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特表2022-537600呼吸関連障害のための療法システム、その内部において用いられる患者インターフェースおよびヘッドギア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(54)【発明の名称】呼吸関連障害のための療法システム、その内部において用いられる患者インターフェースおよびヘッドギア
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20220819BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022515741
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 AU2020050962
(87)【国際公開番号】W WO2021046608
(87)【国際公開日】2021-03-18
(31)【優先権主張番号】2019903364
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】2019903366
(32)【優先日】2019-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500046450
【氏名又は名称】レスメド・プロプライエタリー・リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】521509985
【氏名又は名称】レスメド・アジア・ピーティーイー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミヒル・コーイ
(72)【発明者】
【氏名】アダム・フランシス・バーロウ
(72)【発明者】
【氏名】イアイン・マクニコル・フィンレイ
(72)【発明者】
【氏名】ロビン・ユウ
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド・アディル・ビン・アブドゥル・ハリム
(57)【要約】
本技術は、患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関する。この患者インターフェースは、シール形成構造および1つ以上の位置決めおよび安定化構造を備えたマスクを含む。1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、使用時において前記マスクを患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成される。マスクと、位置決めおよび安定化構造のうち1つ以上とは、空気回路の端部を受容する接続ポートを含む。加圧空気は、空気回路からシール形成構造へ送達される。使用時において、患者は、患者インターフェースの配置の選好について空気回路の端部が患者の上耳底点の上方に来るかまたは患者の上耳底点の下方に来るかに応じて、選択された接続ポートへ空気回路を接続させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気回路から患者の気道の入口への加圧した空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;
前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行うように構成された1つ以上の接続ポート;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された1つ以上の位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記患者インターフェースは、第1の使用構成および第2の使用構成において前記患者によって着用されるような構造および配置にされ、
前記第1の使用構成において、前記空気回路は、前記1つ以上の接続ポートのうち前記患者の上耳底点の上方に位置決めされた接続ポートへ接続され、前記第2の使用構成において、前記空気回路は、前記1つ以上の接続ポートのうち前記患者の上耳底点の下方に位置決めされた接続ポートへ接続される、患者インターフェース。
【請求項2】
前記1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成された第1の位置決めおよび安定化構造ならびに第2の位置決めおよび安定化構造を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記第1の位置決めおよび安定化構造は、前記第1の使用構成において前記患者インターフェースと共に用いられるように構成される、請求項2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記第1の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つの前記ガス送達管は、使用時において前記患者の頭部のうち前記患者の上耳底点の上方の少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記接続ポートに設けられる、請求項2または請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記第2の位置決めおよび安定化構造は、1つ以上のストラップを含み、前記1つ以上のストラップは、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、前記第2の使用構成において前記患者インターフェースと共に用いられるように構成される、請求項2~4のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記1つ以上の接続ポートは、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートを含む、請求項2~5のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記第1の接続ポートは、前記第1の位置決めおよび安定化構造に設けられ、ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の接続ポートを備える、請求項6に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記第2の接続ポートは、前記プレナムチャンバの前側部に設けられる、請求項6または請求項7に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
前記第1の使用構成において前記空気回路が前記第1の接続ポートへ接続されると、前記第2の接続ポートは、通気構造または停止部を受容する、請求項6~8のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含む位置決めおよび安定化構造を含み、少なくとも1つの前記ガス送達管は、使用時において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記1つ以上の接続ポートは、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分に設けられた第1の接続ポートと、前記プレナムチャンバの前側部に設けられた第2の接続ポートとを含む、請求項10に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記患者インターフェースは、1つ以上の通気構造または停止部をさらに含む、請求項11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
各通気構造または停止部は、前記第1の接続ポートおよび/または第2の接続ポートへ接続するように構成される、請求項12に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記第1の使用構成において、前記空気回路は、前記第1の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第2の接続ポートへ接続され、前記第2の使用構成において、前記空気回路は、前記第2の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第1の接続ポートへ接続される、請求項13に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記第1の接続ポートおよび第2の接続ポートは、クロージャを備える、請求項11に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記クロージャは、閉鎖状態から開放状態へ移動可能となるように構成される、請求項15に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記クロージャは、開口部と、前記閉鎖状態において前記開口部の少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのクロージャ蓋とを含む、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記クロージャは、前記開口部を包囲するリング構造を含む、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
前記クロージャ蓋は、外側縁部により前記リング構造へ枢着される、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
前記クロージャ蓋は、前記リング構造へスライド可能に取り付けられ、前記リング構造は、軌道を備え、前記クロージャ蓋は、前記軌道に沿ってスライドするように構成される、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
前記クロージャは、開口部および少なくとも1つのクロージャフラップを含み、少なくとも1つの前記クロージャフラップは、前記閉鎖状態において前記開口部の少なくとも一部を被覆し、前記空気回路の端部によって前記閉鎖状態から前記開放状態へ付勢されるように配置される、請求項16に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記クロージャは、前記開口部を包囲するリング構造を含む、請求項21に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
少なくとも1つの前記クロージャフラップは、外側縁部によって前記リング構造へ枢着される、請求項22に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
少なくとも1つの前記クロージャフラップは、前記リング構造の開口部に及ぶ支柱へ枢着される、請求項22に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
少なくとも1つの前記クロージャフラップは、前記開口部またはリング構造に及び、中央アパチャを備え、前記中央アパチャは、前記クロージャが前記空気回路の端部によって付勢されて前記閉鎖状態から前記開放状態となった際にサイズが増大する、請求項22に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記空気回路の端部は、前記クロージャに対して作動するように配置された起動機構を含む、請求項21~25のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
前記クロージャは、通気部を含む、請求項15~26のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記通気部は、クロージャ蓋またはクロージャフラップに設けられた1つ以上のアパチャの形態をとる、請求項27に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記クロージャは、2つ以上のクロージャフラップを含み、前記通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成されたスリットの形態をとる、請求項27に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記クロージャは、前記クロージャの内面へ取り付けられた4つのクロージャフラップを含み、前記通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成された2つの交差するスリットの形態をとる、請求項27に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
開放状態において、前記クロージャにより前記患者の気道の入口への前記空気流れの送達が可能になり、前記第1の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある、請求項15~30のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項1~31のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項1~32のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される、請求項33に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、前記患者インターフェースの一部として設けられるように構成された第1の位置決めおよび安定化構造ならびに第2の位置決めおよび安定化構造を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記第1の位置決めおよび安定化構造は、使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成され、前記第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う接続ポートを備え、前記ガス送達管は、前記プレナムチャンバの側部へ接続されるように構成された下端を有する、請求項35に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
前記第2の位置決めおよび安定化構造は、使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成され、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのストラップを含み、少なくとも1つの前記ストラップは、第2の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、請求項35または請求項36に記載の患者インターフェース。
【請求項38】
ガス送達管の下端は、前記第1の位置決めおよび安定化構造が前記第1の使用構成と前記第2の使用構成との間で移動可能となるように、前記プレナムチャンバの側部へ接続され、前記第2の使用構成において、前記接続ポートは、前記上耳底点の下方に設けられる、請求項36または請求項37に記載の患者インターフェース。
【請求項39】
前記第1の使用構成において、前記第1の位置決めおよび安定化構造は着用されて、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、前記接続ポートは、前記空気流れを前記空気回路から受容する、請求項36~38のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項40】
前記第2の使用構成において、前記第2の位置決めおよび安定化構造は着用されて、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、前記第1の位置決めおよび安定化構造の接続ポートは、前記空気流れを前記空気回路から受容する、請求項36~39のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項41】
空気回路から患者の気道の入口への加圧した空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第1の位置決めおよび安定化構造であって、前記第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、第1の位置決めおよび安定化構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第2の位置決めおよび安定化構造であって、第2の使用構成において、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、第2の位置決めおよび安定化構造;
前記空気流れを前記空気回路から受容する第2の接続ポートであって、前記第2の接続ポートは、前記プレナムチャンバの前側部に設けられ、前記第2の使用構成において、前記第2の接続ポートは、前記空気流れを前記空気回路から受容して、前記空気流れを前記シール形成構造へ送達する、第2の接続ポート;および
前記第1の使用構成において前記第2の接続ポートへ接続するように構成された通気構造または停止部、を含む、患者インターフェース。
【請求項42】
患者の気道の入口への加圧した空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つの前記ガス送達管は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において前記空気流れを空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
前記患者インターフェースは、1つ以上の通気構造または停止部をさらに含み、各通気構造または停止部は、前記第1の接続ポートおよび/または前記第2の接続ポートへ接続するように構成され、前記第1の使用構成において、前記空気回路は、前記第1の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第2の接続ポートへ接続され、前記第2の使用構成において、前記空気回路は、前記第2の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第1の接続ポートへ接続される、患者インターフェース。
【請求項43】
空気回路から患者の気道の入口への加圧した空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第1の位置決めおよび安定化構造であって、前記第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う接続ポートを備え、前記ガス送達管は、前記プレナムチャンバの側部へ接続されるように構成された下端を有する、第1の位置決めおよび安定化構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第2の位置決めおよび安定化構造であって、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのストラップを含み、少なくとも1つの前記ストラップは、第2の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、第2の位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記ガス送達管の下端は、前記第1の位置決めおよび安定化構造が前記第1の使用構成と前記第2の使用構成との間で移動可能となるように、前記プレナムチャンバの側部へ接続され、
前記第2の使用構成において、前記接続ポートは、前記上耳底点の下方に設けられる、患者インターフェース。
【請求項44】
患者の気道の入口への加圧した空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つの前記ガス送達管は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において前記空気流れを空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
前記第1の接続ポートおよび第2の接続ポートはそれぞれ、クロージャを備えて構成され、前記クロージャは、閉鎖状態から開放状態に移動可能に配置され、前記開放状態において、前記クロージャにより前記患者の気道の入口への前記空気流れの送達が可能になり、前記第1の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある、患者インターフェース。
【請求項45】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項41~44のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項46】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項41~45のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項47】
前記プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される、請求項46に記載の患者インターフェース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 関連出願の相互参照
本出願は、オーストラリア仮出願第2019903366号(出願日:2019年9月10日)およびオーストラリア仮出願第2019903364号(出願日:2019年9月10日)の恩恵を主張する。本明細書中、同文献それぞれの全体を参考のため援用する。
【背景技術】
【0002】
2 技術の背景
2.1.1 技術の分野
本技術は、呼吸関連障害のスクリーニング、診断、監視、治療、予防および改善のうち1つ以上に関する。本技術はまた、医療デバイスまたは装置と、その使用とに関する。
【0003】
2.2 関連技術の説明
2.2.1 ヒトの呼吸器系およびその障害
身体の呼吸器系は、ガス交換を促進させる。鼻および口は、患者の気道への入口を形成する。
【0004】
これらの気道は、一連の分岐する管を含み、これらの管は、肺の奥深くに進むほど狭く、短くかつ多数になる。肺の主要な機能はガス交換であり、空気から酸素を静脈血中へ取り入れさせ、二酸化炭素を退出させる。気管は、右および左の主気管支に分かれ、これらの主気管支はさらに分かれて、最終的に終末細気管支となる。気管支は、伝導のための気道を構成するものであり、ガス交換には関与しない。気道がさらに分割されると呼吸細気管支となり、最終的には肺胞となる。肺の胞状の領域においてガス交換が行われ、この領域を呼吸ゾーンと呼ぶ。以下を参照されたい:「Respiratory Physiology」, by John B. West, Lippincott Williams & Wilkins, 9th edition published 2012。
【0005】
一定範囲の呼吸障害が存在している。特定の障害は、特定の発症(例えば、無呼吸、呼吸低下および過呼吸)によって特徴付けられ得る。
【0006】
呼吸障害の例には、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、チェーン・ストークス呼吸(CSR)、呼吸不全、肥満過換気症候群(OHS)、慢性閉塞性肺障害(COPD)、神経筋疾患(NMD)および胸壁疾患が含まれる。
