IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲーの特許一覧

特表2022-5375143次元ワークピースを製造するための装置及び方法
<>
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図1
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図2
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図3
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図4
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図5
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図6
  • 特表-3次元ワークピースを製造するための装置及び方法 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】3次元ワークピースを製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/366 20210101AFI20220819BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20220819BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20220819BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20220819BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220819BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220819BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20220819BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20220819BHJP
   G05B 19/416 20060101ALI20220819BHJP
   B22F 12/45 20210101ALI20220819BHJP
【FI】
B22F10/366
B22F10/85
B22F10/28
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y30/00
B23K26/34
B23K26/21 Z
G05B19/416 E
B22F12/45
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573590
(86)(22)【出願日】2020-06-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020066099
(87)【国際公開番号】W WO2020249619
(87)【国際公開日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】102019116109.6
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーネ ティール
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ブリュック
【テーマコード(参考)】
3C269
4E168
4K018
【Fターム(参考)】
3C269AB11
3C269BB03
3C269EF02
3C269MN17
3C269MN23
4E168BA35
4E168BA81
4E168CB04
4E168DA02
4E168DA28
4E168EA15
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
3次元ワークピースを製造するための装置が提供される。この装置は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された少なくとも1つの走査ユニットを備える照射ユニットを備える。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの放射線ビームに対応する軸を、走査ユニットの中心軸として規定する。この装置は、製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信し、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を少なくとも1つの走査ユニットに割り当てるように構成された制御ユニットをさらに備える。第1の態様によれば、制御ユニットは、照射ユニットを制御するための制御データを生成するように構成される。制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動するように、照射ビームの走査方法を規定する。所定の長さは、中心軸に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する長さとして規定される。さらに、対応する方法及びコンピュータプログラムが提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元ワークピースを製造するための装置(10)であって、
原料粉末の最上層上で前記原料粉末の前記最上層の所定の部位に放射線ビーム(24a)を走査して、前記所定の部位において前記原料粉末を固化するように構成された少なくとも1つの走査ユニット(22a)を備える照射ユニット(20)であって、原料粉末の前記最上層に90°の角度で衝突するときの前記放射線ビーム(24a)に対応する軸を、前記走査ユニット(22a)の中心軸(26a)として規定する、照射ユニット(20)と、
制御ユニット(27)であって、
製造される前記3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信し、
前記3次元ワークピースの前記層の輪郭の少なくとも一部を少なくとも1つの前記走査ユニット(22a)に割り当てるように構成された制御ユニット(27)と、を具備する、装置(10)において、
前記制御ユニット(27)は、前記照射ユニット(22a)を制御するための制御データを生成するように構成され、前記制御データは、所定の長さの50%超に対して、前記放射線ビーム(24a)が前記中心軸(26a)から離れる方向に移動するように、前記放射線ビーム(24a)の走査方法を規定し、
前記所定の長さは、前記中心軸(26a)に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの前記走査ユニット(22a)に割り当てられた前記輪郭に沿って前記放射線ビーム(24a)が移動する長さとして規定されることを特徴とする、装置(10)。
【請求項2】
前記所定の長さは、少なくとも1つの前記走査ユニット(22a)に割り当てられた前記輪郭に沿って前記放射線ビーム(24a)が移動する全長として規定される、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記照射ユニット(20)は、原料粉末の前記最上層上で前記原料粉末の前記最上層の所定の部位に追加の放射線ビーム(24b)を走査して、前記所定の部位において前記原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニット(22b)を具備し、
原料粉末の前記最上層に90°の角度で衝突するときの前記追加の放射線ビーム(24b)に対応する軸を、前記追加の走査ユニット(22b)の追加の中心軸(26b)として規定し、
前記制御ユニット(27)は、前記3次元ワークピースの前記層の前記輪郭の一部を前記走査ユニット(22a)に割り当て、その結果、前記放射線ビーム(24a)と前記中心軸(26a)との間の角度を、前記走査ユニット(22a)の最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するように構成され、前記輪郭の追加の部分を前記追加の走査ユニット(22b)に割り当て、前記追加の放射線ビーム(24b)と前記追加の中心軸(26b)との間の角度を、前記追加の走査ユニット(22b)の最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するように構成される、請求項1の前提部又は請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記制御ユニット(27)は、前記照射ユニット(22a)を制御するための制御データを生成するように構成され、前記制御データは、前記放射線ビーム(24a)の照射パワー及び/又は前記放射線ビーム(24a)の走査速度が、前記放射線ビーム(24a)と前記中心軸(26a)との間の角度に基づいて適合され、その結果、前記角度が増大すると前記照射パワーが増大したり、及び/又は前記角度が増大すると前記走査速度が減少したりするように、前記放射線ビーム(24a)の走査方法を規定する、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記制御ユニット(27)は、前記ワークピースデータに基づいて、前記放射線ビーム(24a)が照射されることになる少なくとも1つの領域において前記ワークピースの厚さを判定し、前記厚さが所定の閾値を下回っているかどうかを判断し、前記厚さが前記所定の閾値を下回ったときに、この領域において前記照射パワーが増大しないように、少なくとも1つの前記領域のための前記制御データを生成するように構成される、請求項4に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記制御ユニット(27)は、前記所定の長さの60%超、70%超、80%超又は90%超に対して、前記放射線ビーム(24a)が前記中心軸(26a)から離れる方向に移動するように、前記制御データを生成するように構成される、請求項1又は2に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記所定の値及び/又は前記追加の所定の値は、10°から25°の範囲の値であり、特に、15°から20°の範囲の値である、請求項3に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記走査ユニット(22a)と前記追加の走査ユニット(22b)との間に重複エリアを形成し、前記重複エリアは、それぞれの前記放射線ビーム(24a、24b)とそれぞれの前記中心軸(26a、26b)との間の前記角度がそれぞれの前記所定の値を下回るときに、前記走査ユニット(22a)及び前記追加の走査ユニット(22b)の両方によって照射することができる、請求項3又は7に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記制御ユニット(27)は、前記輪郭ではない前記3次元ワークピースの前記層の一部を前記走査ユニット(22a)に割り当てるようにさらに構成され、その結果、前記一部は、少なくとも部分的に、前記所定の値よりも大きい角度で前記放射線ビーム(24a)によって照射される、請求項3、7又は8のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記制御ユニット(27)は、前記放射線ビーム(24a)と前記中心軸(26a)との間の前記角度に関する前記照射パワーの関数が連続的に増大したり、及び/又は前記放射線ビーム(24a)と前記中心軸(26a)との間の前記角度に関する前記放射線ビーム(24a)の前記走査速度の関数が連続的に減少したりするように、前記制御データを生成するように構成される、請求項4又は5に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記制御ユニット(27)は、前記角度が所定の閾値を下回るエリアに対して前記照射パワーが一定レベルに設定されるように前記制御データを生成するように構成され、前記照射パワーは、角度が大きくなると照射パワーが高くなるように、前記閾値を超える角度に対して連続的に増大したり、及び/又は
