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特表2022-537679冶金容器の注ぎ口における交換デバイスにおいて、好ましくは、鋳造管を操作するためのデバイス
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  • 特表-冶金容器の注ぎ口における交換デバイスにおいて、好ましくは、鋳造管を操作するためのデバイス 図1
  • 特表-冶金容器の注ぎ口における交換デバイスにおいて、好ましくは、鋳造管を操作するためのデバイス 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(54)【発明の名称】冶金容器の注ぎ口における交換デバイスにおいて、好ましくは、鋳造管を操作するためのデバイス
(51)【国際特許分類】
   B22D 41/56 20060101AFI20220822BHJP
【FI】
B22D41/56
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021573182
(86)(22)【出願日】2020-06-26
(85)【翻訳文提出日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2020068094
(87)【国際公開番号】W WO2021001279
(87)【国際公開日】2021-01-07
(31)【優先権主張番号】19184212.9
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】314016535
【氏名又は名称】リフラクトリー・インテレクチュアル・プロパティー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】レングリ,ラファエル
【テーマコード(参考)】
4E014
【Fターム(参考)】
4E014DD01
4E014DD02
(57)【要約】
冶金容器の注ぎ口における交換デバイス(8)において、好ましくは、鋳造管(7)を操作するためのデバイスの場合、この操作は、ロボット(10)によって実行される。このロボットは、固定可能なベース(9)と、ベース上で旋回可能な運搬アーム(12)と、好ましくは鋳造管(7)用のグリッパ(14)を有する、運搬アームに回転可能に取り付けられた少なくとも1つの延長アーム(13)とを有する。ロボット(10)のベース(9)は、運搬アーム(12)が、容器の側面へ、下向きの位置へ旋回でき、この運搬アームに取り付けられた少なくとも1つの延長アーム(13)が、容器の下側に沿って移動できるように、容器と並んで固定される。これは、ロボットの、したがってデバイスの、最適な配置を提供するので、鋳造中に鋳造プラットフォーム上のタンディッシュへの人員のアクセスを妨げず、このデバイスを用いて、鋳造管交換のような、対応する操作を、自動化された方式で、非常に容易に、かつ操作上高い信頼性で実行することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冶金容器の注ぎ口における交換デバイスにおいて、好ましくは、鋳造管を操作するためのデバイスであって、この操作は、固定可能なベース(9)と、前記ベース(9)上で旋回可能な運搬アーム(12)と、好ましくは前記鋳造管(7)用のグリッパ(14)を備えた、この運搬アーム(12)に回転可能に取り付けられた少なくとも1つの延長アーム(13)とを備えるロボット(10)によって実行され、前記ロボット(10)の前記ベース(9)は、前記運搬アーム(12)が前記容器において横方向に、下向きの位置へ旋回でき、この運搬アームに取り付けられた前記少なくとも1つの延長アーム(13)が、前記容器の下側に沿って移動できるように前記容器の隣に固定されることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
前記容器は、車(2)上で鋳造位置に、または鋳造位置から離れて移動することができるタンディッシュ(1)として構成され、前記ロボット(10)の前記ベース(9)は、上部領域で、前記タンディッシュ(1)の横方向の隣の前記車(2)に固定され、したがって前記ロボット(10)は、前記車(2)とともに移動できることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記タンディッシュ(1)は、おのおのが交換デバイス(8)を備え、おのおのがロボット(10)を備え、互いに距離を置いて配置された少なくとも2つの注ぎ口を備えていることを特徴とする、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記車(2)は、リンケージ(16)を備え、ここでは、前記ロボット(10)の前記ベース(9)を固定するために、真下からアクセス可能な接触面(15)が形成され、このリンケージ(16