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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】光線力学療法用照明
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572353
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 EP2019064642
(87)【国際公開番号】W WO2020244751
(87)【国際公開日】2020-12-10
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000113908
【氏名又は名称】マルホ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122297
【弁理士】
【氏名又は名称】西下 正石
(74)【代理人】
【識別番号】100156122
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】リュバート,ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ノヴァク,ベン
(72)【発明者】
【氏名】オステルロー,マルクス
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA02
4C082PC01
4C082PC10
4C082PE09
4C082PJ04
4C082PL05
(57)【要約】
光線力学療法用の照明システム(1)が提供され、前記照明システムは、電磁放射(3)を放射して、操作の間、標的表面(4)を照射するように構成された照明源(2)、および電子制御ユニット(5)を含み、ここに、前記照明源は、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を変化できるように構成され、ここに、前記制御ユニットは、前記照明源に操作可能に結合され、前記照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って前記照明源の操作を制御するように構成され、ここに、前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける照明セッションの間、前記照明源を操作するインストラクションを含み、前記モードは、a)第1のモード、ここに、第1のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第1のモード時間間隔内で、ベース強度Bから標的強度Tに連続的にまたは準連続的に増加させる;b)第2のモード、ここに、第2のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定にする;およびc)第3のモード、ここに、第3のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、第3のモード時間間隔の間暗闇期と照明期とを交代させる、を含み、ここに、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、前記照明期中よりも、暗闇期中の方が低いか、または、暗闇期において、前記照明源は電磁放射を放出せず、一方、前記照明源は、前記照明期において、電磁放射を放出する。さらに、コンピュータプログラム製品および疾患を治療するためのキット、また、照明源を操作するための方法および皮膚疾患を治療するための方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線力学療法用照明システムであって、電磁放射を放出して、操作の間、標的表面を照射するように構成された照明源および電子制御ユニットを含み、
前記照明源は、その照明源によって放出された電磁放射の強度を変化させることができるように構成され;
前記電子制御ユニットは、前記照明源に操作可能に連結され、前記照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って、前記照明源の操作を制御するように構成され;および
前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける前記照明セッションの間、前記照明源を操作するインストラクションを含み、前記モードは、
a)第1のモード、ここに、第1のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第1のモード時間間隔内で、ベース強度Bから標的強度Tに連続的にまたは準連続的に増加させる;
b)第2のモード、ここに、第2のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定にする;および
c)第3のモード、ここに、第3のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、第3のモード時間間隔の間暗闇期と照明期とを交代させる
を含み、
ここに、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、前記照明期中よりも、暗闇期中の方が低いか、または、暗闇期において、前記照明源は電磁放射を放出せず、一方、前記照明源は、前記照明期において、電磁放射を放出する、線力学療法用照明システム。
【請求項2】
Bは、値:0.5T、0.45T、0.4T、0.35T、0.3Tのうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
Bは、値:0.1T、0.15T、0.2T、0.25T、0.3Tのうちのひとつよりも大きいかまたは等しい、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項4】
前記照明源が、前記照明セッションの間、第1のモードの後および/または第3のモードの前に、第2のモードにおいて操作される、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項5】
第1のモードにおける前記照明源の操作の始まりが前記照明セッションの開始を定め、第3のモードにおける前記照明源の操作の終わりが前記照明セッションの終了を定める、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
前記照明源の操作の第1のモード、第2のモードおよび第3のモードから選択された全てのモードは、前記照明セッションの間、一回、好ましくは一回のみ発生する、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項7】
前記電磁放射は、可視スペクトル範囲、例えば、赤色、緑色、黄色または青色スペクトル範囲内にピーク波長を有する、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項8】
前記標的表面は、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置され、前記照明システムは、前記照明セッションの間、所定の放射線量で前記標的表面を照射するように構成されている、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項9】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:30J/cm、35J/cm、37J/cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しい、請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:45J/cm、40J/cm、37J/cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、請求項8または9に記載の照明システム。
【請求項11】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:8J/cm、9J/cm、10J/cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しい、請求項8~10いずれかに記載の照明システム。
【請求項12】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:12J/cm、11J/cm、10J/cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、請求項8、10または11に記載の照明システム。
【請求項13】
前記照明源の放射線出射面と前記標的位置との間の距離は、1cmと20cmとの間、好ましくは5cmと8cmとの間である、請求項8~12いずれかに記載の照明システム。
【請求項14】
全照明セッションの継続時間は、値:20分間、19分間、18分間、17分間、16分間、15分間、14分間、13分間のうちのひとつよりも小さいか等しい、前項いずれかに記載の照明システム。
【請求項15】
