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特表2022-537547反応器供給物流を予熱するための方法
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  • 特表-反応器供給物流を予熱するための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】反応器供給物流を予熱するための方法
(51)【国際特許分類】
   C10G 45/02 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
C10G45/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575352
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2022-02-09
(86)【国際出願番号】 EP2020067191
(87)【国際公開番号】W WO2020254629
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】PA201900753
(32)【優先日】2019-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000282
【氏名又は名称】トプソー・アクチエゼルスカベット
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヤアアンスン・ラース
【テーマコード(参考)】
4H129
【Fターム(参考)】
4H129AA02
4H129CA03
4H129CA08
4H129DA15
4H129KA06
4H129KB03
4H129KC03X
4H129KC04X
4H129KC05X
4H129KD13X
4H129KD15Y
4H129KD18X
4H129KD21X
4H129KD22Y
4H129KD23X
4H129KD24Y
4H129KD44X
4H129KD44Y
4H129NA39
4H129NA40
(57)【要約】
本開示は、水素化処理において触媒的に活性な材料と或る量の水素の存在下、水素化処理によって、供給温度を有する炭化水素供給物を、流出温度を有する炭化水素流出物に変換するにあたって、
前記変換が発熱性であり、前記炭化水素流出物の或る量が、前記供給温度より高くかつ前記流出温度未満の固化温度で固化し、
前記供給物が、前記流出物からの熱エネルギーを利用した熱交換によって予熱される、
方法であって、
前記熱交換が、前記供給物および前記流出物から物理的に分離され、前記固化温度より高い温度を有する流体熱交換媒体によって媒介されることを特徴とする前記方法に関する。
このような方法は、廃プラスチックまたは廃プラスチックの熱分解からの生成物、熱分解工程の他の生成物などのハロゲン化物を含む供給原料ならびにコークス炉タール、コールタールまたはシェールオイルなどのケロジェニック供給物を含むハロゲン化物を含む化石供給原料を水素化処理する際に工程ラインでの固化を回避しながら、高いエネルギー効率を有するという関連した利点を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素化処理において触媒的に活性な材料と或る量の水素の存在下、水素化処理によって、供給温度を有する炭化水素供給物を、流出温度を有する炭化水素流出物に変換するにあたって、
前記変換が発熱性であり、前記炭化水素流出物の或る量が、前記供給温度より高くかつ前記流出温度未満の固化温度で固化し、
前記供給物が、前記流出物からの熱エネルギーを利用した熱交換によって予熱される、
方法であって、
前記熱交換が、前記供給物および前記流出物から物理的に分離され、前記固化温度より高い温度を有する流体熱交換媒体によって媒介されることを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記流体熱交換媒体が、ボイラー内で前記流出物によって加熱された際に液体から発生する蒸気である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱交換媒体が、前記炭化水素流出物の温度において液体である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記炭化水素供給物が、1つ以上の有機結合ハロゲン化物および有機結合窒素を含み、水素化処理において触媒的に活性な前記材料が、有機結合ハロゲン化物および有機結合窒素から無機ハロゲン化物およびアンモニアへの変換に活性を有する、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記流出物が分離器ユニットにおいて第1の蒸気相と第1の液相とに分離され、ある量の水と接触させて前記第1の蒸気相から無機ハロゲン化物が除去される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のハロゲン化物が塩化物を含む、請求項4または5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
