(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】医療用注射機器の針による針刺し損傷を防止するための安全機器
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/32 510F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572682
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020067181
(87)【国際公開番号】W WO2020254624
(87)【国際公開日】2020-12-24
(32)【優先日】2019-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フランク カレル
(72)【発明者】
【氏名】フレッディー ミルズ
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066FF05
4C066NN01
4C066NN07
(57)【要約】
本発明は、医療用注射機器(100)の遠位先端(102)から延びる針(101)による針刺し損傷を防止するための安全機器(1)に関し、安全機器は、医療用注射機器の遠位先端(102)に取り付けられるように構成され、第1のヒンジ部分を含む、リング(10)と、第1のヒンジ部分に枢動可能に結合された第2のヒンジ部分を含む、保護シールド(20)であって、保護シールドは、保護シールド(20)が針先端を覆う保管位置、保護シールド(20)が針先端を覆わない後退位置、および、保護シールド(20)が針先端を覆う安全位置を、連続的に採用するように構成されている、保護シールド(20)を含み、リング(10)は、突出部(11)を含み、突出部は遠位に延び、リングの軸に対して、半径方向内側(16)と、半径方向内側に対向する半径方向外側(17)を含み、保護シールドは、少なくとも1つの近位ロック部材(21、35)を含み、安全位置では、保護シールド(20)は、ロック部材(21、35)の突出部(11)との係合により、リング(10)にロックされ、ロック部材(21、35)は、保護シールドが後退位置から安全位置に移行するときに、突出部(11)と係合し、その結果、ロック部材(21、35)は、突出部の半径方向外側(17)から突出部の半径方向内側(16)に通過するように、および、保護シールド(20)を安全位置に維持するために、突出部(11)と係合し続けるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用注射機器(100)の遠位先端(102)から延びる針(101)による針刺し損傷を防止するための安全機器(1)であって、前記安全機器(1)は、
-前記医療用注射機器の前記遠位先端(102)に取り付けられるように構成され、第1のヒンジ部分を含むリング(10)と、
-前記第1のヒンジ部分に枢動可能に結合された第2のヒンジ部分を含む保護シールド(20)であって、前記保護シールドは、前記保護シールド(20)が針先端を覆う保管位置、前記保護シールド(20)が前記針先端を覆わない後退位置、および、前記保護シールド(20)が前記針先端を覆う安全位置を、連続的に採用するように構成されている、前記保護シールドと、を含み、
前記リング(10)は、突出部(11)を含み、前記突出部は、遠位に延び、前記リングの軸に対して、半径方向内側(16)と、前記半径方向内側に対向する半径方向外側(17)とを含み、
前記保護シールドは、少なくとも1つの近位ロック部材(21、35)を含み、
前記安全位置では、前記保護シールド(20)は、前記ロック部材(21、35)の前記突出部(11)との係合によって、前記リング(10)にロックされ、
前記ロック部材(21、35)は可撓性タブであり、
前記ロック部材(21、35)は、前記保護シールドが前記後退位置から前記安全位置に移行するときに、前記突出部(11)と係合し、その結果、前記ロック部材(21、35)が、前記突出部の前記半径方向外側(17)に当接し、前記保護シールドが、前記突出部の前記半径方向外側(17)から、前記突出部の前記半径方向内側(16)に通過するとき、前記保護シールド(20)の本体(22)から、前記リングの前記軸に対して、半径方向外側に偏向するように、および、
前記保護シールド(20)を前記安全位置に維持するために、前記突出部(11)の半径方向内側(16)と係合し続けるように構成されることを特徴とする安全機器(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の安全機器(1)であって、前記ロック部材は、単一の可撓性タブ(21)を含むことを特徴とする安全機器(1)。
【請求項3】
請求項1に記載の安全機器(1)であって、前記ロック部材は、スロット(23)によって分離された2つの可撓性タブ(21)を含むことを特徴とする安全機器(1)。
【請求項4】
請求項3に記載の安全機器(1)であって、各可撓性タブ(21)は、前記スロット(23)に対向する、それぞれの溝(24)によって、前記保護シールド(20)の前記本体(22)から分離された、自由端(35)を含むことを特徴とする安全機器(1)。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載の安全機器(1)であって、前記可撓性タブ(21)は、前記保護シールド(20)の前記本体(22)から、軸方向および近位方向に延びることを特徴とする安全機器(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の安全機器(1)であって、前記保護シールド(20)が、前記保管位置、および/または、前記安全位置にあるとき、前記可撓性タブ(21)が、前記突出部(11)から近位方向に突出することを特徴とする安全機器(1)。
【請求項7】
請求項5または6に記載の安全機器(1)であって、前記可撓性タブが、前記第2のヒンジ部分に向かって延びることを特徴とする安全機器(1)。
【請求項8】
請求項2から7のいずれか一項に記載の安全機器(1)であって、前記可撓性タブ(21)は、リブ(26)を備えた内面(25)を含み、前記リング(10)は、カム部材(12)を備えた突起(18)を含み、前記突起は、前記リング(10)から半径方向に延び、遠位側(19a)、および、前記遠位側に対して近位に位置する近位側(19b)を含み、
前記可撓性タブ(21)は、前記保護シールドが前記保管位置から前記後退位置に移行するときに、前記リブ(26)の前記カム部材(12)との係合によって、屈曲して変形するように構成され、その結果、前記リブ(26)は、前記突出部の前記遠位側(19a)から前記突出部の前記近位側(19b)まで通過し、および
