IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クリスタル バイオサイエンス インコーポレイテッドの特許一覧

特表2022-537672抗B7-H3抗体およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】抗B7-H3抗体およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20220822BHJP
   C12N 5/09 20100101ALI20220822BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 13/10 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 11/02 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 11/04 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20220822BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20220822BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20220822BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220822BHJP
   A61K 47/61 20170101ALI20220822BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20220822BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
C12N5/09
A61K39/395 N
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P17/00
A61P11/00
A61P13/12
A61P13/10
A61P11/02
A61P11/04
A61P1/02
A61P27/16
A61K47/60
A61K47/54
A61K47/61
A61K9/127
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021572687
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 US2020039931
(87)【国際公開番号】W WO2021003075
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】62/870,549
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】518059392
【氏名又は名称】クリスタル バイオサイエンス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CRYSTAL BIOSCIENCE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126354
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 尚
(72)【発明者】
【氏名】コラリニ,エレン
(72)【発明者】
【氏名】イスキエルド,シェリー
(72)【発明者】
【氏名】イフラント,クリステル
(72)【発明者】
【氏名】ハリマン,ウィリアム ドン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA19
4C076DD41
4C076DD66
4C076EE23
4C076EE30
4C076EE59
4C076FF34
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本開示は、B7-H3に特異的に結合する抗体を提供する。この抗体は、様々な治療、診断、および監視用途で用途を見出し、これらについても説明される。本開示は、B7-H3に特異的に結合する抗体を提供する。対象抗体は、ヒトおよび他の哺乳動物、例えばサルおよびマウスからのB7-H3に特異的に結合する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B7-H3に結合する抗体であって、前記抗体は、
(a)
i.図1から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と同一である重鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と、
ii.図2から選択される前記抗体の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と同一である軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と、を含む可変ドメイン、または
(b)前記(a)の可変ドメインの集合的CDR領域における最大10個のアミノ酸置換を除いて、他の点では前記抗体可変ドメインと同一である前記(a)の可変ドメインの変異体、を含む、抗体。
【請求項2】
前記抗体が、
図1から選択される抗体の前記重鎖可変ドメインの前記アミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、
図2から選択される前記抗体の前記軽鎖可変ドメインと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、を含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記重鎖可変ドメインおよび前記軽鎖可変ドメインが、別個のポリペプチドに存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項4】
前記重鎖可変ドメインおよび前記軽鎖可変ドメインが、単一のポリペプチドに存在する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、10-1~1012-1の範囲の親和性でB7-H3と結合する、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が共有結合した非ペプチド合成ポリマーを含む、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
前記合成ポリマーがポリ(エチレングリコール)ポリマーである、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が共有結合した脂質または脂肪酸部分を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体が共有結合した多糖または炭水化物部分を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が単鎖Fv(scFv)抗体である、先行請求項のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項11】
前記scFvが多量体化されている、請求項10に記載の抗体。
【請求項12】
a)任意の先行請求項に記載の抗体と、
b)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物。
【請求項13】
前記抗体がリポソームにカプセル化されている、請求項12に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
B7-H3を阻害するための方法であって、B7-H3を含む細胞を、任意の先行する抗体の請求項に記載の抗体と接触させることを含む、方法。
【請求項15】
対象においてB7-H3を阻害する方法であって、有効量の、任意の先行する抗体の請求項に記載の抗体を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項16】
がんを治療する方法であって、がん患者に、有効量の、任意の先行する抗体の請求項に記載の抗体を投与することを含む、方法。
【請求項17】
前記がんが多発性骨髄腫である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記がんが、皮膚の黒色腫、非小細胞肺がん、腎臓がん、膀胱がん、頭頸部がん、またはホジキンリンパ腫である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記患者が免疫チェックポイント阻害剤でも治療されているか、または免疫チェックポイント阻害剤で治療されたことがある、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記免疫チェックポイント阻害剤がPD-1/PD-L1阻害剤である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2019年7月3日に出願された米国仮特許出願第62/870,549号の利益を主張するものであり、その出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
B7-H3(別名CD276)は、抗原提示細胞(APC)の表面に発現する主要な糖タンパク質である。ヒトの場合、このタンパク質は15番染色体上の遺伝子によってコードされている。B7-H3は、腫瘍細胞のT細胞浸潤を阻害する可能性があり(例えば、Vigdorovich et al Structure 2013 21:707-717およびChen et al,Exp. Cell Res.2013 319:96-102を参照されたい)、それゆえ免疫チェックポイント阻害剤と考えられる。このタンパク質はB7ファミリーの分子に由来し、その多くはCTLA4、PD-1、およびCD28などの既知のチェックポイントマーカーと相互作用する。B7-H3およびPD-1は、どちらもB7/CD28スーパーファミリーのメンバーである。B7-H3およびPD-1はどちらも、T細胞に対する阻害効果を誘発し、それらの微小環境を変化させて抗腫瘍免疫応答を逃れるため、B7-H3はPD-1のような免疫療法の標的と考えられる。
【0003】
B7-H3は多くのがんでも過剰発現しているが、現在、B7-H3の受容体の特徴は明らかにされていない。その過剰発現は、ヒト患者の予後不良と、インビトロモデルにおける腫瘍の浸潤性および転移性の可能性に関連している。最近の証拠は、B7-H3が免疫調節の役割を超えてがんの進行に影響を与えることを示している(例えば、Castellanos et al,Am.J.Clin Exp.Immunol.2017 6:66-75を参照されたい)。そのため、B7-H3阻害は、悪性細胞の増殖、進行、および転移を減少させる可能性がある。
【0004】
がんの発生および免疫チェックポイントとしてのB7-H3の役割のため、B7-H3は、特に肺、乳房、脳、腎臓、および前立腺のがん、ならびに他の免疫チェックポイント阻害剤に耐性がある、または耐性になった腫瘍に対して興味深い治療標的になっている。B7-H3抗体は、転移性神経芽細胞腫の治療に関する臨床試験で肯定的な結果を示している(Kramer et al,J Neurooncol.2010 97:409-418)。
【0005】
したがって、B7-H3機能を阻害する新しい治療用抗体が必要である。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、B7-H3に特異的に結合する抗体を提供する。抗体は、様々な治療、診断、および監視用途に有用であり、これらも提供される。
【0007】
いくつかの実施形態において、抗体は、(a)i.図1から選択される抗体の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と同一である重鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と、ii.図2から選択される抗体の軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と同一である軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3領域と、を含む可変ドメイン、または(b)(a)の可変ドメインの集合的CDR領域における最大10(例えば、最大9、8、7、6、5、4、3、2、または1)個のアミノ酸置換を除いて、他の点では当該抗体可変ドメインと同一である当該(a)の可変ドメインの変異体、を含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、抗体は、図1から選択される抗体の重鎖可変ドメインのアミノ酸配列と少なくとも90%(例えば、少なくとも95%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、図2から選択される抗体の軽鎖可変ドメインと少なくとも90%(例えば、少なくとも95%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、を含む。
【0009】
可変ドメイン配列が図1および2に示されている抗体は、本質的にニワトリで作製された「ヒト」抗体であり、したがって、ヒト、マウス、およびサルなどの様々な哺乳動物のB7-H3中のエピトープに結合することができる。これらのエピトープは哺乳動物では免疫原性ではなく(すでに存在しているため)、そのため、本抗体はいくつかの新しいエピトープに結合すると考えられる。さらに、本抗体は複数の哺乳動物由来のB7-H3に結合することができ、それらの治療可能性をがんの哺乳動物モデルシステム(例えば、マウス)で容易に試験することができるため、本抗体は、有利であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1-1】54個の抗B7-H3抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列を示しており、Chothia法で定義された相補性決定領域(CDR)を四角で示している。上から下へ:配列番号1-54。
図1-2】54個の抗B7-H3抗体重鎖可変領域のアミノ酸配列を示しており、Chothia法で定義された相補性決定領域(CDR)を四角で示している。上から下へ:配列番号1-54。
図2-1】54個の抗B7-H3抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示し、Chothia法で定義された相補性決定領域(CDR)を四角で示している。上から下へ:配列番号55~108。
図2-2】54個の抗B7-H3抗体軽鎖可変領域のアミノ酸配列を示し、Chothia法で定義された相補性決定領域(CDR)を四角で示している。上から下へ:配列番号55~108。
図3】配列比較(100残基当たりのアミノ酸置換)に基づく54個の抗B7-H3抗体の系統発生関係を示す樹状図。樹状図の分析は、9つの系統グループが表されていることを示している。各系統グループは、100残基に対して10未満のアミノ酸置換を有する。各系統グループの抗体は、親和性成熟を介して共通の祖先から派生した可能性がある。各系統グループのCDRのコンセンサス配列を以下に提供する。
【0011】
定義
「抗体」および「免疫グロブリン」という用語には、Fab、Fv、scFv、およびFdフラグメント、キメラ抗体、ヒト化抗体、単鎖抗体、ならびに抗体および非抗体タンパク質の抗原結合部分を含む融合タンパク質を含むが、これらに限定されない、抗原への特異的な結合を保持する任意のアイソタイプの抗体または免疫グロブリン、抗体のフラグメントが含まれる。抗体は、例えば、放射性同位体、検出可能な生成物を産生する酵素、蛍光タンパク質等を用いて検出可能なように標識され得る。抗体は、特異的結合対のメンバー、例えばビオチン(ビオチン-アビジン特異的結合対のメンバー)などの他の部分とさらに複合体化することができる。抗体はまた、限定されないが、ポリスチレンプレートまたはビーズ等を含む固体支持体に結合させてもよい。この用語には、Fab’、Fv、F(ab’)、およびまたは抗原への特異的結合を保持する他の抗体フラグメント、およびモノクローナル抗体もまた包含される。抗体は、一価または二価であってもよい。
【0012】
「抗体フラグメント」は、インタクトな抗体の一部、例えば、インタクトな抗体の抗原結合または可変領域を含む。抗体フラグメントの例には、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体(Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995))、単鎖抗体分子、抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体が含まれる。抗体のパパイン消化により、それぞれ単一の抗原結合部位がある「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合フラグメント、および残りの「Fc」フラグメントが生成され、名称は、容易に結晶化する能力を反映している。ペプシン処理により、2つの抗原結合部位を有し、抗原を架橋することができるF(ab’)フラグメントが生成される
【0013】
「Fv」は、完全な抗原認識部位および抗原結合部位を含有する最小の抗体フラグメントである。この領域は、緊密な非共有結合にある1つの重鎖可変ドメインおよび1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる。各可変ドメインの3つのCDRが相互作用してV-V二量体の表面上の抗原結合部位を定義するのはこの構成である。まとめると、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を与える。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的な3つのCDRのみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体よりも親和性は低いものの、抗原を認識して結合する能力を有する。
【0014】