)、および前記ロボット(10)は、前記タンディッシュ(1)の後側(25)に配置されることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ベース(9)に、垂直軸の周りを回転できる回転ベアリング(11)が配置され、前記回転ベアリング(11)は、このベアリングにおいて旋回可能な前記運搬アーム(12)を備えていることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ロボット(10)は、その操作動作のための制御デバイスを備えており、それによって、予熱ステーション(20)からの予熱された新しい鋳造管(7’)の取り外しのみならず、位置合わせ、および前記交換デバイス(8)への挿入、および、古い鋳造管(7’)の取り外しが、自動化された方式で実行されることを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記鋳造管(7’)用のこの予熱ステーション(20)は、前記ロボット(10)によって、それぞれの鋳造管(7’)を取り外し、および前記交換デバイス(8)への持ち込みができるように、前記タンディッシュ(1)において後側に配置されることを特徴とする、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記ロボット(10)が、前記冶金容器を備えた鋳造プラットフォーム上の鋳造管の交換以外の追加のまたは代替の操作に使用できることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記ロボット(10)が、鋳造中、マガジンからの鋳造粉末などの除去、前記鋳造管(7)を浸漬した状態での前記粉末の金型(4)への搬送のために使用できることを特徴とする、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記ロボット(10)は、容器の前記ベースにおける耐火シンクを交換するために使用できることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金容器の注ぎ口における交換デバイスにおいて、好ましくは、鋳造管を操作するためのデバイスに関し、この操作は、固定可能なベースと、ベース上で旋回可能な運搬アームと、好ましくは鋳造管用のグリッパを備えた、運搬アームに回転可能に取り付けられた少なくとも1つの延長アームとを備えるロボットによって実行される。
【背景技術】
【0002】
印刷刊行物欧州特許出願公開第2056983号(特許文献1)によるデバイスは、金属溶融物用の容器の注ぎ口に取り付けられたスライディングゲートを維持するために役立つ。このシステムには、少なくとも1つの金型マガジンと、スライドゲートを開閉するための手段とが備えられる。自動グリッパ交換システムを備え、操作上、制御デバイスに接続されたロボットが提供され、それによって、容器およびスライディングゲートの正確な位置が、それぞれ、自動的に決定される。これに続いて、スライディングゲートを作動させて開閉し、交換する個々のコンポーネントの状態に応じて、周囲のマガジンからツールまたはスペアパーツを掴み、ワーク、コンポーネント構造、およびそれらの交換または再据付のクリーニングを実行する。このロボットは頑丈な設計で、鋳造プラットフォームから離れた取鍋場所に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2056983号
【特許文献2】欧州特許2663413号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記で言及されたタイプのデバイスを提供するという目的に基づいており、それによって、鋳造管の交換および/または他の操作を、設備の鋳造プラットフォーム上で自動化された方式で実行でき、特に鋳造中は、使用するロボットは、この状況において、最適に配置される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴にしたがって、本発明にしたがって解決される。
【0006】
本発明によるロボットのこの構成では、容器の隣のベースのそのような固定構成により、その運搬アームは、容器において横方向に、下向きの位置へ旋回でき、運搬アームに取り付けられた少なくとも1つの延長アームが、容器の下側に沿って移動でき、ロボットの、したがってデバイスの最適な配置を達成でき、これによって、鋳造中に鋳造プラットフォーム上のタンディッシュへの人員のアクセスを妨げず、このデバイスを用いて、鋳造管交換のような、対応する操作を、自動化された方式で、非常に容易に、かつ操作上安全および高い信頼性で実行できるようになる。それに加えて、提供されたデバイスの構成を用いて、人員のために保護された領域を、鋳造プラットフォーム上に生成することができる。
【0007】