照明源を操作するための方法であって、前記照明源は、前記照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って操作され、前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける前記照明セッションの間、前記照明源を操作するためのインストラクションを含み、前記モードは、
a)第1のモード、ここに、第1のモードにおいて、前記照明源は、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第1のモード時間間隔内で、ベース強度Bから標的強度Tに連続的にまたは準連続的に増加させるように操作され、
b)第2のモード、ここに、第2のモードにおいて、前記照明源は、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定にするように操作され;および
c)第3のモード、ここに、第3のモードにおいて、前記照明源は、第3のモード時間間隔の間、暗闇期と照明期とを交代させるように操作される
を含み、
ここに、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、前記照明期中よりも、暗闇期中の方が低いか、または、暗闇期において、前記照明源は電磁放射を放出せず、一方、前記照明源は、前記照明期において、電磁放射を放出する、照明源を操作するための方法。
【請求項16】
データキャリア、例えば、非一時的データキャリア、またはデータストリームのようなコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、特に、コンピュータシステムにロードされるとき、および/または、コンピュータシステムによって、例えば、その電子制御ユニットによって、実行されるとき、請求項15に記載の方法に従って照明源を操作する機械可読インストラクションを含有する、コンピュータプログラム製品。
【請求項17】
疾患、特に、皮膚疾患を治療するためのキットであって、
治療すべき領域における皮膚に局所投与するのに適した医薬品、および
請求項1~14いずれかに記載の照明システムであって、前記照明システムは、前記物質が投与された、皮膚の領域を照射するように構成されている、
を含む、キット。
【請求項18】
皮膚疾患を治療するための方法であって、以下のステップ:
a)医薬品を、治療される領域にある皮膚の表面に投与すること;
b)請求項15に記載の方法に従って照明源で、および/または、請求項1~14いずれかに記載の照明システムを用いて、前記領域を照射すること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記医薬品は、光増感剤または発光スペクトルでの放射によって励起され得る薬剤の前駆体である、請求項18に記載の方法または請求項17に記載のキット。
【請求項20】
前記皮膚疾患は、日光角化症、基底細胞がん、イン・シチュ扁平上皮癌、またはイボ、ニキビ、創傷治癒障害/慢性創傷、細菌および/もしくは真菌感染性、または炎症性の皮膚疾患のような、腫瘍性皮膚疾患である、請求項18に記載の方法または請求項17に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光線力学療法用照明システムに関し、前記照明システムは、操作の間、電磁放射を放出して、標的表面を照射するように構成された照明源、および電子制御ユニットを含む。
【0002】
本開示は、照明源を操作するための方法、データキャリアのような、コンピュータプログラム製品、疾患を治療するためのキットおよび皮膚疾患を治療するための方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
光線力学療法(PDT)は広く研究され、いくつかのアプローチが治療に成功裏に用いられている。一般に、PDTに対して3つの必要条件:光増感剤、分子状酸素および特定波長の光がある。皮膚科的PDTに関して、通常、プロドラッグ、例えば、アミノレブリン酸(ALA)を、皮膚に局所投与する。引き続き、前記プロドラッグは、次いで、細胞、例えば、腫瘍性細胞によって、実際の光増感剤に転換される。PDTにおける作用の分子メカニズムは、酸素の存在により活性酸素種(ROS)の形成をもたらす特定波長の光を励起することができる光増感剤の細胞ALA取込み、合成および蓄積に基づく。ROSは、例えば、アポトーシス、ネクロシスおよびオートファジーの形態で、細胞死を開始する。
【0004】
しかしながら、PDTが患者に広く受け入れられない主たる問題のひとつは、照射の間、軽度の不便から重篤な痛みまで、そして、治療を中止しなければならない点までの、患者が受けるかなりの量の痛みである。さらに、PDTは非常に有効な治療法であるが、日光角化症のようないくつかの疾患の再発は当たり前であり、かくして、患者は、しばしば、治療は成功したものの、後で、別の皮膚領域に別の病変を生じ、再び,医学的介入を必要とする。しかも、何人かの患者は、単一のPDTセッション後、完全には治癒せず、2回目のセッションを要する。もし、患者らが受けた1回目のPDTが非常に痛みを伴うものであれば、他の療法選択肢と比較して優れた有効性を提供する事実にもかかわらず、2回目のPDTを開始または完了する可能性は低い。結果として、多くの患者が治療または再治療を受けることは少なくなる。このことは、もちろん、個々のPDTについて、また、PDT全体として、大きくマイナスの影響を与える。
【0005】
その結果、痛みの軽減は、全体として、PDT治療の受け入れレベルを増進し、かくして、この優れた治療の利用を増大するために非常に重要なものである。
【0006】
それにもかかわらず、PDT有効性は、関与する要因、すなわち、光増感剤、酸素、および光のいくつかによっても制限される。これらの要因のいくつかの低減された利用はROS形成を妨げるかもしれない。最適化された剤型、予備処置およびインキュベーションモダリティは、光増感剤の適切かつ豊富な沈着を確実にすることができる。さらに、光は十分な量で分子に到達しなければならず、酸素はエネルギー受容体として存在する必要がある。
【0007】
特に、各光増感剤を活性化する適切な波長の前記照明の光は、十分な線量にて利用できるようにされる必要がある。局所投与に関して、頻繁に用いられる光増感剤は、プロトポリフィリンIX(PpIX)であり、ほとんどが、ALAのような前駆体分子の投与によって、皮膚細胞中に産出される。PpIXは、様々な異なった波長の光によって活性化され、赤色(およそ635nm)、青色(およそ420nm)、黄色(およそ542nm)または緑色(およそ506nm)の光が最も頻繁に用いられる。一般に、標的、例えば、治療される皮膚によって受容する光線量は、3つの主要因に依存する。光源によって供給される放射照度、標的領域と光源との間の距離、および前記照射の継続時間である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
現在の実施は、全光線量を短い間隔で適用することである(例えば、赤色光で7~12分間または青色光で15~20分間の範囲)。通常、このアプローチは、痛みの発生を制限する。そして、光増感剤の光褪色が、より高い光強度にてより多くの度合いで発生して、治療効果を制限するであろう。光褪色は、光増感剤が、例えば、共有結合の切断による、その化学構造の恒久的破壊によって不活性化される効果を説明する。この光褪色効果は、大規模な初期反応による標的組織の一時的な酸素枯渇と同時に発生するであろう。これは、ROS形成に必要な酸素の急減を引き起こす。酸素が制限される期の間に発生する全ての光褪色は、細胞毒性一重項酸素の生成量が少ないため、無益であろう。
【0009】
上記の記述は、先行技術を認めた物と解釈されるべきでないことを付言する。それらは、ここに開示された概念の背景を例示するためになされたものであり、それらは、まだ一般に公開されていないものであろう。
【0010】
本発明の目的は、向上した光線力学療法用照明システム、照明源を操作するための向上した方法、データキャリアのような向上したコンピュータプログラム製品、疾患を治療するための向上したキット、および/または、療法の許容される効果を都合良く維持しつつ痛みの負担を制限するように、好ましくは許容されるかそのように構成され、および/または、療法の効果を増進するように許容されるかまたはそのように構成された、皮膚疾患を治療するための向上した方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
各目的は、とりわけ、独立項の内容によって達成されるであろう。有利な具体例および改良は、従属項の内容である。しかしながら、さらに有利な概念が、現在の特許請求の範囲の物に加えて、ここに開示されるであろう。
【0012】
本開示のある局面は、光線力学療法用照明システムに関し、前記照明システムは、電磁放射を放出して、操作の間、標的表面を照射するように構成された照明源および電子制御ユニットを含み、
前記照明源は、その照明源によって放出された電磁放射の強度を変化させることができるように構成され;
前記電子制御ユニットは、前記照明源に操作可能に連結され、前記照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って、前記照明源の操作を制御するように構成され;および
前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける前記照明セッションの間、前記照明源を操作するインストラクションを含み、前記モードは、