「Fab」フラグメントも、軽鎖の定常ドメインおよび重鎖の第一定常ドメイン(CH)を含有する。Fabフラグメントは、抗体ヒンジ領域由来の1つ以上のシステインを含む重鎖CHドメインのカルボキシル末端に数個の残基が付加されているという点で、Fab’フラグメントとは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を保有するFab’についての本明細書における名称である。F(ab’)抗体フラグメントは、元々は、それらの間にヒンジシステインを有するFab’フラグメントの対として生成された。抗体フラグメントの他の化学的結合もまた既知である。
【0015】
任意の脊椎動物種からの抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパおよびラムダと呼ばれる2つの明確に異なるタイプのうちの1つに割り当てることができる。それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG、およびIgMの5つの主要なクラスがあり、これらのうちのいくつかはさらにサブクラス(アイソタイプ)、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgA2に分類することができる。
【0016】
「単鎖Fv」または「sFv」抗体フラグメントは、抗体のVおよびVドメインを含み、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在する。いくつかの実施形態において、Fvポリペプチドは、VドメインとVドメインとの間にポリペプチドリンカーをさらに含み、それによってsFvが抗原結合に望ましい構造を形成することが可能となる。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0017】
「ダイアボディ」という用語は、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体フラグメントを指し、これらのフラグメントは、同じポリペプチド鎖(V-V)内に軽鎖可変ドメイン(V)に接続された重鎖可変ドメイン(V)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することにより、ドメインは別の鎖の相補的ドメインと強制的に対にされ、2つの抗原結合部位を作製する。ダイアボディは、例えば、EP404,097、WO93/11161、およびHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)により完全に説明されている。
【0018】
本明細書で使用される場合、「親和性」という用語は、2つの薬剤の可逆的結合の平衡定数を指し、解離定数(Kd)として表される。親和性は、無関係なアミノ酸配列に対する抗体の親和性より少なくとも1倍大きい、少なくとも2倍大きい、少なくとも3倍大きい、少なくとも4倍大きい、少なくとも5倍大きい、少なくとも6倍大きい、少なくとも7倍大きい、少なくとも8倍大きい、少なくとも9倍大きい、少なくとも10倍大きい、少なくとも20倍大きい、少なくとも30倍大きい、少なくとも40倍大きい、少なくとも50倍大きい、少なくとも60倍大きい、少なくとも70倍大きい、少なくとも80倍大きい、少なくとも90倍大きい、少なくとも100倍大きい、または少なくとも1000倍大きい、またはそれ以上である。標的タンパク質に対する抗体の親和性は、例えば、約100ナノモル(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル(pM)、または約100nM~約1フェムトモル(fM)またはそれ以上であり得る。本明細書で使用される場合、「アビディティ」という用語は、希釈後の解離に対する2つ以上の薬剤の複合体の耐性を指す。「免疫反応性」および「優先的に結合する」という用語は、本明細書では、抗体および/または抗原結合フラグメントに関して交換可能に使用される。
【0019】
「結合」という用語は、例えば、塩橋および水橋などの相互作用を含む、共有結合、静電、疎水性、およびイオン結合、および/または水素結合相互作用による、2つの分子間の直接的な会合を指す。抗B7-H3抗体は、B7-H3ポリペプチド内のエピトープに特異的に結合する。非特異的結合とは、約10-7M未満の親和性での結合、例えば、10-6M、10-5M、10-4Mなどの親和性での結合を指す。
【0020】
本明細書で使用される場合、「CDR」または「相補性決定領域」という用語は、重鎖および軽鎖ポリペプチドの両方の可変領域内に見出される非隣接抗原結合部位を意味することを意図する。CDRは、Kabat et al.,J.Biol.Chem. 252:6609-6616(1977)、Kabat et al.,U.S.Dept.of Health and Human Services,“Sequences of proteins of immunological interest”(1991)、Chothia et al.J.Mol.Biol.196:901-917(1987)、およびMacCallum et al.,J.Mol.Biol.262:732-745(1996)に記述されており、定義には、互いに比較した場合のアミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。それにもかかわらず、抗体または移植された抗体またはその変異体のCDRを指すためのいずれかの定義の適用は、本明細書で定義および使用される用語の範囲内にあることが意図されている。図1および図2に示されているCDRは、Chothia法によって定義されている。しかしながら、以下に示すように、KabatおよびMacCallum法を使用してCDRを定義することもできる。
【表1】
【0021】
本明細書で使用される場合、抗体可変領域に関して使用される場合の「フレームワーク」という用語は、抗体の可変領域内のCDR領域の外側のすべてのアミノ酸残基を意味することを意図している。可変領域フレームワークは、一般に、長さが約100~120アミノ酸の間の不連続なアミノ酸配列であるが、CDRの外側のアミノ酸のみを参照することを意図している。本明細書で使用される場合、「フレームワーク領域」という用語は、CDRによって分離されたフレームワークの各ドメインを意味することを意図している。
【0022】
「単離された」抗体は、その自然環境の成分から同定され、分離され、かつ/または回収されたものである。その自然環境の汚染成分は、抗体の診断または治療用途を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、およびその他のタンパク性または非タンパク性溶質が含まれる場合がある。いくつかの実施形態において、(1)ローリー法によって決定される際に、90重量%を超える、95重量%を超える、もしくは98重量%を超える抗体まで、例えば、99重量%を超えるまで、(2)スピニングカップ配列決定装置を使用してN末端または内部アミノ酸配列の少なくとも15残基を取得するのに十分な程度、または(3)クマシーブルーもしくは銀染色を使用する還元もしくは非還元条件下でドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)による均一性までで精製されるであろう。抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないため、単離された抗体には、組換え細胞内にインサイチュに抗体が含まれる。場合によっては、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製されるであろう。
【0023】
本明細書で使用される場合、「治療」、「治療する」、および同様の用語は、所望の薬理学的および/または生理学的効果を取得することを指す。この効果は、疾患またはその症状を完全にまたは部分的に予防する点で予防的であり得、疾患に起因する疾患および/または有害作用の部分的または完全な治癒の点で治療的であり得る。本明細書で使用される「治療」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患のいかなる治療を含み、(a)疾患にかかりやすい素因があるが、まだ罹患していると診断されていない対象において疾患の発生を防止すること、(b)疾患を阻害すること、すなわちその発症を阻止すること、および(c)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすこと、を含む。
【0024】
本明細書で交換可能に使用される「個体」、「対象」、「宿主」、および「患者」という用語は交換可能に使用され、ネズミ(ラット、マウス)、非ヒト霊長類、ヒト、ウシ、イヌ、ネコ、有蹄動物(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、ヤギ)などを含むがこれらに限定されない哺乳動物を指す。
【0025】
「治療有効量」または「有効量」は、疾患を治療するために哺乳動物または他の対象に投与された場合に、疾患のそのような治療を行うのに十分である抗B7-H3抗体の量を指す。「治療有効量」は、抗B7-H3抗体、疾患およびその重症度、ならびに治療対象の年齢、体重などによって異なる。
【0026】
「生体試料」という用語は、個体から得られた様々な種類の試料のタイプを包含し、診断または監視アッセイで使用することができる。定義には、血液および生物学的起源の他の液体試料、生検標本または組織培養物などの固形組織試料、またはそれらに由来する細胞、ならびにそれらの子孫が包含される。また、この定義には、試薬による処理、可溶化、またはポリヌクレオチドなどの特定の成分の濃縮など、獲得後に何らかの方法で操作された試料も含まれる。「生体試料」という用語は、臨床試料を包含し、培養物中の細胞、細胞上清、細胞溶解物、血清、血漿、生体液、および組織試料も含む。
【0027】
本明細書で使用される場合、「抗体可変ドメインの集合的CDR領域における」定義された数のアミノ酸置換を除いて、他の点では抗体可変ドメインと同一である抗体可変ドメインの変異体の文脈における「集合的」という用語は、6つのCDRすべてを使用してアミノ酸置換の数がカウントされることを示す。実施例によって説明されるように、変異体が抗体可変ドメインに対して5つのアミノ酸置換を有する場合、変異体の6つのCDRを合わせて、抗体可変ドメインに対して合計5つのアミノ酸置換を有する。この句は、各CDRが定義された数のアミノ酸置換を有することを意味することを意図していない。
【0028】
本発明がさらに説明を説明する前に、本発明は、記載される特定の実施形態に限定されず、当然のことながら、変化する可能性があることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって限定されるので、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためのみのものであり、限定することを意図していないこともまた理解されるべきである。
【0029】
値の範囲が提供される場合、文脈上明確に指示されていない限り、それぞれの介在値は、下限の単位の10分の1まで、その範囲の上限と下限との間であり、その記載された範囲内の記載された他の値または介在値は、本発明に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立して、より小さな範囲に含めることができ、また本発明に包含され、記載された範囲内で特に除外された制限を受ける。記載された範囲が限界の片方または両方を含む場合、これらの含まれる限界のいずれかまたは両方を除外する範囲もまた、本発明に含まれる。
【0030】
別途定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様または同等の任意の方法および材料はまた、本発明の実施または試験においても使用することができるが、好ましい方法および材料をここで説明する。本明細書で言及されるすべての公表物は、公表物が引用されることに関連して方法および/または材料を開示および説明するために参照により本明細書に組み込まれる。
【0031】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の参照を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「抗体」への言及は、そのような複数の抗体を含み、「抗B7-H3抗体」への言及は、当業者に既知の1つ以上の抗B7-H3抗体およびその等価物への言及を含む、などである。特許請求の範囲は、いかなる任意選択的な要素も排除するように起草されてもよいことにさらに留意されたい。このように、この記述は、特許請求の要素の列挙に関連して「専ら」、「唯一の」などのような排他的な用語の使用または「否定的な」制限の使用のための先行基準としての役割を果たすことを意図する。
【0032】
本明細書で論議される公表物は、本出願の出願日の前の公表物の開示のためだけに提供される。本明細書内のいかなるものも、先行の発明によるこのような公表物に、本発明が先行する権利がないという了解として解釈されるべきではない。さらに、示されている公開日は、実際の公開日とは異なる場合があり、別個に確認する必要がある。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本開示は、ヒトB7-H3に特異的な抗体を提供する。抗体は、様々な治療、診断、および監視用途に役立ち、これらもまた提供される。
【0034】
抗体
対象抗体は、ヒトおよび他の哺乳動物、例えばサルおよびマウスからのB7-H3に特異的に結合する。
【0035】
対象抗体は、ヒトおよび他の哺乳動物、例えばサルおよびマウスからのB7-H3に高い親和性の結合を有し得る。例えば、対象抗体は、少なくとも約10-7M、少なくとも約10-8M、少なくとも約10-9M、少なくとも約10-10M、少なくとも約10-11M、もしくは少なくとも約10-12M、または10-12Mを超える親和性でヒト、サルおよび/またはマウスB7-H3に結合し得る。対象抗体は、約10-7M~約10-8M、約10-8M~約10-9M、約10-9M~約10-10M、約10-10M~約10-11M、もしくは約10-11M~約10-12M、または10-12Mを超える親和性でヒト、サルおよび/またはマウスB7-H3に存在するエピトープに結合する。
【0036】
対象抗体は、いくつかの実施形態において、B7-H3のB7-H3リガンドへの結合を減少させ得る。例えば、いくつかの実施形態において、対象抗体は、B7-H3のB7-H3リガンドへの結合を減少させるか、またはB7-H3の活性をB7-H3とB7-H3リガンドとの間の結合度もしくは抗体の非存在下でのB7-H3活性と比較して、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、もしくはそれ以上減少させる。
【0037】
「抗体」という用語は、エピトープに結合することができる1つ以上(例えば、1つまたは2つ)の重鎖可変領域(VH)および/もしくは1つ以上(例えば、1つまたは2つ)の軽鎖可変領域(VL)、またはそのサブフラグメントを含むタンパク質を指す。VHおよびVL領域は、「相補性決定領域(CDR)」と呼ばれる超可変領域にさらに細分化することができ、「フレームワーク領域(FR)」と呼ばれるより保存された領域が点在する。FRおよびCDRの範囲は正確に定義されている(Kabat,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242、Chothia et al.(1987) J.Mol.Biol. 196:901-917を参照されたい)。VHは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でN末端からC末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRを含むことができる。同様に、VLは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でN末端からC末端に配置された3つのCDRおよび4つのFRを含むことができる。
【0038】
抗体のVHまたはVL鎖は、重鎖または軽鎖定常領域の全部または一部をさらに含み、それによって、それぞれ、重鎖または軽鎖の免疫グロブリン鎖を形成することができる。一実施形態において、抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖の四量体であり、ここで、重鎖および軽鎖は、例えば、ジスルフィド結合によって相互接続されている。重鎖定常領域は、CH1、CH2、およびCH3の3つのドメインで構成されている。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLで構成されている。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合領域を含む。抗体の定常領域は、通常、免疫系の様々な細胞および補体系の第1成分を含む、宿主組織および因子への抗体の結合を媒介する。「抗体」という用語は、タイプIgA、IgG、IgE、IgD、IgMおよびそれらのサブタイプのインタクトな免疫グロブリンを含む。いくつかの実施形態において、対象抗体は、IgGアイソタイプである。
【0039】