前記リブ(26)は、前記保護シールド(20)を前記後退位置に維持するために、前記カム部材(12)と係合し続けるように構成されることを特徴とする安全機器(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の安全機器(1)であって、前記リブ(26)、および、前記カム部材(12)は、前記保護シールド(20)が、前記後退位置にあるとき、前記リング(10)の軸に対して、80°より上、または、同等の角度で、前記保護シールド(20)を維持するように構成されることを特徴とする安全機器(1)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の安全機器(1)であって、前記第1のヒンジ部分は、前記保護シールド(20)の枢動軸を画定する溝(13)を含み、前記保護シールド(20)は、前記溝(13)に留められた軸(27)を含むことを特徴とする安全機器(1)。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の安全機器(1)であって、前記第1のヒンジ部分は、前記保護シールド(20)の枢動軸を画定する2つの同一線上のピン(14)を含み、前記保護シールド(20)は、開口部(29)を備えた、2つの近位脚(28)を含み、各ピン(14)は、それぞれの開口部(29)と係合することを特徴とする安全機器(1)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の安全機器(1)であって、前記保護シールド(20)は、前記保護シールドが前記安全位置にあるとき、前記保護シールド(20)に対して前記針をロックするために、前記針(101)と係合するように構成された、少なくともフックを含むことを特徴とする安全機器(1)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の安全機器(1)であって、少なくとも前記針先端を覆うために、前記医療用注射機器の前記遠位先端(102)に取り付けられるように構成された保護キャップ(50)をさらに備え、前記保護シールド(20)は、前記保護シールドが前記保管位置にあるとき、前記保護キャップ(50)と結合されることを特徴とする安全機器(1)。
【請求項14】
安全アセンブリ(200)であって、前記安全アセンブリ(200)は、
-バレル(103)と、前記バレルから遠位に延びる遠位先端(102)と、前記遠位先端に取り付けられた針(101)を含む医療用注射機器(100)、および、
-請求項1から13のいずれか一項に記載の安全機器(1)を含み、前記リング(10)は前記医療用注射機器の前記遠位先端(102)の周りにあることを特徴とする安全アセンブリ(200)。
【請求項15】
請求項14に記載の安全アセンブリ(200)であって、前記安全機器は、請求項8に記載の安全機器(1)であり、前記リブ(26)、および、前記カム部材(12)は、前記保護シールド(20)が前記後退位置にあるときに、前記保護シールドの遠位端が、前記針先端(104)から突出しないように構成されることを特徴とする安全アセンブリ(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用注射機器の針による針刺し損傷を防止するための安全機器に関する。本発明は、また、安全機器および医療用注射機器を含む、安全アセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
鋭い、先の尖った針を備えた医療機器は、筋肉、静脈、または、動脈に、注射を実行したり、筋肉、静脈、または、動脈から、サンプルを採取したりするために、医学界で日常的に使用される。それらは、注射器、ペン注射器、カテーテル、または、採血機器などの、注入機器であり得る。鋭い、先の尖った針は、医療スタッフと患者に、針刺し損傷の固有のリスクを提示し、したがって、通常、使用前に針を覆う、針キャップを備える。このキャップは、針を、汚染から保護するだけでなく、医療スタッフによる輸送および配送中に発生し得るであろう、望ましくない接触または穿刺からも保護する。そのようなキャップは、医療機器を使用する直前に取り外される必要がある。
【0003】
使用後、針への針キャップの再配置は、医療従事者に対する事故や汚染の主な原因と考えられているため、厳格に禁止される。実際、医療機器全体、または、少なくとも使用済みの針は、使用後に、適切な針収集器に廃棄されるべきである。しかし、医療スタッフが、廃棄する前に、露出した、汚染され針を取り扱うため、針刺し損傷のリスクが依然として存在する。
【0004】
したがって、安全機器は、使用後、すなわち、注射または収集の終了と、機器の適切な廃棄との間で、そのような医療機器の針による針刺し損傷を防止するように設計されている。通常、そのような安全システムは、医療行為が完了したときに、少なくとも針先端に、自動または手動でロックされるように設計される。そのような安全機器の例は、特許文献1、および、特許文献2に記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0702973号明細書
【特許文献2】カナダ国特許発明第3046821号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2018/0140780号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それにもかかわらず、これらの安全システムの多くは、使用前に針先端を露出させるためのトリガーステップを必要とし、それは、医療行為のペースを遅くし、医療機器の安全レベルを低下させる。さらに、そのような安全システムの大部分は、機器の全体的なサイズを大きくし、困難な取り扱いだけでなく、特に、事前充填シリンジの保管上の懸念をももたらす。最後に、これらのシステムのほとんどは、針先端の完全な露出を達成せず、針先端への直接の視認およびアクセスを妨げることによって、医療行為を妨げる。
【0007】
さらに、事前充填シリンジは、医療スタッフへの最終的な配送前に、製薬会社によって、医薬品を充填されるために、製造後に、滅菌包装で輸送される。滅菌包装は、通常のニードルキャップで閉鎖された、注射器の長さと直径に適合され、現在利用可能な、特大の安全機器を受け入れ得ない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の簡単な説明
本発明は、前述の欠点を克服する安全機器を提供することを目的とする。
【0009】
この目的のために、本発明の1つの目的は、機器の使用の前後、すなわち、注射が実行された前後に、使用者、患者、または、機器の周りのあらゆる人が、医療注射の針と接触するのを防ぐ、安全機器である。
【0010】
このようにして、針、特に、針の先端が、物理的にアクセス可能でなくなり、針の、機器の近くの人との接触によって引き起こされる、偶発的な針刺しまたは傷のリスクが、消滅させられる。
【0011】
本発明はまた、容易に使用可能である、安全機器を提供することを目的とし、それは、既知の機器と比較して単純化された構造、および、滅菌包装での輸送に適したサイズを提供する。
【0012】