【0007】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠呼吸障害(SDB)の1つの形態であり、睡眠時の上通気道の閉鎖または閉塞などの発症によって特徴付けられる。これは異常に小さい上気道と、舌の領域の筋緊張の通常の喪失、睡眠時の軟口蓋および後口咽頭壁の正常損失の組み合わせの結果である。このような状態に起因して、罹患患者の呼吸停止が典型的には30~120秒にわたり、ときには一晩に200~300回も呼吸が停止する。その結果、日中の眠気が過度になり、心血管疾患および脳損傷の原因になり得る。この症候群は一般的な障害であり、特に中年の過体重の男性に多いが、患者に自覚症状は無い。米国特許第4,944,310号(Sullivan)を参照されたい。
【0008】
チェーン・ストークス呼吸(CSR)は、別の形態の睡眠呼吸障害である。CSRは、患者の呼吸調節器の障害であり、CSRサイクルとして知られる換気の漸増および漸減が交互に周期的に続く。CSRは、動脈血の脱酸素および再曝気の繰り返しによって特徴付けられる。反復低酸素症のため、CSRは有害であり得る。患者によっては、CSRは、重症不眠、交感神経活動の増加、および後負荷の増加の原因となる、反復性睡眠覚醒を随伴する。米国特許第6,532,959号(Berthon-Jones)を参照されたい。
【0009】
呼吸不全とは、呼吸障害の総称であり、患者の需要を満たすための充分な酸素吸気または充分なCO呼気を肺が行うことができていないことを指す。呼吸不全は、以下の障害のうちいくつかまたは全てを包含し得る。
【0010】
呼吸不全(一種の呼吸不全)の患者は、運動時に異常な息切れを経験することがある。
【0011】
肥満過換気症候群(OHS)は、低換気の原因が他に明確に無い状態における、重症肥満および覚醒時慢性高炭酸ガス血症の組み合わせとして定義される。症状には、呼吸困難、起床時の頭痛と過剰な日中の眠気が含まれる。
【0012】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、特定の共通する特性を有する下気道疾患のグループのうちのいずれも包含する。これには空気の動きに対する抵抗の増加、呼吸の呼気相の延長および肺における正常な弾性の減少が含まれる。COPDの例として、気腫および慢性気管支炎がある。COPDの原因としては、慢性喫煙(第一危険因子)、職業被ばく、空気汚染および遺伝因子がある。症状を挙げると、労作時の呼吸困難、慢性咳および痰生成がある。
【0013】
神経筋疾患(NMD)は、内在筋病理を直接介してまたは神経病理を間接的に介して筋肉機能を損なう多数の疾病および病気を包含する広範な用語である。NMD患者の中には、進行性の筋肉障害によって特徴付けられる者もあり、結果的に歩行不可能、車椅子への束縛、嚥下困難、呼吸筋力低下に繋がり、最終的には呼吸不全による死亡に繋がる。神経筋障害は、急速進行性および緩徐進行性に分けることができる:(i)急速進行性障害:数か月にわたって悪化し、数年以内に死に至る筋肉障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および10代のデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)など)を特徴とする。(ii)変性または緩徐進行性障害:数年にわたって悪化するものの、予命の短縮は軽度にとどまる筋肉障害(例えば、肢帯型、顔面肩甲上腕型、および筋緊張型筋ジストロフィー)を特徴とする。NMDにおける呼吸不全症状を以下に挙げる:全身衰弱の増加、嚥下障害、労作および安静時の呼吸困難、疲労、眠気、起床時の頭痛、および集中および気分の変化の困難。
【0014】
胸壁障害は、胸郭変形の1つのグループであり、呼吸筋肉と胸郭との間の連結の無効性の原因となる。これらの障害は、拘束性障害によって主に特徴付けられ、長期の炭酸過剰性呼吸不全の可能性を共有する。脊柱側弯症および/または脊柱後側弯症は、重篤な呼吸不全を発症することがある。呼吸不全の症状を以下に挙げる:労作時の呼吸困難、末梢浮腫、起座呼吸、反復性胸部感染症、起床時の頭痛、疲労、睡眠の質の低下、および食欲不振。
【0015】
このような状態を治療または改善するために、一定範囲の療法が用いられている。さらに、その他の点では健常人も、呼吸障害の予防療法を有利に利用することができる。しかし、これらにおいては、複数の欠陥がある。
【0016】
2.2.2 療法
多様な呼吸療法(例えば、持続的気道陽圧(CPAP)療法、非侵襲的換気(NIV)、侵襲的換気(IV)、および高流量療法(HFT))が上記の呼吸障害の1つ以上の治療のために用いられている。
【0017】
2.2.2.1 呼吸圧力療法
呼吸圧力療法とは、(例えば、タンクベンチレータや陽陰圧体外式人工呼吸器などの陰圧療法とは異なり、)患者の呼吸サイクル全体を通じて大気に対して名目上陽である制御された目標圧力で、ユーザの気道の入口に空気供給を印加することを指す。
【0018】
持続的気道陽圧(CPAP)療法が、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療において用いられている。その作用メカニズムとしては、例えば軟口蓋および舌を押して後口咽頭壁へ前進または後退させることにより、持続的気道陽圧が空気圧スプリントとして機能し、これにより上気道の閉鎖を防止し得る。CPAP療法によるOSAの治療は自発的なものであり得るため、このような患者が療法の提供に用いられるデバイスについて以下のうち1つ以上に気づいた場合、患者が療法を遵守しないことを選択する可能性がある:不快、使用困難、高価、美観的な魅力の無さ。
【0019】
非侵襲的換気(NIV)は、換気補助を上気道を通じて患者へ提供して、呼吸機能の一部または全体を行うことにより患者の呼吸の補助および/または身体中の適切な酸素レベルの維持を提供する。換気補助が、非侵襲的患者インターフェースを介して提供される。NIVは、OHS、COPD、NMD、および胸壁障害などの形態のCSRおよび呼吸不全の治療に用いられている。いくつかの形態において、これらの療法の快適性および有効性が向上し得る。
【0020】
侵襲的換気(IV)は、自身で有効に呼吸することができなくなった患者に対して換気補助を提供し、気管切開管を用いて提供され得る。いくつかの形態において、これらの療法の快適性および有効性が向上し得る。
【0021】
2.2.2.2 流れ療法
全ての呼吸療法において、規定の治療圧力の送達が意図されているわけではない。いくつかの呼吸療法においては、(恐らくは正のベースライン圧力上に重畳された)吸気流量プロファイルの送達を目標継続期間にわたって行うことによる規定呼吸量の送達が、企図されている。他の場合において、患者の気道へのインターフェースが「開放」(シール解除)されており、調整ガスまたは高濃度ガス流れによる呼吸療法は、患者自身の自発呼吸の補助としてのみ用いられ得る。一例において、高流量療法(HFT)とは、連続的な、加熱された、加湿された空気流れをシールされていないかまたは開口した患者インターフェースを通じて、呼吸サイクル全体にかけてほぼ一定に保持される「治療流量」で提供することである。治療流量は、患者のピーク吸気流量を超えるようにノミナル設定されている。HFTは、OSA、CSR、呼吸不全、COPDおよび他の呼吸障害の治療のために用いられている。1つの作用メカニズムとして、患者の解剖学的死腔から呼気されたCOのフラッシングまたは押し流しが可能になるため、高流量の空気を気道入口へ提供すると、換気効率が向上する。そのため、HFTは、死腔療法(DST)と呼ばれる場合がある。他の恩恵を挙げると、(恐らくは分泌制御の恩恵による)暖かさおよび加湿の向上や、気道圧力の緩やかな上昇の可能性がある。一定の流量の代替例として、治療流量は、呼吸サイクルにわたって変動するプロファイルに追随し得る。
【0022】
別の形態の流れ療法として、長期酸素療法(LTOT)または酸素補充療法がある。医師は、酸素富化ガスの連続流れを指定酸素濃度(周囲空気中の酸素分率が21%~100%)において指定流量(例えば、1リットル/分(LPM)、2LPM、3LPM)において患者の気道へ送達する旨を処方し得る。
【0023】
2.2.2.3 補充用酸素
特定の患者の場合、補助酸素を加圧空気流れへ付加することにより、酸素療法と呼吸圧力療法またはHFTとの組み合わせが得られ得る。呼吸圧力療法へ酸素を付加した場合、これは、補助酸素を用いたRPTと呼ばれる。HFTへ酸素を付加した場合、その結果得られる療法は、補助酸素を用いたHFTと呼ばれる。
【0024】
2.2.3 呼吸療法システム
これら呼吸療法は、呼吸療法システムまたはデバイスによって提供され得る。このようなシステムおよびデバイスは、疾患を治療することなくスクリーニング、診断、または監視するためにも、用いられ得る。
【0025】
呼吸療法システムは、呼吸圧力療法デバイス(RPTデバイス)、空気回路、加湿器、患者インターフェース、酸素呼吸源、およびデータ管理を含み得る。
【0026】
別の形態の療法システムとして、下顎再位置決めデバイスがある。
【0027】
2.2.3.1 患者インターフェース
患者インターフェースは、例えば気道入口への空気流れを提供することにより呼吸装具へのインターフェースを装着者へ提供するために、用いられ得る。空気流れは、鼻および/または口へのマスク、口への管、または患者気管への気管切開管を介して提供され得る。適用される療法に応じて、患者インターフェースは、例えば患者の顔の領域とのシールを形成し得、これにより、療法実行のための周囲圧力と共に充分な分散の圧力において(例えば、例えば周囲圧力に対して約10cmHOの陽圧において)ガス送達を促進する。酸素送達などの他の療法形態において、患者インターフェースは、約10cmHOの陽圧において気道へのガス供給の送達を促進するのに充分なシールを含まない場合がある。鼻HFTなどの流れ療法の場合、患者インターフェースは、鼻孔への送気を行い(かつ完全なシールを明確に回避する)ように、構成される。このような患者インターフェースの一例として、鼻カニューレがある。
【0028】
特定の他のマスクシステムは、本分野において機能的に不適切であり得る。例えば、純然たる装飾目的のマスクの場合、適切な圧力を維持することができない場合がある。水中水泳またはダイビングに用いられるマスクシステムは、外部からのより高い圧力からの水侵入から保護することと、周囲よりも高い圧力において内部の空気を維持しないこととを行うように、構成され得る。
【0029】
特定のマスクは、本技術において臨床的に好ましく無い場合があり得る(例えば、マスクが鼻を介して気流を遮断し、口を介した気流のみを通過させる場合)。
【0030】
特定のマスクにおいて、患者がマスク構造の一部を口に挿入し、唇を介して密閉状態を生成および維持しなければならない場合、本技術において不快であるかまたは非実際的である場合がある。
【0031】
特定のマスクは、睡眠時(例えば、横向きにベッドに寝て枕の上に頭を置いた状態で睡眠する場合)における使用においては非実際的である場合がある。
【0032】
患者インターフェースの設計においては、複数の課題がある。顔は、複雑な三次元形状を有する。鼻および頭のサイズおよび形状は、個人によって大きく異なる。頭部には骨、軟骨および軟組織が含まれるため、顔の異なる領域は、機械的力に対して異なる反応を示す。すなわち、顎部または下顎は、頭蓋骨の他の骨に相対して動き得る。頭部全体は、呼吸療法期間を通じて動き得る。
【0033】
これらの課題に起因して、いくつかのマスクの場合、特に装着時間が長い場合または患者がシステムに不慣れである場合、押しつけがましい、美観的に望ましくない、コストが高い、フィット感が悪い、使用が困難、および不快感があるなどの理由のうち1つ以上がある。誤ったサイズのマスクが用いられた場合、コンプライアンスの低下、快適性の低下および患者予後の低下に繋がり得る。飛行士専用のマスク、個人用保護装具(例えば、フィルターマスク)、SCUBAマスクの一部として設計されたマスク、または麻酔投与用マスクは、その元々の用途には耐えられるものの、このようなマスクの場合、長時間(例えば、数時間)にわたって装着するには望ましくないほど不快な場合がある。このような不快感に起因して、療法に対する患者のコンプライアンスが低下する可能性がある。これは、マスクを睡眠時に装着する必要がある場合、特に当てはまる。
【0034】
CPAP療法は、患者が療法を承諾している場合、特定の呼吸障害の治療においては極めて効果的である。マスクが不快である場合または使用が難しい場合、患者は、療法を承諾しない場合がある。患者はマスクを定期的に洗浄するよう推奨されることが多いため、マスクの清浄が難しい(例えば、組立または分解が困難である場合)、患者は、マスクを清浄することができず、患者のコンプライアンスに影響が出る場合がある。
【0035】
他の用途(例えば、飛行士)用のマスクの場合、睡眠呼吸障害の治療の使用には不適である場合があるため、睡眠呼吸障害の治療の使用のために設計されたマスクは、他の用途に適している場合がある。
【0036】
これらの理由のめ、睡眠時のCPAP送達のための患者インターフェースは、明瞭な分野を形成する。
【0037】
2.2.3.1.1 シール形成構造
患者インターフェースは、シール形成構造を含み得る。患者インターフェースは、患者の顔と直接接触するため、シール形成構造の形状および構成は、患者インターフェースの有効性および快適性に対して直接影響を持ち得る。
【0038】
患者インターフェースは、使用時にシール形成構造を顔と係合させる場所の設計意図に従って、部分的に特徴付けられ得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、左鼻孔の周囲にシールを形成するための第1のサブ部分と、右鼻孔の周囲にシールを形成するための第2のサブ部分とを含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時において双方の鼻孔を包囲する単一の要素を含み得る。このような単一の要素は、例えば顔の上唇領域および鼻ブリッジ領域上に載置されるように、設計され得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に例えば顔の下唇領域上にシールを形成することにより口領域を包囲する要素を含み得る。患者インターフェースの一形態において、シール形成構造は、使用時に双方の鼻孔および口領域を包囲する単一の要素を含み得る。これらの異なる種類の患者インターフェースは、その製造業者によって鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕、鼻パフおよび口鼻マスクなどの多様な名称によって公知であり得る。
【0039】
患者の顔の一領域において有効であり得るシール形成構造は、例えば患者の顔の異なる形状、構造、変化性および感受性領域に起因して、別の領域において不適切であり得る。例えば、患者の前額上に載置される水泳用ゴーグルのシールは、患者の鼻上における使用には不適切である場合がある。
【0040】
特定のシール形成構造は、広範囲の異なる顔形状およびサイズに対して1つの設計が適合し、快適でありかつ有効になるように、大量製造用に設計され得る。シールを形成するためには、患者の顔の形状と、大量製造された患者インターフェースのシール形成構造との間の不整合がある範囲まで、一方または双方を適合させる必要がある。
【0041】
1つの種類のシール形成構造は、患者インターフェースの周囲を包囲して延び、シール形成構造が患者の顔に対向して係合している状態で力が患者インターフェースへ付加された際、患者の顔を密閉することを意図する。このシール形成構造は、空気または流体充填クッションを含み得るか、または、ゴムなどのエラストマーによって構成された弾力性のあるシール要素の成形されたかまたは形成された表面を含み得る。この種のシール形成構造により、フィット感が不適切である場合、シール形成構造と顔との間に隙間が発生し、シールを達成するには、患者インターフェースを顔に押しつけるためにさらなる力が必要になる。
【0042】
別の種類のシール形成構造は、陽圧がマスク内に付加された際に患者の顔に対して自己気密作用を提供するように、マスクの周囲の周辺に位置決めされた薄材のフラップシールを使用する。先述の種類のシール形成部分と同様に、顔とマスクとの間の整合が良くない場合、シールを達成するために必要なさらなる力が必要になり得るか、またはマスクから漏洩が発生し得る。さらに、シール形成構造の形状が患者の形状と整合しない場合、使用時においてシール形成部分に折り目または座屈が発生し、漏洩の原因になる。
【0043】
別の種類のシール形成構造は、例えば鼻孔中へ挿入される摩擦嵌め要素を含み得るが、これらのシール形成部分を不快であると感じる患者も存在する。
【0044】
別の形態のシール形成構造は、シールを達成するために接着部を用い得る。患者の中には、常に接着部を自身の顔に貼り付けるかまたは取り外すことが不便であると感じる患者もいる。
【0045】
一定範囲の患者インターフェースシール形成構造の技術について、(ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願:WO1998/004,310;WO2006/074,513;WO2010/135,785)に開示がある。
【0046】
鼻枕の一形態が、Puritan Bennettによって製造されたAdam回路において見受けられる。別の鼻枕または鼻パフが、Puritan-Bennett Corporationへ譲渡された米国特許第4、782、832号(Trimbleら)の主題になっている。
【0047】
ResMed Limitedは、鼻枕を用いた以下の製品を製造している:SWIFT(登録商標)鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)II鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)LT鼻枕マスク、SWIFT(登録商標)FX鼻枕マスクおよびMIRAGELIBERTY(商標)フルフェイスマスク。ResMed Limitedへ譲渡された以下の特許出願において、鼻枕マスクの例についての記載がある:国際特許出願WO2004/073、778号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)鼻枕の様相を記載)、米国特許出願第2009/0044808号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)LT鼻枕の様相を記載);国際特許出願WO2005/063、328号およびWO2006/130、903号(特に、ResMed LimitedのMIRAGE LIBERTY(商標)フルフェイスマスクの様相を記載);国際特許出願WO2009/052、560号(特に、ResMed LimitedのSWIFT(登録商標)FX鼻枕の様相を記載)。
【0048】
患者は、患者インターフェースおよびシール形成構造について複数の選択肢を利用することができることが理解されるべきである。しかし、これらの選択肢の場合、特定に設計された位置決めおよび安定化構造と共に着用されるように設計されている場合が特にあるため、これらの選択肢を切り替えることは、患者にとって大きな投資となり得る。
【0049】
2.2.3.1.2 位置決めおよび安定化構造
陽圧空気療法に用いられる患者インターフェースのシール形成構造は、シールを妨害する空気圧力の対応する力を受ける。そのため、シール形成構造を位置決めすることと、顔の適切な部分に対してシールを維持することとを行うために、多様な技術が用いられている。
【0050】
シール形成構造を患者の顔上に位置決めするために広範に使用されている1つの技術として、位置決めおよび安定化構造としての1つ以上のストラップおよび/または安定化用ハーネスの提供がある。これらの構造は、ヘッドギアと呼ばれることが多い。
【0051】
ヘッドギアは、患者インターフェースと係合する複数のストラップおよびバックルなどを含み得る。いくつかの例示的ヘッドギアの場合、フィット感の悪さ、嵩高、不快および使用感がぎこちないなどの問題のうち1つ以上がある。
【0052】
2.2.3.2 加圧空気導管
一種の治療システムにおいて、加圧空気流れは、空気回路中の導管または管を通じて患者インターフェースへ提供される。この導管または管は、患者インターフェースが使用時に患者の顔上に位置決めされているときに導管が患者インターフェースから前方において患者の顔から離隔方向に延びるように、患者インターフェースの前側部へ流体接続する。通常は、導管は、他の任意の場所において患者インターフェースへ接続されないため、導管は重力下においてはインターフェースから下方に垂直に吊下される。この種のインターフェースは、「チューブダウン」型または「エレファントトランク」型のインターフェースとも呼ばれ得る。
【0053】
2.2.3.2.1 シール形成構造の位置決め/安定化に用いられる加圧空気用導管
別の種類の治療システムに含まれる患者インターフェースにおいて、加圧空気を患者の気道へ送達する管または実質的に中空の長細構造は、患者インターフェースのシール形成部分の患者の顔の適切な部分に対する位置決めおよび安定化を行う構造(例えば、ヘッドギア)の一部としても機能する。すなわち、ヘッドギアにより、空気回路の一部が形成される。本明細書の目的のため、「管」および「導管」という用語は、他に明記無き限り、同一の意味を持つものとしてみなされるべきである。
【0054】
この種の患者インターフェースは、「ヘッドギアチュービング」または「導管ヘッドギア」を採用としたものと呼ばれ得、これらの用語は、他に明記無き限り、本明細書の目的のために同義のものとして理解される。このような患者インターフェースを用いると、呼吸圧力療法デバイスからの加圧空気流れを提供する空気回路中の導管を患者の顔の前方以外の位置にある患者インターフェースへ提供することができる。このような治療システムの一例について、米国特許公開第2007/0246043号に開示がある。本明細書中、同文献の内容を参考のため援用する。同文献において、導管は、使用時において患者の頭部の上部上に位置決めされたポートを通じて患者インターフェースへ接続する。これは、「チューブアップ」構成として呼ばれ得る。
【0055】
PhilipsのDreamWear(商標)マスクにおいて、このようなヘッドギアチュービングが含まれる。DreamWear(商標)ヘッドギア管の長さは調節できない。そのため、DreamWear(商標)ヘッドギアは、顔の大きさが異なる患者に対応するために、3つの異なるサイズで供給される。異なるサイズの数が多くなると、ヘッドギアの製造の際の複雑度およびコストの増大に繋がり得、パッケージング大型化に繋がり得る。さらに、別個のサイズのマスクを供給した場合、頭部サイズが異なる患者に対応できる範囲が制限され得る。一定数の患者に対し、長さ調節が不可能な個別のサイズを強制的に選択するよう要求した場合、患者自身が快適だと思うフィット感を達成することができない可能性が高くなり得る。
【0056】
患者の中には、ヘッドギアチュービングを含むインターフェースを選好する者がいる。その理由は、ヘッドギアチュービングを含むインターフェースを用いれば、チューブアップ構成の選択が可能となるため、患者の顔の前方における導管から患者インターフェースへの接続が回避されるためである。これは、目障りでありかつ押しつけがましいと見なされる場合がある。しかし、他の患者の場合、「チューブダウン」型のインターフェースは問題ではないと考える場合もある。
【0057】
2.2.3.3 呼吸圧力療法(RPT)デバイス
呼吸圧力療法(RPT)デバイスは、例えばデバイスを作動させて気道へのインターフェースへの空気送達流れを生成することにより、上記した複数の療法のうち1つ以上の送達に個別的に、またはシステムの一部として用いられ得る。空気流れは、(呼吸圧力療法のために)圧力制御され得るかまたは(HFTなどの流れ療法のために)流れ制御され得る。そのため、RPTデバイスは、流れ療法デバイスとしても機能し得る。RPTデバイスの例を挙げると、CPAPデバイスおよび人工呼吸器がある。
【0058】
空気圧生成器は、広範な用途(例えば、工業規模通気システム)において公知である。しかし、医療用途のための空気圧生成器は、より一般的な空気圧生成器(例えば、医療機器の信頼性要件、サイズ要件および重量要件)では満足できない特定の要件を有する。加えて、医療治療向けに設計されたデバイスであっても、以下のうち1つ以上に関連して欠陥を免れない場合がある:快適性、ノイズ、使いやすさ、有効性、サイズ、重量、製造可能性、コストおよび信頼性。