本明細書で使用される場合、「免疫グロブリン」という用語は、免疫グロブリン遺伝子によって実質的にコードされる1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を指す。認識されているヒト免疫グロブリン遺伝子には、カッパ、ラムダ、アルファ(IgA1およびIgA2)、ガンマ(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)、デルタ、イプシロン、およびミュー定常領域遺伝子、および多数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。全長免疫グロブリン軽鎖(約25kDまたは214アミノ酸)は、N末端の可変領域遺伝子(約110アミノ酸)およびC末端のカッパまたはラムダ定常領域によってコードされている。全長免疫グロブリン重鎖(約50kDまたは446アミノ酸)は、N末端の可変領域遺伝子(約116アミノ酸)およびC末端の他の前述の定常領域遺伝子のうちの1つである、例えばガンマ(約330アミノ酸をコードする)によってコードされている。いくつかの実施形態において、対象抗体は、全長免疫グロブリン重鎖および全長免疫グロブリン軽鎖を含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、全長免疫グロブリン重鎖および全長免疫グロブリン軽鎖を含まず、代わりに、全長免疫グロブリン重鎖および/または全長免疫グロブリン軽鎖の抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態において、抗原結合フラグメントは、別個のポリペプチド鎖に含有され、他の実施形態において、抗原結合フラグメントは、単一のポリペプチド鎖内に含有される。「抗原結合フラグメント」という用語は、上記のようにB7-H3に特異的に結合することができる全長抗体の1つ以上のフラグメントを指す。結合フラグメントの例には、(i)Fabフラグメント(VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価フラグメント、(ii)F(ab’)フラグメント(ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント、(iii)Fdフラグメント(VHおよびCH1ドメインで構成される)、(iv)Fvフラグメント(抗体の単腕のVHおよびVLドメインで構成される)、(v)dAbフラグメント(VHドメインからなる)、(vi)分離されたCDR、(vii)単鎖Fv(scFv)(VHおよびVLドメイン対が一価分子を形成するように組換え手段を使用して合成リンカーによって結合される抗体の単腕のVHおよびVLドメインからなる)、(viii)ダイアボディ(VHドメインとVLドメインとが対になって一価分子を形成しないように結合された2つのscFvからなる、scFv対のそれぞれの1つのVHは他のscFvのVLドメインと対になって二価分子を形成する)、(ix)二重特異性抗体(少なくとも2つの抗原結合領域からなり、各領域は異なるエピトープに結合する)が含まれる。いくつかの実施形態において、対象抗体フラグメントは、Fabフラグメントである。いくつかの実施形態において、対象抗体フラグメントは、単鎖抗体(scFv)である。
【0041】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、組換え抗体または修飾抗体、例えば、キメラ、ヒト化、脱免疫化、またはインビトロで生成された抗体である。本明細書で使用される「組換え」または「修飾」抗体という用語は、(i)宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを使用して発現される抗体、(ii)組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離された抗体、(iii)ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えばマウス)から単離された抗体、または(iv)ヒト免疫グロブリン遺伝子配列を他のDNA配列にスプライシングすることを含む他の手段によって調製、発現、作製、もしくは単離された抗体、などの組換え手段によって調製、発現、作製、または単離されたすべての抗体を含むことを意図する。そのような組換え抗体には、ヒト化、CDRグラフト化、キメラ、脱免疫化、およびインビトロで生成された抗体が含まれ、任意選択的に、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する定常領域を含めることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、a)i.図1および2に示される抗体から選択される抗体の重鎖CDR1領域の配列とアミノ酸配列が同一であるCDR1領域、ii.選択された抗体の重鎖CDR2領域の配列とアミノ酸配列が同一であるCDR2領域、およびiii.選択された抗体の重鎖CDR3領域の配列とアミノ酸配列が同一であるCDR3領域、を含む重鎖可変ドメイン、ならびにb)i.選択された抗体の軽鎖CDR1領域の配列とアミノ酸配列が同一であるCDR1領域、ii.選択された抗体配列の軽鎖CDR2領域のアミノ酸配列とアミノ酸配列が同一であるCDR2領域、およびiii.選択された抗体の軽鎖CDR3領域のアミノ酸配列とアミノ酸配列が同一であるCDR3領域、を含む軽鎖可変ドメイン、を含む可変ドメインを含み、抗体は、ヒト、サル、ラット、および/またはマウスのB7-H3に特異的に結合する。
【0043】
特定の実施形態において、抗体は(a)i.図1および2に示される抗体から選択される抗体の重鎖CDR1領域とアミノ酸配列が同一であるCDR1領域、ii.選択された抗体の重鎖CDR2領域とアミノ酸配列が同一であるCDR2領域、およびiii.選択された抗体の重鎖CDR3領域とアミノ酸配列が同一であるCDR3領域、を含む可変ドメイン、ならびにi.選択された抗体の軽鎖CDR1領域とアミノ酸配列が同一であるCDR1領域、ii.選択された抗体の軽鎖CDR2領域とアミノ酸配列が同一であるCDR2領域、およびiii.選択された抗体の軽鎖CDR3領域とアミノ酸配列が同一であるCDR3領域、を含む軽鎖可変ドメイン、または(b)(a)の可変ドメインの集合的CDR領域における最大10(例えば、最大9、8、7、6、5、4、3、2、または1)個のアミノ酸置換を除いて、他の点ではパート(a)の可変ドメインと同一であるパート(a)の可変ドメインの変異体、を含み、抗体はB7-H3に結合する。
【0044】
いくつかの実施形態において、抗体は、本明細書に記載される重鎖可変ドメインのみを含有し得る。これらの実施形態において、抗体は「重鎖のみ」の抗体であり得る。
【0045】
以下のコンセンサス配列は、図3の樹状図または系統ツリーを使用して決定されました。任意の実施形態において、CDRは、表2のコンセンサス配列のいずれかに含まれ得る。例えば、抗B7-H3抗体は、以下の表2で定義されている、グループIコンセンサス配列、グループIIコンセンサス配列、グループIIIコンセンサス配列、グループIVコンセンサス配列、グループVコンセンサス配列、グループVIコンセンサス配列、グループVIIコンセンサス配列、グループVIIIコンセンサス配列、またはグループIVコンセンサス配列、に含まれるCDRを有する場合がある。
【表2-1】

【表2-2】
【0046】
いくつかの実施形態において、対象抗体(例えば、B7-H3に特異的に結合する対象抗体)は、a)i)選択された抗B7-H3抗体の軽鎖可変領域配列からの1つ、2つ、または3つの相補性決定領域(CDR)、およびii)軽鎖フレームワーク領域、例えば、ヒト免疫グロブリン軽鎖からのフレームワーク領域、を含む軽鎖領域、ならびにb)i)選択された抗体の重鎖可変領域配列からの1つ、2つ、または3つのCDR、およびii)重鎖フレームワーク領域、例えば、ヒト免疫グロブリン重鎖からのフレームワーク領域を含む重鎖領域、を含み得る。
【0047】
対象抗体は、図1に示され、配列番号1~55に示される配列と、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含み得る。対象抗体は、選択された抗B7-H3抗体の重鎖相補性決定領域(CDR)の1つ、2つ、または3つを含む重鎖可変領域を含み得る。
【0048】
対象抗体は、図2に示され、配列番号56~110に示される配列と、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み得る。対象抗体は、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDRの1つ、2つ、または3つを含む軽鎖可変領域を含むことができる。
【0049】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、単一のポリペプチド鎖における抗B7-H3抗体重鎖CDRおよび抗B7-H3抗体軽鎖CDRを含み、例えば、いくつかの実施形態において、対象抗体は、scFvである。いくつかの実施形態において、対象抗体は、N末端からC末端の順に、長さが約5アミノ酸~約25アミノ酸の第1のアミノ酸配列、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDR1、長さが約5アミノ酸~約25アミノ酸の第2のアミノ酸配列、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDR2、長さが約5アミノ酸~約25アミノ酸の第3のアミノ酸配列、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDR3、長さが約5アミノ酸~約25アミノ酸の第4のアミノ酸配列、選択された抗B7-H3抗体の重鎖CDR1、長さが約5アミノ酸~約25アミノ酸の第5のアミノ酸配列、選択された抗B7-H3抗体の重鎖CDR2、長さが約5アミノ酸~約25アミノ酸の第6のアミノ酸配列、選択された抗B7-H3抗体の重鎖CDR3、約5アミノ酸~約25アミノ酸の長さの第7のアミノ酸配列、を含む。
【0050】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、N末端からC末端の順に、軽鎖FR1領域、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDR1、軽鎖FR2領域、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDR2、軽鎖FR3領域、選択された抗B7-H3抗体の軽鎖CDR3、任意選択的に軽鎖FR4領域、リンカー領域、任意選択的に重鎖FR1領域、選択された抗B7-H3抗体の重鎖CDR1、重鎖FR2領域、選択された抗B7-H3抗体の重鎖CDR2、重鎖FR3領域、選択された抗B7-H3抗体の重鎖CDR3、および重鎖FR4領域、を含み得る。これらの実施形態のいくつかでは、FR領域のそれぞれは、ヒトFR領域である。リンカー領域は、長さが約5アミノ酸~約50アミノ酸、例えば、約5aa~約10aa、約10aa~約15aa、約15aa~約20aa、約20aa~約25aa、約25aa~約30aa、約30aa~約35aa、約35aa~約40aa、約40aa~約45aa、または約45aa~約50aaであり得る。
【0051】
対象抗体の使用に適したリンカーには、「柔軟なリンカー」が含まれる。存在する場合、リンカー分子は、一般に、連結された領域間のいくらかの柔軟な動きを可能にするのに十分な長さである。リンカー分子は、一般に約6~50原子の長さである。リンカー分子はまた、例えば、アリルアセチレン、2~10個の単量体単位を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二酸、アミノ酸、またはそれらの組み合わせであり得る。ポリペプチドに結合することができる他のリンカー分子は、本開示に照らして使用され得る。
【0052】
好適なリンカーは容易に選択することができ、4アミノ酸~10アミノ酸、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8アミノ酸、または7アミノ酸~8アミノ酸を含む、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸などの異なる長さの好適なもののいずれかであり得、1、2、3、4、5、6、または7アミノ酸であり得る。
【0053】
例示的な柔軟なリンカーには、グリシンポリマー(G)、グリシン-セリンポリマー、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、および当技術分野で知られている他の柔軟なリンカーが含まれる。グリシンおよびグリシン-セリンポリマーは、これらのアミノ酸の両方が比較的構造化されておらず、したがって、成分間の中性テザーとして機能する可能性があるため、興味深いものである。グリシンはアラニンよりもはるかに多くのphi-psi空間にアクセスし、より長い側鎖を有する残基よりもはるかに制限が少ないため、グリシンポリマーは特に興味深いものである(Scheraga、Rev.Computational Chem.11173-142(1992)を参照されたい)。当業者は、上記の任意の要素に複合体化したペプチドの設計が、全体的または部分的に柔軟なリンカーを含み得、その結果リンカーが柔軟なリンカーならびに柔軟性の低い構造を付与する1つ以上の部分を含み得ることを認識するであろう。
【0054】
図1および図2に示す抗体は、主にヒトの生殖細胞系列配列で構成されているため、すでにヒトのものである。いくつかの実施形態において、対象抗体は「ヒト化」されている。「ヒト化抗体」という用語は、実質的にヒト体鎖に由来する可変領域フレームワーク残基を含む少なくとも1つの鎖(アクセプター免疫グロブリンまたは抗体と呼ばれる)および実質的にマウス抗体に由来する少なくとも1つのCDR(ドナー免疫グロブリンまたは抗体と呼ばれる)を含む抗体を指す。Queen et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA86:10029 10033(1989)、米国特許第5,530,101号、米国特許第5,585,089号、米国特許第5,693,761号、WO90/07861、および米国特許第5,225,539号を参照されたい。定常領域は、存在する場合、実質的または完全にヒト免疫グロブリンに由来することができる。いくつかの実施形態において、対象抗体は、ヒト抗体からのCDRのうちの1つ以上および1つ以上のFR領域を含む。ヒト化抗体を作製する方法は当技術分野で知られている。例えば、米国特許第7,256,273号を参照されたい。
【0055】
マウスCDRをヒト可変ドメインフレームワークに置き換えると、それらの正しい空間的配向を保持することができ、例えば、ヒト可変ドメインフレームワークは、CDRが由来するマウス可変フレームワークと同じまたは類似の立体構造を採用する。これは、そのフレームワーク配列が、CDRが由来するマウス可変フレームワークドメインと高度の配列同一性を示すヒト抗体からヒト可変ドメインを取得することによって達成することができる。重鎖および軽鎖の可変フレームワーク領域は、同じまたは異なるヒト抗体配列に由来することができる。ヒト抗体配列は、天然に存在するヒト抗体の配列であり得るか、またはいくつかのヒト抗体のコンセンサス配列であり得る。Kettleborough et al.,Protein Engineering 4:773(1991)、Kolbinger et al.,Protein Engineering 6:971(1993)を参照されたい。
【0056】
マウスドナー免疫グロブリンおよび適切なヒトアクセプター免疫グロブリンの相補性決定領域を同定したら、次のステップは、もしあるとすれば、これらの成分のどの残基を置換して、得られるヒト化抗体の特性を最適化するかを決定することである。一般に、ヒトアミノ酸残基のマウスによる置換は最小限に抑える必要があり、これは、マウス残基の導入により、抗体がヒトにおいてヒト抗マウス抗体(HAMA)応答を誘発するリスクが高まるためである。免疫応答を決定する技術的に認められた方法は、特定の患者または臨床試験中にHAMA応答を監視するために実行することができる。ヒト化抗体を投与された患者は、当該療法の投与の開始時および投与全体を通して免疫原性評価を与えることができる。HAMA応答は、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIACORE)および/または固相ELISA分析を含む当業者に知られている方法を使用して、患者からの血清試料中のヒト化治療試薬に対する抗体を検出することによって測定される。多くの実施形態において、対象ヒト化抗体は、ヒト対象においてHAMA応答を実質的に誘発しない。
【0057】
ヒト可変領域フレームワーク残基からの特定のアミノ酸は、CDR立体構造および/または抗原への結合に対するそれらの起こり得る影響に基づいて置換のために選択される。マウスCDR領域とヒト可変フレームワーク領域の不自然な並置は、不自然な立体構造拘束をもたらす可能性があり、特定のアミノ酸残基の置換によって修正されない限り、結合親和性の喪失につながる。
【0058】
置換のためのアミノ酸残基の選択は、部分的に、コンピュータモデリングによって決定することができる。免疫グロブリン分子の三次元画像を生成するためのコンピュータハードウェアおよびソフトウェアは、当技術分野で知られている。一般に、分子モデルは、免疫グロブリン鎖またはそのドメインの解決された構造から開始して作成される。モデル化される鎖は、解決された三次元構造の鎖またはドメインとのアミノ酸配列類似性について比較され、最大の配列類似性を示す鎖またはドメインが、分子モデルの構築の開始点として選択される。少なくとも50%の配列同一性を共有する鎖またはドメインがモデリングのために選択され、好ましくは、少なくとも60%、70%、80%、90%以上の配列同一性を共有するものがモデリングのために選択される。解決された開始構造は、免疫グロブリン鎖またはモデル化されたドメインの実際のアミノ酸と開始構造のアミノ酸との違いを許容するように変更される。次に、修飾された構造が複合免疫グロブリンに組み立てられる。最後に、エネルギー最小化、およびすべての原子が互いに適切な距離内にあり、結合長と角度とが化学的に許容できる範囲内にあることを確認することにより、モデルが改良される。
【0059】
CDRおよびフレームワーク領域は、Kabat,Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1987および1991)によって定義されている。代替の構造定義が、Chothia et al.,J.Mol.Biol.196:901(1987)、Nature 342:878(1989)、およびJ.Mol.Biol.186:651(1989)(総称して「Chothia」と呼ばれる)によって提案されている。上記のKabatによって定義されるフレームワーク残基が、上記のChothiaによって定義される構造ループ残基を構成する場合、マウス抗体に存在するアミノ酸を、ヒト化抗体への置換のために選択することができる。「CDR領域に隣接する」残基には、ヒト化免疫グロブリン鎖の一次配列中のCDRの1つ以上に直接隣接する位置、例えば、Kabatによって定義されるCDR、または、Chothiaによって定義されたCDR(例えば、Chothia and Lesk JMB 196:901(1987)を参照されたい)に直接隣接する位置にあるアミノ酸残基が含まれる。これらのアミノ酸は、特にCDR内のアミノ酸と特に相互作用し、アクセプターから選択された場合、ドナーCDRを歪め、親和性を減少させる可能性がある。さらに、隣接するアミノ酸は抗原と直接相互作用する可能性があり(Amit et al.,Science,233:747(1986))、ドナーからこれらのアミノ酸を選択することは、元の抗体の親和性を提供するすべての抗原接触を維持するために望ましい場合がある。