制御ユニット(27)は、前記角度が所定の閾値を下回るエリアに対して前記走査速度が一定レベルに設定され、前記閾値を超える角度に対して、角度が大きくなるほど走査速度が低下するように、前記走査速度が連続的に低下したりするように、前記制御データを生成するように構成される、請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
3次元ワークピースを製造する方法であって、
原料粉末の最上層上で前記原料粉末の前記最上層の所定の部位に放射線ビーム(24a)を走査して、前記所定の部位において前記原料粉末を固化することによって製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するステップと、
前記3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を、装置(10)の照射ユニット(20)の少なくとも1つの走査ユニット(22a)に割り当てるステップであって、原料粉末の前記最上層に90°の角度で衝突したときの前記放射線ビームに対応する軸を、前記走査ユニット(22a)の中心軸(26a)として規定する、ステップと、を含む方法において、
前記照射ユニット(20)を制御するための制御データを生成するステップであって、前記制御データは、所定の長さの50%超に対して、前記放射線ビーム(24a)が前記中心軸(26a)から離れる方向に移動するように、前記放射線ビーム(24a)の走査方法を規定し、
前記所定の長さは、前記中心軸(26a)に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの前記走査ユニット(22a)に割り当てられた前記輪郭に沿って前記放射線ビーム(24a)が移動する長さとして規定される、ステップによって特徴づけられる、方法。
【請求項13】
前記所定の長さは、少なくとも1つの前記走査ユニット(22a)に割り当てられた前記輪郭に沿って前記放射線ビーム(24a)が移動する全長として規定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項12の前提部又は請求項12又は13に記載の方法であって、
前記装置の前記照射ユニット(20)は、原料粉末の前記最上層上で前記原料粉末の前記最上層の所定の部位に追加の放射線ビーム(24b)を走査して、前記所定の部位において前記原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニット(22b)を具備し、
原料粉末の前記最上層に90°の角度で衝突するときの前記追加の放射線ビーム(24b)に対応する軸を、前記追加の走査ユニット(22b)の追加の中心軸(26b)として規定する、方法において、
前記方法は、
前記3次元ワークピースの前記層の前記輪郭の一部を前記走査ユニット(22a)に割り当て、その結果、前記放射線ビーム(24a)と前記中心軸との間の角度を、前記走査ユニット(22a)の最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、
前記輪郭の追加の部分を前記追加の走査ユニット(22b)に割り当て、その結果、前記追加の放射線ビーム(24b)と前記追加の中心軸(26b)との間の角度を、前記追加の走査ユニット(22b)の最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、を含む、方法。
【請求項15】
コンピュータ可読記憶媒体に保存されたコンピュータプログラムであって、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実施させるためのコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元ワークピースを製造するための装置及び方法に関する。特に、本発明は、放射線ビームによって原料粉末の複数の層を固化することによって3次元ワークピースを製造するための装置及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
粉末床溶融とは、粉末原料、特に、金属原料及び/又はセラミック原料を複雑な形状の3次元ワークピースに加工することができる積層造形プロセスである。その目的を達成するために、原料粉末層が担体上に塗布され、製造されるワークピースの所望の形状に応じて、部位選択的に放射線(例えば、レーザ放射線又は粒子放射線)が照射される。粉末層に浸透する放射線は、加熱を引き起こし、その結果、原料粉末粒子の溶融又は焼結を引き起こす。次に、ワークピースが所望の形状及び大きさになるまで、すでに放射線処理済みの担体上の層に、さらに原料粉末層を連続的に塗布する。粉末床溶融は、CADデータに基づいて、プロトタイプ、工具、交換部品、高価値構成要素又は、例えば、歯科用又は整形外科用補綴などの医療用補綴の製造に採用される場合がある。粉末床溶融技術の例には、選択的レーザ溶融及び選択的レーザ焼結が挙げられる。
【0003】
上記の技術に従って1つ又は複数のワークピースを製造するための装置が知られている。例えば、欧州特許出願公開第2961549号明細書及び欧州特許出願公開第2878402号明細書にはそれぞれ、選択的レーザ溶融技術に従って3次元ワークピースを製造するための装置が記載されている。このような文献に記載されている一般原則は、本開示の技術にも適用することができる。
【0004】
特に、より大きなワークピースを製造するためのより大きな構築チャンバに対する需要が高まる過程で、対応する放射線ビームを走査するための複数の走査ユニットを有する装置が知られている。ここで、走査ユニットのそれぞれは、原料粉末の表面上の所定の照射エリアを照射する。
【0005】
上記の方法で3次元ワークピースを製造するための装置に設定することができるいくつかの要因、特に、パラメータが、製造されたワークピースの品質に影響を及ぼすことが知られている。そのようなパラメータは、放射線ビームの(出力、焦点サイズ、波長などの)物理的特性及び/又は使用される原料粉末の(化学組成、温度、密度などの)物理的特性に関連する場合がある。ワークピースの品質は、例えば、密度、表面粗さ、対応するCADデータに関する3次元精度などによって表現することができる。
【0006】
生成されたワークピースの品質を改善するために、近年になっていくつかの努力がなされてきたが、従来の技術は、場合によっては、特にワークピースの表面粗さに関して、ワークピースの品質を改善する必要があるという問題を依然として抱えている。
【発明の概要】
【0007】
このため、本発明は、上記の問題及び/又は他の関連する問題を解決する装置及び方法を提供することを目的とする。
【0008】
この目的には、請求項1に記載の装置、請求項2に記載の装置、請求項11に記載の方法、請求項12に記載の方法及び請求項14に記載のコンピュータプログラムが対処する。
【0009】
第1の態様によれば、3次元ワークピースを製造するための装置が提供される。この装置は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された少なくとも1つの走査ユニットを備える照射ユニットを備える。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの放射線ビームに対応する軸を、走査ユニットの中心軸として規定する。この装置は、製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信し、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を少なくとも1つの走査ユニットに割り当てるように構成された制御ユニットをさらに備える。制御ユニットは、照射ユニットを制御するための制御データを生成するように構成される。制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動するように、放射線ビームの走査方法を規定する。所定の長さは、中心軸に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する長さとして規定される。
【0010】
放射線ビームは、レーザビーム、電子ビーム又は原料粉末を固化するのに適した別の種類のエネルギービームであってもよい。特に、放射線ビームは、赤外波長域のレーザビームであってもよい。原料粉末の固化は、溶融(例えば、選択的レーザ溶融)又は焼結(例えば、選択的レーザ焼結)によって実施されてもよい。以下の開示では、本発明は、選択的レーザ溶融の周知の技術を参照して説明される。しかしながら、本開示は、この点に関して限定的であると理解されるべきではなく、例えば、他のタイプの粉末床溶融技術にも適用することができる。
【0011】
装置は、原料粉末の複数の層を受容するための担体を備えてもよい。担体は、垂直方向(上下)に移動可能であってもよく、その結果、構築されるワークピースの第1の層が完全に照射された後、担体を下降させることができ、原料粉末の第2の層を第1の層に塗布し、ワークピースの第2層を照射し、固化することができる。このプロセスは、ワークピースが完成するまで継続される。担体は、(デカルト座標系のx-y平面での)水平面を形成する実質的に平坦な表面を備えてもよい。上記のように、担体は、x-y平面に直交するz方向に沿って移動可能であってもよい。
【0012】
照射ユニットはレーザ光源を備えてもよい。しかしながら、レーザ光源はこのほか、照射ユニットの外側に配置され、光ファイバ及び/又は1つ又は複数のミラーによって照射ユニットに誘導されてもよい。照射ユニットは、ビーム経路の方向に沿って(例えば、実質的にz方向に沿って)放射線の焦点位置を変更するように構成された焦点ユニットをさらに備えてもよい。照射ユニットは、ビーム拡大器、コリメータ及びfシータレンズなどのような1つ又は複数の光学部品をさらに備えてもよい。
【0013】
中心軸が原料粉末の最上層と交差する点において、走査ユニットの中心点が形成される。中心軸は、原料粉末の最上層によって形成される表面に対して面法線を形成するように、90°の角度で原料粉末の最上層に衝突するときの放射線ビームによって形成される。換言すれば、中心点は、走査ユニット及び/又は放射線ビームが放出される照射ユニットのレンズ(例えば、fシータレンズ)までの距離が最短である、原料粉末の層の点として形成されてもよい。
【0014】