【0059】
特定のRPTデバイスの特殊な要件の一例として、音響ノイズがある。
【0060】
従来のRPTデバイスのノイズ出力レベルの表(試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOにて測定)。
【表1】
【0061】
睡眠呼吸障害の治療に用いられる1つの公知のRPTデバイスとして、S9睡眠療法システム(製造元:ResMed Limited)がある。RPTデバイスの別の例として、人工呼吸器がある。人工呼吸器(例えば、成人および小児用人工呼吸器のResMed Stellar(商標)シリーズ)の場合、複数の状態(例を非限定的に挙げると、NMD、OHSおよびCOPD)の治療のための一定範囲のための患者のための侵襲的および非侵襲的な非依存的呼吸のための補助を提供し得る。
【0062】
ResMed Elisアクサンテギュee(登録商標)150人工呼吸器およびResMedVSIII(商標)人工呼吸器は、複数の状態の治療のための成人患者または小児用患者に適した侵襲的および非侵襲的な依存的呼吸の補助を提供し得る。これらの人工呼吸器により、単一または二重の肢回路を用いた容積通気モードおよび気圧通気モードが得られる。RPTデバイスは典型的には、圧力生成器(例えば、電動送風機または圧縮ガスリザーバ)を含み、患者の気道へ空気流れを供給するように構成される。場合によっては、空気流れは、患者の気道へ陽圧で供給され得る。RPTデバイスの出口は、空気回路を介して上記したような患者インターフェースへ接続される。
【0063】
デバイスの設計者には、無数の選択肢が提示され得る。設計基準同士が対立することが多くあるため、特定の設計選択肢が慣例からほど遠くなるかあるいは避けられないことがある。さらに、特定の態様の快適性および有効性は、1つ以上のパラメータの些細な変更から大きく影響を受ける可能性もある。
【0064】
2.2.3.4 空気回路
空気回路は、使用時において空気流れが呼吸療法システムの2つの構成要素(例えば、RPTデバイスおよび患者インターフェース)間に移動するように、構築および配置された導管またはチューブである。いくつかの場合において、吸息および呼気のための空気回路の別個の肢があり得る。他の場合において、吸息と呼気との両方のために単一の肢空気回路が用いられる。
【0065】
空気回路は、患者インターフェースおよび/またはシール形成構造と係合してもよいし、あるいは、導管ヘッドギアが用いられる場合、導管ヘッドギアに設けられたかまたは導管ヘッドギアと流体連通する接続ポートと係合してもよい。
【0066】
2.2.3.5 通気技術
いくつかの形態の治療システムは、呼気された二酸化炭素を押し出すための通気部を含み得る。この通気部により、患者インターフェースの内部空間(例えば、プレナムチャンバ)から患者インターフェースの外部(例えば、周囲)へのガス流れが可能になり得る。
【0067】
この通気部は、オリフィスを含み得、マスク使用時において、ガスがオリフィスを通じて流れ得る。多数のこのような通気部の場合、音がうるさい。他の場合、使用時において閉塞し得るため、押し出しが不十分になる。いくつかの通気部の場合、例えば音または気流集中に起因して、患者1000と同床者1100の睡眠を妨げる場合がある。
【0068】
ResMed Limitedは、複数の向上したマスク通気技術を開発している。下記を参照されたい:国際特許出願公開第WO1998/034、665;国際特許出願公開第WO2000/078、381;米国特許第6、581、594号;米国特許出願公開第US2009/0050156;米国特許出願公開第2009/0044808。
【0069】
従来のマスクのノイズの表(ISO17510-2:2007、1mにおける10cmHO圧力)
【表2】
【0070】
(*試料1個のみをISO3744に指定の試験方法を用いてCPAPモードにおいて10cmHOにて測定)
【0071】
多様な対象の音圧値を以下に羅列する:
【表3】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0072】
3 技術の簡単な説明
本技術は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる医療機器の提供に関連し、これらの医療機器は、向上した快適性、コスト、有効性、使い易さおよび製造可能性のうち1つ以上を有する。
【0073】
本技術の第1の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防に用いられる装置に関連する。
【0074】
本技術の別の態様は、呼吸障害のスクリーニング、診断、監視、改善、治療または予防において用いられる方法に関連する。
【0075】
本技術の特定の形態の一態様は、呼吸療法についての患者のコンプライアンスを向上させる方法および/または装置を提供することである。
【0076】
本技術の一態様は、患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースを含む。
【0077】
本技術の一態様は、空気回路から患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関する。患者インターフェースは:
プレナムチャンバ;
プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;
空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行うように構成された1つ以上の接続ポート;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された1つ以上の位置決めおよび安定化構造、を含み、
患者インターフェースは、第1の使用構成および第2の使用構成において患者によって着用されるような構造および配置にされ、
第1の使用構成において、空気回路は、1つ以上の接続ポートのうち患者の上耳底点の上方に位置決めされた接続ポートへ接続され、
第2の使用構成において、空気回路は、1つ以上の接続ポートのうち患者の上耳底点の下方に位置決めされた接続ポートへ接続される。
【0078】
一例において、1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成された第1の位置決めおよび安定化構造ならびに第2の位置決めおよび安定化構造を含み、a)第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において患者インターフェースと共に用いられるように構成され、b)第2の位置決めおよび安定化構造は、第2の使用構成において患者インターフェースと共に用いられるように構成される。
【0079】
本例において、第1の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つのガス送達管は、使用時において患者の頭部のうち患者の上耳底点の上方の少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、接続ポートに設けられる。
【0080】
本例において、第2の位置決めおよび安定化構造は、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された1つ以上のストラップを含む。さらなる本例において、第2の使用構成において、空気回路の接続先である接続ポートは、プレナムチャンバの前側部に設けられる。本例において、1つ以上の接続ポートは、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートを含み得、第1の接続ポートは、第1の位置決めおよび安定化構造に設けられ、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の接続ポートを備え、第2の接続ポートは、プレナムチャンバの前側部に設けられ得;a)第1の使用構成において空気回路が第1の接続ポートへ接続されると、第2の接続ポートは、通気構造または停止部を受容し;b)第2の使用構成において空気回路が第2の接続ポートへ接続されると、第1の接続ポートは、通気構造または停止部を受容する。
【0081】
別の例において、1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含む位置決めおよび安定化構造を含む。少なくとも1つのガス送達管は、使用時において患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置にされ、1つ以上の接続ポートは、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分に設けられた第1の接続ポートと、プレナムチャンバの前側部に設けられた第2の接続ポートとを含み、患者インターフェースは、1つ以上の通気構造または停止部をさらに含み、各通気構造または停止部は、第1の接続ポートおよび/または第2の接続ポートへ接続するように構成され、第1の使用構成において空気回路は第1の接続ポートへ接続され、通気構造または停止部のうち1つは第2の接続ポートへ接続され、第2の使用構成において、空気回路は第2の接続ポートへ接続され、通気構造または停止部のうち1つは第1の接続ポートへ接続される。
【0082】
いくつかの例において:(a)第1の接続ポートおよび第2の接続ポートは、クロージャを備え;(b)クロージャは、閉鎖状態から開放状態へ移動可能となるように構成され;(c)クロージャは、開口部と、閉鎖状態において開口部の少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのクロージャ蓋とを含み;(d)クロージャは、開口部を包囲するリング構造を含み;(e)クロージャ蓋は、外側縁部によりリング構造へ枢着され;(f)クロージャ蓋は、リング構造へスライド可能に取り付けられ、リング構造は軌道を備え、クロージャ蓋は、軌道に沿ってスライドするように構成され;(g)クロージャは、開口部および少なくとも1つのクロージャフラップを含み、少なくとも1つのクロージャフラップは、閉鎖状態において開口部の少なくとも一部を被覆し、空気回路の端部によって閉鎖状態から開放状態へ付勢されるように配置され;(h)クロージャは、開口部を包囲するリング構造を含み;(i)少なくとも1つのクロージャフラップは、外側縁部によってリング構造へ枢着され;(j)少なくとも1つのクロージャフラップは、リングの開口部に及ぶ支柱へ枢着され;(k)少なくとも1つのクロージャフラップは、開口部またはリング構造に及び、中央アパチャを備える。この中央アパチャは、クロージャが空気回路の端部によって付勢されて閉鎖状態から開放状態となった際にサイズが増加し;(l)空気回路の端部は、クロージャに対して作動するように配置された起動機構を含み;(m)クロージャは、通気部を含み;通気部は、クロージャ蓋またはクロージャフラップに設けられた1つ以上のアパチャの形態をとり;(n)クロージャは、2つ以上のクロージャフラップを含み、通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成されたスリットの形態をとり;(o)クロージャは、クロージャの内面へ取り付けられた4つのクロージャフラップを含み、通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成された2つの交差するスリットの形態をとり;(p)開放状態において、クロージャにより患者の気道の入口への空気流れの送達が可能になり、第1の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは開放状態にあり;(q)患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成され;(r)患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成され;かつ/または(単数または複数)プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される。
【0083】
さらに別の例において、1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、第1の位置決めおよび安定化構造ならびに第2の位置決めおよび安定化構造を含み、a)第1の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、b)第2の位置決めおよび安定化構造は、1つ以上のストラップを含み、1つ以上の接続ポートは、第1の位置決めおよび安定化構造に設けられた接続ポートを含み、第1の使用構成において第1の位置決めおよび安定化構造は着用されて、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、接続ポートは、空気流れを空気回路から受容し、第2の使用構成において、第2の位置決めおよび安定化構造は着用されて、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、接続ポートは、空気流れを空気回路から受容する。
【0084】
本例において、ガス送達管は、プレナムチャンバの側部へ接続されるように構成された下端を有し、ガス送達管とプレナムチャンバの側部との間の接続は、第1の位置決めおよび安定化構造が第1の使用構成における第1の接続位置と、第2の使用構成における第2の接続位置との間において移動可能となるように構成される。
【0085】
一例において、1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含む位置決めおよび安定化構造を含む。少なくとも1つのガス送達管は、使用時において患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、1つ以上の接続ポートは、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分に設けられた第1の接続ポートおよびプレナムチャンバの前側部に設けられた第2の接続ポートを含み、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートは、クロージャを備え、クロージャは、閉鎖状態から開放状態へ移動可能となるように構成され、開放状態において、クロージャにより患者の気道の入口への空気流れの送達が可能になり、第1の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある。
【0086】
空気回路の下流端部は、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートへ交換可能に接続するため、第1の使用構成にあるとき、空気回路の下流端部は患者の上耳底点の上方に設けられ、第2の使用構成にあるとき、空気回路の下流端部は、患者の上耳底点の下方に設けられることが理解される。
【0087】
例において、患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される。
【0088】
例において、患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される。
【0089】
例において、プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される。
【0090】
本技術の一態様は、空気回路から患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関する。患者インターフェースは:
プレナムチャンバ;
プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第1の位置決めおよび安定化構造であって、第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、第1の位置決めおよび安定化構造;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第2の位置決めおよび安定化構造であって、第2の使用構成において、第2の位置決めおよび安定化構造は、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、第2の位置決めおよび安定化構造;
空気流れを空気回路から受容する第2の接続ポートであって、第2の接続ポートは、プレナムチャンバの前側部に設けられ、第2の使用構成において、第2の接続ポートは、空気流れを空気回路から受容して、空気流れをシール形成構造へ送達する、第2の接続ポート;および
第1の使用構成において第2の接続ポートへ接続するように構成された通気構造または停止部、を含む。
【0091】
空気回路は、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートへ交換可能に接続するため、第1の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の上方に設けられ、第2の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の下方に設けられることが理解される。
【0092】
例において、患者インターフェースは、通気構造を含み、通気構造は、以下に設けられる:a)プレナムチャンバ;b)シール形成構造;またはc)ガス送達管。
【0093】
例において、患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される。
【0094】
例において、患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される。
【0095】
例において、プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される。
【0096】
本技術の別の態様は、患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関し、患者インターフェースは、
プレナムチャンバ;
プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つのガス送達管は、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、位置決めおよび安定化構造、を含み、
プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
患者インターフェースは、1つ以上の通気構造または停止部をさらに含み、各通気構造または停止部は、第1の接続ポートおよび/または第2の接続ポートへ接続するように構成され、第1の使用構成において空気回路は第1の接続ポートへ接続され、通気構造または停止部のうち1つは第2の接続ポートへ接続され、第2の使用構成において、空気回路は第2の接続ポートへ接続され、通気構造または停止部のうち1つは第1の接続ポートへ接続される。
【0097】
空気回路は、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートへ交換可能に接続するため、第1の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の上方に設けられ、第2の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の下方に設けられることが理解される。
【0098】
例において、患者インターフェースは、通気構造を含み、通気構造は、以下に設けられる:a)プレナムチャンバ;b)シール形成構造;またはc)ガス送達管。
【0099】
一例において、1つ以上の通気構造または停止部は通気構造を含み、通気構造は、第1の使用構成において第2の接続ポートへ接続し、第2の使用構成において第1の接続ポートへ接続するように構成される。別の例において1つ以上の通気構造または停止部は、第1の使用構成において第2の接続ポートへ接続しかつ第2の使用構成において第1の接続ポートへ接続するように構成された停止部を含む。
【0100】
例において、プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される。
【0101】
本技術のさらに別の態様は、空気回路から患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関し、患者インターフェースは、
プレナムチャンバ;
プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第1の位置決めおよび安定化構造であって、第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う接続ポートを備え、ガス送達管は、プレナムチャンバの側部へ接続されるように構成された下端を有する、第1の位置決めおよび安定化構造;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第2の位置決めおよび安定化構造であって、第2の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのストラップを含み、少なくとも1つのストラップは、第2の使用構成において患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、第2の位置決めおよび安定化構造、を含み、
ガス送達管の下端は、第1の位置決めおよび安定化構造が第1の使用構成と第2の使用構成との間で移動可能となるように、プレナムチャンバの側部へ接続され、
第2の使用構成において、接続ポートは、上耳底点の下方に設けられる。
【0102】
本技術の別の態様は、患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関し、患者インターフェースは、
プレナムチャンバ;
プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つのガス送達管は、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、位置決めおよび安定化構造、を含み、
プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
第1の接続ポートおよび第2の接続ポートはそれぞれ、クロージャを備えて構成され、クロージャは、閉鎖状態から開放状態に移動可能に配置され、開放状態において、クロージャにより患者の気道の入口への空気流れの送達が可能になり、第1の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある。
【0103】
空気回路の下流端部は、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートへ交換可能に接続するため、第1の使用構成にあるとき、空気回路の下流端部は、患者の上耳底点の上方に設けられ、第2の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の下方に設けられることが理解される。
【0104】
例において、クロージャは、開口部と、閉鎖状態において開口部の少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのクロージャ蓋とを含む。これらの例において、クロージャは、開口部を包囲するリング構造をさらに含み、クロージャ蓋は、a)外側縁部によってリング構造へ枢着されるか;またはb)クロージャへスライド可能に取り付けられ、クロージャに設けられる軌道に沿って、クロージャ蓋はスライドするように構成される。
【0105】