【0060】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、scFv多量体を含む。例えば、いくつかの実施形態において、対象抗体は、scFv二量体(例えば、2つのタンデムscFv(scFv)を含む)、scFv三量体(例えば、3つのタンデムscFv(scFv)を含む)、scFv四量体(例えば、4つのタンデムscFv(scFv))、または4つを超えるscFvの多量体(例えば、タンデム)である。scFv単量体は、長さが約2アミノ酸~約10アミノ酸、例えば、長さが2aa、3aa、4aa、5aa、6aa、7aa、8aa、9aa、または10aaのリンカーを介してタンデムに連結することができる。好適なリンカーには、例えば、(Gly)(xは2~10までの整数である)が含まれる。他の好適なリンカーは、上で論じたものである。いくつかの実施形態において、対象のscFV多量体中のscFv単量体のそれぞれは、上記のようにヒト化されている。
【0061】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、免疫グロブリンの定常領域(例えば、Fc領域)を含む。Fc領域は、存在する場合、ヒトFc領域であり得る。定常領域が存在する場合、抗体は軽鎖定常領域および重鎖定常領域の両方を含有することができる。好適な重鎖定常領域には、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、およびCH4領域が含まれる。本明細書に記載の抗体には、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含むすべてのタイプの定常領域、ならびにIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプを有する抗体が含まれる。好適な重鎖Fc領域の例は、ヒトアイソタイプIgG1 Fcである。軽鎖定常領域は、ラムダまたはカッパであり得る。対象抗体(例えば、対象ヒト化抗体)は、2つ以上のクラスまたはアイソタイプからの配列を含むことができる。抗体は、2つの軽鎖および2つの重鎖を含む四量体、別々の重鎖、軽鎖として、Fab、Fab’F(ab’)2、およびFvとして、または重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインとがスペーサーを介して連結されている単鎖抗体として表現することができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、カルボキシル末端に遊離チオール(-SH)基を含み、ここで、遊離チオール基を使用して、抗体を第2のポリペプチド(例えば、対象抗体を含む別の抗体)、足場、キャリアなどに結合させることができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、1つ以上の天然に存在しないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、天然にコードされていないアミノ酸は、カルボニル基、アセチル基、アミノオキシ基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、セミカルバジド基、アジド基、またはアルキン基を含む。好適な非天然アミノ酸については、例えば、米国特許第7,632,924号を参照されたい。天然に存在しないアミノ酸を含むことで、ポリマー、第2のポリペプチド、足場などへの連結を提供することができる。例えば、水溶性ポリマーに連結した対象抗体は、例えば、アミノオキシ、ヒドラジン、ヒドラジドまたはセミカルバジド基を含む天然にコードされていないアミノ酸を含む対象抗体に対するカルボニル基を含む水溶性ポリマー(例えば、PEG)を反応させることによって作製することができる。別の例として、水溶性ポリマーに連結した対象抗体は、アルキン含有アミノ酸を含む対象抗体を、アジド部分を含む水溶性ポリマー(例えば、PEG)と反応させることによって作製することができ、いくつかの実施形態において、アジドまたはアルキン基は、アミド結合を介してPEG分子に連結されている。「天然にコードされていないアミノ酸」とは、20の一般的なアミノ酸またはピロリシンまたはセレノシステインのうちの1つではないアミノ酸を指す。「天然にコードされていないアミノ酸」という用語と同義で使用され得る他の用語は、「非天然アミノ酸(non-natural amino acid)」、「非天然アミノ酸(unnatural amino acid)」、「非天然アミノ酸(non-naturally-occurring amino acid)」、および様々にハイフンでつながれたおよびハイフンでつながれていないバージョンのものである。「天然にコードされていないアミノ酸」という用語はまた、これらに限定されないが、天然にコードされたアミノ酸の修飾(例えば、翻訳後修飾)によって生じるアミノ酸(20の一般的なアミノ酸またはピロリシンおよびセレノシステインを含むがこれに限定されない)を含むが、これらが翻訳複合体によって成長中のポリペプチド鎖に自然に組み込まれるわけでない。そのような非天然アミノ酸の例には、N-アセチルグルコサミニル-L-セリン、N-アセチルグルコサミニル-L-スレオニン、およびO-ホスホチロシンが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、ポリマー(例えば、ポリペプチド以外のポリマー)に連結されている(例えば、共有結合されている)。好適なポリマーには、例えば、生体適合性ポリマー、および水溶性生体適合性ポリマーが含まれる。好適なポリマーには、合成ポリマーおよび天然ポリマーが含まれる。好適なポリマーには、例えば、置換もしくは非置換の直鎖もしくは分岐鎖ポリアルキレン、ポリアルケニレンもしくはポリオキシアルキレンポリマー、または分岐もしくは非分岐多糖、例えばホモまたはヘテロ多糖が含まれる。好適なポリマーには、例えば、エチレンビニルアルコールコポリマー(一般に、一般名EVOHまたは商品名EVALによって知られている)、ポリブチルメタクリレート、ポリ(ヒドロキシ吉草酸)、ポリ(L-乳酸)、ポリカプロラクトン、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(ヒドロキシブチレート-co-バレレート)、ポリジオキサノン、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリ(グリコール酸)、ポリ(D、L-乳酸)、ポリ(グリコール酸-co-トリメチレンカーボネート)、ポリホスホエステル、ポリホスホエステルウレタン、ポリ(アミノ酸)、シアノアクリレート、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(イミノカーボネート)、コポリ(エーテル-エステル)(例えば、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(乳酸)(PEO/PLA)コポリマー)、ポリアルキレンシュウ酸塩、ポリホスファゼン;フィブリン、フィブリノーゲン、セルロース、デンプン、コラーゲン、ヒアルロン酸などの生体分子;ポリウレタン、シリコン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイソブチレンおよびエチレン-アルファオレフィン共重合体、アクリルポリマーおよびコポリマー;ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニルポリマーおよびコポリマー;ポリビニルメチルエーテルなどのポリビニルエーテルポリフッ化ビニリデンおよびポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリビニリデン;ポリアクリロニトリル、ポリビニルケトン;ポリスチレンなどのポリビニル芳香族;ポリ酢酸ビニルなどのポリビニルエステル;ビニル単量体同士およびオレフィンのコポリマー、例えば、エチレン-メチルメタクリレートコポリマー、アクリロニトリル-スチレンコポリマー、ABS樹脂、およびエチレン-酢酸ビニルコポリマー;ナイロン66やポリカプロラクタムなどのポリアミド;アルキド樹脂、ポリカーボネート、ポリオキシメチレン、ポリイミド、ポリエーテル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、レーヨン、レーヨン-トリアセテート、セルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、セロハン、硝酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテル、アモルファステフロン、ポリ(エチレングリコール)、およびカルボキシメチルセルロース、が含まれる。
【0065】
好適な合成ポリマーには、非置換および置換の直鎖または分岐ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)ポリ(ビニルアルコール)、およびそれらの誘導体、例えば、メトキシポリ(エチレングリコール)などの置換ポリ(エチレングリコール)、およびそれらの誘導体が含まれる。好適な天然ポリマーには、例えば、アルブミン、アミロース、デキストラン、グリコーゲン、およびそれらの誘導体が含まれる。
【0066】
好適なポリマーは、500Da~50000Daの範囲、例えば、5000Da~40000Da、または25000~40000Daの範囲の平均分子量を有することができる。例えば、対象抗体がポリ(エチレングリコール)(PEG)またはメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーを含むいくつかの実施形態において、PEGまたはメトキシポリ(エチレングリコール)ポリマーは、約0.5キロダルトン(kDa)~1kDa、約1kDa~5kDa、5kDa~10kDa、10kDa~25kDa、25kDa~40kDa、または40kDa~60kDaの範囲の分子量を有し得る。
【0067】
上記のように、いくつかの実施形態において、対象抗体は、PEGポリマーに共有結合している。いくつかの実施形態において、対象scFv多量体は、PEGポリマーに共有結合している。例えば、Albrecht et al.(2006)J.Immunol.Methods 310:100を参照されたい。タンパク質のPEG化に適した方法および試薬は当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,849,860号に見出すことができる。タンパク質への複合体化に適したPEGは、一般に室温で水溶性であり、一般式R(O-CH-CHO-Rを有し、式中、Rは水素、またはアルキル基もしくはアルカノール基などの保護基であり、nは1~1000までの整数である。Rが保護基である場合、それは一般に1~8個の炭素を有する。
【0068】
対象抗体に複合体化したPEGは線形であり得る。対象タンパク質に複合体化したPEGも分岐している可能性がある。米国特許第5,643,575号「星形PEG」に記載されているような分岐PEG誘導体、およびShearwater Polymers,Inc.カタログ「Polyethylene Glycol Derivatives 1997-1998」に記載されているような多腕PEGである。星形PEGは、例えば、当技術分野で米国特許第6,046,305号を含んで説明されている。
【0069】
対象抗体は、グリコシル化することができ、例えば、共有結合した炭水化物または多糖部分を含むことができる。抗体のグリコシル化は、通常、N結合またはO結合のいずれかである。N-結合とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の結合を指す。トリペプチド配列アスパラギン-X-セリンおよびアスパラギン-X-スレオニン(Xはプロリン以外の任意のアミノ酸)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的結合の認識配列である。したがって、ポリペプチドにこれらのトリペプチド配列のいずれかが存在すると、潜在的なグリコシル化部位が作成される。O-結合グリコシル化とは、糖であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロースの1つがヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはスレオニンに結合することを指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用することができる。
【0070】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、アミノ酸配列を変更して、上記のトリペプチド配列(N-結合グリコシル化部位の場合)の1つ以上を含むようにすることによって便利に達成される。変更は、元の抗体の配列(O-結合グリコシル化部位の場合)に1つ以上のセリンまたはスレオニン残基を追加または置換することによっても行うことができる。同様に、グリコシル化部位の除去は、抗体の天然のグリコシル化部位内のアミノ酸変更によって達成することができる。
【0071】
対象の抗体は、いくつかの実施形態において、「放射線不透過性」標識、例えば、X線を使用して容易に視覚化することができる標識を含む。放射線不透過性材料は当業者によく知られている。最も一般的な放射線不透過性材料には、ヨウ化物塩、臭化物塩、またはバリウム塩が含まれる。他の放射線不透過性材料も知られており、有機ビスマス誘導体(例えば、米国特許第5,939,045号を参照されたい)、放射線不透過性マルチウレタン(米国特許第5,346,981号を参照されたい)、有機ビスマス複合材料(例えば、米国特許第5,256,334号を参照されたい)、放射線不透過性バリウム多量体複合体(例えば、米国特許第4,866,132号を参照されたい)などが含まれるが、それらに限定されない。
【0072】
対象抗体は、例えば、グルタルアルデヒド、ホモ二官能性架橋剤、またはヘテロ二官能性架橋剤を使用して第2部位(例えば、脂質、対象抗体以外のポリペプチド、合成ポリマー、炭水化物など)に共有結合することができる。グルタルアルデヒドは、アミノ部分を介してポリペプチドを架橋する。ホモ二官能性架橋剤(例えば、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性N-ヒドロキシスクシンイミジル(NHS)エステル、またはホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤)は、2つ以上の同一の反応性部分を含み、連結されるポリペプチドの混合物を含む溶液に架橋剤を加える1ステップの反応手順に使用することができる。ホモ二官能性NHSエステルおよびイミドエステルは、アミン含有ポリペプチドを架橋する。弱アルカリ性pHでは、イミドエステルは第一級アミンとのみ反応してイミドアミドを形成し、架橋ポリペプチドの全体的な電荷は影響を受けない。ホモ二官能性スルフヒドリル反応性架橋剤には、ビスマレイミドヘキサン(BMH)、1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼン(DFDNB)、および1,4-ジ-(3’、2’-ピリジルジチオ)プロピノアミドブタン(DPDPB)が含まれる。
【0073】
ヘテロ二官能性架橋剤は、2つ以上の異なる反応性部分(例えば、アミン反応性部分およびスルフヒドリル反応性部分)を有し、アミンまたはスルフヒドリル反応性部分を介してポリペプチドの1つと架橋され、次いで、未反応部分を介して他のポリペプチドと反応する。ピリジルジスルフィド架橋剤と同様に、複数のヘテロ二官能性ハロアセチル架橋剤が利用可能である。カルボジイミドは、カルボキシルをアミンにカップリングするためのヘテロ二官能性架橋試薬の典型的な例であり、アミド結合をもたらす。
【0074】
対象抗体は、固体支持体に固定化することができる。好適な支持体は当技術分野で周知であり、とりわけ、市販のカラム材料、ポリスチレンビーズ、ラテックスビーズ、磁気ビーズ、コロイド金属粒子、ガラスおよび/またはシリコンチップおよびシリコン表面、ニトロセルロースストリップ、ナイロン膜、シート、デュラサイト、ならびに反応トレイ(例えば、マルチウェルプレート)、プラスチックチューブなどを含む。固体支持体は、例えば、ガラス、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、デキストラン、ナイロン、アミロース、天然および変性セルロース、ポリアクリルアミド、アガロース、およびマグネタイトなどの様々な物質のいずれかを含むことができる。対象抗体を固体支持体に固定化するための好適な方法はよく知られており、イオン性、疎水性、共有結合性相互作用などが含まれるが、これらに限定されない。固体支持体は、例えば水溶液に可溶または不溶性であり得る。いくつかの実施形態において、好適な固体支持体は、一般に、水溶液に不溶性である。
【0075】
対象抗体は、いくつかの実施形態において、検出可能な標識を含むであろう。好適な検出可能な標識には、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的または化学的手段によって検出可能な任意の組成物が含まれる。好適なものには、磁気ビーズ(例えば、Dynabeads(商標))、蛍光染料(例えば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ローダミン、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質など)、放射性標識(例えば、H、125I、35S、14C、または32P)、酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)で一般的に使用されるその他のもの)、およびコロイダルゴールドまたは着色ガラスまたはプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックスなど)ビーズなどの比色ラベルが含まれるが、これらに限定されない。
