(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】不均一な形態を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
G02C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020566264
(86)(22)【出願日】2020-06-04
(85)【翻訳文提出日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 IB2020055282
(87)【国際公開番号】W WO2020261001
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アザーム
(72)【発明者】
【氏名】リーデラー・ドナルド・イー
(72)【発明者】
【氏名】グズマン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】サンタ・マリア・ベルナルド
【テーマコード(参考)】
2H006
【Fターム(参考)】
2H006BB01
2H006BB05
2H006BB07
(57)【要約】
不均一な形態を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが記載されている。コンタクトレンズは、反応性混合物から製造でき、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、前記コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、前記レンズにおける前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、表面処理なしで、そのバルクよりも前記レンズの表面において大きい、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項2】
前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも1.5倍大きい、請求項1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項3】
前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも2.3倍大きい、請求項1~2のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項4】
前記非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、請求項1~3のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項5】
前記非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項6】
2.0重量パーセントの前記非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の前記反応生成物であるレンズにおいて、前記レンズが、75°以下の前進接触角を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項7】
前記前進接触角が50°以下である、請求項6に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項8】
最大約95重量パーセントのシリコーン含有成分を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項9】
約1~約80重量パーセントの親水性成分を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項10】
約0.5~約35重量パーセントの非反応性ポリマー内部湿潤剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【請求項11】
コンタクトレンズを製造する方法であって、前記方法が、
(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供することと、
(b)前記反応性混合物を重合させて前記コンタクトレンズを形成することと、を含み、
前記方法は、前記コンタクトレンズが、表面処理なしで、そのバルクよりも前記レンズの表面において大きい、前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比を有するような条件下で実施される、方法。
【請求項12】
前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも1.5倍大きい、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも2.3倍大きい、請求項11~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
2.0重量パーセントの前記非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の前記反応生成物であるレンズにおいて、前記レンズが、75°以下の前進接触角を含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記前進接触角が50°以下である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)が、前記反応性混合物を熱硬化させることを含む、請求項11~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記熱硬化が60~120℃の温度で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱硬化が85~120℃の温度で行われる、請求項18~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
工程(b)に続き、前記コンタクトレンズから未重合成分を除去する抽出工程の前に、前記コンタクトレンズが、0.3重量パーセント以下の未重合重合性成分を含有する、請求項11~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1~10のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを国に輸入する方法。
【請求項23】
前記国がアメリカ合衆国である、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年5月15日に出願された米国特許出願第16/875,164号、及び2019年6月24日に出願された米国特許仮出願第62/865,586号に対する優先権を主張するものであり、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、不均一な形態を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関する。より具体的には、本発明は、非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関し、非反応性ポリマー内部湿潤剤は、そのバルクよりもレンズの表面内で濃縮される。
【背景技術】
【0003】
ソフトコンタクトレンズは、ヒドロゲルを主成分にしている。多くのユーザは、ソフトコンタクトレンズを一日中装用するのに十分快適であると感じている。主要な2種類のソフトコンタクトレンズの材料が存在しており、シリコーンを含有していないヒドロゲルで形成されている従来型のソフトコンタクトレンズ、及びシリコーンヒドロゲルで形成されている従来型のソフトコンタクトレンズが存在する。
【0004】
シリコーンヒドロゲルは、高い酸素透過性を有する水膨潤ポリマーネットワークである。シリコーンヒドロゲルの課題の1つは、レンズ表面の固有の疎水性であり、これは眼との適合性を低減している。この疎水性の特性に対処するために、多くの戦略が採用されてきた。いくつかの技術は、親水性を加えるために、製造後のレンズ表面の改質に依っている。例えば、親水性表面コーティングの適用によってなされる。他の技術は、レンズ内に内部湿潤剤を含めることに依っている。この後者のアプローチの利点は、製造後の表面改質が不要であることである。欠点は、親水性湿潤剤が、多くの場合、モノマー混合物(シリコーン成分など)の疎水性成分と容易に適合できないことであり、その結果、相溶化材料を使用することを必要とし、したがって製剤に複雑性及びコストを加えることである。
【0005】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに親水性を付与するために使用されてきた一般的な湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)である。典型的な製造手順では、PVPは、光開始剤及び他の反応性成分を含有する反応性モノマー混合物に含まれ、次いで、紫外線又は可視光で開始の硬化(光化学硬化)を受ける。得られた生成物は、レンズ全体に均一に分布したPVPを含有する。
【0006】
PVPの主な利点の1つは、表面湿潤性などのレンズの表面特性に対する影響である。したがって、PVPはレンズを通して均一に分布しているが、典型的には、レンズ表面を依然として改善する十分な濃度で存在する。
【0007】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、業界で広範囲に及ぶ成功を経てきた。これらのレンズは、多くのレンズ着用者に高い酸素透過性及び良好なレベルの快適性をもたらす。それにもかかわらず、これらのレンズの、特に数日間連続した使用時に、例えば最大約30日の長期間の装用中に、不快感、及び視力の低下をもたらす過剰な眼での沈着を依然経る使用者が一部存在する。そのような不快感及び沈着は、上述の疎水特性、並びにタンパク質、脂質、及びムチンを伴うそれらの表面と、眼の親水性表面との相互作用に起因している。したがって、当分野には、更なる改善された表面特性を有する新規のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを開発する利点がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズに関し、湿潤剤は、バルクに対して、レンズの表面で濃縮されている。このようなレンズは、必要とされる薬剤を配置することによって、湿潤剤のより効率的な使用をもたらす。結果として得られる複数の利点は、例えば、既存のレンズと実質的に同じ全体的な湿潤剤の濃度で、より良好な表面湿潤性を含む。又は表面濃縮レンズは、既存のレンズと実質的に同じ湿潤性を達成するために、より少ない湿潤剤を使用する選択肢を提供することができ、これはひいては、製造プロセスを簡略化し、及び/又はコストを削減することができる。
【0009】
したがって、一態様では、本発明は、反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供し、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい。
【0010】
更なる態様では、本発明は、美容用コンタクトレンズを製造する方法を提供する。本方法は、(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含む反応性混合物を提供することと、(b)反応性混合物を重合させてコンタクトレンズを形成することと、を含み、方法は、コンタクトレンズが、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい、ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比を有するような条件下で実施される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明及び比較コンタクトレンズに関する、PVP/シリコーン比を用いたPVP表面及びバルク濃度を示すFTIRスペクトルを示す。
【
図2】本発明及び比較コンタクトレンズに関する、PVP/メタクリレート比を用いたPVP表面及びバルク濃度を示すFTIRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示において使用される用語に関しては、以下の定義が提供される。
【0013】
特段の規定がない限り、本明細書で用いられる全ての科学技術用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。ポリマーの定義は、Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示される定義に一致する。本明細書において言及される刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は全て、参照により本明細書に組み込まれる。
【0014】
本明細書で使用するとき、「(メタ)」という用語は、任意のメチル置換を意味する。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートの両方を意味する。
【0015】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、構造が置換基R*及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3つの可能性のある基のリストを含んでいる場合、9とおりの組み合わせが開示される。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0016】
一般式[***]nにおける「n」などの下付き文字が、ポリマーの化学式における反復単位の数を表示するために使用されるとき、式は、高分子の数平均分子量を表すと解釈すべきである。
【0017】
「個体」という用語は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0018】
「眼の表面」という用語は、角膜、結膜、涙腺、副涙腺、鼻涙管、及びマイボーム腺の表面及び腺上皮、並びにそれらの先端及び基部マトリクス、点、並びに神経支配による上皮の連続性と内分泌系及び免疫系との両方によって機能的システムとして連結されている瞼を含む隣接した又は関連する構造を含む。
【0019】
「コンタクトレンズ」という用語は、個体の眼の角膜上に置くことができる眼科用デバイスを指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の送達、診断的評価若しくはモニタリング、紫外線吸収、可視光若しくはグレアの低減、又はこれらの任意の組み合わせを含む、矯正的、美容的、又は治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、当該技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は弾性率、含水率、光透過、若しくはこれらの組み合わせなどの、異なる物理、機械、若しくは光学特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0020】
「標的巨大分子」は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、希釈剤などを含む反応性モノマー混合物から合成されている巨大分子を意味する。
【0021】
「重合性化合物」又は「重合性成分」という用語は、1つ又は2つ以上の重合性基を含有する化合物を意味する。この用語は、例えば、モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、架橋剤などを包含する。
【0022】
「重合性基」は、フリーラジカル及び/又はカチオン重合、例えばラジカル重合開始条件に供されたときに重合することができる炭素-炭素二重結合などの、連鎖成長重合を受けることができる基である。フリーラジカル反応性基の非限定的な例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。好ましくは、フリーラジカル重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、及びスチリル官能基、並びに前述のうちの任意の混合物を含む。より好ましくは、フリーラジカル重合性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及びこれらの混合物を含む。重合性基は、非置換であってもよく、又は置換されていてもよい。例えば、(メタ)アクリルアミド中の窒素原子は、水素に結合されてもよく、又は水素は、アルキル若しくはシクロアルキル(それ自体が更に置換されてもよい)で置換されてもよい。
【0023】
限定されるものではないが、バルク、溶液、懸濁液、及びエマルションを含む、任意の種類のフリーラジカル重合、並びに、安定性フリーラジカル重合、窒素酸化物媒介リビング重合、原子移動ラジカル重合、可逆的付加開裂連鎖移動重合、有機テルル媒介リビングラジカル重合などの、制御ラジカル重合法のいずれかを使用することができる。
【0024】
「モノマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的巨大分子の化学構造内に反復単位を作り出すことができる単官能性分子である。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用することができる二官能性不純物を有する。「親水性モノマー」はまた、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られるモノマーである。「親水性成分」は、5重量%の濃度にて25℃で、脱イオン水を用いて混合したときに、透明な単相溶液が得られる、モノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。「疎水性成分」は、25℃で脱イオン水中でわずかに可溶性又は不溶性であるモノマー、マクロマー、プレポリマー、開始剤、架橋剤、添加剤、又はポリマーである。
【0025】
「巨大分子」は、1500を超える数平均分子量を有する有機化合物であり、反応性であっても、非反応性であってもよい。
【0026】
「マクロモノマー」又は「マクロマー」は、連鎖成長重合、特にフリーラジカル重合を受け、それによって標的巨大分子の化学構造内に反復単位を作り出すことができる1つの基を有する巨大分子である。一般的に、マクロマーの化学構造は、標的高分子の化学構造とは異なり、すなわち、マクロマーのペンダント基の反復単位は、標的高分子又はその主鎖の反復単位とは異なる。モノマーとマクロマーとの間の差は、ペンダント基の化学構造、分子量、及び分子量分布のうちの1つに過ぎない。結果として、かつ本明細書で使用するとき、特許文献は、約1,500ダルトン以下の比較的低い分子量を有する重合性化合物としてモノマーを定義することがあり、これは、本質的にいくつかのマクロマーを含む。具体的には、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、モノマー又はマクロマーと称され得る。更に、特許文献は、1つ又は2つ以上の重合性基を有するものとしてマクロマーを定義することがあり、マクロマーの一般的な定義を本質的に拡大してプレポリマーを含む。結果として、かつ本明細書で使用するとき、二官能性及び多官能性マクロマー、プレポリマー、及び架橋剤は、互換的に使用され得る。
【0027】
「シリコーン含有成分」は、通常は、シロキシ基、シロキサン基、カルボシロキサン基、及びこれらの混合物の形態で、少なくとも1つのケイ素-酸素結合を有する、反応性混合物中のモノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はポリマーである。
【0028】