a)第1のモード、ここに、第1のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第1のモード時間間隔内で、ベース強度Bから標的強度Tに連続的にまたは準連続的に増加させる;
b)第2のモード、ここに、第2のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定にする;および
c)第3のモード、ここに、第3のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、第3のモード時間間隔の間暗闇期と照明期とを交代させる
を含み、
ここに、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、前記照明期中よりも、暗闇期中の方が低いか、または、暗闇期において、前記照明源は電磁放射を放出せず、一方、前記照明源は、前記照明期において、電磁放射を放出する。前記制御ユニットは、各モードに所望されるように、前記照明源の操作をもたら様式で、前記照明源に供給される前記操作電圧および/または前記操作電流を制御するように構成することができる。
【0013】
提案された照明システムは、知覚される痛みの負担を制限するか低減することができる。これは、とりわけ、この後より詳細に説明するように、上記した異なるモードにおける前記照明セッションの間に、前記照明源を操作することによって達成される。提案された照明システムおよび、特に、前記照明プロトコルは、PDTの有効性を増大することができる。かくして、前記提案されたシステムおよび/またはプロトコルは、痛みを最適化しながらも効率的な療法を提供することができる。
【0014】
第1のモードにおいて、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、ベース強度Bから標的強度Tへと連続的にまたは準連続的に増大する。用語「準連続的に」は、放出された放射の強度が、以下の値:5秒間、4秒間、3秒間、2秒間、1秒間または500m秒間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しい最大継続時間の間、一定であることを意味する。用語「連続的に」は、放出された電磁放射の強度が、「準連続的に」に関連する値、好ましくは以下の値:400m秒間、300m秒間、200m秒間、100m秒間、50m秒間、25m秒間、20m秒間、15m秒間、10m秒間、5m秒間、4m秒間、3m秒間、2m秒間、1m秒間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しい最大継続時間の間、一定であることを意味する。前記照明源に供給された電気エネルギーによって特徴付けられ、または決定されるので、相応の値は、連続的にまたは準連続的に増大する操作電圧および/または電流について特徴的であろう。
【0015】
強度における連続的または準連続的な増大は、穏やかな反応の開始を引き起こすことができる。強度における増加は、初期光褪色を低減し、および/または処理した皮膚の再酸素化を促進することができる。それとは別に、放射照度の連続的増大は、よりよい酸素供給のための血管拡張を誘発する初期炎症反応を含む十分な光線力学的効果を引き起こすかもしれない。ここで、細胞の破壊をもたらすPDTの間の過程を説明する。それゆえ、第1のモードの間の治療の効率が保証されるであろう。
【0016】
第1のモードのもうひとつの利点は、皮膚上の放射照度の連続的増大は、-皮膚上のまたは皮膚の放射照度は、放射強度ならびに前記照明源と皮膚との間の距離に依存する-刺激に対する皮膚中の感覚神経終末の適用を可能にし、痛みの感覚のバランスをとり、最終的に、患者における痛みの負担を低減する。4~10分間の間隔に渡るゆっくりとした放射照度の増大は受け入れ可能であることが証明された。
【0017】
第2のモードにおいて、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、一定または実質的に一定である。用語「実質的に一定」は、以下の値:15%、10%、5%のうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、強度Iから最大偏差であることを意味する。Iは第2のモードの間で一定強度である。IはTと等しくてよい。
【0018】
第2のモードにおける一定または一定強度の電磁放射は、比較的高い放射照度を、好ましくは短期間で供給することができる。それは、例えば、制限された継続時間のため、好ましくは、耐えがたい痛みの負担を生じることなく、持続する光線力学的効果を維持することを支援するか、または、そのことに貢献するであろう。
【0019】
第3のモードにおいて、前記照明源は、暗闇期と照明期とが交互になるように操作される。前記暗闇期は、ニューロンの活性化がある程度消失することを可能にし、より低い痛みの負担をもたらすことができる。前記照明期は、前記照明セッションのための標的光線量の達成を可能にすることができる。前記照明期において、前記強度は、都合良く、前記暗闇期におけるよりも大きい。前記暗闇期において、前記照明源を操作して、より低い強度を放出するようにするか、または放射線を全く放射しないようにすることができる。
【0020】
しかも、第3のモードのもうひとつの利点は、酸素消費と酸素供給とのバランス比である。暗闇期における酸素の供給は、後期酸素枯渇を防止することによって、治療の効率を都合良く支持することができる。
【0021】
それゆえ、第1、第2および第3モードの組合せは、
-痛みの負担を低減し、初期光褪色を低減し、かつ、治療した組織の再酸素化を促進する、穏やかな反応の開始、
-より良い酸素供給のための血管拡張を誘発する初期炎症反応を含む、十分な光線力学的効果、
-後期酸素枯渇を予防するための、特に、前記照射の後期における、例えば、より高いないし高い影響率を用いるときの、再酸素化および、かくしてさらなる光増感剤活性化、および
-耐えがたい痛みの負担を生じることなく、有効な光線量を維持しつつ、照射標的上で所与の光線量を達成するための、適度に増大するか、または全く増大しない療法継続時間をもたらすことができる。
【0022】
ある具体例において、Bは、値:0.5T、0.45T、0.4T、0.35T、0.3Tのうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、Bは、値:0.1T、0.15T、0.2T、0.25T、0.3Tのうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。かくして、Bは、0.1Tと0.5Tとの間であるか、または、前記2つのリストの値を組み合わせて作られるいずれかの他の範囲の間である。
【0023】
適宜Bを選択することは、皮膚中の感覚神経終末の刺激に対する十分な適用を可能にし、痛みの感覚のバランスをとることができる。これは、低減された痛みの負担をもたらす。さらに、十分な光線力学的効果が達成されるか、または、促される。例えば、0.6Tよりも大きな高めの値のBは、前記照明セッションの間、過度の初期痛みを引き起こすことがある。0.1Tを下回る値は、実質的な光線力学的効果を促し、および/または、技術的制限のため、不安定な照射をもたらすのみ十分であろう。
【0024】
ある具体例において、第2のモードの間の一定または準一定強度は、第1のモードにおける標的強度Tであろう。これは、第1のモードから第2のモードへの直接転移を可能にするであろう。一旦、標的強度に達したら、治療の効率が、前記強度を変化させても脅かされないことが利点である。さらに、第1から第2のモードへの直接転移は、患者の神経への刺激を少なくし、かくして、痛みの負担をより低くすることができる。
【0025】
ある具体例において、前記照明期の間の強度はTであろう。これは、痛みの負担を軽減するであろう。なぜならば、神経は、例えば、前記照明プロトコルの先行モードから、すでに、Tに適用されているからである。
【0026】
ある具体例において、第1のモード、第2のモードおよび第3のモードの間の最大強度は、Tであろう。これは、同様に、患者の神経の刺激を少なくし、かくして、痛みの負担の低減に貢献もするであろう。
【0027】
ある具体例において、前記強度は、第1のモードにおいて、BからTに線形増加するであろう。線形増加は、痛みの増加率に容易に対して調整でき、その増加は予測可能なので、患者に快適に感じさせる。
【0028】
ある具体例において、前記強度は、第1のモードにおいては、厳密に単調増加するであろう。強度における段階増加は、強度における厳密な単調増加よりも一層と患者に気が付かれやすい。その結果、強度の厳密な単調増加が痛みの軽減に結びつく。
【0029】
ある具体例において、前記強度は、第1のモードにおいて、非線形増加するであろう。第1のモードの最初または開始時、前記強度は、第1のモードにおいて、後ほど、よりゆっくりと増加するであろう。これにより、光線力学的効果の有益な効果が初期に出現させることができ、前記神経の適用および前記強度の初期段階が保持される。
【0030】
