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特表2022-537561マルチマテリアルワークピースの製造方法並びに製造装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】マルチマテリアルワークピースの製造方法並びに製造装置
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/50 20210101AFI20220819BHJP
   B22F 12/10 20210101ALI20220819BHJP
   B22F 12/88 20210101ALI20220819BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20220819BHJP
   B22F 10/34 20210101ALI20220819BHJP
   B22F 12/50 20210101ALI20220819BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20220819BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220819BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220819BHJP
   B29C 64/295 20170101ALI20220819BHJP
   B28B 1/30 20060101ALI20220819BHJP
   B22F 10/47 20210101ALN20220819BHJP
【FI】
B22F10/50
B22F12/10
B22F12/88
B22F10/28
B22F10/34
B22F12/50
B29C64/153
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/295
B28B1/30
B22F10/47
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575432
(86)(22)【出願日】2020-06-16
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020066553
(87)【国際公開番号】W WO2020254284
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】102019116503.2
(32)【優先日】2019-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514298748
【氏名又は名称】エスエルエム ソルーションズ グループ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】トニ アダム クロル
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ステンゲル
(72)【発明者】
【氏名】ディーター シュバルツェ
【テーマコード(参考)】
4F213
4G052
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4G052DA02
4G052DB12
4G052DC06
4K018AA24
4K018BA13
(57)【要約】
三次元のワークピース(12)を製造する方法において、第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を形成するために、第1の原材料粉末(50)が支持体(18)上に塗布される。第1の原材料粉末(50)からなる硬化された第1のワークピース層セクション(52)を形成するために、第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層が選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射される。次に、硬化されていない第1の原材料粉末(50)が支持体(18)から除去される。次のステップにおいて、第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる原材料粉末層セクションを形成するために、第2の原材料粉末(54)が支持体(18)上に塗布される。第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる硬化された第2のワークピース層セクション(56)を形成するために、原材料粉末層セクションが選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射される。第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末(54)が加熱される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元のワークピース(12)を製造する方法であって:
(i)第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を形成するために、支持体(18)上に第1の原材料粉末(50)を塗布するステップと、
(ii)第1の原材料粉末(50)からなる硬化された第1のワークピース層セクション(52)を形成するために、第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射するステップと、
(iii)硬化されていない第1の原材料粉末(50)を支持体(18)から除去するステップと、
(iv)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる原材料粉末層セクションを形成するために、支持体(18)上に第2の原材料粉末(54)を塗布するステップと、
(v)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる硬化された第2のワークピース層セクション(56)を形成するために、原材料粉末層セクションを電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射するステップと、
(vi)第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながり合った多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末(54)を加熱するステップと、
を有する、三次元のワークピースを製造する方法。
【請求項2】
ステップ(i)から(iii)が、ステップ(iv)の実施の前に複数回実施され、ステップ(i)から(iii)の各繰り返しにおいて、特に異なる第1の原材料粉末(50)が使用され、及び/又は
前記ステップ(iv)から(v)が、前記ステップ(vi)の実施の前に複数回実施されて、ステップ(vi)において、複数の重なりあって配置された原材料粉末層セクションからなるつながり合った多孔の焼結層セクション(58)が形成され、及び/又は
前記ステップ(iv)において、第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末(54)の一部のみが加熱される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の原材料粉末(54)の材料が、第1の原材料粉末(50)の材料よりも、低い溶融温度及び/又は高い熱伝導率を有しており、及び/又は
第2の原材料粉末(54)の材料が、第1の原材料粉末(50)の材料よりも、安価である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の溶融温度を下回る温度に加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するための、所望の期間の間加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の材料の、その溶融温度への加熱をもたらす溶融エネルギ投入よりも小さい、エネルギ投入によって加熱される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
-焼結層セクション(58)が、10から20%、の多孔率、特に10から15%の多孔率を有し、及び/又は
-第2のワークピース層セクション(56)が、0から5%の多孔率、特に0から2%の多孔率を有し、及び/又は
-焼結層セクション(58)が、その表面の領域内に互いに結合された粉末粒を含み、前記粉末粒の形状と大きさが、第2の原材料粉末(54)の粉末粒の形状と大きさに、実質的に相当する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が加熱装置(40)によって加熱され、前記加熱装置が硬化されていない第2の原材料粉末(54)に、硬化されていない第2の原材料粉末(54)の支持体(18)とは逆の表面を介し、及び/又は硬化されていない第2の原材料粉末(54)の支持体(18)側の表面を介して、熱エネルギを供給する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
加熱装置(40)が第1の加熱部材(42)を有し、前記第1の加熱部材が支持体(18)を収容するプロセスチャンバ(14)内で支持体(18)の上方に配置されており、及び/又はその場合に加熱装置(40)が第2の加熱部材(44)を有し、前記第2の加熱部材が、支持体(18)内に統合されており、あるいは支持体(18)を収容するプロセスチャンバ(14)の外部で支持体(18)の下方に配置されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(iii)内で支持体(18)から除去された、硬化されていない第1の原材料粉末(50)が、三次元のワークピース(12)を製造するために再使用される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