本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,070,215号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,943,203号、同第6,951,894号、同第7,052,131号、同第7,247,692号、同第7,396,890号、同第7,461,937号、同第7,468,398号、同第7,538,146号、同第7,553,880号、同第7,572,841号、同第7,666,921号、同第7,691,916号、同第7,786,185号、同第7,825,170号、同第7,915,323号、同第7,994,356号、同第8,022,158号、同第8,163,206号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,415,404号、同第8,420,711号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,568,626号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第8,980,972号、同第9,056,878号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9,156,934号、同第9,170,349号、同第9,217,813号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、及び欧州特許第080539号に見出すことができる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0029】
「ポリマー」は、重合中に使用されるモノマーの反復単位で構成される標的巨大分子である。
【0030】
「ホモポリマー」は、1つのモノマーから作製したポリマーであり、「コポリマー」は、2つ又は3つ以上のモノマーから作製したポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマーから作製したポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントからなる。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから作製される。
【0031】
「反復単位」は、特定のモノマー又はマクロマーの重合に対応する、ポリマー内の最小の基である。
【0032】
「開始剤」は、続いてモノマーと反応してフリーラジカル重合反応を開始することができるラジカルに分解可能である分子である。熱開始剤は、温度に応じて特定の速度で分解し、典型例は、1,1’-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)などのアゾ化合物、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、ジクミルペルオキシド、及びラウロイルペルオキシドなどのペルオキシド、過酢酸及び過硫酸カリウムなどの過酸、並びに様々な酸化還元系である。光開始剤は、光化学プロセスにより分解し、典型例は、ベンジル、ベンゾイン、アセトフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、及びこれらの混合物の誘導体、並びに様々なモノアシル及びビスアシルホスフィンオキシド、並びにこれらの組み合わせである。
【0033】
「架橋剤」は、分子上の2つ又は3つ以上の位置でフリーラジカル重合を受け、それによって分岐点及びポリマーネットワークを作り出すことができる、二官能性又は多官能性モノマー又はマクロマーである。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0034】
「プレポリマー」は、更に反応を受けてポリマーを形成可能な、残存している重合性基を含有するモノマーの反応生成物である。
【0035】
「ポリマーネットワーク」は、膨潤し得るが溶媒に溶解できない架橋巨大分子であり得る。「ヒドロゲル」は、典型的には少なくとも10重量%の水を吸収しながら、水又は水溶液中で膨潤するポリマーネットワークである。「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分と共に少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルである。親水性成分はまた、非反応性ポリマーを含んでもよい。
【0036】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しない成分から作製されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、親水性モノマーを含む反応性混合物から調製される。例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(「NVP」)、N,N-ジメチルアクリルアミド(「DMA」)、又は酢酸ビニルが挙げられる。米国特許第4,436,887号、同第4,495,313号、同第4,889,664号、同第5,006,622号、同第5,039459号、同第5,236,969号、同第5,270,418号、同第5,298,533号、同第5,824,719号、同第6,420,453号、同第6,423,761号、同第6,767,979号、同第7,934,830号、同第8,138,290号、及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示している。市販の従来のヒドロゲルとしては、エタフィルコン(etafilcon)、ゲンフィルコン(genfilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、オマフィルコン(omafilcon)、ポリマコン(polymacon)、及びビフィルコン(vifilcon)(それらの変形の全てを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つの親水性成分及び少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるポリマーネットワークを指す。シリコーンヒドロゲルの例としては、アクアフィルコン(acquafilcon)、アスモフィルコン(asmofilcon)、バラフィルコン(balafilcon)、コムフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリーフィルコン(galyfilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、サムフィルコン(samfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ソモフィルコン(somofilcon)、及びステンフィルコン(stenfilcon)(これらの変形の全てを含む)に加えて、米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、同第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/0048847号で調製されるようなシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、それら全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
「相互貫入ポリマーネットワーク」は、分子スケールで少なくとも部分的に交絡しているが、互いに共有結合しておらず、制動化学結合なしに分離することができない、2つ又は3つ以上のネットワークを含む。「半貫入ポリマーネットワーク」は、1つ又は2つ以上のネットワークと、少なくとも1つのネットワークと少なくとも1つのポリマーとの間の分子レベルで何らかの混合によって特徴付けられる1つ又は2つ以上のポリマーと、を含む。異なるポリマーの混合物は、「ポリマーブレンド」である。半貫入ネットワークは、技術的にはポリマーブレンドであるが、場合によっては、ポリマーは、容易に除去することができないように絡まっている。
【0039】
「反応性成分」は、反応性混合物(下で定義)中の重合性化合物(モノマー、マクロマー、オリゴマー、プレポリマー、及び架橋剤など)、並びに、重合及び全ての処理工程(抽出工程など)、及び包装工程が完了した後にポリマーネットワーク内に実質的に残留することを意図した反応性混合物中の任意の他の成分である。反応性成分は、共有結合、水素結合、静電相互作用、相互貫入ポリマーネットワークの形成、又は任意の他の手段によって、ポリマーネットワークに保持され得る。使用時にポリマーネットワークから放出することを意図した成分は、「反応性成分」と考えられる。例えば、装用時に放出されることが意図されるコンタクトレンズ内の医薬又は栄養補助成分は、「反応性成分」とみなされる。希釈剤などの製造プロセス中(例えば、抽出による)ポリマーネットワークから除去されることが意図される成分は、「反応性成分」ではない。
【0040】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」という用語は、共に混合されて、重合条件に供されるとポリマーネットワーク(従来の又はシリコーンヒドロゲルなど)、並びに生物医学的デバイス、眼科用デバイス、及びこれらから作製されるコンタクトレンズの形成をもたらす成分の混合物を指す。反応性混合物は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、及び開始剤などの反応性成分、湿潤剤、ポリマー、染料などの添加剤、UV吸収剤などの光吸収化合物、顔料、フォトクロミック化合物、医薬化合物、及び/又は栄養補助剤化合物を含み得、これらはいずれも重合性又は非重合性であってよいが、得られる生物医学用デバイス(例えば、コンタクトレンズ)に保持されることが可能である。反応性混合物はまた、希釈剤などの使用前にデバイスから除去されることが意図される他の成分を含有してもよい。製造されるコンタクトレンズ及び意図する用途に応じて、広範囲の添加物が加えられることがあると理解される。反応性混合物の成分の濃度は、反応性混合物中の全ての反応性成分、したがって希釈剤を除いた場合の重量百分率として表される。希釈剤が使用される場合、それらの濃度は、反応性混合物(希釈剤を含む)中の全ての成分の量に基づき重量百分率として表される。
【0041】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」という用語は、少なくとも1つのシリコーン含有成分から作製されるヒドロゲルコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは通常、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、それらの含水量及びポリマー含有量の両方を機能させて酸素を眼に送る。
【0042】
「多官能性」という用語は、2つ又は3つ以上の重合性基を有する成分を指す。「単官能性」という用語は、1つの重合性基を有する成分を指す。
【0043】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素を指す。
【0044】
「アルキル」は、指定された数の炭素原子を含有する任意選択で置換された直鎖又は分岐鎖アルキル基を指す。数が指定されていない場合、アルキル(アルキル上の任意選択の置換基を含む)は、1~16個の炭素原子を含有していてよい。好ましくは、アルキル基は、1~10個の炭素原子、あるいは1~8個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を含有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-及びtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチルなどが挙げられる。アルキル上の置換基の例としては、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アルキレン」は、-CH2-、-CH2CH{18>2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、及び-CH2CH2CH2CH2-などの、二価アルキル基を意味する。
【0045】
「ハロアルキル」は、1個又は2個以上のハロゲン原子で置換された上で定義されるアルキル基を指し、各ハロゲンは、独立して、F、Cl、Br、又はIである。好ましいハロゲンは、Fである。好ましいハロアルキル基は、1~6個の炭素、より好ましくは1~4個の炭素、更により好ましくは1~2個の炭素を含有する。「ハロアルキル」は、-CF3-又は-CF2CF3-などのペルハロアルキル基を含む。「ハロアルキレン」は、-CH2CF2-などの二価ハロアルキル基を意味する。
【0046】
「シクロアルキル」は、指定された数の環炭素原子を含有する任意選択で置換された環状炭化水素を指す。数が示されていない場合、シクロアルキルは、3~12個の環炭素原子を含有してもよい。好ましくは、C3~C8シクロアルキル基、C3~C7シクロアルキル、より好ましくはC4~C7シクロアルキル、更により好ましくはC5~C6シクロアルキルである。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルが挙げられる。シクロアルキル上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「シクロアルキレン」は、1,2-シクロヘキシレン、1,3-シクロヘキシレン、又は1,4-シクロヘキシレンなどの二価シクロアルキル基を意味する。
【0047】
「ヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つの環炭素が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されている、上で定義されるシクロアルキル環又は環系を指す。ヘテロシクロアルキル環は、任意選択で、他のヘテロシクロアルキル環及び/又は非芳香族炭化水素環及び/又はフェニル環に縮合しているか、又は他の方法で結合される。好ましいヘテロシクロアルキル基は、5~7員を有する。より好ましいヘテロシクロアルキル基は、5又は6員を有する。ヘテロシクロアルキレンは、二価ヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0048】
「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する、任意選択で置換された芳香族炭化水素環系を指す。アリール基は、示された数の環炭素原子を含有する。数が示されていない場合、アリールは、6~14個の環炭素原子を含有してもよい。芳香環は、任意選択で、他の芳香族炭化水素環又は非芳香族炭化水素環に縮合していてもよく、又は他の方法で結合されてもよい。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、及びビフェニルが挙げられる。アリール基の好ましい例としては、フェニルが挙げられる。アリール上の置換基の例としては、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、チオアルキル、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ、2つ、又は3つの基が挙げられる。「アリーレン」は、二価アリール基、例えば1,2-フェニレン、1,3-フェニレン、又は1,4-フェニレンを意味する。
【0049】
「ヘテロアリール」は、上で定義したように、少なくとも1つの環炭素原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子で置換されているアリール環又は環系を指す。ヘテロアリール環は、1つ又は2つ以上のヘテロアリール環、芳香族若しくは非芳香族炭化水素環、又はヘテロシクロアルキル環に縮合していてもよく、又は別の方法で結合されてもよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリル、及びチエニルが挙げられる。「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基を意味する。
【0050】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、及びイソプロポキシが挙げられる。「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して親分子に結合しているアルキル基を意味する。チオアルキル基の例としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、及びイソプロピルチオが挙げられる。「アリールオキシ」は、酸素架橋を介して親分子部分に結合しているアリール基を指す。例としては、フェノキシが挙げられる。「環状アルコキシ」は、酸素架橋を介して親部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
【0051】
「アルキルアミン」は、-NH架橋を介して親分子部分に結合しているアルキル基を指す。アルキレンアミンは、-CH2CH2NH-などの二価アルキルアミン基を意味する。
【0052】
「シロキサニル」は、少なくとも1つのSi-O-Si結合を有する構造を指す。したがって、例えば、シロキサニル基は、少なくとも1つのSi-O-Si基(すなわち、シロキサン基)を有する基を意味し、シロキサニル化合物は、少なくとも1つのSi-O-Si基を有する化合物を意味する。「シロキサニル」は、モノマー(例えば、Si-O-Si)並びにオリゴマー/ポリマー構造(例えば、-[Si-O]n-(式中、nは2又は3以上である)を包含する。シロキサニル基中の各ケイ素原子は、それらの原子価を完全なものにするために、独立して選択されるRA基(ここで、RAは、式Aの選択肢(b)~(i)で定義されるとおりである)で置換されている。
【0053】
「シリル」は、式R3Si-の構造を指し、「シロキシ」は、式R3Si-O-の構造を指し、ここで、シリル又はシロキシ中の各Rは、トリメチルシロキシ、C1~C8アルキル(好ましくはC1~C3アルキル、より好ましくはエチル又はメチル)、及びC3~C8シクロアルキルから独立して選択される。
【0054】
「アルキレンオキシ」は、一般式-(アルキレン-O-)p-又は-(O-アルキレン)p-の基を指し、ここで、アルキレンは、上で定義したとおりであり、pは、1~200、又は1~100、又は1~50、又は1~25、又は1~20、又は1~10であり、各アルキレンは、独立して、ヒドロキシル、ハロ(例えば、フルオロ)、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシル、及びこれらの組み合わせから独立して選択される1つ又は2つ以上の基で任意選択で置換されている。pが1より大きい場合、各アルキレンは、同じであっても異なっていてもよく、アルキレンオキシは、ブロック又はランダム構成であってもよい。アルキレンオキシが分子中に末端基を形成するとき、アルキレンオキシの末端は、例えば、ヒドロキシ又はアルコキシ(例えば、HO-[CH2CH2O]p-又はCH3O-[CH2CH2O]p-)であってもよい。アルキレンオキシの例としては、ポリエチレンオキシ、ポリプロピレンオキシ、ポリブチレンオキシ、及びポリ(エチレンオキシ-コ-プロピレンオキシ)が挙げられる。
【0055】
「オキサアルキレン」は、1つ又は2つ以上の非隣接CH2基が、-CH2CH2OCH(CH3)CH2-などの酸素原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。「チアアルキレン」は、1つ又は2つ以上の非隣接CH2基が、-CH2CH2SCH(CH3)CH2-などの硫黄原子で置換されている、上で定義されるアルキレン基を指す。
【0056】
「連結基」という用語は、重合性基を親分子に連結させる部分を指す。連結基は、当該連結基がその一部である化合物に相溶し、化合物の重合を所望しないように妨害せず、重合条件、更には最終生成物の加工及び保管の条件下で安定である任意の部分であってよい。例えば、連結基は、結合であってもよく、又は1つ以上のアルキレン、ハロアルキレン、アミド、アミン、アルキレンアミン、カルバメート、エステル(-CO2-)、アリーレン、ヘテロアリーレン、シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アルキレンオキシ、オキサアルキレン、チアアルキレン、ハロアルキレンオキシ(1つ以上のハロ基で置換されたアルキレンオキシ、例えば、-OCF2-、-OCF2CF2-、-OCF2CH2-)、シロキサニル、アルキレンシロキサニル、又はこれらの組み合わせを含んでいてもよい。連結基は、1つ又は2つ以上の置換基で任意選択で置換されてもよい。好適な置換基としては、アルキル、ハロ(例えば、フルオロ)、ヒドロキシル、HO-アルキレンオキシ、MeO-アルキレンオキシ、シロキサニル、シロキシ、シロキシ-アルキレンオキシ-、シロキシ-アルキレン-アルキレンオキシ-(1つを超えるアルキレンオキシ基が存在してもよく、アルキレン及びアルキレンオキシ中の各メチレンは、独立して、ヒドロキシルで任意選択で置換されている)、エーテル、アミン、カルボニル、カルバメート、及びこれらの組み合わせから独立して選択されるものを挙げることができる。連結基はまた、(メタ)アクリレートなどの重合性基で置換されてもよい(連結基が連結している重合性基に加えて)。