この目的のために、本発明の1つの目的は、医療用注射機器の遠位先端から延びる針による針刺し損傷を防止するための安全機器であり、安全機器は、
-医療用注射機器の遠位先端に取り付けられるように構成され、第1のヒンジ部分を含む、リング、および、
-第1のヒンジ部分に枢動可能に結合された第2のヒンジ部分を含む保護シールドであって、保護シールドは、保護シールドが針先端を覆う保管位置、保護シールドが針先端を覆わない後退位置、および、保護シールドが針先端を覆う安全位置を、連続的に採用するように構成されている、保護シールドを含み、
リングは、突出部を含み、突出部は、遠位に延びて、リングの軸に対して、半径方向内側と、半径方向内側に対向する半径方向外側を含み、
保護シールドは、少なくとも1つの近位ロック部材を含み、
安全位置では、保護シールドは、ロック部材と突出部の係合によって、リングにロックされ、
ロック部材は、
-保護シールドが、後退位置から安全位置に移行するときに、突出部と係合し、その結果、ロック部材が、突出部の半径方向外側から、突出部の半径方向内側に通過し、
-保護シールドを安全位置に維持するために、突出部と係合し続けるように構成される。
【0013】
本発明はまた、医療用注射機器の遠位先端から延びる針による針刺し損傷を防止するための安全機器に関し、安全機器は、
-医療用注射機器の遠位先端に取り付けられるように構成され、第1のヒンジ部分を含むリング、および、
-第1のヒンジ部分に枢動可能に結合された第2のヒンジ部分を含む保護シールドであって、保護シールドは、保護シールドが針先端を覆う保管位置、保護シールドが針先端を覆わない後退位置、および、保護シールドが針先端を覆う安全位置を、連続的に採用するように構成された、保護シールドを含み、
リングは、突出部を含み、突出部は、遠位に延びて、リングの軸に対して、半径方向内側と、半径方向内側と対向する半径方向外側を含み、
保護シールドは、少なくとも1つの近位ロック部材を含み、
安全位置では、保護シールドは、ロック部材と突出部の係合によって、リングにロックされ、
第1および第2のヒンジ部分は、第1、および/または、第2のヒンジ部分の少なくとも一部が、後退位置から安全位置への移行中に、ロッキング部材と突出部との係合によって曲げ変形を受け、突出部からのロッキング部材の離脱を妨げるために、安全位置で、座屈変形を受ける。
【0014】
本発明の安全機器は、使用者が、患者または彼自身に、医薬組成物の注射を実行することを可能にし、一方で、機器の近くのあらゆる人、特に、患者と彼自身が、注射から離れて、医療用注射機器の針に接触するのを防ぎ、それにより、傷を回避し、注射デバイスを安全にする。実際、保管位置と安全位置の両方で、保護シールドは、少なくとも針の先端を覆い、それにより、針の先端と、医療用注射機器の周りのあらゆる人との間の、あらゆる接触を防止する。
【0015】
安全位置では、保護シールドは、リングにロックされ、それは、保護シールドが、保管位置または後退位置に戻り移動するのを防ぎ、それにより、機器をさらに固定する。
【0016】
後退位置では、保護シールドは、針の先端を覆わず、それにより、針が患者の皮膚に配置され、注射が実行されることを可能にする。
【0017】
安全機器の他のオプション機能によれば、
-ロック部材は、保護シールドが、後退位置から安全位置に移行するときに、保護シールドの本体から半径方向外方に偏向するように構成された、単一の可撓性タブを含み、
-ロック部材は、スロットによって分離され、保護シールドが、後退位置から安全位置に移行するときに、保護シールドの本体から半径方向外方に偏向するように構成された、2つの可撓性タブを含み、
-各可撓性タブは、スロットに対向する、それぞれの溝によって、保護シールドの本体から分離された、自由端を含み、
-可撓性タブは、保護シールドの本体から軸方向および近位方向に延び、
-保護シールドが、保管位置、および/または、安全位置にあるとき、可撓性タブは、突出部から近位に突出し、
-可撓性タブは、第2のヒンジ部分に向かって延び、
-可撓性タブは、リブを備えた内面を含み、リングは、カム部材を備えた突起を含み、突起は、リングから半径方向に延び、遠位側、および、遠位側に対して近位に配置された近位側を含み、
可撓性タブは、保護シールドが、保管位置から後退位置に移行するとき、リブのカム部材との係合によって屈曲して変形するように構成され、その結果、リブは、突出部の遠位側から、突出部の近位側に通過し、および、
リブは、保護シールドを後退位置に維持するために、カム部材と係合し続けるように構成され、
-可撓性タブは、リブを備えた内面を含み、リングは、カム部材を備えた突起を含み、突起は、リングから半径方向に延び、遠位側、および、遠位側に対して近位に配置された近位側を含み、
可撓性タブおよび突起は、可撓性タブが、保管位置から後退位置への移行中に、リブのカム部材との係合によって曲げ変形を受け、後退位置で、リブのカム部材との摩擦係合によって、カム部材との摩擦を受け、保護シールドを後退位置に維持するように構成され、
-リブおよびカム部材は、保護シールドが後退位置にあるときに、リングの軸に対して80°より上、または、同等の角度で、保護シールドを維持するように構成され、
-第1のヒンジ部分は、保護シールドの枢動軸を画定する溝を含み、保護シールドは、溝に留められる軸を含み、
-第1のヒンジ部分は、保護シールドの枢動軸を画定する、2つの同一直線上のピンを含み、保護シールドは、開口部を備えた2つの近位脚を含み、各ピンは、それぞれの開口部に係合し、
-保護シールドは、保護シールドが安全位置にあるときに、保護シールドに対して針をロックするために、針と係合するように構成された、少なくともフックを含み、
-安全機器は、さらに、少なくとも針の先端を覆うために、医療用注射機器の遠位先端に取り付けられるように構成された、保護キャップを含み、保護シールドは、保護シールドが保管位置にあるときに、保護キャップと結合する。
【0018】
本発明の別の目的は、安全アセンブリであり、安全アセンブリは、
-バレル、バレルから遠位に延びる遠位先端、および、遠位先端に取り付けられた針を含む、医療用注射機器、および、
-前述の安全機器であって、リングが医療用注射機器の遠位先端の周りにある、安全機器を含む。
【0019】
好ましい実施形態によれば、リブおよびカム部材は、保護シールドが後退位置にあるときに、保護シールドの遠位端が針先端から突出しないように構成される。
【0020】
本出願において、「遠位方向」は、本発明の安全機器が取り付けられる医療容器に関して、注射の方向を意味すると理解されるべきである。遠位方向は、注射中に、注射機器のバレル内に、少なくとも部分的に配置された、プランジャの移動方向に対応し、最初にバレルに含まれる医薬組成物は、バレルから排出される。「遠位の」または「遠位に」などの、遠位方向に関連する用語は、また、注射の方向に関連する。「近位方向」は、注射方向とは反対の方向を意味すると理解されるべきである。「近位の」または「近位に」などの、近位方向に関連する用語は、また、注射の方向と反対の方向に関連する。したがって、第2の要素よりもプランジャ経路上で、さらに先に配置される、安全機器または安全アセンブリの第1の要素は、第2の要素に対して、遠位であり、または、遠位に配置される。反対に、第2の要素よりもプランジャ経路上で、より近くに配置される、安全機器または安全アセンブリの第1の要素は、したがって、第2の要素に対して、近位であり、または、近位に配置される。
