。ラインガイド構成は、2本のラン及びそのランの間の方向転換アークの形成によって往復方向に変位可能である。ラインガイド構成は、その長手方向に対して略直線の位置におけるラン内に、及び湾曲した方向転換位置における方向転換アーク内に配置される。方向転換アークは、通常は長手方向Lに対して横断して延在する方向転換軸を中心に略U字型構成で湾曲され、方向転換軸は、ラインガイド構成の幅方向に平行に延在する。
【背景技術】
【0002】
その種の周知のラインガイド構成は、少なくとも1本の各供給ラインに対して複数の相互に並置された受容通路を備える、供給ラインを囲むための柔軟なエンクロージャを含み、その受容通路は長手方向に延在する。支持されていないランの安定性、すなわち、より長い自己支持長のために、長手方向Lに延在する少なくとも1本のサポートチェーンが設けられる。それは、特に個々のチェーンリンクから製造可能であり、特に自己支持状態のランの直線位置において、少なくとも1本、ほとんどの場合、複数の関連する受容通路を支持するためのエンクロージャと協働する。
【0003】
このようなラインガイド構成は、例えば、特許文献1によって知られており、そのラインガイド構成はエンクロージャに平行かつその外部に2本のサポートチェーンを有する。特許文献1によるサポートチェーンの各々は、エンクロージャの2つの狭面の一方において各外側受容通路において受容される。供給ラインのためのサポートチェーン間で使用可能な受容通路数は、この場合、エンクロージャの(幅に関する)中心部の過度な撓みが防止されるべき又は防止されなければならないので、制限される。
【0004】
幅の方向への拡大の選択肢はここでは容易には与えられないことから、多くの場合、3層以上となることが多い多層構成が不可避となる。そして、それは、個々の層間の望ましくない摩耗損傷粒子を回避することに対して不利となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102012100359号明細書
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、複数の供給ラインをガイドするとともに比較的容易に、特に幅の方向に拡大可能な、又は少数の層で実現可能な、特にクリーンルーム用途のためのラインガイド構成を提案することである。
【0007】
請求項1の分類部分によるラインガイド構成では、上記目的は、提案のサポートチェーンが支持面を形成し、その幅が関連の受容通路の自由断面の対応する寸法よりも大きいことにおいて、既に達成されている。
【0008】
その構成では、サポートチェーンは、長手方向Lに横断して延びる高さ方向Hに対して、エンクロージャの関連する受容通路の上部及び/又は下部に延在し得る。サポートチェーンは、例えば、特に、支持される受容通路の中心長手断面上に配置可能であり、すなわち、それによりその長手断面はサポートチェーンを通過する。
【0009】
幅方向W、すなわち、長手方向Lに対して横断方向にかつ方向転換軸Aに平行に延びる方向(この場合ではサポートチェーンの幅という)におけるサポートチェーンの寸法は、この場合、関連する受容通路の対応する寸法、すなわち、同じ方向とみなされるその幅よりも大きい。したがって、サポートチェーンは、少なくとも1本の関連する受容通路、ただし、特に少なくとも2本以上の受容通路を支持して直線位置における撓みを防止することができる。
【0010】
言い換えると、提案されるサポートチェーンは、長手方向Lに垂直な断面において、少なくとも、動作中にサポートチェーンが支持しようとする供給ラインのための関連の受容通路よりも広い。したがって、本発明によると、サポートチェーンは、現行のものよりも幅方向Wにおいて大幅に大きな寸法のものとなる。
【0011】
したがって、それぞれ選択される幅に応じて、サポートチェーンは、複数の受容通路又は供給ラインのために(エンクロージャのような更なる中間層によって間接的にも)安定したサポートを形成することができる。
【0012】
上記とは独立して、本発明はまた、請求項2に係るサポートチェーンに関する。
【0013】
サポートチェーンは、2本のラン及びそのランの間の方向転換アークの形成によって往復方向に変位可能であり、ラン内では任意選択的に予め方向付けられたその長手方向Lに対して略直線となる位置において延在し、方向転換アーク内では方向転換位置又は方向転換軸を中心とする円弧構成において延在する。
【0014】