【0057】
好ましい連結基としては、C1~C8アルキレン(好ましくは、C2~C6アルキレン)及びC1~C8オキサアルキレン(好ましくは、C2~C6オキサアルキレン)が挙げられ、これらはそれぞれ、ヒドロキシル及びシロキシから独立して選択される1つ又は2つの基で任意選択で置換されている。好ましい連結基としてはまた、カルボキシレート、アミド、C1~C8アルキレン-カルボキシレート-C1~C8アルキレン、又はC1~C8アルキレン-アミドC1~C8アルキレンが挙げられる。
【0058】
連結基が上述のような部分(例えば、アルキレン及びシクロアルキレン)の組み合わせからなる場合、部分は任意の順序で存在してもよい。例えば、下記の式Aにおいて、Lが、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレン-、又はRg-シクロアルキレン-アルキレン-のいずれかであってもよい。これにかかわらず、列記する順序は、連結基が結合している末端重合性基(Rg又はPg)から始まって、その部分が化合物中に現れる好ましい順序を表す。例えば、式Aにおいて、Lが、-アルキレン-シクロアルキレン-であると示されている場合、好ましくは、Rg-Lは、Rg-アルキレン-シクロアルキレンである。
【0059】
「表面処理なし」又は「表面処理されていない」という語句は、表面における非反応性ポリマー内部湿潤剤の増加、並びに本発明のレンズの改善された表面湿潤性が、湿潤性を改善するためにレンズの外面を別々に処理する必要なく達成されることを意味する。表面処理は、プラズマ処理及びコーティングを含んでもよい。抗菌コーティング、あるいは色又は他の美容補強の用途などの、改善された湿潤性以外の特性を付与するコーティングは、表面処理とはみなされない。
【0060】
「表面」という用語は、非反応性ポリマー湿潤剤が存在していることに関して使用されるとき、レンズの外側領域、例えば、ATR赤外分光法によって分析され得る領域を意味する。表面は、レンズの外側の2マイクロメートルを含んでもよい。「バルク」という用語は、コンタクトレンズ内に非反応性ポリマー湿潤剤が存在していることに関して使用されるとき、その表面を含むレンズ全体を意味する。
【0061】
別途記載のない限り、比率、百分率、部などは重量による。
【0062】
別途記載のない限り、例えば、「2~10」のような数字範囲は、その範囲を定義する数字(例えば、2及び10)を含む。
【0063】
上記のように、一態様では、本発明は、反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0064】
本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ中のポリマー非反応性内部湿潤剤の、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズのシリコーンに対するモル比は、そのバルクよりもレンズの表面において少なくとも1.5倍大きくてもよい。ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、そのバルクよりもレンズの表面において、少なくとも2倍大きくても、あるいは少なくとも2.3倍大きくても、あるいは少なくとも3倍大きくても、あるいは少なくとも3.5倍大きくても、あるいは少なくとも4倍大きくても、あるいは少なくとも4.9倍大きくても、あるいは少なくとも6倍大きくても、あるいは少なくとも7倍大きくても、あるいは少なくとも7倍大きくても、あるいは少なくとも9倍大きくてもよい。この構成比及び他の構成比は、様々な方法によって測定することができる。実施例に、例示的な方法が記載される。この方法は、全反射測定法(ATR)及び透過モードの両方において赤外分光法を用いて、表面及びバルクにおけるレンズの構成分子の相対的な量を測定する。この方法によれば、シリコーンは、当業者に理解されるように、材料の赤外スペクトルにおけるシリコーン振動モードによって特定される。
【0065】
シリコーンヒドロゲルレンズが、(メタ)アクリレート基を含有する材料から作製される場合、そのような基は、IR分光法において容易に可視にすることができる。したがって、(メタ)アクリレート基が存在する場合、バルクに対する表面のポリマー非反応性内部湿潤剤の濃度の増加はまた、ポリマー非反応性内部湿潤剤と(メタ)アクリレートとのモル比の観点から表され得る。したがって、このようにして表すと、本発明のコンタクトレンズは、表面処理なしで、レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤の(メタ)アクリレート基に対するモル比を含んでもよく、これは、そのバルクよりもレンズの表面において大きい。例えば、ポリマー非反応性内部湿潤剤の(メタ)アクリレートに対するモル比は、そのバルクよりもレンズの表面において、少なくとも1.5倍大きくても、あるいは、少なくとも2倍大きくても、あるいは少なくとも2.5倍大きくても、あるいは少なくとも3倍大きくても、あるいは少なくとも3.5倍大きくても、あるいは少なくとも4倍大きくても、あるいは少なくとも4.5倍大きくても、あるいは少なくとも6倍大きくても、あるいは少なくとも7倍大きくても、あるいは少なくとも8倍大きくても、あるいは少なくとも9倍大きくてもよい。
【0066】
ポリマー非反応性内部湿潤剤の濃度がレンズの表面で高められるのと同時に、他の構成分子は、レンズ全体にわたって実質的に均質に分布したままであり得る。例えば、ポリマー非反応性内部湿潤剤以外のポリマーネットワークの親水性部分、例えば、反応性モノマー混合物の親水性成分(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート)を介して導入されるものは、レンズ内に実質的に均質に分布されてもよい。例として、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤以外の親水性構成分子のシリコーンに対するモル比は、そのバルクよりもレンズの表面において1.2倍以下、あるいは1.1倍以下大きくてもよい。更なる例として、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤以外の親水性構成分子のシリコーンに対するモル比は、そのバルクとレンズの表面とでほぼ同じであってもよい。
【0067】
上述のように、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、レンズの表面で非反応性ポリマー内部湿潤剤を濃縮することによって、いくつかの望ましい特性を付与する。そのような一特性は、改善版表面湿潤性(動的接触角を前進させることによって測定される)である。例えば、非反応性ポリマー内部湿潤剤の、わずか2重量パーセント又はわずか2.5重量パーセント含有の反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、表面処理なしで、75°以下、又は70°以下、又は60°以下、又は50°以下、又は45°以下、又は40°以下、又は35°以下、又は30°以下、又は25°以下、又は22°以下の動的前進接触角(Wilhelmyプレート法)を呈することが見出されている。対照的に、実施例によって実証されるように、同じ量の非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物から調製されたが、湿潤剤が表面で濃縮されていないレンズである場合、75°超の前進接触角を呈する(表面処理なし)。
【0068】
本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、反応性混合物の反応生成物を含み、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含有する。
【0069】
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分は、1つ又は2つ以上の重合性化合物を含み、各化合物は、独立して、少なくとも1つの重合性基、少なくとも1つのシロキサン基、及び重合性基(複数可)をシロキサン基(複数可)に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含む。シリコーン含有成分は、例えば、下記に定義される基などの1~220個のシロキサン反復単位を含有してもよい。シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。
【0070】
シリコーン含有成分は、上で定義された1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で反復するシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、スチリル、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、ビニル基、又はこれらの混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で反復するシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0071】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、スチリル、又は前述の混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で反復するシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0072】
シリコーン含有成分は、独立して、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、又は前述の混合物である1つ又は2つ以上の重合性基、1つ又は2つ以上の任意選択で反復するシロキサン単位、及び重合性基をシロキサン単位に接続する1つ又は2つ以上の連結基を含み得る。
【0073】
シリコーン含有成分は、式Aの1つ以上の重合性化合物を含んでもよく、
【0074】
【化1】
式中、
少なくとも1つのR
Aは、式R
g-Lの基であり、ここで、R
gは、重合性基であり、Lは、連結基であり、残りのR
Aは、それぞれ独立して、
(a)R
g-L-、
(b)1つ又は2つ以上のヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC
1~C
16アルキル、
(c)1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC
3~C
12シクロアルキル、
(d)1つ又は2つ以上のアルキル、ヒドロキシ、アミノ、アミド、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、カルボニル、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロ、フェニル、ベンジル、又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されているC
6~C
14アリール基、
(e)ハロ、
(f)アルコキシ、環状アルコキシ、又はアリールオキシ、
(g)シロキシ、
(h)ポリエチレンオキシアルキル、ポリプロピレンオキシアルキル、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル)などのアルキレンオキシ-アルキル又はアルコキシ-アルキレンオキシ-アルキル、あるいは
(i)アルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロ又はこれらの組み合わせで任意選択で置換されている1~100個のシロキサン反復単位を含む一価シロキサン鎖であり、
nは、0~500、又は0~200、又は0~100、又は0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される。nが2以上であるとき、SiO単位は、同じ又は異なるR
A置換基を担持してもよく、異なるR
A置換基が存在する場合、n基は、ランダム又はブロック構成であってもよい。
【0075】
式Aにおいて、3つのRAは、それぞれ重合性基を含んでもよく、代替的に2つのRAは、それぞれ重合性基を含んでもよく、又は代替的に1つのRAは、重合性基を含んでもよい。
【0076】
本発明での使用に好適なシリコーン含有成分の例としては、限定するものではないが、表Aに列挙される化合物が挙げられる。表Aの化合物がポリシロキサン基を含有する場合、このような化合物におけるSiO繰り返し単位の数は、別途記載のない限り、好ましくは3~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~20である。
【0077】
【0078】
【0079】
好適なシリコーン含有成分の更なる非限定的な例は、表Bに列挙されている。別途記載のない限り、適用可能であるj2は、好ましくは1~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。j1又はj2を含有する化合物において、j1とj2の合計は、好ましくは2~100、より好ましくは3~40、又は更により好ましくは3~15である。
【0080】
【0081】
【0082】
シリコーン含有成分は、ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分であってもよい。シリコーン含有成分の混合物を使用してもよい。例えば、好適な混合物は、ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分及び非ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分を含み得る。さらなる例として、好適な混合物としては、4個及び15個のSiO繰り返し単位を含有するOH-mPDMSの混合物などの、異なる分子量を有するモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシ)-プロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)の混合物;異なる分子量を有するOH-mPDMS(例えば、4個及び15個の繰り返しSiO繰り返し単位を含有する)と、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)などのシリコーン系架橋剤との混合物;2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)と、mPDMS1000などのモノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)との混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0083】
本発明で使用するシリコーン含有成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有することができる。
【0084】
シリコーン含有成分(複数可)は、反応性混合物(すなわち、希釈剤を除く)の、全ての反応性成分に基づいて、最大約95重量%、又は約10~約80重量%、又は約20~約70重量%の量で存在し得る。
【0085】
反応性混合物において使用できる親水性モノマーの好適なファミリーの例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0086】
親水性(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーの非限定的な例としては、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、N-(4-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、3-アミノプロピル(メタ)アクリレート、2-アミノプロピル(メタ)アクリレート、N-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド)、N-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-2-アミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス-3-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、N,N-ビス-2-アミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0087】
親水性モノマーはまた、アニオン性、カチオン性、双性イオン性、ベタイン、及びこれらの混合物など、イオン性であってもよい。このような荷電モノマーの非限定的な例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドプロパン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、及びメタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0088】
親水性N-ビニルラクタムモノマー及びN-ビニルアミドモノマーの非限定的な例としては、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(NVA)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド(VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0089】
親水性O-ビニルカルバメートモノマー及びO-ビニルカーボネートモノマーの非限定的な例としては、N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルが挙げられる。親水性ビニルカーボネートモノマー又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示されている。親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0090】
他の親水性ビニル化合物としては、エチレングリコールビニルエーテル(EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(DEGVE)、アリルアルコール、及び2-エチルオキサゾリンが挙げられる。
【0091】
親水性モノマーはまた、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアミドなどの重合性部分を有する、直鎖若しくは分岐鎖ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマー又はプレポリマーであってもよい。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの重合性基を有し、プレポリマーは、2つ又は3つ以上の重合性基を有し得る。
【0092】
本発明の好ましい親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物である。好ましい親水性モノマーとしては、NVP、DMA、及びHEMA、又はこれらの混合物が挙げられる。また、好ましい親水性モノマーとしては、DMA及びHEMAの混合物が挙げられる。他の好適な親水性モノマーは、当業者には明らかとなるであろう。
【0093】
一般に、反応性モノマー混合物中に存在する親水性モノマーの量に関して、特に制限はない。親水性モノマーの量は、含水量、透明性、湿潤性、タンパク質取り込みなどを含む、得られるヒドロゲルの所望の特性に基づいて選択され得る。湿潤性は、接触角によって測定され得、望ましい接触角は、約100°未満、約80°未満、及び約60°未満である。親水性モノマーは、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づき、例えば、約0.1~約100重量パーセントの範囲、あるいは約1~約80重量パーセントの範囲、あるいは約5~約65重量パーセントの範囲、あるいは約40~約60重量パーセントの範囲、あるいは約55~約60重量パーセントの範囲の量で存在し得る。
【0094】
本発明の反応性混合物は、非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する。非反応性ポリマー内部湿潤剤は、親水性ポリマーであってもよい。非反応性ポリマー内部湿潤剤は、少なくとも約50,000ダルトン、あるいは少なくとも約100,000ダルトン、あるいは少なくとも約150,000ダルトンの重量平均分子量を有してもよく;約150,000~約2,000,000ダルトンを有してもよく;約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトンを有してもよい。反応性モノマー混合物と相溶性である場合、高分子量ポリアミドを使用することができる。