【0021】
この本文において、「注射工程」は、注射される組成物を事前に充填された、保管された注射機器の使用者による取り扱いから、注射が行われた後の空の医療用注射機器の廃棄まで、その中に含まれる組成物の注射を実施するための医療用注射機器の使用に対応する。そのような注入工程は、特に、保管された医療用注射機器を取り扱うステップ、患者の皮膚の近くに医療用注射機器を配置するステップ、患者の皮膚を刺すステップ、組成物を注入するステップ、患者の皮膚から針を取り外すステップ、そして、針を廃棄するステップを含む。
【0022】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】安全機器の第1の実施形態によるリングの全体的な斜視図である。
【
図2】第1の実施形態による保護シールドの全体的な斜視図である。
【
図3A】医療用注射機器の遠位先端に中心を合わせて配置された安全機器の側面断面図であり、リングが、遠位先端に取り付けられ、リングに枢動可能に取り付けられた保護シールドが、保管位置にある図である。
【
図3B】
図3Aの安全機器の側面断面図であり、保護シールドが安全位置にある図である。
【
図3C】
図3Aの安全機器の側面断面図であり、保護シールドが後退位置にある図である。
【
図4】安全機器の第2の実施形態による保護シールドの全体的な斜視図である。
【
図5A】医療用注射機器の遠位先端に中心を合わせて配置された安全機器の側面断面図であり、リングが遠位先端に取り付けられ、リングに枢動可能に取り付けられた保護シールドが保管位置にある図である。
【
図5B】
図5Aの安全機器の側面断面図であり、保護シールドが安全位置にある図である。
【
図5C】
図5Aの安全機器の側面断面図であり、保護シールドが後退位置にある図である。
【
図6】第2の実施形態の別の実施形態による保護シールドの全体的な斜視図である。
【
図7】保護キャップを備えた第2の実施形態の安全機器の全体図である。
【
図8】第3の実施形態によるリングの全体的な斜視図である。
【
図9】第3の実施形態による保護シールドの全体的な斜視図である。
【
図10】
図8のリングに枢動可能に取り付けられた、
図9の保護シールドを含む、安全機器の全体図である。
【
図11A】安全機器の側面断面図であり、保護シールドが保管位置にある図である。
【
図11B】保管位置から後退位置への保護シールドの移行を示す図である。
【
図11C】保護シールドが後退位置にあるときの、保護シールドの可撓性タブの、リングのカム部材との摩擦係合を示す図である。
【
図12A】安全機器の側面断面図であり、保護シールドが保管位置にある図である。
【
図12B】保管位置から安全位置への保護シールドの移行を示す図である。
【
図12C】保護シールドが安全位置にあるときの、保護シールドの可撓性タブの座屈変形を示す図である。
【
図13】保護キャップを備えた、第3の実施形態の安全機器の全体的な斜視図である。
【
図14】安全機器の第4の実施形態によるリングの全体的な斜視図である。
【
図15】第3の実施形態による保護シールドの全体的な斜視図である。
【
図16】
図14のリングに枢動可能に取り付けられた、
図15の保護シールドを含む安全機器の全体図である。
【
図17A】安全機器の側面断面図であり、保護シールドが保管位置にある図である。
【
図17B】
図17Bは、安全機器の斜視図であり、保護シールドが後退位置にある図である。
【
図17C】安全機器の側面断面図であり、保護シールドが安全位置にある図である。
【
図18】保護キャップを備えた、第4の実施形態の安全機器の全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
発明の実施形態の詳細な説明
本発明は、注射後、注射器などの医療用注射機器の針で、使用者、特に、医療専門家が、自分自身、または、治療される患者などの周りの人を刺傷するのを防止するための安全機器に関する。
【0025】
安全機器1は、医療用注射機器100のバレル103の遠位先端102に取り付けられるように構成されたリング10を含む。バレルは、患者に注射される医療用組成物のための容器である。安全機器は、さらに、リングに枢動可能に結合された保護シールド20を含む。組成物は流体であり、医薬品、ワクチンなどの液体であり得る。一緒に取り付けられると、安全機器1および医療用注射機器100は、安全アセンブリ200を形成する。
【0026】
保護シールド20は、注射工程のステップに応じて、使用者および周囲のあらゆる人が、針101、特に、針先端104に接触するのを防ぎ、それによって潜在的な刺傷を防止するための、物理的障壁として機能するように構成される。
【0027】
本発明による安全機器1の第1の実施形態は、
図3Aに示され、安全機器は、
図1に示されるリング10、および、
図2に示される保護シールド20を含む。
【0028】
図1を参照すると、リング10は、実質的に円筒形であり、軸の周りに延びる。この本文において、「軸方向」という用語は、リング軸、または、リング軸に平行な軸を指す。リングは、バレルの遠位先端に取り付けられるように構成される。あるいは、リングは、プラスチックバレルの遠位先端に一体化され得る。
【0029】
リング10の本体は、本体に対して実質的に中央に延びる貫通孔15によって、孔を開けられる。貫通孔15は、
図3Aに見られるように、医療用注射機器の遠位先端102を収容するように適合される。リングの孔15に挿入されると、遠位先端102の端部105が、リング10から突出し、針101が、遠位先端の端部から突出する。
【0030】
リング10は、第1のヒンジ部分と、リング本体の外面から突出する突出部11を含む。この実施形態では、突出部11は軸方向に延びる。より正確には、この実施形態では、突出部11はリング本体から遠位に突出する。
【0031】
第1の実施形態によれば、第1のヒンジ部分は、リング10の外面に形成された溝13を含む。溝は、保護シールドが枢動可能な、枢動軸を画定する。
【0032】
特に、
図3Aに見られるように、突出部は溝に対して遠位に配置される。さらに、突出部は、溝の軸に垂直に延びる。
【0033】
リングは、好ましくは、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、および、それらの組み合わせなどの、医療用途に適合された任意の硬質ポリマーで作成される。
【0034】
保護シールドは、好ましくは、高密度ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、および、それらの組み合わせなどの、医療用途に適合された任意の硬質ポリマーで作成される。