その目的のため、リンクチェーンの形態では、サポートチェーンは同様のチェーンリンクを含み、又は例えばベルトチェーンなどの形態では、同様のセグメント(以下、チェーンリンクともいい、同義とみなされる)を含み、2つの連続するチェーンリンクの各々は、特に方向転換軸Aに平行な旋回軸を中心に旋回可能に相互接続される。
【0015】
本発明によると、サポートチェーンは支持面を形成し、その幅は(長手方向Lに垂直な断面とみなされる)サポートチェーン又はランの対向面から支持面までの間隔よりも3倍以上大きい。
【0016】
言い換えると、支持面の幅、すなわち、長手方向に対して横断する幅方向Wのその寸法は、長手方向L及び幅方向Wに垂直な高さ方向におけるチェーンリンクの寸法よりも、少なくとも3倍大きい。したがって、チェーンリンクは、支持面の幅よりも大幅に低い構造高さ(厚さ)の比較的平坦な又はプレート状の構造による構成のものである。
【0017】
その点において、チェーンリンクが考慮されることに関連して、支持面の効果的な幅又は合計幅は、特に、支持面の長さ(長手方向の寸法)よりも大きなサイズのものとなり得る。
【0018】
支持面の適切な幅によって、この構成は、同時に、サポートチェーンについての比較的小さな重量及び/又は方向転換アークの小さな半径を有する複数の相互に並置された受容通路のための比較的安定した支持をもたらす。一方、比較的大きな幅のチェーンリンクの対応する寸法取りは横方向の安定性も向上させ、すなわち、サポートチェーンは長手方向に対して横断して比較的大きな横断方向の力も補償又は伝達することができる。それによって、横断方向の移動を伴う使用に関して望ましくない摩耗も減少する。
【0019】
標準的には、サポートチェーンは、直線位置におけるサポートチェーンの撓みを軽減するために直線位置において相互に支持し合うように適合された第1の当接面、及びサポートチェーンの方向転換アークの最小方向転換半径を制限するために方向転換位置において相互に支持し合うように適合された第2の当接面を有する。第1及び第2の当接面は、それぞれ長手方向Lの寸法及び方向転換軸Aに沿う幅方向Wの寸法を有するものである。
【0020】
好適な実施形態では、幅方向Wにおけるそれぞれ第1及び/又は第2の当接面の寸法は、長手方向Lにおけるその寸法よりも大きい。
【0021】
サポートチェーンのチェーンリンク(又はセグメント)は、相互に対して旋回可能に、特に規定の旋回軸を中心に旋回可能に、相互接続可能である。この場合、例えば、受容取り付け金具に受容されるボルトを備える接続部の旋回軸は、標準的には、方向転換軸に平行に、特に(幅方向Wに平行な)ボルト及び取り付け金具の対称軸に沿って延びる。例えば、柔軟なヒンジコネクタを有する他の種類の旋回可能な接続部も可能である。
【0022】
したがって、第1及び第2の当接面は、旋回軸を中心とした一方向への又は他方の反対側の旋回方向への旋回動作を制限することができる。
【0023】
負荷を軽減するために、各チェーンリンクは、チェーン内でそれが接続される2つの隣接チェーンリンクを支持するための2以上の第1の当接面を有し得る。これに対応して、各チェーンリンクは、チェーン内で考慮されるチェーンリンクに追従する2つの隣接チェーンリンクを支持するための2以上の第2の当接面を有し得る。各第1又は第2の当接面は、必ずしも平坦又は連続的である必要はなく、例えば、幅方向に相互から離隔された複数の表面部を含み得る。
【0024】
支持面の幅は、サポートチェーンが少なくとも2本又は3本の関連する受容通路を支持することにより、エンクロージャが撓むことも自己支持することもなく、直線位置において撓みを防止するように、好ましくは、少なくとも2本の関連する受容通路、特に好ましくは少なくとも3本の関連する受容通路の対応する寸法(自由断面の幅)の合計よりも大きい。したがって、長手方向に垂直な断面における幅方向Wの支持面の寸法は、好ましくは、少なくとも2本の関連する受容通路の自由断面(長手方向に垂直な断面における)対応する寸法の合計よりも大きければよい。
【0025】
製造及び組立ての簡略化の目的のため、サポートチェーンは、好ましくは、特に構造的に同一の個々のチェーンリンクから組み立てられる。チェーンリンクは、特に、射出成形法を用いて、好ましくはプラスチックから別個に個別に製造可能であり、例えば、チェーンリンク間のヒンジ接続部の接続又は製造によってチェーンを構成するように相互に旋回可能に接続可能である。
【0026】
サポートチェーンは、好ましくは、各々が一体でありかつ完全中実体の形態である又はモノリシックである多数のチェーンリンクを有する。好ましくは、サポートチェーンの各チェーンリンクは、特にプラスチックの中実体の形態で製造される。この構造の有利な効果は、チェーンリンクは曲げ剛性を有して強健であっても製造が簡素かつ容易なままであることである。ラインガイド構成全体の軽量性は、上側ランの比較的大きな自己支持長に対して有利である。