制御ユニットは、装置の一般的な制御ユニットであってもよい。ワークピースデータは、製造されるワークピースの3次元構造を規定するCADデータであってもよい。ワークピースデータは、例えば、ワークピースの個々の(2次元)層を形成するデータセットであっても、3次元構造を形成するデータセットであってもよい。ここで、制御ユニットは、個々の層ごとにデータを生成するように、ワークピースデータを分析し、処理するように構成される。換言すれば、ワークピースデータは、元々処理されているか処理されて、製造されるワークピースの個々の層を規定するデータを表示してもよい。ワークピースデータの各層は、ワークピースの表面の(1次元)区画に対応するワークピースの輪郭を形成してもよい。輪郭内で、ワークピースデータはワークピースの内部を規定してもよい。輪郭の少なくとも一部が走査ユニットに割り当てられる。例えば、1つの走査ユニットのみが設けられる場合、輪郭全体が1つの走査ユニットに割り当てられてもよい。しかしながら、複数の走査ユニットが設けられる場合、輪郭の第1の部分(即ち、輪郭の第1の区画)を第1の走査ユニットに割り当て、輪郭の第2の部分を第2の走査ユニットに割り当ててもよい。
【0015】
制御データは、装置の個々のユニット(特に、照射ユニットの1つ又は複数の走査ユニット)に、所望のワークピースを製造するために必要な動作を実施するように指示するために必要なデータとみなしてよい。走査方法は、放射線ビームの1つ又は複数のビーム経路を規定してもよい。換言すれば、走査方法は、照射場所の進路を規定してもよく、さらに正確には、原料粉末の特定の場所が照射され固化される時間及び/又は順序を規定してもよい。ワークピースの製造中に、装置の制御ユニットは、制御データを読み取り、制御データに従ってワークピースを製造してもよい。制御データは、ワークピースの製造も層ごとに実施されるため、ワークピースを層ごとに規定してもよい。さらに正確には、ワークピースは、先ず、原料粉末の第1の層が担体に塗布され、放射線ビームによって固化されるように製造されてもよい。所望の場所での原料粉末の第1の層の固化が完了した後、原料粉末の追加の層が前の層の上に塗布され、固化のプロセスは、追加の層の制御データによって規定された場所において再び開始される。このようにして、ワークピースは層ごとに構築される。
【0016】
制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動するように規定される。所定の長さは、中心軸に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する長さとして規定される。輪郭全体が1つの走査ユニットに割り当てられている場合、上記の規定は、中心軸に対して同心の区画を除く、輪郭全体の長さに適用される。輪郭の一区画のみが特定の走査ユニットに割り当てられる場合、上記の規定は、中心軸に対して同心の区画を除いて、輪郭の上記区画の長さに適用される。放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動するという規定は、制御データによって規定された照射中に、中心軸と放射線ビームとの間に形成される角度が増大することを意味する。換言すれば、(中心軸が原料の最上層と交差する)中心点と放射線ビームのスポット位置との間の距離が、制御データの規定に従って増大する。さらに、上記の規定は、放射線ビームが輪郭を固化するために実際に使用される時間にのみ適用され、例えば、(放射電力が低減する状態及び/又は溶融プールが生成されないような高速の状態での)「ジャンプ」運動には適用されない。
【0017】
上記の規定に沿って、所定の長さの50%超に対して、放射線ビームは「貫通」方向に移動する。本開示では、放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動する動きは、放射線ビームが針であった場合、この方向に移動すると原料粉末の層に貫通するため、「貫通」方向と呼ばれる。反対方向、即ち、放射線ビームが中心軸に向かって移動する動きは、前述の針が牽引されることになるため、「牽引」方向と呼ばれる。
【0018】
製造されるワークピースの輪郭に関する上記の規定はこのほか、ワークピースの内部領域に適用されてもよい。換言すれば、このほか、例えば、ワークピースの内部領域を形成するハッチパターンを、ハッチパターンの50%超が貫通方向に照射されるように、生成してもよい。しかしながら、ワークピースの内側領域のハッチパターンの品質よりも輪郭の品質の方が重要であると判定される場合もある。例えば、そのような理由から、輪郭が上記のように(貫通方向に50%を超えて)照射され、対応する制限がワークピースの内部領域に適用されないと判断される場合がある。
【0019】
1つ又は複数の実施形態では、装置は複数の走査ユニットを備える。この場合、制御データは、上記の規定が各走査ユニットに当てはまるように規定されてもよい。さらに正確には、第1の走査ユニットに割り当てられた輪郭の区画を、同心の区画を除いて、その長さの50%超が貫通方向に固化するように規定してもよい。第2の走査ユニットに割り当てられた輪郭の区画を、同心の区画を除いて、その長さの50%超が貫通方向などに固化されるように規定してもよい。
【0020】
中心軸に対して同心の区画はこのほか、本明細書では「同心区画」と呼ばれる。このような区画は、純粋に同心である、即ち、径方向成分がない輪郭の区画である。このため、区画はこのほか、「円形」区画と考えてもよい。論理的な理由から、このような同心区画の照射中、このような部分には径方向成分がないため、レーザビームが中心軸から離れることも、中心軸に向かって移動することもできない。
【0021】
所定の長さは、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する全長として規定されてもよい。換言すれば、実施形態によれば、中心軸に対して同心の区画は、「50%超」基準の判定から除外されることがなくてもよい。同心区画を除外しない規定は、同心区画を除外する規定よりも狭い規定であるため、「所定の長さ」の規定は上記のように置き換えられてもよい。換言すれば、同心区画を除外しない規定は、同心区画を除外する規定よりも狭く、同心区画を除外する規定を包含する。同心区画を除外する規定では、輪郭の長さのみが考慮され、レーザビームは中心軸から離れるか、中心軸に向かって移動する可能性がある。同心区画を除外しない規定では、割り当てられた輪郭の全長が考慮される。
【0022】
第1の態様の装置の照射ユニットは、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビームを走査して、原料粉末を所定の部位で固化するように構成された追加の走査ユニットを含んでもよい。この場合、原料粉末の最上層に90°の角度で衝突したときの追加の放射線ビームに対応する軸を、追加の走査ユニットの追加の中心軸として規定する。制御ユニットは、放射線ビームと中心軸との間の角度が、走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態を維持するように、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニットに割り当てるように構成されてもよく、追加の放射線ビームと追加の中心軸との間の角度が、追加の走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態を維持するように、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニットに割り当てるように構成されてもよい。
【0023】
第2の態様によれば、3次元ワークピースを製造するための装置が提供される。この装置は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された少なくとも1つの走査ユニットを備える照射ユニットを備える。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの放射線ビームに対応する軸を、走査ユニットの中心軸として規定する。この装置は、製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信し、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を少なくとも1つの走査ユニットに割り当てるように構成された制御ユニットをさらに備える。第2の態様の装置の照射ユニットは、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニットを備える。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの追加の放射線ビームに対応する軸を、追加の走査ユニットの追加の中心軸として規定する。制御ユニットは、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニットに割り当て、その結果、放射線ビームと中心軸との間の角度を、走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するように構成される。制御ユニットは、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニットに割り当て、その結果、追加の放射線ビームと追加の中心軸との間の角度を、追加の走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するようにさらに構成される。
【0024】
以下の任意の詳細及び追加の仕様は、第1の態様の装置及び/又は第2の態様の装置に適用されてもよい。
【0025】
上記の規定によれば、本開示全体で使用される場合、例えば、「追加の走査ユニット」又は「追加の放射線ビーム」に使用される「追加の」という表現は、他の以前に規定された要素(例えば、「走査ユニット」又は「放射線ビーム」)に対して区別をもたらすためにのみ使用される。このような表現の意味にいかなる差もなく、「第1の走査ユニット」及び「第2の走査ユニット」などに置き換えることもできる。
【0026】
それぞれの走査ユニットの最大可能偏向角は、走査ユニットの物理的特性、即ち、走査ユニットのミラーの最大傾斜量によって規定されてもよい。このように、それぞれの走査ユニットの動作範囲は、偏向角が小さく、放射線ビームが90°に近い角度で原料粉末に衝突する領域に意図的に制限されている。
【0027】
制御ユニットは、照射ユニットを制御するための制御データを生成するように構成されてもよい。制御データは、放射線ビームの照射パワー及び/又は放射線ビームの走査速度が放射線ビームと中心軸との間の角度に基づいて適合され、その結果、角度が増大すると照射パワーが増大したり、及び/又は角度が増大すると走査速度が低下したりするように、放射線ビームの走査方法を規定する。
【0028】
角度が増大すると(原料粉末層のスポット面積が大きくなるため)照射スポットのエネルギー密度が低下する可能性があるため、前述の対策により、単位面積あたりの照射エネルギー量を一定に保つか、実質的に一定に保つことに役立つ可能性がある。この場合、固化プロセスの物理的特性が一定に保たれる可能性がある。
【0029】
制御ユニットは、ワークピースデータに基づいて、放射線ビームの照射対象の少なくとも1つの領域でのワークピースの厚さを判定し、厚さが所定の閾値を下回るかどうかを判断し、厚さが所定の閾値を下回っている場合は、少なくとも1つの領域に対する制御データを生成して、この領域で照射パワーが増大しないようにするように構成されてもよい。
【0030】