焼結層セクション(58)が、三次元のワークピース(12)を製造する形成プロセスの終了後に、分離プロセスによって、完成した三次元のワークピース(12)から分離され、その場合に分離プロセスが、好ましくは、個別化プロセス、特に焼結層セクション(58)を個々の粉末粒に個別化するための送風プロセスを有している、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
個別化プロセス内で発生した、焼結層セクション(58)の個々の粉末粒が、三次元のワークピース(12)を製造するために再使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
三次元のワークピース(12)を製造する装置であって、前記装置が:
-粉末塗布装置(22)を有し、前記粉末塗布装置が、第1と第2の原材料粉末(50、54)を支持体(18)上に塗布するように、構成されており、
-照射装置(16)を有し、前記照射装置が、支持体(18)上に塗布された原材料粉末層を、電磁放射又は粒子砲者によって選択的に照射するように、構成されており、
-除去装置(24)を有し、前記除去装置が、硬化されていない第1の原材料粉末(50)を支持体(18)から除去するように、構成されており、
-加熱装置(40)を有し、前記加熱装置が、支持体(18)上に塗布された原材料粉末層を加熱するように、構成されており、かつ
-制御装置(46)を有し、前記制御装置が、前記装置(10)の駆動を次のように制御するように構成されている:
(i)第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を形成するために、粉末塗布装置(22)を用いて第1の原材料粉末(50)が支持体(18)上に塗布され、
(ii)第1の原材料粉末(50)からなる硬化された第1のワークピース層セクション(52)を形成するために、照射装置(16)を用いて第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層が選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射され、
(iii)除去装置(24)を用いて、硬化されていない第1の原材料粉末(50)が支持体(18)から除去され、
(iv)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる原材料粉末層セクションを形成するために、粉末塗布装置(22)を用いて第2の原材料粉末(54)が支持体(18)上に塗布され、
(v)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる硬化された第2のワークピース層セクション(56)を形成するために、照射装置(16)を用いて原材料粉末層セクションが電磁放射又は粒子放射によって照射され、かつ
(vi)第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、加熱装置(40)を用いて硬化されていない第2の原材料粉末(54)が加熱される、
三次元のワークピースを製造する装置。
【請求項12】
制御装置(46)が、さらに、装置(10)の駆動を制御して、ステップ(iv)の実施前にステップ(i)から(iii)が多数回実施され、前記ステップ(i)から(iii)の各繰り返しにおいて、特に異なる第1の原材料粉末(50)が使用されるように、構成されており、及び/又は
制御装置(46)が、さらに、前記装置(10)の駆動を制御して、前記ステップ(vi)の実施前に、前記ステップ(iv)から(v)が複数回実施されるように、構成されており、前記ステップ(vi)において複数の互いに重なり合って配置された原材料粉末層セクションからなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)が形成され、及び/又は
制御装置(46)が、さらに、前記装置(10)を制御して、第1のワークピース層セクション(52)及び第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、ステップ(iv)において硬化されていない第2の原材料粉末(54)の一部のみが加熱されるように、構成されている、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
制御装置(46)が、さらに、加熱装置(40)を制御して、
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の材料の溶融温度を下回る温度に加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、所望の期間加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の材料の溶融温度への加熱をもたらす溶融エネルギ投入よりも小さいエネルギ投入によって加熱される、
ように、整えられている、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
加熱装置(40)が、硬化されていない第2の原材料粉末(54)に、前記硬化されていない第2の原材料粉末(54)の表面であって支持体(18)とは逆の表面及び/又は前記硬化されていない第2の原材料粉末(54)の表面であって前記支持体(18)側の表面を介して熱エネルギを供給するように、整えられている、請求項11から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
加熱装置(40)が第1の加熱部材(42)を有し、前記第1の加熱部材が、支持体(18)を収容するプロセスチャンバ(14)内で支持体(18)の上方に配置されており、及び/又は、加熱装置(40)が第2の加熱部材(44)を有し、前記第2の加熱部材が支持体(18)内に統合されており、あるいは前記支持体(18)を収容する前記プロセスチャンバ(14)の外部で前記支持体(18)の下方に配置されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
さらに分離装置(48)を有し、三次元のワークピース(12)を製造するための製造プロセスの終了後に、前記分離装置が、焼結層セクション(58)を完成した三次元のワークピース(12)から分離するように構成されており、前記分離装置(48)は、特に、焼結層セクション(58)を個々の粉末粒に分離するように、構成されている、請求項11から15のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の材料から積層造形法(generativen Schichtbauverfahrens)を用いて三次元のワークピースを製造する方法に関する。本発明は、さらに、この種の三次元のワークピースを製造する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
三次元のワークピースを製造する付加製造法(generativen Verfahren)において、かつ特に積層造形法においては、まず、無形の、あるいは中立的な形状の成形材料、たとえば原材料粉末を支持体上に層状に塗布し、かつ場所を特定した照射によって硬化させて、最終的に所望の形状のワークピースを得ることが、知られている。照射は、たとえばレーザー放射の方式の、電磁放射を用いて行うことができる。初期状態において、成形材料はまず、細粒として、粉末として、あるいは液状の成形材料として存在することができ、かつ照射によって選択的に、あるいは言い換えると、特定の場所に硬化させることができる。成形材料は、たとえば、セラミック材料、金属材料又はプラスチック材料及びそれらの材料混合物を含むことができる。積層造形法の変形例において、いわゆる粉末床溶融結合において、金属又はセラミックの原材料粉末材料が三次元のワークピースを形成するように硬化される。
【0003】
個々のワークピース層を製造するために、さらに、原材料粉末材料を原材料粉末層の形態で支持体上に塗布し、選択的かつ実際に形成すべきワークピース層の形状にしたがって照射することが、知られている。レーザー放射が原材料粉末材料内へ進入して、たとえば加熱の結果、溶融及び/又は焼結をもたらして、それを硬化させる。1つのワークピース層が硬化された後、直ちに、未加工の原材料粉末材料の新しい層が、すでに形成されているワークピース層上に塗布される。そのために既知の層形成配置又は粉末塗布装置を使用することができる。次に、一番上になった、まだ加工されていない原材料粉末層の新たな照射が行われる。したがってワークピースは、層から層へ順次構築され、各層がワークピースの横断面積及び/又は輪郭を定める。これに関連して、さらに、ワークピースを実質的に自動的に製造するために、CADデータ又は比較可能なワークピースのデータを利用することが、知られている。
【0004】
三次元のワークピースを製造するための既知の装置は、たとえば特許文献1と特許文献2から見い出せる。これらの文献に記載されている装置は、それぞれ支持体を有しており、その支持体が層から層へ垂直方向下方に下降することができる。これら既知の装置においては、対応する支持体の垂直の移動は常に、原材料粉末の層が完全に照射され、かつ次の粉末層が塗布される前に行われる。複雑な構成部品の工業的製造において、積層造形法の使用が増すにつれて、マルチマテリアルワークピースの製造を容易にする方法の需要が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2961549(A1)号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2878402(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって本発明の課題は、質的に高価値のマルチマテリアルワークピースの製造を容易にする、方法と装置を提供することに向けられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する方法と請求項10の特徴を有する装置によって解決される。
【0008】
三次元のワークピースを製造する方法において、第1の原材料粉末からなる原材料粉末層を形成するために、第1の原材料粉末が支持体上に塗布される。第1の原材料粉末からなる硬化された第1のワークピース層セクションを形成するために、第1の原材料粉末からなる原材料粉末層が選択的に、特に部位選択的に、電磁放射又は粒子放射によって照射される。その場合に支持体上には、硬化された第1のワークピース層セクションが存在し、それが硬化されていない、ばらの第1の原材料粉末に包囲されている。望ましい場合、あるいは必要な場合には、第1の原材料粉末からなる原材料粉末層を選択的に照射する場合に、互いに別々に形成された多数の第1のワークピース層セクションを形成することもでき、それらを支持体上に任意に分布して配置し、かつ硬化されていない第1の原材料粉末からなる周囲の層内へ埋め込むことができる。
