(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】フレーバー付与した食品
(51)【国際特許分類】
A23L 5/00 20160101AFI20220822BHJP
A23L 27/00 20160101ALI20220822BHJP
A23L 23/10 20160101ALI20220822BHJP
【FI】
A23L5/00 H
A23L5/00 C
A23L27/00 C
A23L23/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021551609
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2020068040
(87)【国際公開番号】W WO2020260593
(87)【国際公開日】2020-12-30
(32)【優先日】2019-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
【住所又は居所原語表記】7,Rue de la Bergere,1242 Satigny,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー ダルデル
(72)【発明者】
【氏名】カズィア エーバーハート
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ エルニ
(72)【発明者】
【氏名】ハワード ムント
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ワーグナー
【テーマコード(参考)】
4B035
4B036
4B047
【Fターム(参考)】
4B035LC01
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4B047LP09
(57)【要約】
本発明は、フレーバー成分を含むコアシェルカプセルを含むフレーバー付与した食品、並びにその方法及び使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルを含むフレーバー付与した食品であって、食品がゲルの形でのブイヨン及びゲルの形でのスープから選択される、フレーバー付与した食品。
【請求項2】
コアセルベートコアシェルカプセルのシェルが、タンパク質及び非タンパク質ポリマーを含む、請求項1に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項3】
タンパク質が植物タンパク質又はゼラチンからなる群から選択され、好ましくはタンパク質がゼラチンから選択される、請求項2に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項4】
コアセルベートコアシェルカプセルのシェルが、2つ非タンパク質ポリマーを含み、好ましくはその1つがキトサンである、請求項1に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項5】
非タンパク質ポリマーが、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、キサンタン、寒天、アルギン酸塩、ペクチン酸塩又はカラギーナンからなるポリマーの群から選択され、好ましくは非タンパク質ポリマーがアラビアゴムから選択される、請求項2から4のいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項6】
フレーバー成分が、コアセルベートコアシェルカプセルのコア中でカプセル化される、請求項1から5までのいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項7】
コアセルベートコアシェルカプセルのコアが、脂肪マトリックスを含み、好ましくは脂肪マトリックスが、食品グレードの油状物を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項8】
カプセルのシェルが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、クロムミョウバン又はトランスグルタミナーゼ、好ましくはトランスグルタミナーゼを使用して架橋されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項9】
フレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルが、以下のステップ:
- 水溶液、好ましくは水中で、少なくとも1つの第一のポリマーを溶解することによって親水コロイド溶液を調製するステップ、その際第一のポリマーは非タンパク質ポリマー又はタンパク質ポリマーである;
- 水溶液、好ましくは水中で、少なくとも1つの第二のポリマーを溶解することによって親水コロイド溶液を調製するステップ、その際第二のポリマーは非タンパク質ポリマーである;
- 少なくとも1つの第一のポリマーと少なくとも1つの第二のポリマーとを含む親水コロイド溶液を混合するステップ;
- 溶液中でフレーバー付与成分を乳化及び/又は懸濁することによってエマルション及び/又は懸濁液を調製するステップ;
- エマルション及び/又は懸濁液中に存在するフレーバー付与成分の液滴及び/又は粒子の周りに第一のポリマー及び第二のポリマーを含むコロイド壁を形成するステップ;
- 任意に、タンパク質のゲル化温度未満の温度に親水コロイドを冷却するステップ;及び
- コロイド壁を架橋するステップ
を含む方法によって調製される、請求項1から8までのいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項10】
フレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルが、フレーバー付与成分が例えば熱及び/又は湿度への曝露による拡散によって、及び任意に、食品の咀嚼によって、例えばカプセルの機械的破損によって、フレーバー付与した食品の調製中に放出可能であるように調製される、請求項1から9までのいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項11】
コロイド壁の架橋が、0.5~6時間、好ましくは1時間~4時間、より好ましくは1.5時間~3時間、周囲温度で実施されている/実施される、請求項8から10までのいずれか1項に記載のフレーバー付与した食品。
【請求項12】
例えば熱及び/又は湿度への曝露による拡散によって、及び任意に、食品の咀嚼によって、例えばカプセルの機械的破損によって、フレーバー組成物又はフレーバー付与した消費者製品の調製中に、請求項1から11までのいずれか1項において定義したフレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルを使用することにより、フレーバー付与した組成物のフレーバー又はフレーバー付与した消費者製品中のフレーバーを付与、改善、増強又は改質する方法。