ある具体例において、前記照明プロトコルはプライミングモードを含む。前記プライミングモードは第1のモードに先行する、前記照明源の操作のモードである。操作のプライミングモードにおいて、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、プライミングモード時間間隔で、一定または実質的に一定であろう。前記プライミングモードにおける強度はPである。Pは、第1のモードにおけるベース強度Bよりも小さいかまたは等しい。前記プロトコルを用いて照射された対象/患者は、前記プライミングモードにおける前記照明源の初期操作の間、放射照度に慣れる。前記プライミングモードを適用する場合、前記プライミングモードに続く第1のモードにおける強度は、線形および/または、前記プライミングモードなしで、好ましくは、ユーザーにとって知覚される痛みを著しく上昇することなく、より高い速度で増加する。
【0031】
ある具体例において、前記照明源は、前記照明セッションの間、第2のモードにおいて操作される前に、および/または、第3のモードにおいて操作される前に、第1のモードにおいて操作されるであろう。第1のモードは、前記照明セッションの間、放射強度または痛みの負担に神経を慣れさせることができる。この目的のため、第1のモードは、好ましくは、初期に低強度を用いる。痛みの感覚を低減するために、それゆえ、さらなるモード、例えば、第1のモードの初期光強度、例えば、Bよりも高い強度を特徴とするモードの前に、第1のモードを実行することが有利であろう。
【0032】
ある具体例において、前記照明源は、前記照明セッションの間、第1のモードの後、および/または第3のモードの前に、第2のモードにおいて操作されるであろう。第2のモードは一定強度を有するであろうから、第2のモードが、第2のモードの光強度に神経を慣れさせる働きをする第1のモードに先行される場合、痛みの低減に有利である。さらに、強度の増大(第1のモード)と、暗闇期および照明期の交互(第3のモード)との間に、一定強度(第2のモード)のモードを有することも便利である。なぜなら、第2のモードは、痛みの負担が最高になるからである。次なる暗闇および照明期は、照明期の中間部において、をユーザーにとってその最高の痛みをたいしたものではなくすことができる。ユーザーは、好ましくは第3のモードの間の中程度の痛みおよび低度の初期の痛みを覚えていてよい。
【0033】
ある具体例において、第1のモードにおける前記照明源の操作の始まりが前記照明セッションの開始を規定し、第3のモードにおける前記照明源の操作の終わりが前記照明セッションの終了を規定する。前記プライミングモードが適用されるならば、前記プライミングモードにおける前記照明源の操作の始まりは、前記照明セッションの始まりを規定する。
【0034】
ある具体例において、前記照明源の操作の第1のモード、第2のモードおよび第3のモードから選択される全てのモードは、前記照明セッションの間、一度、好ましくは一度だけ、生じる。かくして、全継続時間は、ほとんどの患者および医者が、例えば、痛みの負担および消費時間の観点で許容するであろう、16分間未満に維持される。この継続時間は、前記プライミングモードにおける操作を含んでも除外してよい。
【0035】
ある具体例において、前記照明システムは、標的位置を有するか、または、前記照明セッションの間、前記照明源に対して標的表面を配置するように、標的位置を定めることができる。前記標的位置(すなわち、前記照明源に対する前記標的表面の位置)は、ユーザーの頭の部分、例えば、額または顎と接触する座面によって定められる、前記使用者の頭の部分は、全セッションの間、前記座面と接触したままにすることができる。前記標的位置は、前記照明源の放射線出射面から離れた場所に配置することができる。気相媒体は、前記照明源の放射線出射面、例えば、光学素子、例えば、ディフィーザーまたはレンズの表面と、前記標的表面および/または前記標的位置との間に存在させることができる。
【0036】
ここで用いるとき、用語「標的表面」は、前記照明源によって放出された電磁放射によって照射されるべき表面をいう。
【0037】
用語「標的位置」前記照明源に対する標的表面の位置をいう。言い換えれば、前記標的位置は、前記照明装置の設計によって決められる位置である。前記標的位置は、照射される面が、デバイスの操作の間、すなわち、前記照明セッションの間、前記照明装置に対して配置されるべき位置である。例えば、前記標的位置において、前記照明装置によって生じる放射は、例えば、前記標的表面に沿って所望の放射照度分布を有する。前記標的表面が前記照明源に対して異なる位置に配置されれば、前記放射照度分布は、異なるか、および/または、所望する目的に適していない。
【0038】
ここで用いるとき、用語「座面」は、操作の間、好ましくは、前記標的位置に頭部などのユーザーの体の部分を支持するのに適した面をいう。体の部分は、前記照明装置を使用して照射される標的表面を含む。座面は、メカニカルサポートによって形成される。
【0039】
ある具体例において、前記照明源の放射線出射面と前記標的位置との間の距離は、以下の値:20cm、15cm、10cm、8cm、7cm、6cm、5cmのうちいずれかひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、前記照明源の放射線出射面と前記標的位置との間の距離は、以下の値:1cm、2cm、3cm、4cm、5cmのうちいずれかひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。前記照明源の放射線出射面と前記標的位置との間の距離は、1cmと20cmとの間、好ましくは5cmと8cmとの間である。
【0040】
PDT有効性は、潜在的に、関与する要因のいずれか、すなわち、光増感剤、酸素、および光線量によって制限される。一般に、標的、例えば、治療された皮膚が受ける光線量は、3つの主要因に依存する。そのうちのひとつは、標的表面と光源との間の距離である。その距離は、標的が受ける光線量への直接的な影響を有する。なぜならば、特定位置での強度は、前記照明源からのその位置の距離に依存するからである。1cmと20cmとの間、好ましくは、5cmと8cmとの間の距離が有利である。なぜならば、PDTの効果を最大限引き出すことができるからである。さらに、知覚される痛みは、特に、典型的な適用放射照度に対して、上記した距離にいる患者に受け入れられるであろう。
【0041】
ある具体例において、前記照明源は、電磁放射を発生させるための、少なくともひとつの光電子セミコンダクターチップ、例えば発光ダイオードチップを含むことができる。これは、信頼性が高く、コスト的に有益で、かつ、正確な実装できる照明源を可能にする。光電子チップは、例えば、チップの活性領域を適切に加工することによって、例えば、バンドギャップ加工によって、発光波長を容易に要求される(ピーク)波長に調整することを可能にする。かくして、電気エネルギーは、関連する波長範囲の放射エネルギーに効率的に変換することができる。
【0042】
ある具体例において、前記照明源によって放出される放射は、インコヒーレント放射であろう。コヒーレント放射と比較すると、インコヒーレント放射は取り扱いがより簡便である。
【0043】
ある具体例において、前記照明源によって放出される放射は、例えば、あるひとつの特定の色の光の単色光であろう。
【0044】
ある具体例において、前記電磁放射は、可視スペクトル範囲中に、例えば、赤色、青色、緑色、または黄色のスペクトル範囲中に、ピーク波長を有するであろう。
【0045】
ある具体例において、前記電磁放射は、赤色スペクトル範囲(以下、「赤色光」ともいう)中にピーク波長を有する。前記照明源のピーク波長は、500nmより長いか、600nmより長いか、または630nmより長い。前記ピーク波長は、700nmよりも短くてよい。前記ピーク波長635nmであろう。赤色光は、高強度で、体組織内で赤色光よりも顕著に吸収される短波長の光よりも簡単に、皮膚から深く離れた体内の領域に届くという利点を有する。したがって、本開示は、具体例として赤色光を用いる。
【0046】
ある具体例において、前記照明システムは、前記照明セッションの間、所定の光線量で標的表面を照射するように構成することができる。前記光線量は、標的表面が前記照明セッションの間、前記照明源に対して前記標的位置に配置されるとき、以下の値:30J/cm、35J/cm、37J/cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、前記光線量は、前記光線量は、標的表面が前記照明セッションの間、前記照明源に対して前記標的位置に配置されるとき、以下の値:45J/cm、40J/cm、37J/cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。上記の値は、特に、少なくとも赤色光に対して保持する。
【0047】
十分な光線量は、PDTを成功裏に実行するための重要な要求のひとつである。しかしながら、前記光線量を選ぶとき、患者にとって痛みの最大許容レベルも考慮されなければならない。30および45J/cmの間の光線量の範囲、特に、37J/cmの光線量は、例えば、赤色光を用いるとき、適切な治療効果と痛みの負担との間の最良の妥協であると認識されるであろう。
【0048】
もうひとつの具体例において、前記電磁放射は、青色スペクトル範囲にピーク波長を有する(以下、「青色光」ともいう)。前記照明源のピーク波長は、400nmと490nmとの間、例えば420nmであろう。
【0049】