【0009】
次に、硬化されていない第1の原材料粉末が支持体から除去される。特に、硬化されていない第1の原材料粉末は支持体の、第1のワークピース層セクションによって覆われていない領域から除去される。たとえば、硬化されていない第1の原材料粉末は、支持体から、かつ場合によっては支持体を収容するプロセスチャンバからも、吸い出し、あるいは他のやり方で除去することができる。その後、支持体上には第1のワークピース層セクションのみが存在する。
【0010】
次のステップにおいて、第1のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションを形成するために、支持体上に第2の原材料粉末が塗布される。言い換えると、第2の原材料粉末は、少なくとも支持体の、第1のワークピース層セクションによって覆われていない領域上に塗布されるので、第2の原材料粉末の塗布後に、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションが第1のワークピース層セクションを包囲する。したがって「隣接して」という概念は、ここでは、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションと第1のワークピース層セクションが支持体に関して隣り合って、そして支持体上に互いに重ならずに配置されていることである。好ましくは、支持体上へ原材料粉末層セクションを塗布した後に、原材料粉末層セクションの表面であって支持体とは逆向きの表面と、第1のワークピース層セクションの表面であって支持体とは逆向きの表面は、互いに対して実質的に同一平面上に配置されている。
【0011】
第2の原材料粉末は、好ましくは、1つ又は複数の第1の原材料粉末とは異なる材料からなる。たとえば第1と第2の原材料粉末は、それぞれ金属粉末又は金属合金粉末からなることができる。しかしその代わりに、第1及び/又は第2の原材料粉末が、セラミック材料又はプラスチック材料からなることも、可能である。
【0012】
第1のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなる硬化された第2のワークピース層セクションを形成するために、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションは、先行する第1の原材料粉末からなる原材料粉末層と同様に、選択的に、特に部位選択的に、電磁放射又は粒子放射によって照射される。「隣接して」という概念は、ここでも、第1のワークピース層セクションと第2のワークピース層セクションが支持体に関して互いに隣り合って、かつ支持体上に互いに重ならずに配置されていることである。特に、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションの選択的な照射後に、第2のワークピース層セクションの表面であって支持体とは逆向きの表面と、第1のワークピース層の表面であって支持体とは逆向きの表面は、互いに対して実質的に同一平面上に配置されている。
【0013】
支持体上に第2の原材料粉末を塗布する場合に、第2の原材料粉末が少なくとも少量、第1のワークピース層セクション上にも乗ってしまうことは、排除されない。しかし、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションを選択的に照射する場合に、支持体の、第1のワークピース層セクションによって覆われている領域は照射されないので、このような第2の原材料粉末は硬化されず、たとえば第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションの選択的な照射後に、除去することができる。たとえばこのような粉末は、手動又は自動で、ブラシを用いて、あるいは吸い出しによって除去することができる。
【0014】
支持体上に塗布された原材料粉末層を照射するために用いられる照射装置は、少なくとも1つの光学素子を有することができる。光学素子は、たとえばスキャン装置、収束装置及び/又はFシータレンズとすることができる。さらに照射装置は、ビーム源、たとえば電子ビーム源又はレーザーを有することができる。しかし、照射装置から送出される放射は、照射装置の外部にあるビーム源から照射装置に供給することもできる。そのために、たとえばミラー、光ファイバー及び/又は他の光ガイドを使用することができる。
【0015】
第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションの選択的照射後に、硬化された第1のワークピース層セクションと、硬化された第2のワークピース層セクションとが支持体上に存在しており、その場合に第1と第2の硬化されたワークピース層セクションは、硬化されていない、ばらばらの第2の原材料粉末によって包囲されている。望まれる場合、あるいは必要な場合には、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションを選択的に照射する場合に、互いに別々に形成された複数の第2のワークピース層セクションも形成することができ、それらを少なくとも1つの第1のワークピース層セクションに任意に隣接して分布して支持体上に配置し、かつ硬化されていない第2の原材料粉末からなる周囲の層内へ埋め込むことができる。
【0016】
そして、三次元のワークピースを製造する方法において、第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションの部位選択的な照射後に残る、硬化されていない第2の原材料粉末は、第1のワークピース層セクションと第2のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなるつながりあった多孔の焼結層セクションを形成するために、加熱される。「隣接して」という概念は、ここでも、第1のワークピース層セクション、第2のワークピース層セクション及び焼結層セクションが支持体に関して互いに隣り合って、かつ支持体上に互いに重ならないように配置されていることである。したがって焼結層セクションは、第1のワークピース層セクションによっても、第2のワークピースセクションによっても覆われていない支持体の領域内に形成される。したがって硬化されていない第2の原材料粉末は、第1の硬化されていない原材料粉末のように、支持体から除去されず、温度の影響によってつながりあった層に成形される。
【0017】
温度の影響によって第2の原材料粉末から形成された焼結層セクションは、第2の原材料粉末から選択的照射によって形成された第2のワークピース層セクションから、特にその材料密度の減少によって区別される。すなわち焼結層セクションは、第2のワークピース層セクションよりも高い多孔率を有している。しかし他方で、焼結層セクションは、もはや実質的に個々の粉末粒子を有しておらず、すなわち第2の原材料粉末の、最初は個々の粉末粒の形状で存在していた粉末粒子の少なくとも大部分が、最初の粉末粒子形状完全に認識できるが、焼結層セクション内で互いに結合されている。焼結層セクションと第2のワークピース層セクションは、簡単なやり方で光学的に、すなわち顕微鏡による調査を用いて、互いに区別することができる。さらに、多孔率の調査によって第2のワークピース層セクションから焼結層セクションを区別することが可能である。焼結層セクションと第2のワークピース層セクションの多孔率は、たとえばコンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって測定することができる。
【0018】
加熱ステップの終了後に、支持体上には硬化された第1のワークピース層セクション、硬化された第2のワークピース層セクション及び第1と第2のワークピース層セクションを包囲する焼結層セクションが存在する。この堅固な「土台」上に、第1の原材料粉末からなる原材料粉末層を塗布することができ、かつ上述した諸ステップを、三次元のワークピースを層から層へ形成して、所望の形状を有するまで、繰り返すことができる。支持体は、水平の表面を有することができ、その上へ原材料粉末を層状に、すなわち水平の層で、塗布することができる。さらに支持体は、層から層へ垂直方向下方へ下降することができる。
【0019】
このようにして、第1と第2の原材料粉末から形成された領域をワークピース内に任意に分布して配置できることにより、マルチマテリアルワークピースを製造することができる。さらに、この方法においては、2つの原材料粉末の混合は確実に回避される。というのは、ばらの原材料粉末をその下にある原材料粉末層上に塗布することが回避されるからである。むしろ、2つの原材料粉末の各々は、常に堅固な「土台」上に塗布され、その土台は、第1の層内では支持体により、そしてその上に位置する層内では、焼結層セクション、硬化された第1のワークピース層セクション及び/又は硬化された第2のワークピース層セクションによって形成される。このようにして、品質的に高価値のマルチマテリアルワークピースを製造することができる。
【0020】
第1と第2の原材料粉末を支持体上に塗布するために、粉末塗布装置を使用することができる。粉末塗布装置は、ローラ、スライダ又は他の適切な構成部品を有することができ、その構成部品は、支持体の表面の上方もしくは、焼結層セクション、硬化された第1のワークピース層セクション及び/又は硬化された第2のワークピース層セクションによって形成される、支持体上にすでに構築されている層の上方で、水平に走行し、かつその場合に新しい粉末層を塗布するように構成されている。
【0021】
粉末塗布装置は、好ましくは、支持体上に第1の原材料粉末も、第2のそれも塗布するように、構成されている。支持体上に種々の原材料粉末を塗布するのに適した、粉末塗布装置は、たとえば、第1と第2の原材料粉末のための別体の粉末リザーバを有することができる。粉末リザーバは、支持体の表面の上方で移動可能な、粉末塗布装置の構成部品と一体的に形成することができ、かつ粉末塗布装置の駆動中に同様に支持体の表面の上方で移動することができる。その場合に粉末リザーバからの粉末放出を適切に制御することによって、第1と第2の原材料粉末は支持体上に全面で、あるいは部位選択的に、塗布することができる。