【請求項13】
例えば、熱及び/又は湿度への曝露による拡散によって、及び任意に、食品の咀嚼によって、例えばカプセルの機械的破損によって、食品の調製中にフレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品のフレーバーを付与、改善、増強又は改質するための、請求項1から11までのいずれか1項において定義したフレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルの使用。
【請求項14】
フレーバーがフレーバー強度に関連する、請求項12に記載の方法又は請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーバー成分を含むコアシェルカプセルを含むフレーバー付与した食品、並びにその方法及び使用に関する。
【0002】
背景技術
飲食中の消費者体験を向上させることは、食品及び飲料の工業生産における重要な目的である。食品にフレーバー組成物を添加することは、心地よい体験、及びしたがって製品の品質を大幅に向上できる。しかしながら、フレーバー付与組成物は、典型的に、熱又は化学反応によって誘発される分解及び蒸発に敏感である。
【0003】
貯蔵及び輸送の安定性の向上及び/又は容易な加工性のような改善された性能を有し、同時に消費の重要な瞬間での放出を可能にする食品にフレーバー付与する方法は、幅広い食品において、例えばウェットスープ及びブイヨン、すぐに食べられる食事(長時間の調理又は二重釜の準備、レトルト/UHT処理又は低温殺菌したもの)、肉製品及び肉類似製品(大豆ベースの製品、例えば豆腐もしくはテンペ、又はグルテンベースの製品を含む)、シーフード、乳製品、例えばヨーグルト又は乳製デザート、菓子製品、ペットフード、又は焼き菓子において関心がある。
【0004】
フレーバーの貯蔵安定性を高めるための1つの可能性は、コアシェルカプセルでのカプセル化である。コアシェルカプセルは、フレーバーに安定した環境を提供するために典型的に使用できるポリマー構造である。コアセルベートコアシェルカプセルは、従来加えられた力の下で壊れるフレーバーデリバリーシステムとして使用される。通常、このような破損は、フレーバー付与した最終食品の摂取中に起こり、カプセルのシェルが、咀嚼中に破裂し、カプセル化したフレーバーの放出を導く。
【0005】
しかしながら、フレーバー組成物の従来のカプセル化は、咀嚼の瞬間までフレーバーが放出されないという望ましくない効果をもたらす。あるいは、カプセル化系、例えば噴霧乾燥粉末は、単に製品にフレーバーを付与し、水の添加中に生じる放出の制御が不十分である。
【0006】
しかしながら、コンビニエンスフードである食品、例えばすぐに食べられる食事、レトルトスープ、及び消費者によって迅速に調理される他の食品のような食品を迅速に調理する際の、短いが重要な食品の調理ステップ中の消費者体験を向上させることへの関心も高まっている。
【0007】
したがって、機械的応力、例えばコアシェルカプセルの破裂時だけでなく、調理プロセス、例えば料理又は蒸し中にもフレーバー放出を提供するフレーバー付与した食品を提供することが望ましいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】食品にフレーバー付与する方法のために使用されるコアセルベートコアシェルカプセル。
【
図2】訓練を受けた感覚パネリストにより知覚された、米の試料1(フレーバー付与なし)、試料2(液体チキンフレーバー)、及び試料3(チキンフレーバーを付与したマイクロカプセル)のチキンフレーバーの強度の平均。2日後に評価した試料。
【
図3】訓練を受けた感覚パネリストにより知覚された、米の試料1(フレーバー付与なし)、試料2(液体チキンフレーバー)、及び試料3(チキンフレーバーを付与したマイクロカプセル)のチキンフレーバーの強度の平均。1ヶ月後に評価した試料。
【
図4】訓練を受けた感覚パネリストにより知覚された、米の試料1(フレーバー付与なし)、試料2(液体チキンフレーバー)、及び試料3(チキンフレーバーを付与したマイクロカプセル)のチキンフレーバーの強度の平均。3ヶ月後に評価した試料。
【
図5】訓練を受けた感覚パネリストにより知覚された、米の試料1(フレーバー付与なし)、試料2(液体チキンフレーバー)、及び試料3(チキンフレーバーを付与したマイクロカプセル)のチキンフレーバーの強度の平均。6ヶ月後に評価した試料。
【
図6】レトルトのブイヨン試料1(フレーバー付与なし)、試料2(液体チキンフレーバー)、及び試料3(チキンフレーバーを付与したマイクロカプセル)のチキンフレーバーの強度の平均。
【0009】
発明の詳細な説明
本発明は、フレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルを含むフレーバー付与した食品に関し、その際フレーバー付与した食品は、ゲルの形でのブイヨン及びゲルの形でのスープからなる群から選択される。
【0010】
フレーバー付与した食品は、消費者自身に感覚刺激性の印象を提供し、すなわち、フレーバー付与した食品は、コアセルベートコアシェルカプセル中に含まれるフレーバー成分によってではなく、フレーバー付与した食品中のフレーバーによってフレーバー付与さられることが理解される。
【0011】
本発明に従って、フレーバー付与した食品は、ゲルの形でのブイヨン及びゲルの形でのスープからなる群から選択される。
【0012】
フレーバー付与した食品自体は、消費者による消費のために用意されていないが、特定の方法で、すなわち、特定のさらなる食品成分と混合することによって調製されるべきであり、すなわち、スープ及びブイヨンは、水を混合することによって及び/又は食品が通常消費される程度に加熱することによって調製でき、すなわち、スープ及びブイヨンは、沸騰したお湯の温度(約100℃)に加熱される。
【0013】
ゲルの形で又はゲル型でフレーバー付与した食品によって、それは、消費者によって消費された時の、又は消費者による調理前のその形に関連していることが理解される。好ましくは、ゲルの形であるフレーバー付与した食品は、特定の方法で、すなわち、特定のさらなる食品成分と混合することによって消費者による調理前にその形に関連しており、すなわち、スープ及びブイヨンは、水を混合することによって及び/又は食品が通常消費される程度に加熱することによって調製でき、すなわち、スープ及びブイヨンは、沸騰したお湯の温度(約100℃)に加熱される。
【0014】