【0095】
あるいは、非反応性ポリマー内部湿潤剤の分子量は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,N-Vinyl Amide Polymers,Second edition,Vol.17,pgs.198-257,John Wiley&Sons Incに記載されているように、動粘度測定値に基づいて、K値によって表すことができる。かように表される場合、約46超、一実施形態では約46~約150のK値を有する非反応性ポリマー内部湿潤剤が好ましい。約K60~K120、あるいは約K80~K100、又は代替的に約K90のK値も好ましい。
【0096】
本発明の反応性モノマー組成物に添加可能な非反応性ポリマー内部湿潤剤の量は、使用する他の構成成分、及び得られる生成物の所望の性質に応じて変化し得る。例えば、非反応性ポリマー内部湿潤剤は、約0.5重量パーセント~約35重量パーセント、約1重量%~約20重量%、約1重量%~約15重量%、約2重量%~約15重量%、又は約2~約12%の量で、全て反応性成分全部の合計量に基づき、含まれ得る。非反応性ポリマー内部湿潤剤の量は、全ての反応性成分の総重量に基づいて、約1重量%~約10重量%の範囲であり得る。
【0097】
本発明で使用できる非反応性ポリマー内部湿潤剤は、限定されるものではないが、ホモポリマー、統計的ランダムコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、セグメント化ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、及びこれらの混合物が挙げられる。非反応性ポリマー内部湿潤剤の非限定的例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、ポリエーテル、ポリ酸ホモポリマー、並びにアクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル化合物を含む好適なモノマーのフリーラジカル重合によって調製されたコポリマーである。非反応性ポリマー内部湿潤剤は、本明細書に列挙されたものを含む、任意の親水性モノマーから製造され得る。
【0098】
好適な非反応性ポリマー内部湿潤剤としては、ポリアミドが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用するとき、「ポリアミド」という用語は、アミド基を含有する反復単位を含むポリマー及びコポリマーを指す。ポリアミドは、環状アミド基、非環状アミド基、及びこれらの組み合わせを含み得、当業者に既知の任意のポリアミドであってもよい。非環状ポリアミドは、ペンダント非環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との会合が可能である。
【0099】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式G1及びG2の反復単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0100】
【化2】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
44)-であり、式中、R
44は、C
1~C
3アルキル基であり、R
40は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル基、R
41は、H、直鎖又は分岐鎖の置換又は非置換C
1~C
4アルキル基、最大2個の炭素原子を有するアミノ基、最大4個の炭素原子を有するアミド基、及び最大2個の炭素基を有するアルコキシ基から選択され、R
42は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
43は、H、直鎖若しくは分岐鎖の置換若しくは非置換C
1~C
4アルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
40及びR
41の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下であり、R
42及びR
43の炭素原子の数は合計で、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下である。R
40及びR
41の炭素原子の数は、合計で6以下又は4以下であってよい。R
42及びR
43の炭素原子の数は、合計で6以下であってよい。本明細書で使用するとき、置換アルキル基は、アミン基、アミド基、エーテル基、ヒドロキシル基、カルボニル基、若しくはカルボキシル基、又はこれらの組み合わせで置換されているアルキル基を含む。
【0101】
R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基から選択され得る。Xは、直接結合であってもよく、R40及びR41は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基から選択され得る。R42及びR43は、独立して、H、置換又は非置換C1~C2アルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0102】
非環状ポリアミドは、式LV若しくは式LVIの反復単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G若しくは式G1の反復単位の少なくとも50モル%を含み得る。式G及び式G1の反復単位の具体的な例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、並びに式G2及びG3の非環状アミド由来の反復単位が挙げられる。
【0103】
【0104】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例として、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式G4の反復単位を含むポリマー及びコポリマー
【0105】
【化4】
式中、R
45は、水素原子又はメチル基であり、fは、1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CONHR
46)-であり、ここで、R
46は、C
1~C
3アルキル基である。式LIX中、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式G4中、fは、5、4、3、2、又は1を含む、6以下であり得る。式G4中、fは、2、3、4、5、6、7、又は8を含む、2~8であり得る。式LIX中、fは、2又は3であり得る。Xが直接結合のとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0106】
環状ポリアミドは、式G4の反復単位の50モル%以上を含んでもよく、又は環状ポリアミドは、少なくとも70モル%、及び少なくとも80モル%など、式G4の反復単位の少なくとも50モル%を含んでもよい。
【0107】
ポリアミドはまた、環状アミド及び非環状アミドの両方の反復単位を含むコポリマーであってもよい。追加の反復単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、他の親水性モノマー、及びシロキサン置換(メタ)アクリレートから選択されるモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されるモノマーのいずれも、追加の繰り返し単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体的な例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーも含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸、N-[(エテニルオキシ)カルボニル]-β-アラニン(VINAL、CAS#148969-96-4)、3-アクリルアミドプロパン酸(ACA1)、5-アクリルアミドペンタン酸(ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-(メタクリロイルオキシ)エチルトリメチルアンモニウムクロリド(Q塩又はMETAC)、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、1-プロパンアミニウム,N-(2-カルボキシエチル)-N,N-ジメチル-3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]-,分子内塩(CBT、カルボキシベタイン、CAS 79704-35-1)、1-プロパンアミニウム,N,N-ジメチル-N-[3-[(1-オキソ-2-プロペン-1-イル)アミノ]プロピル]-3-スルホ-,分子内塩(SBT、スルホベタイン、CAS 80293-60-3)、3,5-ジオキサ-8-アザ-4-ホスファウンデカ-10-エン-1-アミニウム,4-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチル-9-オキソ-,分子内塩,4-オキシド(9CI)(PBT、ホスホベタイン、CAS 163674-35-9、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(APDAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(MAPDAPS)が挙げられる。
【0108】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方又はそれらのコポリマーを含んでもよい。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はこれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及び混合物の群から選択され得る。ポリアミドは、PVP(例えば、PVP K90)とPVMA(例えば、約570KDaのMwを有する)の混合物であってよい。
【0109】
好ましい非反応性ポリマー内部湿潤剤としては、ポリアミド、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、及びコポリマー、並びにこれらの混合物から選択されるものが挙げられる。特に好ましい非反応性ポリマー内部湿潤剤は、PVP、より好ましくはPVP K90である。別の好ましい湿潤剤はPVMAである。
【0110】
本発明で使用するためのポリアミドなどの非反応性ポリマー内部湿潤剤は、非重合性であり、そのため、半浸透ネットワーク組織としてシリコーンヒドロゲルに組み込まれる。ポリアミドは、シリコーンヒドロゲル内に封入されるか、又は物理的に保持される。シリコーンヒドロゲルはまた、重合性ポリアミドなどの重合性内部湿潤剤、例えばポリアミドマクロマー又はプレポリマーを含有してもよく、この場合、シリコーンヒドロゲルに共有結合される。重合性及び非重合性のポリマー湿潤剤の混合物もまた使用され得る。
【0111】
本発明の反応性混合物は、重合開始剤を含有する。好ましくは、重合開始剤は、熱開始剤である。熱開始剤は、高温で分解してフリーラジカルを生成する。典型的な例は、1,1-アゾビスイソブチロニトリル及び4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)などのアゾ化合物である。重合開始剤の量は重要ではなく、例えば、反応性混合物中の全ての反応性成分の総重量に基づいて、約0.1~約2.0重量%の範囲であってもよい。
【0112】
反応性混合物は、架橋剤、希釈剤、開始剤、UV吸収剤、可視光吸収剤、光互変化合物、医薬品、栄養補助剤、抗菌物質、着色剤、顔料、共重合性染料、非重合性染料、及びこれらの組み合わせなどであるがこれらに限定されない、追加成分を含有し得る。
【0113】
記載しているように、架橋モノマー、多官能性マクロマー、及びプレポリマーとも称される1つ又は2つ以上の架橋剤を反応性混合物に含むことができる。架橋剤は、二官能性架橋剤、三官能性架橋剤、四官能性架橋剤、及びこれらの混合物から選択されてもよく、これにはシリコーン含有架橋剤及び非シリコーン含有架橋剤が含まれる。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(TEGDMA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPTMA)、トリアリルシアヌレート(TAC)、グリセロールトリメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(HEMAVc)、アリルメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(MBA)、及びポリエチレングリコールジメタクリレートが挙げられ、ポリエチレングリコールは、最大約5000ダルトンの分子量を有する。架橋剤は、多様な量、例えば、反応性混合物において反応性成分100グラム当たり約0.000415~約0.0156モルで用いられてもよい。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への追加の架橋剤の添加を必要としない親水性モノマー及びマクロマーの例としては、(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドでエンドキャップされたポリエーテルが挙げられる。他の架橋剤は当業者に既知となり、本発明のシリコーンヒドロゲルを作製するために使用され得る。
【0114】
製剤中の他の反応性成分のうちの1つ又は2つ以上に対して同様の反応性を有する架橋剤を選択することが望ましい場合がある。場合によっては、得られるシリコーンヒドロゲルのいくらかの物理的、機械的、又は生物学的特性を制御するために、異なる反応性を有する架橋剤の混合物を選択することが望ましい場合がある。シリコーンヒドロゲルの構造及び形態は、使用される希釈剤(複数可)及び硬化条件によっても影響を受け得る。
【0115】
弾性率を更に増加させ、引張強度を維持するために、マクロマー、架橋剤、及びプレポリマーを含む、多官能性シリコーン含有成分も含まれ得る。シリコーン含有架橋剤は、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用することができ、存在する場合に反応性混合物への架橋モノマーの添加を必要としないシリコーン含有成分の例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloxypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。別の例は、ビス-3-アクリルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシプロピルポリジメチルシロキサン(ac-PDMS)である。
【0116】
硬い化学構造、及びフリーラジカル重合を受ける重合性基を有する架橋剤もまた使用され得る。好適な硬い構造の非限定的な例としては、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにこれらの組み合わせなど、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられる。硬い架橋剤は、全反応性成分の総重量に基づき、約0.5~約15%、又は約2~10、又は3~7の量で含まれ得る。本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物中の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。
【0117】
シリコーン架橋剤の非限定的な例としては、上記の表Aに記載の多官能性シリコーン含有成分も挙げられる。
【0118】
シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素原子を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。希釈剤は、一級、二級及び三級アルコールであり得る。
【0119】
一般に、反応性成分は、希釈剤中で混合して、反応性混合物を形成する。好適な希釈剤は、当該技術分野において既知である。シリコーンヒドロゲルについて、好適な希釈剤は、国際公開第03/022321号及び米国特許第6020445号に開示されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。シリコーンヒドロゲル反応性混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミンから誘導される10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類には、5~20個の炭素を有するアルコール及び10~20個の炭素原子を有するカルボン酸が挙げられる。使用され得る具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、これらの混合物などが挙げられる。アミド希釈剤の例としては、N,N-ジメチルプロピオンアミド及びジメチルアセトアミドが挙げられる。
【0120】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、これらの混合物などが挙げられる。
【0121】
より好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、これらの混合物などが挙げられる。
【0122】
希釈剤が存在する場合、一般に、希釈剤の存在量に関して特定の制限はない。希釈剤を使用するとき、希釈剤は、(反応性製剤及び非反応性製剤を含む)反応性混合物の総重量に基づいて、約5~約50重量パーセントの範囲及び約15~約40重量パーセントの範囲など、約2~約70重量パーセントの範囲の量で存在し得る。希釈剤の混合物を使用してもよい。
【0123】
本発明の反応性混合物は、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びこれらの混合物から選択される親水性成分、式Aの化合物を含むシリコーン含有成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤(好ましくはポリアミド、より好ましくはPVP又はPVMA)、及び重合開始剤を含み得る。
【0124】
反応性混合物は、DMA、HEMA、及びこれらの混合物から選択される親水性成分と、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)、及びこれらの混合物から選択されるシリコーン含有成分と、非反応性ポリマー内部湿潤剤(好ましくはポリアミド、より好ましくはPVP又はPVMA)と、重合開始剤とを含み得る。親水性成分については、DMA及びHEMAの混合物が好ましい。シリコーン含有成分については、SiMAA及びmPDMSの混合物が好ましい。
【0125】
反応性混合物は、DMA及びHEMAの混合物を含む親水性成分と、2~20個の繰り返し単位を有するOH-mPDMSの混合物(好ましくは4個及び15個の繰り返し単位の混合物)を含むシリコーン含有成分と、非反応性ポリマー内部湿潤剤(好ましくはポリアミド、より好ましくはPVP又はPVMA)と、重合開始剤とを含み得る。好ましくは、反応性混合物は、ac-PDMSなどのシリコーン含有架橋剤を更に含む。
【0126】
反応性混合物は、約1~約15重量%の非反応性ポリマー内部湿潤剤(好ましくはポリアミド、例えば、非環式ポリアミド、環状ポリアミド、又はこれらの混合物)と、重合開始剤と、4~8個のシロキサン繰り返し単位を有する少なくとも1つの第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは4~8であり、好ましくはnは4である))と、10~200個、又は10~100個、又は10~50個、又は10~20個のシロキサン繰り返し単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)である少なくとも1つの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、OH-mPDMS(式中、nは10~200、又は10~100、又は10~50、又は10~20であり、好ましくはnは15である)と、約5~約35重量%の少なくとも1つの親水性モノマーと、任意選択で、10~200個又は10~100個のシロキサン繰り返し単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)(例えば、ac-PDMS)と、を含み得る。好ましくは、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)及び第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)は、0.4~1.3又は0.4~1.0の第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量パーセントの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量パーセントに対する比を提供するような濃度で存在する。