【0027】
サポートチェーンは、好ましくは、それぞれ(幅方向に垂直な)長手中心面に対して鏡像対称構成の多数のチェーンリンクを有する。好ましくは、サポートチェーンの各チェーンリンクは、長手中心面に関して鏡像対称構成のものである。
【0028】
サポートチェーンは、好ましくは、各々がプレート状構成の多数のチェーンリンクを有する。
【0029】
追加的又は代替的に、幅方向Wにおけるチェーンリンクの寸法は、幅方向Wに垂直でかつ長手方向Lに垂直な高さ方向Hのその寸法よりも少なくとも5倍(5倍以上)、好ましくは8倍以上大きければよい。
【0030】
好ましくは、サポートチェーンの全てのチェーンリンクは、対応するサイズ比率を伴う。したがって、サポートチェーンは、複数の供給ラインに対して一定の幅広の支持面を有し得る一方で、同時に本来的に軽量である。
【0031】
好適な実施形態では、サポートチェーンの直線位置において、第2の当接面に対向するチェーンリンクの表面領域は、可能な限り段差なし及び/又はシームレスな継ぎ目をもたらすように次の隣接チェーンリンクの表面と面一である又は揃っている。これに対応して、サポートチェーンの方向転換位置において、第1の当接面に対向するサポートチェーンの更なる表面領域は、次の隣接チェーンリンクの表面と面一である又はアーク方向に揃えられ得る。そのようにして、摩耗を生じる突出縁部が回避され、又はそのようにしてサポートチェーンに支持されるエンクロージャ、及び/若しくはチェーンを囲み得る追加のチェーンエンクロージャの締め付けが防止される。
【0032】
またさらに、チェーンリンクの支持面は、好ましくは、サポートチェーンのチェーンピッチよりも、すなわち、2本の連続する旋回軸間の間隔よりも大きな幅のものである。このように、幅広のチェーンにもかかわらず、比較的小さな方向転換半径を実現することができ、すなわち、これにより、ラインガイド構成に関して全体的な低背化が可能となる。さらに、このように、多角形効果を低減することができ、又はサポートチェーンは可能な限り丸みを帯び、若しくは欠円の形態の方向転換アークを形成することができる。それは、特に支持されているエンクロージャに関して、支持されるラインの負荷及び望ましくない摩耗も低減する。
【0033】
サポートチェーンは、好ましくは、ただし必ずしもではなく、リンクチェーンの形態であり得る。好適な構成では、サポートチェーンのチェーンリンクは、取り付け金具とボルトの接続部を受容することによって旋回可能に相互接続される。その場合、好ましくは、特に長手方向Lにチェーンリンクを相互に組み立て又は接続するために、ボルト上に挿入面取り部が設けられ、協働する取り付け金具上に挿入溝が設けられる。それにより、サポートチェーンの組立て又は実装は、手作業で、又は特殊な工具を用いずに行われ得る。
【0034】
好ましくは、サポートチェーンは、それぞれのチェーンリンクの幅方向Wの寸法が長手方向Lのその寸法よりも大きくなるようにそれぞれ設計された多数のチェーンリンクを有する。好ましくは、この場合、サポートチェーンの各チェーンリンクは、対応する構成又はサイズのものである。特殊な端部部材が、チェーンリンクを接続点に固定するために端部に設けられてもよく、その部材の構造は異なり得る。
【0035】
各サポートチェーンは、好ましくは、供給ラインのエンクロージャから別個に提供又は製造される、特に曲げ弾性プラスチックの、それ自体が柔軟なチェーンエンクロージャに囲まれる。これにより、摩耗粒子がサポートチェーン自体によって放出されることが防止可能となる。
【0036】
好ましくは、ラインのためのエンクロージャ及び/又はチェーンエンクロージャは、ベルト状又はホース状構成のものであり、その狭面又は長手面の少なくとも一方において、長手方向Lに延在した少なくとも1つの機能領域を有する。1つの機能領域を有するのは、特に、エンクロージャ又はチェーンエンクロージャの開放状態を防塵的に閉塞するためであり、供給ライン又はサポートチェーンは長手方向Lに対して横断してエンクロージャ又はチェーンエンクロージャの受容通路に対してそれぞれ挿抜可能となり、他方では、必要に応じてエンクロージャを開放するためであり、すなわち、例えば不良ラインを交換する際にエンクロージャ又はチェーンエンクロージャを再度開放状態とするためである。機能領域は、特に積極的ロック及び/又は強制的ロック係合形材(profile)の形態であり得るクロージャの特に2つの協働する形材部材を含み得る。