貯蔵弾性率G’(貯蔵された変形エネルギー)が損失弾性率G’’(散逸した変形エネルギー)よりも高い場合に、材料は、ゲルの形であり、すなわち粘弾性の固体であると見なされうる。さらに、損失弾性率を超える貯蔵弾性率G’を有することに加えて、ポリマーによって形成されたゲルは、弾性率の周波数依存性がないか、又は弱いだけであることが公知であり、これは、貯蔵弾性率が、機械的試験頻度の広範囲にわたって損失弾性率よりも高いことを意味する。かかる粘弾性の特性を測定する方法及びゲルの定義は、科学文献に記載されており、例えば" The Structure and Rheology Complex Fluids ", R.G. Larson, Oxford University Press, 1998を参照されたい。
【0015】
一実施形態において、ゲルの形でのブイヨン又はゲルの形でのスープのゲルは、1超の、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも5の貯蔵弾性率G’:損失弾性率G’’の比によって表すことができる。
【0016】
一実施形態において、ゲルの形でのブイヨン又はゲルの形でのスープのゲルは、少なくとも10Pa、好ましくは少なくとも50Paの損失弾性率G’’を有する。
【0017】
明確にするために、G’:G’’についての要件は、フレーバー付与した製品の一部だけでなく、フレーバー付与した製品全体に適用すべきである。それによって、フレーバー付与した製品は、好ましくは、コアを覆う固体エンベロープ材料から構成されないことが理解される。
【0018】
前記値は、好ましくは、例えば、Bohlin AntonPaar(Germany)又はTA Instruments(US)から市販されているような、低変形レオメータの標準状態で実施される標準振動試験に適用される以下の条件下で測定することが好ましい:
- 周囲条件下で少なくとも12時間の成熟時間、
- 測定温度25℃、
- 1rad/秒の振動周波数、及び
- 1%のひずみ。
【0019】
特定の実施形態において、ゲルの形でのブイヨン及びゲルの形でのスープからなる群から選択されるフレーバー付与した食品は、国際公開第2007/068484号(WO 2007/068484 A1)に記載されているように調製される;ゲルの形でのブイヨン又はゲルの形でのスープを得るための成分及び調製方法に関する内容は、参照をもって本明細書に含まれる。
【0020】
本発明に従って、フレーバー付与した食品は、フレーバー付与成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルを含む。
【0021】
「フレーバー成分」又は「フレーバー」等の用語は、単一の化合物又は混合物を含む、天然及び合成の双方の起源の種々のフレーバー及びフレグランス材料を定義すると理解される。かかる成分の特定の例は、文献、例えば、Fenaroli’s handbook of Flavor Ingredients, 1975, CRC Press; synthetic Food Adjuncts, 1947 by M.B. Jacobs, edited by van Nostrand;もしくはPerfume and Flavor Chemicals by S. Arctander 1969, Montclair, N.J. (USA)において見出せる。これらの物質は、食品及び消費者製品のフレーバー付与及び/又は付香の当業者に周知である。
【0022】
フレーバー付与成分は、味覚改質剤であってよい。「味覚改質剤」は、消費者の味覚受容体に作用する、又は消費される製品に口当たり(例えば、ボディー、丸み、又はマウスコーティング)に関連する感覚特性を提供する有効成分として理解される。味覚改質剤の制限のない例は、塩味、脂肪性、うま味、コク味、熱感又は冷感、甘味、酸度、ピリピリ感、苦味又は酸味を、増強、改質又は付与する有効成分を含む。
【0023】
フレーバー付与成分は、特定の官能的特徴、例えば鶏肉、牛肉、豚肉又はエビのフレーバーのような甘くて香ばしい香調に匹敵する複雑なフレーバーであってよい。
【0024】
コアセルベートコアシェルカプセルは、コアセルベートシェルによって完全に覆われたコアを含む。コアは、コアセルベートシェルによって完全にカプセル化されていると理解される。
【0025】
コア材料は、20℃~30℃の温度で液体又は固体の状態であってよい。
【0026】
一実施形態に従って、コア材料は、20℃~30℃の温度で液体である。
【0027】
他の実施形態に従って、コア材料は、20℃~30℃の温度で固体である。
【0028】
コア材料は、疎水性であってよく、これは、20℃~30℃の温度で水と不混和性であり、別々の疎水性相の形で存在することを意味する。
【0029】
コアは、少なくとも5質量%、より好ましくは少なくとも10質量%、さらにより好ましくは少なくとも20質量%、最も好ましくは少なくとも30質量%、例えば40質量%の0.007Pa超の蒸気圧を有する化合物のを含んでよい(蒸気圧は25℃の基準温度に対して規定される)。
【0030】
好ましくは、コア材料の少なくとも10質量%は、0.1Pa超の蒸気圧を有し、より好ましくは少なくとも10質量%は、25℃で>1Paの蒸気圧を有し、かつ最も好ましくは少なくとも10質量%は、25℃で>10Paの蒸気圧を有する。
【0031】
蒸気圧について25℃で0.007Paの所与の値は、一般的に、揮発性を有する化合物を同定する制限値と見なされる。本発明の目的のために、蒸気圧は、「EPIスイート」ソフトウェア(2000年、米国環境保護庁)において開示された方法を使用して算出することによって決定される。
【0032】
好ましくは、コアセルベートコアシェルカプセルのコアは、フレーバー成分を含む。言い換えれば、フレーバー成分は、コアセルベートコアシェルカプセルのコア中でカプセル化される。
【0033】
コアセルベートコアシェルカプセルのコアは、脂肪マトリックスを含んでよく、好ましくは脂肪マトリックスは、食品グレードの油状物を含む。
【0034】
脂肪マトリックスは、(i)水素化油又は(ii)水素化脂肪又は(iii)ココアバター又は(iv)i~iiiの混合物を含んでよい。
【0035】
好ましくは、水素化油は、水素化パーム油、水素化大豆油、及び水素化綿実油を含む。
【0036】
好ましくは、水素化脂肪はココア脂肪を含む。
【0037】
より好ましくは、脂肪マトリックスは、脂肪と水素化油との混合物を含む。さらにより好ましくは、脂肪マトリックスは、水素化パーム油とココ脂肪及び/又はココアバターとの混合物を含む。
【0038】
コアシェルマイクロカプセルのシェルは、タンパク質及び、任意に非タンパク質ポリマーを含んでよい。
【0039】
好ましくは、コアシェルマイクロカプセルのシェルは、タンパク質及び非タンパク質ポリマーを含む。
【0040】
好ましくは、非タンパク質ポリマーは、タンパク質と反対に帯電しており、すなわち、タンパク質が正に帯電している場合に、非タンパク質ポリマーは負に帯電しているか又は中性であってよく、タンパク質が負に帯電している場合に、非タンパク質ポリマーは正に帯電しているか又は中性であってよい。