これらの利点は、基本的には、ロボットが、固定設置されたタンディッシュに、または有利には、タンディッシュに向かって移動できるキャリッジまたは車に取り付けられている場合に提供される。
【0008】
タンディッシュ車へのロボットの取り付けおよび取り外し、ならびにタンディッシュの構造設計上の特徴に合わせてその位置を調整するために、ロボットのベースが、タンディッシュ車の後側にあるリンケージなどの下側に配置されることが特に有利である。これにより、タンディッシュ車の全体的な構造を変えることなく、ロボットを最適な設置位置に取り付けることができる。
【0009】
これは、2つ以上の注ぎ口があるタンディッシュで、注ぎ口ごとに1台のロボットを使用する場合に特に有利である。
【0010】
本発明によるデバイスは、現在使用されているそれぞれの耐火性鋳造管の臨界摩耗度に達したときの鋳造管の交換によく適しており、既知の交換デバイスを備えている。この目的のために、ロボットは、その操作動作のための制御デバイスを備えており、それによって、予熱ステーションからの予熱された新しい鋳造管の取り外し、管の位置合わせ、および交換デバイスへの挿入、および、古い鋳造管の取り外しが、自動化された方式で実行される。
【0011】
本発明によるロボットは、好ましくは、冶金容器を備えた鋳造プラットフォーム上で、鋳造管の交換以外の追加のまたは代替の操作に使用することができる。
【0012】
本発明は、例示的な実施形態に基づいて、そして図を参照して、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、交換デバイスを用いて鋳造管を操作するための本発明によるデバイスを備えた、容器として提示されたタンディッシュの斜視図である。
図2図2は、予熱ステーションからの鋳造管の取り外し時における図1によるタンディッシュおよびデバイスの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1および図2は、冶金容器としてのタンディッシュ1を示しており、これは、連続鋳造プラントで、溶鋼を鋳造ストランドの金型4に連続的に供給するために使用される。溶鋼は、このタンディッシュ1の上方にある、図示されていない取鍋から、耐火シャドウ管19を通って運搬され、タンディッシュを満たす。
【0015】
しかしながら、原理的には、これは、取鍋または非鉄金属範囲内の別のそのような物体などのタンディッシュ以外の容器に関連でき、これによって、鋳造またはガスフラッシングデバイスを使用して、操作を実行することができる。
【0016】
タンディッシュ1は、移動可能な車2に取り付けられており、これにより、金型4の上方の鋳造位置に、またはこの鋳造位置から離れて移動することができる。この車2は、本質的に、車ベース22、ステージ23、排出ライン24、および車輪軸3’を備えレール上を走る車輪3を備える。したがって、これにより、ステージ23を備えた正面側を、鋳造中の人員のアクセスのために使用でき、取鍋用の回転塔が通常配置されるタンディッシュ1の後側25も利用可能である。
【0017】
タンディッシュ1の下側1’に互いに距離を置いて配置された2つの注ぎ口に取り付けられているのは、いずれの場合も、既知の交換デバイス8であり、これは、いずれの場合も、金型4に浸漬される耐火性鋳造管7を収容し、溶融物が、タンディッシュから、この金型に、気密方式で運搬されるようになる。この交換デバイス8により、鋳造管は鋳造状態に保たれ、それに加えて、使用済みの鋳造管7’’が、新しい鋳造管7’によって交換される。説明を容易にするために、おのおのの場合において、これらの3つの鋳造管は、交換されたときに示され、図1には、それに加えて、新しく導入された鋳造管7’が、金型への浸漬時における位置において図示される。この点に関して、そのような交換デバイスが詳細に説明されている印刷刊行物欧州特許2663413号(特許文献2)を参照されたい。
【0018】
これに加えて、デバイスは、交換デバイス8において鋳造管7、7’、7’’を操作するためのロボット10を備えている。このロボット10は、ベース9と、このベース上で旋回可能な運搬アーム12と、運搬アーム12に回転可能に取り付けられた延長アーム13と、鋳造管7用のグリッパ14とからなる。これに加えて、ベース9には、垂直軸の周りを回転でき、この旋回可能な運搬アーム12に配置された回転可能なベアリング11がある。これにより、このロボット10は、6つの軸、すなわち、x、y、z方向に加えて、3つの追加の回転方向に移動することが可能となる。
【0019】
ロボット10の機器は、その可動コンポーネントの旋回および回転のための機械的、油圧的、および/または電気的駆動要素12’、13’、ならびに制御ユニットに接続された位置決めセンサをさらに含む。既知の方式で動作する制御構成によって、ロボットを、自動化された方式で動作させることができ、対応する操作シーケンスを、プログラム制御で実行でき、ここでは、主に自動化された方式で、新たに予熱された鋳造管7’の、予熱ステーション20からの取り外しを実行でき、その後、これを交換デバイス8に位置合わせして挿入し、古い鋳造管7’’を取り外すことができる。