有機結合ハロゲン化物から無機ハロゲン化物への変換に触媒的に活性な材料が、オレフィン飽和においても触媒的に活性である、請求項4、5または6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
有機結合ハロゲン化物から無機ハロゲン化物への変換に触媒的に活性な材料が、(i)VIII族金属、(ii)VIB族金属、および(iii)支持体を含み、前記支持体が、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、および酸化チタンから選ばれる1種以上を含む、請求項4、5、6または7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
請求項5、6、7または8のいずれかに記載の方法の後に、
前記分離器ユニットからの第1の液相をさらに処理し炭化水素生成物を提供するステップを含む炭化水素流を水素化処理するための方法。
【請求項10】
炭化水素生成物を蒸気分解工程に導くステップが後に続く、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(a)水素リッチ炭化水素流を入れるための入口と第1の生成物流を出すための出口を含み、水素化処理において触媒的に活性な材料を含む水素化処理反応器、
(b)熱交換媒体を介して熱的に連絡されている、前記水素化処理反応器の上流にある供給熱交換器と、前記水素化処理反応器の下流にある流出熱交換器、
を含む、炭化水素流の水素化処理のための装置。
【請求項12】
前記流出熱交換器がボイラーである、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、変換された供給材料の或る量が凝固することができる炭化水素供給材料の変換方法および装置に関し、具体的には、1つ以上のハロゲン化物を含む炭化水素流からハロゲン化物を除去する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
精製および石油化学プロセスは、ナフサ、ガソリン、ディーゼル等の形態で生成物または中間体を提供するために、炭化水素に富む流れの複数の処理を含む。このような処理には、水素化処理、水素分解、水蒸気分解、分離およびストリッピング、ならびに中間熱交換および不純物の除去が含まれる。
【0003】
製油所で処理される炭化水素リッチ流(炭化水素が豊富な流れ)のいくつかは、ハロゲン化物、例えば塩素、を含む。ハロゲン化物は生成物中では望ましくなく、また、工場のユニット内の腐食および圧力低下の問題のため、製油所プラント内では不利である。
【0004】
ハロゲン化物に加えて、他のヘテロ原子も処理された炭化水素に存在する(例えば、窒素など)。水素化処理の際に、有機的に結合した窒素はアンモニアに変換される。アンモニアとハロゲン化物は反応して塩、例えば塩化アンモニウムを形成することがあり、これは150℃~300℃の析出(沈殿)温度以下の温度では通常固体である。このような塩の析出は、腐食の可能性とともに、プロセスラインの一部または全部の遮断をもたらす可能性があり、したがって回避しなければならない。したがって、プロセス温度(工程温度)を析出温度より高くすることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2015/050635
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、水素化処理反応は発熱性であるため、供給と流出の間の熱交換により、工程のエネルギー消費を最適化することが可能である。しかし、アンモニアとハロゲン化物が存在する場合、この点での問題は、供給/流出の熱交換器において、温度が析出温度以下となり、熱交換器内に低温域が生じ、例えば、塩化アンモニウムが析出する可能性があることである。
【0007】
本発明によれば、熱交換媒体の高温流(熱流)で流出の熱エネルギーを回収することにより、有機的に結合したハロゲン化物および窒素を除去するための水素化処理プロセスの動作が強固になることが、現在、確認されている。このような高温流は、熱交換回路における熱伝達油、すなわち液体油であってもよいし、加圧ボイラーにおける沸騰液体、典型的には水であってもよい。
【0008】
WO2015/050635は、水素化処理によって炭化水素流からハロゲン化物を水素化し除去するための方法に関するものである。この書類は、反応器流出流中の窒素の存在については開示されておらず、本開示とは逆に、窒素が存在する場合、塩の析出を引き起こす可能性が高い冷水との熱交換によって、水素化処理生成物から熱を回収することを明示的に推奨している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
本開示の広範な態様は、水素化処理において触媒的に活性な材料と或る量の水素の存在下、水素化処理によって、供給温度を有する炭化水素供給物を、流出温度を有する炭化水素流出物に変換するにあたって、