【0037】
追加的又は代替的に、機能領域は、更なるエンクロージャ及び/又はチェーンエンクロージャに対するエンクロージャ及び/又はチェーンエンクロージャの接続のための少なくとも1つの固定用形材を有していてもよい。これは、そのように幅方向Wに特に容易に拡大可能なラインガイド構成の拡張性の観点で有利である。
【0038】
特にサポートチェーンのチェーンリンクから区別されるような、ラインのためのエンクロージャ及びチェーンエンクロージャは、曲げ弾性プラスチックから製造可能である。この場合、個々のチェーンリンクの長さに関する曲げ剛性は、例えば、エンクロージャの長さに関する曲げ剛性よりも高くてもよい。チェーンリンクの材料の弾性率は、好ましくはエンクロージャの材料のものよりも高く、又は好ましくは剛性がより高く若しくは硬度がより高い材料がチェーンリンクに使用される。
【0039】
好ましくは、サポートチェーンは、さらに旋回可能に接続されたチェーンリンクの端面との可能な限り小さな移動ギャップを形成して移動を可能とするために、ボルトの周囲及び取り付け金具の周囲でそれぞれ凸状に丸みを帯びるとともに第1の当接面又は第2の当接面にそれぞれ長手方向Lに隣接するガイド面を有する多数のチェーンリンクを有する。任意選択的に、例えば、更なる横断方向の安定化のために、旋回動作に応じて両表面とも一種のガイドを形成してもよい。この場合、チェーンリンクの端面は、凸状に丸みを帯びたガイド面に一致する凸状又は凹状の領域を有していてもよい。
【0040】
本発明の更なる詳細、特徴及び有利な効果は、上記の一般化に限定されることなく、添付模式図面を参照する例示による以下の好適な実施形態の詳細な説明から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1A】ラインガイド構成の実施形態の側面図である。
図1B図1Aのラインガイド構成の正面図である。
図2】ラインガイド構成の実施形態の部分領域の正面図である。
図3】ラインガイド構成の更なる実施形態の部分領域の正面図である。
図4A】サポートチェーンのチェーンリンクの実施形態の側面図である。
図4B図4Aのチェーンリンクの平面図である。
図4C図4Aのチェーンリンクの斜視図である。
図5A】直線位置におけるサポートチェーンの部分領域を示す図である。
図5B】方向転換位置におけるサポートチェーンの部分領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1A及び1Bは、ベースにおける固定接続位置2と、標準的には線形的に変位可能なエントレイメント手段(不図示)における可動接続位置4との間の供給ライン(ここでは不図示)をガイドするラインガイド構成1の実施形態を示す。供給ラインは、例えば、電流、信号及び/又は動作媒体をベース、すなわち、接続位置2にある供給源から、エントレイメント手段が接続される機械の可動部品まで搬送することができる。図1Aは上側ラン8、下側ラン9及び方向転換アーク6を有するラインガイド構成1のスナップショットを示し、上側ラン8(右側)は直線位置にあり、ラインガイド構成1の更なる長手部分は方向転換位置(左側)にある。方向転換位置では、ラインガイド構成1は、概念上の方向転換軸Aを中心として所定の湾曲又は方向転換半径を有する方向転換アーク6を形成する。作動中において、方向転換アーク6は、上側ラン8が可動接続位置4とともに変位されると、固定接続位置2に対して所定距離にわたって移動する。
【0043】
ラインガイド構成1は、特に、クリーンルーム用途、又は摩耗損傷塵埃及び粒子の遊離が低減若しくは回避されるべき他の用途の分野に適する。その目的のため、ラインガイド構成1は、軟質弾性プラスチックを含む細長く柔軟でかつ防塵的なエンクロージャ10を有し、それは接続位置2と接続位置4の間のそれらの全長に沿って供給ラインを囲む。その接続において、提案されるエンクロージャ10は、少なくとも1本の各供給ラインをガイドするために、複数の、すなわち、少なくとも2本の管状構成の受容通路を有する。エンクロージャ10の2つの端部は防塵閉塞され、すなわち、クランプデバイス11を端部接続部として有する。エンクロージャ10は、全体としてホース状であり、とりわけ、適切な設計構成であることによって及び/又は材料の適切な選択によって、低度の力の付加によって方向転換アーク6の可逆的に柔軟な曲率を可能とするとともに最小限の抵抗で可動接続位置4の移動に追従するように充分に柔軟である。エンクロージャ10は、特に押出し法によって製造可能である。
【0044】