【0035】
図2を参照すると、保護シールド20は、近位部分31と、近位部分から遠位に延びる遠位アーム32を含む。近位部分31は、互いに向き合い、遠位突起で再結合する2つの近位脚28を含み得る。近位脚のそれぞれは、カム表面37を備える。
【0036】
遠位突起32は、安全機器1が医療用注射機器の遠位先端102に取り付けられる場合、医療用注射機器の針の少なくとも先端104を安全位置に収容するように構成された、ノッチ33を含み得る。安全位置は、本文の以下において定義されるであろう。ノッチ33は、そこに収容された針と平行に、遠位突起32に沿って延びる。
【0037】
遠位突起32は、内面30を含む。
【0038】
遠位突起32は、針に対して保護シールド20をロックするために、針101と係合するように構成された、1つまたは複数のフックを備え得る。フックは、遠位突起32の内面30に設けられ得る。遠位突起32にノッチ33が設けられる場合、フックは、ノッチの内面から延び得る。
【0039】
保護シールド20は、リング10の第1のヒンジ部分に枢動可能に結合されるように構成された、第2のヒンジ部分を含む。
【0040】
第1の実施形態によれば、第2のヒンジ部分は、近位部分の2つの近位脚28の間に延在し、それによって近位脚を結合する、軸27を含む。軸27は、リングの溝13に留められるように適合され、一方で、リングに対して旋回可能である。それにより、軸27および溝13は、ヒンジを形成し、保護シールド20は、枢動軸の周りでリング10に対して枢動可能に移動可能である。
【0041】
保護シールドは、さらに、リングの突出部と係合するように構成された、ロック部材を含む。
【0042】
第1の実施形態によれば、ロック部材は、突出部の半径方向外側17から、半径方向外側と対向する、突出部の半径方向内側16に、突出部に対して、実質的に半径方向に変形するように適合された、単一の可撓性タブ21を含む。
【0043】
この実施形態によれば、可撓性タブは、近位方向に延び、可撓性タブを区切る2つのそれぞれのスロット36によって、2つの近位脚28から分離される。
【0044】
可撓性タブ21は、好ましくは、2つの近位脚28の接合部から、近位脚の間で、軸27に向かって延びる。可撓性タブ21は、好ましくは、遠位突起32から軸27に向かって、近位方向に延びる。
【0045】
安全機器1は、さらに、少なくとも針先端104を覆うために、医療用注射機器の遠位先端102に取り付けられるように構成される、保護キャップ50を含み得る。
【0046】
安全機器は、さらに、医療用注射機器の遠位先端102および針先端104を収容するように構成された、エラストマー材料で作成された密閉キャップ(図示せず)を含み得る。密閉キャップは、保護キャップに包囲される。
【0047】
保護キャップおよび密閉キャップの実施形態は、特許文献3に記載される。
【0048】
【0049】
保護キャップ50は、内部空洞、遠位半径方向開口部52、および、好ましくは、遠位半径方向開口部52に隣接する上部近位延長部を画定する、管状本体51を含む。保護キャップは、さらに、存在する場合、上部近位延長部に平行な、下部近位延長部を含み、2つの湾曲した切除部53および2つの係合ペグ54を含む。
【0050】
保護キャップ50は、リング10と同じ材料で作成され得る。それは、不透明または透明のいずれかであり得る。
【0051】
保護キャップ50は、保護シールドが保管位置にあるときに、保護シールド20およびリング10と相補的であり、かつ結合されるように設計される。特に、保護シールド20、および、保護キャップ50は、保護キャップ50の2つの湾曲した切除部53が、近位脚28のカム表面37を収容し、保護キャップ50の2つの係合ペグ54が、カム表面37に係合するように、寸法が決められ、連結される。
【0052】
したがって、保護キャップ50、保護シールド20、および、任意選択で、リング10および/または密閉キャップは、本発明による安全機器1の例において、完全に連結される。そのような安全機器1は、注射機器100の遠位先端102への簡単な取り付けのための、事前に組み立てられたサブユニットとして提供され得る。取り付けステップは、安全機器1を先端102上に配置するために、注射機器100の先端102に向かって、軸方向に向けられた取り付け力の印加によって、単一ステップとして行われ得る。
【0053】
安全機器は、好ましくは、保護キャップの取り外しが、保護シールドの、ヒンジの軸に対応する、その回転軸の周りで、針と反対の方向、すなわち、近位方向への旋回をもたらすように構成される。
【0054】
保護シールド20は、注射工程のステップに応じて、旋回軸の周りに旋回することによって、リング10に関して、および、医療用注射機器の遠位先端102および針101に関して、異なる位置を採用するように構成される。特に、保護シールド20は、保護シールドが突出部にロックされることなく針先端104を覆う保管位置、保護シールドが針先端を覆わない後退位置、および、保護シールドが針先端を覆い、突出部にロックされる安全位置を、連続して採用するように構成される。
【0055】
次に、保護シールドのこれらの位置、および、それらの間の移行が、安全機器の機能とともに、
図3A、
図3B、および、
図3Cを参照して、この本文の以下において、説明されるであろう。
【0056】
図3Aは、使用前の安全機器1の構造に対応する。この構造では、保護シールドは、針先端104を覆う保管位置にある。
【0057】
保管位置では、保護シールド20は、存在する場合、保護キャップ50と結合され、保護キャップ50に封入される針101と、実質的に平行である。さらに、針先端104は、エラストマーの内部キャップの、エラストマー材料に埋め込まれ、それによって、注射機器の容器の内容物のいかなる漏れをも回避する。保護キャップ50は、例えば、衝撃、ほこり、および、周囲のあらゆる人、または、あらゆる汚染との接触から、使用前に、針101を保護するのに有用である。エラストマーの内部キャップは、針の無菌性と密封を維持する。
【0058】
図3Aに示されるように、針101は、リング10の軸に平行である。保護シールド20の長手方向軸は、好ましくは、リングの軸に平行である。可撓性タブ21は、好ましくは、リングの軸に平行である。
【0059】
可撓性タブ21は、リングの軸に対して、突出部11から半径方向外方に配置され、突出部の半径方向外側17を覆い得る。
【0060】
安全アセンブリ200を使用するために、使用者は、保護キャップ50を遠位方向に引く。保護キャップ50の取り外しは、保管位置から離れて、ヒンジの周りの保護シールド20の回転を引き起こす。保護シールド20は、さらに、
図3Cに示される後退位置まで、上に回転し得る。好ましくは、安全機器1は、保護キャップ50の除去が、保護シールド20のヒンジの周りでの、その後退位置までの旋回をもたらすように構成される。
【0061】