【0041】
代わりに、コアシェルマイクロカプセルのシェルは、2つの非タンパク質ポリマー、好ましくはその1つがキトサンである非タンパク質ポリマーを含んでよい。
【0042】
コアセルベートコアシェルカプセルは、「単純な」コアセルベーション及び「複雑な」コアセルベーションによって作製してよい。単純なコアセルベーションに関して、タンパク質のみが、相分離を受け、次にカプセル壁を形成するために使用されることが理解される。複雑なコアセルベーションに関しては、一般的に反対に帯電した非タンパク質ポリマーとタンパク質が一緒になってカプセルシェルを形成する方法と理解される。
【0043】
コアセルベーションプロセスにおいて及びシェルに含まれる好ましいタンパク質は、アルブミン、植物タンパク質、植物グロブリン及びゼラチンを含む。
【0044】
好ましくは、タンパク質は、植物タンパク質、好ましくはエンドウ豆タンパク質、大豆タンパク質、米タンパク質、小麦タンパク質、ジャガイモタンパク質、トウモロコシタンパク質、ホエータンパク質、ルピナスタンパク質又はそれらの混合物、又はゼラチンからなる群から選択される。
【0045】
好ましくは、タンパク質は、ゼラチンから選択される。
【0046】
好ましくは、ゼラチンは、魚、豚肉、牛肉、及び/又は家禽に由来しうる。
【0047】
好ましくは、カプセル壁を形成するために使用されるタンパク質は、魚、豚肉、牛肉、及び/又は家禽に由来するゼラチンである。
【0048】
好ましくは、タンパク質は、魚に、好ましくは温水魚に、又は豚肉に由来するゼラチンである。温水魚は、一般に、27℃超の水に長時間にわたって耐えることができる魚として公知である。
【0049】
好ましくは、ゼラチン、好ましくは温水魚又は豚肉に由来するゼラチンは、約10~約300ブルーム、より好ましくは約200~約300ブルームのブルーム値を有する。
【0050】
コアセルベーションプロセスにおいて、複雑なコアセルベーション法によってコアシェルカプセルのシェルを形成する、好ましい非タンパク質ポリマーは、特に、負に帯電したポリマーを含んでよい。
【0051】
好ましくは、非タンパク質ポリマーは、アラビアゴム、キサンタン、寒天、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、ペクチン酸塩、又はカラギーナン、又はそれらの混合物からなるポリマーの群から選択されうる。
【0052】
好ましくは、非タンパク質ポリマーは、アラビアゴムから選択される。
【0053】
さらに好ましい非タンパク質は、文献、例えばDe Kruifら、Current Opinion in Colloid and Interface Science, Vol. 9, pp 340-349, 2004に由来してよい。
【0054】
好ましくは、フレーバー成分を含むコアシェルマイクロカプセルは、以下のステップを含む方法によって調製される:
- 水溶液、好ましくは水中で、少なくとも1つの第一のポリマーを溶解することによって親水コロイド溶液を調製すること、その際第一のポリマーは非タンパク質ポリマー又はタンパク質ポリマーである;
- 水溶液、好ましくは水中で、少なくとも1つの第二のポリマーを溶解することによって親水コロイド溶液を調製すること、その際第二のポリマーは非タンパク質ポリマーである;
- 少なくとも第一のポリマー及び少なくとも第二のポリマーを含む親水コロイドを混合すること;
- 溶液中でフレーバー付与成分を乳化及び/又は懸濁することによってエマルション及び/又は懸濁液を調製すること;
- エマルション及び/又は懸濁液中に存在するフレーバー付与成分の液滴及び/又は粒子の周りに第一のポリマー及び第二のポリマーを含むコロイド壁を形成すること;
- 任意に、タンパク質のゲル化温度未満の温度に親水コロイドを冷却すること;及び
- コロイド壁を架橋すること。
【0055】
コアセルベートカプセルは、そのゲル化温度を超えてタンパク質材料の第一の親水コロイド溶液を形成し、非タンパク質ポリマーの第二の親水コロイド溶液を調製し、そして2つの親水コロイド溶液を混合して第三の溶液を形成することによって調製されうる。
【0056】
第一の溶液は、少なくともタンパク質、好ましくはゼラチンを、水溶液、好ましくは水で溶解し、そして30℃~50℃、好ましくは35℃~45℃、及びさらにより好ましくは38~42℃の温度でそれを維持することを含む。
【0057】
第一の溶液中で、タンパク質は、0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらにより好ましくは7~13質量%の量で水溶液中に存在しうる。
【0058】
第二の溶液は、少なくとも非タンパク質ポリマー、好ましくはアラビアゴムを、水溶液、好ましくは水で溶解し、そして30℃~50℃、好ましくは35℃~45℃、及びさらにより好ましくは38~42℃の温度でそれを維持することを含む。
【0059】
第二の溶液中で、非タンパク質ポリマーは、0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらにより好ましくは7~13質量%の量で水溶液中に存在しうる。
【0060】
第一の溶液及び第二の溶液を、撹拌下で混合して第三の溶液を形成してよい。
【0061】
好ましくは、タンパク質と非タンパク質ポリマーとの質量比は、3:1~1:3、より好ましくは2:1~1:1、及び最も好ましくは約3:2の範囲である。
【0062】
第三の溶液のpHを、4.3~4.7のpH値に調整してよい。
【0063】
第三の水溶液のpHを、食品グレードの酸性溶液の添加によって、好ましくは乳酸水溶液の添加によって調整してよい。
【0064】
フレーバー成分を、剪断下で第三の溶液に導入して、エマルション又は懸濁液を形成してよい。
【0065】
エマルション又は懸濁液を、従来の方法で調製してよい。
【0066】
エマルション又は懸濁液を、約3~10分、好ましくは4~6分にわたって第三の溶液にフレーバー成分を添加することによって調製してよい。
【0067】
エマルション又は懸濁液を、300~400rpmの速度で調整した動翼撹拌機で調製してよい。撹拌機の速度を必要に応じて調製してよい。
【0068】
「コアセルベーション」ステップとしても公知であるこのステップにおいて、2つの別々の相、すなわちコアセルベート相(ポリマーが豊富している)及び共存溶媒(ポリマーが枯渇している)が作成されうる。コアセルベート相は、一般に、タンパク質、及び任意に非ポリマー化合物から構成されうる。
【0069】
コアセルベーションを、pHをタンパク質の等電点未満に変更する、好ましくは下げることによって促進してよい。
【0070】
非タンパク質ポリマーが存在する場合に、コアセルベーションのためのpHは、好ましくは、タンパク質の正電荷が非タンパク質ポリマーの負電荷によって中和されるように調整される。