【0127】
反応性混合物をレンズ成形型内で硬化させて、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成し得る。上述のように、本発明のレンズは、レンズ表面における濃縮を強化する非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する。その濃縮を達成するために、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する反応性混合物の硬化は、好ましくは、熱硬化条件下で実施される。特に、特定の熱硬化の温度範囲を選択することによって、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを調製することができることが発見された。上述のように、このようなレンズは、必要とされる薬剤を配置することによって、湿潤剤のより効率的な使用をもたらし、例えば、既存のレンズと実質的に同じ全体的な湿潤剤濃度での改善された表面湿潤性に至る。又は表面濃縮レンズは、既存のレンズと実質的に同じ湿潤性を達成するために、より少ない湿潤剤を使用する選択肢を提供することができ、これはひいては、製造プロセスを簡略化し、及び/又はコストを削減することができる。
【0128】
本発明の選択された熱硬化条件はまた、より効率的な硬化プロセスをもたらす。特に、本明細書に記載の熱硬化条件下では、反応性混合物内の重合性成分のポリマーへの総変換率が大幅に改善されることが更に発見されている。例えば、反応性混合物の重合後であるが抽出前に、本発明の方法によって作製されたコンタクトレンズは、他の熱硬化の方法を含む他の方法によって作製されたレンズよりも、少ない未重合重合性成分を含有し得る。例えば、レンズは、0.3重量パーセント以下の未重合重合性成分(硬化後であるが抽出前)を含有してもよい。
【0129】
本発明によれば、コンタクトレンズの製造方法が提供される。本方法は、(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供することと、(b)反応性混合物を重合させてコンタクトレンズを形成することと、を含み、方法は、コンタクトレンズが、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい、ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比を有するような条件下で実施される。好ましくは、重合条件は熱硬化条件であってもよい。好ましい方法は、(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供すること、(b)熱硬化条件下で反応性混合物を重合してコンタクトレンズを形成すること、及び(c)コンタクトレンズを抽出して未反応成分を除去することを含み、工程(b)の熱硬化条件は、60~120℃の温度で硬化することを含む。
【0130】
反応性混合物(希釈剤などの任意選択の成分を含む)は、最終的な所望の接触レンズの形状を有する成形型内に配置されてもよい。配置後、反応性混合物は、上記のように、60~120℃の温度で熱硬化条件下で重合される。熱硬化温度は、少なくとも摂氏65度、あるいは少なくとも摂氏70度、あるいは少なくとも摂氏75度、あるいは少なくとも摂氏80度、あるいは少なくとも摂氏85℃、あるいは少なくとも摂氏86℃、あるいは少なくとも摂氏87℃であってもよい。熱硬化温度は、摂氏115度まで、あるいは摂氏110度まで、あるいは摂氏105度まで、あるいは摂氏100度まで、あるいは摂氏95度まで、あるいは摂氏94度まで、あるいは摂氏93度までであってもよい。熱硬化温度は、摂氏85度~摂氏95度、又は摂氏87度~摂氏93度であってもよい。熱硬化温度は、摂氏90度であり得る。
【0131】
反応性混合物は、所望の変換水準に達するのに十分な時間硬化され得る。好ましくは、反応性混合物は、反応性混合物の重合性成分のポリマーへの少なくとも90モルパーセントの変換、又は少なくとも95モルパーセントの変換、又は少なくとも98モルパーセントの変換、又は少なくとも99モルパーセントの変換、又は少なくとも99.8モルパーセントの変換を達成するのに十分な時間硬化される。例として、硬化時間は、20分~90分、又は30分~70分であってもよい。好ましくは、硬化時間は、少なくとも30分、又は少なくとも45分、又は少なくとも60分である。
【0132】
硬化後、レンズを抽出に供して、未反応成分を除去し、レンズをレンズ成形型から取り外してもよい。抽出は、アルコールなどの有機溶媒など、従来の抽出流体を使用して行われてもよいし、又は水溶液を使用して抽出してもよい。
【0133】
水溶液は、水を含む溶液である。本発明の水溶液は、少なくとも約20重量%の水、又は少なくとも約50重量%の水、又は少なくとも約70重量%の水、又は少なくとも約95重量%の水を含み得る。水溶液はまた、無機塩又は離型剤、湿潤剤、スリップ剤、医薬成分及び栄養補助剤、これらの組み合わせなどの追加の水溶性製剤を含んでもよい。離型剤は、化合物又は化合物の混合物であり、これは、水と組み合わせると、離型剤を含まない水溶液を使用してコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間と比較した場合、成形型からコンタクトレンズを取り外すのに必要な時間が減少する。水溶液は、精製、再利用又は特別な廃棄処理などの特別な取り扱いを必要としない場合がある。
【0134】
抽出は、例えば、水溶液中にこのレンズを浸漬すること、又は水溶液の流れにレンズをさらすことを介して行なうことができる。抽出はまた、例えば、水溶液を加熱することと、水溶液を撹拌することと、水溶液の離型剤の濃度を、レンズの離型が生じるのに十分なレベルにまで増大させることと、レンズの機械的撹拌又は超音波撹拌と、少なくとも1種の濾過助剤又は抽出助剤を水溶液に取り入れて、未反応成分をレンズから適切に除去することを容易にするのに十分な濃度にすることと、のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。熱、振動又はその両方の追加の有無にかかわらず、前述は、バッチプロセス又は連続プロセスで行われてもよい。
【0135】
浸出及び離型を促進するために、物理的撹拌の適用が望ましい場合がある。例えば、レンズが付着しているレンズ成形型部分は、水溶液中で振動させるか又は前後運動させることができる。他の方法には、超音波を水溶液に通すことが含まれてもよい。
【0136】
レンズは、限定されないが高圧蒸気処理などの既知の手段により殺菌してもよい。
【0137】
本発明によるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、好ましくは、以下の特性を呈する。全ての値の前には「約」が付き、このデバイスは、列挙する性質の任意の組み合わせを有することができる。特性は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許付与前公開第2018/0037690号に記載されているように、当業者に既知の方法によって決定することができる。
【0138】
水濃度%:少なくとも20%、又は少なくとも25%かつ最大80%、又は最大70%
ヘイズ:30%以下、又は10%以下
前進動的接触角(Wilhelmyプレート法):80°以下、又は75°以下、又は50°以下
引張弾性率(psi):120以下、又は80~120
酸素透過性(Dk、バーラー):少なくとも60、又は少なくとも80、又は少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも200
破断伸び:少なくとも100
イオン性シリコンヒドロゲルに関しては、(前述したものに加えて)以下の性質もまた好ましい場合がある:
リゾチーム取り込み(μg/レンズ):少なくとも100、又は少なくとも150、又は少なくとも500、又は少なくとも700
ポリクオタニウム1(PQ1)取り込み(%):15以下、又は10以下、又は5以下
本明細書に記載される熱硬化によって作製されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズの表面よりも大きい、レンズ表面におけるシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比を示し得る。例えば、本明細書に記載される熱硬化によって作製されるレンズの表面における、ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズの表面よりも、少なくとも2.5倍大きくても、あるいは少なくとも3倍大きくても、あるいは少なくとも3.5倍大きくても、あるいは少なくとも4倍大きくてもよい。「同様の組成物」とは、反応性混合物の構成成分が、光化学硬化レンズの場合に光化学フリーラジカル開始剤であり得るフリーラジカル開始剤、及び熱硬化レンズの場合には熱フリーラジカル開始剤であり得るフリーラジカル開始剤を除いて同じであることを意味する。
【0139】
本明細書に記載される熱硬化によって作製されるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズのバルクと実質的に同じである、バルク中のシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比を示し得る。「実質的に同じ」とは、熱硬化したレンズのバルク中のシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比が、光化学硬化レンズのバルクよりも1.1倍以下であることを意味する。熱硬化したレンズのバルクのシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比は、光化学硬化レンズのバルクと同じであってもよい。
【0140】
以下の項目では、本開示の非限定的な実施形態を列挙する。
1.反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、レンズにおいて2.0重量パーセント又は2.5重量パーセントの非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の反応生成物であり(反応性混合物中の反応性成分の総重量に基づく)、レンズは、表面処理なしで、75°以下の前進接触角を含む。
【0141】
2.前進接触角が、70°以下、又は60°以下、又は50°以下、又は45°以下、又は40°以下、又は35°以下、又は30°以下、又は25°以下、又は22°以下である、項目1に記載のコンタクトレンズ。
【0142】
3.レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比が、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい、項目1又は2に記載のコンタクトレンズ。
【0143】
4.ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、そのバルクよりもレンズの表面において、少なくとも1.5倍大きい、又は少なくとも2倍大きい、又は少なくとも2.3倍大きい、又は少なくとも3倍大きい、又は少なくとも3.5倍大きい、又は少なくとも4倍大きい、又は少なくとも4.9倍大きい、又は少なくとも6倍大きい、又は少なくとも7倍大きい、又は少なくとも7倍大きい、又は少なくとも9倍大きい、項目3に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0144】
5.非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、項目1~4のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0145】
6.非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、項目1~5のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0146】
7.コンタクトレンズを製造する方法であって、方法が、
(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供することと、
(b)反応性混合物を重合させてコンタクトレンズを形成することと、を含み、
方法は、レンズにおいて2.0重量パーセント又は2.5重量パーセントの非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の反応生成物であり(反応性混合物中の反応性成分の総重量に基づく)、レンズは、表面処理なしで、75°以下の前進接触角を含むような条件下で実施される、方法。
【0147】
8.前進接触角が、70°以下、又は60°以下、又は50°以下、又は45°以下、又は40°以下、又は35°以下、又は30°以下、又は25°以下、又は22°以下である、項目7に記載の方法。
【0148】
9.レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比が、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい、項目7又は8に記載の方法。
【0149】
10.ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、そのバルクよりもレンズの表面において、少なくとも1.5倍大きい、又は少なくとも2倍大きい、又は少なくとも2.3倍大きい、又は少なくとも3倍大きい、又は少なくとも3.5倍大きい、又は少なくとも4倍大きい、又は少なくとも4.9倍大きい、又は少なくとも6倍大きい、又は少なくとも7倍大きい、又は少なくとも7倍大きい、又は少なくとも9倍大きい、項目9に記載の方法。
【0150】
11.非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、項目7~10のいずれか一項に記載の方法。
【0151】
12.非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、項目7~11のいずれか一項に記載の方法。
【0152】
13.反応性混合物の熱硬化させた反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、レンズが同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズの表面よりも大きい、レンズ表面におけるシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比を有する、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0153】
14.熱硬化させるレンズの表面におけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズの表面よりも、少なくとも2.5倍大きい、又は少なくとも3倍大きい、又は少なくとも3.5倍大きい、又は少なくとも4倍大きい、項目13に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0154】
15.熱硬化させるレンズのバルクにおけるシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比が同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズのバルクと実質的に同じである、項目13~14のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0155】
16.非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、項目13~15のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0156】
17.非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、項目13~16のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0157】
18.コンタクトレンズを製造する方法であって、方法が、
(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供すること、
(b)反応性混合物を熱硬化させてコンタクトレンズを形成すること、及び
(c)コンタクトレンズを抽出して未重合成分を除去すること、を含み、
方法は、コンタクトレンズが、同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズの表面よりも大きい、その表面のシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比を有するような条件下で実施される、方法。
【0158】
19.熱硬化させるレンズの表面におけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズの表面よりも、少なくとも2.5倍大きい、又は少なくとも3倍大きい、又は少なくとも3.5倍大きい、又は少なくとも4倍大きい、項目18に記載の方法。
【0159】
20.熱硬化させるレンズのバルクにおけるシリコーンに対するポリマー非反応性内部湿潤剤のモル比が同様の組成を有するが光化学硬化によって作製されるコンタクトレンズのバルクと実質的に同じである、項目18~19のいずれか一項に記載の方法。
【0160】
21.反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、レンズにおけるポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい。
【0161】
22.ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比が、そのバルクよりもレンズの表面において少なくとも1.5倍大きい、項目21に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0162】
23.ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比が、そのバルクよりもレンズの表面において少なくとも2.3倍大きい、項目21~22のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0163】
24.非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、項目21~23のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0164】
25.非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、項目21~24のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0165】
26.2.5重量パーセントの非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の反応生成物であるレンズにおいて、レンズが、75°以下の前進接触角を含む、項目21~25のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0166】
27.前進接触角が50°以下である、項目6に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0167】
28.コンタクトレンズを製造する方法であって、方法が、
(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供することと、
(b)反応性混合物を重合させてコンタクトレンズを形成することと、を含み、