他の例において、クロージャは、開口部および少なくとも1つのクロージャフラップを含み、少なくとも1つのクロージャフラップは、閉鎖状態において開口部の少なくとも一部を被覆し、空気回路の下流端部によって付勢されて閉鎖状態から開放状態となるように配置される。これらの例において、クロージャは、開口部を包囲するリング構造をさらに含み、少なくとも1つのクロージャフラップは、a)外側縁部によってリング構造へ枢着されるか;またはb)リングの開口部に及ぶ支柱構造へ枢着されるか;またはc)開口部に及び、中央アパチャを備え、中央アパチャは、クロージャが空気回路の下流端部によって付勢されて閉鎖状態から開放状態となった際にサイズが増加する。
【0106】
さらなる例において、起動機構が、空気回路の下流端部またはその近隣に設けられ得、クロージャ空気回路と接続ポートとの間の接続が確立されたのに応答してクロージャに対して作用する。本例において、起動機構は、突起または複数の突起として構成され得、クロージャの表面を支持して、クロージャを閉鎖状態から開放状態へ移動させる。本例において、クロージャは、一時的に変形可能であり得るかまたは付勢され得るため、空気回路の下流端部が除去された後に閉鎖状態に戻り得る。
【0107】
例において、クロージャは、通気部も含む。これらの例において、通気部は、クロージャ蓋またはフラップに設けられた1つ以上のアパチャの形態をとる。他の例において、クロージャは、2つ以上のクロージャフラップを含み、通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成されたスリットの形態をとる。
【0108】
本技術の一態様は、患者の気道の入口への加圧空気流れの送達のための患者インターフェースに関し、患者インターフェースは、
プレナムチャンバ;
プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時においてシール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つのガス送達管は、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、ガス送達管のうち患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備える、位置決めおよび安定化構造、を含み、
プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において空気流れを空気回路から受容することと、空気流れをシール形成構造を介して患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
第1の接続ポートおよび第2の接続ポートはそれぞれ、クロージャを備えて構成され、クロージャは、閉鎖状態から開放状態に移動可能に配置され、開放状態において、クロージャにより患者の気道の入口への空気流れの送達が可能になり、第1の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の使用構成にあるとき、第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある。
【0109】
空気回路は、接続ポートへ交換可能に接続するため、第1の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の上方に設けられ、第2の使用構成にあるとき、空気回路の下流端は患者の上耳底点の下方に設けられることが理解される。
【0110】
例において、プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される。
【0111】
本技術の一形態の別の態様は、意図される装着者の形状に対して相補的である周囲形状と共に成形または他の場合に構築された患者インターフェースである。
【0112】
本技術の一形態の一態様は、装置の製造方法である。
【0113】
本技術の特定の形態の一態様は、例えば医療トレーニングを受けたことの無い人、あまり器用ではない人や洞察力の欠いた人、またはこの種の医療デバイスの使用経験が限られた人にとって使い易い医療デバイスである。
【0114】
本技術の一形態の一態様は、患者の家庭において例えば石けん水などによって洗浄することが可能な患者インターフェースであり、特殊な清浄器具は不要である。
【0115】
もちろん、態様の一部は、本技術の下位態様を形成し得る。また、下位態様および/または態様のうち多様な1つを多様に組み合わせることができ、本技術のさらなる態様または下位態様も構成し得る。
【0116】
本技術の他の特徴は、以下の詳細な説明、要約、図面および特許請求の範囲中に含まれる情報に鑑みれば明らかになる。
【0117】
4 図面の簡単な説明
本技術を、添付図面中に非限定的に一例として例示する。図面中、類似の参照符号は、以下の類似の要素を含む。
【図面の簡単な説明】
【0118】
図1A】4.1 呼吸療法システム:患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、鼻枕をとり、陽圧の空気供給または流れをRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイス4000からの空気は、加湿器5000によって調節され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。同床者1100も図示される。患者は、仰臥位睡眠位置において睡眠している。
図1B】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、鼻マスクをとり、陽圧の空気供給または流れをRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。
図1C】患者インターフェース3000を装着している患者1000を含むシステムを含む。患者インターフェース3000は、フルフェイスマスクをとり、陽圧の空気供給または流れをRPTデバイス4000から受容する。RPTデバイスからの空気は、加湿器5000によって加湿され、空気回路4170に沿って患者1000へと移動する。患者は、側臥位睡眠位置において睡眠している。 4.2 顔の解剖学的構造
図2】上耳底点および下耳底点を含んで特定される表面解剖学的構造のいくつかの特徴を含む頭部の側面図である。上側および下側と、前方および後方との方向も記載される。 4.3 患者インターフェース
図3A】本技術の一形態による第1の使用構成におけるフルフェイスマスクの形態をよる患者インターフェースを示す。
図3B】本技術の一形態による第2の使用構成における図3Aの患者インターフェースを示す。
図4A】本技術の一形態による第1の使用構成における鼻クッションの形態をとる患者インターフェースを示す。
図4B】本技術の一形態による第2の使用構成における図4Aの患者インターフェースを示す。
図5A図4Aおよび図4Bの患者インターフェースの鼻クッションの詳細図である。
図5B図4Aおよび図4Bの患者インターフェースの冠部コネクタの詳細図である。
図6】本技術の別の形態による別の第2の使用構成における図4Aの患者インターフェースを示す。
図7】本技術の一形態による導管ヘッドギアの管の剛性コネクタを示す。
図8A図6の本技術の形態と共に用いられる導管ヘッドギアの管のためのアダプタを示す。
図8B図6の本技術の形態と共に用いられる導管ヘッドギアの管のための別のアダプタを示す。
図9】本技術の別の形態による患者インターフェースを示す。
図10】本技術の別の形態による患者インターフェースを示す。
図11】本技術の別の形態による患者インターフェース用のクロージャの第1の例を示す。
図12A】本技術の別の形態による患者インターフェース用のクロージャのさらなる例を示す。
図12B図12Aのクロージャが開放状態にある様子を示す。
図13A】本技術の別の形態による患者インターフェース用のクロージャのさらなる例を示す。
図13B図13Aのクロージャの断面図を空気回路のエルボーと共に示す。
図13C】開放状態における図13Aおよび図13Bのクロージャの断面を示す。
図14A】本技術の別の形態による患者インターフェース用のクロージャのさらなる例を示す。
図14B】閉鎖状態における図14Aのクロージャの断面を示す。
図14C】開放状態における図14Aおよび図14Bのクロージャの断面を示す。
図14D】クロージャフラップのためのヒンジを含む図14A図14Cのクロージャの断面を示す。
図15】本技術の別の形態による患者インターフェース用のクロージャのさらなる例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0119】
5 本技術の例の詳細な説明
本技術についてさらに詳細に説明する前に、本技術は、本明細書中に記載される異なり得る特定の例に限定されるのではないことが理解されるべきである。本開示中に用いられる用語は、本明細書中に記載される特定の例を説明する目的のためのものであり、限定的なものではないことも理解されるべきである。
【0120】
以下の記載は、1つ以上の共通の特性および/または特徴を共有し得る多様な例に関連して提供される。任意の1つの例の1つ以上の特徴は、別の例または他の例の1つ以上の特徴と組み合わせることが可能であることが理解されるべきである。加えて、これらの例のうちのいずれかにおける任意の単一の特徴または特徴の組み合わせは、さらなる例を構成し得る。
【0121】
5.1 療法
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療方法を含む。本方法は、患者1000の気道の入口へ陽圧を付加することを含む。
【0122】
本技術の特定の例において、陽圧における空気供給が鼻孔の片方または双方を介して患者の鼻通路へ提供される。
【0123】
本技術の特定の例において、口呼吸が制限されるか、限定されるかまたは妨げられる。
5.2 呼吸療法システム
【0124】
一形態において、本技術は、呼吸障害の治療のための呼吸療法システムを含む。図1A図1Cに示すように、呼吸療法システムは、RPTデバイス4000を含み得る。RPTデバイス4000は、空気回路4170および患者インターフェース3000を介して加圧空気流れを患者1000へ供給する。
【0125】
5.2.1 空気回路
空気回路は、加圧空気流れを患者インターフェースへ送達する導管を含む。これは、典型的には、上流端においてRPTデバイス4000へ流体接続されかつ下流端において患者インターフェース3000へ流体接続された生体適合性プラスチック材料のチュービングの長さである。いくつかの例において、空気回路4170の下流端部は、患者インターフェース3000と係合するコネクタとして構成される。この係合は、スナップロック取付具、相補的ねじ山または類似の配置構成を経由して行われ得る。
【0126】
5.2.2 患者インターフェース
本技術の一態様による非侵襲的患者インターフェース3000は、以下の機能態様を含む:シール形成構造3100、プレナムチャンバ3200、位置決めおよび安定化構造3300、通気構造3400、および空気回路4170の下流端への接続のための1つの形態の接続ポート3600Aまたは3600B。
【0127】
いくつかの形態において、機能様態が、1つ以上の物理的構成要素によって提供され得る。いくつかの形態において、1つの物理的構成要素は、1つ以上の機能様態を提供し得る。使用時において、シール形成構造3100は、患者1000の気道への入口(単数または複数)において陽圧を維持するように、患者の気道の入口(単数または複数)を包囲するように配置される。よって、シールされた患者インターフェース3000は、陽圧療法の送達に適している。
【0128】
患者インターフェースが最低レベルの陽圧を快適に気道へ送達できない場合、患者インターフェースは呼吸圧力療法に不適切であり得る。
【0129】
本技術の一形態による患者インターフェース3000は、周囲に対して少なくとも6cmHOの陽圧で空気供給を提供できるように構築および配置される。本技術の別の形態において、患者インターフェースは、空気供給を周囲に対して少なくとも10cmHOの陽圧において提供することが可能なように構築および配置される。本技術のさらに別の形態、患者インターフェース3000は、空気供給を周囲に対して少なくとも20cmHOの陽圧において提供することが可能なように構築および配置される。
【0130】
5.2.3 シール形成構造
本技術の一形態において、患者インターフェースに含まれるシール形成構造3100は、目標シール形成領域を提供し、緩衝機能をさらに提供し得る。目標シール形成領域は、シール形成構造3100においてシールが発生し得る領域である。密閉が実際に発生する領域(すなわち、実際の密閉面)は、一定範囲の要素(例えば、顔面上の患者インターフェースの配置位置、位置決めおよび安定化構造における張力、および患者の顔の形状)に応じて、所与の治療セッションにおいて患者によって日々変化し得る。
【0131】
一形態において、目標シール形成領域が、シール形成構造3100の外面上に配置される。
【0132】
本技術の特定の形態において、シール形成構造3100は、生体適合性材料(例えば、シリコーンゴム)から構成される。
【0133】
本技術によるシール形成構造3100は、柔らかく、可撓性でありかつ弾力性のある材料(例えば、シリコーン)から構成され得る。
【0134】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くのシール形成構造3100を含むシステムが提供される。各シール形成構造3100は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適したシール形成構造3100の一形態および大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの頭に適した別のものを含み得る。
【0135】
5.2.3.1 密閉機構
一形態において、シール形成構造は、圧力アシスト密閉機構を用いるシーリングフランジを含む。使用時において、シーリングフランジは、プレナムチャンバ3200内のシステム陽圧に容易に応答してその下側上に作用して、面と緊密な密閉係合を形成させ得る。圧力アシスト機構は、位置決めおよび安定化構造における弾性張力と共に作用し得る。
【0136】
一形態において、シール形成構造3100は、シーリングフランジおよび支持フランジを含む。シーリングフランジは、厚さが約1mm未満(例えば、約0.25mm~約0.45mm)の比較的肉薄の部材を含む。この部材は、プレナムチャンバ3200の縁部長さの周囲に延びる。支持フランジは、シーリングフランジよりも比較的肉厚であり得る。支持フランジは、シーリングフランジと、プレナムチャンバ3200の周縁部との間に配置され、周辺長さの周囲の少なくとも一部に延びる。支持フランジは、バネ様要素であるかまたはバネ様要素を含み、シーリングフランジを使用時に座屈しないように支持するよう機能する。
【0137】
一形態において、シール形成構造は、圧縮密閉部またはガスケット密閉部を含み得る。使用時において、圧縮密閉部またはガスケット密閉部は、例えば位置決めおよび安定化構造における弾性張力に起因して圧縮状態となるように、構築および配置される。
【0138】
一形態において、シール形成構造は、張力部を含む。使用時において、張力部は、例えばシーリングフランジの隣接領域により、ぴんと張られた状態で保持される。
【0139】
一形態において、シール形成構造は、粘着面または接着面を有する領域を含む。
【0140】
本技術の特定の形態において、シール形成構造は、圧力アシストシーリングフランジ、圧縮密閉部、ガスケット密閉部、張力部、および粘着面または接着面を有する部分のうち1つ以上を含み得る。
【0141】
5.2.4 プレナムチャンバ
患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200を含む。プレナムチャンバ3200は、使用時においてシールが形成される領域内において平均的な人の顔の表面外形に対して相補的になるような形状にされた周囲を有する。本技術の一形態において、プレナムチャンバは、フルフェイスマスク、口鼻、鼻マスク、鼻枕または鼻クッションの一部であり得る。
【0142】
使用時において、プレナムチャンバ3200の周縁部は、顔の隣接する表面に近接して位置決めされる。顔との実際の接触は、シール形成構造3100によって提供される。シール形成構造3100は、使用時においてプレナムチャンバ3200の周囲全体の周りに延び得る。いくつかの形態において、プレナムチャンバ3200およびシール形成構造3100は、単一の均質的材料ピースから形成される。
【0143】
プレナムチャンバは、前側部を有する。この前側部は、使用時において患者から離隔方向を向くプレナムチャンバの外表面として理解されるべきである。本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバは、2つ以上の構成要素を含み得る。一例において、前面は、剛性シェルの一部を含み得る。この剛性シェルに対して、プレナムチャンバの他の部分が(恒久的に、適切な接合技術またはオーバーモールド技術の使用を通じてまたは一時的に相補的またはスナップロック締結具の使用を通じて)接続または取り付けられる。
【0144】
いくつかの例において、プレナムチャンバおよび/またはシール形成構造は、患者インターフェースから除去され、別のプレナムチャンバおよび/またはシール形成構造(例えば、構造が何らかの様態において異なるもの(例えば、異なるサイズ、種類または形状が異なるもの))と交換されるように構成され得る。このようにして、患者は、例えばプレナムチャンバと、(鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻クッションおよび鼻枕として構成された)シール形成構造との間の交換あるいは同一種類の小型マスク、中型マスクおよび大型マスクの交換を行い得る。プレナムチャンバおよびシール形成構造により、患者にとってこのような交換をより簡便にするためのサブアセンブリまたはモジュールが形成され得る。
【0145】
プレナムチャンバは、後側部を有する。この後側部は、プレナムチャンバの内表面として理解されるべきである。プレナムチャンバの後側部において、使用時において患者の鼻および/または口を受容するシール形成構造が設けられる。
【0146】
本技術のいくつかの形態において、プレナムチャンバ3200は、使用時において患者の眼を被覆しない。換言すると、眼は、プレナムチャンバによって規定される加圧空間外にある。このような形態の場合、押しつけがさが低減しかつ/またはより着用者の快適性が増すことが多いため、療法へのコンプライアンスが向上し得る。
【0147】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、透明材料(例えば、透明ポリカーボネート)から構築される。透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、療法へのコンプライアンスの向上が補助され得る。透明材料の利用により、臨床医が患者インターフェースの配置様態および機能を確認することが補助され得る。
【0148】
本技術の特定の形態において、プレナムチャンバ3200は、半透明材料から構成される。半透明材料の利用により、患者インターフェースの押しつけがましさが低減され得、療法へのコンプライアンスの向上が補助され得る。
【0149】
5.2.5 位置決めおよび安定化構造
本技術の患者インターフェース3000のシール形成構造3100は、患者による着用時において、位置決めおよび安定化構造3300の使用を通じて密閉位置に保持され得る。位置決めおよび安定化構造3300は、患者インターフェース3000を密閉位置において保持するために患者の頭部に接触および係合することから、「ヘッドギア」とも呼ばれることができる。
【0150】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、顔から浮き上がるためのプレナムチャンバ3200中の陽圧の効果に打ち勝つのに少なくとも充分な保持力が得られる。
【0151】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への引力に打ち勝つだけの保持力が得られる。
【0152】
一形態において、位置決めおよび安定化構造3300により、患者インターフェース3000上への破壊的作用の可能性(例えば、管引き摺りまたは患者インターフェースとの不慮の干渉に起因するもの)を解消するための安全マージンとして保持力が得られる。
【0153】
本技術の一形態において、患者が睡眠時に装着されるように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。一例において、位置決めおよび安定化構造3300は、装置の感知される嵩または実際の嵩を低減するように、目立たないプロファイルまたは断面厚さを有する。
【0154】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の後部領域を枕に載せた状態で仰臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0155】
本技術の一形態において、患者が患者の頭部の側部領域を枕に載せた状態で側臥位睡眠位置において寝る際の妨げとなるような過度に大きいまたは嵩張るサイズにならないように構成された位置決めおよび安定化構造3300が提供される。
【0156】
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、位置決めおよび安定化構造3300の前方部分と位置決めおよび安定化構造3300の後方部分との間に配置された結合解除部分を備える。この結合解除部分は、圧縮に耐えず、例えば可撓性またはぺらぺらのストラップであり得る。結合解除部は、患者が頭を枕に載せて横たわったときに結合解除部の存在により後部への力が位置決めおよび安定化構造3300に沿って伝達されてシールが妨害される事態を回避できるように、構築および配置される。
【0157】
5.2.5.1 ヘッドギアストラップ(単数または複数)
本技術の一形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、図3Bに示すような頭部ストラップ配置構成3300Bの形態をとる。頭部ストラップ配置構成3300Bは、患者の頭部の後部のためのカップを形成するように配置されたストラップまたは複数のストラップ3330を含む。これらのストラップは、協働して患者インターフェースを患者の顔上の所定位置に保持する。
【0158】
ストラップ(単数または複数)3330は、布地患者接触層、発泡体内側層および布地外層のラミネートから構築され得る。一形態において、発泡体は、湿気(例えば、汗)がストラップ(単数または複数)3330を通過できるような多孔性である。ストラップ(単数または複数)3330は呼吸可能であり得るため、ストラップを通じて水蒸気を送ることが可能になる。一形態において、布地外側層は、フック材料部分と係合するループ材料を含む。
【0159】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300Bのストラップ(単数または複数)3330は、伸張可能(例えば、弾性的に伸張可能)となるように構成される。例えば、ストラップは、使用時にはピンと張った状態にされて、シール形成構造を患者の顔の一部と密着させる力を方向付けるように、構成され得る。一例において、ストラップは、タイとして構成され得る。
【0160】
本技術の特定の形態において、位置決めおよび安定化構造3300Bは、ストラップ(単数または複数)3330は、屈曲可能(例えば、非剛性)となるように設けられる。本態様の利点として、患者が睡眠時に体を横たえたときにストラップがより快適になっている点がある。ストラップ(単数または複数)3330は、十分に可撓性であるため、(使用時において張力下にある場合でも)患者の頭部の後部周囲を通過して患者の頭部に対して快適に配置される。
【0161】