照射パワーが増大するワークピースの領域と、照射パワーが増大しない薄い領域(即ち、壁厚が薄いワークピースの領域)とがあってもよい。これは、照射パワーの増大によって壁厚が薄い領域が破壊されるのを防ぐのに役立つ可能性がある。この場合、例えば、壁厚が厚めの領域では、照射パワーを増大させる上記の機構が実施されてもよく、壁厚が薄い領域では、照射パワーを増大させる上記の機構が実施されなくてもよい。これとは別に、あるいはこれに加えて、厚さが所定の閾値を下回る場合、制御データは、少なくとも1つの領域について生成され、走査速度がこの領域で低下しないようにしてもよい。壁厚は、原料粉末の層に対応するx-y平面の壁厚として規定されてもよい。しかしながら、壁厚はこのほか、z方向(垂直構築方向)に沿った厚さとして規定されてもよい。例えば、x-y平面の壁厚とz方向の壁厚の両方が所定の閾値を下回っているかどうかが判断されてもよい。これとは別に、x-y平面の壁厚及びz方向の壁厚のうちの少なくとも1つが所定の閾値を下回るかどうかが判断されてもよい。この判断に基づいて、それぞれの領域で照射パワーが増大したり、及び/又は走査速度が低下したり、しなかったりする。
【0031】
制御ユニットは、所定の長さの60%超、70%超、80%超又は90%超に対して、放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動するように、制御データを生成するように構成されてもよい。
【0032】
さらに正確には、50%の下限に言及している本開示の各区画では、この下限は、60%、70%、80%又は90%に置き換えてもよい。換言すれば、貫通方向に照射される輪郭の割合が増大してもよい。場合によっては、この割合が100%にまで増大してもよく、その結果、ワークピースの割り当てられた輪郭全体が貫通方向に照射される。製造されたワークピースの表面粗さを低減するために、上記割合を増大させることが有利である場合がある。しかしながら、効率及びその他の技術的/幾何学的な制限により、割合を100%に増大させることができない場合がある。その結果、前述の下限である50%、60%、70%、80%又は90%は、適切な妥協点である場合がある。(同心区画を除外するか、除外しない)所定の長さの規定に関する上記の考察に沿って、50%超、60%超、70%超、80%超又は90%超の基準は、同心区画を除外する所定の長さ又は同心区画を除外しない全長に適用されてもよい。
【0033】
(放射線ビームと中心軸との間の角度の)所定の値及び/又は(追加の放射線ビームと追加の中心軸との間の角度の)追加の所定の値は、10°から25°の範囲、特に15°から20°の範囲の値であってもよい。
【0034】
所定の値は、前述の範囲のうちの1つ、例えば、18°の値に設定することができる。所定の値(及び/又は追加の所定の値)が前述の範囲のうちの1つの値であるとき、偏向角(即ち、中心軸と放射線ビームとの間の角度)が過度に増大しないことを保証することができる。このため、製造されたワークピースの輪郭の良好な品質を保証することができる。
【0035】
重複領域を、走査ユニットと追加の走査ユニットとの間に規定してもよい。ここで、重複領域は、それぞれの放射線ビームとそれぞれの中心軸との間の角度がそれぞれの所定の値を下回るときに、走査ユニットと追加の走査ユニットの両方によって照射することができる。
【0036】
このようにして、ワークピースの輪郭を、低い偏向角、ひいては(例えば、ワークピースの表面粗さに対して)高品質で連続的に固化することができることを保証することができる。
【0037】
制御ユニットは、3次元ワークピースの層の輪郭ではない部分を走査ユニットに割り当てるようにさらに構成されてもよく、その結果、この部分は、所定の値よりも大きい角度の下で放射線ビームによって少なくとも部分的に照射される。
【0038】
ワークピースの層の輪郭ではない部分は、ワークピースの内部領域の一区画であってもよい。ワークピースの内部領域は、ハッチパターンで満たされてもよい。例えば、特定の品質要件が(例えば、表面粗さに関して)ワークピースの輪郭に適用される必要があることを判断することができるが、ワークピースの内部領域に関してさまざまな品質基準及び/又は、より低い品質基準が設定される。例えば、この場合、制御ユニットは、ワークピースの内部領域のハッチパターンに関してではなく、輪郭に関して前述の割り当てが実施されるように構成することができる。換言すれば、制御ユニットは、ワークピースの内部領域の少なくとも一区画が、中心軸に対して所定の値よりも大きい角度を有する走査ユニットの放射線ビームによって固化されるように構成することができる。しかしながら、制御ユニットはこのほか、前述の割り当てが輪郭に関して実施されるほか、ワークピースの内部領域のハッチパターンに関して実施されるように構成することができる。
【0039】
制御ユニットは、放射線ビームと中心軸との間の角度に関する照射パワーの関数が連続的に増大するように制御データを生成するように構成されたり、及び/又は放射線ビームと中心軸との間の角度に関する放射線ビームの走査速度の関数が継続的に減少するように制御データを生成するように構成されたりしてもよい。
【0040】
上記の場合、例えば、放射線ビームと中心軸との間の角度が増大するときに放射線ビームの出力密度が減少することにより、照射エネルギー密度(即ち、照射エネルギーを照射面積で割ったもの)が一定に保たれるか、実質的に一定に保たれることを保証することができる。
【0041】
制御ユニットは、角度が所定の閾値を下回るエリアに対して照射パワーが一定レベルに設定されるように制御データを生成するように構成されてもよい。ここで、照射パワーは、角度が大きくなると照射パワーが増大するように、閾値を超える角度に対して連続的に増大する。これに加えて、あるいはこれとは別に、制御ユニットは、角度が所定の閾値を下回るエリアに対して走査速度が一定レベルに設定されるように制御データを生成するように構成されてもよい。ここで、走査速度は、角度が大きくなると走査速度が低下するように、閾値を超える角度に対して連続的に低下する。
【0042】
上記の場合、放射線ビームの出力密度が減少することは、所定の閾値(即ち、所定の閾値を有する角度)まで無視することができ、これより角度が大きくなると、適切な補償が実施されると判断することができる。
【0043】
第3の態様によれば、3次元ワークピースを製造する方法が提供される。この方法は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化することによって製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するステップと、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を、装置の照射ユニットの少なくとも1つの走査ユニットに割り当てるステップであって、原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの放射線ビームに対応する軸を、走査ユニットの中心軸として規定する、ステップと、を含む。この方法は、照射ユニットを制御するための制御データを生成するステップを含む。制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビームが中心軸から離れる方向に移動するように、放射線ビームの走査方法を規定する。所定の長さは、中心軸に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する長さとして規定される。
【0044】
所定の長さは、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する全長として規定されてもよい。
【0045】
第3の態様の方法に関して、装置の照射ユニットは、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニットを備えてもよい。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの追加の放射線ビームに対応する軸を、追加の走査ユニットの追加の中心軸として規定する。第3の態様の方法は、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニットに割り当て、その結果、放射線ビームと中心軸との間の角度を、走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニットに割り当て、その結果、追加の放射線ビームと追加の中心軸との間の角度を、追加の走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、をさらに含んでもよい。
【0046】
第4の態様によれば、3次元ワークピースを製造する方法が提供される。この方法は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化することによって製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するステップと、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を、装置の照射ユニットの少なくとも1つの走査ユニットに割り当てるステップであって、原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの放射線ビームに対応する軸を、走査ユニットの中心軸として規定する、ステップと、を含む。装置の照射ユニットは、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビームを走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニットを備える。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの追加の放射線ビームに対応する軸を、追加の走査ユニットの追加の中心軸として規定する。第4の態様の方法は、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニットに割り当て、その結果、放射線ビームと中心軸との間の角度を、走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニットに割り当て、その結果、追加の放射線ビームと追加の中心軸との間の角度を、追加の走査ユニットの最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、をさらに含む。
【0047】
第3の態様又は第4の態様の方法は、照射ユニットを制御するための制御データを生成するステップをさらに含んでもよい。制御データは、放射線ビームの照射パワー及び/又は放射線ビームの走査速度が、放射線ビームと中心軸との間の角度に基づいて適合され、その結果、角度が増大すると照射パワーが増大したり、及び/又は角度が増大すると走査速度が低下したりするように、放射線ビームの走査方法を規定する。
【0048】
さらに、第1及び第2の態様の装置に関する上記の任意選択の詳細及び追加の態様はこのほか、第3及び/又は第4の態様の方法に適用されてもよい。第3の態様の方法は、第1の態様の装置によって実施されてもよい。第4の態様の方法は、第2の態様の装置によって実施されてもよい。
【0049】