【0022】
しかしその代わりに、粉末塗布装置は場所固定の粉末リザーバを有することもでき、その粉末リザーバはたとえば支持体に隣接して配置されており、かつその粉末リザーバから粉末塗布装置の移動可能な構成部分が粉末を取り出して、支持体の表面の上方で分配する。粉末塗布装置の移動可能な構成部分は、たとえばノズルを有することができ、そのノズルが、第1と第2の原材料粉末を部位選択的に支持体上へ塗布するために、支持体の上方で移動可能である。
【0023】
望ましい場合には、三次元のワークピースを製造する方法において、支持体上に第1の原材料粉末を塗布することによって少なくとも1つの第1のワークピース層セクションを形成し、次に電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射し、次に硬化されていない第1の原材料粉末を支持体から除去する、上述したステップを繰り返し実施することができる。その場合に種々の第1の原材料粉末を使用することもできる。このようにして、同一の材料から、あるいは異なる材料から成ることができる、複数の第1のワークピース層セクションを支持体上に形成することができ、その後に次のステップにおいて第2の原材料粉末が支持体上に、すなわち支持体の、第1のワークピース層セクションによって覆われていない領域上に、塗布される。
【0024】
付加的又は代替的に、三次元のワークピースを製造する方法において、第2の原材料粉末を支持体上に塗布することにより第2のワークピース層セクションを形成し、次に第2の原材料粉末を選択的に照射する、上述したステップを、硬化されていない第2の原材料粉末の加熱前に、繰り返し実施することができる。その場合につながりあった多孔の焼結層セクションは、複数の重なりあって配置された原材料粉末層セクションからなる「ブロック」として形成することができる。それによって、多孔の焼結層セクションを形成するために必要な時間を最小限に抑えることができる。
【0025】
さらに、第1のワークピース層セクションと第2のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなるつながりあった多孔の焼結層セクションを形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末の一部のみを加熱することができる。たとえば、硬化されていない第2の原材料粉末の、構成部品の完成後に周囲の構造内に収容される領域を照射し、したがって焼結することを、省くことができる。それによって、構成部品の完成後に多孔の焼結層セクションを完全に除去できることを、保証することができる。
【0026】
第2の原材料粉末の材料は、好ましくは、第1の原材料粉末の材料よりも低い溶融温度及び/又は高い熱伝導率を有している。より低い溶融温度及び/又はより高い熱伝導率を有する材料の選択によって、焼結層セクションの形成に必要なエネルギ及び/又は時間を削減することが、可能になる。付加的又は代替的に、第2の原材料粉末の材料は、第1の原材料粉末の材料よりもコスト的に好ましいことがあり得る。それによって焼結層セクションを形成するための材料コストを削減することができる。
【0027】
好ましくは、焼結層セクションを形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末が、第2の原材料粉末の材料の溶融温度を下回る温度に加熱される。それによって、硬化されていない第2の原材料粉末の液相焼結が行われず、むしろ拡散制御された固相焼結プロセスのみが行われることが、保証される。したがって、焼結層セクションを形成するための加熱の間に第2の原材料粉末が溶けることは、確実に回避される。
【0028】
つながりあった焼結層セクションを形成するために硬化されていない原材料粉末を加熱するのに必要な時間は、第2の原材料粉末の材料特性にしたがって、かつ製造すべきワークピースの幾何学配置にしたがって、変化する。硬化されていない原材料粉末を加熱するための期間は、一方で、硬化されていない第2の原材料粉末から拡散制御される固相焼結プロセスによってつながりあった、もはや実質的に個別粉末粒子を含まない焼結層セクションを形成するために、充分に長くなくてはならない。それによって、焼結層セクション上に次の層を塗布する際に第2の原材料粉末の粒子によって第1の原材料粉末が汚染されることは、確実に回避される。しかし他方で、この期間は、焼結層セクションを形成するために必要な時間消費を最小限に抑え、かつさらに所望の多孔率を有する焼結層セクションを形成するためには、できる限り短くなくてはならない。
【0029】
つながりあった焼結層セクションを形成するために必要とされるエネルギ投入も、第2の原材料粉末の材料特性にしたがって、かつ製造すべきワークピースの幾何学配置にしたがって変化する。鋼粉末を加工する場合には、鋼焼結層セクションを形成するために必要なエネルギ投入は、たとえば、鋼粉末を溶融するのに必要なエネルギ投入の約50%である。
【0030】
焼結層セクションは、コンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって定めることのできる10から20%の多孔率、特にコンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって定めることのできる10から15%の多孔率を有することができる。その場合に焼結層セクションは、一方で、是認できる時間及びエネルギの消費で形成可能である。他方で、焼結層セクション内の個別粉末粒子はすでに、焼結層セクションが、所望のように、実質的に個別粉末粒子を含まないように、互いに結合されている。それとは異なり、第2のワークピース層セクションは、コンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO2738に基づく多孔率測定によって定めることができる単に0から5%の多孔率、特にコンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO2738に基づく多孔率測定によって定めることができる0から2%の多孔率を有することができるので、第2の原材料粉末から形成された第2のワークピース層セクションは、光学的にも、たとえばその機械的あるいは電気的特性のような、その材料特性によっても、焼結層セクションからはっきりと区別される。
【0031】
焼結層セクションは、好ましくはその表面の領域内に互いに結合された粉末粒を有し、その形状と大きさは、第2の原材料粉末の粉末粒の形状と大きさに実質的に相当する。言い換えると、焼結層セクションを形成するための固相焼結プロセスは、好ましくは次のように、すなわち第2の原材料粉末の粉末粒の形状と大きさが実質的に維持され、かつ単に互いに隣接する粉末粒の間の接触点においてのみ材料ブリッジもしくはいわゆる焼結ネックが生じるように、制御される。
【0032】
原則的に、硬化されていない第2の原材料粉末を電磁放射又は粒子放射による照射によって加熱することが、考えられる。しかし好ましくは、硬化されていない第2の原材料粉末は、加熱装置によって加熱され、その加熱装置は、支持体上に塗布された原材料粉末層を電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射するための照射装置とは別に構成されている。たとえば、レーザーダイオード配置又は放射ヒーターを有することができる加熱装置が、硬化されていない第2の原材料粉末の表面であって支持体とは逆の表面を介して、硬化されていない第2の原材料粉末に熱エネルギを供給することができる。しかしその代わりに、あるいはそれに加えて、加熱装置は、硬化されていない第2の原材料粉末に、硬化されていない第2の原材料粉末の、支持体へ向いた側の面を介して熱エネルギを供給することもできる。熱エネルギ供給は、熱放射及び/又は熱伝導によって行うことができる。
【0033】
たとえば、加熱装置は第1の加熱部材を有することができ、それは、支持体を収容するプロセスチャンバ内で支持体の上方に配置されている。この種の加熱部材は、たとえば、熱放射の方式の熱エネルギを、硬化されていない第2の原材料粉末の、支持体とは逆の表面へ放出すことができる。その代わりに、あるいはそれに加えて、加熱装置は第2の加熱部材を有することができ、それは特に、熱エネルギを硬化されていない第2の原材料粉末の表面であって支持体へ向いた表面へ放出するために、用いられる。第2の加熱部材は、たとえば、支持体内に統合することができ、あるいは支持体を収容するプロセスチャンバの外部で支持体の下方に配置することができる。その場合に第2の加熱部材は、支持体を加熱することができ、その支持体自体が、熱エネルギを硬化されていない第2の原材料粉末へ伝える。
【0034】
支持体から除去された、硬化されていない第1の原材料粉末は、好ましくは、三次元のワークピースを製造するために再使用される。ここに記述される方法において、第1と第2の原材料粉末の混合は、ほぼ回避されるので、原材料粉末を再使用する前に2つの原材料粉末を分離するための手間は、軽減することができる。たとえば支持体から除去された、硬化されていない原材料粉末は、直接粉末循環へ供給することができ、かつ粉末循環を介してプロセスチャンバ内へ戻して、三次元のワークピースの他の層を構築するために使用することができる。しかしその代わりに、あるいはそれに加えて、回収された硬化されていない第1の原材料粉末は、まず、他の三次元のワークピースを製造するための今後の製造プロセスにおいて使用することもできる。それを三次元のワークピースの製造に再使用する前に、第1の原材料粉末は、粉末処理プロセスを経て、たとえば分類し、特にフィルタ処理することができる。
【0035】
焼結層セクションは、三次元のワークピースを製造する形成プロセスの終了後に、分離プロセスによって完成した三次元のワークピースから分離される。たとえば焼結層セクションは、切削方法によって、完成した三次元のワークピースから分離することができる。特に好ましい実施形態において、完成した三次元のワークピースから焼結層セクションを分離するための分離プロセスは、個別化プロセスを有しており、その個別化プロセスによって焼結層セクション内に含まれている、互いに結合された粉末粒が再び互いに分離される。これは特に、焼結層セクションを形成するための固相焼結プロセスが、上述したように、第2の原材料粉末の粉末粒の形状と大きさは実質的に維持され、かつ焼結層セクションが第2の原材料粉末の接触点においてのみ互いに結合された個々の粉末粒を有するように、制御される場合に、有意義である。焼結層セクション内に含まれる粉末粒の個別化ももたらす、分離プロセスは、たとえば送風プロセスである。