本技術の特定の例において、位置決めおよび安定化構造3300Bは、患者の耳の上方かつ近隣の場所においてストラップ3330を受容するように構成される。患者の頭部に対して高すぎる位置においてストラップ3330が位置決めおよび安定化構造へ接続された場合、ストラップ3330は、患者の頭部の後部に乗り上げる傾向になり得る。さらに、ストラップ3330は、位置決めおよび安定化構造3300Bの上部に対して大きすぎる角度を形成する場合もあり、その結果、患者がストラップ3330を過度に締める必要性に繋がり得、その場合、位置決めおよび安定化構造3300B中の張力が過度になり得、ストラップ3330が患者の頭部後部に乗り上げる可能性も高くなる。そのため、itis利点ousforストラップ3330と位置決めおよび安定化構造3300Bとの間の接続をできるだけ低い位置においてかつ患者の耳上部から十分に離隔して設けることにより、ストラップ3330の締結時において、位置決めおよび安定化構造は、不快感の原因となり得るため、牽引されて患者の耳と接触することはない。
【0162】
本技術の特定の形態において、1つよりも多くの位置決めおよび安定化構造3300Bを含むシステムが提供される。各位置決めおよび安定化構造は、異なるサイズおよび/または形状範囲に対応するための保持力を提供するように構成される。例えば、システムは、小さなサイズの頭ではなく大きなサイズの頭に適しかつ大きなサイズの頭ではなく小さなサイズの別の頭に適した位置決めおよび安定化構造3300Bの一形態を含み得る。
【0163】
5.2.5.2 ガス送達管(単数または複数)
例えば図3Aおよび図4Aの本技術のいくつかの形態において、位置決めおよび安定化構造3300Aは、ガス送達管3310および3320の形態の1つ以上の導管を含む。これらの導管により、空気回路4170から受容された加圧空気がRPTデバイスから患者の気道へ(例えばプレナムチャンバ3200およびシール形成構造(図3A中図示せず)を通じて)送達される。これらの形態において、位置決めおよび安定化構造3300は、導管ヘッドギア3300Aと呼ばれ得、気道への加圧空気の送達の他に、患者インターフェースのシール形成構造3100を患者の顔の適切な部分に対して位置決めしかつ安定化させる機能を行う(管および導管という用語は、同義のものとして理解されるべきである)。これらの形態において、導管ヘッドギアは、患者の頭部の上耳底点の上方の患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触する。図2から分かるように、上耳底点は、患者の頭部の側部上の点であり、耳上部に存在する。
【0164】
一例において、管3310および3320は、実質的に円筒形であり得る。しかし、他の例において、管は、多様な断面形状と共に形成され得る。例えば、実質的にD字型の断面プロファイルが用いられ得、このプロファイルの平坦側は、着用時において患者の顔と接触し得、半円プロファイル形よりも快適性が高くなり得る。
【0165】
本技術のいくつかの形態において、導管ヘッドギアは、一対の管3310および3320を含む。これらの一対の管3310および3320は、加圧空気を空気回路の下流端からシール形成構造へ送達する。一例として、図4Aにおいて、管3310および3320は、接続ポート3600Aを支持する冠部コネクタ3360へ自身の上端において接合されることにより、空気回路の下流端へ流体係合され、患者インターフェースの位置決めおよび安定化構造の一体部分を形成する。これらの管は、自身の下端において、空気入口ポート3210および3220を介して患者インターフェース3000へ接合される。これらの管は、例えば清掃または保存のために接続解除され得る。
【0166】
図4に示すように、本技術のいくつかの形態において、導管ヘッドギア3300Aは、左管3310および右管3320を含む。左管3310および右管3320は、下端において、患者インターフェース3000と流体係合されるかまたは他の様態で接続されて、その結果、この形態において、シール形成構造への加圧空気の送達のためのフルフェイスマスク3010が得られる。空気回路4170の下流端と係合する接続ポート3600Aは、管の2つのアーム3310および3320が出会う場所である導管ヘッドギア3300Aの上部に設けられる。これらのアームは、自身の下端において、管3210および3220の端部近隣の空気入口ポートを介して患者インターフェース3000へ接合される。本例において、導管ヘッドギアは、実質的に一体構造である。
【0167】
図3Aおよび図4Aに示す例において、接続ポート3600Aは、導管ヘッドギア3300Aの着用時において、患者の冠部に概して配置される。しかし、接続ポート3600Aは、導管ヘッドギアの形状に応じて異なる位置に設けてもよいことが理解される。例えば、管3310および3320は、患者の頭部の冠部にわたって出会う代わりに、患者の頭部のさらに後方から後方において出会うように配置され得る。これにより、接続ポートは、患者の頭部の(冠部ではなく)後方の一部の近隣に配置される。あるいは、接続ポート3600Aは、別の場所(例えば、(2つの管3310および3320が出会う場所ではなく)2つの管3310および3320のうちの1つ)に設けられ得る。
【0168】
本技術の特定の例において、導管ヘッドギア3300Aは、適切にバネ付勢された材料から形成されることにより、十分な安定化力を提供して、患者インターフェースを患者の頭部上のシーリング配置構成に正確に配置させる。他の特定の例において、位置決めおよび安定化構造は、ヘッドギアストラップ3390または他の安定化構成要素をヘッドギア管へ接続させる機構を含む。ヘッドギアストラップにより、導管ヘッドギアから提供される安定化力が補足され得、患者インターフェースの患者の頭部上のシーリング配置構成への正確な配置が支援され得る。
【0169】
これらの例において、ヘッドギアストラップは、ヘッドギア管3310、3320へ直接的または間接的に接続され得る。図4Aおよび図4Bに示す患者インターフェースの場合、例えば、バックストラップ3390へ接続するように構成されたタブ3380が、概して後方方向において管3310および3320から離隔方向に突出する。これらのタブ3380は、内部にスリットを有して、ストラップ3390の端部を受容する。
【0170】
バックストラップ3390は、タブ3380中のスリットを通じて通過した後に、例えばフックアンドループ締結材料によって自身に固定され得る。そのため、バックストラップ3390は、異なる頭部サイズにフィットするように調節することができる。本技術のいくつかの形態において、1つよりも多くのタブは、管3310および3320に提供されて、バックストラップ3390の一定範囲の別の配置選択肢を患者に提供し得る。これは、シーリング力の顔への適切な付加の確保において有用であり得る。
【0171】
いくつかの例において、導管ヘッドギア3300Aの管3310および3320は、テキスタイル、スペーサ布地および/または発泡材料から形成され得る。管3310および3320のうち患者と接触する部分は、患者の快適性のために、テキスタイルまたは布地を用いて形成され得る。いくつかの例において、これらの管は、半剛性材料(例えば、エラストマー材料(例えば、シリコーン))によって形成され得る。これらの例において、管は、布地またはテキスタイルの肉薄スリーブによって包囲され得る。これらのスリーブは、全く被覆されていない管よりも患者の顔に対してより快適であり得る。
【0172】
図3Aおよび図4Aに示すように、いくつかの例において、導管ヘッドギア3300Aの管3310および3320は、患者の頭部の一般的形状に適合する自然の事前形成された形状を有し得る。いくつかの例において、管3310および3320は、管へ力が付加された際に変形する少なくとも一定の能力または患者の頭部に適合する少なくとも一定の能力を有し得る。例えば、これらの管は、頭部上部と鼻または口領域との間の患者の頭部の外形に似た形状の弧状または曲線状を概してとり得る。
【0173】
空気回路4170から患者の気道への加圧空気の送達のために空気を封じ込めて、導管ヘッドギア3300Aの管3310および3320を通じて送ることが可能であるため、導管ヘッドギアは、膨張可能ものとして記載され得る。膨張可能な導管ヘッドギアの場合、自身の構成要素全てを膨張可能とする必要は無いことが理解される。例えば、位置決めおよび安定化構造がヘッドギア管3310および3320ならびにバックストラップ3390を含む場合、ヘッドギア管は膨張可能であり、バックストラップは膨張不可能である。
【0174】
5.2.6 通気構造
一形態において、患者インターフェース3000は、呼気されたガス(例えば、二酸化炭素)の押し出しを可能にするように構成および配置された通気構造3400を含む。図5Aに示す例において、患者インターフェースは、鼻クッション3020の形態をとる(図4Aおよび通気構造3400に代替され得る図3A中のプラグ構造3500を参照)。
【0175】
特定の形態において、通気構造3400は、プレナムチャンバ内の圧力が周囲に対して正であるときにプレナムチャンバ3200の内部から周囲への連続的通気流れを可能にするように構成される。通気構造3400は、使用時においてプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、通気流量の大きさが呼気されたCOの患者による再呼吸を低減できるだけの充分な大きさになるように、構成される。
【0176】
本技術による一形態の通気構造3400は、複数の穴(例えば、約20個~約80個の穴または約40個~約60個の穴または約45個~約55個の穴)を含む。
【0177】
本技術の一形態において、通気構造3400は、プレナムチャンバおよび/またはシール形成構造の一体部分として構成され得る。さらなる形態において、通気構造は、接続ポート3600Aおよび3600Bの一体部分であり得る。さらに別の形態において、通気構造は、位置決めおよび安定化構造の一体部分であり得る。本技術の他の形態において、通気構造3400は、プレナムチャンバ、シール形成構造、接続ポートおよび/または位置決めおよび安定化構造の別個の構成要素であり得るが、これらの構成要素のうちの1つに設けられ得る。通気構造は、清掃および交換のために取り外し可能であり得る。本技術のいくつかの形態において、患者インターフェースは、1つよりも多くの通気構造を備え得る。
【0178】
本技術の一形態において、通気構造3400は、剛性の医療グレードのプラスチック材料から形成される。別の形態において、通気構造は、柔らかなメッシュ織物から形成される。これらの形態において、メッシュは、一定の構造的一体性を通気構造へ提供する剛性または半剛性のフレームによって境界付けられ得る。他の形態において、メッシュは、剛性プラスチック材料からの成形として形成され得る。
【0179】
図5Aに示すように、通気構造3400はプレナムチャンバ3200内の接続ポート3600Bへ接続するように構成され得る。例えば、通気構造3400は、平面図において概して円形であってもよいし、あるいは接続ポート3600Bへの接続のための概して円形のコネクタを含んでもよい。
【0180】
一形態において、1つ以上のさらなる通気構造3400Aが、鼻クッション3020(図4Aおよび図4Bを参照)および/またはフルフェイスマスク3010に設けられ得る。図4Aに示すように、通気構造3400および/または3400Aは、プレナムチャンバ3200の一部として構成され得る。例えば、通気構造3400Aは、平面図においてスロットまたは円形であり得る。プレナムチャンバ内の通気構造の代わりにまたはプレナムチャンバ内の通気構造に加えて、通気構造は、図4Bに示すように導管ヘッドギア3300Aの冠部接続3360の一部として構成され得る。
【0181】
5.2.7 接続ポート
接続ポート3600Aおよび3600Bにより、患者インターフェース3000から空気回路4170の下流端部への接続が可能になる。
【0182】
例えば図3Aおよび図4Aに示すいくつかの例において、接続ポート3600Aおよび3600Bは、患者インターフェース3000の流体接続開口部内に受容されるエルボー3610を含み得る。このエルボーは、流体接続開口部内のリング内に受容され得、リング内において旋回するように構成され得る。流体接続開口部は、接続ポートそのものとしてみなしてもよい。
【0183】
本技術が使用される際、接続ポート3600Aおよび3600Bの位置ならびによって空気回路4170の下流端部が患者インターフェース3000へ接続される位置は、患者が第1の使用構成または第2の使用構成において患者インターフェースの着用を選択したかに依存する。
【0184】
5.2.8 クロージャ
一形態において、患者インターフェース3000および導管ヘッドギア3300Aの接続ポート3600Aおよび3600Bは、クロージャ3786を含む。このクロージャは、閉鎖状態と開放状態との間で移動可能となるように配置される。閉鎖状態において、接続ポートは実質的にシールされ、開放状態において、空気回路からの加圧空気は、接続ポート内に流動可能である。このクロージャにより、空気回路が接続されていないときに患者が接続ポートをシールまたは実質的に閉鎖することが可能になる。このクロージャは、別個の構成要素であり得、患者によって必要に応じて挿入されてもよいし、あるいは、接続ポートの一部として一体形成されてもよい。
【0185】
本技術の一形態において、クロージャ3786は、剛性の医療グレードのプラスチック材料から形成される。別の形態において、クロージャは、より柔らかな半剛性材料(例えば、シリコーン)から形成される。これらの形態において、クロージャは、剛性または半剛性フレームまたはリングによって境界付けられて、一定の構造的一体性をクロージャへ付与し得る。
【0186】
いくつかの例において、クロージャ3786は、呼気(例えば、二酸化炭素)の洗い流しを可能にするように構築および配置され得る。技術のこれらの形態においてにおいて使用されるクロージャの非限定的例を、図11図15に示す。
【0187】
5.2.9 第1の使用構成/第2の使用構成
本技術において、患者は、患者インターフェースの着用時において、第1の使用構成と第2の使用構成との間の選択を行うことができる。
【0188】
第1の使用構成は、位置決めおよび安定化構造3300が導管ヘッドギア3300Aの形態をとっている状態で患者インターフェース3000が着用された場合に、空気回路4170の患者インターフェースとの係合が患者の上耳底点の上方の点において行われる(すなわち、接続ポートが患者の上耳底点の上方に設けられる)配置構成として理解されるべきである。図3Aおよび図4Aに例示するこの構成において、接続ポート3600Aは、導管ヘッドギアに設けられるかまたは導管ヘッドギアの一部として構成される。
【0189】
この第1の使用構成により、接続ポート3600Aと、患者の顔から概して離隔方向に設けられた空気回路4170の下流端とが配置される。その代わりに、空気回路の下流端は、患者の頭部の上側の近隣に配置された後、空気回路の残り部分は、患者の側部または後部から延びるかまたは下方に落下する。この構成は、非公式に「チューブアップ」と呼ばれ得る。
【0190】
第2の使用構成は、患者インターフェース3000の着用時において空気回路4170の下流端の患者インターフェース3000との係合が患者の上耳底点の下方の点において行われる(すなわち、接続ポート3600Aが患者の上耳底点の下方に設けられる)配置構成として理解されるべきである。第2の使用構成における患者インターフェース3000の例を図3B図4Bおよび図6に示す。
【0191】
この第2の使用構成において、接続ポート3600Bは、図3Bおよび図4Bに示すように、プレナムチャンバ3200の前側部に設けられ得るかまたはプレナムチャンバ3200の前側部の一部として構成され得る。図6に示す第2の使用構成の別の例において、接続ポート3600Aは、導管ヘッドギア3300Aの形態の位置決めおよび安定化構造3300に設けられ得るかまたは位置決めおよび安定化構造3300の一部として構成され得る。この別の例において、導管ヘッドギア3300Aは、第1の使用構成(導管ヘッドギア3300Aが患者の頭部のうち上耳底点の上方の少なくとも一領域と接触する場所)から離隔方向に反転されるかまたは他の様態で回転されて第2の使用構成となり得、導管ヘッドギア3300Aは、上耳底点の上方の頭部と接触しない。この別の例において、第2の位置決めおよび安定化構造3300は、例えば複数の頭部ストラップを頭部ストラップ配置構成3300B内に含み、シール形成構造3100が所定位置に保持されていることを確保する必要があり得る。
【0192】
これらの例において、第2の使用構成により、接続ポート(3600A(導管ヘッドギアの一部である場合)、3600B(プレナムチャンバの一部である場合))および患者の顔または首の近隣の空気回路4170の下流端が配置される。空気回路の下流端は、顔の前方においてまたは顎または首の周囲において患者の頭部の前方または下方に配置された後、空気回路の残り部分が延びるかまたは離隔方向に落下する。この構成は、非公式に「チューブダウン」と呼ばれ得る。
【0193】
接続ポートが患者の顔の前方に位置決めされていない患者インターフェースの場合、空気回路が顔前方において患者インターフェースへ接続しているのが目障りかつ/または押しつけがましいと考える患者にとって有利であり得る。例えば、空気回路が顔の前方において患者インターフェースへ接続している場合、(特に使用時において空気回路が患者インターフェースから下方に延びる場合に)寝具またはベッド用リネンに絡まる可能性が高くなり得る。使用時において接続ポートが患者の頭部の上方の近隣に位置決めされた患者インターフェースを用いた本技術の形態によれば、患者が以下の位置のうち1つ以上において横たわるかまたは眠った場合により容易またはより快適になり得る:側方または横方向位置、仰臥位位置(すなわち、顔を上に向けた仰向けの状態)、および腹臥位位置(すなわち、顔を下向きにしたうつぶせの状態)。さらに、導管を患者インターフェースの前方へ接続させた場合、管引き摺りとして知られる問題が悪化し得、その場合、導管から望ましくない抗力が患者インターフェース上に発生し得、患者の睡眠時において患者インターフェースが顔からの外れる原因になり得、療法が危険に晒され得る。
【0194】
逆に、接続ポートが患者の顔の前方に位置決めされた患者インターフェースは、(特に空気回路が自身の視線上に存在しても気にならず、この種の患者インターフェースに慣れている)一定の患者にとっては有利であり得る。患者の中には、覚醒時において自身の体が概して直立状態のときに患者インターフェースを着用する者がいる。空気回路が身体の前方に存在する場合、押しつけがましさが低くなりかつ/または管理もより容易になり得る。
【0195】
本技術は、患者が第1の使用構成と第2の使用構成との間(すなわち、「チューブアップ」構成と「チューブダウン」構成との間)において選択することを可能にする患者インターフェース(例えば、モジュール式患者インターフェース)に関する。いくつかの場合において、これらのチューブアップ構成とチューブダウン構成との間のトレードオフがあり得る。
【0196】
例えば、導管ヘッドギアの着用時におけるチューブアップ構成により、動きの自由が向上し得、押しつけがましさが低下し得る。空気回路を患者の前方へ接続させる必要性を回避することにより、より高い選択自由度が患者に提供され得る。これにより、患者がより自由に動くことまたは療法時に同床者に対して容易に対向することが可能になり得る。しかし、チューブアップ構成の場合、ヘッドギアとしても加圧空気を送達する管としても機能する導管ヘッドギアの設計において(ヘッドギアストラップの設計と比較して)相対的に制限がより多くなり得るため、患者インターフェースと患者の顔との密閉接触を保持している際にチューブアップ構成が安定しない場合がある。導管ヘッドギアの安定度が低下する場合、システム安定性の低下を補償するためにより頑強なシール形成構造を備えた患者インターフェースが導管ヘッドギアに設けられ得る。この場合、シール形成構造は、相対的に若干頑強度が低いシール形成構造と比較して、より頑強なシール提供に起因して押しつけがましさが若干増加し得る。
【0197】
療法時において、患者は、(ストラップおよびバックルを有するヘッドギアの安定性向上に対する)導管ヘッドギアから得られる動き自由度の向上と押しつけがましさ度の低下との間の選択に応じて、チューブアップまたはチューブダウン構成間の交代を選択し得る。他の恩恵を挙げると、これら2つの構成間の切り替えが容易になることがある。例えば、患者は、先ず自由度のより高い「チューブアップ」構成を試そうとし得、不適切なシール形成があった場合に導管ヘッドギアのみを従来のヘッドギアストラップに合わせて切り替え得る。空気回路用の接続ポートが患者インターフェース内に設けられたかまたは導管ヘッドギアの上方に設けられたモジュール式患者インターフェースシステムの別の恩恵として、最小在庫管理単位の低減が可能になり得るため、製造コストも低下し得、システム間の選択も低減し得る。
【0198】
本技術の特定の形態において、患者インターフェース3000は、複数の構成要素を含む療法システムとして患者へ提供され得る。これら複数の構成要素は、組み立てられると、相互に接続され、個人の選好に応じて交換される。患者は、所望の患者インターフェース3000および位置決めおよび安定化構造3300の選択を、「チューブアップ」使用構成または「チューブダウン」使用構成についての自身の選好に応じて行う。これらの形態において、療法システムは、少なくとも以下を含み得る:患者インターフェース3000であって、フルフェース3010、鼻マスクおよび鼻クッション3020のマスク種類のうち1つ以上を含む、患者インターフェース3000;および位置決めおよび安定化構造3300であって、導管ヘッドギア3300Aおよび任意選択的に頭部ストラップ配置構成3300Bを含む、位置決めおよび安定化構造3300。
【0199】
本技術の特定の形態において、療法システムは、上記した構成要素に加えて、以下のうち1つ以上を含み得る:接続ポート3600;通気構造3400;プラグ構造3500;および完全な療法システムを患者の個人の選好に応じて組み立てるために各構成要素の係合を促進させるためのアダプタ/コネクタ。
【0200】
本技術のいくつかの形態において、さらなる通気部が設けられ得る。一例において、導管ヘッドギア3300Aは、通気部として機能する一連の小型開口部を含み得る(ただし、存在する場合)。別の例において、シール形成構造3100は、通気部として機能する一連の小型開口部を含み得る。
【0201】
本技術について、特定の非限定的例について以下に説明する。
【0202】
5.2.9.1 第1の例
本技術の一例を図3Aに示す。患者インターフェース3000は、第1の使用構成にある。
【0203】
患者インターフェースは、プレナムチャンバおよびシール形成構造をフルフェイスマスク3010の形態で含む。フルフェイスマスク3010は、患者によって着用されると、鼻および口の周囲を被覆およびシール形成する。患者インターフェースは、位置決めおよび安定化構造3300を(左管3310および右管3320を有する)導管ヘッドギア3300Aの形態で含む。これら2つの管は、自身の上端において相互にかつ接続ポート3600へ流体接続される。
【0204】
接続ポート3600Aは、使用時においてエルボー3610を備える。エルボー3610は、空気回路4170の下流端を受容する。導管ヘッドギアが患者によって着用されると、接続ポートは、患者の上耳底点の上方に配置される(図2を参照)。
【0205】
本技術の本例において、フルフェイスマスク3010のプレナムチャンバ3200の側部は、左空気入口ポート3210および右空気入口ポート3220と共に構成される。左空気入口ポート3210および右空気入口ポート3220は、導管ヘッドギア3300Aの管の下端3310Aおよび3320Aと流体連通するように構成される。これにより、第1の使用構成において空気回路4170から患者インターフェース3000のシール形成構造(図3A中図示せず)への加圧空気の送達が可能になる。
【0206】
空気入口ポート3210および3220ならびに管3310Aおよび3320Aのうちこれらと係合する部分は、適切な取り付け機構(例えば、相補的な雄取付具および雌取付具(例えば、インターロック溝部およびペグ)の形態のもの)と共に構成される。
【0207】