第5の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体に保存されたコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、コンピュータに第3の態様又は第4の態様に従って方法を実施させるためのコンピュータ可読命令を含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の好ましい実施形態を、添付の概略図を参照してさらに詳細に説明する。
図1】本開示の一実施形態による3次元ワークピースを製造するための装置の概略図である。
図2】本開示の一実施形態による3次元ワークピースを製造するための装置の概略図である。
図3】さまざまなパラメータに応じて試験構造の表面粗さを測定するために作成された試験構造を示す図である。
図4図3の試験構造で実施された表面粗さ測定の結果を示す図である。
図5】本開示の一実施形態による例を示す図であって、ワークピースの輪郭がどのように分割され、さまざまな走査ユニットに割り当てられ得るかを示す図である。
図6】本開示の一実施形態による装置の制御ユニットを示す図である。
図7】本開示の一実施形態による装置の制御ユニットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、選択的レーザ溶融によって3次元ワークピースを製造するための装置10を示す。装置10は処理チャンバ12を備える。処理チャンバ12は、周囲雰囲気に対して、即ち、処理チャンバ12を取り囲む環境に対して封止可能である。処理チャンバ12内に配置された粉末塗布装置14が、原料粉末を担体16に塗布するのに役立つ。図1の矢印Aによって示すように、担体16は、垂直方向に移動可能であるように設計され、その結果、ワークピースの構築高さが増大するにつれて、ワークピースが担体16上に原料粉末から層状に構築されるとき、担体16は、垂直方向に下向きに動かすことができる。担体16の可動性は、選択的レーザ溶融の分野では周知であるため、本明細書では詳細に説明しない。可動担体16の代替として、担体16は、(特に、垂直z方向に関して)静止(又は固定)担体として提供されてもよい。ここで、照射ユニット20(以下を参照)は、構築プロセス中に(即ち、ワークピースの構築高さが増大するにつれて)上向きに移動するように構成される。
【0052】
担体16の表面は、x-y方向に水平面を形成する。ここで、この平面に直交する方向を、z方向として規定する。このため、原料粉末の各最上層は、上記で規定された水平面(x-y平面)に平行な平面内に延びる。
【0053】
装置10は、担体16に塗布された原料粉末にレーザ照射を選択的に照射するための照射ユニット20をさらに備える。照射ユニット20によって、担体16に塗布された原料粉末は、製造されるワークピースの所望の形状に応じて、部位選択的な方法でレーザ照射にさらされてもよい。
【0054】
照射ユニット20は走査ユニット22aを備える。走査ユニット22aは、担体16の表面上に形成された照射エリア18aに関連付けられ、照射エリア18aに塗布された原料粉末に電磁放射線ビーム又は粒子放射線ビーム24aを選択的に照射するように構成される。
【0055】
照射ユニット20は、(図示しない)少なくとも1つのレーザビーム源を備える。このレーザビーム源から放射線ビームが走査ユニット22aに向けられる。レーザビーム源は、例えば、約1070~1080nmの波長のレーザ光を放出するダイオード励起イッテルビウムファイバレーザを含んでもよい。
【0056】
さらに、照射ユニット20は、走査ユニット22aに加えて、放射線ビームを拡大するためのビーム拡大器及び/又は対物レンズを備えてもよい。これとは別に、光学ユニットは、集束光学装置を備えるビーム拡大器及び走査ユニット22aを備えてもよい。走査ユニット22aによって、ビーム経路の方向とビーム経路に実質的に直交する平面(即ち、x-y平面)の両方での放射線ビームの焦点の位置を変更し、適合させることができる。走査ユニット22aは、検流計スキャナの形態で設計されてもよく、対物レンズは、走査ユニット22aの後にビーム経路に提供されるfシータ対物レンズであってもよい。照射ユニット20の動作は制御装置27によって制御される。
【0057】
走査ユニット22aは、所望のワークピースが製造されるように、放射線ビームを、原料粉末の最上層上の所定の部位、即ち、制御ユニット27によって規定された部位に偏向させるように構成される。走査ユニット22aの場合、中心軸26aを、図1の破線で示すように規定することができる。中心軸26aは、走査ユニット22aから到来する放射線ビーム24aが原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときのビーム経路として規定される。換言すれば、中心軸26aは、z方向に延びる原料粉末の最上層の面法線(即ち、x-y平面)であり、走査ユニット22aと交差する。中心軸26aが原料粉末の最上層と交差する点を、中心点28aとして規定してもよい。このため、中心軸26aは、仮想放射線ビームによって、あるいは、換言すれば、走査ユニット22aの特定の設定での放射線ビーム24aによって規定されてもよい。放射線ビーム24aは、原料粉末に照射されると、中心軸26aに対して角度α1を形成する。この角度は、放射線ビーム24aの偏向角α1と呼ばれることになる。
【0058】
走査ユニット22aの物理的特性により、偏向角α1は、x方向及びy方向の両方で制限される。この最大可能偏向角は、製造されるワークピースの設置面積を制限する場合がある。換言すれば、ワークピースの層の大きさが、最大可能偏向角によって制限される場合がある。このため、担体16の大きさ(面積)は、通常、照射することができない領域が無駄にならないように、最大可能偏向角にほぼ適合している。
【0059】
作成するワークピースの最大可能設置面積を増大させる選択肢を図2に示す。図2は、本開示の別の実施形態による3次元ワークピースを製造するための装置10を示す。図2の装置10は、図1の装置10とほぼ同じである。このため、以下では相違点についてのみ説明する。ここで、残りの要素は、図1に関して説明したものと同じである。類似の要素は、類似の参照記号で示される。
【0060】
図2の装置10と図1の装置10との間の主な相違点は、図2の装置10の照射ユニット20が増設の(追加の)走査ユニット22bを備える点である。追加の走査ユニット22bは、走査ユニット22aに隣接して位置決めされる。追加の走査ユニット22bはこのほか、制御ユニット27によって制御され、原料粉末の最上層上で追加の放射線ビーム24bを走査するように構成される。
【0061】
図2から明らかなように、第1及び第2の照射エリア18a、18bを、担体16の表面上に形成する。第1の照射エリア18aは、走査ユニット22aの放射線ビーム24aに割り当てられるエリアであり、第2の照射エリア18bは、追加の走査ユニット22bの追加の放射線ビーム24bに割り当てられるエリアである。
【0062】
第1の走査ユニット22aは、担体16の表面上に形成された第1の照射エリア18aに関連付けられ、第1の照射エリア18aに塗布された原料粉末に電磁放射線ビーム又は粒子放射線ビーム24aを選択的に照射するように構成される。第2の走査ユニット22bは、担体16の表面上に形成された第2の照射エリア18bに関連付けられ、第2の照射エリア18bに塗布された原料粉末に電磁放射線ビーム又は粒子放射線ビーム24bを選択的に照射するように構成される。
【0063】
照射ユニット20は、走査ユニット22a及び22bのそれぞれのための1つ又は複数のレーザビーム源を備えてもよい。しかしながら、このほか、走査ユニット22a、22bは、単一のレーザビーム源に関連付けられることが考えられる。ここで、例えば、ビーム分割器及び/又はミラーなどの適切な手段によって、単一の放射線ビーム源によって提供される放射線ビームが、必要に応じて、分割されたり、及び/又は偏向されたりして、放射線ビーム源によって提供される放射線ビームを走査ユニット22a、22bに向けてもよい。走査ユニット22a、22bの一方のみ、あるいは走査ユニット22a、22bの両方に関連するレーザビーム源が、例えば、約1070~1080nmの波長のレーザ光を放出するダイオード励起イッテルビウムファイバレーザを含んでもよい。
【0064】
さらに、照射ユニット20は、各走査ユニット22a、22bについて、放射線ビーム源によって放出され、走査ユニット22a、22bに供給される放射線ビームを誘導したり、及び/又は処理したりするための光学ユニットを備えてもよい。光学ユニットは、走査ユニット22a、22bに加えて、放射線ビームを拡大するためのビーム拡大器及び/又は対物レンズを備えてもよい。これとは別に、光学ユニットは、集束光学装置を含むビーム拡大器及び走査ユニット22a、22bを備えてもよい。走査ユニット22a、22bによって、ビーム経路の方向及びビーム経路に直交する平面の両方での放射線ビーム24a、24bの焦点の位置を変更し、適合させることができる。走査ユニット22a、22bは、検流計スキャナの形態で設計されてもよく、対物レンズは、fシータ対物レンズであってもよい。照射ユニット20の動作は、制御装置27によって制御される。
【0065】
制御装置27により、各走査ユニット22a、22bは、走査ユニット22a、22bによって放出された放射線ビーム24a、24bが、問題になっている走査ユニット22a、22bに関連付けられていない他の照射エリア18a、18bの照射とは独立して、部位選択的な方法で、走査ユニット22a、22bに関連付けられた照射エリア18a、18b上に塗布された原料粉末に照射される。換言すれば、担体16上に形成された各照射エリア18a、18bは、所望の照射パターンを使用して個別に独立して照射される。このため、大型の3次元ワークピースが、例えば、担体16上に形成された第1及び第2の照射エリア18a、18bを同時に、走査ユニット22a、22bによって放出された電磁放射線又は粒子放射線で照射することによって、比較的短い時間内に妥当なコストで、積層造形プロセスによって担体16上に構築されてもよい。
【0066】
照射エリア18a、18bは、互いに重なり合い、担体16の表面上に形成された重複エリアを形成してもよい。重複エリアに塗布された原料粉末は、照射ユニット20の両方の走査ユニット22a、22bによって、電磁放射線又は粒子放射線で選択的に照射可能である。重複エリアは、第1及び第2の照射エリア18a、18bの一部として配置される縞状の形態を有してもよい。
【0067】
さらに、追加の走査ユニット22bはこのほか、走査ユニット22aの中心軸26aの規定に対応する追加の中心軸26bを規定する。同じように、追加の中心点28bはこのほか、追加の中心軸26bと原料粉末の最上層との交点に規定される。追加の放射線ビーム24bの偏向角をα2として示す。
【0068】
図1及び図2の装置10の一般的な配置、特に光学構造は、当技術分野で既知である。本開示は、以下に説明するように、むしろ、それぞれの装置の制御ユニット27によって実施される制御の詳細に焦点を合わせている。
【0069】
しかしながら、最初に、物理的な観察について考察する。これは、例えば、ワークピースの表面の表面粗さに関して、製造されたワークピースの構造品質に悪影響を及ぼす可能性がある。このような問題は、図1及び図2の装置10の走査ユニット22aに関して発生する可能性があり、それに応じて、図2の装置10の追加の走査ユニット22bに関して発生する可能性がある。
【0070】
図3は、走査方向(即ち、貫通方向又は牽引方向)の影響と、中心点28aから生成されたワークピースの表面粗さまでの距離とを観察するために作成された試験構造を示す。図示の試験構造は、複数の層において照明され、これにより、担体16上に固化した金属材料の複数(20個)の長方形のブロック30が作成された。