【0036】
個別化プロセス内で形成される、焼結層セクションの個々の粉末粒は、今後の製造プロセス内で三次元のワークピースを製造するために使用することができる。それを三次元のワークピースの製造に使用する前に、焼結層セクションの個別化プロセス内で形成された個々の粉末粒は、粉末処理プロセスを経て、たとえば分級し、特にふるいで分けることができる。
【0037】
三次元のワークピースを製造する装置は、粉末塗布装置を有しており、それは、第1と第2の原材料粉末を支持体上に塗布するように配置されている。さらに装置は、照射装置を有しており、それは、支持体上に塗布された原材料粉末層を選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射するように、配置されている。本装置の除去装置は、硬化されていない第1の原材料粉末を支持体から除去するように、配置されている。除去装置は、たとえばフレキシブルなホースを有することができ、そのホースが粉末移送装置と接続されており、かつ手動又は自動で支持体に対して移動可能である。さらに装置は、加熱装置を有しており、その加熱装置は、支持体上に塗布された原材料粉末層を加熱するように、配置されている。原則的に、支持体上に塗布された原材料粉末層を加熱するための加熱装置は、支持体上に塗布された原材料粉末層を選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射する照射装置によって構成することができる。しかし好ましくは、加熱装置は、支持体上に塗布された原材料粉末層を選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射する照射装置とは別に構成されている。たとえば加熱装置は、レーザーダイオード配置又は放射ヒーターを有することができる。たとえば電子制御装置の形で形成することができ、制御装置は、装置の駆動及び特に粉末塗布装置、照射装置、加熱装置及び場合によっては除去装置の駆動も制御するように、構成されている。
【0038】
特に制御装置は、装置の駆動を次のように制御するように、すなわち第1の原材料粉末からなる原材料粉末層を形成するために、粉末塗布装置を用いて支持体上に第1の原材料粉末が塗布され、第1の原材料粉末からなる硬化された第1のワークピース層セクションを形成するために、放射装置を用いて第1の原材料粉末からなる原材料粉末層が選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射され、硬化されていない第1の原材料粉末が除去装置を用いて支持体から除去され、第1のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなる原材料層セクションを形成するために、粉末塗布装置によって第2の原材料粉末が支持体上に塗布され、第1のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなる硬化された第2のワークピース層セクションを形成するために、照射装置を用いて第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションが電磁放射又は粒子放射によって照射され、かつ第1のワークピース層セクションと第2のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなるつながりあった多孔の焼結層セクションを形成するために、加熱装置を用いて硬化されていない第2の原材料粉末が加熱されるように、構成されている。
【0039】
制御装置は、好ましくはさらに、装置の駆動を制御して、支持体上に第2の原材料粉末を塗布する前に、支持体上に第1の原材料粉末を塗布し、第1の原材料粉末を照射し、かつ支持体から硬化されていない第1の原材料粉末を除去するステップが繰り返し実施されるように、構成されている。これらのステップの各繰り返しにおいて、異なる第1の原材料粉末を使用することができる。
【0040】
それに加えて、あるいはその代わりに、制御装置は、装置の駆動を制御して、支持体上に第2の原材料粉末を塗布することによって第2のワークピース層セクションを形成し、そして次に電磁放射又粒子放射によって選択的に照射するステップが、硬化されていない第2の原材料粉末が加熱される前に、繰り返し実施されるように、構成することができる。
【0041】
それに加えて、あるいはその代わりに、制御装置は、装置の駆動を制御して、第1のワークピース層セクションと第2のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなるつながりあった多孔の焼結層セクションを形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末の一部のみが加熱されるように、構成することができる。
【0042】
さらに制御装置は、加熱装置を制御して、焼結層セクションを形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末が、第2の原材料粉末の材料の溶融温度を下回る温度に加熱されるように、構成することができる。それに加えて、あるいはその代わりに、制御装置は、加熱装置を制御して、焼結層セクションを形成するために硬化されていない第2の原材料粉末が、所望の期間の間加熱されるように、構成することができる。付加的又は代替的に、制御装置は、加熱装置を制御して、焼結層セクションを形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末が、第2の原材料粉末の材料をその溶融温度に加熱する溶融エネルギ投入よりも小さい、エネルギ投入によって加熱されるように、構成することができる。
【0043】
加熱装置は、硬化されていない第2の原材料粉末に、硬化されていない第2の原材料粉末の表面であって支持体とは逆の表面を介して、及び/又は硬化されていない第2の原材料粉末の支持体側の表面を介して、熱エネルギを供給するように、構成することができる。
【0044】
たとえば、加熱装置は第1の加熱部材を有することができ、それが、支持体を収容するプロセスチャンバ内で支持体の上方に配置されている。付加的又は代替的に、加熱装置が第2の加熱部材を有することができ、それが、支持体内に統合されており、あるいは支持体を収容するプロセスチャンバの外部で支持体の下方に配置されている。
【0045】
装置は、好ましくはさらに、分離装置を有しており、その分離装置が、三次元のワークピースを製造する製造プロセスの終了後に、完成した三次元のワークピースから焼結層セクションを分離するように、構成されている。分離装置は、特に、焼結層セクションを個々の分子流に個別化するように、構成されており、かつたとえばビーム装置の形で実装できる。
【0046】
以下、添付の図式的な図を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】三次元のワークピースを製造する装置を、支持体上に第1の原材料粉末を塗布して、第1の原材料粉末からなる硬化された第1のワークピース層セクションが形成された後において示す図式的な表示である。
図2図1に示す装置を、支持体から硬化されなかった第1の原材料粉末を除去して、次に支持体上に第2の原材料粉末を塗布し、かつ第1のワークピース層セクションに隣接して第2の原材料粉末からなる硬化された第2のワークピース層セクションが形成された後において示す図式的な表示である。
図3図2に示す装置を、硬化されない第2の原材料粉末からなる焼結層セクションを形成した後に示す図式的な表示である。
図4図3に示す装置を、第1の原材料粉末からなる他の層の塗布後、かつ第1のワークピースセクション、第2のワークピースセクション及び焼結セクション上に第1の原材料粉末から他の硬化された第1のワークピースセクションを形成した後に示す図式的な表示である。
図5図1から4に示す装置を用いて製造された三次元のワークピースを、それに結合された焼結層セクションが、図1から4に示す装置から取り出された後の状態を示している。
図6】焼結層セクションの分離後における、図5に示す三次元のワークピースを示している。
図7】焼結層セクションの表面の顕微鏡撮影を示している。
図8】第2のワークピース層セクションの表面の顕微鏡撮影を示している。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1から4には、それぞれ三次元のワークピース12を製造する装置10が示されている。装置10は、プロセスチャンバ14及びプロセスチャンバ14の上方に配置された照射装置16を有している。プロセスチャンバ14は、周囲雰囲気に対して密閉されているので、プロセスチャンバ14内では、必要に応じて不活性ガス雰囲気又は反応ガス雰囲気あるいは雰囲気圧に対して減少された圧力を調節することができる。プロセスチャンバ14内には支持体18が配置されており、その支持体は、原材料粉末及び原材料粉末から積層造形法によって製造されたワークピース12を保持するために、用いられる。支持体18は、プロセスチャンバ14に対して垂直の方向下方へ向かって形成チャンバ20内へ移動することができる。
【0049】
装置10の照射装置16は、ビーム源、好ましくはレーザー源を有しており、それが、たとえば約1064nmの波長における光を放出する。その代わりに、ビーム源(たとえばレーザー)が照射装置16の外部にあってもよく、かつ原材料粉末の上方へ案内すべきビームは、たとえば光学ファイバーを用いて照射源16へ供給することができる。照射装置16は、さらに、たとえばスキャン装置、収束装置及びFシータレンズのような、光学素子を有している。スキャン装置は、水平の平面内(x方向とy方向)で一番上の原材料粉末層に亘ってビームをスキャンするように、構成されている。収束装置は、ビームの収束位置(z方向)を変化させ、もしくは適合させるように構成されており、照射装置16の焦点面は、照射装置16によって照射される、一番上の原材料粉末層の領域内に位置する。望まれる場合には、照射装置16は複数のスキャン装置及び場合によっては複数の照射源も含むことができる。