管の空気入口ポートへの接続に用いられる取り付け機構の一例を、図7中の左管3310について示す。下端3310Aは、(例えばポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロン製の)剛性コネクタ3370を備える。この剛性コネクタは、シーリング配置構成において空気入口ポート3210と係合する。あるいは、左管および右管を空気入口ポートへ接続させるために用いられる取り付け機構は、スナップロック取付具、ねじ山などとして構成され得る。
【0208】
管3310および3320と、患者インターフェース3000の空気入口ポート3210および3220との間の硬質対硬質型の係合において、圧力起動型シール(例えば、周囲シーリングフランジ)が用いられ得る。加圧ガスが管3310、3320を通じて供給されると、シーリングフランジは、管と、プレナムチャンバの空気入口ポートの内周面との間の接合に対して推進されて、両者間のシールを促進させる。空気入口ポートが軟性でありかつ剛性コネクタが管に設けられる場合、上記したような圧力起動型シールを接続の気密状態を確保するために用いてもよいが、これも必須ではない。
【0209】
フルフェイスマスク3010のプレナムチャンバの前側部は、接続ポート3600Bも備える。図3Aに示すような患者インターフェースの第1の使用構成において、この接続ポートは、プラグ構造3500または通気構造3400によってシールオフされる(例3400を図5Aに示す)。通気構造の使用により、呼気を患者インターフェースの外部への通気させることが可能になる。
【0210】
通気構造3400は、通気モジュールとして構成され得、適切に構成された開口部(例えば、患者インターフェース3000内の接続ポート3600B)内へ挿入されるかまたは他の様態で係合する。この形態において、通気構造は、患者インターフェースまたは接続ポート内の相補的構造とインターロック様態で係合するフランジまたは類似の構造を含み得る。適切なシールの促進のために、周囲シーリングフランジなどの圧力起動型シールを用いてもよい。さらなる通気構造が、存在し得る;これらのさらなる通気構造は、取り外し可能にあるいは患者インターフェース3000の他の構成要素と一体形成されるようにも構成され得ることが理解されるべきである。
【0211】
患者インターフェース3000を第2の使用構成に変換するため(図3Bに図示)に、患者は、導管ヘッドギア3300Aの管3310および3320をフルフェイスマスク3010から取り外す。次に、導管ヘッドギアは、本例の第2の使用構成において不要であるため、片側に配置される。これは、頭部ストラップ配置構成3300Bの形態をとる位置決めおよび安定化構造と交換される。
【0212】
第2の使用構成において、患者インターフェース内の空気入口ポート3210および3220は、加圧空気の漏洩を回避するために閉鎖される。空気入口ポート3210および3220は、上記したように通気構造3400と共に閉鎖してもよいし、あるいは、プラグ構造3500または停止部によってシールオフされてもよい。このプラグ構造3500は、医療用グレードのプラスチック材料から形成され得、フランジまたは(空気入口ポート3210および3220内の相補的構造とインターロック様態で係合する)類似の構造と共に構成され得る。通気構造と同様に、プラグモジュールに対し、圧力起動型シール(例えば、周囲シーリングフランジ)が設けられ得る。プラグモジュールまたは停止部を採用した形態において、患者の呼気は、例えば患者インターフェース3000の別の部分内に一体形成された通気構造によって通気され得る。
【0213】
本技術の本例において、フルフェイスマスク3010は、頭部ストラップ3300Bのためのヘッドギア取付点3350と共に構成される。これらの取付点は、図3Aおよび図3Bに示すような形態などの多様な形態をとり得るが、頭部ストラップの構成に応じたラグまたはバックルであってもよい。
【0214】
本技術の別の例を、鼻枕3030の形態をとる患者インターフェースに対する第2の使用構成における図9に示す。本例において、プラグ構造3500は、シール形成構造3100を第2の使用構成における患者の顔上の所定位置に維持するために用いられる頭部ストラップ3300Bの端部に設けられる。頭部ストラップの端部は、プレナムチャンバ3200の空気入口ポート3210および3320に挿入される。あるいは、図9中の患者インターフェースは、第1の使用構成に構成してもよい。第1の使用構成において、頭部ストラップ3300Bが導管ヘッドギアのために交換され、(図9においてエルボーが内部に接続される)プレナムチャンバの前側部内の接続ポートが、プラグまたは通気構造とプラグされる。
【0215】
いくつかの例において、患者インターフェース3000は、一対のヘッドギア取付点3350を備え得る;これらの一対のヘッドギア取付点3350は、2点ヘッドギア取り付け配置構成を用いたマスクであり得る。他の例において、患者インターフェース3000は、ヘッドギア取付点3350の2つの対向する対を備え得る;これらは、図3Aおよび図3Bに示すように4点ヘッドギア取り付け配置構成を備えたマスクであり得る。
【0216】
別の例を図10に示す。本例において、患者インターフェースは、口鼻マスク3040の形態をとる。図9の例と同様に、プレナムチャンバ3200の空気入口ポート3210および3220は、with第2の使用構成において頭部ストラップ3300Bの端部に設けられたプラグ3500によって閉鎖される。しかし、加えて、フレーム延長部3800は、さらなる取付点3350が各端に設けられて構成されたアーム3810を備える。フレーム延長部3800により、頭部ストラップ3300Bを(図9の2点ヘッドギア取り付け配置構成ではなく)4点ヘッドギア取り付け配置構成で用いることが可能になる。
【0217】
これらの取付点3350は、図10中の押込ばめボタンの形態をとるが、他の例においてスリットであり得、これらのスリットを通じて、頭部ストラップ3300Bのストラップが通過し得、フックアンドループ材料の使用を通じて固定され得る。あるいは、取付点3350は、バックルまたはクリップを通じて頭部ストラップ3300Bへ取り付けられるように構成され得る。
【0218】
図10の例において、フレーム延長部3800は、空気回路4170のエルボー3610によって配置され、所定位置に保持される。しかし、いくつかの例において、これは、スナップロックまたは他の接続機構においてプレナムチャンバ3200の前側部に対して所定位置に保持され得る。他の例において、フレーム延長部3800は、アームの長さを調節する手段と共にあるいは(各フレーム延長部が異なる長さのアームを有する)交換可能なセットの一部として設けられ得る。これにより、導管ヘッドギアの形態の位置決めおよび安定化構造から頭部ストラップへの切り替え時において、患者が必要なときにシール形成構造へ付与される力ベクトルをより良好に調節することが可能になり得る。
【0219】
第2の使用構成において、空気回路4170の下流端は、図3Aおよび図3Bのフルフェイスマスク3010のプレナムチャンバ3200の前側部の接続ポート3600B、図9の鼻枕マスクまたは図10の口鼻マスク内へ挿入される。これにより、空気回路4170の下流端が、(一定の患者が第1の使用構成よりも好み得る)患者の顔および首の下部の近隣に配置される。
【0220】
この配置構成により、接続ポート3600Bは、患者の顔および顎の近隣の上耳底点の下方に配置される。いくつかの例において、第2の使用構成において着用される位置決めおよび安定化構造3300Bのストラップ3330は、空気入口ポートを閉鎖させるために用いられ得る。これらの例において、ストラップの一部に含まれ得る一体型プラグは、空気入口ポートに対して相補的であり、使用時において空気入口ポートへ接続するように構成される。
【0221】
患者は、図3Aおよび図3B図9および図10に示す患者インターフェース3000を第1の使用構成と第2の使用構成との間において変更することができる。この変更は、各位置決めおよび安定化構造3300Aおよび3300Bを交換し、空気回路4170を適切な接続ポート3600Aまたは3600Bそれぞれと係合させることによって行われる。
【0222】
所望であれば、患者インターフェースの交換も可能であり得る。本形態の技術の利点として、相対的なモジュール性がある。すなわち、導管ヘッドギア、空気入口ポートおよび接続ポートの管のための共通コネクタおよび取付具の利用により、患者インターフェースは、例えばフルフェイスマスク、鼻クッション、鼻枕および鼻マスク間の交換を容易に行い得る。
【0223】
患者インターフェース3000(例えば、フルフェースまたは鼻マスク)のいくつかの例において、第1の使用構成にあるとき、導管ヘッドギアの管3310および3320の下端は、図3Aおよび図3Bに示すようにプレナムチャンバ3200と直接係合し得る。患者インターフェースのこれらの例の相対的サイズにより、接続ポートをプレナムチャンバの前面に設けるための十分な面積を提供しつつこれらの管の係合を可能にするくらいに十分な大きさの面積を提供することが支援される。
【0224】
しかし、患者インターフェースのいくつかの他の例(例えば、表面積が全体的により小さいプレナムチャンバを通常有する鼻クッション)において、プレナムチャンバおよびシール形成構造への加圧空気の送達の促進のための管の接続のために、コネクタまたはアダプタが必要になり得る。このような例において、これらの管は、アダプタ内の空気入口ポートと係合し、次に、アダプタは、プレナムチャンバ3200の空気入口ポートと係合する。
【0225】
5.2.9.2 第2の例
患者の中には、第1の例のように位置決めおよび安定化構造を交換する代わりに、患者インターフェースに相対する空気回路の配置のみを交換することを好む者がいる。
【0226】
図4Aに示す本技術の第2の例において、第1の使用構成において、患者インターフェース3000は、プレナムチャンバ3200と、シール形成構造3100とを含む。シール形成構造3100は、管3310および3320が接続される鼻クッション3020の形態をとる。これらの管により、加圧空気from位置決めおよび安定化構造3300を形成する導管ヘッドギア3300Aに設けられた接続ポート3600Aのエルボー3610へ接続された空気回路4170からの加圧空気がシール形成構造3100へ送達される。図示の例においては、鼻クッション3020を示しているが、他の例において、患者インターフェースは、フルフェイスマスク、鼻マスクまたは鼻枕も含み得る。
【0227】
これらの管3310および3320はそれぞれ、バックストラップ3390と係合するように構成されたタブ3380を備える。バックストラップ3390は、十分に可撓性であるため、(使用時において張力下にある場合でも)患者の頭部の後部周囲を通過して患者の頭部に対して快適に配置される。
【0228】
これらのタブ3380は、概して後方方向においてこれらの管から離隔方向に突出する。これらのタブは、バックストラップの端部を受容するスリットを内部に有する。ストラップは、タブ内のスリットを通過した後に例えばフックアンドループ締結材料によって自身に固定され得る。そのため、ストラップは、異なる頭部サイズにフィットするように調節することができる。本技術のいくつかの形態において、バックストラップについて一定範囲の代替的配置選択肢を患者に提供するために、1つよりも多くのタブが提供され得る。これは、シーリング力の顔への適切な付加の確保において有用であり得る。
【0229】
図4Aおよび図4Bの例において、管3310および3320は、自身の上端において冠部コネクタ3360へ接続する。これにより、これらの管それぞれを清掃または交換のために他方から別個に取り外すことが可能になる。冠部コネクタへの接続様態は、第1の例について既述したような図7の剛性コネクタ3370を用いたもののでよいが、この接続の達成の他の例において、インターロック溝部およびペグ、スナップロック取付具、ねじ山などが用いられ得る。他の例において、導管ヘッドギアは、図3Aに示す形態であり得、その場合、導管ヘッドギア3300Aは、左管3310および右管3320が上端において出会う一体構造であり、接続ポート3600Aが配置され得る。
【0230】
鼻マスク3020において、図5A中の詳細図に示すように接続ポート3600Bが前側部に設けられてもよい。図5Bに示すように、冠部コネクタ3360は、接続ポート3600Aも含む。各接続ポート3600Aおよび3600Bは、空気回路4170の下流端に設けられた取付具に対して相補的である同一のまたは類似の係合機構(例えば、スナップロックまたは押込ばめ取付具)と共に構成および配置され得る。これにより、空気回路を2つの接続ポート3600Aおよび3600Bの一方または他方へ挿入し、密閉係合させることが可能になる。図5Aおよび図5Bの図示の例において、接続ポート3600Aおよび3600Bの係合機構は、エルボー3160の端部に対して相補的である。これらの例において、空気回路の下流端は、エルボー3160へ接続され、エルボー3160は、2つの接続ポート3600Aおよび3600Bの一方または他方へ挿入および密閉係合される。
【0231】
2つの接続ポート3600Aおよび3600Bのうちの1つが空気回路4170を受容すると、他方の接続ポートが開口する。これにより、患者への加圧空気送達に妥協が生じ得る。これを回避するために、通気構造3400またはプラグ3500が、開口している接続ポート内へ挿入される。一形態において、2つの接続ポート3600Aおよび3600Bのうち一方が空気回路4170を受容すると、他方の接続ポートは、クロージャによって実質的にシールされる。
【0232】
第1の使用構成において、空気回路からの加圧空気がエルボー3610ならびに管3310および3320を介して患者インターフェースへ送達されると、通気構造3400またはプラグ3500は、鼻マスク3020のプレナムチャンバ3200内の接続ポート3600B内へ挿入されて、患者インターフェースからの加圧空気の損失を最小限またはゼロにする(通気構造から退出するものは除く)。
【0233】
第2の使用構成において、空気回路からの加圧空気が鼻マスクを介して患者インターフェースへ送達されている際、通気構造3400またはプラグ3500は、冠部コネクタ3360において接続ポート3600Aへ挿入される。
【0234】
上記したように、各接続ポート3600Aおよび3600Bは、空気回路への接続の促進のために、同一の係合機構と共に構成および配置され得る。いくつかの例において、通気構造またはプラグは、相補的係合機構を備える。これにより、同一の通気構造3400またはプラグ3500を接続ポート3600Aと接続ポート3600Bとの間において交換することが可能になり、患者インターフェース3000の一部として製造および供給することが必要な構成要素数が有利に低減される。
【0235】
患者インターフェース3000を図4Bに示す第2の使用構成へ変換するためには、患者は、エルボー3610を冠部コネクタ3360から取り外して、通気構造3400またはプラグ3500と交換するだけでよい。次に、エルボー3610は、鼻クッション3020の接続ポート3600Bと係合される。
【0236】
5.2.9.3 第3の例
図6に示す第3の例において、導管ヘッドギア3300Aの管3310および3320は、鼻クッション3020の形態の患者インターフェース3000と係合し得、これにより、これらの管は、第1の使用構成と第2の使用構成とにおいて再度配置され得る。このようにすると、患者が空気回路4170を患者インターフェースの接続ポート3600Aから完全に係合解除させる必要が無くなり得るため、有利であり得る。
【0237】
本例において、図4Aについて導管ヘッドギア3300Aが第1の使用構成において着用されているが、図6の第2の使用構成において、導管ヘッドギアは、使用時において未だに加圧空気を鼻クッション3020のシール形成構造3100へ送達するが、実質的に反転されている。
【0238】
本例において、導管ヘッドギア3300Aの管3310および3320とプレナムチャンバ3200との係合様態は、これらの管が鼻クッション3020に相対して旋回または他の様態で回転し得るようなものである。
【0239】
例えば、図8Aにおいて、患者インターフェースの空気入口ポートに対し、旋回リング3710を含むアダプタ3700が設けられ得る。このリングは、適切なインターロック機構を通じて患者インターフェースの空気入口ポート内へ挿入およびロックされる。アダプタは、エルボー3722を受容部3730と共に含む。受容部3730内に、コネクタ下端が取り付けられ得る。リングが空気入口ポート内の所定位置に配置およびロックされた後、管は、リング内において旋回することができる。
【0240】
図8B中の別の例において、導管ヘッドギアの管とプレナムチャンバとの係合様態によれば、例えば導管ヘッドギアの管をプレナムチャンバに対して取り外しおよび再度取り付けすることによって2つ以上の別個の位置を達成することができる。例えば、アダプタ3700は、端部を備えたワンピースエルボー3722として構成され得、この端部は、一連の軸方向に整列されたスロット3742を備えた空気入口ポート内に挿入およびロックされるように構成される。これらのスロットは、患者インターフェースの空気入口ポートの内面に設けられた協働ペグと係合する。管とインターフェースとを係合させる他の様態が考えられ得る;例えば、これらの管により、ペグと、スロットを備えた患者インターフェースとが支持され得る。これにより、管を患者インターフェースに相対して配置するための一連の位置が得られる。導管ヘッドギアの所望の方向付けに応じて、患者は、管を所望の位置において患者インターフェースへ挿入し、各インターロック部分を整列させる。本例において、2つの位置のみが設けられ得る。すなわち、2組のスロット/ペグが、「チューブアップ」構成および「チューブダウン」構成それぞれに対応する。しかし、他の例において、さらなる位置が設けられ得る。これにより、チューブアップ構成において着用されている際の導管ヘッドギアのフィット感の最適化が支援され得る。
【0241】
本例において、導管ヘッドギア3300Aは、第1の位置決めおよび安定化構造であることが理解される。しかし、第2の使用構成にあるときも、シール形成構造3100を患者の顔上の所定位置に確実に保持するための力付加が必要になる。そのため、導管ヘッドギア3300が図6の反転状態にある場合、頭部ストラップ配置構成3300Bの形態をとる第2の位置決めおよび安定化構造が、シール形成構造3100と患者の顔との密閉接触の維持を確保するために必要になる。
【0242】
頭部ストラップ配置構成3300Bに含まれる1つ以上のストラップ3330は、患者の頭部周囲において上耳底点の上方において着用される。図3Bの頭部ストラップ配置構成の実施形態と対照的に、図6においては、頭部ストラップ配置構成3300Bは、2つのヘッドギア取付点3350において鼻クッション3020へ取り付けられるだけである。
【0243】
この第2の使用構成において、接続ポート3600Aは、上耳底点の上方の元々の位置から上耳底点の下方の位置へ移動されている。第2の使用構成において、接続ポート3600Aおよび空気回路4170は、患者の顎および首の近隣にある。
【0244】
5.2.9.4 クロージャの例
第1の使用構成において、空気回路からの加圧空気をエルボー3610ならびに管3310および3320を介して患者インターフェースへ送達する際、鼻マスク3020のプレナムチャンバ3200内の接続ポート3600Bは(例えば通気構造3400、プラグ構造3500またはクロージャ3786を用いて)閉鎖されて、患者インターフェースからの加圧空気の損失を最小またはゼロに確保する(通気構造を通じて退出するものは除く(ただし、存在する場合))。
【0245】
第2の使用構成において、空気回路からの加圧空気を鼻マスクを介して患者インターフェースへ送達する際、冠部コネクタ3360において接続ポート3600Aが(例えば、通気構造3400、プラグ構造3500またはクロージャ3786を用いて)閉鎖されて、患者インターフェースからの加圧空気の損失を最小またはゼロに確保する(通気構造を通じて退出するものは除く(ただし、存在する場合))。
【0246】
上記したように、各接続ポート3600Aおよび3600Bは、空気回路への接続を促進させるために、同一または類似の係合機構と共に構成および配置され得る。
【0247】
スナップロックまたは押込ばめ取付具などの係合機構は、空気回路4170の下流端に設けられた取付具に対して相補的であるため、空気回路を2つの接続ポート3600Aおよび3600Bのうち一方または他方へ挿入および密閉係合させることが可能になる。図4Aおよび図4Bの図示の例において、接続ポート3600Aおよび3600Bの係合機構は、エルボー3160の端部に対して相補的である。これらの例において、空気回路の下流端は、エルボー3160へ接続され、エルボー3160は、2つの接続ポート3600Aおよび3600Bの一方または他方へ挿入および密閉係合される。
【0248】
接続ポート3600Aおよび3600Bは、空気回路の下流端の挿入先である開口部を被覆するクロージャ3786を含み得る。クロージャは、患者によってまたは空気回路の下流端(またはエルボー)によって移動可能であるため、(接続ポートが実質的にシールされた)閉鎖状態(いくつかの例において、呼気の二酸化炭素の通気のための一定の機能が設けられ得る)から(加圧空気が導管ヘッドギアおよび患者の気道内へ送達される)開放状態への変更が可能となる。このクロージャは、複数の様態で構成され得る。
【0249】
図11中の開放状態におけるクロージャ3786の第1の例において、クロージャ3786は、クロージャ用の口を規定する剛性リング3788の形態をとり得る。このリングは、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロンなどから構成される。使用時において、リング3788の下部3715は、接続ポート内に配置される。これらのリング3788は、図11に示すような別個の構造であり得、必要に応じて患者によって挿入されるかあるいは接続ポート(例えば、接続ポート3600A、3600B)と一体形成され得る。
【0250】
剛性リング3788を包囲しているのは、ループ3716である。このループ3716に対し、蓋クロージャ3720がヒンジ部分3789によって接続される。ヒンジ部分3789は軟性の変形可能なプラスチック材料によって形成され得るため、クロージャを閉鎖状態にすることが可能になる。患者は、蓋の内面3721をクロージャ3786の剛性リング3788と噛み合わせるだけで済む。いくつかの例において、蓋は、別個の構造であり得、リングへ接続されていない。本例において、リング3788は、ヒンジ部分3789無しに設けられ得る。いくつかの例において、ヒンジ部分3789は、蓋クロージャ3720および/またはリング3788へ取り外し可能に連結され得る。
【0251】
この蓋は、複数のアパチャを備える;これらのアパチャは、患者の呼気の二酸化炭素を(過度の量の加圧空気の損失を引き起こすこと無く)通気する通気穴部3799として機能する。アパチャの数およびその寸法は、通気すべき所望の呼気量に応じて変化し得る。アパチャの数およびその寸法は、呼気のCOの患者による再呼吸を(使用時におけるプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ)低減させるくらいに十分である必要がある。
【0252】
図12Aおよび図12Bは、本技術との使用に適したクロージャ3786の閉鎖状態および開放状態それぞれにおける他の例を示す。本例において、クロージャ3786は、長細本体3740の形態をとり、隆起口部3746によって包囲された開口部3745を一端において含む。長細本体3740は、例えば、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロンなどから形成され得る。クロージャ3786は、フランジ3747が下方に延びる(同様にポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロンなどからから形成された)円形蓋クロージャ3720も含む。この本体の側部は、蓋のフランジ3747と係合する軌道3750またはレールと共に構成され得る。本例において、患者は、軌道に沿ってスライドさせるだけで、クロージャを図7A中の閉鎖状態から図12Bに示すような開放状態にする。蓋エンクロージャ3720の下側(図12Aおよび図12B中図示せず)において、シーリングクロージャ3786の口3745のシーリングを支援するためのシリコーン層などが設けられ得る。