【0076】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、造影剤または放射性同位体を含み、造影剤または放射性同位体は、画像化、例えば、ヒトで実施される画像化手順での使用に適したものである。標識の非限定的な例には、1231I(ヨウ素)、18F(フッ素)、99Tc(テクネチウム)、111In(インジウム)、および67Ga(ガリウム)などの放射性同位元素、およびガドリニウム(Gd)、ジスプロシウム、および鉄などの造影剤が含まれる。放射性Gd同位体(153Gd)も利用可能であり、非ヒト哺乳動物のイメージング手順に適している。対象抗体は、標準的な技術を使用して標識することができる。例えば、対象抗体は、クロラミンTまたは1,3,4,6-テトラクロロ-3α、6α-デフェニルグリコウリルを使用してヨウ素化することができる。フッ素化の場合、フッ化物イオン置換反応による合成中に対象抗体にフッ素が添加される。このような放射性同位元素によるタンパク質合成の概説については、Muller-Gartner、H.,TIB Tech.,16:122-130(1998)およびSaji,H.,Crit.Rev.Ther.Drug Carrier Syst.,16(2):209-244(1999)を参照されたい。対象抗体は、標準的な手法を通じて造影剤で標識することもできる。例えば、対象抗体は、Gdジエチレントリアミン五酢酸(GdDTPA)またはGdテトラアザシクロドデカン四酢酸(GdDOTA)などの低分子Gdキレートを抗体に複合体化させることによってGdで標識することができる。Caravan et al.,Chem.Rev.99:2293-2352(1999)およびLauffer et al.,J.Magn.Reson.Imaging,3:11-16(1985)を参照されたい。対象抗体は、例えば、ポリリジン-Gdキレートを抗体に複合体化させることによってGdで標識することができる。例えば、Curtet et al.,Invest.Radiol.,33(10):752-761(1998)を参照されたい。あるいは、Gdキレート剤脂質を含む常磁性重合リポソームをアビジンおよびビオチン化抗体とインキュベートすることにより、対象抗体をGdで標識することができる。例えば、Sipkins et al.,Nature Med.,4:623-626(1998)を参照されたい。
【0077】
対象抗体に連結することができる好適な蛍光タンパク質には、例えば、米国特許第6,066,476号に記載されているように、Aequoria victoriaからの緑色蛍光タンパク質またはその変異体または誘導体、例えば、米国特許第6,020,192号、米国特許第5,985,577号、米国特許第5,976,796号、米国特許第5,968,750号、米国特許第5,968,738号、米国特許第5,958,713号、米国特許第5,919,445号、米国特許第5,874,304号に記載のもの、エンハンスドGFP、例えばClontech, Inc.から市販されている多くのそのようなGFP、例えば、Matz et al.,(1999) Nature Biotechnol 17:969-973に記載されている赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、様々な蛍光および着色タンパク質のいずれか、などが含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
対象抗体は、いくつかの実施形態において、融合パートナー、例えば、リガンド、エピトープタグ、ペプチド、抗体以外のタンパク質などに連結される(例えば、共有結合または非共有結合される)。好適な融合パートナーには、インビボでの安定性の向上(例えば、血清半減期の向上)を与えるペプチドおよびポリペプチド、精製の容易さを提供するもの、例えば、(His)、例えば、6Hisなど、細胞からの融合タンパク質の分泌を提供するもの、例えば、GST、血球凝集素、FLAG、c-mycなどのエピトープタグ、検出可能なシグナル、例えば、検出可能な生成物(例えば、β-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ)を生成する酵素、またはそれ自体が検出可能なタンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質などを提供するもの、多量体化、例えば、免疫グロブリンのFc部分などの多量体化ドメインを提供するもの、などが含まれる。
【0079】
融合はまた、結合パートナーと相互作用することができるペプチド配列を含む親和性ドメイン、例えば、同定または精製に有用な、固体支持体上に固定化されたものを含み得る。ヒスチジンなどの連続した単一アミノ酸は、タンパク質に融合すると、ニッケルセファロースなどの樹脂カラムに高親和性で結合することにより、融合タンパク質のワンステップ精製に使用することができる。例示的な親和性ドメインには、His5、HisX6、C-myc、Flag、StrepTag、血球凝集素、グルタチノン-S-トランスフェラーゼ(GST)、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、キチン結合ドメイン、S-ペプチド、T7ペプチド、SH2ドメイン、C-末端RNAタグ、金属結合ドメイン、例えば、亜鉛結合ドメイン、またはカルシウム結合タンパク質からのものなどのカルシウム結合ドメイン、例えば、カルモジュリン、トロポニンC、カルシニューリンB、ミオシン軽鎖、リカバリン、S-モジュリン、ビシニン、VILIP、ニューロカルシン、ヒポカルシン、フレケニン、カルトラクチン、カルパインラージサブユニット、S100タンパク質、パルバルブミン、カルビンジンD9K、カルビンジンD28K、およびカルレチニン;インテイン、ビオチン、ストレプトアビジン、MyoD、ロイシンジッパー配列、およびマルトース結合タンパク質、が含まれる。
【0080】
対象抗体は、いくつかの実施形態において、内因性血液脳関門(BBB)受容体に結合するポリペプチドに融合されるであろう。内因性BBB受容体に結合するポリペプチドに対象抗体を連結することは、例えば、それを必要とする個体への対象抗体の投与を含む対象治療法(以下を参照されたい)において、BBBを通過することを容易にする。内因性BBBに結合する好適なポリペプチドには、内因性BBB受容体に特異的に結合する抗体、例えば、モノクローナル抗体、またはその抗原結合フラグメントが含まれる。好適な内因性BBB受容体には、インスリン受容体、トランスフェリン受容体、レプチン受容体、リポタンパク質受容体、およびインスリン様成長因子受容体が含まれるが、これらに限定されない。例えば、米国特許公開第2009/0156498号を参照されたい。
【0081】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、ポリアミン修飾を含む。対象抗体のポリアミン修飾は、BBBでの修飾抗体の透過性を高める。対象抗体は、天然または合成のいずれかであるポリアミンで修飾することができる。例えば、米国特許第5,670,477号を参照されたい。有用な天然ポリアミンには、プトレシン、スペルミジン、スペルミン、1,3-デアミノプロパン、ノルスペルミジン、syn-ホモスペルミジン、テルミン、サーモスペルミン、カルドペンタミン、ホモカルドペンタミン、およびカナバルミンが含まれる。プトレシン、スペルミジン、スペルミンは特に有用である。合成ポリアミンは、実験式Cで構成され、1~6個のNRまたはN(R)部分(式中、Rは、H、(C~C)アルキル、フェニル、またはベンジルである)をさらに含む3~12個の炭素原子の環状または非環状、分岐または非分岐の炭化水素鎖であり得る。ポリアミンは、任意の標準的な架橋方法を使用して抗体に連結することができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、炭水化物部分を含むように改変され、ここで、炭水化物部分は、抗体に共有結合され得る。いくつかの実施形態において、対象抗体は、脂質部分を含むように改変され、ここで、脂質部分は、抗体に共有結合され得る。好適な脂質部分には、例えば、N-ラウロイル、N-オレオイルなどのN-脂肪アシル基、ドデシルアミン、オレオイルアミンなどの脂肪アミン、C3-C16長鎖脂肪族脂質、などが含まれる。例えば、米国特許第6,638,513号を参照されたい)。いくつかの実施形態において、対象抗体は、リポソームに組み込まれる。
【0083】
対象抗体の生成方法
対象抗体は、任意の既知の方法、例えば、タンパク質合成のための従来の合成方法、組換えDNA法などによって生成することができる。
【0084】
対象抗体が単鎖ポリペプチドである場合、それは標準的な化学ペプチド合成技術を使用して合成することができる。ポリペプチドが化学的に合成される場合、合成は、液相または固相を介して進行し得る。配列のC末端アミノ酸が不溶性支持体に結合した後、配列中に残りのアミノ酸を逐次的に付加する固相ポリペプチド合成(SPPS)は、対象抗体を化学合成するための好適な方法の例である。成分を合成するために、FmocおよびBocなどの様々な形態のSPPSが利用可能である。固相合成の技術は、Barany and Merrifield,Solid-Phase Peptide Synthesis、The Peptides:Analysis,Synthesis,Biology,Vol.2:Special Methods in Peptide Synthesis,Part A.のpp.3-284.,Merrifield,et al..J.Am.Chem.Soc.,85:2149-2156(1963)、Stewart et al.,Solid Phase Peptide Synthesis,2nd ed.Pierce Chem.Co.,Rockford,Ill.(1984)、ならびにGanesan A.2006 Mini Rev.Med Chem.6:3-10およびCamarero JA et al..2005 Protein Pept Lett.12:723-8に記載されている。簡潔に述べると、小さな不溶性の多孔質ビーズをペプチド鎖が構築された機能的ユニットで処理することができる。カップリング/脱保護のサイクルを繰り返した後、結合した固相の遊離N末端アミンを単一のN-保護アミノ酸ユニットにカップリングさせる。次いで、このユニットを脱保護して、新たなN末端アミンを表出させ、さらなるアミノ酸を結合させることができる。ペプチドは、固相に固定化されたままであり、切断される前に濾過プロセスを受ける。
【0085】
標準的な組換え法を使用して、対象抗体を産生することができる。例えば、軽鎖および重鎖の可変領域をコードする核酸は、場合によっては定常領域に連結されて、発現ベクターに挿入される。軽鎖および重鎖は、同じまたは異なる発現ベクターでクローニングすることができる。免疫グロブリン鎖をコードするDNAセグメントは、免疫グロブリンポリペプチドの発現を確実にする発現ベクターの制御配列に作動可能に連結されている。発現制御配列には、プロモーター(例えば、天然に関連するプロモーターまたは異種プロモーター)、シグナル配列、エンハンサー要素、および転写終結配列が含まれるが、これらに限定されない。発現制御配列は、真核宿主細胞(例えば、COSまたはCHO細胞)を形質転換またはトランスフェクトすることができるベクター中の真核細胞プロモーター系であり得る。ベクターが適切な宿主に組み込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、および抗体の収集および精製に適した条件下で維持される。
【0086】
コードの縮退のために、様々な核酸配列が各免疫グロブリンアミノ酸配列をコードすることができる。所望の核酸配列は、新規の固相DNA合成によって、または所望のポリヌクレオチドの以前に調製された変異体のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)突然変異誘発によって生成することができる。オリゴヌクレオチドを介した突然変異誘発は、標的ポリペプチドDNAの置換、欠失、および挿入変異体を調製するための好適な方法の例である。Adelman et al.,DNA 2:183(1983)を参照されたい。簡単に説明すると、標的ポリペプチドDNAは、目的の突然変異をコードするオリゴヌクレオチドを一本鎖DNAテンプレートにハイブリダイズさせることによって改変される。ハイブリダイゼーション後、DNAポリメラーゼを使用して、オリゴヌクレオチドプライマーを組み込んだテンプレートの第2相補鎖全体を合成し、標的ポリペプチドDNAの選択された改変をコードする。
【0087】
好適な発現ベクターは、典型的には、エピソームとしてまたは宿主染色体DNAの不可欠な部分として宿主生物内で複製可能である。一般的に、発現ベクターは、所望のDNA配列で形質転換されたこれらの細胞の検出を可能にするために選択マーカー(例えば、アンピシリン耐性、ハイグロマイシン耐性、テトラサイクリン耐性、カナマイシン耐性、ネオマイシン耐性等)を含む。
【0088】
大腸菌は、対象抗体をコードするポリヌクレオチドのクローニングに使用することができる原核生物の宿主細胞の例である。使用に好適な他の微生物宿主には、枯草菌等の桿菌、およびサルモネラ、セラチア、および様々なシュードモナス種等の他の腸内細菌科が含まれる。これらの原核生物宿主において、発現ベクターを作製することもでき、それは典型的には、宿主細胞と適合性のある発現制御配列(例えば複製起点)を含有するであろう。さらに、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β-ラクタマーゼプロモーター系、またはλファージ由来のプロモーター系等の、任意の数の様々な周知のプロモーターが存在するであろう。プロモーターは、典型的には、場合によってオペレーター配列を用いて発現を制御し、転写および翻訳を開始および完了するためのリボソーム結合部位配列等を有するであろう。
【0089】
酵母等の他の微生物もまた、発現に有用である。Saccharomyces属(例えば、S.cerevisiae)およびPichia属は、必要に応じて発現制御配列(例えばプロモーター)、複製起点、終結配列等を有する好適なベクターを含む好適な酵母宿主細胞の例である。典型的なプロモーターには、3-ホスホグリセリン酸キナーゼおよび他の解糖系酵素が含まれる。誘導性酵母プロモーターには、とりわけ、アルコールデヒドロゲナーゼ、イソチトクロームC、ならびにマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素からのプロモーターが含まれる。
【0090】
微生物に加えて、哺乳動物細胞(例えば、インビトロ細胞培養で成長させた哺乳動物細胞)を使用して、本開示のポリペプチド(例えば、免疫グロブリンまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチド)を発現し、生成することもできる。Winnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.(1987)を参照されたい。好適な哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞株、様々なCos細胞株、HeLa細胞、骨髄腫細胞株、および形質転換されたB細胞またはハイブリドーマが含まれる。これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター、およびエンハンサーなどの発現制御配列(Queen et al.,Immunol.Rev.89:49(1986))、およびリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、および転写ターミネーター配列などの必要なプロセシング情報部位を含み得る。好適な発現制御配列の例は、免疫グロブリン遺伝子、SV40、アデノウイルス、ウシパピローマウイルス、サイトメガロウイルス等に由来するプロモーターである。Co et al.,J.Immunol.148:1149(1992)を参照されたい。
【0091】
(化学的または組換え的に)合成されると、抗体全体、それらの二量体、個々の軽鎖および重鎖、または他の形態の対象抗体(例えば、scFvなど)を、硫酸塩沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)精製、ゲル電気泳動など(一般的にScopes,Protein Purification(Springer-Verlag,N.Y.,(1982))を参照されたい)を含む、当技術分野の標準的な手順に従って精製することができる。対照抗体は実質的に純粋であり得、例えば、少なくとも約80%~85%純粋、少なくとも約85%~90%純粋、少なくとも約90%~95%純粋、もしくは98%~99%、またはそれ以上純粋であり得、例えば、細胞片、対照抗体以外の高分子等の混入質を含まない。
【0092】
組成物
本開示は、対象抗体を含む組成物を提供する。対照抗体化合物は、対照抗体以外に、塩(例えば、NaCl、MgCl、KCl、MgSO)、緩衝剤(例えば、トリス緩衝液、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N’-(2-エタンスルホン酸)(HEPES)、2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸(MES)、2-(N-モルフォリノ)エタンスルホン酸ナトリウム塩(MES)、3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、N-トリス[ヒドロキシメチル]メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)など)、溶解剤、洗浄剤(例えば、Tween-20などの非イオン性洗浄剤)、プロテアーゼ阻害剤、グリセロールなどのうちの1つ以上を含み得る。
【0093】
核酸
本開示は、対象抗体をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。対象抗体をコードするヌクレオチド配列は、プロモーターおよびエンハンサーなどの1つ以上の調節エレメントに作動可能に連結することができ、これにより、目的の標的細胞内のヌクレオチド配列の発現を可能にする(例えば、コード化された抗体を合成するために遺伝的に改変された細胞)。
【0094】
好適なプロモーターおよびエンハンサー要素は当技術分野で知られている。細菌細胞での発現の場合、好適なプロモーターには、lacI、lacZ、T3、T7、gpt、ラムダP、およびtrcが含まれるが、これらに限定されない。真核細胞での発現の場合、好適なプロモーターには、軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン遺伝子プロモーターおよびエンハンサーエレメント、サイトメガロウイルス最初期プロモーター、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼプロモーター、初期および後期SV40プロモーター、レトロウイルスの末端反復配列に存在するプロモーター、マウスメタロチオネイン-Iプロモーター、および様々な当技術分野で知られている組織特異的プロモーターが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