【0071】
図3は、一例を示し、この例によれば、図1に示すように、1つの走査ユニット22aを有する装置10を用いて担体16上に試験構造が製造された。しかしながら、以下に記載する物理的観察はこのほか、それに応じて、例えば、図2に関して、上記で考察したように、複数の走査ユニットを有する装置に適用される。
【0072】
ブロック30はハッチパターンで満たされている。換言すれば、ブロック30は、ハッチパターン(例えば、縞状パターン)で満たされた内側部分(即ち、コア)と、輪郭によって規定され、所定の方向に沿って放射線ビーム24aによって照射され、固化される外側部分(即ち、シェル)とから構成される。以下の観察は、表面粗さに焦点を合わせているため、ハッチパターンについてこれ以上詳細に考察することはなく、むしろ製造されたワークピース(即ち、ブロック30)の表面を規定する輪郭に焦点を合わせている。
【0073】
複数のブロック30の走査方向は、図3に矢印で示されている。各層では、同じ走査方向が使用されている。図3に示すように、連続走査パターンが、ブロック30の輪郭のそれぞれに使用されている。換言すれば、ブロック30の輪郭の走査方向は円周方向である。図3に示す例では、ブロック30の輪郭は時計回りの方向に照射されている。その結果、各ブロック30は、貫通方向に照射された側面32と、牽引方向に照射された側面34とを有する。
【0074】
貫通方向は、中心点28aから離れる方向として規定される。換言すれば、放射線ビーム24aが貫通方向に移動すると、中心点28aと放射線ビーム24aのスポット位置との間の距離が増大する。それとは対照的に、牽引方向は、中心点28aに向かう方向として規定される。換言すれば、放射線ビーム24aが牽引方向に移動するとき、放射線ビーム24aのスポット位置と中心点28bとの間の距離が減少する。
【0075】
図4は、図3に示す試験構造の側面上の複数の点において測定された表面粗さの評価を表す図を示す。以下では、試験構造の側面(ひいては、ブロック30の側面)は、中心点28aに対して実質的に半径方向に延びて拡大する表面として規定される。
【0076】
先ず、この図は、半径(任意の単位のa.u.)、即ち、中心点28aからの距離rに依存する表面粗さ値(μm単位のRa)のプロットを示す。図1図2から、半径の増大は偏向角α1の増大も意味することが明らかである。
r = d * tan(α1)
ここで、dは、走査ユニット22aと原料粉末の最上層との間の距離である。
【0077】
さらに、この図は、貫通方向に固化した表面上で得られた値と、牽引方向に固化した表面上で得られた値とを区別している。このような値は、さまざまな記号で表される(貫通方向:三角形、牽引方向:円)。両方向(即ち、貫通方向と牽引方向)について、対応する多項式回帰曲線が計算され、図4の図に描画された(貫通方向:破線、牽引方向:実線)。
【0078】
図4に示す結果に基づいて、2つの主要な観察を実施することができる。
観察1:両方向(貫通方向及び牽引方向)について、表面粗さRaは、中心点28aからの距離が増大するにつれて増大する。換言すれば、偏向角α1が増大すると、表面粗さが増大し、ひいては劣化する。
観察2:半径値の全範囲にわたって、貫通方向に照射された側面32は、表面粗さが著しく良好になる(即ち、低下する)。
【0079】
上記の観察1及び2の考えられる説明には、偏向角α1の増大に伴う(楕円形の)放射線スポット24aの離心率の増大及び/又は楕円内の放射線スポット24aの非対称強度分布が含まれる。
【0080】
本開示の技術は、観察1及び観察2に関連して発生する前述の問題のうちの少なくとも1つを解決することができる。本開示の技術は、図1の装置10及び/又は図2の装置10に実装されてもよい。
【0081】
本開示の第1の実施形態を、図1の装置10を参照して以下に説明する。制御ユニット27は、製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するように構成される。このワークピースデータは、CADデータの形態で提供されてもよい。データは、すでに個々の層の形態で提供されているか、あるいは制御ユニット27によって処理されて、製造されるワークピースの個々の層を規定するかのいずれかである。
【0082】
制御ユニット27は、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を走査ユニット22aに割り当てるようにさらに構成される。1つの走査ユニット22aのみが提供される場合(図1を参照)、輪郭全体は1つの走査ユニット22aに割り当てられる。換言すれば、ワークピース全体、ひいては、ワークピースの輪郭全体は、走査ユニット22aによって固化される。
【0083】
制御ユニット27は、照射ユニットを制御するための制御データを生成するようにさらに構成される。制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビーム24aが中心軸28aから離れる方向に移動するように、放射線ビーム24aの走査方法を規定する。一実施形態によれば、所定の長さは、中心軸に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する長さとして規定される。追加の実施形態によれば、このような「同心区画」は除外されない。換言すれば、追加の実施形態によれば、所定の長さは、少なくとも1つの走査ユニットに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビームが移動する全長として規定される。
【0084】
換言すれば、制御ユニット27は、3次元ワークピースデータを処理し、製造されるワークピースの各層の走査方法を規定する制御データに「変換」する。本実施形態によれば、走査方法は、輪郭の長さの50%超に対して、輪郭が貫通方向に固化するように規定される。従来技術の走査方法によれば、ワークピースの輪郭は、その長さの貫通方向の50%及びその長さの牽引方向の50%に対する放射線ビームによって固化されてもよい。これは、例えば、図3に示すような走査方法の場合であり、各ブロック30は、放射線ビームのいかなるジャンプもなしに時計回りの方向に照射される。従来技術では、この走査方法が適用されるのは、放射線ビームのジャンプを低減し、粉末を固化させながら放射線ビームを原料粉末上で連続的に移動させることができるためである。
【0085】
このため、本実施形態による走査方法は、放射線ビーム24aのジャンプの数(即ち、放射線ビーム24aが固化の終点から固化の始点に移動し、このような点の間で原料粉末を固化させることがない回数)を増大させることを必要としてもよい。しかしながら、その結果、製造されたワークピースの表面粗さが低減する可能性があり、これは改善された表面品質を表す。
【0086】
図3に示す試験構造に関して、本実施形態による走査方法は、例えば、ワークピース(ブロック30)の側面のそれぞれが貫通方向に照射されるように、即ち、中心点28aから離れるように、規定されてもよい。側面を接続し、中心点28aに向かう方向及び中心点28aから離れる方向に面する表面は、放射線ビーム24aのジャンプを最小にする方向に照射することができる。このような表面は中心点28aに対して接線方向に延びるため、このような表面の走査方向は、側面の場合のように表面品質にそれほど強い影響を及ぼさない。側面が貫通方向に照射された場合、明らかにワークピース(即ち、個々のブロック30)の輪郭の50%超が貫通方向に照射され、このような側面の表面品質を向上させることができる。
【0087】
同心区画に関して、図3は、そのような同心区画(即ち、中心点28aに関して同心の輪郭の区画)を示さないことに留意されたい。このような同心区画(又は円形区画)は、本明細書で考察する問題に寄与しないため、「少なくとも50%」の基準の判定から除外されることがあり得る。換言すれば、このような区画には径方向成分がないため、レーザビームはこのような区画に沿って「牽引方向」又は「貫通方向」に移動することができない。しかしながら、追加の実施形態によれば、このような円形区画は除外されず、その結果、そのような同心区画のうちの1つ又は複数が存在する場合、割り当てられた輪郭の全長に「50%超」の基準が適用され、それにより、貫通方向に照射される必要のある長さが増大する。
【0088】
状況によっては、前述の下限値である50%を増大させるとよい場合がある。例えば、制限は、状況に応じて、特にワークピースの幾何学的構造及び/又は放射線ビーム24aの他の物理的パラメータに応じて、60%、70%、80%又は90%に設定することができる。場合によっては、輪郭全体(即ち、それぞれの走査ユニット22aに割り当てられた輪郭の100%)が貫通方向に照射される走査方法を規定することさえ可能である。表面品質は、それぞれの表面を貫通方向に照射すると向上させることができるため、下限値を大きくするとワークピース全体の表面品質が向上する場合がある。
【0089】
本開示の第2の実施形態を、図2の装置10を参照して以下に説明する。第2の実施形態は第1の実施形態とほぼ同じであるため、相違点及び/又は追加の特徴に関する詳細のみを以下に説明する。
【0090】
装置10の制御ユニット27は、製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するように構成される。
【0091】
制御ユニット27は、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニット22aに割り当てるようにさらに構成される。制御ユニット27は、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニット22bにさらに割り当てる。このため、ワークピースの輪郭は、第1の区画及び第2の区画に分割される。ここで、第1の区画は第1の走査ユニット22aによって照射され、第2の区画は第2の走査ユニット22bによって照射される。
【0092】
制御ユニット27は、照射ユニット20を制御するための制御データを生成するようにさらに構成され、制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビーム24aが中心軸26aから離れる方向に移動するように、放射線ビーム24aの走査方法を規定する。一実施形態によれば、所定の長さは、中心軸26aに対して同心の区画を除いて、走査ユニット22aに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム24aが移動する長さとして規定される。追加の実施形態によれば、このような「同心区画」は除外されない。換言すれば、追加の実施形態によれば、所定の長さは、走査ユニット22aに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム24aが移動する全長として規定される。制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビーム24bが追加の走査ユニット22bの中心軸26bから離れる方向に移動するように、走査方法をさらに規定する。一実施形態によれば、所定の長さは、中心軸26bに対して同心の区画を除いて、追加の走査ユニット22bに割り当てられた輪郭に沿って追加の放射線ビーム24bが移動する長さとして規定される。追加の実施形態によれば、このような「同心区画」は除外されない。換言すれば、追加の実施形態によれば、所定の長さは、追加の走査ユニット22bに割り当てられた輪郭に沿って追加の放射線ビーム24bが移動する全長として規定される。