【0050】
さらに装置10は、粉末塗布装置22を有しており、それは、ワークピース12を製造するために準備されている原材料粉末を支持体18の表面上に層をなして塗布するために、用いられる。粉末塗布装置22は、種々の原材料粉末を支持体18上に塗布するように、構成されている。
【0051】
実施形態において、粉末塗布装置22はスライダを有し、そのスライダは粉末塗布装置22の駆動中に支持体18の表面の上方で水平方向に移動し、かつ支持体18上に塗布すべき原材料粉末を収容するための複数の粉末リザーバを有している。その場合に、粉末リザーバからの粉末放出を適切に制御することによって、それぞれ必要に応じて、原材料粉末を支持体上に全面で塗布し、あるいは部位選択的に塗布することができる。代替的な実施形態において、粉末塗布装置22は、場所固定の粉末リザーバを有し、それが、たとえば支持体18に隣接して配置されており、かつその粉末リザーバから粉末塗布装置22のスライダが粉末を取り出して、支持体18の表面の上方で分配する。その場合にスライダは、たとえばノズルを有しており、そのノズルは、必要な場合に原材料粉末を部位選択的に支持体上に塗布するために、支持体18に亘って移動することができる。
【0052】
装置10は、さらに、除去装置24を搭載しており、その除去装置が、支持体18から原材料粉末を除去することを、可能にする。除去装置24は、図に例示する実施形態において、フレキシブルなホース26を有しており、そのホースは、プロセスチャンバ14の内部で、手動で、たとえば介入手袋を用いて、あるいは自動的に移動可能である。さらに除去装置24は、ここでは例として吸引ポンプの形式で構成されて、フレキシブルなホース26と接続されている粉末移送装置28を有している。除去装置24の駆動において、ホース26は支持体18の上方へ移動することができる。同時に、粉末移送装置28が駆動されるので、原材料粉末を支持体28から吸い出すことができる。
【0053】
粉末移送装置28は、粉末循環30と接続されており、それを介して除去装置24を用いて支持体18から、かつプロセスチャンバ14から除去された粉末をプロセスチャンバ14、すなわち粉末塗布装置22の適切な粉末リザーバへ、戻すことができる。粉末循環30内に粉末処理設備32が設けられており、それは、除去装置24を用いて支持体18から除去された粉末を、プロセスチャンバ14内へ戻す前に加工処理するために、用いられる。粉末処理設備32は、たとえばフィルタ設備を有することができ、それを用いて原材料粉末を浄化して分級することができる。さらに粉末循環30は、貯蔵容器34に接続されている。除去装置24によって支持体18から除去されたが、プロセスチャンバ14内へ直接戻すべきでない、原材料粉末を貯蔵容器34内に収容することができる。粉末循環30からの原材料粉末をプロセスチャンバ14もしくは貯蔵容器34内へ供給することは、適切な制御弁36、38を用いて制御される。
【0054】
装置10は、さらに加熱装置40を搭載している。ここに示す装置10の好ましい実施形態において、加熱装置40は照射装置16とは別に構成されている。しかし加熱装置40は、照射装置16によって構成することもできる。加熱装置40は、支持体18上に塗布された原材料粉末を加熱するように、構成されている。装置10の図1から4に示す実施例において、加熱装置40は第1の加熱部材42を有しており、それがプロセスチャンバ14内で支持体18の上方に配置されている。さらに、加熱装置10は、支持体18内に統合された第2の加熱部材44を有している。しかし、代替的な実施形態において、第2の加熱部材44は、装置10の建造チャンバ20内の支持体18の下方に配置することもできる。重要なことは、第2の加熱部材44を用いて支持体18とそれに伴って支持体18上に塗布された原材料粉末も、加熱できることだけである。
【0055】
ここで電子的な制御装置の形で構成されている制御装置46は、装置10の駆動を制御するために、用いられる。特に制御装置46は、粉末塗布装置22の駆動、照射装置16の駆動及び加熱装置40の駆動を自動的に制御するように、構成されている。除去装置24が自動的な駆動に適している場合には、除去装置24の駆動も制御装置46によって制御される。
【0056】
そして、装置10は分離装置48を有しており、その分離装置はプロセスチャンバ14及び形成チャンバ20と別に構成されている。図に示す実施形態において、分離装置48はビーム装置の形で構成されている。
【0057】
以下、図1から4に示す装置10を用いて三次元のワークピース12を製造する方法を説明する。ここに記述する方法において、まず制御装置46の制御を受けて、粉末塗布装置22を用いて第1の原材料粉末50が支持体18上に塗布されるので、第1の原材料粉末50からなる原材料粉末層が支持体18上に形成される。この原材料粉末層は、ここでも制御装置46の制御に基づき、照射装置16により部位選択的にレーザー放射を受ける。レーザー放射のエネルギ投入が、第1の原材料粉末50の局所的な溶融及び/又は焼結及びそれに伴って第1の原材料粉末50からなる原材料粉末層の部位選択的な硬化をもたらす。その場合に、第1の原材料粉末50からなる硬化された第1のワークピース層セクション52が形成される;図1を参照。
【0058】
したがって第1の原材料粉末50からなる原材料粉末層の照射の終了後に、支持体18上には第1のワークピース層セクション52が配置されている。図には、第1のワークピース層セクション52のみが示されている。しかし、それぞれ製造すべき三次元のワークピース12の幾何学配置に応じて、第1の原材料粉末50からなる原材料粉末層から、複数の第1のワークピース層セクション52を形成することもでき、その場合にそれらは互いに隣接して支持体18上に配置されている。さらに、支持体18上の第1の原材料粉末50からなる原材料粉末層の、レーザー放射を供給されなかった領域内には、まだ硬化されていない第1の原材料粉末50も存在する。
【0059】
硬化されていない第1の原材料粉末50は、次に除去装置24を用いて支持体18から除去される。そのためにフレキシブルなホース26が手動又は自動で支持体18の上方へ案内される。同時に粉末移送装置28が駆動されるので、硬化されていない第1の原材料粉末50が支持体18から吸引される。除去装置24によってプロセスチャンバ14から吸い出された第1の原材料粉末50は、粉末処理設備32内で加工処理されて、次に制御弁36、38のしかるべき制御によって、貯蔵容器34内へ案内されるか、あるいは粉末循環30を介してプロセスチャンバ14内へ戻される。第1の原材料粉末50が貯蔵容器34内へ案内される場合には、後の時点で、他の三次元のワークピース12を製造するために利用することができる。それとは異なり、プロセスチャンバ内へ戻された第1の原材料粉末50は、直接、三次元のワークピース12を製造するための実際の形成プロセス内で再使用される。
【0060】
図では、第1の原材料粉末50の加工のみが示されている。しかし、望まれる場合には、支持体18上に第1の原材料粉末50を塗布し、次に電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射し、そして次に硬化されていない第1の原材料粉末50を支持体18から除去することによって、第1のワークピース層セクション52を形成する、上述したステップを繰り返し実施することができる。その場合には種々の第1の原材料粉末50を使用することもできる。このようにして、同一の材料から、あるいは異なる材料から成ることができる、複数の第1のワークピース層セクション52を支持体18上に形成することができる。その場合にこれらの第1のワークピース層セクション52は、支持体18上に互いに隣接して配置されている。
【0061】
硬化されていない第1の原材料粉末50を支持体18から除去した後に、制御装置46の制御に基づいて、粉末塗布装置22を用いて第2の原材料粉末54が支持体18上に塗布される。その場合に支持体18上に第2の原材料粉末54を塗布することは、部位選択的に行われ、すなわち第2の原材料粉末54は、支持体18上の、1つ/複数の第1のワークピース層セクション52によって覆われていない領域上にのみ塗布される。
【0062】
したがって支持体18上には、1つ/複数の第1のワークピース層セクション52に隣接して、第2の原材料粉末54からなる原材料粉末層セクションが形成される。
【0063】
第2の原材料粉末54からなるこの原材料粉末層セクションは、ここでも制御装置46の制御に基づいて、照射装置16を用いて部位選択的にレーザー放射を受ける。レーザー放射のエネルギ投入が、第1の原材料粉末50の照射の場合のように、第2の原材料粉末54の局所的な溶融及び/又は焼結及びそれに伴って第2の原材料粉末54からなる原材料粉末層セクションの部位選択的な硬化をもたらす。その場合に、第2の原材料粉末54からなる硬化された第2のワークピース層セクション56が形成され、それが支持体18上で第1のワークピース層セクション52に隣接して配置されている。図2を参照。
【0064】
図に示す実施例において、ワークピース12の第1の層は、1つのリング形状の第2のワークピース層セクション56のみを有している。しかし、それぞれ製造すべき三次元のワークピース12の幾何学配置に応じて、第2の原材料粉末54からなる原材料粉末層セクションから、複数の第2のワークピース層セクション56を形成することもでき、その場合にそれらは支持体18上で互いに隣接し、かつ1つ/複数の第1のワークピース層セクション52に隣接して、配置されている。さらに、第2の原材料粉末54からなる原材料粉末層セクションの、レーザー照射を受けていない領域内に、まだ硬化されていない第2の原材料粉末54も、支持体18上に存在する。
【0065】
次のステップにおいて、第2の原材料粉末54からなる原材料粉末層セクションの部位選択的な照射の後に残る、硬化されていない第2の原材料粉末54が、加熱装置40を用いて加熱される。特に、第2の原材料粉末54に、加熱装置40の第1の加熱部材42から、支持体18とは逆の表面を介して熱放射の方式の熱エネルギが供給される。同時に第2の原材料粉末54に、加熱装置40の第2の加熱部材44から支持体18へ向いたその表面を介して熱エネルギが供給され、その熱エネルギは第2の加熱部材44から支持体18を通して伝導される。
【0066】