【0253】
図12Aおよび図12B中においては、口3745は本体3740の一端の方へ片寄っているが、口3745は、より中央に方向付けられ得る。そのためには、本体そのものを大型化して、蓋3720が閉鎖状態から開放状態へスライドした際の蓋3720のための隙間を確保することが必要になり得る。いくつかの例において、口3745は、本体3740の中央に設けられ得、これにより、蓋3720を口3745のいずれかの側に移動させることが可能になる。あるいは、蓋3720は、2等分された部分から形成され得、各半分は、本体の一端に片寄る。患者は、これら2つの2等分された部分を共にスライドさせて、口上において出会わせる。
【0254】
いくつかの例において、軌道3750の端部は、成形ペグなどの形態をとる停止部を含み得、これにより、蓋3720が(軌道3750から遠すぎる位置まで移動した際に)本体から係合解除される事態が確実に回避される。
【0255】
いくつかの例において、蓋3720は、通気目的のために配置および寸法設定された複数のアパチャを備え得る。他の例において、リングの隆起口部は、口の上面の後方に延びる一連のノッチと共に形成され得る。本例において、蓋は、口の上面とのシールを形成可能であり得るが、ノッチは、呼気の通気を可能にする機能を有する。蓋のフランジは、閉鎖状態および開放状態から移動する際に蓋の十分な隙間を確保するように配置され得ることが理解される。ノッチの寸法は、使用時におけるプレナムチャンバ内の治療圧力を維持しつつ、呼気のCOの患者による再呼吸を低減させるのに十分である必要がある。
【0256】
図11図12Aおよび図12Bの例において、クロージャ3786は、患者がクロージャ3786を所望の閉鎖状態または開放状態にするために、患者によって操作される。いくつかの例において、空気回路の下流端が接続ポートへ挿入されると、クロージャは、閉鎖状態から開放状態となり得る。図13A図13Cは、1つのそのような例を示す。
【0257】
本例において、クロージャ3786は、リング3788の形態(図13Aに最良に示す)をとり、接続ポートとして一体形成されるかまたは患者によって挿入される別個の構成要素として設けられる。リング3788の内部において、一対のクロージャフラップ3760が配置される。これらのクロージャフラップは、リングに及ぶ支柱3770に枢着される。この支柱は、加圧空気の方向において支援を行うように配置され得る;例えば、支柱は、分流器として機能し得、加圧空気の別個の流路を導管ヘッドギアの左管および右管へ方向付けることを支援する。これらの例において、支柱は、この空気流れの分割を最大限にするように整列され得る。例えば、支柱は、クロージャの開口部を分割して導管ヘッドギアの左管および右管に対応する左部および右部とするように配置され得る。
【0258】
しかし、他の例において、クロージャフラップ3760は、図14A図14Cに示すようなリング3788の周囲に枢着され得るかまたは他の様態で取り付けられ得る。さらに、クロージャフラップの数は、変化し得る。一例において、1つの縁部によってリング周囲へヒンジされた単一の実質的に円形のクロージャフラップが設けられ得る。例えば図14A図14C図14Bおよび図14Cは、図14Aのクロージャの断面である)に示す他の例において、4つ(以上の)クロージャフラップ3760が、リング3788の周囲から等距離に配置され得る。
【0259】
一例において、図14Bに示す閉鎖状態において、クロージャフラップ3760は、小型のスリットまたは隙間3765が、隣接するフラップ間に設けられるように配置される。これらにより、一定の通気機能が得られ得る。クロージャフラップ3760がリング3788へ取り付けられる際、肉薄部分が図14Dに示すようなヒンジ3761として機能するようにされ得るため、これらのクロージャフラップは、閉鎖状態から開放状態へ移動し得る。
【0260】
図14Cに示すような開放状態において、クロージャフラップは、空気回路4170のエルボー3610によって付勢されて開放状態にされる。これにより、両者間にチャンネル3766が生成されて、気流を治療的に有効な空気圧力において導管ヘッドギアの左管および右管内へ流動させることが可能になる。加圧空気の空気の最適化は、開口クロージャフラップ3760によって生成されたチャンネル3766を導管ヘッドギアの管内の気流方向と整列させてフローインピーダンスを最小化させることにより、行われ得る。別の例において、チャンネルの方向付けは、以下のうち1つ以上について決定され得る:(1)空気回路の下流端部の軸方向(図14Bおよび図14C中のエルボー)、(2)導管ヘッドギアの左管および右管の軸方向、(3)導管ヘッドギアの管内の気流方向。さらなる例において、フラップの方向付けの調節は、手動で行われ得る。例えば、リング3788は、接続ポート内において回転可能となるように構成され得るため、クロージャフラップ3760の軸方向付けが変更される。
【0261】
図13Aにおいて、クロージャフラップ3760は、クロージャが閉鎖状態となるように配置される。通気目的のために、一例において、アパチャ(図13A図13C中図示せず)が、クロージャフラップへ設けられ得る。クロージャの上記例について述べたように、アパチャの数および寸法は、所望量の呼気が通気されるように、変更され得る。別の例において、隙間またはスリット(図示せず)が隣接フラップおよび/またはリング3788および/または支柱3770間に設けられるように、クロージャフラップがリングへ取り付けられる。この隙間またはスリットは、呼気の二酸化炭素の通気部として機能する。
【0262】
図13Bおよび図13Cから分かるように、クロージャフラップ3760と空気回路の下流端部(本例において、エルボー3610)との相互作用が存在する。エルボーの孔部は、孔部に及ぶように配置された一対の楔部3780の形態をとる起動機構を含む。本例において、楔部の分離を行う目的は、エルボー3610がクロージャ3786内へ進入する際に支柱3770のための隙間を確保することである。これらの楔部3780は、クロージャフラップ3760を支持し、エルボー3610がクロージャ内にさらに進入すると、クロージャフラップ3760を支柱3770周囲において枢動させ、クロージャフラップ3760を付勢して図13Cに示すように閉鎖状態から開放状態にさせて、加圧空気通路を接続ポートへ進入させる。
【0263】
例えば図9A図9Cに示すクロージャフラップが外側縁部によってリングへ取り付けられる例において、エルボー3610の孔部を楔部と共に構成する必要は無い場合がある。その代わりに、起動機構は、孔部の周囲であり、クロージャフラップ3760と接触し、エルボーの進行と共にクロージャフラップ3760を付勢して開口させる。
【0264】
リング3788そのものは、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ナイロンなどから形成され得るが、いくつかの例において、クロージャフラップは、より低剛性のプラスチック材料から形成され得る(例えば、適切なショア硬さの液体シリコーンゴム)。クロージャフラップが支柱(またはリングの周囲)へ接続される様態は、クロージャフラップの接続部分がリビングヒンジとして機能するようなものである。別の形態において、クロージャフラップは、より高剛性であり得るが。特定のヒンジ構造を介して支柱(またはリング周囲)へ接続される。
【0265】
別の例において、空気回路の下流端部を接続ポートに挿入する動作により、クロージャを閉鎖状態から開放状態にされ得る様子を図15に示す。本例において、クロージャは、リング3788の形態をとり、大部分については、上記例について述べた通りである。しかし、クロージャの内部は、伸縮弾性材料(例えば、適切に低いショア硬さを有するゴムまたはシリコーン)の層の形態をとるシール3790によって網羅される。
【0266】
図10は、このシール3790が閉鎖状態にある様子を示す。中心において、シールは、中央アパチャ3795を含む。空気回路の下流端(例えば、エルボー)がクロージャ3786へ挿入されると、シールは、膨張および伸縮する。これにより、中央アパチャ3795の全体寸法が十分に大きくなって、空気回路の下流端を受容することおよび/または十分な量の加圧空気を治療目的のために接続ポートへ進入させることが可能になる。これにより、クロージャ3786は付勢されて、開放状態から閉鎖状態となる。回路の下流端が除去されると、シールは、元々の閉鎖状態に戻る。伸縮弾性材料の層により、必要な量の二酸化炭素の通気のために、中央アパチャ3795を包囲するさらなる通気穴部3799も得られ得る。しかし、中央アパチャ3795のサイズだけでもは、この目的のために十分であり得る。
【0267】
図11図15の例において、患者インターフェース3000を図4Aの第1の使用構成から例えば図4Bに示す第2の使用構成へ変換させるには、患者は、エルボー3610を接続ポート3600Aまたは冠部コネクタ3360から取り外した後、エルボー3610を鼻クッション3020の接続ポート3600Bと係合させるだけでよい。これを達成するために、患者は、鼻クッション3020のクロージャ3786を閉鎖状態から開放状態にする必要があり得る。冠部コネクタ3360の接続ポート3600Aはこの段階において開口しているため、冠部コネクタのクロージャを開放状態から閉鎖状態にする必要がある。あるいは、エルボー3610を挿入する動作により、クロージャを閉鎖状態から開放状態へ調節してもよい。エルボーを接続ポートから取り外すことにより、クロージャは、自動調節して閉鎖状態となる。
【0268】
患者インターフェースの接続ポートは、各々が異なる種類のクロージャを有するように、設けられ得ることが理解される。例えば、導管ヘッドギアに設けられた接続ポート3600Aは、例えば図13A図14Dに示すクロージャを備え得る一方、プレナムチャンバの接続ポート3600Bは、例えば図11および図12Aに示すクロージャを備える。患者インターフェースが着用されている間、患者は、導管ヘッドギアに設けられたクロージャよりもプレナムチャンバ上のクロージャの方が操作が容易であると感じ得る。
【0269】
6 用語集
本技術の開示目的のため、本技術の特定の形態において、以下の定義のうち1つ以上が適用され得る。本技術の他の形態において、別の定義も適用され得る。
【0270】
6.1 一般
空気:本技術の特定の形態において、空気は大気を意味し得、本技術の他の形態において、空気は、他の呼吸可能なガスの組み合わせ(例えば、酸素を豊富に含む大気)を意味し得る。
【0271】
周囲:本技術の特定の形態において、「周囲」という用語は、(i)治療システムまたは患者の外部を意味するものとしてとられる。(ii)治療システムまたは患者を直接包囲する。
【0272】
自動的な気道陽圧(APAP)療法:SDB発症の兆候の存在または不在に応じて、例えば、呼吸間に最小限界と最大限界との間で治療圧力を自動的に調節することが可能なCPAP療法。
【0273】
持続的気道陽圧(CPAP)療法:治療圧力が患者の呼吸サイクルを通じてほぼ一定である呼吸圧力療法。いくつかの形態において、気道への入口における圧力は、呼気時において若干上昇し、吸息時において若干低下する。いくつかの形態において、圧力は、患者の異なる呼吸サイクル間において変動する(例えば、部分的な上気道閉塞の兆候の検出に応答して増加され、部分的な上気道閉塞の通知の不在時において低減される)。
【0274】
流れ療法:患者の呼吸サイクル全体にかけて通常陽圧である治療流量と称される制御された流量において気道への入口に空気流れを送達することを含む、呼吸療法。
【0275】
患者:呼吸疾患に罹患しているかまたはしていない人。
【0276】
圧力:単位面積あたりの力。圧力は、多様な単位で表現され得る(例えば、cmHO、g-f/cm、およびヘクトパスカル)。1cmHOは、1g-f/cmに等しく、およそ0.98ヘクトパスカル(1ヘクトパスカル=100Pa=100N/m2=1ミリバール~0.001atm)である。本明細書において、他に明記無き限り、圧力はcmHOの単位で付与される。
【0277】
患者インターフェース中の圧力には記号Pmが付与され、現時点においてインターフェース圧力Pmが達成すべき目標値を表す治療圧力には記号Ptが付与される。
【0278】
呼吸圧力療法(RPT):雰囲気に対して典型的には陽圧である治療圧力における空気供給の気道入口への付加。
【0279】
人工呼吸器:患者が呼吸動作の一部または全てを行い際に圧力補助を提供する機械的デバイス。
【0280】
6.2 材料
シリコーンまたはシリコーンエラストマー:合成ゴム。本明細書において、シリコーンについて言及される場合、液体シリコーンゴム(LSR)または圧縮成形シリコーンゴム(CMSR)を指す。市販のLSRの一形態として、Dow Corningによって製造されるSILASTIC(この商標下において販売される製品群に含まれる)がある。別のLSR製造業者として、Wackerがある。他に逆の明記無き限り、例示的形態のLSRのASTMD2240によって測定した場合のショアA(またはタイプA)押込み硬さは、約35~約45である。
【0281】
ポリカーボネート:ビスフェノールAカーボネートの熱可塑性ポリマーである。
【0282】
6.3 機械的特性
弾性:弾性変形時にエネルギーを吸収することおよび除荷時にエネルギーを解放することが可能な材料の能力。
【0283】
弾性のある:除荷時に実質的に全てのエネルギーを解放する。例えば特定のシリコーンおよび熱可塑性エラストマーを含む。
【0284】
硬度:材料自体の変形に抵抗する能力(例えば、ヤング係数または規格化されたサンプルサイズ上において測定された押込硬さスケールによって記述されたもの)。
【0285】
「軟性」材料は、シリコーンまたは熱可塑性エラストマー(TPE)を含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得る。
【0286】
「硬質」材料は、ポリカーボネート、ポリプロピレン、鋼またはアルミニウムを含み得、例えば指圧力下において容易に変形し得ない。
【0287】
構造または構成要素の剛度(または剛性):構造または構成要素が負荷を受けたときに変形に抵抗する能力。負荷は、力またはモーメントであり得る(例えば、圧縮、伸張、屈曲またはねじれ)。構造または構成要素は、異なる方向において異なる抵抗を提供し得る。剛性の反義語は、可撓性である。
【0288】
フロッピー構造または構成要素:自重を支持させられた際に比較的短期間(例えば、1秒)以内に形状を変化させる(例えば、屈曲する)構造または構成要素。
【0289】
剛性の構造または構成要素:使用時において典型的に遭遇する負荷を受けた際に実質的に形状変化の無い構造または構成要素。このような用途の例として、患者インターフェースを例えばおよそ20~30cmHOの圧力の負荷において患者の気道入口に対して密閉した様態でセットアップおよび維持することがあり得る。
【0290】
一例として、I形ばりは、第2の直交方向と比較した第1の方向において、異なる曲げ剛性(曲げ負荷に対する抵抗)を含み得る。別の例において、構造または構成要素は、第1の方向においてはフロッピーであり得、第2の方向においては剛性であり得る。
【0291】
6.4 顔の解剖学的構造
耳介:耳の視認できる部分全体。
【0292】
(鼻)骨格:鼻の骨格は、鼻骨、上顎骨の前頭突起および前頭骨の鼻部分を含む。
【0293】
(鼻)軟骨格:鼻の軟骨格は、中隔軟骨、外側軟骨、大軟骨および小軟骨を含む。
【0294】
フランクフォート水平面:眼窩縁の最下側点から左耳点へ延びる線。耳点は、ノッチ上側から耳介の耳珠への最も深い点である。
【0295】
唇、下側(下唇:labrale inferius):
【0296】
唇、上側(上唇:labrale superius):
【0297】
鼻孔(鼻穴):概して楕円体の翼穴であり、鼻腔への入口を形成する。鼻孔(nares)の単数形は鼻孔(naris)(鼻穴)である。これらの鼻孔は、鼻中隔によって分離される。
【0298】
下耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最低点。
【0299】
上耳底点:耳介の顔の皮膚への取り付けの最高点。
【0300】
矢状面:前方(前)から後方(後)へ続く垂直面である。正中矢状面は、右半分および左半分に分割する矢状面である。
【0301】
6.5 頭蓋骨の解剖学的構造
前頭骨:前頭骨は、前額部として知られる領域に対応する大型垂直部分である前頭鱗を含む。
【0302】
下顎骨:下顎骨は、下側顎部を形成する。オトガイ隆起は、顎部の骨隆起であり、顎を形成する。
【0303】
上顎骨:上顎骨は、上側顎部を形成し、下顎の下側および眼窩の下側に配置される。上顎骨の前頭突起は、鼻の側部によって上方に突出し、その外側境界の部分を形成する。
【0304】
鼻骨:鼻骨は、2つの小さな長方形骨であり、個人によってサイズおよび形態が異なる。鼻骨は、顔の中間部分および上部分に並んで配置され、その接合により鼻の「ブリッジ」を形成する。
【0305】
鼻根点:前頭骨および2本の鼻骨の交差であり、眼と鼻のブリッジの上側との間に直接設けられた凹領域である。
【0306】
後頭骨:後頭骨は、頭蓋の裏および下側部分に配置される。これは、楕円穴である大後頭孔を含み、この穴を通じて、頭蓋内腔が椎管と連痛する。大後頭孔の後側の曲面板は、後頭鱗である。
【0307】
眼窩:頭蓋骨中の骨空洞であり、眼球を含む。
【0308】
頭頂骨:頭頂骨は、相互に接合されると頭蓋の頂部および側部を形成する骨である。
【0309】
側頭骨:側頭骨は、頭蓋骨のベースおよび側部上に配置され、こめかみとして知られる顔の部分を支持する。
【0310】
頬骨:顔に含まれる2つの頬骨は、顔の上側部分および外側部分中に配置され、頬の隆起を形成する。
【0311】
6.6 患者インターフェース
窒息防止弁(AAV):マスクシステムの構成要素またはサブアセンブリであり、フェールセーフ様態での雰囲気中への開口により、患者による過度のCOの再呼吸の危険性を低減させる。
【0312】
エルボー:エルボーは、内部を移動する空気流れの軸を方向付けて、角度を通じて方向を変化させる構造の例である。一形態において、角度はおよそ90度であり得る。別の形態において、角度は、90度超過または未満であり得る。エルボーは、ほぼ円形の断面を持ち得る。別の形態において、エルボーは、楕円または矩形の断面を持ち得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素に対して例えば約360度で回転可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、噛み合い構成要素から例えばスナップ接続を介して取り外すことが可能であり得る。特定の形態において、エルボーは、製造時にワンタイムスナップを介して噛み合い構成要素へ組み付けることが可能である一方、患者が取り外すことはできない。
【0313】
フレーム:フレームは、ヘッドギアを接続する2つ以上の点間の引張荷重を支持するマスク構造を意味するものとしてとられる。マスクフレームは、マスク中の非気密負荷支持構造であり得る。しかし、いくつかの形態のマスクフレームは、気密であってもよい。
【0314】
ヘッドギア:ヘッドギアは、頭部上において使用されるように設計された、一形態の位置決めおよび安定化構造を意味するものとしてとられる。例えば、ヘッドギアは、患者インターフェースを呼吸療法の送達のために患者の顔上の所定位置に配置および保持するように構成された1つ以上の支柱、タイおよび補剛材の集合を含み得る。いくつかのタイは、柔らかい可撓性の弾性材料(例えば、発泡体および布地の層状複合材)によって形成される。あるいは、ヘッドギアは、頭部の形状に若干適合し得る1つまたは2つのガス送達管の形態をとり得る。
【0315】
膜:膜は、典型的には肉薄の要素を意味するものとしてとられ、好適には屈曲に対して実質的に抵抗せずかつ伸縮に対しては抵抗する。
【0316】
プレナムチャンバ:マスクプレナムチャンバは、空間の容積を少なくとも部分的に封入する壁を有する患者インターフェースの一部を意味するものとしてとられ、容積中の空気は、加圧されて使用時において気圧を超える。シェルは、マスクプレナムチャンバの壁の一部を形成し得る。
【0317】
シール:名詞(「シール」)として用いられる場合は構造を指し得、動詞(「密閉(する)」)として用いられる場合はその効果を指し得る。2つの要素は、別個の「シール」要素自体を必要とすることなく両者間において「シール」するかまたは「密閉」効果を得るように、構築および/または配置され得る。
【0318】
シェル:シェルは、屈曲、引っ張りおよび圧縮剛性を有する曲線状の比較的肉薄構造を意味するものとしてとられる。例えば、マスクの曲線状構造壁は、シェルであり得る。いくつかの形態において、シェルはファセットされ得る。いくつかの形態において、シェルは気密であり得る。いくつかの形態において、シェルは気密でない場合もある。
【0319】
スイベル(名詞):構成要素のサブアセンブリであり、共通軸の周囲において好適には独立して好適には低トルク下において回転するように構成される。一形態において、スイベルは、少なくとも360度の角度で回転するように構成され得る。別の形態において、スイベルは、360度未満の角度で回転するように構成され得る。空気送達導管の文脈において用いられる場合、構成要素のサブアセンブリは好適には、一対組み合わせの円筒導管を含む。使用時において、スイベルからの空気流れの漏れはほとんど無い。
【0320】
タイ(名詞):張力に抵抗するように設計された構造。
【0321】
通気:(名詞):マスクまたは導管の内部の周囲空気への空気流れを可能にする構造であり、呼気されたガスの臨床的に有効な洗い流しを可能にする。例えば、臨床的に有効な洗い流しにおいては、約10リットル/分~約100リットル/分の流量がマスク設計および治療圧力に応じて用いられ得る。
【0322】
7 他の注意事項
本特許文書の開示の一部は、著作権保護が与えられる内容を含む。著作権所有者は、何者かが本特許文書または本特許開示をファックスにより再生しても、特許庁の特許ファイルまたは記録に記載されるものであれば目的のものであれば異論は無いが、その他の目的については全ての著作権を保持する。
【0323】
他に文脈から明確に分かる場合および一定の範囲の値が提供されていない限り、下限の単位の1/10、当該範囲の上限と下限の間、および記載の範囲の他の任意の記載の値または介入値に対する各介入値は本技術に包含されることが理解される。介入範囲中に独立的に含まれるこれらの介入範囲の上限および下限が記載の範囲における制限を特に超えた場合も、本技術に包含される。記載の範囲がこれらの制限のうち1つまたは双方を含む場合、これらの記載の制限のいずれかまたは双方を超える範囲も、本技術に包含される。
【0324】
さらに、本明細書中に値(単数または複数)が本技術の一部として具現される場合、他に明記無き限り、このような値が近似され得、実際的な技術的実行が許容または要求する範囲まで任意の適切な有効桁までこのような値を用いることが可能であると理解される。
【0325】
他に明記しない限り、本明細書中の全ての技術用語および科学用語は、本技術が属する分野の当業者が一般的に理解するような意味と同じ意味を持つ。本明細書中に記載の方法および材料に類似するかまたは等しい任意の方法および材料を本技術の実践または試験において用いることが可能であるが、限られた数の例示的な方法および材料が本明細書中に記載される。
【0326】
特定の材料が構成要素の構築に好適に用いられるものとして記載されているが、特性が類似する明白な代替的材料が代替物として用いられる。さらに、それとは反対に記載無き限り、本明細書中に記載される任意および全ての構成要素は、製造可能なものとして理解されるため、集合的にまたは別個に製造され得る。
【0327】
本明細書中及び添付の特許請求の範囲において用いられるように、単数形である「a」、「an」および「the」は、文脈から明らかにそうでないことが示されない限り、その複数の均等物を含む点に留意されたい。
【0328】