【0071】
pHは、食品グレードの酸性溶液の添加によって、好ましくは乳酸水溶液の添加によって調整される。
【0072】
相分離は、溶液の物理化学的環境を変えること、例えば相分離を誘発するための塩析又は第二の高分子量成分の添加によって、他の種々の方法によっても引き起こされうる。
【0073】
そして混合物の温度を、タンパク質のゲル化温度未満に下げてよい。タンパク質、好ましくはゼラチンのゲル化温度の決定は、部分的には実験によって確立することができ、その技術は当技術分野で周知である。
【0074】
特に、振動レオロジーは、冷却下のタンパク質溶液における弾性の開始を測定するために使用でき、弾性率が粘性率を超える温度は、一般にゲル化温度と見なされる。
【0075】
好ましくは、温度は、25℃未満、好ましくは22℃未満、より好ましくは20℃未満に冷却される。好ましくは、温度は、5℃以上に冷却する。
【0076】
カプセルのシェルは、架橋剤を使用して架橋されうる。典型的には、架橋剤はカプセルシェルを硬化するために使用されうる。
【0077】
架橋剤は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グルタルアルデヒド、グリオキサール、クロムミョウバン又はトランスグルタミナーゼを含みうる。
【0078】
好ましくは、架橋剤はトランスグルタミナーゼである。トランスグルタミナーゼは、パブリックドメインにおいてよく記載されており、市販されている。
【0079】
好ましくは、トランスグルタミナーゼは、ゼラチン1グラムあたり10~100、好ましくは30~60の活性単位で使用される。
【0080】
好ましくは、架橋は、5~40℃、好ましくは15~25℃、より好ましくは20~25℃の範囲内の温度で実施される。
【0081】
好ましくは、架橋中のpHは、架橋を効果的に実施できるレベルに調整される。好ましくは、架橋がトランスグルタミナーゼを使用して酵素的に実施される場合に、pHは、3~7、より好ましくは3.5~5.5に調整されてよい。
【0082】
好ましくは、架橋は、1~15時間、好ましくは2~12時間、より好ましくは7~10時間の期間、特に周囲温度(すなわち20~25℃)で実施されてきた/実施された。
【0083】
代わりに、架橋は、1~15時間、好ましくは1~4時間、より好ましくは1.5~3時間の期間、特に周囲温度(すなわち20~25℃)で実施されてきた/実施された。
【0084】
フレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルは、フレーバー成分が、熱及び/又は湿度への曝露による拡散によって、及び任意に、食品の咀嚼によって、例えばカプセルの機械的破損によって、フレーバー付与した食品の調製中に放出可能であるように調製されてよい。
【0085】
好ましくは、コアセルベートコアシェルカプセルは、Soft Matter, 2011,7, 3315-3322 (Determination of covalent cross-linker efficacy of gelatin strands using calorimetric analyses of the gel state)において記載された方法に従って、10~70%の架橋の程度を有する。
【0086】
好ましくは、コアセルベートコアシェルカプセルは、0.01~10N、好ましくは0.1~2Nの破壊力を有する。破裂力は、機械的試験機器、例えば、テクスチャーアナライザー(Food Technology Corporation, USA)、Instron Mechanical Testing machine(Instron, USA)の平行板間のカプセルの圧縮によって、又は垂直抗力を備えたレオメータ装置(例えばDHR-2 Rheometer manufactured by TA Instruments, USA又はMCR Rheometer manufacture by Anton Paar GmbH, Germany)を使用して測定できる。
【0087】
コアセルベートコアシェルカプセルは、100μm~800μm、好ましくは200μm~600μm、より好ましくは250μm~450μmのカプセルサイズの中央値を有してよい。コアセルベートコアシェルカプセルのカプセルサイズの中央値は、標準的なレーザー回折粒子サイズ分析によって、又は画像分析と組み合わせた光学顕微鏡法によって決定されうる。ここで、本発明について、カプセルサイズは、光学顕微鏡法(例えば、ニコンTE2000顕微鏡で)及び画像分析(ニコンNISエレメントソフトウェアで実施される)によって測定された数ベースのサイズ分布に基づく値を示す。中央値及び平均サイズ分布を得る方法は、科学文献(例えばR. J. Hunter, "Introduction to Modern Colloid Science", Oxford University Press, 1994)において記載されている。
【0088】
本発明は、熱及び/又は湿度への曝露による拡散によって、及び任意に、食品の咀嚼によって、例えばカプセルの機械的破損によって、フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品の調製中に前記で定義しフレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルを使用することにより、フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品のフレーバーを付与、改善、増強又は改質する方法に関する。
【0089】
「フレーバー付与した組成物」又は「フレーバー付与した消費者製品」とは、経口組成物又は食用製品、例えば、医薬組成物、食用ゲル混合物及び組成物、歯科用組成物、食品飲料及び飲料製品を示すことを意味する。
【0090】
フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品は、種々の形であってよい。フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品の適した形の網羅的でないリストは、揚げ物、冷凍マリネしたもの、衣付けしたもの、冷蔵したもの、脱水したもの、粉末ブレンドしたもの、缶詰再構成したもの、レトルト、焼いたもの、調理したもの、発酵したもの、マイクロフィルター、低温殺菌したもの、ブレンドしたもの又は保存したものが含まれ得る。したがって、本発明によるフレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品は、前記で定義したフレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセル、並びに所望の食用製品の味及びフレーバープロフィールに対応する任意の有効物質(benefit agent)含む。
【0091】