前記変換が発熱性であり、前記炭化水素流出物の或る量が、前記供給温度より高くかつ前記流出温度未満の固化温度で固化し、
前記供給物が、前記流出物からの熱エネルギーを利用した熱交換によって予熱される、
方法であって、
前記熱交換が、前記供給物および前記流出物から物理的に分離され、前記固化温度より高い温度を有する流体熱交換媒体によって媒介されることを特徴とする前記方法であって、
このような方法は、廃プラスチックまたは廃プラスチックの熱分解からの生成物、熱分解工程の他の生成物などのハロゲン化物を含む供給原料ならびにコークス炉タール、コールタールまたはシェールオイルなどのケロジェニック供給物を含むハロゲン化物を含む化石供給原料を水素化処理する際に工程ラインでの固化を回避しながら、高いエネルギー効率を有するという関連した利点を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
さらなる実施形態において、前記熱交換媒体は、ボイラー内で前記流出物によって加熱されたときに液体から発生する蒸気であり、ボイラーが液体の圧力によって定義される安定した温度を提供するという関連した利点を有する。
【0011】
さらなる実施形態において、前記熱交換媒体は、前記流出物の温度で液体であり、液体の熱交換媒体は沸騰した液体よりも取り扱いが容易であるという関連した利点を有する。
【0012】
さらなる実施形態において、前記炭化水素供給物は、1つ以上の有機結合ハロゲン化物および有機結合窒素を含み、水素化処理において触媒的に活性な前記材料は、有機結合ハロゲン化物および有機結合窒素を無機ハロゲン化物およびアンモニアに変換する際に活性であり、このような工程は、熱交換回路におけるコールドスポットによるアンモニウム-ハロゲン化物の固化(凝固)リスクを回避するという関連する利点を有する。
【0013】
さらなる実施形態において、前記流出物は、分離器ユニットにおいて第1の蒸気相と第1の液相とに分離され、無機ハロゲン化物は、或る量の水との接触によって前記第1の蒸気相から除去されるが、ハロゲン化物を含まない中間生成物が提供されるという関連する利点もある。
【0014】
さらなる実施形態において、1つ以上のハロゲン化物は塩化物を含み、このような方法は、例えば塩化物を含むプラスチック廃棄物または塩を含む生物材料の熱分解生成物を精製するのに適しているという関連する利点を有する。
【0015】
さらなる実施形態において、有機結合ハロゲン化物から無機ハロゲン化物への変換に触媒的に活性な材料は、オレフィン飽和においても同様に触媒活性であり、オレフィン系供給原料においても、例えばPVCを含む、廃プラスチックまたは廃プラスチックの熱分解からの生成物、熱分解または水熱液化プロセスの他の生成物、コールタールまたはシェールオイルのようなケロジェニック供給物、ならびに藻類の脂質由来の供給物、特に塩水中で成長した場合から供給物、または炭化水素および塩化物を含む他の生物由来の供給物を処理するための、より簡便な方法を提供することができるという利点がある。
【0016】
さらなる実施形態では、有機結合ハロゲン化物から無機ハロゲン化物への変換に触媒的に活性な材料が以下のものを含んでいる。(i)VIII族金属、(ii)VIB族金属、および(iii)支持体を含み、前記支持体は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、および酸化チタンのうちの1つ以上を含み、このような材料であれば、水素化処理のためのコスト効率の良い触媒であるという関連する利点を有する。触媒材料は、例えば、支持体上のニッケルモリブデン触媒または支持体上のコバルトモリブデン触媒であり得る。
【0017】
さらなる実施形態において、本方法は、以下のステップが続いて行われる:
前記分離器ユニットからの第1の液相をさらに処理し炭化水素生成物を提供するステップであり、このような生成物であれば、輸送燃料としてまたは化学プロセスの中間原料として使用するのに適しているという関連した利点を有する。そのようなさらなる処理は、例えば、蒸留、分留、および/またはストリッピングを含む、水素化-処理であってもよい。
【0018】
さらなる実施形態では、本方法は、炭化水素生成物を蒸気分解工程に導くステップが続き、例えば廃棄物、生物学的材料または低コストの資源から、石油化学プロセス用の原料を提供するという関連した利点を有する。
【0019】
本開示のさらなる態様は、炭化水素流の水素化処理のための装置(システム)に関し、
(a)水素リッチな炭化水素流を入れるための入口と、第1の生成物流を出すための出口を含む、水素化処理において触媒的に活性な材料を含む水素化処理反応器、
(b)熱交換媒体を介して熱的に連絡されている、前記水素化処理反応器の上流にある供給熱交換器と、前記水素化処理反応器の下流にある流出熱交換器
を含み、
このような装置は、生成物の固化のリスクがある工程の処理によく適しているという関連した利点を有する。
【0020】
前記流出熱交換器がボイラーである請求項11に記載の装置において、ボイラーが液体の圧力によって定義される安定した温度を提供するという関連する利点を有する。