【0093】
これにより、走査ユニット22a及び22bのそれぞれは、それぞれの走査ユニット22a、22bに割り当てられた輪郭の区画に対して、走査方向に関して上記の制限を有する走査方法を適用する。さらに正確には、走査ユニット22a、22bのそれぞれは、それぞれの区画の50%超が貫通方向に照射されるように、輪郭の対応する区画を照射する。第1の実施形態に関して上記に記載したように、この50%の下限は、60%、70%、80%又は90%、さらには100%にまで増大させることができる。
【0094】
上記の技術を実施することにより、ワークピースの品質を向上させることができ、特に、ワークピースの表面の表面粗さを低減することができる。
【0095】
以下では、図2を参照して第3の実施形態について説明する。
【0096】
図2を参照して上記で説明したように、装置10の照射ユニット20は、所定の部位において原料粉末を固化させるために、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビーム24bを走査するように構成された追加の走査ユニット22bを備える。原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの追加の放射線ビーム24bに対応する軸を、追加の走査ユニット24bの追加の中心軸26bとして規定する。
【0097】
制御ユニット27は、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニット22aに割り当てるように構成され、その結果、放射線ビーム24aと中心軸26aとの間の角度が、走査ユニット22aの最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態を維持する。制御ユニット27は、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニット22bに割り当てるようにさらに構成され、その結果、追加の放射線ビーム24bと追加の中心軸26bとの間の角度が、追加の走査ユニット22bの最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態を維持する。
【0098】
換言すれば、ワークピースの輪郭は、走査ユニット22aに割り当てられた区画が、所定の値を下回った状態を維持する偏向角α1で照射され、追加の走査ユニット22bに割り当てられた区画が、追加の所定の値を下回った状態に維持された偏向角α2で照射されるように、分割される。
【0099】
図5は、第3の実施形態による技術の一例を示す。
【0100】
図5は、製造されるワークピース36の輪郭と共に担体16の上面図を示す。さらに、対応する走査ユニット22a及び22bの中心点28a及び28bを示す。走査ユニット22aは、破線で示した最大可能半径38をもたらす、最大可能偏向角を有する。同じように、走査ユニット22bは、実線で示した最大可能半径40をもたらす、最大可能偏向角を有する。
【0101】
しかしながら、走査ユニット22aの偏向角は、所定の値に制限され、これは、所定の最大半径42をもたらす。追加の走査ユニット22bの偏向角は、追加の所定の値に制限され、これは、追加の所定の最大半径44をもたらす。所定の値及び/又は追加の所定の値は、10°から25°の範囲の値であり、特に15°から20°の範囲の値である。一実施形態では、所定の値は18.25°である。
【0102】
参照符号38、40、42及び44によって示すエリアに関する円形の表現は、一例に過ぎないことに留意されたい。例えば、走査ユニットごとに2つの偏向ミラーが(例えば、それぞれx方向及びy方向の走査のために)使用される場合、図4に示す円は、正方形で置き換えられてもよい。その場合、偏向角を制限することは、照射される可能性のある正方形領域の辺の長さが減少することを意味する場合がある。
【0103】
ワークピース36の輪郭は、各走査ユニット22a及び22bが、それぞれの所定の値よりも小さい角度でワークピース36の輪郭の区画のみを照射するように、それぞれの走査ユニット22a及び22bに割り当てられる。走査ユニット22aに割り当てられたワークピース36の輪郭の区画は破線で示され、追加の走査ユニット22bに割り当てられたワークピース36の輪郭の区画は実線で示される。
【0104】
図5に見られるように、ワークピース36を確実かつ連続的に製造することができるように、所定の最大半径42、44を示す円内に重複エリアが存在する。
【0105】
さらに、図5に示す例及び第3の実施形態の技術によれば、ワークピース36の内側部分は、走査ユニットが所定の値より大きな偏向角で内側部分を照射するように、走査ユニットに割り当てることができる。図5の表現では、これは、内側の円42と外側の円38との間のエリアを、ワークピース36の内側部分を固化するために使用することができることを意味する。内側の円44と外側の円40との間のエリアについても同じことが当てはまる。
【0106】
上記の技術によれば、それぞれの走査ユニットの偏向角は、それぞれの値を下回った状態に維持される。このため、特に、観察2に関する上記の問題を低減するか排除することができる。
【0107】
第4の実施形態によれば、第2の実施形態と第3の実施形態は、第3の実施形態に関して説明したようにワークピースの輪郭が分割され、それぞれの走査ユニット22a、22bの走査方向は、対応する輪郭が、その長さの貫通方向の50%超に対して固化されるように設定されるように、組み合わされる。
【0108】
上記技術の追加の改善によれば、上記の実施形態のそれぞれは変更することができ、その結果、放射線ビーム24aの照射パワー及び/又は放射線ビーム24aの走査速度が、放射線ビーム24aと中心軸26aとの間の角度α1に基づいて適合され、その結果、角度α1が増大すると照射パワーが増大したり、及び/又は角度α1が増大すると走査速度が減少したりするように、放射線ビーム24aの走査方法を規定する。追加の走査ユニット22bの追加の放射線ビーム24bについても、存在する場合には、同じことを実施することができる。
【0109】
角度α1が増大すると(原料粉末層のスポット面積Aが大きくなるため)照射スポットのエネルギー密度が低下する可能性があるため、前述の対策により、単位面積当たりの照射エネルギー量を一定又は実質的に一定に保つことに役立つ可能性がある。この場合、固化プロセスの物理的特性を一定に保ってもよく、特に、観察2に関して記載した問題を低減するか排除することができる。
【0110】
追加の変更によれば、制御ユニットは、ワークピースデータに基づいて、放射線ビーム24aが照射される少なくとも1つの領域でのワークピースの厚さを判定し、厚さが所定の閾値を下回るかどうかを判断し、厚さが所定の閾値を下回る場合、照射パワーがこの領域で増大しないように、少なくとも1つの領域に対する制御データを生成するように構成される。このため、壁厚が厚めの領域に対しては、上記のように照射パワーを上げてもよく、壁厚が薄めの(閾値未満の)領域に対しては、このような(薄い)領域ではワークピースを破壊しないように照射パワーを上げることはない。
【0111】
一実施形態によれば、放射線ビーム24aと中心軸26aとの間の角度α1に関する照射パワーの関数が連続的に増大している。さらに、一実施形態によれば、放射線ビーム24aと中心軸26aとの間の角度α1に関する放射線ビーム24aの走査速度の関数が連続的に減少している。さらに正確には、関数は単調関数であってもよい。
【0112】
さらに、関数は、角度α1が所定の閾値を下回るエリアに対して照射パワーが一定レベルに設定され、照射パワーは、角度を大きくすると照射パワーが増大するように、閾値を超える角度に対して連続的に増大するように規定されてもよい。
【0113】
すでに上記で示したように、第1及び第2の実施形態によれば、図1及び図2の照射システム20の動作はそれぞれ、概略図で図6においてさらに詳細に示している制御装置27によって制御される。図6に示し、以下に説明する制御装置27のさまざまなユニットは、必要に応じてハードウェア又はソフトウェアで実装されてもよい。制御装置27は、製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するように構成された受信ユニット50を備える。制御ユニット27は、3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を少なくとも1つの走査ユニット22aに割り当てるように構成された割り当てユニット52をさらに備える。制御ユニット27は、照射ユニット20を制御するための制御データを生成するように構成された生成ユニット54をさらに備え、制御データは、所定の長さの50%超に対して、放射線ビーム24aが中心軸26aから離れる方向に移動するように、放射線ビーム24aの走査方法を規定する。一実施形態によれば、所定の長さは、中心軸に対して同心の区画を除いて、少なくとも1つの走査ユニット22aに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム24aが移動する長さとして規定される。追加の実施形態によれば、このような「同心区画」は除外されない。換言すれば、追加の実施形態によれば、所定の長さは、少なくとも1つの走査ユニット22aに割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム24aが移動する全長として規定される。
【0114】
すでに上記で示したように、第3の実施形態によれば、図2の照射システム20の動作は、概略図で図7においてさらに詳細に示している制御装置27によって制御される。図7に示し、以下に説明する制御装置27のユニットは、必要に応じて、ハードウェア又はソフトウェアで実装されてもよい。制御装置27は、放射線ビーム24aと中心軸26aとの間の角度を、走査ユニット22aの最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するように、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニット22aに割り当てるように構成され、追加の放射線ビーム24bと追加の中心軸26bとの間の角度を、追加の走査ユニット22bの最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するように、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニット22bに割り当てるように構成された割り当てユニット56を備える。
【0115】
第4の実施形態に関して上記で説明したように、図6及び図7の制御ユニット27は、組み合わされた制御ユニット27が、上記に記載したユニット50、52、54及び56のそれぞれの機能を有するユニットを含むように、組み合わせることができる。
【0116】
上記で考察した技術を用いて、改善された品質を有し、特に、改善された表面品質及び低減された表面粗さを有する1つ又は複数のワークピースを生成することができる。
【0117】
上記の技術によって説明したように、表面粗さを改善することは、最適化問題の1つの側面にすぎない可能性も否定できないことに留意されたい。最適化問題は、ユーザ又は(装置の制御ソフトウェアの一部である可能性も否定できない)機械の操作者によって解決することができる。さらに正確には、最適化問題にはさまざまな競合する側面があり、このような側面の1つを改善すると、別の側面が悪化する可能性がある。一例では、このような側面は、(a)改善/低減された表面粗さの取得、(b)構築時間の短縮及び(c)異なる放射線ビーム/レーザによって照射された部品間の目に見える重複の低減、である。