【0020】
本発明によれば、ロボット10のベース9は、運搬アーム12が下向きの位置へ旋回でき、それに取り付けられている少なくとも1つの延長アーム13が、タンディッシュ1の下側1’に沿って移動できるようにタンディッシュ1の隣に固定される。
【0021】
したがって、完成品として市販されているロボット10は、タンディッシュ1の隣に非常に簡単な方式で逆様に取り付けることができ、この最適な配置によって、所望の操作を正確に実行できる。
【0022】
この状況では、ロボット10のベース9は、上部領域で、タンディッシュ1の横方向の隣の車2に固定され、したがって、ロボットは、車とともに移動することができる。この目的のために、車2は、バー16を備え、これによって、ロボット10のベース9を固定するために真下からアクセス可能な接触面15が形成され、ここでは、このリンケージ16、およびロボット10は、タンディッシュ1の後側25に配置される。リンケージ16は、この安定したプロファイル構造等の状況にある。この接触面15は、タンディッシュ1の上側の幾分下方に配置され、タンディッシュの寸法または運搬アーム12の長さと一致するように向けられる。
【0023】
タンディッシュ1の下側1’に互いに間隔を置いて配置された2つの注ぎ口があるため、それら両方はおのおの、交換デバイス8およびロボット10を備えており、2つのロボットは、注ぎ口において、タンディッシュの隣の後側25の上部の車に固定されている。原理的には、ロボットを、両方の交換デバイス8に提供することも可能であり、それに応じて、一方から他方へ移動可能であるように誘導される必要がある。
【0024】
鋳造管7’について言及される予熱ステーション20は、ロボット10によって、それぞれの予熱された鋳造管7’を、この予熱ステーション20からの取り外し、および交換デバイス8への持ち込みができるように、タンディッシュ1の後側25に配置される。この状況では、この予熱ステーション20は、既知の方式で構成されているため、これ以上詳細には説明しない。鋳造管は、グリッパ14が、おのおのの場合にそれぞれの鋳造管7’を直接引き抜くことができるように、この予熱ステーションに配置される。
【0025】
それに加えて、タンディッシュ1の後側25に配置されていることにより、ロボット10も非常に良好に保護され、示されているような横方向のスクリーニンググリル26により、動作状態にあるロボットの作業ゾーンに人員が入る可能性を防ぐことができる。
【0026】
これに加えて、ロボット10は、鋳造管を交換する以外の追加のまたは代替の操作に使用できるという特徴がある。たとえば、近くに配置されたマガジンから金型4に鋳造粉末などを送るために使用することができる。
【0027】
本発明によるロボット10はまた、たとえば、取鍋ベースにおける耐火シンク、または、タンディッシュの上方の取鍋のスライディングゲートの注ぎ口における耐火シャドウ管など、システムの容器との摩耗を受ける他の同等のコンポーネントの操作にも良好に適している。
【0028】
本発明は、前述の例示的な実施形態によって適切に表される。しかしながら、さらなる変形も構成され得る。たとえば、ロボットを、簡単な操作デバイスとして装備することもできる。それに加えて、金属溶融物を含む容器は、車2上で移動可能ではない場合もあり得るが、その代わりに、特に、ロボット10の有無に関わらず、クレーンなどによって輸送することができる。
【0029】
原理的には、ベース9、およびベース9とともに軸の周りを回転できる回転ベアリング11は、その軸が下向きに垂直ではなく、斜め下向きまたはほぼ水平の角度で整列されることが可能であり、これによって、回転ベアリングにおいて結合されている運搬アーム12は、少なくともほぼ垂直に下向きに旋回でき、延長アーム13は、タンディッシュの真下の運搬アーム12上で移動可能となることが可能である。
【0030】
同様に、ロボットのベースは、個別のリンケージに固定されていない場合があるが、他のいくつかの方式では、車または別の場所に固定されている場合がある。
【0031】
管を鋳造するための交換デバイスの代わりに、既知の方式で、耐火性自走ノズル用の交換デバイスを提供することが可能であり、自走ノズルは、同様に、ロボット10によって配置または交換される。
【0032】
もちろん、ロボットは、鋳造プラントの構成および要件に応じて、異なる構成にすることができる。それは、唯一のベースと、このベースで1つの平面のみの周りを旋回する1つの運搬アームと、グリッパを備えた延長アームとで、より単純に構成できる。しかしながら、それぞれ2つの運搬アームまたは延長アームが提供されることも可能とすることができる。
【0033】
グリッパは、その用途に応じて、異なる構成にすることもできる。それは、たとえば、把持指を用いて、または運搬手段などとして構成することができる。
図1
図2
【国際調査報告】