【0021】
炭化水素供給原料中の有機ハロゲン化物の30%または80%~90%または100%が、本開示の一実施形態によって、炭化水素生成物流中の無機ハロゲン化物に変換され得る。同様の量の有機窒素は、本開示の一実施形態により、アンモニアに変換される。炭化水素生成物は、無機ハロゲン化物およびアンモニアを結合させる水で洗浄され、炭化水素流から分離される。エネルギーを節約するために、流出物の熱を使用して供給物を予熱することが有益であるが、温度が低すぎると、無機ハロゲン化物およびアンモニアが反応して、例えば塩化アンモニウムとして析出する可能性がある。通常の供給物/流出物熱交換器では、このような析出物が発生する可能性のあるクールスポットが存在するため、この悪影響を回避する方法で冷却する必要がある。
【0022】
水による洗浄によって、炭化水素流に含まれる無機ハロゲン化物が生成物から除去される。炭化水素流から除去されたこれらの無機ハロゲン化物は、例えば蒸発によって洗浄水を再生することにより、系から取り去られる。
【0023】
本発明の方法は、有利には、炭化水素流を処理するための方法の一部であってよい。
【0024】
一実施形態において、水素化処理反応器への再利用の前に、補充水素流が水素リッチな気相に加えられる。これは、有機ハロゲン化物の無機ハロゲン化物への変換、および場合によってはオレフィン飽和などのさらなる反応のために、水素化処理反応器内に存在するのに必要な水素を確保するためである。
【0025】
この文書を通して「有機ハロゲン化物を無機ハロゲン化物に変換する際に触媒的に活性な材料」という用語は、変換を触媒するために配置されたおよび/または触媒するのに適した触媒材料を示すことを意味する。「有機ハロゲン化物」は、1つ以上の炭素原子が1つ以上のハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素またはアスタチン-現在のIUPAC用語では17族)と共有結合している化学化合物である。「無機ハロゲン化物」は、ハロゲン原子と、ハロゲンよりも電気陰性(または電気陽性)の元素またはラジカルとの化合物で、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、またはアスタチド化合物を作るが、炭素が化合物に含まれないという更なる制限がある。触媒活性を有する材料の典型的な例は、屈折性支持体上の1つ以上の硫化物ベース金属のような古典的な精製水素化処理触媒である。
【0026】
「ハロゲン化物を除去する」という用語は、存在するハロゲン化物の一部または全部が無機ハロゲン化物に変換され、その後除去される状況を含むことを意図している。したがって、この用語は、存在するハロゲン化物のある割合で除去される状況に限定されるものではない。
【0027】
「触媒活性物質の存在下で流れ(流)を反応させる」という用語は、触媒作用が起こるのに関連した条件下で、流れを触媒活性物質と接触させることを意味するものである。このような条件は、典型的には、温度、圧力、および流れの組成に関するものである。
【0028】
「熱分解」という用語は、便宜上、任意の分解プロセスに対して広く使用されるものとし、このプロセスでは、材料が、準等比量の酸素の存在下(酸素なしを含む)、高温(通常250℃~800℃、あるいは1000℃)で部分分解されるものとする。生成物は、通常、液体とガスの複合流体、および固体炭(チャー)の量になる。この用語は、熱分解、水熱液化、および部分燃焼として知られる工程を含むと解釈されるものとする。
【0029】
開示された方法および装置は、水素化処理方法への供給物がハロゲン化物を含み、特に、例えばオレフィンおよびジオレフィンの副反応を避けるために温度を適度に保たなければならない場合に有用であることが見出された。このような方法の例としては、例えばPVCを含む廃プラスチックの直接水素化処理または熱分解ハロゲン化物リッチ材料からの生成物の水素化処理、例えばPVCを含む廃プラスチック、または他のハロゲン化物含有プラスチックからなる廃プラスチック、ならびに高ハライド含有の生物材料、例えば、わら(ストロー)および藻、ならびに他の熱分解生成物およびコールタールまたはシェールオイルなどのケロジェニック供給物からの水素化処理である。供給物はまた、非熱分解の再生可能な原料、例えば、特に塩水中で成長した場合の藻類の脂質、または炭化水素および塩化物を含む他の生物学的供給物に由来することもある。
【0030】
アンモニアとハロゲン化物は、典型的には150℃~300℃の析出温度未満の温度で、塩、例えば塩化アンモニウムを形成するために反応する。このような塩の析出は、腐食の可能性とともに、プロセスラインの部分的または完全な遮断をもたらす可能性があり、したがって回避されなければならない。したがって、工程の温度は、工程条件に依存する析出温度より高いことを保証することが重要である。
【0031】
本方法の生成物は、炭化水素輸送燃料の製造や石油化学プロセス、すなわち蒸気分解でのさらなる処理に向けることができる。
【0032】
図の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は、炭化水素流を処理するための装置を開示している。