食料又は飲料品の構成物の性質及びタイプは、ここでのより詳細な記載を保証せず、その際当業者は、一般の知識に基づいて、及び該製品の性質に従って、性質及びタイプを選択することができる。
【0092】
前記フレーバー付与した消費者製品の典型的な例は、以下を含む:
・ 焼き菓子(例えば、パン、ドライビスケット、ケーキ、ライスケーキ、ライスクラッカー、クッキー、クラッカー、ドーナツ、マフィン、ペストリー、プレミックス、その他の焼き菓子)、
・ 非アルコール飲料(例えば、アルコールフリービール、水性飲料、強化/わずかに甘くした水飲料、フレーバー付与した炭酸水及びスティルミネラルウォーター及び食卓用水、炭酸飲料、非炭酸飲料、炭酸水、スティルウォーター、ソフト、ボトル入り飲料、スポーツ/エナジードリンク、ジュースドリンク、野菜ジュース、野菜ジュース製品、出し汁)、
・ アルコール飲料(例えば、ビール及び麦芽飲料、低アルコールビール、スピリチュアル飲料、ワイン、リカー)、
・ インスタント又はすぐに飲める飲料(例えば、インスタント野菜飲料、粉末ソフトドリンク、インスタントコーヒー及び紅茶、黒茶、緑茶、ウーロン茶、ハーブを煎じた液、カカオ(例えば水ベース)、茶ベースの飲料、コーヒーベースの飲料、カカオベースの飲料、煎じた液、シロップ、冷凍フルーツ、冷凍フルーツジュース、水ベースの氷、フルーツアイス、ソルベ)、
・ シリアル製品(例えば、朝食用シリアル、シリアルバー、エネルギーバー/栄養バー、グラノーラ、調理済みの既製米製品、米粉製品、キビ及びソルガム製品、生又は調理済みの麺及びパスタ製品)、
・ 乳製品ベースの製品(例えば、フルーツ又はフレーバー付与したヨーグルト、アイスクリーム、フルーツアイス、冷菓、フレッシュチーズ、ソフトチーズ、ハードチーズ、ミルクドリンク、ホエイ、バター、部分的又は全体的に加水分解された乳タンパク質含有製品、発酵乳製品、凝縮したミルク及び類似物)
・ 非乳成分(植物ベースのタンパク質、植物性脂肪)を含む乳製品類似体(模造乳製品)、
・ 菓子製品(例えば、フィリング、トッピング、チューインガム、ハードキャンディー及びソフトキャンディー)、
・ チョコレート及びコンパウンドコーティング(例えば、チョコレート、スプレッド)、
・ 脂肪及び油又はそれらのエマルションをベースとした製品(例えば、マヨネーズ、スプレッド、通常の又は低脂肪のマーガリン、バター/マーガリンブレンド、フレーバー付与したオイル、ショートニング、レムラード、ドレッシング、サラダドレッシング、スパイス製品、ピーナッツバター)、
・ 卵又は卵製品(乾燥卵、卵白、卵黄、カスタード)、
・ デザート(例えば、ゼラチン、プリン、デザートクリーム)、
・ 大豆タンパク質又はその他の大豆分で作られた製品(例えば、豆乳及びそれから作られた製品、大豆レシチン含有製品、発酵製品、例えば豆腐もしくはテンペ又はそれから製造された製品、醤油)、
・ 野菜製品(例えば、ケチャップ、ソース、加工した及び再構成した野菜、乾燥野菜、冷凍野菜、調理済み野菜、酢漬け野菜、野菜濃縮物又はペースト、調理済み野菜、ジャガイモ製品)、
・ フルーツ製品(例えば、ジャム、マーマレード、缶詰フルーツ)
・ ベジタリアン及び/又はビーガンの肉類似物又は肉代替品、ベジタリアンバーガー、ベジタリアン/ビーガンバーガー、ベジタリアン/ビーガンナゲット、ベジタリアン/ビーガンソーセージ、ベジタリアン/ビーガン細切り肉、
・ スパイス又はスパイス製品(例えば、マスタード製品、西洋ワサビ製品、ピクルス)、スパイス混合物、及び特に、例えばスナックの分野で使用される調味料
・ スナック製品(例えば、焼いた又は揚げたポテトチップス又はポテト生地製品、パン生地製品、トウモロコシ、米もしくは落花生をベースにした押出物)、
・ 即時の料理(例えば、インスタントヌードル、米、パスタ、ピザ、トルティーヤ、ラップ)並びにスープ及び煮出し汁(例えば、ストック、セイボリーキューブ、ドライスープ、インスタントスープ、調理済みスープ、レトルトスープ)、ソース(インスタントソース、ドライソース 、既製ソース、グレービー、スイートソース、レリッシュソース、サワーソース)、
・ オーラルケア製品、例えば、練り歯磨き、マウスウォッシュ、デンタルケア製品(例えば、デンタル接着剤)、デンタルリンス、マウススプレー、デンタルパウダー、デンタルジェル、デンタルフロス、
・ ペットフード又は動物用フード。
【0093】
好ましくは、フレーバー付与した食品は、レトルトスープ、缶詰スープ、超熱処理処理にかけたスープ、ゲルの形でのブイヨン及びゲルの形でのスープ、より好ましくはゲルの形でのブイヨン及びゲルの形でのスープからなる群から選択される。
【0094】
好ましくは、フレーバーは、フレーバー強度に関係する。フレーバー強度は、フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品におけるアロマの知覚であると理解される。
【0095】
特定の実施形態において、フレーバー強度は、ブラインドテストベースで8人の訓練されたパネリストによって評価され、0から10のスケールでフレーバー強度について試料を評価するように求められる(0はフレーバー強度又はアロマの知覚がないことを示し、10は非常に強い強度又はアロマの知覚が強いことを示す)。
【0096】
好ましくは、フレーバー強度は、改善又は高められる。
【0097】
特定の実施形態において、フレーバー強度は、ブラインドテストベースで8人の訓練されたパネリストによって評価され、0から10のスケールでフレーバー強度について試料を評価するように求められる場合に、少なくとも5、好ましくは少なくとも6、より好ましくは少なくとも7と評価される(0はフレーバー強度又はアロマの知覚がないことを示し、10は非常に強い強度又はアロマの知覚が強いことを示す)。
【0098】
本発明は、熱及び/又は湿度への曝露による拡散によって、及び任意に、食品の咀嚼によって、例えばカプセルの機械的破損によって、フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品の調製中にフレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品のフレーバーを付与、改善、増強又は改質するための、前記で定義したフレーバー成分を含むコアセルベートコアシェルカプセルの使用にも関する。
【0099】
フレーバー付与した組成物又はフレーバー付与した消費者製品のフレーバーを付与、改善、増強又は改質する方法に関する実施形態は、その使用に準用する。
【0100】
実施例
以下で提供される実施例は、本発明の実施を実証し、その好ましい態様を要約する。しかしながら、これらの代表的な例は、前記した本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0101】
実施例1a:本発明によるフレーバー付与食品に適したコアシェルカプセルの調製