方法は、コンタクトレンズが、表面処理なしで、そのバルクよりもレンズの表面において大きい、ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比を有するような条件下で実施される。
【0168】
29.ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比が、そのバルクよりもレンズの表面において少なくとも1.5倍大きい、項目28に記載の方法。
【0169】
30.ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比が、そのバルクよりもレンズの表面において少なくとも2.3倍大きい、項目28~29のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
31.非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、項目28~30のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
32.非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、項目28~31のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
33.2.5重量パーセントの非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の反応生成物であるレンズにおいて、レンズが、75°以下の前進接触角を含む、項目28~32のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
34.前進接触角が50°以下である、項目33に記載の方法。
【0174】
35.工程(b)が、反応性混合物を熱硬化させることを含む、項目28~34のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
36.熱硬化が60~120℃の温度で行われる、項目35に記載の方法。
【0176】
37.熱硬化が85~120℃の温度で行われる、項目35~36のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
38.工程(b)に続いて、コンタクトレンズから未重合成分を除去する抽出工程の前に、コンタクトレンズが、0.3重量パーセント以下の未重合重合性成分を含有する、項目28~37のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
39.項目28~38のいずれか一項に記載の方法によって製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0179】
40.項目21~27のいずれか一項に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを国に輸入する方法。
【0180】
41.国がアメリカ合衆国である、項目40に記載の方法。
【0181】
ここで、本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例にて詳細に記述する。
【実施例】
【0182】
Mitutoyo製のデジタル機械的マイクロメートルヘッドを装着した、較正済みVan Keurenマイクロ光学コンパレータ設備で、コンタクトレンズの直径(DM)を測定した。ホウ酸塩で緩衝した包装用溶液で完全に満たした結晶セル内に、コンタクトレンズを、凹側を下にして配置した。キャップをセルの上に配置して、空気がその下にトラップされないようにした。次に、セルをコンパレータの台に配置して、レンズの像を拡大して、レンズの一端が画面の中心線に触れるように位置を合わせた。最初の端に印を付け、第2の端が画面の中心線に触れるまで、レンズを直径に沿って動かした後、データボタンを再び押して第2の端に印を付けた。通常、2つの直径測定を行い、平均をデータ表に記載する。
【0183】
含水率(WC)を重量測定した。レンズは、包装溶液中で24時間平衡化した。3枚の試験レンズをそれぞれ、先端がスポンジ状のスワブを使用して包装溶液から取り出し、包装溶液で湿らせておいたブロッティングワイプ上に置く。レンズの両面をこのワイプと接触させる。ピンセットを使用して試験レンズを重さを量った秤量皿に置き、秤量する。更に2セットの試料を準備し秤量する。全ての重量測定は3回行い、それらの値の平均を計算に用いた。湿重量は、秤量皿及び湿レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。
【0184】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。圧力が少なくとも1インチHgに達するまで真空を適用し、より低圧も許容される。真空バルブ及びポンプがオフにされ、レンズが少なくとも12時間(通常一晩)、乾燥される。パージバルブが開口されて、乾燥空気又は乾燥窒素ガスが入る。オーブンを大気圧に到達させる。秤量皿を取り出し秤量する。乾燥重量は、秤量皿及び乾燥レンズの総合重量から秤量皿単独の重量を引いたものとして定義される。試験レンズの含水量は、以下のように計算した:%含水量=(湿重量-乾燥重量)/湿重量×100。含水量の平均及び標準偏差を計算し、平均値は、試験レンズのパーセント含水量として報告された。
【0185】
コンタクトレンズの屈折率(RI)をLeica ARIAS 500 Abbe屈折計の手動モード、又はReichert ARIAS 500 Abbe屈折計の自動モードで、100マイクロメートルのプリズムギャップ距離で測定した。機器は、脱イオン水を使用して20℃(±0.2℃)にて較正した。プリズムアセンブリを開いて、光源に最も近い磁性ドット間の下方プリズムの上に試験レンズを配置した。プリズムが乾燥している場合は、数滴の生理食塩水を底部プリズムに塗布した。レンズの前面湾曲部を底部プリズムに接触させた。次いで、プリズムアセンブリを閉じた。陰影線がレチクル視野に現れるように対照を調節した後、屈折率を測定した。RI測定は、5枚の試験レンズで行われた。5つの測定から計算された平均RIは、その標準偏差と共に屈折率として記録された。
【0186】
ヘイズを、平坦な黒色背景の上に周囲温度で透明のガラスセル内のホウ酸塩緩衝生理食塩水中に水和テストレンズを配置し、下から光ファイバーランプ(直径0.5インチの光導波路付きのDolan-Jenner PL-900光ファイバー光源)を使用して、レンズのセルの法線に対して66°の角度でこれを照射し、レンズホルダの14mm上方に配置されたビデオカメラ(DVC1300C:19130RGBカメラ又は好適なズームカメラレンズを備える同等物)で、上から、このレンズの法線上のレンズの画像を撮影することによって測定することができる。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V3.8ソフトウェアを使用して、ホウ酸塩緩衝生理食塩水を伴うブランクセルの画像(ベースライン)を減じることによって、レンズの散乱から減じる。高端散乱(すりガラス)の値は、900~910平均グレースケールに光強度を調節することによって得られる。バックグラウンド散乱(BS)の値は、生理食塩水で満たしたガラスセルを用いて測定される。控除された散乱光像は、レンズの中心10mmにわたって統合し、次いで、すりガラスの標準と比較することにより、定量的に解析される。光強度/出力設定は、すりガラス標準の900~910の範囲内の平均グレースケール値を達成するように調節され、この設定において、ベースライン平均グレースケール値は、50~70の範囲であった。ベースライン及びすりガラス標準の平均グレースケール値は、記録され、それぞれゼロから100までのスケールを作製するために使用される。グレースケール解析では、ベースライン、すりガラス及び各試験レンズの平均及び標準偏差が記録された。各レンズについて、スケール値は、方程式に従って計算された。スケール値は、平均グレースケール値(レンズからベースラインを引く)を平均グレースケール値(すりガラスからベースラインを引く)で割って100倍して百分率にしたものに等しい。3~5枚の試験レンズを解析し、その結果を平均して、HAZEの百分率として報告する。
【0187】
酸素透過度(Dk)を、ISO9913-1:1996及びISO18369-4:2006に概説されているポーラログラフ法に以下の変更を加えて決定した。測定は、例えば、1800mL/分の窒素及び200mL/分の空気の適切な比率に設定した、窒素注入口及び空気注入口を試験チャンバーに装備することによって作り出された2.1%酸素を含む環境において行われた。t/Dkは、調節酸素濃度を使用して計算する。ホウ酸塩緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。センチメートル単位で測定された様々な厚さ(t)のレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを重ねた。フラットセンサの代わりにカーブセンサを使用し、半径は、7.8mmであった。7.8mm半径センサ及び10%(v/v)空気流の計算を以下のように行った。
Dk/t=(測定電流-暗電流)×(2.97×10-8mL O2)/(μA-秒-cm2-mmHg)
エッジ補正は、材料のDkに関連付けられた。
【0188】
90バーラー未満の全てのDk値については、
t/Dk(エッジ補正)=[1+(5.88xt)]X(t/Dk)
90~300バーラーのDk値については、
t/Dk(エッジ補正)=[1+(3.56xt)]X(t/Dk)
300バーラーよりも大きいDk値については、
t/Dk(エッジ補正)=[1+(3.16xt)]X(t/Dk)
非エッジ補正Dkは、データの線形回帰分析から得られる傾きの逆数から計算され、x変数は、センチメートルでの中心厚であり、y変数は、t/Dk値であった。一方で、エッジ補正Dk(EC Dk)を、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算し、xの変数をセンチメートル単位の中心厚さ、yの変数をエッジ補正t/Dk値とした。得られたDk値は、バーラー単位で報告された。
【0189】
レンズの湿潤性を、以下の方法を使用して判定した。動的接触角は、室温でCahn DCA-315の機器を使用して、Wilhelmyプレート法により、プローブ溶液として脱イオン水を使用して判定された(Cahn DCA)。実験は、高感度天秤によって、濡らすことに起因する試料上に及ぼされる力を測定しながら、既知のパラメータのレンズ検体を既知の表面張力の包装溶液内に浸漬することにより行われた。レンズ上の包装溶液の前進接触角は、試料浸漬中に収集した力データから決定される。後退接触角は、液体から試料を引き出しながら、力データから同様に決定される。Wilhelmyプレート法は、下式に基づく。Fg=γρcosθ-B、式中、F=液体とレンズとの間の濡れ力(mg)、g=重力加速度(980.665cm/sec2)、γ=プローブ液の表面張力(ダイン/cm)、ρ=液体/レンズメニスカスにおけるコンタクトレンズの周囲長(cm)、θ=動的接触角(度)及びB=浮力(mg)である。Bは、浸漬のゼロ深さではゼロである。4つの試験ストリップは、コンタクトレンズの中央領域から切断された。それぞれのストリップは、幅が約5mmであり、包装溶液中で平衡化された。次いで、各試料は、4回循環させ、結果を平均して、レンズの前進接触角及び後進接触角を得た。動的接触角の前進及び後進は、その順序で表に列挙されている。
【0190】
また、KRUSS DSA-100(商標)機器を用いる静止液滴技術を室温で使用して、脱イオン水をプローブ溶液(静止液滴)として使用して、レンズの湿潤性を測定できる。試験すべきレンズを脱イオン水中ですすぎ、充填溶液を取り除いた。それぞれの試験レンズを充填溶液で湿らせたリントフリーの吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの吸い取り紙と接触させて、レンズを乾燥させることなく、表面の水を除去した。適切な平坦化を確保するために、レンズは、コンタクトレンズのプラスチック成形型の凸面上に「皿部を下にして」置いた。プラスチック成形型及びレンズは、適切な中央シリンジアライメントを確実にするために、静止液滴器具ホルダ内に配置されている。3~4マイクロリットルの脱イオン水の液滴は、その液滴が確実にレンズから離れて垂れるように、DSA 100-Drop Shape Analysisソフトウェアを使用して注射器の先端上に形成された。その液滴は、針を下に移動することによって、レンズの表面上に円滑に放出された。その針は、液滴を分注した後、直ちに回収された。その液滴は、5~10秒間レンズ上に平衡を保たれ、接触角は、液滴画像とレンズ表面との間で測定された。典型的に、3~5個のレンズを評価し、平均接触角を報告した。
【0191】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空気圧グリップコントロールを備えたInstronmodel 1122又は5542らの引張試験機を使用して測定した。マイナス1のディオプターレンズが、その中央の均一厚さプロファイルから、好ましいレンズ幾何学形状である。0.522インチの長さ、0.276インチの「耳」幅、及び0.213インチの「首」幅を有する、-1.00の倍率のレンズから切断されたドッグボーン形状の試料を、グリップ内に載置し、毎分2インチの一定の歪み速度で、破断するまで引き伸ばした。ドッグボーン試料の中心厚さは、試験前に、電子式厚さ計を使用して測定された。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時の試料長さ(Lf)を測定した。各組成物の少なくとも5つの試験片を測定し、平均値を使用して、破断までの伸びパーセントを計算した:伸びパーセント=((Lf-Lo)/Lo)x100)。引張係数(M)を、応力-歪み曲線の初期直線部分の傾きとして計算し、弾性率の単位は、平方インチ当たりポンド又はpsiである。引張強度(TS)をピーク荷重及び元の断面積から計算した。引張強度=ピーク荷重を元の断面積で除算したものであり、引張強度の単位は、psiである。靭性は、破断するためのエネルギー及び試料の元の体積から計算された。靭性=破断するためのエネルギーを試料の元の体積で割る。強靭性の単位は、in-lbs/in3である。破断伸び(ETB)もまた、破断時のひずみの割合として記録した。
【0192】
PQ1の取り込み(PQ1)をクロマトグラフにより測定した。HPLCは、2、4、6、8、12及び15μg/mLの濃度を有する一連の標準PQ1溶液を使用して較正した。レンズを、3mLのOptifree Replenish又はAlconから市販されている類似のレンズ溶液(PQ1濃度=10マイクログラム/mL)を含むポリプロピレン製コンタクトレンズケース内に置いた。3mLの溶液が入っているがコンタクトレンズは入っていない対照用のレンズケースも用意した。レンズ及び対照溶液は、72時間室温で保存した。1mLの溶液を、試料及び対照のそれぞれから取り除き、トリフルオロ酢酸(10μL)と混合した。分析は、HPLC/ELSD及びPhenomenex Luna C5(4.6mm×5mm、5μm粒径)カラムを使用して、以下の装置及び条件:T=100℃、ゲイン=12、圧力=4.4バール、フィルター=3秒で動作するAgilent 1200HPLC、又はELSDを備えた同等物で実施し、ELSDパラメータは、機器毎に変わってもよく、水の移動相A(0.1%TFA)及びアセトニトリル(0.1%TFA)の移動相B、カラム温度40℃、及び100μLの注入体積を使用して、溶出プロファイルを使用し、表Cに列挙した。ピーク面積値を、PQ1標準液の濃度の関数としてプロットすることにより、較正曲線を作製した。次いで、試料中のPQ1の濃度を、検量線を表す二次方程式を解いて計算した。各分析で3枚のレンズを使用し、結果を平均した。PQ1取り込みは、レンズなしの対照中に存在するPQ1と比較して、レンズを浸漬した後のPQ1の損失率として報告された。
【0193】
【0194】
コンタクトレンズによって吸収されるコレステロールの量を、LC-MS法により判定した(脂質)。レンズは、コレステロール溶液に浸漬し、その後ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン抽出物を蒸発させ、ヘプタン/イソプロパノール混合物で溶液に再構築し、続いてLC-MSにより分析した。結果は、レンズ1枚当たりのコレステロールのマイクログラムとして報告された。重水素化コレステロール内部標準を使用して、本方法の正確さ及び精度を向上させた。
【0195】
コレステロール原液は、10mLの広口ガラスメスフラスコ内に15.0±0.5ミリグラムのコレステロールを入れ、続いてイソプロパノールで希釈して調製した。
【0196】
コレステロール浸漬液は、0.430±0.010グラムのリゾチーム(純度=93%)、0.200±0.010グラムのアルブミン及び0.100±0.010グラムのβ-ラクトグロブリンを200mLのガラスメスフラスコに入れ、約190ミリリットルのPBSをそのフラスコに添加し、かき混ぜて内容物を溶解して調製した。次いで、2ミリリットルのコレステロール原液を添加し、PBSで体積まで希釈した。メスフラスコは、密栓して十分に振とうした。コレステロール浸漬液の濃度は、約15μg/mLであった。注記:これらの成分の質量は、目標濃度を達成することができるように、ロット毎の純度の変動を考慮して調節してもよい。
【0197】
6枚のコンタクトレンズをそれらのパッケージから取り出し、リントフリーの紙タオルで拭き取って余分な包装溶液を除去した。レンズを6個の別個の8mLガラスバイアル内に置き(バイアル毎に1枚のレンズ)、3.0mLのコレステロール浸漬液を各バイアルに添加した。バイアルを密栓し、New Brunswick Scientificインキュベータ振とう器内に37℃及び100rpmで72時間置いた。インキュベート後、各レンズを100mLビーカー内でPBSにより3回すすぎ、20mLのシンチレーションバイアル内に置いた。
【0198】
レンズの入った各シンチレーションバイアルに、5mLのジクロロメタン及び100μLの内部標準溶液を添加した。最低16時間の抽出時間後、上澄液を5mLの使い捨てガラス培養管内に移した。管をTurbovap内に置き、溶媒を完全に蒸発させた。1mLの希釈剤を培養管内に入れ、内容物を再溶解した。上述希釈剤は、ヘプタンとイソプロパノールとの70:30(v/v)混合物であった。希釈剤はまた、移動相でもあった。得られた溶液をオートサンプラバイアル内に慎重に移し、LC-MS分析の準備をした。
【0199】
25mLのメスフラスコ内で約12.5+2mgの重水素化コレステロール(2,2,3,4,4,6-d6-コレステロール)を量り、次いで希釈剤で希釈することにより、内部標準原液を調製した。内部標準原液の濃度は、約500μg/mLであった。
【0200】
50mLのメスフラスコに1.0mLの内部標準原液を入れ、続いて希釈剤で体積まで希釈することにより、内部標準溶液を調製した。この中間体の内部標準溶液の濃度は、約10μg/mLである。
【0201】
約50+5mgのコレステロールを100mLのメスフラスコ内に計量し、次いで希釈剤で希釈して、参照標準原液を調製した。この参照原液中のコレステロールの濃度は、約500μg/mLである。
【0202】
次に、適量の標準液を、列挙した25mL、50mL、又は100mLのメスフラスコに入れることにより、表Dに従って、作業標準液を作製した。標準溶液をメスフラスコに添加した後、混合物を希釈剤で体積まで希釈し、十分にかき混ぜた。
【0203】
【0204】
以下のLC-MS分析を行った:「Std4」を6回注入して、系の適合性を評価した。作業標準及び内部標準のピーク面積のRSD%は、<5%でなければならず、これらのピーク面積比のRSD%は、システム適合性に合格するためには<7%でなければならない。作業標準1~6を注入して、較正曲線を作成する。相関係数の二乗(r2)は、>0.99でなければならない。試験試料を注入した後、ブラケット標準を続けた(Std4)。ブラケット標準のピーク面積比は、システム適合性注入からの平均ピーク面積比の±10%以内でなければならない。
【0205】
検量線は、各作業標準溶液の濃度に対応するピーク面積比(参照標準/内部標準)値をプロットして構築した。試料中のコレステロール濃度は、二次式を解くことによって計算され、レンズ当たりのマイクログラム又はμg/レンズで表される。LC-MS分析用の典型的な設備及びそれらの設定は、以下に列挙されており、表E及びFに示されている。機器調整パラメータの値は、質量分析計が調整される度に変化し得る。
【0206】
Turbovap条件:
温度:45℃
時間:乾燥するまで30分以上
ガス:5psiの窒素
HPLC条件:
HPLC:Thermo Accela HPLC機器又は等価物