その場合に、2つの加熱部材42、44を有する加熱装置40の駆動は、制御装置46によって次のように、すなわち硬化されていない第2の原材料粉末54が、第2の原材料粉末54の溶融温度を下回る温度にしか加熱されないように、制御される。特に制御装置46は加熱装置40の駆動を、硬化されていない第2の原材料粉末54が所望の期間の間、第2の原材料粉末54の溶融温度を下回る温度に加熱されるように、制御する。
【0067】
加熱装置40による加熱によって、硬化されていない第2の原材料粉末54内で拡散制御された固相焼結プロセスが開始される。特に加熱装置40の駆動は、制御装置46によって次のように、すなわち硬化されていない第2の原材料粉末54内への熱投入が充分に大きく、それによって第2の原材料粉末の互いに隣接する粉末粒子の間の接点に材料ブリッジ、もしくはいわゆる焼結ネックが生じるように、制御される。それによって、実質的に個別粉末粒子を含まない、つながり合った多孔の焼結層セクション58が形成される。焼結層セクション58は、最終的に1つ又は複数の第1のワークピース層セクション52に隣接し、かつ1つ又は複数の第2のワークピース層セクション56に隣接する;図3を参照。
【0068】
しかし、硬化していない第2の原材料粉末54内への熱投入は、第2の原材料粉末54を溶融させるには、充分に大きくない。むしろ、粉末粒子を含む焼結層セクション58が形成され、その粉末粒子はその表面の領域内では互いに結合されているが、その形状と大きさは、まだ実質的に第2の原材料粉末54の粉末粒子の形状と大きさに実質的に相当する。特に硬化されていない第2の原材料粉末54は、焼結層セクション58を形成するためにエネルギ投入によって加熱されるが、そのエネルギ投入は、第2の原材料粉末54の溶融温度への加熱をもたらす溶融エネルギ投入よりも小さい。
【0069】
焼結層セクション58は、たとえば、コンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって測定できる10から20%の多孔率、特にコンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって測定できる10から15%の多孔率を有する。したがって、焼結層セクション58は、光学的にも、その材料特性によっても、第2のワークピース層セクション56から、区別される。第2のワークピース層セクション56は、同様に第2の原材料粉末54からなり、コンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって測定できる多孔率がたとえば0から5%であり、特にコンピュータ断層撮影法により、あるいはEN ISO 2738に基づく多孔率測定によって測定できる多孔率が0から2%である。
【0070】
図7は、焼結層セクション58の表面の顕微鏡撮影を示し、図8は第2のワークピース層セクション56の表面の顕微鏡撮影を示している。図7の焼結層セクション58の撮影は、焼結が始まった粉末粒子を示しており、その粉末粒子はその表面の領域内では互いに結合されているが、その形状と大きさは、まだ実質的に、第2の原材料粉末54の粉末粒子の形状と大きさに相当する。それとは異なり、図8の第2のワークピース層セクション56の表面の顕微鏡撮影は、完全に溶融された表面構造を示しており、その中で個々の粉末粒子はもはや認識できない。
【0071】
望まれる場合には、支持体18上に第2の原材料粉末54を塗布することによって第2のワークピース層セクション56を形成し、次に第2の原材料粉末54を電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射する、上述したステップを、硬化されていない第2の原材料粉末54を加熱する前に、繰り返し実施することができる。その場合につながり合った多孔の焼結層セクション58は、複数の重なりあって配置された原材料粉末層セクションからなる「ブロック」として形成することができる。
【0072】
さらに、硬化されていない第2の原材料粉末54の一部のみを加熱し、それによって多孔の焼結層セクション58にさらに加工することができる。たとえば、硬化されていない第2の原材料粉末54の、構成部品の完成後にそれを包囲する構造内に収容される領域を加熱し、したがって焼結することを、省略することができる。
【0073】
図3から明らかなように、硬化されていない第2の原材料粉末54を加熱して焼結層セクション58を形成した後に、硬化された第1のワークピース層セクション52と、硬化された第2のワークピース層セクション56及び、第1と第2のワークピース層セクションを包囲する焼結層セクション58が、支持体18上に存在する。この堅固な「土台」上に、第1の原材料粉末50からなる他の原材料粉末層が塗布され(図4を参照)、かつ、三次元のマルチマテリアルワークピース12が層から層へ構築形成されて、所望の形状を有するまで、上記ステップが繰り返される。
【0074】
マルチマテリアルワークピース12の完成後に、ワークピース12は、ワークピース12を包囲する、重なり合って配置された焼結層セクション58と共に形成チャンバ20から取り出される;図5を参照。その後、分離装置48を用いてワークピース12が焼結層セクション58から分離される。特に、焼結層セクション58は、送風装置として形成された分離装置48によって処理されるので、一方でワークピース12が露出され(図6を参照)、他方では焼結層セクション58を形成する粉末粒が再び分離される。この粉末粒は、その後、たとえばふるいに掛けて処理し、最終的に他の三次元のワークピース12を製造するために再使用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2022-02-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
特に制御装置は、装置の駆動を次のように制御するように、すなわち第1の原材料粉末からなる原材料粉末層を形成するために、粉末塗布装置を用いて支持体上に第1の原材料粉末が塗布され、第1の原材料粉末からなる硬化された第1のワークピース層セクションを形成するために、放射装置を用いて第1の原材料粉末からなる原材料粉末層が選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射され、硬化されていない第1の原材料粉末が除去装置を用いて支持体から除去され、第1のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなる原材料層セクションを形成するために、粉末塗布装置によって第2の原材料粉末が支持体上に塗布され、第1のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなる硬化された第2のワークピース層セクションを形成するために、照射装置を用いて第2の原材料粉末からなる原材料粉末層セクションが電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射され、かつ第1のワークピース層セクションと第2のワークピース層セクションに隣接して、第2の原材料粉末からなるつながりあった多孔の焼結層セクションを形成するために、加熱装置を用いて硬化されていない第2の原材料粉末が加熱されるように、構成されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
装置10は、さらに、除去装置24を搭載しており、その除去装置が、支持体18から原材料粉末を除去することを、可能にする。除去装置24は、図に例示する実施形態において、フレキシブルなホース26を有しており、そのホースは、プロセスチャンバ14の内部で、手動で、たとえば介入手袋を用いて、あるいは自動的に移動可能である。さらに除去装置24は、ここでは例として吸引ポンプの形式で構成されて、フレキシブルなホース26と接続されている粉末移送装置28を有している。除去装置24の駆動において、ホース26は支持体18の上方へ移動することができる。同時に、粉末移送装置28が駆動されるので、原材料粉末を支持体18から吸い出すことができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0054
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0054】
装置10は、さらに加熱装置40を搭載している。ここに示す装置10の好ましい実施形態において、加熱装置40は照射装置16とは別に構成されている。しかし加熱装置40は、照射装置16によって構成することもできる。加熱装置40は、支持体18上に塗布された原材料粉末を加熱するように、構成されている。装置10の図1から4に示す実施例において、加熱装置40は第1の加熱部材42を有しており、それがプロセスチャンバ14内で支持体18の上方に配置されている。さらに、加熱装置40は、支持体18内に統合された第2の加熱部材44を有している。しかし、代替的な実施形態において、第2の加熱部材44は、装置10の建造チャンバ20内の支持体18の下方に配置することもできる。重要なことは、第2の加熱部材44を用いて支持体18とそれに伴って支持体18上に塗布された原材料粉末も、加熱できることだけである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元のワークピース(12)を製造する方法であって:
(i)第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を形成するために、支持体(18)上に第1の原材料粉末(50)を塗布するステップと、
(ii)第1の原材料粉末(50)からなる硬化された第1のワークピース層セクション(52)を形成するために、第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射するステップと、
(iii)硬化されていない第1の原材料粉末(50)を支持体(18)から除去するステップと、
(iv)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる原材料粉末層セクションを形成するために、支持体(18)上に第2の原材料粉末(54)を塗布するステップと、
(v)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる硬化された第2のワークピース層セクション(56)を形成するために、原材料粉末層セクションを電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射するステップと、