本明細書中に記載される公開文献は全て、これらの公開文献の対象である方法および/または材料の開示および記載、参考のために援用される。本明細書中に記載の公開文献は、本出願の出願日前のその開示内容のみのために提供するものである。本明細書中のいずれの内容も、本技術が先行特許のためにこのような公開文献に先行していないと認めるものと解釈されるべきではない。さらに、記載の公開文献の日付は、実際の公開文献の日付と異なる場合があり、個別に確認が必要であり得る。
【0329】
「comprises」および「comprising」という用語は、要素、構成要素またはステップを非排他的な意味合いで指すものとして解釈されるべきであり、記載の要素、構成要素またはステップが明記されていない他の要素、構成要素またはステップと共に存在、利用または結合され得ることを示す。
【0330】
詳細な説明において用いられる見出しは、読者の便宜のためのものであり、本開示または特許請求の範囲全体において見受けられる内容を制限するために用いられるべきではない。これらの見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の制限の範囲の解釈において用いられるべきではない。
【0331】
本明細書中の技術について、特定の例を参照して述べてきたが、これらの例は本技術の原理および用途を例示したものに過ぎないことが理解されるべきである。いくつかの場合において、用語および記号は、本技術の実施に不要な特定の詳細を示し得る。例えば、「first(第1の)」および「second(第2の)」(など)という用語が用いられるが、他に明記無き限り、これらの用語は任意の順序を示すことを意図しておらず、別個の要素を区別するために用いられる。さらに、本方法におけるプロセスステップについての記載または例示を順序付けて述べる場合があるが、このような順序は不要である。当業者であれば、このような順序が変更可能でありかつ/またはその態様を同時にまたはさらに同期的に行うことが可能であることを認識する。
【0332】
よって、本技術の意図および範囲から逸脱することなく、例示的な例において多数の変更例が可能であり、また、他の配置構成が考案され得ることが理解されるべきである。
【符号の説明】
【0333】
1000 患者
1100 同床者
3000 患者インターフェース
3010 フルフェイスマスク
3020 鼻クッション
3030 鼻枕
3040 口鼻マスク
3100 シール形成構造
3160 エルボー
3200 プレナムチャンバ
3210 空気入口ポート
3220 空気入口ポート
3300 位置決めおよび安定化構造/導管ヘッドギア
3310 導管ヘッドギアの左管
3320 導管ヘッドギアの右管
3330 ストラップ
3350 取付点
3360 冠部コネクタ
3370 剛性コネクタ
3380 タブ
3390 バックストラップ
3400 通気構造
3500 プラグ構造
3600 接続ポート
3610 エルボー
3700 アダプタ
3710 アダプタ旋回リング
3715 部分
3716 ループ
3720 蓋
3720 蓋クロージャ
3720 ワンピースエルボー
3722 アダプタエルボー
3720 蓋エンクロージャ
3721 内面
3730 部分
3740 本体
3742 スロット
3745 開口部
3746 隆起口部(または本体)
3747 フランジ
3750 軌道
3760 クロージャフラップ
3765 隙間
3766 チャンネル
3770 支柱
3780 楔部
3786 クロージャ
3788 リング
3789 ヒンジ部分
3790 シール
3795 中央アパチャ
3799 さらなる通気穴部
3799 通気穴
3800 フレーム延長部
3810 アーム
4000 RPTデバイス
4170 空気回路
5000 加湿器
3300A 導管ヘッドギア
3300B 頭部ストラップ
3300B 頭部ストラップ
3310A 管
3310A 左管の下端
3320A 右管の下端
3400A 通気構造
3600A 接続ポート-導管ヘッドギア
3600B 接続ポート-患者インターフェース
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気回路から患者の気道の入口への加圧した空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;
前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行うように構成された複数の接続ポートであって、第1の接続ポートおよび第2の接続ポートを含む、複数の接続ポート;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された1つ以上の位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記患者インターフェースは、第1の使用構成および第2の使用構成において前記患者によって着用されるような構造および配置にされ、
前記第1の使用構成において、前記空気回路は、第1のガス送達管および第2のガス送達管を介して前記第1の接続ポートへ接続され、前記第1の接続ポートは、前記患者の上耳底点の上方に位置決めされかつ前記プレナムチャンバの側部上のポートへ接続され、前記第1のガス送達管および前記第2のガス送達管は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記患者インターフェースのシール形成構造を前記治療的に有効な位置に位置決めしかつ安定化させ、前記第2の使用構成において、前記空気回路は、前記患者の上耳底点の下方の前記プレナムチャンバの前側部に位置決めされた前記第2の接続ポートへ接続され、前記第1の使用構成において前記空気回路が前記第1の接続ポートへ接続されると、前記第2の接続ポートは、通気構造または停止部を受容する、患者インターフェース。
【請求項2】
前記1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成された第1の位置決めおよび安定化構造ならびに第2の位置決めおよび安定化構造を含む、請求項1に記載の患者インターフェース。
【請求項3】
前記第1の位置決めおよび安定化構造は、前記第1の使用構成において前記患者インターフェースと共に用いられるように構成される、請求項2に記載の患者インターフェース。
【請求項4】
前記第1の位置決めおよび安定化構造は、前記第1のガス送達管および第2のガス送達管を含み、前記第1のガス送達管および第2のガス送達管は、使用時において前記患者の頭部のうち前記患者の上耳底点の上方の少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記接続ポートに設けられる、請求項2または請求項3に記載の患者インターフェース。
【請求項5】
前記第2の位置決めおよび安定化構造は、1つ以上のストラップを含み、前記1つ以上のストラップは、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、前記第2の使用構成において前記患者インターフェースと共に用いられるように構成される、請求項2~4のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項6】
前記第1の接続ポートは、第1の位置決めおよび安定化構造に設けられ、前記第1のガス送達管および第2のガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の接続ポートを備える、請求項1~5のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項7】
前記第1の接続ポートは、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分に設けられる、請求項に記載の患者インターフェース。
【請求項8】
前記患者インターフェースは、1つ以上の通気構造または停止部をさらに含む、請求項1~7のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項9】
各通気構造または停止部は、前記第1の接続ポートおよび/または第2の接続ポートへ接続するように構成される、請求項に記載の患者インターフェース。
【請求項10】
前記第1の使用構成において、前記空気回路は、前記第1の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第2の接続ポートへ接続され、前記第2の使用構成において、前記空気回路は、前記第2の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第1の接続ポートへ接続される、請求項に記載の患者インターフェース。
【請求項11】
前記第1の接続ポートおよび第2の接続ポートは、クロージャを備える、請求項1~10のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項12】
前記クロージャは、閉鎖状態から開放状態へ移動可能となるように構成される、請求項11に記載の患者インターフェース。
【請求項13】
前記クロージャは、開口部と、前記閉鎖状態において前記開口部の少なくとも一部を被覆する少なくとも1つのクロージャ蓋とを含む、請求項12に記載の患者インターフェース。
【請求項14】
前記クロージャは、前記開口部を包囲するリング構造を含む、請求項13に記載の患者インターフェース。
【請求項15】
前記クロージャ蓋は、外側縁部により前記リング構造へ枢着される、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項16】
前記クロージャ蓋は、前記リング構造へスライド可能に取り付けられ、前記リング構造は、軌道を備え、前記クロージャ蓋は、前記軌道に沿ってスライドするように構成される、請求項14に記載の患者インターフェース。
【請求項17】
前記クロージャは、開口部および少なくとも1つのクロージャフラップを含み、少なくとも1つの前記クロージャフラップは、前記閉鎖状態において前記開口部の少なくとも一部を被覆し、前記空気回路の端部によって前記閉鎖状態から前記開放状態へ付勢されるように配置される、請求項12に記載の患者インターフェース。
【請求項18】
前記クロージャは、前記開口部を包囲するリング構造を含む、請求項17に記載の患者インターフェース。
【請求項19】
少なくとも1つの前記クロージャフラップは、外側縁部によって前記リング構造へ枢着される、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項20】
少なくとも1つの前記クロージャフラップは、前記リング構造の開口部に及ぶ支柱へ枢着される、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項21】
少なくとも1つの前記クロージャフラップは、前記開口部またはリング構造に及び、中央アパチャを備え、前記中央アパチャは、前記クロージャが前記空気回路の端部によって付勢されて前記閉鎖状態から前記開放状態となった際にサイズが増大する、請求項18に記載の患者インターフェース。
【請求項22】
前記空気回路の端部は、前記クロージャに対して作動するように配置された起動機構を含む、請求項17~21のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項23】
前記クロージャは、通気部を含む、請求項11~22のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項24】
前記通気部は、クロージャ蓋またはクロージャフラップに設けられた1つ以上のアパチャの形態をとる、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項25】
前記クロージャは、2つ以上のクロージャフラップを含み、前記通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成されたスリットの形態をとる、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項26】
前記クロージャは、前記クロージャの内面へ取り付けられた4つのクロージャフラップを含み、前記通気部は、隣接するクロージャフラップ間の距離によって形成された2つの交差するスリットの形態をとる、請求項23に記載の患者インターフェース。
【請求項27】
開放状態において、前記クロージャにより前記患者の気道の入口への前記空気流れの送達が可能になり、前記第1の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある、請求項11~26のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項28】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項1~27のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項29】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項1~28のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項30】
前記プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される、請求項29に記載の患者インターフェース。
【請求項31】
前記1つ以上の位置決めおよび安定化構造は、前記患者インターフェースの一部として設けられるように構成された第1の位置決めおよび安定化構造ならびに第2の位置決めおよび安定化構造を含む、請求項に記載の患者インターフェース。
【請求項32】
前記第1の位置決めおよび安定化構造は、使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成され、前記第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された前記第1のガス送達管および第2のガス送達管を含み、前記第1のガス送達管および第2のガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う接続ポートを備え、前記第1のガス送達管および第2のガス送達管は、前記プレナムチャンバの側部へ接続されるように構成された下端を有する、請求項31に記載の患者インターフェース。
【請求項33】
前記第2の位置決めおよび安定化構造は、使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成され、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのストラップを含み、少なくとも1つの前記ストラップは、第2の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、請求項31または請求項32に記載の患者インターフェース。
【請求項34】
前記第1のガス送達管および第2のガス送達管の下端は、前記第1の位置決めおよび安定化構造が前記第1の使用構成と前記第2の使用構成との間で移動可能となるように、前記プレナムチャンバの側部へ接続され、前記第2の使用構成において、前記接続ポートは、前記上耳底点の下方に設けられる、請求項31に記載の患者インターフェース。
【請求項35】
前記第1の使用構成において、前記第1の位置決めおよび安定化構造は着用されて、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、前記接続ポートは、前記空気流れを前記空気回路から受容する、請求項31~34のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項36】
前記第2の使用構成において、前記第2の位置決めおよび安定化構造は着用されて、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、前記第1の位置決めおよび安定化構造の接続ポートは、前記空気流れを前記空気回路から受容する、請求項31または35に記載の患者インターフェース。
【請求項37】
空気回路から患者の気道の入口への加圧された空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第1の位置決めおよび安定化構造であって、前記第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備え、前記ガス送達管は、前記第1の使用構成において前記プレナムチャンバの側部上のポートへ接続され、前記患者インターフェースのシール形成構造を前記治療的に有効な位置に位置決めしかつ安定化させるように構築および配置される、第1の位置決めおよび安定化構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第2の位置決めおよび安定化構造であって、第2の使用構成において、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置される、第2の位置決めおよび安定化構造;
前記空気流れを前記空気回路から受容する第2の接続ポートであって、前記第2の接続ポートは、前記プレナムチャンバの前側部に設けられ、前記第2の使用構成において、前記第2の接続ポートは、前記空気流れを前記空気回路から受容して、前記空気流れを前記シール形成構造へ送達する、第2の接続ポート;および
前記第1の使用構成において前記第2の接続ポートへ接続するように構成された通気構造または停止部、を含む、患者インターフェース。
【請求項38】
患者の気道の入口への加圧された空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つの前記ガス送達管は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において前記空気流れを空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備え、前記ガス送達管は、前記第1の使用構成において前記プレナムチャンバの側部上のポートへ接続され、前記患者インターフェースのシール形成構造を前記治療的に有効な位置に位置決めしかつ安定化させるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
前記患者インターフェースは、1つ以上の通気構造または停止部をさらに含み、各通気構造または停止部は、前記第1の接続ポートおよび/または前記第2の接続ポートへ接続するように構成され、前記第1の使用構成において、前記空気回路は、前記第1の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第2の接続ポートへ接続され、前記第2の使用構成において、前記空気回路は、前記第2の接続ポートへ接続され、前記通気構造または停止部のうち1つは、前記第1の接続ポートへ接続される、患者インターフェース。
【請求項39】
空気回路から患者の気道の入口への加圧された空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第1の位置決めおよび安定化構造であって、前記第1の位置決めおよび安定化構造は、第1の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置された少なくとも1つのガス送達管を含み、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、前記第1の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う接続ポートを備え、前記ガス送達管は、前記プレナムチャンバの側部へ接続されるように構成された下端を有し、前記患者インターフェースのシール形成構造を前記第1の使用構成において前記治療的に有効な位置に位置決めしかつ安定化させるように構築および配置される、第1の位置決めおよび安定化構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された第2の位置決めおよび安定化構造であって、前記第2の位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのストラップを含み、少なくとも1つの前記ストラップは、第2の使用構成において前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触し、前記プレナムチャンバのヘッドギア取付点に接続されるように構築および配置される、第2の位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記ガス送達管の下端は、前記第1の位置決めおよび安定化構造が前記第1の使用構成と前記第2の使用構成との間で移動可能となるように、前記プレナムチャンバの側部へ接続され、
前記第2の使用構成において、前記接続ポートは、前記上耳底点の下方に設けられる、患者インターフェース。
【請求項40】
患者の気道の入口への加圧された空気流れの送達のための患者インターフェースであって、
プレナムチャンバ;
前記プレナムチャンバに設けられたシール形成構造;および
使用時において前記シール形成構造を患者の頭部上の治療的に有効な位置に保持するための力を提供するように構成された位置決めおよび安定化構造であって、前記位置決めおよび安定化構造は、少なくとも1つのガス送達管を含み、少なくとも1つの前記ガス送達管は、前記患者の頭部の上耳底点の上方の前記患者の頭部のうち少なくとも一領域と接触するように構築および配置され、前記ガス送達管のうち前記患者の頭部の上耳底点の上方の部分は、第1の使用構成において前記空気流れを空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第1の接続ポートを備え、前記ガス送達管は、前記第1の使用構成において前記プレナムチャンバの側部上のポートへ接続され、前記患者インターフェースのシール形成構造を前記治療的に有効な位置に位置決めしかつ安定化させるように構築および配置される、位置決めおよび安定化構造、を含み、
前記プレナムチャンバの前側部は、第2の使用構成において前記空気流れを前記空気回路から受容することと、前記空気流れを前記シール形成構造を介して前記患者の気道の入口へ送達することとを行う第2の接続ポートを備え、
前記第1の接続ポートおよび第2の接続ポートはそれぞれ、クロージャを備えて構成され、前記クロージャは、閉鎖状態から開放状態に移動可能に配置され、前記開放状態において、前記クロージャにより前記患者の気道の入口への前記空気流れの送達が可能になり、前記第1の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは開放状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の使用構成にあるとき、前記第1の接続ポートのクロージャは閉鎖状態にあり、前記第2の接続ポートのクロージャは開放状態にある、患者インターフェース。
【請求項41】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのプレナムチャンバを含み、各プレナムチャンバは、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項3740のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項42】
前記患者インターフェースは、1つよりも多くのシール形成構造を含み、各シール形成構造は、前記患者インターフェースの一部として交換可能に設けられるように構成される、請求項3741のうちいずれか一項に記載の患者インターフェース。
【請求項43】
前記プレナムチャンバ(単数または複数)および/またはシール形成構造(単数または複数)は、鼻マスク、鼻クッション、鼻枕またはフルフェイスマスクのうち1つ以上として構成される、請求項42に記載の患者インターフェース。
【国際調査報告】