ラインガイド構成1は、接続位置2から接続位置4までラインガイド構成1の全長に沿って延在するサポートチェーン16をさらに有する。例示では、サポートチェーン16は、上側ラン8の領域においてエンクロージャ10の下部に、方向転換アーク6の内側に、及びそれに対応して下側ラン9の領域におけるエンクロージャ10の上部に配置される。サポートチェーン16は、特に、上側ラン8の直線位置における重力によってもたらされる撓みに抗して、及び方向転換位置における座屈にも抗してエンクロージャ10を支持する。最初に述べた目的のため、サポートチェーン16は、ここでは上側ラン8のサポートとして作用する支持面13を形成する。サポートチェーン16は、チェーンリンク型構造のものであり、同時に方向転換アーク6における最小半径を制限する。チェーンリンク18は、次のチェーンリンク18に旋回可能に接続される。サポートチェーン16は、それ自体の関連する防塵チェーンエンクロージャ(図2及び3参照)を有する。
【0045】
図1A及び1Bは、2つのクランプ部11a、11bを各々が有する2つの終端クランプデバイス11を示し、それらの間には、エンクロージャ10内にガイドされる供給ライン(不図示)とともにエンクロージャ10が、その端部の周囲に延在するとともに、例えばクランプねじによって軸方向に防塵状態となることによって閉塞される。クランプデバイス11は、同時に、ライン(不図示)に対する歪軽減に備えてもよく、例えば、参照によりここに取り込まれる独国特許発明第102012100290号明細書の教示と同様のそれ自体公知の構造による構成のものであればよい。
【0046】
図1A及び1Bは、サポートチェーン16のチェーンエンクロージャに対して2つのクランプ部101a、101bを各々が有する2つの端部クランプデバイス101をさらに示す。
【0047】
図2及び3は、長手方向が図の平面に垂直に延びるものとして、ラインガイド構成1の2つの異なる実施形態を正面図として示す。クランプデバイスは、ここでは図示しない。2つの実施形態は、エンクロージャ20及び30の構成によって、それぞれ実質的に相違する。
【0048】
図2は、3本の受容通路24を各々が有する3個の相互接続エンクロージャ20を有するラインガイド構成1を示す。本例では、ラインに対する全てのエンクロージャ20は、構造上同一である。各エンクロージャ20は、ベルト状構成のものであり、長手方向Lに延在する各機能領域28を両狭面すなわち両長手面において横方向に有する。機能領域28の一方は、エンクロージャ20の開放状態を防塵的に閉塞するためのクロージャの2つの協働する閉塞形材29を有し、供給ライン22は、閉塞形材29間で長手方向Lに連続する開口によって、長手方向Lを横断するようにエンクロージャの受容通路24に導入可能であり又はそこから除去可能である。エンクロージャ20の開放状態(不図示)において、全ての受容通路24は、図2に示す例では開放している。図2におけるエンクロージャ20の各々は一体となっている。それらのエンクロージャの各々を2部品構成とすることも可能であり、各々は両狭面すなわち両長手面において2対の閉塞形材29を備える。
【0049】
機能領域28は、エンクロージャ20を相互に接続するようにも作用可能であり、例えば、ラインガイド構成1を幅方向Wに拡大するように長手方向Lに連続的に延在する固定用形材27を有し得る。エンクロージャ20の機能領域28は、2つのエンクロージャ20を相互に接続し又は使用可能な受容通路数を幅方向に拡張するために、その固定用形材27によって、更なるエンクロージャ20(及び/又はチェーンエンクロージャ、以降を参照)の更なる機能領域28と協働するのに適する。
【0050】
エンクロージャ20の各々は、複数のエンクロージャユニット21を含む。各エンクロージャユニット21は、供給ライン22の保護的案内のための受容通路24の壁部を形成し、柔軟な軟質弾性プラスチック、特に、熱可塑性、例えば、PE、PU、TPU、PTFE、PPなどからなる。エンクロージャユニット21は、受容通路24の断面に関して、薄い壁状のものである。各受容通路24は、その長さにわたって、長手方向Lに垂直に全体を通じて同じ断面のものである。エンクロージャユニット21は、適切なプラスチック押出し処理を用いて押出し加工品の形態で安価に製造可能であり、適切な長さ、例えば、約100mm~約1500mmに切断され得る。図2に示す3個のエンクロージャユニット21は、それらがともに一体エンクロージャを形成するように材料結合関係で相互接続され得る。ただし、エンクロージャは、一体で製造されてもよい。柔軟なエンクロージャの受容通路24は相互から空間的に分離されているので、その内部を平行にガイドされる供給ライン22の間に摩耗は生じ得ない。エンクロージャ20は、例えば、長手方向Lに連続する開口を各エンクロージャユニット21が有する場合に、閉塞形材29と同様のクロージャによって、各受容通路が個々にアクセス可能となるような構造(不図示)のものであってもよい。