HPLCカラム:Agilent Zorbax NH2(4.6mm×150mm;5μmの粒径)
移動相:70%ヘプタン及び30%イソプロパノール
カラム温度:30℃°
注入量:25μL
流量:1000μL/分
【0207】
【0208】
【0209】
フーリエ変換赤外(FTIR)スペクトルを、Thermo Scientific Nicolet iS50の計器を使用して測定した。透過FTIRスペクトルは、ビームがレンズの中心を通過し、それによって、バルク又は全体の組成情報を得るように、レンズを試料チャンバーに搭載することによって測定された。全反射測定法(ATR)FTIRスペクトルを、標準的なダイヤモンドATR結晶(45℃入射角)を使用して測定し、それによって表面組成情報を得た。Thermo Scientific Omnicのソフトウェアを使用してピークの高さの分析を行った。
【0210】
試料の調製:透過又はATR FTIR分析のいずれかを行う前に、試験レンズを重水素化生理食塩水に1時間浸漬する。水を酸化重水素と交換して、FTIRスペクトル内の水帯域をシフトさせて、スペクトルのアミドカルボニル領域を観察するための透明なスペクトル領域をもたらす。重水素化生理食塩水は、水の代わりに酸化重水素を使用して、ISO-10344に従って調製される。重水素化生理食塩水から除去した後、試験レンズは、透過又はATR分析のいずれかによって分析される。透過分析のために、生検パンチを使用して4mmディスクをレンズの中心から切断する(厚さ約100μm)。切除されたレンズの切片を、(2.5mmの)ダイヤモンド圧縮セルに配置し、固定して試料を薄くし、それによって、材料を通したFTIRビームの透過を可能にする。圧縮度は、対象とするスペクトルのピークが2未満の吸光度の単位を有するものである。ビーム凝縮器は、狭いビームのくびれを形成するために使用され、それによって、FTIRビームのより大きな部分が試料に浸透することを可能にする。ATR分析のために、切断されていないレンズの中心をダイヤモンドATR結晶に置き、標準的な圧力クランプで定位置に保持する。クランプ前に、7ミリメートル直径のテフロンディスク(厚さ0.81ミリメートル)が圧力クランプとレンズとの間に配置される。
【0211】
データの取得:分析前、背景のスキャンが、レンズ試料なしの空の圧縮セル又はクリーンなATRの結晶のいずれかを使用して実行されている。全てのコンタクトレンズのスペクトルが、通常の補正手順を使用して、これらの背景の吸収について補正されている。スペクトルは、4cm-1の解像度を使用して、波数範囲400~4000cm-1にわたる16スキャンを平均化することによって獲得されている。
【0212】
以下の官能基について赤外線吸収帯を特定した:1715cm-1のエステルカルボニル(メタクリレート又はアクリレートに対応)、1657cm-1(PVPに対応する)の環状アミドカルボニル、1618cm-1(DMAに対応)の非環状アミドカルボニル、840cm-1(SiMAAに対応)の分枝状シリコーン、及び796cm-1(mPDMSに対応)における直鎖シリコーン。一般に、吸収帯は内部標準として選択される。例えば、796cm-1の直鎖シリコーン帯域を選択してもよく、又は1715cm-1の(メタ)アクリレート吸収帯域を選択してもよい。次いで、重合反応性モノマー混合物成分又はポリマー成分の濃度変化の代理として官能基の濃度変化を、試料から試料までの内部標準帯域の帯域高さで割った官能基(又は成分)帯域の帯域高さの比率を比較することによって、測定することができる。例えば、PVPの直鎖シリコーンに対するFTIR吸収帯域比(PVP/シリコーン比として図面に示され、モル比を表している)を使用して、試料間のPVPの相対的な濃度を比較することができる。同様に、PVPの(メタ)アクリレートに対するFTIR吸収帯域の比(PVP/メタクリレート比として図面に示される)を使用して、試料間のPVPの相対的な濃度を比較することもできる。表面の濃度を比較するためにATR FTIR帯域を使用している。透過性FTIR帯域を使用して、バルク濃度を比較している。一連の試料又はコンタクトレンズでは、1つの試料又はレンズはベンチマーク標準として選択されてもよく、その比率は任意の数、例えば100を割り当てられてもよく、次いで、一連の他の試料をベンチマーク標準に対して正規化して、比較を容易にすることができる。以下の実施例での正規化に使用されるベンチマークのレンズの構成成分(光化学硬化レンズ)が、レンズ内に実質的に均質に分布しているため、熱硬化レンズなどの試験レンズの表面及びバルクにおける構成成分の相対的な濃度の比較、並びに熱硬化レンズと光化学硬化レンズとの間の比較を行うことができる。
【0213】
紫外線検出(HPLC/UV)を使用して、高速液体クロマトグラフィーによる熱重合中に、残留モノマー及びマクロマーの濃度を様々な時間に測定した。硬化したレンズを乾燥機から取り出し、離型し、計量し、温度制御された水槽に浸けて、1時間超音波処理することにより、5mLの90:10(v/v)メタノール/イソプロパノール溶液で抽出し、典型的には3枚のレンズを5mLの混合溶媒に浸漬した。抽出物を以下のように分析した。残渣の濃度が較正範囲外であった場合、正確に定量するために、抽出物をメタノールで希釈して、濃度を較正範囲内にした。
【0214】
DMA、HEMA、及びTEGDMAについては、0.1000グラムの各成分を100mLの体積測定フラッシュにおいて十分な90:10(v/v)メタノール/イソプロパノール溶液で溶解して、フラスコをラインに充填することにより、原液を調製した。次いで、この原液を希釈して、以下の濃度、すなわち500、200、100、50、20、10、5、1及び0.5マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)を有する較正試料(一部連続)を作製した。これらの較正試料を使用して、HPLC-UV分析の検量線を生成した。DMA、HEMA、及びTEGDMA分析に使用されるクロマトグラフィー条件を以下に列挙している。
【0215】
クロマトグラフィー条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus18,4.6×75mm×1.8μm
Phenomenex Security Guard Cartridge
カラム温度:30℃
UV検出器:217nm
注入量:5μL
移動相(表Gに列挙される勾配移動相(v/v))
溶離剤A:0.05%のH3PO4を含む脱イオン水
溶離剤B:0.05%のH3PO4を含むアセトニトリル
溶離剤C:メタノール
流量:1mL/分
【0216】
【0217】
各時点で、レンズ抽出物中のDMA、HEMA、及びTEGDMAの濃度を判定した(μg/mL)。次いで、これらの抽出物の濃度を使用して、試料中のこれらの成分の量を計算し、以下のように試料の重量の百分率として表した。
成分%=[(μg/mL*抽出物の体積*希釈係数*10-6g/μg)/(試料重量g)]*100。最後に、T0に対する百分率として表される未反応成分の百分率が、以下の式を使用して計算された:Txの%=(Tx/で測定された%/T0で測定された%)*100(式中、T0は、100%の未反応成分、又は反応時間0を表し、Txは、x時点における未反応成分の量を表す)。
【0218】
Norbloc及びSiMAAについては、0.0500グラムのNorbloc及び0.1000グラムのSiMAAを100mLの体積測定フラッシュにおいて十分な90:10(v/v)メタノール/イソプロパノール溶液で溶解して、フラスコをラインに充填することにより、原液を調製した。次いで、この原液を希釈して、以下の濃度、すなわちNorblocについては250、100、50、25、10、5、2.5、0.5及び0.25マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)、SiMAAについては1000、400、200、100、40、20、10、2及び1マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)の濃度を有する較正試料(一部連続)を作製した。これらの較正試料を使用して、HPLC-UV分析のための較正曲線を作成した。Norbloc及びSiMAAの分析に使用されるクロマトグラフィー条件を以下に列挙している。
【0219】
クロマトグラフィー条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse Plus18,4.6×75mm×1.8μm
Phenomenex Security Guard Cartridge
カラム温度:30℃
UV検出器:217nm
注入量:5μL
移動相(表Hに列挙される勾配移動相(v/v))
溶離剤A:0.05%のH3PO4を含む脱イオン水
溶離剤B:0.05%のH3PO4を含むアセトニトリル
溶離剤C:50:50(v/v)メタノール/イソプロパノール
流量:1mL/分
【0220】
【0221】
各時点で、レンズ抽出物中のNorbloc及びSiMAAの濃度を判定した(μg/mL)。次いで、これらの抽出物の濃度を使用して、試料中のこれらの成分の量を計算し、以下のように試料の重量の百分率として表した。
成分%=[(μg/mL*抽出物の体積*希釈係数*10-6g/μg)/(試料重量g)]*100。最後に、T0に対する百分率として表される未反応成分の百分率が、以下の式を使用して計算された:Txの%=(Tx/で測定された%/T0で測定された%)*100(式中、T0は、100%の未反応成分、又は反応時間0を表し、Txは、x時点における未反応成分の量を表す)。
【0222】
mPDMSについては、0.2000グラムのmPDMSを100mLの体積測定フラッシュにおいて十分な90:10(v/v)メタノール/イソプロパノール溶液で溶解して、フラスコをラインに充填することにより、原液を調製した。次いで、この原液を希釈して、以下の濃度、すなわち1000、400、200、100、40、20、10、2及び1マイクログラム/ミリリットル(μg/mL)を有する較正試料(一部連続)を作製した。これらの較正試料を使用して、HPLC-UV分析の検量線を生成した。mPDMSの分析に使用されるクロマトグラフィー条件を以下に列挙している。
【0223】
クロマトグラフィー条件
カラム:Agilent Zorbax Eclipse XDB18,4.6×50mm×1.8μm
Phenomenex Security Guard Cartridge
カラム温度:30℃
UV検出器:217nm
注入量:20μL
移動相(表Iに列挙される勾配移動相(v/v))
溶離剤A:脱イオン水
溶離剤B:アセトニトリル
溶離剤C:イソプロパノール
流量:1mL/分
【0224】
【0225】
各時点で、レンズ抽出物中のmPDMSの濃度を判定した(μg/mL)。次いで、これらの抽出物の濃度を使用して、試料中のmPDMSの量を計算し、以下のように試料の重量の百分率として表した:%mPDMS=[(μg/mL*抽出量*希釈係数*10-6g/μg)/(g試料重量)]*100。最後に、T0に対する百分率として表される未反応mPDMSの百分率が、以下の式を使用して計算された:Txの%=(Tx/で測定された%/T0で測定された%)*100(式中、T0は、100%の未反応mPDMS、又は反応時間0を表し、Txは、x時点における未反応mPDMSの量を表す)。
【0226】
ここで、本発明を以下の実施例を参照しながら説明する。本発明の例示の実施形態をいくつか説明するに先立ち、本発明が以下の説明において明らかにされる構成又は処理工程の詳細に限定されないことが理解されよう。本発明は、他の実施形態が可能であり、かつ様々な手法で実践又は実行できる。
【0227】
以下の略語は、実施例をとおして使用され、以下の意味を有する。
RMM:反応性モノマー混合物
L:リットル
mL:ミリリットル
nm:ナノメートル
g:グラム;
μg:マイクログラム
Da:ダルトン又はグラム/モル
kDa:キロダルトン
FTIR:フーリエ変換赤外分光
ATR:全反射測定法
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
UV:紫外線分光法
WC:含水量(重量%)
EC Dk:縁補正酸素ガス透過性(バレル)
M:弾性率(psi)
TS:引張強度(psi)
ETB:破断伸び(%)
RI:屈折率
液滴:前進接触角(度)
Cahn DCA:前進及び後進接触角(度)
BC:PP、TT、Z、又はこれらのブレンドから作製された基部又は背面が湾曲したプラスチック成形型
FC:PP、TT、Z、又はこれらのブレンドから作製された前面が湾曲したプラスチック成形型
PP:プロピレンのホモポリマーであるポリプロピレン
TT:水添スチレンブタジエンブロックコポリマーであるTuftec(Asahi Kasei Chemicals)
Z:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマーであるZeonor(Nippon Zeon Co Ltd)
TL03光:Phillips TLK 40W/03電球
LED:発光ダイオード
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
PVP K90:ポリ(N-ビニルピロリドン)(ISP Ashland)
PVMA:ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)
TEGDMA:テトラエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
mPDMS:モノ-n-ブチル末端モノメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン(Mn=800~1500ダルトン)(Gelest)
SiMAA:2-プロペン酸,2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)、又は3-(3-(1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチルトリシロキサン-3-イル)プロポキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、又は2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート
Irgacure又はOmnirad 184:1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(IGM Resins、BASF又はCiba Specialty Chemicals)
Irgacure Omnirad 1870:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシドと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとのブレンド(BASF又はCiba Specialty Chemicals)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル、又は2,2′-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル),2-(アゾ(1-シアノ-1-メチルエチル))-2-メチルプロパンニトリル
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリリルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
Blue HEMA:1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシ-エトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ)-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸(米国特許第5,944,853号に記載)
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
DIW:脱イオン水
IPA:イソプロピルアルコール
PS:ホウ酸塩緩衝包装溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルメスフラスコを満たした。
WC:含水量(重量%)
ヘイズ:(%)
EC Dk:縁補正酸素ガス透過性(バレル)
M:弾性率(psi)
TS:引張強度(psi)
ETB:破断伸び(%)
脂質:各レンズのコレステロールのマイクログラム、すなわちμg/レンズ
RI:屈折率
液滴:前進接触角(度)
Cahn DCA:表におけるその順序で接触角(度)を前進及び後進させる
括弧:表の中の括弧()は、測定値の標準偏差を示すために使用されている
【0228】
調製1-ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)
PVMAを以下のように調製した。380mL(3.48mol)の蒸留したN-ビニル-N-メチルアセトアミド及び187mg(1.14mmol)のアザビスイソブチロニトリルを、還流冷却器、磁気撹拌棒及び熱電対が取り付けられた三ツ口丸底フラスコに添加し、窒素ガスを反応性混合物に通して通気して、2時間かけて酸素ガスをパージした。次いで、反応混合物を75℃で24時間加熱すると、反応性混合物は、その時間内に固化した。反応生成物を空気中で反応停止した後、後処理手順1又は後処理手順2によって分離した。処理手順:反応生成物を水に溶解させ、透析膜管材(Spectra Pore MWCO 3500)中で広範に透析し、凍結乾燥させた(60%収率)(LABCONCO、Freezone(登録商標)Triad(商標)凍結乾燥システム、モデル7400030番)。分子量は、マルチアングル光散乱を用いるサイズ排除クロマトグラフィー(SEC-MALS)によって決定された。SEC-MALS設定は、40℃で0.5mL/分の流速で、80%(v/v)50mM Na2SO4及び20%(v/v)アセトニトリルから構成される移動相としてアセトニトリル水溶液を用いた。直列の2つのTosoh Biosciences TSKgelカラム[SuperAW4000及びSuperAW5000]を、オンラインのAgilent 1200 UV/VISダイオードアレイ検出器、Wyatt Optilab rEX干渉屈折計、及びWyatt mini-DAWN Treos多角度光散乱(MALS)検出器(λ=658nm)と共に用いた。絶対分子量及び多分散度データは、Wyatt ASTRA VI SEC/LSソフトウェアパッケージを使用して計算した。約40ミリグラムのPVMAを、10mLのメスフラスコ内の包装溶液に溶解させた。包装溶液:18.52グラム(300mmol)のホウ酸、3.7グラム(9.7mmol)のホウ酸ナトリウム十水和物、及び28グラム(197mmol)の硫酸ナトリウムを、十分な脱イオン水に溶解させて、2リットルのメスフラスコを満たした。3つの異なる溶液を調製し、試験した。全ての溶液を、SEC-MALSシステムに注入する前に0.45マイクロメートルのナイロン膜フィルターを通して濾過した。3つの試料の数平均分子量は290.5kDaであり、3つの試料の重量平均分子量は570.3kDaであり、1.96の多分散指数に至る。
【0229】
実施例1~9
77重量パーセントの表1に列記される製剤及び23重量パーセントの希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。反応性モノマー混合物を、個々に、ステンレス鋼シリンジを使用して3μmフィルターを通して濾過した。次いで、使用時に、約0.074グラムのAIBN(熱開始剤)を20.0000グラムのRMMに溶解した。AIBNの重量パーセントは、最終的なRMMにおいて約0.37重量%であった。
【0230】
AIBNのRMMを、真空化(40トル)を少なくとも20分間適用することによって、周囲温度で脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.2パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75~80μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorで作られるFC内に分注した。次いで、55:45(w/w)のZ:PPのブレンドで作製されたBCをFCの上に置いた。成形型は、注入前にグローブボックス内で最低12時間平衡化された。8つの金型アセンブリをそれぞれ含有する約20のパレットを、約65~70℃に維持され、グローブボックス内に位置させる隣接する乾燥機に移し、これらの条件下で約24時間レンズを硬化させた。
【0231】