より詳細には、保護キャップ50が遠位方向に移動するとすぐに、保護キャップ50の係合ペグ54が保護シールド20のカム表面37を押し、それは、保護シールド20の、注射機器のバレル103に向かう、回転開放運動をもたらす。カム表面37の回転運動は、いかなる安全機器をも持たない針キャップの開放と同様に、滑らかで自然な運動を可能にする、湾曲した切除部53の特定の形状によって最適化される。
【0062】
後退位置では、針先端104は覆われず、物理的にアクセス可能であり、安全アセンブリは、医療用注射機器に含まれる組成物の注射の用意ができている。保護シールド20は、リング10の軸に対して斜めに、または、垂直に延びる。保護シールド20とリング10との間の角度は、使用者によって調整され得、80°よりも下、同等、または、上で、好ましくは、90°であり得る。そのために、リングの溝13内の旋回軸27の動きは、摩擦的であり得、摩擦は、使用者により保護シールドを更に作動させることなく、使用者が保護シールドを移動させた位置に、保護シールド20を維持するのに十分であり得る。そのような位置は、後退位置、または、保管位置と後退位置の間の任意の位置であり得る。
【0063】
図3Cに示されるように、保護シールド20の長手方向軸は、リングの軸に対して、斜め、または、実質的に垂直である。可撓性タブ21は、リングの軸に対して斜めまたは垂直である。
【0064】
可撓性タブ21は、リングの軸に関して、突出部11に対して半径方向外方に配置されたままであり、可撓性タブ21の近位端34は、リングの溝、および、その中に収容された軸27に面し得る。
【0065】
注射が実行されたら、使用者は、保護シールド20を旋回軸の周りで、針101に向かって、
図3Bに示される安全位置に、旋回させ得る。それにより、針先端104は、保護シールド20で覆われ、したがって、針先端による、使用者、または、周囲のあらゆる人のあらゆる刺し傷が防止される。
【0066】
旋回軸の周りの保護シールド20の回転は、可撓性タブ21が、リングの突出部11と係合することをもたらす。可撓性タブ21は、リングの軸に対して突出部11から半径方向外方に配置され、突出部の半径方向外側17に当接する。
【0067】
したがって、可撓性タブ21は、保護シールドの本体22から半径方向外方に偏向することによって、曲げ変形を受ける。言い換えれば、可撓性タブは、わずかに持ち上がる。
【0068】
保護シールド20の更なる回転は、可撓性タブ21が、可撓性タブが突出部を通過し、突出部の半径方向内側16と呼ばれる、突出部11の反対の側に到達するまで、リングの突出部11上をスライドすることをもたらす。
【0069】
回転運動の終わりに、保護シールド20は安全位置にあり、少なくとも針先端104を覆う。
【0070】
図3Bに示されるように、保護シールド20の長手方向軸は、リングの軸に対して斜めである。可撓性タブ21は、リングの軸に対して斜めである。
【0071】
可撓性タブ21は、リングの軸に関して、突出部11に対して半径方向内側に配置され、可撓性タブ21の近位端34は、突出部に面する。
【0072】
図3Bに見られるように、針は、フックによって、保護シールド20内にロックされ得、針先端104は、ノッチ33の内側に収容される。したがって、針先端104は、覆われ、針による人の刺し傷が防止される。
【0073】
保護シールド20は、可撓性タブ21が、座屈変形を受けることをもたらす、可撓性タブ21の近位端34の突出部11に対する当接により、安全位置からの移動、特に、保管位置または後退位置への戻り移動を防止される。この座屈変形は、可撓性タブ21の突出部11からの離脱を妨げる。
【0074】
結果として、保護シールド20は、安全位置に固定され、安全機器は、もはや、別の注射に使用され得ない。したがって、使用者は、彼、または、周囲のあらゆる人を、物理的に針にさらすことなく、安全アセンブリ200全体を、この目的に適合されたビンに入れ得るか、または、適合されたビンに入れる前に、安全機器1を、医療用注射機器100から取り外し得る。したがって、針刺し損傷のあらゆるリスクが防止される。
【0075】
針101に当接するとき、保護シールド20は、回転運動を継続するために、使用者によってさらに押され得、その結果、少なくとも針先端104が、使用者によって加えられた圧力の下で変形する。この位置は、また、安全位置に対応する。結果として、変形した針先端104は、ノッチ33の内側に、ノッチ33と平行に、および、ノッチの内面30と接触して横たわり、それは、針先端を完全に覆うことによって、安全性をさらに向上させる。
【0076】
本発明による安全機器1の第2の実施形態は、
図5A、
図5B、および、
図5Cに示され、安全機器は、
図1に示されるリング10、および、
図4に示される保護シールド20を含む。
【0077】
リングは、前述の第1の実施形態のものと同じである。
【0078】
第2の実施形態の保護シールドの一般的な構造は、前述の第1の実施形態の構造と同様であり、これ以上説明されないであろう。
図1、
図2、
図3A-C、および、
図4、
図5A-Cに示される、第1の実施形態と第2の実施形態との間の共通の特徴は、同じ参照を与えられる。
【0079】
ロック部材は、スロット23によって分離された2つの可撓性タブ21を含む。
【0080】
2つの可撓性タブ21を備えた保護シールド20の別の実施形態が、
図6に示され、各可撓性タブ21は、スロット23に対向するそれぞれの溝24によって、保護シールドの本体22から分離された、自由端34を含む。溝24の寸法は、各可撓性タブの可撓性および変形を調整するように適合され得る。
【0081】
第2の実施形態による安全機器1の機能は、保護シールド20の後退位置から安全位置への移行が、両方の可撓性タブ21の、リング10の突出部11との係合をもたらすことを除いて、第1の実施形態の機能と同様である。その結果、2つの可撓性タブ21は、保護シールドの本体22から半径方向外方に偏向し、その間のスロット23に対して互いにわずかにそれる。これは、第1の実施形態と比較して、後退位置と安全位置との間の移行を、よりスムーズにする。
【0082】
本発明による安全機器1の第3の実施形態が、
図9、
図10、および、
図11A-Cに示され、安全機器は、
図8に示されるリング10、および、
図9に示される保護シールド20を含む。
【0083】
第3の実施形態のリングおよび保護シールドの一般的な構造は、前述の第1の実施形態の構造と同様であり、これ以上説明されないであろう。
図1、
図2、
図3A-Cと、
図8-10、
図11A-C、および、
図12A-Cとに示される、第1の実施形態と第3の実施形態との間の共通の特徴は、同じ参照を与えられる。
【0084】
第3の実施形態によれば、リングの第1のヒンジ部分は、保護シールドの旋回軸を画定する、2つの同一線上のピン14を含む。
【0085】
リング10は、リングの外面から突出する突出部11、カム部材12を備えた突起18、および、溝13を含む。
【0086】