ある具体例において、前記照明システムは、前記照明セッションの間、所定の光線量で前記標的表面を照射するように構成されていてよい。前記光線量は、前記照明セッションの間、前記標的表面が前記照明源に対して前記標的位置に配置されるとき、以下の値:8J/cm、9J/cm、10J/cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、前記光線量は、前記照明セッションの間、前記標的表面が前記照明源に対して前記標的位置に配置されるとき、以下の値:12J/cm、11J/cm、10J/cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。上記の値は、特に、少なくとも青色光に対して保持する。
【0050】
8と12J/cmとの間の範囲の光線量、特に10J/cmの光線量は、例えば、青色光を用いるとき、適切な治療効果と痛みの負担との間の最良の妥協であると認識されるであろう。
【0051】
黄色または緑色の光も用いることができたことを付言する。このことは、ALAをプロドラッグとして用いるならば、特に真実であろう。なぜならば、前記光増感剤PpIXは、赤色および/または青色の光のみならず、緑色および/または黄色の光も吸収するからである。
【0052】
ある具体例において、第1のモード時間間隔、第2のモード時間間隔、および/または第3のモード時間間隔は、以下の値:1分間、15分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間、5分間のうちのひとつよりもよりも大きいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、第1のモード時間間隔、第2のモード時間間隔、および/または第3のモード時間間隔は、以下の値:10分間、9.5分間、9分間、8.5分間、8分間、7.5分間、7分間、6.5分間、6分間、5.5分間、5分間のうちのひとつよりもよりも小さいかまたは等しくてよい。
【0053】
ある具体例において、第1のモード時間間隔および/または第2のモード時間間隔は、第3のモード時間間隔よりも短くてよい。かくして、第3のモードは、前記照明セッションの間、前記標的表面に送達される総光線量の最大貢献を与えるであろう。
【0054】
ある具体例において、前記プライミングモード時間間隔は、第1のモード時間間隔、第2のモード時間間隔および/または第3のモード時間間隔よりも短くてよい。
【0055】
ある具体例において、前記プライミングモード時間間隔は、以下の値:4分間、3分間、2分間、1分間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、前記プライミングモード時間間隔は、以下の値:10秒間、20秒間、30秒間、1分間のうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。
【0056】
ある具体例において、第1のモード時間間隔は、第2のモード時間間隔よりも短くてよい。このように、T未満の強度の前記照明継続時間は、比較的小さく維持されるであろう。かくして、前記セッション継続時間は、不必要に延長されない。
【0057】
ある具体例において、第1のモード時間間隔および/または第2のモード時間間隔は、単一暗闇期および/または単一照明期の継続時間よりも長くてよく、好ましくは、少なくとも5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、13日間、14日間、15日間であり、ここに、日間はひとつの単一暗闇期および/またはひとつの単一照明期の継続時間である。
【0058】
ある具体例において、ひとつの暗闇期および/またはひとつの照明期の継続時間は、以下の値:60秒間、50秒間、45秒間、40秒間、35秒間、30秒間、25秒間、20秒間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、ひとつの暗闇期および/またはひとつの照明期の継続時間は、以下の値:15秒間、20秒間、25秒間、30秒間のうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。15と60秒間との間の範囲の期継続時間は、不必要に治療の継続時間を増大することなく、前向きな効果の利点を取るのに有利である。
【0059】
ある具体例において、第3のモードにおける異なる暗闇期の継続時間は、等しくてよい。ある具体例において、第3のモードにおける異なる照明期の継続時間は、等しくてよい。ある具体例において、前記暗闇期の継続時間は一定であって、前記照明期の継続時間と等しいかまたは異なってよい。
【0060】
ある具体例において、前記暗闇期の継続時間は、前記照明期の継続時間より小さくてよい。これは、第3のモードの間、前記照明のものよりも短い中断を生じ、それは、所望の時間にてセッション継続時間を維持することに貢献する。
【0061】
ある具体例において、第2のモード時間間隔の継続時間ならびに/または、第1のモード時間間隔および第2のモード時間間隔の継続時間一緒にして、以下の値:12分間、11分間、10分間、9分間、8分間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しい。かくして、例えば、第2のモード後の第3のモードにおける暗闇期による、第1痛み緩和は、患者が最大の痛みを経験するときまたはその前に生じるであろう。患者は、最大の痛みまたは耐えがたい痛みを、例えばPDTセッションの間の約10分間後に、知覚すると報告されている。それゆえ、第2のモードまたは第1および第2のモードを一緒に組合せて、10分間未満に維持することが、痛み管理に関して利点がある。
【0062】
ある具体例において、全照明セッションの継続時間は、以下の値:20分間、19分間、18分間、17分間、16分間、15分間、14分間、13分間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。20分間までのセッション継続時間は、通常、問題なくユーザーに受け入れられる。
【0063】
ある具体例において、全照明セッションの継続時間は、以下の値:10分間、11分間、12分間、13分間のうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。前記セッションの継続時間は、例えば、10分間と20分間との間であってよい。
【0064】
ある具体例において、第3のモードにおける各照明期の間の前記強度は、同じであってよい。
【0065】
ある具体例において、前記暗闇期の間の強度は、Bよりも小さいかまたは等しくてよく、または、ゼロに等しい。それゆえ、酸素の再供給は暗闇期に促進されるであろう。
【0066】
ある具体例において、単一照明期における強度は、一定または実質的に一定であってよい。単一照明期における一定または実質的に一定の強度は、より予測可能な光線力学的効果に貢献する。
【0067】
ある具体例において、前記強度は、異なる照明期の間で変化してよい。異なる強度の変化は、治療中の患者の痛みの負担または負荷を調整するのに役立つであろう。例えば、第3のモードの開始時に、前記照明期における強度は、第3のモードの終了間際よりも高くてよい。
【0068】
ある具体例において、前記照明プロトコルは全照明セッションを支配する。
【0069】
本開示のもうひとつの局面は、照明源を操作するための方法に関し、ここに、前記照明源は、例えば、上記した照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って操作され、また、ここに、前記照明プロトコルは、上記した異なるモードにおける前記照明セッションの間、前記照明源を操作するためのインストラクションを含む。
【0070】
さらに、本開示は、データキャリアのような、コンピュータプログラム製品、例えば、非一時的データキャリア、またはデータストリームにも関し、前記コンピュータプログラム製品は、特にコンピュータシステムによって、例えば、その電子制御ユニットによってロードされ、および/または実行されるとき、上記したプロトコルに従って照明源を操作する機械可読インストラクションを含有する。
【0071】
しかも、もうひとつの局面は、疾患、例えば、腫瘍性皮膚疾患のような皮膚疾患を治療するためのキットに関する。前記キットは、治療される領域の皮膚に局所投与するのに適した医薬品および上記のような照明システムを含み、ここに、前記照明システムは、前記物質が投与された皮膚の領域の照射するように構成されている。
【0072】
ある具体例において、前記医薬品は、光増感剤または、発光スペクトルにおける光によって励起されるそのような薬剤の前駆体であってよい。
【0073】
ある具体例において、前記医薬品は、5-アミノレブリン酸を含むことができる。5-アミノレブリン酸はよく研究され、光増感剤を発生させる信頼あるプロドラッグと考えられている。
【0074】
なおもうひとつの局面は、以下のステップ:医薬品を処理する領域の皮膚の表面に適用し;上記のように前記方法に従って、照明源で前記領域を照射し;および/または上記のように前記照明システムを使用することを含む皮膚疾患を治療するための方法に関する。
【0075】
ある具体例において、前記照明システム、前記キットおよび/または前記方法は、皮膚疾患または障害を治療するのに用いることができる。前記皮膚疾患または障害は、日光角化症、基底細胞がん、イン・シチュ扁平上皮癌、イボ、ニキビ、創傷治癒障害/慢性創傷、細菌および/または真菌感染性または炎症性皮膚疾患のような腫瘍性皮膚疾患であるか、それらを含んでよい。