【0051】
図2又は図3における受容通路24又は34はそれぞれ、ここではアーモンド形と類似する略楕円形の断面のものである。他の断面形状、例えば、卵形、長円又は円も可能である。
【0052】
相互接続されたエンクロージャ20の各々は、関連するサポートチェーン26によって支持され、すなわち、本例では、サポートチェーン26は、エンクロージャ20又は3本の受容通路24のための支持面23を構成する。上側ラン8(図1A及び1B参照)では、サポートチェーン26は、エンクロージャ20とその中にガイドされるラインの、重力による撓み、すなわち下方への偏向を防止するために、関連するエンクロージャ20の下部に配置される。複数の受容通路24が、同じサポートチェーン26によって支持される。これは、サポートチェーン26の断面は比較的広く、ここでは関連するエンクロージャ20内の2本の受容通路24の合計断面よりも広い。
【0053】
方向転換アーク6において、サポートチェーン26は、ここでも、ガイドされる供給ライン22は歪むことも捩れることもないように、方向転換アークの曲げ半径又は半径が許容可能な最小値以上となることを保証する。したがって、サポートチェーン26は、ラインガイド構成1の最小曲げ半径又は最小方向転換半径を確保し、旋回角を制限するためにその目的に適した当接部を有する。下側ラン9において、サポートチェーン26は、関連のエンクロージャ20の下部に対応して配置される。逆の配置構成も可能である。
【0054】
チェーンリンク48の各材料に応じて、動作中に摩損が起こり得る。サポートチェーン16、26、36の周囲への摩耗粒子の遊離を最小化するために、サポートチェーン16、26、36には、それ自体の柔軟なチェーンエンクロージャ200、300が設けられる。チェーンエンクロージャ200、300は、供給ライン22、32のエンクロージャ20、30と同様に軟質弾性プラスチックからなり、サポートチェーン16、26、36について長手方向Lに延在する受容通路204、304を有する。サポートチェーン16、26、36の寸法に対応するサポートチェーン16、26、36に対する受領空間又は通路204、304の自由断面の幅は、供給ライン22、32に対するエンクロージャの関連する受容通路24、34の自由断面の対応する寸法よりも常に大きい。狭面又は長手面において、チェーンエンクロージャ200はまた、長手方向Lに延在する機能領域208を有し、チェーンエンクロージャ200の開放状態を防塵的に閉塞するためのクロージャの2つの協働する閉塞形材209を有する。チェーンエンクロージャ200の機能領域は、2つのチェーンエンクロージャ200を相互に横方向に接続するために、更なるチェーンエンクロージャ200の更なる機能領域208と協働するのに適する。その目的のため、機能領域208は、長手方向Lに連続的に延在する固定用形材211、例えば、供給ライン22に対するエンクロージャ20の固定用形材27と同じ固定用形材を有していてもよい。このように、例えば1以上のエンクロージャ20が、同じ高さ位置において2本の横方向に離隔したサポートチェーン26の間に供給ライン22に対して追加的に設けられてもよい。したがって、ラインガイド構成1は、幅方向Wに拡大可能となる。
【0055】
図2及び3は、供給ラインに対する3個のエンクロージャ20、30をそれぞれ有するラインガイド構成を示し、各エンクロージャ20、30は関連するサポートチェーン26、36によって支持されている。あるいは、エンクロージャが2本のサポートチェーン間にそれに対する自己支持関係において横方向に接続されることによって、サポートチェーン26、36の本数を減少させることも可能となる。
【0056】
図3は、供給ライン32に対して各々が3本の受容通路34を有する3個の相互接続されたエンクロージャ30を有するラインガイド構成1の更なる実施形態を示す。図2の実施形態との相違は、エンクロージャ30が個々の別個のエンクロージャユニット31で構成される点である。その目的のため、各エンクロージャ30は、一方では各受容通路34が個々に開放されてから再度閉塞可能となり、他方では個々のエンクロージャユニット31が相互に接続されてから相互から再度分離可能となるように、各受容通路34に沿って機能領域39を有する。それは、特に、保守において、又はライン取付けに対する後の改造のために、図2の実施形態よりも大きな柔軟性を与える。図3におけるサポートチェーン36は、図2におけるサポートチェーンの原理に基づいて設計され、サポートチェーン36にはそれ自体のチェーンエンクロージャ300も設けられる。