保護シールドの第2のヒンジ部分は、2つの開口部29を含み、各開口部は、保護シールドの近位部分の2つの近位脚28のうちの1つに設けられる。各ピン14は、それぞれの開口部29と係合するように構成され、それにより、保護シールド20が、ピン14の中心を結合する旋回軸の周りで、リング10に対して枢動可能に移動可能である、ヒンジを形成する。
【0087】
保護シールドのロック部材は、リング10の突出部11と係合するときに変形するように適合された、単一の可撓性タブ21を含む。
【0088】
可撓性タブ21は、リブ26を備えた内面25を含む。リブは、保護シールド20が、保管位置から後退位置に移行するときに、カム部材12と係合するように適合される。
【0089】
次に、
図11A-C、および、
図12A-Cを参照して、第3の実施形態による安全機器の機能が説明されるであろう。
【0090】
図11Aは、その使用前の安全機器1の構造に対応する。この構造では、保護シールドは、保管位置にあり、それは、針先端104を覆う。
【0091】
針101は、リング10の軸に平行である。
【0092】
保護シールド20の長手方向軸は、好ましくは、リングの軸に平行である。可撓性タブ21は、好ましくは、リングの軸に平行である。
【0093】
可撓性タブ21は、リングの軸に対して、突出部11から半径方向外方に配置され、突出部の半径方向外側に接触し得る。
【0094】
安全アセンブリ200を使用するために、使用者は、保護キャップ50を、遠位方向に引く。保護キャップ50の取り外しは、保管位置から離れて、リングのピン14に対して、ヒンジの枢動軸の周りでの、保護シールド20の回転を引き起こす(
図11B)。保護シールド20は、さらに、
図11Cに示される後退位置まで回転し得る。好ましくは、安全機器1は、保護キャップ50の取り外しが、保護シールド20の、ヒンジの周りでの、その後退位置までの上への回転をもたらすように構成される。
【0095】
枢動軸の周りの保護シールド20の回転は、可撓性タブ21のリブ26が、リングのカム部材12と係合することをもたらす。可撓性タブ21は、突起18の遠位側19aに当接する。
【0096】
したがって、可撓性タブ21は、リブ26とカム部材12との係合によって引き起こされる、保護シールドの本体22から半径方向外方へ偏向することによって、曲げ変形を受ける。
【0097】
図11Bを参照すると、保護シールド20の更なる回転は、可撓性タブのリブ26が、リングの突出部11上をスライドすることをもたらし、近位側に対して遠位に配置された、可撓性タブのリブ26は、近位側19bと呼ばれる、突出部11の他側に到達する。
【0098】
回転運動の終わりに、保護シールド20は後退位置にあり、それによって、針先端104を覆わない。この状況は、
図11Cに示される。保護シールドの近位部分は、溝13に収容される。
【0099】
保護シールド20の長手方向軸は、リングの軸に対して斜めまたは実質的に垂直である。可撓性タブ21は、リングの軸に対して斜めまたは垂直である。
【0100】
可撓性タブ21は、リングの軸に関して、突出部11に対して半径方向外方に配置され続け、可撓性タブ21の近位端34は、リングの溝13に面し得る。
【0101】
保護シールド20は、リブ26とカム部材12との摩擦係合により、後退位置から移動すること、特に、保管位置に戻り移動すること、または、安全位置に移動することを防止される。より詳細には、タブ21の柔軟性は、タブをカム部材12に向けて押し、それは、それらの間の摩擦係合を向上させる。
【0102】
したがって、保護シールド20は、使用者により、決定された努力が、保護シールドに加えられない限り、後退位置に固定される。したがって、使用者は、保護シールドを、後退位置から、特に、安全位置に移動させることに対する、摩擦係合から生じる阻止を克服するために、特定の努力で、保護シールド20を押す必要がある。したがって、後続の注入ステップは、注入中に、保護シールドの予期せぬ傾きを防止するように、使用者が、保護シールドを取り扱うことを必要とせずになされ得、それによって、注入をより安全にする。
【0103】
リブ26およびカム部材12は、保護シールドが、後退位置にあるときに、リング10の軸に対して、80°より上、または、同等の角度に、好ましくは90°に、保護シールド20を維持するように構成され得る。可能な調整は、例えば、リブとカム部材の寸法、および、リブとカム部材の互いに対する傾斜である。保護シールドを90°より上、または、同等の角度に維持することは、針を完全に覆わないことを可能にし、それによって、針が、使用者に見えるようにし、注射を容易にする。
【0104】
リブ26およびカム部材12は、保護シールド20が後退位置にあるときに、保護シールドの遠位端が、針先端104から突出しないように構成される。このようにして、保護シールドの患者の皮膚との接触によって、注射が、中断されることがない。
【0105】
注射後、使用者は、
図11A、
図11B、および、
図11Cに示されるように、ヒンジの枢動軸の周りで、針101に向かって、安全位置に、保護シールド20を回転させ得る。針先端104は、これによって、保護シールド20で覆われ、したがって、針先端による、使用者、または、周囲のあらゆる人の、あらゆる刺し傷が防止される。
【0106】
枢動軸の周りの保護シールド20の回転は、可撓性タブ21の近位端34が、リングの突出部11と係合することをもたらす。可撓性タブ21は、リングの軸に対して、突出部11から半径方向外方に配置され、突出部の半径方向外側に当接する。
【0107】
したがって、可撓性タブは、保護シールドの本体から半径方向外方に偏向することによって曲げ変形を受ける。
【0108】
保護シールド20の更なる回転は、可撓性タブ21が、突出部を通過し、突出部11の半径方向内側に到達するまで、可撓性タブ21がリングの突出部11上をスライドすることをもたらす。
【0109】
回転運動の終わりに、保護シールド20は、安全位置にあり、少なくとも針先端104を覆う。
【0110】
図12Cに示されるように、保護シールド20の長手方向軸は、リングの軸に対して斜めである。可撓性タブ21は、リングの軸に対して斜めである。
【0111】
可撓性タブ21は、リングの軸に関して、突出部11に対して半径方向内側に配置され、可撓性タブ21の近位端34は、突出部に面する。
【0112】
針は、フックによって、保護シールド20内にロックされ得、針先端104は、ノッチの内側に収容され得る。
【0113】
したがって、針先端が覆われ、針による人のあらゆる刺し傷が防止される。
【0114】
保護シールド20は、可撓性タブが、座屈変形を被ることをもたらす、可撓性タブ21の近位端34の突出部11への当接により、安全位置から移動すること、特に、保管位置または後退位置に戻り移動することを防止される。この座屈変形は、可撓性タブ21が突出部11から外れるのを妨げる。結果として、保護シールド20は安全位置に固定され、安全機器は、もはや、別の注射に使用され得ない。
【0115】