レンズを手で型から取り出し、レンズを約1リットルの70パーセントのIPA中に少なくとも約12時間浮かせることによって取り外し、続いて、約45分間約450mLの新たな70パーセントのIPAに2回多く、次いで、約45分間新たなDIWに1回、次いで、約45分間包装溶液に1回浸漬した。レンズを平衡化し、バイアル瓶中で121℃で30分間オートクレーブ処理する前に、ホウ酸塩緩衝包装溶液において保管した。無菌レンズの様々な物理的及び機械的特性を判定し、それについて表2に列挙している。
【0232】
当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。
【0233】
【0234】
【0235】
表2に示すように、熱硬化によって作製されたレンズは、ソフトコンタクトレンズに好適な物理的特性及び機械的特性の良好なバランスを維持しながら、低濃度の内部湿潤剤PVP K90で、Cahn DCA及びSessile Dropによって測定される良好な湿潤性を示した。
【0236】
比較例1
77重量パーセントの表3に列記される製剤及び23重量パーセントの希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。次いで、0.0524グラムのIrgacure 1870及び0.0215グラムのIrgacure 184を、一晩撹拌することによって20グラムのこの反応性モノマー混合物に溶解し、次いで、ステンレス鋼の注射器を使用して3μmフィルターを通して濾過した。
【0237】
RMMを、真空化(40トル)を少なくとも20分間適用することによって、周囲温度で脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.2パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorで作られるFC内に分注した。次いで、55:45(w/w)のZ:PPのブレンドで作製されたBCをFCの上に置いた。成形型は、注入前にグローブボックス内で最低12時間平衡化された。8つの成形型アセンブリを各々収容するパレットを、64℃に維持された隣接するグローブボックスに移し、レンズは、トレイの位置で約4.5mW/cm2の強度を有するTLO3ランプ光を使用して、12分間、上部から硬化させた。
【0238】
レンズを手で型から取り出し、大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを約1リットルの70パーセントのIPA中に少なくとも約12時間浮かせることによって取り外し、続いて、約45分間約450mLの新たな70パーセントのIPAに2回多く、次いで、約45分間新たなDIWに1回、次いで、約45分間包装溶液に1回浸漬した。レンズを平衡化し、バイアル瓶中で121℃で30分間オートクレーブ処理する前に、ホウ酸塩緩衝包装溶液において保管した。無菌レンズの様々な物理的及び機械的特性を判定し、それについて表4に列挙している。
【0239】
当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。
【0240】
比較例2
77重量パーセントの表3に列記される製剤及び23重量パーセントの希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。次いで、0.0391グラムのIrgacure 1870及び0.0157グラムのIrgacure 184を、一晩撹拌することによって15グラムのこの反応性モノマー混合物に溶解し、次いで、ステンレス鋼の注射器を使用して3μmフィルターを通して濾過した。
【0241】
RMMを、真空化(40トル)を少なくとも20分間適用することによって、周囲温度で脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び1パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorで作られるFC内に分注した。次いで、55:45(w/w)のZ:PPのブレンドで作製されたBCをFCの上に置いた。成形型は、注入前にグローブボックス内で最低12時間平衡化された。8つの成形型アセンブリを各々収容するパレットを、それぞれ、64℃に維持された隣接するグローブボックスに移し、トレイの位置で約4mW/cm2の強度を有する435nmのLED光を使用して、15分間、上部から硬化させた。
【0242】
レンズを手で型から取り出し、大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを約1リットルの70パーセントのIPA中に少なくとも約12時間浮かせることによって取り外し、続いて、約45分間約450mLの新たな70パーセントのIPAに2回多く、次いで、約45分間新たなDIWに1回、次いで、約45分間包装溶液に1回浸漬した。レンズを平衡化し、バイアル瓶中で121℃で30分間オートクレーブ処理する前に、ホウ酸塩緩衝包装溶液において保管した。無菌レンズの様々な物理的及び機械的特性を判定し、それについて表4に列挙している。
【0243】
当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。
【0244】
【0245】
【0246】
表4に示すように、熱硬化によって作製されたレンズは、ソフトコンタクトレンズに好適な物理的特性及び機械的特性の良好なバランスを維持しながら、低濃度の内部湿潤剤PVP K90で、Cahn DCA及びSessile Dropによって測定される良好な湿潤性を示した。一方で、光化学硬化レンズは、Cahn DCA及びSessile Dropを前進させることによって測定したときに、著しく少ない湿潤性であった。
【0247】
実施例8~11
77重量パーセントの表5に列記される製剤及び23重量パーセントの希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。調製1由来のPVMAを使用した。反応性モノマー混合物を、個々に、ステンレス鋼シリンジを使用して3μmフィルターを通して濾過した。次いで、使用時に、約0.037グラムのAIBN(熱開始剤)を10.0000グラムのRMMに溶解した。AIBNの重量パーセントは、最終的なRMMにおいて約0.37重量%であった。
【0248】
AIBNのRMMを、真空化(40トル)を少なくとも20分間適用することによって周囲温度で脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.2パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約70~75μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorで作られるFC内に分注した。次いで、55:45(w/w)のZ:PPのブレンドで作製されたBCをFCの上に置いた。成形型は、注入前にグローブボックス内で最低12時間平衡化された。8つの金型アセンブリをそれぞれ含有する約20のパレットを、約65~70℃に維持され、グローブボックス内に位置させる隣接する乾燥機に移し、これらの条件下で約24時間レンズを硬化させた。
【0249】
レンズを手で型から取り出し、レンズを約1リットルの70パーセントのIPA中に少なくとも約12時間浮かせることによって取り外し、続いて、約45分間約450mLの新たな70パーセントのIPAに2回多く、次いで、約45分間新たなDIWに1回、次いで、約45分間包装溶液に1回浸漬した。レンズを平衡化し、バイアル瓶中で121℃で30分間オートクレーブ処理する前に、ホウ酸塩緩衝包装溶液において保管した。無菌レンズの様々な物理的及び機械的特性を判定し、それについて表6に列挙している。
【0250】
当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。
【0251】
【0252】
【0253】
表6に示すように、熱硬化によって作製されたレンズは、ソフトコンタクトレンズに好適な物理的特性及び機械的特性の良好なバランスを維持しながら、低濃度の内部湿潤剤PVPMAで、Cahn DCA及びSessile Dropによって測定される良好な湿潤性を示した。
【0254】
比較例3~6
77重量パーセントの表7に列記される製剤及び23重量パーセントの希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。次いで、約0.0655グラムのIrgacure 1870及び約0.0270グラムのIrgacure 184を、一晩撹拌することによって25グラムのこれらの反応性モノマー混合物に溶解し、次いで、ステンレス鋼の注射器を使用して3μmフィルターを通して濾過した。
【0255】
RMMを、真空化(40トル)を少なくとも20分間適用することによって、周囲温度で脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.2パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約70~75μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorで作られるFC内に分注した。次いで、55:45(w/w)のZ:PPのブレンドで作製されたBCをFCの上に置いた。成形型は、注入前にグローブボックス内で最低12時間平衡化された。8つの成形型アセンブリを各々収容するパレットを、65℃に維持された隣接するグローブボックスにそれぞれ移し、レンズは、トレイの位置で約4.0~4.5mW/cm2の強度を有するTLO3ランプ光を使用して、12分間、上部から硬化させた。
【0256】
レンズを手で型から取り出し、大部分のレンズがFCに付着した状態で、レンズを約1リットルの70パーセントのIPA中に少なくとも約12時間浮かせることによって取り外し、続いて、約45分間約450mLの新たな70パーセントのIPAに2回多く、次いで、約45分間新たなDIWに1回、次いで、約45分間包装溶液に1回浸漬した。レンズを平衡化し、バイアル瓶中で121℃で30分間オートクレーブ処理する前に、ホウ酸塩緩衝包装溶液において保管した。無菌レンズの様々な物理的及び機械的特性を判定し、それについて表8に列挙している。
【0257】
当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。
【0258】
【0259】
【0260】
表8に示すように、光化学硬化によって作製されたレンズは、熱硬化によって作製された同様のレンズと比較して、低濃度の内部湿潤剤PVMAでのCahn DCA及びSessile Dropによって測定される湿潤性が、概して低下したことが示された(表6を参照されたい)。
【0261】
実施例12~14
77重量パーセントの表9に列記される製剤及び23重量パーセントの希釈剤D3Oで構成される反応性モノマー混合物を調製した。反応性モノマー混合物を、個々に、ステンレス鋼シリンジを使用して3μmフィルターを通して濾過した。次いで、使用時に、約0.0285グラムのAIBN(熱開始剤)を10.0000グラムのRMMに溶解した。AIBNの重量パーセントは、最終RMM中で約0.28重量%であった。
【0262】
AIBNのRMMを、真空化(40トル)を少なくとも20分間適用することにより周囲温度で脱気した。次いで、窒素ガス雰囲気及び0.1~0.2パーセント未満の酸素ガスを有するグローブボックス内で、約75μLの反応性混合物は、エッペンドルフピペットを使用して室温でZeonorで作られるFC内に分注した。次いで、Zeonorで作られるBCをFC上に置いた。成形型は、注入前にグローブボックス内で最低12時間平衡化された。
【0263】
実施例12:8つの金型アセンブリをそれぞれ含有する数個のパレットを、約60℃に維持されグローブボックス内に位置する隣接する乾燥機に移し、これらの条件下で約6時間レンズを硬化させた。
【0264】
実施例13:8つの金型アセンブリをそれぞれ含有する数個のパレットを、約90℃に維持されグローブボックス内に位置する隣接する乾燥機に移し、これらの条件下で約6時間レンズを硬化させたという点を除き、同一の手順であった。
【0265】
実施例14:(1)FCを、Z:TTの90:10(w/w)のブレンドから作製したこと、(2)BCを、Z:PPの90:10(w/w)のブレンドから作製したこと、及び(3)8個の金型アセンブリをそれぞれ含有するいくつかのパレットを、約120℃に維持されグローブボックス内に位置する隣接する乾燥機に移し、これらの条件下で約0.5時間レンズを硬化させた。
【0266】
レンズを手で型から取り出し、レンズを約1リットルの70パーセントのIPA中に少なくとも約12時間浮かせることによって取り外し、続いて、約45分間約450mLの新たな70パーセントのIPAに2回多く、次いで、約45分間新たなDIWに1回、次いで、約45分間包装溶液に1回浸漬した。レンズを平衡化し、バイアル瓶中で121℃で30分間オートクレーブ処理する前に、ホウ酸塩緩衝包装溶液において保管した。
【0267】
当業者は、正確なレンズ離型工程が、イソプロパノール水溶液の濃度、各溶媒での洗浄の回数及び各工程の継続時間に関して、レンズ配合及び成形型材料に応じて変化させることができることを理解している。レンズ離型工程の目的は、レンズの全てを損傷することなく離型すること、及び希釈剤で膨潤したネットワークから包装溶液で膨潤したヒドロゲルに遷移させることである。
【0268】
実施例12~14の熱硬化され滅菌されたレンズ、並びに同様の組成であるが光化学硬化(比較例7としての図面に示す)の滅菌レンズを、透過及びATR FTIRの方法の両方を使用して分析し、光硬化レンズに正規化した。
図1及び
図2に示されるように、熱硬化レンズのPVPの表面濃度は、光化学硬化レンズの表面濃度よりも高かった。加えて、熱硬化レンズのPVP/シリコーンのモル比は、コアよりも表面で高かった。
【0269】
【0270】
実施例15~17
実施例15:(1)Fcを90:10(w/w)Z:TTで作製し、(2)BCを90:10(w/w)Z:PPで作成し、(3)レンズを、残留モノマー及びマクロマーのHPLC-UV分析のための様々な時点で除去したことを除いて、実施例13を繰り返した。残留成分のデータを表10に示す。
【0271】
実施例16:残留モノマー及びマクロマーのHPLC-UV分析のための様々な時点でレンズを除去したことを除いて、実施例14を繰り返した。残留成分のデータを表11に示す。
【0272】
実施例17:残留モノマー及びマクロマーのHPLC-UV分析のための様々な時点でレンズを除去したことを除いて、実施例14を再度繰り返した。残留成分のデータを表12に示す。
【0273】
【0274】
【0275】
【0276】
表10~12に示されているように、反応性モノマー混合物は、90℃で約2~3時間後約0.2重量パーセント未満の総未反応成分で、また120℃で約0.5~1時間後約0.3重量%未満の総未反応成分で、高い変換に熱硬化させた。
【0277】
〔実施の態様〕
(1) 反応性混合物の反応生成物であるシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤、を含み、前記コンタクトレンズは、少なくとも約60バーラーの酸素透過率を有し、前記レンズにおける前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比は、表面処理なしで、そのバルクよりも前記レンズの表面において大きい、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(2) 前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも1.5倍大きい、実施態様1に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(3) 前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも2.3倍大きい、実施態様1~2のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(4) 前記非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、実施態様1~3のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(5) 前記非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide)(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、実施態様1~4のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0278】
(6) 2.0重量パーセントの前記非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の前記反応生成物であるレンズにおいて、前記レンズが、75°以下の前進接触角を含む、実施態様1~5のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(7) 前記前進接触角が50°以下である、実施態様6に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(8) 最大約95重量パーセントのシリコーン含有成分を含む、実施態様1~7のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(9) 約1~約80重量パーセントの親水性成分を含む、実施態様1~8のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(10) 約0.5~約35重量パーセントの非反応性ポリマー内部湿潤剤を含む、実施態様1~9のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0279】
(11) コンタクトレンズを製造する方法であって、前記方法が、
(a)シリコーン含有成分、親水性成分、非反応性ポリマー内部湿潤剤、及び重合開始剤を含む反応性混合物を提供することと、
(b)前記反応性混合物を重合させて前記コンタクトレンズを形成することと、を含み、
前記方法は、前記コンタクトレンズが、表面処理なしで、そのバルクよりも前記レンズの表面において大きい、前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対するモル比を有するような条件下で実施される、方法。
(12) 前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも1.5倍大きい、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記ポリマー非反応性内部湿潤剤のシリコーンに対する前記モル比が、そのバルクよりも前記レンズの表面において少なくとも2.3倍大きい、実施態様11~12のいずれかに記載の方法。
(14) 前記非反応性ポリマー内部湿潤剤がポリアミドである、実施態様11~13のいずれかに記載の方法。
(15) 前記非反応性ポリマー内部湿潤剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(PDMA)、ポリビニルアセトアミド(PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにこれらのコポリマー及びこれらの混合物から選択される、実施態様11~14のいずれかに記載の方法。
【0280】
(16) 2.0重量パーセントの前記非反応性ポリマー内部湿潤剤を含有する反応性混合物の前記反応生成物であるレンズにおいて、前記レンズが、75°以下の前進接触角を含む、実施態様11~15のいずれかに記載の方法。
(17) 前記前進接触角が50°以下である、実施態様16に記載の方法。
(18) 工程(b)が、前記反応性混合物を熱硬化させることを含む、実施態様11~17のいずれかに記載の方法。
(19) 前記熱硬化が60~120℃の温度で行われる、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記熱硬化が85~120℃の温度で行われる、実施態様18~19のいずれかに記載の方法。
【0281】
(21) 工程(b)に続き、前記コンタクトレンズから未重合成分を除去する抽出工程の前に、前記コンタクトレンズが、0.3重量パーセント以下の未重合重合性成分を含有する、実施態様11~20のいずれかに記載の方法。
(22) 実施態様11~21のいずれかに記載の方法で製造されたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
(23) 実施態様1~10のいずれかに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを国に輸入する方法。
(24) 前記国がアメリカ合衆国である、実施態様23に記載の方法。
【国際調査報告】