【0118】
側面(a)は、上記で考察した技術によって解決される可能性がある。側面(b)は、ワークピースのさまざまな部分、特に、輪郭のさまざまな部分を同時に固化させるために、可能な限り多くの走査ユニット、ひいては可能な限り多くの放射線ビームを提供することによって対処される可能性がある。側面(c)は、輪郭を固化するための走査ユニット(及び放射線ビーム)の数を減らして(例えば、輪郭を照射するために1つの放射線ビームのみを使用して)、その結果、可能な限り不整合が発生しないようにすることによって対処される可能性がある。
【0119】
上記を考慮すると、いくつかの用途では、1つのレーザのみを用いて3次元ワークピースの輪郭を露光することが、そのために構築時間と偏向角が増大したとしても、有利である可能性も否定できない。表面粗さは、偏向角が大きくなるほど増大するであろうが、(輪郭を露光するレーザが増えるであろう場合)レーザ間の可能性のある接続点での表面品質は、目に見える重複/不整合がないため、向上するであろう。
【0120】
ユーザ/機械の操作者は、制御ソフトウェアの輪郭のさまざまな走査方法間で重み付けを実施することができる。この貫通走査方向の重み付けに沿って、偏向角を大きくしてエネルギー入力を増大させることは、依然として好ましい/適用可能である。
【0121】
換言すれば、場合によっては、最適化される他の態様を選択して、本明細書に記載の表面粗さの最適化を最大限に実施しないことが有利である可能性も否定できない。
【0122】
このほか、以下の実施例が本開示に包含され、完全又は部分的に実施形態に組み込まれてもよい。
【0123】
1.3次元ワークピースを製造するための装置(10)であって、
原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビーム(24a)を走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された少なくとも1つの走査ユニット(22a)を備える照射ユニット(20)であって、
原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの放射線ビーム(24a)に対応する軸を、走査ユニット(22a)の中心軸(26a)として規定する、照射ユニット(20)と、
制御ユニット(27)であって、
製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信し、
3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を少なくとも1つの走査ユニット(22a)に割り当てるように構成された制御ユニット(27)と、を備える、装置(10)において、
制御ユニット(27)は、照射ユニット(22a)を制御するための制御データを生成するように構成され、制御データは、少なくとも1つの走査ユニット(22a)に割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム(24a)が移動する全長の50%超に対して、放射線ビーム(24a)が中心軸(26a)から離れる方向に移動するように、放射線ビーム(24a)の走査方法を規定することを特徴とする、装置(10)。
【0124】
2.実施例1の前提部又は実施例1に記載の装置(10)であって、
照射ユニット(20)は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビーム(24b)を走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニット(22b)を備え、
原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの追加の放射線ビーム(24b)に対応する軸を、追加の走査ユニット(22b)の追加の中心軸(26b)として規定し、
制御ユニット(27)は、3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニット(22a)に割り当て、その結果、放射線ビーム(24a)と中心軸(26a)との間の角度を、走査ユニット(22a)の最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するように構成され、輪郭の追加の部分を追加の走査ユニット(22b)に割り当て、その結果、追加の放射線ビーム(24b)と追加の中心軸(26b)との間の角度を、追加の走査ユニット(22b)の最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するように構成される。
【0125】
3. 制御ユニット(27)は、照射ユニット(22a)を制御するための制御データを生成するように構成され、制御データは、放射線ビーム(24a)の照射パワー及び/又は放射線ビーム(24a)の走査速度が、放射線ビーム(24a)と中心軸(26a)との間の角度に基づいて適合され、その結果、角度が増大すると照射パワーが増大したり、及び/又は角度が増大すると走査速度が減少したりするように、放射線ビーム(24a)の走査方法を規定する、実施例1又は2に記載の装置(10)。
【0126】
4.制御ユニット(27)は、ワークピースデータに基づいて、放射線ビーム(24a)が照射されることになる少なくとも1つの領域においてワークピースの厚さを判定し、厚さが所定の閾値を下回っているかどうかを判断し、厚さが所定の閾値を下回ったときに、この領域において照射パワーが増大しないように、少なくとも1つの領域のための制御データを生成するように構成される、実施例3に記載の装置(10)。
【0127】
5.制御ユニット(27)は、少なくとも1つの走査ユニット(22a)に割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム(24a)が移動する全長の60%超、70%超、80%超又は90%超に対して、放射線ビーム(24a)が中心軸(26a)から離れる方向に移動するように、制御データを生成するように構成される、実施例1に記載の装置(10)。
【0128】
6.所定の値及び/又は追加の所定の値は、10°から25°の範囲の値であり、特に、15°から20°の範囲の値である、実施例2に記載の装置(10)。
【0129】
7.走査ユニット(22a)と追加の走査ユニット(22b)との間に重複領域を形成し、重複領域は、それぞれの放射線ビーム(24a、24b)とそれぞれの中心軸(26a、26b)との間の角度がそれぞれの所定の値を下回るときに、走査ユニット(22a)及び追加の走査ユニット(22b)の両方によって照射することができる、実施例2又は6に記載の装置(10)。
【0130】
8.制御ユニット(27)は、輪郭ではない3次元ワークピースの層の一部を走査ユニット(22a)に割り当て、その結果、この一部は、少なくとも部分的に、所定の値よりも大きい角度で放射線ビーム(24a)によって照射されるようにさらに構成される、実施例2、6又は7のいずれかに記載の装置(10)。
【0131】
9.制御ユニット(27)は、放射線ビーム(24a)と中心軸(26a)との間の角度に関する照射パワーの関数が連続的に増大したり、及び/又は放射線ビーム(24a)と中心軸(26a)との間の角度に関する放射線ビーム(24a)の走査速度の関数が連続的に減少したりするように、制御データを生成するように構成される、実施例3又は4に記載の装置(10)。
【0132】
10.制御ユニット(27)は、角度が所定の閾値を下回るエリアに対して照射パワーが一定レベルに設定されるように制御データを生成するように構成され、照射パワーは、角度が大きくなると照射パワーが高くなるように、閾値を超える角度に対して連続的に増大したり、及び/又は
制御ユニット(27)は、角度が所定の閾値を下回るエリアに対して走査速度が一定レベルに設定され、角度が大きくなると走査速度が低下するように、閾値を超える角度に対して走査速度が連続的に低下したりするように、制御データを生成するように構成される、実施例9に記載の装置(10)。
【0133】
11.3次元ワークピースを製造する方法であって、
原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に放射線ビーム(24a)を走査して、所定の部位において原料粉末を固化することによって製造される3次元ワークピースの少なくとも1つの層を示すワークピースデータを受信するステップと、
3次元ワークピースの層の輪郭の少なくとも一部を、装置(10)の照射ユニット(20)の少なくとも1つの走査ユニット(22a)に割り当てるステップであって、原料粉末の最上層に90°の角度で衝突したときの放射線ビームに対応する軸を、走査ユニット(22a)の中心軸(26a)として規定する、ステップと、を含む方法において、
照射ユニット(20)を制御するための制御データを生成するステップであって、制御データは、少なくとも1つの走査ユニット(22a)に割り当てられた輪郭に沿って放射線ビーム(24a)が移動する全長の50%超に対して、放射線ビーム(24a)が中心軸(26a)から離れる方向に移動するように、放射線ビーム(24a)の走査方法を規定する、ステップによって特徴づけられる、方法。
【0134】
12.実施例11の前提部又は実施例11に記載の方法であって、
装置の照射ユニット(20)は、原料粉末の最上層上で原料粉末の最上層の所定の部位に追加の放射線ビーム(24b)を走査して、所定の部位において原料粉末を固化するように構成された追加の走査ユニット(22b)を備え、
原料粉末の最上層に90°の角度で衝突するときの追加の放射線ビーム(24b)に対応する軸を、追加の走査ユニット(22b)の追加の中心軸(26b)として規定する、方法において、
方法は、
3次元ワークピースの層の輪郭の一部を走査ユニット(22a)に割り当て、その結果、放射線ビーム(24a)と中心軸との間の角度を、走査ユニット(22a)の最大可能偏向角よりも小さい所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、
輪郭の追加の部分を追加の走査ユニット(22b)に割り当て、その結果、追加の放射線ビーム(24b)と追加の中心軸(26b)との間の角度を、追加の走査ユニット(22b)の最大可能偏向角よりも小さい追加の所定の値を下回った状態に維持するようにするステップと、を含む、方法。
【0135】
13.照射ユニット(20)を制御するための制御データを生成するステップであって、制御データは、放射線ビーム(24a)の照射パワー及び/又は放射線ビーム(24a)の走査速度が、放射線ビーム(24a)と中心軸(26a)との間の角度に基づいて適合され、その結果、角度が増大すると照射パワーが増大したり、及び/又は角度が増大すると走査速度が減少したりするように、放射線ビーム(24a)の走査方法を規定する、ステップを含む、実施例11又は12に記載の方法。
【0136】
14.コンピュータ可読記憶媒体に保存されたコンピュータプログラムであって、実施例11~13のいずれかに記載の方法をコンピュータに実施させるためのコンピュータ可読命令を含む、コンピュータプログラム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】