チキンフレーバーを、複雑なコアセルベーションプロセスに従って親水コロイドシェル内にマイクロカプセル化する。シェルを、低透過性のカプセルが得られるように架橋し、フレーバーに安定性を提供する。適用で使用する場合に、これらのカプセルは、カプセルシェルの機械的破裂(「バースト」)によるフレーバーの放出を可能にする。
【0102】
豚ゼラチンタイプA(275ブルーム)及びアラビアゴム(Efficacia(登録商標)、CNI製)を、親水コロイドとして使用する。ゼラチンのストック溶液(溶液A)を、温かい脱イオン水180g及びゼラチン20gを容器内で完全に溶解するまで混合することによって調製し、そしてその溶液を40℃に維持する。アラビアゴムのストック溶液(溶液B)を、冷い脱イオン水180g及びアラビアゴム20gを容器内で完全に溶解するまで混合することによって調製し、そしてその溶液を温めて40℃で保つ。
【0103】
溶液A105.4gを、溶液B70.3gと穏やかに撹拌しながら容器内で混合する(ゼラチン/アラビアゴム比は1.5:1である)。50%(w/w)乳酸水溶液でpHを4.6に調整する。チキンフレーバー70.3gを、ゼラチン及びアラビアゴムの混合物にゆっくりと添加し、撹拌機で350RPMで5分間均質化して、平均液滴サイズが350mmにする。次に、この系を、温かい脱イオン水354.1gの添加により希釈し、合計の親水コロイド濃度を3.4%(w/w)にする。その混合物を、最終的に0.5℃・min-1の速度で20℃に冷却する。
【0104】
撹拌速度をわずかに下げ、pHを4.5に調整し、そして4.22gのトランスグルタミナーゼ(ACTIVA(登録商標)WM、Ajinomoto社により供給される)をその混合物に添加する。架橋を、20℃で15時間実施する。そして、その懸濁液を、60℃で30分間加熱して酵素を不活性化し、架橋反応を停止する。その結果、マイクロカプセルの水性懸濁液が得られる。
【0105】
実施例1b:実施例1a:本発明によるフレーバー付与食品に適した拡散性コアシェルカプセルの調製
カプセルを、実施例1aに記載した手順と同じ一般的な手順に従って調製した。しかしながら、この実施例において、カプセルのシェルを、シェルの透過性が弱くなり、拡散によるカプセルからのフレーバーの放出が促進されるように硬化した。実施例1と同様に、豚ゼラチンタイプA及びアラビアゴムを親水コロイドとして使用する。溶液Aを、温かい脱イオン水180g及びゼラチン20gを容器内で完全に溶解するまで混合することによって調製し、その後その溶液を40℃に維持する。溶液Bを、冷い脱イオン水180g及びアラビアゴム20gを容器内で混合することによって調製し、そしてその溶液を温めて40℃で保つ。
【0106】
溶液A105.4gを、溶液B70.3gと穏やかに撹拌しながら容器内で混合する(ゼラチン/アラビアゴム比は1.5:1である)。50%(w/w)乳酸水溶液でpHを4.6に調整する。チキンフレーバー70.3gを、ゼラチン及びアラビアゴムの混合物にゆっくりと添加し、均質化する。次に、この系を、温かい脱イオン水354.1gの添加により希釈し、合計の親水コロイド濃度を3.4%(w/w)にする。その混合物を、最終的に0.5℃・min-1の速度で20℃に冷却する。
【0107】
撹拌速度をわずかに下げ、pHを4.5に調整し、そして4.22gのトランスグルタミナーゼ(ACTIVA(登録商標)WM、Ajinomoto社により供給される)をその混合物に添加する。架橋を、20℃で2時間実施する。そして、その懸濁液を、60℃で30分間加熱して酵素を不活性化し、架橋反応を停止する。その結果、架橋度が非常に弱いマイクロカプセルの水性懸濁液(
図1を参照)が得られ、これを以下に記載した食品のフレーバー付与方法と組み合わせることで、例えば調理中に主に拡散性のフレーバーの放出を可能にする。
【0108】
実施例1c:室温で固体化したコアを有する、本発明によるフレーバー付与食品に適した固体コアシェルカプセルの調製
この実施例は、本発明によるフレーバー食品に適したフレーバーカプセルの調製を記載する;ここで、カプセルのコアは、室温で固体コアを提供するために脂肪マトリックスをさらに含む;最終食品の調製中に加熱すると、この固体コアは加熱すると溶解しうる。
【0109】
ゼラチンのストック溶液(溶液A)を、温かい脱イオン水180g及びゼラチン(温水魚ゼラチン、200ブルーム、Weishardtにより供給)20gを容器内で完全に溶解するまで混合することによって調製し、そして40℃に維持した。アラビアゴムのストック溶液(溶液B)を、冷い脱イオン水180g及びアラビアゴム(Efficacia(登録商標)、CNI製)20gを容器内で完全に溶解するまで混合することによって調製し、そしてその溶液を温めて40℃で保った。
【0110】
有効成分(溶液C)を、容器中で60℃でココ脂肪(Margo Cocos)と水素化パーム油(Stable flake P、Cargill)の2:3(質量)の混合物を脂肪混合物が完全に溶けるまで加熱することによって調製した。そして、フレーバー35gを添加して、均質な油性混合物を得た。その溶液を45℃で穏やかに撹拌しながら維持した。溶液A 105gを、溶液B 70gと穏やかに撹拌しながら容器内で混合した(ゼラチン/アラビアゴムの質量比1.5:1)。50%(w/w)乳酸水溶液でpH値を4.6に調整した。
【0111】
有効成分/脂肪混合物(溶液C)70gを、事前に混合した溶液A及び溶液Bにゆっくりと添加し、そして撹拌機で150RPMの回転速度で5分間均質化し、数に基づいた平均液滴径500~1000マイクロメートルを得る。
【0112】
次に、この系を、温かい脱イオン水356gの添加により希釈し、合計の親水コロイド濃度を3.4%(w/w)にした。その混合物を、最終的に0.5℃・minの速度で20℃に冷却した。カプセルシェルを硬化するために、撹拌速度をわずかに下げ、pHを4.5に調整し、そして酵素トランスグルタミナーゼ(ACTIVA(登録商標)WM、Ajinomoto社により供給される)4.22gをその混合物に添加した。架橋を、20℃で15時間実施した。その結果、室温で固体コア及び強力に架橋されたシェルを有するマイクロカプセルの水性懸濁液を得た。これらのカプセルは、コアが室温で固体のままであるが、加熱すると液化するため、カプセル化されたフレーバーに追加の安定性を提供し、溶融コアは、機械的破壊による食事中のフレーバーのその後の放出を可能にする。
【0113】
さらに、カプセルを、同じ配合で、しかし異なる方法で硬化したシェルで調製し、その際、架橋ステップは本発明に記載した食品にフレーバー付与する方法での使用に適していた。この場合、架橋ステップを同じ温度で実施したが、架橋時間を、2時間に設定し、透過性が向上したカプセルシェルを得た。室温では固体であるが食品の調製中に加熱すると溶融するコア製剤と組み合わせることで、一度溶融して、より透過性の高いシェルがフレーバーの拡散放出を促進する。
【0114】