【0076】
本開示は非治療的方法をカバーすることを付言する。
【0077】
低度の痛みの負担により、前記照明システムは種々の疾患の治療に汎用的に使用できる。
【0078】
もちろん、異なる局面および具体例と関連する上記特徴は、互いにおよび上記特徴と組み合わせることができる。かくして、前記システムに関連する特徴も前記方法および前記キットに適用し、その逆もしかりである。
【0079】
さらなる特徴および変形が、不随する図面と関連して代表的な具体例についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1図1は、照明システムおよび標的表面の透視図を概略的に示す。
図2図2は、照明プロトコルを例示するダイアグラムを示す。
図3図3は、図2の照明プロトコルの変形を例示するダイアグラムを示す。
図4図4は、図2の照明プロトコルのなおもうひとつの変形を例示するダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0081】
図1は、例えば、光線力学療法(PDT)用の照明システム1を示す。前記照明システム1は、操作の間、電磁放射3を放出して標的表面4を照射するように構成された照明源2、および電気制御ユニット5を含む。標的表面4は、ヒトの皮膚、例えば治療する頭部その他の領域の皮膚でよい。さらに、PDTは、光増感剤および分子状酸素を必要とする(明示せず)。通常、前記光増感剤は、プロドラッグ(明示せず)によって取得され、それは、都合良く標的領域にある皮膚に局所投与され、次いで、細胞、好ましくは腫瘍性細胞によって実際の光増感剤に転換される。前記プロドラッグは、5-アミノレブリン酸(5-ALA)、ヘム生合成のための内因性前駆体であってよい。
【0082】
PDTにおける作用の分子メカニズムは、特定波長の光で励起され、酸素の存在による反応性酸素種(ROS)の形成をもたらす、光増感剤の細胞アミノレブリン酸取込み、合成、および蓄積に基づく。これらのROS種はアポトーシス、ネクロシスおよび/またはオートファジーの形態で、細胞死を開始し得る。
【0083】
照明源2は、照明源2によって放射された前記電磁放射3および/または標的表面4に到達したものの強度を変化できるように、構成されている。しかも、前記標的表面4と前記照明システム1の照明源2との間の距離は調整可能であり、かくして変化し得る。しかしながら、前記標的表面4が前記照明源に対して固定された位置を有することが好ましい。
【0084】
照明源2は、ひとつの発光ダイオード(LED)または複数の発光ダイオードを含むことができる。特に、商標名BF-RhodoLED(R)でBiofrontera AG社から販売されているもののような照明源が適している。発光ダイオードによって放射された光は、活性酸素種(ROS)の形成を促進する。前記照明源によって放射された光の波長は、400nmより長いか、500nmより長いか、または600nmより長くてよい。例えば、前記波長は、635nm、すなわち赤色スペクトル範囲の放射であってよい。もう一つの例として、前記波長は、420nm、すなわち、青色スペクトル範囲の放射であってよい。あるいは、黄色または緑色放射を適用して、適切に光増感剤を活性化することもできる。
【0085】
前記照明システム1は、標的位置を有することができ、または、前記標的表面2が、前記照明セッションの間、照明源2に対して配置される標的位置を定めることができる。前記標的位置は、ユーザーの頭部、例えば、額または顎の区域に接触する支持面によって定められるであろう。前記区域は、全セッションの間、前記指示面に接触し続けることができる。前記標的位置は、前記照明源の放射線出射面2からのある距離に配置することができる。気相媒体は、前記照明源の放射線出射面2、例えば、光学素子、例えば、ディフィーザーまたはレンズの面と、前記標的表面4および/または前記標的位置との間に存在していてよい。
【0086】
前記照明源の放射線出射面2と前記標的位置との間の距離は、以下の値:20cm、15cm、10cm、8cm、7cm、6cm、5cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。代替的または付随的に、前記照明源の放射線出射面2と前記標的位置との間の距離は、以下の値:1cm、2cm、3cm、4cm、5cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しくてよい。前記照明源の放射線出射面2と前記標的位置との間の距離は、1cmと20cmとの間、好ましくは5cmと8cmとの間であってよい。
【0087】
照明源2は、前記電磁放射を発生する少なくともひとつの光電子セミコンダクターチップ、例えば、発光ダイオードチップを含むことができる。前記照明源によって放出される放射2は、インコヒーレント放射であってよい。それは、例えば、一つの特定色の光の単一色であってよい。照明源2によって放出される電磁スペクトルは可視スペクトル範囲、例えば、赤色または青色スペクトル範囲内にピーク波長を有していてよい。前記放出スペクトルは狭くてよい。例えば、前記スペクトルの半値の全幅(FWHM:半値幅)は、100nm未満、例えば、50nm以下であってよい。
【0088】
電子制御ユニット5は、操作可能に照明源2に接続され、前記照明システム1で実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従う照明源2の操作を制御するように構成されている。前記電子制御ユニットは、コンピュータの一部であってよい。前記電子制御ユニットは、CPU(Central Processing Unit)またはマイクロコントローラーであってよい。前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける前記照明セッションの間、照明源2を操作するためのインストラクションを含み、それは、図2に詳細に開示されている。
【0089】
図2は、二軸の前記照明プロトコルのダイアグラムを示し、第1軸は、放射治療の継続時間を秒単位で表し、第2軸は、光強度の低度をパーセント単位で表す。前記照明プロトコルは全照明セッションを支配するであろう
【0090】
前記照明システム1を用いるとき最初に実行される第1のモードaの間、電子制御ユニット5は照明源2の操作を制御して、照明源2によって放出される前記電磁放射3の強度が、連続的にまたは準連続的に、ベース強度B(30%)から標的強度T(100%)へと第1のモード時間間隔の間に増加するようにする。
【0091】
図2に例示されるように、光強度を30%から100%の光強度へと5または5.5分間の過程で増大させる、線形傾向を適用する。もちろん、他の継続時間も可能である。100%での強度は、照明源2によって放出可能な最大強度である必要はないが、むしろ、前記照明セッションの間に最大強度を指定する。あるいは、前記強度は、第1のモードaにおいて、非線形に増大させてもよい(例えば、図3を参照せよ)。ここで、傾きは、後よりも最初に小さいことが好ましく、神経終末を感作するのに有利である。
【0092】
第1のモードaは、穏やかな反応の開始を予測して初期光褪色を低減し、治療された組織の再酸素化および、より良い酸素供給のために血管拡張を誘発する初期炎症反応を含む、十分な光線力学的効果のきっかけとなる、遅いが連続的に増大する放射照度を促進することができる。前記光線力学的効果とは、細胞の破壊を招くPDTの間の過程を意味し、ここで、光褪色とは、光増感剤が、その化学構造の恒久的な破壊、例えば、共有結合の切断によって不活性化されるという効果を意味する。前記光褪色効果は、大規模な初期反応により、標的組織における一時的な酸素枯渇と共に発生することがある。これは、酸素の急激な減少を引き起こし、それゆえ、ROSの形成を制限する。さらに、より緩慢な開始期は、皮膚における感覚神経終末の刺激に対する適用を可能にし、それによって患者が知覚する痛みが低減する。
【0093】
100%光強度に到達した後、第2のモードbが続き、電子制御ユニット5が照明源2の操作を制御して、前記照明源によって放出された前記電磁放射3の強度が、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定になるようにする。図2に示すように、第2のモードbにおいて、第1のモードaの最大光強度が維持される。前記光強度は、およそ4.5分間、一定に保つことができる。もちろん、他の継続時間も可能である。
【0094】
この第2のモードbが、比較的短い期間で、かくして、痛みの負担に関して、ほとんど患者および医者が許容すると考えられる、16分間を遙かに下回る前記セッションの総継続時間とし、標的に高エネルギーを供給するのに重要である。それとは別に、電子制御ユニット5は、照明源2の操作を制御して、前記放射照度を停止させるか、または、前記強度が10分間後、例えば、次なるモード(下記のモードc)における第1暗闇期によって、低減され、それによって、痛みの過剰な増加を打ち消すように照明源2を操作する。
【0095】
第2のモードbにおいて、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、一定または実質的に一定である。第2のモードbの間の強度は、第1のモードにおける標的強度Tと等しくてよい。