【0057】
チェーンエンクロージャ200、300の固定用形材207、307は、幅方向Wへのチェーンエンクロージャ200、300の拡大を可能とする。あるいは、チェーンエンクロージャ200、300の固定用形材207、307は、上側ランにおいてその上に配置されたライン、又はエンクロージャ20;30の支持のために、囲まれた更なるサポートチェーン26;36(図2及び3参照)によって、又は2つのチェーンエンクロージャ200、300の間の別個のサポートトラック若しくは空のチェーンエンクロージャ200、300によって、幅に関する後の適合を可能とする。異なる幅のサポートチェーン26;36を設けることも可能である。
【0058】
図4A~4Cは、サポートチェーン16、26、36に対するチェーンリンク48の実施形態を詳細に示す。チェーンリンク48は、プレート状構成のものである。長手方向L及び幅方向Wの寸法は、いずれの場合も、その高さ方向H(長手方向L及び幅方向Wに対して垂直)の寸法よりも数倍(ここでは約8乃至10倍)だけ大きい。サポートチェーン16、26、36の全てのチェーンリンク48は、好ましくは構造的に同一である。チェーンリンク48は、強度が高い又は曲げ剛性の高いプラスチックから、例えば、繊維強化ポリアミドから射出成形処理を用いて一体的に製造される。例示の実施形態では、チェーンリンク48は、中実体又はモノリシック構造の形態であり、それにより、チェーンリンク48及びサポートチェーン16、26、36の曲げ剛性が概ね高められる。ただし、チェーンリンク48のプラスチック材料は、比較的軽量である。
【0059】
チェーンリンク48は、その対称面において長手方向L及び高さ方向Hを有するその長手中心面(図4B参照)に対して鏡像対称構成のものである。
【0060】
図4A~4Cに示すチェーンリンク48は、回転ヒンジによって相互に旋回可能に接続される。回転ヒンジは、次の更なる隣接チェーンリンク48の円筒状受容手段45においてそれぞれ回転可能に受容される、チェーンリンク48の2本の円筒ピン47を備える。旋回軸Sは、ピン47の円筒軸又は受容手段45にそれぞれ対応し、方向転換アーク6の軸A(図1A)に平行に延在する。したがって、各チェーンリンク48は、2本の円筒ピン47及び2つの円筒状受容手段45を有し、ピン47の対称軸は同じチェーンリンクの受容手段45の対称軸から長手方向Lにチェーンピッチだけ離隔される。対称軸若しくは旋回軸Sの方向又は幅方向Wのピン47の寸法はその直径未満であり、それにより、サポートチェーン16、26、36の組立てが容易となる。チェーンリンク48を更なるチェーンリンク48に接続するために、チェーンリンク48は、長手方向に、特に工具を用いずに又は手作業で、相互に嵌合される。それらを押圧して係合させることを容易にするために、ピン47の各々は傾斜挿入部47aを有し、受容手段45の各々は挿入溝45aを有する。挿入溝45aは、長手方向Lに略平行に、すなわち、そのチェーンリンク48のピン47の方向に延在する。更なるチェーンリンク48のピン47は、第1のチェーンリンク48の挿入溝45aに沿って第1のチェーンリンク48の受容手段45に導入される。
【0061】
その旋回角を制限するために、チェーンリンク48は、直前及び次のチェーンリンク48の対応する第1の当接面41において、それぞれ、サポートチェーンの直線位置(例えば、上側ラン8など、図1A参照)における当接係合のために、長手方向Lに相互から離隔した2つの第1の当接面41を有する。さらに、他方の旋回方向の旋回角を制限するために、チェーンリンク48は、直前及び次のチェーンリンク48の対応する第2の当接面42において、それぞれ、長手方向Lにおいて相互から離隔されるとともに、サポートチェーンの方向転換位置(例えば、方向転換アーク6など、図1A参照)における当接係合又は接触のために作用する2つの第2の当接面42を有する。
【0062】
幅方向Wにおける各当接面41又は42の寸法は、長手方向Lにおけるその当接面41及び42の寸法よりも大きい。例示において、チェーンリンク48の場合における第1の当接面41の各々は、それぞれ一体又は密着構造のものであり、各第2の当接面42は、幅方向Wにおいて、より具体的には第1の当接面41の幅の分だけ相互から離隔した2つの表面部42a、42bをそれぞれ含む。本場合では、当接面の幅という表現は、表面部の幅の合計を示すものとして用いられる。