実施例2:米と調理したゼリーキューブ中の液体チキンフレーバー及びチキンフレーバーを付与したマイクロカプセルの評価
以下の実施例において、本発明による方法を使用して、ブイヨン、スープ又はグレービーを調製するために適したゼリーキューブにフレーバー付与する。比較を、フレーバー付与していない試料、カプセル化していない遊離液体フレーバーを含む試料、及びフレーバーを含むコアシェルカプセルを含む試料で行う。この実施例は、この方法が貯蔵中にフレーバーの強力な安定化を提供し、食べるとフレーバーを放出することを可能にすることを示している。
【0115】
ゼリーキューブを、以下の第1表において示した配合に従って調製した。
【0116】
【0117】
ゼリーキューブを、次のプロセスにより調製し:全ての乾燥成分を混合して、均質な粉末ブレンドを形成した。水を秤量し、液体チキンフレーバー(ゼリーキューブ2について)又はチキンフレーバーを付与したマイクロカプセル(ゼリーキューブ3について)を水に分散させた。そして、事前に混合した乾燥成分を撹拌下で注いだ。続いて、絶えず撹拌しながら温度を80℃に上げ、撹拌を続けながら3分間80℃で保持した。最終的に、熱い混合物を18gの型に充填し、型を密封し、室温まで冷却した。それぞれの配合物の6つのゼリーキューブ試料を調製した。粉末ブレンド中の重要な成分は、塩、砂糖、酵母抽出物、及び冷却時に高温の液体混合物のゲル形成を誘発する増粘剤である。ここで、特定の増粘剤を優先することはなく、単一の増粘剤又は増粘剤の混合物のいずれかを当業者により容易に選択してよい。かかる増粘剤は、ゼラチン(魚、豚肉、又は牛肉)、カラギーナン、アルギン酸塩、ペクチン又はキサンタンを含むが、これらに制限されない。通常の豚ゼラチン(275ブルーム)、又はキサンタンと少なくとも他の他の多糖との混合物は、ゲル特性について満足のいく結果を与えることが見出された。
【0118】
ゼリーキューブ3におけるチキンフレーバーを付与したマイクロカプセルを、ゼリーキューブ2において適用したものと同じ液体チキンフレーバーを使用して配合した。ゼリーキューブ3におけるチキンフレーバーを付与したマイクロカプセルの量を、ゼリーキューブ2においてカプセル化した液体チキンフレーバーの量と一致するように定義した。
【0119】
ゼリーキューブを使用して、以下の第2表において要約した量で米を調理した。
【0120】
【0121】
米を調理するプロセスは以下である:
- 白米120gを量り、炊飯器に入れる
- 300mlの水を追加する
- ゼリーキューブを1つ追加する
- 水が完全に吸収されて蒸発するまで約20分間調理し、時々混ぜてゼリーキューブを均一に分散させる。
【0122】
試料1、2及び3を、室温で2日、1か月、3か月及び6か月間保存したゼリーキューブを使用して、感覚評価のために新たに調製した。
【0123】
それぞれのセッションにおいて、試料1、2及び3を、ブラインド試験ベースで8人の訓練を受けたパネリストに提示した。彼らは、0~10のスケールでチキンフレーバー強度について試料を評価するように求められた(0はチキンフレーバー強度なしを示し、10は非常にチキンフレーバー強度を示す)。結果を
図2で報告する。
【0124】
実施例3:レトルトチキンブイヨン中の液体チキンフレーバー及びチキンフレーバーを付与したマイクロカプセルの評価
次の実施例において、レトルトチキンブイヨン製品にフレーバー付与する方法の適性を示す。この実施例は、実施例1に従って配合した適したシェル透過性を有するカプセルが、液体を含まないフレーバーと比較して有意な改善が観察されるように高圧/高熱条件下で、シェルを介したフレーバーの分配を可能することを示す。
【0125】
ブイヨンの調製
次の成分の均質な乾燥混合物を調製した:
【表3】
【0126】
ブイヨンを、沸騰した水2500ml中に乾燥混合物67gを添加することにより調製した。
【0127】
缶詰めの調製:
それぞれの缶を、以下の第3表において特定した量に従って満たした。
【0128】
【0129】
試料3におけるチキンフレーバーを付与したマイクロカプセルを、試料2において適用したものと同じ液体チキンフレーバーを使用して配合した。試料3におけるチキンフレーバーを付与したマイクロカプセルの量を、試料2においてカプセル化した液体チキンフレーバーの量と一致するように定義した。
【0130】
缶を密封し、F0値7分で121℃で、回転加圧オートクレーブ(Pilot Rotor Stock Sterilisation System PRG400)中で、間接蒸気加熱及び水浸でレトルト処理した。
【0131】
試料1、2及び3を、ブラインド試験ベースで8人の訓練を受けたパネリストに提示した。彼らは、0~10のスケールでチキンフレーバー強度について試料を評価するように求められた(0はチキンフレーバー強度なしを示し、10は非常にチキンフレーバー強度を示す)。結果を以下で報告する。
【0132】
実施例4a:カプセルシェルの機械的破裂を伴わない調理中のフレーバーカプセルのアロマ放出の感覚評価
実施例1bに従って調製したカプセル1gを、モデル液体食品として機能することを目的とした300mlビーカー中で食卓塩1質量%、糖1質量%及びマルトデキストリン(DE18、Roquette(France)社から得られる)5質量%を含有する水溶液100gに添加した。混合物を、水浴温度を150℃に設定した水浴中で加熱した。ビーカー内の温度が80℃に達するとすぐに、訓練を受けていない8人のパネリストに、ビーカーの開口部から30cm離れた距離で知覚されるアロマを説明するように依頼し、その際選択肢は「1.何も知覚されない;2.弱いアロマを知覚;3.強いアロマを知覚」であり、パネリストに知覚した香調を言葉で説明するようにも求めた。パネリストの100%がアロマの強い知覚を示し、すぐにフレーバーの香調を認識した。この実施例は、咀嚼時の強いフレーバー放出に加えて、食品にフレーバー付与する方法が、食品の調製中にカプセルシェルを機械的に破裂させることなく、ゆっくりと拡散することによってフレーバーを送達する手段を提供することを確認している。
【0133】
実施例4b:カプセルシェルの機械的破裂して調理した後のフレーバーカプセルのアロマ放出の感覚評価
実施例4aにおいて実施した試験の直後に、カプセルを含む液体混合物5gを取り出し、カプセルをふるいで分離し、そしてWhatmann Benchkote Plus吸収紙片上に置いた。10分後、顕微鏡のスライドガラスを試料に押し付けることにより、カプセルを故意に破壊した。実施例4aと同じ感覚評価を、吸収紙から30cm離れた距離で再度実施した。さらに、パネリストに、知覚したアロマ強度を実施例4aで評価したものと比較するように求めた(「より弱い/より強い」)。全てのパネリストは、アロマの強い知覚を示し、かつ全てのパネリストは、カプセルを破壊した時の強度が実施例4aにおけるヘッドスペースで知覚されたものより強いことを見出した。
【国際調査報告】