針101に当接するとき、保護シールド20は、回転運動を継続するように、使用者によってさらに押され得、その結果、少なくとも針先端104は、使用者によって加えられた圧力の下で変形する。この位置は、また、安全位置に対応する。結果として、変形した針先端104は、保護シールド20の内面30と平行に、保護シールド20の内面30に接触して、保護シールド20に対して横たわり、それは、針先端を全体的に覆うことによって、安全性をさらに向上させる。
【0116】
第3の実施形態は、第1および第2の実施形態のように、可撓性タブ21が保護シールド20を安全位置にロックするだけでなく、注射前に保護シールドを後退位置に維持するので、特に有利である。
【0117】
本発明による安全機器1の第4の実施形態は、
図16、
図17A-C、および、
図18に示され、安全機器は、
図14に示されるリング10、および、
図15に示される保護シールドを含む。
【0118】
第4の実施形態のリングおよび保護シールドの一般的な構造は、前述の第3の実施形態の構造と同様であり、これ以上説明されないであろう。
図8-10、
図11A-C、
図12A-C、および、
図14-16、
図17A-C、および、
図18に示される、第1および第3の実施形態との間の共通の特徴には、同じ参照が与えられる。
【0119】
第4の実施形態によれば、リングの第1のヒンジ部分は、保護シールド20の枢動軸を画定する、2つの同一線上のピン14を含む。
【0120】
リング10は、リングの外面から突出する突出部11と、溝13を含む。
【0121】
リングの各ピン14は、保護シールドのそれぞれの開口部29と係合するように構成され、それにより、ヒンジを形成し、保護シールド20は、ピン14の中心を結ぶ枢動軸の周りで、リング10に対して枢動可能に移動可能である。
【0122】
保護シールドのロック部材は、いかなる柔軟なタブも含まない。保護シールドの、リングの突出部との係合は、近位脚が延びる、保護シールドの近位接触端35を介して達成され、近位接触端35はロック部材である。
【0123】
このより剛性の高い設計の利点は、ロック部材の、突出部との係合が、柔軟な脚とのそれよりも滑らかでないので、使用者が、安全位置での保護シールドのロックのより明確な感触を有するということである。
【0124】
【0125】
図17Aは、使用前の安全機器1の構造に対応する。この構造では、保護シールドは、それが針先端を覆う、保管位置にある。
【0126】
保護シールド20の長手方向軸は、好ましくは、リングの軸に平行である。近位接触端35は、好ましくは、リングの軸に平行に延びる。
【0127】
近位接触端35は、リングの軸に対して、突出部11から半径方向外方に配置され、突出部の半径方向外側17を覆い得る。
【0128】
安全アセンブリ200を使用するために、使用者は、保護キャップ50を、遠位方向に引く。保護キャップ50の取り外しは、保管位置から離れて、リングのピン14に対する、ヒンジの枢動軸の周りでの保護シールド20の回転を引き起こす。保護シールド20は、さらに、
図17Bに示される後退位置まで、上に回転し得る。好ましくは、安全機器1は、保護キャップ50の除去が、保護シールド20の、ヒンジの周りでの、その後退位置への旋回をもたらすように構成される。
【0129】
近位接触端35は、溝13に収容される。
【0130】
後退位置では、針先端104は、覆われず、物理的にアクセス可能であり、安全アセンブリは、医療用注射機器に含まれる組成物の注射の用意ができている。
【0131】
保護シールド20の長手方向軸は、リングの軸に対して斜めまたは実質的に垂直である。
【0132】
近位接触端35は、リングの軸に関して、突出部11に対して半径方向外方に配置され続け、リングの溝13に面し得る。
【0133】
注射後、
図17Cに示されるように、使用者は、ヒンジの枢動軸の周りで、針101に向かって、安全位置に、保護シールド20を駆動する。これにより、針先端104は、保護シールド20で覆われ、したがって、針先端104による、使用者、または、周囲のあらゆる人の、あらゆる刺し傷が防止される。
【0134】
旋回軸の周りの保護シールド20の回転は、保護シールドの近位接触端35が、リング10の突出部11と係合することをもたらす。近位接触端35は、リングの軸に対して、突出部11から半径方向外方に配置され、突出部の半径方向外側17に当接する。したがって、第1および第2のヒンジ部分は、保護シールド20の回転を可能にする、曲げ変形を受ける。
【0135】
保護シールド20の更なる回転は、近位接触端が突出部を通過し、突出部11の半径方向内側16に到達するまで、近位接触端35が、リングの突出部11上をスライドすることをもたらす。
【0136】
回転運動の終わりに、保護シールド20は、安全位置にあり、少なくとも針先端104を覆う。
【0137】
図17Cに示されるように、保護シールド20の長手方向軸は、リングの軸に対して、斜めである。近位接触端35は、リングの軸に対して斜めである。
【0138】
近位接触端35は、リングの軸に関して、突出部11に対して半径方向内側に配置され、近位接触端35は、突出部に面する。
【0139】
針は、フックによって、保護シールド20内にロックされ得、針先端104は、ノッチの内側に収容され得る。
【0140】
保護シールド20は、さらに、フックによって、針101にロックされ、針先端104は、ノッチ33の内側に収容される。したがって、針先端は覆われ、針による人の刺し傷が防止される。
【0141】
保護シールド20は、第1および第2のヒンジ部分が、座屈変形を被ることをもたらす、突出部11に対する近位接触端35の当接によって、安全位置から移動すること、特に、保管位置、または、後退位置に戻り移動することを防止される。この座屈変形は、近位接触端35の突出部11からの離脱を妨げる。その結果、保護シールドは、安全位置に固定され、安全機器は、もはや、別の注射に使用され得ない。
【0142】
針101に当接するとき、保護シールド20は、回転運動を継続するように、使用者によって、さらに押され得、その結果、少なくとも針先端104が、使用者によって加えられた圧力の下で変形する。この位置は、また、安全位置に対応する。結果として、変形した針先端104は、保護シールド20の内面30と平行に、保護シールド20の内面30と接触して、保護シールド20に対して横たわり、それは、針先端を全体的に覆うことによって、安全性をさらに向上させる。
【0143】
すべての実施形態において、ロック部材12、35による保護シールド20のロックは、ロック部材の位置合せで生じる。したがって、安全アセンブリの半径方向のサイズは増大せず、それは、例えば、一群でのその包装を制限しない。
【0144】
上記の実施形態は、ヒンジの特定の設計に限定されないことが、留意されるべきである。
【0145】
さらに、第1のヒンジ部分の任意の実施形態は、それらの構造が互換性を有し、安全機器が、機能し、前述のように、安全位置での保護シールドのロックを達成する限り、第2のヒンジ部分の任意の実施形態に関連付けられ得る。例えば、近位接触端35(可撓性タブなし)を備えた、第4の実施形態の保護シールドは、第1の実施形態の軸27および溝13と組み合わせられ得る。
【国際調査報告】