【0063】
図5A及び5Bは、ここでは、図4A~4Cに示すような2つの旋回可能に相互接続されたチェーンリンク48のみを備えるサポートチェーンの短い一部分を示す。チェーンリンク48は、受容手段とピンの接続によって相互接続され、旋回軸Sはピン47及び受容手段45の軸にそれぞれ対応する。本例では、支持面43は、(図5Bに示すような)方向転換位置において方向転換軸A(図1A参照)に対して外側にある、チェーンリンク48の上面によって形成される。支持面43の幅又は幅方向Wのその寸法は、チェーンピッチよりも、すなわち、2つの連続する旋回軸S間の長手方向Lの間隔よりも大幅に大きい。
【0064】
チェーンリンク48は、図5Aに示すようなサポートチェーンの直線位置における高さ方向Hの第2の当接面42とは反対側の一方のチェーンリンク48の表面領域48aが、それらの2つのチェーンリンク48の第1の当接面41が当接関係にある場合に面一又は段差なしにかつ他方の次の隣接チェーンリンク48の表面と最小限のギャップを有して終端するような構成のものである。これに対応して、図5Bに示すようなサポートチェーンの高さ方向H、より具体的には方向転換位置における第1の当接面41とは反対側の一方のチェーンリンク48の更なる表面領域48bは、(第1の当接面41が相互に当接する場合に)他方の次の隣接チェーンリンク48の表面と面一又は段差なしで揃う。したがって、ラインガイド構成1の作動中において、サポートチェーン16、26、36によって支持される供給ラインのエンクロージャ10、20、30に関して、及びチェーンエンクロージャ200、300に関しても、突出縁部における停止及び摩損が回避される。
【0065】
各チェーンリンク48は、次のチェーンリンクの方向の長手方向Lにおいてチェーンリンク48の当接面41、42をそれぞれ境界付ける端面49を有する。相互に対するチェーンリンク48の旋回移動に応じて、チェーンリンクの端面49は、隣接チェーンリンク48のガイド面44、46を過ぎてガイドされ、又は狭いままのギャップでガイド面44、46を過ぎて延在する。長手方向Lにおいて第1の当接面41に隣接する第1のガイド面44は、対応する半径を有するピン47の周囲にそれぞれ凸状に丸みを帯びる。長手方向Lにおいて第2の当接面42に隣接する第2のガイド面46は、対応する半径を有する受容手段45を中心にそれぞれ凸状に丸みを帯びる。ガイド面44及び46の反対側の端面49は、それぞれ対応する凹形状のものであればよい。横断方向の安定性を高めるために、ガイド面44、46はスライドガイド構成の態様で対向端面49とおそらくは協働し得るが、摩擦のない設計構成が好ましく、それにより、高い横断負荷の場合にのみガイド面44、46が対向端面49に当接可能となる。
【符号の説明】
【0066】
1 ラインガイド構成
2 固定接続位置
4 可動接続位置
6 方向転換アーク
8 上側ラン
9 下側ラン
10 供給ラインのためのエンクロージャ
11 供給ラインのためのエンクロージャのクランプデバイス
11a、11b クランプ部
13 支持面
16 サポートチェーン
18 チェーンリンク
101 チェーンエンクロージャのクランプデバイス
101a、101b クランプ部
L 長手方向
H 高さ方向
20;30 供給ラインのためのエンクロージャ
21;31 エンクロージャのエンクロージャユニット
22;32 供給ライン
23;33 支持面
24;34 供給ラインのための受容通路
26;36 サポートチェーン
27;37 供給ラインのためのエンクロージャの固定用形材
28;38 供給ラインのためのエンクロージャの機能領域
29;39 供給ラインのためのエンクロージャの閉塞形材
200;300 チェーンエンクロージャ
204;304 サポートチェーンのための受容通路
207;307 チェーンエンクロージャの固定用形材
208;308 チェーンエンクロージャの機能領域
209:309 チェーンエンクロージャの閉塞形材
W 幅方向
H 高さ方向
41 第1の当接面
42 第2の当接面
42a、42b 第2の当接面の表面部
43 支持面
44、46 チェーンリンクのガイド面
45 受容手段
45a 挿入溝
47 ピン
47a 傾斜挿入部
48 チェーンリンク
49 チェーンリンクの端面
48a 第2の当接面の反対側の表面領域
48b 第1の当接面の反対側の表面領域
A 方向転換軸
L 長手方向
W 幅方向
H 高さ方向
S 旋回軸
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
【国際調査報告】