【0096】
次いで、第2のモードbは第3のモードcに引き継がれる。第3のモードcは、プロトコルの最終モードである。第3のモードcにおいて、電子制御ユニット5は照明源2の操作を制御して、暗闇期と照明期とを、第3のモード時間間隔、例えば6分間で交代するように照明源2を操作する。第3のモードの継続時間は、標的表面で受ける所望の光線量が、例えば、特に、少なくとも赤色光に対して適切な37J/cmまたは特に、少なくとも青色光に対して適切な10J/cmになるように調整することができる。
【0097】
照明源2によって放出された電磁放射3の強度は、照明期におけるよりも、暗闇期におけるほうが低い。示される実例では、照明源2は、暗闇期では電磁放射を放出せず、照明源2は、照明期で電磁放射3を放出し、ここに、前記照明期の光強度は、モード2の光強度およびモード1の最大光強度と同一である。相対強度は、必要に応じて調整することができる。
【0098】
この交代する強度は、第3のモードcにおいて、およそ4分間以上維持される。図3に示す実例において、前記プロトコルは、7つの照明期および7つの暗闇期を含み、それは、特に、ニューロンの活性化をある程度低下させて、痛みを低減する。第3のモードcにおける暗闇期のひとつの継続時間は一定であり、照明期のひとつの継続時間と等しい。ひとつの期の継続時間は、それぞれ、20秒間である。照明期の間、光強度は100%に保たれる。およそ14分間後、前記照明は完全に停止され、第3のモードcが終了する。照明期および暗闇期の数は、もちろん、変化してよく、絶対的または相対的継続時間であってよい。また、暗闇期の間、全く放射を放出しないように光源を操作しない代わりに、低強度、例えば、最大強度の30%までとすることが、まだ許容できる。単一照明期における強度は、一定または実質的に一定である。
【0099】
交代期のおかげで、標的組織は十分暗闇期に供されて、光褪色を低減し、および/または、治療した組織の再酸素化を促進することができ、有効性の向上につながる。さらに、最終モードcの一時停止照明は、ニューロンの活性化をある程度低下させる。それゆえ、知覚される痛みが著しく低減される。
【0100】
この第3のモードcは、総光線量がおよそ37J/cmに達するまで続く。37J/cmという値は、特に、少なくとも赤色光に対して保たれる。光線量をおよそ37J/cmに維持しつつプロトコル継続時間を増加させることが有益である。なぜならば、酸素の消費および供給の最もバランスのとれた比率を保証する可能性があるからである。
【0101】
あるいは、第3のモードcは、総光線量がおよそ10J/cmに達するまで続く。10J/cmという値は、特に、少なくとも青色光に対して保たれる。光線量をおよそ10J/cmに維持しつつプロトコル継続時間を増加させることが有益である。なぜならば、酸素の消費および供給の最もバランスのとれた比率を保証する可能性があるからである。
【0102】
黄色または緑色の光を用いるならば、標的とする総光線量は適宜調整することができる。
【0103】
全照明セッションの継続時間は、都合良く、20分間または、さらには16分間未満に保たれる。
【0104】
より高強度の光と交代する暗闇間隔による照明の断片化は、特に、後期酸素枯渇を防止するために、高フルエンス率を用いるとき、照明の後期において、再酸素化および、かくしてさらなる光増感剤活性化を許容する。その結果、痛みによって制限される治療時間は、時間効率の良いやり方で用いることができる。
【0105】
第3のモードcにおける異なる暗闇期の継続時間は、第3のモードcにおける異なる照明期の継続時間と同様に、等しいかおよび/または一定である。あるいは、継続時間は、異なる暗闇期および/または異なる照明期の間で変化してよい。照明期における強度も同様であり、変化することができ、例えば、前記照明セッションの終わりに向かって減少する。ある具体例において、暗闇期の継続時間は、照明期の継続時間よりも短くてよい。これは、第3のモードの間、前記照明の中断を短くし、セッション継続時間を所望に時間に保つのに貢献するであろう。
【0106】
第1のモードaにおける照明源2の操作の始まりが、照明セッションの開始を定め、第3のモードcにおける照明源2の操作の終わりが、照明セッションの終了を定める。
【0107】
図3は、図2に示される照明プロトコルの変形を例示する。ここで、操作の第1のモード(モードaにおいて)、最初、強度は、後よりも低速で、非線形に増加する。間隔a1において、増加は非線形であってよく、次なる間隔a2において、それは線形であってよい。線形区間での(一定)の傾きは、非線形区間の全ての傾きよりも大きいかまたは等しくてよい。モードbから、プロトコルは、例えば、図2に描写されるように継続することができる。
【0108】
図4は、図2に示される照明プロトコルのもうひとつの変形を例示する。ここで、プライミングモードpは、モードaが開始される前に含まれる。前記プライミングモードの継続時間は3分間以下である。前記プライミングモードの間の強度は、図2で議論した強度Bと等しくてよい。図3および4の具体例において、第2のモード(モードb)の開始は、約340秒間として示した例に過ぎない。
【0109】
全照明セッションの継続時間は、以下の値:20分間、19分間、18分間、17分間、16分間、15分間、14分間、13分間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しくてよい。第1のモード時間間隔および/または第2のモード時間間隔は、第3のモード時間間隔おり短くてよい。第1のモード時間間隔は、第2のモード時間間隔よりも短くても長くてもよい。
【0110】
上では、いくつかの継続時間が、それらのモードにつき特定されてきた。しかしながら、各モード -第1モード、第2のモードおよび/または第3のモード- には、以下の値:1分間、15分間、2分間、2.5分間、3分間、3.5分間、4分間、4.5分間、5分間のうちのひとつよりも大きいかまたは等しい時間間隔が適用されてよい。代替的または付随的に、各モードには、以下の値:10分間、9.5分間、9分間、8.5分間、8分間、7.5分間、7分間、6.5分間、6分間、5.5分間、5分間のうちのひとつよりも小さいかまたは等しい時間間隔が適用されてよい。このように、前記照明プロトコルは、例えば、異なる状況に対して調整することができる。
【0111】
本開示は、データキャリア、例えば、非一時的データキャリア、またはデータストリームのようなコンピュータプログラム製品も提供し、特に、コンピュータシステムにロードされるとき、および/または、コンピュータシステムによって、例えば、その電子制御ユニットによって、実行されるとき、上記したプロトコルに従って照明源を操作する機械可読インストラクションを含有することができる。
【0112】
前記照明システム1を用いて、皮膚疾患または障害を治療することができる。前記皮膚疾患または障害は、日光角化症のような腫瘍性皮膚疾患、基底細胞がん、イン・シチュ扁平上皮癌、またはイボ、ニキビ、創傷治癒障害/慢性創傷、細菌および/もしくは真菌感染性または炎症性の皮膚疾患であるか、または、それらを含むことができる。しかしながら、非治療的方法に対しても用いることができることを付言する。
【0113】
疾患、例えば、腫瘍性皮膚疾患のような皮膚疾患を治療するためのキットは、治療すべき領域における皮膚に局所投与するのに適した医薬品、および上記の照明システム1を含むことができ、前記照明システム1は、前記物質が投与された皮膚の領域を照射するように構成されている。前記医薬品は、光増感剤または放射スペクトルにおける光によって励起され得る薬剤の前駆体であってよい。
【0114】
例えば、上記したものの1つのような、皮膚疾患を治療するための方法は、以下のステップ:医薬品、例えば、上記のプロドラッグを、治療される領域の皮膚に投与すること;前記方法に従って照明源2で、および/または、上記の照明システム1を用いて、前記領域を照射することを含むことができる。
【0115】
上記のように前記照明プロトコルを適用すれば、有効性を高めるだけでなく、患者/ユーザーにとっての痛みの感覚の重大さまたは総合的に受ける痛みを低減することが期待できる。実質的な量の知覚される痛みは、主たる問題であるが、それは、患者によってPDTが広く受け入れられることを隠蔽する。通常、患者は、前記照明の間、軽度の不便から、治療を断念せざるを得ないほどの重篤な痛みまで、比較的高い量の痛みを経験すると報告されている。これは、もちろん、個々のPDTセッションおよびPDT治療全体にとって、大きな否定的な意味合いを持つ。
【0116】
提案された光線力学療法用照明システムの適用は、PDTの間の痛みを、十分に耐え得るレベルにまで低減する。これに加えて、治療自体を受け入れて、PDTを再び受ける意欲は、この照明システムを採用すれば、大きく向上する。
【0117】
PDTは非常に有効な治療法であるが、治療した疾患、例えば、本開示において上記で言及した日光角化症その他の疾患の再発が当たり前であり、かくして、治療は成功したものの、患者は、しばしば、後日、異なる皮膚領域に異なる病変を発症して、再び医学的介入が必要となる。しかも、何人かの患者は、単一PDTセッションでは完全に直らず、2回目のセッションが必要である。もし、彼らが受けた1回目のPDTが痛ければ、他の療法選択肢と比較して巣ぶれた有効性を提供できるという事実にもかかわらず、2回目のPDTの完了はほぼないであろう。