いくつかの実施形態において、例えば、酵母細胞における発現のために好適なプロモーターは、ADH1プロモーター、PGK1プロモーター、ENOプロモーター、PYK1プロモーターなどの構成的プロモーター、または、GAL1プロモーター、GAL10プロモーター、ADH2プロモーター、PHO5プロモーター、CUP1プロモーター、GAL7プロモーター、MET25プロモーター、MET3プロモーター、CYC1プロモーター、HIS3プロモーター、ADH1プロモーター、PGKプロモーター、GAPDHプロモーター、ADC1プロモーター、TRP1プロモーター、URA3プロモーター、LEU2プロモーター、ENOプロモーター、TP1プロモーター、およびAOX1(例えば、Pichiaで使用するため)などの調節可能なプロモーターである。適切なベクターおよびプロモーターの選択は、当業者の水準の範囲内である。
【0096】
原核生物宿主細胞で使用するのに好適なプロモーターには、バクテリオファージT7 RNAポリメラーゼプロモーター、trpプロモーター、lacオペロンプロモーター、ハイブリッドプロモーター、例えば、lac/tacハイブリッドプロモーター、tac/trcハイブリッドプロモーター、trp/lacプロモーター、T7/lacプロモーター、trcプロモーター、tacプロモーターなど、araBADプロモーター、インビボプロモーター、例えばssaGプロモーターまたは関連プロモーター(例えば、米国特許公開第2004/0131637号を参照されたい)、pagCプロモーター(Pulkkinen and Miller,J.Bacteriol.,1991:173(1):86-93、Alpuche-Aranda et al.,PNAS,1992;89(21):10079-83)、nirBプロモーター(Harborne et al.(1992)Mol.Micro.6:2805-2813)など(例えば、Dunstan et al.(1999)Infect.Immun.67:5133-5141、McKelvie et al.(2004)Vaccine 22:3243-3255、およびChatfield et al.(1992)Biotechnol.10:888-892を参照されたい)、 sigma70プロモーター、例えば、コンセンサスsigma70プロモーター(例えば、GenBank寄託番号AX798980、AX798961、およびAX798183を参照されたい)、固定相プロモーター、例えば、dpsプロモーター、spvプロモーターなど、病原性島SPI-2に由来するプロモーター(例えば、WO96/17951を参照されたい)、actAプロモーター(例えば、Shetron-Rama et al.(2002)Infect.Immun.70:1087-1096を参照されたい)、rpsMプロモーター(例えば、[1}Valdivia and Falkow{2]([3}1996{4])[1}Mol.Microbiol.{2] [1}22{2]:[3}367を参照されたい)、tetプロモーター(例えば、{4]Hillen,W. and Wissmann,A.(1989)、Saenger,W.and Heinemann,U.(eds)、Topics in Molecular and Structural Biology,Protein-Nucleic Acid Interaction.Macmillan,London,UK,Vol.10,pp.143-162を参照されたい)、SP6プロモーター(例えば、Melton et al.(1984)Nucl.Acids Res.12:7035を参照されたい)などが含まれるが、これらに限定されない。大腸菌などの原核生物で使用するのに適した強力なプロモーターには、Trc、Tac、T5、T7、およびPLambdaが含まれるがこれらに限定されない細菌宿主細胞で使用するためのオペレーターの非限定的な例には、ラクトースプロモーターオペレーター(ラクトースと接触するとLacIリプレッサータンパク質が立体構造を変化させ、それによってLacIリプレッサータンパク質がオペレーターに結合するのを防ぐ)、トリプトファンプロモーターオペレーター(トリプトファンと複合体を形成する場合、TrpRリプレッサータンパク質はオペレーターに結合する立体構造を有し、トリプトファンがない場合、TrpRリプレッサータンパク質はオペレーターに結合しない立体構造を有する)、およびtacプロモーターオペレーター(例えば、deBoer et al.(1983)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80:21-25)が含まれる。
【0097】
対象抗体をコードするヌクレオチド配列は、発現ベクターおよび/またはクローニングベクターに存在することができる。対象抗体が2つの別個のポリペプチドを含む場合、2つのポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、同じまたは別個のベクターにクローニングすることができる。発現ベクターは、選択可能なマーカー、複製起点、ならびにベクターの複製および/または維持を提供する他の特徴を含むことができる。
【0098】
多数の好適なベクターおよびプロモーターが当業者に知られており、多くが対象組換え構築物を生成するために市販されている。例として以下のベクターが提供される。細菌:pBs、ファージスクリプト、PsiX174、pBluescript SK、pBs KS、pNH8a、pNH16a、pNH18a、pNH46a(Stratagene,La Jolla,Calif,USA);pTrc99A、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、およびpRIT5(Pharmacia,Uppsala,Sweden)。真核生物:pWLneo、pSV2cat、pOG44、PXR1、pSG(Stratagene)pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL(Pharmacia)。
【0099】
発現ベクターは、一般に、異種タンパク質をコードする核酸配列の挿入を提供するために、プロモーター配列の近くに位置する便利な制限部位を有する。発現宿主で動作可能な選択可能なマーカーが存在し得る。好適な発現ベクターには、ウイルスベクター(例えば、ワクチンウイルス、ポリオウイルス;アデノウイルス(例えば、Li et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 35:2543 2549,1994、Borras et al.,Gene Ther 6:515 524,1999、Li and Davidson,PNAS 92:7700 7704,1995、Sakamoto et al.,H Gene Ther 5:1088 1097,1999、WO94/12649、WO93/03769、WO93/19191、WO94/28938、WO95/11984およびWO95/00655を参照されたい)、アデノ随伴ウイルス(例えば、Ali et al.,Hum Gene Ther 9:81 86,1998,Flannery et al., PNAS 94:6916 6921,1997、Bennett et al.,Invest Opthalmol Vis Sci 38:2857 2863,1997、Jomary et al.,Gene Ther 4:683 690,1997、Rolling et al.,Hum Gene Ther 10:641 648,1999、Ali et al.,Hum Mol Genet 5:591 594,1996、SrivastavaのWO93/09239、Samulski et al.,J.Vir.(1989)63:3822-3828、Mendelson et al.,Virol.(1988)166:154-165、およびFlotte et al.,PNAS(1993)90:10613-10617を参照されたい)、SV40、単純ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(例えば、Miyoshi et al.,PNAS 94:10319 23,1997、Takahashi et al.,J Virol 73:7812 7816,1999)、レトロウイルスベクター(例えば、マウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、およびレトロウイルスから誘導されたウイルス、例えばラウス肉腫ウイルス、Harvey肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳腺腫瘍ウイルスなどのレトロウイルスから誘導されたベクター)などが含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
上記のように、対象核酸は、対象抗体をコードするヌクレオチド配列を含む。対象核酸は、重鎖および軽鎖のCDRをコードするヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態において、対象核酸は、重鎖および軽鎖CDRをコードするヌクレオチド配列を含み、これらのCDRをコードする配列には、FRをコードするヌクレオチド配列が散在している。いくつかの実施形態において、FRをコードするヌクレオチド配列は、ヒトのFRをコードするヌクレオチド配列である。
【0101】
細胞
本開示は、対象核酸で遺伝子改変された単離された遺伝子改変宿主細胞(例えば、インビトロ細胞)を提供する。いくつかの実施形態において、対象の単離された遺伝子改変された宿主細胞は、対象抗体を産生することができる。
【0102】
好適な宿主細胞には、哺乳動物細胞、昆虫宿主細胞、酵母細胞などの真核生物宿主細胞、および細菌細胞などの原核細胞が含まれる。対象核酸の宿主細胞への導入は、例えば、リン酸カルシウム沈殿、DEAEデキストラン媒介トランスフェクション、リポソーム媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、または他の既知の方法によって達成することができる。
【0103】
好適な哺乳動物細胞には、初代細胞および不死化細胞株が含まれる。好適な哺乳動物宿主細胞には、ヒト細胞系、非ヒト霊長類細胞系、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)細胞系等が含まれる。好適な哺乳動物細胞系として、HeLa細胞(例えば、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)番号CCL-2)、CHO細胞(例えば、ATCC番号CRL9618、CCL61、CRL9096)、293細胞(例えば、ATCC番号CRL-1573)、Vero細胞、NIH 3T3細胞(例えば、ATCC番号CRL-1658)、Huh-7細胞、BHK細胞(例えば、ATCC番号CCL10)、PC12細胞(ATCC番号CRL1721)、COS細胞、COS-7細胞(ATCC番号CRL1651)、RAT1細胞、マウスL細胞(ATCC番号CCLI.3)、ヒト胎児腎臓(HEK)細胞(ATCC番号CRL1573)、HLHepG2細胞等が含まれるが、これらに限定されない。
【0104】
好適な酵母細胞には、Pichia pastoris、Pichia finlandica、Pichia trehalophila、Pichia koclamae、Pichia membranaefaciens、Pichia opuntiae、Pichia thermotolerans、Pichia salictaria、Pichia guercuum、Pichia pijperi、Pichia stiptis、Pichia methanolica, Pichia sp.、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces sp.、Hansenula polymorpha、Kluyveromyces sp.、Kluyveromyces lactis、Candida albicans、Aspergillus nidulans、Aspergillus niger、Aspergillus oryzae、Trichoderma reesei、Chrysosporium lucknowense、Fusarium sp.、Fusarium gramineum、Fusarium venenatum、Neurospora crassa、Chlamydomonas reinhardtiiが含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
好適な原核細胞には、大腸菌、Lactobacillus sp.、Salmonella sp.、Shigella sp.などの様々な実験室株のいずれかが含まれるが、これらに限定されない。例えば、Carrier et al.(1992)J.Immunol 148:1176-1181、米国特許第6,447,784号、およびSizemore et al.(1995)Science 270:299-302を参照されたい。本発明で使用することができるサルモネラ菌株の例には、チフス菌およびネズミチフス菌が含まれるが、これらに限定されない。好適な赤痢菌株には、Shigella flexneri、Shigella sonnei、およびShigella disenteriaeが含まれるが、これらに限定されない。通常、実験室株は非病原性のものである。他の好適な細菌の非限定的な例には、Bacillus subtilis、Pseudomonas pudita、Pseudomonas aeruginosa、Pseudomonas mevalonii、Rhodobacter sphaeroides、Rhodobacter capsulatus、Rhodospirillum rubrum、Rhodococcus sp.などが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、大腸菌である。
【0106】
製剤および薬学的組成物
本開示は、対象抗体を含む、薬学的組成物を含む組成物を提供する。一般に、製剤は、有効量の対象抗体を含む。「有効量」とは、例えば、腫瘍サイズの縮小または症状の改善など、所望の結果を生み出すのに十分な投与量を意味する。一般に、望ましい結果は、対照と比較した、少なくともがんの症状の軽減である。対象抗体は、以下でより詳細に説明するように、血液脳関門を回避するような方法で送達することができる。対象抗体は、必要に応じて、抗体が血液脳関門を通過できるように処方および/または修飾することができる。治療は、すでに病気に苦しんでいる患者に治療を施し、既存の症状の改善、症状の根本的な代謝原因の改善、障害のさらなる発症の延期または防止、および/または発症するであろう、または発症すると予想される症状の重症度の軽減などの治療的に有益な効果を引き起こすことを含む。
【0107】
製剤
対象の方法において、対象抗体は、所望の治療効果または診断効果をもたらすことができる任意の便利な手段を使用して宿主に投与することができる。したがって、薬剤は、治療投与のための様々な製剤に組み込むことができる。より具体的には、対象抗体は、適切な薬学的に許容される担体または希釈剤との組み合わせによって薬学的組成物に製剤化することができ、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、およびエアロゾルなどの固体、半固体、液体、またはガス状形態の調製物に製剤化することができる。
【0108】
薬学的剤形において、対象抗体は、それらの薬学的に許容される塩の形態で投与することができるか、またはそれらは、単独でもしくは他の薬学的に活性な化合物との、適切な会合、および組み合わせでも使用され得る。以下の方法および賦形剤は単なる例であり、決して限定するものではない。
【0109】
経口調製物の場合、例えば、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤、結晶セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合剤、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプンまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、所望により、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、防腐剤および香味剤を用いて、錠剤、散剤、顆粒またはカプセル剤を製造するために、単独でまたは適切な添加剤と組み合わせて使用することができる。
【0110】
対象抗体は、植物油もしくは他の類似の油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸のエステル、またはプロピレングリコール等の水性溶媒または非水性溶媒にそれらを溶解、懸濁または乳化することによって、また所望であれば、可溶化剤、等張剤、懸濁化剤、乳化剤、安定剤および防腐剤等の通常の添加剤を用いて、注射用調製物に製剤化することができる。
【0111】
対象抗体を含む薬学的組成物は、所望の純度を有する抗体を任意選択の生理学的に許容される担体、賦形剤、安定剤、界面活性剤、緩衝剤および/または等張化剤と混合することによって調製することができる。許容される担体、賦形剤および/または安定剤は、使用される投与量および濃度ではレシピエントに無毒であり、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸;アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、メチオニンおよびクエン酸を含む抗酸化剤、防腐剤(例えば、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、またはそれらの組み合わせ)、アルギニン、グリシン、オルニチン、リジン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、イソロイシン、ロイシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、プロリン、およびそれらの組み合わせなどのアミノ酸、単糖、二糖、および他の糖類、低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド、ゼラチンまたは血清アルブミンなどのタンパク質、EDTAなどのキレート剤、トレハロース、ショ糖、ラクトース、グルコース、マンノース、マルトース、ガラクトース、フラクトース、ソルボース、ラフィノース、グルコサミン、N-メチルグルコサミン、ガラクトサミン、およびノイラミン酸などの糖、ならびに/または、Tween、Brij Pluronic、Triton-X、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0112】