(vi)第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながり合った多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末(54)を加熱するステップと、
を有する、三次元のワークピースを製造する方法。
【請求項2】
ステップ(i)から(iii)が、ステップ(iv)の実施の前に複数回実施され、ステップ(i)から(iii)の各繰り返しにおいて、特に異なる第1の原材料粉末(50)が使用され、及び/又は
前記ステップ(iv)から(v)が、前記ステップ(vi)の実施の前に複数回実施されて、ステップ(vi)において、複数の重なりあって配置された原材料粉末層セクションからなるつながり合った多孔の焼結層セクション(58)が形成され、及び/又は
前記ステップ(iv)において、第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、硬化されていない第2の原材料粉末(54)の一部のみが加熱される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の原材料粉末(54)の材料が、第1の原材料粉末(50)の材料よりも、低い溶融温度及び/又は高い熱伝導率を有しており、及び/又は
第2の原材料粉末(54)の材料が、第1の原材料粉末(50)の材料よりも、安価である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の溶融温度を下回る温度に加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するための、所望の期間の間加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の材料の、その溶融温度への加熱をもたらす溶融エネルギ投入よりも小さい、エネルギ投入によって加熱される、
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
-焼結層セクション(58)が、10から20%、の多孔率、特に10から15%の多孔率を有し、及び/又は
-第2のワークピース層セクション(56)が、0から5%の多孔率、特に0から2%の多孔率を有し、及び/又は
-焼結層セクション(58)が、その表面の領域内に互いに結合された粉末粒を含み、前記粉末粒の形状と大きさが、第2の原材料粉末(54)の粉末粒の形状と大きさに、実質的に相当する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が加熱装置(40)によって加熱され、前記加熱装置が硬化されていない第2の原材料粉末(54)に、硬化されていない第2の原材料粉末(54)の支持体(18)とは逆の表面を介し、及び/又は硬化されていない第2の原材料粉末(54)の支持体(18)側の表面を介して、熱エネルギを供給する、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
加熱装置(40)が第1の加熱部材(42)を有し、前記第1の加熱部材が支持体(18)を収容するプロセスチャンバ(14)内で支持体(18)の上方に配置されており、及び/又はその場合に加熱装置(40)が第2の加熱部材(44)を有し、前記第2の加熱部材が、支持体(18)内に統合されており、あるいは支持体(18)を収容するプロセスチャンバ(14)の外部で支持体(18)の下方に配置されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(iii)内で支持体(18)から除去された、硬化されていない第1の原材料粉末(50)が、三次元のワークピース(12)を製造するために再使用される、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
焼結層セクション(58)が、三次元のワークピース(12)を製造する形成プロセスの終了後に、分離プロセスによって、完成した三次元のワークピース(12)から分離され、その場合に分離プロセスが、好ましくは、個別化プロセス、特に焼結層セクション(58)を個々の粉末粒に個別化するための送風プロセスを有している、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
個別化プロセス内で発生した、焼結層セクション(58)の個々の粉末粒が、三次元のワークピース(12)を製造するために再使用される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
三次元のワークピース(12)を製造する装置(10)であって、前記装置が:
-粉末塗布装置(22)を有し、前記粉末塗布装置が、第1と第2の原材料粉末(50、54)を支持体(18)上に塗布するように、構成されており、
-照射装置(16)を有し、前記照射装置が、支持体(18)上に塗布された原材料粉末層を、電磁放射又は粒子砲者によって選択的に照射するように、構成されており、
-除去装置(24)を有し、前記除去装置が、硬化されていない第1の原材料粉末(50)を支持体(18)から除去するように、構成されており、
-加熱装置(40)を有し、前記加熱装置が、支持体(18)上に塗布された原材料粉末層を加熱するように、構成されており、かつ
-制御装置(46)を有し、前記制御装置が、前記装置(10)の駆動を次のように制御するように構成されている:
(i)第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層を形成するために、粉末塗布装置(22)を用いて第1の原材料粉末(50)が支持体(18)上に塗布され、
(ii)第1の原材料粉末(50)からなる硬化された第1のワークピース層セクション(52)を形成するために、照射装置(16)を用いて第1の原材料粉末(50)からなる原材料粉末層が選択的に電磁放射又は粒子放射によって照射され、
(iii)除去装置(24)を用いて、硬化されていない第1の原材料粉末(50)が支持体(18)から除去され、
(iv)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる原材料粉末層セクションを形成するために、粉末塗布装置(22)を用いて第2の原材料粉末(54)が支持体(18)上に塗布され、
(v)第1のワークピース層セクション(52)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなる硬化された第2のワークピース層セクション(56)を形成するために、照射装置(16)を用いて原材料粉末層セクションが電磁放射又は粒子放射によって選択的に照射され、かつ
(vi)第1のワークピース層セクション(52)と第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、加熱装置(40)を用いて硬化されていない第2の原材料粉末(54)が加熱される、
三次元のワークピースを製造する装置。
【請求項12】
制御装置(46)が、さらに、装置(10)の駆動を制御して、ステップ(iv)の実施前にステップ(i)から(iii)が多数回実施され、前記ステップ(i)から(iii)の各繰り返しにおいて、特に異なる第1の原材料粉末(50)が使用されるように、構成されており、及び/又は
制御装置(46)が、さらに、前記装置(10)の駆動を制御して、前記ステップ(vi)の実施前に、前記ステップ(iv)から(v)が複数回実施されるように、構成されており、前記ステップ(vi)において複数の互いに重なり合って配置された原材料粉末層セクションからなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)が形成され、及び/又は
制御装置(46)が、さらに、前記装置(10)を制御して、第1のワークピース層セクション(52)及び第2のワークピース層セクション(56)に隣接して、第2の原材料粉末(54)からなるつながりあった多孔の焼結層セクション(58)を形成するために、ステップ(iv)において硬化されていない第2の原材料粉末(54)の一部のみが加熱されるように、構成されている、
請求項11に記載の装置。
【請求項13】
制御装置(46)が、さらに、加熱装置(40)を制御して、
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の材料の溶融温度を下回る温度に加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、所望の期間加熱され、及び/又は
硬化されていない第2の原材料粉末(54)が、焼結層セクション(58)を形成するために、第2の原材料粉末(54)の材料の溶融温度への加熱をもたらす溶融エネルギ投入よりも小さいエネルギ投入によって加熱される、
ように、整えられている、請求項11又は12に記載の装置。
【請求項14】
加熱装置(40)が、硬化されていない第2の原材料粉末(54)に、前記硬化されていない第2の原材料粉末(54)の表面であって支持体(18)とは逆の表面及び/又は前記硬化されていない第2の原材料粉末(54)の表面であって前記支持体(18)側の表面を介して熱エネルギを供給するように、整えられている、請求項11から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
加熱装置(40)が第1の加熱部材(42)を有し、前記第1の加熱部材が、支持体(18)を収容するプロセスチャンバ(14)内で支持体(18)の上方に配置されており、及び/又は、加熱装置(40)が第2の加熱部材(44)を有し、前記第2の加熱部材が支持体(18)内に統合されており、あるいは前記支持体(18)を収容する前記プロセスチャンバ(14)の外部で前記支持体(18)の下方に配置されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
さらに分離装置(48)を有し、三次元のワークピース(12)を製造するための製造プロセスの終了後に、前記分離装置が、焼結層セクション(58)を完成した三次元のワークピース(12)から分離するように構成されており、前記分離装置(48)は、特に、焼結層セクション(58)を個々の粉末粒に分離するように、構成されている、請求項11から15のいずれか1項に記載の装置。
【国際調査報告】