【0034】
図の詳細な説明
図1は、炭化水素を処理するための装置を開示している。いくつかの熱交換ユニット、ポンプおよび圧縮機が図1に示されている一方で、さらなるポンプ、ヒーター、バルブおよび他の工程装置が図1の装置の一部であってもよい。
【0035】
図1の装置は、炭化水素流がストリッパーおよび/又は分別セクションに入る前に炭化水素流からハロゲン化物を除去するためのサブ装置を含んでいる。
【0036】
図1は、塩素を含む炭化水素流2を示す。この流れは、ジオレフィンの水素化に必要な水素の供給を確実にするために、水素リッチガス流6と組み合わせて水素リッチ炭化水素流10とする前に、任意に予熱される。水素リッチ炭化水素流10は、熱交換器12において熱交換媒体36との熱交換によって加熱され、任意に、焼成ヒーターなどのさらなる加熱によって加熱され、加熱された水素リッチ炭化水素流14を形成する。第1反応器16は任意であるが、ジオレフィンの水素化に適した約30Bargの圧力および約180℃の温度での運転条件を有することができる。第1の反応器16は、オレフィン飽和およびヒドロ-脱ハロゲン化において触媒的に活性な材料を含む。第1の反応器16内で、加熱された水素リッチ炭化水素流14は、触媒的に活性な材料の存在下で反応し、第1の水素化生成物流18をもたらす。
【0037】
第1の水素化生成物流18は、例えば焼成ヒーター20において加熱され、加熱された第1の水素化生成物流22として第2の反応器24に移送され、そこで第2の触媒活性材料の存在下で反応させる。しばしばクエンチガス26が温度を制御するために第2の反応器に供給される。第1および第2の触媒活性材料は、互いに同一でも異なっていてもよく、典型的には、アルミナまたはシリカなどの耐火性支持体に担持されたニッケルまたはコバルトによって促進されたモリブデンまたはタングステンなどの硫化ベース金属の組み合わせを含む。典型的には、第1の触媒活性材料上の反応はジオレフィンの飽和によって支配され、一方、第2の触媒活性材料上の反応はモノオレフィンの飽和およびハロゲン化炭化水素の水素脱ハロゲン化によって支配されるが、水素脱硫、水素脱窒素および水素脱酸素も第2の反応器24において行われ得る(供給原料の組成に依存する)。したがって、熱生成物流28は、炭化水素、HO、HS、NHおよびHClを含み得、これらは洗浄および分離により除去され得る。しかしながら、NHとHClは反応してNHClを形成することがあり、これは条件によっては高温、例えば270℃付近で凝縮することがある。エネルギー効率の良いプロセスを提供するために、ボイラー供給水34を受け、熱交換器12で水素リッチ炭化水素流10を加熱するために向けられる蒸気36を生成するボイラー32で構成される熱交換回路を介して、熱生成物流28は水素リッチ炭化水素流10との熱交換によって冷却されて、冷却生成物流30を形成する。熱交換のために別個の蒸気回路を設けることによって、例えば90℃の水素リッチ炭化水素流10が、熱生成物流28との熱交換においてコールドスポットを誘発しないことを保証することができる。熱交換がボイラー32で行われるので、ボイラー圧力によって規定される温度で熱液水と蒸気の量が平衡状態にあるので、ボイラーの温度は高度に安定しているので、熱安定性はさらに確保される。したがって、熱回路の高温側にコールドスポットが発生する危険性は少なく、NHClの析出が回避される。冷却された生成物流30は、熱ストリッパー40に導かれ、そこでストリッピング媒体42によって分離が助けられ、冷却された生成物流30はガス生成物画分44と液体生成物画分46に分割される。ガス生成物画分44は、水の流れ50と組み合わされ、混合流52を提供し、冷却器54で冷却され、三相流56を提供し、これは三相分離器58で軽炭化水素流60、汚染された水流62および水素リッチリサイクルガス流66に分離される。水素リッチリサイクルガス流66は、リサイクル圧縮機68に導かれ、第2の反応器24のためのクエンチガス26として、およびホットストリッパ40のためのストリッピング媒体42として導かれ、さらに、補充水素ガス4と結合するためのリサイクルガス8に導かれ、水素リッチガス流6が形成される。
【0038】
三相分離器58を出た軽質炭化水素流60は、第2のストリッパー48に入り、ストリッピング媒体72の助けを借りて、液体成分とガス成分をさらに分離する。第2のストリッパー48からの光末端出力78は、冷却器80で冷却され、冷却された光末端画分82として、オフガス画分86を水画分88と炭化水素液体画分92から分離するように配置された更なる三相分離器84へ導かれる。さらなる三相分離器84からの炭化水素液体画分92は、第2のストリッパー48にリサイクルされ、水画分88は、汚染された水流62と結合して酸性水90として除去でき、気体画分は、オフガス画分86として除去される。軽質炭化水素流94が除去されることができる。液体炭化水素生成物74は、ストリッパーから除去される。
【0039】
代替の実施形態においては、ボイラーに基づく熱交換回路は、熱伝達油のような別のタイプの熱交換媒体を採用する回路と置き換えられてもよい。
図1
【国際調査報告】