薬学的組成物は、液体形態、凍結乾燥形態、または凍結乾燥形態から再構成された液体形態であり得、凍結乾燥調製物は投与前に滅菌溶液で再構成されることになる。凍結乾燥組成物を再構成するための標準的な手順は、一定量の純水(典型的には、凍結乾燥中に除去された体積と当量である)を加え戻すことであるが、非経口投与用の薬学的組成物の生成に抗菌剤を含む溶液が使用されてもよい。Chen(1992) Drug Dev Ind Pharm 18,1311-54もまた参照されたい。
【0113】
対象の薬学的組成物中の例示的な抗体濃度は、約1mg/mL~約200mg/ml、または約50mg/mL~約200mg/mL、または約150mg/mL~約200mg/mLの範囲であり得る。
【0114】
抗体の水性製剤は、例えば、約4.0~約7.0、または約5.0~約6.0の範囲、またはあるいは、約5.5のpHで、pH緩衝溶液中で調製することができる。この範囲内のpHで好適である緩衝剤の例には、リン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤、クエン酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、および他の有機酸緩衝剤が含まれる。緩衝剤の濃度は、例えば、緩衝剤および製剤の所望の張性に応じて、約1mM~約100mM、または約5mM~約50mMであり得る。
【0115】
製剤の張度を調節するために、等張化剤を抗体製剤に含めることができる。例示的な等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、およびアミノ酸、糖、ならびにそれらの組み合わせの群からの任意の成分が挙げられる。いくつかの実施形態において、高張または低張溶液が適し得るが、水性製剤は等張性である。「等張性」という用語は、生理的食塩水または血清など、それが比較されるといくつかの他の溶液と同じ張性を有する溶液を意味する。等張化剤は、約5mM~約350mMの量で、例えば、100mM~350nMの量で使用され得る。
【0116】
界面活性剤はまた、製剤化された抗体の凝集を減少させるために、かつ/または製剤中の微粒子の形成を最小限にするために、かつ/または吸着を低減するために、抗体製剤に添加されてもよい。界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(Tween)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル(Brij)、アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル(Triton-X)、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー(Poloxamer、Pluronic)およびドデシル硫酸ナトリウム(SDS)が挙げられる。好適なポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの例は、ポリソルベート 20(Tween 20(商標)の商標で販売)、およびポリソルベート 80(Tween 80(商標)の商標で販売)である。好適なポリエチレン-ポリプロピレンコポリマーの例は、Pluronic(登録商標)F68またはPoloxamer 188(商標)の名称で販売されているものである。好適なポリオキシエチレンアルキルエーテルの例は、Brij(商標)の商標で販売されているものである。界面活性剤の濃度の例は、約0.001%~約1%w/vの範囲であり得る。
【0117】
凍結乾燥プロセス中の不安定化条件に対して不安定化な活性成分(例えば、タンパク質)を保護するために、凍結保護剤も添加してもよい。例えば、既知の凍結保護剤には、糖(グルコースおよびスクロースを含む)、ポリオール(マンニトール、ソルビトールおよびグリセロールを含む)、ならびにアミノ酸(アラニン、グリシンおよびグルタミン酸を含む)が含まれる。リオプロテクタントは、約10mM~500nMの量で含まれ得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、対象組成物は、対象抗体、および上記で定義された薬剤(例えば、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、等張化剤)のうちの1つ以上を含み、エタノール、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、p-クロロ-m-クレゾール、メチルまたはプロピルパラベン、塩化ベンザルコニウム、およびこれらの組み合わせ等の、1つ以上の防腐剤を本質的に含まない。他の実施形態において、防腐剤が、製剤中に、例えば約0.001~約2%(w/v)の範囲の濃度で含まれる。
【0119】
例えば、対象製剤は、非経口投与に適した液体または凍結乾燥製剤であり得、約1mg/mL~約200mg/mLの対象抗体、約0.001%~約1%の少なくとも1つの界面活性剤、約1mM~約100mMの緩衝剤、場合により約10mM~約500mMの安定剤、約5mM~約305mMの張性剤を含み得、約4.0~約7.0のpHを有する。
【0120】
別の例として、対象の非経口製剤は、約1mg/mL~約200mg/mLの対象抗体、0.04%のTween20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMスクロース含み、pHは5.5である、液体または凍結乾燥製剤である。
【0121】
別の例として、対象の非経口製剤は、以下の凍結乾燥製剤を含む:1)15mg/mLの対象抗体、0.04%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのスクロースを含み、pHは5.5であるか、または2)75mg/mLの対象抗体、0.04%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのスクロースを含み、pHは5.5であるか、または3)75mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのスクロースを含み、pHは5.5であるか、または4)75mg/mLの対象抗体、0.04%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのトレハロースを含み、pHは5.5であるか、または6)75mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのトレハロースを含み、pHは5.5である。
【0122】
別の例として、対象の非経口製剤は、以下の液体製剤である、:1)7.5mg/mLの対象抗体、0.022%のTween 20 w/v、120mMのL-ヒスチジン、および250の125mMスクロースを含み、pHは5.5であるか、または2)37.5mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、10mMのL-ヒスチジン、および125mMのスクロースを含み、pHは5.5であるか、または3)37.5mg/mLの対象抗体、0.01%のTween 20 w/v、10mMのL-ヒスチジン、および125mMのスクロースを含み、pHは5.5であるか、または4)37.5mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、10mMのL-ヒスチジン、125mMのトレハロースを含み、pHは5.5であるか、または5)37.5mg/mLの対象抗体、0.01%のTween 20 w/v、10mMのL-ヒスチジン、および125mMのトレハロースを含み、pHは5.5であるか、または6)5mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのトレハロースを含み、pHは5.5であるか、または7)75mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのマンニトールを含み、pHは5.5であるか、または8)75mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのLヒスチジン、および140mMの塩化ナトリウムを含み、pHは5.5である、または9)150mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのトレハロースを含み、pHは5.5であるか、または10)150mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および250mMのマンニトールを含み、pHは5.5であるか、または11)150mg/mLの対象抗体、0.02%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および140mMの塩化ナトリウムを含み、pHは5.5であるか、または12)10mg/mLの対象抗体、0.01%のTween 20 w/v、20mMのL-ヒスチジン、および40mMの塩化ナトリウムを含み、pHは5.5である。
【0123】
対象抗体は、吸入を介して投与されるエアロゾル製剤に利用することができる。対象抗体は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素等の加圧された許容される噴霧剤中に配合することができる。
【0124】
さらに、乳化母材や水溶性母材などの様々な母材と混合することにより、対象抗体を坐剤にすることができる。対象抗体は、坐剤を介して直腸投与することができる。坐剤には、体温で溶けるが室温で固化するカカオバター、カーボワックス、ポリエチレングリコールなどのビヒクルを含むことができる。
【0125】
シロップ剤、エリキシル剤、および懸濁剤等の経口または直腸投与のための単位剤形は、各服用量単位、例えば小さじ1杯、大さじ1杯、錠剤または坐剤が1つ以上の阻害剤を含有する所定量の組成物を含有するように提供され得る。同様に、注射または静脈内投与のための単位剤形は、滅菌水、生理食塩水または別の薬学的に許容される担体中の溶液として組成物中に対象抗体を含んでもよい。
【0126】
「単位剤形」という用語は、本明細書で使用される場合、ヒトおよび動物対象の単一投与量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、薬学的に許容される希釈剤、担体またはビヒクルと共同して所望の効果をもたらすのに十分な量で計算された、所定量の本発明の化合物を含有する。対象抗体の仕様は、使用される特定の抗体および達成される効果、ならびに宿主における各抗体に関連する薬力学に依存し得る。
【0127】
他の投与様式もまた、本発明での使用を見出すであろう。例えば、対象抗体は、坐剤、場合によってはエアロゾルおよび鼻腔内組成物に処方することができる。坐剤の場合、ビヒクル組成物は、ポリアルキレングリコール、またはトリグリセリドなどの従来の結合剤および担体を含む。そのような坐剤は、約0.5%~約10%(w/w)、例えば、約1%~約2%の範囲の有効成分を含む混合物から形成することができる。
【0128】
鼻腔内製剤には通常、鼻粘膜への刺激を引き起こさず、毛様体機能を著しく乱さないビヒクルが含まれる。水、生理食塩水または他の既知の物質などの希釈剤を本発明で使用することができる。経鼻製剤はまた、クロロブタノールおよび塩化ベンザルコニウムなどの防腐剤を含み得るが、これらに限定されない。鼻粘膜による対象タンパク質の吸収を増強するために、界面活性剤が存在し得る。
【0129】
対象抗体は、注射可能な製剤として投与することができる。通常、注射可能な組成物は、液体の溶液または懸濁液として調製され、注射前の液体ビヒクルへの溶解または懸濁に適した固体形態もまた調製され得る。調製物を乳化するか、または抗体をリポソームビヒクルにカプセル化することもできる。
【0130】
好適な賦形剤ビヒクルは、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、およびそれらの組み合わせである。さらに、所望であれば、ビヒクルは、湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤などの少量の補助物質を含み得る。そのような剤形を調製する実際の方法は、当業者に知られているか、または明らかになるであろう。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania,17th edition,1985を参照されたい。投与される組成物または製剤は、いずれにせよ、治療される対象において所望の状態を達成するのに適切な量の対象抗体を含むであろう。
【0131】
ビヒクル、アジュバント、担体または希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤は、一般に容易に入手可能である。さらに、pH調整剤および緩衝剤、張性調整剤、安定剤、湿潤剤などの薬学的に許容される補助物質は、一般に容易に入手可能である。
【0132】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、制御放出製剤で製剤化される。徐放性調製物は、当技術分野で周知の方法を使用して調製することができる。徐放性調製物の好適な例には、抗体を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、マトリックスは、成形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。徐放性マトリックスの例には、ポリエステル、L-グルタミン酸とエチル-L-グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、ヒドロゲル、ポリラクチド、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、およびポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が含まれる。徐放性調製物に含まれる抗体の生物学的活性の喪失および免疫原性の変化の可能性は、適切な添加剤を使用し、水分含有量を制御し、特定のポリマーマトリックス組成物を開発することによって防ぐことができる。
【0133】
本発明の範囲内の制御放出は、いくつかの拡張放出剤形のいずれか1つを意味すると解釈することができる。以下の用語は、本発明の目的のために、制御放出と実質的に同等であると見なされ得る:連続放出、制御放出、遅延放出、デポー、段階的放出、長期放出、プログラム放出、持続放出、比例放出、苒延性放出、リポジトリ、遅延、徐放、間隔放出、維持放出、タイムコート、時限放出、遅延作用、拡張作用、層状時限放出、長時間作用型、延長作用、反復作用、遅延作用性、持続性作用、持続性作用薬品、および延長放出。これらの用語の詳細は、Lesczek Krowczynski,Extended-Release Dosage Forms,1987(CRC Press,Inc.)に見出され得る。
【0134】
様々な制御放出技術は、非常に広範囲の薬物剤形をカバーしている。制御放出技術には、物理システムおよび化学システムが含まれるが、これらに限定されない。
【0135】
物理的システムには、マイクロカプセル化、マクロカプセル化、および膜システムなどの速度制御膜を備えたリザーバーシステム;中空繊維、超ミクロポーラスセルローストリアセテート、多孔質ポリマー基板およびフォームなどの速度制御膜のないリザーバーシステム;非多孔性、高分子、またはエラストマーマトリックスに物理的に溶解したシステム(例、非腐食性、侵食性、環境因子の侵入、および分解性)を含むモノリシックシステム、および非多孔性、高分子、またはエラストマーマトリックスに物理的に分散した材料(例、非腐食性、侵食性、環境因子の侵入、および分解性)、外側の制御層と化学的に類似または異なるリザーバー層を含む積層構造、および浸透圧ポンプなどの他の物理的方法、またはイオン交換樹脂への吸着などが含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
化学的システムには、ポリマーマトリックスの化学的侵食(例えば、不均一または均一な侵食)、またはポリマーマトリックスの生物学的侵食(例えば、不均一または均一)が含まれるが、これらに限定されない。制御放出システムのカテゴリーに関する追加の議論は、Agis F.Kydonieus,Controlled Release Technologies:Methods,Theory and Applications,1980(CRC Press,Inc.)に見出される。
【0137】
経口投与用に開発された制御放出製剤がいくつかある。これらには、浸透圧制御された胃腸送達システム、流体力学的圧力制御胃腸送達システム、ミクロポーラス膜透過制御胃腸送達デバイスを含む膜透過制御胃腸送達システム、胃液耐性のある腸を標的とした制御放出胃腸送達装置、ゲル拡散制御胃腸送達システム、および陽イオン性および陰イオン性薬物を含むイオン交換制御胃腸送達システムが含まれるが、これらに限定されない。制御放出薬物送達システムに関する追加情報は、Yie W. Chien,Novel Drug Delivery Systems,1992(Marcel Dekker,Inc.)に記載されている。これらの製剤のいくつかは、本明細書で論じられている。
【0138】
投与量
好適な投与量は、様々な臨床的要因に基づいて、主治医または他の資格のある医療関係者が決定することができる。医学でよく知られているように、1人の患者の投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、患者の性別、時間、および投与経路、健康、および同時に投与されている他の薬を含む多くの要因に依存する。対象抗体は、1用量当たり1ng/kg体重~20mg/kg体重、例えば0.1mg/kg体重~10mg/kg体重、例えば0.5mg/kg体重~5mg/kg体重の量で投与することができるが、特に前述の要因を考慮して、この例示的な範囲より下または上の用量が想定されている。レジメンが連続注入である場合、それはまた、1分当たり体重1キログラム当たり1μg~10mgの範囲であり得る。