【0118】
その結果、提案された照明システムおよびプロトコルは、光線力学療法に対する受け入れレベルを増進する。
【0119】
ひとつの特定の照明システムおよび/またはそれに関連するプロトコルを説明してきた。しかしながら異なるシステムおよびプロトコルが、本開示の導入部で議論された特徴を用いて、たとえこれらの特徴が図面と結びつけて明示されていなかったとしても、同様に適用できると理解されるべきである。かくして、導入部で議論された特徴は、これらの特徴を明示的に参照する、本開示の代表的具体例である。
【符号の説明】
【0120】
1 照明システム
2 照明源
3 電磁放射
4 標的表面
5 電子制御ユニット
p プライミングモード
a 第1のモード
b 第2のモード
c 第3のモード
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2022-04-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光線力学療法用照明システムであって、電磁放射を放出して、操作の間、標的表面を照射するように構成された照明源および電子制御ユニットを含み、
前記照明源は、その照明源によって放出された電磁放射の強度を変化させることができるように構成され;
前記電子制御ユニットは、前記照明源に操作可能に連結され、前記照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って、前記照明源の操作を制御するように構成され;および
前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける前記照明セッションの間、前記照明源を操作するインストラクションを含み、前記モードは、
a)第1のモード、ここに、第1のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第1のモード時間間隔内で、ベース強度Bから標的強度Tに連続的にまたは準連続的に増加させる;
b)第2のモード、ここに、第2のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定にする;および
c)第3のモード、ここに、第3のモードにおいて、前記電子制御ユニットは、前記照明源の操作を制御して、第3のモード時間間隔の間暗闇期と照明期とを交代させる
を含み、
ここに、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、前記照明期中よりも、暗闇期中の方が低いか、または、暗闇期において、前記照明源は電磁放射を放出せず、一方、前記照明源は、前記照明期において、電磁放射を放出する、線力学療法用照明システム。
【請求項2】
Bは、値:0.5T、0.45T、0.4T、0.35T、0.3Tのうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
Bは、値:0.1T、0.15T、0.2T、0.25T、0.3Tのうちのひとつよりも大きいかまたは等しい、請求項1または2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記照明源が、前記照明セッションの間、第1のモードの後および/または第3のモードの前に、第2のモードにおいて操作される、請求項1~3のいずれかに記載の照明システム。
【請求項5】
第1のモードにおける前記照明源の操作の始まりが前記照明セッションの開始を定め、第3のモードにおける前記照明源の操作の終わりが前記照明セッションの終了を定める、請求項1~4のいずれかに記載の照明システム。
【請求項6】
前記照明源の操作の第1のモード、第2のモードおよび第3のモードから選択された全てのモードは、前記照明セッションの間、一回、好ましくは一回のみ発生する、請求項1~5のいずれかに記載の照明システム。
【請求項7】
前記電磁放射は、可視スペクトル範囲、例えば、赤色、緑色、黄色または青色スペクトル範囲内にピーク波長を有する、請求項1~6のいずれかに記載の照明システム。
【請求項8】
前記標的表面は、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置され、前記照明システムは、前記照明セッションの間、所定の放射線量で前記標的表面を照射するように構成されている、請求項1~7のいずれかに記載の照明システム。
【請求項9】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:30J/cm、35J/cm、37J/cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しい、請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:45J/cm、40J/cm、37J/cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、請求項8または9に記載の照明システム。
【請求項11】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:8J/cm、9J/cm、10J/cmのうちのひとつよりも大きいかまたは等しい、請求項8~10いずれかに記載の照明システム。
【請求項12】
前記放射線量は、前記標的表面が、前記照明セッションの間、前記照明源に対する標的位置に配置されているとき、値:12J/cm、11J/cm、10J/cmのうちのひとつよりも小さいかまたは等しい、請求項8、10または11に記載の照明システム。
【請求項13】
前記照明源の放射線出射面と前記標的位置との間の距離は、1cmと20cmとの間である、請求項8~12いずれかに記載の照明システム。
【請求項14】
全照明セッションの継続時間は、値:20分間、19分間、18分間、17分間、16分間、15分間、14分間、13分間のうちのひとつよりも小さいか等しい、請求項1~13のいずれかに記載の照明システム。
【請求項15】
照明源を操作するための方法であって、前記照明源は、前記照明システムで実行される照明セッションの間、照明プロトコルに従って操作され、前記照明プロトコルは、複数の異なるモードにおける前記照明セッションの間、前記照明源を操作するためのインストラクションを含み、前記モードは、
a)第1のモード、ここに、第1のモードにおいて、前記照明源は、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第1のモード時間間隔内で、ベース強度Bから標的強度Tに連続的にまたは準連続的に増加させるように操作され、
b)第2のモード、ここに、第2のモードにおいて、前記照明源は、前記照明源によって放出された電磁放射の強度を、第2のモード時間間隔の間、一定または実質的に一定にするように操作され;および
c)第3のモード、ここに、第3のモードにおいて、前記照明源は、第3のモード時間間隔の間、暗闇期と照明期とを交代させるように操作される
を含み、
ここに、前記照明源によって放出された電磁放射の強度は、前記照明期中よりも、暗闇期中の方が低いか、または、暗闇期において、前記照明源は電磁放射を放出せず、一方、前記照明源は、前記照明期において、電磁放射を放出する、照明源を操作するための方法。
【請求項16】
データキャリア、例えば、非一時的データキャリア、またはデータストリームのようなコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、特に、コンピュータシステムにロードされるとき、および/または、コンピュータシステムによって、例えば、その電子制御ユニットによって、実行されるとき、請求項15に記載の方法に従って照明源を操作する機械可読インストラクションを含有する、コンピュータプログラム製品。
【請求項17】
疾患、特に、皮膚疾患を治療するためのキットであって、
治療すべき領域における皮膚に局所投与するのに適した医薬品、および
請求項1~14いずれかに記載の照明システムであって、前記照明システムは、前記物質が投与された、皮膚の領域を照射するように構成されている、
を含む、キット。
【請求項18】
皮膚疾患を治療するための方法であって、以下のステップ:
a)医薬品を、治療される領域にある皮膚の表面に投与すること;
b)請求項15に記載の方法に従って照明源で、および/または、請求項1~14いずれかに記載の照明システムを用いて、前記領域を照射すること、
を含む、方法。
【請求項19】
前記医薬品は、光増感剤または発光スペクトルでの放射によって励起され得る薬剤の前駆体である、請求項17に記載のキット。
【請求項20】
前記皮膚疾患は、日光角化症、基底細胞がん、イン・シチュ扁平上皮癌、またはイボ、ニキビ、創傷治癒障害/慢性創傷、細菌および/もしくは真菌感染性、または炎症性の皮膚疾患のような、腫瘍性皮膚疾患である、請求項17に記載のキット。
【請求項21】
前記医薬品は、光増感剤または発光スペクトルでの放射によって励起され得る薬剤の前駆体である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚疾患は、日光角化症、基底細胞がん、イン・シチュ扁平上皮癌、またはイボ、ニキビ、創傷治癒障害/慢性創傷、細菌および/もしくは真菌感染性、または炎症性の皮膚疾患のような、腫瘍性皮膚疾患である、請求項18に記載の方法。
【国際調査報告】