【0139】
当業者は、用量レベルが特定の抗体、症状の重症度、および副作用に対する対象の感受性の関数として変化する可能性があることを容易に理解するであろう。所与の化合物の好適な投与量は、当業者によって様々な手段によって容易に決定することができる。
【0140】
投与経路
対象抗体は、インビボおよびエクスビボでの方法、および全身および局所的な投与経路を含め、薬物送達に好適な任意の利用可能な方法および経路を使用して、個体に投与される。
【0141】
いくつかの実施形態において、抗体は、製薬上許容される担体、例えば、PBS中で、静脈内注入(200mgまたは2mg/kg、最大200mg)として、10~60(例えば、30分)にわたって、2~4(例えば、3)週ごとに患者に投与され得る。
【0142】
従来のおよび薬学的に許容される投与経路としては、鼻腔内、筋肉内、気管内、皮下、皮内、局所適用、静脈内、動脈内、直腸内、経鼻、経口、および他の経腸および非経口投与経路が含まれる。投与経路は、所望の場合、組み合わせることができるか、または抗体および/もしくは所望の効果に応じて調節することができる。対象抗体組成物は、単回投与または複数回投与で投与することができる。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、経口投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、吸入経路を介して投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、鼻腔内に投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、局所的に投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は頭蓋内に投与される。いくつかの実施形態において、対象抗体組成物は、静脈内投与される。
【0143】
薬剤は、全身経路または局所経路を含む、従来の薬物の送達に適した任意の利用可能な従来の方法および経路を使用して宿主に投与することができる。一般に、本発明によって企図される投与経路には、経腸、非経口、または吸入経路が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0144】
吸入投与以外の非経口投与経路には、局所、経皮、皮下、筋肉内、眼窩内、嚢内内、脊髄内、胸骨内、および静脈内経路、すなわち消化管以外の任意の投与経路が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。非経口投与は、対象抗体の全身的または局所的送達をもたらすために実施することができる。全身送達が望まれる場合、投与は通常、薬学的調製物の侵襲的または全身的に吸収された局所または粘膜投与を伴う。
【0145】
対象抗体はまた、経腸投与によって対象に送達することができる。経腸投与経路には、経口および直腸(例えば、坐剤を使用する)送達が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。
【0146】
「治療」とは、宿主を苦しめている病態に関連する症状の少なくとも改善を意味し、改善は、あるパラメータの大きさ、例えば、がんおよびそれに関連する疼痛などの治療される病態に関連する症状の少なくとも軽減を指すために広義で使用される。そのため、治療はまた、宿主が病態、または少なくともその病態を特徴付ける症状にそれ以上苦しむことがないように、病態または少なくともそれに関連する症状が完全に阻害された、例えば、発生するのを防止された、または停止された、例えば、終了された状況も含む。
【0147】
いくつかの実施形態において、対象抗体は、注射および/または送達によって、例えば、脳動脈の部位に、または脳組織に直接投与される。対象抗体はまた、例えば、標的部位への微粒子銃による送達によって、標的部位に直接投与することができる。
【0148】
様々な宿主(ここで「宿主」という用語は、本明細書では「対象」、「個人」、および「患者」という用語と交換可能に使用される)は、主題の方法に従って治療可能である。一般に、そのような宿主は「哺乳動物」または「哺乳類」であり、これらの用語は、肉食目(例えば、イヌおよびネコ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモットおよびラット)、および霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む哺乳類綱内の生物を説明するために広く使用される。いくつかの実施形態において、宿主はヒトである。
【0149】
対象抗体の単位用量、例えば経口または注射可能な用量を備えたキットが提供される。そのようなキットでは、単位用量を含む容器に加えて、関心のある病態の治療における抗体の使用および付随する利点を説明する情報の添付文書がある。好ましい化合物および単位用量は、本明細書で以前に記載されたものである。
【0150】
治療法
本開示は、一般にそれを必要とする個体(例えば、がんを有する個体)に、有効量の対象抗体を単独で(例えば、単剤療法で)または1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて(例えば、併用療法)投与することを含む、がんを治療する方法を提供する。
【0151】
いくつかの実施形態において、有効量の対象抗体は、単独で(例えば、単剤療法において)、または1つ以上のさらなる治療薬剤と組み合わせて(例えば、併用療法において)、1回以上の用量で投与されたときに、抗体による治療が無い場合の有害症状の重症度と比較して、がんの有害症状を、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%以上減少するのに有効な量である。
【0152】
いくつかの実施形態において、対象抗体の有効量は、単独で(例えば、単剤療法で)または1つ以上の追加の治療薬と組み合わせて(例えば、併用療法で)、1以上の用量で投与される量であり、治療を受ける個人の腫瘍サイズを縮小するのに効果的な量である。例えば、有効量の対象抗体は、抗体による治療がない場合の腫瘍サイズと比較して、個体の腫瘍サイズを少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、またはそれ以上減少させることができる。
【0153】
併用療法
いくつかの実施形態において、対象の治療方法は、対象抗体および1以上の追加の治療薬を投与することを含む。好適な追加の治療薬には、抗CTLA-4抗体、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、抗TIM-3抗体、坑VISTA抗体、抗LAG-3抗体、抗IDO抗体、または抗KIR抗体などの免疫チェックポイント阻害剤(他にも知られているが)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、治療はまた、例えば、CD40、GITR、OX40、CD137、またはICOSに対する抗体などの共刺激抗体を含み得る。いくつかの実施形態において、抗体は、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体または抗CTLA-4抗体であり得る。このような抗体の例には、イピリムマブ(CTLA-4)、ニボルマブ(PD-1)、ペンブロリズマブ(PD-1)、アテゾリズマブ(PD-L1)、アベルマブ(PD-L1)、およびデュルバルマブ(PD-L1)が含まれるが、これらに限定されない。これらの療法は、互いにおよび/または他の療法と組み合わせることができる。いくつかの実施形態において、投与される用量は、患者の体重に応じて、数週間ごと(例えば、3週間ごと)に1mg/kg~10mg/kgの範囲、または50mg~1.5gの範囲であり得る。特定の実施形態において、患者は、腫瘍のPD1、PD-L1、CTLA-4、TIM-3、VISTA、LAG-3、IDOまたはKIRの状態を知ることなく、抗体(複数可)で治療されるであろう。
【0154】
治療に適した対象
主題の方法による治療には、様々な対象が適している。好適な対象には、例えば、がんを有する、がんと診断された、がんを発症するリスクがある、以前にがんを有し、がんの再発のリスクがある、またはがんから回復しているヒトなどの任意の個人が含まれる。いくつかの実施形態において、患者は、肺、乳房、脳、腎臓、および前立腺がんを有し得る。これらの実施形態において、B7-H3抗体は、補体依存性細胞傷害(CDC)、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、および抗体依存性細胞食作用(ADCP)などのFc依存性免疫エフェクターメカニズムを有し得る。これらの実施形態において、抗体は、それが結合する細胞を殺す部分に結合され得る。
【0155】
他の実施形態において、抗体は、別の免疫チェックポイント阻害剤と可能な組み合わせで免疫チェックポイント阻害剤として使用され、例えば、皮膚の黒色腫、非小細胞肺がん、腎臓がん、膀胱がん、頭頸部がん、ホジキンリンパ腫(すべて免疫遮断によって治療することができる)を有する患者を治療できる。
【実施例
【0156】
以下の実施例は、当業者に、本発明をどのように作成および使用するのかに関する完全な開示および説明を提供するように提案されており、本発明者らが自分らの発明としてみなすものの範囲を制限するよう意図されておらず、本発明者らが、以下の実験が、すべてであるかまたは実施された唯一の実験であることを表すよう意図しているのでもない。使用された数字(例えば量、温度等)に対する精度を確保する努力がなされたが、ある程度の実験誤差および偏差が考慮されるべきである。別段の指示がない限り、部分は、重量部であり、分子量は重量平均分子量であり、温度は摂氏であり、圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。標準的な略語が使用され得、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;pl、ピコリットル;sまたはsec、秒;min、分;hまたはhr、時間;aa、アミノ酸;kb、キロベース;bp、塩基対;nt、ヌクレオチド;i.m.、筋肉内;i.p.、腹腔内;s.c.、皮下などである。
【0157】
実施例1
抗B7-H3アンタゴニスト抗体の生成と特性評価
抗B7-H3ヒトモノクローナル抗体は、ヒト抗体遺伝子(重鎖のニワトリ定常領域を発現しつつヒト軽鎖(VLCLまたはVKCK)およびヒトVHを発現するトランスジェニックニワトリ(OMNICHICKEN(商標))(Ching et al.2018 MAbs.2018 10:71-80)を使用して生成された。
【0158】
3羽のトランスジェニックニワトリを200ugのFcタグ付きヒトB7-H3(ACRO Biosystems #CD8-H5253)で免疫し、14日ごとに100ugの抗原で3回追加免疫した。血清免疫応答は、ヒトおよびマウスのヒストンタグ付きB7-H3(それぞれ、Acro Biosystems #B73-H52E2および#B73-M52H4)でELISAによって監視された。
【0159】
Mettler Izquierdo et al. 2016 Microscopy(Oxf)2016 65:341-352に記載されているように、脾細胞を単離し、GEMアッセイを使用して試験した。簡単に説明すると、大きなビーズ(Life Technologies #A37306)をHisタグ付きヒトB7-H3(Life Technologies#A37296)でコーティングし、小さなビーズ(Life Technologies#A37296)をHisタグ付きマウスB7-H3で一晩コーティングした。ビーズをDPBS中の3%ミルクで室温にて1時間ブロックし、次にDPBSで3回洗浄した。ビーズは、検出のために1e7初代脾細胞およびAlexa Fluor 594複合体化ヤギ抗ニワトリIgY(Thermo Fisher Scientificカタログ番号A-11042)と5:1(大きいビーズに対する小さいビーズ)の比率で混合された。混合物をプレーティングし、CY3フィルターを使用して顕微鏡下で陽性クローンを検出した。ビーズに結合したIgYを分泌する細胞を選択した。
【0160】
陽性クローンを、dNTP、プライマー、および酵素ミックスからなるPCR混合物を含む96ウェルプレートに移した。
【0161】
重鎖および軽鎖の可変領域をクローニングし、単鎖Fv-Fc(ScFv-Fc)哺乳類発現ベクターに組み入れた。サンガーシーケンシングはGeneWizによって実行され、配列はDNASTAR Lasergene 15を使用して評価された。ユニークなscFv-Fcsが、ExpiFectamineトランスフェクション試薬およびサプリメント(Life Technologies、#A14524)を使用したトランスフェクション後、Expi293発現培地(Life Technologies、#A1435101)で増殖したExpi293細胞(Life Technologies、#A14527)中で一過性に発現した。細胞を5%CO2加湿インキュベーター内で37℃で振とうしながら3~5日間インキュベートした。上清を回収し、Blitz Instrument(Pall ForteBio)を使用して定量し、様々な種(ヒト、マウス、およびカニクイザル(それぞれACRO Biosystems cat#CD8-H5224、CD8-M5223、およびCD8-C5223))またはウサギ抗huFc(Rockland #609-4103、陽性対照)または無関係なhisタグ付きタンパク質(陰性対照)のHisタグ付きB7-H3タンパク質でコーティングされたプレート上でELISAによって結合活性を試験した。
【0162】
細胞株への抗B7-H3抗体の結合は、フローサイトメトリーによって評価された。簡単に説明すると、約1.5 e5のB7-H3発現CHO細胞(Genescript)または親CHO細胞(ATCC)を、10ug/mlの抗B7-H3抗体を含むFACS緩衝液(PBS/1%BSA/0.01% NaN3)に再懸濁し、氷上で60分間インキュベートした。細胞を2回洗浄し、AlexaFluor 647複合体化ロバ抗ヒトFc(Jackson ImmunoResearch Laboratories #709-605-098)を含むFACS緩衝液に氷上で60分間再懸濁した。次に、細胞を2回洗浄し、FACS緩衝液に再懸濁し、Attune Flow Cytometer(Life Technologies)で読み取った。データは平均蛍光強度(MFI)として表される。合計54の抗体が細胞への有意な結合を示した。これらのうち2つはELISAで有意な結合を示さなかったため、種の交差反応性を決定することはできない。残りの52のうち、すべてがcyno B7-H3に結合し、1つだけがマウスB7-H3に結合しなかった。
【0163】
抗B7-H3抗体のB7-H3への結合親和性は、Carterra LSA instrumentの表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定された。ヤギ抗ヒトFc抗体は、HC30Mチップにアミン結合した。ScFv-Fc上清をHBSTEで30倍に希釈し、抗ヒトFc結合HC30Mチップで捕捉した。400nMから始まるhisタグ付きB7-H3の1:2希釈系列を、結合のためにチップに注入した。Carterra(商標)Kineticsソフトウェアを使用してデータを分析した。
【0164】
エピトープビニングでは、scFv-Fc(リガンドscFv-Fcと呼ばれる)を含む上清を50倍に希釈し、sulpho-NHS/EDCカップリングケミストリーを介してHC2000Mチップにカップリングし、エタノールアミンでブロックした。ビニング実験の各サイクルで、100nMのhisタグ付きヒトB7-H3をアレイ全体に注入し、次にHBSTE+BSAで40倍に希釈した個々の上清scFv-Fc(分析物scFv-Fcと呼ばれる)をリガンドscFv-Fcに結合した抗原を挟むために、アレイ全体に注入した。各サイクルの終わりに、チップを10mMグリシンpH 2で再生して、結合した抗原と分析物scFv-Fcを除去した。この手順は、すべての分析物の上清に対して繰り返された。エピトープビニング分析は、Carterraエピトープソフトウェアを使用して実行された。この抗体コホートでは、5つのエピトープビンが同定された。
【0165】
ADCCレポーターアッセイは、エフェクター細胞としてヒトFcγRIIIa V158(高親和性)(Promega #G7010)を発現するレポーター細胞を使用して実施した。標的細胞は、A498細胞(ATCC #HTB-44、腎がん細胞)、またはB7-H3と安定的にトランスフェクトされたCHO-K1細胞(GenScript #M00536)のいずれかであった。精製された抗B7-H3抗体(上記のscFv-FcsはIgGに変換され、発現され、精製された)が10μg/mlの最高濃度で標的細胞に添加され、続いて7ポイントの対数希釈系列、および未処理試料対照を添加した。エフェクター細胞を添加し、プレートを5%CO2で37℃にて6時間インキュベートした。試料は3回実行された。Bio-Gloルシフェラーゼ基質を添加して10分間インキュベートした後、PerkinElmer 2300 EnSpireプレートリーダーで化学発光を測定した。データをグラフ化し、各抗体のEC50を、GraphPad Prismを使用したカーブフィッティングによって決定した。試験した54個の抗体のうち37個がA498標的細胞に対してADCC活性を示し、54個の抗体のうち52個がCHO-K1/B7-H3標的細胞に対してADCC活性を示した。
【0166】
これらのアッセイの結果を以下の表3~5に示す。
【表3-1】

【表3-2】

【表4-1】
【表4-2】
【表5-1】

【表5-2】
【0167】
本発明がその特定の実施形態に関連して説明されているが、様々な変更が行われ得、等価物が本開示の真の主旨および範囲から逸脱することなく代用され得ることが当業者によって理解されるべきである。さらに、多くの変更は、特定の状況、材料、物質の組成物、プロセス、プロセスステップ(複数可)を、本開示の対象の主旨および範囲に適合するように行われ得る。すべてのそのような変更は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されている。
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図3
【配列表】
2022537672000001.app
【国際調査報告】